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特表2024-522132無方向性電磁鋼板およびその製造方法
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  • 特表-無方向性電磁鋼板およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】無方向性電磁鋼板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20240604BHJP
   C22C 38/60 20060101ALI20240604BHJP
   C21D 8/12 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
C22C38/00 303U
C22C38/60
C21D8/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574214
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2022020833
(87)【国際公開番号】W WO2023121220
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0184559
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュ, ヒョン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ジェワン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨン-ス
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュンス
(72)【発明者】
【氏名】キム, ユンス
【テーマコード(参考)】
4K033
【Fターム(参考)】
4K033AA01
4K033CA00
4K033CA01
4K033CA02
4K033CA03
4K033CA04
4K033CA05
4K033CA08
4K033CA09
4K033CA10
4K033FA01
4K033FA03
4K033FA05
4K033FA11
4K033HA00
4K033KA00
(57)【要約】
【課題】合金成分を制御し、同時にスラブ加熱および熱間圧延時に一連の工程条件を最適化して、鋼板の磁性特性と表面特性に同時に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】重量%で、C:0.005%以下(0%を除く)、Si:1.5~3.0%、Mn:0.4~1.5%、S:0.005%以下(0%を除く)、Al:0.0001~0.7%、N:0.005%以下(0%を除く)、Ti:0.005%以下(0%を除く)、Cu:0.001~0.02%、Sb:0.01~0.05%、Sn:0.001~0.1%、P:0.005~0.07%を含み、Mn、Si、Alの含有量は、下記数1を満足し、Sb、Sn、Pの含有量は、下記数2を満足し、残部がFeおよび不可避に混入する不純物からなり、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物の面積あたりの個数が1個/μm以下であることを特徴とする。
〔数1〕0.19≦[Mn]/([Si]+150x[A])≦0.35
〔数2〕1/2*Sn<[Sb]+[P]<0.09
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、C:0.005%以下(0%を除く)、Si:1.5~3.0%、Mn:0.4~1.5%、S:0.005%以下(0%を除く)、Al:0.0001~0.7%、N:0.005%以下(0%を除く)、Ti:0.005%以下(0%を除く)、Cu:0.001~0.02%、Sb:0.01~0.05%、Sn:0.001~0.1%、P:0.005~0.07%を含み、Mn、Si、Alの含有量は、下記数1を満足し、Sb、Sn、Pの含有量は、下記数2を満足し、残部がFeおよび不可避に混入する不純物からなり、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物の面積あたりの個数が1個/μm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
〔数1〕
0.19≦[Mn]/([Si]+150x[Al])≦0.35
〔数2〕
1/2*Sn<[Sb]+[P]<0.09
(ここで、[Mn]、[Si]、[Al]、[Sn]、[Sb]、[P]は、それぞれMn、Si、Al、Sn、SbとPの重量%である。)
【請求項2】
前記電磁鋼板は、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物中の0.05μmサイズ以上の個数率(Fcount);0.2~0.5であり、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物中の0.05μmサイズ以上の析出物の占める面積率(FcountxFarea);>0.15であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項3】
前記電磁鋼板は、表面高さの中心線を基準として圧延方向に4mm長さ単位で測定時、最大高さが中心線から2.5μm以下であり、圧延垂直方向0.5μm幅以上、圧延方向3cm以上のサイズで周辺に比べて高さの高い凹凸性欠陥が圧延垂直方向に10cmあたり1個/cm以下であり、前記電磁鋼板の位置別{100}、{110}分率の変化が10%未満であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項4】
前記電磁鋼板は、コイルの幅方向エッジ部と中心部での鉄損値の差が5%以下であり、前記コイルの幅方向エッジ部と中心部での磁束密度値の差が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項5】
前記電磁鋼板の熱延板を基準として前記電磁鋼板の内部酸化層の厚さが7μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項6】
重量%で、C:0.005%以下(0%を除く)、Si:1.5~3.0%、Mn:0.4~1.5%、S:0.005%以下(0%を除く)、Al:0.0001~0.7%、N:0.005%以下(0%を除く)、Ti:0.005%以下(0%を除く)、Cu:0.001~0.02%、Sb:0.01~0.05%、Sn:0.001~0.1%、P:0.005~0.07%を含有し、Mn、Si、Alの含有量は、下記数1を満足し、Sb、Sn、Pの含有量は、下記数2を満足し、残部がFeおよび不可避に混入する不純物からなるスラブを製造する段階、
前記スラブを下記数5を満足する温度で再加熱する段階、
前記再加熱されたスラブを熱間圧延して熱延板を製造する段階、
前記熱延板をコイル状に巻取る段階、
巻取られた熱延板を酸洗し冷間圧延して冷延板を製造する段階、および
前記冷延板を最終焼鈍する段階を含むことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
〔数1〕
0.19≦[Mn]/([Si]+150x[Al])≦0.35
〔数2〕
1/2*Sn<[Sb]+[P]<0.09
〔数5〕
MnSSRT/MnSMax≧0.6
(ここで、[Mn]、[Si]、[Al]、[Sn]、[Sb]、[P]は、それぞれMn、Si、Al、Sn、SbとPの重量%であり、MnSSRTは、MnSの平衡析出量であり、MnSMaxは、MnSの最大析出量である。)
【請求項7】
前記スラブを再加熱する段階は、数6を満足する温度で加熱することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
〔数6〕
SRT≧A+150℃
(ここで、SRTは、スラブ再加熱温度であり、Aは、オーステナイトがフェライトに100%変態する温度である。)
【請求項8】
前記スラブを再加熱する段階は、前記スラブを在炉時間を100分以上とし、2段以上に分けて段階的に加熱をすることを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記スラブを再加熱する段階は、在炉時間を100分以上とし、3段以上に分けて段階的に加熱をし、
1段加熱は、(SRT_max-50)℃以下の温度で50分以上加熱し、2段加熱は、最後段階の前段階の加熱で加熱温度(SRT2)はA温度+70℃以下であり、A+120℃以上を満足する温度で加熱をし、最後の加熱は、SRT_max≧A+150℃で加熱することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(ここで、SRT_maxは、数6中、スラブ再加熱温度(SRT)のうち最高温度を意味する。)
【請求項10】
前記熱間圧延において、仕上げ圧延は、仕上げ圧延開始直前の温度をA-50℃以上A+40℃以下の温度で実施することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記熱間圧延において、仕上げ圧延は、複数のロールのうち最後の直前のロールでの圧下率を21%以上とし、最後のロールの圧下率は13%以上とすることを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項12】
前記巻取る段階は、650~800℃で実施することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項13】
前記巻取る段階は、Sn、Sbの含有量により温度を制御し、下記数3および/または数4により計算された温度で巻取られることを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
〔数3〕
0.000165*CT-0.085<{1/3*[Sn]+[Sb]}<0.13
〔数4〕
0.000165*CT-0.0934<[Sb]<0.05 650~800℃
(ここで、[Sn]、[Sb]は、SnとSbの重量%であり、CTは、熱間圧延時の長手方向中心部に位置する全体長さの30%長さの平均巻取温度である。)
【請求項14】
前記巻取る段階は、前記コイルの開始端の温度がコイルの中間部の温度より20℃以上高い温度である下記数7により巻取ることを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
〔数7〕
(コイルの長手方向の全体長さの最初5%地点までの長さの最高巻取温度)≧(コイルの長手方向の全体長さの30%~50%長さの平均巻取温度)+20℃
【請求項15】
前記巻取る段階は、巻取られたコイルを冷却設備に入れて、保熱カバーで覆った状態で冷却することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項16】
前記最終焼鈍は、850~1,100℃の温度範囲で実施することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無方向性電磁鋼板およびその製造方法に係り、より詳しくは、合金成分および工程条件を最適化して、磁束密度と鉄損に優れていながら表面特性も優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータや発電機は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに、または機械的エネルギーを電気的ネルギーに変えるエネルギー変換機器であり、最近、環境保存およびエネルギー節約に対する規制が強化されるに伴い、モータや発電機の効率向上に対する要求が増大している。このようなモータ、電機および小型変圧器などには鉄心用材料が用いられており、鉄心用材料は、無方向性電磁鋼板を用いて、電磁鋼板の特性をより改善しなければならない。
モータや発電機において、エネルギー効率とは、入力されたエネルギーと出力されたエネルギーの比率であり、効率向上のためには、結局、エネルギー変換過程で損失する鉄損、銅損、機械損などのエネルギー損失をどれだけ低減できるかが重要である。通常知られた無方向性電磁鋼板の鉄損と束密度は、モータの鉄損と銅損に影響を与える。
無方向性電磁鋼板の鉄損が低いほど、鉄心が磁化される過程で損失する鉄損が減少してモータの率が向上する。そして、磁束密度が高いほど、同じエネルギーでより大きな磁場を誘導することができる。したがって、同じ磁束密度を得るためには少ない電流を印加してもよいので、銅損を減少さてエネルギー効率を向上させることができる。そのため、エネルギー効率向上のためには、低鉄損かつ高磁束密度の磁性に優れた無方向性電磁鋼板の開発技術が必要である。
【0003】
無方向性電磁鋼板において鉄損を低くするための方法として、比抵抗が大きい元素であるSi、Al、Mnの添加量を増加させる方法がある。Si、Al、Mnの添加量を増加させると、鋼の比抵を増加させて無方向性電磁鋼板の渦流損を減少させるので、鉄損を低減する効果があるが、これら元素の添加量が増加すればするほど、鉄損が添加量に比例して無条件に減少するのではない。また、合金元素の添加量を増加させると、磁束密度が低下するので、鉄損を低くしながらも優れた磁束密度同時に確保することは容易ではない。
鉄損および磁束密度のいずれか一方を犠牲にすることなく同時に向上させることができる方法とて、磁性に有利な{100}および{110}集合組織を多く形成させ、磁性に不利な{111}よび{112}集合組織を少なく形成させる方法がある。このような無方向性電磁鋼板で集合組織改善するための方法として、スラブを熱間圧延後、熱延板を冷間圧延する前の段階で熱延板焼鈍工程を行う技術が使用されている。
このような熱延板焼鈍工程は、熱延板焼鈍後、巻取後の冷却過程で発生する鋼板組織の不均一を消し、析出物や微細組織の面でコイルの幅方向と長手方向に均一にして、鉄損と磁束密度もコイル幅方向、長手方向に偏差を低減する効果もある。
【0004】
しかし、集合組織を改善するために熱延板焼鈍工程を追加する場合、製造コストが上昇するという問題がある。これとともに、熱延板焼鈍工程を追加する場合、鋼の結晶粒が粗大化して冷間圧延性が低下するという技術的問題も有している。
したがって、熱延板焼鈍工程を実施しないで優れた磁性を発揮できる無方向性電磁鋼板を製造る場合、製造コストも低減可能であり、熱延板焼鈍工程による生産性の問題も解決することができる。製造コストを減少させるという次元で、Si含有量が低い低級無方向性電磁鋼板を用い、熱延板鈍工程を実施しない方法がある。しかし、Si含有量が1.5wt%以上含有する高級無方向性電鋼板は、組織の均一化と磁気的特性を確保するために、大部分熱延板焼鈍工程を実施し、Si含有が高くなるほど(例えば、1.8wt%以上)熱延板焼鈍工程は必須である。
それにもかかわらず、磁気的特性に優れた無方向性電磁鋼板において熱延板焼鈍工程を省略する様な方法が提示されている。
しかし、このような熱延板焼鈍工程を実施しない多様な方法は、磁気的特性は確保できても表面陥に非常に弱い問題を有しており、このような表面欠陥についてはその原因や解決方策が提示されいない。
一歩進んで、熱延板焼鈍工程を実施しない場合、コイルの幅方向または長手方向に磁気的特性がより大きくなりうるという問題点も解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が目的とするところは、合金成分を制御し、同時にスラブ加熱および熱間圧延時に一連の工程条件を最適化して、鋼板の磁性特性と表面特性に同時に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無方向性電磁鋼板は、重量%で、C:0.005%以下(0%を除く)Si:1.5~3.0%、Mn:0.4~1.5%、S:0.005%以下(0%を除く)、Al:00001~0.7%、N:0.005%以下(0%を除く)、Ti:0.005%以下(0%を除く)Cu:0.001~0.02%、Sb:0.01~0.05%、Sn:0.001~0.1%、P0.005~0.07%を含み、Mn、Si、Alの含有量は、下記数1を満足し、Sb、Sn、の含有量は、下記数2を満足し、残部がFeおよび不可避に混入する不純物からなり、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物の面積あたりの個数が1個/μm以下である無方向性電磁鋼板である。
〔数1〕
0.19≦[Mn]/([Si]+150x[Al])≦0.35
〔数2〕
1/2*Sn<[Sb]+[P]<0.09
(ここで、[Mn]、[Si]、[Al]、[Sn]、[Sb]、[P]は、それぞれMn、Si、Al、n、SbとPの重量%である。)
【0007】
本発明の無方向性電磁鋼板は、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物中の005μmサイズ以上の個数率(Fcount)が0.2~0.5であり、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物中の0.05μmサイズ以上の析出物の占める面積率(Fcount × Farea)が0.15である電磁鋼板である。
このような電磁鋼板は、表面高さの中心線を基準として圧延方向に4mm長さ単位で測定時、最高高さが中心線から2.5μm以下であり、圧延垂直方向0.5μm幅以上、圧延方向3cm以上のイズで周辺に比べて高さの高い凹凸性欠陥が圧延垂直方向に10cmあたり1個/cm以下であり前記電磁鋼板の位置別{100}、{110}分率の変化が10%未満であってもよい。
そして、このような電磁鋼板は、コイルの幅方向エッジ部と中心部での鉄損値の差が5%以下であり、コイルの幅方向エッジ部と中心部での磁束密度値の差が5%以下であってもよい。
また、電磁鋼板の熱延板を基準として前記電磁鋼板の内部酸化層の厚さが7μm以下であってもよい。
【0008】
本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.005%以下(%を除く)、Si:1.5~3.0%、Mn:0.4~1.5%、S:0.005%以下(0%を除く)Al:0.0001~0.7%、N:0.005%以下(0%を除く)、Ti:0.005%以下(%を除く)、Cu:0.001~0.02%、Sb:0.01~0.05%、Sn:0.001~01%、P:0.005~0.07%を含有し、Mn、Si、Alの含有量は、下記数1を満足し、Sb、Sn、Pの含有量は、下記数2を満足し、残部がFeおよび不可避に混入する不純物からなるスブを製造する段階、前記スラブを下記数5を満足する温度で再加熱する段階、前記再加熱されたスブを熱間圧延して熱延板を製造する段階、前記熱延板をコイル状に巻取る段階、巻取られた熱延板を酸洗し冷間圧延して冷延板を製造する段階、および前記冷延板を最終焼鈍する段階を含むことがでる。
〔数5〕
MnSSRT/MnSMax≧0.6
(ここで、MnSSRTは、MnSの平衡析出量であり、MnSMaxは、MnSの最大析出量である。)
スラブを再加熱する段階は、下記数6を満足する温度で加熱することができる。
〔数6〕
SRT≧A+150℃
(ここで、SRTは、スラブ再加熱温度であり、Aは、オーステナイトがフェライトに100変態する温度である。)
また、スラブを再加熱する段階は、前記スラブの在炉時間を100分以上とし、2段以上に分け段階的に加熱することができる。
【0009】
一方、スラブを再加熱する段階は、在炉時間を100分以上とし、3段以上に分けて段階的に加熱をし、1段加熱は、(SRT_max-50)℃以下の温度で50分以上加熱し、2段加熱は、最終段階の前段階の加熱で加熱温度(SRT2)はA温度+70℃以下であり、A+120℃以上を満足する温度で加熱をし、最後の加熱は、SRT_max≧A+150℃で加熱することもできる。(ここで、SRT_maxは、数6中、スラブ再加熱温度(SRT)のうち最高温度を意味する。)そして、熱間圧延で仕上げ圧延を実施する場合、仕上げ圧延開始直前の温度をA-50℃以上A+40℃以下の温度で実施できる。
熱間圧延で仕上げ圧延を実施する場合、複数のロールのうち最後の直前のロールでの圧下率を2%以上とし、最後のロールの圧下率は13%以上とすることができる。
そして、巻取る段階は、650~800℃で実施することが好ましい。
【0010】
一方、巻取る段階は、Sn、Sbの含有量により温度を制御し、下記数3および/または数4により計算された温度で巻取ることができる。
〔数3〕
0.000165*CT-0.085<{1/3*[Sn]+[Sb]}<0.13
〔数4〕
0.000165*CT-0.0934<[Sb]<0.05 650~800℃
(ここで、[Sn]、[Sb]は、SnとSbの重量%であり、CTは、熱間圧延時の長手方向中部に位置する全体長さの30%長さの平均巻取温度である。)
また、このような巻取る段階は、前記コイルの開始端の温度がコイルの中間部の温度より20℃以高い温度である、下記数7により巻取ることもできる。
〔数7〕
(コイルの長手方向の全体長さの最初5%地点までの長さの最高巻取温度)≧(コイルの長手方の全体長さの30%~50%長さの平均巻取温度)+20℃
一方、巻取る段階は、巻取られたコイルを冷却設備に入れて、保熱カバーを覆った状態で冷却することもできる。
そして、最終焼鈍は、850~1,100℃の温度範囲で実施することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の無方向性電磁鋼板は、熱延板焼鈍を省略しても、Si、Al、Mnなど動的再結晶発生成分と、Sb、Sn、P析出物生成成分を細かく制御すると同時に、スラブ加熱条と熱間圧延の連続細部工程条件を複合的に制御して、鉄損と磁束密度など磁性特性に優れるように発現させた無方向性電磁鋼板を提供することができる。
本発明の無方向性電磁鋼板は、熱延板焼鈍を省略しても、合金元素の成分を制御しかつ、一連の製造工程条件を細かく制御して、表面品質にも優れた無方向性電磁鋼板を提供するこができる。
本発明の無方向性電磁鋼板は、熱延板焼鈍を省略しても、合金元素の成分を制御しかつ、一連の製造工程条件を細かく制御して、コイルの長手方向と幅方向での磁性特性の差を最小した品質に優れた無方向性電磁鋼板を提供することができる。
本発明の無方向性電磁鋼板は、鋼板の長手方向や幅方向にも磁性特性に均一に優れ表面特性にも優れるようにする効果がある。このような技術的効果によって、本発明により製造された無方向性電磁鋼板は、電気自動車の駆動モータなどのように高速回転する機器の効率大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】無方向性電磁鋼板の表面に縞状が形成された鋼板の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1、第2および第3などの用語は、多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを明するために使われるが、これらに限定されない。これらの用語は、ある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するためにのみ使われる。したって、以下に述べる第1部分、成分、領域、層またはセクションは、本発明の範囲を逸脱しない範内で第2部分、成分、領域、層またはセクションと言及されてもよい。
ここで使われる専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使われる単数形態は、文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数態も含む。明細書で使われる「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素およ/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や加を除外させるわけではない。
【0014】
ある部分が他の部分の「上に」あると言及した場合、これは直に他の部分の上にあるか、その間他の部分が介在する。対照的に、ある部分が他の部分の「真上に」あると言及した場合、その間に他の部分が介在しない。
他に定義しないが、ここに使われる技術用語および科学用語を含むすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。通常使用さる辞書に定義された用語は、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解され、定義されない限り、理想的または非常に公式的な意味で解釈されない。
また、特に言及しない限り、%は重量%を意味し、1ppmは0.0001重量%である。
本発明において、追加元素をさらに含むとの意味は、追加元素の追加量だけ残部の鉄(e)を代替して含むことを意味する。
【0015】
以下、本発明について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで明記する実施例に限定されない。
無方向性電磁鋼板において、熱延板焼鈍を実施する場合、熱延板焼鈍条件により微細組織および在物の特性を制御可能で、熱延板の特性が最終製品の特性に大きく影響を与えないことが知られてる。
しかし、このようなメリットがある熱延板焼鈍工程を実施しない場合には、熱間圧延と冷間圧延そして最終焼鈍工程で製品が完成するので、熱延板の微細組織および介在物の特性が最終製品の特に重要に影響を与えると考えられる。
したがって、熱延板焼鈍を実施しない場合、最終製品に優れた磁性を確保できる別途の成分系おび熱間圧延条件について検討をしなければならない。本発明者らはこの点について多くの研究をした結果、熱間圧延工程で相変態を経る適切な成分系と成分系に合った熱延条件を細かく適用する場合熱間圧延後に変形組織ではない再結晶組織を確保し、微細組織および硫化物の大きさと分布の制御より、熱延板焼鈍を省略しても、磁性に優れた無方向性電磁鋼板を製造できるという事実を確認すことができた。
【0016】
以上の検討結果に基づき、まず、本発明の成分系について説明する。
本発明において、熱延板焼鈍を実施しない場合、磁性に影響を与える元素としてSiAl、Mnを先に検討する。Si、Al、Mnは、鋼の比抵抗を決定する元素でかつ、熱間圧延中相変態挙動に影響を与える元素である。
ここで、Si、Alは、フェライト(Ferrite)安定化元素であり、Mnは、オーステナト(Austenite)安定化元素である。したがって、無方向性電磁鋼板において低鉄損特性確保しながら、熱間圧延中に相変態を起こすためには、Si、Al、Mnの添加量を適切に制御す必要がある。
本発明者らは、比抵抗と成分系の相変態挙動を綿密に分析して、Si、Al、Mnの添加量を後する数1のように細かく制御する適正添加範囲を導出した。このように本発明で提示するSi、Al、Mnの含有範囲を満足する場合、熱間圧延時の圧延条件を精密に制御して、熱延板焼鈍を省略しても、磁性に優れた無方向性電磁鋼板を製造することができる。
また、本発明者らは、Siが多少高くなる場合には、Mn含有量も一緒に増加させなければならずSiの増加により集合組織を改善できるSb、Sn、Pなどの元素を追加する必要があることを確認した。このようなSb、Sn、Pなどの元素の適正添加量は、後述する数2により制御することがきる。
【0017】
以下、本発明の無方向性電磁鋼板の組成について説明する。
本発明の無方向性電磁鋼板は、重量%で、C:0.005%以下(0%を除く)Si:1.5~3.0%、Mn:0.4~1.5%、S:0.005%以下(0%を除く)、Al:00001~0.7%、N:0.005%以下(0%を除く)、Ti:0.005%以下(0%を除く)Cu:0.001~0.02%、Sb:0.01~0.05%、Sn:0.001~0.1%、P0.005~0.07%を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなる。この時、Si、Mn、Aの含有量は、下記数1を満足し、Sb、Sn、Pの含有量は、下記数2を満足する。
〔数1〕
0.19≦[Mn]/([Si]+150x[A])≦0.35
〔数2〕
1/2*Sn<[Sb]+[P]<0.09
(ここで、[Mn]、[Si]、[Al]、[Sn]、[Sb]、[P]は、それぞれMn、Si、Al、n、SbとPの重量%である。)
【0018】
まず、無方向性電磁鋼板の成分限定の理由から説明する。
[C:0.005重量%以下(0%は除く)]
炭素(C)は、Ti、Nbなどと結合して炭化物を形成して磁性を劣化させ、最終製品から電気製品に加工後、使用時の磁気時効によって鉄損が高くなって電気機器の効率を減少させることがある。たがって、Cは0.005重量%以下に限定することができる。
【0019】
[Si:1.5~3.0重量%]
シリコン(Si)は、鋼の比抵抗を増加させて鉄損のうち渦流損失を低くするために添加される素である。Siが過度に少なく添加されると、鉄損が劣化する問題が発生する。したがって、比抵抗を増加させる観点でSiの含有量を高めることが有利であるが、Siはフェライト(Ferrite)安定化元素で、添加量が増加するほど、オーステナイト領域を減少させるので、熱延板焼鈍工程を略する場合、相変態を活用するためには、その添加量を3.0%以下に制限することが好ましい。
【0020】
[Mn:0.4~1.5重量%]
マンガン(Mn)は、Si、Alなどとともに、比抵抗を増加させて鉄損を低くする元素でかつ集合組織を向上させる元素である。Mnが過度に少なく添加されると、比抵抗を増加させる効果がなく、Si、Alとは異なり、オーステナイトを安定化させる元素であるので、Si、Alの添加量関連して適正量を添加することが必要である。例えば、Si、Alの含有量を増加させる場合、オーステナイトを形成するために、相対的にMn添加量を増加させる必要がある。しかし、Mnを過度添加する場合、磁性に不利な集合組織を形成して磁束密度が減少しうる。したがって、Mnの添加は0.4~1.5%が好ましい。
【0021】
[S:0.005重量%以下(0%は除く)]
硫黄(S)は、母材内部に微細なMnS、CuSおよび(Cu、Mn)Sなどの硫化物を形成し結晶粒成長を抑制して鉄損を弱化させるので、できるだけ低く添加することが好ましい。このようSが多量含まれる場合、他の元素と結合して微細な硫化物の形成が増加して磁性を悪化させるのでSは0.005重量%以下に限定することができる。
【0022】
[Al:0.0001~0.7重量%]
アルミニウム(Al)は、Siとともに、比抵抗を増加させて鉄損を減少させる役割を果たすとともに、圧延性を改善し、冷間圧延時の作業性を良くする。Alが過度に少なく添加されると、高波鉄損の低減に効果がない。逆に、Alが過度に多く添加されると、窒化物が過剰に形成されて磁力を劣化させることがある。さらに、Alは、Siよりフェライト(Ferrite)を安定化させ元素でかつ、添加量が増加するにつれて磁束密度が著しく減少させるので、相変態現象を活用して冷延板焼鈍を省略する観点でその添加量を0.7%以下に限定することができる。
ここで、Si、Mn、Alの含有量は、前記数1を満足することが好ましい。
数1で意味するものは、Alの場合、フェライトを安定化させる効果が大きくて、Siとともに母材で含有量を制御しなければならず、Mnは、硫化物を粗大化するために適正量で添加する必要がるため、数1のように、分子比率でSi、Mn、Alの含有量を制御することができる。このようSi、Mn、Alの含有量を数1のように制御する場合、鋼板が高温で十分なオーステナイト単相域を有するようになって、熱間圧延時の相変態による熱間圧延後の再結晶組織の確保も可能であり熱延再結晶温度の制御により粗大な硫化物の形成が可能になる。
【0023】
[N:0.005重量%以下(0%は除く)]
窒素(N)は、Al、Ti、Nbなどと結合して母材内部に微細に窒化物を形成して結晶粒成長抑制するなど鉄損を悪化させるので、少なく含有させることが好ましい。したがって、本発明では、Nを0.005重量%以下に限定することができる。
【0024】
[Ti:0.005重量%以下(0%は除く)]
チタン(Ti)は、C、Nと結合して微細な炭化物や窒化物を形成して結晶粒成長を抑制するので多く添加されるほど、炭化物と窒化物が多く形成されて、磁性に有利な集合組織の形成を抑制して磁性を劣化させる。したがって、本発明では、Tiを0.005重量%以下に限定することできる。
【0025】
[Cu:0.001~0.02重量%]
銅(Cu)は、Mnとともに、(Mn、Cu)S硫化物を形成する元素で、添加量が多い場合、微細な硫化物を形成させて磁性を低下させるので、その添加量を0.001~0.02%に限定することができる。この時、鋼板に含まれているCuは、本発明で提示した範囲以内であれば意図的に添加してもよく、製鋼過程でトレースとして存在してもよい。
【0026】
[Sb:0.01~0.05重量%、Sn:0.001~0.1重量%、P:0.005~0.7重量%]
鋼板の比抵抗を高めるためにSiやAlを高くし、オーステナイトの相分率を確保するためにM含有量を同時に高める場合、集合組織を改善して磁束密度を向上する必要がある。
このような目的P、Sn、Sbを添加することが好ましく、その添加量は、Sbは0.01重量%以上、Snは0001重量%以上、Pは0.005重量%以上添加することができる。
この時、Sb、Sn、Pの含有量は、前記数2を満足する。
【0027】
このようにSb、Sn、Pの含有量を数2に制限する理由を説明する。
Sb、Sn、Pの添加量が過度に多い場合、結晶粒成長性を抑制させ、コーティング密着性を低させる問題がある。したがって、これら元素の添加量は、Sbは0.05重量%以下、Snは0.重量%以下に限定することができる。ここで、Sbを0.02重量%以上含有する場合、Snは005重量%未満で含有することが好ましい。そして、Pは、過度に含有する場合、板破断などを起して生産性を低下させるので、0.07%以下に添加されるように制御することができる。
そして、Sbの場合、鋼板内部の酸化層を薄く制御するのに効果的である。Snも部分的にそのような役割をするとはいえ、その効果はSbより小さいといえる。
また、鋼板に含まれているSnは、本発明で提示した範囲以内であれば意図的に添加してもよく、製鋼過程でトレースとして存在してもよい。
【0028】
一方、鋼板の磁性を確保するために巻取温度(CT)を高める場合、Sbおよび/またはSnの有量を下記数3および/または数4により細かく制御することができる。このようにSb/Snの有量を巻取温度により細かく制御することによって、鋼板内部の酸化層を適切に制御することがでる。
〔数3〕
0.000165*CT-0.085<{1/3*[Sn]+[Sb]}<0.13
〔数4〕
0.000165*CT-0.0934<[Sb]<0.05
(ここで、[Sn]、[Sb]は、SnとSbの重量%であり、CTは、熱間圧延時の長手方向中部に位置する全体長さの30%長さの平均巻取温度である。)
【0029】
数3と数4から分かるように、巻取温度が高くなるほど、鋼板内部の酸化層の深さが深くなるが、これを抑制するには、相対的にSb/Snの含有量を制御する必要がある。鋼板内部の酸化層深さ制御は、Snに比べると、Sbの効果が優れている。もし、Sb含有量が数4の[0.00065*CT-0.0934]より大きい場合、そしてSb/Snの複合で数3の[1/3*[Sn+[Sb]]値が[0.000165*CT-0.0934]より大きい場合、鋼板内部の酸化層の深さを7μm以下に制御することができる。
しかし、Sb、Snの含有量が過剰の場合、製品コーティングの密着性が劣るので、Sは0.05重量%以下に限定し、数3で上限値を0.13に限定することができる。
【0030】
本発明の無方向性電磁鋼板は、以上の成分以外に、その他不可避に含まれる元素さらに含むことができる。例えば、Zr、Mo、Vなどの元素は、鋼板内で強い炭化物または窒化を形成する元素であるので、できるだけ含まないことが好ましく、もし含まれた場合でもそれぞれ0.05重量%以下に制御することが好ましい。
不可避不純物は、製鋼および無方向性電磁鋼板の製造過程で不可避に混入される不純物を意味する。不可避不純物については広く知られているので、具体的な説明は省略する。また、本発明において、前述した合金成分以外に、元素の追加を排除するのではなく、本発明の技術思想を阻害しない範囲内で多様に含まれる。追加元素をさらに含む場合、残部のFeを含む。
【0031】
以下、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法において、熱延板焼鈍を省略しても鋼板の磁性が優れるようにし、表面特性を改善し、かつ、鋼板の位置別磁性偏差も解消する理由について先に説明し、その後、本発明の製造方法について説明する。
まず、熱間圧延中に相変態が発生する成分系に対する熱間圧延条件について検討した結果を説明する。
熱間圧延のためにスラブを再加熱する時、スラブ再加熱温度は、熱間圧延できるほど十に高くなければならないが、過度に高い場合、鋼板中に硫化物がすべて再固溶して、後続する熱間延および焼鈍工程で微細に析出することによって、結晶粒の成長を抑制し、磁性を低下させることある。
したがって、硫化物を粗大化させるためには、最大に析出できる温度でスラブを再加熱すること好ましいが、温度が過度に低い場合、圧延温度の低下で熱延生産性が低下して、熱間圧延後に所望微細組織を得にくい。
【0032】
そのため、スラブ再加熱温度は、スラブ再加熱温度での硫化物つまり、MnSの平衡析出量(MS_SRT)とMnSの最大析出量(MnS_Max)との関係が下記数5の条件を満足する必要がある。
〔数5〕
MnS_SRT/MnS_Max≧0.6
(ここで、MnS_SRTは、MnSの平衡析出量であり、MnS_Maxは、MnSの最大析出量示す。)
本発明者らは、このようにスラブ再加熱温度を数5を満足する温度で1時間以上維持すれば、硫化物が粗大化して鋼板の磁性向上に十分という結果を得た。
そして、熱間圧延後に再結晶組織を確保するためには、スラブの再加熱をオーステナイト単相領で実施する必要がある。このために、本発明者らは、スラブ再加熱温度(SRT)は、下記数6の係式を満足しなければならないという結果を導出した。
〔数6〕
SRT≧A+150℃
(ここで、SRTは、スラブ再加熱温度、A1は、オーステナイトがフェライトに100%変態する平衡温度を意味する。)
【0033】
このようにスラブ再加熱時の加熱温度をオーステナイト単相領域で行わない場合、相変態を経ていない組織になって、後続する熱間圧延後に再結晶組織の確保が容易でなく、数6の関係式を満足した状態でスラブを再加熱する場合、相変態が過度に早く終わって、熱間圧延後に再結晶組織の分率が急減することを確認することができた。
一方、熱延板焼鈍を省略するために、熱間圧延時に熱間圧延の温度と巻取温度を上昇させ、熱間圧延時に後段圧延機の圧下熱を多少高めるなどの処理をすれば、製造された鋼板の磁性を熱延板焼鈍行う時と同程度の優れた磁性として確保することができるが、これによって鋼板の表面に縞状のような表面特性に影響を与える結果が発生しうる。
図1は、このように熱延板焼鈍を省略し、熱間圧延の温度と巻取温度を上昇させて製造した鋼板表面に縞状が形成された写真である。
【0034】
図1にて写真の下から上の方向が圧延方向である。
このように熱延板焼鈍を省略し、熱間圧延の温度と巻取温度を上昇させて製造する場合、圧延方向に縞状が長く発生するが、これを圧延垂直方向に高低を評価すれば、凹凸形状が発生して一種の表面欠陥として確認される。
図1の縞状部分の断面の圧延垂直方向に高低を調べれば、周辺部に比べて上部に突出した形態で低部が発生する。しかし、このように縞状が発生した部分で圧延方向に高低差をみると、高低差が特な傾向性を有しない。
本発明の発明者らは、このような縞状欠陥の原因について調べた結果、熱間圧延時の内部酸化層変化と密接な関連があることを確認した。
無方向性電磁鋼板の成分のうちSi、Al、Mnなどの元素は、鉄よりも酸化が良くなる物質であって、これらの元素が増加する場合、酸化が良くなり、特に鋼板内部で酸化層を形成する。
【0035】
鋼板に内部酸化層や結晶粒界に沿って発生した酸化層が形成される場合、冷間圧延前の酸洗時、酸洗がこのような酸化層に沿って起こることがあり、不均一な酸洗面を形成したり、冷間圧延時に影響を与えて長手方向に長く凹凸を形成することがある。
一般に、このような内部酸化層は、熱間圧延時の巻取温度が低い場合、5μm以下に発生して、酸洗過程で十分に除去されて大した問題が発生しない。しかし、Si、Al、Mnなど酸化が良くなる元素の含有量が高く、巻取温度が高い場合、鋼板の内部酸化層の深さが深くなり、また、不均一に形成されうる。これが表面欠陥の原因になる。
したがって、このような表面欠陥は、鋼板の組成がSi:1.5~3.0%、Al:0.0001~0.7%、Mn:0.4~1.5%の範囲以内の場合、そして熱間圧延の温度と巻取温度が高くなる場合、このような縞状の発生が高まる。したがって、このような表面欠陥を除去するためには、偏析元素を活用する必要がある。
【0036】
本発明の発明者らは、Si、Al、Mnの含有量を本発明の一実施例のような範囲で含む鋼板に対して巻取温度による内部酸化層の形成過程を確認した。
その結果、巻取温度が630℃と低い温度では、鋼板の外部に濃い色の外部酸化層が発生し、鋼の表面下の結晶粒界に沿って酸化層が約10μm程度発生した。
そして、巻取温度が680℃と少し高くなる場合、鋼板の結晶粒界に沿って発生した酸化層とともに、外部酸化層と内部酸化層との界面の真下部分に黒い点が打ち込まれている形態の内部酸化層があった。また、結晶粒界に沿って発生した内部酸化層の深さは約10μm以上であり、結晶粒内内部酸化層の深さは6~7μmであった。
【0037】
次に、巻取温度が750度と高くなる場合、鋼板の内部酸化層が約30μm程度まで発生し、こ場合には、発生した内部酸化層を酸洗過程で溶かしにくいほど表面欠陥が存在した。
このように熱延板焼鈍をせずに磁性を確保するために設計した鋼板の成分系と工程条件で表面欠が起こりやすい条件が発生することによって、これを解消する方策が必要である。
本発明の発明者らは、このような表面欠陥を解消するために、成分系と製造工程条件を提示するその方策の1つとして、熱延圧延過程中、後段での圧下量を上昇させるか、および/または鋼板の組成に偏析元素を含有させる方策を提示する。
表面特性を改善するための一つの実施例として、熱延圧延過程中、後段での圧下量を上昇させ、板の組成に偏析元素を含有させる方策を適用する場合、鋼板の内部酸化層が約3μmに抑制さたり、内部酸化層がほとんど形成されないことを確認した。
【0038】
本発明の発明者らは、鋼板の縞状による凹凸性欠陥が発生する原因として結晶上の差があり、この場合、凹凸部位と凹凸でない部位での集合組織で縞状性の差を示すと考えている。しかし、本発明の一実施例のように、鋼板の組成と製造工程、一例として、熱間圧延条件を制御する場合、このような差は現れず、集合組織における変化が現れないと考えられた。つまり、このような縞状による凹凸性欠陥において結晶の集合組織に凹凸部分と凹凸でない部分の{100}、{110}分率の変化が10%未満と見なす。
以上のように、無方向性電磁鋼板において熱間圧延中の相変態現象および熱間圧延の工程条件を制御して、熱延再結晶組織を確保し、硫化物が粗大化することを同時に達成し、かつ、内部酸化層の発生を抑制しながらも熱延板組織内の再結晶組織を高める。したがって、本発明の一実施例によれば、熱延板焼鈍を実施しなくても、鋼板の磁性と表面特性に優れた無方向性電磁鋼板を提供することができる。
一方、熱延板焼鈍をしない熱延板をコイル状で生産する場合、幅方向や長手方向に磁性の偏差が発生し、このような偏差は、熱延板焼鈍を実施する場合と比較すれば、より大きくなる。
【0039】
一般に、スラブを再加熱する時、加熱炉のスキッド装置の位置に応じて、製造された熱延板コイ位置別に物性に偏差が発生する。そして、熱間圧延時、粗圧延と仕上げ圧延を順次に進行するが、仕上げ圧延直前に、コイルが高温の状態でコイルの先端部はすぐに仕上げ圧延が進行するが、後端部先端部が圧延される間に仕上げ圧延直前の温度で長く留まるので、鋼板の組織や析出物で差を生じようになる。このような差は、熱間圧延時、一部元素の再固溶後に微細析出した析出物が多いほど差はより大きくなる。
また、熱間圧延巻取時にも、コイルでその位置に応じて冷却速度の差が発生して、製造された熱板の組織の差が発生する。このような差は、熱延板を焼鈍する場合、このような偏差を最小化するしかし、熱延板焼鈍を省略する場合には、この偏差を最小化する方策を考慮しなければならない。
そこで、本発明の熱間圧延の工程条件を変化させながらコイル全体の幅方向と長手方向での鉄損差を測定して、熱延板焼鈍を実施することなくこのような偏差を最小化できる方策を確認した。
【0040】
つまり、本発明の発明者らは、すでに熱延板焼鈍を実施しない鋼板で磁気的特性を熱延板焼鈍を実施した場合に次ぐか、より優れた程度の特性を得るために、熱延板再加熱時のオーステナイト相変態を経ることができる成分系および熱延再加熱条件の確保が必要という点を提示し、かつ、相対的に高い巻取温度を確保し、表面の縞状欠陥を防止するために、鋼板内部の酸化層を制御する方策などについて提示している。これに加えて、本発明の発明者らは、コイル位置別に磁性の偏差を低減できる方策を併せて提示する。
まず、このような方法で熱間圧延後の巻取時に冷却速度の差を克服するために巻取温度を長手方向に異なって制御する方法を提示する。
熱延板をコイルに巻取る場合、外巻取部と最内巻取部は冷却速度が速いので、巻取温度を同一に制御しても、巻取後に巻取温度付近で維持される時間が中巻取部に比べて相対的に小さくなる。このような差によって、最内巻取部と外巻取部が中巻取部と比較すれば、鉄損が相対的に悪くなる。
【0041】
しかし、外巻取部は、仕上げ圧延直前に高温での維持時間が長く微細析出物が成長する時間を確保して磁性が劣化する程度が低いが、最内巻取部は、このような効果なしに、巻取時の維持時間が短いので、これを相殺する方策が必要である。
したがって、本発明の一実施例では、内巻取部、つまり、熱延板巻取時に先端部の巻取温度を中巻部の平均温度対比20℃以上高く管理する場合、このような偏差が低減できることを確認した。
一般に、熱間圧延時に最先端部は工程上で一部切断除去されるので、全体長さの約5%位置での温度が中心部長さの約30%~50%の平均温度と比較して20℃以上に維持する方が偏差の低減に有利である。より好ましくは、30℃以上維持するのが良い。
【0042】
適用長さは、全体長さの5%以上適用することが好ましく、約20%長さまで中心部に比べて温を高く適用しても効果は良い。コイルの先端部に対する巻取温度の上昇は、熱延板を冷却する冷却の噴射量が減少して幅方向に周縁の過冷も防止可能であり、中心部の冷却も減少すると推定され、これによって幅方向の偏差も減少すると推定される。
コイル位置別の磁性偏差の他の原因として、スラブ再加熱時に再固溶し、熱延時に再析出する微細析出物によって発生しうる。つまり、これらの熱延時に再析出する微細析出物が熱延板焼鈍時に粗大化する過程がなくてこのような偏差を誘発しうる。
【0043】
本発明の一実施例では、スラブ再加熱時にオーステナイト分率を100%確保した後、相変態をする工程により、スラブの粗大な組織を相対的に小さい結晶粒にして、低温では再結晶が難しい組織を作ることを防止する。
このためには、スラブ加熱温度は、数6のように、SRT≧A1+150℃で加熱することが好ましい。しかし、先に説明したように、析出物の面では、スラブ加熱温度が高いほど、再固溶量が増加して微細析出量が増加するので、このようなスラブ加熱を制御する必要がある。
スラブ全体を数6の温度で加熱するために、一度にこの温度で加熱された加熱炉にスラブを装入すれば、スラブの両端部分は過熱されて相対的に高い温度で加熱し、微細析出物が増加しうる。
したがって、スラブ加熱時、最初は目標温度対比50度以上より低い温度で加熱し、その後、目標温度で加熱すれば、スラブの両端つまり、熱延時の先端部および後端部と幅方向の周縁は熱を受け入れる表面から近くて中心部に比べて過熱の恐れがあるので、これを減らしてこの部分の微細析出物の増加を防止することができる。
【0044】
このような方法でコイルにおいて長手方向および幅方向の鉄損偏差を低減することができる。そして、このようなスラブ加熱炉で段階別領域が分離される必要はなく、それぞれ温度設定を段階別進行すれば良い。
また、全体的にスラブ内の一部元素の再固溶量の増加を低減するために、SRTの最高温度が低いほど好ましいが、オーステナイト結晶相を確保するためには再加熱温度を高めるのが有利であるので最終段階で再加熱温度を上げかつ、維持時間は最後の前段階に比べて短くし、その前の段階つまり最後段階の前段階の加熱温度(SRT2)をA温度+70℃以下とし、A+120℃以上を満する温度で加熱をし、最後段階の加熱温度SRT_max≧A+150℃を満足するように制御すれば、コイル位置別の偏差を低減することができる。
(ここで、SRT_maxは、数6中、スラブ再加熱温度(SRT)のうち最高温度を意味する。)また、微細析出物の減少とともに、仕上げ圧延直前に温度を高めると、微細析出物の成長を誘導可能で、偏差を低減するのに役立つことができる。熱間圧延中、仕上げ圧延の開始直前の温度をA50℃以上の温度で熱間圧延の仕上げ圧延をして偏差を低減することができる。
【0045】
しかし、この温度が過度に高い場合、仕上げ圧延時、後段パスまで異常域の圧延による縞状偏差の恐れがあり、A+40℃以下の温度で仕上げ圧延を開始することが好ましい。さらに好ましくはA+20℃以下の温度で仕上げ圧延を開始するのが良い。
そして、熱延板をコイル状に巻取った後、保熱カバーで覆って、冷却時に外巻取部と内巻取部の冷却速度を遅くすることができ、幅方向の冷却速度の差も減少して鉄損偏差を低減することができる。
【0046】
以下、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、製鋼工程において、重量%で、C:0005%以下(0%を除く)、Si:1.5~3.0%、Mn:0.4~1.5%、S:0.005以下(0%を除く)、Al:0.0001~0.7%、N:0.005%以下(0%を除く)、Ti0.005%以下(0%を除く)、Cu:0.001~0.02%、Sb:0.01~0.05%、n:0.001~0.1%、P:0.005~0.07%を含み、Si、Mn、Alの含有量は、下記数1を満足し、Sb、Sn、Pの含有量は、下記数2を満足し、残部はFeおよび不可避不純物からなるスラブを製造する段階、スラブを再加熱する段階、スラブを熱間圧延して熱延板を製造する段階、熱延板を巻取る段階、巻取られた熱延板を冷間圧延して冷延板を製造する段階、および冷延板を最終焼鈍する段階を含む。
【0047】
以下、各段階毎に具体的に説明する。
まず、スラブを製造する段階について説明する。スラブ内の成分元素に対する限定の理由は、前述した無方向性電磁鋼板の組成限定の理由と同一であるので、繰り返しの説明を省略する。後述する熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍などの製造過程でスラブの組成は実質的に変動しないので、スラブの組成と無方向性電磁鋼板の組成が実質的に同一である。
熱延板を製造する段階の前に、スラブを再加熱することができる。
スラブ再加熱温度(SRT)は、再加熱温度でのMnSの平衡析出量MnSSRTが鋼のMnSの大析出量MnSMaxとの関係式である[数5:MnSSRT/MnSMax≧0.6]を満足する温度で行う。スラブ再加熱温度が過度に高い場合、MnSが再溶解して熱間圧延および焼鈍工程で微細に析出し、過度に低い場合は、MnSの粗大化には有利であるが、熱間圧延性が低下し、また、十分な相変態区間の未確保で熱間圧延後に再結晶組織の確保が難しい。
【0048】
また、スラブ再加熱は、オーステナイト単相区間で実施されなければならず、再加熱時間は、全時間は通常実施される水準であれば構わないが、オーステナイト単相領域の温度で少なくとも1時間上は行われなければならない。総加熱を含むスラブ再加熱の総時間は100分以上が好ましく、さらに好ましくは180分以上である。
スラブの加熱時間が過度に長ければ、生産性が悪くなり、組織が過度に粗大で再結晶が難しいのでその上限は500分とする。このようなスラブ加熱時間は、硫化物の粗大化のために必要な時間であり、また、熱間圧延前にオーステナイトの結晶粒サイズを粗大化することにより、熱間圧延後に再晶組織を粗大化するために必要である。
そして、スラブ再加熱温度は、オーステナイトがフェライトに100%変態する平衡温度を考慮して、[数6:SRT≧A+150℃]の関係式を満足する温度で行われなければならない。これは熱間圧延中に相変態が起こりうる十分な温度領域を確保することによって、熱間圧延後の再結晶組を十分に確保するためである。
【0049】
一方、製造された鋼板の全体コイルにおいて幅方向と長手方向の磁性偏差を低減するためには、スラブ加熱時、段階的に加熱することが好ましい。
つまり、スラブ再加熱時にオーステナイト分率を100%確保して相変態を経ることで、スラブの粗大な組織を相対的に小さい結晶粒にして、低温では再結晶が難しい組織を作ることを防止する。
このためには、スラブ再加熱温度を[数6:SRT≧A+150℃]を満足する温度で加熱すことが好ましい。
しかし、前述した析出物の面では、スラブ再加熱温度が高いほど、再固溶量が増加して微細析出が増加するので、スラブ再加熱方法を制御する必要がある。スラブ全体を数6が満足される温度で加熱するために、一度この温度で加熱された加熱炉にスラブを装入すれば、スラブの両端部分は過熱されて相対的に高い温度になり、微細析出物が増加しうる。
【0050】
スラブ再加熱時、2段以上または3段以上加熱し、最初(SRT1)は目標温対比50度以上より低い温度(SRT_max-50)で加熱し、その後、目標温度で加熱すればスラブの両端つまり、熱間圧延時の先端部および後端部と幅方向の周縁は、熱を受け入れる表面か近くて中心部に比べて過熱する恐れがあるので、これを減らしてこの部門の微細な析出物の増加を防止することができる。これによってコイルの長手方向および幅方向での鉄損偏差を低減することがきる。
そして、全体的な含有成分の再固溶量の増加を低減するために、スラブ再加熱の最高温度は低いほど有利である。これは、オーステナイト相を確保するために再加熱温度を高めるのが有利であるので最終段階で再加熱温度を上げかつ、維持時間は最後の前段階に比べて短くし、その前の段階つまり最終段階の前段階の加熱温度(SRT2)をA温度+70℃以下とし、A+120℃以上を満する温度で加熱をし、最終段階の加熱温度SRT_max≧A+150℃を満足するように制御すれば偏差を低減することができる。
(ここで、SRT_maxは、数6中、スラブ再加熱温度(SRT)のうち最高温度を意味する。)
【0051】
一方、熱間圧延をするにあたり、鋼板内の微細析出物を減少させ、これとともに、熱間圧延中の仕上げ圧延で仕上げ圧延直前の温度を高めると、微細析出物の成長を誘導可能で、磁性偏差を低減すのに有利であり得る。熱間圧延中、仕上げ圧延の開始直前の温度をA-50℃以上の温度で圧延して偏差を低減することができる。しかし、この仕上げ圧延温度が過度に高くなる場合、仕上げ圧延時、後段パスまで異常域の圧延による縞状偏差が発生しうるので、A+40℃以下の温度で仕上圧延を開始するのが良い。さらに好ましくは、A+20℃以下の温度で仕上げ圧延を開始するとさらに良い。
そして、熱間圧延時、再結晶分率を確保するために、仕上げ圧延の最後の2個のロールでの圧下を制御する必要がある。熱間圧延は、仕上げ圧延で複数のロール(例えば;6~7個のロール)で圧延をするが、最後の2個のロールの圧下率を多少高くすれば、熱延板で再結晶分率を高めることがきる。したがって、最後の直前のロールでの圧下率を21%以上とすることが好ましい。そして、最終ロールの場合には13%以上とする場合、再結晶分率を高めるのに有利である。
熱間圧延の仕上げ圧延で最終2個のロールで圧延される温度が最も低いので、圧下率が過度に高い場合、圧延に問題が発生しうるので、この2個のロールでの圧下率は合計60%を超えないようすることが好ましい。
【0052】
以上のような条件を熱間圧延された熱延板は、コイル状に巻取る。この時、巻取温度は650~800℃が好ましい。
熱延板の巻取温度が高い場合、熱延板で再結晶粒分率を大きく増大させることができるので、熱延板焼鈍を省略した工程でこのような効果を得るために、巻取温度は650℃以上とすることが好ましい。しかし、巻取温度が高い場合、酸化層が過度に形成されるので、800℃以下とすることが好ましく、さらに好ましくは、750℃以下とする。
熱延板の巻取は、コイルの開始端の温度がコイルの中間部の温度より20℃以上高い温度である、下記数7により巻取ることが好ましい。
〔数7〕
(コイルの長手方向の全体長さの最初5%地点までの長さの最高巻取温度)≧(コイルの長手方向の全体長さの30%~50%長さの平均巻取温度)+20℃
このようにコイルの開始端と中間部の温度に偏差を付与してコイルの幅方向、長手方向での磁性偏差をより低減させることができる。
【0053】
以上の条件で熱間圧延された熱延板は、鋼板内部に形成される内部酸化層の厚さを7μm下に制御することが好ましい。これは、最終電磁鋼板製品で表面欠陥が存在しないようにするためは、熱間圧延時に形成される内部酸化層の厚さを7μm以下とすることが好ましい。さらに好ましは、5μm以下とする。このような内部酸化層の厚さ制御は、後続する酸洗工程で除去しなければならない酸化層の厚さを低減可能で実収率を高くかつ、表面の縞状の発生を改善することができる。
そして、以上のような条件で製造された熱延板は、コイル状に巻取った後、冷却設備に入れて、保熱カバーで覆った状態で冷却することができる。このように保熱カバーで覆って冷却する場合、コイルの外巻取部と内巻取部との間の冷却速度を遅くすることができ、幅方向の冷却速度の差も低減可能で、結果的に鉄損の偏差を低減することができる。
【0054】
次に、熱延板を酸洗し、所定の板厚となるように冷間圧延を実施する。この時、冷間圧延され冷延板は0.10mm~0.70mmであってもよい。
最終冷間圧延された冷延板は、最終焼鈍を実施する。このように冷延板を焼鈍する工程で焼鈍温度は、無方向性電磁鋼板の場合、鉄損が結晶粒サイズに関連するので、850~1,100℃が好まい。最終焼鈍温度が850℃より低い場合、結晶粒が過度に微細で履歴損失が増加し、逆に1,100℃を超える場合は、成分系に応じて相変態発生分率が増加して、結晶粒の微細化によって鉄損が劣ることがある。したがって、最終焼鈍時の温度は、850~1,100℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは、900~1,050℃の範囲である。
以後、絶縁層を形成する段階をさらに含むことができる。絶縁層の形成方法については、無方向電磁鋼板技術分野にて広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0055】
以上説明した本発明の製造された無方向性電磁鋼板は、その鋼板内部に0.5μ以下の(Mn、Cu)Sの面積あたりの個数が1個/μm以下であり、0.5μm以下の(Mn、Cu)S中の0.05μmサイズ以上の個数率(Fcount)は0.2以上であり、これらの占める面積率(Farea)が0.5以上であり、これらの積(FcountxFarea)は0.1以上であった。
また、本発明により製造された無方向性電磁鋼板は、圧延方向に垂直な方向に表面高さの中心線を描く時、圧延垂直方向に4mm長さ単位で測定する場合、最大高さが中心線から2.5mm以下であり、周辺に比べて圧延垂直方向0.5μm幅以上、圧延方向3cm以上のサイズで周辺と比べて高さの高い凹凸性欠陥が圧延垂直方向に10cmあたり1個/cm以下であった。
そして、このように製造された電磁鋼板の位置別{100}、{110}分率の変化が10%未満で熱延板焼鈍を実施しなくても磁性に優れた無方向性電磁鋼板を製造することができる。
【0056】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1
真空溶解によりC:0.002重量%、N:0.0021重量%を含有し、下記表1のような組成で鋼塊を製造した。
それぞれの試験片に対してSi、Mn、Alの量を変化させて、それぞれの添加量および数1で定めたSi、Mn、Alの含有量制御が鋼板の磁性に及ぼす影響を説明した。
そして、スラブ再加熱温度による製造工程でMnSの析出量が数5で定めた平衡析出量(MnSSRT)と最大析出量(MnSax)がどのように鋼板の磁性に影響を与えるかを説明した。そして、数2で定めたSb、Sn、P含有量による内部酸化層と表面欠陥に与える影響も説明した。
製造された鋼塊は1,150℃で再加熱し、2.5mmの厚さに熱間圧延した後、巻取った。各試験片に対する巻取温度は、表1に示した。鋼種番号A1~6までは巻取温度を630、680、750℃に変化することによって、側鎖番号を-1、-2、-3と表示した。
そして、巻取られた熱延板に対して熱延板焼鈍を省略し、酸洗した後、0.50mmの厚さに冷圧延し、最終的に最終焼鈍を実施した。この時、最終焼鈍温度は900~1,050℃の間で実施した。
このように製造されたそれぞれの試験片に対して最終焼鈍後の介在物の個数とその分布を測定し熱延板の内部酸化層の深さと、最終製品板の表面特性についても測定した。そして、焼鈍温度のうち最適温度で鉄損(W15/50)と磁束密度(B50)も測定して、その結果を下記表2と表3に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
前記表2中、数1は、0.19≦[Mn]/([Si]+150x[Al])≦0.35を意味し、数5は、MnSSRT/MnSMax≧0.6を意味し、Fcountは、0.5μm以下の(Mn、Cu)S中の0.05μmサイズ以上の個数率であり、Fareaは、これらの占める面積率を意味する。
【0059】
【表3】
前記表3中、(1)「縞状」は、試験片の表面層に現れた縞状を意味し、(2)「縞状の数」は、試験片表面における縞状欠陥の程度を測定したもので、圧延垂直方向に10cmあたりの個数を意味する。
また、表3中、(3)鉄損(W15/50)は、50Hz周波数で1.5Teslaの磁束密度が誘起された時の圧延方向と圧延方向垂直方向の平均損失(W/kg)を意味する。
そして、(4)磁束密度(B50)は、5000A/mの磁場を付加した時に誘導される磁束密度の大きさ(Tesla)を意味する。
【0060】
前記表2と3から分かるように、本発明の一実施例によるSi、Al、Mnの含有量が数1の条件を満足し、熱間圧延時、再加熱温度でのMnSの析出物が数5の条件をすべて満足した場合には、0.5μm以下の(Mn、Cu)Sの面積あたりの個数が1個/μm以下でかつ、0.5μm以下の(Mn、Cu)S中の0.05μmサイズ以上の個数率(Fcount)およびこれらの占める面積率(Farea)がそれぞれ0.2と0.5以上であり、その積(FcountxFarea)も0.15以上となった。その結果、当該試験片の鉄損W15/50と磁束密度B50が優れていた。
そして、表1中、巻取温度(CT温度)が630℃と低い場合、全般的に鉄損と磁束密度が優れていなかった。一方、表面特性をみると、偏析元素と巻取温度との関係が重要であることが明らかになった。
数3の関係を満足する巻取温度の場合には、熱延板の内部酸化層も厚さが薄く、当該試験片の凹凸も良好であり、その欠陥個数も良好であった。
一方、Sb、Sn、Pの含有量があまりにも過度な場合、表面の縞状欠陥が良好であっても、密着性と磁性が不良であったり、クラックによる生産性が悪くなったりする結果となった。
前記実験例からみて、数1の条件をよく満足する場合には、凹凸性欠陥があるかないかに関係なく、位置別集合組織の変化が、{100}、{110}分率の変化は10%未満を満足したが、数1の範囲を外れた他の場合には、凹凸性欠陥が集合組織の変化に起因する場合があった。そして、P、Sb、Snを含有しない場合、磁性が悪くなる。
【0061】
実施例2
次に、スラブ加熱条件と熱延条件の変化による鋼板の幅方向と長手方向の位置による鉄損偏差を確認した。
実験に用いた試験片の組成は、以下の通りである。
成分1試験片;重量%で、Si;2.01%、Al;0.005%、Mn:0.61%、P:0.01%、Sb:0.03%。S:0.0035%、C:0.0025%、N:0.0019%、Ti:0.0011%、Cu:0.01%、Sn:0.01%、を含み、残部がFeとその他の不可避不純物からなる。
成分2試験片;重量%で、Si:1.99%、Al:0.007%、Mn:0.59%、P:0.011%、Sb:0.03%、S:0.0038%、C:0.0022%、N:0.0019%、Ti0.0012%、Cu:0.01%、Sn:0.01%を含み、残部がFeとその他の不可避不純物からなる。
ここで、成分1試験片のA温度は978℃であり、A温度は1,103℃であり、数1によるMn、Si、Alの比例含有量は0.221で許容範囲0.19~0.35の範囲以内であり、数2による1/2*Sn値は0.005であり、[Sb]+[P]値は0.04で数2の条件を満足する。
【0062】
成分2試験片のA温度は984℃であり、A温度は1,106℃であり、数1によるMn、Si、Alの比例含有量は0.194で許容範囲0.19~0.35の範囲以内であり、数2による1/2*Sn値は0.005であり、[Sb]+[P]値は0.041で数2の条件を満足する。
以上の成分1と成分2の組成でスラブを製造した後、このスラブを総在炉時間200分として、2段階または3段階で温度を変化させて再加熱し、2.5mmの厚さに熱間圧延した後、コイル状に巻取った。
巻取られた一部のコイルは、表4のように、保熱カバーを用いるか、用いない状態で冷却した。
次に、巻取られた熱延板の熱延板焼鈍を省略し、酸洗した後、0.50mmの厚さに冷間圧延し、冷延板を製造した。そして、この冷延板に最終焼鈍を実施した。この時、最終焼鈍温度は980℃で実施した。
以上の条件で製造した試験片に対してそれぞれスラブの再加熱条件と熱間圧延条件、そして巻取温度の条件を下記表4のように変化させながら鋼板の幅方向と長手方向の位置による鉄損偏差を測定した。
【0063】
【表4】
前記表4中、(1)の仕上げ圧延温度は、粗圧延後にタンデム圧延(Tandem)とする仕上げ圧延直前と直後の温度を意味し、(2)の長手方向先端部の温度は、コイル巻取時の長手方向の5%位置の温度を意味し、(3)の長手方向中心部の温度は、コイルの全体長さの30%長さの平均温度を意味する。
そして、各成分1、2のA1、A3関連の相変態温度は、表5に示した。
【0064】
【表5】
測定された鉄損と磁束密度値は、鋼板の全体幅のうち周縁の約5%位置付近の試験片を採取して測定した値と、鋼板の全体幅のうち中心部の約30%に相当する位置の試験片を採取して鉄損と磁束密度それぞれの平均値を測定して中心部の値とし、その値を比較した。
そして、各試験片に対して、各鋼の鉄損と磁束密度は、圧延方向と圧延垂直方向の値の平均値を比較して、表6に示した。
【0065】
【表6】
【0066】
表6中、(1)「幅方向中心部の磁性」は、コイルの長手方向先端部での幅方向中心部の磁性を意味し、(2)「幅方向周縁の磁性」は、コイルの長手方向先端部での幅方向周縁の磁性を意味し、(3)「磁性比率」は、コイルの長手方向先端部において、幅方向周縁と中心部の磁性比率を意味する。
そして、表6中、(4)「幅方向中心部の磁性」は、コイルの長手方向中間部分での幅方向中心部の磁性を意味し、(5)「幅方向周縁の磁性」は、コイルの長手方向中心部での幅方向周縁の磁性を意味し、(6)「磁性比率」は、コイルの長手方向中心部において、幅方向周縁と中心部の磁性比率を意味する。
前記表4~6から分かるように、スラブ再加熱時に加熱炉の在炉時間を180分以上とし、2段階以上に段階的に均熱し熱間圧延中の仕上げ圧延条件と巻取温度を制御した発明例の場合、コイルの長手方向および幅方向の磁性偏差なく優れた鉄損値と磁束密度値を示し、同時に表面特性も良好であった。
【0067】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。そのため、以上に述べた実施例はすべての面で例示的であり、限定的ではないと理解しなければならない。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、C:0.005%以下(0%を除く)、Si:1.5~3.0%、Mn:0.4~1.5%、S:0.005%以下(0%を除く)、Al:0.0001~0.7%、N:0.005%以下(0%を除く)、Ti:0.005%以下(0%を除く)、Cu:0.001~0.02%、Sb:0.01~0.05%、Sn:0.001~0.1%、P:0.005~0.07%を含み、Mn、Si、Alの含有量は、下記数1を満足し、Sb、Sn、Pの含有量は、下記数2を満足し、残部がFeおよび不可避に混入する不純物からなり、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物の面積あたりの個数が1個/μm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
〔数1〕
0.19≦[Mn]/([Si]+150x[Al])≦0.35
〔数2〕
1/2*Sn<[Sb]+[P]<0.09
(ここで、[Mn]、[Si]、[Al]、[Sn]、[Sb]、[P]は、それぞれMn、Si、Al、Sn、SbとPの重量%である。)
【請求項2】
前記電磁鋼板は、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物中の0.05μmサイズ以上の個数率(Fcount);0.2~0.5であり、0.5μm以下の(Mn、Cu)S析出物中の0.05μmサイズ以上の析出物の占める面積率(FcountxFarea);>0.15であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項3】
前記電磁鋼板は、表面高さの中心線を基準として圧延方向に4mm長さ単位で測定時、最大高さが中心線から2.5μm以下であり、圧延垂直方向0.5μm幅以上、圧延方向3cm以上のサイズで周辺に比べて高さの高い凹凸性欠陥が圧延垂直方向に10cmあたり1個/cm以下であり、前記電磁鋼板の位置別{100}、{110}分率の変化が10%未満であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項4】
前記電磁鋼板は、コイルの幅方向エッジ部と中心部での鉄損値の差が5%以下であり、前記コイルの幅方向エッジ部と中心部での磁束密度値の差が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項5】
前記電磁鋼板の熱延板を基準として前記電磁鋼板の内部酸化層の厚さが7μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項6】
重量%で、C:0.005%以下(0%を除く)、Si:1.5~3.0%、Mn:0.4~1.5%、S:0.005%以下(0%を除く)、Al:0.0001~0.7%、N:0.005%以下(0%を除く)、Ti:0.005%以下(0%を除く)、Cu:0.001~0.02%、Sb:0.01~0.05%、Sn:0.001~0.1%、P:0.005~0.07%を含有し、Mn、Si、Alの含有量は、下記数1を満足し、Sb、Sn、Pの含有量は、下記数2を満足し、残部がFeおよび不可避に混入する不純物からなるスラブを製造する段階、
前記スラブを下記数5を満足する温度で再加熱する段階、
前記再加熱されたスラブを熱間圧延して熱延板を製造する段階、
前記熱延板をコイル状に巻取る段階、
巻取られた熱延板を酸洗し冷間圧延して冷延板を製造する段階、および
前記冷延板を最終焼鈍する段階を含むことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
〔数1〕
0.19≦[Mn]/([Si]+150x[Al])≦0.35
〔数2〕
1/2*Sn<[Sb]+[P]<0.09
〔数5〕
MnSSRT/MnSMax≧0.6
(ここで、[Mn]、[Si]、[Al]、[Sn]、[Sb]、[P]は、それぞれMn、Si、Al、Sn、SbとPの重量%であり、MnSSRTは、MnSの平衡析出量であり、MnSMaxは、MnSの最大析出量である。)
【請求項7】
前記スラブを再加熱する段階は、数6を満足する温度で加熱することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
〔数6〕
SRT≧A+150℃
(ここで、SRTは、スラブ再加熱温度であり、Aは、オーステナイトがフェライトに100%変態する温度である。)
【請求項8】
前記スラブを再加熱する段階は、前記スラブを在炉時間を100分以上とし、2段以上に分けて段階的に加熱をすることを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記スラブを再加熱する段階は、在炉時間を100分以上とし、3段以上に分けて段階的に加熱をし、
1段加熱は、(SRT_max-50)℃以下の温度で50分以上加熱し、2段加熱は、最後段階の前段階の加熱で加熱温度(SRT2)はA温度+70℃以下であり、A+120℃以上を満足する温度で加熱をし、最後の加熱は、SRT_max≧A+150℃で加熱することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(ここで、SRT_maxは、数6中、スラブ再加熱温度(SRT)のうち最高温度を意味する。)
【請求項10】
前記熱間圧延において、仕上げ圧延は、仕上げ圧延開始直前の温度をA-50℃以上A+40℃以下の温度で実施することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記熱間圧延において、仕上げ圧延は、複数のロールのうち最後の直前のロールでの圧下率を21%以上とし、最後のロールの圧下率は13%以上とすることを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項12】
前記巻取る段階は、650~800℃で実施することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項13】
前記巻取る段階は、Sn、Sbの含有量により温度を制御し、下記数3および/または数4により計算された温度で巻取られることを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
〔数3〕
0.000165*CT-0.085<{1/3*[Sn]+[Sb]}<0.13
〔数4〕
0.000165*CT-0.0934<[Sb]<0.0
(ここで、[Sn]、[Sb]は、SnとSbの重量%であり、CTは、熱間圧延時の長手方向中心部に位置する全体長さの30%長さの平均巻取温度である。)
【請求項14】
前記巻取る段階は、前記コイルの開始端の温度がコイルの中間部の温度より20℃以上高い温度である下記数7により巻取ることを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
〔数7〕
(コイルの長手方向の全体長さの最初5%地点までの長さの最高巻取温度)≧(コイルの長手方向の全体長さの30%~50%長さの平均巻取温度)+20℃
【請求項15】
前記巻取る段階は、巻取られたコイルを冷却設備に入れて、保熱カバーで覆った状態で冷却することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項16】
前記最終焼鈍は、850~1,100℃の温度範囲で実施することを特徴とする請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
一方、巻取る段階は、Sn、Sbの含有量により温度を制御し、下記数3および/または数4により計算された温度で巻取ることができる。
〔数3〕
0.000165*CT-0.085<{1/3*[Sn]+[Sb]}<0.13
〔数4〕
0.000165*CT-0.0934<[Sb]<0.0
ここで、[Sn]、[Sb]は、SnとSbの重量%であり、CTは、熱間圧延時の長手方向中部に位置する全体長さの30%長さの平均巻取温度である。)
また、このような巻取る段階は、前記コイルの開始端の温度がコイルの中間部の温度より20℃以高い温度である、下記数7により巻取ることもできる。
〔数7〕
(コイルの長手方向の全体長さの最初5%地点までの長さの最高巻取温度)≧(コイルの長手方の全体長さの30%~50%長さの平均巻取温度)+20℃
一方、巻取る段階は、巻取られたコイルを冷却設備に入れて、保熱カバーを覆った状態で冷却することもできる。
そして、最終焼鈍は、850~1,100℃の温度範囲で実施することが好ましい。
【国際調査報告】