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特表2024-522193免疫原としての広範囲反応性ウイルス抗原、その組成物及び使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】免疫原としての広範囲反応性ウイルス抗原、その組成物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/145 20060101AFI20240604BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20240604BHJP
   C07K 14/11 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 15/44 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K39/145 ZNA
A61K39/39
A61P37/04
A61P31/16
A61K48/00
A61K31/7105
A61K31/711
C07K14/11
C12N7/01
C12N15/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576010
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022032799
(87)【国際公開番号】W WO2022261297
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,209
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】515090972
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ジョージア リサーチ ファウンデイション, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】University of Georgia Research Foundation, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ロス テッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】アレン ジェームズ ディー.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA45
4B065CA46
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB33
4C085AA03
4C085AA04
4C085AA38
4C085BA55
4C085CC08
4C085EE01
4C085EE06
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB33
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書に提供されるのは、免疫原性であり、かつ対象への導入後にインフルエンザウイルス抗原に対して指向された広範囲反応性免疫応答、例えば、広範囲反応性中和抗体応答を誘発することができる、インフルエンザウイルスに由来する非天然型の広範囲反応性抗原である。また、非天然型の広範囲反応性免疫原、ワクチン、ウイルス粒子、ウイルス様粒子(VLP)、並びに免疫原及びワクチンを含む組成物も提供される。免疫原、ワクチン、VLP、又はそれらの組成物を投与することによって、ヒト又は非ヒト対象において免疫応答を生成する方法が提供される。特に、免疫原は、H1又はH3などのインフルエンザウイルス株の広範囲反応性ヘマグルチニン(HA)タンパク質抗原又は可溶性HAタンパク質抗原を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原であって、配列番号1~17のうちのいずれか1つのヘマグルチニン(HA)タンパク質抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、インフルエンザウイルス抗原、又はその免疫原性部分。
【請求項2】
配列番号1~17に記載のHAタンパク質抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のインフルエンザウイルス抗原。
【請求項3】
配列番号1~17に記載のHAタンパク質抗原のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載のインフルエンザウイルス抗原。
【請求項4】
配列番号1~17に記載のHAタンパク質抗原のアミノ酸配列からなる、請求項1又は2に記載のインフルエンザウイルス抗原。
【請求項5】
配列番号1~8に記載の全長HAタンパク質抗原のアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のインフルエンザウイルス抗原。
【請求項6】
配列番号9~17に記載の可溶性HA(sHA)タンパク質抗原のアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のインフルエンザウイルス抗原。
【請求項7】
前記インフルエンザウイルスが、H1又はH3インフルエンザウイルスである、請求項1~6のいずれか一項に記載のインフルエンザウイルス抗原。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のインフルエンザウイルス抗原を含む、ウイルス様粒子(VLP)。
【請求項9】
前記インフルエンザウイルスHA抗原をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項8に記載のVLP。
【請求項10】
現在及び将来のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を生成することができる、非天然型免疫原であって、前記免疫原が、配列番号1~17に記載のヘマグルチニン(HA)抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、非天然型免疫原。
【請求項11】
配列番号1~17に記載のヘマグルチニン(HA)抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の免疫原。
【請求項12】
中和抗体の産生を含む免疫応答を生成する、請求項1~11のいずれか一項に記載のウイルス抗原、VLP、又は免疫原。
【請求項13】
ヘマグルチニン阻害活性を有する抗体の産生を含む免疫応答を生成する、請求項1~12のいずれか一項に記載のウイルス抗原、VLP、又は免疫原。
【請求項14】
Tリンパ球の産生を含む免疫応答を生成する、請求項1~13のいずれか一項に記載のウイルス抗原、VLP、又は免疫原。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のウイルス抗原、VLP、又は免疫原を含む、免疫原性組成物又はワクチン。
【請求項16】
薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む、請求項15に記載の免疫原性組成物又はワクチン。
【請求項17】
アジュバントを更に含む、請求項15又は16に記載の免疫原性組成物又はワクチン。
【請求項18】
請求項1~14のいずれか一項に記載のウイルス抗原、VLP、又は免疫原と、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む、薬学的に許容される組成物。
【請求項19】
アジュバントを更に含む、請求項18に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項20】
対象において免疫応答を生成する方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載のウイルス抗原、VLP、又は免疫原の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項21】
対象において免疫応答を生成する方法であって、請求項15~17のいずれか一項に記載の免疫原性組成物又はワクチンの有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項22】
対象において免疫応答を生成する方法であって、請求項18又は19に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項23】
インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患及び/又はその症状から対象を治療又は保護する方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載のウイルス抗原、VLP、又は免疫原の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項24】
インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患及び/又はその症状から対象を治療又は保護する方法であって、請求項15~17のいずれか一項に記載の免疫原性組成物又はワクチンの有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項25】
インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患及び/又はその症状から対象を治療又は保護する方法であって、請求項18又は19に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
前記対象が、インフルエンザウイルスに感染しているか、又はインフルエンザウイルスによる感染のリスクがあるか、若しくはインフルエンザウイルスに感染しやすい、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
アジュバントが、前記対象に同時に投与される、請求項20~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、中和抗体の産生を含む免疫応答を生成する、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記免疫応答が、細胞免疫応答を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞免疫応答が、Tリンパ球の産生を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
予防的又は治療的免疫応答が生成される、請求項20~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
1つ以上の抗ウイルス剤が、前記対象に投与される、請求項20~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記対象が、哺乳動物対象である、請求項20~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が、ヒト対象である、請求項20~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記対象が、非ヒト対象又は獣医学的対象である、請求項20~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
請求項1~14のいずれか一項に記載のウイルス抗原をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項37】
配列番号1~8に記載の全長HAタンパク質抗原のアミノ酸配列を含むインフルエンザウイルス抗原をコードする、請求項36に記載のポリヌクレオチド。
【請求項38】
配列番号9~17に記載の可溶性HA(sHA)タンパク質抗原のアミノ酸配列を含むインフルエンザウイルス抗原をコードする、請求項36に記載のポリヌクレオチド。
【請求項39】
前記ポリヌクレオチドが、RNA又はDNAである、請求項36~38のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項40】
前記RNAが、mRNAである、請求項39に記載のポリヌクレオチド。
【請求項41】
請求項36~40のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドと、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む、組成物。
【請求項42】
請求項36~40のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、ウイルス様粒子(VLP)。
【請求項43】
請求項1~7のいずれか一項に記載の非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原を含む、一価免疫原。
【請求項44】
前記免疫原性のインフルエンザウイルス抗原が、
配列番号15に記載の配列を含むY2抗原、配列番号3、7、若しくは9に記載の配列を含むJ1抗原、配列番号4に記載の配列を含むJ2抗原、配列番号5に記載の配列を含むJ3抗原、配列番号6若しくは8に記載の配列を含むJ4抗原、配列番号11に記載の配列を含むNG1抗原、配列番号2若しくは12に記載の配列を含むNG2抗原、又は配列番号13に記載の配列を含むNG3抗原
を含む、請求項43に記載の一価免疫原。
【請求項45】
請求項1~7のいずれか一項に記載の非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原のうちの少なくとも2つを含む、一価免疫原。
【請求項46】
前記免疫原が、前記非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原のうちの2つを含む、請求項45に記載の多価免疫原。
【請求項47】
前記免疫原が、二価であり、かつ配列番号15に記載の配列を含むY2抗原と、配列番号6若しくは8に記載の配列を含むJ4抗原との組み合わせ、又は配列番号15に記載の配列を含むY2抗原と、配列番号2若しくは12に記載の配列を含むNG2抗原との組み合わせを含む、請求項45又は46に記載の多価免疫原。
【請求項48】
前記免疫原が、前記非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原のうちの8つを含む、請求項43に記載の多価免疫原。
【請求項49】
前記免疫原が、組換えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)ポリペプチドを含む、請求項45~48のいずれか一項に記載の多価免疫原。
【請求項50】
請求項45~49のいずれか一項に記載の免疫原性のインフルエンザウイルス抗原をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む、ウイルス粒子又はウイルス様粒子(VLP)。
【請求項51】
請求項43又は44に記載の一価免疫原を含む、組成物。
【請求項52】
請求項45~49のいずれか一項に記載の多価免疫原を含む、組成物。
【請求項53】
請求項50に記載のウイルス粒子又はVLPを含む、組成物。
【請求項54】
薬学的に許容される担体、賦形剤、又はビヒクルを更に含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項55】
薬学的に許容される担体、賦形剤、又はビヒクルを更に含む、請求項52に記載の組成物。
【請求項56】
薬学的に許容される担体、賦形剤、又はビヒクルを更に含む、請求項53に記載の組成物。
【請求項57】
インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患及び/又はその症状から対象を治療又は保護する方法であって、請求項54に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項58】
インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患及び/又はその症状から対象を治療又は保護する方法であって、請求項55に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項59】
インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患及び/又はその症状から対象を治療又は保護する方法であって、請求項56に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項60】
対象において免疫応答を生成する方法であって、請求項54に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項61】
対象において免疫応答を生成する方法であって、請求項55に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項62】
対象において免疫応答を生成する方法であって、請求項56に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月10日に出願された米国仮特許出願第63/209,209号の利益及びそれに対する優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
インフルエンザウイルス感染は、毎年医学的に診察される急性呼吸器疾病の重要な原因であり、米国及び世界の両方で、かなりの量の罹患率、死亡率、及び経済的負担を課している。2009年のインフルエンザパンデミックの直前に、インフルエンザに関連する死亡率は、毎年611,000年を超える寿命を失うことの原因となり、社会への推定費用は、毎年870億ドルであった。U.S.Centers for Disease Control and Preventionは、2017年に、季節性インフルエンザ(インフル)ワクチンの有効性は、わずか42%であると推定した。この限定された有効性は、感染した個体においてインフルを引き起こすインフルエンザA H3N2ワクチン株において生じた変異に起因していた。加えて、2017年から2018年にかけて、インフルエンザB型ウイルスによるインフルの症例が増加している。悪いインフルシーズンには、米国だけで50,000人程度が死亡する可能性があるため、現在及び将来の流行におけるウイルス、特にインフルエンザウイルス株からの広範な保護を提供する新しく改善された免疫源及びワクチンが緊急に必要とされている。
【0003】
コロナウイルスなどの他のウイルス型からの感染はまた、ヒト及び他の種、例えば、家禽などの鳥類種において重篤な疾患及び病変を引き起こす。そのような感染及び疾患は、肉を生産し、卵を生産する鳥類動物、例えば、ニワトリの健康及び性能に悪影響を及ぼし、業界において著しい経済的損失をもたらす。したがって、現在及び将来の流行において、他のウイルス株、例えば、鳥類ウイルス及びその株からの広範な保護を提供する新しく改善された免疫源及びワクチンもまた必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書に記載される場合、インフルエンザウイルス、例えば、インフルエンザH1若しくはH3ウイルス(「H1若しくはH3インフルエンザ」、「H1若しくはH3インフルエンザウイルス」、又は単純に、本明細書で「H1若しくはH3」とも称される)に由来する、非天然型の広範囲反応性抗原及び抗原配列が提供される。複数の実施形態では、非天然型の広範囲反応性抗原及び抗原配列は、本明細書の配列番号1~17に提供されるH1及びH3インフルエンザウイルスに由来するHAのアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、HA抗原は、全長HAポリペプチドを含む。ある実施形態では、HA抗原は、HAポリペプチドの膜貫通ドメイン及びテールドメインを欠く可溶性HA(sHA)を含む。
【0005】
本明細書に記載のインフルエンザウイルス抗原は、構造タンパク質(ポリペプチド)又はペプチドであってもよく、例えば、ヘマグルチニン(HA)タンパク質、及び/又はHAタンパク質を含むHA1(ヘッド)又はHA2(テール若しくはストーク)部分(ドメイン)が挙げられ、HAタンパク質に対して、最終的には、対象における現在及び将来のウイルス株に対して、対象における広範囲反応性免疫応答を誘発する強力な免疫原である。ある実施形態では、HA抗原は、HAタンパク質の膜貫通(TM)ドメイン及びテールドメインを欠く、全長HAタンパク質又は可溶性HA(sHA)を構成する。本明細書で言及されるように、対象において免疫応答を誘発するウイルス抗原又は抗原配列(例えば、インフルエンザウイルス抗原)は、免疫原性抗原(すなわち、免疫原)である。これらのインフルエンザウイルス免疫原は、それらが、それらのタンパク質抗原及びその配列、特に、インフルエンザウイルスのHA抗原において、配列の類似性及び変動性、並びにエピトープ(抗原決定基)の多様性の両方を有するインフルエンザウイルスの異なる亜型又は株に対して指向される広範囲反応性抗体の産生を誘発することができるため、広範囲反応性と呼ばれる。
【0006】
インフルエンザウイルスには4つの異なる型が存在し、そのうちの3つ(インフルエンザA、B、及びC)が人々に感染する。これらの3種類の感染性ウイルスのうち、インフルエンザA及びBサブセットが最も一般的な型であり、これらのサブセットの各々が、異なる株又は亜型を発症する。インフルエンザA及びBウイルスは、日常的にヒトに伝播し、季節性インフルの流行を引き起こす。非限定的な例として、H1N1、H2N2、H3N2、及びH5N1株は、典型的には重度のインフル疾患を引き起こし、それらの表面タンパク質、例えば、ヘマグルチニン(HA)タンパク質を絶えず変化させることによって根絶されることを回避するように適応するインフルエンザAの亜型である。インフルエンザウイルス株は、変異率が異常に高く、HA表面タンパク質において生じた比較的急速な変化に対して有効なワクチンを生成することができないため、特に治療が困難であった。
【0007】
ある実施形態では、免疫原性である抗原(抗原配列)は、インフルエンザA型ウイルスに由来する。特定の実施形態では、免疫原は、H1又はH3インフルエンザウイルス株又は型に由来する。ある実施形態では、免疫原は、インフルエンザB型ウイルスに由来する。ある実施形態では、抗原は、ウイルスの構造タンパク質である。特定的な実施形態では、インフルエンザ抗原は、ヘマグルチニン(HA)である。ある実施形態では、HA抗原は、全長HAである。ある実施形態では、HA抗原は、可溶性HA(sHA)である。他の実施形態では、インフルエンザ抗原は、ノイラミニダーゼ(NA)である。
【0008】
ある態様では、非天然型のインフルエンザウイルスアミノ酸配列、及び本明細書に記載の配列を含む抗原(例えば、構造抗原)は、過去、現在、及び将来のインフルエンザウイルス抗原の配列類似性及び変動性を反映する広範囲反応性エピトープを含有する。したがって、そのような抗原配列及びその配列を含む抗原は、「非天然型の広範囲反応性」抗原である。抗原は、免疫原性であり、対象に導入又は投与されると、対象において、インフルエンザウイルス、特に、H1又はH3インフルエンザウイルスタンパク質抗原、例えば、HA、又はその抗体結合部分に対して指向される広範囲反応性抗体、例えば、中和抗体を誘発する。ある実施形態では、誘発された抗体はまた、関連するが非同一のH1又はH3インフルエンザウイルス型に対しても反応性である。ある実施形態では、そのようなインフルエンザウイルス配列は、アミノ酸配列である。ある実施形態では、インフルエンザウイルス配列は、ポリヌクレオチド配列、例えば、本明細書に記載の抗原のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列である。参照を容易にするために、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスの「非天然型の広範囲反応性」抗原は、「広範囲反応性抗原」と称される。
【0009】
したがって、本明細書に記載の広範囲反応性インフルエンザウイルス抗原は、それらが対象において広範囲反応性免疫応答を誘発するため、免疫原である。免疫応答は、特に、中和抗体応答、例えば、インフルエンザウイルスのHA抗原に対して特異的に指向され、かつHAタンパク質の活性を中和する中和抗体の形態である。したがって、対象において、インフルエンザに対して、例えば、インフルエンザウイルスのHAタンパク質に対して指向される免疫応答を誘発する免疫原性組成物、例えば、ワクチン(例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチド産物)を含む、本明細書に記載の広範囲反応性インフルエンザウイルス抗原を含有する免疫源及び免疫源性組成物も提供される。参照を容易にするために、本明細書に記載の「非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルス免疫原」は、「広範囲反応性免疫原」と称される。
【0010】
また、本明細書に記載の免疫原を使用して、対象においてインフルエンザ感染、疾患、及び/又はその症状に対する免疫応答を誘導する方法も提供される。特定的な実施形態では、インフルエンザウイルス抗原は、インフルエンザウイルス型又は亜型のHA、HA1、若しくはHA2タンパク質、例えば、H1若しくはH3インフルエンザウイルス型、又はそれらに関連するウイルス型、又はそれらの抗体結合部分である。他の実施形態では、HAタンパク質は、全長又は可溶性HA(sHA)である。免疫原を使用して、対象において免疫応答を誘導する方法も提供される。
【0011】
ある態様では、HA免疫原性抗原は、以下の実施例1に記載される配列番号1~17のHAタンパク質のうちの1つ以上のHAアミノ酸配列に対して少なくとも85%若しくはそれに等しく、少なくとも90%若しくはそれに等しく、少なくとも91%若しくはそれに等しく、少なくとも92%若しくはそれに等しく、少なくとも93%若しくはそれに等しく、少なくとも94%若しくはそれに等しく、少なくとも95%若しくはそれに等しく、少なくとも96%若しくはそれに等しく、少なくとも97%若しくはそれに等しく、少なくとも98%若しくはそれに等しく、又は少なくとも99%若しくはそれに等しく同一であるアミノ酸配列を有する。
【0012】
ある態様では、非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原であって、実施例1に記載の配列番号1~17のうちのいずれか1つのヘマグルチニン(HA)抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、インフルエンザウイルス抗原、又はその免疫原性部分が提供される。ある実施形態では、インフルエンザウイルス抗原は、配列番号1~17のうちのいずれか1つに記載のHA抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、インフルエンザウイルス抗原は、配列番号1~17のうちのいずれか1つに記載のHA抗原のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、インフルエンザウイルス抗原は、配列番号1~17のうちのいずれか1つに記載のHA抗原のアミノ酸配列からなる。ある実施形態では、HA抗原は、全長HAタンパク質である。ある実施形態では、HA抗原は、例えば、HAタンパク質のTM及びテール部分を欠く、可溶性HAタンパク質である。ある実施形態では、インフルエンザウイルス抗原は、配列番号1~8に記載の全長HA(sHA)タンパク質抗原のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、インフルエンザウイルス抗原は、配列番号9~17に記載の可溶性HA(sHA)タンパク質抗原のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、インフルエンザウイルスは、H1又はH3インフルエンザウイルスである。
【0013】
別の態様では、上述の態様のうちのいずれか1つに係るインフルエンザウイルス免疫原性抗原を含むウイルス様粒子(VLP)が提供される。ある実施形態では、VLPは、インフルエンザウイルス抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。ある実施形態では、VLPは、インフルエンザウイルスHA又はsHA抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。ある実施形態では、VLPは、以下の実施例1に提供される配列番号1~17のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。ある実施形態では、インフルエンザウイルスは、H1又はH3インフルエンザウイルスである。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、RNA又はDNAである。ある実施形態では、RNAは、mRNAである。
【0014】
別の態様では、現在及び将来のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を生成することができる非天然型の免疫原であって、免疫原が、実施例1に提供される配列番号1~17に記載のヘマグルチニン(HA)抗原又はsHA抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫原が提供される。ある実施形態では、免疫原は、実施例1に提供される配列番号1~17に記載のヘマグルチニン(HA)抗原又はsHA抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0015】
本明細書の上に描かれた態様のうちのいずれかのある実施形態では、ウイルス抗原、VLP、又は免疫原は、中和抗体の産生を含む免疫応答を誘発する。ある実施形態では、免疫応答は、ヘマグルチニン阻害活性及び/又はノイラミニダーゼ阻害活性を有する抗体の産生を含む。ある実施形態では、免疫応答は、細胞免疫応答、例えば、抗原応答性Tリンパ球の産生を更に含む。
【0016】
別の態様では、上に描かれた態様及び/又は実施形態のうちのいずれかのインフルエンザウイルス免疫原、又はVLPを含む免疫原性組成物又はワクチンが提供される。ある実施形態では、免疫原性組成物又はワクチンは、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む。ある実施形態では、免疫原性組成物又はワクチンは、アジュバントを更に含む。
【0017】
別の態様では、上に描かれた態様及び/又は実施形態のうちのいずれかのインフルエンザウイルス抗原、免疫原、又はVLPと、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む薬学的に許容される組成物が提供される。ある実施形態では、組成物は、アジュバントを更に含む。ある実施形態では、ウイルス又はウイルス抗原は、H1又はH3インフルエンザウイルスに由来する。ある実施形態では、HA抗原又は免疫原は、全長HA、又は可溶性インフルエンザHA抗原若しくは免疫原である。複数の実施形態では、全長HA、又は可溶性HAインフルエンザ抗原若しくは免疫原は、実施例1に提供される配列番号1~17に記載のアミノ酸配列を含む。
【0018】
別の態様では、上に描かれた態様の免疫原性組成物又はワクチンと、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む薬学的に許容される組成物が提供される。
【0019】
別の態様では、対象において免疫応答を生成する方法が提供され、本方法は、上に描かれた態様及び/又は実施形態のうちのいずれかのウイルス抗原、VLP、免疫原、免疫原性組成物、ワクチン、又は薬学的組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0020】
別の態様では、インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患及び/又はその症状から対象を治療又は保護する方法が提供され、本方法は、上に描かれた態様及び/又は実施形態のうちのいずれかのウイルス抗原、VLP、免疫原、免疫原性組成物、ワクチン、又は薬学的組成物の有効量を対象に投与することを含む。本方法のある実施形態では、対象は、インフルエンザウイルスに感染しているか、又はインフルエンザウイルスによる感染のリスクがあるか、若しくはインフルエンザウイルスに感染しやすい。本方法のある実施形態では、誘発される免疫応答は、中和抗体及び/又は細胞免疫応答の産生、例えば、Tリンパ球の産生を含む。本方法のある実施形態では、アジュバントは、対象に同時に投与される。本方法のある実施形態では、免疫応答は、予防的又は治療的である。本方法のある実施形態では、アジュバント又は1つ以上の抗ウイルス剤は、対象に投与される。本方法のある実施形態では、対象は、ヒト対象である。本方法のある実施形態では、対象は、非ヒト対象又は獣医学的対象である。
【0021】
別の態様では、ウイルス抗原、特に、上述の態様及び上に描かれた実施形態のうちのいずれかのインフルエンザHA抗原(全長又は可溶性HAのいずれか)をコードするポリヌクレオチドが提供される。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、DNA又はRNAである。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、mRNAである。ある実施形態では、ウイルス抗原は、HAタンパク質抗原である。特定的な実施形態では、HAタンパク質抗原は、実施例1に提供される配列番号1~17のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。複数の実施形態では、HAタンパク質抗原は、全長HA又は可溶性HAである。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1~8に記載の全長HA(sHA)タンパク質抗原のアミノ酸配列を含むインフルエンザウイルス抗原をコードする。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号9~17に記載の可溶性HA(sHA)タンパク質抗原のアミノ酸配列を含むインフルエンザウイルス抗原をコードする。ある実施形態では、ウイルスは、インフルエンザウイルスである。ある実施形態では、インフルエンザウイルスは、H1又はH3インフルエンザウイルスである。ある実施形態では、上に描かれたポリヌクレオチドは、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む組成物中に含有される。ある実施形態では、上に描かれたポリヌクレオチドは、ウイルス様粒子(VLP)中に含有される。
【0022】
別の態様では、上に描かれたその態様及び/又は実施形態の非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原を含む一価免疫原が提供される。ある実施形態では、免疫原性のインフルエンザウイルス抗原は、本明細書に記載の以下の非天然型の広範囲反応性インフルエンザポリペプチド免疫原を含む。配列番号15に記載の配列を含むY2、配列番号3、7、若しくは9に記載の配列を含むJ1、配列番号4に記載の配列を含むJ2、配列番号5に記載の配列を含むJ3、配列番号6若しくは8に記載の配列を含むJ4、配列番号11に記載の配列を含むNG1、配列番号2若しくは12に記載の配列を含むNG2、又は配列番号13に記載の配列を含むNG3。
【0023】
別の態様では、上に描かれたその態様及び/又は実施形態の非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原のうちの少なくとも2つを含む多価免疫原が提供される。ある実施形態では、免疫原は、非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原のうちの2つを含む。複数の実施形態では、免疫原は、二価であり、配列番号15に記載の配列を含むY2及び配列番号6若しくは8に記載の配列を含むJ4の組み合わせ、又は配列番号15に記載の配列を含むY2及び配列番号2若しくは12に記載の配列を含むNG2の組み合わせを含む。ある実施形態では、多価免疫原は、本明細書に記載の非天然型かつ免疫原性のインフルエンザウイルス抗原のうちの8つを含む。前述の一価又は多価免疫原のある実施形態では、免疫原は、組換えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)ポリペプチドを含む。前述の一価又は多価免疫原のある実施形態では、免疫原は、組換えインフルエンザノイラミニダーゼ(rNA)ポリペプチドを含む。
【0024】
別の態様では、上に描かれたその態様及び/又は実施形態のうちのいずれかの免疫原性のインフルエンザウイルス抗原をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含むウイルス粒子又はウイルス様粒子(VLP)が提供される。
【0025】
別の態様では、上に描かれたその態様及び/又は実施形態のうちのいずれか1つの一価又は多価免疫原を含む組成物が提供される。ある実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、又はビヒクル、すなわち、薬学的組成物を更に含む。
【0026】
ある態様では、上に描かれたその態様及び/又は実施形態のウイルス粒子又はVLPを含む組成物が提供される。ある実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、又はビヒクル、すなわち、薬学的組成物を更に含む。
【0027】
ある態様では、インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患及び/又はその症状から対象を治療又は保護する方法が提供され、本方法は、上に描かれたその態様及び/又は実施形態のうちのいずれかの一価又は多価免疫原を含む上に描かれた薬学的に許容される組成物の有効量を対象に投与することを含む。
【0028】
ある態様では、インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患及び/又はその症状から対象を治療又は保護する方法が提供され、本方法は、上に描かれたその態様及び/又は実施形態のウイルス粒子又はウイルス様粒子(VLP)を含む上に描かれた薬学的に許容される組成物の有効量を対象に投与することを含む。
【0029】
ある態様では、対象において免疫応答を生成する方法が提供され、本方法は、上に描かれたその態様及び/又は実施形態のうちのいずれかの一価又は多価免疫原、ウイルス粒子又はウイルス様粒子を含む薬学的に許容される組成物の有効量を対象に投与することを含む。
【0030】
定義
他の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本明細書に記載の態様及び実施形態が関連するか、又は関する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。以下の参考文献は、本明細書に記載の態様及び実施形態で使用される用語の多くの一般的な定義を当業者に提供する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988)、The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991)、Benjamin Lewin,Genes V,Oxford University Pressにより公開,1994(ISBN 0-19-854287-9)、Kendrew et al.(eds.);The Encyclopedia of Molecular Biology,Blackwell Science Ltd.により公開,1994(ISBN 0-632-02182-9)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,Robert A.Meyers(ed.),VCH Publishers,Inc.により公開,1995(ISBN 1-56081-569-8)、及びHale&Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に明記しない限り、以下にそれらに帰属する意味を有する。
【0031】
「アジュバント」とは、抗原に対する免疫応答を非特異的に増強する物質又はビヒクルを意味する。アジュバントは、抗原が吸着される鉱物(例えば、ミョウバン、水酸化アルミニウム、若しくはリン酸塩)の懸濁液、又は抗原溶液が鉱油中で乳化される油中水エマルション(例えば、フロイントの不完全アジュバント)を含んでいてもよく、場合によっては、抗原性を更に増強するために死滅したマイコバクテリアを含む(フロイントの完全アジュバント)。免疫刺激オリゴヌクレオチド(CpGモチーフを含むものなど)も、アジュバントとして使用することができる(例えば、米国特許第6,194,388号、6,207,646号、6,214,806号、6,218,371号、6,239,116号、6,339,068号、6,406,705号、及び6,429,199号を参照されたい)。アジュバントには、共刺激分子などの生体分子も含まれる。例示的な生物学的アジュバントとしては、インターロイキン-1(IL-2)、タンパク質記憶T細胞誘引剤「活性化で調節され、正常なTが発現及び分泌される(Regulated on Activation,Normal T Expressed and Secreted)」(RANTES)、顆粒球-マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF)、腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)、リンパ球機能関連抗原3(LFA-3、CD58とも呼ばれる)、分化抗原クラスター72(CD72)、(B細胞応答性の負の調節因子)、末梢膜タンパク質B7-1(B7-1、CD80とも呼ばれる)、末梢膜タンパク質B7-2(B7-2、CD86とも呼ばれる)、TNFリガンドスーパーファミリーメンバー4リガンド(OX40L)、又はTNFスーパーファミリーに属する2型膜糖タンパク質受容体(4-1BBL)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
「投与する」とは、組成物、薬剤、治療薬などを対象に与えるか、供給するか、分配するか、送達するか、若しくは適用するか、又は組成物などを対象に塗布するか、若しくは組成物などを対象と接触させることを意味する。投与すること、又は投与は、例えば、限定されないが、局所、経口、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)、(注射)、くも膜下腔内、筋肉内、真皮、皮内、頭蓋内、吸入、直腸、膣内、又は眼内などのいくつかの経路のいずれかによって達成され得る。
【0033】
「薬剤」とは、任意の小分子、小分子化学化合物、抗体、核酸分子、ペプチド、ポリペプチド、又はそれらの断片を意味する。
【0034】
「変化」とは、本明細書に記載されるものなどの標準的な技術分野の既知の方法によって検出される遺伝子又はポリペプチドの発現レベル又は活性の変化(増加又は減少)を意味する。本明細書で使用される場合、変化は、発現レベルの5%の変化、発現レベルの10%の変化、好ましくは25%の変化、より好ましくは40%の変化、及び最も好ましくは50%以上の発現レベルの変化を含む。
【0035】
「改良する」とは、疾患又は病的状態の発症又は進行を、減少、低減、低下、抑制、減弱、停止、又は安定化させることを意味する。
【0036】
「類似体」とは、同一ではないが、類似の機能的又は構造的特徴を有する分子を意味する。例えば、ポリペプチド類似体は、対応する天然型ポリペプチドの生物活性を保持しながら、天然型ポリペプチドと比較して類似体の機能を増強する特定の生化学的修飾を有する。そのような生化学的修飾は、例えば、リガンド結合を変化させることなく、類似体のプロテアーゼ耐性、膜透過性、又は半減期を増加させることができる。類似体は、非天然アミノ酸を含み得る。
【0037】
「抗体」とは、Bリンパ球細胞によって産生され、特異的アミノ酸配列を有する免疫グロブリン(Ig)分子を意味する。抗体は、特定の抗原(免疫原)に曝露した後、対象(ヒト又は他の動物又は哺乳動物)において引き起こされるか、又は誘発される。特定の抗原/免疫原に対して指向される抗体/免疫グロブリン(すなわち、免疫応答)を生成することができる対象は、免疫能があると言われる。抗体は、いくつかの実証可能な方法で抗原又は免疫原と特異的に反応する(例えば、結合する)ことによって特徴付けられ、抗体及び抗原/免疫原は各々、他方の観点から定義される。
【0038】
「抗体応答を誘発すること」は、抗原、免疫原又は他の分子が抗体の産生を誘導する能力を指す。抗体は、異なるクラス、例えば、IgM、IgG、IgA、IgE、IgD、及び亜型又はサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgG4の抗体である。対象において誘発される抗体/免疫グロブリン応答は、薬剤上のエピトープ(抗原決定基)に結合し、薬剤の活性を遮断若しくは阻害することによって、及び/又は対象の系(若しくは体)から、例えば、肝臓を介して排出される薬剤と結合複合体を形成することによって、病原性(例えば、感染性若しくは疾患を引き起こす)薬剤を中和することができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「広範囲反応性」は、広範囲の関連する病原体(特定の亜型内のほとんど又は全てのインフルエンザウイルスなど)の感染をブロック、阻害、妨害、中和、又は予防するのに十分である、対象における病原体由来の抗原タンパク質(例えば、HA又はNAなどのウイルスタンパク質配列)に対して免疫応答が誘発されることを意味する。ある実施形態では、対象は、哺乳動物対象である。ある実施形態では、対象は、鳥類対象である。
【0040】
「抗原」は、動物に注射又は吸収される組成物を含む、動物における抗体又はT細胞応答の産生を刺激することができる化合物、組成物、又は物質を意味する。抗原は、異種免疫原によって誘導されるものを含む、特定の体液性又は細胞性免疫の産物と反応する。開示される組成物及び方法のいくつかの実施形態では、抗原は、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タンパク質である。ある実施形態では、HAタンパク質は、全長HAである。ある実施形態では、HAタンパク質は、末端切断され、膜貫通ドメイン及びテールドメインを含まないsHAである。多くの場合、対象において免疫応答を誘発又は刺激する抗原は、「免疫原」と称される。具体的な実施形態では、HAタンパク質は、配列番号1~17(実施例1)に提供されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
「連続抗原変異(antigenic drift)」という用語は、抗体結合部位(抗原決定基又はエピトープとも呼ばれる)をコードする遺伝子内の変異の蓄積を伴うウイルスなどの生物又は微生物における変異のメカニズムを指す。このプロセスは、変異前にウイルス株の抗原に対して元々生成された抗体によって効果的に阻害又は遮断されないウイルス/ウイルス粒子の新しい株をもたらし、したがって、ウイルスが部分免疫集団全体により容易に拡散することを可能にする。例として、連続抗原変異は、インフルエンザAウイルス及びインフルエンザBウイルスの両方において生じる。
【0042】
生ウイルスの文脈では、「弱毒化」という用語は、細胞又は対象に感染するその能力及び/又は疾患をもたらすその能力が、対象において疾患をもたらす野生型ウイルスの能力と比較して低減される(例えば、減少する、廃止される、又は排除される)場合に、弱毒化されるウイルスを指す。典型的には、弱毒化ウイルスは、免疫能のある対象への投与後に免疫応答を誘発する少なくともある程度の能力を保持する。ある場合には、弱毒化ウイルスは、感染の徴候又は症状を引き起こすことなく、保護的免疫応答を誘発することができる。いくつかの実施形態では、弱毒化ウイルスが対象において疾患又は病変を引き起こす能力は、野生型ウイルスが対象において疾患又は病変を引き起こす能力と比較して、少なくとも約5%以上、又は少なくとも約10%以上、又は少なくとも約25%以上、少なくとも約50%以上、少なくとも約75%以上、又は少なくとも約80%以上、又は少なくとも約85%以上、又は少なくとも約90%以上、又は少なくとも約95%以上、又はそれより多く低減する。
【0043】
「クレード」という用語は、例えば、インフルエンザA H3N2ウイルスなどの既知のインフルエンザウイルスの異なる分類(しばしば亜型と呼ばれる)を指す。例として、H3N2クレード内のウイルスは、遺伝的に関連しているが、正確なウイルスゲノムを共有しない。当業者によって理解されるように、当該技術分野で指定されるH3N2ウイルス亜型の多くのクレード及びサブクレードが存在する。例として、1つのクレードは3C.2aであり、このクレードのサブクレードには、3C.2a.1、3C.2a.2、3C.2a.3、及び3C.2a.4が含まれる。加えて、当該技術分野で指定されるH5N1ウイルス亜型の少なくとも10の異なるクレードが存在する。クレード0 クレード1、クレード2、クレード3、クレード4、クレード5、クレード6、クレード7、クレード8、及びクレード9(Abdel-Ghafar et al.,N Engl J Med 358:261-273,2008)。クレード2は更に、サブクレード(クレード2.1、クレード2.2、クレード2.3、クレード2.4及びクレード2.5を含む)に分割される。
【0044】
「コドン最適化」核酸は、コドンが特定の系(特定の種又は種の群など)における発現に最適であるように変化した核酸配列を指す。例えば、核酸配列は、哺乳動物細胞における発現のために最適化することができる。コドン最適化は、コードされたタンパク質のアミノ酸配列を変化させない。
【0045】
本開示では、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含有すること(containing)」、及び「有すること(having)」などは、米国特許法で帰される意味を有することができ、「含む(includes)」、「含むこと(including)」を意味していてもよく、「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「本質的になる(consists essentially)」なども同様に、米国特許法で帰される意味を有し、この用語は、オープンエンドであり、列挙されるものの基本的な又は新規な特徴が、列挙されているものを超える存在によって変化しない限り、列挙されるものを超える存在を許すが、先行技術の実施形態は除外される。
【0046】
「検出する」とは、検出される分析物、化合物、薬剤、又は物質の存在、不在、又は量を特定することを指す。「検出可能な標識」とは、目的の分子に結合したときに、例えば、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、又は化学的手段によって、後者を検出可能にする組成物を意味する。有用な検出可能な標識の非限定的な例としては、放射性同位体、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光性染料、電子密度の高い試薬、酵素(例えば、ELISAで一般的に使用されるもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテンが挙げられる。
【0047】
「疾患」は、細胞、組織、又は器官の正常な機能を損傷又は妨害する任意の状態、障害、又は病変を意味する。疾患の例としては、インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる疾患、及びH1又はH3インフルエンザウイルスによる身体の感染によって引き起こされる症状及び有害作用が挙げられる。インフルエンザウイルスは、感染した個人にインフル及びその症状を引き起こす。
【0048】
「有効量」とは、未治療の患者と比較して、疾患、状態、又は病変の症状及び/又は影響を改良、軽減、改善、無効化、低下、又は除去するために必要な活性治療剤、組成物、化合物、生物学的(例えば、ワクチン又は治療用ペプチド、ポリペプチド、又はポリヌクレオチド)の量を意味する。一実施形態では、有効量は、免疫応答を誘発するために必要な抗原の量である。疾患、状態、又は病変の治療的治療の方法を実践するために使用されるような免疫原又は免疫原を含む組成物の有効量は、投与方法、対象の年齢、体重、及び全般的な健康に応じて変化する。最終的に、主治医又は獣医師は、適切な量及び投薬レジメンを決定する。そのような量は、「有効」量と称される。
【0049】
「治療有効量」は、特定の薬剤で治療されている対象において所望の効果を達成するのに十分なその薬剤の量を指す。例えば、治療有効量は、対象において免疫応答を誘発するため、及び/又はインフルエンザウイルスによる感染を予防するために有用なインフルエンザウイルス免疫原又はワクチンの量であり得る。理想的には、本開示の関連において、治療有効量のインフルエンザワクチン又は免疫原性組成物は、対象において実質的な細胞傷害性効果を引き起こすことなく、対象におけるインフルエンザウイルスによって引き起こされる感染に対する耐性を増大させ、その感染を予防、改良、軽減、及び/又は治療するのに十分な量である。上記に記載されるように、対象における感染に対する耐性の増加、その感染の予防、改良、低減、及び/又は治療に有用な有効量の免疫原性組成物(又はワクチン)は、例えば、治療される対象、治療用組成物の投与方法、及び他の因子に依存する。
【0050】
「断片」とは、ポリペプチド又は核酸分子の一部分を意味する。この部分は、好ましくは、参照核酸分子又はポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を含有する。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1000個のヌクレオチド又はアミノ酸を含有し得る。ポリペプチドの一部分又は断片は、ペプチドであってもよい。抗体又は免疫グロブリン断片の場合、断片は、典型的には標的抗原に結合する。
【0051】
「融合タンパク質」とは、2つの異なる(異種の)タンパク質又はペプチドの少なくとも一部分をコードする核酸配列から操作された核酸(ポリヌクレオチド)配列の発現によって生成されるタンパク質を意味する。融合タンパク質を作製するには、核酸配列が同じリーディングフレーム内にあり、内部終止コドンを含有しない必要がある。例えば、融合タンパク質は、異種タンパク質に融合したインフルエンザHAタンパク質又はNAタンパク質を含む。
【0052】
「遺伝子ワクチン」は、抗原をコードするポリヌクレオチドを含む免疫原性組成物を意味する。
【0053】
「ウイルスポリペプチド」、例えば、H1又はH3インフルエンザウイルスは、免疫付与された対象において、抗原のアミノ酸配列、例えば、以下の配列番号1~17に記載のHAタンパク質に対して少なくとも85%同一、又は少なくとも95%、又はそれより多く同一であるアミノ酸配列、又はウイルス、ウイルス感染、及び/若しくはその症状に対する免疫応答を誘導することができるそれらの断片を意味する。複数の実施形態では、インフルエンザウイルスポリペプチドは、本明細書に記載され、以下の配列番号1~17に提供されるアミノ酸配列若しくはその断片を含むか、又はそれらからなる。
【0054】
「ウイルスポリヌクレオチド」は、本明細書に記載のH1又はH3インフルエンザウイルスなどのインフルエンザウイルスポリペプチド(抗原又は抗原タンパク質)をコードする核酸分子を意味する。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、DNA又はRNAポリヌクレオチドである。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、mRNAである。
【0055】
「ヘマグルチニン(HA)」という用語は、インフルエンザウイルスによって発現される表面糖タンパク質を指す。HAは、ウイルス粒子の宿主細胞への結合及びその後のウイルスの宿主細胞への侵入を媒介する。多数のインフルエンザHAタンパク質のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、当該技術分野で既知であり、例えば、公的にアクセス可能なGenBank(NCBI)及びUniProtKBデータベースに受託されたものなどが公的に利用可能である。非限定的な例として、H5N1 HA配列のGenBank受託番号のリストは、米国特許出願公開第US2015/0030628号に見出され得る。インフルエンザAウイルス(株A/プエルトリコ/8/1934H1N1)のHAタンパク質のアミノ酸配列の非限定的な例は、UniProtKB受託番号P03452(HEMA_134A1)で提供される。インフルエンザAのH3N2ウイルス(A/香港/1-4/1968(H3N2))のHAタンパク質のアミノ酸配列の非限定的な例は、受託番号CY033017で提供される。HA(ノイラミニダーゼ(NA)とともに)は、抗体/免疫グロブリンによって認識及び結合される抗原決定基(エピトープ)を有する2つの主要なインフルエンザウイルス抗原タンパク質の1つである。複数の実施形態では、HAは、HA1(H1)又はHA2(H2)である。
【0056】
複数の実施形態では、HAタンパク質又はその断片は、代表的なインフルエンザAウイルスHAタンパク質又はその断片のアミノ酸配列に対して少なくとも85%若しくはそれに等しく、又は少なくとも90%、95%、98%、99%若しくはそれに等しく、又はそれより大きいアミノ酸配列同一性を有し得る。
【0057】
ある実施形態では、HA免疫原性抗原は、H1又はH3 HAタンパク質であり、これは、全長又はその可溶性形態であってもよく、以下の実施例1に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0058】
「ハイブリダイゼーション」とは、相補的核酸塩基間の、ワトソンクリック、フーグスティーン、又は逆フーグスティーン水素結合であり得る水素結合を意味する。例えば、DNAにおいて、アデニン及びチミン、並びにシトシン及びグアニンは、それぞれ、水素結合の形成を介して対合する相補的な核酸塩基である。
【0059】
「免疫応答」という用語は、免疫応答性細胞によって媒介される任意の応答を意味する。免疫応答の一例では、白血球を動員して、抗原(例えば、異物)への曝露に応答して、様々な異なる特定の機能を実行する。免疫応答は、関与する細胞の種類に応じて異なる多因子プロセスである。免疫応答としては、細胞媒介性応答(例えば、T細胞応答)、体液性応答(B細胞/抗体応答)、先天性応答、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
「免疫原」は、動物に注射されるか、他の方法で動物に送達される組成物を含む、適切な条件下で、動物における免疫応答、例えば、抗体の産生、及び/又はT細胞応答を誘発又は刺激することができる化合物、組成物、又は物質を意味する。本明細書で使用される場合、「免疫原性組成物」は、免疫原(HAポリペプチド若しくはペプチド(例えば、HAポリペプチドの全長若しくは可溶性形態)又はそのような免疫原をコードするポリヌクレオチド)又はHAポリペプチド若しくはペプチド(例えば、HAポリペプチドの全長若しくは可溶性形態)又はそのような免疫原をコードするポリヌクレオチドを含むワクチンを含む組成物である。当業者には理解され得るように、対象が疾患にかかるか又は本格的な疾患を経験する前に、必要とする対象に投与される場合、免疫原性組成物は、予防的であってもよく、対象の免疫応答、例えば、中和抗体及び/又は細胞免疫応答を誘発し、疾患から保護するか、又はより重篤な疾患若しくは状態、及び/又はその症状を予防することができる。対象が疾患にかかった後に、必要とする対象に投与される場合、免疫原性組成物は、治療的であってもよく、例えば、疾患、及び/又はその症状を軽減、低下、無効化、改良、軽減、緩和、若しくは排除することによって、疾患を治療するために、対象が免疫応答、例えば、中和抗体及び/又は細胞免疫応答を誘発することができる。ある実施形態では、免疫応答は、B細胞応答であり、これは、抗原又は抗原配列を含む免疫原又は免疫原性組成物に対して指向される抗体、例えば、中和抗体の産生をもたらす。前述と同様に、いくつかの実施形態では、免疫原、免疫原性組成物、又はワクチンは、予防的であり得る。いくつかの実施形態では、免疫原、免疫原性組成物、又はワクチンは、治療的であり得る。ある実施形態では、疾患は、インフルエンザ(インフル)である。ある実施形態では、疾患は、感染性気管支炎である。本明細書のある場合には、免疫原及びワクチンという用語は、互換的に使用される。
【0061】
「免疫原性組成物」は、抗原、抗原配列、又は免疫原を含む組成物を意味し、組成物は、免疫付与された対象において免疫応答を誘発する。
【0062】
「免疫付与する」(又は免疫付与)という用語は、病原体、例えば、病原性薬剤によって引き起こされる疾患又は病変、例えば、ウイルス(例えば、インフルエンザウイルスH1又はH3)によって、例えば、ワクチン接種によって引き起こされる感染性疾患から対象を保護するか、又はそれに免疫学的に応答するようにすることを指す。本明細書のいくつかの場合では、「免疫付与」及び「ワクチン接種」という用語は、互換的に使用され得る(例えば、免疫付与/ワクチン接種)。
【0063】
「インフルエンザウイルス」という用語は、ウイルスのオルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属するセグメント化されたマイナス鎖RNAウイルスを指す。インフルエンザウイルスには、A、B及びCの3種類の型が存在する。インフルエンザAウイルスは、ヒト、ウマ、海洋哺乳動物、ブタ、フェレット、及びニワトリを含む多種多様な鳥類及び哺乳類に感染する。動物において、ほとんどのインフルエンザAウイルスは、呼吸器及び腸管の軽度の局所感染を引き起こす。しかしながら、限定されないが、H5N1、H5N2、H5N6、H5N8、H7N9、H9N2、H1N1、H1N2、H2N1、H2N2、H2N3、H7N3、H7N7、H3N2、H3N1、及び関連するウイルスなどの高病原性インフルエンザA株は、家禽において全身感染を引き起こし、死亡率が100%に達する場合がある。H5N1は、「鳥インフルエンザ」とも称される。
【0064】
「阻害性核酸」とは、二本鎖RNA、siRNA、shRNA、若しくはアンチセンスRNA、又はその一部分、又はその模倣物を意味し、哺乳動物細胞に投与すると、標的遺伝子の発現の減少(例えば、5%、10%、25%、50%、75%、又は90~100%)をもたらす。典型的には、核酸阻害剤は、標的核酸分子又はそのオーソログの少なくとも一部分を含むか、又は標的核酸分子の相補鎖の少なくとも一部分を含む。例えば、阻害性核酸分子は、本明細書に描かれる核酸のいずれか又は全ての少なくとも一部分を含む。
【0065】
「単離された」、「精製された」、又は「生物学的に純粋な」という用語は、その天然状態で見られるように通常それに伴う成分を含まないか、様々な程度に含む材料を指す。「単離する」は、元の供給源又は周囲からの分離の程度を示す。「精製する」は、単離よりも高い分離の程度を示す。「精製された」又は「生物学的に純粋な」タンパク質は、任意の不純物がタンパク質の生物学的特性に実質的に影響を及ぼさないか、又は他の有害な結果を引き起こさない程十分に他の材料を含まない。すなわち、核酸、タンパク質、又はペプチドは、組換えDNA技術によって産生されたときに細胞材料、デブリ、無関係のウイルス材料、若しくは培養培地を実質的に含まないか、又は化学合成されたときに化学前駆体若しくは他の化学物質を実質的に含まない場合に、精製されている。純度及び均一性は、典型的には、標準的な精製方法及び分析化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーを使用して決定される。「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じることを示すことができる。修飾、例えば、リン酸化又はグリコシル化に供され得るタンパク質について、異なる修飾は、別々に精製され得る異なる単離されたタンパク質を生じ得る。「単離された」という用語は、組換え核酸、タンパク質又はウイルス、並びに化学的に合成された核酸又はペプチドも包含する。
【0066】
「単離されたポリヌクレオチド」とは、記載された態様及び実施形態の核酸分子の由来となる生物の天然型ゲノム中の遺伝子に隣接する遺伝子を含まない核酸(例えば、DNA分子)を意味する。したがって、この用語は、例えば、ベクター内に組み込まれる、自律複製プラスミド若しくはウイルス内に組み込まれる、又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNA内に組み込まれる、又は他の配列とは独立して別個の分子(例えば、cDNA若しくはPCR若しくは制限エンドヌクレアーゼ消化によって産生されるゲノム若しくはcDNA断片)として存在する、組換えDNAを含む。加えて、この用語は、DNA分子から転写されるRNA分子(例えば、mRNA)、並びに追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAを含む。
【0067】
「単離されたポリペプチド」とは、自然に付随する成分から分離された、本明細書に記載のようなポリペプチドを意味する。典型的には、ポリペプチドは、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%であり、自然に付随するタンパク質及び天然型有機分子を含まないときに、単離される。好ましくは、単離されたポリペプチド調製物は、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも99重量%であり、自然に付随するタンパク質及び天然型有機分子を含まない。単離されたポリペプチドは、例えば、天然源からの抽出によって、そのようなポリペプチドをコードする組換え核酸の発現によって、又はタンパク質を化学的に合成することによって得られ得る。純度は、任意の標準的で適切な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はHPLC分析によって測定することができる。単離されたポリペプチドは、本明細書に記載される方法によって生成される広く活性なウイルス免疫原ポリペプチドを指すことができる。
【0068】
「リンカー」とは、融合タンパク質の2つのポリペプチド又はペプチド間のスペーサーとして機能する1つ以上のアミノ酸を意味する。
【0069】
「マーカー」とは、疾患、状態、病変、又は障害に関連する発現レベル又は活性の変化(例えば、増加又は減少)を有する任意のタンパク質又はポリヌクレオチドを意味する。
【0070】
「マトリックス(M1)タンパク質」は、ウイルスエンベロープ内に見出されるインフルエンザウイルス構造タンパク質を指す。M1は、細胞の感染後のウイルスの組み立て及び出芽において機能すると考えられる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「薬剤を得ること」のような「得ること」は、薬剤を合成すること、単離すること、精製すること、購入すること、又はその他の方法で獲得することを含む。
【0072】
「作動可能に連結された」という用語は、本明細書で使用される核酸配列を指す。例として、第1の核酸配列が第2の核酸配列との機能的関係に置かれるとき、第1の核酸配列は、第2の核酸配列に作動可能に連結される。例えば、プロモーターが、コード配列の転写又は発現に影響を及ぼす(それを可能にする)場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結される。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は連続しており、2つのタンパク質コード領域を接続するために必要な場合、同じリーディングフレーム内にある。
【0073】
広範囲反応性であるHAタンパク質をコードするヌクレオチド配列(その結果、それに対して、並びに他の、おそらく連続抗原変異である、まだ関連するウイルスに対して、免疫応答(例えば、抗体応答)が生成される)は、当該技術分野で実践されている手順及び技術を使用して、コドン最適化及びRNA最適化(例えば、RNA安定性を増加させるため)を介して、哺乳類細胞における発現のために最適化され得る。
【0074】
対象において免疫応答を誘発するための、インフルエンザ(例えば、H1又はH3インフルエンザウイルス)ヘマグルチニン(HA)タンパク質などの(非天然型)広範囲反応性免疫原性抗原は、強免疫原性エピトープ(抗原決定基とも呼ばれる)の集合的なセットを有する。本明細書に記載のインフルエンザウイルスHAタンパク質は、宿主対象、特に、インフルエンザH1又はH3ウイルスに感染したヒト対象に導入された場合、ウイルス表面上にHAタンパク質を発現する他の関連するが同一ではないウイルス型に対して、広範囲反応性免疫応答、例えば、中和抗体応答を誘発する、免疫応答を誘発する免疫応答誘発免疫原又はワクチンとしての使用に好適である。免疫原性抗原(又はワクチン)は、抗原可変性及び類似性を有する、H1又はH3などの他のインフルエンザウイルスHA抗原に対する広範囲に活性な免疫応答を誘発する抗ウイルス免疫原(又はワクチン)を提供し、1つより多いH1又はH3インフルエンザウイルス亜型によって引き起こされる感染及び疾患を治療又は予防するのに有利である。
【0075】
「オープンリーディングフレーム(ORF)」とは、終止コドンのないアミノ酸をコードする一連のヌクレオチドトリプレット(コドン)を意味する。これらの配列は、通常、ペプチド又はポリペプチドに翻訳可能である。
【0076】
「薬学的に許容されるビヒクル」という用語は、特に哺乳動物、例えば、ヒト、対象、並びに他の動物又は鳥類対象において使用するための、生理学的及び薬学的に許容される従来の担体(ビヒクル)及び賦形剤を指す。そのような薬学的に許容されるビヒクルは、当業者に既知であり、E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,15th Edition(1975)及びその更新版によるRemington’s Pharmaceutical Sciencesに容易に見出すことができ、1つ以上のHA型インフルエンザ免疫原(ワクチン)、及び追加の薬学的薬剤などの1つ以上の治療用組成物の薬学的送達に好適な組成物及び製剤が記載されている。一般に、薬学的に許容される担体の性質は、使用される特定の投与様式に依存する。例えば、非経口製剤は、通常、ビヒクル又は希釈剤として、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの薬学的及び生理学的に許容される流体を含む、注射可能な流体/液体を含む。固体組成物(例えば、粉末、丸薬、錠剤、又はカプセル形態)のために、従来の非毒性固体担体は、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムを含んでいてもよく、これらは典型的には、組成物又は薬物を安定化し、かつ/又はその半減期を増加させる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、保存剤、及びpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウレートを含有し得る。
【0077】
「プラスミド」(又は「ベクター」)とは、宿主細胞における自律複製が可能な環状核酸分子を意味する。
【0078】
「ポリペプチド」(又はタンパク質)とは、モノマーが、アミド結合を介して一緒に接続されるアミノ酸残基を含むポリマーを意味する。アミノ酸がアルファ-アミノ酸である場合、L-光学異性体又はD-光学異性体のいずれかを使用することができる。本明細書で使用される「ポリペプチド」又は「タンパク質」という用語は、任意のアミノ酸配列を包含することが意図され、糖タンパク質などの修飾配列を含む。「ポリペプチド」という用語は、天然型タンパク質、及び組換え的又は合成的に産生されるタンパク質を特定的に包含することが意図されている。「残基」又は「アミノ酸残基」という用語はまた、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドに組み込まれるアミノ酸を指す。
【0079】
保存的アミノ酸置換は、作製されると、元のタンパク質の特性との干渉は最小であり、すなわち、タンパク質の構造、特に機能が保存され、そのような置換によって有意に変化しない、置換である。保存的アミノ酸置換の例は、例えば、米国公開第2015/0030628号に記載されているように、当該技術分野で既知である。保存的置換は、一般に、(a)置換領域内のポリペプチド骨格の構造、例えば、シート若しくはらせん構造、(b)標的部位における分子の電荷又は疎水性、及び/又は(c)側鎖の嵩高さを維持する。
【0080】
タンパク質特性に最も大きな変化をもたらすと一般に予想される置換は、例えば、(a)親水性残基、例えば、セリル又はスレオニルが、疎水性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、若しくはアラニルに(又はそれによって)置換される、(b)システイン若しくはプロリンが、任意の他の残基に(又はそれによって)置換される、(c)電気陽性側鎖を有する残基、例えば、リジル、アルギニル、若しくはヒスチジルが、電気陰性残基、例えば、グルタミル若しくはアスパルチルに(又はそれによって)置換される、あるいは(d)嵩高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアニンが、側鎖を有さない残基、例えば、この場合にはグリシンに(又はそれによって)置換される、非保存的変化である。
【0081】
「プライマーセット」とは、例えば、PCRに使用され得るオリゴヌクレオチドのセットを意味する。プライマーセットは、少なくとも2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、30、40、50、60、80、100、200、250、300、400、500、600、又はそれより多くのプライマーからなる。
【0082】
「プロモーター」は、核酸の転写を指示する核酸制御配列のアレイを意味する。プロモーターは、転写の開始部位の近くに必要な核酸配列を含む。プロモーターはまた、任意選択的に、遠位エンハンサー又はリプレッサー配列エレメントを含む。「構成的プロモーター」は、連続的に活性であり、外部シグナル又は分子による調節を受けないプロモーターである。対照的に、「誘導性プロモーター」の活性は、外部シグナル又は分子(例えば、転写因子)によって調節される。例として、プロモーターは、CMVプロモーターであり得る。
【0083】
当業者には理解されるであろう通り、「精製された」という用語は、絶対純度を必要とせず、むしろ、相対用語として意図されている。したがって、例えば、精製されたペプチド、タンパク質、ウイルス、ポリヌクレオチド、又は他の活性化合物は、天然に付随するタンパク質及び他の汚染物質から全体的又は部分的に単離されるものである。特定の実施形態では、「実質的に精製された」という用語は、細胞、細胞培養培地、又は他の粗製調製物から単離され、限定されないが、分画、クロマトグラフィー、又は電気泳動などの日常的な方法に供され、タンパク質、細胞デブリ、及び他の成分などの初期調製物の様々な成分を除去する、ペプチド、タンパク質、ウイルス、ポリヌクレオチド、又は他の活性化合物を指す。
【0084】
「組換え」核酸、タンパク質又はウイルスは、非天然型配列を有するか、又はそれ以外の方法で配列の2つの分離されたセグメントの人工的な組み合わせによって作製される配列を有するものである。この人工的な組み合わせは、多くの場合、化学合成又は単離された核酸セグメントの人工的な操作(例えば、遺伝子操作技術)のいずれかによって達成される。「非天然型」核酸、タンパク質又はウイルスは、組換え技術、人工操作、遺伝的又は分子生物学的操作、又は当該技術分野で一般的に実践されるものなどの分子合成手順及び技術を介して作製され得るものである。
【0085】
「低減する」とは、少なくとも5%、10%、25%、30%、40%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%の負の変化(例えば、減少又は低減)を意味する。
【0086】
「参照」は、標準又は対照条件、例えば、野生型又は非変異タンパク質若しくはポリヌクレオチドを意味する。ある場合には、参照は、健康な未感染の対象又は細胞、例えば、インフルエンザウイルスに感染していない対象又は細胞であり得る。
【0087】
「参照配列」は、配列比較のための基礎として使用される、定義された配列である。参照ゲノムは、特定の配列のサブセット又は全体であってもよく、例えば、全長cDNA若しくは遺伝子配列のセグメント、又は完全cDNA若しくは遺伝子配列であり得る。ポリペプチドの場合、参照ポリペプチド配列の長さは、一般に、少なくとも約16個のアミノ酸、好ましくは少なくとも約20個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも約25個のアミノ酸、更により好ましくは約35個のアミノ酸、約50個のアミノ酸、又は約100個のアミノ酸である。核酸の場合、参照核酸配列の長さは、一般に、少なくとも約50個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも約60個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約75個のヌクレオチド、更により好ましくは約100個のヌクレオチド、又は約300個のヌクレオチド、又はほぼその間若しくはその間の任意の整数である。
【0088】
「特異的に結合する」化合物又は抗体は、ウイルスポリペプチドなどのポリペプチド、ペプチド、又はワクチン製品を認識し、それに結合するが、試料、例えば、ウイルスポリペプチドなどのポリペプチド又はペプチドを天然に含む生体試料中の他の分子を実質的に認識せず、それに結合しない化合物又は抗体を指す。
【0089】
本明細書に記載の方法において有用な核酸分子としては、記載されるようなポリペプチド又はその断片をコードする任意の核酸分子が挙げられる。そのような核酸分子は、内因性核酸配列と100%同一である必要はないが、典型的には実質的な同一性を示す。内因性配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖とハイブリダイズすることができる。「ハイブリダイズする」とは、様々なストリンジェンシー条件下で、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、遺伝子)、又はその一部分の間で二本鎖分子を形成する対合を意味する。(例えば、Wahl,G.M.and S.L.Berger,(1987),Methods Enzymol.,152:399、Kimmel,A.R.,(1987),Methods Enzymol.152:507を参照されたい。)
【0090】
例として、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mMのNaCl及び75mMのクエン酸三ナトリウムより少なく、好ましくは約500mMのNaCl及び50mMのクエン酸三ナトリウムより少なく、より好ましくは約250mMのNaCl及び25mMのクエン酸三ナトリウムより少ない。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えば、ホルムアミドの不在下で得ることができるが、一方、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミド、より好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得ることができる。ストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約37℃、最も好ましくは少なくとも約42℃の温度を含む。ハイブリダイゼーション時間、洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))の濃度、及びキャリアDNAの包含又は排除などの様々な追加のパラメータは、当業者に周知である。様々なレベルのストリンジェンシーは、必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることによって達成される。好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションは、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、及び1%SDS中、30℃で行われる。より好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションは、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%SDS、35%ホルムアミド、及び100μg/mlの変性サーモン精子DNA(ssDNA)中、37℃で行われる。最も好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションは、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%SDS、50%ホルムアミド、及び200μg/mlのssDNA中、42℃で行われる。これらの条件の有用なバリエーションは、当業者には容易に明らかであろう。
【0091】
ほとんどの用途では、ハイブリダイゼーションに続く洗浄ステップも、様々なストリンジェンシーである。洗浄ストリンジェンシー条件は、塩濃度及び温度によって定義することができる。上記のように、洗浄ストリンジェンシーは、塩濃度を低下させることによって、又は温度を上げることによって増加させることができる。例えば、洗浄ステップのストリンジェントな塩濃度は、好ましくは、約30mMのNaCl及び3mMのクエン酸三ナトリウムより少なく、最も好ましくは、約15mMのNaCl及び1.5mMのクエン酸三ナトリウムより少ない。洗浄ステップのストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約25℃、より好ましくは少なくとも約42℃、更により好ましくは少なくとも約68℃の温度を含む。好ましい実施形態では、洗浄ステップは、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%SDS中、25℃で行われる。より好ましい実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%SDS中、42℃で行われる。より好ましい実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%SDS中、68℃で行われる。これらの条件の追加のバリエーションは、当業者には容易に明らかであろう。ハイブリダイゼーション技術は、当業者に周知であり、例えば、Benton and Davis(Science 196:180,1977)、Grunstein and Hogness(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 72:3961,1975)、Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,2001)、Berger and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques,1987,Academic Press,New York)、及びSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yorkに記載される。
【0092】
「実質的に同一の」という用語は、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つ)又は核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列のうちのいずれか1つ)に対して少なくとも50%以上の同一性を示すポリペプチド又は核酸分子を意味する。好ましくは、そのような配列は、比較のために使用される配列に対して、アミノ酸レベル又は核酸において、少なくとも60%、又は少なくとも80%、又は85%、又は少なくとも90%、93%、95%若しくはそれらに等しいか、又は更には99%同一である。
【0093】
「配列同一性」は、配列間の類似性の観点から表されるアミノ酸又は核酸配列間の類似性を指す。配列同一性は、多くの場合、同一性(類似性又は相同性)の割合に関して測定されてもよく、割合が高いほど、配列はより同一である。所与の遺伝子又はタンパク質のホモログ又はバリアントは、標準的な方法を使用してアラインメントした場合、比較的高い程度の配列同一性を有するであろう。配列同一性は、典型的には、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,Wis.53705、BLAST、BESTFIT、GAP、又はPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、及び/又は他の修飾に対して相同性の程度を割り当てることによって、同一又は類似の配列を一致させる。保存的置換としては、典型的には、以下の群内の置換が挙げられる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定するための例示的なアプローチでは、BLASTプログラムが使用されてもよく、e-3~e-100の確率スコアは、密接に関連する配列を示している。加えて、他のプログラム及びアライメントアルゴリズムは、例えば、Smith and Waterman,1981,Adv.Appl.Math.2:482、Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443、Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444、Higgins and Sharp,1988,Gene 73:237-244、Higgins and Sharp,1989,CABIOS 5:151-153、Corpet et al.,1988,Nucleic Acids Research 16:10881-10890、Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444、及びAltschul et al.,1994,Nature Genet.6:119-129に記載される。NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST(商標))(Altschul et al.1990,J.Mol.Biol.215:403-410)は、National Center for Biotechnology Information(NCBI,Bethesda,Md.)を含むいくつかの供給源から、また、配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastxと組み合わせて使用するために、インターネットで容易に入手可能である。
【0094】
「対象」とは、脊椎動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類を含むがこれらに限定されない哺乳動物、又はウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、若しくはネコ科哺乳動物などの非ヒト動物若しくは哺乳動物、又はヒツジ、ヤギ、ラマ、ラクダ、フェレット、若しくはげっ歯類(ラット、マウス)、ジャービル、若しくはハムスターなどを意味する。「対象」はまた、非ヒト動物、又は鳥類脊椎動物を指し得る。非ヒト対象又は非ヒト動物対象はまた、「獣医学的対象」と称されてもよい。非限定的な例では、対象は、インフルエンザウイルス、例えば、H1又はH3ウイルスなどの病原体に感染しているか、又はそのようなウイルスによる感染のリスクにさらされているか、又はそのような感染に対して感受性の対象である。本明細書に記載のいくつかの態様では、対象は、患者などのヒト対象である。本明細書に記載のいくつかの態様では、対象は、非ヒト対象、例えば、非ヒト動物対象又は獣医学的対象である。
【0095】
本明細書で提供される範囲は、その範囲内の全ての値の略記であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、又はそれより大きいもの、例えば、連続して、例えば、100以上からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、又は部分範囲(最初の値及び最後の値、及びその間の値を含む)を含むと理解される。
【0096】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、疾患、状態、障害、又は病変、及び/又はそれに関連する症状を低減すること、低下させること、減少させること、無効化すること、軽減すること、緩和すること、改良すること、又は排除することを指す。限定することを意図するものではないが、「治療すること」は、典型的には、疾患、状態、障害、若しくは病変、及び/又はそれに関連する症状が、疾患など、並びに関連する徴候及び症状の重症度を低減するような、発症し始めた後に行われ得る治療介入に関する。除外するものではないが、障害又は状態を治療することは、疾患、状態、障害、病変、又はそれに関連する症状を完全に排除することを必要としないことを理解されたい。
【0097】
本明細書で使用される場合、「予防する」、「予防すること」、「予防」、「予防的治療」などの用語は、疾患、障害、若しくは状態を有しないが、それを発症するリスクがあるか、又はそれを発症することに対して感受性の対象において、対象において疾患状態、又は疾患の完全若しくは本格的な発症を阻害若しくは遮断すること、又は疾患、障害、若しくは状態を発症する可能性を低減することを指す。
【0098】
本明細書で言及されるように、「形質転換された」細胞は、核酸分子又はポリヌクレオチド配列が分子生物学技術によって導入された細胞である。本明細書で使用される場合、「形質転換」という用語は、ウイルスベクターでのトランスフェクション、プラスミドベクターでの形質転換、及びエレクトロポレーション、リポフェクション、粒子銃加速、又は当該技術分野で既知であり、実践されている他の方法による裸の核酸(DNA又はRNA、例えば、mRNA)の導入を含む、核酸分子又はポリヌクレオチドがそのような細胞に導入され得る全ての技術を包含する。
【0099】
「ワクチン」は、免疫応答を刺激する(誘発する)ことができるタンパク質又はペプチド抗原などの免疫原性材料(例えば、タンパク質又は核酸)の調製物を意味し、疾患、状態、若しくは病変を治療するために、又は感染性疾患、例えば、ウイルス感染などの疾患、状態、若しくは病変を予防又は保護するために対象に投与される。免疫原性材料は、例えば、弱毒化又は死滅させた微生物(弱毒化ウイルスなど)、又はそのような微生物に由来する抗原性タンパク質、ペプチド、DNA、若しくはRNAを含み得る。ワクチンは、対象において予防的(prophylactic)(予防的(preventative))免疫応答を誘発し得る。それらはまた、対象において治療的応答の免疫応答を誘発し得る。上述のように、ワクチン投与方法は、ワクチンに応じて変化し、接種(静脈内若しくは皮下注射)、摂取、吸入、又は医療技術分野で既知であり、実践されている他の形態の投与などの経路又は手段を含むことができる。接種は、静脈内、皮下、又は筋肉内などの非経口を含むいくつかの経路のうちの任意の経路によって送達することができる。ワクチンはまた、免疫応答をブーストするためにアジュバントとともに投与されてもよい。ワクチンを、ヒト対象、非ヒト対象、又は獣医学的対象に投与してもよい。本明細書では、ワクチン及び免疫原という用語は、互換的に使用される。ある実施形態では、一価免疫原/ワクチンは、本明細書に記載の1つの非天然型の広範囲反応性インフルエンザHA又はNA免疫原性ポリペプチド抗原、又は特定の型若しくは亜型の1つのHA又はNAインフルエンザウイルス抗原を含有する。ある実施形態では、二価免疫原/ワクチンは、本明細書に記載の2つの同じ若しくは異なる非天然型の広範囲反応性インフルエンザHA又はNA免疫原性ポリペプチド抗原、及び/又は特定の型若しくは亜型の2つの同じ若しくは異なるHA又はNAインフルエンザウイルス抗原を含有する。ある実施形態では、多価免疫原/ワクチンは、本明細書に記載の少なくとも2つの(又は2つより多い)非天然型の広範囲反応性インフルエンザHA又はNA免疫原性ポリペプチド抗原、及び/又は特定の型若しくは亜型の少なくとも2つのHA又はNAインフルエンザウイルス抗原を含有する。ある実施形態では、多価免疫原/ワクチンは、本明細書に記載及び例示される異なるインフルエンザ免疫原性ポリペプチド抗原の混合物、及び/又は特定の型若しくは亜型のHA若しくはNAインフルエンザウイルス抗原を含む、本明細書に記載及び例示される2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のインフルエンザポリペプチド抗原を含有する。ある実施形態では、インフルエンザ免疫原/ワクチン調製物は、二価である。ある実施形態では、インフルエンザ免疫原/ワクチン調製物は、多価、例えば、八価である。
【0100】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、宿主細胞内で複製される及び/又は宿主細胞内に組み込まれるベクターの能力を破壊することなく、外来核酸を挿入することができる核酸(ポリヌクレオチド)分子を指す。ベクターは、宿主細胞においてその複製を可能にする核酸配列、例えば、複製起点を含み得る。挿入ベクターは、それ自体を宿主核酸に挿入することができる。ベクターはまた、1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子及び他の遺伝的要素を含むことができる。発現ベクターは、宿主細胞における挿入された1つ以上の遺伝子の転写及び翻訳を可能にするために必要な調節配列を含有するベクターである。本開示のいくつかの実施形態では、ベクターは、インフルエンザHA、NA又はM1タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、ベクターは、pTR600発現ベクター(米国特許出願公開第2002/0106798号、Ross et al.,2000,Nat Immunol.1(2):102-103、及びGreen et al.,2001,Vaccine 20:242-248)である。
【0101】
「ウイルス様粒子(VLP)」とは、より多くのウイルス構造タンパク質のうちの1つから構成されるが、ウイルスゲノムを欠く、ウイルス粒子を意味する。VLPはウイルスゲノムを欠いているため、非感染性であり、より安全で潜在的により経済的なワクチン及びワクチン製品をもたらす。加えて、VLPは、多くの場合、異種発現によって産生されてもよく、容易に精製され得る。ほとんどのVLPは、少なくとも、宿主細胞からの粒子の出芽及び放出を促進するウイルスコアタンパク質を含む。そのようなコアタンパク質の一例は、インフルエンザM1である。本明細書のいくつかの実施形態では、インフルエンザVLPは、HA、NA及びM1タンパク質を含む。ある場合には、インフルエンザVLPは、HA、NA及びM1タンパク質をコードするプラスミドによる宿主細胞のトランスフェクションによって産生され得る。トランスフェクトされた細胞を適切な時間インキュベートしてタンパク質発現を可能にした後(例えば、およそ72時間)、VLPを細胞培養上清から単離することができる。例として、細胞上清からインフルエンザVLPを精製又は単離するためのプロトコルは、低速遠心分離(細胞破片を除去するため)、真空濾過、及び20%グリセロールによるVLPの超遠心分離を伴う。ウイルス様粒子はまた、典型的にはウイルスよりもサイズが小さく、ウイルスカプシド又はゲノムを含まない粒子を構成するサブウイルス粒子(SVP)を含んでもよい。
【0102】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、具体的に記載されていないか、又は文脈から明らかでない限り、包含的であると理解される。具体的に記載されていないか、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という用語は、単数形又は複数形であると理解される。同様に、「又は」という単語は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、「及び」を含むことが意図される。したがって、「A又はBを含む」とは、A、又はB、又はA及びBを含むことを意味する。核酸又はポリペプチドについて与えられる全ての塩基サイズ又はアミノ酸サイズ、及び全ての分子量又は分子量値は近似的であり、説明のために提供されることを更に理解されたい。
【0103】
本明細書で使用される場合、具体的に記載されていないか、又は文脈から明らかでない限り、「約」という用語は、当該技術分野における正常な許容範囲内、例えば、平均の2標準偏差以内であると理解される。「約」は、記載された値より10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内であると理解され得る。文脈から別途明確でない限り、本明細書に提供される全ての数値は、約という用語によって修正される。
【0104】
本明細書における変数の任意の定義における化学基のリストの列挙は、その変数の任意の単一の基又はリストされた基の組み合わせとしての定義を含む。本明細書における変数又は態様に関する実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態若しくはその一部と組み合わせて、その実施形態を含む。
【0105】
本明細書で提供される任意の組成物又は方法は、本明細書で提供される他の組成物及び方法のうちのいずれかの1つ以上と組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0106】
図1】本明細書(実施例2)に記載される広範囲反応性インフルエンザHAポリペプチド免疫源の組み合わせによって免疫付与(ワクチン接種)された事前免疫のナイーブフェレットを使用して、免疫付与後のウイルスチャレンジ及び重症疾患から保護し、及び/又はその影響を低減する免疫源(例えば、ワクチン)としてのポリペプチドの有効性を評価するために行われた試験のタイムラインの例示を示す。タイムラインに示されるように、広範囲反応性インフルエンザHAポリペプチド免疫原による動物の免疫付与/ワクチン接種の60日前(-60日目)に、動物の群にインフルエンザウイルス株A/カリフォルニア/2009(H1N1)、A/パナマ/1999(H3N2)、及びB/香港/2001(IBV、インフルエンザBウイルス)によって感染させることによって、動物の群を事前免疫付与した。これらの株は、正常なヒト集団において歴史的に見出され、本明細書に記載される広範囲反応性HAポリペプチド免疫原で動物を免疫付与/ワクチン接種する前に、正常な事前免疫ヒト集団において見出されるであろう典型的なウイルス負荷又はウイルスの成分を、動物において模倣する。-30日目に、動物を出血させ、セロコンバージョンを確認した。試験の0日目及び28日目に、フェレットを出血させ、広範囲反応性HAポリペプチド免疫源及びc-ジ-AMPアジュバント(抗原当たり15μg+50μgのc-ジ-AMP)により、本明細書(実施例2)に記載されるように免疫付与/ワクチン接種した。2回目のワクチン接種の4週間後、動物を、インフルエンザウイルスA/ブリスベン/02/2018(H1N1)、B/ワシントン/02/2019(IBV)、又はA/ベトナム/1203/2004(H5N1)によりチャレンジ試験した(試験の56日目)。感染後1日目、3日目、5日目及び7日目に、チャレンジ(56日目)から試験終了(60日目)の間に鼻洗浄を行った。この期間中、動物の臨床徴候及び体重を毎日監視した。
図2A】免疫付与されたフェレットから血液を得た後に得られた血清を使用して、実施例2に記載され、図1に図示される試験の56日目に実施されたELISA分析の結果を示すグラフを提示する。2回目のワクチン接種後、フェレットにおける総IgG抗体応答の存在について血清を試験した。マイクロタイタープレート上にコーティングされた異なる免疫原性HAポリペプチド抗原に結合する抗体の量を評価した。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。示される免疫付与/ワクチン接種動物群は、八価Cobraワクチンを投与した事前免疫フェレットである。x軸に示されるように、8種類のHA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)の各々に対して総IgG抗体価を決定した。y軸は、OD414nm値を示す。各点は、個々のフェレットを表す。各々の独立した実験について、血清を二重にアッセイした。結果は、本明細書に記載される八価HA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)による免疫付与が、免疫応答及びHA免疫原性ポリペプチド/ワクチンの全ての成分に結合する抗体の産生を誘発したことを実証した(A及びC)。OD値1は、ポリペプチド上に存在するhis-タグへの非特異的結合に起因する最小値として選択した。
図2B】免疫付与されたフェレットから血液を得た後に得られた血清を使用して、実施例2に記載され、図1に図示される試験の56日目に実施されたELISA分析の結果を示すグラフを提示する。2回目のワクチン接種後、フェレットにおける総IgG抗体応答の存在について血清を試験した。マイクロタイタープレート上にコーティングされた異なる免疫原性HAポリペプチド抗原に結合する抗体の量を評価した。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。示される免疫付与/ワクチン接種動物群は、モックワクチンを投与した事前免疫フェレットである。x軸に示されるように、8種類のHA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)の各々に対して総IgG抗体価を決定した。y軸は、OD414nm値を示す。各点は、個々のフェレットを表す。各々の独立した実験について、血清を二重にアッセイした。H1、N1及びN2 HA抗原に結合した事前免疫モック動物由来の抗体。OD値1は、ポリペプチド上に存在するhis-タグへの非特異的結合に起因する最小値として選択した。
図2C】免疫付与されたフェレットから血液を得た後に得られた血清を使用して、実施例2に記載され、図1に図示される試験の56日目に実施されたELISA分析の結果を示すグラフを提示する。2回目のワクチン接種後、フェレットにおける総IgG抗体応答の存在について血清を試験した。マイクロタイタープレート上にコーティングされた異なる免疫原性HAポリペプチド抗原に結合する抗体の量を評価した。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。示される免疫付与/ワクチン接種動物群は、八価Cobraワクチンを投与したナイーブフェレットである。x軸に示されるように、8種類のHA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)の各々に対して総IgG抗体価を決定した。y軸は、OD414nm値を示す。各点は、個々のフェレットを表す。各々の独立した実験について、血清を二重にアッセイした。結果は、本明細書に記載される八価HA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)による免疫付与が、免疫応答及びHA免疫原性ポリペプチド/ワクチンの全ての成分に結合する抗体の産生を誘発したことを実証した(A及びC)。OD値1は、ポリペプチド上に存在するhis-タグへの非特異的結合に起因する最小値として選択した。
図2D】免疫付与されたフェレットから血液を得た後に得られた血清を使用して、実施例2に記載され、図1に図示される試験の56日目に実施されたELISA分析の結果を示すグラフを提示する。2回目のワクチン接種後、フェレットにおける総IgG抗体応答の存在について血清を試験した。マイクロタイタープレート上にコーティングされた異なる免疫原性HAポリペプチド抗原に結合する抗体の量を評価した。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。示される免疫付与/ワクチン接種動物群は、モックワクチンを投与したナイーブフェレットである。x軸に示されるように、8種類のHA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)の各々に対して総IgG抗体価を決定した。y軸は、OD414nm値を示す。各点は、個々のフェレットを表す。各々の独立した実験について、血清を二重にアッセイした。ナイーブモック動物由来の抗体は、HA抗原への結合を示さなかった。OD値1は、ポリペプチド上に存在するhis-タグへの非特異的結合に起因する最小値として選択した。
図3A】HA免疫原性ポリペプチド抗原で免疫付与された事前免疫フェレットから、又は事前免疫モック免疫付与フェレットから得られた血清を使用して、図1に記載の試験の0日目及び56日目にフェレットの事前免疫群においてワクチン接種前後の総IgG抗体応答を比較するために実施されたELISA分析の結果のグラフを提示する。免疫付与/ワクチン接種前(0日目(d0))及び最終免疫付与/ワクチン接種後(56日目(d56))に、HAポリペプチド免疫原(Cobra)で免疫付与した個々の事前免疫フェレットについて血清を収集した。結果は、本明細書に記載のHA免疫原性ポリペプチド抗原で免疫付与された事前免疫フェレットが、免疫原性ポリペプチド抗原/ワクチンの全てのHA成分に対する抗体の増加を有し、Z1、NG3、IAN8、Q6、及びBC2免疫原に対して生成された抗体の統計的に有意な増加を有することを実証した。一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各群のd0とd56のELISA結果(図2A図2D)との間の統計的差異を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図3B】HA免疫原性ポリペプチド抗原で免疫付与された事前免疫フェレットから、又は事前免疫モック免疫付与フェレットから得られた血清を使用して、図1に記載の試験の0日目及び56日目にフェレットの事前免疫群においてワクチン接種前後の総IgG抗体応答を比較するために実施されたELISA分析の結果のグラフを提示する。免疫付与/ワクチン接種前(0日目(d0))及び最終免疫付与/ワクチン接種後(56日目(d56))に、モックワクチン接種を受けた事前免疫フェレットについて血清を収集した。結果は、本明細書に記載のHA免疫原性ポリペプチド抗原で免疫付与された事前免疫フェレットが、免疫原性ポリペプチド抗原/ワクチンの全てのHA成分に対する抗体の増加を有し、Z1、NG3、IAN8、Q6、及びBC2免疫原に対して生成された抗体の統計的に有意な増加を有することを実証した。一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各群のd0とd56のELISA結果(図2A図2D)との間の統計的差異を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図4A】ワクチン接種前後のインフルエンザH1N1ウイルスに対するフェレット血清HAI抗体価の結果を示すグラフを提示する。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。6種類のH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイを実施するために、ワクチン接種の前に血清を収集した。x軸上に列挙されているウイルスは、以下である。A/ソロモン島/03/2006(SI/06)A/ブリスベン/59/2007(Bris/07)、A/カリフォルニア/07/2009(CA/09)、A/ミシガン/45/2015(Mich/15)、A/ブリスベン/02/2018(Bris/18)、及びA/広東-茂南/SWL1536/2019(GD/19)。y軸は、各ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各ワクチン群について、0日目と56日目のHAI力価との間の統計的差を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。結果は、事前免疫モック動物群が、Mich/15及びBris/18について統計的に有意に低いHAI力価を有していたことを示した。HA免疫原性ポリペプチド(COBRA抗原)で免疫付与した事前免疫動物は、高いHAI力価を維持し、HA免疫原性ポリペプチド(COBRA抗原)で免疫付与したナイーブ動物群は、広東/19を除いて、パンデミック様ウイルス株のHAI力価が1:40に達した。
図4B】ワクチン接種前後のインフルエンザH1N1ウイルスに対するフェレット血清HAI抗体価の結果を示すグラフを提示する。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。6種類のH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイを実施するために、第2のワクチン接種の4週間後に血清を収集した。x軸上に列挙されているウイルスは、以下である。A/ソロモン島/03/2006(SI/06)A/ブリスベン/59/2007(Bris/07)、A/カリフォルニア/07/2009(CA/09)、A/ミシガン/45/2015(Mich/15)、A/ブリスベン/02/2018(Bris/18)、及びA/広東-茂南/SWL1536/2019(GD/19)。y軸は、各ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各ワクチン群について、0日目と56日目のHAI力価との間の統計的差を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。結果は、事前免疫モック動物群が、Mich/15及びBris/18について統計的に有意に低いHAI力価を有していたことを示した。HA免疫原性ポリペプチド(COBRA抗原)で免疫付与した事前免疫動物は、高いHAI力価を維持し、HA免疫原性ポリペプチド(COBRA抗原)で免疫付与したナイーブ動物群は、広東/19を除いて、パンデミック様ウイルス株のHAI力価が1:40に達した。
図5A】ワクチン接種前後のインフルエンザH3N2ウイルスに対するフェレット血清HAI抗体価の結果を示すグラフを提示する。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与された事前免疫フェレット(黒色の棒グラフ)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与されたナイーブフェレット(白色の棒グラフ)、又はモックワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の棒グラフ)であった。6種類のH3N2インフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイのために、ワクチン接種の前に血清を収集した。x軸上に列挙されているウイルスは、以下である。A/スイス/9715293/2013(スイス/13)、A/香港/4801/2014(HK/14)、A/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016(Sing/16)、A/カンザス/14/2017(KS/17)、A/南オーストラリア/34/2019(SA/19)、及びA/香港/2671/2019(HK/19)。y軸は、各ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各ワクチン動物群について、0日目と56日目のHAI力価との間の統計的差を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図5B】ワクチン接種前後のインフルエンザH3N2ウイルスに対するフェレット血清HAI抗体価の結果を示すグラフを提示する。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与された事前免疫フェレット(黒色の棒グラフ)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与されたナイーブフェレット(白色の棒グラフ)、又はモックワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の棒グラフ)であった。6種類のH3N2インフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイのために、第2のワクチン接種の4週間後に血清を収集した。x軸上に列挙されているウイルスは、以下である。A/スイス/9715293/2013(スイス/13)、A/香港/4801/2014(HK/14)、A/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016(Sing/16)、A/カンザス/14/2017(KS/17)、A/南オーストラリア/34/2019(SA/19)、及びA/香港/2671/2019(HK/19)。y軸は、各ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各ワクチン動物群について、0日目と56日目のHAI力価との間の統計的差を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図6A】ワクチン接種前後のインフルエンザBウイルス(IBV)についてのフェレット血清HAI抗体価の結果を示すグラフを提示する。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与された事前免疫フェレット(黒色の棒グラフ)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与されたナイーブフェレット(白色の棒グラフ)、又はモックワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の棒グラフ)であった。6種類のIBVインフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイのために、ワクチン接種の前に血清を収集した。x軸上に列挙されているウイルスは、Yamagata様系統について、B/フロリダ/04/2006(B/FL/06)、B/マサチューセッツ/02/2012(B/Mass/12)、B/プーケット/3073/2013(B/Phuk/13)、Victoria様系統について、B/ブリスベン/60/2008(B/Bris/08)、B/コロルダド(Colordado)/06/2017(B/CO/17)、及びB/ワシントン/02/2019(B/WA/19)であった。y軸は、各ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各ワクチン群について、0日目と56日目のHAI力価との間の統計的差を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図6B】ワクチン接種前後のインフルエンザBウイルス(IBV)についてのフェレット血清HAI抗体価の結果を示すグラフを提示する。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与された事前免疫フェレット(黒色の棒グラフ)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与されたナイーブフェレット(白色の棒グラフ)、又はモックワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の棒グラフ)であった。6種類のIBVインフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイのために、第2のワクチン接種の4週間後に血清を収集した。x軸上に列挙されているウイルスは、Yamagata様系統について、B/フロリダ/04/2006(B/FL/06)、B/マサチューセッツ/02/2012(B/Mass/12)、B/プーケット/3073/2013(B/Phuk/13)、Victoria様系統について、B/ブリスベン/60/2008(B/Bris/08)、B/コロルダド(Colordado)/06/2017(B/CO/17)、及びB/ワシントン/02/2019(B/WA/19)であった。y軸は、各ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各ワクチン群について、0日目と56日目のHAI力価との間の統計的差を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図7A】ワクチン接種前後のインフルエンザH5ウイルスに対する試験フェレットにおける血清HAI抗体価を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与された事前免疫フェレット(黒色の棒グラフ)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与されたナイーブフェレット(白色の棒グラフ)、又はモックワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の棒グラフ)であった。以下の6種類のH5インフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイのために、ワクチン接種の前に血清を収集した。A/ベトナム/1203/2004(H5N1、Vn/04)、A/オオハクチョウ/モンゴリア/244/2005(H5N1、ws/Mo/05)A/エジプト/321/2007(H5N1、Eg/07)、A/フーペイ/01/2010(H5N1、Hu/10)、A/貴州/01/2013(H5N1、Gu/13)。A/四川/26221/2014(H5N6、Si/14)。y軸は、各ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各ワクチン群について、0日目と56日目のHAI力価との間の統計的差を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図7B】ワクチン接種前後のインフルエンザH5ウイルスに対する試験フェレットにおける血清HAI抗体価を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与された事前免疫フェレット(黒色の棒グラフ)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与されたナイーブフェレット(白色の棒グラフ)、又はモックワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の棒グラフ)であった。以下の6種類のH5インフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイのために、第2のワクチン接種の4週間後に血清を収集した。A/ベトナム/1203/2004(H5N1、Vn/04)、A/オオハクチョウ/モンゴリア/244/2005(H5N1、ws/Mo/05)A/エジプト/321/2007(H5N1、Eg/07)、A/フーペイ/01/2010(H5N1、Hu/10)、A/貴州/01/2013(H5N1、Gu/13)。A/四川/26221/2014(H5N6、Si/14)。y軸は、各ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各ワクチン群について、0日目と56日目のHAI力価との間の統計的差を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図8A】インフルエンザH5N1ウイルスによるチャレンジ後のフェレットの体重及び生存曲線を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレット(黒色の線)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与されたナイーブフェレット(丸のついた黒色の線)、又は事前免疫のモック免疫付与フェレット(灰色の線)であった。最終免疫付与/ワクチン接種の4週間後、フェレットを、1mLの体積で致死用量のウイルスA/ベトナム/1203/2004(10PFU)で鼻腔内感染させた。動物を臨床徴候について観察し、それらの体重を感染後毎日記録した(図8A)。
図8B】インフルエンザH5N1ウイルスによるチャレンジ後のフェレットの体重及び生存曲線を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレット(黒色の線)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与されたナイーブフェレット(丸のついた黒色の線)、又は事前免疫のモック免疫付与フェレット(灰色の線)であった。最終免疫付与/ワクチン接種の4週間後、フェレットを、1mLの体積で致死用量のウイルスA/ベトナム/1203/2004(10PFU)で鼻腔内感染させた。感染後の生存曲線データは、全ての動物が致死的ウイルスチャレンジを生存したことを示す。
図9A】インフルエンザウイルスによるチャレンジ後のフェレットの体重曲線を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレット(黒色の線)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与されたナイーブフェレット(丸のついた黒色の線)、モックワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の線)、又はモックワクチン接種を投与されたナイーブフェレット(破線の黒色の線)であった。最終ワクチン接種の4週間後、フェレットを、1mLの体積でインフルエンザウイルスA/ブリスベン/02/2018(10PFU)で鼻腔内感染させた。動物を臨床徴候について観察し、それらの体重を感染後毎日記録した。体重減少の統計的差異を図10A及び図10Bの表に示す。
図9B】インフルエンザウイルスによるチャレンジ後のフェレットの体重曲線を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレット(黒色の線)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与されたナイーブフェレット(丸のついた黒色の線)、モックワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の線)、又はモックワクチン接種を投与されたナイーブフェレット(破線の黒色の線)であった。最終ワクチン接種の4週間後、フェレットを、1mLの体積でインフルエンザウイルス(b)B/ワシントン/02/2019(10PFU)で鼻腔内感染させた。動物を臨床徴候について観察し、それらの体重を感染後毎日記録した。体重減少の統計的差異を図10A及び図10Bの表に示す。
図10A】異なるウイルス株(H1N1対IBV)でチャレンジ試験した免疫付与フェレットの群間の体重減少の統計的差異を示す表を提示する。上記の図9A及び図9Bに記載されるように、H1N1 A/ブリスベン/02/2018(図10A)によってチャレンジ試験したフェレットからの体重減少値を、二元配置ANOVAによって、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)による多重比較を用いて、各感染日の統計的差異について分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001;n.s.、有意ではない)。
図10B】異なるウイルス株(H1N1対IBV)でチャレンジ試験した免疫付与フェレットの群間の体重減少の統計的差異を示す表を提示する。上記の図9A及び図9Bに記載されるように、IBV B/ワシントン/02/2019によってチャレンジ試験したフェレットからの体重減少値を、二元配置ANOVAによって、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)による多重比較を用いて、各感染日の統計的差異について分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001;n.s.、有意ではない)。
図11A】インフルエンザウイルスA/ブリスベン/02/2018(H1N1)感染後のフェレットの上気道におけるウイルス力価のグラフを示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、x軸上に示される。2回目のワクチン接種の4週間後、動物群を、H1N1 A/ブリスベン/02/2018ウイルスによってチャレンジ試験した。感染後1日目に動物から鼻洗浄を行い、ウイルス力価を決定した。鼻洗浄液中のウイルス力価は、y軸に示されるPFU/mLとして提示される。各点は、個々のフェレットを表す。
図11B】インフルエンザウイルスA/ブリスベン/02/2018(H1N1)感染後のフェレットの上気道におけるウイルス力価のグラフを示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、x軸上に示される。2回目のワクチン接種の4週間後、動物群を、H1N1 A/ブリスベン/02/2018ウイルスによってチャレンジ試験した。感染後3日目に動物から鼻洗浄を行い、ウイルス力価を決定した。鼻洗浄液中のウイルス力価は、y軸に示されるPFU/mLとして提示される。各点は、個々のフェレットを表す。
図11C】インフルエンザウイルスA/ブリスベン/02/2018(H1N1)感染後のフェレットの上気道におけるウイルス力価のグラフを示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、x軸上に示される。2回目のワクチン接種の4週間後、動物群を、H1N1 A/ブリスベン/02/2018ウイルスによってチャレンジ試験した。感染後5日目に動物から鼻洗浄を行い、ウイルス力価を決定した。鼻洗浄液中のウイルス力価は、y軸に示されるPFU/mLとして提示される。各点は、個々のフェレットを表す。
図12A】インフルエンザウイルスB/ワシントン/02/2019(IBV)による感染後のフェレットの鼻洗浄液の力価のグラフを示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、x軸上に示される。2回目のワクチン接種の4週間後、動物群を、IBV B/ワシントン/02/2019ウイルスによってチャレンジ試験した。感染後1日目に鼻洗浄を行い、ウイルス力価を決定した。鼻洗浄液中のウイルス力価は、y軸に示されるPFU/mLとして提示される。各点は、個々のフェレットを表す。
図12B】インフルエンザウイルスB/ワシントン/02/2019(IBV)による感染後のフェレットの鼻洗浄液の力価のグラフを示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、x軸上に示される。2回目のワクチン接種の4週間後、動物群を、IBV B/ワシントン/02/2019ウイルスによってチャレンジ試験した。感染後3日目に鼻洗浄を行い、ウイルス力価を決定した。鼻洗浄液中のウイルス力価は、y軸に示されるPFU/mLとして提示される。各点は、個々のフェレットを表す。
図12C】インフルエンザウイルスB/ワシントン/02/2019(IBV)による感染後のフェレットの鼻洗浄液の力価のグラフを示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、x軸上に示される。2回目のワクチン接種の4週間後、動物群を、IBV B/ワシントン/02/2019ウイルスによってチャレンジ試験した。感染後5日目に鼻洗浄を行い、ウイルス力価を決定した。鼻洗浄液中のウイルス力価は、y軸に示されるPFU/mLとして提示される。各点は、個々のフェレットを表す。
図13A】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:モック。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13B】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:J1。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13C】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:J2。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13D】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:J3。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13E】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:J4。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13F】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:NG1。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13G】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:NG2。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13H】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:NG3。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13I】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:Switz/13。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13J】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:HK/14。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13K】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:Sing/16。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13L】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:Kan/17。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13M】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:Switz/17。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図13N】初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)からの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウス(n=5匹/群)から採取した血清を、2012~2019年の間に単離された歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するHAI活性について評価した(x軸)。LogHAI力価は、平均の絶対平均値6標準誤差(SEM)として報告される(y軸)。下側の点線は、1:40のHAI力価を表し、上側の点線は、1:80のHAI力価を表す。マウスに、以下のような3mgの組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いてワクチン付与した:SA/19。HAI力価を、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)によるノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)を使用して統計的に分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。H3N2ウイルスは、以下のクレードに属する。Tx/12(3c2)、Switz/13(3c3.a)、HK/14(3c.2a)、Sing/16(3c2.a1)、Kan/17(3c3.a)、Tx17(3c3.a)、Switz/17(3c3.a2)、SA/19(3c2.ab/131K)、及びHK/19(3c2.a1b/137F)。
図14】89日目の肺ウイルス力価を示すグラフを示す。肺組織に存在するウイルス負荷を評価するために、89日目(A/カンザス/14/2017チャレンジの3日後)に群当たりn=3匹のマウスから肺を採取した。ワクチン群をx軸に列挙し、肺組織値のPFU/gをy軸に報告する。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、Prism 9ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego,CA)を使用して、群間の統計的差異を分析した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。
図15A】H3N2ウイルスパネルに対して指向される抗体の存在を評価するために、事前免疫マウスからの血清を使用して実施した72日目のH3N2インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2016~2019年の歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。一価抗原によりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1に対して試験した:A/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図15B】H3N2ウイルスパネルに対して指向される抗体の存在を評価するために、事前免疫マウスからの血清を使用して実施した72日目のH3N2インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2016~2019年の歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。一価抗原によりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1に対して試験した:A/カンザス/14/2017。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図15C】H3N2ウイルスパネルに対して指向される抗体の存在を評価するために、事前免疫マウスからの血清を使用して実施した72日目のH3N2インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2016~2019年の歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。一価抗原によりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1に対して試験した:A/香港/2671/2019。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図15D】H3N2ウイルスパネルに対して指向される抗体の存在を評価するために、事前免疫マウスからの血清を使用して実施した72日目のH3N2インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2016~2019年の歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。二価H1+H3抗原のカクテルによりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1ウイルスに対して試験した:A/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図15E】H3N2ウイルスパネルに対して指向される抗体の存在を評価するために、事前免疫マウスからの血清を使用して実施した72日目のH3N2インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2016~2019年の歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。二価H1+H3抗原のカクテルによりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1ウイルスに対して試験した:A/カンザス/14/2017。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図15F】H3N2ウイルスパネルに対して指向される抗体の存在を評価するために、事前免疫マウスからの血清を使用して実施した72日目のH3N2インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2016~2019年の歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。二価H1+H3抗原のカクテルによりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1ウイルスに対して試験した:A/香港/2671/2019。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図16A】72日目に事前免疫マウスからの血清を使用して実施したH1N1インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2009~2019年の歴史的なH1N1ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。一価抗原によりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1に対して試験した:A/カリフォルニア/07/2009。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図16B】72日目に事前免疫マウスからの血清を使用して実施したH1N1インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2009~2019年の歴史的なH1N1ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。一価抗原によりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1に対して試験した:A/ブリスベン/2/2018。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図16C】72日目に事前免疫マウスからの血清を使用して実施したH1N1インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2009~2019年の歴史的なH1N1ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。一価抗原によりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1に対して試験した:A/広東茂南/SWL1536/2019。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図16D】72日目に事前免疫マウスからの血清を使用して実施したH1N1インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2009~2019年の歴史的なH1N1ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。二価H1+H3抗原のカクテルによりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1ウイルスに対して試験した:A/カリフォルニア/07/2009。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図16E】72日目に事前免疫マウスからの血清を使用して実施したH1N1インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2009~2019年の歴史的なH1N1ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。二価H1+H3抗原のカクテルによりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1ウイルスに対して試験した:A/ブリスベン/2/2018。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図16F】72日目に事前免疫マウスからの血清を使用して実施したH1N1インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示すグラフを提示する。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、2009~2019年の歴史的なH1N1ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。二価H1+H3抗原のカクテルによりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1ウイルスに対して試験した:A/広東茂南/SWL1536/2019。下の点線は、80%の中和(Neut80)を表し、中央の点線は、50%の中和(Neut50)を表し、上の点線は、ウイルス感染の中和がないことを表す。
図17】本明細書(実施例2)に記載される広範囲反応性インフルエンザHAポリペプチド免疫源によって免疫付与(ワクチン接種)されたマウスを使用して、免疫付与後のウイルスチャレンジ及び重症疾患から保護し、及び/又はその影響を低減する免疫源(例えば、ワクチン)としてのポリペプチドの有効性を評価するために行われた試験のタイムラインの例示を示す。動物試験では、88匹のBALB/cマウス(n=11)を、0週目、4週目、及び8週目にADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化したウイルス様粒子(VLP)免疫原/ワクチン中の広範囲反応性インフルエンザHA免疫原又は野生型HAにより筋肉内免疫付与/ワクチン接種した。ワクチン接種後6週目及び10週目に、動物から血液を採取し、分析のために血清を分離した。12週目に、全てのマウスに、5×10PFUのA/カリフォルニア/07/2009 H1N1ウイルスのチャレンジを鼻腔内に接種した。肺組織(n=3匹/群)を、感染後3日目及び6日目(3dpi及び6dpi)に採取し、組織病理学及びウイルス滴定について評価した。
図18A図17に示されるプロトコルに従った、PBS対照に対する、本明細書に記載されるような広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原又は野生型rHAタンパク質で免疫付与/ワクチン接種されたマウスのインフルエンザウイルス感染後の体重及び生存曲線を示すグラフを提示する。図18Aは、感染後のマウスの元の体重減少のパーセントを示す。マウスを臨床徴候について14日間観察し、それらの体重を感染後毎日記録した。点線は、感染後0日目の体重の80%を示す。64匹のDBA/2Jマウスの別の群を、上述の免疫付与/ワクチン接種レジメンを使用して、ADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化された広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原又は野生型rHA免疫原/ワクチンで筋肉内免疫付与/ワクチン接種した。12週目に、全てのマウスに、ウイルスチャレンジとして8.75×10PFUのA/ブリスベン/02/2018 H1N1ウイルスを鼻腔内感染させた。
図18B図17に示されるプロトコルに従った、PBS対照に対する、本明細書に記載されるような広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原又は野生型rHAタンパク質で免疫付与/ワクチン接種されたマウスのインフルエンザウイルス感染後の体重及び生存曲線を示すグラフを提示する。図18Bは、A/カリフォルニア/07/2009ウイルスによる感染後の生存曲線を示す。64匹のDBA/2Jマウスの別の群を、上述の免疫付与/ワクチン接種レジメンを使用して、ADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化された広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原又は野生型rHA免疫原/ワクチンで筋肉内免疫付与/ワクチン接種した。12週目に、全てのマウスに、ウイルスチャレンジとして8.75×10PFUのA/ブリスベン/02/2018 H1N1ウイルスを鼻腔内感染させた。
図18C図17に示されるプロトコルに従った、PBS対照に対する、本明細書に記載されるような広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原又は野生型rHAタンパク質で免疫付与/ワクチン接種されたマウスのインフルエンザウイルス感染後の体重及び生存曲線を示すグラフを提示する。64匹のDBA/2Jマウスの別の群を、上述の免疫付与/ワクチン接種レジメンを使用して、ADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化された広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原又は野生型rHA免疫原/ワクチンで筋肉内免疫付与/ワクチン接種した。12週目に、全てのマウスに、ウイルスチャレンジとして8.75×10PFUのA/ブリスベン/02/2018 H1N1ウイルスを鼻腔内感染させた。図18Cは、A/ブリスベン/02/2018 H1N1ウイルスによる感染(チャレンジ)後のDBA/2Jマウスの体重減少曲線を示す。
図18D図17に示されるプロトコルに従った、PBS対照に対する、本明細書に記載されるような広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原又は野生型rHAタンパク質で免疫付与/ワクチン接種されたマウスのインフルエンザウイルス感染後の体重及び生存曲線を示すグラフを提示する。64匹のDBA/2Jマウスの別の群を、上述の免疫付与/ワクチン接種レジメンを使用して、ADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化された広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原又は野生型rHA免疫原/ワクチンで筋肉内免疫付与/ワクチン接種した。12週目に、全てのマウスに、ウイルスチャレンジとして8.75×10PFUのA/ブリスベン/02/2018 H1N1ウイルスを鼻腔内感染させた。図18Dは、A/ブリスベン/02/2018ウイルスによる感染(チャレンジ)後の生存曲線を示す。
図19A】H1N1ウイルスのパネルに対する免疫付与/ワクチン接種後のマウスにおける血清HAI抗体価を示すグラフを提示する。免疫学的にナイーブなBALB/cマウスに、広範囲反応性組換えインフルエンザH1N1 HA免疫原Y2(例えば、配列番号15)をコードするポリヌクレオチドを含有するVLP免疫原/ワクチン、又はH1N1野生型Bris/07、CA/09、若しくはBris/18VLP免疫原/ワクチンを4週間間隔で3回免疫付与/ワクチン接種した。初回免疫付与/ワクチン接種後10週目に動物から血清を採取し、血清(sear)を使用したHAIアッセイを、7つのH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対して行った:広範囲反応性組換えインフルエンザH1HA免疫原。y軸は、動物の各免疫付与/ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。HAI力価を、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によってノンパラメトリック一元配置ANOVAを用いて統計的に分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図19B】H1N1ウイルスのパネルに対する免疫付与/ワクチン接種後のマウスにおける血清HAI抗体価を示すグラフを提示する。免疫学的にナイーブなBALB/cマウスに、広範囲反応性組換えインフルエンザH1N1 HA免疫原Y2(例えば、配列番号15)をコードするポリヌクレオチドを含有するVLP免疫原/ワクチン、又はH1N1野生型Bris/07、CA/09、若しくはBris/18VLP免疫原/ワクチンを4週間間隔で3回免疫付与/ワクチン接種した。初回免疫付与/ワクチン接種後10週目に動物から血清を採取し、血清(sear)を使用したHAIアッセイを、7つのH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対して行った:Bris/18。y軸は、動物の各免疫付与/ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。HAI力価を、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によってノンパラメトリック一元配置ANOVAを用いて統計的に分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図19C】H1N1ウイルスのパネルに対する免疫付与/ワクチン接種後のマウスにおける血清HAI抗体価を示すグラフを提示する。免疫学的にナイーブなBALB/cマウスに、広範囲反応性組換えインフルエンザH1N1 HA免疫原Y2(例えば、配列番号15)をコードするポリヌクレオチドを含有するVLP免疫原/ワクチン、又はH1N1野生型Bris/07、CA/09、若しくはBris/18VLP免疫原/ワクチンを4週間間隔で3回免疫付与/ワクチン接種した。初回免疫付与/ワクチン接種後10週目に動物から血清を採取し、血清(sear)を使用したHAIアッセイを、7つのH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対して行った:CA/09。y軸は、動物の各免疫付与/ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。HAI力価を、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によってノンパラメトリック一元配置ANOVAを用いて統計的に分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図19D】H1N1ウイルスのパネルに対する免疫付与/ワクチン接種後のマウスにおける血清HAI抗体価を示すグラフを提示する。免疫学的にナイーブなBALB/cマウスに、広範囲反応性組換えインフルエンザH1N1 HA免疫原Y2(例えば、配列番号15)をコードするポリヌクレオチドを含有するVLP免疫原/ワクチン、又はH1N1野生型Bris/07、CA/09、若しくはBris/18VLP免疫原/ワクチンを4週間間隔で3回免疫付与/ワクチン接種した。初回免疫付与/ワクチン接種後10週目に動物から血清を採取し、血清(sear)を使用したHAIアッセイを、7つのH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対して行った:Bris/07。y軸は、動物の各免疫付与/ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。HAI力価を、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によってノンパラメトリック一元配置ANOVAを用いて統計的に分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図19E】H1N1ウイルスのパネルに対する免疫付与/ワクチン接種後のマウスにおける血清HAI抗体価を示すグラフを提示する。免疫学的にナイーブなBALB/cマウスに、広範囲反応性組換えインフルエンザH1N1 HA免疫原Y2(例えば、配列番号15)をコードするポリヌクレオチドを含有するVLP免疫原/ワクチン、又はH1N1野生型Bris/07、CA/09、若しくはBris/18VLP免疫原/ワクチンを4週間間隔で3回免疫付与/ワクチン接種した。初回免疫付与/ワクチン接種後10週目に動物から血清を採取し、血清(sear)を使用したHAIアッセイを、7つのH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対して行った:PBS。y軸は、動物の各免疫付与/ワクチン接種群のlogHAI力価を示し、それらを絶対平均値±SEMとして提示する。点線は、1:40(下側の線)及び1:80(上側の線)の範囲のHAI力価を示す。HAI力価を、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によってノンパラメトリック一元配置ANOVAを用いて統計的に分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図20A】ワクチン接種後のマウス血清中の中和抗体価を示すグラフを提示する。免疫学的にナイーブなBALB/cマウス(n=11匹/群)に、4週間間隔で、広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチド(Y2 COBRA H1N1)VLPワクチン、又はH1N1野生型Bris/07、CA/09、若しくはBris/18VLPワクチンで3回ワクチン接種した。ワクチン接種後10週目に、血清を収集し、これを使用してA/カリフォルニア/07/2009ウイルスに対するFRAアッセイを実施した。ウイルス毎に、ウイルス濃度を1.2×10FFU/mLに標準化し、ウイルス単独感染ウェルを100%感染として標準化した。x軸は、log2血清希釈を示し、y軸は、ウイルスのみで感染した対照ウェルと比較した感染細胞の割合を表す。点線は、抗血清中に存在する抗体の50%阻害(上側の線)及び80%阻害(下型の線)活性を表す。
図20B】ワクチン接種後のマウス血清中の中和抗体価を示すグラフを提示する。免疫学的にナイーブなBALB/cマウス(n=11匹/群)に、4週間間隔で、広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチド(Y2 COBRA H1N1)VLPワクチン、又はH1N1野生型Bris/07、CA/09、若しくはBris/18VLPワクチンで3回ワクチン接種した。ワクチン接種後10週目に、血清を収集し、これを使用してA/ブリスベン/02/2018ウイルスに対するFRAアッセイを実施した。ウイルス毎に、ウイルス濃度を1.2×10FFU/mLに標準化し、ウイルス単独感染ウェルを100%感染として標準化した。x軸は、log2血清希釈を示し、y軸は、ウイルスのみで感染した対照ウェルと比較した感染細胞の割合を表す。点線は、抗血清中に存在する抗体の50%阻害(上側の線)及び80%阻害(下型の線)活性を表す。
図21A】マウスにおける総IgG抗体応答を示すグラフを提示する。BALB/cマウスにおけるワクチン応答を、広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチドワクチン(H1 Cobra HA)、野生型HA VLPワクチン(例えば、Bris/18HA、CA/09HA、Bris/07HA)、又はADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化したPBS(x軸)によるワクチン接種後10週目に評価した。IgG抗体価を、A/カリフォルニア/07/2009HAタンパク質に対して決定した。データは、3倍連続希釈血清+SEMから得られたOD141値を曲線下面積(AUC)として提示する。各々の独立した実験について、マウス血清を二重にアッセイした。一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各群間の統計的差異を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図21B】マウスにおける総IgG抗体応答を示すグラフを提示する。BALB/cマウスにおけるワクチン応答を、広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチドワクチン(H1 Cobra HA)、野生型HA VLPワクチン(例えば、Bris/18HA、CA/09HA、Bris/07HA)、又はADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化したPBS(x軸)によるワクチン接種後10週目に評価した。IgG抗体価を、A/ブリスベン/02/2018HAタンパク質に対して決定した。データは、3倍連続希釈血清+SEMから得られたOD141値を曲線下面積(AUC)として提示する。各々の独立した実験について、マウス血清を二重にアッセイした。一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各群間の統計的差異を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図21C】マウスにおける総IgG抗体応答を示すグラフを提示する。BALB/cマウスにおけるワクチン応答を、広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチドワクチン(H1 Cobra HA)、野生型HA VLPワクチン(例えば、Bris/18HA、CA/09HA、Bris/07HA)、又はADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化したPBS(x軸)によるワクチン接種後10週目に評価した。IgG抗体価を、cH6/1HAタンパク質(A/カリフォルニア/07/2009HA由来の球状ヘッドとストーク形態亜型H6インフルエンザウイルスHAを有するキメラrHA)に対して決定した。データは、3倍連続希釈血清+SEMから得られたOD141値を曲線下面積(AUC)として提示する。各々の独立した実験について、マウス血清を二重にアッセイした。一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)によって、各群間の統計的差異を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図22A】BALB/c及びDBA/2Jマウスの肺組織におけるウイルス力価を示すグラフを提示する。BALB/cマウスを、広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチド(H1 Cobra HA)又は野生型HA VLPワクチン(例えば、Bris/18HA、CA/09HA、Bris/07HA)(x軸)で筋肉内ワクチン接種し、次いで、ワクチン接種後12週目にH1N1 A/カリフォルニア/07/2009ウイルスでチャレンジ試験した。感染後3日目に肺試料(n=3)を採取し、肺ウイルス力価を測定した。肺組織中のウイルス力価は、y軸に示されるPFU/mLとして提示される。x軸は、本試験で使用した異なるワクチンを示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェアを使用して、群間の統計的差異を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
図22B】BALB/c及びDBA/2Jマウスの肺組織におけるウイルス力価を示すグラフを提示する。肺試料(n=3匹/群)を感染後3日目に収集し、肺ウイルス力価を決定した。上述と同じワクチンで免疫付与/ワクチン接種し、rHA形式で送達したDBA/2Jマウスの別のセットを、ワクチン接種後12週間でA/ブリスベン/02/2018でチャレンジ試験した。感染後3日目に肺試料(n=3)を採取し、肺ウイルス力価を測定した。肺組織中のウイルス力価は、y軸に示されるPFU/mLとして提示される。x軸は、本試験で使用した異なるワクチンを示す。ノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェアを使用して、群間の統計的差異を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
【発明を実施するための形態】
【0107】
開示の詳細な説明
本明細書で特色とされるのは、対象において強力な広範囲反応性かつ長く続く免疫応答を誘発する、インフルエンザウイルス株、例えば、H1又はH3のインフルエンザ(「インフル」)ヘマグルチニン(HA)タンパク質に由来する合成(非天然型)免疫原性抗原、例えば、タンパク質(ポリペプチド)及び糖タンパク質抗原である。ある実施形態では、対象は、哺乳動物対象である。ある実施形態では、対象は、ヒト対象である。ある実施形態では、対象は、鳥類対象である。ある実施形態では、HAタンパク質は、全長HAポリペプチド又は可溶性HA(sHA)ポリペプチドである。ある実施形態では、sHAポリペプチドは、膜貫通(TM)又はテールドメインを含まない。そのような免疫原性抗原は、本明細書では免疫原、免疫原性ポリペプチド、タンパク質、若しくはペプチド、又はワクチンとも称される。
【0108】
提供されるのは、H1又はH3などのインフルエンザ株によって引き起こされる疾患から保護する広範囲反応性免疫原である(例えば、H1N1又はH3N2)。ある実施形態では、インフルエンザウイルスHAタンパク質抗原などの完全合成タンパク質抗原が特色とされる。そのようなHA抗原は、天然には見られない合成タンパク質であるが、天然のインフルエンザウイルスHAタンパク質の全ての機能を保持し、免疫原性であり、すなわち、特にインフルエンザウイルス抗原免疫原に対する対象への投与又は送達又は導入後に、免疫応答、特に中和抗体及び/又は反応性Tリンパ球の形態の広範囲に活性な免疫応答を誘発することができる。複数の実施形態では、HAタンパク質抗原は、全長HAポリペプチド又は可溶性HA(sHA)ポリペプチドである。また、免疫原性組成物、例えば、合成ウイルスタンパク質抗原を含むワクチン、又は抗原をコードする核酸(例えば、DNA若しくはRNA)も提供される。
【0109】
HAアミノ酸配列及びそのような配列を有するタンパク質抗原は、特に、組成物又はワクチンが投与される対象、特にヒト対象において、広範囲反応性免疫応答を誘発する、免疫原として、又は免疫原性組成物、例えば、ワクチンにおいて使用するためのものである。合成抗原は、対象において、ある場合には細胞免疫応答とともに、広範囲に活性な免疫応答を、特に中和抗体の形態で生成するように設計される。ある実施形態では、対象は、哺乳動物対象、特に、ヒト対象である。そのような抗原は、ウイルスに対する免疫応答(例えば、中和抗体の産生及び/又は細胞免疫応答)を誘発する免疫原として有益であり、特に、所与の時点で1つより多いウイルス株が共循環する場合に有益である。例として、広範囲反応性インフルエンザ免疫原性抗原は、そのゲノムの一部を頻繁に変異させて免疫圧を逃れ、その結果、感染後のウイルス抗原上の抗原性エピトープ(決定基)に対する抗体を生成するように免疫系がプライミング又は刺激されていない対象の免疫サーベイランスを回避する、インフルエンザウイルスに由来していてもよい。したがって、合成インフルエンザウイルス抗原、例えば、H1又はH3HA抗原は、野生型抗原配列と比較して連続抗原変異を示す潜在的なインフルエンザウイルスバリアントに対するより多くの数の中和抗体(及び/又は改善された細胞免疫応答)を誘発するアミノ酸(又はポリヌクレオチド)配列を含む。
【0110】
本明細書に記載のH1又はH3インフルエンザウイルスのHA免疫原性タンパク質又は免疫原は、時間の経過とともに多くのウイルス株に対する保護を提供し得る免疫原性組成物で、又はワクチンとして使用することができる。複数の実施形態では、H1又はH3インフルエンザウイルスのHA免疫原性タンパク質又は免疫原は、本明細書の配列番号1~17に記載の配列を含む。本明細書に記載の広範囲反応性ウイルス抗原免疫原及びワクチンは、それらが、異なる領域で生じるものなどのいくつかの異なるウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)株(又はクレード)に対して、より広範かつより長く続く保護を提供するように設計されている点で有利である。
【0111】
本明細書に記載される全長及び可溶性形態のHAを含む免疫原性のインフルエンザウイルスHA抗原は、対象におけるインフルエンザウイルス感染及び疾患に対する保護的免疫をもたらすことができる免疫原性組成物(例えば、ワクチン)において使用されてもよい。保護免疫は、変異又は経験された連続抗原変異を有し得るウイルス株から対象を保護する、広範囲反応性抗HA特異的抗体又は細胞免疫応答の誘発を通じて、対象において提供される。
【0112】
インフルエンザウイルス
インフルエンザウイルスは、オルソミクソウイルス科に属するセグメント化されたマイナス鎖RNAウイルスである。インフルエンザウイルスには、A、B及びC型の3種類の型が存在する。インフルエンザAウイルスは、ヒト、ウマ、海洋哺乳動物、ブタ、フェレット、及びニワトリを含む多種多様な鳥類及び哺乳類に感染する。動物において、ほとんどのインフルエンザAウイルスは、呼吸器及び腸管の軽度の局所感染を引き起こす。しかしながら、非限定的な例として、H1N1(「H1」)、H3N2(「H3」)、又はH5N1(「H5’」)、又はH7、又はH9株などの高病原性インフルエンザA株は、家禽において全身感染を引き起こし、死亡率が100%に達する場合がある。インフルエンザAに感染した動物は、しばしばインフルエンザウイルスの貯蔵庫として機能し、特定の亜型は、感染したヒト対象の死亡につながる可能性のある重篤な疾患及び壊滅的なインフルの発生を引き起こす可能性のあるヒトへの種のバリアを通過することが示されている。
【0113】
インフルエンザAウイルスは、表面糖タンパク質、すなわち、ウイルス付着及び細胞放出にそれぞれ必要とされるヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)をコードする2つの遺伝子の抗原領域における対立遺伝子変異に基づいて、亜型に分類することができる。現在、HA(H1~H16)の16種類の亜型及び9種類のNA(N1~N9)抗原バリアントが、インフルエンザAウイルスについて既知である。以前は、ヒトにおいて循環することが既知である亜型は、3種類のみであった(H1N1又はH1N2)。しかしながら、近年、例えば、1997年及び2003年に香港で報告されたように、鳥インフルエンザAの病原性H5N1亜型が種のバリアを越えてヒトに感染し、数人の患者の死亡を引き起こすことが報告されている。
【0114】
ヒトでは、鳥インフルエンザウイルスは、気道の細胞並びに腸管、肝臓、脾臓、腎臓及び他の臓器に感染する。鳥インフルエンザ感染の症状には、発熱、息切れ及び咳などの呼吸困難、リンパ球減少症、下痢、血糖値の調節困難などが挙げられる。季節性インフルエンザとは対照的に、最もリスクの高い群は、人口の大部分を占める健康な成人である。特定の鳥インフルエンザA亜型の高い病原性と、ヒトに感染するために交差する能力が実証されているため、実際の流行及びパンデミックの脅威を含む、これらのウイルス株に関連する重大な経済的及び公衆衛生上のリスクが存在する。
【0115】
インフルエンザAウイルスゲノムは、調節機能を有する9つの構造タンパク質及び1つの非構造(NS1)タンパク質をコードする。インフルエンザウイルスによってセグメント化されたゲノムは、RNA指向性RNAポリメラーゼタンパク質(PB2、PB1、及びPA)、核タンパク質(NP)、ノイラミニダーゼ(NA)、ヘマグルチニン、例えば、「ヘッド」サブユニットとしばしば称されるサブユニットHA1、及び「テール」又は「ストーク」サブユニットとしばしば称されるHA2、マトリックスタンパク質(M1及びM2)、並びに非構造タンパク質(NS1及びNS2)を含む、少なくとも10個のポリペプチドをコードする8種類の陰性センスRNA(nsRNA)遺伝子セグメント(PB2、PB1、PA、NP、M、NS、HA、及びNA)を含有する(例えば、Krug et al.,1989,In:The Influenza Viruses,R.M.Krug ed.,Plenum Press,N.Y.,pp.89 152を参照されたい)。
【0116】
インフルエンザウイルスが広範囲の疾患を引き起こす能力は、宿主が動物インフルエンザウイルス及びヒトインフルエンザウイルスの両方に同時に感染したときに生じると考えられる抗原変化を受けることによって免疫系を回避する能力に起因する。宿主における変異及び再集合の間、ウイルスは、別のウイルスからのHA及び/又はNA表面タンパク質遺伝子をそのゲノムに組み込んでもよく、それによって新しいインフルエンザ亜型を産生し、免疫系を回避してもよい。
【0117】
インフルエンザウイルスの流行株、特にウイルスのHA及びNAタンパク質における抗原変異(連続抗原変異)のために、インフルエンザウイルスに対する免疫原性組成物、例えば、ワクチンの有効性は、しばしば最適ではなく、標準以下である。本明細書に記載の免疫原、組成物及び方法は、広範囲反応性免疫応答を生成する広範囲反応性HA抗原、特に、ウイルス抗原に結合し、ウイルスの活性(例えば、細胞に感染する能力)を中和して、インフルエンザ及びその症状をより効果的に治療する中和抗体の形態を提供する。
【0118】
インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)タンパク質
HAは、概しておよそ560個のアミノ酸(例えば、566個のアミノ酸)を含み、全ウイルスタンパク質の25%を占めるウイルス表面糖タンパク質である。本明細書に記載される場合、HAは、感染中にインフルエンザウイルスのHA抗原に遭遇する対象又は宿主において抗体が生成されるエピトープの多様なレパートリーを含有するため、免疫原として非常に有用であるタンパク質抗原である。
【0119】
HAは、感染の早期に、ウイルス粒子の宿主細胞、特に呼吸上皮への接着及びその浸透に関与する。ウイルスHA0前駆体のHA1及びHA2サブ断片への切断は、ウイルスが細胞に感染するために必要なステップである。したがって、切断は、宿主細胞内の新しいウイルス粒子を、新しい細胞に感染させることができるビリオンに変換するために必要である。切断は、感染細胞の内質網から形質膜への一体型HA0膜タンパク質の輸送中に起こることが既知である。輸送中、HAは、アミノ末端断片HA1(「ヘッド」)及びカルボキシ末端HA2(「テール」又は「ストーク」)への前駆体HAのタンパク質分解切断を含む、一連の同時及び翻訳後修飾を受ける。一次組織培養又は確立された細胞株におけるインフルエンザ株の成長における主要な困難の1つは、宿主細胞におけるインフルエンザヘマグルチニンのタンパク質分解切断活性化の必要性から生じる。
【0120】
未切断のHAは、細胞表面上のそのノイラミン酸含有受容体へのウイルスの付着を媒介することができることが既知であるが、それは、感染サイクルの次のステップ、すなわち融合を可能にすることはできない。HA2の疎水性アミノ末端を切断して標的細胞に挿入し、それによってウイルスと標的細胞膜との間に架橋を形成できるようにするように、HA2の疎水性アミノ末端の曝露が必要であることが報告されている。このプロセスの後、2つの膜が融合し、ウイルスが標的細胞に侵入する。
【0121】
HAのタンパク質分解活性化は、しばしばカルシウム依存性であり、中性のpH最適値を有する細胞内酵素であるトリプシン様エンドプロテアーゼによるアルギニン残基での切断を伴う。活性化プロテアーゼは細胞酵素であるため、感染細胞型はHAが切断されているかどうかを決定する。哺乳動物インフルエンザウイルス及び非病原性鳥インフルエンザウイルスのHAは、限定された数の細胞型においてのみタンパク質分解切断に感受性である。他方では、例として、H5及びH7亜型の中の病原性鳥ウイルスのHAは、広範囲の異なる宿主細胞に存在するプロテアーゼによって切断される。したがって、ウイルスの病原性と相関するヘマグルチニン切断性の違いから生じる宿主範囲の違いが存在する。
【0122】
ノイラミニダーゼ(NA)は、インフルエンザウイルスの第2の膜糖タンパク質である。ウイルスNAの存在は、感染ウイルスに対する多面的な保護的免疫応答を生成するために重要であることが示されている。ほとんどのインフルエンザAウイルスについて、NAは413個のアミノ酸長であり、1413個のヌクレオチドの遺伝子によってコードされる。インフルエンザウイルスにおいて9種類の異なるNA亜型(N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8及びN9)が特定されており、これらは全て、野鳥において見出されている。NAは、感染細胞の表面上の炭水化物部分からの末端ニューラミン酸(シアル酸とも呼ばれる)残基を切断することによって、ウイルスHAの細胞受容体の破壊に関与する。NAはまた、ウイルスタンパク質からシアル酸残基を切断し、ウイルスの凝集を防止する。このメカニズムを用いて、NAは、新たに形成されたウイルス粒子が細胞膜に沿って蓄積するのを防ぐこと、及び粘膜表面に存在する粘液を介したウイルスの輸送を促進することによって、ウイルス子孫の放出を促進すると仮定される。NAは、抗原変異の影響を受ける重要な抗原決定基である。
【0123】
表面タンパク質HA及びNAに加えて、インフルエンザウイルスは、ポリメラーゼ遺伝子PB1、PB2及びPA、マトリックスタンパク質M1及びM2、核タンパク質(NP)、並びに非構造タンパク質NS1及びNS2を含む8つの異なるタンパク質を生じる6つの追加の内部遺伝子を含む(例えば、Horimoto et al.,2001,Clin Microbiol Rev.14(1):129-149を参照されたい)。
【0124】
子孫ビリオンにパッケージングするために、ウイルスRNAは、インフルエンザウイルスマトリックス1(M1)タンパク質及び核輸出タンパク質に関連して、3種類のインフルエンザウイルスポリメラーゼタンパク質、核タンパク質(NP)、及びウイルスRNAから構成されるリボ核タンパク質(RNP)複合体として核から輸送される(Marsh et al.,2008,J Virol,82:2295-2304)。エンベロープ内にあるM1タンパク質は、組み立て及び出芽において機能すると考えられている。限られた数のM2タンパク質がビリオンに組み込まれる(Zebedee,1988,J.Virol.62:2762-2772)。これらのM2タンパク質は、H+イオンチャネル活性を有する四量体を形成し、エンドソーム内の低pHによって活性化されると、ビリオンの内部を酸性化し、したがって、その脱殻を促進する(Pinto et al.,1992,Cell 69:517-528)。アマンタジンは、M2イオンチャネル活性を妨害することでウイルス感染を予防し、ウイルスの脱殻を阻害する抗インフルエンザ薬物である。
【0125】
非構造タンパク質であるNS1は、細胞mRNAのスプライシング及び核輸出の調節、並びに翻訳の刺激を含む複数の機能を有する。NS1の主な機能は、NS1ノックアウトウイルスは生存可能であったが、インターフェロン非感染性細胞では親ウイルスほど効率的に成長しなかったため、宿主のインターフェロン活性に対抗することであると思われる(Garcia-Sastre,1998,Virology 252:324-330)。
【0126】
NS2非構造タンパク質は、ウイルス粒子中で検出されている(Richardson et al.,1991,Arch.Virol.116:69-80、Yasuda et al.,1993,Virology 196:249-255)。ウイルス粒子中のNS2タンパク質の平均数は、130~200個の分子であると推定された。インビトロ結合アッセイは、M1とNS2との間のタンパク質-タンパク質の直接接触を実証している。NS2-M1複合体はまた、ウイルス感染細胞溶解物中の免疫沈降によって検出されている。NS2タンパク質は、M1タンパク質との相互作用を介した核からのRNPの輸出において役割を果たすと考えられている(Ward et al.,1995,Arch.Virol.140:2067-2073)。
【0127】
ウイルスタンパク質及びウイルス様粒子(VLP)
感受性の対象へ投与及び送達の後に、予防的又は治療的のいずれかでインフルエンザ及びその症状に対して広範囲に活性な免疫応答を生成する能力をHA抗原に与える多様なエピトープ(抗原決定基)を含有する、非天然型の広範囲反応性インフルエンザ(例えば、H1又はH3)HA免疫原性ポリペプチド(免疫原)及びインフルエンザウイルスHA免疫原を含むウイルス様粒子(VLP)が提供される。例として、代表的なインフルエンザウイルスHA免疫原性抗原配列は、本明細書(実施例1)で配列番号1~17に示される。特定的な実施形態では、広範囲反応性HAポリペプチドは、VLPの一部として投与される。複数の実施形態では、VLPは、本明細書に記載の1つ以上の広範囲反応性インフルエンザHA免疫原性抗原をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含有する。
【0128】
本明細書に記載及び提供されるインフルエンザウイルス免疫原及び配列は、これらの特性及び特徴が明示的に記載されているかどうかにかかわらず、非天然型で広範囲反応性であることが理解されるであろう。本明細書に記載され、免疫原として使用される抗原タンパク質は、対象における免疫応答、例えば、中和抗体及び/又は細胞免疫応答を誘発する非天然型又は合成抗原であることが更に理解されるであろう。
【0129】
インフルエンザVLPは、ウイルスHA、NA及びM1タンパク質を含む。インフルエンザVLPの産生は、当該技術分野で説明されており、当業者の技能及び専門知識の範囲内である。簡潔に、かつ説明されるように、インフルエンザVLPは、HA、NA及びM1タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含有する1つ以上のプラスミドによる宿主細胞のトランスフェクションによって産生することができる。トランスフェクトされた細胞を適切な時間インキュベートしてタンパク質発現を可能にした後(例えば、およそ72時間)、VLPを細胞培養上清から単離することができる。インフルエンザVLPは、当該技術分野で実践される手順を使用して細胞上清から精製することができ、例えば、VLPは、低速遠心分離(細胞デブリを除去するため)、高減圧濾過、及び20%グリセロールによる超遠心分離によって単離することができる。ある実施形態では、他の病原体に由来する広範囲抗原を含有するVLPもまた、産生され、単離され、免疫原として、又は免疫原性組成物において使用され得る。
【0130】
インフルエンザVLPを、インフルエンザワクチンとして使用して、H1又はH3インフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発することができる。特に、ワクチン(又はVLP)の成分である広範囲反応性インフルエンザHAポリペプチドは、広範囲反応性であり、ウイルスに感染した対象を治療する(例えば、感染ウイルスを中和する)ことができ、かつ/又は本格的なウイルス感染若しくはその徴候及び症状から対象を保護することができる対象における免疫応答(例えば、中和抗体及び/又は活性化T細胞の産生)を誘発するのに役立つ抗原決定基を含有する。
【0131】
ある実施形態では、H1又はH3 HA抗原などの本明細書に記載の広範囲反応性かつ免疫原性のインフルエンザ抗原の抗原配列は、ウイルスの抗原タンパク質における連続抗原変異及び配列変動性を反映することができるエピトープ決定基の多様なレパートリーを含有する。特に、本明細書に記載のインフルエンザウイルスHA抗原は、特に、抗原が免疫原性産物、(免疫原)、例えば、対象に導入される抗ウイルスワクチンとして使用される場合に、広範囲反応性中和抗体を上昇させることができる連続変異バリアントを含む、配列多様なインフルエンザウイルス株に由来する抗原決定基(エピトープ)を含有するアミノ酸配列を含むことができる。ある実施形態では、H1又はH3免疫原性抗原配列は、配列番号1~17に記載される通りである。ある実施形態では、HA免疫原性抗原は、全長HAポリペプチドである。ある実施形態では、HA免疫原性抗原は、膜貫通ドメイン及びテールドメインを欠く可溶性HAポリペプチド(sHA)である。
【0132】
本明細書に記載され、免疫原又は免疫原性組成物、例えばワクチンとして使用される広範囲反応性インフルエンザHA抗原及びその配列は、免疫能のある対象において広範囲反応性免疫応答を誘発するため、それらは、広範囲に活性な免疫応答(例えば、広範囲に活性な中和抗体及び/又は細胞免疫応答)が生成される、異なるインフルエンザアイソレート(亜型又は株)の抗原決定基を捕捉する優れた免疫原性産物(例えば、ワクチン)を提供する。「広範囲に活性」及び「広範囲反応性」という用語は、本明細書において同義的に使用されることに留意されたい。
【0133】
ある実施形態では、本明細書に記載のインフルエンザウイルス抗原は、現時点でインフルエンザ、インフル、又は感染性気管支炎などの疾患又は感染及びその症状を引き起こすウイルスのポリペプチド又はペプチド抗原である。別の実施形態では、インフルエンザウイルス抗原は、将来の疾患及び感染を引き起こし得るポリペプチド又はペプチド抗原である。ある実施形態では、インフルエンザウイルス抗原は、ポリヌクレオチド配列である。ある実施形態では、インフルエンザウイルス抗原は、本明細書に記載のポリペプチド又はペプチド抗原をコードするポリヌクレオチド配列である。例として、代表的な広範囲反応性インフルエンザウイルスHA免疫原性抗原配列は、以下の実施例1で配列番号1~17に提供される。
【0134】
別の実施形態では、本明細書に記載のインフルエンザ免疫原配列は、細胞内でポリペプチド、タンパク質、又はペプチドとして発現される。ある実施形態では、インフルエンザ免疫原は、単離及び/又は精製される。ある実施形態では、免疫原は、必要とする対象に投与するために製剤化される。ある実施形態では、免疫原は、有効量でそれを必要とする対象に投与され、対象において免疫応答を誘発する。ある実施形態では、免疫応答は、中和抗体を誘発する。ある実施形態では、細胞免疫応答が誘発される。ある実施形態では、免疫応答は、予防的又は治療的である。
【0135】
ある実施形態では、対象への免疫原の導入、投与、又は送達の後に、対象において広範囲反応性免疫応答を誘発する非天然型インフルエンザウイルス免疫原(免疫原配列)、例えば、ワクチンが提供される。導入、投与、又は送達の経路は限定されず、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、経口などの経路を含み得る。ワクチンは、治療的であってもよい(例えば、インフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患(インフルエンザ又は気管支炎)の症状の後に対象に投与されてもよい)、又は予防的(保護的)であってもよい(例えば、対象がウイルスによって引き起こされる疾患(インフル又は気管支炎)、又は本格的な疾患を有するか、又はその症状を発症する前に対象に投与されてもよい)。
【0136】
ある実施形態では、ウイルス抗原(例えば、HA)の最終アミノ酸配列は、逆翻訳され、哺乳動物細胞における発現のために最適化される。当業者には理解されるであろうように、核酸配列の最適化には、哺乳動物細胞における配列の発現のためのコドンの最適化及びRNA最適化(RNA安定性など)が含まれる。
【0137】
ある実施形態では、インフルエンザウイルスHAポリペプチドなどのポリペプチド又はペプチド抗原をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子(ポリヌクレオチド)が提供される。特定の実施形態では、HAポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、本明細書の配列番号1~17のHAポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドに対して、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である。
【0138】
他の実施形態では、本明細書の配列番号1~17のインフルエンザウイルスHAポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるインフルエンザウイルスHAポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、N末端メチオニンをコードする開始コドンを欠いている。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、N末端メチオニンをコードする開始コドンをコードする。
【0139】
非天然型の広範囲反応性ポリペプチド又はペプチド抗原、例えば、インフルエンザHAポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有するベクターが提供される。いくつかの実施形態では、ベクターは、本明細書の配列番号1~17のHAポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドに対して、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である、ポリペプチド又はペプチド抗原、例えば、インフルエンザH1又はH3 HAポリペプチド抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、HAポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを更に含む。特定的な実施形態では、プロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。いくつかの実施形態では、ベクターのヌクレオチド配列は、本明細書の配列番号1~17のHAポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドに対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である。特定的な実施形態では、ベクターのヌクレオチド配列は、本明細書の配列番号1~17のHAポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含む。複数の実施形態では、ベクターは、原核生物又は真核生物ベクターである。ある実施形態では、ベクターは、真核生物(例えば、哺乳動物)発現ベクターなどの発現ベクターである。別の実施形態では、ベクターは、プラスミド(原核生物又は細菌)ベクターである。別の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。
【0140】
インフルエンザウイルス抗原、例えば、本明細書に記載のHAタンパク質などのH1又はH3ウイルスタンパク質を発現するために使用されるベクターは、当該技術分野で既知であり、かつ使用される任意の好適な発現ベクターであってもよい。ベクターは、例えば、哺乳動物発現ベクター又はウイルスベクターであり得る。いくつかの実施形態では、ベクターは、pTR600発現ベクター(参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2002/0106798号、Ross et al.,2000,Nat Immunol.1(2):102-103、及びGreen et al.,2001,Vaccine 20:242-248)である。
【0141】
細胞においてHAポリペプチドの発現を可能にするのに十分な条件下で、当該技術分野で既知であり、かつ使用される発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトすることによって産生される、インフルエンザウイルスに由来する非天然型ポリペプチド免疫原、例えば、H1又はH3インフルエンザHAポリペプチド抗原が提供される。ベクターを含有する単離された細胞も提供される。
【0142】
また、本明細書に記載の非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルス抗原ポリペプチド、例えば、広範囲反応性H1又はH3インフルエンザHAポリペプチドも提供される。特定の実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細書(実施例1)の配列番号1~17に示されるHAポリペプチドのアミノ酸配列に対して少なくとも95%~99%(境界を含む)同一である。特定の実施形態では、配列番号1~17のHAポリペプチドのアミノ酸配列に対して少なくとも95%~99%(境界を含む)同一であるインフルエンザHAポリペプチドのアミノ酸配列は、N末端メチオニン残基を欠いている。特定の実施形態では、インフルエンザHAポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1~17のHAポリペプチドのアミノ酸配列に対して少なくとも95%~99%(境界を含む)同一である。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の広範囲反応性インフルエンザウイルス抗原ポリペプチド、例えば、限定されないが、本明細書に開示されるHAポリペプチドを含む融合タンパク質も提供される。いくつかの実施形態では、インフルエンザHAポリペプチドは、任意の異種アミノ酸配列に融合され、融合タンパク質を形成することができる。例として、HA1及びHA2ポリペプチドを独立して生成し、次いで一緒に融合して、インフルエンザHAポリペプチド抗原を産生してもよい。
【0144】
また、本明細書に記載のウイルス様粒子(VLP)、特に、広範囲反応性タンパク質抗原、例えば、HAタンパク質を含有するH1又はH3インフルエンザVLPも提供される。特定の実施形態では、VLPのHAタンパク質は、本明細書の配列番号1~17に記載されるインフルエンザウイルスHAタンパク質に対して、少なくとも94%若しくはそれに等しく、少なくとも95%若しくはそれに等しく、少なくとも96%若しくはそれに等しく、少なくとも97%若しくはそれに等しく、少なくとも98%若しくはそれに等しく、少なくとも99%若しくはそれに等しく、又は100%同一である。ウイルス又はインフルエンザVLPは、ウイルス粒子を形成するために必要な任意の追加のウイルスタンパク質又はインフルエンザタンパク質を更に含み得る。特定の実施形態では、ウイルス又はインフルエンザVLPは、インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、インフルエンザマトリックス(M1)タンパク質、又はその両方を更に含む。
【0145】
HAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するベクターで宿主細胞をトランスフェクションすることによって産生される、本明細書に記載のH1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチドを含有するインフルエンザVLPもまた提供される。複数の実施形態では、ポリヌクレオチドは、DNA又はRNA、例えば、mRNAである。特定の実施形態では、インフルエンザウイルスHA、NA及びM1タンパク質の発現を可能にするのに十分な条件下で、インフルエンザウイルスHAポリペプチドをコードするベクター、インフルエンザNAタンパク質をコードするベクター、及びインフルエンザM1タンパク質をコードするベクターにより宿主細胞をトランスフェクトすることによって産生される、本明細書に記載のインフルエンザHAポリペプチドを含有するインフルエンザVLPも提供する。そのようなVLPは、配列番号1~17に記載の配列を含み、本明細書に記載のインフルエンザウイルス型の異なる株に対して高いヘマグルチニン阻害(HAI)力価を有する抗体を免疫原として生成するために使用される。
【0146】
プラスミド(ベクター)の集合体も企図される。特定の実施形態では、プラスミドの集合体は、インフルエンザウイルスNAをコードするプラスミド、インフルエンザMAをコードするプラスミド、及び本明細書に記載される広範囲反応性インフルエンザウイルスHAタンパク質をコードするプラスミドを含む。いくつかの実施形態では、HAコードプラスミドのインフルエンザHAタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~17に示されるHAアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である。いくつかの実施形態では、HAコードプラスミドのコドン最適化インフルエンザHAタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~17に示されるインフルエンザHAアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である。別の実施形態では、プラスミドの集合体は、配列番号1~17に示されるHAアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、本明細書に記載の広範囲反応性HAタンパク質をコードするプラスミドを含有する。
【0147】
本開示の文脈において、「広範囲反応性」又は「広範囲に活性」とは、免疫原性であり、対象において、疾患若しくは感染を治療するか、及び/又は特定の亜型内のインフルエンザウイルスの大部分若しくは全てによって引き起こされる、若しくは関連するウイルス株によって引き起こされる感染を阻害、中和、若しくは予防するのに十分な免疫応答(例えば、広範囲反応性タンパク質免疫原に含まれるエピトープに対して指向される中和抗体、頻繁にT細胞応答を伴う)を誘発するエピトープ(抗原決定基)の多様性を含有するインフルエンザウイルスタンパク質(例えば、H1若しくはH3 HAタンパク質配列)を指す。複数の実施形態では、広範囲反応性H1又はH3インフルエンザウイルス由来のHA抗原タンパク質は、既知のH1又はH3インフルエンザウイルスアイソレートの大部分又は全て、例えば、既知のH1又はH3インフルエンザウイルスアイソレートの約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約96%~99%などに対する保護的免疫応答を誘発することができる。特定の実施形態では、広範囲反応性H1又はH3インフルエンザウイルス由来の抗原タンパク質、例えば、HAタンパク質は、既知のH1又はH3インフルエンザウイルスアイソレートの大部分又は全て、例えば、既知のH1又はH3インフルエンザウイルスアイソレートの約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約96%~99%に対する保護的免疫応答を誘発することができる。
【0148】
投与のための組成物及び薬学的組成物
広範囲反応性インフルエンザHAタンパク質、又は本明細書に記載されるそのような広範囲反応性インフルエンザ又はHAタンパク質を含む融合タンパク質又はVLPを含む組成物が提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、又はビヒクルを更に含む。いくつかの実施形態では、アジュバント(免疫応答を改変又は増強する、例えば、より長持ちするより多くの抗体を産生する薬理学的又は免疫学的薬剤)も使用される。例えば、限定されないが、アジュバントは、無機化合物、例えば、ミョウバン、水酸化アルミニウム、又はリン酸アルミニウム;鉱物又はパラフィン油;スクワレン;洗剤、例えば、Quil A;植物サポニン;フロイント完全又は不完全アジュバント、生物学的アジュバント(例えば、サイトカイン、例えば、IL-1、IL-2、又はIL-12);細菌産物、例えば、死滅したBordetella pertussis、若しくはトキソイド;又は免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)であり得る。
【0149】
非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスHAポリペプチド及び非経口投与のためのインフルエンザウイルス様粒子(VLP)を含有する組成物及び調製物(例えば、生理学的又は薬学的に許容される組成物)としては、無菌の水性又は非水性溶液、懸濁液、及びエマルションが挙げられるが、これらに限定されない。非水性溶媒の非限定的な例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油及びキャノーラ油などの植物性油、並びにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。水性担体には、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール性/水性溶液、エマルション、又は懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルとしては、例えば、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、又は固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、例えば、流体及び栄養補充剤、電解質補充剤(リンゲルデキストロースに基づくものなど)などが挙げられる。保存剤及び他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性気体なども、そのような組成物及び調製物中に存在し得る。
【0150】
本組成物のうちのいくつかは、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、及びリン酸などの無機酸、並びにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、及びフマル酸などの有機酸との反応によって、又は水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、並びにモノアルキル、ジアルキル、トリアルキル及びアリールアミン、及び置換エタノールアミンなどの有機塩基との反応によって形成される薬学的に許容される酸付加塩又は塩基付加塩として潜在的に投与され得る。
【0151】
治療有効量の非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスタンパク質HA抗原、又はインフルエンザVLPを単独で、又は薬学的に許容される担体と組み合わせて含む薬学的組成物が本明細書に提供される。複数の実施形態では、インフルエンザウイルスHA抗原は、例えば、本明細書の配列番号1~17に示される配列を有するH1又はH3インフルエンザウイルスのものを含む。薬学的に許容される担体には、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。担体及び組成物は滅菌することができ、製剤は投与様式に適している。組成物はまた、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含有し得る。組成物は、液体又は水溶液、懸濁液、エマルション、分散液、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、又は徐放性製剤であり得る。液体組成物又は水性組成物は、凍結乾燥させ、使用前に溶液又は緩衝液で再構成することができる。組成物は、トリグリセリドなどの従来の結合剤及び担体とともに、坐剤として製剤化することができる。経口製剤は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの医薬品グレードなどの標準的な担体を含み得る。滅菌生理食塩水又はゴマ油などの一般的に既知である薬学的担体のいずれかを使用することができる。媒体はまた、例えば、浸透圧、緩衝液、保存剤などを調節するための薬学的に許容される塩などの従来の薬学的補助材料を含有し得る。説明されるような組成物及び投与方法で使用され得る他の媒体は、生理食塩水及びゴマ油である。
【0152】
治療、投与及び送達の方法
インフルエンザウイルス(例えば、H1又はH3インフルエンザウイルス)によって引き起こされる疾患若しくは感染、又はその症状を治療する方法が提供される。本方法は、治療有効量の本明細書に記載の広範囲反応性免疫原、又は本明細書に記載の免疫原を含む薬学的組成物、又はワクチン(例えば、VLPワクチン)を、対象(例えば、哺乳動物)、特にヒト対象、非ヒト動物若しくは獣医学的対象、又は鳥類対象に投与することを含む。投与するという用語は、対象の接種、免疫付与、又はワクチン接種を包含することを理解されたい。免疫付与及びワクチン接種(「免疫付与/ワクチン接種」)という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0153】
一実施形態は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患若しくは感染、又はその症状に罹患しているか、又は罹患するリスクがあるか、若しくはそれに対して感受性がある対象を治療する方法を含む。本方法は、疾患、感染、及び/又はその症状が治療される条件下で、インフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患、感染、又はその症状を治療するのに十分な量又は治療量のHAポリペプチド又はVLPなどの非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルス抗原ポリペプチドを含む免疫原性組成物又はワクチンを、対象(例えば、哺乳動物対象)に投与することを含む。
【0154】
ある実施形態では、本明細書の方法は、対象(そのような治療を必要とすると特定されるヒト対象又は非ヒト対象を含む)に、有効量の本明細書に記載のH1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチドなどの非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルス抗原ポリペプチド、又はワクチン、又は本明細書に記載の組成物を投与して、免疫応答をもたらすことを含む。治療方法は、疾患、障害、感染、又はその症状、例えば、インフル若しくはインフルエンザ、又は感染性気管支炎に罹患しているか、有するか、それに対して感受性があるか、又は有するリスクがある対象、特にヒトに適切に投与される。複数の実施形態では、治療方法は、非ヒト動物対象、獣医学的対象、又は鳥類対象などの非ヒト対象にも好適に投与される。そのような治療を必要とする対象を特定することは、対象又は医療若しくは獣医医療専門家の判断に基づくことができ、主観的(例えば、意見)又は客観的(例えば、試験若しくは診断方法によって測定可能)であり得る。簡潔には、治療を必要とする対象、又は「リスクがある」又は「感受性がある」対象の決定は、対象又は医療提供者の意見を含む、診断試験(例えば、遺伝子検査、酵素又はタンパク質マーカーアッセイ)、マーカー分析、家族病歴などによる任意の客観的又は主観的決定によって行うことができる。本明細書に記載のH1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチド、免疫原、及びワクチンなどの非天然型の広範囲反応性ウイルス免疫原は、H1又はH3インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染又は疾患が関与し得る任意の他の障害の治療にも使用することができる。治療を受ける対象は、非ヒト哺乳動物、例えば、獣医学的対象、鳥類対象、又はヒト対象(「患者」とも称される)であり得る。
【0155】
加えて、インフルエンザウイルス、例えば、H1又はH3インフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患若しくは感染、又はその症状を予防又は保護する予防的方法が提供される。そのような方法は、治療有効量の本明細書に記載のH1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチド免疫原性組成物又はワクチン(例えば、H1又はH3インフルエンザウイルスVLPワクチン)を含む薬学的組成物を、特に、対象の感染の前に、又はH1若しくはH3ウイルス関連疾患などの疾患の発症の前に、必要とする対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与することを含む。
【0156】
別の実施形態では、例えば、H1若しくはH3インフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス感染若しくは疾患の進行を監視する方法、又はインフルエンザウイルス感染若しくは疾患の治療を監視する方法が提供される。本方法は、インフルエンザウイルスに関連する感染、疾患又はその症状に罹患しているか、又はそれに対して感受性である対象における診断マーカー又はバイオマーカー(例えば、H1又はH3 HAなどのインフルエンザウイルスタンパク質)、又は診断測定(例えば、スクリーニングアッセイ又は検出アッセイ)のレベルを決定することを含み、対象は、感染、疾患、又はその症状を治療するのに十分な量(例えば、治療量)の本明細書に記載の非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスHAタンパク質免疫原、又は本明細書に記載のワクチンを投与されている。本方法で決定されるマーカー又はバイオマーカー(例えば、ウイルスタンパク質)のレベル又は量を、健康な(感染していない)正常対照からの試料中、対象の感染前又は疾患前の試料中、又は他の罹患/感染/疾患患者中のマーカー又はバイオマーカーの既知のレベルと比較して、治療対象の疾患状態を確立することができる。監視のために、対象から得られた試料中のマーカー又はバイオマーカーの第2のレベル又は量は、第1のレベル又は量の決定よりも後の時点で決定され、2つのマーカー又はバイオマーカーのレベル又は量を比較して、疾患又は感染の経過、又は療法/治療の有効性を監視することができる。特定の実施形態では、対象における(例えば、対象から得られた試料中の)マーカー又はバイオマーカーの治療前レベルは、記載されるような治療を開始する前に決定される。次いで、このマーカー又はバイオマーカーの治療前レベルを、治療開始後及び/又は治療過程中の対象におけるマーカー又はバイオマーカーのレベルと比較して、疾患治療の有効性を決定する(その有効性を監視する)ことができる。記載される方法では、対象は、ヒト対象若しくは患者、又は非ヒト動物若しくは獣医学的対象であり得る。
【0157】
説明されるようなH1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチドなどの非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスポリペプチド、並びにそのようなHAポリペプチドを含むVLP、又はその組成物は、組換えタンパク質、組換えタンパク質を含有する組成物、又は組換えウイルスを対象に導入するために通常使用される経路のいずれかによって対象に投与することができる。投与の経路及び方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、くも膜下腔内、非経口、例えば、静脈内(IV)又は皮下(SC)、膣、直腸、鼻腔内、吸入、眼内、頭蓋内、又は経口が挙げられるが、これらに限定されない。皮下投与、静脈内投与、又は筋肉内投与などの非経口投与は、一般に、注射(免疫付与)によって達成される。注射剤は、液体溶液又は懸濁液、注射前の液体中の溶液又は懸濁液に好適な固体形態(例えば、凍結乾燥形態)、あるいはエマルションのいずれかとして、従来の形態及び製剤で調製され得る。注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。投与は、全身又は局所であり得る。
【0158】
非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスポリペプチド、例えば、記載されるH1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチド、及びそのようなHAポリペプチドを含むVLP、又はその組成物は、上述のような薬学的に許容される担体とともになど、任意の好適な方法で投与され得る。薬学的に許容可能な担体は、投与される特定の免疫原又は組成物によって、並びに組成物を投与するために使用される特定の方法によって部分的に決定される。したがって、免疫原性の非天然型のインフルエンザウイルス抗原ポリペプチド、例えば、記載されるH1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチドを含む薬学的組成物、及びそのようなHAポリペプチドを含むVLP、又はその組成物は、多種多様の好適で生理学的及び薬学的に許容される製剤を使用して調製することができる。
【0159】
広範囲反応性免疫原性ウイルス抗原ポリペプチド、例えば、記載されるH1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチド、及びそのようなHAポリペプチドを含むVLP、又はその組成物の投与は、単回用量又は複数回用量によって達成され得る。対象に投与される用量は、例えば、インフルエンザウイルス(例えば、H1又はH3インフルエンザウイルス)による疾患又は感染を阻害、遮断、低減、改良、保護、又は予防するために、経時的に有益な治療応答を対象に誘導するのに十分であるべきである。必要な用量は、対象の種、年齢、体重、及び一般的な状態に応じて、治療されている感染の重症度によって、使用されている特定の組成物によって、及び投与方法によって、対象毎に変化するであろう。適切な用量は、通常の実験のみを使用して、臨床医又は医療従事者などの当業者によって決定することができる。
【0160】
記載される非天然型の広範囲反応性H1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチド、又はそのようなHAポリペプチドを含むVLP、その組成物、あるいは本明細書に記載のH1又はH3インフルエンザウイルスHAポリペプチドを含有する融合タンパク質を対象に投与することによる、対象におけるインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発する方法を更に提供する。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHAタンパク質、融合タンパク質、又はVLPは、例えば筋肉内注射などの任意の好適な投与経路を使用して投与することができる。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHAタンパク質、融合タンパク質、又はVLPは、薬学的に許容される担体を含む組成物として投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、ミョウバン、フロイント完全又は不完全アジュバント、生物学的アジュバント又は免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えばCpGオリゴヌクレオチド)から選択されるアジュバントを含む。他の実施形態では、組成物は、当業者によって使用されるように、別の治療薬剤又は分子、例えば、抗ウイルス剤又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与され得る。
【0161】
本明細書に記載の非天然型の広範囲反応性H1又はH3インフルエンザHAタンパク質を含有するVLPを対象に投与すること、又はその免疫原性組成物を投与することを含む、H1又はH3インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染又は疾患又はその症状に対して対象を免疫付与する方法も提供する。方法のいくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体及び/又はアジュバントを更に含む。例えば、アジュバントは、ミョウバン、フロイント完全又は不完全アジュバント、生物学的アジュバント又は免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えばCpGオリゴヌクレオチド)であり得る。ある実施形態では、VLP(又はその組成物)は、筋肉内に投与される。
【0162】
インフルエンザウイルス(例えば、H1又はH3インフルエンザ)によって引き起こされるか、又はそれに関連するウイルス感染又は疾患に対する免疫応答を誘発するか、又は対象に免疫付与する方法のいくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1μgの非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルス(例えば、H1又はH3インフルエンザ)HAタンパク質を含有するVLP、少なくとも5μg、少なくとも10μg、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも40μg g、又は少なくとも50μgの非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスHAタンパク質を含有するVLP、例えば、約1~約50μg、又は約1~約25μgのインフルエンザウイルスHAタンパク質を含有するVLPを投与される。特定の例では、対象は、約5~約20μgのVLP、又は約10~約15μgのVLPを投与される。具体的であるが非限定的な例では、対象は、約15μgのVLPを投与される。しかしながら、当業者は、治療又はウイルス感染からの保護を必要とする対象に投与するのに好適な治療有効量のVLP(例えば、治療効果又はインフルエンザウイルス(例えば、H1又はH3インフルエンザ)感染に対する保護を提供する量)を決定することができる。
【0163】
本明細書に記載されるような非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスHAタンパク質を含むVLPの投与は、HAタンパク質免疫原上のエピトープ決定基の多様なレパートリーに対して指向される高力価の中和抗体、並びにいくつかの代表的なインフルエンザアイソレートに対して指向され、インフルエンザウイルス(例えば、H1又はH3インフルエンザ)及び/又は関連するインフルエンザウイルス型による致死的チャレンジに対する完全な保護を提供する治療的レベル又は保護レベルのHA阻害(HAI)抗体を誘発することが予想される。本明細書に記載の非天然型の広範囲反応性インフルエンザHAタンパク質(例えば、H1又はH3インフルエンザHAタンパク質)を含有するVLPは、より広範囲の免疫応答を誘発する(例えば、多価インフルエンザウイルス(例えば、多価H1又はH3インフルエンザウイルス)ワクチンによって誘発される免疫応答と比較して、例えば、より広範囲のインフルエンザウイルスアイソレートに対して指向される中和抗体を誘発する)。
【0164】
アジュバント及び併用療法
本明細書に記載のインフルエンザタンパク質抗原(例えば、H1若しくはH3インフルエンザHA抗原)を含有するか、又はインフルエンザウイルス(例えば、H1若しくはH3インフルエンザウイルス)VLPを含有するインフルエンザウイルス免疫原又は免疫原性組成物を、単独で、又は他の治療薬剤と組み合わせて投与して、対象における抗原性又は免疫原性を増強し、すなわち、特異的抗体の誘発などの免疫応答を増加させることができる。例として、H1又はH3インフルエンザウイルスVLPは、アジュバント、例えば、ミョウバン、フロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバント、ADDAVAX(商標)アジュバント、生物学的アジュバント、又は免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)とともに投与することができる。ADDAVAX(商標)アジュバント(InvivoGen、San Diego,CA;ThermoFisher)は、MF59(登録商標)と同様の製剤を有するスクワレン系の水中油型ナノエマルションである。そのようなスクワレン水中油型エマルションアジュバントは、細胞(Th1)及び体液(Th2)の両方の免疫応答を誘発し、抗原提示細胞(APC)の動員及び活性化、並びにマクロファージ及び顆粒球によるサイトカイン及びケモカインの産生の刺激によって作用すると考えられる。
【0165】
1つ以上のサイトカイン、例えば、インターロイキン-1(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-12(IL-12)、タンパク質記憶T細胞誘引剤「活性化で調節され、正常なTが発現及び分泌される」(RANTES)、顆粒球-マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF)、腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)、又はインターフェロン-ガンマ(IFN-γ);1つ以上の成長因子、例えば、GM-CSF、又は顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF);1つ以上の分子、例えば、TNFリガンドスーパーファミリーメンバー4リガンド(OX40L)、又はTNFスーパーファミリーに属する2型膜糖タンパク質受容体(4-1BBL)、又はこれらの分子の組み合わせを、所望な場合、又は保証された場合、生物学的アジュバントとして使用することができる(例えば、Salgaller et al.,1998,J.Surg.Oncol.68(2):122-38、Lotze et al.,2000,Cancer J.Sci.Am.6(Suppl 1):S61-6、Cao et al.,1998,Stem Cells 16(Suppl 1):251-60、Kuiper et al.,2000,Adv.Exp.Med.Biol.465:381-90を参照されたい)。これらの分子は、対象に全身的に(又は局所的に)投与することができる。別の実施形態では、当業者によって使用される1つ以上の抗ウイルス剤(例えば、限定されないが、インフルエンザ薬物であるRapivab(ペラミビル)、Relenza(ザナミビル)、Tamiflu(リン酸オセルタミビル)、又はXofluza(バロキサビルマルボキシル))は、対象に同時投与され得る。
【0166】
インビトロ及びインビボの両方で細胞応答を誘導するいくつかの方法は、当該技術分野で既知であり、実践されている。脂質は、様々な抗原に対してインビボで細胞傷害性リンパ球(CTL)をプライミングすることを支援することができる薬剤として特定されてきた。例えば、パルミチン酸残基をリジン残基のアルファ及びエプシロンアミノ基に結合させ、次いで(例えば、グリシン、グリシン-グリシン、セリン、セリン-セリンなどの1つ以上の連結残基を介して)免疫原性ペプチドに連結することができる(米国特許第5,662,907号)。次いで、脂質化ペプチドをミセル形態で直接注射するか、リポソームに組み込むか、又はアジュバント中で乳化させることができる。別の例として、トリパルミトイル-S-グリセリルシステインリセリル-セリンなどのE.coliリポタンパク質を使用して、適切なペプチドに共有結合したときに腫瘍特異的CTLをプライミングすることができる(例えば、Deres et al.,1989,Nature 342:561を参照されたい)。更に、中和抗体の誘導は、適切なエピトープを提示するペプチドにコンジュゲートされた同じ分子でプライミングすることもでき、そのような組み合わせが望ましいと考えられる場合、2つの組成物を組み合わせて、体液性応答及び細胞媒介性応答の両方を誘発することができる。
【0167】
治療方法は、本明細書に記載の非天然型の広範囲反応性HA免疫原性タンパク質を含有するVLPの投与を含んでもよいが、当業者であれば、薬学的に許容される組成物の成分として、又は融合タンパク質として、非天然型の広範囲反応性HAタンパク質自体を(ウイルス粒子の非存在下で)、対象において免疫応答を誘発するためにそれを必要とする対象に投与することができることを理解するであろう。
【0168】
キット
また、例えば、必要とする対象に投与するための、記載されるような非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルス免疫原、又はワクチン、又は免疫原及び薬学的に許容される担体、希釈剤、若しくは賦形剤を含有する薬学的に許容される組成物を含有するキットも提供される。免疫原は、インフルエンザウイルス(例えば、H1又はH3インフルエンザウイルス)タンパク質(ポリペプチド)又はポリヌクレオチド(インフルエンザウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド)の形態であってもよく、例えば、本明細書に記載のH1又はH3インフルエンザウイルスHAであってもよい。本明細書に記載のプラスミドのうちの1つ以上、又はプラスミドの集合体を含有するキットも提供される。当業者には理解されるであろうように、そのようなキットは、必要に応じて、免疫原、ワクチン、又は組成物、希釈剤又は賦形剤を収容する1つ以上の容器と、使用説明書と、を含有してもよい。
【0169】
本明細書に記載の態様及び実施形態の実践は、特に示さない限り、十分に当該技術分野内である、分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技術を使用する。そのような技術は、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,second edition(Sambrook,1989)、“Oligonucleotide Synthesis”(Gait,1984)、“Animal Cell Culture”(Freshney,1987)、“Methods in Enzymology” “Handbook of Experimental Immunology”(Weir,1996)、“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(Miller and Calos,1987)、“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel,1987)、“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis,1994)、“Current Protocols in Immunology”(Coligan,1991)などの文献で完全に説明されている。これらの技術は、本明細書に記載及び/又は例示される態様及び実施形態のポリヌクレオチド及びポリペプチドの産生に適用可能であり、したがって、そのような態様及び実施形態を作製及び実践する際に考慮され得る。特定の実施形態のための有用な技術は、以下のセクションで説明される。
【実施例
【0170】
以下の実施例は、特定の特定的な特徴及び/又は実施形態を例示するために提供される。実施例は、本開示を説明される特定的な特徴又は実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。
【0171】
実施例1:インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)配列
この実施例は、全長の非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)免疫原性ポリペプチド抗原のアミノ酸配列、並びにH1N1及びH3N2などのインフルエンザH1及びH3型に由来する可溶性インフルエンザウイルスHA(sHA)抗原アミノ酸配列を提示する。ある実施形態では、HA抗原は、HA抗原が免疫原として対象又は宿主に投与されるときに、現在及び将来のH1又はH3 HA抗原(例えば、将来のインフルシーズン中の流行におけるインフルエンザウイルスのH1又はH3抗原)に対して広範囲反応性免疫応答を提供する、特定の時間枠(例えば、所与のスパンの年数又はインフルシーズン)におけるインフルエンザH1又はH3に由来するHA抗原のエピトープを提供する。免疫原として、非天然型HA免疫原性ポリペプチド抗原は、レシピエント対象又は宿主において、インフルエンザウイルス(例えば、ウイルス抗原)に対する広範囲反応性免疫応答(抗体及び/又は細胞免疫応答)を生成する。ある実施形態では、免疫原として使用されるHA抗原は、異なる(例えば、後続又は将来の)インフルシーズンに生じ得るインフルエンザウイルス株又は型に対して、対象において治療的及び/又は保護的免疫応答(例えば、抗体応答及び/又は細胞免疫応答)を生じさせる。例として、免疫原として使用するための非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)又はノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド抗原配列は、例えば、公開されているPCT出願番号WO2020/014673号又はWO2020/014675号に記載されているような方法によって生成されてもよく、その内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書のいくつかの事例では、広範囲反応性インフルエンザHA又はNA免疫原性ポリペプチド(又はペプチド)を生成するための方法は、「計算上最適化された広範囲反応性抗原(computationally optimized broadly reactive antigen)」(Cobra)方法と称され、その可溶性形態を含む非天然型の広範囲反応性インフルエンザウイルスHA又はNA免疫原性ポリペプチド(又はペプチド)は、「Cobra」抗原又は免疫原と称される。本明細書に提供されるH1又はH3ウイルスHAポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の通りである。
可溶性HA配列
H1N1可溶性HA配列
【0172】
実施例2:組換えインフルエンザウイルスHA免疫原性ペプチド(インフルエンザA(H3))を免疫原(ワクチン)として使用するフェレット及びマウス動物試験
免疫原(ワクチン)として組換えインフルエンザウイルスHA免疫原性ペプチド(インフルエンザA(H3N2)など)を使用して、事前免疫マウス及びナイーブマウス、並びに事前免疫フェレット及びナイーブフェレットにおいてインビボで試験を行い、インビボ動物モデルを使用して、季節性及びパンデミックインフルエンザウイルスに対する広範囲の保護的免疫応答を誘発する際の組換えインフルエンザHA免疫原の免疫原性及び有効性を決定した。事前免疫マウス及びフェレット動物は、通常、季節性インフルエンザウイルス抗原(例えば、HA)に対する既存の抗体を示さないため、疾患の予防及び/又は治療における治療薬として本明細書に記載のインフルエンザHA免疫原の有効性を評価するための関連する動物モデルを提供する。対照的に、ほとんどのヒト対象は、季節性インフルエンザウイルス抗原に対する既存の抗体を有する。実施例1に記載されるように、HAポリペプチド免疫原(複数可)(及び組換えHAポリペプチド免疫原(複数可))は、例えば、季節性又はパンデミックインフルエンザウイルスのものを表すHA配列を含有する、H1N1及びH3N2などのインフルエンザH1及びH3型に由来するインフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)抗原アミノ酸配列を構成する。以下の実施例では、「免疫付与」及び「ワクチン接種」という用語は、互換的に使用される。
【0173】
フェレット試験
広範囲反応性組換えHAポリペプチド免疫原を有するフェレットのウイルス感染及び免疫付与(ワクチン接種)
流行インフルエンザA(H1N1、H3N2)及びインフルエンザBウイルスに対する抗体が陰性であるフィッチフェレット(Mustela putorius furo、雌、6~12ヶ月齢)を下降させ、Triple F Farms(Sayre,PA)から購入した。フェレットを、Sani-Chips実験動物寝具(P.J.Murphy Forest Products、Montville,NJ)を含有するステンレス鋼ケージ(Shor-line、Kansas City,KS)に対で収容した。フェレットには、Teklad Global Ferret Diet(Harlan Teklad、Madison,WI)と、自由に摂取可能な新鮮な水を提供した。事前免疫ワクチン群では、フェレットをワクチン接種の60日前にCA/09、Pan/99、及びB/HK/01ウイルス株(各々10PFU)に感染させた。(図1)フェレットに、組換えインフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)免疫原性ポリペプチド抗原(Y4、Z1、NG3、IAN8、Q6、BC2、N1I(NA-Aとも称される)、及びN2A)、例えば、本明細書に記載の非天然型の広範囲反応性インフルエンザ免疫原性ポリペプチド(例えば、Y4(配列番号17);NG3(配列番号13)の八価製剤、並びにWO 2020/014673 A1において(例えば、Z1、IAN8)、WO 2021/142256 A2において(例えば、Q6(H7 HA)及びノイラミニダーゼ抗原、例えば、N1、N2、N1I(NA-A及びNA-D))、WO 2020/014656 A1において、Y.Huang et al.,2021,Vaccines,9:793.doi.org/10.3390/vaccines9070793において、又はJ.D.Allen and T.M.Ross,2022,J.Virology,Vol.96,No.7:doi.org/10.1128/jvi.01652-21(その全ての内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)により、鼻腔内ワクチン接種した(0日目及び28日目)。ワクチン免疫原は、アジュバントとして50μgの環状-ジ-AMPで製剤化された各抗原15μgを含有していた(InvivoGen、San Diego,CA)。フェレットは、最初のワクチン接種から28日後にブーストした。ワクチン接種前、及び初回ワクチン接種後28日目及び56日目に、全ての麻酔されたフェレットから前大静脈を介して血液を採取した。動物から採取した血清を遠心管に移し、2500rpmで遠心分離した。清澄化した血清を除去し、-20±5℃で凍結させた。対照(モック)フェレットを、50μgのc-ジ-AMPとともに製剤化した、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むプラセボで免疫付与した。全てのワクチン免疫原及びプラセボは、使用まで2℃~8℃の温度で冷蔵庫に保存した。
【0174】
ワクチン接種後56日目に、フェレットを、1mlの体積で10PFUのBris/18(H1N1)、10PFUのB/WA/19(IBV)、又は10PFUのVn/04(H5N1)ウイルスで鼻腔内チャレンジ試験した(チャレンジ毎に、ワクチン群当たりn=5匹)。感染後14日間、フェレットを、体重減少、疾患徴候、及び死亡について毎日監視した。ウイルスチャレンジ後の各日に、各群について個々の体重及び死亡を記録した。実験エンドポイントは、20%を超える体重減少として定義した。鼻洗浄は、感染後1、3、5、及び7日目に麻酔したフェレットの鼻に3mlのPBSを滴下することによって行った。(図1)。洗浄液を回収し、使用まで-80℃で保存した。University of Georgia Institutional Animal Care and Use Committeeは、Animal Use Protocol(番号A2020 11-016)下で全ての実験を承認し、National Research Council’s Guide for the Care and Use of Laboratory Animals,The Animal Welfare Act、及びCDC/NIH’s Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratoriesガイドに従って実施された。図2A図2Dは、試験の56日目にフェレットから得られた血清について実施したELISA分析の結果を示すグラフを提示する。結果は、本明細書に記載される八価HA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)による免疫付与が、免疫応答及びHA免疫原性ポリペプチド/ワクチンの全ての成分に結合する抗体の産生を誘発したことを実証した(図2A及び図2C)。H1、N1及びN2 HA抗原に結合した事前免疫モック動物由来の抗体(図2B)。ナイーブモック動物由来の抗体は、HA抗原への結合を示さなかった(図2D)。図3A及び図3Bは、HA免疫原性ポリペプチド抗原で免疫付与された事前免疫フェレットから、又は事前免疫モック免疫付与フェレットから得られた血清を使用して、試験の0日目及び56日目にフェレットの事前免疫群においてワクチン接種前後の総IgG抗体応答を比較するために実施されたELISA分析の結果のグラフを提示する。免疫付与/ワクチン接種前(d0)及び最終免疫付与/ワクチン接種後(d56)に、HAポリペプチド免疫原(Cobra)で免疫付与した個々の事前免疫フェレット(図3A)、及びモックワクチン接種を受けた事前免疫フェレット(図3B)について血清を収集した。結果は、本明細書に記載のHA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレットが、免疫原性ポリペプチド抗原/ワクチンの全てのHA成分に対する抗体の増加を有し、Z1、NG3、IAN8、Q6、及びBC2免疫原に対して生成された抗体の統計的に有意な増加を有することを実証した。
【0175】
図4A及び4Bは、ワクチン接種前後のHA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレット、HA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)で免疫付与されたナイーブフェレット、及び事前免疫モック免疫付与フェレットから得られた血清中のH1N1ウイルスの血清HAI抗体価を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。6種類のH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイを実施するために、ワクチン接種の前(H1N1、0日目、図4A)及び第2のワクチン接種の4週間後(H1N1、56日目、図4B)に血清を収集した。結果は、事前免疫モック群は、Mich/15及びBris/18株のウイルスに関して統計的に有意に低いHAI力価を有し、HA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫群は、高いHAI力価を維持し、HA免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)を有するナイーブ群は、広東/19を除いて、パンデミック様株に関して1:40のHAI力価に達したことを示した。
【0176】
図5A及び図5Bは、ワクチン接種前後の試験フェレットから得られた血清中のH3N2ウイルスの血清HAI抗体価を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与された事前免疫フェレット(黒色の棒グラフ)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与されたナイーブフェレット(白色の棒グラフ)、又はモックワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の棒グラフ)を含んでいた。6種類のH3N2インフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイのために、ワクチン接種の前(図5A)及び第2のワクチン接種の4週間後(図5B)に血清を収集した。結果は、免疫原として八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチドを受けた事前免疫フェレットが、KS/17及びHK/19を除いて、HAI力価の統計的に有意な増加を有し、免疫原として八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチドを受けたナイーブフェレットが、増加したが統計的に有意ではなかった力価を有していたことを示した。
【0177】
図6A及び図6Bは、ワクチン接種前後のインフルエンザB(IBV)ウイルスに対する試験フェレットにおける血清HAI抗体価を示す。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与された事前免疫フェレット、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与されたナイーブフェレット、又はモックワクチン接種を投与された事前免疫フェレットであった。6種類のIBVインフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイのために、ワクチン接種の前及び第2のワクチン接種の4週間後に血清を収集した。結果は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与された事前免疫群のフェレットが、B/Bris/08及びB/CO/17について統計的に有意に増加したHAI力価を有しており、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)を投与されたナイーブフェレット及び事前免疫モック免疫付与フェレットは、統計的に有意な変化を有さなかったことを示した。
【0178】
図7A及び図7Bは、免疫付与/ワクチン接種前後のH5ウイルスに対する試験フェレットにおける血清HAI抗体価を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレット、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与されたナイーブフェレット、又はモックワクチン接種を投与された事前免疫フェレットであった。6種類のH5インフルエンザウイルスのパネルに対するHAIアッセイのために、免疫付与/ワクチン接種の前及び第2の免疫付与/ワクチン接種の4週間後に血清を収集した。A/ベトナム/1203/2004(H5N1、Vn/04)、A/オオハクチョウ/モンゴリア/244/2005(H5N1、ws/Mo/05)A/エジプト/321/2007(H5N1、Eg/07)、A/フーペイ/01/2010(H5N1、Hu/10)、A/貴州/01/2013(H5N1、Gu/13)。A/四川/26221/2014(H5N6、Si/14)。結果は、いずれの群もHAI力価をH5N1ウイルス対して持っていなかったことを示した。
【0179】
図8A及び図8Bは、インフルエンザH5N1ウイルスによるチャレンジ後の試験におけるフェレットの体重及び生存曲線を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレット(黒色の線)、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与されたナイーブフェレット(丸のついた黒色の線)、又はモック免疫付与/ワクチン接種を投与された事前免疫フェレット(灰色の線)であった。最終免疫付与/ワクチン接種の4週間後、フェレットを、1mLの体積で致死用量のA/ベトナム/1203/2004(10PFU)で鼻腔内感染させた。動物を臨床徴候について観察し、それらの体重を感染後毎日記録した(図8A)。感染後の生存曲線データは、全ての動物が致死的ウイルスチャレンジを生存したことを示す(図8B)。結果は、フェレットの免疫付与/ワクチン接種が、致死的H5N1ウイルスチャレンジ(10PFU)から動物を保護したことを示す。H1事前免疫はまた、H5N1に対する保護も与える。
【0180】
図9A及び図9Bは、インフルエンザウイルスによるチャレンジ後のフェレットの体重曲線を示す。フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン群は、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレット、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与されたナイーブフェレット、モック免疫付与/ワクチン接種を投与された事前免疫フェレット、又はモック免疫付与/ワクチン接種を投与されたナイーブフェレットであった。最終ワクチン接種の4週間後、フェレットを、1mLの体積でインフルエンザウイルスA/ブリスベン/02/2018(10PFU)(図9A)で、又はインフルエンザウイルス(b)B/ワシントン/02/2019(10PFU)(図9B)で鼻腔内感染させた。動物を臨床徴候について観察し、それらの体重を感染後毎日記録した。体重減少の統計的差異を図10A及び図10Bの表に示す。
【0181】
図11図11Cは、インフルエンザウイルスA/ブリスベン/02/2018(H1N1)による感染後のフェレットの上気道におけるウイルス力価のグラフを示し、図12A図12Cは、インフルエンザウイルスB/ワシントン/02/2019(IBV)による感染後のフェレットの鼻洗浄液力価のグラフを示す。これらの分析の前に、フェレットに、アジュバントとしてc-ジ-AMPを用いて4週間間隔で2回鼻腔内ワクチン接種した。免疫付与された動物の群には、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫フェレット及びナイーブフェレット、並びにモック免疫付与された事前免疫フェレット及びナイーブフェレットが含まれていた。2回目のワクチン接種の4週間後、動物群を、H1N1 A/ブリスベン/02/2018ウイルス(図11A図11C)、又はIBV B/ワシントン/02/2019ウイルス(図12A図12C)によってチャレンジ試験した。感染後1日目、3日目、及び5日目に動物から鼻洗浄を行い、ウイルス力価を決定した。結果は、感染後5日目までに、八価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与された事前免疫動物及びナイーブ動物から得られた鼻腔液、並びにモック免疫付与された事前免疫動物においてウイルスが検出されなかったことを実証した。
【0182】
要約すると、フェレット試験の結果は、本明細書に記載される多価組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)が、複数の亜型のインフルエンザウイルスに対する広範囲の保護的免疫応答を誘発したことを実証した。加えて、事前免疫は、ウイルスチャレンジに対する動物の免疫応答を改善し、組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)で免疫付与した動物の免疫応答を改善し、複数の亜型のウイルスによって引き起こされる疾患を改良したことが観察された。
【0183】
マウス試験
広範囲反応性組換えHAポリペプチド免疫原を有するマウスのウイルス感染及び免疫付与(ワクチン接種)
BALB/c及びDBA/2Jマウス(雌、6~8週齢)を、The Jackson Laboratory(Bar Harbor、ME,USA)から購入した。マウスをマイクロアイソレーターユニットに収容し、食物及び水への自由なアクセスを許可した。全ての動物は、実験動物のためのUSDAガイドラインの下でケアされ、全ての手順は、Georgia Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)(no.A2018 06-018-Y3-A16)によって承認された。75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウスを15群(5匹の動物/群)に無作為に分け、本明細書に記載の3μgの広範囲反応性組換えHA(rHA)免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)J1、J2、J3、J4、NG1、NG2、又はNG3 rHA(例えば、J1:配列番号3、7、9);J2:配列番号4);J3(配列番号5);J4(配列番号6、8);NG1(配列番号11);NG2(配列番号2、12);NG3(配列番号13))のいずれかを用い、3μgの以下の歴史的なH3N2ワクチン株からのWT rHA(野生型組換えHA抗原):A/スイス/9715293/2013(Switz/13)(EPI_ISL_162149、MDCK-SP2)、A/香港/4801/2014(HK/14)(EPI_ISL_259080、MDCK-SP3)、A/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016(Sing/16)(EPI_ISL_285898、MDCK-SP3)、A/カンザス/14/2017(Kan/17)(EPI_ISL_403059、MDCK-SP2)、A/スイス/8020/2017(Switz/2017)(EPI_ISL_303951、MDCK-SP1)、A/南オーストラリア/34/2019(SA/19)(EPI_ISL_395032、MDCK-SP2)のいずれかを筋肉内ワクチン接種するか、あるいはモックワクチン接種対照として単独で25μLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS、Corning,Tewksbury,MA,USA)を投与した。
【0184】
全ての免疫原/ワクチン(広範囲反応性インフルエンザ免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原)、野生型(WT)rHA抗原、及びモック)を、乳化スクワレン系の水中油型エマルションアジュバントであるADDAVAX(商標)(InvivoGen、San Diego,CA,USA)で製剤化し、rHAと1:1を混合した後の最終濃度は、2.5%スクワレンであった。免疫原/ワクチンを、相同プライム-ブースト-ブーストレジメンにおいて0日目、28日目、及び56日目に動物の後肢に投与した。各ワクチン接種の14日後、14日目、42日目、及び70日目に、顔面静脈から血液を採取した。血清を、2,500rpmで10分間遠心分離することによって、動物の血液から単離した。清澄化された血清を除去し、-20±5℃で凍結させた。
【0185】
図13A図13Nは、組み替えインフルエンザヘマグルチニン(rHA)免疫原性ポリペプチド抗原を用いた初回ワクチン接種後70日目に、75匹のインフルエンザナイーブBALB/cマウスからの血清で実施したヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果のグラフを示す。結果は、モックワクチン接種されたマウスが、パネル内のH3N2ウイルスのいずれに対しても検出可能な力価を有しないことを実証した(図13A)。広範囲反応性組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド抗原(Cobra抗原(rHA))J1(例えば、配列番号3、7)によりワクチン接種されたマウスは、2012~2016年に単離されたH3N2インフルエンザウイルス、並びにSwitz/17及びSA/19株に対してHAI活性を有する抗体を有していたが、これらの抗体は、Kan/17、Tx/17、及びHK/19ウイルスを認識することができなかった(図13B)。J2ワクチン接種マウスは、Tx/12、HK/14、Sing/16、及びSwitz/17に対するHAI活性を有する抗体を有していた(図13C)。J3 rHAによりワクチン接種されたマウスは、2012~2016年に単離された全てのH3N2インフルエンザウイルス株、並びにSwitz/17及びSA/19に対してHAI活性を有する抗体を有しており、その最も高い抗体価は、Tx/12アイソレートに対して指向されていた(図13D)。J4 rHAは、ワクチン接種したマウスにおいて、Tx/12、HK/14、Sing/16、Switz/17、及びSA/19に対するHAI活性を有する抗体を誘導し、HK/14及びSing/16株に対して最も高い抗体価を検出した(図13E)。NG1 rHAによりワクチン接種されたマウスは、Kan/17及びHK/19を除き、2012~2019年に単離された全てのH3N2株にセロコンバージョンされた(図13F)。NG2 rHAでワクチン接種したマウスは、パネル内のH3N2株の全てに対して血清保護性抗体価を有し、その最も高い抗体価は、SA/19ウイルスに対して指向されていた(図13G)。NG3 rHAワクチンは、Tx/12、Switz/13、Switz/17、及びSA/19へのセロコンバージョンを誘導した(図13H)。Switz/13によりワクチン接種した動物は、相同的にマッチしたウイルスであるSwitz/13にのみセロコンバージョンし、H3N2パネル内の他のウイルスには一切セロコンバージョンしなかった(図13I)。HK/14 rHAワクチンは、2012~2016年の全てのウイルスに対するHAI活性を有する抗体を誘導し、その最大の大きさの抗体価は、相同的にマッチしたHK/14ウイルスに対して指向されたものである。HK/14 rHAワクチンは、2017~2019年の間に単離された株のいずれに対してもHAI活性を有する抗体を誘導しなかった(図13J)。Sing/16 rHAによりワクチン接種したマウスは、Kan/17及びHK/19ウイルスを除き、2012~2019年に単離された全ての株に対してHAI活性を有する抗体を有していた。これらのマウスに対する最大の大きさの抗体応答は、相同的にマッチしたSing/16ウイルスに対するものであった(図13K)。Kan/17 rHAワクチンは、Sing/16ウイルスを除き、2012~2017年までの全てのH3N2アイソレートに対してHAI活性を有する抗体を誘導した。これらのマウスはまた、2019年アイソレートSA/19又はHK/19のいずれにもセロコンバージョンせず、この群からの最大の大きさの抗体応答は、相同的にマッチしたKan/17ウイルスに対して指向された(図13L)。Switz/17 rHAによりワクチン接種したマウスは、Tx/12、Tx/17、Switz/17、及びSA/19に対するHAI活性を有する抗体を有し、最大の大きさの抗体応答は、相同的にマッチしたSwitz/17ウイルスに対して指向された(図13M)。SA/19 rHAワクチンは、Tx/12、HK/14、Tx/17、Switz/17、及びSA/19ウイルスに対するHAI活性を有する抗体を誘導した。この群のHAI抗体の最高力価は、相同的にマッチしたSA/19ウイルスに対して指向された(図13N)。
【0186】
図14は、肺組織に存在するウイルス負荷を評価するために、89日目(A/カンザス/14/2017チャレンジの3日後)にマウス(群当たりn=3匹)から採取したマウス肺からのウイルス力価を示す。インフルエンザナイーブのモックワクチン付与動物は、肺に存在するウイルスが最も多かった。これは、感染後3日目に検出限界(約1×10PFU/肺組織のg数)を超えて肺組織中に存在する検出可能なウイルスが存在しなかった本明細書に記載の一価J4 HA免疫原性ポリペプチド抗原又はNG2 rHA及びY2+J4又はY2+NG2 rHAの二価製剤のいずれかによりワクチン接種した事前免疫動物よりも有意に高かった。対照的に、一価H1 rHA、Y2、Bris/07、又はCal/09によりワクチン接種したマウスは、モックワクチン接種を受けた事前免疫動物の肺力価(約1×10PFU/肺組織のg数)と同様の肺力価を有していた。
【0187】
138匹のインフルエンザナイーブDBA/2Jマウスを無作為に17群(8匹/群)に分けて、事前免疫マウス試験に使用した。0日目に、PBS中5×10PFU/50μLの最終濃度で等しい濃度のH1N1ウイルス(A/シンガポール/6/1986(Sing/86))及びH3N2ウイルス(A/パナマ/2007/1999(Pan/99))を含有する混合物を投与することによって、50μLを各マウスに鼻腔内投与することによって、16群のマウスをH1N1及びH3N2インフルエンザウイルスの両方に対して事前免疫付与を行った。モック事前免疫動物に、50μLのPBSを鼻腔内に接種した。事前免疫感染の後、動物は、感染後14日間、体重減少及び臨床徴候(努力呼吸、嗜眠、背中を丸める、乱れた毛皮、刺激に応答しない、及び重度の呼吸困難)について、朝及び夕方の1日2回にわたって監視された。この間、いずれのマウスも元の体重の5%を超える減少はなく、臨床徴候も示さなかった。次いで、動物を30日間休ませ、その時点で、合計3μgの広範囲反応性組換えHA免疫原(Cobra)の一価製剤:Y2(H1)、(例えば、配列番号15);J4(H3)、(例えば、配列番号6、8)、若しくはNG2(H3)(例えば、配列番号2、12);WT rHAの一価製剤:A/ブリスベン/59/2007(Bris/07)(H1)、A/カリフォルニア/07/2009(Cal/09)(H1)、A/スイス/9715293/2013(Switz/13)(H3)、A/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016(Sing/16)(H3);又は3μgの全(1.5μgのH1+1.5μgのH3)のCobra rHAポリペプチド免疫原カクテル:Y2、Y2+J4(H1+H3)、若しくはY2+NG2(H1+H3);又は3μgの全(1.5μgのH1+1.5μgのH3)のWT rHAカクテル:Bris/07+Switz/13(H1+H3)、Bris/07+Sing/16(H1+H3)、Cal/09+Switz/13(H1+H3)、Cal/09+Sing/16(H1+H3);又は25μLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Corning、Tewksbury,MA,USA)のみを含有するモックワクチンによってワクチン接種した。全てのワクチン(広範囲反応性組換えポリペプチド免疫原(Cobra抗原)、WT、及びモック)をADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化し、rHAと1:1で混合した後の最終濃度は、2.5%のスクワレンであった。ワクチンを、相同プライム-ブーストレジメンにおいて30日目及び58日目に、動物の後肢に筋肉内投与した。事前免疫感染及び各ワクチン接種の14日後、14日目、44日目及び72日目に、顔面静脈から血液を採取した。血清を、2,500rpmで10分間遠心分離することによって、動物の血液から単離した。清澄化した血清を除去し、-20±5℃で凍結した。次いで、全てのDBA/2Jマウスに、86日目に、6.7×10PFU/50μLの濃度の50μLの生H3N2インフルエンザウイルスA/カンザス/14/2107(EP4)を鼻腔内チャレンジ試験した。感染の後、動物は、感染後14日間、体重減少及び臨床徴候(努力呼吸、嗜眠、背中を丸める、乱れた毛皮、刺激に応答しない、及び重度の呼吸困難)について、朝及び夕方の1日2回にわたって監視された。89日目に、各群から3匹の動物を安楽死させ、肺を収集して、ウイルス負荷を評価した。肺をドライアイス上で凍結し、ウイルスプラークアッセイが行われるまで-80±5℃で保存した。
【0188】
図15A図15Fは、H3N2ウイルスパネルに対して指向される抗体の存在を評価するための72日目の事前免疫マウスからの血清の巣減数アッセイ(FRA)力価を示す。初回感染後72日目にH1+H3組み替えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した136匹のH1+H3事前免疫DBA/2Jマウス(n=8匹/群)から採取した血清を各群についてプールし、以下に記載するように、2016~2019年の歴史的なH3N2ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。一価抗原によりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1に対して試験した。A/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016(図15A)、A/カンザス/14/2017(図15B)、及びA/香港/2671/2019(図15C)。二価H1+H3抗原のカクテルによりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1ウイルスに対して試験した。A/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016(図15D)、A/カンザス/14/2017(図15E)、及びA/香港/2671/2019(図15F)。結果は、事前免疫動物に投与された広範囲反応性インフルエンザ免疫原性ポリペプチドが、最近流行しているH3N2ウイルス、例えば、Sing/16ウイルスに対する中和抗体応答を増強したことを示した。
【0189】
広範囲反応性組換えHA(rHA)免疫原性ポリペプチドJ4又はNG2の一価製剤によりワクチン接種した事前免疫マウスは、10.92~11.76の範囲のSing/16ウイルスに対する高い(80%)プラーク低減/中和力価(PRNT80力価)を有する抗体を有していた(図5A)。これらの力価は、相同的にマッチしたSing/16ウイルスに対して12.46の平均PRNT80力価を有する一価Sing/16 rHAワクチン接種群によって生成されたものと同様であった(図15A)。Switz/13 rHAによりワクチン接種したマウスは、他のH3 rHAワクチン抗原のものよりも約6倍低い中和力価を有していたが、それでもSing/16ウイルスに対して7.47の平均PRNT80力価を産生した。一価のH1 rHAワクチンであるY2、Bris/07、又はCal/09を受けたマウスは、モックワクチン接種を受けた事前免疫マウスのものと同様に、Sing/16ウイルス感染の約10%を中和した抗体を有していた(図15A)。インフルエンザナイーブモックワクチン接種マウスは、Sing/16を中和することができる抗体を有していなかった。(例えば、J.D.Allen et al.,2022,J.Virology,Vol.96,No.7:doi.org/10.1128/jvi.01652-21を参照されたい。)
【0190】
一価のJ4又はNG2 H3 rHAによりワクチン接種したマウスは、7.56~7.82の範囲のKan/17ウイルスに対するPRNT50力価を有する抗体を生成した(図15B)。Switz/13 rHAによりワクチン接種したマウスは、最高レベルのKan/17に対する中和抗体を有し、PRNT50力価は8.71であった(図15B)。Sing/16 rHAワクチン接種マウスの平均PRNT50価は6.34であり、これはH3 rHA免疫原性ポリペプチド抗原によりワクチン接種されたマウスの平均PRNT50価よりも約2倍低く、Switz/13 rHAワクチン接種動物の平均PRNT50価よりも約4倍低かった(図15B)。H1 rHA又はモックワクチンを受けた動物は、Kan/17感染の約10%を中和する抗体を有しており、モックワクチン接種されたインフルエンザナイーブ動物は、Kan/17ウイルスを中和することができなかった(図15B)。J4又はNG2 rHAのいずれかによりワクチン接種した事前免疫マウスは、HK/19 v rusに対して9.64~9.89の範囲のPRNT50力価を有し、これは、このH3N2株に対して最も高い中和抗体応答であった(図15C)。Sing/16によりワクチン接種したマウスは、HK/19ウイルスに対して7.55~7.8の範囲の同様のPRNT50力価を有していたが、それらの力価は、J4及びNG2によって生成された中和抗体価よりも約4倍低かった(図15C)。Switz/13 rHAによりワクチン接種したマウスは、7.12のわずかに低い平均PRNT50力価を有しており、これは、H3 rHAワクチン接種動物の任意の他の群のものよりも低かった(図15C)。H1 rHA又はモック免疫原/ワクチンを受けた群は、HK/19感染の約15%を中和した抗体を生成した(図15C)。モックワクチン接種したインフルエンザナイーブ動物は、いかなる血清希釈においてもHK/19ウイルスを中和することができなかった(図15C)。
【0191】
二価H1+H3、H3免疫原性ポリペプチド抗原のいずれか(Y2+J4、及びY2+NG2)を含有するrHA製剤でワクチン接種した事前免疫マウスは、Sing/16ウイルスに対して同様の中和能力を有する抗体を有しており、平均PRNT50力価は12.34~12.48の範囲であった(図15D)。これらの中和抗体価は、相同的にマッチしたrHA免疫原/ワクチンであるSing/16によって誘発されたものと類似していたが、わずかに低かった。ここで、二価製剤であるBris/07+Sing/16及びCal/09+Sing16の両方が、それぞれ12.75及び12.99のPRNT50力価を産生した(図15D)。これは、Switz/13 rHA、Bris/07+Switz/13、及びCal/09+Switz/13を含有する二価の組み合わせでワクチン接種したマウスとは対照的であり、Sing/16ウイルスに対して、それぞれ約10倍低い7.49及び7.74のPRNT50力価を有していた(図15D)。しかしながら、Switz/13 rHA、Bris/07+Switz/13、及びCal/09+Switz/13を含有する二価ワクチンによりワクチン接種したマウスは、Kan/17ウイルスに対する最も高い中和抗体価を生成し、平均PRNT50価は、7.93~8.0の範囲であった(図15E)。Sing/16 H3 rHA、Bris/07+Sing/16、及びCal/09+Sing16を含有する二価タンパク質製剤によりワクチン接種したマウスは、Kan/17ウイルスに対する任意の二価ワクチン接種の平均中和抗体価が最も低く、PRNT50価は5.21~5.45の範囲であった(図15E)。H3免疫原性ポリペプチド抗原(Y2+J4及びY2+NG2)を含有するrHA製剤によりワクチン接種した動物は、Kan/17ウイルスに対して6.92~7.51の平均PRNT50力価を有する抗体を有していた(図15E)。Y2+J4又はY2+NG2のいずれかによりワクチン接種したマウスは、それぞれ8.41及び8.52のPRNT50力価で、HK/19ウイルスに対する最も高い中和抗体応答を生成した(図15F)。Sing/16 rHA、Bris/07 1 Sing/16、及びCal/09+Sing16を含有する免疫原/ワクチンのいずれかによりワクチン接種した事前免疫動物は、HK/19ウイルスに対する同様の中和抗体応答をもたらしたが、これらの力価は、Y2+J4又はY2+NG2のいずれかによって生成された力価よりも約4倍低かった(図15F)。Switz/13 rHA(Bris/07+Switz/13及びCal/09+Switz/13)によりワクチン接種したマウスは、HK/19ウイルスに対する中和抗体価が最も低く、同一のPRNT50価が5.64であった(図15F)。
【0192】
図16A図16Fは、72日目に事前免疫DBA/2Jマウスからの血清を使用して実施したH1N1インフルエンザウイルスパネルに対する巣減数アッセイ(FRA)の結果を示す。マウス(n=8匹/群)に、H1+H3組換えインフルエンザ免疫原性ポリペプチド(Cobra抗原)又はWT rHAの一価製剤及び二価製剤によりワクチン接種した。各群からプールされた血清を、以下に記載するように、2009年~2019年の歴史的なH1N1ワクチン株のパネルに対するFRA中和について評価した。一価抗原によりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1に対して試験した。A/カリフォルニア/07/2009(図16A)、A/ブリスベン/2/2018(図16B)、及びA/広東茂南/SWL1536/2019(図16C)。二価H1+H3抗原のカクテルによりワクチン接種したマウスからの血清を、以下のH1N1ウイルスに対して試験した。A/カリフォルニア/07/2009(図16D)、A/ブリスベン/2/2018(図16E)、及びA/広東茂南/SWL1536/2019(図16F)。
【0193】
図16A図16Fに示される試験結果について、インフルエンザウイルス巣減数アッセイ(FRA)を使用して、2009年~2019年の3種類の歴史的なインフルエンザA(H1N1)ワクチン株アイソレートのパネルに対する生ウイルス感染を中和する、広範囲反応性免疫原性ポリペプチド免疫原誘発性抗体の能力を決定した。このアッセイで使用した血清を、免疫付与から72日後に136匹のマウス(n=8匹/群)から収集し、各群についてプールした。広範囲反応性免疫原性ポリペプチド免疫原Y2 rHA(例えば、配列番号15)の一価製剤によりワクチン接種した事前免疫マウスは、全ての希釈において、log80%中和(80%プラーク低減/中和力価[PRNT80])マークよりも大きい平均力価でCal/09ウイルス感染を中和した抗体を有していた(図16A)。同様に、Cal/09 rHA抗原によりワクチン接種したマウスはまた、PRNT80よりも大きい力価で試験した全ての希釈でCal/09ウイルス感染を中和することができる抗体を生成した(図16A)。他の全ての一価rHAワクチン接種マウスは、Cal/09ウイルス抗原に対する中和抗体を生成せず、力価は、モックワクチン接種事前免疫動物と同様であった(図16A)。モック免疫付与/ワクチン接種を受けたインフルエンザナイーブマウスから収集した血清は、任意の希釈でCal/09ウイルス抗原を中和することができた抗体を含有しなかった(図16A)。Y2 rHAによりワクチン接種した事前免疫マウスはまた、全ての希釈で、PRNT80の力価でBris/18ウイルス感染を中和した血清抗体を生成した(図16B)。Cal/09 rHA抗原によりワクチン接種したマウスから採取された血清はまた、全ての希釈で、PRNT80の力価でBris/18ウイルス感染を中和した抗体を含有していた(図16B)。他の全ての一価rHA免疫原/ワクチン群は、最低の血清希釈で、モックワクチン接種した事前免疫動物と同様に、細胞の約20%未満がBris/18に感染するのを防ぐ抗体を生成した(図16B)。モック免疫付与/ワクチン接種を受けたインフルエンザナイーブマウスから収集した血清は、任意の血清希釈でBris/18ウイルス抗原を中和することができた抗体を含有しなかった((図16B)。Y2 rHA抗原によりワクチン接種した事前免疫マウスは、Guang/19ウイルスに対する一価群のいずれかの最も高い中和力価を有し、平均log50%プラーク低減/中和力価(PRNT50)力価は10.14であった(図16C)。Cal/09 rHAによりワクチン接種したマウスは、Guang/19を平均PRNT50力価7.75で中和した血清抗体を有していた。力価は、Y2 rHA抗原ワクチン接種動物で誘発された力価より約6倍低かった(図16C)。一価rHA抗原によりワクチン接種した他の全てのマウス群は、モックワクチン接種した事前免疫動物と同様に、細胞の約10%がGuang/19ウイルスに感染するのを防いだ血清抗体を生成した(図16C)。モック免疫付与/ワクチン接種を受けたインフルエンザナイーブマウスからの血清は、Guang/19ウイルスを中和することができなかった(図16C)。
【0194】
Y2 HA免疫原性ポリペプチド、すなわち、Y2+J4、及びY2+NG2を含有する二価rHA製剤によりワクチン接種したマウスは、全て、Cal/09ウイルスに対して同様の中和能力を有する血清抗体を有しており、平均PRNT80力価は、それぞれ、11.08、11.35、及び11.61であった(図16D)。同様に、Cal/09 rHA(Cal/09 1 Switz/13及びCal/09 1 Sing/16)を含有する混合物によりワクチン接種した事前免疫マウスは、相同的にマッチしたCal/09ウイルスに対して11.96~12.32の高いPRNT80力価を有していた(図16D)。Bris/07 H1 rHA(Bris/07 1 Switz/13及びBris/07 1 Sing/16)を含有する混合物によりワクチン接種したマウスは、モックワクチン接種した事前免疫動物と同様に、最低血清希釈でCal/09ウイルスによって細胞の約25%が感染するのを防止した(図16D)。Cal/09 rHA(Cal/09 1 Switz/13及びCal/09 1 Sing/16)を含有する混合物によりワクチン接種したマウスもまた、Bris/18ウイルスに対して11.35~11.73の範囲の高いPRNT80血清力価を産生し、これはCal/09ウイルスに対して生成された値よりもわずかに低い値であった(図16E)。Y2 rHA抗原(Y2+J4及びY2+NG2など)を含有する混合物によりワクチン接種したマウスは全て、Bris/18ウイルスに対して同様の中和能力を有する抗体を生成し、PRNT80力価は11.75~12.13の範囲であり、Cal/09ワクチン混合物によって生成された力価よりもわずかに高かった(図16E)。Bris/07 rHAを含有する混合物によりワクチン接種した動物は、モックワクチン接種した事前免疫動物と同様に、最低血清希釈で細胞の約20%がBirs/18ウイルスに感染するのを防止した(図16E)。Cal/09 rHA抗原を含有する二価製剤(Cal/09 1 Switz/13及びCal/09 1 Sing/16)によりワクチン接種したマウスは、Guang/19ウイルスに対して、それぞれ6.59~6.78のPRNT50力価を産生した(図16F)。対照的に、COBRA Y2 H1 rHA抗原(Y2+J4及びY2+NG2など)を含有する混合物によりワクチン接種した事前免疫動物は全て、Guang/19ウイルスに対して同様の中和能力を有する抗体を生成し、PRNT50力価は、それぞれ8.34と8.44の間のlogPRNT50力価を有するCal/09 rHAワクチン接種動物で誘発されたものよりも約4倍高かった(図16F)。Bris/07 rHAを含有する混合物によりワクチン接種した動物は、モックワクチン接種した事前免疫動物と同様に、最低血清希釈で細胞の約10%がGuang/19ウイルスに感染するのを防止した(図16E)。平均HAI及びPRNT50力価も、各群について比較した。一般に、約5.5以上のHAI log幾何平均力価(GMT)は、約8.34以上のlogPRNT50力価と相関し、ヒトにおける50%の保護と相関するHAI力価(5.32)が、インフルエンザA(H1N1)ウイルスに対するFRAで観察される中和の予測尺度であり得ることを示す。結果は、COBRAワクチンが現代のパンデミック様H1N1ウイルスに対する中和抗体応答を増強したことを実証した。
【0195】
実施例2で使用した材料、試薬及び方法
ウイルス及びHA抗原
インフルエンザA(H3N2)ウイルスは、Influenza Reagents Resource(IRR)、BEI Resources、Centers for Disease Control(CDC)のいずれかによって得られたか、又はVirapur(San Diego,CA,USA)によって提供された。WHOによって提供された指示に従って、ウイルスを、それらを受け取ったのと同じ成長条件、すなわち、胚化鶏卵又は半コンフルエントMadin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞培養物のいずれかで1回継代させた。H3N2ウイルスロットを、20nMのオセルタミビルの存在下で0.75%のモルモット赤血球で滴定し、単回使用用途のためにアリコートにした。H1N1ウイルスロットを0.8%のシチメンチョウ赤血球で滴定し、単回使用用途のためにアリコートにした。
【0196】
HAI分析のためのA(H3N2)の2012~2019の歴史的なインフルエンザワクチン株ウイルスパネルには、以下の8種類のウイルス株が含まれていた。A/テキサス/50/2012(Tx/12)卵継代4(EP4)(クレード3c2)、A/スイス/9715293/2013(Switz/13)EP4(クレード3c3.a)、A/香港/4801/2014(HK/14)EP11(クレード3c2.a)、及びA/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016(Sing/16)EP3(クレード3c2.a1)、A/カンザス/14/2017(Kan/17)EP1(クレード3c3.a)、A/テキサス/71/2017(Tx/17)MDCK-siat細胞継代1(MDCK-SP1)(クレード3c3.a)、A/スイス/8060/2017(Switz/17)EP1(クレード3c3.a2)、A/南オーストラリア/34/2019(SA/19)EP1(クレード3c2.a1b/131K)、A/香港/2671/2019(HK/19)EP1(クレード3c2.a1b/137F)。
【0197】
HAI分析のためのA(H1N1)の2007~2019の歴史的なインフルエンザワクチン株パネルには、以下の5種類のインフルエンザAウイルス(IAV)株が含まれていた。A/ブリスベン/59/2007(Bris/07)EP1、A/カリフォルニア/07/2009(Cal/09)EP4、A/ミシガン/45/2015(Mich/15)EP1、A/ブリスベン/02/2018(Bris/18)EP1、及びA/広東-茂南/SWL1536/2019(Guang/19)EP1。フェレットのH1N1 HAI分析には、A/ソロモン島/03/2006(Genbank受託番号EU100724)も使用した。
【0198】
HAI分析のためのIBV 2006~2019パネルには、次の6種類のウイルス株が含まれていた。Yamagata様系統について、B/フロリダ/04/2006(Genbank受託番号KF009552)、B/マサチューセッツ/02/2012(Genbank受託番号C892118)、B/プーケット/3073/2013(NCBI受託番号EPI1799823)、Victoria様系統について、B/ブリスベン/60/2008(Genbank受託番号FJ766840)、B/コロラド/06/2017(Genbank受託番号CY232066)、及びB/ワシントン/02/2019(Genbank受託番号MK676295)。
【0199】
HAI分析のためのH5の2004~2014パネルには、以下の6種類のウイルス株が含まれていた。A/ベトナム/1203/2004(H5N1、Genbank受託番号AAW80717.1)、A/オオハクチョウ/モンゴリア/244/2005(H5N1、Genbank受託番号ACD68156.1)、A/エジプト/321/2007(H5N1、Genbank受託番号AEL31632.1)、A/フーペイ/01/2010(H5N1、Genbank受託番号AEO89181.1)、A/貴州/01/2013(H5N1、Genbank受託番号EPI420386)。A/四川/26221/2014(H5N6、Genbank受託番号EPI533583)。
【0200】
1種類の歴史的なH1N1ワクチン株ウイルスであるA/シンガポール/6/1986(Sing/86)EP1、及び1種類の歴史的なH3N2ワクチン株ウイルスであるA/パナマ/2007/1999(Pan/99)EP4を使用して、マウスにH1N1及びH3N2ウイルスに対する事前免疫を作製した。この事前免疫マウスにも、事前免疫試験の86日目に、H3N2インフルエンザウイルスA/カンザス/14/2017(Kan/17)EP1でチャレンジ試験した。
【0201】
フェレットについては、CA/09、Pan/99、及びB/香港/330/2001ウイルス株(Genbank受託番号AF532549)を使用して、3種類の季節性亜型ウイルス全てに対する事前免疫を確立した。フェレットを、Bris/18(H1N1)、B/WA/19(IBV)、又はA/ベトナム/1203/2004(Vn/04)でチャレンジ試験した。
【0202】
ヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイ
ヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイを使用して、H3N2ウイルスに対するモルモット赤血球、及びH1N1ウイルスに対するシチメンチョウ赤血球の凝集を阻害することができる機能的抗ヘマグルチニン(HA)抗体(例えば、出血動物から得られた血清中)の存在を評価した。プロトコルは、WHO実験室インフルエンザサーベイランスマニュアルから適応された。(J.D.Allen et al.,2022,J.Virology,Vol.96,No.7:doi.org/10.1128/jvi.01652-21を参照されたい。)モルモット赤血球は、アルファ(2,6)結合シアル酸受容体への優先的な結合を開発した現代のA(H3N2)インフルエンザ株を特徴付けるために頻繁に使用される。非特異的阻害剤を不活性化するために、血清試料を試験前に受容体破壊酵素(RDE)(Denka Seiken,Co.、Japan)で処理した。簡潔に述べると、3部のRDEを1部の血清に添加し、試料を37℃で一晩インキュベートした。RDEを56℃で30分間インキュベートすることによって不活性化した。
【0203】
RDE処理した血清を、v字底マイクロタイタープレート中、一連の2倍連続希釈で希釈した。20nMのオセルタミビルカルボキシレートの存在下でおよそ8ヘマグルチニン単位(HAU)/50μlに調節した等体積の各A(H3N2)ウイルスを各ウェルに添加した。プレートを覆い、室温で30分間インキュベートし、次にPBS中の0.75%モルモット赤血球(Lampire Biologicals、Pipersville,PA,USA)を添加した。使用前に、赤血球(RBC)をPBSで2回洗浄し、4℃で保存し、調製から24時間(h)以内に使用した。プレートを穏やかな撹拌によって混合し、覆い、RBCを室温で1時間沈降させた。HAI力価は、凝集していないRBCを含有する最後のウェルの相互希釈によって決定した。陽性及び陰性の血清対照を各プレートに含めた。
【0204】
別個のアッセイで、RDE処理した血清を、v字底マイクロタイタープレート中、一連の2倍連続希釈で希釈した。およそ8ヘマグルチニン単位(HAU)/50μlに調節した等体積の各A(H1N1)ウイルスを各ウェルに添加した。プレートを覆い、室温で20分間インキュベートし、次にPBS中の0.8%シチメンチョウ赤血球(Lampire Biologicals、Pipersville,PA,USA)を添加した。使用前に、RBCをPBSで2回洗浄し、4℃で保存し、調製から24時間以内に使用した。プレートを穏やかな撹拌によって混合し、覆い、RBCを室温で30分間沈降させた。HAI力価は、凝集していないRBCを含有する最後のウェルの相互希釈によって決定した。陽性及び陰性の血清対照を各プレートに含めた。
【0205】
全てのマウスは、感染又はワクチン接種前にヒトインフルエンザウイルスに対する既存の抗体について陰性であり(HAI≦1:10)、上に記載の動物試験について、陽性HAI反応(HAI+)又は「血清保護」は、HAI力価≧1:40であると定義されるが、「セロコンバージョン」は、インフルエンザワクチンを評価するためのWHO及びEuropean Committee for Medicinal Productsによれば、ベースラインと比較した力価の4倍の増加を指す。
【0206】
巣減数アッセイ(FRA)
動物試験に使用された巣減数アッセイ(FRA)は、当初、London,U.KのWHO collaborating Centreによって開発され、その後、U.S.Centers for Disease Control and Prevention(CDC)によって修正された。MDCK-SIAT1細胞(Sigma、St.Louis,MO,USA)を、アッセイで使用する1日前に、2.5~3×10個の細胞/ml96ウェルプレート中100μL/ウェル)でプレーティングした。細胞を、96ウェルの平底プレート中の5%の熱不活性化ウシ胎児血清及び抗生物質を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で一晩培養して、95~100%のコンフルエント単層を形成した。翌日、細胞単層を、pH7.2(Gibco、Waltham,MA,USA)の0.01Mのリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、続いて、TPCKで処理したトリプシン(1μg/ml)(Thermo Fisher、Waltham,MA,USA)、VGM-T(すなわち、0.1%のBSA、1%のペニシリン/ストレプトマイシン(100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン溶液)、及び1μg/mlのTPCKで処理したトリプシンを含有するDMEM)(Sigma、St.Lois,MO,US)を含有するウイルス成長培地中の1:20倍の希釈から開始して2倍の段階的に希釈したRDE処理血清(ウェル当たり50μL)を添加した。各プレートのウェルに、50μLのVGM-T中のA(H3N2)インフルエンザウイルス(1.2×10細胞巣形成単位(FFU)/mL、これは600FFU/50μlに対応する)を加えた。VGM-Tのみを、対照ウェルを含有するウェルに加えた。ウイルスストックは、FRAにおける以前の滴定によって標準化した。アッセイに使用したA(H3N2)ウイルスは、WHOが選択した歴史的なワクチン株であるA/シンガポール/IFNIMH-16-0019/2016 EP3、A/カンザス/14/2017 EP1、及びA/香港/2671/2019 EP1であった。アッセイに使用したA(H1N1)ウイルスは、WHOが選択した歴史的なワクチン株であるA/カリフォルニア/07/2009 EP4、A/ブリスベン/2/2018 EP1、及びA/広東-茂南/SWL1536/2019 EP1であった。
【0207】
次いで、5%CO中、37℃で2時間のインキュベーション期間の後、各ウェル中の細胞を、1μg/mlのTPCK処理トリプシン、0.1%のBSA及び抗生物質を含有する2倍の改変イーグル培地中の100μLの等体積の1.2%のAvicel RC/CL(型:RC581 NF;FMC Health and Nutrition、Philadelphia,PA,USA)で覆った。プレートを、37℃、5%COで18~22時間インキュベートした。次いで、各ウェルからオーバーレイを除去し、単層をPBSで一度洗浄して、任意の残留Avicelを除去した。次いで、プレートを氷冷したPBS中の4%のホルマリンで30分間、4℃で固定し、続いてPBS洗浄し、PBS/グリシン中の0.5%のTriton-X-100を使用して、室温(RT)で20分間透過させた。プレートを洗浄緩衝液(PBS、0.1%のTWEEN-20;PBST)で3回洗浄し、次に、Influenza Reagent Resource(IRR)(Manassas,VA,USA)から得られたインフルエンザA核タンパク質に対して指向されるモノクローナル抗体(FR-1217)(1mg/mL)とともに1時間インキュベートし、ELISA緩衝液(PBS、10%のウマ血清、0.1%のTWEEN-80)中で1:2000に希釈した。洗浄(3×PBST)の後、細胞をヤギ抗マウスペルオキシダーゼ標識IgG(Sera Care,Inc.、Milford,MA,USA)(KPL 474-1802)(1mg/mL)とともにインキュベートし、ELISA緩衝液中、室温で1時間かけて1:2000に希釈した。次いで、プレートを再び洗浄し(3×PBST)、0.03%Hを含有するTrueBlue基質(SeraCare,Inc.、Milford,MA USA)を使用して感染性ウイルス巣を視覚化し、10分間室温でインキュベートした。dH0で5回洗浄することによって反応を停止させた。プレートを風乾させ、巣を、ImmunoCapture 6.4.87ソフトウェア(CTL、Shaker Heights,OH,USA)を備えたCTL BioSpot Analyserを使用して列挙した。FRA力価は、ウイルス対照から細胞対照を引いたものと比較して、50%の巣減少に対応する血清の最高希釈度の逆数として報告された。
【0208】
プレートが品質管理(QC)に合格するためには、オクタプレットウイルス対照ウェル(VC)の平均値とオクタプレットセル対照ウェル(CC)の平均値が両方ともQCに合格する必要がある。ウイルス対照は、200~1600個の巣に分類され、細胞対照には巣が含まれていない必要がある。加えて、陽性対照であるA(H1N1)及びA(H3N2)の歴史的なインフルエンザワクチン株ウイルスを、各個々のアッセイにおいて3重のプレートで実行し、3つのプレートのうちの少なくとも2つが、VC基準及びCC基準に合格しなければならない。1×10FFU/mLで相同的にマッチしたA(H1N1)及びA(H3N2)インフルエンザウイルスによる感染によって以前に生成され、感染から14日後に収集された相同マウス抗血清は、プレート全体で同じ力価を有しなければならない。各アッセイプレート(プレート当たり1つのウイルス)は、マウス参照抗血清のパネル、及び全体的なアッセイ一貫性を評価するためのヒトインフルエンザワクチン血清対照を含有していた。アッセイで報告された感染細胞の割合は、陽性対照(ウイルス及び細胞のみ)ウェルからの巣数を平均し、各実験ウェルにおける巣数を陽性対照の平均で割ることによって計算した。
【0209】
インフルエンザウイルスプラークアッセイ
MDCK細胞(Sigma、St.Louis,MO,USA)を、プラークアッセイを実施する1日前に、1×10個の細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートの各ウェルに播種した。アッセイの当日、凍結肺組織を氷上で解凍し、重量を量り、1mlのDMEM(Thermo Fisher、Waltham,MA,USA)中で均質化した。ホモジネートを2,000rpmで5分間遠心分離して、組織デブリを除去した。上清を収集し、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(DMEM+P/S)(Thermo Fisher、Waltham,MA,USA)を補充したDMEM中で連続的に10倍希釈した。MDCK細胞が各ウェルで90%コンフルエンシーに達したとき、プレートをDMEM+P/Sで2回洗浄し、ホモジネート上清の各希釈液100μLで感染させた。次いで、プレートを15分毎に1時間振とうした。1時間のインキュベーション後、上清を除去し、細胞を新鮮なDMEM+P/Sで2回洗浄した。2回目の洗浄の後、2倍のMEMと1.6%アガロース(Thermo Fisher、Waltham,MA,USA)の溶液を50:50(v/v)で混合し、1μg/mLのTPCKトリプシン(Thermo Fisher、Waltham,MA,USA)を補充したものを各ウェルに添加した。次いで、プレートを、37℃+5%COで72時間インキュベートした。72時間後、ゲルオーバーレイを各ウェルから除去し、細胞を10%緩衝ホルマリンで10分間固定し、1%のクリスタルバイオレット(Thermo Fisher、Waltham,MA,USA)を用いて室温で10分間染色した。次いで、プレートを、新鮮な水で十分に5回すすぎ、過剰なクリスタルバイオレットを除去した。プレートを24時間風乾させ、ウイルスプラークを各希釈の逆数として列挙した。肺ウイルス力価を計算し、肺組織のプラーク形成単位(PFU)/gとして提示した。
【0210】
同様に、フェレット鼻洗浄プラークアッセイについて、鼻洗浄試料をアッセイ当日に解凍し、DMEM+P/S中で10倍に連続的に希釈した。各希釈液100μLを、DMEM+P/Sで2回洗浄した90%コンフルエントMDCK細胞上に置いた。上述のように、プレートを15分毎に1時間振とうした。プレートを洗浄し、アガロースオーバーレイ中で37℃+5%COで、72時間インキュベートした。その後、オーバーレイを除去し、セルを上記のように固定し、染色し、列挙した。ウイルス力価を計算し、PFU/mLの鼻洗浄試料として提示した。
【0211】
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
ELISAを使用して、異なるH1N1 HA株に対する抗体反応性を評価し、前述のように実施した。手短に言えば、Immulon 4HBXプレート(Thermo Fisher Scientific、Waltham,MA,USA)を、加湿チャンバ中、1μg/mLの異なるrHA(A/カリフォルニア/07/2009、A/ブリスベン/02/2018)、又はcH6/1精製rHA及び5μg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)を含有する炭酸塩緩衝液(pH9.4)の溶液を用いて、ウェル当たり50μlを用いて4℃で一晩コーティングした。5μg/mlのBSA(ウェル当たり50μl)を陰性対照として単独でコーティングした。プレートを、200μl/ウェルの体積のELISAブロッキング緩衝液で、37℃で1時間ブロッキングした。血清試料を、1:100の希釈から開始してブロッキング緩衝液中で連続的に3倍に希釈し、次いで、HAタンパク質コーティングプレートに添加した。4℃で一晩インキュベートした後、1:2000で希釈したヤギ抗マウスIgG(Southern Biotech、Birmingham,AL,USA)二次抗体を100μlの体積で各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。最後に、50μlのABTS基質(VWR Corporation)を各ウェルに添加し、プレートを更に37℃で15~20分間インキュベートした。比色変換は、各ウェルに50μlの1%SDSを添加することによって停止させた。O.D.値(OD414)を、414nmでの分光光度計(PowerWave XS、BioTek)によって測定した。
【0212】
同様に、ELISAを使用して、インフルエンザHA又はNAポリペプチド抗原(Cobra抗原)に対するフェレット血清中の抗体反応性を評価した。プレートを、加湿チャンバ中、1μg/mLの異なるrHA及びrNAを含有する炭酸塩緩衝液中で、ウェル当たり50μlで4℃で一晩コーティングした。プレートを、200μl/ウェルの体積のELISAブロッキング緩衝液で、37℃で1時間ブロッキングした。血清試料を、1:100の希釈から開始してブロッキング緩衝液中で連続的に3倍に希釈し、次いで、タンパク質コーティングプレートに添加した。4℃で一晩インキュベートした後、プレートを洗浄緩衝液(PBS中の0.05%のTWEEN-20)中で5回洗浄した。ブロッキング緩衝液中で1:4000で希釈した100μlのヤギ抗フェレットIgGH&LHRP(Abcam、Boston,MA)を添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液で5回洗浄した。50μlのABTS基質(VWR、Radnor,PA)を各ウェルに添加し、プレートを更に37℃で15~20分間インキュベートした。比色変換は、各ウェルに50μlの1%SDSを添加することによって停止させた。O.D.値(OD414)を、414nmでの分光光度計(PowerWave XS、BioTek)によって測定した。
【0213】
統計分析
データは、絶対平均値±平均の標準誤差(SEM)として示される。一元配置ANOVA及び多重比較を伴う二元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)を使用して、群間の統計的差異を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001;****、P<0.0001)。
【0214】
実施例3:組換えインフルエンザウイルスHA免疫原性ペプチド(インフルエンザH1N1ウイルス)を免疫原(ワクチン)として使用するマウス試験
実施例2に記載のものと同様の試験を、免疫原(ワクチン)として組換えインフルエンザウイルスHA免疫原性ポリペプチド(インフルエンザH1N1ウイルス)を使用して、事前免疫マウス及びナイーブマウスにおいてインビボで実施して、インビボマウスモデルを使用した季節性及びパンデミックインフルエンザウイルスに対する広範囲の保護的免疫応答を誘発する際の組換えインフルエンザHA免疫原性ポリペプチドの免疫原性及び有効性を決定した。実施例1及び2に記載されるように、広範囲反応性非天然型HAポリペプチド免疫原(複数可)(及び組換えHAポリペプチド免疫原(複数可))は、例えば、季節性又はパンデミックインフルエンザウイルスのものを表すHA配列を含有する、H1N1などのインフルエンザH1型に由来するインフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)抗原アミノ酸配列を構成する。
【0215】
この試験で使用されるH1N1インフルエンザウイルスには、以下が含まれていた。A/チリ/1/1983(GenBank受託番号CY121261.1)、A/シンガポール/6/1986(GenBank受託番号CY020477.1)、A/北京/262/1995(GenBank受託番号CY033614.1)、A/ニューカレドニア/20/1999(GenBank受託番号EF566076.1)、A/カリフォルニア/07/2009(GISAID受託番号EPI516535)、A/ブリスベン/02/2018(GISAID受託番号EPI1799929)、及びA/広東-茂南/SWL 1536/2019(GISAID受託番号EPI1921671)。全てのウイルスをVirapur(NY)又はBEI Resourcesから入手した。各ウイルスを受精ニワトリ卵で増幅させた。
【0216】
動物の予防接種/ワクチン接種及び感染
BALB/c及びDBA/2Jマウス(雌、6~8週齢)をJackson Laboratory(Bar Harbor,ME,USA)から購入し、マイクロアイソレーターユニットに収容し、食物及び水への自由なアクセスを許可した。動物は、実験動物のためのUSDAガイドラインの下でケアされた。全ての手順は、University of Georgia Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)(no.A2018 06-018-Y3-A16)によってレビューされ、承認された。88匹のBALB/cマウスを、8つの群に無作為に分け、各群に11匹のマウスを含んでいた。マウスに、1μgの組換え産生された非天然型の広範囲反応性H1 HAポリペプチド免疫原(Cobra)であるブリスベン/59/2007、カリフォルニア/07/2009、ブリスベン/02/2018ウイルス様粒子(VLP);又はADDAVAX(商標)(水中油型エマルション)(InvovoGen、San Diego,CA,USA)を1:1の比で配合したPBSのいずれかを50μLの最終体積で筋肉内にワクチン接種した。最初のワクチン接種後4週目及び8週目に、マウスを同じ量のVLP又はPBSで筋肉内にブーストした。(Y.Huang et al.,2021,Vaccines,9(7):793、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる)。
【0217】
40匹のDBA/2Jマウスの別の群を5つの群(n=8/群)に分け、同じワクチン接種レジメンを使用して、上記の対応する可溶性組換えHAタンパク質1μgによりワクチン接種した。最初のワクチン接種後6週目及び10週目に血液を採取し、血清を分離し、将来の使用のために-20℃で保存した。12週目に、全てのマウスを、50μLの体積で、5×10PFUの野生型H1N1 A/カリフォルニア/07/2009(CA/09)又は8.75×10PFUのH1N1 A/ブリスベン/02/2018(Bris/18)で鼻腔内に感染させた。動物を監視し、その体重を感染後14日間、毎日記録した。感染後3日目及び6日目に、各群から3匹のマウスを安楽死させ、肺を採取した。左肺を、組織病理学のために10%中性ホルマリンで膨張させ、右肺葉をドライアイス上で急速凍結させ、次いで、ウイルス力価を評価するために-80℃で保存した。マウスは、元の体重の20%を失うことによって人道的なエンドポイントに到達するか、又は3の臨床疾患スコアが蓄積したら、人道的に安楽死させられた。全ての手順は、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals,the Animal Welfare Act,and Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratoriesに従って実施された。
【0218】
ELISAを使用して、異なるH1N1 HA株に対する抗体反応性を評価し、G.A.Kirchenbaum G.A.et al.,(2017,J.Immunol.;199:3798-3807)に記載されるように実施した。手短に言えば、Immulon 4HBXプレート(Thermo Fisher Scientific、Waltham,MA,USA)を、加湿チャンバ中、1μg/mLの異なるrHA(A/カリフォルニア/07/2009、A/ブリスベン/02/2018)、及び5μg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)を含有する炭酸塩緩衝液(pH9.4)の溶液を用いて、ウェル当たり50μLを用いて4℃で一晩コーティングした。5μg/mLの量のBSA(ウェル当たり50μL)を陰性対照として単独でコーティングした。プレートを、200μL/ウェルの体積のELISAブロッキング緩衝液で、37℃で1時間ブロッキングした。血清試料を、1:100の希釈から開始してブロッキング緩衝液中で連続的に3倍に希釈し、次いで、HAタンパク質コーティングプレートに添加した。4℃で一晩インキュベートした後、ヤギ抗マウスIgG(Southern Biotech、Birmingham,AL,USA)二次抗体(1:2000で希釈)を100μLの体積で各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。最後に、50μLのABTS基質(VWR Corporation)を各ウェルに添加し、プレートを更に37℃で15~20分間インキュベートした。比色変換は、各ウェルに50μLの1%SDSを添加することによって停止させた。O.D.値(OD414)を、414nmで分光光度計(PowerWave XS、BioTek)を使用して測定した。
【0219】
プラークアッセイを実施して、試料を分析した。プラークアッセイについては、20継代以内のMDCK細胞を、プラークアッセイを実施する1日前に、1×10個の細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートの各ウェルに播種した。凍結肺組織を氷上で解凍し、1mLのDMEM中で均質化した。ホモジネートを2,000rpmで5分間遠心分離して、組織デブリを除去し、上清を回収し、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを補充したDMEM中で連続10倍希釈した。各ウェルで90%コンフルエンシーを有するMDCK細胞を、100μLの各希釈ホモジネート上清で感染させた。次いで、プレートを15分毎に1時間振とうした。1時間のインキュベーション後、上清を除去し、細胞を新鮮なDMEMで2回洗浄した。最後に、2mLの2×MEM及び0.8%アガロースオーバーレイ(Cambrex、East Rutherford,NJ,USA)を各ウェルに添加し、プレートを37℃、5%COで更に72時間インキュベートした。その後、オーバーレイを各ウェルから除去し、細胞を10%緩衝ホルマリンで20分間固定し、1%のクリスタルバイオレット(Fisher Science Education、Waltham,MA,USA)を用いて室温(RT)で15分間染色した。次いで、プレートを、水道水を使用して十分にすすぎ、過剰なクリスタルバイオレットを除去した。プラークを列挙し、肺ウイルス力価を計算し、PFU/mLとして提示した。
【0220】
ヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイを使用して、HAタンパク質に結合し、赤血球凝集を阻害することができる機能的抗体の存在を評価した。このプロトコルは、WHO実験室インフルエンザサーベイランスマニュアル(WHO Global Influenza Surveillance Network.Manual for the Laboratory Diagnosis and Virological Surveillance of Influenza.World Health Organization;Geneva,Switzerland:2011)から適応された。この試験では、HAIアッセイを、以下を含む7種類のH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対して実施した。A/チリ/1/1983、A/シンガポール/6/1986、A/北京/262/1995、A/ニューカレドニア/20/1999、A/カリフォルニア/07/2009、A/ブリスベン/02/2018、及びA/広東-茂南/SWL 1536/2019。HAIアッセイを、D.M.Carter et al.(2016,J.Virol.2016;90:4720-4734)によって記載されるように実施した。手短に言えば、血清を受容体破壊酵素(RDE)(Denka Seiken,Co.、Tokyo,Japan)で処理した後、37℃で一晩インキュベートすることによって非特異的阻害剤を除去するように試験した。次いで、RDEを56℃で45分間かけて更に不活性化した。25μLの量のPBSを、2~12行目の96ウェルV字底プレートに添加し、50μLのRDE処理血清を1行目に添加し、次いで2倍連続希釈をプレート全体で行った。およそ8ヘマグルチニン単位(HAU)/50μLを有する等体積のH1N1ウイルスを各ウェルに添加した。プレートを室温で30分間インキュベートした後、0.8%のシチメンチョウ赤血球のPBS溶液を50μLの体積で各ウェルに添加した。プレートを撹拌によって混合し、更に室温で30分間インキュベートした。HAI力価は、凝集していないRBCを含有する最後のウェルの相互希釈として決定した。陽性及び陰性の血清対照を各プレートに含めた。1:40を超えるHAI力価は、血清保護性として定義され、ベースラインと比較したHAI力価の4倍の増加は、インフルエンザワクチンを評価するためのWHO及びEuropean Committee for Medicinal Productsガイドライン(European Medicines Agency,2014,Guideline on Influenza Vaccines:Non-Clinical and Clinical Module(Draft)European Medicines Agency;London,UK)に従って、セロコンバージョンとみなされた。
【0221】
この試験では、London,UKのWorld Health Organization collaborating centerによって最初に開発され、U.S.Centers for Disease Control and Prevention(CDC)によって修正された巣減数アッセイ(FRA)を使用した。簡潔に述べると、血清試料を上記のようにRDEで処理した。最初に、3×10個の細胞/mLの濃度の100μLのMDCK細胞を、96ウェルの平底プレート中の各ウェルに播種した。24時間後、細胞を95%~100%コンフルエンスに到達させ、次いでPBSで洗浄した。次に、1μg/mLのトシルスルホニルフェニルアラニルクロロメチルケトン(TPCK)処理トリプシン(VGM-T)(Sigma、St.Louis,MO,USA)を補充したウイルス清澄培地(VGM)における1:20の希釈から開始して50μLの2倍連続希釈血清試料を各ウェルに添加した。その後、インフルエンザウイルスをVGM-T中で希釈し、1.2×10FFU/mLの濃度の50μLのウイルス溶液を各ウェルに添加し、VGM-T単独も細胞対照ウェルに添加した。プレートを37℃で2時間インキュベートし、次いで100μLのオーバーレイを各ウェルに添加した。オーバーレイは、等しい体積の1.2%のAvicel RC/CL(FMC Health and Nutrition、Philadelphia,PA,USA)及び1μg/mLのTPCK処理トリプシン、0.1%のBSA、及び1%のペニシリン-ストレプトマイシンを補充した2倍のMEMを含有していた。37℃での18~22時間のインキュベーションの後、オーバーレイを除去し、細胞をPBSを使用して2回洗浄した。次いで、細胞を氷冷したPBS中の4%のホルマリンで30分間、4℃で固定し、続いてPBSで1回洗浄し、0.5%のTriton-X-100を使用して、RTで20分間透過させた。単層を0.1%のTween 20を含有するPBS(洗浄緩衝液)で3回洗浄し、マウス抗IAV核タンパク質モノクローナル抗体とともに37℃で1時間インキュベートした。((Y.Huang et al.,2021,Vaccines,9(7):793)。洗浄緩衝液で3回洗浄した後、細胞を、二次抗体であるヤギ抗マウスペルオキシダーゼ標識IgG(SeraCare,Inc.、Milford,MA,USA)とともにRTで1時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄緩衝液で3回洗浄し、0.03%のHを含有するTrueBlue基質(SeraCare,Inc.、Milford,MA,USA)を添加し、RTで10~15分間インキュベートした。蒸留水でプレートを5回洗浄することによって反応を停止させた。プレートを風乾させ、巣を、ImmunoCapture 6.4.87ソフトウェア(CTL、Cleveland,OH,USA)を備えたCTL BioSpot Analyzerを使用してカウントした。FRA力価は、ウイルス対照ウェルから細胞対照ウェルを引いたものと比較して、50%の巣減少に対応する血清の最高希釈度の逆数として提示された。
【0222】
全てのデータは、絶対平均値±平均の標準誤差(SEM)として示される。一元配置ANOVAを使用して、GraphPad Prism 9ソフトウェア(GraphPad、San Diego,CA,USA)を使用して、群間の統計的差異を分析した。0.05未満のp値は、統計的に有意であると定義した(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;****、p<0.0001)。
【0223】
図17は、実施例3に記載した試験のタイムラインを示す。図18A図18Dは、実施例3に記載の試験、並びに図17に示されるタイムライン及びプロトコルに従った、広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原でワクチン接種されたマウスのインフルエンザウイルス感染後の体重及び生存曲線を示すグラフを提示する。図18A図18Dに提供される体重及び生存結果は、本明細書に記載の広範囲反応性組換えインフルエンザHA免疫原でワクチン接種された動物が、有意に体重低下せず、ウイルスチャレンジ後に100%の生存を示したことを示した。図19A図19Eは、H1N1ウイルスのパネルに対するワクチン接種後のマウスにおける血清HAI抗体価を示す。広範囲反応性組換えインフルエンザH1N1 HA免疫原Y2(例えば、配列番号15)をコードするVLP、又はH1N1野生型CA/09若しくはBris/18によりワクチン接種した動物からの血清は、感染後、CA/09、Bris/18、及びGuangdong/19ウイルス抗原に対して高いHAI力価を有していた。図20A及び図20Bは、本明細書に記載されるような広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチド抗原(例えば、Y2(配列番号15)又はY4(配列番号17)、(「H1 COBRA HA」)、又は野生型Bris/07、CA/09、又はBris/18 VLP免疫原/ワクチンにより免疫付与/ワクチン接種された後の免疫学的にナイーブなBalb/cマウス血清において誘発された抗体の血清中和抗体価及び中和活性を示す。PBS及び野生型Bris/07 VLP免疫原によりワクチン接種したマウスは、CA/09ウイルス(図20A)又はBris/18ウイルス(図20B)のいずれに対しても検出可能な中和抗体価を有しなかった。H1 COBRA HA VLP免疫原により免疫付与/ワクチン接種したマウスは、CA/09及びBris/18ウイルスの両方に対して高い中和抗体価を有していた。COBRA HA VLPワクチン接種マウスからの抗血清は、CA/09ウイルスに対する11.32(50%阻害)のlog2力価、及びBris/18ウイルスに対する9.32(50%阻害)のlog2力価を有していた。図21A図21Cは、広範囲反応性組換えインフルエンザHA VLP免疫原(H1 Cobra HA、例えば、Y2又はY4 rHA VLP免疫原)、野生型インフルエンザrHA VLP免疫原、又はADDAVAX(商標)アジュバントで製剤化されたPBSで免疫付与/ワクチン接種されたマウスにおける総IgG抗体応答を示す。IgG抗体価を、(図21A):A/カリフォルニア/07/2009 rHAタンパク質、(図21B):A/ブリスベン/02/2018 rHAタンパク質免疫原、又は(図21C):A/カリフォルニア/07/2009 HAからの球状ヘッド及び亜型H6インフルエンザウイルスrHAタンパク質免疫原からのストークを有するcH6/1 HAタンパク質免疫原:キメラrHAに対して決定した。異なるVLPによりワクチン接種したマウスは、PBSを受けた対照マウスよりもCA/09 HAに対するIgG抗体価が有意に高かった。(図21A。)CA/09-rHAワクチン接種したマウスからの抗血清は、相同的にマッチしたCA/09HAタンパク質に対して最も高い総IgG力価を有していたが、一方、H1 Cobra HAタンパク質免疫原(例えば、Y2又はY4免疫原)によりワクチン接種したマウスからの抗血清は、CA/09ワクチン接種したマウスと比較して統計的に類似したIgG抗体価を有していた。(図21A。)Bris/18 rHAワクチン接種マウスは、CA/09 rHA免疫原によりワクチン接種されたマウス及びH1 Cobra HAタンパク質免疫原によりワクチン接種されたマウスと比較して、より低いIgG抗体価を有し(図21A)、このことは、VLP上のH1 Cobra HAタンパク質抗原が、相同的にマッチしたCA/09 HA抗原によって生成されたものと同様のIgG価を効率的に誘発したことを示唆している。H1 Cobra HAタンパク質免疫原VLP(Y2又はY4)によりワクチン接種したマウスからの抗血清は、Bris/18ワクチン接種したマウス及びCA/09ワクチン接種したマウスと比較して、Bris/18 rHAに対する統計的に類似した総IgG力価を有していた(図21B)。図22A及び図22Bは、H1N1 A/カリフォルニア/07/2009ウイルス又はA/ブリスベン/02/2018ウイルスに感染した3日後のBALB/c及びDBA/2Jマウスの肺組織におけるウイルス力価を示す。BALB/cマウスを、広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチド(H1 Cobra HA VLPワクチン)、例えば、Y2若しくはY4免疫原、又は野生型HA VLPワクチン(例えば、Bris/18 HA、CA/09 HA、Bris/07 HA)(x軸)で筋肉内ワクチン接種し、次いで、ワクチン接種後12週目にH1N1 A/カリフォルニア/07/2009ウイルス(図22A)でチャレンジ試験した。肺試料(n=3匹/群)を感染後3日目に収集し、肺ウイルス力価を決定した。上述と同じワクチンで免疫付与/ワクチン接種し、rHA形式で送達したDBA/2Jマウスの別のセットを、ワクチン接種後12週間でA/ブリスベン/02/2018ウイルスでチャレンジ試験した(図22B)。感染後3日目に肺試料(n=3)を採取し、肺ウイルス力価を測定した(図22B)。この試験から、A/カリフォルニア/07/2009(「CA/09」)ウイルスチャレンジについて、PBSワクチン接種されたマウスは、感染後3日目に最も高い肺ウイルス力価を有し、Bris/07 HA VLPによりワクチン接種されたマウスは、PBSワクチン接種された動物と比較して、統計的に類似した肺ウイルス力価を有していたことが決定された。広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチドVLPワクチン(例えば、Y2)によりワクチン接種したマウスは、最も低い肺ウイルス力価を有しており、これは、CA/09ワクチン接種したマウスのものと統計的に類似していた(図22A)。A/ブリスベン/02/2018(「Bris/18」)ウイルスチャレンジでは、PBSワクチン接種したマウスは、感染後3日目に最も高い肺ウイルス力価を有しており、広範囲反応性HA免疫原性ポリペプチドVLPワクチン(例えば、Y2)又はBris/18によりワクチン接種したマウスは、本質的に、肺にウイルス力価を有していなかったが、CA/09によりワクチン接種したマウスは、PBSワクチン接種したマウスよりも有意に低い肺ウイルス力価を有していた。Bris/07によりワクチン接種したマウスは、PBSでワクチン接種したマウスと同様のウイルス力価を有していた(図22B)。これらの結果は、広範囲反応性HA H1N1免疫原性ポリペプチドワクチンにより免疫付与/ワクチン接種された動物が、チャレンジ及びインフルエンザウイルスによる感染後に肺内のウイルス負荷を減少させることを実証した。
【0224】
上述の実施例に記載のように、本明細書に記載のワクチン(例えば、Y2、J4、及びNG2)としてワクチンとして使用される非天然型の広範囲反応性H1及びH3免疫原性ポリペプチドは、以前にインフルエンザA(H1N1)及びA(H3N2)ウイルスに曝露されたマウス、すなわち、事前免疫動物において評価された。インフルエンザワクチン接種に対する事前免疫の影響はあまり研究されていないが、ほとんどのヒトは5歳より前にインフルエンザウイルスに感染しているため、そのような評価は重要である。したがって、標的ワクチン集団の大部分は、ワクチン接種前に、これらのウイルス亜型の一方又は両方に対する免疫履歴を既に有するであろう。事前免疫モデルでは、J4免疫原は、インフルエンザナイーブモデルにおける他のワクチン候補と比較して、HAI反応性抗体の幅を改善した。J4免疫原によりワクチン接種した事前免疫マウスは、インフルエンザナイーブのJ4 HAワクチン接種マウスには存在しなかったSwitz/13、Kan/17、Tx/17、及びHK/19ウイルス型に対するHAI活性を有する血清抗体も生成した。同様の幅の拡大は、Sing/16でワクチン接種した事前免疫マウスにおいて生じ、インフルエンザナイーブマウスには存在しなかったHK/19に対するHAI活性を有する血清抗体を事前免疫モデルにおいて生成した。
【0225】
理論に拘束されることを望むものではないが、事前免疫の文脈における季節性インフルエンザワクチン接種は、免疫記憶区画からの寄与によって強く偏っており、主に、抗体分泌形質芽細胞の数の一過性の急増につながるメモリーB細胞を刺激する。したがって、観察された反応性抗体の拡大(抗体の幅)は、リンパ球が、保存されたHAエピトープを標的とするときに、広範なHA群レベルの免疫記憶が生じるため、rHAワクチン抗原とH3N2プライミング株のHAタンパク質との間の共有エピトープを認識するメモリーB細胞応答に起因する可能性が高い。更に、事前免疫インプリンティングは、異なるインフルエンザウイルス抗原上の保存部位及び可変部位の両方に免疫記憶を誘導する。したがって、ワクチン抗原とプライミング株との間の共有HAエピトープは、歴史的なHAIパネルのH3N2ウイルスにも存在し得る。ワクチン誘導性免疫リコール時に、特異的メモリーB細胞を事前免疫動物において刺激して、インフルエンザ事前免疫の不在下でワクチンによって誘発されないHAI反応性抗体を産生する。
【0226】
他の実施形態
上記の説明から、本明細書に記載される様々な態様及び実施形態に対して、様々な使用及び条件にそれを採用するための変形及び変更が行われ得ることは明らかであろう。そのような実施形態も、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0227】
本明細書における変数の任意の定義における要素のリストの列挙は、リストされた要素の任意の単一の要素又は組み合わせ(又はサブコンビネーション)としてのその変数の定義を含む。本明細書における実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態又はその一部と組み合わせて、その実施形態を含む。
【0228】
本明細書に記載されている全ての特許及び刊行物は、各々の独立した特許及び刊行物が参照により組み込まれることが具体的及び個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図13I
図13J
図13K
図13L
図13M
図13N
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024522193000001.app
【国際調査報告】