IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルトルク エーエスの特許一覧

<>
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図0A
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図1
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図2
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図3
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図4
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図5
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図6
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図7
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図8
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図9
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図10
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図11
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図12
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図13
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図14
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図14A
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図14B
  • 特表-マルチプレートリラクタンスモータ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】マルチプレートリラクタンスモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 19/10 20060101AFI20240604BHJP
   H02K 7/08 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H02K19/10 A
H02K7/08 A
H02K7/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023576182
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 NO2022050139
(87)【国際公開番号】W WO2022265519
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】20210788
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523463960
【氏名又は名称】エルトルク エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ブレンヴァル,ジョン エーリク
【テーマコード(参考)】
5H607
5H619
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB13
5H607DD02
5H607DD05
5H607GG08
5H607GG11
5H619AA01
5H619BB01
5H619BB06
5H619BB24
5H619PP01
5H619PP02
5H619PP04
5H619PP14
(57)【要約】
リラクタンスモータが提示される。リラクタンスモータは、ロータおよびステータを備え、ステータは、2つの端部ステータおよびステータミッドプレート歯(13、23A、23B)を有する少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)を備え、ロータは、ロータプレート歯(14、22A、22B)を有する少なくとも2つのロータプレート(3、22)を備える。少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)および少なくとも2つのロータプレート(3、22)は、2つの端部ステータ(1、21)の間に配置される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータおよびステータを備えるリラクタンスモータであって、前記ステータは、2つの端部ステータを備えており、前記ステータはさらに、ステータミッドプレート歯(13、23A、23B)を有する少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)を備え、前記ロータは、ロータプレート歯(14、22A、22B)を有する少なくとも2つのロータプレート(3、22)を備えることを特徴とし、前記少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)および前記少なくとも2つのロータプレート(3、22)は、前記2つの端部ステータ(1、21)の間に配置され、前記少なくとも2つのロータプレート(3、22)と前記少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)の間の磁場(9)のジグザグを提供し、かくして、前記リラクタンスモータのトルクを増幅させる、前記リラクタンスモータ。
【請求項2】
前記リラクタンスモータの少なくとも2つの隣接する部分の間にスペーサとして配置される軸推力用のニードルベアリングを備えることを特徴とし、前記部分は、前記端部ステータ(1、21)、前記ステータミッドプレート(4、23)、および前記ロータプレート(3、22)を備え、前記隣接する部分の間に間隙を確保する、請求項1に記載のリラクタンスモータ。
【請求項3】
前記リラクタンスモータの少なくとも2つの隣接する部分の間にスペーサとして配置される軸推力用の流体ベアリングを備えることを特徴とし、前記部分は、前記端部ステータ(1、21)、前記ステータミッドプレート(4、23)、および前記ロータプレート(3、22)を備え、前記隣接する部分の間の間隙を確保する、請求項1に記載のリラクタンスモータ。
【請求項4】
ベアリングボールを備えることを特徴とし、前記ロータプレート、前記端部ステータ、および前記ステータミッドプレートは、前記ベアリングボール用のトラックと共に配置されることによって、前記ベアリングボールが、端部ステータ(1、21)、ステータミッドプレート(4、23)、前記ロータプレート(3、22)の距離を確保することができ、それらが互いと接することを防ぐ、請求項1に記載のリラクタンスモータ。
【請求項5】
相数が4以上の偶数であることを特徴とし、前記相数は、電流の方向に応じて前記電流を異なる相に導くように配置されたダイオードによって半分にされる、上記の請求項の1つに記載のリラクタンスモータ。
【請求項6】
前記端部ステータ歯、ステータミッドプレート歯(13、23A、23B)、および/またはロータプレート歯(14、22A、22B)が、以下の形状:面取りされた、フィレットされた、正弦波のうちの1つを有することを特徴とする、上記の請求項の1つに記載のリラクタンスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、リラクタンスモータに関し、より具体的には、キャスタレートされた可変式リラクタンスモータの一種に関する。
【0002】
リラクタンスモータは、ロータが強磁性物質のみから作られている電気モータの一分類である。ロータが強磁性物質に加えコイル、スクワーレルケージまたは磁石を備える場合、モータは、永久磁石モータ、誘導モータ、スリップリングモータなどといった他のモータ分類に属することとなる。ロータにおける電流はモータ効率を低下させるので、リラクタンスモータのロータは、積層鋼で作ることが望ましい。
【0003】
リラクタンスモータのロータは、歯を有する。ステータは、歯を引っ張る「電磁石」を備える。電磁石は、順にオンオフされて、全ての位置で同じ方向にロータを引っ張る。説明はやや簡略化されているが、原則を理解するには有用である。永久磁石(PM)モータとは異なり、リラクタンスモータにおける電磁石は、ロータをプッシュオンすることはできない。できるのは引っ張ることのみである。このことは、リラクタンスモータが、ステータが全ての位置でロータにトルクを生成可能とするために、少なくとも三相を必要とすることを意味する。
【背景技術】
【0004】
発明によるモータは、マルチプレートリラクタンスモータと呼ばれる。このモータはマルチディスク(またはマルチステージ)モータと区別される。マルチディスクモータはよく知られている。Aydinらは、2004年の研究報告書「Axial Flux Permanent Magnet Disc Machines:A Review」で、従来のPMマルチディスクモータ設計を提示した。マルチディスク誘導モータも研究されている。
【0005】
アキシャルフラックスPMモータからのトルクを増大させるやり方の1つは、モータの長さを長くすることである。しかしながら、そうしたモータにおいて直径は一定のままで磁石およびコイルの長さを長くする場合、漏れ磁場が増加するだろう。ある時点で、漏れ磁場は、物質の不良な利用を生じさせる。そして、いくつかのモータを一列に配置しそれらにシャフトを共有させる方が良いが、それでも、各モータ内で磁場の方向を変えるのにバックアイアンが必要とされる。
【0006】
マルチディスクモータでは、モータ間のバックアイアンを取り除き、磁場が全モータを同じ方向に通り抜けるようにさせる。すると、磁場は、まず、モータスタックの端部で、方向を変える。このことにより、モータ間のいくつかのバックアイアンが取り除かれるため、全体の長さがかなり低減される。しかしながら、磁石およびコイルはそれでも元々のモータの場合と同じ厚さを有する。マルチディスクモータの長さに理論限界はない。マルチディスクモータは、PMモータである必要はない。誘導モータおよびいくつかの他のタイプの電気モータもマルチディスクモータであり得る。
【0007】
アキシャルフラックスマルチプレート可変式リラクタンスモータにおいて、モータの各端部のステータに通常コイルのみが存在する。端部ステータ間に、交流ロータプレートとステータミッドプレートが積み重ねられる。これは、磁場がロータプレートとステータミッドプレートの間をジグザグに進むため、トルクを増幅させる。電磁的観点から、ロータプレートとステータミッドプレートは非常に薄くなり得る。製造法および構造的完全性により、プレートの厚さは制限される。積み重ねられるプレートが多くなると、全プレートを通る磁場を駆動するのに必要とする起磁力は大きくなる。スタック厚さとしての漏れ磁場は増加する。これらの効果は、マルチプレートリラクタンスモータにおいていくつのプレートを積み重ねることができるかに理論限界をもたらす。マルチプレートモータであり得るのはリラクタンスモータのみである。さらなる説明のために、「発明の詳細な説明」を参照されたい。
【0008】
リラクタンスモータの概論
記述したように、リラクタンスモータは、ステータが全ての位置でロータにトルクを生成可能とするために、少なくとも三相を必要とする。最もシンプルな可能性があるリラクタンスモータが図0Aに示される。図面はWikipedia(商標登録)から引用されたものだが、磁場の方向を示す矢印[M]、ロータの回転方向を示す矢印[R]、ならびに相A、相Bおよび相Cを示す[PA]、[PB]および[PC]が追加されている。示されたロータ位置では、相Aにのみ電流がある。コイルでの電流方向は、矢印[C1](面外へ)および矢印[C2](面内へ)で示される。ロータは、相Cの電流がオンされる前に機械角で15度そして相Aがオフされる前に機械角で30度回転しなければならない。ロータは、相Aの電流が再度オンされる前に、機械角でさらに45度回転しなければならない。したがって、電流は、リラクタンスモータにおいて半サイナスだけである。電流は、相がオンされるたびに相において交代させることができるが、それをすることに利益はない。
【0009】
リラクタンスモータにおける磁場は、ループで進む必要があるため、リラクタンスモータにおける各相は少なくとも2つのコイルを有する必要がある。相ごとに1つのコイルというのは漏れ磁場により可能であるが、非常に非効率的である。相ごとに1つのコイルの例は、特許EP1280262A2に見ることができる。相ごとに3つのコイルは、2つのコイルを通過する磁場が1つのコイルを通って戻らなければならないモータを提供するだろう。相ごとに5つまたは7つのコイルの場合も同様である。したがって、相ごとに1、3、5、7つ…のコイルは可能であるが、準最適なモータを提供する。相ごとに4、6、8つなどのコイルは、相ごとに2つのコイルが繰り返されているパターンである。
【0010】
図0Aの設計は三相である。三相が意味することは、同じ相に属するコイルは時間の関数として同じ電流を有するということである。異なる相に属するコイルは、時間の関数として異なる電流を有する。三相PMモータの場合、電流は、2/3piシフトする。相の電流が正弦波であると仮定すると、このことは、相の電流が、
相A:IA=I sin(θ
相B:IB=I sin(θ+2π/3)
相B:IC=I sin(θ+4π/3)であることを意味する。
【0011】
は、コイルにおける最大電流である。θは、電気角である。ほとんどの電気モータでは、2πの電気角は、最小機械角として規定され、ロータは、位置が同一となるように回転しなければならない。図0Aに示されたモータの場合、θ=1/4θMである。なぜなら、ロータは、1つの完全な電気サイクルを完了させるために1つの完全な機械回転の1/4移動しなければならないからである。θ=機械角である。π=pi=3.14159…である。
【0012】
三相リラクタンスモータの弱点は、トルクリップルである。これは、コイル構成と部分的に関係がある。以下はその理由の説明である。
【0013】
三相永久磁石(PM)において、1つの相からのモータトルクは、sin(θに比例する。サイナスの二乗である。なぜなら、
1)電気角の関数としてのトルクは、相の電流が一定である場合、(おおむね)正弦波である
2)相の電流は、(通常)正弦波である
からである。
【0014】
sin(θ+sin(θ+2π/3)+sin(θ+4π/3)=一定(=1、5)であるということが分かる。これは、適切に設計された三相PMモータは、2π/3ラジアン(120°)シフトしている三相正弦波電流が供給された場合ゼロトルクリップルを有し得ることを意味する。このことにより、そうしたモータは、電気グリッド上の発電機としてよく適したものとなる。
【0015】
二相PMモータの場合、相間の電流は、πシフトしている。やはり、1つの相からのトルクは、sin(θに比例し、やはり、sin(θ+sin(θ+π)=一定(=1)であるということが分かる。これは、適切に設計された二相PMモータもまた、πラジアン(180°)シフトしている二相正弦波電流が供給された場合ゼロトルクリップルを有し得ることを意味する。
【0016】
しかしながら、三相リラクタンスモータの場合、電流の負部はスキップされる。これは、各相からのトルクは、
相A:IF sin(θ)>0 THEN torque~sin(θ ELSE torque=0
相B:IF sin(θ+2π/3)>0 THEN torque~sin(θ+2π/3) ELSE torque=0
相C:IF sin(θ+4π/3)>0 THEN torque~sin(θ+4π/3) ELSE torque=0
と比例することを意味する。
【0017】
この合計は一定ではない。(それは、0.75-0.25sin(3θ)にほぼ比例する)。したがって、三相リラクタンスモータは、正弦波電流の正部が供給された場合重大なトルクリップルを有するだろう。トルクリップルはノイズを意味し、そのため、リラクタンスモータはあまり利用されていない。
【0018】
高度な電流制御は、トルクリップルを低減することができるが、電流はその後、やはり問題を生じさせる高周波成分から構成されることとなる。
【0019】
四相リラクタンスモータにおいて、各相からのトルクは、
相A:IF sin(θ)>0 THEN torque~sin(θ ELSE torque=0
相B:IF sin(θ+π/2)>0 THEN torque~sin(θ+π/2) ELSE torque=0
相C:IF sin(θ+2π/2)>0 THEN torque~sin(θ+2π/2) ELSE torque=0
相D:IF sin(θ+3π/2)>0 THEN torque~sin(θ+3π/2) ELSE torque=0
である。
【0020】
この合計は、一定である(=1)。相A+Cと相B+Dを加えると、二相PMモータと同じであることが分かる。これは、正弦波電流が提供された場合ゼロトルクリップルを有する四相リラクタンスモータを作ることが可能であることを意味する。
【0021】
六相リラクタンスモータも正弦波電流が提供された場合ゼロトルクリップルを有し得ることが同様の理由から把握することができる。八相は、2つの四相モータである。十相は、四相と六相モータである。したがって、4より大きいペア数の相を有するリラクタンスモータはゼロトルクリップルを有し得ることを把握することができる。
【0022】
トルクリップルの話になると生じるもう一つの課題は、鉄の磁気飽和である。モータの鉄が飽和し始めると、最大電流(例えば、相Aではθ=π/2のとき)により、トルクの効率は低下する。θの関数としてのトルクはしたがって、電流と比例しない。したがって、所与の正弦波電流においてゼロトルクリップルを有するモータを設計することができる。しかしながら、電流を、設計電流を下回るように低下させた場合、再度トルクリップルが得られる。可変式リラクタンスモータはしたがって、アイドル時他のモータよりも多くのノイズを作るだろう。同じ効果により、飽和が十分に高まると、ゼロトルクリップルを有するモータを設計することが不可能となる。
【0023】
この特許出願は、キャスタレートされた可変式リラクタンスモータ(CVRM)に特に関係するが、技術的にコイルごとに1つの歯を有するCVRMは図0Aに示される通常のリラクタンスモータであるので、あらゆるリラクタンスモータにも適用される。
【0024】
CVRMは、特許出願EP2671309A1およびEP2885855A1に記載される。Sargosらは、1993年に書誌「Generalized theory of the structure of reluctance stepper motors」を発行している。
【0025】
リラクタンスモータをキャスタレートするために、各コイル下に少なくとも2つの歯が存在しなければならない。各コイル下の歯は、ロータの場合の歯と同じ距離で均等に配置される。異なるコイル下の隣接する歯の間の間隙は、ロータの歯の間の間隙よりも大きくまたは小さくなければならない。モータに対称性を持たせるために、異なるコイル下の隣接する歯の間の全ての間隙は等しくなければならない。
【0026】
相ごとに2つのコイルを有する三相リラクタンスモータの場合、ステータの歯の数は、対称設計において6nである。ロータの可能な歯の数は、6n±2+6mである。nは、正の整数である。mは、正の整数またはゼロである。一般に、ロータの6n-2の歯は、最良のモータ設計を提供するが、歯の数が多い場合、コイルを曲げるためニードルワインダーを用いるのに十分な空間を得るため、6n+2または6n-2+6が選択され得る。記述したように、三相は、電流が正弦波である場合、一定のトルクを提供しない。したがって、三相リラクタンスモータは、多くのノイズを発生させるだろう。
【0027】
相ごとに2つのコイルを有する四相リラクタンスモータの場合、ステータの歯の数は、対称設計において8nである。ロータの可能な歯の数は、8n-2+4mである。やはり、ロータの8n-2の歯は、最良のモータ設計を提供するが、歯の数が多い場合、コイルを曲げるためニードルワインダーを用いるのに十分な空間を得るため、8n+2または8n+6が選択され得る。
【0028】
一般に、対称設計におけるロータの歯の数は、
nTeeth=PhasesCoils per PhaseTeeth per coil+(±1+Phasesm)Coils per Phase
である。
【発明の概要】
【0029】
発明の態様は、ロータおよびステータを備えるリラクタンスモータであり、ステータは2つの端部ステータを備える。ステータは、さらに、ステータミッドプレート歯を有する少なくとも1つのステータミッドプレートを備え、ロータは、ロータプレート歯を有する少なくとも2つのロータプレートを備える。少なくとも1つのステータミッドプレートおよび少なくとも2つのロータプレートは、2つの端部ステータの間に配置され、磁場のジグザグを、少なくとも2つのロータプレートおよび少なくとも1つのステータミッドプレートの間に提供し、かくして、リラクタンスモータのトルクを増幅させる。
【0030】
任意選択的に、リラクタンスモータは、リラクタンスモータの少なくとも2つの隣接する部分の間にスペーサとして配置される軸推力用のニードルベアリングを備え、この部分は、端部ステータ、ステータミッドプレート、およびロータプレートを備え、隣接する部分の間に間隔を確保する。
【0031】
任意選択的に、リラクタンスモータは、リラクタンスモータの少なくとも2つの隣接する部分の間にスペーサとして配置される軸推力用の流体ベアリングを備え、この部分は、端部ステータ、ステータミッドプレート、およびロータプレートを備え、隣接する部分の間に間隔を確保する。
【0032】
任意選択的に、リラクタンスモータは、ベアリングボールを備え、ロータプレート、端部ステータ、およびステータミッドプレートは、ベアリングボール用のトラックと共に配置され、それによって、ベアリングボールは、端部ステータ、ステータミッドプレート、およびロータプレートの間に距離を確保することができ、それらが互いと接することを防ぐ。
【0033】
任意選択的に、リラクタンスモータの相数は、4以上の偶数であり、相数は、電流の方向に応じて電流を異なる相に導くように配置されたダイオードによって半分にされる。
【0034】
任意選択的に、端部ステータ歯、ステータミッドプレート歯、および/またはロータプレート歯は、以下の形状:面取りされた、フィレットされた、正弦波のうちの1つを有する。
【0035】
本発明の実施形態をここで、以下の図を参照して、単なる例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図0A】最新の水準によるリラクタンスモータの図である。
図1】発明によるリニアリラクタンスモータの断面図である。
図2図1のリニアリラクタンスモータの上からの図である。
図3】磁路および電流方向を示す、網掛けなしの図1の図である。
図4】ステータミッドプレートの目的を示すための磁場の図である。
図5】長さが限定されたモータにおける磁場および電流の図である。
図6】長さが限定されていないモータの場合の図5の図である。
図7】2つの三相モータ構成の図である。
図8】マルチプレートシステムがマルチディスクシステムに統合されたリラクタンスモータの図である。
図9】ラディアルフラックスモータを得るためにどのようにリニアリラクタンスモータを曲げることができるかの図である。
図10】アキシャルフラックスモータを得るためにどのようにリニアリラクタンスモータを曲げることができるかの図である。
図11図1の詳細図である。
図12】マルチプレートアキシャルフラックスCVRMの分解組立図である。
図13図12に提示されたモータの組み付けられたバージョンの図である。
図14A】および
図14B図12および13に提示されたモータの断面図である。
図15】デルタ構成の三相グリッドに接続されたリラクタンスモータの六相バージョンの図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図における参照番号一覧
以下の参照番号は図面を参照する。
数字 名称
1A-C ステータ
2 コイル
2A-D 相A-D用のコイル
3 ロータプレート
4 ステータミッドプレート
5 ロータプレート移動の方向を示す矢印
6 磁路を示す矢印
7 面内への電流方向を示す矢印
8 面外への電流方向を示す矢印
9 磁場のジグザグを示す矢印
10 曲げ力の方向を示す矢印
11 曲げ力の方向を示す矢印
12、12A ステータの歯
13、13A-C ステータミッドプレートの歯
14、14A-C ロータプレートの歯
21 端部ステータ
21A-21B ステータ上の歯
22 ロータプレート
22A-22B ロータプレート上の歯
23 ステータミッドプレート
23A-B ステータミッドプレート歯
23C トラック
24 コイル
24A-D 相A-D用のコイル
25 シャフト
26 ベアリング
27 ニードルベアリング
28 ニードルベアリング用の通路
【0038】
本発明は、リニアリラクタンスモータ、ラディアルリラクタンスモータ、およびアキシャルフラックスリラクタンスモータを含むリラクタンスモータに関する。まず、リニアリラクタンスモータとしての、発明の実施形態の記載が図1に示され、それは、モータの断面図を提示する。これは、各相に2つのコイルがある四相リニアCVRMであり、nは5でありmは1である。通常のCVRMでは、2つのステータ[1]の間に1つのロータプレート[3]がある。図1のモータは、3つのロータプレート[3]を有し、2つのステータミッドプレート[4]が追加されている。ステータミッドプレート[4]の歯[13]は、ステータ[1]の歯[12]と同じ構成を有する。ロータプレート[3]は、歯[14]を有し、歯[14]の間の間隔は等しい。歯には図11で参照番号が振られている。
【0039】
図1に提示された断面は、リニアモータ全体で同じである。これにより、図12から14に示されるアキシャル設計の場合も、設計およびモータの動作方法の理解がより容易になる。モータが積層鋼で作られる場合、積層体の各相は、ステータ[1]、ロータプレート[3]およびステータミッドプレート[4]と同じ形状を有する。このことは、リニアモータにおいて、全積層体は同じ形状を有することを意味し、積層体がパンチングによって製造される場合実用的である。
【0040】
図2は、上から見たモータを示す。コイル[2]がどのように接続されるかをここで把握することができる。[2A]とマークされたコイルは相Aに属し、[2B]とマークされたコイルは相Bに属するなどである。点線は、図1の断面を示す。
【0041】
図3は、網掛けなしの図1に対応する。図3では、モータ全体での磁路が矢印[6]で示される。矢印[7](面内へ)は、コイルにおける電流方向を示す。矢印[8](面外へ)も同様である。矢印5は、ロータプレートがいずれの方向へ移動するかを示す。
【0042】
ステータミッドプレート[4]の目的が図4に示される。ここで、矢印[6]によって示される磁場が、どのように矢印9で示されるように分かれていくかが示される。矢印9はまた、磁場がどのようにロータプレート[3]およびステータミッドプレート[4]をジグザグに進み、ロータディスク[3]を通過するごとにトルクを生成するかも示す。リラクタンスモータに詳しい者は、図4における歯の側部は直線でないことを理解するであろう。歯は面取りされている。面取りする理由は、歯の底部における飽和を低減するためである。このことにより、モータが生成することのできるトルクがかなり増大する。
【0043】
面取りの角度は変わり得る。代替実施形態では、面取りは湾曲している。代替実施形態では、面取りは、フィレットで置換され、または、歯の全体構造に正弦波形状が与えられる。多くの異なる実施形態が可能である。それらが有益であるかどうかは、数値シミュレーションまたは実験を通して判断しなくてはならない。歯の間のスロット深さおよび歯の幅に対するスロット幅と共に面取りは、トルクリップルを制御するパラメータである。
【0044】
図5は、2つのコイルに電流が存在するときの図1の電流および磁場[6]を示す。これは、限定された長さのモータの場合である。モータが限定されない長さを有するまたはリング状に曲げられた場合、磁場[6]は、図6に示すようなものとなる。
【0045】
図7は、2つの三相モータ構成を示す。上部のモータは、n=5でロータの歯の数が6n-2の構成を有する。底部のモータは、n=7でロータの歯の数が6n+2の構成を有し、コイルスロットの間に、より広い空間を得る。
【0046】
図8は、どのようにリラクタンスモータマルチプレートシステムがマルチディスクシステムに統合され得るかを示す。ここで、3つのステータ[1A]、[1B]、および[1C]があり、[1C]は、真ん中のステータである。他のマルチディスクモータの場合、多くのミドルステータを含むことが可能である。
【0047】
図9は、リニアモータを、ラディアルフラックスモータを得るためにどのように曲げることができるかを示す。矢印(10)は、曲げ力を示す。ラディアルフラックスモータでは、積層体はシャフトに垂直であり、モータ全体で同じ形状を有する。このことはまた2Dでもシミュレーションすることができる。しかしながら、マルチプレートラディアルフラックスモータの組み付けは、おそらく、アキシャルフラックスモータよりも複雑である。
【0048】
図10は、モータを、アキシャルフラックスモータを得るためにどのように曲げることができるかを示す。矢印(11)は、曲げ力を示す。マルチプレートアキシャルフラックスリラクタンスモータでは、積層体は、シャフトに中心がある円筒シェルである。したがって、アキシャルフラックスモータ用の積層体の作成は、より複雑である。
【0049】
リニアモータを曲げることは、おそらく、最も良い製造法というわけではない。図9および10はしたがって、リニアモータをどのようにラディアルフラックスモータまたはアキシャルフラックスモータに変形することができるかについての概念を単に提供するものである。
【0050】
図11は、図1において輪でハイライトされた図1の近接図を提示する。
【0051】
図12は、マルチプレートアキシャルフラックスCVRMの分解組立図である。21は端部ステータであり、22はロータプレートであり、23はステータミッドプレートであり(この図では一つだけ)、24はコイルである。21Aおよび21Bは、ステータ上の歯である。21Bは、異なるコイル[24B]と[24C]下の隣接する歯を示す。[22A]および[22B]は、ロータプレート[22]の各側部のロータ歯を示す。
【0052】
空隙(ロータとステータディスクの距離)が可能な限り小さいことがトルクにとって重要である。したがって、ニードルベアリング[27]が、ステータとロータディスクの間にスペーサとして用いられる。空隙を小さくしておくためのもう1つの解決策は、歯の間の間隙をエポキシまたは強磁性ではない他の絶縁物質で充填することである。次いで、ロータディスクを離間させておくため、流体ベアリングを組み込むことができる。ロータプレートおよびステータミッドプレートに、ベアリングボール用の1つ以上のトラックを作ることも可能である。流体ベアリングおよびベアリングボール用のトラックの両方により、関連する薄型ロータプレートとステータミッドプレートが、電磁力と関連して振動するまたは屈曲することが防がれるだろう。
【0053】
このように、ロータディスクの間にスペーサが用いられた場合公差が合計されないことを確保することができる。シャフト[25]は、ロータプレート[22]がトルクをシャフトに伝え他方のロータプレート[22]に対するそれらの位置を保持するような形状を有さなければならない。図12は、スプラインシャフトを示すが、スロットおよびキーを有するシャフトも可能である。この設計の場合、シャフトは、軸方向に動くことができ、ロータプレートとステータプレートの距離に影響を与えない。
【0054】
[26]は、シャフト上で半径方向力を吸収するためのベアリングである。[28]は、最初のかつ最後のニードルベアリング用の経路である。この部分は、コイルが巻かれた後にステータ内に挿入される。
【0055】
図13は、組み付けられたモータを示し、図14の断面を含む。断面は、コイルを通して描かれたので、図14は、コイルのアウトラインを示す。図14はまた、シャフトを通した断面も有する。図14Bは、破線によって示される円形断面の経路を示す。この断面は、さらなるステータおよびロータプレートがアキシャルモータに加えられた場合の図1に相当する。
【0056】
導入部で記述したように、4個、6個、またはより多いペア数の相を有するリラクタンスモータを、低いトルクリップルで設計することができる。六相リラクタンスモータは、三相電気グリッドで動作することができるように変形させることができることが分かる。四相および六相のリラクタンスモータの両方は、それぞれ二相および三相インバータで制御することができるように変形させることができる。
【0057】
図15は、六相リラクタンスモータにおける相が、12個のダイオードを用いることによってデルタ構成の三相グリッドにどのように接続され得るかを示す。ダイオードは、電流の正部が相P1、P2、およびP3に通電し電流の負部が相P4、P5、およびP6に通電するようにまとめられる。同じ原則に基づいた星形構成もまた可能である。原則を用いて、モータを三相インバータまたは3フルH-ブリッジに接続することもできる。同様に、四相リラクタンスモータは、二相インバータまたは2フルH-ブリッジによって制御され得る。このように、四相または六相可変式リラクタンスモータの制御は、二相または三相PMモータの制御と同じようなものとなるだろう。
【0058】
可変式リラクタンスモータは同期モータであり、それは、インバータなしでモータまたはジェネレータとして動作する場合、モータはグリッドに接続される前に同期速度にスピンアップされなければならないことを意味する。
図0A
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図14A
図14B
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータおよびステータを備えるマルチプレートリラクタンスモータであって、前記ステータは、2つの端部ステータ(1、21)を備え、前記2つの端部ステータ(1、21)は、相ごとに少なくとも2つのコイルおよび端部ステータ歯を備える、マルチプレートリラクタンスモータであり、前記ステータは、ステータミッドプレート歯(13、23A、23B)を有する少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)をさらに備えることを特徴とし、前記少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)は、コイルを備えず、前記ロータは、ロータプレート歯(14、22A、22B)を有する少なくとも2つのロータプレート(3、22)を備え、前記少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)および前記少なくとも2つのロータプレート(3、22)は、前記2つの端部ステータ(1、21)の間に配置され、前記少なくとも2つのロータプレート(3、22)と前記少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)の間磁場(9)のジグザグを提供し、かくして、前記マルチプレートリラクタンスモータのトルクを増幅させる、マルチプレートリラクタンスモータ。
【請求項2】
前記マルチプレートリラクタンスモータは、前記マルチプレートリラクタンスモータの少なくとも2つの隣接する部分の間にスペーサとして配置される軸推力用のニードルベアリングを備え、前記少なくとも2つの隣接する部分は、前記2つの端部ステータ(1、21)、前記少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)、および前記少なくとも2つのロータプレート(3、22)を備え、前記少なくとも2つの隣接する部分の間に間隙を確保する、請求項1に記載のマルチプレートリラクタンスモータ。
【請求項3】
前記マルチプレートリラクタンスモータは、前記マルチプレートリラクタンスモータの少なくとも2つの隣接する部分の間にスペーサとして配置される軸推力用の流体ベアリングを備え、前記少なくとも2つの隣接する部分は、前記2つの端部ステータ(1、21)、前記少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)、および前記少なくとも2つのロータプレート(3、22)を備え、前記少なくとも2つの隣接する部分の間の間隙を確保する、請求項1に記載のマルチプレートリラクタンスモータ。
【請求項4】
前記マルチプレートリラクタンスモータは、ベアリングボールを備え、前記少なくとも2つのロータプレート(3、22)、前記2つの端部ステータ(1、21)、および前記少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)は、前記ベアリングボール用のトラックと共に配置され、それによって、前記ベアリングボール前記2つの端部ステータ(1、21)前記少なくとも1つのステータミッドプレート(4、23)、前記少なくとも2つのロータプレート(3、22)間の距離を確保することができ、それらが互いと接することを防ぐ、請求項1に記載のマルチプレートリラクタンスモータ。
【請求項5】
相数が4以上の偶数であり、前記相数は、電流の方向に応じて前記電流を異なる相に導くように配置されたダイオードによって半分にされる、請求項1~4の何れか一項に記載のマルチプレートリラクタンスモータ。
【請求項6】
前記端部ステータ歯、前記ステータミッドプレート歯(13、23A、23B)、および/または前記ロータプレート歯(14、22A、22B)は、面取りされた形状、フィレットされた形状および正弦波形状のうちの1つを有する、請求項1~5の何れか一項に記載のマルチプレートリラクタンスモータ。
【国際調査報告】