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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-06
(54)【発明の名称】改良型呼吸補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/04 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
A61M11/04 300Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574142
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 IB2022055175
(87)【国際公開番号】W WO2022254383
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/196,856
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】サンソン サミュエル キャリー マシュー
(72)【発明者】
【氏名】バージェス ラッセル ウィリアム
(57)【要約】
呼吸補助システムは、患者に提供される加熱され、加湿されたガスフローに関連する患者不快及び/又は危害のリスクを自動的に軽減するように構成できる。このシステムは、ある量の水を保持して加熱し、入口ポートを介してガスフローを受け取る加湿器ユニットを含む。ガスフローは加湿器を通って出口ポートから出る。システムはまた、システム内の様々なセンサからのデータを受信し、加湿器内のヒータプレートの加熱を制御できるコントローラも含む。制御出力は、ヒータプレートへの最大電力限界を調整して、患者インタフェースから出るガスの有害なエンタルピレベル及び/又は露点を防止するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者にガスフローを送達する呼吸補助システムの一部を形成する呼吸補助機器において、ある量の液体を収容する加湿チャンバを受けるように構成され、
熱を、前記加湿チャンバであって、前記加湿チャンバの入口は加熱及び加湿されることになるガスフローを受けるように構成され、前記加湿チャンバの出口は吸気チューブに連結されるように構成される前記加湿チャンバに伝達するように構成されたヒータプレートと、
前記ヒータプレートの現在の温度を測定するように構成された第一のセンサと、
前記装置、周囲環境、又は前記装置内のハードウェアを通じて流れる前記ガスの少なくとも1つに関するパラメータを測定するように構成された少なくとも1つ又は複数の他のセンサであって、各々が前記少なくとも1つ又は複数の他のセンサのそれ以外のものとは異なるパラメータを測定するように構成された少なくとも1つ又は複数の他のセンサと、
ユーザ入力を受けるように構成されたユーザインタフェースと、
前記ヒータプレート、前記第一の、及び少なくとも1つ又は複数の他のセンサ、並びに前記ユーザインタフェースと電気通信するコントローラであって、前記コントローラは前記加湿チャンバに伝達される前記熱を調整するために前記ヒータプレートの熱出力を制御するように構成され、さらに、
前記ユーザインタフェースを介して受け取った前記ユーザ入力に応答して、少なくとも一部に、前記少なくとも1つ又は複数の他のセンサにより測定された前記パラメータに基づいてヒータプレート温度限界を特定し、
前記ヒータプレートへの最大電力限界を、少なくとも一部に、前記ヒータプレート温度限界及び前記第一のセンサからのデータに基づいて計算する
ように構成されたコントローラと、
を含む呼吸補助機器。
【請求項2】
前記ヒータプレート温度限界とは、前記ヒータプレートが、前記ガスの露点が前記患者に危害を及ぼす結果となる可能性のある限界より低くなるように動作するように構成される温度である、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記ユーザ入力は、温度セットポイントの変更、露点セットポイントの変更、流量セットポイントの変更、又はこれらの何れかの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記コントローラは、前記特定されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低いことに応答して、前記ヒータプレートへの現在の最大電力限界を前記ヒータプレートへの前記計算された最大電力限界に更新するように構成される、請求項1~3の何れか1項に記載の機器。
【請求項5】
前記コントローラは、前記特定されたヒータプレート温度限界が前記現在のヒータプレート温度限界より低くないかぎり、前記ヒータプレートへの既存の最大電力限界を保持するように構成される、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記現在のヒータプレート温度限界は事前設定された温度限界である、請求項4又は請求項5に記載の機器。
【請求項7】
前記事前設定された温度限界は、それを超えるとハードウェア安全機能がトリガされる温度限界である、請求項6に記載の機器。
【請求項8】
気流発生器をさらに含む、請求項1~7の何れか1項に記載の機器。
【請求項9】
前記気流発生器は前記機器の筐体内に配置される、請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記気流発生器はブロワを含む、請求項8又は請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記ヒータプレートに提供される電力はデューティサイクルに依存する、請求項1~10の何れか1項に記載の機器。
【請求項12】
前記加湿チャンバの前記出口は着脱式の出口エルボウを含む、請求項1~11の何れか1項に記載の機器。
【請求項13】
前記吸気チューブは加熱される、請求項1~12の何れか1項に記載の機器。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載の前記呼吸補助機器と、
前記吸気チューブと、
を含む呼吸補助システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つ又は複数の他のセンサにより測定される前記パラメータは、前記システムの流路内の前記ガスの流量、前記加湿チャンバの前記出口で測定される温度、前記加湿チャンバの前記出口で測定される露点、前記加湿チャンバの前記入口で測定される温度、前記加湿チャンバの前記入口で測定される露点、気温、前記システムの前記流路内の前記ガスの圧力、又は前記ヒータプレートに供給される電力、電流、若しくは電圧のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つ又は複数の他のセンサは2つ以上の他のセンサを含む、請求項1~15の何れか1項に記載の機器又はシステム。
【請求項17】
前記吸気チューブは加熱された吸気チューブである、請求項14~16の何れか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記吸気チューブ内の加熱素子への熱出力を制御するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記加湿チャンバをさらに含む、請求項14~18の何れか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記ガスの前記流量は質量流量である、請求項15~19の何れか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記ガスの前記流量は体積流量である、請求項15~19の何れか1項に記載のシステム。
【請求項22】
非密閉型の患者インタフェースをさらに含む、請求項14~21の何れか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記吸気チューブの患者端に、又はその付近に温度センサ又は露点センサの少なくとも1つをさらに含む、請求項14~22の何れか1項に記載のシステム。
【請求項24】
呼吸補助機器を制御する方法において、前記呼吸補助機器は呼吸補助システムの一部を形成し、ガスフローを加熱及び加湿するための加湿チャンバを受けるように構成され、
前記呼吸補助機器のコントローラの制御下で、
第一のセンサ及び少なくとも2つの他のセンサからデータを受け取るステップであって、前記第一のセンサは前記呼吸補助機器のヒータプレートの現在の温度を測定するように構成され、前記少なくとも2つの他のセンサは前記機器、周囲環境、又は前記機器内のハードウェアを通って流れる前記ガスの少なくとも1つに関するパラメータを測定するように構成され、前記少なくとも2つの他のセンサの各々は、前記少なくとも2つ以上のセンサのそれ以外のものとは異なるパラメータを測定するように構成されるステップと、
ユーザインタフェースを介してユーザ入力を受け取り、前記ユーザ入力は、前記呼吸補助機器のための少なくとも1つのパラメータ設定を変更するステップと、
前記ユーザインタフェースを介して受け取った前記ユーザ入力に応答して、少なくとも一部に、前記少なくとも2つの他のセンサからのデータに基づいてヒータプレート温度限界を特定するステップと、
少なくとも一部に、前記ヒータプレート温度限界及び前記第一のセンサからの前記データに基づいて前記ヒータプレートへの最大電力限界を計算するステップと、
を含む方法。
【請求項25】
前記ヒータプレートに提供される前記電力はデューティサイクルに依存する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒータプレート温度限界は、前記ヒータプレートが、ユーザの気道内へと案内される前記ガスの露点温度が前記患者に危害を与える可能性のある値を超えることがないように動作するように構成される温度である、請求項24又は請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ユーザ入力は温度セットポイントの変更、露点セットポイントの変更、又は流量セットポイントの変更のうちの少なくとも1つを含む、請求項24~26の何れか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記特定されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低いことに応答して、前記ヒータプレートへの現在の最大電力限界を前記ヒータプレートへの前記計算された最大電力限界となるように更新するステップをさらに含む、請求項24~27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記特定されたヒータプレート温度限界が前記現在のヒータプレート温度限界より低くないかぎり、前記ヒータプレートへの既存の最大電力限界を保持するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記現在のヒータプレート温度限界は事前設定された温度限界である、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記事前設定された温度限界は、それを超えるとハードウェア安全機能がトリガされる温度限界である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも2つの他のセンサにより測定される前記パラメータは、前記呼吸補助システムの流路内の前記ガスの流量、前記加湿チャンバの出口で測定される温度、前記加湿チャンバの入口で測定される温度、気温、前記システムの前記流路内の前記ガスの圧力、又は前記ヒータプレートに供給される電力、電流、若しくは電圧のうちの少なくとも2つを含む、請求項24~31の何れか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ガスの前記流量は質量流量である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ガスの前記流量は体積流量である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
呼吸補助機器を制御する方法において、前記呼吸補助機器は、ガスフローを加熱及び加湿するための加湿チャンバを受けるように構成され、
前記機器のコントローラの制御下で、
前記加湿チャンバに入る前記ガスフローの流量を、少なくとも一部に、前記呼吸補助機器の動作パラメータに基づいて計算するステップと、
最大安全質量蒸発率を、少なくとも一部に、前記計算された流量に基づいて計算するステップと、
ヒータプレート温度限界を、少なくとも一部に、前記計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算するステップと、
を含む方法。
【請求項36】
前記ヒータプレートへの最大電力限界を、少なくとも一部に、前記ヒータプレート温度限界及び現在のヒータプレート温度に基づいて特定するステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記計算されたヒータプレート温度限界を現在のヒータプレート温度限界と比較するステップと、
前記計算されたヒータプレート温度限界が前記現在のヒータプレート温度限界より低いことに応答して、前記ヒータプレートへの前記現在の最大電力限界を前記ヒータプレートへの前記特定された最大電力限界となるように更新するステップと、
をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記計算されたヒータプレート温度限界が前記現在のヒータプレート温度限界より低くないかぎり、前記ヒータプレートへの既存の最大電力限界を保持するステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記計算されたヒータプレート温度限界が前記現在のヒータプレート温度限界より高いことに応答して、前記最大電力限界を増大させるステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記現在のヒータプレート温度限界は事前設定された温度限界である、請求項37~39の何れか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記事前設定された温度限界は、それを超えるとハードウェア安全機能がトリガされる温度限界である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記加湿チャンバ内の液体の最大安全温度を、少なくとも一部に、前記計算された流量に基づいて計算するステップをさらに含む、請求項35~41の何れか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記ヒータプレートから前記加湿チャンバ内の液体に伝達可能な最大安全電力を、少なくとも一部に、前記計算された流量及び前記計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算するステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ヒータプレート温度限界は、少なくとも一部に、前記加湿チャンバ内の前記液体の前記計算された最大安全温度と、前記ヒータプレートから前記加湿チャンバ内の前記液体に伝達可能な前記計算された最大安全電力に基づいて特定される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記加湿チャンバ内の前記液体の最大安全温度を、少なくとも一部に、前記計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算するステップと、
前記ヒータプレートから前記加湿チャンバ内の前記液体に伝達可能な最大安全電力を、少なくとも一部に、前記計算された最大安全質量蒸発率及び前記計算された流量に基づいて計算するステップと、
前記ヒータプレート温度限界を、少なくとも一部に、前記加湿チャンバ内の前記液体の前記計算された最大安全温度及び前記ヒータプレートから前記加湿チャンバ内の前記液体に伝達可能な前記計算された最大安全電力に基づいて計算するステップと、
をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
現在のヒータプレート温度限界を前記計算されたヒータプレート温度限界で更新するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記計算された流量は質量流量である、請求項35~46の何れか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記計算された流量は体積流量である、請求項35~46の何れか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記動作パラメータはセンサデータ及び/又はモデリングパラメータを含む、請求項35~48の何れか1項に記載の方法。
【請求項50】
患者にガスフローを送達する呼吸補助システムの一部を形成する呼吸補助機器において、前記呼吸補助機器は、ある量の液体が収容される加湿チャンバを受けるように構成され、
熱を、前記加湿チャンバであって、前記加湿チャンバの入口は加熱及び加湿されることになる前記ガスフローを受けるように構成され、前記加湿チャンバの出口は吸気チューブに連結されるように構成される前記加湿チャンバに伝達するように構成されたヒータプレートと、
前記ヒータプレートと電気通信するコントローラであって、前記加湿チャンバに伝達される熱を調整するために前記ヒータプレートの熱出力を制御するように構成され、さらに、
前記加湿チャンバに入る前記ガスフローの流量を、少なくとも一部に、前記呼吸補助機器の動作パラメータに基づいて計算し、
最大安全質量蒸発率を、少なくとも一部に、前記計算された流量に基づいて計算し、
前記ヒータプレート温度限界を、少なくとも一部に、前記計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算する
ように構成されるコントローラと、
を含む呼吸補助機器。
【請求項51】
前記コントローラはさらに、前記ヒータプレートに提供され得る最大電力を、少なくとも一部に、前記ヒータプレート温度限界及び現在のヒータプレート温度に基づいて特定するように構成される、請求項50に記載の機器。
【請求項52】
前記コントローラはさらに、
前記計算されたヒータプレート温度限界を現在のヒータプレート温度限界と比較し、
前記計算されたヒータプレート温度限界が前記現在のヒータプレート温度限界より低いことに応答して、前記ヒータプレートに提供され得る前記現在の最大電力を前記ヒータプレートに提供され得る前記特定された最大電力となるように更新する
ように構成される、請求項51に記載の機器。
【請求項53】
前記コントローラはさらに、前記計算されたヒータプレート温度限界が前記現在のヒータプレート温度限界より低くないかぎり、前記ヒータプレートに提供され得る既存の最大電力を保持するように構成できる、請求項52に記載の機器。
【請求項54】
前記コントローラはさらに、前記計算されたヒータプレート温度限界が前記現在のヒータプレート温度限界より高いことに応答して、前記ヒータプレートに提供され得る前記最大電力を増大させるように構成される、請求項52に記載の機器。
【請求項55】
前記現在のヒータプレート温度限界は事前設定された温度限界である、請求項52~54の何れか1項に記載の機器。
【請求項56】
前記事前設定された温度限界は、それを超えるとハードウェア安全機能がトリガされる温度である、請求項55に記載の機器。
【請求項57】
前記コントローラはさらに、前記加湿チャンバ内の前記液体の最大安全温度を、少なくとも一部に、前記計算された流量に基づいて計算するように構成される、請求項50~56の何れか1項に記載の機器。
【請求項58】
前記コントローラはさらに、前記ヒータプレートから前記加湿チャンバ内の前記液体に伝達できる最大安全電力を、少なくとも一部に、前記計算された流量及び前記計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算するように構成される、請求項57に記載の機器。
【請求項59】
前記ヒータプレート温度限界は、少なくとも一部に、前記加湿チャンバ内の前記液体の前記計算された最大安全温度及び前記ヒータプレートから前記加湿チャンバ内の前記液体に伝達できる計算された最大安全電力に基づいて特定される、請求項58に記載の機器。
【請求項60】
前記コントローラはさらに、
前記加湿チャンバ内の前記液体の最大安全温度を、少なくとも一部に、前記計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算し、
前記ヒータプレートから前記加湿チャンバ内の前記液体に伝達できる最大安全電力を、少なくとも一部に、前記計算された最大安全質量蒸発率及び推定される流量に基づいて計算し、
ヒータプレート温度限界を、少なくとも一部に、前記加湿チャンバ内の前記液体の前記計算された最大安全温度及び前記ヒータプレートから前記加湿チャンバ内の前記液体に伝達できる前記計算された最大安全電力に基づいて計算する
ように構成される、請求項50に記載の機器。
【請求項61】
前記コントローラはさらに、現在のヒータプレート温度限界を前記計算されたヒータプレート温度限界で更新するように構成される、請求項60に記載の機器。
【請求項62】
前記計算された流量は質量流量である、請求項50~61の何れか1項に記載の機器。
【請求項63】
前記計算された流量は体積流量である、請求項50~61の何れか1項に記載の機器。
【請求項64】
前記動作パラメータはセンサデータ及び/又はモデリングパラメータを含む、請求項50~63の何れか1項に記載の機器。
【請求項65】
呼吸補助システムにおいて、
請求項50~64の何れか1項に記載の呼吸補助機器と、
吸気チューブと、
を含む呼吸補助システム。
【請求項66】
前記コントローラは、前記吸気チューブ内の加熱素子への熱出力を制御するように構成される、請求項65に記載のシステム。
【請求項67】
前記加湿チャンバをさらに含む、請求項65又は請求項66に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者に呼吸補助を提供するための方法とシステムに関する。特に、本開示は、呼吸補助セッション中に患者に提供されるガスのエンタルピ及び/又は露点が閾値より高くなるリスクを低減できる方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸補助機器(呼吸補助装置又は呼吸支援装置としても知られる)は、患者にガスフローを送達するために使用される。これに関して、患者とは、呼吸補助機器(すなわち、呼吸支援装置)から呼吸補助を受けるあらゆる人物を含み得る。呼吸補助機器が使用される環境は様々であり、例えば病院、医療施設、在宅ケア施設、及び家庭等である。ガスフローには、空気又は酸素(若しくはその他の補助気体)が補足された空気が含まれ得る。
【0003】
呼吸補助機器は、加湿器(ガスフローを加熱及び加湿できる)であり得、気流発生器に連結可能な加湿器であり得、又は一体化された加湿器と気流発生器であり得る。気流発生器はガスフローを提供し得て、加湿器はガスフローを加熱及び加湿し得る。呼吸補助機器によって、ガスフローの流量、温度、ガス濃度、湿度、圧力等を含む特性を調整し、それを制御でき得る。フローセンサ及び/又は圧力センサ等のセンサを使ってガスフローの特性を測定し得る。
【0004】
呼吸補助機器は、加湿器に接続されたヒータプレートを介してガスフローを加熱及び加湿し得る。ヒータプレートの制御は、呼吸ガスが確実に所望の温度及び湿度で患者に送達されるようにするのに役立ち得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
呼吸補助システムは、それ自体は患者インタフェースに連結可能な吸気チューブに連結された呼吸補助機器を含むことができる。特定の状況において、患者は呼吸補助システムにより提供されるガスによって不快感を覚え、及び/又は危害を受ける可能性がある。このような不快感及び/又は危害は時として、ガスフローの温度が限界より低く制御されていても生じ得る。これは、快適さと安全はガスフローの温度だけでなく、温度、湿度、及び流量を含むパラメータの組み合わせに依存するからである。したがって、呼吸補助システムのための安全アルゴリズムを設計する際、ガスの温度のみならず、それ以外のものも表すパラメータを組み込むことが重要である。2つのこのようなパラメータは、エンタルピと露点(すなわち、湿度)である。
【0006】
本願で開示される呼吸補助システムは、患者に提供されるガスのエンタルピ及び/又は露点がそれぞれの所定の閾値を超えるリスクを低減させるのに役立ち得る。より具体的には、本願で開示されるシステムは、患者に提供されるガスのエンタルピ及び/又は露点が望ましくない、危険、及び/又は有害となる(すなわち、エンタルピ及び/又は露点が所定の閾値を超える)リスクを低減させることによって、患者を不快感及び/又は危害から保護することができる。
【0007】
エンタルピとは、システムの全熱含量と等価的な熱力学的数量と定義することができる。送達されるガスのエンタルピ及び/又は露点に影響を与える非限定的要因に、温度と湿度が含まれる。流量もまた、エンタルピに影響を与える別の要因であり得る。本明細書で開示されるシステムは、ガスの(システムの患者側端における)エンタルピ及び/又は露点をそれぞれの所定の閾値より低く保つのに役立ち、それによって患者にとっての不快感又は、場合によっては危害を防止するのに役立つ。本明細書に記載されるように、呼吸補助システムは、患者に提供されるガスの熱と湿度を直接測定しなくてよい。呼吸補助システムはまた、患者に提供されるガスのエンタルピ及び露点も直接測定しなくてよい。
【0008】
状況によっては、ガスの加熱と加湿により、患者インタフェースにおけるガスのエンタルピ及び/又は露点が閾値を超えることになり得、それは患者を不快にし、及び/又は危害を及ぼす原因となる可能性がある。このような状況には例えば、ユーザが新しい呼吸補助セッションを開始するとき、及び/又は呼吸補助セッション中にセットポイントパラメータを変更するときが含まれる。
【0009】
患者に提供されるガスのエンタルピ及び/又は露点がそれぞれの所定の閾値を超えるリスクを低減させる1つの方法は、1つの最大ヒータプレート温度を指定することである。すると、コントローラはヒータプレートがこの温度を超えないように(例えば、ヒータプレートに供給される電力を制御して、ヒータプレート温度が最大ヒータプレート温度を超えないようにすることによる)プログラムできる。しかしながら、選択可能なセットポイントの範囲が広い機器の場合、1つの最大ヒータプレート温度が選択された全てのセットポイントに適切であるとはかぎらないかもしれない。例えば、高い温度及び流量セットポイントでの動作中の患者インタフェースにおける露点を適切に制限する最大ヒータプレート温度では、高い温度セットポイント及び低い流量セットポイントでの動作中に患者インタフェースでの露点が過剰に高くなり得る。逆に、低い温度及び流量セットポイントでの動作中の患者インタフェースにおける露点を適切に制限する最大ヒータプレート温度では、機器が高い温度及び流量セットポイントを実現できないかもしれず、それによって呼吸補助セッションがその患者にとってより有効でなくなる可能性がある。
【0010】
1つの最大ヒータプレート温度を指定する代わりに、患者インタフェースにおける過剰に高い露点及び/又はエンタルピによる患者の不快感及び/又は危害のリスクは、最大ヒータプレート温度を呼吸補助システムの動作中のセンサデータから特定されるパラメータに基づいて設定することによって軽減できる。動的な最大ヒータプレート温度によって、呼吸ガスに加えられる熱が患者に提供される呼吸ガスのエンタルピ及び/又は露点が閾値を超える原因にならず、それと同時に機器が広いセットポイント範囲を実現できることを確実にするのに役立ち得る。最大ヒータプレート温度は、少なくとも一部に、センサデータに基づいてリアルタイムで自動的に調整され得る。ヒータプレートの温度は、ヒータプレートに供給される電力に依存する。「電力」という用語は、本開示中で使用されるかぎり、単位時間あたりのエネルギの量を広く指すと理解すべきである。電力は、デューティサイクル、電流、電圧にしたがって、パルス幅変調を介して、電圧調整器を介して、又はその他により供給され得る。
【0011】
本開示は、呼吸補助機器を含む呼吸補助システムに関する。呼吸補助機器のコントローラは、何れの呼吸補助セッションについても、センサデータから特定される複数のパラメータを使って選択されたセットポイントのための最大ヒータプレート温度を動的に計算し、したがって、実現可能なセットポイントの範囲を過度に制約することなく危害を軽減することができる。センサデータは、リアルタイムで更新され、流量、ガス経路内の圧力、及び気温を含み得るが、これらに限定されない。センサデータは、加湿チャンバの入口における露点と湿度を特定するために使用され得る。コントローラは、動的な最大ヒータプレート温度を使って動的な最大ヒータプレート電力を計算することができる。この動的な最大ヒータプレート電力は、コントローラが実現可能なセットポイントの範囲を過度に制約することなく(患者インタフェースにおける過剰に高い露点に起因する)患者の不快感及び/又は危害を防止するのに役立ち得る。
【0012】
本明細書で使用されるかぎり、ユーザとは、例えば患者、看護師、医師、世話係、又は呼吸補助機器の他のあらゆるオペレータを含み得る。患者は、呼吸補助システムから治療を受けるあらゆる人物であり得る。
【0013】
患者にガスフローを送達する呼吸補助システムの一部を形成する呼吸補助機器であり、この呼吸補助機器は、ある量の液体を収容する加湿チャンバを受けるように構成される。呼吸補助機器は、加湿チャンバであって、その入口は加熱及び加湿されることになるガスフローを受けるように構成され、その出口は吸気チューブに連結されるように構成される加湿チャンバに熱を伝達するように構成されたヒータプレートと、ヒータプレートの現在の温度を測定するように構成された第一のセンサと、装置、周囲環境、又は装置内のハードウェアを通じて流れるガスの少なくとも1つに関するパラメータを測定するように構成された少なくとも1つ又は複数の他のセンサであって、各々が少なくとも1つ又は複数の他のセンサのそれ以外のものとは異なるパラメータを測定するように構成された少なくとも1つ又は複数の他のセンサと、ユーザ入力を受けるように構成されたユーザインタフェースと、ヒータプレート、第一の、及び少なくとも1つ又は複数の他のセンサ、並びにユーザインタフェースと電気通信するコントローラであって、加湿チャンバに伝達される熱を調整するためにヒータプレートの熱出力を制御するように構成され、さらに、ユーザインタフェースを介して受け取ったユーザ入力に応答して、少なくとも一部に、少なくとも1つ又は複数の他のセンサにより測定されたパラメータに基づいてヒータプレート温度限界を特定し、ヒータプレートへの最大電力限界を、少なくとも一部に、ヒータプレート温度限界及び第一のセンサからのデータに基づいて計算するように構成されたコントローラと、を含む。
【0014】
ある構成において、ヒータプレート温度限界とは、ヒータプレートが、ガスの露点が患者に危害を及ぼす結果となる可能性のある限界より低くなるように動作するように構成される温度とすることができる。
【0015】
ある構成において、ユーザ入力は、温度セットポイントの変更、露点セットポイントの変更、流量セットポイントの変更、又はこれらの何れかの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
ある構成において、コントローラは、特定されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低いことに応答して、ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界に更新するように構成できる。
【0017】
ある構成において、コントローラは、機器が、任意に閾値時間内に、ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界に更新できないことに応答して、ヒータプレートへの電力を遮断(すなわち、無効化)し、吸気チューブへの電力を遮断(すなわち、無効化)するか、吸気チューブへの電力を減少させるように構成できる。本明細書に記載されている、吸気チューブへの電力を制御することは、吸気チューブのヒータに提供される電力を制御することを意味する。吸気チューブは、チューブ内のヒータ(すなわち、加熱素子)、例えばチューブの壁に埋め込まれた1つ又は複数のヒータワイヤ含む。埋め込まれたヒータワイヤは、チューブを通るガスを加熱する。吸気チューブのヒータは、吸気チューブ内に形成される結露を減らすのに役立つ。
【0018】
ある構成において、コントローラは、現在のヒータプレート温度が特定されたヒータプレート温度限界を10分間にわたり5℃、又は10秒間にわたり10℃超えたことに応答して、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を統計的変動に基づく閾値だけ超えたことに応答して(例えば、ヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を3標準偏差だけ超えた場合に)、ヒータプレートへの電力を遮断(すなわち、無効化)する、及び/又は吸気チューブ(すなわち、吸気チューブヒータ)への電力を遮断するように構成できる。
【0019】
ある構成において、コントローラは、任意に閾値時間内に、機器がヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界となるように更新できないこと、現在のヒータプレート温度が特定されたヒータプレート温度限界を超えたこと、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を超えたことに応答して、機器の気流発生器への電力を低減又は遮断(すなわち、無効化)するように構成できる。
【0020】
ある構成において、コントローラは、特定されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低くないかぎり、ヒータプレートへの既存の最大電力限界を保持するように構成できる。
【0021】
ある構成において、現在のヒータプレート温度限界は事前設定された温度限界とすることができる。
【0022】
ある構成において、事前設定された温度限界は、それを超えるとハードウェア安全機能がトリガされる温度限界とすることができる。
【0023】
ある構成において、呼吸補助機器は気流発生器をさらに含むことができる。
【0024】
ある構成において、気流発生器は機器の筐体内に配置できる。
【0025】
ある構成において、気流発生器はブロワを含むことができる。
【0026】
ある構成において、ヒータプレートに提供される電力はデューティサイクルに依存することができる。
【0027】
ある構成において、加湿チャンバの出口は着脱式の出口エルボウを含むことができる。
【0028】
ある構成において、吸気チューブは加熱することができる。
【0029】
呼吸補助システムは、本明細書で開示される構成の何れかの呼吸補助機器と、吸気チューブと、を含むことができる。
【0030】
ある構成において、少なくとも1つ又は複数の他のセンサにより測定されるパラメータは、システムの流路内のガスの流量、加湿チャンバの出口で測定される温度、加湿チャンバの出口で測定される露点、加湿チャンバの入口で測定される温度、加湿チャンバの入口で測定される露点、気温、システムの流路内のガスの圧力、又はヒータプレートに供給される電力、電流、若しくは電圧のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0031】
ある構成において、少なくとも1つ又は複数の他のセンサは2つ以上の他のセンサを含むことができる。
【0032】
ある構成において、吸気チューブは加熱された吸気チューブとすることができる。
【0033】
ある構成において、コントローラは、吸気チューブ内の加熱素子への熱出力を制御するように構成できる。
【0034】
ある構成において、呼吸補助システムはさらに、加湿チャンバを含むことができる。
【0035】
ある構成において、ガスの流量は質量流量とすることができる。
【0036】
ある構成において、ガスの流量は体積流量とすることができる。
【0037】
ある構成において、呼吸補助システムはさらに、非密閉型の患者インタフェースを含むことができる。
【0038】
ある構成において、呼吸補助システムはさらに、吸気チューブの患者端に、又はその付近に温度センサ又は露点センサの少なくとも1つを含むことができる。
【0039】
呼吸補助機器を制御する方法であり、この呼吸補助機器は呼吸補助システムの一部を形成し、ガスフローを加熱及び加湿するための加湿チャンバを受けるように構成される。方法は、呼吸補助機器のコントローラの制御下で、第一のセンサ及び少なくとも2つの他のセンサからデータを受け取るステップであって、第一のセンサは呼吸補助機器のヒータプレートの現在の温度を測定するように構成され、少なくとも2つの他のセンサは機器、周囲環境、又は機器内のハードウェアを通って流れるガスの少なくとも1つに関するパラメータを測定するように構成され、少なくとも2つの他のセンサの各々は、少なくとも2つ以上のセンサのそれ以外のものとは異なるパラメータを測定するように構成されるステップと、ユーザインタフェースを介してユーザ入力を受け取るステップであって、ユーザ入力は、呼吸補助機器のための少なくとも1つのパラメータ設定を変更するステップと、ユーザインタフェースを介して受け取ったユーザ入力に応答して、少なくとも一部に、少なくとも2つの他のセンサからのデータに基づいてヒータプレート温度限界を特定するステップと、少なくとも一部に、ヒータプレート温度限界及び第一のセンサからのデータに基づいてヒータプレートへの最大電力限界を計算するステップと、を含むことができる。
【0040】
ある構成において、ヒータプレートに提供される電力はデューティサイクルに依存することができる。
【0041】
ある構成において、ヒータプレート温度限界は、ヒータプレートが、ユーザの気道内へと案内されるガスの露点温度が患者に危害を与えることになる可能性のある値を超えることがないように動作するように構成される温度とすることができる。
【0042】
ある構成において、ユーザ入力は温度セットポイントの変更、露点セットポイントの変更、又は流量セットポイントの変更のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0043】
ある構成において、方法はさらに、特定されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低いことに応答して、ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界となるように更新するステップを含むことができる。
【0044】
ある構成において、方法はさらに、機器が、任意に閾値時間内に、ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界となるように更新できないことに応答して、ヒータプレートへの電力を無効化し、機器の吸気チューブ(すなわち、吸気チューブのヒータ)への電力を無効化するか、低減させるステップを含むことができる。
【0045】
ある構成において、方法はさらに、現在のヒータプレート温度が特定されたヒータプレート温度限界を10分間にわたり5℃、又は10秒間にわたり10℃超えたことに応答して、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を統計的変動に基づく閾値だけ超えたことに応答して(例えば、ヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を3標準偏差だけ超えた場合に)、ヒータプレートへの電力を無効化し、及び/又は吸気チューブ(すなわち、吸気チューブヒータ)への電力を無効化するステップを含むことができる。
【0046】
ある構成において、方法はさらに、機器が、任意に閾値時間内に、ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界となるように更新できないこと、現在のヒータプレート温度が特定されたヒータプレート温度限界を超えたこと、及び/又はヒータプレート供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を超えたことに応答して、機器の気流発生器への電力を低減又は無効化するステップを含むことができる。
【0047】
ある構成において、方法はさらに、特定されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低くないかぎり、ヒータプレートへの既存の最大電力限界を保持するステップを含むことができる。
【0048】
ある構成において、現在のヒータプレート温度限界は事前設定された温度限界とすることができる。
【0049】
ある構成において、事前設定された温度限界は、それを超えるとハードウェア安全機能がトリガされる温度限界とすることができる。
【0050】
ある構成において、少なくとも2つの他のセンサにより測定されるパラメータは、呼吸補助システムの流路内のガスの流量、加湿チャンバの出口で測定される温度、加湿チャンバの入口で測定される温度、気温、システムの流路内のガスの圧力、又はヒータプレートに供給される電力、電流、若しくは電圧のうちの少なくとも2つを含むことができる。
【0051】
ある構成において、ガスの流量は質量流量とすることができる。
【0052】
ある構成において、ガスの流量は体積流量とすることができる。
【0053】
呼吸補助機器を制御する方法であり、この呼吸補助機器は、ガスフローを加熱及び加湿するための加湿チャンバを受けるように構成される。方法は、機器のコントローラの制御下で、加湿チャンバに入るガスフローの流量を、少なくとも一部に、呼吸補助機器の動作パラメータに基づいて計算するステップと、最大安全質量蒸発率を、少なくとも一部に、計算された流量に基づいて計算するステップと、ヒータプレート温度限界を、少なくとも一部に、計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算するステップと、を含むことができる。
【0054】
ある構成において、方法はさらに、ヒータプレートへの最大電力限界を、少なくとも一部に、ヒータプレート温度限界及び現在のヒータプレート温度に基づいて特定するステップを含むことができる。
【0055】
ある構成において、方法はさらに、計算されたヒータプレート温度限界を現在のヒータプレート温度限界と比較するステップと、計算されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低いことに応答して、ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの特定された最大電力限界となるように更新するステップと、を含むことができる。
【0056】
ある構成において、方法はさらに、機器が、任意に閾値時間内に、ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界となるように更新できないことに応答して、ヒータプレートへの電力を無効化し、機器の吸気チューブ(すなわち、吸気チューブヒータ)への電力を無効化又は低減するステップと、を含むことができる。
【0057】
ある構成において、方法はさらに、現在のヒータプレート温度が特定されたヒータプレート温度限界を10分間にわたり5℃、又は10秒間にわたり10℃超えたことに応答して、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を統計的変動に基づく閾値だけ超えたことに応答して(例えば、ヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を3標準偏差だけ超えた場合に)、吸気チューブ(すなわち、吸気チューブヒータ)への電力を無効化するステップを含むことができる。
【0058】
ある構成において、方法はさらに、機器が、任意に閾値時間内に、ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界となるように更新できないこと、現在のヒータプレート温度が特定されたヒータプレート温度限界を超えたこと、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を超えたことに応答して、機器の気流発生器への電力を低減又は無効化するステップを含むことができる。
【0059】
ある構成において、方法はさらに、計算されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低くないかぎり、ヒータプレートへの既存の最大電力限界を保持するステップを含むことができる。
【0060】
ある構成において、方法はさらに、計算されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より高いことに応答して、最大電力限界を増大させるステップを含むことができる。
【0061】
ある構成において、現在のヒータプレート温度限界は事前設定された温度限界とすることができる。
【0062】
ある構成において、事前設定された温度限界は、それを超えるとハードウェア安全機能がトリガされる温度限界とすることができる。
【0063】
ある構成において、方法はさらに、加湿チャンバ内の液体の最大安全温度を、少なくとも一部に、計算された流量に基づいて計算するステップを含むことができる。
【0064】
ある構成において、方法はさらに、ヒータプレートから加湿チャンバ内の液体に伝達可能な最大安全電力を、少なくとも一部に、計算された流量及び計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算するステップを含むことができる。
【0065】
ある構成において、ヒータプレート温度限界は、少なくとも一部に、加湿チャンバ内の液体の計算された最大安全温度と、ヒータプレートから加湿チャンバ内の液体に伝達可能な計算された最大安全電力に基づいて特定できる。
【0066】
ある構成において、方法はさらに、加湿チャンバ内の液体の最大安全温度を、少なくとも一部に、計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算するステップと、ヒータプレートから加湿チャンバ内の液体に伝達可能な最大安全電力を、少なくとも一部に、計算された最大安全質量蒸発率及び計算された流量に基づいて計算するステップと、ヒータプレート温度限界を、少なくとも一部に、加湿チャンバ内の液体の計算された最大安全温度及びヒータプレートから加湿チャンバ内の液体に伝達可能な計算された最大安全電力に基づいて計算するステップと、を含むことができる。
【0067】
ある構成において、方法さらに、現在のヒータプレート温度限界を計算されたヒータプレート温度限界で更新するステップを含むことができる。
【0068】
ある構成において、計算された流量は質量流量とすることができる。
【0069】
ある構成において、計算された流量は体積流量とすることができる。
【0070】
ある構成において、動作パラメータはセンサデータ及び/又はモデリングパラメータを含むことができる。
【0071】
患者にガスフローを送達する呼吸補助システムの一部を形成する呼吸補助機器であり、この呼吸補助機器は、ある量の液体が収容される加湿チャンバを受けるように構成され、熱を、加湿チャンバであって、その入口は加熱及び加湿されることになるガスフローを受けるように構成され、その出口は吸気チューブに連結されるように構成される加湿チャンバに伝達するように構成されたヒータプレートと、ヒータプレートと電気通信するコントローラであって、加湿チャンバに伝達される熱を調整するためにヒータプレートの熱出力を制御するように構成され、さらに、加湿チャンバに入るガスフローの流量を、少なくとも一部に、呼吸補助機器の動作パラメータに基づいて計算し、最大安全質量蒸発率を、少なくとも一部に、計算された流量に基づいて計算し、ヒータプレート温度限界を、少なくとも一部に、計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算するように構成されるコントローラと、を含む。
【0072】
ある構成において、コントローラはさらに、ヒータプレートに提供され得る最大電力を、少なくとも一部に、ヒータプレート温度限界及び現在のヒータプレート温度に基づいて特定するように構成できる。
【0073】
ある構成において、コントローラはさらに、計算されたヒータプレート温度限界を現在のヒータプレート温度限界と比較し、計算されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低いことに応答して、ヒータプレートに提供され得る現在の最大電力をヒータプレートに提供され得る特定された最大電力となるように更新するように構成できる。
【0074】
ある構成において、コントローラは、機器が、任意に閾値時間内に、ヒータプレートに提供され得る現在の最大電力をヒータプレートに提供され得る計算された最大電力となるように更新できないことに応答して、ヒータプレートへの電力を無効化し、吸気チューブ(すなわち、吸気チューブヒータ)への電力を無効化又は低減するように構成できる。
【0075】
ある構成において、コントローラは、現在のヒータプレート温度が計算されたヒータプレート温度限界を10分間にわたり5℃、又は10秒間にわたり10℃超えたことに応答して、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートに提供され得る特定された最大電力を統計的変動に基づく閾値だけ超えたことに応答して(例えば、ヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートに提供され得る特定された最大電力を3標準偏差だけ超えた場合に)、ヒータプレートへの電力を無効化する、及び/又は吸気チューブ(すなわち、吸気チューブヒータ)への電力を無効化するように構成できる。
【0076】
ある構成において、コントローラは、機器が、任意に閾値時間内に、ヒータプレートに提供され得る現在の最大電力をヒータプレートに提供され得る計算された最大電力となるように更新できないこと、現在のヒータプレート温度が計算されたヒータプレート温度限界を超えたこと、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートに提供され得る特定された最大電力を超えたことに応答して、機器の気流発生器への電力を低減又は無効化するように構成できる。
【0077】
ある構成において、コントローラはさらに、計算されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より低くないかぎり、ヒータプレートに提供され得る既存の最大電力を保持するように構成できる。
【0078】
ある構成において、コントローラはさらに、計算されたヒータプレート温度限界が現在のヒータプレート温度限界より高いことに応答して、ヒータプレートに提供され得る最大電力を増大させるように構成できる。
【0079】
ある構成において、現在のヒータプレート温度限界は事前設定された温度限界とすることができる。
【0080】
ある構成において、事前設定された温度限界は、それを超えるとハードウェア安全機能がトリガされる温度とすることができる。
【0081】
ある構成において、コントローラはさらに、加湿チャンバ内の液体の最大安全温度を、少なくとも一部に、計算された流量に基づいて計算するように構成できる。
【0082】
ある構成において、コントローラはさらに、ヒータプレートから加湿チャンバ内の液体に伝達できる最大安全電力を、少なくとも一部に、計算された流量及び計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算するように構成できる。
【0083】
ある構成において、ヒータプレート温度限界は、少なくとも一部に、加湿チャンバ内の液体の計算された最大安全温度及びヒータプレートから加湿チャンバ内の液体に伝達できる計算された最大安全電力に基づいて特定できる。
【0084】
ある構成において、コントローラはさらに、加湿チャンバ内の液体の最大安全温度を、少なくとも一部に、計算された最大安全質量蒸発率に基づいて計算し、ヒータプレートから加湿チャンバ内の液体に伝達できる最大安全電力を、少なくとも一部に、計算された最大安全質量蒸発率及び推定される流量に基づいて計算し、ヒータプレート温度限界を、少なくとも一部に、加湿チャンバ内の液体の計算された最大安全温度及びヒータプレートから加湿チャンバ内の液体に伝達できる計算された最大安全電力に基づいて計算するように構成できる。
【0085】
ある構成において、コントローラはさらに、現在のヒータプレート温度限界を計算されたヒータプレート温度限界で更新するように構成できる。
【0086】
ある構成において、計算された流量は質量流量とすることができる。
【0087】
ある構成において、計算された流量は体積流量とすることができる。
【0088】
ある構成において、動作パラメータはセンサデータ及び/又はモデリングパラメータを含むことができる。
【0089】
呼吸補助システムは、本明細書で開示される構成の何れかの呼吸補助機器と、吸気チューブと、を含むことができる。
【0090】
ある構成において、コントローラは、吸気チューブ内の加熱素子への熱出力を制御するように構成できる。
【0091】
ある構成において、呼吸補助システムはさらに、加湿チャンバを含むことができる。
【0092】
本開示のこれら及びその他の特徴、態様、及び利点を、特定の実施形態の図面を参照しながら説明するが、これらは特定の実施形態を概略的に説明するためのものであり、開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】患者に対して呼吸療法を提供するように構成されたハイフロー呼吸システムを概略的に示す。
図2】加湿チャンバが所定の位置にある状態の例示的なハイフロー呼吸装置の正面斜視図である。
図3図2の呼吸装置の背面斜視図である。
図4図2の呼吸装置の例示的な検知チャンバを示す。
図5】患者に提供されるガスのエンタルピ及び/又は露点がそれぞれの所定の閾値を超えるリスクを低減するための例示的なプロセスのフロー図である。
図6】選択されたセットポイントでの最大ヒータプレート温度を計算する例示的なプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0094】
以下に特定の例を説明するが、当業者であれば、本開示は具体的に開示されている例及び/又は使用のほか、それらの自明な改良及び等価物を超えるものであることがわかるであろう。それゆえ、本明細書で開示される本開示の範囲は、以下に記載の何れの特定の例にも限定されないことが意図される。
【0095】
例示的な呼吸補助システム
呼吸補助システムは、それ自体は患者インタフェースに連結可能な吸気チューブに連結された呼吸補助機器を含むことができる。呼吸補助機器は加湿器を含み、任意に、気流発生器も含むことができる。呼吸補助機器が加湿器と気流発生器の両方を含む場合、気流発生器は加湿器の筐体とは別の筐体内に格納することも、加湿器と共に1つの主要機器筐体の中に組み込むこともできる。
【0096】
呼吸補助システム10の概略的表現が図1に提供されている。呼吸補助システム10は、主機器筐体100を含むことができる。主機器筐体100は気流発生器11を含むことができ、これはモータ/インペラ機構の形態とすることができ、インペラはモータにより駆動される。主機器筐体100は、加湿器12も含むことができる。加湿器12は例えば、受容可能な加湿器チャンバと、ヒータプレートを含むことができる。図の例において、加湿チャンバはヒータプレートと接触するように(例えば、チャンバの底部がヒータプレートと接触するように)位置付けられ得て、ヒータプレートは加湿チャンバの内容物を加熱して、気流発生器から加湿器へと通過するガスを加湿し得る。主機器筐体100はまた、コントローラ13及びユーザインタフェース14も位置決めすることができる。
【0097】
ユーザインタフェース14は、表示及び入力装置、例えばボタン、タッチスクリーン、タッチスクリーンとボタンの組み合わせ、又はその他を含むことができる。
【0098】
コントローラ13は、1つ又は複数のハードウェア及び/又はソフトウェアプロセッサを含むことができ、システムのコンポーネントを制御するように構成又はプログラムできる。例えば、コントローラは、患者に送達するためのガスフローを生成するように気流発生器11を制御し、ガスフローを加湿及び/又は加熱するように加湿器を制御し、呼吸補助システム10の再構成及び/又はユーザが設定する動作のための、ユーザインタフェース14からのユーザ入力を受け取り、出力情報を(例えばディスプレイ上で)ユーザに対して出力するように構成できる。ユーザは、患者、医療従事者、又はその他の人物とすることができる。
【0099】
引き続き図1を参照すると、吸気チューブ16を(一方の端で)主機器筐体100内のガスフロー出口21に連結し、(もう一方の端で)患者インタフェース17に連結できる。患者インタフェース17は、マニホルド19と鼻プロングを備える鼻カニューレ等、非密閉型のインタフェースであり得る。ガスフロー出口21は、加湿器12上にあり得る。吸気チューブ16はまた、フェイスマスク、鼻マスク、鼻ピローマスク、気管チューブ、気管切開インタフェース、又はその他にも連結できる。吸気チューブ16は、それを通じて患者にガスフローを供給できる回路の一部であり得る。
【0100】
ガスフローは、気流発生器11によって生成され、吸気チューブ16と患者インタフェース17を介して患者に送達される前に加湿器12によって加湿できる。コントローラ13は、ガスフローを所望の流量で生成するように気流発生器11を制御できる。コントローラはまた、空気と酸素(又はその他の呼吸可能ガス)の混合を制御するために1つ又は複数のバルブも制御できる。コントローラ13は、ガスを加熱して、これらが所望の温度及び/又は湿度で患者に送達されるようにするために加湿器12内の加熱素子(例えば、加湿器のヒータプレート内の加熱素子)を制御できる。
【0101】
吸気チューブ16は、ガスを、それが患者へと流れる間に加熱するための加熱素子16a、例えばヒータワイヤを含むことができる。加熱素子16aは、吸気チューブ16の長さ全体にわたって延び得て、ガスを加熱し、吸気チューブ16内で形成される結露の量を減らし得る。加熱素子16aもまた、コントローラ13で制御できる。加熱素子16aは好ましくは、チューブの壁に埋め込まれる。代替的に、加熱素子16aは、チューブのルーメン内に設置され得る。
【0102】
システム10は、1つ又は複数のセンサ(コントローラ13と通信する)を使って、ガスフローの特性をモニタし、及び/又はシステム10を、適当な呼吸補助を提供するように動作させることができる。これらのセンサには、超音波トランスデューサ、フローセンサ(例えば、サーミスタフローセンサ)、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、又はその他のセンサが含まれ得る。ガスフローの特性としては、ガス濃度、流量、圧力、温度、湿度、又はその他を含むことができる。センサ3a、3b、3c、20、25は、主機器筐体100、吸気チューブ16、及び/又は患者インタフェース17内又はその上の様々な場所に設置できる。センサ3a、3b、3c、20、25にはまた、気温センサも含まれ得る。気温センサは、気温センサが気温にさらされるどこにでも設置できる。1つの例において、気温センサは気流発生の上流に位置付けられる。気温センサは、大気からの流入空気の温度を測定するように構成できる。センサ3a、3b、3c、20、25には、患者パラメータ(例えば、血中酸素飽和度(例えば、パルスオキシメータによる)、呼吸数、体温、及びその他)を測定するための患者センサも含まれ得る。センサ3a、3b、3c、20、25は、有線又は無線構成の何れによってもコントローラと通信するように配置され得る。
【0103】
コントローラ13は、センサからの出力を受け取って、呼吸補助システム10の動作において、適当な呼吸補助を提供するようにそれを支援することができる。例えば、センサ出力は、呼吸補助システム10がガスフローの適当な標的温度、流量、及び/又は圧力を特定するのを支援し得る。適当な呼吸補助を提供することには、患者の吸気需要を満たすか、それを超えるようにすることを含むことができる。
【0104】
システム10は、コントローラ13が動作センサから無線でデータ信号8を受け取り、及び/又はシステムの様々なコンポーネントを制御することができるようにするための無線データ送信器及び/若しくは受信器又はトランシーバ15を含むことができる。追加的又は代替的に、データ送信器及び/又は受信器15は、データをリモートサーバに送信するか、システム10の遠隔制御を可能にすることができる。システム10は、コントローラ13がデータ信号8を動作センサから受け取り、及び/又はシステム10の様々なコンポーネントを制御することができるようにするために、例えばケーブル又はワイヤを使った有線接続を含むことができる。1つの例において、送信されるデータには、装置がリモートシステム又はリモートサーバと通信して、例えば治療テータや使用状況データ等のデータを送信できるようにするためのモデムが含まれ得る。追加的に、装置はまた、Wi-Fiモジュール及びBluetoothモジュール等のその他の通信モジュールも含み得る。さらにアラーム情報が、治療パラメータ及び使用状況データ等のその他のデータと共にリモートサーバ(例えば、遠隔治療管理システム)に送信され得る。遠隔治療管理システムにより、臨床医やその他のユーザは情報にアクセスし、患者の治療の管理に使用され得るレポートを作成できる。
【0105】
1つの例において、呼吸補助システム10はハイフロー呼吸補助装置を含む。本明細書で論じるハイフロー呼吸補助は、当業者であればわかるように、その典型的な通常の意味を有するものとする。これは一般に、加湿された呼吸ガスの標的のフローを(意図的に非密閉型とされる患者インタフェースを介して)一般的に患者の吸気需要を満たすか、それを超えることが意図される流量で送達する呼吸補助システムを指す。典型的な患者インタフェースとしては、鼻又は気管患者インタフェースが含まれるが、これらに限定されない。ハイフロー治療システムでは、患者インタフェースは非密閉型であり得る。成人のための典型的な流量は、毎分約15リットルから毎分約60リットル以上の範囲であることが多いが、これに限定されない。小児患者(例えば、新生児、乳児、及び幼児)のための典型的な流量は、患者の体重1キログラムあたり毎分約1リットルから患者の体重1キログラムあたり毎分約3リットル以上の範囲であることが多いが、これに限定されない。ハイフロー呼吸補助はまた、任意に、補助酸素を含むガス混合物の組成及び/又は治療薬の投与を含むこともできる。ハイフロー呼吸補助は多くの場合、鼻ハイフロー(NHF)、加湿ハイフロー鼻カニューレ(HHFNC)、ハイフロー鼻酸素(HFNO)、ハイフロー療法(HFT)、又は気管ハイフロー(THF)等の一般的な名称で呼ばれる。
【0106】
例えば、幾つかの構成において、成人患者の場合、「ハイフロー呼吸補助」とは、毎分約10リットル(10LPM)より高い、又はそれと等しい、例えば約10LPM~約100LPM、又は約15LPM~約95LPM、又は約20LPM~約90LPM、又は約25LPM~約85LPM、又は約30LPM~約80LPM、又は約35LPM~約75LPM、又は約40LPM~約70LPM、又は約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPMの流量での患者へのガスの送達を指し得る。幾つかの構成において、新生児、乳児、又は幼児患者の場合、「ハイフロー呼吸補助」とは、1LPMを超える、例えば約1LPM~約25LPM、又は約2LPM~約25LPM、又は約2LPM~約5LPM、又は約5LPM~約25LPM、又は約5LPM~約10LPM、又は約10LPM~約25LPM、又は約10LPM~約20LPM、又は約10LPM~15LPM、又は約20LPM~約25LPMの範囲の流量での患者へのガスの送達を指し得る。ハイフロー呼吸補助装置は、成人患者、新生児患者、乳児患者、又は幼児患者について、約1LPM~約100LPMの流量又は上で概説した部分範囲の何れかの中のある流量で患者にガスを送達し得る。
【0107】
本システムは、CPAP又はバイレベル療法、及びその他の呼吸療法も提供できる。
【0108】
ハイフロー呼吸補助は、患者の吸気需要を満たすか、それを超えること、患者の血中酸素を増やすこと、及び/又は呼吸労作を軽減させることにおいて有効であり得る。追加的に、ハイフロー呼吸補助は鼻咽腔の洗浄効果を生じさせて、上気道の解剖学的死腔が高流量の流入ガスフローによって洗浄されるようにし得る。洗浄効果により、毎回の呼吸に利用できる新鮮なガスの貯蔵部を作り、それと同時に二酸化炭素や窒素等の再呼吸を最小限にすることができる。
【0109】
ハイフロー呼吸補助において使用される患者インタフェースは、気圧性外傷を防止するために非密閉型インタフェースとすることができる。気圧性外傷としては、大気との圧力差による患者の肺及び呼吸系のその他の器官への組織損傷が含まれ得る。患者インタフェースは、マニホルドと鼻プロングを備える鼻カニューレ、及び/又はフェイスマスク、及び/又は鼻ピローマスク、及び/又は鼻マスク、及び/又は気管切開インタフェース、又は他のあらゆる適当なタイプの患者インタフェースとすることができる。
【0110】
図2及び3は、呼吸補助システム10の例示的な呼吸補助機器を示す。機器は筐体300を含むことができ、これは気流発生器を取り囲む。気流発生器は、モータ及びセンサモジュールを含み得る。モータ及びセンサモジュールは、主筐体300から取り外せなくても。モータ及びセンサモジュールはまた、任意に、主筐体300に着脱可能とすることもできる。筐体300はまた、着脱式加湿チャンバ310を受けるための加湿器318を位置決めすることもできる。着脱式加湿チャンバ310には、患者に送達されるガスを加熱及び加湿するための水等の適当な液体が収容される。加湿チャンバ310は、機器筐体300に、加湿器318内へと直線的にスライドする動きにより流体的に連結できる。ガス出口ポート322によって、モータ及びセンサモジュールとチャンバ310の入口306との間の流体連通を確立させることができる。
【0111】
加熱及び加湿されたガスは、チャンバ310の出口308から出て加湿ガスリターン340に入ることができ、これは着脱式のL字型エルボウを含むことができる。着脱式エルボウは患者出口ポート344をさらに含むことができ、これは吸気チューブ(例えば、図1の吸気チューブ16)に連結されて患者インタフェース17にガスを送達する。ガス出口ポート322、加湿ガスリターン340、及び患者出口ポート344は各々、シール(例えば、Oリングシール又はTシール)を有して、機器筐体300、加湿チャンバ310、及び吸気チューブ16間に密閉されたガス通路を提供することができる。筐体300内の加湿器318の底部は、ヒータプレート又はその他の適当な加湿素子等のヒータ装置を含むことができる。それゆえ、ヒータ装置は加湿プロセス中に加湿チャンバ310内で水を加熱することができる。したがって、図2及び3の装置は、筐体300内に一体化された加湿器と気流発生器を含む。
【0112】
図3に示されるように、機器は気流発生器が空気、酸素(又はその他の補助ガス)、又はそれらの適当な混合物を加湿チャンバ310に、そしてそれによって患者に送達できるようにするための機構を含むことができる。この機構としては、筐体300の後壁323の空気入口356’を含むことができる。機器は、分離された酸素入口ポート358’を含むことができる。図の構成では、酸素入口ポート358’は筐体300の片側付近のその後端に位置付けることができる。酸素ポート358’はタンク等の酸素源、又は酸素ブレンダに接続できる。酸素入口ポート358’は、バルブと流体連通し得る。バルブは、適当な態様として、ソレノイドバルブとすることができ、それによって加湿チャンバ310に送達されるガスフローに追加される酸素の量の制御が可能となる。
【0113】
筐体300は、検知回路基板等の適当な電子基板を位置決めすることができる。電子基板は適当な電気又は電子コンポーネントを含むことができ、又はそれらと電気通信可能であり、これにはマイクロプロセッサ、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、演算増幅器、比較器、及びスイッチが含まれるが、これらに限定されない。1つ又は複数のセンサが電子基板と共に使用可能である。電子基板のコンポーネント(例えば、1つ又は複数のマイクロプロセッサであるが、これに限定されない)は、装置のコントローラ13として動作できる。電子基板のうちの1つ又は複数は、システム10の、表示ユニット及びユーザインタフェース14、モータ、バルブ、及びヒータプレートを含むがこれに限定されない電気コンポーネント、及び/又は加熱された吸気チューブと電気通信して、所望のガス流量を提供し、ガスフローを適切なレベルまで加湿及び加熱し、適切な量の酸素(又は適切な量のその他の補助ガス)をガスフローに供給することができる。
【0114】
前述のように、動作センサ、例えば流量、温度、湿度、及び/又は圧力センサは、呼吸補助機器、吸気チューブ16、及び/又は患者インタフェース17の様々な位置に設置できる。電子基板は、これらのセンサと電気通信することができる。センサからの出力はコントローラ13によって受け取られ、コントローラ13が呼吸補助システム10を、吸気需要を満たすことを含め、最適な呼吸補助を提供する方法で動作させるのを支援できる。
【0115】
図4に示されるように、混合空気は気流発生器から出て、モータ及びセンサモジュールの中に位置付け可能なセンサチャンバ400内の流路402に入ることができる。超音波センサ406及び/又は加熱されたサーミスタフローセンサ等のセンサを備える検知回路基板404は、センサチャンバ400内に、検知回路基板が少なくとも部分的にガスフロー中に浸かるように位置付けられ得る。検知回路基板上のセンサのうちの少なくとも幾つかはガスフロー内に位置付けられて、フロー中のガスの特性を測定できる。ガスは、センサチャンバ400内の流路402を通過した後、加湿チャンバ310に向かって出ることができる。
【0116】
検知回路基板の少なくとも一部とセンサが流路中に浸かるようにすることによって測定の正確さを高めることができ、これは、(浸かっていないセンサと比べて、)流路中に浸かったセンサは、ガスフローと同じ条件、例えば温度及び圧力にさらされる可能性がより高くなるからである。したがって、これらの浸かった状態のセンサは、ガスフローの特性をよりよく表し得る。
【0117】
図4に示されるように、流路402は湾曲した形状を有することができる。検知回路基板404は、音響送信器及び/又は受信器、加湿センサ、温度センサ、サーミスタ、及びその他等のセンサを含むことができる。ガス流量は、少なくとも2つの異なる種類のセンサを使って測定され得る。第一の種類のセンサはサーミスタを含むことができ、これはガスフローとサーミスタとの間の熱伝達をモニタすることによって流量を特定できる。サーミスタフローセンサは、ガスがサーミスタの周囲を流れ、通過するときに、サーミスタをフロー内で一定の標的温度で動作させることができる。センサは、サーミスタを標的温度に保持するのに必要な電力の量を測定できる。標的温度は、ガスフローの温度より高くなるように構成でき、それによってサーミスタをより高い流量で標的温度に保持するためにより多くの電力が必要となる。
【0118】
サーミスタ流量センサはまた、サーミスタ上の複数の(例えば、2、3、又はそれより多い)一定の温度を保持して、標的温度とガスフロー温度との差が小さすぎる、又は大きすぎることがないようにすることができる。複数の異なる標的温度によって、サーミスタ流量センサはガスの広い温度範囲にわたり正確となり得る。例えば、サーミスタ回路は、2つの異なる標的温度間で切り替えることができるように構成でき、それによってガスフローの温度は常に、2つの標的温度の一方に関して特定の範囲内にとどまることができる(例えば、近すぎず、遠すぎない)。サーミスタ回路は、約50℃~約70℃、又は約66℃の第一の標的温度で動作するように構成できる。第一の標的温度は、約0℃~約60℃、又は約0℃~約40℃の所望のフロー温度範囲に関連付けることができる。サーミスタ回路は、約90℃~約110℃、又は約100℃の第二の標的温度で動作するように構成できる。第二の標的温度は、約20℃~約100℃、又は約30℃~約70℃の所望のフロー温度範囲に関連付けることができる。
【0119】
コントローラは、サーミスタ回路を調整して、サーミスタ回路内の抵抗器を接続又はバイパスすることによって、少なくとも第一及び第二の標的温度を切り替えるように構成できる。サーミスタ回路は、第一の電圧分割アームと第二の電圧分割アームを含むホイートストーンブリッジ構成として配置できる。サーミスタは、電圧分割アームの一方に位置付けることができる。
【0120】
第二の種類のセンサは音響(例えば、超音波)センサアセンブリを含むことができ。音響センサ(音響送信器及び/又は受信器を含む)を使って、音響信号の飛行時間を測定し、ガスの速度及び/又は組成を特定することができる。コントローラ13は、音響センサからの出力を受け取って、それが呼吸補助システム10を適当な呼吸補助を提供するような方法で動作させるのを支援することができる。1つの超音波検知トポロジ(超音波送信器及び/又は受信器を含む)では、ドライバが、超音波トランスデューサ等の第一のセンサに超音波パルスを第一の方向に生成させる。第二の超音波トランスデューサ等の第二のセンサは、このパルスを受け取って、第一及び第二の超音波トランスデューサ間のパルスの飛行時間の測定値を提供する。この飛行時間の測定値を使用して、呼吸装置のプロセッサ又はコントローラによって超音波トランスデューサ間のガスフローの音の速さを計算できる。第二のセンサはまた、パルスを第一の方向とは反対の第二の方向に送信し、第一のセンサはそれを受け取って、飛行時間の第二の測定値を提供でき、それによってガスフローの特性、例えば流量又は速度の特定が可能となる。他の音響検知トポロジでは、音響送信器、例えば超音波トランスデューサにより送信された音響パルスは、マイクロフォン等の音響受信器により受け取られ得る。音響パルスは、ガスの流路に沿って送信でき、それによって音響センサを使ってガスの流量又は速度を測定することが可能となる。
【0121】
センサの第一及び第二の種類のセンサの両方からの読み取り値を組み合わせて、より正確な流量測定値を特定できる。例えば、以前に特定された流量と、これらの種類のセンサのうちの一方からの1つ又は複数の出力を使って、予測される現在の流量を特定できる。予測される現在の流量はその後、第一及び第二の種類のセンサのもう一方からの1つ又は複数の出力を使って更新され、最終的な流量を計算できる。
【0122】
別の動作センサは、ヒータプレートの上板に隣接して、又はその付近に(例えば、その直下に)設置された1つ又は複数のヒータプレート温度センサを含むことができる。ヒータプレート温度センサは、ヒータプレートの温度を測定するように構成できる。
【0123】
呼吸補助システム全体に各種の温度センサも含むことができる。気温センサは、気温センサが周囲環境にさらされる何れかの場所に配置できる。気温センサは、大気からの流入空気の温度を特定するように構成できる。出口温度センサは、任意に、加湿チャンバ出口に、若しくはその付近に、又は吸気チューブのチャンバ端(患者端と反対)に配置できる。出口温度センサは、加湿チャンバから出るガスストリームの温度を測定するように構成できる。患者端温度センサは、任意に、吸気チューブの患者端に配置できる。患者端温度センサはまた、任意に、患者インタフェースの中又は上に配置できる。患者端温度センサは、例えば有線又は無線通信を使ってコントローラと通信できる。
【0124】
呼吸補助システムは、任意に、システム内のガスフローを測定するように構成されたフローセンサを含むことができる。フローセンサは、加湿チャンバ出口に、若しくはその付近に、吸気チューブのチャンバ端に、若しくはその付近に、及び/又は加湿チャンバ出口の、若しくはその付近の出口温度センサに隣接して配置できる。システムは、任意に、吸気チューブのチャンバ端に、又はその付近に温度センサとフローセンサの両方を含むことができる。これらのセンサは、例えば有線又は無線通信を使ってコントローラのうちの1つ又は複数と通信し得る。コントローラはまた、任意に、ガスフローの湿度、温度、圧力、流量、及び/又はその他の特性を測定できる1つ又は複数の他のセンサとも通信できる。
【0125】
上述の呼吸補助システムにおいて、温度プローブもまた加湿チャンバ内の水の中に設置できる。追加的及び/又は代替的に、非接触型温度センサ(例えば、赤外線センサ)を使ってヒータプレートの温度、及び/又は加湿チャンバの内容物の温度、及び/又はガス経路の温度を測定できる。
【0126】
患者端におけるガスのエンタルピ及び/又は露点が閾値を超えるリスクを軽減させるための例示的方法
吸気チューブから出るガスのエンタルピ及び/又は露点が閾値を超える状態の防止策が、本眼で開示される呼吸補助システムの何れにも組み込むことができる。このような状態は、吸気チューブの患者端における加熱されたガスの露点が所定の閾値(例えば、約37℃~約47℃、又は約40℃~約45℃、又は約43℃の露点)を超えたときに生じ得る。
【0127】
呼吸補助機器を使用する場合、危害や不快の原因となるようなガスのエンタルピ及び/又は露点の防止策は、有効患者治療を提供することとバランスがとられ得る。現在の呼吸補助システムで使用される技術では、常にこのバランスがとられるわけではない。例えば、現在の呼吸補助システムは、ヒータプレート温度限界を呼吸補助機器のヒータプレートに適用して、ヒータプレート温度が最大ヒータプレート温度を一切超えないようにし得る。一定のヒータプレート温度限界を設定することによって、高い温度及び流量セットポイントでの動作中に患者インタフェースでの露点温度を適切に制限し得るが、それによって高い温度セットポイント及び低い流量セットポイントでの動作中では患者インタフェースにおける露点温度が過剰に高くなり得る。反対に、低い温度及び流量セットポイントでの動作中に患者インタフェースにおける露点温度を適切に制限するヒータプレート温度限界では、機器が高い温度及び流量セットポイントを実現できなくなり得る。
【0128】
危害又は不快の原因となるようなガスのエンタルピ及び/又は露点の防止策を提供することと、有効な患者治療を提供することとのバランスをとることは、ハイフロー療法の場合に特に関係が深い(本明細書に記載の呼吸補助システムは、ハイフロー療法を提供するように構成され得る)。ハイフロー療法では、患者の快適さのために、及び患者の気道内の水分が保持されるのを確実にするために、高レベルの湿度が必要となる。高レベルの湿度によって、より長時間にわたり患者の使用状況、すなわち治療に対する患者コンプライアンスが改善される。湿度が高いと快適さが上昇し、患者はより長時間にわたってハイフロー療法機器(すなわち、呼吸補助システム)を使用できる。高い湿度はまた、患者の肺及び気道内の患者の自然の粘膜繊毛輸送の機能を保持して、粘膜を動かし、呼吸を改善する。したがって、治療で使用される水とガスの温度は、患者の安全を確保するために慎重に保持されなくてはならない。さらに、ハイフロー機器は、広い範囲の選択可能なセットポイントを有し得る。これは、広い範囲の動作パラメータで有効な患者治療を提供する必要があり得ることを意味する。例えば、ハイフロー機器は、0L/分~100L/分又はそれ以上の流量を生成し得る。本明細書で開示される呼吸補助システムは、様々な治療パラメータにわたって患者の安全と有効な治療とのバランスを保持し得る。
【0129】
本明細書で開示される呼吸補助システムの例では、呼吸機器のコントローラ(例えば、加湿器、ブロワ、又はその両方を制御するコントローラ)は、ヒータプレートをそれによって動作させる最大ヒータプレート電力限界を動的に計算できる。最大ヒータプレート電力限界は、少なくとも一部に、ユーザ入力に基づき得る。最大ヒータプレート電力限界は、ガスのエンタルピ及び/又は露点が所定の閾値を超えないように計算され得る。コントローラは、呼吸補助システムの状態にリアルタイムで対応するために、最大ヒータプレート電力限界を継続的に計算し、更新することによって、最大ヒータプレート電力限界を動的に計算できる。コントローラは、呼吸補助システム内のリアルタイムセンサから測定値を受け取り、センサからのこの測定値を使って、動的なヒータプレート温度限界を計算することができる。ヒータプレート温度は、呼吸補助セッション全体を通じて、ヒータプレート温度限界より低く保持され得る。幾つかの配置において、コントローラは、ヒータプレートに送達すべき最大ヒータプレート電力限界を計算でき、この最大ヒータプレート電力限界は、ヒータプレートの温度がヒータプレート温度限界を超えないようにする。ヒータプレート電力は、電圧、電流、又はそれらの組み合わせを調整することによって制御できる。
【0130】
換言すれば、コントローラは、呼吸補助システムの状態に対応するためにヒータプレート電力限界をリアルタイムで調整できる。コントローラは、ガスのエンタルピ及び/又は露点が所定の閾値を超え得ないように(例えば、ガスのエンタルピ及び/又は露点が所定の閾値より低いか、それと等しくなるように)ヒータプレート温度を制限できる。コントローラは、最大ヒータプレート電力限界をリアルタイムセンサデータに基づいて計算することによってそれを行い、この限界内でヒータプレートに電力を提供することができる。
【0131】
図5は、コントローラが、患者に提供されるガスのエンタルピ及び/又は露点がそれぞれの所定の閾値を超えるリスクを軽減し得るプロセスを示す。コントローラは、コントローラが特定のユーザ入力(例えば、前述のユーザインタフェースを介する)を受け取ったときに、呼吸補助システムの動作限界を設定及び更新できる。具体的には、ユーザ入力及び/又は機器のセンサから受け取ったリアルタイムデータに応答して、コントローラは、1つ又は複数の制御出力を特定することができ、これはヒータプレートに送達されるエネルギを調整する信号を送信できる。ユーザ入力は例えば、ユーザが新しい呼吸補助セッションを開始するとき、現在のセッション中の呼吸機器の設定の変更、又はその他が含まれ得る。
【0132】
プロセス500は決定ブロック502から始まり得て、そこで、コントローラはユーザ入力を受け取ったか否かを特定できる。ユーザ入力を受け取っていなければ、コントローラは、ヒータプレートへの現在の電力限界(所望の呼吸保持を患者に提供するように構成される)を保持して、その呼吸補助セッションを続けることができる。ユーザ入力を受け取っていないこのケースは、ブロック502からブロック516の直接経路により表される。ユーザ入力は、新しい呼吸補助セッションを開始するコマンド、1つ又は複数の機器セットポイントの変更、又はその他のうちの1つ又は複数であり得る。
【0133】
ユーザ入力を受け取ると、コントローラはブロック504に進んで、患者に提供されるガスのエンタルピ及び/又は露点がそれぞれの所定の閾値を超える可能性を低下させるヒータプレート温度限界を計算する。ヒータプレート温度限界は、一部にセンサデータによりリアルタイムで特定される現在の機器パラメータに基づくことができる。ヒータプレート温度限界の計算に関するさらなる開示は、図6に関して本明細書に記載されている。プロセス500は次に、ブロック506に進むことができる。
【0134】
決定ブロック506で、コントローラは、ブロック504で計算されたヒータプレート温度限界を事前設定されたヒータプレート温度限界と比較することができる。事前設定されたヒータプレート温度限界は、それを超えるとハードウェア安全システムが作動される温度とすることができる。ハードウェア安全システムには、測定されたヒータプレート温度が事前設定されたヒータプレート温度限界を超えると開き、それによってヒータプレートへの電力の送達を停止するスイッチが含まれ得る。それゆえ、ヒータプレートは事前設定されたヒータプレート温度限界を超えないかもしれず、それによって患者への危害の可能性を低減させる。ヒータプレートは、呼吸補助機器がトリップしたスイッチをリセットするパワーサイクリングによってリセットされ得る。
【0135】
計算されたヒータプレート温度限界が事前設定されたヒータプレート温度限界より高い場合、プロセスはプロック508に進むことができ、コントローラは、最大ヒータプレート温度限界を事前設定されたヒータプレート温度限界と等しくなるように設定できる。計算されたヒータプレート温度限界が事前設定されたヒータプレート温度限界より低い場合、プロセスはブロック510に進むことができる。プロック510で、コントローラは、最大ヒータプレート温度限界を計算されたヒータプレート温度限界と等しくなるように設定できる。換言すれば、最大ヒータプレート温度は、計算されたヒータプレート温度限界と事前設定されたヒータプレート温度限界のうちの低い方である。換言すれば、最大ヒータプレート温度限界は、ヒータプレートがハードウェア安全システム温度限界を超えることがあり得ないように設定される。
【0136】
ブロック512で、コントローラは、新しいヒータプレート電力限界を現在の機器パラメータに基づいて計算できる。例えば、新しいヒータプレート電力限界は、少なくとも、最大ヒータプレート温度と現在の測定されたヒータプレート温度に基づくことができる。他の例では、新しいヒータプレート電力限界は、少なくとも、気温の変化に基づき得る。ブロック514で、コントローラはヒータプレート電力限界をブロック512で計算された新しいヒータプレート電力限界となるように更新できる。ブロック516で、コントローラは更新された電力限界をヒータプレートに提供できる。コントローラは、ヒータプレート電力限界をプロセス500で計算された限界に保持できる。プロセス500はそれゆえ、コントローラがヒータ温度又は電力限界を保持する間に、ブロック502でユーザ入力を継続的にチェックしながら繰り返すことができる。
【0137】
ヒータプレート電力限界をリアルタイムのセンサデータに応じて制御することにより、コントローラは、水に送達され得る最大量の熱及び、したがって加湿チャンバ内の水の最大温度を動的に制御することができる。コントローラはそれゆえ、呼吸補助セッション中に患者に提供されるガスフローの加湿を制御できる。このようにして、コントローラは、患者に提供さるガスのエンタルピ及び/又は露点がそれぞれの所定の閾値を超えるリスクを、実現可能なヒータプレート温度及び機器セットポイントの範囲を過度に制約せずに低減させることができる。
【0138】
状況により、新しい最大ヒータプレート電力限界は、例えばヒータプレートの制御又はその他の関係するハードウェアに影響を与える呼吸補助システムの故障の結果として、実装されていないか、その実装が遅すぎるかもしれない。コントローラは、このような状況において安全応答動作を実行し得る。コントローラは、計算された最大ヒータプレート電力限界が呼吸補助システムにより実装されているか否かを特定できる。呼吸機器が(例えば、特定の閾値時間後に)ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界となるように更新できなかった場合、コントローラは、ヒータプレートへの電力を遮断(すなわち、無効化)することができ、吸気チューブへの(すなわち、吸気チューブヒータへの)電力を無効化又は低減させることかできる。閾値時間は例えば、1秒、5秒、15秒、30秒、1分、2分、5分、又はその他であり得る。代替的又は追加的に、コントローラはまた、現在のヒータプレート温度が特定されたヒータプレート温度限界を超えるか否か、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を超えているか否かも特定できる。コントローラは、特定されたヒータプレート温度限界及び/又はヒータプレートへの特定された最大電力限界がどれだけ、及び/又はどのくらいの時間わたり超えられたかを特定できる。例えば、コントローラは、現在のヒータプレート温度が特定されたヒータプレート温度限界を10分間にわたり5℃超えた場合、又は10秒間にわたり10℃超えた場合、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を統計的変動に基づく閾値だけ超えた場合(例えば、ヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を3標準偏差だけ超えた場合)、ヒータプレートへの電力を遮断(すなわち、無効化)し、及び/又は吸気チューブへの(すなわち、吸気チューブヒータへの)電力を遮断することができる。代替的又は追加的に、コントローラは、呼吸機器が、任意に本明細書で開示された閾値時間内に、ヒータプレートへの現在の最大電力限界をヒータプレートへの計算された最大電力限界となるように更新できないこと、現在のヒータプレート温度が特定されたヒータプレート温度限界を超えたこと、及び/又はヒータプレートに供給される現在の電力がヒータプレートへの特定された最大電力限界を超えたことに応答して、気流発生器への電力を低減又は遮断(すなわち、無効化)できる。
【0139】
図6は、図5のブロック504に示されるような、選択されたセットポイントに関する最大ヒータプレート温度を計算する例示的なプロセスのフロー図である。プロセス504は、ブロック602から始まることができ、そこでコントローラは現在の動作パラメータを受け取る。現在の動作パラメータは、呼吸補助システム全体のセンサからのリアルタイムデータとすることができる。現在の動作パラメータはまた、ユーザ入力を介して現在の呼吸療法セッションのために規定されたパラメータも含むことができる。現在の動作パラメータとしては、気温、患者の血中酸素濃度、加湿チャンバの水温、及びガス流量が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0140】
ブロック604で、コントローラは、任意に、加湿チャンバに入るガスの質量流量を現在の動作パラメータに基づいて計算することができる。ブロック606で、コントローラは、任意に、現在の動作パラメータでの最大質量蒸発率を、少なくとも計算された質量流量に基づいて計算できる。最大質量蒸発率は、最大安全質量蒸発率とすることができ、これは患者インタフェースにおけるその後のガスフローが患者にとっての危害又は不快の原因とならいような蒸発率である。最大質量蒸発率は、動作パラメータが変化した時にコントローラによって更新可能な動的限界とすることができる。
【0141】
ブロック608で、コントローラは、加湿チャンバ内の水の最大水温を現在の動作パラメータに基づいて(及び、任意に、計算された最大質量蒸発率に基づいて)計算できる。最大水温は最大安全水温とすることができ、これは、加湿チャンバ内の水を患者インタフェースにおけるその後のガスフローが患者への危害又は患者不快の原因とならないように保持できる温度である。最大水温は、動作パラメータが変化した時にコントローラにより更新可能な動的限界とすることができる。
【0142】
ブロック610で、コントローラは、ヒータプレートから加湿チャンバ内の水に伝達される熱エネルギの最大率を計算することができる。最大熱エネルギ伝達率は、ヒータプレートから加湿チャンバ内の水への熱伝達に対する限界とすることができ、それによって、水がブロック608で計算された最大水温以下に保持される。最大熱エネルギ伝達率は最大安全電力であり得、これは、その状態では患者インタフェースにおけるその後のガスフローが患者を害せず、又は患者にとって不快とならないような水への熱エネルギ伝達率である。最大熱エネルギ伝達率は、少なくとも計算された質量流量及び最大質量蒸発率に基づくことができる。最大熱エネルギ伝達率は、動作パラメータが変化した時にコントローラにより更新可能な動的限界とすることができる。
【0143】
ブロック612で、コントローラはヒータプレート温度限界を計算することができる。ヒータプレート温度限界は、少なくとも最大電力伝達に基づくことができる。ヒータプレート温度限界は、動作パラメータが変化した時にコントローラにより更新可能な動的限界とすることができる。ヒータプレート温度限界は、図5に示されるようにヒータプレート電力限界を計算するために使用できる。ヒータプレート温度限界は、図5により示されるプロセスにおけるブロック506への入力とすることができる。
【0144】
上記の方法は、呼吸補助において加湿されたガスを提供する何れの呼吸補助システムによっても実装され得て、これには、バイレベル圧力呼吸補助、CPAP呼吸補助、又はハイフロー鼻カニューレ呼吸補助が含まれるが、これらに限定されない。
【0145】
用語
本開示は特定の実施形態及び例に関して説明されているが、当業者であれば、本開示は具体的に開示された実施形態だけでなく、他の代替的な実施形態及び/又は使用並びにそれらの自明な改良及び等価物にも及ぶことがわかるであろう。それに加えて、本開示の実施形態の幾つかの変形型が図示され、詳しく説明されているが、本開示の範囲に含まれるその他の改良も当業者により容易に着想されるであろう。実施形態の特定の特徴及び態様の様々な組み合わせ又は部分的組み合わせが行われ、それらもまた本開示の範囲に含まれることも想定される。例えば、1つの実施形態に関して上で説明された特徴は、本明細書に記載されている別の実施形態でも使用でき、その組み合わせもまた本開示の範囲に含まれる。開示されている実施形態の各種の特徴と態様を相互に組み合わせ、又は相互に置換して、本開示の実施形態の異なるモードを形成することができると理解すべきである。それゆえ、本願の開示の範囲は前述の特定の実施形態により限定されないものとする。したがって、特に別段の明記がないかぎり、又は明確に矛盾しないかぎり、本発明の各実施形態は、本明細書に記載の必須の特徴に加えて、本明細書で開示される発明の他の実施形態の各々の本明細書に記載の1つ又は複数の特徴を含み得る。
【0146】
特定の態様、実施形態、又は例に関して述べられた特徴、材料、特性、又はグループは、本明細書のこの項又は他の何れかの箇所に記載されている他の何れの態様、実施形態、又は例にも、それらと矛盾しないかぎり当てはまると理解されたい。本明細書(付属の特許請求項の全て、要約、及び図面を含む)の中で開示されている特徴の全て、及び/又はそのように開示される各方法若しくはプロセスのステップの全ては、これらの特徴及び/又はステップが相互に排他的である組み合わせを除くいかなる組み合わせでも組み合わせてよい。保護は、詳述の実施形態の何れの詳細にも限定されない。保護は、本明細書(付属の特許請求項の全て、要約、及び図面を含む)の中で開示された特徴のあらゆる新規な特徴、若しくはあらゆる新規な組み合わせに、又はそのように開示された何れの方法若しくはプロセスのステップのあらゆる新規なステップ、若しくはあらゆる新規な組み合わせにも及ぶ。
【0147】
さらに、本開示の中で別々の実装例に関して記載されている特定の特徴はまた、1つの実装例として組み合わせて実装することもできる。反対に、1つの実装例に関して記載された様々な特徴は、複数の実装例の中で別々に、又は何れかの適当な部分的組み合わせにより実装することもできる。さらに、特徴は特定の組み合わせで動作するように上述されているかもしれないが、特許請求されているある1つの組み合わせの1つ又は複数の特徴は、場合により、その組み合わせから削除することもでき、その組み合わせは部分的組み合わせ又は部分的組み合わせの変形型として特許請求され得る。
【0148】
さらに、動作は特定の順序で図面に描かれ、又は本明細書中で開示されているかもしれないが、このような動作は、所望の結果を実現するために、示されている特定の順序で、又は連続的順序で実行される必要はなく、或いは全ての動作が実行されなければならないわけではない。図示又は記載されたもの以外の動作を例示的な方法及びプロセスの中に組み込むことができる。例えば、1つ又は複数の追加的な動作を、説明されている動作の何れかの前、後、それと同時に、又はそれらの合間に実行することができる。さらに、動作は他の実施例では配置しなおし、順序を入れ替えてもよい。当業者であれば、幾つかの実施形態において、説明され、及び/又は開示されたプロセスで行われる実装のステップは、図面に示されたものとは異なっていてもよいことがわかるであろう。実施形態によっては、前述のステップのうちのあるものを削除してもよく、また、あるものを追加してもよい。さらに、前述の具体的な実施形態の特徴と属性を異なる方法で組み合わせて追加的な実施形態を形成することもでき、それらの全てが本開示の範囲に含まれる。また、前述の実施例で様々なシステムコンポーネントが分離されていても、全ての実施例の中でそのような分離が必要であると理解すべきではなく、記載されているコンポーネント及びシステムは一般に、1つの製品の中に統合し、又は複数の製品にパッケージングすることもできると理解すべきである。
【0149】
本開示の解釈において、特定の態様、利点、及び新規な特徴が本明細書に記載されている。このような利点の全てが必ずしも何れの特定の実施形態によっても実現され得るとはかぎらない。それゆえ、例えば、当業者であれば、本開示は、本明細書で教示されている1つの利点又は一連の利点を実現し、本明細書で教示又は提案されているかもしれない他の利点は必ずしも実現しないような方法で実施又は実行され得ることがわかるであろう。
【0150】
本明細書で使用される条件用語、例えば「~できる(can、could)」、「~し得る(might、may)」「例えば」等は、具体的な別段の明記がないかぎり、又は使用されている文脈内でそれ以外に理解されないかぎり、一般に特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又はステップを、他の実施形態には含まれていなくても、含むということを伝えることが意図される。それゆえ、このような条件用語は一般に、その特徴、要素、及び/又はステップが1つ又は複数の実施形態に何れかの方法で必要であること、又は1つ又は複数の実施形態が必ず、これらの特徴、要素、及び/又はステップが何れかの特定の実施形態の中に含まれるか、又はその中で実行されることになるか否かを、他の入力や指示がなくても決定するためのロジックを含むことを黙示することを意図していない。「~を含む(comprising、including)」、「~を有する(having)」等の用語は同義語であり、包含的に、オープンエンド式に使用され、追加の要素、特徴、行為、動作等を排除しない。また、「又は」という用語は、包含的な意味で(その排他的意味でなく)使用され、それによって、例えば列挙された要素を接続するために使用された場合、「又は」という用語はその羅列の中の要素の1つ、幾つか、又は全部を意味する。
【0151】
「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」という語句等の結合的用語は、特に別段の明記がないかぎり、ある品目、用語等がX、Y、又はZの何れでもあり得ることを伝えるために一般的に使用される文脈でそれ以外に理解される。それゆえ、このような結合的用語は一般に、特定の実施形態がX少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つの存在を必要としていることを意図していない。
【0152】
本明細書で使用される度合いの用語、例えば「ほぼ」、「約」、「一般に」、及び「実施的に」等の用語は、本明細書中で使用されるかぎり、依然として所望の機能を実行し、又は所望の結果を実現する、明記された値、量、又は特徴に近い値、量、又は特徴も表す。例えば、「ほぼ」、「約」、「一般に」、及び「実施的に」等の用語は、明記された量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、及び0.01%未満以内の量を指しているかもしれない。他の例として、特定の実施形態において、「一般に平行」及び「実質的に平行」という用語は、精密な平行から15度、10度、5度、3度、1度、0.1度以下又はそれ以外だけ外れた値、量、又は特徴を指す。
【0153】
本明細書で開示される何れの方法も、明示された順序で実行される必要はない。本明細書で開示される方法は、医療者によりとられる特定の行動を含むが、これらはまた、これらの行動の何れかの第三者の明示的又は黙示的な命令も含むことができる。例えば、「モータスピードを制御する」等の行動は、「モータスピードを制御するように命令する」ことも含む。
【0154】
本明細書に記載の方法及びタスクの全ては、コンピュータシステムにより実行され、完全に自動化され得る。コンピュータシステムは、場合により、記載されている機能を実行するためにネットワーク上で通信し、相互動作する複数の異なるコンピュータ又はコンピューティングデバイス(例えば、物理的サーバ、ワークステーション、ストレージアレイ、クラウドコンピューティングリソース等)を含んでいてもよい。このようなコンピューティングデバイスの各々は典型的に、メモリ又はその他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体若しくはデバイス(例えば、ソリッドステートストレージデバイス、ディスクドライブ、等)に記憶されたプログラム命令又はモジュールを実行する1つのプロセッサ(又は複数のプロセッサ)を含む。本願で開示される各種の機能は、このようなプログラム命令で具現化されてよく、及び/又はコンピュータシステムの特定用途回路(例えば、ASICs又はFPGAs)で実装されてもよい。コンピュータシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは同一の場所に設置されてよいが、その必要はない。開示されている方法及びタスクの結果は、物理的ストレージデバイス、例えばソリッドステートメモリチップ及び又は磁気ディスクを異なる状態に変換することによって永久的に記憶されてよい。幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、その処理リソースが複数の異なる企業又はその他のユーザ間で共有されるクラウドベースのコンピューティングシステムであってもよい。
【0155】
本開示の範囲は、本明細書中のこの項又はその他の場所における好ましい実施形態の具体的な開示によって限定されるとは意図されず、本明細書のこの項若しくは他の箇所で提示されている、又は今後提示される特許請求項により定義され得る。特許請求項の文言は、特許請求項で用いられている文言に基づいて広く解釈されるものとし、本明細書において、又は本願の審査手続き中に記載される例に限定されず、これらの例は非排他的に解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】