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特表2024-522118連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法及び装置
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  • 特表-連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法及び装置 図1
  • 特表-連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法及び装置 図2
  • 特表-連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法及び装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/60 20060101AFI20240604BHJP
   C08G 69/32 20060101ALI20240604BHJP
   D01D 5/06 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
D01F6/60 371D
C08G69/32
D01D5/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573391
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 CN2021122973
(87)【国際公開番号】W WO2023039961
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】202111109717.6
(32)【優先日】2021-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523447214
【氏名又は名称】株洲時代新材料科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHUZHOU TIMES NEW MATERIAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.18 Haitian Road, Tianyuan District Zhuzhou, Hunan 412000 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】楊 軍
(72)【発明者】
【氏名】曹 凱凱
(72)【発明者】
【氏名】王 進
(72)【発明者】
【氏名】劉 玉峰
(72)【発明者】
【氏名】宋 志成
(72)【発明者】
【氏名】楊 佑
(72)【発明者】
【氏名】袁 鋒
(72)【発明者】
【氏名】伍 威
(72)【発明者】
【氏名】張 志軍
(72)【発明者】
【氏名】陳 磊
【テーマコード(参考)】
4J001
4L035
4L045
【Fターム(参考)】
4J001DB02
4J001EB36
4J001EC45
4J001EC55
4J001EE06A
4J001EE64A
4J001FB03
4J001FC06
4J001GA11
4J001GB02
4J001GB12
4J001GC04
4J001GD04
4J001GD07
4J001GD08
4J001JA10
4J001JB21
4L035AA04
4L035BB04
4L035BB15
4L035BB66
4L035BB69
4L035BB76
4L035BB89
4L035BB91
4L035CC02
4L035CC13
4L035GG01
4L035MG04
4L045AA03
4L045CB08
4L045CB09
4L045DA08
4L045DA32
4L045DA33
4L045DA34
4L045DA41
4L045DC01
(57)【要約】
連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法及びその装置であって、方法は、可溶化剤を使用し、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマーのDMAc混合溶液を調製するステップ(1)と、イソフタロイルクロライド熔体とメタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマーのDMAc混合溶液を混合し、予備縮合重合し、縮合重合し、改質メタ系アラミド樹脂溶液を得るステップ(2)と、改質メタ系アラミド樹脂溶液に対して助剤の添加、濾過、脱泡、乾湿式紡糸によって改質メタ系アラミド繊維を得るステップ(3)とを含み、連続重合-乾湿式紡糸装置の予備重合システムは、順に接続されたマイクロミキサーとマイクロリアクターとを含み、マイクロリアクターのマイクロチャンネルは、ハート形に設計され、縮合重合システムは、多段マイクロスクリューの組み合わせであり、メタ系アラミド繊維製造過程における問題を総合的に解決し、得られた製品は、構造が完全であり、性能に優れており、安定で制御可能であり、且つ連続的で効率的な生産を実現することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法であって、
メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー混合溶液を調製するステップ(1)と、
イソフタロイルクロライドとメタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー混合溶液を混合し、予備縮合重合反応を行ってプレポリマーを得、プレポリマーを縮合重合して、改質メタ系アラミド樹脂溶液を得るステップ(2)と、
改質メタ系アラミド樹脂溶液に対して助剤の添加、濾過、脱泡、乾湿式紡糸によって改質メタ系アラミド繊維を得るステップ(3)とを含む、ことを特徴とする連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項2】
ステップ(1)における前記メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー混合溶液の調製は、まず可溶化剤を溶媒に溶解し、乾燥システムで除水した後、共重合ジアミンモノマーとメタ-フェニレンジアミンとを可溶化剤を含有する溶媒に溶解することである、ことを特徴とする請求項1に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項3】
ステップ(1)における前記メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー混合溶液の溶媒は、DMAcである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項4】
ステップ(1)における前記可溶化剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属無機塩化物であり、可溶化剤の含有量は、共重合ジアミンモノマー混合溶液の溶媒質量の0.1%~10%である、ことを特徴とする請求項2に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属無機塩化物は、LiClである、ことを特徴とする請求項4に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項6】
前記共重合ジアミンモノマーは、6,4’-ジアミノ-2’-トリフルオロメチル-2-フェニルベンゾイミダゾール、2-(4-アミノフェニル)-5-アミノフェニルベンゾイミダゾール、5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾチアゾール、2,6-ジアミノベンゾチアゾール、2,6-ジアミノピリジン、2-(4-アミノフェニル)-5-アミノピリジン、2,5-ビス(4-アミノフェニル)ピリジン、o-クロロ-p-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミンのうちの少なくとも一つを含み、そのモル含有量は、イソフタロイルクロライドの0.1%~10%である、ことを特徴とする請求項1に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項7】
ステップ(2)における前記混合は、マイクロミキサーにおいて発生し、イソフタロイルクロライドは、マイクロミキサーに導入される前に温度45℃~60℃の溶融状態であり、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー混合溶液は、マイクロミキサーに導入される前に温度-20℃~10℃の溶液状態であり、マイクロミキサーの温度は、-20℃~60℃に制御され、前記予備縮合重合反応は、マイクロリアクターにおいて発生し、マイクロリアクターの温度は、10℃~60℃に制御され、縮合重合は、多段マイクロスクリュー装置において発生し、多段マイクロスクリュー装置の温度は、20℃~70℃に制御される、ことを特徴とする請求項1に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項8】
前記マイクロリアクターは、ハート形、円形、三角形、直線形、螺旋形のうちのいずれか一つを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項9】
前記改質メタ系アラミド樹脂のインヘレント粘度は、≧1.8dl/gである、ことを特徴とする請求項1に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項10】
ステップ(3)における前記改質メタ系アラミド樹脂溶液は、濾過前にアミド基と水素結合を形成し得る有機助剤を添加する、ことを特徴とする請求項1に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項11】
前記有機助剤は、低分子量のアルコール系、酸系又は高耐熱性有機ケイ素系のうちの少なくとも一つを含み、前記低分子量のアルコール系、酸系は、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロエタノール、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、ソルビン酸、サリチル酸のうちの少なくとも一つを含み、使用量は、改質メタ系アラミド樹脂溶液の使用量の0.01%~3wt%であり、前記有機ケイ素系は、ポリエーテル改質ポリシロキサン、フッ素又はアルコキシ基又は水酸基を含有するポリシロキサンのうちの少なくとも一つを含み、使用量は、改質メタ系アラミド樹脂溶液の使用量の0.1%~10wt%である、ことを特徴とする請求項10に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項12】
ステップ(3)における前記乾湿式紡糸プロセスは、紡糸原液に紡糸口金を通過させ、空気層を経、第一の凝固浴に入れ、一次繊維を得、一次繊維をブレークドラフトした後に第二の凝固浴に入れ、水洗、乾燥、乾熱延伸、ヒートセット及び巻き取り/切断を行って改質メタ系アラミド繊維を得るステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項13】
前記紡糸口金の穴径は、0.06~0.25mmであり、紡糸原液が空気層を通過した高さは、2~80mmであり、前記ブレークドラフトのドラフト速度は、原液の紡糸速度の2~5倍である、ことを特徴とする請求項12に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項14】
前記第一の凝固浴、第二の凝固浴は、DMAc水溶液であり、第一の凝固浴のDMAc濃度は、20~45wt%であり、温度は、20~50℃であり、前記第二の凝固浴におけるDMAc濃度は、15~40wt%であり、温度は、30~60℃であり、可塑化延伸倍率は、1.1~4であり、前記乾熱延伸温度は、280~350℃であり、延伸倍率は、1.1~3であり、ヒートセット温度は、280~350℃である、ことを特徴とする請求項12に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項15】
前記連続重合-乾湿式紡糸による製造で得られたメタ系アラミド繊維の破断強度は、≧6.0cN/dtexであり、伸び率は、25~50%であり、初期モジュラスは、≧90cN/dtexである、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法。
【請求項16】
原料貯蔵装置、予備重合システム、縮合重合システム、後処理システム、紡糸システム、凝固水洗システム、乾燥システム(24)、熱処理システム、巻き取り/切断システム(27)と熱交換システムを含み、前記予備重合システム、縮合重合システムと後処理システムが順に接続され、前記熱交換システムがそれぞれ予備重合システムと縮合重合システムとに接続され、予備重合システムと縮合重合システムの温度を制御する連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造装置であって、前記予備重合システムは、順に接続されたマイクロミキサー(9)とマイクロリアクター(10)とを含み、前記縮合重合システムは、多段マイクロスクリュー装置(11)を含み、マイクロリアクター(10)は、多段マイクロスクリュー装置(11)に接続される、ことを特徴とする連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造装置。
【請求項17】
前記原料貯蔵装置は、イソフタロイルクロライド原料貯蔵タンク(1)と、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク(2)と、溶媒貯蔵タンク(3)と、可溶化剤を含有する溶媒原料貯蔵タンク(4)とを含み、前記イソフタロイルクロライド原料貯蔵タンク(1)とメタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク(2)とは、それぞれ定流ポンプ(7)と移送配管を介してマイクロミキサー(9)に接続される、ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク(2)と可溶化剤を含有する溶媒原料貯蔵タンク(4)との間には溶媒脱水装置(5)がさらに接続されており、前記イソフタロイルクロライド原料貯蔵タンク(1)、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク(2)、定流ポンプ(7)と移送配管には、いずれも保温ジャケット(8)が装着される、ことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記熱交換システムは、冷凍サイクル装置と加熱サイクル装置とを含み、前記冷凍サイクル装置は、冷凍媒体貯留タンク(28)、熱交換媒体移送ポンプ(30)、ロータ流量計と媒体移送配管を含み、前記冷凍媒体貯留タンク(28)とマイクロミキサー(9)との間には熱交換媒体移送ポンプ(30)とロータ流量計が接続され、媒体移送配管は、冷凍媒体貯留タンク(28)、マイクロミキサー(9)とマイクロリアクター(10)を接続してサイクル回路を形成し、前記加熱サイクル装置は、加熱媒体貯留タンク(29)、熱交換媒体移送ポンプ(30)、ロータ流量計と媒体移送配管を含み、前記加熱媒体貯留タンク(29)と多段マイクロスクリュー装置(11)との間には熱交換媒体移送ポンプ(30)とロータ流量計が接続され、媒体移送配管は、加熱媒体貯留タンク(29)と多段マイクロスクリュー装置(11)を接続してサイクル回路を形成し、
前記多段マイクロスクリュー装置(11)は、順に連結された一段マイクロスクリュー機、二段マイクロスクリュー機、三段マイクロスクリュー機と四段マイクロスクリュー機を含み、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機には、いずれも保温ジャケット(8)が装着され、前記加熱サイクル装置における熱媒体は、保温ジャケット(8)に導入され、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機のスクリュー径は、徐々に増大し、スクリューのアスペクト比は、徐々に減少し、スクリュー回転速度は、徐々に減少し、ジャケット温度は、徐々に上昇し、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機のスクリュー径は、15mm~40mmであり、スクリューのアスペクト比は、30~80であり、スクリュー回転速度は、100~420rpmであり、ジャケット温度は、30~60℃であり、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機のスクリューは、シングルスクリュー、ダブルスクリュー、トリプルスクリュー又はクアッドスクリューのうちの一つ又は複数を含む、ことを特徴とする請求項16から18のいずれか1項に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料分野に属し、樹脂、繊維の製造技術に関し、特に連続重合-乾湿式紡糸技術によるアラミド類繊維製品の製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアリールアミドの独特な化学構造は、それに高モジュラスで高強度、耐高温、絶縁などの優れた性能を与え、1960~70年代に登場して以来、大量の国内外の科学研究者を引きつけて開発研究を行い、現在はすでにハイテク分野における重要材料の一つとなっており、電子電気、国防、航空宇宙、軍事及び応急救援分野などの先端分野及び軌道交通、建築、高温伝送、濾過、スポーツ用品などのハイエンド民生分野に広く応用されている。イミダゾール、オキサゾール、チアゾールなどの複素環は、優れた熱安定性と良好な極性を有し、それをポリマー主鎖に導入することにより耐熱性と機械的性能を向上させることができるだけでなく、ヘテロ原子の存在によりポリマーの溶解性と加工可能性を改善することができる。ロシアは、最も早くArmos、SVMなどの複素環アラミドを開発し、そのモジュラスと強度は、パラ系又はメタ系アラミドよりはるかに高く、ひいては高性能炭素繊維T800Hに匹敵することができるため、複素環アラミドの開発と研究は、高性能材料業界の一般的な注目を受け、大きな研究の焦点になった。パラ系アラミドの複素環改質研究技術は、すでに成熟期に入っており、外国の特許と市場に独占されているが、メタ系アラミド改質の研究は、まだ萌芽発展の段階にあり、比較的大きい突破の余地がある。
【0003】
現在、中国は、メタ系アラミド紡糸技術において以下の難境に直面している。
【0004】
1)従来の釜式バッチ重合で製造されたメタ系アラミド樹脂は、分子量が低く、分子量分布が広く、紡糸液の固形含有量が低く、ロット安定性の問題がある。
【0005】
中国国内でよく使われるメタ系アラミド樹脂の製造方法は、低温溶液重合であり、機器は、釜式リアクターである。一方では、メタ系アラミド重合系の放熱速度が速いが、釜式リアクターが外部ジャケットのみで熱交換するため、反応系の熱を迅速に除去することができず、反応系の低温及び反応系全体の温度均一性を保証することができず、反応同期性が非常に悪く、副反応が多く、ポリマー分子量及びその分布を制御することが困難であり、他方では、メタ系アラミド重合系の粘度が比較的高く、釜式重合器の攪拌形式で資材を均一に混合することができず、特に反応後期に重合系の粘度が上昇し、資材の混合難易度がさらに高くなり、局所モノマー濃度が高すぎるか又は低すぎるようになり、それによって局所爆発を引き起こし又は局所重合度が低すぎ、反応が十分ではなく、得られたメタ系アラミド樹脂は、分子量が低く、分子量分布が広く、樹脂溶液の紡糸性が悪い。
【0006】
2)湿式紡糸で得られた繊維の性能は、ハイエンド分野の応用要求を満たすことができない。
【0007】
メタ系アラミド繊維が成熟した商業化製造プロセスは、主に湿式紡糸と乾式紡糸がある。湿式紡糸技術は、難易度が比較的低く、単一紡糸口金の生産量が大きく、生産コストが低いが、製造された繊維の性能は、一般的である。乾式紡糸で製造された繊維は、総合性能が優れているが、技術の難易度が高く、プロセス制御と機器に対する要求が高く、生産コストが高い。乾湿式紡糸は、湿式紡糸と乾式紡糸の特徴を併せて持つが、湿式紡糸に比べて、乾湿式紡糸は、紡糸原液及びプロセス制御に対してより高い要求を有し、紡糸原液、紡糸機器及びプロセスを改良する必要がある。
【0008】
3)連続的で効率的な生産を実現しておらず、メタ系アラミド樹脂溶液の中和、濾過効率の低さ及びそれに含まれる無機塩による紡糸口金の詰まり、毛糸、糸切れ現象及び得られた繊維の性能不良などの問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする技術問題は、どのように全体的な機器とプロセスを改良して、構造が完全であり、性能に優れた改質メタ系アラミド繊維を製造し、以上の背景技術に言及された不足と欠点を克服するかであり、連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が提案する技術案は、以下のとおりである。
【0011】
連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造方法であって、
メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー混合溶液を調製するステップ(1)と、
イソフタロイルクロライドとメタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー混合溶液を混合し、予備縮合重合反応を行ってプレポリマーを得、プレポリマーを縮合重合して、改質メタ系アラミド樹脂溶液を得るステップ(2)と、
改質メタ系アラミド樹脂溶液に対して助剤の添加、濾過、脱泡、乾湿式紡糸によって改質メタ系アラミド繊維を得るステップ(3)とを含む。
【0012】
低温溶液縮合重合で高分子量メタ系アラミド樹脂を生産する鍵は、以下の3点であり、即ち、(1)原料純度、計量精度及び系水分含有量を厳格に制御し、反応モノマーの酸塩化物とジアミンの等モルを保証し、(2)系は、効率的に熱交換し、反応温度を正確に制御し、副反応を回避し、(3)系は、効率的に物質を移動し、資材の均一な混合を保証する。
【0013】
上記の重要な特徴に対して、本発明は、以下の三つの方向から改良しており、即ち、1)共重合ジアミンモノマーの導入又は助剤の添加によりメタ系アラミド紡糸原液の紡糸性を改善し、2)マイクロチャンネルリアクターと多段マイクロスクリューとを組み合わせた連続重合装置を用いて高分子量高固形含有量メタ系アラミド樹脂紡糸原液を製造し、反応系の放熱、物質移動を支援し、3)前述紡糸原液の性能に基づいて、該当するパラメータの乾湿式紡糸を用いて高性能メタ系アラミド繊維を製造する。
【0014】
好ましくは、ステップ(1)における前記メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー混合溶液の調製は、まず可溶化剤を溶媒に溶解し、乾燥システムで除水した後、共重合ジアミンモノマーとメタ-フェニレンジアミンとを可溶化剤を含有する溶媒に溶解することである。
【0015】
一般的なメタ系アラミド樹脂重合では、その中和副産物である塩酸から得られる塩素化塩が可溶化剤として機能できるため、特に可溶化剤を添加しない。ここで可溶化剤を添加すると、共重合ジアミンモノマーとポリマーの溶解に有利であるとともに、高分子量ポリマーを得るのにも有利である。
【0016】
好ましくは、ステップ(1)における前記メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー混合溶液の溶媒は、DMAcである。
【0017】
好ましくは、ステップ(1)における前記可溶化剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属無機塩化物であり、可溶化剤の含有量は、共重合ジアミンモノマー溶液の溶媒質量の0.1%~10%であり、さらに好ましくは、0.2%~5%である。
【0018】
好ましくは、前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属無機塩化物は、LiClである。
【0019】
LiClは、アラミド可溶化において塩素化カルシウム、塩素化ナトリウムなどの塩素化塩よりも可溶化効果がより良く、分子量が比較的小さく、可溶化剤の使用量が少なく、脱塩圧力が小さい。
【0020】
好ましくは、前記共重合ジアミンモノマーは、6,4’-ジアミノ-2’-トリフルオロメチル-2-フェニルベンゾイミダゾール、2-(4-アミノフェニル)-5-アミノフェニルベンゾイミダゾール、5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾチアゾール、2,6-ジアミノベンゾチアゾール、2,6-ジアミノピリジン、2-(4-アミノフェニル)-5-アミノピリジン、2,5-ビス(4-アミノフェニル)ピリジン、o-クロロ-p-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミンのうちの少なくとも一つであり、その含有量(モル)は、0.1%~10%であり、さらに好ましくは、1%~5%である。
【0021】
選択された共重合ジアミンモノマーは、DMAcに溶解可能であり、その分子構造は、剛性であり且つ熱的に安定であり、極性基を含有し、系の安定性に影響を与えることなく、紡糸原液の粘度を増加させ、紡糸性を高め、繊維力学、耐熱性などを低減させないか又は高める。
【0022】
好ましくは、ステップ(2)における前記混合は、マイクロミキサーにおいて発生し、イソフタロイルクロライドは、マイクロミキサーに導入される前に温度45~60℃の溶融状態であり、より好ましくは、50~60℃であり、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマーのDMAc混合溶液は、マイクロミキサーに導入される前に温度-20~10℃の溶液状態であり、マイクロミキサーの温度を-20~60℃に制御し、より好ましくは、-20~10℃であり、前記予備縮合重合反応は、マイクロリアクターにおいて発生し、マイクロリアクターの温度を10~60℃に制御し、より好ましくは、10~30℃である。
【0023】
マイクロチャンネルリアクターは、一般的には粘度が比較的小さい反応に運用され、本発明の溶液の粘度が比較的大きいため、ハート形マイクロリアクターを選択し、ハート形マイクロチャンネルは、リアクター内の熱交換面積を向上させるとともに、ハート形設計は、リアクターにおける溶液の混合に寄与し、マイクロチャンネルの詰まりを回避し、熱交換効率、物質移動効果と製品品質を高めた。
【0024】
ステップ(2)における前記縮合重合は、多段マイクロスクリュー装置において発生し、多段マイクロスクリュー装置の温度を20~70℃に制御し、より好ましくは、30~60℃である。
【0025】
好ましくは、前記マイクロリアクターは、ハート形、円形、三角形、直線形、螺旋形のうちのいずれか一つを含み、より好ましくは、ハート形である。
【0026】
マイクロリアクターは、極めて大きな熱交換面積と混合効率を有し、迅速に熱交換を実現し、予備縮合重合の初期反応温度が高すぎるという難題を解決し、予備縮合重合過程温度の正確な制御を実現することができ、それによって局所過熱による樹脂の高温酸化黄変及び副産物の生成を防止した。前記マイクロリアクターは、ハート形、円形、楕円形などであってもよく、ハート形マイクロリアクターを優先的に選択する。
【0027】
ハート形マイクロチャンネルリアクター(図2)は、そのハート形マイクロチャンネルの構造設計により、熱交換面積と混合効率を極めて高め、資材のパイプにおける十分な混合を実現することができるとともに、局所過熱を回避することによって、樹脂の分子量及びその分布を高め、紡糸原液の紡糸性と得られた繊維の性能を高める。
【0028】
ハート形マイクロリアクターの特殊な構造設計により、資材は、ハート形領域内において十分に混合され、さらなる重合が発生し、そしてパイプを通過して後端に輸送されることができるだけでなく、一部の資材は、側端パイプを通過して新たな資材と再び混合し、反応することができ、それによって樹脂の分子量及びその分布を向上させ、紡糸原液の紡糸性と得られた繊維の性能、特に機械的性能と耐熱性を高める。
【0029】
好ましくは、得られた改質メタ系アラミド樹脂のインヘレント粘度は、≧1.8dl/gである。
【0030】
好ましくは、ステップ(3)における前記改質メタ系アラミド樹脂溶液は、濾過前にアミド基と水素結合を形成し得る有機助剤を添加する。
【0031】
好ましくは、前記有機助剤は、低分子量のアルコール系、酸系又は高耐熱性有機ケイ素系のうちの少なくとも一つを含み、前記低分子量のアルコール系、酸系は、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロエタノール、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、ソルビン酸、サリチル酸のうちの少なくとも一つを含み、使用量は、改質メタ系アラミド樹脂溶液の使用量の0.01%~3wt%であり、より好ましくは、0.05%~1wt%であり、前記有機ケイ素系は、ポリエーテル改質ポリシロキサン、フッ素又はアルコキシ基又は水酸基を含有するポリシロキサンのうちの少なくとも一つを含み、使用量は、アラミド樹脂の0.1%~10wt%であり、より好ましくは、0.1%~2wt%である。
【0032】
有機助剤は、樹脂溶液の表面張力を低減させ、その見掛け粘度を向上させ、それによってその紡糸性を高めるとともに、その界面活性を改善し、後続の乾湿式紡糸ステップに寄与する。
【0033】
好ましくは、ステップ(3)における前記乾湿式紡糸プロセスは、紡糸原液に紡糸口金を通過させ、一段の空気層を通過した後に第一の凝固浴に入れ、一次繊維を得、一次繊維をドラフトした後に第二の凝固浴、水洗、乾燥、乾熱延伸、ヒートセット及び巻き取り/切断を経て改質メタ系アラミド繊維を得るステップを含む。
【0034】
好ましくは、前記紡糸口金の穴径は、0.06~0.25mmであり、紡糸原液の紡糸性を保証している前提で、原液のオリフィスの膨潤効果を緩和し、性能のより優れた繊維を得るのに有益である。紡糸原液が通過する空気層の高さは、2~80mmであり、より好ましくは、5~60mmであり、紡糸原液は、空気層において糸条を形成し、一部の溶媒は、糸条から揮発する。同時に、第一のロールのドラフトにより、糸条は、空気層において一定の予配向を得、十分な強度を得、後続プロセスの円滑な進行に有利である。前記予配向されるドラフト速度は、原液の紡糸速度の2~5倍であり、より好ましくは、2.5~4倍である。ドラフトは、繊維のミクロ構造に直接影響を与え、さらに繊維の性能にも影響を与える。本発明のドラフトレートは、本発明の改質メタ系アラミド樹脂溶液で得られた紡糸原液の特性に基づいて決定される。
【0035】
好ましくは、前記第一の凝固浴、第二の凝固浴は、DMAc水溶液であり、DMAc濃度は、20~45wt%であり、より好ましくは、25~40wt%であり、温度は、20~50℃であり、より好ましくは、25~40℃であり、この凝固浴に他の助剤又は無機塩を追加的に添加しないことにより、溶媒回収コストを低減させ、繊維発生の経済性を高めた。
【0036】
前記第二の凝固浴におけるDMAc濃度は、15~40wt%であり、温度は、30~60℃であり、比較的低い温度の第二の凝固浴により、糸条における溶媒の拡散析出がより穏やかであり、繊維構造がより完全であり、可塑化延伸倍率は、1.1~4であり、可塑化延伸により繊維における溶媒をさらに外方に拡散し、より高い配向度を得る。
【0037】
前記乾熱延伸は、パイプ又はスリット形式を採用し、温度は、280~350℃であり、より好ましくは、290~330℃であり、延伸倍率は、1.1~3であり、より好ましくは、1.5~2.5である。延伸倍率が高すぎると、繊維を引き裂き、糸切れと毛糸が発生しやすくなり、延伸倍率が低すぎると、繊維は、十分に高い結晶度と配向度を得ることができず、総合性能が比較的低い。
【0038】
前記ヒートセットは、パイプ又はスリット形式を採用し、温度は、280~350℃であり、より好ましくは、290~330℃である。
【0039】
好ましくは、前記連続重合-乾湿式紡糸による製造で得られた改質メタ系アラミド繊維の破断強度は、≧6.0cN/dtexであり、伸び率は、25~50%であり、初期モジュラスは、≧90cN/dtexである。
【0040】
同一の技術的な考え方では、本発明は、連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造装置をさらに提供し、主に原料貯蔵装置、予備重合システム、縮合重合システム、後処理システム、紡糸システム、凝固水洗システム、乾燥システム、熱処理システム、巻き取り/切断システムと熱交換システムを含み、前記予備重合システム、縮合重合システムと後処理システムは、順に接続され、前記熱交換システムは、それぞれ予備重合システムと縮合重合システムとに接続され、予備重合システムと縮合重合システムの温度を制御し、前記予備重合システムは、順に接続されたマイクロミキサーとマイクロリアクターとを含み、前記縮合重合システムは、多段マイクロスクリュー装置、マイクロリアクターと多縁マイクロスクリュー装置接続を含む。
【0041】
好ましくは、前記原料貯蔵装置は、イソフタロイルクロライド原料貯蔵タンクと、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンクと、溶媒貯蔵タンクと、可溶化剤を含有する溶媒原料貯蔵タンクとを含み、前記のイソフタロイルクロライド原料貯蔵タンクとメタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンクは、それぞれ定流ポンプと移送配管を介してマイクロミキサーに接続される。
【0042】
好ましくは、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンクと可溶化剤を含有する溶媒原料貯蔵タンクとの間には溶媒脱水装置がさらに接続されており、前記イソフタロイルクロライド原料貯蔵タンク、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク、定流ポンプと移送配管には、いずれも保温ジャケットが装着される。
【0043】
前記熱交換システムは、冷凍サイクル装置と加熱サイクル装置とを含み、前記冷凍サイクル装置は、冷媒体を入れた冷凍媒体貯留タンク、熱交換媒体移送ポンプ、ロータ流量計と媒体移送配管を含み、前記冷凍媒体貯留タンクとマイクロミキサーとの間には熱交換媒体移送ポンプとロータ流量計が接続され、媒体移送配管は、冷凍媒体貯留タンク、マイクロミキサーとマイクロリアクターを接続してサイクル回路を形成し、前記加熱サイクル装置は、熱媒体を入れた加熱媒体貯留タンク、熱交換媒体移送ポンプ、ロータ流量計と媒体移送配管を含み、前記加熱媒体貯留タンクと多段マイクロスクリュー装置との間には熱交換媒体移送ポンプとロータ流量計が接続され、媒体移送配管は、加熱媒体貯留タンクと多段マイクロスクリュー装置を接続してサイクル回路を形成する。
【0044】
前記多段マイクロスクリュー装置は、順に連結された一段マイクロスクリュー機、二段マイクロスクリュー機、三段マイクロスクリュー機と四段マイクロスクリュー機を含むが、それらに限らず、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機には、いずれも保温ジャケットが装着され、前記加熱サイクル装置における熱媒体は、保温ジャケットに導入され、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機のスクリュー径は、徐々に増大し、スクリューのアスペクト比は、徐々に減少し、スクリュー回転速度は、徐々に減少し、ジャケット温度は、徐々に上昇し、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機のスクリュー径は、15mm~40mmであり、スクリューのアスペクト比は、30~80であり、スクリュー回転速度は、100~420rpmであり、ジャケット温度は、30~60℃であり、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機のスクリューは、シングルスクリュー、ダブルスクリュー、トリプルスクリュー又はクアッドスクリューのうちの一つ又は複数を含む。
【発明の効果】
【0045】
従来の技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0046】
1)本発明は、連続重合により改質メタ系アラミド樹脂溶液を得る過程において、共重合ジアミンモノマーの導入又は助剤の添加によりメタ系アラミド紡糸原液の紡糸性を改善し、高分子量高固形含有量メタ系アラミド樹脂紡糸原液を製造し、反応系の放熱、物質移動を支援し、前述紡糸原液の性能に基づいて、該当するパラメータの乾湿式紡糸を用いて高性能メタ系アラミド繊維を製造する。
【0047】
2)乾湿式紡糸は、湿式紡糸よりも紡糸原液に対する要求がより高く、ポリマー主鎖に極性基を含有する第三の共重合モノマーを導入し、アミド基と水素結合を形成し得る有機助剤を添加することで紡糸液の紡糸性を改善するとともに、使用要求に応じて他の機能的充填剤又は助剤を添加することができる。極性基を含有する第三の共重合モノマーは、分子間作用力を向上させるとともに、メタ系アラミドの表面浸潤性を改善することができ、有機助剤は、メタ系アラミド分子鎖と水素結合を形成し、系の表面張力を低減させ、見掛け粘度を向上させ、樹脂原液の紡糸性を高めることができる。ここで、低分子量アルコール系、カルボン酸系助剤は、-F、-OH、-COOHなどの基を含有し、メタ系アラミド分子主鎖におけるアミド基と水素結合を形成することにより、樹脂原液の紡糸性を改善することができるとともに、凝固、水洗過程において極めて容易に除去され、最終繊維製品の構造と性能に影響を与えない。高耐熱性有機ケイ素系助剤は、-O-、-F、-OR、-OHなどの基によりメタ系アラミド分子主鎖におけるアミド基と水素結合を形成し、樹脂原液の紡糸性を改善するとともに、繊維紡糸過程における油剤として機能し、毛糸を減少させ、製品外観を改善することができ、且つポリシロキサンは、高耐熱などの優れた性能を有するため、繊維製品の性能に影響を与えない。
【0048】
3)連続重合により得られた樹脂原液を中和せず、直接紡糸することにより、中和、濾過脱塩工程を回避し、生産効率を高めるとともに、因無機塩による紡糸口金の詰まりによる毛糸又は糸切れの問題及び塩類の析出による穴洞などの欠点を回避し、繊維製品の内部構造、外観及び諸性能を高めた。
【0049】
4)マイクロリアクターを用いて予備重合することにより、伝熱問題を解決し、副反応の発生を回避した。マイクロリアクターは、優れた伝熱効果を有し、重合初期反応系から放出される熱を効果的に移転し、系の温度を正確に制御できることを保証し、系の局所過熱による副産物の生成を防止し、製品の樹脂分子の多分散性が低く、固有粘度が安定で制御できることを保証する。
【0050】
5)多段スクリューを用いて縮合重合することにより、物質移動問題を解決し、高分子量、高固形含有量(高粘度)の樹脂原液を得る。マイクロリアクターから出た低粘度ポリマーは、多段マイクロスクリュー装置に入り、多段マイクロスクリュー装置は、主に重合系の粘度が急激に上昇した後の物質移動問題を解決するために用いられ、ポリマーの多段マイクロスクリュー装置における粘度が迅速に高まる。
【0051】
6)多段マイクロスクリュー装置と予備重合のマイクロリアクターとを組み合わせることにより、反応装置の連続安定性を保証するとともに、異なる段階のマイクロスクリュー装置の回転速度及び資材の滞留時間を調節することによりアラミド重合過程の縮合重合段階の物質移動需要を完了し、同時に異なる需要を満たすことができ、且つ従来の反応釜に比べて、連続マイクロ反応装置は、増幅効果がなく、工業化大規模連続生産に適している。
【0052】
7)乾湿式紡糸を用いることにより、乾式紡糸と湿式紡糸の優位性を組み合わせ、アラミド繊維の高性能と紡糸効率の高効率を両立させる。プロセスを制御することにより、メタ系アラミドの乾湿式紡糸の実現に成功し、性能に優れたメタ系アラミド繊維を得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明の実施例又は従来の技術における技術案をより明瞭に説明するために、以下は、実施例又は従来の技術記述において使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下の記述における図面は、本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】実施例1の連続重合-乾湿式紡糸プロセス装置及びフローチャートである。
図2】実施例1のハート形マイクロチャンネルリアクターの構造図である。
図3】実施例7の共重合ジアミンモノマーを含有する改質メタ系アラミド樹脂の赤外スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の理解を容易にするために、以下は、明細書図面とより良い実施例を結び付けて、本発明をより全面的に、詳細に記述するが、本発明の保護範囲は、以下の具体的な実施例に限らない。
【0055】
特に定義されない限り、以下に使用されるすべての専門用語は、当業者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書に使用される専門用語は、実施例の目的を具体的に記述するためにのみ用いられ、本発明の保護範囲を制限することを意図するものではない。
【0056】
別段の特記がない限り、本発明に使用される様々な原材料、試薬、器具と機器などは、いずれも市場で購入することにより入手することができるか又は従来の方法で製造することにより得ることができる。
【0057】
実施例1:
本発明の実施例は、いずれも連続重合-乾湿式紡糸による改質メタ系アラミド繊維の製造装置において行われ、図1を参照すると、装置は、以下のシステムを含む。
【0058】
(1)原料貯蔵装置:イソフタロイルクロライド原料貯蔵タンク1と、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク2と、溶媒貯蔵タンク3と、可溶化剤を含有する溶媒原料貯蔵タンク4と、脱水装置5とを含み、上記原料貯蔵装置、可溶化剤を含有する溶媒原料貯蔵タンク4は、脱水装置5に接続され、脱水装置5と溶媒貯蔵タンク3は、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク2に接続され、イソフタロイルクロライド原料貯蔵タンク1は、三方弁6を介して定流ポンプ7と溶媒貯蔵タンク3に接続され、定流ポンプ7は、マイクロミキサー9に接続され、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク2も、定流ポンプを介してマイクロミキサー9に接続され、イソフタロイルクロライド原料貯蔵タンク1、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク2、定流ポンプ7と移送配管には、いずれも原料がマイクロミキサーに入る前の温度を制御するための保温ジャケット8が装着される。
【0059】
(2)予備重合システム:マイクロミキサー9、マイクロリアクター10及び計量ポンプ、輸送管部材バルブ、計器(圧力計、温度計)を含み、マイクロミキサー9は、マイクロリアクター10に接続され、マイクロリアクターは、図2に示すハート形マイクロチャンネルリアクターであり、マイクロリアクターは、ハート形に設計され、複数のハート形マイクロリアクターは、マイクロチャンネルにより接続され、マイクロチャンネルは、ハート形の先端と凹み部とをそれぞれ接続する。
【0060】
(3)縮合重合システム:多段マイクロスクリュー装置11であり、多段マイクロスクリュー装置11は、マイクロリアクター10に接続される。
【0061】
(4)後処理システム:助剤添加・混合機12、フィルタ13、脱泡釜14及び紡糸液貯蔵タンク15を含み、
(5)紡糸システム:計量ポンプ16、紡糸フィルタ17、紡糸アセンブリ18を含み、紡糸アセンブリは、紡糸口金と紡糸口金などを含み、
(6)凝固水洗システム:凝固浴19、第一の凝固浴20、第二の凝固浴21、水洗システム22を含み、水洗システム22は、水洗機、水洗液貯留槽、ドラフトロールなどを含み、
(7)乾燥システム24:乾燥機とドラフトロールを含み、
(8)熱処理システム:乾熱延伸装置25、ヒートセット装置26及び窒素気システムとドラフトロールを含み、
(9)巻き取り/切断システム27:巻き取り機/切断機を含み、
上記凝固水洗システム、乾燥システム24、熱処理システム装置及び巻き取り/切断システム27のうちの装置は、それぞれ牽引機23を介して接続され、
(10)熱交換システム:冷凍媒体貯留タンク28、加熱媒体貯留タンク29、熱交換媒体移送ポンプ30、熱交換媒体貯蔵タンクとロータ流量計を含む。冷凍媒体貯留タンク28とマイクロミキサー9との間には熱交換媒体移送ポンプ30とロータ流量計が接続され、媒体移送配管は、冷凍媒体貯留タンク28、マイクロミキサー9とマイクロリアクター10を連結してサイクル回路を形成し、加熱媒体貯留タンク29と多段マイクロスクリュー装置11との間には熱交換媒体移送ポンプ30とロータ流量計が接続され、媒体移送配管は、加熱媒体貯留タンク29と多段マイクロスクリュー装置11とを接続してサイクル回路を形成し、多段マイクロスクリュー装置11は、順に連結された一段マイクロスクリュー機、二段マイクロスクリュー機、三段マイクロスクリュー機と四段マイクロスクリュー機を含み、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機には、いずれも保温ジャケットが装着され、前記加熱サイクル装置における熱媒体は、保温ジャケットに導入され、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機のスクリュー径は、徐々に増大し、スクリューのアスペクト比は、徐々に減少し、スクリュー回転速度は、徐々に減少し、ジャケット温度は、徐々に上昇し、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機のスクリュー径は、15mm~40mmであり、スクリューのアスペクト比は、30~80であり、スクリュー回転速度は、100~420rpmであり、ジャケット温度は、30~60℃であり、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機のスクリューは、シングルスクリュー、ダブルスクリュー、トリプルスクリュー又はクアッドスクリューであってもよい。
【0062】
実施例1の製造フローは、具体的に以下のとおりである。
【0063】
図1のフローに示すように、計量に従って固形分10wt%のLiCl(2%)を含有するメタ-フェニレンジアミンと6,4’-ジアミノ-2’-トリフルオロメチル-2-フェニルベンゾイミダゾール(両者のモル比が98:2である)とのDMAc混合溶液を調製し、-20℃に保持するとともに、イソフタロイルクロライドを溶融し、55℃に保持し、定流ポンプにより混合溶液とイソフタロイルクロライドカートリッジとを等モルに従って計量した後に、マイクロミキサー9で混合した後にハート形マイクロリアクター10に輸送し、マイクロミキサー9とマイクロリアクター10の温度をそれぞれ-20~10℃と10~30℃に制御し、マイクロリアクター10から流出したプレポリマーは、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機に入って縮合重合し、ここで、一段マイクロスクリュー機は、スクリュー径が15mmであり、アスペクト比が80であり、回転速度が420rpmであり、ジャケット温度が30℃であり、二段マイクロスクリュー機は、スクリュー径が20mmであり、アスペクト比が60であり、回転速度が300rpmであり、ジャケット温度が40℃であり、三段マイクロスクリュー機は、スクリュー径が30mmであり、アスペクト比が40であり、回転速度が220rpmであり、ジャケット温度が50℃であり、四段マイクロスクリュー機は、スクリュー径が40mmであり、アスペクト比が30であり、回転速度が100rpmであり、ジャケット温度が60℃であり、一段マイクロスクリュー機から四段マイクロスクリュー機におけるスクリューは、いずれもクアッドスクリューであり、多段マイクロスクリュー装置11から流出したポリマーが処理システムに入った後、1wt%のトリフルオロエタノールを添加し、濾過、脱泡を経た後に紡糸原液を得、紡糸原液を紡糸、水洗、乾燥、乾熱延伸、ヒートセット、巻取又は切断を経て、改質メタ系アラミド繊維を得た。ここで、紡糸口金の穴径は、0.12mmであり、空気層の高さは、40mmであり、予配向されるドラフト速度は、原液の紡糸速度の3.5倍であり、第一の凝固浴のDMAc濃度は、25wt%であり、温度は、40℃であり、第二の凝固浴のDMAc濃度は、20wt%であり、温度は、55℃であり、可塑化延伸倍率は、3.0であり、乾熱延伸温度は、310℃であり、延伸倍率は、2.0であり、ヒートセット温度は、320℃である。
【0064】
実施例2:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における紡糸口金の穴径を0.1mmに調整し、空気層を20mmに調整し、第一のドラフトロール速度を紡糸原液速度の3.0倍に調整し、第一の凝固浴のDMAc濃度を35%に調整し、温度を40℃に調整し、第二の凝固浴のDMAc濃度を25%に調整し、温度を45℃に調整し、可塑化延伸倍率を2.5に調整し、他のプロセスとプロセスパラメータは、実施例1と同じである。
【0065】
実施例3:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における空気層の高さを10mmに調整し、第一のドラフトロール速度を紡糸原液速度の2.0倍に調整し、第一の凝固浴温度を35℃に調整し、第二の凝固浴を45℃に調整し、可塑化延伸倍率を2.8に調整し、他のプロセスとプロセスパラメータは、実施例1と同じである。
【0066】
実施例4:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における空気層の高さを60mmに調整し、第一のドラフトロール速度を紡糸原液速度の4.0倍に調整し、第一の凝固浴のDMAc濃度を30%に調整し、温度を25℃に調整し、第二の凝固浴のDMAc濃度を25%に調整し、温度を35℃に調整し、可塑化延伸倍率を3.2に調整し、他のプロセスとプロセスパラメータは、実施例1と同じである。
【0067】
実施例5:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における乾熱延伸温度を300℃に調整し、倍率を1.8に調整し、ヒートセット温度を310℃に調整し、他のプロセスとプロセスパラメータは、実施例1と同じである。
【0068】
実施例6:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における乾熱延伸温度を320℃に調整し、倍率を2.4に調整し、ヒートセット温度を330℃に調整し、他のプロセスとプロセスパラメータは、実施例1と同じである。
【0069】
実施例7:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における共重合ジアミンモノマーを2-(4-アミノフェニル)-5-アミノフェニルベンゾイミダゾールに変更し、メタ-フェニレンジアミンと共重合ジアミンモノマーとのモル比を95:5とし、LiCl使用量を4%に調整し、助剤を0.05%グリセリンに調整し、他のプロセス及びパラメータを変えず、改質メタ系アラミド繊維を得た。
【0070】
図3は、実施例7の共重合ジアミンモノマーを含有する改質メタ系アラミド樹脂の赤外スペクトルである。
【0071】
実施例8:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における共重合ジアミンモノマーを5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾオキサゾールに変更し、メタ-フェニレンジアミンと共重合ジアミンモノマーとのモル比を97:3とし、助剤を1.5%ポリエーテル改質ポリシロキサンに調整し、LiCl使用量を3%に調整し、他のプロセス及びパラメータを変えず、改質メタ系アラミド繊維を得た。
【0072】
実施例9:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における共重合ジアミンモノマーを5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾチアゾールに変更し、メタ-フェニレンジアミンと共重合ジアミンモノマーとのモル比を96:4とし、LiCl使用量を4%に調整し、他のプロセス及びパラメータを変えず、改質メタ系アラミド繊維を得た。
【0073】
実施例10:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における共重合ジアミンモノマーを2,6-ジアミノベンゾチアゾールに変更し、助剤を0.3%ソルビン酸に調整し、他のプロセス及びパラメータを変えず、改質メタ系アラミド繊維を得た。
【0074】
実施例11:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における共重合ジアミンモノマーを2,6-ジアミノピリジンに変更し、助剤を0.1%サリチル酸に調整し、他のプロセス及びパラメータを変えず、改質メタ系アラミド繊維を得た。
【0075】
実施例12:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における共重合ジアミンモノマーを2-(4-アミノフェニル)-5-アミノピリジンに変更し、助剤を0.2%トリフルオロアセトアミドに調整し、他のプロセス及びパラメータを変えず、改質メタ系アラミド繊維を得た。
【0076】
実施例13:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における共重合ジアミンモノマーを2,5-ビス(4-アミノフェニル)ピリジンに変更し、助剤を2%水酸基のポリシロキサンに調整し、他のプロセス及びパラメータを変えず、改質メタ系アラミド繊維を得た。
【0077】
実施例14:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における共重合ジアミンモノマーをo-クロロ-p-フェニレンジアミンに変更し、メタ-フェニレンジアミンと共重合ジアミンモノマーとのモル比を95:5とし、LiCl使用量を1%に調整し、助剤を0.2%トリフルオロ酢酸に調整し、他のプロセス及びパラメータを変えず、改質メタ系アラミド繊維を得た。
【0078】
実施例15:
反応装置は、実施例1と同じであり、実施例1における共重合ジアミンモノマーをp-フェニレンジアミンに変更し、助剤を0.8%フッ素含有シロキサンに調整し、他のプロセス及びパラメータを変えず、改質メタ系アラミド繊維を得た。
【0079】
比較例1:純メタ系アラミド、バッチ重合-湿式紡糸
従来の釜式バッチ重合を用いてメタ系アラミドを製造し、樹脂のインヘレント粘度は、1.84であり、分子量分布は、1.49であり、50℃粘度は、28000cpであり、湿式紡糸を用いてメタ系アラミド繊維を得た。
【0080】
比較例2:純メタ系アラミド、バッチ重合-乾湿式紡糸
重合方法は、比較例1と同じであり、50℃粘度は、80000cpであり、乾湿式を用いて紡糸を行い、「ペースト板」現象が発生した。
【0081】
比較例3:純メタ系アラミド、連続重合-湿式紡糸
連続重合を用いてメタ系アラミド樹脂を製造し、樹脂のインヘレント粘度は、1.82であり、分子量分布は、1.39であり、50℃粘度は、36000cpであり、湿式紡糸を用いてメタ系アラミド繊維を得た。
【0082】
比較例4:純メタ系アラミド、連続重合-乾湿式紡糸
重合方法は、比較例3と同じであり、50℃粘度は、76000cpであり、乾湿式を用いて紡糸を行い、紡糸原液の紡糸性は、一般的であり、毛糸、糸切れが発生した。
【0083】
比較例5:純メタ系アラミド、連続重合-助剤添加-乾湿式紡糸
比較例4のメタ系アラミド樹脂溶液に0.5wt%のエチレングリコールを添加し、50℃粘度は、82000cpであり、乾湿式を用いて紡糸メタ系アラミド繊維を得、紡糸原液の紡糸性は、比較例4よりも一定の向上があり、毛糸、糸切れの発生頻度が低下した。
【0084】
比較例6:改質メタ系アラミド、連続重合-乾湿式紡糸
連続重合を用いて共重合ジアミンモノマーo-クロロ-p-フェニレンジアミン含有量が2%(モル分数)である改質メタ系アラミド樹脂を製造し、樹脂のインヘレント粘度は、2.08であり、分子量分布は、1.41であり、50℃粘度は、70000cpであり、乾湿式を用いて紡糸メタ系アラミド繊維を得、紡糸原液の紡糸性は、比較例4よりも一定の向上があり、毛糸、糸切れの発生頻度が低下した。

【0085】
表1
実施例と比較例との性能比較
【符号の説明】
【0086】
1、イソフタロイルクロライド原料貯蔵タンク、2、メタ-フェニレンジアミン及び共重合ジアミンモノマー原料貯蔵タンク、3、溶媒貯蔵タンク、4、可溶化剤を含有する溶媒原料貯蔵タンク、5、脱水装置、6、三方弁、7、定流ポンプ、8、保温ジャケット、9、マイクロミキサー、10、マイクロリアクター、11、多段マイクロスクリュー装置、12、助剤添加・混合機、13、フィルタ、14、脱泡釜、15、紡糸液貯蔵タンク、16、計量ポンプ、17、紡糸フィルタ、18、紡糸アセンブリ、19、凝固浴、20、第一の凝固浴、21、第二の凝固浴、22、水洗システム、23、牽引機、24、乾燥システム、25、乾熱延伸装置、26、ヒートセット装置、27、巻き取り/切断システム、28、冷凍媒体貯留タンク、29、加熱媒体貯留タンク、30、熱交換媒体移送ポンプ。
図1
図2
図3
【国際調査報告】