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▶ ウルティモバックス アクチボラグの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/705 20060101AFI20240604BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240604BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20240604BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 39/08 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240604BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240604BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240604BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
C07K14/705
C12N15/12
C12N15/63 Z
A61K38/02
A61K31/7088
A61K48/00
A61K35/12
A61K47/60
A61P35/00
A61K39/08
A61P43/00 121
A61K47/68
G01N33/53 Y
G01N33/53 N
C07K16/28
C12N9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023575731
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2022065777
(87)【国際公開番号】W WO2022258794
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】21178648.8
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522222065
【氏名又は名称】ウルティモバックス アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル,ダナ
(72)【発明者】
【氏名】グラナス,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】テデバーク,ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】ガウダーナック,グスタフ
(72)【発明者】
【氏名】スクルトベイト,ロアルド
(72)【発明者】
【氏名】マングスボ,サラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076CC42
4C076EE23
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF32
4C076FF34
4C084AA01
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA41
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084NA15
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA03
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA07
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087BB65
4C087CA12
4C087CA20
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087NA15
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA51
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA89
4H045EA20
(57)【要約】
B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを含むコンジュゲートが提供される。CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域又はその領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、及びCD4+T細胞エピトープは、集団の少なくとも50%において免疫原性である。CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さである。B細胞エピトープの配列は、CD4+T細胞エピトープの配列と異なり、及びB細胞エピトープに特異的な抗体は、コンジュゲートに結合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンジュゲートであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;及び
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドであって、前記CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域又は前記領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、前記CD4+T細胞エピトープは、集団の少なくとも50%において免疫原性であり、前記CD4+T細胞エピトープの前記配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さである、少なくとも1つのポリペプチド
を含み、
前記B細胞エピトープの前記配列は、前記CD4+T細胞エピトープの前記配列と異なり、
前記B細胞エピトープに特異的な抗体は、前記コンジュゲートに結合する、コンジュゲート。
【請求項2】
B細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドは、コアを介して連結され、
前記コアは、連結前に、
本体部分;
前記本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
前記本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
前記第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
前記第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成し、及び前記第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成し;好ましくは、
(i)前記第1の連結基及び前記第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択され;並びに/又は
(ii)前記第1の接続要素及び前記第2の接続要素は、1,2,3-トリアゾール結合、ジヒドロピリダジン結合、ピリダジン結合及びスルフィド結合から独立して選択される、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを含むコンジュゲートが投与された対象において、前記CD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在を決定する方法であって、
(a)前記コンジュゲートの投与前に、前記対象に由来するサンプル中における前記コンジュゲートに特異的な抗体の量又は不存在を検出するステップであって、前記抗体の前記量又は前記不存在は、第1のレベルで検出される、ステップ;及び
(b)前記コンジュゲートの1回以上の投与後、前記対象に由来するサンプル中における前記コンジュゲートに特異的な抗体の量又は不存在を検出するステップであって、前記抗体の前記量又は前記不存在は、第2のレベルで検出される、ステップ
を含み、前記第1のレベルでの前記抗体の前記量又は前記不存在と比較した前記第2のレベルでの前記抗体の前記量の増加は、前記対象における前記CD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在を示す、方法。
【請求項4】
ステップ(b)は、前記コンジュゲートの2回以上の投与、好ましくは前記コンジュゲートの3回以上の投与、より好ましくは前記コンジュゲートの4回の投与後、対象に由来するサンプル中における前記コンジュゲートに特異的な抗体の量又は不存在を検出することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コンジュゲートに特異的な前記抗体は、前記B細胞エピトープに特異的な抗体である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
B細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドは、B細胞エピトープの配列を含む第1及び第2のポリペプチド、好ましくはB細胞エピトープの配列を含む第1、第2及び第3のポリペプチドである、請求項1若しくは2に記載のコンジュゲート又は請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記B細胞エピトープは、
(i)配列番号3において連続する少なくとも10個のアミノ酸を含む配列、好ましくは配列番号5において連続する少なくとも10個のアミノ酸を含む配列;又は
(ii)(i)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含む、請求項1、2若しくは6に記載のコンジュゲート又は請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記B細胞エピトープは、
(i)配列番号5において連続しており、及び配列表の配列番号6によって表されるアミノ酸配列GITELKKLを含む少なくとも10個のアミノ酸を含む配列;又は
(i)(i)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含む、請求項7に記載のコンジュゲート又は方法。
【請求項9】
前記B細胞エピトープは、
(i)配列番号7;又は
(ii)(i)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含む、請求項8に記載のコンジュゲート又は方法。
【請求項10】
前記CD4+T細胞エピトープは、自己抗原若しくは腫瘍関連抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域又は前記領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、前記CD4+T細胞エピトープの前記配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さであり、好ましくは、前記自己抗原又は前記腫瘍関連抗原は、ユニバーサル腫瘍抗原である、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ユニバーサル腫瘍抗原は、テロメラーゼ逆転写酵素、サバイビン、DNAトポイソメラーゼ2-アルファ、シトクロムP450 1B1及びE3ユビキチン-タンパク質リガーゼMdm2からなる群から選択される、請求項1、2若しくは6~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ユニバーサル腫瘍抗原は、テロメラーゼ逆転写酵素であり、前記CD4+T細胞エピトープは、
(i)配列番号1;
(ii)配列番号116;
(iii)配列番号117;
(iv)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(i)、(ii)若しくは(iii)の免疫原性断片の配列;及び/又は
(v)(i)、(ii)、(iii)若しくは(iv)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される1つ以上の配列を含む、請求項11に記載のコンジュゲート又は方法。
【請求項13】
前記CD4+T細胞エピトープの前記配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドは、さらなるT細胞エピトープの配列を含み、前記さらなるT細胞エピトープは、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープである、請求項1、2、6~9、11若しくは12のいずれか一項に記載のコンジュゲート又は請求項3~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コンジュゲートは、さらなる物質を含み、好ましくは、前記さらなる物質は、エピトープの配列を含むさらなるポリペプチドであり、より好ましくは、前記エピトープは、さらなるT細胞エピトープであり、より好ましくは、前記さらなるT細胞エピトープは、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープである、請求項1、2、6~9若しくは11~13のいずれか一項に記載のコンジュゲート又は請求項3~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記CD4+T細胞エピトープは、
(i)配列番号1;
(ii)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片の配列;又は
(iii)(i)若しくは(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含み、
前記さらなるCD4+T細胞エピトープは、
(iv)配列番号116;
(v)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(iv)の免疫原性断片の配列;又は
(vi)(iv)若しくは(v)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含む、請求項13又は14に記載のコンジュゲート又は方法。
【請求項16】
第1及び第2の異なるコンジュゲートを含むコンジュゲートのカクテルであって、前記第1のコンジュゲート及び/又は前記第2のコンジュゲートは、請求項1、2、6~9又は11~15のいずれか一項に記載のコンジュゲートである、カクテル。
【請求項17】
前記第1のコンジュゲートは、
(i)配列番号1;
(ii)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片の配列;又は
(iii)(i)若しくは(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含むCD4+T細胞エピトープを含み、
前記第2のコンジュゲートは、
(iv)配列番号116;
(v)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(iv)の免疫原性断片の配列;又は
(vi)(iv)若しくは(v)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含むCD4+T細胞エピトープを含む、請求項16に記載のコンジュゲートのカクテル。
【請求項18】
請求項1の(a)に定義されたポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列、及び請求項1の(b)に定義されたポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【請求項19】
ポリペプチドであって、
(i)配列番号116;
(ii)(i)に対して少なくとも91%の配列同一性を有する配列;
(iii)配列番号117;又は
(iv)(iii)に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含み、(i)又は(ii)から選択される前記配列を含む前記ポリペプチドは、100アミノ酸以下の長さであり、(iii)又は(iv)から選択される前記配列を含む前記ポリペプチドは、40アミノ酸以下の長さである、ポリペプチド。
【請求項20】
(i)又は(ii)から選択される前記配列を含む前記ポリペプチドは、75又は50アミノ酸以下の長さである、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
(iii)又は(iv)から選択される前記配列を含む前記ポリペプチドは、35、34、33、32又は31アミノ酸以下の長さである、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項22】
請求項19~21のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子。
【請求項23】
請求項18又は22に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項24】
第1の産物及び第2の産物を含む組み合わせであって、前記第1の産物は、以下の(i)~(v):
(i)配列番号1の配列を含むポリペプチド;
(ii)少なくとも8個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(iii)(i)又は(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(iv)(i)~(iii)のいずれか1つに定義される前記ポリペプチドを含むコンジュゲート;
(v)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
前記第2の産物は、以下の(vi)~(x):
(vi)配列番号116の配列を含むポリペプチド;
(vii)少なくとも17個のアミノ酸を含む、(vi)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(viii)(vi)又は(vii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(ix)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義される前記ポリペプチドを含むコンジュゲート;
(x)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
前記第1の産物及び前記第2の産物は、任意選択により、以下の条件:
(a)前記第1の産物及び前記第2の産物は、単一のポリペプチドであり、前記第1の産物は、(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるとおりであり、並びに前記第2の産物は、(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるとおりである場合、前記単一のポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さであること;
(b)前記第1の産物及び前記第2の産物は、単一の産物であり、前記第1の産物は、(v)に定義されるとおりであり、及び前記第2の産物は、(x)に定義されるとおりである場合、前記単一の核酸分子は、1500ヌクレオチド未満の長さであること
に従う単一の産物である、組み合わせ。
【請求項25】
ポリペプチドのカクテルを含み、前記第1の産物は、請求項24の(i)、(ii)又は(iii)に定義されるポリペプチドであり、前記第2の産物は、請求項24の(vi)、(vii)又は(viii)に定義されるポリペプチドである、請求項24に記載の組み合わせ。
【請求項26】
核酸分子のカクテルを含み、前記第1の産物は、請求項24の(v)に定義される核酸分子であり、及び前記第2の産物は、請求項24の(x)に定義される核酸分子である、請求項24に記載の組み合わせ。
【請求項27】
前記若しくは各ポリペプチド又は前記若しくは各核酸分子は、さらなる物質に連結される、請求項19若しくは20に記載のポリペプチド、請求項21に記載の核酸分子又は請求項24~26のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項28】
第2の産物と同時に、別個に又は連続的に投与することによる医薬における使用のための第1の産物であって、以下の(i)~(v):
(i)配列番号1の配列を含むポリペプチド;
(ii)少なくとも8個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(iii)(i)又は(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(iv)(i)~(iii)のいずれか1つに定義される前記ポリペプチドを含むコンジュゲート;
(v)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
前記第2の産物は、以下の(vi)~(x):
(vi)配列番号116の配列を含むポリペプチド;
(vii)少なくとも17個のアミノ酸を含む、(vi)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(viii)(vi)又は(vii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(ix)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義される前記ポリペプチドを含むコンジュゲート;
(x)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
前記第1の産物及び前記第2の産物は、任意選択により、以下の条件:
(a)前記第1の産物及び前記第2の産物は、単一のポリペプチドであり、前記第1の産物は、(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるとおりであり、並びに前記第2の産物は、(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるとおりである場合、前記単一のポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さであること;
(b)前記第1の産物及び前記第2の産物は、単一の産物であり、前記第1の産物は、(v)に定義されるとおりであり、及び前記第2の産物は、(x)に定義されるとおりである場合、前記単一の核酸分子は、1500ヌクレオチド以下の長さであること
に従う単一の産物である、第1の産物。
【請求項29】
第1の産物と同時に、別個に又は連続的に投与することによる医薬における使用のための第2の産物であって、以下の(i)~(v):
(i)配列番号116の配列を含むポリペプチド;
(ii)少なくとも17個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(iii)(i)又は(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(iv)(i)~(iii)のいずれか1つに定義される前記ポリペプチドを含むコンジュゲート;
(v)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
前記第1の産物は、以下の(vi)~(x):
(vi)配列番号1の配列を含むポリペプチド;
(vii)少なくとも8個のアミノ酸を含む、(vi)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(viii)(vi)又は(vii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(ix)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義される前記ポリペプチドを含むコンジュゲート;
(x)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
前記第2の産物及び前記第1の産物は、任意選択により、以下の条件:
(a)前記第2の産物及び前記第1の産物は、単一のポリペプチドであり、前記第2の産物は、(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるとおりであり、並びに前記第1の産物は、(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるとおりである場合、前記単一のポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さであること;
(b)前記第2の産物及び前記第1の産物は、単一の産物であり、前記第2の産物は、(v)に定義されるとおりであり、及び前記第1の産物は、(x)に定義されるとおりである場合、前記単一の核酸分子は、1500ヌクレオチド以下の長さであること
に従う単一の産物である、第2の産物。
【請求項30】
医薬における使用のための、請求項1、2、6~9若しくは11~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項16若しくは17に記載のコンジュゲートのカクテル、請求項18、21若しくは27に記載の核酸分子、請求項19、20若しくは27に記載のポリペプチド又は請求項24~27のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項31】
癌の治療又は予防における使用のための、請求項28に記載の第1の産物、請求項29に記載の第2の産物又は請求項30に記載のコンジュゲート、コンジュゲートのカクテル、核酸分子、ポリペプチド若しくは組み合わせ。
【請求項32】
請求項1、2、6~9若しくは11~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項16若しくは17に記載のコンジュゲートのカクテル、請求項18、21若しくは27に記載の核酸分子、請求項19、20若しくは27に記載のポリペプチド又は請求項24~27のいずれか一項に記載の組み合わせ、並びに薬学的に許容される希釈剤、賦形剤又はアジュバント及び任意選択により別の治療成分を含む医薬組成物。
【請求項33】
コアであって、
本体部分;
前記本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
前記本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
前記第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
前記第1の連結基及び前記第2の連結基の少なくとも1つは、2つ以上の第1の連結基又は第2の連結基を含み、並びに
前記第1の連結基及び前記第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択され;好ましくは、前記第1の連結基及び前記第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン、マレイミド及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;より好ましくは、前記第1の連結基及び前記第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;
前記コアは、
【化1】
【化2】
ではない、コア。
【請求項34】
前記本体部分は、式1及び2:
【化3】
【化4】
の1つによって表され、
式1において、
11及びL12は、リンカーであり;
13は、水素、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ、ハロゲン、任意選択により置換されたアルキル、-S-(任意選択により置換されたアルキル)、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアルコキシ、任意選択により置換されたアルカノイル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから選択され;
a11は、前記炭素原子に結合された[(L11)-]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a12は、前記炭素原子に結合された[(L12)-**]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a13は、前記炭素原子に結合されたR13基の数を表し、及び0又は1から選択され;
a11+a12+a13は、4であり;
は、前記第1の連結基への接続点を表し;
**は、前記第2の連結基への接続点を表し;
式2において、
AAは、アミノ酸を表し;
nは、独立して選択されるAA基の数を表し、及び1~12から選択され;
21及びL22は、リンカーであり;
23は、水素、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ、任意選択により置換されたアルキル、-S-(任意選択により置換されたアルキル)、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアルコキシ、任意選択により置換されたアルカノイル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから選択され;
a21は、[(AA)]に結合された[(L21)-]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a22は、[(AA)]に結合された[(L22)-**]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a23は、C末端及び/又はN末端で[(AA)]に結合されたR23基の数を表し、及び0、1又は2から選択され;
は、前記AA基の1つのN末端、C末端又は側鎖を介した前記第1の連結基への接続点を表し;
**は、前記AA基の1つのN末端、C末端又は側鎖を介した前記第2の連結基への接続点を表す、請求項2若しくは請求項2に従属する請求項6~9若しくは11~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート又は請求項33に記載のコア。
【請求項35】
11、L12、L21及びL22は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から独立して選択される、請求項2若しくは請求項2に従属する請求項6~9若しくは11~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート又は請求項33又は34に記載のコア。
【請求項36】
前記本体部分は、式2によって表される、請求項2若しくは請求項2に従属する請求項6~9若しくは11~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート又は請求項33~35のいずれか一項に記載のコア。
【請求項37】
前記コアは、前記本体部分に結合された第3の連結基をさらに含み、前記第3の連結基は、前記第1の連結基及び前記第2の連結基に直交しており;好ましくは、前記第3の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択される、請求項2若しくは請求項2に従属する請求項6~9若しくは11~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート又は請求項33~36のいずれか一項に記載のコア。
【請求項38】
コンジュゲートであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;又は
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド
を含み、
B細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドは、コアに連結され、前記コアは、連結前に、
本体部分;
前記本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
前記本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
前記第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
前記コアは、
【化5】
ではなく;
前記第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成するか、又は前記第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成し;
好ましくは、前記コアは、請求項33~37のいずれか一項に記載のものである、コンジュゲート。
【請求項39】
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;及び
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド
を含み、前記第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成し、及び前記第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成する、請求項38に記載のコンジュゲート。
【請求項40】
コンジュゲートを製造するプロセスであって、
(a)コアであって、
本体部分;
前記本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
前記本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含むコアを提供するステップであって、
前記第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
前記第1の連結基及び前記第2の連結基の少なくとも1つは、2つ以上の第1の連結基又は第2の連結基を含み、並びに
前記第1の連結基及び前記第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、シクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択され;好ましくは、前記第1の連結基及び前記第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン、マレイミド及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;より好ましくは、前記第1の連結基及び前記第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;
前記コアは、
【化6】
ではなく、好ましくは、前記コアは、請求項33~37のいずれか一項に記載のものである、ステップ;
(b)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを提供し;及び前記コアを、B細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第1の接続要素を形成するか、又は前記コアを、CD4+T細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第2の接続要素を形成するステップ
を含むプロセス。
【請求項41】
(c)ステップ(b)で提供されない、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はB細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドの他方を提供し;及び前記第1の接続要素がステップ(b)で形成された場合、前記コアを、CD4+T細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第2の接続要素を形成するか;又は前記第2の接続要素がステップ(b)で形成された場合、前記コアを、B細胞エピトープの配列を含む前記少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第1の接続要素を形成するステップ
をさらに含む、請求項40に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、コンジュゲート、ポリペプチド、核酸分子及びベクターに関する。本発明は、第1の産物と第2の産物とを含む組み合わせ及びコンジュゲートのカクテルにも関する。本発明は、コンジュゲート、コンジュゲートのカクテル、核酸分子、ポリペプチド又は組み合わせを含む医薬組成物にも関する。加えて、本発明は、医薬における使用のためのコンジュゲート、コンジュゲートのカクテル、核酸分子、ポリペプチド、組み合わせ、第1の産物又は第2の産物に関する。さらに、本発明は、コア、中間コンジュゲート及びコンジュゲートを製造するプロセスに関する。本発明は、コンジュゲートが投与された対象において、CD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在を決定する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
癌は、個体内の細胞の新たな、異常な及び/又は制御されない増殖を特徴とする不均一な疾患である。典型的には、異なるタイプの癌間及び同じタイプの癌を有する個人間で高度な多様性が存在する。したがって、患者集団にわたって効果的な癌治療を提供することは、困難である。
【0003】
癌の治療のために多くのアプローチが提案されている。1つのアプローチは、腫瘍関連抗原の断片を含む抗原ペプチドを含むものなどの癌ワクチンの提供である。このような抗原ペプチドは、個体に投与されると、腫瘍関連抗原を発現する細胞に対するCD8+(MHCクラスI拘束性)又はCD4+(MHCクラスII拘束性)T細胞応答を誘発することができる。
【0004】
国際公開第2011/101173号は、癌の治療のためのヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)からの様々なポリペプチドを開示してる。国際公開第2017/207814号は、癌の治療のための免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたhTERTからのポリペプチドをさらに開示している。
【0005】
さらなる抗原性ポリペプチド(及びそのようなペプチドをコードする核酸分子)を含むさらなる抗癌治療を提供する必要性が依然として存在する。
【0006】
国際公開第2011/115483号は、抗原、免疫原又は抗原若しくは免疫原を含むビヒクルにコンジュゲートされた、破傷風毒素(TTx)由来のペプチドを含むワクチンコンジュゲートに関する。
【0007】
特に西側諸国では、大多数の人が人生の早い段階で破傷風のワクチン接種を受けているため、ヒト集団には、TTxに対する循環抗体が多くの場合に存在する。世界保健機関によると、2015年には、世界中の乳児の約86%が破傷風のワクチン接種を受けた。破傷風ワクチンは、タンパク質をホルマリンで処理して、TTxを解毒することによって調製される破傷風トキソイド(TTd)を含む。TTdは、TTxの修飾形態である(したがって異なるタンパク質である)が、TTdは、破傷風に対する防御免疫を誘導することができ、これは、TTdワクチン接種によって生じた抗体がTTxを認識することを意味する。TTdは、3つの感染性疾患(ジフテリア、百日咳(pertussis)(百日咳(whooping cough))及び破傷風)に対する小児用DTP混合ワクチンに使用される。さらに、破傷風感染の潜在的原因が疑われる傷害後の抗破傷風ワクチン接種は、一般的な手順であり、一部の国では10年ごとの追加刺激を受けることが推奨されているため、多くの人が後年になってTTdを投与されている。その結果、先進国の人口の大部分に抗TTx/TTd抗体が存在している。
【0008】
個体内の循環抗体は、TTx由来のペプチドに結合し、強力な免疫応答を提供するために、そのコンジュゲートを抗原提示細胞(APC)に標的化すると考えられている。国際公開第2011/115483号は、TTxに由来する様々なペプチドを開示している。癌に関連する抗原を含むコンジュゲートの具体的な例又はデータは、提示されていない。
【0009】
Mangsbo et al. Mol Immunol. 2018 Jan; 93: 115-124は、18量体ペプチド配列を含む、TTxに由来するペプチドを開示してる。オボアルブミン(OVA)由来のCD8+T細胞エピトープ又はヒト糖タンパク質100(hgp100)由来のCD8+T細胞エピトープにコンジュゲートした18量体の破傷風エピトープを含むペプチドコンジュゲートが構築された。
【0010】
Fletcher et al. J Immunol. 2018 Jul 1; 201(1): 87-97は、Mangsbo et al. 2018に記載されているTTx由来の18量体ペプチド配列を開示してる。CMV又はインフルエンザのいずれかからのCD8+T細胞エピトープを含む合成長鎖ペプチドにコンジュゲートした18量体の破傷風エピトープを含むコンジュゲートが構築された。
【0011】
CD8+及び/又はCD4+T細胞応答が起こるには、抗原性ポリペプチドがMHC分子上に提示されなければならないことを理解されたい。MHCクラスI分子は、大半の細胞の表面に存在し、典型的には長さが8~10アミノ酸残基のポリペプチドに結合する。MHCクラスI分子は、CD8+T細胞応答を誘発するために、タンパク質分解によるサイトゾルタンパク質に由来するポリペプチドをCD8+T細胞(細胞傷害性T細胞又はCTLとしても知られる)に提示する。対照的に、MHCクラスII分子は、抗原提示細胞及び活性化T細胞の表面に存在し、一般的により長い、典型的には12~24アミノ酸の長さのポリペプチドに結合する。MHCクラスII分子は、CD4+T細胞応答を誘発するために、エンドサイトーシスによって内在化され、消化された細胞外タンパク質に由来するポリペプチドをCD4+T細胞(他にヘルパーT細胞又はTh細胞としても知られている)に提示する。
【0012】
ヒト集団内のMHC分子には広範囲のばらつきがある。特に、異なる個体は、異なるHLA対立遺伝子(すなわちヒトMHC分子をコードする)を有し、これらは、ポリペプチドのアミノ酸配列に応じて、ポリペプチドに対する様々な結合親和性を有する。したがって、1つの特定のHLA対立遺伝子を有する個体は、特定の配列のポリペプチドに結合するMHC分子を有し得るが、HLA対立遺伝子を欠く他の個体は、MHC分子がそのポリペプチドに結合し、それを提示することができない(又は少なくともそのMHC分子は、ポリペプチドに対する親和性が非常に低いために比較的低レベルで存在する)。
【0013】
抗原性ポリペプチド(及びそのようなポリペプチドをコードする核酸分子)並びに個人及び/又は集団の大部分にわたって有効な免疫応答を誘発するそのような成分を含むさらなるアプローチの必要性が依然として存在する。さらに、そのような免疫応答をモニタリングする方法も依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の問題の1つ以上を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
本発明の態様は、B細胞エピトープの配列を含むポリペプチドと、hTERTなどのユニバーサル腫瘍抗原からのCD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチドとを含むコンジュゲートの特性を同定することから生じたものである。このようなコンジュゲートが個体に投与されると、B細胞エピトープを認識する抗体(既存のもの(例えば、B細胞エピトープによる以前のワクチン接種によるもの)又はコンジュゲートの投与により生じたもののいずれか)により、抗体媒介性のコンジュゲートの取り込みが生じる。これは、二重の効果を有する:第一に、コンジュゲートのB細胞エピトープに特異的なさらなる抗体産生を伴う正のフィードバックメカニズム;第二に、樹状細胞によるCD4+ヘルパーT細胞へのCD4+T細胞エピトープの提示である。活性化されたCD4+T細胞は、ユニバーサル腫瘍抗原を発現する腫瘍細胞に特異的であり、正のフィードバック機構がCD4+T細胞活性化のメカニズムを駆動するため、抗腫瘍CD4+T細胞免疫応答の送達に特に効果的である。
【0016】
本発明の他の態様は、この二重効果の別の結果が、コンジュゲートのB細胞エピトープに特異的な抗体の抗体力価(個人について比較的容易に決定できる)がコンジュゲートのT細胞エピトープに特異的な活性化CD4+T細胞のレベルを示すことであるという観察から生じたものである(そうでなければ個人について決定することが困難である)。
【0017】
本発明の他の態様は、上記のコンジュゲートのB細胞エピトープ及びCD4+T細胞エピトープを連結するために使用できるコアの特定の構造の同定から生じたものである。
【0018】
本発明の他の態様は、hTERTタンパク質配列の特定のポリペプチドが特に多数の臨床関連エピトープを含有し、したがって集団の広範な割合で免疫応答を誘導できるワクチンにおける使用に適しているであろうという観察から生じたものである。
【0019】
本発明の第1の態様によれば、コンジュゲートであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;及び
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドであって、CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域又はその領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、CD4+T細胞エピトープは、集団の少なくとも50%において免疫原性であり、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さである、少なくとも1つのポリペプチド
を含み、
B細胞エピトープの配列は、CD4+T細胞エピトープの配列と異なり、
B細胞エピトープに特異的な抗体は、コンジュゲートに結合する、コンジュゲートが提供される。
【0020】
好都合には、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、コアを介して連結され、
コアは、連結前に、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成し、及び第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成する。
【0021】
好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択され;並びに/又は第1の接続要素及び第2の接続要素は、1,2,3-トリアゾール結合、ジヒドロピリダジン結合、ピリダジン結合及びスルフィド結合から独立して選択される。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを含むコンジュゲートが投与された対象において、CD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在を決定する方法であって、
(a)コンジュゲートの投与前に、対象に由来するサンプル中におけるB細胞エピトープに特異的な抗体の量又は不存在を検出するステップであって、抗体の量又は不存在は、第1のレベルで検出される、ステップ;及び
(b)コンジュゲートの1回以上の投与後、対象に由来するサンプル中におけるB細胞エピトープに特異的な抗体の量又は不存在を検出するステップであって、抗体の量又は不存在は、第2のレベルで検出される、ステップ
を含み、第1のレベルでの抗体の量又は不存在と比較した第2のレベルでの抗体の量の増加は、対象におけるCD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在を示す、方法が提供される。
【0023】
好ましくは、ステップ(b)は、コンジュゲートの2回以上の投与、好ましくはコンジュゲートの3回以上の投与、より好ましくはコンジュゲートの4回の投与後、対象に由来するサンプル中におけるB細胞エピトープに特異的な抗体の量又は不存在を検出することを含む。
【0024】
好都合には、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、B細胞エピトープの配列を含む第1及び第2のポリペプチド、好ましくはB細胞エピトープの配列を含む第1、第2及び第3のポリペプチドである。
【0025】
有利には、B細胞エピトープは、
(i)配列番号3において連続する少なくとも10個のアミノ酸を含む配列、好ましくは配列番号5において連続する少なくとも10個のアミノ酸を含む配列;又は
(ii)(i)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含む。
【0026】
好ましくは、B細胞エピトープは、
(i)配列番号5において連続しており、及び配列表の配列番号6によって表されるアミノ酸配列GITELKKLを含む少なくとも10個のアミノ酸を含む配列;又は
(i)(i)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含む。
【0027】
好都合には、B細胞エピトープは、
(i)配列番号7;又は
(ii)(i)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含む。
【0028】
有利には、本発明の第2の態様では、CD4+T細胞エピトープは、自己抗原若しくは腫瘍関連抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域又はその領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さであり、好ましくは、自己抗原又は腫瘍関連抗原は、ユニバーサル腫瘍抗原である。
【0029】
代わりに、本発明の第2の態様では、CD4+T細胞エピトープは、内在性タンパク質又はウイルス若しくは細菌タンパク質の少なくとも12個のアミノ酸の領域を含む。好ましくは、CD4+T細胞エピトープは、細胞内タンパク質の少なくとも12個のアミノ酸の領域を含む。
【0030】
好都合には、ユニバーサル腫瘍抗原は、テロメラーゼ逆転写酵素、サバイビン、DNAトポイソメラーゼ2-アルファ、シトクロムP450 1B1及びE3ユビキチン-タンパク質リガーゼMdm2からなる群から選択される。
【0031】
好ましくは、ユニバーサル腫瘍抗原は、テロメラーゼ逆転写酵素であり、CD4+T細胞エピトープは、
(i)配列番号1;
(ii)配列番号116;
(iii)配列番号117;
(iv)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(i)、(ii)若しくは(iii)の免疫原性断片の配列;及び/又は
(v)(i)、(ii)、(iii)若しくは(iv)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される1つ以上の配列を含む。
【0032】
有利には、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、さらなるT細胞エピトープの配列を含み、さらなるT細胞エピトープは、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープである。
【0033】
好都合には、コンジュゲートは、さらなる物質を含む。
【0034】
好ましくは、さらなる物質は、エピトープの配列を含むさらなるポリペプチドであり、より好ましくは、エピトープは、さらなるT細胞エピトープであり、より好ましくは、さらなるT細胞エピトープは、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープである。
【0035】
有利には、CD4+T細胞エピトープは、
(i)配列番号1;
(ii)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片の配列;又は
(iii)(i)若しくは(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含み、
さらなるCD4+T細胞エピトープは、
(iv)配列番号116;
(v)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(iv)の免疫原性断片の配列;又は
(vi)(iv)若しくは(v)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含む。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、第1及び第2の異なるコンジュゲートを含むコンジュゲートのカクテルが提供され、第1のコンジュゲート及び/又は第2のコンジュゲートは、それぞれ本発明のコンジュゲートである。
【0037】
好都合には、第1のコンジュゲートは、
(i)配列番号1;
(ii)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片の配列;又は
(iii)(i)若しくは(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含むCD4+T細胞エピトープを含み、
第2のコンジュゲートは、
(iv)配列番号116;
(v)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(iv)の免疫原性断片の配列;又は
(vi)(iv)若しくは(v)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含むCD4+T細胞エピトープを含む。
【0038】
有利には、CD4+T細胞エピトープは、集団の少なくとも60%、好ましくは集団の少なくとも65%において免疫原性である。
【0039】
好都合には、CD4+T細胞エピトープは、集団内に存在する以下のHLA対立遺伝子の1つ以上と結合する:HLA-DRB115、HLA-DRB107、HLA-DRB104、HLA-DQB106、HLA-DQB103、HLA-DQB105、HLA-DPB104及び/又はHLA-DPB101。
【0040】
本発明の第4の態様によれば、コンジュゲートであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;及び
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドであって、CD4+T細胞エピトープは、
(i)配列番号1;
(ii)配列番号116;
(iii)配列番号117;
(iv)少なくとも12個のアミノ酸を含む、(i)、(ii)若しくは(iii)の免疫原性断片の配列;及び/又は
(v)(i)、(ii)、(iii)若しくは(iv)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される1つ以上の配列を含む、少なくとも1つのポリペプチド
を含み、
B細胞エピトープの配列は、CD4+T細胞エピトープの配列と異なり、
B細胞エピトープに特異的な抗体は、コンジュゲートに結合する、コンジュゲートが提供される。
【0041】
本発明の第5の態様によれば、本発明のB細胞エピトープの配列を含むポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列及び/又は本発明のCD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列を含む分子が提供される。
【0042】
好ましくは、分子は、核酸分子である。
【0043】
本発明の第6の態様によれば、ポリペプチドであって、
(i)配列番号116;
(ii)(i)に対して少なくとも91%の配列同一性を有する配列;
(iii)配列番号117;又は
(iv)(iii)に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含み、(i)又は(ii)から選択される配列を含むポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さであり、(iii)又は(iv)から選択される配列を含むポリペプチドは、40アミノ酸以下の長さである、ポリペプチドが提供される。
【0044】
有利には、(i)又は(ii)から選択される配列を含むポリペプチドは、150、125、100、75又は50アミノ酸以下の長さである。
【0045】
代わりに、(iii)又は(iv)から選択される配列を含むポリペプチドは、35、34、33、32又は31アミノ酸以下の長さである。
【0046】
本発明の第7の態様によれば、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子が提供される。
【0047】
本発明の第8の態様によれば、本発明の核酸分子を含むベクターが提供される。
【0048】
本発明の第9の態様によれば、第1の産物及び第2の産物を含む組み合わせであって、第1の産物は、以下の(i)~(v):
(i)配列番号1の配列を含むポリペプチド;
(ii)少なくとも8個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(iii)(i)又は(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(iv)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;
(v)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
第2の産物は、以下の(vi)~(x):
(vi)配列番号116の配列を含むポリペプチド;
(vii)少なくとも17個のアミノ酸を含む、(vi)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(viii)(vi)又は(vii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(ix)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;
(x)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
第1の産物及び第2の産物は、任意選択により、以下の条件:
(a)第1の産物及び第2の産物は、単一のポリペプチドであり、第1の産物は、(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるとおりであり、並びに第2の産物は、(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるとおりである場合、単一のポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さであること;
(b)第1の産物及び第2の産物は、単一の産物であり、第1の産物は、(v)に定義されるとおりであり、及び第2の産物は、(x)に定義されるとおりである場合、単一の核酸分子は、1500ヌクレオチド未満の長さであること
に従う単一の産物である、組み合わせが提供される。
【0049】
好ましくは、組み合わせは、ポリペプチドのカクテルを含み、第1の産物は、上記(i)、(ii)又は(iii)に定義されるポリペプチドであり、第2の産物は、上記(vi)、(vii)又は(viii)に定義されるポリペプチドである。
【0050】
有利には、組み合わせは、核酸分子のカクテルを含み、第1の産物は、上記(v)に定義される核酸分子であり、及び第2の産物は、上記(x)に定義される核酸分子である。
【0051】
好都合には、その若しくは各ポリペプチド又はその若しくは各核酸分子は、さらなる物質に連結される。
【0052】
本発明の第10の態様によれば、第2の産物と同時に、別個に又は連続的に投与することによる医薬における使用のための第1の産物であって、以下の(i)~(v):
(i)配列番号1の配列を含むポリペプチド;
(ii)少なくとも8個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(iii)(i)又は(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(iv)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;
(v)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
第2の産物は、以下の(vi)~(x):
(vi)配列番号116の配列を含むポリペプチド;
(vii)少なくとも17個のアミノ酸を含む、(vi)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(viii)(vi)又は(vii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(ix)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;
(x)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
第1の産物及び第2の産物は、任意選択により、以下の条件:
(a)第1の産物及び第2の産物は、単一のポリペプチドであり、第1の産物は、(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるとおりであり、並びに第2の産物は、(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるとおりである場合、単一のポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さであること;
(b)第1の産物及び第2の産物は、単一の産物であり、第1の産物は、(v)に定義されるとおりであり、及び第2の産物は、(x)に定義されるとおりである場合、単一の核酸分子は、1500ヌクレオチド以下の長さであること
に従う単一の産物である、第1の産物が提供される。
【0053】
本発明の第11の態様によれば、第1の産物と同時に、別個に又は連続的に投与することによる医薬における使用のための第2の産物であって、以下の(i)~(v):
(i)配列番号116の配列を含むポリペプチド;
(ii)少なくとも17個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(iii)(i)又は(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(iv)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;
(v)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
第1の産物は、以下の(vi)~(x):
(vi)配列番号1の配列を含むポリペプチド;
(vii)少なくとも8個のアミノ酸を含む、(vi)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(viii)(vi)又は(vii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(ix)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;
(x)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
第2の産物及び第1の産物は、任意選択により、以下の条件:
(a)第2の産物及び第1の産物は、単一のポリペプチドであり、第2の産物は、(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるとおりであり、並びに第1の産物は、(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるとおりである場合、単一のポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さであること;
(b)第2の産物及び第1の産物は、単一の産物であり、第2の産物は、(v)に定義されるとおりであり、及び第1の産物は、(x)に定義されるとおりである場合、単一の核酸分子は、1500ヌクレオチド以下の長さであること
に従う単一の産物である、第2の産物が提供される。
【0054】
本発明の第12の態様によれば、医薬における使用のための、本発明のコンジュゲート、本発明のコンジュゲートのカクテル、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド又は本発明の組み合わせが提供される。
【0055】
好ましくは、第1の産物、第2の産物、コンジュゲート、コンジュゲートのカクテル、核酸分子、ポリペプチド又は組み合わせは、癌の治療又は予防における使用のためのものである。
【0056】
本発明の第13の態様によれば、本発明のコンジュゲート、本発明のコンジュゲートのカクテル、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド又は本発明の組み合わせ並びに薬学的に許容される希釈剤、賦形剤又はアジュバント及び任意選択により別の治療成分を含む医薬組成物が提供される。
【0057】
好都合には、医薬組成物は、医学、好ましくは癌の治療又は予防における使用のためのものである。
【0058】
好ましくは、本発明のコンジュゲート、本発明のコンジュゲートのカクテル、前述のものを含む本発明の組み合わせ若しくは医薬組成物又は前述もののいずれかをコードする本発明の核酸分子は、B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するワクチンが投与された対象における使用のためのものである。
【0059】
有利には、B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するワクチンは、対象に少なくとも2回投与されている。
【0060】
好都合には、B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するワクチンは、破傷風ワクチンである。
【0061】
本発明の第14の態様によれば、本発明のコンジュゲート、本発明のコンジュゲートのカクテル、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチド、本発明の組み合わせ及び/又は本発明の医薬組成物を治療有効量で投与することを含む、対象における癌の治療又は予防方法が提供される。
【0062】
本発明の第15の態様によれば、第1の産物を第2の産物と同時に、別個に又は連続的に投与することを含む、患者における癌の治療又は予防方法であって、第1の産物は、以下の(i)~(v):
(i)配列番号1の配列を含むポリペプチド;
(ii)少なくとも8個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(iii)(i)又は(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(iv)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;
(v)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
第2の産物は、以下の(vi)~(x):
(vi)配列番号116の配列を含むポリペプチド;
(vii)少なくとも17個のアミノ酸を含む、(vi)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(viii)(vi)又は(vii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(ix)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;
(x)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択され、
第1の産物及び第2の産物は、任意選択により、以下の条件:
(a)第1の産物及び第2の産物は、単一のポリペプチドであり、第1の産物は、(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるとおりであり、並びに第2の産物は、(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるとおりである場合、単一のポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さであること;
(b)第1の産物及び第2の産物は、単一の産物であり、第1の産物は、(v)に定義されるとおりであり、及び第2の産物は、(x)に定義されるとおりである場合、単一の核酸分子は、1500ヌクレオチド以下の長さであること
に従う単一の産物であり、第1の産物及び/又は第2の産物は、それぞれ治療有効量で投与される、方法が提供される。いくつかの実施形態では、第1の産物が第2の産物の前に投与され、他の実施形態では、第1の産物が第2の産物の後に投与される。
【0063】
好ましくは、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、共有結合している。
【0064】
有利には、連結前に、第1の連結基及び第2の連結基の少なくとも1つは、2つ以上の第1の連結基又は第2の連結基を含む。
【0065】
好ましくは、連結前に、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択され;より好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン、マレイミド及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;より好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン及びα-ハロカルボニルから独立して選択される。
【0066】
好都合には、連結前に、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、独立して、チオール基、アジド基、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド及びα-ハロカルボニルを含む。好ましくは、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、独立して、チオール基又はアジド基を含む。
【0067】
有利には、第1の接続要素及び第2の接続要素は、1,2,3-トリアゾール結合、ジヒドロピリダジン結合、ピリダジン結合及びスルフィド結合(例えば、チオール-エン反応から形成される)から独立して選択される。第1の接続要素及び第2の接続要素は、1,2,3-トリアゾール結合及びスルフィド結合から独立して選択されることが特に好ましい。
【0068】
好ましくは、第1の接続要素及び第2の接続要素は、
【化1】
から独立して選択され、式中、
は、-(CHax11-及び-(CHax12-X12-から選択され;
12は、O、NR12又はSから選択され;
12は、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリール;好ましくは水素及び任意選択により置換されたアルキルから選択され;
は、N又はCHから選択され;
ax11及びax12は、0~12から独立して選択され、
波線は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープ及び/又はコアの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドへの接続点を表す。
【0069】
本発明の第16の態様によれば、コアであって、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
第1の連結基及び第2の連結基の少なくとも1つは、2つ以上の第1の連結基又は第2の連結基を含み、並びに
第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択され;好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン、マレイミド及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;より好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;
コアは、
【化2】
【化3】
ではない、コアが提供される。
【0070】
好ましくは、コアは、2つ又は3つの第1の連結基、好ましくは3つの第1の連結基を含む。
【0071】
好都合には、コアは、1つ又は2つの第2の連結基、好ましくは1つの第2の連結基を含む。
【0072】
有利には、第1の連結基及び第2の連結基は、
【化4】

から独立して選択され、
12は、O、NR12又はSであり;
12は、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリール;好ましくは水素及び任意選択により置換されたアルキルから選択され;
ax11及びax12は、0~12から独立して選択される。
【0073】
好ましくは、本体部分は、式1及び2:
【化5】
【化6】
の1つによって表され、
式1において、
11及びL12は、リンカーであり;
13は、水素、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ、ハロゲン、任意選択により置換されたアルキル、-S-(任意選択により置換されたアルキル)、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアルコキシ、任意選択により置換されたアルカノイル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから選択され;
a11は、炭素原子に結合された[(L11)-]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a12は、炭素原子に結合された[(L12)-**]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a13は、炭素原子に結合されたR13基の数を表し、及び0又は1から選択され;
a11+a12+a13は、4であり;
は、第1の連結基への接続点を表し;
**は、第2の連結基への接続点を表し;
式2において、
AAは、アミノ酸を表し;
nは、独立して選択されるAA基の数を表し、及び1~12から選択され;
21及びL22は、リンカーであり;
23は、水素、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ、任意選択により置換されたアルキル、-S-(任意選択により置換されたアルキル)、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアルコキシ、任意選択により置換されたアルカノイル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから選択され;
a21は、[(AA)]に結合された[(L21)-]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a22は、[(AA)]に結合された[(L22)-**]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a23は、C末端及び/又はN末端で[(AA)]に結合されたR23基の数を表し、及び0、1又は2から選択され;
は、AA基の1つのN末端、C末端又は側鎖を介した第1の連結基への接続点を表し;
**は、AA基の1つのN末端、C末端又は側鎖を介した第2の連結基への接続点を表す。
【0074】
本発明の第17の態様によれば、本発明の第1の態様によるコンジュゲート又は本発明の第2の態様によるコアであって、本体部分は、式1及び2:
【化7】
【化8】
の1つによって表され、
式1において、
11及びL12は、リンカーであり;
13は、水素、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ、ハロゲン、任意選択により置換されたアルキル、-S-(任意選択により置換されたアルキル)、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアルコキシ、任意選択により置換されたアルカノイル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから選択され;
a11は、炭素原子に結合された[(L11)-]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a12は、炭素原子に結合された[(L12)-**]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a13は、炭素原子に結合されたR13基の数を表し、及び0又は1から選択され;
a11+a12+a13は、4であり;
は、第1の連結基への接続点を表し;
**は、第2の連結基への接続点を表し;
式2において、
AAは、アミノ酸を表し;
nは、独立して選択されるAA基の数を表し、及び1~12から選択され;
21及びL22は、リンカーであり;
23は、水素、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ、任意選択により置換されたアルキル、-S-(任意選択により置換されたアルキル)、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアルコキシ、任意選択により置換されたアルカノイル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから選択され;
a21は、[(AA)]に結合された[(L21)-]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a22は、[(AA)]に結合された[(L22)-**]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a23は、C末端及び/又はN末端で[(AA)]に結合されたR23基の数を表し、及び0、1又は2から選択され;
は、AA基の1つのN末端、C末端又は側鎖を介した第1の連結基への接続点を表し;
**は、AA基の1つのN末端、C末端又は側鎖を介した第2の連結基への接続点を表す、コンジュゲート又はコアが提供される。
【0075】
好都合には、本体部分は、式2によって表される。
【0076】
好ましくは、L11、L12、L21及びL22は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から独立して選択される。
【0077】
好都合には、式2による本体部分は、任意選択により置換されたアミノ基を含む側鎖を有する1つ以上のAA基を含む。好ましくは、アミノ基を含む側鎖は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(任意選択により置換されたアミノ)基であり得る。
【0078】
有利には、アミノ基を含む側鎖は、1つ以上のリジン基、好ましくは3つのリジン基を含み得る。
【0079】
好ましくは、nは、2~10、好ましくは2~6、より好ましくは3又は4、さらにより好ましくは3である。
【0080】
有利には、C末端に接続されたR23基は、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ及び任意選択により置換されたアルコキシ;好ましくはヒドロキシ及び任意選択により置換されたアミノ;より好ましくは任意選択により置換されたアミノから選択される。
【0081】
好ましくは、第1の連結基への接続点は、AA基の1つの側鎖を介するものである。
【0082】
好都合には、第1の連結基のそれぞれの接続点は、独立して選択されたAA基の側鎖を介するものである。
【0083】
有利には、第2の連結基への接続点は、N末端を経由するものである。
【0084】
好ましくは、コアは、本体部分に結合された第3の連結基をさらに含み、第3の連結基は、第1の連結基及び第2の連結基に直交しており、より好ましくは、第3の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択される。
【0085】
好都合には、第3の連結基への接続点は、AA基の1つの側鎖(例えば、セリン基)を介するか又はC末端を介するものである。好ましくは、第3の連結基への接続点は、C末端を介する。
【0086】
本発明の第18の態様によれば、コンジュゲートであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;又は
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド
を含み、
B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、コアに連結され、コアは、連結前に、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
コアは、
【化9】
ではなく;
第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成するか、又は第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成する、コンジュゲートが提供される。
【0087】
好ましくは、コンジュゲートであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;及び
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド
を含み、
第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成し、及び第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成する、コンジュゲートが提供される。
【0088】
好ましくは、コアは、上記のいずれか1つに定義されるとおりである。
【0089】
好都合には、B細胞エピトープ及び/又はCD4+T細胞エピトープは、上記のいずれか1つに定義されるとおりである。
【0090】
本発明の第19の態様によれば、コンジュゲートを製造するプロセスであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを提供するステップ;及び
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを提供し、及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結するステップ
を含み、
CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域又はその領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、CD4+T細胞エピトープは、集団の少なくとも50%において免疫原性であり、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さであり、
B細胞エピトープの配列は、CD4+T細胞エピトープの配列と異なり、
B細胞エピトープに特異的な抗体は、コンジュゲートに結合する、プロセスが提供される。
【0091】
好都合には、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、コアを介して連結され、
コアは、連結前に、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成し、及び第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成する。
【0092】
本発明の第20の態様によれば、コンジュゲートを製造するプロセスであって、
(a)コアであって、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含むコアを提供するステップであって、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
第1の連結基及び第2の連結基の少なくとも1つは、2つ以上の第1の連結基又は第2の連結基を含み、及び
第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール又はアジドから独立して選択され;好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン、マレイミド及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;より好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;
コアは、
【化10】
ではなく、好ましくは、コアは、上記のいずれか1つに定義されるとおりである、ステップ;
(b)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを提供し;及びコアを、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第1の接続要素を形成するか、又はコアを、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第2の接続要素を形成するステップ
を含むプロセスが提供される。
【0093】
好ましくは、プロセスは、
(c)ステップ(b)で提供されない、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はB細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドの他方を提供し;及び第1の接続要素がステップ(b)で形成された場合、コアを、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第2の接続要素を形成するか;又は第2の接続要素がステップ(b)で形成された場合、コアを、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第1の接続要素を形成するステップ
をさらに含む。
【0094】
本発明の第21の態様によれば、ポリペプチドであって、
(i)UV36(配列番号166)、UV57(配列番号167)、UV58(配列番号168)、UV59(配列番号169)、UV60(配列番号170)、UV64(配列番号171)、UV65(配列番号172)又はUV66(配列番号173)の配列;
(ii)少なくとも8個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片の配列;又は
(iii)(i)又は(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列
から選択される配列を含み、25、22、20、18、15又は10アミノ酸以下の長さであるポリペプチドが提供される。
【0095】
好ましくは、ポリペプチドは、配列番号126又は171の配列から構成されないか又はそれを含まない。
【0096】
本発明の第22の態様によれば、本発明の第21の態様によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子が提供される。
【0097】
本発明の第23の態様によれば、医薬における使用のための、好ましくは免疫応答の誘導のための、より好ましくは癌の治療又は予防のための、本発明の第21の態様のポリペプチド又は本発明の第22の態様の核酸分子が提供される。
【0098】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用され、アミノ酸残基(直鎖状、環状、部分環状又は多環状を含む)のポリマーを指す。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が修飾残基又は対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学模倣物などの非天然残基である、アミノ酸ポリマー及び天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。一実施形態では、この用語は、側鎖伸長を含むアミノ酸ポリマーも包含する。一実施形態では、主鎖及び/又は側鎖伸長は、アミド結合以外の結合を含む。一実施形態では、ポリペプチド又はその断片中の遮断基は、アミノ酸ではない。
【0099】
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、天然存在するアミノ酸及び合成アミノ酸並びに天然に存在するアミノ酸と同様の機能を有するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされているもの及び細胞内で翻訳された後に修飾されたもの(例えば、ヒドロキシプロリン、ガンマ-カルボキシグルタミン酸、O-ホスホセリン)である。「アミノ酸類似体」という語句は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造要素(水素、カルボキシ基、アミノ基及びR基に結合したアルファ炭素)を有するが、修飾されたR基又は修飾された骨格を有する化合物(例えば、ホモセリン、ベータ-アラニン、PNA、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を指す。「アミノ酸模倣物」という語句は、天然に存在するアミノ酸と構造が異なるが、機能が類似した化合物を指す。したがって、一実施形態では、アミノ酸類似体及び/又はアミノ酸模倣物は、構造の違いを有するにもかかわらず、天然に存在するアミノ酸のものと同様の生物学的特性を提供する。
【0100】
ポリペプチドに関して本明細書で使用される「断片」という用語は、ポリペプチドの一部を形成する連続した一連のアミノ酸を意味する。ポリペプチドの「免疫原性断片」は、対象に投与された場合、T細胞応答などの免疫応答を誘発することができる、以前に定義された断片である。一実施形態では、「免疫原性断片」は、対象に投与されると、CD4+T細胞応答を誘発することができる。一実施形態では、「免疫原性断片」は、対象に投与された場合、CD4+及び/又はCD8+T細胞免疫応答を誘発することができる。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、それが由来するポリペプチドの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28又は29個のアミノ酸を含む。
【0101】
「遺伝子」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」及び「核酸分子」という用語は、本明細書において互換的に使用され、複数のヌクレオチドのポリマーを指す。核酸分子は、天然に存在する核酸を含み得るか、又はペプチド核酸(PNA)、モルホリノ(PMO)及びロックド核酸並びにグリコール核酸及びトレオース核酸などの人工核酸を含み得る。「オリゴヌクレオチド」は、例えば、ポリマー骨格、非骨格修飾などの非核酸誘導体も含み得る。
【0102】
本明細書で使用される「ヌクレオチド」という用語は、天然に存在するヌクレオチド及び例えば細胞酵素によって認識される合成ヌクレオチド類似体を指す。
【0103】
本明細書で使用される「癌」及び「腫瘍」という用語は、新たな、異常な及び/又は制御されない増殖を示す対象における細胞の存在を指す。一実施形態では、細胞は、隣接する組織に浸潤する能力及び/又は体内の他の部位に伝播する能力を有する(すなわち、細胞は、転移することができる)。一実施形態では、癌細胞は、腫瘍(すなわち異常な組織塊)の形態である。本明細書で使用される「腫瘍」という用語には、良性及び悪性新生物の両方が含まれる。
【0104】
本明細書で使用される「治療」という用語は、任意の部分的又は完全な治療を指し、疾患又は症状を阻害すること、すなわちその発症を阻止すること;及び疾患又は症状を緩和すること、すなわち疾患又は症状の退行を引き起こすことを含む。
【0105】
本明細書で使用される「予防」という用語は、疾患の発症を防ぐために取られる方法を指す。一実施形態では、疾患は、癌である。
【0106】
本明細書で使用される「抗原」という用語は、対象において免疫応答を誘発することができる分子を指す。一実施形態では、「抗原」は、タンパク質若しくはポリペプチドであるか、又はタンパク質若しくはポリペプチドに由来する。一実施形態では、「抗原」は、抗体、B細胞受容体及び/又はT細胞受容体によって認識され得る。
【0107】
本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、抗体、B細胞受容体及び/又はT細胞受容体によって認識される抗原の部分を指す。本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、立体構造エピトープ(すなわち配列上、分離されているが、タンパク質の折り畳みによって一緒になっているアミノ酸残基から構成される)及び線状エピトープ(すなわちアミノ酸残基の線状配列である)を含む。
【0108】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、特定の抗原に特異的に結合できる免疫グロブリン分子又はその断片を指す。本明細書で使用される「抗体」という用語には、免疫グロブリンの5つのクラス:免疫グロブリンG(IgG)、IgM、IgA、IgD及びIgEのいずれか1つから選択される抗体が含まれる。
【0109】
本明細書で使用される「B細胞」(「Bリンパ球」としても知られる)という用語は、細胞表面B細胞受容体を有する免疫系の細胞を指す。
【0110】
本明細書で使用される「B細胞エピトープ」という用語は、抗体及び/又はB細胞受容体が結合できる抗原内の部位を指す。一実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号7の配列を含む(「最小破傷風毒素エピトープ」又は「MTTE」とも呼ばれる)。
【0111】
本明細書で使用される「T細胞」(「Tリンパ球」としても知られる)という用語は、細胞表面T細胞受容体を有する免疫系の細胞を指す。一実施形態では、「T細胞」という用語は、CD4+T細胞(ヘルパーT細胞又はTh細胞としても知られる)、CD8+T細胞(細胞傷害性T細胞又はCTLとしても知られる)、メモリーT細胞及び制御性T細胞(Treg)などの異なるタイプのT細胞を含む。本明細書で使用される「CD4+T細胞」という用語は、その細胞表面にCD4糖タンパク質を含むT細胞を指す。本明細書で使用される「CD8+T細胞」という用語は、その細胞表面にCD8糖タンパク質を含むT細胞を指す。
【0112】
本明細書で使用される「T細胞エピトープ」という用語は、T細胞受容体によって認識することができる抗原内の部位を指す。T細胞受容体は、主要組織適合性複合体(MHC)分子に関連してエピトープを認識する。
【0113】
本明細書で使用される「MHC分子」という用語は、ポリペプチドとアセンブリし、細胞表面でT細胞に対してポリペプチドを提示することができるタンパク質構造を指す。MHC分子は、主要な組織適合性複合体内の遺伝子によってコードされている。いくつかの実施形態では、「MHC分子」という用語は、MHCクラスI分子及び/又はMHCクラスII分子を指す。
【0114】
本明細書で使用される「ヒト白血球抗原(HLA)」という用語は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)を指す。主要なヒトHLAクラスI遺伝子は、HLA-A、HLA-B及びHLA-Cを含む。主要なヒトHLAクラスII遺伝子は、HLA-DPA、HLA-DPB、HLA-DQA、HLA-DQB、HLA-DRA及びHLA-DRBを含む。本明細書で使用される「HLA対立遺伝子」という用語は、HLA遺伝子座に存在する遺伝子の別の形態を指す。
【0115】
本明細書で使用される「CD4+T細胞エピトープ」という用語は、CD4+T細胞によって認識することができるエピトープを指す。CD4+T細胞エピトープ又はその一部は、MHCクラスII分子によって提示され、CD4+T細胞のT細胞受容体に結合することができる。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、配列番号1、116及び/又は117から選択される1つ以上の配列又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。さらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、少なくとも12個のアミノ酸を含む、配列番号1、116及び/又は117の免疫原性断片を含む。
【0116】
本明細書で使用される「CD8+T細胞エピトープ」という用語は、CD8+T細胞によって認識することができるエピトープを指す。CD8+T細胞エピトープ又はその一部は、MHCクラスI分子によって提示され、CD8+T細胞のT細胞受容体に結合することができる。一実施形態では、CD8+T細胞エピトープは、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)に由来する。一実施形態では、CD8+T細胞エピトープは、配列「NPILLWQPIPV」(配列番号119)を含む。さらなる実施形態では、CD8+T細胞エピトープは、配列番号155~159から選択される配列を含む。
【0117】
本明細書で使用される「コンジュゲート」という用語は、2つ以上の成分、例えば、B細胞エピトープの配列を含むポリペプチドとCD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチドとの間の、カップリング又は連結を指す。一実施形態では、任意の2つの成分間の連結は、直接的な連結であり得る。代替的実施形態では、任意の2つの成分間の連結は、例えば、本明細書に定義されるコアによる間接的な連結であり得る。結合は、非共有結合(例えば、イオン結合、水素結合、疎水性相互作用、π-π相互作用、ファンデルワールス相互作用、親和性相互作用及びホスト-ゲスト相互作用の1つ以上の相互作用による)又は共有結合を介したものであり得る。好ましい実施形態では、連結は、共有結合である。
【0118】
本明細書で使用される「カクテル」という用語は、2つ以上の化合物の混合物を指す。一実施形態では、混合物中の化合物は、互いに連結又はカップリングしていない。いくつかの実施形態では、カクテルは、2つ以上の異なるポリペプチド、2つ以上の異なる核酸分子、2つ以上の異なるコンジュゲート及び/又はそれらの任意の組み合わせの混合物を含む。一実施形態では、ポリペプチド、核酸分子及び/又はコンジュゲートは、異なるアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を含むという意味で異なる。
【0119】
本明細書で使用される「ユニバーサル腫瘍抗原」という用語は、高い割合の腫瘍タイプで発現される抗原を指す。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、少なくとも50%、60%若しくは70%又は全ての腫瘍タイプで、より好ましくは全ての腫瘍タイプの少なくとも80%、85%又は90%で発現される。さらなる実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、各腫瘍タイプ内の高い割合の患者でも発現される。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、一般に、各腫瘍タイプ内の患者の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%又は90%で発現される。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、発癌において直接的な役割を有する。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、テロメラーゼ逆転写酵素、サバイビン、DNAトポイソメラーゼ2-アルファ(Top2α)、シトクロムP450 1B1(CYP1B1)及びE3ユビキチン-タンパク質リガーゼMdm2からなる群から選択される。好ましくは、ユニバーサル腫瘍抗原は、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)である。
【0120】
本明細書で使用される「CD4+T細胞エピトープは、集団の少なくとも50%において免疫原性である」という語句は、CD4+T細胞エピトープが免疫応答を誘発することができる集団内の個体の割合を指す。一実施形態では、集団は、世界的集団である。すなわち、集団は、特定の地理的地域に限定されない。一実施形態では、集団は、特定の地理的範囲からの集団である。一実施形態では、集団は、ヨーロッパ集団、北アメリカ集団、南及び/又は中央アメリカ集団、北アフリカ、南アフリカ、東アフリカ、西アフリカ、中央アフリカ及び/又はサハラ以南のアフリカ集団、西インド諸島集団、西アジア、東アジア、北東アジア、南アジア、東南アジア及び/又は西南アジア集団、オセアニア集団及び/又はオーストラリア集団のいずれか1つ以上である。さらなる実施形態では、集団は、一般集団である。すなわち、集団は、健康な個人及び癌などの疾患を有する個人の両方を含む。代替的実施形態では、集団は、癌患者である個人からなる。さらなる実施形態では、癌患者は、非小細胞肺癌、前立腺癌及び/又は悪性黒色腫を有する患者である。一実施形態では、集団は、膵臓癌を有する癌患者をさらに含む。一実施形態では、T細胞免疫応答は、個体からの血液サンプルを使用したT細胞増殖アッセイ(H-チミジン)によって測定される(Inderberg-Suso et al. Oncoimmunology. 2012 Aug 1; 1(5): 670-686に以前に記載されているとおり)。一実施形態では、CD4+エピトープに対する応答がバックグラウンドの少なくとも2倍である場合(刺激指数、SI≧2)、T細胞免疫応答は陽性であるとみなされる。代替的実施形態では、CD4+エピトープに対する応答がバックグラウンドの少なくとも3倍である場合(刺激指数、SI≧3)、T細胞免疫応答は陽性であるとみなされる。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープが免疫原性である集団内の個体の割合は、集団から無作為に選択された少なくとも50人のサンプル中のCD4+エピトープに対するT細胞免疫応答を測定することによって決定される。さらなる実施形態では、サンプルは、集団から無作為に選択された少なくとも100人の個人を含む。サンプル中で測定されるT細胞免疫応答は、集団を全体として代表するものとみなされる。一実施形態では、T細胞免疫応答を測定するために代替的方法が使用される。一実施形態では、方法は、遅延型過敏(DTH)アッセイ、ELISpotアッセイ及び/又はフローサイトメトリーを含む。
【0121】
本明細書で使用される「B細胞エピトープに特異的な抗体がコンジュゲートに結合する」という語句は、B細胞エピトープに特異的な抗体がコンジュゲート内に含まれる場合にエピトープと相互作用する能力を指す。一実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体、好ましくは、ポリクローナル抗体である。一実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号7の配列(MTTE)を含み、抗体は、抗MTTE抗体である。一実施形態では、B細胞エピトープに特異的な抗体がコンジュゲートに結合する能力は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)プロトコルを使用して決定される。一実施形態では、間接又はサンドイッチELISAプロトコルが使用される。一実施形態では、実施例9又は13に記載のELISAプロトコルが使用される。
【0122】
本明細書で使用される「B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するワクチン」という語句は、投与された対象において、B細胞エピトープに特異的な抗体の(B細胞による)産生を誘発することができるワクチンを指す。一実施形態では、B細胞エピトープに対するB細胞応答は、ELISAプロトコルを使用して対象に由来するサンプル中における抗体の量を測定することによって決定される。適切なELISAプロトコルは、例えば、過去にFletcher et al. J Immunol. 2018 Jul 1; 201(1): 87-97に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
本明細書で使用される「破傷風ワクチン」という用語は、対象において破傷風毒素に対する免疫応答を誘発することができるワクチンを指す。一実施形態では、「破傷風ワクチン」は、破傷風トキソイド、その断片及び/又は破傷風毒素の断片を含む。破傷風トキソイドは、破傷風毒素の不活化形態である。一実施形態では、破傷風ワクチンは、さらなる抗原及び/又はトキソイドと組み合わせて提供される。一実施形態では、「破傷風ワクチン」は、ジフテリア、破傷風及び百日咳(DTP)混合ワクチン又は任意の破傷風トキソイド含有ワクチンレジメンである。
【0124】
本明細書で使用される「B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するワクチンは、対象に少なくとも2回投与されている」という語句は、プライム-ブースト免疫化戦略を指す。すなわち、対象は、ワクチンの少なくとも1回の第1(初回刺激)の用量を受け、その後、ワクチンの少なくとも1回の第2(追加刺激)の用量を受けた。一実施形態では、初回刺激用量に使用されるワクチンの特定の組成は、1回以上の追加刺激用量に使用されるものと同じである。代替的実施形態では、ワクチンが依然としてB細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導することができる場合、初回刺激用量に使用されるワクチンの特定の組成物は、1回以上の追加刺激用量に使用されるものと異なる。一実施形態では、破傷風トキソイド含有ワクチンは、本発明のコンジュゲートによるプライム-ブースト免疫化戦略前に抗破傷風(例えば、抗MTTE)抗体力価を高めるために使用される。
【0125】
本明細書で使用される「CD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在」という語句は、CD4+T細胞エピトープを認識できるCD4+T細胞の存在を指す。CD4+T細胞は、適切なMHC分子上に提示されると、CD4+T細胞エピトープ又はその一部を認識し、結合することができる。一実施形態では、「CD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在」は、上記のようなT細胞増殖アッセイ(H-チミジン)によって確認することができる。
【0126】
本明細書で使用される「B細胞エピトープに特異的な抗体の量又は不存在を検出する」という語句は、サンプル中に存在し、B細胞エピトープに結合することができる抗体の量又は不存在を決定することを指す。一実施形態では、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、抗体の量又は不在を検出する。一実施形態では、抗体力価が計算される。
【0127】
本明細書で使用される「対象に由来するサンプル」という用語は、対象から得られた(すなわちエクスビボで)サンプルを指す。一実施形態では、サンプルは、血液サンプルである。一実施形態では、サンプルは、血漿サンプル又は希釈血漿サンプルである。
【0128】
本明細書で使用される「自己抗原」という用語は、人体内に天然に存在するタンパク質に由来する抗原を指す。一般に、正常な条件下では、胸腺内のT細胞のネガティブ選択により、免疫系は自己抗原に反応しない。ただし、癌を有する患者では、自己抗原が免疫系によって異物として認識され(例えば、癌細胞が自己抗原の由来となるタンパク質を過剰発現するか、又は癌が発生した組織について不適切に発現した結果として)、自己抗原に対するT細胞免疫応答が開始され得る。一実施形態では、「自己抗原」は、テロメラーゼ逆転写酵素に由来する。
【0129】
本明細書で使用される「腫瘍関連抗原」という用語は、腫瘍又は癌細胞並びに正常細胞に関連する抗原を指す。いくつかの実施形態では、「自己抗原」は、「腫瘍関連抗原」である。
【0130】
本明細書で使用される「コンジュゲートに対する臨床的に関連する応答」という語句は、癌患者における改善された臨床アウトカムを指す。一実施形態では、改善された臨床アウトカムは、部分奏功又は完全奏功(部分寛解又は完全寛解としても知られる)又は安定状態である。完全奏効は、治療に応答した体内の検出可能な腫瘍又は癌の消失を指し;部分奏功は、治療に応答した、腫瘍サイズ又は体内の癌の範囲の減少を指し;安定状態は、体内の腫瘍又は癌の程度又は重症度が減少も増加もしていないことを意味する。
【0131】
本明細書において、2つの配列間の「同一性」のパーセンテージは、EMBOSS Needle Pairwise Sequence Alignment(Rice et al., Trends Genet. 2000 Jun; 16(6): 276-7;Nucleic Acids Res. 2019 Jul 2; 47(W1): W636-W641)を使用して、デフォルトのパラメータを用いて決定される。特に、EMBOSS Needleは、URL:https://www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/を使用してインターネット上でアクセスできる。
【0132】
本明細書で使用される「本体部分」という用語は、本明細書に定義される1つ以上の第1の連結基及び本明細書に定義される1つ以上の第2の連結基に結合することができる任意の骨格を指す。本体部分は、第1の連結基を第2の連結基に連結するものであれば特に限定されない。本体部分の非限定的な例としては、式1による本体部分、アミノ酸、ペプチド(例えば、式2による本体部分)、炭水化物、他の足場、他の生体分子又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0133】
本明細書で使用される「(AA)」という用語は、以下のジラジカル構造:
【化11】
を指し、式中、Raaは、アミノ酸側鎖(例えば、天然アミノ酸(グリシン、すなわちHを含む)又は非天然アミノ酸の側鎖)を表し、個々のAA基は、任意の配向で次のAA基に接続され得(例えば、別のAA基のアミン部分に接続された1つのAA基のカルボニル部分、別のAA基の側鎖を介して接続された1つのAA基のカルボニル部分、別のAA基の側鎖を介して接続された1つのAA基のアミン部分又は別のAA基の側鎖を介して接続された1つのAA基の側鎖)、個々のAA基は、任意選択によりリンカーによって相互に間隔をあけられているか;又は個々のAA基が第二級アミンを有するアミノ酸に基づいている場合(例えば、AAがプロリン)、Raa及びAA基のN原子は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
【化12】
の構造を有する環を形成する。
【0134】
「(AA)」という用語の文脈で使用される「C末端」という用語は、「(AA)」の構造の任意の末端カルボニル基を指す。したがって、基がC末端に接続されている場合、リンカー又は他のAA基に結合していない末端カルボニル基を介して接続されている。
【0135】
「(AA)」という用語の文脈で使用される「N末端」という用語は、「(AA)」の構造の末端アミン基を指す。したがって、基がN末端に接続されている場合、リンカー又は他のAA基に結合していない末端アミン基を介して接続されている。
【0136】
本明細書で使用される「第1の連結基」という用語は、第1の反応物(例えば、B細胞エピトープの配列を含むポリペプチド)とのカップリング反応を受けて、非共有結合又は共有結合を形成することができ、したがって第1の接続要素を形成することができる官能基を指す。好ましい実施形態では、連結は、付加環化反応(例えば、銅触媒によるアジド-アルキン付加環化及び歪み促進型アジド-アルキン付加環化又はアジド-アルケン付加環化を含む、1,3-双極性付加環化;テトラジン及びシクロアルキン又はトランスシクロアルケンなどによる、テトラジンライゲーション;ディールス・アルダー付加環化反応)、求核置換、マイケル反応又はクリック若しくはクリック様反応の他の例によるものなどの共有結合である。第1の連結基の非限定的な例としては、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドが挙げられる。1つ以上の第1の連結基に言及する場合、第1の連結基のそれぞれは、互いに同一であるか又は異なり得る。いくつかの場合、第1の連結基は、それぞれ互いに同一である。
【0137】
本明細書で使用される「第2の連結基」という用語は、第2の反応物(例えば、CD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチド)とのカップリング反応を受けて、非共有結合又は共有結合を形成することができ、したがって第2の接続要素を形成することができる官能基を指す。好ましい実施形態では、連結は、付加環化反応(例えば、銅触媒によるアジド-アルキン付加環化及び歪み促進型アジド-アルキン付加環化又はアジド-アルケン付加環化を含む、1,3-双極性付加環化;テトラジン及びシクロアルキン又はトランスシクロアルケンなどによる、テトラジンライゲーション;ディールス・アルダー付加環化反応)、求核置換、マイケル反応又はクリック若しくはクリック様反応の他の例によるものなどの共有結合である。第2の連結基の非限定的な例としては、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドが挙げられる。1つ以上の第2の連結基に言及する場合、第2の連結基のそれぞれは、互いに同一であるか又は異なり得る。いくつかの場合、第2の連結基は、それぞれ互いに同一である。第2の連結基は、第1の連結基と異なり得る。第2の連結基は、第1の連結基に直交し得る。
【0138】
本明細書で使用される「第3の連結基」という用語は、第3の反応物(えば、本明細書に定義されるさらなる物質)とのカップリング反応を受けて、非共有結合又は共有結合を形成することができ、したがって第3の接続要素を形成することができる官能基を指す。好ましい実施形態では、連結は、付加環化反応(例えば、銅触媒によるアジド-アルキン付加環化及び歪み促進型アジド-アルキン付加環化又はアジド-アルケン付加環化を含む、1,3-双極性付加環化;テトラジン及びシクロアルキン又はトランスシクロアルケンなどによる、テトラジンライゲーション;ディールス・アルダー付加環化反応)、求核置換、マイケル反応又はクリック若しくはクリック様反応の他の例によるものなどの共有結合である。第3の連結基の非限定的な例としては、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドが挙げられる。1つ以上の第3の連結基に言及する場合、第3の連結基のそれぞれは、互いに同一であるか又は異なり得る。いくつかの場合、第3の連結基は、それぞれ互いに同一である。第3の連結基は、第1の連結基と異なり得る。第3の連結基は、第1の連結基に直交し得る。第3の連結基は、第2の連結基と異なり得る。第3の連結基は、第2の連結基に直交し得る。第3の連結基は、第1の連結基及び第2の連結基と異なり得る。第3の連結基は、第1の連結基及び第2の連結基に直交し得る。
【0139】
本明細書で使用される「第1の接続要素」という用語は、第1の連結基と第1の反応物(例えば、B細胞エピトープの配列を含むポリペプチド)との間に形成された非共有結合又は共有結合を指す。第1の接続要素の非限定的な例としては、1,2,3-トリアゾール結合、ジヒドロピリダジン結合、ピリダジン結合及びスルフィド結合(例えば、チオール-エン反応から形成される)が挙げられる。第1の接続要素の位置異性体が形成される場合(例えば、1,2,3-トリアゾール及び/又は開環マレイミド-チオール付加物の位置異性体)、本発明は、位置異性体産物の混合物及び精製された別個の位置異性体を包含する。
【0140】
本明細書で使用される「第2の接続要素」という用語は、第2の連結基と第2の反応物(例えば、CD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチド)との間に形成された非共有結合又は共有結合を指す。第2の接続要素の非限定的な例としては、1,2,3-トリアゾール、ジヒドロピリダジン結合、ピリダジン結合及びスルフィド結合(例えば、チオール-エン反応から形成される)が挙げられる。第2の接続要素の位置異性体が形成される場合(例えば、1,2,3-トリアゾール及び/又は開環マレイミド-チオール付加物の位置異性体)、本発明は、位置異性体産物の混合物及び精製された別個の位置異性体を包含する。
【0141】
本明細書で使用される「第3の接続要素」という用語は、第3の連結基と第3の反応物(例えば、本明細書に定義されるさらなる物質)との間に形成された非共有結合又は共有結合を指す。第3の接続要素の非限定的な例としては、1,2,3-トリアゾール、ジヒドロピリダジン結合、ピリダジン結合及びスルフィド結合(例えば、チオール-エン反応から形成される)が挙げられる。第3の接続要素の位置異性体が形成される場合(例えば、1,2,3-トリアゾール及び/又は開環マレイミド-チオール付加物の位置異性体)、本発明は、位置異性体産物の混合物及び精製された別個の位置異性体を包含する。
【0142】
本明細書で使用される「直交」という用語は、別の異なる官能基(例えば、第2の連結基及び/又は第3の連結基)の存在下、反応物(例えば、求電子剤/求核剤、ジエン/求ジエン剤又は双極子/求双極子剤などの第1の反応物)と選択的に反応し得る官能基(例えば、求核剤/求電子剤、求ジエン剤/ジエン又は求双極子剤/双極子としての第1の連結基)を指し、反応物は、別の官能基と実質的に反応しない(例えば、異なるタイプの官能基ペア、反応条件の違い、電子が豊富な官能基と電子が少ない官能基の違いの結果として)。例えば、官能基は、別の異なる官能基と比較して反応物に対して10倍以上の選択性(例えば、別の異なる官能基の%変換に対する反応物の変換%に関して)、好ましくは15倍以上の選択性、より好ましくは20倍以上の選択性、さらに好ましくは25倍以上の選択性、さらにより好ましくは30倍以上の選択性、さらにより好ましくは40倍以上の選択性、さらにより好ましくは50倍以上の選択性、さらにより好ましくは60倍以上の選択性、さらにより好ましくは70倍以上の選択性、さらにより好ましくは80倍以上の選択性、さらにより好ましくは90倍以上の選択性、最も好ましくは100倍以上の選択性を有し得る。
【0143】
本明細書で使用される「コア」という用語は、本体部分、本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基及び本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基を含む化合物を指し、第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交している。コアは、非共有結合又は共有結合を介して2つ以上の成分(例えば、B細胞エピトープの配列を含むポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチド)を接続できる限り、特に限定されない。
【0144】
「AA基の1つの側鎖を介して」という用語は、アミノ酸側鎖残基(例えば、-NH、-COOHを含むOH、SH)がアミノ酸側鎖残基の同等のラジカル形態を介して接続されることを指す(例えば、-NH-、-O-、-S-)。
【0145】
本明細書で使用される表記:
【化13】
は、以下の位置異性体:
【化14】
の位置異性体混合物を指す。
【0146】
本明細書で使用される表記:
【化15】
は、以下の位置異性体:
【化16】
の位置異性体混合物を指す。
【0147】
本明細書で使用される「末端アルキン」という用語は、-C≡C-H部分を含む基を指す。
【0148】
本明細書で使用される「シクロアルキン」という用語は、環内に8~12個の炭素原子、例えば8~10個の炭素原子を含み、少なくとも1つの環内炭素-炭素三重結合原子を含有する、閉じた非芳香族の単環式、二環式又は三環式の環を指す。環内の炭素原子は、ヘテロ原子、例えば窒素原子で置換され得る。シクロアルキンの非限定的な例は、シクロオクチン、ビシクロノニン(例えば、ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン)、ジベンゾシクロオクチン及びアザジベンゾシクロオクチンを含み得る。
【0149】
本明細書で使用される場合、「マレイミド」という用語は、以下の構造:
【化17】
を指し、式中、R’及びR’’は、水素、ハロゲン、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから独立して選択され;
波線は、化合物の残りの部分との接続を表す。
【0150】
「α-ハロカルボニル」という用語は、以下の構造:
【化18】
を指し、式中、R’及びR’’は、水素、ハロゲン、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから独立して選択され;
Xは、ハロゲンであり;
波線は、化合物の残りの部分との接続を表す。
【0151】
本明細書で使用される「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の任意のラジカルを指す。
【0152】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、それ自体で又は別の基の一部として、炭素数12までの直鎖及び分枝鎖ラジカルの両方を指す。例えば、アルキル基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を含有し得る。C~C12アルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、3-ペンチル、ヘキシル及びオクチル基が含まれる。好ましくは、本明細書で使用される「アルキル」という用語は、それ自体で又は別の基の一部として、1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、さらにより好ましくは1~4個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖ラジカルを指し得る。「任意選択により置換されたアルキル」基は、「任意選択により置換された」という用語に関して以下に記載されるような置換基を含み得る。例えば、「任意選択により置換されたアルキル」基は、「ハロアルキル」基を含み得る。
【0153】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、それ自体で又は別の基の一部として、少なくとも1つのハロゲン原子を含む、炭素原子12個までの直鎖及び分枝鎖ラジカルの両方を指す。例えば、ハロアルキル基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を含有し得る。好ましくは、本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、それ自体で又は別の基の一部として、1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、さらにより好ましくは1~4個の炭素原子を含み、少なくとも1つのハロゲン原子を含む、直鎖又は分枝鎖ラジカルを指し得る。
【0154】
例えば、「ハロアルキル」基は、フルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基であり得る。
【0155】
好ましくは、「ハロアルキル」基は、C~Cフルオロアルキル基又はC~Cペルフルオロアルキル基であり得る。
【0156】
さらにより好ましくは、「ハロアルキル」基は、C~Cフルオロアルキル基又はC~Cペルフルオロアルキル基であり得る。例えば、「ハロアルキル」基は、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はペンタフルオロエチルを含み得る。
【0157】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、3~8個の炭素原子、例えば3~6個の炭素原子を含む、閉環を含むアルキル基を指す。例えば、シクロアルキル基は、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を含有し得る。シクロアルキル基の非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、(シクロヘキシル)メチル及び(シクロヘキシル)エチルが含まれる。「任意選択により置換されたシクロアルキル」基は、「任意選択により置換された」という用語に関して以下に記載されるような置換基を含み得る。
【0158】
本明細書で使用される「ヘテロシクロアルキル」という用語は、炭素原子と、O、N及びSからなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子からなる、飽和又は部分飽和の3~7員単環式又は7~10員二環式環系を指し、窒素及び硫黄ヘテロ原子は、任意選択により酸化され得、窒素は、任意選択により四級化され得、上記で定義された環のいずれかがベンゼン環に縮合した任意の二環式基を含み、得られる化合物が安定であれば、環は、炭素原子上又は窒素原子上で置換され得る。一般的な飽和又は部分飽和ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としては、アゼチニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、イソクロマニル、クロマニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトロノイル及びテトラモイル基が挙げられる。「任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル」基は、「任意選択により置換された」という用語に関して以下に記載されるような置換基を含み得る。
【0159】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、それ自体で又は別の基の一部として、酸素原子を介して親分子部分に付加された、本明細書に定義されるアルキル基を指す。例えば、アルコキシ基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を含有し得る。好ましくは、本明細書で使用される「アルコキシ」は、それ自体で又は別の基の一部として、酸素原子を介して親分子部分に付加された、1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、さらにより好ましくは1~4個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖ラジカルを指し得る。アルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ及びヘキシルオキシが含まれる。「任意選択により置換されたアルコキシ」基は、「任意選択により置換された」という用語に関して以下に記載されるような置換基を含み得る。例えば、「任意選択により置換されたアルコキシ」基は、「ハロアルコキシ」基を含み得る。
【0160】
本明細書で使用される「ハロアルコキシ」という用語は、それ自体で又は別の基の一部として、少なくとも1つのハロゲン原子を含み、酸素原子を介して親分子部分に付加された、炭素原子12個までの直鎖及び分枝鎖ラジカルの両方を指す。例えば、ハロアルコキシ基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を含有し得る。好ましくは、本明細書で使用される「ハロアルコキシ」という用語は、それ自体で又は別の基の一部として、少なくとも1つのハロゲン原子を含み、酸素原子を介して親分子部分に付加された、1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、さらにより好ましくは1~4個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖ラジカルを指し得る。
【0161】
例えば、「ハロアルコキシ」基は、フルオロアルコキシ基又はペルフルオロアルコキシ基であり得る。
【0162】
好ましくは、「ハロアルコキシ」基は、C~Cフルオロアルコキシ基又はC~Cペルフルオロアルコキシ基であり得る。
【0163】
さらにより好ましくは、「ハロアルコキシ」基は、C~Cフルオロアルコキシ基又はC~Cペルフルオロアルコキシ基であり得る。例えば、「ハロアルコキシ」基は、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ又はペンタフルオロエトキシを含み得る。
【0164】
本明細書で使用される「アルカノイル」という用語は、それ自体で又は別の基の一部として、酸素原子を介したR-C(=O)O-基を介して親分子部分に付加された、本明細書に定義されるアルキル基を指し、Rは、アルキル基を表す。例えば、アルカノイル基は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を含有し得る。好ましくは、本明細書で使用される「アルカノイル」という用語は、それ自体で又は別の基の一部として、2~8個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子、さらにより好ましくは2~4個の炭素原子を含み、酸素原子を介したR-C(=O)O-基を介して親分子部分に付加された、直鎖又は分枝鎖ラジカルを指し得、Rは、アルキル基を表す。アルカノイル基の非限定的な例には、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ及びペンタノイルオキシが含まれる。「任意選択により置換されたアルカノイル」基は、「任意選択により置換された」という用語に関して以下に記載されるような置換基を含み得る。
【0165】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される「アリール」という用語は、環内に6~14個の炭素原子を含有する単環式、二環式又は三環式芳香族基を指す。一般的なアリール基は、C~C14アリール、例えば、C~C10アリールを含む。C~C14アリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、アズレニル、ビフェニル、ビフェニレニル及びフルオレニル基が含まれる。「任意選択により置換されたアリール」基は、「任意選択により置換された」という用語に関して以下に記載されるような置換基を含み得る。
【0166】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、5~14個の環原子(例えば、5~10個の環原子)を有し、炭素原子及び1、2又は3個の酸素、窒素又は硫黄ヘテロ原子を含有する芳香族基を指す。ヘテロアリール基の例には、チエニル(チオフェニル)、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル(フラニル)、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサンチニル、ピロリル(2H-ピロリルを含むがこれに限定されない)、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル(ピリジニル)(2-ピリジル、3-ピリジル及び4-ピリジルを含むがこれに限定されない)、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノザリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリンジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、フタラジン-1-オン、1,4-ジヒドロキノキサリン-2,3-ジオン、7-アミノイソクマリン、ピリド[1,2-α]ピリミジン-4-オン、ピラゾロ[1,5-α]ピリミジニル(ピラゾロ[1,5-α]ピリミジン-3-イルを含むがこれに限定されない)、1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、ベンズイミダゾリル、2-オキシインドリル及び2-オキソベンズイミダゾリルが含まれる。ヘテロアリール基が環内に窒素原子を含有する場合、そのような窒素原子は、N-オキシド、例えばピリジルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド及びピリミジニルN-オキシドの形態であり得る。「任意選択により置換されたヘテロアリール」基は、「任意選択により置換された」という用語に関して以下に記載されるような置換基を含み得る。
【0167】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、1~12個の炭素原子を有する二価の直鎖及び分枝鎖基を指す。好ましくは、アルキレン基は、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキレン基であり、より好ましくは、1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキレン基である。アルキレン基は、本明細書に記載されるように、1つ以上の「置換基」を任意選択により含み得る。
【0168】
本明細書に記載されるように、化合物は、「任意選択により置換された」部分を含有し得る。一般に、「置換された」という用語は、「任意選択により」という用語が前に付くかどうかにかかわらず、指定部分の1つ以上の水素原子が適切な置換基で置き換えられることを意味する。別段の記載がない限り、「任意選択により置換された」基は、その基の各置換可能な位置に適切な置換基を有し得、任意の所与の構造における複数の位置が、特定の基から選択される複数の置換基で置換され得る場合、その置換基は、全ての位置で同じであるか又は異なり得る。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定な又は化学的に実現可能な化合物の形成を生じるものである。本明細書で使用される「安定な」という用語は、その産生、検出並びに特定の実施形態ではその回収、精製及び1つ以上の本明細書に開示される目的のための使用を可能にする条件に供された場合に実質的に変化しない化合物を指す。
【0169】
例えば、本明細書で使用される「任意選択により置換された」という用語は、少なくとも1つの置換基が、オキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、任意選択により置換されたアルキル、ハロアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアルコキシ、ハロアルコキシ、任意選択により置換されたアルカノイル、任意選択により置換されたアミノ、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールなどの非限定的な例から選択される場合を指し得る。
【0170】
好ましくは、本明細書で使用される「任意選択により置換された」という用語は、少なくとも1つの置換基が、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルコキシ基及びC~Cハロアルコキシ基から選択される場合を指し得る。
【0171】
より好ましくは、本明細書で使用される「任意選択により置換された」という用語は、少なくとも1つの置換基が、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルコキシ基及びC~Cハロアルコキシ基から選択される場合を指し得る。
【0172】
さらにより好ましくは、本明細書で使用される「任意選択により置換された」という用語は、少なくとも1つの置換基が、フルオロ、ヒドロキシ、メチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基及びトリフルオロメトキシ基から選択される場合を指し得る。
【0173】
本発明のコンジュゲートは、「塩」形態で提供され得る。本明細書で使用される「塩」という用語は、適切な無機及び有機酸並びに塩基から誘導される、本明細書に記載の化合物の塩を指す。塩基性基の塩としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸又はトリフルオロ酢酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸などの有機酸と形成されたもの又はイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用して形成されたものが挙げられる。他の塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN(C~Cアルキル)塩が含まれる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる塩には、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム並びにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成されるアミンカチオンが含まれる。
【0174】
本開示の特定の化合物は、非溶媒和形態及び水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。「水和物」は、水分子と溶質の分子又はイオンの組み合わせによって形成される複合体を指す。「溶媒和物」は、溶媒分子と溶質の分子又はイオンの組み合わせによって形成される複合体を指す。溶媒は、有機化合物、無機化合物又は両方の混合物であり得る。溶媒和物は、水和物を含むことを意味する。溶媒のいくつかの例には、メタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド及び水が含まれるが、これらに限定されない。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であり、本開示の範囲内に包含される。本開示の特定の化合物は、例えば、複数の結晶又は非晶質の形態で固体物質として存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本開示によって企図される用途について均等であり、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0175】
「互変異性体」とは、分子の1つの原子のプロトンが別の原子にシフトする現象によって産生される化合物を意味する(Jerry March, Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structures, Fourth Edition, John Wiley & Sons, pages 69-74 (1992)を参照されたい)。互変異性体は、平衡状態で存在し、ある異性体から別の異性体に容易に変換される2つ以上の構造異性体の1つも指す。例には、アセトン/プロペン-2-オール、イミン-エナミン互変異性体などのケト-エノール互変異性体、グルコース/2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシ-ヘキサナールなどの環鎖互変異性体、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、テトラゾールなどの-N=C(H)-NH-環原子配置を含有するヘテロアリール基の互変異性体が含まれる。化合物が、例えばケト若しくはオキシム基又は芳香族部分を含有する場合、互変異性(tautomeric isomerism)(「互変異性(tautomerism)」)が生じ得る。本明細書に記載の化合物は、1つ以上の互変異性体を有し得、したがって、様々な異性体を含み得る。当業者であれば、他の互変異性環原子配置も可能であることを認識するであろう。これらの化合物のそのような異性体は全て、本開示に明示的に含まれる。
【0176】
「異性体」は、同一の分子式を有するが、その原子の結合の性質若しくは配列又は空間内のその原子の配置が異なる化合物を意味する。空間内の原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。「立体異性体」は、1つ以上の不斉中心又は不斉置換を有する二重結合を保有する場合、異なる立体異性体形態で存在する化合物を指し、したがって、個々の立体異性体として又は混合物として産生され得る。立体異性体は、エナンチオマー及びジアステレオマーを含む。互いに鏡像ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体は「エナンチオマー」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、それが4つの異なる基に結合している場合、一対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置によって特徴付けられ得、カーンとプレローグのR及びS配列規則又は分子が偏光面を回転する方法によって記述され、右旋性又は左旋性として(すなわちそれぞれ(+)又は(-)異性体として)指定される。キラル化合物は、個々のエナンチオマー又はそれらの混合物のいずれかとして存在し得る。エナンチオマーを等しい割合で含有する混合物を「ラセミ混合物」と呼ぶ。別段の記載がない限り、説明は個々の立体異性体及び混合物を含むことが意図される。1つ以上の立体中心のキラリティーが異なる立体化学の決定及び立体異性体の分離方法は、当技術分野で周知である(Advanced Organic Chemistry, 6th edition J. March, John Wiley and Sons, New York, 2007の第4章の議論を参照されたい)。
【0177】
本開示は、1つ以上の原子が、通常天然に見られる原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数を有する原子で置換されているという事実以外、本明細書に列挙したものと同一である本開示の同位体標識化合物も包含する。本開示の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、限定されないが、H(重水素、D)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl及び125Iなど、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体が挙げられる。別段明記しない限り、位置が特に「H」又は「水素」として指定されている場合、その位置は、天然存在比の同位体組成又は重水素(D)やトリチウム(H)などのその同位体に水素があると理解される。本開示の特定の同位体標識化合物(例えば、H及び14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわちH)同位体、炭素-14(すなわち14C)及びフッ素-18(すなわち18F)同位体は、調製の容易さ及び検出可能性について有用である。さらに、重水素(すなわちH)などのより重い同位体による置換は、より良い代謝安定性に起因する特定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の増加又は必要な投与量の減少)を生じ得、したがって、状況によっては好ましい場合がある。本開示の同位体標識化合物は、一般に、非同位体標識試薬を同位体標識試薬に置き換えることにより、本明細書に記載のものと同様の手順に従って調製され得る。
【図面の簡単な説明】
【0178】
図の簡単な説明
図1A】本発明の一実施形態によるコンジュゲートを示す概略図である。この実施形態では、コンジュゲートは、スペーサー配列(2)を介してコア(3)に連結された配列番号7のMTTE配列(1)をそれぞれ含む3つのポリペプチドを含む。これにより、ユニバーサル腫瘍抗原に由来するCD4+T細胞エピトープを含むポリペプチドへのMTTE配列(配列番号7)の連結が可能になる(4)。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、配列番号1である。他の実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、広いHLAカバレッジを有する代替的hTERTペプチドからのものである。さらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープを含むポリペプチドは、さらなるエピトープを含む。
図1B】本発明の実施形態が免疫応答を誘発する、提案されたメカニズムを示す概略図である。まず、(1)合成ペプチドコンジュゲートの非経口投与があり、次いで(2)ペプチドコンジュゲートがスカベンジャー受容体及び既存の抗MTTE抗体の抗体媒介取り込みを介して樹状細胞に取り込まれる。(3)エピトーププロセシング及びCD4+ヘルパーT細胞へのCD4+エピトープ提示を通して、MTTE特異的B細胞の活性化を通して追加のフィードバックが提供されて、可溶性抗破傷風抗体を産生する形質細胞になる。(4)正のフィードバックメカニズムにより、コンジュゲート内のCD4+T-ヘルパーエピトープを介した抗体産生及び免疫複合体形成が強化される。(5)したがって、活性化されたCD4+T細胞は、腫瘍特異的(テロメラーゼ特異的など)であり、腫瘍に移動して腫瘍内の免疫応答を強化することができる(エピトープ拡大)。
図2A】特定のポリペプチドの組み合わせ間のカバーされたHLAクラスIの比較を示すベン図である。配列番号116(GV_LSE)及び配列番号1(P719-20)間の比較を示す。
図2B】特定のポリペプチドの組み合わせ間のカバーされたHLAクラスIの比較を示すベン図である。配列番号116(GV_LSE)及び118(C末端ペプチド)間の比較を示す。
図2C】HLAクラスII対立遺伝子の比較を示すベン図である。配列番号116(GV_LSE)及び118(C末端ペプチド)間の比較を示す。
図2D】特定のポリペプチドの組み合わせ間のカバーされたHLAクラスIの比較を示すベン図である。配列番号116(GV_LSE)及び126(GV1001)間の比較を示す。
図2E】HLAクラスII対立遺伝子の比較を示すベン図である。配列番号116(GV_LSE)及び126(GV1001)間の比較を示す。
図3A】それぞれHLAクラスIエピトープ及びHLAクラスIIエピトープに基づいて、配列番号1(P719~20)及び116(GV_LSE)のポリペプチドによって提供される予測集団カバレッジを示すグラフである。
図3B】それぞれHLAクラスIエピトープ及びHLAクラスIIエピトープに基づいて、配列番号1(P719~20)及び116(GV_LSE)のポリペプチドによって提供される予測集団カバレッジを示すグラフである。
図4A】それぞれHLAクラスIエピトープ及びHLAクラスIIエピトープに基づいて、配列番号126(GV1001)及び116(GV_LSE)のポリペプチドによって提供される予測集団カバレッジを示すグラフである。
図4B】それぞれHLAクラスIエピトープ及びHLAクラスIIエピトープに基づいて、配列番号126(GV1001)及び116(GV_LSE)のポリペプチドによって提供される予測集団カバレッジを示すグラフである。
図5A】それぞれHLAクラスIエピトープ及びHLAクラスIIエピトープに基づいて、配列番号126(GV1001)、1(P719-2)及び116(GV_LSE)のポリペプチドによって提供される予測集団カバレッジを示すグラフである。
図5B】それぞれHLAクラスIエピトープ及びHLAクラスIIエピトープに基づいて、配列番号126(GV1001)、1(P719-2)及び116(GV_LSE)のポリペプチドによって提供される予測集団カバレッジを示すグラフである。
図6A】それぞれHLAクラスIエピトープ及びHLAクラスIIエピトープに基づいて、配列番号126(GV1001)、1(P719-20)、116(GV_LSE)及び118(C末端-pep)のポリペプチドによって提供される予測集団カバレッジを示すグラフである。
図6B】それぞれHLAクラスIエピトープ及びHLAクラスIIエピトープに基づいて、配列番号126(GV1001)、1(P719-20)、116(GV_LSE)及び118(C末端-pep)のポリペプチドによって提供される予測集団カバレッジを示すグラフである。
図7A】マウスに既知の活性CD4+T細胞エピトープが含まれていないか(「SC注射マウス(コンジュゲート2nmol)」)又は対照としてモノクローナル抗MTTE IgG1抗体を投与された(「SC注射マウス(aMTTE IgG1)」)、アミノ酸配列AVGALEGSRNQDWLGVPRQL(配列番号54)を有する合成長鎖ペプチド(SLP)を含むコンジュゲートを投与された雌のC57BL/6マウスからの血液サンプルにおいて、ELISAによって測定された抗MTTE IgG1抗体力価を示すグラフである。
図7B】ユニバーサルCD4+T細胞エピトープ「PADRE」を含むか(「コンジュゲート:MTTE3-HY-PADRE」)又はコンジュゲートなしでSLPのみが投与された(「SLP:HY-PADRE」)、アミノ酸配列ARWWWMHHNMDLIGGAKxVAAWTLKAu(配列番号55)を有するSLPを含むコンジュゲートを投与されたマウスからの血液サンプルにおいて、ELISAによって測定された抗MTTE IgG1抗体力価を示すグラフである。
図8A】実施例8の実験で使用されるプライム-ブーストワクチン接種スケジュールの概略図である。
図8B】破傷風トキソイド(TTd)ワクチンを4回(1週目、3週目、5週目及び7週目)皮下ワクチン接種し、その後、癌ワクチンTENDUを低用量、中用量又は高用量のいずれかで4回皮下ワクチン接種した雄ウサギにおける抗MTTE抗体力価を示すグラフである。血清学的分析のための血漿サンプルは、8週目及び15週目に収集された。ウサギ抗MTTE抗体力価は、インハウスELISAでCapra Science抗体ABによって測定された。**対応のあるt検定を使用してP<0.01;ns=有意でない。
図8C】「TENDU」ワクチン内に含まれるLUG1-6のコンジュゲートの詳細を提供する表である。
図9A】GMP LUG1-6コンストラクトのヒト抗MTTE抗体への結合を示す。モノクローナルヒトIgG1抗MTTE抗体へのコンジュゲートの結合を示す。コンジュゲートを様々な濃度(0.000457~1nmol/ml)でELISAプレート上にコーティングした。ヒト組換え抗MTTE IgG1抗体を一次抗体として使用し、抗ヒトカッパ軽鎖二次抗体を使用して検出を実施した。
図9B】GMP LUG1-6コンストラクトのヒト抗MTTE抗体への結合を示す。ポリクローナルヒト抗MTTE抗体を含有する血清へのコンジュゲートの結合を示す。コンジュゲートを様々な濃度(0.004~1nmol/ml)でELISAプレート上にコーティングし、希釈したドナー血漿とともにインキュベートした。検出は、抗ヒトカッパ軽鎖二次抗体を使用して実施した。
図10】LUG2コンジュゲートによる動物のワクチン接種の抗MTTE力価に対する効果を示す(A)(DR4 CD4+T細胞エピトープを保有することが知られている)、及び(B)HLA-DR4マウスが実施例10に記載されるようにLUG2でワクチン接種された後のT細胞応答のELISPOT分析を示す。ELISPOTは、脾細胞を合成長鎖ペプチドUV02(配列番号143)及びUV08(配列番号144)と48時間インキュベートすることによって実施した。SEBを陽性対照として使用し、未処理の脾細胞を陰性対照として使用した。
図11A】配列番号1のポリペプチドがHLA-DR4トランスジェニックマウスに投与された実施例11の実験デザインの概略図を示す。
図11B】配列番号1、抗CD4抗体と組み合わせた配列番号1又は陰性対照としての細胞単独による、脾細胞の刺激後のT細胞応答を測定したELISpotアッセイからの結果のグラフである。統計分析は、クラスカル・ウォリス検定及びダンの多重比較検定を使用して実施した。「**」は、p<0.01を指し、「ns」は、有意でないことを指す。
図12A】抗原提示細胞としてのEBV細胞との共培養物中で0.5、1.5及び5μM濃度の配列番号1、配列番号52又はコンジュゲートCD12Bに曝露したときの、配列番号1に特異的なGFP発現T細胞のパーセンテージを示すグラフである。各バーは、配列番号1及びCD12Bの複製の平均値+/-SDを表し、配列番号52は、各濃度について単一サンプルとして実行された。
図12B】0.5、1.5及び3μM濃度のコンジュゲートCD12B若しくはCD20Bに曝露したとき又は0.5、1.5及び5μM濃度の配列番号1又は配列番号52に曝露したときの、配列番号1に特異的なGFP発現T細胞のパーセンテージを示すグラフである。
図13A】それぞれ血漿産物TetaQuinからの抗MTTEポリクローナル抗体へのコンジュゲートの結合を評価したサンドイッチELISA実験の結果を示すグラフ及び表である。
図13B】それぞれ血漿産物TetaQuinからの抗MTTEポリクローナル抗体へのコンジュゲートの結合を評価したサンドイッチELISA実験の結果を示すグラフ及び表である。
図14A】それぞれポリクローナル抗体を含有するヒト血清へのコンジュゲートの結合を評価した間接ELISA実験の結果を示すグラフ及び表である(血清は、血液サンプル採取前に最近破傷風トキソイドをワクチン接種したドナーに由来するものであった)。
図14B】それぞれポリクローナル抗体を含有するヒト血清へのコンジュゲートの結合を評価した間接ELISA実験の結果を示すグラフ及び表である(血清は、血液サンプル採取前に最近破傷風トキソイドをワクチン接種したドナーに由来するものであった)。
図15A】それぞれポリクローナル抗体を含有するヒト血清へのコンジュゲートの結合を評価した間接ELISA実験の結果を示すグラフ及び表である(血清は、血液サンプル採取前に最近破傷風トキソイドをワクチン接種したドナーに由来するものであった)。
図15B】それぞれポリクローナル抗体を含有するヒト血清へのコンジュゲートの結合を評価した間接ELISA実験の結果を示すグラフ及び表である(血清は、血液サンプル採取前に最近破傷風トキソイドをワクチン接種したドナーに由来するものであった)。
図16A】実施例14の実験デザインの概略図である。
図16B】配列番号1/CpG又はコンジュゲートCD12Bで先にワクチン接種されたトランスジェニックHLA-A2/HLA-DR1マウスから得られた脾細胞が配列番号7(MTTE)又は配列番号1(P719-20)のポリペプチドで刺激されたELISpotアッセイの結果を示すグラフである。統計分析は、Sidakの多重比較検定を使用して実施した(p<0.05、「ns」=有意でない)。
図16C】抗CD8の存在下又は不存在下において、予測されるMHCクラスI又はクラスIIエピトープを含む配列番号1からのポリペプチドによりCD12B曝露動物からの脾細胞を刺激したELISpotアッセイの結果を示すグラフである。統計分析は、グラフパッド及びSidakの多重比較検定を使用して実施した(p<0.05;**p<0.01;「ns」=有意でない)。
図16D】抗CD4抗体(図16D)の存在下又は不存在下において、予測されるMHCクラスI又はクラスIIエピトープを含む配列番号1からのポリペプチドによりCD12B曝露動物からの脾細胞を刺激したELISpotアッセイの結果を示すグラフである。統計分析は、グラフパッド及びSidakの多重比較検定を使用して実施した(p<0.05;**p<0.01;「ns」=有意でない)。
図17A】血清反応陽性又は血清反応陰性のHLA-DR4マウスにおけるCD20Bコンジュゲートの免疫原性のインビボ評価に関する。実施例15に記載される実験の終了時にマウスにおける抗MTTE抗体レベルを検出するために測定される光学密度(OD)のグラフである。有意性は、マン・ホイットニー検定p=0.0286によって評価された。
図17B】血清反応陽性又は血清反応陰性のHLA-DR4マウスにおけるCD20Bコンジュゲートの免疫原性のインビボ評価に関する。血清反応陽性動物についてのCD20B曝露前後の抗MTTE OD値(x軸)と、UV18及びUV19を組み合わせたペプチド混合物による刺激に応答したT細胞応答(y軸)との間の相関分析を示すグラフである。ピアソンr=0.9348。プロットされた曲線は、最良適合線の95%信頼帯を有する単純回帰線である。分析は、Graph pad prismを使用して実施した。
図17C】血清反応陽性又は血清反応陰性のHLA-DR4マウスにおけるCD20Bコンジュゲートの免疫原性のインビボ評価に関する。コンジュゲートCD20B又はIFA及びCpG中に配合された配列番号1のポリペプチドのいずれかを投与されたマウスからの脾細胞の刺激後のT細胞応答を測定するためのELISpotアッセイの結果を示すグラフである。刺激は、UV18/19の組み合わせを使用して実施した。
図17D】血清反応陽性又は血清反応陰性のHLA-DR4マウスにおけるCD20Bコンジュゲートの免疫原性のインビボ評価に関する。コンジュゲートCD20B又はIFA及びCpG中に配合された配列番号1のポリペプチドのいずれかを投与されたマウスからの脾細胞の刺激後のT細胞応答を測定するためのELISpotアッセイの結果を示すグラフである。刺激は、UV16単独を使用して実施した。
図18】本発明の一実施形態によるコンジュゲートの概略図を示す。本体部分(楕円)、3つの第1の連結基(白の角丸長方形)及び第2の連結基(白の五角形)を含むコアが図の上部に示される。コアは、3つのB細胞エピトープ、この場合にはMTTE(黒の角丸長方形);及び1つのCD4+T細胞エピトープ(黒の五角形)を含むSLPに連結できる。これにより、第1の接続要素(淡色の角丸長方形)によってB細胞エピトープに結合され、第2の接続要素(淡色の五角形)によってCD4+T細胞エピトープを含むSLPに結合された、図の下部に示す3+1コンジュゲートが形成される。
図19】合成例17の逆相クロマトグラフィートレースを示す(Reprosil Gold 200 C18、カラム温度40℃、流速1mL/分、溶離液A=水中0.1%TFA、溶離液B=アセトニトリル中0.1TFA、95:5(A:B)から2:98の勾配)。
図20】合成例17のLCMSトレースを示す。「#」で標識されるピークは、様々な電荷での産物のピークに対応し(例えば、[M+10H]10+では1462.2、[M+11H]11+では1329.4、[M+12H]12+では1218.6など)、予測質量は、14614である。
図21】実施例16のワクチン接種スケジュールの概略図を示す。CD29コンジュゲート又は3+1+1コンジュゲートを、プライム-ブースト-ブーストワクチン接種スケジュールを使用してHLA2-DR1マウスのグループに投与した。マウスの第3のグループは、プライム-ブースト-ブーストワクチン接種スケジュールを使用して、IFAを含むエマルション中のUV34ポリペプチド(GVExt5-配列番号116)で免疫化した。コンジュゲート及びペプチドは、各注射間に1週間の間隔をおいて免疫化された。動物を屠殺し、脾細胞及び流入領域リンパ節をインビトロアッセイのために収集した。
図22A】ELISpotアッセイの結果を示す。脾臓及びリンパ節を使用してエクスビボELISpotアッセイを実施して、培地に放出されたペプチド特異的応答T細胞及びIFN-ガンマの頻度を同定した。以前のELISpotアッセイと同様のELISpotプロトコル。CD29コンジュゲートの結果を示す。
図22B】ELISpotアッセイの結果を示す。脾臓及びリンパ節を使用してエクスビボELISpotアッセイを実施して、培地に放出されたペプチド特異的応答T細胞及びIFN-ガンマの頻度を同定した。以前のELISpotアッセイと同様のELISpotプロトコル。3+1+1コンジュゲートの結果を示す。
図22C】ELISpotアッセイの結果を示す。脾臓及びリンパ節を使用してエクスビボELISpotアッセイを実施して、培地に放出されたペプチド特異的応答T細胞及びIFN-ガンマの頻度を同定した。以前のELISpotアッセイと同様のELISpotプロトコル。配列番号116のポリペプチド(UV34-GVExt5)+IFAの結果を示す。
図23】(配列番号126-GV1001)の投与後の個々のペプチドに対するT細胞応答のグラフを示す。水平破線は、ベースラインとみなされる「細胞単独」の応答レベルである「カットオフ」を示す。カットオフライン/ベースラインを超えるペプチドのバーは、特定のペプチドに対するT細胞応答とみなされる。
図24】(配列番号116-GVExt5)の投与後の個々のペプチドに対するT細胞応答のグラフを示す。水平破線は、ベースラインとみなされる「細胞単独」の応答レベルである「カットオフ」を示す。カットオフライン/ベースラインを超えるペプチドのバーは、特定のペプチドに対するT細胞応答とみなされる。
図25図23及び24の個別の結果を表にしたものを示す。
図26】ヒト血漿産物TetaQuinからの抗MTTEポリクローナル抗体へのコンジュゲートの結合を評価したサンドイッチELISAアッセイの結果を示すグラフである。捕捉抗体は、抗p719-20(配列番号1)ウサギポリクローナルであった。
図27】ヒト血漿産物TetaQuinからの抗MTTEポリクローナル抗体へのコンジュゲートの結合を評価したサンドイッチELISAアッセイの結果を示すグラフである。捕捉抗体は、抗GVExt5(配列番号116)ウサギポリクローナルであった。
図28】間接ELISAにおける、3つの異なる塩形態のUVC1-017(p719-20含有コンジュゲート)のモノクローナル抗MTTE(配列番号7)抗体への結合の結果を示すグラフである。TFA塩の形態のコンジュゲートUVC1-017は、わずかに良好な結合を示した。
図29】間接ELISAにおける、3つの異なる塩形態のUVC1-017(p719-20含有コンジュゲート)のポリクローナル抗MTTE(配列番号7)抗体への結合の結果を示すグラフである。TFA塩の形態のコンジュゲートUVC1-017は、わずかに良好な結合を示した。
図30】間接ELISAにおける、3つの異なる塩形態のUVC2-001(GvExt5含有コンジュゲート)のモノクローナル抗MTTE(配列番号7)抗体への結合の結果を示すグラフである。同様の結合が3つの塩形態の全てで観察される。
図31】間接ELISAにおける、3つの異なる塩形態のUVC2-001(GvExt5含有コンジュゲート)のポリクローナル抗MTTE(配列番号7)抗体への結合の結果を示すグラフである。同様の結合が3つの塩形態の全てで観察される。
図32】TENDUワクチン接種試験に登録された患者からの血清中で測定された抗MTTE IgGの濃度を示すグラフである。
図33】トランスジェニックHLA-A2/HLA-DR1動物におけるコンジュゲートの形態のGVExt5ペプチド(配列番号116)及びペプチド+IFAの免疫原性のインビボ評価のためのワクチン接種スケジュールの概略図である。
図34図33のワクチン接種スケジュールに従った血清抗MTTE抗体研究の結果を示す。Aは、実験終了時のマウスにおける抗MTTE抗体力価を示すグラフである。Bは、個々のグループのマウスにおけるコース免疫化中の様々な時点での抗MTTE抗体力価を示すグラフである。
図35図33のワクチン接種スケジュールに従った研究の結果を示す。各グラフは、個々のペプチドによる刺激後のT細胞応答を示す:A.UV36;B.UV58;C.UV59;D.UV60;E.UV64;F.UV65;及びG.UV66。
図36図33のワクチン接種スケジュールに従った研究の結果を示す。Aは、UV36ペプチド内の様々な長さのポリペプチド配列に対する、CD29に曝露されたマウスのT細胞応答の合計を示すグラフである。Bは、個々のマウスのT細胞応答を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0179】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態では、コンジュゲートであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;及び
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドであって、CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域又はその領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、少なくとも1つのポリペプチド
を含むコンジュゲートが提供される。CD4+T細胞エピトープは、集団の少なくとも50%において免疫原性であり、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さである。B細胞エピトープの配列は、CD4+T細胞エピトープの配列と異なり、B細胞エピトープに特異的な抗体は、コンジュゲートに結合する。B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、任意選択により、本明細書に定義されるようにコアを介して連結される。
【0180】
本発明の他の実施形態では、コンジュゲートの一部を形成しないポリペプチド及び核酸分子が提供される。
【0181】
本発明の上記実施形態の成分のさらなる詳細を以下に説明する。
【0182】
ポリペプチド
本発明の一態様によれば、配列番号116(すなわちLSEAEVRQHREARPALLTSRLRFIPKPDGL)及び117(すなわちHREARPALLTSRLRFIPKPDGLRPIVNMDY)から選択される配列を含むヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)タンパク質のポリペプチドが提供される。一実施形態では、配列番号116の配列を含むポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さである。さらなる実施形態では、配列番号116の配列を含むポリペプチドは、150、140、130、125、120、110、100、90、80、75、60、50、40又は35アミノ酸以下の長さである。一実施形態では、配列番号117の配列を含むポリペプチドは、40アミノ酸以下の長さである。さらなる実施形態では、配列番号117の配列を含むポリペプチドは、38、36、35、34、33、32又は31アミノ酸以下の長さである。
【0183】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号116又は117に示される配列からなる。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号116又は117に示される配列を含む。一実施形態では、天然に存在するhTERTタンパク質には、N末端及び/又はC末端に任意の追加のアミノ酸が存在する。代替的実施形態では、N末端及び/又はC末端の任意の追加のアミノ酸は、天然に存在するhTERTタンパク質に存在するアミノ酸と異なる。
【0184】
他の実施形態では、前述のポリペプチドの免疫原性断片が提供され;断片は、配列番号116又は117の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28又は29個のアミノ酸を含む。
【0185】
テロメラーゼは、これらの領域は、通常の方法では酵素DNAポリメラーゼによって伸長できないため、真核細胞の直鎖状DNA鎖のテロメア領域の3’末端を複製する機能を有する酵素である。テロメラーゼ酵素は、TERTサブユニット(ヒトでは「hTERT」)及びテロメラーゼRNAを含む。テロメラーゼRNAを鋳型として使用することにより、TERTサブユニットは、DNA鎖の3’末端を延長するために、真核細胞の染色体の3’末端に反復配列を付加する。全長hTERT mRNA配列は、GenBankアクセッション番号AF015950.1に記載されており、アミノ酸配列は、UniProtアクセッション番号O14746に記載されており、配列番号2にも記載されている。配列番号116及び117は、それぞれhTERTタンパク質の30個のアミノ酸断片からなる。
【0186】
さらなる実施形態では、ポリペプチドは、前述のポリペプチド又はその免疫原性断片の1つと正確な配列同一性を有しない。代わりに、ポリペプチドは、配列番号116又はその免疫原性断片のものに対して少なくとも91%の配列同一性を有する配列を含む。配列は、上記のものに対して少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有することが特に好ましい。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号117又はその免疫原性断片のものに対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。配列は、上記のものに対して少なくとも96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有することが特に好ましい。アミノ酸配列の任意の付加又は置換が元のアミノ酸側鎖の特性の保存をもたらすことも好ましい。すなわち、置換又は修飾は、「保存的」である。
【0187】
機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当技術分野において周知である。アミノ酸側鎖の性質の例は、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)並びに以下の共通の官能基又は特徴を有する側鎖:脂肪族側鎖(G、A、V、L、I、P);水酸基含有側鎖(S、T、Y);硫黄原子含有側鎖(C、M);カルボン酸及びアミド含有側鎖(D、N、E、Q);塩基含有側鎖(R、K、H);及び芳香族含有側鎖(H、F、Y、W)である。さらに、以下の8つのグループは、互いの保存的置換であるアミノ酸をそれぞれ含有する(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照されたい):
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパルギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)。
【0188】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドのカクテル(すなわち混合物)が提供され、カクテルは、配列番号1、116及び117からの配列を含む少なくとも2つの異なるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、前記ポリペプチドの免疫原性断片を含み、免疫原性断片は、少なくとも8個のアミノ酸を含む。さらなる実施形態では、カクテル中のポリペプチド又は各ポリペプチドは、配列番号1、116若しくは117の配列又はその免疫原性断片に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。配列は、上記のものに対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有することが特に好ましい。好ましい実施形態では、カクテル中のポリペプチドは、配列番号1及び116の配列又はその免疫原性断片を含む。このような実施形態では、配列番号1の免疫原性断片は、その少なくとも8個のアミノ酸、より好ましくはその12個のアミノ酸を含み、配列番号116の免疫原性断片は、その少なくとも17個のアミノ酸を含むことが好ましい。一実施形態では、ポリペプチドは、500アミノ酸以下、好ましくは400、300、200、170、150、125、100、90、80、70、75、60、50、40又は30アミノ酸以下の長さである。少なくとも2つのポリペプチドは、配列番号1、116及び117から選択される異なる配列に基づくという意味で異なることが好ましい。
【0189】
さらなる実施形態では、上記のポリペプチド又は各ポリペプチドは、コンジュゲート内に含まれる。したがって、一実施形態では、コンジュゲートのカクテル(すなわち混合物)が提供される。一実施形態では、本発明のポリペプチドを含むコンジュゲートは、以下にさらに詳細に記載されるコンジュゲートである。
【0190】
一実施形態では、配列番号1、116及び117の配列を含む少なくとも2つの異なるポリペプチドは、単一のポリペプチド内に提供される。すなわち、配列番号1、116及び117から選択される少なくとも2つの異なる配列を含む単一のポリペプチド鎖が提供される。いくつかの実施形態では、単一のポリペプチドは、前記ポリペプチドの免疫原性断片を含み、免疫原性断片は、少なくとも8個のアミノ酸を含む。さらなる実施形態では、単一のポリペプチドは、配列番号1、116若しくは117の1つ以上から選択される配列又はその免疫原性断片に対して、少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。配列は、上記のものに対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有することが特に好ましい。
【0191】
好ましい実施形態では、単一のポリペプチドは、配列番号1及び116の配列又はその免疫原性断片を含む。このような実施形態では、配列番号1の免疫原性断片は、その少なくとも8個のアミノ酸、より好ましくはその12個のアミノ酸を含み、配列番号116の免疫原性断片は、その少なくとも17個のアミノ酸を含むことが好ましい。
【0192】
いくつかの実施形態では、上記のような単一のポリペプチドは、170アミノ酸以下である。好ましくは、長さは、150、140、130、125、120、110、100、90、80、75又は60アミノ酸以下の長さである。いくつかの実施形態では、単一のポリペプチド内に含まれる2つの異なるポリペプチド又は免疫原性断片間の介在配列(例えば、配列番号1及び116)が提供される。一実施形態では、介在配列は、天然に存在するhTERTタンパク質で見出されるものと同じである。代替的実施形態では、介在配列は、天然に存在するhTERTタンパク質に見られるものと異なる(すなわち100%未満の配列同一性を有する)。一実施形態では、介在配列は、hTERTに由来しない。一実施形態では、介在配列は、プロテアソーム切断部位である。
【0193】
カクテル又は単一のポリペプチド中の少なくとも2つの異なるポリペプチドが、広範囲のHLAクラスI及び/又はHLAクラスII対立遺伝子によって認識され得るエピトープを含むことが特に好ましい。いくつかの実施形態では、カクテル又は単一のポリペプチドが、異なる配列を有する3つ以上のポリペプチドを含むことも理解されたい。一実施形態では、3、4、5個又はそれを超える異なるポリペプチドが提供される。
【0194】
いくつかの実施形態では、特定のHLA対立遺伝子のMHC分子に対するポリペプチドの結合親和性を変化させる(例えば増加させる)ために、上記のようなポリペプチドの配列が改変される。他の実施形態では、ポリペプチドは、上に示したもの加えて、そのN末端及び/又はC末端にさらなるアミノ酸を有する。このような追加のアミノ酸は、MHC分子に対するポリペプチドの結合親和性を変化させる(例えば増加させる)ために使用することもできる。
【0195】
ポリペプチド(特にその配列が上記のように改変されたポリペプチド)は、CD4+及び/又はCD8+T細胞応答を誘発することができる。すなわち、ポリペプチドは、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)によって提示された場合、CD4+及び/又はCD8+T細胞を誘導できるはずである。一実施形態では、CD4+T細胞免疫応答は、T細胞増殖アッセイ(3H-チミジン)によって測定される(Inderberg-Suso et al. Oncoimmunology. 2012 Aug 1; 1(5): 670-686に以前に記載されているとおり)。一実施形態では、CD4+エピトープに対する応答がバックグラウンドの少なくとも2又は3倍である場合(刺激指数、SI≧2又は3)、CD4+T細胞免疫応答は陽性であるとみなされる。一実施形態では、CD8+T細胞誘導性の確認は、ヒトMHC抗原を保有する抗原提示細胞(例えば、Bリンパ球、マクロファージ又は樹状細胞)又はより具体的にはヒト末梢血単核白血球由来の樹状細胞を誘導することによって達成することができ、ポリペプチドによる刺激後、CD8+細胞と混合し、標的細胞に対してCD8+T細胞によって産生及び放出されるIFN-ガンマを測定する。反応系としては、ヒトHLA抗原を発現するように産生されたトランスジェニック動物(例えば、BenMohamed L, Krishnan R, Longmate J, Auge C, Low L, Primus J, Diamond DJ, Hum Immunol 61(8): 764-79, 2000 Aug, Related Articles, Books, Linkout Induction of CTL response by a minimal epitope vaccine in HLA A*0201/DR1 transgenic mice: dependence on HLA class II restricted T(H) responseに記載されているもの)を使用できる。例えば、標的細胞は、51Crで放射性標識することができ、細胞傷害活性は標的細胞から放出される放射能から計算できる。
【0196】
一実施形態では、HLA抗原を発現するトランスジェニック動物を使用して、ポリペプチドがCD4+及び/又はCD8+T細胞応答を誘発できるかどうかを評価する。一実施形態では、HLA-DR4マウスモデルを使用して、CD4+T細胞免疫応答を測定する。代替的実施形態では、HLA-A2/HLA-DR1マウスモデルを使用して、CD4+及び/又はCD8+T細胞免疫応答を測定する。
【0197】
さらなる実施形態では、CD4+及び/又はCD8+T細胞誘導性は、ELISpotアッセイを使用して調べることができる。一実施形態では、固定化ペプチドを保有する抗原提示細胞の存在下でCD4+及び/又はCD8+T細胞によって産生及び放出されるIFN-ガンマが測定され、抗IFN-ガンマモノクローナル抗体を使用して培地上の阻害ゾーンが視覚化される。より具体的には、T細胞は、IFN-ガンマに対する固定化抗体を含有する膜上で培養される。これらの抗体は、関連するT細胞によって産生されるインターフェロンガンマを捕捉し、IFNガンマに対する二次抗体によって視覚化できる。この抗体は酵素標識されており、基質を加えると抗原反応性細胞を含有する部位にスポットが可視化される。ELISpotアッセイのさらなる例を以下に記載する(例えば、実施例10、11、14、15)。
【0198】
本発明のいくつかのさらなる実施形態では、ポリペプチドは、CD4+及び/又はCD8+T細胞応答を誘導するその能力を保持しながら、さらなる物質に(例えば、共有結合で)連結される。このようなさらなる物質には、脂質、糖又は糖鎖、アセチル基、天然又は合成ポリマーなどが含まれる。一実施形態では、ポリペプチドは、以下に詳細に記載されるように、コンジュゲートの形態でさらなるペプチドに連結される。一実施形態では、本明細書に定義されるポリペプチド又は免疫原性断片と、さらなるポリペプチドとを含む、より長い抗原リッチなポリペプチド鎖(すなわち単一のポリペプチド)が提供される。一実施形態では、さらなるポリペプチドは、さらなるhTERT由来配列(例えば、長さが少なくとも10、15、20、25、30又は35アミノ酸)である。すなわち、いくつかの実施形態では、2つ以上の異なるhTERT由来ポリペプチド配列が、単一のポリペプチド鎖内に一緒に含まれる。一実施形態では、介在配列(例えば、リンカー要素)は、2つのポリペプチド間に提供される。一実施形態では、介在配列は、hTERTに由来しないか、又は天然に存在するhTERT配列と100%未満の配列同一性を有する。一実施形態では、リンカー要素は、プロテアソーム切断部位である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、グリコシル化、側鎖酸化又はリン酸化などの修飾を含有する。
【0199】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、当技術分野で公知の従来のプロセスによって産生される。代わりに、ポリペプチドは、例えば、臭化シアンを使用した切断及びその後の精製によって産生されるテロメラーゼタンパク質の断片である。酵素的切断も使用され得る。さらなる実施形態では、ポリペプチドは、組換え発現ポリペプチドの形態である。例えば、発現可能な形態(例えば、プロモーター配列に対応する調節配列の下流)でポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む適切なベクターが調製され、適切な宿主細胞に形質転換される。次いで、宿主細胞を培養して、目的のポリペプチドを産生する。他の実施形態では、ポリペプチドは、インビトロ翻訳系を使用してインビトロで産生される。
【0200】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、HREARPALLTSRLRFIPKPDGLRPIVNMDYVVGARTFRREK(配列番号120)、EARPALLTSRLRFIPKPDGLRPIVNMDY(配列番号121)、EARPALLTSRLRFIPKPDGLRPIVNMDYV(配列番号122)、EARPALLTSRLRFIPKPDGLRPIVNMD(配列番号123)又はAEVRQHREARPALLTSRLRFIPKPDGL(配列番号124)のいずれかの配列から構成されない。
【0201】
核酸分子
本発明の代替的実施形態では、上記のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子が提供される。一実施形態では、配列番号1、116又は117をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号160~162に示されるとおりである。
【0202】
いくつかの実施形態では、上記のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子の長さは、1,500ヌクレオチド以下である。好ましくは、長さは、1,200、900、600、510、450、420、390、375、360、330、300、270、240、225、180、150、120、114、108、105、102、96又は90ヌクレオチド以下である。
【0203】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、天然に存在するhTERT配列(例えば、GenBankアクセッション番号AF015950.1に示される)の配列に対し100%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化は、例えば、適切な宿主細胞内での発現のために、ヌクレオチド配列を変更するために使用される。このような実施形態では、コドン最適化により、天然に存在するhTERT配列と比較して、ヌクレオチド配列に変化が生じることを理解されたい。さらなる実施形態では、追加のヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’又は5’末端に組み込まれる。いくつかの実施形態では、そのような追加のヌクレオチドは、天然に存在するhTERT配列に見出されるものと異なる。一実施形態では、核酸分子は、5’キャップを含む。一実施形態では、本明細書に定義されるポリペプチド又は免疫原性断片をコードするヌクレオチド配列及びさらなるポリペプチドをコードするさらなるヌクレオチド配列を含む核酸分子が提供される。一実施形態では、さらなるヌクレオチド配列は、さらなるhTERT由来配列をコードする(例えば、さらなるヌクレオチド配列が少なくとも30~600ヌクレオチド長であるように、少なくとも10~200アミノ酸の長さをコードする)。すなわち、いくつかの実施形態では、hTERT由来のポリペプチド配列をコードする2つ以上の異なるヌクレオチド配列が、単一の核酸分子内に一緒に含まれる。一実施形態では、介在配列(例えば、リンカー要素をコードする)は、2つのヌクレオチド配列間に提供される。一実施形態では、介在配列は、hTERTに由来しないか、又は天然に存在するhTERT配列と100%未満の配列同一性を有する。一実施形態では、コードされたリンカー要素は、プロテアソーム切断部位である。
【0204】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、さらなる物質に(例えば、共有結合で)連結される。一実施形態では、核酸分子は、キャリア部分に連結される。一実施形態では、キャリア部分は、免疫原性キャリアである。一実施形態では、核酸分子は、脂質ナノ粒子内に含まれる。
【0205】
さらなる実施形態では、配列番号1、116又は117の配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも2つの異なる核酸分子を含む核酸分子のカクテル(すなわち混合物)が提供される。代替的実施形態では、コードされたポリペプチドは配列番号1、116又は117の免疫原性断片であり、免疫原性断片は、少なくとも8個のアミノ酸を含む。別のバリアントでは、コードされたポリペプチドの配列は、前述のものと同一ではないが、それに対して少なくとも80%の配列同一性を有する。好ましくは、前述のものに対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性。好ましい実施形態では、カクテル中のコードされたポリペプチドは、配列番号1及び116の配列又はその免疫原性断片を含む。このような実施形態では、コードされる配列番号1の免疫原性断片は、その少なくとも8個のアミノ酸、より好ましくはその12個のアミノ酸を含むことが好ましく、コードされる配列番号116の免疫原性断片は、その少なくとも17個のアミノ酸を含むことが好ましい。一実施形態では、コードされたポリペプチドは、500、400、300、200、170、150、125、100、90、80、70、75、60、50、40又は30アミノ酸以下の長さである。少なくとも2つの核酸分子は、配列番号1、116及び117から選択される異なる配列に基づくという意味で異なることが好ましい。
【0206】
一実施形態では、配列番号1、116又は117の配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも2つの異なる核酸分子が単一分子内に提供される。すなわち、少なくとも2つの異なるヌクレオチド配列を含み、それぞれが配列番号1、116及び117の配列から選択されるポリペプチドをコードする、単一の分子が提供される。いくつかの実施形態では、コードされたポリペプチドは配列番号1、116又は117の免疫原性断片であり、免疫原性断片は、少なくとも8個のアミノ酸を含む。さらなる実施形態では、コードされたポリペプチドの配列は、前述のものと同一ではないが、それに対して少なくとも80%の配列同一性を有する。好ましくは、前述のものに対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性。
【0207】
好ましい実施形態では、単一分子は、ヌクレオチド配列を含み、そのそれぞれが配列番号1及び116の配列を含むポリペプチド又はその免疫原性断片をコードする。このような実施形態では、コードされる配列番号1の免疫原性断片は、その少なくとも8個のアミノ酸、より好ましくはその12個のアミノ酸を含むことが好ましく、コードされる配列番号116の免疫原性断片は、その少なくとも17個のアミノ酸を含むことが好ましい。
【0208】
一実施形態では、単一分子は、単一の核酸分子である。いくつかの実施形態では、単一の核酸分子の長さは、1,500ヌクレオチド以下である。好ましくは、長さは、1,200、900、600、510、450、420、390、375、360、330、300、270、240、225又は180ヌクレオチド以下である。
【0209】
いくつかの実施形態では、単一分子又は核酸分子内に含まれる2つの異なるヌクレオチド配列(例えば、配列番号1及び116をコードするもの)間の介在ヌクレオチド配列が提供される。一実施形態では、介在配列は、天然に存在するhTERTタンパク質をコードするヌクレオチド配列に見出されるものと同じである。代替的実施形態では、介在配列は、天然に存在するhTERTタンパク質をコードするヌクレオチド配列に見られるものと異なる(すなわち100%未満の配列同一性を有する)。一実施形態では、介在配列は、hTERTに由来しない。一実施形態では、介在配列は、プロテアソーム切断部位をコードする。
【0210】
いくつかの実施形態では、カクテルが異なる配列を有する2つを超える異なる核酸分子を含むか、又は単一の核酸分子が2つを超える異なるヌクレオチド配列を含むことも理解されたい。一実施形態では、3、4、5個又はそれを超える異なる核酸分子又は異なるヌクレオチド配列が提供される。
【0211】
さらなる実施形態では、上記の核酸分子又はその断片を含むベクターが提供される。使用される特定のベクターは、核酸分子が発現される宿主生物又は細胞、宿主細胞を形質転換するために使用される方法及び/又はタンパク質発現(又はベクターの他の意図された用途)に使用される方法に依存し得る。一実施形態では、ベクターは、核酸分子のエンドソーム脱出を促進する物質を含む。
【0212】
遺伝暗号の縮重により、特定のポリペプチドをコードする核酸分子は、ある範囲のポリヌクレオチド配列を有し得ることを理解されたい。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCTは、全てアミノ酸アラニンをコードする。
【0213】
核酸分子は、DNA若しくはRNA又はそれらの誘導体のいずれでもあり得る。
【0214】
一実施形態では、上記のポリペプチド及び/又は核酸分子のいずれか1つの組み合わせが提供される。
【0215】
コンジュゲート
本発明のさらなる態様によれば、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドと、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドとを含むコンジュゲートが提供される。
【0216】
B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、B細胞エピトープの配列を含む2つ以上のポリペプチドであることが好ましく、B細胞エピトープの配列を含む2つ又は3つのポリペプチドが特に好ましい。B細胞エピトープの配列を含むポリペプチドを超えるものが存在するいくつかの実施形態では、これらのポリペプチドは、それぞれ同じ配列を有する。
【0217】
第1の実施形態では、コンジュゲートのB細胞エピトープは、配列番号7の配列(すなわちFIGITELKKLESKINKVF)を含む。好ましい実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号7の配列からなる。配列番号7の長さは18アミノ酸であり、破傷風毒素(TTx)の配列に由来する。TTxは、嫌気性条件下で破傷風菌(Clostridium tetani)の栄養胞子によって産生される神経毒であり、ヒトにおいて破傷風を引き起こす。TTxアミノ酸配列は、UniProtアクセッション番号P04958及び配列表の配列番号3に記載されている。TTxは、破傷風菌(C. tetani)によって単一のポリペプチド鎖として合成され、タンパク質分解されて、アミノ末端に由来する軽鎖(LC;アルファ鎖としても知られる)及びカルボキシル末端に由来する重鎖(HC;ベータ鎖としても知られる)の2つの断片が得られる。TTx軽鎖及び重鎖は、それぞれ配列表の配列番号4及び5によって表される。TTxでは、軽鎖と重鎖がジスルフィド結合によって連結される。配列番号7は、TTx重鎖のアミノ酸381~398、すなわち配列番号5のアミノ酸381~398に対応する。
【0218】
コンジュゲートのB細胞エピトープの機能(以下でさらに詳細に説明する)は、コンジュゲートを抗原提示細胞(APC)に指向させるために、対象内の循環抗体に結合することである。(西側世界では)大多数の人が小児期に破傷風に対して免疫化されており、集団の大部分がTTxに対する循環抗体を有すると予想されるため、TTx由来のB細胞エピトープを有することは有利である。
【0219】
配列番号7は、アミノ酸配列「GITELKKL」(配列表の配列番号6によって表される)を含み、より具体的には、配列番号6は、配列番号7のアミノ酸位置3~10に位置することを理解されたい。配列番号6は、TTx重鎖のアミノ酸383~390、すなわち配列番号5のアミノ酸383~390に対応する。
【0220】
第1の実施形態では、配列番号7の配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、配列番号7の配列を含む第1、第2及び第3のポリペプチドである。換言すれば、コンジュゲートは、配列番号7の配列を含むポリペプチドの3つのコピーを含む。代替的実施形態では、配列番号7の配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、単一のポリペプチド又は第1及び第2のポリペプチドである。一実施形態では、コンジュゲートは、さらなる物質を含む。すなわち、コンジュゲートは、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに加えて、さらなる物質を含む。一実施形態では、さらなる物質は、さらなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、さらなるポリペプチドは、エピトープの配列を含む。一実施形態では、エピトープは、免疫応答を誘発することができる抗原の任意の配列である。一実施形態では、エピトープの配列は、さらなるT細胞エピトープ、好ましくは、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープである。さらなる実施形態では、コンジュゲートは、配列番号7の配列を含む4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるポリペプチドを含む。
【0221】
代替的実施形態では、コンジュゲートのB細胞エピトープは、配列番号7のものと異なる配列を有する。一実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号5(すなわちTTx重鎖)において連続しており、及び配列表の配列番号6によって表されるアミノ酸配列「GITELKKL」を含む少なくとも10個のアミノ酸を含む、異なる配列を含む。一実施形態では、異なる配列は、配列番号5において連続しており、及び配列表の配列番号6によって表されるアミノ酸配列「GITELKKL」を含む、少なくとも12、15又は18個のアミノ酸を含む。さらなる実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号5において連続しており、及び配列表の配列番号6によって表されるアミノ酸配列「GITELKKL」を含む、少なくとも20、25、30、35、40、45又は50個のアミノ酸を含む、配列を含む。一実施形態では、B細胞エピトープは、上記のような配列のいずれか1つからなる。
【0222】
一実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号59~115のいずれか1つから選択される配列を含む。さらなる実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号59~115のいずれか1つから選択される配列からなる。
【0223】
さらなる代替的実施形態では、B細胞エピトープは、配列表の配列番号6によって表されるアミノ酸配列「GITELKKL」を含むもの以外の、配列番号5において連続している、少なくとも10個のアミノ酸を含む。すなわち、B細胞エピトープは、配列番号5の配列の異なる領域に由来する。なおさらなる実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号3において連続している少なくとも10個のアミノ酸を含む。
【0224】
一実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、配列番号5の配列を含まない。すなわち、B細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドは、TTx重鎖の完全配列を含まない。一実施形態では、B細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドは、500、400、300、200又は100アミノ酸以下の長さである。さらなる実施形態では、B細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドは、90、80、75、70、60、50、40又は30アミノ酸以下の長さである。
【0225】
さらなる実施形態では、B細胞エピトープ及び/又はB細胞エピトープの配列を含むポリペプチドは、前述の配列の1つに対して正確な配列同一性を有しない。代わりに、ポリペプチド及び/又はB細胞エピトープは、上記に示されるものと少なくとも70%の配列同一性を有する。好ましくは、上記のものに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性。アミノ酸配列の任意の付加又は置換が元のアミノ酸側鎖の特性の保存をもたらすことも好ましい。すなわち、置換又は修飾は、「保存的」である(上記のとおり)。
【0226】
一実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号7の配列に対して100%未満の配列同一性を有する配列を含むか又はそれからなるが、配列番号7の位置3~5及び11に相当する位置のアミノ酸は、配列番号7の位置3~5及び11のアミノ酸から変化していない。
【0227】
前述のB細胞エピトープの1つに対し100%の配列同一性を有しないB細胞エピトープは、「バリアントB細胞エピトープ」と呼ばれる。TTxに由来するバリアントB細胞エピトープ(例えば、配列番号3~5のいずれか1つに由来する)が抗TTx抗体によって結合できることが重要である。一実施形態では、配列番号3~5のいずれか1つに由来するバリアントB細胞エピトープが抗TTx抗体に結合することの確認は、Tettox ELISAを使用して達成される。「Tettox ELISA」は、抗TTx抗体に特異的なELISAアッセイである。当業者であれば、抗TTx抗体が、配列番号3~5のいずれか1つに由来する目的の特定のバリアントB細胞エピトープに結合するかどうかを同定するためにELISAアッセイを実施する方法を理解するであろう。このようなバリアントB細胞エピトープは、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、化学合成によって生成され得る。抗TTx抗体は、破傷風トキソイドワクチンを受けたヒトドナーからポリクローナル抗体血清として取得され得る。例示的なTettox ELISAプロトコルは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/115483号に詳細に記載されている。
【0228】
代替的実施形態では、B細胞エピトープは、破傷風毒素ではないタンパク質又はポリペプチドに由来する。
【0229】
本発明のコンジュゲートは、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドも含む。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域を含む。
【0230】
ユニバーサル腫瘍抗原は、高い割合の腫瘍タイプで発現される抗原である。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、正常(すなわち非癌性)組織では広く発現されない。一実施形態では、これは、正常組織の限られたサブセットで発現される。さらなる実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、各腫瘍タイプ内の高い割合の患者で発現される。癌は不均一な疾患であり、異なる腫瘍タイプ間及び同じ腫瘍タイプ内の患者間で高度な多様性が存在する。ユニバーサル腫瘍抗原を標的化することにより、患者集団にわたる(すなわち癌及び/又は腫瘍タイプ内及びその間の)癌療法の適用可能性が改善する。
【0231】
本発明の第1の実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、テロメラーゼ酵素のテロメラーゼ逆転写酵素サブユニット(ヒトについては「TERT」又は「hTERT」)である(上記のとおり)。テロメラーゼは、骨髄及び胃腸管の幹細胞などの特定の正常組織で発現する。しかし、テロメラーゼ酵素は全てのヒトの癌の大部分で活性化されていることが観察されている(例えば、Kim et al., Science. 1994 266(5193): 2011-5;Shay & Wright, FEBS Lett. 2010 584(17): 3819-25)。テロメラーゼ酵素の発現がなければ、細胞のテロメアは徐々に失われ、細胞の細胞分裂の各ラウンドで染色体の完全性が低下し、最終的に細胞のアポトーシスを引き起こすため、テロメラーゼはヒトの癌の大部分で活性化されていると考えられている。したがって、テロメラーゼ酵素の発現がなければ、プログラムされた細胞死が通常デフォルトで起こるため、テロメラーゼ酵素の発現は、癌細胞が発生するために一般に必要である。癌におけるテロメラーゼ活性化の役割を考慮すると、TERT/hTERTからのポリペプチドはユニバーサル腫瘍抗原とみなされる。
【0232】
好ましい実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、配列番号1(すなわちALFSVLNYERARRPGLLGASVLGLDDIHRA)、配列番号116(すなわちLSEAEVRQHREARPALLTSRLRFIPKPDGL)及び/又は配列番号117(すなわちHREARPALLTSRLRFIPKPDGLRPIVNMDY)の配列を含む。CD4+T細胞エピトープは、配列番号1、116及び/又は117の配列からなることが好ましい。より好ましくは、CD4+T細胞エピトープは、配列番号1又は116の配列を含むか又はそれからなる。配列番号1、116又は117のポリペプチドは、それぞれ30アミノ酸の長さである。配列番号1、116及び117は、それぞれhTERTの30個のアミノ酸断片からなる。
【0233】
他の実施形態では、少なくとも12個のアミノ酸を含む、配列番号1、116又は117の免疫原性断片が提供される。一実施形態では、免疫原性断片は、配列番号1、116又は117の12個のアミノ酸からなる。代替的実施形態では、免疫原性断片は、配列番号1、116又は117の、少なくとも13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28又は29個のアミノ酸を含む。さらなる実施形態では、免疫原性断片は、配列番号1、116又は117の、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28又は29個のアミノ酸からなる。配列番号1の例示的な免疫原性断片には、配列番号12~35に示されるものが含まれる。
【0234】
第1の実施形態では、配列番号1、116又は117の配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、単一のポリペプチドである(すなわち、コンジュゲートは、配列番号1の配列を含む1つのポリペプチドを含有する)。代替的実施形態では、配列番号1、116又は117の配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは第1のポリペプチドであり、コンジュゲートは複数のポリペプチドを含み、そのそれぞれが配列番号1、116又は117から選択される配列をコードする。一実施形態では、コンジュゲートは、配列番号1の配列を含むポリペプチド及び配列番号116の配列を含むポリペプチドを含む。
【0235】
さらなる実施形態では、コンジュゲートは、さらなる物質を含む。すなわち、コンジュゲートは、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに加えて、さらなる物質を含む。一実施形態では、さらなる物質は、さらなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、さらなるポリペプチドは、エピトープの配列を含む。一実施形態では、エピトープは、免疫応答を誘発することができる抗原の任意の配列である。一実施形態では、エピトープの配列は、さらなるT細胞エピトープ、好ましくは、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープである。いくつかの実施形態では、さらなるCD4+T細胞エピトープは、配列番号1、116又は117の配列を含むものと異なることを理解されたい。一実施形態では、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープは、それぞれCD4+T細胞又はCD8+T細胞によって認識することができる任意の配列である。一実施形態では、コンジュゲートは、配列番号1、116又は117の配列を含むポリペプチドと、それぞれがエピトープを含む、さらに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるポリペプチドとを含む。
【0236】
したがって、いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに加えて、さらなる物質を含む。
【0237】
一実施形態では、配列番号1、116又は117の配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、さらなるT細胞エピトープの配列を含む。一実施形態では、さらなるT細胞エピトープは、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープである。一実施形態では、少なくとも1つのポリペプチドは、配列番号1の配列を含み、さらなるT細胞エピトープは、配列番号116又は117、好ましくは配列番号116の配列を含む。代替的実施形態では、さらなるT細胞エピトープは、配列番号1、116又は117のものと異なる配列を含む。したがって、いくつかの実施形態では、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープは、それぞれCD4+T細胞又はCD8+T細胞によって認識することができる任意の配列である。さらなるCD4+T細胞エピトープを含む特定の実施形態では、配列番号1、116又は117の配列及びさらなるCD4+T細胞エピトープの配列は、少なくとも1つのポリペプチド内で連続的に及び/又は重複して配置される。CD8+T細胞エピトープを含む特定の実施形態では、CD8+T細胞エピトープは、配列番号1、116又は117の配列内に含まれる。すなわち、配列番号1、116又は117の配列は、CD8+T細胞エピトープの配列を包含する。代替的実施形態では、配列番号1、116又は117の配列及びCD8+T細胞エピトープは、少なくとも1つのポリペプチド内で連続的に及び/又は重複して配置される。エピトープが連続的に配置される実施形態では、2つのエピトープ間の介在配列は、存在しても又はしなくてもよい。
【0238】
いくつかの実施形態では、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープ(配列番号1、116若しくは117の同じポリペプチド内に含まれるか、又はコンジュゲート中のさらなるポリペプチド内に含まれる)は、自己抗原、腫瘍関連抗原及び/又はユニバーサル腫瘍抗原に由来する。一実施形態では、CD8+T細胞エピトープは、前立腺癌関連抗原、好ましくは、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)に由来する。一実施形態では、CD8+T細胞エピトープは、PAPに由来する配列「NPILLWQPIPV」(配列番号119)を含む。好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリペプチドは、連続的に配置された配列番号1及び配列番号119の配列を含む。一実施形態では、配列番号1及び配列番号119の配列は、以下のように連続的に配置され:ALFSVLNYERARRPGLLGASVLGLDDIHRANPILLWQPIPV(配列番号125)、さらなる実施形態では、配列番号1及び配列番号119の順序が反転する。
【0239】
さらなる実施形態では、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープ(配列番号1、116若しくは117の同じポリペプチド内に含まれるか、又はコンジュゲート中のさらなるポリペプチド内に含まれる)は、配列番号47~51及び/又は45のいずれか1つに含まれる。一実施形態では、さらなるCD4+T細胞エピトープは、配列番号39及び41~45の1つ以上を含む。一実施形態では、さらなるCD8+T細胞エピトープは、配列番号155~159の1つ以上を含む。一実施形態では、さらなるCD4+T細胞エピトープ及び/又はCD8+T細胞エピトープは、図8C(「SLP」)に示す配列又はその断片を含む。
【0240】
異なる長さのポリペプチドは、異なるT細胞応答を誘発することを理解されたい。上述のようなユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸を含むポリペプチドは、MHCクラスII分子上に提示され、したがってCD4+T細胞応答を誘発するのに適切な長さである(すなわち、MHCクラスII分子上に提示されるポリペプチドは、典型的には、12~24アミノ酸の長さであるため)。対照的に、CD8+T細胞応答を誘発するには、ポリペプチドがMHCクラスI分子上に存在する必要があり、これは、典型的には、長さが8~10アミノ酸残基のより短いポリペプチドにのみ結合する。
【0241】
本発明の特定のCD4+T細胞エピトープ(例えば、配列番号1、116及び117)は、MHCクラスII分子に通常収容されるものよりも長いことに留意されたい。この長さのポリペプチドは、合成長鎖ペプチド(SLP)であり、より強力な免疫応答を誘導することが示されている(例えば、Welters et al., Clin Cancer Res. 2008 Jan 1; 14(1): 178-87;Rosalia et al., Eur J Immunol. 2013 Oct; 43(10): 2554-65)。理論に拘束されることを望むものではないが、特定の実施形態におけるそのようなポリペプチドは、対象へのそれらの投与後、細胞によって飲食され/取り込まれ、プロテアソーム内でタンパク質分解を受け、その後、MHCクラスII(及び/又はクラスI)分子上に提示されると考えられる。したがって、そのようなポリペプチドは、MHCクラスII(及び/又はMHCクラスI)拘束性T細胞応答を引き起こすことができる。このような実施形態では、本発明のCD4+T細胞エピトープの一部は、MHCクラスII分子によって提示され、CD4+T細胞応答を誘発するためにCD4+T細胞のT細胞受容体によって結合されることを理解されたい。より長鎖のポリペプチドは、より短鎖のポリペプチドよりも長期間、対象内に存在し、したがってそれらが免疫応答を誘発し得る期間がより長いことも理解されたい。これは、比較的低いMHC結合親和性を有するポリペプチドに関して特に重要である。
【0242】
上記実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、hTERTの少なくとも12個のアミノ酸の領域を含む。代替的実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、hTERT以外のユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域を含む。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、サバイビン、DNAトポイソメラーゼ2-アルファ(Top2α)、シトクロムP450 1B1(CYP1B1)及びE3ユビキチン-タンパク質リガーゼMdm2からなる群から選択される。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、サバイビンである(Sorensen et al., Cancer Biol Ther. 2008 7(12): 1885-7;Wobser et al., Cancer Immunol Immunother. 2006 55(10): 1294-8)。サバイビン(バキュロウイルスIAPリピート含有タンパク質5としても知られる)は、ヒトのBIRC5遺伝子によってコードされており、アポトーシスの阻害剤である。サバイビンの142アミノ酸アイソフォームは、UniProtKB参照番号O15392(アイソフォーム1)に記載されており、配列番号8にも記載されている。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、DNAトポイソメラーゼ2-アルファ(Top2α)である(Park et al., Cancer Immunol Immunother. 2010 (5): 747-57)。DNAトポイソメラーゼ2-アルファは、ヒトのTOP2A遺伝子によってコードされており、DNA鎖の一時的な切断及びその後の再結合によってDNAの形態的状態を制御する。トポイソメラーゼIIは、二本鎖を切断する。DNAトポイソメラーゼ2-アルファの1,531アミノ酸アイソフォームは、UniProtKB参照番号P11388(アイソフォーム1)に記載されており、配列番号9にも記載されている。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、シトクロムP450 1B1(CYP1B1)である(Gribben et al., Clin Cancer Res. 2005 11(12): 4430-6)。シトクロムP450 1B1は、ヒトのCYP1B1遺伝子によってコードされており、様々な生体異物及び内因性化合物の代謝に関与している。シトクロムP450 1B1の543個のアミノ酸配列は、UniProtKB参照番号Q16678に記載されており、配列番号10にも記載されている。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼMdm2である(Gordan and Vonderheide, Cytotherapy. 2002; 4(4): 317-27)。E3ユビキチン-タンパク質リガーゼMdm2は、ヒトのMDM2遺伝子によってコードされており、p53腫瘍抑制因子の負の制御因子である。E3ユビキチン-タンパク質リガーゼMdm2の491アミノ酸アイソフォームは、UniProtKB参照番号Q00987(アイソフォームMdm2)に記載されており、配列番号11にも記載されている。
【0243】
好ましい実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも13、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個のアミノ酸の領域を含む。特に好ましい実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の13、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個のアミノ酸の領域からなる。上記で論じたように、配列番号1、116又は117は、それぞれhTERTの30個のアミノ酸の領域からなる。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さである。さらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドは、400、300、200、170、150、125、100、90、80、70、75、60、50、40又は30アミノ酸以下の長さである。
【0244】
一実施形態では、「ユニバーサル腫瘍抗原」は、癌/精巣抗原1(NY-ESO-1)、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)及び/又はグルタミン酸カルボキシペプチダーゼ2(GCPII)ではない。NY-ESO-1は、一般に、各腫瘍タイプ内で高い割合の患者で発現されないため、本明細書で使用される「ユニバーサル腫瘍抗原」という用語には包含されないことを理解されたい(Ishihara et al. BMC Cancer. 2020; 20: 606)。さらに、PAP及びGCPIIは前立腺癌関連タンパク質であるため、本明細書で使用される「ユニバーサル腫瘍抗原」という用語にも包含されないことを理解されたい。NY-ESO-1はヒトのCTAG1A遺伝子によってコードされており、UniProtアクセッション番号P78358を有する。NY-ESO-1のアミノ酸配列を配列番号36に示す。PAPはヒトのACPP遺伝子によってコードされており、UniProtアクセス番号P15309を有する。PAPのアミノ酸配列を配列番号37に示す。GCPII(前立腺特異的膜抗原[PSMA]としても知られている)は、ヒトのFOLH1遺伝子によってコードされており、UniProtアクセッション番号Q04609を有する。GCPIIのアミノ酸配列を配列番号38に示す。
【0245】
一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域を含むCD4+T細胞エピトープは、配列番号39~45のいずれか1つの配列を含まない。配列番号39(すなわちGQDLFGIWSKVYDPL)及び40(すなわちTEDTMTKLRELSELS)は、PAPから派生し;配列番号41~44(すなわちそれぞれGKVFRGNKVKNAQLA、TGNFSTQKVKMHIHS、NYTLRVDCTPLMYSL、RQIYVAAFTVQAAAE)は、GCPIIから派生し;配列番号45(すなわちGARGPESRLLEFYLAMPFATPMEAELA)は、NY-ESO-1に由来する。
【0246】
CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸を含むことに加え、集団の少なくとも50%において免疫原性を有する。すなわち、CD4+T細胞エピトープは、集団内の50%以上の個人において免疫応答を誘発することができる。好ましい実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、集団の55%以上又は60%以上において免疫原性である。特に好ましい実施形態では、CD4+T細胞免疫応答は、集団の65%以上において免疫原性である。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、配列番号1の配列を含み、集団の65%以上において免疫原性である。さらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、配列番号116又は117の配列を含み、集団の少なくとも50%において免疫原性である。配列番号116又は117の配列を含むポリペプチドは、ワクチン接種を受けた個体の少なくとも50%において免疫応答を誘導することが報告されている、EARPALLTSRLRFIPK(配列番号126)の配列を含むことを理解されたい(例えば、Bernhardt et al. Br J Cancer. 2006 Dec 4; 95(11): 1474-82;Inderberg-Suso et al. 2012;及びKyte et al. Clin Cancer Res July 1 2011 (17) (13) 4568-4580を参照されたい)。これらの配列は、実施例5及び6でさらに分析される。
【0247】
第1の実施形態では、集団は、一般集団である。すなわち、集団は、健康な個人及び癌などの疾患を有する個人の両方を含む。代替的実施形態では、集団は、癌患者である個人からなる。さらなる実施形態では、癌患者は、非小細胞肺癌、前立腺癌及び/又は悪性黒色腫を有する患者である。一実施形態では、集団は、膵臓癌を有する癌患者をさらに含む。
【0248】
集団が免疫原性であるために、CD4+T細胞エピトープ(又はその一部)は、集団中に存在するHLAクラスII分子上に提示(すなわち結合)できなければならないことを理解されたい。世界中の様々な地域におけるHLAクラスII対立遺伝子の頻度を表1に示す(Dosset et al., Cancers. 2020 Jun 25; 12(6): E1687から適合)。「頻度」は、各対立遺伝子を保有する集団内の個人の割合を意味する。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープ(又はその一部)は、集団中に10%以上の頻度で存在する1つ以上のHLAクラスII対立遺伝子によって結合される。一実施形態では、集団中に10%以上の頻度で存在するHLAクラスII対立遺伝子は、DRB101、DPA101、DPA102、DPB102、DPB103、DPB104、DQA101、DQA102、DQA103、DQB102、DQB103からなる群から選択される。さらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープ(又はその一部)は、集団中に40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%、70%、80%、90%、95%以上又は100%の頻度で存在する1つ以上のHLAクラスII対立遺伝子によって結合される。一実施形態では、集団中に40%以上の頻度で存在するHLAクラスII対立遺伝子は、DPA101、DPA102、DPB102、DPB103、DPB104、DQA101、DQA103、DQB102及びDQB103からなる群から選択される。
【0249】
一実施形態では、CD4+T細胞エピトープ(又はその一部)は、HLA-DRB115、HLA-DRB107、HLA-DRB104、HLA-DQB106、HLA-DQB103、HLA-DQB105、HLA-DPB104及びHLA-DPB101からなる群から選択される1つ以上のHLAクラスII対立遺伝子によって結合される。特に好ましい実施形態では、CD4+T細胞エピトープ(又はその一部)は、HLA-DRB115:01、HLA-DRB107:01、HLA-DRB104:01、HLA-DQB106:02、HLA-DQB103:02、HLA-DQB105:01、HLA-DPB104:01、HLA-DPB104:02及びHLA-DPB101:01からなる群から選択される1つ以上のHLAクラスII対立遺伝子によって結合される。さらに好ましい実施形態では、CD4+T細胞エピトープ(又はその一部)は、HLA-DRB115:01、HLA-DRB107:01、HLA-DRB104:01、HLA-DQB106:02、HLA-DQB105:01、HLA-DPB104:01、HLA-DPB104:02、さらにより好ましくは、HLA-DRB115:01及び/又はHLA-DRB107:01からなる群から選択される1つ以上のHLAクラスII対立遺伝子によって結合される。上述のHLAクラスII対立遺伝子を有する個体は、配列番号1のポリペプチドに対する免疫応答を誘発することが示されている。
【0250】
集団におけるHLAクラスII対立遺伝子の頻度は地理的地域に応じて異なり得ることを理解されたい(例えば、表1を参照されたい)。一実施形態では、集団は、ヨーロッパ集団である。代替的実施形態では、集団は、北アメリカ集団、南/中央アメリカ集団、北アフリカ集団、サハラ以南アフリカ集団、西アジア集団、北東アジア集団、東南アジア集団及び/又はオーストラリア集団である。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープ(又はその一部)は、前述の集団の1つにおいて10%以上、好ましくは40%又は50%以上、より好ましくは60%、70%、80%、90%、95%以上又は100%の頻度で存在する1つ以上のHLAクラスII対立遺伝子によって結合される。
【0251】
一実施形態では、集団がヨーロッパ集団である場合、HLAクラスII対立遺伝子は、DPA101、DPB103、DPB104、DQA101及びDQB102からなる群から選択される少なくとも1つである。一実施形態では、集団が北アメリカ集団である場合、HLAクラスII対立遺伝子は、DPA101、DPB104、DQA103及びDQB103からなる群から選択される1つ以上である。一実施形態では、集団が南/中央アメリカ集団である場合、HLAクラスII対立遺伝子は、DPA101、DPA102、DPB104、DQA101、DQA103及びDQB103からなる群から選択される1つ以上である。一実施形態では、集団が北アフリカ集団である場合、HLAクラスII対立遺伝子は、DQB102である。一実施形態では、集団がサハラ以南のアフリカ集団である場合、HLAクラスII対立遺伝子は、DPA101、DPA102、DPB104、DQA101及びDQB103からなる群から選択される1つ以上である。一実施形態では、集団が西アジア集団である場合、HLAクラスII対立遺伝子は、DPB104、DQA101、DQB102及びDQB103からなる群から選択される1つ以上である。一実施形態では、集団が北東アジア集団である場合、HLAクラスII対立遺伝子は、DPA101、DPA102、DPB102、DPB104、DQA101、DQA103及びDQB103からなる群から選択される1つ以上である。一実施形態では、集団が東南アジア集団である場合、HLAクラスII対立遺伝子は、DPA101、DPA102、DPB104、DQA101及びDQB103からなる群から選択される1つ以上である。表1から、前述のHLAクラスII対立遺伝子は、一般に、前述の集団中に40%以上の頻度で存在することを理解されたい。
【0252】
CD4+T細胞エピトープ(又はその一部)は、集団中の複数の異なるHLAクラスII対立遺伝子によって結合され得ることを理解されたい。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上又は全て)の前述の異なるHLAクラスII対立遺伝子によって結合される。集団内でより高い頻度で存在する1つ又は複数のHLAクラスII対立遺伝子に結合することは、集団のより高い割合でCD4+T細胞エピトープが免疫原性であることを示唆するため、すなわち、集団内のより高い割合の個体が、CD4+T細胞応答を誘発するためにCD4+T細胞エピトープ(又はその一部)を提示できる適切なHLAクラスII対立遺伝子を保有するため、好ましい。
【0253】
【表1】
【0254】
さらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープ及び/又はCD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチドは、前述の配列の1つに対して正確な配列同一性を有しない。代わりに、ポリペプチド及び/又はCD4+T細胞エピトープは、上記に示されるものと少なくとも80%の配列同一性を有する。好ましくは、上記のものに対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性。アミノ酸配列の任意の付加又は置換が元のアミノ酸側鎖の特性の保存をもたらすことも好ましい。すなわち、置換又は修飾は、「保存的」である(上記のとおり)。
【0255】
CD4+T細胞エピトープ(特にその配列が上記のように変更されたもの)は、CD4+T細胞応答を誘導することができる。すなわち、CD4+T細胞エピトープは、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)によって適切なMHCクラスII分子上に提示された場合、CD4+(ヘルパー)T細胞を誘導できるはずである。CD4+T細胞免疫応答が誘導されていることの確認は、上記のT細胞増殖アッセイ(H-チミジン)を使用して達成することができる。
【0256】
コンジュゲートは、上記のようなB細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを含む場合、上述のポリペプチドの任意の組み合わせを含有し得る。B細胞エピトープの配列は、CD4+T細胞エピトープの配列と異なることを理解されたい。一実施形態では、B細胞エピトープの配列は、CD4+T細胞エピトープの配列を含まない。さらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープの配列は、B細胞エピトープの配列を含まない。
【0257】
さらなる実施形態では、本明細書に定義されるコンジュゲートのいずれか1つのカクテル(すなわち混合物)が提供される。いくつかの実施形態では、コンジュゲートのカクテルは、配列番号1、116及び117から選択されるCD4+T細胞エピトープの配列を含む、少なくとも2つの異なるコンジュゲートを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、前記CD4+T細胞エピトープの免疫原性断片を含むコンジュゲートを含み、免疫原性断片は、少なくとも12個のアミノ酸を含む。さらなる実施形態では、カクテル中のコンジュゲート又は各コンジュゲートは、配列番号1、116若しくは117の配列又はその免疫原性断片に対して少なくとも80%の配列同一性を有するCD4+T細胞エピトープの配列を含む。配列は、上記のものに対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有することが特に好ましい。好ましい実施形態では、カクテル中のコンジュゲートは、配列番号1及び116のCD4+T細胞エピトープの配列又は少なくとも12個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含む。一実施形態では、各コンジュゲート内に含まれる、CD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチドは、500アミノ酸以下、好ましくは400、300、200、170、150、125、100、90、80、70、75、60、50、40又は30アミノ酸以下の長さである。少なくとも2つのコンジュゲートは、配列番号1、116及び117から選択される異なるCD4+T細胞エピトープに基づくという意味で異なることが好ましい。
【0258】
いくつかの実施形態では、B細胞エピトープの配列を含むポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列及び/又はCD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列を含む分子が提供される。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のヌクレオチド配列は、B細胞エピトープ及び/又はCD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチドの断片をコードする。一実施形態では、分子は、核酸分子である。特定の実施形態では、分子又は核酸分子は、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間に介在配列を含む。
【0259】
さらなる実施形態では、上記の核酸分子又はその断片を含むベクターが提供される。使用される特定のベクターは、核酸分子が発現される宿主生物又は細胞、宿主細胞を形質転換するために使用される方法及び/又はタンパク質発現(又はベクターの他の意図された用途)に使用される方法に依存し得る。一実施形態では、ベクターは、細胞内への核酸分子の送達及び/又は対象への核酸分子の投与のために使用される。
【0260】
一実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、非共有結合又は共有結合され得る。好ましくは、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、共有結合され得る。
【0261】
一実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、直接的に連結され得る。別の実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、間接的に連結され得る。
【0262】
一実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、コアを介して連結され得、
コアは、連結前に、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成し、及び第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成する。
【0263】
好ましい実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、本明細書に定義されるコア構造を介してコンジュゲート内で連結される。すなわち、好ましい実施形態では、B細胞エピトープの配列及びCD4+T細胞エピトープの配列は、単一のポリペプチド鎖内で連続的に及び/又は重複して配置されない。
【0264】
図18は、本発明の一実施形態によるコンジュゲートの概略図を示す。
【0265】
一実施形態では、連結前に、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、独立して、それぞれ本明細書に定義される第1の連結基及び本明細書に定義される第2の連結基とのカップリング反応を受けるように構成された反応性官能基を含み得る。例えば、反応性官能基は、天然アミノ酸残基(例えば、システイン残基のチオール基)上に存在し得る。他の場合、天然アミノ酸残基は、反応性官能基(例えば、アジドリジン残基のアジド基又はアルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド又はα-ハロカルボニル)を含むように修飾され得る。反応性官能基の好ましい例には、チオール基及びアジド基が含まれる。
【0266】
一実施形態では、反応性官能基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及び/又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドのC末端に提供され得る。別の実施形態では、反応性官能基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及び/又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドのN末端に提供され得る。
【0267】
一実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、独立してシステイン残基を含み得る。いくつかの実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、独立して1つのみのシステイン残基を含み得る。
【0268】
一実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、独立してアジドリジン(すなわちK(N))残基を含み得る。いくつかの実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、独立して1つのみのアジドリシン残基を含み得る。
【0269】
一実施形態では、連結前に、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、独立してスペーサー配列を含み得る。代替的実施形態では、スペーサーは、コア内に含まれる(例えば、本体部分と第1の連結基との間又は本体部分と第2の連結基との間)。B細胞エピトープの配列又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、それぞれB細胞エピトープ又はCD4+T細胞エピトープのN末端及び/又はC末端のいずれかにスペーサー配列を含み得る。一実施形態では、スペーサー配列は、反応性官能基とエピトープ配列との間にある。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド内に含まれる。好ましい実施形態では、スペーサー配列は、アミノ酸配列を含む。一実施形態では、スペーサー配列の長さは、10アミノ酸である。さらなる実施形態では、スペーサー配列は、1~20、1~15又は1~12個のアミノ酸、好ましくは、3~12、6~12又は9~12個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、AEKYARVRAK(配列番号127)、AAKYARVRAK(配列番号128)、AAKYARVRAKC(配列番号129)若しくはSSAFADVEAA(配列番号154)の配列又はそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%の配列同一性を有する配列を含むか又はそれからなる。好ましくは、スペーサー配列は、AEKYARVRAK(配列番号127)の配列を含むか又はそれからなる。しかし、スペーサー配列は、前述の配列に限定されず、当業者であれば代替のスペーサー配列を認識するであろう。一実施形態では、スペーサー配列は、コンジュゲートの特性(例えば、溶解性及び/又は構造特性)に寄与する。
【0270】
一実施形態では、第1の接続要素及び第2の接続要素は、1,2,3-トリアゾール結合、ジヒドロピリダジン結合、ピリダジン結合及びスルフィド結合(例えば、チオール-エン反応から形成される)から独立して選択される。好ましくは、第1の接続要素及び第2の接続要素は、1,2,3-トリアゾール結合及びスルフィド結合から独立して選択される。より好ましくは、第1の接続要素及び第2の接続要素は、
【化19】
から独立して選択され、式中、
は、-(CHax11-及び-(CHax12-X12-から選択され;
12は、O、NR12又はSから選択され;
12は、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリール;好ましくは水素及び任意選択により置換されたアルキルから選択され;
は、N又はCHから選択され;
ax11及びax12は、0~12から独立して選択され、
波線は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープ及び/又はコアの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドへの接続点を表す。
【0271】
一実施形態では、第3の接続要素は、1,2,3-トリアゾール結合、ジヒドロピリダジン結合、ピリダジン結合及びスルフィド結合(例えば、チオール-エン反応から形成される)から選択される。好ましくは、第3の接続要素は、1,2,3-トリアゾール結合から選択される。より好ましくは、第3の接続要素は、
【化20】
から独立して選択され、式中、
は、-(CHax11-及び-(CHax12-X12-から選択され;
12は、O、NR12又はSから選択され;
12は、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリール;好ましくは水素及び任意選択により置換されたアルキルから選択され;
は、N又はCHから選択され;
ax11及びax12は、0~12から独立して選択され、
波線は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープ及び/又はコアの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドへの接続点を表す。
【0272】
好ましくは、ax11及びax12は、1~12から独立して選択される。より好ましくは、ax11及びax12は、1~6から独立して選択される。さらにより好ましくは、ax11及びax12は、1~4から独立して選択される。
【0273】
好ましくは、X12は、O又はNR12であり得る。より好ましくは、X12は、Oであり得る。
【0274】
コアに関する他の好ましい実施形態は、以下でさらに詳細に説明され、コンジュゲートにも同様に適用される。
【0275】
本発明の別の態様によれば、コンジュゲートであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;及び
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド
を含み、
B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、コアを介して連結され、コアは、連結前に、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
コアは、
【化21】
ではなく;
第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成し、及び第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成する、コンジュゲートが提供される。コンジュゲートに関する他の好ましい実施形態は、上記で説明されており、このコンジュゲートにも同様に適用される。コアに関する他の好ましい実施形態は、以下でさらに詳細に説明され、このコンジュゲートにも同様に適用される。
【0276】
本発明の別の態様によれば、中間コンジュゲートであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド;又は
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド
を含み、
B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、コアに連結され、コアは、連結前に、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
コアは、
【化22】
ではなく;
第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成するか、又は第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成する、中間コンジュゲートが提供される。コンジュゲートに関する他の好ましい実施形態は、上記で説明されており、中間コンジュゲートにも同様に適用される。コアに関する他の好ましい実施形態は、以下でさらに詳細に説明され、中間コンジュゲートにも同様に適用される。
【0277】
一実施形態では、コンジュゲートは、
【化23】
【化24】
【化25】
から選択され得る。
【0278】
コア
本発明の別の態様によれば、コアであって、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交している、コアが提供される。
【0279】
一実施形態では、本体部分は、B細胞エピトープを含むポリペプチドが1つ以上の第1の連結基に結合すると、B細胞エピトープに特異的な抗体がB細胞エピトープに結合できるように構成される。
【0280】
一実施形態では、コアは、
【化26】
ではない。任意選択により、これは、本発明のコンジュゲート、中間コンジュゲート又は方法にも適用され得る。しかし、本発明のコンジュゲート、中間コンジュゲート又は方法は、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0281】
コア自体に関連する実施形態では、コアは、
【化27】
【化28】
ではない。任意選択により、これは、本発明のコンジュゲート、中間コンジュゲート又は方法にも適用され得る。しかし、本発明のコンジュゲート、中間コンジュゲート又は方法は、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0282】
本発明によるコアは、一般に、以下のコアなどの他のコアと比較して、より効率的に合成される。
【化29】
【0283】
特に、上記に示したコアの合成の全収率は、およそ0.5%であり、合成の完了におよそ14日間かかる。
【0284】
対照的に、本発明によるコア(特に式2の本体部分を有する化合物について)は、より高い収率(一般に0.5%の60倍まで)及びより短い時間スケール(一般に約5日間)で合成することができる。さらに、本発明によるコアは、より少ない反応ステップ及びより少ない精製ステップ(特にサイズ排除クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー及び結晶化)を使用して合成することができる。さらに、本発明のコアを使用すると、ヒドラジン水和物、アジ化ナトリウム及びジクロロメタンなどの危険な化学物質の使用を回避することができる。
【0285】
さらに、本発明によるコアは、より高い結合効率の達成を可能にする。
【0286】
式2の本体部分を有するコアは、天然アミノ酸ベースであり得る。
【0287】
一実施形態では、第1の連結基及び第2の連結基の少なくとも1つは、2つ以上の第1の連結基又は第2の連結基を含み得る。
【0288】
一実施形態では、第1の連結基は、B細胞エピトープに連結可能であるように構成され得る。例えば、第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含むポリペプチドに連結可能であるように構成され得る。
【0289】
一実施形態では、コアは、2つ以上の第1の連結基を含み得る。好ましくは、コアは2~4個の第1の連結基を含み得る。より好ましくは、コアは、2つ又は3つの第1の連結基を含み得る。さらにより好ましくは、コアは、3つの第1の連結基を含み得る。
【0290】
一実施形態では、第2の連結基は、T細胞エピトープに連結可能であるように構成され得る。例えば、第2の連結基は、T細胞エピトープの配列を含むポリペプチドに連結可能であるように構成され得る。好ましくは、T細胞エピトープは、CD4+及び/又はCD8+T細胞エピトープである。
【0291】
一実施形態では、コアは、1~4つの第2の連結基を含み得る。好ましくは、コアは、1つ又は2つの第2の連結基を含み得る。より好ましくは、コアは、1つの第2の連結基を含み得る。
【0292】
一実施形態では、コアは、3つの第1の連結基及び少なくとも1つの第2の連結基を含む。一実施形態では、3つの第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含むポリペプチドに連結可能であるようにそれぞれ構成される。一実施形態では、少なくとも1つの第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含むポリペプチドに連結可能であるように構成される。
【0293】
一実施形態では、コアは、本体部分に結合され、本明細書に定義されるさらなる物質に連結可能であるように構成された、第3の連結基をさらに含み得る。第3の連結基は、第1の連結基及び第2の連結基と異なり得る。第3の連結基は、第1の連結基及び第2の連結基に直交し得る。コアは、1~4個の第3の連結基、好ましくは1つの第3の連結基を含み得る。
【0294】
一実施形態では、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択され得;好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン、マレイミド及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;より好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン及びα-ハロカルボニルから独立して選択される。
【0295】
一実施形態では、第3の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択され得;好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン、マレイミド及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;より好ましくは、第3の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン及びα-ハロカルボニルから選択される。
【0296】
一実施形態では、第1の連結基及び第2の連結基は、
【化30】
から独立して選択され得、
12は、O、NR12又はSであり;
12は、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリール;好ましくは水素及び任意選択により置換されたアルキルから選択され;
ax11及びax12は、0~12から独立して選択される。
【0297】
一実施形態では、第3の連結基は、
【化31】
から独立して選択され得、
12は、O、NR12又はSであり;
12は、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリール;好ましくは水素及び任意選択により置換されたアルキルから選択され;
ax11及びax12は、0~12から独立して選択される。
【0298】
好ましくは、ax11及びax12は、1~12から独立して選択される。より好ましくは、ax11及びax12は、1~6から独立して選択される。さらにより好ましくは、ax11及びax12は、1~4から独立して選択される。
【0299】
好ましくは、X12は、O又はNHであり得る。より好ましくは、X12は、Oであり得る。
【0300】
一実施形態では、第1の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、マレイミド及びα-ハロカルボニルから選択され得る。好ましくは、第1の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)及びα-ハロカルボニルから選択され得る。
【0301】
一実施形態では、第1の連結基は、
【化32】
から選択され得、式中、X12、ax11及びax12は本明細書に定義されるとおりである。
【0302】
好ましくは、第1の連結基は、
【化33】
から選択され得、式中、X12、ax11及びax12は本明細書に定義されるとおりである。
【0303】
一実施形態では、第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)及びシクロアルキンから選択され得る。
【0304】
一実施形態では、第2の連結基は、
【化34】
から選択され得、式中、X12、ax11及びax12は本明細書に定義されるとおりである。
【0305】
一実施形態では、第3の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)であり得る。
【0306】
一実施形態では、第3の連結基は、
【化35】
から選択され得、式中、X12、ax11及びax12は本明細書に定義されるとおりである。
【0307】
一実施形態では、コアは、式1:
【化36】
による本体部分を含み得、
式1において、
11及びL12は、リンカーであり;
13は、水素、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ、ハロゲン、任意選択により置換されたアルキル、-S-(任意選択により置換されたアルキル)、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアルコキシ、任意選択により置換されたアルカノイル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから選択され;
a11は、炭素原子に結合された[(L11)-]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a12は、炭素原子に結合された[(L12)-**]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a13は、炭素原子に結合されたR13基の数を表し、及び0又は1から選択され;
a11+a12+a13は、4であり;
は、第1の連結基への接続点を表し;
**は、第2の連結基への接続点を表す。
【0308】
11及びL12のリンカーのタイプは、第1の連結基又は第2の連結基と接続可能であれば特に限定されない。非限定的な例には、アルキレン結合、アリーレン結合、PEG結合、カルボニルベースの結合(例えば、ケトン、エステル、アミド)又は結合の他の組み合わせが含まれる。一実施形態では、リンカーは、切断不可能なリンカーである。別の実施形態では、リンカーは、切断可能なリンカーである。
【0309】
一実施形態では、L11及びL12は、それぞれ独立して1~6個の単位を含み、各単位は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン-CO)-及び-(CO-任意選択により置換されたアルキレン)-から独立して選択され、式中、wは、1~6から選択される。
【0310】
一実施形態では、L11及びL12は、それぞれ独立して2~6個の単位を含み得る。好ましくは、L11及びL12は、それぞれ独立して、3~6個の単位を含み得る。より好ましくは、L11及びL12は、それぞれ独立して、4~6個の単位を含み得る。
【0311】
一実施形態では、L11及びL12内の任意の2つの隣接する単位は、互いに異なり得る。
【0312】
一実施形態では、L11及びL12は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から独立して選択され得る。好ましくは、L11及びL12は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から独立して選択され得る。より好ましくは、L11及びL12は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-及び-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から独立して選択され得る。本明細書で示される左から右へのL11及びL12の単位の順序は、それぞれ炭素原子から第1の連結基への接続点()及び第2の連結基への接続点(**)へと読まれ得る。
【0313】
一実施形態では、L11は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から選択され得る。好ましくは、L11は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-及び-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-から選択され得る。より好ましくは、L11は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-であり得る。
【0314】
一実施形態では、L12は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から選択され得る。好ましくは、L12は、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から選択され得る。より好ましくは、L12は、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-であり得る。
【0315】
一実施形態では、L11及びL12のwは、1~4から独立して選択され得る。
【0316】
一実施形態では、R13は、水素、ハロゲン、任意選択により置換されたアルキル及び任意選択により置換されたシクロアルキルから選択され得る。好ましくは、R13は、水素、任意選択により置換されたアルキルから選択され得る。より好ましくは、R13は、水素であり得る。
【0317】
一実施形態では、a11は、2又は3であり得る。好ましくは、a11は、3であり得る。
【0318】
一実施形態では、a12は、1又は2であり得る。好ましくは、a12は、1であり得る。
【0319】
一実施形態では、a13は、0であり得る。別の実施形態では、a13は、1であり得る。
【0320】
一実施形態では、コアは、式2:
【化37】
による本体部分を含み得、
式2において、
AAは、アミノ酸を表し;
nは、独立して選択されるAA基の数を表し、及び1~12から選択され;
21及びL22は、リンカーであり;
23は、水素、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ、任意選択により置換されたアルキル、-S-(任意選択により置換されたアルキル)、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアルコキシ、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから選択され;
a21は、[(AA)]に結合された[(L21)-]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a22は、[(AA)]に結合された[(L22)-**]基の数を表し、及び1、2又は3から選択され;
a23は、C末端及び/又はN末端で[(AA)]に結合されたR23基の数を表し、及び0、1又は2から選択され;
は、AA基の1つのN末端、C末端又は側鎖を介した第1の連結基への接続点を表し;
**は、AA基の1つのN末端、C末端又は側鎖を介した第2の連結基への接続点を表す。
【0321】
21及びL22のリンカーのタイプは、第1の連結基又は第2の連結基と接続可能であれば特に限定されない。非限定的な例には、アルキレン結合、アリーレン結合、PEG結合、カルボニルベースの結合(例えば、ケトン、エステル、アミド)又は結合の他の組み合わせが含まれる。一実施形態では、リンカーは、切断不可能なリンカーである。別の実施形態では、リンカーは、切断可能なリンカーである。
【0322】
一実施形態では、L21及びL22は、それぞれ独立して0~6個の単位を含み、各単位は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン-CO)-及び-(CO-任意選択により置換されたアルキレン)-から独立して選択され、式中、wは、1~6から選択される。
【0323】
21及び/又はL22が0単位を含む場合、これは、第1の連結基又は第2の連結基は、AA基の1つのN末端、C末端又は側鎖に直接接続される場合を指す。
【0324】
一実施形態では、式2による本体部分は、任意選択により置換されたアミノ基を含む側鎖を有する1つ以上のAA基を含み得る。好ましくは、アミノ基を含む側鎖は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(任意選択により置換されたアミノ)基であり得る。
【0325】
一実施形態では、アミノ基を含む側鎖は、1つ以上のリジン基を含み得る。好ましくは、式2による本体部分は、1~4個のリジン基を含み得る。より好ましくは、式2による本体部分は、3つのリジン基を含み得る。さらにより好ましくは、式2による本体部分は、3つのリジン基(Lys-Lys-Lys)から構成され得るか、又は3つのリジン基及び1つのセリン基(例えば、Lys-Lys-Lys-Ser)から構成され得る。
【0326】
一実施形態では、nは、2~10から選択され得る。好ましくは、nは、2~6から選択され得る。より好ましくは、nは、3~6から選択され得る。さらにより好ましくは、nは、3又は4であり得る。さらにより好ましくは、nは、3であり得る。
【0327】
一実施形態では、任意の2つのAA基は、リンカーによって分離され得る。任意の2つのAA基間のリンカーのタイプは、それらが2つのAA基に接続可能であれば特に限定されない。非限定的な例には、アルキレン結合、アリーレン結合、PEG結合、カルボニルベースの結合(例えば、ケトン、エステル、アミド)又は結合の他の組み合わせが含まれる。一実施形態では、リンカーは、切断不可能なリンカーである。別の実施形態では、リンカーは、切断可能なリンカーである。
【0328】
任意の2つのAA基間のリンカーは、0~6単位を含み得、各単位は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン-CO)-及び-(CO-任意選択により置換されたアルキレン)-から独立して選択され、式中、wは、1~6から選択される。
【0329】
好ましくは、任意の2つのAA基間のリンカーは、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から選択され得る。
【0330】
一実施形態では、任意の2つのAA基は、互いに直接接続され得る。
【0331】
一実施形態では、全ての「(AA)」における任意の2つのAA基は、互いに直接接続される。
【0332】
一実施形態では、1つのAA基のカルボニル部分は別のAA基のアミン部分に接続され得、1つのAA基のカルボニル部分は別のAA基の側鎖を介して接続され得、1つのAA基のアミン部分は別の1つのAA基の側鎖を介して接続され得るか、又は1つのAA基の側鎖は別のAA基の側鎖を介して接続される(任意選択により、本明細書に定義される1つのAAグループと別のAAグループとの間にリンカーを伴う)。
【0333】
一実施形態では、「(AA)」は、AA基の直鎖状配列であり得、各AA基は、1つのAA基のカルボニル部分が別のAA基のアミン部分に接続されるように次のAA基に接続される(任意選択により、本明細書に定義される1つのAAグループと別のAAグループとの間にリンカーを伴う)。いくつかの実施形態では、AA基の直鎖状配列は、任意の2つのAA基が互いに直接接続されるように(すなわち任意の2つのAA基間にリンカーなしで)接続され得る。
【0334】
一実施形態では、L21及びL22は、それぞれ独立して0~5個の単位を含み得る。好ましくは、L21及びL22は、それぞれ独立して、0~3個の単位を含み得る。
【0335】
一実施形態では、L21及びL22内の任意の2つの隣接する単位は、互いに異なり得る。
【0336】
一実施形態では、L21及びL22の各単位は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-及び-(CO)-から独立して選択され得る。
【0337】
一実施形態では、L21及びL22は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から独立して選択され得る。好ましくは、L21及びL22は、-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-及び-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から独立して選択され得る。本明細書で示される左から右へのL21及びL22の単位の順序は、それぞれAA基から第1の連結基への接続点()及び第2の連結基への接続点(**)へと読まれ得る。
【0338】
一実施形態では、L21は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から選択され得る。好ましくは、L21は、-(CO)-及び-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-から選択され得る。
【0339】
一実施形態では、L22は、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から選択され得る。好ましくは、L22は、-(CO)-及び-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から選択され得る。
【0340】
一実施形態では、L21及びL22のwは、1~4から独立して選択され得る。
【0341】
一実施形態では、C末端に接続されたR23基は、ヒドロキシ、任意選択により置換されたアミノ及び任意選択により置換されたアルコキシから選択され得る。好ましくは、C末端に接続されたR23基は、ヒドロキシ及び任意選択により置換されたアミノから選択され得る。より好ましくは、C末端に接続されたR23基は、任意選択により置換されたアミノであり得る。さらにより好ましくは、C末端に接続されたR23基は、-NHであり得る。
【0342】
一実施形態では、N末端に接続されたR23基は、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたシクロアルキル、任意選択により置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択により置換されたアリール及び任意選択により置換されたヘテロアリールから選択され得る。好ましくは、N末端に接続されたR23基は、水素及び任意選択により置換されたアルキルから選択され得る。より好ましくは、N末端に接続されたR23基は、水素であり得る。
【0343】
一実施形態では、a21は、2又は3であり得る。好ましくは、a21は、3であり得る。
【0344】
一実施形態では、a22は、1又は2であり得る。好ましくは、a22は、1であり得る。
【0345】
一実施形態では、a23は、0であり得る。別の実施形態では、a23は、1であり得る。
【0346】
一実施形態では、第1の連結基への接続点は、AA基の1つの側鎖を介するものであり得る。2つ以上の第1の連結基が存在する実施形態では、第1の連結基への少なくとも1つの接続点は、AA基の少なくとも1つの側鎖を介するものであり得る。好ましくは、2つ以上の第1の連結基が存在する場合、第1の連結基への接続点は、それぞれ独立して選択されたAA基の側鎖を介するものである。いくつかの実施形態では、個々のAA基は、最大1つの第1の連結基に接続され得る。
【0347】
一実施形態では、第2の連結基への接続点は、C末端又はN末端を介するものであり得る。好ましくは、第2の連結基への接続点は、N末端を介するものであり得る。
【0348】
存在する場合、第3の連結基への接続点は、AA基の1つの側鎖(例えば、セリン基)を介するか又はC末端を介するものであり得る。好ましくは、第3の連結基への接続点は、C末端を介するものであり得る。
【0349】
第3の連結基は、存在する場合、本体部分に直接接続され得る。他の実施形態では、第3の連結基は、リンカーを介して本体部分に間接的に接続され得る。このような場合、第3の連結基のリンカーのタイプは、第3の連結基を本体部分に(共有結合的に)接続可能であれば特に限定されない。非限定的な例には、アルキレン結合、アリーレン結合、PEG結合、カルボニルベースの結合(例えば、ケトン、エステル、アミド)又は結合の他の組み合わせが含まれる。一実施形態では、リンカーは、切断不可能なリンカーである。別の実施形態では、リンカーは、切断可能なリンカーである。
【0350】
一実施形態では、第3の連結基のリンカーは、-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-、-(CONH)-、-(NHCO)-、-(CHCHO)-、-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-、-(NH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CHCHO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-O-(CONH)-、-O-(NHCO)-、-O-(CHCHO)-、-O-(CO)-、-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-O-、-(CONH)-(NHCO)-、-(CONH)-(CHCHO)-、-(CONH)-(CO)-、-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CONH)-、-(NHCO)-(CHCHO)-、-(NHCO)-(CO)-、-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CHCHO)-O-、-(CHCHO)-(CONH)-、-(CHCHO)-(NHCO)-、-(CHCHO)-(CO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)、-(CO)-O-、-(CO)-(CONH)-、-(CO)-(NHCO)-、-(CO)-(CHCHO)-、-(CO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(任意選択により置換されたアルキレン)-O-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-O-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CONH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(CONH)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-、-(NHCO)-(CHCHO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(NHCO)-(任意選択により置換されたアルキレン)-(CO)-から選択され得る。好ましくは、第3の連結基へのリンカーは、-(NH)-(任意選択により置換されたアルキレン)-であり得る。本明細書で示される第3の連結基の左から右への単位の順序は、(AA)基から第3の連結基への接続点へと読まれ得る。
【0351】
一実施形態では、コアは、
【化38】
【化39】
【化40】
から選択される。
【0352】
製造プロセス
本発明の別の態様によれば、コンジュゲートを製造するプロセスであって、
(a)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを提供するステップ;並びに
(b)CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを提供し、及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結するステップ
を含み、
CD4+T細胞エピトープは、ユニバーサル腫瘍抗原の少なくとも12個のアミノ酸の領域又はその領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、CD4+T細胞エピトープは、集団の少なくとも50%において免疫原性であり、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さであり、
B細胞エピトープの配列は、CD4+T細胞エピトープの配列と異なり、
B細胞エピトープに特異的な抗体は、コンジュゲートに結合する、プロセスが提供される。
【0353】
一実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、コアを介して連結され、
コアは、連結前に、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含み、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
第1の連結基は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第1の接続要素を形成し、及び第2の連結基は、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに連結されて第2の接続要素を形成する。
【0354】
本発明の別の態様によれば、コンジュゲートを製造するプロセスであって、
(a)コアであって、
本体部分;
本体部分に結合された1つ以上の第1の連結基;及び
本体部分に結合された1つ以上の第2の連結基
を含むコアを提供するステップであって、
第1の連結基及び第2の連結基は、互いに直交しており、
第1の連結基及び第2の連結基の少なくとも1つは、2つ以上の第1の連結基又は第2の連結基を含み、並びに
第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、アルケン(例えば、末端アルケン、ノルボルネン)、シクロアルキン、トランスシクロアルケン、テトラジン、共役ジエン、マレイミド、α-ハロカルボニル、チオール及びアジドから独立して選択され;好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン、マレイミド及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;より好ましくは、第1の連結基及び第2の連結基は、アルキン(例えば、末端アルキン)、シクロアルキン及びα-ハロカルボニルから独立して選択され;
コアは、
【化41】
ではなく、好ましくは、コアは、本明細書に定義されるとおりである、ステップ;
(b)B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを提供し;及びコアを、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第1の接続要素を形成するか、又はコアを、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第2の接続要素を形成するステップ
を含むプロセスが提供される。B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及び/又はCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに関する他の好ましい実施形態は上記に記載されており、本プロセスに同様に適用される。コアに関する他の好ましい実施形態は、上記でさらに詳細に説明されており、プロセスにも同様に適用される。
【0355】
一実施形態では、プロセスは、
(c)ステップ(b)で提供されない、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド又はB細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドの他方を提供し;及び第1の接続要素がステップ(b)で形成された場合、コアを、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第2の接続要素を形成するか;又は第2の接続要素がステップ(b)で形成された場合、コアを、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドと反応させて第1の接続要素を形成するステップ
をさらに含み得る。
【0356】
一実施形態では、ステップ(b)は、非共有結合又は共有結合の形成を含み得る。好ましくは、ステップ(b)は、共有結合の形成を含み得る。
【0357】
一実施形態では、ステップ(b)は、クリック反応を含み得る。好ましくは、反応は、付加環化反応(例えば、銅触媒によるアジド-アルキン付加環化及び歪み促進型アジド-アルキン付加環化又はアジド-アルケン付加環化を含む、1,3-双極性付加環化;テトラジン及びシクロアルキン又はトランスシクロアルケンなどによる、テトラジンライゲーション;ディールス・アルダー付加環化反応)、求核置換、マイケル反応又はクリック反応の他の例を含む。
【0358】
一実施形態では、ステップ(c)は、非共有結合又は共有結合の形成を含み得る。好ましくは、ステップ(c)は、共有結合の形成を含み得る。
【0359】
一実施形態では、ステップ(c)は、クリック反応を含み得る。好ましくは、反応は、付加環化反応(例えば、銅触媒によるアジド-アルキン付加環化及び歪み促進型アジド-アルキン付加環化又はアジド-アルケン付加環化を含む、1,3-双極性付加環化;テトラジン及びシクロアルキン又はトランスシクロアルケンなどによる、テトラジンライゲーション;ディールス・アルダー付加環化反応)、求核置換、マイケル反応又はクリック反応の他の例を含む。
【0360】
一実施形態では、コアが第3の連結基を含む場合、プロセスは、
(d)本明細書に定義されるさらなる物質を提供し、コアをさらなる物質と反応させて第3の接続要素を形成するステップ
をさらに含み得る。
【0361】
一実施形態では、ステップ(d)は、ステップ(c)後に実施され得る。
【0362】
一実施形態では、ステップ(d)は、非共有結合又は共有結合の形成を含み得る。好ましくは、ステップ(d)は、共有結合の形成を含み得る。
【0363】
一実施形態では、ステップ(d)は、クリック反応を含み得る。好ましくは、反応は、付加環化反応(例えば、銅触媒によるアジド-アルキン付加環化及び歪み促進型アジド-アルキン付加環化又はアジド-アルケン付加環化を含む、1,3-双極性付加環化;テトラジン及びシクロアルキン又はトランスシクロアルケンなどによる、テトラジンライゲーション;ディールス・アルダー付加環化反応)、求核置換、マイケル反応又はクリック反応の他の例を含む。
【0364】
一実施形態では、プロセスは、マレイミド-チオール付加環を開環する(すなわちスクシンイミド環を開環する)ステップをさらに含み得る。一実施形態では、マレイミド-チオール付加環を開環するステップは、ステップ(b)後に提供され得る。別の実施形態では、マレイミド-チオール付加環を開環するステップは、ステップ(c)後に提供され得る。別の実施形態では、マレイミド-チオール付加環を開環するステップは、ステップ(d)後に提供され得る。
【0365】
追加の成分
さらなる実施形態では、ポリペプチド、ポリペプチドのカクテル、核酸分子、核酸分子のカクテル、コンジュゲート、コンジュゲートのカクテル及び/又は上記のようなこれらの組み合わせ(以下、「薬剤」と呼ぶ)を含む、組成物、医薬組成物及び/又はキットが提供される。特定の実施形態では、組み合わせは、上記のポリペプチド及び/又は核酸分子及び/又はコンジュゲートのいずれか1つの混合物を含むが、代替的実施形態では、それぞれの成分がキットの形態で別個の容器に提供される。さらなる実施形態では、混合物で提供される下記の第1の産物及び第2の産物が提供されるか、又は代わりに第1及び第2の産物がキットの形態で別個の容器に提供される。
【0366】
一実施形態では、医薬組成物及び/又はキットは、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤及び/又は賦形剤を含む。さらなる実施形態では、医薬組成物及び/又はキットは、薬学的に許容される希釈剤及び/又は賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤及び/又は賦形剤は、薬剤との製剤中に提供されるが、他の実施形態では、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤及び/又は賦形剤は、キットの形態で、薬剤とは別個の容器で提供されることを理解されたい。成分は、単一製剤中に混合して提供されることが好ましい。
【0367】
成分がキット内の別々の容器に提供される場合、いくつかの実施形態では、キットが使用されるとき、成分は、個体に投与される前に組み合わされるが、他の実施形態では、キットが使用される場合、成分は、個人に別々に投与されることも理解されたい。
【0368】
例示的なアジュバントとしては、ポリI:C(ヒルトノール)、CpG、リポソーム、ミクロスフェア、ウイルス様粒子(免疫刺激複合体、ISCOMS)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、完全フロイントアジュバント(CFA)、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ミョウバン及び/又は細菌毒素(例えば、コレラ毒素及び/又はサルモネラ毒素)又は任意の種類のナノ粒子製剤が挙げられる。一実施形態では、アジュバントは、1つ以上のアジュバントの組み合わせである。一実施形態では、アジュバントは、IFA及びCpGである。さらなる例示的なアジュバントには、イミキモド、グルコピラノシル及び/又はリピドAが含まれる。好ましいアジュバントは、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)である。一実施形態では、GM-CSFは、サルグラモスチムである。免疫系のT細胞アームを標的とするワクチンにおける使用のための例示的なアジュバントは、Petrovsky & Aguilar Immunol Cell Biol. 2004 82(5): 488-96に詳述されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0369】
例示的な希釈剤及び賦形剤には、滅菌水、生理食塩水、培養液及び/又はリン酸緩衝液若しくは脂質及び/又はナノ粒子ベースの製剤が含まれる。
【0370】
特定の実施形態では、薬剤は核酸分子であり、これは脂質又はナノ粒子製剤で提供されることも理解されたい。
【0371】
いくつかの実施形態では、医薬組成物及び/又はキットは、さらなる治療成分も含む。さらなる治療成分の例としては、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL-12)、さらなるポリペプチド(すなわち上記で論じたもの以外のポリペプチド)、化学療法剤、鎮痛剤、抗炎症剤が挙げられる。-炎症剤及び/又は抗癌剤。
【0372】
医薬組成物及び/又はキットの追加成分のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences and US Pharmacopoeia, 1984, Mack Publishing Company, Easton, PA, USAに見出され得る。
【0373】
発明の方法
使用において、コンジュゲート、コンジュゲートのカクテル、ポリペプチド、ポリペプチドのカクテル、核酸分子、核酸分子のカクテル、組み合わせ、上記で説明した組成物又は医薬組成物(「薬剤」)は、対象に投与される。
【0374】
本発明のコンジュゲート、ポリペプチド、ポリペプチドのカクテル、核酸分子、核酸分子のカクテル及び/又は組み合わせを含むキットが提供される実施形態では、使用時にキットの各成分が対象に投与される。上記のようなキットの成分は、同時に、別々に又は連続的に対象に投与される。一実施形態では、キットは、上記のさらなる治療成分を含む。このような実施形態では、コンジュゲート、ポリペプチド、ポリペプチドのカクテル、核酸分子、核酸分子のカクテル及び/又は組み合わせは、さらなる治療成分と同時に、別々に又は連続的に対象に投与される。
【0375】
他の実施形態では、第1の産物及び第2の産物が対象に投与され、この点において、第1の産物及び第2の産物は、必ずしも単一の産物ではないが、合わせて「薬剤」とみなすことができる。第1の産物は、以下の(i)~(v):
(i)配列番号1の配列を含むポリペプチド;
(ii)少なくとも8個のアミノ酸を含む、(i)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(iii)(i)又は(ii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(iv)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;及び
(v)(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択される。
【0376】
第2の産物は、以下の(vi)~(x):
(vi)配列番号116の配列を含むポリペプチド;
(vii)少なくとも17個のアミノ酸を含む、(vi)の免疫原性断片を含むポリペプチド;
(viii)(vi)又は(vii)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド;
(ix)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドを含むコンジュゲート;及び
(x)(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子
から選択される。
【0377】
この実施形態のいくつかの変形では、第1の産物及び第2の産物の両方が、同時に、連続的に又は別々に投与される。これらの変形では、第1の産物が第2の産物の前に投与され得、第2の産物が第1の産物の前に投与され得る。この実施形態のいくつかの代替変形例では、第1の産物と第2の産物は、単一の産物(すなわち混合物)として組み合わされ、単一の産物として投与され、これらの代替変形例では、以下の条件:
(a)第1の産物及び第2の産物は、単一のポリペプチドであり、第1の産物は、(i)~(iii)のいずれか1つに定義されるとおりであり、及び第2の産物は、(vi)~(viii)のいずれか1つに定義されるとおりである場合、単一のポリペプチドは、170アミノ酸以下の長さであること;並びに
(b)第1の産物及び第2の産物は、単一の産物であり、第1の産物は、(v)に定義されるとおりであり、及び第2の産物は、(x)に定義されるとおりである場合、単一の核酸分子は、1500ヌクレオチド未満の長さであること
が適用される。
【0378】
例えば、一実施形態では、第1の産物は配列番号1の配列を含むポリペプチドであり、第2の産物は配列番号116の配列を含むポリペプチドであり、第1の産物と第2の産物は混合されるが、別個の分子のままである。別の実施形態では、第1の産物は配列番号1の配列を含む第1のポリペプチドであり、第2の産物は配列番号116の配列を含む第2のポリペプチドであり、第1及び第2のポリペプチドは一緒になって長さが170アミノ酸残基以下の単一の融合タンパク質を形成する。別の実施形態では、第1の産物は配列番号1の配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子であり、第2の産物は配列番号116の配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子であり、第1及び第2の産物は、混合されるが、別個の分子のままである。別の実施形態では、第1の産物は配列番号1の配列を含むポリペプチドをコードする第1の核酸分子であり、第2の産物は配列番号116の配列を含むポリペプチドをコードする第2の核酸分子であり、第1及び第2の核酸分子は一緒になって、長さが1500ヌクレオチド未満の単一の核酸分子を形成する。
【0379】
一実施形態では、対象は、治療を必要とする患者である。さらなる実施形態では、患者は、癌患者である。代替的実施形態では、予防療法を提供するために、疾患の症状が現れる前に、薬剤又はキットの成分が対象に投与される。一実施形態では、疾患は癌であり、癌に対する防御免疫を提供するために、癌の症状が現れる前に、薬剤又はキットの成分が対象に投与される。
【0380】
上記のように、本発明のコンジュゲートは、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを含む。一実施形態では、薬剤又はキットの成分が投与される対象は、B細胞エピトープに特異的な既存の循環抗体を有する。代替的実施形態では、対象は、B細胞エピトープに特異的な既存の循環抗体を有しない。さらなる実施形態では、対象は、B細胞エピトープに特異的な既存の循環抗体を有するが、抗体のレベルを増加させることが望ましい。対象が既存の循環抗体を有していないか、又はそのレベルを増加させることが望ましい実施形態では、対象は、薬剤又はキットの成分を投与する前に、B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導する(したがって抗体産生を誘導する)ワクチンを投与される。一実施形態では、コンジュゲートが投与される対象におけるB細胞エピトープに特異的な抗体の存在及び/又はレベルは、コンジュゲートの投与前に決定される。一実施形態では、B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するワクチンは、薬剤又はキットの成分の投与への少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30週間以上前に投与される。
【0381】
代替的実施形態では、対象にB細胞エピトープに特異的な抗体を受動的に投与して、対象におけるB細胞エピトープに対する受動液性免疫応答を提供する。一実施形態では、B細胞エピトープに特異的な抗体は、薬剤又はキットの成分と同時に、別個に又は連続的に対象に投与される。一実施形態では、B細胞エピトープに特異的な抗体は、溶液又は血清中に提供される。
【0382】
B細胞エピトープが配列番号3~5のいずれか1つに由来する実施形態では、B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するワクチンは、破傷風ワクチンである。一実施形態では、破傷風ワクチンは、破傷風トキソイド(TTd)、その断片及び/又は破傷風毒素(TTx)の断片を含む。さらなる実施形態では、「破傷風ワクチン」は、ジフテリア、破傷風及び百日咳(DTP)混合ワクチン又は任意の破傷風トキソイド含有ワクチンである。代替的実施形態では、抗TTx/TTd抗体は、薬剤又はキットの成分と同時に、別個に又は連続的に対象に受動的に投与される。一実施形態では、対象は、抗TTx/TTd抗体、例えば、テタキン又は同等の抗TTx/TTd抗体調製物を含む、溶液又は血清を投与される。一実施形態では、対象は、高力価の抗TTx/TTdドナーからの単離されたIgG画分を投与される。一実施形態では、コンジュゲートが投与される対象における抗TTx/TTd抗体の存在及び/又はレベルは、コンジュゲートの投与前に決定される。好ましい実施形態では、上記のようなTettox ELISAを使用して、抗TTx/TTd抗体の存在及び/又はレベルを決定する。
【0383】
一実施形態では、B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するワクチンは、対象に少なくとも2回投与される。したがって、対象は、ワクチンの少なくとも1回の第1(初回刺激)の用量及び少なくとも1回の第2(追加刺激)の用量を受ける。一実施形態では、対象は小児期に少なくとも1回の第1(初回刺激)の用量及び少なくとも1回の第2(追加刺激)の用量を受けており、コンジュゲートの投与前に少なくとも1回のさらなる追加刺激用量が投与される。一実施形態では、少なくとも1回の追加刺激用量は、薬剤又はキットの成分を投与する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30週間以上前に投与される。
【0384】
理論に拘束されることを望むものではないが、コンジュゲートを投与すると、対象内の循環抗体(すなわち既存の、ワクチン接種後に誘導された又は受動的に移入された)がB細胞エピトープに結合して免疫複合体(IC)を形成し、これがコンジュゲートを抗原提示細胞(APC)に指向させる/標的化すると考えられる。したがって、各コンジュゲートがB細胞エピトープを含む複数のポリペプチドを含むことは、複数の抗体が同時に各コンジュゲートに結合することができ、それによって免疫複合体の形成を促進するため有利である。一実施形態では、B細胞エピトープに結合した抗体のFc部分は、APC上のFc受容体に結合する。さらなる実施形態では、補体及びC1q結合は、補体受容体陽性APC又はスカベンジャー受容体による、コンジュゲートの取り込みを促進する。Fc受容体及び/又は補体受容体を介したコンジュゲートのAPC(一実施形態では、APCは樹状細胞(DC)である)への標的化及び結合は、活性化APCによるコンジュゲートの内在化及び細胞内プロセシングを伴うAPCの活性化を促進する。このようにして、CD4+T細胞エピトープは、APC上のMHCクラスII分子によって関連するCD4+T細胞に提示され、CD4+T細胞応答を誘発する。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、コンジュゲートの投与の部位を流入させるリンパ節内のAPC上のMHCクラスII分子により、関連するCD4+T細胞に提示される(一実施形態では、投与の部位は、ワクチン注射部位である)。したがって、コンジュゲートは、APCへの効率的な標的化を可能にし、関連するCD4+T細胞へのCD4+T細胞エピトープのプロセシング及び提示を促進する。一実施形態では、コンジュゲートは、外部アジュバント(GM-CSFなど)による前刺激及び/又は共刺激の必要性を回避する。
【0385】
さらに、コンジュゲートのB細胞エピトープに特異的なB細胞受容体を含むB細胞は、コンジュゲートに結合し、B細胞受容体媒介性内在化によって内在化することができる。このようにして、B細胞は、関連するCD4+T細胞へのコンジュゲートのCD4+T細胞エピトープもプロセシング及び提示する(MHCクラスII分子上で)。
【0386】
関連するCD4+T細胞へのAPC上の提示を通して、CD4+T細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドは、CD4+T細胞エピトープが由来するユニバーサル腫瘍抗原に対するヘルパーT細胞応答を生成することができる。これは、ユニバーサル腫瘍抗原のCD4+T細胞エピトープに対する特異的な免疫応答の生成をサポートする。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドは、Th1免疫応答を促進する。Th1免疫応答は、癌細胞に対する免疫応答にとって重要であり、したがって癌の治療又は予防に寄与する。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドは、Tメモリー細胞応答を生成する。Tメモリー細胞応答は、癌の長期監視を促進するために重要である。
【0387】
コンジュゲートのCD4+T細胞エピトープによって促進されるTヘルパー応答は、コンジュゲートが投与された対象における抗体制御のフィードバックループをサポートする。より具体的には、コンジュゲートのCD4+T細胞エピトープによって刺激されるヘルパーT細胞は、コンジュゲートのB細胞エピトープに特異的なB細胞を共刺激することができる。刺激されたB細胞は、B細胞エピトープに特異的な抗体を生成し、したがって、コンジュゲートの投与後の対象におけるB細胞エピトープに特異的な抗体のレベルを増加させる。一実施形態では、B細胞エピトープに特異的な抗体のレベルの増加は、B細胞エピトープに特異的なIgG抗体のレベルの増加である。B細胞エピトープに特異的な抗体のレベルが増加すると、IC形成及びAPCに対するコンジュゲートの標的化が改善される。したがって、抗体調節のこのフィードバックループは、B細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドのアジュバント機能を改善する。
【0388】
図1Bは、本発明の実施形態が免疫応答を誘発する、提案されたメカニズムを示す。
【0389】
コンジュゲートがCD8+T細胞エピトープを含む実施形態では、活性化APCによるコンジュゲートの細胞内プロセシングの結果として、CD8+T細胞エピトープがMHCクラスI分子と複合体を形成して細胞表面に提示され、それによってCD8+T細胞応答を誘発し得ることを理解されたい。
【0390】
薬剤がポリペプチドを含む実施形態では、ポリペプチドは抗原提示細胞によって飲食され、抗原プロセシングを受け得、次いで細胞表面上にMHCクラスI又はクラスII分子との複合体で提示される。T細胞表面のT細胞受容体との相互作用を通して、CD4+又はCD8+T細胞応答が誘発される。薬剤が核酸分子を含む実施形態では、核酸分子も飲食され、次いで転写され(核酸分子がDNAの場合)、コードされたポリペプチドは内因性細胞経路を通して合成される。続いて、標的細胞が抗原提示細胞である場合、前述のように、T細胞応答を誘発するために、コードされたポリペプチドがプロセシングされ、MHC分子上に提示される。代わりに、標的細胞が筋細胞、線維芽細胞及び他の非抗原提示細胞などの別の細胞である場合、コードされたポリペプチドが分泌され、抗原提示細胞によって取り込まれる。したがって、薬剤は、CD4+又はCD8+T細胞免疫を誘発するためのワクチンとして使用され得る。
【0391】
原則として、薬剤又はキットの成分の任意の投与方法が使用され得るが、注射が特に好ましい。一実施形態では、薬剤又はキットの成分は、非経口経路によって対象に投与される。すなわち、投与は、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は病巣内経路によるものである。好ましい実施形態では、薬剤又はキットの成分は、皮内、皮下又は筋肉内経路によって投与される。一実施形態では、ボーラス注射としての投与が有用である。
【0392】
薬剤がポリペプチドである実施形態では、ポリペプチドの適切な投与量は100~700μgであるが、この範囲外の投与量(例えば、1~1500μg)を要する場合もある。一実施形態では、ポリペプチドは、アジュバント、好ましくはGM-CSF、最も好ましくはサルグラモスチムと同時に、別々に又は連続的に投与される。GM-CSF、好ましくはサルグラモスチムの適切な用量は、20~100μgである。一実施形態では、用量は37.5μgであり、好ましい実施形態では、用量は75μgである。
【0393】
薬剤が核酸分子である実施形態では、核酸分子の適切な投与量は10~1000μgであるが、この範囲外の投与量(例えば、1~1500μg)が必要な場合もある。
【0394】
薬剤が本発明のコンジュゲートである実施形態では、コンジュゲートの適切な投与量は100~2000マイクログラムであるが、この範囲外の投与量(例えば、1~5000μg)が必要な場合もある。
【0395】
一実施形態では、個体に本発明のコンジュゲートを投与する少なくとも7日前に、個体に破傷風追加刺激ワクチンを投与する。このようにして、本発明のコンジュゲートを投与される前に、最小破傷風毒素エピトープ配列に対する個体の免疫応答がブーストされる。
【0396】
特定の実施形態では、複数の薬剤が提供され、個体に同時に、別々に又は連続的に投与される。すなわち、薬剤は、実質的に同時に投与されるだけでなく、異なる時間に投与され得る。本明細書で使用される「同時に」という用語は、同時に複数の薬剤を投与することを指す。同時に(simultaneously)は、同時に(contemporaneously)、すなわち同じ期間中の投与を含む。特定の実施形態では、薬剤は、同じ時間に同時に又は同じ日に同時に投与される。いくつかの実施形態では、「連続的に」という用語は、相互に30日以内に投与される薬剤を指す。
【0397】
CD4+T細胞エピトープは、高い割合の腫瘍タイプで発現されるユニバーサル腫瘍抗原に由来するため、本発明の有効性はいかなる特定のタイプの腫瘍/癌にも限定されないことを理解されたい。ユニバーサル腫瘍抗原がhTERTである実施形態では、原則として、薬剤又はキットの成分は、テロメラーゼ遺伝子が活性化されている任意のタイプの癌を患っている患者に投与され得る。代わりに、薬剤又はキットの成分は、テロメラーゼ遺伝子が活性化される任意のタイプの癌のリスクがある対象に予防的に投与され得る。テロメラーゼ遺伝子が活性化される癌には、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、肺癌、膀胱癌、悪性黒色腫、白血病、リンパ腫、卵巣癌、子宮頸癌及び胆道癌が含まれるが、これらに限定されない。ただし、テロメラーゼ酵素は大部分の癌で発現されるため、本発明の有効性は特定のタイプの癌に限定されないことを理解されたい。
【0398】
テロメラーゼが大部分の癌で発現していることは、Kim et al. Science. 1994 Dec 23; 266(5193): 2011-5及びBearss et al. Oncogene. 2000 Dec 27; 19(56): 6632-41などの研究で実証されている(いずれも参照により本明細書に組み込まれる)。
【0399】
Kim et al. 1994は、18の異なるヒト組織を表す培養細胞において、100の不死集団のうちの98がテロメラーゼ陽性であり、22の死亡集団はいずれもテロメラーゼ陽性ではないことを示した。テロメラーゼ活性を有する不死細胞株が由来するヒト組織には、皮膚、結合組織、脂肪、乳房、肺、胃、膵臓、卵巣、子宮頸部、腎臓、膀胱、結腸、前立腺、CNS、網膜及び血液が含まれる。したがって、本発明は、これらの組織に由来する癌に対する使用に適しているであろう。同様に、12のヒト腫瘍タイプを表す101の生検のうちの90がテロメラーゼ陽性であり、50の正常体細胞組織はいずれもテロメラーゼ陽性でなかった。テロメラーゼ活性を示したヒト腫瘍タイプには、肝細胞癌、結腸癌、扁平上皮癌(頭頸部)、ウィルムス腫瘍、乳癌(乳管及び小葉、リンパ節陽性)、乳癌(腋窩リンパ節陰性)、前立腺癌、前立腺上皮内新生物3型、良性前立腺肥大、神経芽細胞腫、脳腫瘍、肺小細胞癌、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血液悪性腫瘍(急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、リンパ腫(成人)を含む)が含まれる。
【0400】
Bearss et al. 2000により、広範囲の癌タイプにわたる患者から直接採取された腫瘍細胞にテロメラーゼ活性が存在することがさらに実証された。これらの腫瘍タイプには、血液悪性腫瘍(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病(初期)、慢性リンパ性白血病(後期)、骨髄腫、低悪性度リンパ腫、高悪性度リンパ腫を含む);胸;前立腺;肺(非小細胞及び小細胞を含む);結腸;卵巣;頭頸部;腎臓;黒色腫;神経芽細胞腫;神経膠芽腫;肝細胞癌;胃;及び膀胱が含まれる。
【0401】
テロメラーゼは上述の癌タイプで活性化されるため、本発明はこれらのタイプの癌のいずれか(実際、テロメラーゼが活性化されるあらゆる癌タイプ)に対する使用に適していることを理解されたい。さらに、テロメラーゼの活性化は癌タイプ間で共有される共通の特性であるため、本発明が特定のタイプの癌に限定されないことは明らかである。
【0402】
対象は、一般に、テロメラーゼ逆転写などの自己抗原のエピトープに対して、そのようなエピトープと反応するT細胞がT細胞の発生中に対象の胸腺内で破壊されるプロセスを通してある程度の免疫寛容を発現していることも理解されたい。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、比較的低いMHC結合親和性を有するエピトープが望ましい。これは、MHC結合親和性が低いエピトープは成熟T細胞にさらされる速度が低く、エピトープと反応する対象のT細胞の全てが対象のT細胞レパートリーから削除される可能性が低いためである。したがって、いくつかの実施形態では、比較的低いMHC結合親和性を有するエピトープは、より容易に免疫寛容を克服することができる。
【0403】
いくつかの実施形態では、薬剤又はキットの成分の投与は「エピトープ拡大」をもたらし、それによって免疫応答が他の二次エピトープに拡大される(Gulley et al. J Natl Cancer Inst. 2017 Apr 1; 109(4))。
【0404】
アッセイ方法
本発明のさらなる態様によれば、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを含むコンジュゲートが投与された対象において、CD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在を決定する方法が提供される。本発明者らは、驚くべきことに、このようなコンジュゲートの投与により、コンジュゲートがB細胞エピトープ及びCD4+T細胞エピトープを含む場合にのみ、コンジュゲートに特異的な抗体(コンジュゲート中のB細胞エピトープに特異的な抗体など)のレベルが増加することを見出した。例えば、これは実施例7に示されており、B細胞エピトープ及びCD8+T細胞エピトープを含むコンジュゲートは、B細胞エピトープに特異的な抗体レベルの増加を駆動することができなかったが、B細胞エピトープ及びCD4+T細胞エピトープを含むコンジュゲートは、それが可能であった。
【0405】
理論に拘束されることを望むものではないが、コンジュゲートに特異的な抗体(コンジュゲート中のB細胞エピトープに特異的な抗体など)のレベルの増加は、コンジュゲートのCD4+T細胞エピトープのCD4+T細胞の認識に起因すると考えられる。特に、コンジュゲートのCD4+T細胞エピトープによって刺激されるCD4+T細胞は、コンジュゲートに特異的なB細胞(コンジュゲートのB細胞エピトープに特異的な抗体など)を共刺激することができ、その結果、刺激されたB細胞がコンジュゲートに特異的な抗体を生成し、この抗体のレベルが増加する。本発明者らは、コンジュゲートに特異的な抗体のレベルが、コンジュゲートが投与された対象におけるコンジュゲートのCD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在についてのバイオマーカーとして使用できるという驚くべき認識を得た。
【0406】
本発明の方法では、血液サンプルが対象から採取される。第1の実施形態では、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びCD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを含むコンジュゲートの投与前に血液サンプルを採取する。第1の実施形態では、コンジュゲートのB細胞エピトープは、配列番号7の配列を含み、CD4+T細胞エピトープは、配列番号1の配列を含む。第1の実施形態では、配列番号7の配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、配列番号7の配列を含む第1、第2及び第3のポリペプチドである。次いで、コンジュゲートは、対象に少なくとも1回投与される。好ましい実施形態では、対象は、コンジュゲートの1サイクルの投与を受け、投与サイクルは、コンジュゲートの複数回の注射、好ましくは4回の注射を含む。したがって、いくつかの実施形態では、「投与」という用語は投与サイクルを包含することを理解されたい。いくつかの実施形態では、血液サンプルは、コンジュゲートの最初の投与又は投与サイクル前に対象から採取される(すなわち、対象は、「ナイーブ」対象である)。代替的実施形態では、血液サンプルは、コンジュゲートのさらなる投与又は投与サイクル前に採取される(すなわち、対象は、「ナイーブ」対象ではない)。第1の実施形態では、第1の時点でコンジュゲートの投与に続いて血液サンプルが対象から採取される。一実施形態では、血液サンプルは、コンジュゲートの投与の1、2、3、4、5、10、15、20、25又は30日後に採取される。
【0407】
さらなる実施形態では、コンジュゲートの投与前に採取される血液サンプルは、B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するためのワクチンの少なくとも1回の投与後に採取される。すなわち、対象は、B細胞応答を誘導するワクチンを少なくとも1回投与され、その後、血液サンプルが採取される。好ましい実施形態では、対象は、B細胞応答を誘導するためにワクチンの2、3、4、5回又はそれを超える投与を受ける。したがって、コンジュゲートが投与される対象は、B細胞エピトープに対する免疫応答を有する対象である。このようなサンプルは、「コンジュゲートの投与前の対象に由来するサンプル」という用語に含まれることを理解されたい。好ましい実施形態では、B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するワクチンは、血液サンプルが採取される前に少なくとも2回投与される。第1の実施形態では、B細胞エピトープが配列番号7の配列を有する場合、それに対するB細胞応答を誘導するワクチンは、破傷風ワクチンである(例えば、本明細書に定義される)。一実施形態では、血液サンプルは、ワクチンの少なくとも1回の投与の1、2、3、4、5、10、15、20、25又は30日後に採取され、B細胞エピトープにB細胞応答を誘導する。
【0408】
第1の実施形態では、コンジュゲートの投与又は投与サイクルの前後に対象に由来するサンプルを、配列番号7の配列を含むポリペプチドが固定化されたプレートとそれぞれ接触させる。一実施形態では、配列番号7の配列を含むポリペプチドは、ビオチン化され、ストレプトアビジンでコーティングされたプレート上に固定される。第1の実施形態では、各血液サンプル中の配列番号7の配列に特異的な抗体の量又は不存在が、ELISAによって検出される。ELISA手順は、例えば、過去にFletcher et al. J Immunol. 2018 Jul 1; 201(1): 87-97に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。簡潔には、各サンプルをプレートと接触させると、サンプル中に存在する配列番号7の配列に特異的な抗体は、配列番号7の配列を含む固定化ポリペプチドに結合する。一実施形態では、配列番号7の配列に特異的な抗体は、IgG抗体である。次いで、プレートを洗浄し、非特異的結合を防ぐためにブロッキングする。反応を触媒して検出可能なシグナルを生成する酵素にコンジュゲートした二次抗体をプレートと接触させ、過剰な二次抗体を洗浄によって除去する。一実施形態では、検出されるべき抗体がIgG抗体である場合、二次抗体は、抗IgG抗体である。一実施形態では、二次抗体にコンジュゲートした酵素は西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)であり、色の変化を引き起こすテトラメチルベンジジン(TMB)の酸化から、検出可能なシグナルが生成される。シグナルが検出され、各サンプルにおける配列番号7の配列に特異的な抗体の量又は不存在を決定するために使用される。一実施形態では、シグナルは、分光光度計で450nmの吸光度を測定することによって検出される。
【0409】
コンジュゲートの投与前の対象由来のサンプル中の配列番号7の配列に特異的な抗体の量又は不存在は、上記の方法により、第1のレベルで検出される。コンジュゲートの投与後の対象由来のサンプル中の配列番号7の配列に特異的な抗体の量又は不存在は、上記の方法により、第2のレベルで検出される。第1の実施形態では、第2のレベルと第1のレベルが比較される。第1のレベルに対する第2のレベルの増加は、コンジュゲートの投与後の対象に由来するサンプル中に存在する抗体の量が、コンジュゲートの投与前の対象に由来するサンプル中における抗体の量よりも多いことを示す。一実施形態では、増加は、統計的に有意な増加である。増加は、対象における配列番号1のポリペプチドに対するCD4+T細胞応答の存在を示す。これは、配列番号1のポリペプチドが、CD4+T細胞の刺激を通して、配列番号7の配列に特異的なB細胞を共刺激し、これにより、配列番号7の配列に特異的な抗体が産生されるため生じると考えられる。
【0410】
逆に、第2のレベルと第1のレベルの比較により、変化がないか、10%未満の変化及び/又は統計的に有意でない変化が明らかになった場合、これは、配列番号1のポリペプチドに対するCD4+T細胞応答が対象に存在しないことを示す。
【0411】
さらなる実施形態では、コンジュゲートの投与後の第2の時点で対象から血液サンプルを採取する。一実施形態では、第2の時点は、上記第1の時点より前である。すなわち、これは、時間的にコンジュゲートの投与と近い。一実施形態では、第2の時点は、コンジュゲートの投与後1日未満又は1、2、3、4若しくは5日後である。第2の時点における対象由来のサンプル中の配列番号7の配列に特異的な抗体の量又は不存在は、上記の方法により第3のレベルで検出される。第3のレベルと第2のレベルが比較される。第3のレベルに対する第2のレベルの増加は、第1の時点(すなわちコンジュゲートの投与からより遠い時点)での対象に由来するサンプル中に存在する抗体の量が、第2の時点(すなわちコンジュゲートの投与により近い時点)での対象に由来するサンプル中における抗体の量よりも多いことを示す。一実施形態では、増加は、統計的に有意な増加である。増加は、対象における配列番号1のポリペプチドに対するCD4+T細胞応答の存在を示す。これは、2つの時点間の介在期間中、CD4+T細胞の刺激を通して、配列番号1のポリペプチドが配列番号7の配列に特異的なB細胞を共刺激し、これにより、配列番号7の配列に特異的な抗体が産生されるため生じると考えられる。
【0412】
逆に、第2のレベルと第3のレベルの比較により、変化がないか、10%未満の変化及び/又は統計的に有意でない変化が明らかになった場合、これは、配列番号1のポリペプチドに対するCD4+T細胞応答が対象に存在しないことを示す。
【0413】
上記実施形態では、コンジュゲートの投与後の第1及び第2の時点で血液サンプルが採取される。さらなる実施形態では、コンジュゲートの投与後、3、4、5、6、7、8、9又は10以上の時点で血液サンプルを採取する。抗体の量又は不存在がこれらの時点の任意の2つの間で比較され得、及び/又は対象における抗体のレベルが経時的にプロットされるように各時点での抗体の量又は不存在が比較され得ることを理解されたい。
【0414】
第1の実施形態の変形では、血液サンプルは、上記のようにコンジュゲートの投与後に採取されるが、コンジュゲートの投与前には採取されない。コンジュゲートの投与後の対象由来のサンプル中の配列番号7の配列に特異的な抗体の量又は不存在は、上記の方法により、あるレベルで検出される。レベルが閾値より高い場合、それは、対象における配列番号1のポリペプチドに対するCD4+T細胞応答の存在を示す。一実施形態では、閾値は、複数の対象からのデータの照合から決定される。
【0415】
上記実施形態では、血液サンプルは、対象から採取される。一実施形態では、血液サンプルは、本発明の方法で使用される前に、例えば血漿サンプル又は希釈血漿サンプルを得るために、さらに処理される。抗体を含有する対象に由来する任意の適切なサンプルを本発明の方法で使用することができる。
【0416】
上記実施形態では、検出される配列番号7の配列に特異的な抗体は、IgG抗体である。好ましい実施形態では、抗体は、IgG1抗体又はIgG4抗体である。代替的実施形態では、検出される抗体は、異なる免疫グロブリンクラス(すなわちIgG以外)からのものである。
【0417】
上記実施形態では、B細胞エピトープに特異的な抗体を検出するためにELISA手順が使用される。上記で参照されるELISA手順に対する様々な修正は、当業者には明らかであろう。代替的実施形態では、ELISA以外の手順を使用して、B細胞エピトープに特異的な抗体の量又は不存在を検出する。1つのそのような代替的実施形態では、ディップスティックアッセイ、スポットアッセイ、ラテラルフローアッセイ及び/又はメソスケールアッセイが使用される。
【0418】
B細胞エピトープに対するB細胞応答を誘導するためのコンジュゲート及び/又はワクチンは、対象に複数回投与されている可能性があり、例えば、B細胞応答を誘導するためのコンジュゲート及び/又はワクチンは、対象に2回(又はそれを超えて)投与されている可能性があることを理解されたい。B細胞応答を誘導するためにコンジュゲート及び/又はワクチンを複数回投与することが計画されている場合、いくつかの実施形態では、対象から採取される血液サンプルは、最終計画投与後に採取される。したがって、いくつかの実施形態では、血液サンプルは、B細胞応答を誘導するためのコンジュゲート及び/又はワクチンの最終計画投与の1、2、3、4、5、10、15、20、25又は30日後に採取される。代替的実施形態では、B細胞応答を誘導するためのコンジュゲート及び/又はワクチンの各投与後に血液サンプルが採取される。対象における免疫応答の発生に関するより詳細な情報を提供するために、このような追加のサンプルが使用され得ることを理解されたい。
【0419】
上記実施形態では、CD4+T細胞応答の存在を示す抗体の2つの検出レベル間の増加は、統計的に有意な増加である。一実施形態では、統計的に有意な増加は、対応のあるt検定及びp値≦0.05、好ましくはp値≦0.01を使用して決定される。一実施形態では、2つの検出レベル間の増加は、2倍の増加である。いくつかの実施形態では、CD4+T細胞応答の存在を示す増加は、少なくとも50%の増加、好ましくは少なくとも75%、100%、150%、200%の増加である。
【0420】
上記第1の実施形態では、対象に投与されたコンジュゲートのB細胞エピトープは、配列番号7の配列を含む。代替的実施形態では、B細胞エピトープは、異なる配列を含む。一実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号7の配列に対して少なくとも70%の配列同一性、好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む。さらなる実施形態では、B細胞エピトープは、配列番号7の配列以外の破傷風毒素の配列(配列番号3)又は破傷風毒素重鎖(配列番号5)に由来する配列を含む。一実施形態では、B細胞エピトープは、(i)配列番号5において連続しており、アミノ酸配列GITELKKL(配列表の配列番号6によって表される)を含む少なくとも10個のアミノ酸を含む、配列;又は(ii)(i)に対して少なくとも70%の配列同一性、好ましくは、(i)に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む。一実施形態では、B細胞エピトープは、TTx重鎖の完全配列(配列番号5)を含まない。一実施形態では、B細胞エピトープは、前述のセクションに記載されたB細胞エピトープのいずれか1つから選択される。
【0421】
上記第1の実施形態では、対象に投与されたコンジュゲートのCD4+T細胞エピトープは、配列番号1の配列を含む。代替的実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、異なる配列を含む。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、配列番号116又は117の配列を含む。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、少なくとも12個のアミノ酸を含む、配列番号1、116又は117の免疫原性断片の配列を含む。さらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、配列番号1、116若しくは117の配列又はその免疫原性断片に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む。なおさらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、テロメラーゼ逆転写酵素の少なくとも12個のアミノ酸の領域(配列番号1、116又は117の配列以外)又はその領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、異なる自己抗原、異なる腫瘍関連抗原及び/又は異なるユニバーサル腫瘍抗原(すなわちテロメラーゼ逆転写酵素以外)の少なくとも12個のアミノ酸の領域又はその領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。一実施形態では、ユニバーサル腫瘍抗原は、サバイビン、DNAトポイソメラーゼ2-アルファ(Top2α)、シトクロムP450 1B1(CYP1B1)及びE3ユビキチン-タンパク質リガーゼMdm2からなる群から選択される。好ましい実施形態では、上記の領域のいずれか1つに対する配列同一性は、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%である。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープを含むポリペプチドは、500アミノ酸以下の長さである。さらなる実施形態では、CD4+T細胞エピトープを含む少なくとも1つのポリペプチドは、400、300、200、170、150、125、100、90、80、70、75、60、50、40又は30以下である。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、前述のセクションに記載されたCD4+T細胞エピトープのいずれか1つから選択される。
【0422】
CD4+T細胞エピトープは、内因性タンパク質又は腫瘍微小環境に関連するものなどのウイルス若しくは細菌タンパク質からのエピトープなど、天然に存在するタンパク質からのものであることが特に好ましい。CD4+T細胞エピトープが、細胞内起源の腫瘍抗原又は細菌若しくはウイルス抗原の一部であるペプチドなどの細胞内ペプチドであることも好ましい。いくつかの実施形態では、CD4+T細胞エピトープは、内因性腫瘍抗原として存在する。このようにして、コンジュゲートに特異的な抗体の測定は、腫瘍又は(任意選択により腫瘍関連)病原体(ウイルス又は細菌)に向けられたT細胞応答に関連するバイオマーカーとして機能する。
【0423】
上記実施形態では、対象に投与されたコンジュゲートは、B細胞エピトープを含む第1、第2及び第3のポリペプチドと、CD4+T細胞エピトープを含む第1のポリペプチドとを含む。一実施形態では、本発明の方法は、B細胞エピトープを含む第1、第1及び第2又は第1、第2及び第3のポリペプチド並びにCD4+T細胞エピトープを含む第1、第1及び第2又は第1、第2及び第3のポリペプチドの任意の組み合わせを含有するコンジュゲートが投与された対象に由来するサンプルを使用して実施される。一実施形態では、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドは、さらなるT細胞エピトープの配列を含む。一実施形態では、さらなるT細胞エピトープは、CD8+T細胞及び/又はさらなるCD4+T細胞エピトープである。さらなる実施形態では、本発明の方法は、B細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド、CD4+T細胞エピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチド及びさらなるエピトープの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを含むコンジュゲートが投与された対象に由来するサンプルを使用して実施される。このようなコンジュゲートは、上でさらに詳細に説明されている。
【0424】
一実施形態では、本発明の方法は、複数のコンジュゲートを含むワクチンが投与された対象に由来するサンプルを使用して実施される。一実施形態では、複数のコンジュゲートは、本明細書に定義されるコンジュゲートのカクテルである。さらなる実施形態では、複数のコンジュゲートを含むワクチンは、「TENDU」ワクチンである。TENDUワクチンは、配列番号47~51及び45の配列を含む6つのSLP(「LUG1~6」と呼ばれる)を含み、これらは、PAP、GCPII/PSMA及びNY-ESO-1に由来するエピトープを含有する(図8Cに示す)。6つのSLPは、配列番号7の配列を含む配列の3つのコピー、より具体的にはコア(コア1.0、参考合成例6)を介して、配列番号46からなる配列の3つのコピーにそれぞれコンジュゲートされる。
【0425】
本発明の方法は、前述の特定のコンジュゲートに限定されないことを理解されたい。一般に、本発明の方法は、少なくとも1つのB細胞エピトープ及び少なくとも1つのCD4+T細胞エピトープを含む任意のコンジュゲートに適用可能であり、CD4+T細胞エピトープは、コンジュゲートが投与された対象における抗体調節のフィードバックループをサポートするTヘルパー応答を促進することができる。すなわち、CD4+T細胞エピトープは、抗体が生成され、対象のコンジュゲートに特異的な抗体のレベルが増加するように、コンジュゲートのB細胞エピトープに特異的なB細胞を共刺激するCD4+T細胞免疫応答を誘発することができる。このようにして、コンジュゲートに特異的な抗体の量は、コンジュゲートが投与された対象におけるCD4+T細胞応答の存在についてのバイオマーカーとして使用することができる。
【0426】
CD4+T細胞応答を直接測定することとは対照的に、CD4+T細胞応答の存在に対するバイオマーカーとしてコンジュゲートに特異的な抗体の量を測定することには多くの利点があることを理解されたい。典型的には、抗体の量の測定は、より少ない量の対象から採取される血液を要し、抗体の量を測定する方法は、より迅速で、複雑さがより少なく、実施コストがより低い。
【0427】
一実施形態では、コンジュゲートが投与され、サンプルが採取される対象は、癌患者である。CD4+T細胞エピトープがユニバーサル腫瘍抗原であり、したがって広範囲の癌タイプに対して効果的であることが期待される実施形態では、患者が罹患している癌は、いかなる特定のタイプの癌にも限定されない(上記のとおり)。対象がTENDUワクチンを投与されている場合(上記のとおり)、癌患者は、前立腺癌患者である。
【0428】
本発明の方法は、癌患者におけるコンジュゲートのCD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在(又は不存在)に関する情報を提供することができる。一実施形態では、この情報は、患者集団内で癌患者を層別化し、及び/又は癌患者が受けるその後の治療及び/又は手順を知らせるために使用される。一実施形態では、コンジュゲートのCD4+T細胞エピトープに対するCD4+T細胞応答の存在は、癌患者におけるコンジュゲートに対する臨床的に関連した応答を示す。すなわち、癌患者の臨床アウトカムの改善に関連する応答である。一実施形態では、改善された臨床アウトカムは、部分奏功又は完全奏功(部分寛解又は完全寛解としても知られる)又は安定状態である。したがって、本発明の方法は、癌患者の臨床アウトカムの改善が期待される(又は期待されない)臨床状況を特定するために使用され得る。一実施形態では、本発明の方法は、さらなる物質と組み合わせた本発明によるコンジュゲートを調査する(例えば、臨床試験において)ために使用される。
【0429】
検出されるコンジュゲートに特異的な抗体は、コンジュゲート中のB細胞エピトープに特異的な抗体であることが好ましい。
【実施例
【0430】
実施例
以下では、実施例を参照して本発明を具体的に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0431】
実施例1:配列番号1は、癌ワクチンUV1をワクチン接種した患者の65%において免疫原性である。
背景
癌ワクチンUV1は、配列番号1(ALFSVLNYERARRPGLLGASVLGLDDIHRA;p719-20)、配列番号52(RTFVLRVRAQDPPPE;p725)及び配列番号53(AERLTSRVKALFSVL;p728)の配列を有する3つのhTERTポリペプチドのカクテルである。UV1特異的免疫応答は、非小細胞肺癌(NSCLC)(UV1/hTERT-2012-L)又は前立腺癌(UV1/hTERT-2012-P)を有する患者における2つの臨床研究で単剤療法として、及び悪性黒色腫(UV1/hTERT-MM)を有する患者において抗CTLA-4抗体イピリムマブと組み合わせて研究されている。この研究では合計52人の患者が治療され、そのうちの51人が免疫応答のモニタリングにつき評価可能であった。
【0432】
材料及び方法
ワクチン特異的免疫応答は、UV1ワクチン接種前、その間及びその後に採取された末梢血単核球(PBMC)の再刺激後、標準的なT細胞増殖アッセイ(H-チミジン組み込みによる増殖の測定;Inderberg-Suso et al. Oncoimmunology. 2012 Aug 1; 1(5): 670-686に以前に記載されているとおり)を使用して測定した。PBMCの再刺激は、UV1ワクチン混合物及び個々のワクチンペプチド(p719-20、p725及びp728)を使用して実施された。ペプチド応答がワクチンペプチド又はUV1ワクチン混合物の少なくとも1つについてバックグラウンド(刺激指数、SI≧3)の少なくとも3倍である場合、特異的T細胞応答は陽性とみなした。
【0433】
結果
表2は、個々のUV1ペプチド(すなわちp719-20、p725及びp728)、UV1ワクチン(すなわちp719-20、p725及びp728の混合物)又は個々のUV1ペプチド若しくはUV1ワクチンのいずれかに対する免疫応答を示す。データは、第1のUV1ワクチン接種後2年間のフォローアップを含む。
【0434】
【表2】
【0435】
表2を参照すると、免疫モニタリングデータは、患者の78%で検出可能なUV1特異的免疫応答を示した(すなわち個々のペプチド又はUV1ワクチンの1つに対する免疫応答を示した患者;「p719-20、p728、p725又はUV1」と題する欄を参照されたい)。個々のペプチドレベルでは、患者の65%がp719-20ペプチド(配列番号1)を認識し、24%がp728ペプチド(配列番号53)を認識し、39%がp725ペプチド(配列番号52)を認識した。
【0436】
個々の患者レベルでは、患者の20%が3つの個別のUV1ペプチド全てを認識し、20%が2つのペプチドを認識し、40%が1つのペプチド又はUV1ワクチンを認識した。1つのペプチドのみを認識した患者のうち、13人はp719-20(配列番号1)を認識し、1人はp728(配列番号53)を認識し、1人はp725(配列番号52)のみを認識した。
【0437】
考察
表2に示されるデータは、配列番号1の配列を有するポリペプチドが、患者の65%で免疫原性であることを示す。患者集団は、単剤療法として又は抗CTLA-4阻害剤イピリムマブと組み合わせてUV1癌ワクチンを投与された、NSCLC、前立腺癌又は悪性黒色腫を有する患者で構成されていた。
【0438】
実施例2:UV1ワクチン接種を受けた患者集団におけるHLA対立遺伝子タイプの頻度はヨーロッパ集団を表す
背景
この患者集団に存在するHLA対立遺伝子の頻度が一般的なヨーロッパ集団を表すものであることを確認し、及びUV1ペプチドのT細胞エピトープの提示にHLA対立遺伝子を使用する際にバイアスの兆候があるかどうかを調査するために、UV1癌ワクチンでワクチン接種された患者(すなわち実施例1に記載の52人の患者の集団)のHLA対立遺伝子タイピングを実施した。
【0439】
材料及び方法
UV1でワクチン接種した全ての患者のHLA対立遺伝子タイピングは、PCR配列特異的オリゴヌクレオチドによって決定され、主要な対立遺伝子グループが4桁に分解された。分析はレトロスペクティブに(すなわち臨床試験への患者の参加後に)実施された。分析は、患者の血液サンプルから単離されたPBMCに対して行われた。HLA対立遺伝子タイピングデータは、UV1でワクチン接種された52人の非HLA選択患者の集団の48人の患者から得られた。
【0440】
結果
表3は、UV1でワクチン接種された患者の集団に存在する最も一般的なHLA対立遺伝子の頻度を、ヨーロッパ集団にわたるこれらの対立遺伝子の対応する頻度(括弧内、太字)とともに示す。HLA対立遺伝子頻度は、The Allele Frequency(http://www.allelefrequencies.net/default.asp)から取得される。
【0441】
【表3】
【0442】
表3を参照すると、HLAタイピングデータは、UV1でワクチン接種された患者の集団中に広範囲のHLA対立遺伝子タイプが存在することを示した。さらに、患者集団内で観察された頻度は、一般的なコーカサス/ヨーロッパ集団で記録されたものとよく一致した(http://www.allelefrequencies.net/default.asp)。これらの結果は、臨床試験への患者の募集がHLAタイピングに基づいていないという事実と一致していた。
【0443】
考察
表3のデータは、UV1ワクチン接種を受けた患者集団におけるHLA対立遺伝子タイプの頻度が一般的なヨーロッパ集団を表すことを示す。
【0444】
実施例3:配列番号1の配列を有するポリペプチドに対する免疫応答は様々な共通のHLAクラスII対立遺伝子を有する患者において生成された
背景
実施例2のHLA対立遺伝子タイピングデータをさらに分析して、p719-20ペプチド(配列番号1)に対する免疫応答を示したUV1ワクチン接種患者におけるHLAクラスII対立遺伝子分布を調査した。
【0445】
結果
表4は、患者数(n=)並びに最も一般的な3つのHLA-DR、-DQ及び-DPハプロタイプ(対立遺伝子)のそれぞれを有する患者の対応するパーセンテージを示す(すなわち表の3列目に示される上側の数字のセット)。表4は、配列番号1の配列を有するポリペプチドに応答した各対立遺伝子を保有する患者数(n=;下線)及び配列番号1の配列を有するポリペプチドに応答した各対立遺伝子を保有する患者のパーセンテージ(括弧内)(すなわち表の3列目に示される下側の数字のセット)も示す。
【0446】
【表4】
【0447】
表4のデータを参照すると、個々の患者に対して実施された配列番号1のポリペプチドに関するHLA対立遺伝子決定及び免疫応答分析では、配列番号1のポリペプチドに対する免疫応答が、最も一般的なHLAクラスIIハプロタイプの全てにわたる患者で生成され、最も一般的な9つのハプロタイプのうちの7つで>50%の応答者を有していたことが示された。
【0448】
考察
表4のデータは、配列番号1のポリペプチドが一般的なヨーロッパ集団に共通する様々なHLAクラスII対立遺伝子によって認識され得ることを示す。この観察は、完全にヘテロ接合性の患者が9つの異なるHLAクラスIIハプロタイプを発現するという事実と合わせて、3つの異なる患者集団にわたって配列番号1のポリペプチドに対する免疫応答者の割合が高いことを説明する(実施例1に記載のとおり)。したがって、配列番号1のポリペプチドは、ユニバーサル腫瘍抗原hTERTに由来しており、幅広い(又は全ての)癌適応症の広範な集団カバレッジを提供することが予想される。
【0449】
実施例4:配列番号1内の異なる領域はUV1ワクチン接種患者からの異なるT細胞クローンによって認識される
背景
ヒト対象におけるT細胞免疫応答は、2つの細胞型(APC及びT細胞)によって決定され、その特異性は、3つの分子(HLAクラスI/II、ペプチド及びT細胞受容体(TCR))によって決定される。1人の個人では、6つの異なるHLAクラスI分子及び6つのHLAクラスII分子が発現し得るが、集団ベースでは数千の異なる多型バリアントが存在する。異なるペプチドの数は、事実上無制限である。単一個体内の異なるTCRの数も極めて多い。
【0450】
HLAクラスI結合のためのペプチドのプロセシングは高度に制御されており、プロテアソーム内で行われ、短いペプチド(8~10量体)が生じる。プロテアソームの切断部位により、所与のタンパク質から産生できる8~10量体の数が制限される。HLAクラスIへのペプチドのローディングも、トランスポーター及びシャペロンなどを介して高度に制御されている。対照的に、HLAクラスII結合のためのペプチドのプロセシングは非常に複雑であり(Stern LJ, Santambrogio L. Curr Opin Immunol. 2016; 40: 70-77)、当初はエンドソーム内でのみ起こると考えられていた。エンドソームは、タンパク質の選別及び分解のための高度に動的及び多様なシステムを表す。タンパク質分解におけるエンドソームの主な役割の1つは、タンパク質合成に再利用される単一のアミノ酸を提供することである。この目標は、複数のエンドプロテアーゼとエキソプロテアーゼの組み合わせの使用により達成される。クラスII分子は、その結合部位がインバリアント鎖(Ii)で保護された状態でエンドソームに到達し、この鎖はリソエンドソーム内で切断され、特定のクラスII分子に適合するアミノ酸配列/結合モチーフを有するペプチドを捕捉できるように結合部位が開いたままになる。したがって、HLAクラスII分子は、そのような分子をさらなる分解からレスキューし、細胞表面に輸送される。ペプチドのコア結合モチーフは結合に必要であるが、ペプチドの溶出とその後の質量分析により、そのようなペプチドがコア結合モチーフの両方の部位に伸びる「不規則な末端」を有することが示された(Muntasell et al. J Immunol. 2002 Nov 1; 169(9): 5052-60.)。個々のCD4+T細胞クローンによる認識には、コア結合モチーフを介した関連するクラスII分子への結合が必要であるが、隣接するアミノ酸の影響を受ける。
【0451】
したがって、配列番号1などのポリペプチドに由来し、同じ結合モチーフを有する異なる長さのペプチドは、異なるT細胞を活性化し得る。異なるHLAクラスII分子に結合するペプチドが無差別に存在すると、活性化される異なるT細胞クローンの数がさらに増加する。したがって、いくつかのコア結合モチーフが埋め込まれた配列番号1などの長鎖ペプチドは、ワクチンの集団カバレッジを拡大することになる。
【0452】
結果
表5は、T細胞クローンの詳細なマッピング及び各クローンによって認識される配列番号1内の配列を示す。データは、UV1ワクチン接種に応答した患者由来のT細胞クローンに基づく。表5に挙げた全てのクローンは、インビトロで試験した場合(実施例1に記載のT細胞増殖アッセイを使用)、配列番号1のポリペプチドに応答した。さらに、配列番号1に由来する一連の重複ペプチドを使用してT細胞クローンを試験した。表5に示すように、HLA-DR分子は、少なくとも2つの対立遺伝子(DR12及びDR7)を有する配列番号1の30量体ポリペプチドのN末端半分に存在するペプチドを優先的に提示したが、DQ2及びDQ7対立遺伝子はC末端部分を提示した。データは、配列番号1の30量体ポリペプチドに由来する一連の14量体ペプチドが異なるHLAクラスII分子によって提示され、異なるT細胞クローンによって認識され得ることを示す。
【0453】
個々のT細胞クローンは、表5に示す14量体ペプチドによって表される配列番号1の異なる「フレーム」を認識する。したがって、3つのDR12拘束性クローンは、第1のN末端14量体のみを認識した。N末端のアラニンを除去し、C末端のグリシンを付加すると反応性が失われる。DR7拘束性クローンは、その選好性で分割された。クローン4、12、21及び92の反応性は、N末端セリンが除去され、C末端グリシンが付加されると失われる。一方、クローン15は依然としてこのペプチドを認識したが、N末端バリンが除去され、C末端アスパラギン酸が付加されると認識は消失した。逆に、患者5からのクローン109は、6つの異なる14量体ペプチドを認識し、「NYERARRPG」(配列番号163の9量体コア結合配列の存在にのみ依存しているようであった。これらのクローンの暫定的なDR特異性は、HLA-DR8である。同様の結果がHLA-DQ7拘束性T細胞クローンでも見られた。クローン8は、「RRPGLLGAS」(配列番号164)の9量体コア結合配列を必要とするようであったが、クローン10は、クローン8によって認識される最初の2つのペプチドを認識しなかった。したがって、このクローンによる認識を得るには、C末端ロイシンが適切な位置にある必要がある。クローン52は、コア結合領域「LLGASVLGLDDI」(配列番号165)からなるC末端フレームを認識する。
【0454】
【表5】
【0455】
考察
このデータは、異なるHLAクラスII分子が「コア結合」配列の優先性に基づいて長鎖ポリペプチドから個々の「フレーム」を選択する、ペプチドのHLA結合の役割を示すだけでなく、癌患者において配列番号1などのポリペプチドによって生成される免疫応答の有効性を決定する際の隣接領域の構成の役割も強調する。したがって、配列番号1などのポリペプチドは、その全体配列内に、異なるT細胞クローンによって認識される異なる領域を含み、これがこのポリペプチドの高い免疫原性に寄与し得る(例えば、実施例1で論じたとおり)。
【0456】
実施例5:配列番号116のポリペプチドはT細胞免疫応答を誘発することができる多数のエピトープを含む
材料及び方法
エピトープ分析は、GV1001(n=4)又はhTERTmRNAでトランスフェクトされた樹状細胞(DC)(n=3)でワクチン接種され、臨床応答者として同定された癌患者からのサンプルに対して実施された(参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/101173号及びSuso et al.Cancer Immunol Immunother.2011 Jun; 60(6): 809-18に記載されるとおり)。癌患者には、黒色腫、肺癌、結腸癌、膵臓癌の患者が含まれていた。簡潔には、731、713、714、730、715、729、722、709、726、727、732、723のペプチドを使用して、ワクチン接種中の様々な時点からの末梢血単核細胞(PMBC)を、重複するhTERTペプチドライブラリーで刺激し、次いでT細胞増殖アッセイで特異的なT細胞応答を試験した(参照により本明細書に組み込まれるBernhardt et al., 2006に記載されるとおり)。
【0457】
結果
表6は、エピトープ解析に供したhTERTの活性部位領域の配列を示す。T細胞増殖アッセイで試験された個々のペプチドには番号が付され、下線が引かれており(すなわち731、713、714、730、715、729、722、709、726、727、732、723)、GV1001の配列(配列番号126、16量体ポリペプチド)、配列番号116(30量体ポリペプチド)及び配列番号118(30量体ポリペプチド)のC末端参照配列にはハイライトが付され、下線が引かれている。GV1001ワクチン接種後のエピトープ拡大の結果として(患者4人)又はhTERT mRNAトランスフェクトDCによるワクチン接種の結果として(患者3人)、陽性の免疫応答を与えた試験ポリペプチドは、配列番号116と8個のアミノ酸の最小配列(最小エピトープ/コア結合領域であると考えられる)を共有する場合、例えば配列番号116に埋め込まれたエピトープを含有するとみなされた。各ポリペプチドのそのようなヒット数を以下の表6及び表7に示す。
【0458】
【表6】
【0459】
【表7】
【0460】
考察
表6及び表7のデータは、配列番号116が、DC及びGV1001ワクチン接種を受けた患者において、GV1001及び配列番号118のC末端参照配列と比較して、T細胞免疫応答を開始することができる最も多くのエピトープを含有することを示す。2つの異なるタイプの患者材料を使用すると、エピトープの重要な検証が可能になる。特に、GV1001ワクチン接種からのエピトープ拡大とmRNAワクチン接種の両方が、hTERTタンパク質からの個々のエピトープのプロセシングに依存しているため、データは真正な自然にプロセシングされたhTERTエピトープを同定する。いくつかのエピトープが異なる患者で同定されるという観察は、これらのエピトープの独立した検証を提供する。配列番号118のC末端参照配列と比較した、配列番号116及びGV1001に対する応答者の数の差は、GV1001に対する直接的なワクチン応答との重複のため、DCワクチン接種患者と比較して、GV1001ワクチン接種患者において相対的に高い。
【0461】
この分析は、臨床応答者として特定された患者からのサンプルに対して実施され、これは、本明細書で分析したポリペプチドに対して検出されたT細胞応答が臨床的に関連するエピトープを表すことを示す。したがって、配列番号116のポリペプチドは、多数の臨床関連エピトープ及び表6及び7に含まれるデータによって示されるように、GV1001又は配列番号118のC末端参照配列よりも多数のエピトープを含有するようである。
【0462】
実施例6:予測されるT細胞エピトープ数及び集団カバレッジ
背景
癌治療に使用される治療用ペプチドの集団カバレッジは、T細胞エピトープ含有量及び集団HLA頻度を見ることによって推定できる。多くの場合、ペプチド又はペプチド混合物には、CD4+及びCD8+T細胞の両方の活性化を誘発できるペプチドを含有する。これは、HLAクラスI及びHLAクラスII結合の両方が関連していることを意味する。以下の表8に記載されるように、多数のペプチドについて集団カバレッジを評価した。HLAペプチド結合のインシリコ予測は、カバレッジを推定するために集団HLA対立遺伝子頻度データとともに使用された。
【0463】
材料及び方法
集団のHLA対立遺伝子の頻度
Allele Frequency Netデータベース(Gonzalez-Galarza et al., Nucleic Acids Res.2020 Jan 8; 48(D1): D783-D788)からのHLA頻度データを使用した。このデータベースには、1,000万人を超えるドナーからの1,600を超える集団に関する情報が含まれている。課題は、多くの場合、地域的なもの又は特定の民族グループに焦点を当てた小規模な研究に基づいて、代表的な高レベルの集団(例えば、ヨーロッパ、アジア)を選択することである。オーストラリアを例に挙げると、ヨーロッパ系オーストラリア人とアボリジニ系オーストラリア人は大幅に異なる。しかし、ヨーロッパ系アメリカ人をドイツのコホートと比較すると、対立遺伝子の分布が非常に類似していることがわかる。小規模な研究を高レベル集団グループに結合するために、Buiet al.(BMC Bioinformatics. 2006 Mar 17; 7: 153)は、最新のアプローチでデータが16の地理的領域に分割される戦略を使用した。
【0464】
HLAペプチド結合/T細胞エピトープのインシリコ予測
HLAクラスI及びHLAクラスII結合の両方の予測は、SciCrossインハウスアルゴリズムを使用して行われた。発生頻度の高いHLA対立遺伝子の場合、予測モデルの精度は一般に高くなる。これは、アルゴリズムトレーニング用のデータが十分に入手可能であるためである。まれな対立遺伝子については、Tepitopepanに類似したアプローチがHLAクラスII予測に使用された(Zhang et al., PLoS One. 2012; 7(2): e30483)。
【0465】
対立遺伝子のカバレッジ
対立遺伝子のカバレッジは2ステップで計算され、最終分析はHLAクラスIとHLAクラスIIのカバレッジに別々に分割される:(i)目的のペプチドを使用して、全ての対立遺伝子についてHLA結合予測が実行される。予測スコアがモデルのスコア分布の上位5%パーセンタイルに入る場合、対立遺伝子特異的バインダーが考えられる。少なくとも1つの9量体サブペプチドバインダーが予測される場合、ペプチドは所与のHLA対立遺伝子のバインダーであるとみなされる。アウトプットは、ペプチドが少なくとも1つの予測バインダーを有する対立遺伝子の数である。(ii)予測される対立遺伝子は、異なる集団におけるカバレッジを計算するために使用される。このステップで使用されるアプローチは、Bui et al. 2006に記載された方法の実践である。さらに、ペプチドの組み合わせの集団カバレッジは、カバーされる個々の対立遺伝子を組み合わせることによって計算できる。
【0466】
分析に使用したペプチド配列
集団カバレッジ及び総エピトープ数は、以下の表8に記載される5つのペプチド/組み合わせペプチドグループについて計算した。さらに、HLAクラスI及びクラスII対立遺伝子のカバレッジ及び集団カバレッジに関するペプチドのいくつかの具体的な比較を、以下のa)~c)に記載するように実施した。
【0467】
【表8】
【0468】
ペプチドの具体的な比較:
a)配列番号1対配列番号116及びそれらの組み合わせ;
b)配列番号116対配列番号118;
c)配列番号116対配列番号126(及び対配列番号1)
【0469】
結果:
予測されるエピトープの総数
表9は、上記の表8に記載される5つのペプチド/ペプチドの組み合わせについて予測されるエピトープの総数を示す。括弧内には、カバーされる固有のHLA対立遺伝子の総数が示される。表9に示すように、配列番号116は、特に多数の予測されるクラスIエピトープを含むと思われる。さらに、配列番号1と配列番号116の組み合わせは、多数の予測されるクラスI及びクラスIIエピトープをもたらすようであり、これらのペプチドの組み合わせが高レベルの有効性を有することが予想されることを示唆している。
【0470】
【表9】
【0471】
具体的な比較
a)配列番号1対配列番号116及びそれらの組み合わせ:
配列番号1及び配列番号116は、HLAクラスI及びHLAクラスII対立遺伝子の予測されるカバレッジが異なる。配列番号116は、クラスI対立遺伝子について配列番号1よりも高いカバレッジを有し、一方、配列番号1は、クラスII対立遺伝子について配列番号116よりも高いカバレッジを有する(表9)。図2Aは、配列番号1及び配列番号116間のカバーされたHLAクラスI対立遺伝子の比較を示す。配列番号1と配列番号116を組み合わせると、より高いクラスI対立遺伝子のカバレッジが得られると予想される。最も多くのクラスIエピトープに寄与するのは、配列番号116のペプチドである(19の固有の対立遺伝子をカバーする。図2Aを参照されたい)。配列番号1と配列番号116の組み合わせは、各ポリペプチド単独と比較して、クラスI及びクラスIIエピトープの両方についてより高い総予測エピトープ数を与える(表9)。図3は、HLAクラスI(図3A)及びHLAクラスII対立遺伝子(図3B)に基づく配列番号1及び116の集団カバレッジを示す。いずれのポリペプチドも、HLAクラスII対立遺伝子に基づいて高い集団カバレッジを提供すると予測される(一般に配列番号116よりわずかに高いカバレッジを提供する配列番号1を有する)。配列番号116は、HLAクラスI対立遺伝子に基づいて、特に高い集団カバレッジを提供する。
【0472】
b)配列番号116対配列番号118:
配列番号116は、配列番号118と比較して、予測されるエピトープ数がより多く、HLAクラスI対立遺伝子につき、より良好なカバレッジを有する。図2Bは、カバーされるクラスI対立遺伝子間の重複を示す。ここで、配列番号118によってカバーされる大部分の対立遺伝子が配列番号116によってもカバーされることが分かる。配列番号116及び118間のHLAクラスII対立遺伝子の総カバレッジはある程度類似している。図2Cは、配列番号116及び配列番号118間のカバーされたHLAクラスII対立遺伝子の比較を示す。カバーされる対立遺伝子には大きい重複があるが、個々のペプチドは、特定の対立遺伝子のセットもカバーする。同様のパターンの結果が集団カバレッジに関しても認められており(図6A及び6B、「GV_LSE」と「C-term-pep」を比較)、配列番号116は、特にHLAクラスIエピトープに基づいて、より高い集団カバレッジを提供すると予想される。
【0473】
c)配列番号116対配列番号126(及び対配列番号1):
図2D及び2Eは、配列番号116及び配列番号126間の、それぞれカバーされたHLAクラスI対立遺伝子とHLAクラスII対立遺伝子の比較を示す。カバーされたHLAクラスI及びII対立遺伝子間にはいくらかの重複があるが、配列番号116は、特にHLAクラスII対立遺伝子に関して、配列番号126と比較して多数の固有の対立遺伝子に寄与する。図4A及び4Bは、配列番号116が、配列番号126と比較して、HLAクラスIエピトープ(図4A)及びHLAクラスIIエピトープ(図4B)に基づいて、より高い集団カバレッジを提供するであろうことを示す。図5A及び5Bは、配列番号116、126、さらには配列番号1の、HLAクラスI及びクラスIIエピトープに基づく集団カバレッジをさらに示す。上で論じたように、配列番号1は、HLAクラスII対立遺伝子に基づいて、特に高い集団カバレッジを提供する。
【0474】
中央アメリカについて入手可能なHLA頻度データはほとんどないことに注意されたい。これは、一見低いカバレッジからは結論を導くことができないことを意味する。
【0475】
考察
予測されるT細胞エピトープ及び集団カバレッジデータは、配列番号1及び配列番号116、特にこれらのポリペプチドの組み合わせが、広範囲の(全世界の)ヒト集団にわたり高レベルの有効性を提供すると予想されることを示す。
【0476】
実施例7:CD4+T細胞エピトープを有する又は有しないコンジュゲートのマウスへの投与
実施例7a):CD4+エピトープを有しないコンジュゲートはマウスのB細胞エピトープに対する抗体応答を駆動しない
材料及び方法
雌のC57BL/6マウスに、B細胞エピトープ(MTTE;配列番号7)の配列を含むポリペプチドと、mgp100のマウスCD8+T細胞エピトープを含有するAVGALEGSRNQDWLGVPRQL(配列番号54)の配列を含むポリペプチドとを含む、コンジュゲートを投与した。このコンジュゲートは、既知の完全CD4+T細胞エピトープ又はユニバーサル腫瘍抗原由来のCD4+T細胞エピトープを含んでいなかった。コンジュゲートの投与は、2nmolのコンジュゲートの各皮下(SC)投与間に1週間の間隔をおいて3回実施した。コンジュゲートの最後の投与から23日後、マウスから血液を採取し、MTTEコーティングされたストレプトアビジンプレートを用いて抗MTTE IgG ELISAを実施して、マウスが抗MTTE抗体を発現したかどうかを評価した。コンジュゲートの注射と同じ時点で、対照としてモノクローナル抗MTTE IgG1抗体(300μgのSC注射)を数匹のマウスに注射した。ELISAは、ストレプトアビジンプレートを1nmol/mlの濃度のビオチン化MTTE含有ペプチドで、4℃で一晩コーティングすることによって実施した。この後、プレートを0.05% Tween溶液で3回洗浄し、次いで10%FBS及び0.05% Tweenを含有する溶液でブロッキングした。希釈した血漿サンプルを室温で2時間インキュベートし、再度3回洗浄した。二次ポリクローナル抗マウスIgG1/HRP抗体を使用して、プレートに結合した抗MTTE抗体を検出した。二次検出抗体を室温で1時間インキュベートし、その後、プレートを洗浄し、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)を使用してプレートを展開した。1M HSOを使用して反応を停止した。吸光度を450nmで読み取った。
【0477】
結果
図7Aは、CD4+T細胞エピトープを欠くコンジュゲートによって内因性抗MTTE IgG1抗体が誘導されなかったことを示す(図7A、「SC注射マウス(コンジュゲート2nmol)」を参照されたい)。抗MTTE IgG1を注射した動物は、循環中に抗MTTE抗体を提示した(図7A、「SC注射マウス(aMTTE IgG1)」を参照されたい)。したがって、モノクローナル抗MTTE IgG1抗体の受動的移入で注射されたマウスのみが、測定可能な抗MTTE抗体力価を示した。
【0478】
考察
図7Aに示すデータは、既知のCD4+T細胞エピトープを有しないコンジュゲートの投与では、マウスにおける抗MTTE抗体の産生を駆動できないことを示す。
【0479】
実施例7b):CD4+エピトープを含むコンジュゲートはマウスのB細胞エピトープに対する抗体応答を駆動することができる
材料及び方法
マウスに、B細胞エピトープ(MTTE;配列番号7)の配列を含むポリペプチドと、「PADRE」と呼ばれる、非内因性のユニバーサルCD4+T細胞エピトープを含む、配列番号55の配列を含むポリペプチドとを含む、コンジュゲートを投与した。
配列番号55:ARWWWMHHNMDLIGGAKxVAAWTLKAu
式中、
xは、シクロヘキシル-Alaを表し;
uは、D-Alaを表し;
ARWW(配列番号56)は、TAP配列である(TAP配列は、宿主細胞の小胞体へのポリペプチドのTAP駆動輸送を媒介できる配列である)。
WMHHNMDLI(配列番号57)は、マイナーHY抗原のマウスCD8+T細胞エピトープである。
GGは、プロテアソーム切断部位であり;
AKxVAAWTLKAu(配列番号58)は、PADRE配列(すなわち非内因性のユニバーサルCD4+T細胞エピトープ)である。
【0480】
マウスに、1nmolのコンジュゲート又は配列番号55のネイキッドペプチド単独(すなわちMTTE配列への結合なし)を皮下注射した。注射を1週間間隔で3回行い、コンジュゲート又はネイキッドペプチドの最後の投与から9日後、マウスから血液を採取し、実施例1a)に記載されるようにMTTEコーティングされたストレプトアビジンプレートを用いて抗MTTE IgG ELISAを実施して、マウスが抗MTTE抗体を発現したかどうかを評価した。
【0481】
結果
図7Bは、コンジュゲートに曝露された全てのマウスが測定可能な抗MTTE IgG1抗体力価を有していたため、ユニバーサルPADRE配列(すなわちCD4+T細胞エピトープ)を含むコンジュゲートが、コンジュゲートに対する抗MTTE IgG1抗体の産生を駆動できたことを示す(図7B「コンジュゲート:MTTE3-HY-PADRE」を参照されたい)。対照的に、PADRE配列を含有する配列番号55のネイキッドペプチド(すなわちMTTE配列とコンジュゲートしていない)のみに曝露されたマウスは、MTTE配列に対する抗体を有しなかった(図7B、「SLP:HY-PADRE」を参照されたい)(MTTE配列に曝露されていないことから予想されるとおり)。
【0482】
考察
図7Bに示すデータは、CD4+T細胞エピトープのコンジュゲートへの組み込みがマウスにおける抗MTTE抗体の産生を駆動することを示す。したがって、コンジュゲート中のCD4+T細胞エピトープ(この例ではPADRE配列)の存在により、マウスが破傷風ワクチン接種に曝露されていないにもかかわらず、抗MTTE抗体レベルが上昇した。これは、CD4+T細胞エピトープを有しないコンジュゲートがマウスにおける抗MTTE抗体の産生を駆動することができなかった実施例7a)と対照的であり得る。
【0483】
実施例8:B細胞エピトープ及びCD4+T細胞エピトープを含有するコンジュゲートを含むワクチン(「TENDU」)はウサギにおいてB細胞エピトープに対する抗体応答を駆動することができる
材料及び方法
TENDUワクチンは、それぞれが3コピーのB細胞エピトープ(MTTE;配列番号7)と、CD4+T細胞エピトープを含むSLPとを含有するコンジュゲートを含む(TENDUワクチンの構造のさらなる詳細は図8Cに提供される)。これは、Meditox(Konarovice、Czech Republic)によって雄ウサギで試験した。ウサギに破傷風トキソイド(TTd)ワクチン(Equip(登録商標)T vet。≧30IU/ml、Orion Pharma Animal Health)を4回(2週間間隔で)皮下ワクチン接種して、循環抗MTTE抗体を生成した(図8A)。さらに2週間後、ウサギに低(10μg/コンジュゲート、n=5)、中(100μg/コンジュゲート、n=5)又は高(240μl/コンジュゲート、n=8)用量で、TENDUを4回(2週間間隔で)皮下ワクチン接種した。2つの対照グループは、TTdワクチンのみを投与されたウサギ(n=5)と、高用量のTENDUのみを投与され、Equip(登録商標)T vetは投与されなかったウサギ(n=5)であった。TTdワクチン接種サイクル後(第8週)及びTENDUワクチン接種サイクル後(第15週)に、MTTE特異的抗体産生を検出するための血清学的分析のために血液サンプルが収集され、これは、Capra Science(Sweden)によって実施された。ウサギ抗MTTE力価は、ビオチン化MTTEでコーティングされたストレプトアビジンプレートを使用して、TTdワクチン接種前後及びTENDUワクチン接種前後で誘導されたウサギ抗MTTE抗体を検出する、インハウスELISAでCapra Science抗体ABによって測定された。アルカリホスファターゼにコンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgGを二次抗体として使用した。基質4-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物(1mg/ml)を使用した。吸光度を405nmで測定し、曲線フィッティングを使用してワクチン接種前後の力価を決定した。
【0484】
結果
図8Bは、TTdがウサギにおいて低レベルの抗MTTE抗体力価を誘導し、これが中用量及び高用量のTENDUワクチンコンジュゲートでのTENDUワクチン接種によって大幅に強化されたことを示す(図8B)。TENDUワクチンのみでワクチン接種したウサギ(図8B、「TTdなし」)は、TTdワクチン接種によって誘導された既存の抗MTTE抗体反応を有するグループと比較して、抗MTTE抗体のレベルが低かった。したがって、ウサギは、TTd曝露によって誘発された既存の抗MTTE応答を有するかどうかに応じて、抗MTTE力価応答に違いを示した。既存の抗MTTE応答を有するウサギは、高用量TENDUワクチン接種サイクル前及び後に抗MTTE抗体の力価の有意な上昇を示し(対応のあるt検定;p=0.0013)、これは、同じ高用量のTENDUに曝露されたがMTTE配列に対する既存の抗体を有しなかった動物では認められなかった。
【0485】
考察
TENDUワクチンは、ウサギ特異的T細胞エピトープを保持するように特にデザインされているわけではないが、それでもウサギMHC分子はTENDUワクチンコンジュゲート内に含まれる合成長鎖ペプチドからのペプチドを提示することができ、そのためこれらの長鎖ペプチドは、ウサギの抗MTTE抗体の産生を駆動するように作用することができる。既存の抗体を有するウサギでは、図1に例示されているような作用機序に従って免疫応答を誘導するはずである免疫複合体の形成が発生し得る。力価データは、活性物質が臨床関連モデルに投与されていることと、MTTE B細胞エピトープ及びCD4+T細胞エピトープを含有するコンジュゲートを含むワクチンがモデルにおける抗MTTE抗体の産生を駆動できることとを示す。データは、選択された送達経路及び用量による作用機序を確認するものである。(MTTE)B細胞エピトープ及びCD4+T細胞エピトープを含むコンジュゲート(この例ではTENDUワクチン)によるワクチン接種の開始前のTTd追加ワクチン接種の使用もサポートする。ただし、コンジュゲートをさらに注射すると、抗体産生の点でTTdブースターの使用と同様の効果が得られる可能性がある。
【0486】
実施例9:抗MTTE抗体によるコンジュゲート結合の評価
材料及び方法
GMP LUG1-6コンストラクトのヒトモノクローナル抗MTTE IgG1抗体への結合
インハウスELISAを使用して、GMP産生LUG1-6コンジュゲートの組換えヒトモノクローナル抗MTTE IgG1抗体への結合を確認した。ELISAプレートを、Milli-Q水中、様々な濃度(0.000457~1nmol/ml、1ウェルあたり1つのコンジュゲート)で希釈した100μl/ウェルのコンジュゲートでコーティングした。プレートを覆い、4℃で一晩インキュベートした。続いてプレートを4回洗浄し、10%BSA及び0.05% Tween20を含有する200μl/ウェルのPBSでブロッキングし、室温(RT)で1時間インキュベートした。洗浄後、ヒトキメラ抗MTTE IgG1抗体(Evitria AG, Switzerland社製特注品、>99%の単量体含有量及び<0.1EU/mgのエンドトキシン)を、1%BSA及び0.05% Tween20を補充したPBS中0.1μg/mlで加えた。プレートを、0.05% Tween20を含有する250μl/ウェルのPBSで4回洗浄し、1%BSAを補充したPBSで1:8000に希釈した二次抗体(抗ヒトカッパ軽鎖二次抗体、Thermo Fisher Scientific #A18853)を全てのウェルに加えた(100μl/ウェル)。暗所、室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、100μlのTMBをウェルに加えた。反応を100μl/ウェルの1M HSOで停止し、吸光度を450~570nmの波長で測定した。
【0487】
GMP LUG1-6コンストラクトのヒトポリクローナル抗MTTE抗体への結合
上記と同じインハウスELISAを使用して、以前に抗MTTE抗体を有することが確認されたヒトドナーの血漿からのヒトポリクローナル抗MTTE抗体に対するGMP産生LUG1-6コンストラクトの結合を確認した。ELISAプレートを、Milli-Q水中、様々な濃度(0.004、0.03、0.4及び1nmol/ml、1ウェルあたり1つのコンジュゲート)で希釈した100μl/ウェルのコンジュゲートでコーティングした。プレートを覆い、室温で2時間インキュベートした。次いで、プレートを0.05% Tween20を含有する250μl/ウェルのPBSで4回洗浄した。次いで、プレートを200μl/ウェルのSuperblock T20(Thermo Scientific)を用いて室温で5分間、3回ブロッキングした。プレートを、0.05% Tween20を含有する250μl/ウェルのPBSで4回洗浄した。ドナーヒト血漿を、1%BSA及び0.05% Tween20を補充したPBSで1:200に希釈し、100μl/ウェルをプレートに適用し、次いでこれをRTで2時間インキュベートした。プレートを再度、0.05% Tween20を含有する250μl/ウェルのPBSで4回洗浄し、1%BSAを補充したPBSで1:8000に希釈した二次抗体(抗ヒトカッパ軽鎖二次抗体、Thermo Fisher Scientific #A18853)を全てのウェルに加えた(100μl/ウェル)。暗所、室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、100μlのTMBをウェルに加えた。反応を100μl/ウェルの1M HSOで停止し、吸光度を450~570nmの波長で測定した。
【0488】
結果及び考察
図9A及び9Bは、コンジュゲートLUG1-6がそれぞれELISAプレート上にコーティングされ、モノクローナル抗MTTE抗体(図9A)及び確認された抗MTTE抗体を有するドナーのヒト血漿からのポリクローナル抗体(図9B)によって検出できることを示す。したがって、濃度が増加すると、LUG1-6コンジュゲートは、モノクローナル抗MTTE抗体及び特定のドナーからの内因性ポリクローナル抗体に結合することがそれぞれ示された。データは、抗MTTE抗体(モノクローナル及びポリクローナル)がコンジュゲート内に含まれる場合、MTTE配列に結合できることを示す。
【0489】
実施例10:ヒト化HLA-DR4マウスへのLUG2コンジュゲートの投与
材料及び方法
ヒト化HLA-DR4マウスにおけるエピトープ特異的T細胞応答の評価
C57BL/6バックグラウンドの雌のHLA-DR4トランスジェニックマウス(研究開始時に12週齢)をTaconic(Germantown, MD, USA)から入手した。HLA-DR4動物の尾根部にLUG2コンストラクト(20μg)を皮下投与し、2週間後に追加刺激を行った。1週間後、マウスを屠殺し、下記のようにELISPOTによる分析用の単一細胞懸濁液を生成するために脾臓を収集した。LUG2曝露後の抗MTTE力価を分析するために心採血を実施した。LUG2に曝露されていない尾静脈からサンプル採取したHLA-DR4動物を、ベースライン力価評価の対照として使用した(曝露されていない動物)。
【0490】
免疫応答の評価
MTTE配列に対する抗体力価は、インハウスELISAを使用して決定された。ストレプトアビジンプレート(Thermo Scientific)を、C末端でビオチン化されたFIGITELKKLESKINKVFSSAFADVEAA(配列番号142)の配列を有するペプチドで、4℃で一晩コーティングした。プレートをPBS(0.05% Tween)で洗浄し、PBS(10%BSA及び0.05% Tween)を用いて室温で1時間ブロッキングした。マウス血清をPBS(1%BSA及び0.05% Tween)で連続希釈し、プレートに適用し、室温で2時間インキュベートした。マウスMTTE特異的IgG抗体は、HRPコンジュゲート二次抗体:ヤギ抗マウスIgG(Dako製ポリクローナル抗体;1:4000希釈)で検出された。HRPコンジュゲート二次抗体をPBS(1%BSA)で希釈し、室温で1時間、プレート上でインキュベートした。反応は基質TMB(Dako)で進行させ、1M HSOで停止した。iMarkマイクロプレートリーダー(Bio-Rad)を使用して、450~570nmで吸光度を読み取った。
【0491】
HLA-DR4エピトープの免疫原性は、埋め込まれたHLA-DR4配列を含有するSLPで脾細胞を刺激することによって評価された。これは、エクスビボIFNγ ELISpotアッセイ(マウスIFNγ/3321-2A用ELISpotキット、Mabtech, Stockholm, Sweden)を使用して実施された。TAP配列を有するLUG2 SLPは、アミノ酸配列:ARWWLLHETDSAVAAARQIYVAAFTVQAAAE(配列番号143)を有し、TAP配列を有しないLUG2 SLPは、アミノ酸配列:LLHETDSAVAAAARQIYVAAFTVQAAAE(配列番号144)を有し;いずれも埋め込まれたHLA-DR4配列を含有する。脾臓を採取する1日前に、製造元のプロトコルに従って、IFN-γ ELISpotアッセイ用の96ウェルELISpotプレート(Millipore)を捕捉抗体でプレコートした。PBS/Tweenで5回洗浄し、1%w/v L-グルタミン(SLS/Lonza)、10%v/v FBS(Fisher/GE Healthcare)、2%HEPES(SLS/Lonza)、0.1%v/v Fungizone(Promega)を含有するRPMI1640(Life Technologies/Thermo Fisher Scientific)を含むT細胞培地で最低30分間ブロッキングした後、0.5x10/ウェルの新たに単離した脾細胞を、最終濃度10μg/mlのそれぞれのSLP100μlとともにプレートに三重に播種した。次いで、細胞を5%COインキュベーター中37℃で48時間インキュベートし、その後、プレートをDPBSTで5回洗浄した。次いで、マウスIFNγに対する50μl/ウェルのビオチン化検出抗体(1/1000希釈)を加え、プレートを室温で2時間インキュベートした。次いで、プレートをDPBSTで5回洗浄し、続いて50μl/ウェルのストレプトアビジンアルカリホスファターゼ(1/1000希釈)を加えた。次いで、プレートを室温で1時間30分間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを再度DPBSTで6回洗浄し、次いで50μl/ウェルの展開溶液(BCIP/NBT、bioRad)を加えた。スポットが見えるまで、プレートを室温で暗所に放置した。スポットが発生したら、プレートを水道水ですすぐことによって反応を停止した。次いで、プレートを放置して乾燥させ、ELISpotプレートリーダー(Cellular Technology Limited, Shaker Heights, OH, USA)を使用してスポットを定量した。各ELISpotアッセイにつき、SEB、ブドウ球菌エンテロトキシン-B(2.5μg/ml)を陽性対照として使用し、未刺激の脾細胞(細胞のみ)を陰性対照として使用した。全ての実験は3回繰り返して実施した。細胞のみのウェル内のスポット数が20を超えず、ペプチド含有ウェル内の反応が対照ウェルの平均の標準偏差の少なくとも2倍である場合、動物は陽性反応を有するとスコア付けされた。
【0492】
結果及び考察
LUG2はHLA-DR4拘束性PSMAエピトープを含むため、動物をLUG2コンジュゲートに曝露してCD4+T細胞の初回刺激を評価することが可能であった。HLA-DR4マウスは、LUG2コンストラクトを用いたプライム/ブーストワクチン接種スケジュールを受けた。図10Aは、非曝露(対照)動物及びLUG2曝露動物から収集した血清から、LUG2に曝露されたマウスが抗MTTE力価の増加を示したことを示す。図10Bは、LUG2ワクチン接種動物からの脾細胞を、LUG2コンストラクトに含有されるSLP(UV02、配列番号143)又はTAP ARWW配列を含まないSLP(UV08、配列番号144)で処理すると、IFN-γ産生T細胞の数の増加が観察された。図10は、20μgのLUG2でワクチン接種したマウスから得られた結果を示す。同様のパターンの結果が、5μgのLUG2でワクチン接種したマウスから得られた(データは示さず)。したがって、前立腺癌関連抗原に由来するB細胞エピトープ及びCD4+T細胞エピトープを含むコンジュゲートをHLA-DR4マウスに投与すると、非曝露マウスに対し、曝露マウスにおいて、B細胞エピトープに特異的な抗体(抗MTTE抗体)の力価が上昇し、コンジュゲートのCD4+T細胞エピトープに対するT細胞応答が生じた。データは、CD4+T細胞エピトープがコンジュゲートに組み込まれた場合、インビボでの抗体レベルの増加及びT細胞応答を観察するために、コンジュゲートによるワクチン接種前に追加ワクチン接種を要しないことも示す。さらに、データは、天然の前立腺癌関連抗原に由来するCD4+T細胞エピトープが、非内因性PADRE配列と同様の抗MTTE抗体の誘導を達成できることを示す。
【0493】
合成例1~22
以下の合成例は、本発明の実施形態によるコア化合物及びコア化合物を含むコンジュゲートの合成を説明する。
【0494】
コア合成-合成例1~10
以下の合成例は、本発明の実施形態によるコア化合物の合成を説明する。
【0495】
合成例1:DBCO-コアA:
【化42】
DBCO-酸は、DMF中のPyOxim/Oxyma pure及びDIPEAを使用して活性化され、DMF中のアミノ-PEG4-トリス-PEG4-アルキン(コアA)と反応する。産物をフラッシュクロマトグラフィーで精製する(スキーム1)。
LCMS特性データ:MW理論=1510.8;MW観測=1511.7[M+H
【化43】
【0496】
スキーム1.DBCO-酸のコアAへのカップリング。
合成例2:PG-[Lys(Br)]
【化44】
Rinkアミド樹脂から出発して、Fmoc-Lys(Boc)-OHを、SPPS条件を使用して3回連続してカップリングする。Fmoc除去後、DMF中のDIPEAを使用してクロロギ酸プロパルギルをカップリングし、TFAを使用してコアを樹脂から切り離す。ブロモ酢酸は、DMF中のDICを使用してカップリングされ、産物はRP-HPLC精製によって精製され、凍結乾燥される(スキーム2)。
【0497】
SPPS条件:アミノ酸は、DMF中のDIC/Oxyma pure及び5倍過剰のDIPEAを使用して、リンカー誘導体化された標準ペプチド合成樹脂にカップリングされる。Fmocは、NMP中の20%ピペリジンを使用して除去される。
LCMS特性データ:MW理論=845.0;MW観測=846.0[M+H
【化45】
【0498】
スキーム2:樹脂からの切断を含むPG-[Lys(Br)]のSPPS。
合成例3:PG-[Lys(Mal)]
【化46】
ブロモ酢酸の代わりに6-マレイミドヘキサン酸を使用したことを除いて、合成例2と同じ手順を使用した(スキーム3)。
LCMS特性データ:MW理論=1062.5;MW観測=1063.8[M+H
【化47】
【0499】
スキーム3:樹脂からの切断を含むPG-[Lys(Mal)]のSPPS。
合成例4:DBCO-[Lys(Br)]
【化48】
Sieber樹脂から出発して、Fmoc-Lys(Mtt)-OHを、SPPS条件を使用して3回連続してカップリングする。Fmoc除去後、DMF中のDIC/Oxyma pure及びDIPEAを使用してDBCO-酸をカップリングし、TFAを使用してコアを樹脂から切り離す。ブロモ酢酸は、DMF中のDICを使用してカップリングされ、産物はRP-HPLC精製によって精製され、凍結乾燥される(スキーム4)。
LCMS特性データ:MW理論=1050.0;MW観測=1051.0[M+H
【化49】
【0500】
スキーム4:樹脂からの切断を含むDBCO-[Lys(Br)]のSPPS。
合成例5:DBCO-[Lys(PG)]
【化50】
Rinkアミド樹脂から出発して、Fmoc-Lys(Boc)-OHを、SPPS条件を使用して3回連続してカップリングする。コアを樹脂から切り離し、DMF中のDIPEAを使用してクロロギ酸プロパルギルをカップリングする。DMF中の20%ピペリジンを使用してFmocを除去した後、中間体をRP-HPLC精製によって精製し、凍結乾燥する。DMF中のDIC/Oxyma pure及びDIPEAを使用してDBCO-酸をカップリングし、産物をRP-HPLC精製によって精製し、凍結乾燥する(スキーム5)。
LCMS特性データ:MW理論=934.4;MW観測=935.5[M+H
【化51】
【0501】
スキーム5:樹脂からの切断を含むDBCO-[Lys(PG)]のSPPS。
参考合成例6:コア1.0
【化52】
コア1.0は、欧州特許第2547364B1号の[113]~[121]に記載されているように合成した。
【0502】
合成例7:DBCO-コアB
【化53】
DBCO-酸は、DMF中のPyOxim/Oxyma pure及びDIPEAを使用して活性化され、DMF中のアミノ-PEG4-ビス-PEG4-アルキン(コアB)と反応する。産物をフラッシュクロマトグラフィーで精製する(スキーム6)。
LCMS特性データ:MW理論=1196.62;MW観測=1197.10[M+H
【化54】
【0503】
スキーム6.DBCO-酸のコアBへのカップリング。
合成例8:DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PG
【化55】
Fmoc脱保護の条件:MeCN、1~5当量のEtNH及び/又はピペリジン。
【0504】
カップリング条件:1当量のアミノ酸、1当量のPyOxim、1当量のOxyma pure、MeCN中2当量;1~2時間。
【0505】
プロパルギルアミンは、カップリング条件を使用してFmoc-Lys(Mtt)-OHとカップリングして、Fmoc-Lys(Mtt)-NH-PGを産生する。Fmoc-Lys(Mtt)-NH-PGは、Fmocの脱保護条件を使用して脱保護され、カップリング条件を使用してFmoc-Lys(Mtt)-OHとカップリングされて、Fmoc-Lys(Mtt)-Lys(Mtt)-NH-PGを産生する。Fmoc-Lys(Mtt)-Lys(Mtt)-NH-PGは、Fmocの脱保護条件を使用して脱保護され、カップリング条件を使用してFmoc-Lys(Mtt)-OHとカップリングされて、Fmoc-Lys(Mtt)-Lys(Mtt)-Lys(Mtt)-NH-PGを産生する。
【0506】
次いで、Fmoc-Lys(Mtt)-Lys(Mtt)-Lys(Mtt)-NH-PGは、Fmoc条件の脱保護を使用して脱保護され、カップリング条件を使用してDBCO-酸とカップリングされて、DBCO-Lys(Mtt)-Lys(Mtt)-Lys(Mtt)-NH-PGを産生する。過剰のTFAを使用してMttを除去すると、DBCO-Lys(NH)-Lys(NH)-Lys(NH)-NH-PGが得られ、これを精製して凍結乾燥する。
【0507】
精製及び凍結乾燥したDBCO-Lys(NH)-Lys(NH)-Lys(NH)-NH-PGを少量のDMFに溶解する。ブロモ酢酸をDMFに溶解し、DICを加える。混合物を混濁するまで撹拌し、コアに加える。反応が完了するまで(一晩)混合物を撹拌する。反応物をDCMで希釈し、水で数回洗浄してDMFを除去する。
【0508】
DCMを蒸発させ、産物をRP精製によって直ちに精製し、産物を含有する画分を凍結乾燥する(スキーム7)。
LCMS特性データ:MW理論=1089.19;MW観測=1089.05[M+H
【化56】
【0509】
スキーム7.DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PGの合成
合成例9:DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PEG1-PG
【化57】
プロパルギルアミンの代わりに2-(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)エタン-1-アミンを使用したことを除いて、合成例8と同じ手順を使用した(スキーム8)。
LCMS特性データ:MW理論=1133.22;MW観測=1133.13[M+H
【化58】
【0510】
スキーム8.DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PEG1-PGの合成
合成例10:DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-Ser(PG)-NH
【化59】
500mg(0.3mmol)のFmoc-Sieber-ポリスチレン樹脂(0.61mmol/gローディング)をDMF中で2時間膨潤させる。FmocをNMP中の20%ピペリジンで除去し、樹脂をNMP及びDMFで洗浄する。第1のアミノ酸(Fmoc-Ser(PG)-OH)は、DIC/Oxyma pure及びDMF中の5倍過剰のDIPEAを使用してロードされる。アミノ酸は、両方のカップリングで5倍過剰を使用して6時間カップリングし、2回目に14時間カップリングする。Fmocを切断し(NMP/ピペリジン)、続いて、両方のカップリングで5倍過剰を使用して、アミノ酸(Fmoc-Lys(Mtt)-OH)を6時間カップリングし、2回目に14時間カップリングした。Fmoc除去及び(Fmoc-Lys(Mtt)-OH)とのカップリングのステップをさらに2回繰り返す。
【0511】
アセンブリ後、Fmocが切断され、DMF中のDIC/Oxyma pure及びDIPEAを使用して2当量のDBCO酸が6時間カップリングされる。さらに、2当量のDBCO酸を、DMF中のDIC/Oxyma pure及びDIPEAを使用して14時間、2回目のカップリングをする。側鎖保護基及び配列は、TFA/TIS/DCM/MeOH(1:2:45:45)を90分間使用して同時に切断される。切断混合物を濃縮し、ジエチルエーテル/水(1:1)に再溶解する。画分を分離し、水相を凍結乾燥する。ブロモ酢酸(16当量)を10mg/mLの濃度でDMFに溶解し、DIC(8当量)を混合物に加える。混合物を、混濁するまで20~30分間撹拌する。DBCO-[Lys(NH)]Ser(PG)-NHを20mg/mLの濃度でDMFに溶解し、事前に活性化したブロモ酢酸を加える。反応は、LCMSを使用してモニタリングされる。産物は、Biotage(登録商標)Sfaer Bio C18D-Duo 300Å 20μmカラム及び0~40%B勾配(A:水中0.1%TFA、B:ACN中0.1%TFA)を使用するRP精製によって精製される。純粋な産物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥して、産物を30%の収率で得た(スキーム9)。
LCMS特性データ:MW理論=1176.22;MW観測=1176.20[M+H
【化60】
【0512】
スキーム9.樹脂からの切断を含むDBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-Ser(PG)-NHのSPPS。
コンジュゲート合成-合成例11~22
以下に詳述するようにコンジュゲートを合成した。表10A及び10Bは、コアコンストラクトの概要である。
【0513】
【表10】
【0514】
【表11】
【0515】
【表12】
【0516】
(注:B細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープ及びさらなる物質に関する表10A及びBの「H-」は、N末端の水素を指す。)
【0517】
表10A及びBに含まれるコンジュゲートは、コアにコンジュゲートしたB細胞エピトープの配列を含むポリペプチドの2つ又は3つのコピーをそれぞれ含むことに留意されたい。
【0518】
B細胞エピトープ及びCD4+T細胞エピトープを含むポリペプチド配列は、当技術分野で公知の従来のプロセスを使用して、及び/又は以前に記載されているように(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/115483号に記載されているように)合成した。
【0519】
合成例11:DBCO-コアAを使用した3+1コンストラクトCD12Bの合成
【化61】
DBCO-コアAと719-20Kを混合し、ACN/水に溶解する。反応が完了するまで混合物を撹拌し、0+1中間体をRP-HPLCで精製し、凍結乾燥する。0+1中間体とTET001Kを混合し、ACN/水に溶解し、Cu(I)を加える。反応が完了するまで混合物を撹拌し、産物をRP-HPLCで精製し、凍結乾燥する(スキーム10)。
【0520】
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=15248.9;MW観測=15248.6
【化62】
【0521】
スキーム10.コアDBCO-コアAを使用した3+1コンストラクトCD12Bの合成
合成例12:DBCO-コアAを使用した3+1コンストラクトCD31の合成
【化63】
719-20Kの代わりにGVExt13Mを使用したことを除き、合成例11と同じ手順を使用した(スキーム11)。
【0522】
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=15500.3;MW観測=15499.8
【化64】
【0523】
スキーム11:コアDBCO-[Lys(Br)]を使用した3+1コンストラクトCD31の合成
合成例13:DBCO-コアAを使用した3+1コンストラクトCD28の合成
【化65】
719-20Kの代わりにPEP3242を使用したことを除き、合成例11と同じ手順を使用した(スキーム12)。
【0524】
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=16519.8;MW観測=16519.5
【化66】
【0525】
スキーム12:コアDBCO-[Lys(Br)]を使用した3+1コンストラクトCD28の合成
合成例14:DBCO-[Lys(Br)]を使用した3+1コンストラクトCD20Bの合成
【化67】
TET001CとDBCO-[Lys(Br)]を混合し、ACN/水に溶解する。pHは、0.5M NaHCOを使用して8.5に調整される。カップリングの完了(およそ15分)後、5%AcOHでpHを5に下げ、719-20Kを加え、カップリングが完了するまで反応物を撹拌する。産物をRP-HPLCで精製し、凍結乾燥する(スキーム13)。
【0526】
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=14394.0;MW観測=14392.6
【化68】
【0527】
スキーム13:コアDBCO-[Lys(Br)]を使用した3+1コンストラクトCD20Bの合成
合成例15:DBCO-[Lys(Br)]を使用した3+1コンストラクトCD29の合成
【化69】
719-20Kの代わりにGVExt5を使用したことを除き、合成例14と同じ手順を使用した(スキーム14)。
【化70】
【0528】
スキーム14:コアDBCO-[Lys(Br)]を使用した3+1コンストラクトCD29の合成
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=14568.2;MW観測=14567.4
【0529】
合成例16:DBCO-[Lys(Br)]を使用した3+1コンストラクトCD30の合成
【化71】
719-20Kの代わりにGVExt13Mを使用したことを除き、合成例14と同じ手順を使用した(スキーム15)。
【化72】
【0530】
スキーム15:コアDBCO-[Lys(Br)]を使用した3+1コンストラクトCD30の合成
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=14644.4;MW観測=14643.4
【0531】
合成例17:コア1.0を使用した3+1コンストラクトCD32の合成
【化73】
アセトニトリル中のコア1.0を、光から保護された脱気水及び脱気0.5M NaHCO水溶液中のTET001Cの溶液に加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。DMSO中のペプチド719-20Kの溶液を加え、室温での撹拌を一晩続けた。
【0532】
4.2%NaHCO水溶液を反応混合物に加え、40℃で3日間撹拌した。AcOH及びTCEPを室温で加え、混合物を15分間撹拌し、分取LC-MSバイアルに移し、逆相クロマトグラフィーで精製し、凍結乾燥した(スキーム16)。
【0533】
逆相クロマトグラフィー及びLCMSトレースを図19及び20に示す。
【化74】
【0534】
スキーム16:コア1.0を使用した3+1コンストラクトCD32の合成
合成例18:DBCO-[Lys(PG)]を使用した3+1コンストラクトCD20の合成
【化75】
DBCO-[Lys(PG)]コアを水中85%ACNに懸濁し、水に溶解した719-20Kペプチドを含有するバイアルに移した。追加のACNを加えて乳濁溶液を清澄化した。IPCを確認した後(LC-MS、2.5時間)、反応混合物をC18カラムで精製して中間体0+1コンストラクトを得、これをさらなる特性評価を行わずに次のステップで使用した。水に溶解/懸濁した0+1中間コンストラクトに、水に溶解したTET001Kを加え、続いてアミノグアニジン塩酸塩、CuSO及びTHPTA(CAS 760952-88-3)の水溶液を加え、青色の反応混合物を得た。アスコルビン酸ナトリウム溶液の添加により、反応を活性化した。CuSO及びアスコルビン酸ナトリウム溶液の連続的な添加後、24時間後に完全な変換が達成された。3+1コンストラクトをC4 RPカラムで精製した(スキーム17)。
【0535】
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=14647.2;MW観測=14646.4
【化76】
【0536】
スキーム17:DBCO-[Lys(PG)]を使用した3+1コンストラクトCD20の合成
合成例19:DBCO-コアBを使用した2+1コンストラクトCD14の合成
【化77】
719-20-b-1をACN/水(1:3)に溶解し、ACN/水(1:1)に溶解したDBCO-コアBと混合する。反応は、LCMSによってモニタリングされ、18時間で完了する。混合物を水で希釈し、Biotage(登録商標)Sfaer Bio C4 D - Duo 300Å 20μmカラム及び0~30%B勾配(A:水中の0.1%TFA、B:ACN中の0.1%TFA)を使用するRP精製によって精製する。純粋な産物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥し、産物を単離した。
【0537】
719-20-b-1-DBCO-コアBを水に溶解し、ACN/水(4:1)に溶解したTET005-PEG2-K(N)-OHと混合する。CuBr・SMe及びTHPTAを水に溶解し、反応混合物に加える。DIPEAを反応物に加え、反応物をLCMSによってモニタリングする。完了後、EDTA(11当量)を加える。混合物を水で希釈し、Biotage(登録商標)Sfaer Bio C4 D - Duo 300Å 20μmカラム及び0~40%B勾配(A:水中の0.1%TFA、B:ACN中の0.1%TFA)を使用するRP精製によって精製する。純粋な産物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥し、産物を単離した(スキーム18)。
【0538】
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=9430.0;MW観測=9429.5
【化78】
【0539】
スキーム18.コアDBCO-コアBを使用した2+1コンストラクトCD14の合成
合成例20:DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PGを使用した3+1+1コンストラクトの合成(バッチ番号21E3299/PD00723)
【化79】
DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PGコアを2mg/mLの濃度でACN/水(1:1)に溶解し、5mg/mLの濃度でACN/水(4:1)に溶解したTET001C(3.5当量)と混合する。0.5M NaHCOを使用して、pHを8に調整した。反応は、LCMSによってモニタリングされる。カップリングの完了後、5%酢酸水溶液及びACN/水(4:1)に5mg/mLの濃度で溶解した719-20K(1.1当量)を使用して、pHを5に下げる。反応をLCMSによってモニタリングし、完了後にTCEP(3当量)を加える。混合物を水で希釈し、Biotage(登録商標)Sfaer Bio C4 D - Duo 300Å 20μmカラム及び0~40%B勾配(A:水中の0.1%TFA、B:ACN中の0.1%TFA)を使用するRP精製によって精製する。純粋な中間体3+1+0産物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥し、次のステップに使用した。
【0540】
3+1+0中間体及びGVExt5(1.5当量)を、N下、2mg/mLの濃度で脱気水に溶解した。N下、1mg/mLの濃度で脱気水と混合した、臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体(20当量)及びトリス(3-ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミン(THPTA)(20当量)を、反応混合物に加えた。室温で30分間撹拌した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(20当量)を使用してpHを7に調整した。反応は、LCMSによってモニタリングされる。カップリングの完了後、反応混合物を水中のEDTA(25当量)でクエンチし、水中の5%トリフルオロ酢酸を使用してpHを4に下げた。混合物を水で希釈し、Biotage(登録商標)Sfaer Bio C4 D - Duo 300Å 20μmカラム及び0~40%B勾配(A:水中の0.1%TFA、B:ACN中の0.1%TFA)を使用するRP精製によって精製する。純粋な産物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥した(スキーム19)。
【0541】
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=18042.2;MW観測=18041.8
【化80】
【0542】
スキーム19.コアDBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PGを使用した3+1+1コンストラクト バッチ番号21E3299の合成
合成例21:DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PEG1-PPGを使用した3+1+1コンストラクトの合成(バッチ番号21E3300/PD00724)
【化81】
DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PGの代わりにDBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PEG1-PGを使用したことを除いて、合成例20と同じ手順を使用した(スキーム20)。
【0543】
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=18084.2;MW観測=18082.3
【化82】
【0544】
スキーム20.コアDBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PEG1-PGを使用した3+1+1コンストラクト バッチ番号21E3300の合成
合成例22:DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-Ser(PPG)-NH2を使用した3+1+1コンストラクトの合成(バッチ番号21E3301/PD00725)
【化83】
DBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-NH-PGの代わりにDBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-Ser(PG)-NHを使用したことを除いて、合成例20と同じ手順を使用した(スキーム21)。
【0545】
デコンボリューションされたHRMS特性データ:MW理論=18127.3;MW観測=18125.5
【化84】
【0546】
スキーム21.コアDBCO-Lys(Br)-Lys(Br)-Lys(Br)-Ser(PG)-NHを使用した3+1+1コンストラクト バッチ番号21E3301の合成
実施例11:配列番号1はトランスジェニックHLA-DR4マウスにおいて免疫原性である
材料及び方法
この研究は、雌のB6.129S2-H2-Ab1tm1GruTg(HLA-DRA/H2-Ea,HLADRB1*0401/H2-Eb)1Kito系統マウスにおいて、配列番号1の配列を有するhTERTポリペプチドを、用量30μg(9nmol)で、IFAと混合した25μgのCpG1826を用いて免疫原性を調べるようにデザインされた。B6.129S2-H2-Ab1tm1GruTg(HLA-DRA/H2-Ea,HLADRB1*0401/H2-Eb)1Kito系統マウスは、Taconic Biosciences A/Sから入手した。IFAをペプチド/CpGと1:1の比率で混合し、残りの体積はペプチド単独又はペプチドとCpGのいずれかで占められた。
【0547】
図11Aに示すように、第1及び第2の免疫化間におよそ2週間の間隔をあけたプライムブーストワクチン接種スケジュールを用いて試験物質を投与し、第2の免疫化の1週間後に動物を屠殺し、剖検を実施した。培地(完全増殖培地)に放出された応答T細胞及びIFN-ガンマの頻度を示すために、脾臓を使用してエクスビボELISpotを実施した。T細胞培地(RPMI 1640、Life Technologies/Thermo Fisher Scientific、1%w/v L-グルタミン(SLS/Lonza)、10%v/v FBS(Fisher/GE Healthcare)、2%HEPES(SLS/Lonza)、0.1%v/v Fungizone(Promega))を使用して脾臓を洗い流し、その後、濾過器に通して組織片を除去し、300gで10分間遠心分離した。細胞ペレットを、計数及びプレーティングのためにT細胞培地に再懸濁した。BioXCellの抗CD4抗体を使用して、エクスビボ再刺激中のCD4+T細胞活性化をブロッキングした。全てのペプチドは、最終濃度10μg/mLで使用した。インビトロで48時間刺激した後のワクチン誘導応答性細胞の頻度を、マウスIFN-γ ELISpotキット(Mabtech)を使用して測定した。このために、膜貫通型96ウェルMilliporeプレートを、製造元のプロトコルに従って捕捉抗体でプレコートした。各実験では、0.5x10脾細胞/ウェルを、4ウェル+/-10μg/mLのペプチド+/-抗CD4抗体でプレーティングした。ブドウ球菌エンテロトキシンB(Staphylococcal Enterotoxin B、SEB)を陽性対照として使用した。培地のみの細胞を陰性対照として使用した。次いで、細胞を計数した。
【0548】
結果
図11Bは、1グループあたりの個々のマウス(n=8)を示し、別々の時点で行われた3つの異なる実験からプールされたマウスを表す。統計分析は、クラスカル・ウォリス検定及びダンの多重比較検定を使用して実施した。「**」は、p<0.01を指し、「ns」は、有意でないことを指す。図11Bは、配列番号1で刺激された細胞、抗CD4抗体と組み合わせた配列番号1で刺激された細胞又は陰性対照としての細胞単独のいずれかからのデータを示す。陽性対照としてのSEBは示されていないが、強い細胞活性化を示した。データは、細胞単独と比較してスポットの数が大幅に増加しているため、配列番号1を使用した再刺激に対する強力なCD4駆動型T細胞活性化応答を示す。抗CD4抗体が活性化に影響を与えたため、応答はCD4+T細胞媒介性であり得る。
【0549】
考察
図11Bに示されるデータは、配列番号1の配列を有するポリペプチドが、9nmolの用量で、雌のB6.129S2-H2-Ab1tm1GruTg(HLA-DRA/H2-Ea,HLADRB1*0401/H2-Eb)1Kito系統マウスにおいて免疫原性であることを示す。この用量レベルでは応答は、均一ではないが(非応答者及び応答者の両方が観察された)、さらなる実験は、全てのマウスが22nmolの用量に応答するようであることを実証している(例えば、以下の実施例15を参照されたい)。したがって、これらのデータは、トランスジェニックHLA-DR4マウスが、配列番号1及び配列番号1を含むコンジュゲートを含むインビボ実験に使用するのに適していることを示す。
【0550】
実施例12:より高い分子量を有するペプチドコンジュゲートが処理され、同様に効率的にT細胞に提示される
目的は、より高い分子量(例えば、>14kDa)を有するペプチドコンジュゲートが、溶液中で配列番号1の配列を有するポリペプチドと同程度にプロセシングされ、T細胞に提示され得るかどうかを評価することであった。全タンパク質は、合成長鎖ペプチドよりもプロセシング効率が低いことが報告されている(Rosalia et al., Eur J Immunol. 2013 Oct; 43(10): 2554-65)。2つの安定にトランスフェクトされた細胞株に基づくアッセイを使用した。
【0551】
材料及び方法
Jurkat派生細胞株J76は、配列番号1に特異的なTCRであるUT1で安定にトランスフェクトされている。J76は、TCRa及びTCRb鎖の発現を欠く。UT1は、ポリペプチドのUV1カクテル(配列番号1、52及び53)を含む臨床試験において配列番号1特異的T細胞応答を示した個体からのT細胞からクローン化された。同じ細胞株をレポーターNFAT-GFPで安定にトランスフェクトした。NFATは、T細胞活性化において重要な役割を果たす転写因子である。GFP発現の上方制御は、UT1による配列番号1の認識に応答して得られる細胞株J76 1439 907の特異的活性化を分析するために使用することができる。第2の細胞株は、UT1に一致し、同じ個体からクローン化されたHLA-DQを発現するエプスタイン・バーウイルス(EBV)リンパ芽球様細胞株(LCL)であった(EBV LCL 802)。
【0552】
配列番号1又は52のポリペプチドを滅菌水中で500μMに再構成した。配列番号1のポリペプチドを含むコンジュゲート(CD12B又はCD20B;表10を参照されたい)を滅菌水中で1mg/ml(52.9uM)に再構成した。J76及びEBV細胞を遠心分離によって洗浄し、25%FBSを含むRPMIに再懸濁し、96ウェル組織培養処理プレートに加えて、1ウェルあたり100,000個のJ76細胞と200,000個のEBV細胞を含む総量150μlとした。J76及びEBV細胞のみのウェルも陰性対照として評価した。ペプチド(配列番号1又は52)及びペプチドコンジュゲート(CD12B又はCD20B)を、単純RPMI1640培地中の5倍濃縮ストック溶液(1ウェルあたり50μl)に加え、次いでペプチド(配列番号1又は52)及びペプチドコンジュゲート(CD12B又はCD20B)を細胞に加えた。1つの実験では、コンジュゲート(CD12B)及びペプチド(配列番号1又は52)を、最終濃度0.5、1.5及び5μMまで加えた。第2の実験では、配列番号1及び52を最終濃度0.5、1.5及び5μMになるように加え、CD12B及びCD20Bを最終濃度0.5、1.5及び3μMまで加えた。細胞とペプチドの共インキュベーション物の最終体積は、250μlであった。プレートを37℃で24時間インキュベートした。配列番号52のポリペプチドは、配列番号1特異的T細胞を活性化しないはずであるため、陰性対照ペプチドとして使用した。
【0553】
この後、抗体で染色し、その後、フローサイトメトリー分析を行うために、細胞をV字型96ウェルプレートに移した。細胞を遠心分離により洗浄し、染色前に3回再懸濁した。染色は室温で25分間実施され、洗浄後、Cytoflex ADPアナライザーで細胞が分析された。死細胞を除外するために、live/deadマーカーを使用した。アロフィコシアニン(APC)で標識された抗CD3抗体及びフィコエリスリン(PE)で標識された抗CD19抗体を使用して、細胞を染色した。単一染色ビーズを使用して補正を実施した(細胞染色に使用したAPC及びPE標識抗体を使用)。
【0554】
結果及び考察
図12Aは、3つの異なる濃度のペプチド(配列番号1;「719-20」又は配列番号52;「p725」)又はペプチドコンジュゲート(「CD12b」)に曝露したときのGFP発現CD3陽性細胞を示す(ゲーティングによって同定)。各バーは、配列番号1(「p719-20」)及び配列番号1を含むコンジュゲート(「CD12b」)の複製の平均値+/-SDを表し、配列番号52(「p725」)は、各濃度について単一サンプルとして実行された。J76細胞は、EBV細胞が配列番号1に由来するエピトープを提示すると活性化される。活性化によりGFP発現が増加する。図12Aは、配列番号1の配列(「p719-20」)を含むポリペプチド及びB細胞エピトープ(「CD12b」)に連結された配列番号1のポリペプチドを含むコンジュゲートが、等モル用量で使用した場合、T細胞も同様に良好に活性化できることを示す。抗原提示細胞(EBV)が培養物中に存在しない場合、T細胞の活性化は認められなかった(データは示さず)。図12Bは、コンジュゲートCD20Bが同じアッセイにおいて同様に良好に機能することを示す。したがって、コンジュゲートのより大きい分子量は、配列番号1のポリペプチドのプロセシング及びT細胞へのその提示を妨げない。
【0555】
実施例13:hTERT由来のB細胞エピトープ及びCD4+T細胞エピトープを含むコンジュゲートはB細胞エピトープに特異的なポリクローナル抗体によって結合される
配列番号7のB細胞エピトープ(MTTE)及びhTERT由来のCD4+T細胞エピトープ(配列番号1、116又は117)を含むコンジュゲートをELISAによって試験して、配列番号7に特異的な抗体によるコンジュゲートの結合を評価した。hTERT由来の配列を含むコンジュゲートのさらなる詳細を上記の表10に示す。
【0556】
材料及び方法
間接及びサンドイッチELISAを使用して、以下のプロトコルを使用してコンジュゲートに結合するポリクローナル抗体を評価した。間接ELISAでは、試験されるコンジュゲートがプレート上にコーティングされたのに対し、サンドイッチELISAでは、試験される配列番号1のポリペプチドを含むコンジュゲートが配列番号1に特異的なウサギポリクローナル抗体を介してプレート上に捕捉されたことを理解されたい。
【0557】
サンドイッチELISA:サンドイッチELISAは、以下の手順に従ってスウェーデンのCapra Scienceによって実施した。Thermo Scientific(商標)透明平底免疫非滅菌96ウェルプレートを使用し、ポリクローナルウサギ抗p719-20(配列番号1)抗体(1ウェルあたり0.5μg)合計50μl/ウェルでコーティングし、一晩、4℃でインキュベートした。タンパク質を含まないブロッキング溶液(Pierce)を使用してプレートを室温で1時間ブロッキングし、続いてPBS及び0.05% Tween洗浄溶液を使用して洗浄した。コンジュゲートを、示された濃度で、段階希釈でプレートに加え、室温で1時間インキュベートした。続いて、プレートを洗浄溶液で洗浄し、次いでTetaquin(登録商標)(高力価抗破傷風ドナーからのポリクローナルヒトIgG又はモノクローナル組換えキメラ抗MTTE抗体に基づく抗MTTE抗体とともにインキュベートした。プレートを洗浄溶液で洗浄し、その後、二次抗体、ヤギ抗ヒトカッパHRPを、1%BSAを含むPBS溶液に加えた。1時間のインキュベーション後、プレートを再度洗浄し、次いで基質TMBを加えてアッセイを展開し、1M HSOの停止溶液を加えた後、吸光度を使用してプレートを読み取った。
【0558】
間接ELISA:間接ELSIAは、以下の手順に従ってインハウスで実施した。コンジュゲートをマイクロプレート、96ウェル、PS、U底透明非結合プレートで溶解及び希釈し、調製した溶液100μlをELISAプレートCorning costar96ウェルプレートに加え、室温で2時間インキュベートした。プレートを250μl/ウェルのPBS+0.05%+Tween20(PBST)で洗浄した。プレートを200μlのSuperblock T20(Thermo Scientific)でブロッキングし、5分間インキュベートした。プレートを空にし、ブロッキング溶液の添加を合計3回繰り返した。プレートをPBST溶液で再度洗浄した。MTTEの検出は、TTdワクチン接種を受けた個体からサンプル採取した希釈血清又はモノクローナル組換えキメラ抗MTTE抗体のいずれかを1ウェルあたり100μlで用いて実施し、室温で2時間インキュベートした。プレートをPBSTで洗浄した。抗体は、二次HRPヤギ抗ヒトカッパ軽鎖二次抗体を使用して検出され、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、TMBをウェルに加え、発色をモニタリングし、100ulの1M HSOの添加により反応を停止し、吸光度を読み取った。
【0559】
結果
図13A及び13Bは、CD4+T細胞エピトープとして配列番号1のポリペプチドを含むコンジュゲートを使用したサンドイッチELISA実験の結果を示す。CD09は、CD4+T細胞エピトープを含まず、陰性対照として使用した。図13A及び13Bに示すように、配列番号1を含むCD12B、CD20及びCD20Bのコンジュゲートは、MTTE(配列番号7)を認識するヒトポリクローナル抗体(血漿産物TetaQuinから)によってそれぞれ結合された。
【0560】
図14A及び14Bは、CD4+T細胞エピトープとして配列番号1(CD20B)、116(CD29)又は117(CD30、CD31)のポリペプチドを含むコンジュゲートを使用した間接ELISA実験の結果を示す。NY-ESO-1に由来する配列番号45を含むコンジュゲートLUG6を陽性対照として使用した。図14A及び14Bに示すように、CD29(配列番号116を含む)、CD30及びCD31(配列番号117を含む)又はCD20B(配列番号1を含む)のコンジュゲートは、MTTE(配列番号7)を認識するポリクローナル抗体を含有する血清由来のヒトポリクローナル抗体によってそれぞれ結合された。
【0561】
図15A及び15Bは、CD4+T細胞エピトープとして配列番号1(CD12B、CD28、CD20B)又は配列番号116(CD32)のポリペプチドを含むコンジュゲートを使用した間接ELISA実験の結果を示す。コンジュゲートCD28は、配列番号1の配列に加えて、PAP由来のCD8+T細胞エピトープ(NPILLWQPIPV;配列番号119)を含む。図15A及び15Bに示すように、CD12B、CD28、CD20B(配列番号1を含む)又はCD32(配列番号116を含む)のコンジュゲートは、MTTE(配列番号7)を認識するポリクローナル抗体を含有する血清由来のヒトポリクローナル抗体によってそれぞれ結合された。この実験では、CD32はヒトポリクローナル抗体血清に対して比較的弱い結合を示した。
【0562】
考察
B細胞エピトープとしてのMTTE配列(配列番号7)及びhTERT由来のCD4+T細胞エピトープ(配列番号1、116又は117)を含むコンジュゲートは、配列番号7に特異的なポリクローナル抗体によって結合される。したがって、抗MTTE抗体は、上述のコンジュゲート内に含まれる場合、配列番号7のMTTE配列を認識することができる。
【0563】
実施例14:配列番号1を含むコンジュゲートは、トランスジェニックHLA-A2/HLA-DR1マウスにおいてT細胞応答の上昇を誘導する
材料及び方法
系統B2m,Tg(HLA-A/H2-D/B2M)1Bpe,Tg(HLA-DRA0101,HLA-DRB10101)1Dma,H2-Ab1(EMMA Repository, Orleans, FRANCE)の雌マウスを、図16Aに示されるスケジュールに従って、CpGと混合した配列番号1のポリペプチド(参照アジュバント、TLR9アゴニストとして)(グループ1:配列番号1(20μg)+CpG(25ug)(50μL/マウス);n=3)又は化合物CD12B(表10を参照されたい)、3つのMTTE(配列番号7)ポリペプチド及び配列番号1のポリペプチドを含むコンジュゲート(グループ2:CD12B、20ug/マウス(100μL/マウス);n=3)のいずれかで尾根部に免疫化(初回刺激/追加刺激)した。終了日に脾臓を採取し、脾細胞の単一細胞懸濁液を調製した。
【0564】
T細胞培地(RPMI 1640、Life Technologies/Thermo Fisher Scientific、1%w/v L-グルタミン(SLS/Lonza)、10%v/v FBS(Fisher/GE Healthcare)、2%HEPES(SLS/Lonza)、0.1%v/v Fungizone(Promega))を使用して脾臓を洗い流し、その後、濾過器に通して組織片を除去し、300gで10分間遠心分離した。細胞ペレットを、計数及びプレーティングのためにT細胞培地に再懸濁した。
【0565】
選択されたポリペプチド(表11に示されるとおり)によりインビトロで48時間刺激した後のワクチン誘導応答性細胞の頻度を、マウスIFN-γ ELISpotキット(Mabtech)を使用して測定した。このために、膜貫通型96ウェルMilliporeプレートを、製造元のプロトコルに従って捕捉抗体でプレコートした。各実験では、0.5x10脾細胞/ウェルを、4ウェル+/-10μg/mLのペプチド+/-抗CD4又はCD8抗体でプレーティングした。ブドウ球菌エンテロトキシンB(Staphylococcal Enterotoxin B、SEB)を陽性対照として使用した。培地のみの細胞を陰性対照として使用した。
【0566】
【表13】
【0567】
結果
図16Bは、配列番号7(MTTE配列)は、刺激のために単独で使用した場合、CD12Bに曝露された動物からの脾細胞においてT細胞応答を誘導しなかったことを示し、これは、配列番号7がそれ自体ではこれらのマウスにおいてT細胞エピトープを提供しないことを示している。配列番号1のポリペプチドによる刺激は、Sidakの多重比較検定を使用した試験用量で、配列番号1/CpGワクチン接種動物と比較して、CD12B曝露動物において測定可能及び有意に上昇したT細胞応答を誘導した(p<0.05)。
【0568】
T細胞応答がCD4+又はCD8+由来のどちらであるかを評価するために、CD12Bに曝露された動物からの脾細胞を、予測されるMHCクラスIエピトープ(UV13~15、表11)又は予測されるMHCクラスIIエピトープ(UV16~UV18、表11)を含むポリペプチドで刺激した。クラスI由来の刺激は抗CD8抗体を伴い又は伴わず実施され、クラスIIエピトープ由来の刺激は抗CD4由来抗体を使用して実施された。統計分析は、グラフパッド及びSidakの多重比較検定を使用して実施した(p<0.05;**p<0.01;「ns」=有意でない)。図16Dは、抗CD4抗体(「+aCD4」)がUV17及びUV18に対するT細胞応答を有意に減少させることができたため、CD12BコンジュゲートがDR1由来のCD4+T細胞応答を誘導することを示す。これは、より長い配列番号1のペプチド刺激培養物でも同様に見られた(データは示さず)。図16Cは、抗CD8抗体(「+aCD8」)がT細胞活性化に影響を及ぼさなかったことを示し、これは、この場合、測定可能なCD8+T細胞応答の誘導がなかったことを示す。
【0569】
考察
CD12B化合物は、HLA-A2/HLA-DR1発現トランスジェニックマウスにおいてCD4+T細胞応答を誘導することができ、非連結形態で、溶液中でアジュバントCpGと組み合わせた配列番号1の投与と比較して、改善されたT細胞応答をもたらす。マウスは抗MTTE抗体を誘導するためのプレワクチン接種を受けておらず、既存の抗MTTE抗体を有する動物では、CD12Bに対する免疫応答が改善され得ると考えられる。データは、MTTE配列自体は、DRB01連結T細胞応答を誘導することができるCD4+T細胞エピトープを含有しないことを示す。
【0570】
実施例15:血清反応陽性又は血清反応陰性のHLA-DR4動物におけるCD20Bコンジュゲートの免疫原性のインビボ評価
材料及び方法
B細胞エピトープとして配列番号7(MTTE)の3つのコピー及びCD4+T細胞エピトープとして配列番号1を含む、CD20Bコンジュゲートの免疫原性(表10を参照されたい)を、血清反応陽性又は血清反応陰性の雌のB6.129S2-H2-Ab1tm1GruTg(HLA-DRA/H2-Ea,HLADRB1*0401/H2-Eb)1Kito系統マウスにおいて、調べた。B6.129S2-H2-Ab1tm1GruTg(HLA-DRA/H2-Ea,HLADRB1*0401/H2-Eb)1Kito系統マウスは、Taconic Biosciences A/Sから入手した。血清学的状態は、マウスにおけるMTTEに対する既存の抗体の有無を指す。IFA中のペプチド(配列番号7、MTTE)ハプテン化オボアルブミン(OVA)を使用して、プレワクチン接種を行った。したがって、MTTE-OVAを免疫原として使用してマウスを免疫化し、MTTE配列に対する抗体を得、血清反応陽性動物を得た。免疫化は、IFA中で1:1の比率で乳化したPBS中の75μgのMTTE-OVAの溶液を使用して実施した。これを、血清反応陽性グループにつき0日目及び14日目にマウスの尾根部に皮下投与し、一方、血清反応陰性グループは、MTTE-OVA/IFAに曝露されなかった。最後のMTTE-OVA投与の6日後、血清反応陽性グループ及び血清反応陰性グループの両方に、滅菌緩衝溶液中の60μg(およそ3nmol)のCD20Bを尾部基部に初回刺激注射として投与した。CD20Bの追加刺激注射は、CD20Bの第1の注射の7日後に投与した。最後の注射から7日後、マウスを屠殺し、さらなる分析のために脾細胞を単離した。血液サンプルは、エンドポイントの日の心採血と併せて、MTTE-OVAワクチン接種の前後及び各CD20B投与の前後に採取した。
【0571】
培地(完全増殖培地)に放出された応答T細胞及びIFN-ガンマの頻度を示すために、脾臓を使用してエクスビボELISpotを実施した。T細胞培地(RPMI 1640、Life Technologies/Thermo Fisher Scientific、1%w/v L-グルタミン(SLS/Lonza)、10%v/v FBS(Fisher/GE Healthcare)、2%HEPES(SLS/Lonza)、0.1%v/v Fungizone(Promega))を使用して脾臓を洗い流し、その後、濾過器に通して組織片を除去し、300gで10分間遠心分離した。細胞ペレットを、計数及びプレーティングのためにT細胞培地に再懸濁した。全てのペプチドは、最終濃度10μg/mLで使用した。インビトロで48時間刺激した後のワクチン誘導応答性細胞の頻度を、マウスIFN-γ ELISpotキット(Mabtech)を使用して測定した。このために、膜貫通型96ウェルMilliporeプレートを、製造元のプロトコルに従って捕捉抗体でプレコートした。各実験では、0.5x10脾細胞/ウェルを、4ウェル+/-10μg/mLのペプチドでプレーティングした。ブドウ球菌エンテロトキシンB(Staphylococcal Enterotoxin B、SEB)を陽性対照として使用した。培地のみの細胞を陰性対照として使用した。
【0572】
ELISpotアッセイの刺激には、以下のペプチドを使用した。
・配列番号1(P719-20):ALFSVLNYERARRPGLLGASVLGLDDIHRA(純度96%)
・配列番号150(UV16):FSVLNYERARRPGLL(純度95%)(HLA-DR4)
・配列番号152(UV18):VLNYERARRPGLLGA(純度95%)(HLA-DR4)
・配列番号153(UV19):RPGLLGASVLGLDDI(純度95%)(HLA-DR4)
【0573】
抗MTTE抗体力価のELISA測定は、以下のプロトコルに従って実施した:
1.ストレプトアビジンでコーティングされたELISAプレートを、プレートのレイアウトに従って100μlのビオチン化ペプチド(PBSで希釈したMTTE-ビオチン1nmol/ml)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。
2.プレートを250μlのPBS/0.05% Tween20で4回洗浄した。
3.プレートを200μlのPBS/10%BSA/0.05% Tween20でブロッキングし、室温(RT)で1時間インキュベートした。
4.プレートを250μlのPBS/0.05% Tween20で4回洗浄した。
5.血漿をPBS/1%BSA/0.05% Tween20で希釈した(最初は1:50、続いて2倍希釈で100倍、20倍希釈で1000倍)。1ウェルあたり100μlの希釈上清を加え、室温で2時間インキュベートした。
6.プレートを250μlのPBS/0.05% Tween20で4回洗浄した。
7.1ウェルあたり100μlの二次抗体ヤギ抗マウスIg-HRPを加え、PBS/1%BSAで1:5000に希釈し、室温、暗所で1時間インキュベートした。
8.プレートを250μlのPBS/0.05% Tween20で4回洗浄した。
9.1ウェルあたり100μlのTMBを加え、100μlの1M HSOで反応を停止した。吸光度を450~570nmで読み取った。展開時間は、MTTE-OVAで免疫化したマウスからの血清を有するプレートについては3分、CD20Bで免疫化したマウスからの血清を有するプレートについては4分であった。
【0574】
結果
図17Aは、実験終了時のマウスにおける抗MTTE抗体レベルを示す。マウスはMTTE-OVAでプレワクチン接種されているか、又はMTTE-OVAでプレワクチン接種されていなかったが、全てプライムブースト設定でPBS中の60μgのCD20bに曝露された。有意性は、マン・ホイットニー検定p=0.0286によって評価された。図16Aに示すように、MTTE-OVAに曝露されていないマウスは、MTTE配列に対する抗体を発現せず、その後のCD20Bコンジュゲートへの曝露時にMTTE配列に対する抗体応答を開始することができなかった。しかし、MTTE-OVAに曝露されたマウスは、MTTE-OVA/CD20Bワクチン接種サイクル後に高力価の抗MTTE抗体を有していた。
【0575】
配列番号1からのペプチド断片(UV18及びUV19)に対するT細胞応答が、CD20B曝露前後の抗MTTE力価の増加と相関するかどうかを評価するために、図17Bに示すように、相関分析を実施した。図17Bを参照すると、x軸は、血清反応陽性動物のCD20B曝露前後(抗体反応を評価する際の血清の1:1000希釈)の抗MTTE OD値の倍率変化と、UV18とUV19を組み合わせたペプチド混合物による刺激に対するT細胞応答とのその相関を示す。相関関係は高く、ピアソンrは0.9348である。プロットされた曲線は、最良適合線の95%信頼帯を有する単純回帰線である。分析は、Graph pad prismを使用して実施した。したがって、抗MTTE力価の増加と、配列番号1のペプチドに対するT細胞応答との間に強い相関関係がある。
【0576】
図17C及び17Dは、配列番号1からのペプチドによる刺激後のT細胞応答を示す。UV18/19の組み合わせ(図17C)又はUV16単独(図17D)。血清反応陰性グループは、ROUTを使用した外れ値分析後の上記の分析で除去された外れ値を示した(Q=2%)。図17C及び17Dに示すように、3nmolの用量でCD20Bに曝露された血清反応陽性動物においてT細胞応答が観察された。対照的に、CD20Bに曝露された血清反応陰性動物は、UV18/UV19又はUV16刺激に対する応答によって測定されるT細胞応答を開始しなかった。CD20Bに曝露された血清反応陽性動物におけるT細胞応答は、はるかに高い用量(22nmol)の、IFA及びCpG中に配合された配列番号1(P719-20)のペプチドを単独(すなわち非コンジュゲート)で投与された動物で測定されたものとほぼ等しかった。
【0577】
考察
データは、トランスジェニックHLA-DR4マウスが、CD20Bコンジュゲートでワクチン接種された場合、配列番号1(P719-20)に対する効率的なT細胞応答を開始できることをサポートする。T細胞応答は血清反応陽性動物にのみ存在し、これは、抗原/抗体複合体形成が細胞(すなわちT細胞)免疫応答を駆動するものとして機能することを示唆している。配列番号1(CD20B)を含むコンジュゲートの投与は、配列番号1の非コンジュゲートペプチドにつき要するものよりもおよそ7倍低い用量で効率的なT細胞応答を促進することができる。
【0578】
CD20B曝露(初回/追加ワクチン接種)前と比較したCD20B曝露後の抗体レベルの増加は、血清反応陽性マウスにおけるT細胞応答と相関している。これは、コンジュゲートの投与前と比較して、コンジュゲートの投与後の抗体レベルの増加が、T細胞免疫応答の存在を示すために使用できることをサポートする。したがって、コンジュゲート曝露後のそのような抗体の増加は、より複雑な細胞アッセイのリードアウトの代わりとなり、臨床試験における免疫応答者のリードアウトを簡素化し得る。
【0579】
実施例16
この例は、トランスジェニックHLA-A2/HLA-DR1動物における3+1コンジュゲート又は3+1+1コンジュゲート又はGVExt5ペプチド+IFAの形態の配列番号116(UV34-GVExt5)のペプチドの免疫原性のインビボ評価に関する。
【0580】
材料及び方法
以下の形態のGVExt5ペプチドの免疫原性:CD29(3+1)[B細胞エピトープとしてUV30(MTTE)(配列番号7)の3個のコピー、UV34(GVExt5)(配列番号116))T細胞エピトープ]又はTFA-3+1+1コンジュゲート[B細胞エピトープとしてUV30(MTTE)の3つのコピー、T-細胞エピトープとしてp719-20(配列番号1)及びUV34(GVExt5)を含む)細胞エピトープを含む]。血清学的状態は、オボアルブミン(OVA)にコンジュゲートしたMTTEペプチドによるワクチン接種後のマウスにおけるMTTEに対する既存の抗体の有無を指す。
【0581】
UV34(GVExt5)ネイキッドペプチド(配列番号116)は、血清反応陰性の雌及びオス(研究開始時に生後08~09週齢)B2m,Tg(HLA-A/H2-D/B2M)1Bpe,Tg(HLA-DRA0101,HLA-DRB10101)1Dma,H2-Ab1(EMMA Repository, Orleans, FRANCE)系統のマウスにおいて調べた。
【0582】
後にCD29(4.1nmol)又は3+1+1(3.7nmol)コンジュゲートの形態でUV34を投与する予定のマウスのグループへのプレワクチン接種を、IFA中のオボアルブミン(OVA)にコンジュゲートしたMTTEペプチドを使用して実施した。したがって、MTTE-OVAを免疫原として使用してマウスを免疫化し、MTTE配列に対する抗体を誘導した。免疫化は、IFA中で1:1の比率で乳化したPBS中の75μgのMTTE-OVAを使用して実施した。エマルションを、血清反応陽性グループにつき0日目にマウスの尾根部に皮下投与した。PBS中のネイキッドUV34を受ける予定の血清反応陰性対照グループには、プレワクチン接種としてのみ、1:1の比のIFAとCpG(25ug)(参照アジュバントとして)を含むエマルションで投与した。
【0583】
MTTE-OVA投与(プレワクチン接種)の21日後、血清反応陽性グループに、コンジュゲートCD29を投与した[60μg/マウス=4.1nmol;100μL/マウス、n=4]又はTFA-3+1+1[3+1+1、112.5μg/マウス=3.7nmol;90μL/マウス、n=4]。血清反応陰性マウスにUV34を投与した[14ug/マウス=4.1nmol;100μL/マウス;n=4]。コンジュゲート及びポリペプチドを、プライマー注射としてマウス(それぞれのグループ)の尾根部に皮下注射として投与した。CD29、TFA-3+1+1コンジュゲート及びポリペプチドUV34の2回の追加刺激注射を、図21のスケジュールに従って、各追加刺激間に1週間の間隔を置いて(それぞれのグループのマウスに)投与した。終了日に、脾臓及び流入領域リンパ節(腸骨、鼠径部及び補助)を採取し、これらの器官のプール単一細胞懸濁液をマウスごとに別個に調製した。
【0584】
ワクチン接種スケジュールを図21に概略的に示す。
【0585】
T細胞培地(RPMI 1640、Life Technologies/Thermo Fisher Scientific、1%w/v L-グルタミン(SLS/Lonza)、10%v/v FBS(Fisher/GE Healthcare)、2%HEPES(SLS/Lonza)、0.1%v/v Fungizone(Promega))を使用して脾臓を洗い流し、その後、濾過器に通して組織片を除去し、300gで10分間遠心分離した。細胞ペレットを、計数及びプレーティングのためにT細胞培地に再懸濁した。
【0586】
まずリンパ節を2mLのT細胞培地を含有するペトリ皿上で押しつぶし、次いで滅菌シリンジの背部を使用してEASYstrainer100μMを通し、フィルターを1mLのT細胞培地ですすいだ。細胞を300gで10分間遠心沈殿させた。ペレットを、計数及びプレーティングのために2mLのT細胞培地に再懸濁した。
【0587】
選択されたポリペプチド(表12に示されるとおり)によりインビトロで48時間刺激した後のワクチン誘導応答性細胞の頻度を、マウスIFN-γ ELISpotキット(Mabtech)を使用して測定した。脾臓及びリンパ節を採取する1日前に、製造元のプロトコルに従って、IFN-γ ELISpotアッセイ用の96ウェルELISpotプレート(Millipore)を捕捉抗体でプレコートした。PBS/Tweenで5回洗浄し、1%w/v L-グルタミン(SLS/Lonza)、10%v/v FBS(Fisher/GE Healthcare)、2%HEPES(SLS/Lonza)、0.1%v/v Fungizone(Promega)を含有するRPMI1640(Life Technologies/Thermo Fisher Scientific)を含むT細胞培地で最低30分間ブロッキングした後、0.5x10/ウェルの新たに単離した脾細胞+リンパ節細胞を、最終濃度10μg/ml又は1μg/ml(ペプチドUV64及びUV65について)のそれぞれのSLP100μlとともにプレートに三重に播種した。次いで、細胞を5%COインキュベーター中37℃で48時間インキュベートし、その後、プレートをDPBSTで5回洗浄した。次いで、マウスIFNγに対する50μl/ウェルのビオチン化検出抗体(1/1000希釈)を加え、プレートを室温で2時間インキュベートした。次いで、プレートをDPBSTで5回洗浄し、続いて50μl/ウェルのストレプトアビジンアルカリホスファターゼ(1/1000希釈)を加えた。次いで、プレートを室温で1時間30分間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを再度DPBSTで6回洗浄し、次いで50μl/ウェルの展開溶液5(BCIP/NBT、Superblock T20(Thermo Scientific))を加えた。スポットが見えるまで、プレートを室温で暗所に放置した。スポットが発生したら、プレートを水道水ですすぐことによって反応を停止した。次いで、プレートを放置して乾燥させ、ELISpotプレートリーダー(Cellular Technology Limited, Shaker Heights, OH, USA)を使用してスポットを定量した。様々な糖タンパク質、糖脂質及び糖に見出されるアルファ-D-グルコース及びアルファ-D-マンノース部分に結合し、強力な白血球マイトジェンであるレクチン(タチナタマメ(Jack bean)、タチナタマメ(Canavlia ensiformis)から単離)、コンカナバリンA(ConA)を陽性対照として1μl/mlで使用した。未刺激の脾細胞(細胞のみ)を、各ELISpotアッセイの陰性対照として使用した。全ての実験は3回繰り返して実施した。
【0588】
【表14】
【0589】
結果
図22A及びBは、脾細胞リンパ節培養物のプールされたT細胞応答を、個々のポリペプチド培養物刺激を組み合わせた結果とともに示す。結果は、マン・ホイットニー検定p=0.033を使用して、ペプチドの不存在下(細胞のみ)と比較して、CD29及びTFA-3+1+1(コンジュゲート)に曝露された動物におけるT細胞応答が、測定可能で有意に上昇していることを示す。図22Cは、UV34ポリペプチド+IFAで免疫化したマウスからの、細胞のみと比較した、ポリペプチドのUV34内の様々な長さの単一ポリペプチド配列で刺激した培養物に対する脾細胞-リンパ節共培養物応答の合計の比較を示す。
【0590】
考察
データは、B細胞エピトープとしてUV30(MTTE)(配列番号7)の3つのコピーを含む、CD29又は3+1+1コンジュゲートでワクチン接種した場合、トランスジェニックHLA-DR1血清反応陽性マウスからの脾細胞リンパ節培養物が、UV34(GVExt5)(配列番号116)由来のペプチド(エピトープ)に対する強力及び有意に上昇した免疫応答を開始することを示している。
【0591】
実施例17
この例は、GV1001(UV80-配列番号126)とGVExt5(UV34-配列番号116)によるワクチン接種の違いの特定に関する。
【0592】
マウスには配列番号126(GV1001-UV80)又は配列番号116(UV34-GVExt5)のポリペプチドを投与した。投与されたペプチドの濃度が16.4nmolであり、マウスが全て雌であったことを除いて、実施例16と同じプロトコルを使用した(n=4)。
【0593】
結果
図23及び24は、個々のペプチドに対するT細胞応答を示すグラフである。水平破線は、ベースラインとみなされる「細胞単独」の応答レベルである「カットオフ」を示す。カットオフライン/ベースラインを超えるペプチドのバーは、特定のペプチドに対するT細胞応答とみなされる。各グループの「細胞のみ」が内部カットオフ点として機能する。
【0594】
図23の閾値を超えるペプチド(投与された配列番号126-GV1001)は、UV57である。図24の閾値を超えるペプチド(投与された配列番号116-GVExt5)は、UV36、UV57、UV58、UV59、UV60、UV64及びUV66である。
【0595】
個々の結果を図25に示し、各ペプチドに対する平均T細胞応答がどのように計算されたかを示す。
【0596】
【表15】
【0597】
【表16】
【0598】
知見の説明:
GV1001(UV80)ワクチン接種グループ:
マウスM10は、ELISPOTプレート内の真菌汚染のため評価できなかった。評価可能な3匹のマウスでは、一般に、免疫応答がないか、弱い免疫応答がった。M9及び12は、試験したペプチドのいずれにも応答しなかった。M11はUV57に対してわずかな免疫応答を示したが、このペプチドはワクチン接種に使用されるGV1001と配列相同性を全く共有していないため、弱い反応性はバックグラウンド変動の結果であり得る。
【0599】
結論:GV1001は、マウスで使用される標準的なアジュバントと組み合わせた場合、HLA-A2/DR1トランスジェニックマウスにおいてわずかな免疫応答を示す。
【0600】
GV1001 Extension-5(UV34)ワクチン接種グループ:
マウスM16は、UV34と5個のアミノ酸の重複があるUV57及びHLA-A2結合モチーフを有する、UV34に埋め込まれた10量体ペプチド由来のUV65に対してわずかな免疫応答を示した。
【0601】
マウスM15は、いくぶん広範囲に応答し、GV1001の配列に対するExtension 5 N末端に新しいエピトープを含有し、GV1001と5個のアミノ酸の重複を有する、UV58を認識した。このマウスからの細胞は、C末端Kの不存在を除いてGV1001と同一である、UV59にも応答した。興味深いことに、GV1001は認識されず、GV1001に存在するこのアミノ酸(すなわちC末端リジン残基)がHLA-DR1への結合に不利である可能性があることを示す。ペプチドUV60も認識された。このペプチドは、GV1001と重複する6個のアミノ酸及びUV34に特有の10個のアミノ酸を有し、したがって、GV Extension 5(配列番号116)における新しいエピトープを表す。
【0602】
マウスM13及びマウスM14は、同様のペプチド認識パターンで非常に強い応答性を示した。どちらもUV36、UV57、UV58、UV64及びUV66を認識した。UV36は、UV34に特有の追加の4個のアミノ酸を有する全長GV1001配列を含有する。これら2匹のマウスはGV1001(UV80)を認識できなかったため、本発明者らは、これらのデータは、Extension 5からのこれら4つのアミノ酸とGV1001のアミノ酸を組み合わせると、HLA-DR1提示の状況で認識される新規エピトープが作成されることを意味すると解釈する。唯一の共通アミノ酸としてUV34と5個のアミノ酸の重複を有するUV57は、これらのアミノ酸が、短いが特に強力な結合モチーフを表し得ることを示す。UV58は、3匹全ての応答マウスがこのペプチドを認識するため、優れたエピトープとしても際立っている(上記を参照されたい)。9量体HLA-A2エピトープであるUV64もこれらのマウスによって認識され、新しいHLA-A2エピトープが同定された。最後に、両方のマウスは、GV1001と14個のアミノ酸が重複するUV66を認識した。修飾は、Extension 5からのN末端R残基の付加及びC末端からのPKの除去である。繰り返しになるが、これらの修飾が2匹のマウスによって認識されたのに対し、GV1001では認識されなかったことは興味深い。最も幅広い認識レパートリー及び最も多くのスポット形成細胞を示したマウスM14は、UV59及びUV60も認識した。UV59は、GV1001のC末端K残基を有しないバージョンである。繰り返しになるが、これは、このアミノ酸の存在がHLA-DR1提示と不適合であることを示す。UV60の認識については、上記のM15を参照されたい。
【0603】
結論:GV1001 Extension 5(配列番号116)は、HLA-DR1/A2トランスジェニックマウスにおいて高い免疫原性を有する。免疫化マウスの反応性パターンによって明らかなように、このワクチンペプチド内の複数のエピトープの存在により、強力な免疫原性が得られる。これらのエピトープは、部分的にGV1001 Extension 5(配列番号116)に存在するが、GV1001(配列番号126)には存在しないアミノ酸からなり、驚くべきことに、UV59及びUV66によって例示される、GV1001に存在するエピトープも含む。本発明者らは、GV1001でのワクチン接種によるこの後者のグループのペプチドに対する免疫応答の生成の欠如は、抗原プロセシング細胞におけるペプチドのプロセシング、おそらくC末端の塩基性アミノ酸のリジン(K)をGV1001から除去する能力に関連していると解釈する。これは、GV1001 Extension 5のC末端部分に存在するがGV1001には存在しないさらなるアミノ酸に依存している可能性があるためである。重要なことに、HLA-A2結合ペプチドとしてデザインされたペプチドUV64(9量体)及びUV65(10量体)は、GV1001 Extension 5によるワクチン接種後にも認識され、このワクチンペプチドの有効性がCTL応答の誘導を含むように拡大された。
【0604】
実施例18
この実施例は、hTERT由来のB細胞エピトープ及び2つのCD4+T細胞エピトープを含む3+1+1コンジュゲートがB細胞エピトープに特異的なポリクローナル抗体によって結合されることを示す。
【0605】
B細胞エピトープ(MTTE-配列番号7)及びhTERT由来の2つのCD4+T細胞エピトープ(p719-20(配列番号1)及びGVExt5(UV34;配列番号116)を含むコンジュゲートをELISAで試験して、MTTEに特異的な抗体によるコンジュゲートの結合を評価した。
【0606】
材料及び方法
サンドイッチELISA技術を使用して、以下のプロトコルを使用してコンジュゲートに結合するヒトポリクローナル抗体を評価した。間接ELISA,30では、試験されるコンジュゲートがプレート上にコーティングされたのに対し、サンドイッチELISAでは、試験される配列番号1のポリペプチドを含むコンジュゲートが配列番号1に特異的なウサギポリクローナル抗体を介してプレート上に捕捉されたことを理解されたい。
【0607】
サンドイッチELISA:サンドイッチELISAは、以下の手順に従ってスウェーデンのCapra Scienceによって実施した。Thermo Scientific(商標)透明平底免疫非滅菌96ウェルプレートを使用し、ポリクローナルウサギ抗p719-20又はポリクローナルウサギ抗GVExt5抗体(1ウェルあたり0.5μg)合計50μl/ウェルでコーティングし、一晩、4℃でインキュベートした。タンパク質を含まないブロッキング溶液(Pierce)を使用してプレートを室温で1時間5分ブロッキングし、続いてPBS及び0.05% Tween洗浄溶液を使用して洗浄した。コンジュゲートを、示された濃度で、段階希釈でプレートに加え、室温で1時間インキュベートした。続いて、プレートを洗浄溶液で洗浄し、次いでTetaQuin(登録商標)(高力価抗破傷風ドナーからのポリクローナルヒトIgG又は10のモノクローナル組換えキメラ抗MTTE抗体に基づく抗MTTE抗体とともにインキュベートした。プレートを洗浄溶液で洗浄し、その後、二次抗体、ヤギ抗ヒトカッパALPを、1%BSAを含むPBS溶液に加えた。二次抗体との1時間のインキュベーション後、プレートを再度洗浄バッファーで洗浄し、基質PNPP(1mg/ml)とともに室温で1時間インキュベートして、アッセイを展開した。
【0608】
結果
【0609】
【表17】
【0610】
【表18】
【0611】
図26及び27はグラフであり、表15及び16は、CD4+T細胞エピトープとして、ポリペプチドp719-20(配列番号1)及びGVExt5(配列番号116)を含むコンジュゲートを使用するサンドイッチELISAアッセイにおける抗MTTEポリクローナル抗体の結合を示す表である。図26及び表15に関し、捕捉抗体は、抗p719-20ウサギポリクローナルであった。図27及び表16に関し、捕捉抗体は、抗GVExt5ウサギポリクローナルであった。CD09は、CD4+T細胞エピトープを含まず、陰性対照として使用した。図26及び27に示すように、ポリペプチドp719-20(配列番号:1)及びGVExt5(配列番号116)を含む、3つのバッチ21E3299(合成例20)、21E330(合成例21)及び21E3301(合成例22)のそれぞれからの3+1+1コンジュゲートは、MTTEを認識するヒトポリクローナル抗体(血漿産物TetaQuinから)によって結合された。
【0612】
実施例19
この例は、TFA、HCL及び酢酸塩形態のコンジュゲートの結合を評価するための結合アッセイに関する。
【0613】
実験手順
・コンジュゲートUVC2-001(すなわちCD29、GVExt5(配列番号116)を含有するコンジュゲート)及びUVC1-017(すなわちCD20B、p719-20(配列番号1)を含有するコンジュゲート)の再構成:先使用、E-トキセート水
・コーティングバッファー:PBS
・一次抗体:CD01(モノクローナルhIgG1抗MTTE)又はFF10(ヒトポリクローナル抗MTTE血清)
・二次抗体:ヤギ-抗Huカッパ軽鎖-HRP
・リードアウト:吸光度(450nm~570nm)
【0614】
表17は、コンジュゲートのpHを示す。水中で再構成した後のコンジュゲートのpHは、各塩形態の2つのコンジュゲート(UVC1-017(CD20B)及びUVC2-001(CD29))間で同じである。作業溶液をPBSで希釈し、試験した全てのコンジュゲートのpHは7であった。結果は、図28~31にも示される。
【0615】
【表19】
【0616】
実施例20
この実施例は、CD4+及びCD8+T細胞エピトープを保有する合成長鎖ペプチド(SLP)にコンジュゲートしたB細胞エピトープMTTEを含むペプチドコンジュゲートワクチンであるTENDUを受けた患者において測定された抗MTTE IgG抗体に関する。
【0617】
材料及び方法
ワクチン接種
TENDUワクチンは、それぞれが3コピーのB細胞エピトープ(MTTE)と、CD4+及びCD8+T細胞エピトープを含むSLPとを含有するコンジュゲートを含む。TENDU試験に参加した患者は全員、TENDUワクチン接種開始の1週間前、スクリーニング来院時にBoostrixの投与を受け、その後、各投与間で2週間の間隔を空けてTENDUワクチンを4回接種した。この実施例では、TENDUワクチンは、B細胞エピトープとして3つのMTTE(配列番号46)ペプチドと、CD4+T細胞エピトープとして、LUG1(配列番号47)、LUG3(配列番号49)、LUG4(配列番号50)及びLUG5(配列番号51)ペプチドの1つとを含むコンジュゲートをそれぞれ含有していた。試験は、TENDUワクチンの用量及び安全域をアドバイスするための用量漸増試験であった。40、400及び960μgがそれぞれコホート#1、コホート#2及びコホート#3に投与される。サンプルは、スクリーニング来院、来院2、来院4、来院5及び安全性来院(ワクチン接種の最後の投与から30日後)時に収集された。現在までに、コホート#3の全時点で登録及びサンプル採取された患者は、1人のみである。
【0618】
ELISA
ストレプトアビジンでコーティングされたプレート(Thermo Scientific、カタログ番号15501)を、コーティングバッファー(0.2%HSA、0.05% Tween-20、PBS)で希釈した1μMのビオチン化されたMTTE又はp725ペプチド(配列番号52)(参照陰性対照ペプチド)で、4℃で一晩コーティングした。翌朝、プレートをPBS/0.05% Tween-20で4回洗浄し、0.5mg/mLのビオチン-D(0.2%HSA、0.05% Tween-20、PBSに溶解)を用いて室温で1時間コーティングした。次いで、プレートを空にし(洗浄なし)、Pierce無タンパク質ブロッキング溶液(Thermo Scientific、カタログ番号37572)を用いて室温で1時間ブロッキングし、洗浄バッファー(PBS/0.05% Tween-20)で5回洗浄した。血漿希釈バッファー(0.2%HSA、0.05% Tween-20、PBS)で希釈した抗MTTE IgG抗体標準、患者血清サンプル及びコントロールを二重にウェルに加え、室温で2時間インキュベートした。洗浄後、血漿希釈バッファーで希釈したFc特異的ヤギ抗ヒトIgGペルオキシダーゼ抗体(Sigma-Aldrich、カタログ番号A0170a)を加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートを再度洗浄し、基質溶液をウェルに加えた。30分後、415nMで吸光度を読み取った。
【0619】
抗MTTE IgG抗体に基づく標準曲線を、GraphPad Prismバージョン9.3.1ソフトウェア(GraphPadソフトウェア)を使用してプロットし、全ての患者サンプル及び対照の総IgG濃度を計算するために使用した。全てのサンプルについて、血清IgG濃度を計算するために1:25の希釈が選択された。
【0620】
結果及び考察
データ(図32を参照されたい)は、抗MTTE濃度がスクリーニング及び来院2の時に観察された濃度と比較して、来院4で顕著に上昇したことを示す。来院2では、抗MTTE濃度の顕著な増加は観察されなかった。これは、Boostrixの7日後、患者がTENDUワクチンの第1の用量を受ける前の時点である。大半の患者の抗MTTE濃度が増加し、来院4(TENDUワクチン接種開始後)以降のサンプルでは高いままであることが観察できるが、コホート#1及び#2では濃度は依然として低かったである。コホート#3では、血清抗MTTE濃度が大きく上昇した。これはおそらく用量の増加の結果であり、免疫活性化が起こるのに十分な薬物曝露につながり、それによってB細胞エピトープに対するT細胞媒介性(CD4ヘルパーエピトープ)駆動型抗体応答が可能になった。データはウサギの研究(実施例8)と一致しており、破傷風トキソイドに曝露された全てのウサギは最高用量で大幅に上昇した抗MTTE濃度を示したが、より低い用量又は破傷風ナイーブのウサギは、TENDU曝露前のレベルと比較して、抗MTTE抗体レベルの一貫した増加を開始することができなかった。
【0621】
実施例21
この実施例は、トランスジェニックHLA-A2/HLA-DR1動物におけるコンジュゲートの形態のGVExt5ペプチド(配列番号116)及びペプチド+IFAの免疫原性のインビボ評価に関する。
【0622】
材料及び方法
以下の形態のGVExt5ペプチド(配列番号116)の免疫原性:CD29コンジュゲート[B細胞エピトープとしてUV30(MTTE)(配列番号7)の3個のコピー及びUV34(GVExt5)(配列番号116)T細胞エピトープ]は、血清反応陽性又はネイキッドペプチド+IFAの形態で血清反応陰性の雌のB2m,Tg(HLA-A/H2-D/B2M)1Bpe,Tg(HLA-DRA0101,HLA-DRB10101)1Dma,H2-Ab1(EMMA Repository, Orleans, FRANCE)系統のマウスで調査した。血清学的状態は、オボアルブミン(OVA)にコンジュゲートしたMTTEペプチドを使用したワクチン接種後のマウスにおけるMTTEに対する既存の抗体の有無を指す。
【0623】
ワクチン接種スケジュールは、図33に概略的に示され、以下のように要約される:
・4×グループ1:首筋に、1:1IFA中のMTTE-OVA(75ug)、続いてマウス1匹あたり100uLでCD29(60ug、4.1nmol)をプレワクチン接種した。尾の付け根、両側で免疫化。
・4×グループ2:首筋に、IFA、続いてマウス1匹あたり50uLでIFA(1:1)中のUV34(マウス1匹あたり14ug、マウス1匹あたり4.1nmol)をプレワクチン接種した。尾の付け根、両側で免疫化。
【0624】
プレワクチン接種は、IFA中のオボアルブミン(OVA)にコンジュゲートしたMTTEペプチドを使用して実施した。したがって、MTTE-OVAを免疫原として使用してマウスを免疫化し、MTTE配列に対する抗体を得、血清反応陽性動物を得た。免疫化は、IFA中で1:1の比率で乳化したPBS中の75μgのMTTE-OVAの溶液を使用して実施した。これを、血清反応陽性グループにつき0日目にマウスの尾根部に皮下投与した。血清反応陰性グループは、MTTE-OVA/IFAに曝露されなかった。
【0625】
MTTE-OVA投与(プレワクチン接種)の21日後、血清反応陽性グループにコンジュゲートを投与した[グループ1:CD29、60ug/マウス=4.1nmol(100μL/マウス)n=4]。血清反応陰性グループには、IFA(参照アジュバントとして)と混合したポリペプチドUV34(グループ1のマウスと等モル)を投与した[グループ2:UV34、14ug/マウス=4.1nmol(100μL/マウス);n=4]。コンジュゲート及びポリペプチドを、プライマー注射としてマウス(それぞれのグループ)の尾根部に皮下注射として投与した。図33に示すスケジュールに従って、プライマー注射の7日後(第1の追加刺激)及び14日後(第2の追加刺激)に、CD29コンジュゲート及びポリペプチドUV34の2回の追加刺激注射(後の2回の異なる機会)を(それぞれのグループのマウスに)投与した。終了日に、脾臓及び流入領域リンパ節(腸骨、鼠径部及び補助)を採取し、これらの器官の単一細胞懸濁液を調製した。
【0626】
T細胞培地(RPMI 1640、Life Technologies/Thermo Fisher Scientific、1%w/v L-グルタミン(SLS/Lonza)、10%v/v FBS(Fisher/GE Healthcare)、2%HEPES(SLS/Lonza)、0.1%v/v Fungizone(Promega))を使用して脾臓を洗い流し、その後、濾過器に通して組織片を除去し、300gで10分間遠心分離した。細胞ペレットを、計数及びプレーティングのためにT細胞培地に再懸濁した。
【0627】
まずリンパ節を2mLのT細胞培地を含有するペトリ皿上で押しつぶし、次いで滅菌シリンジの背部を使用してEASYstrainer100μMを通し、フィルターを1mLのT細胞培地ですすいだ。細胞を300gで10分間遠心沈殿させた。ペレットを、計数及びプレーティングのために2mLのT細胞培地に再懸濁した。
【0628】
選択されたポリペプチド(表13に示されるとおり)によりインビトロで48時間刺激した後のワクチン誘導応答性細胞の頻度を、マウスIFN-γ ELISpotキット(Mabtech)を使用して測定した。このために、膜貫通型96ウェルMilliporeプレートを、製造元のプロトコルに従って捕捉抗体でプレコートした。各実験では、0.5x10細胞(0.25x10脾細胞+0.25x10プール流入領域LN細胞-共培養)/ウェルを3ウェル+/-10μg/mLのペプチドでプレーティングした。コンカナバリンA(ConA)を陽性対照として使用した。培地のみの細胞を陰性対照として使用した。
【0629】
抗MTTE抗体力価のELISA測定は、以下のプロトコルに従って実施した:
10.ストレプトアビジンでコーティングされたELISAプレートを、プレートのレイアウトに従って100μlのビオチン化ペプチド(PBSで希釈したMTTE-ビオチン1nmol/ml)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。
11.プレートを250μlのPBS/0.05% Tween20で4回洗浄した。
12.プレートを200μlのPBS/10%BSA/0.05% Tween20でブロッキングし、室温(RT)で1時間インキュベートした。
13.プレートを250μlのPBS/0.05% Tween20で4回洗浄した。
14.血漿をPBS/1%BSA/0.05% Tween20で希釈した(最初は1:50、続いて2倍希釈で100倍、20倍希釈で1000倍)。1ウェルあたり100μlの希釈上清を加え、室温で2時間インキュベートした。
15.プレートを250μlのPBS/0.05% Tween20で4回洗浄した。
16.1ウェルあたり100μlの二次抗体ヤギ抗マウスIg-HRPを加え、PBS/1%BSAで1:5000に希釈し、室温、暗所で1時間インキュベートした。
17.プレートを250μlのPBS/0.05% Tween20で4回洗浄した。
18.1ウェルあたり100μlのTMBを加え、100μlの1M HSOで反応を停止した。吸光度を450~570nmで読み取った。展開時間は、MTTE-OVAで免疫化したマウスからの血清を有するプレートについては90秒、UV34で免疫化したマウスからの血清を有するプレートについては150秒であった。
【0630】
結果
図34Aは、実験終了時のマウスにおける抗MTTE抗体力価を表す。マウスは、MTTE-OVAでプレワクチン接種され、続いてコンジュゲートCD29で免疫化されているか(グループ1)、又はMTTE-OVAでプレワクチン接種されておらず、IFA(1:1v/v)中の等モル量のポリペプチドUV34(配列番号116)にのみ曝露されたかのいずれかであった。コンジュゲート及びペプチド+IFAの免疫化スキームは、プライム-ブースト-ブースト設定で行われた。MTTE-OVAに続いてコンジュゲートCD29に曝露されていないマウスは、MTTE配列に対する抗体を発現せず、UV34+IFAへの曝露時にMTTE配列に対する抗体応答を開始することができなかった。しかし、MTTE-OVAに曝露されたマウスは、MTTE-OVA/CD29ワクチン接種サイクル後に高力価の抗MTTE抗体を有しており、有意性は、マン・ホイットニー検定p=0.0286によって評価された。図34Bは、グループ1の個々のマウスにおける抗MTTE抗体力価を示す。実験期間中、マウス1及び3は、抗体力価の増加の程度は様々であったが、3回のCD29(プライム-ブースト-ブースト)の投与により、抗MTTE抗体力価の緩やかな増加を示した。マウス2では、初期の高い抗体力価は、時間とともにわずかに減少した。
【0631】
図35は、7つの個別のポリペプチドUV36、UV58、UV59、UV60、UV64、UV65及びUV66(表13を参照されたい)による脾細胞-LN共培養の刺激が、マン・ホイットニー検定p=0.0286を使用した試験用量で、ポリペプチドUV34+IFAワクチン接種した動物(血清反応陰性)と比較して、CD29(コンジュゲート)曝露動物(血清反応陽性)において測定可能な有意に上昇したT細胞応答を誘導したことを示す。図36Aは、UV36ペプチド内の様々な長さのポリペプチド配列に対する、CD29に曝露されたマウスのT細胞応答の合計が、マン・ホイットニー検定p=0.0286を使用して、ポリペプチドUV34+IFAに曝露されたマウスのT細胞応答の合計と比較して有意に上昇していることを示す。
【0632】
考察
データは、トランスジェニックHLA-DR1血清反応陽性マウスが、MTTE B細胞エピトープの3つのコピーを含むUV34コンジュゲート(CD29)でワクチン接種した場合、IFAをアジュバントとして含む等モルのUV34ペプチドでワクチン接種した血清反応陰性マウスと比較して、UV34(GVExt5-配列番号116)由来のペプチド(エピトープ)に対して優れたT細胞応答を開始することを示している。
【0633】
GVext5(配列番号116)は、hTERT配列に由来する9個のN末端アミノ酸及び4個のC末端アミノ酸を有するGV1001(配列番号126)の伸長バージョンである。GVExt5の長さは、GV1001よりも81%長い。
【0634】
ワクチン接種動物からの細胞を、長さ20、15、14、10又は9アミノ酸の7つの特定の個別ペプチドで刺激すると、T細胞応答が観察された(表13を参照されたい)。試験した全てのペプチドについて、IFAのExtension 5と比較して、Extension 5コンジュゲートでワクチン接種した動物で優れたT細胞応答が見られた。興味深いことに、これらの実験は、UV64(表13)で表され、UV58及びUV60を除く試験した全てのペプチドに存在する、GV1001配列のコア結合モチーフも同定する(表13)。重要なことに、これら2つのペプチドは、GV1001には存在しない、Extension 5に存在する10個のN末端アミノ酸(UV58)及び4個のC末端アミノ酸(UV60)を含有する。Extension 5コンジュゲートによるワクチン接種後のこれら2つのペプチドの認識は、Extension 5がそれぞれN及びC末端の隣接アミノ酸によって定義される新規エピトープを含有することを示す。これらのデータは、Extension 5のGV1001よりも優れた免疫原性のさらなるエビデンスを提供する。興味深いことに、UV60の認識は、GV1001への4つのC末端アミノ酸PDGL(配列番号178)の付加が、追加の5つのアミノ酸のC末端「テール」(RPIVN(配列番号177))を含有するペプチドの認識をもたらすことを意味し、これは、hTERT配列中に存在するが、ワクチン接種に使用されるExtension 5ペプチド配列には存在しない。これは、ワクチン接種のデザインにより標的抗原を認識できる特定のT細胞のレパートリーを広げ得る、さらなるメカニズムを表す。
【0635】
この実施例は、OVA-MTTEプレワクチン、続いてCD29コンジュゲートを投与されたマウスにおいてのみ、実験終了時の抗MTTE抗体力価の上昇を実証する(図36A)。個々のマウスにおける抗MTTE抗体力価(図34B)は、各マウスによって誘発される総T細胞応答、図36Bに対応する。
【0636】
【表20】
【0637】
【表21】
【0638】
【表22】
【0639】
【表23】
【0640】
【表24】
【0641】
【表25】
【0642】
【表26】
【0643】
【表27】
【0644】
【表28】
【0645】
【表29】
【0646】
【表30】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16-1】
図16-2】
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
【配列表】
2024522178000001.app
【国際調査報告】