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特表2024-522055材料押出によって部品を付加製造する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】材料押出によって部品を付加製造する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/188 20170101AFI20240604BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240604BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20240604BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240604BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240604BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240604BHJP
   B22F 12/45 20210101ALI20240604BHJP
   B22F 10/18 20210101ALI20240604BHJP
   B22F 10/20 20210101ALI20240604BHJP
   B22F 10/34 20210101ALI20240604BHJP
   B23K 26/352 20140101ALI20240604BHJP
【FI】
B29C64/188
B33Y30/00
B29C64/118
B33Y10/00
B33Y50/02
B29C64/393
B22F12/45
B22F10/18
B22F10/20
B22F10/34
B23K26/352
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568056
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2022061786
(87)【国際公開番号】W WO2022233831
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102021111966.9
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】ヴェグヴェルス ポール
【テーマコード(参考)】
4E168
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4E168AB02
4E168AC01
4E168AD00
4E168DA13
4E168DA42
4E168DA43
4F213WA25
4F213WA53
4F213WA62
4F213WA74
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL52
4F213WL74
4F213WL85
4F213WL94
4K018CA33
(57)【要約】
材料押出によって部品を付加製造する方法及び装置において、キャリア10上に粘性状態で層ごとに塗布される部品材料から、部品1が層状に構築される。本方法において、それぞれ層8として塗布される部品材料が、塗布と同期して、依然として粘性状態において、層8の側方境界部に向けられる少なくとも1つのレーザービーム3によって加工され、好ましくは、部品1の表面の不均一性の平滑化を達成する。本方法は、後加工を行う必要なく、目に見えない表面の表面粗さも軽減しながら、材料押出による部品の製造を可能にする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料押出によって部品を付加製造する方法であって、キャリア(10)上に粘性状態で層ごとに塗布される部品材料から、前記部品(1)が層状に構築され、
それぞれ層(8)として塗布される前記部品材料が、材料塗布と同期して、依然として粘性状態において、前記層(8)の側方境界部に向けられる少なくとも1つのレーザービーム(3)によって加工され、材料塗布及びレーザー加工が共通のプロセスステップをなすことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記層(8)の前記側方境界部は、前記レーザービーム(3)によって少なくとも部分的に成形及び/又は除去されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塗布された部品材料は、前記層(8)の前記側方境界部において、前記レーザービーム(3)によって溶融及び/又は部分的に蒸発されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記層状構築によってもたらされる前記部品(1)の表面の不均一性の平滑化が達成されるように、前記レーザービーム(3)によって前記加工が行われることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザービーム(3)による前記加工により、前記部品(1)の前記表面における、過剰押出によってもたらされる不均一性及び/又は前記層状構築によってもたらされる段差部が平滑化されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザービーム(3)は、前記層(8)の前記側方境界部に、前記層(8)の層平面に対して45度未満、好ましくは10度未満の角度で向けられることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のレーザービーム(3)を生成する1つ以上のレーザーデバイス(4、5)が統合される材料押出装置によって、前記部品(1)が製造されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記層(8)の対向する側方境界部に向けられる、対向する両側から照射される少なくとも2つのレーザービーム(3)によって、前記加工が行われることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
材料押出によって部品を付加製造する装置であって、部品材料から前記部品(1)が層状に構築され、
キャリア(10)上に前記部品材料を粘性状態において層ごとに塗布可能である押出デバイス(2、6)と、
1つ以上のレーザービーム(3)を、前記押出デバイス(2、6)による材料塗布と同期して、それぞれ層として塗布される依然として粘性状態の前記部品材料に側方から向け、材料塗布及びレーザー加工が共通のプロセスステップをなすように配置及び構成される、1つ以上のレーザー加工デバイス(4、5)と、
を備える、装置。
【請求項10】
前記レーザー加工デバイス(複数の場合もある)(4、5)は、前記レーザービーム(複数の場合もある)(3)を、前記層(8)の前記側方境界部に、前記層(8)の層平面に対して45度未満、好ましくは10度未満の角度で向けるように配置及び構成されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記レーザー加工デバイス(4、5)は、前記レーザービーム(3)を、前記層(8)の対向する側方境界部に、対向する両側から同時に向けるように配置及び構成されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記押出デバイス(2、6)は、運動機構(6)を備え、前記運動機構(6)には、前記1つ以上のレーザーデバイス(4、5)も固定されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上のレーザーデバイス(4、5)は、前記押出デバイス(2、6)の運動機構(6)とは独立して配置されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料押出によって部品を付加製造する方法及び装置に関し、ここでは、キャリア上に粘性状態で層ごとに塗布される部品材料から、部品が層状に構築される。
【背景技術】
【0002】
材料押出(MEx)法は、現在最も普及している付加製造技法である。この技法では、部品材料が、典型的にはワイヤ状又は粒状で供給され、高温に加熱され、通常、ノズルを介して溶融又は粘性状態でキャリア上に層状に塗布され、部品を構築する。この技術の本質的な利点は、従来の製造技術と比較して、設備工学の構築が簡単であること、材料選択が広範であること、及び設計の自由度が高いことにある。したがって、材料押出法は、産業のほぼ全ての分野において部品の製造に使用される。
【0003】
しかしながら、この技術には、従来の及び他の付加製造方法と比較して欠点もある。これらの欠点のうちの1つは、製造された部品の表面が比較的粗くなることである。機械加工プロセスの場合、旋削加工では最大1μm、フライス加工では最大1.5μmの平均粗さ値(Ra)が得られる。材料押出によって製造された部品では、表面構造は、部品表面の向き、個々の層の層高さ、及び押出幅に大きく依存する。平均粗さ値は平均20μmとなり、これは、押出角度に応じて変動する。部品の製造後に残る表面構造は、特に、層状構築による段差部の形成、及び層の縁部における過剰押出によって生じる。いずれの影響も、プロセスパラメーターの調整によって低減することができるが、回避することはできない。これにより、材料押出によって製造された部品の技術的使用は制限されることが多い。多くの使用領域においては、平滑な表面が必要とされる。したがって、材料押出法は、多くの場合、プロトタイプの開発のみに使用され、工業生産にはほとんど使用されない。
【0004】
材料押出によって製造される部品の平滑な表面を生成するのに、様々な後加工技法、例えば、フライス加工、旋削加工、又は研削加工による機械的後加工が知られている。これらの機械加工方法では、工具又は部品のいずれかが回転運動を行い、もう一方の要素が直線送り運動を行う。適切なNCプログラミングにより、異なる表面形状及び表面品質を達成することができる。ただし、この後加工プロセスは、特に、手動の後加工及び複雑な部品の場合は煩雑になる。これにより、付加製造の利点は低減される。後加工としても知られるスライド研削法では、部品の機械加工は遊離砥粒によって行われる。この場合、砥粒及び部品は、共通の処理空間において不定の相対移動で互いに変位する。この方法により、付加製造部品の表面粗さを、外側の表面において最大80%~90%抑えることができる。ただし、到達しにくい表面領域は、砥粒によって十分に覆われないため、この領域は、表面粗さの低減が少なくなる。さらに、このプロセスでは、通常、部品の角部に不所望の丸みが生じ、これは、処理時間及び砥粒の形状に応じて生じる程度が異なる。付加製造部品を機械的に後加工する更なる既知の方法に、ブラスト加工がある。ブラスト加工では、空気圧によって供給される投射材(ブラスト材)を用いて部品表面を加工する。投射材は、乾燥した粒状の物質であり、様々な材料バリエーション、粒径、及び粒形状で提供される。これは、簡単な方法であるが、表面品質の改善は僅かにしか可能にしない。
【0005】
これらの機械的後加工方法の他に、製造部品の表面粗さを軽減するために、塗装、メタライゼーション、又は化学的後処理等の他の技法が使用される。塗装の場合、液体又は粉体状の原料を用いて、保護コーティング又は装飾コーティングが生成される。メタライゼーションの場合、機能性及び表面品質を改善するために、部品に金属被覆が施される。しかしながら、部品のプラスチック表面上へのメタライゼーションの付着を改善するには、部品の前処理を追加で行わなければならない。化学的後処理方法には、酸洗い(浸漬)及び反応性ガスによる処理(スチーム処理)が挙げられる。これらの化学的後処理方法を用いると、目に見えない又は到達しにくい表面においても非常に良好な表面品質が達成される。ただし、多くの場合、有毒な化学物質の使用が必要となる。
【0006】
付加製造部品の表面の後加工の更なる既知の可能性は、レーザー加工、特にレーザー研磨である。レーザー研磨は、熱的な表面処理方法である。材料を選択的に溶融又は蒸発させるために、レーザーのエネルギーが使用される。表面処理の成否は、レーザーの特性(波長、脈動、出力)及び加工される材料の特性に左右される。材料押出によって製造された部品の表面のレーザー加工の例は、非特許文献1又は非特許文献2の刊行物に見出される。ただし、この技法では、目に見える及びレーザービームが到達可能な表面しか加工することができない。その上、上述した後加工又は後処理方法の全ては、それぞれ追加のプロセスステップをなし、これにより、部品の製造時間が長くなる。
【0007】
特許文献1は、部品を付加製造する方法を開示しており、ここでも、材料押出による付加製造を行うことができる。ここでは、個々の層の相互の接着を向上させるために、それぞれの層を塗布した都度、1つ以上のレーザービームによって各層の加工が行われる。
【0008】
特許文献2も、既に設けられた層のレーザー加工を提案している。この文献では、材料堆積の前に、既存の表面がその都度加熱される。
【0009】
特許文献3は、3Dプリントによって製造された部品の表面を加工する方法を記載しており、ここでは、部品は、製造後に追加のプロセスステップにおいて、表面を平滑化するためにレーザー放射によって後加工される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0117836号
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0079136号
【特許文献3】独国特許出願公開第102018108145号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】M.P. Dewey他「Development of laser polishing as an auxiliary post-process to improve surface quality in fused deposition modeling parts」Proceedings of the ASME 2017, International Manufacturing Science and Engineering Conference, 1-5頁
【非特許文献2】Y. Chai他「Laser polishing of thermoplastics fabricated using fused deposition modelling」Int. J. Adv. Manuf. Technol. (2018) 96, 4295-4302頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、材料押出によって部品を付加製造する方法及び装置を提供し、部品を層状に構築した後、追加のプロセスステップを必要とせずに、目に見えない箇所でも表面粗さの低い表面を有する部品を得ることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、請求項1に記載の方法及び請求項9に記載の装置によって解決される。方法及び装置の有利な形態は、従属請求項の主題であるか、又は以下の記載及び例示の実施形態に見出すことができる。
【0014】
提案される方法において、既知の方法で、(好ましくは少なくとも1つの押出ノズルによって)キャリア、例えば基板又は基礎プレート上に粘性状態で層ごとに塗布される部品材料から、部品が層状に構築される。本方法は、それぞれ層として塗布される部品材料が、塗布と同期して、依然として粘性状態で、層の側方境界部に向けられる少なくとも1つのレーザービームによって加工されることを特徴とする。この加工は、好ましくは、層状構築によってもたらされる後の部品の表面の不均一性を平滑化するために行われる。ここでは、例えば、それぞれの層の縁部における過剰押出によって生じる不均一性、又は層状構築によって生じ得る段差部が挙げられる。この平滑化は、材料成形又は材料除去を行うレーザー加工によって、すなわち、このために適切に選択されたレーザーパラメーターの指向性エネルギー入力により、部品の対応する幾何学形状において、過剰押出の際に層の縁部又は側方境界部に突出する押出溝及び/又は段差部を成形及び/又は除去することによって行うことができる。必要に応じて、平滑化の代わりに、同期したレーザー加工による狙いどおりの表面構造化を行ってもよい。
【0015】
エネルギー源として多様なレーザーを使用することができる。レーザー源の選択は、加工される材料に大きく左右される。連続レーザー源(CWレーザー)の他に、パルスレーザーの使用も可能である。選択されるレーザーシステムに応じて、複数の作用による表面平滑化又は表面構造化が得られる。1つには、部品材料をその蒸発温度を超える温度まで局所的に昇温することによって、材料の除去を行うように、エネルギー入力を選択することができる。もう1つには、材料の溶融によって表面平滑化作用を引き起こすこともできる。溶融物の粘度に応じて、部品の外形には、表面張力作用によって流動がもたらされる。これにより、粗さの山が除去され、粗さの谷が埋められる。双方の作用は、表面をレーザー加工する従来技術から知られているように、多様なレーザータイプによってもたらすことができる。パルスレーザーを使用する場合、高周波レーザーパルスが、設けられた層又は設けられた部品体積に追加の振動エネルギーを放出する。ここでは、材料押出器及びレーザーシステムによってもたらされる熱エネルギーの結果として生じるマイクロ溶融が、振動バリアとして作用し、それにより、振動エネルギーが吸収され、追加の熱に変換される。これにより、表面外形は瞬時に溶融する。
【0016】
提案される方法の本質的な特徴は、層の側方境界部が、1つ以上のレーザービームによって、この層の材料塗布と同期して、すなわち、塗布の直後に、部品材料が依然として粘性状態にある間に加工されることである。それにより、材料塗布を行う押出プロセス及び材料成形又は材料除去を行うレーザープロセスが、共通のプロセスステップをなす。複数のレーザービーム、特に、層の対向する側方境界部に同時に向けられる、対向する両側から照射される少なくとも2つのレーザービームを同時に使用することにより、後続の部品の外側から見えない表面も簡単に平滑化することができる。ここでは、レーザービームは、押出方向に対して横断方向に、押出直後の層部分の側方境界部へと向けられる。これは、部品の幾何学形状に応じて、層平面に対して平行に側方から照射されるレーザービームによって行われることが好ましい。レーザービームはまた、層平面に対して、好ましくは45度未満、特に好ましくは更に10度未満になる角度で照射することができる。理想的な例において、それぞれのレーザービームは、加工される表面領域に対して直交して部品材料に向けられる。同期した加工により、粘性材料の温度が依然として高いため、平滑化又は表面構造化に必要なエネルギー入力は、完成部品をレーザー放射によって後加工するよりも少なくなる。
【0017】
提案される方法及び関連する装置は、それぞれの製造部品の表面を平滑化するのに適しているだけでなく、(既に上述したように)平滑化と同様の方法で、材料塗布と同じプロセスステップにおいて同じく行うことができる追加の構造化にも適している。さらに、レーザー加工は、例えば、レーザー放射によって部品材料中の物質を活性化させることによる表面の機能化も含むことができる。また、レーザー放射によってもたらされるエネルギーにより、例えば、LAM(Laser Additive Manufacturing:レーザー積層造形)において、この場合では付加的に設けられたシリコーンの硬化をもたらすことができる化学プロセスが開始される。
【0018】
上記方法を実行するために構成される提案される装置は、これに対応して、キャリア上に部品材料を粘性状態で層ごとに塗布可能である押出デバイスと、1つ以上のレーザー加工デバイスとを備える。このレーザー加工デバイスは、1つ以上のレーザービームを、押出デバイスによる材料塗布と同期して、それぞれ層として塗布される依然として粘性状態の部品材料に側方から向けるように配置及び構成される。また、レーザー加工デバイスは、押出デバイスの移動ユニット若しくは運動機構に直接設けることができるか、又はこの運動機構とは独立して設けることもできる。装置の構造に応じて、レーザー加工デバイス(複数の場合もある)は、固定位置に配置することも、固有の運動機構によって少なくとも部分的に移動可能とすることもできる。したがって、例えば、それぞれのレーザー加工デバイスのビーム誘導部分の運動機構と併せて、単数又は複数のレーザーの固定位置への配置が可能である。レーザー加工デバイス(複数の場合もある)の配置及び構成は、材料塗布と同期してそれぞれの層領域の側方境界部のレーザー加工を可能にすることのみを必要とする。
【0019】
本方法及び関連する装置により、統合されたレーザー加工プロセスに基づいて、製造の最中に、材料押出によって製造された部品における平滑な又は構造化された表面を生成することができる。レーザー加工を後から行う場合と比較して、表面は、生成されてすぐに平滑化又は構造化される。したがって、レーザー加工によって内面が平滑な又は狙いどおりに構造化された表面を生成可能である。本方法及び装置により、付加製造部品において、表面構造に関するコスト及び時間のかかる後加工が回避される。さらに、提案される方法及び関連する装置により、表面品質を維持しながら、より大きな層厚でより高い構築速度をもたらすことができる。したがって、材料押出法をより経済的に使用することができる。
【0020】
提案される方法は、例えば、溶融フィラメント製造(FFF:Fused Filament Fabrication)、溶融造粒製造(FGF:Fused Granular Fabrication)、指向性エネルギー堆積(DED:Direct Energy Deposition)、液体積層造形(LAM:Liquid Additive Manufacturing)等の全ての付加材料押出法とともに使用することができる。主な用途は、付加製造部品の部品表面の平滑化である。さらに、このレーザー加工によって表面の機能化又は活性化も行うことができる。
【0021】
以下、提案される方法及び関連する装置を、図面と併せて例示の実施形態に基づき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】材料押出における表面不均一性をもたらす2つの表面作用の概略図である。
図2】提案される方法による表面平滑化の概略図である。
図3】提案される装置の構造の第1の例の概略図である。
図4】提案される装置の構造の第2の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
材料押出の付加製造方法において、製造部品の表面に不均一性が生じ、この表面の平均粗さ値(Mittenrauwerten)が高まる。この不均一性は、図1の概略図に基づいて例示される2つの作用に起因する。これらの作用のうちの1つは、層状構築に基づく段差部7の形成である。図1の左側の部分図は、ここでは、重なり合って設けられた6つの層8を示しており、それとともに、この断面図において、部品の半円形状の目標外形9を生成すべきであることを示している。個々の層8は、ここでは、材料押出によってキャリア10上に次々に設けられる。段差部7は、個々の層8の層厚によって生じる。目標外形9と比較すると、段差部の影響は非常に顕著であり、それに応じて、完成部品の表面構造も異なる。
【0024】
図1の右側の部分図において、不均一な表面をもたらすもう1つの作用が見て取れる。この作用は、それぞれの層を塗布する際の過剰押出によって生じる。この過剰押出により、それぞれの層8の側方境界部又は縁部において部品材料の突出ビード11が生じる。図1の右側の部分図において、ここでも複数の層8及びまた部品の目標外形9が見て取れる。層8の上には、押出ノズル2が示されている。
【0025】
提案される方法において、不所望の段差部7及び過剰押出によって生じたビード11は、部品の構築中に除去又は平滑化することができる。これは、材料押出中、表面平滑化又は表面構造化のために統合されたレーザーユニットによって行われる。材料塗布を行う押出プロセスと、材料成形又は材料除去を行うレーザープロセスとは、ここでは同期され、共通のプロセスステップをなす。ここでは、図2に概略的に示されているように、押出ユニット、通常は押出ノズル2の出口に、1つ以上のレーザービーム3が向けられる。レーザービーム3は、ここでは、部品の平滑化する表面に対してそれぞれ直交して向けられる。直交であることは、あらゆる場合において必要又は可能であるわけではない。ここで、図2は、材料押出中、個々の層2のそれぞれ塗布される部品材料が、レーザービーム3によって塗布の直後に既に加工されることを概略的に示している。押出ノズル2の移動方向は、矢印で示されている。
【0026】
提案される方法による製造に必要なシステム又はデバイスは、異なる方法で配置してもよい。図3は、提案される装置の可能な形態の第1の例を示している。この図において、部品1の既に構築された部分が見て取れ、その上に、押出ノズル2によって更なる層が塗布される。押出ノズル2は、運動機構6に固定され、運動機構6は、図の直線矢印によって示されているように、全部で3つの空間方向(x、y、z)におけるノズル2の動きを可能にする。さらに、この図では、レーザー4及び集束ユニット5からなるレーザーデバイスが見て取れ、集束ユニット5を介して、レーザービーム3が偏向され、材料塗布と同期して、塗布される層の側方境界部に向けられる。この形態において、レーザーデバイスは、図の曲線矢印によって示されているように、押出ノズル2の周りに回転可能である。さらに、それぞれ塗布される層を複数の側から同時に加工するために、1つ以上の更なるそのようなレーザーデバイスを押出器又は運動機構6に配置することもできる。本発明の全ての形態において、必要に応じて追加の走査デバイスを用いてレーザービームに走査動作を行わせることも可能である。
【0027】
最後に、図4は、提案される装置の更なる例示的な形態を示しており、ここでは、レーザー4及び集束ユニット5からなるレーザーデバイスが、押出ノズル2及び運動機構6を備える押出デバイスの外部に配置されている。この例では、部品1と共にキャリア10が中心軸の周りに回転する、極運動機構が使用される。ここでは、押出ノズル2は、3つの空間方向における押出ノズル2の動きを可能にする、更なる運動機構に取り付けられる。キャリア10の回転による部品の相対移動により、全ての表面を1つのレーザーデバイスのみによって加工することができる。しかしながら、それぞれ設けられる層を両側から同時に加工することができるように、この装置には少なくとも2つの対向するレーザーデバイスが存在することが好ましい。
【0028】
図3及び図4に示されている装置は、単に例を示している。レーザーデバイスの配置、構造、及び数は、押出デバイスの配置及び構造と同様に変更することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 部品
2 押出ノズル
3 レーザービーム
4 レーザー
5 集束ユニット
6 運動機構
7 段差部
8 層
9 部品の目標外形
10 キャリア
11 ビード
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】