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特表2024-522084新規の眼内レンズにおいて使用するための定義された粘性及び光学特性を有する生体安定性ポリマーブラシ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】新規の眼内レンズにおいて使用するための定義された粘性及び光学特性を有する生体安定性ポリマーブラシ
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/26 20060101AFI20240604BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
C08F20/26
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571938
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 US2022030255
(87)【国際公開番号】W WO2022246198
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/191,018
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】523436045
【氏名又は名称】アダプティレンズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,マシュー エル
(72)【発明者】
【氏名】カラユラン,メティン
(72)【発明者】
【氏名】クラメン,リアン
【テーマコード(参考)】
4C097
4J100
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD01
4C097EE03
4C097EE13
4C097SA01
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL09Q
4J100BA02Q
4J100BA03Q
4J100BA08P
4J100BA72P
4J100BA81P
4J100BB18Q
4J100BC43Q
4J100BC73Q
4J100DA09
4J100DA62
4J100DA63
4J100FA03
4J100FA04
4J100HA35
4J100HC54
4J100JA33
4J100JA51
(57)【要約】
1つ以上の実施形態では、本発明は、移植可能な合成眼内レンズのための充填材料として使用するのに好適である屈折率及び複素粘性を有する、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、又はそれらの組み合わせなどの、高反射率のメタクリレートモノマー又は高分子のホモポリマー又はコポリマーを含む、移植可能な合成眼内レンズとともに使用するためのボトルブラシポリマーを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルブラシポリマーであって、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)からなる群から選択されるメタクリレート高分子モノマーのホモポリマー、又はPDMS-MA及びOEGMAのうちの少なくとも1つと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(TFEA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(HDFDA)、ベンジルアクリレート(BzA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルアクリレート(BzTAzA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPhEA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメタクリレート若しくはアクリレートモノマーとのコポリマーを含み、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤に由来する1つ以上の末端基を有する、ボトルブラシポリマー。
【請求項2】
前記コポリマーのホモポリマーが、紫外線(UV)光ブロックメタクリレートモノマーの残基を含む、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項3】
前記紫外線光ブロックメタクリレートモノマーが、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)である、請求項2に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項4】
前記ボトルブラシポリマーが、RAFT重合によって形成され、かつ約10~約95モルパーセント、好ましくは、約10~90モルパーセント、及びより好ましくは、約10~約80モルパーセントのPDMS-MAを含む、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)のコポリマーである、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項5】
37℃で約0.5~約30Pa・sの複素粘性を有する、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項6】
37℃で約1.39~約1.48、好ましくは、約1.40~約1.46、及びより好ましくは、約1.42~約1.46の屈折率を有する、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項7】
前記RAFT剤が、ジチオ安息香酸、トリチオカーボネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項8】
前記RAFT剤が、
【化1】
及びそれらの組み合わせから選択される式を有し、式中、yが、約3~約11の整数である、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項9】
以下の式を有し、
【化2】
式中、Rが、式
【化3】
を有し、xが、約5~約10の整数であり、yが、約3~約11の整数であり、aが、約20~約300の整数である、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項10】
以下の式を有し、
【化4】
式中、Rが、式
【化5】
を有し、xが、約5~約10の整数であり、aが、約20~約300の整数である、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項11】
以下の式を有し、
【化6】
式中、Rが、式
【化7】
を有し、R′が、式
【化8】
を有し、xが、5~10の整数であり、yが、約3~約11の整数であり、nが、約70%~約95%のモルパーセントであり、mが、約5%~約30%のモルパーセントである、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項12】
以下の式を有し、
【化9】
式中、Rが、式
【化10】
を有し、R′が、式
【化11】
を有し、xが、約5~約10の整数であり、nが、約5%~約30%のモルパーセントであり、mが、約70%~約95%のモルパーセントであり、n+m=100である、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項13】
以下の式を有し、
【化12】
式中、Rが、式
【化13】
を有し、yが、約5~約10の整数であり、aが、約20~約300の整数である、請求項1に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項14】
以下の式を有し、
【化14】
式中、Rが、式
【化15】
を有し、R′が、式
【化16】
を有し、xが、約5~約10の整数であり、nが、約70%~約95%のモルパーセントであり、mが、約5%~約30%のモルパーセントである、請求項2又は3に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項15】
以下の式を有し、
【化17】
式中、Rが、式
【化18】
を有し、R′が、式
【化19】
を有し、xが、約5~約10の整数であり、nが、約70%~約95%のモルパーセントであり、mが、約5%~約30%のモルパーセントである、請求項2又は3に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項16】
前記ボトルブラシポリマーが、光学的に透明である、請求項1~15のいずれか一項に記載のボトルブラシポリマー。
【請求項17】
約1.39~約1.48、好ましくは、約1.40~約1.46、及びより好ましくは、約1.42~約1.46の屈折率、並びに約0.5~約50Pa.sの複素粘性を有する、1つ以上の光学的に透明なボトルブラシポリマーを含む、人工レンズにおいて使用するための充填材料。
【請求項18】
前記人工レンズが、調節眼内レンズ(A-IOL)又は老眼矯正IOLである、請求項17に記載の充填材料。
【請求項19】
前記1つ以上の光学的に透明なボトルブラシポリマーが、請求項16に記載のボトルブラシポリマーである、請求項17に記載の充填材料。
【請求項20】
前記1つ以上の光学的に透明なボトルブラシポリマーが、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)からなる群から選択されるメタクリレート高分子モノマーのホモポリマー、又はPDMS-MA及びOEGMAのうちの少なくとも1つと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(TFEA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(HDFDA)、ベンジルアクリレート(BzA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルアクリレート(BzTAzA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPhEA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメタクリレート若しくはアクリレートモノマーとのコポリマーであり、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤に由来する1つ以上の末端基を有する、請求項17に記載の充填材料。
【請求項21】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、約10~約95モルパーセント、好ましくは、約10~90モルパーセント、及びより好ましくは、約10~約80モルパーセントのPDMS-MAを含む、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)のコポリマーである、請求項20に記載の充填材料。
【請求項22】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、37℃で約0.5~約30Pa・sの複素粘性を有する、請求項17に記載の充填材料。
【請求項23】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、37℃で約1.39~約1.48、好ましくは、約1.40~約1.46、及びより好ましくは、約1.42~約1.46の屈折率を有する、請求項17に記載の充填材料。
【請求項24】
前記RAFT剤が、ジチオ安息香酸、トリチオカーボネート、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項20に記載の充填材料。
【請求項25】
前記RAFT剤が、
【化20】
及びそれらの組み合わせから選択される式を有し、式中、yが、約3~約11の整数である、請求項20に記載の充填材料。
【請求項26】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、
【化21】
式中、Rが、式
【化22】
を有し、xが、5~10の整数であり、aが、約20~約300の整数である、請求項17に記載の充填材料。
【請求項27】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、
【化23】
式中、Rが、式
【化24】
を有し、R′が、式
【化25】
を有し、nが、約5%~約30%のモルパーセントであり、mが、約70%~約95%のモルパーセントであり、yが、約5~約10の整数である、請求項17に記載の充填材料。
【請求項28】
眼内レンズであって、充填媒体と、天然の眼のカプセル内に受けられるように、かつ眼内への挿入前又はインサイチュのいずれかに前記充填媒体で充填されるように構成及び寸法設定されているカプセル界面と、を含み、前記充填材料が、約1.39~約1.48、好ましくは、約1.40~約1.46、及びより好ましくは、約1.42~約1.46の屈折率、並びに約0.5Pa.s~約50Pa.sの複素粘性を有する1つ以上の光学的に透明なボトルブラシポリマーを含み、前記充填媒体で充填された前記カプセル界面が、予め決定された屈折力を定義する、眼内レンズ。
【請求項29】
前記充填媒体を充填された前記カプセル界面が、毛様体筋の動きに応答し、かつ変化した形状に調節する調節レンズである、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項30】
前記カプセル界面及び前記充填媒体が、第1の屈折力を定義し、前記毛様体筋の動きに応答して、その形状を変化させて、第2の屈折力を定義する、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項31】
前記第1の屈折力及び前記第2の屈折力が、少なくとも前記カプセル界面の前記形状及び屈折率、並びに前記充填媒体の前記屈折率によって予め決定され、したがって、前記第1の屈折力及び前記第2の屈折力が、前記カプセル界面の前記形状及び屈折率、並びに前記充填媒体の前記屈折率に応じて変化する、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項32】
前記カプセル界面の表面が、後発白内障(PCO)の形成を予防するために使用される眼科用薬又は物質でコーティングされている、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項33】
充填されたときの前記カプセル界面が、患者のカプセルバッグのサイズに応じて、約9mm~11mmの直径から約4~6mmの厚さの予め決定された寸法の範囲になる、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項34】
ポリマーカプセル界面の異なる経線に沿って構築された異なる力により、又は前記眼内レンズ内の異なる区画における異なる屈折率を有する充填媒体により、角膜乱視を補正する、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項35】
前記充填媒体が、請求項14に記載の充填材料を含む、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項36】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)からなる群から選択されるメタクリレート高分子モノマーのホモポリマー、又はPDMS-MA及びOEGMAのうちの少なくとも1つと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(TFEA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(HDFDA)、ベンジルアクリレート(BzA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルアクリレート(BzTAzA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPhEA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメタクリレート若しくはアクリレートモノマーとのコポリマーであり、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤に由来する1つ以上の末端基を有する、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項37】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、約10~約95モルパーセントのPDMS-MAを含む、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(OEGMA)のコポリマーである、請求項36に記載の眼内レンズ。
【請求項38】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、紫外線(UV)光ブロックメタクリレートモノマーの残基を含む、請求項36又は37に記載の眼内レンズ。
【請求項39】
前記紫外線(UV)光ブロックメタクリレートモノマーが、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)である、請求項38に記載の眼内レンズ。
【請求項40】
前記透明なボトルブラシポリマーが、約0.5~約15Pa・sの複素粘性を有する、請求項36に記載の眼内レンズ。
【請求項41】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、約1.43~約1.48の屈折率を有する、請求項36に記載の眼内レンズ。
【請求項42】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、以下の式を有し、
【化26】
式中、Rが、式
【化27】
を有し、xが、約5~約10の整数であり、aが、約20~約300の整数である、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項43】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、以下の式を有し、
【化28】
式中、Rが、式
【化29】
を有し、R′が、式
【化30】
を有し、xが、5~10の整数であり、nが、約5%~約30%のモルパーセントであり、mが、約70%~約95%のモルパーセントである、請求項28に記載の眼内レンズ。
【請求項44】
前記光学的に透明なボトルブラシポリマーが、以下の式を有し、
【化31】
式中、Rが、式
【化32】
を有し、R′が、式
【化33】
を有し、xが、5~10の整数であり、nが、約5%~約30%のモルパーセントであり、mが、約70%~約95%のモルパーセントである、請求項28に記載の眼内レンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月20日に出願され、かつその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Biostable Polymer Brushes with Defined Viscosity and Optical Properties for Use in a Novel Intraocular Lens」と題する米国仮特許出願第63/191,018号の利益を主張するものである。
【0002】
共同研究契約の当事者の名称
本出願は、Duke University(Durham,North Carolina)とAdaptilens,LLC(Chestnut Hill,Massachusetts)との間の共同研究契約に従って行われた研究に由来する。
【0003】
本発明の1つ以上の実施形態は、ボトルブラシポリマーに関する。ある特定の実施形態では、本発明は、眼内レンズで使用するための調節可能な粘性及び光学特性を有する生体安定性ポリマーボトルブラシに関する。
【背景技術】
【0004】
ポリマーは、熱可塑性プラスチック及び熱硬化性物の2つの一般的なクラスに分かれる。架橋されたネットワークが欠如しているため、熱可塑性プラスチックは、良好な溶媒に可溶性であることができ、加熱すると柔らかくなるか又は溶融し、このようにしてそれらは再処理可能で再成形可能であり得る。一方で、熱硬化性樹脂は、架橋されたネットワークを含み、高性能用途のために不可逆的に硬化される。エラストマーは、エラストマーに弾性を与える軽く架橋されたポリマーネットワークを含む材料のクラスである。軟質エラストマーは、ネットワーク鎖(2つの接合部/架橋点間のポリマー鎖)の分子量を増加させ、かつポリマー鎖の鎖絡みを減少させることによって調製され得る。ポリマー鎖は、鎖絡み分子量と呼ばれるある特定の分子量を超えるシステム内で絡みを生成し始め、これらの絡んだ鎖は、架橋時に永久に捕捉され、その後、トポロジカル架橋として機能する。これらの鎖絡みは、ポリマー鎖の「体積」を変更することによって防止又は遅延させることができ、これは、ポリマー鎖のアーキテクチャを線形から分岐又は側鎖が高度に伸長及び混雑され、骨格を一般にボトルブラシと称される非常に伸長した状態に強制する形態に変更することにより可能である。
【0005】
ボトルブラシポリマー(BBP)は、長くて密にグラフトされた側鎖を有するポリマーのタイプである。BBPは、grafting to、grafting from、及びgrafting throughアプローチなどの異なるアプローチを使用して合成することができる。grafting toアプローチでは、官能基で非対称に末端化された長いポリマー鎖は、理想的には、長いポリマー鎖上の官能基に反応性である全ての繰り返し単位上の多くの官能基を有するポリマー骨格に化学的に接続され得る。grafting fromアプローチは、理想的には、全ての繰り返し単位上にイニシエーター部位を有するポリマー骨格を必要とする。小分子モノマーを使用して、ポリマー側鎖は、典型的には、原子移動ラジカル重合(ATRP)及び可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合などの精密ラジカル重合(CRP)技術を使用して、ポリマー骨格から成長させることができる。最後に、grafting throughアプローチは、一方の鎖末端に重合可能な単位を有するマクロモノマーを使用することと、可逆的不活性化ラジカル重合(RDRP、すなわち、ATRP又はRAFT)又は開環メタセシス重合(ROMP)などの異なる重合技術を利用することとを可能にする。RDRPは、一般的に使用されるスチレン系又は(メタ)アクリル官能基を必要とするが、ROMPは、マクロモノマーをBBPに重合させるためにノルボルネン系ポリマー鎖末端を利用する。
【0006】
以前に議論される異なるアプローチは、異なるグラフト密度をもたらした。一般に、grafting toアプローチは、最も低いグラフト密度をもたらし、grafting throughアプローチは、これらの3つのアプローチの中で最も高いグラフト密度を生み出す。異なるグラフトアプローチの選択によるグラフト密度の違いは、構成成分間(すなわち、grafting toアプローチのポリマー骨格-長側鎖、grafting fromアプローチのポリマー骨格上の成長鎖、及びgrafting throughアプローチの成長BBP-マクロモノマーの間)で生成される立体障害に起因する。真のBBPを合成するために、グラフト密度は、BBPに剛性を与え、かつ絡みを防止するのに十分に高い必要がある。BBP及びボトルブラシゲルは、マクロモノマーの同一性(側鎖が、得られたBBPの最終特性を決定するために中心的な役割を果たす)、側鎖の重合度(DP)、骨格DP、グラフト密度(各側鎖間の距離)、及び架橋密度(ボトルブラシゲルの場合)に応じて区別され得る。
【0007】
白内障を治療するための手術に使用するためのある特定の眼内レンズ(IOL)及び調節又は適応性眼内レンズ(A-IOL)の技術の最近の開発は、好適な屈折率(n)及び複素粘性を有する光学的に透明な生体安定性ポリマー充填材料の必要性を生み出した。経時的に、眼中のレンズはより硬くなり、より柔軟性ではなくなり、眼が近くの物体に焦点を合わせることがより困難になる。この徐々に加齢に伴う調節の喪失は、老眼と呼ばれている。人々が更に年を取るにつれて、レンズは厚くなり、不透明になり、白内障を形成し、ぼやけた視界を引き起こす。治療の標準は、白内障を除去し、IOLで置き換えるために白内障手術を受けることである。現在の標準的なレンズは、近視及び遠視の両方を調節することができない平らな単焦点IOLであり、患者を眼鏡に依存させる。A-IOLは、患者が眼鏡又はコンタクトレンズなしで様々な距離にわたってはっきりと見ることを可能にする。様々な異なるポリマーが、IOLを再補充するレンズ及び他のタイプのA-IOLに使用されており、結果は入り混じっている。これらの材料の多くは、作動粘性に到達するために溶媒又は他の希釈流体を必要とする。Jean Marie Parel,PhD(Bascom Palmer)及びSteven Koopmans,MD(Pharmacia)の両者が、カプセルバッグを軟質ポリマーで再充填することによって調節を回復させようとした(Hao et al.,2010、Koopmans,2003及び2006)。両者は、カプセルバッグに直接インサイチュ重合材料を注射した。両方の科学者は、インビボ動物試験が、眼の炎症及び後発白内障(PCO)を含む重大な合併症を示した後、努力を終えた(Koopmans,2014,Hao 2012)。同様に、Nishiのシリコーンオイルで充填されたカプセル内バルーンの開発の試みは、重度の後発白内障が生じたときに失敗した(Nishi 1997)。Fluid Vision IOLは、中空の光学系とシリコーンオイルで充填された2つの中空の触覚部とを有する疎水性アクリルレンズである。毛様体筋が収縮すると、オイルが触覚から光学系にシフトしてレンズの形状を変化させる。このIOLはまだ第II相臨床試験中であるが、レンズの問題には、患者が焦点を合わせる速度が遅いこと、及び一貫していない有効なレンズの位置が含まれる(Young,2016)。
【0008】
当該技術分野で必要とされるのは、IOL及びA-IOLにおいて流体様充填材料として使用することができる調節可能な粘性及び光学特性を有する光学的に透明な生体安定性ポリマーボトルブラシを生成するための合成経路である。
【発明の概要】
【0009】
1つ以上の実施形態では、本発明は、調整可能な機械的及び光学的特性を有する光学的に透明な生体安定性ボトルブラシポリマーを生成するための合成経路を提供し、その特性により、老眼、白内障、及び同様の病気の治療に使用するための移植可能な眼内レンズにおける流体様充填材料として使用するのに好適となる。方法は、溶媒又は他の希釈流体の使用を回避しながら、ボトルブラシポリマーの屈折率、及び流体がレンズに適合するために必要なそれらの機械的特性を正確に制御する。
【0010】
様々な実施形態では、本発明は、眼内レンズ(IOL)で使用するためのBBPを作製するために、RAFT重合及びgrafting throughアプローチを使用する。これらの実施形態のうちの1つ以上では、低いガラス転移温度(T)、異なる屈折率(n)、及び疎水性を有する2つのメタクリレートマクロモノマーが使用される。これらの実施形態のいくつかでは、ポリ(ジメチルシロキサン)-メタクリレート(PDMS-MA)及び/又はオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)が使用される。PDMS-MAは、1.41~142のnを有する疎水性マクロモノマーである。一方で、オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)は、1.45~1.46のnを有する親水性マクロモノマーである。いくつかの実施形態では、これらの2つのマクロモノマーは、ホモポリマー化して、ポリ(PDMS-MA)及びポリ(OEGMA)を得ることができるか、又は共重合して、ポリ(DMS-MA-ランダム-OEGMA)を得ることができ、それらの全ては、0.4~12Pa・sの範囲の複素粘性を有する蜂蜜状粘性液体である。また、低いn及び高いnの低分子メタクリレートモノマーをPDMS-MA及びOEGMAと共重合して、粘性を範囲外に増加させることなく、最終nを調整することができることも見出されている。したがって、いくつかの実施形態では、フッ素化メタクリルモノマーをPDMS-MAと共重合して、nを減少させ、ベンジルモノマーをOEGMAと共重合してnrの上限に達する。これらの実施形態では、最終的なnの範囲は、1.40~1.48である。加えて、同様の共重合アプローチを使用して、UV吸収試薬をBBP骨格に組み込んでUV光をフィルターを通して除去することが可能であることが見出されている。
【0011】
1つ以上の実施形態では、本発明の光学的に透明な生体安定性ボトルブラシポリマーを使用して、薄い可撓性シェルと、光学的に透明な生体安定性ボトルブラシポリマーを含む充填材料とを有するA-IOLを作製し得る。調節中に眼の毛様体筋が収縮すると、可撓性レンズは、レンズの力が増加し、患者が近くに焦点を合わせるように形状を変化させる。調節の筋肉が弛緩すると、レンズはそのベースライン形状を再開し、患者が遠くから見ることを可能にする。
【0012】
本明細書に記載のIOLは、他の装置と比較して、自然な調節を利用して、その組織又は循環する水性材料を損傷することなく眼の屈折力を正確に変化させるため、有利である。好ましい実施形態では、IOLは、患者の光学系が空間画像及び照明の変化に応答することができるように、IOL-眼系が調節機構を再確立することを確実にするために柔らかく、かつ可撓性であり、レンズを迅速に実行され得る単純な手順によって装着することを可能にする。加えて、IOLは、脱中心及び調節喪失を最小限に抑えるように天然カプセル内に局在し、自然の眼と同様の機能性能を提供し、毛様体筋がIOLの調節を制御することができるように容積調節を可能にする。結果として、水晶体疾患を有するより多種多様な患者には、ポリマーシェル及び充填材料の新しい系を利用して眼の光学性能を向上させ、通常の視覚体験を確立するため、調節能力の向上、グレアの低減、及び永続的な機能性を含むがこれらに限定されない、より多種多様な状況下で、自然で応答性のある視力が提供され得る。
【0013】
第1の態様では、本発明は、ボトルブラシポリマーを対象とし、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)からなる群から選択されるメタクリレート高分子モノマーのホモポリマー、又はPDMS-MA及びOEGMAのうちの少なくとも1つと、限定されないが、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(TFEA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(HDFDA)、ベンジルアクリレート(BzA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルアクリレート(BzTAzA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPhEA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、及びそれらの組み合わせを含み得る少なくとも1つのメタクリレート若しくはアクリレートモノマーとのコポリマーを含み、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤に由来する1つ以上の末端基を有する。
【0014】
1つ以上の実施形態では、ホモポリマー又はコポリマーは、紫外線(UV)光ブロックメタクリレートモノマーの残基を含む。これらの実施形態のうちの1つ以上では、紫外線光ブロックメタクリレートモノマーは、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)である。
【0015】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、ボトルブラシポリマーは、RAFT重合によって形成され、かつ約10~約95モルパーセント、好ましくは、約10~90モルパーセント、及びより好ましくは、約10~約80モルパーセントのPDMS-MAを含む、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)のコポリマーである。
【0016】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、37℃で約0.5~約30Pa.sの複素粘性を有する、本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含む。1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、約1.39~約1.48、好ましくは、約1.40~約1.46、及びより好ましくは、約1.42~約1.46の屈折率を有する、本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含む。
【0017】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、RAFT剤は、ジチオ安息香酸、トリチオカーボネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、RAFT剤は、
【化1】
及びそれらの組み合わせから選択される式を有し、式中、yは、約3~約11の整数である。
【0018】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有する本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、
【化2】
式中、Rは、式
【化3】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、yは、約3~約11の整数であり、aは、約20~約300の整数である。1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有する本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、
【化4】
式中、Rは、式
【化5】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、aは、約20~約300の整数である。
【0019】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有する本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、
【化6】
式中、Rは、式
【化7】
を有し、R′は、式
【化8】
を有し、xは、5~10の整数であり、yは、約3~約11の整数であり、nは、約70%~約95%のモルパーセントであり、mは、約5%~約30%のモルパーセントである。1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有する本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、
【化9】
式中、Rは、式
【化10】
を有し、R′は、式
【化11】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、nは、約5%~約30%のモルパーセントであり、mは、約70%~約95%のモルパーセントであり、n+m=100である。
【0020】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有する本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、
【化12】
式中、Rは、式
【化13】
を有し、yは、約5~約10の整数であり、aは、約20~約300の整数である。1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有する本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、
【化14】
式中、Rは、式
【化15】
を有し、R′は、式
【化16】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、nは、約70%~約95%のモルパーセントであり、mは、約5%~約30%のモルパーセントである。
【0021】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有する本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、
【化17】
式中、Rは、式
【化18】
を有し、R′は、式
【化19】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、nが、約70%~約95%のモルパーセントであり、mは、約5%~約30%のモルパーセントである。
【0022】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、本発明の第1の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、ボトルブラシポリマーは、光学的に透明である。
【0023】
第2の態様では、本発明は、約1.39~約1.48、好ましくは、約1.40~約1.46、及びより好ましくは、約1.42~約1.46の屈折率、並びに約0.5~約50Pa.sの複素粘性を有する、1つ以上の光学的に透明なボトルブラシポリマーを含む、人工レンズにおいて使用するための充填材料を対象とする。いくつかの実施形態では、人工レンズは、調節眼内レンズ(A-IOL)又は老眼矯正IOLである。
【0024】
1つ以上の実施形態では、本発明の充填材料は、本発明の第2の態様の上で参照される実施形態のいずれか1つ以上を含み、1つ以上の光学的に透明なボトルブラシポリマーは、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)からなる群から選択されるメタクリレート高分子モノマーのホモポリマー、又はPDMS-MA及びOEGMAのうちの少なくとも1つと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(TFEA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(HDFDA)、ベンジルアクリレート(BzA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルアクリレート(BzTAzA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPhEA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメタクリレート若しくはアクリレートモノマーとのコポリマーであり、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤に由来する1つ以上の末端基を有する。1つ以上の実施形態では、本発明の充填材料は、本発明の第2の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、約10~約95モルパーセント、好ましくは、約10~90モルパーセント、及びより好ましくは、約10~約80モルパーセントのPDMS-MAを含む、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)のコポリマーである。
【0025】
1つ以上の実施形態では、本発明の充填材料は、本発明の第2の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、37℃で約0.5~約30Pa.sの複素粘性を有する。1つ以上の実施形態では、本発明の充填材料は、本発明の第2の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、約1.39~約1.48、好ましくは、約1.40~約1.46、及びより好ましくは、約1.42~約1.46の屈折率を有する。
【0026】
1つ以上の実施形態では、本発明の充填材料は、本発明の第2の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、RAFT剤は、ジチオ安息香酸、トリチオカーボネート、及びそれらの組み合わせから選択される。1つ以上の実施形態では、本発明の充填材料は、本発明の第2の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、RAFT剤は、
【化20】
及びそれらの組み合わせから選択される式を有し、式中、yは、約3~約11の整数である。
【0027】
1つ以上の実施形態では、本発明の充填材料は、本発明の第2の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化21】
式中、Rは、式
【化22】
を有し、xは、5~10の整数であり、aは、約20~約300の整数である。
【0028】
1つ以上の実施形態では、本発明の充填材料は、本発明の第2の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化23】
式中、Rは、式
【化24】
を有し、R′は、式
【化25】
を有し、nは、約5%~約30%のモルパーセントであり、mは、約70%~約95%のモルパーセントであり、yは、約5~約10の整数である。
【0029】
第3の態様では、本発明は、充填媒体と、天然の眼のカプセル内に受けられるように、かつ眼内への挿入前又はインサイチュのいずれかに充填媒体で充填されるように構成及び寸法設定されているカプセル界面と、を含む眼内レンズを対象とし、充填材料は、約1.39~約1.48、好ましくは、約1.40~約1.46、及びより好ましくは、約1.42~約1.46の屈折率、並びに約0.5Pa.s~約50Pa.sの複素粘性を有する1つ以上の光学的に透明なボトルブラシポリマーを含み、充填媒体で充填されたカプセル界面は、予め決定された屈折力を定義する。1つ以上の実施形態では、充填媒体を充填されたカプセル界面は、毛様体筋の動きに応答し、かつ変化した形状に調節する調節レンズである。
【0030】
1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、カプセル界面及び充填媒体は、第1の屈折力を定義し、毛様体筋の作用に応答して、その形状を変化させて、第2の屈折力を定義する。1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、第1の屈折力及び第2の屈折力は、少なくともカプセル界面の形状及び屈折率、並びに充填媒体の屈折率によって予め決定され、したがって、第1の屈折力及び第2の屈折力は、カプセル界面の形状及び屈折率、並びに充填媒体の屈折率に応じて変化する。
【0031】
1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、カプセル界面の表面は、後発白内障(PCO)の形成を予防するために使用される眼科用薬又は物質でコーティングされている。
【0032】
1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、充填されたときのカプセル界面は、患者の水晶体嚢のサイズに応じて、約9mm~11mmの直径から約4~6mmの厚さの予め決定された寸法の範囲になる。1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、それは、ポリマーカプセル界面の異なる経線に沿って構築された異なる力により、又は眼内レンズ内の異なる区画における異なる屈折率を有する充填媒体により、角膜乱視を補正する。
【0033】
様々な実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)からなる群から選択されるメタクリレート高分子モノマーのホモポリマー、又はPDMS-MA及びOEGMAのうちの少なくとも1つと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(TFEA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(HDFDA)、ベンジルアクリレート(BzA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルアクリレート(BzTAzA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPhEA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメタクリレート若しくはアクリレートモノマーとのコポリマーであり、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤に由来する1つ以上の末端基を有する。1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、約10~約95モルパーセントのPDMS-MAを含む、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、非対称(PDMS-MA)、及びオリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(OEGMA)のコポリマーである。
【0034】
1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、紫外線(UV)光ブロックメタクリレートモノマーの残基を含む。1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、紫外線(UV)光ブロックメタクリレートモノマーは、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)である。
【0035】
1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、透明なボトルブラシポリマーは、約0.5~約15Pa・sの複素粘性を有する。1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、約1.43~約1.48の屈折率を有する。
【0036】
1つ以上の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化26】
式中、Rは、式
【化27】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、aは、約20~約300の整数である。様々な他の実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化28】
式中、Rは、式
【化29】
を有し、R′は、式
【化30】
を有し、xは、5~10の整数であり、nは、約5%~約30%のモルパーセントであり、mは、約70%~約95%のモルパーセントである。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明の眼内レンズは、本発明の第3の態様の上で参照される実施形態のうちのいずれか1つ以上を含み、光学的に透明なボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化31】
式中、Rは、式
【化32】
を有し、R′は、式
【化33】
を有し、xは、5~10の整数であり、nは、約5%~約30%のモルパーセントであり、mは、約70%~約95%のモルパーセントである。
【0038】
本発明のシステム及び方法のこれら及び他の特徴は、図面と併せて好ましい実施形態の以下の詳細な説明から当業者により容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明の特徴及び利点のより完全な理解のために、付属の図面とともに本発明の詳細な説明をここで参照する。
【0040】
図1】末端基除去後の光学的に透明なポリ(PDMS-MA)ボトルブラシポリマーの画像である。
図2】光学的に透明な充填媒体2bで充填された薄い可撓性シェル2aを含むIOLの概略図である。
図3】挿入器/充填装置3bを用いてカプセルバッグ3fに挿入されたIOL3aの薄い可撓性シェルを示すIOLの概略図である。
図4】高分子シェル材料が均一な厚さであるA-IOLの1つのバージョンの画像である。
図5】CDCl中のポリ(PDMS-MA)のH NMRスペクトルである。
図6】CDCl中のポリ(OEGMA)のH NMRスペクトルである。
図7】CDCl中のポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)のH NMRスペクトルである。(注入比率:70mol%PDMS-MA及び30mol%OEGMA。実際の組成:68mol%PDMS-MA及び32mol%OEGMA)。
図8】CDCl中のポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)のH NMRスペクトルである。(注入比率:90mol%PDMS-MA及び10mol%OEGMA。実際の組成:84mol%PDMS-MA及び16mol%OEGMA)。
図9】CDCl中のポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)のH NMRスペクトルである。(注入比率:10mol%PDMS-MA及び90mol%OEGMA。実際の組成:20mol%PDMS-MA及び80mol%OEGMA)。
図10】CDCl中のポリ(PDMS-MA-co-BzMA)のH NMRスペクトルである。(注入比率:70mol%PDMS-MA及び30mol%BzMA。実際の組成:58mol%PDMS-MA及び42mol%BzMA)。
図11】CDCl中のポリ(PDMS-MA-co-BzMA)のH NMRスペクトルである。(注入比率:90mol%PDMS-MA及び10mol%BzMA。実際の組成:80mol%PDMS-MA及び20mol%BzMA)。
図12】CDCl中のポリ(PDMS-MA-co-EGPhEMA)のH NMRスペクトルである。(注入比率:70mol%PDMS-MA及び30mol%EGPhEMA。実際の組成:64mol%PDMS-MA及び36mol%EGPhEMA)。
図13】CDCl中のポリ(OEGMA-co-EGPhEMA)のH NMRスペクトルである。(注入比率:90mol%PDMS-MA及び10mol%EGPhEMA。実際の組成:81mol%OEGMA及び19mol%EGPhEMA)。
図14】CDCl中のポリ(PDMS-MA-co-TFEMA)のH NMRスペクトルである。(注入比率:70mol%PDMS-MA及び30mol%TFEMA。実際の組成:66mol%PDMS-MA及び34mol%TFEMA)。
図15】CDCl中のポリ(PDMS-MA-co-TFEMA)のH NMRスペクトルである。(注入比率:50mol%PDMS-MA及び50mol%TFEMA。実際の組成:48mol%PDMS-MA及び52mol%TFEMA)。
図16】CDCl中のポリ(PDMS-MA-co-BzTAzMA)のH NMRスペクトルである。
図17】3つの異なる分子量を有するポリ(PDMS-MA)のTHF secトレースを示す。(a:M=13,370g/mol、b:M=27,160g/mol、c:M=67,900g/mol)。
図18】3つの検出器によるポリ(PDMS-MA)のTHF secトレースを示す。上部のトレース:屈折率検出器、中央のトレース:254nmのUV検出器、下部のトレース:光散乱検出器
図19】25℃での様々な比率でのポリ(PDMS-MA)、POEGMA、及びそれらのランダムコポリマーの複素粘性測定を示すグラフである。
図20】25℃でのポリ(PDMS-MA)、ポリ(PDMS-MA70-co-BzMA30)、及びポリ(PDMS-MA70-co-EGPhEMA30)の複素粘性測定を示すグラフである。
図21】25℃でのポリ(PDMS-MA90-co-BzMA10)及びポリ(OEGMA90-co-EGPhEMA10)の複素粘性測定を示すグラフである。
図22】様々な温度でのポリ(PDMS-MA)の複素粘性測定を示すグラフである(Mn,theo=30,000~40,000g/mol)。
図23】様々な温度でのポリ(PDMS-MA)の複素粘性測定を示すグラフである(Mn,theo>200,000g/mol)。
図24】ポリジメチルシロキサンメタクリレート(PDMS-MA)、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、オリゴエチレングリコールメタクリレート(OEGMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、及びエチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)の屈折率(RI)及び粘性を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下は、当業者が本開示を実施するのを助けるために提供される本開示の詳細な説明である。当業者は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に修正及び変形を行ってもよい。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の開示の説明で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。
【0042】
1つ以上の実施形態では、本発明は、調節可能な粘性及び光学特性を有する生体安定性ポリマーボトルブラシを生成するための合成経路を提供し、その特性により、眼内レンズの光学的に透明な充填流体として使用するのに好適となる。方法は、ボトルブラシの屈折率、及び流体がレンズに適合するために必要な粘性特性を正確に制御し、溶媒又は他の希釈流体の使用を回避する。いくつかの実施形態では、白内障の治療のための人工レンズで使用するための透明なBBPを作製するために、RAFT重合技術が使用される。これらの実施形態のうちの1つ以上では、低いガラス転移温度(T)、異なる屈折率(n)、及び疎水性を有する2つのマクロモノマーが使用される。これらの実施形態のいくつかでは、ポリ(ジメチルシロキサン)-メタクリレート(PDMS-MA)及び/又はオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)のような高屈折率メタクリレートマクロモノマーを使用して、BBPを形成してもよい。PDMS-MAは、1.41~142のnを有する疎水性マクロモノマーである。一方で、オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)は、1.45~1.46のnを有する親水性マクロモノマーである。いくつかの実施形態では、これらの2つのマクロモノマーは、ホモポリマー化して、ポリ(PDMS-MA)及びポリ(OEGMA)を得ることができるか、又は共重合して、ポリ(DMS-MA-ランダム-OEGMA)を得ることができ、それらの全ては、0.4~12Pa・sの範囲の複素粘性を有する蜂蜜状粘性液体である。また、低いn及び高いnの小分子モノマーをPDMS-MA及びOEGMAと共重合して、粘性を範囲外に増加させることなく、最終nを調整することができることも見出されている。したがって、いくつかの実施形態では、フッ素化メタクリルモノマーをPDMS-MAと共重合して、nを減少させ、ベンジルモノマーをOEGMAと共重合してnの上限に達する。これらの実施形態では、最終的なnの範囲は、1.40~1.48である。さらに、同様の共重合アプローチを使用して、重合反応中又は重合反応の終了時に、ボトルブラシにアルコール又はアミン基を含むUV吸着染料をメタ(アクリル化)することによって、UV吸収試薬をBBP骨格に組み込んでUV光を除去することが可能であることが見出されている。
【0043】
以下の用語は、特に明記されていない限り、以下にそれらに起因する意味を有し得る。本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」「含む(to comprise)」などの用語は、特許請求の範囲に列挙されているものに加えて、更なる要素又はステップの存在を排除しない。同様に、要素又は特徴の前の用語「a」、「an」、又は「the」は、文脈によって明らかにそうではないと指示されない限り、複数のこれらの要素又は特徴の存在を排除しない。
【0044】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される語句「及び/又は」は、そのように結合された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、いくつかの場合に結合して存在し、かつ他の場合に分離して存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」を用いて列挙された複数の要素は、同じ方法、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ以上」で解釈されるべきである。「及び/又は」の節によって具体的に特定される要素以外の他の要素は、具体的に特定されたそれらの要素に関連するか否かにかかわらず、任意選択で存在し得る。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む」などのオープンエンドの言語と併せて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択で、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択で、A以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択で、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」「含む(to comprise)」などの用語は、オープンエンドであることが意図され、特許請求の範囲又は他の文に列挙されているものに加えて、更なる要素又はステップの存在を排除しない。例えば、ポリマーは、他の結合もまた存在する場合であっても、その結合がポリマー中に存在する場合、特定のタイプの結合を「含む」。
【0046】
本出願を通して、用語「約」は、値が、装置、若しくは値を決定するために用いられる方法のエラーの固有の変動、又は測定されている試料間に存在する変動を含むことを示すために使用される。別段に明記されない限り、又は文脈から明らかでない限り、用語「約」は、報告された数値を10%以内(すなわち、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内、又はそれより少ない)を上回るか、又は下回ることを意味する(そのような数値が可能な値の100%を超えるか、又は0%を下回る場合を除く)。範囲又は一連の値と併せて使用される場合、用語「約」は、別段の指示がない限り、範囲のエンドポイント又は一連に列挙された値の各々に適用される。本出願で使用される場合、用語「約」及び「およそ」は、等価物として使用される。文脈から別途明確でない限り、本明細書及び特許請求の範囲で本明細書に提供される全ての数値は、用語「約」によって修正することができる。
【0047】
また、本明細書に提供される範囲は、その範囲内の全ての値の略語であり、更に、本明細書に提示される個々の範囲値を組み合わせて、追加の非開示範囲を形成することができることも理解されるべきである。例えば、1~50の範囲は、1及び50だけでなく、任意の数、数値の組み合わせ、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、若しくは50からなる群からのサブ範囲を含むことが理解される。
【0048】
モノマーがポリマーに組み込まれている場合、ポリマーは、記載されているモノマーを「含む」か、又はそのモノマーに「由来する」。したがって、ポリマーが含む組み込まれたモノマーは、ポリマーに組み込まれる前のモノマーと同じではなく、その中で少なくともある特定の末端基がポリマー骨格に組み込まれる。ポリマーは、その結合がポリマー中に存在する場合、特定の種類の結合を「含む」。
【0049】
明らかになるように、用語「ポリマー」は、一連の繰り返されたモノマー単位を有する高分子、又はより広義には、それから作製された材料を指すために使用される。別段の指示がない限り、又は文脈から別段明確でない限り、用語「ポリマー」は、広義に解釈されることが意図され、これらに限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、及び他の既知のポリマー種を含む、全てのタイプのポリマーを包含する。本明細書で使用される場合、用語「ホモポリマー」は、単一のモノマー種に由来するポリマーを指す。次のように、別段の指示がない限り、用語「コポリマー」は、2つ、3つ、又はそれ以上のモノマー種に由来するポリマーを指し、交互コポリマー、周期コポリマー、ランダムコポリマー、統計コポリマー、及びブロックコポリマーを含む。別段の指示がない限り、用語「ブロックコポリマー」は、共有結合によって結合された2つ以上のホモポリマー又はコポリマーサブユニットを含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「残基」は、概して、ポリマー又は大分子に組み込まれたモノマー又は他の化学単位の部分を指すために使用される。拡張により、用語「連鎖移動剤の残基」及び「連鎖移動剤残基」は、ボトルブラシポリマーに組み込まれた連鎖移動剤の部分を指すために互換的に使用される。逆に、モノマーがポリマーに組み込まれている場合、ポリマーは、記載されているモノマーを「含む」か、又はそのモノマーに「由来する」。したがって、ポリマーが含む組み込まれたモノマーは、ポリマーに組み込まれる前のモノマーと同じではなく、その中で少なくともある特定の末端基がポリマー骨格に組み込まれる。ポリマーは、その結合がポリマー中に存在する場合、特定の種類の結合を「含む」。
【0051】
用語「紫外線光」は、一般に、概して、約10nm~約400nmの波長を有するスペクトルの紫外線部分における光を指すために本明細書で使用される。同様に、ポリマー又は他の材料に適用される用語「紫外線光ブロック」は、ポリマー又は材料が紫外線光の透過をブロック若しくは低減する能力、又はその能力を有するポリマー又は他の材料を広く指す。ポリマーは、それが曇っておらず、画像が材料を通して見ることができる場合、「透明」又は「透き通っている」と理解される。しかしながら、「透明な」又は「透き通っている」ポリマーは、それが曇って見えず、画像が材料を通して見ることができることを条件として、依然として着色された「色合い」を有し得る。ポリマーに対して本明細書で適用される用語「光学的に透明な」は、「透明な」、実質的に着色されておらず、かつ光学的用途での使用に好適なポリマーを指す。
【0052】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれ、これは、それらがこの文章の一部として読者によって読まれ、考慮されるべきであることを意味する。この文章で引用されている文書、参考文献、特許出願、又は特許がこの文章で繰り返されないことは、単に簡潔さの理由のためである。矛盾する場合には、定義を含む本開示が制御する。本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、同じ意味を有する。
【0053】
更に、本明細書に提供される任意の組成物又は方法は、本明細書に提供される他の組成物及び方法のうちのいずれかの1つ以上と組み合わせることができる。所与の特徴、要素、又は構成要素が異なる従属特許請求の範囲で引用されているという事実は、これらの特徴、要素、又は構成要素の少なくとも一部が組み合わせて一緒に使用され得ることを排除しない。
【0054】
第1の態様では、本発明は、1つ以上の高屈折率メタクリレートモノマー又はマクロモノマーと可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤のホモポリマー又はコポリマーからなる眼科用インプラントにおける流体様充填材料として使用するためのボトルブラシホモポリマー又はコポリマーを対象とする。ボトルブラシポリマーは、生体適合性で透明であり、好ましくは光学的に透明である。上述のように、これらの高屈折率メタクリレートモノマー及びマクロモノマーは全て、RAFT重合が可能な末端反応性メタクリレート基と、剛性を提供し、かつ鎖絡みを防止するのに十分高いグラフト密度を有するポリマーを提供するのに十分な鎖長とを有する。
【0055】
様々な実施形態では、本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマーは、比較的低いガラス転移温度(T)(-50℃~約30℃)を有する高屈折率(1.43~約1.48)メタクリレートマクロモノマーのホモポリマーであり、約10,000g/mol~250,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。本明細書で使用される場合、用語「メタクリレート高分子」は、ボトルブラシ又はコームポリマーを形成するための、RAFT、原子移動ラジカル重合(ATRP)、開環メタセシス重合(ROMP)、及び開環重合(ROP)重合が可能な末端メタクリレート官能基を有する高分子を指す。好適な高屈折率メタクリレートマクロモナーとしては、限定されないが、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS-MA)及びオリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)が挙げられ得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明の透明なボトルブラシポリマーは、約25,000g/モル~約250,000g/モルの数平均分子量(M)、約1.43~約1.48の屈折率(n)、及び約0.5Pa・s~約15Pa・sの複素粘性を有するPDMS-MAのホモポリマーである。いくつかの他の実施形態では、本発明の透明なボトルブラシポリマーは、約25,000g/モル~約250,000g/モルの数分子量(M)、約1.43~約1.48のn、及び約0.5Pa・s~約15Pa・sの複素粘性を有するOEGMAのホモポリマーである。
【0057】
1つ以上の実施形態では、透明なボトルブラシポリマーは、RAFT重合によって形成されるPDMS-MA及びOEGMAのランダムコポリマー(「ポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)」)であり、約10~約95モルパーセントのPDMS-MAを含む。いくつかの実施形態では、ポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)は、約20~約95、他の実施形態では、約30~約95、他の実施形態では、約50~約95、他の実施形態では、約70~約95、他の実施形態では、約80~約95、他の実施形態では、約10~約85、他の実施形態では、約10~約70、他の実施形態では、約10~約60、他の実施形態では、約10~約50、及び他の実施形態では、約10~約30モルパーセントのPDMS-MA繰り返し単位を含むであろう。いくつかの実施形態では、ポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)は、約70~約95モルパーセントのPDMS-MA繰り返し単位を含むであろう。
【0058】
1つ以上の実施形態では、これらのポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)コポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定された場合、約25,000g/モル~約250,000g/モルの数分子量(M)を有するであろう。いくつかの実施形態では、ポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)コポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定された場合、約30,000g/モル~約250,000g/モル、他の実施形態では、約50,000g/モル~約25,000g/モル、他の実施形態では、約100,000g/モル~約250,000g/モル、他の実施形態では、約150,000g/モル~約250,000g/モル、他の実施形態では、約200,000g/モル~約250,000g/モル、他の実施形態では、約25,000g/モル~約200,000g/モル、他の実施形態では、約25,000g/モル~約150,000g/モル、他の実施形態では、約25,000g/モル~約100,000g/モル、及び他の実施形態では、約25,000g/モル~約50,000g/モルの数分子量(M)を有するであろう。
【0059】
いくつかの実施形態では、これらのポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)コポリマーは、約1.40~約1.48のnを有するであろう。いくつかの実施形態では、nは、約1.41~約1.48、他の実施形態では、約1.42~約1.48、他の実施形態では、約1.45~約1.48、他の実施形態では、約1.46~約1.48、他の実施形態では、約1.40~約1.47、他の実施形態では、約1.40~約1.46、他の実施形態では、約1.40~約1.45、他の実施形態では、約1.40~約1.44、他の実施形態では、約1.40~約1.43、及び他の実施形態では、約1.40~約1.42であろう。これらの実施形態のうちの1つ以上では、ポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)コポリマーは、剪断レオロジーによって測定された場合、約0.5Pa・s~約15Pa・sの複素粘性を有するであろう。
【0060】
いくつかの他の実施形態では、PDMS-MA及び/若しくはOEGMA又は他の高屈折率メタクリレートマクロモノマーは、低い及び高いn小分子メタクリレート又はアクリレートモノマーと共重合して、所望の範囲外で粘性を増加させることなく、最終nを調整してもよい。好適な小分子メタクリレートモノマーとしては、限定されないが、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(TFEA)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(HDFDA)、ベンジルアクリレート(BzA)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-yl)-4-ヒドロキシフェニル]エチルアクリレート(BzTAzA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPhEA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、フッ素化メタクリルモノマーをPDMS-MAと共重合して、nを減少させる。いくつかの他の実施形態では、ベンジルモノマーをOEGMAと共重合して、所望のn範囲の上限に達する。
【0061】
いくつかの他の実施形態では、本発明の透明なボトルブラシポリマー又はコポリマーは、RAFT重合(「ポリ(PDMS-MA-co-BzMA)」)によって形成され、かつ約10~約90モルパーセントのPDMS-MAを含む、PDMS-MA及びベンジルメタクリレート(BzMA)のコポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリ(PDMS-MA-co-BzMA)コポリマーは、約20~約90、他の実施形態では、約30~約90、他の実施形態では、約50~約90、他の実施形態では、約70~約90、他の実施形態では、約80~約90、他の実施形態では、約10~約85、他の実施形態では、約10~約70、他の実施形態では、約10~約60、他の実施形態では、約10~約50、及び他の実施形態では、約10~約30モルパーセントのPDMS-MA繰り返し単位を含むであろう。
【0062】
いくつかの他の実施形態では、透明なボトルブラシポリマーは、RAFT重合(「ポリ(PDMS-MA-co-EGPhEMA)」)によって形成され、かつ約10~約90モルパーセントのPDMS-MAを含む、PDMS-MA及びエチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)のコポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリ(PDMS-MA-co-EGPhEMA)コポリマーは、約20~約90、他の実施形態では、約30~約90、他の実施形態では、約50~約90、他の実施形態では、約70~約90、他の実施形態では、約80~約90、他の実施形態では、約10~約85、他の実施形態では、約10~約70、他の実施形態では、約10~約60、他の実施形態では、約10~約50、及び他の実施形態では、約10~約30モルパーセントのPDMS-MA繰り返し単位を含むであろう。
【0063】
いくつかの実施形態では、高屈折率(メタ)アクリレートマクロモノマー(例えば、PDMS-MA及びOEGMA)及びメタクリレートモノマー(TFEMA、HDFDMA、BzMA、BzTAzMA、EGPhEMA、及びHEMA)は、以下の式のうちの1つを有してもよく、
【化34】
式中、xは、約5~約10の整数である。
【0064】
いくつかの他の実施形態では、アクリレートモノマー(TFEA、HDFDA、BzA、BzTAzA、EGPhEA、HEA)は、以下の式のうちの1つを有し得る。
【化35】
【0065】
特に、本発明の透明なボトルブラシポリマー及びコポリマーが眼内レンズ(IOL)又は調節用眼内レンズ(A-IOL)の充填材として使用される実施形態では、粘性及び屈折率(n)の両方が重要である。様々な実施形態では、本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマーは、37℃でレオメーターによって測定された場合、約0.4Pa・s~約15Pa・sの複素粘性を有するであろう。いくつかの実施形態では、本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマーは、37℃で0.5Pa・s~約15Pa・s、他の実施形態では、約0.5Pa・s~約13Pa・s、他の実施形態では、約0.5Pa・s~約12Pa・s、他の実施形態では、約0.5Pa・s~約10Pa・s、他の実施形態では、約0.5Pa・s~約8Pa・s、他の実施形態では、約0.5Pa・s~約6Pa・s、他の実施形態では、約1Pa・s~約15Pa・s、他の実施形態では、約3Pa・s~約15Pa・s、他の実施形態では、約5Pa・s~約15Pa・s、他の実施形態では、約7Pa・s~約15Pa・s、及び他の実施形態では、約9Pa・s~約15Pa・sの複素粘性を有するであろう。いくつかの実施形態では、本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマーは、37℃でレオメーターによって測定された場合、約0.4Pa・s~約50Pa・sの複素粘性を有するであろう。
【0066】
1つ以上の実施形態では、本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマー及びコポリマーは、37℃でレフラクトメーターによって測定された場合、約1.43~約1.48の屈折率を有するであろう。いくつかの実施形態では、本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマー及びコポリマーは、37℃でレフラクトメーターによって測定された場合、約1.40~約1.48、他の実施形態では、約1.42~約1.48、他の実施形態では、約1.44~約1.48、他の実施形態では、約1.46~約1.48、他の実施形態では、約1.40~約1.47、他の実施形態では、約1.40~約1.46、他の実施形態では、約1.40~約1.45、及び他の実施形態では、約1.40~約1.43の屈折率を有するであろう。本発明によるいくつかの透明なボトルブラシポリマー及びコポリマーの屈折率を、以下の表1に示す。
【表1】
【0067】
屈折率測定に基づいて化学量論及び組成を変更することによって、本発明の透明なボトルブラシポリマー及びコポリマーの屈折率を微調整することが可能であることが見出されている。
【0068】
本発明のボトルブラシポリマーは、任意の好適な方法によって作製され得るが、好ましくは、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合技術を使用して作製される。様々な実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、1つ以上の好適なRAFT剤及び従来のフリーラジカル開始剤を使用するRAFT重合によって形成され得る。例示的な反応機構をスキーム1-11に示し、以下で更に詳細に議論する。
【0069】
好適なRAFT剤としては、限定されないが、ジチオベンゾエート、トリチオカーボネート、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。これらの実施形態のいくつかでは、RAFT剤は、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸(鎖移動剤-1、CTA1)又は4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ))ペンタン酸(CTA2)であり得る。いくつかの実施形態では、RAFT剤は、以下の式を有するジチオベンゾエートであってもよい。
【化36】
【0070】
いくつかの他の実施形態では、RAFT剤は、以下の式を有するトリチオカーボネートであってもよい。
【化37】
式中、yは、3~11の整数である。更に他の実施形態では、RAFT剤は、以下の式を有する。
【化38】
【0071】
RAFT重合反応中、メタクリレートマクロモノマーは、RAFT剤の中心又はその付近の位置で重合し、RAFT剤を分裂させ、ボトルブラシポリマーの末端基を形成するRAFT剤の各半分が形成される。本発明のボトルブラシポリマーが光学的に透明である必要がある実施形態では、これらの末端基のうちの1つは、過剰の熱的又は化学的に活性化されたラジカル生成化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)の添加によって除去され得る。得られたポリマーは、図1に示されるように、光学的に透明である。
【0072】
本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマーは、約25,000g/モル~約250,000g/モルの数平均分子量Mを有するであろう。いくつかの実施形態では、本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマーのMは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定された場合、約50,000g/モル~約250,000g/モル、他の実施形態では、約100,000g/モル~約250,000g/モル、他の実施形態では、約150,000g/モル~約250,000g/モル、他の実施形態では、約200,000g/モル~約250,000g/モル、他の実施形態では、約25,000g/モル~約200,000g/モル、他の実施形態では、約25,000g/モル~約150,000g/モル、他の実施形態では、約25,000g/モル~約100,000g/モル、及び他の実施形態では、約25,000g/モル~約50,000g/モルである。いくつかの実施形態では、Mは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定された場合、約50,000g/モル~約200,000g/モルである。いくつかの他の実施形態では、Mは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定された場合、約100,000g/モル~約200,000g/モルである。本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定された場合、約30,000g/モル~約500,000g/モル、好ましくは、約100,000g/モル~約400,000g/モル、及びより好ましく、約150,000g/モル~約300,000g/モルの数平均分子量(M)を有する。
【0073】
様々な実施形態では、本発明の光学的に透明なボトルブラシポリマーは、動的機械分析(DMA)又は示差走査熱量測定(DSC)によって測定された場合、約-50℃~約30℃、好ましくは、約-50℃~約10℃、より好ましくは、約-50℃~約10℃のガラス転移温度(T)を有するであろう。
【0074】
1つ以上の実施形態では、マクロモノマー及び得られたポリマーセグメントの側鎖DPは、約5~10であろう。いくつかの実施形態では、PDMS-MAマクロモノマーは、約5~約10の側鎖DPを有するであろう。いくつかの他の実施形態では、OEGMAマクロモノマーは、約8~約10の側鎖DPを有するであろう。
【0075】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化39】
式中、Rは、式
【化40】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、yは、約3~約11の整数であり、aは、約20~約300の整数である。いくつかの実施形態では、xは、約6~約10、他の実施形態では、約7~約10、他の実施形態では、約8~約10、他の実施形態では、約5~約9、他の実施形態では、約5~約8、及び他の実施形態では、約5~約7の整数であり得る。いくつかの実施形態では、xは、5である。他の実施形態では、xは、6である。
【0076】
いくつかの実施形態では、yは、約4~約11、他の実施形態では、約5~約11、他の実施形態では、約6~約11、他の実施形態では、約8~約11、他の実施形態では、約10~約11、他の実施形態では、約3~約9、他の実施形態では、約3~約7、及び他の実施形態では、約3~約5の整数である。いくつかの実施形態では、yは、11である。いくつかの実施形態では、aは、約30~約300、他の実施形態では、約50~約300、他の実施形態では、約100~約300、他の実施形態では、約150~約300、他の実施形態では、約200~約300、他の実施形態では、約20~約200、他の実施形態では、約20~約100、他の実施形態では、約20~約50、及び他の実施形態では、約20~約30の整数であり得る。
【0077】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化41】
式中、Rは、式
【化42】
を有し、xは、5~10の整数であり、R′は、式
【化43】
を有し、yは、約3~約11の整数であり、nは、約70%~約95%のモルパーセントであり、mは、約5%~約30%のモルパーセントであり、n+m=100である。様々な実施形態では、x及びyは、上に示される通りであってもよい。いくつかの実施形態では、yは、11である。
【0078】
いくつかの実施形態では、nは、約75%~約95%、他の実施形態では、約80%~約95%、他の実施形態では、約85%~約95%、他の実施形態では、約90%~約95%、他の実施形態では、約70%~約90%、他の実施形態では、約70%~約85%、他の実施形態では、約70%~約80%、及び他の実施形態では、約70%~約75%のモルパーセントである。様々な実施形態では、mは、約10%~約30%、他の実施形態では、約15%~約30%、他の実施形態では、約20%~約30%、及び他の実施形態では、約25%~約30%のモルパーセントである。
【0079】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化44】
式中、Rは、式
【化45】
を有し、R′は、式
【化46】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、yは、約3~約11の整数であり、nは、約80%~約90%のモルパーセントであり、mは、約20%~約10%のモルパーセントであり、n+m=100である。様々な実施形態では、x及びyは、x及びyについて上に示される整数のうちのいずれかであり得、n及びmは、n及びmについて上に示されるモルパーセントのうちのいずれかであり得る。
【0080】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化47】
式中、Rは、式
【化48】
を有し、R′は、式
【化49】
を有し、nは、約80%~約0.90%のモルパーセントであり、yは、約3~約11の整数であり、xは、約5~約10の整数である。いくつかの実施形態では、xは、5又は6である。
【0081】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有し、
【化50】
式中、Rは、式
【化51】
を有し、R′は、式
【化52】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、yは、約3~約11の整数であり、nは、約5%~約30%のモルパーセントであり、mは、約70%~約95%のモルパーセントであり、n+m=100である。いくつかの実施形態では、xは、5又は6である。いくつかの実施形態では、yは、11である。
【0082】
本発明のボトルブラシポリマーは、RAFT重合による形成後、全て透明であるが、それらはしばしば色合いがつけられ、完全に光学的に透明ではない。しかしながら、有利には、硫黄含有末端基(RAFT剤の残基)を除去すると、光学的に透明であるポリマーが生成されることが見出されている。(例えば、図1を参照されたい)。1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有するホモポリマーであり、
【化53】
式中、Rは、式
【化54】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、aは、約20~約300の整数である。いくつかの実施形態では、xは、5又は6である。
【0083】
いくつかの他の実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、以下の式を有するコポリマーであり、
【化55】
式中、Rは、式
【化56】
を有し、R′は、式
【化57】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、aは、約5~約30の整数であり、bは、約70~約95の整数であり、nは、約5%~約30%のモルパーセントであり、mは、約70%~約95%のモルパーセントであり、n+m=100である。いくつかの実施形態では、xは、5又は6である。
【0084】
更に、上に示されるように、この共重合アプローチを使用して、重合反応中又は重合反応の終了時に、ボトルブラシにアルコール又はアミン基を含むUV吸着染料をメタ(アクリル化)することによって、UV吸収試薬をボトルブラシポリマー骨格に組み込んでUV光をフィルターを通して除去することが可能であることが見出されている。アルコール又はアミン基を含有する好適なUV吸着染料は、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BzTAzMA)である。1つ以上の実施形態では、本発明は、以下の式を有するUV光ブロックボトルブラシRaftコポリマーを対象とし、
【化58】
式中、Rは、式
【化59】
を有し、R′は、式
【化60】
を有し、xは、約5~約10の整数であり、nは、約90%~約99%のモルパーセントであり、mは、約1%~約10%のモルパーセントであり、n+m=100である。いくつかの実施形態では、xは、5又は6である。
【0085】
上に示されるように、本発明のボトルブラシポリマーは、任意の好適な方法によって作製され得るが、好ましくは、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合技術を使用して作製される。本発明の透明なボトルブラシポリマーは、これらに限定されないが、原子移動ラジカル重合(ATRP)、開環メタセシス重合(ROMP)、及び開環重合(ROP)を含む他の技術によって作製され得る。
【0086】
RAFT重合を使用する実施形態では、1つ以上の高nメタクリレートマクロモノマー、RAFT剤、及びフリーラジカル開始剤を、高温及び不活性雰囲気下で、反応溶媒中で組み合わせて、ボトルブラシポリマーを生成する。様々な実施形態では、1つ以上の高nメタクリレートモノマー及び/又はマクロモノマー、並びにRAFT剤は、上記のもののうちのいずれかであり得る。開始剤は、無毒であり、かつ使用されている試薬と適合性であることを条件として、当該技術分野で既知の任意のフリーラジカル開始剤であってもよい。好適な反応開始剤としては、限定されないが、アゾ化合物(例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル、AIBN)、有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)、無機過酸化物、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0087】
当業者であれば、過度の実験なしにフリーラジカル開始剤を選択することができるであろう。反応溶媒は、全ての試薬を溶解するか、又は少なくとも懸濁させることができることを条件として、特に限定されない。更に、溶媒を除去しなければならないため、使用される溶媒の量を最小限に抑え、他の試薬を溶解又は懸濁させるのに十分な量のみを使用することが好ましい。好適な溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。当業者であれば、過度の実験なしに反応溶媒を選択することができるであろう。1つ以上の実施形態では、溶媒は、トルエンである。
【0088】
いくつかの実施形態では、本発明のボトルブラシポリマーは、ホモポリマーであり、使用されるマクロモノマー対RAFT剤対開始剤のモル比は、1~300当量:1当量:0.5当量、好ましくは、1~200当量:1当量:0.5当量、及びより好ましくは、1~100当量:1当量:0.5当量である。いくつかの実施形態では、使用されるマクロモノマー対RAFT剤対RAFT開始剤のモル比は、100当量:1当量:0.5当量である。
【0089】
様々な実施形態では、反応温度は、60℃~80℃、好ましくは、65℃~80℃、及びより好ましくは、70℃~75℃である。これらの実施形態のいくつかでは、反応温度は、約70℃である。1つ以上の実施形態では、反応時間は、6時間~24時間、好ましくは、9時間~20時間、及びより好ましくは、12時間~16時間である。これらの実施形態のいくつかでは、反応時間は、12時間~16時間である。
【0090】
代表的な反応機構を以下のスキーム1に示す。
スキーム1
CTA1を使用したRAFT重合を介するポリ(PDMS-MA)の合成スキーム
【化61】
【0091】
これらの実施形態のいくつかでは、xは、上に示されるように、約5~約10の整数である。様々な実施形態では、nは、上に示されるように、約20~約300の整数である。スキーム1に示される反応では、高nメタクリレートマクロモノマー(PDMS-MA)を、開始剤(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル(AIBN))を用いて、トルエン中のRAFT剤(4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸(CTA1))と約70℃で約12~約16時間反応させて、ポリ(PDMS-MA)ボトルブラシホモポリマーを形成する。
【0092】
様々な実施形態では、RAFT重合反応は、上記のような重合度(DP)を有する骨格を有するポリマー又はコポリマーを生成する。いくつかの実施形態では、ポリマー又はコポリマーは、約20~約300、好ましくは、約50~約200、及びより好ましくは、約75~150のDPを有する骨格を有する。
【0093】
反応は、追加のモノマーが鎖末端に添加されないことを条件として、任意の好適な方法を使用してクエンチされ得る。いくつかの実施形態では、反応は、周囲空気に反応を開放することによってクエンチされ得る。いくつかの実施形態では、反応は、溶媒中に弱いプロトン酸を添加することによってクエンチされ得る。1つ以上の実施形態では、溶媒は、これらに限定されないが、メタノール、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、イソプロパノール、エタノール、ペンタン、及びそれらの組み合わせを含み得る。これらの実施形態のいくつかでは、PDMS-MAのようなマクロモノマーを含む反応は、空気への曝露並びにメタノール、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、イソプロパノール、エタノール、ペンタン、及びそれらの組み合わせの添加によってクエンチされる。いくつかの他の実施形態では、OEGMAのような親水性マクロモノマーを含む反応は、空気への曝露、並びにヘキサン、ヘプタン、トルエン、イソプロパノール、エタノール、ペンタン、及びそれらの組み合わせの添加によってクエンチされる。
【0094】
いくつかの他の実施形態では、原子移動ラジカル重合及びニトロキシド媒介ラジカル重合を含む精密ラジカル重合(CRP)手順、並びに開環メタセシス重合は、3つの異なるアプローチ、すなわち、grafting to、grafting through、及びgrafting fromアプローチによる合成ボトルブラシ高分子を可能にする。それぞれは、本技術と適合性のあるモノマーの使用に依存する。ATRPによって合成されたボトルブラシ高分子の大部分は、臭化銅系触媒及びグラフトからのアプローチの方法を使用する。側鎖は、各モノマー単位上に開始基を有したマクロ開始剤から重合され、かなりの数の分子間/分子内カップリング反応及び側鎖末端での移動可能な原子の保持なしに、比較的高い開始効率及び狭い分子量分布を有する高密度グラフト化ポリマーをもたらす。
【0095】
得られたボトルブラシポリマー又はコポリマーは、任意の好適な方法を使用して収集及び精製され得る。当業者は、過度の実験なしにボトルブラシポリマーを収集及び精製することができるであろう。様々な実施形態では、ボトルブラシポリマー又はコポリマーは、以下の実施例に示されるように収集及び精製され得る。
【0096】
上に示されるように、上に示されるように形成されたボトルブラシポリマーは、RAFT重合による形成後、全て透き通っているが、それらは色合いがつけられ、完全に光学的に透明ではない場合がある。理論によっていかなる方法でも限定されることを望むものではないが、これらのボトルブラシポリマーの色合い付けは、硫黄含有末端基(RAFT剤の残基、CTA1及びCTA2を参照)からもたらされると考えられる。いずれにしても、これらの硫黄含有末端基を除去すると、光学的に透明なポリマーが生成されることが見出されている。(例えば、図1を参照されたい)。
【0097】
本発明のボトルブラシポリマーが光学的に透明である必要がある(例えば、眼内レンズで使用する)実施形態では、これらの末端基は、過剰の熱的又は化学的に活性化されたラジカル生成化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)の添加によって除去され得る。1つ以上の実施形態では、熱的又は化学的に活性化されたラジカル生成化合物は、ボトルブラシポリマーを形成したRAFT重合を開始するために使用されるのと同じ化合物である。いくつかの実施形態では、本発明のボトルブラシポリマー上のRAFT末端基を除去するために使用される熱的又は化学的に活性化されたラジカル生成化合物は、AIBNである。
【0098】
これらの実施形態の1つ以上では、本発明のボトルブラシRAFTポリマー上の鎖移動剤の硫黄含有末端残基は、以下のスキーム2に示されるように、ポリ(PDMS-MA)ボトルブラシRAFTポリマーのω鎖末端で除去され、AIBN処理を介して2-シアノプロピル3ラジカルエンドキャッピング基で置き換えられ得る。
スキーム2
【化62】
【0099】
スキーム2に示されるボトルブラシポリマーは、開始剤としてCTA1を使用して形成されるPDMS-MAのホモポリマーであるが(上記のスキーム1を参照されたい)、本発明はそのように限定されるものではなく、スキーム2に示される反応はまた、開始剤としてCTA2で形成されるものを含む、硫黄含有末端基を有する上に示されるホモポリマー及びコポリマーのいずれかとともに使用され得る。
【0100】
これらの実施形態では、ボトルブラシポリマーを最初に密封可能なフラスコ又は他の好適な反応容器に入れ、好適な溶媒で溶解する。使用される溶媒は特に限定されず、ボトルブラシポリマーのための任意の溶媒は、溶媒がボトルブラシポリマー又は他の試薬を分解若しくはそれと反応しないか、又はそうでなければ上記のスキーム2に示される反応に干渉しないことを条件として使用され得る。当業者は、過度の実験なしにボトルブラシポリマーのための溶媒を選択することができるであろう。好適な溶媒としては、限定されないが、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、トルエンである。いくつかの他の実施形態では、溶媒は、THFである。
【0101】
次に、熱的又は化学的に活性化されたラジカル生成化合物を、ボトルブラシRAFTポリマー溶液に過剰に添加し、容器を加熱して、鎖移動剤の硫黄含有末端基残基をボトルブラシRAFTポリマーのω鎖末端から除去する。上記のスキーム2に示される実施形態では、過剰のAIBNを反応容器に添加し、次いでそれを、RAFT剤上のチオールの酸化を回避するために、窒素ガスなどの不活性ガスでスパージングし、次いで、加熱して、ボトルブラシRAFTポリマーの末端から硫黄含有末端基残基を除去する。いくつかの実施形態では、反応容器は、TEFLON(登録商標)コーティングされた撹拌バーを備えたフラスコであってもよく、ゴムセプタムで密封されてもよい。
【0102】
当業者には理解されるであろうように、過剰のAIBNは、ポリマーの化学量論量の2倍を超える量である。いくつかの実施形態では、AIBNは、ポリマーを合成するために使用されるRAFT剤の当量の20倍に等しい量で添加される。AIBNが添加されると、容器を密封し、RAFT剤上のチオールの酸化を回避するために、窒素ガスなどの不活性ガスでスパージングする。スパージング時間は、RAFT剤上のチオールの酸化を回避するのに十分であり、かつ当然ながら、使用される不活性ガスの流量に依存することを条件として、特に制限されない。いくつかの実施形態では、AIBN/ボトルブラシRAFTポリマー混合物は、20~30分間(>1mL/分)Nでスパージングされてもよい。
【0103】
次いで、上記に設定したように、反応容器を加熱して、反応を容易にする。スキーム2に示されるように、加熱はAIBNをラジカル化し、2つの2-シアノプロピル3ラジカルと窒素ガスを形成する。見られるように、これらの2つの2-シアノプロピル3ラジカルは、鎖移動剤の末端残基をボトルブラシRAFTポリマーのω鎖末端に保持する炭素-硫黄結合を攻撃し、それによってポリマーの末端から除去する。大過剰の2-シアノプロピル3ラジカルが存在するため、スキーム2に示されるように除去され、かつ2-シアノプロピルエンドキャッピング基で置き換えられた硫黄含有化合物。
【0104】
十分なAIBNをラジカル化するために必要な温度は、計画された反応時間に依存するが、容器は、反応を容易にするために少なくとも40℃の温度まで加熱されるべきであるが、60℃を超えて加熱されるべきではない。いくつかの実施形態では、反応容器は、反応混合物の還流温度まで加熱される。反応容器は、これらに限定されないが、油浴、水浴、又は電気加熱プレート若しくはコイルを含む任意の好適な方法によって加熱され得るが、反応容器は、好ましくは、油浴中で加熱される。当業者には明らかであろうように、反応温度が高いほど、反応に必要とされる反応時間は短くなる。いくつかの実施形態では、反応容器を油浴中に沈め、80℃に加熱し、反応を3~4時間実行した。いくつかの他の実施形態では、反応容器を油浴中に沈め、65~70℃で5~6時間還流させる。
【0105】
スキーム2に示される反応が完了した後、反応混合物は、乾燥され、その目的のために当該技術分野で既知の任意の方法を使用して精製された光学的に透明なボトルブラシRAFTポリマーとなる。いくつかの実施形態では、反応混合物は、rotovap(典型的には、80~100mbar、35℃)を使用して減圧下で乾燥されてもよく、得られた粘性液体をメタノールで繰り返し洗浄し、THF中に再溶解させ、1μmのPTFEフィルターを通過させてもよい。最後に、全ての揮発性物質を除去し(80~100mbar、35℃)、得られた透き通った無色の粘性液体ポリマー溶融物を、室温で、高真空下で一晩更に乾燥させる。
【0106】
1つ以上の実施形態では、本発明のボトルブラシRAFTポリマー上の鎖移動剤の硫黄含有末端基残基を除去し、以下の実施例12及び13に記載の2-シアノプロピル末端キャッピング基で置き換えてもよい。
【0107】
第2の態様では、本発明は、上に記載のボトルブラシポリマー及びコポリマーのうちの1つ以上を含む光学的に透明な充填材料で実質的に充填された密閉された空洞を有するレンズシェルを含む、白内障の治療に使用するための人工眼内レンズ(IOL)を対象とする。これらの実施形態では、ボトルブラシポリマー及びコポリマーは、約1.40~約1.48の屈折率(n)及び約0.4Pa・s~約12Pa・sの複素粘性を有する。様々な実施形態では、光学的に透明な充填材料は、溶媒を含まない。
【0108】
様々な実施形態では、人工レンズは、上で議論されるメタクリレートベースのボトルブラシポリマー又はコポリマーのうちの1つ以上を含む充填材料を含む可撓性レンズシェル又はバッグを含む。当業者には理解されるであろうように、眼のレンズは、レンズの形状を変化させて、眼が一定の距離の範囲にわたって焦点を合わせることを可能にする調節の筋肉によって作用される(図2、3)。若く健康な眼を有する人は、調節と呼ばれるプロセスにより近くの物体に焦点を合わせることができる。調節中に、レンズ軸厚の増加、レンズ前面及び後面の曲率の増加、並びにレンズ直径の減少に起因して、眼の水晶体の屈折力の増加がある。
【0109】
本発明の1つ以上の実施形態によるIOLを、図2~4に示す。最初に図2を参照すると、IOLは、光学的に透明な充填媒体2bで充填された薄い可撓性シェル2aから構成され得る。1つ以上の実施形態では、薄いシェルは、20ミクロン~1mmの厚さであり得、可撓性シリコーンエラストマー、疎水性アクリル、又は他の可撓性及び生体適合性材料から構成され得る。これらの実施形態では、充填媒体は、本明細書に記載の光学的に透明な生体適合性で可撓性のボトルブラシポリマー材料である。これらの実施形態では、充填材料の屈折率は、予め決定された力を有するIOLを作成するように選択される。挿入器装置2cを使用して、輪部切開2iにより事前充填されたIOLを眼のカプセルバッグ2fに挿入する。IOLは、調節の筋肉2dが収縮すると、IOLの形状が変化するため、したがってIOLは更なるジオプター度数を提供し、眼が近くに焦点を合わせることを可能にするように適応性があり得る。眼の角膜2g及び虹彩2hは、毛様体筋2dを眼のカプセルバッグ2fに取り付ける小帯繊維2eと同様に示される。本実施形態のIOLは、充填媒体で充填され、充填媒体が挿入器装置に入る前に密封され、次いで、挿入器装置はレンズを眼のカプセルバッグに挿入する。また、外部シェルを含まずに、本明細書に記載のポリマーの完全に予め形成されたIOLが提供され得ることも企図される。
【0110】
ここで図3を参照すると、IOL3aの薄い可撓性シェルは、挿入器装置3bを用いてカプセルバッグ3fに挿入される。挿入器装置3bは、薄いカニューレ5cを通して光学的に透明な充填媒体をシェルに注射するために使用される。シェルは、一方向弁又はプラグを有し得る。シェルは、自己密封材料で作られ得る。代替的に、シーラントは、充填材料の挿入後にシェル上に置かれ得る。再び、薄いシェルは、20ミクロン~1mmの厚さであり得、可撓性シリコーンエラストマー、疎水性アクリル、又は他の可撓性及び生体適合性材料から構成される。充填材料は、上に記載の光学的に透明な生体適合性で可撓性のボトルブラシポリマー材料であり、本明細書に記載されるように、様々な屈折率で製造することができる。充填材料の屈折率は、予め決定された力を有するIOLを作成するように選択される。これらの実施形態では、IOLは、調節の筋肉が収縮すると3d、IOLの形状が変化するため、したがってIOLは更なるジオプター度数を提供し、眼が近くに焦点を合わせることを可能にするように適応性がある。眼の角膜3g、虹彩3h、及び硝子体3jは、毛様体筋3dを眼のカプセルバッグ3fに取り付ける小帯繊維3eと同様に示される。本実施形態のIOLは、カプセルバッグに挿入され、次いで、充填媒体で充填され、眼のカプセルバッグ内に密封される。図4は、シェル材料が均一な厚さのものであるA-IOLの1つのバージョンの画像である。
【0111】
ヘルムホルツ調節理論によれば、眼が遠くに焦点を合わせると、円形の毛様筋が弛緩し、小帯が水晶体を引っ張り、それを平らにする。眼が近い物体に焦点を合わせると、毛様体筋が収縮し、水晶体小帯が弛緩する。小帯張力が低下すると、水晶体はより厚くなり、より凸状になる。この丸みを帯びた水晶体は、眼の視力を高め、近見を可能にする。ヘルムホルツ理論では、小帯は調節中に緩和され、調節が終了すると張力下となる。(Glasser 2006)
【0112】
上に示されるように、天然のレンズは、経時的にその弾性を喪失し、より厚くなり、柔軟性が低下し、老眼につながる。加齢に伴い、水晶体はより厚く、より不透明になり、ぼやけた視界及び白内障につながる。本発明による人工レンズは、加齢に伴ってより厚く、より柔軟性ではなく、より不透明になったレンズを置き換えるために、患者の眼に埋め込まれる。このA-IOLは、1.40~1.48の屈折率(n)及び眼が焦点を合わせることを可能にするために眼の筋肉によって変形されることを可能にするための複素粘性を有するべきである。本開示は、調節の筋肉に応答して形状を変えることができ、かつ一定の範囲の距離にわたって明確な視界を提供することによって眼鏡及びコンタクトレンズの必要性を排除することができる、調節眼内レンズによる老眼及び白内障のための解決策を提供する。
【0113】
いくつかの実施形態では、人工レンズは、調節眼内レンズ(A-IOL)である。いくつかの実施形態では、眼内レンズは、調節されないであろう。いくつかの実施形態では、IOLは、米国特許第10,278,810号、米国特許出願公開第2019/0321163A1号(続き)、又は国際出願第PCT/US20/52316号に記載される眼内レンズであり得、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0114】
以下の実施例は、本発明をより完全に例示するために提供されるが、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。更に、いくつかの例は、本発明が機能し得る方法に関する結論を含み得るが、本発明者らは、それらの結論によって拘束されることを意図するものではなく、可能な説明としてのみそれらを示す。更に、過去時制の使用によって記載されない限り、実施例の提示は、実験又は手順が実施された、若しくは実施されなかった、又は結果が実際に得られた、若しくは得られなかったことを意味するものではない。使用される数値(例えば、量、温度)に関して精度を確実にするように努力がなされてはいるが、いくらかの実験的誤差及び偏差が存在し得る。別段の指定がない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は、大気圧又はその付近である。
【0115】
材料
特に明記しない限り、溶媒を、ACSグレードとしてFisher Scientificから受け取り、更に精製することなく使用した。4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸(鎖移動剤#1(CTA1)、97%HPLC、Sigma-Aldrich、CAS#870196-80-8)、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸(CTA2、97%、Strem Chemicals、CAS#201611-92-9)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH、99.99%、Sigma-Aldrich)、クロロホルム-d(CDCl、99.8原子%D、0.03%v/v TMSを含む、Sigma-Aldrich)、及び塩化メチレン-d2(CDCl、99.8原子%D、Acros Organics)を受け取ったまま使用した。2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN、98%、Sigma-Aldrich)をMeOHから再結晶化した。モノメタクリルオキシプロピル終端PDMS非対称(PDMS-MA700、MCR-M07、MW=600~800g/mol、Gelest)、オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(OEGMA、M=500g/mol、Sigma-Aldrich)、ベンジルメタクリレート(BzMA、96%、Sigma-Aldrich)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA、Sigma-Aldrich)、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA、TCI Chemicals)、及びヒドロキシプロピルアクリレート(HPA、95%、Sigma-Aldrich)を、使用前に塩基性アルミナの短いカラムを通過させることによって新たに精製した。
【0116】
機器
試料のNMR分光分析を、Bruker Advance Neo 500MHz多核NMR分光計を使用して収集した。化学シフトは、ppm(δ)で報告され、CDCl中の7.26ppmでの残留CHClプロトン共鳴、又はCDCl中の5.32でのCHClプロトン共鳴を参照する。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、UV及びRI検出器を備えたHLC-8420GPC、EcoSEC Eliteゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システム(Tosoh Bioscience,LLC.)、TSKgel GMHHR-M混床式試料カラム(7.8mm ID×30cm、5μm)を使用して行った。各試料(5~10mg/mLの濃度)の数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)、及び分子量分布
【数1】
を、40℃で0.5mL/分が流れる溶出液としてCHClを用いてポリ(スチレン)標準(PStQuick C及びD、Tosoh Bioscience LLC)から決定した較正曲線を使用して計算した。また、溶出液としてTHF(100ppm BHTで安定化)を使用して、2つのAgilent PLgel mixed-Cカラム(105Å、7.5×300mm、5μm、部品番号PL1110-6500)上でSECを行った。分子量を、Wyatt Dawn EOS多角度光散乱(MALS)検出器及びWyatt Optilab DSP干渉計レフラクトメーター(RI)を使用して計算した。屈折率増加(dn/dc)値を、既知の濃度及び質量の注射に基づいてオンライン計算によって決定した。純粋なポリマー溶融物の粘性を、TA Instruments Discovery Hybrid Rheometer 3(DHR 3)を使用して測定した。各ポリマー溶融物を、200μmのギャップを使用して平行プレート(直径25mm)の間に置き、データを、25、37、45、及び50℃で、10%のひずみで0.1rad/s~500rad/sの範囲の角周波数スイープを介して収集した。屈折率測定は、25及び37℃でチラーを備えたBellingham&Stanley RFM 340を使用して行った。
【0117】
実施例1
CTA1を使用するPDMS-MA(MW=600~800g/mol)-ポリ(PDMS-MA)ボトルブラシ(BB)ポリマーのRAFT重合
一連の実験において、ポリ(PDMS-MA)ボトルブラシ(BB)ポリマー(MW=600~800g/mol)を、CTA1をRAFT剤を用いて、4つの異なるモノマー([M])対RAFT剤対開始剤([I])のモル比でPDMS-MAのRAFT重合を使用して、上記のスキーム1に示されるように生成した。
【0118】
[M]:[CTA1]:[I]=50:1:0.5
典型的な可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を以下のように実施した。テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MA700マクロモノマー(M、3.0mL、約50当量)、RAFT剤(CTA1、33.2mg、0.082mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、6.76mg、0.041mmol、0.5当量)、及びトルエン(1.5~2.0mL)を添加し、セプタムで密封した。混合物をNで5~10分間スパージングした。次いで、フラスコを70℃で予熱した油浴中に置いた。重合を12~16時間実行した。フラスコを空気に開放し、10~15mLのMeOHをフラスコに直接添加することによって重合をクエンチした。得られた混合物をボルテックスし、超音波処理し、数分間氷浴中に置いた。次いで、上部の液層をデカントし、この精製工程を更に2~4回繰り返した。最終ポリマーをTHF中に溶解し、溶液を1μm PTFEフィルターに通過させ、全ての揮発物をrotovap(典型的には、85~90mbar、35~40℃)を使用して減圧下で除去し、得られた粘性液体ポリマーを室温で、高真空下で一晩乾燥させた。黄色の透き通った粘性液体ポリマー溶融物を得た(>95%のモノマー変換、1.86gの単離収量)。Mn,theo約30,000~40,000g/mol、Mn,GPC=34,220g/mol、Mw,GPC=38,600g/mol、
【数2】
屈折率(n)=1.43297.H NMR(400MHz,CDCl,25°C)δ=3.80(b,2H,-COCH-),2.10-1.72(b,2H,-CH-),1.61(b,2H,-COCHCH-),1.38-1.25(b,4H,-SiCHCHCHCH),1.11-0.78(b,6H,-CH),0.60-0.44(b,4H,-SiCH-),0.16-0.01(b,36H,-Si(CH)(図5を参照されたい)
【0119】
[M]:[CTA]:[I]=20:1:0.5
PDMS-MA700マクロモノマー(M、1.0mL、約20当量)、RAFT剤(CTA1、33.2mg、0.082mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、6.76mg、0.041mmol、0.5当量)、及びトルエン(1.0mL)を使用した(>95%のモノマー変換、0.90gの単離収量)。
【0120】
[M]:[CTA]:[I]=100:1:0.5
PDMS-MA700マクロモノマー(M、6.0mL、約100当量)、RAFT剤(CTA1、33.2mg、0.0823mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、6.76mg、0.0411mmol、0.5当量)、及びトルエン(3.0-4.0mL)を使用した(>95%のモノマー変換、約4.0gの単離収量)。
[M]:[CTA]:[I]=300:1:0.5
PDMS-MA700マクロモノマー(M、5.5mL、約300当量)、RAFT剤(CTA1、10.3mg、0.0248mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2.1mg、0.0124mmol、0.5当量)、及びトルエン(3.0mL)を使用した(>95%のモノマー変換、約5.0gの単離収量)。
【0121】
実施例2
CTA1を使用してポリ(PDMS-MA)ボトルブラシ(BB)ポリマーを形成するためのPDMS-MAのRAFT重合(大規模)
[M]:[CTA]:[I]=50:1:0.5
典型的な可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を以下のスキーム3に示されるように実施した。
スキーム3
【化63】
【0122】
この実施例は、実施例1と同様であるが、より大規模で実施される。テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(M、10mL、13.714mmol、約50当量)、RAFT剤(CTA1、110mg、0.274mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、22.91mg、0.137mmol、0.5当量)、及びトルエン(5mL)を添加し、セプタムで密封した。混合物をNで10~15分間スパージングした。次いで、フラスコを70℃で予熱した油浴中に置いた。重合を12~16時間実行した(>95%%のモノマー変換)。フラスコを空気に開放し、メタノールをフラスコに直接添加することによって重合をクエンチした。得られた混合物をボルテックスし、超音波処理し、数分間氷浴中に置いた。次いで、上部の液層をデカントし、この精製工程を更に2~4回繰り返した。最終ポリマーをTHF中に溶解し、溶液を1μm PTFEフィルターに通過させ、全ての揮発物をrotovap(典型的には、90~100mbar、35~40℃)を使用して減圧下で除去し、得られた粘性液体ポリマーを室温で、高真空下で一晩乾燥させた。黄色の透き通った粘性液体ポリマー溶融物を得た。H NMR(400MHz,CDCl,25°C)δ=3.86(b,2H,-COCH-),2.10-1.72(b,2H,-CH-),1.61(b,2H,-COCHCH-),1.38-1.25(b,4H,-SiCHCHCHCH),1.11-0.78(b,6H,-CH),0.60-0.44(b,4H,-SiCH-),0.16-0.01(b,36H,-Si(CH
【0123】
実施例3
CTA2を使用するPDMS-MA(MW=600~800g/mol)-ポリ(PDMS-MA)ボトルブラシ(BB)ポリマーのRAFT重合
ポリ(PDMS-MA)ボトルブラシ(BB)ポリマー(MW=600~800g/mol)を、RAFT剤としてCTA2を用いて、50:1:0.5のマクロモノマー([M])対RAFT剤対開始剤([I])で、PDMS-MAのRAFT重合によって、以下のスキーム4に示されるように生成した。
【0124】
PDMS-MA700マクロモノマー([M]、0.67mL、約50当量)、RAFT剤([CTA2]、5.3mg、0.0180mmol、1当量)、開始剤([I]、約3mg、0.5当量)([M]:[CTA2]:[I]=50:1:0.5)、及びトルエン(1.0mL)を使用した。反応をクエンチし、上記の実施例1に示されるようにポリマーを精製して、精製後にピンク色の透き通った粘性液体ポリマー溶融物を生成した(>90%のモノマー変換)。
スキーム4
CTA2を使用するRAFT重合を介するポリ(PDMS-MA)の合成スキーム
【化64】
【0125】
実施例4
OEGMA(M=500g/mol)のRAFT重合-ポリ(OEGMA)ボトルブラシポリマー
ポリ(OEGMA)ボトルブラシポリマーは、以下のスキーム5に示されるように、OEGMA(M=500g/mol)のRAFT重合によって形成した([M]:[CTA]:[I]=100:1:0.5)。
スキーム5
RAFT重合を介するポリ(OEGMA)の合成スキーム
【化65】
【0126】
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたOEGMA500マクロモノマー(M、1.13mL、約100当量)、RAFT剤(CTA1、9.83mg、0.0244mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.0122mmol、0.5当量)、及びトルエン(1.0mL)を添加し、セプタムで密封した。混合物をNで5~10分間スパージングした。次いで、フラスコを70℃で予熱した油浴中に置いた。重合を12~16時間実行した。フラスコを空気に開放し、10~15mLのヘキサンをフラスコに直接添加することによって重合をクエンチした。得られた混合物をボルテックスし、超音波処理し、数分間氷浴中に置いた。次いで、上部の液層をデカントし、この精製工程を更に2~4回繰り返した。最終ポリマーをTHF中に溶解し、溶液を1μm PTFEフィルターに通過させ、全ての揮発物をrotovap(典型的には、85~90mbar、35~40℃)を使用して減圧下で除去し、得られた粘性液体ポリマーを室温で、高真空下で一晩乾燥させた。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を得た(>95%のモノマー変換、1.1~1.2gの単離収量)。H NMR(400MHz,CDCl,25°C)δ=4.05(b,2H,-COCH-),3.73-3.47(b,34H,-O(CHCHO)-),3.35(b,3H,-OCH),2.27-1.57(b,2H),1.10-0.70(b,3H).(図6を参照されたい)
【0127】
実施例5
PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びOEGMA(M=500g/mol)-ポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)ボトルブラシコポリマーのRAFT共重合
これらの実験では、ポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)ボトルブラシコポリマーを、様々なPDMS-MA:OEGMA:RAFT剤([CTA]):開始剤([I])の比率で、以下のスキーム6に示されるように、PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びOEGMA(M=500g/mol)のRAFT共重合によって形成した。
スキーム6
RAFT重合を介するポリ(PDMS-MA-co-OEGMA)の合成スキーム
【化66】
【0128】
[PDMS-MA]:[OEGMA]:[CTA]:[I]=70:30:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(1.25mL、1.708mmol、70当量)及びOEGMA500マクロモノマー(0.340mL、0.732mmol、30当量)、RAFT剤(CTA1、9.83mg、0.0244mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.0122mmol、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を添加し、セプタムで密封した。混合物をNで5~10分間スパージングした。次いで、フラスコを70℃で予熱した油浴中に置いた。重合を12~16時間実行した。フラスコを空気に開放し、10~15mLのメタノールをフラスコに直接添加することによって重合をクエンチした。得られた混合物をボルテックスし、超音波処理し、数分間氷浴中に置いた。次いで、上部の液層をデカントし、この精製工程を更に2~4回繰り返した。最終ポリマーをTHF中に溶解し、溶液を1μm PTFEフィルターに通過させ、全ての揮発物をrotovap(典型的には、85~90mbar、35~40℃)を使用して減圧下で除去し、得られた粘性液体ポリマーを室温で、高真空下で一晩乾燥させた。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による68mol%PDMS-MA及び32mol%OEGMA、約1.5gの単離収量)。(図7を参照されたい)
【0129】
[PDMS-MA]:[OEGMA]:[CTA]:[I]=90:10:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(1.60mL、2.196mmol、90当量)及びOEGMA500マクロモノマー(0.110mL、0.244mmol、10当量)、RAFT剤(CTA1、9.83mg、0.0244mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.0122mmol、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を使用した。メタノールを使用して得られたポリマーを沈殿させた。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による84mol%PDMS-MA及び16mol%OEGMA、約1.5gの単離収量)。(図8を参照されたい)
【0130】
[PDMS-MA]:[OEGMA]:[CTA]:[I]=10:90:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(0.178mL、0.244mmol、10当量)及びOEGMA500マクロモノマー(1.02mL、2.196mmol、90当量)、RAFT剤(CTA1、9.83mg、0.0244mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.0122mmol、0.5当量)、並びにトルエン(0.5mL)を使用した。ヘキサンを使用して得られたポリマーを沈殿させた。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による20mol%PDMS-MA及び80mol%OEGMA、約1.1gの単離収量)。(図9を参照されたい)
【0131】
実施例6
PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びBzMA-ポリ(PDMS-MA-co-BzMA)コームコポリマーのRAFT共重合
いくつかの実験では、ポリ(PDMS-MA-co-BzMA)コームコポリマーを、2つの異なるPDMS-MA:BzMA:RAFT剤([CTA]):開始剤([I])の比率で、以下のスキーム7に示されるように、PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びBzMAのRAFT共重合によって形成した。
スキーム7
RAFT重合を介するポリ(PDMS-MA-co-BzMA)の合成スキーム
【化67】
【0132】
[PDMS-MA]:[BzMA]:[CTA]:[I]=70:30:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(1.03mL、1.38mmol、70当量)及びBzMA(0.10mL、0.59mmol、30当量)、RAFT剤(CTA1、6.20mg、0.0153mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、1~2mg、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を使用した。反応をクエンチし、上記の実施例1に示されるようにコポリマーを精製した。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による60mol%PDMS-MA及び40mol%BzMA、約0.90gの単離収量)。(図10を参照されたい)
【0133】
[PDMS-MA]:[BzMA]:[CTA]:[I]=90:10:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(2.00mL、2.654mmol、90当量)及びBzMA(0.05mL、0.295mmol、10当量)、RAFT剤(CTA1、11.91mg、0.0295mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を使用した。反応をクエンチし、上記の実施例1に示されるようにコポリマーを精製した。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による80mol%PDMS-MA及び20mol%BzMA、約1.94gの単離収量)。(図11を参照されたい)
【0134】
実施例7
PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びEGPhEMA-ポリ(PDMS-MA-co-EGPhEMA)コームコポリマーのRAFT共重合
これらの実験では、ポリ(PDMS-MA-co-EGPhEMA)コームコポリマーを、70:30:1:0.5のPDMS-MA対EGPhEMA対Raft剤([CTA])対開始剤([I])のモル比([PDMS-MA]:[EGPhEMA]:[CTA]:[I]=70:30:1:0.5)で、PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びEGPhEMAのRAFT共重合によって形成した。(図12を参照されたい)
【0135】
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(1.214mL、1.734mmol、70当量)及びEGPhEMA(0.142mL、0.743mmol、30当量)、RAFT剤(CTA1、10mg、0.0248mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を使用した。反応をクエンチし、上記の実施例1に示されるようにコポリマーを精製した。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による63mol%PDMS-MA及び37mol%EGPhEMA、約1.08gの単離収量)。
【0136】
実施例8
OEGMA(M=500g/mol)及びEGPhEMA-ポリ(OEGMA-co-EGPhEMA)コームコポリマーのRAFT共重合
これらの実験では、ポリ(OEGMA-co-EGPhEMA)コームコポリマーを、90:10:1:0.5のOEGMA対EGPhEMA対Raft剤([CTA])対開始剤([I])のモル比([OEGMA]:[EGPhEMA]:[CTA]:[I]=90:10:1:0.5)で、OEGMA(M=500g/mol)及びEGPhEMAのRAFT共重合によって形成した。
【0137】
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたOEGMA500マクロモノマー(2.18mL、2.356mmol、90当量)及びEGPhEMA(0.10mL、0.262mmol、10当量)、RAFT剤(CTA1、10.58mg、0.0262mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.0122mmol、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を使用した。ヘキサンを使用して得られたポリマーを沈殿させた。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による81.5mol%OEGMA及び18.5mol%EGPhEMA、約1.49gの単離収量)。(図13を参照されたい)
スキーム8
RAFT重合を介するポリ(OEGMA-co-EGPhEMA)の合成スキーム
【化68】
【0138】
実施例9
PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びTFEMA-ポリ(PDMS-MA-co-TFEMA)コームコポリマーのRAFT共重合
これらの実験では、ポリ(PDMS-MA-co-TFEMA)コームコポリマーを、PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びTFEMAのRAFT共重合によって形成し、2つの異なるPDMS-MA対TFEMA対RAFT剤対開始剤のモル比で、以下のスキーム9に示されるように形成した。
スキーム9
RAFT重合を介するポリ(PDMS-MA-co-TFEMA)の合成スキーム
【化69】
【0139】
[PDMS-MA]:[TFEMA]:[CTA]:[I]=70:30:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(1.20mL、1.639mmol、70当量)及びTFEMA(0.10mL、0.703mmol、30当量)、RAFT剤(CTA1、9.45mg、0.0234mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.0122mmol、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を使用した。反応をクエンチし、上記の実施例1に示されるようにコポリマーを精製した。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による66mol%PDMS-MA及び34mol%TFEMA、約1.10gの単離収量)。(図14を参照されたい)
【0140】
[PDMS-MA]:[TFEMA]:[CTA]:[I]=50:50:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(1.0mL、1.371mmol、50当量)及びTFEMA(0.20mL、1.371mmol、50当量)、RAFT剤(CTA1、11.07mg、0.0274mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.0122mmol、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を使用した。反応をクエンチし、上記の実施例1に示されるようにコポリマーを精製した。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による48mol%PDMS-MA及び52mol%TFEMA、約0.82gの単離収量)。(図15を参照されたい)
【0141】
実施例10
PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びBzTAzMA-ポリ(PDMS-MA-co-BzTAzMA)コームコポリマーのRAFT共重合
いくつかの実験では、ポリ(PDMS-MA-co-BzTAzMA)コームコポリマーを、90:10:1:0.5のPDMS-MA:BzTAzMA:RAFT剤([CTA]):開始剤([I])の比率で、以下のスキーム10に示されるように、PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びBzTAzMAのRAFT共重合によって形成した。
スキーム10
RAFT重合を介するポリ(PDMS-MA-co-BzTAzMA)の合成スキーム
【化70】
【0142】
[PDMS-MA]:[BzTAzMA]:[CTA]:[I]=90:10:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(1.0mL、1.37mmol、90当量)及びBzTAzMA(50mg、0.152mmol、30当量)、RAFT剤(CTA1、6.15mg、0.0153mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、1~2mg、0.5当量)、並びにトルエン(1.5mL)を使用した。反応をクエンチし、上記の実施例1に示されるように得られたコポリマーを精製した。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、約0.90gの単離収量)。M約60k、
【数3】
=1.44041。複素粘性=25℃で2.93Pa.s、37℃で2.02Pa.s。(図16を参照されたい)
【0143】
実施例11
PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びHDFDMA-ポリ(PDMS-MA-co-HDFDMA)ボトルブラシコポリマーのRAFT共重合
これらの実験では、ポリ(PDMS-MA-co-HDFDMA)ボトルブラシコポリマーを、2つの異なるPDMS-MA対HDFDMA対RAFT剤対開始剤のモル比で、以下のスキーム11に示されるように、PDMS-MA(MW=600~800g/mol)及びHDFDMAのRAFT共重合によって形成した。
スキーム11
RAFT重合を介するポリ(PDMS-MA-co-HDFDMA)の合成スキーム
【化71】
【0144】
[PDMS-MA]:[HDFDMA]:[CTA]:[I]=70:30:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(1.00mL、1.372mmol、70当量)及びHDFDMA(0.196mL、0.588mmol、30当量)、RAFT剤(CTA1、7.91mg、0.0196mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、1~2mg、0.0098mmol、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を使用した。反応をクエンチし、上記の実施例1に示されるようにコポリマーを精製した。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による66mol%PDMS-MA及び34mol%HDFDMA、約0.90gの単離収量)。
【0145】
[PDMS-MA]:[HDFDMA]:[CTA]:[I]=80:20:1:0.5
テフロンコーティングされたマイクロ撹拌バーを備えたシュレンクフラスコに、精製されたPDMS-MAマクロモノマー(1.00mL、1.372mmol、80当量)及びHDFDMA(0.114mL、0.343mmol、30当量)、RAFT剤(CTA1、6.92mg、0.0172mmol、1当量)、AIBN開始剤(I、2~3mg、0.0122mmol、0.5当量)、並びにトルエン(1.0mL)を使用した。反応をクエンチし、上記の実施例1に示されるようにコポリマーを精製した。黄色の粘性液体ポリマー溶融物を精製後に得た(>95%モノマー変換、実際の組成:H NMR分光法による76mol%PDMS-MA及び24mol%HDFDMA、約0.80gの単離収量)。
【0146】
実施例12
AIBN処理を介するRAFTボトルブラシ(BB)ポリマーの末端基除去(EGR)
これらの実験では、以下のスキーム12に示されるように、AIBNを使用してRAFTボトルブラシポリマーから末端基を除去した。
スキーム12
AIBN処理を介するポリ(PDMS-MA)ボトルブラシRAFTポリマーの末端基除去
【化72】
【0147】
まず、ポリマーをトルエン(約100~200mg/mLの溶液)中に溶解し、AIBNをフラスコに添加した(ポリマーを合成するために使用されるRAFT剤に対して20当量)。フラスコに、テフロンコーティングされた撹拌バーを備え、ゴムセプタムで密封した。得られた混合物をNで20~30分間スパージングした(>1mL/分)次いで、フラスコを油浴中に沈め、80℃に加熱し、反応を3~4時間実行した(80℃でのAIBNの半減期、t1/2は約90分である)。反応後、フラスコを冷却して室温に戻し、更に20当量のAIBNをフラスコに添加した。混合物をNでスパージングし、更に3~4時間80℃で加熱した。合計3回のAIBN処理後、反応混合物をrotovap(典型的には、80mbar、45℃)を使用して減圧下で乾燥させた。粘性液体をメタノールで5回洗浄し、THF中に再溶解し、1μm PTFEフィルターを通過させた。最後に、全ての揮発性物質を除去し(90~100mbar、35℃)、得られた粘性液体ポリマー溶融物を、室温で、高真空下で一晩更に乾燥させた。
【0148】
実施例13
AIBN処理を介するポリ(PDMS-MA)ボトルブラシRAFTポリマーのω鎖末端における鎖移動剤の末端基除去
上記のスキーム2に示されるように、過剰なAIBNを使用して、ポリマーから鎖移動剤(CTA)末端基を除去した。まず、ポリマーをTHF(約0.1g/mLの溶液)中に溶解し、AIBNをフラスコに添加した(ポリマーを合成するために使用されるCTAに対して20当量)。フラスコに、テフロンコーティングされた撹拌バーを備え、ゴムセプタムで密封した。得られた混合物をNで20~30分間スパージングした(>1mL/分)次に、フラスコを油浴中に沈め、65~70℃で5~6時間還流させた(70℃でのAIBNの半減期、t1/2は約5時間である)。AIBN処理後、反応混合物をrotovap(典型的には、80~100mbar、35℃)を使用して減圧下で乾燥させた。粘性液体をメタノールで5回洗浄し、THF中に再溶解し、1μm PTFEフィルターを通過させた。最後に、全ての揮発性物質を除去し(80~100mbar、35℃)、得られた透き通った無色の粘性液体ポリマー溶融物を、室温で、高真空下で一晩更に乾燥させた。(8.3gの全体的な単離収量、屈折率(n)=1.429、粘性=25℃で1.05Pa.s、37℃で0.87Pa.s)。
【0149】
実施例14
ポリ(PDMS-MA)のTHF sec分析
異なる分子量のポリ(PDMS-MA)ポリマーを、THF SECを使用して分析した。第1の一連の実験では、溶出液としてTHF(100ppm BHTで安定化)を使用して、2つのAgilent PLgel mixed-Cカラム(105Å、7.5×300mm、5μm、部品番号PL1110-6500)を使用して3つのポリ(PDMS-MA)ポリマーのSECを実施し、分子量を、Wyatt Dawn EOS多角度光散乱(MALS)検出器及びWyatt Optilab DSP干渉計レフラクトメーター(RI)を使用して計算した。得られたTHF SECは、3つの異なる分子量のポリ(PDMS-MA)記録した。(a:M=13,370g/mol、b:M=27,160g/mol、c:M=67,900g/mol)を図17に示す。
【0150】
第2の一連の実験では、ポリ(PDMS-MA)ポリマー試料を、UV及びRI検出器を備えたHLC-8420GPC、EcoSEC Eliteゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システム(Tosoh Bioscience,LLC.)、TSKgel GMHHR-M混床式試料カラム(7.8mm ID×30cm、5μm)を使用して、SECによって分析した。各試料(5~10mg/mLの濃度)の数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)、及び分子量分布
【数4】
を、40℃で0.5mL/分が流れる溶出液としてCHClを用いてポリ(スチレン)標準(PStQuick C及びD、Tosoh Bioscience LLC)から決定した較正曲線を使用して計算した。図18は、3つの検出器によるポリ(PDMS-MA)のTHF SECトレースを示す。上部のトレース:屈折率検出器、中央のトレース:254nmのUV検出器、下部のトレース:光散乱検出器。
【0151】
実施例15
複素粘性/RI分析
純粋なポリマー溶融物の粘性を、TA Instruments Discovery Hybrid Rheometer 3(DHR 3)を使用して測定した。各ポリマー溶解物を、200μmのギャップを使用して平行プレート(直径25mm)の間に置き、データを、25、37、45、及び50℃で、10%のひずみで0.1rad/s~500rad/sの範囲の角周波数スイープを介して収集した。屈折率測定は、25及び37℃でチラーを備えたBellingham&Stanley RFM 340を使用して行った。
【0152】
25℃での様々な比率でのポリ(PDMS-MA)、POEGMA、及びそれらのランダムコポリマーの複素粘性測定を図19に示す。25℃でのポリ(PDMS-MA)、ポリ(PDMS-MA70-co-BzMA30)、及びポリ(PDMS-MA70-co-EGPhEMA30)の複素粘性測定値を図20に示す。25℃でのポリ(PDMS-MA90-co-BzMA10)(37℃でRI1.43981)及びポリ( OEGMA90-co-EGPhEMA10)(37℃でRI=1.47694)の複素粘性測定値を図21に示す。様々な温度でのポリ(PDMS-MA)の複素粘性測定(Mn,theo=30,000~40,000g/mol)を図22に示す。予想通り、粘性は温度が上昇するにつれて比例して低下する。様々な温度でのポリ(PDMS-MA)の複素粘性測定(Mn,theo>200,000g/mol)を図23に示す。最後に、図24は、ポリジメチルシロキサンメタクリレート(PDMS-MA)、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)、オリゴエチレングリコールメタクリレート(OEGMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、及びエチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhEMA)の屈折率(RI)及び粘性を比較するグラフである。
【0153】
参考文献
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Glasser,Adrian.“Accommodation:Mechanism and Measurement,”Ophthalmol Clin N Am,19(2006),pp 1-12).
【0154】
上記を考慮すると、本発明は、いくつかの方法で構造的及び機能的に改善され、かつ眼内レンズで使用するための調節可能な粘性及び光学特性を有する、光学的に透明なボトルブラシポリマー及びコポリマーを提供することによって、当該技術分野を大幅に進歩させることを理解されたい。本発明の特定の実施形態は本明細書に詳細に開示されているが、ここにおける発明の変形は当業者によって容易に理解されるであろうから、本発明はこれらに限定されるべきではないことを理解されたい。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から理解されるものとする。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図19
図20
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図22
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【国際調査報告】