(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20240604BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240604BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575415
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2022064509
(87)【国際公開番号】W WO2022258403
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ドラーク ヨハネス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】エテス ウィルヘルムス ゲラルドゥス マリア
(72)【発明者】
【氏名】レーベンス パスカル レオナルト マリア テオドール
(72)【発明者】
【氏名】リュロフス クラース ヤコブ
(57)【要約】
送電機101は、送電コイル103に供給される駆動信号によって生成される電力伝送信号を介して受電機105に電力を供給する。送電機101の第1のコントローラ209は、第1のモードに従って駆動信号のパラメータを制御し、第1のモードは、受電機105から受信した電力制御誤差メッセージに応じて電力伝送信号を制御するために電力制御ループを実行することを含む。第2のコントローラ211は、第2のモードに従って駆動信号のパラメータを制御し、第2のモードは、受電機105から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて駆動信号のパラメータを設定することを含む。回路213は、受電機105から受信した電力伝送制御モードリクエストに応じて、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で選択し、タイミング回路215は、これらの2つの動作モード間の通信時間間隔のためのタイミングパラメータを変更する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電力伝送信号を介して受電機にワイヤレスで電力を供給するための送電機であって、前記送電機は、
前記電力伝送信号を生成する送電コイルと、
前記電力伝送信号を生成するための前記送電コイルの駆動信号を生成するドライバであって、前記ドライバは、前記電力伝送信号が前記受電機に電力を伝送する電力伝送時間間隔、および、前記電力伝送信号の電力が前記電力伝送時間間隔に対して低下している通信時間間隔を使用して前記駆動信号を生成する、ドライバと、
通信時間間隔中に前記受電機からメッセージを受信する受信機と、
第1の動作モードに従って前記駆動信号のパラメータを制御する第1のコントローラであって、前記第1の動作モードは、前記受電機から受信した電力制御誤差メッセージに応じて前記電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含み、電力制御誤差メッセージ間の最大継続時間は300ミリ秒以下である、第1のコントローラと、
第2の動作モードに従って前記駆動信号の前記パラメータを制御する第2のコントローラであって、前記第2の動作モードは、前記受電機から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて前記駆動信号の前記パラメータを設定することを含み、前記電力伝送信号設定値は、前記電力伝送信号の目標電力特性を示し、電力伝送信号設定値間の最大継続時間は1秒以上であり、前記第2の動作モードは、前記受電機から受信された電力制御誤差メッセージに応じて前記駆動信号を制御する電力制御ループを実行しないことを含む、第2のコントローラと、
前記受電機から受信した電力伝送制御モードリクエストに応じて、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で選択する回路と、
前記送電機が前記第1の動作モードまたは前記第2の動作モードのどちらで動作しているかに依存して、前記通信時間間隔のためのタイミングパラメータを変更するタイミング回路であって、前記タイミングパラメータは、
前記通信時間間隔の継続時間、および
前記通信時間間隔の周波数からなる群から選択されるパラメータである、タイミング回路と、を備えた、送電機。
【請求項2】
前記ドライバは、前記電力伝送信号に反復時間フレームを使用し、各反復時間フレームが、少なくとも1つの電力伝送時間間隔を含み、少なくとも一部の反復時間フレームが、少なくとも1つの通信時間間隔を含む、請求項1に記載の送電機。
【請求項3】
前記タイミング回路は、前記第1の動作モード時、前記第2の動作モード時よりも反復時間フレームのより大きな割合を、前記少なくとも1つの通信時間間隔に割り当てる、請求項2に記載の送電機。
【請求項4】
前記タイミング回路は、前記第1の動作モード時、全ての反復時間フレーム内に通信時間間隔を含み、前記第2の動作モード時、反復時間フレームのサブセットのみに通信時間間隔を含む、請求項2または3に記載の送電機。
【請求項5】
前記タイミング回路は、前記第1の動作モード時、前記第2の動作モード時よりも前記通信時間間隔の前記継続時間を高く設定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の送電機。
【請求項6】
前記タイミング回路は、前記第1の動作モード時、前記第2の動作モード時よりも前記通信時間間隔のデューティサイクルを高く設定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の送電機。
【請求項7】
前記タイミング回路は、前記第1の動作モード時、前記第2の動作モード時よりも前記通信時間間隔の前記周波数を高く設定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の送電機。
【請求項8】
前記ドライバは、変動する電源信号によって給電され、前記送電機は、前記通信時間間隔の中心時点を、前記変動する電源信号の信号最小値と位置合わせする、請求項1から7のいずれか一項に記載の送電機。
【請求項9】
前記送電機は、前記第1の動作モード時、第1の閾値を超える継続時間にわたって前記電力制御誤差メッセージが受信されなかったことが検出されると電力伝送を終了し、前記第2の動作モード時、第2の閾値を超える継続時間にわたって前記電力伝送信号設定値が受信されなかった場合、電力伝送を停止せず、前記第2の閾値は前記第1の閾値の少なくとも2倍である、請求項1から8のいずれか一項に記載の送電機。
【請求項10】
前記電力制御誤差メッセージは、前記電力伝送信号の前記電力特性の要求された相対変化を示し、前記設定値メッセージは、前記目標電力特性の要求された絶対値を示す、請求項1から9のいずれか一項に記載の送電機。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値が有効時間間隔にリンクされており、前記第2のコントローラは、前記有効時間間隔の終了時に前記駆動信号の前記パラメータを公称値に設定する、請求項1から10のいずれか一項に記載の送電機。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の送電機と、前記受電機とを備えるワイヤレス電力伝送システムであって、前記受電機は、
前記電力伝送信号から電力を抽出するコイルと、
前記電力伝送信号から抽出された電力を負荷に供給する電力回路と、
通信時間間隔中に少なくとも1つの電力伝送信号設定値を前記送電機に送信する送信機とを含む、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項13】
前記受電機は、前記負荷に提供される電気信号の測定値から独立して、前記電力伝送信号の目標電力特性を示すものとして前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値を送信する、請求項12に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【請求項14】
前記受電機は複数の負荷モードで動作し、前記受電機は、負荷モードを切り替えない限り、前記送電機に新しい電力伝送信号設定値を送信しない、請求項12または13に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【請求項15】
誘導電力伝送信号を介して受電機にワイヤレスで電力を供給する送電機の動作方法であって、前記送電機は、
前記電力伝送信号を生成する送電コイルを含み、
前記方法は、
前記電力伝送信号を生成するための前記送電コイルの駆動信号を生成するステップであって、前記駆動信号は、前記電力伝送信号が前記受電機に電力を伝送する電力伝送時間間隔、および、前記電力伝送信号の電力が前記電力伝送時間間隔に対して低下している通信時間間隔を使用して生成される、駆動信号を生成するステップと、
通信時間間隔中に前記受電機からメッセージを受信するステップと、
第1の動作モードに従って前記駆動信号のパラメータを制御するステップであって、前記第1の動作モードは、前記受電機から受信した電力制御誤差メッセージに応じて前記電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含み、電力制御誤差メッセージ間の最大継続時間は300ミリ秒以下である、制御するステップと、
第2の動作モードに従って前記駆動信号の前記パラメータを制御するステップであって、前記第2の動作モードは、前記受電機から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて前記駆動信号の前記パラメータを設定することを含み、前記電力伝送信号設定値は、前記電力伝送信号の目標電力特性を示し、電力伝送信号設定値間の最大継続時間は1秒以上であり、前記第2の動作モードは、前記受電機から受信された電力制御誤差メッセージに応じて前記駆動信号を制御する電力制御ループを実行しないことを含む、制御するステップと、
前記受電機から受信した電力伝送制御モードリクエストに応じて、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で選択するステップと、
前記送電機が前記第1の動作モードおよび前記第2の動作モードのどちらで動作しているかに依存して、前記通信時間間隔のためのタイミングパラメータを変更するステップであって、前記タイミングパラメータは、
前記通信時間間隔の継続時間、および
前記通信時間間隔の周波数からなる群から選択されるパラメータである、変更するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤレス電力伝送に関し、特に、限定はされないが、高出力キッチン家電用のワイヤレス電力伝送に関する。
【背景技術】
【0002】
今日のほとんどの電気製品は、外部電源から電力を受け取るために専用の電気的接点を必要とする。しかし、これは非実用的な場合が多く、ユーザがコネクタを物理的に挿入したり、または他の方法で物理的な電気接触を確立したりすることを要求する。通常は電力要件も大きく異なり、現在、ほとんどのデバイスが独自の専用電源を備えているので、通常のユーザは、それぞれが特定のデバイス専用の多数の異なる電源を所有する。内蔵バッテリを使用することで、使用中に電源に有線接続する必要がなくなる可能性があるが、バッテリの充電(または交換)が必要であることから、これは部分的な解決策に過ぎない。バッテリの使用はまた、デバイスの重量、および場合によってはコストやサイズを大きく増加させるおそれがある。
【0003】
大幅に改善されたユーザ体験を提供するために、電力が送電機内の送電インダクタから個々のデバイス内の受電コイルに誘導伝送されるワイヤレス電源を使用することが提案されている。
【0004】
磁気誘導による電力伝送はよく知られている概念であり、多くの場合、一次送電インダクタ/コイルと二次受電コイルとの間に密結合を有するトランスに適用される。一次送電コイルと二次受電コイルとを2つのデバイスに分けることにより、疎結合トランスの原理に基づき、これらの間のワイヤレス電力伝送が可能になる。
【0005】
このような構成は、ワイヤまたは物理的な電気的接続の確立を必要とすることなく、デバイスへのワイヤレス電力伝送を可能にする。実際、これは、単に送電コイルの隣にまたは上にデバイスを配置するだけで、デバイスの外部充電または給電を可能にし得る。例えば、送電デバイスは、給電のためにデバイスを単純に置くことができる水平面を有し得る。
【0006】
さらに、そのようなワイヤレス電力伝送構成は、送電デバイスが様々な受電デバイスとともに使用可能であるように有利に設計され得る。特に、Qi仕様と呼ばれるワイヤレス電力伝送手法が規定されており、現在もさらに発展している。この手法は、Qi仕様に対応した送電デバイスを同じくQi仕様に対応した受電デバイスとともに使用することを可能にし、両デバイスは同じ製造業者からのものである必要はなく、また、互いに対して専用に設計されたものである必要もない。Qi規格はさらに、具体的な受電デバイスに対して(例えば、具体的な電力流出に応じて)動作を適合可能にするための機能を含む。
【0007】
Qi仕様はWireless Power Consortiumによって開発されており、詳細は、例えば同団体のWebサイト(http://www.wirelesspowerconsortium.com/index.html)で見つけることができ、ここでは特に、規定された仕様のドキュメントを見つけることができる。
【0008】
Wireless Power Consortiumはさらに、Qi規格の成功に基づいて、高出力用途に対応した、具体的にはキッチン家電用のKiコードレスキッチン(Cordless Kitchen)規格の開発を進めている。この規格はQiを拡張し、セーブかつ柔軟な動作を可能にしつつ、2kW以上の電力伝送を可能にする。
【0009】
コードレスキッチン家電は、送電コイルから受電コイルにワイヤレスで電力を伝送することによって給電される。送電コイルは、送信コイルを含む共振回路に0~2500Wの電力を供給できるインバータによって駆動される。インバータが作動される前に、送電機と受電機との間で通信チャネルが確立される。通信が確立され、2つのデバイスの識別が行われると、送電機は受電機への電力伝送を開始することができる。
【0010】
多様な送電機および受電機が存在すると想定される。例えば、コイルのサイズ、誘導値、および負荷が大きく異なる可能性がある。さらに、送電機に対する受電機の配置が異なる可能性があり、その結果、電力伝送コイル間の結合が実質的に変化する可能性がある。したがって、電力伝送のためのシステムパラメータおよび条件が大きく異なる可能性がある。
【0011】
さらに、動作条件、特に電力伝送レベルが大きく異なる可能性がある。例えば、受電デバイスはいくつかの動作モードを有し得る。例えば、ノンフライヤー機器の場合、発熱体のオンとオフを切り替えることで、50~1200Wの負荷ステップが発生し、一定の温度を維持するために動作中にこれが繰り返し生じる。
【0012】
デバイスは非線形負荷を提供することもあり、例えば、受電デバイスが抵抗コンポーネントの代わりにモーター(例えば、フードプロセッサ)を有していてもよい。これにより、システムの応答が全く異なるものになり、制御システムの設計に大きな影響を与える。
【0013】
様々な特性およびパラメータに動作を合わせるために、そのようなワイヤレス電力伝送システムは通常、システムを適切な動作点に導く電力制御ループを実装する。そのような電力制御ループでは、受電機は定期的かつ頻繁に(Qiでは最大間隔は250ミリ秒)、生成された電力伝送信号の電力レベルを増やすまたは減らすように送電機に指示する電力誤差メッセージを送信する。電力誤差メッセージは、受信電力と所望の受信電力との比較に基づいて受電機によって生成され得る。送電機は、リクエストに応じて電力を動的に増減させることにより、受電機が動作を所望の動作点へと制御することを可能にし得る。
【0014】
しかし、このような電力制御アプローチは多くの場合において好適なパフォーマンスを提供する傾向があるものの、全ての状況で最適であるとは限らない。これは、高いシグナリングレートを必要とする複雑な動作になる傾向がある。さらに、場合によっては準最適な動的パフォーマンスを提供しがちであり、動的設計はノイズパフォーマンスと過渡応答との間のトレードオフであること多い。
【0015】
特に、暖房器具(例えば、ケトル)などの多くの想定されるKi器具は、非常に低コストの器具として想定されており、そのような低コストを達成するには、要求される機能を可能な限り最小に抑えることが望ましい。しかし、従来の電力制御ループアプローチは比較的複雑になる傾向があり、比較的高いデータレートをサポートする通信機能を必要とするだけでなく、動作条件を測定して適切な電力誤差メッセージを生成するために適切な測定機能および処理能力も必要とする。これによりデバイスのコストが上昇し、コストが非常に低いデバイスの開発の妨げとなるおそれがある。
【0016】
ワイヤレス電力伝送システムにおける送電機と受電機との間の通信は、システムの効率的な動作のために重要である。効率的なワイヤレス電力伝送をサポートするために、QiやKiに基づくシステム等のワイヤレス電力伝送システムは、送電機と受電機との間の実質的な通信を利用する。当初、Qiは電力伝送信号の負荷変調を使用した受電機から送電機への通信のみをサポートしていた。しかし、規格の発展により双方向通信が導入され、受電機と送電機との間の通信交換によって多くの機能がサポートされている。多くのシステムでは、送電機から受電機への通信は、電力伝送信号を変調することによって行われる。受電機と送電機との間の通信を利用するワイヤレス電力伝送システムの例が、US2018/323647A1、WO2021/048019A1、およびUS2018/323648A1に開示されている。
【0017】
しかし、これは高い電力レベルにはあまり適さない傾向があるため、Ki等のシステムは、電力伝送信号に依存していない通信機能であって、データによって変調される搬送波として電力伝送信号を使用しない通信機能を使用する。特に、送電機と受電機との間の通信は、短距離通信システムによって、例えば、具体的にはNFC(近距離無線通信)に基づく通信技術を使用することによって達成され得る。
【0018】
専用の通信機能を使用すると、多くの場合でパフォーマンスが向上し、例えば、通信の信頼性が高く、進行中の電力伝送への影響が少ない高速通信が提供され得る。
【0019】
受電機は、多くの実施形態において、NFC非接触スマートカードと同様の通信機能を提供するNFC通信機能を含み得る。NFC非接触スマートカードは、典型的には、リーダの同調アンテナ(tuned antenna)と受信機の共振回路との間の電磁結合を使用した非接触通信のための小型デバイスである。多くの場合、スマートカードは、共振回路内に誘導された信号によって給電されるパッシブデバイスである。同様に、受電機のNFC通信機能は、場合によっては(例えば、起動時)NFCキャリアによって給電され得る。
【0020】
しかし、NFC等の専用通信機能を使用すると、多くの場合で有利なパフォーマンスおよび動作が提供される可能性があるが、全ての場合で最適であるとは限らない。
【0021】
ワイヤレス電力伝送システムは電磁干渉を発生させる可能性があり、他のデバイスとの電磁的両立性を達成するには、この電磁干渉が過度にならないことが必要である。電力伝送信号によって引き起こされる電磁干渉は、他の電気デバイスに干渉するだけでなく、電力伝送デバイス自身にも干渉する可能性がある。特に、電力伝送信号によって引き起こされる電磁干渉は通信機能(例えば、NFC通信機能によって提供される通信機能)に干渉する可能性がある。
【0022】
通常、送電機は厳しい電磁干渉制限の対象となり、多くの場合、周波数に応じた許容可能な電磁干渉レベルを示す周波数マスクによって制限される。しかし、そのような電磁干渉要件を満たすことは非常に困難であり、特に電力伝送信号が連続的に同じレベルにない場合には、電磁干渉が発生する可能性がある。例えば、電力伝送信号を繰り返しオフにすると、実質的な高調波成分が増加する傾向があり、これは多くの場合、電磁的両立性要件を満たさない可能性がある。
【発明の概要】
【0023】
したがって、電力伝送システムの動作を改善することは有利であり、特に、柔軟性の向上、コストの削減、複雑さの低減、電力伝送システムの動作の改善、適合の改善、動的パフォーマンスの改善、両立性の改善、後方互換性、信号伝達要件の低減、受電機測定の要件の軽減、通信パフォーマンスの改善、電磁干渉の低減、電磁的両立性の改善、低コストデバイスのサポート、および/またはパフォーマンスの改善は有利である。
【0024】
したがって、本発明は、上記欠点の1つ以上を単独で、または任意の組み合わせで好適に緩和、低減、または排除することを目的とする。
【0025】
本発明の一態様によれば、誘導電力伝送信号を介して受電機にワイヤレスで電力を供給するための送電機が提供され、送電機は、電力伝送信号を生成する送電コイルと、電力伝送信号を生成するための送電コイルの駆動信号を生成するドライバであって、ドライバは、電力伝送信号が受電機に電力を伝送する電力伝送時間間隔、および、電力伝送信号の電力が電力伝送時間間隔に対して低下している通信時間間隔を使用して駆動信号を生成する、ドライバと、通信時間間隔中に受電機からメッセージを受信する受信機と、第1の動作モードに従って駆動信号のパラメータを制御する第1のコントローラであって、第1の動作モードは、受電機から受信した電力制御誤差メッセージに応じて電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含み、電力制御誤差メッセージ間の最大継続時間は300ミリ秒以下である、第1のコントローラと、第2の動作モードに従って駆動信号のパラメータを制御する第2のコントローラであって、第2の動作モードは、受電機から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて駆動信号のパラメータを設定することを含み、電力伝送信号設定値は、電力伝送信号の目標電力特性を示し、電力伝送信号設定値間の最大継続時間は1秒以上であり、第2の動作モードは、受電機から受信された電力制御誤差メッセージに応じて駆動信号を制御する電力制御ループを実行しないことを含む、第2のコントローラと、受電機から受信した電力伝送制御モードリクエストに応じて、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で選択する回路と、送電機が第1の動作モードまたは第2の動作モードのどちらで動作しているかに依存して、通信時間間隔のためのタイミングパラメータを変更するタイミング回路であって、タイミングパラメータは、通信時間間隔の継続時間、および通信時間間隔の周波数からなる群から選択されるパラメータである、タイミング回路と、を備える。
【0026】
本発明は、多くの実施形態において改善された性能を提供する可能性があり、多くのシステムおよび実施形態において全体的に改善された電力伝送動作を提供する可能性がある。これにより、特に、送電機が、正確な電力供給を必要とする比較的複雑さの高い受電機と、厳密に制御された電力供給または高精度の電力供給を必要としない複雑さの低い受電機との両方を動的にサポートすることが可能になり得る。このアプローチにより、非常に複雑さの低い受電機のサポートが可能になり、それによって低コストデバイスの開発および生産ができる可能性がある。このアプローチにより、特に、ケトル、平鍋、または同様のキッチン家電などの非常にコストが低い加熱デバイスのサポートが可能になる可能性がある。例えば、低コストの加熱デバイスを、専用の電気負荷信号測定または複雑な報告メカニズムを含むことを必要とせずに、効果的にサポートできる。例えば、加熱デバイスは、全く測定を行わずにサポートされてもよく、または例えば、単純な温度測定のみを使用して、現在の加熱温度に依存して加熱をオンまたはオフに切り替えてもよい。
【0027】
多くの実施形態では、このアプローチは、異なるタイプの受電機および負荷に対するサポートを改善する可能性がある。特に、多くの実施形態では、第1の動作モードは、一部のモータ等の非線形負荷に電力を供給するのに非常に適しており、第2の動作モードは、低い複雑さおよび/または低いコストを実現しつつ、線形負荷について非常に有利なパフォーマンスを提供する可能性がある。
【0028】
本発明は、多くの実施形態において改善された通信を提供することができ、特に多くの実施形態において、キャリアとしての電力伝送信号がサポートしない通信チャネルを使用して、送電機と受電機との間の改善された通信を提供することができる。本発明は、多くの実施形態において改善された電力伝送を提供し得る。
【0029】
本発明は、多くの実施形態において、異なるモードにおける異なる通信要件/優先事項への改善された適合を提供し得る。多くの実施形態では、結果として電磁干渉が減少する可能性がある。例えば、電力レベルが高い場合、送電機は、電磁干渉がより低くなるようにタイミング回路がタイミングパラメータを適合させる第2の動作モードで動作することができる。多くの実施形態では、タイミング回路は、繰り返される通信時間間隔の高調波が低減されるようにタイミングパラメータを制御することができる。
【0030】
このアプローチは多くの場合、干渉の軽減/防止と、他の不利な影響との間のトレードオフを改善することにより、パフォーマンスの向上を実現する。
【0031】
一部の実施形態では、送電機(例えば、具体的にはドライバ)は、通信時間間隔中に駆動信号および/または電力伝送信号を生成しないように構成され得る。
【0032】
1秒以上である電力伝送信号設定値間の最大継続時間は、受電機から受信される電力伝送信号設定値間の可能な最も長い継続時間であり得る。受電機から受信される電力伝送信号設定値間の継続時間は1秒を超える可能性があり、したがって、受電機は、1秒、多くの場合は2秒、5秒、10秒、または1分を超える電力伝送信号設定値間の継続時間で電力伝送信号設定値を送信するように構成され得る。
【0033】
300ミリ秒以下である電力制御誤差メッセージ間の最大継続時間は、受電機から受信される電力制御誤差メッセージ間の可能な最も長い継続時間であり得る。受電機から受信される電力制御誤差メッセージ間の継続時間は300ミリ秒を超えない可能性があり、したがって、受電機は、300ミリ秒を超えない電力制御誤差メッセージ間の継続時間で電力制御誤差メッセージを送信するように構成され得る。
【0034】
多くの実施形態では、送電機は、第2の動作モード時は電力制御誤差メッセージを受信しないように、および/または受信した電力制御誤差メッセージを無視するように構成される。多くの実施形態では、送電機は、第2の動作モード時、電力制御誤差メッセージを要することなく電力伝送を実行するように構成される。
【0035】
駆動信号は、第1の動作モード時および第2の動作モード時の両方で電力伝送時間間隔および通信時間間隔を使用することができる。
【0036】
本発明の任意選択の特徴によれば、ドライバは、電力伝送信号に反復時間フレームを使用し、各反復時間フレームが、少なくとも1つの電力伝送時間間隔を含み、少なくとも一部の反復時間フレームが、少なくとも1つの通信時間間隔を含む。
【0037】
これは、多くの実施形態において動作を改善および/または容易化し得る。多くの実施形態では、これは、送電機の通信機能と受電機の通信機能との間の協働を容易にする可能性がある。
【0038】
本発明の任意選択の特徴によれば、タイミング回路は、第1の動作モード時、第2の動作モード時よりも、反復時間フレームのより大きな割合を少なくとも1つの通信時間間隔に割り当てる。
【0039】
これは、多くの実施形態において動作を改善および/または容易化し得る。これにより、多くの実施形態において、第1および第2の動作モード時の通信要件および特性への適合が改善され、同時に、第2の動作モード時の電磁干渉を低減できる可能性がある。
【0040】
本発明の任意選択の特徴によれば、タイミング回路は、第1の動作モード時、全ての反復時間フレーム内に通信時間間隔を含み、第2の動作モード時、反復時間フレームのサブセットのみに通信時間間隔を含む。
【0041】
これは、多くの実施形態において動作を改善および/または容易化し得る。特に、これにより、異なる動作モードにおいて送電機および受電機が利用できる通信リソースの制御および適合をより複雑でないものにし、実用的にし、かつ/またはロバストにできる可能性がある。
【0042】
本発明の任意選択の特徴によれば、タイミング回路は、第1の動作モード時、第2の動作モード時よりも通信時間間隔の継続時間を高く設定するように構成される。
【0043】
これは、多くの実施形態において動作を改善および/または容易化し得る。特に、これにより、異なる動作モードにおいて送電機および電力受信機が利用できる通信リソースの制御および適合の複雑さを低下させ、実用的にし、かつ/またはロバストにできる可能性がある。
本発明の任意選択の特徴によれば、タイミング回路は、第1の動作モード時、第2の動作モード時よりも通信時間間隔のデューティサイクルを高く設定するように構成される。
【0044】
これは、多くの実施形態において動作を改善および/または容易化し得る。特に、これにより、異なる動作モードにおいて送電機および電力受信機が利用できる通信リソースの制御および適合の複雑さを低下させ、実用的にし、かつ/またはロバストにできる可能性がある。
【0045】
本発明の任意選択の特徴によれば、タイミング回路は、第1の動作モード時、第2の動作モード時よりも通信時間間隔の周波数を高く設定するように構成される。
【0046】
これは、多くの実施形態において動作を改善および/または容易化し得る。特に、これにより、異なる動作モードにおいて送電機および受電機が利用できる通信リソースの制御および適合をより複雑でないものにし、実用的にし、かつ/またはロバストにできる可能性がある。
【0047】
本発明の任意選択の特徴によれば、ドライバは、変動する電源信号によって給電され、送電機は、通信時間間隔の中心時点を、変動する電源信号の電力最小値と位置合わせする。
【0048】
これは、多くの実施形態において改善された性能および/または動作を提供する可能性があり、具体的には、中断による電力伝送信号への影響を低減し、および/または電磁干渉(特に、通信時間間隔の存在に起因する、または通信時間の存在によって悪影響を受ける電磁干渉を含む)を低減する可能性がある。
【0049】
本発明の任意選択の特徴によれば、送電機は、第1の動作モード時、第1の閾値を超える継続時間にわたって電力制御誤差メッセージが受信されなかったことが検出されると電力伝送を終了し、第2の動作モード時、第2の閾値を超える継続時間にわたって電力伝送信号設定値が受信されなかった場合、電力伝送を停止せず、第2の閾値は第1の閾値の少なくとも2倍である。
【0050】
多くの実施形態では、第1の閾値は300ミリ秒、500ミリ秒、1秒、5秒以下であってもよい。多くの実施形態では、第2の閾値は、1秒、5秒、30秒、1分、10分以上であってもよい。
【0051】
本発明の任意選択の特徴によれば、電力制御誤差メッセージは、電力伝送信号の電力特性の要求された相対変化を示し、設定値メッセージは、目標電力特性の要求された絶対値を示す。
【0052】
これは、多くの実施形態において有利な動作を提供する可能性があり、特に多くの実施形態において、両方の動作モードにおいて効率的で複雑さの低い動作を可能にする可能性がある。
【0053】
一部の実施形態では、電力制御誤差メッセージ間の継続時間は300ミリ秒以下であり、電力伝送信号設定値間の最大継続時間は10秒以上である。
【0054】
これらの動作モードは、実質的に異なる時間的特性を有する可能性がある。電力伝送信号設定値間の最大継続時間は、新しい電力伝送信号設定値を受信することなく電力伝送が維持されることが保証される継続時間であり得る。送電機は、10秒以上の継続時間にわたり、新しい電力伝送信号設定値を受信することなく第2の動作モードで動作するように構成されてもよい。
【0055】
多くの実施形態では、電力伝送信号設定値間の最大継続時間は30秒、1分、または場合によっては5分以上である。
【0056】
一部の実施形態では、電力制御ループの時定数と、少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて駆動信号のパラメータを変更するための時定数とが、少なくとも2倍、5倍、または場合によっては10倍異なる。
【0057】
これらの動作モードは、実質的に異なる時間的特性を有する可能性がある。これは多くの実施形態においてパフォーマンスの向上をもたらし得る。
【0058】
一部の実施形態では、第2のコントローラは駆動信号制御ループを実装し、駆動信号制御ループは、電力伝送信号の電力レベル表示を生成する推定器と、電力レベル表示を、少なくとも1つの電力伝送信号設定値から決定される基準電力と比較することに応じて誤差信号を生成する比較器と、誤差信号に応じて駆動信号のパラメータを適合させるためのアダプタとを含む。
【0059】
これは多くの実施形態において好適な動作および/またはパフォーマンスおよび/または実装をもたらし得る。
【0060】
多くの実施形態では、駆動信号制御ループの時定数は、少なくとも1つの電力伝送信号設定値の更新レートの半分以下である。
【0061】
多くの実施形態では、少なくとも1つの電力伝送信号設定値の受信電力伝送信号設定値間の継続時間は5秒以上である。
【0062】
一部の実施形態では、第2の動作モード時、駆動信号のパラメータは、少なくとも1つの電力伝送信号設定値の受信に応じてのみ変更される。
【0063】
これは多くの実施形態においてパフォーマンスの向上をもたらし得る。
【0064】
多くの実施形態では、駆動信号のパラメータは、電流、電圧、位相、デューティサイクル、および周波数のうちの少なくとも1つである。
【0065】
一部の実施形態では、少なくとも1つの電力伝送信号設定値は、電力伝送信号の目標電力レベルを示す。
【0066】
これは、多くの実施形態および場合において特に有利なパフォーマンスを提供し得る。これにより、多くの場合、複雑さは低いが、信頼性の高い動作が可能になる。
【0067】
多くの実施形態では、少なくとも1つの電力伝送信号設定値は、電力伝送信号の目標電力レベル、駆動信号の目標電流レベル、駆動信号の目標電圧レベル、駆動信号の目標位相、電力伝送信号の目標デューティサイクル、および電力伝送信号の目標周波数のうちの少なくとも1つを示す。
【0068】
本発明の任意選択の特徴によれば、少なくとも1つの電力伝送信号設定値が有効時間間隔にリンクされており、第2のコントローラは、有効時間間隔の終了時に駆動信号のパラメータを公称値に設定する。
【0069】
本発明の任意選択の特徴によれば、上記送電機と、受電機とを含むワイヤレス電力伝送システムが提供される。受電機は、電力伝送信号から電力を抽出するコイルと、電力伝送信号から抽出された電力を負荷に供給する電力回路と、通信時間間隔中に送電機に少なくとも1つの電力伝送信号設定値を送信する送信機とを含む。
【0070】
一部の実施形態では、受電機は、電力伝送信号の所定の目標電力特性を示す少なくとも1つの電力伝送信号設定値を送信する。
【0071】
本発明の任意選択の特徴によれば、受電機は、負荷に提供される電気信号の測定値から独立して、電力伝送信号の目標電力特性を示すものとして少なくとも1つの電力伝送信号設定値を送信する。
【0072】
一部の実施形態では、負荷に提供される電気信号の測定値に応じて電力伝送信号設定値を送信するように受電機が構成される。
【0073】
多くの実施形態では、受電機は複数の負荷モードで動作し、受電機は、負荷モードを切り替えるとき、送電機に新しい電力伝送信号設定値を送信する。
【0074】
本発明の任意選択の特徴によれば、受電機は複数の負荷モードで動作し、受電機は、負荷モードを切り替えない限り、送電機に新しい電力伝送信号設定値を送信しない。
【0075】
誘導電力伝送信号を介して受電機からワイヤレスで電力を受信するための受電機が提供され得る。受電機は、電力伝送信号から電力を抽出する受信機コイルと、受信コイルに結合され、受信コイルから負荷に電力を供給する電力回路と、送電機にメッセージを送信する送信機とを備え、送信機は、電力伝送制御モードリクエストを送電機に送信し、電力伝送制御モードリクエストは、送電機が第1の動作モードまたは第2の動作モードに従って駆動信号のパラメータを制御するためのリクエストを示し、第1の動作モードは、受電機から受信された電力制御誤差メッセージに応じて電力伝送信号の電力特性を制御するための電力制御ループを実行することを含み、第2の動作モードは、受電機から受信された少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて駆動信号のパラメータを設定することを含み、電力伝送信号設定値は、電力伝送信号の目標電力特性を示す。
【0076】
多くの実施形態では、送信機はさらに、電力伝送信号設定値を送電機に送信する。
【0077】
本発明の一態様によれば、誘導電力伝送信号を介して受電機にワイヤレスで電力を供給する送電機の動作方法が提供され、送電機は、電力伝送信号を生成する送電コイルを含み、方法は、電力伝送信号を生成するための送電コイルの駆動信号を生成することであって、駆動信号は、電力伝送信号が受電機に電力を伝送する電力伝送時間間隔、および、電力伝送信号の電力が電力伝送時間間隔に対して低下している通信時間間隔を使用して駆動信号が生成される、生成することと、通信時間間隔中に受電機からメッセージを受信することと、第1の動作モードに従って駆動信号のパラメータを制御することであって、第1の動作モードは、受電機から受信した電力制御誤差メッセージに応じて電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含み、電力制御誤差メッセージ間の最大継続時間は300ミリ秒以下である、制御することと、第2の動作モードに従って駆動信号のパラメータを制御することであって、第2の動作モードは、受電機から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて駆動信号のパラメータを設定することを含み、電力伝送信号設定値は、電力伝送信号の目標電力特性を示し、電力伝送信号設定値間の最大継続時間は1秒以上であり、第2の動作モードは、受電機から受信された電力制御誤差メッセージに応じて駆動信号を制御する電力制御ループを実行しないことを含む、制御することと、受電機から受信した電力伝送制御モードリクエストに応じて、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で選択することと、送電機が第1の動作モードまたは第2の動作モードのどちらで動作しているかに依存して、通信時間間隔のためのタイミングパラメータを変更することであって、タイミングパラメータは、通信時間間隔の継続時間、および通信時間間隔の周波数からなる群から選択されるパラメータである、変更することと、を含む。
【0078】
誘導電力伝送信号を介して受電機からワイヤレスで電力を受信する受電機の動作方法が提供され得る。受電機は、電力伝送信号から電力を抽出する受信機コイルと、受信コイルに結合され、受信コイルから負荷に電力を供給する電力回路と、送電機にメッセージを送信する送信機とを備え、方法は、送信機によって、電力伝送制御モードリクエストを送電機に送信することを含み、電力伝送制御モードリクエストは、送電機が第1の動作モードまたは第2の動作モードに従って駆動信号のパラメータを制御するためのリクエストを示し、第1の動作モードは、受電機から受信された電力制御誤差メッセージに応じて電力伝送信号の電力特性を制御するための電力制御ループを実行することを含み、第2の動作モードは、受電機から受信された少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて駆動信号のパラメータを設定することを含み、電力伝送信号設定値は、電力伝送信号の目標電力特性を示す。
【0079】
本発明の上記および他の側面、特徴、および利点は、以下に記載される実施形態を参照しながら説明され、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
以下、本発明の単なる例に過ぎない実施形態について、以下の図面を参照しながら説明する。
【
図1】
図1は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送システムの要素の例を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一部の実施形態に係る送電機の要素の例を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一部の実施形態に係る受電機の要素の例を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送経路の要素の例を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送経路の要素の例を示す。
【
図6】
図6は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送経路の要素の例を示す。
【
図7】
図7は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送経路の要素の例を示す。
【
図8】
図8は、電力伝送信号の反復時間フレームの例を示す。
【
図9】
図9は、送電機のためのハーフブリッジインバータの例を示す。
【
図10】
図10は、送電機のためのフルブリッジインバータの例を示す。
【
図11】
図11は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送信号の例を示す。
【
図12】
図12は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための通信時間間隔、異物検出時間間隔、および駆動信号の例を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための電磁干渉および干渉要件の例を示す。
【
図14】
図14は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための電磁干渉および干渉要件の例を示す。
【
図15】
図15は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための通信時間間隔、異物検出時間間隔、および駆動信号の例を示す。
【
図16】
図16は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための電磁干渉および干渉要件の例を示す。
【
図17】
図17は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための通信時間間隔、異物検出時間間隔、および駆動信号の例を示す。
【
図18】
図18は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための電磁干渉および干渉要件の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下の説明は、Qi仕様から知られているような電力伝送手法を利用するワイヤレス電力伝送システムに適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てている。しかし、本発明はこの用途に限定されず、他の多くのワイヤレス電力伝送システムに適用できることが理解されよう。
【0082】
図1は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送システムの一例を示す。電力伝送システムは、送電コイル/インダクタ103を含む(またはこれに結合される)送電機101を備える。システムはさらに、受電コイル/インダクタ107を含む(またはこれに結合される)受電機105を備える。
【0083】
システムは、送電機101から受電機105に電力を誘導的に伝送し得る電磁電力伝送信号を供給する。具体的には、送電機101は、コイルまたはインダクタ103によって磁束として伝播される電磁信号を生成する。電力伝送信号は、送電機から受電機へのエネルギー伝送を表す電磁力伝送成分に対応する可能性があり、送電機から受電機に電力を伝送する、生成された電磁界の成分に対応すると考えることができる。例えば、受電コイル107にかかる負荷がない場合、受電機は生成された電磁界から電力を抽出しない(損失を除いて)。そのような場合、送電コイル103の駆動は場合によっては強度が高い電磁界を生成する可能性があるが、電力伝送信号の電力レベルはゼロになる(損失を除いて)。異物が存在する一部の状況では、電力伝送信号は、異物への電力伝送に対応する成分を含むと見なすことができ、したがって、電力伝送信号は、送電機が生成した電磁界から抽出される電力に対応すると見なすことができる。
【0084】
電力伝送信号は、通常、約20kHz~約500kHzの周波数を有し得、Qi対応システムの場合はしばしば、通常、95kHz~205kHzの範囲内であり得る(または、例えば高出力キッチン用途の場合、周波数は通常、20kHz~80kHzの範囲内であり得る)。送電コイル103と受電コイル107は疎結合されているので、受電コイル107は送電機101からの電力伝送信号(少なくともその一部)を拾う。したがって、送電コイル103から受電コイル107へのワイヤレス誘導結合を介して、送電機101から受電機105に電力が伝送される。電力伝送信号という用語は、主に、送電コイル103と受電コイル107との間の誘導信号/磁界を指すのに使用されるが(磁束信号)、同様に、送電コイル103に供給される、または受電コイル107によって拾われる電気信号を指すとものとして考えることもでき、これを指して使用される場合もある。
【0085】
この例の受電機105は、具体的には受電コイル107を介して電力を受け取る受電機である。しかし、他の実施形態では、受電機105は金属要素、例えば金属発熱体を含み得、その場合、電力伝送信号は渦電流を直接誘導し、よって金属要素を直接加熱する。
【0086】
システムは、相当な電力レベルを伝送するように構成され、具体的には、多くの実施形態において送電機は500mW、1W、5W、50W、100W、または500Wを超える電力レベルをサポートすることができる。例えば、Qi対応用途に関して、電力伝送は典型的には、低電力用途の場合は1~5Wの電力範囲内であり得(基本電力プロファイル)、Qi仕様バージョン1.2の場合は最大15Wであり得、電動工具、ラップトップ、ドローン、およびロボットなどの高出力用途の場合は最大100Wの範囲内であり得、例えばキッチン用途などの非常に電力が高い用途の場合は100Wより高く、最大で1000Wより高い可能性がある。
【0087】
以下では、一般にQi仕様に従う(本明細書に記載の(または結果として生じる)変更や強化を除く)、またはWireless Power Consortiumによって開発されている高出力キッチン仕様に適した実施形態を具体的に参照しながら、送電機101および受電機105の動作を説明する。特に、送電機101および受電機105はQi仕様バージョン1.0、1.1もしくは1.2、またはKiコードレスキッチン使用の要素に従うか、またはこれらに実質的に対応し得る(本明細書に記載の(または結果として生じる)変更および強化を除いて)。
【0088】
図2は、本発明の一部の実施形態に係る送電機の例を示す。
【0089】
送電機101は、送電コイル103に供給される駆動信号を生成することができるドライバ201を含み、送電コイル103はこれを受けて、受電機105への電力伝送を提供する電磁電力伝送信号を生成する。電力伝送信号は、電力伝送フェーズ中に供給される。
【0090】
この例では、送電コイル103はタンク回路の一部である。具体例では、タンク回路は、並列共振/タンク回路を形成するように並列に結合された送電コイル103と送電コンデンサ203によって形成される。他の多くの実施形態では、送電コイル103は直列共振/タンク回路の一部であってもよいことが理解されよう。
【0091】
当業者には良く知られているように、ドライバ201は、通常はフルブリッジまたはハーフブリッジを駆動することによって形成されるインバータの形態の出力回路を含み得る。
【0092】
送電機101は、所望の動作原理に従って送電機101の動作を制御するように構成された送電機コントローラ205をさらに備える。
【0093】
受電機105からデータおよびメッセージを受信するために、送電機101は、受電機105からデータおよびメッセージを受信するように構成された第1の通信機207を備える(当業者には理解されるように、データメッセージは1つ以上の情報ビットを提供し得る)。この実施形態では、受電機105は、送電コイル103によって生成される電力伝送信号を負荷変調するように構成されており、第1の通信機207は、送電コイル103の電圧および/または電流における変動を感知し、これらに基づいて電力伝送信号を復調するように構成されている。当業者は、負荷変調の原理、例えばQiワイヤレス電力伝送システムで使用される負荷変調の原理を認識しているであろうことから、これらについてはこれ以上詳細に説明しない。
【0094】
当業者には良く知られているように、多くの実施形態において、第1の通信機207はまた、例えば電力伝送信号を変調することによって、受電機105にデータを送信するように構成されてもよい。
【0095】
具体的に説明されている例示的実施形態では、通信は、別の通信コイルを使用して実現され得る別の通信チャネルを使用して、または送電コイル103を使用して実行される。例えば、近距離無線通信(NFC)が実装されてもよく、または周波数が高い搬送波(例えば、周波数が13.56MHzである搬送波)が電力伝送信号に重ねられてもよい。多くの実施形態では、第1の通信機207は、NFCまたはRFIDカードリーダであり得る。
【0096】
これらは単なる例であり、送電機と受電機との間で(いずれかの方向に)メッセージ/データを通信するための任意の手段または機能を使用できることが理解されよう。
【0097】
図3は、受電機105のいくつかの要素の例を示している。
【0098】
受電コイル107は受電機コントローラ301に結合されており、受電機コントローラ301は、スイッチ305を介して受電コイル107を負荷303(すなわち、切り替え可能な負荷305)に結合する。受電機コントローラ301は、受電コイル107によって抽出された電力を負荷303に適した供給に変換する電力制御経路を含む。さらに、受電機コントローラ301は、電力伝送の実行に必要な様々な受電機コントローラ機能、特に、Qi仕様に従う電力伝送の実行に必要な機能を含み得る。
【0099】
全てではないが多くの実施形態では、受電コイル107はタンク/共振回路の一部であってもよく、コンデンサと並列または直列に結合され得る。したがって、多くの実施形態では、電力伝送は、共振回路間の共振電力伝送であってもよい。
【0100】
受電機105から送電機101への通信をサポートするために、受電機105は第2の通信機307を備える。第2の通信機307は、具体的には、送電機101に送信されるべきデータに応答して受電コイル107の負荷を変化させるように構成された負荷変調器であり得る。当業者には知られているように、その後、負荷変動は送電機101によって検出および復調される。当業者には知られているように、第2の通信機307はさらに、例えば電力伝送信号の変調を復調することによって、送電機101からデータを受信するように構成され得る。
【0101】
多くの実施形態では、第2の通信機307は、電力伝送信号を使用せずに通信するように構成されており、具体的には、別個の通信システムのためのものであってもよく、例えばNFC通信ユニットであってもよい。
【0102】
具体的には、第1の通信機207および第2の通信機307は、互いに通信するように構成されたマッチする/補完的な通信機能であってもよい。
【0103】
このシステムは、電力伝送信号が適切な動作パラメータ/特性を達成し、電力伝送が適切な動作点で動作するように、駆動信号を制御するように構成されている。実際には、システムは、駆動信号および電力伝送信号を制御するために異なるアプローチを使用する複数の異なるモードで動作するように構成されている。さらに、動作モードは、選択されたモードで動作するように送電機を制御するメッセージを送信できる受電機によって選択することができる。
【0104】
送電機101は、第1の通信機207およびドライバ201(ならびに、場合によっては送信コントローラ205等の他の機能)に接続された第1のコントローラ209を備える。第1のコントローラ209は、第1の動作モードに従って駆動信号のパラメータを制御するように構成されている。この第1の動作モードでは、システムおよび送電機は、受電機から受信した電力制御誤差メッセージに応じて電力伝送信号の電力特性を制御する電力制御ループを実行する。
【0105】
定期的な、かつ通常は頻繁な間隔で、受電機は電力制御誤差メッセージを送電機に送信する。一例として、受電機105は、電力制御ループをサポートするための機能を備え得、これは例えば、受電機コントローラ301が、負荷に供給される負荷信号の電力または電圧を連続的に監視し、これが所望の値より高いか低いかを検出することを含み得る。受電機は、電力伝送信号の電力レベルを増加または減少させることを要求する電力制御誤差メッセージが定期的な間隔で生成し、この電力制御誤差メッセージを送電機に送信し得る(第1および第2の通信機209、307によって形成される通信チャネルを使用して)。
【0106】
受電機から電力制御誤差メッセージを受信すると、メッセージは第1のコントローラ209に転送され、第1のコントローラは、要求に従って電力伝送信号の電力レベルを増加または減少させるために駆動信号パラメータをどのように変更すべきかを決定することができる。電力伝送が第1のモードで動作している場合、第1のコントローラ209は、それに応じて駆動信号パラメータを制御および適合させ得る。
【0107】
この第1の動作モードでは、したがって、受電機において所望の動作点が得られるように電力伝送信号の電力特性を制御する電力制御ループが使用される。
【0108】
第1の動作モードで動作する電力制御ループは、一部の実施形態では、QiまたはKiキッチン家電仕様の要件および仕様に従った電力制御ループであってもよい。
【0109】
図2の送電機101は、第2の動作モードでも動作することができる。送電機101は、第1の通信機207およびドライバ201(ならびに、場合によっては送信コントローラ205等の他の機能)に接続された第2のコントローラ211を備える。第2のコントローラ211は、第2の動作モードに従って駆動信号のパラメータを制御するように構成されている。第2のコントローラ211は、この第2の動作モードでは、受電機から受信された電力伝送信号設定値に応じて駆動信号のパラメータを設定するように構成されており、設定値は電力伝送信号の目標電力特性を示す。
【0110】
設定値は、例えば、電力伝送信号の固定絶対電力レベルを示し得る。実際、電力制御誤差メッセージは通常、要求された相対的な変更を示す一方、設定値は通常、電力伝送信号の目標電力特性の要求された絶対値を示す。その場合、第2のコントローラ211は、この要求された固定絶対電力レベルに応じて駆動信号を制御し、例えば、所望の電力レベルを有する電力伝送信号が生成されるように電圧、電流、または周波数を設定することができる。その場合、第2のコントローラ211はこの一定のレベルを維持するように構成されてもよい。
【0111】
受電機101は、例えば、電力動作の開始時にのみ設定値を送信することができ、その後、送電機は、電力伝送全体を通じてこの一定の電力レベルを維持し続けてもよい。したがって、この場合、第2の動作モードでは電力制御は実行されず、受電機によって要求された固定電力レベルが維持される。
【0112】
このようなアプローチは、一部の受電機や受電機具に非常に適している可能性がある。特に、電力制御ループのフィードバックを実装する必要なく、複雑さの低いデバイスを実装できる可能性がある。例えば、ケトルの場合、通常は、おおよその電力が発熱体に誘導されればよく、正確な、または動的に適合される特定の電力レベルである必要はない。
【0113】
したがって、第2の動作モードでは、電力制御ループは動作不能となり、受電機から受信される電力制御ループ誤差メッセージに応じた駆動信号の適合は実行されない可能性がある。第2の動作モードでは、送電機は、受電機を含む電力制御ループを使用しないように構成されてもよい。第2の動作モードでは、第1の動作モードで使用される電力制御ループは無効化され、駆動信号に影響を及ぼさない可能性がある。
【0114】
2つの動作モードで提供可能な電力レベルは、多くの実施形態において同じであってもよく、または実際には、第1の動作モードよりも第2の動作モードでより多くの電力が提供されてもよい。多くの実施形態では、第2の動作モードの最大(許容)電力レベルは、第1の動作モードの最大(許容)電力レベルと少なくとも同程度の高さである。最大電力レベルは、多くの要因、例えば供給電力、コンポーネントの特性、安全限界などによって制限され得る。これらの要因は動作モードに依存せず、動作モードは、受電機によって提供/抽出可能な最大電力レベルを変更しない可能性がある。
【0115】
実施形態ごとに、駆動信号の異なるパラメータが(第1のコントローラ209および第2のコントローラ211によって)調整され得、設定値は、電力伝送信号の異なる特性を示し得る。以下の説明では、設定値が電力伝送信号の要求されたまたは所望の電力レベルを示し、調整される駆動信号パラメータが駆動信号の実際の電力である例に焦点を当てる。ほとんどの場合、(例えば、共振回路および送電コイル103における)電力損失は比較的低く、電力伝送信号の電力レベルは、駆動信号の電力レベルと同じであるとみなす/仮定することができる。他の場合では、システムは、駆動信号パラメータ値を決定する際に、駆動信号パラメータと電力伝送信号特性との間の差を考慮することを含み得る。例えば、第2のコントローラ211は、出力回路で損失が発生することを考慮して、駆動信号の電力レベルを設定値によって要求されるものよりも高く設定することで補償を行うことできる。例えば、10%高く設定するか、または専用の関数(例えば、較正プロセスによって入力されるルックアップテーブルとして実装される)を使用して、設定値を、駆動信号パラメータ/電力レベルの適切な目標値に変換することができる。
【0116】
送電機はさらに、送電機を第1の動作モードと第2の動作モードとの間で切り替えるように構成された選択回路213を備える。この例では、選択回路213は、第1のコントローラ209または第2のコントローラ211のいずれかがアクティブになるように制御することによって第1のモードと第2のモードとの間で選択し、駆動信号のパラメータを調整するための制御信号をドライバに提供するように構成される。他の実施形態では、例えば、2つのコントローラ209、211の出力の間で選択し、適切な出力のみをドライバ201に結合する、適切なコントローラからの信号にのみ反応するようにドライバ201を制御する等の他のアプローチが使用され得る。
【0117】
選択回路213は第1の通信機207に結合される。受電機は、電力伝送制御モードリクエストを送電機に送信するように構成されており、電力伝送制御モードリクエストは、送電機によって要求された動作モードを示す。この具体例では、電力伝送制御モードリクエストは、第1の動作モードまたは第2の動作モードで動作するように送電機に要求するリクエストを示し得る(他の実施形態では3つ以上の動作モードが可能であることが理解されよう)。
【0118】
選択回路213は、電力伝送制御モードリクエストによって示される動作モードを選択するように構成され、具体的には、受電機への電力伝送に使用されるべき第1または第2の動作モードの選択が、電力伝送制御モードリクエストに従って実行される。したがって、このアプローチでは、受電機は、送電機の電力伝送信号制御動作を制御する電力伝送制御モードリクエストを送信する。
【0119】
このアプローチにより、送電機は、正確に制御された給電を必要とし、かつフル電力制御ループをサポート可能なより複雑な受電機および電力伝送動作を含む、様々な異なる受電機と動作できる可能性がある。さらに、おおよその電力伝送のみを必要とし、かつ電力変動の影響を受けにくい単純な受電機もサポートし得る。これにより、例えば、より要求の高いハイエンド受電機に提供される可能性がある潜在的パフォーマンスを犠牲にすることなく、非常に低コストの受電機をサポートできる可能性がある。このアプローチは、個々の電力伝送動作および受電機の具体的な要件および優先事項に効果的にかつ低い複雑さで適合できる改善されたパフォーマンスを提供することができる。
【0120】
また、このアプローチの利点は、電力伝送を様々な負荷に適合させることができることである。例えば、第1の動作モードは、線形負荷および非線形負荷の両方、例えばモータに非常に適している一方、第2の動作モードは、線形または実質的に線形の負荷に最も適している可能性がある。したがって、第2の動作モードは、複雑さの低い動作を有する線形負荷、例えば抵抗負荷に対して選択して使用され得る。しかし、必要な電力供給精度という点で非線形負荷が重要ではない場合であっても、非線形性の補償が改善されるため、第1の動作モードを選択することが有利である可能性がある。
【0121】
このアプローチを説明するための具体例として、コードレスキッチン家電は、送電コイル103から受電機にワイヤレスで電力を伝送することによって給電され得、送電コイル103は、送電コイル103を含む共振回路に0~2500Wの電力を送ることができるドライバ/インバータによって駆動される。インバータが作動される前に、送電機と受電機との間で通信チャネルが確立される。通信が確立され、2つのデバイスの識別が行われると、送電機は受電機への電力伝送を開始することができる。電力伝送動作の等価回路を
図4に示す。
【0122】
多様な送電機および受電機が存在する可能性がある。例えば、コイルのサイズ、誘導値、および負荷が大きく異なる可能性がある。したがって、
図4の等価コンポーネントによって表されるようなシステムパラメータは、具体的なデバイスおよび機械的構造によって異なる。また、受電機の配置によりコイル(LpおよびLs)間の結合が変化し、その結果システムの動作が変化する。
【0123】
さらに、デバイスは複数の動作モードを有する可能性があり、例えば、いくつかの負荷をオンまたはオフに切り替えることができる可能性がある。例えば、発熱体がオンにされてオフにされることにより、例えば50W~1200Wの負荷ステップが生じ得る。
【0124】
従来のシステムは、正しい動作点に到達することを保証するために電力制御ループを使用する傾向があった。この制御ループは、受電機に送信される電力の量を変更する。受信電力(または電圧もしくは電流)が受電機によって測定され、基準値と比較されて誤差表示が生成され得る。受電機は、この誤差表示を送電機内の制御システムに送信し得、制御システムは駆動信号を調整して静的誤差を最小化し得る。誤差表示は、電力制御誤差メッセージとして送信される。このような制御ループはいくらかの応答時間を有し、内部遅延およびローパスフィルタリングが、ループが正しい動作点にすぐに到達することを妨げる。
【0125】
図2を参照して説明した送電機は、第1の動作モード時、そのような電力制御ループを使用して従来の受電機と動作するように構成され得る。
【0126】
しかし、器具および用途によっては、正しい動作点に到達する速度が非常に重要である可能性がある。さらに、一部の器具では、特定の正確な電力レベルに到達することはそれほど重要ではなく、提供される電力レベルが、場合によっては大きく異なる可能性がある適切な範囲内にあれば十分である可能性がある。
【0127】
このような受電機および用途の場合、電力伝送信号電力の制御は、電力伝送信号の目標電力特性を示す電力伝送信号設定値を受電機が送信することに基づく可能性があり、送電機は、第1の動作モードで実装される通常のフル電力制御ループを実装することなく、この電力特性を提供するように駆動信号を単純に制御する。したがって、そのような器具および用途では、送電機は代わりに第2の動作モードで動作し得る。
【0128】
受電機は、電力伝送の前に電力伝送制御モードリクエストを送電機に送信し、好ましい制御を選択することができる。例えば、機器が高速制御ループを必要とする場合、機器内で受信された電力が測定され、適切な電力制御誤差メッセージが送電機に送信され得る。電力の変化がまれで、おおよその電力供給が要求される場合は、代わりに、電力伝送制御は、受電機が送電機に設定値を送信することに基づき得る。
【0129】
高価な電力測定および制御手段が必要ないため、このアプローチは、機器のコストを削減する機会を提供する可能性がある。これにより、内部測定回路を含めずに非常に単純な機器を製造することが可能になる。
【0130】
一部の実施形態では、第2の動作モード時の動作は、実質的に静的な動作であってもよい。具体的には、第2のコントローラ211は、電力伝送信号設定値が受電機から受信された場合にのみ駆動信号パラメータを変更するように構成されてもよい。したがって、送電機は、設定値を受信した後、新しい設定値が受信されるまで、駆動信号パラメータを固定設定し、この設定値に従った動作点を提供し得る。
【0131】
この例では、設定値は、電力伝送信号の所定の目標電力特性を具体的に示し得る。例えば、受電機は、所与の電力レベルのために設計されてもよい。例えば、ケトルの発熱体が、例えば2kWの誘導電力のために設計され得る。このような受電機は、所定の電力レベルに対応する設定値を送信するように構成され得、現在の状態等の測定値または他の考慮事項を一切含めない可能性がある。代わりに、そのような受電機が電力伝送を開始する度に、受電機が、要求された電力を提供するように動作を制御することを送電機に要求する設定値を送信する複雑さの低いアプローチが実装され得る。すなわち、この具体例では、ケトルが電力伝送を開始する度に、2kWの固定電力を連続的に一定で提供することを要求する設定値を送信する。次に、送電機は、典型的には2kWの(またはわずかに高い)駆動信号電力レベルになるように駆動信号パラメータを制御することにより、そのような電力レベルの電力伝送信号を提供するように駆動信号パラメータを設定する。
【0132】
多くの静的な実施形態では、受電機は、負荷に提供される電気信号の測定値に依存しない目標電力特性を示す設定値を送信する可能性がある。したがって、受電機は、電気負荷信号を全く考慮したり測定したりすることなく設定値を生成することができ、実際、多くの実施形態では、現在の状態または測定値から完全に独立している可能性がある。このような実施形態では、受電機コントローラ301は、電力伝送の初期化中に取り出されて送電機に送信され得る1つ(または複数)の適切な設定値を記憶し得る。
【0133】
図5は、そのような実施形態に存在し得る電力伝送および制御経路の例を示す。このようなアプローチは、上記したように、電力伝送セットアップの一部として所定の電力リクエストとともに設定値を送信するだけである可能性がある複雑さの低いケトルに非常に適している可能性があり、送電機はその後、動作全体にわたってこの電力レベルを追求する。多くの実施形態では、設定値は単に、可能な最大電力レベルが提供されることを要求する可能性がある。
【0134】
この例では、受電機自体には測定電子機器は含まれておらず、電力設定値信号を送信するだけである。これにより、測定回路を含むものよりも機器が安くなる可能性がある。機器が受け取る実際の電力には小さな定常状態誤差が存在する可能性があるが、加熱器具の場合、これは通常問題にはならない。このようなアプローチでは、システムパラメータの変化(例えば、受電機の移動に起因する変化)の影響は認識されない可能性がある。
【0135】
一部の実施形態では、受電機は、複数の負荷モードで動作するように構成されてもよい。各負荷モードは、負荷に提供される負荷信号の異なるパラメータセットに関連付けられてもよい。例えば、各負荷モードは、負荷に供給される異なる電力、負荷に供給される電圧および電流の異なる組み合わせ等に関連付けられてもよい。例えば、ケトルは、高電力モードで動作するか、低電力モードで動作するか、または停止されるように構成され得る。
【0136】
これらのモードはそれぞれ、電力伝送信号の異なる目標/要求/リクエスト電力等、異なる設定値に関連付けられ得る。このような実施形態では、受電機が新しい負荷モードに切り替わる度に、受電機が新しい設定値を送信することができる。例えば、受電機コントローラ301は、各負荷モードの適切な設定値を記憶し、新しい負荷モードに切り替わるときに、それに対応する設定値を取り出して送電機に送信することができる。その後、送電機は新しい設定値に適合し得る。実際、多くの実施形態では、負荷に提供される負荷信号の変化は、新しい設定値の送信および送電機による適合を介して達成される。
【0137】
多くの実施形態では、受電機は、負荷モードを切り替えない限り、新しい電力伝送信号設定値を送電機に送信しないように構成され得る。例えば、受電機が新しい負荷モードに切り替わる度に、受電機は新しい設定値を送信するが、システムが同じ負荷モードで動作している場合、追加の設定値は送信されない。
【0138】
したがって、このシステムは、単純で静的な動作および電力伝送信号制御を提供することができると同時に、異なる負荷モードを異なる特性でサポートすることを可能にする。
【0139】
一部の実施形態では、受電機は、負荷に供給される負荷信号の電気的パラメータの測定を実行しないが、動き、振動、または温度等の他のモダリティの測定に応じて動作を調整し得る。
【0140】
例えば、
図6に示されるように、
図5のケトルは一部の実施形態ではケトル内の液体の温度を測定する温度計601を備えることができる。温度計601は、測定信号を受電機コントローラ301に供給される適切なデータ表現に変換する測定回路603に結合される。
【0141】
このような場合、受電機コントローラ301は、基準を満たす非電気的特性の測定に応じて、新しい設定値を送信すべきであると決定するように構成されてもよい。例えば、動きが検出された場合、受電機コントローラ301は、他の要素における意図しない誘導のリスクが低減されるように、電力伝送信号をより低い電力レベルに切り替える設定値を送信することができる。
【0142】
このアプローチは、複数の異なる負荷モードで動作する受電機と組み合わせられてもよい。例えば、測定値が基準を満たしている場合、受電機は別の負荷モードに切り替わり、新しい設定値が送信され得る。具体例として、ケトルが、加熱される液体の温度を測定する温度計を含み得る。新しい電力伝送動作が開始されると、受電機は最大負荷モードに切り替わり、最大電力を要求する設定値表示が送電機に送信され、その結果、最大電力レベルの電力伝送(例えば、2kW)が得られる可能性がある。沸点に達したことを温度計が示した場合、受電機は、例えば50Wの電力レベルである低電力モードに切り替わる可能性がある。温度が所定のレベル、例えば90℃を下回ると、受電機はフル電力に戻り、最大電力を要求する設定値が送電機に送信され得る。このようにして、液体は所望の温度への加熱を達成しつつ、非常に複雑さの低い動作を可能にすることができる。
【0143】
上記アプローチは、特に非常に単純な制御手段を備えた加熱機器をサポートするために使用することができる。例えば、他の加熱デバイス(例えば、安価なコード付きケトル等)と競合するために、Ki加熱デバイス(例えば、ケトル)を、低コストの機器として製造できることが望ましい。非常に低いコストを維持するには、備える必要がある要件および機能を最小限に抑えることが重要である。本アプローチでは、多くの機能を必要とせず、具体的には測定および報告要件を軽減する、非常に複雑さの低い制御メカニズムが得られる可能性がある。後者については、例えばより高価なBluetooth通信ではなくNFC通信のみを使用して、受電機を製造できる可能性があるため、非常に重要である可能性がある。さらに、このサポートは、正確な電力制御を必要とするより複雑で高価なデバイスのサポートを犠牲にすることなく提供可能である。
【0144】
本アプローチでは、このような低コストの加熱器具は単純で静的な電力リクエストを送電機に知らせるだけでよく、送電機はこれを処理して、適切な特性を持つ電力伝送信号を生成する。これは、例えば高速内部駆動信号制御ループを使用して、送電機が駆動信号パラメータを適切に設定することによって実現される。
【0145】
このような場合、受電機/加熱機器は単に電力を受け取り、他の制御動作を実行しない可能性がある。しかし、多くの実施形態では、温度を測定し、測定値が所与の温度に達したかを単純にチェックする低コストの温度測定が含まれてもよい。温度がこのレベルに達すると、例えば新しい設定値が送信され得、新しい設定値は、例えば電力オフコマンドに対応する(新しい設定値はゼロ出力)か、または例えば低電力値に対応し得る。
【0146】
実際、多くの実施形態では、電力レベルは固定であり(または、例えばデバイスの初期設定中に一度通信され)、設定値は単純なバイナリ値として通信され得る。例えば、設定値表示が1の場合、例えば2000Wの電力レベルを有する電力伝送信号を生じ得、設定値表示が0の場合、例えば50W(または例えば0W)の電力レベルを有する電力伝送信号が生じ得る。
【0147】
一部の実施形態では、負荷に提供される電気信号の測定値に応じて電力伝送信号設定値を送信するように受電機が構成される、より動的なアプローチが採用されてもよい。受電機コントローラ301は、電気負荷信号の測定値に応じて、電力伝送信号の目標電力特性の適切な値を具体的に決定することができる。したがって、一部の実施形態では、受電機コントローラ301は、測定値が基準を満たすことが検出されたときに新しい設定値表示を送信するように構成され得る。代わりに、または追加で、設定値、例えば要求される電力レベルは、測定値に基づいて決定されてもよい。
【0148】
負荷に提供される信号の電圧が測定され、設定値送信を制御するために使用されるそのようなアプローチの例が
図7に示されている。
【0149】
この例では、受電機コントローラ301は負荷電圧(例えば、モータ電圧)U_Rxを測定し、これが基準を満たすか否かを評価する。具体的には、多くの実施形態では、受電機コントローラ301は、負荷信号電圧U_Rxを所望の基準レベルU_Rx_setと比較することができる。差が所与のレベルを超える場合、受電機コントローラ301は、新たな設定値表示の生成および送信に進むことができる。例えば、測定された電圧が低すぎる場合には、電力伝送信号のより高い電力レベルが要求される可能性があり、測定された電圧が高すぎる場合には、電力伝送信号のより低い電力レベルが要求される可能性がある。
【0150】
多くの実施形態では、第2のコントローラ211は、受信した設定値を基準値または目標値として使用する制御ループを送電機に実装することによって、駆動パラメータを制御するように構成されてもよい。すなわち、設定値に基づいてループの特性の目標値が決定され、これと現在のループパラメータとの間の誤差信号が最小化されるようにループが実行される。
【0151】
図5から
図7は、第2のコントローラ211がそのような内部送電機駆動信号制御ループを実装する例を示す。
【0152】
これらの例では、駆動信号制御ループは電力測定に基づいている。制御ループの目標電力レベルは、受信された設定値表示および電力伝送信号の電力特性に応じて決定される。多くの実施形態では、電力基準Psetは単純に、電力伝送信号に対して要求された電力レベルに設定され得る。推定器が、電力伝送信号の電力レベル表示Pmeasを決定する。
図5から
図7の例では、これは、駆動信号の電力推定値に基づいており、具体的には、ドライバ201によって生成される駆動信号の電流および電圧を測定し、これらの測定値を乗算したものから平均化/ローパスフィルタ処理された電力推定値を求めることによる。
【0153】
次に、比較器が推定駆動信号電力Pmeasを電力基準Psetと比較して、両者の間の差を示す電力レベル誤差表示を表す誤差信号Perrを生成することができる。誤差信号Perrは、少なくとも1つの積分を含むローパスフィルタPID1によってフィルタ処理される。結果として得られる信号Dconは、駆動信号の電力レベルを変更するように構成されたアダプタに供給される誤差信号であり、この例においてこの変更は、ドライバ201の出力のパルス幅変調(PWM)を使用して駆動信号のデューティサイクルを変更することによって行われる。
【0154】
したがって一部の実施形態では、第2の動作モードは、駆動信号、ひいては電力伝送信号を制御するためのローカルフィードバック制御ループを実装する送電機を含むことができる。これにより、特定の設定値に正確かつ迅速に適合することが可能になり、同時に、受電機の複雑さおよびコストを下げることができる可能性がある。
【0155】
このような実施形態では、内部送電機駆動信号制御ループの適合パフォーマンスおよび動作は、通常、設定値の更新から生じる可能性のある変更または変動よりもはるかに高速である。多くの実施形態では、駆動信号制御ループの時定数は、設定値の更新レートの半分以下であり、多くの場合、1/4、1/10、または1/100である。多くの用途において、駆動信号制御ループが新しい設定値に適合するのにかかる時間は、新しい設定値に関連付けられた動作のタイミングと比較すると実質的に瞬時であると考えることができる。
【0156】
したがって、上記アプローチにより、単一の送電機が、受電機の制御下で複数の異なる電力伝送信号制御モードで動作することが可能になり得る。
【0157】
通常、第1の動作モードの電力制御ループは変動への適合が非常に迅速であるが、第2の動作モードの設定値アプローチははるかに遅くなる傾向がある。実際、通常、この2つのアプローチはそれぞれ、正確かつ高速な電力制御を必要とする受電機と、電力の変動や不正確さの影響を受けにくく、ゆっくりとしたまれな変化しか生じない(例えば、負荷モードの変更時等)受電機とで使用される。
【0158】
実際、ほとんどの用途では、電力制御誤差メッセージ間の時間は300ミリ秒以下(例えば、QiまたはKi対応システムの場合、電力制御誤差メッセージを少なくとも250ミリ秒ごとに送信する必要がある)であり、電力伝送信号設定値間の最大時間は10秒以上、または50秒もしくは100秒以上である。実際、多くの実施形態では設定値を更新する必要はなく、設定値間の最大時間は原則的に無限であり得る。
【0159】
対照的に、電力伝送信号設定値間の最大時間は1秒以上であり、送電機は、電力伝送信号設定値を受信することなく、第2の動作モードで1秒以上動作するように構成される。第2の動作モードで動作するときの送電機は、1秒以上、典型的には5秒、10秒、60秒以上、そして実際には無期限に電力伝送を続けるように構成される。したがって、第2の動作モード時、5秒、10秒、60秒、および実際にはしばしば無期限の間隔の間、さらなる電力伝送信号設定値が受信されない場合であっても最後に受信された電力伝送信号設定値に基づいて電力伝送が継続される。
【0160】
多くの実施形態では、送電機は、第1の動作モードでの動作時、第1の閾値よりも長い時間、電力制御誤差メッセージが受信されていないことが検出された場合、電力伝送を終了するように構成されてもよい。この第1の閾値は、具体的には、電力制御誤差メッセージが少なくとも250ミリ秒ごとに送信される必要がある多くの用途(例えば、QiまたはKiシステム)において250~300ミリ秒であり得る。一部の実施形態では、潜在的にいくつかの送信が失敗することを考慮して、より高い閾値を選択することができる。多くの実施形態では、第1の閾値は、250ミリ秒、300ミリ秒、500ミリ秒、1秒以上であってもよい。
【0161】
対照的に、第2の動作モード時、送電機は、第2の閾値よりも長い時間、電力伝送信号設定値が受信されなかったとしても、電力伝送を終了しないように構成される。第2の閾値は少なくとも第1の閾値の2倍であり、多くの場合、第1の閾値の少なくとも10倍または100倍である。多くの実施形態では、送電機は、第1の電力伝送信号設定値の後に電力伝送信号設定値が二度と受信されない場合でも、すなわち、1つの電力伝送信号設定値のみが受信された場合でも、電力伝送を終了しないように構成される。したがって、多くの実施形態では、第2の動作モード時、電力伝送信号設定値の繰り返しの送信および受信は必要ない。むしろ、多くの実施形態では、初期電力伝送信号設定値のみが必要であり、新しい電力伝送信号設定値が受信されるまで、または、さらなる電力伝送信号設定値が受信されない場合には、電力伝送動作が終了するか、もしくはシステムが第1の動作モードに切り替わるまで、送電機は対応する電力レベルを維持する。
【0162】
多くの実施形態では、第2の動作モードでは電力制御誤差メッセージは受信されない。多くの実施形態では、送電機は、第2の動作モード時、電力レベルの変更を要求するデータが送電機から受信されない場合でも、電力伝送動作を継続するように構成され得る。多くの実施形態では、第2の閾値は1秒、10秒、60秒、10分以上であってもよい。
【0163】
多くの実施形態では、電力制御ループの時定数と、新しい設定値に応じて駆動信号パラメータを変更するための時定数とは、少なくとも2倍、しばしば少なくとも5、10、20、または100倍異なる。ほとんどの実施形態において、電力制御ループは高速応答する一方、設定値アプローチは実質的に静的である。
【0164】
実際、多くの実施形態では、送信された設定値の受信間の間隔は、5秒、10秒、または場合によっては60秒以上である。
【0165】
実施形態ごとに、駆動信号の異なるパラメータが制御され得ることを理解されたい。例えば、上記のように、第1のコントローラ209および第2のコントローラ211は、例えば上記駆動信号制御ループを使用して、駆動信号の電力レベルを直接制御することができる。
【0166】
一部の実施形態では、適合は、駆動信号の電流および/または電圧のいずれかを適合させることによって実行され得る。例えば、固定供給電圧がドライバ201に提供されてもよく、駆動信号は対応する固定電圧振幅を有し得る。このような実施形態では、適合は、駆動信号の電流を適合させることによって行うことができる。
【0167】
一部の実施形態では、電力伝送信号電力の適合は、駆動信号のデューティサイクルを適合させることによって行うことができる。例えば、通常、デューティサイクルが増加すると平均電力レベルが増加し、デューティサイクルを減少すると平均電力レベルが減少する。
【0168】
一部の実施形態では、適合は、駆動信号の周波数を適合させることによって行うことができる。例えば、共振出力回路の場合、周波数を共振周波数に近づけるように変更すると電力伝送レベルが高くなり、共振周波数から遠ざけるように変更すると電力レベルが低下する。
【0169】
一部の実施形態では、適合は、駆動信号の位相を適合させることによって行うことができる。例えば、フルブリッジインバータに位相シフト変調が適用されてもよい。
【0170】
多くの実施形態では、設定値は、電力伝送信号の目標電力レベルを示し得る。代わりにまたは追加で、設定値は、電力伝送信号の電力特性を示し得る他の可能なパラメータ、例えば電力伝送信号の目標デューティサイクルまたは電力伝送信号の目標周波数等を直接示し得る。実際、一部の実施形態では、設定値は、駆動信号のパラメータまたは特性、例えば駆動信号の目標電流レベルまたは目標電圧レベル等を直接示し得る。
【0171】
ワイヤレス電力伝送システムの動作は、送電機と受電機との間の通信に基づいており、特に電力制御ループは、受電機から送電機へのメッセージ(電力制御誤差メッセージ)の頻繁な送信に基づいている。送電機と受電機との間の通信の信頼性および効率は非常に重要であり、ワイヤレス電力伝送の全体的なパフォーマンスに大きな影響を与える。多くの実際のシステムでは、上記したようにNFC仕様に基づいた通信を使用することで好適なパフォーマンスが達成される。
【0172】
したがって、システムは多くの実施形態において、ワイヤレスの送電機と受電機との間で通信するための媒体としてNFCを使用する。NFCの利点は、通信チャネルの距離が非常に短いという性質のため、電力および通信コイル間に1対1の物理的関係を提供することであり、送電機と、送電機によって給電されている受電機ではない受電機との間の通信のリスクが非常に低い。さらに、NFCキャリアを取り入れることで、送電機を起動することなく、ワイヤレス受電機の通信電子機器に給電するために使用することができる。
【0173】
しかし、NFCを使用するシステムを含むワイヤレス電力伝送システムにおける通信の問題は、通信が電力信号からの干渉の影響を受けやすい可能性があることである。通信キャリアの周波数は、駆動信号および電力伝送信号の動作周波数とは大きく異なる可能性があるが(例えば、20~80kHzに対して13.56MHz)、Ki等のシステムにおける電力伝送信号の電力レベルは非常に高い可能性があり、通常は通信キャリアの電力よりも数桁高い。したがって、実質的な相互干渉が発生する可能性があり、通信パフォーマンス、ひいては電力伝送全体のパフォーマンスに影響を与える可能性がある。
【0174】
多くのシステム、特にKi等のシステムでは、電力伝送と(NFC)通信とを時間的に分離することでこの問題が解決されており、特に、繰り返される時間フレームが少なくとも1つの電力伝送間隔と1つの通信時間間隔とに分割される時分割アプローチが使用され得る。このような場合、電力伝送は通信時間間隔外でのみ実行され、電力伝送から通信への干渉が回避され得る。
【0175】
図1および
図2の例では、ドライバ201は、通信および電力伝送を、複数の分かれた通信時間間隔、具体的には複数の通信時間間隔と複数の電力伝送時間間隔とに分離するための駆動信号を生成するように構成される。以下の実施形態の例では、第1の動作モード時、および任意選択で第2の動作モード時にも、ドライバ201が、電力伝送フェーズ中に駆動信号および電力伝送信号のための反復時間フレームを使用する。
【0176】
反復時間フレームは、少なくとも1つの電力伝送時間間隔と1つの通信時間間隔とを含む。このような反復時間フレームの例を
図8に示す。電力伝送時間間隔はPTで示されており、通信時間間隔はCで示されている。この例では、各時間フレームFRMは1つの通信時間間隔Cおよび1つの電力伝送時間間隔PTのみで構成されており、各フレームにおいて両者は(および時間フレーム自体も)実質的に同じ継続時間を有する。しかし、他の実施形態では他の時間間隔(例えば、異物検出間隔)も反復時間フレームに含まれていてもよく、または複数の通信時間間隔および/もしくは電力伝送時間間隔が各時間フレームに含まれてもよいことが理解されよう。さらに、一部の実施形態では、後述するように、互いに異なる時間間隔の継続時間が(および時間フレーム自体も)動的に変化してもよい。
【0177】
この例では、電力伝送は電力伝送時間間隔内で実行される。ドライバは、電力伝送時間間隔中に駆動信号、ひいては電力伝送信号を生成するように構成されており、具体的には、電力伝送時間間隔中に非ゼロ振幅/電力を有する駆動信号が生成される。しかし、通信時間間隔中は低減された電力レベルが使用され、具体的には、多くの実施形態では電力伝送信号が生成されない。一般に、これは、ドライバ201が通信時間間隔中に駆動信号を生成しないことによって達成される(または同等に、駆動信号がゼロまたはゼロに近い振幅/電力を有するように制御される(例えば、具体的には、駆動信号が、振幅閾値0、1、2、3、5、もしくは10V未満の振幅を有するように生成され、かつ/または駆動信号が電力閾値1、2、3、5、10W未満の、もしくは電力伝送の最大電力の例えば1、2、3、5、もしくは10%未満の電力を有するように生成される))。
【0178】
通信と電力伝送とを時間的に分離することにより、具体的には反復時間フレームを使用することにより、電力伝送から通信動作への相互干渉を大幅に低減することができる(場合によってはゼロにすることもできる)。したがって、電力伝送信号によって通信に引き起こされる干渉を大きく低減することができ、実質的にゼロに減少することさえできる。これにより、通信パフォーマンスと信頼性が大幅に向上し、結果として電力伝送動作が改善され、より高い信頼性を有する。
【0179】
したがって、電力伝送フェーズでは、送電機は、時間フレームの電力伝送時間間隔中に電力伝送を実行するように構成される。具体的には、第1の動作モード時、これらの時間間隔中に、送電機101および受電機105は電力制御ループを稼働し得る。電力制御ループは、電力伝送時間間隔内の通信に基づいてもよく、または、例えば、専用通信時間間隔内など、電力伝送時間間隔外の通信に基づいてもよい。したがって、伝送される電力のレベルは動的に変更され得る。通信時間間隔内では、電力伝送信号は実質的にオフにされる可能性があるが、電力伝送時間間隔中に電力ループ動作を制御するための電力制御誤差メッセージが通信される可能性がある。
【0180】
しかし、通信と電力伝送との間のこのような時間的分離は、多くの重要な利点を提供する可能性がある一方、それに伴ういくつかの欠点も有する可能性がある。例えば、繰り返しの中断により、多くの状況で可聴ノイズが発生する可能性がある(例えば、生成された磁場の変化に応じた周囲の物体の機械的効果によって引き起こされる)。また、駆動信号および電力伝送信号のオン/オフの切り替えにより、振幅高調波が発生し、それによって電気的および電磁的ノイズが発生する可能性がある。例えば、電力信号を中断すると、主電源に電磁干渉(例えば、50Hz高調波)が生じる可能性がある。通信時間間隔に起因する電力中断が長くなるほど、ノイズを十分に抑えるためには大きなフィルタが必要になる。また、通信時間間隔が長くなると、より高い電力レベルについて電源のオン/オフが行われる可能性があり、その結果、主電源関連のノイズが増加し、より多くの電磁干渉が発生する可能性がある。
【0181】
さらに、通信時間間隔中に電力伝送信号が存在しないため、より短い時間の間に電力を供給する必要があり、その結果、電力伝送時間間隔中により高い電力レベルが必要となる。さらに、電力伝送は断続的である可能性があるため、多くの用途では、通信時間間隔中に電力供給を維持するために何らかの形のエネルギー貯蔵器(例えば、コンデンサ)を受電機が備えることが必要である。多くのアプローチでは、通信のためには電力伝送を停止する必要があるため、電力伝送の中断時間を最小限に抑えるために、通信が短いデータメッセージに制限される可能性がある。この欠点は、電力伝送レベルが高くなるのにつれて重大になる傾向があり、非常に高い電力レベルの伝送に使用される可能性があるKi等の用途では非常に重大になる傾向がある。
【0182】
図2の送電機は、通信時間間隔のタイミングを制御するように構成されたタイミング回路215を備え、具体的には、タイミング回路215は、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で通信時間間隔のタイミングパラメータを変更するように構成されている。したがって、選択回路213は、送電機が第1の動作モードで動作しているか第2の動作モードで動作しているかに応じて、通信時間間隔のタイミング特性を変更することができる。
【0183】
特に、タイミング回路215は、第1の動作モード時、第2の動作モード時よりもより高い(通常は大幅に高い)割合の時間を通信時間間隔に割り当てるように構成され得る。したがって、システムは通信機能を動的に適合させることで異なる動作モードを区別することができる。
図2の送電機は、通信パフォーマンスを適合させることによって、具体的には、動作モードごとの異なる通信パフォーマンスに最も適した(少なくとも)電力伝送時間間隔および通信時間間隔が得られるように、(少なくとも)電力伝送時間間隔および通信時間間隔への時間分割を適合させることによって、改善されたパフォーマンスを提供することができる。これにより、例えば、電力伝送の改善、動作の複雑さの軽減、電磁干渉の低減、および電磁的両立性の改善が可能になり得る。
【0184】
実際、一部の実施形態では、受電機は、許容可能な電磁干渉に基づいて動作モードを選択するように構成されてもよい。例えば、受電機は、第1の動作モードで動作することを選択し、結果として過度の電磁干渉が発生した場合は第2の動作モードに切り替えてもよい。具体例として、このアプローチにより、電磁干渉が比較的低い場合には、受電機は、より低い電力レベルのためにフル電力制御を使用できる可能性がある。しかし、電力伝送レベルの増加に伴い電磁干渉が増加すると、それに応じて受電機はより高い電力レベルのための第2の動作モードに切り替わり、所与の電力レベルに対する電磁干渉を低減できる可能性がある。
【0185】
電力伝送システムは、第2の動作モード時、第1の動作モード時よりも少ない通信容量を提供するように構成されてもよい。第2の動作モードにおける通信容量の低減は、第2の動作モード時、第1のモード時よりも受電機と送電機との間の通信が低減されるように第2の動作モードを実装することによって実現可能とされてもよい。特に、第2の動作モードは、動的電力制御ループをサポートするための頻繁な電力制御誤差メッセージを必要とせず、実際、多くの実施形態では、初期電力伝送信号設定値を除いて電力フィードバックなしで実装することができる。したがって、システムは、例えば、電力伝送効率、柔軟性、精度、および電磁干渉等と、複雑さおよび電磁両立性との間のトレードオフを動的かつ柔軟に適合させることができる。
【0186】
したがって、タイミング回路215は、第2の動作モードのための通信容量を低減するように構成され得、第2の動作モードは、電力伝送をサポートするためにより少ない通信を使用するように構成され得る。
【0187】
特に、(例えば、静的制御が使用される)第2の動作モード時、受電機から送電機により少ないデータおよびより少ないメッセージを送信すればよく、タイミング回路215は、より短いまたはより少ない通信時間間隔を使用するように適合することができる。
【0188】
多くの実施形態では、駆動信号および電力伝送信号は、電力伝送時間間隔(電力が伝送され、通常は電力制御ループが実行される)および低電力時間間隔(電力伝送時間間隔と比較して電力が低減される)を含む反復時間フレームを使用するように駆動される。これらの低電力時間間隔は、通常は、少なくとも何らかの通信が実行可能な(電力伝送からの干渉が全くないか、または少ない)通信時間間隔として使用され得る。一部の実施形態では、低電力時間間隔は異物検出にも使用され得、実際、一部の実施形態では、低電力時間間隔は、通信および異物検出を同時に実行するために使用され得る。
【0189】
多くの実施形態では、ドライバ201は、変動する電源信号によって、典型的には変動する電源電圧によって給電され得る。駆動信号は、典型的には、変動する電源信号に従う、具体的には変動する電源電圧に従う振幅を有するように生成され得る。
【0190】
例えば、ドライバ201の出力は、典型的にはスイッチブリッジであり、スイッチブリッジのスイッチの適切なスイッチングによって駆動信号を生成する。
図9は、ハーフブリッジスイッチブリッジ/インバータを示す。スイッチS1およびS2は同時に閉じることがないように制御される。交互に、S2が開いている間にS1が閉じ、S1が開いている間にS2が閉じる。スイッチは所望の周波数で開閉され、それにより、出力において交流信号を生成する。典型的には、インバータの出力は共振コンデンサを介して送電インダクタに接続される。
図10は、フルブリッジスイッチブリッジ/インバータを示す。スイッチS1およびS2は同時に閉じることがないように制御される。スイッチS3およびS4は同時に閉じることがないように制御される。交互に、S2およびS3が開いている間にスイッチS1およびS4が閉じられ、S1およびS4が開いている間にS2およびS3が閉じられ、これにより、出力において方形波信号が生成される。スイッチは所望の周波数で開閉される。このようなドライバでは、電源電圧は変動する電源電圧であってもよく、駆動信号は、スイッチ素子での小さな電圧降下を除いて電源電圧に等しい振幅を有するように生成されてもよい。
【0191】
例えば、多くの実施形態では、ドライバ201(具体的には、
図9および
図10の出力インバータ等の出力インバータ)のための電源電圧は、整流された(および場合によっては部分的に平滑化された)AC主電源電圧から生成され得る。平滑化および整流されていない電圧、すなわち入力電源電圧、したがって駆動信号電圧は、主電源電圧のゼロ交差に対応する時点で最小セロボルトに達する。部分的に平滑化および整流された電源電圧の場合、最小電圧/電力はゼロ交差よりも遅れて発生する可能性があり、ゼロボルトよりも高い可能性がある。
【0192】
このような実施形態では、低電力/異物検出/通信時間間隔が、(絶対)電源信号/電圧の最小値に同期されてもよい。タイミング回路215は、変動する電源信号の最小値の時点が低電力時間間隔内に収まるように、典型的には通信時間間隔の中心が最小値の時点になるように、通信時間間隔を同期するように構成され得る。
【0193】
多くの実施形態では、低電力時間間隔/通信時間間隔のタイミングは、変動する電源信号の最小値の時点が時間間隔の中心になるようなものであり、したがって、典型には電力伝送信号の最小値の時点が時間間隔の中心になるようなものである。多くの実施形態では、タイミング回路215は、入力電源電圧のゼロレベル(多くの場合、入力電源電圧のゼロ交差)が実質的に通信時間間隔の中心となるように、通信時間間隔のタイミングを制御するように構成され得る。
【0194】
例えば、50Hzの整流された電源電圧をドライバ201が受け取る場合、主電源のゼロ交差、したがって整流された電源電圧および電力の最小値は10ミリ秒の間隔で発生し、各反復時間フレームは10ミリ秒の継続時間を有するように設定され得る。結果として得られる駆動信号/電力伝送信号の一例が
図11に示されており、電力伝送時間間隔PTおよび通信時間間隔C中の駆動信号/電力伝送信号が示されている。
【0195】
多くの実施形態では、第1および第2の動作モードの両方で反復時間フレームを使用することができ、さらに、通信時間間隔は電源電力の電力/振幅の最小値を中心として配置され得る。このような反復時間フレームを使用すると、通信および電力伝送を時間領域で分離することができ、その結果、電力伝送から通信への相互干渉が大幅に低減される(場合によってはゼロ)。したがって、電力伝送信号によって通信に引き起こされる干渉を大きく低減することができ、実質的にゼロに減少することさえできる。これにより、通信パフォーマンスと信頼性が大幅に向上し、結果として電力伝送動作が改善され、より高い信頼性を有する。
【0196】
したがって、電力伝送フェーズでは、送電機は、時間フレームの電力伝送時間間隔中に電力伝送を実行するように構成される。具体的には、第1の動作モード時、送電機101および受電機105は、通信時間間隔中に実行された通信に基づいて、電力伝送時間間隔中の電力制御ループを実行し得る。したがって、伝送される電力のレベルは動的に変更され得る。通信時間間隔内では、電力伝送信号は実質的にオフにされる可能性があるが、電力伝送時間間隔中に電力ループ動作を制御するための電力制御誤差メッセージが通信される可能性がある。
【0197】
しかし、通信と電力伝送との間のこのような時間的分離は、多くの重要な利点を提供する可能性がある一方、それに伴ういくつかの欠点も有する可能性がある。例えば、上記したように、多くの状況において、中断が繰り返されることにより可聴ノイズが発生する可能性があり、また、駆動信号および電力伝送信号のオン/オフの切り替えにより振幅高調波が発生し、電気的および電磁ノイズ、ならびに干渉および電磁ノイズ(50Hz高調波)が発生する可能性がある。
【0198】
さらに、通信時間間隔中に電力伝送信号が存在しないため、より短い時間の間に電力を供給する必要があり、その結果、電力伝送時間間隔中により高い電力レベルが必要となる。また、電力伝送は断続的である可能性があるため、多くの用途では、何らかのエネルギー貯蔵器を受電機が備えることが必要である。通信時間間隔が短いと通信が大きく制限される可能性があり、電力伝送のパフォーマンスに影響を与える可能性がある。
【0199】
図12は、電力伝送信号によって分離された、交互に発生する通信時間間隔(T_slot_com)および異物検出時間間隔(T_slot_fod)を含む反復時間フレームが使用され得る例を示す。反復時間フレームは、電源電力の時間周期に等しい継続時間を有し、通信時間間隔および異物検出時間間隔は、電源電力のゼロ交差/最小値を中心とする。
図12はさらに、通信時間間隔および異物検出時間間隔のタイムスロット継続時間が1.2ミリ秒であり、電力伝送が2.2kWである場合の駆動信号電流(Imains)の例を示す。
【0200】
図13は、IEC61000-3-2:高調波電流限度値(Limits for harmonic current emissions)に準拠した許容限界と比較して、発生し得る高調波を示している。図示されているように、引き込まれた電流と、低電力時間間隔の存在とにより、IEC61000-3-2限界値に近い高調波が発生する。これらの高調波の振幅が小さいことが好ましい。
【0201】
また、高調波の大きさは電力レベルに依存し、電力レベルが増加すると限界値を満たさなくなる。例えば、
図14は、電力レベルが3kWに増加した対応する例を示している。
【0202】
一部の実施形態では、タイミング回路215は、第2の動作モード時、第1の動作モード時と比較して、通信時間間隔(および多くの場合、異物検出時間間隔等の他の低電力時間間隔)の継続時間を短縮するように構成され得る。例えば、
図15は
図12に対応する例を示しているが、送電機が第2の動作モードにあり、この例では低電力時間間隔は0.6ミリ秒に短縮される。
図16は、
図14に対応する3kW電力伝送への高調波応答を示す。比較すると、高調波のレベルが大幅に減少しており、実際にタイムスロット継続時間の短縮により高調波がIEC限界値を満たすことがわかる。
【0203】
一部の実施形態では、受電機は、低い電力レベルの場合は第1の動作モードで動作するように構成されてもよい。しかし、所与のレベルを超える電力伝送が必要であると受電機が判断した場合、受電機は送電機に第2の動作モードに切り替えることを求めるリクエストを送信し、所望の電力伝送レベルを示す電力伝送信号設定値を送信し得る。次いで、送電機は第2の動作モードに切り替え、電力レベルを要求された量に設定し、通信時間間隔の継続時間を短縮することができる(例えば、この具体例では1.2ミリ秒から0.6ミリ秒に短縮する)。このようなアプローチにより、例えば、電磁干渉を必要なレベル以下に確実に抑えながら、電力伝送を増加させることができる可能性がある。
【0204】
一部の実施形態では、したがって、タイミング回路215は、第1の動作モード時、第2の動作モード時よりも通信時間間隔の継続時間を高く設定するように構成される。第2のモード時の継続時間がより短ければ、高調波や電磁干渉等が低減される可能性があるが、電力制御誤差メッセージを頻繁に送信することができない可能性がある。対照的に、第1の動作モード時の通信時間間隔がより長ければ、より多くの情報およびより長いメッセージが許容される可能性があり、これは、電力制御ループをサポートするために使用され得、具体的には、電力制御誤差メッセージを頻繁に通信できるようにするのに十分であるように設定され得る。
【0205】
一部の実施形態では、タイミング回路215は、異なる動作モード間で通信時間間隔の周波数を変更するように構成されてもよい。タイミング回路215は、送電機が第1の動作モードで動作しているか第2の動作モードで動作しているかに応じて、通信時間間隔同士の間の継続時間を変更することができる。したがって、多くの実施形態では、タイミング回路215は、第1の動作モード時、第2の動作モード時よりも通信時間間隔の周波数を高く設定するように構成される。
【0206】
一例として、タイミング回路215は、各通信時間間隔の継続時間を一定の継続時間に維持するように構成されてもよい。例えば、通信時間間隔の継続時間は、受電機から送電機に(またはその逆に)完全なメッセージが送信するのに十分に長さを有するように構成され得る。メッセージが異なる長さを持つ可能性がある場合、通信時間間隔の継続時間は、例えば、最も長いメッセージが送信可能であることを保証する最小値に設定され得る。具体例として、通信時間間隔の継続時間は固定値に設定されてもよく、例えば、第1および第2の動作モードの両方について1.2ミリ秒に固定して設定され得る。
【0207】
しかし、通信時間間隔同士の間の継続時間、よって通信時間間隔の周波数は、2つのモードで(場合によっては大きく)異なるように設定され得る。例えば、第1の動作モードでは、通信時間間隔を電源電力の変動と同期させることができ、電源電力が電力最小値(典型的には、主電源のゼロ交差に対応する)に達する度に通信時間間隔が含められ得る。50Hzの主電源周波数の場合、通信時間間隔の周波数は、10ミリ秒間隔で発生する新しい通信時間間隔に対応して、100Hzであってもよい。
【0208】
対照的に、送電機が第2の動作モードにある場合、通信時間間隔ははるかに低い頻度で発生する可能性がある。例えば、通信時間間隔は、例えば毎秒または10秒毎にしか生成されなくてもよい。したがって、依然として各通信時間間隔内で完全なメッセージを送信することはできるが、データメッセージのレートははるかに低くなる。この場合、電力伝送の素早い適合、例えば高速応答電力制御ループをサポートできない可能性がある。しかし、第2の動作モードは特に静的動作が使用されるモードであるため、そのような高速な動作および適合は必要ない。
【0209】
多くの実施形態では、タイミング回路215は、第1の動作モード時、第2の動作モード時よりも通信時間間隔のデューティサイクルを高く設定するように構成され得る。デューティサイクルは、通信時間間隔および電力伝送時間間隔内の合計時間に対する通信時間間隔内の時間の比であってもよい。デューティサイクルは、通信時間間隔の継続時間と、通信時間間隔の継続時間および電力伝送時間間隔(具体的には、隣接する電力伝送時間間隔)の継続時間の和との間の比であり得る。
【0210】
したがって、第1の動作モード時、タイミング回路215は、電力伝送時間間隔で費やされる時間と比較して、通信時間間隔で費やされる相対時間を増加させる可能性がある。このようなデューティサイクルの増加は、第2の動作モード時に比べて、第1の動作モード時の通信時間間隔の継続時間および/または周波数を増加することによって達成され得る。
【0211】
上記したように、多くの実施形態では、送電機は、駆動信号および電力伝送信号に対して反復時間フレームを使用することができる。一部の実施形態では、反復時間フレームは第1の動作モード中に使用されるが、第2の動作モード中には使用されない可能性がある。例えば、第1の動作モード時、時間フレームは、例えば50Hz電源の場合には10または20ミリ秒ごとに繰り返され得る。各時間フレームは、電力伝送時間間隔と通信時間間隔とに分割することができ、各時間フレームで同じ分割を使用することができる。対照的に、第2の動作モード中、タイミング回路215は、アドホックまたはセミランダムで通信時間間隔を生成するように構成され得る。
【0212】
例えば、第2の動作モード時、タイミング回路215は、通信時間間隔同士の間の継続時間をランダムに変更することができる(典型的には、継続時間の上限および/または下限に従って)。タイミング回路215は、新しい通信時間間隔が開始すると判断すると、電力伝送信号をオフにして通信キャリアを生成することができる。受電機は、電力がオフになったこと、および/または通信キャリアが存在することを検出すると、例えばキャリアを負荷変調することによって、保留中のメッセージを送電機に送信し始めることができる。
【0213】
このような通信時間間隔間の継続時間のアドホックおよび/または(擬似)ランダムな変更は、例えば、周波数において電磁干渉を拡散できるという利点を有する可能性がある。具体的には、通信時間間隔の周波数の高調波内に電磁干渉を集中させる代わりに、この変更により、電磁干渉エネルギーがより均等に周波数において分散され、結果としてノイズ密度が低下する可能性がある。
【0214】
一部の実施形態では、送電機が第2の動作モードにあるときに反復時間フレームが使用され得る。しかし、反復時間フレームは、第1の動作モード時と比較して、第2の動作モード時には修正される可能性がある。
【0215】
多くの実施形態では、タイミング回路215は、実施形態ごとに、通信時間間隔に割り当てられる反復時間フレームの割合を変更するように構成され得、具体的には、第2の動作モード時にその割合を減らすように構成され得る。
【0216】
具体的には、第1および第2の動作モードにおいて同じ周期を有する反復時間フレームの場合、通信時間間隔の継続時間が短縮され得る。上記例に対応する具体例として、タイミング回路215は、第1の動作モードから第2の動作モードに切り替えるときに、反復時間フレームの固定継続時間を10ミリ秒に維持しつつ(例えば、それぞれ
図12および
図15の例においてそうであるように)、通信時間間隔の継続時間を1.2ミリ秒から0.6ミリ秒に短縮することができる。
【0217】
一部の実施形態では、タイミング回路215は、動作モードに依存して反復時間フレーム内の通信時間間隔の周波数を変更するように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、タイミング回路215は、第2の動作モードに切り替えるときに、通信時間間隔同士の間の継続時間を長くするように構成されてもよい。これは、例えば、反復時間フレームの継続時間/反復周波数を変更することによって実現され得る。例えば、タイミング回路215は、第1の動作モード時に
図12のパターンを課し、その後、第2の動作モード時に
図17のパターンに切り替わり得る。
図17の例では、通信時間間隔(および異物検出時間間隔)の継続時間は1.2ミリ秒に維持されるが、複数の電源電力最小値のうちの半分だけが低電力時間間隔に関連付けられている。したがって、
図17の例は
図12の例に対応すると考えることができるが、反復時間枠フレームの継続時間が2倍である。これにより、干渉が減少する可能性があり、具体的には、
図18に示すように、周波数が半分であるがレベルが低下した高調波が発生する可能性がある。
【0218】
一部の実施形態では、タイミング回路215は、第1の動作モード時および第2の動作モード時の異なるパターンに追従するよう、通信時間間隔が反復時間フレーム内に含まれるか否かを適合させるように構成され得る。具体的には、第1の動作モード時、タイミング回路215は、全ての反復時間フレームにおいて通信時間間隔を生成するように送電機を制御することができる。対照的に、第2の動作モードに切り替えたとき、タイミング回路215は、一部の反復時間フレームでのみ通信時間間隔を生成することに移行し得る。
【0219】
例えば、送電機は、第2の動作モード時、同じ継続時間を有する反復時間フレームを使用し続けるが、1つおきの時間フレームにのみ通信時間間隔を含めてもよい(第1の動作モードから第2の動作モードに切り替わるとき、通信時間間隔の周波数が2分の1に減少することに対応して)。他の場合では、タイミング回路215は、3つおき、4つおき等の反復時間フレームごとにしか通信時間間隔を含まないように構成されてもよい。一部の実施形態では、通信時間間隔を含む反復時間フレームのパターンは非周期的であってもよく、例えば所定のパターンに従っていてもよい。さらに他の実施形態では、通信時間間隔が含まれる反復時間フレームは擬似ランダムであってもよい。
【0220】
実施形態の具体的な優先事項および要件に応じて、実施形態ごとに異なるアプローチが使用され得ることが理解されるであろう。また、複数の異なるアプローチを組み合わせてもよいこと、例えば、タイミング回路215が、2つの異なる動作モード間で通信時間間隔の継続時間と周波数の両方を変更するように構成され得ることが理解されよう。
【0221】
上記アプローチは、通信、具体的には通信時間間隔のタイミング特性を、2つの異なるモードにおける異なる動作に適合させてもよい。具体的には、送電機と受電機との間の通信に利用可能な通信リソースが、これらが2つのモード間で(しばしば大きく)異なる可能性があることを反映するように適合され得る。これは具体的には、電磁干渉を低減し、電磁両立性を高めるために使用できる。具体的には、通信時間間隔の高調波からの干渉が多くの実施形態において非常に大幅に低減され得る。
【0222】
明瞭さのために、上記の説明は、異なる機能的回路、ユニット、およびプロセッサに関連して本発明の実施形態を説明している。しかしながら、本発明を損なうことなく、異なる機能的回路、ユニット、またはプロセッサ間で、機能が適切に分配され得ることが理解されよう。例えば、複数の別々のプロセッサまたはコントローラによって実行されるように説明された機能が、同じプロセッサまたはコントローラによって実行されてもよい。したがって、特定の機能的ユニットまたは回路への言及は、厳密な論理的または物理的な構造または組織を示すものではなく、説明される機能を提供するための適切な手段への言及であると考えられたい。
【0223】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせを含む任意の適切な形態で実施することができる。本発明は、1つ以上のデータプロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサ上で動作するコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に実装されてもよい。本発明の実施形態の要素および構成要素は、任意の適切な方法で物理的、機能的、および論理的に実装され得る。実際には、機能は、単一のユニット、複数のユニット、または他の機能ユニットの一部として実装されてもよい。したがって、本発明は、単一のユニットとして実装されてもよく、または異なる複数のユニット、回路、およびプロセッサの間で物理的および機能的に分配されてもよい。
【0224】
いくつかの実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は明細書に記載される具体的形態に限定されない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、ある特徴が特定の実施形態に関連して記載されているように見えたとしても、当業者は、上記実施形態の様々な特徴が本発明に従って組み合わせられ得ることを認識するであろう。請求項において、備える、含む等の用語は他の要素またはステップの存在を排除するものではない。
【0225】
好ましい値への言及は、異物検出初期設定モードで決定された値であるということを超える制限を示唆するものではなく、すなわち、適合プロセスで決定されるために好ましいことが理解されよう。好ましい値への言及は、例えば第1の値への言及に置き換えられ得る。
【0226】
さらに、個別に列挙されていたとしても、複数の手段、要素、回路、または方法ステップは、例えば、単一の回路、ユニット、またはプロセッサによって実施されてもよい。さらに、個々の特徴が異なる請求項に含まれていたとしても、これらは好適に組み合わされ得、異なる請求項に含まれていることは、特徴の組み合わせが実現不可能であるおよび/または有利でないことを意味するものではない。また、1つのクレームカテゴリー内にある特徴が含まれているからといって、その特徴がこのカテゴリーに限定されるとは限らず、特徴は適宜、他のクレームカテゴリーに等しく適用可能である。さらに、請求項における特徴の順序は、特徴が作用すべき特定の順序を指すものではなく、特に、方法クレームにおける個々のステップの順序はステップをその順序で実行しなければならないことを意味しない。ステップは任意の適切な順序で実行され得る。また、単数形の表現は複数形を排除するものではない。したがって、「第1の」、「第2の」などの表現は複数を排除するものではない。特許請求の範囲内の参照符号は明瞭さのための例に過ぎず、請求項の範囲を如何ようにも限定するものではない。
【0227】
一般に、ワイヤレス電力伝送装置および方法の例は、以下の実施形態によって示される。
【0228】
実施形態
実施形態1 誘導電力伝送信号を介して受電機(105)にワイヤレスで電力を供給するための送電機(101)であって、前記送電機(101)は、
前記電力伝送信号を生成する送電コイル(103)と、
前記電力伝送信号を生成するための前記送電コイル(103)の駆動信号を生成するドライバ(201)と、
前記受電機(105)からメッセージを受信する受信機(207)と、
第1の動作モードに従って前記駆動信号のパラメータを制御する第1のコントローラ(209)であって、前記第1の動作モードは、前記受電機(105)から受信した電力制御誤差メッセージに応じて前記電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含む、第1のコントローラと、
第2の動作モードに従って前記駆動信号の前記パラメータを制御する第2のコントローラ(211)であって、前記第2の動作モードは、前記受電機(105)から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて前記駆動信号の前記パラメータを設定することを含み、前記電力伝送信号設定値は、前記電力伝送信号の目標電力特性を示す、第2のコントローラと、
前記受電機(105)から受信した電力伝送制御モードリクエストに応じて、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で選択する回路(213)と、を備えた送電機。
【0229】
実施形態2 前記電力制御誤差メッセージは、前記電力伝送信号の前記電力特性の要求された相対変化を示し、前記設定値メッセージは、前記目標電力特性の要求された絶対値を示す、実施形態1に記載の送電機。
【0230】
実施形態3 前記電力制御誤差メッセージ間の継続時間は300ミリ秒以下であり、電力伝送信号設定値間の最大継続時間は10秒以上である、実施形態1または2に記載の送電機。
【0231】
実施形態4 前記電力制御ループの時定数と、前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて前記駆動信号の前記パラメータを変更するための時定数とが、少なくとも2倍異なる、実施形態1から3のいずれか一項に記載の送電機。
【0232】
実施形態5 前記第2のコントローラ(211)が駆動信号制御ループを実装し、前記駆動信号制御ループは、
前記電力伝送信号の電力レベル表示を生成する推定器と、
前記電力レベル表示と、前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値から決定される基準電力との間の比較に応じて誤差信号を生成する比較器と、
前記誤差信号に応じて前記駆動信号の前記パラメータを適合させるためのアダプタとを含む、実施形態1から4のいずれか一項に記載の送電機。
【0233】
実施形態6 前記第2の動作モード時、前記駆動信号の前記パラメータは、前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値の受信に応じてのみ変更される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の送電機。
【0234】
実施形態7 前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値は、前記電力伝送信号の目標電力レベルを示す、実施形態1から6のいずれか一項に記載の送電機。
【0235】
実施形態8 前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値が有効時間間隔にリンクされており、前記第2のコントローラ(211)は、前記有効時間間隔の終了時に前記駆動信号の前記パラメータを公称値に設定する、実施形態1から7のいずれか一項に記載の送電機。
【0236】
実施形態9 実施形態1から8のいずれか一項に記載の送電機(101)と、前記受電機(105)とを備えるワイヤレス電力伝送システムであって、前記受電機(105)は、
前記電力伝送信号から電力を抽出するコイル(107)と、
前記電力伝送信号から抽出された電力を負荷(303)に供給する電力回路(301、305)と、
前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値を前記送電機に送信する送信機(307)とを含む、ワイヤレス電力伝送システム。
【0237】
実施形態10 前記受電機は、前記電力伝送信号の所定の目標電力特性を示す前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値を送信する、実施形態9に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【0238】
実施形態11 前記受電機(105)は、前記負荷(303)に提供される電気信号の測定値から独立して、前記電力伝送信号の目標電力特性を示すものとして前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値を送信する、実施形態9または10に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【0239】
実施形態12 前記受電機(105)は、前記負荷(303)に提供される電気信号の測定値に応じて前記電力伝送信号設定値を送信する、実施形態9に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【0240】
実施形態13 前記受電機(105)は複数の負荷モードで動作し、前記受電機(105)は、負荷モードを切り替えない限り、前記送電機(101)に新しい電力伝送信号設定値を送信しない、実施形態9から12のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【0241】
実施形態14 誘導電力伝送信号を介して受電機(101)からワイヤレスで電力を受信するための受電機(105)であって、前記受電機(105)は、
前記電力伝送信号から電力を抽出する受電コイル(107)と、
前記受電コイル(107)に結合され、前記受電コイルから負荷(303)に電力を供給する電力回路(301、305)と、
メッセージを前記送電機(101)に送信する送信機(307)であって、前記送信機(307)は、電力伝送制御モードリクエストを前記送電機(101)に送信し、前記電力伝送制御モードリクエストは、第1の動作モードまたは第2の動作モードに従って前記駆動信号のパラメータを制御することを前記送電機に要求するリクエストを示す、送信機と、を備え
前記第1の動作モードは、前記受電機(105)から受信した電力制御誤差メッセージに応じて前記電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含み、
前記第2の動作モードは、前記受電機(105)から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて前記駆動信号の前記パラメータを設定することを含み、前記電力伝送信号設定値は、前記電力伝送信号の目標電力特性を示す、受電機。
【0242】
実施形態15 誘導電力伝送信号を介して受電機(105)にワイヤレスで電力を供給する送電機(101)の動作方法であって、前記送電機(101)は、
前記電力伝送信号を生成する送電コイル(103)を含み、
前記方法は、
前記電力伝送信号を生成するために前記送電コイル(103)の駆動信号を生成することと、
前記受電機(105)からメッセージを受信することと、
第1の動作モードに従って前記駆動信号のパラメータを制御することであって、前記第1の動作モードは、前記受電機(105)から受信した電力制御誤差メッセージに応じて前記電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含む、制御することと、
第2の動作モードに従って前記駆動信号の前記パラメータを制御することであって、前記第2の動作モードは、前記受電機(105)から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて前記駆動信号の前記パラメータを設定することを含み、前記電力伝送信号設定値は、前記電力伝送信号の目標電力特性を示す、制御することと、
前記受電機(105)から受信した電力伝送制御モードリクエストに応じて、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で選択することと、を含む方法。
【0243】
実施形態16 誘導電力伝送信号を介して受電機(101)からワイヤレスで電力を受信する受電機(105)の動作方法であって、前記受電機(105)は、
前記電力伝送信号から電力を抽出する受電コイル(107)と、
前記受電コイル(107)に結合され、前記受電コイルから負荷(303)に電力を供給する電力回路(301、305)と、
メッセージを前記送電機(101)に送信する送信機(307)と、を含み、前記方法は、前記送信機(307)によって、電力伝送制御モードリクエストを前記送電機(101)に送信することであって、前記電力伝送制御モードリクエストは、第1の動作モードまたは第2の動作モードに従って前記駆動信号のパラメータを制御することを前記送電機に要求するリクエストを示す、送信することと、
前記第1の動作モードは、前記受電機(105)から受信した電力制御誤差メッセージに応じて前記電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含み、
前記第2の動作モードは、前記受電機(105)から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて前記駆動信号の前記パラメータを設定することを含み、前記電力伝送信号設定値は、前記電力伝送信号の目標電力特性を示す、方法。
【0244】
実施形態1 誘導電力伝送信号を介して受電機(105)にワイヤレスで電力を供給するための送電機(101)であって、前記送電機(101)は、
前記電力伝送信号を生成する送電コイル(103)と、
前記電力伝送信号を生成するための前記送電コイル(103)の駆動信号を生成するドライバ(201)であって、前記ドライバ(201)は、前記電力伝送信号が前記受電機(105)に電力を伝送する電力伝送時間間隔、および、前記電力伝送信号の電力が前記電力伝送時間間隔に対して低下している通信時間間隔を使用して前記駆動信号を生成する、ドライバと、
通信時間間隔中に前記受電機(105)からメッセージを受信する受信機(207)と、
第1の動作モードに従って前記駆動信号のパラメータを制御する第1のコントローラ(209)であって、前記第1の動作モードは、前記受電機(105)から受信した電力制御誤差メッセージに応じて前記電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含み、電力制御誤差メッセージ間の最大継続時間は300ミリ秒以下である、第1のコントローラと、
第2の動作モードに従って前記駆動信号の前記パラメータを制御する第2のコントローラ(211)であって、前記第2の動作モードは、前記受電機(105)から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて前記駆動信号の前記パラメータを設定することを含み、前記電力伝送信号設定値は、前記電力伝送信号の目標電力特性を示し、電力伝送信号設定値間の最大継続時間は1秒以上である、第2のコントローラと、
前記受電機(105)から受信した電力伝送制御モードリクエストに応じて、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で選択する回路(213)と、
前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間の前記通信時間間隔のためのタイミングパラメータを変更するタイミング回路(215)と、を備えた送電機。
【0245】
実施形態2 前記ドライバ(201)は、前記電力伝送信号に反復時間フレームを使用し、各反復時間フレームが、少なくとも1つの電力伝送時間間隔を含み、少なくとも一部の反復時間フレームが、少なくとも1つの通信時間間隔を含む、実施形態1に記載の送電機。
【0246】
実施形態3 前記タイミング回路(215)は、前記第1の動作モード時、前記第2の動作モード時よりも、反復時間フレームのより大きな割合を前記少なくとも1つの通信時間間隔に割り当てる、実施形態2に記載の送電機。
【0247】
実施形態4 前記タイミング回路(215)は、前記第1の動作モード時、全ての反復時間フレーム内に通信時間間隔を含み、前記第2の動作モード時、反復時間フレームのサブセットのみに通信時間間隔を含む、実施形態2または3に記載の送電機。
【0248】
実施形態5 前記タイミング回路(215)は、前記第1の動作モード時、前記第2の動作モード時よりも前記通信時間間隔の継続時間を高く設定する、実施形態1から4のいずれか一項に記載の送電機。
【0249】
実施形態6 前記タイミング回路(215)は、前記第1の動作モード時、前記第2の動作モード時よりも前記通信時間間隔のデューティサイクルを高く設定する、実施形態1から5のいずれか一項に記載の送電機。
【0250】
実施形態7 前記タイミング回路(215)は、前記第1の動作モード時、前記第2の動作モード時よりも前記通信時間間隔の周波数を高く設定する、実施形態1から6のいずれか一項に記載の送電機。
【0251】
実施形態8 前記ドライバ(201)は、変動する電源信号によって給電され、前記送電機は、前記通信時間間隔の中心時点を、前記変動する電源信号の信号最小値と位置合わせする、実施形態1から7のいずれか一項に記載の送電機。
【0252】
実施形態9 前記送電機は、前記第1の動作モード時、第1の閾値を超える継続時間にわたって前記電力制御誤差メッセージが受信されなかったことが検出されると電力伝送を終了し、前記第2の動作モード時、第2の閾値を超える継続時間にわたって前記電力伝送信号設定値が受信されなかった場合、電力伝送を停止せず、前記第2の閾値は前記第1の閾値の少なくとも2倍である、実施形態1から8のいずれか一項に記載の送電機。
【0253】
実施形態10 前記電力制御誤差メッセージは、前記電力伝送信号の前記電力特性の要求された相対変化を示し、前記設定値メッセージは、前記目標電力特性の要求された絶対値を示す、実施形態1から9のいずれか一項に記載の送電機。
【0254】
実施形態11 前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値が有効時間間隔にリンクされており、前記第2のコントローラ(211)は、前記有効時間間隔の終了時に前記駆動信号の前記パラメータを公称値に設定する、実施形態1から10のいずれか一項に記載の送電機。
【0255】
実施形態12 実施形態1から11のいずれか一項に記載の送電機(101)と、前記受電機(105)とを備えるワイヤレス電力伝送システムであって、前記受電機(105)は、
前記電力伝送信号から電力を抽出するコイル(107)と、
前記電力伝送信号から抽出された電力を負荷(303)に供給する電力回路(301、305)と、
通信時間間隔中に少なくとも1つの電力伝送信号設定値を前記送電機に送信する送信機(307)とを含む、ワイヤレス電力伝送システム。
【0256】
実施形態13 前記受電機(105)は、前記負荷(303)に提供される電気信号の測定値から独立して、前記電力伝送信号の目標電力特性を示すものとして前記少なくとも1つの電力伝送信号設定値を送信する、実施形態10または12に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【0257】
実施形態14 前記受電機(105)は複数の負荷モードで動作し、前記受電機(105)は、負荷モードを切り替えない限り、前記送電機(101)に新しい電力伝送信号設定値を送信しない、実施形態12または13に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【0258】
実施形態15 誘導電力伝送信号を介して受電機(105)にワイヤレスで電力を供給する送電機(101)の動作方法であって、前記送電機(101)は、
前記電力伝送信号を生成する送電コイル(103)を含み、
前記方法は、
前記電力伝送信号を生成するための前記送電コイル(103)の駆動信号を生成することであって、前記駆動信号は、前記電力伝送信号が前記受電機(105)に電力を伝送する電力伝送時間間隔、および、前記電力伝送信号の電力が前記電力伝送時間間隔に対して低下している通信時間間隔を使用して生成される、生成することと、
通信時間間隔中に前記受電機(105)からメッセージを受信することと、
第1の動作モードに従って前記駆動信号のパラメータを制御することであって、前記第1の動作モードは、前記受電機(105)から受信した電力制御誤差メッセージに応じて前記電力伝送信号の電力特性を制御するために電力制御ループを実行することを含み、電力制御誤差メッセージ間の最大継続時間は300ミリ秒以下である、制御することと、
第2の動作モードに従って前記駆動信号の前記パラメータを制御することであって、前記第2の動作モードは、前記受電機(105)から受信した少なくとも1つの電力伝送信号設定値に応じて前記駆動信号の前記パラメータを設定することを含み、前記電力伝送信号設定値は、前記電力伝送信号の目標電力特性を示し、電力伝送信号設定値間の最大継続時間は1秒以上である、制御することと、
前記受電機(105)から受信した電力伝送制御モードリクエストに応じて、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で選択することと、
前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間の前記通信時間間隔のためのタイミングパラメータを変更することと、を含む、方法。
【国際調査報告】