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特表2024-522185車両用シートの通気性の向上と構造技術
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】車両用シートの通気性の向上と構造技術
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20240604BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575861
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022032553
(87)【国際公開番号】W WO2022261131
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/202,400
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サドー,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,チェン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ホーラハン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ホールバーグ,テレッセ
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JG02
3B084JG03
3B084JG04
3B084JG06
3B087DE03
3B087DE09
(57)【要約】
通気を向上させた車両用シート、および通気性を向上させるための構造技術が本明細書に記載される。例示的な車両用シートは、通気性メッシュで形成された外装と、外装の下の成形発泡体とを含む。成形発泡体は、空気を通過させる第1の孔を有する。車両用シートは、成形発泡体に接続された硬質ダクトをさらに含み、硬質ダクトは、第1の孔と整列する第2の孔を有する。車両用シートは、ファンをさらに含み、ファンは、周囲源から外装を通って硬質ダクト内に空気を引き込む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性メッシュで形成された外装と、
前記外装の下の成形発泡体であって、空気を通過させるように構成された複数の第1の孔を有する、成形発泡体と、
前記成形発泡体に接続された硬質ダクトであって、少なくとも部分的に前記第1の孔と整列する複数の第2の孔を有する硬質ダクトと、
ファンであって、空気を周囲源から前記外装を通して前記硬質ダクト内に引き込むように構成されたファンと、
を備える、車両用シート。
【請求項2】
前記硬質ダクトが前記成形発泡体の下にある、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
第1の部分および第2の部分を有する通気バーをさらに備え、前記第1の部分が前記車両用シートの下方部分から空気を引き込むように構成され、前記第2の部分が前記第1の孔に空気を供給するように構成されている、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記第2の部分が多孔質である、請求項3に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記硬質ダクトが上部部分および底部部分から形成され、前記上部部分および底部部分が硬質プラスチックである、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記硬質ダクトが上部部分および底部部分から形成され、前記上部部分が前記成形発泡体の底部上の硬化フリースであり、前記底部部分が前記硬化フリースに貼り付けられた硬質プラスチックである、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項7】
前記成形発泡体が発泡ツールを使用して作成され、前記第1の孔が前記発泡ツールのピラーを使用して形成され、前記ピラーが前記第2の孔の上方部分に挿入され、前記第2の孔が前記ピラーに対して前記第2の孔を閉じるように構成されたそれぞれのシールを含み、前記成形発泡体を作成するために、発泡体が前記発泡ツールを使用して成形キャビティに挿入された、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項8】
前記挿入された発泡体が前記シールを介して前記硬質ダクト内に浸入するのが阻止される、請求項7に記載の車両用シート。
【請求項9】
前記シールがゴムを含む軟質シールである、請求項7に記載の車両用シート。
【請求項10】
前記シールが2ショット成形プロセスを使用して形成された、請求項7に記載の車両用シート。
【請求項11】
シート座部であって、
通気性メッシュで形成された外装、
前記外装の下の成形発泡体であり、空気が通過できるように構成された複数の第1の孔を有する、成形発泡体、
前記成形発泡体に接続された第1の硬質ダクトであり、少なくとも部分的に前記第1の孔と整列する複数の第2の孔を有する、第1の硬質ダクト、および
第1のファンであり、空気を周囲源から前記外装を通して前記第1の硬質ダクト内に引き込むように構成された第1のファンを備える、シート座部と、
シートバックであって、
複数の第3の孔を有する第2の硬質ダクト、
前記シートバック上に成形されたフリース、および
前記第3の孔を通して空気を引き込むように構成された第2のファンを備えるシートバックと、
を備える、車両用シート。
【請求項12】
前記フリースが前記シートバックの発泡体に成形された硬化フリースである、請求項11に記載の車両用シート。
【請求項13】
前記シートバックが通気バーをさらに備え、前記通気バーがバイトラインに配置された第1の部分に空気を引き込み、前記シートバックに沿った第2の部分から空気を排出するように構成されている、請求項11に記載の車両用シート。
【請求項14】
前記第2の部分が多孔質である、請求項13に記載の車両用シート。
【請求項15】
車両用シートの外装の下に成形発泡体を挿入するステップであって、前記外装が通気性メッシュで形成され、前記成形発泡体が空気を通過させるように構成された複数の第1の孔を有する、ステップと、
硬質ダクトを前記成形発泡体に接続するステップであって、前記硬質ダクトが前記第1の孔と整列した複数の第2の孔を有する、ステップと
ファンを介して、周囲源から前記外装を通って前記硬質ダクト内に空気を引き込むステップと、
を含む、車両用シートの通気の方法。
【請求項16】
前記硬質ダクトが前記成形発泡体の下に配置されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記車両用シートの下方部分から空気を引き込み、前記車両用シートの前記下方部分から前記第1の孔に前記空気を供給するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
発泡ツールを使用して前記成形発泡体を作成するステップをさらに含み、前記発泡ツールのピラーを使用して前記第1の孔を形成するステップと、該ピラーを前記第2の孔の上方部分に挿入するステップと、前記発泡ツールを使用して発泡体を成形キャビティに挿入するステップとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記成形発泡体を作成するステップが、前記ピラーに対して前記第2の孔を閉じるように構成されたそれぞれのシールを介して、前記挿入された発泡体が前記硬質ダクトに入るのを阻止するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
車両用シートの外装の上方の周囲源からファンを介して空気を引き込むステップであって、前記外装が通気性メッシュで形成されている、ステップと、
前記ファンを介して、
前記空気を、前記外装を通って、前記車両用シート内に含まれる成形発泡体の第1の孔に流入させ、前記成形発泡体が前記外装の下に配置され、
前記空気を、前記第1の孔から、前記車両用シート内に含まれる硬質ダクトの第2の孔に流入させ、前記硬質ダクトが前記成形発泡体の下に配置され、
前記空気を、前記ファンを通して流出させ、前記ファンが前記硬質ダクトの下側の一部に取り付けられ、前記車両用シートの下側に空気を排出する、ステップと、
を含む、車両用シートの通気の方法。
【請求項21】
前記ファンが前記第2の孔を通して前記第1の孔に空気を押し込み、前記外装を介して空気を押し出すように構成されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記成形発泡体が前記硬質ダクト上に直接成形される、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
・関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月9日に出願された「ENHANCED VEHICLE SEAT VENTILATION AND CONSTRUCTION TECHNIQUES」という名称の米国仮特許出願第63/202,400号の優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、自動車で使用するためのシートに関し、より詳細には、自動車シート用の車両用シートの通気性向上に関する。
【背景技術】
【0003】
特定の車両は、シートの乗員を冷却するように設計されたシートを含むことがある。例えば、車両用シートは、乗員の背中に空気が当たるように設計されることがある。空気は、車両を運転中の乗員の快適性を向上させるための通気を助けることができる。しかしながら、シート通気のための現在の技術には、製造の複雑さなどの欠点がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本明細書に記載された技術による、通気性を向上させた例示的な車両用シートを示す図である。
【0005】
図2A】シート座部に硬質ダクトが含まれる例示的な車両用シートのシート座部を示す図である。
【0006】
図2B】シート座部の詳細図である。
【0007】
図2C】シート座部のさらなる詳細図である。
【0008】
図3A】シートバックに硬質ダクトが含まれる例示的な車両用シートのシートバックを示す図である。
【0009】
図3B】シートバックの詳細図である。
【0010】
図3C】シートバックのさらなる詳細図である。
【0011】
図3D】シートバックに含まれる例示的な通気バーを示す図である。
【0012】
図4】シート座部の例示的な通気孔を示す図である。
【0013】
図5A】シート座部に含まれる成形発泡体を成形するための例示的な技術を示す図である。
【0014】
図5B】発泡成形型のピラーおよび硬質ダクト内の一体型シールの詳細を示す図である。
【0015】
図6】本明細書に記載される技術による例示的な車両用シートの通気方法を示す図である。
【0016】
本開示の実施形態およびそれらの利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。同様の参照番号は、1つまたは複数の図に示される同様の要素を識別するために使用され、そこでの図示は、本開示の実施形態を例示することを目的としており、本開示を限定することは目的としていないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願は、通気性を向上させた車両用シートについて説明する。車両用シートは、車両の運転者が使用する車両用シートの一例である。車両用シートは、助手席または後部座席の乗客など、車両の乗客によって使用されることもある。便宜上、本出願は、車両用シートを使用する人を車両用シートの乗員として記載する。記載されるように、車両用シートは、車両用シートを介して空気を引き込み、または空気を押し出すように構成された通気システムを含むことができる。例えば、周囲空気から車両用シートに空気を引き込むことができる。別の例として、空気を乗員に押し出すことができる。空気の動きにより、乗員の冷却などの通気を可能にすることができる。
【0018】
本明細書に記載される通気システムは、硬質ダクトアセンブリおよび一体型発泡体を含むことができる。上述したように車両用シートを通して空気を引き込み、または押し出すために、1つまたは複数のファンが使用されることがある。記載されるように、硬質ダクトアセンブリにより、乗員の快適性を高めるための輪郭のある形状が可能になる場合がある。硬質ダクトアセンブリは、例えば、車両用シートを通る空気の流れにバッグを使用していた従来の通気技術を改善することもできる。例えば、硬質ダクトアセンブリによりつぶれることなく、空気流を確保することができる。
【0019】
理解され得るように、車両用シートは、シート座部およびシートバックを含む。シート座部は、乗員が座る部分を表すことができる。シートバックは、乗員の背中がもたれかかる部分を表すことができる。一部の実施形態では、シート座部は、(例えば、上部および底部に)硬質の外装で形成された第1の硬質ダクトを含むことができる。シートバックは、硬質(例えば、プラスチック樹脂)の外装(後部)と、シートバックの発泡体に成形された硬化フリース(例えば、ポリエステル)とで形成された第2の硬質ダクトを含むことができる。
【0020】
1つまたは複数のファンが、上述の第1の硬質ダクトおよび第2の硬質ダクトと(例えば、流体接続で)接続されてもよい。シート座部の一体型発泡体は、第1の硬質ダクトと接続された孔(例えば、吸気孔)を含むことができる。したがって、ファンを使用して、周囲からシート座部の孔を通して第1の硬質ダクトに空気を引き込むことができる。ファンを介して引き込まれた空気は、シート座部の下方部分を通って排出されてもよい。
【0021】
同様に、シートバックの一体型発泡体は、第2の硬質ダクトと接続された孔(例えば、吸気孔)を含むことができる。ファンを同様に使用して、周囲からシートバックの孔を通して第2の硬質ダクトに空気を引き込むことができる。空気は、その後、シートバックの後部を通って排出されてもよい。空気は、任意選択で、1つまたは複数のダクトを使用して、ファンから車両用シートの下方部分を通って送られてもよい。
【0022】
少なくとも図5A図5Bに関して後述するように、一体型発泡体は、硬質ダクトのうちの1つの上に直接成形されてもよい。例えば、成形型は、シート座部に含まれる硬質ダクトの上に配置されてもよい。本例では、成形型は、成形された一体型発泡体に、結果として得られる孔を形成するように配置されたピラー(例えば、金属ピラー)を有することができる。これらのピラーは、硬質ダクトの対応する孔と整列していてもよい。対応する孔は、ピラーが硬質ダクトの孔に対してそれぞれのシールを形成するようにするシール(例えば、軟質シール)を有することができる。例えば、シールは、孔の縁部にあってもよく、ピラーによりそれらのシールが下向きに伸ばされるため、注入された発泡体から孔を密閉することができる。したがって、発泡体が成形型に注入される際に、発泡体は、硬質ダクトに入るのを阻止される。このようにして、硬質ダクトは、発泡体のない状態を保つことができる。加えて、ピラーが取り外されると、シールは元の形状に戻り、孔は開いたままになる。
【0023】
硬質ダクトは、一部の実施形態では、垂直方向の圧縮に対して硬質を提供する(したがって、空気流路を維持する)ように設計されていてもよい。例えば、乗員がシート座部に座ると、硬質ダクトは空気流を維持することができる。硬質ダクトには、構造全体に少なくともある程度の(例えば、しきい値の尺度の)可撓性を可能にするためのスリット特徴が含まれてもよい。例えば、硬質ダクトは、断面を維持しながらスリットで曲がることができる。この可撓性の目的は、一例として、シートの快適性を維持することである。
【0024】
したがって、本明細書に記載される改良された車両用シートは、(例えば、硬質ダクトを使用して)空気経路全体に沿ってより優れた密閉性を提供することができる。加えて、より高い空気流効率により、熱伝達能力の向上が可能になる場合がある。上述の成形型を使用することにより、車両用シートの製造プロセスおよび構造を改善することが可能な場合がある。さらに、結果として得られる車両用シートは、より耐久性のあるものとなる可能性がある。例えば、車両用シートは、表面材料(例えば、シート座部またはシートバックの上部の通気性トリム)の耐久性を高めるためにメッシュ(例えば、Kufnerメッシュまたは他のメッシュ)を有することができる。
【0025】
ここで、これらおよび他の概念について図を参照してより詳細に説明する。
【0026】
図1は、本明細書に記載される技術に従って通気性を向上させた例示的な車両用シート100を示す。車両用シート100は、シート座部102とシートバック104とを含む。
【0027】
車両用シート100は、シート座部102に第1の硬質ダクト106を含む。本明細書に記載されるように、第1の硬質ダクト106は、周囲からシート座部102内に空気を引き込むために使用されることがある。例えば、ファン108を使用して、(例えば、シート座部102の上部から)シート座部102内に空気を引き込むことができる。一部の実施形態では、空気をシート座部102に(例えば、シート座部102の上部から)押し込むためにファン108が使用されてもよい。図2A図2Cに記載されるように、シート座部102は、シート座部102の発泡体部分の孔と整列するか、さもなければ流体連通または流体接続する第1の硬質ダクト106の孔(例えば、ダクトの上部の開口部)を含むことができる。
【0028】
車両用シート100は、シートバック104に第2の硬質ダクト110を含む。本明細書に記載されるように、第2の硬質ダクト110は、(例えば、ファン112を介して)シートバックに空気を引き込むために使用されてもよい。上記と同様に、ファン112を使用して、空気をシートバック104に押し込むことができる。図3A図3Dに記載されるように、シートバック106は、シートバック104の発泡体部分の孔と整列するか、さもなければ流体連通または流体接続する第2の硬質ダクト110の孔を含むことができる。
【0029】
一部の実施形態では、図3Dに記載されるように、冷却を改善するために通気バー114(例えば、Tバー)を使用することができる。例えば、通気バー114の開口部(例えば、底部)に空気を引き込むことができる。本例では、理解され得るように、乗員は、車両用シート100のこの部分を自分の身体(例えば、バイトライン)で覆っている可能性は低い。通気バー114は、実質的に多孔質(例えば、網状発泡体製)であってもよく、したがって、空気は、背もたれ領域に吸い上げられ、乗員の背後で循環し、その後、背面側流路(例えば、発泡体および第2の硬質ダクト110の流路または孔)に引き込まれる。
【0030】
部分116は、車両用シート100の例示的な分解図または詳細図を示す。例えば、部分116は、上述したシート座部102の詳細図を示すことができる。このように、シート座部102は、外装穴あきトリム、次いで、スペーサまたはディフューザメッシュ、ヒータマット、一体型発泡体(例えば、図示される孔を有する)、b側コレクタ(例えば、硬質ダクト106)、およびファン(例えば、ファン108)から形成されることがある。一部の実施形態では、乗員に関連付けられた存在、圧力、体重などを検出するために乗員センサが含まれることがある。
【0031】
図2Aは、シート座部102に含まれる硬質ダクト106(例えば、プラスチック樹脂ダクト)を有する例示的な車両用シート100のシート座部102を示す。図示する例は、例示的な孔(例えば、孔204)を有する一体型発泡体202を含む。これらの孔は、図示するように、硬質ダクト106(例えば、孔206)と実質的に一列に並んでいてもよい。ファンは、硬質ダクト106の一部(例えば、下方部分)に接続され、一体型発泡体202を通して硬質ダクト106内に空気を引き込むために使用されてもよい。硬質ダクト106は、空気を引き込むことができる流路が形成されるように、プラスチック製の上部および底部を有することができる。硬質ダクト106は、例えば、空気が実質的に乗員の周り(例えば、シート座部102に接触する部分)に引き込まれるように「H字形状」であってもよい。
【0032】
図2Bは、シート座部102の詳細図を示す。図示するように、シート座部102は、成形発泡体(例えば、一体型発泡体)、一体型ダクト(例えば、上述の硬質ダクト)、断熱パッド、およびファンアセンブリを含むことができる。一部の実施形態では、硬質ダクトは、接着剤(例えば、膠)を介して成形発泡体と接続されることがある。一部の実施形態では、図5A図5Bに記載されるように、発泡体は、発泡成形プロセスを経て硬質ダクト上に形成されてもよい。
【0033】
硬質ダクトは、乗員のさらなる快適性を可能にする輪郭を有有することができる。例えば、乗員がシート座部102に座ると、発泡体が圧縮されることがある。したがって、硬質ダクトの輪郭形状は、乗員にとって快適な形状になるように設計されることがある。
【0034】
図2Cは、シート座部102のさらなる詳細図を示す。図示する例は、一体型発泡体202および硬質ダクト106を有するシート座部102を示す。さらに、シート座部102の底部にあるファン108が示されている。したがって、図示する実施形態では、硬質ダクト106は、一体型発泡体202の下方かつファン108の上方に配置されている。
【0035】
図3Aは、硬質ダクトがシートバックに含まれている例示的な車両用シート100のシートバック104を示す。図3Bは、シートバック104の詳細図を示す。図示する実施形態では、シートバック104は、一体型発泡体を含む。シートバック104は、一体型発泡体上に形成されるか、さもなければ一体型発泡体上に含まれることがある硬化フリースをさらに含む。例えば、フリースは、発泡体の底部部分(例えば、シートバック104の内部)に含まれていてもよい。一部の実施形態では、発泡スラリーまたは混合物をフリース上に注ぐか、または形成することができる。次いで、硬質ダクト外装(例えば、プラスチック樹脂)を含めることができる。例えば、硬質ダクト外装は、(例えば、膠などの接着剤を介して)フリースに接続されてもよい。シートバック104は、空気を周囲空気源から発泡体を通してダクト(例えば、フリースと硬質ダクト外装の組合せ)内に引き込み、ファンを通して外に引き出すために使用されるファン(例えば、図示するような吸引ファン)をさらに含む。
【0036】
このように、シートバック104の硬質ダクトは、フリースおよび硬質部分から形成されることがある。フリースは、硬質ダクトの上部部分を表してもよく、硬質部分は、硬質ダクトの底部部分を表してもよい。これらの組合せは、ファンが空気を引き込むことができる流路を形成することができる。
【0037】
一部の実施形態では、面ファスナを使用して、硬質ダクト外装を成形発泡体上の硬化フリースに取り付けることができる。これにより、シートバック104の組立をより簡単および/またはより迅速にできる可能性がある。
【0038】
部分300は、シートバック104の上面図を示す。この図は、フリースおよび硬質ダクト外装(例えば、プラスチック製閉鎖材)によって囲まれた流路を示す。
【0039】
図3Cは、シートバック104のさらなる詳細図を示す。これらの図310は、硬質ダクト312(例えば、フリース314および硬質の外装316から形成される)を示す。本明細書に記載されるように、発泡体は、硬質ダクトと整列する孔を有することができる。例えば、孔は、発泡体の外装で終端してもよい。本例では、フリース314は、同様に、発泡体の孔と整列する孔を有することができる。硬質の外装316は、フリース314の孔と整列する孔を有することができる。次に、ファン318は、硬質の外装316に接続することができ、ファンがフリース314と硬質の外装316との組合せによって形成された流路を通して空気を流すことができるようにしている。図示する例では、ファンは硬質の外装316の上方部分に接続されている。
【0040】
図3Dは、シートバック104に含まれる例示的な通気バー320を示す。通気バー320は、一部の実施形態では、図1に示すようにT字形であってもよい。一部の実施形態では、通気バー320は、上張り(例えば、ポリウレタン層などの穴あきトリム層)の下のシートバック104に含まれていてもよい。通気バー320は、加えて、シートバック104の発泡体から分離されてもよい。例えば、以下に記載されるように、通気バー320の上方部分は、成形発泡体と実質的に同一平面または同一線上に含まれていてもよい。
【0041】
通気バー320は、通気バー320内に空気を引き込むために使用される第1の部分322を含むことができる。例えば、第1部分322は、シートバック104の下方部分に配置されていてもよい。この下方部分は、乗員の腰部に対応することができ、バイトラインと呼ばれることがある。一部の実施形態では、第1の部分322は、実質的に非多孔質材料(例えば、プラスチック)であってもよい。例えば、第1の部分322の両端にある(例えば、左右などの水平方向の)孔は、孔に空気を引き込むか、さもなければ孔に空気を流入させることができる。一部の実施形態では、第1の部分322は、多孔質(例えば、網状発泡体)であってもよい。通気バー320は、シートバック104の少なくとも一部分に、上方に延びる第2の部分324を含むことができる。第2の部分3424は多孔質(例えば、網状発泡体)であってもよく、これにより、空気は、バイトラインにおいて吸引された、さもなければ得られた空気から引き出され得る。理解され得るように、乗員は、自分の身体でシートバック104を実質的に覆うことができる。したがって、バイトラインからの空気により、シートバック104内に空気を継続的に引き込むことができる。
【0042】
部分326に示されるように、空気は、第1の部分322内に引き込まれ、次いで、第2の部分324から成形発泡体328の孔に流出することができる。例えば、ファン(例えば、ファン318)は、第1の部分322を通って第2の部分324に入り、次いで、硬質ダクトを介してファンに接続されている発泡体328の孔に入る空気の移動を引き起こす吸引または流れを作り出すことができる。したがって、空気は、乗員の背中の周囲、発泡体328の孔の中、硬質ダクト(例えば、フリースと硬質の外装の組合せ)の中、および図3B図3Cに図示されるファンを通して外に引き出されてもよい。
【0043】
図4は、シート座部102の例示的な通気孔402を示す。本明細書に記載されるように、シート座部102の発泡体は、硬質ダクトの孔と整列する孔を有することができる。硬質ダクトは、周囲からシート座部102を通して空気を引き込むファンに接続されてもよい。図示する実施形態では、孔404は、発泡体406に含まれ、硬質ダクト408の対応する孔と一列に並ぶように示されている。
【0044】
一部の実施形態では、硬質ダクト408に接続されていない孔402が発泡体406に含まれることがある。例えば、図4は、孔402を後部中央の孔として示す。この孔402は、硬質ダクト408の代わりに周囲に接続されていてもよい。孔402により、追加の新鮮な空気源がもたらされ、乗員の下のより効果的な循環が可能になる場合がある(例えば、したがって、冷却が改善される)。部分410は、本明細書に記載されるファンによって引き起こされる例示的な空気流を示す。
【0045】
図5Aは、シート座部に含まれる成形発泡体を成形するための例示的な技術を示す図である。一部の実施形態では、(例えば、孔204に関して少なくとも図2Aに示されるような)発泡体に孔を形成するために使用可能なピラーを含む成形型を使用することができる。ピラーは、閉じられ、成形型の本体と均質である中実金属から形成されていてもよい。以下に記載されるように、一体型発泡体は、硬質ダクトの周りに(例えば、その上に)成形されてもよい。このようにして、製造(例えば、構築)を簡略化することができる。
【0046】
発泡液を成形キャビティ内に噴霧することができる。例えば、発泡体注入502は、ピラーの外側のキャビティの部分で行われてもよい。その後、成形型が閉じられ、液体は化学反応を受けて発泡し、キャビティを充填することができる。こうして、発泡成形体を形成することができる。孔は、上記のピラーを使用して、得られた成形発泡体内に保持されてもよい。さらに、得られた成形発泡体は、硬質ダクトに実質的に固定されてもよい。一部の実施形態では、接着剤が硬質ダクトに塗布されることがある。
【0047】
発泡体注入中に発泡体が硬質ダクトに流入しないようにするために、シール504(例えば、軟質シール)を使用して、硬質ダクトの孔を閉じることができる。シールは、例えば、ゴムであってもよく、硬質ダクトにオーバーモールドされてもよい。一部の実施形態では、2ショット成形プロセスが使用されてもよい。シールは、発泡体の浸入を防ぐために、ピラーの周囲を把持および密閉するように構成されてもよい。シールは、2つのリップを有してもよく、軸方向および半径方向にシールするように設計されてもよい。シーリングは、ピラーが硬質ダクトの孔に挿入され、発泡成形型が閉じられたときに形成されてもよい。例えば、シールは、発泡体から孔を密封するように伸びていてもよい。
【0048】
図5Bは、発泡成形型のピラー506および硬質ダクト内の一体型シール508の詳細を示す図である。理解され得るように、シール508は、ピラー506が孔の中に挿入されると伸びることができる。このようにして、発泡体が硬質ダクト内に入るのを防ぐことができる。ピラー506を取り外すと、孔510は開いたままになる。例えば、シール508は、孔510の外側の以前の位置に戻る。このようにして、本明細書に記載されるように、ファンによって空気を孔510に引き込み、またはそこから押し出すことができる可能性がある。シール508は、一部の実施形態では、孔510の上方部分に配置されてもよい。
【0049】
上記の説明では、特定の実施形態において、シート座部の硬質ダクトを、プラスチック製の上部および底部を有するプラスチック製ユニットとして説明した。シートバックの硬質ダクトは、特定の実施形態では、フリースおよびプラスチック製の底部から形成されてもよい。一部の実施形態では、シート座部は、代わりに、フリースおよびプラスチック製の底部を使用してもよい。一部の実施形態では、シートバックはプラスチック製ユニットを使用してもよい。
【0050】
図6は、本明細書に開示される技術による、車両の通気方法600を示す図である。方法600は、車両用シートの上方の周囲源から空気を引き込むステップ602と、空気を車両用シートに含まれる成形発泡体の第1の孔に流入させるステップ604と、空気を第1の孔から成形発泡体の下に配置された硬質ダクトの第2の孔に流入させるステップ606と、空気を車両用シートから流出させるステップ608とを含む。
【0051】
前述の開示は、本開示を開示された正確な形態または特定の使用分野に限定することを意図していない。したがって、本明細書に明示的に記載されているか暗示されているかにかかわらず、本開示に照らして、本開示に対する様々な代替の実施形態および/または修正が可能であることが企図される。本開示の実施形態をこのように説明してきたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。
【0052】
前述の明細書において、本開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきた。しかしながら、当業者であれば理解するように、本明細書に開示される様々な実施形態は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他のやり方で修正またはその他の方法で実施され得る。したがって、本明細書は、例示として考えられるべきであり、当業者にガラス構造体の様々な実施形態を作製および使用する方法を教示することを目的としている。本明細書に示され、説明される開示の形態は、代表的な実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。同等の要素または材料が、本明細書で代表的に図示および記載されるものと置換されてもよい。さらに、本開示の特定の特徴は、他の特徴の使用とは無関係に利用されてよく、これらはすべて、本開示の本明細書の利益を得た後に当業者には明らかになるであろう。本開示を説明し、特許請求するために使用される「含む(including)」、「備える(comprising)」、「組み込む(incorporating)」、「からなる(consisting of)」、「有する(have)」、「である(is)」などの表現は、非排他的な態様で解釈されることを意図しており、すなわち、明示的に記載されていない項目、構成要素、または要素も存在することを許容する。単数形への言及は、複数形にも関連すると解釈されるべきである。
【0053】
加えて、限定されないが、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「一次」、「二次」、「主要」、もしくは任意の他の通常の用語および/または数値用語などの数値用語もまた、本開示の様々な要素、実施形態、変形例、および/または修正についての読者の理解を助けるための識別子としてのみ解釈されるべきであり、特に、任意の要素、実施形態、変形、および/または修正に関して、別の要素、実施形態、変形、および/または修正に対する順序または優先順位にいかなる制限も生じないものとする。
【0054】
また、図面/図に示される要素のうちの1つまたは複数は、特定の用途に応じて有用であるように、より分離されたもしくは統合された態様で実施されてもよく、または場合によっては除去されてもよいことも理解されるであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】