(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-10
(54)【発明の名称】ホウレンソウから単離された新規化合物及びそれを含む炎症性疾患の予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
C07J 63/00 20060101AFI20240603BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240603BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240603BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240603BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240603BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240603BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240603BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240603BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240603BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240603BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240603BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20240603BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240603BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240603BHJP
A61P 11/16 20060101ALI20240603BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240603BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20240603BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240603BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240603BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240603BHJP
【FI】
C07J63/00 CSP
A61P29/00
A61P11/00
A61P17/00
A61P17/06
A61P1/04
A61P27/02
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P19/08
A61P13/12
A61P1/18
A61P15/00
A61P11/02
A61P11/04
A61P27/16
A61P13/10
A61P13/08
A61P11/06
A61P11/16
A61K36/185
A61K31/704
A61P43/00 105
A23L33/10
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573185
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 KR2022006445
(87)【国際公開番号】W WO2022250322
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0068641
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515276624
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティチュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KOREA RESEARCH INSTITUTE OF BIOSCIENCE AND BIOTECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100201606
【氏名又は名称】田岡 洋
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ヒュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ ス ウイ
(72)【発明者】
【氏名】オウ セイ-リャン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェ-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム ド-ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヒュン-ジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム マン-オク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ソン ハン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C088
4C091
【Fターム(参考)】
4B018MD42
4B018ME07
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF01
4C086AA01
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4C088AB12
4C088AC01
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4C088CA14
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4C088NA14
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4C088ZA34
4C088ZA59
4C088ZA60
4C088ZA68
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4C088ZA89
4C088ZA96
4C088ZB11
4C088ZB13
4C088ZB15
4C088ZB21
4C091AA06
4C091BB20
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4C091MM01
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA12
4C091QQ05
4C091QQ15
4C091RR13
(57)【要約】
本発明は、ホウレンソウから単離された新規化合物及びそれを含む炎症性疾患の予防または治療用組成物に関する。より詳細には、ホウレンソウから単離された新規メジカゲン酸の配糖体化合物、その製造方法及びそれを含む炎症性疾患の予防または治療用組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物またはその溶媒和物:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項2】
前記式1乃至6で表される化合物はホウレンソウから単離されたことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;
(b)前記ホウレンソウ抽出物をクロマトグラフィーにより分画して分画物を得るステップ;及び
(c)前記分画物から請求項1による化学式1乃至6の化合物を単離するステップを含む、請求項1による化合物の製造方法。
【請求項4】
前記(a)ステップにおける有機溶媒は、炭素数1乃至6のアルコール、アセトン、エーテル、ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、メチレンクロライド(ジクロロメタン)、ヘキサン、シクロヘキサン及び石油エーテルからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(b)ステップにおけるクロマトグラフィーは、水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じて順次展開して行われることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記(b)ステップでは20乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を得ることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または治療用医薬組成物:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項8】
前記炎症性疾患は、炎症性呼吸器疾患、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー、乾癬、気管支炎、潰瘍性大腸炎、網膜炎、ぶどう膜炎、結膜炎、関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、腎炎、自己免疫膵炎、慢性骨盤炎、子宮内膜炎、鼻炎、扁桃炎、中耳炎、咽頭炎、膀胱炎及び慢性前立腺炎からなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記炎症性呼吸器疾患は、喘息、肺炎、急性肺損傷、急性呼吸不全症候群、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、気管支炎、咽頭炎、喉頭炎、咽頭炎及び扁桃炎からなる群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の薬学組成物。
【請求項10】
(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び
(b)前記ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップで20乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または治療用医薬組成物。
【請求項11】
前記分画物は、下記式1乃至6からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項12】
下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む、炎症性疾患の予防または改善用食品組成物:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項13】
(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び
(b)前記ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップで20乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または改善用食品組成物。
【請求項14】
下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用獣医学的組成物:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項15】
下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用飼料組成物:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項16】
炎症性疾患治療用組成物を製造するための下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つの使用:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項17】
下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む組成物の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含む、炎症性疾患の治療方法:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月27日に出願された大韓民国特許出願第10-2021-0068641号を優先権として主張し、前記明細書全体は本出願の参考文献である。
【0002】
本発明は、ホウレンソウから単離された新規化合物及びそれを含む炎症性疾患の予防または治療用組成物に関する。より詳細には、ホウレンソウから単離された新規メジカゲン酸の配糖体化合物、その製造方法及びそれを含む炎症性疾患の予防または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
炎症は正常な場合にはin vivoで炎症反応を通じて発症要因を中和または除去し、腐った組織を再生させて正常な構造と機能を回復させる作用をするが、炎症の程度が一定レベル以上になるか、または慢性化して慢性炎症のような病気の状態に進行する場合は問題になる。臨床疾患のうち、ほとんどすべての疾患で炎症反応を観察することができるだけでなく、がん発生過程(carcinogenesis)においても炎症反応に関連する酵素が重要な役割を果たすことが知られている。
【0004】
体内における炎症反応の進行はCOX酵素活性に関連することが知られており、そのCOX酵素としてはCOX-1とCOX-2が存在することが知られている。このうちCOX-2は、炎症やその他の免疫反応時に細胞分裂因子(mitogen)やサイトカイン類によって細胞内で一時的かつ迅速に発現される酵素である。また、NO合成酵素(NOS)によりL-アルギニンから、強力な炎症媒介物である一酸化窒素(NO)が生成される。UVなどの外部ストレス、エンドトキシン、サイトカインのような物質による炎症刺激は、細胞内の誘導性NOS(iNOS)の発現を増加させる。これにより細胞内でNO産生を誘導し、マクロファージを活性化させて炎症反応を起こすことができる。
【0005】
一方、呼吸器疾患は一般に炎症を伴い、これは気管支、肺などの状態を悪化させる。呼吸器に存在する粘液(mucus)の生理学的機能は、主に粘液性糖タンパク質(mucous glycoprotein)であるミューシンの物理化学的性質のためであるが、ミューシンは分子量が数百万のダルトンの糖タンパク質(glycoprotein)で、その炭水化物の構造においてかなりの多様性を示す。ミューシンは通常の生理状態では適正な粘度(viscosity)が維持され、繊毛細胞の運搬作用により排出が容易である。通常の生理状態または呼吸器臨床における一般的に軽い疾患の発生時には、気道粘液の生体防御的役割が肝要であるものの、極度の粘液の粘度増加及び粘液の物理化学的特性の変化に起因する粘液栓(mucus plug)の形成は、気道分泌物の排出をむしろ妨げ、沈着した分泌物による気管支閉鎖、感染発生時の排農障害などを引き起こす。
【0006】
したがって、気道粘液の過剰分泌または粘度の変化により大きな苦痛を経験する呼吸器疾患の患者においては、気道粘液分泌の調節が、疾患による苦痛の軽減と疾患の治療において非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これにより、本発明者は抗炎症効能を示すとともに、炎症性呼吸器疾患における気道粘液の分泌を効果的に阻害することができる天然物由来の新規治療物質を開発するために鋭意研究を重ねた結果、ホウレンソウ抽出物から単離された新規4種の配糖体化合物及びそれを含む分画物がそのような効果を示すことを見出し、本発明を完成するようになった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物またはその溶媒和物を提供する:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0009】
本発明の他の目的は、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;(b)前記ホウレンソウ抽出物をクロマトグラフィーにより分画して分画物を得るステップ;及び (c)前記分画物から前記式1乃至6の化合物を単離するステップを含む、前記式1乃至6の化合物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または治療用医薬組成物を提供する。
また、本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つからなる炎症性疾患の予防または治療用医薬組成物を提供する。
また、本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つから必須的になる炎症性疾患の予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明の他の目的は、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び(b)前記ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップで20乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
また、本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つからなる炎症性疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
また、本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つから必須的になる炎症性疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0013】
本発明の他の目的は、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び (b)前記ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップで20乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または改善用食品組成物を提供する。
【0014】
本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用獣医学的組成物を提供する。
また、本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つからなる炎症性疾患の予防または改善用獣医学的組成物を提供する。
また、本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つから必須的になる炎症性疾患の予防または改善用獣医学的組成物を提供する。
【0015】
本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用飼料組成物を提供する。
また、本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つからなる炎症性疾患の予防または改善用飼料組成物を提供する。
また、本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、それの水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つから必須的になる炎症性疾患の予防または改善用飼料組成物を提供する。
【0016】
本発明の他の目的は、炎症性疾患の治療用組成物を製造するための前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つの使用を提供する。
【0017】
本発明の他の目的は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む組成物の有効量を、これを必要とする個体に投与することを含む炎症性疾患の治療方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した本発明の目的を達成するために、本発明は、下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物またはその溶媒和物を提供する:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0019】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;(b)前記ホウレンソウ抽出物をクロマトグラフィーにより分画して分画物を得るステップ;及び (c)前記分画物から前記式1乃至6の化合物を単離するステップを含む、 前記式1乃至6の化合物の製造方法を提供する。
【0020】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または治療用医薬組成物が提供する。
また、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つからなる炎症性疾患の予防または治療用医薬組成物を提供する。
また、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つから必須的になる炎症性疾患の予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び(b)ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、 前記(b)ステップで20乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0022】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
また、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つからなる炎症性疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
また、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つから必須的になる炎症性疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0023】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び(b)前記ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップで20乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または改善用食品組成物を提供する。
【0024】
本発明の他の目的を達成するために 本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用獣医学的組成物を提供する。
また、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つからなる炎症性疾患の予防または改善用獣医学的組成物を提供する。
また、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つから必須的になる炎症性疾患の予防または改善用獣医学的組成物を提供する。
【0025】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用飼料組成物を提供する。
また、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つからなる炎症性疾患の予防または改善用飼料組成物を提供する。
また、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つから必須的になる炎症性疾患の予防または改善用飼料組成物を提供する。
【0026】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、炎症性疾患の治療用組成物を製造するための前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つの使用を提供する。
【0027】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む組成物の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含む炎症性疾患の治療方法が提供される。
【0028】
以下、 本発明を詳細に説明する。
【0029】
本発明は、下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、 その異性体、その水和物またはその溶媒和物を提供する:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0030】
本発明の一実施形態では、本発明者は、ホウレンソウ抽出物から前記式1乃至6で表されるメジカゲン酸の新規配糖体を単離した。前記式1乃至6で表される新規配糖体は、メジカゲン酸と比較して著しく改善された抗炎症効果を示すことが確認され、これを含むホウレンソウ抽出物の分画物もホウレンソウ抽出物より著しく改善された抗炎症効力を示すことが確認された。
【0031】
本発明における用語「薬学的に許容可能」は、通常の薬学的投与量で使用する時に、有意な毒性効果を回避することによって、動物、より具体的にはヒトに使用可能であるという、政府またはそれに準ずる規制機関の承認を受けることができるか、または承認されたか、または薬局方に記載されているか、または他の一般的な薬局方に記載されていると認識されることを意味する。
【0032】
本発明における用語「薬学的に許容可能な塩」は、薬学的に許容可能であり、親化合物(parent compound)の所望の薬理活性を有する塩を意味する。前記塩は、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成される酸付加塩が有用であり得る。酸付加塩は塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸、または亜リン酸などの無機酸類や脂肪族モノ及びジカルボキシレート、フェニル置換アルカノエート、ヒドロキシアルカノエート及びアルカンジオエート、芳香族酸類、脂肪族及び芳香族スルホン酸類などの無毒性有機酸から得られる。これらの薬学的に無毒な塩類としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸水素塩、硝酸エステル、リン酸塩、モノヒドロゲンリン酸、ジヒドロゲンリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、アセテート、プロピオネート、デカノエート、カプリレート、アクリレート、ホルメート、イソブチレート、カプレート、ヘプタノエート、プロピオレート、シュウ酸塩、マロネート、コハク酸、スベレート、セバケート、フマレート、マリエート、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキサン-1,6-ジオエート、安息香酸、クロロ安息香酸、メチル安息香酸、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタレート、テレフタレート、ベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、クロロベンゼンスルホネート、キシレンスルホネート、フェニルアセテート、フェニルプロピオネート、フェニルテート、クエン酸、乳酸塩、ヒドロキシブチレート、グリコレート、マレート、タトレート、メタンスルホネート、プロパンスルホネート、ナフタレン-1-スルホネート、ナフタレン-2-スルホネートまたはマンデレートを含むが、これらに限定されない。
【0033】
本発明における「異性体」という用語は、光学異性体(optical isomers)(例えば、本質的に純粋な鏡像異性体(essentially pure enantiomers)、本来純粋な部分立体異性体(essentially pure diastereomers)またはそれらの混合物のみならず、形態異性体(conformation isomers)(すなわち、少なくとも1つの化学結合の角度のみが異なる異性体)、位置異性体(position isomers)(特に、互変異性体(tautomers))または幾何異性体(geometric isomers)(例えば、シスートランス異性体)を含めることができる。
【0034】
本発明における「本質的に純粋(essentially pure)」という用語は、例えば鏡像異性体または部分異性体と関連して使用される場合、鏡像異性体または部分異性体を挙げることができる具体的な化合物が約90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約97%以上または約98%以上、さらにより好ましくは約99%以上、最も好ましくは約99.5%以上(w/w)存在することを意味することができる。
【0035】
本発明における「水和物(hydrate)」という用語は、水が結合している化合物を意味し、水と化合物との間に化学的結合力がない包含化合物を含む広範な概念を意味することができる。
【0036】
本発明における「溶媒和物」という用語は、溶質の分子やイオンと溶媒の分子やイオンとの間に生じる高次の化合物を意味することができる。
【0037】
本発明において前記式1乃至6で表される配糖体化合物はホウレンソウから抽出することができる。
【0038】
本発明はまた、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;(b)前記ホウレンソウ抽出物をクロマトグラフィーにより分画して分画物を得るステップ;及び(c)前記分画物から請求項1による化学式1乃至6の化合物を単離するステップを含む、請求項1による化合物の製造方法を提供する。
【0039】
本発明における前記ホウレンソウ(Spinaciaoleracea L.)は、双子葉類ナデシコ目アカザ亜科の一年または二年草として、ホウレンソウ抽出物は 葉、茎、花、根、芽、全草、またはそれらの混合抽出物であり得る。
【0040】
本発明における前記(a)ステップは、公知の天然物抽出方法によりホウレンソウ抽出物を製造するステップである。前記(a)ステップにおいて、好ましくは水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒で抽出することができる。前記炭素数1乃至6個の有機溶媒は、炭素数1乃至6個のアルコール、アセトン、エーテル、ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、メチレンクロライド、ヘキサン、シクロヘキサン及び石油エーテルからなる群から選択されるものであってもよいが、これらに限定されない。前記(a)ステップにおける抽出溶媒が水と有機溶媒の混合溶媒である場合、水と有機溶媒は90:10 乃至 10:90の割合で混合することができる。 具体的には、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、または10:90の割合で混合することができる。
【0041】
本発明における前記(b)ステップは、前記(a)ステップで製造されたホウレンソウ抽出物から前記式1乃至6の新規配糖体を含む分画物を単離するステップである。
【0042】
本発明における前記クロマトグラフィー法は、その種類が特に限定されず、 所望の成分を単離または精製するために当技術分野で使用される方法であれば、いずれも制限なく使用することができる。 好ましくは、クロマトグラフィー法はカラムクロマトグラフィーであり、より好ましくは中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)または高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、または超高性能液体クロマトグラフィー(UHPLC)であり得る。
【0043】
前記(b)ステップにおけるクロマトグラフィー法は、収率及び純度を考慮して1乃至5回行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記(b)ステップにおけるホウレンソウ抽出物をクロマトグラフィー法で分画の際、移動相または展開溶媒は水、有機溶媒またはそれらの混合溶媒を使用することができ、好ましくは水と非極性溶媒との混合溶媒を使用することができる。
前記非極性溶媒は、その種類が特に限定されないが、好ましくはメタノールまたはアセトニトリルであり得、最も好ましくはメタノールであり得る。
【0045】
前記(b)ステップにおけるクロマトグラフィー法は、水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じて順次展開して行うことができる。この時、水と非極性溶媒の割合を100:0から0:100まで順次変化させ、クロマトグラフィー法を実施することができる。具体的には、前記移動相で水と非極性溶媒を100:0、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、10:90、0:100の割合で使用してクロマトグラフィー法を実施することができる。
【0046】
本発明の前記(b)ステップでは、水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じて順次展開してホウレンソウ抽出物の分画が行われるとき、20乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で、好ましくは、30乃至100 %(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を得ることを特徴とすることができる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前記式1乃至6の新規配糖体化合物はホウレンソウ抽出物を水とメタノールを、混合溶媒を用いてクロマトグラフィー法で分画したとき、30乃至100%(v/v)のメタノール水溶液分画に含まれていることが確認された。
【0048】
本発明における前記(c)ステップは、前記(b)ステップで得られたホウレンソウ抽出物の分画から所望の化学式1乃至6の新規配糖体を単離するステップである。
【0049】
本発明はまた、下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または治療用医薬組成物を提供する:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記式1乃至6の新規配糖体は、LPSで刺激されたマクロファージにおける炎症性サイトカインの分泌を減少させ、PMA刺激による呼吸器上皮細胞におけるMUC5AC分泌を効果的に阻害し、炎症性疾患、より具体的には、炎症性呼吸器疾患に予防または治療効果を示すことが確認された。また、このような前記化合物の効果は、メジカゲン酸と比較して著しく優れていることが確認された。
【0051】
本発明において、前記炎症性疾患は、炎症性呼吸器疾患、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー、乾癬、気管支炎、潰瘍性大腸炎、網膜炎、ぶどう膜炎、結膜炎、関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、腎炎、自己免疫膵炎、慢性骨盤炎、子宮内膜炎、中耳炎、膀胱炎及び慢性前立腺炎からなる群から選択することができ、好ましくは炎症性呼吸器疾患であり得るが、これに限定されるものではない。
【0052】
本発明において、前記炎症性呼吸器疾患は、喘息、肺炎、急性肺損傷、急性呼吸不全症候群、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、気管支炎、咽頭炎、喉頭炎及び扁桃炎からなる群から選択することができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
本発明の医薬組成物は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つが薬学的に許容可能な担体と共に当技術分野で公知の方法で投与経路に応じて様々に製剤化することができる。「薬学的に許容可能な」とは、生理学的に許容され、ヒトに投与されるとき、活性成分の作用を阻害せず、通常胃腸障害、めまいなどのアレルギー反応または同様の反応を引き起こさない非毒性の物質を指す。前記担体としては、あらゆる種類の溶媒、分散媒体、水中油または油中水エマルジョン、水性組成物、リポソーム、マイクロビーズ及びマイクロソームが含まれる。
【0054】
投与経路としては経口的または非経口的に投与することができる。非経口投与方法としてはこれに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸内投与であり得る。
【0055】
本発明の医薬組成物を経口投与する場合、本発明の医薬組成物は、適切な経口投与用担体と共に当技術分野で公知の方法に従って粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、懸濁液、ウェハーなどの形態で製剤化することができる。適切な担体の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール及びマルチトールなどを含む糖類と、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン及びジャガイモデンプンなどを含むデンプン類、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどの充填剤を含めることができる。また、場合によっては、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはナトリウムアルギネートなどを崩壊剤として添加することができる。さらに、前記医薬組成物は、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などをさらに含み得る。
【0056】
さらに、非経口投与する場合、本発明の医薬組成物は、適切な非経口用担体と共に注射剤、経皮投与剤及び鼻吸入剤の形態として当技術分野で公知の方法に従って製剤化することができる。前記注射剤の場合は、必ず滅菌し、細菌や真菌などの微生物の汚染から保護する必要がある。注射剤の場合、適切な担体の例はこれに限定されないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの混合物及び/または植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。より好ましくは、適切な担体としては、ハンクス溶液、リンガー溶液、トリエタノールアミンを含有するホスフェート緩衝化塩(PBS)または注射用滅菌水、10%エタノール、40%プロピレングリコール及び5%デキストロースなどの等張液などが使用できる。前記注射剤を微生物汚染から保護するためには、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどのような様々な抗菌剤及び抗真菌剤をさらに含むことができる。さらに、前記注射剤は、ほとんどの場合、糖または塩化ナトリウムなどの等張化剤をさらに含み得る。
【0057】
経皮投与剤の場合、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、外用液剤、パスタ剤、リニメント剤、エアロール剤などの形態が含まれる。前記「経皮投与」は、医薬組成物を局所的に皮膚に投与して、医薬組成物に含まれる有効量の活性成分が皮膚内に送達されることを意味する。例えば、本発明の医薬組成物を注射用製剤として調製し、それを30ゲージの細い注射針で皮膚を軽く傷つけるか(プリック)、または皮膚に直接塗布する方法で投与することができる。これらの製剤は、医薬化学で一般に知られている処方箋に記載されている。
【0058】
吸入剤の場合、本発明に従って使用される化合物は、適切な噴射剤、例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスを使用して、加圧パックまたは煙霧器からエアロゾルスプレーの形で便利に供給することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は計量された量を送達する弁を提供することによって決定することができる。例えば、吸入器または吹入器に使用されるゼラチンカプセル及びカートリッジは、化合物及びラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含有するように製剤化することができる。
【0059】
その他の薬学的に許容可能な担体としては、当技術分野で公知のものを参考にすることができる。
【0060】
さらに、本発明による医薬組成物は、少なくとも1つの緩衝剤(例えば、食塩水またはPBS)、カルボハイドレート(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、抗酸化剤、静菌剤、キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、アジュバント(例えば、アルミニウムヒドロキシド)、懸濁剤、濃厚剤及び/または保存剤をさらに含み得る。
【0061】
さらに、本発明の医薬組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、持続または遅延放出を提供することができるように、当技術分野で公知の方法を使用して製剤化することができる。
【0062】
さらに、本発明の医薬組成物は、炎症性疾患を予防または治療する効果がある公知の物質と併せて投与することができる。
【0063】
本発明において、前記組成物は使用目的から態様に応じて含有量は大きく制限されず、例えば組成物の総重量を基準にして0.01乃至99重量%、好ましくは0.5乃至50重量%、より好ましくは1乃至30重量%であり得る。さらに、本発明による医薬組成物は、有効成分に加えて薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤などの添加剤をさらに含み得る。本発明の医薬組成物は、本発明の方法で製造された化学式1乃至6で表される化合物を0.1乃至99.9重量%で含み、担体を99.9%乃至0.1重量%で含むことができる。
【0064】
本発明による医薬組成物は、薬学的に有効な量の前記化合物を単独で含むか、または少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体をさらに含み得る。本発明の医薬組成物は、単回投与量(singld dose)で患者に投与することができ、複数回投与量(multiple dose)を長期間投与する分割治療方法(fractionated treatment protocol)によって投与することができる。前記で薬学的に有効な量とは、陰性対照群と比較してそれ以上の反応を示す量を意味し、好ましくは炎症性疾患を治療または予防するのに十分な量を指す。本発明による菌株の有効量は、0.001乃至1000mg/kg b.w./dayであり得、好ましくは1乃至2000mg/kg b.w./dayであり得るが、これらに限定されない。しかしながら、前記薬学的に有効な量は、疾患及びその重症度、患者の年齢、体重、健康状態、性別、投与経路及び治療期間などのような、いくつかの要因に応じて適宜変更することができる。
【0065】
本発明はまた、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び(b)前記ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップで20乃至100 %(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0066】
本発明はまた、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び(b)ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップにおいて、30乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0067】
本発明はまた、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び (b)ホウレンソウ抽出物を水とメタノールを移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップにおいて、30乃至100%(v/v)のメタノール水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0068】
本発明における前記分画物には、前記式1乃至6からなる群から選択される少なくとも1つの化合物が含まれることを特徴とすることができる。
【0069】
本発明における前記(a)ステップ及び(b)ステップの具体的な説明は、前述したことを参照することができる。
【0070】
本発明はまた、下記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用食品組成物を提供する:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0071】
本発明の食品組成物は、機能性食品、栄養補助食品、健康食品、保健機能食品及び食品添加物といったすべての形態を含む。この種の食品組成物は、当技術分野で公知の従来の方法に従って様々な形態で製造することができる。
【0072】
例えば、健康食品としては、前記式1乃至6から選択される化合物を含む茶、ジュース及びドリンクの形態で製造して飲用するようにするか、顆粒化、カプセル化及び粉末化して摂取することができる。また、本発明の化学式1乃至6から選択される化合物を炎症性疾患に対して効果があることが知られている公知の物質または活性成分と混合して組成物の形態で製造することができる。例えば、本発明の食品組成物は、前記式1乃至6から選択される化合物に加えて、微量のミネラル、ビタミン、脂質、糖類及び公知の炎症性疾患の予防または治療効果を有する成分などをさらに含有することができる。前記ミネラルとしては、カルシウム、鉄などの成長期に必要な栄養成分を含有することができ、ビタミンとしては、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などを含有することができる。脂質としてはアルコキシグリセロールまたはレシチンなどを含有することができ、糖類としてはフラクトオリゴ糖などを含有することができる。
【0073】
また、機能性食品としては、飲料(アルコール性飲料を含む)、果実及びその加工食品(例えば、果物缶詰、瓶詰め、ジャム、マーマレードなど)、魚類、肉類及びその加工食品(例えば、ハム、ソーセージ、コンビーフなど)、パン類及び麺類(例えば、うどん、そば、ラーメン、スパゲッティ、マカロニなど)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例:バター、チーズなど)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例えば、味噌、醤油、ソースなど)などに本発明の組成物を添加して製造することができる。
本発明はまた、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び(b)ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップで20乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または改善用食品組成物を提供する。
【0074】
本発明はまた、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び(b)ホウレンソウ抽出物を水と非極性溶媒を移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップで30乃至100%(v/v)の非極性溶媒水溶液で分画される分画物を有効成分として含む炎症性疾患予防または改善用食品組成物を提供する。
【0075】
本発明はまた、(a)ホウレンソウを水、有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒で抽出するステップ;及び(b)ホウレンソウ抽出物を水とメタノールを移動相として濃度勾配に応じてクロマトグラフィーで分画するステップを含む方法により製造され、前記(b)ステップで30乃至100%(v/v)のメタノール水溶液で分画される分画を有効成分として含む炎症性疾患予防または改善用食品組成物を提供する。
【0076】
本発明における前記(a)ステップ及び(b)ステップの具体的な説明は、前述したことを参照することができる。
【0077】
本発明はまた、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用獣医学的組成物を提供する。
【0078】
本発明の前記獣医学的組成物は、通常の方法による適切な賦形剤及び希釈剤をさらに含み得る。前記賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、シリケートカルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、セタノール、ステアリルアルコール、フローパラフィン、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、メチルパラベン、プロピルそして鉱物油が挙げられる。
【0079】
本発明による前記獣医学的組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香辛料、乳化剤、防腐剤などをさらに含むことができるが、本発明による獣医学的組成物は動物に投与された後、活性成分の迅速、持続または遅延放出を提供するために当技術分野で周知の方法を使用して製剤化することができ、製剤は散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル、軟質または硬質ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射用溶液、滅菌外用剤などの形態であり得る。
【0080】
本発明による獣医学的組成物は動物の年齢、性別、体重に応じて変わり得るが、0.1乃至100mg/kgの量を1日1回乃至数回投与することができ、投与量は投与経路、疾患の程度、性別、体重、年齢などによって増減することができる。したがって、前記投与量は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0081】
本発明はまた、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む炎症性疾患の予防または改善用飼料組成物を提供する。
【0082】
前記「飼料組成物」は、有効成分であり、本発明による前記構成以外に、食品の基準及び規格(「食品公典」)に記載された食品で使用可能な食品原料、食品添加物公典に記載された食品添加物を使用することができ、食品として使用可能な食品原料または食品添加物でなくとも、「飼料などの基準及び規格」別表1の甘味飼料の範囲に該当する原料、別表2の補助飼料の範囲に該当する原料を用いることができる。
【0083】
前記「飼料組成物」は、「飼料などの基準及び規格」による補助飼料のうち抽出剤であってもよく、前記補助飼料を含む配合飼料であってもよい。
【0084】
前記飼料組成物を製造する場合、前記化学式1乃至6で表される化合物の含有量は、炎症性疾患の予防または改善を示す含有量であれば特に限定する必要はないが、例えば0.1乃至99重量%、0.5乃至95重量% 、1乃至90重量%、2乃至80重量%、3乃至70重量%、4乃至60重量%、5乃至50重量%で含まれてもよい。
具体的には、前記式1乃至6で表される化合物の含有量が0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40 41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、92、93、94、95、96、97、98、または99重量%であり得る。
【0085】
前記飼料組成物において有効成分である前記式の化合物は、摂取動物の状態、体重、疾患の有無や程度及び期間によって異なるが、通常の技術者によって適宜選択することができる。例えば、1日用量に基づいて1乃至5,000mg、好ましくは5乃至2,000mg、より好ましくは10乃至1,000mg、さらに好ましくは20乃至800mg、最も好ましくは50乃至500mgであり得、投与回数は特に限定する必要はないが、1日3回乃至1週間に1回の範囲内で通常の技術者が調節することができる。健康及び衛生を目的とするか、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記範囲以下であってもよい。
【0086】
本発明は、炎症性疾患の治療用組成物を製造するための前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つの使用を提供する。
【0087】
本発明は、前記式1乃至6で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体、その水和物及びその溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む組成物の有効量を必要とする、対象に投与することを含む炎症性疾患の治療方法を提供する。
【0088】
本発明の前記「有効量」とは、個体に投与した場合、炎症性疾患の改善、治療、検出、診断、または炎症性疾患の抑制または減少効果を示す量をいい、前記「個体」とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物であってもよく、動物由来の細胞、組織、器官などであってもよい。前記個体は効果を必要とする患者であり得る。
本発明の「治療」は、炎症性疾患または炎症性疾患による症状を改善することを包括的に指し、これは前記疾患を治癒、実質的に予防する、または状態を改善することを含み得、前記疾患に由来する症状の1つまたは殆どの症状を軽減、治癒または予防することを含むが、これらに限定されない。
【0089】
本明細書における用語「を含む(comprising)」とは、「含有する(including)」または「特徴とする(characterized by)」と同じ意味で使用され、本発明による組成物または方法において、具体的に言及されていない追加の構成成分または方法のステップなどを排除しない。また、用語「からなる(consisting of)」とは、別途記載されていない追加の要素、ステップ、または成分などを除外することを意味する。用語「必須的になる(essentially consisting of)」とは、組成物または方法の範囲において、記載された材料またはステップに加えてその基本的な特性に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップなどを含み得ることを意味する。
【発明の効果】
【0090】
本発明が提供する新規配糖体化合物及びこれを含むホウレンソウ抽出物の分画物は、免疫細胞から過剰な炎症性サイトカインが分泌されることを効果的に阻害し、炎症性呼吸器疾患における粘液の過剰な分泌を抑制する効果が著しく、炎症性呼吸器疾患を含む様々な炎症性疾患の予防または治療に有用に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】
図1はホウレンソウ抽出物のUPLC分析結果を示す図である。
【
図2】
図2はホウレンソウ抽出物の新規物質5種及びセロシンI化合物を含む有効分画物(Fr.2)の製造過程を示したものである。
【
図3】
図3a及び
図3bはホウレンソウ抽出物、分画物1(Fr.1)及び分画物2(Fr.2)のCADクロマトグラム分析結果を示す図である。
【
図4】
図4a及び
図4bは、ホウレンソウ抽出物から単離された5つの新規物質(SOA1、SOA2、SOA4、SOA5、SOA6)及びセロシンI化合物(SOA3)のUPLC-QTOF-MS分析結果を示す図である。
【
図5】
図5a及び
図5bはLPSで刺激されたマクロファージにおけるホウレンソウ抽出物(SO_total)、そのブタノール分画物(SO_BuOH)、分画物1(SO_Fr.1)及び分画物2(SO_Fr.2)の細胞毒性(5a)及びTNF-αの分泌抑制能を評価した結果である(5b) 。
【
図6】
図6は、LPSで刺激されたマクロファージでホウレンソウ抽出物から単離された新規物質5種(SOA1、SOA2、SOA4、SOA5、SOA6)、セロシンI化合物(SOA3)及びメジカゲン酸(MA)の細胞毒性、TNF-α及びNO分泌抑制能を評価した結果を示す表である。
【
図7】
図7a乃至
図7cは、ホウレンソウ抽出物の分画物2(SO_Fr.2)のLPSで刺激されたマクロファージにおける濃度別処理によるNO及びPGE2分泌抑制能を評価し(7a、7b)、COX-2及びiNOS タンパク質発現抑制能(7c)を評価した結果である。
【
図8】
図8a乃至
図8cは、ホウレンソウ抽出物の分画物2(SO_Fr.2)のPMA及びロノマイシンで刺激されたEL4細胞において炎症性サイトカインIL-4(9a)、IL-5(9b)、IL-13(9c)の分泌抑制能を評価した結果である。
【
図9】
図9a及び
図9bは、PMAで刺激された呼吸器上皮細胞におけるホウレンソウ抽出物(SO_total)、そのブタノール分画物(SO_BuOH)、分画物1(SO_Fr.1)及び分画物2(SO_Fr.2)の細胞毒性(9a)及び粘液分泌抑制能(9b)を評価した結果である。
【
図10】
図10a及び
図10bは、PMAで刺激された呼吸器上皮細胞におけるホウレンソウ抽出物から単離した新規物質5種(SOA1、SOA2、SOA4、SOA5、SOA6)、セロシンI化合物(SOA3)の細胞毒性(10a)及び粘液分泌抑制能(10b)を評価した結果である。
【
図11】
図11a乃至
図11dは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)マウスモデルにおけるホウレンソウ抽出物の分画物2を表示濃度(S5:5mg/kg、S10:10mg/kg)で投与した後、気管支肺胞の洗浄液中のROS(11a)、エラスターゼ(11b)、TNF-α(11c)及びIL-6(11d)の発現抑制能を評価した結果である。
【
図12】
図12a乃至
図12dは、喘息動物モデルにおけるホウレンソウ抽出物の分画物2を表示濃度(S5:5mg/kg、S10:10mg/kg)で投与した後、気管支肺胞の洗浄液中のIL-4(12a)、IL-5(12b)、IL-13(12c)及びIgE(12d)抑制能を評価した結果である。
【
図13】
図13は、肺炎マウスモデルにおけるホウレンソウ抽出物の分画物2を表示濃度(S5:5mg/kg、S10:10mg/kg)で投与した後、気管支肺胞の洗浄液中の炎症性細胞の数を測定した結果である。
【
図14】
図14a乃至
図14cは、肺炎マウスモデルにおけるホウレンソウ抽出物の分画物2を表示濃度(S5:5mg/kg、S10:10mg/kg)で投与した後、気管支肺胞の洗浄液中のROS(14a)、TNF-α(14b)及びIL-6(14c)の発現抑制能を評価した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明がこれらによって限定されるものではない。
【0093】
実施例1:ホウレンソウ抽出物の調製と成分プロファイルの分析
ホウレンソウ100kgを18倍数の30%酒精を用いて50度で90分間抽出した後、濾過/濃縮した。
前記で調製したホウレンソウ抽出物の成分をUPLCで分析した。
【0094】
具体的には、UPLC分析のためにホウレンソウ抽出物をUPLC用の0.25mmメンブレンフィルターで1回濾過した。UPLC機器(Waters UPLC-Q-TOF)にカラム(Waters BEH C18カラム、2.1×100mm、1.7μm)を取り付けた後、濾過された各分画物を0.3μLの量でロードした。
【0095】
このとき、UPLC分析に用いた溶媒としてはアセトニトリル+0.1%ギ酸/水+0.1%ギ酸[10:90→100:0(v/v)]を用い、溶出速度は0.4mL/分とした。検出器としてMS(Mass spectrometry)及びCAD(Charged Aerosol Detector)を用いてUPLCから分離された物質をクロマトグラフィー形式で分離度を確認した。
【0096】
前記UPLC-QTOF-MS分析条件及び結果を
図1及び表1に示す。
【0097】
【0098】
図1から確認できるように、UPLC分析によりホウレンソウ抽出物から新規物質5種(SOA1、SOA2、SOA4、SOA5、SOA6)及びセロシンI化合物(SOA3)を確認した。
【0099】
実施例2:ホウレンソウの酒精抽出物の分画
実施例1で得られた抽出物から以下の方法で有効分画物及び新規化合物を単離した。
【0100】
具体的には、ホウレンソウ抽出物(20g)をMPLC機器(YMC LAB-300)にカラム(YMC-DAD-50-700S、50×700mm、10μm)を取り付けた後、抽出物をロードした。このとき、メタノール/水[10:90→100:0(v/v)]を使用し、溶出速度は100mL/分であり、UV 210、254、280nmの波長で検出して小分画(SO Fr.1、Fr.2)を得た(
図2)。
【0101】
具体的には、有効分画物SO Fr.2(16.5g)をMPLC機器(YMC Lc-Forte/R)にカラム(Waters X-bridge、19×250 mm、5μm)を取り付けた後、有効分画物をロードした。このとき、溶媒としてはアセトニトリル+0.1%ギ酸/水+0.1%ギ酸 [15:85→100:0(v/v)]を使用し、溶出速度は11mL/分であり、UV 210、254、280nmの波長で反復遂行して下記物性値を有する化学式1、2、3と4で表される新規構造の化合物SOピーク1(SOA1、238.6mg)、2(SOA1、170.2mg)、3(SOA3、39.4,g)と4(SOA4、24.2mg)を得た(
図3a、3b及び
図4a、4b) 。
【0102】
実施例3:新規物質5種の構造分析
前記実施例2で得られたオレアナン型トリテルペンサポニン化合物の分子量及び分子式は、高分解能Qtof-MS質量分析計(Vion IMS-Qtof-MS(Waters, USA))を用いて決定した。また、核磁気共鳴(NMR)分析(Bruker Avance-800 MHz、Bruker Avance-900 MHz Bruker、Germany)を介して1 H-NMR、13 C-NMR及び2D NMR(COSY、HSQC、HMBC、ROESY)分光データを用いて分子構造を決定した。
【0103】
機器分析結果を発表された文献のものと比較分析した結果、下記式1乃至6で表されるオレアナン型トリテルペンサポニンで確認した。具体的な分析結果は以下の通りである。
【0104】
化合物1は、HR-Qtof-MSスペクトルからm/z 1133.5383の分子イオン[M+ H]+が観察され、これによりC54H84O25の分子式が決定された。MSの劈開パターン解析を通じてグルコースの損失(162Da)によるm/z 971の劈開イオンとペントースであるラムノースとフコースの損失(146Da)によるm/z 825、679の分子イオンが観察された。また、グルクロン酸の損失(176Da)によるサポゲニンの分子イオンであるm/z 503が検出され、これはメジカゲン酸の分子イオン値と同じである。 1 H NMRスペクトルでは、8つのメチルプロトン(δH 1.89、1.64、1.45、1.40、1.19、1.03、0.79、0.77)と1つのオレフィンプロトン(δH 5.33)と4つのアノメリックプロトン(δH 6.20、5.91、5.13、5.06)、及び2つの酸素が隣接するメチンプロトン(δH 4.74、4.63)が観察された。 13 C NMRスペクトルでは、3つのカルボニルカーボン(δC 180.9、176.6、172.7)と、一対のオレフィンカーボン(δC 143.8、122.4)、及び4つのエノメリックカーボン(δC 106.2、105.2、101.1、94.5)と1つの酸素で置換されるメチレンカーボン(δC 62.4)と18個のメチンカーボン(δC 85.7、84.5、78.1、77.9、77.2、76.9、75.9、75.8、74.4、74.1、72.8、72.6、72.1、71.9、71.3、71.2、70.0、68.2)確認された。二重2D NMRを介して確認した結果、メチルプロトンピーク[δH 1.89(3H、s、H3 -24)]がカルボニルピーク(δC 180.9)に隣接するシグナルが観察され、これらのNMRスペクトルのパターンと既存の先行文献(J. Agric. Food Chem., 2005, 53, 2164-2170, J.Asian Nat. Prod. Res., 2014, 16, 240-247, Phytochemistry 2020, 169, 112162)を介してメジカゲン酸(medicagenic acid, 2β,3β-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid)をアグリコンとするオレアナン型サポニン化合物であることを確認した。また、2D NMR(COSY、HSQC、HMBC)を介して4種のエノメリックプロトンのうち、δH 5.13(1H、d、J=8.1 Hz、、H-1’、GlcA)ピークがδC 85.7(C-3)に結合していることを確認し、δH 5.91(1H、d、J=8.0Hz、H-1’’、Fuc)ピークがδC176.6(C-28)カルボニル基に結合していることを確認した。さらに、δH 6.20(1H、d、J=1.8 Hz、H-1’’’、 Rham)ピークはフコースの2番カーボン位置(δC 74.1、C-2’’)に結合しており、δ H 5.06(1H、d、J=7.2Hz、 H-1’’’’、Glu)ピークはラムノースの4番位置(δC 84.5 C -4’’’)のカーボンに結合されていることを確認した。以前の先行文献と前記結果とを組み合わせて、化合物1は、3-O-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-β-D-fucopyranosideと同定し、スピナサポニンC(spinasaponin C)と命名した。
【0105】
化合物2は、HR-Qtof-MSスペクトルからm/z 1265.5810の分子イオン[M+H]+が観察され、C59H92O29の分子式が決定された。MSの劈開パターン解析を通じてペントースであるキシロースの損失(132Da)によるm/z 1133の分子イオンが検出されており、グルコースの損失(162Da)によるm/z 971の劈開イオンとペントースであるラムノースとフコースの損失(146Da)によるm/z 825、679の分子イオンが観察された。また、グルクロン酸の損失(176Da)によるサポゲニンの分子イオンであるm/z 503が検出され、これはメジカゲン酸の分子イオン値と同じである。1D、2D NMRスペクトルと前記先行文献と比較分析した結果、化合物2は化合物1と比較したとき同様のスペクトルを示しており、ペントースであるキシロース糖が化合物1にさらに結合していることを確認した。2D NMRデータによるキシロース糖のエノマリック プロトンは(δH 5.30、1H、d、J=7.2 Hz、H-1’’、Xyl)グルクロン酸のC-3’に結合(δC 86.1、C-3’、GlcA)していることを確認した。したがって、以前の先行文献と前記結果を組み合わせて化合物2は、3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-β-D-fucopyranoside と同定し、スピナサポニンD(spinasaponin D)と命名した。
【0106】
化合物3は、HR-Qtof-MSスペクトルからm/z 1103.5301の分子イオン[M+H]+が観察され、C53H82O24の分子式が決定された。MSの劈開パターン解析を通じてペントースであるキシロースの損失(132Da)によるm/z 971の分子イオンが検出され、ペントースであるラムノースとフコースの損失(146Da)によりm/z 825、679の分子イオンが観察された。また、グルクロン酸の損失(176Da)によりサポゲニンの分子イオンであるm/z 503が検出され、これはメジカゲン酸の分子イオン値と同じである。1D、2D NMRスペクトルと前記先行文献と比較分析した結果、化合物3は化合物1と比較したとき同様のスペクトルを示し、化合物1のグルコース糖の位置にペントースであるキシロース糖で置換されて連結されていることを確認した。2D NMRデータによるキシロース糖のエノマリックプロトンは(δH 5.03、1H、d、J=7.2 Hz、H-1’’’’、Xyl)ラムノースの C-4’’’に結合(δC 85.8、C-4’’’、Rham)していることを確認した。前記結果を総合したとき、化合物3は従来の先行文献(J. Asian Nat. Prod. Res., 2014, 16, 240-247)に報告された3-O-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-xylopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-β-D-fucopyranoside(セロシン I)化合物であることを確認した。
【0107】
化合物4は、HR-Qtof-MSスペクトルからm/z 1235.5725の分子イオン[M+H]+が観察され、C58H90O28の分子式が決定された。MSの劈開パターン解析を通じてペントースであるキシロースの損失(132Da)によるm/z 1103の分子イオンが検出され、ラムノース(146Da)とキシロース、そしてフコースの損失(146Da)によるm/z 957、825、670の分子イオンが観察された。また、グルクロン酸の損失(176Da)により、サポゲニンの分子イオンであるm/z 503が検出され、これはメジカゲン酸の分子イオン値と同じである。1D、2D NMRスペクトルと前記先行文献と比較分析した結果、化合物4は化合物2と比較したとき同様のスペクトルを示し、化合物2のグルコース糖の位置にペントースであるキシロース糖で置換されて連結されていることを確認した。2D NMRデータによる追加のキシロース糖のエノマリックプロトンは(δH 4.94、1H、d、J=7.2 Hz、H-1’’’’’、 Xyl-II)ラムノースのC-4’’’’に結合(δC 84.6、C-3’’’’、Rham)していることを確認した。したがって、以前の先行文献と前記結果を組み合わせて、化合物4は、3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-xylopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-β-D-fucopyranoside と同定し、スピナサポニンE (spinasaponin E)と命名した。
【0108】
化合物5は、HR-Qtof-MSスペクトルからm/z 1175.5487の分子イオン[M+H]+が観察され、C56H86O26の分子式が決定された。MSの劈開パターン解析を通じてグルコースの損失(162Da)によるm/z 1013の劈開イオンとペントースであるラムノースの損失(146Da)によるm/z 867の分子イオンが観察された。また、アセチル化フコースの損失(188Da)によるm/z 679の分子イオンとグルクロン酸の損失(176Da)によるサポゲニンの分子イオンであるm/z 503が検出され、これはメジカゲン酸の分子イオン値と同じである。1D、2D NMRスペクトルと前記先行文献を比較分析した結果、化合物5は化合物1と比較したとき同様のスペクトルを示し、化合物5は化合物1の骨格にアセチル基が追加された(δH 4.94 3H、s、OAc-CH3; δC171.3、OAc、20.6、OAc-CH3)ことを確認した。2D NMRデータにより、アセチル基はフコース糖の4番位置(δC74.5、C-4’’、Fuc)に置換されていることを確認し、アセチル化フコース糖のエノマリックプロトンは(δH5.95、1H、d、J=8.1Hz、H-1’’、Fuc)メチカジェニックのカルボニル基(δC 176.6、C-28)位置に連結されていることを確認した。したがって、以前の先行文献と前記結果を組み合わせて、化合物5は3-O-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-4-O-acetyl-β-D-fucopyranoside と同定し、スピナサポニンF(spinasaponin F)と命名した。
【0109】
化合物6は、HR-Qtof-MSスペクトルからm/z 1307.5915の分子イオン[M+H]+が観察され、C61H94O30の分子式が決定された。MSの劈開パターン解析を通じてペントースであるキシロースの損失(132Da)によるm/z 1175の分子イオンが検出され、グルコースの損失(162Da)によるm/z 1013の劈開イオンとペントースであるラムノースの損失(146Da)によるm/z 867の分子イオンが観察され、アセチル化フコースの損失(188Da)によるm/z 679の分子イオンが検出された。また、グルクロン酸の損失(176Da)によるサポゲニンの分子イオンであるmz 503が検出され、これはメジカゲン酸の分子イオン値と同じである。1D、2D NMRスペクトルと前記先行文献を比較分析した結果、化合物6は化合物5と比較したとき同様のスペクトルを示し、ペントースであるキシロース糖が化合物5にさらに結合していることを確認した。2D NMRデータによるキシロース糖のエノマリックプロトンは(δH 5.15、1H、d、J=7.2 Hz、H-1’’、 Xyl)グルクロン酸のC-3’に結合(δC 85.6、C-3’、GlcA)していることを確認した。したがって、以前の先行文献と前記結果とを組み合わせて、化合物6は3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-4-O-acetyl-β-D-fucopyranoside と同定し、スピナサポニンG(spinasaponin G)と命名した。
【0110】
化合物1 ( SOA1) 3-O-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-β-D-fucopyranoside (Spinasaponin C)
【化1】
【0111】
1)物性:無定形の白結晶
2)分子量:1133.24
3)分子式: C54H84O25
4)1H-NMR (Pyridine-d5, 900 MHz) δH 6.20 (1H, d, J = 1.8 Hz, H-1’’’, Rham), 5.91 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’’, Fuc), 5.33 (1H, s, H-12), 5.13 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’, GlcA), 5.06 (1H, d, J = 7.2 Hz, H-1’’’’, Glu), 4.74 (1H, d, J = 2.7 Hz, H-2), 4.63 (1H, d, J = 2.7 Hz, H-3), 3.02 (1H, dd, J = 13.5, 3.6 Hz, H-18), 2.21 (1H, d, J = 12.6 Hz, H-1a), 1.89 (3H, s, H3-24), 1.64 (3H, d, J = 6.3 Hz, H3-6’’’, Rham), 1.45 (3H, s, H3-25), 1.40 (3H, d, J = 6.3 Hz, H3-6’’, Fuc), 1.19 (3H, s, H3-27), 1.03 (3H, s, H3-26), 0.79 (3H, s, H3-30), 0.77 (3H, s, H3-29); 13C-NMR (Pyridine-d5, 225 MHz) δC 44.1 (C-1), 70.0 (C-2), 85.7 (C-3), 52.6 (C-4), 52.3 (C-5), 20.9 (C-6), 32.7 (C-7), 40.1 (C-8), 48.4 (C-9), 36.5 (C-10), 23.7 (C-11), 122.4 (C-12), 143.8 (C-13), 42.0 (C-14), 28.0 (C-15), 23.1 (C-16), 46.8 (C-17), 41.8 (C-18), 46.0 (C-19), 30.4 (C-20), 33.6 (C-21), 32.0 (C-22), 180.9 (C-23), 13.8 (C-24), 16.6 (C-25), 17.2 (C-26), 25.8 (C-27), 176.6 (C-28), 32.8 (C-29), 23.5 (C-30), 105.2 (C-1’, GlcA), 74.4 (C-2’, GlcA), 77.2 (C-3’, GlcA), 72.8 (C-4’, GlcA), 76.9 (C-5’, GlcA), 172.7 (C-6’, GlcA), 94.5 (C-1’’, Fuc), 74.1 (C-2’’, Fuc), 75.8 (C-3’’, Fuc), 72.6 (C-4’’, Fuc), 72.1 (C-5’’, Fuc), 16.5 (C-6’’, Fuc), 101.1 (C-1’’’, Rham), 71.2 (C-2’’’, Rham), 71.9 (C-3’’’, Rham), 84.5 (C-4’’’, Rham), 68.2 (C-5’’’, Rham), 18.3 (C-6’’’, Rham), 106.2 (C-1’’’’, Glu), 75.9 (C-2’’’’, Glu), 78.1 (C-3’’’’, Glu), 71.3 (C-4’’’’, Glu), 77.9 (C-5’’’’, Glu), 62.4 (C-6’’’’, Glu).
【0112】
化合物2 (SOA2) 3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-β-D-fucopyranoside (Spinasaponin D)
【化2】
【0113】
1)物性:無定形の白結晶
2) 分子量: 1265.36
3)分子式:C59H92O29
4)1H-NMR (Pyridine-d5, 800 MHz) δH 6.36 (1H, s, H-1’’’’, Rham), 6.04 (1H, d, J = 8.0 Hz, H-1’’’, Fuc), 5.46 (1H, br s, H-12), 5.30 (1H, d, J = 7.2 Hz, H-1’’, Xyl), 5.28 (1H, d, J = 8.0 Hz, H-1’, GlcA), 5.17 (1H, d, J = 8.0 Hz, H-1’’’’’, Glu), 4.84 (1H, br s, H-2), 4.77 (1H, br s, H-3), 3.12 (1H, d, J = 13.6, 3.2 Hz, H-18), 2.26 (1H, d, J = 12.0 Hz, H-1a), 2.01 (3H, s, H3-24), 1.70 (3H, d, J = 5.6 Hz, H3-6’’’’, Rham), 1.58 (3H, s, H3-25), 1.48 (3H, d, J = 6.4 Hz, H3-6’’’, Fuc), 1.26 (3H, s, H3-27), 1.14 (3H, s, H3-26), 0.90 (3H, s, H3-30), 0.85 (3H, s, H3-29); 13C-NMR (Pyridine-d5, 200 MHz) δC 44.9 (C-1), 71.0 (C-2), 86.8 (C-3), 53.3 (C-4), 53.1 (C-5), 21.6 (C-6), 33.4 (C-7), 40.8 (C-8), 49.0 (C-9), 37.3 (C-10), 24.3 (C-11), 123.1 (C-12), 144.3 (C-13), 42.7 (C-14), 28.6 (C-15), 23.8 (C-16), 47.3 (C-17), 42.5 (C-18), 46.6 (C-19), 31.1 (C-20), 34.3 (C-21), 32.7 (C-22), 180.9 (C-23), 14.5 (C-24), 17.3 (C-25), 17.8 (C-26), 26.5 (C-27), 177.0 (C-28), 33.5 (C-29), 24.2 (C-30), 106.3 (C-1’, GlcA), 74.4 (C-2’, GlcA), 86.1 (C-3’, GlcA), 71.8 (C-4’, GlcA), 77.0 (C-5’, GlcA), 170.6 (C-6’, GlcA), 106.5 (C-1’’, Xyl), 75.8 (C-2’’, Xyl), 78.4 (C-3’’, Xyl), 71.8 (C-4’’, Xyl), 67.7 (C-5’’, Xyl), 95.1 (C-1’’’, Fuc), 74.7 (C-2’’’, Fuc), 76.8 (C-3’’’, Fuc), 73.5 (C-4’’’, Fuc), 72.7 (C-5’’’, Fuc), 17.2 (C-6’’’, Fuc), 101.8 (C-1’’’’, Rham), 72.1 (C-2’’’’, Rham), 72.8 (C-3’’’’, Rham), 85.8 (C-4’’’’, Rham), 68.9 (C-5’’’’, Rham), 19.0 (C-6’’’’, Rham), 107.4 (C-1’’’’’, Glu), 76.8 (C-2’’’’’, Glu), 79.2 (C-3’’’’’, Glu), 72.2 (C-4’’’’’, Glu), 78.8 (C-5’’’’’, Glu), 63.3 (C-6’’’’’, Glu).
【0114】
化合物3 (SOA3) 3-O-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-xylopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-β-D-fucopyranoside (セロシンI)
【化3】
【0115】
1)物性:無定形の白結晶
2)分子量:1103.22
3)分子式:C53H82O24
4)1H-NMR (Pyridine-d5, 900 MHz) δH 6.41 (1H, br s, H-1’’’, Rham), 6.04 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’’, Fuc), 5.41 (1H, s, H-12), 5.22 (1H, br s, H-1’, GlcA), 5.03 (1H, d, J = 7.2 Hz, H-1’’’’, Xyl), 4.85 (1H, m, H-2), 4.75 (1H, m, H-3), 3.12 (1H, d, J = 12.6 Hz, H-18), 2.31 (1H, br s, H-1a), 2.00 (3H, s, H3-24), 1.70 (3H, d, J = 6.3 Hz, H3-6’’’, Rham), 1.57 (3H, s, H3-25), 1.48 (3H, d, J = 5.4 Hz, H3-6’’, Fuc), 1.26 (3H, s, H3-27), 1.14 (3H, s, H3-26), 0.89 (3H, s, H3-30), 0.84 (3H, s, H3-29); 13C-NMR (Pyridine-d5, 225 MHz) δC 44.9 (C-1), 70.7 (C-2), 86.7 (C-3), 53.3 (C-4), 52.9 (C-5), 21.6 (C-6), 33.4 (C-7), 40.8 (C-8), 49.0 (C-9), 37.2 (C-10), 24.3 (C-11), 123.1 (C-12), 144.3 (C-13), 42.7 (C-14), 28.6 (C-15), 23.7 (C-16), 47.4 (C-17), 42.4 (C-18), 46.6 (C-19), 31.1 (C-20), 34.3 (C-21), 32.7 (C-22), 181.0 (C-23), 14.6 (C-24), 17.3 (C-25), 17.8 (C-26), 26.4 (C-27), 177.0 (C-28), 33.5 (C-29), 24.1 (C-30), 106.0 (C-1’, GlcA), 75.3 (C-2’, GlcA), 78.2 (C-3’, GlcA), 73.7 (C-4’, GlcA), 77.6 (C-5’, GlcA), 173.0 (C-6’, GlcA), 95.1 (C-1’’, Fuc), 74.4 (C-2’’, Fuc), 77.0 (C-3’’, Fuc), 73.5 (C-4’’, Fuc), 72.7 (C-5’’, Fuc), 17.3 (C-6’’, Fuc), 101.7 (C-1’’’, Rham), 71.3 (C-2’’’, Rham), 72.9 (C-3’’’, Rham), 85.8 (C-4’’’, Rham), 68.6 (C-5’’’, Rham), 18.9 (C-6’’’, Rham), 108.0 (C-1’’’’, Xyl), 76.6 (C-2’’’’, Xyl), 79.2 (C-3’’’’, Xyl), 72.2 (C-4’’’’, Xyl), 67.9 (C-5’’’’, Xyl).
【0116】
化合物4 (SOA4) 3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-xylopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-β-D-fucopyranoside (Spinasaponin E)
【化4】
【0117】
1)物性:無定形の白結晶
2)分子量:1235.33
3)分子式:C58H90O28
4)1H-NMR (Pyridine-d5, 900 MHz) δH 6.25 (1H, s, H-1’’’’, Rham), 5.91 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’’’, Fuc), 5.34 (1H, br s, H-12), 5.16 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’, GlcA), 5.15 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’’, Xyl-I), 4.94 (1H, d, J = 7.2 Hz, H-1’’’’’, Xyl-II), 4.72 (1H, br s, H-2), 4.65 (1H, d, J = 3.6 Hz, H-3), 3.02 (1H, dd, J = 13.5, 3.6 Hz, H-18), 2.18 (1H, d, J = 12.6 Hz, H-1a), 1.88 (3H, s, H3-24), 1.60 (3H, d, J = 6.3 Hz, H3-6’’’’, Rham), 1.44 (3H, s, H3-25), 1.40 (3H, d, J = 6.3 Hz, H3-6’’’, Fuc), 1.19 (3H, s, H3-27), 1.03 (3H, s, H3-26), 0.78 (3H, s, H3-30), 0.76 (3H, s, H3-29); 13C-NMR (Pyridine-d5, 200 MHz) δC 44.1 (C-1), 70.1 (C-2), 85.7 (C-3), 52.6 (C-4), 52.4 (C-5), 20.9 (C-6), 32.7 (C-7), 40.1 (C-8), 48.4 (C-9), 36.5 (C-10), 23.7 (C-11), 122.4 (C-12), 143.8 (C-13), 42.1 (C-14), 28.0 (C-15), 23.0 (C-16), 46.8 (C-17), 41.8 (C-18), 46.0 (C-19), 30.4 (C-20), 33.6 (C-21), 32.0 (C-22), 180.7 (C-23), 13.8 (C-24), 16.6 (C-25), 17.1 (C-26), 25.8 (C-27), 176.6 (C-28), 32.8 (C-29), 23.5 (C-30), 104.9 (C-1’, GlcA), 73.6 (C-2’, GlcA), 85.5 (C-3’, GlcA), 71.0 (C-4’, GlcA), 76.4 (C-5’, GlcA), 173.5 (C-6’, GlcA), 105.5 (C-1’’, Xyl-I), 74.8 (C-2’’, Xyl-I), 77.3 (C-3’’, Xyl-I), 70.4 (C-4’’, Xyl-I), 66.7 (C-5’’, Xyl-I), 94.5 (C-1’’’, Fuc), 73.8 (C-2’’’, Fuc), 76.0 (C-3’’’, Fuc), 72.6 (C-4’’’, Fuc), 72.1 (C-5’’’, Fuc), 16.6 (C-6’’’, Fuc), 101.0 (C-1’’’’, Rham), 71.2 (C-2’’’’, Rham), 71.9 (C-3’’’’, Rham), 84.6 (C-4’’’’, Rham), 68.0 (C-5’’’’, Rham), 18.2 (C-6’’’’, Rham), 107.0 (C-1’’’’’, Xyl-II), 75.7 (C-2’’’’’, Xyl-II), 78.0 (C-3’’’’’, Xyl-II), 70.4 (C-4’’’’’, Xyl-II), 67.0 (C-5’’’’’, Xyl-II).
【0118】
化合物5 (SOA5) 3-O-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-4-O-acetyl-β-D-fucopyranoside (Spinasaponin F)
【化5】
【0119】
1)物性:無定形の白結晶
2)分子量:1175.28
3)分子式:C56H86O26
4)1H-NMR (Pyridine-d5, 900 MHz) δH 6.13 (1H, s, H-1’’’, Rham), 5.95 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’’, Fuc), 5.35 (1H, s, H-12), 5.14 (1H, d, J = 7.2 Hz, H-1’, GlcA), 5.07 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’’’’, Glu), 4.74 (1H, br s, H-2), 4.64 (1H, br s, H-3), 3.02 (1H, dd, J = 13.5, 3.6 Hz, H-18), 2.22 (1H, d, J = 12.6 Hz, H-1a), 1.95 (3H, s, OAc-CH3), 1.90 (3H, s, H3-24), 1.72 (3H, d, J = 6.3 Hz, H3-6’’’, Rham), 1.46 (3H, s, H3-25), 1.20 (3H, s, H3-27), 1.16 (3H, d, J = 6.3 Hz, H3-6’’, Fuc), 1.02 (3H, s, H3-26), 0.78 (3H, s, H3-30), 0.77 (3H, s, H3-29); 13C-NMR (Pyridine-d5, 225 MHz) δC 44.1 (C-1), 70.0 (C-2), 85.7 (C-3), 52.6 (C-4), 52.3 (C-5), 20.9 (C-6), 32.8 (C-7), 40.1 (C-8), 48.4 (C-9), 36.5 (C-10), 23.7 (C-11), 122.4 (C-12), 143.8 (C-13), 42.1 (C-14), 27.9 (C-15), 23.1 (C-16), 46.8 (C-17), 41.7 (C-18), 46.0 (C-19), 30.4 (C-20), 33.6 (C-21), 32.1 (C-22), 180.9 (C-23), 13.8 (C-24), 16.7 (C-25), 17.2 (C-26), 25.8 (C-27), 176.6 (C-28), 32.8 (C-29), 23.5 (C-30), 105.2 (C-1’, GlcA), 74.4 (C-2’, GlcA), 77.1 (C-3’, GlcA), 72.8 (C-4’, GlcA), 77.1 (C-5’, GlcA), 172.0 (C-6’, GlcA), 94.3 (C-1’’, Fuc), 74.4 (C-2’’, Fuc), 73.3 (C-3’’, Fuc), 74.5 (C-4’’, Fuc), 70.2 (C-5’’, Fuc), 16.2 (C-6’’, Fuc), 171.3 (OAc), 20.6 (OAc-CH3), 101.5 (C-1’’’, Rham), 71.1 (C-2’’’, Rham), 71.8 (C-3’’’, Rham), 84.4 (C-4’’’, Rham), 68.4 (C-5’’’, Rham), 18.5 (C-6’’’, Rham), 106.2 (C-1’’’’, Glu), 75.8 (C-2’’’’, Glu), 78.1 (C-3’’’’, Glu), 71.3 (C-4’’’’, Glu), 78.1 (C-5’’’’, Glu), 62.4 (C-6’’’’, Glu).
【0120】
化合物6 (SOA6) 3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-β-D-glucuronopyranosyl-2β,3β,-dihydroxyolean-12-ene-23,28-dioic acid-28-O-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-4-O-acetyl-β-D-fucopyranoside (Spinasaponin G)
【化6】
【0121】
1)物性:無定形の白結晶
2)分子量:1307.39
3)分子式:C61H94O30
4)1H-NMR (Pyridine-d5, 900 MHz) δH 6.13 (1H, s, H-1’’’’, Rham), 5.94 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’’’, Fuc), 5.34 (1H, s, H-12), 5.15 (1H, d, J = 7.2 Hz, H-1’’, Xyl), 5.16 (1H, d, J = 7.2 Hz, H-1’, GlcA), 5.06 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-1’’’’’, Glu), 4.72 (1H, br s, H-2), 4.65 (1H, br s, H-3), 3.02 (1H, dd, J = 13.5, 2.7 Hz, H-18), 2.19 (1H, d, J = 12.6 Hz, H-1a), 1.94 (3H, s, OAc-CH3), 1.89 (3H, s, H3-24), 1.72 (3H, d, J = 6.3 Hz, H3-6’’’’, Rham), 1.46 (3H, s, H3-25), 1.20 (3H, s, H3-27), 1.16 (3H, d, J = 6.3 Hz, H3-6’’’, Fuc),1.02 (3H, s, H3-26), 0.81 (3H, s, H3-30), 0.77 (3H, s, H3-29); 13C-NMR (Pyridine-d5, 225 MHz) δC 44.1 (C-1), 70.1 (C-2), 85.7 (C-3), 52.6 (C-4), 52.4 (C-5), 20.9 (C-6), 32.7 (C-7), 40.1 (C-8), 48.4 (C-9), 36.5 (C-10), 23.7 (C-11), 122.4 (C-12), 143.8 (C-13), 42.1 (C-14), 27.9 (C-15), 23.2 (C-16), 46.8 (C-17), 41.7 (C-18), 46.0 (C-19), 30.4 (C-20), 33.6 (C-21), 32.0 (C-22), 180.7 (C-23), 13.8 (C-24), 16.6 (C-25), 17.2 (C-26), 25.8 (C-27), 176.6 (C-28), 32.8 (C-29), 23.5 (C-30), 105.0 (C-1’, GlcA), 73.6 (C-2’, GlcA), 85.6 (C-3’, GlcA), 73.3 (C-4’, GlcA), 75.7 (C-5’, GlcA), 173.9 (C-6’, GlcA), 105.5 (C-1’’, Xyl), 74.8 (C-2’’, Xyl), 77.3 (C-3’’, Xyl), 70.4 (C-4’’, Xyl), 66.7 (C-5’’, Xyl), 94.3 (C-1’’’, Fuc), 74.4 (C-2’’’, Fuc), 73.6 (C-3’’’, Fuc), 74.5 (C-4’’’, Fuc), 70.2 (C-5’’’, Fuc), 16.2 (C-6’’’, Fuc), 171.2 (OAc), 20.6 (OAc-CH3), 101.5 (C-1’’’’, Rham), 71.1 (C-2’’’’, Rham), 71.8 (C-3’’’’, Rham), 84.4 (C-4’’’’, Rham), 68.4 (C-5’’’’, Rham), 18.4 (C-6’’’’, Rham), 106.2 (C-1’’’’’, Glu), 75.8 (C-2’’’’’, Glu), 78.0 (C-3’’’’’, Glu), 71.2 (C-4’’’’’, Glu), 77.9 (C-5’’’’’, Glu), 62.3 (C-6’’’’’, Glu).
【0122】
実施例4:ホウレンソウ抽出物、分画物及び新規物質5種及びセロシンI化合物の炎症性指標改善効果in vitro評価
前記実施例1乃至3により製造/得られたホウレンソウ抽出物、分画物(ブタノール分画、Fr.1及びFr.2)及び新規物質5種(SOA1、SOA2、SOA4、SOA5、SOA6)及びセロシンI化合物(SOA3)の炎症性指標改善効果を評価するため、マクロファージ(RAW264.7)にLPSを処理した後、前記の各実験物質を図に示す濃度で処理した。それから、細胞培養液を収集し、炎症性サイトカインの量を従来報告されている方法に従ってELISAで測定した。
【0123】
図5a及び
図5bに示すように、LPSはマクロファージにおけるTNF-αの分泌を増加させたが、細胞毒性を示さない濃度のホウレンソウ抽出物または分画物を処理した実験群では、TNF-αの分泌が減少することが確認された(
図5b)。
特に、化学式1乃至6の新規配糖体を含むFr.2分画物はホウレンソウ抽出物、 ブタノール分画物及びFr.1と比較してLPSによって誘導されたTNF-αの分泌をより効果的に抑制することが確認された。
【0124】
図6に示すように、前記式1乃至6の新規配糖体化合物は、メジカゲン酸(MA)と比較して、LPSによるマクロファージのTNF-α及び一酸化窒素(NO)分泌をより効果的に抑制することが確認された。
【0125】
一方、
図7a乃至
図7cに示すように、前記式1乃至6の新規配糖体化合物を含むFr.2は、LPSを処理したマクロファージにおけるNO及びPEG2分泌を濃度依存的に抑制し(
図7a、7b)、COX-2及びiNOS タンパク質の発現も濃度依存的に阻害することが確認された(
図7c)。
【0126】
また、EL4細胞をPMA及びロノマイシンで刺激した後、ホウレンソウ抽出物のFr.2分画を処理した結果、
図8a乃至
図8cに示すように、増回したEL4細胞における炎症性サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13)の分泌が濃度依存的に阻害されることが確認された。
【0127】
実施例5:PMA刺激による呼吸器上皮細胞におけるMUC5AC分泌への影響の評価
前記実施例1乃至3により製造/得られたホウレンソウ抽出物、分画物(ブタノール分画、Fr.1及びFr.2)及び新規物質5種(SOA1、SOA2、SOA4、SOA5、SOA6)及びセロシンI化合物(SOA3)が炎症性呼吸器疾患から過剰に分泌される粘液を制御できることを確認するため、呼吸器上皮細胞のNCI-H292をPMAで刺激した後、図に示す濃度の各実験物質を処理した。その上、細胞から分泌されたMUC5ACの量を測定した。
【0128】
その結果、
図9a及び
図9bに示すように、Fr.2分画はホウレンソウ抽出物、ブタノール分画及びFr.1分画と比較して呼吸器上皮細胞における粘液の分泌を抑制する効果が著しく高いことが確認された(
図9b)。
【0129】
一方、新規配糖体化合物を含む前記式1乃至6のサポニン化合物も、PMA刺激による呼吸器上皮細胞における粘液分泌を非常に効果的に抑制することが確認された(
図10a及び
図10b ) 。
【0130】
実施例6:炎症性呼吸器疾患動物モデルにおける有効性の評価
COPDマウスモデルにおけるホウレンソウの有効分画物の抗COPD効果を確認するために、タバコの煙とリポ多糖に誘導されたCOPDマウスモデルを調製した。COPDマウスにおけるホウレンソウの有効分画物の気管支肺胞洗浄液中のROS、エラスターゼ、TNF-α、IL-6の抑制効果を確認するために、ELISAアッセイ技術を用いて各産生量を分析した。
その結果、
図11a乃至
図11dに見られるように、前記製造したホウレンソウの有効分画物(Fr.2)を経口投与した実験群S10の気管支肺胞洗浄液中のROS、エラスターゼ、TNF-α、IL-6の数値はCOPD誘発群と比較して有意に減少した。これにより、ホウレンソウの有効分画物(Fr.2)がCOPDマウスにおいて炎症性サイトカイン、ROS及びエラスターゼの抑制効果があることを確認した。
【0131】
喘息マウスモデルにおけるホウレンソウの有効分画物(Fr.2)の抗喘息効果を確認するために、卵白アルブミンを用いて気管支喘息が誘導された喘息マウスモデルを製造した。
その結果、
図12a乃至
図12dに見られるように、ホウレンソウの有効分画物( Fr.2)を経口投与した実験群S5及びS10の気管支肺胞洗浄液中のIL-4、IL-5、IL-13の数値は喘息誘発群と比較して有意に減少した。また、ホウレンソウの有効分画物(Fr.2)を経口投与した実験群S5とS10の血清内IgE値は喘息誘発群と比較して有意に減少した。これにより、ホウレンソウの有効分画物(Fr.2)が喘息マウスにおけるTh2サイトカインとIgEの抑制効果があることを確認した。
【0132】
肺炎マウスモデルにおけるホウレンソウの有効分画物(Fr.2) 抗肺炎効果を確認するために、リポ多糖質を用いて気管支肺炎が誘発された肺炎マウスモデルを製造した。好中球とマクロファージの流入の増加は肺炎発生メカニズムの重要な特徴なので、肺炎マウスからホウレンソウの有効分画物(Fr.2)気管支肺胞洗浄液中の炎症性細胞の抑制効果を確認するため、Diff quik
(R) stainingを使用して各細胞を区別して細胞数を測定した(
図13)。
【0133】
その結果、好中球とマクロファージの数はリポ多糖に誘発された肺炎マウスの気管支肺胞洗浄液から著しく増加することを確認し、ホウレンソウの有効分画物を経口投与した実験群 S5とS10では、そのような炎症性細胞数の減少効果を確認した。
【0134】
肺炎マウスにおけるホウレンソウの有効分画物(Fr.2)の気管支肺胞洗浄液中のROS、TNF-α、IL-6の抑制効果を確認するために、ELISAアッセイ技術を用いて各生成量を定量分析した。
その結果、
図14a乃至
図14cに見られるように、ホウレンソウの有効分画物(Fr.2)を経口投与した実験群S5及びS10の気管支肺胞洗浄液中のROS、TNF-α、IL-6の数値は肺炎誘発群と比較して有意に減少し、これにより、ホウレンソウの有効分画物が肺炎マウスにおいてROSと炎症性サイトカインの抑制効果があることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明が提供する新規配糖体化合物及びそれを含むホウレンソウ抽出物の分画物は、免疫細胞から過剰な炎症性サイトカインが分泌されることを効果的に阻害し、炎症性呼吸器疾患における粘液の過剰な分泌を抑制する効果に優れ、炎症性呼吸器疾患を含む様々な炎症性疾患の予防または治療に有用に活用でき、産業上の利用可能性が高い。
【国際調査報告】