(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】2つの光チャネルを使用してヌクレオチドを配列決定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240604BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240604BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572625
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022031152
(87)【国際公開番号】W WO2022256229
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シャオハイ
(72)【発明者】
【氏名】カリンガム, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラングロワ, ロバート, エズラ
(72)【発明者】
【氏名】マコーリー, パトリック
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029FA15
4B029GA08
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4B063QX02
(57)【要約】
開示される技術は、核酸配列決定の分野に関し、より具体的には、単一の光学励起及び少なくとも3つの蛍光標識を利用するDNA配列決定のためのシステム及び方法に関する。いくつかの実施形態では、開示される技術は、第1の検出器によって検出可能な光を放出することができる第1の蛍光標識に結合された第1のヌクレオチド、第2の検出器によって検出可能な光を放出することができる第2の蛍光標識に結合された第2のヌクレオチド、第1及び第2の検出器の両方によって検出可能な光を放出することができる第3の蛍光標識に結合された第3のヌクレオチド、並びに蛍光標識に結合されていない第4のヌクレオチドを使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に結合した核酸配列中のヌクレオチドを同定するためのシステムであって、
第1の波長範囲の光を検出するように構成された第1の検出器と、
第2の波長範囲の光を検出するように構成された第2の検出器と、
光周波数で光を出力するレーザ又は発光ダイオードを含む光源と、
プロセッサであって、
前記光周波数で光を生成して、前記基材上の前記核酸配列からの発光を刺激し、
前記発光が前記第1の検出器によって受け取られるか、前記第2の検出器によって受け取られるか、前記第1及び第2の検出器の両方によって受け取られるか、又は前記第1及び第2の検出器のいずれによっても受け取られないかに基づいて、前記核酸配列中のヌクレオチドを同定するように構成されたプロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
第1の蛍光標識に結合された第1のヌクレオチドと、
第2の蛍光標識に結合された第2のヌクレオチドと、
第3の蛍光標識に結合された第3のヌクレオチドと、
蛍光標識に結合されていない第4のヌクレオチドと、を更に含み、
前記光源が、
前記第1の蛍光標識を励起して、前記第1の検出器によって検出可能な光を放出させ、
前記第2の蛍光標識を励起して、前記第2の検出器によって検出可能な光を放出させ、
前記第3の蛍光標識を励起させて、前記第1及び第2の検出器の両方によって検出可能な光を放出させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記蛍光標識が、ポリメチン誘導体、クマリン誘導体、ベンゾピラン誘導体、及びクロメノキノリン誘導体からなる群から選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記蛍光標識が、
【化15】
からなる群から選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
蛍光標識に結合されていない追加の第1のヌクレオチドを更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
代替蛍光標識に結合された追加の第1のヌクレオチドを更に含み、前記代替蛍光標識が、前記光源によって励起されて前記第1の検出器によって検出可能な光を放出することができない、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
代わりの蛍光標識に結合された追加の第1のヌクレオチドを更に含み、前記代わりの蛍光標識が、前記光源によって励起されて、前記第1の検出器によって検出可能な光を放出することができ、前記代わりの蛍光標識が、前記第1の蛍光標識と比較してより不鮮明な光を放出する、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記代替蛍光標識が、
【化16】
である、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記代替蛍光標識及び前記第1の蛍光標識が、異なる蛍光発光スペクトルを有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の蛍光標識が20nm~50nmのストークスシフトを有し、前記第2の蛍光標識が100nm~130nmのストークスシフトを有し、前記第3の蛍光標識が60nm~90nmのストークスシフトを有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の蛍光標識が、前記第2の検出器によって検出可能ではなく、前記第2の蛍光標識が前記第1の検出器によって検出可能ではない、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の蛍光標識がまた、前記第2の検出器によって検出可能であり、前記第2の蛍光標識がまた、前記第1の検出器によって検出可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の波長範囲及び前記第2の波長範囲が重なり合わない、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記光周波数が、光の波長の所定の範囲内の波長に対応し、前記所定の範囲が、前記第1の範囲及び前記第2の範囲内の全ての波長よりも短い少なくとも1つの波長を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記所定の範囲が、405nm~460nmを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記光周波数が、光の波長の所定の範囲内の波長に対応し、前記所定の範囲が、前記第1の範囲及び前記第2の範囲内の一部の波長よりも長い少なくとも1つの波長を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記光源が、二光子吸収プロセスによって前記蛍光標識を励起させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項18】
前記検出器が、相補型金属酸化膜半導体画像センサ、電荷結合素子画像センサ、光電子増倍管、フォトダイオード、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
1つ以上の光学フィルタ材料、1つ以上の回折格子、1つ以上の光分散素子、又はそれらの任意の組み合わせを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記ヌクレオチドを組み込むことによって前記核酸配列の一部を複製又は転写するように構成されたポリメラーゼを更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項21】
前記基材が、複数の化学的に官能化された領域、複数のキャビティ、複数の光共振器、複数の光導波路、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記ヌクレオチド及び前記蛍光標識が、切断可能なリンカーによって結合される、請求項2に記載のシステム。
【請求項23】
前記ヌクレオチドが、dGTPの類似体、dTTPの類似体、dUTPの類似体、dCTPの類似体、及びdATPの類似体からなる群から選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1のヌクレオチドが第1の可逆的にブロックされたヌクレオチド三リン酸(rbNTP)であり、前記第2のヌクレオチドが第2のrbNTPであり、前記第3のヌクレオチドが第3のrbNTPであり、前記第4のヌクレオチドが第4のrbNTPである、請求項2に記載のシステム。
【請求項25】
前記4つのrbNTPが、rbATP、rbTTP、rbUTP、rbCTP、及びrbGTPからなる群から選択される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記4つのrbNTPの各々が、修飾塩基及び可逆的ターミネーター3’ブロッキング基を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
ポリヌクレオチドの配列を決定するための方法であって、
光を光周波数で光源からポリヌクレオチド上に放出することと、
前記ポリヌクレオチドが、第1の波長の光、第2の波長の光、前記第1及び第2の波長の光の両方で蛍光を発する結合した蛍光標識を有するか、又は蛍光を有さないかを決定することと、
前記第1の波長の光、前記第2の波長の光、前記第1及び第2の波長の光の両方において検出可能な発光が存在するか、又は蛍光を有さないかに基づいて、前記ポリヌクレオチドの前記配列を同定することと、を含む、方法。
【請求項28】
前記ポリヌクレオチドが結合した蛍光標識を有するかどうかを決定することが、
第1のヌクレオチドが第1の蛍光標識に結合されているかどうかを決定することと、
第2のヌクレオチドが第2の蛍光標識に結合されているかどうかを決定することと、
第3のヌクレオチドが第3の蛍光標識に結合されているかどうかを決定することと、
第4のヌクレオチドが蛍光標識に結合されていないかどうかを決定することと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記結合した蛍光標識が、ポリメチン誘導体、クマリン誘導体、ベンゾピラン誘導体、及びクロメノキノリン誘導体からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の蛍光標識が20nm~50nmのストークスシフトを有し、前記第2の蛍光標識が100nm~130nmのストークスシフトを有し、前記第3の蛍光標識が60nm~90nmのストークスシフトを有する、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月3日に出願された米国特許出願第17/338,590号の利益を主張し、その全内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
いくつかのタイプの次世代配列決定技術では、DNAクラスタが、標的ポリヌクレオチドの増幅後にフローセル上に作製される。フローセル内のDNAクラスタ密度を増加させ(例えば、ナノウェルの使用を介して)、より速いイメージング技術を展開することは、DNA配列決定スループットをスケールアップし、全体的な配列決定コストを低減することができる。しかしながら、より高速のイメージング技術の使用は、DNAクラスタからのシグナルをより不明瞭にする可能性があり、より高出力の光源が、より不明瞭なシグナルを補償するために必要とされる。高出力レーザなどの高出力光源は高価であり、比較的大量のエネルギーを消費し、放散される必要があるかなりの量の熱を発生する可能性がある。更に、より高い出力の露光は、標的ポリヌクレオチドに対してより多くの光誘導性損傷を引き起こし得、多くの配列決定サイクルにわたってより速いシグナル減衰及び配列決定データ品質の低下をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
既存のDNA配列決定システム及び方法、例えば、2又は4つのチャネルの配列決定化学を使用する既存の配列決定プラットフォームは、2つ以上の励起光源を利用して、標的ポリヌクレオチド中の蛍光標識とコンジュゲートされたデオキシリボ核酸類似体を励起し得る。励起光源の数を低減させることは、そのような配列決定システムのコストを削減し、性能ロバスト性を増加させ得る。加えて、励起光源の数を低減させることは、サンプルの不必要な露光を減少させ得、したがって、光誘導性DNA損傷を減少させる。一態様では、基材に結合したポリヌクレオチド中のヌクレオチドを同定するためのシステム、及びこのようなシステムを使用する方法が開示される。システムは、第1の波長範囲の光を検出するように構成された第1の検出器と、第2の波長範囲の光を検出するように構成された第2の検出器と、光周波数で光を出力するレーザ又は発光ダイオードを含む光源と、プロセッサと、を含み得る。プロセッサは、光周波数で光を生成して、基材上の核酸配列からの発光を刺激し、発光が第1の検出器によって受け取られるか、第2の検出器によって受け取られるか、第1及び第2の検出器の両方によって受け取られるか、又は第1及び第2の検出器のいずれによっても受け取られないかに基づいて、核酸配列中のヌクレオチドを同定するように構成することができる。システムは、第1の蛍光標識に結合された第1のヌクレオチドと、第2の蛍光標識に結合された第2のヌクレオチドと、第3の蛍光標識に結合された第3のヌクレオチドと、蛍光標識に結合されていない第4のヌクレオチドと、を更に含み得る。光源は、第1の蛍光標識を励起して、第1の検出器によって検出可能な光を放出させ、第2の蛍光標識を励起して、第2の検出器によって検出可能な光を放出させ、第3の蛍光標識を励起して、第1の検出器及び第2の検出器の両方によって検出可能な光を放出させるように構成されていてもよい。
【0004】
別の実施形態は、ポリヌクレオチドの配列を決定するための方法であって、光源からポリヌクレオチド上に光周波数の光を放出することと、ポリヌクレオチドが、第1の波長の光、第2の波長の光、第1及び第2の波長の光の両方で蛍光を発する結合した蛍光標識を有するか、又は蛍光を有さないかを決定することと、第1の波長の光、第2の波長の光、第1及び第2の波長の光の両方で検出可能な発光があるか、又は蛍光を有さないかに基づいて、ポリヌクレオチドの配列を同定することと、を含む、方法である。
【0005】
本明細書に開示されるシステム、デバイス、キット、及び方法は各々、いくつかの態様を有し、そのうちのいずれか1つが単独でそれらの望ましい属性を担うことはない。より少ない、追加の、及び/又は異なる構成要素、ステップ、特徴、目的、利益、及び利点を有する実施形態を含む、多数の他の実施形態も企図される。構成要素、態様、及びステップは、異なって配置及び順序付けられ得る。この考察を考慮した後、特に「発明を実施するための形態」と題されたセクションの閲読後、本明細書に開示されるデバイス及び方法の特徴が、いかに他の既知のデバイス及び方法よりも利点を提供するか理解するであろう。
【0006】
本明細書で開示されるシステムの任意の特徴を、任意の所望の様式及び/又は構成で組み合わせることができることを理解されたい。更に、本明細書で開示される方法の任意の特徴を、任意の所望の様式で組み合わせることができることを理解されたい。更に、方法及び/若しくはシステムの特徴の任意の組み合わせを一緒に使用することができ、かつ/又は本明細書に開示される実施例のいずれかと組み合わせることができることを理解されたい。以下でより詳細に考察される前述の概念及び追加の概念の全ての組み合わせが、本明細書に開示される発明の主題の一部であると考えられ、本明細書に記載される便益及び利点を実現するために使用され得ることを理解されたい。
【0007】
本開示の例の特徴は、以下の詳細な説明及び図面を参照することにより明らかになろう。図面において、同様の参照番号は、同一ではないかもしれないが類似のものである構成要素に対応している。簡潔にするために、前述の機能を有する参照番号又は特徴は、それらが現れる他の図面と関連させて説明される場合も、説明されない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】開示される配列決定技術の実施形態を実施することができる例示的な配列決定システムを概略的に示す。
【0009】
【
図1B】開示される配列決定技術の実施形態で使用される例示的なイメージングシステムを概略的に示す。
【0010】
【
図1C】開示される配列決定技術の実施形態で使用される別の例示的なイメージングシステムを概略的に示す。
【0011】
【
図2】
図1Aに示される配列決定システムにおいて使用される例示的なコンピュータシステムの機能ブロック図を示す。
【0012】
【
図3】開示される配列決定技術の実施形態のための例示的な色素標識スキームを示す。
【0013】
【
図4】開示される配列決定技術の実施形態内の完全に官能化されたヌクレオチドのコレクションの例示的な発光スペクトルを示す。
【0014】
【
図5】3つの完全に官能化されたヌクレオチドの単一励起、2つの光チャネルの検出からの蛍光結果の例を概略的に示す。
【0015】
【
図6】開示される技術の一実施形態に従って実施された配列決定実験の散布図結果を示す。
【0016】
【
図7A】開示される技術の一実施形態に従って実施された配列決定実験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図7B】開示される技術の一実施形態に従って実施された配列決定実験の結果を示す折れ線グラフである。
【0017】
【
図8】開示される技術の一実施形態に従って実施された追加の配列決定実験の散布図結果を示す。
【0018】
【
図9A】開示される技術の一実施形態に従って実施された代替的な追加の配列決定実験の散布図結果を示す。
【0019】
【
図9B】開示される技術の及び一実施形態に従って実施された代替的な追加の配列決定実験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図9C】開示される技術の及び一実施形態に従って実施された代替的な追加の配列決定実験の結果を示す折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
全ての特許、特許出願、及び他の刊行物は、これらの文献に開示され、本明細書で言及される全ての配列を含めて、各公開物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。引用された全ての文献は、関連部分において、本明細書の引用の文脈によって示される目的のために、参照により全文が本明細書に組み込まれる。しかしながら、いずれの文献の引用も、それが本開示に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0021】
序論
開示される技術の実施形態は、単一の励起光源及び2つの異なる光チャネルを使用して4つのヌクレオチド塩基を同定することができる次世代配列決定システム及び方法に関する。開示される配列決定技術は、シーケンシング・バイ・シンセシス(sequencing-by-synthesis)プロセスを利用することができる。各配列決定サイクルの間に、4つのタイプのヌクレオチド類似体が、配列決定されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする成長プライマー上に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、4つのタイプのヌクレオチド類似体は、いずれの蛍光色素ともコンジュゲートされていないデオキシグアノシン三リン酸(deoxyguanosine triphosphate、dGTP)類似体、第1の蛍光色素とコンジュゲートされたデオキシチミジン三リン酸(deoxythymidine triphosphate、dTTP)類似体、第2の蛍光色素とコンジュゲートされたデオキシシチジン三リン酸(deoxycytidine triphosphate、dCTP)類似体、及び第3の蛍光色素とコンジュゲートされたデオキシアデノシン三リン酸(deoxyadenosine triphosphate、dATP)類似体を含むことができる。4つのタイプのヌクレオチド類似体にコンジュゲートされた蛍光色素は、例示的なものに過ぎず、限定することを意図しない。他の実施形態では、いずれの蛍光色素ともコンジュゲートされないヌクレオチド類似体は、dTTP、dCTP、又はdATPであり得る。他の実施形態において、第1の蛍光色素とコンジュゲートされたヌクレオチド類似体は、dGTP、dCTP、又はdATPであり得る。他の実施形態では、第2の蛍光色素とコンジュゲートされたヌクレオチド類似体は、dGTP、dTTP、又はdATPであり得る。他の実施形態では、第3の蛍光色素とコンジュゲートされたヌクレオチド類似体は、dGTP、dTTP、又はdCTPであり得る。
【0022】
3つの蛍光色素は、レーザなどの光源からの単一波長(又は単一狭帯域波長)の励起光によって励起され得る。第1の蛍光色素は、第1の光チャネルで撮影された第1の画像に取り込むことができる発光スペクトルを有する。第2の蛍光色素は、第2の光チャネルで撮影された第2の画像に取り込むことができる発光スペクトルを有する。第3の蛍光色素は、第1及び第2の光チャネルの両方から取り込まれた画像において取り込まれるのに十分に広い発光スペクトルを有する。したがって、色素なし、第1の色素、第2の色素、又は第3の色素に関連するヌクレオチド類似体(又は複数の同じヌクレオチド類似体を有するDNAクラスタ)は、回折限界スポットが、それぞれ、画像なし、第1の画像、第2の画像、又は両方の画像に生じるかどうかに基づいて同定することができる。
【0023】
開示されるシステム及び方法の非限定的な利点は、より少ない工程段階でより効率的な配列決定ワークフローを可能にすることを含む。更に、本明細書中に記載されるような3色素システムを使用する配列決定システムは、より少ない構成要素を有し得、より安価に操作され得、かつより電力効率的であり得る。例えば、開示されるシステム及び方法は、従来のシステムよりも少ない数の励起光源を必要とし得る。いくつかの実施形態では、複数の励起光源を必要とした従来のシステムと比較して、単一の励起光源のみが必要とされ得る。これは、より少ない必要なイメージングステップにつながり、システムがより電力効率が良くなることを可能にし得る。シーケンサ内により少ない構成要素を有することはまた、実質的なコスト削減及びより単純な機器設計をもたらし得る。シーケンサ内により少ない構成要素を有することはまた、システムの効率及び機器性能のロバスト性を増加させ得る。加えて、開示されるシステム及び方法は、励起光への標的ポリヌクレオチドのより低い露光を必要とし得、これは、光誘導性DNA損傷を軽減し、したがって、配列決定データ品質及び配列塩基コール精度を増加させ得る。
【0024】
例示的なシーケンサ
図1Aには、開示される配列決定技術を実施することができる例示的な配列決定システム100が示されている。配列決定システム100は、単一の光学励起及び少なくとも3つの蛍光標識に基づく開示される配列決定法を利用するように構成することができる。利用される配列決定反応の非限定的な例としては、Illumina(登録商標)色素配列決定又はHeliScope(登録商標)単一分子配列決定において使用されるものなどのシーケンシング・バイ・シンセシスプロセスの変形が挙げられ得る。
【0025】
配列決定システム100は、配列決定システム100の一部である流体システム104によって供給される配列決定試薬を使用して生の配列決定データを生成するように構成されている光学システム102を含むことができる。生の配列決定データは、光学システム102によって取り込まれた蛍光画像を含むことができる。配列決定システム100は、通信チャネル108a及び108bを介して光学システム102及び流体システム104を制御するように構成することができるコンピュータシステム106を更に含むことができる。例えば、光学システム102のコンピュータインターフェース110は、通信チャネル108aを介してコンピュータシステム106と通信するように構成することができる。
【0026】
配列決定反応中、流体システム104は、1つ以上の試薬管112を通して、取り付けステージ116上に位置付けられるフローセル114へ、及びそこから、試薬の流動を方向付けることができる。試薬は、例えば、蛍光標識されたヌクレオチド、緩衝液、酵素、及び切断試薬を含み得る。フローセル114は、少なくとも1つの流体チャネルを含むことができる。フローセル114は、パターン化アレイフローセル又はランダムアレイフローセルであり得る。フローセル114は、少なくとも1つの流体チャネルにおいて配列決定される一本鎖ポリヌクレオチドの複数のクラスタを含むことができる。ポリヌクレオチドの長さは、例えば、200塩基~1000ヌクレオチドの範囲で変動し得る。ポリヌクレオチドは、フローセル114の1つ以上の流体チャネルに付着させることができる。いくつかの実施形態では、フローセル114は、複数のウェルを含むことができ、各ウェルは、配列決定されるポリヌクレオチドの複数のコピーを含むことができる。取り付けステージ116は、光学システム102の他の構成要素に対するフローセル114の適切な整列及び移動を可能にするように構成することができる。一実施形態では、取り付けステージ116を使用して、フローセル114をレンズ118と位置合わせすることができる。
【0027】
光学システム102は、所定の波長、例えば455nm付近に狭く分布した波長を有する光を生成するように構成された、単一レーザ又は単一LEDなどの単一光源120を含むことができる。いくつかの実施形態では、所定の波長は、405nm~460nmの範囲内である。しかしながら、実施形態は、光のいかなる特定の波長にも限定されない。光源は、フローセル上のヌクレオチドに付着した蛍光標識を励起する光の正確な波長を生成するように構成される必要があるだけである。
【0028】
光源120によって生成された光は、光ファイバケーブル122を通過して、フローセル114内の蛍光標識を励起させることができる。集束器124に取り付けられたレンズ118は、z軸に沿って移動することができる。集束された蛍光発光は、検出器126、例えば電荷結合素子(charge-coupled device、CCD)センサ又は相補型金属酸化膜半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)センサによって検出することができる。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド組み込みは、例えば、Levene et al.Science 299,682-686(2003)、Lundquist et al.Opt.Lett.33,1026-1028(2008)、及びKorlach et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105,1176-1181(2008)に説明されているようなゼロモード導波路を用いて検出することがで、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
光学システム102のフィルタアセンブリ128は、フローセル114内の蛍光標識からの蛍光発光をフィルタ処理するように構成することができる。フィルタアセンブリ128は、配列決定反応において使用される特定のフルオロフォアに応じて、ユーザが選択するための複数の光学フィルタを含むことができる。代替的な一実施形態では、コンピュータシステム106は、例えば、サンプルバイアルに取り付けられたラベル及び/又はバーコードを走査し、ラベル及び/又はバーコードに基づいて配列決定反応で使用される特定のフルオロフォアを決定することによって、又は以前の配列決定反応に関連するメモリに記憶された情報を検索することによって、どの光学フィルタが配列決定反応に使用されるかを自動的に決定し、次いで、フィルタアセンブリ128を制御して、所望の光学フィルタを選択及び使用してもよい。一度に複数のフィルタを使用することができる。各フィルタは、システムで使用される蛍光分子のタイプに応じて、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、バンドストップフィルタ、又はバンドパスフィルタとすることができる。例えば、ユーザは、第1のフィルタ及び第2のフィルタを選択することができる。第1のフィルタは、第1の蛍光標識の発光スペクトルのピークと一致するように選択されたバンドパスフィルタであり得る。第2のフィルタは、第2の蛍光標識の発光スペクトルのピークと一致するように選択されたバンドパスフィルタであり得る。2つのバンドパスフィルタの伝送窓間のギャップは、例えば、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500nm、又はこれらの値のうちの任意の2つの間の数若しくは範囲だけ離れていてもよい。第1のバンドパスフィルタの伝送窓の中心と第2のバンドパスフィルタの伝送窓の中心とは、例えば、10nm~100nmの範囲で互いに離れていてもよい。第1のバンドパスフィルタの伝送窓の中心と第2のバンドパスフィルタの伝送窓の中心とは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000nm、又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲離れていることができるか、又はおよそこれらで離れていることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、検出器126は、1つのサブ検出器を含むが、フィルタアセンブリ128のフィルタは、サブ検出器の前で機械的に切り替えられるか又は回転されてもよく、それにより、異なるフィルタ処理された画像がサブ検出器によって順次撮影され得る。いくつかの実施形態では、検出器126は、1つのサブ検出器を含み、フィルタアセンブリ128は、刺激の印加に応じて可変である光透過率を有する切り替え可能材料の少なくとも1つの層を含んでもよく、刺激は、光、電気、温度、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。結果として、フィルタアセンブリ128は、異なるフィルタ処理された画像がサブ検出器によって順次撮影され得るように、複数の光学フィルタを提供することができる。いくつかの実施形態では、検出器126は、1つのサブ検出器を含み、フィルタアセンブリ128は、マイクロ電気機械システム技術に基づく1つ以上の切り替え可能フィルタを含むことができ、それにより、異なるフィルタ処理された画像をサブ検出器によって順次撮影することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、検出器126は、2つ以上のサブ検出器、例えば、第1のフィルタと結合される第1の検出器及び第2のフィルタと結合される第2の検出器を含むことができ、光学システム102は、蛍光発光を分割するように構成されている2つ以上のダイクロイックミラー/ビームスプリッタを含んでもよい。ダイクロイックミラーを用いて蛍光発光を分割した後、検出器126は、例えば、2つの異なるフィルタと結合された2つのサブ検出器を使用して、同時に(又は時間的に近接して)2つの異なるようにフィルタ処理された画像を撮影することができる。いくつかの実施形態では、検出器126は、蛍光発光の入射方向に沿って積み重ねられた2つ以上のサブ検出器を含むことができる。異なる波長の蛍光発光は、入射方向に沿って示差的に減衰又は示差的に吸収されてもよく、その結果、入射方向に沿った異なる位置のサブ検出器は、異なるフィルタ処理された画像を同時に(又は時間的に近接して)撮影するように構成することができる。
【0032】
使用する際に、配列決定されるポリヌクレオチドを有するサンプルは、フローセル114に装填され、取り付けステージ116に配置され得る。次いで、コンピュータシステム106は、流体システム104を作動させて、配列決定サイクルを開始し得る。配列決定反応中、コンピュータシステム106は、通信インターフェース108bを介して、流体システム104に命令して、試薬、例えば、標識ヌクレオチド類似体をフローセル114に供給することができる。通信インターフェース108a及びコンピュータインターフェース110を介して、コンピュータシステム106は、光学システム102の光源120を制御して、所定の波長付近の光を発生させ、例えば、配列決定されているポリヌクレオチドにハイブリダイズした成長プライマーに組み込まれたヌクレオチド類似体を励起させることができる。コンピュータシステム106は、光学システム102の検出器126を制御して、蛍光標識されたヌクレオチドアナログを有するDNAクラスタの回折限界スポットの画像を取り込むことができる。コンピュータシステム106は、検出器126から蛍光画像を受け取り、受け取った蛍光画像を処理して、配列決定されているポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができる。
【0033】
図1Bには、開示される配列決定技術において使用されるイメージングシステム10000の例が示されている。例えば、イメージングシステム10000は、
図1Aに示される例示的な配列決定システム100において使用され得る。イメージングシステム10000は、サンプル上の目標点でフルオロフォアを励起させるための光を提供することができる光源11000を含んでもよい。光源11000は、光源11000が様々な波長の光を提供することができるように、1つ以上のレーザ、発光ダイオード、又は他の光源を含むことができる。いくつかの実施形態では、光源11000は、使用されているフルオロフォアのセットに調整される所定の範囲の波長を有する光を選択的に提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、光源11000は、光の波長の所定の範囲内の波長に対応する光周波数で光を出力するように構成することができる。いくつかの実施形態では、開示される配列決定システムのユーザは、配列決定反応において使用される特定のフルオロフォアに応じて、光源11000から出力される特定の光周波数を選択してもよい。
【0034】
イメージングシステム10000は、光源11000からサンプル13000までの光路12000、例えば、1つ以上の配列決定反応が生じる1つ以上のフローチャンバを含むマイクロ流体デバイスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光路12000は、ミラー、レンズ、プリズム、四分の一波長板、二分の一波長板、偏光子、フィルタ、ダイクロイックミラー、ビームスプリッタ、ビームコンバイナ、対物レンズ、光源からの光をサンプルの比較的広い領域に広げるように構成された広視野光学系などのうち1つ以上の組み合わせを含むことができる。光路12000は、光源11000からの光をサンプル13000に向けるように構成することができる。加えて、光路12000は、13000から放出された光を積分検出システム15000に向ける構成することができる光学部品を含むことができる。いくつかの実施形態では、光源11000からの光をサンプル13000に向けるために使用される光学素子の一部は、サンプル13000からの光を積分検出システム15000に向けるためにも使用される。光路及び光学システムの更なる例は、米国特許第7,589,315号、米国特許第8,951,781号、又は米国特許第9,193,996号に見出すことができ、それらの各々は、参照によってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0035】
イメージングシステム10000は、サンプル13000に対して光を効果的に移動させてサンプルを走査して画像を生成する走査システム14000を含むことができる。いくつかの実施形態では、走査システム14000は、光路12000内に実装することができる。例えば、走査システム14000は、光源11000からの光をサンプルにわたって効果的に移動させるために、光路12000内で互いに対して移動する1つ以上の走査ミラーを含むことができる。いくつかの実施形態では、走査システム14000は、サンプルが光源11000からの光に対して移動するように、サンプル13000を物理的に移動させる機械システムとして実装することができる。いくつかの実施形態では、走査システム14000は、光路12000内の光学構成要素と、光源11000からの光及びサンプル13000が互いに対して移動するようにサンプル13000を物理的に移動させるための機械システムとの組み合わせとすることができる。
【0036】
イメージングシステム10000は、サンプル13000の画像データを取得及び処理するために、1つ以上の光検出器並びに関連する電子回路、プロセッサ、データ記憶装置、メモリなどを含む積分検出システム15000を含むことができる。いくつかの実施形態では、積分検出システム15000は、光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード、画像センサ(例えば、CCD、CMOSセンサなど)、及び同類のものを含むことができる。いくつかの実施形態では、積分検出システム15000の光検出器は、光信号を増幅するための構成要素を含むことができ、単一光子に敏感であってもよい。いくつかの実施形態では、積分検出システム15000の光検出器は、複数のチャネル又はピクセルを有することができる。積分検出システム15000は、サンプル13000から検出された光に基づいて1つ以上の画像を取り込むことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、光路12000は、サンプル13000上に複数の露光領域を生成することができるアレイ生成器12100を含むことができる。いくつかの実施形態では、アレイ生成器12100は、サンプル13000上に特定の露光パターンを生成することができる。これらの露光領域は、イメージングのためにサンプル13000の領域を選択的に照明するために、走査システム14000を使用してサンプル13000上で走査することができる。積分検出システム15000は、複数の露光領域がサンプル13000上で走査される際に、サンプル13000上の特定の点に対応する信号を積分することができる。例えば、サンプル13000上の個々の点について、積分検出システム1500は、個々の点が異なる露光領域によって異なる時間に照射される場合に、個々の点に対応する検出信号を選択的に集約することができる。いくつかの実施形態では、アレイ生成器12100と積分検出システム15000との組み合わせは、サンプル13000上の複数の点から同時に、又はほぼ同時に光を検出することができる。いくつかの実施形態では、アレイ生成器12100と積分検出システム15000との組み合わせは、サンプル上の複数の点からの検出光を経時的に積分することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、複数の配列決定反応が、サンプル13000の複数のフローチャンバ内で並行して実行され得る。例えば、複数の配列決定反応は、複数の生物学的標本について行われ得る。いくつかの実施形態では、複数の配列決定反応は、フルオロフォアの異なるセットを使用し得る。いくつかの実施形態では、光源11000、アレイ生成器12100、及び走査システム14000は、サンプル13000の異なる領域で生じる配列決定反応に使用されるフルオロフォアの異なるセットに応じて、サンプル13000の異なる領域を異なる光周波数で選択的に照射するように構成することができる。
【0039】
図1Cには、開示される配列決定技術において使用されるイメージングシステム1500の別の例が示されている。例えば、イメージングシステム1500は、
図1Aに示される例示的な配列決定システム100において使用され得る。イメージングシステム1500は、流体充填チャネル1675によって分離され得る上層1671及び下層1673を有するフローセル1600をイメージングするために使用され得る。図示の構成では、上層1671は光学的に透明であってもよく、イメージングシステム1500からの光は上層1671の内表面1672上の領域1676に集束されてもよい。代替構成では、イメージングシステム1500からの光は、下層1673の内表面1674上に集束させることができる。表面の一方又は両方は、イメージングシステム1500によって検出されるポリヌクレオチド及び配列決定反応を含有するアレイ特徴を含むことができる。
【0040】
イメージングシステム1500は、光源1502からの励起光をフローセル1600に向け、フローセル1600からの発光を検出器1508に向けるように構成された対物レンズ1501を含むことができる。例示的なレイアウトでは、光源1502からの励起光は、レンズ1505を通過し、次いでビームスプリッタ1506を通過し、次いでフローセル1600への途中で対物レンズ1501を通過する。いくつかの実施形態では、光源1502は、1つ以上のレーザ、発光ダイオード、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、光源1502は、ユーザによって選択される異なる波長又は波長範囲の光を提供することができる、1つのレーザ1503及び1つの発光ダイオード1504を含んでもよい。フローセル1600からの放出光は、対物レンズ1501によって取り込まれ、ビームスプリッタによって反射され、ビーム調整光学系1507を通って検出器1508(例えば、CMOSセンサ)に到達し得る。ビームスプリッタ1506は、励起光の経路に直交する方向に放出光を向けることができる。対物レンズ1501の位置をz軸方向(dimension)で移動させて、フローセル1600上の励起光の集束を変更することができる。イメージングシステム1500は、フローセル1600のいくつかの領域の画像を取り込むためにy方向に前後に移動させることができる。
【0041】
図1Aに図示される例示的配列決定システム100のコンピュータシステム106は、光学システム102及び流体システム104を制御するように構成することができる。コンピュータシステム106には多くの構成が可能であるが、一実施形態を
図2に示す。
図2に示されるように、コンピュータシステム106は、メモリ204、記憶装置206、及び通信インターフェース208と電気通信するプロセッサ202を含むことができる。
【0042】
プロセッサ202は、流体システム104に、配列決定反応中にフローセル114に試薬を供給させる命令を実行するように構成することができる。プロセッサ202は、光学システム102の光源120を制御して所定の波長付近の光を生成する命令を実行することができる。プロセッサ202は、光学システム102の検出器126を制御し、検出器126からデータを受信する命令を実行することができる。プロセッサ202は、命令を実行して、検出器126から受け取ったデータ、例えば蛍光画像を処理し、検出器126から受け取ったデータに基づいてポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができる。
【0043】
メモリ204は、配列決定システム100が電源投入されたときにコンピュータシステム106の機能を実行するようにプロセッサ202を構成するための命令を記憶するように構成することができる。配列決定システム100の電源が切られているとき、記憶装置206は、コンピュータシステム106の機能を実行するようにプロセッサ202を構成するための命令を記憶することができる。通信インターフェース208は、コンピュータシステム106、光学システム102、及び流体システム104の間の通信を促進するように構成することができる。
【0044】
コンピュータシステム106は、単一配列決定システム100の配列決定結果を表示するための表示装置(図示せず)と通信するように構成されたユーザインターフェース210を含むことができる。ユーザインターフェース210は、配列決定システム100のユーザから入力を受信するように構成することができる。コンピュータシステム106の光学システムインターフェース212及び流体システムインターフェース214は、
図1Aに図示される通信リンク108a及び108bを通して、光学システム102及び流体システム104を制御するように構成することができる。例えば、光学システムインターフェース212は、通信リンク108aを介して光学システム102のコンピュータインターフェース110と通信することができる。
【0045】
コンピュータシステム106は、検出器126から受け取ったデータを使用してポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定するように構成された核酸塩基決定器216を含むことができる。核酸塩基決定器216は、テンプレート生成器218、位置登録器220、強度抽出器222、強度補正器224、塩基コーラ226、及び品質スコア決定器228のうちの1つ以上を含むことができる。テンプレート生成器218は、検出器126によって取り込まれた蛍光画像を使用して、フローセル114内のポリヌクレオチドクラスタの位置のテンプレートを生成するように構成することができる。位置登録器220は、テンプレート生成器218によって生成された位置テンプレートに基づいて、検出器126によって取り込まれた蛍光画像内のフローセル114内のポリヌクレオチドクラスタの位置を登録するように構成することができる。強度抽出器222は、蛍光画像から蛍光発光の強度を抽出して、抽出強度を生成するように構成することができる。強度補正器224は、例えば、補正された強度を生成するために抽出された強度を色補正することによって、異なる光チャネル内の蛍光標識間のクロストークを低減又は排除するように構成することができる。いくつかの実施形態では、強度補正器224は、抽出された強度を位相補正又はプリ位相補正することができる。塩基コーラ226は、補正された強度からポリヌクレオチドの核酸塩基を決定するように構成することができる。塩基コーラ226によって決定されたポリヌクレオチドの塩基は、品質スコア決定器228によって決定された品質スコアに関連付けることができる。核酸塩基決定器によって実行され得る計算の更なる詳細は、米国特許出願公開第2020/0080142号及び同第2012/0020537号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
単一励起、3つの標識、2つの光チャネルを用いた配列決定
開示される技術は、シーケンシング・バイ・シンセシスプロセスを使用し得る。各配列決定サイクル中に、4つのタイプのヌクレオチド類似体を、成長しているプライマー-ポリヌクレオチド上に添加し、組み込むことができる。4つのタイプのヌクレオチド類似体は、異なる改変を有し得る。例えば、
図3に示すように、第1のタイプのヌクレオチドは、リンカーを介して第1のタイプの蛍光標識とコンジュゲートされたデオキシチミジン三リン酸(dTTP)の類似体であり得る。第2のタイプのヌクレオチドは、リンカーを介して第2のタイプの蛍光標識とコンジュゲートされたデオキシシチジン三リン酸(dCTP)の類似体であり得る。第3のタイプのヌクレオチドは、リンカーを介して第3のタイプの蛍光標識とコンジュゲートされたデオキシアデノシン三リン酸(dATP)の類似体であり得る。第4のタイプのヌクレオチドは、いかなる蛍光標識ともコンジュゲートされていないデオキシグアノシン三リン酸(dGTP)の類似体であり得る。ヌクレオチド類似体の組み込み後、組み込まれなかったヌクレオチド類似体を洗浄して除去することができる。
【0047】
第1の蛍光標識は、第1の光チャネルで撮影された第1の画像に取り込むことができる発光スペクトルを有し得る。第2の蛍光標識は、第1の光チャネルとは異なる第2の光チャネルで撮影された第2の画像に取り込むことができる発光スペクトルを有し得る。第3の蛍光色素は、第1及び第2の光チャネルの両方に取り込むことができる発光スペクトルを有し得る。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドへの色素のカップリングは、それらの吸収又は発光スペクトルに著しい変化をもたらさない場合がある。結果として、
図3に示される例において、dATPは、第1の画像及び第2の画像の両方に示されるものとして同定され得る。dGTPはいずれの画像にも示されない可能性がある。dTTPは、第1の画像においてのみ示されるものとして同定することができる。dCTPは、第2の画像においてのみ示されるものとして同定することができる。
【0048】
図3に示す例示的なヌクレオチドは、完全に官能化されたヌクレオチドであってもよい。ヌクレオチド塩基と蛍光分子との間に位置するリンカーは、1つ以上の切断基を含み得る。その後の配列決定サイクルの前に、蛍光標識は、リンカーの切断によってヌクレオチド類似体から除去され得る。例えば、蛍光標識をヌクレオチド類似体に付着させるリンカーは、リンカーがホスフィン試薬による各組み込みサイクル後に切断され、それによって蛍光標識を放出することができるように、アジド及び/又はアルコキシ基を例えば同じ炭素上に含むことができる。ヌクレオチド三リン酸は、配列決定が制御されるように3’位で可逆的にブロックされ得、単一のヌクレオチドアナログのみが、各サイクルにおいて各伸長プライマー-ポリヌクレオチドに付加され得る。例えば、ヌクレオチド類似体の3’リボース位置は、ホスフィン試薬による切断によって除去することができるアルコキシ及びアジド官能基の両方を含むことができ、それによって、更に伸長することができるヌクレオチドを生成する。その後の配列決定サイクルの前に、可逆的3’ブロックを除去して、別のヌクレオチド類似体を各伸長プライマー-ポリヌクレオチドに付加することができる。
【0049】
図4は、単一励起、3つの標識、2つの光チャネルの配列決定法の実施形態において使用することができる完全に官能化されたヌクレオチドのコレクションの例示的な発光スペクトルを示す。この例において、完全に官能化されたdTTP(fully-functionalized dTTP、ffT)は、450nmの光源によって励起された場合に、約500nmにピークを有する曲線として示される発光スペクトルを有する第1の色素で標識される。完全に官能化されたdATP(fully-functionalized dATP、ffA)は、450nmの光源によって励起された場合、約575nmにピークを有する曲線として示される発光スペクトルを有する第2の色素で標識される。この例では、dGTPは蛍光色素で標識されていない。完全に官能化されたdCTP(fully-functionalized dCTP、ffC)は、450nmの光源によって励起された場合、約535nmに広いピークを有する曲線として示される比較的広い発光スペクトルを有する第3の色素で標識される。いくつかの実施形態では、第3の色素の発光スペクトルは、第1の色素又は第2の色素の発光スペクトルと比較して、より広い範囲の波長にわたって光子を放出する。代替的実施形態では、より広い発光スペクトルを有する第3の色素は、2つの励起、2つの光チャネルの配列決定法、例えば、青色範囲の光を生成するレーザ及び緑色範囲の光を生成するレーザの両方が色素を励起するために使用される方法において使用されてもよい。
【0050】
図4では、第1の光チャネルは、約450nmから約530nmにわたる窓によって表される。第2の光チャネルは、約545nmから約650nmにわたる窓によって表される。したがって、450nmの光源によって励起されるとき、ffT発光は、第1の光チャネルにおいてピーク信号(例えば、パワー)をもたらし、第2の光チャネルにおいて小さい又は無視できる信号のみをもたらす。ffA発光は、第2の光チャネルにおいてピーク信号をもたらし、第1の光チャネルにおいて小さい又は無視できる信号のみをもたらす。第3の色素の発光スペクトルは、第1の色素又は第2の色素の発光スペクトルと比較してより広い範囲の発光波長を有するので、ffC発光は、第1の光チャネル及び第2の光チャネルに対応する両方の窓において比較的大きい信号をもたらす。dGTPはいかなる蛍光標識にもコンジュゲートされていないので、蛍光を発することはなく、第1の光チャネル又は第2の光チャネルにおいて検出されることはない。いくつかの実施形態では、ffC上の第3の色素は、他の2つの色素よりも明るくなるように選択される。その結果、第1の光チャネル内のffC信号の大きさは、第1の光チャネル内のffT信号の大きさに匹敵し、第2の光チャネル内のffC信号の大きさは、第2の光チャネル内のffA信号の大きさに匹敵する。
【0051】
いくつかの実施形態では、3つの蛍光色素のうちの1つは、通常のストークスシフト色素であり得る。本明細書で使用される場合、通常のストークスシフト色素は、55~95nmのストークスシフトを有する色素、又は約55、60、70、80、90、95nm、若しくはそれらの間の任意の値のストークスシフトを含む色素を指す。3つの蛍光色素のうちの1つは、短いストークスシフト色素であり得る。本明細書で使用される場合、短いストークスシフト色素は、約5、10、20、30、40、50nm、又はそれらの間の任意の値のストークスシフトを有する色素を指す。3つの蛍光色素のうちの1つは、長いストークスシフト色素であり得る。本明細書で使用される場合、長いストークスシフト色素は、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200nm、又はそれらの間の任意の値のストークスシフトを有する色素を指す。
【0052】
図5は、
図4に示される例に従って標識された完全に官能化されたヌクレオチドの単一励起の2つの光チャネルの検出の例を概略的に示す。
図5に示すように、「青色」レーザなどの単一の光源は、450nmなどの所定の波長で3つの蛍光標識を励起することができる。様々な実施形態では、単一光源の出力光周波数は、調整可能であってもなくてもよい。蛍光標識の検出は、2つの別個の光チャネルにおける蛍光発光を取り込むことを含み得る。例えば、ffT及びffCは、約460nmから約530nmに及ぶ窓によって表される「青色」チャネルで撮影された第1の画像に取り込まれる。ffA及びffCは、約550nm~約650nmに及ぶ窓によって表される「緑色」チャネルで撮影された第2の画像において取り込まれる。いくつかの実施形態では、蛍光画像は、後のオフライン処理のために記憶されることができる。いくつかの実施形態では、蛍光画像を処理して、各クラスタ内の成長プライマー-ポリヌクレオチドの配列をリアルタイムで決定することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、基材に結合した核酸配列中のヌクレオチドを同定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、第1の波長範囲の光を検出するように構成された第1の検出器と、第2の波長範囲の光を検出するように構成された第2の検出器と、光周波数で光を出力するレーザ又は発光ダイオードを含む光源と、プロセッサと、を含み得る。プロセッサは、光周波数で光を生成して、基材上の核酸配列からの発光を刺激し、発光が第1の検出器によって受け取られるか、第2の検出器によって受け取られるか、第1及び第2の検出器の両方によって受け取られるか、又は第1及び第2の検出器のいずれによっても受け取られないかに基づいて、核酸配列中のヌクレオチドを同定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲及び第2の波長範囲は、重なり合わない。
【0054】
いくつかの実施形態では、光周波数は、光の波長の所定の範囲内の波長に対応し、所定の範囲は、第1の範囲及び第2の範囲内の全ての波長よりも短い少なくとも1つの波長を含む。いくつかの実施形態では、所定の範囲は、405nm~460nmを含む。いくつかの実施形態では、光周波数は、光の波長の所定の範囲内の波長に対応し、所定の範囲が、第1の範囲及び第2の範囲内の一部の波長よりも長い少なくとも1つの波長を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、第1の蛍光標識に結合された第1のヌクレオチドと、第2の蛍光標識に結合された第2のヌクレオチドと、第3の蛍光標識に結合された第3のヌクレオチドと、蛍光標識に結合されていない第4のヌクレオチドと、を更に含み得る。光源は、第1の蛍光標識を励起して、第1の検出器によって検出可能な光を放出させ、第2の蛍光標識を励起して、第2の検出器によって検出可能な光を放出させ、第3の蛍光標識を励起して、第1の検出器及び第2の検出器の両方によって検出可能な光を放出させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、二光子吸収プロセスによって蛍光標識を励起させるように構成されている。
【0056】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1の検出器及び第2の検出器によって受け取られた発光信号強度に基づいて、核酸配列中のヌクレオチドを同定するように構成することができる。第1の蛍光標識は、第2の検出器によって受け取られる信号強度と比較して、第1の検出器によって受け取られるより大きい信号強度を有するものとして同定され得る。第2の蛍光標識は、第2の検出器によって受け取られる信号強度と比較して、第1の検出器によって受け取られるより大きい信号強度を有するものとして同定され得る。第3の蛍光標識は、第2の検出器によって受け取られる信号強度と比較して、第1の検出器によって受け取られるものと同等の信号強度を有するものとして同定され得る。第4の蛍光標識は、第1の検出器及び第2の検出器によって受け取られる低い信号強度(例えば、バックグラウンドレベルに実質的に近い)を有するものとして同定され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、第3の蛍光標識の発光スペクトルは、第1の蛍光標識又は第2の蛍光標識の発光スペクトルと比較して、より広い範囲の発光波長を有する。いくつかの実施形態では、第3の蛍光標識は、第1又は第2の蛍光標識よりも大きい発光強度を有する(より明るい)ように選択される。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の蛍光標識は20nm~50nmのストークスシフトを有し、第2の蛍光標識は100nm~130nmのストークスシフトを有し、第3の蛍光標識は60nm~90nmのストークスシフトを有する。いくつかの実施形態では、第1の蛍光標識は第2の検出器によって検出可能ではなく、第2の蛍光標識は第1の検出器によって検出可能ではない。いくつかの実施形態では、第1の蛍光標識は第2の検出器によっても検出可能であり、又は第2の蛍光標識は第1の検出器によっても検出可能である。
【0059】
いくつかの実施形態では、蛍光標識は、ポリメチン誘導体、クマリン誘導体、ベンゾピラン誘導体、クロメノキノリン誘導体、ビス-ホウ素複素環を含有する化合物、例えば、BOPPY及びBOPYPYからなる群から選択される。いくつかの例では、蛍光標識は、
【化1】
からなる群から選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、蛍光標識に結合されていない追加の第1のヌクレオチドを更に含んでもよい。蛍光標識に結合されていない追加の第1のヌクレオチドの集団又は濃度は、第1のヌクレオチドの総集団又は濃度の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%、又はそれらの間の任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、代替(alternative)蛍光標識に結合された追加の第1のヌクレオチドを更に含み、代替蛍光標識は、光源によって励起されて第1の検出器によって検出可能な光を放出することはできない。蛍光標識に結合されている追加の第1のヌクレオチドの集団又は濃度は、第1のヌクレオチドの総集団又は濃度の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%、又はそれらの間の任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、代替蛍光標識及び第1の蛍光標識は、異なる蛍光発光スペクトルを有する。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、代わりの(alternate)蛍光標識に結合された追加の第1のヌクレオチドを更に含み、代わりの蛍光標識は、光源によって励起されて、第1の検出器によって検出可能な光を放出することができ、代わりの蛍光標識が、第1の蛍光標識と比較してより不鮮明な光を放出する。代わりの蛍光標識に結合されている追加の第1のヌクレオチドの集団又は濃度は、第1のヌクレオチドの総集団又は濃度の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%、又はそれらの間の任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、代わりの蛍光標識及び第1の蛍光標識は、異なる蛍光発光スペクトルを有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、代替蛍光標識は、「緑色」レーザ、例えば、約490nm~550nm、例えば、約532nmの波長を有する光源によって励起され得る蛍光色素であってもよい。代替蛍光標識の非限定的な例は、その全体が参照により組み込まれる米国特許第10,982,261号に開示されている。一例では、代替蛍光標識は以下の構造を有する:
【化2】
他の代替蛍光標識としては、「赤色」レーザ、例えば、約630nm~約700nm、例えば、約660nmの波長を有する光源によって励起され得るものが含まれる。
【0062】
いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、蛍光標識に結合されていない追加の第2のヌクレオチドを更に含んでもよい。蛍光標識に結合されていない追加の第2のヌクレオチドの集団又は濃度は、第2のヌクレオチドの総集団又は濃度の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%、又はそれらの間の任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、代替蛍光標識に結合された追加の第2のヌクレオチドを更に含み、代替蛍光標識は、光源によって励起されて第2の検出器によって検出可能な光を放出することはできない。代替蛍光標識に結合されている追加の第2のヌクレオチドの集団又は濃度は、第2のヌクレオチドの総集団又は濃度の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%、又はそれらの間の任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、代替蛍光標識及び第2の蛍光標識は、異なる蛍光発光スペクトルを有する。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、代わりの蛍光標識に結合された追加の第2のヌクレオチドを更に含み、代わりの蛍光標識は、光源によって励起されて、第2の検出器によって検出可能な光を放出することができ、代わりの蛍光標識が、第2の蛍光標識と比較してより不鮮明な光を放出する。代わりの蛍光標識に結合されている追加の第2のヌクレオチドの集団又は濃度は、第2のヌクレオチドの総集団又は濃度の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%、又はそれらの間の任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、代わりの蛍光標識及び第2の蛍光標識は、異なる蛍光発光スペクトルを有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、蛍光標識に結合されていない追加の第3のヌクレオチドを更に含み得る。蛍光標識に結合されていない追加の第3のヌクレオチドの集団又は濃度は、第3のヌクレオチドの総集団又は濃度の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%、又はそれらの間の任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、代替蛍光標識に結合された追加の第3のヌクレオチドを更に含み、代替蛍光標識は、光源によって励起されて第1又は第2の検出器によって検出可能な光を放出することはできない。代替蛍光標識に結合されている追加の第3のヌクレオチドの集団又は濃度は、第3のヌクレオチドの総集団又は濃度の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%、又はそれらの間の任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、代替蛍光標識及び第3の蛍光標識は、異なる蛍光発光スペクトルを有する。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、代わりの蛍光標識に結合された追加の第3のヌクレオチドを更に含み、代わりの蛍光標識は、光源によって励起されて、第1及び第2の検出器によって検出可能な光を放出することができ、代わりの蛍光標識が、第3の蛍光標識と比較してより不鮮明な光を放出する。代わりの蛍光標識に結合されている追加の第3のヌクレオチドの集団又は濃度は、第3のヌクレオチドの総集団又は濃度の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%、又はそれらの間の任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、代わりの蛍光標識及び第3の蛍光標識は、異なる蛍光発光スペクトルを有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、検出器は、相補型金属酸化膜半導体画像センサ、電荷結合素子画像センサ、光電子増倍管、フォトダイオード、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、1つ以上の光学フィルタ材料、1つ以上の回折格子、1つ以上の光分散素子、又はそれらの任意の組み合わせを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、ヌクレオチドを組み込むことによって核酸配列の一部を複製又は転写するように構成されたポリメラーゼを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、基材は、複数の化学的に官能化された領域、複数のキャビティ、複数の光共振器、複数の光導波路、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、蛍光標識は、切断可能なリンカーを介してヌクレオチドに取り付けられている。いくつかの更なる実施形態では、標識ヌクレオチドは、ピリミジン塩基のC5位置に結合された蛍光標識、又は7デアザプリン塩基のC7位置に、任意選択的にリンカー部分を通して結合された蛍光標識を有し得る。例えば、核酸塩基は、7-デアザアデニンであり得、色素は、C7位置で、任意選択的に切断可能なリンカーを介して7-デアザアデニンに結合している。核酸塩基は、7-デアザグアニンであり得、色素は、C7位置で、任意選択的に切断可能なリンカーを介して7-デアザグアニンに結合している。核酸塩基は、シトシンであり得、色素は、任意選択的に切断可能なリンカーを通して、C5位置でシトシンに結合されている。別の例として、核酸塩基は、チミン又はウラシルであり得、色素は、任意選択的に切断可能なリンカーを通して、C5位置でチミン又はウラシルに結合されている。いくつかの更なる実施形態において、切断可能なリンカーは、3’ヒドロキシブロッキング基及び切断可能なリンカーが同じ反応条件下又は単一の化学反応において除去され得るように、可逆的ターミネーター3’ヒドロキシブロッキング基と類似又は同じ化学的部分を含み得る。切断可能なリンカーの非限定的な例としては、LN3リンカー、sPAリンカー、及びAOLリンカーが挙げられ、これらの各々は以下に例示される。
【化3】
【化4】
【0065】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは、dGTPの類似体、dTTPの類似体、dUTPの類似体、dCTPの類似体、及びdATPの類似体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1のヌクレオチドは第1の可逆的にブロックされたヌクレオチド三リン酸(reversibly blocked nucleotide triphosphate、rbNTP)であり、第2のヌクレオチドは第2のrbNTPであり、第3のヌクレオチドは第3のrbNTPであり、第4のヌクレオチドは第4のrbNTPであり、第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド、第3のヌクレオチド及び第4のヌクレオチドのそれぞれは、互いに異なる種類のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、4つのrbNTPは、rbATP、rbTTP、rbUTP、rbCTP、及びrbGTPからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、4つのrbNTPの各々は、修飾塩基及び可逆的ターミネーター3’ブロッキング基を含む。3’ブロッキング基の非限定的な例としては、アジドメチル(*-CH2N3)、置換アジドメチル(例えば、*-CH(CHF2)N3又は*-CH(CH2F)N3)及び*-CH2-O-CH2-CH=CH2が挙げられ、式中、アスタリスク*は、ヌクレオチドのリボース環又はデオキシリボース環の3’酸素への点結合を示す。
【0066】
いくつかの実施形態では、開示される単一励起、3つの標識、2つの光チャネルの配列決定法は、Illumina NextSeq 500(登録商標)、NextSeq 550(登録商標)、NextSeq 1000(登録商標)、NextSeq 2000(登録商標)、all NovaSeq(登録商標)、又はMiniSeq(登録商標)システムにおいて実装されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、dTTPは
【化5】
に結合されており、ffTは、約450nm~約460nmの光によって励起されたときに約499nmに発光極大を有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、dTTPは
【化6】
に結合されており、ffTは、約450nm~約460nmの光によって励起されたときに約490nmに発光極大を有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、dCTPは
【化7】
に結合されており、ffCは、約450nm~約460nmの光によって励起されたときに約540nmに発光極大を有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、dATPは
【化8】
に結合されており、ffAは、約450nm~約460nmの光によって励起されたときに約580nmに発光極大を有する。
【0071】
色素及び完全に官能化されたヌクレオチドについての更なる詳細は、米国特許出願公開第2018/0094140号及び同第2020/0277670号、国際特許出願公開第2017/051201号、並びに米国仮特許出願第63/057758号及び同第63/127061号に見出すことができ、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0072】
実験例1
図6、
図7A及び
図7Bは、
図4及び
図5に示された例と一致する開示された技術に従って行われた配列決定実験の結果を示す。配列決定ランを、Illumina MiSeqシステム上で約150回の配列決定サイクルを実施した。450nmのLEDを励起光源として使用し、露光時間は撮影された各画像について約1000msであった。この実験では、dTTPは
【化9】
に結合され、ffTは約499nmに発光極大を有し、色素を有さないdTTPの更なる集団を使用した。dCTPは
【化10】
に結合され、ffCは、約540nmに発光極大を有した。dATPは
【化11】
に結合され、ffAは、約580nmに発光極大を有した。
図6は、約150回の配列決定サイクルにわたるサンプルフローセルの画像から抽出されたDNAクラスタシグナルの散布図を示す。水平軸は、第1の「青色」光チャネルで撮影された画像から抽出された信号強度を表し、垂直軸は、第2の「緑色」光チャネルで撮影された画像から抽出された信号強度を表す。第1の「青色」光チャネルにおいて大きなシグナルを生じ、第2の「緑色」光チャネルにおいて小さなシグナルのみを生じたクラスタは、ffTが第1の色素で標識されたので、T塩基を有すると同定された。第2の「緑色」光チャネルにおいて大きなシグナルを生じ、第1の「青色」光チャネルにおいて小さなシグナルのみを生じたクラスタは、ffAが第2の色素で標識されたので、A塩基を有すると同定された。第1の光チャネル及び第2の光チャネルにおいて十分に大きなシグナルを生じたクラスタは、ffCが第3の色素で標識されたので、C塩基を有すると同定することができる。第1の光チャネル及び第2の光チャネルのいずれにおいても最小のシグナルを生じたクラスタは、dGTPが色素で標識されていないので、G塩基を有すると同定することができる。
【0073】
図6に示されるクラスタの群は容易に分離可能であり、したがって、この単一光源、3色素配列決定プロセスを使用して、塩基コールを確実に達成することができる。
図6に示される同じ実験データに基づいて、
図7Aは、T塩基として同定されたクラスタ及びC塩基として同定されたクラスタについて、配列決定サイクルが進行したときのDNAクラスタシグナル強度(サンプルフローセルにおいて同じ塩基を有するとして同定されたクラスタにわたって平均化された)を示す。示されるように、DNAクラスタシグナル強度は、配列決定サイクルの数が増加するにつれて減衰したが、シグナル強度は、約150回の配列決定サイクル後に依然として十分に高かった。
図7Bは、配列決定サイクルが進行したときの塩基コールエラー率(%)を示す。示されるように、エラー率は、配列決定サイクルの数が増加するにつれて増加したが、エラー率は、約150回の配列決定サイクル後に十分に低いままであった(2.2%未満)。
【0074】
実験2
図8は、
図6に関連して記載されたものと同様であるが、更なる配列決定実験の結果に基づく散布図を示す。追加の配列決定実験では、
図6に関連して記載したものと同様の条件を使用したが、dTTPを標識するために使用した色素は
【化12】
であり、ffTは約490nmに発光極大を有し、色素を有さないdTTPの更なる集団も使用した。第1の色素を有するdTTP対色素を有さないdTTPの相対量は、約1:3であった。
図8に示すように、dTTPの2つの集団を使用することにより、散布図におけるクラスタ群の形状を調整することができ、その後の塩基コール性能に影響を及ぼすことができる。
【0075】
実験3
図9Aは、
図8に関連して記載されたものと同様であるが、代替的な更なる配列決定実験の結果に基づく散布図を示す。代替的な更なる配列決定実験は、
図8に関連して記載される条件と同様の条件を使用したが、第4の色素、
【化13】
を有するdTTPの代替的な更なる集団を、
【化14】
で標識されたdTTP集団に加えて使用した。第4の色素は、450nmのLEDによって励起可能ではなかった。第1の色素を有するdTTP対第4の色素を有するdTTPの相対量は、約1.25:0.75であった。
図9Aに示すように、dTTPの2つの集団を使用することにより、散布図におけるクラスタ群の形状を更に調整することができ、その後の塩基コール性能に影響を及ぼすことができる。
図9Aに示される同じ実験データに基づいて、
図9Bは、T塩基として同定されたクラスタ及びC塩基として同定されたクラスタについて、配列決定サイクルが進行したときのDNAクラスタシグナル強度(サンプルフローセルにおいて同じ塩基を有するとして同定されたクラスタにわたって平均化された)を示す。示されるように、DNAクラスタシグナル強度は、配列決定サイクルの数が増加するにつれて減衰したが、シグナル強度は、約150回の配列決定サイクル後に依然として十分に高かった。
図9Cは、配列決定サイクルが進行したときの塩基呼び出しエラー率(%)を示す。示されるように、エラー率は、配列決定サイクルの数が増加するにつれて増加したが、エラー率は、約150回の配列決定サイクル後に十分に低いままであった(2.2%未満)。
【0076】
サンプル
したがって、いくつかの実施形態では、サンプルは、組織サンプル、生体液サンプル、細胞サンプルなどに由来する精製又は単離されたポリヌクレオチドを含むか又はそれからなる。好適な生体液サンプルとしては、血液、血漿、血清、汗、涙、痰、尿、痰、耳液、リンパ液、唾液、脳脊髄液、洗浄液(ravage)、骨髄懸濁液、膣流、子宮頸部洗浄液、脳液、腹水、乳、気道、腸道及び泌尿生殖器道の分泌物、羊水、乳、及び白血球瀉血サンプルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、サンプルは、例えば、血液、血漿、血清、汗、涙、痰、尿、痰、耳液、唾液、又は糞便などの、非侵襲的処置によって容易に得ることができるサンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、末梢血サンプル、又は末梢血サンプルの血漿及び/若しくは血清画分である。他の実施形態では、生体サンプルは、スワブ若しくはスミア、生検標本、又は細胞培養物である。別の実施形態では、サンプルは、2つ以上の生物学的サンプルの混合物であり、例えば、生物学的サンプルは、生体流体サンプル、組織サンプル、及び細胞培養サンプルのうちの2つ以上を含むことができる。本発明で使用する場合、用語「血液」、「血漿」、及び「血清」は、その画分又はその処理された部分を明示的に包含する。同様に、サンプルが生検、綿棒、スミアなどから採取される場合、「サンプル」は、生検、綿棒、スミアなどから得られる処理された画分又は部分を明示的に包含する。
【0077】
特定の実施形態では、サンプルは、異なる個体からのサンプル、同じ個体又は異なる個体の異なる発育段階からのサンプル、異なる罹患した個体からのサンプル(例えば、がんを有するか、又は遺伝病を有する疑いのある個体)、正常な個体、個体における疾患の異なる段階で得られたサンプル、疾患に関して異なる治療を受けた個体から得られたサンプル、異なる環境因子を受けた個体からのサンプル、病状に素因を有する個体からのサンプル、感染症剤に曝露された個体からのサンプルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
1つの例示的であるが非限定的な実施形態では、サンプルは、妊娠した女性、例えば、妊婦から得られる、母体サンプルである。母体サンプルは、組織サンプル、生体液サンプル、又は細胞サンプルであり得る。別の例示的であるが非限定的な実施形態では、母体サンプルは、2つ以上の生物学的サンプルの混合物であり、例えば、生物学的サンプルは、生体流体サンプル、組織サンプル、及び細胞培養サンプルのうちの2つ以上を含むことができる。
【0079】
特定の実施形態では、サンプルはまた、インビトロ培養された組織、細胞、又はその他のポリヌクレオチド含有供給源から得ることもできる。培養されたサンプルは、異なる培地及び条件(例えば、pH、圧力、又は温度)で維持した培養物(例えば、組織又は細胞)、異なる期間で維持した培養物(例えば、組織又は細胞)、異なる要素若しくは試薬(例えば、薬物候補、又は修飾物質)で処理した培養物(例えば、組織又は細胞)、又は異なる種類の組織及び/若しくは細胞の培養物を含むがこれらに限定されない供給源から、採取することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、開示される配列決定技術の使用は、配列決定ライブラリの調製を伴わない。他の実施形態では、本明細書で企図される配列技術は、配列決定ライブラリの調製を含む。1つの例示的なアプローチでは、配列決定ライブラリの調製は、配列決定される準備が整ったアダプタ修飾DNA断片(例えば、ポリヌクレオチド)のランダムなコレクションの産生を含む。
【0081】
ポリヌクレオチドの配列決定ライブラリは、例えば、逆転写酵素の作用によって、RNAテンプレートから産生された相補的DNA又はコピーDNAであるDNA又はcDNAなどの、DNA又はcDNAのいずれかの等価物、類似物を含む、DNA又はRNAから調製することができる。ポリヌクレオチドは、二本鎖形態(例えば、ゲノムDNA断片、cDNA、PCR増幅産物などのdsDNA)に由来してもよい、又は特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは一本鎖形態(例えば、ssDNA、RNAなど)に由来してもよく、dsDNA形態に変換されている。例示として、特定の実施形態では、配列決定ライブラリの調製に使用するのに好適な二本鎖cDNAに、一本鎖mRNA分子をコピーすることができる。一次ポリヌクレオチド分子の正確な配列は、一般に、ライブラリ調製の方法に対して重要ではなく、既知であっても未知であってもよい。一実施形態では、ポリヌクレオチド分子はDNA分子である。より具体的には、特定の実施形態では、ポリヌクレオチド分子は、生物の遺伝子相補体全体又は実質的に生物の遺伝子相補体全体を表し、ゲノムDNA分子である(例えば、細胞DNA、セルフリーDNA(cfDNA)など)が、典型的にはイントロン配列及びエクソン配列(コード配列)、並びにプロモータ及びエンハンサ配列などの非コード調節配列を含む。特定の実施形態では、一次ポリヌクレオチド分子は、ヒトゲノムDNA分子、例えば、妊娠被験者の末梢血中に存在するcfDNA分子を含む。
【0082】
生物学的供給源から核酸を分離する方法は、供給源の性質に応じて異なり得る。当業者は、本明細書に記載された方法に必要とされるように、核酸を供給源から容易に分離することができる。場合によっては、核酸サンプル中の大きな核酸分子(例えば、細胞ゲノムDNA)を断片化して、所望のサイズ範囲のポリヌクレオチドを得ることが有利であり得る。断片化はランダムであってもよい、又は、例えば、制限エンドヌクレアーゼ消化を使用して達成されるように、特異的であり得る。ランダムな断片化のための方法は、例えば、限定されたDNase消化、アルカリ処理、及び物理的剪断が挙げられ得る。断片化はまた、当業者に既知の多数の方法のいずれかによって達成することができる。例えば、断片化は、噴霧化、超音波処理、及びハイドロシェアを含むがこれらに限定されない機械的手段によって、達成することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、サンプル核酸は、断片化されていないcfDNAから取得される。例えば、cfDNAは、典型的には、約300個の塩基対未満の断片として存在し、その結果、断片化は、cfDNAサンプルを使用して配列決定ライブラリを生成するために、典型的には必要ではない。
【0084】
典型的には、ポリヌクレオチドが強制的に断片化される(例えば、インビトロで断片化される)か、又は自然に断片として存在するかどうかは、5’-リン酸及び3’-ヒドロキシルを有するブラント末端DNAに変換される。標準的なプロトコル、例えば、Illuminaプラットフォームを使用して配列決定するためのプロトコルは、末端修復されたサンプルDNAに対して、dA-テーリングの前に、末端修復された産物を精製して、ライブラリ調製のアダプタ-ライゲーティング工程の前に、dA-テーリング産物を精製するようにユーザに指示する。
【0085】
様々な実施形態では、サンプルの完全性の検証及びサンプル追跡は、サンプルゲノム核酸、例えば、cfDNAと、例えば処理前にサンプルに導入されている付随のマーカー核酸との混合物を配列決定することによって達成することができる。
【0086】
配列決定技術
開示される配列決定システム及び方法は、光学的検出に基づく任意の配列決定技術、例えば、次世代配列決定(next-generation sequencing、NGS)、蛍光インサイチュ配列決定(fluorescent in situ sequencing、FISSEQ)、及び超並列シグネチャー配列決定(Massively Parallel Signature Sequencing、MPSS)と適合し得る。一実施形態では、開示されるシステム及び方法は、複数のサンプルをゲノム分子として個々に配列決定すること(すなわち、シングルプレックスシーケンシング)、又は、単一の配列決定ランでインデックス化されたゲノム分子を含むプールサンプルとして個々に配列決定すること(例えば、マルチプレックスシーケンシング)を可能にするNGS技術と適合し得る。これらの方法は、最大で数百万個のDNA配列のリードを生成することができる。
【0087】
開示される技術は、米国特許出願公開第2007/0166705号、同第2006/0188901号、同第2006/0240439号、同第2006/0281109号、同第2005/0100900号、米国特許第7,057,026号、国際公開第2005/065814号、同第2006/064199号、及び同第2007/010251号に記載されているシーケンシング・バイ・シンセシス法を組み込んだものなどの配列決定反応を実装してもよく、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、シーケンサは、Illumina(San Diego,Calif.)からのHiSeq、MiSeq、又はHiScanSQシステムにおいて使用されるものと同様のシーケンシング・バイ・シンセシス法を実装してもよい。
【0088】
代替的に、ライゲーション技術による配列決定は、米国特許第6,969,488号、同第6,172,218号、及び同第6,306,597号において説明されているようなライゲーション技術による配列決定が開示される技術で使用されてもよく、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ライゲーションによる配列決定ライブラリ技術は、DNAリガーゼを使用してオリゴヌクレオチドを組み込み、そのようなオリゴヌクレオチドの組み込みを識別する。
【0089】
開示される技術は、Affymetrix Inc.(Sunnyvale,CA)製のハイブリダイゼーションによる配列決定プラットフォーム、並びに454 Life Sciences(Bradford,CT)及びHelicos Biosciences(Cambridge,MA)製のシーケンシング・バイ・シンセシスプラットフォーム、Applied Biosystems(Foster City,CA)製のライゲーションによる配列決定プラットフォーム、又はPacific BiosciencesのSMRT技術などのいくつかの配列決定技術において実装されてもよい。
【0090】
1つの例示的であるが非限定的な実施形態では、本明細書に記載の方法は、Illuminaのシーケンシング・バイ・シンセシス及び可逆的ターミネーターベースの配列決定化学(例えば、Bentley et al.,Nature 6:53-59[2009]に記載)を用いて、サンプル中の核酸についての配列情報を取得することを含む。Illuminaの配列決定技術は、断片化されたゲノムDNAの、オリゴヌクレオチドアンカーが結合される平面的な光学的に透明な表面への取り付けを含み得る。例えば、テンプレートDNAを末端修復して、5’リン酸化されたブラント末端を生成し、クレノウ断片のポリメラーゼ活性を使用して、単一のA塩基を、ブラントリン酸化DNA断片の3’末端に付加する。この付加は、オリゴヌクレオチドアダプタにライゲーションするためのDNA断片を調製し、これは、ライゲーション効率を高めるために、それらの3’末端に単一のT塩基のオーバーハングを有する。アダプタオリゴヌクレオチドは、フローセルアンカーオリゴに相補的である。制限希釈条件下で、アダプタ修飾一本鎖テンプレートDNAがフローセルに付加されて、アンカーオリゴへのハイブリダイゼーションによって固定される。付着したDNA断片を伸長させ、ブリッジを増幅して、数億個のクラスタを有する超高密度配列決定フローセルを作製し、それぞれが同じテンプレートの約1,000個のコピーを含有する。一実施形態では、ランダムに断片化されたゲノムDNAは、クラスタ増幅を受ける前にPCRを使用して増幅される。あるいは、増幅フリー(例えば、PCRフリー)ゲノムライブラリ調製が使用され、ランダムに断片化されたゲノムDNAは、クラスタ増幅のみを用いて濃縮される(Kozarewa et al.,Nature Methods 6:291-295[2009])。シーケンシング・バイ・シンセシス反応は、除去可能な蛍光色素を有する可逆的ターミネーターを使用し得る。約数十~数百個の塩基対の短い配列リードは、参照ゲノムに対して位置合わせされ、参照ゲノムに対する短い配列リードの固有のマッピングが特定される。第1のリードが完了した後、テンプレートをその場で再生して、断片の反対側末端から第2のリードを可能にすることができる。したがって、DNA断片のシングルエンド配列決定又はペアエンド配列決定のいずれかを使用することができる。ペアエンド配列決定に関する更なる情報は、米国特許第7601499号及び米国特許出願公開第2012/0,053,063号に見出すことができ、これらは参照により組み込まれる。
【0091】
いくつかの実施形態では、Illuminaによるシーケンシング・バイ・シンセシスプラットフォームは、断片のクラスタ化を含む。クラスタ化は、各断片分子が等温増幅されるプロセスである。いくつかの実施形態では、断片は、断片の2つの末端に取り付けられた2つの異なるアダプタを有し、アダプタは、断片がフローセルレーンの表面上の2つの異なるオリゴとハイブリダイズすることを可能にする。断片は、断片の2つの末端に2つのインデックス配列を更に含む、又はそれに接続されるが、このインデックス配列は、マルチプレックスシーケンシングにおいて異なるサンプルを特定するための標識を提供する。
【0092】
いくつかの実施形態では、Illuminaのプラットフォーム内でクラスタ化するためのフローセルは、レーンを有するスライドガラスである。各レーンは、2種類のオリゴの菌叢でコーティングされたガラスチャネルである。ハイブリダイゼーションは、表面上の2種類のオリゴのうちの1つ目によって可能になる。このオリゴは、断片の一端にある第1のアダプタに対して相補的である。ポリメラーゼは、ハイブリダイズされた断片の相補鎖を形成する。二本鎖分子が変性し、元のテンプレート鎖が洗い流される。残りの鎖は、多くのその他の残りの鎖と並行して、ブリッジ適用によってクローン的に増幅される。
【0093】
ブリッジ増幅では、鎖が折り重なり、鎖の第2の末端上の第2のアダプタ領域が、フローセル表面上の第2の種類のオリゴとハイブリダイズする。ポリメラーゼは相補鎖を生成し、二本鎖架橋分子を形成する。この二本鎖分子が変性し、2つの異なるオリゴを介してフローセルにつながれた2つの一本鎖分子をもたらす。次に、このプロセスを、数百万個のクラスタにわたって繰り返し、それを同時に発生させ、全ての断片のクローン増幅をもたらす。ブリッジ増幅後、逆鎖が切断され、洗い流されて、前方鎖のみを残す。3’末端は、望ましくないプライミングを防止するためにブロックされる。
【0094】
クラスタ化後、配列決定は、第1の配列決定プライマーを伸長して第1のリードを生成することによって開始する。各サイクルでは、蛍光標識されたヌクレオチドは、成長している鎖に添加するために競合する。テンプレートの配列に基づいて1つのみが組み込まれる。各ヌクレオチドの添加後、クラスタは光源によって励起され、特徴的な蛍光信号が放出される。サイクル数は、リードの長さを決定する。発光波長及び信号強度が、塩基コールを決定する。所与のクラスタについては、全ての同一の鎖が同時に読み取られる。数億のクラスタ、又は数千から数万のクラスタが、大規模並列方式で配列決定される。第1のリードの完了時に、リード産物を洗い流す。
【0095】
2つのインデックスプライマーを含むプロセスにおいて、インデックス1プライマーを導入し、テンプレート上のインデックス1領域にハイブリダイズする。インデックス領域は、マルチプレックスシーケンシングプロセスにおいて、サンプルを脱マルチプレックスするのに有用な断片の特定を提供する。インデックス1のリードは、第1のリードと同様に生成される。インデックス1のリードが完了した後、リード産物を洗い流し、鎖の3’末端を脱保護する。次に、テンプレート鎖は、フローセル上の第2のオリゴの上に折り重なり、第2のオリゴに結合する。インデックス2の配列は、インデックス1と同じ方法で読み取られる。次に、工程の完了時にインデックス2のリード産物を洗い流す。
【0096】
2つのインデックスを読み取ると、リード2はまず、ポリマーを使用して第2のフローセルオリゴを伸長させて、二本鎖ブリッジを形成する。この二本鎖DNAは変性し、3’末端がブロックされる。元の順方向鎖を切断して洗い流し、逆鎖を残す。リード2は、リード2の配列決定プライマーの導入から始まる。リード1と同様に、所望の長さが達成されるまで、配列決定工程が繰り返される。リード2の産物を洗い流す。この全プロセスは、全ての断片を表す、数百万個のリードを生成する。プールサンプルライブラリからの配列は、サンプル調製中に導入された固有のインデックスに基づいて分離される。各サンプルについて、類似の伸長の塩基コールのリードが局所的にクラスタ化される。順方向及び逆方向のリードを対にして連続配列を作成する。これらの連続配列は、バリアント特定のために参照ゲノムに位置合わせされる。
【0097】
コンピュータシステム
いくつかの実施形態では、開示されるシステム及び方法は、特定の配列データ分析機能及び配列データ記憶装置をクラウドコンピューティング環境又はクラウドベースのネットワークにシフト又は分配するためのアプローチを伴い得る。配列決定データ、ゲノムデータ、又は他のタイプの生物学的データとのユーザ相互作用は、データを記憶し、データとの様々な相互作用へのアクセスを制御する中央ハブを介して媒介され得る。いくつかの実施形態では、クラウドコンピューティング環境はまた、プロトコル、分析方法、ライブラリ、配列データ、並びに配列決定、分析、及びレポートのための分散処理の共有を提供し得る。いくつかの実施形態では、クラウドコンピューティング環境は、ユーザによる配列データの修正又は注釈を容易にする。いくつかの実施形態では、システム及び方法は、コンピュータブラウザ、オンデマンド、又はオンラインに実装され得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法を実行するように書かれたソフトウェアは、メモリ、CD-ROM、DVD-ROM、メモリスティック、フラッシュドライブ、ハードドライブ、SSDハードドライブ、サーバ、メインフレームストレージシステムなどのいくつかの形態のコンピュータ可読媒体に記憶される。
【0099】
いくつかの実施形態では、方法は、様々な好適なプログラミング言語、例えば、C、C#、C、Fortran、及びJava(登録商標)などのコンパイルされた言語のいずれかで書かれ得る。他のプログラミング言語としては、Perl、MatLab(登録商標)、SAS、SPSS、Python、Ruby、Pascal、Delphi、R、及びPHPなどのスクリプト言語があり得る。いくつかの実施形態では、方法は、C、C#、C++、Fortran、Java(登録商標)、Perl、R、Java(登録商標)、又はPythonで書かれている。いくつかの実施形態では、方法は、データ入力及びデータ表示モジュールを有する独立したアプリケーションであり得る。あるいは、方法は、コンピュータソフトウェア製品であり得、分散オブジェクトが、本明細書に記載の計算方法を含むアプリケーションを含むクラスを含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、方法は、配列決定機器に見られるような既存のデータ分析ソフトウェアに組み込まれ得る。本明細書において説明されるコンピュータ実施方法を含むソフトウェアは、コンピュータシステム上に直接インストールされるか、又はコンピュータ可読媒体上に間接的に保持され、必要に応じてコンピュータシステム上にロードされる。更に、この方法は、サードパーティサービスプロバイダによって提供されるものなど、データが生成されている場所に対して別の場所に維持されているサーバなどで見出されるソフトウェアのような、データが生成されている場所に対してリモートであるコンピュータ上に配置され得る。
【0101】
アッセイ機器、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はサーバは、システム及び方法の実装のための命令を含む、アクセス可能なメモリと動作上の通信を行うプロセッサを含み得る。いくつかの実施形態では、デスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータは、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体又はデバイス及び/又は出力デバイスと動作可能に通信する。アッセイ機器、デスクトップコンピュータ、及びラップトップコンピュータは、Appleベースのコンピュータシステム又はPCベースのコンピュータシステムによって利用されるものなどの、多くの異なるコンピュータベースの動作言語の下で動作し得る。アッセイ機器、デスクトップ、及び/又はラップトップコンピュータ及び/又はサーバシステムは、実験的定義及び/又は条件を作成又は修正し、データ結果を閲覧し、実験進捗を監視するためのコンピュータインターフェースを更に提供し得る。いくつかの実施形態では、出力デバイスは、コンピュータモニタ又はコンピュータ画面、プリンタ、携帯デジタルアシスタントなどの携帯デバイス(すなわち、PDA、Blackberry(登録商標)、iPhone(登録商標))、タブレットコンピュータ(例えば、iPAD(登録商標))、ハードドライブ、サーバ、メモリスティック、フラッシュドライブなどのグラフィックユーザインターフェースであり得る。
【0102】
コンピュータ可読記憶デバイス又は媒体は、サーバ、メインフレーム、スーパーコンピュータ、磁気テープシステムなどの任意のデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、記憶デバイスは、アッセイ機器に近接する場所、例えば、アッセイ機器に隣接するか、又は近接した位置に位置し得る。例えば、記憶デバイスは、同じ部屋内、同じ建物内、隣接する建物内、建物内の同じフロア上、建物内の異なるフロア上などに、アッセイ機器に関連して位置し得る。いくつかの実施形態では、記憶デバイスは、アッセイ機器の外側又は遠位に位置し得る。例えば、記憶デバイスは、アッセイ機器に対して、都市の異なる場所に、異なる都市に、異なる州に、異なる国に位置し得る。記憶デバイスがアッセイ機器の遠位に位置する実施形態では、アッセイ機器と、デスクトップ、ラップトップ、又はサーバのうちの1つ以上との間の通信は、典型的には、アクセスポイントを介した無線又はネットワークケーブルのいずれかによるインターネット接続を介する。いくつかの実施形態では、記憶デバイスは、アッセイ機器と直接関連付けられた個人又はエンティティによって維持及び管理され得るが、他の実施形態では、記憶デバイスは、典型的には、アッセイ機器と関連付けられた個人又はエンティティに対する遠位位置に、サードパーティによって維持及び管理され得る。本明細書において説明される実施形態では、出力デバイスは、データを視覚化するための任意のデバイスであり得る。
【0103】
アッセイ機器、デスクトップ、ラップトップ、及び/又はサーバシステムは、本明細書において説明される計算方法を実行及び実施するためのコンピュータコードを組み込んだコンピュータ実施ソフトウェアプログラム、計算方法の実施で使用するためのデータなどを記憶及び/又は検索するために使用され得る。アッセイ機器、デスクトップ、ラップトップ、及び/又はサーバのうちの1つ以上は、本明細書において説明される計算方法を実行及び実施するためのコンピュータコードを組み込んだソフトウェアプログラム、計算方法の実施で使用するためのデータなどを記憶及び/又は検索するための1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。コンピュータ可読記憶媒体には、ハードドライブ、SSDハードドライブ、CD-ROMドライブ、DVD-ROMドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、テープ、フラッシュメモリスティック又はカードのうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。更に、インターネットを含むネットワークは、コンピュータ可読記憶媒体であり得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、ローカルデスクトップ又はラップトップコンピュータからアッセイ機器へのローカルデスクトップ又はラップトップコンピュータではなく、インターネットを介したコンピュータネットワーク又はサービスプロバイダによって提供される会社ネットワークによってアクセス可能な計算リソースストレージを指す。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明される計算方法を実行及び実施するためのコンピュータコードを組み込んだコンピュータ実施ソフトウェアプログラム、計算方法の実施に使用されるデータなどを記憶及び/又は検索するためのコンピュータ可読記憶媒体は、インターネット接続又はネットワーク接続を介してアッセイ機器、デスクトップ、ラップトップ、及び/又はサーバシステムと動作可能に通信するサービスプロバイダによって動作及び維持される。
【0105】
いくつかの実施形態では、計算環境を提供するためのハードウェアプラットフォームは、プロセッサ時間及びランダムアクセスメモリ(すなわち、RAM)などのメモリレイアウトがシステムの考慮事項であるプロセッサ(すなわち、CPU)を含む。例えば、より小さいコンピュータシステムは、安価で高速プロセッサ及び大きなメモリ及び記憶能力を提供する。いくつかの実施形態では、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)を使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書において説明される計算方法を実行するためのハードウェアプラットフォームは、1つ以上のプロセッサを有する1つ以上のコンピュータシステムを含む。いくつかの実施形態では、より小さいコンピュータが一緒にクラスタ化されて、スーパーコンピュータネットワークを生成する。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明される計算方法は、協調的に様々なオペレーティングシステムを実行し得る接続間又は接続内コンピュータシステム(すなわち、グリッドテクノロジ)の集合体で実行される。例えば、United Devicesから入手可能なCONDORフレームワーク(University of Wisconsin-Madison)及びシステムは、多量のデータを扱う目的のための複数の独立型コンピュータシステムの協調の例示である。これらのシステムは、シリアル又はパラレル構成のクラスタ上の大きな配列分析ジョブを提出、監視、及び管理するためのPerlインターフェースを提供し得る。
【0107】
定義
別途定義されない限り、本開示書で使用される技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 1994)、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(Cold Spring Harbor,NY 1989)を参照されたい。本開示の目的のために、次の用語を以下に定義する。
【0108】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオチド」は、窒素含有複素環式塩基、糖、及び1つ以上のリン酸基を含む。ヌクレオチドは、核酸配列のモノマー単位である。ヌクレオチドの例としては、例えば、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドが挙げられる。リボヌクレオチド(ribonucleotide、RNA)において、糖はリボースであり、デオキシリボヌクレオチド(deoxyribonucleotide、DNA)において、糖は、デオキシリボース、すなわち、リボースの2’位に存在するヒドロキシル基が欠如している糖である。窒素含有複素環式塩基は、プリン塩基又はピリミジン塩基であり得る。プリン塩基としては、アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにそれらの修飾された誘導体又は類似体が挙げられる。ピリミジン塩基としては、シトシン(C)、チミン(T)、及びウラシル(U)、並びにそれらの修飾された誘導体又は類似体が挙げられる。デオキシリボースのC-1原子は、ピリミジンのN-1又はプリンのN-9に結合される。リン酸基は、一、二、又は三リン酸型であり得る。これらのヌクレオチドは天然ヌクレオチドであってもよいが、非天然ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド又は前述のヌクレオチドの類似体も使用できることが更に理解されるべきである。
【0109】
本明細書中で使用される場合、「核酸塩基」は、複素環式塩基、例えば、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、又はその複素環式誘導体、類似体、若しくは互変異性体である。核酸塩基は、天然に存在するか又は合成であり得る。核酸塩基の非限定的な例は、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、8-アザプリン、8位でメチル又は臭素で置換されたプリン、9-オキソ-N6-メチルアデニン、2-アミノアデニン、7-デアザキサンチン、7-デアザグアニン、7-デアザ-アデニン、N4-エタノシトシン、2,6-ジアミノプリン、N6-エタノ-2,6-ジアミノプリン、5-メチルシトシン、5-(C3~C6)-アルキニルシトシン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、チオウラシル、シュードイソシトシン、2-ヒドロキシ-5-メチル-4-トリアゾロピリジン、イソシトシン、イソグアニン、イノシン、7,8-ジメチルアロキサジン、6-ジヒドロチミン、5,6-ジヒドロウラシル、4-メチル-インドール、エテノアデニン、並びに米国特許第5,432,272号及び同第6,150,510号、及び国際公開第92/002258号、同第93/10820号、同第94/22892号、及び同第94/24144号、並びにFasman(「Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology」,pp.385-394,1989,CRC Press,Boca Raton,LO)(これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている天然に存在しない核酸塩基である。
【0110】
「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖又は二本鎖形態のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーを指し、特に限定されない限り、ペプチド核酸(peptide nucleic acid、PNA)及びホスホロチオエートDNAなどの天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で核酸にハイブリダイズする天然ヌクレオチドの公知の類似体を包含する。別途記載のない限り、特定の核酸配列は、その相補的配列を含む。ヌクレオチドにとしては、ATP、dATP、CTP、dCTP、GTP、dGTP、UTP、TTP、dUTP、5-メチル-CTP、5-メチル-dCTP、ITP、dITP、2-アミノ-アデノシン-TP、2-アミノ-デオキシアデノシン-TP、2-チオチミジン三リン酸、ピロロ-ピリミジン三リン酸、及び2-チオシチジン、並びに上記の全てに対するアルファチオ三リン酸、及び上記の全ての塩基に対する2’-O-メチル-リボヌクレオチド三リン酸が挙げられるが、これらに限定されない。修飾塩基としては、5-Br-UTP、5-Br-dUTP、5-F-UTP、5-F-dUTP、5-プロピニルdCTP、及び5-プロピニル-dUTPが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
使用されるポリメラーゼは、一般に、3’-OH 5’-三リン酸ヌクレオチド、オリゴマー、及びそれらの類似体を結合するための酵素である。ポリメラーゼとしては、DNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、T3 DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、クレノウ(Klenow)断片、Thermophilus aquaticus DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、VentR(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)、Deep VentR(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)、Bst DNAポリメラーゼラージフラグメント、Stoeffel断片、90N DNAポリメラーゼ、90N DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、TfI DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、RepliPHI Phi29ポリメラーゼ、TIi DNAポリメラーゼ、真核DNAポリメラーゼベータ、テロメラーゼ、Therminator(商標)ポリメラーゼ(New England Biolabs)、KOD HiFi(商標)DNAポリメラーゼ(Novagen)、KOD1 DNAポリメラーゼ、Q-ベータレプリカーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、AMV逆転写酵素、M-MLV逆転写酵素、Phi6逆転写酵素、HIV-1逆転写酵素、バイオプロスペクティングによって発見された新規ポリメラーゼ、並びに米国特許出願公開第2007/0048748号、米国特許第6,329,178号、同第6,602,695号、及び同第6,395,524号(参照により組み込まれる)に引用されているポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリメラーゼは、野生型、変異体アイソフォーム、及び遺伝子操作されたバリアントを含む。「コードする」又は「パースする(parse)」とは、1つの形式から別の形式に移すことを指す動詞であり、標的鋳型塩基配列の遺伝情報をレポーターの配置に移すことを指す。
【0112】
本明細書に使用されるとき、「ウェル」、「空洞(キャビティ)」、及び「チャンバ」という用語は、同義的に使用され、流体(例えば、液体、ゲル、ガス)を含有ことができるデバイスにおいて画定された個別的な特徴を指す。本デバイスのアレイの例は、1つ又は複数のウェルを有し得る。更に、ウェルを少なくとも部分的に画定する基材の表面に平行に取られたウェルの断面は、湾曲された、正方形、多角形、双曲線、円錐形、角張ったものなどであり得ることを理解されたい。
【0113】
「光源」は、電磁スペクトルに沿ってエネルギーを放射することができる任意のデバイスであってもよい。光源は、可視光(VIS)、紫外光(UV)及び/又は赤外光(IR)の光源であってもよい。「可視光」(VIS)は、一般に、約400nm~約750nmの波長を有する電磁放射の帯域を指す。「紫外(UV)光」は、一般に、可視光の波長より短い波長、又は約10nm~約400nmの範囲の波長を有する電磁放射線を指す。「赤外光」又は赤外放射(IR)は、一般に、VIS範囲よりも大きい波長、又は約750nm~約50,000nmの波長を有する電磁放射を指す。光源はまた、全スペクトル光を提供してもよい。光源は、選択された波長又は波長の範囲から光を出力することができる。本発明のいくつかの実施形態では、光源は、所定の波長より上又は下の光を提供するように構成されてもよく、又は所定の範囲内の光を提供してもよい。光源は、光源からの選択された波長の光を選択的に透過又は遮断するために、フィルタと組み合わせて使用されてもよい。光源は、1つ以上の電気コネクタによって電源に接続することができる。光源のアレイは、電源に直列又は並列に接続され得る。電源は、バッテリ、又は車両電気システム若しくは建物電気システムであってもよい。光源は、制御電子機器(制御回路)を介して電源に接続されてもよい。制御電子機器は、1つ以上のスイッチを備えてもよい。1つ以上のスイッチは、自動化されてもよく、センサ、タイマ、若しくは他の入力によって制御されてもよく、又はユーザによって制御されてもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。例えば、ユーザはスイッチを操作してUV光源をオンにすることができる。光源は、それがオフにされるまで一定ベースで適用されてもよく、又はそれがオフにされるまでパルス化されてもよい(オン/オフサイクルを繰り返す)。いくつかの実施形態では、光源は、連続オン状態からパルス状態に、又はその逆に切り替えられてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、経時的に明るくなるか又は暗くなるように構成されてもよい。
【0114】
動作のために、光源は、サンプルを照明するのに十分な電力を提供することができる電源に接続されてもよい。制御電子機器は、ユーザからの入力又は何らかの他の入力に基づいて電力をオン又はオフに切り替えるために使用されてもよく、電力を好適なレベルに変調するために(例えば、出力光の輝度を制御するために)使用することもできる。制御電子機器は、必要に応じて光源をオンオフするように構成されてもよい。制御電子機器は、光源の手動、自動、又は半自動動作のためのスイッチを含んでもよい。1つ以上のスイッチは、例えば、トランジスタ、リレー又は電気機械スイッチであってもよい。いくつかの実施形態では、制御回路は、電圧源からの電圧を光源のための適切な電圧に変換するためのAC-DC及び/又はDC-DCコンバータを更に備えてもよい。制御回路は、電圧を調整するためのDC-DCレギュレータを備えてもよい。制御回路は、入力の受信に続く固定された期間の間、光学フィルタに電圧を印加するためのタイマ及び/又は他の回路要素を更に備えてもよい。スイッチは、手動で、又は所定の条件に応答して自動的に、又はタイマを用いて起動されてもよい。例えば、制御電子機器は、ユーザ入力、記憶された命令などの情報を処理することができる。
【0115】
複数の光源のうちの1つ以上が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、複数の光源の各々は同じであってもよい。代替的に、光源のうちの1つ以上が変化してもよい。光源によって放出される光の光特性は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。複数の光源は、独立して制御可能であってもなくてもよい。光源がオンであるかオフであるか、光源の明るさ、光の波長、光の強度、照明の角度、光源の位置、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、光源の1つ以上の特性は、制御されてもされなくてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、光源からの光出力は、約350~約750nm、又はそれらの間の任意の量若しくは範囲、例えば、約350nm~約360、370、380、390、400、410、420、430若しくは約450nm、又はそれらの間の任意の量若しくは範囲であってもよい。他の実施形態では、光源からの光は、約550~約700nm、又はそれらの間の任意の量若しくは範囲、例えば、約550~約560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690若しくは約700nm、又はそれらの間の任意の量若しくは範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、光源によって生成される光の波長は、例えば、400nm~800nmの範囲で変動し得る。いくつかの実施形態では、光源によって生成される光の波長は、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800nm、又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲であり得るか、又はおよそこれらであり得る。いくつかの実施形態では、光源によって生成される光の波長は、少なくとも、又は最大で400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、又は800nmであり得る。光源は、任意のスペクトルの電磁波を放射することができてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、10nm~100μmの波長を有してもよい。いくつかの実施形態では、光の波長は、100nm~5000nm、300nm~1000nm、又は400nm~800nmであり得る。いくつかの実施形態では、光の波長は、10nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1500nm、1750nm、2000nm、2500nm、3000nm、4000nm、又は5000nm未満、及び/又はそれに等しくてもよい。
【0117】
一例では、光源は、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)(例えば、ガリウムヒ素(GaAs)LED、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)LED、ガリウムヒ素リン(GaAsP)LED、アルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)LED、ガリウム(III)リン(GaP)LED、インジウムガリウム窒化物(InGaN)/ガリウム(III)窒化物(GaN)LED、又はアルミニウムガリウムリン(AlGaP)LED)であってもよい。別の例では、光源は、レーザ、例えば、垂直共振器面発光レーザ(vertical cavity surface emitting laser、VCSEL)、又はインジウム-ガリウム-アルミニウム-リン化物(InGaAIP)レーザ、ガリウム-ヒ素リン化物/ガリウムリン化物(GaAsP/GaP)レーザ、若しくはガリウム-アルミニウム-ヒ素化物/ガリウム-アルミニウム-ヒ素化物(GaAlAs/GaAs)レーザなどの他の適切な発光体とすることができる。光源の他の例としては、電子励起光源(例えば、カソードルミネセンス、電子励起ルミネセンス(ESL電球)、陰極線管(CRTモニタ)、ニキシー管)、白熱光源(例えば、カーボンボタンランプ、従来の白熱電球、ハロゲンランプ、グローバー、ネルンストランプ)、エレクトロルミネセント(electroluminescent、EL)光源(例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、ポリマー発光ダイオード、固体照明、LEDランプ、エレクトロルミネセントシート、エレクトロルミネセントワイヤ)、ガス放電光源(例えば、蛍光ランプ、誘導照明、ホローカソードランプ、ネオン及びアルゴンランプ、プラズマランプ、キセノンフラッシュランプ)、又は高輝度放電光源(例えば、カーボンアークランプ、セラミック放電メタルハライドランプ、ヨウ化水素中アークランプ、水銀蒸気ランプ、メタルハライドランプ、ナトリウム蒸気ランプ、キセノンアークランプ)が挙げられ得るが、これらに限定されない。あるいは、光源は、生物発光、化学発光、リン光、又は蛍光光源であってもよい。
【0118】
光学フィルタは、透明度又はヘイズ、半透明性、透明性又は不透明性、光透過率(light transmittance、LT)、スイッチング速度、耐久性、光安定性、コントラスト比、光透過率の状態(例えば、暗状態又は明状態)に関して調整することができる。「光透過率」(LT)は、光学フィルタ、又はそれを備えるデバイス若しくは装置を透過又は通過する光の量を指す。LTは、光透過率及び/又は特定の種類の光若しくは光の波長の変化(例えば、約10%の可視光透過率(LT)から約90%のLTなど)を参照して表現され得る。あるいは、LTは吸光度として表されてもよく、任意選択で、吸収される1つ以上の波長への参照を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、光学フィルタは、1つの状態において、80%未満、又は70%未満、又は60%未満、又は50%未満、又は40%未満、又は30%未満、又は20%未満、又は10%未満、又はそれらの間の任意の量若しくは範囲のLTを有するように選択又は構成することができる。いくつかの実施形態によれば、光学フィルタは、別の状態において、80%超、又は70%超、又は60%超、又は50%超、又は40%超、又は30%超、又は20%超、又は10%超、あるいはそれらの間の任意の量又は範囲のLTを有するように選択又は構成することができる。
【0119】
フィルタは、バンドパスフィルタとすることができ、400nm~800nmの範囲の様々な波長のピーク透過率を有することができる。いくつかの実施形態では、ピーク透過率は、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800nm、又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲であり得るか、又はおよそこれらであり得る。いくつかの実施形態では、ピーク透過率は、少なくとも、又は最大で400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、又は800nmであり得る。フィルタの透過窓の幅は、例えば、1nm~50nmの範囲で変化し得る。いくつかの実施形態では、フィルタの幅は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50nm、又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲であり得るか、又はおよそこれらであり得る。いくつかの実施形態では、フィルタの幅は、少なくとも、又は最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、又は50nmであり得る。ショートパスフィルタは、0nmに近い透過窓の下限を有する特別なバンドパスフィルタと考えることができる。ロングパスフィルタは、無限大に近い透過窓の上限を有する特別な帯域通過フィルタと考えることができる。帯域消去フィルタは、ある帯域通過フィルタに対して相補的なものとして定義されてもよい。
【0120】
ヌクレオシド及びヌクレオチドは、糖又は核酸塩基上の部位で標識されてもよい。色素は、例えばリンカーを介してヌクレオチド塩基上の任意の位置に取り付けられてもよい。特定の実施形態において、ワトソン・クリック塩基対合が、得られた類似体に対して依然として実行され得る。特定の核酸塩基標識部位としては、ピリミジン塩基のC5位置、又は7-デアザプリン塩基のC7位置が挙げられる。リンカー基を使用して、ヌクレオシド又はヌクレオチドに色素を共有付着させてもよい。
【0121】
本明細書で使用される場合、「共有結合した(「covalently attached」又は「covalently bonded」)」という用語は、原子間の電子対の共有によって特徴付けられる化学結合の形成を指す。例えば、共有結合したポリマーコーティングとは、他の手段、例えば、接着又は静電相互作用による表面への付着と比較して、基材の官能化表面と化学結合を形成するポリマーコーティングを指す。表面に共有結合したポリマーは、共有結合に加えて、手段によって結合され得ることが理解されるであろう。
【0122】
ヌクレオチド類似体は、リンカーを介して光検出可能に、リンカーを介して光検出可能な標識に結合又は会合され得る。いくつかの態様において、光検出可能な標識は、小分子蛍光標識などの蛍光化合物である。蛍光標識として好適な蛍光分子(フルオロフォア)としては、1,5 IAEDANS;1,8-ANS;4-メチルウンベリフェロン;5-カルボキシ-2,7-ジクロロフルオレセイン;5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM);フルオレセインアミダイト(FAM);5-カルボキシフルオレセイン;テトラクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(TET);ヘキサクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(HEX);2,7-ジメトキシ-4,5-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE);VIC(登録商標);NED(商標);テトラメチルローダミン(tetramethylrhodamine、TMR);5-カルボキシテトラメチルローダミン(5-TAMRA);5-HAT(ヒドロキシトリプタミン);5-ヒドロキシトリプタミン(HAT);5-ROX(カルボキシ-X-ローダミン);6-カルボキシローダミン6G;6-JOE;Light Cycler(登録商標)レッド610;Light Cycler(登録商標)レッド640;Light Cycler(登録商標)レッド670;Light Cycler(登録商標)レッド705;7-アミノ-4-メチルクマリン;7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD);7-ヒドロキシ-4-メチルクマリン;9-アミノ-6-クロロ-2-メトキシアクリジン;6-メトキシ-N-(4-アミノアルキル)キノリニウムブロミド塩酸塩(ABQ);酸性フクシン;ACMA(9-アミノ-6-クロロ-2-メトキシアクリジン);アクリジンオレンジ;アクリジンレッド;アクリジンイエロー;アクリフラビン;アクリフラビンフォイルゲンSITSA;AFP-自己蛍光タンパク質-(Quantum Biotechnologies);テキサスレッド;テキサスレッド-Xコンジュゲート;チアジカルボシアニン(DiSC3);チアジンレッドR;チアゾールオレンジ;チオフラビン5;チオフラビンS;チオフラビンTCN;チオライト;チオゾールオレンジ;Tinopol CBS(Calcofluor White);TMR;TO-PRO-1;TO-PRO-3;TO-PRO-5;TOTO-1;TOTO-3;TriColor(PE-Cy5);TRITC(テトラメチルローダミン-イソチオシアン酸塩);トゥルーブルー;TruRed;ウルトラライト;ウラニンB;Uvitex SFC;WW 781;X-ローダミン;X-ローダミン-5-(及び-6)-イソチオシアネート(5(6)-XRITC);キシレンオレンジ;Y66F;Y66H;Y66W;YO-PRO-1;YO-PRO-3;YOYO-1;YOYO-3、Sybr Green、チアゾールオレンジなどのインターキレート色素;広いスペクトルをカバーし、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、635、647、660、680、700、及び750などの一般的な励起源の主出力波長に一致するAlexa Fluor(登録商標)色素シリーズ(Molecular Probes/Invitrogen製)のメンバー;Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7などの広いスペクトルもカバーするCy Dyeフルオロフォアシリーズ(GE Healthcare)のメンバー;Oyster-500、-550、-556、645、650、656などのOyster(登録商標)色素フルオロフォア(Denovo Biolabels)のメンバー;例えば、418nm(DY-415)~844nm(DY-831)の範囲の吸収の最大値を有するDY-Labelsシリーズ(Dyomics)のメンバー、例えば、DY-415、-495、-505、-547、-548、-549、-550、-554、-555、-556、-560、-590、-610、-615、-630、-631、-632、-633、-634、-635、-636、-647、-648、-649、-650、-651、-652、-675、-676、-677、-680、-681、-682、-700、-701、-730、-731、-732、-734、-750、-751、-752、-776、-780、-781、-782、-831、-480XL、-481XL、-485XL、-510XL、-520XL、-521XL;蛍光標識のATTOシリーズ(ATTO-TEC GmbH)のメンバー、例えばATTO 390、425、465、488、495、520、532、550、565、590、594、610、611X、620、633、635、637、647、647N、655、680、700、725、740;CAL Fluor(登録商標)シリーズ又はQuasar(登録商標)シリーズの色素(Biosearch Technologies)、例えば、CAL Fluor(登録商標)Gold 540、CAL Fluor(登録商標)Orange 560、Quasar(登録商標)570、CAL Fluor(登録商標)Red 590、CAL Fluor(登録商標)Red 610、CAL Fluor(登録商標)Red 635、Quasar(登録商標)570、及びQuasar(登録商標)670が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の光検出可能な標識は、第2の光検出可能な部分と相互作用して、例えば、蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer、「FRET」;また、フェルスター共鳴エネルギー移動としても知られている)を介して検出可能なシグナルを変更する。
【0123】
本明細書に開示されるシステム及び方法によって利用される蛍光標識は、例えば、400nm~800nmの範囲の異なるピーク吸収波長を有することができる。いくつかの実施形態では、蛍光標識のピーク吸収波長は、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800nm、又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲であり得るか、又はおよそこれらであり得る。いくつかの実施形態では、蛍光標識のピーク吸収波長は、少なくとも、又は最大で400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、又は800nmであり得る。
【0124】
蛍光標識は、例えば400nm~800nmの範囲の異なるピーク発光波長を有することができる。いくつかの実施形態では、蛍光標識のピーク発光波長は、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800nm、又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲であり得るか、又はおよそこれらであり得る。いくつかの実施形態では、蛍光標識のピーク発光波長は、少なくとも、又は最大で400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、又は800nmであり得る。
【0125】
蛍光標識は、例えば10nm~200nmの範囲の異なるストークスシフトを有することができる。いくつかの実施形態では、ストークシフトは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200nm、又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲であり得るか、又はおよそこれらであり得る。いくつかの実施形態では、ストークスシフトは、少なくとも、又は最大で、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200nmであり得る。
【0126】
2つ以上の蛍光標識は、重複する発光スペクトルを有する場合がありクロストークを受け得る。いくつかの実施形態では、任意の2つの蛍光標識のピーク発光波長間の距離は、例えば、10nm~200nmの範囲で変動し得る。いくつかの実施形態では、任意の2つの蛍光標識のピーク発光波長間の距離は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200nm、又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲であり得るか、又はおよそこれらであり得る。いくつかの実施形態では、任意の2つの蛍光標識のピーク発光波長間の距離は、少なくとも、又は最大で、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200nmであり得る。
【0127】
異なる長さ及び化学的特性を有する様々な異なるタイプのリンカーを使用することができる。「リンカー」という用語は、1つ以上の分子又は化合物を互いに、反応混合物の他の成分に、及び/又は反応部位に接続するのに有用な任意の部分を包含する。例えば、リンカーは、レポーター分子又は「標識」(例えば、蛍光色素)を反応成分に付着させることができる。ある特定の実施形態では、リンカーは、置換又は非置換アルキル(例えば、2~5個の炭素鎖)、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換シクロアルキル、及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択されるメンバーである。一例では、リンカー部分は、任意選択で少なくとも1つのへテロ原子(例えば、エーテル、チオエーテル、アミド、スルホンアミド、カーボネート、カルバメート、尿素及びチオ尿素などの少なくとも1つの官能基)を含み、任意選択で少なくとも1つの芳香族、ヘテロ芳香族又は非芳香族環構造(例えば、シクロアルキル、フェニル)を含む、直鎖及び分岐鎖の炭素鎖から選択される。ある特定の実施形態では、三官能性連結能力を有する分子が使用され、これには、塩化シヌール(cynuric chloride)、メアラミン(mealamine)、ジアミノプロパン酸、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、ピログルタミン酸、S-アセチルメルカプトコハク酸無水物、カルボベンゾキシリジン、ヒスチジン、リジン、セリン、ホモセリン、チロシン、ピペリジニル-1,1-アミノカルボン酸、ジアミノ安息香酸などが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の具体的な実施形態では、親水性PEG(ポリエチレングリコール)リンカーが使用される。
【0128】
ある特定の実施形態では、リンカーは、少なくとも2つの反応性官能基(例えば、各末端に1つ)を含む分子に由来し、これらの反応性官能基は、種々の反応成分上の相補的な反応性官能基と反応し得るか、又は反応部位で1つ以上の反応成分を固定化するために使用され得る。「反応性官能基」は、本明細書中で使用される場合、オレフィン、アセチレン、アルコール、フェノール、エーテル、オキシド、ハライド、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドラジド、ジアゾ、ジアゾニウム、ニトロ、ニトリル、メルカプタン、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィン酸、アセタール、ケタール、無水物、スルフェート、スルフェン酸イソニトリル、アミジン、イミド、イミデート、ニトロン、ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドロキサム酸、チオヒドロキサム酸、アレン、オルトエステル、亜硫酸塩、エナミン、イナミン(ynamines)、尿素、イソ尿素(pseudoureas)、セミカルバジド、カルボジイミド、カルバメート、イミン、アジド、アゾ化合物、アゾキシ化合物、及びニトロソ化合物が挙げられるが、これらに限定されない基を指す。反応性官能基には、バイオコンジュゲートを調製するために使用されるもの、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミドなども含まれる。
【0129】
開裂可能なリンカーは、非限定的な例として、求電子的に開裂可能なリンカー、求核的に開裂可能なリンカー、光開裂可能リンカー、還元条件下で開裂可能なリンカー(例えば、ジスルフィド又はアジド含有リンカー)、酸化的条件で開裂可能なリンカー、安全装置リンカーの使用によって開裂可能なリンカー、除去機構によって開裂可能であるリンカーであり得る。色素化合物を基材部分に付着させるために開裂可能なリンカーを使用することにより、必要に応じて、検出後に標識を除去することができ、下流の工程においていかなる干渉シグナルも回避することができる。
【0130】
本明細書で使用される場合、「光チャネル」は、光周波数(又は同等に波長)の所定のプロファイルである。例えば、第1の光チャネルは、500nm~600nmの波長を有し得る。第1の光チャネルにおいて画像を撮影するために、500nm~600nmの光のみに応答する検出器を使用するか、又は500nm~600nmの透過窓を有するバンドパスフィルタを使用して、300nm~800nmの光に応答する検出器への入射光をフィルタ処理することができる。第2の光チャネルは、300nm~450nm及び850nm~900nmの波長を有してもよい。第2の光チャネルにおいて画像を撮影するために、300nm~450nmの光に応答する検出器と、850nm~900nmの光に応答する別の検出器とを使用し、次いで、2つの検出器の検出信号を組み合わせてもよい。別の方法としては、第2の光チャネルにおいて画像を撮影するために、451nm~849nmの光に応答する検出器の前で300nm~900nmの光を拒絶するバンドストップフィルタを使用してもよい。
【0131】
追記事項
本明細書に記載される実施形態は例示的なものである。これらの実施形態に対して、修正、再配置、代替プロセス等が行われてもよく、依然として、本明細書に記載される教示内に包含される。本明細書で説明されるステップ、プロセス、又は方法のうちの1つ以上は、好適にプログラムされる、1つ以上の処理及び/又はデジタルデバイスによって行われてもよい。
【0132】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される種々の例証的イメージング又はデータ処理技法は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実装されることができる。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を例示するために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、及びステップが、概してそれらの機能に関して上記で説明されている。そのような機能がハードウェア又はソフトウェアとして実装されるかどうかは、特定のアプリケーション及びシステム全体に課される設計制約に依存する。説明した機能は、特定の適用例ごとに様々な方法で実装され得るが、そのような実装の決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきではない。
【0133】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される種々の例示的な検出システムは、特定の命令で構成されたプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、又はその他のプログラム可能な論理デバイス、別個のゲート若しくはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成要素、又は本明細書に記載される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせなどの機械装置によって、実装又は実行され得る。プロセッサはマイクロプロセッサであってもよいが、代替的に、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシン、それらの組み合わせなどであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連した1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意のその他のこのような構成の組み合わせとして実装することもできる。例えば、本明細書で説明されるシステムは、ディスクリートメモリチップ、マイクロプロセッサ内のメモリの一部、フラッシュ、EPROM、又は他のタイプのメモリを使用して実装され得る。
【0134】
本明細書で開示される実施形態に関連して説明される方法、プロセス、又はアルゴリズムの要素は、直接ハードウェアで、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、又はその2つの組み合わせで具現化され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は当技術分野において知られている任意の他の形態のコンピュータ可読記憶媒体内に常駐することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合され得る。代替として、記憶媒体は、プロセッサと一体化され得る。プロセッサ及び記憶媒体は、ASIC内に常駐し得る。ソフトウェアモジュールは、ハードウェアプロセッサにコンピュータ実行可能命令を実行させるコンピュータ実行可能命令を含み得る。
【0135】
特に明記しない限り、「できる(can)」、「し得る(might)」、「し得る(may)」、「例えば(e.g.)」などの本明細で使用される条件的文言は、特に明記しない限り、そうでない場合には使用される文脈内で理解される限り、一般に、特定の実施形態が含まれることを伝えることを意図しており、他の実施形態は、特定の特徴、要素、及び/又はステップを含まない。したがって、そのような条件的文言は、一般に、特徴、要素、及び/又は状態が、1つ以上の実施形態に必要な任意の方法であること、又は1つ以上の実施形態は、これらの特徴、要素、及び/若しくは状態が含まれるか、又は任意の特定の実施形態で実行されるかどうかを、著者入力を用いて若しくは用いずに判定するか又は促すためのロジックを必然的に含むこと、を意味するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、「伴う(involving)」などの用語は、同義であり、包括的にオープンエンド方式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを除外しない。また、用語「又は」は、例えば、要素のリストを接続するために使用されるとき、用語「又は」が、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、又は全てを意味するように、その包括的な意味で(その排他的な意味ではなく)使用される。
【0136】
「X、Y、又はZのうちの少なくとも1つ」という句などの選言的言語は、別段に具体的に述べられていない限り、項目、用語などがX、Y、若しくはZのいずれか、又はそれらの任意の組み合わせ(例えば、X、Y、及び/又はZ)であり得ることを提示するために一般に使用されるような文脈で別様に理解される。したがって、このような選言的な言葉は、一般に、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、又はZのうちの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要とすることを暗示することを意図せず、暗示すべきではない。
【0137】
「約」又は「およそ」などの用語は同義であり、その用語によって修飾される値がそれに関連する理解された範囲を有することを示すために使用され、その範囲は±20%、±15%、±10%、±5%、又は±1%であり得る。「実質的に」という用語は、結果(例えば、測定値)が目標値に近いことを示すために使用され、近いとは、例えば、結果が値の80%以内、値の90%以内、値の95%以内、又は値の99%以内であることを意味し得る。
【0138】
特に明記しない限り、「a」又は「an」などの冠詞は、一般に、1つ以上の記載された項目を含むと解釈すべきである。したがって、「~するように構成されたデバイス(a device configured to)」又は「するためのデバイス(a device to)」などの語句は、1つ以上の列挙されたデバイスを含むことが意図されている。このような1つ以上の列挙されたデバイスはまた、記載された詳細説明を実行するように集合的に構成され得る。例えば、「詳細説明A、B、及びCを実行するように構成されたプロセッサ」は、詳細説明Aを実行し、かつ詳細説明B及びCを実行するように構成された第2のプロセッサと関連して動作を行うために、第1のプロセッサを含むことができる。
【0139】
上記の詳細な説明は、例示的な実施形態に適用される新規の特徴を示し、説明し、指摘してきたが、本開示の趣旨から逸脱することなく、示されたデバイス又はアルゴリズムの形態及び詳細における様々な省略、置換、及び変更を行うことができることが理解されよう。認識されるように、本明細書に記載される特定の実施形態は、いくつかの特徴が他とは別個に使用又は実施され得るので、本明細書に記載される特徴及び利点の全てを提供しない形態内で具現化され得る。特許請求の範囲の意味及び均等範囲内に含まれる全ての変更は、それらの範囲内に包含されるものである。
【0140】
前述の概念の全ての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると意図されていることを理解されたい。具体的には、本開示の終わりに現れる特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図される。
【国際調査報告】