IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ システム デシュヤージュの特許一覧

特表2024-522122運転支援システム、および関連する画像処理方法
<>
  • 特表-運転支援システム、および関連する画像処理方法 図1
  • 特表-運転支援システム、および関連する画像処理方法 図2
  • 特表-運転支援システム、および関連する画像処理方法 図3a
  • 特表-運転支援システム、および関連する画像処理方法 図3b
  • 特表-運転支援システム、および関連する画像処理方法 図4
  • 特表-運転支援システム、および関連する画像処理方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】運転支援システム、および関連する画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20240604BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240604BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240604BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240604BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240604BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240604BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240604BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H04N23/52
G02B7/02 D
G03B17/02
G03B30/00
G03B15/00 V
H04N23/57
H04N23/60 500
B60S1/62 110A
B60S1/62 120Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573488
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2022063264
(87)【国際公開番号】W WO2022253564
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】2105633
(32)【優先日】2021-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ、マルー
【テーマコード(参考)】
2H044
3D225
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AD00
2H044AD03
3D225AA11
3D225AB01
3D225AC19
3D225AD22
5C122DA14
5C122EA01
5C122EA36
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH18
5C122GE05
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの光学センサと、透明であるとともに回転可能に装着される光学素子(5)を備える少なくとも1つの関連する保護装置(3)と、を備える運転支援システムに関する。保護装置(3)は、画像の捕捉における光学素子の少なくとも1つの角度位置を描写する少なくとも1つの情報を取得するための少なくとも1つの取得要素(11)を備える。前記システムは、光学素子(5)における少なくとも1つの欠陥(100)の存在を検出し、光学素子の角度位置を描写する情報を受信し、これに基づいて光学素子における前記欠陥の少なくとも1つの角度位置を特定し、光学素子における前記欠陥の特定した角度位置を考慮しつつ、画像処理を利用して前記捕捉画像における前記欠陥を除去するように構成された処理ユニットを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバー支援システムであって、
‐光学部品を備えるとともに、光軸に沿って少なくとも1つの画像を捕捉するように構成された少なくとも1つの光学センサ(1)と、
‐少なくとも1つの前記光学センサ(1)に関連付けられる少なくとも1つの保護装置(3)と、を備え、
前記保護装置(3)は、前記光軸に沿って関連する前記光学センサ(1)の前記光学部品の上流側に回転可能に装着された透明な光学素子(5)を備えるとともに、前記光学素子(5)を回転駆動させるように構成されたモータ(9)を備え、
‐前記保護装置(3)は、関連する前記光学センサ(1)が少なくとも1つの画像を捕捉する間に、前記光学素子(5)の少なくとも1つの角度位置を描写する少なくとも1つの情報を取得するための少なくとも1つの要素(11、13、15)を備え、
‐前記システムは、処理ユニット(17)を備え、前記処理ユニット(17)は、
・前記光学素子(5)上の少なくとも1つの欠陥(100)の存在を検出し、
・前記光学素子(5)の少なくとも1つの前記角度位置を描写する少なくとも1つの前記情報を受信し、
・少なくとも1つの受信した前記描写情報に基づいて、前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの角度位置を特定し、
・前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの特定した前記角度位置を考慮しつつ、少なくとも1つの前記光学センサ(1)が捕捉した少なくとも1つの前記画像から少なくとも1つの前記欠陥(100)を、画像処理により除去する、
ように構成される、
ことを特徴とするドライバー支援システム。
【請求項2】
前記モータ(9)は、回転軸(A)を中心として前記光学素子(5)を回転駆動することで、前記光学素子(5)が遠心効果により洗浄され得るように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理ユニット(17)は、
‐少なくとも1つの受信した前記描写情報に基づいて、前記光学素子(5)の少なくとも1つの前記角度位置を特定し、
‐前記光学素子の少なくとも1つの特定した前記角度位置から、前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの前記角度位置を推定する、
ように構成される、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理ユニット(17)は、
‐前記光学素子(5)の回転速度を描写する少なくとも1つの情報を受信または特定し、
‐前記画像の捕捉を前記光学素子(5)の前記回転速度に同期させる、
ように構成される、
請求項1~3の一項に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの前記取得要素は、前記光学素子(5)に配置された回転インジケータ(11)であって、関連する前記光学センサ(1)の前記視野内にあるように配置された回転インジケータ(11)を備える、
請求項1~4の一項に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記取得要素は、角度センサ(13)を備える、
請求項1~5の一項に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの前記取得要素は、前記モータ(9)の相電流を測定するように構成された測定ユニット(15)を備える、
請求項1~6の一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理ユニット(17)は、前記光学素子(5)の回転速度に応じて、各画像の捕捉について、少なくとも前記欠陥(100)が、前記捕捉画像において少なくとも1つの特定した前記角度位置にあるように、画像捕捉頻度を規定するように構成される、
請求項1~7の一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理ユニット(17)は、前記捕捉画像において少なくとも1つの特定した前記角度位置に位置する少なくとも1つの前記欠陥(100)を抽出するように構成された少なくとも1つの画像処理手段を備える、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
‐少なくとも1つの光学センサ(1)は、少なくとも2つの連続する画像(i1、i2)を捕捉するように構成され、
‐少なくとも1つの前記画像処理手段は、
・少なくとも2つの前記画像(i1、i2)から、少なくとも1つの前記欠陥(100)を含む少なくとも1つの領域(i11、i22)を抽出し、
・少なくとも2つの前記画像を重ね合わせて、少なくとも1つの前記欠陥(100)のない新たな画像(i3)を構成する、
ように構成される、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの光学センサ(1)と関連する保護装置(3)とを備える請求項1~10の一項に記載のドライバー支援システムのための、捕捉した画像を処理するための方法であって、
‐前記保護装置(3)の前記光学素子(5)上の少なくとも1つの欠陥(100)の存在を検出するステップと、
‐前記光学センサ(1)が少なくとも1つの画像を捕捉する間に、前記光学素子(5)の少なくとも1つの前記角度位置を描写する少なくとも1つの情報を受信するステップと、
‐少なくとも1つの受信した前記描写情報に基づいて、前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの角度位置を特定するステップと、
‐前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの特定した前記角度位置を考慮しつつ、少なくとも1つの前記光学センサ(1)が捕捉した少なくとも1つの前記画像から少なくとも1つの前記欠陥(100)を、画像処理により除去するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバーを支援する分野、特に、特定の車両に設置されるドライバー支援システムに関する。このタイプのドライバー支援システムは、少なくとも1つの光学センサを潜在的に備えている。また、本発明は、関連する画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ、LIDAR(「光検出および測距」または「レーザー画像化、検出および測距」の頭字語)等の光学センサや、人間にとって可視または不可視のスペクトル、特に赤外線スペクトルにおける光の放出および/または検出に基づくセンサが、自動車に搭載されることが多くなっている。それらは、駐車支援システムや車線逸脱検知システム等のドライバー支援システムの一部を、特に形成している。
【0003】
特に、自動車に駐車支援用リアビューカメラを装備して、車両の後方にある障害物を検出可能とすることが知られている。これらのカメラは、車室の内部に、例えばリアウィンドウに接触して車両のリアウィンドウを通して後方に向くように設置され得る。カメラは、こうして悪天候や有機または無機汚染物質から良好に保護される。
【0004】
しかしながら、車室の内部に配置されたこのようなカメラでは、例えば自動車の後部付近に位置する障害物を必ずしも見ることができないため、特に駐車支援について視野角が最適ではない。
【0005】
このため、ドライバー支援システムの1つ以上のカメラを自動車の外部において、所望の用途に応じて種々の箇所に、例えば、車両のフロントまたはリアバンパー、あるいは前方または後方のナンバープレート付近に配置することが好適である。しかしながら、この場合、このようなカメラは、鉱物性または有機性の塵芥や汚れが付着する可能性が高い。これらはカメラの光学部品に堆積してその有効性を低下させ得る、または動作不能にし得る。これにより、このようなカメラを備えるドライバー支援システムの動作性に重大な影響が及ぼされ得る。
【0006】
塵芥がこのようなカメラに堆積することを防止するために、透明な保護レンズ等の光学素子をカメラの前方に配置することで、これを外部攻撃から保護することが知られている。しかしながら、保護レンズは、外部攻撃を受け続けるため、汚れたり破損したりすることがある。
【0007】
遠心効果により洗浄できるように、保護レンズは回転可能に配置されている。しかしながら、このような洗浄は、例えばタール等の除去しにくいタイプの汚れを除去するには不十分な場合がある。また、保護レンズは、例えば運転中に物体と衝突することもあり、傷や欠け、または他の破損が生じ得る。これにより、光学センサが撮影した画像を劣化させたり暗くしたりする欠陥が生じる。これは、保護レンズの回転中に欠陥が移動するためである。したがって、光学センサが撮影する画像の視野および画質に悪影響が及ぼされ得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上流側の光学素子に欠陥が存在する場合に、光学センサが撮影した画像の劣化を回避させ得る代替手段を提供することにより、上述の欠点を少なくとも部分的に改善することを提案する。
【0009】
この目的のために、本発明の1つの主題は、ドライバー支援システムであって、光学部品を備えるとともに、光軸に沿って少なくとも1つの画像を捕捉するように構成された少なくとも1つの光学センサと、少なくとも1つの前記光学センサに関連付けられる少なくとも1つの保護装置と、を備え、前記保護装置は、前記光軸に沿って関連する前記光学センサの前記光学部品の上流側に回転可能に装着された透明な光学素子を備えるとともに、前記光学素子を回転駆動させるように構成されたモータを備える、ドライバー支援システムである。
【0010】
本発明によれば、前記保護装置は、関連する前記光学センサが少なくとも1つの画像を捕捉する間に、前記光学素子の少なくとも1つの角度位置を描写する少なくとも1つの情報を取得するための少なくとも1つの要素を備える。
【0011】
前記システムは、処理ユニットを備え、前記処理ユニットは、
‐前記光学素子上の少なくとも1つの欠陥の存在を検出し、
‐前記光学素子の少なくとも1つの前記角度位置を描写する少なくとも1つの前記情報を受信し、
‐少なくとも1つの受信した前記描写情報に基づいて、前記光学素子上の少なくとも1つの前記欠陥の少なくとも1つの角度位置を特定し、
‐前記光学素子上の少なくとも1つの前記欠陥の少なくとも1つの特定した前記角度位置を考慮しつつ、少なくとも1つの前記光学センサが捕捉した少なくとも1つの前記画像から少なくとも1つの前記欠陥を、画像処理により除去する、
ように構成される。
【0012】
より具体的には、光学素子は、回転軸を中心として回転可能に装着される。
【0013】
詳細には、前記モータは、回転軸を中心として前記光学素子を回転駆動することで、前記光学素子が遠心効果により洗浄され得るように構成される。
【0014】
ドライバー支援システムは、以下に記載の1つ以上の特徴を、別個に、または組み合わせてさらに備え得る。
【0015】
一態様によれば、モータは、固定ステータと、固定ステータに対して回転軸を中心として回転可能なロータと、を備える。モータは、1000~50000回転/分、好適には5000~20000回転/分、さらに好適には7000~15000回転/分の回転速度を有し得る。
【0016】
したがって、モータは、光学センサがその動作中にある時にその前方で、光学素子を、あらゆる塵芥が遠心効果により光学素子から吹き飛ばされるような速度で連続的に回転させるように構成される。詳細には、遠心力が行う仕事は、光学素子に対する塵芥の付着力を十分に超えている。したがって、光学センサは、良好な動作性を維持し、その汚れは天候状態にかかわらず制限される。こうして、ドライバー支援システムは、良好な視認性を維持する。
【0017】
一態様によれば、モータは、光学素子の反対側に配置される。この場合、モータの回転軸は、光軸と一致し得る。
【0018】
一態様によれば、保護装置は、有利には、回転軸を中心として回転可能に装着されたホルダまたはケーシングを備える。
【0019】
ホルダは、例えば、光学センサの光軸がホルダの回転軸と一致するように光学センサを収容するためのハウジングを規定し得る。
【0020】
したがって、保護装置は、ステータを含む固定部分と、ロータとホルダと光学素子とを含む可動部分と、を備える。
【0021】
一態様によれば、光学素子は、ホルダと一体的に回転するように装着されるとともに、ホルダの前部に位置するように構成される。「ホルダの前部」という表現は、保護装置が自動車に装着された場合に、光学センサが画像の捕捉に関与する道路シーンに対面配置されることが意図されたホルダの部分を意味すると理解される。これに対して、「ホルダの後部」という表現は、ホルダの前部の反対側の部分であって、したがって道路シーンから最も遠い部分を意味すると理解される。
【0022】
一態様によれば、前記処理ユニットは、少なくとも1つの受信した前記描写情報に基づいて、前記光学素子の少なくとも1つの前記角度位置を特定し、前記光学素子の少なくとも1つの特定した前記角度位置から、前記光学素子上の少なくとも1つの前記欠陥の少なくとも1つの前記角度位置を推定するように構成され得る。
【0023】
別の態様によれば、前記処理ユニットは、前記光学素子の前記回転速度を描写する少なくとも1つの情報を受信または特定し、前記画像の捕捉を前記光学素子の前記回転速度に同期させるように構成され得る。
【0024】
少なくとも1つの前記取得要素は、前記光学素子に配置された回転インジケータであって、関連する前記光学センサの前記視野内にあるように配置された回転インジケータを備え得る。
【0025】
一般にOPRインジケータと呼ばれる回転インジケータは、反射素子であり得る。反射素子は、例えば非限定的にアルミニウムから構成されるバーの形態を取り得る。別の変形例によれば、回転インジケータは、光学素子上の刻印等の既知の非ランダム欠陥の形態を取り得る。
【0026】
変形例として、または追加的に、少なくとも1つの前記取得要素は、角度センサを備え得る。好適には、角度センサは、絶対角度センサである。
【0027】
角度センサは、保護装置の可動部分に、具体的には、例えばロータがステータに連結する領域において、光学素子またはそのホルダに、またはロータに配置され得る。
【0028】
角度センサは、磁気的、光学的であり得るとともに、特に発光ダイオードまたはレーザーダイオードにより生成された光の反射または透過を検出するためのフォトダイオードまたはフォトトランジスタを採用し得る、あるいはホログラフィックであり得るが、これらに限られない。
【0029】
処理ユニットは、保護装置に配置された角度センサから送信された少なくとも1つの角度測定値に基づいて、光学素子の位置を特定するための少なくとも1つの処理手段を備える。
【0030】
さらに別の変形例によれば、または追加的に、少なくとも1つの前記取得要素は、前記モータの相電流を測定するように構成された測定ユニットを備え得る。
【0031】
測定ユニットは、電流の振幅を測定できるシャント等の1つ以上の測定抵抗器を備え得る。
【0032】
別の態様によれば、前記処理ユニットは、前記光学素子の前記回転速度に応じて、各画像の捕捉について、少なくとも前記欠陥が、前記捕捉画像において少なくとも1つの特定した前記角度位置にあるように、画像捕捉頻度を規定するように構成され得る。
【0033】
前記処理ユニットは、前記捕捉画像において少なくとも1つの特定した前記角度位置に位置する少なくとも1つの前記欠陥を抽出するように構成された少なくとも1つの画像処理手段を備え得る。
【0034】
さらに別の態様によれば、少なくとも1つの光学センサは、少なくとも2つの連続する画像を捕捉するように構成され得る。
【0035】
少なくとも1つの前記画像処理手段は、少なくとも2つの前記画像から、少なくとも1つの前記欠陥を含む少なくとも1つの領域を抽出し、少なくとも2つの前記画像を重ね合わせて、少なくとも1つの前記欠陥のない新たな画像を構成するように構成され得る。
【0036】
また、本発明は、上述のようなドライバー支援システム用の光学センサを保護するための装置であって、光学センサの上流側にその光軸に沿って回転可能に装着されるように構成された透明な光学素子と、前記光学素子を回転駆動させるように構成されたモータと、を備える装置に関する。前記装置は、有利には、光学センサが画像を捕捉する間に、光学素子の少なくとも1つの角度位置を描写する少なくとも1つの情報を取得するための少なくとも1つの要素を備える。
【0037】
また、本発明は、少なくとも1つの光学センサと関連する保護装置とを備える上述のようなドライバー支援システムのための、捕捉した画像を処理するための関連する方法に関する。前記方法は、
‐前記保護装置の前記光学素子上の少なくとも1つの欠陥の存在を、例えば処理ユニットにより検出するステップと、
‐前記光学センサが少なくとも1つの画像を捕捉する間に、前記光学素子の少なくとも1つの角度位置を描写する少なくとも1つの情報を、例えば保護装置の少なくとも1つの前記取得要素により受信するステップと、
‐少なくとも1つの受信した前記描写情報に基づいて、前記光学素子上の少なくとも1つの前記欠陥の少なくとも1つの角度位置を、例えば処理ユニットによって、特に画像処理により特定するステップと、
‐前記光学素子上の少なくとも1つの前記欠陥の少なくとも1つの特定した前記角度位置を考慮しつつ、少なくとも1つの前記光学センサが捕捉した少なくとも1つの画像から少なくとも1つの前記欠陥を、例えば処理ユニットによって画像処理により除去するステップと、
を備える。
【0038】
前記方法は、
‐少なくとも1つの取得した前記描写情報に基づいて、光学素子の少なくとも1つの前記角度位置を、例えば処理ユニットにより特定するサブステップと、
‐光学素子の少なくとも1つの特定した前記角度位置に基づいて、光学素子上の少なくとも1つの前記欠陥の少なくとも1つの角度位置を、例えば処理ユニットによって特に画像処理により推定するサブステップと、
をさらに備え得る。
【0039】
前記方法は、光学素子の回転速度を描写する少なくとも1つの情報を受信または特定するステップと、画像の捕捉を光学素子の回転速度に同期させるステップと、をさらに備え得る。
【0040】
少なくとも1つの前記欠陥は、前記光学素子上の少なくとも1つの前記欠陥の少なくとも1つの特定した前記角度位置を考慮しつつ、光学素子の回転速度に同期した態様で、少なくとも1つの前記光学センサが捕捉した少なくとも1つの前記画像から画像処理により除去される。この場合、本例は、画像の捕捉と捕捉した画像の処理とを同期させるための方法である。
【0041】
本発明のさらなる利点および特徴は、例示的かつ非限定的な例としてなされる以下の説明および添付の図面を読むことで、より明確に明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、ドライバー支援システム用の光学センサの保護装置の一例を示す。
図2図2は、図1の保護装置の光学素子の正面図である。
図3a図3aは、図1の保護装置の可動部の斜視図である。
図3b図3bは、図3aにおける保護装置の可動部の背面斜視図である。
図4図4は、保護装置とドライバー支援システムの処理ユニットとの相互作用を示す概略図である。
図5図5は、光学センサが捕捉した画像から欠陥を除去するように利用される画像処理ステップを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
これらの図面において、同一の要素は同じ参照符号で指定されている。
【0044】
以下の実施形態は、例である。本明細書は1つ以上の実施形態について言及しているが、これは、各言及が同一の実施形態に関連すること、または特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを必ずしも意味するものではない。種々の実施形態の個々の特徴を組み合わせたり入れ替えたりすることで、他の実施形態を得てもよい。
【0045】
本発明は、自動車に搭載されることが意図されたドライバー支援システムに関する。ドライバー支援システムは、特に、例えば駐車支援または特に自律運転に寄与する光学センサ等の1つ以上の光学検出装置を備え得る。有利には、自動車に搭載されることが意図された光学センサが論点である。
【0046】
支援システム
【0047】
図1を参照すると、ドライバー支援システムは、特に、光学センサ1と関連する保護装置3とを少なくとも備えている。
【0048】
光学センサ1は、光軸に沿って少なくとも1つの画像を捕捉するように構成されている。光学センサ1は、例えば、カメラ等の画像捕捉光学センサ1である。CCDセンサ(CCDは「charge-coupled device」の略)、または小型フォトダイオードのマトリクスアレイを備えるCMOSセンサであってもよい。別の変形例によれば、LIDARセンサ(LIDARは「light detection and ranging」または「laser imaging, detection, and ranging」の略)であってもよい。
【0049】
さらに、光学センサ1は、レンズ等の光学部品を備えている。光学部品は、光学センサの外部に向かって配向された凸部を有する凸状(湾曲状)であり得る。例えば、いわゆる魚眼レンズが論点であり得る。
【0050】
光学センサ1は、図1の例に示すように、保護装置3の内部に収容され得る。保護装置3は、自動車の前部、後部または側部に装着され得る。保護装置3は、車体要素や外部要素等の自動車の任意の要素、例えば、バンパー、ナンバープレート付近、またはバックミラーのうちの一方の付近に設置され得る。保護装置3は、任意の既知の技術を用いて所定位置に固定され得る。
【0051】
保護装置3は、光学センサ1の光学部品を保護することが意図された光学素子5を備えている。したがって、保護装置3は、光学センサ1を保護するための要素またはマスクである。
【0052】
光学素子5は、光学センサ1の光学部品の上流側に配置されている。ここで、「上流側」という用語は、光学センサ1の光軸に対して定義される。したがって、光学素子5は、光軸に沿って、光学センサ1の光学部品と道路シーンとの間に配置されることが意図されている。したがって、この光学素子5は、外部からの攻撃を潜在的に受けるものである。すなわち、水、汚染物質、塵芥だけでなく、光学センサ1の光学部品を破損させ得る砂利等の固体破片がぶつかり得る。光学素子5は、有利には、光学センサ1の光学面全体を覆うような寸法とされている。
【0053】
光学素子5は、光学センサ1の有効性を低下させないように透明である。光学素子5は、ガラスまたは透明プラスチックから構成され得る。光学素子5は、例えば、光学センサ1の光学部品とは別個のレンズであることが論点であり、したがって光学センサ1の外部にあり得る。
【0054】
光学素子5は、回転軸Aを中心として回転可能に装着されている。光学素子5は、図示例において、回転軸Aに対して中央に配置されている。
【0055】
さらに、保護装置3は、有利には、回転軸Aを中心として回転可能に装着されたホルダ7またはケーシングを備えている。
【0056】
ホルダ7は、光学センサ1の光軸がホルダ7の回転軸Aと一致するように光学センサ1を収容するためのハウジングを規定し得る。ホルダ7は、例えば、全体として円筒形または実質的に円筒形の壁により規定されている。
【0057】
光学素子5は、ホルダ7と一体的に回転するように装着されるとともに、ホルダ7の前部に位置するように構成されている。「ホルダ7の前部」という表現は、保護装置3が自動車に装着された場合に、光学センサ1が画像の捕捉に関与する道路シーンに対面配置されることが意図されたホルダ7の部分を意味すると理解される。これに対して、「ホルダ7の後部」という表現は、ホルダ7の前部の反対側の部分であって、したがって道路シーンから最も遠い部分を意味すると理解される。
【0058】
さらに、ホルダ7は、好適には密閉されている。
【0059】
保護装置3は、光学素子5を回転駆動させ得るアクチュエータも備えている。
【0060】
アクチュエータは、ホルダ7に、これを回転駆動することを目的として連結され得る。したがって、光学素子5は、アクチュエータによりホルダ7とともに回転駆動されて、光学素子5が遠心効果により洗浄され得るように構成されている。
【0061】
アクチュエータは、例えば、自動車の一般電気回路に接続した電源から電力を供給される。アクチュエータは、ホルダ7を回転駆動させるための例えば電気モータであるモータ9であり得る。非限定的な例として、モータは、より具体的にはブラシレスモータであり得る。
【0062】
特に、モータ9は、固定ステータ91と、固定ステータ91に対して回転軸を中心として回転可能なロータ93と、を備えている。モータ9は、およそ10000回転/分の回転速度を有し得る。
【0063】
図示の実施形態によれば、モータ9は、光学素子5の反対側においてホルダ7の後部に配置されている。本例において、モータ9の回転軸は、ホルダ7の回転軸A、ひいては光軸と一致し得る。
【0064】
したがって、保護装置3は、ステータ91を含む固定部分と、ロータ93とホルダ7と光学素子5とを含む可動部分と、を備えている。
【0065】
さらに、ドライバー支援システムは、光学素子5の角度位置を描写する少なくとも1つの情報を取得するための少なくとも1つの要素を備えている。このような取得要素は、特に、保護装置3の一部を形成し得るとともに、その要素に装着され得る。光学素子5の角度位置を描写する少なくとも1つの情報を取得することに関して、種々の実施形態が想定可能である。
【0066】
一実施形態によれば、少なくとも1つの取得要素は、回転インジケータ11の形態を取り得る。その非常に概略的な例を図2に示す。
【0067】
回転インジケータ11は、光学センサの視野内にあるように光学素子5に配置され得る。したがって、回転インジケータ11は、光学センサが捕捉する画像に現れる。換言すれば、画像を撮影する際、光学センサは、この回転インジケータ11を同時に「読み取る」。
【0068】
このような回転インジケータ11は、一般にOPRインジケータと呼ばれる。回転インジケータ11は、反射素子、例えばバー状の反射素子であり得る。このようなバーは、例えば、非限定的にアルミニウムから構成される。別の変形例によれば、回転インジケータ11は、光学素子5上の刻印等の既知の非ランダム欠陥の形態を取り得る。
【0069】
図2の例において、単独の回転インジケータ11が示されている。当然ながら、角度位置の検出を向上させるべく、複数の回転インジケータすなわちOPRインジケータを設けることができる。
【0070】
図3aおよび図3bを参照すると、少なくとも1つの取得要素は、光学素子5の回転位置を特定できる角度センサ13であり得る。好適には、角度センサ13は、絶対角度センサである。
【0071】
角度センサ13は、保護装置3の可動部分に、具体的には、例えばロータ93がステータ91に連結する領域Zにおいて、光学素子5またはそのホルダ7に、またはロータ93に配置され得る。
【0072】
角度センサ13は、磁気的、光学的であり得るとともに、特に発光ダイオードまたはレーザーダイオードにより生成された光の反射または透過を検出するためのフォトダイオードまたはフォトトランジスタを採用し得る、あるいはホログラフィックであり得るが、これらに限られない。
【0073】
さらに別の実施形態によれば、光学素子5の角度位置は、モータ9の相電流に基づいて特定され得る。この目的のために、保護装置3は、モータ9の相電流を測定するように構成された測定ユニット15(図4)を備えている。測定ユニット15は、例えば、電流の振幅を測定できるシャント等の1つ以上の測定抵抗器を備えている。
【0074】
さらに、ドライバー支援システムは、少なくとも1つの処理ユニット17を備えている。処理ユニット17は、例えば、少なくとも1つのマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを備えている。
【0075】
例えば自動車の中央処理装置等の中央処理ユニット17が論点であり得る。本例において、中央処理ユニット17は、複数の光学センサ1および複数の保護装置3に共通である。換言すれば、中央処理ユニット17は、複数の装置、具体的には複数の光学センサ1および複数の保護装置3と情報を交換することができる。代替的に、処理ユニット17は、例えば、1つの光学センサ1および1つの保護装置3に関連付けられ得る。例えば、処理画像を例えば自動車の制御システムに配信するように、関連する光学センサ1が捕捉した1つ以上の画像を処理するような寸法とされ得るマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラが論点であり得る。
【0076】
有利には、処理ユニット17は、自動車に複数の光学センサ1が搭載されている場合に少なくとも1つの光学センサ1が取得し送信した画像、または処理ユニット17に関連付けられた光学センサ1が取得し送信した画像を処理するための1つ以上の手段を備え得る。
【0077】
このような処理ユニット17は、光学素子の角度位置を描写する1つ以上の情報も受信し得る。
【0078】
再び図2を参照すると、一実施形態によれば、処理ユニット17は、光学センサ1が捕捉した画像における単数または複数の回転インジケータ11の位置に応じて、光学素子5の角度位置を特定し得る。角度位置は、処理ユニット17の少なくとも1つの画像処理手段によってより正確に特定される。この解決策では、保護装置3に特定の測定システムを配置しなくてよい。光学素子5の後方に配置された光学センサ1が、回転インジケータ11を検出する。これにより、この回転インジケータ11の位置に関する情報が提供され、画像処理により光学素子5の角度位置が推定される。
【0079】
また、異なる幅の窓を設けられたディスクを介して照明された画像の周辺画素等の少数の基準画素を用いた画像処理を利用することも可能である。これは、光学素子5の角度位置を描写する少なくとも1つの情報を取得する要素を製造する異なる態様である。これは、特に、上述の回転インジケータ11すなわちOPRインジケータの変形例である。詳細には、保護装置の可動部にターゲットを有する特定の装置、すなわちインジケータ11を設けてこのターゲットを特に発光ダイオードで照明してその透過を光検出器で検出することに代えて、例えば、光学センサ1のCCDマトリクスアレイの周辺領域を使用して、光学センサ1のレンズ(図示せず)または保護光学部品(図示せず)に直接的に配置された刻印または連続する明暗線の通過を検出することが可能である。取得画像は、処理ユニット17の1つ以上の画像処理手段により解釈されて、光学センサ1のレンズ上に存在する欠陥の角度位置が特定されることで、画質に影響が及ぼされることが防止され得る。
【0080】
代替的または追加的に、処理ユニット17は、特に少なくとも1つの角度センサ13(図3a~図4)から1つ以上の情報を受信し得る。処理ユニット17は、受信した情報に
応じて、光学素子5の角度位置を分析および特定するための分析手段を備え得る。
【0081】
さらに別の代替例によれば、処理ユニット17は、光学素子5の角度位置を、モータ9の相電流の1つ以上の測定値に基づいて特定し得る。これらの測定値は、測定ユニット15により送信される。この目的のために、処理ユニット17は、例えば、特にブラシレスモータであるモータ9の回転速度および角度位置を測定することができる少なくとも1つのマイクロコントローラを備えている。変形例として、または追加的に、処理ユニット17は、特に相電流を測定できる電圧増幅器を備える少なくとも1つの集積回路を備え得る。
【0082】
さらに、図2に非常に単純化して概略的に示すように、洗浄サイクル、例えば洗浄流体の噴霧を伴うものに対して耐性を有する欠陥100が光学素子5上に存在することがあり得る。欠陥100は、光学素子5を破損させた衝突物または傷、あるいは例えばタール等の非常に除去しにくい塵芥または堆積物であってもよい。
【0083】
図2および図4を参照すると、処理ユニット17は、欠陥100が光学センサ1の視野内に存在していることを検出するように構成されている。画像処理を利用してこの検出を達成してもよい。
【0084】
処理ユニット17、より正確には1つ以上の画像処理手段は、光学センサ1が捕捉した画像内の欠陥100の角度位置を特定し得る。欠陥100の角度位置は、光学素子5の角度位置に基づいて推定され得る。光学素子5の角度位置それ自体は、少なくとも1つの取得要素(この例については上述)から受信した1つ以上の情報に基づいて特定される。
【0085】
欠陥100を検出した場合、処理ユニット17は、光学センサが捕捉した画像に現れた欠陥100を、画像処理により除去するように構成され得る。この除去は、欠陥100の特定された角度位置を考慮しながら実施される。
【0086】
この目的のために、光学センサ1による画像の捕捉を、光学素子5の回転速度に同期させ得る。この同期により、光学センサ1の前方で回転するこの欠陥100の存在により生じるノイズを除去することができる。
【0087】
この目的のために、処理ユニット17は、同様に光学素子5の回転速度を描写する少なくとも1つの情報を受信して分析し得る、またはこの回転速度を特定し得る。
【0088】
一実施形態によれば、回転速度は、光学素子5の角度位置に基づいて特定され得る。処理ユニット17は、時間に対する位置を導出してそこから光学素子5の回転速度を推定するための少なくとも1つの処理手段または計算手段を備え得る。非限定的な例として、例えば処理ユニット17のマイクロコントローラの内部クロックにより、回転インジケータ11の2つのパス間の時間を測定することにより、または相電流を正確に測定することによって、時間に関する情報を得ることができる。
【0089】
この回転速度により、光学センサ1の光学部品の前方での欠陥100の移動であって、この光学センサ1が撮影した画像において比較的円形のぼやけた領域や暗い領域を生成する惧れのある欠陥100の移動を計算することができる。
【0090】
回転速度に基づいて、処理ユニット17は、光学センサ1が捕捉する画像の頻度を規定することができる。この頻度は、各画像の捕捉について欠陥100が同一の角度位置にあるように選択される。換言すれば、欠陥100が常に同一位置にあるように光学素子5が配置されたときに、光学センサ1は画像を撮影する。光学センサ1は、例えば、1回転毎に1つの画像を撮影し得る。これは、人間に目に十分である。
【0091】
また、同期を目的として欠陥100の複数の角度位置を定義することも可能である。本例において、頻度は、各画像の捕捉について欠陥100が所定の角度位置のうちの1つにあるように選択される。換言すれば、欠陥100が常に画像内の正確な所定位置の1つにあるように光学素子5が配置されたときに、光学センサ1は画像を撮影する。例えば、図5も参照すると、光学センサ1は、半回転毎に1つの画像を撮影し得る。
【0092】
画像の捕捉が光学素子の回転速度に同期される場合、捕捉した画像内の少なくとも1つの正確な位置に常に見出される欠陥100を、画像処理により除去する、すなわち抽出することができる。この目的のために、処理ユニット17、特に少なくとも1つの前記画像処理手段は、捕捉した画像をフィルタリングして欠陥100の画像を抽出し得る。
【0093】
実施形態の1つの特定例によれば、このフィルタリングにより、欠陥を含む領域が複数の画像から除去され、これらの画像が重ね合わされて欠陥のない画像が再構成され得る。
【0094】
図5に概略的に示す特に単純化した例において、光学センサは、少なくとも2つの連続する画像i1、i2を捕捉するように構成されている。例えば、光学センサは、光学素子5の半回転毎に1つの画像i1、i2を撮影し得る。毎分約10000回転の回転速度で、これら2つの画像i1、i2は、非常に近いタイミングで撮影される。非常に迅速に撮影されたこれら2つの連続する画像i1、i2において、周囲の風景および道路シーンは、画像i1、i2において大きく変化する、すなわち移動する時間がない。一方で、欠陥100は非常に素早く移動する。欠陥100、またはむしろその画像は、本例において、図5の配向に関して、第1画像i1の上側領域i11、および第2画像i2の下側領域i22にある。
【0095】
画像処理により、欠陥100を含む領域が抽出され得るとともに、欠陥のない領域が重ね合わされて新たな画像i3が構成され得る。したがって、本例において、新たな画像i3が、2つの画像i1、i2を重ね合わせることにより構成され得る。第1画像i1の頂部領域i11が抽出され得るとともに、矢印F1で示すように、第1画像i1の欠陥のない底部領域i12が保存され得る。同様に、第2画像i2の底部領域i22が抽出され得るとともに、矢印F2で示すように、第2画像i2の欠陥のない頂部領域i21が保存され得る。矢印F3で示すように、第2画像i2の頂部領域i21および第2画像i2の底部領域i22に基づいて、新たな画像i3が得られる。この新たに構成された画像i3において、欠陥はもはや見ることができない。
【0096】
画像処理方法
【0097】
概して、本方法は、保護装置3の光学素子5上の少なくとも1つの欠陥100の存在を検出する少なくとも1つのステップを備える。このステップは、上述の処理ユニット17によって、例えば画像処理により実施される。
【0098】
欠陥100を検出した場合、本方法は、光学センサ1が少なくとも1つの画像を捕捉している間に、光学素子5の少なくとも1つの角度位置を描写する少なくとも1つの情報を取得する少なくとも1つのステップを備える。この取得ステップは、上述のような1つ以上の取得要素11、13、15により、少なくとも部分的に実施され得る。処理ユニット17は、光学素子5の角度位置を描写する情報を受信し得る。
【0099】
そして、この描写情報に基づいて、光学素子5上の欠陥100の少なくとも1つの角度位置を特定する少なくとも1つのステップが続く。このステップは、処理ユニット17、特に処理ユニット17の1つ以上の画像分析および/または処理手段により実施され得る。
【0100】
特に、光学センサ1の視野内において光学素子5上の欠陥100が検出された場合、本方法は、上述のような少なくとも1つの取得要素11、13、15から受信した少なくとも1つの描写情報に基づいて、光学素子5の角度位置を特定し、そしてその角度位置から、特に画像処理により光学センサ1が捕捉した1つ以上の画像上の欠陥100の角度位置を推定する少なくとも1つのステップを備える。
【0101】
次のステップにおいて、先のステップで特定された光学素子5上の欠陥100の角度位置を考慮しつつ、欠陥100は、画像処理により光学センサ1が捕捉した少なくとも1つの画像から除去され得る。この除去ステップは、処理ユニット7、特に処理ユニット7の1つ以上の画像処理手段により実施され得る。
【0102】
有利には、本方法によれば、画像の捕捉は、光学素子5の回転速度に同期され得る。
【0103】
光学素子5の回転速度は、例えば、処理ユニット17により特定され得る、または保護装置3に埋設された特定システムを介して取得され得る。
【0104】
回転速度に基づいて、光学センサ1による画像の捕捉を、光学素子5の回転速度に同期させ得る。この同期は、処理ユニット17により実施され得る。処理ユニット17は、各画像の捕捉について、欠陥100が所定の角度位置にあるように画像捕捉の頻度を規定する。この角度位置は、常に同一であり得る、または複数の角度位置が規定され得る。
【0105】
続いて、本方法は、光学素子5の回転速度に同期した態様で、例えば欠陥100を含む画像領域をフィルタリングし、これらの画像を重ね合わせて欠陥の内画像を再構成することにより、捕捉した画像に現れた欠陥100を除去する1つ以上の画像処理ステップを備える。
【0106】
したがって、上述の変形例のいずれかによる保護装置3により、少なくとも、回転情報を取得して処理ユニット17にこれを送信することができる。次いで、処理ユニット17は、光学センサ1が捕捉した画像に現れた欠陥を除去し得る。特に、処理ユニット17により、画像の捕捉が回転速度に同期し得るとともに、捕捉した画像がフィルタリングされて欠陥100が抽出され得る。
【0107】
この処理ユニット17は、保護装置13に組み込まれてもよいし、自動車の中央処理装置の一部を形成してもよい。
【0108】
これにより、光学センサ1の視野内に欠陥100があっても、システム1は光学センサ1の前方の欠陥の高速回転により生じるノイズをフィルタリングすることができるため、保護装置3のサービス間隔を長くすることができるとともに、これを使用しつつ走行を続けることができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバー支援システムであって、
‐光学部品を備えるとともに、光軸に沿って少なくとも1つの画像を捕捉するように構成された少なくとも1つの光学センサ(1)と、
‐少なくとも1つの前記光学センサ(1)に関連付けられる少なくとも1つの保護装置(3)と、を備え、
前記保護装置(3)は、前記光軸に沿って関連する前記光学センサ(1)の前記光学部品の上流側に回転可能に装着された透明な光学素子(5)を備えるとともに、前記光学素子(5)を回転駆動させるように構成されたモータ(9)を備え、
‐前記保護装置(3)は、関連する前記光学センサ(1)が少なくとも1つの画像を捕捉する間に、前記光学素子(5)の少なくとも1つの角度位置を描写する少なくとも1つの情報を取得するための少なくとも1つの要素(11、13、15)を備え、
‐前記システムは、処理ユニット(17)を備え、前記処理ユニット(17)は、
・前記光学素子(5)上の少なくとも1つの欠陥(100)の存在を検出し、
・前記光学素子(5)の少なくとも1つの前記角度位置を描写する少なくとも1つの前記情報を受信し、
・少なくとも1つの受信した前記描写情報に基づいて、前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの角度位置を特定し、
・前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの特定した前記角度位置を考慮しつつ、少なくとも1つの前記光学センサ(1)が捕捉した少なくとも1つの前記画像から少なくとも1つの前記欠陥(100)を、画像処理により除去する、
ように構成される、
ことを特徴とするドライバー支援システム。
【請求項2】
前記モータ(9)は、回転軸(A)を中心として前記光学素子(5)を回転駆動することで、前記光学素子(5)が遠心効果により洗浄され得るように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理ユニット(17)は、
‐少なくとも1つの受信した前記描写情報に基づいて、前記光学素子(5)の少なくとも1つの前記角度位置を特定し、
‐前記光学素子の少なくとも1つの特定した前記角度位置から、前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの前記角度位置を推定する、
ように構成される、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理ユニット(17)は、
‐前記光学素子(5)の回転速度を描写する少なくとも1つの情報を受信または特定し、
‐前記画像の捕捉を前記光学素子(5)の前記回転速度に同期させる、
ように構成される、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの前記取得要素は、前記光学素子(5)に配置された回転インジケータ(11)であって、関連する前記光学センサ(1)の前記視野内にあるように配置された回転インジケータ(11)を備える、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記取得要素は、角度センサ(13)を備える、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの前記取得要素は、前記モータ(9)の相電流を測定するように構成された測定ユニット(15)を備える、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理ユニット(17)は、前記光学素子(5)の回転速度に応じて、各画像の捕捉について、少なくとも前記欠陥(100)が、前記捕捉画像において少なくとも1つの特定した前記角度位置にあるように、画像捕捉頻度を規定するように構成される、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理ユニット(17)は、前記捕捉画像において少なくとも1つの特定した前記角度位置に位置する少なくとも1つの前記欠陥(100)を抽出するように構成された少なくとも1つの画像処理手段を備える、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
‐少なくとも1つの光学センサ(1)は、少なくとも2つの連続する画像(i1、i2)を捕捉するように構成され、
‐少なくとも1つの前記画像処理手段は、
・少なくとも2つの前記画像(i1、i2)から、少なくとも1つの前記欠陥(100)を含む少なくとも1つの領域(i11、i22)を抽出し、
・少なくとも2つの前記画像を重ね合わせて、少なくとも1つの前記欠陥(100)のない新たな画像(i3)を構成する、
ように構成される、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの光学センサ(1)と関連する保護装置(3)とを備える請求項1または2に記載のドライバー支援システムのための、捕捉した画像を処理するための方法であって、
‐前記保護装置(3)の前記光学素子(5)上の少なくとも1つの欠陥(100)の存在を検出するステップと、
‐前記光学センサ(1)が少なくとも1つの画像を捕捉する間に、前記光学素子(5)の少なくとも1つの前記角度位置を描写する少なくとも1つの情報を受信するステップと、
‐少なくとも1つの受信した前記描写情報に基づいて、前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの角度位置を特定するステップと、
‐前記光学素子(5)上の少なくとも1つの前記欠陥(100)の少なくとも1つの特定した前記角度位置を考慮しつつ、少なくとも1つの前記光学センサ(1)が捕捉した少なくとも1つの前記画像から少なくとも1つの前記欠陥(100)を、画像処理により除去するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【国際調査報告】