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特表2024-522146ラクトバチルス・プランタルム由来小胞およびその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ラクトバチルス・プランタルム由来小胞およびその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20240604BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20240604BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240604BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240604BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240604BHJP
   C12Q 1/689 20180101ALN20240604BHJP
【FI】
A61K35/747 ZNA
A61P29/00
A61P37/02
A61P3/00
A61P43/00 107
A61K8/99
A61Q19/08
A23L33/135
C12N1/20 E
C12Q1/689 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574550
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 KR2022007600
(87)【国際公開番号】W WO2022255744
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0072078
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0140918
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516348577
【氏名又は名称】エムディー ヘルスケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MD HEALTHCARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユン-クン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B063
4B065
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD86
4B018ME14
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ53
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QR66
4B063QS10
4B063QS14
4B063QS25
4B063QX02
4B065AA30X
4B065AC14
4B065BC03
4B065BC11
4B065BC26
4B065BD15
4B065BD18
4B065CA41
4B065CA44
4C083AA031
4C083AA032
4C083CC01
4C083EE12
4C083FF01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087CA10
4C087MA52
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA15
4C087ZA16
4C087ZA33
4C087ZA34
4C087ZA36
4C087ZA45
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZA97
4C087ZB07
4C087ZB11
4C087ZB15
4C087ZB22
4C087ZC21
4C087ZC31
4C087ZC33
4C087ZC35
(57)【要約】
【要約】
本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞およびその用途に関し、より詳しくは、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む免疫疾患または代謝疾患の予防、改善、または治療用組成物に関する。本発明者らは、免疫疾患または代謝疾患モデルにラクトバチルス・プランタルム由来小胞を投与したとき、病原性原因因子による免疫機能および代謝産物による代謝機能障害が効率的に抑制されることを確認したところ、本発明によるラクトバチルス・プランタルム由来小胞を免疫疾患または代謝疾患を予防、症状改善、または治療するための医薬品または保健機能食品等の開発に有用に用いられる得ることが期待される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患または代謝疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記免疫疾患または代謝疾患は、胃炎(gastritis)、消化性潰瘍(peptic ulcer)、セリアック病(celiac disease)、および炎症性大腸炎(inflammatory bowel disease)から成る群から選ばれた1つ以上の胃腸疾患;
歯肉炎(gingivitis)、歯周炎(periodontitis)、および虫歯(caries)から成る群から選ばれた1つ以上の口腔疾患;
カンジダ膣炎(candida vaginitis)、萎縮性膣炎(atrophic vaginitis)、細菌性膣炎(bacterial vaginitis or vaginosis)、およびトリコモナス膣炎(trichomonas vaginitis)から成る群から選ばれた1つ以上の女性膣疾患;
非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis,NASH)、アルコール性脂肪肝炎(alcoholic steatohepatitis)、肝硬変(liver cirrhosis)、胆道炎(cholangitis)、胆嚢炎(cholecystitis)、および膵炎(pancreatitis)から成る群から選ばれた1つ以上の肝-胆道-膵臓疾患;
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)、間質性肺炎(chronic interstitial pneumonitis)、肺気腫(emphysema)、気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia)、および特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)から成る群から選ばれた1つ以上の肺疾患;
高インスリン血症、異常脂質血症、不整脈、動脈硬化症(atherosclerosis)、狭心症(angina)、代謝症候群(metabolic syndrome)、心筋梗塞(myocardial infarction)、脳卒中(stroke)、および心筋症(cardiomyopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の心血管疾患;
糸球体腎炎(glomerulonephritis)、および慢性腎症(chronic nephropathy)から成る群から選ばれた1つ以上の腎疾患;
無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular artrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋無力症、悪液質(cachexia)、痛風(Gout)、筋肉減弱症(sarcopenia)、骨粗しょう症(osteoporosis)、パジェット病(Paget’s disease)、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、および骨関節炎(osteoarthritis)から成る群から選ばれた1つ以上の筋骨格系疾患;および
軽度認知障害(mild cognitive impairment)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、ハンチントン病(Huntington’s disease)、ルーゲリック病(Amyotrophic lateral sclerosis,ALS)、バッテン病(Batten disease)、キーンズ・セイアー症候群(Kearns-Sayre syndrome,KSS)、慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia,CPEO)、MELAS症候群(mitochondrial encephalomyopathy with lactic acidosis and stroke-like episodes,MELAS)、MERRF症候群(myoclonic epilepsy with ragged-red fibers,MERRF)、NARP症候群(neurogenic weakness with ataxia and retinitis pigmentosa,NARP)、Leigh症候群(Leigh syndrome,LS)、MIRAS症候群(mitochondrial recessive ataxia syndrome)、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies,DLB)、多発梗塞性認知症(Multi-Infarct Dementia,MID)、前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration,FTLD)、ピック病(Pick’s disease)、大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration,CBD)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy,PSP)、黄斑変性(age-related macular degeneration,AMD)、嗅覚障害(dysosmia)、聴覚障害(deafness)、および糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の神経疾患;から成る群から選ばれたことを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記小胞は、平均直径が10~1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルム培養液から分離されることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムを添加して製造した食品から分離されることを特徴とする、薬学的組成物。
【請求項6】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患または代謝疾患の予防または改善用食品組成物。
【請求項8】
前記免疫疾患または代謝疾患は、胃炎(gastritis)、消化性潰瘍(peptic ulcer)、セリアック病(celiac disease)、および炎症性大腸炎(inflammatory bowel disease)から成る群から選ばれた1つ以上の胃腸疾患;
歯肉炎(gingivitis)、歯周炎(periodontitis)、および虫歯(caries)から成る群から選ばれた1つ以上の口腔疾患;
カンジダ膣炎(candida vaginitis)、萎縮性膣炎(atrophic vaginitis)、細菌性膣炎(bacterial vaginitis or vaginosis)、およびトリコモナス膣炎(trichomonas vaginitis)から成る群から選ばれた1つ以上の女性膣疾患;
非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis,NASH)、アルコール性脂肪肝炎(alcoholic steatohepatitis)、肝硬変(liver cirrhosis)、胆道炎(cholangitis)、胆嚢炎(cholecystitis)、および膵炎(pancreatitis)から成る群から選ばれた1つ以上の肝-胆道-膵臓疾患;
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)、間質性肺炎(chronic interstitial pneumonitis)、肺気腫(emphysema)、気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia)、および特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)から成る群から選ばれた1つ以上の肺疾患;
高インスリン血症、異常脂質血症、不整脈、動脈硬化症(atherosclerosis)、狭心症(angina)、代謝症候群(metabolic syndrome)、心筋梗塞(myocardial infarction)、脳卒中(stroke)、および心筋症(cardiomyopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の心血管疾患;
糸球体腎炎(glomerulonephritis)、および慢性腎症(chronic nephropathy)から成る群から選ばれた1つ以上の腎疾患;
無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular artrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋無力症、悪液質(cachexia)、痛風(Gout)、筋肉減弱症(sarcopenia)、骨粗しょう症(osteoporosis)、パジェット病(Paget’s disease)、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、および骨関節炎(osteoarthritis)から成る群から選ばれた1つ以上の筋骨格系疾患;および
軽度認知障害(mild cognitive impairment)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、ハンチントン病(Huntington’s disease)、ルーゲリック病(Amyotrophic lateral sclerosis,ALS)、バッテン病(Batten disease)、キーンズ・セイアー症候群(Kearns-Sayre syndrome,KSS)、慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia,CPEO)、MELAS症候群(mitochondrial encephalomyopathy with lactic acidosis and stroke-like episodes,MELAS)、MERRF症候群(myoclonic epilepsy with ragged-red fibers,MERRF)、NARP症候群(neurogenic weakness with ataxia and retinitis pigmentosa,NARP)、Leigh症候群(Leigh syndrome,LS)、MIRAS症候群(mitochondrial recessive ataxia syndrome)、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies,DLB)、多発梗塞性認知症(Multi-Infarct Dementia,MID)、前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration,FTLD)、ピック病(Pick’s disease)、大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration,CBD)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy,PSP)、黄斑変性(age-related macular degeneration,AMD)、嗅覚障害(dysosmia)、聴覚障害(deafness)、および糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の神経疾患;から成る群から選ばれたことを特徴とする請求項7に記載の食品組成物。
【請求項9】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルム培養液から分離されることを特徴とする請求項7に記載の食品組成物。
【請求項10】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムを添加して製造した食品から分離されることを特徴とする請求項7に記載の食品組成物。
【請求項11】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする請求項7に記載の食品組成物。
【請求項12】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、老化の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項13】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、老化の予防または改善用食品組成物。
【請求項14】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項15】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患または代謝疾患の治療用薬物送達用組成物。
【請求項16】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、免疫疾患または代謝疾患の予防または治療方法。
【請求項17】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物の免疫疾患または代謝疾患の予防または治療用途。
【請求項18】
免疫疾患または代謝疾患治療用薬剤の製造のためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の用途。
【請求項19】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、老化の予防または治療方法。
【請求項20】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物の老化の予防または治療用途。
【請求項21】
老化治療用薬剤の製造のためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の用途。
【請求項22】
目的とする免疫疾患または代謝疾患薬物を担持したラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達方法。
【請求項23】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物の免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達用途。
【請求項24】
免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達用製剤を製造するためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の用途。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)由来小胞を有効成分として含む免疫機能および代謝機能の障害による免疫疾患または代謝疾患の予防、改善、または治療用組成物に関する。
【0002】
本発明は、2021年6月3日に出願された韓国特許出願第10-2021-0072078号および2021年10月21日に出願された韓国特許出願第10-2021-0140918号に基づく優先権を主張し、前記出願の明細書および図面に開示されたすべての内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
21世紀に入って過去伝染病と認識された急性感染性疾患の重要性が減少したが、人体の主要臓器に発生する免疫機能および代謝機能の障害による慢性疾患が生活の質の減少とヒトの寿命を決定する主要疾患に病気パターンが変わった。このような病気パターンの変化は、食事パターンの変化と密接な関連があり、過去に栄養状態が不足していた時期には、急性感染性疾患が主要死亡原因であったが、最近、栄養が豊富になって、栄養過剰で発生する代謝機能の障害に関連する慢性疾患が主な問題となっている。
【0004】
栄養過剰による代謝機能の障害の結果、脂肪が正常に貯蔵される場所である脂肪組織だけでなく、血管、心臓、肝、腎臓、筋肉などに蓄積し、脂肪毒性(lipotoxicity)がもたらされ、これによって、代謝疾患が発生する。すなわち、炭水化物または脂質代謝の障害によって血中脂質と脂肪酸が増加し、細胞内に脂肪酸が多くなり、脂肪酸による炎症反応が発生し、炎症反応は、細胞老化と死を起こし、心血管、肝、腎臓、筋肉、脳等の臓器の機能障害が発生する。このような病因によって発生する疾患として、動脈硬化症、代謝症候群、心不全等の心血管疾患、非アルコール性脂肪肝炎、肝硬変等の肝疾患、慢性腎症、腎不全等の腎疾患、痛風、筋肉減弱症、骨粗しょう症等の筋骨格系疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病等の退行性脳疾患等が含まれる。
【0005】
免疫(immunity)は、生物学的、化学的、物理的、精神的ストレスに対する細胞の防御機序であり、先天免疫(innate immunity)と後天免疫(adaptive immunity)を通じて起こる。最近、免疫機能が細胞の代謝機能と密接に関連していることが明らかになったが、代謝機能の障害による免疫機能の障害の病因と関連して、細胞質内脂肪酸、尿酸等の代謝産物が危険シグナルとして作用し、細胞質内に存在するパターン認識受容体(pattern recognition receptor)のNLRP(Nucleotide-binding oligomerization domain)により認知される。これは、インフラマソームを形成し、細胞死を誘導すると同時に、炎症性媒介体を分泌し、炎症細胞浸潤を誘導するという事実が知られている。
【0006】
なお、人体に共生する微生物は、100兆に至り、ヒト細胞より多く、微生物の遺伝子数は、ヒトの遺伝子数の100倍を超えることが知られている。微生物叢(microbiotaあるいはmicrobiome)は、与えられた生息地に存在する真正細菌(bacteria)、古細菌(archaea)、真核生物(eukarya)を含む微生物群集(microbial community)を言う。
【0007】
人体に共生する細菌および周辺環境に存在する細菌は、他の細胞への遺伝子、低分子化合物、タンパク質等の情報を交換するために、ナノメートルサイズの小胞(vesicle)を分泌する。粘膜は、200ナノメートル(nm)サイズ以上の粒子が通過できない物理的な防御膜を形成し、粘膜に共生する細菌である場合には、粘膜を通過しないが、細菌由来小胞は、サイズが200ナノメートルサイズ以下であるので、比較的自由に粘膜を介して上皮細胞を通過し、人体に吸収される。このように、細菌由来小胞は、細菌から分泌されたものであるが、細菌の構成成分、体内吸収率、不作用危険性等が互いに異なっており、そのため、細菌由来小胞を使用することは、生きている細胞を使用することとは全然異なる、または顕著な効果を示す。
【0008】
局所的に分泌された細菌由来小胞は、粘膜の上皮細胞を介して吸収され、局所炎症反応を誘導すると共に、上皮細胞を通過した小胞は、リンパ管を介して全身に吸収され、各臓器に分布し、分布した臓器で代謝機能と免疫機能を調節する。例えば、大腸菌(Escherichia coli)のような病原性グラム陰性細菌に由来する小胞は、病原性ナノ粒子であり、局所的に大腸炎や食中毒等を起こし、血管に吸収された場合には、血管内皮細胞に吸収され、炎症反応を誘導し、全身的な炎症反応および血液凝固を促進させ、また、インスリンが作用する筋肉細胞などに吸収され、インスリン抵抗性と糖尿病等のような代謝疾患を誘発する。一方、有益な細菌に由来する小胞は、病原性小胞による免疫機能および代謝機能の異常を調節し、病気を調節することができる。
【0009】
ラクトバチルス属細菌は、乳酸を分泌する代表的な有益菌と知られている。これらのうち、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)は、グラム陽性桿菌であり、嫌気性環境だけでなく、好気性環境でも良く成長し、膣、口腔、皮膚、腸などに共生する細菌である。また、発酵過程でも重要な細菌と知られている。ラクトバチルス・プランタルムのようなグラム陽性菌(gram-positive bacteria)由来小胞は、細菌由来タンパク質、メタボロームおよび核酸の他にも、細菌の細胞壁構成成分であるペプチドグリカン(peptidoglycan)とリポタイコ酸(lipoteichoic acid)を持っている。
【0010】
しかしながら、ラクトバチルス・プランタルムから分泌される小胞が免疫機能および代謝機能の障害によって発生する疾患の予防または治療に応用された事例は報告されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、上記のような従来の問題点を解決するために、鋭意研究した結果、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞が免疫機能および代謝機能の障害による免疫疾患または代謝疾患の治療効果があることを知見し、本発明を完成した。
【0012】
これより、本発明の目的は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患または代謝疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患または代謝疾患の予防または改善用食品組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、老化の予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、老化の予防または改善用食品組成物を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物を提供することにある。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患または代謝疾患の治療用薬物送達用組成物を提供することにある。
【0018】
しかしながら、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から当業者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記のような本発明の目的を達成するために、本発明者らは、多様な実験を通じて効果を確認した。より詳しくは、ラクトバチルス・プランタルム細菌を培養し、培養液から小胞を分離し、 マウスに経口投与したとき、前記小胞が消化管を介して吸収され、肺、肝、腎臓、脳等の臓器に分布した。また、上皮細胞に前記小胞を処理したとき、生物学的病原性因子による細胞死を用量依存的に抑制した。また、砂糖(スクロース)を摂取したとき、特定の細菌が生成される異常代謝産物であるデキストランで誘導された大腸炎マウスモデルに前記小胞を経口投与したとき、大腸の解剖学的な変化が有意に抑制された。また、神経細胞に前記小胞を投与したとき、ストレスホルモンによって抑制される神経栄養因子(neurotrophic factor)遺伝子の発現を有意に増加させた。また、ストレスホルモンによって抑制される抗老化関連核心遺伝子であるSirt 1の発現を有意に増加させた。また、ATP生成がよく起こらないストレス(metabolic stress)状況でこれを克服する核心シグナルであるAMPK(AMP-activated kinase)活性化を前記小胞が増加させることを確認した。
【0020】
したがって、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患または代謝疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0021】
本発明の一具現例において、前記免疫疾患または代謝疾患は、胃炎(gastritis)、消化性潰瘍(peptic ulcer)、セリアック病(celiac disease)、および炎症性大腸炎(inflammatory bowel disease)から成る群から選ばれた1つ以上の胃腸疾患;
歯肉炎(gingivitis)、歯周炎(periodontitis)、および虫歯(caries)から成る群から選ばれた1つ以上の口腔疾患;
カンジダ膣炎(candida vaginitis)、萎縮性膣炎(atrophic vaginitis)、細菌性膣炎(bacterial vaginitis or vaginosis)、およびトリコモナス膣炎(trichomonas vaginitis)から成る群から選ばれた1つ以上の女性膣疾患;
非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis,NASH)、アルコール性脂肪肝炎(alcoholic steatohepatitis)、肝硬変(liver cirrhosis)、胆道炎(cholangitis)、胆嚢炎(cholecystitis)、および膵炎(pancreatitis)から成る群から選ばれた1つ以上の肝-胆道-膵臓疾患;
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)、間質性肺炎(chronic interstitial pneumonitis)、肺気腫(emphysema)、気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia)、および特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)から成る群から選ばれた1つ以上の肺疾患;
高インスリン血症、異常脂質血症、不整脈、動脈硬化症(atherosclerosis)、狭心症(angina)、代謝症候群(metabolic syndrome)、心筋梗塞(myocardial infarction)、脳卒中(stroke)、および心筋症(cardiomyopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の心血管疾患;
糸球体腎炎(glomerulonephritis)、および慢性腎症(chronic nephropathy)から成る群から選ばれた1つ以上の腎疾患;
無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular artrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋無力症、悪液質(cachexia)、痛風(Gout)、筋肉減弱症(sarcopenia)、骨粗しょう症(osteoporosis)、パジェット病(Paget’s disease)、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、および骨関節炎(osteoarthritis)から成る群から選ばれた1つ以上の筋骨格系疾患;および
軽度認知障害(mild cognitive impairment)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、ハンチントン病(Huntington’s disease)、ルーゲリック病(Amyotrophic lateral sclerosis,ALS)、バッテン病(Batten disease)、キーンズ・セイアー症候群(Kearns-Sayre syndrome,KSS)、慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia,CPEO)、MELAS症候群(mitochondrial encephalomyopathy with lactic acidosis and stroke-like episodes,MELAS)、MERRF症候群(myoclonic epilepsy with ragged-red fibers,MERRF)、NARP症候群(neurogenic weakness with ataxia and retinitis pigmentosa,NARP)、Leigh症候群(Leigh syndrome,LS)、MIRAS症候群(mitochondrial recessive ataxia syndrome)、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies,DLB)、多発梗塞性認知症(Multi-Infarct Dementia,MID)、前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration,FTLD)、ピック病(Pick’s disease)、大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration,CBD)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy,PSP)、黄斑変性(age-related macular degeneration,AMD)、嗅覚障害(dysosmia)、聴覚障害(deafness)、および糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の神経疾患;から成る群から選ばれたものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明のさらに他の具現例において、前記小胞は、平均直径が10~1000nmであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明のさらに他の具現例において、前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルム培養液から分離されるものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明のさらに他の具現例において、前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムを添加して製造した食品から分離されるものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本発明のさらに他の具現例において、前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムから自然的に分泌または人工的に生産されるものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0026】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患または代謝疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0027】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、老化の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0028】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、老化の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0029】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0030】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患または代謝疾患の治療用薬物送達用組成物を提供する。
【0031】
本発明の一具現例において、前記食品組成物は、健康機能食品組成物であってもよいが、これに限らない。
【0032】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、免疫疾患または代謝疾患の予防または治療方法を提供する。
【0033】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物の免疫疾患または代謝疾患の予防または治療用途を提供する。
【0034】
また、本発明は、免疫疾患または代謝疾患の治療用薬剤の製造のためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の用途を提供する。
【0035】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、老化の予防または治療方法を提供する。
【0036】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物の老化の予防または治療用途を提供する。
【0037】
また、本発明は、老化治療用薬剤の製造のためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の用途を提供する。
【0038】
また、本発明は、目的とする免疫疾患または代謝疾患薬物を担持したラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達方法を提供する。
【0039】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物の免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達用途を提供する。
【0040】
また、本発明は、免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達用製剤を製造するためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の用途を提供する。
【発明の効果】
【0041】
本発明者らは、ラクトバチルス・プランタルム細菌由来小胞が消化管を介して吸収され、血管を介して肺、肝、腎臓、脳等の臓器に分布し、病原性原因因子による細胞死を用量依存的に抑制し、病原性因子による炎症性媒介体の分泌を用量依存的に抑制し、大腸炎マウスモデルで大腸炎の発生を有意に抑制し、代謝ストレスに対する細胞の恒常性を増加させるAMPK(AMP-activated kinase)シグナルを活性化させるだけでなく、神経栄養因子(neurotrophic factor)の発現および老化を抑制する核心タンパク質であるSIRT遺伝子の発現を有意に増加させることを確認したところ、本発明によるラクトバチルス・プランタルム由来小胞は、免疫疾患または代謝疾患を予防、症状改善、または治療するための医薬品または保健機能食品等の開発に有用に用いられ得るだけでなく、前記疾患を治療するための薬物送達システムとして有用に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1a-1b】図1aおよび図1bは、本発明の一実施例によるマウスにラクトバチルス・プランタルム(L.plantarum)細菌由来小胞を経口投与した結果、全身イメージング(whole body image)(a)および経時的に臓器を摘出し、各臓器における蛍光の強度(b)を測定した写真である。
図2a-2b】図2aおよび図2bは、本発明の一実施例による病原性細菌である黄色ブドウ球菌由来小胞(Sa EV)(a)による皮膚上皮細胞の細胞死程度およびラクトバチルス・プランタルム細菌由来小胞(Lp EV)(b)による皮膚上皮細胞の細胞死程度を示す図である。
図3a-3b】図3aおよび図3bは、本発明の一実施例による病原性細菌である黄色ブドウ球菌由来小胞(Sa EV)による皮膚上皮細胞の細胞死に対するラクトバチルス・プランタルム細菌由来小胞(Lp EV)の治療効果を示す図であり、図3aは、Sa EVを処理する前に、図3bは、Sa EVと同時に、ラクトバチルス・プランタルム細菌由来小胞(Lp EV)を処理した結果を示す図である。
図4図4は、砂糖(スクロース)を摂取したとき、特定の細菌によって体内で生成される異常代謝産物であるデキストラン(2.5% DSS)を経口投与して誘導された大腸炎マウスモデルでラクトバチルス・プランタルム由来小胞を経口投与した後、治療効果を確認するための実験プトトコルである。
図5a-5b】図5aは、大腸炎マウスモデルにラクトバチルス・プランタルム由来小胞(L.plantarum)を直接経口投与した後、大腸の解剖学的変化(長さ変化)を示す図であり、図5bは、投与による代表的な変化写真を示す図である。
図6図6は、ストレスホルモンである副腎皮質ホルモン(glucocorticoid hormone,GC)を処理して神経栄養因子の発現を抑制させた神経細胞モデルにラクトバチルス・プランタルム由来小胞(L-EV)を同時に投与したとき、神経栄養因子の発現を評価した図である。
図7図7は、ストレスホルモンである副腎皮質ホルモン(glucocorticoid hormone,GC)を処理して老化を促進させた神経細胞モデルにラクトバチルス・プランタルム由来小胞(L-EV)を同時に投与したとき、抗老化関連遺伝子の発現を評価した図である。
図8図8は、筋肉細胞にインスリン、メトホルミン、またはラクトバチルス・プランタルム由来小胞(Lp EV)を処理し、AMPKシグナルの活性化程度を評価した図である。
図9a-9b】図9aおよび図9bは、病原性因子である大腸菌(E.coli)由来小胞による炎症性媒介体(IL-6およびTNF-α)の分泌に対してラクトバチルス・プランタルム由来小胞(Lp EV)の抑制効果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞およびその用途に関する。
【0044】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、ラクトバチルス・プランタルム細菌を培養し、培養液から小胞を分離し、マウスに経口投与したとき、前記小胞が消化管を介して吸収され、血管を介して肺、肝、腎臓、脳等の臓器に分布することを確認した(実施例2参照)。
【0045】
また、上皮細胞に前記小胞を処理したとき、生物学的病原性因子である黄色ブドウ球菌由来小胞による細胞死を用量依存的に抑制することを確認した(実施例3参照)。
【0046】
また、砂糖(スクロース)の異常代謝産物であるデキストラン摂取によって誘導された大腸炎マウスモデルに前記小胞を経口投与したとき、炎症による解剖学的変化が有意に抑制されることを確認した(実施例4参照)。
【0047】
また、神経細胞に前記小胞を投与したとき、ストレスホルモンによって抑制される神経栄養因子(neurotrophic factor)遺伝子の発現および老化を抑制する核心遺伝子であるSirt 1の発現を有意に増加させることを確認した(実施例5および実施例6参照)。
【0048】
また、筋肉細胞に前記小胞を投与したとき、抗老化薬物であるメトホルミンと同様に代謝機能障害を抑制する核心シグナルであるAMPKのリン酸化を増加させることを確認した(実施例7参照)。
【0049】
また、炎症細胞に前記小胞を投与したとき、病原性因子による炎症性媒介体(IL-6およびTNF-α)の分泌を用量依存的に抑制することを確認した(実施例8参照)。
【0050】
これより、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む免疫疾患または代謝疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0051】
本発明において使用される「細胞外小胞(Extracellular vesicle)または小胞(Vesicle)」という用語は、多様な細菌から分泌されるナノサイズの膜からなる構造物を意味し、例えば、内毒素(lipopolysaccharide)、毒性タンパク質および細菌DNAとRNAも持っている大腸菌のようなグラム陰性菌(gram-negative bacteria)由来小胞または外膜小胞体(outer membrane vesicles,OMVs)およびタンパク質と核酸の他にも、細菌の細胞壁構成成分であるペプチドグリカン(peptidoglycan)とリポタイコ酸(lipoteichoic acid)も持っているマイクロコッカス細菌のようなグラム陽性菌(gram-positive bacteria)由来小胞等がある。
【0052】
本発明において、前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムから自然的に分泌されたり、人工的に生産された膜からなるすべての構造物を総称する。
【0053】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルム培養過程で熱処理、高圧処理したり、前記細菌培養液を遠心分離、超高速遠心分離、高圧処理、押出、超音波分解、細胞溶解、均質化、冷凍-解凍、電気穿孔、機械的分解、化学物質処理、フィルターによるろ過、ゲルろ過クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、およびキャピラリー電気泳動から成る群から選ばれた1つ以上の方法を用いて分離することができる。また、不純物の除去のための洗浄、収得された小胞の濃縮等の過程をさらに含んでもよい。
【0054】
本発明の前記ラクトバチルス・プランタルムの培養液または醗酵食品から小胞を分離する方法は、小胞を含む場合、特に限定されない。例えば、遠心分離、超高速遠心分離、フィルターによるろ過、ゲルろ過クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、またはキャピラリー電気泳動等の方法、およびこれらの組み合わせを用いて小胞を分離することができ、また、不純物の除去のための洗浄、収得された小胞の濃縮等の過程をさらに含んでもよい。
【0055】
本発明の前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムの培養液またはラクトバチルス・プランタルムを添加して製造した食品から分離することができ、ラクトバチルス・プランタルムから自然的に分泌または人工的に生産されたものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本発明において前記方法によって分離した小胞は、平均直径が10~1000nm、10~900nm、10~800nm、10~700nm、10~600nm、10~500nm、10~400nm、10~300nm、10~220nm、10~200nm、10~100nm、10~90nm、10~80nm、10~70nm、10~60nm、10~50nm、10~40nm,または20~40nmであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0057】
本発明において使用される「有効成分として含む」という用語は、前記ラクトバチルス・プランタルム由来小胞の効能または活性を達成するのに十分な量を含むことを意味する。
【0058】
本発明において使用される「免疫疾患または代謝疾患(immune disease or metabolic disease)」という用語は、生体内での免疫機能および代謝機能の障害によって発生する疾患を総称する。一般的に、免疫疾患は、病原性原因因子によって炎症が発生し、その結果として、細胞死および炎症性媒介体による炎症細胞浸潤が誘導される。また、代謝疾患は、体内で生産された病原性代謝産物によって炎症が発生したり、代謝ストレスがもたらされて、細胞が老化したり死滅して発生する。
【0059】
前記免疫疾患または代謝疾患は、免疫機能または代謝機能の障害による疾患であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0060】
前記免疫疾患または代謝疾患は、胃炎(gastritis)、消化性潰瘍(peptic ulcer)、セリアック病(celiac disease)、および炎症性大腸炎(inflammatory bowel disease)から成る群から選ばれた1つ以上の胃腸疾患;
歯肉炎(gingivitis)、歯周炎(periodontitis)、および虫歯(caries)から成る群から選ばれた1つ以上の口腔疾患;
カンジダ膣炎(candida vaginitis)、萎縮性膣炎(atrophic vaginitis)、細菌性膣炎(bacterial vaginitis or vaginosis)、およびトリコモナス膣炎(trichomonas vaginitis)から成る群から選ばれた1つ以上の女性膣疾患;
非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis,NASH)、アルコール性脂肪肝炎(alcoholic steatohepatitis)、肝硬変(liver cirrhosis)、胆道炎(cholangitis)、胆嚢炎(cholecystitis)、および膵炎(pancreatitis)から成る群から選ばれた1つ以上の肝-胆道-膵臓疾患;
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)、間質性肺炎(chronic interstitial pneumonitis)、肺気腫(emphysema)、気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia)、および特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)から成る群から選ばれた1つ以上の肺疾患;
高インスリン血症、異常脂質血症、不整脈、動脈硬化症(atherosclerosis)、狭心症(angina)、代謝症候群(metabolic syndrome)、心筋梗塞(myocardial infarction)、脳卒中(stroke)、および心筋症(cardiomyopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の心血管疾患;
糸球体腎炎(glomerulonephritis)、および慢性腎症(chronic nephropathy)から成る群から選ばれた1つ以上の腎疾患;
無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular artrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋無力症、悪液質(cachexia)、痛風(Gout)、筋肉減弱症(sarcopenia)、骨粗しょう症(osteoporosis)、パジェット病(Paget’s disease)、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、および骨関節炎(osteoarthritis)から成る群から選ばれた1つ以上の筋骨格系疾患;および
軽度認知障害(mild cognitive impairment)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、ハンチントン病(Huntington’s disease)、ルーゲリック病(Amyotrophic lateral sclerosis,ALS)、バッテン病(Batten disease)、キーンズ・セイアー症候群(Kearns-Sayre syndrome,KSS)、慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia,CPEO)、MELAS症候群(mitochondrial encephalomyopathy with lactic acidosis and stroke-like episodes,MELAS)、MERRF症候群(myoclonic epilepsy with ragged-red fibers,MERRF)、NARP症候群(neurogenic weakness with ataxia and retinitis pigmentosa,NARP)、Leigh症候群(Leigh syndrome,LS)、MIRAS症候群(mitochondrial recessive ataxia syndrome)、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies,DLB)、多発梗塞性認知症(Multi-Infarct Dementia,MID)、前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration,FTLD)、ピック病(Pick’s disease)、大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration,CBD)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy,PSP)、黄斑変性(age-related macular degeneration,AMD)、嗅覚障害(dysosmia)、聴覚障害(deafness)、および糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の神経疾患等がある。
【0061】
本発明の組成物内の前記小胞の含有量は、疾患の症状、症状の進行程度、患者の状態などによって適宜調節可能であり、例えば、全体組成物の重量を基準として0.0001~99.9重量%、または0.001~50重量%であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記含有量費は、溶媒を除去した乾燥量を基準とする値である。
【0062】
本発明による薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤は、例えば、希釈剤、結合剤、崩解剤、滑沢剤、吸着剤、保湿剤、フィルムコーティング物質、および制御放出添加剤から成る群から選ばれた1つ以上であってもよい。
【0063】
本発明による薬学的組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、徐放性顆粒剤、腸溶性顆粒剤、液剤、点眼剤、エリキシル剤、乳剤、懸濁液剤、酒精剤、トローチ剤、芳香水剤、リモナーデ剤、錠剤、徐放性錠剤、腸溶性錠剤、舌下錠、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、徐放性カプセル剤、腸溶性カプセル剤、丸剤、チンキ剤、軟エキス剤、乾燥エキス剤、流動エキス剤、注射剤、カプセル剤、灌流液、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、噴霧剤、吸入剤、パッチ剤、滅菌注射溶液、またはエアロゾル等の外用剤等の形態に剤形化して使用することができ、前記外用剤は、クリーム、ジェル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤等の剤形を有していてもよい。
【0064】
本発明による薬学的組成物に含まれ得る担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油が挙げられる。
【0065】
製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤等の希釈剤または賦形剤を使用して調製される。
【0066】
本発明による錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤の添加剤としてコーンスターチ、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、D-マンニトール、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸一水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、精製ラノリン、微結晶セルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カオリン、ヨウ素、コロイド状シリカゲル、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)1928、HPMC2208、HPMC2906、HPMC2910、プロピレングリコール、カゼイン、乳酸カルシウム、プリモジェルなど賦形剤;ゼラチン、アラビアガム、エタノール、寒天粉、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、精製水、カゼインナトリウム、グリセリン、ステアリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、デキストリン、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシメチルセルロース、精製セラック、デンプン糊、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の結合剤が使用でき、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コーンスターチ、寒天粉、メチルセルロース、ベントナイト、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クエン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ケイ酸、 L-ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、イオン交換樹脂、酢酸ポリビニル、ホルムアルデヒド処理カゼインおよびゼラチン、アルギン酸、アミロース、グアーガム(Guar gum)、重曹、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、ゲル化デンプン、アラビアガム、アミロベクチン、ペクチン、ポリリン酸ナトリウム、エチルセルロース、白糖、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、D-ソルビトール液、軽質無水ケイ酸など崩解剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素化植物油(Hydrogenated vegetable oil)、タルク、石松子、カオリン、ワセリン、ステアリン酸ナトリウム、カカオ脂、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、ポリエチレングリコール4000、PEG6000、流動パラフィン、水素添加大豆油(Lubri wax)、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、マクロゴール(Macrogol)、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、パラフィン油、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテル、デンプン、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、DL-ロイシン、軽質無水ケイ酸等の滑沢剤;が使用できる。
【0067】
本発明による液剤の添加剤としては、水、希塩酸、希硫酸、クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸スクロース類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(ツインエステル)、ポリオキシエチレンモノアルキルエテール類、ラノリンエーテル類、ラノリンエステル類、酢酸、塩酸、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、プロラミン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が使用できる。
【0068】
本発明によるシロップ剤には、白糖の溶液、他の糖類あるいは甘味剤等が使用でき、必要に応じて芳香剤、着色剤、保存剤、安定剤、懸濁化剤、乳化剤、粘稠剤等が使用できる。
【0069】
本発明による乳剤には、精製水が使用でき、必要に応じて乳化剤、保存剤、安定剤、芳香剤等が使用できる。
【0070】
本発明による懸濁剤には、アカシア、トラガカンタ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC1828、HPMC2906、HPMC2910等の懸濁化剤が使用でき、必要に応じて界面活性剤、保存剤、安定剤、着色剤、芳香剤が使用できる。
【0071】
本発明による注射剤には、注射用蒸留水、0.9%塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース+塩化ナトリウム注射液、ピイジー(PEG)、乳酸リンゲル注射液、エタノール、プロピレングリコール、非揮発性油-ゴマ油、綿実油、落花生油、ダイズ油、コーン油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゼンのような溶剤;安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヨウ素、ウレタン、モノエチルアセトアミド、ブタゾリジン、プロピレングリコール、ツイン類、ニコチン酸アミド、ヘキサミン、ジメチルアセトアミドのような溶解補助剤;弱酸およびその塩(酢酸と酢酸ナトリウム)、弱塩基およびその塩(アンモニアおよび酢酸アンモニウム)、有機化合物、タンパク質、アルブミン、ペプトン、ガム類のような緩衝剤;塩化ナトリウムのような等張剤;重亜硫酸ナトリウム(NaHSO)二酸化炭素ガス、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、窒素ガス(N)、エチレンジアミンテトラ酢酸のような安定剤;ソジウムビサルファイト0.1%、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオウレア、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、アセトンソジウムビサルファイトのような硫酸化剤;ベンジルアルコール、クロロブタノール、塩酸プロカイン、ブドウ糖、グルコン酸カルシウムのような無痛化剤;CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ツイン80、モノステアリン酸アルミニウムのような懸濁化剤を含んでもよい。
【0072】
本発明による坐剤には、カカオ脂、ラノリン、ウィテプソル、ポリエチレングリコール、グリセロゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸とオレイン酸の混合物、スバナル(Subanal)、綿実油、落花生油、ヤシ油、カカオバター+コレステロール、レシチン、ラネットワックス、モノステアリン酸グリセロール、ツインまたはスパン、イムハウゼン(Imhausen)、モノレン(モノステアリン酸プロピレングリコール)、グリセリン、アデプスソリダス(Adeps solidus)、ブチラムテゴ-G(Buytyrum Tego-G)、セベスファーマ16(Cebes Pharma 16)、ヘキサライドベース95、コトマー(Cotomar)、ヒドロコテSP、S-70-XXA、S-70-XX75(S-70-XX95)、ヒドロコテ(Hydrokote)25、ヒドロコテ711、イドロポスタル(Idropostal)、マッサエストラリウム(Massa estrarium、A、AS、B、C、D、E、I、T)、マッサ-MF、マスポール、マスポール-15、ネオスポスタル-N、パラマウント-B、スポシロ(OSI、OSIX、A、B、C、D、H、L)、坐剤基剤IVタイプ(AB、B、A、BC、BBG、E、BGF、C、D、299)、スポスタル(N、Es)、ウェコビー(W、R、S、M、Fs)、テゲスタートリグリセライド基剤(TG-95、MA、57)のような基剤が使用できる。
【0073】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等が含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチン等を混ぜて調製される。また、単純な賦形剤以外に、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。
【0074】
経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤等が該当するが、頻用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤等が含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、エチルオレートのような注射可能なエステル等が使用できる。
【0075】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスクの割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物感受性、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素およびその他医学分野によく知られた要素によって決定できる。
【0076】
本発明による薬学的組成物は、個別治療剤として投与したり他の治療剤と併用して投与でき、従来の治療剤とは順次にまたは同時に投与でき、単一または多重投与できる。上記した要素を全部考慮して副作用なしで最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは、本発明の属する技術分野における通常の技術者によって容易に決定できる。
【0077】
本発明の薬学的組成物は、個体に多様な経路で投与できる。投与のすべての方式は、予想され得るが、例えば、経口服用、皮下注射、腹腔投与、静脈注射、筋肉注射、脊髄の周囲空間(硬膜内)注射、舌下投与、頬粘膜投与、直腸内挿入、膣内挿入、眼球投与、耳投与、鼻腔投与、吸入、口または鼻を通した噴霧、皮膚投与、経皮投与などにより投与できる。
【0078】
本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重および疾患の重症度等の様々な関連因子とともに、活性成分である薬物の種類によって決定される。具体的には、本発明による組成物の有効量は、患者の年齢、性別、体重により変わることができ、一般的には、体重1kg当たり0.001~150mg、好ましくは、0.01~100mgを毎日または隔日投与したり、1日に1~3回に分けて投与することができる。しかしながら、投与経路、肥満の重症度、性別、体重、年齢などによって増減することができるので、前記投与量がいかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0079】
本発明において「個体」とは、疾患の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒトまたは非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシ等の哺乳類であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0080】
本発明において「投与」とは、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0081】
本発明において「予防」とは、目的とする疾患の発症を抑制したり遅延させるすべての行為を意味し、「治療」とは、本発明による薬学的組成物の投与により目的とする疾患とそれによる代謝異常症状が好転したり有益に変更されるすべての行為を意味し、「改善」とは、本発明による組成物の投与により目的とする疾患に関連したパラメーター、例えば症状の程度を減少させるすべての行為を意味する。
【0082】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む免疫疾患または代謝疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0083】
前記食品組成物は、健康機能食品組成物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0084】
本発明の前記小胞を食品添加物として使用する場合、そのまま添加したり他の食品または食品成分と共に使用することができ、通常の方法により適切に使用することができる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)によって適宜決定できる。一般的に、食品または飲料の製造時に、本発明の小胞は、原料に対して15重量%以下、または10重量%以下の量で添加できる。しかしながら、健康および衛生を目的としたり、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、前記量は、前記範囲以下であってもよく、安全性の観点から何の問題もないので、有効成分は、前記範囲以上の量でも使用できる。
【0085】
前記食品の種類には、特別な制限はない。前記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料およびビタミン複合剤等があり、通常の意味における保健機能食品を全部含む。
【0086】
本発明による健康飲料組成物は、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物等を更なる成分として含有することができる。上で述べた天然炭水化物は、ブドウ糖および果糖のようなモノサッカライド、マルトースおよびスクロースのようなジサッカライド、デキストリンおよびシクロデキストリンのようなポリサッカライド、およびキシリトール、ソルビトールおよびエリトリトール等の糖アルコールである。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤等を使用できる。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100mL当たり一般的に約0.01~0.20g、または約0.04~0.10gである。
【0087】
上記以外に、本発明の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤等を含有することができる。その他に、本発明の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料および野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような成分は、独立して、または、組み合わせて使用できる。このような添加剤の割合は、大きく重要なことではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.20重量部の範囲で選択されることが一般的である。
【0088】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む老化または老化関連疾患の予防または治療用薬学的組成物に関する。
【0089】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、老化の予防または改善用食品組成物に関する。
【0090】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物に関する。
【0091】
本発明において老化とは、時間が経つにつれて起こる身体のすべての生理的変化を総称するものであり、個体によって数多くの要因によって非常に多様に起こる生命現象を意味する。老化現象を具体的に説明すると、各構成器官および組織の機能変化が起こるものであり、個体の老化は、結局、当該個体を構成する細胞の老化に起因する。本発明において、前記老化は、脳、肝、肺、腎臓、筋肉、皮膚またはこれらの臓器の細胞老化であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0092】
本発明による化粧料組成物の剤形は、スキンローション、スキンソフトナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、ミスト、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ハンドローション、ファンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、せっけん、クレジングフォーム、クレジングローション、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングバーム、ボディローションまたはボディクレンザーの形態であってもよい。
【0093】
本発明の化粧料組成物は、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、およびスフィンゴ脂質からなる群から選ばれた組成物をさらに含んでもよい。
【0094】
水溶性ビタミンとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれでもよいが、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ピリドキシン、塩酸ピリドキシン、ビタミンB12、パントテン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、葉酸、ビタミンC、ビタミンH等が挙げられ、それらの塩(チアミン塩酸塩、アスコルビン酸ナトリウム塩など)や誘導体(アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム塩など)も本発明において使用できる水溶性ビタミンに含まれる。水溶性ビタミンは、微生物変換法、微生物の培養物からの精製法、酵素法または化学合成法等の通常の方法によって収得することができる。
【0095】
油溶性ビタミンとしては、化粧品に配合可能になものであれば、いずれでもよいが、例えば、ビタミンA、カロチン、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE(d1-アルファトコフェロール、d-アルファトコフェロール、d-アルファトコフェロール)等が挙げられ、それらの誘導体(パルミチン酸アスコルビン、ステアリン酸アスコルビン、ジパルミチン酸アスコルビン、酢酸dl-アルファトコフェロール、ニコチン酸dl-アルファトコフェロールビタミンE、DL-パントテニルアルコール、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテルなど)なども、本発明において使用される油溶性ビタミンに含まれる。油溶性ビタミンは、微生物変換法、微生物の培養物からの精製法、酵素または化学合成法等の通常の方法によって取得することができる。
【0096】
高分子ペプチドとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれでもよいが、例えば、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、加水分解エラスチン、ケラチン等が挙げられる。高分子ペプチドは、微生物の培養液からの精製法、酵素法または化学合成法等の通常の方法によって精製取得することができ、またはブタやウシ等の真皮、蚕の絹繊維等の天然物から精製して使用することができる。
【0097】
高分子多糖としては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれもよいが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸またはその塩(ナトリウム塩など)等が挙げられる。例えば、コンドロイチン硫酸またはその塩などは、通常、哺乳動物や魚類から精製して使用することができる。
【0098】
スフィンゴ脂質としては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれもよいが、例えば、セラミド、フィトスフィンゴシン、スフィンゴ糖脂質等が挙げられる。スフィンゴ脂質は、通常、哺乳類、魚類、貝類、酵母または植物などから通常の方法により精製したり化学合成法により取得することができる。
【0099】
本発明の化粧料組成物には、前記必須成分と一緒に、必要に応じて通常化粧品に配合される他の成分を配合してもよい。
【0100】
その他、添加してもよい配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機および無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水等が挙げられる。
【0101】
油脂成分としては、エステル系油脂、炭化水素系油脂、シリコーン系油脂、フッ素系油脂、動物油脂、植物油脂等が挙げられる。
【0102】
エステル系油脂としては、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリール、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアルキル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル、カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリール、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアルキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアル酸イソステアリル等のエステル系等が挙げられる。
【0103】
炭化水素系油脂としては、スクアレン、流動パラフィン、アルファ-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素系油脂等が挙げられる。
【0104】
シリコーン系油脂としては、ポリメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性シリコーン油、アミノ変性シリコーン油等が挙げられる。
【0105】
フッ素系油脂としては、ペルフルオロポリエーテル等が挙げられる。
【0106】
動物または植物油脂としては、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、米糠油、サフラワー油、大豆油、コート油、油菜油、杏仁油、パーム核油、パーム油、ひまし油、ひまわり油、ブドウ種子油、綿実油、ヤシ油、ククイナッツオイル、小麦胚芽油、こめ胚芽油、シアバター、月見草油、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油、卵黄油、牛脂、麻油、ミンク油、オレンジラフィー油、ホホバ油、キャンデリラワックス、カルナバワックス、液状ラノリン、硬化ひまし油等の動物または植物油脂が挙げられる。
【0107】
保湿剤としては、水溶性低分子保湿剤、脂溶性分子保湿剤、水溶性高分子、脂溶性高分子等が挙げられる。
【0108】
水溶性低分子保湿剤としては、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、ピロリドン-カルボン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールB(重合度n=2以上)、ポリプロピレングリコール(重合度n=2以上)、ポリグリセリンB(重合度n=2以上)、乳酸、乳酸塩等か挙げられる。
【0109】
脂溶性低分子保湿剤としては、コレステロール、コレステロールエステル等か挙げられる。
【0110】
水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパラギン酸塩、トラガカント、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キトサン、デキストリン等か挙げられる。
【0111】
脂溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン・エイコセン共重合体、ポリビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、ニトロセルロース、デキストリン脂肪酸エステル、高分子シリコーン等か挙げられる。
【0112】
エモリエント剤としては、長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸、ラノリン脂肪酸コレステリルエステル等か挙げられる。
【0113】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等か挙げられる。
【0114】
非イオン性界面活性剤としては、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE(ポリオキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ひまし油、POEひまし油、POE・POP(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、ラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等か挙げられる。
【0115】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルファ-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミン酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラゲンペプチド塩、ペルフルオロアルキルリン酸エステル等か挙げられる。
【0116】
カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第4級アンモニウム塩等か挙げられる。
【0117】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等の両性界面活性剤等か挙げられる。
【0118】
有機および無機顔料としては、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミンおよびこれらの複合体等の無機顔料;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、ヨウ素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジ等の有機顔料およびこれらの無機顔料と有機顔料の複合顔料等か挙げられる。
【0119】
有機粉体としては、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸;セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリルリン酸亜鉛、ラウリルリン酸カルシウム等のアルキルリン酸金属塩;N-ラウロイル-ベタ-アラニンカルシウム、N-ラウロイル-ベタ-アラニン亜鉛、N-ラウロイルグリシンカルシウム等のアシルアミノ酸多価金属塩;N-ラウロイル-タウリンカルシウム、N-パルミトイル-タウリンカルシウム等のアミドスルホン酸多価金属塩;N-イプシロン-ラウロイル-L-リジン、N-イプシロン-パルミトイルリジン、N-アルファ-パルミトイルオルニチン、N-アルファ-ラウロイルアルギニン、N-アルファ-硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニン等のN-アシル塩基性アミノ酸;N-ラウロイルグリシルグリシン等のN-アシルポリペプチド;アルファ-アミノカプロン酸、アルファ-アミノラウリン酸等のアルファ-アミノ脂肪酸;ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、四フッ化エチレン等か挙げられる。
【0120】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸-2-エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサングリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸およびその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾル等か挙げられる。
【0121】
殺菌剤としては、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、感光素301号、モノニトログアヤコールナトリウム、ウンデシレン酸等か挙げられる。
【0122】
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エリソルビン酸等か挙げられる。
【0123】
pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム等か挙げられる。
【0124】
アルコールとしては、セチルアルコール等の高級アルコールか挙げられる。
【0125】
また、その他、添加してもよい配合成分は、これらに限定されるものではなく、また、前記いずれの成分も本発明の目的および効果を損傷させない範囲内で配合可能であるが、総重量に対して0.01~5%重量百分率または0.01~3%重量百分率で配合され得る。
【0126】
本発明の剤形がローション、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛等が用いられ得る。
【0127】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが用いられ得、特にスプレーである場合には、さらに、ハイドロクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進体を含んでもよい。
【0128】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合には、担体成分として溶媒、溶媒化剤または乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0129】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガまたはトラガカント等が用いられる。
【0130】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステル等が用いられ得る。
【0131】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患または代謝疾患の治療用薬物送達用組成物に関する。
【0132】
本発明において使用される「薬物送達」という用語は、特定の臓器、組織、細胞または細胞小器官に薬物を送達するために、本発明による組成物に薬物をロードして送達するすべての手段または行為を意味する。
【0133】
本発明において、前記薬物送達用組成物は、胃、小腸、大腸、肺、肝、腎臓、および脳から成る群から選ばれた1つ以上の臓器に薬物を送達できるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
また、本発明は、目的とする免疫疾患または代謝疾患薬物を担持したラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達方法を提供する。
【0135】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む組成物の免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達用途を提供する。
【0136】
また、本発明は、免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達用製剤を製造するためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の用途を提供する。
【実施例
【0137】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0138】
[実施例]
実施例1.ラクトバチルス・プランタルム由来小胞の分離
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)由来小胞(extracellular vesicle;EV)を分離するために、ラクトバチルス・プランタルム菌株をMRS(de Man-Rogosa and Sharpe)培地に接種し、37℃で200rpmで吸光度(OD600nm)が1.0~1.5となるまで培養した後に、LB(Luria Bertani)培地に再接種し、培養した。その後、菌体が含まれている培養液を回収し、10,000gで4℃で20分間遠心分離し、菌体が除去された上澄み液を獲得した。獲得した上澄み液は、さらに、0.22μmのフィルターにろ過させ、ろ過させた上澄み液は、100kDa Pellicon 2 Cassetteフィルターメンブレン(Merck Millipore)とMasterFlex pump system(Cole-Parmer)を用いて50mL以下の体積で濃縮した。濃縮した上澄み液は、さらに0.22μmのフィルターを用いてろ過させて、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を分離した。以下の実施例では、分離した前記小胞を用いて実験を進めた。
【0139】
実施例2.ラクトバチルス・プランタルム由来小胞の薬物動態学的特性の確認
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を経口投与し、吸収および分布様相等の薬物動態学的特性を確認するために、下記のような方法で体内分布を確認した。
【0140】
蛍光体Cy7で標識したラクトバチルス・プランタルム由来小胞をマウスに経口投与し、0、1、3、6、24、または48時間後に様々な臓器に浸潤された様相を評価した。マウス全体を光学映像装備(Davinch-Invivo Fluoro Chemi(western);Davinch-K)を用いて蛍光シグナルを観察した。また、小胞投与後、主要臓器に分布様相を評価するために、脳、血液、心臓、肺、肝、胃、脾臓、小腸、大腸、腎臓を採取し、採取した組織で光学映像装備(Davinch-Invivo Fluoro Chemi(western);Davinch-K)を用いて蛍光シグナルを観察した。
【0141】
図1aに示されたように、小胞投与後1時間に全身的に吸収され、これは、投与24時間まで持続し、48時間後には、ほとんどが排泄されることを確認した。
【0142】
また、図1bに示されたように、小胞投与後1時間ぶりに胃に吸収され、3時間後には胃、小腸、大腸、肺に分布し、投与後6時間後には、肝、腎臓、および脳にも分布することを確認した。なお、小胞投与後24時間後まで様々な臓器に分布が持続し、48時間後には、ほとんどが排泄されることを確認した。
【0143】
実施例3.病原性原因因子による細胞死に対するラクトバチルス・プランタルム由来小胞の細胞死抑制効果の確認
病気を起こす生物学的原因因子は、細胞のパターン認識受容体(pattern recognition receptor,prr)により認知され、インフラマソーム(inflammasome)を形成し、これを通じて、細胞死(pyroptosis)を誘導するだけでなく、炎症性媒介体を介して炎症細胞浸潤を誘導し、細胞死を加速化させて、臓器の機能損傷がもたらされる。本発明では、生物学的原因因子による細胞死に対するラクトバチルス・プランタルム由来小胞の治療効能を評価した。
【0144】
このために、皮膚上皮細胞(HaCaT cell)に病原性原因因子である黄色ブドウ球菌由来小胞(Sa EV)とラクトバチルス・プランタルム由来小胞(Lp EV)を濃度別に処理し、上皮細胞の細胞死効果を比較した。
【0145】
その結果、図2aに示されたように、黄色ブドウ球菌由来小胞の用量依存的に細胞死が誘導された。
【0146】
これに対し、図2bに示されたように、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞によっては上皮細胞の細胞死が誘導されなかった。
【0147】
図3aに示されたように、黄色ブドウ球菌由来小胞を上皮細胞に処理する前にラクトバチルス・プランタルム由来小胞を処理したとき、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞の投与用量に依存的に上皮細胞の細胞死が抑制された。
【0148】
また、図3bに示されたように、上皮細胞に黄色ブドウ球菌由来小胞を投与すると同時に、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を処理したとき、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞の処理用量に依存的に上皮細胞の細胞死が抑制された。
【0149】
以上の結果を通じて、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞によって生物学的病原性因子による細胞死が有意に抑制されることが分かった。
【0150】
実施例4.デキストラン食で誘導された疾患マウスでラクトバチルス・プランタルム由来小胞の治療効果の確認
最近、食パターンの変化に伴い、多くのヒトが砂糖(スクロース)が多量で含有された食事を摂取している。スクロースを摂取したとき、口腔内デキストラスクラーゼ(dextransucrase)酵素を持っている特定の細菌は、スクロースを原料としてデキストランを生成する。スクロースが多量含有された食品を摂取することによって生成されたデキストランは、腸にある酵素によって消化されず、大腸に移動し、大腸炎を起こす。
【0151】
これより、スクロースによって誘導される代謝機能の障害に対するラクトバチルス・プランタルム由来小胞の治療効能を評価するために、2.5%DSS(dextran sulfate sodium)を5日間マウス(8週齢C57BL/6N male mouse)に経口投与し、大腸炎モデルを作成した(図4参照)。また、DSS投与とともに、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞(50μg/mouse)を5日までは毎日、その後には、2日に1回投与した後、デキストラン投与10日目に大腸に発生した解剖学的変化を評価した。
【0152】
その結果、図5aおよび図5bに示されたように、大腸炎マウスモデルの大腸長さは、正常マウス(control)の大腸長さに比べて有意に減少した。また、DSSを投与したマウスにラクトバチルス・プランタルム由来小胞を投与した場合には、大腸長さが正常マウスのレベルに回復した。
【0153】
以上の結果を通じて、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞がスクロースの異常代謝産物であるデキストランによって発生する大腸炎に対する解剖学的な変化を有意に抑制し、改善することが分かった。
【0154】
実施例5.神経生成関連神経栄養因子(neurotrophin)遺伝子発現に及ぼすラクトバチルス・プランタルム由来小胞の治療効果の確認
様々な精神的ストレスに神経幹細胞および神経細胞が繰り返し露出する場合、神経生成(neurogenesis)能力が劣っていることが知られている。神経栄養因子(neurotrophin)は、分化した神経細胞の生存および機能だけでなく、神経幹細胞の発達に核心的な役割をする成長因子タンパク質群である。ヒトを含む哺乳類の脳は、一般的に胎児時期に神経細胞が作られるが、海馬(hippocampus)および線条体(striatum)領域には、神経幹細胞が存在し、成人期にも神経生成(adult neurogenesis)が起こる。神経幹細胞および神経細胞の生存および機能に関連したニューロトロフィン(neurotrophin)の代表的な例としては、BDNF(brain-derived neurotrophic factor)、NT(neurotrophin)-3、NT4/5、NGF(nerve growth factor)等がある。このうち、BDNFは、中枢神経系と末梢神経系に存在し、TrkB受容体を介して脳と末梢神経系に存在する神経細胞の生存およびシナプス形成を増加させるだけでなく、神経幹細胞の増殖および分化を誘導するタンパク質である。
【0155】
これより、精神的ストレスによる神経幹細胞および神経細胞の生存および機能に及ぼすラクトバチルス・プランタルム由来小胞の治療効果を評価するために、Dulbeccos modified Eagles(DMEM)培地で海馬神経細胞(HT22 cell)を培養し、副腎皮質ホルモン(glucocorticoid,GC 400ng/mL)を投与し、神経栄養因子遺伝子発現を抑制させた。また、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞(20μg/mL)を神経細胞に同時に処理し、治療効能を評価した。遺伝子発現を評価するための方法として、溶解バッファー(lysis buffer)を用いて細胞を溶解させ、遺伝子を抽出し、RT-PCRを用いて遺伝子発現を定量化した。遺伝子発現程度は、total Bdnf(tBdnf)、Bdnf1、Bdnf4、Ngf mRNAに対して特異的なプライマーを用いて評価した。前記プライマーの具体的な配列は、下記表1に記載した。GCを処理しない群をCONで表示し、対照群vehicleは、小胞が含まれていない群を示す。
【0156】
【表1】
【0157】
その結果、図6に示されたように、神経細胞に副腎皮質ホルモンを処理したときには、tBdnf、Bdnf1、Bdnf4、およびNgf遺伝子の発現が有意に抑制された。これに対し、副腎皮質ホルモンによって抑制されたtBdnf、Bdnf1、Bdnf4、およびNgf遺伝子発現は、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を投与したとき、正常なレベルおよびそれ以上に好転した。
【0158】
以上の結果を通じて、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞は、神経栄養因子遺伝子発現を増加させて、神経生成を誘導することが分かった。
【0159】
実施例6.老化関連遺伝子発現に対するラクトバチルス・プランタルム由来小胞の治療効果の確認
様々なストレスに繰り返し露出時に、細胞内では酸化ストレスによって遺伝子の損傷がもたらされ、これに対する結果として細胞の老化と異常な細胞死がもたらされる。サーチュイン(Sirtuin)は、ストレス状況で細胞の損傷による細胞の恒常性を維持する核心的なシグナル送達タンパク質である。サーチュインタンパク質のうち、サーチュイン1(Sirt1)は、核と細胞質に存在し、ヒストン脱アセチル化酵素であり、ストレスによる遺伝子損傷を治療し、細胞の生存を増加させる抗老化タンパク質であることが知られている。
【0160】
これより、細胞老化に対するラクトバチルス・プランタルム由来小胞の治療効果を評価するために、実施例5に記述された方法でラクトバチルス・プランタルム由来小胞を海馬神経細胞(HT22 cell)に処理した後、副腎皮質ホルモンによって抑制されるシートルーイン遺伝子の発現を回復させるかを評価した。遺伝子発現程度は、Sirt1、Hdac2(Histone Deacetylase 2)、またはCreb1(CAMP Responsive Element Binding Protein 1)に対する特異的なプライマーを用いて評価した。
【0161】
その結果、図7に示されたように、副腎皮質ホルモンによって神経細胞にSirt1遺伝子発現が有意に抑制され、これは、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を投与したとき、正常なレベル以上に回復した。以上の結果を通じて、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞は、Sirt1遺伝子発現を増加させて、様々なストレスによる遺伝子損傷によってもたらされる細胞老化および細胞死を抑制することが分かる。
【0162】
実施例7.代謝ストレスに対する細胞の恒常性維持にラクトバチルス・プランタルム由来小胞の効果の確認
細胞老化は、反復的な物理的、化学的、生物学的、または精神的ストレスによって細胞の分裂能力を喪失するものと定義される。反復的なストレスによる細胞の老化に伴い、細胞再生能力が低下し、老化関連病気が発生する。特に細胞は、ATP生成が低下する代謝ストレス状況で細胞内シグナル送達経路としてAMPK(AMP-activated protein kinase)タンパク質を活性化し、細胞の恒常性(metabolic homeostasis)を誘導し、それにより、細胞老化および細胞死を抑制する。すなわち、AMPKシグナルは、自食作用(autophagy)等の機序を通じてエネルギー枯渇時に発生する代謝障害を抑制する。
【0163】
これより、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞(Lp EV)が細胞内でAMPK活性化を通じて細胞老化に影響を及ぼすかを評価するために実験を行った。in vitroでラクトバチルス・プランタルム由来小胞処理濃度によるAMPK活性を評価するために、筋肉細胞(L6 myotube cell)にラクトバチルス・プランタルム由来小胞を0、0.1、1、または10μg/mlの濃度で1時間処理した。対照群として老化を促進するインスリン(insulin、1μM)と老化を抑制するメトホルミン(metformin、50mM)を使用した。前記薬物を細胞に処理した後、AMPKシグナル送達において重要な指標であるpAMPKの量の差をウェスタンブロットで測定した。まず、60mm細胞培養ペトリ皿に細胞を2x10個ずつ分注したDMEM無血清培地を入れ、2時間培養した。その後、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を0、0.1、1、10μg/mLの濃度で1時間処理し、比較群であるインスリン(1uM)とメトホルミン(50mM)をも1時間処理した。細胞溶解アッセイを進めるために、サンプルを処理したペトリ皿を氷の上に載置し、上澄み液を吸入(suction)した後、冷たいPBSバッファーを5mLずつ入れ、2回洗浄した。溶解バッファー(Lysis buffer)1mLにprotease/phosphatase抑制剤10uLを入れ、よく混ぜた後、各ディッシュに細胞溶解バッファー100μLずつを滴下し、5分間氷でインキュベーションした。スクラッパーを用いて細胞を取り外した後、1.5mLマイクロチューブに移し、ボルテキシングおよび氷でのインキュベーション過程を各1分ずつ20分間繰り返した。その後、14,000rpm、10分、4℃の条件で遠心分離し、溶解したサンプル上澄み液を新しい1.5mLマイクロチューブ2個にそれぞれ5μL、70μLずつ移した。5μLを移したマイクロチューブは-20℃に保管し、70μLを移したマイクロチューブには、5Xサンプルバッファーを16.5μL入れた後、100℃で5分間沸かした。沸かしたサンプルは-20℃に保管した。BCA定量分析を進めるために、溶解したサンプル上澄み液5μLずつを入れた1.5mLマイクロチューブは、常温に放置し、滅菌蒸留水20μLを入れ、ボルテキシングした後、スピンダウンした。ウシ血清アルブミン(BSA)を滅菌蒸留水に2mg/mLの濃度で溶かした後、1/2ずつ希釈し、2、1、0.5、0.25、0.125、0.0625、0.03125、0 mg/mLのストックを製造した。96 Well polystyreneプレートにBSA濃度別に25μLずつ3個のウェルに入れ、溶解したサンプルも、25μLずつ一個のwellに入れた。8mLのBCA Protein Assay Reagent Aと160μLのBCA Protein Assay Reagent Bを混ぜた後、200μLずつwellに入れた。37℃インキュベーターで30分間反応させた後、SpectraMax M3 microplate reader(Molecular Devices,USA)を用いて562nmで吸光度を測定した。ウェスタンブロットのためにTris-glycine SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を進める過程で10%ゲルを製造し、各サンプル当たりタンパク質50μgを定量し、ロードした。ニトロセルロース膜にトランスファーした後には、5%skim milkで遮断する過程を経て、AMPKα抗体は1:400、phospho-AMPKα抗体は1:400、β-actin抗体は1:1,000の割合で5%skim milkに希釈し、膜と共に一晩中混ぜた。1X PBST(0.05%tween 20が入っているPBS)溶液で5分間ずつ3回洗った後、抗rabbit IgG、HRP-linked抗体を1:1,000の割合で希釈し、1時間膜と混ぜた。1X PBST溶液で5分間ずつ3回洗った後、West-Q Chemiluminescent Substrate Kitのsolution Aとsolution Bを1:1で混ぜた溶液を膜に十分に散布し、Chemidoc機器でバンドを確認した。
【0164】
その結果、図8に示されたように、AMPKのリン酸化(pAMPK)が、対照薬物であるインスリンによって阻害され、metforminによって増加した。また、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を処理した場合には、投与濃度に依存的にpAMPKの発現が増加した。
【0165】
以上の結果を通じて、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞は、AMPKシグナル活性化を通じて代謝ストレスに対する細胞の恒常性を増加させて、細胞の生存能力を向上させることが分かる。
【0166】
実施例8.病原性因子による炎症性媒介体の分泌にラクトバチルス・プランタルム由来小胞の効果の確認
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞の炎症反応調節効果を確認するために、マウスマクロファージ細胞株であるRaw 264.7にラクトバチルス・プランタルム由来小胞を0.01、0.1、および1μg/mLの濃度で前処理し、培養させた後に、病原性小胞である大腸菌由来小胞(E.coli EV)により刺激されたマクロファージで炎症性媒介体であるIL-6およびTNF-αの分泌量を測定した。より具体的には、48-ウェルプレートにRaw 264.7細胞を分注した後、DMEM無血清培地で希釈したラクトバチルス・プランタルム由来小胞を処理し、12時間培養した後、さらに、大腸菌由来小胞1μg/mLの濃度で処理した後、12時間さらに培養した。IL-6およびTNF-αの分泌量を前記方法で得た培養液でELISA方法で測定した。
【0167】
ELISA分析のために、Capture抗体をPBSに希釈させて、96-wellポリスチレンプレートに作用濃度に合うように50μlずつ分注した後、4℃で一晩中反応させた。その後、PBST(0.05% tween20が入っているPBS)溶液100μlで2回ずつ洗った後、RD(1% BSAが入っているPBST)溶液100μlを分注し、常温で1時間遮断(blocking)した後、さらに、PBST 100μlで2回洗った後、サンプルおよびstandardを濃度に合うように50μlずつ分注し、常温で2時間反応させた。さらに、PBST 100μlで2回洗った後、detection抗体をRDに希釈させて、作用濃度に合うように50μlずつ分注し、常温で2時間反応させた。また、PBST 100μlでさらに2回洗った後、Strpetavidin-HRPをRDに1/200で希釈させて、50μlずつ分注し、常温で30分間反応させた。最後に、PBST 100μlで3回洗った後、TMB基質と0.04%過酸化水素水を1:1で混合した溶液50μlを分注した後、発色を待ってから5分から20分後に発色が進行されたとき、1M硫酸溶液を50μlずつ分注し、反応を中止し、SynergyTM HT multi-detection microplate reader(BioTek,USA)を用いて450nmで吸光度を測定した。
【0168】
その結果、図9aおよび図9bに示されたように、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を処理した試料では、大腸菌由来小胞によるIL-6およびTNF-αの分泌が用量依存的に減少することを確認した。前記結果を通じて、病原性細菌由来小胞によって誘導される炎症反応をラクトバチルス・プランタルム由来小胞を用いて効果的に抑制させることができることを確認することができた。
【0169】
上述した本発明の説明は、例示のためのものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明によるラクトバチルス・プランタルム由来小胞は、免疫疾患または代謝疾患を予防、症状改善、または治療するための医薬品または保健機能食品等の開発に有用に用いられる得るだけでなく、前記疾患を治療するための薬物送達システムとして有用に用いられ得るので、産業上の利用可能性がある。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9a
図9b
【配列表】
2024522146000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患または代謝疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記免疫疾患または代謝疾患は、胃炎(gastritis)、消化性潰瘍(peptic ulcer)、セリアック病(celiac disease)、および炎症性大腸炎(inflammatory bowel disease)から成る群から選ばれた1つ以上の胃腸疾患;
歯肉炎(gingivitis)、歯周炎(periodontitis)、および虫歯(caries)から成る群から選ばれた1つ以上の口腔疾患;
カンジダ膣炎(candida vaginitis)、萎縮性膣炎(atrophic vaginitis)、細菌性膣炎(bacterial vaginitis or vaginosis)、およびトリコモナス膣炎(trichomonas vaginitis)から成る群から選ばれた1つ以上の女性膣疾患;
非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis,NASH)、アルコール性脂肪肝炎(alcoholic steatohepatitis)、肝硬変(liver cirrhosis)、胆道炎(cholangitis)、胆嚢炎(cholecystitis)、および膵炎(pancreatitis)から成る群から選ばれた1つ以上の肝-胆道-膵臓疾患;
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)、間質性肺炎(chronic interstitial pneumonitis)、肺気腫(emphysema)、気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia)、および特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)から成る群から選ばれた1つ以上の肺疾患;
高インスリン血症、異常脂質血症、不整脈、動脈硬化症(atherosclerosis)、狭心症(angina)、代謝症候群(metabolic syndrome)、心筋梗塞(myocardial infarction)、脳卒中(stroke)、および心筋症(cardiomyopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の心血管疾患;
糸球体腎炎(glomerulonephritis)、および慢性腎症(chronic nephropathy)から成る群から選ばれた1つ以上の腎疾患;
無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular artrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋無力症、悪液質(cachexia)、痛風(Gout)、筋肉減弱症(sarcopenia)、骨粗しょう症(osteoporosis)、パジェット病(Paget’s disease)、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、および骨関節炎(osteoarthritis)から成る群から選ばれた1つ以上の筋骨格系疾患;および
軽度認知障害(mild cognitive impairment)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、ハンチントン病(Huntington’s disease)、ルーゲリック病(Amyotrophic lateral sclerosis,ALS)、バッテン病(Batten disease)、キーンズ・セイアー症候群(Kearns-Sayre syndrome,KSS)、慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia,CPEO)、MELAS症候群(mitochondrial encephalomyopathy with lactic acidosis and stroke-like episodes,MELAS)、MERRF症候群(myoclonic epilepsy with ragged-red fibers,MERRF)、NARP症候群(neurogenic weakness with ataxia and retinitis pigmentosa,NARP)、Leigh症候群(Leigh syndrome,LS)、MIRAS症候群(mitochondrial recessive ataxia syndrome)、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies,DLB)、多発梗塞性認知症(Multi-Infarct Dementia,MID)、前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration,FTLD)、ピック病(Pick’s disease)、大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration,CBD)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy,PSP)、黄斑変性(age-related macular degeneration,AMD)、嗅覚障害(dysosmia)、聴覚障害(deafness)、および糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の神経疾患;から成る群から選ばれたことを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記小胞は、平均直径が10~1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルム培養液から分離されることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムを添加して製造した食品から分離されることを特徴とする、薬学的組成物。
【請求項6】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患または代謝疾患の予防または改善用食品組成物。
【請求項8】
前記免疫疾患または代謝疾患は、胃炎(gastritis)、消化性潰瘍(peptic ulcer)、セリアック病(celiac disease)、および炎症性大腸炎(inflammatory bowel disease)から成る群から選ばれた1つ以上の胃腸疾患;
歯肉炎(gingivitis)、歯周炎(periodontitis)、および虫歯(caries)から成る群から選ばれた1つ以上の口腔疾患;
カンジダ膣炎(candida vaginitis)、萎縮性膣炎(atrophic vaginitis)、細菌性膣炎(bacterial vaginitis or vaginosis)、およびトリコモナス膣炎(trichomonas vaginitis)から成る群から選ばれた1つ以上の女性膣疾患;
非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis,NASH)、アルコール性脂肪肝炎(alcoholic steatohepatitis)、肝硬変(liver cirrhosis)、胆道炎(cholangitis)、胆嚢炎(cholecystitis)、および膵炎(pancreatitis)から成る群から選ばれた1つ以上の肝-胆道-膵臓疾患;
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)、間質性肺炎(chronic interstitial pneumonitis)、肺気腫(emphysema)、気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia)、および特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)から成る群から選ばれた1つ以上の肺疾患;
高インスリン血症、異常脂質血症、不整脈、動脈硬化症(atherosclerosis)、狭心症(angina)、代謝症候群(metabolic syndrome)、心筋梗塞(myocardial infarction)、脳卒中(stroke)、および心筋症(cardiomyopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の心血管疾患;
糸球体腎炎(glomerulonephritis)、および慢性腎症(chronic nephropathy)から成る群から選ばれた1つ以上の腎疾患;
無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular artrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋無力症、悪液質(cachexia)、痛風(Gout)、筋肉減弱症(sarcopenia)、骨粗しょう症(osteoporosis)、パジェット病(Paget’s disease)、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、および骨関節炎(osteoarthritis)から成る群から選ばれた1つ以上の筋骨格系疾患;および
軽度認知障害(mild cognitive impairment)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、ハンチントン病(Huntington’s disease)、ルーゲリック病(Amyotrophic lateral sclerosis,ALS)、バッテン病(Batten disease)、キーンズ・セイアー症候群(Kearns-Sayre syndrome,KSS)、慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia,CPEO)、MELAS症候群(mitochondrial encephalomyopathy with lactic acidosis and stroke-like episodes,MELAS)、MERRF症候群(myoclonic epilepsy with ragged-red fibers,MERRF)、NARP症候群(neurogenic weakness with ataxia and retinitis pigmentosa,NARP)、Leigh症候群(Leigh syndrome,LS)、MIRAS症候群(mitochondrial recessive ataxia syndrome)、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies,DLB)、多発梗塞性認知症(Multi-Infarct Dementia,MID)、前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration,FTLD)、ピック病(Pick’s disease)、大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration,CBD)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy,PSP)、黄斑変性(age-related macular degeneration,AMD)、嗅覚障害(dysosmia)、聴覚障害(deafness)、および糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)から成る群から選ばれた1つ以上の神経疾患;から成る群から選ばれたことを特徴とする請求項7に記載の食品組成物。
【請求項9】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルム培養液から分離されることを特徴とする請求項7に記載の食品組成物。
【請求項10】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムを添加して製造した食品から分離されることを特徴とする請求項7に記載の食品組成物。
【請求項11】
前記小胞は、ラクトバチルス・プランタルムから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする請求項7に記載の食品組成物。
【請求項12】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、老化の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項13】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、老化の予防または改善用食品組成物。
【請求項14】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項15】
ラクトバチルス・プランタルム由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患または代謝疾患の治療用薬物送達用組成物。
【請求項16】
免疫疾患または代謝疾患治療用薬剤の製造のためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の使用
【請求項17】
老化治療用薬剤の製造のためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の使用
【請求項18】
免疫疾患または代謝疾患治療薬物送達用製剤を製造するためのラクトバチルス・プランタルム由来小胞の使用
【国際調査報告】