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特表2024-522149ナノベシクルリアクター及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ナノベシクルリアクター及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/12 20060101AFI20240604BHJP
   C12N 11/04 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
C12N5/12
C12N11/04
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574640
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 KR2022007994
(87)【国際公開番号】W WO2022255851
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0072646
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0068477
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516355542
【氏名又は名称】インスティテュート フォー ベーシック サイエンス
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE FOR BASIC SCIENCE
(71)【出願人】
【識別番号】316016667
【氏名又は名称】ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】チョ ユン-ギョン
(72)【発明者】
【氏名】サミット クマール
【テーマコード(参考)】
4B033
4B065
【Fターム(参考)】
4B033NA22
4B033NB62
4B033ND20
4B065AB01
4B065AB02
4B065CA27
4B065CA46
4B065CA54
(57)【要約】
本発明は、ナノベシクルリアクター及びその製造方法に関し、詳しくは、ベシクルの表面に第1受容体を含有する第1ベシクル、及びベシクルの表面に第2受容体を含有する第2ベシクルを含み、前記第1受容体及び第2受容体は、リガンドシステムにより互いに結合され、第1ベシクルと第2ベシクルが融合してナノベシクルリアクターを形成することを特徴とするナノベシクルリアクター製造用組成物及びその製造方法を提供することにより、細胞の酵素反応による細胞エネルギー生成、薬物伝達システム、及び診断システムに活用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノベシクルリアクター製造用組成物であって、ベシクルの表面に第1受容体を含有する第1ベシクル、及びベシクルの表面に第2受容体を含有する第2ベシクルを含み、
前記第1受容体及び第2受容体は、リガンドシステムにより互いに結合され、第1ベシクルと第2ベシクルが融合してナノベシクルリアクターを形成することを特徴とする、前記ナノベシクルリアクター製造用組成物。
【請求項2】
前記第1受容体と第2受容体は、互いに独立してCD9、CD63、CD81、CD82、CD147、CD107a、CD151、CD13、CD26、ITGA3、ITGA6、ITGB1、ITGB4、ADAM10、CD31B、EGFR、EpCAM、HSP70、HSP9、PSMA、及びPSAからなる群より選択される、請求項1に記載のナノベシクルリアクター製造用組成物。
【請求項3】
前記リガンドシステムは、配位結合性化合物を含む、請求項1に記載のナノベシクルリアクター製造用組成物。
【請求項4】
前記配位結合性化合物は、極性置換基を含む芳香族化合物である、請求項3に記載のナノベシクルリアクター製造用組成物。
【請求項5】
前記極性置換基は、ドロキシル基又はカルボン酸基を含む、請求項4に記載のナノベシクルリアクター製造用組成物。
【請求項6】
前記リガンドシステムは、多価金属イオンをさらに含む、請求項1に記載のナノベシクルリアクター製造用組成物。
【請求項7】
前記第1ベシクルと第2ベシクルは、細胞外ベシクル(Extracellular vesicle)である、請求項1に記載のナノベシクルリアクター製造用組成物。
【請求項8】
前記第1ベシクルと第2ベシクルは、互いに異なる酵素を含む、請求項1に記載のナノベシクルリアクター製造用組成物。
【請求項9】
前記第1ベシクルと第2ベシクルは、10~1000nmの平均直径を有する、請求項1に記載のナノベシクルリアクター製造用組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のナノベシクルリアクター製造用組成物を、エマルジョン内部の水相中に含む、ナノベシクルリアクター含有エマルジョン。
【請求項11】
前記エマルジョンは、2~100μmの平均直径を有する、請求項10に記載のナノベシクルリアクター含有エマルジョン。
【請求項12】
請求項1に記載のナノベシクルリアクターを含む、細胞。
【請求項13】
前記ナノベシクルリアクターは、エネルギー生成用である、請求項12に記載の細胞。
【請求項14】
前記ナノベシクルリアクターに含まれる第1ベシクルはATP合成酵素を含み、第2ベシクルはbo3オキシダーゼを含む、請求項12に記載の細胞。
【請求項15】
前記ナノベシクルリアクターは薬物をさらに含む、請求項12に記載の細胞。
【請求項16】
(S1)ベシクルの表面に第1受容体を含有する第1ベシクル溶液を製造するステップと、
(S2)ベシクルの表面に第2受容体を含有する第2ベシクル溶液を製造するステップと、
(S3)第1ベシクル溶液と第2ベシクル溶液を混合して混合液を製造するステップと、
(S4)前記混合液に多価金属イオンを混合して第1ベシクルと第2ベシクルを融合するステップと、
を含む、ナノベシクルリアクターの製造方法。
【請求項17】
前記(S1)及び(S2)ステップにおける第1ベシクル溶液及び第2ベシクル溶液は、互いに独立して配位結合性化合物で処理するステップをさらに含む、請求項16に記載のナノベシクルリアクターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノベシクルリアクター及びその製造方法に関し、詳しくは、改質されたナノベシクルを用いて、生きている細胞内で起こる化学反応を容易に制御するナノベシクルリアクターに関する。
【背景技術】
【0002】
生命活動は、体内の物質やエネルギーの移動によって維持される。生体内における様々な触媒反応を担う酵素や補助因子を収容するための細胞器官又は細胞のコア構造が存在し、生体内における化学反応が調節され、最近、細胞小器官を人工的に合成して生体触媒反応をシミュレートしようとする研究が行われている。
【0003】
細胞小器官は細胞の臓器と言え、細胞呼吸を担うミトコンドリアや、細胞内の消化器官を担うリソソームが具体的な例である。ベシクル(Vesicle)は、脂質二重層で取り囲まれ、細胞質と区分される細胞小器官であり、細胞の生産物、副産物、排泄物を貯蔵、運搬又は消化する役割を担う。
【0004】
細胞小器官は、複雑な生化学反応を行う微細空間に分かれており、その内部には重要な細胞機能を行う様々な酵素が存在する。このうち、エクソソームは、細胞から分泌される直径50~200nmの細胞外ベシクルであり、細胞間の信号伝達を行うキャリアとして機能することが知られている。エクソソームには、タンパク質、脂肪、RNA、成長因子など親細胞の様々な情報が含まれているため、疾患の診断マーカーとして用いられるほか、生体適合性の特徴より薬物キャリアとしての活用に関する研究が活発に行われている。エクソソームの成分及び機能に関する研究が盛んに行われているが、エクソソームにはタンパク質、遺伝子及び核酸などの多量の生体指標が含まれているため、エクソソームの分離精製技術には依然として限界がある。
【0005】
また、エクソソームのような人工細胞小器官を生きている細胞に適用するためには、細胞内の物質伝達効率、安定性、生体適合性などの要素を考慮しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、生きている細胞へのより安定的かつ効率的な細胞内物質伝達方法を提示する技術的課題を解決するために、ナノベシクルの改質及びその融合を用いて細胞の機能を制御できるナノベシクルリアクターを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の一実施形態によると、ナノリアクタープラットフォーム技術を用いて、細胞内でエネルギー生成が可能なナノベシクルリアクターを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の一実施形態によると、ナノベシクルの融合を用いた効果的な薬物伝達システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記技術的課題を解決するために、ナノベシクルリアクター製造用組成物であって、ベシクルの表面に第1受容体を含有する第1ベシクル、及びベシクルの表面に第2受容体を含有する第2ベシクルを含み、前記第1受容体及び第2受容体は、リガンドシステムにより互いに結合され、第1ベシクルと第2ベシクルが融合してナノベシクルリアクターを形成することを特徴とする、前記ナノベシクルリアクター製造用組成物を提供することができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記第1受容体と第2受容体は、互いに独立してCD9、CD63、CD81、CD82、CD147、CD107a、CD151、CD13、CD26、ITGA3、ITGA6、ITGB1、ITGB4、ADAM10、CD31B、EGFR、EpCAM、HSP70、HSP9、PSMA、及びPSAからなる群より選択されてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記リガンドシステムは、配位結合性化合物を含んでもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記配位結合性化合物は、極性置換基を含む芳香族化合物であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記極性置換基は、ヒドロキシル基又はカルボン酸基を含んでもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記リガンドシステムは、多価金属イオンをさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記第1ベシクルと第2ベシクルは、細胞外ベシクル(Extracellular vesicle)であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記第1ベシクルと第2ベシクルは、互いに異なる酵素を含んでもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記第1ベシクルと第2ベシクルは、10~1000nmの平均直径を有してもよい。
【0018】
また、本発明は、上述のナノベシクルリアクター製造用組成物を、エマルジョン内部の水相中に含むナノリアクター含有エマルジョンを提供することができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記エマルジョンは、2~100μmの平均直径を有してもよい。
【0020】
また、本発明は、内部に上述のナノベシクルリアクターを含む細胞を提供することができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記ナノベシクルリアクターは、エネルギー生成用であってもよい。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記ナノベシクルリアクターに含まれる第1ベシクルはATP合成酵素を含み、第2ベシクルはbo3オキシダーゼを含んでもよい。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記ナノベシクルリアクターは薬物をさらに含んでもよい。
【0024】
また、本発明は、(S1)ベシクルの表面に第1受容体を含有する第1ベシクル溶液を製造するステップと、(S2)ベシクルの表面に第2受容体を含有する第2ベシクル溶液を製造するステップと、(S3)第1ベシクル溶液と第2ベシクル溶液を混合して混合液を製造するステップと、(S4)前記混合液に多価金属イオンを混合して第1ベシクルと第2ベシクルを融合するステップと、を含むナノベシクルリアクターの製造方法を提供することができる。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記(S1)及び(S2)ステップの第1ベシクル溶液及び第2ベシクル溶液は、互いに独立して配位結合性化合物で処理するステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、生きている細胞間の情報伝達体として細胞外ベシクル(Extracellular Vesicles)をリプログラミングすることにより、細胞内でエネルギー生成が可能な人工細胞小器官を提供することができる。これは、細胞内で安定しており、組織内の深くまで浸透する点から、薬物伝達システムとしての活用価値が高い。
【0027】
本発明の一実施形態によると、細胞内でATPを直接合成し、エネルギー供給が欠乏している癌細胞の深部までATPを伝達することができるため、損傷した細胞にエネルギーを供給することができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、ナノベシクルリアクターに薬物をさらに含み、効果的な薬物伝達システムとして活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明によって表面にカテコール基を有するように改質されたエクソソーム(CEx)と金属イオンとを反応させてエクソソーム融合を誘導する原理を示す模式図である。
図2】NTA(ナノ粒子追跡分析)を用いたエクソソーム、CEx及びFExのサイズ特性を確認した結果を示す図である。
図3】(a)は、CEx(コア直径=115±26nm)及びFEx(コア直径=247±33nm)のサイズを示すTEM画像であり、(b)は、動的光散乱によるCEx(CEx-1=121±8nm、CEx-2=123±5nm)及びFEx(265±14nm)のサイズ分布を示すグラフである。
図4】CEx融合をモニタリングするためのコバルト-カルセイン分析の結果を示す図である。
図5】多価金属イオンの種類を変えて融合の程度を確認した結果を示す図である。
図6】FEx内にグルコースオキシダーゼ(glucose oxidase、GOx)とHRP(horseradish peroxidase)酵素の連続段階反応に対する模式図を示す図である。グルコースを添加して開始され、好気酸化によってHが生成され、これは、アンプレックスレッド(Amplex Red)を酸化させてレゾルフィンを生成したことを示す。
図7】FExナノリアクターにカプセル化された3つの酵素の触媒作用を示す模式図である。乳糖の存在下では、β-ガラクトシダーゼ触媒の加水分解によりグルコースとガラクトースが生成される。このグルコースの好気性GOx触媒の酸化は、グルコン酸とHを生成し、これによって、アンプレックスレッドの酸化を触媒してレゾルフィンが生成された。
図8】FEx-GOx-HRPナノリアクターにカプセル化された2-酵素カスケードによるレゾルフィンの蛍光強度の経時変化を示す図である。レゾルフィンの蛍光強度が徐々に増加し、80分後に飽和状態に逹することを確認することができる。
図9】FEx-β-ガラクトシダーゼ-GOx-HRPナノリアクターにカプセル化された3-酵素カスケードによる乳糖の濃度に応じた反応速度を示す図である。
図10】FExナノリアクター(FEx-GOx-HRP)内にカプセル化された酵素及び溶液内の遊離酵素の相対的活性変化を示す図であり、(a)貯蔵性、(b)熱安定性、及び(c)サイクル特性に対する酵素特性の結果グラフである。
図11】本発明による区画化されたプラットフォーム内の触媒機能を評価した実験例3に関し、(a)パラジウムナノ粒子(Pd)を融合して製造したFEx-Pd-proRhoナノリアクターを用いて細胞内でproRhoの遊離ローダミンへの触媒転換を示す模式図である。(b)FEx-Pd-proRhoの代表的なTEM画像(~6nmのPdナノ構造、スケールバー、10nm)を示す図である。
図12】(a)は、FEx及びCExでローダミンをデマスキングするための蛍光放出スペクトル(λEx=498nm)、(b)は、FEx-Pd-proRho及びCEx-proRhoで時間関数としてのデマスキング反応の蛍光強度(%)(527nmにおける)変化を示す図である。
図13】(a)は、FEx-Pd-proFUナノリアクターを用いたプロドラッグ(pro-drug)の薬物への触媒による転換を示す模式図である。FEx-Pd-proFUナノリアクターを用いた抗がん剤5-フルオロウラシル(pro-FU)の活性化を示し、(b)は、様々な濃度(10μg/mL、30μg/mL、60μg/mL及び90μg/mL)のナノリアクターFEx-Pd-proFU及びCEx-proFUを培養した後のMCF-10A細胞の細胞生存率の結果を示すグラフである。
図14】本発明の実施例2によるエネルギー生成用の人工細胞小器官(FEx-1)を示す模式図である。エクソソーム膜と内部にそれぞれATP合成酵素とグルコースオキシダーゼを搭載したエクソソーム(ATPsyn-CEx-GOx)と、bo3オキシダーゼとHRP酵素を搭載したエクソソーム(bo3Oxi-CEx-HRP)との融合によって作成された人工細胞小器官でATP産生を行って低酸素条件の細胞までエネルギーを供給することができる。
図15】細胞に吸収された後、FEx-1ナノリアクター内部でエネルギーが生成されたか否かを確認するための、(a)経時によるpH勾配、(b)経時によるATP産生を観察した結果グラフである。
図16】(a)は、FEx-1が、低酸素症が誘導された細胞に吸収された後のATP活性を示す図であり、(b)は、異なる濃度で処理されたFEx-1ナノリアクターの細胞内ROSレベルを定量化して示す図である。
図17】本発明の実施例2及び比較例2による融合エクソソーム又は個別エクソソームにより合成されたATPを発光の程度で示すグラフである。
図18】低酸素コアを含む生体内組織と非常に類似の三次元多細胞スフェロイド構造を示す図であり、FExがスフェロイドに侵透し、ATP産生により低酸素条件で細胞酸化-還元を制御できることを示す模式図である。
図19】融合エクソソーム(FEx-1)を処理し、24時間培養した後のスフェロイドのATP活性レベルを測定した結果を示すグラフである。
図20】カルセイン-AM(acetoxymethyl)を用いたスフェロイドの細胞の生存力を分析した結果を示すグラフである。
図21】融合エクソソーム(FEx-1)処理した後のスフェロイドの活性酸素(ROS)レベルを測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明によるナノベシクルリアクター製造用組成物、ナノベシクルリアクター含有エマルジョン、ナノベシクルリアクターを含む細胞、及びナノベシクルリアクターの製造方法について詳しく説明する。
【0031】
このとき、他に定義されない限り、本明細書のすべての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有する。
【0032】
本発明の詳細な説明に用いられる用語は、単に特定の実施形態を効果的で記述するためのものであり、本発明をこれに限定することを意図したものではない。
【0033】
また、本発明の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって該当の構成要素の本質や順番又は手順などが限定されない。
【0034】
また、本明細書で特に記載しない添加物の単位は重量%であってもよい。
【0035】
また、本明細書で単数形は文脈で特に指示がない限り複数形も含むことを意図することができる。
【0036】
また、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのでなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0037】
なお、本明細書において、本発明の要旨を不必要に曖昧にする公知効果及び構成についての記載は省略する。
【0038】
本明細書において、「ナノベシクルリアクター」は、細胞や生体にナノ粒子を入れ、生体内で起こるか又は起こらない化学反応を誘導する機能を行うプラットフォームを意味することができる。本明細書において、「ナノリアクター」又は「ベシクルナノリアクター」と同じ意味で解釈することができる。
【0039】
本明細書において、「受容体」は、ベシクル膜表面に結合された分子であって、特異物質と選択的に結合する分子を意味することができる。
【0040】
本明細書において、「リガンドシステム」は、前記受容体と特異的に結合する特異物質を意味することができる。
【0041】
細胞小器官を人工的に合成して活用する人工細胞小器官の開発は、まだ初期段階にあり、中でも細胞外ベシクルであるエクソソームは、ナノサイズで生体来由の物質という点から、薬物、遺伝子及びワクチンの伝達に多様に活用できるという利点のため研究が続けられているが、生きている細胞に適用するためには、細胞内でも活性を長く維持でき、細胞の生存に影響を与えない必要がある。
【0042】
本発明者は、生きている細胞間の情報伝達体として機能する細胞外ベシクルをリプログラミングすることにより、液滴ベースのマイクロ流体リアクター上での化学反応によって2種類のナノベシクルリアクターが結合することで、内部物質同士の化学反応により融合することを確認し、本発明を完成した。
【0043】
本発明は、内部及び膜タンパク質に互いに異なる酵素を有するナノベシクルリアクターの融合反応によって、生触媒反応を容易に制御でき、細胞のエネルギー源であるATPを合成できる酵素を含むことで、生きている細胞内でエネルギー生成が可能な融合ナノベシクルリアクターを提供することができる。
【0044】
以下、本発明によるナノベシクルリアクター製造用組成物について詳しく説明する。
【0045】
具体的に、ナノベシクルリアクター製造用組成物は、ベシクルの表面に第1受容体を含有する第1ベシクル、及びベシクルの表面に第2受容体を含有する第2ベシクルを含み、第1受容体及び第2受容体は、リガンドシステムにより互いに結合され、第1ベシクルと第2ベシクルが融合してナノベシクルリアクターを形成することを特徴とすることができる。このとき、本発明の一実施形態において、第1受容体と第2受容体は互いに同一であってもよく、異なってもよい。本発明の目的によって、必要に応じて同一又は異なる受容体を選択してもよい。
【0046】
具体的に、第1受容体と第2受容体は、細胞表面タンパク質であってもよい。細胞表面タンパク質の具体的な例としては、CD9、CD63、CD81、CD82、CD147、CD107a、CD151、CD13、CD26、ITGA3、ITGA6、ITGB1、ITGB4、ADAM10、CD31B、EGFR、EpCAM、PSMA、及びPSAからなる群より選択されるものであってもよいが、こられに特に限定されるものではない。
【0047】
また、本発明の一実施形態において、第1受容体と第2受容体は癌特異的抗体であってもよい。
【0048】
前記リガンドシステムは、受容体と特異的な非共有結合によって相互作用する受容体結合部を含んでもよい。非共有結合の例としては、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、又はファンデルワールス力であってもよい。前記受容体結合部は、受容体と特異的非共有結合を形成できるanti-CD9、anti-CD63、anti-CD81、anti-CD82、anti-CD147、anti-CD107a、anti-CD151、anti-CD13、anti-CD26、anti-ITGA3、anti-ITGA6、anti-ITGB1、anti-ITGB4、anti-ADAM10、anti-CD31B、anti-EGFR、anti-EpCAM、anti-PSMA、及びanti-PSAであってもよいが、これらに必ずしも限定されるものではない。このとき、「anti-」は、前記細胞表面タンパク質と特異的結合を形成する1つ以上のエピトープを含む分子又は分子群を意味することができる。
【0049】
また、本発明によるナノベシクルリアクター製造用組成物は、前記リガンドシステムに配位結合性化合物を含んでもよい。このとき、本発明の一実施形態において、配位結合性化合物は、極性置換基を含む芳香族化合物であってもよい。具体的に、フェノール系化合物であってもよい。より具体的に、ヒドロキシル基又はカルボン酸基を1つ以上含むフェノール系化合物であってもよく、例えば、フェノール(Phenol)、カテコール(Catechol)、プロトカテク酸(Protocatechuic acid)、タンニン酸(Tannic acid)、没食子酸(Gallic acid)、リグニン(lignin)、エラグ酸(Ellagic acid)などであってもよいが、これらに限定されない。
【0050】
また、リガンドシステムは、多価金属イオンをさらに含んでもよい。具体的に、多価金属イオンは、アルミニウムイオン、チタンイオン,セシウムイオン、亜鉛イオン、又は鉄イオンであってもよい。より具体的に、Al3+、Ti4+、Ce3+、Zn2+、又はFe3+であってもよく、さらに具体的には、Al3+、Zn2+、又はFe3+であってもよい。
【0051】
これによって、前記受容体結合部及び配位結合性化合物の複合体は、前記多価金属イオンと配位結合を形成することができ、配位結合性化合物の極性置換基は、ヒドロキシル基又はカルボン酸基を含み、前記多価金属イオンと共に容易に金属-フェノール配位結合(Metal-phenolic coordination)を形成することができる。金属-フェノール配位結合によって、図1に示すように、第1ベシクル及び第2ベシクルの融合を誘導することができる。
【0052】
本発明において、ベシクルは、細胞膜の構造と同一のリン脂質(phospholipid)の二重膜の形態からなり、外膜が内部の物質を安定して維持できるものであれば種類は特に限定されない。ベシクルの平均直径は、10~1000nm、又は30~500nmであってもよい。ベシクルは、天然来由又は人工的に合成されたナノベシクルであってもよい。
【0053】
本発明の非限定的な一実施形態において、ナノベシクルは、生物来由の様々な細胞外ベシクルであってもよい。
【0054】
本発明の一実施形態において、10μm以下の平均直径を有する液滴ベースのマイクロ流体リアクターを用いて、2種類のナノベシクル融合を行うことができる。このとき、2種類のナノベシクルは、エクソソーム、エクソソーム以外の細胞外ベシクル又はこれらの組み合わせであってもよい。具体的に、例えば、i)互いに異なるエクソソーム、ii)異なるエクソソーム以外の細胞外ベシクル、iii)エクソソーム、及びエクソソーム以外の細胞外ベシクルであってもよい。
【0055】
液滴ベースのマイクロ流体リアクターは、水と油のように互いに混ざらない2つの流体を用いて、マイクロ流体チップ上に複数の液滴(droplet)を形成し、このように互いに分離された区域を有する複数の小さな液滴を、バイオリアクターで活用して新しい機能性材料を合成するか、又は生体物質を高感度分析するために用いる。本発明の一実施形態によると、液滴ベースのマイクロ流体リアクターを用いたナノベシクルの融合によって、各ナノベシクルの内部物質の化学反応を誘導することができる。
【0056】
本発明の一実施形態において、前記液滴ベースのマイクロ流体リアクター当たりのベシクルは、200個以下、具体的に100個以下、より具体的に60個以下で含まれてもよい。これによって、ナノベシクル内部及び膜タンパク質に互いに異なる酵素を有するナノベシクルの融合反応により生触媒反応を成功的に制御することができる。
【0057】
本発明の非限定的な一実施形態において、細胞外ベシクルは、酵素カスケード反応を安定して行うことができ、標的能に優れたエクソソームであってもよい。エクソソームナノリアクターの主な利点は、膜タンパク質が透過性シェルの役割をし、化学試薬の流れを促進し、向上した生体触媒性能のために組み込まれた酵素の浸出を防止して深部組織への浸透が容易であるという点である。
【0058】
本発明の一実施形態において、第1ベシクルと第2ベシクルは同じ受容体を含むものであり、互いに異なる酵素を含んでもよい。このとき、酵素は、2種類以上又は3種類以上であってもよく、ナノベシクルリアクターは、複数の酵素によってカスケード反応を行うことができる。
【0059】
酵素の具体的な例としては、NADH dehydrogenase(NADH脱水素酵素)、Acetylcholinesterase、Alcohol dehydrogenase(アルコール脱水素酵素)、Bacteriorhodopsin(バクテリオロドプシン)、Photosystem II(光化学系II)などであってもよいが、これらに限定されず、ベシクル内にカプセル化できるものであれば必要に応じて多様に適用することができる。
【0060】
図9は、3触媒-カスケード反応の結果を示し、具体的には、FEx-β-ガラクトシダーゼ-GOx-HRPナノリアクターにカプセル化された3種の酵素カスケードを示す図である。基質として乳糖の存在下で、β-ガラクトシダーゼ(23.6μg/mg)は、乳糖の加水分解を触媒してグルコースとガラクトースを生成した。生成されたグルコースの好気性GOx触媒(31.2μg/mg)の酸化により、グルコン酸とHが生成され、HRP(18.9μg/mg)がこれを用いてアンプレックスレッドを酸化させてレゾルフィンを形成した。蛍光顕微鏡を用いてレゾルフィンの蛍光乳糖依存性の変化をモニタリングした。運動定数(Km及びVmax)を計算するために、反応速度(μM/sec)を乳糖の濃度(μM)に対して示した。FEx-β-ガラクトシダーゼ-GOx-HRPナノリアクターとCEx-β-ガラクトシダーゼがあるFEx-GOx-HRPに対するKm値は、それぞれ28.78×10-6M及び489.65×10-6Mであり、FExに対するVmax値は、-β-ガラクトシダーゼ-GOx-HRPナノリアクターとCEx-β-ガラクトシダーゼがあるFEx-GOx-HRPの場合、それぞれ123.16×10-6M/min及び43.06×10-6M/minであった。
【0061】
また、本発明は、内水相に上述のナノベシクルリアクター製造用組成物を含むエマルジョンを提供することができる。このとき、前記エマルジョンは、2~100μm、又は1~50μmの平均直径を有してもよい。
【0062】
さらに、本発明は、上述のナノベシクルリアクター製造用組成物を含む細胞を提供することができる。非限定的な例として、前記ナノベシクルリアクターは、第1ベシクル内にATP合成酵素、第2ベシクル内にbo3オキシダーゼを含んでもよい。これによって、ナノベシクルリアクターは、エネルギーを生成するために用いられ、低酸素症により損傷した細胞にエネルギーを供給するナノ錠剤として活用できるという利点を提供することができる。
【0063】
本発明の一実施形態において、ナノベシクルリアクターは、細胞に吸収されて作動することができる。具体的に、エンドサイトーシス(endocytosis)によってもよいが、これに限定されず、様々なメカニズムにより細胞に吸収されてもよい。
【0064】
本発明によるナノベシクルリアクターは、低酸素コアを含む多細胞スフェロイドのコア部まで深く侵透することができる。図19図21に示すように、人工エクソソームは、乳がんを模したスフェロイド内の深部まで侵透できることを確認した。これは、人工エクソソームが低酸素症により損傷した細胞にエネルギーを供給するナノ錠剤として活用される可能性を示唆する。これによって、腫瘍中心部のATP欠乏に対する解決策を提供することができる。
【0065】
ナノベシクルリアクターを含む細胞は、バクテリア、植物又はヒトを含む動物来由の細胞であってもよい。
【0066】
また、本発明は、(S1)ベシクルの表面に第1受容体を含有する第1ベシクル溶液を製造するステップと、(S2)ベシクルの表面に第2受容体を含有する第2ベシクル溶液を製造するステップと、(S3)第1ベシクル溶液と第2ベシクル溶液を混合して含んで混合液を製造するステップと、(S4)前記混合液に多価金属イオンを混合して第1ベシクルと第2ベシクルを融合するステップと、を含むナノベシクルリアクターの製造方法を提供することができる。
【0067】
本発明の一実施形態において、前記(S1)及び(S2)ステップにおける第1ベシクル溶液及び第2ベシクル溶液は、互いに独立して配位結合性化合物で処理するステップをさらに含んでもよい。
【0068】
以下、実施例により本発明についてより詳しく説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を詳しく説明するための参照例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、多様な形態で実施することができる。
【0069】
製造例1.カテコールで改質されたエクソソーム(CEx)の製造
ヒト乳房上皮細胞MCF-10A(cat#CRL-10317、American Type Culture Collection(ATCC))を、5%ウマ血清(Invitrogen #16050-122)、20ng/ml表皮成長因子(EGF、cat# AF-100-15、Peprotech)、0.5mg/mlヒドロコルチゾン(cat# H0888、Millipore)、10μg/mlインスリン(cat# I1882、Millipore)、1%抗生剤/抗真菌剤(100U/mlペニシリン及び100mg/mlストレプトマイシン)が補充されたダルベッコ変形培地(DMEM/F-12;cat# 11330-032)18mlを含むT75細胞培養フラスコ(Corning、NY、USA)にフラスコ当たりに5×10個細胞の密度で播種した。細胞を60~70%コンフルエントになるまで5%COを含む加湿雰囲気のインキュベーター内で37℃で培養した後、1xリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)を用いて2回洗浄し、また10%Exo-Free FBS(Systems Biosciences Inc、CA、USA)及び1%抗生剤/抗真菌溶液で補充したRPMI(Roswell Park Memorial Institute)培地(Gibco、Thermo Fisher Scientific)で洗浄した。その後、細胞を37℃のインキュベーター内で48時間インキュベーションした後、細胞培養上清を収集し、超遠心分離によってエクソソームを直ちに単離した。
【0070】
ドーパミン塩酸塩(1mM、cat# 62-31-7、Sigma Aldrich)及び2mMジスクシンイミジルカーボネート溶液をそれぞれ1mL及び15mLジメチルホルムアミドで製造し、ドーパミン塩酸塩溶液を2mMジスクシンイミジルカーボネート溶液に撹拌しながら30分間かけて滴加した後、2mMのEtNをゆっくり添加した。1時間後、溶媒を部分的に蒸発させて1NのHClを添加した。最後に、EtOAcを用いてこの混合物から生成物を抽出した。その後、抗CD9抗体を結合するために、カテコール-NHS(1mg)を最小量のジメチルホルムアミドに溶解し、PBS(0.2mg/mL)中のCD9抗体溶液(BioLegend、マウスモノクローナル)に添加した。試薬に対する抗体溶液のモル比は、>10に調整された。2時間後、PBSに対する透析により生成物を精製した。MCF-10A来由のエクソソームをカテコール抗CD9(500ng/mL)と共に37℃で1時間インキュベーションし、カテコールで操作されたエクソソーム(CEx)を得た。最終生成物を超遠心分離(120,000×g、4℃で2時間)によって反応混合物から精製して得ることができた。
【0071】
実施例1.融合エクソソームFExの製造
50μMカルセイン(calcein)、1μMのCoCl2、10mMのMOPS(pH7.4)、及び前記製造例1によって製造された10μg/mLのCEx混合物を室温で3分間超音波処理して、カルセイン及びCo2+錯体をCEx内にカプセル化(CEx-1)した。また、10μMのEDTA、10mMのMOPS(pH7.4)、及び前記製造例1によって製造された10μg/mLのCExと混合して、EDTAをCEx内にカプセル化(CEx-2)した。前記CEx-1及びCEx-2は、いずれも120,000×gで1時間の間2回遠心分離して過剰のEDTAとコバルトカルセインを除去した。明るいオレンジ色のペレットを10mMのMOPS(pH7.4)を含む0.6mL緩衝液に再懸濁し、CEx懸濁液(3×10particles/mL)とFeCl・6HO(40ng/mL)溶液の水相をマイクロ流体装置に注入してCEx-1及びCEx-2エクソソーム融合を行った。
【0072】
実施例2.融合エクソソームFEx-1(ATPsyn-bo3Oxi-FEx-Gox-HRP)の製造
10%ナトリウムコレート(sodium cholate)60μL、MCF-10A来由のエクソソーム懸濁液300μL(NTAを用いて計算した5×10±2.6×10particles/mL、BCA分析を用いて計算した87μg)及びMOPS緩衝液(pH7.4)200μLの混合物に、ATP合成酵素及びbo3オキシダーゼ(BCA分析を用いて計算した1mg/mL)100μLを各2つの反応に別に添加した。この混合物を4℃で15分間撹拌し、これを室温でMOPS緩衝液で平衡化したSephadex G-50樹脂を含有する重力カラムに通した。濁った画分を新しい超遠心分離器管に移し、エクソソーム懸濁液を2回洗浄してTi45固定角回転子(Beckman Coulter)で120,000×g及び4℃で2時間遠心分離して過剰なATP合成酵素を除去し、融合エクソソームFEx-1(ATPsyn-bo3Oxi-FEx-Gox-HRP)を製造した。
【0073】
エクソソームペレットを200μLの予め濾過したPBSに再懸濁し、すぐに使用するために4℃で、又は長期保管するために-80℃で保管した。エクソソームに融合されたATP合成酵素とbo3オキシダーゼの量は、それぞれ23ng/μg及び17ng/μgであると測定された。
【0074】
実施例3.融合エクソソームFEx-Pd-proRhoの製造
前記製造例1によって製造された10μg/mLのCEx混合物にパラジウムナノ粒子(Pd NPs)を入れ、CExにカプセル化したエクソソーム(CEx-Pd)を製造し、同一の方法によりビス-アリルオキシカルボニル保護ローダミン(proRho)が組み込まれたエクソソーム(CEx-proRho)を製造した。前記CEx-Pd及びCEx-proRhoエクソソーム間の融合を行うことで、融合されたエクソソーム(FEx-Pd-proRho)を製造した。
【0075】
比較例2.酵素を直接組み込んだエクソソームの製造(A)GOx、Hrp、ATpsynthase及びbo3Oxidaseを併用してエクソソーム内にカプセル化したエクソソームの製造
最終のタンパク質濃度が3.6μg/mLのエクソソーム懸濁液(250μL)を氷上で冷却し、0.2%サポニン溶液を添加した。混合物を42kHzの周波数及び100Wの電力でFS30D bath型超音波処理器(Fisher Scientific)を用いて、2分間蓋付きガラスバイアルで超音波処理した。室温で20分間振とうした後、酵素が組み込まれたエクソソームを超遠心分離(120,000×g及び4℃で2時間)で遊離酵素を除去した後、PierceTMBCAタンパク質分析キット(Thermo Fisher Scientific)を用いて定量した。
【0076】
(B)GOx、Hrp、ATpsynthase及びbo3Oxidaseを順にエクソソーム内にカプセル化したエクソソームの製造
すべての酵素(GOx、Hrp、ATpsynthase及びbo3Oxidase)をステップの間で洗浄する度に順にカプセル化したことを除いて、前記(A)製造過程と同様に行った。
【0077】
[実験例1]融合エクソソーム特性の確認
1-1.DLS(Dynamic Light Scattering)を用いて測定したエクソソームのサイズ分布
Malvern Zetasizer(Nano ZS)を用いて固定された角度で散乱光強度の動的変動によるエクソソームの移動速度の分布を分析してエクソソームのサイズ分布を記録した。ブラウン運動によって、エクソソームの流体力学的半径は、ストック-アインシュタイン方程式で計算された。エクソソーム溶液を無粒子PBS(1000x、200nmフィルターを通過する)に希釈した。約1mLのサンプルを30秒間ボルテックスし、凝集を避けるために使い捨てキュベッに迅速にロードした。エクソソーム、CEx及びFExのサイズ分布は、最小3回の独立した実験により測定した。その結果を図3に示す。
【0078】
1-2.カルセイン-Co の分析
融合エクソソーム(FEx)が単純接合でなく内部内容物の混合であることを確認するために、CEx-1とCEx-2を別に融合した後、カルセイン-Co2+分析を行った。その結果を図4に示す。時間に対する蛍光強度をプロットすると、融合後に信号が約10倍増加し、10分以内に飽和することが分かった。これは、膜と内部物質との間の混合が起こると、CEx-2内にカプセル化されたEDTAがCEx-1内にカプセル化されたCo2+に優先して結合し、カルセインが蛍光を起こさないようにするためであり、内容物の混合が確認された。
【0079】
[実験例2]融合エクソソームナノリアクター内のマルチ酵素カスケード作動の評価
two-enzyme cascade reactions:
図6の模式図に示すように、グルコースオキシダーゼ(GOx)とHRP酵素をそれぞれ搭載したエクソソームを融合した後、融合エクソソームナノリアクター(FEx-GOx-HRP)の内部でマルチ酵素生体触媒連続段階反応(cascade reaction)を行った。ブドウ糖(グルコース)を添加して好気性酸化によって過酸化水素及びグルコン酸(gluconic acid)が生成され、HRP付近で生成された過酸化水素は基質として作用し、HRPがアンプレックスレッド酸化を触媒し、蛍光生成物であるレゾルフィンを生成できるようにした。
【0080】
FEx-Gox-HRPナノリアクターの酵素活性と動力学をモニタリングした。酵素カプセル化効率は、他の染料で標識された酵素に対する補正曲線を用いて、蛍光分光光度法によって決定された。酵素生体触媒カスケード反応の速度は、マイクロプレートリーダー(TECAN無限M200PRO)を用いて563nmでレゾルフィン(resorufin)の蛍光強度を用いて測定した。FExナノリアクターのVmax及びKMを決定するために、標準ミカエリス・メンテン(Michaelis-Menten)酵素動力学方程式を用い、GraphPad Prism 8.0.1を用いた。FEx-GOx-HRPナノリアクターのミカエリス・メンテン定数(Km)値は、CEx-GOxとCEx-HRPの均質混合物に比べて16倍まで減少し、最大反応速度(Vmax)は、FEx-GOx-HRPナノリアクターの場合、3倍まで増加することが確認された。
【0081】
1)貯蔵安定性の評価
FExナノリアクター(FEx-GOx-HRP)内にカプセル化された溶液及び酵素内の遊離GOx及びHRPの相対的活性変化を調べるために、室温(25℃)で数日間保管した後、貯蔵安定性を測定するために、遊離酵素(GOx+HRP)とFEx-GOx-HRPをPBSに室温(25℃)で貯蔵した。貯蔵中に安定性を決定するために7日間活性を測定した。結果は、図10の(a)に示す。遊離酵素の場合、相対活性が20%に減少した一方、FExナノリアクター内のカプセル化された酵素は、7日後でも活性の69%を維持することが確認された。
【0082】
2)熱安定性の評価
60℃で1時間培養した後、溶液及びFExナノリアクター(FEx-GOx-HRP)内にカプセル化された遊離GOx及びHRPの相対的活性変化を分析し、結果を図10の(b)に示す。触媒活性は、熱安定性を決定するために10分ごとに測定された。遊離酵素の場合、相対的活性が~5%に減少した一方、カプセル化された酵素は、1時間培養後にも活性の64%を示すことを確認した。
【0083】
3)リサイクル性の評価
5回の繰り返しサイクルの後、MFEx-GOx-HRPシステムの相対活性変化を分析し、結果を図10の(c)に示す。FEx-GOx-HRPの初期活性は、5回の繰り返し実験後でも89%以上維持されることを確認した。
【0084】
[実験例3]融合エクソソームにおける生体直交触媒の作用
3-1.融合エクソソームの区画化内の触媒機能の評価
区画化内の触媒機能を評価するために、図11に示すように、細胞内のアリルカルバメート(allylcarbamate)に捕捉された蛍光団から蛍光を生成するためのモデル生体直交反応によりパラジウム触媒脱アリル化を行った。実施例3によって製造されたFEx-Pd-proRho内のPd NPは、ICP-MSで定量化した。Pd NPの存在は、図11の(b)に示す高解像度TEMによって確認することができる。
【0085】
ナノリアクターの触媒特性は、蛍光計でモニタリングした蛍光生成物ローダミンの形成によって評価された。図12に示すように、反応溶液の蛍光強度はFEx-Pd-proRhoの場合、527nmから時間の経過と共に増加したが、CEx-proRhoはほとんど変化がなかった。
【0086】
3-2.融合エクソソームの細胞内触媒作用
1)蛍光画像の確認
FEx-Pd-proRhoナノリアクター(30μg/mL)をMCF-10A細胞と共に37℃で24時間培養して細胞内触媒実験を行った。MCF-10A細胞のCLSM画像は、proRhoの蛍光性ローダミンへの触媒転換によって緑蛍光を示したが、CExを用いた対照実験では蛍光信号が検出されなかった。
【0087】
2)前駆染料の活性化に対するフローサイトメトリーの分析
MCF-10Aヒト乳房上皮細胞(1×10cells)を6ウェルプレートに接種し、5%ウマ血清(Invitrogen #16050-122)、20ng/mL表皮成長因子(EGF、cat# AF-100-15、Peprotech)、0.5mg/mLヒドロコルチゾン(cat# H0888、Millipore)、10μg/mLインスリン(cat# I1882、Millipore)、及び1%抗生剤/抗真菌剤(100U/mLペニシリン及び100mg/mLストレプトマイシン)が補充されたDMEMで37℃及び5%COで培養した。24時間後、上清を除去し、FEX-Pd-proRho(30μg/mL)の懸濁液が含有された新鮮な培地と交換した。過剰なFEx-Pd-proRhoを除去するために、24時間培養した後にPBSで洗浄した。セルをPBSで洗浄した後、セルストリッパー液(Corning(登録商標)100mL CellstriperTM)で20分間培養して分離した。その後、1200rpmで3分間細胞を採取し、2%のウシ胎児血清(FBS)を用いてPBSでまた再懸濁させた。細胞は、FSC xV、SSC xV、FITC xV、APC xV設定を用いてフローサイトメトリー測定(CytoFLEX、Beckman Coulter Life)のために準備した。サンプル当たりに50,000個のイベントが記録された。使用された励起波長と放出波長は、それぞれローダミンの場合、530/30nm FITCであった。データは、FlowJoソフトウェア(FlowJo、LLC)を用いて分析した。図示されてはいないが、フローサイトメトリー分析によって、蛍光強度信号が反応後に100倍高いことが確認された。
【0088】
3)薬物伝達システム特性の評価
図13の(a)に示すように、FEx-Pd-proFUナノリアクターを用いたプロドラッグ(pro-drug)の薬物への転換特性を確認した。5-フルオロウラシル(5-FU)の生体直交デマスキングのために、CEx-Pdとマスクされた不活性治療分子[5-fluoro-1-propargyl uracil(proFU)]-loaded CExとの間の融合を行った。この薬物は、N1位置の機能化によって細胞毒性ヌクレオチド代謝産物を転換させた後、チミジレートシンターゼ(thymidylate synthase)を抑制し、RNA及びDNA鎖に統合して細胞機能を妨害する役割をする。この薬物の細胞内機能/脱マスクを確認するために、FEx-Pd-proFUと共に24時間培養した後、MCF-10A細胞に対してlive/dead細胞分析によって細胞毒性を評価した。その結果を図13の(b)に示す。FEx-Pd-proFUと共に培養すると細胞生存率が23%に低下する一方、CEx細胞の場合には91%が生存することを確認することができる。
【0089】
[実験例4]融合エクソソームのエネルギー生成の確認
実施例2によって製造された融合エクソソームFEx-1(ATPase-bo3Oxi-FEx-Gox-HRP)ナノリアクター、及び比較例2によって製造された酵素の直接組み込みによるエクソソームのATP産生の有無を確認するために、pH変化及びATP活性を測定した。
【0090】
4-1.pH変化
他の酵素(HRP、GOx、ATP合成酵素及びbo3オキシダーゼ)を含むFEx-1ナノリアクターをグルコースとDTTで処理して酵素反応を開始させた。HPTSをFEx-1にカプセル化して黒い96ウェルプレートでタンパク質を最終濃度137μg/mLに希釈した後、30℃で5分間培養した。その後、40μMコエンザイムQ1と2mMのDTTを加えた。DTTは、Q1を還元してbo3オキシダーゼに使用できるようにする。DTT添加1分後、グルコース(300nM)を反応混合物に添加した。蛍光スペクトルは、380±5~480±5nmの励起、及び512±5nmの放出で分光光度計(TECAN、Morrisville、NC、USA)を用いて、0分~90分まで測定し、pHは検量線から求めた。その結果を図9の(a)に示す。
【0091】
pH検出指示薬であるHPTS(hydroxypyrene-1,3,6-trisulphonic acid)の蛍光信号を測定してナノリアクター内部のプロトンの生成を確認した。グルコースの濃度を増加させると、FEx-GOx-HRP及びFEx-1に対してナノリアクター内部の酸性化(ΔpH-0.4)が観察されたが、膜貫通pH勾配は低かった。FEx-1膜の組み立てられた電子伝達鎖の活性化は、還元したDTTを添加することで引き起こされ、これは、補助酵素Q1を還元してbo3オキシダーゼ活性に用い、bo3オキシダーゼによって還元したQ1(Q1H)が酸化してプロトンを各融合した後、小胞でポンピングして90分後にΔpH=-1.6になった。これは、ATP合成を誘導するに十分なプロトン原動力(PMF)を構築した。すなわち、融合エクソソームナノリアクターのbo3オキシダーゼプロトンポンプの活性によって再構成されたタンパク質が完全な機能を行うことができることを確認した。
【0092】
4-2.ATP活性
ATP測定キットA22066(Invitrogen)プロトコールによって標準検量曲線を描いた。8.9mLのHO、0.5mL反応緩衝液(500mMトリシン緩衝液(pH7.8)100mM、MgSO、及び2mMのEDTA、2mMのアジ化ナトリウム)を含む標準溶液、0.1M DTT 0.5mL、10mM D-ルシフェリン0.5mL及び5mg/mLホタルルシフェラーゼ2.5μLを準備した。合成されたATPがルシフェラーゼによってピロリン酸とアデノシン一リン酸に変換されると発光するため、分光光度計(TECAN、Morrisville、NC、USA)を用いて発光性を測定した。その結果を図9の(b)に示す。グルコース又はDTTのみ添加したATP産生と比較して、グルコース-DTT(1.31±0.05ATPμmol/mg)を添加したATP産生の場合、相対的に速く増加した。これに対し、グルコースとDTTがないと、ATP産生はほとんど検出されなかった。
【0093】
図11は、比較例2によって製造された個別構成要素(GOx、HRP、ATPsynthase及びbo3Oxidase)をエクソソームに直接組み込んだ場合、及び実施例2によって製造された融合エクソソームのATP産生を発光の程度で示す図である。酵素を直接カプセル化した場合よりも、本発明によって融合されたエクソソームでのATP産生が顕著に増加したことが確認された。
【0094】
[実験例5]融合エクソソームのスフェロイド浸透効果の確認
5-1.融合エクソソームを含む低酸素症が誘導されたスフェロイドの準備
MCF-10A(30μL、10cells/mL)細胞懸濁液をペトリ皿に分注し、反転した状態で維持した。プレートの下部には蒸発を防止して湿度を維持するために10mLのPBSが満たされた。24時間ごとに培地を~5μLずつ吸引し、10μLの新鮮な培地と交換してスフェロイドを培養した。FEx-1ナノリアクター(206μg)を含む10μLの新鮮な細胞培地と交換し、24時間後にスフェロイドをPBSで洗浄した。その後、600μMのADP及び5mMのMgClを含む30μLの細胞培地を添加した後、60μMの補酵素Q1及び3mMのDTT(Dithiothreitol)を添加した。24時間培養後、スフェロイドを30μMのTBHP(tert-butyl hydroperoxide)で3時間処理し、低酸素症が誘導されたスフェロイドを製造した。
【0095】
5-2.ATP活性の測定
ATP産生は、ルシフェリン-ルシフェラーゼ(luciferin-luciferase)分析を用いて発光で測定された。標準検量曲線は、ATPの量を0~1000nMの範囲で変化させ、発光強度(ルシフェリンからオキシ-ルシフェリン)をモニタリングして得て、ATP活性(%)は、正常条件で存在するATPの総量を基準として求めた。その結果を図12に示す。低酸素条件ではATP活性は13倍ほど減少したが、FEx-1ナノリアクターが内部化されたスフェロイドにグルコース-DTTを加えると、ATP活性レベルは、低酸素症のない陽性対照群のレベルに近い81.1±5.9%レベルに回復することが観察された。
【0096】
5-3.細胞生存率(Cell viability)の測定
低酸素症を誘導した後、哺乳類細胞用LIVE/DEAD生存率/細胞毒性キット(cat# L3224、Thermo Fisher Scientific)を用いてスフェロイドの細胞生存率を測定した。PBSに8μMのカルセイン-AM及び16μMのエチジウムホモダイマ-1を混合して入れ、低酸素症が誘導されたスフェロイドを含むハンギングドロップの体積の25%をこの混合物で置き換えた。45分間インキュベーションした後、スフェロイドを新鮮なPBSで3回洗浄して過剰な染料を除去した。細胞生存率は、カルセイン-AM(λex=490nm及びλem=520nm)を用いて測定して図13に示す。データは、n=3個の独立した実験の平均±SDを示す。
【0097】
低酸素条件下では細胞生存率は6倍ほど減少したが、FEx-1ナノリアクターが内部化されたスフェロイドにグルコース-DTTを加えると、細胞生存率は、低酸素症のない陽性対照群のレベルに近い93.7±4.5%レベルに回復することが観察された。
【0098】
5-4.酸化ストレス(Reactive oxidative stress、ROS)レベルの測定
ROSを測定するための陽性及び陰性対照群の場合、スフェロイドをそれぞれ1時間の間30μMパラコート又は50μMグルタチオンで処理し、PBSで2回洗浄した後、スフェロイドを100μLジクロロジヒドロフルオレセイン二酢酸と共に37℃で1時間インキュベーションした。その後、PBSで穏やかに洗浄し、485nmでの励起及び535nmでの放出によって、分光光度計(TECAN、Morrisville、NC、USA)を用いて蛍光強度を測定した。データは、n=3個の独立した実験の平均±SDを示す。図14に示すように、FEx-1ナノリアクター及びグルコース-DTTで処理したとき、スフェロイドでROSが2倍ほど減少する結果により、本発明によるナノベシクルリアクターは、酸化ストレス除去効果を提供できることが確認された。
【0099】
これによって、本発明によるベシクルナノリアクターは、様々な疾患の条件下で観察される低酸素症による細胞損傷を低減でき、細胞の代謝活性を調節できることを確認した。また、スフェロイドコアまで深く浸透された結果から、本発明のナノベシクルリアクターは、組み込まれた酵素が浸出することなく、腫瘍の深部組織まで侵透することにより、生体触媒の性能を向上させることができることが予想される。
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【国際調査報告】