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特表2024-522153エンベロープ一体型の空気入りタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】エンベロープ一体型の空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/12 20060101AFI20240604BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240604BHJP
   B29C 73/16 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B60C19/12 Z
B60C1/00 Z
B29C73/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574717
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 IB2022055083
(87)【国際公開番号】W WO2022254333
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202111024298
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.KEVLAR
2.DYNEEMA
(71)【出願人】
【識別番号】523453684
【氏名又は名称】スミティパルナ・サトパシー
(71)【出願人】
【識別番号】523453695
【氏名又は名称】サミール・パンダ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スミティパルナ・サトパシー
(72)【発明者】
【氏名】サミール・パンダ
【テーマコード(参考)】
3D131
4F213
【Fターム(参考)】
3D131AA60
3D131BC24
3D131BC31
3D131BC38
3D131LA13
4F213AH20
4F213WA95
4F213WB01
4F213WM05
4F213WM38
(57)【要約】
本発明は、エンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)であって、トレッド(1)と、ベルトシステム(2)と、タイヤケーシング(3)とを備え、タイヤケーシング(3)が、サイドウォール(4)、ビード(5)、ならびに、トップ層としての役割を果たすカーカスプライ(6)、ボトム層としての役割を果たすインナーライナ(7)、およびカーカスプライ(6)とインナーライナ(7)との間に挟まれたエンベロープ(8)を含むが、これらに限定されない、複数の層を備え、タイヤケーシング(3)内にあるエンベロープ(8)には流体が注入され、タイヤケーシング(3)が、ベルトシステム(2)に貼り付けられ、ベルトシステム(2)が、空気入りタイヤ(100)のトレッド(1)に貼り付けられ、サイドウォール(4)が、タイヤケーシング(3)を保護する、エンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)であって、
トレッド(1)と、
ベルトシステム(2)と、
タイヤケーシング(3)と
を備え、
前記トレッド(1)が、路面と接触する前記空気入りタイヤ(100)の外側層であり、
前記タイヤケーシング(3)が、サイドウォール(4)、ビード(5)、ならびに、トップ層としての役割を果たすカーカスプライ(6)、ボトム層としての役割を果たすインナーライナ(7)、および前記カーカスプライ(6)と前記インナーライナ(7)との間に挟まれたエンベロープ(8)を含むが、これらに限定されない、複数の層を備え、
前記エンベロープ(8)が、前記タイヤケーシング(3)の内部にある、流体が注入された密封中空体であり、前記タイヤケーシング(3)が、前記ベルトシステム(2)に貼り付けられ、前記ベルトシステム(2)が、前記空気入りタイヤ(100)の前記トレッド(1)に貼り付けられ、
前記サイドウォール(4)が、前記タイヤケーシング(3)および前記ビード(5)を保護し、前記ビード(5)が、前記タイヤケーシング(3)を取り囲んで前記空気入りタイヤ(100)をホイールのリムに連結する、
エンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項2】
前記空気入りタイヤ(100)は、所望の量のタルカムパウダを使用せずに製造され、それにより、前記空気入りタイヤ(100)における亀裂および固着を防止し、前記空気入りタイヤ(100)の寿命を延ばす、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項3】
前記エンベロープ(8)が、前記空気入りタイヤ(100)の前記インナーライナと前記複数の層との間に挟まれる、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項4】
前記エンベロープ(8)が、前記空気入りタイヤ(100)内に予め作製される、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項5】
前記エンベロープ(8)が、半加硫され、前記複数の層と前記インナーライナの内面との間に挟まれる、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項6】
前記エンベロープ(8)が、前記空気入りタイヤ(100)の前記トレッド領域を比例的にカバーする、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項7】
前記エンベロープ(8)が、前記空気入りタイヤ(100)の内側から、前記トレッド(1)領域およびショルダ(9)領域を比例的にカバーする、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項8】
前記エンベロープ(8)が、前記空気入りタイヤ(100)の前記サイドウォール(4)の内側部から前記トレッド(1)領域およびショルダ(9)領域を比例的にカバーする、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項9】
中間層を形成する前記エンベロープ(8)が、ブチルゴムおよび再生ブチルおよび/または臭化ブチルゴムを含むが、これらに限定されない材料から作られる、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項10】
中間層を形成する前記エンベロープ(8)が、ブチルゴムおよび再生ブチルおよび/またはEPDMを含む材料から作られる、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項11】
中間層を形成する前記エンベロープ(8)が、天然ゴムおよび再生天然ゴムおよび/またはEPDMおよび/またはネオプレンゴムから作られる、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項12】
中間層を形成する前記エンベロープ(8)が、前記空気入りタイヤ(100)内で前記流体を包含するように、ポリアミドおよび/またはナイロンおよび/またはダイニーマおよび/またはKevlarおよび/またはEPDMのような合成繊維を含む材料から作られる、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項13】
前記エンベロープ(8)が、ヒートシンクのような役割を果たす半粘性流体を含むが、これに限定されない、前記流体を包含する、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項14】
前記エンベロープ(8)に、前記空気入りタイヤ(100)の過熱および/または局所的な過熱を防ぐクーラントが注入される、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項15】
前記エンベロープ(8)が、不凍添加剤を、零下温度においても前記不凍添加剤を流体状態で保持するように、有する、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【請求項16】
前記エンベロープ(8)に、前記空気入りタイヤ(100)における漏洩を封じるようにシーラントが注入される、請求項1に記載のエンベロープ一体型の空気入りタイヤ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その強度、耐久性および寿命を向上させるようにエンベロープを収容する空気入りタイヤに関する。より詳細には、本発明は、シーラントおよびクーラントを包含するためのエンベロープを有し、タイヤの効力および活力(verve)を向上させる、タイヤケーシングからなるタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、リング状の構成要素であり、ホイールのリムを囲繞して、車両荷重を車軸からホイールを通して地面へ伝え、トラクションをもたらす。大多数のタイヤは、空気の注入で膨張され、衝撃を吸収するように柔軟な緩衝を提供する。タイヤは、トレッドおよび本体からなる。トレッドは、路面と接触するタイヤの部分である。それは、急速に摩耗しない適切なトラクションレベルを提供するような厚みのあるゴムである。タイヤの本体は、ホイールのリムと接触するタイヤビード、トレッドとビードとの間をつなぐサイドウォール、およびタイヤに引張強さを提供するようにゴムコードから作られるプライなどの多くの構成要素を有する。
【0003】
プライは、異なるファブリックのいくつかの層にすぎず、タイヤの強度を決定する。大多数のタイヤは、2つのプライ、4つのプライ、8つのプライまたはそれを上回るプライを有する。プライは、ホイールに対する擦れを制限するためにタイヤの敏感な領域に配置され、チューブレスタイヤのエアバルブの目的を果たす。タイヤにおいてプライの数が多いほど、タイヤはより強靭かつより堅くなる。
【0004】
米国特許第3989083(A)号には、張力だけでなく剪断応力もカーカスプライおよびプライのコード補強材によって均等に分配される多数のカーカスプライを特徴とする、競技車両用のタイヤが開示されている。これは、プライ間からの補強コードの経路およびエンドカウント(end count)ならびにプライのゲージを変えることによって実施される。この発明の主な欠点は、これらのプライが荷重を支承し、時には荷重が高いと、それらがタイヤを破壊する、または亀裂を生じさせるおそれがあることである。
【0005】
米国特許第3406733(A)号には、コードが巻き付けられたビードワイヤならびにエラストマー緩衝組成物の第1および第2の層を備える、略径方向に向いた非金属コードのカーカスを有する空気入りタイヤのビードが開示されている。エラストマー緩衝組成物は、ビードワイヤの周りに延びるコードの両側にあり、ビードワイヤ近くにおいてコードを包含する。組成物は、それらの破壊荷重の10分の1に等しい荷重下で測定されるカーカスコードの弾性係数kg./mm.の0.8を超えない、100%の伸長で測定される弾性係数g/mmを有する。この発明の主な欠点は、カーカスが、カーカスの材料の消耗を引き起こすビードを備えることである。
【0006】
PT79180Bには、剛性円形リング、およびリング上に、リングとビードとの間にエンベロープが挟まれた状態でタイヤカーカスビードの外面にリングをしっかりとクランピングするための一連のクランプを用いて、カーカス上における新しいトレッド部の加硫のために、タイヤカーカスに対してタイヤ更生エンベロープを封じる方法および装置が開示されている。しかし、ここで言及されるエンベロープは、タイヤの一部ではなく、その代わりに、製造工程で外周に使用され製造完了後に除去される。リングがタイヤの各ビード上にクランピングされる場合、エンベロープが空にされてタイヤが加硫プロセスを受けるとき、空気または他のガスの通過が阻止される。センタリングピンは、ビードに係合しリングがタイヤと同軸になることを保証するためのリングに含まれることが好ましい。
【0007】
さらに、プライは、粉末の助けによりトレッドに貼り付けられ、この粉末は、タイヤの亀裂を引き起こし、タイヤの寿命を短くする。したがって、負荷を軽減しまたはなくし、最終的にタイヤの寿命を延ばす、エンベロープを含む空気入りタイヤが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3989083(A)号公報
【特許文献2】米国特許第3406733(A)号公報
【特許文献3】ポルトガル国特許第79180(B)号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、空気入りタイヤの強度、耐久性、寿命を向上させ、万一のパンクの際に自己修復し、バーストを防ぐために前記タイヤを自己冷却するように、そのタイヤ内に、シーラント、クーラントおよび他の粘性液を含むエンベロープを備えた空気入りタイヤを提供することである。
【0010】
本発明の他の主な目的は、タイヤの耐用年数を向上させるように、インナーライナと一体化されたエンベロープを有する、粉末なしの空気入りタイヤを提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、パンクの際にタイヤ内の空気/ガスの漏洩を防止するように、シーラントがエンベロープ内に注入されている空気入りタイヤを提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、粉末なしの強靭なタイヤを提供するように、トレッド、ベルトシステムおよびエンベロープ付きのタイヤケーシングを有する空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、その強度、耐久性および寿命を向上させ、エンベロープ内にクーラントをもたらすことにより、局所的な過熱を低減させることによってタイヤのバーストを防ぐ、エンベロープを収容する空気入りタイヤに関する。より具体的には、本発明は、シーラントを包含するエンベロープを有するタイヤケーシングからなり、さらにタイヤの効力および活力を向上させるタイヤに関する。
【0014】
主な一実施形態では、本発明は、トレッド、ベルトシステムおよびタイヤケーシングからなる、エンベロープ一体型の空気入りタイヤを提供する。タイヤケーシングは、ベルトシステムに貼り付けられ、前記ベルトシステムは、トレッドに貼り付けられ前記タイヤの構造を形成するように一緒に加硫される。トレッドは、路面と直接接触するタイヤの外側層である。タイヤケーシングは、タイヤの本体であり、サイドウォール、ビード、ならびに、カーカスプライ、インナーライナおよびエンベロープなどの、ただし、これらに限定されない、複数の層を含み、カーカスプライは、荷重に耐え衝撃を吸収するように、タイヤのベルトシステムに貼り付けられたタイヤケーシングのトップ層であり、続いて取り付けは、タイヤ内の空気圧を保持するためにカーカスプライに貼り付けられたタイヤケーシングのボトム層を形成するインナーライナであり、続いて、タイヤのインナーライナに貼り付けられたタイヤケーシングの中間層を形成するエンベロープである。エンベロープは、タイヤ内のいかなる漏洩も封じ過熱を防ぐようにそれぞれシーラントおよびクーラントが注入された密閉中空体である。エンベロープは、タイヤのサイドウォールに接するか、タイヤのサイドウォール内に配置されるかのどちらかである。ベルトシステムは、トレッドに安定性をもたらすようにタイヤケーシングのトップに配置される。
【0015】
他の実施形態では、本発明は、トレッド、ベルトシステムおよびタイヤケーシングを有する空気入りタイヤを提供する。タイヤケーシングは、サイドウォール、ビード、ならびに、カーカスプライ、インナーライナおよびエンベロープなどの、ただし、これらに限定されない、複数の層からなる空気入りタイヤの本体である。タイヤケーシングは、荷重に耐え衝撃を吸収するトップ層としての役割を果たすカーカスプライ、続いて、タイヤ内の空気圧を保持するボトム層としての役割を果たすインナーライナ、および前記カーカスプライとインナーライナとの間に挟まれ、空気入りタイヤの内側からトレッド領域に比例する領域を少なくともカバーするエンベロープを含むが、これらに限定されない、複数の層を有する。
【0016】
他の実施形態では、本発明は、トレッド、ベルトシステムおよびタイヤケーシングを有する空気入りタイヤを提供する。タイヤケーシングは、サイドウォール、ビード、ならびに、カーカスプライ、インナーライナおよびエンベロープなどの、ただし、これらに限定されない、複数の層からなる空気入りタイヤの本体である。タイヤケーシングは、荷重に耐え衝撃を吸収するトップ層としての役割を果たすカーカスプライ、続いて、タイヤ内の空気圧を保持するボトム層としての役割を果たすインナーライナ、ならびに、前記カーカスプライとインナーライナとの間に挟まれ、空気入りタイヤの内側からトレッド領域およびショルダ領域をカバーするエンベロープを含むが、これらに限定されない、複数の層を有する。
【0017】
他の実施形態では、本発明は、トレッド、ベルトシステムおよびタイヤケーシングを有する空気入りタイヤを提供する。タイヤケーシングは、サイドウォール、ビード、ならびに、カーカスプライ、インナーライナおよびエンベロープなどの、ただし、これらに限定されない、複数の層からなる空気入りタイヤの本体である。タイヤケーシングは、荷重に耐え衝撃を吸収するトップ層としての役割を果たすカーカスプライ、続いて、タイヤ内の空気圧を保持するボトム層としての役割を果たすインナーライナ、ならびに、前記カーカスプライとインナーライナとの間に挟まれ、内側からトレッド領域およびショルダ領域を、および空気入りタイヤのサイドウォールの一部をカバーし、タイヤケーシングのボトム層を形成するエンベロープを含むが、これらに限定されない、複数の層を有する。
【0018】
さらに他の実施形態では、前記エンベロープ内の前記半粘性流体は、零下温度においても前記半粘性流体を流体状態で保持するように不凍添加剤を有し、それにより、寒い冬でもヒートシンクとしての役割を果たし、走行中に熱を吸収し、寒さに曝されたときにその吸収された熱が前記タイヤの他の部分に伝えられる。前記エンベロープは、インナーライナと、カーカスプライ、ファブリックなどを含むタイヤの他の部分との間に挟まれ、ヒートシンクは、場合によっては均一にファブリック、カーカスプライおよびトレッド領域からの熱を通すまたは吸収し、それによってタイヤの様々な部分における温度がほぼ均一に維持される。
【0019】
本発明の上述の目的および利点は、以下に示される、図面の簡単な説明、本発明の詳細な説明、および本明細書に添付される特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【0020】
本発明のエンベロープ一体型の空気入りタイヤについての理解は、以下の図面を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による空気入りタイヤの構造の図である。
図2】本発明の一実施形態によるタイヤケーシングの図である。
図3】本発明の一実施形態による空気入りタイヤの内側からトレッド領域に比例する領域を少なくともカバーするエンベロープを有するタイヤケーシングの透視図である。
図4】本発明の一実施形態による空気入りタイヤの内側からトレッド領域およびショルダ領域をカバーするエンベロープを有するタイヤケーシングの透視図である。
図5】本発明の一実施形態による空気入りタイヤの内側からトレッド領域およびショルダ領域を、ならびに空気入りタイヤのサイドウォールの一部をカバーするエンベロープを有するタイヤケーシングの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の好ましい一実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明について以下に述べる。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に示される実施形態に限定されるとして解釈されるべきではない。むしろ、この実施形態は、この開示が十分であり、かつ本発明の範囲を当業者に示すように提示されたものである。
【0023】
本発明の多くの態様は、以下の図面を参照すればより良く理解することができる。図面における構成要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。そうではなく、本発明の構成要素を明確に示すことに重点が置かれる。さらに、図面において、同じ参照番号は、いくつかの図面を通して対応する部材を示している。本発明の少なくとも1つの実施形態を説明する前に、本発明の実施形態は、それらの適用例における構造の詳細、および以下の説明に示されるまたは図面に示される構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明の実施形態は、様々なやり方で実践および行うことができる。加えて、本明細書で用いられる語法および専門用語は、説明の目的のためであり、限定と見なされるべきではない。
【0024】
本発明は、空気入りタイヤの強度、耐久性および寿命を向上させるためにシーラントおよびクーラントを含むエンベロープを収容する空気入りタイヤであって、シーラントおよびクーラントを包含するためのエンベロープを有するタイヤケーシングからなり、タイヤの効力および活力をさらに向上させる、空気入りタイヤを提供する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、エンベロープ一体型の空気入りタイヤであって、トレッドと、ベルトシステムと、タイヤケーシングとを備え、前記トレッドが、路面と接触する前記空気入りタイヤの外側層であり、前記タイヤケーシングが、サイドウォール、ビード、ならびに、トップ層としての役割を果たすカーカスプライ、ボトム層としての役割を果たすインナーライナおよび前記カーカスプライとインナーライナとの間に挟まれたエンベロープを含むが、これらに限定されない、複数の層を備え、前記エンベロープが、前記タイヤケーシング内部にある、流体が注入された密封中空体であり、前記タイヤケーシングが、前記ベルトシステムに貼り付けられ、前記ベルトシステムが、前記空気入りタイヤの前記トレッドに貼り付けられ、ならびに、前記サイドウォールが、前記タイヤケーシングおよび前記ビードを保護し、ビードが、タイヤケーシングを取り囲んで前記空気入りタイヤをホイールのリムに連結する、エンベロープ一体型の空気入りタイヤを提供する。
【0026】
空気入りタイヤは、所望の量のタルカムパウダを使用せずに製造され、それにより、空気入りタイヤにおける亀裂および固着を防止し、空気入りタイヤの寿命を延ばす。エンベロープは、前記空気入りタイヤの前記インナーライナと前記複数の層との間に挟まれる。エンベロープは、前記空気入りタイヤ内に予め作製される。エンベロープは、半加硫され、前記複数の層と前記インナーライナの内面との間に挟まれる。エンベロープは、前記空気入りタイヤのトレッド領域を比例的にカバーする。エンベロープは、前記空気入りタイヤの内側から、前記トレッド領域およびショルダ領域を比例的にカバーする。エンベロープは、前記空気入りタイヤのサイドウォールの内側部から前記トレッド領域およびショルダ領域を比例的にカバーする。前記中間層を形成するエンベロープは、ブチルゴムおよび再生ブチルおよび/または臭化ブチルゴムを含むが、これらに限定されない材料から作られる。前記中間層を形成するエンベロープは、ブチルゴムおよび再生ブチルおよび/またはEPDMを含む材料から作られる。前記中間層を形成するエンベロープは、天然ゴムおよび再生天然ゴムおよび/またはEPDMおよび/またはネオプレンゴムから作られる。前記中間層を形成するエンベロープは、前記空気入りタイヤ内において前記流体を包含するように、ポリアミドおよび/またはナイロンおよび/またはダイニーマ(dyneema)および/またはKevlarおよび/またはEPDMのような合成繊維を含む材料から作られる。エンベロープは、ヒートシンクのような役割を果たす半粘性流体を含むが、これに限定されない、前記流体を包含する。エンベロープには、空気入りタイヤの過熱および/または局所的な過熱を防ぐクーラントが注入される。エンベロープは、零下温度においても、それを流体状態で保持するように不凍添加剤を有する。エンベロープには、空気入りタイヤにおけるいかなる漏洩も封じるようにシーラントが注入される。
【0027】
まず図1を参照すると、本発明は、トレッド(1)、ベルトシステム(2)およびタイヤケーシング(3)を有する空気入りタイヤ(100)の構造を提供する。トレッド(1)は、道路または地面と接触する前記タイヤ(100)の被覆部を形成するタイヤ(100)の外側層である。タイヤケーシング(3)は、サイドウォール(4)、ビード(5)、ならびに、カーカスプライ(6)、インナーライナ(7)およびエンベロープ(8)などの(ただし、これらに限定されない)複数の層からなるタイヤ(100)の本体である。タイヤケーシング(3)は、荷重に耐え衝撃を吸収するトップ層としての役割を果たすカーカスプライ(6)、続いて、タイヤ内の空気圧を保持するボトム層としての役割を果たすインナーライナ(7)、および、前記カーカスプライ(6)とインナーライナ(7)との間に挟まれたエンベロープ(8)を含むが、これらに限定されない、複数の層を有する。サイドウォール(4)は、タイヤケーシング(3)を保護するタイヤの側方部であり、ビード(5)は、タイヤケーシング(3)を取り囲み、タイヤをホイールのリムに連結する。ビード(5)は、ゴム、エラストマーなどの、ただし、これらに限定されない材料から作られる。エンベロープ(8)は、タイヤ内のあらゆる漏洩を封じるようにシーラントが注入された密閉中空体である。エンベロープは、タイヤのサイドウォールに接するか、タイヤのサイドウォール内に配置されるかのどちらかである。タイヤケーシング(3)内に設けられたエンベロープ(8)は、荷重がかからず、タイヤ(100)に取り付けられる。空気入りタイヤ(100)は、所望の量のタルカムパウダを使用せずに製造され、それによって亀裂および固着(fixture)が防止され、前記空気入りタイヤ(100)の寿命が延びる。タイヤケーシング(3)は、ベルトシステム(2)に貼り付けられ、前記ベルトシステム(2)は、トレッド(1)に貼り付けられ、一緒に加硫されて前記タイヤ(100)の構造が形成される。ベルトシステム(2)は、トレッド(1)に強度および安定性をもたらし、耐久性、ハンドリングおよびトラクションに貢献する。
【0028】
次に、図2を参照すると、本発明は、タイヤケーシング(3)の図を提供する。タイヤケーシング(3)は、複数の層を有し、そこにおいて、トップ層は、ゴムから作られたカーカスプライ(6)であり、荷重を支承し、ベルトシステム(2)に貼り付けられたタイヤに強度をもたらし、続いて、実施形態の1つにおいて、タイヤケーシング(3)は、荷重に耐え衝撃を吸収するトップ層としての役割を果たすカーカスプライ(6)、続いて、タイヤ内の空気圧を保持するボトム層としての役割を果たすインナーライナ(7)、および、前記カーカスプライ(6)とインナーライナ(7)との間に挟まれ異なる材料から作られるエンベロープ(8)を含むが、これらに限定されない、複数の層を有する。エンベロープの材料は、ブチルゴムをベースとし、ブチルおよび/または臭化ブチルゴムを再生利用する。
【0029】
他の実施形態では、エンベロープの材料は、ブチルゴムをベースとし、ブチルおよび/またはEPDMを再生利用する。さらに他の実施形態では、エンベロープの前記材料は、ブチルゴムをベースとし、ブチルおよび/またはEPDMおよび/またはネオプレンゴムを再生利用する。他の実施形態では、エンベロープの前記材料は、天然ゴムをベースとし、天然ゴムおよび/またはEPDMを再生利用する。
【0030】
他の実施形態では、エンベロープの前記材料は、天然ゴムをベースとし、天然ゴムおよび/またはEPDMおよび/またはネオプレンゴムを再生利用する。他の実施形態では、エンベロープの前記材料は、ポリアミド、ナイロン、ダイニーマなどのような多層合成繊維である。エンベロープは、万一のパンクの際の前記タイヤにおける漏洩を封じるシーラント、および/または局所的な過熱を低減させるクーラントを含むように製造される。
【0031】
エンベロープ(8)は、前記空気入りタイヤ(100)内に予め作製され、半加硫され、前記複数の層と前記タイヤ(100)の前記インナーライナの内面との間に挟まれる。エンベロープ内部に注入される半粘性流体は、車両が冬季の夜間の寒冷下に曝されても温度を維持するヒートシンクのような働きをする。ゴムコンパウンドは、低温で脆化するが、エンベロープ内部の前記流体が温度を維持する働きをし、それによって、タイヤの寿命が向上し、タイヤの故障が回避される。
【0032】
エンベロープ(8)は、シーラントおよびクーラントが注入される中空体である。エンベロープ(8)内に含まれる圧力レベルは、パンクが発生すると、シーラントがタイヤの漏洩を封じるようにエンベロープから滲出するようにシーラントを注入することによって制御される。タイヤケーシング(3)は、ベルトシステム(2)に貼り付けられ、前記ベルトシステム(2)は、あらゆる粉末なくしてトレッド(1)に貼り付けられ、したがって空気入りタイヤ(100)における亀裂および裂けを防ぐ追加の利点をもたらす。
【0033】
次に図3を参照すると、図に示される本発明は、空気入りタイヤの内側からトレッド領域に比例する領域を少なくともカバーするエンベロープを有するタイヤケーシングの透視図を提供する。タイヤケーシング(3)は、複数の層を有し、そこにおいて、トップ層は、荷重を支承し、ベルトシステム(2)に貼り付けられたタイヤに強度をもたらすゴムで作られたカーカスプライ(6)であり、続いて、実施形態の1つにおいて、タイヤが膨張されるときに空気の保持を確実にする、カーカスプライ(6)に貼り付けられたインナーライナ(7)、それに続いて、前記空気入りタイヤ(100)の漏洩を封じるシーラントを含む、内側からトレッド(1)領域に比例した領域を少なくともカバーするエンベロープ(8)がある。
【0034】
次に図4を参照すると、図に示される本発明は、空気入りタイヤの内側からトレッド領域およびショルダ領域をカバーするエンベロープを有するタイヤケーシングの透視図を提供する。タイヤケーシング(3)は、複数の層を有し、そこにおいて、トップ層は、荷重を支承し、ベルトシステム(2)に貼り付けられたタイヤに強度をもたらすゴムから作られたカーカスプライ(6)であり、続いて、実施形態の1つにおいて、タイヤが膨張されるときに空気の保持を確実にする、カーカスプライ(6)に貼り付けられたインナーライナ(7)、それに続いて、内側からトレッド領域およびショルダ(9)領域をカバーするエンベロープ(8)がある。
【0035】
次に図5を参照すると、空気入りタイヤの内側からトレッド領域およびショルダ領域を、ならびに空気入りタイヤのサイドウォールの一部をカバーするエンベロープを有するタイヤケーシングの透視図が示されている。タイヤケーシング(3)は、複数の層を有し、そこにおいて、トップ層は、荷重を支承し、ベルトシステム(2)に貼り付けられたタイヤに強度をもたらすゴムから作られたカーカスプライ(6)であり、続いて、実施形態の1つにおいて、タイヤが膨張されるときに空気の保持を確実にする、カーカスプライ(6)に貼り付けられたインナーライナ(7)、それに続いて、内側からトレッド領域およびショルダ(9)領域を、ならびにサイドウォール(4)の一部をカバーするエンベロープ(8)がある。
【0036】
本発明は、タイヤのインナーライナと他の要素との間に挟まれたエンベロープを有するタイヤを提供し、これは、温度の均一性を維持することによるタイヤの寿命の向上、アセンブリの際に粉末または任意の他のセパレータなくしてトレッド上に貼り付けられ加硫されそれによってタイヤにおける亀裂および裂けが防止されることなど、数々の利点をもたらす。
【0037】
本明細書において示された発明の多数の修正および他の実施形態が、前出の記載内容および関連する図面に示された教示の恩恵を有する、本発明に関係する当業者により容易に想起される。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれるものであることを理解されたい。本明細書において特定の用語が採用されたが、それらは一般的に使用され、記述的な意味のみで用いられ、限定をするために用いられたものではない。
【0038】
本発明の上述の実施形態の説明は、例示および説明を目的として提示された。完全であることまたは開示された厳密な形に発明を限定することは意図されず、修正および変形は、上記の教示を鑑みて可能であり、または本発明の実施から得られ得る。実施形態は、本発明の原理を説明するため、およびその実用的な用途を、当業者が本発明を種々の実施形態において、および考慮される特定の使用に適した種々の修正と併せて使用することを可能にするために選ばれ、説明されたものである。
【符号の説明】
【0039】
1 トレッド
2 ベルトシステム
3 タイヤケーシング
4 サイドウォール
5 ビード
6 カーカスプライ
7 インナーライナ
8 エンベロープ
9 ショルダ
100 空気入りタイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】