(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ゲル化柑橘類繊維及び製造方法
(51)【国際特許分類】
C08B 37/06 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
C08B37/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574180
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022032533
(87)【国際公開番号】W WO2022261116
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】マスード ガセムザデ-バーバーズ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー カーバー
(72)【発明者】
【氏名】ステラ コートロス-ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー クロウ
(72)【発明者】
【氏名】センガネ ディエン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー ヒルシュ
(72)【発明者】
【氏名】マージョリー ウェルコフ
(72)【発明者】
【氏名】カルロス ルセロ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレナ メディック
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ツェン
【テーマコード(参考)】
4C090
【Fターム(参考)】
4C090BA24
4C090BA50
4C090BB21
4C090BB52
4C090BC10
4C090BD12
4C090BD37
4C090CA33
4C090CA38
4C090DA03
4C090DA27
(57)【要約】
本明細書に開示される技術は、ペクチン含有セルロース系材料に関する。セルロース系材料は、水溶液中に分散される場合、強いゲルを形成し得るように加工される。また、少なくともいくつかの実施形態では、反応を制御し、所望のゲル強度を有するゲルを作製することが可能である最終生成物を得るために、加工反応中に起こるセルロース系材料の赤外線スペクトル中の変化を監視するための方法を含む、セルロース系材料を加工するための方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化柑橘類繊維材料であって、
a)セルロース系構成要素と、
b)40%~50%(ガラクツロン酸%(%GA))、又は約40%~約48%、又は約40%~約46%、又は約42%~約48%、又は約42%~約46%の量の会合ペクチン構成要素と、を含み、
前記ペクチン構成要素が、約10%~約80%のエステル化度(%DE)を有し、
前記ゲル化柑橘類繊維材料が、約50kDa~約275kDaの分子量を有し、
任意選択的に、前記ゲル化柑橘類繊維材料が、柑橘類果皮から得られる、ゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項2】
前記ペクチン構成要素が、
a.約30%~約45%(%DE)、又は約35%~約45%、又は約37%~約45%、
b.約46%~約55%(%DE)、又は約47%~約52%、又は約47%~約50%、
c.約10%~約20%(%DE)、又は約10%~約18%、又は約10%~約15%、及び
d.約60%~約65%(%DE)、又は約60%~約63%、からなる群から選択されるエステル化度を有する、請求項1に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項3】
前記材料が、
a.約50~約200kDa、又は約50~約150kDa、又は約50~約125kDa、又は約50~約100kDa、
b.約200kDa~約300kDa、又は約210kDa~約275kDa、又は約210kDa~約265kDa、又は約225kDa~約265kDa、又は約230kDa~約260kDa、及び
c.100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDa、からなる群から選択される分子量を有する、請求項1又は2に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項4】
前記ペクチン構成要素の前記エステル化度が、約30%~約45%(%DE)、又は約35%~約45%、又は約37%~約45%であり、
前記材料の前記分子量が、約50~約200kDa、又は約50~約150kDa、又は約50~約125kDa、又は約50~約100kDaである、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項5】
前記ペクチン構成要素における前記エステル化度が、約46%~約55%(%DE)、又は約47%~約52%、又は約47%~約50%であり、
前記材料の前記分子量が、約200kDa~約300kDa、又は約210kDa~約275kDa、又は約210kDa~約265kDa、又は約225kDa~約265kDa、又は約230kDa~約260kDaである、請求項1~4のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項6】
前記エステル化度が、約10%~約20%(%DE)、又は約10%~約18%、又は約10%~約15%であり、
前記材料の前記分子量が、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaである、請求項1~5のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項7】
前記ペクチン構成要素の前記エステル化度が、約60%~約65%(%DE)、又は約60%~約63%であり、
前記材料の前記分子量が、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaである、請求項1~6のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項8】
約0.5%~約5%(ゲルの重量%)の量で使用される場合、又は約1.5%~4.5%、若しくは約2.5%~約3.5%の量で使用される場合、水溶液中で前記ゲルを形成することが可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項9】
a.約200g超、又は約200g~約500g、又は約225g~約500g、又は約275g~約500g、又は約300g~約500g、又は約300g~約400g、
b.約200g未満、又は約100g~約200g、又は約110g~約180g、又は約125g~約175g、又は約130g~約170g、及び
c.約100g未満、又は約10g~約100g、又は約20g~約100g、又は約25g~約100g、又は約25g~約80g、25g~約75g、からなる群から選択されるゲル強度を有する試験ゲルを形成することが可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項10】
前記ペクチン構成要素の前記エステル化度が、約30%~約45%(%DE)、又は約35%~約45%、又は約37%~約45%であり、
ゲル化柑橘類繊維材料の分子量が、約50~約200kDa、又は約50~約150kDa、又は約50~約125kDa、又は約50~約100kDaであり、
前記材料が、約200g超、又は約200g~約500g、又は約225g~約500g、又は約275g~約500g、又は約300g~約500g、又は約300g~約400gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る、請求項1~9のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項11】
前記ペクチン構成要素における前記エステル化度が、約46%~約55%(%DE)、又は約47%~約52%、又は約47%~約50%であり、
前記ゲル化柑橘類繊維材料の前記分子量が、約200kDa~約300kDA、又は約210kDa~約275kDa、又は約210kDa~約265kDa、又は約225kDa~約265kDa、又は約230kDa~約260kDaであり、
約200g未満、又は約100g~約200g、又は約110g~約180g、又は約125g~約175g、又は約130~約170gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る、請求項1~10のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維。
【請求項12】
前記エステル化度が、約10%~約20%(%DE)、又は約10%~約18%、又は約10%~約15%であり、
前記材料の前記分子量が、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaであり、
前記繊維が、約100g未満、又は約10g~約100g、又は約20g~約100g、又は約25g~約100g、又は約25g~約80g、25g~約75gである試験ゲルを形成し得る、請求項1~11のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維。
【請求項13】
前記ペクチン構成要素の前記エステル化度が、約60%~約65%(%DE)、又は約60%~約63%であり、
前記材料の前記分子量が、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaであり、
前記試験ゲルの前記ゲル強度が、約100g未満、又は約10g~約100g、又は約20g~約100g、又は約25g~約100g、又は約25g~約80g、25g~約75gである、請求項1~12のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項14】
前記試験ゲルの前記ゲル強度が、約20℃の温度で測定される、請求項1~13のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項15】
前記セルロース系構成要素が、マトリックスを形成し、前記ペクチン構成要素の少なくとも一部が、前記マトリックス内に存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法であって、
a.ペクチン構成要素及びセルロース系構成要素を含む粉砕柑橘類果皮を酸性溶液と混合して、酸洗浄柑橘類果皮を得ることと、
b.前記酸洗浄柑橘類果皮をアルカリ性溶液と混合して、前記ペクチン構成要素のエステル化度(%DE)を低減させ、それによって脱エステル化柑橘類果皮を得ることと、
c.前記脱エステル化柑橘類果皮を回収して、前記ゲル化柑橘類繊維材料を得ることと、を含む、方法。
【請求項17】
前記脱エステル化柑橘類果皮を、有機溶媒を含む溶液と混合して、前記脱エステル化柑橘類果皮を洗浄することを更に含み、任意選択的に、前記有機溶媒が、アルコールであり、それによってゲル化柑橘類繊維材料を得、任意選択的に、前記脱エステル化柑橘類果皮が、有機溶媒で2回以上、好ましくは3回洗浄される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程a)の前に、柑橘類果皮材料を得ることと、柑橘類果皮材料を粉砕して、前記粉砕柑橘類果皮を得ることと、を更に含み、任意選択的に、前記粉砕柑橘類果皮が、酸性溶液と混合する前に再水和される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記酸性溶液が、3未満、又は約1.5~約2.5のpHを有する、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記粉砕柑橘類果皮が、前記酸性溶液と約10分間~約90分間混合される、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記粉砕柑橘類果皮が、前記酸性溶液と、
a.約10分~約30分、
b.約30分~約50分、及び
c.約50分~約70分、からなる群から選択される時間にわたって混合される、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記アルカリ性溶液が、約8超若しくは約8.5超、又は8.5~約11、又は約9~約10のpHを有する、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記酸洗浄柑橘類果皮が、前記アルカリ性溶液と約1℃~約30℃の温度で混合される、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記酸洗浄柑橘類果皮が、前記アルカリ性溶液と、
a.約1℃~約10℃、又は約3℃~約7℃、
b.約10℃~約20℃、又は約12℃~約17℃、及び
c.約20℃~約30℃、又は約22℃~約27℃、からなる群から選択される温度で混合される、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ペクチン構成要素及びセルロース系構成要素を含む材料を伴う化学反応を監視する方法であって、
a.前記材料のスペクトルを記録することと、
b.前記スペクトルを、前記ペクチン構成要素又はセルロース系構成要素含有セルロース系材料のうちの1つ以上の第2のパラメータに対して前記スペクトルを相関させるモデルに対して評価することと、を含み、前記スペクトルが、少なくとも、
i.約1400~約845cm
-1の波数範囲、
ii.(A)約1400~約1050cm
-1、(B)約1050~約975cm
-1、(C)約975~約875cm
-1、並びに(D)約875及び約845cm
-1からなる群から選択される1つ以上の波数範囲、並びに
iii.(A)約1095~約1070cm
-1、(B)約1050~約1020cm
-1、(C)約975~約895cm
-1、及び(D)約875~約845cm
-1からなる群から選択される1つ以上の波数範囲、からなる群から選択される波数範囲内で評価され、
好ましくは、前記化学反応が、前記材料をゲル化柑橘類繊維に変換する、方法。
【請求項26】
前記スペクトルが、赤外分光法を使用して、好ましくはフーリエ変換赤外分光法を使用して測定される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第2のパラメータが、エステル化度、総ペクチン構成要素含有量、及び分子量からなる群から選択される、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記スペクトルが、前記ペクチン構成要素含有セルロース系材料を変化させる化学反応中に反応容器内で記録され、任意選択的に、前記化学反応が、前記ペクチン構成要素含有セルロース系材料のエステル化度、総ペクチン構成要素含有量、又は分子量のうちの1つ以上を変化させる、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記スペクトルが、請求項28のいずれか一項に記載のプロセス中に測定され、好ましくは、前記スペクトルが、少なくとも脱エステル化工程中に測定される、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記スペクトルが、反応容器から収集された試料を測定することによって記録され、任意選択的に、前記化学反応が、前記ペクチン構成要素含有セルロース系材料のエステル化度、総ペクチン構成要素含有量、又は分子量のうちの1つ以上を変化させる、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記スペクトルが、請求項25~30のいずれか一項に記載の反応中に得られた試料から記録され、好ましくは、前記スペクトルが、脱エステル化工程中に採取された試料から測定される、請求項25~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記スペクトルの評価に基づいて、前記化学反応の1つのパラメータを調整することを更に含み、任意選択的に、前記1つのパラメータが、前記材料の脱エステル化と関連している、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記化学反応からゲル化柑橘類繊維を回収することを更に含み、前記ゲル化柑橘類繊維が、請求項1~15に記載のとおりである、請求項25~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
組成物のテクスチャを加工するための、請求項1~33のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料の使用であって、任意選択的に、前記組成物が、食品組成物である、ゲル化柑橘類繊維材料の使用。
【請求項35】
前記ゲル化柑橘類繊維が、ゲル化剤として使用される、請求項34に記載のゲル化柑橘類繊維材料の使用。
【請求項36】
前記ゲル化柑橘類繊維材料が、約0.1%~約10%若しくは約0.5%~約5%(組成物の重量%)の量で使用されるか、又は約1.5%~4.5%若しくは約2.5%~約3.5%の量で使用される、請求項34又は35に記載のゲル化柑橘類繊維材料の使用。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料と、第2の成分と、を含む、組成物であって、任意選択的に、食品組成物である、組成物。
【請求項38】
前記第2の成分が、水性成分であり、前記ゲル化柑橘類繊維材料が、約0.1%~約10%若しくは約0.5%~約5%(前記組成物の重量%)の量で使用されるか、又は約1.5%~4.5%若しくは約2.5%~約3.5%の量で使用される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
ゲル化繊維材料であって、
a)セルロース系構成要素と、
b)40%~50%(ガラクツロン酸%(%GA))、又は約40%~約48%、又は約40%~約46%、又は約42%~約48%、又は約42%~約46%の量の会合ペクチン構成要素と、を含み、
前記ペクチン構成要素が、約10%~約80%のエステル化度(%DE)を有し、
前記ゲル化繊維材料が、約50kDa~約275kDaの分子量を有する、ゲル化繊維材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、柑橘類果皮に由来するペクチン含有セルロース系材料に関する。セルロース系材料は、水溶液中に分散された場合、強いゲルを形成し得るように加工される。少なくともいくつかの実施形態では、反応を制御し、所望のゲル強度を有するゲルを作製することが可能である最終生成物を得るために、加工反応中に起こるセルロース系材料の赤外線スペクトルの変化を監視する方法を含む、セルロース系材料を加工するための方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
ガラクツロン酸を多く含むヘテロ多糖であるペクチンは、植物の細胞壁及び中間ラメラマトリックスに関連する材料であるプロトペクチン(本明細書では、ペクチン含有セルロース系材料と称される)から得られる。ペクチンは、プロトペクチンの酸性加水分解から形成され、ペクチンは、水、糖、及びカルシウムイオンの存在下で有用な増粘剤である。一部のペクチンが水溶液を増粘するか、又はゲルを形成する能力は、多糖骨格に結合したメチルエステルによって限定される。したがって、一般的に、ペクチンの天然の有用性を広げるために、プロトペクチンは、酸を使用して抽出され、また、一般的に、柑橘類果皮をアルカリ性溶液中でインキュベートすることによって少なくとも部分的に脱エステル化される。
【発明の概要】
【0003】
基本的な抽出反応及び砂漠化反応の変更が、当該技術分野において記載されている。いくつかの変更は、ペクチン含有セルロース系材料を作製する。しかしながら、強いゲルを形成するペクチン含有セルロース系材料の必要性が依然として存在する。本明細書は、ペクチン含有セルロース系材料、好ましくは柑橘類果皮を加工して、強いゲルを形成する生成物を形成することによって得られるペクチン含有セルロース系材料について記載する。生成物は、セルロース系マトリックス内にペクチン構成要素を含む。生成物は、所定のエステル化度、所定の分子量を有し、水溶液中で強いゲルを形成し得る。本明細書に記載される原理は、概して、ペクチン(又はプロトペクチンを多く含むセルロース系材料)に応用され得るが、好ましい実施形態では、材料は、柑橘類果皮から作製される。本明細書において、柑橘類繊維から作製される好ましい実施形態は、ゲル化柑橘類繊維材料と称される。本明細書において、ゲル化柑橘類繊維材料を作製する方法、及びゲル化柑橘類繊維材料を作製する方法を制御する方法も開示される。
【0004】
本明細書に開示される技術は、以下の非限定的な図を参照してより良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】ゲル化柑橘類繊維を作製するための方法の実施形態のフローダイアグラムである。
【
図2】ゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法、及びゲル化柑橘類繊維材料を作製する方法を制御するための方法の実施形態を示すブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一態様では、本明細書は、ゲル化柑橘類繊維材料を開示する。任意の実施形態では、ゲル化柑橘類繊維材料は、セルロース系構成要素と、約40%~約50%(%GA)、又は約40%~約48%、又は約40%~約46%、又は約42%~約48%、又は約42%~約46%のガラクツロン酸パーセントを有するペクチン構成要素とを含み、ペクチン構成要素は、約10~約80%のエステル化度を有し、ゲル化柑橘類繊維材料は、約50kDa~約275kDaの分子量を有する。ゲル化柑橘類繊維材料は、柑橘類果実の果皮に由来し、任意の柑橘類果実が使用され得る。いくつかの実施形態では、柑橘類果実は、レモン、ライム、オレンジ、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましい実施形態では、ゲル化柑橘類繊維材料は、オレンジの果皮から得られ、オレンジの果皮は、単一のオレンジの種類又はオレンジの種類の混合物からであり得る。
【0007】
本明細書において、セルロース系構成要素及びペクチン構成要素を含むゲル化柑橘類繊維は、セルロース系構成要素及びペクチン構成要素が、ペクチンとセルロースとの単なる混合物ではない材料を指す。その代わりに、セルロース系構成要素とペクチン構成要素は、何らかの方法で会合している。会合の方式は限定されないが、少なくともペクチン構成要素及びセルロース系構成要素を一緒に保持する何らかの物理的会合を指す。ゲル化柑橘類繊維材料の少なくともいくつかの実施形態では、セルロース系構成要素は、マトリックスを形成し、ペクチン構成要素の少なくとも一部は、セルロース系マトリックス内に存在する。
【0008】
本明細書は、各実施形態が所定の範囲のエステル化度(%DE)を有する、ゲル化柑橘類繊維の別個の実施形態を更に規定する。1つの範囲では、ゲル化柑橘類繊維材料は、約30%~約45%(%DE)、又は約35%~約45%、又は約37%~約45%のエステル化度を有するペクチン構成要素を有する。第2の範囲では、ゲル化柑橘類繊維材料は、約46%~約55%(%DE)、又は約47%~約52%、又は約47%~約50%のエステル化度を有するペクチン構成要素を有する。第3の範囲では、ゲル化柑橘類繊維材料は、約10%~約20%(%DE)、又は約10%~約18%、又は約10%~約15%のエステル化度を有するペクチン構成要素を有する。第4の範囲では、ゲル化柑橘類繊維材料は、約60%~約65%(%DE)、又は約60%~約63%のエステル化度を有するペクチン構成要素を有する。
【0009】
様々な実施形態では、本明細書に記載されるゲル化柑橘類繊維は、分子量の範囲によって記載される。1つの範囲では、ゲル化柑橘類繊維材料は、約50~約200kDa、又は約50~約150kDa、又は約50~約125kDa、又は約50~約100kDaの分子量を有する。第2の範囲では、ゲル化柑橘類繊維材料は、約200kDa~約300kDa、又は約210kDa~約275kDa、又は約210kDa~約265kDa、又は約225kDa~約265kDa、又は約230kDa~約260kDaの所望の分子量を有する。第3の範囲では、ゲル化柑橘類繊維材料は、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaの所望の分子量を有する。
【0010】
本明細書に記載されるゲル化柑橘類繊維材料はまた、エステル化度と分子量との組み合わせによっても記載される。1つの範囲のセットでは、ゲル化柑橘類繊維材料は、約30%~約45%(%DE)、又は約35%~約45%、又は約37%~約45%のエステル化度、及び約50~約200kDa、又は約50~約150kDa、又は約50~約125kDa、又は約50~約100kDaの材料の分子量を有するペクチン構成要素を有する。第2の範囲のセットでは、ゲル化柑橘類繊維材料は、約46%~約55%(%DE)、又は約47%~約52%、又は約47%~約50%のエステル化度、及び約200kDa~約300kDa、又は約210kDa~約275kDa、又は約210kDa~約265kDa、又は約225kDa~約265kDa、又は約230kDa~約260kDaの材料の分子量を有するペクチン構成要素を有する。第3の範囲のセットでは、ゲル化柑橘類繊維材料は、約10%~約20%(%DE)、又は約10%~約18%、又は約10%~約15%のエステル化度、及び100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaの材料の分子量を有するペクチン構成要素を有する。第4の範囲のセットでは、ゲル化柑橘類繊維は、約60%~約65%(%DE)、又は約60%~約63%のエステル化度、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaの材料の分子量を有するペクチン構成要素を有する。
【0011】
エステル化度範囲と分子量範囲とのセットは、開示されたゲル化柑橘類繊維材料を使用することによって得られ得るゲルのゲル強度の所定の範囲に相関する。これらの範囲を例示するために、本明細書は、標準化された水溶液、標準化されたゲル化柑橘類繊維材料、及び標準化された製造方法を使用して、試験ゲルを規定する。試験ゲルは、得られ得るゲル強度を比較するのに有用であるが、他の点では、本明細書に記載されるゲル化柑橘類繊維材料から作製されるゲルの例示的な非限定的実施形態である。本明細書に記載される1つの実施形態のセットでは、ゲル化柑橘類繊維材料は、約200g超、又は約200g~約500g、又は約225g~約500g、又は約275g~約500g、又は約300g~約500g、又は約300g~約400gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る。第2の実施形態のセットでは、ゲル化柑橘類繊維材料は、約200g未満、又は約100g~約200g、又は約110g~約180g、又は約125g~約175g、又は約130g~約170gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る。本明細書に記載される第3の実施形態のセットでは、ゲル化柑橘類繊維材料は、約100g未満、又は約10g~約100g、又は約20g~約100g、又は約25g~約100g、又は約25g~約80g、又は約25g~約75gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る。
【0012】
本明細書に記載される特定の実施形態のセットを更に参照すると、約50~約200kDa、又は約50~約150kDa、又は約50~約125kDa、又は約50~約100kDaの分子量範囲を有し、約30%~約45%(%DE)、又は約35%~約45%、又は約37%~約45%のエステル化度範囲を有するペクチン構成要素を有するゲル化柑橘類繊維材料は、約200g超、又は約200g~約500g、又は約225g~約500g、又は約275g~約500g、又は約300g~約500g、又は約300g~約400gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る。
【0013】
本明細書に記載される別の実施形態のセットでは、約200kDa超~約300kDa、又は約210kDa~約275kDa、又は約210kDa~約265kDa、又は約225kDa~約265kDa、又は約230kDa~約260kDaの分子量範囲を有し、約46%~約55%(%DE)、又は約47%~約52%、又は約47%~約50%のエステル化度を有するペクチン構成要素を有するゲル化柑橘類繊維材料は、約200g未満、又は約100g~約200g、又は約110g~約180g、又は約125g~約175g、又は約130g~約170gであるゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る。
【0014】
本明細書に記載される更に別の実施形態のセットでは、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaの分子量を有し、約10%~約20%(%DE)、又は約10%~約18%、又は約10%~約15%のエステル化度を有するペクチン構成要素を有するゲル化柑橘類繊維材料は、約100g未満、又は約10g~約100g、又は約20g~約100g、又は約25g~約100g、又は約25g~約80g、又は約25g~約75gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る。
【0015】
本明細書に記載されるなお更に別の実施形態のセットでは、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaの分子量を有し、約60%~約65%(%DE)、又は約60%~約63%のエステル化度を有するペクチン構成要素を有するゲル化柑橘類繊維材料は、約100g未満、又は約10g~約100g、又は約20g~約100g、又は約25g~約100g、又は約25g~約80g、約25g~約75gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る。
【0016】
本明細書に開示されるゲル化柑橘類繊維材料は、工業用途、ホームケア用途、パーソナルケア用途、若しくは他の非食用用途のための組成物用を含む、組成物のテクスチャを加工するのに有用であるか、又は食品組成物において有用である。組成物又は食品組成物のテクスチャを加工するためのゲル化柑橘類繊維材料の使用は、ゲル又はゲルを含む組成物を形成するためのゲル化柑橘類繊維材料の使用を含む。本明細書に開示されるゲル化柑橘類繊維材料の任意の実施形態は、組成物又は食品組成物のテクスチャを加工するのに有用である。本明細書に開示される任意の実施形態では、ゲル化柑橘類繊維は、ゲル化剤として、又は組成物若しくは食品組成物中でゲルを形成するために使用される。本明細書に記載されるゲル化柑橘類繊維は、任意の望ましい量で使用され得るが、最も一般的には、組成物の約0.1%~約10%、又は0.5%~約5%、又は約1.5%~4.5%、又は約2.5%~約3.5%の量で使用される。
【0017】
本明細書はまた、任意の量で使用されるゲル化柑橘類繊維材料を含む組成物及び食品組成物も開示する。好ましい実施形態では、本明細書に記載される食品組成物は、約0.1%~約10%(組成物の重量で)、又は0.5%~約5%、又は約1.5%~4.5%、又は約2.5%~約3.5%の量のゲル化柑橘類繊維材料を含む。本明細書に開示される任意の実施形態では、組成物又は食品組成物は、本明細書の任意の実施形態に記載されるようなゲル化柑橘類繊維材料と、第2の成分と、を含む。本明細書に開示される任意の実施形態では、組成物又は食品組成物は、ゲル化柑橘類繊維及び水性成分を含む。本明細書に開示される任意の実施形態では、組成物又は食品組成物は、ゲル化柑橘類繊維材料、水性成分、及び少なくとも1つの他の成分を含む。本明細書に開示される任意の実施形態では、食品組成物は、ゲル化柑橘類繊維及び食用水性成分を含む。本明細書に開示される任意の実施形態では、食品組成物は、ゲル化柑橘類繊維材料、食用水性成分、及び少なくとも1つの他の食用成分を含む。
【0018】
本明細書に開示される食品組成物の任意の実施形態では、ゲル化柑橘類繊維材料及び食品組成物において使用される任意の第2の成分を含む。本明細書に記載される任意の実施形態では、食品組成物は、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、エンドウマメデンプン、ソラマメデンプン、レンズマメデンプン、ヒヨコマメデンプン、タピオカデンプン、ジャガイモデンプン、及びサゴデンプン、並びにこのようなデンプンの高アミロース変異体及び低アミロース変異体が挙げられるが、これらに限定されないデンプンを含む。そのようなデンプンはまた、小麦粉、タピオカ粉、米粉、及び挽き割りトウモロコシ粉を含む穀粉及び粉内にあってもよい。有用なデンプンは、加工されていても加工されていなくてもよい。加工デンプンは、リン酸塩又はアジピン酸塩を使用することを含めて架橋されてもよく、又はヒドロキシプロピル化及びアセチル化を含めて安定化されてもよい。有用なデンプンは、せん断、酵素、酸、化学物質、又は酸化を使用して変換又は加水分解され得る。デンプンはまた、加水分解以外の目的のために酸化によって有用に加工され得る。有用なデンプンは、熱抑制、アニーリング、又は湿熱処理などによって物理的に加工されてもよい。加工及び非加工デンプンは、アルファ化されてもよく、又はさもなければ冷水可溶性にされてもよい。
【0019】
任意の実施形態では、本明細書に記載されるゲル化柑橘類繊維材料を含む食品組成物は、甘味料を更に含み得る。有用な甘味料としては、デキストロース、アルロース、タガトース、フルクトース、グリセロール、スクロース、エリスリトール、レバウディオシド(A、B、J、Mなど)、及びグルコシル化ステビアグリコシド、並びに高フルクトーストウモロコシシロップを含むトウモロコシシロップが挙げられる。甘味料は、固体、又は粉末、又は液体、又はシロップの形態で提供され得る。
【0020】
任意の実施形態では、本明細書に記載されるようなゲル化柑橘類繊維材料を含む食品組成物は、ガム又はガム様材料を更に含み得る。有用なガム及びガム様材料としては、ゲル化デンプン、アラビアゴム、キサンタンガム、タラガム、コンニャク、カラギーナン、ローカストビーンガム、ゲランガム、グアーガム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
任意の実施形態では、本明細書に記載されるようなゲル化柑橘類繊維材料を含む食品組成物は、油又は脂肪又は水性成分を更に含み得る。有用な油としては、トウモロコシ油、オリーブ油、キャノーラ油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、ヤシ油などの植物油が挙げられる。有用な脂肪(植物油以外)としては、動物性脂肪及び乳脂肪が挙げられる。有用な水性成分としては、水、ミルク、シロップ、又は他の炭水化物含有液体、又は酸性液体、又は塩基性液体が挙げられる。
【0022】
任意の実施形態では、本明細書に記載されるようなゲル化柑橘類繊維材料を含む食品組成物は、食品組成物において一般的に使用される様々な他の香料、調味料、及び着色料を更に含み得る。
【0023】
任意の実施形態では、ゲル化柑橘類繊維材料を含む食品組成物は、任意の食品組成物である。任意の実施形態では、ゲル化柑橘類繊維材料を含む食品組成物は、ゲル状食品組成物である。任意の実施形態では、ゲル化柑橘類繊維材料を含む食品組成物は、(限定されないが)シリアル、パン及びパン製品、チーズ及び模造チーズ製品、香辛料、菓子、注入可能なドレッシング及びスプーンですくうことができるドレッシングを含むドレッシング、果実フィリング(パイに使用されるか否かを問わず、他の類似の果実調製品)及びクリームフィリングを含むパイフィリング、ホワイトソース及びチーズソースなどの乳製品ベースのソースを含むソース、グレービー、模造及びライトシロップ、プリン、カスタード、ヨーグルト、サワークリーム、パスタ、乳製品ベースの飲料を含む飲料、グレーズ、スープ、並びにベビーフードを含む群から選択される。
【0024】
別の態様では、本明細書はまた、本明細書に記載される任意の実施形態に適合するゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法を開示する。本明細書において、記載されるようなゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法の任意の実施形態は、ペクチン構成要素及びセルロース系構成要素を含む粉砕柑橘類果皮を酸性溶液と混合して、酸洗浄柑橘類果皮を得ることと、酸洗浄柑橘類果皮をアルカリ性溶液と混合して、ペクチン構成要素のエステル化度(%DE)を低減させ、それによって脱エステル化柑橘類果皮を得ることと、脱エステル化柑橘類果皮を回収して、ゲル化柑橘類繊維材料を得ることと、を含む。
【0025】
ゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法の別の実施形態が、
図1にフローダイアグラムとして示される。柑橘類果皮は、任意の好適な方法によって粉砕され、乾燥果皮又は新鮮な果皮から原材料として得され得る。果皮は、粉砕の前又は後に再水和され得、酸工程の前の再水和は、任意選択的である。
図1を参照すると、プロセスは、工程(11)において所望のサイズに乾式粉砕される乾燥果皮から始まる。粉砕柑橘類果皮は、工程(12)において、水又は水溶液を使用して再水和される。再水和された粉砕柑橘類果皮は、工程(13)において酸洗浄され、酸は、水洗工程(14)において柑橘類果皮から洗い流される。酸洗浄材料は、工程(15)において、酸洗浄柑橘類果皮を「脱エステル化」するために、エステル化度を低減させるアルカリ性インキュベーションに供される。次いで、脱エステル化柑橘類果皮(ゲル化柑橘類繊維である)をアルコール洗浄工程(16)において好ましくは3回洗浄し、乾燥工程(17)において乾燥させて、最終生成物を回収する。
【0026】
上記プロセスの変更が可能であり、例えば、アルコール洗浄は、ゲル化柑橘類繊維の灰含有量又は塩含有量を低減させるために有用であるが、所望のゲル強度のゲルを形成し得るゲル化柑橘類繊維材料を得るために厳密に必要ではない。したがって、ゲル化柑橘類繊維材料が洗浄される回数は、所望の灰又は塩含有量を得るために必要に応じて調整され得る。
【0027】
特に、好ましい実施形態では、酸洗浄は、水溶液(酸性アルコール溶液ではない)中で実行される。ペクチンは、水溶性であるので、酸洗浄中にセルロース系材料から洗い出されるペクチンの量を低減させるように注意する必要がある。例えば、以下に記載されるように、酸は、酸洗浄及び水洗工程後に、ゲル化柑橘類繊維と会合したペクチンが実質的に残るような温度、pH、及び時間で応用された。
【0028】
本明細書に記載されるように、ゲル化柑橘類繊維材料は、その分子量を参照して記載され得る。酸洗浄及びアルカリ性インキュベーションの両方は、原材料の分子量を低減させて、ゲル化柑橘類繊維の所望の分子量を得ることに寄与し得る。しかしながら、好ましくは、アルカリ性インキュベーションは、酸洗浄柑橘類果皮と比較して材料の分子量を実質的に更に変化させないように制御される。言い換えれば、好ましくは、ゲル化柑橘類繊維を得るために行われる柑橘類果皮の分子量低減の大部分は、酸洗浄工程中に起こる。具体的な反応条件に関して、本明細書に記載される任意の実施形態では、粉砕柑橘類果皮は、3未満、又は約1.5~約2.5のpHを有する酸性溶液と混合される。本明細書に開示されるゲル化柑橘類繊維材料の任意の実施形態では、粉砕柑橘類果皮は、約90分未満、又は約60分未満、又は約10分~約90分、又は約30~約90分、又は約10分~約60分、又は約30~約60分間、酸性溶液と混合される。ゲル化柑橘類繊維材料の実施形態の範囲は、柑橘類果皮をより狭く規定された時間、酸洗浄に供することによって得られ得る。1つの実施形態の範囲では、ゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法において、粉砕柑橘類果皮は、約10分間~約30分間、酸性溶液と混合される。ゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法の別の実施形態のセットでは、粉砕柑橘類果皮は、約30分間~約50分間、酸性溶液と混合される。ゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法の第3の実施形態のセットでは、粉砕柑橘類果皮は、約50分間~約70分間、酸性溶液と混合される。酸性溶液を作成するのに有用な酸としては、所望のpHを有する溶液を生成することが可能である任意の食品グレードの酸が挙げられ、塩酸などの鉱酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書に開示されるゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法の任意の実施形態では、粉砕柑橘類果皮を酸性溶液と混合することによって、酸洗浄柑橘類果皮が形成される。本明細書に開示されるゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法の任意の実施形態では、粉砕柑橘類果皮を酸性溶液と混合した後、本方法は、例えば遠心分離及び濾過を含む任意の好適な手段によって、酸洗浄柑橘類果皮を脱水することを含む。
【0030】
酸洗浄柑橘類果皮は、アルカリ性溶液中で更に反応する(本明細書において、得られた生成物は、(「脱エステル化柑橘類果皮」と称される)。上記のように、アルカリ性インキュベーションは、酸洗浄柑橘類果皮の分子量を更に低減させ得るが、好ましい実施形態では、相対的な分子量変化が小さくなるように設計される(酸洗浄柑橘類果皮から脱エステル化柑橘類果皮と比較して、柑橘類果皮から酸インキュベーションされた柑橘類果皮)。任意の実施形態では、アルカリ性インキュベーション中、酸洗浄柑橘類果皮は、選択された温度及び選択されたpHでアルカリ性溶液(水溶液)と混合されて、酸洗浄柑橘類果皮のエステル化度を制御可能に低減させる。実施形態では、アルカリ性インキュベーションのpHは、脱エステル化が起こり得るように約8超又は約8.5超であるが、所望のエステル化度を得るために脱エステル化が制御され得るように11未満である。好ましい実施形態では、アルカリ性インキュベーションのpHは、約9~約10である。
【0031】
温度もまた、脱エステル化反応の速度を制御するために重要である。広い実施形態の範囲では、脱エステル化反応のための温度は、約1℃~約30℃である。この範囲内において、温度は、最終生成物についての意図された目標範囲のエステル化度に基づいて選択される。1つの実施形態の範囲では、酸洗浄柑橘類果皮は、約1℃~約10℃、又は約3℃~約7℃の温度でアルカリ性溶液と混合されて、エステル化度を低減させる。ゲル化柑橘類繊維材料を作製するための別の実施形態の範囲では、酸洗浄柑橘類果皮は、約10℃~約20℃、又は約12℃~約17℃の温度でアルカリ性溶液と混合されて、エステル化度を低減させる。第3の実施形態のセットでは、ゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法において、酸洗浄柑橘類果皮は、約20℃~約30℃又は約22℃~約27℃の温度でアルカリ性溶液と混合される。本明細書に開示されるゲル化柑橘類繊維材料を作製する方法の任意の実施形態では、酸洗浄柑橘類果皮をアルカリ性溶液と混合することによって、セルロース系構成要素及び脱エステル化ペクチン構成要素を含む材料が得られる。ペクチン構成要素のエステル化度を低減させるためのアルカリ性インキュベーションに続いて、脱エステル化柑橘類果皮は、乾燥、濾過、遠心分離、及びこれらの混合などの当技術分野における一般的な手段を使用して回収される。
【0032】
本明細書に開示される少なくともいくつかの実施形態では、ゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法は、有機溶媒、好ましくはアルコールを使用して脱エステル化柑橘類果皮を洗浄することを含む。材料は、2回以上、例えば2回若しくは3回、又はそれ以上洗浄され得る。洗浄工程は、厳密には必要ではないが、最終生成物の塩又は灰含有量を低減させる。材料を洗浄した後、遠心分離、濾過、及び蒸発、並びにこれらの混合を含む任意の好適な方法を使用して溶媒が除去される。上記のように、好ましくは、有機溶媒は、アルコールであり、任意の食品グレードの有機溶媒が使用され得るが、好ましい溶媒は、エタノールである。
【0033】
別の態様では、本明細書は、ゲル化柑橘類繊維材料を得るために、ペクチン構成要素及びセルロース系構成要素を含む材料を伴う化学反応を監視するための方法を開示する。反応は、赤外(「IR」)分光法及び好ましくはフーリエ変換赤外(「FTIR」)分光法を使用して監視され、ゲル化柑橘類繊維材料を得るための方法の1つ以上の工程中に起こる波数の重要な範囲の変化に基づく。例えば、本明細書に記載される少なくともいくつかの実施形態では、柑橘類果皮のセルロース系構成要素及びペクチン構成要素を加工するための1つの化学反応のセットは、出発材料の分子量を低減させる酸洗浄工程を含む。別の例では、本明細書に記載される少なくともいくつかの実施形態では、柑橘類果皮のセルロース系構成要素及びペクチン構成要素を加工するための1つの化学反応のセットは、柑橘類果皮を脱エステル化するアルカリ性インキュベーションを含む。別の例では、ゲル化柑橘類繊維材料は、ガラクツロン酸パーセントによって測定されるペクチン構成要素を含み、ガラクツロン酸の変化は、例えば、酸洗浄、アルカリ性インキュベーション、及びアルコール洗浄のうちの1つ以上の間に測定される。
【0034】
好ましい実施形態では、アルカリ性インキュベーションの赤外スペクトル変化が監視され、所望のエステル化度を得るために脱エステル化が制御され得る。一実施形態では、本明細書は、ペクチン構成要素及びセルロース系構成要素を含む材料を伴う化学反応を測定する方法であって、材料のスペクトルを記録することと、スペクトルをペクチン構成要素又はセルロース系構成要素のうちの1つ以上の第2のパラメータに対してスペクトルを相関させるモデルに対して評価することと、を含み、スペクトルが、少なくとも、約1400~約850cm-1の波数範囲、(A)約1400~1050cm-1、(B)1050~975cm-1、(C)975~875cm-1、並びに(D)875及び約850cm-1からなる群から選択される1つ以上の波数範囲、並びに(A)約1095~約1070cm-1、(B)約1050~約1020cm-1、(C)約975~約895cm-1、及び(D)約875~約845cm-1からなる群から選択される1つ以上の波数範囲、からなる群から選択される波数範囲内で評価され、好ましくは、化学反応が、材料をゲル化柑橘類繊維に変換する、方法について記載する。
【0035】
モデルを作製するために使用される波数範囲を参照する。モデルは、より広い範囲の波数を記録又は測定することによって作成され得る。例えば、モデルは、3500~650cm-1又は更に広い範囲の波数を監視することによって構築され得る。上記のものなどのより狭い波数範囲は、ゲル化柑橘類繊維材料における関心のあるパラメータを予測するためのモデルを開発するために、それらをいかにうまく使用し得るかに基づいて選択される。
【0036】
材料のスペクトルを記録する工程、及びスペクトルをペクチン構成要素の第2のパラメータに対してスペクトルを相関させるモデルに対して評価する工程に関して、第2のパラメータは、赤外分光法を使用して測定可能なスペクトルの変化に対して相関し得る任意の有用なパラメータであり得、このようなパラメータとしては、ガラクツロン酸パーセント、又はエステル化度、又はゲル化柑橘類繊維材料の分子量が挙げられる。好ましい実施形態では、第2のパラメータは、エステル化度である。エステル化度は、例えば、Schultz(1965)(「Determination of the degree of esterification of pectin,determination of the ester methoxyl content of pectin by saponification and titration.Determination of the anhydro uronic acid content by decarboxylation and titration of the liberated carbon dioxide.」Whistler RL,Wolfrom ML(eds)Methods in carbohydrate chemistry,vol 5.Academic Press,New York)、及びLin et al.(1990)(「Quantification of methyl ester content of pectin by pectinesterase.」Botanical Bulletin of Academia Sinica:Vol 31.Page 273-278.)に記載されている滴定プロセスを使用して測定され得る。これらの方法の変更が可能であり、本方法は、特定の必要性に適合され得る。本明細書で使用される場合、概して、本方法は、2つの部分:(1)材料の洗浄、及び(2)二重滴定に分割され得る。試料を洗浄することによって、酸性アルコールを使用してあらゆる塩、糖、及び対イオンが除去されて、全てのペクチンがエステル化形態であるか、又は遊離酸として存在することが確実になる。第1の滴定は、遊離酸基を決定するために使用され、次いで、中性溶液は、Schultz(1965)によって提案された第2の滴定法において使用され得る。エステル化度を測定するのに有用な詳細な滴定プロセスは、本明細書の方法の節に記載される。
【0037】
赤外線スペクトルと第2のパラメータとを相関させるモデルは、任意の好適なプロセスを使用して開発され得る。一実施形態では、化学反応混合物の試料は、所定の時間に分析される。これらの時点で、第2のパラメータとスペクトルとの両方が測定される。試料は、パラメータの変化をスペクトルの変化と相関させる統計分析を使用して相関する。少なくとも1つの実施形態では、広範囲の脱エステル化試料が得られる。任意の数の試料がモデルを開発するために使用され得るが、より正確なモデルは、より多くの試料を用いて開発される。IRスペクトルの変化を測定されたエステル化度と相関させるモデルに関して、エステル化度は、滴定法を使用して測定され得、統計分析、例えば、部分最小二乗回帰モデルを使用して、スペクトルをエステル化度と相関させ得る。他の回帰アルゴリズムは、主構成要素回帰、多重線形回帰、又はニューラルネットワークを含む、本明細書に記載される反応を監視するための有用なモデルを構築するために、当業者によって使用及び/又は修正され得る。
【0038】
ゲル化柑橘類繊維材料の所望のパラメータ、例えば、エステル化度、の値のモデル生成又は予測するためのスペクトルは、反応容器内のプローブを使用して記録され得る。プローブは、スペクトルを測定し、測定されたスペクトルを測定手段に送り、反応材料、例えばセルロース系構成要素又はペクチン構成要素の所望のパラメータをモデル生成又は予測するのに使用するために設定され得る。様々な実施形態では、監視されている化学反応の1つのパラメータは、反応材料のパラメータの予測値に基づいて変更され得る。例えば、好ましい実施形態では、計算手段は、脱エステル化反応容器内のプローブから得られた測定スペクトルの少なくとも一部を脱エステル化モデルと比較することによって、アルカリ性脱エステル化中のペクチン構成要素のエステル化度を予測する。予測エステル化度が所望のエステル化度と一致する場合、計算手段は、例えば、反応容器内のpHを低減させて、脱エステル化反応を停止させることによって、脱エステル化反応を停止させるように制御手段に信号を送り得る。
【0039】
ゲル化柑橘類繊維を作製するためのプロセスを監視及び制御するためのプロセスの実施形態のブロックダイアグラムが
図2に示される。ゲル化柑橘類繊維材料を作製するためのプロセス(20)に関して、原材料は、工程(21)において提供され、原材料は、反応工程(22)において加工され、最終生成物は、工程(23)において回収される。一実施形態では、反応工程は、酸洗浄工程、脱エステル化工程、及びアルコール洗浄工程のうちの1つ以上を組み合わせることを特徴とする。一実施形態では、反応工程は、原材料の分子量を低減させるための1つ以上の工程と、原材料を脱エステル化するための1つ以上の工程とを組み合わせることを特徴とする。
【0040】
図2を更に参照すると、ゲル化柑橘類繊維材料を得るためのプロセスを監視するためのプロセスは、インサイチュIR(赤外線)監視工程(31)、データ処理工程(32)、モデリング工程(33)、DE(エステル化度)予測工程(34)、及びプロセス制御(35)工程によって反応を監視すること(30)を含む。用途において、これらの工程は、ブレンドされたり、又はオーバーラップされたり、又はより少ない工程に組み合わされ得る。一般的に言えば、
図1に記載される工程に関連して、IRスペクトルが監視及び記録される。IRデータは、DE予測モデルに対して相関し得るIRスペクトルを少なくとも得るために処理され、測定時に反応材料のエステル化度を予測することを可能にする。予測されたDEを使用して、反応の少なくとも1つのパラメータを調整することによって、例えば、反応のpHを調整して、脱エステル化を停止することによって、プロセスが制御され得る。
【0041】
他の実施形態では、ゲル化柑橘類繊維材料の所望のパラメータ、例えばエステル化度のモデル生成又は予測するためのスペクトルは、化学反応中に得られたる試料から記録され得る。このような実施形態では、反応流体の試料が抽出され、加工出発物質が回収され、そのスペクトルを測定するためにプローブ上に配置される。次いで、測定されたスペクトルを使用して、予測モデルを開発するか、又は計算手段によって予測モデルを応用して、IRスペクトルを使用して、エステル化度を予測する。このようにして収集された試料は、リアルタイムではないが、エステル化度を計算するための滴定法と比較して、予測モデルは、試料のエステル化度を決定するためのより迅速でより化学的に負荷の少ない手段である。
【0042】
スペクトルをパラメータの測定値と相関させるため、モデルから所望のパラメータの値を予測するため、又は化学反応を制御するための機械及び手段は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、及び分散コンピューティングシステムを含む任意の好適な処理デバイス又はシステムを含む。スペクトル、パラメータ予測、又はスペクトル若しくは予測に基づく制御信号を通信するための機械及び手段(このような通信は、任意の目的のためである)は、任意の通信プロトコルを使用する有線及び無線通信手段を含む。
【0043】
これらの手段の非限定的な例及び更なる記載は、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を有する機械を含み、これは、システムの一体部分であり得るか、又は概して、任意のコンピュータ及び/若しくは処理デバイスの一部として収容され得る。HMIを含むかどうかにかかわらず、このようなデバイス、手段、又は機械の非限定的な例は、中央処理ユニット単独であり得、又はタブレット、電話、ハンドヘルドデバイス、ラップトップ、ユーザディスプレイ、若しくは概して、入力を可能にし、オプションを提供し、電子機能の出力を示すことが可能な任意の他のコンピューティングデバイスであり得る。中央処理ユニット(CPU)は、中央プロセッサ又はメインプロセッサとも称され、命令によって指定される基本的な算術、論理、制御、及び入力/出力(I/O)動作を行うことによって、コンピュータプログラムの命令を実行するコンピュータ内の電子回路である。また更なる例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は別の好適なプログラム可能デバイス及びメモリが挙げられる。コントローラはまた、他の構成要素も含み得、レジスタ転送レベル(「RTL」)設計プロセスを通して開発されたチップなどの半導体(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」))チップ上に部分的又は全体的に履行され得る。
【0044】
HMIは、ユーザインターフェース(UI)又はグラフィカルユーザインターフェース(GUI)などの情報を提供し得るか、又は入力を可能にし得るディスプレイを組み込み得る。ユーザインターフェースは、ユーザが機械とどのように相互作用するかである。ユーザインターフェースは、デジタルインターフェース、コマンドラインインターフェース、グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)、又はユーザが機械と相互作用し得る任意の他の方法であり得る。例えば、ユーザインターフェース(「UI」)は、デジタル及びアナログ入力及び/若しくは出力デバイスの組み合わせ、又はデバイスに対する所望のレベルの制御及び監視を達成するために必要とされる任意の他の種類のUI入力/出力デバイスを含み得る。入力及び/又は出力デバイスの例としては、コンピュータマウス、キーボード、タッチスクリーン、ノブ、ダイヤル、スイッチ、ボタンなどが挙げられる。次いで、UIから受信された入力がマイクロコントローラに送信されて、デバイスの動作態様を制御し得る。
【0045】
ユーザインターフェースモジュールは、入力及び/又は出力デバイスとして作用し得るディスプレイを含み得る。より具体的には、ディスプレイは、液晶ディスプレイ(「LCD」)、発光ダイオード(「LED」)ディスプレイ、有機LED(「OLED」)ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ(「ELD」)、表面伝導型電子放出ディスプレイ(「SED」)、電界放出ディスプレイ(「FED」)、薄膜トランジスタ(「TFT」)LCD、双安定コレステリック反射型ディスプレイ(すなわち電子ペーパー)などであり得る。ユーザインターフェースはまた、リアルタイム又は実質的にリアルタイムで主デバイスに関連する条件又はデータを表示するために、マイクロコントローラと共に構成され得る。
【0046】
本明細書に記載される実施形態のいずれかによれば、HMI若しくは他の計算デバイス若しくは制御デバイス、手段、又は機械はまた、システムと関連するデータを記憶し得るメモリを含み得るか、又はさもなければ、メモリに動作可能に接続され得る。このようなデータは、システムがより効率的に動作するために過去のデータを「ルックアップ」し得るように、過去の情報及びテーブルを含むように動的に可変の方式でシステムを動作させるために使用され得る。メモリは、いくつかの実施形態では、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含む。プログラム記憶領域及びデータ記憶領域は、読み出し専用メモリ(「ROM」、不揮発性メモリの一例、電源に接続されていないときにデータを失わないことを意味する)、又はランダムアクセスメモリ(「RAM」、揮発性メモリの一例、電源に接続されていないときにそのデータを失うことを意味する)などの異なる種類のメモリの組み合わせを含み得る。揮発性メモリのいくつかの追加例としては、スタティックRAM(「SRAM」)、ダイナミックRAM(「DRAM」)、シンクロナスDRAM(「SDRAM」)などが挙げられる。不揮発性メモリの追加例としては、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカードなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロセッサ、マイクロプロセッサ、又はマイクロコントローラなどの処理ユニットは、メモリに接続され、メモリのRAM(例えば、実行中)、メモリのROM(例えば、概して永続的に)、又は別のメモリ又はディスクなどの別の非一過性のコンピュータ可読媒体に記憶可能であるソフトウェア命令を実行する。
【0047】
HMI、制御、計算デバイス、機械、又は手段は、システムと別個であるか一体であるかにかかわらず、多くの方法で電力供給され得る。電源装置は、デバイス又は構成要素又はデバイスの構成要素に特定の電圧を出力する。電源装置は、DC電源装置(例えば、バッテリ)、AC電源装置、リニアレギュレータなどであり得る。電源装置は、発電機又はソーラーパネルなどの他のグリッド独立電源から電力を受け取るようにマイクロコントローラと共に構成され得る。バッテリに関しては、乾電池(又は湿電池)が使用され得る。加えて、バッテリは、鉛蓄電池、低自己放電ニッケル水素バッテリ(LSD-NiMH)バッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ(NiCd)、リチウムイオンバッテリ、又はリチウムイオンポリマー(LiPo)バッテリなどの充電式であり得る。リチウムイオンバッテリ又はLiPoバッテリを使用する場合、バッテリによって生成される熱による予期せぬ発火のリスクを回避するために、細心の注意が払われるべきである。このような事故は稀であるが、適切な設計、設置、手順、及びセーフガードの層を介して、リスクが許容可能であるように最小化され得る。
【0048】
本明細書に記載される実施形態のいずれかによれば、HMI、制御若しくは計算デバイス、手段、又は機械、並びにそれらの構成要素のいずれかは、システムと一体化され得るか、又は独立型及び分離され得る。いずれの意味においても、HMI、制御、又は計算デバイス、手段、又は機械のうちの1つ以上の構成要素は、システム(30)に関連する情報の転送が、システムの構成要素間及び構成要素の外部で通信されることを可能にするネットワーク/通信構成要素及びプロトコルを含み得る。これは、後のレビュー及び使用のために特定の動作情報を記憶するサーバ又は他のメモリの中央ネットワークへの情報の転送を含み得る。情報はまた、物理的に存在する必要なく、システムの動作の遠隔監視を可能にするように、1つ以上の遠隔デバイスに転送され得る。情報はまた、システムの効率を高めるのを助けるために、システムの1つ以上のサブ動作の動作を微調整するために利用され得る。また更に、遠隔位置のうちの1つ以上は、閉ループ動的制御システムが自己改善することを可能にする機械学習を含むことが企図される。
【0049】
本明細書に記載される実施形態のいずれかによれば、ネットワークは、単なる例として、TCP/IPベースのネットワーク又はセルラーネットワークなどの広域ネットワーク(「WAN」)、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、近隣エリアネットワーク(「NAN」)、ホームエリアネットワーク(「HAN」)、又はWi-Fi、Bluetooth、ZigBee、近距離無線通信(「NFC」)などの様々な通信プロトコルのいずれかを用いるパーソナルエリアネットワーク(「PAN」)であるが、他の種類のネットワークも可能であり、本明細書で企図される。ネットワークは、典型的には、低品質接続の瞬間に通信モジュールと中央ロケーションとの間の通信を可能にする。ネットワークを通る通信は、ポートベースのネットワークセキュリティのためのIEEE 802.1標準、事前共有キー、拡張可能認証プロトコル(「EAP」)、有線等価プライバシー(「WEP」)、時間的キー完全性プロトコル(「TKIP」)、Wi-Fiプロテクト・アクセス(「WPA」)などで提供されるこれらの技術などの1つ以上の暗号化技術を使用して保護され得る。
【0050】
本明細書で記載される実施形態のいずれかによれば、HMIなどのデバイスは、データを転送、受信、又は記憶するために、イーサネット、シリアルアドバンストテクノロジーアタッチメント(「SATA」)、ユニバーサルシリアルバス(「USB」)、又は統合ドライブエレクトロニクス(「IDE」)などの1つ以上の通信ポートを含み得る。
【0051】
本明細書の方法及び組成物は、柑橘類果皮出発材料から作製される好ましい実施形態を参照することによって記載されている。本方法はまた、本明細書に記載されるエステル化度、ペクチン含有量、及び/又は分子量を有する組成物を得るために、他のペクチン含有セルロース系材料にも応用され得る。最も広い意味では、実質的に全ての植物がペクチン含有セルロース系材料を含むが、いくつかは、本明細書に記載される範囲外であるペクチン含有量(%GA)を有するため、好適な出発材料ではない場合がある。有用な出発材料は、丸ごとの又は粉砕果実及び野菜、リンゴ、モモ、アプリコット、ネクタリンなどの石果、ブルーベリー、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーなどのベリー類、ニンジンなどの根菜類、他の類似の果実及び野菜からピューレを作成する際に出る搾りかす、ベシクルなどの柑橘類果実の果皮以外の構成要素、豆類外皮又は種子(エンドウマメ、レンズマメ、ソラマメ、ヒヨコマメを含む)などの他の植物性源からの繊維、ジャガイモの皮、タピオカの皮、トウモロコシの外皮、米ぬかなど、デンプン製造からの繊維廃棄物などである。ステビア植物の葉など、他の目的で収穫された植物の葉又は植物の葉の残余物からの繊維。
【0052】
ゲル化繊維材料、ゲル化柑橘類繊維材料、このような材料を作成するための方法、及びこのような材料を作製するための反応を監視するための方法の実施形態は、以下の定義を参照してより良好に理解され得る。
【0053】
本明細書における「セルロース系構成要素」への言及は、植物又は植物部分、例えば柑橘類果皮の細胞壁又は細胞壁断片からなるゲル化材料又はゲル化柑橘類繊維材料の構成要素を意味する。細胞壁のいかなる特定の断片にも限定されないが、セルロース系構成要素は、セルロース、セルロース断片、及びヘミセルロースのうちの1つ以上を含むことが予想される。
【0054】
本明細書における「セルロース系マトリックス」への言及は、少なくとも部分的にペクチン構成要素を含む構造又は媒体を形成するセルロース系構成要素を意味する。
【0055】
本明細書における「ペクチン構成要素」又は「ペクチン」への言及は、プロトペクチン、ペクチン、及びペクチン酸のうちの1つ以上であり、セルロース系構成要素と会合しているか、又は少なくとも部分的にセルロース系マトリックス内に存在するガラクツロン酸を多く含む多糖類を意味する。ペクチン構成要素は、ゲル化繊維材料に対するガラクツロン酸パーセント(「%GA」)を参照することを特徴とし得る。%GAは、ゲル化柑橘類繊維材料の総ペクチン含有量の代用として使用されるか、ペクチン構成要素であるゲル化柑橘類繊維材料のパーセントの代用として使用される。
【0056】
本明細書における「脱エステル化」及びその文法上の変種への言及は、原材料と比較して、ペクチン構成要素又はペクチンからメチルエステル基の少なくとも一部を除去する化学反応を意味する。ペクチン構成要素は、本質的にメチルエステル基を有さないように脱エステル化され得るが、好ましくは、本明細書に記載されるように、脱エステル化ペクチン構成要素は、実質的なエステル化度を有する。
【0057】
ゲル化柑橘類繊維は、所定のゲル強度を有するゲルを形成する能力によって評価され得る。比較の目的のために、全てのゲル強度は、所定の方法を使用し、所定の水溶液からの「試験ゲル」を使用して測定される。本明細書における「試験ゲル」への言及は、以下の配合及び方法を使用して作製されたゲルを指す。
【0058】
本明細書において、試験ゲルは、表1の配合を使用して作製される。
【0059】
【0060】
本明細書において、試験ゲルは、以下の方法を使用して作製される。濾過水道水1~4とは、濾過水道水をプロセス内の4つの異なるタイミングで、当該量で添加することを指し、それ以外は濾過水道水1~4に差異はないことに留意されたい。濾過は、標準的な飲用である。濾過水道水1を秤量し、撹拌棒を備えたプラスチックビーカーに入れる。繊維を秤量し、濾過水道水1中で撹拌しながら分散させる。混合物を約15分間撹拌する。ヘキサメタリン酸ナトリウム及び糖を秤量し、分散液に添加する。次いで、混合物のpHを、プラスチックピペットを使用して塩酸を滴下で使用してpH4に調整する(必要に応じて)。次いで、混合物を予備秤量したステンレス鋼ビーカー(600ml)に移し、水浴中で撹拌しながら70~80℃まで加熱する。設定温度に達した後、混合物を浴中に10分間保持する。
【0061】
別個のプラスチックビーカー内で、予備秤量した濾過水道水2とリン酸水素カルシウムとを一緒に混合する。振盪後、カルシウム溶液を繊維混合物に添加する。
【0062】
別の別個のプラスチックビーカー内で、濾過水道水3及びグルコノ-デルタ-ラクトンを予備秤量し、一緒に混合して、ラクトンを溶解する。混合後、溶液を繊維混合物に添加する。濾過水道水4を秤量し、ビーカー上に残ったラクトン又はカルシウム混合物を洗い落とすために使用する。洗浄液を繊維混合物に添加する。繊維混合物を水浴から取り出し、秤量する。100gの配合の場合、溶液の総重量は、約100gである。そうでない場合、濾過水道水を使用して水分を戻し、周囲温度で24時間冷却させる。
【0063】
数字を修飾するための「約」の使用は、プラス又はマイナス10%を記述した数を含むことを意味する。特許請求の範囲における値の法的に許容される記述は、概ねその値を意味する。特許請求の範囲、又は明細書における約の使用は、対象にする等価物の全範囲を制限することを意図するものではない。
【0064】
不定冠詞「a」又は定冠詞「the」の記述は、文脈が別様に明確に規定しない限り、1つ以上を意味することを意味する。
【0065】
特定の実施形態を例示及び説明してきたが、当業者であれば、前述の明細書を読んだ後、方法、及び本技術の変更、均等物での置換、及びその他の種類の改変を実施することができる。上記の各態様及び実施形態はまた、他の態様及び実施形態のいずれか又は全てに関して開示されるような、かかる変形形態又は態様を含むか、又はそれらに組み込まれることができる。
【0066】
本技術はまた、本技術の個々の態様の単一の例示として意図される、本明細書に記載される態様に関して限定されるものではない。当業者には明らかであるように、本技術の多くの修正及び変更は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本技術の範囲内の機能的に等価な方法は、本明細書で列挙されるものに加えて、前述の記載から当業者に明らかとなろう。かかる修正及び変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本技術は、当然のことながら、変化し得る、方法、複合体、試薬、化合物、組成物、標識化合物、又は生物学的系に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別途記載のない限り、又は別様に文脈と明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で使用される用語は、態様の説明のみを目的とするものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。それゆえ、本明細書は、添付の特許請求の範囲、その定義、及びそれらの任意の等価物のみによって示される本技術の広さ、範囲、及び趣旨のみの例示としてみなされることが意図される。本明細書中の言語は、いかなる特許請求されていない要素も必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0067】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書で具体的に開示されていない任意の要素(複数可)、限定(複数可)のない状況で好適に実践され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む、挙げられる(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡大的に読み取られ、限定するものではない。追加的に、本明細書で用いられる用語及び表現は、説明の用語として使用されており、限定するものではなく、かかる用語及び表現の使用において示され及び記載される特徴又はその部分の任意の等価物を排除する意図はないが、特許請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。加えて、「から本質的になる」という語句は、具体的に列挙されたそれらの要素、並びに特許請求の範囲の技術の基本的及び新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素を含むと理解されよう。「からなる」という語句は、指定されていない任意の要素を除外する。
【0068】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者は、本開示がまた、マーカッシュ群のメンバーの任意の個々のメンバー又はサブグループに関して記載されることを認識するであろう。一般的な開示内に含まれるより狭い種及び下位集団の各々はまた、その技術の一部を形成する。これは、切除された材料が本明細書に具体的に記述されているかどうかにかかわらず、属から任意の主題を除去する条件又は否定的な制限を有する技術の概念の記載を含む。
【0069】
当業者に理解されるように、任意の及び全ての目的のため、特に記載された説明を提供するという観点から、本明細書に開示される全ての範囲はまた、任意の及び全ての可能な部分範囲及びそれらの部分範囲の組み合わせも包含する。いかなる列記された範囲も、少なくとも半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割されている同じ範囲を十分に説明かつ可能にするものと容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下3分の1、中3分の1、及び上3分の1などに容易に分割することができる。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「超」、「未満」などの言語は全て、記述された数を含み、後に上で考察される部分範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各々の個々の部材を含み、各別個の値は、本明細書において個々に記述されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0070】
本明細書に開示される技術は、以下の非限定的な態様を参照して更に記載される。
1.ゲル化柑橘類繊維材料であって、a)セルロース系構成要素と、b)40%~50%(ガラクツロン酸%(%GA))、又は約40%~約48%、又は約40%~約46%、又は約42%~約48%、又は約42%~約46%の量の会合ペクチン構成要素と、を含み、ペクチン構成要素が、約10%~約80%のエステル化度(%DE)を有し、ゲル化柑橘類繊維材料が、約50kDa~約275kDaの分子量を有し、任意選択的に、ゲル化柑橘類繊維材料が、柑橘類果皮から得られる、ゲル化柑橘類繊維材料。
2.ペクチン構成要素が、約30%~約45%(%DE)、又は約35%~約45%、又は約37%~約45%;約46%~約55%(%DE)、又は約47%~約52%、又は約47%~約50%;約10%~約20%(%DE)、又は約10%~約18%、又は約10%~約15%;及び約60%~約65%(%DE)、又は約60%~約63%、からなる群から選択されるエステル化度を有する、請求項1に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
3.材料が、約50~約200kDa、又は約50~約150kDa、又は約50~約125kDa、又は約50~約100kDa;約200kDa~約300kDa、又は約210kDa~約275kDa、又は約210kDa~約265kDa、又は約225kDa~約265kDa、又は約230kDa~約260kDa;及び100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDa、からなる群から選択される分子量を有する、請求項1又は2に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
4.ペクチン構成要素のエステル化度が、約30%~約45%(%DE)、又は約35%~約45%、又は約37%~約45%であり、材料の分子量が、約50~約200kDa、又は約50~約150kDa、又は約50~約125kDa、又は約50~約100kDaである、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
5.ペクチン構成要素におけるエステル化度が、約46%~約55%(%DE)、又は約47%~約52%、又は約47%~約50%であり、材料の分子量が、約200kDa~約300kDa、又は約210kDa~約275kDa、又は約210kDa~約265kDa、又は約225kDa~約265kDa、又は約230kDa~約260kDaである、請求項1~4のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
6.エステル化度が、約10%~約20%(%DE)、又は約10%~約18%、又は約10%~約15%であり、材料の分子量が、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaである、請求項1~5のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
7.ペクチン構成要素のエステル化度が、約60%~約65%(%DE)、又は約60%~約63%であり、材料の分子量が、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaである、請求項1~6のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
8.約0.5%~約5%(ゲルの重量%)の量で使用される場合、又は約1.5%~4.5%、若しくは約2.5%~約3.5%の量で使用される場合、水溶液中でゲルを形成することが可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
9.約200g超、又は約200g~約500g、又は約225g~約500g、又は約275g~約500g、又は約300g~約500g、又は約300g~約400g;約200g未満、又は約100g~約200g、又は約110g~約180g、又は約125g~約175g、又は約130g~約170g;及び約100g未満、又は約10g~約100g、又は約20g~約100g、又は約25g~約100g、又は約25g~約80g、25g~約75gからなる群から選択されるゲル強度を有する試験ゲルを形成することが可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
10.ペクチン構成要素のエステル化度が、約30%~約45%(%DE)、又は約35%~約45%、又は約37%~約45%であり、ゲル化柑橘類繊維材料の分子量が、約50~約200kDa、又は約50~約150kDa、又は約50~約125kDa、又は約50~約100kDaであり、材料が、約200g超、又は約200g~約500g、又は約225g~約500g、又は約275g~約500g、又は約300g~約500g、又は約300g~約400gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る、請求項1~9のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
11.ペクチン構成要素におけるエステル化度が、約46%~約55%(%DE)、又は約47%~約52%、又は約47%~約50%であり、ゲル化柑橘類繊維材料の分子量が、約200kDa~約300kDa、又は約210kDa~約275kDa、又は約210kDa~約265kDa、又は約225kDa~約265kDa、又は約230kDa~約260kDaであり、約200g未満、又は約100g~約200g、又は約110g~約180g、又は約125g~約175g、又は約130g~約170gのゲル強度を有する試験ゲルを形成し得る、請求項1~10のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維。
12.エステル化度が、約10%~約20%(%DE)、又は約10%~約18%、又は約10%~約15%であり、材料の分子量が、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaであり、繊維が、約100g未満、又は約10g~約100g、又は約20g~約100g、又は約25g~約100g、又は約25g~約80g、25g~約75gである試験ゲルを形成し得る、請求項1~11のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維。
13.ペクチン構成要素のエステル化度が、約60%~約65%(%DE)、又は約60%~約63%であり、材料の分子量が、100kDa~約200kDa、又は約100kDa~約150kDa、又は約100kDa~約125kDaであり、試験ゲルのゲル強度が、約100g未満、又は約10g~約100g、又は約20g~約100g、又は約25g~約100g、又は約25g~約80g、25g~約75gである、請求項1~12のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
14.試験ゲルのゲル強度が、約20℃の温度で測定される、請求項1~13のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
15.セルロース系構成要素が、マトリックスを形成し、ペクチン構成要素の少なくとも一部が、マトリックス内に存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料。
16.請求項1~15のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料を作製するための方法であって、ペクチン構成要素及びセルロース系構成要素を含む粉砕柑橘類果皮を酸性溶液と混合して、酸洗浄柑橘類果皮を得ることと、酸洗浄柑橘類果皮をアルカリ性溶液と混合して、ペクチン構成要素のエステル化度(%DE)を低減させ、それによって脱エステル化柑橘類果皮を得ることと、脱エステル化柑橘類果皮を回収して、ゲル化柑橘類繊維材料を得ることと、を含む、方法。
17.脱エステル化柑橘類果皮を、有機溶媒を含む溶液と混合して、脱エステル化柑橘類果皮を洗浄することを更に含み、任意選択的に、有機溶媒が、アルコールであり、それによってゲル化柑橘類繊維材料を得、任意選択的に、脱エステル化柑橘類果皮が、有機溶媒で2回以上、好ましくは3回洗浄される、請求項16に記載の方法。
18.工程a)の前に、柑橘類果皮材料を得ることと、柑橘類果皮材料を粉砕して、粉砕柑橘類果皮を得ることと、を更に含み、任意選択的に、粉砕柑橘類果皮が、酸性溶液と混合する前に再水和される、請求項16又は17に記載の方法。
19.酸性溶液が、3未満、又は約1.5~約2.5のpHを有する、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
20.粉砕柑橘類果皮が、酸性溶液と約10分間~約90分間混合される、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
21.粉砕柑橘類果皮が、酸性溶液と、約10分~約30分、約30分~約50分、及び約50分間~約70分からなる群から選択される時間にわたって混合される、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
22.アルカリ性溶液が、約8超若しくは約8.5超、又は8.5~約11、又は約9~約10のpHを有する、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
23.酸洗浄柑橘類果皮が、アルカリ性溶液と約1℃~約30℃の温度で混合される、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
24.酸洗浄柑橘類果皮が、アルカリ性溶液と、約1℃~約10℃又は約3℃~約7℃、約10℃~約20℃又は約12℃~約17℃、及び約20℃~約30℃又は約22℃~約27℃からなる群から選択される温度で混合される、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
25.ペクチン構成要素及びセルロース系構成要素を含む材料を伴う化学反応を監視する方法であって、材料のスペクトルを記録することと、スペクトルをペクチン構成要素又はセルロース系構成要素を含有するセルロース系材料のうちの1つ以上の第2のパラメータに対してスペクトルを相関させるモデルに対して評価することと、を含み、スペクトルが、少なくとも、約1400~約845cm-1の波数範囲、(A)約1400~約1050cm-1、(B)約1050~約975cm-1、(C)約975~約875cm-1、並びに(D)約875及び約845cm-1からなる群から選択される1つ以上の波数範囲、並びに(A)約1095~約1070cm-1、(B)約1050~約1020cm-1、(C)約975~約895cm-1、及び(D)約875~約845cm-1からなる群から選択される1つ以上の波数範囲、からなる群から選択される波数範囲内で評価され、好ましくは、化学反応が、材料をゲル化柑橘類繊維に変換する、方法。
26.スペクトルが、赤外分光法を使用して、好ましくはフーリエ変換赤外分光法を使用して測定される、請求項25に記載の方法。
27.第2のパラメータが、エステル化度、総ペクチン構成要素含有量、及び分子量からなる群から選択される、請求項25又は26に記載の方法。
28.スペクトルが、ペクチン構成要素含有セルロース系材料を変化させる化学反応中に反応容器内で記録され、任意選択的に、化学反応が、ペクチン構成要素含有セルロース系材料のエステル化度、総ペクチン構成要素含有量、又は分子量のうちの1つ以上を変化させる、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
29.スペクトルが、請求項28のいずれか一項に記載のプロセス中に測定され、好ましくは、スペクトルが、少なくとも脱エステル化工程中に測定される、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
30.スペクトルが、反応容器から収集された試料を測定することによって記録され、任意選択的に、化学反応が、ペクチン構成要素含有セルロース系材料のエステル化度、総ペクチン構成要素含有量、又は分子量のうちの1つ以上を変化させる、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
31.スペクトルが、請求項25~30のいずれか一項に記載の反応中に得られた試料から記録され、好ましくは、スペクトルが、脱エステル化工程中に採取された試料から測定される、請求項25~30のいずれか一項に記載の方法。
32.スペクトルの評価に基づいて、化学反応の1つのパラメータを調整することを更に含み、任意選択的に、1つのパラメータが、材料の脱エステル化と関連している、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
33.化学反応からゲル化柑橘類繊維を回収することを更に含み、ゲル化柑橘類繊維が、請求項1~15に記載のとおりである、請求項25~32のいずれか一項に記載の方法。
34.組成物のテクスチャを加工するための、請求項1~33のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料の使用であって、任意選択的に、組成物が、食品組成物である、ゲル化柑橘類繊維材料の使用。
35.ゲル化柑橘類繊維が、ゲル化剤として使用される、請求項34に記載のゲル化柑橘類繊維材料の使用。
36.ゲル化柑橘類繊維材料が、約0.1%~約10%若しくは約0.5%~約5%(組成物の重量%)の量で使用されるか、又は約1.5%~4.5%若しくは約2.5%~約3.5%の量で使用される、請求項34又は35に記載のゲル化柑橘類繊維材料の使用。
37.請求項1~36のいずれか一項に記載のゲル化柑橘類繊維材料と、第2の成分と、を含む、組成物であって、任意選択的に、食品組成物である、組成物。
38.第2の成分が、水性成分であり、ゲル化柑橘類繊維材料が、約0.1%~約10%若しくは約0.5%~約5%(組成物の重量%)の量で使用されるか、又は約1.5%~4.5%若しくは約2.5%~約3.5%の量で使用される、請求項37に記載の組成物。
39.ゲル化繊維材料であって、a)セルロース系構成要素と、b)40%~50%(ガラクツロン酸%(%GA))、又は約40%~約48%、又は約40%~約46%、又は約42%~約48%、又は約42%~約46%の量の会合ペクチン構成要素と、を含み、ペクチン構成要素が、約10%~約80%のエステル化度(%DE)を有し、ゲル化繊維材料が、約50kDa~約275kDaの分子量を有する、ゲル化繊維材料。
【0071】
本明細書に開示される技術は、以下の非限定的な実施例を参照して更に記載される。
【0072】
実施例1-方法
ゲル化柑橘類繊維材料を調製し、ガラクツロン酸パーセント(「%GA」)、エステル化度(「%DE」)、及びダルトン(「Da」)で測定される分子量について測定した。調製されたゲル化柑橘類繊維材料を使用して溶液も作製し、グラム(「g」)で測定されたゲル強度について試験した。本明細書における上記のように、%GAは、ゲル化柑橘類繊維材料のペクチン含有量の代用として使用され、したがって、ペクチン構成要素であるゲル化柑橘類繊維材料のパーセントの代用である。
【0073】
ペクチン含有セルロース系材料のエステル化度(%DE)、及びペクチン含有セルロース系材料のペクチン含有量(%GA)を、滴定法を使用して測定した。本方法は、2つの部分:(1)材料の洗浄、及び(2)二重滴定に分割され得る。試料を洗浄することによって、酸性アルコールを使用してあらゆる塩、糖、及び対イオンが除去されて、全てのペクチンがエステル化形態であるか、又は遊離酸として存在することが確実になる。第1の滴定は、遊離酸基を決定するために使用され、次いで、中性溶液は、Schultz(1965)によって提案された第2の滴定法において使用され得る。
【0074】
材料を洗浄するための工程が続く。乾燥粉末試料を、洗浄前に最初に水分含有量について試験する。イソプロパノール(600m)を水(350ml)及び濃塩酸(50ml)と混合することによって、酸性アルコール溶液を調製する。約10グラムの試料を150mlの酸性アルコール中に懸濁し、マグネチックスターラーで15分間撹拌した。次いで、スラリーをブフナー漏斗で濾過し、酸性アルコール溶液の別の150mlアリコートに再懸濁した。全ての酸性アルコールが使用されるまで、この工程を繰り返した。次いで、粉末を150mlの60/40のイソプロパノール/水混合物中に再懸濁し、5分間浸漬させ、次いで、真空を使用して液体を除去した。この工程を3回繰り返した。次いで、試料を再び150mlの高純度イソプロパノール混合物中に再懸濁し、5分間浸漬させ、次いで、真空を使用して液体を除去した。この工程を3回繰り返した。漏斗上の濾紙を使用して、試料がもはやアルコールの臭いをしなくなるまで、真空を使用して液体及び空気を吸引する。次いで、粉末を45℃で一晩乾燥させた。
【0075】
二重滴定の工程が続く。第1の滴定では、乾燥材料の1.0グラムの試料を秤量した。次いで、試料を10mlのイソプロパノール中に懸濁させ、次いで、150mlの蒸留水中に分散させる。試料が非常に高粘度になった場合、更に水を添加した。マグネチックスターラーを使用して、分散液を1時間撹拌し、pHを測定した。試料を水酸化ナトリウム溶液(0.1M)に対してpH7まで滴定した。これによって遊離酸基が測定された。これを第1の力価として記録した。第2の滴定の場合、約40mlの水酸化ナトリウム(0.1M)をプラスチックビーカーにピペットで移し、30分間撹拌した。これによってエステル基が除去される。次いで、試料を塩酸(0.1M)でpH7まで滴定し、力価2として記録した。エステル化度(%DE)は、総GAに対するエステルのモル比である。
【0076】
ガラクツロン酸の重量パーセント(%GA)は、ペクチン酸とペクチン(エステル)を合わせた重量を試料の乾燥重量で除算したものである:
【0077】
【数1】
%DEは、総%GAに対するエステルのモル比である:
【0078】
【0079】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用した分子量を測定するための方法。様々な装置が使用され得る。報告された試料を、屈折率検出器を備えたWATERS Alliance GPCV2000、又は屈折率検出器を備えたAGILENT1260 Infinity II高温GPCを使用して測定した。報告された分子量は、観察された分布にわたる重量分率の平均であり、プルラン標準と比較した重量平均分子量であった。
【0080】
ゲル強度の測定のための方法-硬化後、AOACプローブ(T10)を使用するテクスチャアナライザー(Texture Technologies)を使用して、1gのトリガー力で20mmの距離について0.5mm/秒で前進させてゲル強度を測定した(トリガー力は、データの記録を開始するのに必要な最小の力である)。ゲル強度値を、最初の破断から測定した(破断力(グラム))。トリガー力は、測定が開始する前に機器が検出/到達しなければならない力点である。
【0081】
実施例2-ゲル化柑橘類繊維材料を作製するための例示的なプロセス
全乾燥柑橘類果皮(519.3g)を、Fitzmillを使用して、1.5mmスクリーンを通して乾式粉砕し、続いて、キッチンミルを使用して、微細粒子サイズを得た。次いで、オーバーヘッドミキサを使用して撹拌しながら、果皮を水道水中(25℃、6266g)に混合した。混合物(7%固形分)を25℃で1時間撹拌して再水和した。ブフナー漏斗、フラスコ、及びグレード113の湿潤強度濾紙を使用して混合物を脱水して、湿潤果皮(2331g)及び濾液(4390g)を得た。湿潤果皮を、水道水(25℃、4454g)を添加することによって、7%固形分に再スラリー化した。スラリーの酸性度をpH1.7に調整した(170.7gの3N HCl)。スラリーを25℃で1時間保持した。混合物を再び脱水して、湿潤酸性化果皮(4320g)及び濾液(2190.4g)を得た。湿潤酸性化果皮を、水道水(25℃、2465g)を添加することによって、7%固形分に再スラリー化した。水洗浄中、混合物を30分間撹拌した。
【0082】
混合物を再び脱水して、清浄な洗浄柑橘類果皮(2426g)及び濾液(2190.4g)を得た。清浄な果皮を、予め冷却した水道水(4595g)を添加することによって7%固形分に再スラリー化し、混合物を5℃に冷却した。反応混合物を、反応容器に挿入された赤外分光法(「IR」)プローブを用いて監視した。炭酸ナトリウム一水和物(27g)を混合物に添加して、pH9に調整した。pH制御器及び蠕動ポンプ並びに25%炭酸ナトリウム溶液(25.12g)を使用して、混合物を4℃で約18時間pH9に維持した。次いで、混合物を採取し、クエン酸一水和物(1時間:14.52g、18時間:84.06g)を添加することによってpH4~5に中和した。
【0083】
回収試料を、アルコールを用いて洗浄した。等量のアルコールを試料中で20分間撹拌した。ブフナー漏斗及び溶媒定格真空ポンプを使用して混合物を脱水した。洗浄を更に2回、合計3回行った。次いで、乾燥オレンジ果皮原材料及び生成物をオーブンに入れ、40℃で一晩乾燥させた。
【0084】
例示的な方法によって作製された試料は、本明細書において試料1と称される。それは、45.49±0.28(%GA)の総ペクチン含有量、62.56±0.60のエステル化度パーセント(%DE)、及び142,000(Da)の分子量を有していた。
【0085】
実施例3-ゲル化柑橘類繊維材料からゲルを作製するための例示的なプロセス
試験ゲルを規定したように作製したが、便宜上、配合(表1に記載)及び方法を以下に繰り返す。
【0086】
【0087】
濾過水道水1~4とは、濾過水道水をプロセス内の4つの異なるタイミングで、当該量で添加することを指し、それ以外は濾過水道水1~4に差異はないことに、配合中で留意されたい。使用されたフィルタは、標準的な飲料水フィルタであった。ゲルを以下のように作製した。濾過水道水1を秤量し、撹拌棒を備えたプラスチックビーカーに入れた。繊維を秤量し、濾過水道水1中で撹拌しながら分散させた。混合物を約15分間撹拌した。ヘキサメタリン酸ナトリウム及び糖を秤量し、分散液に添加した。次いで、混合物のpHを、プラスチックピペットを使用して塩酸を滴下で使用してpH4に調整した(必要に応じて)。次いで、混合物を予備秤量したステンレス鋼ビーカー(600ml)に移し、水浴中で撹拌しながら70~80℃まで加熱した。設定温度に達した後、混合物を浴中に10分間保持した。
【0088】
別個のプラスチックビーカー内で、予備秤量した濾過水道水2とリン酸水素カルシウムとを一緒に混合した。振盪後、カルシウム溶液を繊維混合物に添加した。
【0089】
別の別個のプラスチックビーカー内で、濾過水道水3及びグルコノ-デルタ-ラクトンを予備秤量し、一緒に混合して、ラクトンを溶解した。混合後、溶液を繊維混合物に添加した。濾過水道水4を秤量し、ビーカー上に残ったラクトン又はカルシウム混合物を洗い落とすために使用した。洗浄液を繊維混合物に添加した。繊維混合物を水浴から取り出し、秤量した。100gの配合の場合、溶液の総重量は、約100gであった。そうでない場合、濾過水道水を使用して水分を戻した。次いで、繊維混合物を4等分に分割し、周囲温度で24時間冷却した。
【0090】
実施例4-ゲル化柑橘類繊維材料の比較
実施例3のプロセスを変化させることによって、種々なゲル化柑橘類繊維材料を作製した。得られた試料を、ペクチン含有量(%GA)、エステル化度(%DE)、分子量(Da)(重量平均Mw)について試験した。得られたゲル化柑橘類繊維を使用して、実施例1に記載されるように溶液を形成し、溶液がゲルを形成するかどうか、ゲルを形成する場合、ゲル強度(g)はいくらであるかを決定するために観察した。得られたゲル化柑橘類繊維の特性及びゲル化柑橘類繊維から得られたゲルのゲル強度を表3に示す。
【0091】
【0092】
試料0~15を、脱エステル化反応の温度を変化させ、脱エステル化反応のpH、酸洗浄の長さ、及び酸洗浄のpHを変化させることによって作製した。試料0~15を作製するために使用された関連する条件を表4に報告する。
【0093】
【0094】
パラメータ間の関係を強調するために、以下の表5は、表3からのデータを繰り返すが、高いエステル化度から低いエステル化度に並べ替えられる。類似のゲル強度をグループ化するためにコーホートを生成する。
【0095】
【0096】
コーホート4は、約200gを超える最も強いゲルを形成したゲル化柑橘類繊維材料を有する。コーホート4のゲル化柑橘類繊維材料は、概して、約35%~45%の中程度のエステル化度を有し、50,000~200,000Daの中分子量~低分子量を有していた。
【0097】
コーホート2は、コーホート2である100~200gの中程度に強いゲルを形成したゲル化柑橘類繊維材料を有していた。コーホート2のゲル化繊維材料は、概して、コーホート4のゲル化柑橘類繊維材料よりも高い、45%~55%のエステル化度を有していた。コーホート3のゲル化繊維材料はまた、概して、コーホート4と比較して、約200,000Daを超えるより高い分子量を有していた。
【0098】
最も弱いゲルを形成したゲル化柑橘類繊維材料は、コーホート1及びコーホート5に存在していた。コーホート5のゲル化柑橘類繊維材料は、約20%未満の低いエステル化度を有していた。コーホート1のゲル化柑橘類繊維材料は、約60%を超える高いエステル化度を有していた。
【0099】
ペクチンの量(%GA)は、エステル化度及び分子量の相違と比較して、試料間で同様であった。
【0100】
実施例5-酸洗浄の機能的効果
酸洗浄は、強いゲルを形成するゲル化柑橘類繊維を得るために重要であることが見出された。酸の効果は、以下のように試料を調製することによって見られる。乾燥柑橘類果皮全体を採取し、乾式粉砕し、続いてキッチン粉砕して、微細な粒子サイズを得ることによって、試料を調製した。次いで、オーバーヘッドミキサを使用して撹拌しながら、果皮を水道水中に混合した。混合物を25℃で6分間撹拌して再水和した。ブフナー漏斗、フラスコ、及びグレード113の湿潤強度濾紙を使用して混合物を脱水して、湿潤果皮を得て、濾液を収集して秤量した。再水和した果皮を、水道水(25℃)を添加することによって再スラリー化した。
【0101】
この実験において、試料E146は、酸洗浄されなかったが、試料E145は、酸洗浄された。酸洗浄の場合、スラリーの酸性度をpH2.5に調整し、25℃で20分間保持した。混合物を再び脱水して、湿潤酸性化果皮及び濾液を得た。湿潤酸性化果皮を、未濾過の水道水(25℃)を添加することによって再スラリー化した。酸洗浄後、試料E145及びE146を、同じ反応条件反応条件を使用して処理した。炭酸ナトリウム一水和物を混合物に添加して、pHをpH10に上昇させた。pH制御器及び蠕動ポンプ並びに25%炭酸ナトリウム溶液を使用して、混合物を25℃で2時間pH10に維持した。次いで、反応混合物を、クエン酸一水和物を添加することによってpH4~5にpH調整した。次いで、混合物をアルコール洗浄した。等量のアルコールを試料中で20分間撹拌した。ブフナー漏斗及び溶媒定格真空ポンプを使用して混合物を脱水した。洗浄を更に2回、合計3回行った。次いで、乾燥オレンジ果皮原材料及び生成物をオーブンに入れ、40℃で一晩乾燥させた。乾燥生成物を、総ペクチン、エステル化度(DE)、及びゲル強度について試験した。回収された材料を使用して、実施例2に記載されるようにゲルを形成した。実施例1に記載される方法を使用して、ゲル強度についてゲルを測定した。
【0102】
結果を表6に報告し、それは、試料E145及びE146が、類似の総ペクチン及びエステル化度を有していたが、酸洗浄試料(E145)ははるかに強いゲルを形成したことを示す。試料E145及びE146も未処理の乾燥オレンジ果皮と比較した。
【0103】
【0104】
実施例6-脱エステル化反応のモデリング及びプロセス制御
実施例1に記載された反応を参照する。特に、上記のように、反応混合物を、反応容器に挿入されたIRプローブを用いて監視した。IRスペクトルを、フーリエ変換赤外分光法(「FTIR」)を使用して測定した。ダイヤモンド減衰全反射(ATR)ファイバープローブ(Bruker Optics、IN356-EX)と連結されたFTIR分光計(Bruker Optics、Matrix MF)を、反応タンクの隣に設置して、材料処理及び脱エステル化反応工程中に、30秒ごとにスペクトルを収集した。スペクトルを、4cm-1の分解能を有する3500~650cm-1の波数範囲から収集した。プローブ(12mmの直径及び2mの全繊維長を有する)を挿入し、反応の長さの間(最大18時間)容器中にしっかり固定した。機器及びスペクトル収集を、OPUSソフトウェア(Bruker Optics)によって制御した。
【0105】
リアルタイムプロセス監視のためのIRモデルを開発するために、インラインシステムを、最初に、広範囲の脱エステル化生成物を生成する一連の反応(トレーニング反応と称される)において(IRスペクトルを収集するために)使用した。これらのトレーニング反応のプロセス中及び最終生成物を、本明細書に記載される滴定法によって試験し、実際のエステル化度を決定した。比較からエステル化度を予測するモデルを開発するために、部分最小二乗(「PLS」)回帰を定式化して(OPUSソフトウェアを使用して)、収集されたインラインスペクトルを、滴定法を使用して測定されたエステル化度と相関させた。
【0106】
モデルが開発されたら、モデルの予測性能を検証するために、モデルを新しい反応において試験した。インラインプロセス監視のために開発されたモデルを試験/履行するために、IRスペクトルを、脱エステル化反応中に収集し、IRモデルを、収集時のエステル化度値を予測するために、各スペクトルに直ちに応用する(OPUSソフトウェアによってリアルタイムで)。IRモデルを応用した時点で試料を収集し、滴定を使用してエステル化度を測定して、予測モデルの測定誤差を決定した。エステル化度のIRモデル予測及び滴定測定を以下の表7において報告する。
【0107】
【0108】
第2のモデルが、迅速な「オフライン」IR測定のために開発され、これは、IRスペクトルモデルが、反応容器内で測定される代わりに、反応容器から引き出された試料に応用され得、滴定測定法を使用して可能であるよりも速いエステル化度計算を可能にすることを意味する。
【0109】
トレーニング試料を取得し、減衰全反射(ATR)アクセサリ(PIKE Technologies)を備えたThermoFisher Nicolet iS10分光法を使用してIRスペクトルについて測定した。システム適合性(すなわち、システムブート及び内部較正)を、内蔵ソフトウェアを使用して測定し、バックグラウンドスペクトルを取得した。ベンチトップFTIRは、次のようにして得られる:約0.025gの粉末試料をダイヤモンド結晶プローブ上に配置した。全てのスキャンを、4000~650cm-1の波数範囲から、32スキャン、4cm-1分解能、3重で収集した。スペクトルモデルを、滴定を使用して得られたこのような試料についてのエステル化度に対して相関するインライン及び最終生成物反応試料から生成されたスペクトルを使用して、訓練実行から開発した。比較からエステル化度を予測するモデルを開発するために、部分最小二乗(PLS)回帰を定式化して、収集されたスペクトルを、滴定法を使用して測定されたエステル化度と相関させた。
【0110】
モデルが開発されたら、モデルの予測性能を検証するために、モデルを新しい反応において試験した。オフラインプロセス監視のために開発されたモデルを試験/履行するために、各反応中及び終了時に試料を収集し、IR機器でスキャンし、IRモデルを応用して、エステル化度を予測した。同じ試料を滴定によっても試験し、IRモデルの妥当性を評価するため、予測されたIRエステル化度の値を、滴定で測定されたエステル化度と比較した。
【0111】
エステル化度のIRモデル予測及び滴定測定を以下の表8において報告する。
【0112】
【0113】
表7及び8に関して、記載されるように作製されたモデルは、滴定法に対して検証される場合に示されるように、ペクチン含有セルロース系材料のFTIRスペクトルに基づいてエステル化度を正確に予測した。
【国際調査報告】