(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】スライス装置にナイフを固定するためのクランプアセンブリ、該クランプアセンブリを備えたスライス装置、および該クランプアセンブリとともに使用するツール
(51)【国際特許分類】
B26D 7/26 20060101AFI20240604BHJP
B26D 3/28 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B26D7/26
B26D3/28 620L
B26D3/28 620K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576056
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022033760
(87)【国際公開番号】W WO2022266303
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504444120
【氏名又は名称】アーシェル ラボラトリーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲレグ,ダスティン ジョセフ
【テーマコード(参考)】
3C021
【Fターム(参考)】
3C021JA07
3C021JA08
3C021JA09
3C021JA10
(57)【要約】
クランプアセンブリは、ナイフホルダと、該ナイフホルダの表面に支持されたナイフと、該ナイフを前記ナイフホルダに挟持するクランプとを含む。前記クランプは、ナイフ係合部および基部を有する。カムロッドは、前記ナイフを前記ナイフホルダに固定するために前記クランプに締め付け荷重を付与する。該カムロッドは、該カムロッドがクランプ位置に回転して前記ナイフを挟持して前記ナイフホルダに固定する場合に、前記クランプの前記基部と係合するカム面と、前記クランプの前記基部を収容できる大きさを有し、かつ、開位置において前記クランプに対向した場合に、前記基部を緩く収容することができる径方向凹部とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイフをスライス装置に固定するためのクランプアセンブリであって、
該クランプアセンブリは、
表面および前縁を有するナイフホルダと、
前記ナイフホルダの表面上に支持され、前記ナイフホルダの前縁から突出する刃先を有するナイフと、
前記ナイフホルダおよび前記ナイフに対して配置され、前記ナイフを前記ナイフホルダに挟持するクランプと、
を備え、
該クランプは、長手方向、前縁、後縁、前記クランプの前記前縁に隣接するナイフ係合部、および前記クランプの前記後縁に隣接する基部を有し、前記ナイフ係合部の少なくとも一部は、前記ナイフと相補的な形状を有し、前記ナイフ係合部および前記基部はそれぞれ、前記クランプの前記長手方向に平行な方向に幅を有し、前記基部の幅は前記ナイフ係合部の幅より小さく、
該クランプアセンブリは、前記クランプに締め付け荷重を加えて前記ナイフを前記ナイフホルダに固定するように構成されたカムロッドを備え、
該カムロッドは、その長軸を中心に回転可能であり、該カムロッドは、長手方向長さと、該カムロッドがクランプ位置に回転して前記クランプを前記ナイフと係合させ、前記ナイフを挟持して前記ナイフホルダに固定する際に、前記クランプの前記基部と係合するカム面と、長手方向長さを有し、かつ、前記カムロッドの長手方向長さの少なくとも一部にわたる凹面を備える径方向凹部とを有し、該径方向凹部は、前記クランプの前記基部を収容する大きさであり、前記基部の幅は、前記径方向凹部の前記長手方向長さよりも小さく、前記カムロッドが回転して前記径方向凹部が開位置にある前記クランプに対向する際に、前記クランプの前記基部が前記径方向凹部に緩く収容される、
クランプアセンブリ。
【請求項2】
前記ナイフは、ストリップカット用ナイフであり、該ストリップカット用ナイフは、該ストリップカット用ナイフにおける前記刃先に対して垂直に配置されたタブブレードを備える、請求項1に記載のクランプアセンブリ。
【請求項3】
前記ナイフ係合部は、前記ナイフの前記タブブレードを収容するスロットを備える、請求項2に記載のクランプアセンブリ。
【請求項4】
前記クランプの前記基部は、前記クランプの前記長手方向に沿って中央に位置する、請求項1に記載のクランプアセンブリ。
【請求項5】
前記凹面は、前記カムロッドの前記長軸に平行である、請求項1に記載のクランプアセンブリ。
【請求項6】
前記ナイフは、前記カムロッドが前記開位置に回転した場合に前記クランプアセンブリに対して着脱可能であり、前記カムロッドは、前記クランプを前記クランプアセンブリから着脱できるように、前記開位置を越えてさらに回転可能である、請求項1に記載のクランプアセンブリ。
【請求項7】
前記クランプおよび前記ナイフは、前記カムロッドが前記開位置を越えて回転した場合に、前記クランプアセンブリからともに着脱可能となる、請求項6に記載のクランプアセンブリ。
【請求項8】
前記クランプアセンブリは、前記開位置を確立するストップを有し、前記ストップはステップを備え、前記カムロッドはその前記長軸に沿って変位可能であるため、前記ステップを乗り越えることにより、前記カムロッドは前記開位置を越えてさらに回転して、前記クランプは、前記クランプアセンブリから着脱可能となる、請求項6に記載のクランプアセンブリ。
【請求項9】
前記クランプの前記前縁を前記ナイフホルダの前記前縁に近接して配置するために、前記クランプの前記後縁が当接して配置されるストップバーをさらに備える、請求項1に記載のクランプアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の前記クランプアセンブリを備えた、スライス装置。
【請求項11】
装置の切断ユニットに対してナイフを着脱させるためのナイフ交換ツールであって、
該ナイフ交換ツールは、
表面と、該表面に開口する少なくとも第1の孔とを有する基部と、
前記第1の孔に収容され、前記基部の前記表面に隣接して配置された遠位部を有する第1のピンと、
前記第1のピンの前記遠位部が、前記基部の前記表面に向けて付勢されるように、前記第1のピンを付勢する付勢手段と、
前記第1のピンの前記遠位部および前記基部の前記表面の少なくとも1つに配置される、少なくとも1つの第1のマグネットと、
を備える、
ナイフ交換ツール。
【請求項12】
前記第1のマグネットは、前記第1のピンの前記遠位部に配置されており、前記第1のピンの前記遠位部が前記付勢手段によって前記基部の前記表面に向かって付勢された場合に、前記基部の前記表面と同一平面上となる、あるいは、前記基部の前記表面に近接する、請求項11に記載のナイフ交換ツール。
【請求項13】
前記第1のピンに接続され、かつ、前記付勢手段の付勢効果に抗して、前記第1のピンおよび前記第1のマグネットを、前記基部の前記第1の孔内に後退させるように作動する、アクチュエータをさらに備える、請求項12に記載のナイフ交換ツール。
【請求項14】
前記第1のピンが、前記付勢手段の前記付勢効果に抗して前記基部の前記第1の孔内に後退している状態では、前記第1のマグネットは、前記第1の孔内に後退して、前記第1のマグネットが強磁性体を捉える能力は、前記第1のマグネットが前記ナイフを前記基部の前記表面に対して保持することができなくなる程度まで減衰し、前記第1のピンの前記第1のマグネットが前記基部の前記表面に近接した状態では、前記第1のマグネットは、前記ナイフを捉えて該ナイフを前記基部の前記表面に対して保持する、請求項13に記載のナイフ交換ツール。
【請求項15】
前記ツールは、前記装置の前記切断ユニット上の前記ナイフ用の位置決めピンを収容する大きさに形成されたスロットを、前記基部の前記表面にさらに備える、請求項11に記載のナイフ交換ツール。
【請求項16】
前記第1のマグネットは、前記基部の前記表面に配置されており、および、該ナイフ交換ツールは、前記第1のピンの前記遠位部に配置され、前記基部の前記表面から突出する前記第1のピンの遠位端を形成する位置決めピンをさらに備える、請求項11に記載のナイフ交換ツール。
【請求項17】
前記ナイフが前記第1のマグネットによって前記基部の前記表面に対して保持された場合に、前記第1のピンの前記位置決めピンは、前記ナイフの位置決め孔と係合する、請求項16に記載のナイフ交換ツール。
【請求項18】
前記ツールは、前記装置の前記切断ユニット上の前記ナイフ用の位置決めピンを収容する大きさに形成されたスロットを、前記基部の前記表面にさらに備える、請求項17に記載のナイフ交換ツール。
【請求項19】
前記基部の第2の孔に収容され、遠位端を形成する位置決めピンを有する第2のピンと、
前記第1のピンと相対的に前記第2のピンを変位させる手段と、
をさらに備え、
前記第2のピンの前記位置決めピンは、前記第1のピンの前記第1のマグネットが前記付勢手段によって前記基部の前記表面に向かって付勢された場合には、少なくとも部分的に前記第2の孔内に後退し、かつ、前記第1のピンの前記第1のマグネットが前記基部の前記第1の孔内に後退した場合には、前記基部の前記表面から突出する、
請求項12に記載のナイフ交換ツール。
【請求項20】
前記第1のピンに接続され、前記付勢手段の付勢効果に抗して、前記第1のピンおよび前記第1のマグネットを、前記基部の前記第1の孔内に後退させる、アクチュエータをさらに備える、請求項19に記載のナイフ交換ツール。
【請求項21】
前記第1のピンが前記付勢手段の付勢効果に抗して前記基部の前記第1の孔内に後退してる状態では、前記第1のマグネットは、前記第1の孔内に後退し、前記第1のマグネットが強磁性体を捉える能力は、前記第1のマグネットが前記ナイフを前記基部の前記表面に対して保持することができなくなる程度まで減衰し、前記第1のピンの前記第1のマグネットが前記基部の前記表面に近接した状態では、前記第1のマグネットは、前記ナイフを捉えて前記基部の前記表面に対して保持する、請求項19に記載のナイフ交換ツール。
【請求項22】
前記装置の前記切断ユニット上の前記ナイフ用の位置決めピンを収容する大きさに形成されたスロットを、前記基部の前記表面にさらに備える、請求項19に記載のナイフ交換ツール。
【請求項23】
請求項11に記載のナイフ交換ツールを用い、
前記第1のマグネットを用いて前記ナイフを前記基部の前記表面に磁気的に保持し、および、
前記第1のピンを前記基部の前記第1の孔内に後退させて、前記ナイフを該ナイフ交換ツールから取り外すこと、
を備える、ナイフの交換方法。
【請求項24】
前記切断ユニットは、スライス装置の環状の切断ヘッドである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記切断ユニットの位置決めピンを、前記基部の前記表面のスロットに挿入することにより、前記ナイフ交換ツールを前記切断ユニットに対して位置合わせすることをさらに備える、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月16日に出願された米国特許仮出願第63/211,381号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、食品をスライスするスライス装置などの切断装置に関する。具体的には、本発明は、前記スライス装置にナイフを固定するためのクランプアセンブリ、該クランプアセンブリを備えたスライス装置、および、ナイフをスライス装置に対して着脱させるためのツールに関する。
【背景技術】
【0003】
野菜、果実、乳製品、肉製品などの食品をスライスし、細断し、粉砕するためのさまざまな装置が知られている。このような目的に広く使用されている装置は、アーシェル・ラボラトリーズ・インク.から、「モデルCC(Model CC(登録商標))」のブランド名で市販されている。モデルCCの装置は、遠心タイプのスライサを備え、さまざまな食品のスライスを高い生産能力で行うことができる。モデルCCシリーズの装置は、スライス、皮むき、細断、および粉砕を均一に行うのに適している。モデルCCの装置の構成および態様に関しては、米国特許第3,139,128号公報、米国特許第3,139,129号公報、米国特許第5,694,824号公報、米国特許第6,968,765号公報、米国特許第7,658,133号公報、米国特許第8,161,856号公報、米国特許第9,193,086号公報、米国特許第10,456,943号公報、米国特許第10,562,203号公報、米国特許第10,632,639号公報、および、米国特許第10,933,552号公報、並びに、米国特許出願公開第2019/0210239号公報において明示されており、これらのすべての内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【0004】
図1は、モデルCCの装置の代表的な装置10の概略断面図である。装置10は、略環状の切断ヘッド12と、切断ヘッド12内に同軸に取り付けられたインペラ14とを有する。インペラ14は、切断ヘッド12の中心軸と一致する回転軸17を有する。インペラ14は、ハウジング18内に収容され、かつ、ギアボックス16に連結されたシャフト(図示せず)を介して、回転軸17を中心に回転駆動される。切断ヘッド12は、ギアボックス16の上方にあるサポートリング15に取り付けられ、インペラ14が回転する際には静止している。製品は、インペラ14の上方に位置するホッパ11を介して、切断ヘッド12およびインペラ14に運ばれる。作動時に、ホッパ11が製品をインペラ14に運ぶと、遠心力により、製品は外方に移動し、切断ヘッド12の周囲に沿って取り付けられたナイフ(図示せず)と係合する。インペラ14は、実質的に径方向を向いたパドル13を備え、それぞれのパドル13は、インペラ14が回転するにしたがって、製品と係合して、該製品を径方向外方に、かつ、切断ヘッド12のナイフに向けさせるための面を有する。モデルCCの装置についてのさまざまな実施形態を含む、その構成および操作に関するその他の特徴に関しては、上記の公報に明示されており、その内容は本明細書に参照として組み込まれる。
【0005】
図2および
図3は、それぞれ、
図1に模式的に示した装置10を含む、モデルCCのスライス装置に使用される切断ヘッド12の非限定的な一例を単独で示す図およびその部分底面図である。
図2および
図3に示した切断ヘッド12については、
図1に示したインペラ14を備えるスライス装置10を参照して説明する。切断ヘッド12およびインペラ14の同軸配置に基づいて、「軸方向」、「周方向」、「径方向」などの相対的な用語、および、これらに関連する形態が、
図2および
図3に示された切断ヘッド12を説明するために使用される。
【0006】
図2では、切断ヘッド12は、略環状であり、切断ナイフ20が、その周囲に沿って周方向に間隔をあけて取り付けられている。それぞれのナイフ20は、切断ヘッド12内でのインペラ14の回転方向とは逆方向に径方向内方に向けて突出し、径方向に関してナイフ20の最も内側に刃先が設けられる。切断ヘッド12は、
図2にリング22およびリング24として示された下部支持部材および上部支持部材をさらに備え、これらの間に、周方向に間隔をあけて配置されファスナ34で固定された複数の支持セグメント(シュー26)をさらに備える。
【0007】
ナイフ20は、切断ヘッド12の切断ステーションを構成するそれぞれのシュー26に取り付けられる。
図2および
図3に示した切断ヘッド12のナイフ20は、クランプアセンブリ28によってそれぞれのシュー26に固定される。それぞれのクランプアセンブリ28は、サポートリング22および24の間でシュー26に取り付けられたナイフホルダ30と、ナイフ20を固定するためにナイフホルダ30の径方向外側面に配置されたクランプ32とを含む。それぞれのナイフ20は、1つのナイフホルダ30の径方向外側面によって支持され、クランプ32は、ナイフホルダ30上にあるため、ナイフ20は、ナイフホルダ30の外側面と、ナイフホルダ30と対向するクランプ32の径方向内面との間に位置する。ボルト36などにより、クランプ32に対してナイフホルダ30の方向に向けて力を加えることにより、クランプ32は、ナイフ20のうちの刃先に隣接する部分にクランプ力を付与する。ボルトを使用することの代替として、クランプ32にクランプ力を付与するクイッククランプ機能として偏心カムロッドを使用することができ、その非限定的な例は、米国特許第7,658,133号公報、米国特許第10,562,203号公報、米国特許第10,780,602号公報、米国特許第10,786,922号公報、米国特許第10,807,268号公報、および米国特許第10,933,552号公報に開示されており、その内容は参照として本明細書に組み込まれる。
【0008】
図2および
図3は、それぞれのシュー26に固定されたゲート38をさらに示す。食品は、ゲート38を横切ってから、後続するシュー26に取り付けられたナイフ20に接する。ナイフ20の刃先および先行側のゲート38の後縁により、ナイフ20によって生産されるスライスの厚さを決定するゲート開口部40(
図3)が形成される。
【0009】
図2および
図3では、ナイフ20は、フラットなスライス食品を生産するよう直線状の刃先を備えることから、以下の説明において、「フラットなナイフ」と記述するが、切断ヘッド12には他の形状のナイフを使用することもできる。非限定的な例として、切断ヘッド12は、これに限定されないが、縁部側から見てピークおよび谷を交互に備える周期的パターンにより特徴づけられ、波形切り、細切り(ストリップカット)、細切り、あるいは角切りの製品を生産することができる形状ナイフなどを使用するように構成される。他の非限定的な例として、切断ヘッド12は、ストリップ状または千切り(ジュリアンカット)の食品を生産するよう開発されたナイフ(ジュリアンタイプのナイフ)を使用するように構成される。かかる切断により、一般的には細長いストリップ状の食品が生産される。ジュリアンタイプのナイフの非限定的な例は、米国特許第3,395,742号公報、米国特許第9,469,041号公報、米国特許第9,840,015号公報、米国特許第9,849,600号公報、および、米国特許第10,843,363号公報に開示されており、これらはそれぞれ、上述したモデルCCのスライス装置を含むさまざまな装置に使用することができる。本明細書で定義するように、ストリップカット用(ジュリアンタイプ)ナイフも、フラットあるいはフラットではない形状を有するが、刃先に隣接してナイフに沿って間隔をあけて配置され、ナイフの面から突出して所望のストリップ状または千切り状の断面を形成するための、ジュリアン「タブ」ブレードをさらに備える。
図4は、刃先42を有する、フラットで平面状のスライスナイフ20Aと、フラットな基部44と、基部44に略垂直に配置された複数のジュリアンタブブレード46とを有する、ジュリアンタイプナイフあるいはストリップカット用ナイフである第2のナイフ20Bとを備えるアセンブリとして形成されたフラット・ストリップ切断用ナイフ20の非限定的な例を示した図である。スライスナイフ20Aおよびストリップ用ナイフ20Bが図示したように組み立てられると、それぞれのジュリアンタブブレード46は、スライスナイフ20Aの刃先42に対して略垂直に配置され、ストリップカット(ジュリアンカット)のフラットな食品を生産する。タブブレード46は、スライスナイフ20Aの刃先42よりも後側に配置され、それぞれのタブブレード46が刃先48を有している。使用時には、スライスナイフ20Aの刃先42が食品をスライスし、その後、タブブレード46によってスライスがストリップ状に切断される。
図4に示すナイフ20は、ナイフ20の長手方向の一端から伸長するハンドルがない。このようにハンドルを有しないナイフをハンドルレスナイフと称する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
モデルCCシリーズに代表される遠心タイプのスライサは、その用途に対して最適に機能するが、装置のメンテナンスに関する改良を含め、さらなる改良が継続的に要求されている。非限定的な例としては、前縁(刃先)がジャガイモなどの食品に頻繁に付随する石、砂やその他の破片との衝突によって損傷を受けやすい、ナイフ20、20A、20B、クランプ32、および/または、ナイフホルダ30の洗浄および交換が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ナイフをスライス装置に固定するためのクランプアセンブリ、該クランプアセンブリを備えたスライス装置、および、ナイフをスライス装置に対して着脱させるためのツールを提供する。
【0012】
本発明の一態様によれば、クランプアセンブリは、表面および前縁を有するナイフホルダと、ナイフホルダの表面に支持され、ナイフホルダの前縁から突出する刃先を有するナイフと、前記ナイフを前記ナイフホルダに挟持するために該ナイフホルダおよび該ナイフに対して配置されたクランプとを有する。該クランプは、長手方向、前縁、後縁、該クランプの前記前縁に隣接するナイフ係合部、および該クランプの前記後縁に隣接する基部を有する。前記ナイフ係合部の少なくとも一部は、前記ナイフと相補的な形状を有する。前記クランプの前記ナイフ係合部および前記基部はそれぞれ、該クランプの前記長手方向に平行な方向に幅を有し、前記基部の前記幅は前記ナイフ係合部の前記幅より小さい。該クランプアセンブリはさらに、前記クランプに締め付け荷重を加えて前記ナイフを前記ナイフホルダに固定するように構成されたカムロッドを含む。該カムロッドは、その長軸を中心に回転可能であり、長手方向長さと、前記カムロッドがクランプ位置まで回転した際に、前記クランプの前記基部と係合して、前記クランプを前記ナイフと係合させ、前記ナイフを前記ナイフホルダに固定するためのカム面と、長手方向長さを有し、かつ、前記カムロッドの前記長手方向長さの少なくとも一部にわたる長さを有する凹面を備える径方向凹部とを有する。該径方向凹部は、前記クランプの前記基部を収容する大きさであり、前記基部の幅は、前記カムロッドが回転して前記径方向凹部が開位置にある前記クランプと対向した際に、前記クランプの前記基部が前記径方向凹部に緩く収容されるように、前記径方向凹部の前記長手方向長さよりも小さい。
【0013】
本発明の別の態様によれば、上述した要素を有する1つ以上のクランプアセンブリを備えるスライス装置が提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、上述した要素を有するクランプアセンブリを含むがこれに限定されないクランプアセンブリのクランプおよび/またはナイフの着脱のためのツールが提供される。このようなツールは、表面と、該表面に開口する少なくとも第1の孔とを有する基部を含む。第1のピンは第1の孔に収容され、前記基部の前記表面に隣接して配置された遠位部を有する。第1のピンが付勢されると、第1のピンの前記遠位部が前記基部の前記表面に向かって付勢され、少なくとも1つの第1のマグネットが、第1のピンの前記遠位部および前記基部の前記表面のうちの少なくとも1つに配置される。
【発明の効果】
【0015】
上述した特徴を有するクランプアセンブリの技術的な特徴により、装置の部品を洗浄または交換する目的で、スライス装置からクランプおよび/またはナイフを完全に取り外すことが容易となる。クランプアセンブリは、これに限定されないが、特に偏心カムロッドの作用によってストリップカット用ナイフを固定するクランプを取り外すのに適している。さらに、上述した特徴を有するツールも、クランプ、および/または、ハンドルレスのストリップカット用ナイフを含むがこれに限定されないナイフをスライス装置から完全に取り外すことを容易にし、洗浄および交換を容易にするクイック交換機能を提供する。
【0016】
本発明の他の態様および利点は、以下の詳細な説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、従来の遠心タイプのスライス装置の概略的な部分断面側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したスライス装置に使用される切断ヘッドの詳細を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したスライス装置に使用される切断ヘッドの一部の詳細を示す部分底面図である。
【
図4】
図4は、
図1および
図2に示したタイプのスライス装置に使用可能な従来のハンドルレスのストリップカット用ナイフを模式的に示した斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドの部分斜視図であり、切断ヘッドに取り付けられ、ナイフホルダ、クランプ、ハンドル付きストリップカット用ナイフ、および偏心カムロッドを備えたクランプアセンブリを示し、該クランプアセンブリは、偏心カムロッドがナイフホルダとクランプとの間にナイフを挟持するロック(クランプ)位置にあることを示す図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した切断ヘッドおよびクランプアセンブリの部分側面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示したクランプアセンブリの偏心カムロッドおよびクランプを取り出して示す図である。
【
図8】
図8Aは、
図5に示した切断ヘッドの概略的な部分上面図であり、偏心カムロッドがロック(クランプ)位置にあることを示す図である。
図8Bは、
図5に示した切断ヘッドの概略的な部分断面図であり、偏心カムロッドがロック(クランプ)位置にあることを示す図である。
【
図9】
図9Aは、
図5に示した切断ヘッドの概略的な部分上面図であり、偏心カムロッドが、ナイフの取り外しに適したナイフリリース位置にあることを示す図である。
図9Bは、
図5に示した切断ヘッドの概略的な部分断面図であり、偏心カムロッドがナイフリリース位置にあることを示す図である。
【
図10】
図10は、ナイフを省略した状態での
図5に示した切断ヘッドの部分斜視図であり、偏心カムロッドが
図9Aおよび
図9Bに示したナイフリリース位置まで回転した後にクランプアセンブリからクランプを取り外す状態を示す図である。
【
図11】
図11は、ナイフを省略した状態での
図5に示した切断ヘッドの部分斜視図であり、クランプの取り外し後の切断ヘッドを示す図である。
【
図12】
図12は、偏心カムロッドがナイフリリース位置を越えて完全な開位置まで回転しており、クランプを取り付ける前に、
図4に示したようなハンドルレスのストリップカット用ナイフを切断ヘッドに取り付ける状態を示す、
図5に示した切断ヘッドの部分斜視図である。
【
図13】
図13は、偏心カムロッドがナイフリリース位置を越えて完全な開位置まで回転しており、
図4に示したようなハンドルレスのストリップカット用ナイフが、クランプと同時に切断ヘッドに取り付けられる状態を示す、
図5に示した切断ヘッドの部分斜視図である。
【
図14】
図14は、偏心カムロッドがナイフリリース位置を越えて
図12および
図13に示した完全な開位置まで回転した状態を示す、
図5に示した切断ヘッドの部分断面図である。
【
図15】
図15は、クランプおよび
図4に示したようなハンドルレスのストリップカット用ナイフが同時に取り付けられる状態にある段階を示す、
図5に示した切断ヘッドの部分断面図である。
【
図16】
図16は、
図5~
図15に示したクランプと、ストリップカット用ナイフではないフラットなナイフを固定するために使用されるよう構成された第2のクランプとを並べて模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、
図4および
図5に示したようなストリップカット用ナイフ以外のナイフを切断ヘッドに取り付けることができることを示す、
図5に示した切断ヘッドの部分斜視図である。
【
図18】
図18は、
図4および
図5に示したようなストリップカット用ナイフ以外のナイフを切断ヘッドに取り付けることができることを示す、
図5に示した切断ヘッドの部分斜視図である。
【
図19】
図19は、代替的な偏心カムロッドを取り出して示す図である。
【
図20】
図20は、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドの部分斜視図であり、
図19に示した偏心カムロッドを備えたクランプアセンブリを示し、該クランプアセンブリは、偏心カムロッドがナイフホルダとクランプとの間にナイフを挟持するロック(クランプ)位置にあることを示す図である。
【
図21】
図21は、
図20に示した切断ヘッドの部分斜視図であり、偏心カムロッドがナイフの取り外しに適したナイフリリース位置にあることを示す図である。
【
図22】
図22は、
図20および
図21に示した切断ヘッドおよびクランプアセンブリの部分断面図であり、偏心カムロッドがロック(クランプ)位置にあることを示す図である。
【
図23】
図23は、
図20および
図21に示した切断ヘッドおよびクランプアセンブリの部分断面図であり、偏心カムロッドがカムリリース位置にあることを示す図である。
【
図24】
図24は、
図20~
図23に示した切断ヘッドの部分上面図であり、偏心カムロッドがロック(クランプ)位置にあることを示す図である。
【
図25】
図25は、
図20~
図23に示した切断ヘッドの部分上面図であり、偏心カムロッドが、クランプを取り外すことなくナイフをクランプアセンブリから取り外すことに適したナイフリリース位置にあることを示す図である。
【
図26】
図26は、
図20~
図23に示した切断ヘッドの部分上面図であり、偏心カムロッドが、クランプおよび/またはナイフの取り外しまたはクランプアセンブリの洗浄に適したクランプリリース位置にあることを示す図である。
【
図27】
図27は、
図20~
図26に示した切断ヘッドの部分断面図であり、
図26に示したクランプリリース位置を越えて偏心カムロッドが回転し、クランプがクランプアセンブリから取り外される状態を段階的に示す図である。
【
図28】
図28は、
図20~
図26に示した切断ヘッドの部分断面図であり、
図26に示したクランプリリース位置を越えて偏心カムロッドが回転し、クランプがクランプアセンブリから取り外される状態を段階的に示す図である。
【
図29】
図29は、
図20~
図26に示した切断ヘッドの部分断面図であり、
図26に示したクランプリリース位置を越えて偏心カムロッドが回転し、クランプがクランプアセンブリから取り外される状態を段階的に示す図である。
【
図30】
図30は、本発明の非限定的な態様による、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対して、
図4~
図29のいずれかに示したクランプおよびナイフの着脱を行うことができるタイプの第1のナイフ交換ツールを示す斜視図である。
【
図31】
図31は、本発明の非限定的な態様による、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対して、
図4~
図29のいずれかに示したクランプおよびナイフの着脱を行うことができるタイプの第1のナイフ交換ツールを示す斜視図である。
【
図32】
図32は、
図30および
図31に示したナイフ交換ツールを示す部分断面図であり、クランプを磁気的に係合するための非作動位置を示す図である。
【
図33】
図33は、
図30および
図31に示したナイフ交換ツールを示す部分断面図であり、クランプを磁気的に取り外すための作動位置を示す図である。
【
図34】
図34は、
図30~
図33に示したナイフ交換ツールを示す部分斜視図であり、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対してクランプの着脱を行う際にクランプが磁気的に係合する状態を示す図である。
【
図35】
図35は、
図30~
図33に示したナイフ交換ツールを示す部分斜視図であり、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対してクランプの着脱を行う際にクランプが磁気的に係合する状態を示す図である。
【
図36】
図36は、
図30~
図33に示したナイフ交換ツールを示す部分斜視図であり、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対してクランプの着脱を行う際にクランプが磁気的に係合する状態を示す図である。
【
図37】
図37は、本発明の非限定的な態様による、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対して、
図4~
図29のいずれかに示したクランプおよびナイフの着脱を行うことができるタイプの第2のナイフ交換ツールを示す斜視図である。
【
図38】
図38は、本発明の非限定的な態様による、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対して、
図4~
図29のいずれかに示したクランプおよびナイフの着脱を行うことができるタイプの第2のナイフ交換ツールを示す斜視図である。
【
図41】
図41は、本発明の非限定的な態様による、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対して、
図4~
図29のいずれかに示したクランプおよびナイフの着脱を行うことができるタイプの第3のナイフ交換ツールを示す斜視図である。
【
図42】
図42は、本発明の非限定的な態様による、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対して、
図4~
図29のいずれかに示したクランプおよびナイフの着脱を行うことができるタイプの第3のナイフ交換ツールを示す部分断面図である。
【
図43】
図43は、
図41および
図42に示したナイフ交換ツールの斜視図であり、クランプと磁気的に係合する状態を示す図である。
【
図45】
図45は、
図41~
図44に示したナイフ交換ツールを示す部分斜視断面図であり、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対してクランプの着脱を行う際にクランプが磁気的に係合する状態を示す図である。
【
図46】
図46は、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対して、
図4~
図29のいずれかに示したクランプおよびナイフの着脱を行うことができるタイプの第4のナイフ交換ツールを示す側面図であり、該ナイフ交換ツールは、本発明の非限定的な態様による、
図30~
図45に示した特定の特徴を備えることを示す図である。
【
図47】
図47は、
図1に示したスライス装置を含むがこれに限定されないスライス装置の切断ヘッドに対して、
図4~
図29のいずれかに示したクランプおよびナイフの着脱を行うことができるタイプの第4のナイフ交換ツールを示す側面図であり、該ナイフ交換ツールは、本発明の非限定的な態様による、
図30~
図45に示した特定の特徴を備えることを示す図である。
【
図48】
図48は、
図46および
図47に示したナイフ交換ツールの部分断面図であり、クランプを磁気的に係合するための非作動位置を示す図である。
【
図49】
図49は、
図46および
図47に示したナイフ交換ツールの部分断面図であり、クランプを磁気的に取り外すための作動位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の以下の詳細な説明、および以下の詳細な説明において使用される表現および用語の意図する目的は、本発明の1つ以上の非限定的な実施形態に関して図示した実施形態を説明することであるとともに、図示した実施形態のすべてではないが特定の部分を説明することである。また、以下の詳細な説明は、図示した実施形態のすべてではないが特定の代替的な実施形態を記載している。非限定的な例として、本発明は、開示された実施形態の1つ以上の機能または特徴に代替する、追加的または代替的な実施形態を包含し、および/または省略し得る特定の実施形態の一部として示されるとともに、開示された異なる実施形態の2つ以上の特徴または特性を組み合わせた、追加的または代替的な実施形態を包含し、および/または異なる実施形態の一部として示される。したがって、添付の特許請求の範囲は、あくまでも詳細な説明ではなく、詳細な説明に記載された、必ずしもすべての態様および代替的な実施形態ではないが、特定の態様および代替的な実施形態を含む、本発明とみなされる主題を具体的に特定することを意図している。
【0019】
図5~
図29は、クランプアセンブリの非限定的な実施形態を模式的に示した図であり、
図30~
図49は、
図1に示した遠心タイプのスライス装置10を含むがこれに限定されないさまざまな切断装置と、
図2および
図3に示した切断ヘッド12に使用可能なナイフ交換ツールの非限定的な実施形態を模式的に示した図である。場合によっては、本明細書中で開示したクランプアセンブリは、
図1~
図3に示したタイプの装置および切断ヘッド用のクランプアセンブリに代替または修正することもできる。便宜上、以下の説明は、
図2および
図3を参照して示した環状切断ヘッド12を備える
図1に示したスライス装置を参照して図示し説明されるクランプアセンブリおよびツールについてなされる。そのため、以下の説明は、主に、
図1~
図3に示した装置10および切断ヘッド12の特定の態様を参照して説明されるクランプアセンブリおよびツールの特定の態様についてなされ、以下の説明において詳細に説明されない装置10および切断ヘッド12の他の態様については、
図1~
図3を参照して説明したとおりであってもよい。しかしながら、本発明の教示は、他のタイプの切断装置にも一般的に適用可能である。さらに、そのような装置および切断ヘッドは特に食品のスライスに適しているが、本明細書に記載したクランプアセンブリおよびツールを、さまざまな他のタイプの材料を切断する装置および切断ヘッドに適用することも、本発明の範囲内にある。
【0020】
図示したクランプアセンブリおよびツールに関する以下の説明の理解を容易にするため、相対的な用語については、
図1に示した装置10の切断ヘッド12およびインペラ14によって示された
図2の切断ヘッド12に関するクランプアセンブリおよびツールの方向を参照して使用される。
図1に示した切断ヘッド12およびインペラ14の同軸配置に基づき、相対的な用語には、「軸方向」、「周方向」、「径方向」などが含まれるが、これらに限定されることはない。これらと同様の語も、図示された非限定的な実施形態を説明する上で利用されうる。そのような相対的な用語はすべて、
図5~
図49に図示されたクランプアセンブリおよびツールを説明するために有用であるが、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本明細書において、「前」(およびその関連する形態)は、切断ヘッド12に取り付けられ切断ヘッド12内で回転するインペラ14の回転方向において前方または先行する、切断ヘッド12上の位置または方向を意味し、「後」(およびその関連する形態)は、インペラ14の回転方向において後に来るまたは後続する、切断ヘッド12上の位置または方向を意味する。
【0021】
便宜的に、
図5~
図49において図示したクランプアセンブリのさまざまな実施形態の同一あるいは機能的に関連する/同等な要素については、同一の参照符号を付している。
【0022】
図5および
図6は、それぞれ、スライス装置10の切断ヘッド12に取り付けられたクランプアセンブリ50の第1の実施形態の部分斜視図と部分側面図である。クランプアセンブリ50は、部分的に隠れて示されたナイフホルダ52と、ストリップカット用ナイフ20をナイフホルダ52の表面52Aに固定するクランプ54とを備えるよう図示される。非限定的な例として、
図5および
図6において、ナイフ20は、上部サポートリング24の開口部25を通って突出するハンドル21を備える一体型ナイフ20として図示されているが、ナイフ20は、非限定的な例として、
図4に示したハンドルレスツーピースナイフ20のようなハンドルレスナイフとして構成することもできる。
図5に示すように、1つ以上の位置決めピン53が、ナイフ20の相補的な位置決め孔(たとえば、
図4の20C)を通ってナイフホルダ52の表面52Aから突出し、
図7に示したクランプ54の相補的な位置決め孔54Eに収容され、ナイフ20およびクランプ54とナイフホルダ52とを適切に整合させている。
【0023】
さらに、クランプアセンブリ50は、切断ヘッド12のサポートリング22および24に取り付けられた一対の基部72によって、これら基部72の間に取り付けられるものとして図示されている。クランプ54を取り出して示した
図7からより明らかであるように、クランプ54は、クランプ54の前縁54Cを形成し、ナイフ20に物理的に接触するナイフ係合部54Aを含むため、少なくともナイフ係合部54Aがナイフ20のタブブレード46を収容するスロット56(
図7)を有する範囲で、ナイフ20と相補的な形状を有する。クランプ54は、クランプ54の後縁54Dに隣接する基部54Bをさらに含み、クランプ54をナイフホルダ52に固定し、クランプ54に締め付け荷重を付与する手段によって係合するよう構成される。
図5~
図7から明らかであるように、基部54Bは、クランプ54の長手方向または長さに対して平行な方向(クランプ54の前縁54Cに対して略平行)に、クランプ54の長手方向に対して平行な方向におけるナイフ係合部54Aの幅よりも小さい幅を有する。
【0024】
図5および
図6では、クランプ54の固定/クランプ手段は、クランプ54にクランプ力を付与するクイッククランプ機能として構成された偏心カムロッド60として図示されている。カムロッド60は、基部72(
図6)に収容されるカムロッド60の端部を通るカムロッド60の中心長軸61(
図6および
図7)を中心に回転するよう、切断ヘッド12の基部72の間に回転可能に取り付けられる。
図5および
図6は、さらに、上部サポートリング24を通って突出する、ロッド60の上端64を示す。図示した非限定的な実施形態では、
図5、
図6および
図7の上方から見て、ロッド60のハンドル66を使用してカムロッド60をその軸61を中心に反時計回りに回転させることにより、カムロッド60が偏心的に移動して、クランプ54の基部54Bと係合することにより、クランプ54がナイフ20と係合し、ナイフ20はナイフホルダ52に挟持される。
図5および
図6に図示されるこの位置は、ロック位置またはクランプ位置と称する。カムロッド60からクランプ54に付与された力は、軸61を中心にカムロッド60を反時計回りに回転させることにより解除される。カムロッド60がアンロック位置または開位置まで回転すると、クランプ力が十分に減少してナイフ20を取り外すことが可能となる。ナイフリリース位置と称するこのような開位置では、ナイフ20のハンドル21を掴み、上部サポートリング24の開口部25を通してナイフ20を上方に引き出すことによって、ナイフ20を切断ヘッド12から取り外すことができる。
【0025】
図7からより明らかであるように、カムロッド60はカム面70を有し、カムロッド60が
図5および
図6に示した位置まで回転すると、クランプ54の基部54Bと係合して、クランプ54がナイフ20と係合し、ナイフ20はクランプ54を介してナイフホルダ52に挟持される。クランプ54への均一な締め付け荷重の付与を促進するために、クランプ54の基部54Bは、クランプ54の長手方向長さに沿って中央に位置するものとして図示されている。
図7では、カムロッド60の偏心は、カム面70を含むカムロッド60の部分の中心長軸71が、カムロッド60の中心長軸61に対して平行で、かつ、距離d
oだけ直径方向にオフセットされていることにより示されている。
図5、
図6、および
図7にさらに示すように、カムロッド60は、基部72間において、ロッド60の長手方向長さの一部(図示したように、大部分)にわたる凹面68を形成する径方向凹部62(
図7)を有する。凹面68も、軸61および71に略平行であるように図示され、径方向凹部62は、クランプ54の基部54Bを収容できる大きさである。クランプ54の基部54Bの幅もカムロッド60に平行であり、凹面62の長手方向長さより小さいため、
図5および
図6に示すように組み立てられた場合には、径方向凹部62がクランプ54に対向するまでカムロッド60がその軸61を中心に回転されると、クランプ54の基部54Bは、径方向凹部62内に緩く収容される。
図5および
図6に示したように、カムロッド60がその軸61を中心に回転し、カム面70がクランプ54と係合すると、カムロッド60の径方向凹部62および凹面68は、クランプ54とは反対側を向く。
【0026】
図8A、
図8B、
図9A、
図9B、および
図10は、クランプ54の係合(挟持)および係合解除(リリース)を実現するカムロッド60の2つの回転位置を示す。
図8Aおよび
図8Bは、上述したロック位置を示しており、
図8Bに示したように、カム面70は仮想線で示したクランプ54に対向して係合するよう配置され、カムロッド60の径方向凹部62および凹面68はクランプ54とは反対側を向いている状態で、ナイフ20を挟持してナイフホルダ52に固定する。ロック位置では、カムロッド60から突出するストップピン65は、上部サポートリング24上のロックされたストップ74に当接し、カムロッド60のハンドル66は、上部サポートリング24の開口部25の真上に配置されており、ナイフ20のハンドル21(図示せず)へのアクセスを妨げている。
図9Aでは、カムロッド60は前述のナイフリリース(開)位置まで回転しており、
図9Bに示したように、カムロッド60の径方向凹部62および凹面68は、仮想線で示したクランプ54にほぼ対向するよう配置され、カム面70は、クランプ54とはほぼ反対側を向いている。
図8Bに示す位置に対してカムロッド60がクランプ54から離れるように移動していることから明らかなように、カムロッド60の偏心と、その凹部62および凹面68の位置との組み合わせにより、ナイフ20をナイフホルダ52から取り外すことが可能となる。ナイフリリース位置では、カムロッド60から突出するストップピン65が、ロックされたストップ74から時計回りに約180度に位置するように
図8Aおよび
図9Aに示される上部サポートリング24上のナイフリリースストップ76に当接する。さらに、カムロッド60のハンドル66は上部サポートリング24の開口部25の真上に配置されておらず、ナイフ20のハンドル21へのアクセスが容易となるため、ナイフ20のハンドル21を掴み、上部サポートリング24の開口部25を通してナイフ20を上方に引き出すことによって、ナイフ20を切断ヘッド12から取り外すことができる。
【0027】
図10および
図11は、
図5、
図6、および
図8A~
図9Bに示した切断ヘッド12の斜視図であり、カムロッド60がナイフリリース位置にあり、並びに、クランプ54がクランプアセンブリ50から部分的に取り外された状態と、クランプ54が完全に除去された状態とをそれぞれ示している。
図11では、クランプ54によって予め固定されていたナイフ20も取り外され、ナイフホルダ52およびナイフホルダ52のナイフ支持面52Aが露出している。
【0028】
図12および
図13は、
図5、
図6、および
図8A~
図11に示した切断ヘッド12の斜視図であり、カムロッド60が持ち上げられ、カムロッド60から突出しているストップピン65(図では目視できない)が上部サポートリング24のナイフリリースストップ76を越え、ロッド60が
図9A、
図9B、
図10、および
図11に示したナイフリリース位置を越えて完全な開位置まで回転することができることを示す。
図12は、クランプ54を切断ヘッド12に取り付ける前に、ハンドル21の有無にかかわらず、ストリップカット用ナイフ20を取り付けることができることを示し、
図13は、たとえば
図4に示したようなハンドルを有さないストリップカット用ナイフ20とクランプ54とを事前に組み立てて、その後、組み立てられたクランプナイフアセンブリを切断ヘッド12に取り付けることができることを示す。
図14および
図15は、カムロッド60が
図12および
図13に示した完全な開位置にある場合において、クランプ54およびナイフ20を同時に取り付ける状態を段階的に示す。
【0029】
図16は、
図5~
図15に示したクランプ54と、ストリップカット用ナイフではないフラットなナイフを固定するために使用されるよう構成された第2のクランプ54とを並べて模式的に示す図である。
図16から明らかであるように、第2のクランプ54は、ストリップカット用ナイフ20のタブブレード46を収容するナイフ係合部54Aのスロット56を省略している点で、
図5~
図15に示したクランプ54と異なっている。
図17および
図18は、
図5に示した切断ヘッドの部分斜視図であり、たとえば、
図16に示した第2のクランプ54と組み合わせて切断ヘッド12に取り付けることができる、ハンドル付きおよびハンドルレスのフラット状のナイフ20の非限定的な例をそれぞれ示す。
【0030】
図19~
図29は、
図5~
図18に示したロッド60とは異なる偏心カムロッド 60に適用可能である、
図5に示した切断ヘッド12を示す。
図19~
図29に示したカムロッド60も、クランプ54にクランプ力を付与するためのクランプアセンブリ50のクイッククランプ機能を備える。
図5~
図18に示したカムロッド60と
図19~
図29に示したカムロッド60との類似点に鑑みて、以下の説明は、
図19~
図29に示したカムロッド60に関して、
図5~
図18に示したカムロッド60から顕著または著しく異なる、
図19~
図29に示したカムロッド60の態様に対して主に焦点をあてる。詳細に説明されていない、さらなる実施形態の他の態様については、構造、機能、材料などについて、本質的には
図5~
図18に示した実施形態について説明したとおりである。
【0031】
図19~
図29に示したカムロッド60は、基部72間でカムロッド60の軸61を中心に回転可能に取り付けられ、ロッド60の上端64は、上部サポートリング24を通って突出している。
図20は、カムロッド60のロック(またはクランプ)位置を示す。図示した非限定的な実施形態では、
図20の上方から見て、ロッド60のハンドル66を使用してカムロッド60をその軸61を中心に反時計回りに回転させることにより、カムロッド60のカム面70が偏心的に移動して、クランプ54の基部54Bと係合することにより、クランプ54が
図20には図示しないナイフ20と係合し、ナイフ20はナイフホルダ52に挟持される。カムロッド60からクランプ54に付与された力は、軸61を中心にカムロッド60を反時計回りに回転させることにより解除される。
図21は、
図20に示したロック(クランプ)位置からナイフリリース(開)位置まで時計回りに回転したカムロッド60を示し、該位置では、クランプ力が十分に減少してナイフ20を切断ヘッド12から取り外すことができる。
【0032】
図19~
図29では、
図5~
図18に示したストップピン65がストップフランジ65に置き換えられており、図示した非限定的な実施形態では、ストップフランジ65は、ロッド60の上端64の径方向に突出する平面である。ストップフランジ65は、カムロッド60から十分に突出しており、ロッド60が
図20に示すロック(クランプ)位置にあるときに、上部サポートリング24上のロックストップ74(
図21)に当接することができる。この位置では、カムロッド60のハンドル66は上部サポートリング24の開口部25の真上に配置される。
図21では、カムロッド60がその軸61を中心に前述のナイフリリース(開)位置まで回転し、この位置では、カム面70の大部分がまだクランプ54に対向しているが、カムロッド60の偏心により、カム面70がクランプ54から十分に外れて、ナイフ20をナイフホルダ52から取り外すことができる。ナイフリリース位置では、カムロッド60のストップフランジ65は、上部サポートリング24上のナイフリリースストップ76に当接し、
図21に示すように、ロックストップ74から時計回りに90度未満の角度θの位置にある。ナイフリリース位置では、カムロッド60のハンドル66は、もはや上部サポートリング24の開口部25の真上に配置されていない。
【0033】
図19~
図29に示したカムロッド60は、ロッド60の上端64と凹面68との間に存在する環状スロット78と環状カラー80とをさらに有する。カラー80は、ほぼカラー80の弦上に位置する凹面82を有する。
図19に示すように、凹面82は、
図19の上方から見て、ロッド60の凹面68からカムロッド60の時計回り方向に周方向にオフセットしている。
図22および
図23から明らかなように、スロット78は、保持要素84と協働して、上部サポートリング24に隣接する基部72に対して軸方向の位置にカムロッド60を保持する。この軸方向位置では、カムロッド60は、
図20に示したように、基部72のそれぞれに回転可能に収容される。
【0034】
図21~
図23に示したように、ロックストップ74およびナイフリリースストップ76は、上部サポートリング24の上面の凹部内に配置される。隆起したステップ86は、ナイフリリースストップ76から時計回り方向にこの凹部内に配置される。スロット78の軸方向長さは、カムロッド60を保持要素84と係合させたままカムロッド60を
図23に示す矢印の方向に持ち上げて、ストップフランジ65がステップ86を乗り越えるのに十分な長さであり、これにより、カムロッド60は、ナイフリリースストップ76を越えてその軸61を中心に時計回りに回転することができる。
図23に示した非限定的な実施形態では、カムロッド60は、
図21に示したナイフリリース位置を越えて、
図20および
図22に示したロック位置から時計回りに約90度の第2の開位置まで回転しているため、ストップフランジ65がステップ86を乗り越えてステップ86上に載っている。
図23に示した位置では、カラー80の凹面82が保持要素84と位置合わせされることにより、カラー80が保持要素84を乗り越えて、カムロッド60を
図23に示した矢印の方向にさらに持ち上げることができ、所望であれば、カムロッド60を切断ヘッド12から完全に取り外すことが可能となる。そのため、
図23に示した開位置は、カムロッド60のカムリリース位置と称されることもある。
【0035】
図24および
図25は、切断ヘッド12の一部の上面図を模式的に示した図であり、カムロッド60が
図20および
図22に対応するロック(クランプ)位置にあることと、
図21に対応するナイフリリース(開)位置にあることをそれぞれ示す。カムロッド60の径方向凹部62の輪郭を仮想線で示す
図24および
図25から明らかなように、カム面70は、ロック位置およびナイフリリース位置の両方で大部分がクランプ54に対向するが、
図25に示したナイフリリース位置では、カムロッド60の偏心によりカム面70がクランプ54から十分に外れて、ナイフ20をナイフホルダ52から取り外すことが可能となる。
図26では、カムロッド60が、
図21および
図25に示したナイフリリース位置および
図23に示したカムリリース位置を越えて、
図20および
図22に示したロック位置のほぼ反対側(ロック位置から時計回りに約180度)の第3の開位置まで、カムロッド60の軸61を中心に回転する。
図26から明らかなように、カムロッド60の径方向凹部62および凹面68がクランプ54に対向することにより、クランプ54をクランプアセンブリ50から取り外すことができるように、これらの間に十分な間隙が提供される。そのため、
図26に示した開位置は、カムロッド60のクランプ取り外し位置と称されることもある。クランプ取り外し位置を備えることで、クランプアセンブリ50およびその部品の洗浄が容易となる。
【0036】
図27~
図29も、切断ヘッド12の一部を模式的に示した上面図であるが、カムロッド60が
図26に示したクランプ取り外し位置を越えて、
図20および
図22に示したロック位置から時計回りに約240度の位置までその軸61を中心に回転した状態を示す。
図27~
図29から明らかなように、カムロッド60の径方向凹部62および凹面68は、実質的にクランプ54に対向しており、これらの間により大きな間隙を形成して、クランプ54を容易にクランプアセンブリ50から取り外すことができるようにしている。
図27~
図29は、クランプ54をクランプアセンブリ50から取り外す状態を段階的に示す。
【0037】
図19~
図29に示したカムロッド60は、さらに、クランプ54の後縁54Dを対向配置することができる特徴的な形状90を備えた任意の要素としてのクランプストップバー88を有するよう示されている。クランプストップバー88は、クランプ54の前縁54Cをナイフホルダ52の前縁に近接して正確に配置するよう機能する。
【0038】
図30~
図49は、
図1に示した遠心タイプのスライス装置10を含むがこれに限定されないさまざまな切断装置に使用可能なナイフ交換ツール100を示す。ツール100の非限定的な実施形態については、
図1を参照して示した切断ヘッド12およびインペラ14と、
図2~
図29を参照して示した切断ヘッド12のいずれかを備えたスライス装置10を参照して図示し、説明する。しかしながら、ツール100は、他のタイプの切断装置および切断ヘッドにも一般的に適用可能である。さらに、ツール100は、
図4~
図29を参照して示したストリップカット用ナイフ20を含むさまざまなストリップカット用ナイフの取り付けおよび取り外しに特に適用可能であるが、これに限定されることはない。ツール100の間における類似点に鑑みて、ツール100の同一あるいは機能的に関連する/同等な要素については、
図30~
図49において、同一の参照符号を付している。
【0039】
ナイフ交換ツール100の第1の実施形態は、
図30~
図36に示すように、基部102、アクチュエータ104、およびハンドル106を備える。
図30~
図33に示すように、基部102は、下面108、反対側に配置された上面110、前面112、反対側に配置された背面114を備えた、矩形断面を有する略細長形状を有する。ハンドル106は、基部102に対して固定位置を維持するようねじ機構によって基部102に固定され、アクチュエータ104は、下面108に対して略垂直な変位方向に基部102に対して変位できるように基部102に固定されている。
【0040】
図30~
図36に示した非限定的な実施形態では、基部102は、アクチュエータ104のバー120から伸長するピン118をそれぞれ収容する複数の平行な孔116を有する。孔116は、下面108に開口しており、それぞれのピン118の遠位部は基部102の下面108に隣接して配置される。孔116およびピン118をアクチュエータ104の変位方向に対して平行に配置することにより、アクチュエータ104は変位方向に変位することが可能となっている。図示した実施形態では、それぞれの孔116はショルダ122を有し、かつ、孔116内に収容されたピン118は対向するショルダ124を有しているため、孔116の内側でピン118を取り囲むキャビティが形成され、ピン118を基部102の下面108に向けて付勢することができる圧縮ばね126が含まれる。代替的に、ツール100は、ばね126を備えた孔116の数がすべての孔116の数よりも少ない構成を採ることもできる。コイルばね126を図示したが、他の付勢手段を使用することができ、非限定的な例としては、圧力、張力、または捻じれ力を付与し、レバーまたは他の中間機構を介して作動する、1つ以上のばね(ガスまたは油圧を含む)および/または弾性部材が挙げられる。
【0041】
それぞれの孔116の長さに対する、アクチュエータ104のバー120から伸長するピン118の長さは、ピン118がばね126の影響下で孔116に完全に挿入された場合に、それぞれのピン118の遠位端128が基部102の下面108と同一平面上となるか、少なくとも基部102の下面108に近接するような長さであることが好ましい。それぞれのピン118の遠位端128に位置するキャビティ内にはマグネット130が収容されており、それぞれのマグネット130は、基部102の下面108と同一平面上となるか、少なくとも基部102の下面108に近接するような露出面132を有する。さまざまな磁性材料をマグネット130に使用することができる。適切な磁性材料は、特に、基部102の下面108に対して配置される、または基部102の下面108に近接して配置される、前述したクランプ54および/またはナイフ20などの強磁性体を磁気的に捉えるのに十分な強い磁場を生成することができる。
【0042】
図31に示すように、アクチュエータ104は、アクチュエータ104のバー120から突出するトリガまたはタブ134を含み、タブ134は、基部102の背面側に配置され、基部102の背面114の上方で突出している。タブ134およびハンドル106は、操作者がハンドル106を掴むと同時にタブ134を掴むことができ、かつ、タブ134を基部102から引き離すことができるように配置および方向付けがなされている。タブ134を基部102から引き離すことで、
図33に示したように、アクチュエータ104は基部102からばね126の付勢効果に抗して変位し、
マグネット130が基部102の孔116内を後退する。この位置では、マグネット130は、たとえばナイフ20および/またはクランプ54などの強磁性体を捉える能力は、たとえば、マグネット130がナイフ20および/またはクランプ54を基部102の下面108に対して保持することができなくなる程度まで、著しく減衰する。タブ134を解放することにより、ばね126がアクチュエータ104を基部102に向かって変位させ、これによって、バー120は、ピン118の遠位端128およびマグネット130が基部102の下面108に近接している位置である、基部102の上面110に接触する。この位置では、マグネット130は、ナイフ20および/またはクランプ54などの強磁性体を捉え、基部102の下面108に対して保持することができる。
【0043】
図34~
図36は、基部102の下面108がクランプ54に対してまたはクランプ54に近接して配置され、マグネット130の露出面132が基部102の下面108と同一平面上となるか、基部102の下面108に近接する(
図32参照)ように、アクチュエータ104のピン118が基部102に対して配置されることにより、ツール100がクランプ54およびナイフ20を同時に捉えている状態を示している。
図5を参照して説明したように、クランプアセンブリ50が位置決めピン53を備えている場合には、基部102の下面108のスロット136により、基部102がこの位置決めピン53に跨がることができるため、下面108は、クランプ54、ナイフ20などと直接接触することができる。タブ134を掴んで基部102から引き離すことにより、マグネット130が十分に基部102の孔116に引き込まれてクランプ54が外れるまで、ばね126の付勢効果に抗して、アクチュエータ104が基部102から離れるように変位する(
図33参照)。
【0044】
図37~
図49は、ナイフ交換ツール100の追加的な実施形態を示す。以下の説明は、
図30~
図36に示したツール100から顕著または著しく異なる、
図37~
図49に示したツール100の態様に対して主に焦点をあてる。詳細に説明されていない、
図37~
図49に示した実施形態の他の態様については、構造、機能、材料などについて、本質的には
図30~
図36に示した実施形態について説明したとおりである。
【0045】
図37~
図40に示したツール100のアクチュエータ104は、操作者が手でハンドル106を握りながら掴むことのできるトリガ134を介して操作され、トリガ134をばね126の付勢効果に抗してアクチュエータ104が基部102から離れて変位するようにハンドル106に向かって引っ張ることにより、
図33に示したのと同様に、マグネット130が基部102の孔116に引き込まれる。この動作は、トリガ134が、それぞれ基部102に配置されたピボットピン138およびアクチュエータ104に配置されたカムフォロア140を介して基部102およびアクチュエータ104に結合されたアーム134Aの延長部から構成されていることに基づいている。カムフォロア140は、アーム134Aのカムスロット142内に存在し、ピボットピン138を中心としたトリガ134およびアーム134Aの円弧状の軌道をアクチュエータ104の直線的な変位に変換する。トリガ134を解放すると、ばね126がアクチュエータ104を基部102の方へ変位させ、ピン118を基部102の中へ引き込むことができる。
図37~
図40に示したツール100は、任意的に、取外し可能なハンドル106(
図40)と、クランプ54またはナイフ20の取り外しを補助するためにハンドル106に取り付けられたプライバー144からなる追加的な特徴を有する。
【0046】
図41~
図45に示したツール100は、前述した実施形態のアクチュエータ104およびタブ/トリガ134を備えていない。ツール100は、基部102の孔148内に存在し、ばね150によって基部102の下面108に向かって付勢される一対の位置決めピン146を備える。位置決めピン146は、基部102に配置され、たとえば、
図7と、
図4および
図12にそれぞれ示したクランプ54およびナイフ20の位置決め孔54Eおよび20Cに同時に収容されるような大きさであり、これにより、クランプ54およびナイフ20をナイフホルダ52に取り付ける工程の前および工程の間に、クランプ54およびナイフ20は、マグネット130によって保持されながら、ツール100上に正確に配置される。取り付け時には、位置決めピン146は、ナイフホルダ52の位置決めピン53と位置合わせされ、ツール100がナイフホルダ52に押し付けられて、位置決めピン146がばね150の付勢力に抗して基部102に引き込まれると、クランプ54およびナイフ20は、
図45に示したように、ナイフホルダ52およびその位置決めピン53に移される。
【0047】
図46~
図49に示したツール100は、
図30~
図45に示したツール100の特定の態様を組み合わせたものである。たとえば、
図46~
図49に示したツール100は、
図30~
図40に示した実施形態と同様に、ピン118で基部102に往復可能に取り付けられたアクチュエータ104と、
図41~
図45に示した実施形態と同様に、基部102内に往復可能に取り付けられた位置決めピン146とを備える。また、
図46~
図49に示したツール100は、
図30~
図40に示した実施形態と同様に、1つ以上のピン118の遠位端に取り付けられた、
図48および
図49に示したマグネット130を備える。
図41~
図45に示した実施形態と同様に、位置決めピン146が基部102に配置され、かつ、位置決めピン146は、たとえば、
図7と、
図4および
図12にそれぞれ示したクランプ54およびナイフ20の位置決め孔54Eおよび20Cに同時に収容されるような大きさに形成されており、これにより、クランプ54およびナイフ20は、クランプ54およびナイフ20をナイフホルダ52に取り付ける工程において、ツール100上に正確に配置される。
【0048】
図46~
図49に示したツール100では、ピン118に対して位置決めピン146が相対的に変位するよう構成されており、それぞれの位置決めピン146は、ピン118のマグネット130がばね126によって基部102の下面108に向かって付勢されている場合には、少なくとも部分的に孔148に引っ込むようになっており、かつ、それぞれの位置決めピン146が、マグネット130が基部102内の孔116に引っ込んだ場合には、基部102の下面108から突出するように、位置決めピン146が変位する。
【0049】
マグネット130および位置決めピン146は、たとえば、操作者がハンドル106を手で握りながら掴むことが可能な、
図30~
図36に示したツール100について示されるタイプのようなトリガ(図示せず)の操作を介して、基部102に引き込まれ、かつ、ハンドル106に向かって引っ張られることにより、アクチュエータ104は、
図47および
図49に示すように、ばね126の付勢効果に抗して基部102から離れるように変位する。
図46および
図48に示すように、アクチュエータ104が基部102の上面110に対して配置されると、マグネット130は、
図48に示すように、基部102の下面108と同一平面上となるか、基部102の下面108に近接する。
図47および
図49に示したようにアクチュエータ104が基部102から離れるように変位すると、マグネット130は、
図49に示したように、基部102の孔116に引き込まれる。マグネット130および位置決めピン146は、アクチュエータ104が基部102から離れるように変位することに伴い、マグネット130が基部102へ引き込まれると、位置決めピン146の反対の動き、すなわち、位置決めピン146の進展が起こるように、相互接続されているため、位置決めピン146は、
図49に示したように、基部102の下面108から突出する。一方で、アクチュエータ104が基部102に向かって変位すると、マグネット130は基部102の下面108に向かって変位し、位置決めピン146は、
図48に示したように、基部102内に後退する。このような動作により、クランプ54がマグネット130によって所定の位置に保持されている場合には、位置決めピン146が邪魔にならず、位置決めピン146は、ナイフホルダ52の位置決めピン53と干渉しない。しかしながら、マグネット130が後退しているときには、位置決めピン146を利用してクランプ54をツール100に位置合わせすることができる。
【0050】
図46および
図47は、マグネット130および位置決めピン146を相互接続して基部102内で反対の動きをさせるための手段の非限定的な実施形態を示す。図示した実施形態では、カムフォロア141は、ピン146の上端に設けられ、基部102内のスロット143に配置される。また、それぞれのカムフォロア141は、アーム134A内のカムスロット142に収容され、アーム134Aには、アクチュエータ104に接続された第2のカムフォロア140が収容される。アクチュエータ104の動きは、基部102の孔116内に収容されるピン118を介した、基部102に対する往復運動に限定される。アクチュエータ104は、
図48および
図49に示した、基部102およびピン118内に取り付けられたばね126の付勢効果によって、
図47および
図49に示すように、基部102から離れるよう付勢される。位置決めピン146は、アーム134Aを介したマグネット130と位置決めピン146との相互接続と、マグネット130に取り付けられたばね126の付勢効果とによって、
図46および
図48に示すように、基部102に後退するように付勢される。
【0051】
ばね126の影響下では、アクチュエータ104は基部102の上面110に接触し、ツール100は、
図46および
図48に示したような外観となる。アクチュエータ104が基部102から離れるよう変位する間、カムフォロア140および141は、アーム134Aのそれぞれのカムスロット142内に存在し、アクチュエータ104の直進的な変位および位置決めピン146の位置に適合するため、アーム134Aはピボットピン138を中心に枢動し、位置決めピン146は、
図46および
図47の比較、
図48および
図49の比較から明らかであるように、アクチュエータ104が基部102から離れるように変位するにつれて、基部102から進展する。
【0052】
以上のように、本発明について、1つ以上の特定の実施形態に関する特定の態様について説明を行ったが、本発明の代替態様についても、当業者によって適用可能である。たとえば、クランプアセンブリ50、ツール100、切断ヘッド、およびこれらが取り付けられるまたは使用される装置は、図示の内容とはその外形および構造において異なっていてもよい。また、クランプアセンブリ50 およびツール100は、図示したものと異なるナイフとともに使用することもできる。たとえば、形状(フラットか特定の形状か)が異なっていてもよく、形状ナイフである場合には、振幅(谷からピークまでの距離)および/またはピッチ(ピーク間の距離)が異なっていてもよい。さらに、クランプアセンブリ50、ツール100、およびこれらの部品を製造するためには、さまざまな材料および工程を採用することができる。したがって、本発明は、本明細書に記述された実施形態または図示された実施形態に限定されることはない。
【国際調査報告】