(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】プラズマ制御
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240604BHJP
A61B 34/32 20160101ALI20240604BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B34/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023574471
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 IL2022050595
(87)【国際公開番号】W WO2022254447
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522369913
【氏名又は名称】キャプス メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CAPS MEDICAL LTD.
【住所又は居所原語表記】12 Hamelacha Street, POB 8939, Netaniya Industrial zone, Netaniya, ISRAEL
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウチテル イラン オレグ
(72)【発明者】
【氏名】コーガン ボリス
【テーマコード(参考)】
4C130
4C160
【Fターム(参考)】
4C130AA22
4C130AB06
4C160KK13
4C160KK24
4C160MM32
(57)【要約】
プラズマ投与量の制御システム及び方法であって、特にいくつかの実施形態においては、小径の体内プラズマ送達プローブを使用する、システム及び方法である。組織に適用されるプラズマの選択された投与量の投与の制御には、プラズマを送達するためにプローブが移動する際のプローブの動きのパターンを選択することが含まれてもよく、これには、プローブがどこへ移動するかだけでなく、プローブがどのくらいの時間留まるか及び/またはプローブがどのくらいの速度で移動するかも含まれ得る。いくつかの実施の形態において、プラズマの目標投与量が確実に送達されることを手助けするために、測定、例えば、プラズマを生成する電力の測定、及び/または生成されたプラズマのスペクトル特性の測定からのフィードバックが使用される。いくつかの実施形態において、プローブ位置とプラズマ生成との間には、プラズマプルームを完全に成長させることができる、標的からの特定の距離で最大電力を取得するような共同関係が存在するため、プラズマ送達の速度自体は、プラズマ送達プローブの動きによって調整される。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の組織の標的領域に制御されたプラズマ投与量を提供するシステムであって、
プラズマ送達プローブと、
前記プラズマ送達プローブから生成されたプラズマプルームを移動させるように構成されたモーションコントローラと、
プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリであって、前記プロセッサに、
前記プラズマ送達プローブによって前記組織の前記標的領域の小領域に送達される有効プラズマの標的範囲を指定する総比投与量の仕様にアクセスすることと、
前記プラズマ送達プローブがプラズマを提供するように動作している間、前記標的領域に前記総比用量を送達するように計画された移動に従って、前記プラズマプルームを移動させるように前記モーションコントローラに命令することと、
実際のプラズマ送達の速度の指標を受信することと、
前記計画された移動と併せて、前記指標速度では、前記標的領域の小領域に対して指定されたプラズマの総比用量が生成されない場合があることを判断することと、
前記小領域で実際に送達されるプラズマの総比用量がプラズマの前記総比用量の前記仕様を満たすように、前記プラズマ送達プローブの動作を調整することと、を指示する、前記プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリと、を含む、前記システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記計画された移動に対する修正によって前記プラズマ送達プローブの動作を調整する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記計画された移動に対する前記修正は、前記プラズマ送達プローブの移動速度を変更することを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記計画された移動に対する前記修正は、前記プラズマ送達プローブの計画された位置を変更することを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
プラズマ送達の速度を測定するように構成された少なくとも1つのセンサであって、前記プロセッサが、前記少なくとも1つのセンサから実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標を受信する、前記少なくとも1つのセンサを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、プラズマ生成により消費される電力を測定する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサは、温度センサを含む、請求項5~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサは、前記プラズマからのスペクトル放出を測定するように構成されたスペクトル放出検出器を含む、請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサは、前記プラズマ送達プローブの現在の位置を測定するように構成された位置センサを含む、実施形態5~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記計画された移動は、前記プラズマ送達プローブがプラズマを送達している間に、前記プラズマ送達プローブの移動を一時停止する前記標的領域内の複数の位置を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記被験体の内部の前記標的組織領域に前記プラズマ送達プローブを導入するように寸法決めされた剛性の導入器を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記計画された移動は、プラズマが前記プラズマ送達プローブから継続的に送達される間に、前記導入器を挿入及び後退させることの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記計画された移動には、前記プラズマを送達している間に前記プラズマ送達プローブが継続的に移動する、隣接する経路が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記プラズマの前記送達は、前記隣接する経路に沿って、連続的な隣接する表面領域上に行われる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記指標は、プラズマ生成によって消費される電力の測定された減少であり、前記プラズマプローブの前記動作は、前記プラズマ送達プローブを前記標的領域に向かって移動させることによって調整される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記プラズマプローブが前記標的領域に向かって移動する際に測定される電力の増加の大きさに応じて、前記標的領域に向かう前記移動の距離を選択する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記測定された電力が実質的に一定のレベルに達すると、前記標的領域に向かう前記プローブの移動を停止する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標には、前記プラズマプルームへのイオン化ガスの流れの測定を含み、前記プラズマ送達プローブの前記動作は、前記流れの減少に応じて前記プラズマ送達プローブの移動を遅らせることによって調整される、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標は、前記プラズマプルームへのイオン化ガスの流れの測定を含み、前記プラズマ送達プローブの前記動作は、前記流れの減少に応じて前記プラズマ送達プローブを後退させることによって調整される、請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標には、前記プラズマプルームの近傍の温度の測定が含まれ、前記プラズマ送達プローブの前記動作は、温度の上昇に応じて前記プラズマ送達プローブの電力を低減することと、移動を遅らせることとの両方によって調整される、請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標には、前記プラズマプローブをロボット移動させるためのコントローラ命令と、その結果として生じる前記プラズマプローブの位置変化との間の不一致が含まれる、請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
前記プラズマ送達プローブの前記動作は、前記計画された移動に対する修正によって調整される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
実際のプラズマ送達の前記速度を示すパラメータは、前記プラズマ送達プローブと前記組織との間の距離の変化を示し、
前記プロセッサは、前記パラメータに基づいて、前記プラズマ送達プローブが前記コントローラによって組織の前記標的領域の表面上を移動する速度を調整する、請求項1~22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記選択された投与量の仕様は、プラズマ曝露の累積時間を示す、請求項1~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記総比投与量の前記仕様は、前記プラズマ送達プローブの参照電力レベルを示す、請求項1~24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記計画された移動には、より微細な移動パターンが重ね合わせられる全体的な移動パターンが含まれ、前記全体的な移動パターンのみが前記標的領域の被覆範囲を定義し、前記微細な移動パターンが前記全体的な移動パターンと重なり合うことで、前記プラズマプルームにおける不均質性による投与量の不一致が減少する、請求項1~25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標は、組織の前記標的領域の近くのガス流のパターンの指標であり、前記プラズマ送達プローブの動作は、前記ガス流のパターンを修正するように調整される、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記指標は温度の測定であり、前記プラズマ送達プローブの前記動作は、その配向を修正することによって調整される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
被験体の組織の標的領域に制御されたプラズマ投与量を提供するシステムであって、
プラズマ送達プローブと、
前記プラズマ送達プローブから生成されたプラズマプルームを移動させるように構成されたモーションコントローラと、
プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリであって、前記プロセッサに、
前記プラズマ送達プローブによって前記組織の前記標的領域の小領域に送達される有効プラズマの標的範囲を指定する総比投与量の仕様にアクセスすることと、
前記プラズマプルームの移動を検出することと、
実際のプラズマ送達の速度の指標を受信することと、
前記検出された移動と併せて、前記指標速度では、前記標的領域の小領域に対して指定されたプラズマの総比用量が生成されない場合があることを判断することと、
前記小領域で実際に送達されるプラズマの総比用量がプラズマの前記総比用量の前記仕様を満たすように、前記プラズマ送達プローブの動作を調整することと、を指示する、前記プロセッサ及び前記プロセッサの指示を格納するメモリと、を含む、前記システム。
【請求項30】
標的領域の各小領域によって受け取られ、プラズマ送達プローブによって前記標的領域に送達される全プラズマの許容範囲を指定する全プラズマ投与量を制御する方法であって、
前記標的領域を選択することと、
前記プラズマ送達プローブからプラズマを生成することと、
前記プラズマ送達プローブを前記標的領域の近くに配置することと、
前記プラズマを前記標的領域に送達するように前記プラズマ送達プローブをロボット移動させることであって、前記移動は、前記選択された投与量及び前記プラズマ送達プローブからのプラズマ送達の速度を示す少なくとも1つの入力に従って定義されるパターンで行われる、前記移動させることと、を含む、前記方法。
【請求項31】
前記標的領域は、組織の領域である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記標的領域は、食品の領域である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記パターンは、前記プラズマ送達プローブがプラズマを送達している間に、前記プラズマ送達プローブの移動が一時停止する前記標的領域内の複数の位置を定義する、請求項30~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記プラズマ送達プローブは、剛性の導入器を備え、前記送達されたプラズマと共に、前記複数の位置のそれぞれまで到達するために、前記剛性の導入器を前記標的領域内に挿入することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記プラズマ送達プローブをロボット移動させて、前記送達されたプラズマを、前記位置のうちの1つの配置によってそれぞれ定義される、連続的な表面領域上に方向づけることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記パターンには、前記プラズマを送達している間に前記プラズマ送達プローブが継続的に移動する、前記標的領域内の隣接する経路が含まれる、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記プラズマ送達プローブは、剛性の誘導器を備え、前記プラズマと共に、前記隣接する経路の一端に到達するように、前記剛性の誘導器を前記標的領域に挿入することと、次に前記剛性の誘導器を後退させることとを含み、プラズマは、前記剛性の誘導器が挿入及び後退の少なくとも1つの方向に移動する際に、継続的に送達される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記プラズマ送達プローブをロボット移動させて、前記送達されたプラズマを、前記隣接する経路に沿って、連続的な隣接する表面領域上に方向づけることを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記表面領域は、体腔の管腔表面である、請求項35及び38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記プラズマ送達プローブを前記管腔内に挿入することと、次に前記ロボット移動を実施することとを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
プラズマ送達の前記速度を測定することと、プラズマ送達の前記速度の変化に基づいて前記選択された投与量を維持するために前記ロボット移動を調整することとを含む、請求項31~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
プラズマ送達の前記速度を前記測定することは、プラズマ生成によって消費される電力を測定することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記選択された用量を維持するために前記ロボット移動を調整することは、前記プラズマ送達プローブの移動速度を変更することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記選択された用量を維持するために前記ロボット移動を調整することは、
プラズマ生成によって消費される電力を測定することと、
前記測定に応じて前記プラズマ送達プローブの位置を調整することと、を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記測定は、プラズマ生成によって消費される前記測定された電力の低減を測定し、前記調整は、前記測定した電力を増大させる、前記標的領域に向かう距離だけ前記プラズマ送達プローブを移動させることを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
プラズマ生成によって消費される前記測定された電力は、前記プラズマ送達プローブが前記標的領域まで前進している間に実質的に一定のレベルに達し、前記前進を停止することが含まれる、請求項44~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
プラズマ送達の前記速度の前記測定は、前記プラズマプルームへのイオン化ガスの流れを測定することを含み、前記流れの減少に応じて前記プラズマ送達プローブの移動を遅らせることが含まれる、請求項41~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
プラズマ送達の前記速度の前記測定は、前記プラズマプルームへのイオン化ガスの流れを測定することを含み、前記流れの減少に応じて前記プラズマ送達プローブを後退させることが含まれる、実施形態41~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
プラズマ送達の前記速度の前記測定は、前記プラズマプルームの近傍の温度を測定することと、温度の上昇に応じて前記プラズマ送達プローブの電力を低減すること及び移動を遅らせることの両方とを含む、請求項41~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記プラズマプローブをロボット移動させるためのコントローラ命令と、その結果として生じる前記プラズマプローブの位置変化との間の不一致を検出することと、前記選択された投与量を維持するために前記プラズマ送達プローブの前記動作を調整することとを含む、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年6月3日に出願された米国仮特許出願第63/196,251号の35米国特許法第119条(e)の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、「プラズマ自動制御」(代理人整理番号92574)と題された、同時係属及び共譲渡されたPCT特許出願にも関連し、この出願の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、プラズマベースの治療の分野に関連し、排他的ではないがより詳細には、低温プラズマベースの治療に関連する。
【0004】
プラズマとは、一般的に自由電子及びイオンに加えて、中性原子及び分子、ならびにしばしばフリーラジカルを含む、イオン化ガスの組成物を包含する一般的用語である。プラズマは、ガスを介した放電によって生成可能であり、ガス原子または分子を励起及びイオン化させる。過去10年間で、プラズマ適用への関心が著しく高まった。いくつかの用途は、低温の非熱プラズマ、いわゆる「低温」プラズマを生成するための誘電体バリア放電(DBD)に基づいている。このような低温プラズマは、大気圧条件で生成される低イオン化及び非熱プラズマである。低温プラズマは、医学及び産業上の様々な用途に利用できることが判明した。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、被験体の組織の標的領域に制御されたプラズマ投与量を提供するシステムであって、本システムは、プラズマ送達プローブと、プラズマ送達プローブから生成されたプラズマプルームを移動させるように構成されたモーションコントローラと、プロセッサ及びプロセッサの命令を格納するメモリであって、プロセッサに、プラズマ送達プローブによって組織の標的領域の小領域に送達される有効プラズマの標的範囲を指定する総比投与量の仕様にアクセスすることと、プラズマ送達プローブがプラズマを提供するために動作する間に、標的領域に総比投与量を送達するように計画された移動に従って、プラズマプルームを移動するようにモーションコントローラに指示することと、実際のプラズマ送達の速度の指標を受信することと、計画された移動と併せて、指標速度では、標的領域の小領域に対して指定された総比投与量のプラズマが生成されない場合があることを判断することと、小領域内で実際に送達されたプラズマの総比投与量がプラズマの総比投与量の仕様を満たすように、プラズマ送達プローブの動作を調整することと、を指示する、プロセッサ及びプロセッサの命令を格納するメモリと、を含む、システムが提供される。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、計画された移動に対する修正によってプラズマ送達プローブの動作を調整する。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態によれば、計画された移動に対する修正には、プラズマ送達プローブの移動速度を変更することが含まれる。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態によれば、計画された移動に対する修正には、プラズマ送達プローブの計画された位置を変更することが含まれる。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、少なくとも1つのセンサから実際のプラズマ送達の速度の指標を受信する。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、プラズマ生成によって消費される電力を測定する。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、温度センサを含む。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、プラズマからのスペクトル放出を測定するように構成されたスペクトル放出検出器を含む。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、プラズマ送達プローブの現在位置を測定するように構成された位置センサを含む。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態によれば、計画された移動には、プラズマ送達プローブがプラズマを送達する間、プラズマ送達プローブの移動が一時停止する標的領域内の複数の位置が含まれる。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態によれば、システムは、被験体の内部の標的組織領域にプラズマ送達プローブを導入するように寸法決めされた剛性の導入器を有する。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態によれば、計画された移動には、プラズマがプラズマ送達プローブから継続的に送達される間に、導入器を挿入及び後退させることの少なくとも1つが含まれる。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態によれば、計画された移動には、プラズマを送達している間にプラズマ送達プローブが連続的に移動する、隣接する経路が含まれる。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマの送達は、隣接する経路に沿って、連続的な隣接する表面領域上に行われる。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態によれば、指標とは、プラズマ生成によって消費される電力の測定された低減であり、プラズマプローブの動作は、プラズマ送達プローブを標的領域に向かって移動させることによって調整される。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、プラズマプローブが標的領域に向かって移動する際に測定される電力の増加の大きさに応じて、標的領域に向かう移動の距離を選択する。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、測定された電力が実質的に一定のレベルに達すると、標的領域に向かうプローブの移動を停止する。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態によれば、実際のプラズマ送達の速度の指標には、プラズマプルームへのイオン化ガスの流れの測定が含まれ、プラズマ送達プローブの動作は、流れの減少に応じてプラズマ送達プローブの移動を遅らせることによって調整される。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態によれば、実際のプラズマ送達の速度の指示には、プラズマプルームへのイオン化ガスの流れの測定が含まれ、プラズマ送達プローブの動作は、流れの減少に応じてプラズマ送達プローブを後退させることによって調整される。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態によれば、実際のプラズマ送達の速度の指標には、プラズマプルームの近傍の温度の測定が含まれ、プラズマ送達プローブの動作は、温度の上昇に応じてプラズマ送達プローブの電力を低減することと、移動を遅らせることとの両方によって調整される。
【0025】
本開示のいくつかの実施形態によれば、実際のプラズマ送達の速度の指標には、プラズマプローブをロボット移動させるためのコントローラ命令と、その結果として生じるプラズマプローブの位置変化との間の不一致が含まれる。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達プローブの動作は、計画された移動に対する修正によって調整される。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態によれば、実際のプラズマ送達の速度を示すパラメータは、プラズマ送達プローブと組織との間の距離の変化を示し、プロセッサは、パラメータに基づいて、プラズマ送達プローブがコントローラによって組織の標的領域の表面上を移動する速度を調整する。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態によれば、選択された投与量の仕様は、プラズマ曝露の累積時間を示す。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態によれば、総比投与量の仕様は、プラズマ送達プローブの参照電力レベルを示す。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態によれば、計画された移動には、より微細な移動パターンが重ね合わせられる全体的な移動パターンが含まれ、全体的な移動パターンのみが標的領域のカバレッジを定義し、微細な移動パターンが全体的な移動パターンと重なり合うことで、プラズマプルームにおける不均質性による投与量の不一致が減少する。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態によれば、実際のプラズマ送達の速度の指標は、組織の標的領域の近くのガス流のパターンの指標であり、プラズマ送達プローブの動作は、ガス流のパターンを修正するように調整される。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態によれば、指標とは温度の測定であり、プラズマ送達プローブの動作は、その配向を修正することによって調整される。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、被験体の組織の標的領域に制御されたプラズマ投与量を提供するシステムであって、プラズマ送達プローブと、プラズマ送達プローブから生成されたプラズマプルームを移動させるように構成されたモーションコントローラと、プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリであって、プロセッサに、プラズマ送達プローブによって組織の標的領域の小領域に送達される有効プラズマの標的範囲を指定する総比投与量の仕様にアクセスすることと、プラズマプルームの移動をセンシングすることと、実際のプラズマ送達の速度の指標を受信することと、検知された移動と併せて、指標速度では、標的領域の小領域に対して指定された総比投与量のプラズマが生成されない場合があることを判断することと、小領域内で実際に送達されたプラズマの総比投与量がプラズマの総比投与量の仕様を満たすように、プラズマ送達プローブの動作を調整することと、を指示する、プロセッサ及びプロセッサの命令を格納するメモリと、を含む、システムが提供される。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、標的領域の各小領域によって受け取られ、プラズマ送達プローブによって標的領域に送達される全プラズマの許容範囲を指定する全プラズマ投与量を制御する方法であって、本方法は、標的領域を選択することと、プラズマ送達プローブからプラズマを生成することと、標的領域の近くにプラズマ送達プローブを配置することと、標的領域にプラズマを送達するためにプラズマ送達プローブをロボット移動させることと、を含み、移動は、選択された投与量及びプラズマ送達プローブからのプラズマ送達の速度を示す少なくとも1つの入力に従って定義されるパターンで行われる、方法が提供される。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態によれば、標的領域は組織の領域である。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態によれば、標的領域は食品の領域である。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態によれば、パターンは、プラズマ送達プローブがプラズマを送達する間、プラズマ送達プローブの移動が一時停止する標的領域内の複数の位置を定義する。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達プローブは、剛性の導入器を含み、送達されたプラズマと共に、複数の位置のそれぞれまで到達するために、剛性の導入器を標的領域に挿入することを含む。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、プラズマ送達プローブをロボット移動させて、送達されたプラズマを、位置のうちの1つの配置によってそれぞれ定義される、連続的な表面領域上に方向づけることを含む。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態によれば、パターンは、プラズマ送達プローブがプラズマを送達している間に連続して移動する、標的領域内の隣接する経路を含む。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達プローブは、剛性の誘導器を含み、プラズマと共に、隣接する経路の一端に到達するように、剛性の誘導器を標的領域に挿入することと、次に剛性の誘導器を後退させることとを含み、プラズマは、剛性の誘導器が挿入及び後退の少なくとも1つの方向に移動する際に、継続的に送達される。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、プラズマ送達プローブをロボット移動させて、送達されたプラズマを、隣接する経路に沿って、連続的な隣接する表面領域上に方向づけることを含む。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態によれば、表面領域は、体腔の管腔表面である。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、プラズマ送達プローブを管腔内に挿入することと、次にロボット移動を実施することとを含む。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、プラズマ送達の速度を測定することと、プラズマ送達の速度の変化に基づいて選択された投与量を維持するためにロボット移動を調整することとを含む。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達の速度を測定することには、プラズマ生成によって消費される電力を測定することが含まれる。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態によれば、選択された用量を維持するためにロボット移動を調整することには、プラズマ送達プローブの動作速度を変更することが含まれる。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態によれば、選択された用量を維持するためにロボット移動を調整することには、プラズマ生成によって消費される電力を測定することと、測定に従ってプラズマ送達プローブの配置を調整することとを含む。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態によれば、測定は、プラズマ生成によって消費される測定された電力の低減を測定し、調整は、測定した電力を増大させる、標的領域に向かう距離だけプラズマ送達プローブを移動させることを含む。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ生成によって消費される測定された電力は、プラズマ送達プローブが標的領域まで前進している間に実質的に一定のレベルに達し、前進を停止することが含まれる。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達の速度を測定することは、プラズマプルームへのイオン化ガスの流れを測定することを含み、流れの減少に応じてプラズマ送達プローブの移動を遅らせることが含まれる。
【0052】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達の速度を測定することは、プラズマプルームへのイオン化ガスの流れを測定することを含み、流れの減少に応じてプラズマ送達プローブを後退させることを含む。
【0053】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達の速度を測定することは、プラズマプルームの近傍の温度を測定することと、温度の上昇に応じてプラズマ送達プローブの電力を低減すること及び移動を遅らせることの両方とを含む。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、プラズマプローブをロボット移動させるためのコントローラ命令と、その結果として生じるプラズマプローブの位置変化との間の不一致を検出することと、選択された投与量を維持するためにプラズマ送達プローブの動作を調整することとを含む。
【0055】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、プラズマプローブをロボット移動させるためのコントローラ命令と、その結果として生じるプラズマプローブの位置変化との間の不一致を検出することと、選択された投与量を維持するためにロボット移動を調整することとを含む。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、プラズマ送達プローブと標的領域との間の距離の変化を示すパラメータを測定することと、測定に基づいて、プラズマ送達プローブが標的領域の表面上を移動する速度を調整することとを含む。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態によれば、選択された投与量の仕様は、プラズマ曝露の累積時間を示す。
【0058】
本開示のいくつかの実施形態によれば、選択された投与量の仕様は、プラズマ送達プローブの参照電力レベルを示す。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態によれば、定義されたパターンには、より微細な移動パターンが重ね合わせられる全体的な移動パターンが含まれ、全体的な移動パターンのみが標的領域のカバレッジを定義し、微細な移動パターンが全体的な移動パターンと重なり合うことで、プラズマプルームにおける不均質性による投与量の不一致が減少する。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、標的領域の近くのガス流のパターンを決定することと、ガス流のパターンを考慮して、定義されたパターンを調整することとを含む。
【0061】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、標的領域上にプラズマを分布させる方法であって、少なくとも1つのイオン化ガス送達管を体腔に導入することと、少なくとも1つのイオン化ガス送達管を配置して、標的領域の表面の近くに所定のイオン化ガス流のパターンを生成することと、イオン化ガス流が標的領域に沿って放電極からプラズマを引き出す位置で、イオン化ガス流のパターン内に放電極を配置することと、放電極に電力を供給することでプラズマを生成することと、を含む、方法が提供される。
【0062】
本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのイオン化ガス送達管は、放電極から離して配置される。
【0063】
本開示のいくつかの実施形態によれば、イオン化ガス流のパターンには渦が含まれ、渦の中心は標的領域の上に配置され、標的領域の表面に沿った流れは渦の中心付近にある。
【0064】
本開示のいくつかの実施形態によれば、イオン化ガス流のパターンは、少なくとも1つのイオン化ガス送達管を体腔への入口開口部の近くに配置することによって誘導され、体腔の周囲で円周方向に方向づけられ、入口開口部に戻るガスの流れを含む。
【0065】
本開示のいくつかの実施形態によれば、放電極は、体腔への入口開口部に対向する、体腔の壁の近くに配置されている。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、プラズマ生成装置のパラメータを設定すること、パラメータを使用してプラズマを生成すること、ロボット制御下で移動するプラズマ送達プローブから標的領域にプラズマを送達すること、プラズマ送達プローブの命令されたロボット動作とプラズマ送達プローブの実際の動作との間の不一致を観察すること、及び観察された不一致に基づいてパラメータを調整することを含む、標的領域に送達されるプラズマ投与量を制御する方法が提供される。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態によれば、不一致は、ロボット作動に対するプラズマ送達プローブの移動応答におけるヒステリシスによるものである。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態によれば、不一致は、ロボット作動に対するプラズマ送達プローブの力を抑制する移動が突然解放されることによるものである。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態によれば、不一致における変化が予想され、これには、不一致における変化が生じる前に、不一致における予想される変化に従ってパラメータを調整することが含まれる。
【0070】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、プラズマ生成装置のパラメータを設定すること、パラメータを使用してプラズマを生成すること、ロボット制御下で移動するプラズマ送達プローブから標的領域にプラズマを送達すること、プラズマ生成の予想される電力レベルと、プラズマ生成の測定された電力レベルとの間の不一致を観察すること、及び観測された不一致に基づいて、プラズマ送達プローブの移動を調整することを含む、標的領域へ送達されるプラズマ投与量を制御する方法が提供される。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、組織へのプラズマ投与量を制御するシステムであって、プラズマ送達プローブと、プラズマ送達プローブから生成されたプラズマを移動させるように構成されたモーションコントローラと、プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリであって、プロセッサにモーションコントローラに命令するよう指示して、プラズマ送達プローブからのプラズマ送達の速度に基づいて、標的領域の小領域にプラズマの指定された有効な総比投与量を提供するようにプラズマを移動させる、プロセッサ及びプロセッサの命令を格納するメモリと、を含み、プロセッサの命令は、プラズマ送達速度の空間的な不均一性を考慮し、命令された移動を調整して、指定された有効な総比投与量からの、実際に送達される総比投与量の結果的な偏差を減少させる。
【0072】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達の速度はまた、プラズマ送達の速度の空間的な不均一性に起因する、実際に送達される総比投与量の不均一性を低減するように調整される。
【0073】
本開示のいくつかの実施形態によれば、計算された移動パターンは、いくつかの小領域が他の小領域よりも多く交差するように計算される。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態によれば、計算された移動パターンは、全体的な移動パターンに重ね合わせた比較的微細な移動パターンを含み、全体的な移動パターンのみは、標的領域のカバレッジを定義し、より微細な移動パターンは、全体的な移動パターンと重なり合い、これにより、プラズマプルームにおける不均一性による特定の投与量の不均一性が低減される。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、プラズマが送達される複数の個別の位置にプラズマ送達プローブを移動させるように指示される。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達プローブは、剛性の導入器を含み、コントローラは、送達されたプラズマと共に、複数の個別の位置のそれぞれに連続的に到達するために、剛性の導入器を組織の標的領域に挿入するように指示される。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、プラズマ送達プローブを移動させて、送達されるプラズマを、組織の標的領域の個別の表面領域上に連続的に方向づけるように指示される。
【0078】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達プローブがプラズマを送達するように動作している間、コントローラは、プラズマ送達プローブを標的領域内の隣接する経路に沿って移動させるように指示される。
【0079】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ送達プローブは剛性の誘導器を含み、コントローラは、プラズマと共に、隣接する経路の一端に到達するように、剛性の誘導器を標的領域に挿入し、次に剛性の誘導器を後退させるように指示され、プラズマ送達プローブは、剛性の誘導器が挿入及び後退の少なくとも1つの方向に移動する際に、連続的にプラズマを送達する。
【0080】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、プラズマ送達プローブを移動させて、送達されたプラズマを、隣接する経路に沿って連続する表面領域上に方向づけるように指示される。
【0081】
本開示のいくつかの実施形態によれば、システムは、プラズマ送達速度を示す1つ以上のパラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを含み、プロセッサはセンサによる測定にアクセスし、プロセッサは、プラズマ送達速度の変化に基づいて、指定された投与量を維持するためにコントローラによってプラズマ送達プローブの移動を調整するように指示される。
【0082】
本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、プラズマ送達速度を示すパラメータの1つとしてプラズマ生成によって消費される電力を測定する。
【0083】
本開示のいくつかの実施形態によれば、移動は、プラズマ送達プローブの移動速度を変化させるように調整される。
【0084】
本開示のいくつかの実施形態によれば、移動は、プラズマ生成によって消費される測定された電力に応じて、プラズマ送達プローブの位置を変更するために調整される。
【0085】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ生成によって消費される測定された電力が低減すると、コントローラは、測定された電力を増大させる標的領域から離れた位置までプラズマ送達プローブを移動させる。
【0086】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマ生成によって消費される測定された電力は、プラズマ送達プローブが標的領域まで前進している間に実質的に一定のレベルに達し、コントローラは前進を停止する。
【0087】
本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、プラズマ送達速度を示すパラメータの1つとしてプラズマプルームへのイオン化ガスの流れを測定し、プロセッサは、流れの減少に応じてプラズマ送達プローブの移動を調整するように指示される。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、流れの減少に応じて、プラズマ送達プローブの移動を遅らせる。
【0089】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、流れの減少に応じて、プラズマ送達プローブを近位に後退させる。
【0090】
本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、プラズマプルームの近傍の温度を測定し、プロセッサは、温度の上昇に応じて、プラズマ送達プローブの電力を低減し、移動を遅らせるように指示される。
【0091】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、プラズマプローブをロボット移動させるためのコントローラの指示と、実際のプラズマプローブの位置との間の潜在的な不一致を示す位置情報にアクセスするよう指示され、さらに不一致を示す位置情報に基づいて、選択された投与量を維持するためにプラズマ送達プローブの動作を調整するよう指示される。
【0092】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プロセッサは、プラズマプローブをロボット移動させるためのコントローラの指示と、実際のプラズマプローブの位置との間の潜在的な不一致を示す位置情報にアクセスするよう指示され、さらに不一致を示す位置情報に基づいて、選択された投与量を維持するためにロボット移動を行うよう指示される。
【0093】
本開示のいくつかの実施形態によれば、不一致は、コントローラに対するプラズマ送達プローブの応答におけるヒステリシスによるものである。
【0094】
本開示のいくつかの実施形態によれば、不一致は、コントローラに対するプラズマ送達プローブの応答におけるねじれの無制御な解放によるものである。
【0095】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、プラズマ送達プローブの長手軸に沿って前進または後退させることによって、プラズマ送達プローブを移動させる。
【0096】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、プラズマ送達プローブの長手軸の周りを回転させることによって、プラズマ送達プローブを移動させる。
【0097】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、スペーサと壁の隣接する接触に対してプラズマ送達プローブを離間させるスペーサを調整することによって、プラズマ送達プローブを移動させる。
【0098】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、プラズマ送達プローブを旋回させることによってプラズマ送達プローブを移動させる。
【0099】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、プラズマ送達プローブの近位部分の横方向の並進移動によってプラズマ送達プローブを移動させる。
【0100】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、モーションコントローラと、プラズマプローブと、プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリであって、プロセッサに、プラズマ送達プローブがプラズマプルームを提供するために動作する間に、プラズマ送達プローブを移動させるようコントローラに指示することと、プラズマプルーム内に放散される電力レベルを示すデータにアクセスすることと、電力レベルに基づいて、プラズマプルームが接触した標的までの距離を計算することと、プラズマプルームが接触する標的までの計算された距離によるプラズマプルームの位置のオフセットに基づいて、標的の3-Dマップを生成することと、を指示する、プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリと、を含む、表面の3-D構造をマッピングするためのシステムが提供される。
【0101】
本開示のいくつかの実施形態によれば、指示は、プロセッサに、標的の3-Dマップを画像で準備し、ディスプレイに表示するよう指示する。
【0102】
本開示のいくつかの実施形態によれば、標的の3-Dマップは、プラズマ送達プローブの移動を調整するための基礎として使用される。
【0103】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プラズマは、標的での医学的状態の非剥離性治療に使用される低温プラズマである。
【0104】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、プラズマ生成装置のパラメータを設定すること、パラメータを使用してプラズマを生成すること、ロボット制御下で移動するプラズマ送達プローブから組織にプラズマを送達すること、プラズマ生成の予想される電力レベルと、プラズマ生成の測定された電力レベルとの間の不一致を観察すること、及び観測された不一致に基づいて、プラズマ送達プローブの移動を調整することを含む、組織へ送達されるプラズマ投与量を制御する方法が提供される。
【0105】
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、標的領域に送達されるプラズマ投与量を制御する方法であって、本方法は、標的領域を選択することと、(1)標的領域の各小領域が受け取る全プラズマの許容範囲を指定し、かつ(2)プラズマ送達プローブによって標的領域まで送達されるように、総比投与量を選択することと、プラズマ送達プローブからプラズマを生成することと、プラズマ送達プローブを標的領域の近くに配置して、同時にプラズマを受け取る領域へのプラズマ送達の瞬間速度が空間的に不均一なパターンでプラズマを送達することと、プラズマ送達プローブをロボット移動させて標的領域にプラズマを送達することであって、移動は、選択した投与量に応じて定義されるパターンである、送達することと、を含み、ロボット移動は、プラズマ送達の瞬間速度が空間的に不均一であるため、総比投与量の仕様から、実際に送達された総比投与量の偏差を減少させるように調整される。
【0106】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び/または科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法及び材料が、本開示の実施形態の実施または試験において使用され得るものの、例示的な方法及び/または材料は以下に説明される。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は、一例にすぎず、必ずしも限定することを意図していない。
【0107】
当業者には理解されるように、本開示の態様は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本開示の態様は、本明細書では一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれ得る、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をと得る(例えば、方法は「コンピュータ回路」を使用してじっそうされうる)。さらに、本開示のいくつかの実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化される1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)に具現化されているコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。本開示のいくつかの実施形態の方法及び/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせで実行すること及び/または遂行することを含み得る。さらに、本開示の方法及び/またはシステムのいくつかの実施形態の実際の計装及び設備によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、及び/またはそれらの組み合わせによって、例えばオペレーティングシステムを使用して実施することができる。
【0108】
例えば、本開示のいくつかの実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実施され得る。ソフトウェアとしては、本開示のいくつかの実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施され得る。本開示のいくつかの実施形態では、方法において及び/またはシステムによって実行される1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなど、データプロセッサ(デジタルビットのグループを使用し手動作するデータプロセッサを参照して、本明細書では「データプロセッサ」とも呼ばれる)によって実行される。任意選択で、データプロセッサは、命令及び/またはデータを格納するための揮発性メモリ、及び/または命令及び/またはデータを格納するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/またはリムーバブルメディアを含む。任意選択で、ネットワーク接続も設けられる。ディスプレイ、及び/またはキーボードまたはマウスなどのユーザ入力デバイスも任意選択で提供される。これらの実装のいずれも、本明細書ではより一般的にコンピュータ回路のインスタンスと呼ばれる。「プロセッサ」という用語は、コンピュータ回路の特定の配置及び/またはパッケージングに特に限定されないことを理解されたい。プロセッサは、例えば、単一のコンピュータチップとして、複数のコンピュータチップ(複数の筐体に分散されたコンピュータチップを含む)として、デジタル及びアナログ処理回路の組み合わせとして、または別の構成で実装されてもよい。
【0109】
本開示のいくつかの実施形態には、1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定ではないが、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、または任意の前述の好適な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより多くの具体例は、1つ以上の通信回線を有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能PROM(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の好適な組み合わせを含むであろう。本文書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを含むまたは記憶することができる任意の有形媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体はまた、そのようなプログラムによって使用されるための情報、例えば、コンピュータプログラムが、例えば1つまたは複数の表、リスト、アレイ、データツリー、及び/または他のデータ構造としてそれにアクセスできるように、コンピュータ可読記憶媒体によって記録されるように構造化されたデータを含み得るまたは格納し得る。本明細書では、デジタルビットのグループとして取り出し可能な形式でデータを記録するコンピュータ可読記憶媒体はまた、デジタルメモリと呼ばれる。本質的に読み取り専用ではない、及び/または読み取り専用状態にあるコンピュータ可読記憶媒体の場合、コンピュータ可読記憶媒体は、いくつかの実施形態では、任意選択でコンピュータ書き込み可能記憶媒体としても使用されることを理解されたい。
【0110】
本明細書では、データプロセッサは、それがコンピュータ可読媒体に結合されて、そこから命令及び/またはデータを受信し、それらを処理する、及び/または処理結果を同じまたは別のコンピュータ可読媒体に格納する限りにおいて、データ処理動作を実行するように「構成されている」と言われる。(任意選択でデータに対して)実行される処理は命令によって指定され、プロセッサが命令に従って動作するという効果がある。処理するという行為は、さらにまたは代わりに、例えば、比較、推定、決定、計算、識別、関連付け、格納、分析、選択、及び/または変換など1つまたは複数の他の用語で参照される場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、デジタルプロセッサは、デジタルメモリから命令及びデータを受信し、命令に従ってデータを処理する、及び/または処理結果をデジタルメモリに格納する。いくつかの実施形態では、処理結果を「提供すること」は、処理結果を送信すること、格納すること、及び/または提示することの1つまたは複数を含む。提示することは、任意選択で、ディスプレイに示すこと、音で示すこと、プリントアウトに印刷すること、またはそれ以外の場合、人間の感覚機能がアクセス可能な形で結果を与えることを含む。
【0111】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドでまたは搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラムコードが具現化された伝搬データ信号を含み得る。このような伝搬信号は、電磁、光学、またはその任意の組み合わせを含むが、これに限定されるものではない様々な形のいずれかをとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを通信、伝搬、またはトランスポートできる任意のコンピュータ可読媒体であってよい。
【0112】
コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されるプログラムコード及び/またはそれによって使用されるデータは、ワイヤレス、有線、光ファイバケーブル、RF等、または上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これに限定されるものではない任意の適切な媒体を使用し、伝達され得る。
【0113】
本開示のいくつかの実施形態のための動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、例えばJava、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及び例えば「C」プログラミング言語または類似するプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含んだ1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成されてよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアローンのソフトウェアパッケージとして実行すること、部分的にユーザのコンピュータ上で実行し、部分的にリモートコンピュータ上で実行すること、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバ上で実行することが可能である。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む、任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、または外部のコンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いるインターネット経由で)接続することができる。
【0114】
本開示のいくつかの実施形態は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/またはブロック図を参照して以下に説明される。フローチャート図及び/またはブロック図の各ブロック、及びフローチャート図及び/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施できることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータのプロセッサ、専用コンピュータ、または機械を製造するための他のプログラム可能データ処理装置に提供され得、これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令は、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図に指定される機能/行為を実施するための手段を作成する。
【0115】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスに特定の方法で機能するように命令できるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよく、これによりコンピュータ可読媒体に記憶される命令は、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図に指定される機能/行為を実施する命令を含んだ、製造品を製造する。
【0116】
コンピュータプログラム命令は、一連の操作ステップを、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイスで実行させて、コンピュータまたは他のプログラム可能装置で実行する命令が、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図で指定される機能/行為を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを作り出すためにコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスの上にロードされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
本開示のいくつかの実施形態を、本明細書では、単なる例示として、添付の図面を参照しながら説明する。このとき図面を詳細にわたって具体的に参照するが、図示されている細部は例示として本開示の実施形態を説明的に考察することを目的としたものであることが強調される。この点に関して、図面を用いた説明は、本開示の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【
図1A】本開示のいくつかの実施形態による、組織に送達されるプラズマ投与量を制御する方法を概略的に示す。
【
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、組織に送達されるプラズマ投与量を制御する方法を概略的に示す。
【
図1C】本開示のいくつかの実施形態による、組織に送達されるプラズマ投与量を制御する方法を概略的に示す。
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態による、体内プラズマ送達プローブを介したプラズマ送達の制御を実施するシステムを概略的に示す。
【
図2B】本開示のいくつかの実施形態による、体内プラズマ送達プローブを介したプラズマ送達の制御を実施するシステムを概略的に示す。
【
図2C】本開示のいくつかの実施形態による、体内プラズマ送達プローブを介したプラズマ送達の制御を実施するシステムを概略的に示す。
【
図2D】本開示のいくつかの実施形態による、体内プラズマ送達プローブを介したプラズマ送達の制御を実施するシステムを概略的に示す。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、組織の体積内から直接的にプラズマが送達され得る、プラズマ送達プローブの移動の異なるパターンを概略的に示す。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、組織の体積内から直接的にプラズマが送達され得る、プラズマ送達プローブの移動の異なるパターンを概略的に示す。
【
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、組織の体積内から直接的にプラズマが送達され得る、プラズマ送達プローブの移動の異なるパターンを概略的に示す。
【
図3D】本開示のいくつかの実施形態による、組織の体積内から直接的にプラズマが送達され得る、プラズマ送達プローブの移動の異なるパターンを概略的に示す。
【
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、管腔内からプラズマ治療を提供するためのプローブ位置決めシステムと連動して制御されるプラズマ制御ユニットを概略的に示す。
【
図4B】本開示のいくつかの実施形態による、展開可能なドッキング機構を備え、プラズマ生成モジュールからのプラズマを、プローブの長手軸に対して水平の方向(
図4B)及びプローブの長手軸に沿った方向(
図4C)の一方または両方に送達するように構成されている、プラズマ送達プローブを概略的に示す。
【
図4C】本開示のいくつかの実施形態による、展開可能なドッキング機構を備え、プラズマ生成モジュールからのプラズマを、プローブの長手軸に対して水平の方向(
図4B)及びプローブの長手軸に沿った方向(
図4C)の一方または両方に送達するように構成されている、プラズマ送達プローブを概略的に示す。
【
図4D】本開示のいくつかの実施形態による、分岐した管腔構造内でのプラズマ生成モジュールの配置を概略的に示す。
【
図4E】本開示のいくつかの実施形態による、分岐した管腔構造内でのプラズマ生成モジュールの配置を概略的に示す。
【
図4F】本開示のいくつかの実施形態による、分岐した管腔構造内でのプラズマ生成モジュールの配置を概略的に示す。
【
図5A】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ投与を制御するためのイオン化ガスの流れ場のパターンの操作を概略的に示す。
【
図5B】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ投与を制御するためのイオン化ガスの流れ場のパターンの操作を概略的に示す。
【
図6A】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ治療標的を含む表面上にプラズマプルームを移動させるために使用してもよい、異なる走査パターンを概略的に示す。
【
図6B】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ治療標的を含む表面上にプラズマプルームを移動させるために使用してもよい、異なる走査パターンを概略的に示す。
【
図6C】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ治療標的を含む表面上にプラズマプルームを移動させるために使用してもよい、異なる走査パターンを概略的に示す。
【
図6D】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ治療標的を含む表面上にプラズマプルームを移動させるために使用してもよい、異なる走査パターンを概略的に示す。
【
図6E】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ治療標的を含む表面上にプラズマプルームを移動させるために使用してもよい、異なる走査パターンを概略的に示す。
【
図6F】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ治療標的を含む表面上にプラズマプルームを移動させるために使用してもよい、異なる走査パターンを概略的に示す。
【
図6G】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ治療標的を含む表面上にプラズマプルームを移動させるために使用してもよい、異なる走査パターンを概略的に示す。
【
図7A】本開示のいくつかの実施形態による、表面領域全体へのプラズマ送達の静的滞留パターンを概略的に示す。
【
図7B】本開示のいくつかの実施形態による、表面領域全体へのプラズマ送達の静的滞留パターンを概略的に示す。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、突出構造上のプラズマ生成プローブの動きの制御を概略的に示す。
【
図9A】本開示のいくつかの実施形態による、ノズル(プラズマ送達プローブの出口開口部)からの距離の関数としての、プラズマプルームからの相対的な電力出力のグラフを示す。
【
図9B】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマプルームからの相対的なヒドロキシル(OH・)放出のノズルからの距離の関数としてのグラフを示す。
【
図9C】本開示のいくつかの実施形態による、プラズマプルームからの相対的なヘリウム(He)放出のノズルからの距離の関数としてのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0118】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、プラズマベースの治療の分野に関連し、排他的ではないがより詳細には、低温プラズマベースの治療に関連する。
【0119】
概要
本開示のいくつかの実施形態の広い態様は、医学的条件を治療するための医療用プラズマにおける反応種の使用に関する。いくつかの好ましい実施形態において、これは、医学的に許容される温度、安全性、及び無菌性の条件下で(すなわち、装置は医療グレードのプラズマ生成装置)、特に熱損傷(例えば、50℃未満)及び/またはタンパク質変性(例えば、40℃未満)の閾値を下回る温度で、生体組織に低温(非熱)プラズマを提供することを含む。
【0120】
潜在的に、低温プラズマは治療効果を有し、例えば低温プラズマは、ウイルス粒子、細菌、真菌及び/またはプリオンなどの腫瘍細胞及び/または病原体を破壊及び/または破壊を誘発するように作用してもよい。
【0121】
提案された治療作用のメカニズムには、フリーラジカルに対する感受性が含まれる。いくつかの場合において、感受性に差があってもよく、すなわち、標的腫瘍及び/または病原体は、近くの健康な組織よりもフリーラジカルに対してより高感度である。治療効果は、標的のパラメータ(例えば、周囲の流体、標的の大きさ、及び/または標的の種類)と、送達されるプラズマのパラメータ(例えば、生成されたイオン化種、その濃度及び/または比)との間の相互作用に依存する可能性がある。プラズマが送達されたパラメータは順番に、プラズマ生成のパラメータ(例えば、イオン化媒体組成物及び/または電気パラメータ)ならびにプラズマプルーム自体のパラメータ(例えば、形状、格納、流動、及び/または消光)により影響を受ける可能性がある。
【0122】
これらの治療効果を生むプラズマ生成のパラメータは、異なるプラズマ生成器のデザイン、媒体として使用されるイオン化ガス、生成されたプラズマ含有量、環境、腫瘍/病原体の大きさ、及び/または腫瘍/病原体の種類にわたり顕著に変化する可能性がある。したがって、プラズマ送達装置が様々な動作パラメータの下で動作可能であることは、潜在的な利点である。
【0123】
本明細書において、「プラズマ」及び「プラズマプルーム」への言及は、より具体的には、低温プラズマ(例えば、50℃以下の温度のプラズマ、好ましくは、例えば、約20℃~30℃の範囲内の体温未満の温度で送達されるプラズマ)を指す。低温プラズマは、一般的にほぼ大気圧の条件下で送達されるため、「低温大気プラズマ」またはCAPとも呼ばれる。同等に、このようなプラズマは、「非熱大気プラズマ」(NTAP)と呼ばれてもよい。
【0124】
プラズマプルームは、「イオン化ガス」の供給から生成され、この供給ガスは、低温プラズマを生成するためにイオン化され得る原子種及び/または分子種(単一種を含む)の任意の適切な混合を任意選択的に含む。典型的なイオン化ガス混合物は、任意選択的に他の種、例えば窒素、酸素、及び/または水の分子と混合された1つ以上の希ガスを含む。
【0125】
低温プラズマが送達される標的組織は、いくつかの実施形態において、生体内部にある。任意選択的に、標的は生体外にあり、任意選択的に、標的は生きている人体の一部ではない。例えば、標的は任意選択的に較正標的であり、例えば、異なる誘導体バリアの厚さ、異なるガス送達管腔直径、及び/または異なる放電極幅など、任意選択的に、プラズマ送達先端の異なるパラメータ設定を含む、プラズマ送達装置の異なる設定でどのようなプラズマが生成されるかを特徴付けるために装備された標的である。さらにまたは代わりに、標的はアッセイ標的であり、例えば、1つまたは複数の種類の腫瘍細胞、病原体細胞、感染性粒子(ウイルスまたはプリオン)、健康な細胞、及び/または組織サンプルなどに対する低温プラズマ効果(例えば、プラズマ送達先端の異なるパラメータ設定の条件下)の in vitro及び/またはex vivoアッセイの標的である。
【0126】
低温プラズマは非平衡状態で生成され、荷電種がイオン化ガス中の他の種及び/または環境と相互作用すると、イオン化状態は急速に減衰する。
【0127】
いくつかの実施形態において、低温プラズマのプルーム(例えば、長さ約1~20mm)が、標的の近くで作成されたイオン化ガス環境内で動作する高電圧放電極から生成される。プラズマを生成することの潜在的な利点は、プラズマの標的に極めて近接しているため、導管壁との相互作用などによるプラズマ劣化が低減されることである。プラズマの非平衡状態の特徴として、低温プラズマが低イオン化する。イオン化は、いくつかの低温プラズマの場合、約100万分の1及び/または1011~1013電子/cm3(約10倍以内)と推定される。生成したプラズマは、イオン化ガスの流れによって標的に向かって運ばれる。
【0128】
組織標的へのプラズマ適用を可能にする体内アクセスは、(先端でもプラズマが生成される)プラズマ生成装置の比較的小径(例えば、5mm以下)の遠位先端の使用により任意選択的に容易になる。小径のプラズマが生成される先端自体は、例えば、カテーテルシース及び/または内視鏡の作業チャネルを使用して、標的に導入されてもよい。プラズマが生成される先端は、本明細書では同義的に「プラズマ生成プローブ」、「プラズマ送達プローブ」、「プラズマプローブ」、または単に「プローブ」とも称される。
【0129】
プラズマ生成は、本開示のいくつかの実施形態において、イオン化の影響を受けやすい1つ以上の原子種及び/または分子種を含むガスを通流する一部を介して、高電圧の勾配電場に電力を供給することを含む。簡単に言えば、電場の急峻な電圧勾配は、原子がイオン及び自由電子に引き裂かれる。これにより、高エネルギー自由電子がそのエネルギーの一部を他の、依然として結合された電子に伝達し、それらも解放するため、カスケード効果を生成することができる。自由電子は高温(潜在的に数千ケルビン度)で移動するが、プラズマの熱質量をほとんど提供しない。より重い原子イオン自体がほぼ室温に留まっている場合(比較的緩慢に移動する)、プラズマは「低温」と見なされる。医療用途における低温プラズマ生成の典型的な目標は、バルクプラズマ温度を40℃以下(例えば、タンパク質変性温度を下回る)、または50℃以下に維持することである。本開示のいくつかの実施形態において、プラズマ温度は体温よりも低く、任意選択的に室温は、例えば20~35℃の範囲にあり、任意選択的に約24~25℃の範囲にある。この熱的条件は、例えば、入力電力の加熱効果を克服するためにシステムから十分に速く熱を除去することによって向上され得る。これを行う1つの方法は、イオン化ガス(これにより自身の冷却材になる)の供給の連続的な流れを維持することである。いくつかの実施形態において、廃イオン化ガスを除去することも提供される。
【0130】
疾患の治療における使用とは別に、食品産業における抗菌(消毒)処理としての使用を含む、低温プラズマのためのその他の用途が記載されている。食品(特に高価な食品)の特性(例えば、風味及び/または食感)が標準的な保存技術によって悪影響を受ける可能性がある場合、低温プラズマは、例えば利用可能な出荷及び/または保存期間を延長するために、食品が比較的未加工の状態に置かれ得る期間を延長するという潜在的な利点を提供する。このような場合にプラズマ送達を制御することができることが潜在的な利点であり、これは例えば、物品自体の形状が不規則である場合があり、過剰投与を回避するために効率及び/または品質上の利点がある場合があるが、最小限のレベルの投与がプロセス要件として設定される場合があるからである。
【0131】
本開示のいくつかの実施形態の一態様は、本開示のいくつかの実施形態による、組織へのプラズマ投与量の投与を制御するためのプローブ位置決めのロボット制御に関連する。
【0132】
低温プラズマは、例えば、プラズマ自体の内部に見られる及び/またはプラズマとの接触により生成される反応種に対する疾患組織の特定の感度を利用することによって、疾患を治療する可能性がある。小径のプローブ(可撓性または剛性)を使用して送達することで、高い空間精度でプラズマも送達することができる。
【0133】
さらに、及び通常投与材料の場合、この精度は、プラズマが含有及び生成する反応種の短命な性質によって支援される。しかし、正確な標的化のためのこれらの潜在的な利点と共に、治療標的の全ての部分が確実に適切なプラズマ曝露(適切なプラズマ投与)を受け取るようにする問題が生じる。標的領域を単にプラズマで満たすだけでは、典型的に不十分である。
【0134】
本開示のいくつかの実施の形態において、低温プラズマは、実際に送達部位で生成されるという点において、その他の投与物質とも異なる。プラズマは、イオン化ガスの流れに加えられる電圧を用いて生成される。いかなる場合においても、正確に何が生成されているかは、ガスの流れ(例えば、カテーテルの先端が標的表面に押し付けられるときの瞬間的な閉塞)、または電圧の供給(例えば、流体との瞬間的な接触)のいずれかと相互作用するあらゆるものによって影響を受ける可能性がある。さらに、生成されたプラズマの組成は、それが再度平衡化するにつれて急速に進化するため、プラズマ生成部位と標的治療の部位との間の距離でさえ、適切な投与に影響を与える要因になる可能性がある。
【0135】
プラズマの(及び/またはプラズマによって生成された)反応種は、その中でプラズマが送達される環境条件に応じて異なって移動してもよい。例えば、イオン化ガスで満たされた膀胱では、プラズマ種がガスの流れによって速やかに運び去られ、限られた出現部位から広い面積に広がる可能性がある。イオン化ガスが流れているか静止しているかに関わらず、ガス中の拡散速度が比較的高くなる場合もある。組織の体積内部では、種は、拡散による移動に実質的に制限される。液体環境は、これら2つの場合の距離依存性においては中間であり得る。これらの例は、プラズマ生成源の移動パターン(本明細書では「計画された移動」とも呼ばれる)を、生成源の環境において許容される流れ及び拡散性に応じて可変的に設定され得る方法を示す。「移動」(「計画された移動」を含む)は、プローブ自体を実際には移動させない自由度の操作によって実現される、プローブの制御方法の態様が存在し得るため、プラズマ自体に適用されると考えてもよく、例えば、イオン化ガスの圧力は、プラズマプルームの長手範囲を制御してもよい。
【0136】
さらに、これらの可変性に関して、異なる環境に対する適したパラメータは、標的環境プローブの滞留時間及び/または移動速度をモデル化する、in vitroまたはin vivo試験の結果を観察することで決定され得る。イオン化ガスの流速は、任意選択的に、約0.1L/分~約10L/分の範囲内から選択される。任意選択的に、プラズマ生成のデューティサイクルは、例えば、約10%~100%の範囲内で調整される。治療標的を走査する移動は、例えば、約0.1~10mm/秒の範囲であり得る。
【0137】
より理論に基づいたモデルは、任意選択的に、反応種の寿命、拡散/流速及び/または体積の希釈係数などの要因の推定値を考慮する。
【0138】
プラズマ治療の作用のいくつかの提案されたメカニズムは、既に治療部位にある材料の、反応種(例えば、フリーラジカル)への変換を含む。したがって、例えば、湿潤した標的は、プラズマイオンが水と相互作用するため、乾燥した標的よりも多くのOH・反応種を生成し得る。プラズマが作成されるイオン化ガス自体は、乾燥ガスであってもよいため、生成される遊離OH・反応種の濃度は、時間と共に変化する場合がある。
【0139】
最後に、本開示のいくつかの実施形態において、標的に物理的に侵入することを試みるよりも、体の自然通路(例えば、副鼻腔、尿路、消化管、血管系、心室腔、及び/または脳室)から利用可能な標的への最も近いアクセスを用いてプラズマ治療を実施することが好ましい場合がある。これにより、滞留時間を十分に長くして治療量のプラズマを隣接する位置から標的に送達できると共に、標的組織への潜在的な外傷性の直接的な介入を回避できる可能性がある。
【0140】
これらの考察は、有効なプラズマ治療が、プラズマ送達プローブを用いて標的に到達することだけでなく、プラズマ送達プローブが標的の内部で及び/または標的に隣接して動作するときのプラズマ送達プローブの時空的な移動パターンの詳細にも依存し得ることを示す。
【0141】
本明細書において、「プラズマの投与量」とは、プラズマを受け取るゾーン内の組織領域または組織体積の単位あたりに送達されるプラズマ生成反応種の総量に関するものと理解されたい。これはまた、本明細書では「特定の投与量」とも呼ばれ、投与量は、全体的な標的領域の「単位」ごとに送達されるが、単位は定義される。この単位は、表面積、体積、または重量に関して簡潔に定義されてもよい。任意選択的に(例えば、構造的に不均一な領域において)、単位は、例えば、局所拡散定数、(例えば、血液の)流速、拡散バリア厚さ、または別の特性などの投与量関連の動的特性及び/または構造的特性のためにさらに調整される。
【0142】
いくつかの実施形態において、特定の投与量は、本明細書では「有効プラズマ」と称される、期待される(例えば、較正された)効果において特定される。いくつかの実施形態において、「有効プラズマ」の仕様は、少なくとも実際のプラズマが測定値及び/または装置の動作パラメータから既知である限り、実際のプラズマと1:1の関係にある。任意選択的に、特定の投与量は、効果において推定される非線形性に従って加重される。例えば、反応種の総投与(例えば、標的領域単位あたりのモル数)が同じであっても、反応種の高強度の投与期間は、より低強度の投与期間よりもさらに加重されてもよい。したがって、有効プラズマに関する特定の投与量の定義は、任意選択的に、治療効果における非線形性に対する余裕を含む。
【0143】
特に指定のない限り、特定の投与量は、本明細書では「全」投与量と見なされる。すなわち、プラズマ送達の(潜在的に変化する)速度は、特定の投与量を得るために、治療期間中に統合されてもよい。したがって、「総比投与量」という句を、「特定の投与量」という語句と互換的に使用してもよい。目標は、本開示のいくつかの実施の形態において、治療領域にわたって(ある程度の許容差範囲内で)均一なプラズマの特定の投与量を提供することである。いくつかの実施形態において、特定の投与量は、ある領域にわたって意図的に変更され、例えば、疾患によってすでに「圧倒されている」領域ではより多く、健康な組織の保存と疾患の治療とのバランスが維持されるべき領域ではより少ない。本明細書において、「特定の投与量」という語句は、特に明示的に指定のない限り、「特定の投与量」ではなく、単位当たりの投与量という意味で理解されたい。本明細書では「単位別の投与量」という句を使用することもできる。この語句は、先ほど定義した「特定の投与量」という語句と互換可能であると理解されたい。
【0144】
このような反応種の計測は使用不可または非実用的である場合があるため、投与は、プラズマの生成を規定するパラメータ、実際にプラズマが生成される量に応じて変化するパラメータ、及び/またはプラズマの特性の測定値に関して任意選択的に表現される。
【0145】
本開示の実施形態は、用量送達の制御を支援するように動作可能な特徴を含むが、投与量送達のプロセス自体は、必ずしも正確、精密または均一ではない。本明細書において、標的化されるまたは選択される投与量は、標的化されるまたは選択される投与量を定義する条件がいくつかの許容可能な範囲内で満たされる場合、実質的に標的化されたまたは選択されたものとして送達されると理解されたい。許容範囲は特定の用途、例えば、その用途の以前の性能データに基づいて許容可能であると考えられる変化量に依存する。
【0146】
範囲は、例えば、2倍以内の送達、±25%の倍以内の送達、またはいくつかの特定の重要な投与量値に対する別の範囲内の送達として定義され得る。任意選択的に、許容範囲の極値、例えば、治療効果を生み出すのに十分に高いと考えられる下限値、及び健康な組織への損傷を防止するのに十分に低い上限値を、別々に指定する。許容レベルの用量不均一性などのその他の要因も、投与量の定義の一部であってもよい。例えば、プラズマの用量は、治療した表面の単位面積あたりのプラズマ生成において消費されるエネルギーの最小値と最大値との間の範囲に関して(例えば、特定のプローブ及びシステムの構成に関して)定義されてもよく、治療した表面の少なくとも例えば90%がその範囲内のエネルギーを受け取るような、均一性を有する。特定の投与量を定義するために設けられる範囲は、有効プラズマ送達の範囲であってもよい(すなわち、任意選択的に、送達されるプラズマなどの原材料の量を超える、プラズマ送達の推定される有効性について加重される)。
【0147】
本明細書において、「組織の単位」という表現は、典型的には、面積または体積としての、投与状況に適した任意の用語で定義された単位を指してもよい。反応種は、プラズマによって直接生成される反応種であってもよい。任意選択的に、(例えば、プラズマと他のガス及び/または液体との相互作用によって)二次生成される反応種も、投与仕様で考慮される。組織を介した分布は必ずしも均一ではないため、「組織の単位」は、例えば 、プラズマプルームの中心にある組織の単位、及び/またはプラズマ接触表面の1mm以内の組織の単位として、より具体的に理解(及び任意選択的に明示的に定義)されてもよい。いくつかの実施形態において、この「理想的な」仕様を満たす組織の近くの組織は、理想化された投与仕様が満たされている場合、プラズマの安全かつ十分な投与量を受け取ると想定され得る。いくつかの実施形態において、移動及び/または位置決めのパターンを選択して、すべての標的組織が、確実に標的用量を受け取る十分に「近い」組織であるようにする。
【0148】
プラズマは短命(例えば、低温プラズマは、その生成の瞬間からでも非平衡状態にある)のため、プラズマを受け取るゾーンは、プラズマプルームが直接接触する組織領域の周りに局在している。しかし、プラズマプルームが直接接触する領域のみに限定されているわけではない。例えば、プラズマ中及び/または他の種とのプラズマの反応生成物中に存在する小分子量の反応種は、特に拡散の対象となることに留意されたい。含まれる尺度の指標として、いくつかの実施形態において、プラズマプルームは、直径1~5mmのほぼ円形の領域において平坦な組織表面に接触する。プルーム長は、例えば、約0.5~10mmの範囲であってもよい。
【0149】
一計算方法において、送達されるプラズマ生成反応種の「量」は、組織の単位あたりのモル数の単位で表される。その後実際の投与量は、単位表面/体積あたりの単位時間あたりのモル数を推定し、目標量と等しくなるように十分長い積分時間を選択することによって算出することができる。しかし投与量は、必ずしもこの方法で基本的な単位を使用して計算されるわけではない。
【0150】
例えば、特定のプラズマプローブに送達される電力の関数として、及び/またはその電力が送達される時間の関数として、用量反応曲線の観察を利用してもよい。これらの用量反応曲線の1つのみが利用可能な場合、任意選択的に、他方の軸はその独立変数の単純な線形関数であると想定される。例えば、プラズマ生成で消費される所与の電力について、投与量は、時間の関数として線形に増加すると想定され得る。逆に、所与のプラズマ曝露の時間にわたり、投与量は、プラズマ生成に消費される電力の関数として線形に増加すると有益に想定され得る。
【0151】
電力及び時間以外の他のパラメータも、投与量に関連し得る。実施例には、プラズマプルーム分散(それ自体が、プローブ形状、自由空間の周囲の体積及び/またはガス移動などの要因によって影響される)、イオン化ガス流量(例えば、放電極近くの流量)、ガス流混合物の仕様、プラズマプルームが二次的に反応種に活性化する種の存在及び濃度、ならびに反応種の標的組織への拡散速度が含まれる。投与量は、任意選択的に、1つ以上の観察可能な測定値との関係、例えば、プラズマまたは電力出力の1つ以上のスペクトル放出ピークの大きさを使用して計算される。
【0152】
任意選択的に、投与量は、モデル化された考察、例えば、プラズマ流の動態、プルーム温度、組織内の反応種の拡散定数、及び/または反応種の減衰の時定数を使用して計算される。
【0153】
本開示のいくつかの実施形態において、プラズマ送達プローブの移動及び/または位置決めを使用して、曝露時間を制御する。これにより、速度の単位を用いて表される投与仕様がもたらされる場合があり、例えば、投与量の仕様は、目標領域に対するプローブの移動の(プラズマ生成に消費される電力の)ワット数に秒/ミリメートルを掛け合わせて表されてもよい。これは、任意選択的に、単位分析、例えば、ジュール/ミリメートルにより単純化されるが、時間係数の関与は依然として、例えば、「ミリメートル」は、(時間により生じる必要がある)移動のミリメートルであること、及び/またはジュールは、一度に送達されるのではなく、ワットで特定の電力レベルで動作するプローブを用いて送達されることを認識することによって理解され得る。
【0154】
逆に、電力調整は、標的上でのプラズマプルームの実際の移動を考慮して実行してもよい。プラズマプルームは、標的上で(自動的にまたは手動で)任意選択的に繰り返し走査される際に観察されてもよい。推定された効果的なプラズマ曝露が標的の1つ以上の小領域において目標となる総比投与量に近づく及び/または到達すると、プラズマ生成が標的の1つ以上の小領域のいずれかに向かって再び方向付けられるため、プラズマ生成は、動的に停止または減衰し得る。
【0155】
用量濃度の非線形の効果は、投与仕様の一部として考慮から除外されないことに留意されたい。例えば、特定の治療効果は、送達される反応種の総量だけではなく、反応種のピーク濃度に部分的に依存し得ることが除外されない。そのような非線形性が既知または存在が疑われる場合、(例えば、移動及び/またはプラズマ電力供給の制御を介した)投与量制御に関連する計算は、任意選択的に適宜調整される。
【0156】
いくつかの実施の形態において、正確に計算するのが困難な不均質性(例えば、プラズマ接触部位からの距離の関数としての投与量の落下効果)は、投与仕様自体では実質的に無視される。これは、例えば、不均質性を考慮する必要がないように、実験によって特定の用量が有用であることが既知の場合に有効であり得る。
【0157】
それにも関わらず、何らかの方法で「平滑化」するプラズマ送達移動のパターンを設計することによって、プラズマ分布の不均一性を補うことが有用であり得る。これは、標的組織の全ての関連する部分での期待される結果に対する平均(例えば、プラズマプルーム内の平均反応種濃度)から導き出した投与仕様の一致を改善し得る。
【0158】
不均質性を減少させる1つの方法は、プラズマプルーム自体が必要とする寸法よりも長い経路を介して、治療標的組織の領域(または体積)を包括するパターンをデザインすることである。例えば、平行な軌道を含むパターンは、直接治療される領域の隣接するまたは単一で重なり合う接触を単に確実にするために必要な軌道よりも多くの(かつより狭い間隔の)軌道を含むことができる。別の方法は、非直線経路、例えばループ及び/または揺れを有する経路に沿ってそれらの間を移動する2つの地点の間に延びる一般的な全体方向を有する軌道をデザインすることである。
【0159】
本開示のいくつかの実施形態において、プラズマ送達プローブの適切な時空間パターンを確実に生成するのに役立てるために、ロボット制御された移動パターンが使用される。より一般的な自動位置決め制御(及び遠隔位置決め制御)を詳述すると、本明細書で説明するロボット制御された移動パターンは、プラズマ送達プローブを特定の位置に移動させるだけでなく、プローブのプラズマ生成及び/または送達特性を考慮した移動パターンでこれらの位置にプローブを移動させ、その結果、目標とするプラズマ投与量が送達されるように構成されている。
【0160】
これらのロボット制御された移動パターンの2つの主なカテゴリは、ゾーンに基づいたもの、及び走査に基づいたものである。
【0161】
ゾーンに基づいたパターンでは、標的は、概念的に複数の重なり合ったゾーンに分割される。移動パターンは、プラズマ送達プローブを各ゾーンのほぼ中央の位置に順次挿入し、プラズマの投与効果が各ゾーンのエッジに到達するのに十分な長さのプラズマを送達するように選択される。1つ以上のプローブが利用可能である場合、任意選択的にゾーン治療を同時に行う。任意選択的に、ゾーンのエッジ付近の領域における治療効果の低下の影響は、それらの領域を2つ以上のゾーンに含めることによって軽減され、累積投与が生成される。純粋にゾーンに基づいたパターンは、単純性という潜在的な利点を有する(例えば、プラズマが生成されている間、位置決めツールを静止したままにすることができる)が、多少不均一(「まだら」)な治療送達のパターンを生成する傾向があり得る。
【0162】
走査に基づいたパターンでは、標的は、プラズマ送達プローブが動いている間投与される。この動きは、1次元の動き(例えば、プローブが狭い体腔に沿って移動するか、または導入器の軌道に沿って進むとき)、または2次元もしくは3次元の動き(例えば、プローブが体腔表面または他の表面にわたって走査されるとき)であってもよい。3次元の固体の治療は完全に除外されているわけではなく、固体標的の場合、複数の事実上単軸の軌道に沿った移動に限定されてもよい。
【0163】
ゾーンに基づいた移動パターンと走査に基づいた移動パターンとの組み合わせは除外されず、例えば、治療領域の全範囲を拡張するために動きの極端で一時停止する走査パターンも除外されない。一般的に、任意の所与の領域が受け取るプラズマ投与は、プラズマプローブのプラズマ送達部位からの領域の瞬間的な距離に反比例して増加する関数の時間積分として理解され得る。移動パターンの目標は、すべての標的領域がプラズマの治療レベルの投与を確実に受け取ることである。この関数は、任意選択的に、反応性プラズマ種及び/またはプラズマへの曝露に応じて二次生成される種の推定された拡散、希釈、減衰、及び/または流れの速度によって調節される。
【0164】
プラズマ投与に関して、所与の環境内で実行することができ、任意選択的に個別でまたは一緒に変化することができる装置制御の2つの基本的な軌跡が存在することに留意されたい。1つは、プローブ移動自体の時空的パターンである。もう一つは、プラズマ生成の速度または強度である。第3の軌跡として、特に自由動作環境(例えば、ガスで満たされた体腔)において、プラズマ生成のパラメータは、流量が、生成されたプラズマの分散距離及び/または方向に影響を与える限り、一種の「モーション」パラメータとしても機能し得る。
【0165】
温度は、例えば次の態様に関連して説明されるように、装置制御のこれらの軌跡のいずれかと相互作用することができる。
【0166】
本開示のいくつかの実施形態の一態様は、本開示のいくつかの実施形態による、体内空間内のプラズマ投与量のロボット制御された投与を調整するためのフィードバック駆動調整に関連する。
【0167】
プラズマ生成は、例えばプラズマ生成プローブによる環境との相互作用から生じる場合があるため、変動性を受けてもよい。
【0168】
一実施例において、プラズマ生成部位がプラズマに変換可能な電力量は、標的からの距離に応じて(その定格出力まで)増大してもよい。しかし環境の限界により、この距離が制限され、プラズマの生成に送達される電力が制限され、これに応じて送達されるプラズマの瞬間的な投与量が低下する場合がある。これを補うために、本開示のいくつかの実施形態において、移動速度を減少させ、及び/またはプローブの滞留時間を増加させて、目標とする投与量レベルを維持する。いくつかの実施形態において、プラズマへの事実上の電力送達が低減されることを示す電力レベルフィードバックに基づく計算に応じて、ロボットモーションコントローラによって、このような運動パターンの変化が自動的に実行される。
【0169】
別の例において、プラズマ送達プローブのプラズマ生成部位を通過するイオン化ガスの流れは、組織による閉塞、及び/または圧力の変化などの要因によって潜在的に変化してもよい。これは、形成されたプラズマの量、または反応種が減衰する前に組織に到達する量を減少させることにより、投与に影響を及ぼし得る。圧力及び流量の一方または両方を監視することによって、投与がガス流によってどのように影響を受けているか(例えば、減少している)を推定することができ、プローブの移動を調整して補うことができる。
【0170】
さらにまたは代わりに、標的の構成がこれを可能にする状況において、プローブのロボット移動は、標的までの最適な距離を維持するためにフィードバックを介して調整されてもよい。これは、例えば、プローブを標的から選択可能な距離(例えば、3~15mmの範囲内または別の範囲内)に設定することができる十分な隙間が存在する実施形態で使用することができる。このタイプの隙間は、例えば、膀胱、腸、または肺の気道などの中空の身体部分の内表面に適用される治療に適用され、または、例えば、特定の血管セグメントを隔離するためにバルーンブロッカーを使用して治療領域から液体を排出するための対策が講じられている場合には、血管にも適用される(液体排出は、一部の肺気道状況においても有用であり得る)。例えば、電力供給が最適レベルを下回っているとセンシングされた場合、プローブは任意選択的に組織の近くに移動され、外部インピーダンスが増加し、これにより全体的な電力供給が増加する。標的組織から遠くへ移動しすぎるのを避けるために、電力変動が過敏な範囲内にプラズマプルーム長が留まるように、移動を制御することができる。
【0171】
いくつかの実施形態において、イオン化ガス流のセンシングされた劣化は、イオン化ガスの流れを再開できる十分な隙間が回復されるまで、例えば、プラズマプローブ、または導入器の管腔に沿って挿入されたプラズマプローブの後退を誘導するためのフィードバックとして使用される。
【0172】
いくつかの実施形態において、フィードバック制御は、任意選択的に、電力レベル及び/またはガス流など1つ以上の他のセンシングモダリティと組み合わせて、フィードバックデータのソースとして温度センシングを使用する。より高い電力レベルは、プラズマ用量をより迅速に提供する目的において望ましい場合があるが、例えば温度の、安全な動作パラメータ内に留まることも重要である。したがって、プローブでの温度の上昇は、電力レベルを下げる(熱放散の要件を低減する)べきであること、及び/またはガス流の速度を増やす(ガスの流れに対する熱放散を増加させる)べきである指標として使用されてもよい。電力は、直接的に発電源において、及び/またはプラズマプルーム長に影響を及ぼす移動によって制御可能である(すでに上述したとおり、結果として電力供給に影響を及ぼす)。ガス流は、例えば、発電源を調整することで、及び/または供給されるガスから形成される圧力を排出する速度を調整することで、制御することができる。このような調整は、その後投与の速度に影響を及ぼし得るため、いくつかの実施の形態において、例えば、走査移動の速度を減速するために、及び/または特定の位置における滞留時間を増大するために、プラズマ送達プローブの自動化された動作の制御の変化も補われ得る。
【0173】
本開示のいくつかの実施形態の一態様は、プラズマ電力フィードバック情報を用いた3-D構造のマッピングに関連する。本開示のいくつかの実施形態において、プラズマプローブと表面との間の距離が変化すると、プラズマ電力が上昇または下降する。したがって、プラズマ電力を知ることにより、プラズマが衝突する表面の深さ位置を可能にする情報が提供される。この情報は、例えば、プローブの意図された動作条件下での電力対距離曲線を生成することによって較正され得る。
【0174】
手順の間、電力を送達するプローブの位置を把握する(例えば、ロボット作動コントローラによって追跡される)ことで、電力の読み取り値から較正された深さ対表面の情報をオフセットとして追加することができ、結果として、プローブがその上を移動する際に表面がマッピングされる。
【0175】
いくつかの実施形態において、投与の誘導を支援するために、マッピングが手順中に用いられる。例えば、ポリープのエッジがマッピングされ、それに応じてプローブ移動は、オーバーハングによって守られた、部分的に遮蔽された領域にプラズマを誘導することを目標として計画される。これには、(例えば、有茎性ポリープの茎の近くの)「プラズマの影」を克服するのに役立つ潜在的な利点があり、そうでない場合、プラズマがすべての標的領域に到達するのを妨げる場合がある。
【0176】
いくつかの実施形態において、マッピングは、例えば、成長の寛解の進行などの標的領域の変化(例えば、後の手順の間)を推定することを可能にするベースライン(最初の手順の間)を提供するため、及び/または標的領域の全範囲が治療されたことを確認するために、手順の記録として使用される。
【0177】
本開示のいくつかの実施形態の一態様は、プラズマプルームを治療補標的上に方向付けるためにプラズマ送達プローブが誘導されるときの、より粗大な移動に対するより微細な移動の重ね合わせに関連する。
【0178】
プラズマプルームは、その空間的な特性において不均一である可能性がある。例えば、ホットスポット(熱的に高温、または比較的大量の反応種もしくはプラズマエネルギーを送達するという意味では「高温」)は、プルームの中心付近及び/またはその周縁付近に位置してもよい。それ以外の場所では、比較的弱いプラズマ生成及び/または送達の領域が存在してもよい。
【0179】
これらの不均質性(及びプラズマプルームが接触する領域、すなわちプラズマの送達がゼロではない領域へのプラズマの瞬時速度における結果として生じる空間的な不均質性)は、例えば、限られた空間におけるプラズマ送達の条件の詳細、及び/または投与応答の非線形性により、所与の治療状況において計算することが困難である場合がある。
【0180】
本開示のいくつかの実施形態において、これは、より大きな移動により小さな移動を重ね合わせることによって対処される。より大きな移動が実質的に、治療を受ける表面積を制御する。より小さな移動は、潜在的にプラズマ送達を均一化するため、各小さな領域がより一貫して投与される。
【0181】
プローブを一定の動きに保つと、ホットスポットのエネルギーがより大きな領域に行き渡ることで、ホットスポットにおける熱加熱を緩和することもできる。
【0182】
基本軌道パターンに課されるより小さな移動は、例えば、正弦波形、正方形、三角形、鋸歯状、及び/または別の形状を含み得る。いくつかの実施の形態において、より小さな移動はループしている。基本的な軌道パターン自体は、領域を被覆する任意の適切な形状、すなわち、直線的なラスタリング(連続的または断続的)、1つ以上の螺旋、同心円、または別のパターンであり得る。
【0183】
より大きな移動に重ね合わされるより小さな移動は、プラズマ投与のフィードバック駆動制御の一部として任意選択的に調節される。例えば、投与は、軌道に沿った全体的な移動の速度に対する微細な移動の振動を調整することによって(例えば、全体的な移動の1ミリメートルあたりの、より多いまたは少ない振動もしくはループ)、モーションコントロールを介して調整することができる。
【0184】
本開示のいくつかの実施形態の一態様は、管腔空間内の構造体のプラズマ投与の制御を手助けするための管腔空間内のイオン化ガス流の制御に関連する。いくつかの実施形態において、プラズマは、イオン化ガスで空間を充填し、その後、その空間内で放電極に電力を供給することによって生成される。イオン化ガスが動いている場合、生成されたプラズマは、その流れによって運ばれる。管腔壁の近くでは、流れは、壁に対して平行に配向する傾向がある。流れは、ガス入口及び/または出口開口部の位置決めによって制御することができる。いくつかの実施形態において、流れは、電極の両側に入口及び出口を配置することによって放電極の近くに生成され、これにより、生成されたプラズマが受ける流速が予測可能になる。いくつかの実施形態において、流れの全体的なパターン、例えば、渦が生成される。いくつかの領域(例えば、渦の領域または組織表面による閉塞によりガスの流れが偏向する場所の近く)では、生成されたプラズマ種をより大きな領域に広げるという潜在的な利点を有する高速の流れが存在し得る。これは、治療時間を短縮する及び/または治療効果を改善する可能性がある。いくつかの実施の形態において、渦流の軸の近くの領域は、ほぼ軸を中心とした選択した領域にプラズマを閉じ込めつつ、プラズマを広げるという潜在的な利点を有する。
【0185】
本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示が、その適用において、以下の記述で記載される、ならびに/または図面に示される、コンポーネント及び/または方法の構造及び配列の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明の特徴を含む本開示に説明される特徴は、他の実施形態を可能にする、または様々な方法で実施もしくは実践できる。
【0186】
プラズマ投与量の制御方法
ここで
図1Aを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、組織に送達されるプラズマ投与量を制御する方法が概略的に示されている。また、
図1B~Cも参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、組織に送達されるプラズマ投与量を制御するフィードバック制御方法が概略的に示されている。
【0187】
ブロック110、120、130(
図1A~C)で、いくつかの実施形態において、プローブを標的治療領域に前進させる。標的治療領域は、任意選択的に外部組織または内部組織の領域である。標的治療領域は、任意選択的に、少なくとも部分的に組織の体積内に埋め込まれ、及び/または表面上(外側表面または内側表面、例えば、内側の管腔表面)に露出される。本開示のいくつかの好ましい実施形態において、標的領域は、例えば、体腔、針穿刺、及び/または内視鏡アクセスを介して、内部でアクセスされる。このようなプローブは、薄い傾向がある(例えば、直径が5mm以下)。これらは、例えば針状のプローブ、すなわち剛性で、かつ組織への鋭い穿通に適している。代わりに、プローブは、内視鏡またはカテーテルなどの別の装置の作業チャネルを通して、長い体腔のみを通して挿入するのに適した1本以上の可撓性チューブを有していてもよい。プラズマ生成は、複数のプローブ、例えば、管腔にイオン化ガスを導入するために用いられるプローブ、及びイオン化ガスにプラズマが含まれる放電極を備えた別のプローブとは別々に挿入された構成要素を使用して実行されてもよい。いずれかの種類の部分的なプローブが1つ以上提供されてもよい。
【0188】
ブロック112(
図1A)で、いくつかの実施形態において、プラズマが生成される。プラズマは、任意選択的に、プラズマプローブの遠位端、すなわち標的治療領域に最も近いプラズマプローブの端に配置されている、プラズマ生成モジュールによって生成される。代わりに、いくつかの実施形態において、プラズマは、送達部位の近位(例えば、体の外側に配置される機器によって)生成され、導管に沿って送達される。プルームは、任意の方向(例えば、プローブの長手軸に沿って横方向に、遠位方向に、または別の方向に)プローブから外側に向けられてもよい。1つ以上のプラズマプルームが生成されてもよい。しかしそのような場合でも、特に小径プローブで作業する場合、どのくらいの領域がプラズマによって同時に接触され得るかには一般的に制限がある。したがって、いくつかの実施形態において、プローブを有する標的に到達してプラズマを生成するだけでなく、そのプラズマが治療の標的領域のすべての部分に到達するように、そのプラズマの分布を制御することも必要である。
【0189】
より詳細には、標的治療領域のそれぞれの部分が受け取るプラズマの用量は、反応性プラズマ種が標的に到達する速度の時間積分とほぼ等しいものと理解されてもよい。したがって、ブロック114で、本開示のいくつかの実施形態において、意図された標的を被覆するだけでなく、所定の目標投与量に従ってプラズマ投与を適切に調整するためにタイミングが合わせられた動きでプラズマを標的治療領域に向けるために、プローブが自動的に動かされる。
【0190】
移動は、異なる種類のいずれか1つ以上の動作であってもよい。例えば、動きは、開放空間を通して行われてもよく、または組織の体積内への穿通(例えば、針または導入器による穿通)による動きを含んでもよい。プラズマは、移動中(例えば、標的領域全体を被覆するために走査パターンを通しての移動中)に送達されてもよく、及び/またはプラズマは、1つ以上の静的な位置から送達されてもよく、この静的な位置から、反応種は標的領域の残りの部分に到達するためにさらに移動する。
【0191】
自動的な移動は(手動と比較して)、組織を過剰に露出させることなく、例えば、期待される治療効果を生じさせるのに十分な選択された量のプラズマの提供(及び任意選択的に追跡)が可能になるという、特定の潜在的な利点を有している。プラズマへの過剰曝露の問題は、例えば、加熱効果によって生じ得る。しかし、プラズマ治療のいくつかの提案された効果が本質的に「異なる」ため、過剰曝露の問題が生じる場合がある。これは、疾患組織及び/または病原体は、プラズマ内のプラズマエネルギーまたは反応種に対して特に脆弱である可能性がある一方、正常組織であっても、プラズマエネルギーまたは反応種に対してある程度脆弱である可能性があるためである。治療された領域も、プラズマへの過剰曝露による望ましくない影響を受ける場合がある。自動位置決めシステムを使用することは、実際に送達されるプラズマの量を、設定された投与量の制限内に確実に留まらせるのに役立つ。
【0192】
プラズマ生成速度が十分に一定であり、動きが十分に厳しく制御(例えば、特定のコントローラ入力に対する予測可能な動き)されており、かつ標的位置が十分に安定している及び既知である場合、その動きに対するフィードバック制御なしにプローブを移動させることにより、
図1Aの方法を開ループ構成で自動的に実行することが可能となり得る。しかしこの場合、プラズマ送達の速度のばらつき、及び/または命令された移動と、実際に生じる移動との間の不一致が生じる可能性がある。
【0193】
各ブロック122及び132(
図1B、1C)での動作は、プラズマ治療計画が実施される際に実際に何が起こるかに基づいて、(プラズマを生成し、かつ選択されたプラズマ用量を送達するために適切に移動するため)のブロック112及び114の動作を包含するが、その動き及び/または生成の調整を手助けするさらなる動作を伴うと理解されてもよい。
図1B及び1Cの方法は個別に記載されているが、これらは一緒に行われてもよい。
【0194】
図1Bにおいて、ブロック124で、プラズマ送達の現在の速度が測定及び/または推定され、ブロック126で、動きは、プラズマ送達の現在の速度に従って調整される。反対に、
図1Cにおいて、ブロック134で、実際の動きが測定及び/または推定され、ブロック136で、プラズマ送達の速度は、推定された実際の動きに従って調整される。
図1B~1Cのループのための終了条件は、ブロック128、138で試験される。終了していない場合、ループは終了するまで継続し、その後、フローチャートが終了する。
【0195】
プラズマ送達の現在の速度を推定する際に使用するために(ブロック124)、1つ以上の種類の測定が実行される。いくつかの実施形態において、測定は、プラズマの生成における実際の消費電力をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態において、測定は、生成されたプラズマのスペクトル測定を行うことを含む。これは、(例えば、全体の強度に基づいて)全体的にどれだけプラズマが生成されているかに関するデータだけでなく、(例えば、相対的なスペクトルピーク振幅に基づいて)どれだけ所与の反応種が生成されているかに関するデータももたらし得る。これは、治療用の反応種、例えば、プラズマイオンに曝露されたときに水から生成されるOH・反応種が二次生成される場合に、有用となり得る。生成された同じプラズマ電力に対して、例えば、送達部位にいくつのイオン化原料が存在しているかに応じて、このような二次生成種が多かれ少なかれ存在し得る。いくつかの実施形態において、特に温度変化自体が意図された治療効果のうちの1つである場合、温度は、プラズマ送達のためのプロキシとして使用される。
【0196】
変化が観察される場合、いくつかの実施形態で実施される1つの調整は、プラズマ生成自体の速度を調整することを試みることである。しかしこれは、常に実行可能または十分な選択肢であるとは限らない場合がある。例えば、標的速度でOH・を生成するのに十分な水が部位に存在しない場合があり、または例えば、汚染、十分な作業空間の不足(全出力プラズマプルームを生成するための距離)、イオン化ガス流の制限、もしくは別の理由により、プラズマ生成が部分的に損なわれる場合がある。
【0197】
したがって、いくつかの実施形態において、標的プラズマ速度からの変化の補償は、動きの変化を含む。これは、プラズマ生成モジュールの1つ以上の位置での動作速度の減少、及び/または滞留時間の延長を含んでもよい。
【0198】
動きの推定(ブロック134)に関して、ロボット制御型プローブ、例えば、特に可撓性プローブであって、場合によっては、命令された動きを完全に忠実に再現するのではなく、曲がるまたはひずむ場合がある可撓性プローブに関連する位置決め誤差が存在し得る。ここでも、動き自体は、補償において調整されてもよい。動作調整自体は、実際には、プラズマ送達(例えば、プラズマ生成)の変化速度を直接的に生成してもよい。これは、例えば、プラズマプルームに余裕を持たせるための空間をより大きくすることで、プラズマプルームへの電力供給をより大きくすることができるからである。さらにまたは代わりに、プラズマ送達に影響を与える別のパラメータ、例えばガス流の速度が調整される。プラズマ生成の終了は、例えば、プローブが位置に戻される間の回復または再較正期間中のプラズマへの過剰な曝露を回避するための、いくつかの実施形態で使用される別の選択肢である。
【0199】
プラズマ投与量を制御するためのシステム
ここで
図2A~Dを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、体内プラズマ送達プローブ12を介したプラズマ送達の制御を実施するシステムが概略的に示されている。
【0200】
図2A~Dに示す制御構成は、プラズマ用量制御、プラズマプローブ制御、プローブセンシング、及び/またはプラズマ線量測定の一般的な機能の異なる実装体を提供する、異なる制御構成を示す。さらに、示した機能は、例えば以下に列挙するように、異なる特定の特徴で実装されてもよい。
【0201】
・プラズマプローブのセンシング12及び/またはプラズマの送達状態:いくつかの実施形態において、センシングは、温度(プラズマ、組織、及び/またはプローブなどのシステム構成要素)、電力、電流、電圧、(イオン化ガスまたは他の流体の)流れ、圧力、(プラズマ、組織、及び/またはシステム構成要素の)インピーダンス、及び/または機械的な力のうちの1つ以上に対して実行される。プラズマの化学組成は、例えば、そのスペクトル放出によって測定されてもよい。さらにまたは代わりに、プラズマと相互作用する標的領域からのスペクトル放出は、標的領域の化学組成を表す兆候を提供し得る。いくつかの実施形態において、センサデータは、例えば物理的なワイヤであってもよい1つ以上のセンサ線32を用いて、プローブ12から伝送される。任意選択的にで、センサデータを通信するためにワイヤレス(無線)通信が使用される。センサ32A自体は、プローブ12の先端付近に示されているが、そのセンシングモダリティに応じて、例えば、プローブ12の内側(例えば、プローブ12の内壁上、またはプローブ12の管腔の内側を浮遊する)、及び/またはプローブ12の外側(例えば、プローブ12の外壁上、またはプローブ12の外側のコネクタ上を浮遊する)任意の適切な位置にあってもよい。例えば、センサ32Aの一部分は、プローブ12から離れて位置していてもよく、例えば、センサ32Aは、プローブ12上に光ファイバ検出器を含んでいてもよく、スペクトルセンシング自体は、近位に位置する(例えば、制御ユニット10、コントローラユニット42及び/または位置決めシステム11と共に配置される)モジュールによって実行される。センサ32Aモダリティの実施例は、温度(例えば、プラズマプルームの温度及び/またはその近くの温度)のセンシング、ならびにプラズマからのスペクトル放出の収集及び分析を含む。いくつかの実施形態において、消費電力のセンシングは、例えばプラズマ制御ユニット10の性能をモニタリングすることによって、プローブから離れて実行される。いくつかの実施形態において、センサ32Aは、接触センサ(例えば、センサ32Aが、プローブ12の遠位端と標的表面との接触を検出するように配置されている)を備えている。いくつかの実施の形態において、センサ32Aは、距離センサ、例えば、超音波センサまたは組織壁が近接しているため、インピーダンス変化をセンシングすることができる電極を有する。いくつかの実施形態において、センサ32Aは、位置センサ、例えば、曲げなどのプローブの相対的な移動、またはシースもしくは他の基準位置に対するプローブの前進の距離を検出するセンサを備えている。
【0202】
・プラズマ用量制御:これは、プラズマ送達装置の電力(例えば、電力導管34を介して)、イオン化ガスまたは別の流れまたはその他の流体(例えば、ガス導管33を介して)、周波数、及び/またはデューティサイクルのうちの1つ以上を含む、装置パラメータの制御を含む。制御は、任意選択的にフィードバックモードで実行され、ここでは制御入力が分析(例えば、センシングに関連して上述した入力のいずれか)され、かつ装置パラメータが、制御入力によって示される状態に従って調整される。例えば温度が高すぎる場合、デューティサイクル及び/または電力は低減され得る。電力供給の周波数を調整することは、供給される電力の有効量にも影響を与える可能性がある。イオン化ガス流が増加すると、これに応じて温度が低下し得る。
【0203】
・プラズマプローブ制御:これは、プローブの大きさ及び/または形状の制御を含み、プラズマプルーム8の大きさ、形状、及び/または方向は、1つ以上の作動線31を介して制御される。これらのパラメータは、任意選択的に、制御入力に基づいてフィードバックモードで実行される。
【0204】
・プラズマ線量測定:プラズマ送達のセンシングされた指標及び/またはプラズマ出力の制御されたレベルを使用して、プラズマ線量測定、すなわちどれくらいのプラズマが、どこに、及び/またはどの特性で送達されるのかを推定する。
【0205】
図2A~Dのシステムはいずれも、ロボット位置決めシステム11が自由制御下で移動の度合いを提供してもよく、例えば、プローブ回転21、軸22Aに沿った並進移動の前進/後退、1つまたは2つの軸22における左右の並進移動、及び/または1つまたは2つの回転軸23の周囲で曲がるプローブが挙げられる。
【0206】
図2Aは、プリセット制御(開ループ)システムを表しており、フィードバックループ構成を使用することなく動作する。
【0207】
イオン化ガスはガス導管33を介して供給され、供給されたガスをプラズマにイオン化する電力は、電力導管34を介して供給される。
【0208】
入力ライン36は、プリセット入力を表す。これは、1つ以上のシステム設定の定義として提供されてもよく、任意選択的に、システムを連続的に設定及び動作するために使用されてもよい。
【0209】
システム設定の定義には、
・事前に設定されたプラズマ投与量の送達を制御するためのパラメータと、
・プラズマ投与量の送達のために規定された位置と、
・プラズマ投与量を送達するプローブ12の構成と、が含まれる。
【0210】
プリセット入力として提供されるシステム設定の定義のパラメータは、任意の適切なモダリティ、例えば、視覚的、超音波、X線、MRI及び/またはCT画像診断から導き出された診断情報に基づいて部分的に決定されてもよい。画像診断は、例えば、治療標的の形状及び位置を決定するために使用されてもよい。この情報から位置決め計画、例えば、完全なプラズマカバレッジを得ることを目的として、治療標的内及び/またはその近くの複数の異なる位置でプラズマ送達プローブ12を配置する計画をデザインしてもよい。各位置でのプラズマ投与量は、例えば、その位置から治療されるゾーンの形状に適応するように調整されてもよい。プラズマ生成自体のパラメータは、標的タイプの知識に従って選択されてもよい。
【0211】
任意選択的に、装置の動作を確認するために、センシング(信号が、例えばセンサ線32を介して送信される)が使用される。装置及び/またはその動作条件が予想されたとおりでないことが判明した場合は、プリセットを任意選択的に(手動で)調整する。開ループモードでは、動作設定を自動調整するためにセンシングは使用されないが、プローブ動作の自動的な開始/停止を制御するためにセンシングが使用されてもよく、例えば、安全性限界(例えば、熱的限界)を超えた場合に装置の動作を停止し、それらの限界が回復したときに再開する。温度指標は、プラズマ生成速度とプローブの移動速度との間の全体的なバランスを手動で調整するための基礎として使用されてもよく、例えば、過熱状態で動作しているプローブはより速く移動し、1つ以上の連続するパスにおいて曝露不足の領域に戻る移動パターンに切り替えられてもよい。
【0212】
プリセット入力36は、いずれかのサブシステムに送信される。動作を同期させるために、トリガ及び制御/センシング信号が、(1つ以上の信号線35を介して)位置決めシステム11とプラズマ制御ユニット10との間で交換される。
【0213】
プラズマ送達プローブ12は、位置決めシステム上に組み立てられ、位置決めシステムは、プローブの位置決め及び移動を担当する。
【0214】
図2Bは、フィードバック制御される(閉ループ)システムの構成を示し、線量測定モニタリングは、プラズマ生成パラメータの決定への入力として使用される。この構成では、線量測定は、プラズマ制御ユニット側に設けられるものの測定値を使用する(例えば、生成されたプラズマ自体の測定値とは対照的である)。さらに、制御は主に位置決めシステム11によって維持され、これは、位置決めシステム11自体の位置決めをどのように調整すべきかを決定するためのフィードバックを統合し、及び/または位置決めシステム11が受信するフィードバックに基づいてプラズマ制御ユニット10に命令を送り返す。
【0215】
プラズマ制御ユニット10は、線量測定モジュール13を含み、これは、線33、34を介したイオン化ガス及びエネルギーの送達をモニタリング及び制御する。線量測定モジュール13は、線量測定信号線37を介して位置決めシステム11に(測定及び/または制御された)線量測定情報を提供する。これは、プローブの位置決め、例えば標的からの距離、及び/または標的の異なる領域にプラズマを向ける走査移動の速度を調整するために使用されてもよい。
【0216】
図2Aについても説明したように、いずれかのサブシステムに送信されるプリセット入力36が提供され得る。動作を同期させるために、トリガ及び制御/センシング信号が、信号線(複数可)35上で、位置決めシステム11とプラズマ制御ユニット10との間で交換される。また、同期標的は、位置決めシステム11が受信するフィードバックに基づいて調整されてもよい。
【0217】
プローブ12 は、位置決めシステム11に接続されており、位置決めシステムは、プローブの位置決め及び移動を担当する。プローブ12を位置決めシステム11に接続する作動装置及び機械的リンク機構は、当該技術分野において既知の任意の種類のものであってもよい。例えば、ステッピングモータ及び/またはサーバモータを使用して、機械的リンク機構を動かしてもよい。機械的リンク機構は、例えば、親ねじ、レバー、及び/または制御ワイヤなどの既知の機構を使用して実装されてもよい。位置決めを制御する限り、位置決めシステム11は、プローブ12の動きのタイミング及び/またはパターン化を介して、処方されたプラズマ投与量の送達も制御する。
【0218】
図2Cは、プラズマ制御ユニット10による用量制御を自動的に調整するために、フィードバックとして線量測定及びプラズマパラメータ信号が提供される、別のフィードバック制御される(閉ループ)システムの構成を示す。
図2Bのように、線量測定は、コントローラ側の測定に基づく。しかし
図1Cでは、プラズマ制御ユニット0自体の内部で発生する、フィードバック調節された用量制御が強調されている。
【0219】
目標投与量は、入力36によって用量制御ユニット41に示される。用量制御ユニット41は、プローブ12に提供されるエネルギー及びイオン化ガスをそれぞれ示す、入力34A、33Aを受け取る。また、用量制御ユニット41は、位置決めシステム10から位置フィードバック38を受け取ることもできる。
【0220】
いくつかの実施形態において、位置決めシステム10からのフィードバックが、プローブ12の位置を示す位置データの形態で提供される。用量制御ユニット41は、データを処理して、目標投与量を達成するための電力レベルを制御する。
【0221】
さらにまたは代わりに、位置決めシステム10は、目標投与量の指標を直接提供し(例えば、標的領域上のプローブ走査の異なる位置及び/または速度に対して変化する)、用量制御ユニットは、これらの目標投与量の指標に従ってプラズマの生成を指示するガスコントローラ及びエネルギーコントローラとして機能するコントローラモジュール41Aに命令を出す。
【0222】
図1B及び
図1Cの制御方法は、相互に排他的ではない。例えば、いくつかの実施形態において、制御は双方向に調整され、これにより、位置決めシステム10によって生成される動きは、現在の投与量強度(電力レベル及びイオン化ガス流量など)に部分的に適応するように調整される一方、用量制御ユニット10によって指示される現在の投与量強度は、位置決めシステム10によって生成される移動の変動に部分的に適応するように調整される。どちらをいつ(及びどのくらい)調整するかは、例えば、どのシステムがその動作限界に最も近い状態で動作しているかに基づいて、及び/または2つの制御サブシステムの一方の機能で発生する、指示された移動と、測定された移動または投与量強度との相違を他方の制御サブシステムで修正するために、決定されてもよい。いくつかの実施形態において、双方向制御は、受信したフィードバックに基づいてどのサブシステムを調整すべきかを選択するマスタコントローラによって調整される。いくつかの実施形態において、双方向制御は、用量制御ユニット41と位置決めシステム11との間で直接確立されるプロトコルによって実施される。
【0223】
図2Dは、別のフィードバック制御される(閉ループ)システム構成を示しており、この構成では、フィードバック及び制御がより直接的にプローブ12自体に関与する。示されている構成において、プラズマ制御ユニット10には、プローブ及び/またはプローブ先端の動作線31を介した接続部が設けられる。作動は、送達されるプラズマの投与量及び/または特性に関与してもよい。いくつかの実施形態において、プローブの作動は、位置決めシステム11の直接的な制御下にないプローブの位置決めに影響を及ぼす。
【0224】
また、プローブのセンシング機能も、プラズマアプリケータ/先端/プローブで提供され、センシングデータは、1つ以上のセンサ線32を介して通信される。任意選択的に、これら2つのうちの1つのみが提供される。プローブの作動は、
図1B~1Cに関連して記載したように、実施されるフィードバックに基づいて制御されてもよい。逆に、プローブからのセンシングは、プラズマ制御ユニット10によってイオン化ガス及び/またはエネルギーを供給するための設定を決定するために使用されるフィードバックとして、及び/または位置決めシステム11によって命令される動きの調整を手助けするためのフィードバックとして使用されてもよい。
【0225】
いくつかの実施形態において、位置決めシステム11は、プラズマ制御ユニット10及びプラズマ制御ユニット42に、位置決めシステム11の動的位置決めフィードバックを提供する。コントローラユニット42は、プローブ12自体の動作パラメータ(例えば、可動部品の作動)を制御して、プローブを、実施されている移動に適した意図された投与量を達成するのに適したプローブ構成にする。さらにまたは代わりに、位置決めシステム11自体は、どのようにプローブ12を作動させるべきかを決定し、これに応じて、どのようにプローブ12を作動させるべきかの直接的な指示をコントローラユニット42に指示する。いずれの場合においても、制御は、センサ線(複数可)32経由で受信したフィードバックに基づいて、任意選択的にセンサ信号調整器41で調整した後に、調節されてもよい。サブシステム間の調整(例えば、両方がフィードバックに基づいて能動的に修正される場合)は、上位の制御システム、及び/または位置決めシステム11とプラズマ制御ユニット10との間に確立された通信プロトコルによって管理されてもよい。
【0226】
プラズマ送達のための移動及び位置決めパターン
ここで
図3A~Dを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、組織の体積内にプラズマが送達され得る、プラズマ送達プローブの移動の異なるパターンが概略的に示されている。示されている各パターンは、1つ以上の透過性エレメント301を用いて実施され、これらはそれぞれ、例えば、1つ以上の遠位開口部からプラズマの流れを放出するように構成された針であってもよい。
【0227】
図3Aにおいて、プラズマ制御ユニットは、複数の針穿通位置で順次(または任意選択的に、少なくとも部分的に同時に)アクセスすることにより、すべての治療部位で組織に治療を提供するプローブ位置決めシステムと連動して制御される。例えば、示されている針301の各位置は、異なる時点で同じ針の異なる位置であってもよく、または同時に標的を穿通する複数の針が設けられてもよい。標的自体は、組織5の体積内に存在し、標的セグメント7A,7B,7C,7D、及び7Eを含む。各セグメント7A~7Eの治療のために、針301の遠位先端がセグメントのほぼ中心に挿入され、針301の1つ以上の開口部からプラズマが送達される。プラズマ内及びまたはプラズマによって生成された効果(反応種及び/またはカスケード効果)は、対応するセグメント7A~7Eを通って拡散する。任意選択的に、例えば
図3Dの治療パターンに関して記載したように、プラズマ治療は、同じ針軌道に沿った異なる穿通の深さで提供される。
【0228】
図3Bにおいて、プラズマ制御ユニットは、グリッドまたはグリッド状に配置された複数の標的部位7Fで送達された組織にプラズマ治療を提供するために、プローブ位置決めシステムと連動して制御される。例示目的で、プローブ301は、ゾーン7Fが配置されている平面に対して偶然にも傾いている同じ角度からそれぞれにアプローチするように示されている。垂直アプローチは、代わりに本開示のいくつかの実施形態において実施される。
【0229】
グリッドのピッチは一定であってもよい。代わりに、グリッドのピッチは、例えば標的の特定の形状に対応するように変更されてもよい。正方形のグリッドを、
図3Bに示す。任意選択的に、グリッド部分は、例えば六角形のグリッド間隔上で半径方向に(例えば、同心円または中心からのスポークとして)、及び/または同心円状に(例えば、標的周囲に続く入れ子になったループとして)、別の方法で配置される。任意選択的に、部位7Fの密度の変化が、プラズマ用量送達の強度を変化させるために使用される(例えば、用量送達を増加させなければならない場合、より近い密度が使用される)。任意選択的に、部位7Fの密度の変化を使用して、任意の所与の点でのプローブの滞留時間を低減することができ、これは、治療送達の潜在的な熱的効果を制御するための潜在的な利点をもたらし得る。
【0230】
任意選択的に、標的部位7Fは、ラスタ順(例えば、行ごと)に、または(例えば、ディザリング、インターレース、もしくはランダムに順序付けられた)別のパターンで治療される。図示されているように、各標的部位7Fへのアプローチは、標的部位7Fが埋め込まれている組織5の体積の同じ側からのものであり、これは特に、次の穿通のための次の部位への連続的な穿通、後退、及び並進移動による単一のプローブのロボット移動に適している。いくつかの実施形態において、複数の方向からラスターパターンが用いられ、これは例えば、
図3Aの帯状パターンに類似するが、個々の各針の位置は2-Dパターンの針穿通に置き換えられる。
【0231】
ここでも、反応種は、実際の送達位置で及び/または実際の送達位置から組織のより大きな周囲領域へと拡散することで生成される。任意選択的に、プラズマ治療は、例えば
図3Dの治療パターンに関して記載したように、(離散的にまたは連続的に)同じ針軌道に沿って異なる穿通深さで提供され、これにより、プラズマ配置の3Dパターンが生成される。組織穿通しない場合、この構成は任意選択的に、単一のプローブ位置からのプラズマ治療が有効に到達可能な領域よりも大きい表面領域を処理するために使用される。
【0232】
図3Cにおいて、プラズマ制御ユニットは、プローブ位置決めシステムと連動して制御され、プローブ301の組織5への複数の挿入方向から同じ組織領域7Gにプラズマ治療を提供する。同じ領域への複数の穿通は、例えば、
図3A~3Bに関連して記載したように、複数の異なる標的部位に到達する穿通に、任意選択的に結合される。いくつかの実施形態において、異なるプローブが異なる機能に使用され、例えば、第1のプローブはイオン化ガスを送達してもよく、第2のプローブはイオン化ガスを除去してもよく、かつ第3のプローブは送達されたイオン化ガスをプラズマへと実際にイオン化する放電極を含んでもよい。いくつかの実施形態において、プローブは、冷却効果を生じさせるために、及び/またはプラズマとの相互作用に応じて二次反応種を生成するために、非イオン化ガス流体、例えば生理食塩水の送達専用である。いくつかの実施形態において、単一の領域に複数のプローブを同時に提供することにより、プラズマの生成及び/または送達のピーク速度を高めることができる。
【0233】
図3Dにおいて、プラズマ制御ユニットは、プローブ位置決めシステムと連動して制御され、方向303の軌道に沿って前進するプローブ301を介してプラズマ治療を提供し、連続する組織領域7H、7J、7K、7L、7M内にプラズマを放電する。3つのパネルが示されており、組織5の体積内の標的領域5Aの単一の針穿刺中の段階を表している。
図3Dの第1のパネルにおいて、針310は、ゾーン7H内でも穿通及びプラズマを送達した後に、組織領域7Jに送達している。第2のパネルは、領域7L内でもプラズマを送達した後の、組織領域7L内へのプラズマの送達を示している。第3の最終パネルは、プラズマが直接送達される最終組織領域7Mを含む他の組織領域を示す。
【0234】
組織領域7H~7Mは、異方性拡散特性(例えば、層状内部構造、及び/または交差循環流)を有する標的内で生じ得る反応種の拡散帯を表す離散帯として示されている。いくつかの実施形態において、針301の各連続する位置から治療を受けるゾーンは、(例えば、
図4Aに関連して図示及び記載されているように)針301の遠位端からほぼ球面状に延在している。いくつかの実施形態で使用されるプラズマ送達の「帯状」モードにおいて、それぞれの連続する深さで針が一時停止し、投与が完了するまでのプラズマ送達の間、針がそこに停留するように針を移動させる。プラズマ送達の帯状モードは、用量送達を簡素化及び/または安定化させるための潜在的な利点を有する。代わりに、いくつかの実施形態において、プラズマプローブの移動は、用量送達の間も連続的であり、これは、任意の単一の位置で反応種及び/または温度の蓄積を低減すること、及び用量送達をスムーズにすることの潜在的な利点を有する。プラズマ送達は、プローブ301による(方向303への)穿通中、及び/または(方向303とは反対の方向への)後退中であってもよい。
【0235】
プラズマ送達プローブの動作は、その環境との相互作用による妨害を受ける場合があり、これは、所定の時点で送達されるプラズマによって効果的な治療に有意な変動が生じる。
【0236】
例えば、イオン化ガスが治療部位に流れると、このイオン化ガスは、周期的に圧力が蓄積して突然放出され、例えば、針軌道に沿って逆流する場合がある。これらの圧力変動は、その部位でプラズマの効果的な瞬間的な生成の(規則的または不規則な)脈動を生み出す場合がある。ガスの能動的な除去(例えば、針を介して)は、いくつかの実施形態において任意選択的に行われ、ガスの蓄積が低減する可能性がある。しかし、除去する管腔自体は、例えば血液によって、または単に比較的より収縮した組織領域を通過する際に、部分的な詰まりやすい場合がある。電気的な変動も起こる可能性があり、これは例えば、組織条件の変化がプラズマの生成に影響を及ぼすインピーダンス変化を引き起こすからである。したがって、いくつかの実施形態において、異なる標的部位に送達されるプラズマの総量がプラズマ曝露の標的範囲内に確実に留まることを手助けするために、フィードバック制御が使用される。
【0237】
ここで
図4Aを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、管腔 401内からプラズマ治療を提供するためのプローブ位置決めシステムと連動して制御されるプラズマ制御ユニットが概略的に示されている。いくつかの実施形態において、動作制御は、管腔401の長手軸に沿ってプローブ430を前進及び後退させること、及び/または長手軸の周囲でプローブ430を回転させることを含む。組織の体積内に直接にプラズマを送達する場合に関しては、移動速度及び/または滞留時間を制御して、プラズマ用量送達を管理することができる。任意選択的に、これにはプラズマ生成強度の瞬間的な変動を補うために動作速度及び/または滞留時間を制御して、目標投与量を維持することが含まれる。
【0238】
管腔401は、例えば、血管、気道、消化管の管腔、または尿管の管腔であってもよい。管腔が空(ガスで満たされた)の場合またはすぐに排気された管腔(例えば、消化管または尿路の管腔)の場合、プラズマは、連続的に管腔へと前進及び/または管腔から後退する際にプローブから管腔へと送達され得る。液体で満たされた管腔(例えば、通常は血液で満たされた血管腔)において、段階的に管腔を通って前進し、(例えば、
図4B~4Cに関して説明したように、例えばバルーンアンカーを使用して)前進の各段階で管腔の一部を密閉することが好ましい場合がある。しかしいずれの部位も、例えば、プラズマを送達するために前進/後退する間に休止することによって(空になった管腔の場合)、または通常は液体で満たされた管腔へとプラズマを送達する場合にアンカーが密閉位置に展開したままでアンカーをスライドさせることによって、いずれの送達パターンにも対応する。プラズマは、例えば遠位を指す方向、側方を指す方向、または斜めを指す方向に送達される。側方を指す及び斜めを指すプラズマプルームと共に、標的組織の円周(例えば、環状)部分に用量を広げるために、任意選択的にプローブの回転が行われる。
【0239】
特に
図4Aには、プラズマ送達 410、412、414、416の4つの離散した部位が図示されており、管腔401に沿って長手方向にプローブ430の遠位端を連続的に前進することでアクセスされる。プローブ430の太い点線部分は、位置410でプローブ430の遠位端を有する位置を超える長手方向の前進の位置を表す。
【0240】
一連の同心リング410A、412A、414A、416Aは、反応性プラズマ種の拡散、プラズマエネルギー、及び/またはプラズマ曝露から周囲組織5へのカスケード効果を、次第に低下する濃度で表している。いくつかの組織領域(例えば、プラズマ送達410、412、414、416の特定部位の近く)は、主に1つまたは2つの部位からプラズマを受け取ってもよい。他の治療標的部位(例えば、部位412、414の間の約中間)は、本来のプラズマ送達の複数の異なる部位からそれぞれ拡散する反応種を受け取ってもよい。
【0241】
ここで
図4B~4Cを参照すると、展開可能なドッキング機構 431を備え、プラズマ生成モジュール440からのプラズマを、プローブ430の長手軸に対して水平の方向(
図4B)、及びプローブ430の長手軸に沿った方向(
図4C)の一方または両方に送達するように構成されている、プラズマ送達プローブ430が概略的に示されている。
【0242】
いくつかの実施形態において、展開可能なドッキング機構431は安定化機構であり、これは、プラズマ生成モジュール440上のプラズマ生成部位と、管腔401に沿った治療標的部位との間の選択された間隔の維持を手助けする。間隔は、例えば、イオン化ガス流の閉塞を防止するため、及び/またはプラズマプルーム長がプラズマ投与の目標速度を提供するのに確実に最適であるように選択された、最小間隔であってもよい。いくつかの実施形態において、ドッキング機構431の管腔401の壁との係合は、展開中に管腔401内でドッキング機構431が回転してスライド及び/または長手方向にスライドできるように十分に緩い。回転は、例えば、プローブ430の本体自体をねじることによって(例えば、ロボットコントローラのアクチュエータを使用して)、及び/またはプラズマ生成モジュール440をプローブ430に対して回転させることによって、例えば、漏出するイオン化ガスの力でプラズマ生成モジュール440をベアリングの周りで回転させることによって、または別の作動機構を回転させることによって達成されてもよい。
【0243】
図示されている実施形態において、ドッキング機構431は、プラズマ生成モジュール440の側面から放出されるプラズマのための間隔を維持する。いくつかの実施形態において、間隔は、バルーンまたはその他の非外傷性装置によって、プラズマ生成モジュールの遠位側に確保されており、さらにまたは代わりに、遠位空間でプラズマプルームが成長できるように、プラズマ生成モジュール440の放電極(複数可)を十分近位に配置するだけで、十分な遠位側の間隔が確保される。
【0244】
ドッキング機構431は、いくつかの実施形態において、例えばロボット制御下で、プラズマ生成モジュール440の可変センタリングに使用される。
【0245】
いくつかの実施形態において、ドッキング機構431の展開状態の制御は、次に、管腔401の周壁からのプローブ431の間隔を制御する。ここでも、これは、プラズマプルーム435の長さ及び/またはプラズマ生成のインピーダンス環境の制御、ならびに、これに応じて、プラズマ投与量の送達速度の制御に関する潜在的な利点をもたらす。
【0246】
いくつかの実施形態において、ドッキング機構431は、1つ以上のスペーサ433A、433Bを含む。任意選択的に、これらは比較的固定された大きさに展開し(例えば、比較的高圧力まで膨張し)、最小プラズマプルーム長(壁からプローブまでの距離)を設定する「定規」として機能する。いくつかの実施形態において、スペーサ434は展開して、スペーサ433A、433Bを組織壁に押し付ける。任意選択的に、これは、展開されたスペーサ433A、433Bの相対的な剛性と比較してコンプライアンスを維持し、いかなる崩壊も防止することによって、または崩壊を、例えば、展開されたスペーサ433A、433Bの完全に展開された半径方向の長さの33%未満に制限することによって、それらの意図された間隔距離を維持するのに役立つ。このようにして、プラズマプルーム435の長さを、目標とする長さの機能範囲内に維持することができる。
【0247】
いくつかの実施形態(
図4C)において、ドッキング機構スペーサ433A、433B、434は、様々な程度及び/または加圧に展開して、例えば、プラズマプローブ430に対して遠位の(例えば、腫瘍または閉塞437の)標的表面領域に対応させるために、長手方向に向けられたプラズマプルーム436の相対的なセンタリングを制御することができる。プラズマプローブ430を(例えば、ロボット制御下で)回転させることで、ほぼ円形の治療領域を生成することができる一方、プラズマプローブ430のセンタリングを変更することで、この治療領域の半径を調整する。
【0248】
いくつかの実施形態において、スペーサ433A、433Bは(任意選択的にスペーサ434と共に)、膨張時に完全に密閉された空間、例えば、
図4Bのプラズマプルーム435によって占められる空間を作成するように作動可能である。いくつかの実施形態において、この空間は、プラズマプローブ430の1つ以上の開口部を通って(例えば、吸引してイオン化ガスと置換することで)排気される。これにより、通常液体流体環境にある組織表面に対するプラズマ送達が可能になる。この種類の密閉機構は、例えば、2021年3月18日に出願された「Treatment of Internal Spaces Using Plasma Generating Device」と題された国際特許出願第IL2021/050303号に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に含まれる。
【0249】
密閉空間は、任意選択的である。いくつかの実施形態において、ドッキング機構431は、異なる構成の間隔要素、例えばトロイダルバルーン、向かい合って配置された一対のバルーン、円周方向に間隔を空けた3つ以上のバルーン、または1つ以上の展開可能な固体スペーサを含む。固体スペーサの実施例は、弾性の金属ワイヤ、好ましくは、例えば軟質ポリマで非外傷的な先端を付けたワイヤを含む。固体スペーサの別の実施例は、成形された(例えば、層状の)ポリマ要素であり、これは、プラズマ生成モジュール440の本体中央から半径方向に離れるように突出するように展開及び/または変形され得る。
【0250】
間隔要素は、間隔を作成するために対称または非対称であってもよい。例えば、プラズマ生成モジュールの偏心的な位置決めを可能にするために、トロイダルバルーンは、非対称及び/または非対称に拡張可能であってもよい。個別のバルーンを、任意選択的に異なる圧力に膨張させてプローブのセンタリングの制御を手助けし、ならびに/またはバルーンを異なる程度まで及び/もしくは異なる弾性コンプライアンスで拡張するように異なる構造にする。展開可能なワイヤスペーサには、例えば、壁までの最小距離が設定され、その最小距離までプローブを押しつけるのを手助けするように、異なる相対弾性が提供されてもよい。さらにまたは代わりに、展開可能なワイヤスペーサを異なる程度まで前進させて、プラズマ生成プローブ440のセンタリング位置を制御することができる。
【0251】
プラズマ生成プローブの中心間隔は、プラズマプルーム長を制御するために使用できる限り、プラズマ用量送達を制御する方法として使用できることに再度留意されたい。特に、目標電力の供給よりも低いことを示すモニタリングデータは、プラズマ生成プローブの中心間隔を調整するための、例えば、スペーサ433A、433B及び/または434(または別の間隔要素)のうちの1つ以上における張力を調整するための基礎として使用され得る。
【0252】
逆に、標的壁に対する位置決めの不正確さ及び/または誤差(距離の測定によって直接的に検出された、または間接的に、例えば、プラズマ電力の供給のモニタリングすることによって検出されたかどうかによる)は、任意選択的に、プラズマ生成のパラメータ(例えば、流れのイオン化ガス速度)、及び/または、例えば、ロボット制御下で実行するプラズマ移動のパラメータによって補われる。
【0253】
プラズマは、静的位置(そのうちの1つまたは複数)で、またはプローブが回転、挿入、または引き抜かれる際に滑らかに変化する位置において、バーストでまたは継続的に送達され得る。例えば、いくつかの実施形態において、治療標的領域は、長手方向に延びる管腔の一方の側に集中した長手方向に延びる領域を含む。任意選択に、この領域を治療するためのプラズマ生成モジュールの移動のパターンは、らせん状の形(同時の回転及び長手方向の前進を含む)である。プローブがこの経路に沿って移動する間、プラズマプルームの生成部位が標的領域から離してまたは目標領域に向かって周期的に配向されるため、プラズマの生成が断続的にオフ及びオンされる。単一方向の連続的な回転移動は、方向を周期的に反転するラスタ走査パターンから生じ得るヒステリシス(例えば、プローブのねじれ及び撚り戻しによる)を低減するという潜在的な利点を有している。
【0254】
ここで
図4D~4Fを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、分岐管腔構造402内のプラズマ生成モジュール440の配置が概略的に示されている。分岐管腔構造402は、例えば、肺または血管系の一部を含む。プラズマ生成モジュール440は、任意選択的なドッキング機構431が装備された状態で示されており、これは、例えば
図4B~4C(例えば、センタリングの制御を可能にする)に関連して説明されたように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ドッキング機構は省略される。分岐管腔構造402の異なる分岐 402A、402B、402Cへの誘導は、任意選択的にガイドワイヤを用いて実施される。いくつかの実施形態において、プローブ430自体は、例えば、いくつかのプローブ430を湾曲形状に引っ張るために張力をかけることができる1つ以上の遠位側に取り付けられたワイヤを使用して誘導することができる。
【0255】
いくつかの実施形態において、複数の位置(例えば、
図4D~4Fに示した位置のうちの2つ以上)は、異なるプラズマ生成モジュール440によって任意選択的に同時に引き継がれる。これらは平行に挿入され、異なる分岐に誘導されてもよく、及び/またはこれらは単一のプローブに沿って異なる長手方向の位置に配置されてもよく、それぞれ、例えば、共通の電力ケーブル及び共通のガス供給管腔から、電流及びイオン化ガスの独自の部分を受け取る。
【0256】
ここで
図5A~5Bを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ投与を制御するためのイオン化ガスの流れ場のパターンの操作が概略的に示されている。
【0257】
いくつかの実施形態において、標的組織は、ガスで満たされた大きな管腔の管腔表面とのプラズマ相互作用により治療される。いくつかの実施形態において、投与量は、イオン化ガス流のパターンの知識及び/または操作によって部分的に制御される。イオン化ガスの流速は、任意選択的に、約0.1L/分~約10L/分の範囲内から選択される。任意選択的に、プラズマ生成のデューティサイクルは、例えば、約10%~100%の範囲内で調整される。
【0258】
図5Aにおいて、2つのガス管腔501A、501Bが、管腔空間510に導入されており、イオン化ガスを、管腔空間510に導入するために使用される。ガス流は、概ねガス管腔501Aから501Bまでのパターン511を流れるように示されているが、ガス流の方向は、任意選択的にいつでも逆になる。管腔の全体はイオン化ガスで満たされるため、放電極520は、その内部の任意の点で動作することができる。流れが維持されている間、達成される投与は、放電極520の位置だけでなく、それを取り囲むガスの流れ場の方向にも依存する。
【0259】
図5Bにおいて、(任意選択的に同じだが、異なる時点での)放電極520の2つの異なる位置が、放電極520A及び放電極520Bとして示されている。放電極520Aは、管腔510の中心付近で動作し、放電極520Bは、管腔壁の近くで動作する。
【0260】
ガスの流れ場も同様に、異なる流れ場を有する異なる時間に分割される。電極520B(管腔壁)または電極520A(管腔中心)に概ね沿って延びる軸の上側/左側の流れ指示矢印503は、流れが概ね反時計回りの、流れ場511の部分に対応する。流れ指示矢印503(残りの矢印)は、
図5Aに示されているものとは逆の、管腔501B、501Aの入口及び出口の役割を持って生成される、概ね時計回りの流れ場の部分に対応する。逆転することで、異なる流れレジーム下で、同じ電極位置から異なる領域を治療することが可能になる。
【0261】
特に、ガス流の局所的な方向は、壁に近接していることで、全体的な流れのパターンの影響を受ける方向で、壁に対してほぼ平行に流れるように制約されることに留意されたい。
【0262】
ガスの比較的低いエネルギー導入により、流速は、イオン化ガスの入口/出口管501A、501Bの一方または両方に近接していることで影響を受ける。非渦流(及び好ましくは層状)では、それらのうちの1つが電極に近づく程度まで、ガスの体積流の比較的多くが電極付近を通過することが制約され、より速い局所的な流速につながる。どちらも近くない場合は、流速が低下し得る。例えば、ガスが導入される速度に応じて、いずれかの管腔から遠い領域が比較的停滞する場合があるが、(例えば、より速い流速を使用することにより)乱流を誘発することは、プラズマを管腔空間全体により均一に広げるのを支援し得る。
【0263】
いくつかの実施形態において、ガス導入の典型的な速度は、適度な大きさの体腔の場合、管腔のガスの大部分を層流内へと誘導するのに十分なエネルギーを有し、任意選択的に、入口と出口との間で渦巻いている及び/または流れている。流れの方向に垂直なプローブの移動を使用して、管腔表面の縞を治療してもよい。
【0264】
標的が(例えば、微生物感染のためのプラズマ治療の一部として)内側の管腔表面全体である場合、(例えば、乱流を生成するのに十分な)強い流れ場の生成は、壁部のすべての部分を確実に被覆するのに役立つ場合がある。
【0265】
別の実施例において、放電極520は、特定の位置(例えば、プラズマ治療の焦点となる標的の近く)に残ってもよい一方、流れ場は、異なる方向に流れるように変更される。例えば、流れは、それぞれの渦が互いに垂直または反対方向に配向される4つの方向に、順次生成されてもよい。別の実施例において、ガス流は、渦流(渦の軸の近くの領域)の「極」が放電極520の近くで発生するように向けられてもよく、これにより生成されるプラズマが、比較的局所的な領域内で渦巻く。
【0266】
いくつかの実施形態において、管腔501A、501Bは動的に配置され、流れ場を形成する。これらの管腔の配置に関する決定は、組織によって定義された管腔の形状に関する事前の知識に基づいて行ってもよい。投与結果の十分な予測可能性は、管腔501A、501Bの一方または両方を電極520に近づけることによって、ならびに/またはこれらが、明確に定義された方向及び/もしくは中心軸を有する渦を生成するように配置及び方向付けることによって、達成される可能性がある。任意選択的に、管腔501A、501Bの一方または両方は、小さな入口開口部を通じた導入後の管腔510内の広範囲の位置及び配向への移動を可能にするように統合される。放電極520は、所望したとおり標的領域を被覆するプラズマを生成するように、流れ場内に配置可能である。
【0267】
いくつかの実施形態において、当該技術分野において既知の流れ場モデリングを用いて、(例えば、管腔ジオメトリの知識に基づいて)ガスの導入及び排出の異なる条件下で異なる管腔位置での流速を予測し、このモデルを、管腔壁の任意の所与の部分によって受け取られる投与量の計算の一部として使用する。
【0268】
ここで
図6A~Gを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、プラズマ治療標的を含む表面上にプラズマプルームを移動させるために使用してもよい、異なる走査パターンが概略的に示されている。
【0269】
図6Aは、連続する往復の走査パターンを示している。示されているパターンは、曲がり部の近くの経路をわずかに「肥大化」しており、これは(直線軌道と比較して)、(曲がり部での熱蓄積を緩和する)プラズマ軌道の最近の自己重複を低減する可能性がある一方、移動する最小曲率半径もわずかに増加する。後者によって提供される「滑らかさ」は、ロボット作動機構に対する高い空間的及び/または時間的周波数制御の要件を低減するための潜在的な利点をもたらす。
図6B及び6Cは、変調(例えば、示されているように、ほぼ正弦波状、または別の「ジグザグ」パターン)を、往復の走査動作全体に重ね合わせる。これは、任意のプラズマプルームの「ホットスポット」を一定の動きに保ち、プラズマプルームのエッジで、隣接する長いパスの間の継ぎ目を均等にするという潜在的な利点を有している。これらの図及び正弦波振動を示すその他の図において、示されている特定の振動形状に制限はないことを理解されたい。二次的な動きは、振幅が大きくても小さくてもよく、これらは、間隔(正味前進の単位当たりの振動)が大きくても小さくてもよい。振動形状は、任意選択的に、正弦波、三角形、正方形、鋸歯状、または別の形状であってもよい。振動は、連続的に前進する必要もない。例えば、移動パターンはループする動きを含んでもよく、各完全なループは、全体的な軌道移動の一般的な方向に沿ってわずかにオフセットされる。
【0270】
図6D及び6Eは、中断されたパターンを示し、プラズマプルームは、パスの間で任意選択的にオフされる(または投与特性に関係なく単純に移動される)。
図6Dにおいて、パターンは直線軌道のパスを含み、これは、隣接する順序または別の順序で(例えば、前のパスから間隔をあけて)実行され得る。方向性は、往復または一方向であり得る。
図6Eは、
図6B~Cに関して記載したような潜在的な利点を有する、各直線軌道に沿って追加される正弦波運動(重ね合わされた高周波の動きをより一般的に表す)を有する、
図6Dのような断続的な直線軌道パターンに基づくパターンを示す。湾曲した矢印は軌道の非連続パターンの例を示しており、これは常に、他の任意の2つの隣接する軌道に沿ったパスの間に、第3の軌道のパスの間隔を保つ。この潜在的な利点は、熱蓄積の可能性を緩和することである。
【0271】
図6F~Gは、螺旋軌道の実施例を示しており、これは、回転の直接制御及び装置のセンタリングを介して動作するロボット作動(ただしこれらに限定されない)に良好に適している可能性がある。
図6Gは、ここでも全体的な移動パターンに対する正弦波パターンを、今回は
図6Fの単純な螺旋に重ね合わせている。いくつかの実施形態において、複数の交差する螺旋軌道が続く。螺旋軌道のピッチは、任意選択的に、螺旋のコイル間の十分に大きな間隔を維持するために増大し、不利な累積加熱効果を回避する。第1の螺旋軌道を辿った後、第2の螺旋軌道は、第1の螺旋軌道の隣接するコイル間の半分の領域を通って辿ることができる。
【0272】
走査パターンは、パターンに合致する制御された2軸パターンの移動によって、プラズマ生成部位(例えば、プラズマ生成モジュール)をガイドするように構成されている任意のロボットコントローラによって実施される。第3の移動軸が任意選択的に追加され、例えば、組織表面の曲率及び/または不規則性に対応する(これは、本明細書で
図8に関してより詳細に記載される)。
【0273】
いくつかの実施の形態において、プラズマは、その近位端部に接続されたアクチュエータによって制御される剛性の針から送達される。
【0274】
いくつかの実施形態において、針の近位端自体は、その遠位端の移動を表す2-Dパターンとして示された並進移動と同じパターンで移動する。いくつかの実施形態において、針は、動く際(または少しでも動く際)に旋回する(針の角度が変化する)。これは、図面によって2次元で表される経路に3-D曲率を追加する可能性があるが、所望する場合、奥行きの並進軸を使って補うことができる。体腔自体は湾曲した壁を含むため、「揺れる」タイプの制御機構によって誘発されるパターン曲率は、プローブから標的までの距離を制御するための潜在的な利点を提供し得ることに留意されたい。
【0275】
これらのタイプの動きのいずれかまたは両を含む作動は、
図6A~6Gに示したパターンのいずれかと潜在的に互換性があるものの、軸移動の調整に必要な制御ロジックは、どのように制御軸座標が移動パターンの軌道上にマッピングされるかに応じて、より単純またはより複雑になり得る。平行(またはほぼ平行)な軌道の実施形態は、主に直交座標系で(例えば、X-Yの並進ステージによって)動きを実行するロボットコントローラに特に良好に適している。旋回式の制御は、円形または螺旋パターンに良好に適している。また、例えば、標的表面の奥行に適合させるために、プローブを標的に向かう方向または標的から離れる方向に並進させる(奥行を追加する)3-Dの動きがあってもよい。
【0276】
また、長手方向及び回転方向の位置決め制御を備えるロボットアクチュエータは、例えば、
図4B~4Cに関連して記載したように、プラズマプルームが横方向に向付けられる場合、(湾曲した表面に対する)図示されたプルーム移動パターンのいずれかを適用することもできる。例えば、長手方向の前進及び後退では、いくつかの実施形態において、一連の実質的に平行な軌道のそれぞれをガイドする一方、回転角度は、例えば、
図6B~C及び6Eに関連して記載したように、軌道間で切り替わり、任意選択的に振動する。逆に、軌道は長手方向の移動によって選択(及び任意選択的に振動が実施)されてもよい一方、回転は、各軌道の主軸に沿ってプルームを引き抜く。
【0277】
いくつかの実施形態において、ロボット制御は、円周方向の動き、例えば螺旋、または一連の同心円を含むパターンでプローブを移動させる。この動きは、硬いプローブの作動によって生み出すことができる一方、
図4B~Cに関連して記載したような実施形態での使用にも適している。硬いプローブは回転することができ(円周方向の動きを生み出す)、また、そのセンタリング(半径方向の動きを生み出す)に関して(例えば、ドッキング部材の膨張などによる作動を介して)制御され得る。半径方向距離及び角度位置を直接制御する位置決めシステムによって確立される極座標系は、螺旋及び円形パターンに対して自然に適合するが、このような系は、センタリング制御(半径)及び装置の回転の適切に結合された変動を用いて、プラズマプルームを概ね直線に移動させることもできる可能性がある。
【0278】
長い可撓性部材(これを介して回転位置を制御する)は、回転方向の変化に対する応答性に影響を与えるねじりヒステリシスの影響を受けやすい可能性があることに留意されたい。いくつかの実施形態において、これは、常に同じ方向への回転を維持することによって、及び必要に応じて、プラズマプルームの現在位置によって治療標的となる表面の外側領域にプラズマプルームを対応させることができる場合はいつでも、プラズマプルームを遮断することによって、軽減することができる。
【0279】
長いプローブの近位端にトルクを加えることによって生じる回転移動に関連する潜在的な問題に、「びびり」が挙げられ、プローブのねじれに蓄えられた力が突然摩擦を克服して前方に跳躍する(制御されていないねじれの解放)。これは、投与に影響を及ぼす場合がある(例えば、いくつかの領域を「とばす」ことによって影響を及ぼす場合がある一方、他の領域を過剰投与する可能性がある)。いくつかの実施形態において、用量送達は、このような変化を補うために、例えば、プローブが「停滞」している間に動きを加速及び/もしくはプラズマ生成を低減することによって、ならびに/またはさらにゆっくり投与するために「とばされた」領域へ戻るようにスケジュール設定することによって、調整される。任意選択的に、プローブに、突然の解放(投与量制御に付随して発生する損失を伴う)が差し迫っている場合がある、十分に高い歪み及び/または負担がかかっている場合、プラズマ送達を低減することにより、命令/移動の不一致が、予測的な方法で部分的に補われる。プラズマ生成はその後、動作速度がより良く制御される放出後の期間中に再開されてもよい。
【0280】
ねじれによる回転オフセットは、プローブに沿った歪みセンサ(例えば、光ファイバ歪みセンサ)を介して測定することができ、またはプラズマ生成モジュールの回転位置は、例えば、磁界センシング、放射線不透過性マーカの透視観察、もしくは別の方法を使用して、直接測定することができる。
【0281】
この原理はより一般的には、(例えば、プローブ自体が長い及び/または薄い、かつねじれ及び/または曲げ運動を受けることにより)プラズマ生成モジュールの正確なロボット制御が部分的に欠落している場合に適用され、投与速度制御を使用して、そうしなければ発生し得る過少曝露及び/または過剰曝露を補うことができる。例えば、プラズマ送達プローブは、その環境内の抵抗力(例えば摩擦)により、実際の位置と、命令された移動から予想される位置との間の不一致を増大させる場合がある。さらにまたは代わりに、プラズマ送達プローブは、抵抗力の解放(例えば、摩擦の解放及び/または障壁の克服、例えば、障壁を穿通及び/またはずり落ちることによる克服)により、命令された移動から逸脱する場合がある。
【0282】
ここで
図7A~Bを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、表面領域710全体へのプラズマ送達の静的滞留パターンが概略的に表わされている。
【0283】
図7A、及び7Bの両方において、円701は、静的滞留の単一の期間(例えば、約5~360秒の期間)中にプラズマプルームが直接作用する領域を大まかに表す。
図7Aにおいて、パターンはプラズマ接触を直接受けない領域を離れるが、治療効果は、例えば反応種の拡散により、依然としてカバレッジの全領域に連続的に広がり得る。
図7Bにおいて、プラズマ接触領域は互いに接近させられており、治療効果の分布の均一性が改善される可能性がある。異なる静的滞留位置を治療するパターンは、プラズマ接触領域うぃ任意の順序に置くことができる。例えば、部位は、連続的なラスタリング(例えば、左から右、及び上から下)で、無作為な順序で、または隣接する領域を即座に次々と治療することを避ける順序で、走査されてもよい。
【0284】
上記では「静的滞留」の位置と称されているが、円701は、代わりに、プラズマプルームの動きのパターンがある程度制限される領域を区画してもよい。例えば、プラズマプルームの中心は、任意の個々の「滞留」の間、複数のサイクルにわたって任意選択的に円を描いて掃引されてもよい。これは、時間平均を用いてホットスポット/デッドゾーンを均一化するのに役立つ可能性がある。
【0285】
ここで
図8を参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、突出構造802の上のプラズマ生成プローブ801の動きの制御が概略的に表されている。この実施例において、プラズマプローブ801は、矢印803で示される動作線に沿って移動する。いくつかの実施形態において、動きは、例えば、画像診断によって事前に決定された3-D構造に従うように、事前に計画される。
【0286】
さらにまたは代わりに、いくつかの実施形態において、プローブは、組織からの適切に選択された距離で維持され、この距離は、例えば、プラズマプルームへの電力供給の有効性をモニタリングすることによって、近接センサを用いることによって、及び/またはその位置を直接画像診断することによって、モニタリングされる。
【0287】
プローブが領域802Aの近くの組織の隆起に近づくと、センシングの変化は、プローブが標的に「近すぎる」ことを示す場合がある。センシングには、いくつかの形態のうちの1つ以上を取ることができる。例えば、移動に対する耐性があり得るか(プローブが実際に突起に接触できるほど十分に低い場合)、プローブは、プラズマインピーダンスが距離変化に対して敏感なゾーンの外に配置されると判断され得るか、イオン化ガスの流れに対する障害があり得るか、近接センサは、距離変化の指標を提供し得るか、またはプローブ/組織距離は、X線もしくは超音波画像診断などの画像診断方法によって追跡され得る。
【0288】
位置調整後、距離測定が領域802Bで再び標的範囲の外になるまで、横方向の並進が再開される。例えば、プラズマプルームは、標的結合インピーダンスの低下の結果として弱まる場合がある。これを受け、プローブの自動制御は、検出された距離(例えば、プルームインピーダンスまたは近接センサなどの別のセンサを介して検出された距離)が、目標とする大きさに戻るまで、プローブを標的に近づけてもよい。突出部の実施例について記載するが、凹んだ領域(例えば、切除後に発生し得る)の表面は、その後追跡が使用されてもよい。
【0289】
802Cでのオーバーハング領域は、いくつかの実施形態において、画像診断から事前に既知であってもよいし、または局所センシングは、これを検出するのに十分な感度があり得る。しかし、このようなオーバーハング領域が治療領域における共通の特徴であることが既知である場合(例えば、突出構造802がポリープである場合)、このようなオーバーハングが存在してもよく、これに応じてプローブの動きが計画されると単に想定され得る。
【0290】
オーバーハングに対処する1つの方法は、プローブをわずかに下降させる間または下降させた後、プローブを横方向に少量移動させて、プローブが出てきた方向に戻すことである。これは、突出構造802の一部を押しのける手助けとなり、より多くの領域802Cを明らかにする可能性がある。前縁上(802A)で、突出構造は、突出構造自体によって部分的に遮蔽された領域の曝露を手助けするために、同様に押し出されてもよい。
【0291】
さらに、突出構造802上でプラズマ送達プローブを走査する過程において、プローブによる移動及び距離センシングを示すデータが任意選択的に使用され、突出構造802自体の3-Dマップが生成されることに留意されたい。例えば、目標とする電力レベルを維持するためにプローブの高さが調整された場所は、表面の3-D機能に対応する。マップは、さらなる移動の計画のための基礎として使用され得る。例えば、プラズマ送達プローブは、周囲の周りを走査してもよく、任意選択的に、潜在的に遮蔽された領域のカバレッジの確保を手助けするために、突出構造の「下方」を指すように角度付けされてもよい。
【0292】
距離制御のための線量測定の使用
ここで
図9Aを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、ノズル(プラズマ送達プローブの出口開口部)からの距離の関数としての、プラズマプルームからの相対的な電力出力のグラフが示されている。
【0293】
プローブ先端距離は、本開示のいくつかの実施形態において、組織へのプラズマ送達の測定された投与量に対して直接的かつ特徴的な影響を有する。逆に、他の条件が同じならば、プラズマ投与量の測定は、プラズマプローブの先端が周囲の組織に近接していることを示すことができる。
【0294】
図9Aは、(プラズマ生成によって消費される電力に関して測定された)非熱大気プラズマ(NTAP)出力を標的からの距離に結びつける実験から得た結果を示す。プラズマ投与量の目安としての電力消費は、標的組織までの距離の間接的な測定として使用されてもよく、例えば、500mWの電力では、ノズルからの標的の距離は、約2mmであることが、図からわかり得る。
【0295】
そのような曲線の使用は、本開示のいくつかの実施形態において、任意選択的に、以下のうちの1つ以上に対する線量測定法(例えば、電力出力)を使用することを含む。
【0296】
1. 標的までのプローブの近接性のプロキシ。
【0297】
2. プローブの実際の位置(他の方法によって測定)を、線量測定法から推定された位置に対して評価すること。これは例えば、プラズマ生成が、予想されるパラメータ内にあることを検証するために使用され、例えば、プローブの損傷及び/または汚染によるプラズマ生成の予期されない減衰が存在しない。いくつかの実施形態において、実際の線量測定値と予想される線量測定値との間の偏差は、例えば次のセクションに記載するような、二次プラズマ効果の生成に関係する。プローブ位置のその他の測定方法の実施例には、位置センシング、距離センシング、及び/または、例えばセンサ32Aに関連して記載したような接触を用いる測定が含まれる。
【0298】
3. 仮想スペーサを作成するための位置制御(すなわち、標的からの定義された距離を維持する)。例えば、プローブの位置は、プローブが標的の上を横方向(すなわち、長手方向に対してほぼ垂直)に走査する際に、長手方向に前進または後退して、ほぼ一定の線量測定値を維持する。
【0299】
4. より一般的には、組織までの距離の制御が一定かどうかのフィードバックとして、例えば、より不規則な及び/もしくは予測不可能な(例えば、移動する)表面を走査する間により大きな距離を維持するか、またはより規則的な及び/もしくはより予測可能に配置された表面を走査する間により近い距離を維持する。任意選択的に、走査速度は、全体的な目標プラズマ投与レベルを維持するために、単位時間あたりの送達された用量の変化に応じて調整される。
【0300】
5. 位置決めシステム(例えば、ロボット位置決めシステム)と連携して、表面の3-D構造をマッピングすること。例えば、空間でのプラズマ送達ノズルの先端の移動の知識と共に、線量測定法は、プラズマプローブの先端を越えて治療される表面の距離の指標となる。プラズマ送達ノズルは、例えば平面または既知の滑らかな曲線(例えば、球面または楕円体表面の一部)で移動してもよい。ノズル位置からの治療表面の可変距離をこの表面の移動に加えて、表面のマッピングを決定することができる。
【0301】
プラズマプルームの配向制御のための線量測定の使用
いくつかの実施の形態において、プラズマジェットが特定の方向へ向けられることが意図されている。それにも関わらず、ガスのイオン化(点火)は、プラズマジェットの外側の場所で起こり得る。これは、例えば、残留イオン化ガスの存在下で、電極に並行する誘電体バリアの隣で行われてもよい。その結果、二次(寄生)プラズマは、先端の近位(後)側に向かって送達され得る。さらにまたは代わりに、プラズマを引き寄せるのに十分な目標静電容量が生成される場合、二次プラズマ効果が生じ得る。プローブ先端の周りに捕捉または停滞しているガス媒体がイオン化され、これにより捕捉/停滞しているガスの二次プラズマ及びイオン化が生じる。この効果は、より高い濃度のガスイオン化につながる場合がある。
【0302】
ジェットの外側のプラズマは、いくつかの実施の形態において、意図的に適用される特徴として使用される。さらにまたは代わりに、いくつかの実施形態において、例えば加熱効果を緩和するために、そのようなプラズマ生成を制限するように制御が行われる。
【0303】
例えば、プローブの現在の電力出力と併せて標的からのプローブの距離を知ることで、
図9Aの較正曲線などのような較正曲線により、予想以上に多くの電力が消費されていることが明らかにされる場合がある。これは、いくつかの実施形態において、二次プラズマ効果が発生している指標として解釈される。
【0304】
いくつかの実施形態において、プラズマ送達プローブの配置は、この指標に応じて、例えば二次プラズマ効果を増減させるために調整される。調整は、例えば、プラズマ及び/またはイオン化ガスが異なる経路に沿って送達されるように、プラズマプローブの配向を変更することを含み得る。これにより、低速移動する、捕捉される、または停滞したガスの加熱が延長されるまたは最小限になる場合がある。
【0305】
さらに電力線量測定は、または電力線量測定の代わりに、温度測定をプラズマ生成の指標として用いてもよい(例えば、二次プラズマ効果による期待値からの外乱)。温度または他のセンサは、例えば、プローブの外側及び放電極と並行して長手方向(例えば、プローブ外表面上)の二次プラズマ効果に対して特定の感度をもたらすために、プローブに対して特定の位置に配置されてもよい。いくつかの実施例において、センサは、プローブの近傍に設けられ、電圧を感知するように配置された1つ以上の電極を備えており、これは、二次プラズマ効果に寄与してもよく及び/または二次プラズマ効果の影響を受けてもよい。
【0306】
いくつかの実施形態において、プローブの配向は、センサフィードバック、センサフィードバックを考慮するモデル、及び/または特定の構成が、どれ程の二次プラズマの送達を生成するかのモデリングに基づいて、自動的に調整される。例えば、プローブから生成されるガス流のパターンが、プローブ自体の近傍での停滞(例えば、プラズマプルームが出る開口部の後方の位置の停滞)を引き起こさないように、プローブは、管腔内で再配向されてもよい。このような調節は、概して、例えば、本明細書において
図5A~Bに関連して記載されるように、流れが制御された投与と併せて行われてもよい。さらにまたは代わりに、二次プラズマ効果が発生している旨の指標を受信することは、プラズマ送達プローブの移動を加速させる及び/または電力供給を低減させるためのトリガとなり得る。
【0307】
反応種の測定
ここで
図9Bを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、プラズマプルームからの相対的なヒドロキシル(OH・)放出が、ノズルからの距離の関数としてグラフ化されている。モニタリング波長は、308.9nmである。ここで
図9Cを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、プラズマプルームからの相対的なヘリウム(He)放出が、ノズルからの距離の関数としてグラフ化されている。モニタリング波長は、706nmである。
【0308】
生成されたプラズマ内での反応種の(例えば、特定の種に関連する1つ以上のスペクトル放出ピークの振幅の測定を介しての)測定は、所与の環境内のイオン化ガスによって生成される有効プラズマの量に関するフィードバックを提供する。
【0309】
いくつかの実施形態において、反応種のin-situ測定は、分光測定装置に接続された(例えば、プラズマプローブに統合された)切断されたコリメートファイバを使用して行われる。これにより、プラズマの成分を直接モニタリングするリアルタイム測定の選択肢が提供される。
【0310】
例えば、本明細書で
図1B及び/または
図2A~Dに関連して記載したように、リアルタイム測定は、周囲環境と反応する際、生成されるプラズマの効力に関するフィードバックを提供することができる。これはまた、プラズマの効力の低下につながる場合がある環境での周囲要素の消耗に関するフィードバックも提供することができる(例えば、環境が乾燥すると、OH・反応種の生成が低減し得る)。
図9B~Cのグラフは、ノズルからの目標距離の関数としての分光測定を示している。全体的なグラフ自体は、電力の関数として変化してもよい。
【0311】
いくつかの実施形態において、このようなスペクトル測定は、例えば、領域ごと及び/または全体的なプラズマ治療の効力を示すために、経時的に統合される。
【0312】
いくつかの実施の形態において、このようなスペクトル測定は、プラズマ送達及び/またはプラズマ効果を推定し、かつ任意選択的に制御するために使用される。制御は任意選択的に、例えば、プローブ移動の空間パターン、プローブの移動速度、電力供給のレベル、イオン化ガスの送達速度、送達されるイオン化ガスの組成、及び/または部位の状態の制御(例えば、部位を濡らしてOH・反応種の二次生成を促進すること)からなる群のうちの1つ以上を変更することを含む。いくつかの実施形態において、より具体的には、送達されるイオン化ガスの組成及び/または部位の状態の調整は、反応種の測定されたレベルに応じたものであり、例えば、調整は、1つ以上の反応種の特定のレベル(複数可)を目標とするように選択される。
【0313】
いくつかの実施形態において、環境のスペクトル特性及び腔/体積(すでに治療部位にある材料)でのイオン化ガスの現在の状態は、(例えば、ヘリウム放出ピークなどの指標によって測定される)プラズマイオン化の異なるレベルでの、結果として生成される反応種(例えば、酸素及び窒素種)を予測するために使用することができる。いくつかの実施形態において、反応種生成の推定及び/または測定に従って、適切なイオン化レベル及び/またはガス組成が提供される。
【0314】
概説
数量または値に関して本明細書で使用される場合、用語「約」は、以下の「±10%以内」を意味する。
【0315】
「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの同根語は、「限定ではないが、~を含む(including but not limited to)」を意味する。
【0316】
用語「~から成る(consisting of)」は、「含み、~に限定される(including and limited to)」を意味する。
【0317】
「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法または構造物が、追加の成分、ステップ及び/または部品を含むことができることを意味するが、追加の成分、ステップ及び/または部品が、特許請求された組成物、方法または構造物の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない場合に限る。
【0318】
本明細書で使用する場合、文脈上明らかに別段に示されている場合を除き、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数の指示対象を含む。例えば、用語「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0319】
言葉「例示的な(example)」及び「例示的な(exemplary)」は、本明細書では「例、実例、または説明として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的な」または「例示的な」として説明される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、及び/または他の実施形態からの特徴の組み込みを排除するものではない。
【0320】
本明細書では、言葉「任意選択で」は、「ある実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するために使用される。本開示の任意の特定の実施形態は、そのような特徴が矛盾する限りにおいてを除き、複数の「任意選択」の特徴を含むことができる。
【0321】
本明細書で使用される用語「方法」は、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学の技術の実践者によって知られている、または既知のマナー、手段、技術及び手順から容易に開発される方法を含むが、これらに限定されない、所定のタスクを達成するためのマナー、手段、技術及び手順を指す。
【0322】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、状態の進行を無効にする、実質的に阻害する、遅らせる、または逆転させる、状態の臨床的または審美的症状を実質的に改善する、または状態の臨床的または審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0323】
本出願を通して、実施形態は、範囲形式を参照して提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本開示の説明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能性のあるすべてのサブ範囲を具体的に開示したものと見なされるべきである。例えば、「1~6」といった範囲の記述は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」などといったサブ範囲と、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、及び6とが具体的に開示されていると見なされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0324】
本明細書で数値の範囲が示されている場合(例えば、「10~15」、「10から15」、またはこれらの別のこのような範囲表示によって連結された数値の組)には、文脈から明らかに別の指示がない限り、範囲の限界を含む、示された範囲の限界内の任意の数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1の表示番号と第2の表示番号との「間の範囲(range/ranging/ranges between)」という句、及び第1の表示番号「から」第2の表示番号「まで(to)」、「まで(up to)」、「まで(until)」または「まで(through)」の「範囲(range/ranging/ranges from)」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1の表示番号及び第2の表示番号と、それらの間の分数及び整数の数字の全てを含むことを意味する。
【0325】
本開示の説明は特定の実施形態に関連して提供されているが、多くの代替案、修正及び変形が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に含まれるそのようなすべての代替案、修正及び変形を包含することが意図されている。
【0326】
明確にするために別個の実施形態の文脈において本開示に説明されるある特徴を、単一の実施形態において組み合わせで設けることもできることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明される様々な特徴を、別々に、または任意の好適なサブコンビネーションで、または本開示の任意の他の説明された実施形態において好適なものとして設けることもできる。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なすべきではない。
【0327】
本明細書に記載されている全ての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることが、本出願人(複数可)の意図である。さらに、本願におけるいずれかの参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本開示の先行技術として利用可能であるということの承認として解釈するべきではない。セクションの見出しが使用されている範囲内において、それらは必ずしも限定的であると解釈するべきではない。さらに、本願のいずれかの優先権書類(複数可)は、本明細書により、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の組織の標的領域に制御されたプラズマ投与量を提供するシステムであって、
プラズマ送達プローブと、
前記プラズマ送達プローブから生成されたプラズマプルームを移動させるように構成されたモーションコントローラと、
プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリであって、前記プロセッサに、
前記プラズマ送達プローブによって前記組織の前記標的領域の小領域に送達される
組織単位あたりの有効プラズマ
用量の標的範囲を指定する総比投与量の仕様にアクセスすることと、
プラズマ送達の計画された速度及び前記標的領域に前記総比投与量を送達するための計画された移動を含む、前記プラズマ送達プローブの動作のための計画を算出することと、
前記プラズマ送達プローブがプラズマを提供するように動作している間、前
記計画された移動に従っ
て前記プラズマプルームを移動させるように前記モーションコントローラに命令することと
、を指示する、前記プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリと、を備え、
前記システムにおいて、少なくとも1つの前記小領域のそれぞれについて、
前記計画された移動はプラズマ送達の前記計画された速度と併せて算出され、組織単位あたりの有効プラズマ用量の前記指定された標的範囲に対応する前記小領域に送達される総比投与量を送達することと、
前記小領域の前記送達される総比投与量には、前記計画された移動中の前記プラズマプルームの複数の位置のそれぞれから前記小領域全体への送達が含まれることと、
前記少なくとも1つの前記小領域のそれぞれについて、前記プロセッサの指示はさらに、前記プロセッサに、
前記小領域への実際のプラズマ送達の速度の指標を受信することと、
前記指標速度は、前記複数の位置に前記プラズマプルームを配置するための前記計画された移動と併せて
、前記小領域に対して指定されたプラズマの総比用量が生成されない場合があることを判断することと、
前記小領域で実際に送達されるプラズマの総比用量が有効プラズマの前記総比用量の前記仕様を満たすように、前記プラズマ送達プローブの動作
のための前記計画を調整することと、
前記標的領域の残りに依然として前記指定された総比用量を提供しつつ、前記調整された計画に従って前記プラズマ送達プローブを動作させることと、を指示する
ことと、を特徴とする、前記システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記計画された移動に対する修正によって前記プラズマ送達プローブの前記
計画された動作を調整する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記計画された移動に対する前記修正は、前記プラズマ送達プローブの移動速度を変更することを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記計画された移動に対する前記修正は、前記プラズマ送達プローブの計画された位置を変更することを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
プラズマ送達の速度を測定するように構成された少なくとも1つのセンサであって、前記プロセッサが、前記少なくとも1つのセンサから実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標を受信する、前記少なくとも1つのセンサを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、プラズマ生成により消費される電力を測定する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサは、温度センサを含む、請求項5~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサは、前記プラズマからのスペクトル放出を測定するように構成されたスペクトル放出検出器を含む、請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサは、前記プラズマ送達プローブの現在の位置を測定するように構成された位置センサを含む、実施形態5~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記計画された移動は、前記プラズマ送達プローブがプラズマを送達している間に、前記プラズマ送達プローブの移動を一時停止する前記標的領域内の複数の位置を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記被験体の内部の前記標的組織領域に
、管腔を介して前記プラズマ送達プローブを導入するように寸法決めされた
前記管腔を有する剛性の導入器を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記計画された移動は、プラズマが前記プラズマ送達プローブから継続的に送達される間に、前記導入器を挿入及び後退させることの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記計画された移動には、前記プラズマを送達している間に前記プラズマ送達プローブが継続的に移動する、隣接する経路が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記プラズマの前記送達は、前記隣接する経路に沿って、連続的な隣接する表面領域上に行われる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記指標は、プラズマ生成によって消費される電力の測定された減少であり、前記プラズマプローブの前記動作は、前記プラズマ送達プローブを前記標的領域に向かって移動させることによって調整される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記プラズマプローブが前記標的領域に向かって移動する際に測定される電力の増加の大きさに応じて、前記標的領域に向かう前記移動の距離を選択する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記測定された電力が実質的に一定のレベルに達すると、前記標的領域に向かう前記プローブの移動を停止する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標には、前記プラズマプルームへのイオン化ガスの流れの測定を含み、前記プラズマ送達プローブの前記動作は、前記流れの減少に応じて前記プラズマ送達プローブの移動を遅らせることによって調整される、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標は、前記プラズマプルームへのイオン化ガスの流れの測定を含み、前記プラズマ送達プローブの前記動作は、前記流れの減少に応じて前記プラズマ送達プローブを後退させることによって調整される、請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標には、前記プラズマプルームの近傍の温度の測定が含まれ、前記プラズマ送達プローブの前記動作は、温度の上昇に応じて前記プラズマ送達プローブの電力を低減することと、移動を遅らせることとの両方によって調整される、請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標には、前記プラズマプローブをロボット移動させるためのコントローラ命令と、その結果として生じる前記プラズマプローブの位置変化との間の不一致が含まれる、請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
前記プラズマ送達プローブの前記動作は、前記計画された移動に対する修正によって調整される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
実際のプラズマ送達の速度を示すパラメータは、前記プラズマ送達プローブと前記組織との間の距離の変化を示し、
前記プロセッサは、前記パラメータに基づいて、前記プラズマ送達プローブが前記コントローラによって組織の標的領域の表面上を移動する速度を調整する、請求項1~22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
選択された投与量の仕様は、プラズマ曝露の累積時間を示す、請求項1~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記総比投与量の仕様は、前記プラズマ送達プローブの参照電力レベルを示す、請求項1~24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記計画された移動には、より微細な移動パターンが重ね合わせられる全体的な移動パターンが含まれ、前記全体的な移動パターンのみが標的領域の被覆範囲を定義し、前記微細な移動パターンが前記全体的な移動パターンと重なり合うことで、前記プラズマプルームにおける不均質性による投与量の不一致が減少する、請求項1~25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
実際のプラズマ送達の前記速度の前記指標は、組織の前記標的領域の近くのガス流のパターンの指標であり、前記プラズマ送達プローブの動作は、前記ガス流のパターンを修正するように調整される、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記指標は温度の測定であり、前記プラズマ送達プローブの前記動作は、その配向を修正することによって調整される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
被験体の組織の標的領域に制御されたプラズマ投与量を提供するシステムであって、
プラズマ送達プローブと、
前記プラズマ送達プローブから生成されたプラズマプルームを移動させるように構成されたモーションコントローラと、
プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリであって、前記プロセッサに、
前記プラズマ送達プローブによって前記組織の前記標的領域の小領域に送達される
組織単位あたりの有効プラズマ
用量の標的範囲を指定する総比投与量の仕様にアクセスすることと、
前記プラズマプルームの移動を検出することと、
を指示する、前記プロセッサ及びプロセッサの指示を格納するメモリと、を備え、
前記システムにおいて、少なくとも1つの前記小領域のそれぞれについて、
前記小領域の前記送達される総比投与量には、前記移動中の前記プラズマプルームの複数の位置のそれぞれから前記小領域全体への送達が含まれることと、
前記少なくとも1つの前記小領域のそれぞれについて、前記プロセッサの指示はさらに、前記プロセッサに、
前記小領域への実際のプラズマ送達の速度の指標を受信することと、
前記検出された移動と併せて、
実際のプラズマ送達の前記指標速度では、前
記小領域に対して指定されたプラズマの総比用量が生成されない場合があることを判断することと、
前記小領域で実際に送達されるプラズマの総比用量が
有効プラズマの前記総比用量の前記仕様を満たすように、前記プラズマ送達プローブの動作を調整すること
であって、
前記調整された動作は、前記標的領域の残りに依然として前記指定された総比用量を提供しつつ、前記プローブの移動及び前記プローブからのプラズマ送達の一方または両方を修正する、前記調整することと、を指示することと、を特徴とする、前記システム。
【請求項30】
標的領域の各小領域によって受け取られ、プラズマ送達プローブによって前記標的領域に送達される全プラズマの許容範囲を指定する全プラズマ投与量を制御する方法であって、
前記標的領域を選択することと、
前記プラズマ送達プローブからプラズマを生成することと、
前記プラズマ送達プローブを前記標的領域の近くに配置することと、
前記プラズマを前記標的領域に送達するように前記プラズマ送達プローブをロボット移動させることであって、前記移動は、前記選択された投与量及び前記プラズマ送達プローブからのプラズマ送達の速度を示す少なくとも1つの入力に従って定義されるパターンで行われる、前記移動させることと、を含む、前記方法。
【請求項31】
前記標的領域は、組織の領域である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記標的領域は、食品の領域である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記パターンは、前記プラズマ送達プローブがプラズマを送達している間に、前記プラズマ送達プローブの移動が一時停止する前記標的領域内の複数の位置を定義する、請求項30~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記プラズマ送達プローブは、剛性の導入器を備え、前記送達されたプラズマと共に、前記複数の位置のそれぞれまで到達するために、前記剛性の導入器を前記標的領域内に挿入することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記プラズマ送達プローブをロボット移動させて、前記送達されたプラズマを、前記位置のうちの1つの配置によってそれぞれ定義される、連続的な表面領域上に方向づけることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記パターンには、前記プラズマを送達している間に前記プラズマ送達プローブが継続的に移動する、前記標的領域内の隣接する経路が含まれる、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記プラズマ送達プローブは、剛性の誘導器を備え、前記プラズマと共に、前記隣接する経路の一端に到達するように、前記剛性の誘導器を前記標的領域に挿入することと、次に前記剛性の誘導器を後退させることとを含み、プラズマは、前記剛性の誘導器が挿入及び後退の少なくとも1つの方向に移動する際に、継続的に送達される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記プラズマ送達プローブをロボット移動させて、前記送達されたプラズマを、前記隣接する経路に沿って、連続的な隣接する表面領域上に方向づけることを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記表面領域は、体腔の管腔表面である、請求項35及び38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記プラズマ送達プローブを前記管腔内に挿入することと、次に前記ロボット移動を実施することとを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
プラズマ送達の前記速度を測定することと、プラズマ送達の前記速度の変化に基づいて前記選択された投与量を維持するために前記ロボット移動を調整することとを含む、請求項31~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
プラズマ送達の前記速度を前記測定することは、プラズマ生成によって消費される電力を測定することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記選択された用量を維持するために前記ロボット移動を調整することは、前記プラズマ送達プローブの移動速度を変更することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記選択された用量を維持するために前記ロボット移動を調整することは、
プラズマ生成によって消費される電力を測定することと、
前記測定に応じて前記プラズマ送達プローブの位置を調整することと、を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記測定は、プラズマ生成によって消費される前記測定された電力の低減を測定し、前記調整は、前記測定した電力を増大させる、前記標的領域に向かう距離だけ前記プラズマ送達プローブを移動させることを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
プラズマ生成によって消費される前記測定された電力は、前記プラズマ送達プローブが前記標的領域まで前進している間に実質的に一定のレベルに達し、前記前進を停止することが含まれる、請求項44~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
プラズマ送達の前記速度の前記測定は、前記プラズマプルームへのイオン化ガスの流れを測定することを含み、前記流れの減少に応じて前記プラズマ送達プローブの移動を遅らせることが含まれる、請求項41~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
プラズマ送達の前記速度の前記測定は、前記プラズマプルームへのイオン化ガスの流れを測定することを含み、前記流れの減少に応じて前記プラズマ送達プローブを後退させることが含まれる、実施形態41~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
プラズマ送達の前記速度の前記測定は、前記プラズマプルームの近傍の温度を測定することと、温度の上昇に応じて前記プラズマ送達プローブの電力を低減すること及び移動を遅らせることの両方とを含む、請求項41~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記プラズマプローブをロボット移動させるためのコントローラ命令と、その結果として生じる前記プラズマプローブの位置変化との間の不一致を検出することと、前記選択された投与量を維持するために前記プラズマ送達プローブの動作を調整することとを含む、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記プラズマ送達プローブは、前記プラズマ送達プローブの環境との相互作用によって変動する実際のプラズマ送達の速度でプラズマを生成し、前記組織の前記標的領域の面積は、単一の位置で前記プラズマプルームからプラズマの実際の送達される投与量を受け取る面積よりも大きい、請求項29に記載のシステム。
【国際調査報告】