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特表2024-522175ST2アンタゴニストによる慢性閉塞性肺疾患の治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ST2アンタゴニストによる慢性閉塞性肺疾患の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240604BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240604BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240604BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240604BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20240604BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20240604BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61P11/00
A61K9/12
A61K31/573
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K39/395 N
C07K16/28
C07K16/18
C12Q1/06
C12Q1/6827 Z
C07K16/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575701
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022032979
(87)【国際公開番号】W WO2022261417
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,624
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グリンバルデストン, ミケーレ アン
(72)【発明者】
【氏名】モハン, ディヴィヤ
(72)【発明者】
【氏名】ユスフ, アーメド
(72)【発明者】
【氏名】ブライトリング, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ドロシー ジー-ウィング
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, デーヴィッド フォン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ79
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR48
4B063QR72
4B063QR77
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX01
4C076AA93
4C076BB27
4C076CC15
4C076FF70
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZC41
4C084ZC42
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG10
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA11
4C086MA56
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA40
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本出願は、476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法を記載する。本出願はまた、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を治療又は予防する方法であって、標準治療(SOC)と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%又は少なくとも45%の年間増悪率の低下の臨床的改善を達成するのに有効な量のST2 5アンタゴニストを投与することを含む方法を記載する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法であって、476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、方法。
【請求項3】
COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、標準治療(SOC)と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%の年間増悪率低下の臨床的改善を達成するのに有効な量のST2アンタゴニストを投与することを含む、方法。
【請求項4】
COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、増悪数の標準治療(SOC)よりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、前記患者がベースライン血中好酸球数<300好酸球/μLを有する、方法。
【請求項5】
COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、前記患者がベースライン血中好酸球数≦170好酸球/μLを有する、方法。
【請求項6】
COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、前記患者の気管支拡張剤後(BD後)肺活量測定値が、1秒量(FEV1)及び/又は努力肺活量(FVC)によって測定して0.7未満である、方法。
【請求項7】
COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、前記患者が、修正Medical Research Council(mMRC)呼吸困難スケールスコア≧2及びCOPDアセスメントテストスコア(CAT)≧10を有する、方法。
【請求項8】
COPDを治療又は予防する方法であって、患者報告アウトカム(PRO)によって測定される、SOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、PROが、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間での、St.George’s Respiratory Questionnaire for COPD patients(SGRQ-C)におけるベースラインからの少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、又は少なくとも約4ポイントの改善である、方法。
【請求項9】
COPDを有する患者の肺機能を維持及び/又は改善する方法であって、患者に、肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを投与することを含み、臨床的改善が、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも0.04L、0.05L、0.06L、0.07L、0.08L、又は0.09Lの、ベースラインと比較した平均差によって実証される、方法。
【請求項10】
COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法であって、ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量で患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、方法。
【請求項11】
COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法であって、ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量で患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、方法。
【請求項12】
COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、ST2アンタゴニストを、SOCと比較した年間増悪率によって測定して、治療開始から50週間及び/又は52週間で中等度から重度の増悪の数の少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%の低下を達成するのに有効な量で患者に投与することを含む、方法。
【請求項13】
肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者の肺機能を維持及び/又は改善する方法であって、臨床的改善が、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも約5%の、ベースラインと比較した平均差によって実証される、方法。
【請求項14】
有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法であって、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される、方法。
【請求項15】
有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される、方法。
【請求項16】
有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法であって、患者が、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法。
【請求項17】
有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、患者が、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法。
【請求項18】
sST2の参照レベルが、少なくとも1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、19ng/mLである、請求項16又は請求項17に記載の方法。
【請求項19】
有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法であって、患者が、患者由来の試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される、方法。
【請求項20】
有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、患者が、患者由来の試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される、方法。
【請求項21】
有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法であって、患者が、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性指数の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法。
【請求項22】
有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、患者が、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性指数の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法。
【請求項23】
ベースラインα多様性の参照レベルが、Shannon-Weaver法によって計算して、約3.4のα多様性指数である、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ベースラインα多様性の参照レベルが、Shannon-Weaver法によって計算して、約0~5の範囲内のα多様性指数である、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項25】
試料が、血液、血清、血漿又は尿試料である、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
試料が血清試料である、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、請求項3から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ST2アンタゴニストを4週間ごとに投与することを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ST2アンタゴニストを2週間ごとに投与することを含む、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
476mgのST2アンタゴニストを4週間ごとに投与することを含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
476mgのST2アンタゴニストを2週間ごとに投与することを含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
490mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、請求項3から26、28、又は29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
490mgのST2アンタゴニストを4週間ごとに投与することを含む、請求項3から26、28、又は29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
490mgのST2アンタゴニストを2週間ごとに投与することを含む、請求項3から26、28、又は29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
ST2アンタゴニストの皮下投与を含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
患者が、治療前の12ヶ月の期間内に2つ以上の中等度から重度の増悪を有していた、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
患者が2以上のmMRC呼吸困難スコアを有する、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
患者が、≧20且つ予測正常値<80%の気管支拡張剤後FEV1を有する、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
患者が、気管支拡張剤後FEV1/FVC<0.7を有する、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
標準治療(SOC)と比較して臨床アウトカムのより大きな改善を達成する、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間目で、SOCと比較して、年間増悪率低下(AERR)によって測定される中等度から重度の増悪の数を低下させる、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
AERRによって測定される中等度から重度の増悪の数を、SOCと比較して少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%低下させる、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
SOCと比較して、最初の中等度又は重度のCOPD増悪までの時間を増加させる、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
治療開始から4週間後、12週間後、24週間後、36週間後、48週間後、50週間後、又は52週間後に、SOCと比較して、St.George’s Respiratory Questionnaire for COPD patients(SGRQ-C)の総スコアによって評価した健康関連の生活の質(HRQoL)のベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でのSGRQ-C総スコアのベースラインからの4ポイント以上の減少として定義されるHRQoLの改善を有する患者の割合を改善する、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、気管支拡張剤後1秒量(FEV1)(リットル)のベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、ベースラインから、Evaluating Respiratory Symptoms in COPD(ERS:COPD)総スコアのベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間での重度のCOPD増悪の年率を改善する、請求項1から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、5回の反復の立ち座り試験(5STS)時間(秒)のベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、ベースラインからのEXAcerbations of Chronic Pulmonary Disease Tool及びEvaluating Respiratory Symptoms in COPD(EXACT)で定義される増悪事象の年間増悪率を改善する、請求項1から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
EXACT増悪事象を改善する、請求項1から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でベースラインから少なくとも1つの非E-RS COPD領域を改善する、請求項1から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
非E-RS COPD領域が、疲労/衰弱、睡眠障害、又は恐怖/心配である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、SGRQ-C総スコアのベースラインからの4ポイント以上の減少として定義されるHRQoL改善を有する患者の割合を改善する、請求項1から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、E-RS:COPD総スコアのベースラインから、2ポイント以上のベースラインからの減少として定義される症状改善を有する患者の割合を改善する、請求項1から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でのE-RS:COPD総スコアのベースラインから2ポイント以上のベースラインからの減少として定義される患者の症状の改善をもたらす、請求項1から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でE-RS:COPDの咳及び痰の領域をベースラインから改善する、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でE-RS:COPD息切れ領域をベースラインから改善する、請求項1から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でE-RS:COPD胸部症状領域をベースラインから改善する、請求項1から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、気管支拡張剤後FEV1(リットル)のベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で中等度のCOPD増悪の年率を改善する、請求項1から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
重度のCOPD増悪による入院期間を改善する、請求項1から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
重度のCOPD増悪によるヘルスケア利用を低下させる、請求項1から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
30日以内の再入院を必要とする重度のCOPD増悪の割合を改善する、請求項1から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、ベースラインからの残気量/努力肺活量比のベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、毎日の歩数のベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、中等度及び激しい身体活動のベースラインからの時間的絶対変化を改善する、請求項1から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、COPDアセスメントテスト(CAT)スコアのベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
盲検治療期間にわたって中等度及び重度のCOPD増悪の年率を改善する、請求項1から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
SOCと比較して、患者報告アウトカム(PRO)によって測定される健康関連生活の質を改善する、請求項1から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
SGRQ-Cによって評価されるPROを、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、ベースラインから少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、又は少なくとも約4ポイント改善する、請求項1から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、FEV1をベースラインから少なくとも5%改善する、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、少なくとも約2ポイントの減少によってERS:COPD総スコアをベースラインから改善する、請求項1から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、救急吸入器の使用のベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、夜間の総睡眠時間のベースラインからの絶対変化を改善する、請求項1から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
ST2アンタゴニストがSOCと組み合わせて患者に投与される、請求項1から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
ST2アンタゴニストが、吸入コルチコステロイド(ICS)と組み合わせて患者に投与される、請求項1から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
ST2アンタゴニストが、ICS≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾン用量当量と組み合わせて患者に投与される、請求項1から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
ST2アンタゴニストが、ICS+長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)と組み合わせて患者に投与される、請求項1から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
ST2アンタゴニストが、ICS≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾン用量当量+LABAと組み合わせて患者に投与される、請求項1から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
ST2アンタゴニストが、長時間作用型ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)+LABAと組み合わせて患者に投与される、請求項1から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
ST2アンタゴニストが、ICS+LAMA+LABAと組み合わせて患者に投与される、請求項1から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
ST2アンタゴニストが、ICS≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾン用量当量+LAMA+LABAと組み合わせて患者に投与される、請求項1から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
標準治療と比較して許容される安全性アウトカムに関連する、請求項1から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
安全性アウトカムが、Division of AIDS Table for Grading the Severity of Adult and Pediatric Adverse Events,Version 2.1(DAIDS Table v2.1)毒性スケールに従って決定される重症度を伴う、有害事象の発生率及び重症度;目標バイタルサインのベースラインからの変化;並びに/又は目標臨床検査結果及びECGのベースラインからの変化のいずれか1つ又は複数から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
患者が元喫煙者である、請求項1から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
患者が現役の喫煙者である、請求項1から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
患者が、ベースライン血中好酸球数<300好酸球/μLを有する、請求項1から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
ST2アンタゴニストがST2生物活性の阻害剤である、請求項1から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
ST2アンタゴニストがヒトST2又はヒトIL-33に結合する、請求項1から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
ST2アンタゴニストが抗ST2抗体である、請求項1から90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
ST2アンタゴニストが、アステゴリマブである、請求項1から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
抗ST2抗体がヒト抗体である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
抗ST2抗体が、
a)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;
b)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;
c)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は
d)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3
を含む、請求項92又は請求項93に記載の方法。
【請求項95】
抗ST2抗体が、
a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むL-CDR3;
b)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むL-CDR3;
c)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号12のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号13のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号15のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号16のアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は
d)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号22のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号23のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号25のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むL-CDR3
を含む、請求項92又は請求項93に記載の方法。
【請求項96】
抗ST2抗体が、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は(b)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むL-CDR3を含む、請求項92又は請求項93に記載の方法。
【請求項97】
抗ST2抗体が、
a)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
c)配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項92から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
抗ST2抗体が、
a)配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
c)配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項92から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
抗ST2抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項92から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
抗ST2抗体が、
a)配列番号9若しくは配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖;
b)配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
c)配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項92から99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
抗ST2抗体が、
a)配列番号9若しくは配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖;
b)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
c)配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項92から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
抗ST2抗体が、配列番号9又は配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項92から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
ST2アンタゴニストと、請求項1から102のいずれか一項に記載の方法に従ってST2アンタゴニストを患者に投与するための説明書とを含むキット。
【請求項104】
476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項105】
476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項106】
標準治療(SOC)と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%の年間増悪率低下の臨床的改善を達成するのに有効な量のST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項107】
増悪数の標準治療(SOC)よりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、前記患者がベースライン血中好酸球数<300好酸球/μLを有する、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項108】
増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、前記患者がベースライン血中好酸球数≦170好酸球/μLを有する、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項109】
増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、前記患者が1秒量(FEV1)及び/又は努力肺活量(FVC)によって測定して0.7未満の気管支拡張剤後(BD後)肺活量測定値を有する、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項110】
増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でCOPDを有する患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、前記患者が修正Medical Research Council(mMRC)呼吸困難スケールスコア≧2及びCOPDアセスメントテストスコア(CAT)≧10を有する、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項111】
患者報告アウトカム(PRO)によって測定される、SOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、COPDを治療又は予防する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、PROが、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間での、St.George’s Respiratory Questionnaire for COPD patients(SGRQ-C)におけるベースラインからの少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、又は少なくとも約4ポイントの改善である、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項112】
COPDを有する患者に、肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者の肺機能を維持及び/又は改善する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、臨床的改善が、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも0.04L、0.05L、0.06L、0.07L、0.08L、又は0.09Lの、ベースラインと比較した平均差によって実証される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項113】
ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量でCOPDを有する患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項114】
ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量でCOPDを有する患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項115】
SOCと比較した年間増悪率によって測定して、治療開始から50週間及び/又は52週間で中等度から重度の増悪の数の少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%の低下を達成するのに有効な量でCOPDを有する患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項116】
COPDを有する患者に、肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者の肺機能を維持及び/又は改善する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、臨床的改善が、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも約5%の、ベースラインと比較した平均差によって実証される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項117】
有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項118】
有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項119】
有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項120】
有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項121】
有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項122】
有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項123】
有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性指数の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項124】
有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性指数の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【請求項125】
使用が、476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、請求項106から124のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項126】
使用が、4週間ごとにST2アンタゴニストを投与することを含む、請求項104から125のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項127】
使用が、2週間ごとにST2アンタゴニストを投与することを含む、請求項104から125のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項128】
使用が、4週間ごとに476mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、請求項104から125のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項129】
使用が、2週間ごとに476mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、請求項104から125のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項130】
使用が、490mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、請求項106から124のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項131】
使用が、490mgのST2アンタゴニストを4週間ごとに投与することを含む、請求項106から124のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項132】
使用が、490mgのST2アンタゴニストを2週間ごとに投与することを含む、請求項106から124のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項133】
ST2アンタゴニストがST2生物活性の阻害剤である、請求項104から132のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項134】
ST2アンタゴニストがヒトST2又はヒトIL-33に結合する、請求項102から133のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項135】
ST2アンタゴニストが抗ST2抗体である、請求項102から134のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項136】
抗ST2抗体がヒト抗体である、請求項135に記載のST2アンタゴニスト。
【請求項137】
抗ST2抗体が、
a)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;
b)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;
c)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は
d)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3
を含む、請求項135又は請求項136に記載の抗ST2抗体。
【請求項138】
抗ST2抗体が、
a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むL-CDR3;
b)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むL-CDR3;
c)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号12のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号13のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号15のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号16のアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は
d)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号22のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号23のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号25のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むL-CDR3
を含む、請求項135又は請求項136に記載の抗ST2抗体。
【請求項139】
抗ST2抗体が、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は(b)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むL-CDR3を含む、請求項135又は請求項136に記載の抗ST2抗体。
【請求項140】
抗ST2抗体が、
a)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
c)配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項135から139のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【請求項141】
抗ST2抗体が、
a)配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
c)配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項135から140のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【請求項142】
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項135から141のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【請求項143】
抗ST2抗体が、
a)配列番号9若しくは配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖;
b)配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
c)配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項135から142のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【請求項144】
抗ST2抗体が、
a)配列番号9若しくは配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖;
b)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
c)配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項135から143のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【請求項145】
配列番号9又は配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項135から144のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月11日に出願された米国仮出願第63/209,624号の優先権の利益を主張し、その全体が任意の目的で参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ST2アンタゴニストにより患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ST2は、IL-1及びIL-18に関連し、NF-HEV又はIL-1F11としても知られるサイトカインであるインターロイキン-33(IL-33)に対する結合受容体である。ST2は、可溶型非シグナル伝達バリアント(可溶型ST2又はsST2)及びIL-33に対する細胞応答を媒介する完全長膜貫通型(FLST2、ST2又はST2L)の両方として発現される。後者の形態は、多くの疾患状況において病的炎症に関与する広範囲の細胞型で発現される。これらには、リンパ球、特にIL-5及びIL-13発現Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)及びナチュラルキラーT(NKT)細胞、並びに多くのいわゆる自然免疫細胞、例えばマスト細胞、好塩基球、好酸球、マクロファージ及び2型自然リンパ球系細胞(ILC2)(Neill,Wongら、2010)が含まれる。これらの細胞上のST2へのIL-33の結合は、IL-1及びIL-18と同様に、IL-1Rアクセサリータンパク質(AcP)として知られる広範に発現される共受容体の動員及び炎症性促進性シグナル伝達の活性化をもたらす。したがって、IL-33は、他の活性化刺激の存在下で、ST2発現細胞を直接活性化するか、又はそれらの活性化を増強することができる。IL-33誘導性細胞応答の例としては、IL-5、IL-6、IL-13、TNF、IFN-γ及びGM-CSF等の炎症性サイトカインの産生、並びにCXCL8、CCL17及びCCL24等のケモカインの産生が挙げられる。IL-33はまた、IgE受容体シグナル伝達又は他のマスト細胞及び好塩基球活性化因子によって引き起こされるマスト細胞及び好塩基球活性化を増強することによって急性アレルギー応答を増強することが示されている。IL-33はまた、ST2発現免疫細胞の動員、生存及び接着特性を増強し、したがって、局所組織における細胞炎症の誘発及び持続において重要である。
【0004】
自然免疫細胞及び適応免疫細胞に対するIL-33の炎症性促進作用は、いくつかの病理学的過程を促進することになる。肺では、これらには、気道炎症の増加、粘液産生、気道過敏性及び線維性リモデリングが含まれる。IL-33はまた、炎症性促進性サイトカインの産生を促進することによって、関節における局所炎症並びに皮膚及び関節の痛覚過敏に寄与し得る(Verri,Guerrero et al.2008;Xu,Jiang et al.2008)。過剰なIL-33は、病的なコラーゲン沈着及び線維症に関連しており、炎症性腸疾患の状況において上皮損傷にも寄与する。好塩基球及びIgE感受性化マスト細胞に対する強力な効果を通して、IL-33はまた、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があり(Pushparaj,Tay et al.2009)、アレルギー性疾患において寄与する役割を果たし得る。これらの疾患の多くは、本質的に慢性及び進行性であり、治療が困難であり、より効果的な治療が必要とされている。
【0005】
IL-33/ST2経路をヒト疾患に結び付ける更なる証拠は、疾患のリスク増加又は疾患重症度のパラメータと有意に関連する一般集団におけるIL-33及び/又はST2遺伝子多型を同定した遺伝子研究によって提供される。いくつかの大きなゲノムワイド関連研究は、ST2(IL1RL1)又はIL-33の遺伝的変異を喘息のリスク増加と関連付けており(Gudbjartsson,Bjornsdottir et al.2009;Moffatt,Gut et al.2010;Wu,Romieu et al.2010)、他の研究は、この経路を喘息重症度(Ali,Zhang et al.2009)及び気管支過敏性(Reijmerink,Postma et al.2008)の増加と遺伝的に関連付けている。同様の所見は、アトピー性皮膚炎(Shimizu,Matsuda et al.2005)、鼻副鼻腔炎(Sakashita,Yoshimoto et al.2008;Castano R 2009)並びに鼻ポリポーシス(Buysschaert,Grulois et al.2010)等のアレルギー性障害においてこの経路を遺伝的に関連付けている。
【0006】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2019年には世界で3番目に多い死因であり、世界の全死亡の約6%を引き起こした(WHO Factsheet 2020)。WHOは、6500万人の人々が現在、中等度から重度のCOPDを有していると推定している(WHO 2021)。COPDの発症は、吸入されたタバコの煙又はバイオマス燃料からの煙等の有害粒子への長期曝露に起因する。喫煙は伝統的にCOPDの単一の最も重要なリスク因子であったが、非喫煙者もCOPDを発症し得るという一貫した証拠がある(Lamprecht et al.2011)。COPDのリスクは年齢と共に増加し、通常は40歳を超える患者に生じ、有病率は、女性よりも男性の方が高い(Landis et al.2014)。
【0007】
COPDは、通常は有害なガス又は粒子への著しい曝露の結果として、気道及び/又は肺胞の異常によって引き起こされる持続性の呼吸器症状及び気流制限を特徴とする(GOLD 2021)。慢性的な気流制限は、小気道疾患と実質破壊(気腫)の混合によって引き起こされ、これは、小気道の狭窄及び肺弾性反跳の減少に関連し得る(GOLD 2021)。臨床的には、COPDの特性的な症状には、呼吸困難、咳、及び痰の産生が含まれ得る。COPDは不均一で進行性の疾患であり、進行は気道壁の肥厚及び気流制限と強く関連している。慢性閉塞性肺疾患に対するグローバルイニシアチブ(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)(GOLD)は、1秒量(FEV1)の測定値及び努力肺活量(FVC)に対するFEV1の比による気流制限重症度の分類を導入した。この評価は、疾患進行の重要なマーカーとして広く受け入れられている(Hogg et al.2004,Celli et al.2008,GOLD 2021)。
【0008】
疾患活動性の別の重要なマーカーは、COPD増悪であり、追加の治療をもたらす呼吸器症状の急性悪化として定義される(GOLD 2021)。増悪重症度の定義には多少の変動があるが、重症度は、軽度(通常の投薬の増加によって制御可能な呼吸器症状の増加)、中等度(全身性コルチコステロイド及び/又は抗生物質による治療を必要とする)、又は重度(入院を必要とする)に分類されることが多い(Solem et al.,2013,GOLD 2021)。COPD増悪の割合の増加は、肺機能の低下、生活の質の低下、及び死に関連する(Miravitlles et al.2004.Halpin et al.2012)。増悪の頻度は疾患の重症度と共に増加するが(Halpin et al.2012)、増悪は中等度のCOPDを有する個体にも影響を及ぼす。気流制限ではなく増悪の以前の病歴が、将来の増悪のリスク増加の唯一の最良の予測因子である(Hurst et al.2010)。COPDの増悪は、罹患率及び死亡率の主な原因であるだけでなく、COPDの総医療費の最大の割合を占める(AbuDagga et al.2013,Solem et al.2013)。
【0009】
COPDの現在の治療選択肢には、非薬理学的及び薬理学的手段が含まれる。禁煙は、喫煙を継続し、COPDの自然経過に最大の潜在的影響を及ぼす患者にとって不可欠な介入である。肺リハビリテーションも同様に、COPDを有する人々にとって重要な介入を表すが、輸送、コスト、及びアクセスを含む様々な要因のために適用は依然として低い。薬理学的治療の選択肢には、吸入気管支拡張剤(βアゴニスト及び抗コリン薬)、吸入及び全身性コルチコステロイド、アジスロマイシン、及びホスホジエステラーゼ阻害剤が含まれる(GOLD 2021)。これらの治療選択肢にもかかわらず、疾患進行の減速及びCOPD増悪の予防は依然として満たされていないニーズである(Patalano et al.2014,Diette et al.2015)。患者の症状を軽減し、疾患の軌跡を変える代替的でより効果的な治療手法が緊急に必要とされている(Cazzola et al.2016)。したがって、慢性閉塞性肺疾患の効果的な治療に対する緊急の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストを使用して慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法を提供する。
【0011】
実施形態1.患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法であって、476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、方法。
【0012】
実施形態2.COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、方法。
【0013】
実施形態3.COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、標準治療(SOC)と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%の年間増悪率低下の臨床的改善を達成するのに有効な量のST2アンタゴニストを投与することを含む、方法。
【0014】
実施形態4.COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、標準治療(SOC)よりも大きい増悪数の臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、当該患者がベースライン血中好酸球数<300好酸球/μLを有する、方法。
【0015】
実施形態5.COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、当該患者がベースライン血中好酸球数≦170/μLを有する、方法。
【0016】
実施形態6.COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、当該患者の気管支拡張剤後(BD後)肺活量測定値が、1秒量(FEV1)及び/又は努力肺活量(FVC)によって測定して0.7未満である、方法。
【0017】
実施形態7.COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、当該患者が、修正Medical Research Council(mMRC)呼吸困難スケールスコア≧2及びCOPDアセスメントテストスコア(CAT)≧10を有する、方法。
【0018】
実施形態8.COPDを治療又は予防する方法であって、患者報告アウトカム(PRO)によって測定される、SOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、PROが、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間での、St.George’s Respiratory Questionnaire for COPD patients(SGRQ-C)におけるベースラインからの少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、又は少なくとも約4ポイントの改善である、方法。
【0019】
実施形態9.COPDを有する患者の肺機能を維持及び/又は改善する方法であって、患者に、肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを投与することを含み、臨床的改善が、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも0.04L、0.05L、0.06L、0.07L、0.08L、又は0.09Lの、ベースラインと比較した平均差によって実証される、方法。
【0020】
実施形態10.COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法であって、ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量で患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、方法。
【0021】
実施形態11.COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法であって、ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量で患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、方法。
【0022】
実施形態12.COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、ST2アンタゴニストを、SOCと比較した年間増悪率によって測定して、治療開始から50週間及び/又は52週間で中等度から重度の増悪の数の少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%の低下を達成するのに有効な量で患者に投与することを含む、方法。
【0023】
実施形態13.肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者の肺機能を維持及び/又は改善する方法であって、臨床的改善が、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも約5%の、ベースラインと比較した平均差によって実証される、方法。
【0024】
実施形態14.有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法であって、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される、方法。
【0025】
実施形態15.有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される、方法。
【0026】
実施形態16.有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法であって、患者が、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法。
【0027】
実施形態17.有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、患者が、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法。
【0028】
実施形態18.sST2の参照レベルが、少なくとも1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、19ng/mLである、実施形態16又は実施形態17に記載の方法。
【0029】
実施形態19.有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法であって、患者が、患者由来の試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される、方法。
【0030】
実施形態20.有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、患者が、患者由来の試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される、方法。
【0031】
実施形態21.有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法であって、患者が、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性指数の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法。
【0032】
実施形態22.有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、患者が、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法。
【0033】
実施形態23.ベースラインα多様性の参照レベルが、Shannon-Weaver法によって計算して、約3.4のα多様性指数である、実施形態21又は実施形態22に記載の方法。
【0034】
実施形態24.ベースラインα多様性の参照レベルが、Shannon-Weaver法によって計算して、約0~5の範囲内のα多様性指数である、実施形態21又は実施形態22に記載の方法。
【0035】
実施形態25.試料が、血液、血清、血漿又は尿試料である、実施形態16から24のいずれか一項に記載の方法。
【0036】
実施形態26.試料が血清試料である、実施形態16から24のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
実施形態27.476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、実施形態3から26のいずれか一項に記載の方法。
【0038】
実施形態28.ST2アンタゴニストを4週間ごとに投与することを含む、実施形態1から27のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
実施形態29.ST2アンタゴニストを2週間ごとに投与することを含む、実施形態1から28のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
実施形態30.4週間ごとに476mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、実施形態1から29のいずれか一項に記載の方法。
【0041】
実施形態31.2週間ごとに476mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、実施形態1から30のいずれか一項に記載の方法。
【0042】
実施形態32.490mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、実施形態3から26、28、又は29のいずれか一項に記載の方法。
【0043】
実施形態33.490mgのST2アンタゴニストを4週間ごとに投与することを含む、実施形態3から26、28、又は29のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
実施形態34.490mgのST2アンタゴニストを2週間ごとに投与することを含む、実施形態3から26、28、又は29のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
実施形態35.ST2アンタゴニストの皮下投与を含む、実施形態1から34のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
実施形態36.患者が、治療前の12ヶ月の期間内に2つ以上の中等度から重度の増悪を有していた、実施形態1から35のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
実施形態37.患者が2以上のmMRC呼吸困難スコアを有する、実施形態1から36のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
実施形態38.患者が、≧20且つ予測正常値<80%の気管支拡張剤後FEV1を有する、実施形態1から37のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
実施形態39.患者が、気管支拡張剤後FEV1/FVC<0.7を有する、実施形態1から38のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
実施形態40.臨床アウトカムに、標準治療(SOC)と比較してより大きな改善を達成する、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
実施形態41.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、SOCと比較して、年間増悪率低下(AERR)によって測定される中等度から重度の増悪の数を低下させる、実施形態1から40のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
実施形態42.AERRによって測定される中等度から重度の増悪の数を、SOCと比較して少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%低下させる、実施形態1から41のいずれか一項に記載の方法。
【0053】
実施形態43.SOCと比較して、最初の中等度又は重度のCOPD増悪までの時間を増加させる、実施形態1から42のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
実施形態44.治療開始から4週間後、12週間後、24週間後、36週間後、48週間後、50週間後、又は52週間後に、SOCと比較して、St.George’s Respiratory Questionnaire for COPD patients(SGRQ-C)の総スコアによって評価した健康関連の生活の質(HRQoL)のベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から43のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
実施形態45.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でのSGRQ-C総スコアのベースラインからの4ポイント以上の減少として定義されるHRQoLの改善を有する患者の割合を改善する、実施形態1から44のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
実施形態46.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、気管支拡張剤後1秒量(FEV1)(リットル)ののベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から45のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
実施形態47.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間又は52週間で、ベースラインから、Evaluating Respiratory Symptoms in COPD(ERS:COPD)総スコアのベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から46のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
実施形態48.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間での重度のCOPD増悪の年率を改善する、実施形態1から47のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
実施形態49.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、5回の反復の立ち座り試験(5STS)時間(秒)のベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から48のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
実施形態50.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、ベースラインからのEXAcerbations of Chronic Pulmonary Disease Tool及びEvaluating Respiratory Symptoms in COPD(EXACT)で定義される増悪事象の年間増悪率を改善する、実施形態1から49のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
実施形態51.EXACT増悪事象を改善する、実施形態1から50のいずれか一項に記載の方法。
【0062】
実施形態52.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でベースラインから少なくとも1つの非E-RS COPD領域を改善する、実施形態1から51のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
実施形態53.非E-RS COPD領域が、疲労/衰弱、睡眠障害、又は恐怖/心配である、実施形態52に記載の方法。
【0064】
実施形態54.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、SGRQ-C総スコアのベースラインからの4ポイント以上の減少として定義されるHRQoL改善を有する患者の割合を改善する、実施形態1から53のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
実施形態55.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、E-RS:COPD総スコアのベースラインから、2ポイント以上のベースラインからの減少として定義される症状改善を有する患者の割合を改善する、実施形態1から54のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
実施形態56.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でのE-RS:COPD総スコアのベースラインから2ポイント以上のベースラインからの減少として定義される患者の症状の改善をもたらす、実施形態1から55のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
実施形態57.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でE-RS:COPDの咳及び痰の領域をベースラインから改善する、実施形態1から56のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
実施形態58.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でE-RS:COPD息切れ領域をベースラインから改善する、実施形態1から57のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
実施形態59.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間でE-RS:COPD胸部症状領域をベースラインから改善する、実施形態1から58のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
実施形態60.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、気管支拡張剤後FEV1(リットル)のベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から59のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
実施形態61.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で中等度のCOPD増悪の年率を改善する、実施形態1から60のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
実施形態62.重度のCOPD増悪による入院期間を改善する、実施形態1から61のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
実施形態63.重度のCOPD増悪によるヘルスケア利用を低下させる、実施形態1から62のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
実施形態64.30日以内の再入院を必要とする重度のCOPD増悪の割合を改善する、実施形態1から63のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
実施形態65.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、ベースラインからの残気量/努力肺活量比のベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から64のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
実施形態66.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、毎日の歩数のベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から65のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
実施形態67.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、中等度及び激しい身体活動のベースラインからの時間的絶対変化を改善する、実施形態1から66のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
実施形態68.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、COPDアセスメントテスト(CAT)スコアのベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から67のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
実施形態69.盲検治療期間にわたって中等度及び重度のCOPD増悪の年率を改善する、実施形態1から68のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
実施形態70.SOCと比較して、患者報告アウトカム(PRO)によって測定される健康関連生活の質を改善する、実施形態1から69のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
実施形態71.SGRQ-Cによって評価されるPROを、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、ベースラインから少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、又は少なくとも約4ポイント改善する、実施形態1から70のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
実施形態72.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、FEV1をベースラインから少なくとも5%改善する、実施形態1から71のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
実施形態73.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、少なくとも約2ポイントの減少によってERS:COPD総スコアをベースラインから改善する、実施形態1から72のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
実施形態74.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、救急吸入器の使用のベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から73のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
実施形態75.治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、48週間、50週間、又は52週間で、夜間の総睡眠時間のベースラインからの絶対変化を改善する、実施形態1から74のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
実施形態76.ST2アンタゴニストがSOCと組み合わせて患者に投与される、実施形態1から75のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
実施形態77.ST2アンタゴニストが、吸入コルチコステロイド(ICS)と組み合わせて患者に投与される、実施形態1から76のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
実施形態78.ST2アンタゴニストが、ICS≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾン用量当量と組み合わせて患者に投与される、実施形態1から77のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
実施形態79.ST2アンタゴニストが、ICS+長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)と組み合わせて患者に投与される、実施形態1から78のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
実施形態80.ST2アンタゴニストが、ICS≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾン用量当量+LABAと組み合わせて患者に投与される、実施形態1から79のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
実施形態81.ST2アンタゴニストが、長時間作用型ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)+LABAと組み合わせて患者に投与される、実施形態1から80のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
実施形態82.ST2アンタゴニストが、ICS+LAMA+LABAと組み合わせて患者に投与される、実施形態1から81のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
実施形態83.ST2アンタゴニストが、ICS≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾンの用量当量+LAMA+LABAと組み合わせて患者に投与される、実施形態1から82のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
実施形態84.標準治療と比較して許容される安全性アウトカムに関連する、実施形態1から83のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
実施形態85.安全性アウトカムが、Division of AIDS Table for Grading the Severity of Adult and Pediatric Adverse Events,Version 2.1(DAIDS Table v2.1)毒性スケールに従って決定される重症度を伴う、有害事象の発生率及び重症度;目標バイタルサインのベースラインからの変化;並びに/又は目標臨床検査結果及びECGのベースラインからの変化のいずれか1つ又は複数から選択される、実施形態84に記載の方法。
【0096】
実施形態86.患者が元喫煙者である、実施形態1から85のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
実施形態87.患者が現役の喫煙者である、実施形態1から85のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
実施形態88.患者が、ベースライン血中好酸球数<300好酸球/μLを有する、実施形態1から87のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
実施形態89.ST2アンタゴニストがST2生物活性の阻害剤である、実施形態1から88のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
実施形態90.ST2アンタゴニストがヒトST2又はヒトIL-33に結合する、実施形態1から89のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
実施形態91.ST2アンタゴニストが抗ST2抗体である、実施形態1から90のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
実施形態92.ST2アンタゴニストが、アステゴリマブである、実施形態1から91のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
実施形態93.抗ST2抗体がヒト抗体である、実施形態92に記載の方法。
【0104】
実施形態94.抗ST2抗体が、
a)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;
b)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;
c)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は
d)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3
を含む、実施形態92又は実施形態93に記載の方法。
【0105】
実施形態95.抗ST2抗体が、
a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列を含むL-CDR2、配列番号6のアミノ酸配列を含むL-CDR3;
b)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列を含むL-CDR2、配列番号40のアミノ酸配列を含むL-CDR3;
c)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号12のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号13のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号15のアミノ酸配列を含むL-CDR2、配列番号16のアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は
d)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号22のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号23のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号25のアミノ酸配列を含むL-CDR2、配列番号26のアミノ酸配列を含むL-CDR3
を含む、実施形態92又は実施形態93に記載の方法。
【0106】
実施形態96.抗ST2抗体が、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は(b)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むL-CDR3を含む、実施形態92又は実施形態93に記載の方法。
【0107】
実施形態97.抗ST2抗体が、
a)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
c)配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、実施形態92から96のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
実施形態98.抗ST2抗体が、
a)配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
c)配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、実施形態92から97のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
実施形態99.抗ST2抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、実施形態92から97のいずれか一項に記載の方法。
【0110】
実施形態100.抗ST2抗体が、
a)配列番号9若しくは配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖;
b)配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
c)配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、実施形態92から99のいずれか一項に記載の方法。
【0111】
実施形態101.抗ST2抗体が、
a)配列番号9若しくは配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖;
b)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
c)配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、実施形態92から100のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
実施形態102.抗ST2抗体が、配列番号9又は配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、実施形態92から101のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
実施形態103.ST2アンタゴニストと、実施形態1から102のいずれか一項に記載の方法に従ってST2アンタゴニストを患者に投与するための説明書とを含むキット。
【0114】
実施形態104.476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0115】
実施形態105.476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0116】
実施形態106.標準治療(SOC)と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%の年間増悪率低下の臨床的改善を達成するのに有効な量のST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0117】
実施形態107.増悪数の標準治療(SOC)よりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、前記患者がベースライン血中好酸球数<300好酸球/μLを有する、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0118】
実施形態108.増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、前記患者がベースライン血中好酸球数≦170好酸球/μLを有する、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0119】
実施形態109.増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、該患者が1秒量(FEV1)及び/又は努力肺活量(FVC)によって測定して0.7未満の気管支拡張剤後(BD後)肺活量測定値を有する、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0120】
実施形態110.増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、該患者が修正Medical Research Council(mMRC)呼吸困難スケールスコア≧2及びCOPDアセスメントテストスコア(CAT)≧10を有する、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0121】
実施形態111.患者報告アウトカム(PRO)によって測定される、SOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、COPDを治療又は予防する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、PROが、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間での、St.George’s Respiratory Questionnaire for COPD patients(SGRQ-C)におけるベースラインからの少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、又は少なくとも約4ポイントの改善である、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0122】
実施形態112.COPDを有する患者に、肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者の肺機能を維持及び/又は改善する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、臨床的改善が、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも0.04L、0.05L、0.06L、0.07L、0.08L、又は0.09Lの、ベースラインと比較した平均差によって実証される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0123】
実施形態113.ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量でCOPDを有する患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0124】
実施形態114.ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量でCOPDを有する患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0125】
実施形態115.SOCと比較した年間増悪率によって測定して、治療開始から50週間及び/又は52週間で中等度から重度の増悪の数の少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%の低下を達成するのに有効な量でCOPDを有する患者にST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0126】
実施形態116.COPDを有する患者に、肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者の肺機能を維持及び/又は改善する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、臨床的改善が、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも約5%の、ベースラインと比較した平均差によって実証される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0127】
実施形態117.有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0128】
実施形態118.有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0129】
実施形態119.有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0130】
実施形態120.有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0131】
実施形態121.有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0132】
実施形態122.有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0133】
実施形態123.有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性指数の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0134】
実施形態124.有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法における使用のためのST2アンタゴニストであって、患者が、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性指数の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される、方法における使用のためのST2アンタゴニスト。
【0135】
実施形態125.使用が、476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む、実施形態106から124のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0136】
実施形態126.使用が、4週間ごとにST2アンタゴニストを投与することを含む、実施形態104から125のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0137】
実施形態127.使用が、2週間ごとにST2アンタゴニストを投与することを含む、実施形態104から125のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0138】
実施形態128.使用が、4週間ごとに476mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、実施形態104から125のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0139】
実施形態129.使用が、2週間ごとに476mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、実施形態104から125のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0140】
実施形態130.使用が、490mgのST2アンタゴニストを投与することを含む、実施形態106から124のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0141】
実施形態131.使用が、490mgのST2アンタゴニストを4週間ごとに投与することを含む、実施形態106から124のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0142】
実施形態132.使用が、490mgのST2アンタゴニストを2週間ごとに投与することを含む、実施形態106から124のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0143】
実施形態133.ST2アンタゴニストがST2生物活性の阻害剤である、実施形態104から132のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0144】
実施形態134.ST2アンタゴニストがヒトST2又はヒトIL-33に結合する、実施形態102から133のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0145】
実施形態135.ST2アンタゴニストが抗ST2抗体である、実施形態102から134のいずれか一項に記載のST2アンタゴニスト。
【0146】
実施形態136.抗ST2抗体がヒト抗体である、実施形態135に記載のST2アンタゴニスト。
【0147】
実施形態137.抗ST2抗体が、
a)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;
b)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;
c)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は
d)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むL-CDR3
を含む、実施形態135又は実施形態136に記載の抗ST2抗体。
【0148】
実施形態138.抗ST2抗体が、
a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列を含むL-CDR2、配列番号6のアミノ酸配列を含むL-CDR3;
b)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列を含むL-CDR2、配列番号40のアミノ酸配列を含むL-CDR3;
c)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号12のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号13のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号15のアミノ酸配列を含むL-CDR2、配列番号16のアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は
d)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号22のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号23のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号25のアミノ酸配列を含むL-CDR2、配列番号26のアミノ酸配列を含むL-CDR3
を含む、実施形態135又は実施形態136に記載の抗ST2抗体。
【0149】
実施形態139.抗ST2抗体が、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号2若しくは配列番号31のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号5のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むL-CDR3;又は(b)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1、配列番号36のアミノ酸配列を含むH-CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を含むH-CDR3、配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1、配列番号39のアミノ酸配列を含むL-CDR2、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むL-CDR3を含む、実施形態135又は実施形態136に記載の抗ST2抗体。
【0150】
実施形態140.抗ST2抗体が、
a)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
c)配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、実施形態135から139のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【0151】
実施形態141.抗ST2抗体が、
a)配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
c)配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、実施形態135から140のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【0152】
実施形態142.配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、実施形態135から141のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【0153】
実施形態143.抗ST2抗体が、
a)配列番号9若しくは配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖;
b)配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
c)配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、実施形態135から142のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【0154】
実施形態144.抗ST2抗体が、
a)配列番号9若しくは配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖;
b)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖;又は
c)配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、実施形態135から143のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【0155】
実施形態145.配列番号9又は配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、実施形態135から144のいずれか一項に記載の抗ST2抗体。
【図面の簡単な説明】
【0156】
図1】プラセボ及び抗ST2治療群による対象間の中等度から重度の増悪の数の分布を示す図である。
図2】プラセボ又は抗ST2治療群についての全参加者の年間増悪率を示す図である。全参加者について、中等度/重度のCOPD増悪の年率の低下は、プラセボと比較して、アステゴリマブを投与された患者では22%であった。
図3A】プラセボ治療群及びアステゴリマブ治療群についてのベースライン血中好酸球サブグループ当たりの年間増悪率を示す図である。
図3B】プラセボ治療群及びアステゴリマブ治療群についてのベースライン血中好酸球サブグループ当たりの年間増悪率を示す図である。
図4】全参加者についての48週間の間のSt.George’s Respiratory Questionnaire-COPD(SGRQ-C)総スコアのベースラインからの変化を示す図である。アステゴリマブ治療は、プラセボ及び抗ST2治療群についてベースラインからSGRQ-Cの改善を実証した。
図5A】プラセボ及び抗ST2治療群についてのベースライン血中好酸球サブグループに基づくSGRQ-C総スコアを示す図である。
図5B】プラセボ及び抗ST2治療群についてのベースライン血中好酸球サブグループに基づくSGRQ-C総スコアを示す図である。
図6】プラセボ治療群及びアステゴリマブ治療群の全参加者について、48週間の間の気管支拡張剤後強制呼気量(BD後FEV1)のベースラインからの変化を示す図である。アステゴリマブ治療は、FEV1の改善の傾向を実証した。
図7A】プラセボ及び抗ST2治療群についてのBD後FEV1のベースライン血中好酸球サブグループ分析を示す図である。
図7B】プラセボ及び抗ST2治療群についてのBD後FEV1のベースライン血中好酸球サブグループ分析を示す図である。
図8A】プラセボ及び抗ST2治療群についての48週間にわたる血中好酸球レベルのベースラインからの変化を示す図である。
図8B】プラセボ及び抗ST2治療群についての48週間にわたる血中好酸球レベルのベースラインからの変化を示す図である。
図9】プラセボ及び抗ST2治療群についてのベースラインからの%痰中好酸球数の変化を示す図である。
図10A】プラセボと比較した治療についての、重篤な有害事象を含むある種の有害事象の頻度を示す図である。
図10B】プラセボと比較した治療についての、重篤な有害事象を含むある種の有害事象の患者当たりの数を示す図である。
図10C】プラセボと比較した治療についての、重篤な有害事象を含むある種の有害事象の患者当たりの数を示す図である。
図11】IL1RL1 TIRドメインタグSNP(rs10206753)遺伝子型によって、治療効果(パーセント率低下、上)及び治療群当たりの年間増悪率(下)をプロットし、ファセットした図である。
図12】ZENYATTA治療効果(パーセント率低下、上)及び治療群当たりの年間増悪率(下)を、血清sST2レベルの治療前カテゴリー(中央値未満又は中央値以上)によってプロットし、ファセットした図である。
図13】ST2OP治療効果(パーセント率低下、上)及び治療群当たりの年間増悪率(下)を、血清sST2レベルの治療前カテゴリー(中央値未満又は中央値以上)によってプロットし、ファセットした図である。
図14】STEPP分析は、プロットマージンに注釈を付けたベースライン血清sST2の重複範囲によって定義された部分母集団の治療効果を評価することによって行ったことを示す図である。年間増悪率をプロットした。
図15】ST2OP治療効果(パーセント率低下、上)及び治療群当たりの年間増悪率(下)を、ベースライン肺α多様性の治療前カテゴリー(中央値未満又は中央値以上)によってプロット及びファセットした図である。
図16】STEPP分析は、プロットマージンに注釈を付けたベースラインα多様性の重複範囲によって定義された部分母集団に対する治療効果を評価することによって行ったことを示す図である。年間増悪率をプロットした。
【発明を実施するための形態】
【0157】
ST2は、マスト細胞、好塩基球、自然リンパ球系細胞、Tリンパ球及びマクロファージを含む炎症性細胞上に発現される。IL33は、粘膜組織、特に肺の上皮細胞で高レベルで発現され、炎症性細胞死、感染、又は損傷時に放出されて自然免疫応答を開始する「アラミン」として作用する。IL33活性は、喘息、COPD、IPF及びARDSを含む複数のヒト呼吸器疾患において上昇している。前臨床研究は、治療的IL33阻害が肺ARDSモデルにおいて防御的であり、タバコの煙に曝露されたST2又はIL33欠損マウスは、抗ウイルス宿主防御を損なうことなく、その後の呼吸器ウイルス感染に応答して炎症性応答を減少させたことを示している。
【0158】
慢性閉塞性肺疾患に対する抗ST2抗体の効果に関する研究者が開始した研究(IIS)は、抗ST2抗体が良好な耐容性を示し、増悪低下、肺機能及び生活の質において潜在的有効性を有することを示した。
【0159】
第II相試験は、慢性閉塞性肺疾患に対する抗ST2抗体の効果を調べるために設計された。この研究は、無作為化二重盲検プラセボ対照研究である。1つの研究アームに、2週間ごとに抗ST2抗体を静脈内投与することになる。1つの研究アームに抗ST2抗体を4週間ごとに静脈内投与することになる。別のアームはプラセボを投与される。全ての対象は、試験参加時に受けていた標準治療を継続して受けるであろう。
【0160】
I.定義
本明細書で使用することがある略語を以下に示す:
【0161】
本明細書の場合、「炎症」は、感染に対する免疫学的防御を指し、局所血流増加、白血球の遊走、及び化学毒素の放出によって識別される。炎症は、身体が感染症からそれ自体を守るために使用する1つの方法である。炎症の臨床的特徴には、身体の一部の発赤、熱感、腫脹、疼痛、及び機能低下が含まれる。全身的には、炎症は、発熱、関節痛と筋肉痛、臓器障害、及び倦怠感を生じさせ得る。
【0162】
本明細書において用語「患者」は、ヒトの患者を指す。
【0163】
COPDと略される「慢性閉塞性肺疾患」という用語は、咳、痰及び呼吸困難を特徴とする肺障害を指す。COPDは進行性疾患であり、すなわち、症状の重症度は通常、疾患の持続期間と共に増加する。COPDのほとんどの場合、特に進行した場合、治癒は不可能である。治療は、むしろ、疾患の進行を遅らせ、症状を軽減することを目的とする。ほとんどの場合、タバコの煙であることが多い吸入毒素への曝露は、慢性気管支炎を引き起こす。慢性気管支炎は、粘液の分泌増加、粘膜の腫脹及び気管支痙攣をもたらす。炎症に関連する腫脹は、罹患組織の代謝活性の増加と相まって、炎症部位で虚血をもたらす。したがって、肺内の空気流は閉塞される。溶接による粉塵、イソシアネート及びヒュームへの職業曝露もまた、COPDの重要な原因である。非喫煙者では、COPDは1-アンチトリプシン欠損症によっても引き起こされ得る。
【0164】
ほとんどの場合、COPDは着実に進行するのではなく、むしろ疾患の突然の悪化、すなわち急性増悪の期間によって中断される安定した症状の期間を示す。したがって、いくつかの実施形態では、COPDは急性増悪を伴う。
【0165】
いくつかの実施形態では、COPDは、0.7未満のFEV1/FVC比及び12%未満の気管支拡張剤応答として定義される。
【0166】
「増悪」という用語は、上記の症状の1つ又はこれらの症状の組み合わせに起因する、息切れ、咳(痰の産生及び/又は痰の質及び/又は咳の頻度の変化及び/又は呼吸困難の増加)、喘鳴、胸部圧迫、夜間覚醒の新たな又は進行性の増加のエピソードを指す。増悪の重症度は、軽度から生命を脅かすまでの範囲であり、症状及び肺機能の両方に基づいて評価することができる。いくつかの実施形態では、増悪は、COPD増悪であり、これは、追加の治療をもたらし得る呼吸器症状の急性悪化である(GOLD2021)。
【0167】
「急性増悪」という用語は、気道の細菌若しくはウイルス感染又は環境汚染物質によって引き起こされるCOPDの増悪を指す。炎症は急性増悪中に増加する。COPDの急性増悪は、典型的には数日間続く。増悪中に気道炎症が増加し、過膨張の増加、呼気気流の低下及びガス移動の悪化をもたらす。
【0168】
「中等度の増悪」という用語は、コルチコステロイド及び/又は抗生物質による治療を必要とするCOPDの増悪を指す。
【0169】
「重度の増悪」という用語は、入院を必要とするか、又は死に至るCOPDの増悪を指す。
【0170】
「FEV1」という用語は、最大吸気位から開始し、対象が最大限の努力をした状態で肺から空気を強制的に吐き出す最初の1秒間に吐き出される空気の量を指す。それは気道閉塞の尺度である。
【0171】
「FVC」又は「努力肺活量」という用語は、対象が最大限の努力をした状態で最大吸気位から肺から吐き出される空気の総量を指す。
【0172】
用語「LABA」は、長時間作用型ベータ2アゴニストを意味し、このアゴニストには、例えば、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、アルブテロール、インダカテロール、アルフォライオテロール及びシエンブテロールが含まれる。
【0173】
「LAMA」という用語は、長時間作用型ムスカリンアンタゴニストを意味し、アゴニストとしては、例えばチオトロピウムが挙げられる。
【0174】
LABA/LAMAの組み合わせの例には、それだけに限らないが、オロダテロールチオトロピウム(Boehringer Ingeiheim’s)及びインダカテロールグリコピロニウム(Novartis)が含まれる。
【0175】
薬物の「静脈内」すなわち「iv」用量、投与又は製剤は、静脈を介して、例えば点滴によって投与される。
【0176】
薬物の「皮下」すなわち「sc」用量、投与又は製剤は、例えば、プレフィルドシリンジ、自動注射器、又は他の装置を介して、皮膚の下に投与される。
【0177】
固定用量は、患者の体重に関係なく投与される用量を指す。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供される抗ST2抗体の固定用量は、476mg、700mg、490mg、350mg又は280mgの用量である。
【0178】
本明細書の場合、「臨床状態」は、患者の健康状態を指す。その例は、患者の状態が良くなっていること、又は悪くなっていることを含む。いくつかの実施形態では、臨床状態は、臨床状態の順序尺度に基づく。いくつかの実施形態では、臨床状態は、患者が発熱しているか否かに基づいていない。
【0179】
「患者報告アウトカム」又は「PRO」という用語は、Ab2の治療利益及び患者経験を評価するために完成した器具を指す。いくつかの実施形態では、PROは、SGRQ-C、mMRC、CAT、及び/又はEXACTを含む。
【0180】
「St.George’s Respiratory Questionnaire-COPD」又は「SGRQ-C」又は「SGRQ」という用語は、COPD関連経験の患者の知覚を通じて健康及び幸福に対するCOPDの影響を測定するように設計された自己報告アンケート(Meguro et al.2007)を指す。SGRQ-Cは、3つの領域内の40の質問:症状(7項目)、活動(13項目)、及び影響(20項目)からなる。各応答は、固有の経験的に導出された重みを有する。合計スコアも生成される。SGRQ-Cのスコアが低いほど、健康関連の生活の質が良好であることを示す。SGRQ-Cには、過去1年間の胸部異常攻撃の頻度を評価する1つの項目を除いて、特定の想起期間はない。SGRQ-Cは、完了するのに約10分かかる。
【0181】
「Modified Medical Research Council Dyspnea Scale」又は「mMRC」という用語は、呼吸困難のレベルを最もよく説明する5つの記述のうちの1つを患者が選択することを必要とする単一の項目による活動性関連呼吸困難の評価を指し、より低いスコアは呼吸困難の影響が少ないことに対応する。mMRCは、特定の想起期間を有しておらず、投与時点での患者の現在の状態を取得する。
【0182】
「COPDアセスメントテスト」又は「CAT」という用語は、健康状態に対するCOPDの影響を測定する、検証されたPROを指す。CATは、咳、痰、胸部圧迫、丘/階段の息切れの上昇、自宅での活動制限、自宅から出る自信、睡眠、及びエネルギーに関する項目を含む8項目のアンケートである。CATは、0(障害なし)~5(最大障害)の範囲の6点順序尺度を使用し、0~40のスコア範囲及びより高いスコアはより大きな疾患影響を示す。想起期間指定なし(質問は日常を参考に回答);アンケートは完了するのに1~2分かかる。
【0183】
用語「EXAcerbations of Chronic Pulmonary Disease Tool及びEvaluating Respiratory Symptoms in COPD)」又は「EXACT」アンケート及び用語「Evaluating Respiratory Symptoms in COPD」又は「E-RS:COPD」サブセットは、COPDの増悪を評価する毎日の電子日誌(eDiary)を指す。(Leidy et al.2010)この14項目のアンケートは、息切れ(5項目)、咳及び痰(3項目)、胸部症状(3項目)、並びに疲労/衰弱、睡眠障害、及び恐怖/心配を含む追加の属性(3項目)の4つの領域を含む。EXACTは、「今日」という想起期間を有する。サブセットE-RS:COPDは、EXACTの息切れ、咳及び痰、並びに胸部症状領域(合計11項目)から構成され、したがって、それは具体的にCOPD症状を評価する(Leidy et al.2014)。E-RS:COPD総スコアは、3つの領域に基づいて導出される。EXACTと、救急吸入器の使用に関する短時間作用型救急薬の質問とを含む毎日の電子日誌への記入は、完了するのに約5分かかる。患者は、就寝前に毎日夕方に日記を完成するように求められる。
【0184】
「順序尺度」とは、無次元のアウトカムを定量化するために使用される尺度を指す。アウトカムは、単一の時点でのアウトカムを含むことができ、又は2つの時点の間に生じた変化を調べることができる。いくつかの実施形態では、2つの時点は、「1日目」(ST2アンタゴニストの最初の用量が投与されるとき)と、比較対象の、患者が評価されるその後の日、及び任意選択で、患者が更に評価されるその後の日である。順序尺度は、各々が患者の状態又は転帰を評価する種々の「カテゴリー」を含む。いくつかの実施形態では、順序尺度は「6点順序尺度」である。
【0185】
本明細書の場合、「標準治療」又は「SOC」は、最適化された安定した維持療法の以下の組み合わせの1つを含む、COPDを有する患者を治療するために一般的に使用される治療又は薬物を指す。
・ICS≧500mcg/日プロピオン酸フルチカゾン用量当量+長時間作用型βアゴニスト(LABA)
・長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)+LABA
・ICS≧500mcg/日プロピオン酸フルチカゾン用量当量+LAMA+LABA
【0186】
いくつかの実施形態では、標準治療は、以下の治療の組み合わせのうちの1つを含む:ICS+LABA、LAMA+LABA、又はICS+LAMA+LABA。
【0187】
「コルチコステロイド」は、天然に存在するコルチコステロイドの作用を模倣若しくは増補するステロイドの一般的化学構造を備える、複数の合成又は自然発生の物質のうちのいずれか1つを指す。合成コルチコステロイドの例には、プレドニゾン、プレドニゾロン(メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウムなどのメチルプレドニゾロンを含む)、デキサメタゾン又はデキサメタゾントリアムシノロン、ヒドロコルチゾン及びベタメタゾンが含まれる。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン及びデキサメタゾンから選択される。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロンである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、(例えば、≦1~2mg/kg/日のメチルプレドニゾロン、例えば3~5日間)グルココルチコイドである。
【0188】
集団において2つ以上の配列が可能であるゲノム中のヌクレオチド位置は、本明細書では「多型」又は「多型部位」と呼ばれる。多型部位は、例えば、2つ以上のヌクレオチドのヌクレオチド配列、挿入されたヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列、欠失されたヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列、又はマイクロサテライトであり得る。長さが一塩基である多型部位は、本明細書では一塩基多型(SNP)と呼ばれる。多型部位に2つ、3つ又は4つの代替ヌクレオチド配列がある場合、各ヌクレオチド配列は「多型バリアント」又は「核酸バリアント」と呼ばれる。DNA配列における可能な各バリアントは、「対立遺伝子」と呼ばれる。2つの多型性バリアントが存在する場合、集団に由来する試料の大部分に表される多型性変異型は、「一般アレル」又は「メジャーアレル」と称され、集団においてさほど一般的でない多型性変異型は、「特殊アレル」又は「マイナーアレル」と称される。
【0189】
「遺伝子型」という用語は、個体又は試料中に含有される遺伝子のアレルの説明を指す。本発明の文脈では、個体の遺伝子型と、個体を起源とする試料の遺伝子型との間に区別はない。
【0190】
本明細書において、「ヒトST2」は、インターロイキン1受容体様1(IL1RL1)としても知られる受容体である。ST2は、マスト細胞、好塩基球、自然リンパ球、Tリンパ球、及びマクロファージを含む炎症性細胞上に発現され、そのリガンドIL33は、粘膜組織、特に肺の上皮細胞で高レベルで発現され、炎症性細胞死、感染、又は損傷時に放出されて自然免疫応答を開始する「アラミン」として作用する。天然に存在するヒトST2バリアントは公知であり、この定義に含まれる。ヒトST2アミノ酸配列情報が開示されている(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot Q01638.4を参照のこと)。ヒトIL-33アミノ酸配列が開示されており、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot:O95760.1を参照のこと。
【0191】
「ST2アンタゴニスト」は、ST2生物活性を阻害又はブロックする薬剤を指す。いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは、ヒトST2又はヒトIL-33への結合を介してST2生物活性を阻害又はブロックする。いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは抗体である。いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは、ST2に結合するモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは、IL-33に結合するモノクローナル抗体である。
【0192】
本明細書における「中和」抗ST2抗体は、ST2に結合し、IL-33がST2に結合する及び/又はST2を活性化する能力を測定可能な程度まで阻害することができるものである。非限定的な例示的な中和抗ST2抗体を本明細書中に提供する。
【0193】
本明細書において「天然配列」タンパク質とは、天然に存在するタンパク質のバリアントを含む、天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列を含むタンパク質をいう。本明細書で使用される用語は、その天然源から単離されるタンパク質、又は組換え生成されるタンパク質を含む。
【0194】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を包含するが、これは、それらが所望の生物活性を呈する場合に限る。
【0195】
本明細書において「抗体断片」とは、抗原との結合能力を保持するインタクトな抗体の一部を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子;並びに抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0196】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を含む個々の抗体は、モノクローナル抗体の産生中に生じ得る想定されるバリアントを除いて、同一であり、及び/又は同じエピトープに結合し、かかるバリアントは、一般に、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の免疫グロブリンによって汚染されない点でも有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特徴を示し、抗体を何か特定の方法により作製しなければならないと解釈すべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler et al.,Nature,256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法によって作製されても、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製してもよい。「モノクローナル抗体」はまた、例えばClackson et al.,Nature,352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991),に記載されている手法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。本明細書におけるモノクローナル抗体の具体例には、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体(それらの抗原結合断片を含む)が含まれる。
【0197】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来するか又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するか又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びにそれらが所望の生物活性を呈する限りはそのような抗体の断片が含まれる(米国特許第4,816,567号;Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984))。本明細書における目的のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル、又はカニクイザル等の旧世界ザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が含まれる(米国特許第5,693,780号)。
【0198】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の超可変領域の残基を、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類の超可変領域の残基で置き換えた抗体である。いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられる。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体において見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能を更に洗練させるために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、上述のFR置換(複数可)を除いて、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、かつFRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリンの定常領域、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分を含む。更なる詳細については、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);and Presta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。本明細書におけるヒト化抗体は、具体的には、米国特許第5,795,965号に記載されるような「再形成」抗体を含み、その内容は参照により本明細書に明示的に援用される。
【0199】
本明細書において「ヒト抗体」とは、ヒトB細胞から取得可能な抗体のアミノ酸配列構造に対応するアミノ酸配列構造を含むものをいい、これにはヒト抗体の抗原結合性断片も含まれる。そのような抗体は、限定されないが、内因性の免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体を免疫化時に産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)による産生(例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255-258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immuno.,7:33(1993);及び米国特許第5,591,669号、第5,589,369号及び第5,545,807号を参照されたい));ヒト抗体又はヒト抗体断片を発現するファージディスプレイライブラリーからの選択(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-553(1990);Johnson et al.,Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993);Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991);Griffith et al.,EMBO J.12:725-734(1993);米国特許第5,565,332号明細書及び米国特許第5,573,905号明細書を参照されたい);in vitro活性化B細胞による生成(米国特許第5,567,610号及び第5,229,275号参照);及びヒト抗体産生ハイブリドーマからの単離を含む様々な技術によって同定又は作製することができる。
【0200】
本明細書における「多重特異性抗体」は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示的な多重特異性抗体は、ST2の2つの異なるエピトープに結合し得る。あるいは、抗ST2結合アームを、第2の抗原に結合するアームと組み合わせてもよい。多重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)として調製することができる。3つ又はそれを超える(好ましくは4つの)機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も企図される(例えば、米国特許出願公開第2002/0004587号明細書、Miller et al.を参照されたい)。
【0201】
本明細書における抗体には、変化した抗原結合又は生物学的活性を有する、「アミノ酸配列バリアント」が含まれる。そのようなアミノ酸変化の例には、抗原に対する増強された親和性を有する抗体(例えば「親和性成熟」抗体)、及び存在する場合には変化したFcを含む、例えば変化した(増加又は減少した)抗体依存性細胞傷害性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害性(CDC)を有する抗体(例えば、国際公開第00/42072号、Presta,L.、及び国際公開第99/51642号、Iduosogieら参照);及び/又は血清半減期の増加若しくは減少(例えば、国際公開第00/42072号、Presta,L.参照)が含まれる。
【0202】
本明細書の抗体は、半減期若しくは安定性を高めるため、又はその他の目的で、例えば「異種分子」とコンジュゲートされていてもよい。抗体は例えば、多様な非タンパク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピルグリコール、ポリオキシアルキレン、又はポリエチレングリコールとポリエチレングリコールとの共重合体のうちの1つに連結し得る。1つ以上のPEG分子に連結されたFab’などの抗体断片は、本発明の例示的な実施形態である。
【0203】
本明細書における抗体は、Fc領域に結合している糖鎖が存在する場合、当該糖鎖が変化しているような「グリコシル化バリアント」であってもよい。例えば、本抗体のFc領域に結合しているフコースを欠く成熟炭水化物構造を有する抗体が、米国特許出願第US2003/0157108号(Presta,L.)に記載されている。米国特許出願公開第2004/0093621号明細書(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)も参照されたい。抗体のFc領域に結合した炭水化物中の二分枝N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有する抗体は、国際公開第2003/011878号、Jean-Mairet et al.、及び米国特許第6,602,684号明細書、Umana et alにおいて言及されている。抗体のFc領域に結合したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体は、国際公開第1997/30087号、Patel et al.に報告されている。また、そのFc領域に結合した変化した炭水化物を有する抗体に関する国際公開第1998/58964号(Raju,S.)及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)も参照されたい。改変グリコシル化を有する抗体を記載している米国特許出願公開第2005/0123546号明細書(Umanaら)も参照されたい。
【0204】
「超可変領域」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。いくつかの実施形態では、超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」由来のアミノ酸残基(例えば、Kabatによって決定される場合:軽鎖可変ドメイン中の残基24~34(L1)、50~56(L2)及び89~97(L3)並びに重鎖可変ドメイン中の残基31~35(H1)、50~65(H2)及び95~102(H3);Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))及び/又は「超可変ループ」由来の残基(例えば、Chothiaによって決定される場合:軽鎖可変ドメイン中の残基26~32(L1)、50~52(L2)及び91~96(L3)並びに重鎖可変ドメイン中の残基26~32(H1)、53~55(H2)及び96~101(H3);Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))を含む。いくつかの実施形態では、CDRはIMGT(例えば、www.imgt.org/IMGTindex/CDR.phpを参照されたい)に従って決定される。「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書に定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0205】
「完全長抗体」は、抗原結合可変領域並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメインCH1、CH2及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列バリアントであり得る。完全長抗体は好ましくは、1つ又は複数のエフェクター機能を有する。
【0206】
「ネイキッド抗体」は、(本明細書における定義では)細胞傷害性部分、ポリマー又は放射性標識等の異種分子にコンジュゲートされていない抗体である。
【0207】
抗体「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異Fc領域)に起因する生物活性をいう。抗体のエフェクター機能の例としては、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞傷害(ADCC)等がある。
【0208】
完全長抗体は、重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なる「クラス」に割り当てることができる。完全長抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えばIgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に更に分割され得る。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ及びミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元配置は周知である。
【0209】
本明細書で使用される「組換え抗体」という用語は、抗体をコードする核酸を含む組換え宿主細胞によって発現される抗体(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体若しくはヒト抗体、又はその抗原結合断片)をいう。組換え抗体を産生するための「宿主細胞」の例としては、(1)哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、COS、骨髄腫細胞(Y0及びNS0細胞を含む)、ベビーハムスター腎臓(BHK)、Hela及びVero細胞;(2)昆虫細胞、例えばsf9、sf21及びTn5;(3)植物細胞、例えばタバコ属(Nicotiana)に属する植物(例えば、タバコ(Nicotiana tabacum);(4)酵母細胞、例えばサッカロミセス属(Saccharomyces)に属するもの(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)に属するもの(例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger));(5)細菌細胞、例えば大腸菌(Escherichia coli)細胞又は枯草菌(Bacillus subtilis)細胞等が挙げられる。
【0210】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する(specifically binding)」又は「~に特異的に結合する(binds specifically to)」は、ST2抗原に選択的又は優先的に結合する抗体を指す。好ましくは、抗原に対する結合親和性は、10-9mol/l以下(例えば、10-10mol/l)のKd値であり、好ましくは10-10mol/l以下(例えば、10-12mol/l)のKd値で、抗原に対する結合親和性を有する。結合親和性は、表面プラズモン共鳴技術(BIACORE(登録商標)などの標準的な結合アッセイを用いて測定される。
【0211】
薬剤、例えばST2アンタゴニスト又はその薬学的製剤の「有効量」又は「治療的有効量」は、所望の治療的又は予防的結果を達成するために、必要な投与量及び期間で有効な量を指す。例えば、「有効量」という表現は、いくつかの実施形態では、COPDを治療又は予防するのに有効なST2アンタゴニストの量を指す。いくつかの実施形態では、有効量は、476mgのST2アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、有効量は、2週間ごとに476mgのSCである。いくつかの実施形態では、有効量は、4週間ごとに476のSCである。いくつかの実施形態では、有効量は、4週間ごとに490mgのSCである。
【0212】
「薬学的製剤」という用語は、1つ又は複数の活性成分の生物活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象に許容できないほど有毒である追加成分を含有しない調製物を指す。そのような製剤物は、無菌である。いくつかの実施形態では、製剤は静脈内(iv)投与用である。別の実施形態では、製剤は、皮下(sc)投与のためのものである。
【0213】
「滅菌」製剤は、無菌であるか、又は全ての生存微生物及びそれらの胞子を含まない。
【0214】
本発明による「液体製剤」又は「水性製剤」は、少なくとも約2~約8℃の温度で液体である製剤を指す。
【0215】
「凍結乾燥製剤」という用語は、製剤を凍結乾燥させ、その後、本技術分野で知られている任意の凍結乾燥方法、例えば市販の凍結乾燥装置によって凍結した内容物から氷を昇華させることによって乾燥させた製剤を示す。このような製剤は、水、注射用滅菌水、生理食塩水などの適切な希釈剤に再構成して、対象への投与に適した再構成液体製剤を形成することができる。
【0216】
「添付文書」は、かかる治療薬の適応症、使用法、投薬量、投与、禁忌症についての情報、パッケージ製品と組み合わされる他の治療薬、及び/又はその使用に関する警告等を含有する、治療薬の市販のパッケージに通例含まれる指示書を指すように使用される。
【0217】
バイオマーカーの「高レベル」とは、患者におけるそのバイオマーカーの量が、正常上限(ULN)を超えていることを意味する。
【0218】
II.ST2アンタゴニスト
本明細書で企図されるST2アンタゴニストには、ST2又はそのリガンドIL-33に結合するアンタゴニストが含まれる。
【0219】
いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは抗体である。
【0220】
いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは、ST2に結合する抗体である。
【0221】
いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは、IL-33/ST2受容体複合体をブロックする。
【0222】
いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは、IL-33媒介ST2シグナル伝達をブロックする。
【0223】
ST2に結合する抗体としては、国際公開第2013/173761号に記載されているヒト抗ST2抗体が挙げられ、これは任意の目的でその全体が参照により本明細書に援用される。非限定的なこのような抗体には、Ab2、Ab5及びAb7が含まれ、これらの配列は、本明細書中の特定の配列の表に提供される。いくつかの実施形態では、CDRはKabatに従って決定される。いくつかの実施形態では、CDRはIMGTに従って決定される。
【0224】
抗ST2抗体Ab2の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号9(又はC末端リジンを欠く配列番号32)及び配列番号10に示す。抗ST2抗体Ab2の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号7及び8に示す。抗ST2抗体Ab2の重鎖相補性決定領域H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3及び軽鎖相補性決定領域L-CDR1、L-CDR2及びL-CDR3のアミノ酸配列を、例えばKabatによって決定される場合、それぞれ配列番号1、2又は31、3、4、5及び6に示す。抗ST2抗体Ab2の重鎖相補性決定領域H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3及び軽鎖相補性決定領域L-CDR1、L-CDR2及びL-CDR3のアミノ酸配列を、例えばIMGTによって決定した場合に、それぞれ配列番号35、36、37、38、39及び40に示す。
【0225】
抗ST2抗体Ab5の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号19(又はC末端リジンを欠く配列番号33)及び配列番号20に示す。抗ST2抗体Ab5の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号17及び18に示す。抗ST2抗体Ab5の重鎖相補性決定領域H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3及び軽鎖相補性決定領域L-CDR1、L-CDR2及びL-CDR3のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号11、12、13、14、15及び16に示す。
【0226】
抗ST2抗体Ab7の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号29(又はC末端リジンを欠く配列番号34)及び配列番号30に示す。抗ST2抗体Ab7の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号27及び28に示す。抗ST2抗体Ab7の重鎖相補性決定領域H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3及び軽鎖相補性決定領域L-CDR1、L-CDR2及びL-CDR3のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号21、22、23、24、25及び26に示す。
【0227】
いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストはAb2である。Ab2軽鎖のアミノ酸配列は以下のとおりである(配列番号10):
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCQASQDIS NYLNWYQQKP GKAPKLLIYD 50
ASNLETGVPS RFSGSGSGTD FTFTISSLQP EDIATYYCQQ DDNFPLTFGG 100
GTKVEIKRTV AAPSVFIFPP SDEQLKSGTA SVVCLLNNFY PREAKVQWKV 150
DNALQSGNSQ ESVTEQDSKD STYSLSSTLT LSKADYEKHK VYACEVTHQG 200
LSSPVTKSFN RGEC 214.
【0228】
Ab2重鎖のアミノ酸配列は以下のとおりである(配列番号9):
EVQLVQSGAE VKKPGESLKI SCKGSGYSFT NYWIGWVRQM PGKGLEWMGI 50
IYPGNSDTRF SPSFQGQVTI SADKSITTAY LQWSSLKASD TAMYYCARHG 100
TSSDYYGLDV WGQGTTVTVS SASTKGPSVF PLAPCSRSTS ESTAALGCLV 150
KDYFPEPVTV SWNSGALTSG VHTFPAVLQS SGLYSLSSVV TVPSSNFGTQ 200
TYTCNVDHKP SNTKVDKTVE RKCCVECPPC PAPPVAGPSV FLFPPKPKDT 250
LMISRTPEVT CVVVDVSHED PEVQFNWYVD GVEVHNAKTK PREEQFNSTF 300
RVVSVLTVVH QDWLNGKEYK CKVSNKGLPA PIEKTISKTK GQPREPQVYT 250
LPPSREEMTK NQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPMLDS 400
DGSFFLYSKL TVDKSRWQQG NVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPGK 447.
【0229】
Ab2重鎖の別のアミノ酸配列は以下のとおりであり(配列番号32)、これはC末端リジンを欠く:
EVQLVQSGAE VKKPGESLKI SCKGSGYSFT NYWIGWVRQM PGKGLEWMGI 50
IYPGNSDTRF SPSFQGQVTI SADKSITTAY LQWSSLKASD TAMYYCARHG 100
TSSDYYGLDV WGQGTTVTVS SASTKGPSVF PLAPCSRSTS ESTAALGCLV 150
KDYFPEPVTV SWNSGALTSG VHTFPAVLQS SGLYSLSSVV TVPSSNFGTQ 200
TYTCNVDHKP SNTKVDKTVE RKCCVECPPC PAPPVAGPSV FLFPPKPKDT 250
LMISRTPEVT CVVVDVSHED PEVQFNWYVD GVEVHNAKTK PREEQFNSTF 300
RVVSVLTVVH QDWLNGKEYK CKVSNKGLPA PIEKTISKTK GQPREPQVYT 250
LPPSREEMTK NQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPMLDS 400
DGSFFLYSKL TVDKSRWQQG NVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPG 446.
【0230】
いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは、IL-33に結合するモノクローナル抗体である。
【0231】
好ましい実施形態では、本発明の方法及び製造品が、ヒトST2に結合する抗体を使用するか、又は組み込む。抗体の作製又はスクリーニングに用いるST2抗原は例えば、所望のエピトープを含むST2の可溶型又はその一部(例えば細胞外ドメイン)であってよい。代替的に、又は追加的に、細胞表面にST2を発現している細胞を用いて、抗体を作製したり、スクリーニングしたりすることができる。抗体を産生するために有用なST2受容体の他の形態は、当業者に明らかであろう。
【0232】
いくつかの実施形態では、抗体は抗体断片であり、様々なそのような断片が上記に開示されている。
【0233】
別の実施形態では、抗体がインタクトな又は完全長のIgG1抗体である。重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、インタクトな抗体には、異なる「クラス」が割り当てられ得る。インタクト抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に更に分割され得る。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元配置は周知である。好ましい実施形態では、抗ST2抗体はIgG2a抗体である。
【0234】
抗体を作製する技術は知られており、その例は本文書の定義の項で先に述べたとおりである。好ましい実施形態では、抗体は、キメラ、ヒト化若しくはヒト抗体又はその抗原結合フラグメントである。好ましくは、抗体はヒト化抗体又はヒト抗体である。
【0235】
ST2に対する抗体の結合を決定するための様々な技術が利用可能である。そのようなアッセイの1つは、ヒトST2に結合する能力を確認するための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である。このアッセイによれば、ST2でコーティングされたプレート(例えば組換えsST2)を抗ST2抗体を含む試料とインキュベートし、sST2への抗体の結合を決定する。
【0236】
好ましくは、抗ST2抗体は、例えば、ST2へのIL-33の結合を阻害することによって、IL-33活性を中和する。そのような阻害を評価するための例示的な方法は、例えば、国際公開第2013/173761号に開示されている。この方法により、抗体がIL-33~ST2と競合する能力を評価する。例えば、プレートをST2(例えば組換えST2又はsST2)でコーティングし、標識IL-33を有する抗ST2抗体を含む試料を添加し、ST2に対する標識IL-33の結合をブロックする抗体の能力を測定する。代替において、又は、加えて、ST2と共受容体AcPとのIL-33媒介性会合を阻害する抗ST2抗体の能力が求められる。国際公開第2013/173761号を参照されたい。
【0237】
本明細書における抗ST2抗体の非限定的な例としては、Ab2、Ab5及びAb7が挙げられる(国際公開第2013/173761号)。
【0238】
本明細書の抗体は、好ましくは、その重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列で形質転換された宿主細胞で組換え生産される(例えば、宿主細胞がその核酸を有する1又は複数のベクターによって形質転換されている場合)。好ましい宿主細胞は哺乳類細胞であり、最も好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0239】
III.医薬製剤
本発明に従って使用される抗体の治療製剤は、所望の純度を有する抗体を任意の薬学的に許容される担体、添加物又は安定剤と混合することによって(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で貯蔵のために調製される。許容され得る担体、添加物、又は安定剤は、レシピエントに対し、用いられる投薬量及び濃度で非毒性であり、これらには、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸等のバッファー、アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤、防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール、メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾール等)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等)、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン等)、単糖、二糖、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む)、EDTA等のキレート剤、糖類(スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール等)、ナトリウム等の塩形成対イオン、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、並びに/又は非イオン性界面活性剤(TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)等)が挙げられる。
【0240】
本明細書の製剤はまた、2つ以上の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものも含有し得る。かかる医薬品の型及び有効量は例えば、製剤中に存在する抗体の量、及び対象の臨床的パラメータに依存する。このような医薬品の例は、以下に述べるとおりである。
【0241】
活性成分はまた、例えばコアセルベーション技法又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタチレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)中に、又はマクロエマルション中に取り込まれてもよい。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0242】
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性製剤の適切な例としては、抗体を含有する固体の疎水性ポリマーの半透性マトリクスが挙げられ、該マトリクスは、成型品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態にある。徐放性マトリクスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートとの共重合体、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸共重合体と酢酸リュープロリドからなる注射用ミクロスフェア)等の分解性乳酸-グリコール酸共重合体、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0243】
in vivo投与に使用される製剤は、滅菌状態でなければならない。これは、滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成される。
【0244】
いくつかの実施形態では、製剤は静脈内(iv)点滴に適している。いくつかの実施形態では、iv製剤は、約6.5のpHでの静脈内注入の前の更なる希釈のための、滅菌された無色~淡黄色の防腐剤を含まない溶液である。いくつかの実施形態では、iv製剤は単回投与バイアルで供給される。
【0245】
いくつかの実施形態では、製剤は、皮下(sc)投与に適している。いくつかの実施形態では、sc製剤は、約6.0のpHで皮下使用するための滅菌された無色~わずかに黄色がかった防腐剤を含まないヒスチジンバッファー溶液である。いくつかの実施形態では、sc製剤は、針安全装置を備えたすぐに使用可能な単回投与の0.9mLプレフィルドシリンジ(PFS)、又はすぐに使用可能な単回投与の0.9mL自己注射器で供給される。
【0246】
好ましくは、製剤が等張性である。
【0247】
IV.ST2アンタゴニストの治療的使用
本発明は、患者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法であって、476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、476mgのST2アンタゴニストを治療期間の1日目に患者に投与することを含む方法が提供される。
【0248】
本発明は、標準治療(SOC)と比較して年間増悪率が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%又は少なくとも45%低下する臨床的改善を達成するのに有効な量のST2アンタゴニストを投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を治療又は予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、臨床的改善は、SOCと比較して増悪数が少なくとも25%低下することである。いくつかの実施形態では、臨床的改善は、SOCと比較して増悪数が少なくとも35%低下することである。いくつかの実施形態では、臨床的改善は、SOCと比較して増悪数が少なくとも45%低下することである。いくつかの実施形態では、臨床的改善は、SOCと比較して増悪数が25%~75%低下することである。いくつかの実施形態では、臨床的改善は、SOCと比較して増悪数が25%~50%低下することである。いくつかの実施形態では、増悪数の標準治療(SOC)よりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を治療又は予防する方法が提供され、当該患者はベースライン血中好酸球数<300好酸球/μLを有する。いくつかの実施形態では、増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を治療又は予防する方法が提供され、当該患者はベースライン血中好酸球数≦170好酸球/μLを有する。いくつかの実施形態では、増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を治療又は予防する方法が提供され、当該患者の気管支拡張剤後(BD後)肺活量測定値は、1秒量(FEV1)及び/又は努力肺活量(FVC)によって測定して0.7未満である。いくつかの実施形態では、増悪数のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を治療又は予防する方法が提供され、前記患者は、修正Medical Research Council(mMRC)呼吸困難スケールスコア≧2及びCOPDアセスメントテストスコア(CAT)≧10を有する。いくつかの実施形態では、患者報告アウトカム(PRO)によって測定して、SOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、COPDを治療又は予防する方法が提供され、PROは、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間での、St.George’s Respiratory Questionnaire for COPD patients(SGRQ-C)におけるベースラインからの少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、又は少なくとも約4ポイントの改善である。いくつかの実施形態では、肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者において肺機能を維持及び/又は改善するための方法が提供され、臨床的改善は、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも0.04L、0.05L、0.06L、0.07L、0.08L、又は0.09Lの、ベースラインと比較した平均差によって実証される。いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法が提供される。いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストの最初の用量の投与後約4週間後に、平均血中好酸球数をベースラインと比較して少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%低下させるのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者におけるベースライン血中好酸球数を改善する方法が提供される。いくつかの実施形態では、SOCと比較した年間増悪率によって測定して、治療開始から50週間及び/又は52週間で中等度から重度の増悪の数の少なくとも約25%、例えば少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%の低下を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を治療又は予防する方法が提供される。いくつかの実施形態では、肺機能のSOCよりも大きな臨床的改善を達成するのに有効な量でST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者の肺機能を維持及び/又は改善する方法が提供され、臨床的改善が、治療開始から4週間、12週間、24週間、36週間、又は48週間でBD後FEV1によって測定して、少なくとも約5%の、ベースラインと比較した平均差によって実証される。本発明は、有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法を提供し、患者は、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される。いくつかの実施形態では、有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法が提供され、患者は、患者由来の試料中のsST2のレベルがsST2の参照レベル以上であると決定されることに基づいて治療のために選択される。いくつかの実施形態では、sST2の参照レベルは、少なくとも1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL又は19ng/mLである。いくつかの実施形態では、sST2の参照レベルは少なくとも1ng/mLである。いくつかの実施形態では、sST2の参照レベルは少なくとも5ng/mLである。いくつかの実施形態では、sST2の参照レベルは少なくとも10ng/mLである。いくつかの実施形態では、sST2の参照レベルは少なくとも15ng/mLである。いくつかの実施形態では、sST2の参照レベルは少なくとも19ng/mLである。いくつかの実施形態では、sST2の参照レベルは少なくとも19.1ng/mLである。
【0249】
本発明は、患者のCOPDを治療する方法であって、有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、患者が、多型rs10206753にTT対立遺伝子又はCT対立遺伝子を含むと決定された患者の遺伝子型に基づいて治療のために選択される方法が提供される。
【0250】
本発明は、患者のCOPDを治療する方法であって、有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、患者が、患者に由来する試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法であって、有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含み、患者が、患者に由来する試料中の好酸球、IL-33経路マーカー、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及びCOPD関連遺伝子(例えば、IL1RL1、IL33)の一塩基多型(SNP)から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベルに基づいて治療のために選択される方法が提供される。
【0251】
本発明は、有効量のST2アンタゴニストを患者に投与することを含む、患者のCOPDを治療する方法を提供し、患者は、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性指数の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される。いくつかの実施形態では、有効量のST2アンタゴニストをCOPDを有する患者に投与することを含む、COPDを有する患者における中等度から重度の増悪の頻度を低下させる方法が提供され、患者は、患者由来の試料中のベースラインα多様性のレベルがアルファ多様性の参照レベル未満であると決定されることに基づいて治療のために選択される。いくつかの実施形態では、ベースラインα多様性の参照レベルは、Shannon-Weaver法によって計算して、約3.4のα多様性指数である。いくつかの実施形態では、ベースラインα多様性の参照レベルは、Shannon-Weaver法によって計算して、約0~5の範囲内のα多様性指数である。いくつかの実施形態では、アルファ多様性の参照レベルは、Shannon-Weaver法によって計算して、α多様性指数が10である。
【0252】
様々な実施形態では、用量は476mgのST2アンタゴニストである。
【0253】
様々な実施形態では、ST2アンタゴニストの用量は、4週間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストの用量は、2週間ごとに投与される。
【0254】
様々な実施形態では、用量は、4週間ごとに476mgのST2アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、用量は、2週間ごとに476mgのST2アンタゴニストである。
【0255】
いくつかの実施形態では、用量は、490mgのST2アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、用量は、4週間ごとに490mgのST2アンタゴニストである。
【0256】
本発明は、臨床アウトカムの標準的なケアよりも大きな改善を達成する、ST2アンタゴニストを用いてCOPDを治療する方法を提供する。
【0257】
SOCと比較した臨床アウトカムの改善を確認する方法には、COPD増悪頻度の低下が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、改善は、標準治療への追加として、48週間で中等度から重度の増悪(それぞれ全身性コルチコステロイド及び/若しくは抗生物質による治療又はCOPDによる入院若しくは死亡をもたらすヘルスケア利用)の頻度の低下を含む。いくつかの実施形態では、改善は、52週間の治療期間にわたる中等度及び重度のCOPD増悪の年率の改善を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、SOCと比較した臨床アウトカムの改善を確認するための方法には、下記の方法が含まれるが、これらに限定されない:
・52週間の治療期間中の最初の中等度又は重度のCOPD増悪までの時間
・St.George’s Respiratory Questionnaire-COPD(SGRQ-C)総スコアによって評価した場合の、例えば52週目の健康関連生活の質(HRQoL)のベースラインからの絶対変化
・HRQoLの改善を有する患者の割合(例えば、52週目におけるSGRQ-C総スコアのベースラインからの≧4ポイントの減少として定義される)
・気管支拡張剤後FEV1のベースラインからの絶対変化(リットル)、例えば52週目
・Evaluating Respiratory Symptoms in COPD(E-RS(登録商標):COPD)の総スコアのベースラインからの絶対変化、例えば52週目
・例えば、52週間の治療期間にわたる重度のCOPD増悪の年率
・例えば、52週目における、5回の反復の立ち座り試験(5STS)時間(秒)のベースラインからの絶対変化
【0259】
いくつかの実施形態では、SOCと比較した臨床アウトカムの改善を確認するための方法には、下記の方法が含まれるが、これらに限定されない:
・例えば、52週間の治療期間にわたるEXAcerbations of Chronic Pulmonary Disease Tool(EXACT(登録商標))定義の増悪事象の重症化の年率
・EXACT増悪事象は、2日間持続した12点以上又は3日間持続した9点以上のEXACT総スコアとして定義される。
・HRQoL改善を有する患者の割合(例えば、12週目及び24週目におけるSGRQ-C総スコアのベースラインからの≧4ポイントの減少として定義される)
・E-RSのベースラインから2ポイント以上の減少として定義される症状改善を有する患者の割合:例えば24週目及び52週目のCOPD総スコア
・気管支拡張剤後FEV1(リットル)、例えば12、24、及び36週目のベースラインからの絶対変化
・例えば、24週目における、5STS時間(秒)のベースラインからの絶対変化
・例えば52週間の治療期間にわたる中等度のCOPD増悪の年率
・重症COPD増悪による入院期間
・例えば30日間以内に再入院を必要とする重度のCOPD増悪の割合
・例えば52週目における、残気量/総肺容量比のベースラインからの絶対変化
・例えば、12、24、及び52週目における、毎日の歩数のベースラインからの絶対変化
・中等度及び激しい身体活動における、例えば、12週目、24週目及び52週目でのベースラインからの時間的絶対変化
・例えば、52週目における、COPDアセスメントテスト(CAT)スコアのベースラインからの絶対変化
・例えば、盲検治療期間にわたる中等度及び重度のCOPD増悪の年率
【0260】
いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストを用いる治療方法は、標準治療と比較して許容される安全性アウトカムに関連する。例示的な安全性アウトカムは、以下のいずれか1つ以上を含む:
・Division of AIDS Table for Grading the Severity of Adult and Pediatric Adverse Events,Version 2.1(DAIDS Table v2.1)毒性スケールに従って決定された重症度を伴う有害事象の発生率及び重症度
・目標バイタルサインのベースラインからの変化
・標的臨床検査結果及びECGのベースラインからの変化
【0261】
本明細書における方法のいずれかの別の実施形態では、患者は、ST2アンタゴニストと共にSOCで治療される。SOCは上に開示されており、例えば吸入コルチコステロイドとの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、標準治療には、ICS≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾン用量当量が含まれる。いくつかの実施形態では、標準治療は、ICS+長時間作用型βアゴニスト(LABA)を含む。いくつかの実施形態では、標準治療には、ICS≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾン用量当量+LABAが含まれる。いくつかの実施形態では、標準治療には、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)+LABAが含まれる。いくつかの実施形態では、標準治療は、ICS+LAMA+LABAを含む。いくつかの実施形態では、標準治療には、ICS≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾンの用量当量+LAMA+LABAが含まれる。
【0262】
いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストはST2に結合する。いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストはIL-33に結合する。いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは抗ST2抗体である。
【0263】
いくつかの実施形態では、ST2アンタゴニストは、Ab2、Ab5又はAb7である。
【0264】
別の実施形態では、本発明は、患者のCOPDを治療する方法であって、ST2アンタゴニスト(例えば、抗ST2抗体、例えば、Ab2、Ab5又はAb7)を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0265】
本明細書で規定する追加の薬物は、それまでに使用されたのと同じ投与量及び投与経路か、又は先に用いた投与量の約1~99%で使用される。そのような追加の薬物を全く使用しない場合、好ましくは、第1の薬品が存在しない場合よりも低い量で、特に第1の薬品による最初の投与を超えたその後の投与において使用し、それによって生じる副作用を排除又は減少させるようにする。
【0266】
追加薬物の併用投与には、別個の製剤又は単一の薬学的製剤を使用する共投与(同時投与)と、いずれかの順序における連続投与とが含まれ、好ましくは、両方(又は全て)の活性剤(薬品)がそれらの生物活性を同時に発揮する期間が存在する。
【0267】
V.製造品
本発明の別の実施形態では、上述のCOPDの治療に有用な材料を含む製造品が提供される。
【0268】
製造品は、場合により、対象のCOPDを治療するための説明書を含む添付文書を更に含み、説明書は、本明細書に開示される抗体による治療がCOPDを治療することを示す。
【0269】
本発明の更なる詳細が、以下の非限定的な実施例により例示されている。本明細書における全ての引用の開示内容は、参照することにより本明細書に明示的に援用される。
【0270】
実施例1:COPDにおける抗ST2の無作為化されたプラセボ対照治験(COPD-ST2OP)
これは、COPDにおけるMSTT1041A(アステゴリマブ、Ab2、抗ST2抗体)対プラセボを比較した、単一施設、二重盲検、プラセボ対照並行群無作為化対照治験である。MSTT1041A 490mg皮下(s/c)又は適合プラセボを4週間ごとに合計12回投与した。患者を60週間、追跡調査し(すなわち、48週間の治療期間及び12週間の追跡調査)、ベースライン、4、12、24、36、48及び60週間並びに治療開始前に提示された増悪事象で副次的アウトカム測定を行う。用量及び投与間隔は、初期のPK/PDモデリングから導出されており、進行中の第2b相喘息試験に含まれる最高用量である。主要アウトカム尺度は増悪頻度である。増悪事象は比較的まれであり、季節によって影響を受ける可能性があるため、本発明者らは、12ヶ月までの追跡調査を伴う48週間の治療期間を選択した。
【0271】
主要目的
本発明者らは、抗ST2がCOPDの気道炎症に影響を及ぼし、その結果、COPD増悪頻度を低下させると仮定する。
【0272】
治験の主要目的は、標準治療への追加としての48週間での中等度から重度の増悪(それぞれ全身性コルチコステロイド及び/若しくは抗生物質による治療又はCOPDによる入院若しくは死亡をもたらすヘルスケア利用)の頻度に対する抗ST2対プラセボの有効性を評価することである。
【0273】
副次的目的
別の重要な目的は、中等度から非常に重度のCOPDを有する成人患者におけるプラセボと比較した抗ST2の皮下用量の安全性及び忍容性を評価することである。
【0274】
更に、抗ST2対プラセボの効果を、安定した来院時及び増悪事象時の両方で以下に対して評価するためである。
1.症候
2.健康状態
3.肺機能
4.痰気道炎症
5.上気道炎症
6.全身性炎症
7.気道感染及び生態学
8.呼気揮発性有機化合物プロファイリング
9.気道形態計測及び肺密度計測
10.薬理ゲノミクス
11.薬物動態及びADAレベル
【0275】
評価項目
主要アウトカム
主要アウトカムは、48週間以内の中等度から重度の増悪(地域又は病院又は入院において全身性コルチコステロイド及び/又は抗生物質による治療を必要とすると定義される)の頻度である。
【0276】
COPDの増悪がCOPDの症候性の悪化によって定義される場合:
・少なくとも3日間の全身性コルチコステロイドの使用;コルチコステロイドの単回デポー注射用量は、全身性コルチコステロイドの3日間のコースと等価であると考えられる;及び/又は
・抗生物質の使用;及び/又は
・COPDによる入院患者の入院若しくは死亡
【0277】
副次的アウトカム
1.初回投与から48週間の治験における1年当たりのAE事象率
2.初回投与から48週間の治験における1年当たりのSAE事象率
3.実験室の測定
4.バイタルサイン(パルス、BP、温度、酸素飽和度(O2飽和度))
5.心機能:
・心エコー図(ECHO)
・12リード心電図(ECG)
(治験責任医師の意見において、ECGが著しく異常である(例えば、左脚ブロック(LBBB)、延長されたQTc)場合、古いECGと比較する。比較のための古いECGがない場合、治験責任医師は、治験に参加する患者の適合性について臨床判断を行う)
6.肺機能:
・全身プレチスモグラフィ(ボディボックス)(患者がスクリーニング来院前12ヶ月以内に検査を受けていない限り、スクリーニングと12週目との間のいつでも行われる)
・BD前後の肺活量測定
・BD後の1秒量(FEV1)
・伝達係数
7.痰気道炎症
・痰細胞診
・メディエータプロファイリング(バイオマーカー)
8.上気道の炎症
・鼻吸着
・鼻上皮サンプリング
9.全身性炎症:
・血液炎症性細胞分化
・メディエータ
・ILC2細胞の探索を含むがこれに限定されない細胞サブセット分析
・炎症の尿バイオマーカー
10.気道感染及び生態学
一般的な気道病原体に対する標的化qPCR(細菌及びウイルス)
・微生物叢
11.呼吸揮発性有機化合物(VOC)プロファイリング(PTRMS&ADVION)-呼気オミクス
12.気道形態計測及び肺密度計測
・胸郭CT由来アウトカム(非造影CTスキャン)
・胸部X線(CXR)
13.薬理遺伝学-IL33/ST2軸に関連する対立遺伝子についてのSNPによって決定されるサブグループにおける応答分析。
14.薬物動態PK及びADAレベル
15.アンケート及びスコア:
・SGRQ-c及びCAT-健康状態を評価するため
・mMRC呼吸困難尺度-呼吸器症状を評価するため
・呼吸困難、咳痰の発生(100mm)の視覚的アナログスコア-呼吸器症状を評価するため
・痰の化膿カラーカード-呼吸器症状を評価するため
16.血液試験:
・全血球数(FBC)
・尿素及び電解質(U&E)
・肝機能検査(LFT)
・C反応性タンパク質(CRP)
・RNA(PAXgene)
・DNA(PAXgene)
・総IgE及びRAST(HDM、花粉、ネコ、イヌ)
・炎症性バイオマーカーの血清/血漿
・脂質プロファイル
・N末端プロb型ナトリウム利尿ペプチド(NTproBNP)
・HbA1c
・薬物動態(PK)及び抗薬剤抗体(ADA)
-(Pk試料は投与来院時に投与前に採取すべきである)
【0278】
試験デザイン
これは、中等度から非常に重度のCOPD(GOLD II-IV)を有する患者において、プラセボと比較して抗ST2の有効性及び安全性を評価するための単一施設、二重盲検、プラセボ対照並行群無作為化対照治験である。抗ST2を、48週間の治療期間中、4週間に1回(0、4、8、12、16、20、24、28、32、36、40及び44週目)、皮下注射によって投与する。治療期間の後に12週間の追跡期間(i.ウォッシュアウト期間)が続く。
【0279】
最初の来院時にインフォームドコンセントに署名した後、患者は無作為化の7~14日以内にスクリーニング期間に入る。治験に関与する資格がある患者は、490mgの抗ST2又は適合プラセボのいずれかを投与される48週間の治療期間に無作為化される。患者は、無作為化された治療期間の完了後、更に12週間評価される。最後の患者が48週間の治療期間を終えると、中間解析が計画される。治療群は、48週間の追跡期間が完了するまで盲検のままであり、治験データベースはロックされる。
【0280】
主要な適格基準:
試験対象患者基準
1.安定している場合のCOPDに典型的な症状(ベースラインmMRC呼吸困難スコア≧2)
2.GOLD COPDステージ2-4
3.喫煙パック年≧10年
4.年齢>40歳
5.COPDのためのBTSガイダンスに従って標準治療薬物療法を受ける
6.過去12ヶ月間に2回以上の中等度から重度の増悪歴。
7.有効な書面による同意を与えることができ、治験手順及び治験来院に従う。
8.書面及び音声による英語を理解することができる
【0281】
除外基準
1.治験責任医師の観点から治験に影響を及ぼすCOPD以外の重要な既知の呼吸器疾患
2.治療が緩和的であると考えられる患者(平均余命<12ヶ月)
3.IMPの活性物質又は任意の添加物に対する既知の過敏症
4.アナフィラキシーの既知の病歴
5.来院1の前4週間以内にCOPD増悪及び/又は肺炎を有する患者
6.治験責任医師の意見では、治験に影響を及ぼすであろう糖尿病、高血圧症及び心不全[例えば、NYHAクラスIII(例えば、通常より少ない活動が、疲労、動悸、又は呼吸困難を引き起こす)の患者は、過去6ヶ月にHFの増悪があった場合、及びクラスIV(例えば、安静時の心不全の症状)の場合は除外される]等の制御されていない併存状態を有する。
7.スクリーニング前12ヶ月以内の心筋梗塞、不安定狭心症又は脳卒中
8.来院1から5年以内の悪性腫瘍の診断(悪性黒色腫を含まない切除された限局性皮膚癌を除く)
9.治験責任医師の意見で更なる調査を正当化する臨床的に有意なECG変化
10.治験責任医師の意見で更なる調査を正当化する検査異常
11.治験責任医師の意見において、アルコール、薬物又は溶媒乱用の証拠を有する。
12.妊娠中、授乳中又は泌乳中の女性。出産可能な女性は、スクリーニング来院時に行われた血清妊娠検査が陰性でなければならず、2つの受胎調節方法(そのうちの1つはバリア法でなければならない)の使用に同意しなければならない。
13.来院1から3ヶ月以内の介入的臨床治験への参加、又は3ヶ月若しくは5半減期以内の任意の治験薬の受領。
14.患者への質問で、血液が感染している(例えば、HIV、B型肝炎又はC型肝炎)。
【0282】
製剤
抗ST2は、滅菌で透明で無色からわずかに黄色の液体として示される。各滅菌バイアルに、70mg/mLの1mL送達可能容量を充填する。これは、15mM酢酸ナトリウム、9.0%(w/v)スクロース、0.01%(w/v)ポリソルベート20、pH5.2を用いて製剤化される。
【0283】
抗ST2のプラセボ(MSTT1041A)は、10mM酢酸ナトリウム、9.0%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート20、pH5.2と共に製剤化され、同一のバイアル構成で供給される。
【0284】
結果及び結論
81名の参加者をCOPD-ST2OP治験に無作為化した。39名の参加者をプラセボ群に割り当てた。42名を抗ST2(アステゴリマブ)群に割り当てた。81名の患者全員が、割り当てられた治療に従って少なくとも1回の用量を受けた。合計67名の参加者が全ての投薬来院を完了した(合計12)。
【0285】
患者は、表1~4に示す特性を示した。
表1 臨床的特性-人口統計及び増悪歴
表2 臨床的特性-患者報告のアウトカム(PRO)
表3 臨床的特性-肺機能
表4 臨床的特性-炎症
【0286】
主要アウトカムは、48週間以内の中等度から重度の増悪(地域又は病院又は入院において全身性コルチコステロイド及び/又は抗生物質による治療を必要とすると定義される)の頻度である。アステゴリマブ治療は、COPD増悪の数的低下を示した。
【0287】
図1は、治療群による対象間の中等度から重度の増悪の数の分布を示す。
【0288】
図2は、48週間にわたるプラセボ及びアステゴリマブについての年間の中等度/重度のCOPD増悪の平均数がそれぞれ2.81[2.05から3.58]及び2.18[1.59から2.78]であった、全参加者についての年間増悪率を示す。全参加者について、中等度/重度のCOPD増悪の年率の低下は、プラセボと比較して、アステゴリマブを投与された患者では22%であった。図3A図3Bは、ベースライン血中好酸球数がそれぞれ≦170好酸球/μL及び>170好酸球/μL、又は<300好酸球/μL及び≧300好酸球/μLである、ベースライン血中好酸球サブグループ当たりの年間増悪率を示す。図3Aに示すように、ベースライン血中好酸球数≦170好酸球/uLを有するサブグループは、31%のAERRを示し、ベースライン血中好酸球>170好酸球/μLを有するサブグループは、17%のAERRを示した。図3Bは、300好酸球/μL未満のベースライン血中好酸球数を有するサブグループについて37%のAERRを示す。
【0289】
アステゴリマブ治療はまた、ベースラインからSGRQ-Cの改善を示した。図4は、全参加者についての48週間のSGRQ総スコアのベースラインからの変化を示し、ここで、調整平均SGRQ-C総スコア差=-3.3(95%CI、-6.4から-0.2;p=0.039)は48週間にわたるアステゴリマブとプラセボとを比較した。図5A図5Bは、それぞれ、低(≦)又は高(>)170好酸球/μL(図5A)又は<又は≧300好酸球/μL(図5B)を有する好酸球群についてのベースライン血中好酸球サブグループに基づくSGRQ総スコアを示す。
【0290】
図6は、全参加者の48週間の間のBD後FEV1のベースラインからの変化を示す。アステゴリマブとプラセボとを比較した48週間にわたる調整平均差FEV1(L)は、0.04L(95%CI、-0.01から0.09;p=0.094)であった。図7A図7Bは、それぞれ低(≦)又は高(>)170好酸球/μL(図7A)又は<又は≧300好酸球/μL(図7B)を有するベースライン血中好酸球サブグループについてのBD後FEV1の変化を示す。
【0291】
図8A図8Bは、48週間にわたる血中好酸球レベルのベースラインからの変化を示す。血中好酸球数の中央値は170細胞/μLであった。ベースラインから48週目までのプラセボと比較した血中好酸球数の幾何平均比は0.61(0.50~0.73;p<0.001)であった。
【0292】
図9は、48週間にわたる痰の好酸球数%のベースラインからの変化を示す。
【0293】
図10A図10Cは、プラセボと比較した治療のための特定の有害事象を示す。図10Aは、特定の有害事象(AE)の頻度を提供し、図10B図10Cは、患者当たりの有害事象の数又は重篤な有害事象(SAE)の数を提供する。
【0294】
要約すると、この試験では、年間増悪率の数値的低下、並びにSGRQの統計学的に有意な改善が観察された。FEV1の改善の傾向もあった。4週目という早期に見られる血中好酸球の低下は、薬力学的バイオマーカーを提供する。治療下で発現した有害事象及び重篤な有害事象の発生率は群間で類似しており、他の試験からのアステゴリマブの安全性プロファイルを変化させなかった。
【0295】
実施例2:慢性閉塞性肺疾患患者におけるアステゴリマブの安全性及び有効性を評価するための無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験
これは、元又は現役喫煙者であり、頻繁な増悪の病歴を有するCOPD患者において、SOCと組み合わせたプラセボと比較して、標準治療と組み合わせたアステゴリマブの有効性、安全性及び薬物動態を評価するための第II相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験である。センターでのエントリー基準を満たす約930人の患者が治療される。この試験の具体的な目的と対応する評価項目の概要を以下に示す。
【0296】
主要有効性目標
この試験の主要な有効性目的は、以下の評価項目に基づいて、プラセボと比較したアステゴリマブの有効性を評価することである。
・52週間の治療期間にわたる中等度及び重度のCOPD増悪の年率
中等度のCOPD増悪は、>10mg/日のプレドニゾロン当量及び/又は抗生物質の用量での全身性コルチコステロイド(経口、IV、又は筋肉内[IM])による治療(≧3日間)をもたらす新たな又は増加したCOPD症状(例えば、呼吸困難、痰の量、及び痰の膿)として定義される。
重度のCOPD増悪は、入院(24時間を超える期間)をもたらすか又は死をもたらす新たな又は増加したCOPD症状として定義される。
【0297】
副次的有効性目標
この試験の副次的有効性目的は、以下の評価項目に基づいて、プラセボと比較したアステゴリマブの有効性を評価することである。
・52週間の治療中の最初の中等度又は重度のCOPD増悪までの時間
期間
・St.George’s Respiratory Questionnaire-COPD(SGRQ-C)によって評価した、52週目の健康関連生活の質(HRQoL)のベースラインからの絶対変化
総スコア:
・52週目におけるSGRQ-C総スコアのベースラインからの≧4ポイントの減少として定義される、HRQoLの改善を有する患者の割合
・52週目における、気管支拡張剤後FEV1のベースラインからの絶対変化(リットル)
・52週目における、Evaluating Respiratory Symptoms in COPD(E-RS(登録商標):COPD)の総スコアのベースラインからの絶対変化
・52週間の治療期間にわたる重度のCOPD増悪の年率
・52週目における、5回の反復の立ち座り試験(5STS)時間(秒)のベースラインからの絶対変化
【0298】
更なる有効性の目的
この試験の更なる有効性目的は、以下の評価項目に基づいて、プラセボと比較したアステゴリマブの有効性を評価することである。
・52週間の治療期間にわたるEXAcerbations of Chronic Pulmonary Disease Tool(EXACT(登録商標))定義の増悪事象の重症化の年率
EXACT増悪事象は、2日間持続した12点以上又は3日間持続した9点以上のEXACT総スコアとして定義される。
・12週目及び24週目における、SGRQ-C総スコアのベースラインからの≧4ポイントの減少として定義される、HRQoL改善を有する患者の割合
・E-RSのベースラインから2ポイント以上の減少として定義される症状改善を有する患者の割合:24週目及び52週目のCOPD総スコア
・12、24、及び36週目の気管支拡張剤後FEV1(リットル)のベースラインからの絶対変化
・24週目における、5STS時間(秒)のベースラインからの絶対変化
・52週間の治療期間にわたる中等度のCOPD増悪の年率
・重症COPD増悪による入院期間
・30日間以内に再入院を必要とする重度のCOPD増悪の割合
・52週目における、残気量/総肺容量比のベースラインからの絶対変化
・12、24、及び52週目における、毎日の歩数のベースラインからの絶対変化
・中等度及び激しい身体活動の、12週目、24週目及び52週目でのベースラインからの時間的絶対変化
・52週目のCOPDアセスメントテスト(商標)(CAT(商標))スコアのベースラインからの絶対変化
・盲検治療期間にわたる中等度及び重度のCOPD増悪の年率
・短時間作用型救急吸入器の使用のベースラインからの絶対変化
・アクティグラフィによって測定される、夜間の総睡眠時間の絶対変化
【0299】
安全目標
この研究の安全性目的は、以下の評価項目に基づいて、プラセボと比較したアステゴリマブの安全性を評価することである。
・Division of AIDS Table for Grading the Severity of Adult and Pediatric Adverse Events,Version 2.1(DAIDS Table v2.1)毒性スケールに従って決定された重症度を伴う有害事象の発生率及び重症度
・目標バイタルサインのベースラインからの変化
・標的臨床検査結果及びECGのベースラインからの変化
【0300】
薬物動態学の目的
この試験の薬物動態(PK)目的は、以下の評価項目に基づいて、アステゴリマブPKプロフィールを特徴付けることである。
・特定の時点におけるアステゴリマブの血清濃度
この試験の探索的PKの目的は以下のとおりである:
・以下の評価項目に基づいて、薬物曝露とアステゴリマブの有効性及び安全性との間の潜在的な関係を評価すること:
-アステゴリマブの血清濃度又はPKパラメータと有効性評価項目との関係
-アステゴリマブの血清濃度又はPKパラメータと安全性評価項目との関係
・選択された共変量とアステゴリマブへの曝露との間の潜在的関係を以下の評価項目に基づいて評価すること:
-選択された共変量と、アステゴリマブの血清濃度又はPKパラメータとの関係
【0301】
免疫原性目的
この試験の免疫原性目的は、以下の評価項目に基づいて、アステゴリマブに対する免疫応答を評価することである。
・ベースライン時の抗薬剤抗体(ADA)の有病率及び試験中のADAの発生率
この研究のための探索的免疫原性の目的は、以下の評価項目に基づいてADAの潜在的な効果を評価することである。
・ADAの状態と有効性、安全性、又はPK評価項目との関係
【0302】
バイオマーカーの目的
この研究のための探索的バイオマーカーの目的は、以下の評価項目に基づいて、アステゴリマブに対する応答を予測するバイオマーカー(すなわち、予測バイオマーカー)、より重篤な病状への進行に関連するバイオマーカー(すなわち、予後バイオマーカー)、アステゴリマブ活性の証拠を提供することができるバイオマーカー(すなわち、薬力学的バイオマーカー)、又は疾患生物学及び薬物安全性の知識及び理解を高めることができるバイオマーカーを同定及び/又は評価することである。
・血液、血漿、血清及び痰及び経鼻吸収(商標)試料中のバイオマーカーと、有効性、安全性、PK、免疫原性、又は他のバイオマーカーの評価項目との関係
探索的バイオマーカーには、好酸球、IL-33経路マーカー(例えば、sST2)、炎症性タンパク質(例えば、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質)、及び選択された遺伝子の一塩基多型(例えば、IL1RL1、IL33及びCOPDに関連する他の遺伝子)の分析が含まれるが、これらに限定されない。
【0303】
インターロイキン-33及びST2
アステゴリマブ(MSTT1041A又はAb2としても知られる)は、IL-33受容体であるST2に高い親和性で結合し、それによってインターロイキン-1(IL-1)ファミリーの炎症性サイトカインであり「アラミン」クラスの分子のメンバーであるインターロイキン-33(IL-33)のシグナル伝達をブロックする完全ヒトIgG2モノクローナル抗体である。アステゴリマブは、ナノモル以下の親和性及び力価を有し、血液中で活性であり、アゴニスト活性を欠く。
【0304】
IL-33は、上皮細胞上で構成的に発現され、アレルゲン、毒素、又は感染等の外因性刺激への曝露による細胞傷害又はストレス時に放出される「アラルミン」又は損傷関連分子パターン分子と考えられる。IL-33は、喘息、COPD及びアトピー性皮膚炎の治療における標的としての可能性を有するサイトカインのIL-1ファミリーのメンバーである(Sims and Smith 2010)。
【0305】
高レベルのIL-33が間質細胞において、特に肺及び消化管等のバリア表面において見出される。肺内では、IL-33は、上皮細胞、内皮細胞及び線維芽細胞を含む複数の細胞型において検出される(Liew et al.2016)。IL-33のバイオアベイラビリティは厳密に調節されており、恒常性条件下では、このタンパク質はこれらの細胞の核に隔離されている。傷害、機械的ストレス、又は死によって引き起こされる細胞損傷は、生体活性IL-33の循環中への放出をもたらし、そこでそれは自然免疫応答及び適応免疫応答を開始及び増殖させる。IL-33の受容体であるST2は、マスト細胞、好酸球、好塩基球、先天性リンパ球系細胞、Tリンパ球、マクロファージ、及び内皮細胞を含む、肺の炎症及び疾患に関与する複数の細胞型で発現される。
【0306】
IL-33はまた、抗原刺激がない場合でさえ、肺に蓄積し、Tヘルパー2型(Th2)細胞炎症を促進する2型先天性リンパ球の機能に関連する(Scanlon and McKenzie 2012)。いくつかの状況では、IL-33はまた、ナチュラルキラー(NK)細胞又はNKT細胞からのインターフェロン(IFN)-γ産生等の1型応答を促進する。したがって、IL-33は、COPDに関与する複数の炎症性経路に関与し得る。
【0307】
IL-33は、Il-1受容体様1(IL-1RL1)としても知られるその受容体ST2を介してこれらの様々な免疫細胞を活性化する(Nabe 2014)。ST2へのIL-33の結合は、共有IL-1ファミリーサブユニットIL-1RAcPとの会合を促進し、活性IL-33受容体を形成する。IL-33によって誘導される細胞内シグナル伝達は、炎症性遺伝子の発現を促進する。ST2の分泌された可溶型形態(sST2)は、選択的スプライシングから生じ、炎症の状況では上昇し、放出されたIL-33に結合して阻害するためのデコイとして作用する(Hayakawa et al.2007)。
【0308】
過剰な細胞外IL-33は、肺組織において高度に炎症性であり、気道過敏症(AHR)及び粘液産生(増悪の重要な成分)をもたらし得る局所炎症を誘発することができる。マウスにおけるIL-33の気道投与は、好酸球及び好中球を含む気管支肺胞洗浄液中の炎症性細胞の浸潤、並びにインターロイキン-5、インターロイキン-13、エオタキシン、並びに胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC/CCL17としても公知)の上昇をもたらす(Louten et al.2011)。IL-33放出をもたらすシグナルの多様な性質及び広範囲の標的細胞を考えると、IL-33はいくつかの病理学的経路に関与している。IL-33の放出は、喘息、COPD、特発性肺線維症及び急性呼吸窮迫症候群における急性増悪及び/又は疾患進行の引き金となり得る。IL-33活性はウイルス感染後に上昇し、この経路の阻害は、喘息及びCOPDの齧歯類モデルにおけるウイルス誘導増悪を低下させる(Werder et al.2018;Ravanetti et al.2019)。タバコの煙にさらされたST2欠損マウス又はIL-33欠損マウスは、抗ウイルス宿主防御を損なうことなく、その後の呼吸器ウイルス感染に応答して炎症性応答が減少している(Kearley et al.2015)。IL-33経路の非存在は、肺へのウイルス誘導性白血球移動、炎症性サイトカイン発現、及びその後の肺病理学を有意に低下させた。これらの理由から、ST2を阻害することは、過剰な炎症性続発症を制限することによってCOPDを有する患者に臨床的利益を付与すると仮定される。
【0309】
研究設計の概要
これは、元又は現役喫煙者であり、頻繁な増悪の病歴を有するCOPD患者において、標準治療(SOC)と組み合わせたプラセボと比較して、SOCと組み合わせたアステゴリマブの有効性、安全性及び薬物動態を評価するための第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験である。COPDを有する約930人の患者が世界中で登録されると予想される。
【0310】
少なくとも7日間~最大4週間のスクリーニング期間後、患者を、3つの治療群のうちの1つに対して1:1:1の比率で無作為化して、アステゴリマブ又はプラセボのいずれかによる盲検治療を受ける。無作為化を、スクリーニング時の喫煙状態(元喫煙者対現役喫煙者)及び地域によって層別化するであろう。
【0311】
試験薬(アステゴリマブ又はプラセボ)の初回用量を1日目に投与する。治療は少なくとも50週目まで継続し、続いて12週間の安全性追跡期間が続く。各アームの治療レジメンは以下のとおりである。
・2週間ごとのアステゴリマブ476mg SC(Q2W)
・4週間ごとのアステゴリマブ476mg SC(Q4W)
全ての試験患者が同じ来院スケジュールを受けることを確実にするために、Q4W投与群に無作為化された患者は、2週間ごとに(1日目にアステゴリマブで開始して)アステゴリマブとプラセボの注射を交互に行い、したがって、4週間ごとにアステゴリマブを投与する。
・プラセボSC Q2W
患者は、52週目(又は、適用可能であれば、以下に記載されるような追加の治療期間の終了)の治療完了訪問を通して2週間ごとにクリニックに戻る。主要評価項目分析は、全患者の52週間の治療期間データを使用して実施される。
【0312】
製剤
有利には、皮下投与用の単一のプレフィルドシリンジを介して476mgのアステゴリマブを投与することができる。アステゴリマブ及びプラセボは、針安全装置を備えた2.25mLプレフィルドシリンジ中の滅菌液体として供給され、238mg/1.7mLのアステゴリマブ又はプラセボを提供する。
【0313】
対象製品プロファイル
集団は、訪問1の12ヶ月以上前にICS療法+LABA及び/又はLAMAで治療したにもかかわらず、COPD及び2回以上の増悪の病歴を有する成人患者である。COPDは、FEV1/FVC比<0.7、気管支拡張剤応答<12%として定義される。FEV1 20~80%;2つ以上の長時間作用型吸入器を含むように標準治療で最適化された、10パック年以上のタバコ使用、前年1回以上の増悪を有する現役喫煙者及び元喫煙者。
【0314】
52週間での年間増悪(中等度及び重度)率低下(AERR)の主要評価項目は、全参加者で>25%、全参加者で>35%、又は全参加者で>45%である。
【0315】
副次評価項目は、4ポイントのSGRQによって測定される健康関連の生活の質の改善である。
【0316】
副次評価項目は、FEV1の5%の改善である。
【0317】
患者集団の論拠
頻繁な増悪は、COPDにおける症状、健康関連の生活の質、身体機能、疾患の進行、ヘルスケアの利用、及び死亡率に有意に影響する(Anzueto 2010)。12ヶ月以内に2つ以上の中等度から重度の増悪を有するCOPD患者は、将来の増悪の最大の継続リスクがある(Han 2017)。したがって、この患者群では、増悪の低下から最も有益であると予想される。以前の増悪の病歴は、気流閉塞の重症度、炎症性マーカー、及び機能的又は臨床的マーカーよりも将来の増悪リスクの強力な予測因子である(Hurst 2010)。増悪の頻度は気流閉塞の重症度と共に増加するが、中等度の気流閉塞を有する患者のかなりの割合が高頻度の増悪を経験する(Decramer 2009)。したがって、この研究は、頻繁な増悪(2つ以上の増悪の年率として定義される)の病歴を有する中等度から非常に重度の気流閉塞を有する患者を登録する。
【0318】
対照群の理論的根拠
この研究では、COPD患者におけるSOCと組み合わせたプラセボと比較した、SOCと組み合わせたアステゴリマブの有効性、安全性及び薬物動態を比較する。SOCによる治療は、全ての患者がCOPDの治療を受けることを確実にし、プラセボ対照群は、アステゴリマブの効果を研究するための安全性、有効性及び倫理的考慮事項を考慮する。
【0319】
バイオマーカー評価の根拠
COPDは不均一な疾患であり、IL33及びsST2の発現は患者によって異なることが示されている。したがって、全ての患者が、アステゴリマブによる治療から恩恵を受ける可能性が等しくないかもしれない。治療前及び治療後の様々な時点でのバイオマーカー評価を使用して、患者におけるアステゴリマブの生物活性の証拠を提供し、アステゴリマブに対する応答を予測し得るバイオマーカーを同定し、PK及び/又はPDの関係を定義し、患者におけるアステゴリマブの作用機序の理解を進め、推奨用量レジメンの選択を支援し、疾患生物学の知識及び理解を高める。探索的バイオマーカー分析には、好酸球、IL-33経路マーカー(例えば、sST2)及び炎症性メディエータ(例えば、フィブリノーゲン及びC反応性タンパク質)の分析が含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、患者は、ベースライン血中好酸球数<300好酸球/μL、ベースライン血中好酸球数≦170好酸球/μL、又はベースライン血中好酸球数≦150好酸球/μL等の好酸球数によって層別化され得る。
【0320】
研究薬物に対する応答を予測し得るか、疾患進行に関連するか、又は疾患生物学の知識及び理解を高めることができる、IL1RL及びIL33並びにCOPDに関連する他の遺伝子における特定の生殖系列変異の同定を可能にするために、DNA抽出のために血液試料を採取する。
【0321】
安全性バイオマーカーに関する探索的研究は、将来の薬物開発を支援するために行われ得る。研究は、安全性バイオマーカーの更なる特徴付け、又は有害事象の発生に対する感受性に関連するか、又は有害事象の監視若しくは調査の改善をもたらし得る安全性バイオマーカーの同定を含み得る。有害事象報告は、主催者による安全性バイオマーカーデータから導出されず、安全性バイオマーカーデータは、この試験の正式な安全性分析に含まれない。更に、安全性バイオマーカーデータは、患者管理に関する決定を知らせない。
【0322】
患者
COPD及び頻繁な増悪の病歴を有する約930人の患者をこの試験に登録する。
【0323】
試験対象患者基準
患者は次の研究登録基準を満たさなければならない:
・署名済みインフォームドコンセントフォーム
・インフォームドコンセント書類の署名時の年齢40~90歳
・治験プロトコールを遵守する能力
・スクリーニングの少なくとも12ヶ月前に行われたCOPDの文書化された医師診断
・スクリーニング前24ヶ月の12ヶ月の期間内に発生した2つ以上の中等度又は重度の増悪を有したと定義される、頻繁な増悪の病歴
増悪は、全身性コルチコステロイド及び/又は抗生物質で治療されるべきであった。
中等度のCOPD増悪は、>10mg/日のプレドニゾロン当量及び/又は抗生物質の用量での全身性コルチコステロイド(経口、IV、又はIM)による治療(≧3日間)をもたらす新たな又は増加したCOPD症状(例えば、呼吸困難、痰の量、及び痰の膿)として定義される。抗生物質単独の以前の使用は、その使用がCOPDの悪化する症状の治療のためのものでない限り、中等度の増悪として認められない。
重度のCOPD増悪は、入院(24時間を超える期間)をもたらすか又は死をもたらす新たな又は増加したCOPD症状として定義される。
・オーバーリーダーによって確認された、≧20且つスクリーニング時の予測正常値<80%の、気管支拡張剤後FEV1
・オーバーリーダーによって確認された、スクリーニング時の気管支拡張剤後FEV1/FVC<0.70
・スクリーニング時のmMRCスコア≧2
・スクリーニング時に60秒以内に5STSを実施する能力
・最低10パック年の履歴を有する現役喫煙者又は元喫煙者(例えば、10年間20本/日)
元喫煙者は、上記の基準を満たすと定義されるが、スクリーニング前の6ヶ月以内に、紙巻タバコ、葉巻、電子タバコ、気化装置、又はパイプの使用によって、吸入タバコ製品又は吸入マリファナを使用したことがない。
スクリーニング時に、現役喫煙者のプロトコール定義を満たす患者は、禁煙カウンセリングを受けることに留意されたい。
・スクリーニング前の少なくとも4週間にわたる最適化された安定した標準治療のCOPD維持療法の以下の組み合わせのうちの1つの病歴であって、試験薬の開始前及び試験全体を通して治療に予想される変化がない:
-吸入コルチコステロイド(ICS)≧500mcg/日のプロピオン酸フルチカゾン用量当量+長時間作用型βアゴニスト(LABA)
-長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)+LABA
-ICS≧500mcg/日プロピオン酸フルチカゾン用量当量+LAMA+LABA
・電子日記(eDiary)要件を使用及び遵守する能力の実証、これはスクリーニング来院後14日間以内の連続した7日間のうちの少なくとも5日間での全ての質問の完了として定義される。
スクリーニングの最初の2週間以内にeDiaryの遵守を実証することができない患者は、スクリーニングに失敗する。患者は、再スクリーニングされた場合、eDiaryコンプライアンスを実証する機会を得る。
・妊娠可能な女性の場合:以下に定義されるように、禁欲したままである(異性間の性交を控える)か、又は避妊を使用することの同意:
女性は、治療期間中及びアステゴリマブの最終投与後12週間、禁欲したままであるか、又は失敗率が年間1%未満の避妊方法を使用しなければならない。
女性は、月経後であり、閉経後の状態(連続12ヶ月以上の閉経以外の特定された原因のない無月経)に達しておらず、手術(すなわち、卵巣、ファローピウス管、及び/又は子宮の除去)又は治験責任医師によって決定される別の原因(例えば、ミュラー管無発生)のために永久に不妊ではない場合、妊娠可能性があるとみなされる。出産可能性の定義は、現地のガイドライン又は規制との整合に適合させることができる。
年間失敗率<1%の避妊方法の例としては、両側卵管結紮術、男性の不妊手術、排卵を阻害するホルモン避妊具、ホルモン放出子宮内避妊具、及び銅付加子宮内避妊具が挙げられる。
性的禁欲の信頼性は、臨床治験の期間、並びに、患者の好ましい、及び通常のライフスタイルに関連して評価されるべきである。周期性禁欲(例えば暦、排卵、症候体温法、又は排卵後法)及び禁断は、適切な避妊方法ではない。現地のガイドライン又は規制に従って要求される場合、現地で認められている適切な避妊方法及び禁欲の信頼性に関する情報は、現地のインフォームドコンセント用紙に記載される。
・男性の場合:以下に定義されるように、禁欲(異性との性交を控える)又はコンドームの使用の同意、及び精子の提供を控える旨の同意
妊娠可能な女性パートナー又は妊娠中の女性パートナーの場合、男性は、治療期間中、及び胚を露出させないようにするためのアステゴリマブの最終投与後12週間、禁欲したままであるか、又はコンドームを使用しなければならない。男性は、同期間中は精子提供をやめなければならない。
性的禁欲の信頼性は、臨床治験の期間、並びに、患者の好ましい、及び通常のライフスタイルに関連して評価されるべきである。周期的な禁欲(例えば、カレンダー法、排卵法、症候体温法、又は排卵後法)及び中絶性交は、薬物曝露を防止する適切な方法ではない。現地のガイドライン又は規制に従って要求される場合、禁欲の信頼性に関する情報は、現地のインフォームドコンセント用紙に記載される。
・気道バイオマーカーサブ研究に参加している患者:スクリーニング時に少なくとも1mLの誘導痰を提供する能力
【0324】
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、試験登録から除外される、
・妊娠若しくは授乳中、又は試験中若しくは試験薬の最終投与後12週間以内に妊娠することを意図している。
妊娠可能な女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査結果が陰性であり、試験薬の開始前1日目に尿妊娠検査が陰性でなければならない。
・Global Initiative for Asthmaガイドライン又はスクリーニング前5年以内に承認された他のガイドラインによる喘息の現在記録されている診断
・COPD以外の臨床的に有意な肺疾患の既往歴(例えば、肺線維症、サルコイドーシス、慢性肺塞栓症又は原発性肺高血圧症、アルファ-1-アンチトリプシン欠乏症)
・スクリーニング前6ヶ月以内に行われた胸部X線又は胸部CTスキャンによって示される臨床的フォローアップを必要とする臨床的に有意な異常
スクリーニング前6ヶ月以内に行われた胸部X線又は胸部CTスキャンの結果が利用できない場合、スクリーニング時に胸部X線を行わなければならない。
・治験責任医師の見解における誤嚥性肺炎の危険因子の存在(例えば、制御不能てんかん等の神経疾患)
・>4.0リットル/分の酸素による長期治療歴
補充酸素を呼吸している間、患者は89%以上の酸素化ヘモグロビン飽和度を示すべきである。
・生物学的薬剤に対する重度のアレルギー反応若しくはアナフィラキシー反応の病歴、又は試験薬物の任意の成分に対する既知の過敏症
・スクリーニング前12ヶ月以内の肺体積低下手術又は手順
・スクリーニング前4週間以内及び試験治療期間中の新しい肺リハビリテーションプログラムへの参加又は計画された参加
リハビリテーションプログラムの維持段階にある患者が適格である。
・肺移植の病歴
・中等度から重度のCOPD増悪の発生、COVID-19、上気道若しくは下気道感染、肺炎、又は試験薬の開始前4週間以内の≧24時間の入院
・任意の事前のアステゴリマブによる治療
・試験薬物の開始前4週間以内の経口、IV又はIMコルチコステロイド(>10mg/日プレドニゾロン当量)による治療
・スクリーニング前の3ヶ月以内又は5つの薬物除去半減期(どちらか長い方)の治験療法による治療
・スクリーニング前の3ヶ月以内又は5つの薬物除去半減期(いずれか長い方)の認可された生物学的薬剤(例えば、オマリズマブ、デュピルマブ及び/又は抗IL-5療法)による治療
・スクリーニング前4週間以内のメチルキサンチン製剤、維持マクロライド療法及び/又はPDE4阻害剤の開始
・スクリーニング前3ヶ月以内の非生物学的免疫調節療法又は免疫抑制療法の開始又は変更
・緩和的であると考えられる治療(例えば、平均余命12ヶ月未満の場合)
・スクリーニング前4週間以内の以下の治療のいずれかの使用、又は治験責任医師の意見では、治験の経過中にそのような治療を必要とする可能性が高いと考えられる任意の状態。ただし、メディカルモニターと相談して許容できるとみなされる場合はこの限りではない:
-免疫グロブリン又は血液製剤による治療。
-ワクチンが医学的に必要であると考えられ、不活化ワクチン代替物が利用できない場合を除いて、スクリーニング前4週間以内又はスクリーニング期間中の任意の生ワクチン又は弱毒化ワクチン(任意の承認された生SARS-CoV-2ワクチンを含む)による治療、又は試験の経過中の生弱毒化ワクチンの予想される必要性。
・スクリーニング前7日以内の、非複製ウイルスベクターによって送達されるものを含む非生SARS-CoV-2ワクチン(完全な市販認可又は一時的)の投与
・研究中の計画された外科的処置
・スクリーニング時にHCV RNA検査陽性を伴うC型肝炎ウイルス(HCV)抗体検査陽性結果
・スクリーニング時のB型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎表面抗体(HBsAb)、及びB型肝炎コア抗体(HBcAb)の検査結果が許容できず、以下のいずれかの基準を満たすと定義される。
-スクリーニング時のHBsAg陽性試験。
-スクリーニング時のHBsAg試験が陰性、HBsAb試験が陰性であり、これに陽性の総HBcAb試験が伴い、引き続いて定量的B型肝炎ウイルス(HBV)DNA≧20IU/mLが続く。HBV DNA検査を行うことができないことは排他的である。
HBsAg試験陰性及びHBsAb試験陽性の患者が適格である。
・限定されないが、HIV感染症を含む公知の免疫不全
・活動性又は未治療の潜在性結核の既知の証拠
・調査者によって決定された、スクリーニング前12ヶ月以内の物質乱用
・子宮頸部の上皮内癌、非黒色腫皮膚癌、限局性前立腺癌、又は上皮内乳管癌等の適切に治療された癌など、転移又は死亡のリスクが無視できる程度(例えば、5年全生存率>90%)の悪性腫瘍を除いて、スクリーニング前5年以内の悪性腫瘍の病歴
・研究者の判断で、研究への患者の安全な参加及び研究の完了を不可能にする、臨床検査における他の重篤な病状又は異常
・スクリーニング前12ヶ月以内の不安定心疾患、心筋梗塞、又はニューヨーク心臓病学会クラスIII若しくはIV心不全
・研究者によって臨床的に有意であると考えられる異常なECGの病歴又は存在(オーバーリーダーによって確認される)、例えば、完全な左束枝ブロック又は第2度若しくは第3度房室心ブロック
・フリデリシアの式(QTcF)を使用して補正したQT間隔(オーバーリーダーで確認):患者が男性の場合は>450ms、又は患者が女性の場合は>470ms
QRS>120の男性又は女性患者の場合:QTcF>480ms。
・心室性不整脈の既往歴若しくは構造的心疾患(例えば、重度の左室収縮機能不全、ストレインを伴う有意な左室肥大)等の心室性不整脈の危険因子、又は原因不明の突然死若しくはQT延長症候群の家族歴
【0325】
ケアCOPD維持療法の基準
全ての患者は、スクリーニング前の少なくとも4週間、試験薬の開始前及び試験全体を通して治療の予想される変化なしに、最適化された安定した標準治療のCOPD維持療法の以下の組み合わせの1つを受けなければならない:
・ICS≧500mcg/日プロピオン酸フルチカゾン用量当量+長時間作用型βアゴニスト(LABA)
・長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)+LABA
・ICS≧500mcg/日プロピオン酸フルチカゾン用量当量+LAMA+LABA
【0326】
スクリーニング時に、患者は、ICSの投与及び吸入気管支拡張剤療法に推奨される適切な技術について指導される。スクリーニングの4週間前から研究の完了まで、バックグラウンドCOPD薬物の用量は安定したままであるべきである。バックグラウンドCOPD薬物療法への変更が避けられない場合、患者は、患者が研究登録時に受けていた薬物療法と同等の別のブランド又は製剤に切り替えることができる。提案される変更は、メディカルモニターと議論されるべきである。患者のバックグラウンド医薬品に対する全ての変更は、併用薬eCRFに記録されるべきである。
【0327】
COPD増悪評価
各研究来院時に、患者が以前の研究来院から何らかのプロトコール定義の急性COPD増悪を経験したかどうかを決定するための評価を行うであろう。
【0328】
急性COPD増悪は、以下のように中等度又は重度の増悪の基準を満たす増悪として定義される。
・中等度のCOPD増悪は、>10mg/日のプレドニゾロン当量及び/又は抗生物質の用量での全身性コルチコステロイド(経口、IV、又はIM)による治療(≧3日間)をもたらす新たな又は増加したCOPD症状(例えば、呼吸困難、痰の量、及び痰の膿)として定義される。
・重度のCOPD増悪は、入院(24時間を超える期間)をもたらすか又は死をもたらす新たな又は増加したCOPD症状として定義される。
【0329】
全身性コルチコステロイド(経口、IM、又はIV)及び/又は以前の増悪に対して示された抗生物質療法の最終投与後7日以内に発生する急性COPD増悪は、単一の増悪事象として捕捉される。
【0330】
COPD増悪の年間発生率がこの研究における主要評価項目であることを考えると、専用のeCRFを使用して、プロトコール定義の急性増悪事象に関する情報を記録することになる。急性COPD増悪はまた、有害事象(又は該当する場合は重篤な有害事象)として報告されなければならない。施設は、適切なeCRFにおいて、COPD増悪の治療に使用された全ての薬剤を記録すべきである。
結果及び結論
【0331】
Ab2による本明細書の治療は、本明細書で指定される安全性評価項目に従って許容される毒性を有しながら、主要評価項目、副次評価項目、又は追加の評価項目のいずれか1つ又は複数を達成することが予想される。
【0332】
実施例3:COPD増悪及び治療応答のための予測的及び予測的バイオマーカー
ST2OP研究(実施例1)の事後分析を行って、COPDに対する特定のバイオマーカーの予後及び予測性能を評価した。
【0333】
ジェノタイピング及び試料レベルの遺伝的推定
IL33/ST2軸に関連する対立遺伝子についてSNPによって決定されたサブグループにおける応答分析を行った。機能に影響を及ぼす既知のアミノ酸変化SNP(Ramirez-Carrozzi V JACI 2014)をaST2に対する患者応答との関連について検討した。患者の遺伝子型の決定は、分子遺伝学の分野で周知の手順を含む。ここで、ST2アンタゴニストの投与前に収集した患者試料を、Global Screening Array(GSA)で遺伝子型を同定し、1000種のゲノム参照ハプロタイプ(The 1000 Genomes Project Consortium Nature,2015)を有するBEAGLEv5.0(Browning et al.,Am J Hum Genet,2018)を使用して追加のバリアントを帰属した。
試料の関連性を、PLINKv1.90b3.42を使用して推定した(Chang et al GigaScience,2015)。
【0334】
plink関数の「--genome」引数を有する。個体当たりの遺伝的祖先推定値は、ADMIXTUREv1.3.0を用いて導出した(Alexander et al BMC Bioinformatics,2011)。ヨーロッパ祖先の画分が0.7超の試料の主成分(PC)を、EIGENSOFTv6.1.4を用いて推定した(Price et al Nature Genetics,2006)。PCは無関係な個体のサブセットで推定され、残りの関連する個体のPCは、推定されたPCに遺伝データを投影することによって推定された。
【0335】
機能的IL1RL1TIRドメインタグ付けSNP(Ramirez-Carrozzi V.JACI2014)のST2OP薬理遺伝学的分析を、遺伝子型、研究層別化用語(治療群及び増悪の病歴)、PC1、PC2、及びランダム効果としての第1度家族構成を含む、増悪数の混合効果陰性二項回帰によって行った。リスクのある時間は、試験参加者のプラセボ対照期間の変動性を説明するためのオフセット項として含めた。治療企図(ITT)集団に含まれ、ヨーロッパ系が大多数(ADMIXTURE>0.7により推定されるヨーロッパ祖先の画分)である対象のみをこの分析に含めた。プラセボ補正治療効果は、回帰モデルから抽出した線形コントラストによって推定した。
【0336】
血清可溶型ST2(sST2)
可溶型ST2(sST2)を、R&D Systems(カタログ番号DST200、Quantikine)製のELISAを使用して血清中で測定した。
【0337】
可溶型ST2(sST2)の予測バイオマーカー効果は、スクリーニング訪問sST2状態(<又は>スクリーニング訪問sST2中央値)、試験層別化用語(治療群及び増悪の履歴)及び性別を含む増悪数の負の二項回帰によって行った。リスクのある時間は、試験参加者のプラセボ対照期間の変動性を説明するためのオフセット項として含めた。治療企図(ITT)集団に属する対象のみをこの分析に含めた。プラセボ補正治療効果は、回帰モデルから抽出した線形コントラストによって推定した。
【0338】
ZENYATTA可溶型ST2予測バイオマーカー分析可溶型ST2(sST2)の予測バイオマーカー効果は、スクリーニング訪問sST2状態(<又は>スクリーニング訪問sST2中央値)、試験層別化用語(治療群、増悪の病歴、ICS用量及び領域)及び性別を含む増悪数の負の二項回帰によって行った。リスクのある時間は、試験参加者のプラセボ対照期間の変動性を説明するためのオフセット項として含めた。治療企図(ITT)集団に属する対象のみをこの分析に含めた。プラセボ補正治療効果は、回帰モデルから抽出した線形コントラストによって推定した。
【0339】
アルファ多様性微生物叢
α多様性又はα多様性は、生態学的多様性の尺度であり、高次元マイクロバイオームアッセイ、例えば配列決定を使用して特定の試料のマイクロバイオーム多様性を推定するために使用することができる。痰16srRNAv4アンプリコンシーケンシングを、治療効果及び年間増悪率を推定するためのモデル項として、研究層別化因子及び観察された中央値で二分されたベースラインα多様性を含む微生物叢解析及び負の二項回帰に使用した。モデル推定値はlsmeans[5%信頼区間]として表される。α多様性指数の算出にはShannon-Weaver法を用いた(Hurlbert,S.H.Ecology 1971)。
【0340】
統計
統計的プログラミング環境R(r-project.orgで入手可能)を使用して統計分析を行った。95%信頼区間を全ての分析について示す。
【0341】
結果及び考察
IL1RL1TIRドメインの機能的バリアントをタグ付けする一塩基多型(SNP)は、IL-33媒介障害に対する標的療法に対する応答を予測する。
Toll/IL-1R(TIR)ドメイン機能的バリアントは、IL-33シグナル伝達強度に影響を及ぼすものとして以前に記載され、喘息リスク遺伝子座と連鎖不平衡(LD)にある(Ramirez-Carrozzi,2014)。LDにおけるこれらの機能的バリアントは、IL-33媒介性疾患が増強された患者を特定することができ、したがって、IL-33/ST2経路阻害から利益を得ることができる。IL1RL1TIRドメインの機能的バリアントの薬理遺伝学的効果を、抗ST2(astegolimab)(ST2OP、実施例1)で治療したCOPD患者のプラセボ対照介入試験において試験の主要アウトカムについて評価した。多型rs10206753(配列番号41)は、一般的な機能的IL1RL1TIRドメインバリアント(Ramirez-Carrozzi,2014)と連鎖不平衡にあり、このハプロタイプのタグSNPとして利用された。本発明者らの仮説と一致して、IL-33シグナル伝達の減少に関連する代替対立遺伝子(CC)のホモ接合性キャリアは、最も低い有効性を誘導し(-12.2[-8.0,29.8]%)、対照的に、IL-33シグナル伝達の増強に関連する共通の対立遺伝子(TT)のホモ接合性担体は、遺伝子型間で最大の臨床的利益を誘導した(図11)(41.1[6.4,62.9]%)。ヘテロ接合性担体(CT)由来及び中程度の有効性(26.6[-19.1,54.8]%)。まとめると、これらのデータは、これが薬理遺伝学的効果の相加モデルであることを示唆している。
【0342】
末梢血可溶型ST2レベルは、IL-33媒介障害に対する標的化治療に対する応答を予測する。
IL-33、ST2-L及びデコイ可溶型ST2(sST2)の受容体はIL1RL1によって発現され、それらの発現は選択的プロモーター使用及びスプライシングによって決定される。sST2発現は、IL-33シグナル伝達、並びにNFκB及びMAPKKシグナル伝達経路を活性化する他のメディエータによって誘導することができ、したがって、sST2レベルは、その経路の活性化のバイオマーカーであり得る(Ho JE J CI 2013)。本発明者らは、sST2の血清レベルがIL-33媒介疾患の程度を反映し得、したがってIL-33/ST2経路阻害剤に対する応答を予測し得ると仮定した。これを試験するために、それぞれの試験の主要アウトカムについて抗ST2(アステゴリマブ)で治療された喘息(他に記載のZENYATTA)及びCOPD(ST2OP、実施例1)患者のプラセボ対照介入試験における治療前血清sST2レベルの予測効果を評価した。患者集団を、低レベル又は高レベルのsST2(<又は>中央値)を有することに基づいて分類した。ベースラインでのsST2レベルの中央値は19.1ng/mLであった。
【0343】
この仮説と一致して、ZENYATTA(図12)では、高レベルの血清sST2(>中央値)を有する対象は、低レベル(<中央値)の対象と比較して、抗ST2による治療利益の増強(70mg51%、210mg19%、490mg43%)を誘導した(70mg10%、210mg9%、490mg36%)。
【0344】
ZENYATTAでの観察を確認すると、高レベルの血清sST2(>中央値)を有するST2OP参加者は、低レベル(<中央値)の対象と比較して、抗ST2による治療利益の向上を誘導した(31.1[-12.3,57.7]%)(図13)(8.6[-67.5,50.1]%)。
【0345】
血清sST2は、確立された参照範囲のないカテゴリカルバイオマーカーとは対照的に連続的であるので、STEPP分析(Lazar AA,J.Clin。Oncol.2010 Oct 10;28(29):4539-44)を実施して、治療前sST2レベルと治療効果との間の関係をよりよく理解した(図14)。STEPP分析は、sST2レベルの範囲の増加がプラセボ治療対象のより大きな治療効果及び増悪の予後と関連することを支持する。
【0346】
気道微生物叢の多様性は、COPDの増悪及び抗ST2療法に対する治療応答の予後予測である。
COPDの増悪は、気道宿主炎症性表現型及び関連する微生物プロファイルに対して不均一である。気道先天性サイトカインレベルの上昇、すなわちIL-1β及びTNFαによって特徴付けられる増悪は、細菌感染、好中球性炎症及び肺微生物ディスバイオシスに関連する(Ghebre MA JACI 2018)。この増悪サブタイプには、安定疾患中に肺微生物ディスバイオシスが先行するので(Chakrabarti A ERJ OR 2021)、本発明者らは、抗ST2で治療したCOPD患者の無作為化プラセボ対照研究において、肺微生物叢α多様性がアウトカムを予測するであろうと仮定した。
【0347】
ベースラインの痰の16srRNAシーケンシングデータを、ST2OP研究の81名の参加者のうち65名について得た。ベースラインα多様性が中央値を下回るプラセボ治療対象の年間増悪率は、ベースラインα多様性が中央値以上であるプラセボ対象よりも高かった(年間3.9[2.4,5.4]対2.3[1.3,3.4]の増悪)(図15)。更に、ベースラインα多様性が中央値未満である対象は、より大きなプラセボに由来する治療利益を調整した(37.1[-12.1,64.7]対2.5[-93.7,50.9]の相対低下率)(図15)。この研究におけるベースラインα多様性指数の中央値は3.42であった。
【0348】
ベースラインα多様性は、確立された基準範囲のないカテゴリカルバイオマーカーとは対照的に連続的であるので、STEPP分析(Lazar AA,J.Clin.Oncol.2010 Oct 10;28(29):4539-44)を実施して、治療前α多様性レベルと治療効果との間の関係をよりよく理解した(図16)。STEPP分析は、α多様性レベルの範囲の増加がプラセボ治療対象のより大きな治療効果及び増悪の予後と関連することを支持する。
【0349】
したがって、前治療肺微生物α多様性は、COPD増悪の増加の予後予測であり、抗ST2療法からの治療利益である。これらのデータは、COPD増悪の根底にある分子経路及び因子が不均一であり、IL-33生物学のみを標的とする治療戦略が、肺ディスバイオシスを有する最大有効性対象を有し得ることを強調している。
特定の配列の表
【0350】
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図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A-5B】
図6
図7A-7B】
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【配列表】
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【国際調査報告】