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特表2024-522007PPVおよびCPAP治療のためのデバイスおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-06
(54)【発明の名称】PPVおよびCPAP治療のためのデバイスおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
A61M16/00 370Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572809
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2021065646
(87)【国際公開番号】W WO2022258185
(87)【国際公開日】2022-12-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522378926
【氏名又は名称】ネオレス アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドレヴハマー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン ケル
(57)【要約】
本発明は、陽圧換気(PPV)および持続的気道陽圧(CPAP)治療のためのデバイスであって、新鮮ガス流入口に接続可能な新鮮ガス流チューブから新鮮ガス流を受け取るように配置された新鮮ガス流入口と、患者インターフェースと接続可能である患者インターフェース端部と、開端部を備える出口と、第1の接続部分、第2の接続部分、および第3の接続部分を備え、第1の接続部分は新鮮ガス流入口と接続され、第2の接続部分は患者インターフェース端部と接続され、第3の接続部分は出口と接続される、CPAPジェネレータであって、新鮮ガス流入口から新鮮ガス流を受け取ったとき一次新鮮ガス流を供給するように配置され、生成されるCPAPレベルは、新鮮ガス流を変動させることによって調整可能である、CPAPジェネレータとを備えるデバイスに関する。このデバイスは、第1の端部および第2の端部を備え、第1の端部は、第2の接続部分、第3の接続部分、患者インターフェース端部のうちの少なくとも1つと接続される、二次流路であって、少なくともPPVモードで、一次新鮮ガス流に追加されることになる二次新鮮ガス流を供給するように構成される二次流路と、出口に向かう方向における流れに抵抗をもたらすように出口と二次流路の第1の端部との間に配置される流れ抵抗器とをさらに備える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽圧換気(PPV)および持続的気道陽圧(CPAP)治療のためのデバイスであって、
新鮮ガス流入口に接続可能な新鮮ガス流チューブから新鮮ガス流を受け取るように配置された前記新鮮ガス流入口と、
患者インターフェースと接続可能である患者インターフェース端部と、
開端部を備える出口と、
第1の接続部分、第2の接続部分、および第3の接続部分を備え、前記第1の接続部分は前記新鮮ガス流入口と接続され、前記第2の接続部分は前記患者インターフェース端部と接続され、前記第3の接続部分は前記出口と接続される、CPAPジェネレータであって、前記新鮮ガス流入口から前記新鮮ガス流を受け取ったとき一次新鮮ガス流を供給するように構成され、生成されるCPAPレベルは、前記新鮮ガス流を変動させることによって調整可能である、CPAPジェネレータと、
第1の端部および第2の端部を備え、前記第1の端部は、前記第2の接続部分、前記第3の接続部分、および前記患者インターフェース端部のうちの少なくとも1つと接続される、二次流路であって、少なくともPPVモードで、前記一次新鮮ガス流に追加されることになる二次新鮮ガス流を供給するように構成される二次流路と、
前記出口に向かう方向における流れに抵抗をもたらすように前記出口と前記二次流路の前記第1の端部との間に配置される流れ抵抗器と
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記流れ抵抗器は、前記出口に配置される、請求項1に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項3】
前記二次流路の前記第1の端部は、前記患者インターフェース端部と接続され、前記流れ抵抗器は、前記患者インターフェース端部と前記出口との間に配置される、請求項1に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項4】
前記二次流路の前記第1の端部は、前記第3の接続部分と接続され、前記二次流路の前記第2の端部は、前記患者インターフェース端部と接続され、前記流れ抵抗器は、前記第3の接続部分と前記出口との間に配置される、請求項1に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項5】
前記二次流路は、第2の新鮮ガス流を受け取るように配置された第2のCPAPジェネレータを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項6】
前記二次流路は内部漏れチャネルであり、その前記第1の端部は、前記患者インターフェース端部および前記第3の接続部分のうちの少なくとも1つと接続され、その前記第2の端部は、前記新鮮ガス流入口と接続され、前記内部漏れチャネルは、前記CPAPジェネレータの前記第1の接続部分をバイパスする、請求項1から4のいずれか一項に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項7】
前記二次流路は、前記デバイスの外部に設けられた新鮮ガス源から第2の新鮮ガス流を受け取るように配置された二次新鮮ガス流チューブを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項8】
前記流れ抵抗器は、固定された流れ抵抗器である、請求項1から7のいずれか一項に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項9】
前記流れ抵抗器は、調整可能な流れ抵抗器である、請求項1から7のいずれか一項に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項10】
前記調整可能な流れ抵抗器は、手動制御可能な流れ抵抗器、電気制御可能な流れ抵抗器、および空気圧制御可能な流れ抵抗器のうちの1つである、請求項9に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項11】
前記流れ抵抗器は、機械式流れ抵抗器である、請求項1から10のいずれか一項に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項12】
前記流れ抵抗器は、前記CPAPジェネレータと流体的に連通する流れ抵抗器チャネルを画定する内径を備え、前記流れ抵抗器チャネルの前記内径は、前記流れ抵抗器チャネルが流体的に連通する前記デバイスの隣接部分の内径より小さい、請求項11に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項13】
前記流れ抵抗器チャネルの前記内径は、前記出口に向かう方向における前記流れに対してコネクタの上流にある前記デバイスの隣接部分の内部直径より小さい、請求項12に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイス。
【請求項14】
PPVおよびCPAP治療のためのシステムであって、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイスと、新鮮ガス流チューブと、前記新鮮ガス流チューブによって前記新鮮ガス流入口と接続された新鮮ガス源と、PPVモードにおける過剰な陽圧を防止するように配置された圧力解放弁とを備える、システム。
【請求項15】
前記圧力解放弁は、前記デバイスの前記患者インターフェース端部および前記出口のうちの1つと接続される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
圧力測定デバイスをさらに備える、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
PPVおよびCPAP治療のための呼気時定数および負荷呼吸仕事量を調整する方法であって、
請求項14から16のいずれか一項に記載のシステムを提供するステップと、
前記システムの使用中、前記出口に向かう方向における流れに、異なるレベルの抵抗をもたらすように、前記システムの前記流れ抵抗器を動作させるステップと
含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽圧換気(PPV)および持続的気道陽圧(CPAP)治療のためのデバイスおよびシステムの分野に関し、そのような治療において呼気時定数および負荷呼吸仕事量(imposed work of breathing)を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陽圧換気(PPV)および持続的気道陽圧(CPAP)治療のためのデバイスおよびシステムは、新生児蘇生および初期呼吸サポート用に当技術分野において知られている。いくつかの知られているデバイスおよびシステムは、早期および正期の新生児使用のために設計およびテストされている。
【0003】
従来、陽圧換気のための2つの異なるシステム、すなわち単純なTピースまたはバッグが使用されている。どちらのシステムも児童に対してマスクインターフェースを使用するが、気管内(ET)チューブが使用されることもある。これらの2つのシステムは、扱いやすく、複雑でなく、安価であり、数十年の間使用されている。
【0004】
Tピースシステムは、呼吸のある乳児のために陽圧換気ならびにCPAPを提供することができるが、バッグシステムは、呼吸のある乳児のためにCPAPを提供することができない。
【0005】
新生児蘇生では、呼吸のない児童の換気(PPV)、および自発呼吸のある児童のためのCPAPによるサポートが共に必要である。両タイプのサポートが必要であることは一般的であり、蘇生期間中、時間の経過につれて変化する。
【0006】
Tピースシステムおよびバッグシステムは共に、呼吸のない児童のための容易な陽圧換気を可能にするが、TピースシステムだけがCPAPをも提供することができる。しかし、これらのシステムは、大部分の専門化されたCPAPシステムより高い負荷呼吸仕事量に新生児をさらし、これは、PPVの期間の延長をもたらし得る。これは、2つのシステム間で、すなわちPPVのためのものと、CPAPのための専門化されたシステムとを切り替えることによって克服することができるであろう。しかし、2つのシステム間で切り替えることは、蘇生期間中には非現実的である。
【0007】
機器を交換することなくPPVと呼吸サポートのためのCPAPとの間で容易に切り替えること、およびCPAPを用いて治療されている呼吸のある児童のために低い負荷呼吸仕事量を提供することが必要であった。これらの問題は、経鼻インターフェースおよび顔マスクと、また気管内チューブと両立可能なPPVおよびCPAP両方の容易な提供を両立させる、WO2012108826に記載されているデバイスおよびシステムによって解決された。
【0008】
WO2012108826に開示されているデバイスおよびシステムは、圧力安定したものであり、治療されている患者に与える呼吸抵抗が低い。この低い呼吸抵抗は、有益なものであることが暗示され、そう想定されている。しかし、現在、呼吸抵抗のレベルの効果の調査を可能にし、したがってそのようなデバイスおよびシステムによってもたらされる呼吸抵抗を最適化することを可能にするシステムはない。呼吸抵抗は、PPV中の呼気時定数に、またCPAP中の負荷呼吸仕事量に直接関係する。個々の患者、研究対象者、または動物のために呼気時定数および呼吸仕事量を調整することは、今日使用可能な技術およびシステムでは可能でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当技術分野における上記で特定された欠点および不利な点のうちの1つまたは複数を単独で、または任意の組合せで緩和、軽減、または解消し、上述の問題に対する解決策を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この問題によりよく対処するために、本発明の第1の態様では、陽圧換気(PPV)および持続的気道陽圧(CPAP)治療のためのデバイスであって、新鮮ガス流入口に接続可能な新鮮ガス流チューブから新鮮ガス流を受け取るように配置された新鮮ガス流入口と、患者インターフェースと接続可能である患者インターフェース端部と、開端部を備える出口と、第1の接続部分、第2の接続部分、および第3の接続部分を備え、第1の接続部分は、新鮮ガス流入口と接続され、第2の接続部分は、患者インターフェース端部と接続され、第3の接続部分は、出口と接続される、CPAPジェネレータであって、新鮮ガス流入口から新鮮ガス流を受け取ったとき一次新鮮ガス流を供給するように配置され、生成されるCPAPレベルは、新鮮ガス流を変動させることによって調整可能である、CPAPジェネレータと、第1の端部および第2の端部を備え、第1の端部は、第2の接続部分、第3の接続部分、および患者インターフェース端部のうちの少なくとも1つと接続される、二次流路であって、少なくともPPVモードで、一次新鮮ガス流に追加されることになる二次新鮮ガス流を供給するように構成される二次流路と、出口に向かう方向における流れに抵抗をもたらすように出口と二次流路の第1の端部との間に配置される流れ抵抗器とを備えるデバイスが提供される。
【0011】
このデバイスは、出口と二次流路の第1の端部との間に流れ抵抗器を提供することにより、PPV治療中、システム吸気および呼気時定数の操作、およびCPAP治療中、負荷呼吸仕事量の調整が可能になる点で有利となり得る。新生児の呼吸サポートを最適化するために呼気時定数および負荷呼吸仕事量の調整を使用することは、これまで動物または人において開示されていない。したがって、本発明は、この分野における研究のためのツールを提供し、蘇生および呼吸サポートの最適化を可能にし、乳児のための改善された呼吸管理をもたらす。
【0012】
このデバイスは、出生時に液体肺から含気肺へ移行する(機能的残気量(FRC)を確立する)間の乳児のためだけでなく、肺疾患、未熟肺、または他の状態を有する乳児のためにも使用することができる。時定数および呼吸仕事量の最適化から最も利益を得ることになる患者または肺は、確立されていない。これは、時間の経過につれて変化する可能性もあり、いくつかの効果は有益となる可能性が高いが、有害なものもある。増大または減少した呼吸抵抗をもたらすことの考えられる利益または害は、時間の経過につれて変化することがあり、在胎齢、以前の機械式換気、界面活性剤の使用、肺疾患の異型遺伝子性(heterogenicity)、自発呼吸努力、呻吟、肺のコンプライアンスなどの要因に依存する。
【0013】
FRCの構築は、健康な乳児では、増大された呼気時定数をもたらす声門の閉鎖によって一部達成される。小動物では、呼気時定数との組合せでの高い呼吸数が共に通気に貢献する。これらの通常の挙動は、呼気時定数が通常の換気力学および生理学の重要な部分であることを示す。
【0014】
さらに、このデバイスは、PPVおよびCPAP治療両方に使用することが容易である。出口に向かう方向における流れに抵抗をもたらすように配置された流れ抵抗器を備えるこのデバイスは、呼気時定数および負荷呼吸仕事量の迅速かつ容易な調整を可能にし、これは有利である。例えばWO2012108826に開示されているような圧力安定なシステムとの組合せで使用されるとき、このデバイスは、非常に広範囲の新鮮ガス流にわたって調整および最適化をさらに可能にし、吸気時間およびピーク吸気流れの調整を可能にする。
【0015】
本発明の目的のために、「乳児」および「児童」という語は、新生児など患者、および新生児蘇生および初期呼吸サポートを必要としている新生児童を包含することが意図されている。これらの語は、約10kgの体重までの児童およびよちよち歩きの子をも包含することが意図されている。新鮮ガス流は、望ましい増加時間が達成されるように児童の体重およびサイズに合わせられる。
【0016】
本発明の目的のために、「新鮮ガス流」という言い回しは、システムおよびその一部を通って流れる空気、酸素、またはこれらの混合物であり、「新鮮ガス流チューブ」という言い回しは、その中を新鮮ガスが流れるところである。新鮮ガス流は、温かく、加湿されたものとすることができる。
【0017】
本発明の目的のために、「可変流量CPAPジェネレータ」という言い回しは、新鮮ガスの流量を変動させることによってCPAPレベルが調整される任意の持続的気道陽圧デバイスを包含することが意図されているデバイスである。
【0018】
本発明の目的のために、「負荷呼吸仕事量」という言い回しは、デバイスを通じて呼吸するために必要とされる追加の仕事量であり、システムの圧力安定性を測定する確立された方法である。負荷呼吸仕事量は、1回の呼吸における圧力-体積ループ内の面積を計算することによって得られる。
【0019】
本発明の目的のために、「呼気時定数」という言い回しは、換気力学の動的な測定値であり、完全な呼気のために必要とされる実際の時間についての情報を提供する。呼気時定数は、吐き出される一回の呼吸気量および流量値の解析によって決定することができる。
【0020】
本発明の目的のために、「患者インターフェース」という語は、1対の経鼻プロング、マスク、気管内チューブ、または任意の他の好適なデバイスなど、患者、たとえば乳児または児童に接続するのに適している任意のインターフェースを包含することが意図されている。
【0021】
上記の利点を達成するために二次流路および流れ抵抗器を配置する異なる方法がある。
【0022】
デバイスの一実施形態によれば、流れ抵抗器は、固定された流れ抵抗器である。したがって、この実施形態によれば、流れ抵抗器は、少なくとも所定のレベルに固定される出口に向かう方向における流れに抵抗をもたらすように構成される。これは、出口に向かう方向におけるデバイスを通る流れに一定の抵抗をもたらす点で有利である。
【0023】
デバイスの一実施形態によれば、流れ抵抗器は、調整可能な流れ抵抗器である。すなわち、流れ抵抗器によってもたらされる流れ抵抗は、調整可能である。これは、流れ抵抗器によってもたらされる流れ抵抗を調整することができ、治療を受ける患者に合わせられる点で有利である。調整は、たとえば、段階的に、徐々に、またはサーボ制御されて行うことができる。
【0024】
デバイスの一実施形態によれば、調整可能な流れ抵抗器は、手動制御可能な流れ抵抗器、電気制御可能な流れ抵抗器、および空気圧制御可能な流れ抵抗器のうちの1つである。
【0025】
デバイスの一実施形態によれば、流れ抵抗器は、機械式流れ抵抗器である。
【0026】
デバイスの一実施形態によれば、流れ抵抗器は、CPAPジェネレータと流体連通する流れ抵抗器チャネルを画定する内径を備え、流れ抵抗器の内径は、流れ抵抗器チャネルが流体連通するデバイスの隣接部分の内径より小さい。デバイスの一実施形態によれば、流れ抵抗器チャネルの内径は、出口に向かう方向における流れに対して流れ抵抗器の上流にあるデバイスの隣接部分の内部直径より小さい。それにより、出口に向かう方向におけるデバイスを通る流れへの抵抗がもたらされる。流れ抵抗器は、たとえば、流れ抵抗器チャネルを備えるコネクタであってよい。しかし、流れ抵抗器チャネルを備えるチューブである流れ抵抗器、たとえばフィルタを設けることも、本発明の概念内で可能である。
【0027】
デバイスの一実施形態によれば、流れ抵抗器は、機械式、電気式、または空気圧式で制御される流れ抵抗器である。一例では、流れ抵抗器は、弁を備える。弁は、麻酔器および人工呼吸器において一般的に入手可能な構成要素であるが、出口に向かう方向における流れに抵抗をもたらし、それにより、呼気時定数および負荷呼吸仕事量を調整および最適化するためにPPVおよびCPAP治療のための可変流量CPAPデバイスにおいてこれまで使用されていない。
【0028】
デバイスの一実施形態によれば、流れ抵抗器は、出口に配置される。これは、抵抗器への容易なアクセスを可能にし、抵抗器の手動制御および交換を容易にする。ある実施形態では、流れ抵抗器は、出口に取外し可能に配置される。このような実施形態では、異なるレベルの流れ抵抗をもたらす流れ抵抗器は、治療の必要に応じて提供および交換され得る。そのような流れ抵抗器は、いくつかの実施形態によれば、流れ抵抗器チャネルを備えるコネクタを含むことができる。それぞれが直径の異なる流れ抵抗器チャネルを有し、デバイスの出口に取外可能に配置可能であり、流れ抵抗器チャネルの直径がCPAPジェネレータの第3の接続部分の内部直径より小さいいくつかのコネクタを提供することにより、流れ抵抗器によってもたらされる流れ抵抗を、出口に配置されたコネクタを交換することによって望むように調整することができる。そのようなコネクタは、たとえば押し嵌めまたはねじ込みによってデバイスの出口に配置され得る。しかし、コネクタを出口に配置するための他の手段もまた、本発明の概念内で考えることができる。
【0029】
デバイスの一実施形態によれば、二次流路の第1の端部は、患者インターフェース端部と接続され、流れ抵抗器は、患者インターフェース端部と出口との間に配置される。流れ抵抗器は、この実施形態では、CPAPジェネレータの第2の接続部分もしくは第3の接続部分に、または出口に配置することができる。
【0030】
デバイスの一実施形態によれば、二次流路の第1の端部は、第3の接続部分と接続され、二次流路の第2の端部は、患者インターフェース端部と接続され、流れ抵抗器は、第3の接続部分と出口との間に配置される。第3の接続部分と患者インターフェース端部との間に流れ抵抗器を配置することは、流れ抵抗器がこのように二次流路と干渉することになり、吸気時定数の増大をもたらし、これは、蘇生および呼吸治療において不利であるため、この実施形態では望ましくない。
【0031】
デバイスの一実施形態によれば、二次流路は、第2の新鮮ガス流を受け取るように配置された第2の可変流量CPAPジェネレータを備える。いくつかの、たとえば第3および第4の可変流量CPAPジェネレータを提供し、さらなる二次流路を設けることも本発明の概念内で可能である。ここで、新鮮ガス流がデバイスに供給されるときに生成される総合的な新鮮ガス流およびCPAPレベルは、可変流量CPAPジェネレータを係合または係合解除することによって、またはあまり効率的でないCPAPジェネレータに流れを向けて送ることによって制御することができる。一実施形態によれば、可変流量CPAPジェネレータは、新鮮ガス流入口、患者インターフェース端部、およびデバイスの出口と接続され、コンパクトなデバイスを提供する。
【0032】
デバイスの一実施形態によれば、二次流路は、内部漏れチャネルであり、その第1の端部は、患者インターフェース端部および第3の接続部分のうちの少なくとも1つと接続され、その第2の端部は、新鮮ガス流入口と接続され、内部漏れチャネルは、CPAPジェネレータの第1の接続部分をバイパスする。これは、コンパクトなデバイスを提供する。
【0033】
デバイスの一実施形態によれば、二次流路は、デバイスの外部に設けられた新鮮ガス源から第2の新鮮ガス流を受け取るように配置された二次新鮮ガス流チューブを備える。
【0034】
本発明の第2の態様によれば、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイスを備えるPPVおよびCPAP治療のためのシステムであって、新鮮ガス流チューブと、新鮮ガス流チューブによって新鮮ガス流入口と接続された新鮮ガス源と、PPVモードにおいて過剰な陽圧を防止するように配置された圧力解放弁とを備えるシステムが提供される。したがって、このシステムは、新鮮ガス源と、治療対象の患者に適するように適合された特定の開口圧力に設定される圧力解放弁とを含む。システムの一実施形態によれば、デバイスの出口の開端部が閉塞されているとき、圧力は、圧力解放弁の開口圧力に達するまで可変流量CPAPジェネレータから増大することになり、圧力のこの増大は、吸気流をもたらし、それにより、システムの圧力は、閉塞が出口から除去されるまで設定されたPPV圧力で留まることになるように構成される。出口が閉塞されていないとき、圧力は、設定されたCPAPレベルに戻ることになり、それにより、圧力の減少が呼気流をもたらす。蘇生システム呼気時定数は、呼気抵抗に関係する。増大された抵抗は、時定数を増大することになる。患者の総合的な呼気時定数は、患者気管内チューブサイズおよび肺コンプライアンスなど、蘇生システム以外の要因にも依存することになる。
【0035】
システムの一実施形態によれば、自発呼吸中、患者からの流れおよび新鮮ガス流は、可変流量CPAPジェネレータを通ってシステムを離れ、CPAPを生成した流れを変動させることによって患者の気道内の陽圧を安定に保ち、それにより、気道内のCPAPを必要に応じて調整することができるように構成される。蘇生システム負荷呼吸仕事量は、呼気抵抗に関係する。増大された抵抗は、負荷呼吸仕事量を増大することになる。患者の総合的な呼吸仕事量は、生理学的な仕事量(弾力性および抵抗性)に負荷仕事量(呼吸装置または蘇生デバイスの抵抗)を加えたものである。
【0036】
システムの一実施形態によれば、圧力解放弁は、患者インターフェース端部およびデバイスの出口のうちの1つと接続される。これらは、システム内で圧力解放弁を配置する2つの代替的な方法であり、主な目的は、対象の圧力が確実に測定可能である位置にそれを配置することである。デバイスの出口に関連して圧力解放弁を配置することは、コンパクトなデバイスおよびシステムを提供する。
【0037】
システムの一実施形態によれば、システムは、圧力測定デバイスをさらに備える。それにより、システムの動作を容易に監視し、新鮮ガス流の望ましい調整を行うことが可能である。好ましくは、圧力測定デバイスは、デバイスの患者インターフェース端部の近くに接続される。当然ながら、主な目的は、対象の圧力が確実かつ正確に測定可能である位置に圧力測定デバイスを配置することである。
【0038】
本明細書に開示されているデバイスは、新生児蘇生および呼吸サポートのためのPPVおよびCPAP治療において使用することができる。
【0039】
本明細書に開示されているシステムは、新生児蘇生および呼吸サポートのためのPPVおよびCPAP治療において使用することができる。
【0040】
本発明の第3の態様によれば、PPVおよびCPAP治療のための呼気時定数および負荷呼吸仕事量を調整する方法が提供され、この方法は、本明細書に開示されているシステムを提供するステップと、システムの使用中、出口に向かう方向における流れに、異なるレベルの抵抗をもたらすように、システムの流れ抵抗器を動作させるステップとを含み、それにより、呼気時定数および負荷呼吸仕事量を調整する。
【0041】
第2および第3の態様の効果および特徴は、第1の態様に関連して上述したものと概ね同様である。第1の態様に関連して述べた実施形態は、第2および第3の態様と概ね両立可能である。さらに本発明の概念は、別段明示的に述べられていない限り、特徴のすべての可能な組合せに関することに留意されたい。
【0042】
本開示の利用可能性のさらなる範囲は、下記に与えられている詳細な説明から明らかになろう。しかし、詳細な説明および特定の例は、本開示の好ましい実施形態を示してはいるが、当業者にはこの詳細な説明から本開示の範囲内の様々な変更および修正が明らかになるので、例示的なものとして示されているにすぎないことを理解されたい。
【0043】
したがって、本開示は、記載されているデバイスの特定の構成要素部分、または記載されている方法のステップに限定されず、そのようなデバイスおよび方法は変わることがあることを理解されたい。また、本明細書に使用されている用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定するものであることは意図されていないことをも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、別段文脈により明らかに示されていない限り、それらの要素のうちの1つまたは複数があることを意味することが意図されていることに留意されたい。したがって、たとえば、「a unit(ユニット)」または「the unit(前記ユニット)」に言及することは、いくつかのデバイスなどを含み得る。さらに、「comprising(備える、含む)」、「including(含む)」、「containing(含む)」という語および同様の言い回しは他の要素またはステップを排除しない。
【0044】
次に、本発明について、例として、添付の概略的な図面を参照してより詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態によるデバイスおよびシステムの概略断面図である。
図2】本発明の一実施形態によるデバイスおよびシステムの概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるデバイスおよびシステムの概略断面図である。
図4】本発明の一実施形態によるデバイスおよびシステムの概略断面図である。
図5】本発明の一実施形態によるデバイスの概略断面図である。
図6】本発明の一実施形態によるデバイスおよびシステムの概略的な部分断面図である。
図7】陽圧換気中の呼気時定数のグラフである。
図8】CPAPレベルの関数としての自発呼吸中の負荷呼吸仕事量のグラフである。
図9】CPAPレベルの関数としての自発呼吸中の負荷呼吸仕事量のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、本開示について、以下本開示の現在好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照してより十分に述べる。しかし、本開示は、多数の異なる形態で具体化され得、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきでなく、これらの実施形態は、徹底したもの、完全なものとするために、また当業者に本開示の範囲を十分に伝えるために提供されている。
【0047】
本明細書に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイスの実施形態に共通することは、新鮮ガス流入口2と、患者インターフェース端部3と、開端部5を有する出口4と、新鮮ガス流入口2、患者インターフェース端部3、および出口4と接続された可変CPAPジェネレータ6と、第1の端部8および第2の端部9を備える二次流路7と、出口4に向かう方向における流れに抵抗をもたらすように出口4と二次流路7の第1の端部8との間に配置される流れ抵抗器10とを備えることである。デバイスの二次流路7および流れ抵抗器10の配置は、少なくとも以下に記載の異なる例示的な実施形態によって示されるように、本発明の概念内で変わることがある。
【0048】
PPVおよびCPAP治療のためのデバイスを備える、システムの異なる実施形態も開示される。本明細書に記載のPPVおよびCPAP治療のためのシステムの実施形態に共通することは、本明細書に記載のPPVおよびCPAP治療のためのデバイスと、デバイスの新鮮ガス流入口2と接続された新鮮ガス流チューブ14と、新鮮ガス流チューブ14を通じて新鮮ガス流入口2と接続された新鮮ガス源20と、PPVモードにおける過剰な陽圧を防止するように構成された圧力解放弁16とを備えることである。任意選択で、システムは、患者に与えられる圧力を測定するように配置された圧力測定デバイス17をさらに備える。
【0049】
図1を参照すると、PPVおよびCPAP治療のためのデバイス100およびシステム150の第1の実施形態によれば、デバイス100は、新鮮ガス流入口2と接続された第1の接続部分11、患者インターフェース端部3と接続された第2の接続部分12、およびデバイス100の出口4と接続された第3の接続部分13を備える可変流量CPAPジェネレータであるCPAPジェネレータ6を備える。デバイス100は、第1の端部8および第2の端部9を備える二次流路7をさらに備える。二次流路7の第1の端部8は、この実施形態では、デバイス100の患者インターフェース端部3と接続される。二次流路7の第2の端部9は、新鮮ガス流を二次流路7に供給するための新鮮ガス源に接続可能である。図1に示されているデバイス100は、流れ抵抗器10をさらに備える。流れ抵抗器10は、出口4に配置され、デバイス100の開端部5を構成する開端部5を有する。流れ抵抗器10は、ここでは、たとえば、電気的に制御可能な調整弁、または流体連通するデバイス100の隣接部分、ここでは第3の接続部分13およびデバイス100の出口4のものより小さい直径を有する内部チャネルを備えるコネクタのうちの1つとすることができる。コネクタは、たとえば、コネクタを出口4の開端部5に押し嵌めすることによって、デバイスの出口4に取外し可能に配置することができる。それぞれが他のコネクタに対して直径の異なる内部チャネルを有し、出口4、たとえばデバイス100の開端部5に取外し可能に配置可能であるいくつかのコネクタを提供することによって、流れ抵抗器10によってもたらされる流れ抵抗のレベルを、1つのコネクタを別のコネクタと交換することによって調整することができる。したがって、そのような流れ抵抗器10は、調整可能な流れ抵抗器である。本開示から理解されるように、デバイスの開端部5に向かう方向における流れへの抵抗がもたらされることを条件に、他のタイプの流れ抵抗器をも本発明の概念内で考えることができる。たとえば、サイズが手動調整可能な開口を有する流れ抵抗器が提供されてもよい。さらに、流れ抵抗器は、手動、電気式、または空気圧式調整可能な弁であってもよい。
【0050】
デバイス100は、ここでは、PPVおよびCPAP治療のためのシステム150に一体化される。このシステムは、デバイス100の新鮮ガス流入口2に接続される新鮮ガス流チューブ14をさらに備える。新鮮ガス流チューブ14は、新鮮ガス流入口2と接続されたものとは反対側の端部において、新鮮ガス流をデバイス100に供給するための新鮮ガス源に接続可能である。さらに、システム150のこの実施形態では、圧力解放弁16が二次流路7と流体的に連通して設けられる。圧力測定デバイス17もまた、第1の端部8と圧力解放弁16との間に二次流路7に接続して配置される。しかし、圧力測定デバイス17は、圧力を測定することに関心がない場合、すべての実施形態において省略されてもよい。
【0051】
図2を参照すると、流れ抵抗器10の配置は別として図1を参照して述べたデバイス100およびシステム150に似ている、デバイス200およびシステム250の第2の実施形態によれば、流れ抵抗器10は、患者インターフェース端部3とCPAPジェネレータ6の第2の接続部分12との間に配置される。二次流路7の第1の端部8は、ここでも、デバイス200の患者インターフェース端部3と接続される。したがって、流れ抵抗器10は、出口4に向かう方向における流れに抵抗をもたらすように、二次流路7の第1の端部8とデバイス200の出口4との間に配置される。
【0052】
PPVおよびCPAP治療のためのデバイス300およびシステム350の第3の実施形態が図3に示されている。この例示的な実施形態では、二次流路7は、デバイス300のCPAPジェネレータ6の第3の接続部分13に接続して配置される。二次流路7の第2の端部9は、図1~2に示されている実施形態と同様に、新鮮ガス流を二次流路7に供給するための新鮮ガス源に接続可能である。この実施形態では、流れ抵抗器もまた、デバイス300の出口4に、また患者インターフェース端部3からデバイス300の出口4の開端部5への流れの方向を考慮して、二次流路7の第1の端部8の下流に配置される。したがって、流れ抵抗器10は、二次流路7の第1の端部8と、デバイス300の出口4の開端部5との間に配置される。より具体的には、この実施形態では、流れ抵抗器10は、第3の接続部分13および出口4を通じてCPAPジェネレータ6と流体的に連通する流れ抵抗器チャネル18を画定する内径を備える。図3でわかるように、流れ抵抗器チャネル18の内径は、流れ抵抗器10が流体的に連通する出口4の隣接部分の内径より小さい。より具体的には、流れ抵抗器チャネル18の内径は、流れ抵抗器10が流体連通するデバイス300の隣接上流部分の内径より小さい。流れ抵抗器チャネル18の下流端部は、ここでは、デバイス300の開端部5を構成する。
【0053】
図3に示されている例示的な実施形態では、デバイス300はさらに、圧力解放チューブ15、圧力解放弁16、および圧力測定デバイス17を備えるシステム350に一体化される。ここでは、圧力解放チューブ15は、第1の端部において、患者インターフェース端部3と接続される。圧力解放弁16は、圧力解放チューブ15の第1の端部とは反対側の、圧力解放チューブ15の第2の端部に配置される。圧力測定デバイス17は、患者インターフェース端部3と圧力解放弁16との間に配置される。
【0054】
PPVおよびCPAP治療のためのデバイス400およびシステム450の第4の実施形態が図4に示されている。デバイス400のこの実施形態では、流れ抵抗器は、図1および図3に関連して述べた実施形態と同様に、出口4に配置される。さらに、二次流路7は、患者インターフェース端部3およびCPAPジェネレータ6の第2の接続部分12に接続して配置される。二次流路7は、ここでは、そこに接続された第2の新鮮ガス流チューブ19から第2の新鮮ガス流を受け取るように配置された第2のCPAPジェネレータを備える。したがって、第2のCPAPジェネレータは、ここでは、第2の新鮮ガス流チューブ19と、患者インターフェース端部3と、CPAPジェネレータ6、より具体的にはその第2の接続部分12を通じて、デバイス400の出口4に接続される。より具体的には、二次流路7は、CPAPジェネレータ6の第2の接続部分12と接続される、第2のCPAPジェネレータの第3の接続部分に対応する第1の端部8と、第2の新鮮ガス流チューブ19と接続可能である、第2のCPAPジェネレータの第1の接続部分に対応する第2の端部9とを備える。第2のCPAPジェネレータの第3の接続部分は、患者インターフェース端部3と接続される。デバイス400は、図3に示されている実施形態に関連して述べた圧力解放弁16および圧力測定デバイス17を備える圧力解放チューブ15をさらに備えるシステム450内に含まれる。
【0055】
PPVおよびCPAP治療のためのデバイス500のさらに別の実施形態が図5に示されている。この実施形態では、流れ抵抗器10は、やはり図1図3、および図4に関連して述べたデバイス500の出口4に配置される。この実施形態の二次流路7は、新鮮ガス流入口2とCPAPジェネレータ6の第3の接続部分13との間に延びる内部漏れチャネルであり、CPAPジェネレータ6の第1の接続部分11をバイパスする。すなわち、二次流路7の第1の端部8は、CPAPジェネレータ6の第3の接続部分13と接続され、二次流路7の第2の端部9は、デバイス500のCPAPジェネレータ6の新鮮ガス流入口2と接続される。
【0056】
図6は、PPVおよびCPAP治療のためのデバイス600およびシステム650のさらに別の実施形態を示す。デバイス600の流れ抵抗器10は、図1および図3図5に関連して述べた実施形態と同様に出口4に配置される。しかし、この実施形態では、二次流路7は、患者インターフェース端部3と接続される第1の端部8と、新鮮ガス流入口2と接続される第2の端部9とを備える内部漏れチャネルである。したがって、内部漏れチャネル7は、CPAPジェネレータ6の第1の接続部分11をバイパスする。この例示的な実施形態では、システム650は、PPVおよびCPAP治療のためのデバイス600と、デバイス600の新鮮ガス流入口2に接続される新鮮ガス流チューブ14とを備える。システム650は、新鮮ガス流チューブ14が接続される新鮮ガス源20をさらに備える。さらに、システム650は、デバイス600の患者インターフェース端部3に接続される圧力解放チューブ15を備える。圧力解放チューブ15は、圧力解放弁16および圧力測定デバイス17と接続され、圧力測定デバイス17は、患者インターフェース端部3と圧力解放弁16との間に配置される。
【0057】
このシステムは、PPVおよびCPAP治療のために以下のように動作される。システム150の第1の実施形態を参照して説明するが、本明細書に開示されている他の実施形態は、対応する動作を有する。酸素濃度および新鮮ガス流量が標準的な混合機および流量計によって調整される。新鮮ガス流量は、変動させることができ、典型的には、毎分5~15リットルに設定される。典型的には、供給される新鮮ガス流量は、毎分10~12リットルである。この範囲内の新鮮ガス流量は、再呼吸を防止し、適切な吸気の流れ、体積、および時間を達成するように流れを供給し、患者インターフェースにおける漏れについていくらかの許容量を提供するはずである。しかし、毎分15リットルを超える新鮮ガス流量もまた、特により年長の児童の治療のために、供給することが可能である。
【0058】
新鮮ガス流は、CPAPジェネレータ6を駆動するために使用され、流量が調整可能であり、したがって、CPAPジェネレータ6を可変流量CPAPジェネレータ6にする。このシステムは、このような範囲の流量が供給される新鮮ガス流が3~10cmH2OのレベルのCPAPを生成するようにさらに構成される。
【0059】
治療中、デバイス100の出口4の開端部5が閉塞されている場合、患者に供給される圧力は、圧力解放弁16の開口圧力に達するまで、可変CPAPジェネレータ6によって設定された圧力から増大することになる。圧力解放弁が開くための典型的な値は、約20~30cmH2Oである。圧力のこの増大は、吸気流をもたらす。システム100における圧力は、出口閉塞が除去されるまで、設定された陽圧換気圧力で留まることになる。閉塞が開端部5から除去されたとき、患者に送達される圧力は、設定されたCPAPレベルに戻ることになり、結果的な圧力の減少は、呼気流をもたらすことになる。
【0060】
自発呼吸中、乳児からの流れおよび新鮮ガス流は、可変流量CPAPジェネレータ6を通ってシステム100を離れる。これは、気道内の陽圧を安定に保つ。CPAP圧力を生成した流量、すなわち新鮮ガス流量を変動させることによって、気道内のCPAP圧力を必要に応じて調整することができる。
【0061】
本明細書に開示されている流れ抵抗器を備えるデバイスの使用は、陽圧換気治療中、呼気時定数を調整することを可能にする。呼気時定数を調整することができることの効果は、図7のグラフから明らかであり、ここで、これらのループは、同一の吸気(A)と、呼気時定数が調整されている(破線のくさび形)呼気(B)とを伴う3つの記録を表す。呼気時定数の減少に伴って、呼気流が増大する(X軸の負の最大値から観察される)。この例は、乳児のシミュレーションされた肺モデルにおける陽圧換気で、10L/分の新鮮ガス流で記録された。
【0062】
また、本明細書に開示されている流れ抵抗器を備えるデバイスの使用は、患者が自発呼吸するCPAP治療中、負荷呼吸仕事量を調整することを可能にする。負荷呼吸仕事量を調整することができることの効果は、所与のレベルのCPAPでの負荷呼吸仕事量の最大可能値を表す、知られているTピースシステムを破線で示す図8から明らかである。実線は、異なるレベルのCPAPについて選択されたレベルの負荷呼吸仕事量を維持することが、本明細書に開示されている流れ抵抗器を備えるデバイスおよびシステムでどのように可能であるかを示す。さらに、負荷呼吸仕事量を、ユーザが判断して、制御された予測可能な方法でゼロ近くに減少させることができる。この例は、乳児の肺モデルにおけるシミュレーションされた呼吸で、10L/分の新鮮ガス流で記録された。
【0063】
図9は、実験または最適化の一例を示す。開示されている発明は、ユーザがCPAPおよび負荷呼吸仕事量(iWOB)を制御された形で低から高へ調整することを可能にする。(A)では、CPAPは低く、iWOBは高く、(B)では、CPAPおよびiWOBが共に低く、(C)では、低いiWOBと共に、CPAPが増大され、(D)では、CPAPが増大され、iWOBは高い。したがって、本明細書に開示されているデバイスおよびシステムは、破線領域内での容易な調整と、iWOBおよびCPAP両方の制御とを可能にする。
【0064】
患者インターフェース端部3は、患者インターフェースとの接続に適したような任意の好適な形態で設計することができる。さらに、患者インターフェースは、患者経鼻呼吸チューブへの接続を確立するのに適した様々な設計を受けることができる。したがって、患者インターフェースは、対向する1対の経鼻プロング、マスク、気管内チューブ、または任意の他の好適なデバイスを含むことができる。
【0065】
システムは、圧力解放弁16の不具合のためのバックアップシステムを有することができる。これは、警報、第2の解放弁、または新鮮ガス流を切断するシステムのいずれかとすることができる。
【0066】
圧力測定デバイス17は、患者に送達されるガスの圧力を正確に記録するために、可能な限り患者近くに配置されるべきである。この精度は、患者インターフェースの流れ抵抗に依存することになり、乳児については、可能な場合、低抵抗インターフェースが使用されるべきである。
【0067】
特に、本発明の原理によるデバイスは、患者インターフェースに関して上述した特徴の一部またはすべてを組み込んでも組み込まなくてもよい多種多様な患者インターフェース構成と共に有用である。したがって、患者インターフェースは、決して限定するものではない。
【0068】
特に、本発明の原理によるデバイスは、可変流量CPAPジェネレータ6に関して上述した特徴の一部またはすべてを組み込んでも組み込まなくてもよい多種多様な可変流量CPAPジェネレータと共に有用である。したがって、可変流量CPAPジェネレータ6のモデルは、決して限定するものではない。
【0069】
特に、本発明の原理によるシステムは、システム内の圧力に応じて空気を解放する目的を達成する多種多様な圧力解放弁16または同様のデバイスと共に有用である。したがって、圧力解放弁のモデルまたはタイプは、決して限定するものではない。
【0070】
特に、本発明の原理によるシステムは、システム内の圧力を測定する目的を達成する多種多様な圧力測定デバイス17または同様のデバイスと共に有用である。したがって、圧力測定デバイスのモデルまたはタイプは、決して限定するものではない。
【0071】
乳児を蘇生させ安定化させるための典型的なCPAPレベルは、3~10cmH2Oの範囲内にある。PPVのための典型的なピーク圧力は、20~30cmH2Oである。
【0072】
本発明について、図面および前述の説明において詳細に例示され述べられているが、そのような例示および説明は、例示的または典型的なものと考えられるべきであり、限定的なものと考えられるべきでない。本発明は、開示されている実施形態に限定されない。
【0073】
図面、本開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求されている発明を実施すれば、開示されている実施形態に対する他の変形形態を当業者なら理解し達成することができる。特許請求の範囲では、「comprising(備える、含む)」という語は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除しない。いくつかの方策が相互に異なる従属請求項で述べられているということだけでは、これらの方策の組合せを有利に使用することができないことを示すことにならない。特許請求の範囲内の符号は、その範囲を限定するものと解釈されるべきでない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】