(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】矩形導波路を有する光学アパーチャ増倍器の作製方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240604BHJP
G02B 27/01 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553741
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 IL2022050500
(87)【国際公開番号】W WO2022259234
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨチェイ・ダンジガー
(72)【発明者】
【氏名】エドガー・フリードマン
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA47
2H199CA53
2H199CA66
2H199DA16
2H199DA18
(57)【要約】
光学アパーチャ増倍器を作製する方法が提供される。スライス及び第1の光学構造体が取得される。スライスは、一対の平行面を含む外面と、一対の平行面に対して傾斜している第1の複数の部分反射性内面と、を有する。第1の光学構造体は、平面結合面を含む外面と、結合面に対して傾斜している第2の複数の部分反射性内面と、を有する。スライスは、第2の光学構造体を形成するために、一対の平行面の面のうちの1つが結合面と対向関係にあるように、第1の光学構造体と光学的に結合される。少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器は、第2の光学構造体を結合面に対して垂直である少なくとも2つの切断面を通して切断することによって、第2の光学構造体から切り出される。光学アパーチャ増倍器は、好ましくは、ニアアイディスプレイ拡張現実システムの一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学アパーチャ増倍器(1、1’、1’’)を作製する方法であって、
一対の平行面(112a、112b)を含む複数の外面と、前記一対の平行面(112a、112b)に対して傾斜している第1の複数の相互に平行な部分反射性内面(40)と、を有する、スライス(110)を取得することと、
平面結合面(222、322)を含む複数の外面と、前記結合面(222、322)に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面(203a、45)と、を有する、第1の光学構造体(220、320)を取得することと、
前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの1つが前記結合面(222、322)と対向関係になるように、前記スライス(110)を前記第1の光学構造体と光学的に結合し、それによって、第2の光学構造体(240、340)を形成することと、
前記第2の光学構造体(240、340)を前記結合面(222、322)に対して垂直である少なくとも2つの切断面(244、344)を通して切断することによって、前記第2の光学構造体(240、340)から少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器(1、1’、1’’)を切り出すことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の光学構造体(320)が、光導光学素子(LOE)(20)の接合スタック(321)として形成されており、前記接合スタック(321)の各LOE(20)が、一対の主平行面(22a、22b)と、前記一対の主平行面(22a、22b)に対して傾斜している前記第2の複数の相互に平行な部分反射性内面(45)のサブセットと、を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの切断面(344)が、連続するLOE(20)の前記主平行面(22a、22b)に対して実質的に平行である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接合スタック(321)が、複数の透明なスペーサプレート(324)を含み、前記LOE(20)及び前記透明なスペーサプレート(324)が、前記LOE(20)の前記主平行面(22a、22b)に対して垂直である前記接合スタック(321)の長さに沿って交互に配置されている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つの切断面(344)が、それらの間に挟まれた前記LOE(20)のうちの1つを有する連続したスペーサプレート(324)内に位置する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の光学構造体(220)が、コーティングされた透明プレート(202)の接合スタック(210)から生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記接合スタック(210)が、一対の面(214a、214b)を有し、前記第1の光学構造体(220)が、前記接合スタック(210)の前記一対の面(214a、214b)の前記面(214a)のうちの少なくとも1つに対してある角度である切断面(204)に沿って前記接合スタック(210)を切断することによって、前記接合スタック(210)から生成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の光学構造体(220)が、前記結合面(222)を形成するために、前記切断面(204)の位置で更に研磨又はスライスすることによって、前記接合スタック(210)から生成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
結合面(402a)を含む複数の外面と、前記結合面(402a)に対して傾斜している複数の相互に平行な内面(50)と、を有する、第3の光学構造体(420)を取得することと、
前記少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器(1’’)を切り出す前に、前記第3の光学構造体(420)の結合面(402a)が前記スライス(110)の前記外面のうちの1つと対向関係になるように、前記第3の光学構造体(420)を前記スライス(110)と光学的に結合することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
光学アパーチャ増倍器(1、1’、1’’)を作製する方法であって、
光導光学素子(LOE)(20)の接合スタック(321)を取得することであって、前記接合スタック(321)の各LOE(20)が、一対の主平行面(22a、22b)と、前記一対の主平行面(22a、22b)に対して傾斜している第1の複数の相互に平行な部分反射性内面(45)と、を有する、取得することと、
一対の平行面(112a、112b)を含む複数の外面と、前記一対の平行面(112a、112b)に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面(40)と、を有する、スライス(110)を取得することと、
前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの1つが、前記接合スタック(321)の結合面(322)と対向関係になるように、かつ前記一対の平行面(112a、112b)が、前記接合スタック(321)の前記LOE(20)の各々の前記一対の主平行面(22a、22b)に対して垂直であるように、前記スライス(110)を前記接合スタックと光学的に結合し、それによって、光学構造体(340)を形成することと、
連続するLOE(20)の前記主平行面(22a、22b)に対して実質的に平行であり、かつ前記接合スタック(321)の前記結合面(322)に対して垂直である少なくとも2つの切断面(344)を通して前記光学構造体(340)を切断することによって、前記光学構造体(340)から少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器(1、1’、1’’)を切り出すことと、を含む、方法。
【請求項11】
光学アパーチャ増倍器(1、1’、1’’)を作製する方法であって、
一対の平行面(112a、112b)を含む複数の外面と、前記一対の平行面(112a、112b)に対して傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内面(40)と、を有する、スライス(110)を取得することと、
コーティングされた透明プレート(202)の接合スタック(210)から、前記コーティングされた透明プレート(202)の主表面(203a、203b)に対して傾斜している結合面(222)を含む複数の外面を有する第1の光学構造体(220)を生成することと、
前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの1つが前記結合面(222)と対向関係になるように、前記スライス(110)を前記第1の光学構造体(220)と光学的に結合し、それによって、第2の光学構造体(240)を形成することと、
前記第2の光学構造体(240)を前記結合面(222)に対して垂直である少なくとも2つの切断面(244)を通して切断することによって、前記第2の光学構造体(240)から少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器(1)を切り出すことと、を含む、方法。
【請求項12】
前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの1つ以上において、カバープレート(120a、120b)を前記スライス(110)と光学的に結合することを更に含む、請求項1、2、6、10、又は11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記カバープレート(120a、120b)が、反射コーティングを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カバープレート(120a、120b)を前記スライス(110)と前記光学的に結合させることが、前記カバープレート(120a、120b)を、前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの1つ以上と接合することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記接合が、前記スライス(110)を生成するために使用される材料の屈折率よりも低い屈折率を有する光学セメントを使用して行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カバープレート(120a、120b)が、前記結合面(222、322)と対向関係になっている前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの前記1つにおいて、前記スライス(110)と光学的に結合されており、前記カバープレート(120a、120b)が、偏光管理特性を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記カバープレート(120a、120b)が、波長板又は偏光子のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
光学アパーチャ増倍器(1、1’、1’’)作製プロセスの中間作業生成物である、光学構造体(240、340)であって、前記光学構造体が、
一対の平行面(112a、112b)を含む複数の外面と、前記一対の平行面(112a、112b)に対して傾斜している第1の複数の相互に平行な部分反射性内面(40)と、を備える、第1の部分(110)と、
結合面(222、322)を含む複数の外面と、前記結合面(222、322)に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面(203a、45)と、を備える、第2の部分(220、320)であって、前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの1つが、前記結合面(222、322)と対向関係にあるように、かつ前記光学構造体(240、340)が、前記第1の部分(110)及び前記第2の部分(220、320)を通過し、かつ前記結合面(222、322)に対して垂直である少なくとも2つの実質的に平行な切断面(244、344)を通ってスライスされるときに、少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器(1、1’、1’’)が生成されるように、前記第2の部分(220、320)が前記第1の部分(110)と光学的に結合される、第2の部分(220、320)と、を備える、光学構造体(240、340)。
【請求項19】
光学アパーチャ増倍器(1、1’、1’’)作製プロセスの中間作業生成物である、光学構造体(340)であって、前記光学構造体が、
一対の平行面(112a、112b)を含む複数の外面と、前記一対の平行面(112a、112b)に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面(40)と、を備える、第2の部分(110)と、
光導光学素子(LOE)の接合スタック(321)を備える第2の部分(320)であって、前記接合スタック(321)の各LOE(20)が、一対の主平行面(22a、22b)と、前記一対の主平行面(22a、22b)に対して傾斜している第1の複数の相互に平行な部分反射性内面(45)と、を有し、前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの1つが、前記第2の部分(320)の結合面(322)と対向関係にあるように、かつ前記一対の平行面(112a、112b)が、前記接合スタック(321)の前記LOE(20)の各々の前記一対の主平行面(22a、22b)に対して垂直であるように、前記第1の部分(110)が、前記第2の部分(320)と光学的に結合される、第2の部分(320)と、を備える、光学構造体(340)。
【請求項20】
光学アパーチャ増倍器(1)作製プロセスの中間作業生成物である、光学構造体(240)であって、前記光学構造体(240)が、
一対の平行面(112a、112b)を含む複数の外面と、第1の対の平行面(112a、112b)に対して傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内面(40)と、を有する、第1の部分(110)と、
コーティングされた透明プレート(202)の接合スタック(210)から形成された第2の部分(220)であって、前記コーティングされた透明プレート(202)の主表面(203a、203b)に対して傾斜している結合面(222)を含む複数の外面を有し、前記一対の平行面(112a、112b)の前記面(112b)のうちの1つが前記結合面(222)と対向関係にあるように、かつ前記光学構造体(240)が、前記第1及び第2の部分(110、220)を通過し、かつ前記結合面(222)に対して垂直である少なくとも2つの実質的に平行な切断面(244)を通ってスライスされるときに、少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器(1、1’、1’’)が生成されるように、前記第1の部分(110)が、前記第2の部分(220)と光学的に結合される、第2の部分(220)と、を備える、光学構造体(240)。
【請求項21】
前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの1つ以上において、前記第1の部分(110)と光学的に結合されるカバープレート(120a、120b)を更に備える、請求項18、19、又は20のいずれか一項に記載の光学構造体(240、340)。
【請求項22】
前記カバープレート(120a、120b)が、反射コーティングを含む、請求項21に記載の光学構造体(240、340)。
【請求項23】
前記カバープレート(120a、120b)を前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの1つと接合することによって、前記カバープレート(120a、120b)が前記の第1の部分(110)と光学的に結合される、請求項21に記載の光学構造体(240、340)。
【請求項24】
前記接合が、前記第1の部分(110)を生成するために使用される材料の屈折率よりも低い屈折率を有する光学セメントを使用して行われる、請求項23に記載の光学構造体(240、340)。
【請求項25】
前記カバープレート(120a、120b)が、前記結合面(222、322)と対向関係にある前記一対の平行面(112a、112b)の前記面のうちの前記1つにおいて、前記第1の部分(110)と光学的に結合されており、前記カバープレート(120a、120b)が、偏光管理特性を有する、請求項21に記載の光学構造体(240、340)。
【請求項26】
前記カバープレート(120a、120b)が、波長板又は偏光子のうちの少なくとも1つを含む、請求項25に記載の光学構造体(240、340)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月7日に出願された米国仮特許出願第63/197,452号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光学アパーチャ増倍器、特に、薄いスラブ型光導波路に光学的に結合された矩形光導波路を含む光学アパーチャ増倍器に関する。
【背景技術】
【0003】
ニアアイディスプレイ又はヘッドアップディスプレイのための光学装置では、観察者の眼が位置する領域をカバーするために大きなアパーチャを必要とする。二次元の光学アパーチャ拡張(又は増倍)を提供する光学デバイスが、Lumus Ltd(Israel)によって、様々な刊行物に記載されている。そのような光学デバイスのうちの1つの特定のセットにおいて、二次元のアパーチャ拡張は、2つの光導波路を介して達成される。第1の光導波路は、矩形断面を形成する平行面の2つの対を有し、第2の光導波路は、薄いスラブの形態で、第1の(矩形)導波路と光学的に結合され、平行な一対の主外面を有する。この2つの導波路は、協働して、注入された画像のアパーチャを二次元で拡張し、第1の導波路が、第1の次元でアパーチャを拡張し、第2の導波路は、第2の次元でアパーチャを拡張し、拡張されたアパーチャ画像を結合して、視聴者の眼によって閲覧される。
【0004】
画質を維持するために、平行性及び/又は垂直性からの偏差が画質を低下させる可能性があるため、導波路の面の平行性及び矩形導波路の面の2つの対間の垂直性に厳密な要件がある。平行性及び垂直性に対するこの要件は、厳密な製造要件を課す可能性があり、より高いコストの作製プロセスをもたらす。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、そのような作製方法/プロセスにおいて中間作業生成物である矩形導波路及び光学構造体を有する光学アパーチャ増倍器の作製方法/プロセスを提供する。
【0006】
本発明の実施形態の教示によれば、光学アパーチャ増倍器を作製する方法が提供される。この方法は、一対の平行面を含む複数の外面と、一対の平行面に対して傾斜している第1の複数の相互に平行な部分反射性内面と、を有する、スライスを取得することと、平面結合面を含む複数の外面と、結合面に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面と、を有する、第1の光学構造体を取得することと、一対の平行面の面のうちの1つが結合面と対向関係になるように、スライスを第1の光学構造体と光学的に結合し、それによって、第2の光学構造体を形成することと、第2の光学構造体を結合面に対して垂直である少なくとも2つの切断面を通して切断することによって、第2の光学構造体から少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器を切り出すことと、を含む。
【0007】
任意選択的に、第1の光学構造体は、コーティングされた透明プレートの接合スタックから生成される。
【0008】
任意選択的に、接合スタックは、一対の面を有し、第1の光学構造体は、接合スタックの一対の面の面のうちの少なくとも1つに対してある角度である切断面に沿って接合スタックを切断することによって、接合スタックから生成される。
【0009】
任意選択的に、第1の光学構造体は、切断面の位置で更に研磨又はスライスして結合面を形成することによって、接合スタックから生成される。
【0010】
任意選択的に、第1の光学構造体は、光導光学素子(LOE)の接合スタックとして形成されており、接合スタックの各LOEは、一対の主平行面と、一対の主平行面に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面のサブセットと、を有する。
【0011】
任意選択的に、少なくとも2つの切断面は、連続するLOEの主平行面に対して実質的に平行である。
【0012】
任意選択的に、接合スタックは、複数の透明なスペーサプレートを含み、LOE及び透明なスペーサプレートは、LOEの主平行面に対して垂直である接合スタックの長さに沿って交互に配置されている。
【0013】
任意選択的に、少なくとも2つの切断面は、それらの間に挟まれたLOEのうちの1つを有する連続したスペーサプレート内に位置する。
【0014】
任意選択的に、この方法は、結合面を含む複数の外面と、結合面に対して傾斜している複数の相互に平行な内面と、を有する、第3の光学構造体を取得することと、少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器を切り出す前に、第3の光学構造体の結合面がスライスの外面のうちの1つと対向関係になるように、第3の光学構造体をスライスと光学的に結合することと、を更に含む。
【0015】
本発明の教示の実施形態によれば、光学アパーチャ増倍器を作製する方法も提供される。この方法は、一対の平行面を含む複数の外面と、一対の平行面に対して傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内面と、を有する、スライスを取得することと、コーティングされた透明プレートの接合スタックから、コーティングされた透明プレートの主表面に対して傾斜している結合面を含む複数の外面を有する第1の光学構造体を生成することと、一対の平行面の面のうちの1つが結合面と対向関係になるように、スライスを第1の光学構造体と光学的に結合し、それによって、第2の光学構造体を形成することと、第2の光学構造体を結合面に対して垂直である少なくとも2つの切断面を通して切断することによって、第2の光学構造体から少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器を切り出すことと、を含む。
【0016】
任意選択的に、接合スタックは、一対の面を有し、接合スタックから第1の光学構造体を生成することは、接合スタックの一対の面の面のうちの少なくとも1つに対してある角度である切断面に沿って接合スタックを切断することを含む。
【0017】
任意選択的に、接合スタックから第1の光学構造体を生成することは、切断面の位置で研磨して結合面を形成することを更に含む。
【0018】
本発明の教示の実施形態によれば、光学アパーチャ増倍器を作製する方法も提供される。この方法は、光導光学素子(LOE)の接合スタックを取得することであって、接合スタックの各LOEが、一対の主平行面と、一対の主平行面に対して傾斜している第1の複数の相互に平行な部分反射性内面と、を有する、取得することと、一対の平行面を含む複数の外面と、一対の平行面に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面と、を有する、スライスを取得することと、一対の平行面の面のうちの1つが、接合スタックの結合面と対向関係になるように、かつ一対の平行面が、接合スタックのLOEの各々の一対の主平行面に対して垂直であるように、スライスを接合スタックと光学的に結合し、それによって、光学構造体を形成することと、連続するLOEの主平行面に対して実質的に平行であり、かつ接合スタックの結合面に対して垂直である少なくとも2つの切断面を通して光学構造体を切断することによって、光学構造体から少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器を切り出すことと、を含む。
【0019】
任意選択的に、接合スタックは、複数の透明なスペーサプレートを含み、LOE及び透明なスペーサプレートは、LOEの主平行面に対して垂直である接合スタックの長さに沿って交互に配置されている。
【0020】
任意選択的に、少なくとも2つの切断面は、それらの間に挟まれたLOEのうちの1つを有する連続したスペーサプレート内に位置する。
【0021】
任意選択的に、本発明の実施形態による方法のうちのいずれか1つは、一対の平行面の面のうちの1つ以上の面において、カバープレートをスライスと光学的に結合することを更に含む。
【0022】
任意選択的に、カバープレートは、反射コーティングを含む。
【0023】
任意選択的に、カバープレートをスライスと光学的に結合することは、カバープレートを一対の平行面の面のうちの1つ以上と接合することを含む。
【0024】
任意選択的に、接合は、スライスを生成するために使用される材料の屈折率よりも低い屈折率を有する光学セメントを使用して行われる。
【0025】
任意選択的に、カバープレートは、結合面と対向関係になっている一対の平行面の面のうちの1つにおいて、スライスと光学的に結合されており、カバープレートは、偏光管理特性を有する。
【0026】
任意選択的に、カバープレートは、波長板又は偏光子のうちの少なくとも1つを含む。
【0027】
本発明の教示の実施形態によれば、光学アパーチャ増倍器作製プロセスの中間作業生成物である、光学構造体も提供される。光学構造体は、一対の平行面を含む複数の外面と、一対の平行面に対して傾斜している第1の複数の相互に平行な部分反射性内面と、を備える、第1の部分と、結合面を含む複数の外面と、結合面に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面と、を備える、第2の部分であって、一対の平行面の面のうちの1つが、結合面と対向関係であるように、かつ光学構造体が、第1の部分及び第2の部分を通過し、かつ結合面に対して垂直である少なくとも2つの実質的に平行な切断面を通ってスライスされるときに、少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器が生成されるように、第2の部分が第1の部分と光学的に結合される、第2の部分と、を備える。
【0028】
任意選択的に、第2の部分は、コーティングされた透明プレートの接合スタックから形成される。
【0029】
任意選択的に、第2の部分は、光導光学素子(LOE)の接合スタックとして形成されており、接合スタックの各LOEは、一対の主平行面と、一対の主平行面に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面のサブセットと、を有する。
【0030】
任意選択的に、接合スタックは、複数の透明なスペーサプレートを含み、LOE及び透明なスペーサプレートは、LOEの主平行面に対して垂直である接合スタックの長さに沿って交互に配置されている。
【0031】
任意選択的に、光学構造体は、結合面を含む複数の外面を有する第3の部分と、結合面に対して傾斜している複数の相互に平行な内面と、を更に備え、第3の部分は、第3の部分の結合面が第1の部分の外面のうちの1つと対向関係になるように、第1の部分と光学的に結合される。
【0032】
本発明の教示の実施形態によれば、光学アパーチャ増倍器作製プロセスの中間作業生成物である、光学構造体も提供される。光学構造体は、一対の平行面を含む複数の外面と、第1の対の平行面に対して傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内面と、を有する、第1の部分と、コーティングされた透明プレートの接合スタックから形成された第2の部分であって、コーティングされた透明プレートの主表面に対して傾斜している結合面を含む複数の外面を有し、一対の平行面の面のうちの1つが結合面と対向関係であるように、かつ光学構造体が、第1及び第2の部分を通過し、かつ結合面に対して垂直である少なくとも2つの実質的に平行な切断面を通ってスライスされるときに、少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器が生成されるように、第1の部分が、第2の部分と光学的に結合される、第2の部分と、を備える。
【0033】
任意選択的に、接合スタックは、一対の面を有し、第2の部分は、接合スタックの一対の面の面のうちの少なくとも1つに対してある角度である切断面に沿って接合スタックを切断することによって形成される。
【0034】
任意選択的に、結合面は、切断面の位置で第2の部分を研磨することによって形成される。
【0035】
本発明の教示の実施形態によれば、光学アパーチャ増倍器作製プロセスの中間作業生成物である、光学構造体も提供される。光学構造体は、一対の平行面を含む複数の外面と、一対の平行面に対して傾斜している第2の複数の相互に平行な部分反射性内面と、を備える、第2の部分と、光導光学素子(LOE)の接合スタックを備える第2の部分であって、接合スタックの各LOEが、一対の主平行面と、一対の主平行面に対して傾斜している第1の複数の相互に平行な部分反射性内面と、を有し、一対の平行面の面のうちの1つが、第2の部分の結合面と対向関係にあるように、かつ一対の平行面が、接合スタックのLOEの各々の一対の主平行面に対して垂直であるように、第1の部分が、第2の部分と光学的に結合される、第2の部分と、を備える。
【0036】
任意選択的に、接合スタックは、複数の透明なスペーサプレートを含み、LOE及び透明なスペーサプレートは、LOEの主平行面に対して垂直である接合スタックの長さに沿って交互に配置されている。
【0037】
任意選択的に、本発明の実施形態による中間作業生成物のうちのいずれか1つは、一対の平行面の面のうちの1つ以上の面において、第1の部分と光学的に結合されたカバープレートを更に備える。
【0038】
任意選択的に、カバープレートは、反射コーティングを含む。
【0039】
任意選択的に、カバープレートは、カバープレートを一対の平行面の面のうちの1つに接合することによって、第1の部分と光学的に結合される。
【0040】
任意選択的に、接合は、第1の部分を生成するために使用される材料の屈折率よりも低い屈折率を有する光学セメントを使用して行われる。
【0041】
任意選択的に、カバープレートは、結合面と対向関係である一対の平行面の面のうちの1つにおいて、第1の部分と光学的に結合されており、カバープレートは、偏光管理特性を有する。
【0042】
任意選択的に、カバープレートは、波長板又は偏光子のうちの少なくとも1つを含む。
【0043】
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関係する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施又は試験に使用され得るが、例示的な方法及び/又は材料が、以下に記載されている。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が支配する。更に、材料、方法、及び例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。詳細な、図面への具体的な言及について、示された細目は、例として、及び本発明の実施形態の例示的な考察の目的のためであることを強調しておく。これに関して、図面と併せてなされた説明により、本発明の実施形態がどのように実施され得るかが当業者に明らかになる。
【0045】
ここで、図面に注意を向けると、図面では、同様の参照番号又は文字は、対応する又は同様の構成要素を示す。図面は以下のとおりである。
【
図1】本発明の実施形態の教示による作製プロセスを使用して作製可能である、複数の部分反射性内面を伴う第1の矩形光導波路を有し、複数の部分反射性内面を有する第2の薄いスラブ型光導波路と光学的に結合された光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図2A】本発明の実施形態の第1のセットによる、
図1A及び
図1Bの光学アパーチャ増倍器など、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図2B】本発明の実施形態の第1のセットによる、
図1A及び
図1Bの光学アパーチャ増倍器など、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図2C】本発明の実施形態の第1のセットによる、
図1A及び
図1Bの光学アパーチャ増倍器など、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図2D】本発明の実施形態の第1のセットによる、
図1A及び
図1Bの光学アパーチャ増倍器など、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図2E】本発明の実施形態の第1のセットによる、
図1A及び
図1Bの光学アパーチャ増倍器など、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図2F】本発明の実施形態の第1のセットによる、
図1A及び
図1Bの光学アパーチャ増倍器など、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図2G】本発明の実施形態の第1のセットによる、
図1A及び
図1Bの光学アパーチャ増倍器など、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図2H】本発明の実施形態の第1のセットによる、
図1A及び
図1Bの光学アパーチャ増倍器など、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図2I】本発明の実施形態の第1のセットによる、
図1A及び
図1Bの光学アパーチャ増倍器など、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による、
図2A~
図2Iのプロセスで使用されるスライス光学構造体を作製するために使用することができる一連のステップを示す概略等角図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による、
図2A~
図2Iのプロセスで使用されるスライス光学構造体を作製するために使用することができる一連のステップを示す概略等角図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、スライス光学構造体を作製するために使用することができる別の技術を示す概略等角図である。
【
図5A】本発明の実施形態の第2のセットによる、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図5B】本発明の実施形態の第2のセットによる、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図5C】本発明の実施形態の第2のセットによる、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図5D】本発明の実施形態の第2のセットによる、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連のステップを示す概略等角図である。
【
図6A】本発明の実施形態による、複数の光内部結合構成を抽出することができ、光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用することができる光学構造体の概略平面図である。
【
図6B】それぞれ、
図5A~
図5Dのプロセスのステップのうちの1つで生成される別の光学構造体と光学的に結合された、
図6Aの光学構造体の概略図、正面図、及び等角図である。
【
図6C】それぞれ、
図5A~
図5Dのプロセスのステップのうちの1つで生成される別の光学構造体と光学的に結合された、
図6Aの光学構造体の概略図、正面図、及び等角図である。
【
図6D】それぞれ、
図5A~
図5Dのプロセスのステップのうちの1つで生成される別の光学構造体と光学的に結合された、
図6Aの光学構造体の概略図、正面図、及び等角図である。
【
図6E】本発明の実施形態による作製プロセスを使用して生成することができる光学アパーチャ増倍器の概略等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態は、矩形導波路及び光学構造体を有する光学アパーチャ増倍器の作製方法/プロセスを提供し、光学アパーチャ増倍器が有する矩形導波路及び光学構造体は、そのような作製方法/プロセスにおける中間作業生成物である。
【0047】
本発明による方法及び中間作業生成物の原理及び動作は、説明に付随する図面を参照してより良好に理解され得る。添付の図面は、任意にラベル付けされているが、図面の間で首尾一貫しているxyz座標系が提供されている。このxyz座標系は、本明細書において、図面の間で共通の参照フレームを提供することによって、開示される実施形態をより十分に説明するために使用される。
【0048】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に述べられた、並びに/又は図面及び/若しくは例に示された構成要素及び/又は方法の構築の詳細及び配置への適用に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、又は様々な方式で実践又は実施することができる。最初に、本書では、例えば、上下、上部及び下部、前後などの方向について言及する。これらの方向基準は、単に例示的なものであり、表現を容易にするためのみに使用され、各図面に示されるように、任意の配向を参照する。最終的な光学デバイスは、任意の必要な配向で展開され得る。
【0049】
前置きとして、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる共通所有の米国特許第10,133,070号は、
図1A及び
図1Bに概して示される光学アパーチャ増倍器1の様々な実施形態を記載している。光学アパーチャ増倍器1は、拡張現実アプリケーションのためのニアアイディスプレイ又はヘッドアップディスプレイの一部としての使用に特に適している。一般的な用語では、光学アパーチャ増倍器1(「光学デバイス」とも称される)は、伸長方向(本明細書では、「x軸」に対応するように任意に図示される)を有する第1の光導波路10を含む。第1の光導波路10は、光透過材料から形成され、矩形断面を形成する第1の対の平行面12a、12b、及び第2の対の平行面14a、14bを有する(すなわち、第1の対の面、及び第2の対の面は直交している)。第1の光導波路10はまた、(平行面であっても又はなくてもよい)面16a、16bの追加の対も有する。面16a、16bが平行な面である特定の実施形態では、面16a、16bは、第1の対の面12a、12b、及び第2の対の面14a、14bに対して垂直である場合がある。第1の光導波路10は、第1の光導波路10を少なくとも部分的に横断し、かつ第1の光導波路10の伸長方向に対して斜め方向に傾斜する(すなわち、ファセット40が面12a、12bに対して傾斜している)、複数の相互に平行な部分反射性内面(「ファセット」とも称される)40を有する。
【0050】
この文書全体にわたって、「面」、「外面」、及び「外部表面」という用語は、区別なく使用される。明らかになっていくように、そのような面のいくつかは、主面(「主外面」又は「主外部表面」とも称される)である。
【0051】
光学アパーチャ増倍器1はまた、第1の光導波路10と光学的に結合され、第3の平行面22a、22bの対を有する第2の光導波路20も含む。ここでも、複数の相互に平行な部分反射性内面(「ファセット」)45は、第2の光導波路20を少なくとも部分的に横断し、面22a、22bに対して斜め方向に傾斜している。第2の光導波路20はまた、面24a、24a、26a、26bの2つの追加の対も有し、それらの各々は、面22a、22bに対して非平行であり、それらの各々は、一対の平行面であっても又はなくてもよい。特定の実施形態では、面22a、22b、24a、24b、26a、26bの対は、相互に直交する。特定の実施形態では、ファセット28はまた、面24a、24bの一方又は両方に対しても斜め方向に傾斜しているが、以下で論じられるように、他の実施形態では、面24a、24b及び/又は面26a、26bの一方又は両方に対して垂直である場合、ファセット28は、一方又は両方に対して平行であり得る。
【0052】
第2の光導波路20はまた、光透過材料(光透過基板)からも形成され、(2つの光導波路10、20が同じ屈折率を有するように)第1の光導波路10を形成するために使用される同じ材料から形成されるが、薄いスラブ型導波路を形成することが好ましく、この場合、面24a、24bの対と、面26a、26bの対との間の距離は、面22a、22bとの間の距離よりも、少なくとも桁の大きい大きさである。
【0053】
光導波路10、20の間の光結合(面12b、24a間の界面における)、並びに部分反射性表面40、45の展開及び構成は、コリメート画像(図示しない光学画像生成器によって生成される)に対応する画像光30が第1の対の平行面12a、12b及び第2の対の平行面14a、14bの両方に対して傾斜している結合角度である初期伝搬方向で第1の光導波路10中に結合(注入)されたときに、その画像は、第2の光導波路20中に結合されるように、部分反射性表面40において反射された画像の強度のある割合で、第1の光導波路10に沿って4倍の内部反射(画像a1、a2、a3、a4)によって前進し、次いで、観察者の眼47によって見られる可視画像cとして、平行面22bのうちの1つから外向きに指向されるように、部分反射性表面45において反射された(偏向された)画像の強面度のある割合で、第2の光導波路20内で2倍の内部反射(画像b1、b1)を通じて伝播するようになる。
【0054】
第1の光導波路10は、それが平行面(12a、12b、14a、14b)の2つのセットの間の反射によって、注入された画像を二次元で導波するという意味で、二次元(2D)導波路と称され、これに対して、第2の光導波路20は、注入された画像を一対の平行面(22a、22b)の間の一次元のみで導波する意味で、一次元(1D)導波路と称される。第2の光導波路20はまた、本明細書では、光導光学素子(LOE)又は1D LOEと同義的に称される。
【0055】
米国特許第10,133,070号は、更に、光学アパーチャ増倍器1の作製プロセスを記載している。これらのプロセスは、2つの光導波路10、20を個別に製造し、次いで、2つの個別の導波路10、20をともに結合して、個別の光学アパーチャ増倍器を生成することに依存する。ただし、そのような作製プロセスは、光学アパーチャ増倍器の大規模な製造をより困難にする。
【0056】
本発明の実施形態は、光学アパーチャ増倍器1を作製するために使用され得るプロセスを提供する。以下の説明から明らかになるように、本発明の実施形態による作製プロセスは、大きい光学面にわたって垂直性及び平行性を維持しながら、拡張現実アプリケーションのためのニアアイディスプレイ又はヘッドアップディスプレイの一部として使用するのに特に適している光学アパーチャ増倍器の大規模な製造を可能にし、それによって、より厳しい製造公差を可能にする。
【0057】
実施形態の第1のセットでは、
図2A~
図2Iを参照して説明されるように、コーティングされた透明プレートの接合スタックが取得される。透明プレートのコーティングされた表面は、複数の相互に平行な部分反射性内面を形成する(最終的にファセット45を形成する)。接合スタックは、切断面に沿って切断され、コーティングされた透明プレートの主表面に対して傾斜している結合面を含む複数の外面を有する光学構造体を形成する(すなわち、結合面は、部分反射性内面45に対して傾斜している)。一対の外部平行面と、一対の平行面に対して傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内面(最終的にはファセット40を形成する)と、を有するスライス(それ自体が光学構造体である)は、結合面で光学構造体と光学的に結合されて、第2の光学構造体を形成する。次いで、この第2の光学構造体は、1つ以上の光学アパーチャ増倍器1を抽出するために、結合面に対して垂直である2つ以上の平行な切断面に沿ってスライスされる。
【0058】
第2の実施形態のセットでは、
図5A~
図5Dを参照して説明するように、LOE20の接合スタックが取得される。LOEのこの接合スタックは、LOE20のファセット45に対して傾斜している(かつLOE20の面22a、22bに対しても垂直である)結合面を有する第1の光学構造体を構成する。実施形態の第1のセットと同様に、一対の外部平行面と、一対の平行面に対して傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内面(最終的にはファセット40を形成する)と、を有するスライスは、結合面で光学構造体と光学的に結合されて、第2の光学構造体を形成する。次いで、この第2の光学構造体は、1つ以上の光学アパーチャ増倍器1を抽出するために、結合面に対して垂直である2つ以上の平行な切断面に沿ってスライスされる。この場合、切断面は、LOE20の面22a、22bに平行であり、特定の場合、LOE20の面22a、22bにほぼ位置し得る。説明されるように、特定の実施形態では、LOE20の接合スタックは、複数の透明なスペーサプレートを含むことができ、LOE20とスペーサプレートとが、LOE20の面22a、22bに対して垂直である接合スタックの長さに沿って交互に配置されている。そのような実施形態では、連続する切断面は、1つのLOEがそれらの間に挟持された連続するスペーサプレート内に位置する。
【0059】
以下の説明から明らかになるように、これらの実施形態のセットの両方は、概して、1)一対の外部平行面と、一対の平行面に対して傾斜している複数の内面(最終的にはファセット40を形成する)とを有するスライスを取得することと、2)i)結合面を含む複数の外面と、ii)結合面に対して傾斜している結合面と、を有する第1の光学構造体を取得することと、3)スライスの一対の平行面の面のうちの1つが第1の光学構造体の結合面と対向関係になるように、スライスを光学構造体と光学的に結合することによって、第2の光学構造体を形成することと、4)第2の光学構造体を、結合面に対して垂直である少なくとも2つの切断面を通して切断することと、を含むステップを用いる。
【0060】
ここで、
図2A~
図2Iを参照すると、本発明の実施形態の第1のセットによる、光学アパーチャ増倍器1などの光学アパーチャ増倍器を作製するために使用され得る、好ましい方法(プロセス)のステップが示されている。
【0061】
図2Aに示されるように、一対の平行面112a、112bを含む複数の外面を有するスライス110が取得される。スライス110はまた、面112a、112bに対して傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内面(ファセット)40を有する。更に、スライス110は、特定の実施形態では、面112a、112bとともに矩形断面を形成する一対の平行面でもある別の一対の面114a、114bを有する。スライス110は、平行面であっても又はなくてもよい面116a、116bの追加の対を更に有する。特定の実施形態では、スライス110の面112a、112b、114a、114b、116a、116bの3つの対は、相互に直交する。
【0062】
当然のことながら、スライス110自体が光学構造体であり、「スライス」という用語は、光学構造体110を生成することができる好ましい方法に言及する一手段としての命名規則として本明細書で使用される。概して、スライス110は、典型的には、積み重ねられたプレートから形成された光学構造体からスライスが「切り出される」様々な方法で取得することができる。1つの例示的な方法では、
図3Aに示されるように、平行な上面103a及び下面103bを有する複数のコーティングされた透明プレート102が取得される。コーティングされた透明プレートのコーティングは、ファセット40の部分的な反射性を提供する(すなわち、ファセット40が部分的に反射するように)選択的反射コーティングである。プレート102は、
図3Bに示されるように、交互スタックに位置合わせされて配置され、ともに接合されて接合スタック101を形成する。この接合は、各プレート102について、プレートの下面103bが、隣接するプレートの上面103aと連結されるようにするものである。本文書全体を通して、「接合された」又は「接合」なる用語は、光学接着剤又は粘着剤又は任意の他の好適な接着剤を用いて取り付けられる、又は取り付けることを意味することは、理解されるべきである。
【0063】
次に、接合スタック101は、1つ以上のスライス110を生成するために、表面103a、103bに対して傾斜している少なくとも2つの平行な切断面(
図3Bの点線104によって示されている)に沿って切断される。切断面104は、所定の均一な間隔で離間されることが好ましい。切断面104に沿った切断の結果として、各スライス110は、一対の平行な面112a、112bと、面112a、112bに対して傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内面(ファセット)40と、を有する。切断面104は、最終的な矩形導波路10内のファセット40の斜角を画定することに留意されたい。示された実施形態では、面104は、プレート102の側面に垂直である(図では、プレート102は、xy平面に平行な平面内にある)。ただし、特定の実施形態では、切断面104は、ファセット40が平行面114a、114bに対しても傾斜するように、側面(xy平面)に対して傾斜角度を有することができる。スタック101は、スライス110の面114a、114b、116a、116bの他の対のうちの1つ以上を設定するために、好ましくは平面104に対して直交するが必ずしもそうではない切断面のうちの1つ以上の対(好ましくは、平行な切断面の対であるが、必ずしもそうではない)に沿って更に切断されてもよい。
【0064】
スライス110を取得するための別の例示的な方法が、
図4に示されている。ここで、プレート102は、非交互接合スタック109(すなわち、矩形又はほぼ矩形のブロック)を形成するように位置合わせされて接合され、次いで、平行な切断面104’(表面103a、103bに対して傾斜している)に沿って切断されて、1つ以上のスライス110を抽出する。示された実施形態では、面104‘は、プレート102の側面に垂直である(図では、プレート102は、xy平面に平行な平面内にある)。ただし、特定の実施形態では、切断面104‘は、ファセット40が平行面114a、114bに対しても傾斜するように、側面(xy平面)に対して傾斜角度を有することができる。また、スタック101と同様に、スタック109は、スライス110の面114a、114b、116a、116bの他の対のうちの1つ以上を設定するために、好ましくは平面104’に対して直交するが必ずしもそうではない切断面のうちの1つ以上の対(好ましくは、平行な切断面の対であるが、必ずしもそうではない)に沿って更に切断されてもよい。
【0065】
ここで
図2A~
図2Iに戻ると、特定の実施形態では、プレート120aは、
図2B及び
図2Cに示されるように、スライス110の面112aと位置合わせされ、スライス110の面112aに適用され得る。代替的に、又は追加的に、プレート120bは、
図2B及び
図2Cに示されるように、スライス110の面112bと位置合わせされ、スライス110の面112bに適用され得る。プレート120a、120bを面112a、112bへ適用することは、面112a、112bにおいて、プレート120a、120bとスライス110との間の光結合を構成する。特定の実施形態では、この光結合は、接合によって実現され、それによって、プレート120aは、プレートが面112aと連結されるようにスライス110に接合され、及び/又はプレート120bは、プレート120bが面112bと連結されるようにスライス110に接合される。
【0066】
カバープレート120a、120bは、例えば、面112a、112bのいずれか又は両方の研磨中にスライス110上に形成され得るチップから保護することによって、スライス110に両方の機械的保護を提供することができる。機械的保護を提供することに加えて、カバープレート120a、120bは、様々な材料又はコーティングを適用することによって、光学的機能を果たすことができる。一例では、プレート120a(及び/又はプレート120b)は、反射コーティングを含み、これは、外部(実世界)シーンからの光が導波路10に入るのを防止する一方で、導波路10の面12a(及び/又は面12b)での内部反射の条件も保持する。別の例では、プレート120a(及び/又はプレート120b)とスライス110とをともに結合するために使用される光学セメントは、プレート120a、120bとスライス110との間の界面に汚れ、破片、又は他の微粒子が蓄積しているにもかかわらず、導波路10の面12a(及び/又は面12b)で全内部反射の状態を維持するために、低い屈折率(スライス110が構築されている材料の屈折率よりも低い、すなわち、プレート102の屈折率よりも低い)を有する。例えば、約1.35の屈折率を有する光学セメントは、プレート120a、120bをスライス110に接合するために特に好適であり得る。
【0067】
特定の実施形態では、プレート120a又は120bのうちの1つは、導波路10から導波路20内に透過される光の偏光を制御又は変更するために、偏光管理特性を有することができる(すなわち、プレート120bは、偏光管理プレートであり得る)。偏光管理プレートは、例えば、波長板(半波長板など)及び/又は偏光子として実装することができる。
【0068】
前述の材料又はコーティングを有する光学的に結合するプレート120a、120bの代わりに、材料又はコーティングは、面112a、112bのいずれか又は両方に直接適用することができることに留意されたい。例えば、反射コーティングは、面112a、112bのいずれか又は両方に直接適用することができ、不必要な反射を防止し、面112a及び/又は面112bにおける内部反射の条件を保持する。
【0069】
ここで
図2Dを参照すると、平行な上部主表面203a及び下部主表面203bを有する複数のコーティングされた透明プレート202が取得される。コーティングされた透明プレートのコーティングは、光導波路20のファセット45の部分的な反射性を提供する(すなわち、ファセット45が部分的に反射するように)選択的反射コーティングである。
【0070】
プレート202は、
図2Eに示されるように、スタック(好ましくは非交互スタック)に位置合わせされ配置され、ともに接合されて、平行プレート202の接合スタック210を形成する。この接合は、各プレート202について、プレートの下面203bが、隣接するプレートの上面203aと接合されるようにするものである。接合スタック210は、面212a、212b、214a、214b、216a、216bの3つの対を有し、それらの各々は、一対の平行面であっても又はなくてもよい。面212a、212bは、好ましくは平行面であり、したがって、好ましくは、プレート202の表面203a、203bに平行である。更に、接合スタック210内の上部プレートの表面203aは、面212aを形成し、接合スタック210内の下部プレートの表面203bは、面212bを形成する。
【0071】
特定の実施形態では、面212a、212bの対、及び面214a、214bの対は、平行面の両方の対であり、矩形断面をともに形成する。特定の実施形態では、接合スタック210の面の対の各々は、一対の平行面であり、面212a、212b、214a、214b、216a、216bの3つの対は、相互に直交する。概して、接合スタック210の面のいずれかの対が最初に一対の平行面でない場合、その対の面のいずれか又は両方を研磨して、対の面間の平行性を達成できることに留意されたい。
【0072】
図2Eに示される非限定的な実施形態における例示的なスタック210は非交互スタックであり、それによって、プレート202の様々な側面(すなわち、上面203a及び下面203b以外のプレート202の表面)が位置合わせされ、共平面であり、概して平坦で滑らかな面214a、214b、216a、216bを形成することに留意されたい。例えば、yz平面に平行な平面内にあるプレート202の前面は、面214aを形成するように位置合わせされ、yz平面に平行な平面内にあるプレート202の背面(図示せず)は、面214bを形成するように位置合わせされ、それによって、面214a、214bの各々は、概して平坦で滑らかな表面である。同様の原理は、面216a、216bを形成する側面に適用される。しかしながら、特定の実施形態では、例えば、スタック210が交互スタックとして形成される実施形態では、面214a、214b、216a、216bのうちの1つ以上は、スタック210を形成する構成プレート202の側面の段又は深さの変化(すなわち、セットダウン又はステップアップ)を含むことができる。したがって、面214a、214b、216a、216bを説明し、請求するために本明細書で使用される「面」という用語は、概して、その面を形成するプレート202の表面に平行である平面内にある見かけの面を指す。例えば、面214aは、プレート202の前面の深さの変化にもかかわらず、yz平面に対して平行である平面内にある見かけの面を指す。スタック210が非交互スタックであり、プレート202が(例えば、
図2Eに示されるように)完全に位置合わせされている実施形態では、見かけの面及び実際の面は、同じである。
【0073】
ここで、
図2F及び
図2Gを参照すると、光学構造体220(
図2G)は、接合スタック210から生成される。光学構造体220は、コーティングされた透明プレート202の主表面203a、203bに対して傾斜している、平面結合面222(「結合面」、「接合表面」、「界面表面」、又は単に「面」222とも称される)を含む複数の外部表面(面)を有する(すなわち、結合面222は、コーティングされた透明プレート202から形成される内部ファセット45に対して傾斜している)。第2の導波路20の面24aは、最終的に、結合面222から形成され、したがって、結合面222の一部分は、2つの導波路10、20の間の界面平面の一部を形成する。
【0074】
また、光学構造体220の外面は、結合面222をある角度で隣接させる主面234a(以下に考察されるように、接合スタック210の面214aから形成される)を含む。
図2Gに示される実施形態などの特定の実施形態では、結合面222と面234aとの間の隣接角度は、90°である(すなわち、結合面222は、面234aに対して垂直である)。他の実施形態では、結合面222と面234aとの間の隣接角度は、斜角、好ましくは鋭角である。そのような斜角の実施形態は、第2の光導波路20のファセット45が、第1の光導波路10に対して傾斜角度を有する(すなわち、面12a、12bに対して傾斜している)、最終的な光学デバイス(光学アパーチャ増倍器生成物)の生成に特に適している。特定の斜角(好ましくは鋭角)の選択は、最終的な光学アパーチャ増倍器生成物の光学設計仕様に基づき得る。
【0075】
特定の実施形態では、接合スタック210(非交互、交互にかかわらず)は、切断面204(
図2F)に沿って切断され、光学構造体220を生成する。他の実施形態では、光学構造体220は、接合スタック210を研削又は研磨して、切断面204に到達するまで接合スタック210の部分211内の材料を徐々に除去することによって生成することができる。
【0076】
切断面204が、面212a、216bの一部分を通過するように、かつ結果として得られる結合面222もまた、面212aに対して傾斜しており、面214aに対してある角度であるように、切断面204は、好ましくは、面212aに対して傾斜しており(したがって、スタック210/光学構造体220を形成するプレート202の上面203a及び下面203bに対して傾斜している)、面214aに対してある角度である。上述したように、面214aに対する切断面204の角度は、特定の実施形態では、90°であり得(すなわち、切断面204は、面214aに対して垂直であり得る)、他の実施形態では、斜角(好ましくは鋭角)であり得る。
【0077】
概して、切断面204と面214aとの間の所望の角度からのあらゆる偏差、又は結果として得られる結合面222と面234aとの間の所望の角度からのあらゆる偏差は、結合面222において(すなわち、切断面204の位置において)光学構造体220を更に研磨又はスライス/切断することによって修正することができる。無駄を避けるために、光学構造体220内の切断面204の位置は、好ましくは、結合面222の長さ(
図2Gの「z」方向で測定される長さ)がスライス110の長さ(同様に
図2Aの「z」方向で測定される)に対応するように選択される。
【0078】
除去された(切断面204において切断することによる、又は切断面204に研削又は研磨することによる)接合スタック210の部分211は、特定の実施形態では、概して、以下の面を含む三角形プリズム部分であり得る:i)面212aの第1の部分231a(面212aの少数部分であり得る)、ii)面214a、214bの2つのほぼ三角形部分、及びiii)面216bの部分(矩形部分であり得る)237。平面204が面214aに対して垂直である実施形態では、第1の部分231aは、矩形部分である。平面204が面214aに対して傾斜している実施形態では、第1の部分231aは、非平行四辺形(及びアメリカ英語の「trapezoid(台形)」)である。面214a、214b、216a、216bの文脈での「面」なる用語を定義するために使用される原則は、ここでは、面234a、234b、236a、236bの文脈でも適用されることに留意されたい。
【0079】
その結果、特定の実施形態では、光学構造体220(部分211の除去によって形成される)は、以下の面を有し得る。i)一対の好ましくは平行な面232a、232bであって、面232aが、面212aの第2の部分(第1の部分231aの除去後の面212aの残りの部分)であり、面232bが、面212bと同じである、一対の好ましくは平行な面232a、232b、ii)一対の好ましくは(必ずしもそうではない)平行な台形又は略四角形であり、面232a、232bに対して垂直であってもよく、面214a、214bの三角形部分を除去することによって形成される面234a、234b、iii)面216aと同じであり、面232a、232b、234a、234bに対して垂直であってもよい面236a、iv)面236aに平行であってよく、部分237の除去後の面216bの残りの部分である面236b、及びv)面232a(すなわち、部分211の除去後の面212aの残りの部分)に対して傾斜しており、面234a(すなわち、部分211の除去後の面214aの残りの部分)に対して垂直(
図2Gに示すとおり)又は傾斜している(好ましくは鋭角)である接合表面222。
【0080】
平面204が面214aに対して垂直である実施形態では、第2の部分232aは、矩形部分である。平面204が面214aに対して傾斜している実施形態では、第2の部分232aは、非平行四辺形(及びアメリカ英語の「trapezoid(台形)」)である。
【0081】
平面204は、部分231aと面232aとの間の境界を規定(画定)し、また、部分237と面236bとの間の境界を規定することに留意されたい。
【0082】
ここでも、結合面222と面234aとの間の所望の角度からのあらゆる偏差は、切断面204の位置において光学構造体220を研磨することによって修正することができる。実際、結合面222は、2つの導波路10、20の間の界面平面の一部を最終的に形成するので、結合面222が高い光学的品質であることを確実にするために、そのような角度偏差がない場合(又は、そのような角度偏差が修正を必要としないほど小さい場合)であっても、結合面222を研磨することが好ましい。光学構造体220が、接合スタック210を研磨して、接合スタック210の部分211内の材料を徐々に除去することによって生成される実施形態では、更なる研磨ステップは必要ではない場合がある。
【0083】
ここで
図2Hを参照すると、スライス110は、光学構造体220と光学的に結合されて、光学構造体240(光学アパーチャ増倍器作製プロセスの中間作業生成物)を形成し、それによって、面112a、112bは、結合面222に対して平行であり、かつ、それによって、面112a又は112bのうちの1つが、結合面222と対向関係になる。中間作業生成物として、光学構造体240は、それぞれ第1の(又は第2の)部分及び第2の(又は第1の)部分として、スライス110及び光学構造体220を含む。スライス110が、スライス110の結合面(すなわち、面112a又は112b)においていずれのカバープレートも含まない実施形態では、光結合は、面112a又は112bのうちの1つが結合面222に取り付けられるようにするものである。
【0084】
示された実施形態では、面112bが結合面222と対向関係にあるように示されているが、代替的に、面112aが結合面222と対向関係になることができる。面112a、112bのうちのどちらが結合面222と対向関係になるべきかという選択は、例えば、導波路10に対する光学画像生成器の展開位置を含む、最終的な光学アパーチャ増倍器生成物の光学設計仕様に基づき得る。この光結合は、面112b(又は112a)及び結合面222がともに連結されるように、接着剤接合によって実現することができる。代替的に、光結合は、面112b(又は112a)と結合面222との間の設計された厚さの空隙を有する機械的結合であり得る。スライス110の結合面(112b又は112a)がカバープレートを有する実施形態では、スライス110と光学構造体220との間の光結合は、カバープレート120b(又は120a)が結合面222に光学的に取り付けられるようにするものであり、これは、カバープレート120b(又は120a)と結合面222とがともに、又はカバープレート120b(又は120a)と結合面222との間の空隙を有する機械的結合によって、連結されるように、カバープレート120b(又は120a)を結合面222と接合することによって、実現され得る。
【0085】
次いで、光学構造体240は、結合面222に対して垂直であり、スライス110及び光学構造体220を通過して、1つ以上の光学アパーチャ増倍器を生成する、少なくとも2つの平行な切断面(
図2Hの点線244によって示されている)に沿って切断される。そのような単一の光学アパーチャ増倍器を、
図2Iに示す。導波路10は、面12aにおいてカバープレート13aを有し、これは、切断面244においてカバープレート120aを切断した結果として生成されることに留意されたい。
【0086】
単一の光学アパーチャ増倍器のみが、
図2H及び
図2Iの光学構造体240から切り出されているように示されているが、接合スタック210を形成するために使用されるプレート202のサイズ及び/又は数を増やすことによって、複数の光学アパーチャ増倍器は、光学構造体240から切り出すことができる。
【0087】
光学構造体240から切り出された複数の光学アパーチャ増倍器間の一貫した厚さ(本明細書では「z軸」に沿って任意に測定される)を維持するために、切断面244が所定の均一な間隔で離間されることが好ましいことに留意されたい。
【0088】
切断面244と結合面222との間の垂直性は、同時に、i)第1の光導波路10の面14a、14bの間の平行性、ii)第1の対の平行面12a、12b、第2の対の平行面14a、14bとの間の垂直性(それによって、面12a、12b、14a、14bによる矩形断面の形成を達成する)、及びiii)第2の光導波路20の面22a、22bの間の平行性、を達成する。
【0089】
また、向上した(最適な)性能のために、切断面244が、面234aに対して垂直である(したがって、面214aに対して垂直である)ことも好ましい。特定の実施形態では、切断面244は、面114a、114bに対して平行であり得るが、他の実施形態では、切断面244は、面114a、114bに対して傾斜し得る。
【0090】
特定の実施形態では、スライス110の内部ファセット40の平面は、切断面244に対して垂直である。ファセット40と切断面244との間の垂直性が所望される実施形態では、スライス110及び光学構造体220は、垂直性からの最小限の偏差(例えば、20弧秒以内)を確実にするために、高い精度で位置合わせされるべきであることに留意されたい。
【0091】
他の実施形態では、スライス110の内部ファセット40の平面は、切断面244に対して傾斜している。そのような実施形態では、ファセット40と切断面244との間の角度は、垂直から遠く離れている、例えば、垂直から少なくとも10°、より好ましくは少なくとも20°であることが好ましい。
【0092】
ファセット40と切断面244との間で所望の角度を達成するために、スライス110は、光学アパーチャ増倍器を切り出す前に、光学構造体220と位置合わせされる。好ましくは、スライス110は、スライス110を光学構造体220と光学的に結合するステップの前に、光学構造体220と位置合わせされる。
【0093】
スライス110と光学構造体220との位置合わせは、様々な方法で実行され得る。一例では、この位置合わせは、光学構造体220を固定位置及び配向に維持し、面112b又はカバープレート120b(又は面112a又はカバープレート120a)と結合面222との間の平行性を維持し、ファセット40と切断面244との間の所望の角度が達成されるまで(垂直性が所望される場合は、例えば20弧秒以内の90°、又はファセット40と切断面244との間の斜角が所望される場合は、例えば80°以下)、スライス110を(面112b(又は120a)又は結合面222上のカバープレート120b(又は120a)とともに)光学構造体220に対して回転させることによって実行される。別の例では、スライス110は、固定位置及び配向に維持され、ファセット40と切断面244との間の所望の角度が達成されるまで、面112b又はカバープレート120b(又は面112a又はカバープレート120a)が結合面222上にあり、結合面222に対して平行である間、光学構造体220は、スライス110に対して回転される。更に別の例では、スライス110も光学構造体220も固定位置に維持されず、スライス110及び光学構造体220は、面112b又はカバープレート120b(又は面112a又はカバープレート120a)が、ファセット40と切断面244との間の所望の角度が達成されるまで、結合面222上にあり結合面222に対して平行である間、反対方向に相対的に回転される。
【0094】
当然のことながら、スタック210/光学構造体220を形成するプレート202の上面203a及び下面203bに対する、結合面222の斜角(したがって、結合面222を形成する切断面204の斜角)は、部分的に、最終的な光学アパーチャ増倍器生成物の第2の光導波路20のファセット45の斜角を画定することに留意されたい。これは、主に、結合面222と切断面244との配向の相互依存性に起因する(すなわち、切断面244は、結合面222に垂直である)。例えば、平面204/結合面222と表面203a、203との間の角度が浅くなると(すなわち、結合面222が面216bに対して平行に近づくと)、切断面244は、第2の光導波路20の面22a、22bに対して浅い傾斜角度を有するファセット45を生成する。同様に、平面204/結合面222と表面203a、203との間の角度が急になると(すなわち、結合面222が面212a、212bに対して平行に近づくと)、切断面244は、第2の光導波路20の面22a、22bに対して急な傾斜角度を有するファセット45を生成する。
【0095】
再び
図2Iに示される光学アパーチャ増倍器を参照すると、光学アパーチャ増倍器の面14a、22aは、切断面244のうちの1つに沿って光学構造体240を切断した結果として形成される単一の連続外面を形成することに留意されたい。同様に、光学アパーチャ増倍器の面14b、22bは、切断面244のうちの別の1つに沿って光学構造体240を切断した結果として形成される単一の連続外面を形成する。これらの2つの連続面は、平行である必要がある(面14a、14b及び面22a、22bの平行性は、光導波路10、20の両方を通る光の内部反射の状態を保持するために重要であるため)。これらの2つの連続面の平行性は、切断面244が平行平面であることを確実にすることによって保持することができる。ただし、切断面244の平行性からの偏差による連続面の平行性からの偏差は、切断面244に沿って光学構造体240を切断した後に連続面を研磨することによって修正することができる。加えて、2つの連続面の平行性の維持はまた、2つの連続面と面12a、12bとの間の垂直性を維持し、これは、第1の光導波路10の平行面12a、12b、14a、14bの2つの対の間の垂直性(及び矩形断面の形成)を確実にする。画像光が4倍の内部反射によって第1の光導波路10に沿って前進するときに、画像の均一性を維持するために、この平行性及び垂直性の維持は重要である。
【0096】
図2A~
図2Iには示されていないが、面22a、22bの一方又は両方は、任意選択的に、それに接合された、又はそうでなければそれと光学的に結合された透明カバープレートを有することができる。そのような透明なカバープレートを使用して、LOE20内の二重反射、すなわち、同じファセット45から光が2回反射される状況を効果的に回避することができる。具体的には、カバープレートは、ファセット45によって一度反射された後、光の透過部分は、そのファセットの上又は下に伝播し、次のファセットに直接前進することを確実にするのに役立ち、それによって、画像の均一性が強化される。LOE20の外面に取り付けられた透明カバープレートを有する光学アパーチャ増倍器の例は、2022年2月24日に出願された「Optical Aperture Multipliers Having a Rectangular Waveguide」と題された共通所有の国際特許出願第PCT/IL2022/050216号に記載されている。
【0097】
ここで、
図5A~
図5Dを参照すると、本発明の実施形態の第2のセットによる光学アパーチャ増倍器を作製するために使用され得る好ましい方法(プロセス)のステップが示されている。原則として、実施形態の第2のセットも、スライス110を光学構造体320に光学的に結合して、1つ以上の光学アパーチャ増倍器を2つ以上の切断面に沿ったスライスによって抽出することができる新しい光学構造体を形成するステップを用いるという点で、実施形態の第2のセットは実施形態の第1のセットと同様である。ただし、上記で言及され、以下の説明から更に明らかになるように、実施形態の2セット間の主な違いは、スライス110が光学的に結合されている光学構造体220、320に関するものである。
【0098】
ここで、特に
図5A及び
図5Bを参照すると、光学構造体320は、LOE20の接合スタック321、すなわち、ともに接合されたLOE20のスタックとして形成される。結果として得られる光学構造体320(すなわち、接合スタック321)は、一対の平行面302a、302bを含む複数の外面と、表面302a、302bに対して傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内面(ファセット)45と、を有する。
【0099】
接合スタック321のLOEの各々は、
図1A及び
図1Bを参照して上述したようなものであり、すなわち、LOEの各々は、一対の平行面22a、22b(並びに追加面24a、24b、26a、26b)を含む複数の外面及び外面22a、22bに対して傾斜している複数の内部ファセット45を有する。各LOE20の内部ファセット45は、光学構造体320のファセットのサブセットを構成する。接合スタック321は、5つの個別のLOE20のみから形成されるものとして
図5A及び
図5Bに示されているが、例えば、10個以上のLOE、特定の場合には20個以上のLOEを含む、より多くの数のLOEを、典型的には、スタックを形成するために使用することができる。
【0100】
そのような個別のLOE20を作製するための方法は、例えば、米国特許第7,634,214号、米国特許第8,873,150号、PCT刊行物第2016/103263号、及びPCT刊行物第2020/212835号を含む、Lumus Ltd.(Israel)による様々な刊行物に広範囲に記載されている。
【0101】
光学構造体320/接合スタック321の外面はまた、スライス110が光学的に結合される平面結合面322(実施形態の第1のセットの結合面222と同様)を含む。論じられるように、結合面322は、接合スタック321を形成する構成LOEの面24aから形成され得る。光学構造体320/接合スタック321の外面はまた、背面306a(例えば、LOEの面26aを共平面になるように位置合わせすることによって形成される)、背面306aの反対側の前面306b(例えば、LOEの面26bを共平面になるように位置合わせすることによって形成される)、及び結合面322の反対側の上面(又は上部表面)308(例えば、LOEの面24bを共平面になるように位置合わせすることによって形成される)を含み得る。特定の実施形態では、光学構造体320/接合スタック321は、矩形の直方体であり、それによって、表面306a及び306b、並びに表面308及び322は各々が、一対の平行面であり、それによって、平行面302a、302b、306a、306b、308、322の3つの対が、相互に垂直である。
【0102】
図5A~
図5Dに示される実施形態などの特定の実施形態では、LOE20の接合スタック321はまた、複数の透明なスペーサプレート324を含み得、LOE20及びスペーサプレート324は、構成LOE20の面22a、22bに対して垂直である接合スタック321の長さに沿って交互に配置されている。これらの透明なスペーサプレート324の部分は、最終的な光学アパーチャ増倍器生成物の面22a、22bに接合された透明カバープレートを形成する。そのような実施形態では、第1の隣接LOEの面22aがスペーサプレート324の一方の側面に連結され、第2の隣接LOEの面22bがスペーサプレート324の反対側に連結されるように、所与のスペーサプレート324は、2つの隣接するLOEと接合される。
【0103】
透明なスペーサプレート324が用いられていない実施形態では、隣接するLOEは、各LOEの面22aが隣接LOEの面22bに連結されるように、ともに接合される。
【0104】
接合スタック321を形成するために、好ましくは、LOEの面22a、22bの全てが相互に平行であるように、かつ、LOEの内部ファセット45の全てが相互に平行であるように(
図5A及び
図5Bに示されるように)、LOE20は位置合わせされる。更に、LOE20の面24aは、共平面となるように位置合わせされ得、それによって結合面322を形成する。スペーサプレート324を有する実施形態では、面24aの位置合わせはまた、スペーサプレート324の少数外面の位置合わせを含み得る。面24aが共平面であるように位置合わせされていない場合、接合スタック321は、結合面322を生成するために、LOE20の面22a、22bに対して垂直である平面に沿って切断及び研磨されて、LOEのうちの1つ以上の無関係な部分を除去することができることに留意されたい。
【0105】
光学構造体320の一対の平行面302a、302bは、個別のLOE20の面22a、22bに対して平行である。更に、スペーサプレート324が提供される実施形態では、表面302aは、スタック321の一端(
図5Bの右端)においてスペーサプレート324から形成され、表面302bは、スタック321の反対側の端部(
図5Bの左端)においてスペーサプレート324から形成される。当然のことながら、スタック321の端部における2つのスペーサプレート324は、スタック321の内部部分にあるスペーサプレート324と比較して厚さが増加し得る。更に、スタックの内部部分におけるスペーサプレート324は、好ましくは、共通の(すなわち、同じ)厚さを有する。
【0106】
スペーサプレート324が設けられていない実施形態では、表面302aは、スタック321の一端(
図5Bの右端)においてLOEの面22aから形成され、表面302bは、スタック321の反対側の端部(
図5Bの左端)においてLOEの面22bから形成される。
【0107】
図5Cに示されるように、スライス110は、光学構造体320/接合スタック321と光学的に結合されて、光学構造体340(光学アパーチャ増倍器作製プロセスの中間作業生成物)を形成し、それによって、面112a、112bは、結合面322に対して平行であり、かつ、それによって、面112a又は112bのうちの1つが、結合面322と対向関係になる。中間作業生成物として、光学構造体340は、それぞれ第1の(又は第2の)部分及び第2の(又は第1の)部分として、スライス110及び光学構造体320(接合スタック321)を含む。説明上の例に過ぎないが、
図5Cは、(
図5A及び
図5Bに示される5つのLOEスタックとは対照的に)18のLOEの接合スタックとして形成される光学構造体320を示すことに留意されたい。
【0108】
なお、
図5Cは、スライス110が単一のカバープレート(面112aに取り付けられたカバープレート120a)を有すると示しているが、面112b(スライス110の結合面)は、それに接合されたカバープレート120bも有し得ることを理解されたい。
【0109】
スライス110が、スライス110の結合面(すなわち、面112a又は112b)においていずれのカバープレートも含まない実施形態では、スライス110と光学構造体320との間の光結合は、面112a又は112bのうちの1つが結合面322に取り付けられるようにするものである。示された実施形態では、面112aが結合面322と対向関係にあるように示されているが、代替的に、面112bが結合面322と対向関係になることができる。この光結合は、面112a(又は112b)及び結合面322がともに連結されるように、接着剤接合によって実現することができる。代替的に、光結合は、面112a(又は112b)と結合面322との間の設計された厚さの空隙を有する機械的結合であり得る。
【0110】
スライス110の結合面(112b又は112a)がカバープレートを有する実施形態では、スライス110と光学構造体320との間の光結合は、カバープレート120a(又は120b)が結合面322に光学的に取り付けられるようにするものであり、これは、カバープレート120a(又は120b)と結合面322とがともに、又はカバープレート120a(又は120b)と結合面322との間に空隙を有する機械的結合によって、連結されるように、カバープレート120a(又は120b)を結合面322と接合することによって、実現され得る。
【0111】
次いで、光学構造体340は、LOE20の面22a、22bに対して平行であり、結合面322に対して垂直であり、スライス110及び光学構造体320を通過する、少なくとも2つの好ましくは平行な切断面(
図5Cの点線344によって示される)に沿って切断され、1つ以上の光学アパーチャ増倍器を生成する。そのような単一の光学アパーチャ増倍器1’が、
図5Dに示されている。
図2Iの光学アパーチャ増倍器1と同様に、導波路10は、面12aにおいてカバープレート13aを有し、これは、切断面344においてカバープレート120aを切断した結果として生成される。
図2Iの光学アパーチャ増倍器1とは対照的に、光学アパーチャ増倍器1’はまた、面22a、22bに取り付けられたカバープレート39a、39a(連続したスペーサプレート324を通して切断することによって形成される)を有することに留意されたい。
【0112】
単一の光学アパーチャ増倍器だけが、
図5C及び
図5Dの光学構造体340から切り出されているように示されているが、複数の光学アパーチャ増倍器は、光学構造体340から切り出すことができる。
【0113】
面22a、22bに対する切断面344の平行性からのあらゆる偏差は、切断面344に沿った切断の視野/位置において、切り出された光学アパーチャ増倍器を研磨することによって修正することができる。
【0114】
透明なスペーサプレート324が使用される実施形態では、2つの連続する切断面344は、それらの間に挟まれた接合スタック321のLOE20のうちの1つを有する連続スペーサプレート内に位置する。好ましくは、各切断面は、スペーサプレート324を2つのほぼ等しい部分に効果的に分割するように、対応するスペーサプレート324の中心に位置する。導波路20の面22a、22bに接合された透明カバープレートを有することが望ましい状況では、実施形態の第2のセットによる光学アパーチャ増倍器の作製は、実施形態の第1のセットによる作製よりも好ましい場合があることに留意されたい。これは、実施形態の第2のセットによる光学アパーチャ増倍器の作製によって、結果として、カバープレート(
図5Dでは39a及び39bと示される)が導波路10の側面14a、14bと共平面になり、それによって、カバープレートが表面14a、14bを超えて突出しない洗練された構成を提供する(これは、カバープレートを実施形態の第1のセットに従って作製された導波路20に適用するときに発生し得る)という事実に起因する。
【0115】
透明なスペーサプレート324が用いられていない実施形態では、各々が切り出された光学アパーチャ増倍器が、接合スタック321のLOE20のうちの1つのみを有するように、連続した切断面344は、接合スタック321の連続したLOE20の面22a、22bの間に、より好ましくは、連続したLOE20の面22a、22bの間に形成された接合領域に位置することが好ましい。例えば、切断面のうちの第1の切断面は、LOE20のうちの第1のLOEの面22bと、LOE20のうちの第1のLOEに隣接して接合される、LOE20のうちの第2のLOEの面22aとの間を通過することが好ましい。切断面のうちの第1の切断面に隣接する切断面のうちの第2の切断面は、LOE20のうちの第2の切断面の面22bと、LOE20のうちの第2の切断面に隣接し、接合されているLOE20のうちの第3の切断面の面22aとの間の接合領域を通過する。本明細書では、接合領域(連続したLOE20の面22a、22bの間に形成される)は、切断面344の配置のためのガイドを提供することができることに留意されたい。
【0116】
光学構造体340の形成前(スペーサプレート324の有無にかかわらず)、スライス110及び光学構造体320は、
図2Hを参照して上記で説明したものと同様の状態における光学性能の向上を達成するために、好ましくは適切に位置合わせされる。例えば、表面302a及び面114a又は114bの一方が平行(好ましくは共平面)であるように、かつ表面302b及び面114b又は114aの他方が平行(好ましくは共平面)であるように、スライス110と光学構造体320とが位置合わせされることが好ましい。また、表面306aと面116a又は116bの一方とが平行(好ましくは共平面)であるように、かつ表面306bと面116b又は116aの他方とが平行(好ましくは共平面)であるように、スライス110と光学構造体320とを位置合わせさせることが好ましい場合がある。そのような好ましい位置合わせが
図5Cに示されている。
【0117】
この位置合わせは、スライス110と光学構造体220との位置合わせについて説明したときと同様に、光学構造体320に対してスライス110を回転させることによって達成され得る。また、スライス110と光学構造体320との間の位置合わせ及び光結合は、必然的に、結果としてファセット40がファセット45に非平行になることにも留意されたい。
【0118】
本明細書に記載の実施形態では、スライス110は、導波路10の伸長方向に垂直であり、切断面244、344に対しても概ね垂直である初期伸長方向(本明細書では「z軸」に対応するものとして任意に示される)を有することに留意されたい。スライス110のこの伸長方向は、光学構造体(240又は340)から複数の光学アパーチャ増倍器を抽出することを可能にし、それによって、抽出された各光学アパーチャ増倍器の導波路10部分が光学構造体(240又は340)のスライス110の部分から抽出される。
【0119】
1つ以上の追加の光学構成要素は、導波路の1つ以上の外面において、本明細書に記載の方法を使用して生成された光学アパーチャ増倍器生成物と光学的に結合又は接合され得ることに留意されたい。そのような光学部品の例としては、例えば、光内部結合構成、偏光子、脱偏光子、及びレンズが挙げられる。光内部結合構成が、外部結合プリズム又は外部結合反射板配置の形態で使用されて、注入された画像が4倍の内部反射によって第1の光導波路10を通って前進するように、光学画像生成器からのコリメートされた画像光を第1の光導波路10に導入/注入する。
【0120】
一組の例として、例えば、その文書の
図8A~
図14Cを参照して、米国特許第10,133,070号に記載されている結合プリズムのいずれかは、第1の光導波路10に光注入を提供するために、第1の光導波路10に接合されるか、又はそうでなければ光学的に結合されることができる。特定の場合において、そのような結合プリズムの取り付けは、外部導波路面12a、12b、14a、14bの一部への追加のコーティングの適用、及び/又は第1の光導波路10の一部分の切断又はそうでなければ除去を必要とし得る。
【0121】
別の一組の例では、結合プリズム(特定の構成では、結合プリズムの面のうちの1つ上に結合反射板も含み得る)は、例えば、2022年2月24日に出願された「Optical Aperture Multipliers Having a Rectangular Waveguide」と題された共通所有の国際特許出願第PCT/IL2022/050216号に記載されているように、第1の光導波路10の前面14a、背面14bの一部分と関連して展開され得る。そのような展開は、面12a又は12bを、異なる光学特性を有する第1の領域(面12a又は12bの大部分に対応する)及び第2の領域(面12a又は12bの残りの少数に対応する)に分割することを必要とし得る。細分化は、面12a又は12bの大部分又は少数部分と関連して展開されたコーティング又は材料によって実現され得、これは、そのようなコーティング又は材料をスライス110の面112a又は112bの必要な部分に適用することによって達成され得る。
【0122】
コリメート画像を光内部結合構成に提供する光学画像生成器は、典型的には、液晶オンシリコン(LCoS)チップなどの、典型的には、空間光変調器を照明するために展開された、少なくとも1つの光源を含む、マイクロプロジェクタ光学デバイスである。空間光変調器は、画像の各画素の投影強度を変調し、それによって、画像を生成する。代替的に、光学画像生成器は、典型的には、高速スキャンニングミラーを使用して実装されるスキャンニング配置を含むことができ、その高速スキャンニングミラーは、ビームの強度がスキャンニング運動と同期して画素単位で変化しながら、画像生成器の画像平面を横切ってレーザ光源からの照明をスキャンニングし、それによって、各画素のための所望の強度を投影する。どちらの場合も、無限遠にコリメートされる出力投影画像を生成するために、コリメート光学系が設けられる。画像生成器の上記の部品のいくつか又は全てが、典型的には、当技術分野では周知であるように、1つ以上の偏光ビームスプリッタ立方体、又は他のプリズム配置の表面上に配置される。
【0123】
上述のように、光学アパーチャ増倍器と光学的に結合される1つ以上の追加の光学構成要素、特に光内部結合構成要素を提供することが望ましい場合がある。この目的のために、一対の導波路及びそれらに取り付けられた、又はそうでなければそれらと光学的に結合された光内部結合構成を各々が有する光学アパーチャ増倍器の大量生産を可能にするために、上述の光学構造体と光学的に結合され得る追加の光学構造体(そこから光内部結合構成要素を抽出することができる)を提供することが特に有利であり得る。これを念頭に置いて、
図6A~
図6Eは、本発明の実施形態による、導波路10、20、及び導波路10に接合された(又はそうでなければ導波路10と光学的に結合された)光内部結合構成を有する光学アパーチャ増倍器を作製するために使用され得る方法(プロセス)のステップを示す。
図6Aは、複数の光内部結合構成を抽出することができる追加の光学構造体420を示し、
図6B~
図6Eは、光学構造体420と光学構造体340との光結合、及び光学構造体500からの光学アパーチャ増倍器の抽出によって形成された光学構造体500を示す。
図6B~
図6Dに示される例は、実施形態の第2のセットによる作製プロセスの文脈内で提供されるが、同様の技術も、実施形態の第1のセットによる作製プロセスに適用され得ることに留意されたい。
【0124】
ここで、
図6A~
図6Eを詳細に見ると、光学構造体420は、光透過材料から形成され、一対の平行面402a、402bを含む複数の外面と、面402a、402bに対して傾斜している複数の相互に平行な内面50と、を有する。光学構造体420の外面はまた、面404a、404b(特定の実施形態では、面402a、402bに対して垂直である一対の平行面であり得る)、並びに面406a、406b(特定の実施形態では、一対の平行面であり得、また、面402a、402b、404a、404bに対して垂直であり得ることを含むことができる。
【0125】
特定の実施形態では、内面50は反射性表面であるが、他の実施形態では、内面50は部分反射性表面(ビーム分割表面など)である。光学構造体420は、上述のように、透明プレート(反射又は部分反射コーティングでコーティングすることができる)を積み重ねてともに接合することによって光学構造体420を生成することと、次いで、スライス110を生成するために使用される方法と同様の方法で、接合されたプレートをスライスすることとを含む、様々な方法で取得することができる。
【0126】
図6B~
図6Dに示されるように、光学構造体420は、光学構造体420の結合面(面402a、402bのうちの1つであり得る)が、スライス110の外面のうちの1つと対向関係になるように、光学構造体340のスライス110部分と光学的に結合される。光学構造体340、420の間の光学的結合は、以下の3つの部分を有する中間作業生成物である新しい光学構造体500を生成する。1)LOE部分の接合スタック(すなわち、光学構造体320)、2)スライス110部分、及び3)光学構造体420部分。
【0127】
示される実施形態では、光学構造体420の結合面は、スライス110の面116bに対して対向関係で展開されている面402aである。特定の実施形態では、光学構造体420は、結合面(例えば、面402a)が面116b(又は面116a)に連結されるように、スライス110と接合される。スライス110の外面のうちのどちらが光学構造体420の結合面と対向関係になるべきかという選択は、例えば、光内部結合構成及び導波路10に対する光学画像生成器の展開位置を含む、最終的な光学アパーチャ増倍器生成物の光学設計仕様に基づくことができることに留意されたい。
【0128】
光学構造体420をスライス110と光学的に結合する前に、光学構造体420及びスライス110は、好ましくは位置合わせされる。示された実施形態では、この位置合わせは、好ましくは、各内面50が、接合スタック321のLOEのうちの対応する1つに対応し、好ましくは、接合スタック321のLOEのうちの対応する1つの面22a、22bの間に位置するようにする。特定の実施形態では、位置合わせは、各内面50が、対応するLOEの面22a、22bの間に延在するようにする。位置合わせは、更に、内面50がファセット40及び45に非平行であるようにする。
【0129】
特定の実施形態では、スライス110との光学構造体420の位置合わせはまた、面114a及び406aが平行(好ましくは共平面)であり、面114b及び406bが平行(好ましくは共平面)であるようにする。
【0130】
図6Dは、例示的な切断面344(
図5Cに示されるものと同じ)を有する光学構造体500を示す。光学構造体500は、2つ以上の切断面344に沿って切断されて、1つ以上の光学アパーチャ増倍器を生成する(抽出する/切り出す)。一対の導波路(10、20)及びそれに取り付けられた内部結合構成42を有する、そのような切り出された単一の光学アパーチャ増倍器1’‘が、
図6Eに示されている。光内部結合構成42は、光学構造体420から生成され、単一の内面50を含む。
【0131】
図6A~
図6Eの実施形態では、スライス110はカバープレート120a、120bなしで示されているが、カバープレート120a、120bの一方又は両方は、それぞれの面112a、112bに適用することができることを理解されたい。
【0132】
上述したように、光内部結合構成が取り付けられた光学アパーチャ増倍器を生成するための同様の技術は、実施形態の第1のセットによる作製プロセスとともに使用され得る。例えば、光学構造体420は、一対の導波路10、20及びそれに取り付けられた光内部結合構成42を有する光学アパーチャ増倍器を生成するために、例えば、面116bにおいて、
図2Hの光学構造体240と光学的に結合することができる。
【0133】
図面に示される光学構造体420は、光内部結合構成を抽出することができる光学構造体の単なる非限定的な一例であることに留意されたい。概して、結合面(例えば、面402a)、及び複数の光内部結合面(例えば、内面50)、又は結合面に幾何学的に係合された要素若しくは表面区分を有する任意の光学構造体は、光学構造体340又は240と光学的に結合することができる。細長いプリズムは、光内部結合構成を抽出することができる光学構造体の別の非限定的な例である。そのような細長いプリズムは、(スライス110と光学的に結合するための)結合面を含む複数の外面と、複数の非重複区分に細分化することができる光内部結合面と、を有し得る。各区分は、例えば、切断面344に沿ってスライスされると、各区分が、光学アパーチャ増倍器のための光内部結合面となるように、光学構造体320の異なるそれぞれのLOE20に対応することができる。
【0134】
本明細書に記載された様々な光学構造体の位置合わせは、好適な光学位置合わせ技術/方法を実行する任意の好適な光学位置合わせ装置/デバイス/工具を使用して実行することができる。そのような好適な光学位置合わせ装置/デバイス/工具は、例えば、1つ以上のコンピュータ化された制御デバイス、1つ以上のコンピュータ化された処理デバイス、例えば、1つ以上の光源を有する1つ以上の光学サブシステム、1つ以上の光検出器/センサ(光学センサを含む)、1つ以上の光学部品(例えば、1つ以上のレンズ、1つ以上の折り畳み式光学部品、1つ以上のプリズムなど)、オートコリメータなどを含むことができる。本明細書に記載される様々な光学構造体を位置合わせするために使用可能な好適な光学位置合わせ装置/デバイス/工具/方法の非限定的な例の詳細は、例えば、国際特許出願第PCT/IL2021/051377号及び国際特許出願第PCT/IL2021/051378号を含む、Lumus Ltd.(Israel)による様々な刊行物に見出すことができる。
【0135】
本開示は、様々な他の光学構造体又は光学生成物を生成するために、光学構造体又は材料が切断面に沿って切断される様々な切断ステップを説明した。特定の実施形態では、これらの切断ステップの結果得られる表面を含む、かつ特にそれらの表面を含む、これらの光学構造体及び材料の表面のいくつか又は全てを研磨して、例えば、光学品質を向上させることができることに留意されたい。特定の実施形態では、研磨は、これらの切断ステップの一部として、又はこれらの切断ステップに続いて、及び後続の光結合(例えば、接合)ステップの前に実行することができる。上記の作製方法では、当業者によって理解される必要があるように、本明細書に記載された様々な光学構造体の切断又は切り出しは、任意の好適な切断装置/デバイス/工具によって実行することができる。本明細書に記載された様々な光学構造体の面及び表面の研磨は、当業者によって理解される必要があるように、任意の好適な研磨装置/デバイス/工具によって実行することができる。
【0136】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図されていない。記載された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱しない多くの修正及び変形が、当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実用的な応用又は技術的な改善を最良に説明するために、又は当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【0137】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の参照を含む。
【0138】
「例示的」という言葉は、本明細書では、「例、実例、又は例示として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではなく、及び/又は他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するものではない。
【0139】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の好適な部分的な組み合わせで、又は本発明の他の任意の記載された実施形態で好適であるとして提供され得る。様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0140】
本発明は、その特定の実施形態と併せて記載されてきたが、多くの代替、修正、及び変形が当業者には明らかになるであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に収まる全てのこのような代替、修正、及び変形を包含することが意図されている。
【国際調査報告】