(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】2019新型コロナウイルス抗体含有医薬製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240604BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240604BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240604BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240604BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240604BHJP
C07K 16/10 20060101ALI20240604BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
A61K39/395 S
A61P31/14 ZNA
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/26
C07K16/10
C12N15/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575502
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022032586
(87)【国際公開番号】W WO2022261153
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】タン,ユ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076CC35
4C076DD51
4C076DD67
4C076EE23
4C076FF61
4C085AA14
4C085BA71
4C085EE01
4C085EE03
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
2019新型コロナウイルス(2019-nCoV)抗体と、商業的に許容可能な貯蔵寿命安定性、使用中安定性及び許容可能な患者の注射部位経験を提供する薬剤とを含む医薬製剤が提供される。そのような製剤は、2019-nCoV感染症又はCOVID-19を減弱、予防及び/又は治療するために使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤であって、
約30mg/mL~約150mg/mLの濃度の2019新型コロナウイルス(2019-nCoV)抗体と、
約5mM~約40mMの濃度のヒスチジン緩衝液と、
約8.0%(w/v)~約8.5%(w/v)の濃度のスクロースと、
約0.02%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート80と、を含み、
前記医薬組成物が、約5.5~約7.0のpHを有する、医薬製剤。
【請求項2】
前記2019-nCoV抗体が、約30mg/mL~約40mg/mLの濃度である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記2019-nCoV抗体が、約35mg/mLの濃度である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記ヒスチジン緩衝液の濃度が、約20mMである、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記pHが、約6.0である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
スクロースが、約8.05%(w/v)の濃度である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
ポリソルベート80が、約0.05%(w/v)の濃度である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記2019-nCoV抗体が、3つの重鎖重鎖相補性決定領域(HCDR)及び3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含み、HCDR1が配列番号1を含み、HCDR2が配列番号2を含み、HCDR3が配列番号3を含み、LCDR1が配列番号4を含み、LCDR2が配列番号5を含み、LCDR3が配列番号6を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記2019-nCoV抗体が、配列番号7を含む重鎖可変領域(HCVR)を含む、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記2019-nCoV抗体が、配列番号8を含む軽鎖可変領域を含む、請求項8又は9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記2019-nCoV抗体が、配列番号9を含む重鎖を含む、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記2019-nCoV抗体が、配列番号10を含む軽鎖を含む、請求項8又は11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
1つ以上の追加の2019-nCoV抗体を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
2019新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症又はCOVID-19を治療する方法であって、
有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤を、2019-nCoV感染症を有する個体に投与するステップを含む、方法。
【請求項15】
個体における2019新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症又はCOVID-19を予防する方法であって、
有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤を、2019-nCoVへの曝露のリスクがあるか又は曝露された個体に投与するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、生物学及び医学に関し、より詳細には、高い中和活性を有する、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2、SARS-CoV-2;以下、2019新型コロナウイルス又は2019-nCoVという)に対するヒトモノクローナル抗体(antibody、Ab)を有する医薬製剤などの組成物に関する。製剤は更に、商業的に許容可能な貯蔵寿命安定性、使用中安定性、及び許容可能な患者の注射部位経験を提供する薬剤を含む。そのような製剤は、2019-nCoV感染症を減弱、予防及び/又は治療するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
2019年末に中国の武漢で最初に公式に認識され、2019-nCoVによって引き起こされる肺炎は中国及び世界中に急速に広がった。2019-CoVによって引き起こされる疾患は、世界保健機関(World Health Organization、WHO)によってコロナウイルス疾患2019(Coronavirus Disease 2019、COVID-19)と名付けられた。このCOVID-19の影響は前例がなく、2021年3月時点で、症例は1億2600万症例を超え、全世界で280万人を超える死亡に達しており、これは、予防及び治療処置の継続的な重大な必要性を示している。ワクチンは依然としてCOVID-19予防のための主要な選択肢であるが、中和モノクローナル抗体は、既に感染した者に対して有効な治療選択肢であるだけでなく、2019-nCoVに既に曝露された者において感染症を予防する可能性を有していることが示されており、これは、特定の高リスク亜集団に特に有益であり得る。
【0003】
国際公開第2021/169932号は、2019-nCoV感染症を減弱、予防及び/又は治療するために使用することができ、エテセビマブ(etesevimab)、LY-CoV016、JS016又はCB6として知られるモノクローナル2019-nCoV抗体を記載している。
【0004】
抗体を含むタンパク質は、従来の有機及び無機治療薬よりも大きく、より複雑であるため(例えば、複雑な三次元構造に加えて複数の官能基を有する)、そのようなタンパク質の製剤化は、しばしば困難をもたらす。例えば、タンパク質が生物学的に活性のままであるためには、製剤は、同時にその複数の官能基を分解から保護しながら、そのアミノ酸の少なくともコア配列の立体構造の完全性を無傷で保存しなければならない。タンパク質の分解経路には、化学的不安定性(例えば、新たな化学物質をもたらす結合形成又は切断によるタンパク質の修飾を含む任意のプロセス)又は物理的不安定性(例えば、タンパク質の高次構造の変化)が関与し得る。化学的不安定性は、脱アミド化、ラセミ化、加水分解、酸化、ベータ脱離又はジスルフィド交換から生じ得る。物理的不安定性は、例えば、変性、凝集、沈殿又は吸着から生じ得る。3つの最も一般的なタンパク質分解経路は、タンパク質凝集、脱アミド化及び酸化である。Cleland et al.(1993)Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.10:307-377を参照のこと。
【0005】
世界的な公衆衛生に対する深刻な脅威を考慮すると、予防薬及び治療薬として使用するための、特に2019-nCoV感染症を減弱、予防及び/又は治療するための、2019-nCoV抗体を含む安全かつ有効な製剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
この必要性に対処するために、本開示は、エテセビマブとして知られる2019-nCoV抗体又はその薬学的に許容される塩を少なくとも含む医薬製剤などの組成物を記載する。そのような製剤は、2019-nCoV感染症又はCOVID-19を減弱、予防及び/又は治療するために使用することができる。加えて、そのような製剤は、例えば、製品安定性及び他の望ましい属性を維持しながら、本明細書に記載されるように静脈内(intravenous、IV)又は皮下(subcutaneous、SQ)投与用にパッケージされ得る。
【0007】
特に、2019-nCoV抗体、ヒスチジン緩衝液、ポリオール又は等張化剤、及び界面活性剤を含む製剤が記載される。
【0008】
いくつかの例では、2019-nCoV抗体は、重鎖相補性決定領域(heavy chain complementarity-determining region、HCDR)HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖相補性決定領域(light chain complementarity-determining region、LCDR)LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を有し、HCDR2は、配列番号2のアミノ酸配列を有し、HCDR3は、配列番号3のアミノ酸配列を有し、LCDR1は、配列番号4のアミノ酸配列を有し、LCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を有し、LCDR3は、配列番号6のアミノ酸配列を有する。
【0009】
他の例では、2019-nCoV抗体は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、HCVR)を含み、HCVRは、配列番号7のアミノ酸配列を有する。代替として、2019-nCoV抗体は、軽鎖可変領域(light chain variable region、LCVR)を含み、LCVRは、配列番号8のアミノ酸配列を有する。更に代替として、2019-nCoV抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVRと配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む。
【0010】
更に他の例では、2019-nCoV抗体は、重鎖(HC)を含み、HCは、配列番号9のアミノ酸配列を有する。代替として、2019-nCoV抗体は、軽鎖(LC)を含み、LCは、配列番号10のアミノ酸配列を有する。更に代替として、2019-nCoV抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHCと配列番号10のアミノ酸配列を有するLCとを含む。
【0011】
上記のうちのいずれかでは、2019-nCoV抗体は、約25mg/mL~約150mg/mLの濃度であり得る。いくつかの例では、2019-nCoV抗体は、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、又は50mg/mLの濃度である。特定の例では、2019-nCoV抗体は、30mg/mL~40mg/mL、特に35mg/mLの濃度である。
【0012】
いくつかの例では、ヒスチジン緩衝液は、約5.5~約7.0のpHのL-ヒスチジン及び/又はL-ヒスチジン塩酸塩一水和物であり得る。
【0013】
上記のうちのいずれかでは、ヒスチジン緩衝液は、約5mM~約40mMの濃度であり得る。特定の例では、ヒスチジン緩衝液は、pH6.0で濃度20mMである。
【0014】
いくつかの例では、ポリオール又は等張化剤は、マンニトール又はスクロースであり得る。特定の例では、ポリオール又は等張化剤は、スクロースである。
【0015】
上記のうちのいずれかでは、ポリオール又は等張化剤は、約1%(w/v)~約10%(w/v)の濃度であり得る。いくつかの例では、ポリオール又は等張化剤は、約4.5%(w/v)~約8.5%(w/v)の濃度であり得る。特定の例では、ポリオール又は等張化剤は、約8.0%(w/v)の濃度である。特別な例では、ポリオール又は等張化剤は、濃度8.04%(w/v)のスクロースである。
【0016】
いくつかの例では、界面活性剤は、ポリソルベートであり得る。特定の例では、界面活性剤は、ポリソルベート80である。
【0017】
上記のうちのいずれかでは、界面活性剤は、約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)の濃度であり得る。特定の例では、界面活性剤は、約0.02%(w/v)~約0.05%(w/v)の濃度である。特別な例では、界面活性剤は、濃度0.05%(w/v)のポリソルベート80である。
【0018】
一例では、製剤は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2及び配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を有する2019-nCoV抗体を、pH6.0で約20mMの濃度のL-ヒスチジン緩衝液、約8.04%(w/v)の濃度のスクロース及び約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80中に含む。
【0019】
別の例では、製剤は、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR及び配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを有する2019-nCoV抗体を、pH6.0で約20mMの濃度のL-ヒスチジン緩衝液、約8.04%(w/v)の濃度のスクロース及び約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80中に含む。
【0020】
更に別の例では、製剤は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHC及び配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを有する2019-nCoV抗体を、pH6.0で約20mMの濃度のL-ヒスチジン緩衝液、約8.04%(w/v)の濃度のスクロース及び約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80中に含む。
【0021】
いくつかの例では、製剤は、2019-nCoVに対する1つ以上の追加の抗体を含み得る。
【0022】
本開示はまた、2019-nCoV感染症又はCOVID-19を減弱、予防及び/又は治療する方法を記載し、そのような方法は、有効量/用量の本明細書の製剤を、必要とする個体に投与するステップを少なくとも含む。いくつかの例では、組成物は、約1週間に1回投与される。いくつかの例では、個体は、確認された2019-nCoV感染症を有する。他の例では、個体は、2019-nCoVへの曝露のリスクがある。他の例では、個体は、2019-nCoV感染症に最近曝露されている(すなわち、2019-nCoV感染症がまだ確認されていない)。
【0023】
本開示は更に、医薬として使用するための本明細書の組成物を記載する。
【0024】
本開示は更に、2019-nCoV感染症の治療において使用するための本明細書の組成物を記載する。
【0025】
本開示は更に、本明細書の製剤を含む製品を記載する。いくつかの例では、製品は、複数回使用バイアルである。いくつかの例では、製品は、プレフィルドシリンジである。いくつかの例では、製品は、自動注射装置(「自動注射器」、例えば、米国特許第8,734,394号参照)である。いくつかの例では、製品は、連続灌流用ポンプ、特に皮下注入用ポンプである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、インクレチン類似体、医薬組成物、及び方法の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料は、本明細書に記載されている。
【0027】
また、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」による要素への言及は、文脈が1つ及び1つのみの要素があることを明確に要求しない限り、複数の要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞の「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0028】
定義
本明細書で使用される場合、「約」は、例えば、記載された濃度、長さ、分子量、pH、配列同一性、時間枠、温度、又は体積などの値(複数可)の統計的に有意な範囲内を意味する。そのような値又は範囲は、所与の値又は範囲の典型的には20%以内、より典型的には10%以内、更により典型的には5%以内の規模以内であり得る。「約」によって包含される許容される変動は、研究での特定の系に依存し、当業者によって容易に理解され得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、「親和性」は、例えば、スパイク(S)タンパク質(配列番号11)の2019-nCoV受容体結合ドメイン(receptor binding domain、RBD)などの2019-nCoV上のエピトープへの2019-nCoV抗体の結合の強度を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「抗体」又は「Ab」などは、鎖間及び鎖内ジスルフィド結合を有する2つのHC及び2つのLCを含む完全長抗体を意味する。4つのポリペプチド鎖のそれぞれのアミノ末端部分は、抗原認識に主に関与する可変領域を含む。各HCは、N末端HCVR及びHC定常領域(HCCR)を含む。各軽鎖は、LC可変領域(LCVR)及びLC定常領域(LC constant region、LCCR)を含む。ここで、抗体は、免疫グロブリンG(immunoglobulin G、IgG)型抗体であり、IgGアイソタイプは、更にサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4)に分類され得る。HCVR及びLCVR領域は、フレームワーク領域(framework regions、FR)と呼ばれる、より保存されている領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変領域に更に細分され得る。各HCVR及びLCVRは、次の順番、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、FR4で、N末端からC末端に配置されている3つのCDR及び4つのFRを含む。本明細書中、HCの3つのCDRは、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3と称され、LCの3つのCDRは、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3と称される。CDRには、2019-nCoV RBDなどの抗原との特異的相互作用を形成する残基のほとんどが含まれている。残基を様々なCDRに割り当てることは、例えばChothia、Kabat、又はNorthなどのアルゴリズムによって行うことができる。NorthのCDRの定義は、多数の結晶構造による親和性プロパゲーションクラスタリングに基づく(North et al.(2011)J.Mol.Bio.406:228-256)。ここで、CDRは、Northを含む複数の定義の組み合わせに基づいた、配列表で列挙された配列によって最もよく定義される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「急性呼吸器症候群コロナウイルス2」、「SARS-CoV-2」、「2019新型コロナウイルス」、「2019-nCoV」などは、COVID-19を引き起こす呼吸器ウイルスを意味し、これは典型的には軽度から重度の下部呼吸器疾患によって特徴付けられる。
【0032】
全てのコロナウイルスと同様に、2019-nCoVは、スパイク(S)、エンベロープ(E)、メンブレン(M)及びヌクレオカプシド(N)タンパク質を含む4つの構造タンパク質を有する。それらの中で、Sタンパク質は、ウイルスの付着、融合及び侵入において重要な役割を果たし、抗体、侵入阻害剤及びワクチンを開発するための標的として役立つ。Sタンパク質は、最初にS1サブユニットのRBDを介して宿主受容体に結合し、次いでS2サブユニットを介してウイルス膜と宿主膜とを融合することによって、宿主細胞へのウイルス侵入を媒介する。
【0033】
他のコロナウイルス、特にSARS-CoV及びMERS-CoVの研究に基づけば、受容体に結合する重要なエンベロープタンパク質は、Sタンパク質である。Sタンパク質は、更にS1とS2とに分けることができる。S2の役割は、膜融合を媒介することである。本明細書に記載されるように、C末端ドメイン(C-terminal domain、CTD)は、ACE2受容体に結合する2019-nCoV RBDとして同定される。したがって、RBDを標的とする抗体及びACE2へのSの結合をブロックする抗体は、2019-nCoV感染症を減弱又は阻害する中和抗体になり得る。
【0034】
本明細書で使用される「結合」又は「結合する」は、当技術分野で既知の一般的な方法によって決定されるように、タンパク質が別のタンパク質又は分子とある種の化学結合又は引力を形成する能力を意味する。結合は、約1×10-6M以下の平衡解離定数(KD)によって特徴付けることができる(すなわち、KDが小さいほど結合がより強いことを示す)。2つの分子が結合するかどうかを決定する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが含まれる。抗体結合は、以下に記載されるように、シングルポイント形式の標準ELISAアッセイにおいて決定することができ、結合は、以下に記載されるように、例えば、Biacore(登録商標)アナライザー(GE Healthcare Bio-Sciences AB; Uppsala,Sweden)によって特徴付けられ得る。本明細書の抗体はヒトに関するものであるが、それらは他の種に対して交差反応性を示し得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、モノクローナル抗体に関して「生物活性」は、抗原に結合する抗体の能力を意味する。それはまた、抗原に結合し、インビトロ又はインビボで測定され得る測定可能な生物学的応答をもたらす抗体を含み得る。そのような活性は、アンタゴニスト又はアゴニストであり得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「緩衝液」は、その酸塩基共役体成分の作用によってpHの変化に抵抗する緩衝溶液を意味する。1つの緩衝液は、ヒスチジン緩衝液であり、これはヒスチジンイオンを含む緩衝液である。ヒスチジン緩衝液の例としては、酢酸ヒスチジン、塩化ヒスチジン、リン酸ヒスチジン、コハク酸ヒスチジン、硫酸ヒスチジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用される場合、「化学的安定性」は、治療剤、物質、又は生成物が、異性化、凝集、酸化、重合、断片化、及び加水分解などの起こり得る化学反応に起因する生成物中の組成の潜在的な変化に抵抗する能力を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「2019-nCoV抗体」、「2019-nCoV Ab」などは、2019-nCoVのRBDに結合し、それによって、アンジオテンシン変換酵素2(angiotensin-converting enzyme 2、ACE2)受容体へのその結合をブロックする抗体を意味する。例示的な2019-nCov抗体は、エテセビマブであり、これは、2019-nCoV RBDに結合し、2019-nCoV RBDとACE2受容体との間の結合をブロックし、それによって2019-nCoV感染症を阻害するIgG1抗体である。例示的な2019-nCoV抗体は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)を含み、かつ3つのLDCR(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含み、HCDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を有し、HCDR2は、配列番号2のアミノ酸配列を有し、HCDR3は、配列番号3のアミノ酸配列を有し、LCDR1は、配列番号4のアミノ酸配列を有し、LCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を有し、LCDR3は、配列番号6のアミノ酸配列を有する。代替として、2019-nCoV抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVRを含む。更に代替として、2019-nCoV抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含む。更に代替として、2019-nCoV抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVRと配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む。代替として、2019-nCoV抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHCを含む。更に代替として、2019-nCoV抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含む。更に代替として、2019-nCoV抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHCと配列番号10のアミノ酸配列を有するLCとを含む。詳細には、エテセビマブは、449アミノ酸の2つの同一のHCポリペプチド(配列番号9)及び216アミノ酸の2つの同一のLCポリペプチド(配列番号10)を有するヒトIgG1変異体(Fcエフェクターヌル)モノクローナル抗体であり、各々、チャイニーズハムスター卵巣(Chinese hamster ovary、CHO)細胞株を使用して産生される。エテセビマブの翻訳後修飾には、HC Asn297上のN結合型糖鎖合成及びHC C末端Lysの除去が含まれる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、それを必要とする個体に単回又は複数回投与したときに、診断又は治療下のそのような個体において所望の効果を提供する(すなわち、個人の状態に臨床的に測定可能な差異を生じさせる可能性がある)、1つ以上の活性成分(例えば、抗体)又はその薬学的に許容される塩の量、濃度又は用量を意味する。有効量は、既知の技法の使用によって、及び同様の状況下で得られた結果を観察することによって、当業者であれば容易に決定することができる。個体についての有効量を決定する際には、哺乳動物の種、そのサイズ、年齢、及び健康状態全般、関与する特定の疾患又は障害、疾患又は障害の程度、関与、又は重症度、個体の応答、投与される特定のインクレチン類似体、投与の様式、投与される調製物の生物学的利用能特性、選択される用量レジメン、併用薬の使用、並びに他の関連する状況を含むが、これらに限定されない、多数の因子が考慮される。
【0040】
本明細書で使用される場合、製剤に関して「凍結」とは、0℃未満の温度のものを意味する。一般に、凍結製剤は凍結乾燥されず、事前又は事後の凍結乾燥にも供されない。このようにして、凍結製剤は、貯蔵(例えば、ステンレス製タンク中で)のための凍結活性成分(例えば、抗体)又は凍結薬物生成物を含む(最終バイアル構成中で)。
【0041】
本明細書で使用する場合、「それを必要とする個体」は、例えば、本明細書に列挙されるものを含む、治療又は療法を必要とする異常、疾患、障害、又は症状を有する、ヒトなどの哺乳動物を意味する。特に、治療を受ける好ましい個体は、ヒトであり、特に、2019-nCoV感染症又はCOVID-19を有するか又は有する疑いのある個体である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「キット」は、COVID-19の治療のための少なくとも1つの試剤(例えば、医薬)と、COVID-19に関連する疾患、障害又は異常を有する個体にそれを投与するための指示を有する添付文書とを含む任意の製造品(例えば、パッケージ又は容器)を意味する。製造品は、本明細書の方法を実施するためのユニットとして販売促進、流通又は販売することができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「医薬」は、COVID-19などの疾患、障害及び/又は異常を治療するための活性成分(例えば、抗体)を意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「微生物学的安定性」は、活性成分、物質又は生成物が、環境微生物又は他の微生物に曝露された場合にその滅菌性(sterility)を維持する能力を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「医薬製剤」又は「製剤」とは、活性成分(例えば、抗体)の生物活性が有効であることを可能にするような形態であり、製剤が投与される個体に対して許容できない毒性を有する追加の成分を含まない調製物を意味する。そのような製剤は滅菌(sterile)のものである。「薬学的に許容される」賦形剤(例えば、添加剤、ビヒクルなど)は、使用される活性成分の有効用量を提供するために個体に合理的に投与され得るものを意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」又は「治療すること」は、その感染症の症状及び合併症と闘うか又は軽減する目的で製剤投与が適応される異常を有するか又は有する疑いのある個体を管理及びケアすることを意味する。治療することは、本明細書の活性成分(例えば、抗体)を含む化合物、組成物又は製剤をそのような個体に投与して、症状若しくは合併症の発症を予防すること、症状若しくは合併症を軽減すること、又は感染症を排除することを含む。治療することは、本明細書の活性成分(例えば、抗体)を含む化合物、組成物又は製剤をそれを必要とする個体に投与して、2019-nCoV感染症の減弱又はブロックをもたらすことを含む。治療を受ける個体は、動物、特にヒトである。
【0047】
本明細書で使用される場合、「患者」、「対象」及び「個体」は、本明細書では互換的に使用され、動物、特にヒトを意味する。特定の例では、個体はヒトであり、本明細書の製剤の投与から恩恵を受けるであろう感染症を更に特徴とする。
【0048】
本明細書で使用される場合、「ポリオール」は、製剤中に含まれ得る複数のヒドロキシル基を有する物質を意味し、糖(還元糖及び非還元糖)、糖アルコール並びに糖酸を含む。還元糖の例としては、フルクトース、マンノース、マルトース、ラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース及びグルコースが挙げられるが、これらに限定されない。非還元糖の例としては、スクロース、トレハロース、ソルボース、メレジトース及びラフィノースが挙げられるが、これらに限定されない。糖アルコールの例としては、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、トレイトール、ソルビトール及びグリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。糖酸の例としては、L-グルコン酸塩及びその金属塩が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例では、ポリオールは、非還元糖又は糖アルコール、特にスクロース又はマンニトールである。
【0049】
本明細書で使用される場合、「防腐剤」は、製剤中の細菌の作用を本質的に低減し、したがって、多用途製剤の製造を容易にするために製剤中に含めることができる化合物を意味する。防腐剤の例としては、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメソニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド(アルキル基が長鎖化合物であるアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドの混合物)、及びベンゼトニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。他の防腐剤としては、フェノール、ブチル及びベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールが挙げられる。
【0050】
本明細書で使用される場合、製剤に関して「安定」とは、その中の活性成分(例えば、抗体)が、貯蔵時にその生物活性及び/又は化学的安定性及び/又は物理的安定性を本質的に保持するものを意味する。このようにして、製剤は、その化学的及び物理的安定性を本質的に保持するとともに、貯蔵時にその生物活性を保持する。貯蔵期間は、一般に、製剤の意図される貯蔵寿命に基づくことができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、製剤に関して「滅菌の(sterile)」とは、無菌(aseptic)であるか、又は全ての生きている微生物及び胞子を含まないか若しくは本質的に含まないことを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」は、表面活性剤、典型的には非イオン性界面活性剤を意味する。界面活性剤の例としては、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、40、60及び80);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);トリトン(Triton);ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate、SDS);ラウリル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-又はステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-又はステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-又はセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノールアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-又はイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-又はイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;ソディウムメチルココイル-又はジソディウムメチルオレイル-タウレート;及びMONAQUAT(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.;Paterson,N.J.);ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、並びにエチレンとプロピレングリコールとのコポリマー(例えば、Pluronics、PF68など);など、特にポリソルベート80が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
組成物及び製剤
本明細書の組成物は、3つのHCDR(すなわち、HCDR1、HCDR2及びHCDR3)を有し、かつ3つのLDCR(すなわち、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を有する2019-nCoV抗体を含む製剤であり、HCDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を有し、HCDR2は、配列番号2のアミノ酸配列を有し、HCDR3は、配列番号3のアミノ酸配列を有し、LCDR1は、配列番号4のアミノ酸配列を有し、LCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を有し、LCDR3は、配列番号6のアミノ酸配列を有する。代替として、製剤は、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVRを有し、かつ配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを有する2019-nCoV抗体を含むことができる。代替として、製剤は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHCを有し、かつ配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを有する2019-nCoV抗体を含むことができる。2019-nCoV抗体に関する更なる詳細は、その合成方法を含めて、国際公開第2021/169932号に記載されている。
【0054】
いくつかの例では、2019-nCoV抗体は、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するHCVR配列を含むことができる。他の例では、2019-nCoV抗体は、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するLCVR配列を含むことができる。HCVR及び/又はLCVRは、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含み得るが、2019-nCoV RBDに結合する能力を保持する。すなわち、配列番号7及び8において、合計1~10個のアミノ酸を置換、挿入及び/又は欠失させることができる。いくつかの例では、置換、挿入又は欠失は、CDRの外側の領域において(すなわち、フレームワーク領域(framework region、FR)で)生じる。
【0055】
2019-nCoV抗体は、約25mg/mL~約150mg/mLの濃度であり得る。いくつかの例では、2019-nCoV抗体は、約30mg/mL~約145mg/mL、約35mg/mL~約140mg/mL、約40mg/mL~約135mg/mL、約45mg/mL~約130mg/mL、約50mg/mL~約125mg/mL、約55mg/mL~約120mg/mL、約60mg/mL~約115mg/mL、約65mg/mL~約110mg/mL、約70mg/mL~約105mg/mL、約75mg/mL~約100mg/mL、約80mg/mL~約95mg/mL、又は約85mg/mL~約90mg/mLの濃度である。いくつかの例では、2019-nCoV抗体は、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約65mg/mL、約70mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約85mg/mL、約90mg/mL、約95mg/mL、約100mg/mL、約105mg/mL、約110mg/mL、約115mg/mL、約120mg/mL、約125mg/mL、約130mg/mL、約135mg/mL、約140mg/mL、約145mg/mL、又は約150mg/mL、特に約30mg/mL~約40mg/mLの濃度であり得る。特定の例では、2019-nCoV抗体は、35mg/mLの濃度である。
【0056】
2019-nCoV抗体に加えて、製剤はまた、適切なpHを維持するために緩衝系を含む。例示的な緩衝系は、ヒスチジン緩衝液であり、これはL-ヒスチジン及び/又はL-ヒスチジン塩酸塩一水和物であり得る。
【0057】
ヒスチジン緩衝液は、約5mM~約40mMの濃度であり得る。いくつかの例では、ヒスチジン緩衝液は、約10mM~約35mM、約15mM~約30mM、又は約20mM~約25mMの濃度であり得る。いくつかの例では、ヒスチジン緩衝液は、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、又は約40mM、特に約15mM~約25mMの濃度であり得る。特定の例では、ヒスチジン緩衝液は、20mMの濃度である。
【0058】
緩衝系にかかわらず、本明細書の製剤のpHは、約5.5~約7.0であり得る。いくつかの例では、pHは、約5.6~約6.9、約5.7~約6.8、約5.8~約6.7、約5.9~約6.6、約6.0~約6.5、約6.1~約6.4、又は約6.2~約6.3であり得る。いくつかの例では、pHは、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、又は約7.0であり得る。特定の例では、pHは、6.0である。
【0059】
上記に加えて、本明細書の製剤はまた、静脈内又は皮下投与に適した等張性製剤にするためのポリオール又は等張化剤も含む。例示的なポリオール又は等張化剤は、マンニトール又はスクロースである。
【0060】
ポリオール又は等張化剤がマンニトールである場合、それは約3.5%(w/v)~約5.5%(w/v)の濃度であり得る。いくつかの例では、マンニトールは、約3.6%(w/v)~約5.4%(w/v)、約3.7%(w/v)~約5.3%(w/v)、約3.8%(w/v)~約5.2%(w/v)、約3.9%(w/v)~約5.1%(w/v)、約4.0%(w/v)~約5.0%(w/v)、約4.1%(w/v)~約4.9%(w/v)、約4.2%(w/v)~約4.8%(w/v)、約4.3%(w/v)~約4.7%(w/v)、約4.4%(w/v)~約4.6%(w/v)、又は約4.5%(w/v)の濃度であり得る。いくつかの例では、マンニトールは、約3.5%(w/v)、約3.6%(w/v)、約3.7%(w/v)、約3.8%(w/v)、約3.9%(w/v)、約4.0%(w/v)、約4.1%(w/v)、約4.2%(w/v)、約4.3%(w/v)、約4.4%(w/v)、約4.5%(w/v)、約4.6%(w/v)、約4.7%(w/v)、約4.8%(w/v)、約4.9%(w/v)、約5.0%(w/v)、約5.1%(w/v)、約5.2%(w/v)、約5.3%(w/v)、約5.4%(w/v)、又は約5.5%(w/v)の濃度であり得る。特定の例では、マンニトールは、4.5%(w/v)の濃度である。
【0061】
ポリオール又は等張化剤がスクロースである場合、それは約6.5%(w/v)~約8.5%(w/v)の濃度であり得る。いくつかの例では、スクロースは、約6.6%(w/v)~約8.4%(w/v)、約6.7%(w/v)~約8.3%(w/v)、約6.8%(w/v)~約8.2%(w/v)、約6.9%(w/v)~約8.1%、約7.0%(w/v)~約8.0%(w/v)、約7.1%(w/v)~約7.9%(w/v)、約7.2%(w/v)~約7.8%(w/v)、約7.3%(w/v)~約7.7%(w/v)、約7.4%(w/v)~約7.6%(w/v)、又は約7.5%(w/v)の濃度であり得る。いくつかの例では、スクロースは、約6.5%(w/v)、約6.6%(w/v)、約6.7%(w/v)、約6.8%(w/v)、約6.9%(w/v)、約7.0%(w/v)、約7.1%(w/v)、約7.2%(w/v)、約7.3%(w/v)、約7.4%(w/v)、約7.5%(w/v)、約7.6%(w/v)、約7.7%(w/v)、約7.8%(w/v)、約7.9%(w/v)、約8.0%(w/v)、約8.1%(w/v)、約8.2%(w/v)、約8.3%(w/v)、約8.4%(w/v)、又は約8.5%(w/v)の濃度であり得る。いくつかの例では、スクロースは、約8.00%(w/v)、約8.01%(w/v)、約8.02%(w/v)、約8.03%(w/v)、約8.04%(w/v)、約8.05%(w/v)、約8.06%(w/v)、約8.07%(w/v)、約8.08%(w/v)、約8.09%(w/v)、又は約8.10%(w/v)の濃度であり得る。特定の例では、スクロースは、8.04%(w/v)の濃度である。
【0062】
上記に加えて、本明細書の製剤はまた、製剤の物理的及び化学的特性を改善し、その有効性又は生物学的性能を改善するために界面活性剤も含む。
【0063】
いくつかの例では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり得る。例示的な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、40、60、80など)又はポロキサマー(例えば、ポロキサマー184、188など)、特にポリソルベート80が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
界面活性剤がポリソルベート80である場合、それは約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)の濃度であり得る。いくつかの例では、ポリソルベート80は、約0.02%(w/v)~約0.09%(w/v)、0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)、約0.04%(w/v)~約0.07%(w/v)、又は約0.05%(w/v)~約0.06%(w/v)の濃度であり得る。いくつかの例では、ポリソルベート80は、約0.01%(w/v)、0.02%(w/v)、0.03%(w/v)、0.04%(w/v)、0.05%(w/v)、0.06%(w/v)、0.07%(w/v)、0.08%(w/v)、0.09%(w/v)、又は0.1%(w/v)の濃度であり得る。特定の例では、ポリソルベート80は、0.05%(w/v)の濃度である。
【0065】
本明細書の製剤は、最初に生成された際に滅菌のものである。そのため、製剤は、組成物の他の成分と適合性であり、適用可能な規制抗菌防腐剤要件を満たすのに十分な強度で添加され得る防腐剤を任意で含むことができる。薬学的に許容される防腐剤は、当業者に公知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Troy,Ed.,21st Edition,Lippincott,Williams&Wilkins,2006を参照のこと)。いくつかの例では、本明細書の製剤は、防腐剤を含まない。
【0066】
特別な一例では、製剤は、約8.04%(w/v)の濃度のスクロース及び約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80と共に、pH6.0で約20mMの濃度のL-ヒスチジン緩衝液中に約35mg/mLの濃度の2019-nCoV抗体を含み、2019-nCoV抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。別の特別な例では、製剤は、約8.04%(w/v)の濃度のスクロース及び約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80と共に、pH6.0で約20mMの濃度のL-ヒスチジン緩衝液中に約35mg/mLの濃度の2019-nCoV抗体を含み、2019-nCoV抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVRと配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む。更に別の特別な例では、製剤は、約8.04%(w/v)の濃度のスクロース及び約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80と共に、pH6.0で約20mMの濃度のL-ヒスチジン緩衝液中に約35mg/mLの濃度の2019-nCoV抗体を含み、2019-nCoV抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHCと配列番号10のアミノ酸配列を有するLCとを含む。
【0067】
本明細書の組成物は、静脈内(IV)、筋肉内(intramuscularly、IM)、又は皮下(SQ)に投与することができる。組成物は、プレフィルドの使い捨てペン、再利用可能なペン、又は自動ペン型注射器を使用して投与することができる。代替として、組成物は、複数回使用バイアル又はポンプデバイスを使用して投与され得る。いくつかの例では、デバイスは、米国特許第8,734,394号に記載されるような自動注射装置である。
【0068】
したがって、本明細書の組成物は、プレフィルドシリンジ/複数回使用バイアルで提供されてもよい。そのようなプレフィルドシリンジ/複数回使用バイアルは、患者1人当たり1用量当たり約0.5mL~約1mLの組成物を投与するのに有用であり得る。組成物の用量は、臨床医、医師、又は他の訓練された医療専門家によって決定された投薬スケジュールを使用して投与され得る。
【0069】
代替として、組成物は、カートリッジ用に調製することができ、したがって、防腐剤を含むことによって上記の組成物とは異なるであろう。
【0070】
代替として、組成物は、組成物を含む製品の一部として調製することができ、製品は、複数回使用バイアル、再利用可能なペン型注射器、プレフィルドの使い捨てペン、自動注射器、又はポンプであり得る。
【0071】
上記を考慮すると、本明細書の組成物は、許容可能な貯蔵寿命安定性、使用中安定性、及び許容可能な注射部位経験に関連する。
【0072】
方法
本明細書の製剤は、2019-nCoV感染症又はCOVID-19を減弱、予防及び/又は治療するために使用してもよい。例えば、本明細書の製剤は、活動性2019-nCoV感染症を有する個体を治療するために使用してもよい。特に、そのような感染した個体を治療するための方法が提供され、そのような方法は、そのような治療を必要とする個体に有効量の本明細書の製剤を投与するステップを少なくとも含む。更に、個体における感染症を予防的に予防するための方法が提供され、そのような方法は、2019-nCoVへの曝露のリスクがある個体に有効量の本明細書の製剤を投与するステップを少なくとも含む。
【0073】
これらの方法では、組成物の有効性は、例えば、無味症、食欲不振、咳、下痢、味覚障害、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、吐き気、息切れ、咽喉炎及び/又は嘔吐の著しい低減を観察することによって評価することができる。
【実施例】
【0074】
以下の非限定的な実施例は、限定ではなく例示の目的で提供される。
【0075】
製剤
実施例1:2019-nCoV抗体を含む製剤
製剤は、実質的に本明細書に記載されているように調製される。そのような組成物は、35、40又は125mg/mLのエテセビマブ(例えば、配列番号9のHC及び配列番号10のLC)などの2019-nCoV抗体と、表1に記載の追加の成分とを含む。ポリオール濃度は、等張性製剤がIV又はSQ投与に適したものとなるように選択する。
【0076】
溶液は、2019-nCoV抗体を適切なマトリックスに加え、溶液への溶解が達成されるまで混合し、次いで、適切なサイズの混合容器を使用して溶液を最終体積にすることによって調製する。各製剤溶液を、0.22μmのPVDFフィルターへと無菌で濾過(aseptically filtered)し、所定の充填体積でタイプ1ガラスバイアルに充填する。
【0077】
【0078】
製剤1について、2019-nCoV抗体は、400mg/10mLバイアルとして提供され、IV投与を意図した滅菌冷蔵溶液として供給される。代替として、2019-nCoV抗体は、700mg/17.5mLバイアルとして提供され、IV投与を意図した滅菌冷蔵溶液として供給される。
【0079】
製剤2について、2019-nCoV抗体は、700mg/20mLバイアルとして提供され、IV投与を意図した滅菌冷蔵溶液として供給される。
【0080】
製剤3について、2019-nCoV抗体は、262.5mg/2.1mLバイアルとして提供され、IV投与及び/又はSC投与を意図した滅菌凍結溶液として供給される。
【0081】
製剤4について、2019-nCoV抗体は、安定性について評価されるが、臨床試験には提供されない。
【0082】
製剤5について、2019-nCoV抗体は、安定性について評価され、原薬製剤(drug substance formulation)として使用される。
【0083】
製剤6について、2019-nCoV抗体は、安定性について評価されるが、臨床試験には提供されない。
【0084】
製剤7について、2019-nCoV抗体は、安定性について評価されるが、臨床試験には提供されない。
【0085】
製剤1及び2は、2℃~8℃で貯蔵するが、製剤3は、以下の実施例に記載される更なる研究のために、-40℃以下で又は代替として2℃~8℃で貯蔵する。
【0086】
インビトロデータ(化学的及び物理的安定性)
実施例2:使用中安定性の研究
製剤の化学的及び物理的安定性を測定するために選択される安定性を示す分析及びキャラクタリゼーション技術には、サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography、SEC)及び外観が含まれる。
【0087】
【表2】
注:
150mLの超低密度ポリエチレン(ultra-low density polyethylene、ULDP)バッグ中に30mLの充填物として調製;
2125mLのポリカーボネート(polycarbonate、PC)ボトル中に60mLの充填物として調製。
【0088】
スクロースは、凍結/解凍ストレスから2019-nCoV抗体を保護する能力を示すため、別の製剤(すなわち、製剤5)を生成して、20mMのL-ヒスチジン緩衝液、pH6、8.04%(w/v)のスクロース、及び0.05%(w/v)のポリソルベート80の製剤中150mg/mLのより高い濃度で凍結安定性を評価する(表3)。
【0089】
【表3】
注:5mLのPCボトル中に2.5mLの充填物として調製
【0090】
安定性の結果は、2019-nCoV抗体が、20mMのL-ヒスチジン緩衝液、pH6、8.04%(w/v)のスクロース、及び0.05%(w/v)のポリソルベート80中に150mg/mLで製剤化されるのに適していることを示す。
【0091】
20mMのL-ヒスチジン緩衝液、pH6.0、4.5%(w/v)のマンニトール、及び0.02%(w/v)のポリソルベート80中に40mg/mLの2019-nCoV抗体を有する製剤(製剤1;表5)と比較した、20mMのL-ヒスチジン緩衝液、pH6、8.5%(w/v)のスクロース、及び0.05%(w/v)のポリソルベート80中に35mg/mLの2019-nCoV抗体を有する製剤(すなわち、製剤7;表4)について、2℃~8℃での長期貯蔵及び25℃での加速条件の影響を試験する。
【0092】
【0093】
【0094】
スクロースを含有する製剤(表4)の安定性は、マンニトールを含有する製剤(表5)に匹敵する安定性を示しており、マンニトールをスクロースで置き換えても、長期貯蔵(2℃~8℃)及び加速(25℃)条件下で2019-nCoV抗体の安定性に影響を与えないことを示す。製剤がIV注射用に等張性であることを保証するために、スクロースの量を8.5%(w/v)から8.04%(w/v)に減少させる。したがって、1つの製剤は、20mMのL-ヒスチジン緩衝液、pH6、8.04%(w/v)のスクロース、0.05%(w/v)のポリソルベート80、及び注射用水中に35mg/mLの2019-nCoVを含有する(すなわち、製剤2)。
【0095】
製剤1及び2について追加の研究を行う(表6)。
【0096】
【0097】
使用時適合性も製剤2について評価し、製剤2は、例えば、臨床現場で使用されるものを代表する投与デバイスの接触材料との適合性並びに用量調製及び投与中の分子安定性を評価するために、必要に応じて、ニート(未希釈)で投与されるか、又は0.9%塩化ナトリウム注射液で更に希釈される。試験した接触材料は、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride、PVC)、ポリオレフィン(ポリプロピレン及びポリエチレン)並びにポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)である。
【0098】
同様に、PVCから作製されたIVバッグ及び注入セット並びにPESから作製されたインラインフィルターとの適合性を評価するために、シミュレーション注入研究を行う。製剤は、約3.5mg/mL(0.9%塩化ナトリウム注射液で希釈)及び35mg/mL(未希釈)の濃度範囲を囲うように調製される。表7及び8は、ポリオレフィンから作製された投与デバイス中で、希釈された製剤又はニート製剤を室温で最大5時間まで貯蔵することを示す。
【0099】
更に、用量投与の柔軟性を提供するために、別の使用時研究を実施して、ポリプロピレン(polypropylene、PP)から作製されたシリンジ及びポリエチレン(polyethylene、PE)から作製された注入ラインとの製剤(未希釈)適合性を評価する。インラインフィルターは使用しない。表9は、調製された投薬製剤が、ポリオレフィンから作製された投与デバイス中で室温で最大4時間まで貯蔵できることを示す。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
配列表
以下の核酸配列及び/又はアミノ酸配列が上記開示において言及され、参照のために以下に提供される。
【0105】
配列番号1-重鎖決定領域1(HCDR1)
AASGFTVSSNYMS
【0106】
配列番号2-重鎖決定領域2(HCDR2)
VIYSGGSTF
【0107】
配列番号3-重鎖決定領域3(HCDR3)
ARVLPMYGDYLDY
【0108】
配列番号4-軽鎖決定領域1(LCDR1)
RASQSISRYLN
【0109】
配列番号5-軽鎖決定領域2(LCDR2)
YAASSLQS
【0110】
配列番号6-軽鎖決定領域3(LCDR3)
QQSYSTPPEYT
【0111】
配列番号7-重鎖可変領域(HCVR)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTVSSNYMSWVRQAPGKGLEWVSVIYSGGSTFYADSVKGRFTISRDNSMNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCARVLPMYGDYLDYWGQGTLVTVSS
【0112】
配列番号8-軽鎖可変領域(LCVR)
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISRYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPEYTFGQGTKLEIK
【0113】
配列番号9-重鎖(HC)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTVSSNYMSWVRQAPGKGLEWVSVIYSGGSTFYADSVKGRFTISRDNSMNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCARVLPMYGDYLDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0114】
配列番号10-軽鎖(LC)
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISRYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPEYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0115】
配列番号11-2019-nCoVスパイク(S)タンパク質(GenBankアクセッション番号YP_009724390.1)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCCKFDEDDSEPVLKGVKLHYT
【配列表】
【国際調査報告】