(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】燃料電池システムにおける動的空気流制御
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04014 20160101AFI20240604BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20240604BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240604BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240604BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240604BHJP
【FI】
H01M8/04014
H01M8/2475
H01M8/04746
H01M8/04 N
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023573055
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 GB2022051287
(87)【国際公開番号】W WO2022248840
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】フッド、トム ピーター
(72)【発明者】
【氏名】カーマジン、ハリー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ダフトン、ジェス トーマス ロビン
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA28
5H126BB06
5H126FF10
5H127AA06
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC05
5H127DC22
5H127DC59
5H127DC85
5H127EE02
5H127EE14
5H127EE29
(57)【要約】
ここに、ハウジング内で燃料電池スタックおよび冷却ファンへの空気流を制御する方法の側面が開示され、これは、予め定められた最小量の空気流をハウジングを通じてファンに流体接続し、一連のルーバー、調節可能な開口部、およびバイパスバルブが、燃料電池スタックおよびファンの少なくとも一方の空気流を動的に調整し、種々のコントローラベースの動作に間に上述の必要な最小量の流体をファンに供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内の燃料電池スタックおよび冷却ファンに空気流を提供する方法であって、
ともにハウジング内にある燃料電池スタックをファンと流体連通するように配置するステップと、
以下のモードのうちの1つまたは複数によって、上記ハウジングを通じて予め定められた最小量の空気流をファンに流体的に接続するステップとを有し、
上記モードは、
A.上記燃料電池スタックの下流にあるバイパスアセンブリを介して上記燃料電池スタックから空気流の一部をそらせることによって、上記燃料電池スタックの空気取入口面への空気流を制限するモード、
B.上記空気流の一部をバイパスアセンブリを介して上記空気取入口面からそらし、カソード排気と上記ファンとの間に配置された1つまたは複数のルーバーを閉じることによって上記燃料電池スタックのカソード排気からの空気流を減少させるモード、
C.ルーバーを閉じ、ルーバーを通る開口部の少なくとも一部を閉じることによって、上記燃料電池スタックのカソード排気面から上記ファンへの空気流を調整するモード、
D.バイパスバルブおよびルーバーを開いて、上記空気取入口面およびファンの両方に空気流を提供するモード、
E.バイパスバルブを開き、ルーバー、および、開口部の少なくとも1つ、および上記ルーバーを通る開口部の少なくとも一部を閉じるモード、および、
F.バイパスバルブ、および、開または閉ルーバーの閉じるモード
であることを特徴とする方法。
【請求項2】
各ルーバーが、ハウジング内の磁気キャッチを介して閉じるように構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
各ルーバーが2枚のプレートからなり、各プレートが開口部を含み、プレートが一緒に入れ子になるように構成され、ルーバーが閉じられると、開口部が、1枚のプレートを他のプレートに対してカム(500)の作用を通じてスライドさせることによって、コントローラを介して閉じた状態から完全に開いた状態まで調整される請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記2枚のプレートのうちの少なくとも1つは、表面コーティングを具備して他のプレートと対面し、コーティングされていないプレートよりも高い潤滑性を有するように構成される請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記開口部が細長い水平空隙である、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
上記開口部の少なくとも一部が等脚台形である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記空気取入口面に最も近い上記ハウジングの内側に、上記吸気面への空気流に乱流を加える凸状部分を形成するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
上記燃料電池スタックの空気取入口面に隣接して、燃料電池スタックへの吸入空気の直線流をより乱流にする空気流擾乱フィンガを形成するステップをさらに有する先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項9】
ファンは燃料電池スタックの排気口の下流に配置され、
流体制御アセンブリは、ファンによって燃料電池スタックを通って引き込まれる空気流の体積を変更するように構成される請求項1記載の方法。
【請求項10】
ハウジング内の燃料電池スタックへの空気流を調整するためのシステムであって、
少なくとも1つの流体チャネル(24)、燃料電池スタック(100)、ファン(200)、および流体制御アセンブリ(300)を含み、空気の流れを提供するように構成された部分的に開いたハウジングであって、上記流体制御アセンブリは、少なくとも1つのバイパス弁と、調整可能な開口部が形成された少なくとも1つのルーバーとを有する、上記ハウジングと、
コントローラーとを有し、
上記流体チャネルは流体制御アセンブリと流体接続されており、コントローラは、バイパスバルブ、ルーバー、および開口部の開閉のうちの少なくとも1つを制御し、
ファンおよび燃料電池スタックに流れる空気の量の制御は、動作モードに基づいて調整されることを特徴とするシステム。
【請求項11】
上記コントローラが、バイパス排気口(308)の開閉を制御するバイパスモータ(312)を備える、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
上記コントローラが、ルーバーの動きおよび上記開口部の開閉を制御するルーバー制御アセンブリ(330)を有する請求項10記載のシステム。
【請求項13】
上記コントローラが、ルーバーの移動および上記開口部の開閉を制御するルーバー制御アセンブリ(330)と、バイパス排気口(308)の開閉を制御するバイパスモーター(312)とを備える、請求項10記載のシステム。
【請求項14】
上記ルーバー制御アセンブリ(330)が、各ルーバーを貫通し、上記ルーバーに取り付けられたカムに接続する駆動シャフト(333)をさらに有する請求項12または13記載のシステム。
【請求項15】
上記カムが、さらに、
駆動シャフト(333)に固定された下部駆動セクション(502A)と、
下部駆動セクションと駆動シャフトガイド(327)との間で駆動シャフトに移動可能に取り付けられる上部駆動セクション(502B)、および、
上部駆動セクションと駆動シャフトガイドとの間で駆動シャフトに固定された移動可能なバネとを有し、
これにより、入れ子状プレート(323B)は、カムとバネによって第2の入れ子状プレート(323A)に対して上方または下方に移動する請求項14記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの入れ子プレートの第1の表面が、粗さを低減するために研磨される、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの入れ子式プレートの第1の表面は、粗さを低減するか潤滑性を高めるためにコーティングされる、請求項15記載のシステム。
【請求項18】
上記ルーバー制御アセンブリは、上記燃料電池スタックへの酸素流量および上記燃料電池スタックからの希釈パージ流量のうちの少なくとも1つを調整するようにさらに構成される、請求項12記載のシステム。
【請求項19】
流体制御アセンブリにおいて、
流体制御ハウジング(302)を有し、
上記流体制御ハウジング(302)は、さらに、
ファンダクト(304)と、
マグネットキャッチ(305)と、
ルーバー制御アセンブリ(330)と、
内部に可変開口部を備えたルーバーと、
少なくとも1つのバイパスダクト(306)と、
少なくとも1つのバイパス弁(308)と、
バイパスモーターとを有し、
上記バイパスダクトは上記流体制御ハウジングと流体接続されていることを特徴とする流体制御アセンブリ。
【請求項20】
ルーバーをさらに有し、上記ルーバーは2つのスライド式入れ子プレート(321A/321B)から形成され、上記スライド式入れ子プレート(321A/321B)のそれぞれが第1の位置に整列する開口部(402Aおよび402B)を具備し、上記開口部は、変位時に開口を可変させ、完全に変位したときに開口を閉鎖させる請求項19記載の流体制御アセンブリ。
【請求項21】
上記ルーバー制御アセンブリ(330)は、ルーバーの移動および上記開口部の開閉を制御する、請求項20記載の流体制御アセンブリ。
【請求項22】
ルーバー制御アセンブリ(330)が、ルーバーの移動および上記開口部の開閉を制御し、バイパスモータ(312)が、少なくとも1つのバイパスダクトを通る流体の流れを開閉するように構成されたバイパス通気口(308)の開閉を制御する、請求項20記載の流体制御アセンブリ。
【請求項23】
上記ルーバー制御アセンブリ(330)が、各ルーバーを貫通し、上記ルーバーに取り付けられたカムに接続する駆動シャフト(333)をさらに有する請求項21または22記載の流体制御アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には、空冷式燃料電池スタックを通る空気の量を制御し、均一に分配するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気化学燃料電池は、燃料と酸化剤とを電気エネルギーと反応生成物とに変換する。一般的なタイプの電気化学燃料電池は、膜電極接合体(MEA)を有し、これは、アノードおよびカソードの流路またはガス拡散構造の間にポリマーイオン(プロトン)移動膜を含む。水素などの燃料と空気中の酸素などの酸化剤とがMEAのそれぞれの面を通過して、反応生成物として電気エネルギーと水とが生成される。別個のアノードおよびカソード流体流路を備えて配置された多数のそのような燃料電池を有するスタックを形成することができる。このようなスタックは、典型的には、スタックの両端のエンドプレートによって一緒に保持された多数の個別の燃料電池プレートを有するブロックの形態である。このような燃料電池は、資材運搬装置(MHE)、定置型電力用途、無人航空機(UAV)など、さまざまな技術に電力を供給するために使用できる。
【0003】
効率的に操作するには、高分子イオン移動膜が水和状態を維持することが重要である。スタックの温度を制御することも重要である。したがって、冷却および/または水和のために、冷却剤がスタックに供給されて良い。特定の時間に、または定期的に、パージガスを使用して、燃料電池の流路またはガス拡散構造から冷却剤、汚染物質、または反応副生成物をパージすることが必要な場合がある。パージガスは燃料(例えば、水素)を有して良く、このパージガスは、燃料電池をパージするためにアノード流路を通って流されて良い。
【0004】
空冷式燃料電池システムにおいて、燃料電池スタックを調整する技術の1つは、「スタックパルシング」または「ファンパルシング」を有し、この手法において、燃料電池スタックのカソードへの空気の流れを定期的に遮断するか大幅に制限して、カソードの酸素を枯渇させ、そして、スタックは負荷抵抗を介して大電流で放電されるため、この空気流制限期間中にエネルギーの散逸が発生する。
【0005】
空冷燃料電池スタックは、カソードの空気の流れに非常に敏感な場合がある。カソード空気流路を通る少量の空気の移動でも、スタックが大きな電力を生成するには十分である。不要な空気が多ければ多いほど、ファンのパルスを発生させるのが難しくなる。したがって、ファンパルス中に高度に制限された空気の流れを実現することが望ましい場合がある。たとえば、空気の流れを遮断することが非効率である場合、ファンパルスが失敗する可能性がある。
【0006】
空冷燃料電池システムは、伝統的に、ファンの速度を下げるか流路を部分的に閉じることによって、より涼しい条件で動作するためにカソードの空気の流れを制限してきた。これらの解決策は、スタックを通るカソードの流れの分布に悪影響を及ぼし、その結果、温度変動が生じ、その結果、スタックの性能が低下する。部分的に閉鎖すると乱流が発生し、部分的に開いた位置では経路が変化する。これにより、少量のカソード流量の微調整が不可能になる。ファンによる必要最小限の空気流量では、冷却効率が低下し、スタックのパフォーマンスが低下する可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
空気流制御の側面のこの開示は、燃料電池システムにおける空気流の経路および供給を制御するために所望のパターンで流れを方向付けるシステム、構造、および方法に向けられている。
【0008】
上述のニーズは、本出願を通じて開示される冷却剤分配システム、燃料電池電力システム、および使用方法のさまざまな側面によって満たされる。本開示の所定の側面によれば、ハウジング内の燃料電池スタックおよび冷却ファンに空気流を提供する方法が教示され、この方法は、ともにハウジング内にある燃料電池スタックをファンと流体連通するように配置するステップと、以下のモードのうちの1つまたは複数によって、上記ハウジングを通じて予め定められた最小量の空気流をファンに流体的に接続するステップとを有し、これらモードは、
A.上記燃料電池スタックの下流にあるバイパスアセンブリを介して上記燃料電池スタックから空気流の一部をそらせることによって、上記燃料電池スタックの空気取入口面への空気流を制限するモード、
B.上記空気流の一部をバイパスアセンブリを介して上記吸気面からそらし、カソード排気と上記ファンとの間に配置された1つまたは複数のルーバーを閉じることによって上記燃料電池スタックのカソード排気からの空気流を減少させるモード、
C.ルーバーを閉じ、ルーバーを通る開口部の少なくとも一部を閉じることによって、上記燃料電池スタックのカソード排気面から上記ファンへの空気流を調整するモード、
D.バイパスバルブおよびルーバーを開いて、上記吸気面およびファンの両方に空気流を提供するモード、
E.バイパスバルブを開き、ルーバー、および、開口部の少なくとも1つ、および上記ルーバーを通る開口部の少なくとも一部を閉じるモード、および、
F.バイパスバルブ、および、開または閉ルーバーの閉じるモードである。
【0009】
場合によっては、各ルーバーが、ハウジング内の磁気キャッチを介して閉じるように構成される。場合によっては、各ルーバーが2枚のプレートからなり、各プレートが開口部を含み、プレートが一緒に入れ子になるように構成され、ルーバーが閉じられると、開口部が、1枚のプレートを他のプレートに対してカムの作用を通じてスライドさせることによって、コントローラを介して閉じた状態から完全に開いた状態まで調整される。場合によっては、上記2つのプレートのうちの少なくとも1つは、表面コーティングを具備して他のプレートと対面し、コーティングされていないプレートよりも高い潤滑性を有するように構成される。場合によっては、上記開口部が細長い水平空隙である。場合によっては、上記開口部の少なくとも一部が等脚台形である。場合によっては、この方法は、上記吸気面に最も近い上記ハウジングの内側に、上記吸気面への空気流に乱流を加える凸状部分を形成するステップをさらに含む。場合によっては、この方法は、上記燃料電池スタックの空気取入口面に隣接して、燃料電池スタックへの吸入空気の直線流をより乱流にする空気流擾乱フィンガを形成するステップをさらに含む。
【0010】
場合によっては、ファンは燃料電池スタックの上流に配置される。場合によっては、ファンは燃料電池スタックの下流に配置される。場合によっては、バイパスバルブは燃料電池スタックの下流に配置される。場合によっては、バイパスバルブは燃料電池スタックの上流に配置される。場合によっては、ファンは燃料電池スタックの上流に配置され、流体制御アセンブリは燃料電池スタックの下流に配置される。
【0011】
本開示のいくつかの側面によれば、ハウジング内の燃料電池スタックへの空気流を調整するためのシステムおよび方法が、少なくとも1つの流体チャネル、燃料電池スタック、ファン、および流体制御アセンブリを含み、空気の流れを提供するように構成された部分的に開いたハウジングであって、上記流体制御アセンブリは、少なくとも1つのバイパス弁と、調整可能な開口部が形成された少なくとも1つのルーバーとを有する、上記ハウジングと、コントローラーとを含み、上記流体チャネルは流体制御アセンブリと流体接続されており、コントローラは、バイパスバルブ、ルーバー、および開口部の開閉のうちの少なくとも1つを制御し、ファンおよび燃料電池スタックに流れる空気の量の制御は、動作モードに基づいて調整される。
【0012】
場合によっては、上記コントローラが、バイパスモータがバイパス排気口の開閉を制御する。場合によっては、ルーバー制御アセンブリが、ルーバーの動きおよび上記開口部の開閉を制御する。場合によっては、ルーバー制御アセンブリが、ルーバーの移動および上記開口部の開閉を制御し、バイパスモーターが、バイパス排気口の開閉を制御する。場合によっては、上記ルーバー制御アセンブリが、各ルーバーを貫通し、上記ルーバーに取り付けられたカムに接続する駆動シャフトをさらに有する。場合によっては、下部駆動セクションが、駆動シャフトに固定され、上部駆動セクションが、下部駆動セクションと駆動シャフトガイドとの間で駆動シャフトに移動可能に取り付けられ、移動可能なバネが、上部駆動セクションと駆動シャフトガイドとの間で駆動シャフトに移動可能に取り付けられ、これにより、入れ子状プレートは、カムとバネによって第2の入れ子状プレートに対して上方または下方に移動する。
【0013】
場合によっては、少なくとも1つの入れ子プレートの上記第1の表面が、粗さを低減するために研磨される。場合によっては、少なくとも1つの入れ子式プレートの上記第1の表面は、粗さを低減するか潤滑性を高めるためにコーティングされる。場合によっては、上記ルーバー制御アセンブリは、上記燃料電池スタックへの酸素流量および上記燃料電池スタックからの希釈パージ流量のうちの少なくとも1つを調整するようにさらに構成される。
【0014】
本開示のいくつかの側面によれば、流体制御アセンブリの方法およびシステムは、流体制御ハウジングを含み、上記流量制御ハウジングは、さらに、ファンダクトと、マグネットキャッチと、ルーバー制御アセンブリと、内部に可変開口部を備えたルーバーと、少なくとも1つのバイパスダクトと、少なくとも1つのバイパス弁と、バイパスモーターとを有し、上記バイパスダクトは上記流量制御ハウジングと流体接続されている。
【0015】
場合によっては、複数のルーバーは2つのスライド式入れ子プレートから形成され、上記スライド式入れ子プレートのそれぞれが第1の位置に整列する開口部を具備し、上記開口部は、変位時に開口を可変させ、完全に変位したときに開口を閉鎖させる。上記ルーバー制御アセンブリは、ルーバーの移動および上記開口部の開閉を制御する。場合によっては、ルーバー制御アセンブリが、ルーバーの移動および上記開口部の開閉を制御し、バイパスモータが、少なくとも1つのバイパスダクトを通る流体の流れを開閉するように構成されたバイパス通気口の開閉を制御する。場合によっては、上記ルーバー制御アセンブリが、各ルーバーを貫通し、上記ルーバーに取り付けられたカムに接続する駆動シャフトをさらに有する。
【0016】
いくつかの側面において、システムは、その中に1つ以上のセンサーを含んで良い。1つまたは複数のセンサは、システムのパラメータを検出するように構成されて良い。いくつかの側面において、センサは、燃料電池および/または燃料電池スタックの温度、システムに入る冷却剤の温度、冷却剤流体がシステムから流出した後の冷却剤の温度、冷却液の圧力、冷却液の流量、冷却液の組成、排気ポートから排出される冷却液の速度、または冷却液または燃料電池スタックの別のパラメータを検出するように構成されて良い。
【0017】
いくつかの側面において、冷却剤の流れを方向付ける手段は、これに限定されないけれども、(具体的な実施例に存在する範囲で)燃料電池スタックのサイズまたは形状、燃料電池スタックのサイズまたは形状、燃料電池スタックと冷却剤の流れを方向付ける手段との間の距離、燃料電池スタック内の燃料電池の数、システム内の燃料電池スタックの数、各燃料電池スタックの相対的な配置、冷却剤の流れを方向付ける手段の材質、冷却剤の流れを方向付ける手段の構造、システムを通る冷却剤の流れの速度、冷却剤の構成、燃料電池スタックの温度、燃料電池スタックの望ましい温度、システムの望ましい用途、上記のパラメータの任意の組み合わせ、および/または冷却剤の分配の必要性に影響を与える可能性のある他の任意の適切なパラメータなどの種々のパラメータに従って動作して良い
【0018】
本開示の他の側面によれば、燃料電池システムは、内部に1または複数の燃料電池を具備する燃料電池スタックと、冷却液を分配するシステムとを含む。
【0019】
冷却液を分配するためのシステムは、上述のシステムのいずれかの1または複数であって良く、または、ここに記載される実施例の組み合わせであって良い。このシステムは、ここで説明されるオプションの側面を含まなくても良いし、1または複数のオプションの側面を含んで良い。
【0020】
いくつかの側面において、燃料電池システムは、マシンハンドリング機器(MHE)コンポーネントに電力を供給するように構成されて良い。オプションとして、MHEコンポーネントはフォークリフトであって良い。
【0021】
いくつかの側面において、燃料電池システムは、無人航空機(UAV)に電力を供給するように構成されて良い。オプションとして、UAVはドローンであって良い。ドローンは固定翼ドローンであって良い。ドローンはマルチロータードローンであって良い。
【0022】
本開示の他の側面によれば、冷却液を分配するシステムを通して冷却液を導くための制御システムが開示される。制御システムは、プロセッサと、電源と、センサーとを含む。制御システムは、冷却液分配システムに動作信号を送信して、冷却液分配システムを動作させるように構成されている。冷却剤の流れを分配するためのシステムは、上述のシステムのうちの任意の1つ以上であって良く、あるいは、ここに記載される実施例の組み合わせであって良い。このシステムは、ここに説明される任意の側面を全く含まないか、1つまたは複数の任意の側面を含んで良い。
【0023】
制御システムは、プロセッサと、電源と、センサーとを含んで良い。制御システムは、冷媒分配システムに動作信号を送信して、冷媒分配システムを動作させるように構成されている。
【0024】
いくつかの側面において、制御システムは、複数のセンサーと通信するように構成されて良い。センサーは、冷却剤を分配するシステム内またはシステム上に配置されて良い。
【0025】
オプションとして、制御システムはプログラムに基づいて動作するように構成されて良い。プログラムは、制御システムに動作命令を提供して良く、制御システムは、その命令を使用して、冷却剤を分配するためのシステムおよび/または燃料電池システムを動作させて良い。オプションとして、制御システムはユーザーによって操作されて良い。ユーザーは、システムを動作させるために、制御システムおよび/または冷却剤を分配するシステムに1または複数の信号を送信して良い。オプションとして、制御システムは、1または複数のセンサによって感知されたパラメータに応答して自律的に動作するように構成されて良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本出願は、添付の図面と併せて読むとさらに理解される。主題を説明する目的で、図面には主題の例示的な側面が示されている。しかしながら、ここで開示される主題は、開示される特定の方法、装置、およびシステムに限定されない。図面は以下のとおりである。
【
図1】
図1は、燃料電池スタックおよびファンへの空気流を制御するための、ここに開示されるシステムおよび方法の外観図である。
【
図2A】
図2Aは、燃料電池スタックおよびファンへの空気流を制御するための、ここに開示されるシステムおよび方法の例示的な実装の側面を示す構成図である。
【
図3】
図3は、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図4A】
図4Aは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図4B】
図4Bは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図4C】
図4Cは、燃料電池スタックおよびファンへの空気流を制御するための、ここに開示されるシステムおよび方法の例示的な実装の側面を示す部品図における吸気面における空気破壊機構を示す。
【
図5】
図5は、燃料電池スタックおよびファンへの空気流を制御するための、ここに開示されるシステムおよび方法のいくつかの動作モードの表である。
【
図6A】
図6Aは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図6B】
図6Bは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図6C】
図6Cは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図7A】
図7Aは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図7B】
図7Bは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図8A】
図8Aは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図8B】
図8Bは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図8C】
図8Cは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図9A】
図9Aは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図9B】
図9Bは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図9C】
図9Cは、ここに開示されるシステムおよび方法の調整可能な空気流を示す例示的な実装の側面を示す。
【
図11】
図11は、燃料電池スタックを通して流体を引き込むように構成された燃料電池スタックの上流の空気取り入れ口を介して燃料電池スタックおよびファンへの空気流を制御するための、ここに開示されたシステムおよび方法の代替例を示す。
【0027】
次に、本開示の側面を図面を参照して詳細に説明する。ここで、特に指定しない限り、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指す。
【詳細な説明】
【0028】
空冷燃料電池システムの設置面積が小さい燃料電池スタックを通る少量の冷却剤の流れを細かく制御することは、これまで実用的な解決策を実現していなかった。ここでは、空気ルーティング、空気流の粗および微制御を利用して、始動、高温運転および低温または低温運転を含むがこれらに限定されない様々な条件で一貫した燃料電池スタック動作を提供する方法、装置およびシステムの側面を開示する。
【0029】
最も基本的な構成において、ここに開示されるシステムおよび方法は、一連のルーバー、絞り(アパーチャ)、およびバイパス弁を介して燃料電池スタックを通る流体の流れを制御する。革新的なシステムにより、流体の流れを粗調整および微調整を実現する。
【0030】
燃料電池スタックを通る空気流を引き込むファンはスタックを冷却し、放出された水素を希釈し、多数の電力要件を通じてスタックの効率的な動作を可能にし、膜効率を維持して燃料電池スタックの健全性を維持するためにシステムのパロディックパージをサポートする。
【0031】
1つまたは複数のルーバードアは、完全に閉じた位置からある範囲の位置を経て完全に開いた位置までそれぞれ回転するように構成され、各ルーバードアは少なくとも2つの入れ子式スライドプレートを有する複数の部分からなり、閉じた位置にある各ドアは1つのプレート用に構成され、他のものに対して垂直に上方または下方に、かつカソード排気流に対して垂直にスライドし、それによってスライド運動がプレート内の一連の整列した開口部を開いたり、部分的に閉じたり、完全に閉じたりして、閉じたプレートを通る空気の流れを効果的に絞る。アパーチャは水平方向に細長いものとして示されているけれどが、この図は限定するものではなく、他のアパーチャ形状も本開示の範囲内である。細長い形状は、スライディングアパーチャプレートのより少ない動きで大きな流量をサポートし、少なくともより小型のシステムおよび/またはより高い流量をサポートするため、場合によっては好ましい。
【0032】
図1~2Cは、燃料電池空気分配装置およびシステム10の主な側面を示す。主ハウジング12は、ハウジングへの空気流の入口14と、ハウジングからの流体の流出のための出口16とを備えて構成される。ハウジング内には、2つの側面20Aおよび位置決めインサート22を有するものとしてここに示されるサブアセンブリが示されている。サブアセンブリは、より少ないまたはより多くの部品から形成することができ、当業者または熟練技術者は、そのような設計の選択が開示の範囲内にとどまることを認識するであろう。サブアセンブリは、一端で燃料電池スタック100を取り囲み、反対端でファン200を取り囲み、流体制御アセンブリ300は、燃料電池スタックの下流側にあるけれども、ファンの上流にあり、この流体制御アセンブリ300が、流体チャネル24を通って入口14の空気経路を、スタック用の取り込み面25に接続して、これにより、空気流が入口から燃料電池スタックに移動する。サブアセンブリは、一端に燃料電池スタック100を含み、ファン200を含み、流体流アセンブリ300は燃料電池スタックの下流にあるけれども、ファンの上流にある。流体制御アセンブリは、カソード排気をファンに流体的に連結するとともに燃料電池スタックへの空気の流れと燃料電池スタックからの排気を制御する基本部分である。流れ制御ハウジング302は、ルーバードアを閉位置に保持するための磁気キャッチ305を支持するファンダクト304と、少なくとも1つのバイパスダクト306とを提供する。各バイパスダクトは、バルブ308を収容しており、このバルブ308は、バイパスモータ312に取り付けられ、コントローラによって制御される制御アーム310を介して開閉可能である。開口ルーバードア320は、流量制御ハウジングに移動可能に取り付けられている。各ドアは2枚のプレートで構成されている。第1のドアは、入れ子になったプレート321Aおよび321Bからなる。各プレートは、第1の表面401Aと第2の表面401Bを具備する。各プレートには、ウインチを位置合わせできる細長い開口部400Aおよび400Bが形成されている。第2のドアは、入れ子状のプレート323Aおよび323Bからなり、各プレートには、整列可能な細長い開口402Aおよび402Bが形成されている。入れ子になったプレートは流体の漏れを最小限に抑えるためにしっかりとフィットする必要があり、入れ子になったドアの少なくとも1つは、もう一方のドアに対して垂直に上下にスライドするのに十分な潤滑性がなければならない。ルーバー制御アセンブリ330は、一対の入れ子ドアを通って形成されたガイドに嵌合する駆動シャフト333を介して各組の入れ子ドアに取り付けられている。駆動モーター334はルーバー制御アセンブリの一部である。駆動シャフト333は、ルーバー制御アセンブリに示されるギア接続によって駆動される。通過ガイド336は回転またはドアの動きの一部ではなく、駆動シャフトはドアを回転させて開閉するように作用するカムを介してルーバードアに接続されている。磁石305は、ドアを完全に閉じた位置で停止させる(
図6B)。磁石はルーバーの動きを止める手段であり、ボールプランジャーなどの他の手段、および他のラッチおよびキャッチも本開示の範囲内である。閉鎖後の駆動シャフトの回転により、開口が開いた状態から部分的に開いた状態、そして閉じた状態まで調整されることが好ましい。
図2C、7A、および7Bは、ルーバードア321および323を形成する入れ子状プレート(321A/321Bおよび323A/323B)を示す。各ドアは、カム500を介して駆動シャフト333に移動可能に接続されている。カムは下部駆動セクション502Aを有し、502Bは駆動シャフトに固定され、上部駆動セクション502Bは入れ子状プレートに固定され、流量制御ハウジング302に対して上下に駆動される。駆動シャフトが貫通するばね手段325が、カム500とルーバーガイド327との間に配置されている。カム作用によってスライドプレートが上方に移動すると、ばねが圧縮され、カム作用によってスライドプレートが下降すると、ばねが圧縮解除され、スライドプレートを下方に移動させて開口部を揃える。
図7Aは、ルーバードア321の第1の入れ子板を通る細長い開口部400Aが、ルーバードア321の第2の入れ子板の細長い開口部400Bと位置がずれていることを示しており、この構成では、細長い開口部がルーバードアを通る流体の流れを遮断する。駆動シャフト333が回転すると、カムの下側駆動セクション502Aが下方に移動して、
図7Bに示すように、上側駆動セクションと下側駆動セクションの間の間隙504が閉じられ、細長い開口部400Aおよび400Bが流体の流れを可能にするように位置合わせされ、ばね手段は、カムの回転中にスライドプレートを下方に付勢する。さらに、ルーバードアは移動手段(ここではステッピングモータ334として示されている)によって制御され、移動手段は歯車335に協調してシャフトを回転させる。場合によっては、モータコントローラは移動手段と信号通信を行う。他の例では、モーター制御がシステムコントローラー内に組み込まれている。モーター制御装置が存在する場合、それはシステムコントローラーと信号通信し、それによってルーバードアと細長い開口部の位置が調整される。システムコントローラーは、システム内の測定値またはシステムの状態に応答してバイパスバルブ、ルーバードア、開口部を調整するように構成されている。センサ425による測定には、電力要件、温度、圧力、湿度、排気中の水素濃度、停止、ファンの脈動、およびパージのうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。センサはシステムコントローラと信号通信し、システム内のどこにでも配置でき、燃料電池スタックの吸気面101付近、流体制御アセンブリ付近およびファン付近のセンサ425の表示は限定されない。
【0033】
図3~
図4Bは、
図1のA―A線にほぼ沿って下方から見た切り欠き上面図を示す。主要コンポーネントを示すブロック構造のみが提供され、これらの図は、システムのさまざまな状態での空気の流れを示している。ただし、すべての状態が表示されているわけではない。一部の状態は、スペクトル全体で開口率0%の完全に閉じた状態から、そのスペクトル内のすべての部分開口を含む100%の開き状態になる。簡潔にするために、完全に開いたルーバー、完全に閉じた開口部を有する完全に閉じたルーバー、および完全に開いた開口部を有する完全に閉じたルーバーのみが示されており、部分的に開いた開口部と閉じた開口部の中間の状態が存在しないことを、単なる中間的なまたは非開示の発明として解釈すべきではない。
図4Cは、組み立てられたサブアセンブリの外部と、その上に形成された空気擾乱フィンガを示す。
【0034】
ここでは、ファン200が動作するための最小空気流量が、ルーバー、バイパス弁、および開口部を介した空気流の制御によって維持される燃料電池電力システムの動作方法を開示する。動作中のファンは、燃料電池スタックを通る空気流要件が、システムコントローラが関与するファンの最小空気流要件よりも小さい場合、ここで開示される空気流動的制御を介して、低RPMであってもシステム内を最小限の量の空気を移動させる。バイパスバルブおよびルーバーの少なくとも1つが、必要な最小限の空気流を維持しながら空気流を方向付ける。ファンが利用できる空気流量が最小値よりも少ない場合、ファンの負荷が増大し、システムの効率が低下し、寄生損失が増加する。流体流アセンブリ300による空気流のステアリングは、コントローラによって制御される。
【0035】
大気を含む流体の流れは、入口4を介してシステムに入り、燃料電池スタックとも流体接続されている流体チャネル24に入る。流体流アセンブリ300は、また、ルーバーが短時間で完全に開いた位置から完全に閉じた位置に移行することを可能にする。バイパス弁およびダクトと連動したドアの開閉の迅速さは、少なくとも必要な最小量の空気をファンに提供し、さまざまな状況下で燃料電池スタックの第1の面101に必要な量の空気流を提供するために協働し、これは動的であり、システムセンサー425に応答する。燃料電池スタックおよびドアをバイパスしながら流体チャネル24からの空気流を誘導する。
図5は、動作状態、動作モード、ルーバードアの開口部の開閉に伴うルーバードアの開閉と、少なくとも1つのコントローラによって動作するように構成されたバイパスバルブの開閉との調整を示す表である。
【0036】
高温動作中(
図4Aおよび
図5の表を参照)、バイパス弁308は閉じられ、流体チャネルを通る空気流は妨げられない。むしろ、空気流は流体チャネルを通って吸気面に流れ、ルーバードア321および323が開いて流体チャネルからの空気流を第1の面101およびファン200の一方に分配する。開いたルーバードアはドアをスライドさせるための移動手段(321A/321Bおよび323A/323B)を有し、静止状態は開いている。
【0037】
高温モード動作中(
図4A)、バイパスバルブ308を閉じることにより、最大量の流体が流体チャネルを通って第1の面101に送られ、吸気の少なくとも90%がスタックを通して吸気面経由で強制的に引き込まれる。このモードでは、流体の95%がスタックを通して引き込まれることが好ましく、このモードでは99%以上の空気がスタックを通して引き込まれることが最も好ましい。この第1のモードでは、ルーバーが完全に開いており、ファン200の軸流を介してシステムから排出されるカソード排気流体に対する障害が最小限に抑えられる。理想的には、入口14に流入する同量の空気が燃料電池スタックを通過する。この操作の追加の利点は、カソード流内に確実に非常に低濃度の水素しか存在しないことである。
【0038】
システムの動作中、燃料電池スタックに入る流体の流れに濁りを生じさせることも有益である。燃料電池スタック100は、第1の面101および第2の面102を具備する。第1の面101は、流体チャネル24と流体接続し、吸気面25を介して空気を受け取るように構成される。ハウジング12内を流れる流体の分散を高めるために、第1の面101の反対側のハウジングの一端に、任意選択で凸状バンプ400(
図3)を形成して、ジェット流が付着する現象であるコアンダ効果を提供してもよい。近くの表面に付着し、表面が最初のジェット方向から離れる方向に曲がった場合でも付着したままになり、空気を最初の面の中心に向かって導く。場合によっては、空気撹乱フィンガ405を吸気面の周囲に配置して、流体の流れを撹乱し、第1の面101全体にわたってより均一な分布を生じさせても良い。これらの流れ擾乱機能は、吸気面に配置されると、燃料電池スタックによって吸入される直前に、吸気流体の直線的な流れを乱流に変換する。これは、液体がスタックの周囲にのみ引き込まれるのではなく、均等に分配するのに役立つ。擾乱フィンガおよびコアンダ効果は、連携して使用しても、個別に使用しても良い。
【0039】
低温モード構成の間(
図4Bを参照)、ルーバードア321/323が閉じられ、バイパス弁308が開かれて、より大量の空気がバイパス弁を通ってファンに流れ、その後、燃料電池スタックに流れることが可能になる。この構成および動作方法により、流体チャネル内の流体の大部分が、燃料電池スタックと相互作用することなくシステムから迅速に排出される。この第2のモードでは、閉じたルーバー内の細長い開口400Aおよび400Bを使用して、カソード排気としてスタックから出る流体を絞り、必要な量の吸入流体(空気など)のみが燃料電池スタックを通って流れることを可能にする。ルーバー制御アセンブリ330であってもよいルーバードアを移動させる手段と信号通信するコントローラ、ならびにバイパスモータ312およびバイパス通気口308は、燃料電池スタックおよびファンの動作をサポートするためにそれぞれの開閉を調整するように構成される。コントローラは、さらに、ルーバーを形成するスライド式入れ子式ドアの上方または下方の動きを変化させて、開口部を通過する流体の体積を変化させるように構成されている。
【0040】
第1の中温モード構成(
図5参照)の間、ルーバードア321/323は閉じられ、バイパスバルブ308も閉じられて、同量の空気がファンに流れ、燃料電池スタックを通って流れるように誘導される。この第3の動作モードでは、閉じたルーバー内の細長い開口400Aおよび400Bを使用して、カソード排気としてスタックから出る流体を絞り、必要な量の吸入流体(空気など)のみが燃料電池スタックを通って流れることを可能にする。コントローラは、ルーバードアを移動させる手段と信号通信し、ルーバーを形成するスライド式入れ子ドアの上向きまたは下向きの動きを変化させて、開口を通過する流体の体積を変化させるように構成される。
【0041】
第2の中温モード構成(
図5参照)の間、ルーバードア321/323は開き、バイパスバルブ308は開いており、したがって、燃料電池スタックよりも多量の空気流がファンに提供される。
【0042】
図6A~6Cは、ルーバードアの基本動作を示す。燃料電池スタックを通る最大の空気流が必要な高温モードでは、ルーバードア321/323が開き(
図6A)、バイパスバルブが閉じられる。低温または中温のいずれかである制限流体流構成では、ルーバードア321/323は閉じられており(
図6B)、磁石305がドア321/323を閉位置に保持し、カム500が下降位置にあり、それによって細長い開口部が402A/402Bは開位置で整列し、整列した開口部を通って流れることができる流体量が最大になるように構成される。
図6Cは、流量制御ハウジング302および協働歯車の上面図を示し、この協働歯車は、ルーバーを開閉し、入れ子プレート321A/321Bおよび323Aおよび323Bのうちの1つを上方および下方にスライドさせる手段を形成する。
図7Aおよび7Bは、閉じられた開口部の部分図と、整列してカム運動によって開いた開口部の部分図を示す。
図8A~8Cは、絞りの動作と入れ子になったドアの構成を示している。ルーバードアは開いた状態で示されており、セクション「B」はルーバードアと細長い開口部の拡大図である。
図8Bは、入れ子プレート321Aの第1の表面401A上にコーティング510が形成された、矢印「B―B」線に沿った断面「B」の入れ子ドアの端面図を示す。コーティングは、入れ子プレート321Bに対する入れ子ドアの動きを容易にするために、高い潤滑性(PTFE、セラミック、またはプレートが形成される材料より潤滑性の他の材料など)で構成される。細長い開口部は高さ「h」を具備し、入れ子状のプレートが位置合わせされると、開口部が協働して高さ「h」の流体通路を形成する。
図8Cは、第1の入れ子プレート321Aの第1の表面上にコーティング510が形成され、第2の入れ子プレート321Bの第1の表面上にコーティング520が形成された、矢印「B―B」の線に沿った断面「B」の入れ子プレートの代替セットの端面図を示す。コーティングは、第2の入れ子ドア321Bに対する入れ子ドアの移動を容易にするために、高い潤滑性を有するように構成される。
図9A~9Cは、開口部の動作と入れ子になったドアの構成を示している。ルーバードアは部分的に閉じた状態で示されており、セクション「B」はルーバードアおよび細長い開口部の拡大図である。
図9Bは、部分的な閉鎖を示す。
図9Cは、矢印「C―C」の線に沿ったセクション「B」の入れ子ドアの端面図を示す。細長い開口部は高さ「h」を具備するけれども、入れ子ドアが絞られるか部分的に閉じられると、開口部が協働して、高さ「h2」の流体通路を形成し、流体の流れは減少する。この実施例において、入れ子になったプレートはコーティングされているとは説明されません。しかしながら、各入れ子プレートの第1の表面410Aは、コーティングされてもよく、滑らかな滑りをサポートするために粗さを低減するために研磨または他の表面仕上げが適用されてもよい。さらに、少なくとも1つのプレートは、滑らかな滑りを促進するのに十分な潤滑性を有する単一の材料で形成されてもよい。
図10は、様々な追加の開口形状を示しており、そのすべてが本開示の範囲内にある。開口部を完全に閉じるための1つのスライドプレートの変位は、2つの開口部のうちの1つの開口部の高さに等しい高さ「h3」によって定義される。垂直開口602は、正方形開口604または円形開口604よりも、閉じるためにより多くの変位を必要とする。細長い開口606および608は、より少ない変位しか必要としない。我々のテストでは、細長い卵形の開口部400A/400Bが最小限の変位で制御可能な空気流を提供することが判明した。
【0043】
図11は、燃料電池スタックの上流の空気取り入れ口を介して燃料電池スタックおよびファンへの空気流を制御するための、ここで開示されるシステムおよび方法の主要構成要素を示す破断上面図を示す。動作モードは、
図3~4Bおよび6A~10を参照して説明したものと同じである。
【0044】
ハウジングを通る吸気面25は、システムに入る空気1000のための流体経路を提供する。空気はファン200に入り、燃料電池スタック100の第1面101に向かって吹き付けられ、燃料電池スタック100内を冷却する。流体制御アセンブリ300は、燃料電池スタックの上流に設けられることが好ましい。しかしながら、場合によっては、流体制御アセンブリ300’は、燃料電池スタックの上流のバイパスダクト308内に配置されたバイパス弁308とともに、燃料電池スタックの下流に配置されてもよい。
【0045】
燃料電池スタックがファンの上流にあるとき、ファンはスタックを通る空気流を引き込むように動作し、その結果、スタックの空気入口面101全体にわたってより均一な空気分布が得られ、
図11に示すように空気をスタックに押し込むことになる。空気を引き込むことで均一な冷却が行われ、燃料電池スタックの性能が向上する。さらに、燃料電池スタックの下流にファンを備えた空気引き込み構成では、ファンを燃料電池スタック出口面102に近接して取り付けることができ、その結果、空気押し出しの実施例とは対照的に、システムの体積出力密度がより高くなる。燃料電池スタックは、ファンからの空気流が燃料電池スタックの第1の面101(入口面)に押し込まれるようにファンの下流に配置される。
【0046】
図11において、空気を押し出す構成が示されており、この実施例は、システムを通して空気を引き込む(または吸い込む)のとは対照的に、ファンの効率を最大化するという利点を有する。空気押し出しファン構成は、燃料電池スタックを通過するときに加熱された空気ではなく、冷たい周囲の空気を移動させる。冷たい空気は密度が高いため、一定量の空気が移動すると、燃料電池スタックに供給される空気の質量が増加し、その結果、より大きな冷却能力が得られる。しかしながら、空気1000が第1の面101に押し付けられると、空気流を滑らかにするための複雑な構造を追加したり、燃料電池スタックとファンとの間に大きな距離を形成したりしない限り、空気の分布は均一ではなくなる。スタックとファンの間の距離が比較的長い場合、システム全体の最小容積が増加し、システムに比べて体積電力密度が劣ることを意味する。
【0047】
本開示を通じて説明されるシステムは、燃料電池によって生成された電力を供給するためのさまざまな用途に利用することができる。いくつかの側面において、本出願を通じて開示されるシステムは、フォークリフトなどの機械取扱い装置(MHE)で使用することができる。いくつかの側面において、システムは、固定またはマルチロータードローンなどの無人航空機(UAV)で使用することができる。いくつかの側面において、ここで開示されるシステムは、自動車などの自動車用途に使用することができる。システムは他の様々な用途に使用することができ、コンポーネントのサイズや数量などの特定の機能的パラメータおよび物理的パラメータは、特定の用途に応じて変更することができ、特定の用途の要件によって決定することができることが理解されよう。上で説明した利点に加えて、システムおよび関連コンポーネント(燃料キャニスターシリンダーなど)をより小さなスペースに収めることができること、およびシステムおよび関連コンポーネントを配置できることが利点として挙げらる。
【0048】
ここで開示される構成要素は、業界で使用される既知の材料を利用することができる。
【0049】
本明細書全体を通じて、単語には、関連分野の当業者によって理解されるような通常の意味が与えられるものとする。ただし、誤解を避けるために、特定の用語の意味を具体的に定義または明確にする。
【0050】
本開示は、様々な図面の様々な実施例に関連して説明されているけれども、その広範な発明概念から逸脱することなく、上述の実施例に変更を加えることができることが当業者には理解されよう。したがって、本開示は、開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲内の変更を網羅するものであることが理解される。
【0051】
個別の実施例に関連して上で説明された本開示の特徴は、単一の実施例において組み合わせて提供されて良い。逆に、単一の実施例に関連して説明される本開示のさまざまな特徴は、個別に、または任意のサブコンビネーションで提供して良い。最後に、実施例は、一連のステップの一部またはより一般的な構造の一部として説明される場合があるが、それら記各ステップは、それ自体が独立した実施例であり、他と組み合わせることができると考えることもできる。
【0052】
ここにおける値の範囲の記載は、ここに別段の記載がない限り、その範囲内にあるそれぞれの個別の値を個別に参照する簡略的な方法として機能することを単に意図しており、それぞれの個別の値は、あたかも個別に記載されているかのように明細書に組み込まれる。ここで記載されるすべての方法は、ここに別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。
【国際調査報告】