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特表2024-522163シアル酸結合リガンドを含む新規の粒子組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】シアル酸結合リガンドを含む新規の粒子組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/36 20060101AFI20240604BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240604BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 38/38 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K47/36
A61K9/14
A61K47/34
A61P35/00
A61K45/00
A61K45/00 101
A61P37/02
A61K38/38
A61K31/337
A61K31/7088
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575488
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022032674
(87)【国際公開番号】W WO2022261207
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/208,150
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】523122492
【氏名又は名称】サイトダイム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ビン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA95
4C076CC07
4C076CC27
4C076EE24
4C076EE30
4C076FF32
4C076GG05
4C084AA17
4C084DA36
4C084MA41
4C084NA13
4C084ZB072
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086EA16
4C086NA13
4C086ZB07
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、粒子の表面上に非コンジュゲートシアル酸残基を提示するポリマー性粒子、その組成物および使用方法、ならびにナノ粒子および微小粒子の表面上にシアル酸部分を有する粒子を作製する非コンジュゲーション方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の表面上にシアル酸残基を提示する粒子を含む組成物であって、それぞれの粒子が、生分解性ポリマーおよびシアル酸残基を含むポリシアル酸を含み、シアル酸残基が、粒子の表面上に存在して、粒子にコンジュゲートされず;粒子が微小粒子またはナノ粒子である、組成物。
【請求項2】
生分解性ポリマーが:ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、エチレングリコールとラクチド/グリコリドのコポリマー(PEG-PLGA)、エチレングリコールとラクチドのコポリマー(PEG-PLA)、エチレングリコールとグリコリドのコポリマー(PEG-PGA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ無水物(PANH)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(PHA)、ポリ(セバシン酸(sebasic acid))、ポリホスファゼン、ポリホスホエステル、改変多(糖)、それらの混合物およびコポリマーからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
生分解性ポリマーがPLGAである、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
粒子がナノ粒子である、請求項1または3記載の組成物。
【請求項5】
生分解性ポリマーおよびポリシアル酸が相互浸透ネットワークを形成する、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
PLGAおよびポリシアル酸が相互浸透ネットワークを形成する、請求項3記載の組成物。
【請求項7】
シアル酸残基が、Neu5Ac、Neu5GcおよびKdnまたはそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
ポリシアル酸がホモポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
ポリシアル酸がコロミン酸である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
粒子が活性剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
活性剤が、小分子、ペプチド、タンパク質および核酸からなる群より選択される医薬品有効成分である、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
活性剤が、DNA、RNAおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群より選択される核酸である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
小分子カチオン性剤、カチオン性またはイオン化可能脂質およびカチオン性ポリマーを含む群より選択されるカチオン性錯化剤をさらに含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
活性剤が粒子内に封入される、請求項10記載の組成物。
【請求項15】
薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
活性剤の投与を必要とする被験体に請求項10記載の組成物を投与する工程を含む、活性剤の投与を必要とする被験体への活性剤の投与のための方法。
【請求項17】
活性剤が医薬品有効成分である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
活性剤が粒子内に封入される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
疾患または障害の治療を必要とする被験体に請求項11記載の組成物を投与する工程を含む、疾患または障害の治療を必要とする被験体における疾患または障害の治療のための方法。
【請求項20】
疾患が癌である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
医薬品有効成分が抗癌剤または免疫療法剤である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
疾患が自己免疫疾患である、請求項19記載の方法。
【請求項23】
粒子の表面上にシアル酸残基を提示する粒子の調製のための方法であって、それぞれの粒子が、生分解性ポリマーおよびポリシアル酸を含み、シアル酸残基が、粒子の表面上に存在して、粒子にコンジュゲートされず、粒子が微小粒子またはナノ粒子であり;該方法が:
i. 生分解性ポリマーおよび任意に活性剤を第1の溶媒に溶解してポリマー溶液を形成する工程;
ii. ポリマー溶液を第2の溶媒の溶液中で乳化してエマルジョンを形成する工程、ここで第1の溶媒は、第2の溶媒と混和性でないかまたは部分的に混和性であり、第2の溶媒の溶液はポリシアル酸を含み、該第2の溶媒の溶液は任意に、第2の溶媒に溶解性の界面活性剤および/または活性剤をさらに含む;ならびに
iii. 第1の溶媒を除去して該粒子を形成する工程
を含む、方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法により調製される粒子。
【請求項25】
粒子の表面上にシアル酸残基を提示する粒子の調製のための方法であって、それぞれの粒子が、生分解性ポリマーおよびポリシアル酸を含み、シアル酸残基が、粒子の表面上に存在して、粒子にコンジュゲートされず、粒子が微小粒子またはナノ粒子であり;該方法が:
i. 生分解性ポリマーおよび任意に活性剤、APIを第1の溶媒に溶解してポリマー溶液を形成する工程;
ii. 第2の溶媒の第1の溶液をポリマー溶液に添加して混合物を形成する工程、ここで第1の溶媒は、第2の溶媒と混和性でないかまたは部分的に混和性であり、第2の溶媒の第1の溶液は任意に、第1の溶媒に溶解されるAPIと同じであるかまたは異なる活性剤を含む;該混合物を乳化して第1のエマルジョンを形成する工程;
iii. 第1のエマルジョンを第2の溶媒の第2の溶液中で乳化して第2のエマルジョンを形成する工程;ここで第2の溶媒の第2の溶液は、ポリシアル酸を含み、任意に界面活性剤をさらに含む;および
iv. 第1の溶媒を除去して粒子を形成する工程
を含む、方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法により調製される粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年6月8日に出願された米国仮出願第63/208,150号の利益を主張する。上記出願(1つまたは複数)の全教示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
N-アセチルノイラミン酸としても知られるシアル酸は、シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン(Siglec)に結合する9炭素糖である。シアル酸は、主に3つの誘導体、N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)、N-アセチルノイラミン酸ヒドロキシアルキル(Neu5Gc)および3-デオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-ノニルケトース(Kdn)を有する。これらの主要な誘導体からさらに派生する他のシアル酸誘導体がある。1つの重要なシアル酸誘導体は、脳内に見られるガングリオシドである。
【0003】
種々の免疫細胞により発現されるSiglecは、シアル酸への結合の際に阻害性シグナルを媒介して、チロシンホスファターゼSHP-1およびSHP-2の補充を介して下流の阻害性シグナル伝達を活性化し得る細胞内の免疫受容体チロシン抑制モチーフ(ITIM)を有する。シアル酸はまた、補体活性化の代替的な経路を制御し得る。主要な血清タンパク質補体因子Hは、シアル酸を「自己」マーカーとして認識し、これは、C1q/C3b断片活性化を阻害することを補助する。また、シアル酸は、いくつかの種類の癌において過剰発現される炭水化物結合レクチンにも結合する。
【0004】
シアル酸とSiglecの間の異常な相互作用は、感染、自己免疫および癌などのいくつかの病状に関連する。そのため、特定の種類の細胞上のSiglecと、シアル酸残基を含む化学的または生物学的実体を結合させて、感染、自己免疫および癌などの病状の治療のための免疫阻害または活性化を調節することが治療的に有益であり得る。しかしながら、シアル酸のかかる分子実体を送達して、インビボで細胞を標的化することは困難である。一般的な戦略は、シアル酸またはポリシアル酸の分子をナノ粒子の表面上に取り付けることであるので、ナノ粒子は、標的の細胞に対するシアル酸実体を保有し得る。
【0005】
さらに、シアル酸が特定の種類の免疫細胞上のSiglecに結合する場合、シアル酸部分を含む化学実体は、該粒子を免疫細胞に誘導し、粒子を細胞上のSiglecに結合させるためのリガンドとして粒子上に取り付けられ得る。かかる結合は、粒子が、受容体媒介エンドサイトサイトーシスを介して細胞に進入することを容易にし得る。この様式で、治療剤を負荷され、シアル酸またはシアル酸含有実体で表面をコーティングされたナノ粒子は、免疫細胞を標的化して、治療剤を細胞に送達し得る。
【0006】
ナノメディスンは、標的化された薬物送達における重要なツールである。全身に投与される薬物負荷されたナノ粒子は、それらが標的化された部位に到達する前に長い循環時間を有することが望ましい。ナノ粒子のインビボ循環を延長するための現在の戦略は、粒子の表面をPEG化して、ナノ粒子が細網内皮系(RES)により摂取されることを防ぐことである。しかしながら、PEG化されたナノ粒子は、PEG特異的抗体の産生をもたらし得、薬物放出を弱め得、細胞相互作用を標的化し得、そのために治療効果を損なう。そのため、ポリエチレングリコール(PEG)を置換しながら、インビボにおけるナノ粒子循環を延長し得る新規の戦略を開発するための必要性がある。
【0007】
シアル酸をナノ粒子の表面に取り付けるための現在の方法は化学的コンジュゲーションによる。例えば、シアル酸分子は、ナノ粒子表面上の別の反応性基と共有結合を形成し得る反応性基で官能基化され得る。しかしながらこの方法は、低いコンジュゲーション効率および医薬製剤中で望ましくない副生成物を生じる副反応に苦しむ。
【0008】
そのため、シアル酸を含むリガンドをナノ粒子の表面に取り付けるための新規の方法についてのまだ対処されていない必要性がある。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明は、その表面上に非コンジュゲートシアル酸残基を提示するポリマー性粒子、その組成物および使用方法、ならびにそれらの表面上にシアル酸部分を有するナノ粒子および微小粒子を作製するための非コンジュゲーション方法を提供する。
【0010】
本発明は、その表面上にシアル残基を提示するポリマー性粒子を含む組成物を含み、ここで該粒子は微小粒子またはナノ粒子であり;それぞれの粒子は生分解性ポリマーおよびシアル酸残基を含むポリシアル酸を含み、シアル酸残基は、粒子の表面にコンジュゲートされない。生分解性ポリマーは、好ましくは薬学的に許容され得る生分解性ポリマーである。ある局面において、生分解性ポリマーは、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、エチレングリコールとラクチド/グリコリドのコポリマー(PEG-PLGA)、エチレングリコールとラクチドのコポリマー(PEG-PLA)、エチレングリコールとグリコリドのコポリマー(PEG-PGA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ無水物(PANH)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(PHA)、ポリ(セバシン酸(sebasic acid))、ポリホスファゼン、ポリホスホエステル、改変多(糖)、それらの混合物およびコポリマーからなる群より選択され得る。ある態様において、生分解性ポリマーはPLGAである。さらなる局面において、生分解性ポリマーおよびポリシアル酸は、相互浸透ネットワークを形成する。該粒子はさらに、医薬品有効成分などの活性剤を含み得る。
【0011】
本発明はさらに、活性剤の投与を必要とする被験体にその表面上にシアル酸残基を提示する粒子を含む組成物を投与する工程を含む、該被験体への活性剤の投与のための方法を包含し、該粒子は微小粒子またはナノ粒子であり;それぞれの粒子は、生分解性ポリマーおよびシアル酸残基を含むポリシアル酸を含み、シアル酸残基は、粒子の表面にコンジュゲートされず;さらに該粒子は活性剤を含む。活性剤は医薬品有効成分であり得る。ある局面において、活性剤は粒子内に封入される。
【0012】
本発明はさらに、疾患または障害の治療を必要とする被験体に、本明細書に記載される粒子を投与する工程を含む、該被験体において疾患または障害を治療する方法を含む。
【0013】
本発明は、その表面上にシアル酸残基を提示する微小粒子またはナノ粒子の調製のための方法を含み、該方法は:(1)生分解性ポリマー(および任意に活性剤、例えば医薬品成分(API)または水溶解性に乏しい化合物)を第1の溶媒に溶解して、ポリマー溶液を形成する工程;(2)ポリマー溶液を第2の溶媒の溶液中で乳化して、エマルジョンを形成するする工程、ここで第1の溶媒は、第2の溶媒と混和性でないかまたは部分的に混和性であり、第2の溶媒の溶液はポリシアル酸を含み、該第2の溶媒の溶液は任意に、第2の溶媒に溶解性の界面活性剤および/またはAPIをさらに含む;ならびに(3)第1の溶媒を除去して、表面シアル酸部分を有する該微小粒子またはナノ粒子を形成する工程を含む。
【0014】
本発明はまた、その表面上にシアル酸部分を提示する微小粒子またはナノ粒子の調製のための方法を提供し、該方法は:(1)生分解性ポリマー(および任意に活性剤、APIまたは水溶解性に乏しい化合物)を第1の溶媒に溶解して、ポリマー溶液を形成する工程;(2)第2の溶媒の第1の溶液をポリマー溶液に添加して混合物を形成する工程、ここで第1の溶媒は第2の溶媒と混和性でないかまたは部分的に混和性であり、第2の溶媒の第1の溶液は任意に、第1の溶媒に溶解されるAPIと同じであり得るかまたは異なり得る活性剤を含む;(3)混合物を乳化して、第1のエマルジョンを形成する工程;(4)第2の溶媒の第2の溶液中で第1のエマルジョンを乳化して第2のエマルジョンを形成する工程、ここで第2の溶媒の第2の溶液は、ポリシアル酸を含み、任意に界面活性剤をさらに含む;および(5)第1の溶媒を除去して、表面シアル酸部分を有する微小粒子またはナノ粒子を形成する工程を含む。
【0015】
さらに他の局面において、本発明は、本明細書に記載される方法により作製される粒子に関する。
【0016】
好ましくは、微小粒子またはナノ粒子は活性剤、例えば医薬品有効成分(API)を含む。
【0017】
好ましくは、APIは微小粒子またはナノ粒子に封入される。ある好ましい局面において、粒子はナノ粒子である。
【0018】
代替的にまたは付加的に、APIは、微小粒子またはナノ粒子の表面に共有結合するかまたはイオン結合する。例えばAPIは、インビボ放出を容易にする加水分解可能結合を介して粒子表面に共有結合され得る。
【0019】
好ましくは、第2の溶媒の溶液はさらに、乳化の際に第1の溶媒中のポリマー溶液を第2の溶媒の第1の溶液に添加する前に、第1の溶媒を含むかまたはそれで飽和される。これは、第1の溶媒中のポリマーが、乳化のために第2の溶媒の第1の溶液に添加される場合に沈殿しにくいということにおいて有益であり得る。好ましくは、第1の溶媒は酢酸エチルであり、第2の溶媒の溶液(例えば水または水溶液)は、約7~8% v/vの酢酸エチルを含む。
【0020】
好ましくは、該微小粒子およびナノ粒子は:ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、エチレングリコールとラクチド/グリコリドのコポリマー(PEG-PLGA)、エチレングリコールとラクチドのコポリマー(PEG-PLA)、エチレングリコールとグリコリドのコポリマー(PEG-PGA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ無水物(PANH)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(PHA)、ポリ(セバシン酸)、ポリホスファゼン、ポリホスホエステル、改変多(糖)、その混合物およびコポリマーからなる群より選択される生分解性ポリマーに基づく。さらなる好ましい局面において、生分解性ポリマーはPLGAである。任意に、微小粒子およびナノ粒子は薬物などの活性剤を含む。
【0021】
ある好ましい態様において、粒子は活性剤を封入する。
【0022】
好ましくは、該ポリシアル酸は薬学的に許容され得るポリマーである。
【0023】
好ましくは、該シアル酸は、シアル酸、その塩、誘導体または模倣物である。
【0024】
好ましくは、該ポリシアル酸は、コーティング、吸収、吸着および乳化などの非化学的プロセスにより微小粒子およびナノ粒子の表面に取り付けられる。
【0025】
好ましくは、該ポリシアル酸は、微小粒子およびナノ粒子の表面に永続的に取り付けられ、複数の洗浄サイクルに耐え得る。
【0026】
好ましくは、該ポリシアル酸は、500~50,000,000、1,000~5,000,000および2,000~500,000Daの分子量を有する。
【0027】
いくつかの態様において、ポリシアル酸は、シアル酸反復単位のみを含むポリシアル酸である。この種類のポリマーはしばしば、「ホモポリマー」と称される。ポリシアル酸のかかるホモポリマーの一例は、例えばCarbosynth, Oakbrook Terrace, IL, USAから市販されるコロミン酸である。ポリシアル酸とも称されるコロミン酸は、(n = 8~>100)残基を有するα-2,8-連結シアル酸(ノイラミン酸)を含む直鎖の小多糖類である。
【0028】
いくつかの態様において、ポリシアル酸は、シアル酸反復単位および少なくとも1つの異なる化学実体の反復単位を含む「コポリマー」である。かかるコポリマーの非限定的な例としては、PLGA-PSia、PEG-PSia、PLGA-PEG-PSia等が挙げられる。ここで、PLGAはポリ(ラクチド-コ-グリコリド)であり、PEGはポリエチレングリコールであり、PSiaはポリシアル酸である。
【0029】
いくつかの態様において、ポリシアル酸は、N-アセチルノイラミン酸オリゴマーとして入手可能なシアル酸のオリゴマー、例えばダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマーまたはヘキサマーまたはNacalai USA, Inc., San Diego, CA, 米国から入手可能なそれらのナトリウム塩である。
【0030】
いくつかの態様において、ポリシアル酸は、その化学構造の末端にシアル酸部分を有する薬学的に許容され得るポリマーである。例えばPEG-SiaまたはPLGA-PEG-Sia、ここでSiaはシアル酸部分を示す。ポリシアル酸はまたガングリオシドであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
概観
シアル酸とSiglecの間の異常な相互作用は、感染、自己免疫および癌などのいくつかの病状と関連するので、特定の細胞上のSiglecに結合するシアル酸部分を提示する粒子を提供することは、治療的に有用であり得る。該粒子を含む組成物は、例えば感染、自己免疫および癌などの病状の治療に使用され得る。また、特定の免疫細胞上のシアル酸とSiglecの間の相互作用は、シアル酸残基を含む粒子を免疫細胞に誘導するために使用され得る。したがって、治療剤およびシアル酸部分を含む粒子は、特定の免疫細胞に標的化され得る。
【0032】
本発明は、その表面上に非コンジュゲートシアル酸残基を提示する粒子、その組成物および使用方法、ならびにその表面上にシアル酸部分を有するナノ粒子および微小粒子を作製するための非コンジュゲーション方法を提供する。本明細書に記載される非コンジュゲーション方法は、シアル酸残基を粒子の表面に取り付けるためのコンジュゲーション方法を使用した際に観察された副反応および副生成物を回避する。
【0033】
本明細書に記載される発明は、(薬剤/薬物/API負荷ありまたはなしで)その表面上にシアル酸残基を有する微小粒子およびナノ粒子を含む医薬製剤、ならびに微小粒子および/またはナノ粒子を含むかかる医薬製剤を作製し得るプロセスを提供する。
【0034】
本発明は、その表面上にシアル酸残基を提示する微小粒子およびナノ粒子の調製のための方法を含み、該方法は、疎水性および/または中性の生体適合性ポリマー、例えばPLGAもしくはPLAならびにポリシアル酸の共沈殿またはコアセルベーションを含む。何らかの理論に拘束されることなく、エマルジョンの有機相中にありながら該ポリマー骨格が絡み合うまたは組み合うと考えられる。本発明の方法を使用して、ポリシアル酸は、生じる微小粒子またはナノ粒子に密に組み込まれる。したがって好ましくは、ポリシアルは、該微小粒子またはナノ粒子上に一体化され、該微小粒子またはナノ粒子の表面上にシアル酸残基を提示する。
【0035】
一般的に上に記載される発明を用いて、本発明の特定の局面を以下のセクションにさらに記載する。
【0036】
定義
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容され得る」は、正常な医学的判断の範囲内にあり、生成物中に存在する濃度、用量または量でヒトおよび動物の組織と接触される場合に、過度な毒性、刺激、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症を生じることなく、医学的または獣医学的用途に適した、妥当な利益/リスク比に釣り合った、これらの化合物、材料、組成物および/または剤型を含む。好ましくは、薬学的に許容され得る材料(例えばポリマー、賦形剤、界面活性剤、溶媒またはそれから作製される微小粒子/ナノ粒子)は、ヒトの医学的用途に適するかまたは承認される。
【0037】
本明細書で使用する場合、「微小粒子」は、好ましくは大体丸い、球または球様の形状であり、一般的に、例えばレーザー回折により測定される場合に例えば約1~1,000μmまたは約10~100μmのサイズ範囲内にある。主題の微小粒子はまた、インビボで固まりに凝集(clump)しにくいまたは集まりにくい粒子を含み得る。しかしながら、棒状、プレート、シートおよび針状などの他の粒子形態も可能であることが理解される。典型的に、粒子サイズは試験される生成物試料の体積中位幾何サイズを反映することが理解される。
【0038】
本明細書で使用する場合、「ナノ粒子」は、好ましくは大体丸い、球または球様の形状であり、一般的に、例えばレーザー回折により測定される場合に例えば約1~1,000nm、約10~1,000nmまたは約50~1,000nmまたは約100~500nmのサイズ範囲内にある。主題のナノ粒子はまた、インビボで固まりに凝集しにくい粒子を含み得る。
【0039】
粒径およびサイズ分布は、動的光散乱装置、例えばMalvern Zetasizerにより測定され得る。代替的な技術としては、例えば沈降場流動分画法、光子相関分光法、光散乱、動的光散乱、光回折およびディスク遠心分離が挙げられる。用語「微小粒子」および「ナノ粒子」は、何らかの特定の形状の制限を意味することを意図しない。かかる粒子としては、限定されないが、一般的に多面角または球状の幾何学的構造を有するものが挙げられる。好ましい粒子は、エマルジョン系封入プロセスにより典型的に作製される球状の幾何学的構造を特徴とする。用語「微小粒子」および「ナノ粒子」は、サイズの特定の記載が添付されない限り、本明細書において交換可能に使用されることが理解される。例えば、用語「微小粒子」は、文脈がそうでないことを要求しない限り、「微小粒子および/またはナノ粒子」として述べられる場合と同様に、「ナノ粒子」を包含することも意図される。
【0040】
それぞれの微小粒子またはナノ粒子が均一なサイズである必要はないが、それらは一般的に、抗原提示細胞(APC)または他のMPS細胞における食作用を誘発するのに十分なサイズのものである。好ましくは、主題の微小粒子およびナノ粒子は、抗原提示細胞(APC)または他のMPS細胞において食作用を誘発するのに十分な直径を有する。
【0041】
用語「粒子」は、ナノ粒子および微小粒子の両方を包含する。本明細書で使用する場合、「a」または「an」は、そうではないと特定されない限り、1つ以上を意味する。
【0042】
本明細書で使用する場合、「約」は一般的に、修飾される特定の用語の±10%までを意味する。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「封入する(encapsulates)」、「封入される(encapsulated)」等は、粒子内に封入される薬物または活性剤について言及される場合、薬物または活性剤が、微小粒子の表面上よりも微小粒子内により見られやすいことを意味する。
【0044】
「ポリシアル酸」は、シアル酸モノマーを含むポリマーである。ポリシアル酸は、以下により詳細に記載される。
【0045】
用語「シアル酸残基」および「シアル酸部分」ならびにそれらの複数の指示対象等は、本明細書において交換可能に使用される。
【0046】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲーション」または「コンジュゲートされる」等は、粒子(1つまたは複数)の表面上のシアル酸部分の文脈において、例えばリンカー部分またはナノ粒子表面上の反応性基(例えば生分解性ポリマーの反応性基)と共有結合を形成し得る反応性基を有するシアル酸残基の官能基化を介した共有結合の形成による、シアル酸部分(例えばポリシアル酸のシアル酸部分)の粒子または生分解性ポリマーに対する共有結合をいう。例えば、コンジュゲーションは、ポリシアル酸のチオ誘導体を使用して記載されている(Bondioli et. al (2010). PLGA nanoparticles surface decorated with the sialic acid, N-acetylneuraminic acid. Biomaterials. 31. 3395-403. 10.1016/j.biomaterials.2010.01.049)。したがって、「コンジュゲートされない(not conjugated)」または「非コンジュゲート(non-conjugated)」等は、粒子(1つまたは複数)の表面上のシアル酸残基の文脈において、シアル酸残基(1つまたは複数)またはシアル酸残基を含むポリシアル酸が、粒子または生分解性ポリマーと、それらの間の共有結合の形成により共有結合されないことを意味する。例えば、ポリシアル酸は、コーティング、吸収、吸着および/または乳化などのプロセスにより微小粒子およびナノ粒子の表面に取り付けられる。理論に拘束されることを望まず、PLGAなどの生分解性ポリマーおよびポリシアル酸は、形成される粒子の表面上にシアル酸残基を提示する相互浸透ネットワークを形成すると考えられる。
【0047】
本明細書で使用する場合、用語「被験体」は、動物、好ましくは哺乳動物、例えばヒトまたは非ヒトを意味するように使用される。用語「患者」および「被験体」は、本明細書において交換可能に使用され得る。
【0048】
被験体の「治療」または「療法」は、症状、合併症、状態または疾患に関連する生化学的徴候の開始、進行、発症、重症度または再発を逆転、緩和、改善、抑制、遅延(slow own)または予防する目的で、被験体に対して実行される任意の型の介入もしくはプロセスまたは被験体への活性剤の投与をいう。本明細書で使用する場合、「治療(treatment)」(および「治療(treat)」または「治療(treating)」などのその文法的バリエーション)は、治療されている個体における疾患の天然の経過を改変するための臨床的介入を含み、予防または臨床的病理学の経過の間のいずれかに実行され得る。治療の所望の効果としては限定されないが、疾患の発症または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接または間接的な病理学的結果の減少、転移の予防、疾患進行の速度の低下、疾患状態の改善または軽減および寛解または向上された予後が挙げられる。いくつかの態様において、本発明の組み合わせは、疾患の発症を遅らせるまたは疾患の進行を遅延するために使用される。
【0049】
生分解性ポリマー
生分解性ポリマーは、生体(living thing)により代謝または分解され得るポリマーである。ある局面において、生分解性ポリマーは、実質的な毒性効果を生じることなく分解または代謝される。本発明の生分解性ポリマーは:ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、エチレングリコールとラクチド/グリコリドのコポリマー(PEG-PLGA)、エチレングリコールとラクチドのコポリマー(PEG-PLA)、エチレングリコールとグリコリドのコポリマー(PEG-PGA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ無水物(PANH)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(PHA)、ポリ(セバシン酸)、ポリホスファゼン、ポリホスホエステル、改変多(糖)、それらの混合物およびコポリマーからなる群より選択され得る。PLGAは、本発明における好ましい生分解性ポリマーである。
【0050】
PLGA
PLGAは典型的に、ラクチドとグリコリドの開環重合により調製される。この反応において、通常オクタン酸第1スズが触媒として使用されるが、他の触媒も使用され得る。重合反応を開始するために、アルコールなどの開始剤がしばしば使用される。開始剤が意図的に添加されない場合、活性プロトンを含む痕跡量の極性化合物、例えばアルコールおよび水が、開始剤として働き得る。重合は通常、以下:
R-OH + L (ラクチドモノマー) + G (グリコリドモノマー) = PLGA-COOH
に示されるように、鎖の末端にカルボキシル基を有するPLGAポリマーを生じる。
【0051】
そのため、それぞれのPLGAおよび/またはPLAポリマー分子は典型的に線形であり、典型的に鎖の末端に単一のCOOH基を含む。また、APIまたはタンパク質リガンドもしくは他の標的化剤などの他の化学部分を該微小粒子およびナノ粒子の表面に共有的に取り付けるために十分な数のCOOH基がなくてもよい。かかるタンパク質リガンドまたは他の標的化剤は、標的細胞、組織、器官または場所の表面上の受容体または結合パートナーに結合し得る。
【0052】
本発明は、ポリシアル酸を有するPLGA/PLA粒子を作製するための種々の方法またはそれらの組合せを提供する。かかる粒子は、例えば特定の疾患(例えば炎症性疾患、自己免疫疾患および癌)を治療するためおよび活性剤を送達するために特に有用である。
【0053】
好ましくは、薬学的に許容され得るポリマーPLGAの平均分子量は望ましい範囲内にある。
【0054】
範囲の下限は、好ましくは約100Da以上、200Da以上、300Da以上、400Da以上、500Da以上、600Da以上、700Da以上、800Da以上、900Da以上、1000Da以上、1200Da以上、1500Da以上、2000Da以上、2500Da以上または3000Da以上である。所望の範囲は上述の値のいずれかの下限を有する。
【0055】
範囲の上限は、好ましくは50,000Da以下、40,000Da以下、35,000Da以下、30,000Da以下、25,000Da以下、20,000Da以下、15,000Da以下、10,000Da以下、7,500Da以下または5,000Da以下である。所望の範囲は上述の値のいずれかの上限を有する。
【0056】
例えば所望の範囲は、約500~約50,000Daまたは約1,000~約30,000Daであり得る。
【0057】
好ましくは、PLGAは、約500~約1,000,000Da、好ましくは約1,000~約50,000Daの平均分子量を有する。
【0058】
PLGAは、複数の負に荷電した末端基を含み得る。
【0059】
PLGAについて、平均分子量は、固有粘度などの他の物理的特性で表され得る。固有粘度(IV)は、分子サイズを測定するための粘度測定法である。IVは、狭いキャピラリーを通る純粋な溶媒のフロー時間に対する該キャピラリーを通るポリマー溶液のフロー時間に基づく。本願における確実性測定について、使用される溶媒は典型的にクロロホルムであり、ポリマー濃度は約0.5%(w/v)である。粘度が測定される温度は約30℃である。IVの単位は典型的に、デシリットルパーグラム(dL/g)で報告される。したがって、例えば本発明で使用されるPLGAは、約0.01~約20dL/gまたは約0.05~約2.0dL/gの固有粘度を有し得る。
【0060】
主題のPLGAポリマーの組成および生分解性は、ポリマー中のラクチド(L)対グリコリド(G)単位のモル比またはL/G比により部分的に決定される。本発明におけるPLGAポリマーのL/G比は、100/0~0/100であり得る。本明細書で使用する場合、「100/0」のL/G比は、ポリラクチドまたはPLAをいい、「0/100」のL/G比は、ポリグリコリドまたはPGAをいう。好ましくは、PLGAポリマーについてのL/G比は、約100/0~0/100または約95/5~5/95、より好ましくは約85/15~15/85である。本発明における最も好ましいL/G比は約50/50である。
【0061】
PLGA微小粒子およびナノ粒子の調製において、他のポリマーがPLGAポリマーと混合され得る。例えばポリエチレングリコールまたはPEGはしばしば、性能の増加のためにPLGAに添加される。PEG化粒子は、しばしばヒトまたは動物体内で高い循環時間を有するので有用である。
【0062】
好ましくは、PEGとPLGAのコポリマーも使用され得る。
【0063】
PEGとPLGAの混合物またはPEGとPLGAのコポリマーから調製される微小粒子およびナノ粒子は、PEG化PLGAの微小粒子およびナノ粒子として好ましい。
【0064】
かかる「PEG化」プロセスはまた、微小粒子およびナノ粒子が形成される後になされ得る。この場合、PEGポリマーまたはPEG単位を含む他のポリマーは、PLGA微小粒子およびナノ粒子上への物理的吸収を介してコーティングされる。
【0065】
PEG単位はまた、共有結合を介してPLGA微小粒子またはナノ粒子の表面に取り付けられ得る。かかるプロセスはしばしば、「コンジュゲーション」と称される。コンジュゲーションプロセスにおいて、PEG単位を含む反応性実体は、微小粒子およびナノ粒子の表面上の特定の官能基と反応して化学結合を形成する。
【0066】
したがって好ましくは、薬学的に許容され得るポリマーはPLGAであり、微小粒子またはナノ粒子はPEG化される。微小粒子またはナノ粒子は、微小粒子およびナノ粒子の調製の間にポリエチレングリコール(PEG)またはPEG含有実体を混合することによりPEG化され得る。微小粒子またはナノ粒子はまた、PEGとPLGAのコポリマーを使用してPEG化され得る。微小粒子またはナノ粒子はさらに、PEGポリマーまたはPEG単位を含むポリマーをPLGA微小粒子およびナノ粒子に物理的に吸収させることによりPEG化され得る。微小粒子またはナノ粒子は、共有結合を介してPEG単位をPLGA微小粒子またはナノ粒子の表面にコンジュゲートすることによりさらにPEG化され得る。
【0067】
好ましくは、生分解性ポリマーは、約500~約1,000,000Da、好ましくは約1,000~約200,000Daの平均分子量を有する。
【0068】
好ましくは、生分解性ポリマーはPLGAであり、約100/0~0/100、約95/5~5/95、約85/15~15/85および約50/50のL/G比を有する。
【0069】
ポリシアル酸
ポリシアル酸(PSia)は、シアル酸のホモポリマーを含む。天然に存在するPSiaは、最初に大腸菌で発見され、髄膜炎菌(Neisseria miningitidis)B、サルモネラ・トウクラ(Salmonella toucra)048およびシトロバクター・フロインディー(Citrobacter freundii)05などの細菌被膜材料の成分の1つである。PSiaは、α-2,8(以下の図のA)もしくはα-2,9結合(以下の図のB)またはα-2,8およびα-2,9の混合物の立体配座にあり得る。α-2,8結合で構成されるPSiaは、非免疫原性であり、生分解性であり、タンパク質ポリペプチドの免疫原性を低減し得る。PSiaは、インビボで食細胞を回避および循環時間を延長する特性を有する。
【化1】
【0070】
そのため、表面上にシアル酸部分を有するナノ粒子はまた、RES回避を容易にし、ナノ粒子および微小粒子を、血流中の循環が延長されたものにし得る。また、シアル酸は腫瘍細胞上のいくつかの受容体にも結合するので、シアル酸被覆ナノ粒子および微小粒子は、シアル酸のレクチンへの高アビディティ結合を介して腫瘍部位を標的化することが強化され得る。
【0071】
上述のように、ポリシアル酸は、シアル酸モノマーの鎖を含むポリマーである。ある局面において、ポリマーはホモポリマーである(例えば全てのシアル酸モノマー単位が同じである)。他の局面において、ポリマーはヘテロポリマーである(例えばポリシアル酸が少なくとも2つの異なるシアル酸モノマー単位を含む)。さらに他の局面において、ポリマーは、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200または少なくとも300個のシアル酸モノマーを含む。シアル酸モノマーは、ノイラミン酸の任意の誘導体であり得る。シアル酸モノマーとしては、例えばN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)、N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)または脱アミノ化ノイラミン酸(Kdn;3-デオキシ-D-グリセロ-D-ガラクトノヌロソン酸(3-deoxy-D-glycero-D-galactononulosonic acid)が挙げられる。シアル酸モノマーは、式(I):
【化2】
で例示される。
【0072】
Neu5Acにおいて、Rは-NH-C(O)-CH3である。Neu5Gcにおいて、Rは-NH-C(O)-CH2-OHである。Kdnにおいて、RはOHである。シアル酸モノマーの他の例は、N-シアル酸、O-シアル酸、9-O-アセチル-8-O-メチル-N-アセチルノイラミン酸(Neu5,9Ac28Me)および7,8,9-トリ-O-アセチル-N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc7,8,9Ac3)、Neu4,5Ac2;Neu5,7Ac2;Neu5,8Ac2;Neu5,9Ac2;Neu4,5,9Ac 3;Neu5,7,9Ac 3;Neu5,8,9Ac 3;Neu5,7,8,9Ac 4;Neu5Ac9Lt;Neu4,5Ac 29Lt;Neu5Ac8Me;Neu5,9Ac28Me;Neu5Ac8S;Neu5Ac9P;Neu2en5Ac;Neu2en5,9Ac 2;Neu2en5Ac9Lt;Neu2,7an5Ac;Neu5Gc;Neu4Ac5Gc;Neu7Ac5Gc;Neu8Ac5Gc;Neu9Ac5Gc;Neu7,9Ac 25Gc;Neu8,9Ac 25Gc;Neu7,8,9Ac 35Gc;Neu5Gc9Lt;Neu5Gc8Me;Neu9Ac5Gc8Me;Neu7,9Ac 25Gc8Me;Neu5Gc8S;Neu5GcAc;Neu5GcMe;Neu2en5Gc;Neu2en9Ac5Gc;Neu2en5Gc9Lt;Neu2en5Gc8Me;Neu2,7an5Gc;Neu2,7an5Gc8MeおよびKnd9Acである。
【0073】
上述のように、シアル酸モノマーは、α-2,8-、α-2,9またはα-2,8/α-2-9-ケトシド(ketosidic)結合で連結され得、例えばα-2,4-ケトシド結合およびα-2,5-ケトシド結合も記載される(Janas et al. (2011), Biochimica et Biophysica Acta 1808: 2923-2932)。シアル酸モノマーは、任意の結合配置で連結され得る。ある態様において、ポリシアル酸は、2→8結合されるか、2→9結合されるかまたはその組合せであるモノマーを含む。さらに他の局面において、モノマーは、全て2→8結合されるかまたは全て2→9結合される。さらなる局面において、ポリシアル酸は、2→8結合されるか、2→9結合されるかまたはその組合せであるNeu5Acモノマーを含む。さらに他の局面において、ポリシアル酸は、2→8結合されるか、2→9結合されるかまたはその組合せであるNeu5Gcモノマーを含む。さらなる態様において、ポリシアル酸は、2→8結合されるか、2→9結合されるかまたはその組合せであるKdnモノマーを含む。ポリシアル酸は、Neu5Ac、Neu5GcおよびKdnから選択されるモノマーを含むホモポリマーであり得るか、またはポリシアル酸は、Neu5Ac、Neu5GcおよびKdnから選択される2または3個のモノマーを含むヘテロポリマーであり得る。ある特定の態様において、ホモポリマーは、Neu5Acモノマーを含む。ホモポリマーは、ポリ(Neu5Ac)n、ポリ(Neu5Gc)nまたはポリ(Kdn)nポリマーであり得、ここでnは、10より大きい、15より大きいまたは20より大きい整数であり;任意にモノマーは、2→8結合されるか、2→9結合されるかまたはその組合せである。さらに他の特定の態様において、ヘテロポリマーはNeu5AcおよびNeu5Gcモノマーを含む。
【0074】
ポリシアル酸は、分岐または非分岐ポリマーであり得る。「非分岐」ポリマーは、モノマーの直鎖配列を含む直鎖ポリシアル酸ポリマーである。「分岐」ポリマーは、1つ以上の置換基側鎖を有するかまたは分岐される主鎖を含むポリシアル酸ポリマーである。分岐ポリマーの例は、3つ以上の異なるシアル酸単位に結合されるシアル酸単位を含み、それによりポリシアル酸内に分岐点を生じるものである。
【0075】
ポリシアル酸は、例えば少なくとも1kDa、少なくとも3kDa、少なくとも5kDa、少なくとも10kDa、少なくとも20kDa、少なくとも25kDa、少なくとも30kDa、少なくとも40kDa、少なくとも50kDa、少なくとも60kDa、少なくとも70kDa、少なくとも75kDa、少なくとも80kDa、少なくとも90kDa、少なくとも100kDa等の分子量を有し得る。
【0076】
好ましくは、該ポリシアル酸は、500~50,000,000、1,000~5,000,000または2,000~500,000Daの分子量を有する。
【0077】
いくつかの態様において、ポリシアル酸は、シアル酸反復単位のみを含むポリシアル酸である。この型のポリマーはしばしば「ホモポリマー」と称される。ポリシアル酸のかかるホモポリマーの一例は、Carbosynth, Oakbrook Terrace, IL, USAから市販されるコロミン酸である。ポリシアル酸とも称されるコロミン酸は、(n = 8~>100)残基を有する、α-2,8結合されるシアル酸(ノイラミン酸)を含む直鎖の小多糖類である。
【0078】
いくつかの態様において、ポリシアル酸は、シアル酸反復単位および少なくとも1つの異なる化学実体の反復単位を含む「コポリマー」である。かかるコポリマーの非限定的な例としては、PLGA-PSia、PEG-PSia、PLGA-PEG-PSia等が挙げられる。ここで、PLGAはポリ(ラクチド-コ-グリコリド)であり、PEGはポリエチレングリコールであり、PSiaはポリシアル酸である。ポリシアル酸はガングリオシドでもあり得る。
【0079】
いくつかの態様において、該ポリシアル酸は、N-アセチルノイラミン酸オリゴマーとして入手可能なシアル酸のオリゴマー、例えばダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマーおよびヘキサマーまたはNacalai USA, Inc., San Diego, CA, United Statesから入手可能なそれらのナトリウム塩である。
【0080】
いくつかの態様において、該ポリシアル酸は、その化学構造の末端にシアル酸部分を有する薬学的に許容され得るポリマーである。例えば、PEG-SiaまたはPLGA-PEG-Sia、式中Siaはシアル酸部分を表す。
【0081】
シアル酸はまた、シアル酸の水溶性の塩および水溶性の誘導体であり得る。例えば、シアル酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩または亜鉛塩であり得る。上述のように、ポリシアル酸は、1種類より多くのシアル酸の組合せを含み得る。
【0082】
態様の1つの組において、ポリシアル酸内のシアル酸モノマーの1つ以上が改変される。例えば、1つ以上のシアル酸単位は、ポリエチレングリコールまたはアルキル基への結合により改変され得る。他の態様において、ポリシアル酸は改変されない。
【0083】
ポリシアル酸はまた、シアル酸モノマーに加えて、他のモノマーまたは単位を含み得る。ある例において、ポリシアル酸は、シアル酸モノマー単位のポリマーおよび別のポリマーのコンジュゲート、例えば、例えばポリエチレングリコール(PEG)(例えばポリシアル酸-PEGコポリマー)などの合成ポリマーである。かかるコンジュゲートの例は、例えばZhang et al. (2018), Drug Delivery and Translational Research 8, 602-616に記載される。PEGは、式:H-(O-CH2-CH2)n-OHを有し得、ここでnは、PEG重合度を表す整数である。例えばnは、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400または少なくとも500である。いくつかの場合において、nは、1000以下、500以下、200以下、100以下、50以下、30以下または10以下である。
【0084】
粒子中のポリシアル酸は、同じであり得るかまたは異なり得る。
【0085】
また、ポリシアル酸は、鎖の長さに沿ってまたは鎖の末端で、共有結合的またはイオン結合的に置換され得る。例えば、1つ以上のモノマー単位は、細胞リガンド(または断片)、ペプチドまたは炭水化物などの標的化部分により置換され得る。標的化部分の置換またはコンジュゲーション工程は、微小粒子が形成される前または後に起こり得る。
【0086】
いくつかの例において、本発明に使用されるポリシアル酸の量は、製剤中に使用されるPLGAの重量に基づいて、0.01%~30%、好ましくは0.1%~15%であり得る。
【0087】
活性剤
記載される粒子はさらに、活性剤を含み得る。組成物はAPIを含み得、APIは、タンパク質のアミド基と微小粒子またはナノ粒子の表面上のカルボキシル基の間で形成される結合などの共有結合を介して、微小粒子またはナノ粒子の表面に共有的またはイオン的に結合され得る。APIも微小粒子またはナノ粒子内に封入され得る。APIの量は、微小粒子もしくはナノ粒子の約0.01~約50%(w/w)、または微小粒子もしくはナノ粒子の約0.05~約25%、約0.1~約10%、約0.2~約5%、約0.5~約3%、約1~約5%もしくは約2~約5%(w/w)であり得る。
【0088】
ある局面において、活性剤は有利に薬物(本明細書において医薬有効成分またはAPIとも称される)である。しかしながら、非治療的である活性剤も、該方法による粒子の一部として含まれ得る。例えば、診断、農業、化粧品、個人製品、家庭製品、工業的化学物質、染料、蛍光剤または着色剤等に有用な薬剤が含まれ得る。好ましい有効成分としては、小分子および巨大分子が挙げられる。例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、オリゴヌクレオチド、核酸分子およびそれらの模倣物、例えばDNA、RNA、PNA、siRNA、マイクロRNA、アンチセンス、タンパク質、抗体およびその抗原結合断片、酵素、ホルモン、成長因子、抗原、新生抗原、糖類、オリゴ糖類、多糖類、ならびにそれらの組み合わせなどの生体分子。組成物は、他の医薬有効成分またはAPI、例えば結合したペプチドまたは抗原性部分を含み得ない。APIは、診断、農業または化学的な剤などの非治療的化合物で置き換えられ得ることが理解される。そのため、用語APIが使用されるそれぞれの例において、診断、農業または化学的な剤を含む用語「活性剤」は、それらの代わりに使用され得ることが理解されるであろう。用語「API」および「薬物」は、本明細書において交換可能に使用される。
【0089】
APIは、水溶性であり得るかまたは比較的不十分な水溶解性を有し得る。例えば不十分に水溶性であるAPIは、PLGAを溶解するために使用する同じ第1の溶媒に溶解され得るか、または(第1の溶媒と同じであり得るかまたは異なり得る)適切な溶媒に溶解されてAPI溶液を形成し得、その後API溶液は、PLGAを含む第1の溶媒と混合され、APIおよびPLGAは両方得られる溶液中に残る。水溶性APIは最初に、第2の溶媒と同じであり得るかまたは異なり得る)それ自体の溶媒に溶解されてAPI溶液を形成し得、その後API溶液を第2の溶媒に添加する。
【0090】
APIまたは活性剤は、化合物および化合物の混合物、例えば小さな有機または無機分子;サッカリン;オリゴ糖類;多糖類;生物学的巨大分子、例えばペプチド、タンパク質ならびにペプチドアナログおよび誘導体;ペプチド模倣物;抗体およびその抗原結合断片;核酸;核酸アナログおよび誘導体;細菌、植物、真菌または動物細胞などの生物学的材料から作製される抽出物;動物組織;天然に存在するかまたは合成の組成物;ならびにそれらの任意の組み合わせなどの広範囲の異なる化合物を含み得る。好ましくは、治療剤は小分子である。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「小分子」は、「天然の生成物様」である化合物をいい得るが、用語「小分子」は、「天然の生成物様」の化合物に限定されない。むしろ、小分子は典型的に、いくつかの炭素-炭素結合を含み、5000ダルトン(5kDa)未満、好ましくは3kDa未満、さらにより好ましくは2kDa未満、最も好ましくは1kDa未満の分子量を有することを特徴とする。いくつかの場合において、小分子は、700ダルトン以下の分子量を有することが好ましい。
【0092】
本明細書で使用する場合、「ペプチド」は、オリゴペプチド、例えば2~25アミノ酸の配列である。用語「ペプチド」は、そうではないと特定されなければ、機能を有する天然に存在するアミノ酸および天然に存在するアミノ酸の既に公知のアナログを含むペプチドをその範囲に含む。「タンパク質」は、1つ以上のペプチド(ポリペプチド)鎖を含み、ペプチドよりも多くのアミノ酸を含み得る。用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において交換可能に使用され得る。
【0093】
例示的な治療剤としては、限定されないが、臨床試験または前臨床研究においてFDAによる新規の薬物適用に供される、FDAに承認されたものが挙げられる。
【0094】
APIは、本明細書に開示されるカテゴリーおよび具体例を含む。該カテゴリーが具体例に限定されることは意図されない。当業者は、該カテゴリーに含まれ、本開示に従って有用である多くの他の化合物も理解する。例としては、放射線感受性増強物質、ステロイド、キサンチン、β-2-アゴニスト気管支拡張薬、抗炎症剤、鎮痛剤、カルシウムアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、β遮断薬、中心的に活性なαアゴニスト、α-1-アンタゴニスト、抗コリン作用性/抗痙攣剤、バソプレシンアナログ、抗不整脈剤、抗振せん麻痺剤、抗アンギナ/抗高血圧剤、抗凝固剤、抗血小板剤、鎮静薬、抗不安剤、ペプチド剤、生体ポリマー剤、抗新生物剤、緩下剤、下痢止め剤、抗菌剤、抗真菌剤、ワクチン、タンパク質または核酸が挙げられる。さらなる局面において、薬学的に活性な剤は、クマリン、アルブミン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ブデゾニド、ヒドロコルチゾンおよび薬学的に許容され得るヒドロコルチゾン誘導体などのステロイド;キサンチン、例えばテオフィリンおよびドキソフィリン(doxophylline);β-2-アゴニスト気管支拡張薬、例えばサルブタモール、フェンテロール(fenterol)、クレンブテロール、バンブテロール、サルメテロール、フェノテロール;抗炎症剤、例えば抗喘息抗炎症剤、抗関節炎抗炎症剤および非ステロイド抗炎症剤、ここでそれらの例としては限定されないが、スルフィド、メサラミン、ブデゾニド、サラゾピリン、ジクロフェナク、薬学的に許容され得るジクロフェナク塩、ニメスリド、ナプロキセン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェンおよびピロキシカムが挙げられる;鎮痛剤、例えばサリチル酸塩;カルシウムチャンネル遮断薬、例えばニフェジピン、アムロジピンおよびニカルジピン;アンギオテンシン変換酵素阻害剤、例えばカプトプリル、ベナゼプリル塩酸塩、ホシノプリルナトリウム、トランドラプリル、ラミプリル、リシノプリル、エナラプリル、キナプリル塩酸塩およびモエキシプリル(moexipril)塩酸塩;β遮断薬(すなわちβアドレナリン作用性遮断剤)、例えばソタロール(sotalol)塩酸塩、チモロールマレイン酸塩、エスモロール塩酸塩、カルテオロール、プロパノール塩酸塩、ベタキソロール塩酸塩、ペンブトロール(penbutolol)硫酸塩、メトプロロール酒石酸塩、メトプロロールコハク酸塩、アセブトロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロール(pindolol)およびビソプロロールフマル酸塩;中心的に活性なα-2-アゴニスト、例えばクロニジン;α-1-アンタゴニスト、例えばドキサゾシンおよびプラゾシン;抗コリン作用/抗痙攣剤、例えば塩酸ジシクロミン、スコポラミンヒドロブロミド、グリコピロラート、クリジニウムブロミド、フラボキサートおよびオキシブチニン;バソプレシンアナログ、例えばバソプレシンおよびデスモプレシン;抗不整脈剤、例えばキニジン、リドカイン、トカイニド(tocainide)塩酸塩、メキシレチン塩酸塩、ジゴキシン、ベラパミル塩酸塩、プロパフェノン塩酸塩、フレカイニド酢酸塩、プロカインアミド塩酸塩、モリシジン塩酸塩およびジソピラミドリン酸塩;抗振せん麻痺剤、例えばドーパミン、L-ドパ/カルビドパ、セレギリン、ジヒドロエルゴクリプチン、ペルゴリド、リスリド(lisuride)、アポモルフィンおよびブロモクリプチン(bromocryptine);抗アンギナ剤および抗高血圧剤、例えばイソソルビドモノニトレート、イソソルビドジニトレート、プロプラノロール、アテノロールおよびベラパミル;抗凝固薬および抗血小板剤、例えばクマジン、ワルファリン、アセチルサリチル酸およびチクロピジン;鎮静薬、例えばベンゾジアゼピンおよびバルビツレート;抗不安(ansiolytic)剤、例えばロラゼパム、ブロマゼパムおよびジアゼパム;ペプチド性および生体ポリマー性剤、例えばカルシトニン、ロイプロリドおよび他のLHRHアゴニスト、ヒルジン、シクロスポリン、インスリン、ソマトスタチン、プロチレリン、インターフェロン、デスモプレシン、ソマトトロピン、サイモペンチン(thymopentin)、ピドチモド(pidotimod)、エリスロポイエチン、インターロイキン、メラトニン、顆粒球/マクロファージ-CSFおよびヘパリン;抗新生物剤、例えばエトポシド、リン酸エトポシド、シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シスプラチン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリンカルシウム、タモキシフェン、フルタミド、アスパラギナーゼ、アルトレタミン、ミトタンおよびプロカルバジン塩酸塩;緩下剤、例えばセンナ濃縮物、カサンスラノール、ビサコジルおよびナトリウムピコスルファート;下痢止め剤、例えばジフェノキシン塩酸塩、ロペラミド塩酸塩、フラゾリドン、ジフェノキシラート塩酸塩および微生物;ワクチン、例えば細菌性およびウイルス性ワクチン;抗菌剤、例えばペニシリン、セファロスポリンおよびマクロライド、抗真菌剤、例えばイミダゾールおよびトリアゾール誘導体;ならびに核酸、例えば生物学的タンパク質をコードするDNA配列およびアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。
【0095】
適切なAPIの例としては、インフリキシマブ、エタネルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、インターロイキン1(IL-1)遮断薬、例えばアナキンラ、T細胞共刺激遮断薬、例えばアバタセプト、インターロイキン6(IL-6)遮断薬、例えばトシリズマブ;インターロイキン13(IL-13)遮断薬、例えばレブリキズマブ;インターフェロンα(IFN)遮断薬、例えばロンタリズマブ(Rontalizumab);β7インテグリン遮断薬、例えばrhuMAbβ7;IgE経路遮断薬、例えばAnti-M1 prime;分泌ホモトリマーLTa3および膜結合ヘテロトリマーLTa1/.β.2遮断薬、例えば抗リンフォトキシンα(LTa)または抗VEGF剤等が挙げられる。
【0096】
薬物またはAPIとしてはタンパク質またはペプチドが挙げられ、限定されないが、モノクローナル抗体(例えばヒト化、ヒトおよび/またはマウス/ヒトキメラ)、ポリクローナル抗体および抗体-薬物コンジュゲートが挙げられる。例示的なペプチド/タンパク質治療薬としては、インスリン、エタネルセプト、ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、サケカルシトニン、シクロスポリン、オクトレオチド、リラグルチド、ビバリルジン、デスモプレシン、C1エステラーゼ阻害剤(RUCONSET(登録商標))、ヒトグルコセレブロシダーゼ(ELELYSO(登録商標))、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体(GAVYZA(登録商標))、VEGFR Fc融合体(EYLEA(登録商標))、グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニストFc融合体(TRULICITY(登録商標))、VEGFR Fc融合体(ZALTRAP)、組換え第IX因子Fc融合体(Alprolix)、組み換え第VIII因子Fc融合体(Eloctate)、GLP-1受容体アゴニスト-アルブミン融合体(Tanzeum(登録商標))、組換え第IX因子アルブミン融合体(Idelivion(登録商標))、PEG化IFNb-1a (Plegridy(登録商標))、組換え第VIII因子PEG化(Adynovate(登録商標))、エムタンシンにコンジュゲートしたヒト化抗HER2/neu(Kadcyla(登録商標))、ベリムマブ(belimumab)、イピリムマブ、ベラタセプト、ブレンツキシマブベドチン、アフリベルセプト、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンチミー(asparaginase erwinia chrsanthemi)、グルカルピダーゼ、タリグルセラーゼα、ペルツズマブ、ziv-アフリベルセプト(afilbercept)、tbo-フィルグラスチム(filgrastm)、オクリプラスミン、ラキシバクマブ、ado-トラスツズマブエムタンシン、ゴリムマブ、トシリズマブ、オビヌツズマブ、エロスルファーゼα、メトレレプチン、アルビグルチド、ラムシルマブ、シルツキシマブ、ベドリズマブ、pegインターフェロンβ-1a、ペンブロリズマブ、デュラグルチド、ビンツモマブ(bintumomab)、ニボルマブ、セクキヌマブ、副甲状腺ホルモン、フィルグラスチム-sndz、ジヌツキシマブ、アリロクマブ、エボロクマブ、イダラシズマブ(idaracizumab)、アスホターゼ-α、メポリズマブ、ドラツムマブ(dratumumab)、ネシツムマブ、エロツズマブ、セベリパーゼα、オビルトキサキシマブ、イキセキズマブ、レスリズマブ、インフリキシマブ-dyyb、アテゾリズマブ、ダクリズマブ、エタネルセプト(etancerpt)-szzs、凝固因子IX組換えヒト、抗血友病因子(組換え)、凝固因子XIII A-サブユニット(組換え)、凝固因子IX(組換え)、Fc融合タンパク質、抗血友病因子(組換え)、Fc融合タンパク質、C1エステラーゼ阻害剤組換え、抗血友病因子ブタ、B-ドメイン切断組換え、凝固因子IX(組換え)、抗血友病因子(組換え)、抗血友病因子(組換え)PEG化、フォン・ヴィレブラント因子(組換え)、凝固因子IX組換えヒトおよび抗血友病因子(組換え)が挙げられる。
【0097】
本発明は特に、抗癌剤の投与に適用可能である。例えば、該剤は、DNA脱メチル化剤5-アザシチジン(アザシチジン)または5-アザ-2'-デオキシシチジン(デシタビン)、(シタラビンまたはara-C);プソイドイソ-シチジン(psi ICR);5-フルオロ-2'-デオキシシチジン(FCdR);2'-デオキシ-2',2'-ジフルオロシチジン(ゲムシタビン);5-アザ-2'-デオキシ-2',2'-ジフルオロシチジン;5-アザ-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジン;ゼブラリン;2',3'-ジデオキシ-5-フルオロ-3'-チアシチジン(Emtriva);2'-シクロシチジン(アンシタビン);ファザラビン(Fazarabine)またはara-AC;6-アザシチジン(6-アザ-CR);5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン(dH-アザ-CR);N.sup.4-ペンチルオキシ-カルボニル-5'-デオキシ-5-フルオロシチジン(カペシタビン);N4-オクタデシル-シタラビン;またはエライジン酸シタラビンであり得る。シチジンアナログはまた、シチジンまたはデオキシシチジンに構造的に関連し得、シチジンまたはデオキシシチジンの作用を機能的に模倣するかおよび/またはそれに拮抗する。該剤としてはまた、5-フルオロウラシル、アファチニブ、アプリジン、アザリビン(azaribine)、アナストロゾール、アントラサイクリン、アキシチニブ、AVL-101、AVL-291、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリオスタチン-1、ブスルファン、カリケアミシン(calicheamycin)、カンプトテシン、カルボプラチン、10-ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、シスプラチナム(cisplatinum)、COX-2阻害剤、イリノテカン(CPT-11)、SN-38、カルボプラチン、クラドリビン(cladribine)、カンプトテカン(camptothecans)、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダサチニブ、ジナシクリブ(dinaciclib)、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、DM1、DM3、DM4、ドキソルビシン、2-ピロリノドキソルビシン(2-PDox)、2-PDoxのプロドラッグ形態(プロ-2-PDox)、シアノ-モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エンドスタチン、エピルビシングルクロニド、エルロチニブ、エストラムスチン(estramustine)、エポドフィロトキシン(epidophyllotoxin)、エルロチニブ、エンチノスタット、エストロゲン受容体結合剤、エトポシド(VP16)、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、エキセメスタン、フィンゴリモド、フロクスウリジン(FUdR)、3',5'-O-ジオレオイル-FudR(FUdR-dO)、フルダラビン、フルタミド、ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、フラボピリドール(flavopiridol)、フォスタマチニブ(fostamatinib)、ガネテスピブ、GDC-0834、GS-1101、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イブルチニブ、イダルビシン、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブ、ラパチニブ、レノリダミド(lenolidamide)、ロイコボリン、LFM-A13、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、モノメチルアウリスタチン(monomethylauristatin)F (MMAF)、モノメチルアウリスタチンD (MMAD)、モノメチルアウリスタチンE (MMAE)、ナベルビン(navelbine)、ネラチニブ、ニロチニブ、ニトロソウレア(nitrosurea)、オラパリブ、プリコマイシン(plicomycin)、プロカルバジン、パクリタキセル、PCI-32765、ペントスタチン(pentostatin)、PSI-341、ラロキシフェン、セムスチン、SN-38、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、タモキシフェン、テマゾロミド(temazolomide)、トランスプラチナム、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、バタラニブ(vatalanib)、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンカアルカノイドおよびZD1839またはそれらの薬学的に許容され得る塩が挙げられ得る。
【0098】
抗癌剤としては、限定されないが遺伝子の阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、調節剤、刺激剤、遮断薬、活性化剤または抑制剤、リガンド、受容体、タンパク質、因子、例えばアデノシン受容体(例えばA2B、A2a、A3)、エーベルソンマウス白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ1遺伝子(ABL、例えばABL1)、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(例えばACC1/2)、副腎皮質刺激ホルモン受容体(ACTH)、活性化CDCキナーゼ(ACK、例えばACK1)、アデノシンデアミナーゼ、アデニル酸シクラーゼ、ADPリボシルシクラーゼ-1、アエロリジン、アンギオテンシノゲン(AGT)遺伝子、マウス胸腺腫ウイルス癌遺伝子ホモログ1(AKT)プロテインキナーゼ(例えばAKT1、AKT2、AKT3)、AKT1遺伝子、アルカリ性ホスファターゼ、α1アドレナリン受容体(adrenoceptor)、α2アドレナリン受容体、α-ケトグルタレートデヒドロゲナーゼ(KGDH)、アミノペプチダーゼN、アルギニンデアミナーゼ、βアドレナリン受容体、退形成リンパ腫キナーゼ受容体、退形成リンパ腫キナーゼ(ALK、例えばALK1)、Alk-5プロテインキナーゼ、AMP活性化プロテインキナーゼ、アンドロゲン受容体、アンギオポイエチン(例えばリガンド-1、リガンド-2)、アポリポ蛋白A-I(APOA1)遺伝子、アポトーシスシグナル制御キナーゼ(ASK、例えばASK1)、アポトーシス誘導因子、アポトーシスタンパク質(例えば1、2)、アルギナーゼ(I)、アスパラギナーゼ、Asteroidホモログ1(ASTE1)遺伝子、毛細管拡張性運動失調およびRad 3関連(ATR)セリン/トレオニンプロテインキナーゼ、Axlチロシンキナーゼ受容体、アロマターゼ、オーロラプロテインキナーゼ(例えば1、2)、ベイシジン(Basigin)、BCR(切断点クラスター領域)タンパク質および遺伝子、B細胞リンパ腫2(BCL2)遺伝子、Bc12タンパク質、Bc12結合構成要素3、BCL2L11遺伝子、バキュロウイルスIAPリピート含有5(BIRCS)遺伝子、B-Rafプロト癌遺伝子(BRAF)、Brc-Ablチロシンキナーゼ、βカテニン、B-リンパ球抗原CD19、B-リンパ球抗原CD20、B-リンパ球刺激物質リガンド、B-リンパ球細胞接着分子、骨形成タンパク質-10リガンド、骨形成タンパク質-9リガンド調節因子、ブラキウリ(Brachyury)タンパク質、ブラジキニン受容体、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)、ブロモドメインおよび外部ドメイン(BET)ブロモドメイン含有タンパク質(例えばBRD2、BRD3、BRD4)、カルモジュリン、カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ(CaMK、例えばCAMKII)、癌精巣抗原2、癌精巣抗原NY-ESO-1、カンナビノイド受容体(例えばCB1、CB2)、カルボニックアンヒドラーゼ、カスパーゼ8アポトーシス関連システインペプチダーゼCASP8-FADD様制御因子、カスパーゼ(例えばカスパーゼ-3、カスパーゼ-7、カスパーゼ-9)、カスパーゼ補充ドメインタンパク質-15、カテプシンG、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体(例えばCCR2、CCR4、CCR5)、CCR5遺伝子、ケモカインCC21リガンド、分化のクラスター(CD)、例えばCD4、CD27、CD29、CD30、CD33、CD37、CD40、CD40リガンド受容体、CD40リガンド、CD40LG遺伝子、CD44、CD45、CD47、CD49b、CD51、CD52、CD55、CD58、CD66e、CD70遺伝子、CD74、CD79、CD79b、CD79B遺伝子、CD80、CD95、CD99、CD117、CD122、CDw123、CD134、CDw137、CD158a、CD158b1、CD158b2、CD223、CD276抗原;絨毛性ゴナドトロピン、サイクリンG1、サイクリンD1、サイクリン依存性キナーゼ(CDK、例えばCDK1、CDK1B、CDK2-9)、カゼインキナーゼ(CK、例えばCM、CMI)、c-Kit(チロシン-プロテインキナーゼKitまたはCD117)、c-Met(肝細胞成長因子受容体(HGFR))、CDK-活性化キナーゼ(CAK)、チェックポイントキナーゼ(例えばCHK1、CHK2)、コレシストキニンCCK2受容体、クローディン(例えば6、18)、クラステリン、補体C3、COP9シグナロソームサブユニット5、CSF-1(コロニー刺激因子1受容体)、CSF2遺伝子、クラステリン(CLU)遺伝子、結合組織成長因子、シクロオキシゲナーゼ(例えば1、2)、癌/精巣抗原1B(CTAG1)遺伝子、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4)受容体、CYP2B1遺伝子、システインパルミトイルトランスフェラーゼヤマアラシ(porcupine)、サイトカインシグナル伝達-1、サイトカインシグナル伝達-3、シトクロムP450 11B2、シトクロムP450レダクターゼ、シトクロムP450 3A4、シトクロムP450 17A1、シトクロムP450 17、シトクロムP450 2D6、(ただし抗癌またはシトクロム(cytrochrome)改変剤はコビシスタット以外の何かである)、細胞質イソシトレートデヒドロゲナーゼ、シトシンデアミナーゼ、シトシンDNAメチルトランスフェラーゼ、細胞傷害性Tリンパ球タンパク質-4、ケモカイン(C--X--Cモチーフ)受容体(例えばCXCR4、CXCR1およびCXCR2)、δ様タンパク質リガンド(例えば3、4)、デオキシリボヌクレアーゼ、Dickkopf-1リガンド、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ、DNA結合タンパク質(例えばHU-β)、DNA依存性プロテインキナーゼ、DNAジャイレース、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAポリメラーゼ(例えばα)、DNAプライマーゼ、ディスコイジンドメイン受容体(DDR、例えばDDR1)、DDR2遺伝子、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ジペプチジルペプチダーゼIV、L-ドパクロムトートメラーゼ、dUTPピロホスファターゼ、棘皮動物微小管様タンパク質4、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子、EGFRチロシンキナーゼ受容体、真核生物翻訳開始因子5A(EIFSA)遺伝子、エラスターゼ、伸長因子1α2、伸長因子2、エンドグリン、エンドヌクレアーゼ、エンドプラスミン、エンドシアリン(Endosialin)、エンドスタチン、エンドセリン(例えばET-A、ET-B)、zesteホモログ2のエンハンサー(EZH2)、上皮成長因子、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、エフリン(EPH)チロシンキナーゼ(例えばEpha3、Ephb4)、エフリンB2リガンド、エピジェン、Erb-b2(v-erb-b2トリ赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2)チロシンキナーゼ受容体、Erb-b3チロシンキナーゼ受容体、Erb-b4チロシンキナーゼ受容体、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)、E-セレクチン、エストラジオール17βデヒドロゲナーゼ、エストロゲン受容体(例えばα、β)、エストロゲン関連受容体、エクスポーチン(Exportin)1、細胞外シグナル関連キナーゼ(例えば1、2)、因子(例えば第Xa、第VIIa)、Fasリガンド、脂肪酸シンターゼ、フェリチン、接着斑キナーゼ(FAK、例えばFAK2)、線維芽細胞成長因子(FGF、例えばFGF1、FGF2、FGF4)、FGF-2リガンド、FGF-5リガンド、フィブロネクチン、Fms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)、ファルネソイド(farnesoid)x受容体(FXR)、葉酸塩、葉酸塩トランスポーター1、葉酸塩受容体(例えばα)、葉酸塩ヒドロラーゼ前立腺特異的膜抗原1(FOLH1)、対になった塩基性アミノ酸切断酵素(FURIN)、FYNチロシンキナーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、ガレクチン-3、グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質GITR受容体、グルココルチコイド、β-グルクロニダーゼ、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、グルタミナーゼ、グルタチオンS-トランスフェラーゼP、グリピカン3(GPC3)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK、例えば3-β)、顆粒球-コロニー刺激因子(GCSF)リガンド、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)受容体、ゴナドトロピン放出ホルモン(GNRH)、成長因子受容体結合タンパク質2(GRB2)、分子シャペロンgroEL2遺伝子、Grp78 (78kDaグルコース調節タンパク質)カルシウム結合タンパク質、刷り込み母性発現転写産物(H19)遺伝子、熱安定エンテロトキシン受容体、ヘパラナーゼ、肝細胞成長因子、熱ショックタンパク質遺伝子、熱ショックタンパク質(例えば27、70、90α、β)、Hedgehogタンパク質、HERV-H LTR関連タンパク質2、ヘキソースキナーゼ、チロシン-プロテインキナーゼHCK、ヒスタミンH2受容体、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC、例えば1、2、3、6、10、11)、ヒストンH1、ヒストンH3、ヒストンメチルトランスフェラーゼ(DOT1L)、ヒト白血球抗原(HLA)、HLAクラスI抗原(A-2α)、HLAクラスII抗原、ホメオボックスタンパク質NANOG、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ1(MAP4K1、HPK1)、HSPB1遺伝子、ヒトパピローマウイルス(例えばE6、E7)タンパク質、ヒアルロニダーゼ、ヒアルロン酸、低酸素誘導因子-1α、細胞内接着分子1 (ICAM-1)、免疫グロブリン(例えばG、G1、G2、K、M)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO、例えばIDO1)、インドールアミンピロール2,3-ジオキシゲナーゼ1阻害剤、I-κ-Bキナーゼ(IKK、例えばIKK.β..ε.)、免疫グロブリンFc受容体、免疫グロブリンγFc受容体(例えばI、III、IIIA)、インターロイキン1リガンド、インターロイキン2リガンド、インターロイキン-2、IL-2遺伝子、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2受容体αサブユニット、IL-3受容体、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-12、IL-15、IL-12遺伝子、IL-17、インターロイキン13受容体α2、インターロイキン-29リガンド、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)、インスリン様成長因子(例えば1、2)、インスリン受容体、インテグリンα-V/β-3、インテグリンα-V/β-5、インテグリンα-V/β-6、インテグリンα-5/β-1、インテグリンα-4/β-1、インテグリンα-4/β-7、インターフェロン誘導タンパク質アブセントインメラノーマ(absent in melanoma) 2 (AIM2)、インターフェロン(例えばα、α2、β、γ)、インターフェロンI型受容体、イソシトレートデヒドロゲナーゼ(例えばIDH1、IDH2)、Janusキナーゼ(JAK、例えばJAK1、JAK2)、Jun N末端キナーゼ、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)、キラー細胞Ig様受容体、キスペプチン(KISS-1)受容体、v-kit Hardy-Zuckerman 4ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KIT)チロシンキナーゼ、KIT遺伝子、キネシン様タンパク質KIF11、カリクレイン関連ペプチダーゼ3(KLK3)遺伝子、Kirstenラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)遺伝子、ラクトフェリン、リンパ球活性化遺伝子3タンパク質(LAG-3)、リソソーム関連膜タンパク質ファミリー(LAMP)遺伝子、ラノステロール-14デメチラーゼ、LDL受容体関連タンパク質-1、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ、リステオリシン、L-セレクチン、黄体形成ホルモン受容体、リアーゼ、リンパ球抗原75、リジンデメチラーゼ(例えばKDM1、KDM2、KDM4、KDM5、KDM6、A/B/C/D)、リンパ球機能抗原-3受容体、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK)、リンホタクチン、Lyn (Lck/Yes novel)チロシンキナーゼ、リソホスファチデート-1受容体、リシルオキシダーゼタンパク質(LOX)、リシルオキシダーゼ様タンパク質(LOXL、例えばLOXL2)、リシルオキシダーゼホモログ2、マクロファージ遊走阻害因子(fact)、黒色腫抗原ファミリーA3(MAGEA3)遺伝子、MAGEC1遺伝子、MAGEC2遺伝子、主要ヴォールト(Major vault)タンパク質、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(MARCKS)タンパク質、Melan-A(MART-1)黒色腫抗原、Mas関連Gプロテイン共役受容体、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP、例えばMMP2、MMP9)、骨髄細胞白血病1(MCL1)遺伝子、Mcl-1分化タンパク質、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)リガンド、黒色腫関連抗原(例えば1、2、3、6)、色素細胞刺激ホルモンリガンド、色素細胞タンパク質Pmel 17、膜銅アミンオキシダーゼ、メソテリン、代謝生成物産性グルタミン酸受容体1、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK、例えばMEK1、MEK2)、肝細胞成長因子受容体(MET)遺伝子、METチロシンキナーゼ、メチオニンアミノペプチダーゼ-2、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、Mdm2 p53結合タンパク質、Mdm4タンパク質、メタロレダクターゼSTEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原1)、メタスチン、メチルトランスフェラーゼ、ミトコンドリア3ケトアシルCoAチオラーゼ、MAPK活性化プロテインキナーゼ(例えばMK2)、mTOR(ラパマイシンの機械作用性標的(セリン/トレオニンキナーゼ)、mTOR複合体(例えば1、2)、ムチン(例えば1、5A、16)、mut Tホモログ(MTH、例えばMTH1)、Mycプロト-癌遺伝子タンパク質、NAD ADPリボシルトランスフェラーゼ、ナトリウム利尿ペプチド受容体C、神経細胞接着分子1、ニューロキニン受容体、ニューロフィリン(Neuropilin)2、一酸化窒素シンターゼ、核性因子(NF)κB、NFκB活性化タンパク質、ニューロキニン1(NK1)受容体、NK細胞受容体、NK3受容体、NKG2 A B活性化NK受容体、NIMA関連キナーゼ9(NEK9)、ノルアドレナリントランスポーター、Not
ch(例えばNotch-2受容体、Notch-3受容体)、ヌクレオホスミン-退形成リンパ腫キナーゼ(NPM-ALK)、2,5-オリゴアデニル酸シンテターゼ、核エリスロイド(Nuclear erythroid)2関連因子2、ヌクレオリン、ヌクレオホスミン、O-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ、オロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ、オーファン核ホルモン受容体NR4A1、オピオイド受容体(例えばδ)、オステオカルシン、破骨細胞分化因子、オステオポンチン、OX-40(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4 TNFRSF4またはCD134)受容体、2オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ、プリン作動性受容体P2Xリガンドゲートイオンチャンネル7(P2X7)、副甲状腺ホルモンリガンド、p53腫瘍サプレッサタンパク質、P3タンパク質、プログラム細胞死1(PD-1)、プロト-癌遺伝子セリン/トレオニン-プロテインキナーゼ(PIM、例えばPIM-1、PIM-2、PIM-3)、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP、例えばPARP1、2および3)、p38キナーゼ、p38 MAPキナーゼ、血小板由来成長因子(PDGF、例えばα、β)、P-糖蛋白(例えば1)、血小板由来成長因子(PDGF、例えばα、β)、PKN3遺伝子、P-セレクチン、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)、ホスフォイノシチド-3キナーゼ(PI3K、例えばα、δ、γ)、ホスホリラーゼキナーゼ(PK)、胎盤成長因子、多形質発現性薬物耐性トランスポーター、プレキシン(Plexin)B1、Polo様キナーゼ1、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR、例えばα、δ、γ)、黒色腫内で優先的に発現される抗原(PRAME)の遺伝子、ありそうな転写因子PML、プログラム細胞死リガンド1阻害剤(PD-L1)、プロゲステロン受容体、前立腺特異的抗原、前立腺酸性ホスファターゼ、プロスタノイド受容体(EP4)、プロテアソーム、タンパク質ファルネシルトランスフェラーゼ、プロテインキナーゼ(PK、例えばA、B、C)、プロテインE7、プロテインチロシンキナーゼ、プロテインチロシンホスファターゼβ、polo様キナーゼ(PLK)、PLK1遺伝子、プレニル結合タンパク質(PrPB)、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ、プロサポシン(PSAP)遺伝子、ホスファターゼおよびtensinホモログ(PTEN)、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ピルビン酸キナーゼ(PYK)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ、Rafプロテインキナーゼ(例えば1、B)、RAF1遺伝子、Ras GTPアーゼ、Ras遺伝子、5-α-レダクターゼ、RET遺伝子、Retチロシンキナーゼ受容体、網膜芽腫関連タンパク質、レチノイン酸受容体(例えばγ)、レチノイドX受容体、Rheb(脳内で富化されるRasホモログ)GTPアーゼ、Rho (Rasホモログ)関連プロテインキナーゼ2、リボヌクレアーゼ、リボヌクレオチドレダクターゼ(例えばM2サブユニット)、リボソームタンパク質S6キナーゼ、RNAポリメラーゼ(例えばI、II)、Ron (Recepteur d'Origine Nantais)チロシンキナーゼ、ROS1 (ROSプロト-癌遺伝子1、受容体チロシンキナーゼ)遺伝子、Ros1チロシンキナーゼ、Runt関連転写因子3、5100カルシウム結合タンパク質A9、筋小胞体(Sarco endoplasmic)カルシウムATPアーゼ、γセクレターゼ、分泌frizzled関連タンパク質-2、セマフォリン-4D、SLサイトカインリガンド、セリンプロテアーゼ、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)ファミリーメンバー7、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)、Srcチロシンキナーゼ、腫瘍進行座2(TPL2)、セリン/トレオニンキナーゼ(STK)、シグナル伝達および転写(STAT、例えばSTAT-1、STAT-3、STAT-5)、カスパーゼの第2のミトコンドリア由来活性化因子(SMAC)タンパク質、smoothened (SMO)受容体、リン酸ナトリウム共トランスポーター2B、ヨウ化ナトリウム共トランスポーター、ソマトスタチン受容体(例えば1、2、3、4、5)、Sonic hedgehogタンパク質、特異的タンパク質1(Sp1)転写因子、スフィンゴミエリンシンターゼ、スフィンゴシン-1-ホスフェート受容体-1、スフィンゴシンキナーゼ(例えば1、2)、SRC遺伝子、STAT3遺伝子、前立腺の6回膜貫通上皮抗原(STEAP)の遺伝子、ステロイドスルファターゼ、インターフェロン遺伝子の刺激因子タンパク質、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)受容体、ストロマ細胞由来因子1リガンド、SUMO(小ユビキチン様改変因子)、スーパーオキシドジムスターゼ、サーバイビンタンパク質、シナプシン3、シンデカン-1、シヌクレインα、セリン/トレオニン-プロテインキナーゼ(TBK、例えばTBK1)、TATAボックス結合タンパク質関連因子RNAポリメラーゼIサブユニットB(TAF1B)遺伝子、T細胞表面糖蛋白CD8、T細胞CD3糖蛋白ζ鎖、T細胞分化抗原CD6、T細胞表面糖蛋白CD28、Tecプロテインチロシンキナーゼ、Tekチロシンキナーゼ受容体、テロメラーゼ、テネイシン、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)遺伝子、トランスホーミング増殖因子(TGF、例えばβ)キナーゼ、TGFβ2リガンド、T細胞免疫グロブリンおよびムチン-ドメイン含有-3(TIM-3)、組織因子、腫瘍壊死因子(TNF、例えばα、β)、TNF関連アポトーシス誘導リガンド、TNFR1関連デスドメインタンパク質、TNFSF9遺伝子、TNFSF11遺伝子、トロホブラスト糖蛋白(TPBG)遺伝子、トランスフェリン、トロポミオシン受容体キナーゼ(Trk)受容体(例えばTrkA、TrkB、TrkC)、トロホブラスト糖蛋白、チミジル酸シンターゼ、免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ(TIE)受容体、Toll様受容体(TLR、例えば1~13)、トポイソメラーゼ(例えばI、II、III)、腫瘍タンパク質53(TP53)遺伝子、転写因子、トランスフェラーゼ、トランスホーミング増殖因子TGF-.β.受容体キナーゼ、トランスグルタミナーゼ、転座関連タンパク質、膜貫通糖蛋白NMB、腫瘍壊死因子13C受容体、チミジンキナーゼ、チミジンホスホリラーゼ、チミジル酸シンターゼ、サイモシン(例えばα1)、甲状腺ホルモン受容体、Trop-2カルシウムシグナル伝達体、甲状腺刺激ホルモン受容体、トリプトファン5-ヒドロキシラーゼ、チロシナーゼ、チロシンキナーゼ(TK)、チロシンキナーゼ受容体、チロシンプロテインキナーゼABL1阻害剤、tank結合キナーゼ(TBK)、トロンボポエチン受容体、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)受容体、チューブリン、腫瘍サプレッサ候補2(TUSC2)遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ、ユビキチンコンジュゲート酵素E2I(UBE2I、UBC9)、ユビキチン、ユビキチンカルボキシルヒドロラーゼアイソザイムL5、ユビキチンチオエステラーゼ-14、ウレアーゼ、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子、ウテログロビン、バニロイドVR1、脈管細胞接着タンパク質1、脈管内皮成長因子受容体(VEGFR)、T細胞活性化のV-ドメインIgサプレッサ(VISTA)、VEGF-1受容体、VEGF-2受容体、VEGF-3受容体、VEGF-A、VEGF-B、ビメンチン、ビタミンD3受容体、プロト-癌遺伝子チロシン-プロテインキナーゼYes、Wee-1プロテインキナーゼ、ウィルムス腫瘍タンパク質、ウィルムス腫瘍抗原1、アポトーシスタンパク質のX関連阻害剤、Zincフィンガータンパク質転写因子またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0099】
抗癌剤としては、それらの作用機構または部類により定義される薬剤が挙げられ:代謝拮抗物質/抗癌剤、例えばピリミジンアナログフロクスウリジン、カペシタビン、シタラビン、CPX-351(リポソームシタラビン、ダウノルビシン)、TAS-118;プリンアナログ、葉酸アンタゴニスト(例えばプララトレキサート(pralatrexate))および関連のある阻害剤;抗増殖/抗有糸分裂剤、例えばビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン)などの天然の生成物およびタキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)などの微小管、ビンブラスチン、ノコダゾール(nocodazole)、エポチロン、ビノレルビン)(NAVELBINE)およびエピポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド);DNA損傷剤、例えばアクチノマイシン、アムサクリン(amsacrine)、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド)(CYTOXAN)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イホスファミド(iphosphamide)、メルファラン、メクロレタミン(merchlorethamine)、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テニポシド、エトポシドおよびトリエチレンチオホスホルアミド;DNA低メチル化剤、例えばグアデシタビン(SGI-110)抗生物質、例えばダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)および;酵素、例えばL-アスパラギンを全身的に代謝して、それら自身のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を枯渇させるL-アスパラギナーゼ;抗血小板剤;Bcl-2を標的化するDNAiオリゴヌクレオチド、例えばPNT2258;潜伏性のヒト免疫不全ウイルス(HIV)を活性化または再活性化する薬剤、例えばパノビノスタットまたはロミデプシンアスパラギナーゼ刺激因子、例えばクリサンタスパーゼ(ERWINASE(登録商標))およびGRASPA (ERY-001、ERY-ASP);pan-Trk、ROS1およびALK阻害剤、例えばエヌトレクチニブ退形成リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤、例えばアレクチニブ(alectinib)抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタードシクロホスファミドおよびアナログ(メルファラン、クロラムブシル、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルニトロソ尿素(カルムスチン)およびアナログ、ストレプトゾシンおよびトリアゼン(ダカルバジン);抗増殖/抗有糸分裂性代謝拮抗物質、例えば葉酸アナログ(メトトレキサート);白金配位錯体(シスプラチン、オキサリプラチナム(oxiloplatinim)およびカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタンおよびアミノグルテチミド(aminoglutethimide);ホルモン、ホルモンアナログ(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミドおよびニルタミド(nilutamide))およびアロマターゼ阻害剤(レトロゾールおよびアナストロゾール);抗凝固剤、例えばヘパリン、合成ヘパリン塩および他のトロンビンの阻害剤;フィブリン溶解性剤、例えば組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジンおよびクロピドグレル;抗遊走剤;抗分泌剤(ブレベルジン(breveldin));免疫抑制剤タクロリムス、シロリムス、アザチオプリンおよびミコフェノール酸;化合物(TNP-470、ゲニステイン)および成長因子阻害剤(脈管内皮成長因子阻害剤および線維芽細胞成長因子阻害剤、例えばFPA14;アンギオテンシン受容体遮断薬、一酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えばAEG35156;DNA干渉オリゴヌクレオチド、例えばPNT2258、AZD-9150抗体、例えばトラスツズマブおよびリツキシマブ;抗HER3抗体、例えばLJM716抗HER2抗体、例えばマルゲツキシマブ;抗HLA-DR抗体、例えばIMMU-114;抗IL-3抗体、例えばJNJ-56022473;抗OX40抗体、例えばMEDI6469抗EphA3抗体、例えばKB-004;抗CD20抗体、例えばオビヌツズマブ;抗プログラム細胞死タンパク質1(抗PD-1)抗体、例えばニボルマブ(OPDIVO、BMS-936558、MDX-1106)、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA、MK-3477、SCH-900475、ラムブロリズマブ、CAS Reg. No. 1374853-91-4)、ピジリズマブ(pidilizumab)および抗プログラム死-リガンド1(抗PD-L1)抗体、例えばBMS-936559、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、デュルバルマブ(MEDI4736)、アベルマブ(MSB0010718C)およびMDX1105-01、CXCR4アンタゴニスト、例えばBL-8040;CXCR2アンタゴニスト、例えばAZD-5069;GM-CSF抗体、例えばレンジルマブ(lenzilumab)が挙げられる。選択的エストロゲン受容体下方制御因子(SERD)、例えばフルベストラント(Faslodex);トランスホーミング成長因子-β(TGF-β)キナーゼアンタゴニスト、例えばガルニセルチブ;二重特異性抗体、例えばMM-141 (IGF-1/ErbB3)、MM-111 (Erb2/Erb3)、JNJ-64052781 (CD19/CD3)。変異体選択的EGFR阻害剤、例えばPF-06747775、EGF816、ASP8273、ACEA-0010、BI-1482694。α-ケトグルタレートデヒドロゲナーゼ(KGDH)阻害剤、例えばCPI-613、XPO1阻害剤、例えばセリネクソル(KPT-330)。イソシトレートデヒドロゲナーゼ2(IDH2)阻害剤、例えばエナシデニブ(enasidenib)(AG-221)およびIDH1阻害剤、例えばAG-120およびAG-881(IDH1およびIDH2)。インターロイキン-3受容体(IL-3R)を標的化する薬剤、例えばSL-401。アルギニンデイミナーゼ刺激因子、例えばペガルギミナーゼ(pegargiminase)(ADI-PEG-20)抗体-薬物コンジュゲート、例えばMLN0264 (抗GCC、グアニリルシクラーゼC)、T-DM1(トラスツズマブエムタンシン、Kadcycla)、ミラツズマブ(milatuzumab)-ドキソルビシン(hCD74-DOX)、ブレンツキシマブベドチン、DCDT2980S、ポラツズマブベドチン、SGN-CD70A、SGN-CD19A、イノツズマブオゾガマイシン、ロルボツズマブメルタンシン、SAR3419、サシツズマブゴビテカン(isactuzumab govitecan)、抗クローディン-18.2抗体、例えばIMAB362.β.-カテニン阻害剤、例えばCWP-291 CD73アンタゴニスト、例えばMEDI-9447;c-PIM阻害剤、例えばPIM447、BRAF阻害剤、例えばダブラフェニブ、ベムラフェニブ、スフィンゴシンキナーゼ-2(SK2)阻害剤、例えばYeliva. (ABC294640)細胞周期阻害剤、例えばセルメチニブ(selumetinib) (MEK1/2)、サパシタビン(sapacitabine)、AKT阻害剤、例えばMK-2206、イパタセルチブ(ipatasertib)、アフレセルチブ(afuresertib)、抗CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球タンパク質-4)阻害剤、例えばトレメリムマブ、c-MET阻害剤、例えばAMG-337、サボリチニブ(savolitinib)、チバンチニブ(tivantinib)(ARQ-197)、カプマチニブ、CSF1R/KITおよびFLT3のテポチニブ阻害剤、例えばPLX3397、キナーゼ阻害剤、例えばバンデタニブ;Eセレクチンアンタゴニスト、例えばGMI-1271、分化誘導因子、例えばトレチノイン;上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、例えばオシメルチニブ(osimertinib)(AZD-9291)トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド(eniposide)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン、ミトキサントロン、ピキサントロン、ソブゾキサン(sobuzoxane)、トポテカンおよびイリノテカン、MM-398(リポソームイリノテカン)、ボサロキシン(vosaroxin)およびコルチコステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾンおよびプレドニゾロン);成長因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;機能不全誘導因子;ヌクレオシドアナログ、例えばDFP-10917 Axl阻害剤、例えばBGB-324;BET阻害剤、例えばINCB-054329、PARP阻害剤、例えばオラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ(veliparib)、プロテアソーム阻害剤、例えばイキサゾミブ(ixazomib)、カルフィルゾミブ(carfilzomib)(Kyprolis);グルタミナーゼ阻害剤、例えばCB-839;ワクチン、例えばペプチドワクチンTG-01(RAS)、細菌性ベクターワクチン、例えばCRS-207/GVAX、自己Gp96ワクチン、樹状細胞ワクチン、Oncoquest-Lワクチン、DPX-Survivac、ProstAtak、DCVAC、ADXS31-142、デムシズマブ(demcizumab)(抗DLL4、δ様リガンド4、Notch経路)、ナパブカシン(napabucasin)(BBI-608) smoothened (SMO)受容体阻害剤、例えばOdomzo(登録商標). (ソニデギブ(sonidegib)、以前はLDE-225)、LEQ506、ビスモデギブ(GDC-0449)、BMS-833923、グラスデギブ(PF-04449913)、LY2940680およびイトラコナゾール;インターフェロンαリガンド調節因子、例えばインターフェロンα-2b、インターフェロンα-2aバイオシミラー(Biogenomics)、ロペグインターフェロンα-2b (AOP-2014、P-1101、PEG IFNα-2b)、Multiferon (Alfanative、Viragen)、インターフェロンα1b、Roferon-A (Canferon、Ro-25-3036)、インターフェロンα-2a後継生物製剤(Biosidus) (Inmutag、Inter 2A)、インターフェロンα-2b後継生物製剤(Biosidus-バイオフェロン(Bioferon)、サイトフェロン(Citopheron)、ガナパー(Ganapar)) (Beijing Kawin Technology-Kaferon) (AXXO-インターフェロンα-2b)、アルファフェロン(alfaferone)、ペグ化インターフェロンα-1b、ペグインターフェロンα-2b後継生物製剤(Amega)、組換えヒトインターフェロンα-1b、組換えヒトインターフェロンα-2a、組換えヒトインターフェロンα-2b、ベルツズマブ(veltuzumab)-IFNα2bコンジュゲート、ダイナバックス(SD-101)およびインターフェロンα-n1 (Humoferon、SM-10500、Sumiferon);インターフェロンγリガンド調節因子、例えばインターフェロンγ(OH-6000、Ogamma 100);IL-6受容体調節因子、例えばトシリズマブ、シルツキシマブ、AS-101 (CB-06-02、IVX-Q-101);テロメラーゼ調節因子、例えばタートモチド(tertomotide)(GV-1001、HR-2802、Riavax)およびイメテルスタット(GRN-163、JNJ-63935937) DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばテモゾロミド(CCRG-81045)、デシタビン(decitabine)、グアデシタビン(S-110、SGI-110)、KRX-0402およびアザシチジン;DNAジャイレース阻害剤、例えばピキサントロンおよびソブゾキサン;Bcl-2ファミリータンパク質阻害剤ABT-263、ベネトクラクス(ABT-199)、ABT-737およびAT-101;Notch阻害剤、例えばLY3039478、タレクスツマブ(tarextumab)(抗Notch2/3)、BMS-906024抗ミオスタチン阻害剤、例えばランドグロズマブ(landogrozumab)、ヒアルロニダーゼ刺激因子、例えばPEGPH-20、Wnt経路阻害剤、例えばSM-04755、PRI-724、γ-セクレターゼ阻害剤、例えばPF-03084014、IDO阻害剤、例えばインドキシモド(indoximod)、Grb-2(成長因子受容体結合タンパク質-2)阻害剤BP1001(リポソームGrb-2)、TRAIL経路誘導化合物、例えばONC201、接着斑キナーゼ阻害剤、例えばVS-4718、デファチニブ(defactinib)、hedgehog阻害剤、例えばサリデギブ(saridegib)、ソニデギブ(LDE225)、グラスデギブおよびビスモデギブ、オーロラキナーゼ阻害剤、例えばアリセルチブ(alisertib)(MLN-8237)、HSPB1活性の調節因子(熱ショックタンパク質27、HSP27)、例えばブリブジン、アパトルセン(apatorsen)、ATR阻害剤、例えばAZD6738およびVX-970、mTOR阻害剤、例えばサパニセルチブ(sapanisertib)、Hsp90阻害剤、例えばAUY922。マウス二重マイニュート(mdm2)癌遺伝子阻害剤、例えばDS-3032b CD137アゴニスト、例えばウレルマブ、抗KIRモノクローナル抗体、例えばリリルマブ(lirilumab)(IPH-2102)。抗原CD19阻害剤、例えばMOR208、MEDI-551、AFM-11、CD44結合体、例えばA6、CYP17阻害剤、例えばVT-464、ASN-001、ODM-204。RXRアゴニスト、例えばIRX4204、TLR(Toll様受容体)アゴニスト、例えばIMO-8400 A hedgehog/smoothened (hh/Smo)アンタゴニスト、例えばタラデギブ(taladegib)。免疫調節因子、例えば補体C3調節因子、例えばImprime PGG。腫瘍内(Intratumural)免疫-腫瘍学剤、例えばG100 (TLR4アゴニスト)IL-15アゴニスト、例えばALT-803 EZH2 (zesteホモログ2のエンハンサー)阻害剤、例えばタゼメトスタット(tazemetostat)。腫瘍崩壊性ウイルス、例えばペラレオレプ(pelareorep)およびタリモジェンラヘルパレプベク(talimogene laherparepvec))。DOT1L(ヒストンメチルトランスフェラーゼ)阻害剤、例えばピノメトスタット(pinometostat)(EPZ-5676)、毒素、例えばコレラ毒素、リシン、シュードモナス属外毒素、百日咳菌アデニル酸シクラーゼ毒素、ジフテリア毒素および
カスパーゼ活性化因子;ならびにクロマチン。DNAプラスミド、例えばBC-819。PLK 1、2および3のPLK阻害剤、例えばボラセルチブ(volasertib)(PLK1)。アポトーシスシグナル制御キナーゼ(ASK)阻害剤:ASK阻害剤としてはASK1阻害剤が挙げられる。ASK1阻害剤の例としては、限定されないが、WO 2011/008709 (Gilead Sciences)およびWO 2013/112741 (Gilead Sciences)に記載されるものが挙げられる。ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤:BTK阻害剤の例としては、限定されないが、(S)-6-アミノ-9-(1-(ブト-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-7-(4-フェノキシフェニル)-7H-プリン-8(9H)-オン、アカラブルチニブ(acalabrutinib)(ACP-196)、BGB-3111、HM71224、イブルチニブ、M-2951、ONO-4059、PRN-1008、スペブルチニブ(spebrutinib)(CC-292)、TAK-020が挙げられる。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤:CDK阻害剤としては、CDK 1、2、3、4、6および9の阻害剤、例えばアベマシクリブ、アルボシジブ(alvocidib)(HMR-1275、フラボピリドール(flavopiridol))、AT-7519、FLX-925、LEE001、パルボシクリブ、リボシクリブ、リゴサチブ(rigosertib)、セリネクソル、UCN-01およびTG-02が挙げられる。ディスコイジンドメイン受容体(DDR)阻害剤:DDR阻害剤としては、DDR1および/またはDDR2の阻害剤が挙げられる。DDR阻害剤の例としては、限定されないが、WO 2014/047624 (Gilead Sciences)、US 2009-0142345 (Takeda Pharmaceutical)、US 2011-0287011 (Oncomed Pharmaceuticals)、WO 2013/027802 (Chugai Pharmaceutical)およびWO 2013/034933 (Imperial Innovations)に開示されるものが挙げられる。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤:HDAC阻害剤の例としては、限定されないが、アベキシノスタット(abexinostat)、ACY-241、AR-42、BEBT-908、ベリノスタット、CKD-581、CS-055 (HBI-8000)、CUDC-907、エンチノスタット、ジビノスタット(givinostat)、モセチノスタット、パノビノスタット、プラシノスタット、キシノスタット(JNJ-26481585)、レスミノスタット、リコリノスタット(ricolinostat)、SHP-141、バルプロ酸(VAL-001)、ボリノスタットが挙げられる。Janusキナーゼ(JAK)阻害剤:JAK阻害剤は、JAK1、JAK2および/またはJAK3を阻害する。JAK阻害剤の例としては、限定されないが、AT9283、AZD1480、バリシチニブ、BMS-911543、フェドラチニブ、フィルゴチニブ(GLPG0634)、ガンドチニブ(gandotinib)(LY2784544)、INCB039110、レスタウルチニブ、モメロチニブ(CYT0387)、NS-018、パクリチニブ(SB1518)、ペフィシチニブ(ASP015K)、ルキソリチニブ、トファシチニブ(以前はタスコシチニブ(tasocitinib))およびXL019が挙げられる。リシルオキシダーゼ様タンパク質(LOXL)阻害剤:LOXL阻害剤としては、LOXL1、LOXL2、LOXL3、LOXL4および/またはLOXL5の阻害剤が挙げられる。LOXL阻害剤の例としては、限定されないが、WO 2009/017833 (Arresto Biosciences)に記載される抗体が挙げられる。LOXL2阻害剤の例としては、限定されないが、WO 2009/017833 (Arresto Biosciences)、WO 2009/035791 (Arresto Biosciences)およびWO 2011/097513 (Gilead Biologics)に記載される抗体が挙げられる。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤:MMP阻害剤としては、MMP1~10の阻害剤が挙げられる。MMP9阻害剤の例としては、限定されないが、マリマスタット(marimastat)(BB-2516)、シペマスタット(cipemastat)(Ro 32-3555)およびWO 2012/027721 (Gilead Biologics)に記載されるものが挙げられる。マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤:MEK阻害剤としては、アントロキノノール、ビニメチニブ(binimetinib)、コビメチニブ(GDC-0973、XL-518)、MT-144、セルメチニブ(AZD6244)、ソラフェニブ、トラメチニブ(GSK1120212)、ウプロセルチブ(uprosertib)+トラメチニブが挙げられる。ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤:PI3K阻害剤としては、PI3K.γ.、PI3K.δ.、PI3.β.、PI3K.α.および/またはpan-PI3Kの阻害剤が挙げられる。PI3K阻害剤の例としては、限定されないが、ACP-319、AEZA-129、AMG-319、AS252424、BAY 10824391、BEZ235、ブパルリシブ(buparlisib)(BKM120)、BYL719(アルペリシブ)、CH5132799、コパンリシブ(copanlisib)(BAY 80-6946)、デュベリシブ(duvelisib)、GDC-0941、GDC-0980、GSK2636771、GSK2269557、イデラリシブ(ZYDELIG(登録商標))、IPI-145、IPI-443、KAR4141、LY294002、Ly-3023414、MLN1117、OXY111A、PA799、PX-866、RG7604、リゴセルチブ、RP5090、タセリシブ(taselisib)、TG100115、TGR-1202、TGX221、WX-037、X-339、X-414、XL147 (SAR245408)、XL499、XL756、ウォルトマンニン(wortmannin)、ZSTK474ならびにWO 2005/113556 (ICOS)、WO 2013/052699 (Gilead Calistoga)、WO 2013/116562 (Gilead Calistoga)、WO 2014/100765 (Gilead Calistoga)、WO 2014/100767 (Gilead Calistoga)およびWO 2014/201409 (Gilead Sciences)に記載される化合物が挙げられる。脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤:SYK阻害剤の例としては、限定されないが、6-(1H-インダゾール-6-イル)-N-(4-モルホリノフェニル)イミダゾ[1,2-アルピラジン-8-アミン、BAY-61-3606、セルデュラチニブ(cerdulatinib)(PRT-062607)、エントスプレチニブ(entospletinib)、ホスタマチニブ(R788)、HMPL-523、NVP-QAB 205 AA、R112、R343、タマチニブ(tamatinib)(R406)ならびに米国特許第8,450,321号(Gilead Conn.)に記載されるものならびにU.S. 2015/0175616に記載されるものが挙げられる。チロシン-キナーゼ阻害剤(TKI):TKIは、上皮成長因子受容体(EGFR)ならびに線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)および脈管内皮成長因子(VEGF)の受容体を標的化し得る。TKIの例としては、限定されないが、アファチニブ、ボスチニブ、ブリグチニブ、カボザンチニブ、クレノラニブ(crenolanib)、ダコミチニブ、ダサチニブ、ドビチニブ(dovitinib)、E-6201、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ギルテリチニブ(ASP-2215)、HM61713、イコチニブ、イマチニブ、KX2-391 (Src)、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ミドスタウリン、ニンテダニブ、オシメルチニブ(AZD-9291)、ポナチニブ、ポジオチニブ(poziotinib)、キザルチニブ、ラドチニブ(radotinib)、ロシレチニブ(rociletinib)、スニチニブおよびTH-4000が挙げられる。さらなる抗癌剤としては:アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN);アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン(piposulfan);アジリジン、例えばベンゾデパ(benzodepa)、カルボコン、メツレデパおよびウレデパ(uredepa);エチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine)、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミン(trimemylolomelamine);アセトゲニン、特にブラタシン(bullatacin)およびブラタシノン(bullatacinone);カンプトテシン、例えば合成アナログトポテカン;ブリオスタチン、カリスタチン;CC-1065、例えばそのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)およびビゼレシン合成アナログ;クリプトフィシン(cryptophycin)、特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8;ドラスタチン(dolastatin);デュオカルマイシン(duocarmycin)、例えば合成アナログKW-2189およびCBI-TMI;エリュテロビン(eleutherobin);5-アザシチジン;パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロマファジン(chlomaphazine)、シクロホスファミド、グルフォスファミド、エボホスファミド、ベンダムスチン、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミドおよびウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォレムスチン(foremustine)、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン(enediyne)抗生物質(例えばカリケアミシン、特にカリケアミシンγIIおよびカリケアミシンφI1)、ダイネマイシン(dynemicin)、例えばダイネマイシンA、ビスホスフォネート、例えばクロドロネート、エスペラミシン、ネオカルジノスタチン発色団および関連のある色素蛋白エンジイン抗生物質発色団(chromomophore)、アクラシノマイシン(aclacinomycins)、アクチノマイシン、オートラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン(chromomycins)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(例えばモルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycin)、ペプロマイシン(peplomycin)、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス(ubenimex)、ジノスタチン(zinostatin)およびゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗物質、例えばメトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデモプテリン(demopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)およびトリメトレキサート;プリンアナログ、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)およびチオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エノシタビン(enocitabine)およびフロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate)、エピチオスタノール、メピチオスタンおよびテストラクトン(testolactone);抗副腎薬(anti-adrenal)、例えばアミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタンおよびトリロスタン;葉酸補充剤(folic acid replinisher)、例えばフォリン酸(frolinic acid);放射線治療剤、例えばラジウム-223;トリコテセン、特にT-2毒素、ベラキュリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアングイジン(anguidine);タキソイド、例えばパクリタキセル)(TAXOL)、アブラキサン、ドセタキセル)(タキソテール)、カバジタキセル、BIND-014;白金アナログ、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン、NC-6004ナノプラチン;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ヘストラブシル(hestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルホルムチン(elformthine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン;エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン(lentinan);ロイコボリン;ロニダミン(lonidamine);マイタンシノイド、例えばマイタンシン(maytansine)およびアンサマイトシン;ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン(pirarubicin);ロソキサントロン(losoxantrone);フルオロピリミジン;フォリン酸;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;多糖類-K (PSK);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン(sizofiran);スピロゲルマニウム(spirogermanium);テヌアゾ
ン酸(tenuazonic acid);トラベクテジン、トリアジクオン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリメチルアミン(tricUorotriemylamine);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;クロラムブシル;ゲムシタビン)(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン(mitroxantrone);バンクリスチン(vancristine);ビノレルビン)(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート(edatrexate);ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸塩;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DFMO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;FOLFIRI(フルオロウラシル、ロイコボリンおよびイリノテカン);ならびに前述のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸または誘導体が挙げられる。
【0100】
抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)、酵素アロマターゼの阻害剤、抗アンドロゲンおよび腫瘍に対するホルモン作用を制御または阻害するように作用する上述のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸または誘導体も、抗癌剤の定義に含まれる。抗エストロゲンおよびSERMの例としては、例えばタモキシフェン(例えばNOLVADEX)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)およびトレミフェン)(FARESTON)が挙げられる。酵素アロマターゼの阻害剤は、副腎におけるエストロゲン産生を制御する。例としては、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、酢酸メゲストロール)(MEGACE)、エキセメスタン、ホルメスタン(formestane)、ファドロゾール(fadrozole)、ボロゾール(vorozole))(RIVISOR)、レトロゾール)(FEMARA)およびアナストロゾール)(ARIMIDEX)が挙げられる。抗アンドロゲンの例としては、アパルタミド(apalutamide)、アビラテロン(abiraterone)、エンザルタミド、フルタミド、ガレテロン(galeterone)、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン、ODM-201、APC-100、ODM-204が挙げられる。プロゲステロン受容体アンタゴニストの例としては、オナプリストンが挙げられる。
【0101】
抗脈管形成剤としては、限定されないが、レチノイン酸およびその誘導体、2-メトキシエステラジオール、アンギオスタチン、エンドスタチン、レゴラフェニブ、ネクパラニブ(necuparanib)、スラミン(suramin)、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ-1の組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ-2の組織阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(inbibitor)-2、軟骨由来阻害剤、パクリタキセル(nab-パクリタキセル)、血小板因子4、硫酸プロタミン(クルペイン(clupeine))、硫酸化キチン誘導体(クイーンクラブシェル(queen crab shell)から調製される)、硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体(sp-pg)、スタウロスポリン、マトリックス代謝の調節因子、例えばプロリンアナログ、例えば1-アゼチジン-2-カルボン酸(LACA)、シスヒドロキシプロリン、d,I-3,4-デヒドロプロリン、チアプロリン、.α.,.α.'-ジピリジル、β-アミノプロピオニトリルフマレート、4-プロピル-5-(4-ピリジニル)-2(3h)-オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン-血清、メタロプロテイナーゼ-3のニワトリ阻害剤(ChIMP-3)、キモスタチン、β-シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エポネマイシン(eponemycin)、フマギリン(fumagillin)、金チオリンゴ酸ナトリウム、d-ペニシラミン、β-1-抗コラゲナーゼ-血清、α-2-抗プラスミン、ビサントレン(bisantrene)、ロベンザリット二ナトリウム、n-2-カルボキシフェニル-4-クロロアントラニル酸(n-2-carboxyphenyl-4-chloroanthronilic acid)二ナトリウムまたは「CCA」、サリドマイド、アンギオスタチンステロイド(angiostatic steroid)、カルボキシアミノイミダゾール、メタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばBB-94、S100A9の阻害剤、例えばタスキニモド(tasquinimod)が挙げられる。他の抗脈管形成剤としては、抗体、好ましくはこれらの脈管形成成長因子:β-FGF、α-FGF、FGF-5、VEGFアイソフォーム、VEGF-C、HGF/SFおよびAng-1/Ang-2に対するモノクローナル抗体が挙げられる。
【0102】
抗線維症剤としては、限定されないが、β-アミノプロピオニトリル(aminoproprionitrile) (BAPN)などの化合物ならびにリシルオキシダーゼの阻害剤ならびにコラーゲンの異常な堆積に関連する疾患および状態の治療におけるそれらの使用に関する米国特許第4,965,288号ならびに種々の病理学的線維症状態の治療のためのLOXを阻害する化合物に関する米国特許第4,997,854号に開示される化合物が挙げられ、これらは参照により本明細書に援用される。さらなる例示的な阻害剤は、2-イソブチル-3-フルオロ-、クロロ-またはブロモ-アリルアミンなどの化合物に関する米国特許第4,943,593号、2-(1-ナフチルオキシメチル(naphthyloxymemyl))-3-フルオロアリルアミンに関する米国特許第5,021,456号、米国特許第5,059,714号、米国特許第5,120,764号、米国特許第5,182,297号、米国特許第5,252,608号およびUS 2004-0248871に記載され、これらは参照により本明細書に援用される。例示的な抗線維症剤としてはまた、リシルオキシダーゼの活性部位のカルボニル基と反応する第1級アミンおよびより具体的に、カルボニルとの結合後に、共鳴により安定化される生成物を生じるもの、例えば以下の第1級アミン:エミレンマミン(emylenemamine)、ヒドラジン、フェニルヒドラジンおよびそれらの誘導体;セミカルバジドおよび尿素誘導体;BAPNまたは2-ニトロエチルアミンなどのアミノニトリル;不飽和または飽和ハロアミン、例えば2-ブロモ-エチルアミン、2-クロロエチルアミン、2-トリフルオロエチルアミン、3-ブロモプロピルアミンおよびp-ハロベンジルアミン;ならびにセレノホモシステインラクトンが挙げられる。他の抗線維症剤は、細胞に浸透するかまたは浸透しない銅キレート剤である。例示的な化合物としては、リシルおよびヒドロキシリシル残基の、リシルオキシダーゼによる酸化脱アミノ化から生じるアルデヒド誘導体を遮断する間接的阻害剤が挙げられる。例としては、チオールアミン、特にD-ペニシラミンおよびそのアナログ、例えば2-アミノ-5-メルカプト-5-メチルヘキサン酸、D-2-アミノ-3-メチル-3-((2-アセトアミドエチル)ジチオ)ブタン酸(D-2-amino-3-methyl-3-((2-acetamidoethy)dithio)butanoic acid)、p-2-アミノ-3-メチル-3-((2-アミノエチル)ジチオ)ブタン酸(p-2-amino-3-methyl-3-((2-aminoethy)dithio)butanoic acid)、ナトリウム-4-((p-1-ジメチル-2-アミノ-2-カルボキシエチル)ジチオ)ブタンスルフレート(sodium-4-((p-1-dimethyl-2-amino-2-carboxyethyl)dithio)butane sulphurate)、2-アセトアミドエチル-2-アセトアミドエタンチオールスルファネートおよびナトリウム-4-メルカプトブタンスルフィネート三水和物が挙げられる。
【0103】
APIは、免疫療法剤であり得る。免疫療法剤としては、限定されずに、患者の治療に適した治療抗体が挙げられる。治療抗体のいくつかの例としては、シムツズマブ(simtuzumab)、アバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ、アフツズマブ(afutuzumab)、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ(amatuximab)、アナツモマブ(anatumomab)、アルシツモマブ(arcitumomab)、バビツキシマブ、ベクツモマブ(bectumomab)、ベバシズマブ、ビバツズマブ(bivatuzumab)、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ(cantuzumab)、カツマキソマブ(catumaxomab)、セツキシマブ、シタツズマブ(citatuzumab)、シクスツムマブ(cixutumumab)、クリバツズマブ(clivatuzumab)、コナツムマブ(conatumumab)、ダラツムマブ、ドロジツマブ、ヅリゴツマブ(duligotumab)、ドゥシギツマブ(dusigitumab)、デツモマブ(detumomab)、ダセツズマブ、ダロツズマブ、ジヌツキシマブ、エクロメキシマブ(ecromeximab)、エロツズマブ、エミベツズマブ、エンシツキシマブ(ensituximab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ、ファーレツズマブ(farletuzumab)、フィクラツズマブ、フィギツムマブ(figitumumab)、フランボツマブ(flanvotumab)、フツキシマブ(futuximab)、ガニツマブ(ganitumab)、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ(glembatumumab)、イブリツモマブ、イゴボマブ(igovomab)、イムガツズマブ、インダツキシマブ(indatuximab)、イノツズマブ、インテツムマブ(intetumumab)、イピリムマブ(YERVOY、MDX-010、BMS-734016およびMDX-101)、イラツムマブ、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(lorvotuzumab)、ルカツムマブ(lucatumumab)、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ(minretumomab)、ミツモマブ(mitumomab)、モガムリズマブ、モクセツモマブ、パスドトクス(pasudotox)、ナルナツマブ(narnatumab)、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブ(nofetumomab)、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ(oportuzumab)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ(parsatuzumab)、パトリツマブ、ペムツモマブ(pemtumomab)、ペルツズマブ、ピンツモマブ(pintumomab)、プリツムマブ(pritumumab)、ラコツモマブ(racotumomab)、ラドレツマブ(radretumab)、ラムシルマブ(ramucirumab)(CYRAMZA(登録商標))リロツムマブ(rilotumumab)、リツキシマブ、ロバツムマブ(robatumumab)、サマリズマブ、サツモマブ(satumomab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、シルツキシマブ、ソリトマブ(solitomab)、タカツズマブ、タプリツモマブ(taplitumomab)、テナツモマブ(tenatumomab)、テプロツムマブ、ティガツズマブ(tigatuzumab)、トシツモマブ、トラスツズマブ、ABP-980、ツコツズマブ(tucotuzumab)、ウビリツキシマブ(ubilituximab)、ベルツズマブ(veltuzumab)、ボルセツズマブ、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、CC49、OBI-833および3F8が挙げられる。リツキシマブは、無痛B細胞癌、例えば辺縁帯リンパ腫、WM、CLLおよび小リンパ性リンパ腫を治療するために使用され得る。リツキシマブと化学療法剤の組み合わせが特に有効である。
【0104】
例示される治療抗体はさらに、インジウム-111、イットリウム-90(90Y-クリバツズマブ)またはヨウ素-131などの放射性同位体粒子で標識され得るかまたはそれらと合わされ得る。
【0105】
組成物は、APIの代わりにまたはそれに加えて、微小粒子またはナノ粒子の表面に共有結合するペプチドまたはタンパク質リガンドまたはドメインなどの標的化部分を含み、該標的化部分は、かかる標的化部分を有する微小またはナノ粒子がインビボで標的部位に特異的または優先的に方向づけられるように、標的部位(例えば標的化部分の細胞表面受容体または結合パートナー)に特異的または優先的に結合する。微小またはナノ粒子を有する標的化部分はさらに、微小またはナノ粒子に封入されるかまたは埋め込まれ、放出され得るかそうでなければ標的部位で有効であり得るAPIを含み得る。実際に、シアル酸自体は癌細胞についての標的化部分であり得る。
【0106】
標的化部分を有することにより、標的特異的ナノ粒子は、生物学的実体、例えば膜構成成分または細胞表面受容体に効率的に結合し得るかまたはそうでなければ会合し得る。治療剤の標的化(例えば特定の組織または細胞型に対する、正常組織ではなく特定の疾患組織に対する等)は、癌(例えば前立腺癌)などの組織特異的疾患の治療に望ましい。例えば細胞傷害性抗癌剤の全身送達とは対照的に、標的化された送達は、薬剤が健常な細胞を殺傷することを防ぎ得た。
【0107】
さらに、標的化された送達は、低用量の薬剤の投与を可能にし、これは、従来の化学療法に通常伴う望ましくない副作用を低減し得た。上述のように、本発明のナノ粒子の標的特異性は、ナノ粒子上のリガンド密度を最適化することにより最大化される。標的化部分は、ナノ粒子または微小粒子の表面に共有結合し得る。例えば、標的化部分は、(例えば1つ以上のカルボン酸または他の官能基部分をカップリングすることにより)アニオン性ポリマー、PLGA/PLA(例えばポリマー末端を介して)またはさらに別の分子もしくはポリマーを相互浸透ネットワークに一体化することにより、共有結合され得る。例えば、標的化部分は、ポリエチレングリコール(PEG)分子またはPLGA-PEG二ブロック(diblock)に共有的に連結され得、アニオン性ポリマーを有するエマルジョンに添加され得る。
【0108】
例えば、標的化部分は、生物学的実体、例えば膜構成成分、細胞表面受容体、前立腺特異的膜抗原等に結合し得るかまたはそうでなければ会合し得る部分であり得る。本発明の場合において、標的化部分は、低分子量PSMAリガンドである。用語「結合する(bind)」または「結合する(binding)」は、本明細書で使用する場合、典型的に、特異的または非特異的な結合または限定されないが、生化学的、生理学的および/または化学的相互作用を含む相互作用のために、相互の親和性または結合能力を示す分子またはその一部の対応するペアの間の相互作用をいう。
【0109】
「生物学的結合」は、例えばタンパク質、核酸、糖蛋白、炭水化物、ホルモン等の分子のペアの間で生じるある種類の相互作用を定義する。
【0110】
用語「結合パートナー」は、特定の分子との結合を経験し得る分子をいう。「特異的結合」は、他の同様の生物学的実体に対するよりも実質的に高い程度まで結合パートナー(または制限された数の結合パートナー)に結合またはそれを認識し得るポリヌクレオチドなどの分子をいう。態様の一組において、標的化部分は、(解離定数により測定する場合)約1マイクロモーラー、少なくとも約10マイクロモーラーまたは少なくとも約100マイクロモーラー未満の親和性を有する。
【0111】
好ましい態様において、本発明の標的化部分は小分子である。ある態様において、用語「小分子」は、天然に存在するかまたは(例えば化学的合成により)人工的に作製されるかのいずれにせよ、比較的低い分子量を有し、タンパク質、ポリペプチドまたは核酸ではない有機化合物をいう。小分子は典型的に、複数の炭素-炭素結合を有する。ある態様において、小分子は、約2000g/mol未満のサイズである。いくつかの態様において、小分子は、約1500g/mol未満または約1000g/mol未満である。いくつかの態様において、小分子は、約800g/mol未満または約500g/mol未満である。
【0112】
特に好ましい態様において、小分子標的化部分は前立腺癌腫瘍を標的化し、特に小分子標的化部分はPSMAペプチダーゼ阻害剤である。これらの部分は、本明細書において、「低分子量PSMAリガンド」とも称される。正常組織中での発現と比較する場合、前立腺特異的膜抗原(PSMA)の発現は、正常組織と比較して、悪性前立腺において少なくとも10倍過剰発現され、PSMA発現のレベルは、米国特許公報2014/0235706に記載されるように、疾患が転移段階に進行するにつれて、さらに上方制御される(Silver et al. 1997, Clin. Cancer Res., 3:81)。
【0113】
いくつかの態様において、前立腺癌腫瘍に関連する細胞を標的化するために使用され得る小分子標的化部分としては、PSMAペプチダーゼ阻害剤、例えば2-PMPA、GPI5232、VA-033、フェニルアルキルホスホルアミデート(phosphonamidates)(Jackson et al., 2001, Curr. Med. Chem., 8:949;Bennett et al, 1998, J. Am. Chem. Soc., 120:12139;Jackson et al., 2001, J. Med. Chem., 44:4170;Tsulcarnoto et al, 2002, Bioorg. Med. Chem. Lett., 12:2189;Tang et al., 2003, Biochem. Biophys. Res. Commun., 307:8;Oliver et al., 2003, Bioorg. Med. Chem., 11:4455;およびMaung et al., 2004, Bioorg. Med. Chem., 12:4969)および/またはそれらのアナログおよび誘導体が挙げられる。いくつかの態様において、前立腺癌腫瘍に関連する細胞を標的化するために使用され得る小分子標的化部分としては、チオールおよびインドールチオール誘導体、例えば2-MPPAおよび3-(2-メルカプトエチル)-1H-インドール-2-カルボン酸誘導体が挙げられる(Majer et al., 2003, J. Med. Chem., 46:1989;および米国特許公開2005/0080128)。いくつかの態様において、前立腺癌腫瘍に関連する細胞を標的化するために使用され得る小分子標的化部分としては、ヒドロキサマート誘導体が挙げられる(Stoermer et al., 2003, Bioorg. Med. Chem. Lett., 13:2097)。いくつかの態様において、前立腺癌腫瘍に関連する細胞を標的化するために使用され得る小分子標的化部分としては、PBDA-および尿素系阻害剤、例えばZJ 43、ZJ 11、ZJ 17、ZJ 38 (Nan et al. 2000, J. Med. Chem., 43:772;およびKozikowski et al., 2004, J. Med. Chem., 47:1729)および/またはそれらのアナログおよび誘導体が挙げられる。いくつかの態様において、前立腺癌腫瘍に関連する細胞を標的化するために使用され得る小分子標的化部分としては、プトレシン、スペルミンおよびスペルミジン、アンドロゲン受容体標的化剤(ARTA)、例えば米国特許第7,026,500号;第7,022,870号;第6,998,500号;第6,995,284号;第6,838,484号;第6,569,896号;第6,492,554号;および米国特許公開2006/0287547;2006/0276540;2006/0258628;2006/0241180;2006/0183931;2006/0035966;2006/0009529;2006/0004042;2005/0033074;2004/0260108;2004/0260092;2004/0167103;2004/0147550;2004/0147489;2004/0087810;2004/0067979;2004/0052727;2004/0029913;2004/0014975;2003/0232792;2003/0232013;2003/0225040;2003/0162761;2004/0087810;2003/0022868;2002/0173495;2002/0099096;2002/0099036に記載されるものが挙げられる。本発明の関連のある局面は、主題の組成物および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、別のセクションにおいてより詳細に以下に記載される。
【0114】
本発明はまた、インビトロおよびインビボでの細胞取込みおよびトランスフェクションを促進するための核酸の送達のためのビヒクルを提供する。核酸の例としては、DNA、RNA、PNA、siRNA、マイクロRNA、アンチセンス等が挙げられる。
【0115】
粒子の作製
本明細書に記載される発明は、その表面上にシアル酸残基を提示する粒子の調製のためのいくつかの基本的な方法を提供する。
【0116】
該粒子は、疎水性および/または中性の生体適合性ポリマー、例えばPLGAもしくはPLAならびにポリシアル酸の共沈殿またはコアセルベーションから製造され得る。何らかの理論に拘束されず、ポリマー主鎖は、エマルジョンの有機相中にありながらもつれあうかまたは絡み合うと考えられる。
【0117】
本明細書で使用する場合、「少(量)」は、PLGAポリマーを有する第1の溶媒の体積と比較して第2の溶媒の第1の溶液の比較的少ない量/体積をいい、第1の溶媒中のポリマー溶液中の第2の溶媒の第1の溶液の乳化は、連続相がポリマー溶液であるエマルジョン(すなわち第1のエマルジョン)を形成する。典型的に、少量の第2の溶媒の第1の溶液と第1の溶媒の間の体積比は、少なくとも約1:nであり、ここでnは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100であり得る。
【0118】
本明細書で使用する場合、「多(量)」は、第1のエマルジョンの体積と比較して第2の溶媒の第2の溶液の比較的多い量/体積をいい、第2の溶媒の第2の溶液中の第1のエマルジョンの乳化は、連続相が第2の溶媒の第2の溶液であるエマルジョン(すなわち第2のエマルジョン)を形成する。典型的に、第1のエマルジョンと多量の第2の溶媒の第2の溶液の間の体積比は少なくとも約1:mであり、ここでmは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100であり得る。
【0119】
本明細書に記載される調製方法を使用して、ポリシアル酸は、作製される微小粒子またはナノ粒子に密に組み込まれる。
【0120】
ポリシアル酸の微小粒子またはナノ粒子への組み込みは安定かつ密であり得る。したがって好ましくは、該方法は、該微小粒子もしくはナノ粒子を洗浄する工程および/または該微小粒子もしくはナノ粒子を所望の体積まで濃縮する工程をさらに含む。
【0121】
本明細書に記載される粒子を調製するためにエマルジョンプロセスが使用され得る。本発明は、その表面上にシアル酸部分を提示する微小粒子またはナノ粒子の調製のための方法を含み、該方法は:(1)生分解性ポリマー(および任意に活性剤、例えば医薬品成分(API)または不十分に水溶性の化合物)を第1の溶媒に溶解してポリマー溶液を形成する工程;(2)ポリマー溶液を第2の溶媒の溶液中で乳化して、エマルジョンを形成する工程、ここで第1の溶媒は第2の溶媒と混和性でないかまたは部分的に混和性であり、第2の溶媒の溶液はポリシアル酸を含み、該第2の溶媒の溶液は任意に、第2の溶媒に溶解性の界面活性剤および/またはAPIをさらに含む;ならびに(3)第1の溶媒を除去して、表面シアル酸部分を有する該微小粒子またはナノ粒子を形成する工程を含む。
【0122】
本発明はまた、表面シアル酸部分を有する微小粒子またはナノ粒子の調製のための二重乳化方法を提供し、該方法は:(1)生分解性ポリマー(および任意に活性剤、APIまたは不十分に水溶性の化合物)を第1の溶媒に溶解してポリマー溶液を形成する工程;(2)第2の溶媒をポリマー溶液に添加して混合物を形成する工程、ここで第1の溶媒は、第2の溶媒と混和性でないかまたは部分的に混和性であり、第2の溶媒の第1の溶液は任意に、第1の溶媒に溶解されるAPIと同じであり得るかまたは異なり得る活性剤を含む;(3)混合物を乳化して第1のエマルジョンを形成する工程;(4)第1のエマルジョンを第2の溶媒の第2の溶液中で乳化して、第2のエマルジョンを形成する工程、ここで第2の溶媒の第2の溶液はポリシアル酸を含み、任意に界面活性剤をさらに含む;および(5)第1の溶媒を除去して表面シアル酸部分を有する微小粒子またはナノ粒子を形成する工程を含む。
【0123】
本発明におけるAPIは、核酸治療剤であり得る。例示的な核酸治療剤としては、限定されないが、FDAにより承認され、臨床試験または前臨床研究においてFDAにより新規の薬物適用に供されるものが挙げられる。核酸分子としては、治療タンパク質、抗原性分子および阻害性分子をコードする分子が挙げられる。例えば、RNA干渉を媒介し得る核酸分子としては、RNA干渉において活性な分子(RNAi分子)、例えばアンチセンスなどの二本鎖RNA、リボザイム、、siRNA(小干渉RNA)、miRNA(マイクロRNA)、shRNA(ショートヘアピンRNA)、ショートマー(shortmer)、アンタゴミル(antagomir)、mRNA、tRNA、ddRNA (DNA誘導RNA)、piRNA (Piwi相互作用RNA)またはrasiRNA(リピート結合siRNA)およびそれらの改変形態が挙げられる。該分子としては、DNA、プラスミド、ベクター、ハイブリッドオリゴヌクレオチド、触媒DNAまたはアプタマーも挙げられ得る。
【0124】
コーディング核酸およびポリヌクレオチドは、目的のポリペプチドをコードする領域(例えばコーディング領域)、第1の領域の5'末端(例えば5'-UTR)、第1の領域の3'末端(例えば3'-UTR)、少なくとも1つの5'-キャップ領域および/または3'-安定化領域を含み得る。核酸は、ポリA領域またはコザック配列(例えば5'-UTR中)、ポリヌクレオチドから削り取られ得る1つ以上のイントロンヌクレオチド配列、5'キャップ構造、鎖終結ヌクレオチド、ステムループ、ポリA配列および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。核酸は、1つ以上の代替的な構成成分(例えば代替ヌクレオシド)を含み得る。例えば、3'-安定化領域は、L-ヌクレオシド、逆チミジンまたは2'-O-メチルヌクレオシドなどの代替ヌクレオシドおよび/またはコーディング領域、5'-UTR、3'-UTRを含み得るか、あるいはキャップ領域は、5-置換ウリジン(例えば5-メトキシウリジン)、1-置換シュードウリジン(例えば1-メチル-プソイドウリジンまたは1-エチル-プソイドウリジン)、5-置換シチジン(例えば5-メチル-シチジン)などの代替ヌクレオシドおよび/またはカルノシンおよびアンセリンを含み得る。
【0125】
ポリヌクレオチド配列の長さは、ジペプチド以上、例えばトリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチドまたはデカペプチドをコードするのに十分なものである。いくつかの場合において、ポリヌクレオチドは、30ヌクレオチド長より長く、例えば35ヌクレオチドより長く、少なくとも40ヌクレオチド、少なくとも45ヌクレオチド、少なくとも55ヌクレオチド、少なくとも60ヌクレオチド、少なくとも80ヌクレオチド、少なくとも90ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチドまたはそれ以上である。
【0126】
核酸およびポリヌクレオチドは、規範的なヌクレオチドA(アデノシン)、G(グアノシン)、C(シトシン)、U(ウリジン)またはT(チミジン)のいずれかなどの1つ以上の天然に存在する構成成分を含み得る。一態様において、(a)5'-UTR、(b)オープンリーディングフレーム(ORF)、(c)3'-UTR、(d)ポリAテイルおよび(上述のa、b、cまたはd)の任意の組合せを含むヌクレオチドの全てまたは実質的に全ては、天然に存在する規範的なヌクレオチドA(アデノシン)、G(グアノシン)、C(シトシン)、U(ウリジン)またはT(チミジン)を含む。
【0127】
核酸およびポリヌクレオチドは、安定性を増加するため、ポリヌクレオチドが導入される細胞の先天的な免疫応答の実質的な誘導を低減するため、タンパク質産生の効率、ポリヌクレオチドの細胞内保持、接触された細胞の生存能力を高めるため、および/または免疫原性を低減するための1つ以上の構成要素を含み得る。
【0128】
ポリヌクレオチドおよび核酸は、天然に存在し得るかまたは天然には存在し得ない。ポリヌクレオチドおよび核酸は、1つ以上の改変された(例えば変化されたまたは代替的な)ヌクレオ塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドまたはそれらの組合せを含み得る。ナノ粒子組成物中で有用な核酸およびポリヌクレオチドは、例えばヌクレオ塩基、糖、またはヌクレオシド間結合に対する(例えば結合リン酸に対する/ホスホジエステル結合に対する/ホスホジエステル主鎖に対する)任意の有用な改変または変化を含み得る。変化(例えば1つ以上の変化)は、ヌクレオ塩基、糖およびヌクレオシド間結合のそれぞれに存在する。本開示による変化は、リボ核酸(RNA)のデオキシリボ核酸(DNA)への変化、例えばリボフラノシル環の2'-OHの、2'-H、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックト核酸(LNA)またはそれらのハイブリッドへの置換であり得る。
【0129】
ポリヌクレオチドおよび核酸は、分子の全体の長さに沿って一様に変化され得るかまたは一様には変化され得ない。例えば、ヌクレオチドの1つ以上または全ての型(例えばプリンもしくはピリミジン、またはA、G、U、Cのいずれか1つ以上もしくは全て)は、ポリヌクレオチドもしくは核酸中またはそれらの所定の予め決定された配列領域中で一様に変化され得るかまたは一様には変化され得ない。いくつかの例において、ポリヌクレオチド中(またはその所定の配列領域中)の全てのヌクレオチドXが変化され、ここでXは、ヌクレオチドA、G、U、Cのいずれか1つまたは組合せA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+CもしくはA+G+Cのいずれか1つであり得る。
【0130】
異なる糖変化および/またはヌクレオシド間結合(例えば主鎖構造)は、ポリヌクレオチド中の種々の位置に存在し得る。当業者は、ヌクレオチドアナログまたは他の変化(1つまたは複数)が、ポリヌクレオチドの機能が実質的に低下しないようにポリヌクレオチドの任意の位置(1つまたは複数)に配置され得ることを理解する。変化はまた、5'-または3'末端の変化であり得る。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、3'末端で変化を含む。
【0131】
いくつかの例において、核酸は、ポリヌクレオチド(例えばmRNA)が導入された細胞の先天的免疫応答を実質的に誘導しない。誘導される先天的免疫応答の特徴としては、1)前炎症性サイトカインの発現の増加、2)細胞内PRR (RIG-I、MDA5等の活性化、および/または3)タンパク質翻訳の終結もしくは低減が挙げられる。
【0132】
核酸は任意に、他の薬剤(例えばRNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒性DNA、tRNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクター)を含み得る。いくつかの態様において、核酸は、1つ以上の代替的ヌクレオシドまたはヌクレオチドを有する1つ以上のメッセンジャーRNA(mRNA)(すなわち代替的mRNA分子)を含み得る。
【0133】
いくつかの態様において、封入の前に核酸カーゴを複合体化するために、カチオン性錯化剤が使用され得る。
【0134】
本発明における該カチオン性錯化剤は、窒素、硫黄またはリン含有分子、例えば小分子化合物、脂質、ポリマーまたはデンドリマーであり得る。該分子は、好ましくは両親媒性であり、1つ以上のカチオン性部分および1つ以上の疎水性部分を有する。カチオン性部分は、窒素、硫黄またはリン含有基であり得る。好ましいカチオン性部分としては、第1級または第2級のアミン、アンモニウムまたはホスホニウムが挙げられる。疎水性部分は、有機または無機性の基であり得る。好ましい疎水性基としては、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和の高級アルキル、アシルまたはエステル(C3~C20またはそれ以上)が挙げられる。疎水性基は、直鎖、分岐鎖または環状化され得る(例えばアリール基またはコレステロールおよびそれらのアナログ)。
【0135】
本発明に使用される小分子錯化剤は典型的に、窒素、硫黄もしくはリン含有化合物またはその塩である。小分子錯化剤の非限定的な例としては、エチルラウロイルアルギネートHCl(LAE)、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリフェニルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘキシルアミン、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)、臭化セトリモニウム(CTAB)、ベンザチン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、ベネサミン、ヒドラバミン、ステアラルコニウムクロライド、DC-コレステロール・HCl、セチルピリジニウムクロライド、1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン、DODMA、リポフェクチン等が挙げられる。
【0136】
錯化剤として本発明に使用され得る脂質は、カチオン性脂質またはイオン化可能脂質であり得る。
【0137】
カチオン性脂質は、安定または分解性の結合のいずれかで連結されるカチオン性頭部基および疎水性尾部基を有する両親媒性分子である。グアニジン、イミダゾール、ピリジニウム、ピペリジンおよびアミノ酸(例えばリジン、アルギニン、オルニチンおよびトリプトファン)は、脂質改変に使用される一般的な頭部基である。本発明において錯化剤として使用され得る脂質としては、限定されないが、それらの頭部基内に1つのアミン官能基を有する一価の脂肪族脂質、例えばN[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)、)、N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ-1-プロパンアミニウムブロミド)(DMRIE)、頭部基内にいくつかのアミン官能基、例えばスペルミン基を有する多価脂肪族脂質、例えばジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)またはカチオン性コレステロール誘導体、例えば3b-[N-(N0,N0-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)、ビス-グアニジウム-トレン-コレステロール(bis-guanidium-tren-cholesterol)(BGTC)および中性ヘルパー脂質、例えばトランスフェクション効率を向上するためにDNAおよびRNAおよびカチオン性脂質の複合体に付加された1,2-ジオレイル-sn-グリセロール-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)またはコレステロールが挙げられる。
【0138】
イオン化可能脂質は、生理学的pHで中性および非イオン性である脂質分子の部類であるが、プロトン化されて、より低いpHで正に荷電される。イオン化可能脂質はまた、エンドソーム回避を促進し、毒性を低減しながら、SA含有実体と複合体を形成し得る。市販のイオン化可能脂質の例としては、DLin-KC2-DMA、DLin-MC3-DMA、DLin-DMA、DODMAおよびDODAPが挙げられる。
【0139】
RNA-脂質複合体の安定性、機能性および他の性能特性を増加するために、例えば構造的脂質、PEG化脂質、コレステロール、ホスホリピド等の脂質ナノ粒子(LNP)製剤において一般的に使用される他の化学実体が、本発明のナノ粒子製剤に添加され得る。
【0140】
ポリマー性錯化剤は、1つ以上のカチオン性モノマーを含むカチオン性ポリマーであり得、ポリリジン、細胞浸透ペプチド(例えばポリアルギニン)、ポリエチレンイミン、キトサンおよびポリ(アミノエステル)を含み得る。
【0141】
ポリリジンは、カチオン性ホモポリペプチドであり、α-ポリリジンまたはε-ポリリジンであり得る。ポリリジンは、中性pHで正に荷電したアミノ基を含む。α-ポリリジンは、合成ポリマーであり、ポリ-L-リジン(PLL)およびポリ-D-リジン(PDL)それぞれの形態であり得る。ε-ポリリジン(ε-ポリ-L-リジン、EPL)は典型的に、約25~30個のL-リジン残基のホモポリペプチドとして作製される。本発明で使用されるポリリジンは、リジンおよび他の化学実体のコポリマーであり得る。ポリリジンはまた、特定の性質を有するように改変され得る。例えば、改変されたポリリジンは、例えば1つ以上のリジン上のアミン基をアルキル化またはアシル化することにより、より疎水性になり得る。
【0142】
細胞浸透ペプチド(CPP)は、原形質膜を転位させ、種々の分子カーゴの細胞質または小器官への送達を容易にする能力を有する。ポリアルギニンなどのいくつかの細胞浸透ペプチドは、カチオン性であり、核酸のための錯化剤として適切である。
【0143】
ポリエチレンイミン(PEI)は、1つのアミン基および2つの炭素脂肪族(CH2CH2)スペーサーで構成される繰り返し単位を有するポリマーである。線形および分岐のPEIがある。線形構造はポリマーの結晶化を容易にし、結果的に線形PEIは、室温で結晶性かつ固体であり得る。分岐PEIは室温で液体であり得る。第1級、第2級および第3級アミノ基を含む分岐PEIとは対照的に、線形PEIは主に第2級アミンを含む。
【0144】
キトサンは、無作為に分布されるβ-(1→4)結合されたD-グルコサミン(脱アセチル化単位)およびN-アセチル-D-グルコサミンで構成される直鎖多糖類である。キトサン中のアミノ基は、約6.5のpKa値を有し、これは中性溶液および正の電荷において有意なプロトン化を引き起こす。したがって、キトサンは、イオン性相互作用を介した核酸との複合体を形成するために使用され得る。
【0145】
好ましいポリ(アミノエステル)は、生分解性で生体適合性のポリマーである。ポリ(アミノエステル)の一例は、ポリ[α-(4-アミノブチル)-l-グリコール酸]である。
【0146】
ポリ(β-アミノエステル)(PBAE)は、ジ-アクリレートならびに第1級および第2級アミンを含む官能基アミンから得られる、好ましくはMichael付加反応を介して形成されるポリマーの部類である。PBAEは、pH感受性、生分解性および生体適合性である。PBAE構造内の第3級アミンの存在により生じるPBAEのpH緩衝能力は、エンドソーム回避およびそれにより治療薬の細胞内送達を容易にする。
【0147】
カチオン性錯化剤はまた、他の所望の特性を付与するように改変され得る。例えば、カチオン性錯化剤、例えばPBAEは、PEG化され、それによりインビボ循環時間を延長し得る。カチオン性錯化剤、特にポリマーは、分子量、分解プロフィール、インビボ半減期、pH応答性および特定の用途に望ましくあり得る他の特性について最適化され得る。
【0148】
好ましくは、乳化プロセスにおいて、PLGA溶液対水溶液の重量比は、典型的に1:1,000~10:1、好ましくは1:100~1:1である。
【0149】
本明細書で使用する場合、混和性は、溶液が全ての割合で混合して均質な溶液を形成する特性であると定義される。物質/液体は、それらがいくらかの割合で溶液を形成しない場合、混和できないかまたは混和性でないといわれる。
【0150】
水と混和性の例示的な溶媒としては、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられる。
【0151】
二重エマルジョンプロセスは、薬物または医薬品有効成分(API)などの活性剤、例えば水溶液中で調製されるタンパク質系治療薬が、薬学的に許容され得るポリマー溶液で最初に乳化されて第1のエマルジョンを形成し、APIがポリマー溶液中に封入される場合に特に有用であり得る。次いで、ポリマーおよびそれに封入される治療薬は、より大きな体積の溶媒で再度乳化されて、第2のエマルジョン(例えば水中油中水またはw/o/w型二重エマルジョン)を形成し、その後微小粒子またはナノ粒子が形成される。
【0152】
例えば上述のw/o/w技術において、比較的少量の第2の溶媒の第1の溶液(例えば水性タンパク質溶液)(例えば有機溶媒の約20%、15%、10%、5% v/v)が、比較的多量の第1の溶媒(例えば有機溶媒)、例えば疎水性ポリマーPLGAを溶解するメチレンクロライドまたは酢酸エチルに導入され得る。次いで第1のエマルジョンは、適切な方法、例えばプローブ超音波処理または均質化を使用して形成される。第1のエマルジョンの形成後、第2のエマルジョンは、第1のエマルジョンを、乳化剤、例えばポリビニルアルコールを含むより多くの体積の第2の溶媒の第2の溶液(例えば第1のエマルジョンのおよそ少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、10倍)に導入することにより形成される。再度、第2のエマルジョンを形成するために均質化方法が使用され得る。次にこれには、典型的に数時間撹拌することにより、ポリマーの硬化をもたらす溶媒蒸発の期間が続く。結果的に、タンパク質溶液は、小さな封入物を形成するPLGAポリマーの比較的疎水性のマトリックスにトラップされる。最終的に、形成される微小粒子またはナノ粒子は、回収され、遠心分離または濾過の反復を介して洗浄され(例えば蒸留水により)、次いで典型的に凍結乾燥により脱水される。
【0153】
上述の局面のいずれかにおいて、好ましくは第1の溶媒は、メチレンクロライド、酢酸エチルまたはクロロホルムである。好ましくは、第2の溶媒の第2の溶液は、有機または無機の医薬賦形剤;種々のポリマー;オリゴマー;天然の生成物;非イオン性、カチオン性、両性イオン性またはイオン性の界面活性剤;およびそれらの混合物を含む界面活性剤を含む。界面活性剤は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリソルベート(Tweenシリーズ)界面活性剤、PEO-PPO-PEOポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドトリブロックコポリマー(プルロニックシリーズまたはポロキサマーシリーズ)界面活性剤またはt-オクチルフェニル-ポリエチレングリコール(Triton X-100)界面活性剤またはそれらの塩、誘導体、コポリマーまたは混合物を含み得る。好ましくは、界面活性剤はPVAである(実施例参照)。
【0154】
好ましくは、乳化工程は、均質化、機械的撹拌および/またはマイクロ流動化(microfluidization)を含む。
【0155】
好ましくは、第1の溶媒は、溶媒交換および/または蒸発により除去される。
【0156】
ポリマーのための溶解工程に使用される溶媒は、ポリマー(例えばPLGA)を溶解する任意の種類の溶媒であり得る。しかしながら、その除去のために、好ましくは揮発性溶媒が使用される。例えば、PLGA溶液を形成するための好ましい溶媒としては、メチレンクロライド、酢酸エチルおよびクロロホルムが挙げられる。
【0157】
乳化工程において、(水性)溶液は、界面活性剤または表面安定化剤を含み得る。界面活性剤は一般的に、液体の表面張力、2つの液体の間または液体と固体の間の界面張力を下げる化合物を含む。界面活性剤は、洗浄剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤および分散剤として作用し得る。界面活性剤は通常、両親媒性である有機化合物であり、これは疎水性基(通常、「尾部(1つまたは複数)」として分岐、直鎖または芳香族の炭化水素鎖(1つまたは複数)、フルオロカーボン鎖(1つまたは複数)またはシロキサン鎖(1つまたは複数))および親水性基(通常頭部)の両方を含む。界面活性剤は、最も一般的にはそれらの極性頭部基に従って分類され:非イオン性界面活性剤は、その頭部に電荷基を有さず;イオン性界面活性剤は正味の電荷を保有し-電荷が負である場合、界面活性剤はアニオン性であり、電荷が正である場合、それはカチオン性である。界面活性剤が2つの反対の荷電した基を有する頭部を含む場合、それは両性イオン性と称される。好ましくは、カルボキシル基(「カルボキシレート」)を含むものなどのアニオン性または両性イオン性界面活性剤は、好ましくは本発明に使用される。カルボキシレートは最も一般的な界面活性剤であり、ステアリン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウムなどのカルボン酸アルキルおよびパーフルオロノナノエート、パーフルオロオクタノエート(PFOAまたはPFO)などのカルボキシレート系フルオロ界面活性剤を含む。
【0158】
何らかの特定の理論に拘束されることを望まないが、界面活性剤は、エマルジョン小滴の形成および安定化に有用であり得る。界面活性剤はまた、有機または無機の薬学的賦形剤、種々のポリマー、オリゴマー、天然生成物、非イオン性、カチオン性、両性イオン性またはイオン性界面活性剤およびそれらの混合物を含み得る。
【0159】
主題の(PLGA)微小粒子またはナノ粒子の調製に使用され得る界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、Tweenシリーズ、Pluronicシリーズ、ポロキサマーシリーズ、Triton X-100等が挙げられる。さらなる適切な界面活性剤が、本明細書において以下に提供される。
【0160】
乳化プロセスは、均質化、超音波処理、機械的撹拌、微小流動化、またはそれらの組合せなどの任意の当該技術分野で理解される手段により実行され得る。
【0161】
溶媒の除去は通常、例えば溶媒交換および蒸発により達成される。
【0162】
本発明において1つより多くの界面活性剤の組み合わせが使用され得る。本発明で使用され得る有用な界面活性剤または表面安定化剤としては、限定されないが、公知の有機および無機の医薬賦形剤が挙げられ得る。かかる賦形剤としては、種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然の生成物および界面活性剤が挙げられる。界面活性剤または表面安定化剤としては、非イオン性、カチオン性、両性イオン性およびイオン性の界面活性剤が挙げられる。
【0163】
他の有用な界面活性剤または表面安定化剤の代表例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール(cetomacrogol)乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えばセトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば市販のTWEENS(登録商標)、例えばTWEEN 20(登録商標)およびTWEEN 80(登録商標) (ICI Specialty Chemicals)など);ポリエチレングリコール(例えばCARBOWAXS 3550(登録商標)および934(登録商標) (Union Carbide))、ポリオキシエチレンステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドを有する4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポール(tyloxapol)、超イオン(superione)およびトリトン(triton)としても公知)、ポロキサマー(例えばエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーであるPLURONICS F68(登録商標)およびF108(登録商標));ポロキサミン(例えばPOLOXAMINE 908(登録商標)としても公知であり、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの連続付加に由来する四官能性ブロックコポリマーであるTETRONIC 908(登録商標) (BASF Wyandotte Corporation, Parsippany, N.J.));TETRONIC 1508(登録商標) (T-1508) (BASF Wyandotte Corporation)、アルキルアリールポリエーテルスルホネートであるTRITONS X-200(登録商標) (Rohm and Haas);スクロースステアレートおよびスクロースジステアレートの混合物であるCRODESTAS F-110(登録商標) (Croda Inc.);OLIN-lOG(登録商標)またはSURFACTANT 10-G(登録商標)としても公知であるp-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)(Olin Chemicals, Stamford, Conn.);Crodestas SL-40(Croda, Inc.);ならびにC18H37CH2(CON(CH3)-CH2(CHOH)4(CH2OH)2であるSA9OHCO (Eastman Kodak Co.);デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-p-D-グルコピラノシド;n-ヘプチルβ-D-チオグルコシド;n-ヘキシルβ-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノニルβ-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチルβ-D-チオグルコピラノシド;PEG-誘導ホスホリピド、PEG-誘導コレステロール、PEG-誘導コレステロール誘導体、PEG-誘導ビタミンA、PEG-誘導ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマー等が挙げられる。
【0164】
有用なカチオン性界面活性剤または表面安定化剤の例としては、限定されないが、ポリマー、バイオポリマー、多糖類、セルロース誘導体、アルギン酸塩、ホスホリピドおよび非ポリマー性化合物、例えば両性イオン性安定化剤、ポリ-n-メチルピリジニウム、アントリルピリジニウムクロライド(anthryul pyridinium chloride)、カチオン性ホスホリピド、キトサン、ポリリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミドブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、ポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、1,2ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)2000](ナトリウム塩)(DPPE-PEG(2000)-アミンNaとしても公知)(Avanti Polar Lipids, Alabaster, A1)、ポリ(2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)(Polysciences, Inc., Warrington, Pa.) (S1001としても公知)、ポロキサミン、例えばPOLOXAMINE 908(登録商標)としても公知であり、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの連続付加に由来する四官能性ブロックコポリマーであるTETRONIC 908(登録商標)(BASF Wyandotte Corporation, Parsippany, N.J.)、リゾチーム、長鎖ポリマー、例えばアルギン酸、カラギーナン(FMC Corp.)およびPOLYOX (Dow, Midland, Mich.)が挙げられる。
【0165】
他の有用なカチオン性安定化剤としては、限定されないが、カチオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウムおよび第4級アンモニウム化合物、例えばステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジル-ジ(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツトリメチルアンモニウムクロライドまたはブロミド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライドまたはブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロライド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドまたはブロミド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドまたはブロミド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドまたはブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドまたはブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムクロライドまたはブロミド、N-アルキル(C12-18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、N-アルキル(C14-18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロライド、N-テトラデシリドメチルベンジルアンモニウムクロライド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロライド、N-アルキルおよび(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル-トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩(ethoxylated alkyamidoalkyldialkylammonium salt)および/またはエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロライド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化物一水和物、N-アルキル(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロライドおよびドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ポリ-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲニド、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(ALIQUAT 336TM)、POLYQUAT 10TM、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル(例えば脂肪酸のコリンエステル)、ベンザルコニウムクロライド、ステアルアルコニウムクロライド化合物(例えばステアリルトリモニウムクロライドおよびジ-ステアリルジモニウムクロライド)、セチルピリジニウムブロミドまたはクロライド、第4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOLTMおよびALKAQUATTM(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩;アミン、例えばアルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびビニルピリジン、アミン塩、例えばラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、アルキルピリジニウム塩およびアルキルイミダゾリウム塩、ならびにアミンオキシド;イミドアゾリニウム塩;プロトン化第4級アクリルアミド;メチル化第4級ポリマー、例えばポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロライド]およびポリ-[N-メチルビニルピリジニウムクロライド];ならびにカチオン性グアールが挙げられる。
【0166】
かかる例示的なカチオン性界面活性剤または表面安定化剤および他の有用なカチオン性界面活性剤または表面安定化剤は、J. Cross and E. Singer, Cationic Surfactants: Analytical and Biological Evaluation (Marcel Dekker, 1994);P. and D. Rubingh (Editor), Cationic Surfactants: Physical Chemistry (Marcel Dekker, 1991);およびJ. Richmond, Cationic Surfactants: Organic Chemistry, (Marcel Dekker, 1990)に記載され、それらのそれぞれはその全体において参照により本明細書に援用される。
【0167】
非ポリマー性カチオン性界面活性剤または表面安定化剤は、任意の非ポリマー性化合物、例えば式NR1R2R3R4(+)のベンザルコニウムクロライド、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、カチオン性有機金属化合物、第4級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、第1級アンモニウム化合物、第2級アンモニウム化合物、第3級アンモニウム化合物および第4級アンモニウム化合物である。式NR1R2R3R4(+)の化合物について:(i)R1~R4のいずれもCH3ではなく;(ii)R1~R4の1つはCH3であり;(iii)R1~R4の3つはCH3であり;(iv)R1~R4の全てはCH3であり;(v)R1~R4の2つはCH3であり、R1~R4の1つはC6H5CH2であり、R1~R4の1つは7炭素原子またはそれ以下のアルキル鎖であり;(vi)R1~R4の2つはCH3であり、R1~R4の1つはC6H5CH2であり、R1~R4の1つは19炭素原子またはそれ以上のアルキル鎖であり;(vii)R1~R4の2つはCH3であり、R1~R4の1つは基C6H5 (CH2)nであり、ここでn>1であり;(viii)R1~R4の2つはCH3であり、R1~R4の1つはC6H5CH2であり、R1~R4の1つは少なくとも1つのヘテロ原子を含み;(ix)R1~R4の2つはCH3であり、R1~R4の1つはC6H5CH2であり、R1~R4の1つは少なくとも1つのハロゲンを含み;(x)R1~R4の2つはCH3であり、R1~R4の1つはC6H5CH2であり、R1~R4の1つは少なくとも1つの環状断片を含み;(xi)R1~R4の2つはCH3であり、R1~R4の1つはフェニル環であり;または(xii)R1~R4の2つはCH3であり、R1~R4の2つは純粋な脂肪族断片である。
【0168】
かかる化合物としては限定されないが、ベヘンアルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベヘントリモニウムクロライド、ラウルアルコニウムクロライド、セトアルコニウムクロライド、セトリモニウムブロミド、セトリモニウムクロライド、セチルアミンフッ化水素酸塩、クロロアリルメテンアミンクロライド(クオタニウム-15)、ジステアリルジモニウムクロライド(クオタニウム-5)、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロライド(クオタニウム-14)、クオタニウム-22、クオタニウム-26、クオタニウム-18ベクトライト、ジメチルアミノエチルクロライド塩酸塩、システイン塩酸塩、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、獣脂アルコニウムクロライド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、ステアルアルコニウムクロライド、ドミフェンブロミド、デナトニウムベンゾエート、ミリストアルコニウムクロライド、ラウルトリモニウムクロライド、エチレンジアミンジヒドロクロライド、グアニジン塩酸塩、ピリドキシンHCl、イオフェタミン塩酸塩、メグルミン塩酸塩、メチルベンゼトニウムクロライド、ミルトリモニウムブロミド、オレイルトリモニウムクロライド、ポリクオタニウム-1、プロカイン塩酸塩、ココベタイン、ステアルアルコニウムベントナイト、ステアルアルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオライド、獣脂トリモニウムクロライドおよびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが挙げられる。
【0169】
これらの界面活性剤または表面安定化剤のほとんどは、公知の医薬賦形剤であり、参照により具体的に援用される、American Pharmaceutical AssociationおよびThe Pharmaceutical Society of Great Britainにより併せて公開されたHandbook of Pharmaceutical Excipients (The Pharmaceutical Press, 2000)に詳細に記載される。
【0170】
界面活性剤または表面安定化剤は市販され、および/または当該技術分野で公知の技術により調製され得る。
【0171】
好ましくは、主題の微小粒子またはナノ粒子の表面は、粒子表面と間隙の間の非特異的または望ましくない生物学的相互作用を最小化する材料で構成され、例えば粒子表面は、非特異的相互作用を防ぐかまたは減少するための材料でコーティングされ得る。粒子を、ポリ(エチレングリコール)(PEG)およびそのコポリマー、例えばPLURONICS(ポリ(エチレングリコール)-bl-ポリ(プロピレングリコール)-bl-ポリ(エチレングリコール)のコポリマーなど)などの親水性層でコーティングすることにより立体的安定化は、皮下注射後向上したリンパ取込みにより示されるように、間隙のタンパク質との非特異的な相互作用を低減し得る。
【0172】
本明細書で使用する場合、「少(量)」は、PLGAポリマーを有する第1の溶媒の体積と比較して第2の溶媒の第1の溶液の比較的少ない量/体積をいい、第1の溶媒中のポリマー溶液中の第2の溶媒の第1の溶液の乳化は、連続相がポリマー溶液であるエマルジョン(すなわち第1のエマルジョン)を形成する。典型的に、少量の第2の溶媒の第1の溶液と第1の溶媒の間の体積比は、少なくとも約1:nであり、ここでnは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100であり得る。
【0173】
本明細書で使用する場合、「多(量)」は、第1のエマルジョンの体積と比較して第2の溶媒の第2の溶液の比較的多い量/体積をいい、第2の溶媒の第2の溶液中の第1のエマルジョンの乳化は、連続相が第2の溶媒の第2の溶液であるエマルジョン(すなわち第2のエマルジョン)を形成する。典型的に、第1のエマルジョンと多量の第2の溶媒の第2の溶液の間の体積比は少なくとも約1:mであり、ここでmは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100であり得る。
【0174】
粒子中へのポリシアル酸の組み込みは安定かつ密であり得る。したがって好ましくは、該方法はさらに、該微小粒子もしくはナノ粒子を洗浄する工程および/または該微小粒子もしくはナノ粒子を所望の体積まで濃縮する工程を含む。
【0175】
本発明の方法を使用して作製される微小粒子およびナノ粒子は、不純物を除去し、および/またはそのように作製された微小粒子およびナノ粒子を濃縮する精製プロセスの一部として、洗浄を常套的に経験し得る。
【0176】
本発明の方法を使用して作製された微小粒子およびナノ粒子はまた、例えばポリシアル酸残基がそのように作製された微小粒子およびナノ粒子に安定に組み込まれることを確実にするための品質管理プロセスの一部として、より厳密な洗浄試験を経験し得る。
【0177】
好ましくは、洗浄試験は、以下に例示されるものと同一または同様の条件を使用する。好ましくは、該ポリシアル酸は、微小粒子およびナノ粒子の表面に永続的に取り付けられ、複数の洗浄サイクルに耐え得る。
【0178】
好ましくは、粒子表面上のポリシアル酸は、ポリシアル酸の量を有意に失うことなく、本明細書に例示される洗浄試験などの特定の洗浄試験に耐え得る。
【0179】
好ましくは、洗浄後、微小粒子またはナノ粒子は、シアル酸部分の量の少なくとも約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%または99%を保持する。
【0180】
粒径
主題の微小粒子およびナノ粒子のサイズは、約1nm~約1000μm、好ましくは約10nm~約100μm、最も好ましくは約20nm~約5μm、および最も好ましくは約50nm~約2μmである。例えば、微小粒子およびナノ粒子は、約100~900nm、例えば約100、300、500、700または900nmの平均サイズを有し得る。
【0181】
本明細書で使用する場合、粒径は、当業者に周知の任意の従来の粒径測定技術により決定され得る。かかる技術としては、例えば沈降場流動分画法、光子相関分光法、光散乱、動的光散乱、光回折およびディスク遠心分離が挙げられる。
【0182】
さらなる構成成分
本発明の粒子はまた、さらなる構成成分を含み得る。例えば、担体は、担体に組み込まれるかまたはコンジュゲートされる画像化剤を有し得る。現在市販される画像化剤を有する担体ナノスフィアの例は、Kodak X-sightナノスフィアである。量子ドット(QD)として知られる無機量子拘束発光ナノ結晶は、FRET適用において理想的なドナーとして出現し;それらの高い量子収率および調整可能サイズ依存性ストークスシフトは、単一紫外線波長で励起される場合、異なるサイズに、青色から赤外線を発光させる。(Bruchez et al., Science, 1998, 281:2013;Niemeyer, C. M., Angew. Chem. Int. Ed., 2003, 42:5796;Waggoner, A. Methods Enzymol., 1995, 246:362;Brus, L. E., J. Chem. Phys., 1993, 79, 5566)。
【0183】
デンドリマーとして知られるポリマーの部類に基づくハイブリッド有機/無機量子ドットなどの量子ドットは、生物学的標識、画像化および光学生体検知システムに使用され得る(Lemon et al., J. Am. Chem. Soc.,2000, 122:12886)。無機量子ドットの古典的な合成とは異なり、これらのハイブリッド量子ドットナノ粒子の合成は、高温または高い毒性、不安定な試薬を必要としない。(Etienne et al., Appl. Phys. Lett., 87:181913, 2005)。
【0184】
例示的用途
粒子およびその組成物は、治療方法などの多くの適用を有する。
【0185】
好ましくは、ナノ粒子および微小粒子または該粒子を含む組成物は、疾患もしくは状態の治療を必要とする被験体において疾患もしくは状態を治療する方法、または疾患もしくは状態の持続時間もしくは重症度の低減を必要とする被験体において疾患もしくは状態の持続時間もしくは重症度を低減する方法に使用され得、ここで該疾患または状態は、該粒子を用いて(および任意に特定のAPIを用いて)治療可能であり、該方法は、該粒子を含む組成物または医薬組成物を被験体に投与して、それにより疾患または状態を治療する工程を含む。粒子がAPIを含む(例えば封入する)場合、該粒子は、APIの投与もしくは送達を必要とする被験体にAPIを投与もしくは送達する方法、および/またはAPIにより治療され得る疾患もしくは状態に苦しむ被験体を治療する方法に使用され得る。例えばAPIが抗炎症剤である場合、該粒子は、炎症状態からの被験体に投与され得る。
【0186】
さらなる局面において、粒子は、免疫療法剤を含み、免疫療法に使用され得る。
【0187】
本明細書に記載される微小粒子およびナノ粒子は、炎症状態を治療するために使用され得る。かかる疾患および状態の例としては限定されないが、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、セリアック病、高IgM免疫不全、動脈硬化、アテローム硬化症、冠動脈疾患、敗血症、心筋炎、脳炎、移植片拒絶、肝炎、甲状腺炎(例えば橋本甲状腺炎、グレーヴス病)、骨粗鬆症、多発筋炎、皮膚筋炎、I型糖尿病、II型糖尿病、痛風、皮膚炎、円形脱毛、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、苔癬硬化症、強皮症、潰瘍性大腸炎、糖尿病網膜症、骨盤腹膜炎、歯周病、関節炎、若年性慢性関節炎(例えば慢性虹彩毛様体炎)、乾癬、骨粗鬆症、真正糖尿病におけるネフロパシー、喘息、骨盤腹膜炎、慢性炎症性肝臓疾患、慢性炎症性肺疾患、肺線維症、肝臓線維症、慢性炎症性肺疾患、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、腹膜炎、心臓血管疾患、再灌流障害、虚血傷害、脳卒中、熱傷ならびに中枢神経系(CNS;例えば多発性硬化症)、胃腸系、皮膚および関連のある構造、免疫系、肝臓-胆管系または炎症性構成要素により病状が生じ得る身体の任意の部位の他の急性および慢性炎症性疾患が挙げられる。炎症性疾患としてはまた、胃腸管および関連のある組織に関与する疾患(例えばイレウス、虫垂炎、消化性、胃および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、潰瘍性、偽膜性、急性および虚血性大腸炎、憩室炎、咽頭蓋炎、アカラシア、胆管炎、胆のう炎、セリアック(coeliac)病、肝炎、クローン病、腸炎およびウィップル病);全身性または局所の炎症性疾患および状態(例えば喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪液質、超高熱、好酸球肉芽腫、肉芽腫症およびサルコイドーシス);尿生殖器系および関連する組織に関与する疾患(例えば敗血流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎および尿道炎);呼吸系および関連する組織に関与する疾患(例えば気管支炎、気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、成人呼吸促進症候群、超微視的珪質火山塵肺疾患(pneumoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis)、肺胞炎(alvealitis)、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎および副鼻腔炎);種々のウイルス(例えばインフルエンザ、呼吸合胞体ウイルス、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびヘルペス)、細菌(例えば播種性菌血、デング熱)、真菌(例えばカンジダ症)および原生動物および多細胞寄生生物(例えばマラリア、フィラリア症、アメーバ症および包虫嚢胞)による感染から生じる疾患;皮膚科学的疾患および皮膚の状態(例えば熱傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹のいぼおよび膨疹);心臓血管系および関連のある組織に関与する疾患(例えば狭窄、再狭窄、血管炎(vasulitis)、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム硬化症、血栓静脈炎、心膜炎、うっ血性心不全、心筋炎、自己免疫心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎およびリウマチ熱);中枢または末梢神経系および関連する組織に関与する疾患(例えばアルツハイマー病、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓症、ギヤン-バレー(Guillame-Barre)症候群、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺およびブドウ膜炎);骨、関節、筋肉および結合組織の疾患(例えば種々の関節炎および関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周病、関節リウマチおよび滑膜炎);他の自己免疫および炎症性障害(例えば重力筋無力症、甲状腺炎(thryoiditis)、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、I型糖尿病、強直性脊椎炎、ベルジェ病およびライター(Retier's)症候群);ならびに種々の癌、腫瘍および増殖性障害(例えばホジキン病);および任意の症例における任意の原発性疾患に対する炎症または免疫宿主応答が挙げられる。
【0188】
治療され得る疾患としてはまた、アレルギー性疾患、アレルギー、湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎または皮膚過敏症などのアレルギー性の障害または状態が挙げられる。
【0189】
治療される疾患はまた、例えば肝炎ウイルス感染、西ナイルウイルス感染、フラビウイルス属、インフルエンザ感染、ライノウイルス属感染、乳頭腫ウイルス属感染、パラミクソウイルス属感染またはパラインフルエンザウイルス感染などのウイルス感染であり得る。好ましくは、ウイルス感染は、該被験体の中枢神経系に感染する。好ましくは、ウイルス感染は、ウイルス性脳炎またはウイルス性髄膜炎を引き起こす。さらに他の局面において、治療される疾患は、細菌性感染である。例示的な細菌性感染は、ブドウ球菌感染、連鎖球菌感染、ミコバクテリア感染、バチルス属感染、サルモネラ属感染、ビブリオ属感染、スピロヘータ感染およびナイセリア類感染である。被験体の中枢神経系に感染する細菌が好ましい。脳炎または髄膜炎を引き起こす細菌が最も好ましい。
【0190】
特許請求される発明における使用のための好ましい状態は、癌を治療することである。治療される癌としては、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、難治性iNHL、多発性骨髄腫(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ヴァルデンストレーム(Waldestrom's)マクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)または辺縁層リンパ腫(MZL)が挙げられ得る。一態様において、癌は最小残存疾患(MRD)である。さらなる態様において、癌は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)および難治性iNHLから選択される。ある態様において、癌は無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。いくつかの態様において、癌は難治性iNHLである。一態様において、癌は慢性リンパ性白血病(CLL)である。他の態様において、癌はびまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0191】
ある態様において、癌は、膵臓癌;膀胱癌;結腸直腸癌;乳癌、例えば転移性乳癌;前立腺癌、例えばアンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺癌;例えば転移性腎細胞癌などの腎臓または腎癌;肝細胞癌;例えば非小細胞肺癌(NSCLC)、肺胞細胞癌(BAC)および肺の腺癌などの肺癌;例えば進行性上皮または原発性腹膜癌などの卵巣癌;子宮頸癌;胃癌;食道癌;例えば頭頸部の扁平上皮癌などの頭頸部癌;黒色腫;転移性神経内分泌腫瘍などの神経内分泌癌;例えば神経膠腫、退形成希突起膠腫、成人多形グリア芽腫および成人退形成星状細胞腫などの脳腫瘍;骨癌;および軟部組織肉腫、肝癌、直腸癌、陰茎癌、外陰癌、甲状腺癌、唾液腺癌、子宮内膜または子宮癌、肝癌、肝細胞癌、肝臓癌、胃腸癌などの胃(gastric)または胃(stomach)癌、腹膜の癌、肺の扁平上皮癌(squamous carcinoma)、胃食道癌、胆管癌、胆嚢癌、結腸直腸/虫垂癌、扁平上皮癌(例えば上皮扁平上皮癌)からなる群より選択される固形腫瘍である。
【0192】
提供される治療方法のいずれかは、種々の病期の癌を治療するために使用され得る。
【0193】
例として、癌病期としては限定されないが、早期、進行(advanced)、局所進行、寛解、難治性、寛解後の再発および進行(progressive)が挙げられる。
【0194】
好ましくは、本発明の微小粒子またはナノ粒子は、治療可能な状態のいずれか1つを治療するために有効な第2の治療薬と組み合わせて使用され得る。
【0195】
好ましくは、被験体はヒト患者である。好ましくは、被験体は非ヒト哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、家畜動物(ウマ、ラバ、畜牛、雄牛、雌牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ等)、げっ歯目(ウサギ、ハムスター、マウス、ラット等)またはペット(ネコ、イヌ)である。
【0196】
好ましくは、該方法は、任意の適切な手段または経口、経鼻、静脈内、筋内、眼科的、経皮、皮下、腫瘍内、小胞内、関節内、頭蓋内および腹膜内などの経路により主題の微小粒子またはナノ粒子を含む主題の組成物または医薬組成物を投与する工程を含む。
【0197】
好ましくは、約102~約1020個の粒子が個体に提供される。好ましくは、約103~約1015個の粒子が提供される。好ましくは、約106~約1012個の粒子が提供される。好ましくは、約108~約1010個の粒子が提供される。好ましくは、好ましい用量は0.1%固体/mlである。そのため0.5μmのビーズについて、好ましい用量は約4x109個のビーズであり、0.05μmのビーズについて、好ましい用量は約4x1012個のビーズであり、3μmのビーズについて、好ましい用量は2x107個のビーズである。しかしながら、治療される特定の状態の治療に有効な用量は、本発明に包含される。
【0198】
治療可能な疾患および状態に対する本明細書に記載される微小粒子およびナノ粒子の有効性は、適切な動物モデルなどのいくつかの効力試験を使用して試験され得る。
【0199】
医薬組成物
本発明の一局面は、主題の微小粒子およびナノ粒子を含み、任意に薬学的に許容され得る担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、これらの組成物は任意に、1つ以上のさらなる治療剤をさらに含む。代替的に、本発明の主題の粒子は、それを必要とする患者に、1つ以上の他の治療剤の投与と組み合わせて投与され得る。例えば、本発明の化合物との合同投与または医薬組成物中の包含のためのさらなる治療剤は、承認された抗炎症剤、免疫療法剤もしくは化学療法剤であり得るか、または食品医薬品局において承認を受けているいくつかの薬剤のいずれか1つであり得る。本発明の特定の主題の粒子は、治療のための遊離形態で、または適切な場合はその薬学的に許容され得る誘導体として存在し得ることも理解される。
【0200】
好ましくは、本発明の医薬組成物はさらに、薬学的に許容され得る担体を含み、これは本明細書で使用する場合、特定の所望される剤型に対して適切である場合、任意および全ての溶媒、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散剤または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、濃化剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤等を含む。Remington's Pharmaceutical Sciences、16版、E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)には、医薬組成物の製剤化に使用される種々の担体およびその調製のための公知の技術が開示される。任意の望ましくない生物学的効果を生じるかまたはそうでなければ医薬組成物の任意の他の構成成分(1つまたは複数)と有害な様式で相互作用することなどにより、任意の従来の担体媒体が本発明の化合物と非適合性である限りを除いて、その使用は本発明の範囲内にあることが企図される。
【0201】
薬学的に許容され得る担体として働き得る材料のいくつかの例としては限定されないが、糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えばトウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばカカオバターおよび坐剤ワックス;油、例えばラッカセイ油、綿実油;ベニバナ油、ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油およびダイズ油;グリコール;例えばプロピレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝化剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱源非含有水;等張食塩水;リンガー液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝溶液が挙げられ、他の非毒性、適合性滑沢剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、調味剤および香料剤、保存剤および酸化防止剤も、製剤者の判断に従って、組成物中に存在し得る。
【0202】
経口投与のための液体剤型としては限定されないが、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤型は、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、塊茎、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにそれらの混合物などの当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含み得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、調味剤および香料剤などのアジュバントを含み得る。
【0203】
経口投与のための固形剤型としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。かかる固形剤型において、改変された粒子は、少なくとも1つの不活性の薬学的に許容され得る賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムおよび/またはa)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸;b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアラビアゴムなど;c)湿潤剤、例えばグリセロール;d)崩壊剤、例えば寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウム;e)溶解遅延剤、例えばパラフィン;f)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物;g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなど;h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土;ならびにi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤型は緩衝化剤も含み得る。
【0204】
同様の種類の固形組成物はまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤および高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中で充填剤として使用され得る。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤型は、腸溶性コーティングおよび医薬製剤化の分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製され得る。それらは任意に、不透明化剤を含み得、有効成分(1つまたは複数)のみを、または優先的に、腸管の特定の部分に、任意に遅延された様式で放出する組成物でもあり得る。使用され得る埋め込み組成物の例としては、ポリマー性物質およびワックスが挙げられる。同様の種類の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤および高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル内で充填剤としても使用され得る。
【0205】
粒子はまた、上述の1つ以上の賦形剤と共に、微小カプセル封入形態であり得る。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤型は、腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび医薬製剤化分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製され得る。かかる固形剤型において、活性化合物は、スクロース、ラクトースおよびデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合され得る。
【0206】
かかる剤型はまた、通常の実施における場合、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースなどの錠剤化滑沢剤および他の錠剤化補助剤を含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、該剤型は緩衝化剤も含み得る。それらは任意に、不透明化剤を含み得、改変された粒子のみを、または優先的に、腸管の特定の部分内に、任意に遅延された様式で放出する組成物でもあり得る。使用され得る埋め込み組成物の例としては、ポリマー性物質およびワックスが挙げられる。
【0207】
本発明のナノ粒子および微小粒子ならびに医薬組成物は、併用療法において製剤化および使用され得、すなわち化合物および医薬組成物は、1つ以上の他の所望の治療薬もしくは医学的手順と共に製剤化され得るか、またはそれと同時に、その前にもしくはその後に投与され得ることも理解される。組合せ養生法において使用されるための治療(治療薬または手順)の特定の組み合わせは、所望の治療薬および/または手順ならびに達成される所望の治療効果の適合性を考慮する。使用される治療は、同じ障害についての所望の効果を達成し得る(例えば本発明の化合物は、別の抗炎症剤と同時に投与され得る)か、または該治療は、異なる効果(例えば任意の有害効果の制御)を達成し得ることも理解される。
【0208】
好ましくは、本発明の粒子を含む医薬組成物はさらに、1つ以上のさらなる治療有効成分(例えば抗炎症および/または緩和的)を含む。本発明の目的で、用語「緩和的」は、疾患の症状および/または治療養生法の副作用の軽減に焦点を当てられるが、治療的ではない治療をいう。例えば、緩和処置は、痛み止め、制吐医薬および抗疾病薬を包含する。
【0209】
以下の実施例は、本発明を説明するために与えられる。しかしながら、本発明は、これらの実施例に記載される特定の状態または詳細に限定されないことが理解されるべきである。
【実施例
【0210】
実施例
実施例1. 表面上にポリシアル酸を有するPLGAナノ粒子の調製
200mgのPLGAを8mlの酢酸エチルに溶解してPLGA溶液を形成し、これを、40ミリグラムのコロミン酸を含む40mLの0.5%ポリビニルアルコール(PVA)溶液と混合し、25,000rpmで1分間、IKA(登録商標)DIGITAL ULTRA-TURRAX(登録商標)T25ホモジナイザーを使用して均質化する。得られたエマルジョンをガラス容器に注ぎ、400rpmで3時間磁気的に撹拌して溶媒を蒸発させる。次いでナノ粒子を蒸留水で3回洗浄して、その後凍結乾燥する。粒径、サイズ分布、ζ電位および表面上のポリシアル酸の量の測定のために、凍結乾燥した粒子を蒸留水中で再構成する。
【0211】
実施例2. 二重エマルジョンプロセスを介した、表面上にポリシアル酸を有するタンパク質負荷PLGAナノ粒子の調製
200mgのPLGAを4mLの酢酸エチルに溶解してPLGA溶液を形成する。35mlの2%ポリビニルアルコール(PVA)溶液(水中)、1.5mlの酢酸エチルおよび40ミリグラムのコロミン酸からなる混合溶液を調製する。4mgのウシ血清アルブミン(BSA、モデル治療タンパク質)を0.4mLの水性バッファに溶解して、タンパク質溶液を形成する。BSA溶液をPLGA溶液と混合して、得られた混合物を、プローブソニケーターを使用して30秒間均質化する。得られたエマルジョンをPVA/ポリシアル酸溶液と混合して、IKA(登録商標)DIGITAL ULTRA-TURRAX(登録商標)T25ホモジナイザーを使用して18,000rpmで1分間均質化する。得られた最終エマルジョンを250mLのガラスフラスコに注ぎ、50mbarの真空でのローター蒸発により溶媒を除去する。BSA負荷粒子を蒸留水で3回洗浄して凍結乾燥する。粒径、サイズ分布、ζ電位、タンパク質カプセル封入効率および表面上のポリシアル酸の量の測定のために凍結乾燥した粒子を蒸留水中で再構成する。
【0212】
実施例3. 単一エマルジョンプロセスを介した、表面上にポリシアル酸を有するパクリタキセル負荷PLGAナノ粒子の調製
200mgのPLGAおよび4mgのパクリタキセルを4mLの酢酸エチルに溶解して、PLGA-パクリタキセル溶液を形成する。PLGA-パクリタキセル溶液を40ミリグラムのポリシアル酸を含む16mLの2.5%ポリビニルアルコール溶液と混合し、24,000rpmで1分間、IKA(登録商標)DIGITAL ULTRA-TURRAX(登録商標)T25ホモジナイザーを使用して均質化する。得られたエマルジョンをガラス容器に注ぎ、400rpmで4時間磁気的に撹拌して、溶媒を蒸発させる。次いで、パクリタキセル負荷ナノ粒子を蒸留水で3回洗浄して、凍結乾燥する。BSA負荷粒子を蒸留水で3回洗浄して、凍結乾燥する。粒径、サイズ分布、ζ電位、薬物カプセル封入効率および表面上のポリシアル酸の量の測定のために凍結乾燥した粒子を蒸留水中で再構成する。
【0213】
実施例4. 表面上にポリシアル酸を有するポリカプロラクトンナノ粒子の調製
100mgのポリカプロラクトン(PCL)を6mlのジクロロメタン(DCM)に溶解してPCL溶液を形成し、これを40ミリグラムのコロミン酸を含む40mLの5%ポリビニルアルコール(PVA)溶液と混合して、25,000rpmで1分間、IKA(登録商標)DIGITAL ULTRA-TURRAX(登録商標)T25ホモジナイザーを使用して均質化する。得られたエマルジョンをガラス容器に注ぎ、400rpmで3時間、磁気的に撹拌して、DCMを蒸発させる。次いで、ナノ粒子を蒸留水で3回洗浄し、その後凍結乾燥する。粒径、サイズ分布、ζ電位および表面上のポリシアル酸の質の測定のために凍結乾燥した粒子を蒸留水中で再構成する。
【0214】
実施例5. 蛍光的に標識したオリゴヌクレオチドの調製
ノンコーディング核RNA、転移関連肺腺癌転写物1(MALAT1)を5'位に付加された第1級アミンで標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)(図1参照)を、Boston Open Labs, Cambridge, MAから入手した。かかるMALAT1-ASO-5'-アミンを等モル量のNHSエステルで官能基化されたCy7近IR蛍光色素と反応させた。得られた反応生成物はASO-Cy7コンジュゲートと称される。
【0215】
実施例6. ASO-Cy7コンジュゲートで負荷され、表面上に提示されるポリシアル酸を有するナノ粒子の調製
実施例5で調製した約50mgのASO-Cy7コンジュゲートを1mLの蒸留水に溶解してASO溶液を形成した。100mgのポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA、エステル末端キャップ)を1mLの酢酸エチルに溶解して、ポリマー溶液を形成した。63.75mgのアルギン酸エチルラウロイル(ethyl lauroyl arginate)(ELA)を1mLのベンジルアルコールに溶解してELA溶液を形成した。0.5mLのポリマー溶液、0.2mLのELA溶液、0.3mLの酢酸エチルおよび0.1mLのASO溶液を8mLのガラスバイアル中で混合した。8mLのバイアル中の得られた混合物を、90%振幅で30秒間プローブ超音波処理して、第1のエマルジョンを得て、これを0.5%ポリ(ビニルアルコール)(PVA、89%加水分解)、0.2% Brij-S100-PA-SG (Brij-S100)および0.5%ポリシアル酸からなる5mLの水溶液を含む15mLのガラスバイアルに移し、適切な量の酢酸エチルで飽和させた。全混合物をすぐに90%振幅で60秒間プローブ超音波処理して、第2のエマルジョンを得て、これを30mLのビーカーに移し、ケミカルヒュームフード中で2時間、磁気的に撹拌した。一旦粒子が形成されて硬化されると、懸濁物を50mLのリン酸バッファ食塩水、次いでタンジェンシャルフロー濾過を使用して50mLの蒸留水で2回洗浄した。精製後、ナノ粒子を凍結乾燥した。得られたナノ粒子は、155.6nmの平均粒径、3.9%のASO-Cy7の負荷および-33.0mVの表面ζ電位を有することが分かった。
【0216】
実施例7. 洗浄試験
実施例1に記載されるように作製した50mgのPLGAナノ粒子を30mLの脱イオン水中で再構成する。短い超音波処理の後、粒子を十分に懸濁する。ζ電位の測定のために試料を採取する。
【0217】
次いでかかるナノ粒子懸濁物に300mLの脱イオン水を添加する。得られた混合物を、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)デバイスを使用して30mLまで濃縮し、再度ζ電位を測定する。この洗浄工程をさらに4回反復し、それぞれの洗浄後に得られたζ電位を測定して記録する。
【0218】
本発明は、その好ましい態様に関して特に示され、記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本発明においてなされ得ることが当業者に理解される。
【0219】
本明細書に記載される本発明の任意の好ましい特徴は、本発明の一局面のみに記載される好ましい特徴および実施例のみに記載される好ましい特徴を含む任意の他の好ましい特徴と組み合わされ得ることが理解されるべきである。明細書を通じて、任意の米国特許または特許出願公開を含む公的に利用可能な文書についての任意および全ての参照は、参照により具体的に援用される。
【国際調査報告】