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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】2次局を動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/20 20090101AFI20240604BHJP
   H04W 72/1273 20230101ALI20240604BHJP
   H04W 72/21 20230101ALI20240604BHJP
   H04W 48/12 20090101ALI20240604BHJP
【FI】
H04W92/20 110
H04W72/1273
H04W72/21
H04W48/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575420
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022065447
(87)【国際公開番号】W WO2022258640
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】21178347.7
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ディーズ ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】ダイク エスコ オラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス テジェリア ジーザス
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラン ビグネシュ ラジャ カルピア
(72)【発明者】
【氏名】バーンセン ヨハネス アーノルダス コルネリス
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA22
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067EE24
5K067GG01
(57)【要約】
セルラー・ネットワークにおいて通信するようにワイヤレス端末を動作させるための方法であって、前記セルラー・ネットワークが、第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と、第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされる少なくとも1つの中継局とを有し、方法は、ワイヤレス端末が、第1のセル局によって送られるダウンリンク信号であって、ダウンリンク制御情報を搬送する当該ダウンリンク信号を受信するステップであって、前記ダウンリンク制御情報が、信号を中継局に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき割り当てられたアップリンク・リソースの少なくとも指示を含む、受信するステップと、ワイヤレス端末がアップリンク情報を生成するステップと、ワイヤレス端末が、アップリンク情報を搬送する信号を割り当てられたアップリンク・リソース上で中継局に送信するステップであって、前記アップリンク情報が第2のセル局に転送されることになる、送信するステップとを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラー・ネットワークで通信するためのワイヤレス端末であって、前記セルラー・ネットワークが、第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と、第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされる少なくとも1つの中継局とを有し、
前記ワイヤレス端末が、
TX制限動作モードで動作するコントローラであって、アップリンク情報を生成するコントローラと、
TX制限動作モードで、前記第1のセル局によって直接的に送られる第1のダウンリンク信号であって、それぞれの第1のダウンリンク制御情報を搬送する当該第1のダウンリンク信号を受信するように、コントローラによって構成されるレシーバであって、前記それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、信号を前記中継局に直接的に送信するために前記ワイヤレス端末によって使用されるべき第1の構成パラメータの少なくとも指示を含み、前記それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を前記第1のセル局から直接的に受信するために前記ワイヤレス端末によって使用されるべき少なくとも第2の構成パラメータを含む、レシーバと、
前記TX制限動作モードで、前記第2のセル局に転送されるべき前記アップリンク情報を搬送する前記第2の信号を、前記第1の構成パラメータを使用して前記中継局に送信するように、前記コントローラによって構成されるトランスミッタと
を備え、
前記レシーバが、さらに、前記第2の構成パラメータを使用して前記第1のセル局から前記さらなるダウンリンク信号を直接的に受信する、
ワイヤレス端末。
【請求項2】
TX制限動作モード活性化を指示又はトリガする前記第1のセル局によって直接的に送られたダウンリンク信号であるTX制限動作モード活性化信号の前記レシーバによる前記受信の後、前記コントローラがTX制限動作モードを開始する、請求項1に記載のワイヤレス端末。
【請求項3】
前記コントローラが、1つ若しくは複数の予め構成された信号強度/信号受信品質閾値又は1つ若しくは複数の信号送信失敗閾値を前記送信又は受信動作が満たした場合、前記ワイヤレス端末のエネルギー・レベルが特定の閾値を下回った場合、又は、前記中継局の発見時に、TX制限動作モード動作を開始する、請求項1又は2に記載のワイヤレス端末。
【請求項4】
前記トランスミッタが、TX制限動作モード活性化を指示又はトリガする初期信号を前記第1のセル局及び/又は前記中継局に送信する、請求項1、2又は3に記載のワイヤレス端末。
【請求項5】
前記コントローラが、前記TX制限動作モードである第1の動作モード及び第2の動作モードに従って交互に動作し、
前記レシーバが、前記第2の動作モードで、前記第1のセル局によって直接的に送られる第2のダウンリンク信号であって、それぞれの第2のダウンリンク制御情報を搬送する当該第2のダウンリンク信号を受信するように適合され、前記それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、アップリンク信号を前記第1のセル局に直接的に送信するために前記ワイヤレス端末によって使用されるべき第3の構成パラメータの少なくとも指示を含み、前記それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を前記第1のセル局から直接的に受信するために前記ワイヤレス端末によって使用されるべき第4の構成パラメータの少なくとも指示を含み、
前記コントローラが、アップリンク情報を生成し、
前記トランスミッタが、前記第2の動作モードで、前記第1のセル局への直接通信のために前記第3の構成パラメータを使用して前記第1のセル局に送信するように前記コントローラによって構成され、前記レシーバが、前記第4の構成パラメータを使用して前記第1のセル局から前記さらなるダウンリンク信号を直接的に受信するように前記コントローラによって構成される、請求項1、2、3又は4に記載のワイヤレス端末。
【請求項6】
前記レシーバが、さらに、前記第1のセル局によって送られる第3のダウンリンク信号であって、第3のダウンリンク制御情報を搬送する当該第3のダウンリンク信号を受信し、前記第3のダウンリンク制御情報が、前記第1のセル局によって送信されたユーザ・データが受信されるべき予定されたダウンリンク・リソースの少なくとも指示を含み、前記コントローラが、前記ユーザ・データを受信するように前記レシーバを構成する、請求項5に記載のワイヤレス端末。
【請求項7】
前記アップリンク情報が、前記ユーザ・データが成功裏にデコードされたかどうかについての決定に基づく承認データを含み、前記コントローラが前記第2の動作モードで動作しているとき、前記第3の構成パラメータを使用して前記第1のセル局に、又は、前記コントローラが前記第1の動作モードで動作しているとき、前記第1の構成パラメータを使用して前記中継局に、前記承認データが前記トランスミッタによって送信される、請求項6に記載のワイヤレス端末。
【請求項8】
前記アップリンク情報が、少なくとも1つのアップリンク・ユーザ・データ・パケットを含み、前記ユーザ・データ・パケットが、前記第2の動作モードで前記第1のセル局に直接的に送られ、前記ユーザ・データ・パケットが、前記第1の動作モードで前記第2のセル局に前記中継局によって転送されることになる、請求項5、6又は7に記載のワイヤレス端末。
【請求項9】
前記レシーバは、前記アップリンク・ユーザ・データ・パケットが成功裏にデコードされたかどうかについての指示を含むさらなるダウンリンク制御情報を受信する、請求項8に記載のワイヤレス端末。
【請求項10】
前記第1のセル局及び前記第2のセル局が、単一のセル局である、請求項1から9のいずれか一項に記載のワイヤレス端末。
【請求項11】
前記トランスミッタが、後方散乱通信を使用する、請求項1から9のいずれか一項に記載のワイヤレス端末。
【請求項12】
第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と、
第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされた少なくとも1つの中継局と、
前記第1のセル局によってサーブされるワイヤレス端末と
を備えるセルラー通信システムであって、
前記第1のセル局が、第1のダウンリンク制御情報を搬送する第1のダウンリンク信号を前記ワイヤレス端末に直接的に送信するための第1のセル局トランスミッタを備え、前記第1のダウンリンク制御情報が、信号を前記中継局に送信するために前記ワイヤレス端末によって使用されるべき第1の構成パラメータの少なくとも指示を含み、
前記第2のセル局が、第2のダウンリンク制御情報を搬送する第2のダウンリンク信号を前記中継局に送信するための第2のセル局トランスミッタを備え、前記第2のダウンリンク制御情報が、前記ワイヤレス端末から前記信号を受信するために前記中継局によって使用されるべき第2の構成パラメータの少なくとも指示を含み、前記第1及び第2の構成パラメータが少なくとも部分的に重複し、
前記ワイヤレス端末が、アップリンク情報を生成するワイヤレス端末コントローラと、前記アップリンク情報を搬送するメッセージを前記第1の構成パラメータを使用して前記中継局に送信するように前記ワイヤレス端末コントローラによって構成されたワイヤレス端末トランスミッタとを備え、
前記中継局が、前記第2の構成パラメータを使用して前記メッセージを受信する中継局レシーバを備える、
セルラー通信システム。
【請求項13】
前記中継局が、前記アップリンク情報を含む中継メッセージを前記第2のセル局に送信するための中継局トランスミッタを備える、請求項12に記載のセルラー通信システム。
【請求項14】
前記第2のセル局が、第3のダウンリンク制御情報を搬送する第3のダウンリンク信号を前記中継局に送信し、前記第3のダウンリンク制御情報が、前記中継メッセージを前記第2のセル局に送信するために前記中継局によって使用される第3の構成パラメータの少なくとも指示を含む、請求項13に記載のセルラー通信システム。
【請求項15】
前記第1のダウンリンク信号及び前記第2のダウンリンク信号が、前記ワイヤレス端末及び前記中継局で受信される単一のダウンリンク信号である、請求項14に記載のセルラー通信システム。
【請求項16】
前記第2のダウンリンク信号及び前記第3のダウンリンク信号が、前記中継局で受信される単一のダウンリンク信号である、請求項14又は15に記載のセルラー通信システム。
【請求項17】
前記アップリンク情報を搬送する前記メッセージが、前記中継局によって前記第2のセル局に転送されるべき少なくとも1つのアップリンク・ユーザ・データ・パケットを含む、請求項12から16のいずれか一項に記載のセルラー通信システム。
【請求項18】
第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と前記第1のセル局によってサーブされるワイヤレス端末とを備えるセルラー通信ネットワークにおいて動作する中継局であって、
前記中継局が、第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされ、
前記中継局が、
第2のダウンリンク制御情報を搬送する第2のダウンリンク信号を前記第2のセル局から受信する中継局レシーバであって、前記第2のダウンリンク制御情報が、前記ワイヤレス端末からメッセージを受信するための少なくとも1つの第1の構成パラメータの少なくとも指示を含む、中継局レシーバと、
前記第1の構成パラメータにアップリンク情報を含む前記メッセージを受信するように前記中継局のレシーバを制御するための中継局コントローラと、
中継データ・メッセージ内の前記アップリンク情報を前記第2のセル局に転送する中継局トランスミッタと
を備える、中継局。
【請求項19】
第1のセル局によってサーブされるワイヤレス端末と第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされた少なくとも1つの中継局とを備えるセルラー通信システムにおける第1のセルをサーブする第1のセル局であって、
前記第1の局のセル局が、
第1のダウンリンク制御情報を搬送する第1のダウンリンク信号を前記ワイヤレス端末に送信するための第1のセル局トランスミッタであって、前記第1のダウンリンク制御情報が、前記メッセージを中継局に送信するために前記ワイヤレス端末によって使用されるべき第1の構成パラメータの少なくとも指示を含む、第1のセル局トランスミッタと、
第2のダウンリンク制御情報で前記中継局を構成するための第1のセル局コントローラであって、前記第2のダウンリンク制御情報が、前記メッセージを前記ワイヤレス端末から受信するために前記中継局によって使用されるべき第2の構成パラメータの少なくとも指示を含み、第1及び第2のリソースが、少なくとも部分的に重複する、第1のセル局コントローラと
を備える、第1のセル局。
【請求項20】
第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされる少なくとも1つの中継局とを備えるセルラー・ネットワークにおいて通信するようにワイヤレス端末を動作させるための方法であって、
前記方法は、
前記ワイヤレス端末が、前記第1のセル局によって送られるダウンリンク信号であって、ダウンリンク制御情報を搬送する当該ダウンリンク信号を受信するステップであって、前記ダウンリンク制御情報が、メッセージを前記中継局に送信するために前記ワイヤレス端末によって使用されるべき第1の構成パラメータの少なくとも指示を含む、ステップと、
前記ワイヤレス端末がアップリンク情報を生成するステップと、
前記ワイヤレス端末が、前記アップリンク情報を搬送する前記メッセージを、前記第1の構成パラメータを使用して前記中継局に送信するステップであって、前記アップリンク情報が前記第2のセル局に転送されることになる、ステップと
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス通信の分野に関し、詳細には、UMTSロング・ターム・エボリューション(LTE:Long Term Evolution)若しくはLTEアドバンスト(両方4Gに含まれる)、新無線(NR:New Radio)(5G)、又は、他のセルラー・ネットワーク若しくはモバイル通信ネットワークのような、セルラー・ネットワークのコンテキストでの中継アーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセルラー・ネットワークでは、1次局は、この1次局によってサーブされるセル内にある複数の2次局をサーブする。1次局から各2次局に向かうワイヤレス通信は、ダウンリンク・チャネルで行われる。逆に、各2次局から1次局に向かうワイヤレス通信は、アップリンク・チャネルで行われる。ワイヤレス通信は、データ・トラフィック(ユーザ・データと呼ばれることもある)、及び制御情報(シグナリングと呼ばれることもある)を含むことができる。この制御情報は、典型的には、データ・トラフィック(例えば、リソース配分/リクエスト、物理送信パラメータ、それぞれの局の状態についての情報)を1次局及び/又は2次局が交換するのを支援するための情報を有する。データ・トラフィックは、典型的には、エンド・ユーザ・アプリケーションの使用のために交換される有益なペイロードを含む。データ・トラフィックは、典型的には、データ・プレーン内で搬送されるIP(インターネット・プロトコル)パケットで構成されている。
【0003】
3GPP(登録商標)によって標準化されたようなセルラー・ネットワークのコンテキストでは、1次局は、基地局、つまり、5G(NR)ではgNodeB(若しくはgNB)、4G(LTE)ではeNodeB(若しくはeNB)、又はセル局と呼ばれる。eNB/gNBは、無線アクセス・ネットワーク(RAN:Radio Access Network)の一部であり、コア・ネットワーク(CN:Core Network)の機能にインターフェースする。同じコンテキストで、2次局は、移動局、つまり、4G/5Gにおけるユーザ機器(又はUE)に対応し、ワイヤレス・クライアント・デバイスであり、又はこのようなデバイスによって演じられる特定の役割がある。用語「ノード」は、UE又はgNB/eNBを表すためにさらに使用される。「NF」は、CNのネットワーク機能を表す。1次局と2次局との間の直接リンクは、4G又は5GネットワークにおけるUuインターフェースと呼ばれる。
【0004】
2次局は、例えば、モバイル・フォン、車両(V2V車両間、若しくはより一般的なV2X車車間/車路間通信対応のもの)、(健康監視用の低電力医療センサ、病院用若しくは第1対応者用の医療(緊急)診断及び処置デバイスを含む)IoTデバイス、仮想現実(VR)ヘッドセット、又は一般的なワイヤレス・ウェアラブルなど、異なるタイプのワイヤレス端末に備えられることが可能である。これらのワイヤレス端末は、例えば、低電力動作、要求される帯域幅/データ・レート、最大許容レイテンシ、達成可能な送信出力電力、送信及び/若しくは受信時の達成可能なデューティ・サイクル、又は要求される移動性の点で、ワイヤレス端末の動作又は特性が非常に大きく異なる。アップリンク(UL:Uplink)データ及びダウンリンク(DL:Downlink)データのためにデバイスが利用可能な帯域幅は、データ・ニーズ、及びその時点におけるチャネル条件に基づいて、基地局の制御下で動的に変化する可能性がある。デバイスのUL/DL送信をスケジュールするためのスケジューラが基地局内に存在する。
【0005】
3GPP(登録商標)では、図1Aに示されているような、中継ノードの役割が導入されてきた。この中継ノード120は、基地局100(例えばgNB)とUE110との間の通信を中継するための機能を有するワイヤレス通信局120である。この中継機能は、例えば、セル10のカバレッジをカバレッジ外(OoC:out-of-coverage)の移動局110に拡大するのに役立つ。この中継ノード120は、移動局であるか、異なるタイプのデバイスであることも可能である。4Gの仕様では、近接サービス(ProSe:Proximity Services)機能は、(中でも)セル10をサーブするセルラー・ネットワーク基地局(eNB)100のカバレッジ内に一時的にないセルラー・ユーザ機器(UE)110のための接続を可能にするために、特にTS23.303及びTS24.334で定義されている。この特定の機能は、ProSe UEネットワーク間中継(UE-to-network relay)、又は短く、中継UEと呼ばれる。中継UE120は、OoC UE110とeNB100との間でアプリケーション及びネットワーク・トラフィックを2方向に中継する。中継UE120とOoC UE110との間のローカル通信は、TS23.303及びTS24.334では、デバイス間(D2D)通信又はサイドリンク(PC5としても知られている)通信と呼ばれる。中継関係が確立されるとすぐに、OoC-UE110は、中継UE120を介してIP接続され、「リモートUE」110の役割で機能する。この状況は、通常ケースである全てのコア・ネットワーク機能への直接ネットワーク接続とは対照的に、コア・ネットワークの選択された機能への(TS22.261で定義されているような)間接ネットワーク接続を、リモートUEが有することを意味する。
【0006】
しかし、遠方のgNBとの直接通信は、(ワイヤレス、典型的には電池式)ウェアラブルUE又はIoT UEに高いエネルギー消費を要求するが、サイドリンク動作は、メッセージがリモートUEに宛てられているかどうかチェックするために制御領域を検知することのような、エネルギー損失の大きい動作をさらに含む。これは、検知のためにこのような中継UEを介してリモートUEとして通信するとき、(ワイヤレス、典型的には電池式)ウェアラブルUE又はIoT UEの高いエネルギー消費につながる。本出願では、用語「エネルギー消費」は、用語「電力消費」によって示されることがあるもののために使用されることに留意されたい。「電力消費」は、電力を消費することはできないので、物理的な誤称である。電力は、エネルギーが「消費される」、又はもっと正確に言えば、第1のタイプのエネルギー(例えば、バッテリの充電によって利用可能な電気化学エネルギー)から他のタイプのエネルギーに変換される割合である。同じように、「電力節約モード」は、実際には、デバイスの電力レベルが通常動作時より低い値にセットされるモードであり、これにより、電力ではなくエネルギーが、このモードで節約される(もっと正確に言えば、素早く変換されない)。
【0007】
さらに、高いエネルギー消費のほかに、(中継UEを介して)間接的に接続されたリモートUEへのダウンストリームで利用可能な帯域幅は潜在的に制限され、中継UEが不十分なダウンストリーム・データ容量を有することがあることを意味する。例えば、このボトルネックの1つの理由は、データをリモートUEに送るために中継UEによって必要とされるサイドリンク(SL)通信用に配分されたリソースが、利用可能なセルラー・リソースの全セットのうちの非常に制限されたサブセットであるということである。中継UEは、複数のリモートUEを同時にサーブする必要があり、したがって、中継UEの乏しいリソース(スペクトル、処理時間、バッファ・メモリなど)が、複数のデバイスにまたがって分割される必要がある可能性もある。さらに、他のリモートUEは、中継UEによってサーブされるために、より高い優先度を有する。もう1つの問題は、リモートUEがカバレッジ外になり、したがって、リモートUEが送信するためのリソースがスケジュールされないときの、(例えばTS38.300及び/又はTR38.885 Rel.16以降で定義されているような、モード2における)重複したリソース配分による、パケット衝突の可能性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、上述の課題を軽減することである。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、リモートUEのための低減されたエネルギー消費を可能にする、ネットワークで通信するための方法を提案することである。
【0010】
本発明のさらにもう1つの目的は、エネルギー消費を低く保ちながらレイテンシ改善する、ネットワークで通信するための2次局の方法を提案することである。
【0011】
本発明のさらにもう1つの目的は、エネルギー消費を最適化するように、最適なネットワーク・トポロジに従って柔軟に動作可能な2次局を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明の第1の態様によれば、セルラー・ネットワークで通信するための請求項1に記載のワイヤレス端末が提案され、前記セルラー・ネットワークが、第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と、第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされる少なくとも1つの中継局とを有し、
ワイヤレス端末が、
TX制限動作モードで動作するコントローラであって、アップリンク情報を生成するように適合されたコントローラと、
TX制限動作モードで、第1のセル局によって直接的に送られる第1のダウンリンク信号であって、それぞれの第1のダウンリンク制御情報を搬送する当該第1のダウンリンク信号を受信するためコントローラによって構成されるレシーバであって、それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、信号を中継局に直接的に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第1の構成パラメータの少なくとも指示を含み、前記それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき少なくとも第2の構成パラメータを含む、レシーバと、
TX制限動作モードで、第2のセル局に転送されるべきアップリンク情報を搬送する第2の信号を、第1の構成パラメータを使用して中継局に送信するためコントローラによって構成されるトランスミッタと
を備え、
レシーバが、第2の構成パラメータを使用して第1のセル局からさらなるダウンリンク信号を直接的に受信するようにさらに適合される。
【0013】
本発明の実施形態、及び本発明の様々な態様、及びその変形の至る所で、構成パラメータは、通信の構成に関するパラメータ値の1つ又は複数のセットを含む。これらは、例えば、リソース(例えば、(例えば、時間、周波数、コード、及び/又は空間チャネルで定義された)リソース・ブロック)、空間ビーム)である。これらは、選択された送信モード、選択された変調スキーム、HARQプロセスなどの他のパラメータ値でもよい。さらに、これらは、リソース及び他の構成値の組合せであることが可能である。実施形態には、多くの例が、割り当てられたリソースの指示を説明しているが、これらの実施形態は、他の構成パラメータにさらに適用可能である。
【0014】
第1の態様の第1の変形によれば、TX制限動作モード活性化を指示又はトリガする、第1のセル局によって直接的に送られたダウンリンク信号であるTX制限動作モード活性化信号のレシーバによる受信の後、コントローラはTX制限動作モードを開始する。
【0015】
第1の変形と組み合わされた第1の態様の第2の変形では、コントローラは、1つ若しくは複数の予め構成された信号強度/信号受信品質閾値又は1つ若しくは複数の信号送信失敗閾値を送信又は受信動作が満たした場合、ワイヤレス端末のエネルギー・レベルが特定の閾値を下回った場合、又は、中継局の発見時に、TX制限動作モード動作を開始する。
【0016】
第1及び/又は第2の変形と組み合わされた第1の態様の第3の変形では、トランスミッタは、TX制限動作モード活性化を指示又はトリガする初期信号を第1のセル局及び/又は中継局に送信するように適合される。
【0017】
第1の態様の以前の変形のうちの1つ又は複数と組み合わされた第1の態様の第4の変形では、コントローラは、TX制限動作モードである第1の動作モード及び第2の動作モードに従って交互に動作するように適合され、
レシーバが、第2の動作モードで、第1のセル局によって直接的に送られる第2のダウンリンク信号であって、それぞれの第2のダウンリンク制御情報を搬送する当該第2のダウンリンク信号を受信するように適合され、それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、アップリンク信号を第1のセル局に直接的に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第3の構成パラメータの少なくとも指示を含み、それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第4の構成パラメータの少なくとも指示を含み、
コントローラが、アップリンク情報を生成するように適合され、
トランスミッタが、第2の動作モードで、第1のセル局への直接通信のために第3の構成パラメータを使用して第1のセル局に送信するようにコントローラによって構成され、レシーバが、第4の構成パラメータを使用して第1のセル局からさらなるダウンリンク信号を直接的にコントローラによって受信するように構成される。
【0018】
第1の態様の代替且つより具体的な定義によれば、セルラー・ネットワークで通信するためのワイヤレス端末が提案され、前記セルラー・ネットワークが、第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と、第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされる少なくとも1つの中継局とを有し、
ワイヤレス端末が、
第1の動作モード(直接動作モード)及び第2の動作モード(TX制限動作モード)に従って、ワイヤレス端末を交互に動作させるためのコントローラと、
レシーバとトランスミッタとを備え、
前記レシーバは、直接動作モードで、第1のセル局によって直接的に送られる第1のダウンリンク信号であって、それぞれの第1のダウンリンク制御情報を搬送する第1のダウンリンク信号を受信するように適合され、それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、第1のアップリンク信号を第1のセル局に直接的に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第1の割り当てられたアップリンク・リソースの少なくとも指示を含み、それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第1の割り当てられたダウンリンク・リソースの少なくとも指示を含み、TX制限動作モードで、第1のセル局によって直接的に送られる第2のダウンリンク信号であって、それぞれの第2のダウンリンク制御情報を搬送する第2のダウンリンク信号を受信するように適合され、割り当て割り当て前記それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、第2の信号を中継局に直接的に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第2のリソースの少なくとも指示を含み、前記それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき少なくとも第2の割り当てられたダウンリンク・リソースを含み、
コントローラが、アップリンク情報を生成するように適合され、
直接動作モードで、トランスミッタが、第1のセル局への直接通信用の第1の割り当てられたアップリンク・リソース上で第1のセル局に送信するようにコントローラによって構成され、レシーバが、第1割り当てられたダウンリンク・リソース上でさらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するようにコントローラによって構成され、
TX制限動作モードで、トランスミッタが、第2のセル局に転送されるべきアップリンク情報を搬送する第2の信号を第2のリソース上で中継局に送信するようにコントローラによってさらに構成され、レシーバが、第2割り当てられたダウンリンク・リソース上でさらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するようにコントローラによってさらに構成される。
【0019】
したがって、第1の態様のワイヤレス端末及びその変形形態は、例えば必要に応じて又はネットワークからのいくつかのコマンドにしたがって、その動作を適合させる能力がある。第1の動作モードでは、ワイヤレス端末は、第1のセル局と直接通信する。第2の動作モードでは、ワイヤレス端末は、メッセージを第1のセル局から依然として受信するが、第1のセル局には返信を送信せず、代わりに中継局に送信する。したがって、これは、中継局が第1のセル局よりワイヤレス端末に近いケースで送信するときに、より低いエネルギー消費及び/又はより低い送信電力が使用されることを可能にする。さらに、使用されるべきリソースは、しかし、このケースでは、ダウンリンクで第1のセル局によって依然としてシグナリングされる。これは、中継局の利用可能なダウンリンク帯域幅(すなわちダウンストリーム・データ用のサイドリンク帯域幅)に応じて、及びサイドリンク送信用に使用されるリソース割り当ての方法に応じて、ワイヤレス端末が中継局に接続し、制御データが中継局によってワイヤレス端末に送られているかどうかをワイヤレス端末が検知しなければならないこと(これは、エネルギーを消費し低速になる可能性がある)を回避する。ダウンリンク・データは、第1のセル局によって直接的に送信され、これは、したがって、中継局を通じた間接接続よりも信頼できる低レイテンシ高データ・レート接続を可能にする。中継局に送られたメッセージ(又はメッセージが含む情報)は、中継局をサーブするセル局を通じてネットワークに転送可能である。
【0020】
中継局は、第1のセル、すなわちワイヤレス端末と同じセル(これは、第2のセル局が第1のセル局でもあることを意味する)における第1のセル局によってサーブされるか、場合によっては、異なるセルにおいて、したがって第1のセル局とは別個の第2のセル局によってサーブされる。
【0021】
本発明の第1の態様の変形では、TX制限動作モードで、トランスミッタは、第1のセル局への直接アップリンク通信のために使用されるリソース上で送信するのを控えるように構成されることが提案される。
【0022】
これは、TX制限動作モード中、ワイヤレス端末は、第1のセル局への直接送信用に配分されたリソースを使用しないことを意味する。したがって、例えば、スケジューリング・リクエストが第1のセル局に直接的に送られないので、制御プレーンにおいて第1のセル局に情報は送られない。これは、例えば、通常、第1のセル局への送信に専用のリソース(周波数キャリア、タイム・スロット、及び/又はコード(例えば、システム・タイプに応じて、スクランブリング、チャネライゼーション、若しくは拡散コード)など)を使用して単に阻止することによって行われる。別の例では、これらのリソース上での送信は、閾値を超える送信電力を阻止することによって送信範囲を能動的に制限することによって無力にされる。この閾値は、典型的には、第1の動作モードで達成可能な最大送信電力より低い。
【0023】
本発明の第1の態様の第1の変形では、レシーバは、第1のセル局によって送られる第3のダウンリンク信号であって、第3のダウンリンク制御情報を搬送する当該第3のダウンリンク信号をさらに受信するように適合され、前記第3のダウンリンク制御情報が、第1のセル局によって送信されたユーザ・データが受信されるべき予定されたダウンリンク・リソースの少なくとも指示を含み、コントローラが、前記ユーザ・データを受信するようにレシーバを構成するように適合される。この変形は、前に論じられた変形にも適用可能である。
【0024】
ユーザ・データを受信すると、ワイヤレス端末はユーザ・データをデコードする。コントローラは、次いで、ユーザ・データが成功裏にデコードされたかどうかについての決定に基づいて承認メッセージを含めることが可能なアップリンク情報を生成し、前記承認メッセージは、コントローラが直接動作モードで動作しているとき、第2の構成パラメータにより例えば割り当てられたアップリンク・リソース指示を使用して第1のセル局に、又は、コントローラがTX制限動作モードで動作しているとき、第1のリソースなどの第1の構成パラメータを使用して中継局に、トランスミッタによって送信される。
【0025】
本発明の前に論じられた変形のいずれかと組み合わされることが可能な本発明の第1の態様の第2の変形では、ワイヤレス端末は、送信されるべきアップリンク・データをバッファリングするように構成されたバッファ・メモリを含み、アップリンク情報は、バッファ・メモリに現在バッファリングされているアップリンク情報の量を示すバッファ・ステータス・レポートを含む。
【0026】
したがって、第2の動作モードにおけるバッファ・ステータス・レポート(BSR:Buffer status report)が中継局を介してネットワークに間接的に送信され、中継局は、このとき、BSRを中継局のそれぞれのサービング・セル局に転送する。バッファ・ステータス・レポートは、典型的には、1つ又は複数の論理チャネル又は論理チャネル・グループのための送信を待っているバッファリングされたデータの量を示すMAC制御要素である。これは、ワイヤレス端末のニーズに従って、ネットワーク・スケジューラが送信用のリソースを承諾することを可能にする。このBSRは、例えば、BSR自体の送信のために利用可能なリソースのサイズに応じて、又は、BSRがアップリンク若しくはサイドリンクを介して送信されるかどうかに応じて、異なるフォーマットであることが可能である。
【0027】
第2の変形の代替形態では、バッファ・ステータス・レポートは中継局によって受信され、中継局は、次いで、バッファ・ステータス・レポートを処理する。このような処理は、例えば、中継局及びワイヤレス端末のデータ量、又は対応するリソースの予想ニーズを表す、新しいバッファ・ステータス・レポートを生成することを含む。別の例では、新たに生成されたバッファ・ステータス・レポートは、中継局が中継器としてそのために機能するワイヤレス端末の一部又は全てのそれぞれのバッファに集積されたデータ量(又は対応するリソースのニーズ)を表す。
【0028】
本発明の前に論じられた変形のいずれかと組み合わされることが可能な本発明の第1の態様の第3の変形では、アップリンク情報は、少なくとも1つのアップリンク・ユーザ・データ・パケットを含み、ユーザ・データ・パケットは、第2の動作モードで第1のセル局に直接的に送られ、ユーザ・データ・パケットは、第1の動作モードで第2のセル局に中継局によって転送されることになる。
【0029】
以前に説明したように、このそれぞれのサービング・セル局は、中継局及びワイヤレス端末が同じセルに含まれ同じセル局によってサーブされる場合、第1のセル局であり得る。しかし、それぞれのサービング・セル局が異なるセル局であることも可能である。さらに、中継局が、本発明の一部のより先進的な例における少なくとも1つ又は複数のさらなる中継局を通じて、メッセージをネットワークに間接的に転送してもよいことに留意することが重要である。BSRには、ユーザ・データ・パケットの送信が含まれることが可能である。
【0030】
第3の変形と組み合わされることが可能な本発明の第1の態様の第4の変形では、レシーバは、アップリンク・ユーザ・データ・パケットが成功裏にデコードされたかどうかについての指示を含むさらなるダウンリンク制御情報を受信するように適合される。
【0031】
したがって、ユーザ・データ・パケット(アプリケーション層情報、IPパケットなど)又は制御メッセージ(BSRなど)の中継局への送信後、中継局は、例えば、中継局が接続された第2のセル局へなど、ネットワークに、ユーザ・データ・パケット又は制御メッセージを転送する。以前に説明したように、第2のセル局は、実際には、例えば中継局が第1のセル内にある場合、第1のセル局であり得、又は、中継局が異なるセル内にある場合、別個の局であり得る。第2のセル局は、ユーザ・データ・パケット若しくは制御メッセージを受信してこれをデコードするか、又は、(例えば、巡回冗長検査(CRC)、メッセージ認証コード、若しくはメッセージ一体性コードを使用して)ユーザ・データ・パケット若しくは制御メッセージの一体性を検証する。例示的実施形態において、メッセージが正しく受信された場合、及び/又はデコードが成功した場合、第2のセル局は、ワイヤレス端末への承認を第1のセル局に送らせる。これは、バックホール・チャネルを介して(例えば、セル局をリンクさせるX2インターフェースを通じて、又はコア・ネットワークを通じて)承認を送信する命令を送信することを示唆する。代替として、第2のセル局は、受信されたユーザ・データ・パケット又は制御メッセージを第1のセル局に転送し、第1のセル局は、ユーザ・データ・パケット又は制御メッセージをデコードするか一体性を検証し、成功した場合、承認を生成する。承認は第1のセル局から直接的に受信可能なので、ワイヤレス端末は、承認を取得するために中継局からの制御リソースを検知する必要がない。しかし、HARQタイマー(肯定的な承認の受信がないまま期限切れになった場合、再送信を引き起こす)がこの転送アーキテクチャに適合される必要があることに留意されたい。例として、このHARQタイマーは、第1のセル局に達するために要求される(すなわちバックホール・リンクを含む)ホップ数と相関関係にある。又は別の例として、HARQベースの再送信はワイヤレス端末によって送られず、代わりに、PDCP層又はIP層ベースの再送信だけが送られる。
【0032】
ユーザ・データ・パケット又は制御メッセージは、例えば、送信の第1のホップが成功したことを指示するためだけにMACレベルで、中継局によって最初に承認されることも可能である。より高い層(例えば、PDCP層又はアプリケーション層)の承認は、ユーザ・データ・パケットが中継局によって転送された後、第1のセル局から直接的且つ別々に送信される。
【0033】
請求項12に記載の本発明の第2の態様によれば、セルラー通信システムが提案され、セルラー通信システムは、
第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と、
第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされた少なくとも1つの中継局と、
第1のセル局によってサーブされるワイヤレス端末と
を備え、
第1のセル局が、第1のダウンリンク制御情報を搬送する第1のダウンリンク信号をワイヤレス端末に直接的に送信するための第1のセル局トランスミッタを備え、前記第1のダウンリンク制御情報が、信号を中継局に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第1の構成パラメータの少なくとも指示を含み、
第2のセル局が、第2のダウンリンク制御情報を搬送する第2のダウンリンク信号を中継局に送信するための第2のセル局トランスミッタを備え、前記第2のダウンリンク制御情報が、ワイヤレス端末から信号を受信するために中継局によって使用されるべき第2の構成パラメータの少なくとも指示を含み、
第1及び第2の構成パラメータが少なくとも部分的に重複し、
ワイヤレス端末が、アップリンク情報を生成するように適合されたワイヤレス端末コントローラと、アップリンク情報を搬送するメッセージを第1の構成パラメータを使用して中継局に送信するようにワイヤレス端末コントローラによって構成されたワイヤレス端末トランスミッタとを備え、
中継局が、第2の構成パラメータを使用して前記メッセージを受信するように適合された中継局レシーバを備える。
【0034】
したがって、本発明の本第2の態様によれば、例えば、第1及び第2のリソースである第1及び第2の構成パラメータ、又は他のいくつかのパラメータ値は、少なくとも部分的に重複する。本第2の態様の変形の一部では、第1及び第2のリソースは互いに対応する。しかし、本発明の一部の例示的実施形態では、第2のリソースは、実際には、中継局によってモニタされるべき、例えばリソース・プールなどのリソースの大きいセットであることが可能である。このケースでは、第1のリソースは第2のプールに含まれ、すなわちリソース・プールからの1つのリソース要素である。
【0035】
しかし、一部のさらなる変形では、第1のセル局及び第2のセル局は、異なる(例えば、独自の)時間/クロック基準を使用してもよく、これはわずかに異なってもよい。これは、第1のリソース及び第2のリソースが間違って整列されることを意味する。このケースでは、これは、例えば、第2のリソースの時間が少し短すぎるという結果になる可能性があり、すなわち、これらが時間t1に終わる一方で、第1のリソースにおける送信が時間t2に終わり、t1<t2になる。逆に、第2のリソースは、始まりの時間が少し遅すぎ、すなわち、これらが時間t3に始まる一方で、第1のリソースにおける送信が時間t4に始まり、t3>t4になる。これらの例により、中継局は、送信の一部を実施し損ねる。この問題を阻止するために、いくつかの対策が追加される。例として、ワイヤレス端末は、その送信メッセージを複数回繰り返す。さらに、そのように構成された場合、中継局は、クロック差を考慮するために、そのシグナリング・リソース・スロットより少し前に受信を始める。
【0036】
代替として、第1のセル局は、ワイヤレス端末が受信可能な時間同期信号を発し、その一方で、中継局も、ワイヤレス端末が受信可能なその時間同期信号を発する。したがって、ワイヤレス端末は、(例えばサイドリンクを介して送られた)ダウンストリーム通信とアップストリーム通信との間の時間オフセットを調節することが可能であり、したがって、受信用の第1のセル局の時間基準及び送信用の中継局の時間基準と同期していることが可能である。
【0037】
異なる時間基準についてのこの上述の問題に対するもう1つのソリューションは、使用される実際のリソースとは(例えば長さが)少し異なるシグナリングされたリソースの使用である。例えば、第1のセル局及び第2のセル局が異なるリソース構成/ヌメロロジを使用する場合である。
【0038】
本発明の第2の態様の代替且つより具体的な定義では、ワイヤレス端末のコントローラは、第1の動作モード(直接動作モード)及び第2の動作モード(TX制限動作モード)に従って交互に動作するように構成され、ワイヤレス端末は、直接動作モードで、第1のセル局によって直接的に送られる第1のダウンリンク信号であって、それぞれの第1のダウンリンク制御情報を搬送する当該第1のダウンリンク信号を受信し、それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、第1のアップリンク信号を第1のセル局に直接的に送信するためにワイヤレス端末トランスミッタによって使用されるべき第1割り当てられたアップリンク・リソースの少なくとも指示を含み、それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するためにワイヤレス端末のレシーバによって使用されるべき第1割り当てられたダウンリンク・リソースの少なくとも指示を含み、TX制限動作モードで、第1のセル局によって直接的に送られる第2のダウンリンク信号であって、それぞれの第2のダウンリンク制御情報を搬送する当該第2のダウンリンク信号を受信し、前記それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、第2の信号を中継局に直接的に送信するためにワイヤレス端末トランスミッタによって使用されるべき第2のリソースの少なくとも指示を含み、前記それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するためにワイヤレス端末レシーバによって使用されるべき少なくとも第2割り当てられたダウンリンク・リソースを含む、適合されたワイヤレス端末レシーバを備え、コントローラが、アップリンク情報を生成するように適合され、直接動作モードで、ワイヤレス端末トランスミッタが、第1のセル局への直接通信用の第1割り当てられたアップリンク・リソース上で第1のセル局に送信するようにワイヤレス端末コントローラによって構成され、ワイヤレス端末レシーバが、第1の割り当てられたダウンリンク・リソース上でさらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するようにワイヤレス端末コントローラによって構成され、
TX制限動作モードで、ワイヤレス端末トランスミッタが、第2のセル局に転送されるべきアップリンク情報を搬送する第2の信号を第2のリソース上で中継局に送信するようにワイヤレス端末コントローラによってさらに構成され、ワイヤレス端末レシーバが、第2割り当てられたダウンリンク・リソース上でさらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するようにワイヤレス端末コントローラによってさらに構成される。
【0039】
第1の変形と組み合わされた本発明の第2の態様の第2の変形によれば、中継局は、前記アップリンク情報を含む中継メッセージを第2のセル局に送信するための中継局トランスミッタを備える。
【0040】
第1又は第2の変形と組み合わされた本発明の第2の態様の第3の変形によれば、第2のセル局は、第3のダウンリンク制御情報を搬送する第3のダウンリンク信号を中継局に送信するように適合され、前記第3のダウンリンク制御情報が、中継メッセージを第2のセル局に送信するために中継局によって使用されるべき第3の構成パラメータの少なくとも指示を含む。
【0041】
したがって、ネットワークは、ワイヤレス端末からネットワークへの送信用に割り当てられたリソースを完全に制御及びスケジュールする能力があり、したがって、例えば、セル局までの送信のホップ毎にリソースを割り当てる。これは、典型的にはセル局にあるネットワーク・スケジューラによって送信用に全経路(複数の中継局が使用される場合、複数のホップを含む)が確保可能であることを意味する。アーキテクチャに応じて、第2のセル局は、中継局からネットワークへのアップリンク配分全てを制御する。
【0042】
本発明の第1の態様に関連して前述されたように、第1のセル局及び第2のセル局は、単一のセル局であり得る。
【0043】
本発明の第2の態様の第4の変形によれば、第1のダウンリンク信号及び第2のダウンリンク信号は、ワイヤレス端末及び中継局で受信される単一のダウンリンク信号であることが可能である。したがって、これは、メッセージ送信用のリソース割り当てに要求される制御シグナリングをさらにもっと低減させる。
【0044】
第4の変形と同様に、また場合によっては第4の変形と組み合わせて、第2のダウンリンク信号及び第3のダウンリンク信号も、中継局で受信される単一のダウンリンク信号でもよい。これは、アップストリームの全経路の割り当てのために単一の信号が使用されるので、割り当てシグナリングをさらにもっと低減させる。
【0045】
前に論じられた変形のいずれかと組み合わされた第2の態様の第5の変形では、中継局は、(例えば受信メッセージの一体性を検証することによって)メッセージが正しく受信されたかどうか、及び/又は(例えば中継局自体によって若しくは第2のセル局によって)正しくデコードされたかどうかについて決定するための中継局コントローラと、メッセージが正しく受信及び/又はデコードされたかどうかを示す承認メッセージをワイヤレス端末に送信するように前記コントローラによって構成された中継局トランスミッタとを備える。
【0046】
前に論じられた変形のいずれかと組み合わされた第2の態様の第6の変形では、アップリンク情報を搬送するメッセージは、第2のセル局に中継局によって転送されるべき少なくとも1つのアップリンク・ユーザ・データ・パケットを含む。
【0047】
第6の変形と組み合わされることが可能な第7の変形では、第1のセル局トランスミッタは、第2のセル局又は第1のセル局によるメッセージの正しいデコードを示す承認メッセージを送信するように適合される。
【0048】
本発明の第3の態様によれば、請求項18に記載の中継局が提案され、中継局は、少なくとも1つの第1のセル局と第1のセル局によってサーブされるワイヤレス端末とを有するセルラー通信ネットワークにおいて動作し、
中継局が、第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされ、
中継局が、
第2のダウンリンク制御情報を搬送する第2のダウンリンク信号を第2のセル局から受信するように適合された中継局レシーバであって、前記第2のダウンリンク制御情報が、ワイヤレス端末からメッセージを受信するための少なくとも1つの第1の構成パラメータの少なくとも指示を含む、中継局レシーバと、
第1の構成パラメータにアップリンク情報を含む前記メッセージを受信するように中継局レシーバを制御するための中継局コントローラと、
中継データ・メッセージ内のアップリンク情報を第2のセル局に転送するように適合された中継局トランスミッタと
を備える。
【0049】
中継データ・メッセージは、制御情報及び/又はユーザ・データを含んでよいことに留意されたい。さらに、中継データ・メッセージは、アップリンク情報自体(同様に制御情報及び/若しくはユーザ・データであることが可能である)、又は例えば、以下の実施形態で説明されるような他の情報との組合せを含む、アップリンク情報のいくつかの処理の結果である情報を含み得る。
【0050】
本発明の第3の態様の第1の変形では、中継局レシーバは、第3のダウンリンク制御情報を搬送する第3のダウンリンク信号を第2のセル局から受信するように適合され、前記第3のダウンリンク制御情報は、中継メッセージを第2のセル局に送信するために中継局によって使用されるべき割り当てられたアップリンク・リソースの少なくとも指示を含む。
【0051】
第1の変形と組み合わされた本発明の第3の態様の第2の変形では、中継局コントローラは、(例えば受信メッセージの一体性を検証することによって)メッセージが正しく受信されたかどうか、及び/又は(例えば中継局自体によって若しくは第2のセル局によって)正しくデコードされたかどうかについて決定するように適合され、中継局トランスミッタは、メッセージが正しく受信及び/又はデコードされたかどうかを示す承認メッセージをワイヤレス端末に送信するように前記中継局コントローラによって構成される。
【0052】
本発明の第4の態様によれば、セルラー通信システムにおける請求項19に記載の第1のセルをサーブする第1のセル局が提案され、セルラー通信システムは、
第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされる少なくとも1つの中継局と、
第1のセル局によってサーブされるワイヤレス端末と
を備え、
第1のセル局が、
第1のダウンリンク制御情報を搬送する第1のダウンリンク信号をワイヤレス端末に送信するための第1のセル局トランスミッタであって、前記第1のダウンリンク制御情報が、メッセージを中継局に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第1の構成パラメータの少なくとも指示を含む、第1のセル局トランスミッタと、
第2のダウンリンク制御情報で中継局を構成するための第1のセル局コントローラであって、前記第2のダウンリンク制御情報が、メッセージをワイヤレス端末から受信するために中継局によって使用されるべき第2の構成パラメータの少なくとも指示を含み、第1及び第2のリソースが、少なくとも部分的に重複する、第1のセル局コントローラと
を備える。
【0053】
本発明の第4の態様の第1の変形では、中継局の第1のセル局コントローラによって構成することは、第1のセル局が、第2のセル局に、前記第2のダウンリンク制御情報を含む第2のダウンリンク・メッセージを中継局に送信させることを含む。
【0054】
しかし、本発明の他方の態様の場合のように、第1のセル局及び第2のセル局は、単一のセル局でもよいことに留意されたい。これは、例えば、ワイヤレス端末及び中継局が同じセルによってサーブされるケースである。
【0055】
本発明の第5の態様によれば、セルラー・ネットワークにおいて通信するようにワイヤレス端末を動作させるための請求項20に記載の方法が提案され、前記セルラー・ネットワークが、第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされる少なくとも1つの中継局とを有し、
方法は、
ワイヤレス端末が、第1のセル局によって送られるダウンリンク信号であって、ダウンリンク制御情報を搬送する当該ダウンリンク信号を受信するステップであって、前記ダウンリンク制御情報が、メッセージを中継局に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第1の構成パラメータの少なくとも指示を含む、受信するステップと、
ワイヤレス端末が、アップリンク情報を生成するステップと、
ワイヤレス端末が、アップリンク情報を搬送するメッセージを、第1の構成パラメータを使用して中継局に送信するステップであって、前記アップリンク情報が、第2のセル局に転送されるべき、送信するステップと
を有する。
【0056】
本発明の第7の態様によれば、コンピュータ・デバイスで実行されたとき、本発明の第6の態様の方法のステップを生み出すためのコード手段を有するコンピュータ・プログラム製品が提案される。
【0057】
上記の装置は、個別のハードウェア構成要素、統合チップ、若しくはチップ・モジュールの配置を伴う個別のハードウェア回路機器に基づいて、又は、メモリに格納された、コンピュータ可読媒体に書かれた、若しくは、インターネットなどのネットワークからダウンロードされた、ソフトウェア・ルーチン若しくはプログラムによって制御された信号処理デバイス若しくはチップに基づいて実現されることが指摘される。
【0058】
ワイヤレス端末、システム、中継局、セル局、及び方法は、特に、従属請求項で定義されているような、類似の、対応する、及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0059】
本発明の好ましい実施形態は、それぞれの独立請求項との従属請求項又は実施形態の任意の組合せも可能であることを理解されたい。
【0060】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載の実施形態から明らかであり、以下に記載の実施形態を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1A】本発明が実施されることが可能な、ネットワークを表したブロック図である。
図1B】本発明が実施されることが可能な、マルチホップ・ネットワークを表したブロック図である。
図2A】中継アーキテクチャによる、ユーザ・プレーンの層モデルを表したブロック図である。
図2B】中継アーキテクチャによる、制御プレーンの層モデルを表したブロック図である。
図3】セル局のマルチホップ中継アーキテクチャを使用したネットワークを表したブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態による、ネットワークを表したブロック図である。
図5】第1の実施形態のネットワークの動作を表したフローチャートである。
図6】第1の実施形態による、ワイヤレス端末を表したブロック図である。
図7】第1の実施形態による、中継局を表したブロック図である。
図8】第1の実施形態による、セル局を表したブロック図である。
図9】本発明の第2の実施形態による、ネットワークを表したブロック図である。
図10】本発明の第3の実施形態による、ネットワークを表したブロック図である。
図11】本発明の第4の実施形態による、ネットワークを表したブロック図である。
図12】本発明の第5の実施形態による、ネットワークを表したブロック図である。
図13】デュアル・コネクティビティを使用したネットワークを表したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下では、実施形態は、3GPP(登録商標)セルラー・ネットワークのコンテキストで説明されるが、これらの実施形態は、他のタイプのネットワークに適用されてもよい。以前に説明したように、セルは、3GPP(登録商標)では「eNB」(4G用語)及び「gNB」(5G用語)と呼ばれる、セルラー基地局によってサーブされる。eNB/gNBは、無線アクセス・ネットワークRANの一部であり、コア・ネットワーク(CN)の機能にインターフェースする。「UE」は、「ユーザ機器」であり、ワイヤレス・クライアント・デバイス、又はこのようなデバイスによって演じられる固有の役割に対する3GPP(登録商標)における標準的な名称である。用語「ノード」は、UE又はgNB/eNBを表すために使用される。「NF」は、CNのネットワーク機能を表す。
【0063】
「間接ネットワーク接続」は、TS22.261で定義されているようなものである。「D2D」は、デバイス間通信であり、「PC5」は、V2X(TS23.287)又はProSe(TS23.303、TS23.304、及びTS38.300)によって定義されているような、サイドリンク通信を使用するためのインターフェースである。「UL」は、TS38.300で定義されているようなアップリンクUu通信のために使用され、「DL」は、TS38.300で定義されているようなダウンリンクUu通信のために使用され、「サイドリンク」又は「SL」は、TS38.300で定義されているようなサイドリンク通信のために使用される。
【0064】
以下の説明では,「アップストリーム」又は「アップリンク」は、例えばgNBなどのセル局の方に行くことになっているデータ・フローに対して使用され、その一方で、「ダウンストリーム」又は「ダウンリンク」は、RANにおけるUEの方に行くことになっているgNBからのデータ・フローに対して使用される。「ユーザ・データ」は、(典型的にはIP層おける又はIP層より上の)セルラー・ネットワーク機能の管理又は動作に関係のない、任意のタイプのユーザ・データ又はアプリケーション・データに対して使用される。アップストリーム送信は、1つ又は複数の中継局を介した間接ネットワーク接続を伴い、したがって、信号/メッセージは、まず、中継局に送られることになり、その後、中継局は、信号/メッセージをgNBに転送する。中継局は、UL(Uuインターフェース)及び/又はSL(PC5インターフェース)をサポートする。したがって、アップストリーム送信は、ネットワーク構成及びコンテキストに応じて、UL(Uuインターフェース)上及び/又はSL(PC5インターフェース)上で起こる。本特許出願のコンテキストでは、ワイヤレス端末は、(アップストリーム信号/メッセージを送るために制限された送信モードで動作しているときでも)信号/メッセージをセル局から直接的に受信する能力があるので、別途指定のない限り、DL(Uuインターフェース)上での送信に対して典型的に用語「ダウンリンク」を使用し、中継局を介した間接通信に対して典型的に用語「ダウンストリーム」を使用し、したがって、送信は、ネットワーク構成及びコンテキストに応じて、SL(PC5インターフェース)上でさらに起こる。
【0065】
本発明が実施されるセルラー・ネットワークでは、図1Aを参照して前に言及されたように、各セル10が、基地局100によってサーブされる。セル10の近く及び基地局100の近くに複数の2次局がある。これらの2次局のうちの少なくとも一部が、基地局100と直接的に通信可能である。さらに、2次局の一部は、基地局100と別の2次局110との間の通信を中継するための機能を含むので、中継局120として機能することができる。この中継機能は、例えば、セル10のカバレッジをカバレッジ外(OoC)の2次局110に拡大するのに役立つ。中継局120は、移動局(例えばUE)であるか、異なるタイプのデバイスであることも可能である。このセルラー・ネットワークは、例えば、4G若しくは5Gネットワーク、又は他のいくつかのタイプのセルラー・ネットワークである。4G及び5Gネットワークは、サイドリンク機能を有するUEによる中継の可能性を含むので、図1Aの中継局120及び2次局110は、この例では、サイドリンク機能を有するUEである。図1Aはシングル・ホップ・アーキテクチャに限定されているが、本明細書で説明される本発明の様々な実施形態は、図1Bに示されているような、マルチ・ホップ・アーキテクチャのケースにも適合可能である。
【0066】
基地局と直接的に通信することには、いくつかの欠点があるか、ある期間可能でないことさえある。基地局との直接通信は、十分な無線送信電力でメッセージを送信するために高いエネルギー消費及び/又は高いエネルギー・ピークを要求するが、これは、(ワイヤレス、典型的には電池式の)ウェアラブルUE又はIoT UEには受入れ可能ではない。時には、(干渉又はさらなる減退によって)条件が悪化することさえあり、送信を不可能にする。実際には、UE(例えばIoTデバイス)は、制限された無線送信電力を有し、したがって、UEが遠く離れたとき、圏外に移動したとき、及び/又は、干渉を受けるか送信経路上に新しい障害物があるとき、利用可能な及び/又は選択された送信モードを使用して、基地局(gNB)にはもはや達することができない。その一方で、UEは、gNBにおける、例えばより柔軟且つ堅牢な送信モード、又は利用可能なより高い送信電力のおかげで、悪化した条件にもかかわらず、gNBからの送信を依然として受信する。
【0067】
3GPP(登録商標)で定義された現在のソリューションは、完全なOoC又は部分的なOoCのリモートUEとして機能する(例えば、断続的にカバレッジ外にある、又はそのために、セル局(例えばgNB)への送信が十分な信号品質を欠いており、多くの再試行若しくはメッセージ喪失につながっている)ワイヤレス端末が、アップストリーム・データを送るため又はダウンストリーム・データを受信するために中継UEとして機能する中継局を介して通信することを可能にする。しかし、リモートUEとの通信全てが、サイドリンク(SL)チャネルを介して現在行われており、リモートUEのためのリソース選択(モード2)のセルフ・スケジューリング方法を使用している。このセルフ・スケジューリングには、いくつかの問題がある。
- セルフ・スケジューリングは、リモートUEがいつ中継UEに送信可能であるか又はメッセージを中継UEから受信可能であるかを決定するために、指名されたサイドリンク時間/周波数リソースを広く「検知する」ことをリモートUEに要求する。この検知は、エネルギー消費を増加させる。(ワイヤレス、典型的には電池式の)ウェアラブルUE又はIoT UEのこの高いエネルギー消費は、ポータブル・デバイスの限界により、及び特にIoTデバイスにとって、満足のいくものではない。
- セルフ・スケジューリングは、中継UEへのサイドリンク送信のために、予め構成されたリソース、いわゆるサイドリンク・リソース・プールだけをリモートUEが使用するように制限する一方で、実際には、利用可能ではあるがリモートUEが現在使用の権限を付与されていない、さらなるより最適なリソースがある。
- さらに、リモートUEは、カバレッジ外にある他のUE(例えば、同じ中継UEに接続された他のOoCリモートUE)、又は、例えばProSe D2D若しくはV2X D2Dアプリケーションなど、そのアプリケーションのためのサイドリンク通信に依存するOoC UEと、(潜在的に乏しい)サイドリンク・リソースを得るために競い合わなければならない。(OoC UEのためのgNBによる中心のオーケストレーションがない)セルフ・スケジューリング・アプローチと組み合わされたサイドリンク・スペクトル・リソースの多くのユーザが、無線送信衝突を増加させ、中継UEとの間の送信失敗の確率を増加させる可能性がある。
- 間接的に接続されたリモートUEへの(中継UEを介した)ダウンストリーム・データのために利用可能な潜在的に制限された帯域幅は、特定のケースでは、ダウンストリーム・データ容量が十分ではない。
a.例えば、このボトルネックの1つの理由は、データをリモートUEに送るために中継UEによって必要とされるサイドリンク(SL)通信用に配分されたリソースが、利用可能なセルラー・リソースの全セットのうちの非常に制限されたサブセットであるということである。
b.もう1つの理由は、中継UEが、他のリモートUEを同時にサーブする必要があり、したがって、中継UEの乏しいリソース(スペクトル、処理時間、バッファ・メモリなど)が、複数のデバイスにまたがって分割される必要があるということである。他のリモートUEは、中継器によってサーブされるために、より高い優先度を有する。
- さらに、中継UEが、節電のためにDRX特徴を適用する必要がある場合、又はそうしたい場合、中継UEがそのDRXスリープ/非アクティブ状態にあるときにリモートUEが中継UEに送信すること、又はリモートUEが送信前に、中継UEのDRXアクティブ状態の時まで待たなければならないことが起こる可能性がある。これは、レイテンシを増加させるか、場合によっては、データを一部損失する可能性がある。
- リモートUEがカバレッジ外にあり、したがって、リモートUEが送信するためのリソースがスケジュールされないときの、リソース配分(モード2)の重複によるパケット衝突の可能性がある。
【0068】
gNBに直接的に接続された中継UEのためにSLリソースをスケジュールするための既知のソリューションが、TR37.985 v16.0に記載されている。gNBは、DCIフォーマット3_0/3_1メッセージを中継UEに送り、中継UEは、次いで、指示されたリソース上のSLで送信可能である。しかし、本発明の発明者は、この既知のソリューションに対する以下の短所を認識している。
● DCIメッセージが中継UEの方にしか向けられていないので、リモートUEは、スケジュールされたリソースを認識していない。したがって、リモートUEは、中継UEからSLで受信する準備をいつするべきかわからない。
● この既知のソリューションは、リモートUE用のリソースを送信のためにスケジュールするために使用することができない。実際には、現在の仕様では、スケジューリング・メッセージは、(後でさらに詳細に説明されるような)送信制限UEなどの部分的にOoCのUEを含む-OoC UEに送られない。したがって、リモートUEは、中継UEがスケジューリング・メッセージを受信するようにSLでいつ/どのように最も良く送信するかについて知らず、リモートUEは、セルフ・スケジューリングと同然に悪く実施する可能性がある。
【0069】
本発明の提案される実施形態は、例えばリモートUEの接続が制限された状況で、通信のために使用するべきリソースについて中継UE及びリモートUE両方が知らされるようにスケジューリング及びデータ送信方法を定義することによって、これらの短所を克服する。
【0070】
制限された接続によって、これは、リモートUEの外部条件及びデザイン/動作選択によるものである可能性があるということを理解されたい。例えば、リモートUEは、基地局への直接アップリンク送信がエネルギー若しくは電力の点で高価になりすぎるようなそのロケーション(例えば、セルの縁部、若しくは建物内)による、又は、その容量(低い残りのバッテリ充電、環境発電端末のような低電力デバイス)による制限された接続に遭遇するか、或いは、不十分な信号品質による多くの再試行又はメッセージ喪失につながる。別の例では、リモートUEは、送信レベルが閾値を超えることが許容されないロケーション(病院、放射線レベルが所与の範囲内にとどまらなければならない研究室)で使用される。これらの限界は、セル局に直接的に送信する能力がない(又はしないことが好ましい)TX制限ワイヤレス端末に対応する。
【0071】
返信を送信する能力がないこのような非対称の状況は、-以下の具体例のうちの1つ又は複数などの-ワイヤレス端末(又はリモートUE)における固有のTX制限により発生する。
1.例えば、コイン電池などの小型バッテリ・フォーム・ファクタによる、又は、バッテリの固有の化学的性質による、ワイヤレス端末バッテリからの最大許容ピーク電流ドレイン。
2.例えば低コスト/低電力/コンパクト・フォーム・ファクタ無線モジュールを使用することによる、ワイヤレス端末無線の最大許容送信電力。
3.例えば、出力電流が制限されたバッテリを介して又は環境発電を通じて充電された(ウルトラ)キャパシタによって高電力Txモードが電力供給された場合の、高電力送信のために利用可能な制限されたデューティ・サイクル。
4.例えば、ワイヤレス端末の小さいフォーム・ファクタによる、制限された数のアンテナ、又は低い実効放射Tx電力など、最適とは言えないアンテナ・デザイン。セル局は、その送信電力を増加させること及び/又は信号反復若しくは他の手段を増加させることによってこの限界を補償するが、ワイヤレス端末は、制限1、2、3、又は8のうちの1つ又は複数により、補償することができない。
5.例えば、地下室、屋内の奥深くなどに置かれた埋込式UE又はM2Mモジュールなど、ワイヤレス端末送信を邪魔する最適とは言えないデバイス配置。セル局は、その送信電力を増加させること及び/又は信号反復若しくは他の手段を増加させることによってこの限界を補償するが、ワイヤレス端末は、制限1、2、3、若しくは8のうちの1つ若しくは複数により、又はロケーション(例えば人体)が規制により送信電力を制限するので、補償することができない。
6.例えば、ワイヤレス端末での信号処理のための少数のアンテナ又は制限された容量により、セル局に向けた(実効)Txビーム・ステアリングを実施する能力がないこと。セル局は、その送信電力を増加させること及び/又は信号反復若しくは他の手段を増加させることによってこの限界を補償するが、ワイヤレス端末は、制限1、2、3、又は8のうちの1つ又は複数により、補償することができない。
7.一般に、セル局のトランスミッタとワイヤレス端末のトランスミッタとの「非対称」の態様。
8.メッセージをセル局に送る反復回数を増加させることなど、カバレッジ拡大モードに対するUEにおける制限されたサポート。
9.送信及び受信周波数が(例えばFDDのように)異なる、又は送信/受信信号のための変調が異なり、送信対受信のリンク・バジェットが異なる。
10.ワイヤレス端末が、送信用のエネルギーを制限しているが(例えば、残りのバッテリ電力が低い、又は環境発電キャパシテータがまだ完全に充填されていない)、送信されるべき切迫した/重要なメッセージ(例えば緊急SMS)をまだ有している。
【0072】
したがって、上記で説明されたように、TX制限ワイヤレス端末のケースにおける本発明の1つの目的は、ワイヤレス端末がセル局からの送信(すなわちDL上のチャネル)を受信する能力があるが、返信を(すなわちULを介して)物理的に送信する能力がない、又は、原則として返信を送信する能力があるが、エネルギー使用量を節約するため又は他の理由(例えば、可能なローカル使用ルール)でこれを行わないという特定のケースのために、上記の問題を解決することである。
【0073】
逆に、制限された接続は、セル局に直接的に送信する能力があるが直接的に受信不可能な、Rx制限局をさらに含む。これは、低感度レシーバ又は局所的干渉(例えば、ワイヤレス端末の近くのWi-Fiネットワークとの共存)によるものであることが可能である。
【0074】
上記のポイント7で言及された「非対称」の態様は、セル局トランスミッタとワイヤレス端末トランスミッタとの差についてのものであり、これは、一部の状況では、以下により、セル局がワイヤレス端末に送信できる可能性を、その逆より高くすることができる。
1.セル局で利用可能な送信用の高電力(dBm)対ワイヤレス端末での低電力
2.アップリンク用よりダウンリンクのリンク・バジェットが高くなる送信及び受信のために使用される異なる周波数帯域
3.壁コンセントから電源を取るセル局対電池式の(又は環境発電を電力源とする)ワイヤレス端末。
【0075】
これらのケースの視点では、制限の上記のリストは、5Gがウェアラブル、低電力、及びIoTデバイスにますます採用される将来における比較的共通のケースになることが発明者によって認識されている。
【0076】
TR23.733及びTR36.746で論じられた3GPP(登録商標)における他の作業は、例えば、中継UEとして機能する中継局を使用してより広いネットワークに接続することによって、(リモートUEの役割での)IoTデバイスなどのワイヤレス端末が非常に低電力で動作することを可能にするためのアーキテクチャ強化についての検討を含む。中継UEは物理的に非常に接近しているので、非常に低電力の送信を使用して中継UEに達することができる。これらの議論は、第2層(L2)中継アーキテクチャを含む、いくつかの新しい中継アーキテクチャにつながる。OSIモデルの第2層は、3GPP(登録商標)(RLC、MAC、PDCP)におけるデータ・リンク層又は無線層2に対応し、その一方で、OSIモデルの第3層は、ネットワーク層(インターネット・プロトコル層)に対応する。このL2中継アーキテクチャは、アプリケーション層(L3、おおよそインターネット・プロトコルIP層)において動作するProSe 4G中継と違って、ユーザ・プレーン・スタックに関する図2Aに示されているように、ワイヤレス端末との間を行き来するエンド・ツー・エンドのIPパケット及びPDCPパケット送信を提供することを意図している。同様に、制御プレーン・スタックに関する図2Bでわかるように、制御プレーン・データのためのL2中継が提案される。
【0077】
このようなアーキテクチャは、リモートUEとして機能するワイヤレス端末が、コア・ネットワークにおける登録済みエンティティとして直接的に可視になることを可能にする。これは、モニタリング又はビリングのような用途に、及び、ワイヤレス端末を介したセル局による改善された制御に、いくつかの利点をもたらす。さらに、ワイヤレス端末は、直接的に接続されているかのように、コア・ネットワークの全ての機能にアクセス可能である。TR23.752における、ProSe 5G(ユーザ・プレーンのみ)における第3層(L3)中継の提案など、代替の中継アーキテクチャが存在し、4Gの場合に非常に類似していることに留意されたい。さらに、個人的なIoTデバイス(例えばウェアラブル、家庭内デバイス)のトラフィックを5Gネットワークに中継するためのゲートウェイUE(例えばモバイル・フォン又は住居用ゲートウェイ)としてUEを使用することなど、他のタイプの中継デバイスが論じられてきたか論じられている(例えばTR22.859参照)。
【0078】
さらに、3GPP(登録商標)は、セル局間の中継を可能にするために、統合アクセス及びバックホール(IAB:Integrated Access and Backhaul)についてTR38.874で論じられた新しい特徴についてさらに作業している。IABの目的は、追加の中間のワイヤレス接続されたセル局又は小規模セルの展開を通じて、5G無線アクセス・ネットワークのカバレッジ・エリアの拡大をより簡単にすることである。(サイドリンクのような)UEベースの中継との主な差は、IABではデバイスが、多くのリソースを有する非常に洗練されたデバイスである一方で、UEベースの中継器ではワイヤレス端末が、中継局として機能するために割くべきリソースが非常に少ない、非常に低電力のリソース制限デバイスであり得ることである。さらに、IABでは、セル局が、典型的には、同じネットワーク・インフラストラクチャ・プロバイダによって所有及び運用される一方で、UEベースの中継器の場合、中継UEとして機能する中継局は、典型的には、モバイル・ネットワーク・オペレータごとに異なるサブスクリプションを有する、多くの異なる個人によって所有されることになる。さらに、中継UEの場合、モバイル・ネットワーク・オペレータは、どのUEが中継UEとして機能できるか、並びにどのリモートUE及び中継UEに対してモバイル・ネットワークへのアクセスが許容されるかについての完全な権限制御を望む一方で、IABでは、これは、コア・ネットワークにおいてシームレスに統合される。モバイル・ネットワーク・オペレータは、さらに、中継UEがリモートUEとのサイドリンク通信のために使用できるリソース/周波数についての完全制御を望む一方で、IABでは、中間ノードには、ダウンリンク・デバイス用のリソースのスケジューリングにより多くの自律性がある。一部のケースでは(例えば3GPP(登録商標)が車載IABノードの使用も論じている(例えばTR22.839参照))、これらの特性及び手順の一部(例えば、所有権、権限付与、リソース配分)は、基地局より中継UEに類似していることに留意されたい。
【0079】
図3に示されているように、このアーキテクチャは、IABノードが他のIABノードのためのトラフィックをIABドナーの方に中継可能な、ProSe中継器に類似のメカニズムを使用する。IABノード間の通信は、一般に分散セル局のために使用される、基地局中央ユニット(CU)とそのリンクされた分散ユニット(DU)との間の、TS38.473で定義されているような、5G定義のインターフェース「F1」を使用する。登録及びいくつかの制御情報のために、IABノードは、モバイル端末/UE構成要素をさらに含む。
【0080】
しかし、これらの改善は、一方ではサイドリンク・スケジューリング、及び他方では高いエネルギー消費を要求し信頼できない基地局との直接通信に関する、以前に言及された問題全てを解決することができない。
【0081】
したがって、本発明の第1の実施形態によれば、例えばセル40をサーブするgNB400のようなセル局400を有する、図4に示されているようなセルラー・ネットワークが提案される。複数の2次局がこのセルに含まれる。第1のタイプの2次局410は、制限された接続に遭遇する(又は要求する)2次局である。本実施形態では、この制限された接続は、セル局への直接送信が妨げられる(又は阻止される)という意味で、以前に説明したような送信制限に対応する。この第1のタイプの2次局は、例えばリモートUE410のようなワイヤレス端末である。この例では同様に第1のセル内にある、第2のタイプの2次局は、中継局420として機能し、すなわち、セル局と他の2次局との間の中継器として機能するのに十分な容量及び適切な機能を有する。これらの中継局420は、セル局400と、第1のタイプの2次局、すなわちワイヤレス端末410、又は場合によっては、マルチホップ・システム(図4に図示せず)のケースにおける第2のタイプの2次局(すなわち中継局420)との間にある。この中継局420は、アップストリーム・フローのためだけの中継UE420として機能する。この第1の実施形態は、アップストリーム・データ・フロー411及びダウンリンク・データ・フロー401(例えばそれぞれのチャネルを介して送られる、例えばデータ・トラフィック及び制御情報の両方を含む)を可能にする。本実施形態によれば、セル局400からワイヤレス端末410及び中継局420への直接無線リンク401(DL)は、ワイヤレス端末及び中継局に対してリソースをスケジュールするため並びにダウンリンク・データを公表するために使用される。中継局420を通じたワイヤレス端末410とセル局400との間の間接リンク411は、アップストリーム・データ用として使用可能である。セル局400と中継局420との間のもう1つのダウンリンク直接リンク402は、一方では、ワイヤレス端末410と中継局420との間で使用されるべきアップストリーム・リソース(例えばサイドリンク・リソース)を、及び、他方では、中継局420とセル局400との間で使用されるべきアップリンク・リソースを、スケジュールするために使用される。さらに、中継局420は、セル局400への送信用の独自のアップリンク接続403を使用する。図4では、このアップリンク接続403は、セル局400に直接的なものである。しかし、マルチホップ中継システムのケースでは、このアップリンク接続403は間接的である。以下の様々な実施形態では、アップストリーム・リンク411は、アップリンク接続403に論理的に含まれる(接続におけるより多くの柔軟性を可能にする)ことに留意されたい。代替として、以下の様々な実施形態の動作は、別個の論理的な(又は場合によっては物理的な)リンクとして、リンク411及びリンク403を維持するように適合可能である。
【0082】
したがって、セルラー・ワイヤレス通信システムは、少なくとも1つのセル局400、中継局420として機能する少なくとも1つの2次局420(例えば中継UE)、及び(例えばリモートUEとして機能する)少なくとも1つのワイヤレス端末410を含むことが提案される。本実施形態では、セル局400は、以下のうちの少なくとも1つを指示するために、ダウンリンク直接リンク401及び402を介して、1つ又は複数の通信リソース確保メッセージを送信可能である。
- セル局400から直接的にワイヤレス端末410への将来のダウンリンク・データ送信用の「DLresources」とも呼ばれるダウンリンク・リソース、
- SL及び/又はULを介したワイヤレス端末410からの将来のアップストリーム・データ送信用の「Usリソース」とも呼ばれるアップストリーム・リソース、並びに
- 中継局420として機能する2次局420において、ワイヤレス端末410からの、典型的にSL及び/又はULを介したアップストリーム・データ送信を受信するための、「Us-Rxリソース」とも呼ばれる中継局による受信用のアップストリーム・リソース。
【0083】
アップリンク及びアップストリーム・リソースは、同じであるか同じリソース・プールに基づく、又は別個のリソース・プールに基づく。アップリンク及びアップストリーム・リソースは、ワイヤレス端末410又は中継局420によって区別可能ではない(これは、例えば、(後で描写されるように)中継局420がセル局に代わって動作するのを可能にするために、アップリンク・リソースが中継局と共有されるときのケースである)。しかし、典型的には、アップリンクとアップストリーム・リソースとは区別可能であり、したがって、セル局は、例えば、異なるDCIフォーマット又は異なるRRCメッセージを使用することによって、セル局がどのタイプであるかを指示可能である。(他のいずれかの実施形態に適用される)オプションとして、第1のセル局は、ワイヤレス端末410のために、直接アップリンク・リソース(例えばUuインターフェースを介した通信用)及びアップストリーム・リソース(例えばサイドリンクを介した、例えば中継局への通信用)の両方をスケジュールすること、並びに/又は、アップリンク・リソース及びアップストリーム・リソースの両方についての情報を第1のメッセージの中でワイヤレス端末に送ること、並びに/又は、どの状況でアップリンク・リソースを使用するべきか、及びアップストリーム・リソースを使用するべきかについての条件若しくは閾値についての構成情報を送ることを行う。リソースの両方のセットを受信するワイヤレス端末は、アップリンク・リソース及びアップストリーム・リソースの両方の中でそのメッセージ/信号のコピーを送るか、或いは、適用するべき条件若しくは閾値についてのセル局から受信された構成情報に基づいて、又は、(例えばUSIMに格納された)予め構成された条件若しくは閾値に基づいて、どのリソースを使用するべきかを選択する。これらの条件/閾値は、TX制限モードで動作すること又は動作する必要があることをワイヤレス端末が決定する基礎となる条件/閾値と同じであるか重複している。ワイヤレス端末がTX制限モードで動作すると決定した場合、ワイヤレス端末は、アップリンク・リソースを使用するのではなく、アップストリーム・リソースを使用して中継局と通信することになり、アップリンク・リソースが使用されるかアップストリーム・リソースが使用されるか、及び/又はワイヤレス端末が、セル局によって、アップリンク・リソースで構成されるかアップストリーム・リソースで構成されるかに応じて、ワイヤレス端末の送信電力を調節する。セル局は、送信電力限界(例えば最小値若しくは最大値)についての情報、及び/又は、異なる(タイプの)リソース(例えば、Uuを介したアップリンク、若しくはサイドリンクを介したアップストリーム)のため、異なる宛先(例えば、特定の中継局が使用されるべき場合、所与の識別子を通じて識別されたもの)のため、デバイス(例えば、TX制限モードを動作させるワイヤレス端末)が動作する異なるモード/状況/カバレッジ・レベル/信号品質閾値のために使用するべき推奨送信電力についての情報で、(例えば、制御信号/メッセージを通じて、例えば、SIB、RRC、若しくはDCI信号/メッセージの一部として、又はUEポリシ情報の一部として)ワイヤレス端末を構成する。ワイヤレス端末は、この構成情報を使用して、どの送信電力を使用するべきかを決定する。
【0084】
このアーキテクチャは、特殊動作モードの一部であり、例えば、ワイヤレス端末とセル局との間に直接デュプレックス・リンクを有する従来のアーキテクチャなどの、異なるアーキテクチャが通常使用されていることに留意されたい。後で詳述されるように、動作条件又は他のいくつかのイベントは、この特殊動作モード(すなわちTX制限モード)で動作するように、ネットワーク、セル局、中継局、及び/又はワイヤレス端末をトリガする。
【0085】
いずれにしても、このアーキテクチャによれば、セルラー・ネットワーク内でセル局400と通信するように、例えばリモートUEなどのワイヤレス端末410である2次局を動作させるためのメカニズムが含まれる。この第1のセル局400は、第1のセル40をサーブする。さらに、このセルでは、少なくとも1つの他の2次局420が、中継局420として動作可能である。図5に描写されているように、メカニズムは、以下のステップを含む。
S51:第1のセル局400は、割り当てられたアップストリーム・リソースの指示を含む第1のダウンリンク制御情報を搬送する第1のメッセージをワイヤレス端末410に送る。
S52:第1のセル局400は、第2のダウンリンク制御情報を搬送する少なくとも1つの第2のメッセージを中継局420に送る。この第2のダウンリンク制御情報は、1つ又は複数のメッセージによって搬送され、ワイヤレス端末がそのメッセージを中継局420に送信することを意図するアップストリーム割り当てられたリソースについての情報を含む。第2のダウンリンク制御情報は、メッセージを転送するときに中継局420によって使用されるべきリソースを配分するためのメッセージをさらに含む。
S53:第1のメッセージは、ワイヤレス端末410によって検出され、ワイヤレス端末410はメッセージをデコードして、割り当てられたアップストリーム・リソースの指示を取得する。こ割り当てられたリソースは、アップストリーム信号を中継局420に送信するためにワイヤレス端末410によって使用可能である。
S54:ワイヤレス端末410は、メッセージに含まれるアップリンク情報(すなわち、通常の双方向通信モードで、Uuインターフェースを介してgNBに直接的に送信される情報(例えばユーザ・データ))を生成し、メッセージを搬送するアップストリーム信号を中継局420に送信するために割り当てられたアップストリーム・リソースを使用する。アップリンク情報は、セル局400に転送されることが意図されることに留意されたい。この目的のために、アップリンク情報には、アップストリーム・メッセージの一部として、中継局についての情報(例えば、中継局のL2識別子又は他の識別子)が添付される/予め付加される/アップデートされる/多重化される。
S55:中継局420は、セル局400によって配分されたアップストリーム・リソース上でメッセージをワイヤレス端末410から受信する。
S56:中継局420は、オプションとして、必要であればメッセージを処理し、アップリンク情報(又はアップストリーム信号/メッセージ)をセル局400に転送する。
【0086】
本実施形態では、ただ1つのセル局400が含まれているが、このメカニズムは、2つ以上のセル局が動作する必要があるケースに適合可能である。さらなる実施形態で詳述されるように、例えば、これは、例えば、中継局が異なるセル内にある場合、中継局がセル局400によってサーブされるのではなく、別の局によってサーブされるときのケースである。後で詳述されるように、第1のセル局400は、リソース配分(例えばUsリソース及び/又はDsリソース)を含むメッセージをワイヤレス端末410に送ることを引き受け、その一方で、異なる局が、中継局420に対する、(それぞれ、ULのための、及びワイヤレス端末からSLを介して入ってくる)例えばULリソース及びUs-Rxリソースなどのリソース配分を送信する。
【0087】
ステップS51で送られたメッセージ及びステップS52で送られたメッセージはマージされる(例えば、中継局420及びワイヤレス端末410の両方に対する共通の識別子を使用して単一のメッセージの中で抱き合わせにされるか一緒に符号化される)ことに留意されたい。代替として、上述のように、ワイヤレス端末410が送信するため、及び中継局が受信するためのリソースを配分するこれらのメッセージは、両方のUEによってデコードされた2つの別個のメッセージを介して送られる。これらのメッセージは、第1のセル局400によって送られるか、2つのセル局のケースでは、どちらか一方のセル局によって送られるか、それぞれの1つセル局によって各メッセージが送られることが可能である。
【0088】
さらに、第1のセル局400は、予定されたダウンリンク送信をワイヤレス端末に直接的にシグナリングする。例では、このシグナリングは、ダウンリンク送信と同じフレーム内で発生する。したがって、ワイヤレス端末410は、第1のセル局によってシグナリングされたDLリソースでダウンリンク・データを受信可能であり、割り当てられたUsリソースでアップストリーム・データを送信する。このアップストリーム・データは、例えば、コア・ネットワークに若しくはコア・ネットワークより先に流れることになっているユーザ・データ、又は、第1のセル局400によってワイヤレス端末410に以前に直接的に送られたダウンリンク・データをワイヤレス端末410が正しく受信したか否かについてのステータスを記載した、例えば承認(ACK/NACK)などのフィードバック・データのうちの少なくとも1つを含む。
【0089】
オプションとして、中継局420は、ステップS54のアップストリーム信号が受信されるとすぐに、承認データ(例えばHARQ信号)をワイヤレス端末410に送る。この承認データは、したがって、このデータ信号の正しい/正しくない受信を示す。この目的のために、第1のセル局400は、例えばステップS52の第2のダウンリンク制御情報に、HARQプロセス情報(例えば、HARQプロセスID、タイミング/リソース情報)を含める。例では、中継局420は、HARQフィードバック情報をワイヤレス端末410に送り返すために、第1のセル局に代わって機能することができる。第1のセル局は、中継局420がメッセージの一体性を検証すること、又はメッセージ/信号を(部分的に)デコードすることを可能にするために、いくつかのセキュリティ証明書、又は、信号若しくはメッセージのタイプ、フォーマット、エンコーディング、スクランブリング、若しくはコンテンツについての情報を(例えば第2のダウンリンク制御情報の一部として)さらに提供し、(例えば、CRC又はメッセージ一体性コード/メッセージ認証コードが正しいことが検証された場合)中継局420が承認データをワイヤレス端末(410)に送ることをその条件で許可される命令/ポリシ情報をさらに提供する。中継局420は、第1のセル局から受信された情報を使用して、ワイヤレス端末410から受信されたアップストリーム信号/メッセージに対していくつかの処理を実施し、この処理の結果が1つ又は複数の条件を満たした場合、承認データをワイヤレス端末410に送る。代替として、中継局420はまず、受信されたアップストリーム信号/メッセージ(又は処理後に異なるメッセージに追加されるアップリンク情報)を第1のセル局に転送し、第1のセル局は、(承認データをワイヤレス端末410に直接的に送るのではなく)、転送されたアップストリーム信号/メッセージ(又はアップリンク情報を含む異なるメッセージ)の受信/デコード/一体性検証が成功すると同時に信号/メッセージを中継局420に送り、したがって、中継局420は、その後、承認データをワイヤレス端末410に送る。
【0090】
割り当てられたUsリソース上で送られたステップS54におけるアップストリーム信号は、(例えば、チャネル条件が瞬間的に良くなった場合)第1のセル局400によって直接的に偶然受信されることに留意されたい。したがって、ステップS54で送られたデータは、実際には、セル局400に直接的に送信可能であり、中継局420へのリンクは、直接の送信電力レベルが不十分な場合の予備として機能することができる。これは、ワイヤレス端末410がセル局400へのTx接続の縁部にあり、その送信が第1のセル局400によって正しく受信されることもあるケースに特に関連している。その場合、セル局400は、アップリンク情報を含むアップストリーム信号/メッセージを直接的に処理可能である。セル局400は、(例えば、そのアップストリーム・リソース、メッセージ識別子、又はメッセージの他の部分で識別された)アップストリーム信号が、第1のセル局400によって直接的に既に正しく受信されたことを(例えば第2の制御信号を通じて)中継局420に知らせる。中継局420は、次いで、このメッセージを放棄するか、このメッセージをセル局400に送るのを回避するか、承認データをワイヤレス端末410に送るのを回避する。
【0091】
ステップS56で言及されたように、中継局420は、ワイヤレス端末410から受信されたアップリンク・データを、1つ又は複数のホップを介して、そのアップストリームのセル局に向けてアップストリームで中継可能である。ホップ毎に、HARQフィードバックがある。アップリンク・データは、次いで、第1のセル局400によって最後に受信される。データがアップストリーム・ユーザ・データを含むケースでは、受信セル局は、新しいDsリソースを使用した将来のダウンリンク(DL)送信において、例えばユーザ・データが成功裏に受信されたかどうかを指示するACK/NACKなどのフィードバック・データをワイヤレス端末410に直接的に送り返す。ユーザ・データが正しく受信されなかったケースでは、例えばNACKなどのフィードバック・データは、以前に送信されたデータの少なくとも一部が欠けていることをワイヤレス端末410に指示する。セル局400は、次いで、ワイヤレス端末410によってデータの再送信を直接的にスケジュールする。これは、将来のUsリソースを配分することによって実施可能である。再送信は、次いで、場合によっては、中継局420を通じて中継される。
【0092】
本実施形態の特定の変形では、セル局は、(例えば第1又は第2のダウンリンク信号の一部として送られたSIB/RRCメッセージを通じて)サイドリンク・モード2のリソース配分で動作するようにTX制限状態のワイヤレス端末に命令し、これと同時に、TX制限状態のワイヤレス端末は、スケジュールされたアップストリーム又はアップリンク・リソースではなく、サイドリンク・モード2のリソース配分を使用する。以前に言及されたことに従って、ワイヤレス端末は、TX制限状態のこれらのモード2のリソースを使用するときに、その送信電力を制限するか、その送信電力を低減させる。
【0093】
第1の実施形態によれば、また、ここから図6を参照すると、ワイヤレス端末410として機能するワイヤレス端末は、典型的には、アンテナ61又はアンテナ・アレイ(例えばMIMO互換ワイヤレス端末の場合)を備える。このアンテナ61は、レシーバ621及びトランスミッタ622を備える通信ユニット62に連結される。通信ユニット62は、UMTS、LTE、又はNRなどの3GPP(登録商標)規格と互換性があり、現在の接続に応じて適宜動作する。実施形態では、通信ユニット並びにそのレシーバ621及びトランスミッタ622を制御するためのマイクロプロセッサなどのコントローラ63が含まれる。コントローラ63は、通信ユニット62に専用であり、場合によっては、その中に含まれることに留意されたい。コントローラ63は、他のシステムをさらに動作させ、通信ユニット62に専用であるだけではない。典型的には、含まれるプロセスの一部又は全てが、ワイヤレス端末410のメモリ64に格納されたソフトウェアによって動作する。しかし、発明全体が構成要素内のハードウェアに含まれることも可能である。ワイヤレス端末は、3GPP(登録商標)ネットワークで定義されたサイドリンクなどの中継アーキテクチャに従って動作するための機能を含むことに留意されたい。
【0094】
実施形態では、コントローラ63は、通信ユニットにTX制限モード(すなわち、ワイヤレス端末がセル局に直接的に送信することができない(又は好ましくない)モード、及び、ワイヤレス端末がその送信電力を低下させているが依然としてダウンリンク信号をセル局から受信可能なモード)で動作させる。これは、図4を参照しながら説明されたような、又は、本明細書でさらに詳述されるさらなる実施形態のいずれかにおける、アーキテクチャに従って実施可能である。コントローラ63は、通信ユニットのレシーバ及びトランスミッタを構成する能力があり、アップリンク・データ(例えば、ユーザ・データ、承認データ、バッファ・ステータス情報)を生成する能力がある。現在遭遇している条件に応じて、又は特定のトリガ・メッセージに基づいて、コントローラ63は、TX制限動作モードに切り替える。
【0095】
TX制限モードでは、レシーバは、(DCI関連の内容/メッセージに必ずしも制限されない任意の制御/構成関連情報の総称としてここで使用される)第1のセル局によって直接的に送られそれぞれの第1のダウンリンク制御情報を搬送する第1のダウンリンク信号を受信するように適合され、それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの1つが、第2の信号(すなわちアップストリーム信号/メッセージ)を中継局に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき(第1のリソース指示、送信モード指示、若しくは動作モード指示、又は通信(受信若しくは送信)に関する1つ若しくは複数の他のパラメータなどの)構成パラメータを含み、前記それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第2割り当てられたダウンリンク・リソースを少なくとも含む。構成パラメータは、例えば、リソース、周波数、時間/覚醒スケジュール、どの変調若しくは信号エンコーディング若しくはスクランブリング若しくは送信電力をアップストリーム信号/メッセージのために使用するべきかについての情報、(サイドリンク発見メッセージなど)どの特定のタイプのアップストリーム信号/メッセージを使用するべきかについての情報、及び/又は、アップストリーム信号/メッセージの中で使用するべきL1/L2ソース若しくはターゲット・アイデンティティ情報(若しくはユーザ情報ID、PRUK ID、SUCI、SUPI、GUTI、若しくはRNTIなどの他のアイデンティティ情報)(例えば中継局のアイデンティティ)、或いはアップストリーム信号/メッセージのために使用されるべき特定のセキュリティ証明書のセットである。レシーバは、第2割り当てられたダウンリンク・リソース上でさらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するようにさらに適合される。オプションとして、リソース確保メッセージ及びデータ送信が、同じ無線フレーム内で発生する。
【0096】
TX制限モードでは、トランスミッタは、アップリンク情報を搬送する第2の信号(すなわち(例えば上記のステップS54のような)アップストリーム信号/メッセージ)を第1のリソース上で中継局に送信するように適合されること、及び/又は、受信された構成パラメータ使用して、所望の特性を有する(例えば、バッテリ・レベルに基づく特定の送信電力、周波数、変調フォーマット、コーディング・スキーム、保護メカニズムを有する)アップストリーム信号/メッセージを生成することを行い、前記アップリンク情報は、(例えば、受信されたアップストリーム信号/メッセージを転送すること、及び/又はアップリンク情報を含む異なるメッセージを送ることによって)第2のセル局に転送されることになる。
【0097】
本実施形態の(及び、他の実施形態にも適用される)オプションとして、コントローラは、TX制限モードをアクティブにするためのトリガを指示する又は含む、第1のセル局によって直接的に送られたダウンリンク信号をレシーバが受信した後(例えば、ワイヤレス端末のアップリンク信号が不十分な品質のものであるという測定を通じて第1のセル局が決定した後)、TX制限モード動作を開始する。前に言及されたように、これは、使用されるべき送信電力又は種々のリソース(例えば、第1のセル局との直接Uu通信用のアップリンク・リソースではなく、中継局の方に向けられたアップストリーム・リソース)の低減をトリガする。この目的のために、セル局は、例えばSIB若しくはRRCメッセージ若しくは覚醒信号(すなわち、例えば、3GPP(登録商標) TS36.300及びTS36.213で指定されたようなWUSに類似の、若しくはIEEE802.11baに類似の、メイン無線通信モジュールを覚醒するために覚醒レシーバによって受信される固有の信号、したがって、TX制限モードに切り替えるためのトリガは、使用される固有のタイミング/リソース/アイデンティティによって、若しくは、覚醒信号ペイロードを通じて指示される)の一部として別個のTX制限モード・スイッチ・メッセージ若しくはTX制限モード情報要素を、ダウンリンク信号として、又は、この目的のための(例えば特定の波形若しくは周波数を有する)固有のダウンリンク信号として送信する。このようなメッセージ/情報要素/信号は、ワイヤレス端末のアイデンティティ(例えば、L2アイデンティティ、SUCI/SUPI/GUTI、若しくはRNTI)、又は、ワイヤレス端末が属するデバイスのグループのアイデンティティ(例えば、L2グループ・アイデンティティ)を含み、したがって、ワイヤレス端末は、メッセージ/情報要素/信号がそれぞれのワイヤレス端末に適用されることを決定可能である。上述のメッセージ/情報要素/信号は、悪意のあるデバイスが、このようなメッセージを使用してワイヤレス端末を強制的にTX制限通信に切り替えることができるのを阻止するために、(例えば、(コア・ネットワーク若しくは証明機関によって署名された)第1のセル局から受信された事前共有鍵若しくは公開鍵を使用して、又は、(例えば、Kamf若しくはKausf若しくはProSeリモート・ユーザ鍵(PRUK))に基づく)前に使用された鍵若しくはこの鍵から誘導された鍵を使用して)暗号化される必要がある。
【0098】
(本実施形態及び他の実施形態の)別のオプションとして、送信又は受信動作が、(例えば、SIB/RRCメッセージを通じて若しくは(例えばPCFからの)UEポリシ情報を通じてセル局によって構成された、若しくはUSIMにおいて予め構成された)1つ若しくは複数の(予め)構成された条件、又は(予め構成された)信号強度/信号受信品質閾値若しくは信号送信失敗閾値を満した場合、或いはワイヤレス端末のエネルギー・レベルが特定の閾値を下回った場合、コントローラはTX制限モード動作を開始する。この決定は、例えば、以下の方法のうちのいずれか1つ又は複数に基づく。
a)セルの第1の局からワイヤレス端末によって直接的に受信された信号、ワイヤレス端末で受信された中継局からの信号、又はワイヤレス端末によって別のセル局から受信された信号の信号メトリックの測定値。例えば、セル局からのダウンリンク送信のRSRPが特定の閾値を下回るようなイベントは、ワイヤレス端末がセル局に直接的に送信可能なカバレッジ・エリアの縁部にワイヤレス端末が近づきつつあることをワイヤレス局に指示する。ワイヤレス局は、特定の時間間隔で測定を行うか、又は、状況が安定していることを確実にするために、及びピンポン効果を回避するために、いくつかの履歴オフセットを適用する必要がある。これに適用されるべき閾値は、TX制限モードを使用することを決めるためにワイヤレス端末が適用するべき条件/ポリシ(例えばRSRP閾値)を含む、ワイヤレス端末に送られた(例えばSIBの一部としての)構成情報を通じて、セル局によって(あらかじめ)構成される。
b)第1のセル局に送信されたメッセージの承認がない、例えば、ワイヤレス端末からセル局に若しくはその逆に直接的にレポートされた再試行カウンタ、又は中継局を介してワイヤレス端末にレポートされた再試行カウンタのような、失敗した送信又はほぼ失敗した送信の検出。これに適用されるべき閾値は、TX制限モードを使用することを決めるためにワイヤレス端末が適用するべき条件/ポリシ(例えば失敗したアップリンク送信の最大数)を含む、ワイヤレス端末に送られた(例えばSIBの一部としての)構成情報を通じて、セル局によって(あらかじめ)構成される。
c)考えられるワイヤレス端末によってリクエストされるかネットワークによって可能にされるカバレッジ拡大モード。
d)ワイヤレス端末で使用される残りのバッテリ充電量若しくはバッテリ/電源のタイプ、及び/又はワイヤレス端末のTx電力レベルが特定の閾値を上回る/下回るかどうか。
【0099】
追加又は代替として、コントローラは、中継局が発見された場合にTX制限モード動作を開始し、したがって、中継局から受信された発見メッセージは、TX制限動作のサポートを指示するか、又は、含まれるとき若しくは特定の値を有するときに、TX制限モードに切り替えるようにワイヤレス端末をトリガするべきフィールド(例えばブール情報要素)を指示する。
【0100】
(本実施形態及び他の実施形態の)さらに別のオプションとして、トランスミッタは、TX制限モードをアクティブにするためのトリガを指示する若しくは含む初期信号を、直接的に第1のセル局に(すなわちUuインターフェースを介して)、又は、中継局に(すなわち、例えばProSe中継手順を使用して、第1のセル局に中継局によって転送されるべき間接メッセージを介して)送信するように適合される。Uuインターフェースのケースでは、これは、「hello」メッセージ送信を送るためにまだ残っている十分なTx電力の余裕及び十分なエネルギーをワイヤレス端末が有すると想定して、例えば、割り当てULリソースを介して、又は、ランダム・アクセス手順(TS38.300参照)中に、スケジュール化されていないリソース上で送られる(例えばTX制限モードのリクエストを指示する新しい/追加の情報要素を有する)新しい若しくは既存のRACHメッセージとして、第1のセル局に直接的に送られた1回限りの高電力「hello」メッセージ送信である。このようにして、ワイヤレス局は、ワイヤレス端末がそこにあること、及びワイヤレス端末が(持続可能なより低い電力送信レベルで)返信を送信するための中継局を必要としていることを、セル局に通知可能である。セル局がこのようなメッセージを受信するとすぐに、セル局は、例えば、このような初期信号(例えば「hello」メッセージ)の一部としてさらに含まれるロケーション情報、測定データ、又は発見情報に基づいて、(ワイヤレス端末がまだ使用していない場合)どの中継局をワイヤレス端末が使用するべきかを決定し、ワイヤレス端末用のアップストリーム・リソースを適宜スケジュールし、次いで、セル局は、このアップストリーム・リソースを、以前に言及された第1のダウンリンク信号のうちの1つの中でワイヤレス端末に送信する。
【0101】
さらに別のオプションとして、ワイヤレス端末がTX制限通信モードの使用を止めたとき、中継局は、オプションとして、予め確立されたセキュリティ・コンテキスト内に存在する、予め権限を付与されたワイヤレス端末からのアップストリーム信号をリッスンし続ける。これは、例えば、この時にTX制限通信しか使用できない(及びしたがってセル局に直接的に達する能力がない)デバイス、中継局の近傍に入ったデバイス、並びに通信する必要があるデバイスを検出するのに有益である。この目的のために、予め権限を付与されたワイヤレス端末は、その発見、「中継参加リクエスト」、又は他のアップストリーム信号/メッセージ(例えばPC5シグナリング・メッセージ)の中で固有のアイデンティティ又は証明書を使用する必要がある。ワイヤレス端末が予め権限を付与されていることを中継局が検証できるようにするために、中継局は、対応する情報が構成されるか、又は、ワイヤレス端末との以前の通信から対応する情報を覚えている(例えば同じ又は誘導されたPC5セッション鍵を使用する)。代替として、中継局は、さらに処理するため及びワイヤレス端末が予め権限を付与されているかどうかをさらにチェックするために、中継局が接続されたセル局に及び/又はコア・ネットワークに、入ってくるアップストリーム信号を転送する。
【0102】
TX制限モードのケースでは、ワイヤレス端末は、アップリンク情報を、セル局に向けて直接的に送るのでなく中継局に送るので、ワイヤレス端末は、アンテナの2つのセット(例えば、1つの方向からやって来るセル局からのDL信号を受信するためのアンテナ、及びもう1つの方向に中継局へのアップストリーム信号を送信するためのアンテナ)、又は、セル局からのDL信号を受信するためのモードと中継局へのアップストリーム信号を送信するためのモードとの間で断続的に切り替えるアンテナの単一のセットを展開する。この目的のために、ワイヤレス端末には、セル局、ワイヤレス端末、及び/又は中継局の(推定)ロケーション情報(例えば、地理座標若しくは相対座標、又は基準点からの距離/方向)、並びに/或いは、方向情報(例えば、セル局から入ってくるDL信号と中継局に出て行くアップストリーム信号との間の角度、DL信号又はアップストリーム信号の基準線又は磁北に対する発射角)がセル局によって構成される。これは、ワイヤレス端末がアンテナを適宜構成し、(例えば、送信信号のビームフォーミング特性を変更することによって)正しい方向から信号を受信すること/正しい方向に信号を送ることを可能にする。これは、(異なるビームであるか、又は第1のセル局に向けられたビームとは異なる同期信号ブロック(SSB)インデックスを有する)中継局の方向へのビームフォーミングを可能にする。ワイヤレス端末には、(例えば、通常の間隔に基づく、又は、ダウンリンク及びアップストリーム通信用にスケジュールされたリソースに対する)モード切り替えのタイミングについての情報がセル局によってさらに構成される。これは、セル局からのDL信号を受信するためのモードと、中継局へのアップストリーム信号を送信するためのモードとの間でアンテナを切り替えるケースで有益である。代替として、ワイヤレス端末は、1つ又は複数の無指向性アンテナを展開し、このケースでは、ロケーション/角度は必要ではなく無視される。しかし、単一の無指向性アンテナのケースでは、モード切り替えが適用され、ワイヤレス端末には、モード切り替えのタイミングについての情報が適宜構成される。
【0103】
言い換えれば、オプションとして、レシーバ及びトランスミッタは、アンテナの異なるセットをそれぞれ動作させ、コントローラは、例えば、中継局のロケーション及び/又は角度情報(例えば、ワイヤレス端末によって受信されるようなセル局からのダウンリンク信号のために使用されるビームと、中継局の方に向けられたアップストリーム信号のために使用されるビームとの間の角度)に基づいて、中継局の方向へのビームフォーミングを実施するようにトランスミッタに命令する。このような位置情報又は角度情報は、第1のセル局及び/又は中継局から受信される。
【0104】
実施形態では、コントローラ63は、従来のアーキテクチャを有するネットワークと、図4を参照しながら説明された、又は以下でさらに詳述されるさらなる実施形態のいずれかにおける特殊なアーキテクチャを有するネットワークとに従って、通信ユニットを交互に動作させる。現在遭遇している条件に応じて、又は特定のトリガ・メッセージに基づいて、コントローラ63は、従来の動作(例えば、スケジューラとして機能するセル局による直接の双方向動作)を非対称動作(すなわちTX制限動作モード)に切り替える。このケースでは、コントローラ63は、セル局からやって来るダウンリンク・メッセージ(例えば、ページング・メッセージ)を示すリソース確保メッセージを受信しデコードすることと、スケジュールされた無線リソース上でセル局からのダウンリンク・データ送信を受信することとを行うようにレシーバを構成可能である。オプションとして、リソース確保メッセージ及びデータ送信は、同じ無線フレーム内で発生する。
【0105】
さらに、コントローラ63は、少なくとも1つの中継局420へのメッセージをトランスミッタ622に送らせることによって、データ送信用の無線リソースをリクエストするように適合される。
【0106】
さらに、図5のフローチャートに関連して説明されたように、確保メッセージ・コーディング、コンテンツ、及び/又はタイミングは、ダウンリンク・データ受信用のDsリソース、及び送信用に配分されたUsリソースを、オプションとして単一のメッセージの中で、ワイヤレス端末410に指示可能である。
【0107】
トランスミッタ622は、確保されたアップストリーム・リソースを介してセル局向けのデータを中継局に送るように構成可能である。含まれるデータは、例えば、ワイヤレス端末410がセル局からのデータ送信を成功裏に受信したか否かを示す例えばACK/NACKなどのフィードバック・データ、ネットワーク若しくは第1のセル局に置かれたエッジ・サーバに行くことになっている新しいユーザ・データ、又は、ワイヤレス端末410の送信バッファのうちの1つ若しくは複数のステータスを示すバッファ・ステータス・レポート(BSR)データなどの他の制御メッセージを含む。
【0108】
図7に示されているように、中継UEとして動作可能な中継局420は、典型的には、アンテナ71又はアンテナ・アレイ(例えばMIMO互換ワイヤレス端末の場合)を備える。このアンテナ71は、レシーバ721及びトランスミッタ722を備える通信ユニット72に連結される。通信ユニット72は、これらの例示的実施形態では、UMTS、LTE、又はNRなどの3GPP(登録商標)規格と互換性があり、現在の接続に応じて適宜動作する。実施形態では、通信ユニット72並びにそのレシーバ721及びトランスミッタ722を制御するためのマイクロプロセッサなどのコントローラ73が含まれる。コントローラ73は通信ユニット72に専用であり、場合によっては、その中に含まれることに留意されたい。コントローラ73は、他のシステムをさらに動作させ、通信ユニット72に専用であるだけではない。典型的には、含まれるプロセスの一部又は全てが、中継局420のメモリ74に格納されたソフトウェアによって動作する。しかし、発明全体が構成要素内のハードウェアに含まれることも可能である。中継局は、3GPP(登録商標)ネットワークにおける中継UEとして、サイドリンク送信及び受信などの中継動作に従って動作するための機能を含むことに留意されたい。
【0109】
本実施形態では、中継局は、例えばRAN基地局などのセル局を介して、例えばコア・ネットワーク(CN)などのネットワークに直接的又は間接的に接続される。レシーバ721は、セル局によって送られ、ワイヤレス端末410から入ってくるアップストリーム送信のために使用されるべきリソースを指示する、アップストリーム割当てを受信及びデコードするようにコントローラ73によって構成される。このスケジューリング割当ては、無線リンクを介して中継局に直接的に接続されたワイヤレス端末410によって使用されるべきリソース確保を(例えば識別子で)暗示的又は明示的に示す、確保コーディング、コンテンツ、周波数情報、及び/又はタイミング情報を含む。オプションとして、ワイヤレス端末410を指示するために、ワイヤレス端末410の識別子(例えばL1又はL2識別子)がスケジューリング割当てに含まれる。コントローラ73は、ステップS55で言及されたように、スケジュールされたリソース上でワイヤレス端末410からデータをその後受信するようにレシーバを構成するように適合される。
【0110】
コントローラ73は、中継動作に従って、ワイヤレス端末410からのアップストリーム・データをセル局400に中継するために、レシーバ721及びトランスミッタ722を制御するように適合される。この転送送信は、アップストリームの親ノードを通じた直接的又は間接的なものである。
【0111】
さらに、中継局は、ワイヤレス端末410からデータを受信したことに応答して、データが正しく受信されたか否かを指示するフィードバック・データ(例えばACK/NACK)をワイヤレス端末410に送るように適合される。
【0112】
図8に示されているように、セル局400は、アンテナ81又はアンテナ・アレイ(例えばMIMO互換セル局の場合)を備える。このアンテナは、レシーバ821及びトランスミッタ822を備える通信ユニット82に連結される。通信ユニット82は、これらの例示的実施形態では、UMTS、LTE、又はNRなどの3GPP(登録商標)規格と互換性があり、現在の接続に応じて適宜動作する。実施形態では、通信ユニット82並びにそのレシーバ821及びトランスミッタ822を制御するためのマイクロプロセッサなどのコントローラ83が含まれる。コントローラ83は、通信ユニット82に専用であり、場合によっては、その中に含まれることに留意されたい。コントローラ83は、他のシステムをさらに動作させ、通信ユニット82に専用であるだけではない。典型的には、含まれるプロセスの一部又は全てが、セル局400のメモリ84に格納されたソフトウェアによって動作する。しかし、発明全体が構成要素内のハードウェアに含まれることも可能である。さらに、セル局400は、セルの共有リソースを複数の2次局に割り当てることを引き受けるコントローラ83に連結されたスケジューラ85を備える。コア・ネットワークとの通信を管理するためのインターフェース86が含まれる。インターフェース86は、バックホール・チャネルを使用した異なるインターフェース(例えばX2)を介した他のセル局との通信を管理するようにさらに適合される。
【0113】
図5に関して説明されたように、セル局400のコントローラ83は、ダウンリンク・データをワイヤレス端末410に送信するようにトランスミッタ822を構成するように適合される。コントローラは、(少なくとも直接的ではなく)例えば前記ワイヤレス端末410からのフィードバックなどのどのような送信も受信することなく動作可能である。さらに、レシーバ821は、ワイヤレス端末410への以前のDL送信データが正しく受信されたか否かを指示するフィードバック・データを受信及び処理するように適合され、フィードバック・データは、直接的又は間接的に、すなわち中継局420を介して、ワイヤレス端末410から受信される。
【0114】
さらに、スケジューラは、図5に記載の特殊な非対称動作を可能にするようにリソースをスケジュールするように適合される。これは、セル局400からワイヤレス端末410への直接的なダウンリンク送信用のダウンリンク・データのスケジュールを含む。これは、ワイヤレス端末410と中継局420との間のアップストリーム・リソースの割り当てをさらに含む。(アップストリーム信号/アップリンク情報をワイヤレス端末410から受信するための)対応するリソースは、ワイヤレス端末から入ってくるアップストリーム送信を指示するために、中継局にさらにシグナリングされる。最後に、セル局によってサーブされるセル内に中継局があるこの特定の例では、スケジューラは、入ってくるアップストリーム・データを転送するための、中継局によって使用されるべきリソースをさらにスケジュール可能である。
【0115】
スケジューリング動作は、中継局420及び場合によってはワイヤレス端末410を含む、ネットワーク内の様々な局のバッファ・ステータスに関する情報に少なくとも部分的に基づく。BSRは、ワイヤレス端末410から直接的又は間接的に受信可能である。
【0116】
ワイヤレス端末410及び中継局420と同様に、コントローラ83は、「正常な」動作モード(直接双方向接続)と、「中継」モード(間接双方向接続(全ての通信アップストリーム及びダウンストリームが1つ若しくは複数の中継局を通る))並びに/又は「TX制限」モード(直接DLデータ転送及びスケジューリングを伴う間接接続)との間で、考えられる局のために切り替えることができる。この接続モードは、考えられるUE能力に応じて、すなわちこのUEがこれらのモードをサポートする場合、選択される。
【0117】
本実施形態の結果として、リモートUEとして機能するワイヤレス端末は、送信するべきリソースをセルフ・スケジューリングするためにサイドリンク・チャネルをワイヤレス端末が「検知する」必要がある回数を低減させることが可能である-多くのケースでワイヤレス端末は、Usリソースについてのセル局(gNB)のスケジューリング判定を単に待ち、これらのUsリソース上で送ることができる。したがって、これは、ワイヤレス端末のエネルギー消費を低減させる。
【0118】
さらに、セル局又はgNBは、多くのUEの知識/データ/測定レポート、及び、さらに多くの通信リソース/チャネル/帯域の知識/データ/測定レポートを使用して、通信リソースをより最適にスケジュール可能である。したがって、セル局又はgNBには、中継局毎の負荷をより良く評価し、この非対称動作モードへの考えられるUEのスケジューリング及び/又は切り替えをよりスマートに決める能力がある。
【0119】
一部の状況では、例えば、セル局がワイヤレス端末にリソースを全く割り当てておらず、例えば、BSRの送信によって、及び/又は中継局へのユーザ・データ(例えば緊急サービス用などの切迫したユーザ・データ)の送信によって、後者が、送信のための待ち状態のデータを有していることをネットワークに間接的に示す必要がある場合、ワイヤレス端末によるセルフ・スケジューリングが相変わらず必要であることに留意されたい。
【0120】
さらに、「TX制限」モードでは、通常中継データを伴うケースのように、中継局を介した間接経路を要求することなく、リモートUEとして機能するワイヤレス端末にデータをセル局から直接的に送ることができるので、ダウンリンク・データ容量は「中継」モードのように多くなる。その結果として、セル局からワイヤレス端末へのデータは、中継局とそのワイヤレス端末との間で利用可能なサイドリンク(SL)リソースに「負担」をかけない。アップストリーム・データとダウンストリーム・データとの間でサイドリンク・リソースがどのように共有されるかについてネットワーク又は中継局が定義する1つの実装形態では、例えば、アップストリームのサイドリンク・リソースのために、ダウンストリームのサイドリンク・リソースの共有を低減させることが可能である。これは、他のタイプのサイドリンク通信(例えば、D2D、V2X、ProSe、中継)のために、より多くのサイドリンク・リソースを利用可能にする。
【0121】
中継局の場合、リモートUEとして機能するワイヤレス端末が四六時中送信する可能性がある潜在的なSLチャネル全てを検知する必要がないことも有利である。代わりに、中継局は、ワイヤレス端末送信を受信するために、スケジュールされたチャネル、すなわちリソースUs-Rx上で代わりに具体的にリッスンする。結果として、中継局は、ワイヤレス端末が潜在的にデータを中継局に送る可能性のあるサイドリンク・リソースを「常時オンで」リッスンする必要のない、3GPP(登録商標)にあるような、より先進的な「エネルギー節約」モード(例えばDRXエネルギー節約モード)を使用することができる。
【0122】
5Gで想像されるようなリソース・スケジューリングに関する一部のさらなる詳細が以下で提供される。5Gのリソース・スケジューリングは、互いに一緒に機能する複数のスケジューリング・メカニズム及びプロトコルの複雑な相互作用から成る。
【0123】
5Gにおけるスケジューリングの主な方法は動的であり、これは、利用可能なデータ及びチャネル条件に基づく需要に応じてリソースが配分されることを意味する。半永続スケジューリング(SPS)もあり、これは、現在の需要に基づいてgNBによって素早く活性化/不活性化可能な予め設定されたスケジュールである。最後に、一度活性化可能な永続スケジュールがあり、特定の指定イベントによって明示的にクリアされるまでアクティブなままである。意図は、データ・レートの変動、又はデータ再送信などの特殊な出来事を処理するために、動的なスケジューリング判定が、永続的/半永続的なスケジューリング判定に加えて、常に追加されることである。スケジューラがチャネル条件を学習するために、gNBがオンザフライでレポートを可能にするため/無効にするため/リクエストするための制御メカニズムと一緒に、測定値をgNBにレポートするためのレポート構造の複雑なアンサンブルが3GPP(登録商標)において定義されている。
【0124】
スケジューリング・メカニズムを実施する際に使用されるプロトコルは様々である。
● RRC、図2Bも参照。これは、新しいL2中継アーキテクチャを使用するときにSL上の1つ又は複数の中継ホップを潜在的に介した、UL及びDLにおけるgNBとUEとの間のエンド・ツー・エンドで動作させることができる。RRCは、非タイム・クリティカルな静的又は半静的スケジュール情報のために主に使用される。言い換えれば、スケジュールの構成である。ConfiguredGrantConfigが、アップリンク・スケジューリングのための情報要素である。
● MAC制御要素(CE:Control Element)-これらは、UL、DL、又はSLにおける特定のイベント又は構成を効率的にシグナリングするために使用される、MAC層を介した既存のUL/DL/SL送信の間に挿入される短い要素(別名、情報要素すなわちIE)である。1つの具体的なケースは、UEの現在のデータ・バッファ・ステータスをgNB/スケジューラに向けてシグナリングするためにUEによって使用されるバッファ・ステータス・レポート(BSR)MAC CEである。MAC CEは、UEがULスケジューリングを必要とするデータ・ペンディングを有することをUEが指示するための主なメカニズムである。UEがそのバッファに、送信のために利用可能ないくつかのデータ、及びリソースのためのUL承諾を有しているとき、UEは、1つ又は複数の対応する論理チャネル・グループのために、このリソースの一部を使用して、そのバッファのうちの1つ又は複数についての情報を追加する。しかし、リソースのためのUL承諾がないとき、リソースをリクエストするための他のメカニズムは、UCIにおけるスケジューリング・リクエスト(SR:Scheduling Request)である。上述の測定及びDRXを実行する際のUEの行動を制御するために、他のMAC CEがgNBによって使用される。
● ダウンリンク制御情報(DCI)-特殊な盲目的に検出可能な変調/符号化を有する低ビットレート制御チャネル(PDCCH)におけるダウンリンクで送られる短いメッセージ。これは、PHY L1層におけるものであり、MAC L2ヘッダ構造を使用しない。情報コンテンツが異なる様々なDCIフォーマットが定義されている。動的スケジューリング用のリソースがDCIで指示され、通常、DLデータ送信は、1ms以内にDCIメッセージに従うが、最大4ms先までスケジュール可能である。ULの場合、スケジューリングは、通常、1~2ms先の次のスロットに対して行われるが、8ms先まで可能である。サイドリンク・リソースのスケジューリングのために、DCIフォーマット3_0及びフォーマット3_1が、TS38.212で定義されている。これらは、送信のためにスケジュールされたUE自体によって使用されるべきSLリソースだけであり、中継UEに送信するためにリモートUEによって使用されるSLリソースではない。
【0125】
この文書では、ダウンリンク制御情報という用語は、任意の制御/構成関連情報の総称として使用され、DCI関連内容/メッセージに必ずしも制限されないが、例えば、システム情報ブロック(SIB)、RRC、又はMAC CEメッセージの一部としても送られることに留意されたい。
● アップリンク制御情報(UCI)-いくつかの異なるフォーマットのうちの1つを使用してPUCCHにおけるアップリンクで送られる短いバイト・シーケンス。UCIは、スケジューリング・リクエスト(SR)ビットを含み、BSR MAC CEを送信するULリソースがないときにUEによって使用される。SRに応答して、gNBスケジューラは、将来、UEのためのULリソースを割り当てることになる。
【0126】
上記のうち、RRCプロトコル・メッセージだけが、L2中継アーキテクチャ(図3参照)のケースで、リモートUEとgNBとの間のエンド・ツー・エンドで搬送できる。L1/L2において直接的に無線コンタクトしているgNBとUEとの間で直接的に、又は、定義されている場合、中継UEとそのダウンストリームのリモートUEとの間で、他のメカニズム全てが機能する必要がある。
【0127】
上記のリソース・スケジューリングの概観は、gNBに直接的に接続されたUEに適用可能である。シングル又はマルチホップ中継がネットワークに導入された場合、これらのソリューションは、主としてgNBとUEとの間の直接リンク上でこれらが動作するので十分ではない。このようなスケジューリングがシングルホップ中継の状況でどのように機能できるかについて、3GPP(登録商標) RANワーキング・グループにおいて既に知られているか論じられた、様々なソリューションの指導がある。例えば、以下の通りである。
● OoCリモートUEは、独自のチャネル測定及びランダム・アクセス・プロセスに基づいて、SL上でその送信をセルフ・スケジュールすることができる。これは、TR37.985で「リソース配分モード2」と呼ばれる。
● gNBは、リモートUEに送信するために、TR37.985「リソース配分モード1」で定義されているように、全ての直接的に接続された中継UE用のリソースをスケジュール可能である。しかし、中継UEに戻る逆トラフィックのためにgNBがスケジュールするためのメカニズムはない。
● gNBは、全ての直接的及び間接的に接続されたUEのために全てのリソースをスケジュールする(注:このような方法の詳細は、まだ3GPP(登録商標)によって定義されていない)。
● グループの1つの主要なUEは、リソース割当てをそのグループ・メンバに合わせることができ、一部のグループ・メンバがカバレッジ外にあるが、主要なグループ・メンバUEの範囲内にまだある場合、場合によっては機能することができる。
【0128】
リリース17の範囲について3GPP(登録商標) RAN#86ミーティングの議論で最近言及された1つの問題は、V2X通信のために現在定義されているようなサイドリンク(SL)のためのセルフ・スケジューリングは、エネルギー効率がよくなく、したがって、モバイル・フォン又はIoTデバイスのような小型電池式デバイスには適していないと考えられていることに留意することが重要である。この通信のための主なV2Xのユース・ケースは、これまで、エネルギー消費が大きな問題ではないV2V(車両間)通信であった。
【0129】
以前の実施形態の変形では、ワイヤレス端末は、リモートUEとして接続可能である。この役割では、ワイヤレス端末は、ワイヤレス端末が1つ又は複数のセル局の信号を受信する能力があることを検出可能である。これを決定すると、ワイヤレス端末は、ワイヤレス端末が受信する能力があるセル局の信号(及び/又はセル局のアイデンティティ)を示すメッセージを、その中継局(例えば中継UE)に送る。メッセージは、非対称動作モードに切り替えるという判定に役立つエネルギー、電力レベル、信号品質についての指示を含む。中継局は、次いで、独自のアップストリームのセル局にこの情報をさらに送るか中継する。オプションとして、この情報は、以前の実施形態に記載のような、又はさらなる実施形態で詳述されるような、データの直接送信及び/又はリソース確保のための、少なくとも1つのセル局(ワイヤレス端末によって最初に検出されたものに対応することが好ましい)をRANが構成できるように、RAN内にさらにばらまかれる。
【0130】
さらに、ワイヤレス端末がリモートUEとして及びTX制限状態で接続されたとき、セル局は、TX制限状態から、ワイヤレス端末との双方向通信を可能にする通常状態への変化を、モニタ及び検出するように構成されることが可能である。これは、例えば、割り当てられたUsリソースで行われるワイヤレス端末から中継局への送信をセル局が検出することによって、実施可能である。他の適切な方法(RSSIのモニタ、基準信号に基づく信号品質モニタリング、又はその他)が使用されてもよい。これに応じて、セル局は、TX制限動作から通常動作への切り替えをトリガすることをワイヤレス端末に通知する。
【0131】
ワイヤレス端末がリモートUEとしてTX制限状態で接続されたとき、ワイヤレス端末は、TX制限状態から、gNBとの間の通信がこれ以上可能でないgNBカバレッジ外の状態への変化を同様に検出する。これは、同期信号、又は周期的にブロードキャストされたシステム情報(SIB)など、gNB送信がこれ以上受信されないことを検出することによってモニタ可能である。代替として、(ハンドオーバのために実施される測定に類似の)受信電力又は品質の一部の従来のモニタリングがこのコンテキストで使用される。これに応答して、ワイヤレス端末は、TX制限動作から、リモートUEのような通常中継動作に切り替える。ワイヤレス端末は、(中継UEによって転送された間接メッセージを介して)この新しい状況をセル局gNBにさらに通知する。
【0132】
実施形態では、ワイヤレス端末410がリモートUEとして及び送信制限状態で接続されたケースを選ぶとする。ワイヤレス端末410がセル局400のカバレッジ外に行き、したがって、セル局との間の中継通信がこれ以上可能でないことを中継局420が検出したとき、中継局420は、ワイヤレス端末410のためのその中継動作を停止し、サイドリンク・メッセージを介してワイヤレス端末410に通知する。ワイヤレス端末410は、次いで、使用するべき新しい中継局を探すための発見プロセスを始める。その間に、ワイヤレス端末410は、さらに、セル局との直接双方向動作による通常動作に再び入ることが可能かどうかをチェックする。ワイヤレス端末410がカバレッジから出ることを中継局420が検出するために、ワイヤレス端末410は、例えば、周期的にブロードキャストされたシステム情報(SIB)など、gNB送信がこれ以上受信されないことを検出可能である。別の例では、中継局は、セル局からのRSRP/RSRQが閾値より低いことを検出することなど、測定イベントのうちの1つを使用可能である。これらのイベントは、中継局がセル外に移動している、又はその接続品質が悪化しつつあるというサインである。別の可能性は、例えばGPS座標に基づいて、ロケーションの実質的な変化を中継局が通告することであることが可能である。
【0133】
さらなる実施形態では、(gNBxと記された)セル局が、リモートUEとして機能する及び/又は送信制限状態にあるワイヤレス端末全てに指示する特定の「発見」タイプ信号を送出し、したがって、ワイヤレス端末は、信号を受信する能力がある場合、信号に応答するはずである。このような信号を受信した後、完全な中継動作で動作するこのようなワイヤレス端末は、(例えばProSe/サイドリンク発見メッセージを使用して)発見リクエスト又は応答を、独自の中継局420に又は別の近くの中継局420に送ることによって、応答可能である。中継局420は、次いで、例えば、これが、そのアクティブなセット(中継局420が現在接触している基地局)の一部である場合、「発見」信号を生じた独自のセル局gNB1に、コア・ネットワークCNに、及び/又はセル局gNBxに発見応答を、RANを介して転送する。発見応答を受信した後、RANにおける1つのエンティティ(例えばgNBx)は、(例えば非対称動作モードを可能にするために)本発明の実施形態に記載のような、考えられるワイヤレス端末へのデータ/リソース確保の直接送信を構成する。
【0134】
これらの様々な例では、セル局gNBxは、考えられるワイヤレス端末がTX制限状態であることを決定可能であり、及び/又は、ネットワーク(例えばNG-RAN)は、考えられるワイヤレス端末がTX制限状態であることを決定可能であり、次いで、考えられるワイヤレス端末によるTX制限動作を使用するように、1つ又は複数のセル局に命令可能である。この決定は、以下の方法のうちのいずれか1つ又は複数に基づくことが可能である。
a)考えられるワイヤレス端末からセル局によって直接的に受信された信号、中継局で受信されたワイヤレス端末からの信号、ワイヤレス端末の近くの中継局からの信号、ワイヤレス端末をサーブする中継局からの信号、又は別のセル局によって受信されたワイヤレス端末からの信号の信号メトリックの測定値。例えば、ワイヤレス端末からのアップリンク送信のRSRPが特定の閾値より低くなるようなイベントは、ワイヤレス端末がセル局に直接的に送信可能なカバレッジ・エリアの縁部に近づきつつあることをセル局に指示する。セル局は、特定の時間間隔にわたって測定を行うか、又は、状況が安定していることを確実にするために及びピンポン効果を回避するために一部の履歴オフセットを適用する必要がある。
b)例えば、ワイヤレス端末に送信されるメッセージの承認がない、ワイヤレス端末からセル局に直接的にレポートされた再試行カウンタ、若しくはワイヤレス端末から中継局を介してセル局にレポートされた再試行カウンタなどの、失敗した送信若しくはほぼ失敗した送信の検出、又はその後セル局に直接的にレポートされたワイヤレス端末のTx電力レベルが特定の閾値を上回ること。
c)カバレッジ拡大モードが、考えられるワイヤレス端末によってリクエストされること、又はネットワークによって可能にされること。
d)ワイヤレス端末がアップリンク問題に遭遇していることを履歴データ又は分析データが示すこと。
e)(例えばRRC、MAC CE、若しくは初期のRACHメッセージ若しくは登録/取り付けメッセージを通じて)考えられるワイヤレス端末から、アプリケーション機能から、又は統合データ管理(UDM)ネットワーク機能(例えばサブスクリプション情報の一部)から受信された、或いはネットワーク露出機能(NEF)を通じて受信された、考えられるワイヤレス端末の(例えばTX制限能力及び/若しくは状態を表す)能力情報及び/若しくは状態情報、並びに/又はアイデンティティ情報(例えばTX制限デバイスの特定のグループに属するデバイス)。これは、デバイス・モデル、アンテナ数、UEカテゴリ、RF後方散乱通信をサポートするかどうかなどについての知識を含む。
f)残っているバッテリ充電量、又は、ワイヤレス端末で使用されるバッテリ/電源のタイプ。これは、デバイスがバッテリを有していないかどうか、及び/又は、環境発電からのエネルギーだけを取得しているかどうかについての情報をさらに含む。この情報は、例えば、ワイヤレス端末がまだセル局との双方向リンクを有している間に、又は、初期のRACHメッセージ若しくは登録/取り付けメッセージを通じて、レポートされる。
【0135】
以前の実施形態のさらなる変形では、例えば上記で論じられたメカニズムのうちの1つに基づいて、考えられるワイヤレス端末がTX制限状態であるとセル局が決定するとすぐに、セル局は、場合によっては、ワイヤレス端末のアイデンティティを示す、及びワイヤレス端末がTX制限通信モードを使用するべきことを示すメッセージを、中継局(考えられるワイヤレス端末と通信している中継局が好ましい)に送る。考えられるワイヤレス端末の示されたアイデンティティは、セル局からの将来のリソース・スケジューリング・メッセージにおいて使用され、したがって、中継局は、ワイヤレス端末がアップストリーム・データを中継局に送信する予定であることをリソース・スケジューリング・メッセージから推察可能である。アップリンク/アップストリーム・リソースの一部における入ってくるアップリンク・メッセージについて中継局が知らされることも可能である。例として、アイデンティティは、ワイヤレス端末のRNTI(無線ネットワーク一時識別子)である。中継局は、ワイヤレス端末に対するセル局からDCIを受信するためにPDCCHメッセージをモニタするために、及び、割り当てられたアップリンク/アップストリーム・リソースを使用してワイヤレス端末からアップストリーム情報を受信できるようにDCIを使用するために、独自のRNTIに加えてこのRNTIを使用する。
【0136】
代替として、セル局は、(単一の送信に対する特定のリソースの代わりに)中継局によってモニタされるべきUs-Rxリソースのセット(例えばリソース・プール)をシグナリングする。ワイヤレス端末に配分される実際のリソースは、セル局によって中継局にシグナリングされたUs-Rxリソースのセットからの1つ又は複数のリソース・ブロックにすぎない。上記の例のように、送信することが予想される1つ又は複数のワイヤレス端末のアイデンティティが、オプションとしてシグナリングされる。Us-Rxリソースのセットは、半永続スケジュール、時間/覚醒スケジュールとして、又は、モニタするべき特定の周波数として、さらにシグナリングされる。
【0137】
本発明のさらなる変形では、ワイヤレス端末は、3GPP(登録商標) 5G ProSe中継発見及び選択手順を使用して中継局に接続可能である。
【0138】
以前の実施形態のさらに別の変形では、ワイヤレス端末は、位置変更ステータス・レポートの中で任意の位置変化を間接的に(中継局を介して)セル局にレポート可能である。位置変化がほとんどないか全くない場合、セル局は、ワイヤレス端末に対して同じ動作モード(例えば、完全中継動作若しくはTX制限モード、又は直接双方向モード)を維持可能である。かなりの位置変化がある場合、セル局は、ワイヤレス端末に向かうその送信設定を適合可能であり、及び/又は、直接のセル局としてのその役割を異なるセル局に引き継がせることが可能である。別の可能性は、セル局が、別のセル局がより適切な場合、又は別の動作モードが現在の条件により適している場合、いくつかの測定を始めること、又は検出するためにいくつかの測定を実施するようにワイヤレス端末を構成することである。ワイヤレス端末で実施される測定は、セル局ハンドオーバ・メカニズムのために実施される測定に類似していることが可能である。
【0139】
以前の実施形態のさらに別の変形では、セル局は、直接メッセージでワイヤレス端末において間欠受信(DRX)モードを構成しアクティブにすることが可能であり、次いで、ワイヤレス端末は、その「覚醒」時間中、その中継局に送信可能である。DRXモードは、端末がその通信ユニットを断続的にスイッチ・オフすることによってそのエネルギー消費を低減させ、ある周期的な覚醒周期中にアクティブになることを可能にする。セル局は、DRXバースト・パターンの周期を認識しているので、リソース・スケジューリングを適宜適合可能である。同様に、セル局は、中継局においてDRXをアクティブにし、次いで、ワイヤレス端末及び中継局両方の覚醒周期中のみ、ワイヤレス端末からその中継局への送信用のリソースをスケジュール可能である。
【0140】
以前に説明された実施形態全てが互いに組み合わされてもよいことに留意されたい。さらに、明示的に指示のない限り、これらの変形は、本発明の他の実施形態に等しく適用可能である。
【0141】
本発明の第2の実施形態によれば、図9を参照しながらシステムの動作がここから説明される。このシステムでは、ワイヤレス端末910は、セル局900のカバレッジ、すなわちセル90の中にある。セル局900にさらに接続された中継局920は、ワイヤレス端末910とセル局900との間の中継器として機能することができる。通常動作中、ワイヤレス端末は、データ及び制御シグナリングをセル局900から直接的に受信し、直接リンク上でデータ及び制御情報をセル局に送信し返すことが可能である。ワイヤレス端末910がセル局900から完全に切断された場合、例えば、セル局900から生じた信号を正しく受信可能でないとき、ワイヤレス端末910は、中継局920のおかげで完全な中継動作に入ることが可能である。この動作モードでは、全てのアップストリーム及びダウンストリーム接続が中継局920を通る。しかし、過去の実施形態で説明されたように、ワイヤレス端末910は、TX制限状態にあるとき、TX制限動作でさらに動作可能である。
【0142】
この特定のケースでは、ワイヤレス端末910は、中継局920を介して送られるアップストリーム・ユーザ・データを生成可能である。データは、次いで、オプションとして、直接送信を介してセル局900によって承認される。詳細な動作は、下記に記載のように実施される。
● 最初のステップS90(図示せず)として、オプションとして、ワイヤレス端末910は、送信されるべき待ち状態のデータを有していることを中継局920に指示する。これは、例えば、この目的のために予め構成されたサイドリンク・リソースを使用して、例えば、バッファ・ステータス・レポート(BSR)タイプ・メッセージ、又はBSRが後に続くスケジューリング・リクエスト・タイプ・メッセージを通じて実施可能である。このステップは、特に、例えばセル局によって以前に受信されたBSR又はSR+BSRに基づいて、近い将来に使用するため、(入ってくるアップストリーム・データの受信のために使用するために)セル局がワイヤレス端末910用にスケジュールされたUsリソース、及び中継局920用の対応するリソースUs-Rxを既に有している場合、オプションである。ワイヤレス端末910が、例えばバッファ・ステータス・レポート・タイプ・メッセージなど、この指示を中継局920に送った後、中継局920は、ワイヤレス端末がリソースを必要としていることをセル局に指示する。これは、単に、対応するBSRを転送することによって、又は他のいくつかのシグナリングによって、実施可能である。ワイヤレス端末は、例えば、ワイヤレス端末910が現在TX制限局であること、すなわちセル局900からデータを直接的に受信可能であるが、セル局900にデータを成功裏に送ることができないことを指示する測定レポート又は他のメッセージなど、例えば、セル局900にさらに送られるべき追加の情報を中継局に送る。ワイヤレス端末は、(例えば、以前の例で言及されたような制限された残りのバッテリ容量又は他のイベントにより)TX制限動作に移行したいというリクエストをさらに送る。さらに、SR/BSR及び以前に言及されたメッセージが挿入されたいくつかのユーザ・データが中継局920に送られる。ワイヤレス端末910がリソースを必要としているか、TX制限モードを動作/サポートする情報を、中継局を介して受信すると、セル局900は、ワイヤレス端末910用のアップストリーム・リソースをスケジュールし、ワイヤレス端末910からのアップストリーム信号を受信し、第1又は第2のダウンリンク信号の一部としてスケジュールされたリソースを送るための中継局920用の対応するリソースをさらにスケジュールする。代替として、ワイヤレス端末910がTX制限であったとしても、ワイヤレス端末910は、セル局900(又は他の近くのセル局)によって受信され、ワイヤレス端末がリソースを必要としているか、TX制限モードを動作/サポートすることを指示する、特定の信号(例えば狭帯域パルス、又はスケジューリング・リクエスト、又は特定の周波数及び/若しくはワイヤレス端末が通常動作用に使用する周波数より低い周波数の信号、又はデバイスがより長期間持続可能な送信電力より高い送信電力で一時的に送られる信号)を送ることができる。このような信号がセル局900によって受信された場合、セル局900は、ワイヤレス端末910用のアップストリーム・リソースをスケジュールし、ワイヤレス端末910からのアップストリーム信号を受信するため、及びスケジュールされたリソースを第1又は第2のダウンリンク信号の一部として送るための、中継局920用の対応するリソースをさらにスケジュールする。
● ステップS91において、セル局900(gNB1)は、リソースの配分を含む1つの単一の制御メッセージ、又は、リソース、周波数、及び/若しくは時間/覚醒スケジュール関連情報のセットを指示する制御メッセージのセットを送信する。この制御メッセージは、ワイヤレス端末910の識別子、又は「ワイヤレス端末910-中継局920」という連結に共通の識別子を含む。このメッセージは、Usリソース、又は、例えば将来のデータ送信を実施するためのワイヤレス端末による使用のための特定の周波数、及び/若しくはUsリソースに対応しワイヤレス端末910から入ってくるアップストリーム・データを指示する(中継局による使用のための)リソースの割当ての対応する指示を指示する。例では、入ってくるアップストリーム用の割り当てられたUsリソース及び割り当てられたUs-Rxリソースについての指示は、単一のフィールドで又は制御メッセージの単一のバイト配列で表現される。割り当てUsリソースについての指示の別の例として、セル局900(gNB1)からの制御メッセージは、ワイヤレス端末910で既に構成済みのサイドリンク・リソース(のサブセット)を使用することをワイヤレス端末910に指示するためのフラグ又はパラメータを含む。制御メッセージは、ワイヤレス端末910によってアップストリーム信号がどのように送信されるべきか(例えば、どの変調若しくは信号エンコーディング若しくはスクランブリング若しくは送信電力を使用するべきか、どの特定のタイプの信号/メッセージ(サイドリンク発見メッセージなど)を使用/生成するべきか)、及び/又は、どのL1/L2ソース若しくはターゲット・アイデンティティ情報(若しくは、ユーザ情報ID、PRUK ID、SUCI、SUPI、GUTI、若しくはRNTIなどの他のアイデンティティ情報)がメッセージ内で使用されるべきか(例えば中継局のアイデンティティ)、或いは、どの特定のセキュリティ証明書がメッセージのために使用されるべきかについての追加の情報をさらに含む。ワイヤレス端末910は、この情報を使用して、中継局920によって受信されるべきそれぞれのアップストリーム信号を生成する。同様に、中継局920は、対応する情報をセル局900から受信し、この情報を使用して特定のアップストリーム信号をワイヤレス端末910から受信する。
【0143】
ワイヤレス端末910及び中継局920は、対応するDCIタイプについて及び識別子に基づいて、制御領域をモニタするように予め構成されていることに留意されたい。以前に言及されたように、識別子は、ワイヤレス端末910に関連付けられた新たに定義された「リモート-UE-RNTI」、又は、「ワイヤレス端末910-中継局920」という連結のために作り出された識別子であることが可能である。したがって、これは、それぞれの中継局が異なるワイヤレス端末用のリソースをセル局がスケジュールすることを可能にする。これは、RNTIが異なるリソースを割り当てることによって予備の中継局を容易に使用できるので、中継局が離れていった場合に、ワイヤレス端末のアップストリーム接続を完全に途絶させるという中継局のリスクを軽減する。制御領域をモニタしているとき、ワイヤレス端末910及び中継局のそれぞれは、次いで、有効なDCIが含まれるかどうかを検出するために、RNTIに基づいてPDCCH候補のセットを盲目的にデコードする。
【0144】
したがって、ステップS91において、ワイヤレス端末910及び中継局920の両方は、この新しいRNTIタイプでスクランブルをかけられたCRCを有するPDCCHメッセージをセル局900から受信しデコードする。結果として、これは、何を及び誰をメッセージが意図しているか決定するために、独自のアイデンティティ(典型的にはそのC-RNTI)及び新しいRNTIの両方でPDCCHメッセージの「逆スクランブリング」を中継局920に試行させる。PDCCHデコーディングが成功すると、対応するDCIは、以下の構成を可能にする。
- 配分されたUsリソースを使用したデータ送信を用意及び送信するためのワイヤレス端末910トランスミッタ、並びに
- 同じUsリソースを使用したデータ送信をリッスンするための中継局920レシーバ(Rx)。
● ステップS92において、ワイヤレス端末910は、スケジュールされたリソース内のデータを送信し、中継局920は、同じ/対応するリソース内の送信データをリッスンする。典型的には、セル局900は、以前に指示されたように、ワイヤレス端末に対する送信制限により、送信データを正しく受信することができない。
● ステップS93において、中継局920は、ワイヤレス端末からの受信データをセル局900の方にアップストリームで中継する。この中継は、複数ホップを介して直接的又は間接的に接続されることに留意されたい。簡潔さのために、図9には、直接の中継だけが示されている。中継局920は、別個のPDCCHメッセージの中で、ステップS91において配分されたリソースに付随して配分されたアップリンク・リソースを使用し、CRCは今回、中継局920のRNTIでスクランブルをかけられている。中継局がその全てのサイドリンク接続された端末からのデータ送信を転送できるようにするために、半永続スケジューリング・リソースが中継局に配分されることも可能である。さらに別の可能性は、ステップS91において送られたメッセージが、転送のために中継局によって使用されるべきリソースのさらなる配分を含むことである。このさらなるリソース配分は、中継局が入ってくるアップストリームを処理し、転送されるべきデータ・パケットを用意できるようにするために、通常の配分より前にシグナリングされる必要がある。
● ステップS94において、セル局900は、オプションとして、例えば、中継局920からのアップストリーム・データの受信を承認する(ACK/NACK)ために、フィードバック・データをワイヤレス端末910に直接的に送る。これは、HARQ承認データ、PDCP制御PDUを使用したPDCPフィードバック・データ(又はより高い層(例えばIP)、又はその他)、PDCPステータス・レポートPDUタイプであり、TS38.323によって指定されたようなFMC及びビットマップ・データを含む。さらに、セル局900はさらに(又は代替として)、このフィードバック・データを、中継局を通じてワイヤレス端末に(したがって間接的に)送信する。しかし、直接送信がより効率的であると想定される。フィードバック・データは、オプションとして、同じトランスポート・ブロックの中で、効率のために、ワイヤレス端末へのさらなるダウンリンク・データと組み合わされている。
【0145】
間接ネットワーク接続の各送信ホップは、例えば、各ホップがMACレベルで承認されるように対応するMAC HARQプロセスを含むことに留意されたい。
【0146】
図10に描写された第3の実施形態は、(セル10a内の)ワイヤレス端末1010をサーブするセル局1000とは異なる(セル10b内の)セル局1001によって中継局1020が現在サーブされていることを除いて、第2の実施形態に対応する。したがって、セル局1001によって承認されるアップストリーム・ユーザ・データをワイヤレス端末1010が生成するこの特定のケースがここから説明される。説明されるように、中継局1020によって使用されるセル局1001、及びワイヤレス端末1010に直接的に送信可能なセル局であるセル局1000という、2つのセル局がある。したがって、セル局1000は、アップストリーム・リソース配分をワイヤレス端末1010に送信可能であり、セル局1001は、対応するアップストリーム・リソース割当てを中継局1020に送信可能である。
● 図示されていない予備のステップとして、ワイヤレス端末1010は、以前の実施形態のステップS90で行われたように、必要であればリソース確保を開始/トリガする。
● ステップS100において、2つのセル局1000及び1001は、ワイヤレス端末1010用の送信のために使用するためのUsリソース、及び中継局1020用のリッスンするためのUs-Rxリソースという、2つのセル局の次の送信を時間内に協調させる。このケースでは、Usリソースは、Us-Rxリソースと同一であるか、Us-Rxリソースとかなり重複している(すなわちUsリソースは、例えば、半永続スケジューリング(SPS)、動的スケジューリングを通じて、又はリソースのプールとしてシグナリング可能な、シグナリングされたUs-Rxリソースに含まれる)。
● ステップS101及びステップS102において、セル局1000及び1001はそれぞれ、将来のデータ送信を行うためのワイヤレス端末1010のうちの1つ又は複数による、及びデータ受信を行うための中継局1020による使用のための、無線Usリソース及びUs-Rxリソースをそれぞれ指示する通信リソース確保メッセージを送信する。Us-Rxリソースは、例えば、リソースのプール、又はSPS配分を指示する中継構成情報要素の一部として、以前にシグナリングされることに留意されたい。このケースでは、これは、ステップS100より前に実施可能である。これは、本実施形態に固有のものではなく、他の記載の実施形態にさらに適用可能である。ワイヤレス端末1010及び中継局1020の両方は、そのそれぞれのセル局を介して確保を受信し、識別子でメッセージを検出又はスクランブル解除することによってPDCCHメッセージをデコードする。この識別子は、両方に関して以前の実施形態で言及された「リモートUE-RNTI」である。代替として、これは、PDCCH候補をスクランブル解除するために中継局によって使用されるべき「リモートUE-RNTI」、及び、PDCCH候補をスクランブル解除するためにワイヤレス端末によって使用されるべき通常のRNTIである。中継局は、次いで、Us-Rxリソースを使用したデータ送信をリッスンするようにそのレシーバを構成する(Rx)。代替又は追加として、セル局1000及び1001は互いに情報を交換すること、並びに/又はリソースのセット、周波数、及び/若しくは時間/覚醒スケジュール関連情報を指示する制御メッセージのセットをワイヤレス端末1010に送信することを行う、或いは、ワイヤレス端末1010によってアップストリーム信号がどのように送信されるべきか(例えば、どの変調若しくは信号エンコーディング若しくはスクランブリング若しくは送信電力を使用するべきか、どの特定のタイプの信号/メッセージ(サイドリンク発見メッセージなど)を使用/生成するべきか)、及び/又は、どのL1/L2ソース若しくはターゲット・アイデンティティ情報(若しくは、ユーザ情報ID、PRUK ID、SUCI、SUPI、GUTI、若しくはRNTIなどの他のアイデンティティ情報)がメッセージ内で使用されるべきか(例えば中継局のアイデンティティ)、又はどの特定のセキュリティ証明書がメッセージのために使用されるべきかについての追加の情報を含む。ワイヤレス端末1010は、この情報を使用して、中継局1020によって受信されるべきそれぞれのアップストリーム信号を生成する。同様に、中継局1020は、対応する情報をセル局1000又は1001から受信し、この情報を使用して特定のアップストリーム信号をワイヤレス端末1010から受信する。
● ステップS103において、ワイヤレス端末1010は、スケジュールされたUsリソースの中でアップストリーム情報を送信し、中継局1020は、Us-Rxリソースの中でアップストリーム情報を受信する。
【0147】
典型的には、セル局1000は、以前に指示されたように、ワイヤレス端末に対する送信制限により、送信データを正しく受信することができない。また、セル局1001は、場合によってはワイヤレス端末にとって範囲外にあり、及び/又はワイヤレス端末1010は、セル局1001に直接的に送信するためのセル局1001へのアクティブな接続を有していない。
● ステップS104において、中継局1020は、ワイヤレス端末1010からの、例えばユーザ・データなどの受信されたアップストリーム情報を、そのセル局1001に向けてアップストリームで中継する。セル局1001は、オプションとして、どのフィードバック・データがセル局1000からワイヤレス端末1010に送り返されるべきかについてセル局1000に通知する。
【0148】
この中継は、直接的なもの、又は複数ホップを介した間接的なものであることに留意されたい。簡潔さのために、図10には、直接の中継だけが示されている。中継局1020は、別個のPDCCHメッセージの中で、ステップS101において割り当てられたリソースに付随して割り当てられたアップリンク・リソースを使用し、今回そのCRCは、中継局1020のRNTIでスクランブルをかけられている。中継局がその全てのサイドリンク接続された端末からのデータ送信を転送できるようにするために、場合によってはステップS100の前であっても、半永続スケジューリング・リソースが中継局に割り当てられることも可能である。以前の実施形態で言及されたようなさらなる別の可能性は、ステップS101で送られたメッセージが、転送のために中継局1020によって使用されるべきリソースのさらなる配分を含む。このさらなるリソース割り当ては、中継局1020が入ってくるアップストリームを処理し、転送されるべきデータ・パケットを用意できるように、通常の割り当てより前にシグナリングされる必要がある。
● ステップS105において、セル局1000は、オプションとして、例えば、以前の実施形態のように、データが正しく受信されたかどうかを指示する承認などのフィードバックをワイヤレス端末に送る。
○ これらは、以前の実施形態で詳述されたようなHARQ若しくはPDCPレベル承認、又はより高い層(例えばIP)、又はその他である。ステップ104及び105におけるフィードバック・データは、セル局1001のスケジューラの判定に応じて、セル局1000ではなく中継局1020を介して、ワイヤレス端末1010にさらに送られるので、オプションとしてマークされる。
【0149】
図11に描写された第4の実施形態は、ワイヤレス端末がダウンリンク・ユーザ・データをコア・ネットワークから受信するケースを表していることを除いて、第2の実施形態に対応する。第2の実施形態のように、セル11をサーブするただ1つのセル局1100が考えられる。
● ステップS111において、セル局1100は、ワイヤレス端末1110の識別子を含む又は指示/エンコードする通信リソース確保メッセージを、例えばPDCCHで送信する。このリソース確保メッセージは、ワイヤレス端末1110がサイドリンク(SL)で送信可能なUsリソース、及び、中継局1120がSLで受信可能なリソースUs-Rxを指示する。セル局1100は、ワイヤレス端末がダウンリンク・データを受信するはずのDsリソースを指示するリソース確保をさらに送信する。Dsリソース配分及びUsリソース配分は、単一のメッセージ内で又は別個のメッセージ内で組み合わされることに留意されたい。
○ ステップS111aでは、セル局1100は、指定のDsリソースの中でダウンリンク・データを送信し、ワイヤレス端末1110は、Dsリソースの中でユーザ・データを受信及びデコードする。Usリソースは、ワイヤレス端末1110が、割り当てUsリソースの中でフィードバック・データを送る機会を有するように、Dsリソースの後、しばらくしてからスケジュールされる。第2の実施形態に関連付けて論じられたように、Usリソース及びUs-Rxリソースは、同じメッセージ又は異なるメッセージで割り当てられる。言及されたように、第3の実施形態では、Usリソース及びUs-Rxリソースは、同一であるか実質的に重複している。単一のメッセージがUsリソース及びUs-Rxリソース両方を割り当てるケースでは、単一のメッセージは、新たに定義された「リモートの-UE-RNTI」を有する、第2の実施形態と共に論じられたように選択された識別子でそのCRCがスクランブルをかけられたPDCCHメッセージである。
● ステップS112において、ワイヤレス端末1110は、セル局1100からのDLデータが正しく受信されたか(ACK)、不正確に受信されたか(NACK)、場合によっては部分的に不正確に受信されたか(例えばNACK’)をそれぞれ示す、例えば承認(ACK)メッセージ又は非承認(NACK)メッセージなどのフィードバック・データを中継局1120にサイドリンク(SL)を介して送信する。典型的には、セル局1100は、以前に示されたように、ワイヤレス端末1110に対する送信制限により、送信データを正しく受信することができない。中継局1120は、Us-Rxリソースの中でフィードバック・データ送信をワイヤレス端末1110から受信する。フィードバック・データには、アップストリーム・ユーザ・データについての2つの事前の実施形態のように、通常のアップストリーム・データ、又はBSRなどのMAC制御要素がさらに挿入されることに留意されたい。
● ステップS113において、中継局1120は、情報をセル局1100に直接的又は間接的に(例えばさらなる中継UEを介して)転送する。
● フィードバック・データがNACKを指示するケース、又は代替としてフィードバック・データが時間内に受信されなかったケースでは、セル局1100は、ステップS114において、オプションとして、完全に又は(NACK’のケースでは)部分的に、ワイヤレス端末1110に送られた新しいリソースDL’配分の中で関連したDLデータ・ブロックを再送信する。
【0150】
図12に描写された本発明の第5の実施形態は、ワイヤレス端末1210をサーブする(セル12a内の)セル局1200とは異なるセル12b内のセル局1201によって中継局1220が現在サーブされていることを除いて、第4の実施形態に対応する。したがって、これは、ワイヤレス端末1210が、役割を果たす2つのセル局を有するコア・ネットワークからダウンリンク・ユーザ・データを受信するケースを表している。
● ステップS120において、セル局1201は、ワイヤレス端末1210のためのダウンリンク・ユーザ・データについて、及び第3の実施形態のような次のステップのリソース確保について、他のセル局1200と協調する。したがって、協調は、Usリソース及びUs-Rxリソースが等しいか、少なくともかなり重複していることを保証する。
● ステップS121において、セル局1201は、中継局がそのリモートUEのうちの1つのためのサイドリンク(SL)で受信する必要があるUs-Rxリソースを示す通信リソース確保メッセージをワイヤレス端末1210に送信する。この送信の詳細は、例えば、第3及び第4の実施形態に類似している。中継局1220は、Us-Rxリソース上での受信をスケジュールする。オプションとして、以前の実施形態に関連付けて説明されたように、ステップS121は、例えばステップS120の前など、以前に実施される。すなわち、セル局1201は、サイドリンクを中継局1220がモニタするためのリソース・プールを選択している。セル局1201は、したがって、協調の一部としてステップS120においてこれを他のセル局1200にシグナリング可能である。次いで、セル局1200は、次いで、このリソース・プール内の利用可能なリソースを選択可能である。
【0151】
リソース・プールの他に、中継局1220のための周期的なリソース確保をリッスンするべきことに留意されたい。この周期的なリソース確保は、ステップS121において、中継局1220において最初に構成される。次いで、この後、2つのセル局1200及び1201は、周期的な確保のリソースが使用のためにまだ利用可能なステップS120において、協調する。セル局1201は、例えば、1つ又は複数のリソース提案を他のセル局1200に送ることが可能である。セル局1201は、例えば、リソース機会のうちのどれがまだ空いているかをリスト化したテーブルに、この情報を格納可能である。次いで、ステップS122において、セル局1200は、1つの特定のリソース確保をワイヤレス端末1210に送信可能である。
【0152】
リソース・プールを使用した変形は、上記の周期的なリソース確保と同様に機能することが可能である。セル局1201は、プール内の全てのリソース、及びどのリソースが既に使用されているかについてのテーブルを保持している。したがって、協調ステップS120は、セル局1201が空いているリソースをテーブルから選び、この情報を他のセル局1200に送ることを含む。
【0153】
代替として、協調は、セル局1201が「あなたが好むいずれかのリソースをこのプールXから選んでください」と他のセル局1200に伝えることを単に含み、したがってリソースを選ぶ責任は、セル局1200に任される。セル局1200がリソース・プールの排他的なユーザである場合、衝突が予想される可能性はない。しかし、これは、複数のセル局が全て同じリソース・プールを使用しており、協調することなくリソース・プールからリソースを独立して選んだ場合、リソース衝突及び/又は干渉になりやすい。これを阻止するために、セル局1200は、例えば、リソースを正しく選ぶために、測定値自体を、及びリソースの使用量/干渉レベルについて多くのUEから、収集することができる。
● ステップS122において、他のセル局1200は、Usリソースを指示する類似のメッセージをワイヤレス端末1210に送信する。セル局1200は、ダウンリンク(DL)データを受信するためのDsリソースを指示するリソース確保をワイヤレス端末にさらに送信する。これは、同じ又は異なるメッセージ内にある。
○ ステップS122aにおいて、セル局1200は、次いで、ワイヤレス端末が受信しデコードする指定のDsリソースの中でユーザ・データを送信する。Usリソース配分は、DLユーザ・データの送信前、後、又は中に、シグナリングされることに留意されたい。
【0154】
さらに、ステップS121及びS122は平行に行われてもよい。
● ステップS123において、ワイヤレス端末1210は、セル局1200からのデータが正しく受信されたか(ACK)、不正確に受信されたか(NACK)、又は部分的に不正確に受信されたか(NACK’)についてそれぞれ示す、例えば承認(ACK)メッセージ又は非承認(NACK)メッセージなどのフィードバック・データを、Usリソースを使用して中継局1220に送信する。このフィードバックは、中継局1220によって受信される。
● ステップS124において、中継局1220は、フィードバック情報を直接的又は間接的に(例えば中継UEを介して-図示せず)、セル局1201に転送する。
○ オプションとして、ステップS125において、セル局1201は、フィードバック・データの全て又は一部を他のセル局1200に転送する。
● フィードバック・データがNACK/NACK’を示すケースでは、又は代替としてフィードバック・データが時間内に受信されなかった場合、セル局1200は、次のステップS126において、新しいリソース確保DL’で、存在しない/破損したデータをワイヤレス端末1210に再送信するようにセットアップされる。
【0155】
以前の実施形態の特定の変形では、単一gNB又は2重gNBのケース両方に適用可能であり、中継局は、ユーザ・データをワイヤレス端末に直接的に送信するセル局の範囲にある場合、HARQフィードバック・データなどのPHYレベルのACK/NACKを-ワイヤレス端末に代わって-送信セル局に送り返すことができる。この変形は、ワイヤレス端末が送信セル局からのデータ送信をどれだけ良く受信したかを示すためのいくつかの値を中継局のフィードバックが有するように、例えば同じエリア内にありおよそ同じ無線条件下にあるなど、中継局及びワイヤレス端末が相対的に接近しているという想定に基づく。ここでの利益は、場合によっては到着し生成されるのに長い時間がかかり、DLデータのレイテンシを招く、(PDCPフィードバック、又はIP層を介したフィードバック情報などの)上記のPHY層のフィードバック情報を待つことなく、データが正しく受信されたかどうかについてのフィードバックをPHYレベルで送信セル局が直接的に受信可能であることである。
【0156】
中継局は、PHYフィードバック(例えばHARQフィードバック情報)を自律的に、又は独自のPHYフィードバックを指示する信号をワイヤレス端末から受信した後、送信する。HARQフィードバックは、HARQフィードバック時間間隔(5Gでは柔軟であるが、典型的にはLTEのように4msである)内で送信セル局に送られるのが好ましい。これを達成するために、中継局は、リソース確保メッセージ又はダウンリンク・メッセージをワイヤレス端末に送るためにセル局が使用するRNTI値又は他のアイデンティティ情報を(セル局から又はワイヤレス端末から)受信する。これは、中継局がPDCCHリソース確保メッセージをデコードし、いつワイヤレス端末への送信が行われるかについて気づくことを可能にし、その後、中継局は、HARQフィードバックなどのPHYレベルのACK/NACKを、ワイヤレス端末ではなくセル局に送り返すことを決めることができる。中継局は、さらに、セル局から若しくはTX制限であるワイヤレス端末から情報を受信すること、及び/又は、ワイヤレス端末から最近受信された測定データを使用して、ワイヤレス端末とそのセル局との間の接続品質を決定することを行う。これは、中継局がACK/NACKフィードバックをいつ送るべきか、及びこれをいつ送らないかを、ワイヤレス端末の代わりに決定するためのトリガとして機能することができる。代替として、中継局は、HARQフィードバックがワイヤレス端末とセル局との間で送られることにさらに気づき、中継局がワイヤレス端末のTX制限状況を知っている(及びしたがって、HARQフィードバックがセル局に到着する可能性が低いであろうということを知っている)場合、HARQフィードバックを複製する。この目的のために、中継局は、同じHARQプロセス番号及び同じサブフレームが使用されることを確実にするために、ワイヤレス端末に代わって機能するためのHARQプロセス情報をワイヤレス端末から又はセル局から受信する。さらに別の代替形態では、ワイヤレス端末は、HARQフィードバック情報を指示する情報を有する信号を、HARQフィードバック時間間隔が発生する前に(例えばサイドリンクを使用して)中継局に送り、その後、中継局は、スケジュールされたフィードバック時間間隔中にHARQフィードバック情報をセル局に送信可能である。
【0157】
これは、ワイヤレス端末にとって、予定されたDL送信を示すPDCCHを受信すると同時に、ワイヤレス端末が、中継局がワイヤレス端末に代わってフィードバックを提供できるようにするために、HARQプロセス番号、サブフレーム番号など、受信されたDCIの一部又は全てを中継局に転送することを意味する。
【0158】
同様に、以前に論じられた実施形態の別の変形では、(例えば、ワイヤレス端末用に配分されたが、中継局によってもデコード可能なアップリンク・リソースUを使用して)ワイヤレス端末がユーザ・データをセル局に直接送信した場合、中継局は、HARQフィードバックなどのPHYレベルのACK/NACKをセル局に代わってワイヤレス端末に送ることができる。この目的のために、ワイヤレス端末は、同じHARQプロセス番号及び同じサブフレームが使用されることを確実にするために、セル局に代わって機能するためのHARQプロセス情報(例えば、HARQプロセスID、タイミング/リソース情報)をセル局から受信する。第1又は第2のセル局は、中継局がメッセージの一体性を検証すること、又はメッセージ/信号を(部分的に)デコードすることを可能にするために、いくつかのセキュリティ証明書、又は、信号若しくはメッセージのタイプ、フォーマット、エンコーディング、スクランブリング、若しくはコンテンツについての情報を、(例えばRRCメッセージを通じて)さらに提供し、(例えば、CRC又はメッセージ一体性コード/メッセージ認証コードが正しいものであると検証された場合)、中継局が承認データをワイヤレス端末に送ることをその条件で許容される命令/ポリシ情報をさらに提供する。このようなポリシ情報は、コア・ネットワークによって(例えばポリシ制御機能(PCF)を通じて)デバイス上でさらに構成されることに留意されたい。中継局は、第1又は第2のセル局から受信された情報を使用して、ワイヤレス端末から受信されたアップリンク/アップストリーム信号/メッセージに対していくつかの処理を実施し、この処理の結果が1つ又は複数の条件を満たした場合、承認データをワイヤレス端末に送る。代替として、中継局は、まず、受信されたアップリンク/アップストリーム信号/メッセージを、中継局が接続された第2のセル局に転送し(第2のセル局は、これを第1のセル局にさらに転送する)、その後、第2のセル局(又は第2のセル局を間接的に通じた第1のセル局)は、転送されたアップリンク/アップストリーム信号/メッセージの受信/デコーディング/一体性検証が成功すると、(承認データをワイヤレス端末に直接的に送るのではなく)信号/メッセージを中継局に送り、したがって、中継局は、その後、承認データをワイヤレス端末に送る。
【0159】
承認を送るための上述のソリューションのための指針となる想定は、中継局及びリモートUEが比較的一緒に接近しており、中継局が、ワイヤレス端末の信号のより高い入ってくる信号品質を有し、その一方で、セルが、非常に弱い信号だけをワイヤレス端末から直接的に受信するという(典型的な)ケースである。これには、セル局がアップリンク送信をワイヤレス端末から直接的に受信可能な典型的なケースでは、セル局がフィードバック情報にセル局自体で直接回答可能であるが、セル局がTX制限によりアップリンク送信を受信不可能な臨時の状況では、中継局がセル局に代わってアップリンク・データを受信可能であるという利益がある。その上さらに、中継局は、フィードバック(例えば、ACK/NACK、又はHARQ)情報でセル局に代わって応答可能である。中継局は、アップリンク・データが失われないように、アップリンク・データがそのセル局にさらに中継されることをさらに引き受けることになる。
【0160】
そのタスクを実施するために、セル局によって送られた潜在的なフィードバック情報との衝突を回避するために、様々な技法が中継局によって使用可能である。
● 中継局は、例えば、ワイヤレス端末が直接アップリンク送信を行ったが、セル局が予想時間フレーム内にPHYフィードバック情報で応答しなかったことを検出する。次いで、中継局は、この情報をセル局に代わってワイヤレス端末に送る。
● 中継局は、ワイヤレス端末に代わってフィードバック情報を送り始めるための命令をセル局から受信する。この命令は、ワイヤレス端末信号が非常に弱くなりつつあることを指示する、例えばセル局における測定によってトリガされる。
● 中継局は、フィードバック・データを送るためにランダムなバックオフ期間を使用し、セル局は、同じことを実施する。次いで、中継局及びセル局からのフィードバック応答は、特定の確率で時間内に分離されることになり、他方の当事者が既に応答したことを一方の当事者が気づいた場合、一方の当事者は、これ以上応答する必要がなくなる。
【0161】
このソリューション全体には、ワイヤレス端末(例えばリソース制約がある低電力IoTデバイス)は、セル局がなくしたアップリンク・データをセル局又は中継局に再送信する必要がないという利益がある。再送信の必要性を低減させることは、エネルギーを節約する。
【0162】
代替実施形態では、エリア内の複数のセル局が、DL送信をワイヤレス端末に送る。これは、送られるデータの重複をもたらし、したがって、送信堅牢性を向上させ、無線条件の多様性も作り出す。したがって、これは、ワイヤレス端末による正しいデータ受信の確率を向上させる。TX制限ワイヤレス端末は、PHYレベルのACK/NACKをセル局のうちの1つ又は複数に直接的に送り返すことができないので、この重複は、ワイヤレス端末における不完全なDLデータ送信の確率を低減させる。さらに、複数のセル局は、必要な場合にワイヤレス端末がアップストリーム・データから選び、アップストリーム・データを送るために使用することができる特定のスペクトル配分がそれぞれに伴う、リソースUs’/Us’’を指示するリソース確保メッセージをワイヤレス端末にさらに送ることができ、ワイヤレス端末からのアップストリーム・データを受信するために、対応するリソース確保を近くの中継局に送ることができる。
【0163】
代替実施形態では、ワイヤレス端末に達することが可能なセル局は、中継選択又は中継再選択情報をワイヤレス端末に送る。この情報は、システム情報ブロック(SIB)若しくはRRCメッセージ若しくはダウンリンク制御情報(DCI)、又は他のタイプのメッセージ内にエンコード可能であり、例えば、近くの中継局のL2アイデンティティ及び他の情報(例えば、近くの中継局が発見メッセージ(例えばProSe/サイドリンク発見メッセージ)を送信するとき、又は近くの中継局が入ってくる発見若しくは「中継参加リクエスト」メッセージをリッスンするときのタイミング/周波数/リソースについての情報)を含む。ワイヤレス端末はこの情報を使用して、使用に最適な中継局を選択又は再選択可能である。ワイヤレス端末は、例えばセル局情報によって示唆された場合、複数の中継局を親としてさらに選択可能である。
【0164】
このような中継選択は、セル局が以前にワイヤレス端末と接触していたが(双方向)、TX制限状況が適用されていることをちょうど検出した、すなわち、ワイヤレス端末の信号が非常に弱くなりこれ以上受信不能になった場合に、特に有益である。これは、エネルギー不足のため若しくはバッテリ寿命を改善させるために、ワイヤレス端末がその送信電力を低下させているため、又は、より多くの電力が別のタスクのために要求され、総電力バジェットが制限されているため、又は、ワイヤレス端末が移動して範囲外になったためである可能性がある。セル局は、次いで、ワイヤレス端末が中継局を素早く獲得するのに役立つように、中継選択情報をワイヤレス端末に1方向だけに送ることができる。
【0165】
ワイヤレス端末が既に中継を使用しているが、より良い中継の親を選ぶべきときに、中継再選択が使用される。
【0166】
追加として、セル局は、ワイヤレス端末からの潜在的な発見メッセージ又は「中継参加リクエスト」又は他のアップストリーム・メッセージ(例えばPC5シグナリング・メッセージ)を中継局がリッスンするためのリソースをスケジュール可能であり、メッセージは、ワイヤレス端末が中継器を探していることを指示する。この目的のために、セル局は、さらに、ワイヤレス端末がその発見メッセージ又は「中継参加リクエスト」又はアップストリーム・メッセージの中で使用するべきアイデンティティ(例えばL2アイデンティティ)についての情報を中継局に提供する。これらのスケジュール済みリソースは、上述のSIB/RRCを介してワイヤレス端末に通信されるリソースと同じ範囲/プール内で選ばれる。これにより、中継局は、ワイヤレス端末の「中継参加リクエスト」、発見メッセージ、及び/又はアップストリーム・メッセージをより容易且つ確実にピックアップすることができる。例えば、これは、エネルギーを節約するために中継局がその中継機能を一時的に無効にしたということであり、スケジュールされたリソースを示すメッセージの受信後、中継局は、その中継機能が再びワイヤレス端末からの潜在的な中継発見リクエストを受信できるようにし、その後この端末用の中継器として潜在的にサーブすることを可能にすることを決める。
【0167】
オプションとして、セル局は、SL発見メッセージを送出するように中継局にリクエストするメッセージを中継局に送る。これらのメッセージには、ワイヤレス端末によって検出されるという目的があり、したがって、(例えば信号品質の点で)最も良い中継局を選ぶための中継選択プロセス中に使用可能である。セル局によって送られたメッセージは、メッセージを受信した時に中継局が(一時的に)無効にされたケースで、中継局がその中継機能を可能にするためのトリガとして機能する。
【0168】
その上、セル局によって中継(再)選択情報を送ることをトリガするために、セル局は、オプションとして、ワイヤレス端末がそこにあり(持続可能なより低い電力レベルで)返信を送信するために中継を必要としていることをセル局に通知するために、ワイヤレス端末からセル局への1回限りの高電力「hello」メッセージ送信を要求する。セル局は、ワイヤレス端末がどこかにあることを知るとすぐに、ワイヤレス端末によって受信される中継選択情報をブロードキャスト可能である。中継選択/接続の後、本発明の実施形態による非対称動作が始まることが可能である。本実施形態は、ワイヤレス端末が「hello」メッセージ送信を送るのに十分なTx電力の余裕及び十分なエネルギー残量を有している場合にだけ機能することができる。
【0169】
代替実施形態では、エネルギーを保存するため、及び/又は、そのセル局に対するTxカバレッジ外になるという差し迫った状況に備えるために、ワイヤレス端末はTX制限モードに意図的に切り替わる。セル局は、このケースでは、以前の実施形態で詳述されたように、既に(例えばワイヤレス端末がTX制限モードに切り替える前に)、中継選択情報をワイヤレス端末に送信しており、この後、ワイヤレス端末は、中継接続を選択及びセットアップ可能である。中継接続がアクティブになるとすぐに、ワイヤレス端末は、そのTx電力を低減させ、もはやセル局に直接的にではなく、その中継器にだけ送信する。
● ワイヤレス端末は、これを自律的に決め、ワイヤレス端末がこの手順を実施することをセル局にシグナリングする。
● 又は、セル局は、ワイヤレス端末がこの手順を実施する必要があることをワイヤレス端末にシグナリングする(このケースでは、中継選択情報が既に含まれていることが可能である)。これは、セル局が、その先進的なRAN測定及び分析を使用して、ワイヤレス端末がカバレッジ外になるというリスクを冒しつつあり、ハンドオーバするのに適切な他のセル局がないと決定した場合に有益である。この目的のために、セル局は、中継選択情報、又はTX制限モードに切り替えるための固有信号を送信し、したがって、固有信号は、ワイヤレス端末又はワイヤレス端末が属するワイヤレス端末のグループのアイデンティティを含む。ワイヤレス端末は、例えば、ワイヤレス端末のアイデンティティが、ワイヤレス端末又はワイヤレス端末が属するワイヤレス端末のグループのアイデンティティにマッチした場合、中継選択情報をセル局から受信すると同時に、又は、TX制限モードに切り替えるための固有信号をセル局から受信すると同時に、TX制限モードに切り替える。
【0170】
本発明の様々な実施形態が、複数のgNB/セルに同時に接続されることを意味するLTE/NRデュアル・コネクティビティ(DC)と組み合わされることが可能であるということに留意することが重要である。4G及び5G両方の規格において「デュアル・コネクティビティ」(DC)の概念が定義されている。これは、UEなどのワイヤレス端末を2つのセル局(ここではgNB)に同時に接続させるというソリューションである。簡単に説明すると、セル局のうちの一方が「マスタ」であり、他方が「2次」である。本明細書では、これは、キャリア・アグリゲーション(CA)特徴により、単一のセル局が実際にはセル局のグループであるので、マスタ・セル・グループ(MCG)及び2次セル・グループ(SCG)と呼ばれる。
【0171】
このソリューションには、種々のユース・ケースのために指定されたいくつかの異なる変形がある。例えば、以下の通りである。
● LTE-NRデュアル・コネクティビティ-ダウンリンク用の予備のスループットを得るために追加のNR gNBを2次セルとして使用しながら、UEが、例えばマスタLTE eNBに接続されることを可能にする。
● NR-NRデュアル・コネクティビティ(NR-DC)-例えばmmWaveなどの高周波数で、ユーザ・プレーンDLトラフィック用に2次gNBを使用しながら、低周波数で、制御プレーン・トラフィック及びUL用にマスタgNBを使用して、UEが、例えば2つのNR gNBに接続されることを可能にする。これは、CNへの安定接続及び長距離の低電力Tx動作をUEのULに提供しながら、DLデータ・レートを増大させる。
【0172】
図13でわかるように、CUE1及びCUE2は中継UEであり、TUEは、リモートUEとして機能するワイヤレス端末である。このケースでは、セル局によってワイヤレス端末に送られるダウンリンク・データ(リソース確保リクエスト、ユーザ・データ、又はフィードバック・データ)は、複数のgNBによって送られる。
【0173】
様々な実施形態の1つの改良版では、セル局は、(例えばワイヤレス端末に向けられた)準リアルタイム・ビーム・ステアリングを採用可能であり、この場合、フィードバックは、ワイヤレス端末によって、セル局に戻る間接的な(中継された)経路を介して統計/測定レポートの形で送られる。フィードバックは、セル局によって、閉ループにおいてビーム・ステアリングを適合させるために使用される。これは、中継経路を介して送られるフィードバック情報がフィードバック情報を直接的に送るより遅くなるので、ワイヤレス端末が静止している/動かない、又は非常にゆっくり移動するケースでのみ有益であることが予想される。
【0174】
別の実施形態では、NB-IoT又はマシン・ツー・マシン・モジュール(例えばLTE-M又はUE cat.0)のような低電力ワイヤレス端末が、セル局の代わりに中継器を介して接続するように低電力ワイヤレス端末を招待する構成情報を含む(1方向)メッセージをセル局から直接的に受信する。これは、低電力ワイヤレス端末がそのセル局へのその接続を最近失った、少なくともアップリンク方向で「失われた」ケースで有益である。ダウンリンク接続がまだ動作可能である(低電力ワイヤレス端末が受信可能である)と想定すると、低電力ワイヤレス端末は、この構成メッセージをまだ受信可能である。
【0175】
メッセージは、ワイヤレス端末のCEモード/反復量の変化についての情報をさらに含むことができる。メッセージは、ワイヤレス端末をその近くにある中継局にセキュアな方式で直接的に接続させるための、(例えば暗号化されたコンテナ・メッセージ内に格納された)セキュリティ鍵をさらに含むことができる。
【0176】
低電力ワイヤレス端末が構成情報から中継器を選択した後、中継局を介したさらなる通信すなわちアップストリームのために、及びセル局からの直接的なダウンリンクのために、以前に記載の実施形態のうちのいずれか1つが使用される。
【0177】
以前に論じられた実施形態の例では、ワイヤレス端末は、(エネルギー・ハーベスタ・デバイスと組み合わされることもある)環境後方散乱としても知られているRF後方散乱通信の概念を使用可能である。このような後方散乱通信方法は、超低電力デバイスに有益であるが、典型的には、後方散乱通信を使用する期間中に内部エネルギー源が全くない状態では必ずしも動作しない。可能な複数のケース(=デバイス・クラス)があり、全てが本実施形態の範囲内である。
1.デバイスには、デバイスが通常の3GPP(登録商標)通信用に使用可能な内部エネルギー源があるが、その内部エネルギー源からのエネルギー消費を非常に低レベルに制限するように、又は、例えばRF環境発電若しくは振動環境発電などの一部の形式の環境発電を使用することによってその内部源からのエネルギーを完全に使用しないように、望まれるとき、しばらく、後方散乱通信に切り替える能力がある。
2.デバイスには内部エネルギー源がなく、利用可能な唯一のエネルギー源は、例えばRF波を通じた環境発電である。
3.デバイスには内部エネルギー源がないが、例えばRF波又は振動エネルギーからの環境発電の他に、太陽エネルギー又は風力エネルギーなどの断続的な他の外部エネルギー源もある。言及された外部エネルギー源が十分なエネルギーを提供しない時間中、デバイスは、例えばRF波又は振動エネルギーから、環境発電にフォール・バック可能である。
【0178】
セル局は、データをワイヤレス端末に配送し、ワイヤレス端末のRFハーベスタにエネルギーを提供する、強力なRF信号をワイヤレス端末に直接的に提供可能である。セル局は、ワイヤレス端末がTX制限であり、(例えば、ワイヤレス端末から受信された能力情報若しくは状態情報、アイデンティティ情報(例えば、TX制限デバイス及び/若しくは後方散乱デバイスの特定のグループに属するデバイス)、又は、UDMから若しくはNEFを介して受信された情報など、以前に指示された方法のうちの1つを使用した)後方散乱通信を使用する能力があることをある時点で決定し、したがって、セル局は、例えば以下のうちの1つ又は複数によって後方散乱通信を開始するか後方散乱通信に切り替えるように、中継局及び/又はワイヤレス端末に指示する。
1.RRCシグナリング(例えばSIB19拡張又は専用)における発見メッセージ・モニタリングに拡張構成を提供すること。
2.後方散乱通信を使用することなく、例えば構成メッセージ用のRRCを使用して、ワイヤレス端末がまだセル局に直接的に又はリモートUEとして間接的に接続されている間に、通常の構成メッセージをワイヤレス端末に送ること。これは、ワイヤレス端末が非後方散乱通信モードになる能力がある場合のみ機能することに留意されたい。
3.ワイヤレス端末からの後方散乱通信をリッスンし始めることを中継局に命令するための、及び場合によっては、ワイヤレス端末のRFエネルギー・ハーベスタで発電するのに十分なRFエネルギーを送信することを中継局に命令するための、構成メッセージを中継局に送ること。
4.(例えば後方散乱通信モード・ビットをセットすることによって)後方散乱通信モードを使用するという指示、及び/或いは、ワイヤレス端末のアイデンティティ(例えばL2アイデンティティ、SUCI/SUPI/GUTI、若しくはRNTI)、又はワイヤレス端末が属するデバイスのグループのアイデンティティ(例えばL2グループ・アイデンティティ)を含む、信号(例えばSIB又は覚醒信号)をワイヤレス端末に送ること/ブロードキャストすること。
5.後方散乱通信を使用することを決めるためにワイヤレス端末が適用するべき条件/ポリシ(例えば、RSRP閾値又は失敗したアップリンク送信の最大数)を含む、構成情報を(例えばSIBの一部として)ワイヤレス端末に送ること/ブロードキャストすること。
【0179】
上述のメッセージは、悪意のあるデバイスがこのようなメッセージを使用してワイヤレス端末を後方散乱通信に強制的に切り替えさせることを阻止するために、(例えば、事前共有鍵、又は、(コア・ネットワーク若しくは証明機関によって署名された)第1のセル局から受信された公開鍵を使用して、又は、以前に使用された鍵、又は、(例えばKamf若しくはKausf若しくはProSeリモート・ユーザ鍵(PRUK)に基づいて)以前に使用された鍵から誘導された鍵を使用して)暗号化される必要がある。上述のメッセージは、ワイヤレス端末による後方散乱通信を可能にするためにどの(タイプの)信号をセル局が使用するか、及び/又は、ワイヤレス端末によって後方散乱信号がどのように送信されるべきかについての追加の情報をさらに含む(例えば、どの変調若しくは信号エンコーディング若しくはスクランブリング若しくは送信電力を使用するべきか、(例えばアルゴリズム識別子によって指示された)どの信号処理アルゴリズムを適用するべきか、どの時間遅延を適用するべきか、どの周波数修正を適用するべきか、どの多重化方法を適用するべきか、どの特定のタイプの信号/メッセージがセル局によって使用されるべきか若しくはどの特定のタイプのアップストリーム信号/メッセージをワイヤレス端末が使用のために送信することが予想されるか(サイドリンク発見メッセージなど)、どのL1/L2ソース若しくはターゲット・アイデンティティ情報(若しくは、ユーザ情報ID、PRUK ID、SUCI、SUPI、GUTI、若しくはRNTIなどの他のアイデンティティ情報)をアップストリーム信号/メッセージの中で使用するべきか(例えば中継局のアイデンティティ)、又は、どの特定のセキュリティ証明書がメッセージのために使用されるべきかなど、例えば、セル局から受信された信号を後方散乱信号にどのように適合させる/処理するかについての情報)。
【0180】
ワイヤレス端末は、(例えば、セル局から入ってくるDL信号を受信するため、ワイヤレス端末が、ワイヤレス端末が中継局を介してアップストリームでセル局に送信することを望むデータ/制御情報を(例えば、多重化、信号操作を通じて)含むアップストリーム信号を構築できるように信号を処理するために)上記のメッセージのうちの1つ又は複数を使用して後方散乱通信を使用することを決定し、そのレシーバ及びトランスミッタ及び信号処理を適宜構成する。後方散乱信号は、セル局に向けて直接的に反射されないので、ワイヤレス端末は、アンテナの2つのセット(例えば、1つの方向からやって来るセル局からのDL信号を受信するためのアンテナ、及びもう1つの方向に中継局へのアップストリーム信号を送信するためのアンテナ)、又は、セル局からのDL信号を受信するためのモードと中継局へのアップストリーム信号を送信するためのモードとの間で断続的に切り替えるアンテナの単一のセットを展開する。この目的のために、ワイヤレス端末には、セル局、ワイヤレス端末、及び/又は中継局の(推定)ロケーション情報(例えば、地理座標若しくは相対座標、又は基準点からの距離/方向)、及び/或いは、方向情報(例えば、セル局から入ってくるDL信号と、中継局へ出て行くアップストリーム信号との間の角度、DL信号又はアップストリーム信号の基準線又は磁北に対する発射角)がセル局によって構成される。これにより、ワイヤレス端末は、アンテナを適宜構成し、(例えば送信信号のビームフォーミング特性を変更することによって)正しい方向から信号を受信すること/正しい方向に信号を送ることを可能にする。ワイヤレス端末には、(例えば、通常の間隔に基づく、又はダウンリンク及びアップストリーム通信用にスケジュールされたリソースに関する)モード切り替えのタイミングについての情報がセル局によってさらに構成される。これは、セル局からのDL信号を受信するためのモードと、中継局へのアップストリーム信号を送信するためのモードとの間でアンテナを切り替えるケースで有益である。代替として、ワイヤレス端末は、1つ又は複数の無指向性アンテナを展開し、このケースでは、ロケーション/角度は必要ではなく無視される。しかし、単一の無指向性アンテナのケースでは、モード切り替えが適用され、ワイヤレス端末には、モード切り替えのタイミングについての情報が適宜構成される。
【0181】
セル局は、後方散乱通信をサポート可能な近傍にあるワイヤレス端末及び中継局を識別するために、セル局のPLMNのセキュリティ・コンテキストで識別子を割り当てる。セル局は、例えば以下によって、後方散乱通信対応中継局を選ぶことができる。
● (このワイヤレス端末がまだTX制限ではないが、まもなくTX制限モードに切り替える必要があるケースでは)ワイヤレス端末から直接的に、又は、(後方散乱通信に切り替える前にワイヤレス端末が既に中継局のリモートUEとして機能しているケースでは)ワイヤレス端末から中継局を介して、又は、(例えば、後方散乱通信を使用可能な近傍にあるワイヤレス端末を中継局が検出したことをレポートして)中継局から直接的に、又は、他のセル局から、セル局によって受信された近接発見データ。
● ワイヤレス端末を示す履歴発見データ及び過去の中継局のその優先リスト。
● ユーザが選択した中継局。
● 使用するべき中継局としてワイヤレス端末によって選択可能な、ワイヤレス端末の近傍にある専用の後方散乱通信対応中継局(共生ノード)の検出。
● 接続された中継局若しくは中継局になる能力があるUEからの能力情報、又は、UDMからのアプリケーション機能、NEF、若しくは情報を通じて提供された能力情報に基づく。
【0182】
セル局は、例えばSIB18内の、又はそうでなければ、以下に関するPHY/MACのプロパティを定義するために、後方散乱通信制御情報(BCI)を送信することによって、ワイヤレス端末の近傍にある中継局を構成する。
● 後方散乱通信に対応するシステム情報(例えば、使用される変調フォーマット、符号化スキーム、周波数、スケジュールなど)。
● 後方散乱通信チャネル配分及びその対応するSL-チャネル・マッピング。
● 複数UE後方散乱通信接続であって、この接続で、その後セル局に転送されアグリゲート可能なワイヤレス端末からの後方散乱信号が、近傍にある複数の中継局によって受信可能である。
● 干渉を回避できるように複数のワイヤレス端末が後方散乱信号を同時に送るのを阻止するように構成された混雑軽減技法。
【0183】
後方散乱通信モードでは、ワイヤレス端末が中継局に向けて信号を反射又は変調するのに要求されるエネルギーは、典型的には、セル局のRF信号から得られる。ワイヤレス端末(リモートUE)で利用可能な発電される電力、又は受信信号強度/帯域幅/周波数/密度についての情報は、デバイス固有のスケジューリング、変調フォーマット、送信電力、符号化スキーム、保護メカニズム、及び接続終了指示を選ぶために使用される。例えば、以下の通りである。
● ワイヤレス端末は、RF発電されたエネルギーで既に動作している間に、利用可能なエネルギーに基づいてパラメータのこのようなセットを自律的に決める。
● ワイヤレス端末は、まだ非後方散乱通信モードである間に、入ってくるRF電力及び/又は他の信号特性を測定し、これをセル局に(直接的又はその中継局を介して間接的に)まずレポートし、次いで、セル局は、使用するべきパラメータを提案し、これをワイヤレス端末に伝達する。次いで、ワイヤレス端末がRF後方散乱通信モードを使用し始めたとき、ワイヤレス端末は、送信のために指定されたパラメータを使用することになる。
● セル局は、異なるレベルの利用可能なRF発電されたエネルギー、並びに/又は異なるRF信号強度/帯域幅/周波数/密度、及び/若しくは異なるRF信号タイプについての、使用するべきパラメータのセットについての構成情報を(例えばSIB又はRRCを通じて)ワイヤレス端末に提供し、ワイヤレス端末は、この構成情報を使用して、中継局へのアップストリーム信号のために使用するべきパラメータのセットを選択する。これらのパラメータは、セル又は同期信号ブロック(SSB)ごとに異なる。
【0184】
1つの期間中の後方散乱通信が成功裏に完了すると、関与したデバイスは、通常状態に戻される。例えば、以下の通りである。
● 本発明で指定されたような後方散乱通信のないTX制限動作に戻る。
● 中継局を使用しない、セル局に直接的に接続されたワイヤレス端末としての動作に戻る。
● 直接セル局接続及び1つ若しくは複数の中継接続の両方、又はただ1つ若しくは複数の中継接続などを使用する。
【0185】
ワイヤレス端末がRF後方散乱通信の使用を止めたとき、中継局は、オプションとして、予め確立されたセキュリティ・コンテキスト内に存在する、予め権限を付与されたワイヤレス端末からの後方散乱信号/リクエストをリッスンし続ける。これは、例えば、この時にRF後方散乱通信しか使用できないデバイス、及び中継局の近傍に入ったデバイス、及び通信する必要があるデバイスを検出するのに有益である。この目的のために、予め権限を付与されたワイヤレス端末は、その発見、「中継参加リクエスト」、又は他のアップストリーム信号/メッセージ(例えばPC5シグナリング・メッセージ)の中で固有のアイデンティティ又は証明書を使用する必要がある。ワイヤレス端末が予め権限を付与されていることを中継局が検証できるようにするために、中継局は、対応する情報が構成されるか、又は、ワイヤレス端末との以前の通信から対応する情報を覚えている(例えば同じ又は誘導されたPC5セッション鍵を使用する)。代替として、中継局は、さらに処理するため及びワイヤレス端末が予め権限を付与されているかどうかをさらにチェックするために、中継局が接続されたセル局に及び/又はコア・ネットワークに、入ってくるRF後方散乱通信を転送する。
【0186】
言い換えれば、RF後方散乱通信を可能にするために、ワイヤレス端末は、セルラー・ネットワークで通信するために構成され、前記セルラー・ネットワークが、第1のセルをサーブする少なくとも1つの第1のセル局と、第2のセルをサーブする第2のセル局によってサーブされる少なくとも1つの中継局とをさらに有し、
ワイヤレス端末が、
後方散乱通信モードで動作し、レシーバ及びトランスミッタを構成する能力がある、アップリンク情報を生成するように適合されたコントローラと、
後方散乱通信モードで、第1のセル局によって直接的に送られる第1のダウンリンク信号であって、それぞれの第1のダウンリンク制御情報を搬送する第1のダウンリンク信号を受信するように適合されたレシーバであって、それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、第2の信号を中継局に直接的に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第1のリソース及び/又は構成パラメータ(例えば固有の変調)の少なくとも指示を含み、前記それぞれの第1のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき少なくとも第2割り当てられたダウンリンク・リソースを含む、レシーバと、
後方散乱通信モードで、第2のセル局に転送されるべきアップリンク情報を搬送する第2の信号を第1のリソース上で中継局に送信するように適合されたトランスミッタとを備え、レシーバが、第2割り当てられたダウンリンク・リソース上でさらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するようにさらに適合されている。オプションとして、コントローラは、後方散乱通信モードをアクティブにするためのトリガを指示する又は含む、第1のセル局によって直接的に送られたダウンリンク信号をレシーバが受信した後、後方散乱通信モード動作を開始する。別のオプションとして、コントローラは、送信又は受信動作が1つ若しくは複数の(予め)構成された信号強度/信号受信品質閾値若しくは信号送信失敗閾値を満たした場合、又はワイヤレス端末のエネルギー・レベルが特定の閾値を下回った場合、又は中継局が発見された場合、後方散乱通信モード動作を開始する。さらに別のオプションとして、トランスミッタは、後方散乱通信モードをアクティブにするためのトリガを示す又は含む初期信号を、第1のセル局に又は中継局に直接的に送信するように適合される。
【0187】
コントローラは、入ってくるダウンリンク信号からエネルギーを得ること、及び/又は、第1のセル局から入ってくるダウンリンク信号に対する信号処理を実施することを行うようにさらに適合され、したがって、コントローラは、アップリンク情報を含むかアップリンク情報が多重化された出力信号を生成するように、入ってくる信号を処理し、したがって、出力信号(すなわち、中継局によって受信されるべきアップストリーム信号/メッセージ)が、アップリンク情報を搬送する。
【0188】
さらなるオプションとして、レシーバ及びトランスミッタは、アンテナの異なるセットをそれぞれ動作させ、コントローラは、例えば、中継局のロケーション及び/又は角度情報(例えば、ワイヤレス端末によって受信されるようなセル局からのダウンリンク信号のために使用されるビームと、中継局の方に向けられたアップストリーム信号のために使用されるビームとの間の角度)に基づいて、中継局の方向へのビームフォーミングを実施するようにトランスミッタに命令する。このような位置情報又は角度情報は、第1のセル局及び/又は中継局から受信される。
【0189】
さらなるオプションとして、コントローラは、後方散乱通信モード及び第2の動作モードに従って交互に動作し、選択されたモードで動作するようにレシーバ及びトランスミッタを構成する能力があり、レシーバが、第2の動作モードで、第1のセル局によって直接的に送られる第2のダウンリンク信号であって、それぞれの第2のダウンリンク制御情報を搬送する第2のダウンリンク信号を受信するように適合され、それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、第1のアップリンク信号を第1のセル局に直接的に送信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第3割り当てられたアップリンク・リソースの少なくとも指示を含み、それぞれの第2のダウンリンク制御情報のうちの少なくとも1つが、さらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するためにワイヤレス端末によって使用されるべき第4割り当てられたダウンリンク・リソースの少なくとも指示を含み、トランスミッタが、第2の動作モードで、第1のセル局への直接通信のために第3割り当てられたアップリンク・リソース上で第1のセル局に送信するように適合され、レシーバが、第4の配分されたダウンリンク・リソース上でさらなるダウンリンク信号を第1のセル局から直接的に受信するようにコントローラによって構成され、したがって、第1のセル局にアップリンクで送信される信号は、反射された後方散乱信号であり、反射された後方散乱信号は、コントローラによって生成されたアップリンク情報を搬送するように処理される。
【0190】
本説明の至る所で言及されたように、本発明の実施形態及び変形は、3GPP(登録商標) 5G規格のコンテキストに関するものである。これらは、以下において適用可能である。
● 複数のワイヤレス(4G/5G)接続センサ・ノード又はアクチュエータ・ノードが参加する医療アプリケーション/接続ヘルスケア。
● 例えば、検知器が内蔵された、皮膚に置かれるべきHealthDotパッチなどの、フォーム・ファクタが小さい医療アプリケーション/接続ヘルスケア・デバイス。
● ワイヤレス、モバイル、又は固定の、センサ又はアクチュエータ・ノードを伴う一般的なIoTアプリケーション。
○ 例えばスマート・シティ、物流、農業など。
○ 一般に、UEが低電力、安価、又は小さいフォーム・ファクタである必要がある任意のIoTアプリケーション。
● 緊急サービス、公共サービス、&重要な通信アプリケーション。
● 一般的なV2Xシステム。
● 具体的にはV2Pシステム、この場合、人(P)が、制限されたバッテリ容量及び/又は制限された送信電力を有するワイヤレス端末を運ぶ。
● 高周波数(例えばmmWave)RF通信を使用した5Gセルラー・ネットワークのための改善されたカバレッジ。
● 中継局が使用される4G/5G通信の他のいずれかの応用領域。
【0191】
上述の実施形態は、カバレッジ外のデバイスに限定されないことに留意されたい。セルのカバレッジ内で動作するときでも、どのワイヤレス端末にも有益である。実際には、以前に説明したように、例えば、間接リンクを使用することが、より低いエネルギーを消費する通信を可能にする一方で、同時に直接リンクを使用することが、サイドリンク・リソースのモニタリング/検知コストを回避するので、ワイヤレス端末には、動作に要求される電力量を低減させる能力がある。
【0192】
その上、一般に、本明細書及び特に添付の特許請求の範囲で使用される用語は、一般に、「オープンな」用語であることが意図され、例えば、用語「含む」は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「備える」は、「備えるがこれらに限定されない」と解釈されるべきである、などであることが当業者によって理解されよう。特定の数の導入された請求項の列挙が意図される場合、このような意図は、特許請求の範囲で明示的に列挙されることになり、このような列挙がない場合、このような意図は存在しないことが当業者によってさらに理解されよう。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の列挙を導入するために導入句「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数」の使用を含む。しかし、このような句の使用は、同じ請求項が、導入句「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」及び「a」又は「an」などの不定冠詞を含むときでも、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の列挙の導入が、このような導入される請求項の列挙を含むいずれかの特定の請求項を1つのこのような列挙しか含まない実装形態に限定することを示唆するという意味にとられるべきではなく、例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」を意味するものと解釈されるべきであり、同じことが、請求項の列挙を導入するために使用される定冠詞の使用に当てはまる。さらに、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似の慣例が使用される例では、一般に、このような構造は、当業者が慣例を理解するという意味であることが意図され、例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、並びに/又はA、B、及びCを一緒に有するなどのシステムを含むがこれらに限定されない。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類似の慣例が使用される例では、一般に、このような構造は、当業者が慣例を理解するという意味であることが意図され、例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、並びに/又はA、B、及びCを一緒に有するなどのシステムを含むがこれらに限定されない。事実上、2つ以上の代替の用語を提示する任意の離接語及び/又は句は、本説明であれ、請求項であれ、図面であれ、用語のうちの1つ、用語のどちらか、又は両方の用語を含む可能性を想定するものと理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されよう。例えば、句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されることになる。
【0193】
装置は、コンピュータ・プログラムのプログラム・コード手段によって、及び/又は関連デバイスの専用ハードウェアとして、それぞれ実行される。コンピュータ・プログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給された、光ストレージ媒体又はソリッド・ステート媒体などの、適切な媒体に格納及び/又は配布されるが、インターネット又は他の有線又はワイヤレス・テレコミュニケーション・システムなどを介して、他の形式でさらに配布されてもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】