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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】抗IL-9抗体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/24 20060101AFI20240604BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240604BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240604BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
C07K16/24 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61K39/395 L
A61K49/00
A61K45/00
A61K51/10 100
A61K48/00
A61P43/00 105
A61P43/00 125
A61P29/00
A61P35/00
A61P37/06
A61K35/12
A61K45/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576420
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2022065989
(87)【国際公開番号】W WO2022263357
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/202,494
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517303085
【氏名又は名称】アルジェニクス ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ブランシェトット
(72)【発明者】
【氏名】マリー ゴダール
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG26
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA12
4C084AA13
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB081
4C084ZB111
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZC412
4C084ZC711
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA25
4C085AA27
4C085BB33
4C085BB36
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG04
4C085KA04
4C085KA26
4C085LL18
4C087AA01
4C087AA03
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087MA02
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB21
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。また提供されるのは、これらの抗体、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクター及び宿主細胞を含む医薬組成物、並びにこれらの抗体を用いて対象を治療する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又はマウスIL-9に特異的に結合する単離された抗体であって、
(a)配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3アミノ酸配列を含むVH;並びに/又は
(b)配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDRL2、及びCDRL3アミノ酸配列を含むVL
を含む、前記抗体。
【請求項2】
前記抗体が、それぞれ配列番号42と51;43と55;44と54;45と53;46と50;47と52;48と50;49と56;又は128と129のVHアミノ酸配列とVLアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3アミノ酸配列を含む、請求項1記載の単離された抗体。
【請求項3】
CDRH1、CDRH2及びCDRH3が、それぞれ配列番号1、2、及び3; 4、5、及び6;7、8、及び9;10、11、及び12;13、14、及び15;16、17、及び18;19、20、及び21;又は122、123、及び124に記載されるCDRH1、CDRH2及びCDRH3酸配列を含む、請求項1又は2記載の単離された抗体。
【請求項4】
CDRL1、CDRL2及びCDRL3が、それぞれ配列番号22、23、及び24;25、26、及び27;28、29、及び30;31、29、及び32;33、34、及び35;36、37、及び38;39、40、及び41;又は125、126、及び127に記載されるCDRL1、CDRL2及びCDRL3アミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項5】
前記抗体が、それぞれ配列番号1、2、3、22、23、及び24;4、5、6、25、26、及び27;7、8、9、28、29、及び30;7、8、9、31、29、及び32;10、11、12、33、34、及び35;13、14、15、36、37、及び38;16、17、18、39、40、及び41;19、20、21、36、37、及び38;又は122、123、124、125、126、及び127に記載されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3アミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項6】
前記抗体が、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のVHアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項7】
前記VHのアミノ酸配列が、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のアミノ酸配列からなる、請求項6記載の単離された抗体。
【請求項8】
前記抗体が、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のVLアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項9】
前記VLのアミノ酸配列が、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のアミノ酸配列からなる、請求項8記載の単離された抗体。
【請求項10】
ヒト又はマウスIL-9に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のアミノ酸配列を含むVLを含む前記抗体。
【請求項11】
前記VHのアミノ酸配列が、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のアミノ酸配列からなり、前記VLのアミノ酸配列が、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のアミノ酸配列からなる、請求項10記載の単離された抗体。
【請求項12】
前記抗体が、それぞれ配列番号42と51;43と55;44と54;45と53;46と50;47と52;48と50;49と56;又は128と129のVHアミノ酸配列とVLアミノ酸配列を含む、請求項10又は請求項11記載の単離された抗体。
【請求項13】
前記VHとVLのアミノ酸配列が、それぞれ配列番号42と51;43と55;44と54;45と53;46と50;47と52;48と50;49と56;又は128と129のアミノ酸配列からなる、請求項12記載の単離された抗体。
【請求項14】
前記抗体が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2からなる群から選択される重鎖定常領域を含む、請求項1~13のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項15】
前記抗体が、野生型重鎖定常領域の変異型である重鎖定常領域を含み、前記野生型重鎖定常領域がFcγRに結合する親和性よりも高い親和性で、前記変異型重鎖定常領域がFcγRに結合する、請求項1~14のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項16】
前記FcγRが、FcγRIIB又はFcγRIIIAである、請求項15記載の単離された抗体。
【請求項17】
前記重鎖定常領域の297位のアミノ酸が、EU付番体系によると、A又はQである、請求項14記載の単離された抗体。
【請求項18】
前記重鎖定常領域の234位及び235位のアミノ酸が、EU付番体系によると、両方ともAである、請求項14記載の単離された抗体。
【請求項19】
前記重鎖定常領域の433位、434位、及び436位のアミノ酸が、EU付番体系によると、それぞれK、F、及びYである、請求項14記載の単離された抗体。
【請求項20】
前記重鎖定常領域の252位、254位、及び256位のアミノ酸が、EU付番体系によると、それぞれY、T、及びEである、請求項14記載の単離された抗体。
【請求項21】
前記重鎖定常領域の428位及び434位のアミノ酸が、EU付番体系によると、それぞれL及びSである、請求項14記載の単離された抗体。
【請求項22】
前記重鎖定常領域の309位、311位、及び434位のアミノ酸が、EU付番体系によると、それぞれD、H、及びSである、請求項14記載の単離された抗体。
【請求項23】
前記抗体が、ヒトIL-9のヒトIL-9Rαへの結合を阻害する、請求項1~22のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項24】
前記抗体が、1nM未満のKDでヒトIL-9に結合する、請求項1~23のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項25】
前記抗体が二重特異性である、請求項1~24のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項26】
前記単離された抗体が、細胞傷害性薬剤、細胞分裂阻害剤、毒素、放射性核種、又は検出可能な標識にコンジュゲートされる、請求項1~25のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体のVH及び/もしくはVL、又は重鎖及び/もしくは軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項28】
請求項27記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項29】
(a)請求項27記載のポリヌクレオチド;
(b)請求項28記載のベクター;
(c)請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体のVH及びVL、又は重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチド;
(d)請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体のVH及びVL、又は重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクター;
(e)請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体のVHもしくは重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド、及び請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体のVLもしくは軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド;又は
(f)請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体のVH又は重鎖をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1のベクター、及び請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体のVL又は軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2のベクター
を含む、組換え宿主細胞。
【請求項30】
請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体、請求項27記載のポリヌクレオチド、請求項28記載のベクター、又は請求項29記載の宿主細胞、及び医薬として許容し得る担体もしくは賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項31】
単離される抗体を生成する方法であって、請求項30記載の宿主細胞を、前記ポリヌクレオチドが発現するような適切な条件下で培養して、前記単離される抗体を生成することを含む、前記方法。
【請求項32】
単離される抗体を生成する方法であって、
(a) 請求項1~26のいずれか一項記載の抗体のVHをコードする第1のポリヌクレオチド、及び請求項1~26のいずれか一項記載の抗体のVLをコードする第2のポリヌクレオチド;又は
(b) 請求項1~26のいずれか一項記載の抗体の重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド、及び請求項1~26のいずれか一項記載の抗体の軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド
を、前記ポリヌクレオチドが発現するような適切な条件下で、細胞内で発現させて、前記抗体を生成することを含む、前記方法。
【請求項33】
ヒト又はマウスのIL-9と対象におけるIL-9受容体との相互作用に拮抗する方法であって、請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体、請求項27記載のポリヌクレオチド、請求項28記載のベクター、請求項29記載の宿主細胞、又は請求項30記載の医薬組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
対象における炎症性疾患を治療する方法であって、請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体、請求項27記載のポリヌクレオチド、請求項28記載のベクター、請求項29記載の宿主細胞、又は請求項30記載の医薬組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項35】
対象における癌を治療する方法であって、請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体、請求項27記載のポリヌクレオチド、請求項28記載のベクター、請求項29記載の宿主細胞、又は請求項30記載の医薬組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項36】
対象における自己免疫疾患を治療する方法であって、請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体、請求項27記載のポリヌクレオチド、請求項28記載のベクター、請求項29記載の宿主細胞、又は請求項30記載の医薬組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項37】
前記単離された抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は医薬組成物が、全身に、静脈内に、皮下に、腫瘍内に投与されるか、又は腫瘍流入領域リンパ節に送達される、請求項33~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
前記対象に追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項33~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
請求項33~38のいずれか一項記載の方法で使用するための、請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体、請求項27記載のポリヌクレオチド、請求項28記載のベクター、請求項29記載の宿主細胞、又は請求項30記載の医薬組成物。
【請求項40】
対象における炎症性疾患、癌又は自己免疫疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体、請求項27記載のポリヌクレオチド、請求項28記載のベクター、請求項29記載の宿主細胞の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.分野)
本開示は、抗IL-9抗体及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.背景)
タンパク質のインターロイキン-9(IL-9)は、Th9細胞、2型自然リンパ球(ILC2)、Th17細胞、肥満細胞、骨芽細胞、NKT細胞、及びメモリーB細胞を含むいくつかの異なる免疫細胞によって分泌されるサイトカインである。IL-9Rαを含む、IL-9のその受容体への結合は、関連するヤヌスキナーゼ(JAK)1及びJAK3を活性化し、(STAT)1、STAT3、又はSTAT5経路、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ経路、及びインスリン関連物質(IRS)経路のシグナル伝達因子並びに転写活性化因子の活性化をもたらす。
【0003】
この細胞源の広範囲さは、IL-9発現のシステムが複雑であることを暗示し、多数の生理学的状態及び疾患におけるIL-9の関与を示唆する。IL-9シグナル伝達の増加は、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、及び炎症性腸疾患を含むいくつかの炎症性疾患及び自己免疫疾患に関与することが判明している。さらに、高レベルのIL-9シグナル伝達も、黒色腫並びに血液癌、例えば、リンパ腫及びホジキン病を含む癌細胞の生存と増殖を促進することが判明している。
【0004】
したがって、IL-9活性に拮抗するように設計された治療剤が非常に望ましい。
【発明の概要】
【0005】
(3.概要)
本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9)に特異的に結合し、IL-9活性に拮抗する抗体を提供する。また提供されるのは、これらの抗体、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクター及び宿主細胞を含む医薬組成物、並びにこれらの抗体を用いて対象を治療する方法である。
【0006】
ヒトIL-9に特異的に結合する単離された抗体であって、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変領域、並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含み、CDRH1が、配列番号1、4、7、10、13、16、19、又は122に記載のアミノ酸配列を含み;CDRH2が、配列番号2、5、8、11、14、17、20、又は123に記載のアミノ酸配列を含み;CDRH3が、配列番号3、6、9、12、15、18、21、又は124に記載のアミノ酸配列を含み;CDRL1が、配列番号22、25、28、31、33、36、39、又は125に記載のアミノ酸配列を含み;CDRL2が、配列番号23、26、29、34、37、40、又は126に記載のアミノ酸配列を含み;かつCDRL3が、配列番号24、27、30、32、35、38、41、又は127に記載のアミノ酸配列を含む、前記抗体。
【0007】
一態様において、本開示は、ヒトIL-9に特異的に結合する単離された抗体であって、
(a)配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3アミノ酸配列を含むVH;並びに/又は
(b)配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDRL2、及びCDRL3アミノ酸配列を含むVL
を含む、前記抗体を提供する。
【0008】
実施態様において、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号1、2、及び3;4、5、及び6;7、8、及び9;10、11、及び12;13、14、及び15;16、17、及び18;19、20、及び21;又は122、123、及び124に記載されるCDRH1、CDRH2及びCDRH3アミノ酸配列を含む。
【0009】
実施態様において、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号22、23、及び24;25、26、及び27;28、29、及び30;31、29、及び32;33、34、及び35;36、37、及び38;39、40、及び41;又は125、126、及び127に記載されるCDRL1、CDRL2及びCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0010】
実施態様において、該抗体は、それぞれ配列番号1、2、3、22、23、及び24;4、5、6、25、26、及び27;7、8、9、28、29、及び30;7、8、9、31、29、及び32;10、11、12、33、34、及び35;13、14、15、36、37、及び38;16、17、18、39、40、及び41;19、20、21、36、37、及び38;又は122、123、124、125、126、及び127に記載されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0011】
実施態様において、該抗体は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のVHアミノ酸配列を含む。実施態様において、VHのアミノ酸配列は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のアミノ酸配列からなる。
【0012】
実施態様において、該抗体は、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のVLアミノ酸配列を含む。実施態様において、VLのアミノ酸配列は、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のアミノ酸配列からなる。
【0013】
一態様において、本開示は、ヒトIL-9に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のアミノ酸配列を含むVLを含む、前記抗体を提供する。
【0014】
実施態様において、VHのアミノ酸配列は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のアミノ酸配列からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のアミノ酸配列からなる。
【0015】
実施態様において、該抗体は、それぞれ配列番号42と51;43と55;44と54;45と53;46と50;47と52;48と50;49と56;又は128と129のVHアミノ酸配列とVLアミノ酸配列を含む。実施態様において、VHとVLのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42と51;43と55;44と54;45と53;46と50;47と52;48と50;49と56;又は128と129のアミノ酸配列からなる。
【0016】
一態様において、本開示は、ヒトIL-9に特異的に結合する単離された抗体であって、IL-9に結合すると、ヒトIL-9の少なくとも残基R91に結合する、前記抗体を提供する。態様において、本開示は、R84、Y85、P86、L87、I88、F89、S90、R91、及びK94からなる群から選択されるヒトIL-9の1以上のアミノ酸(複数可)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。態様において、本開示は、L87、I88、R91、K94、S95、及びV98からなる群から選択されるヒトIL-9の1以上のアミノ酸(複数可)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。態様において、本開示は、I88及びR91からなる群から選択されるヒトIL-9の一方又は両方のアミノ酸(複数可)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。態様において、本開示は、R84、P87、V88、H90、R91、R94、I95、V98、及びL99からなる群から選択されるマウスIL-9の1以上のアミノ酸(複数可)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0017】
実施態様において、該抗体は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2からなる群から選択される重鎖定常領域を含む。
【0018】
実施態様において、該抗体は、野生型重鎖定常領域の変異型である重鎖定常領域を含み、該変異型重鎖定常領域は、野生型重鎖定常領域がFcγRに結合する親和性よりも高い親和性でFcγRに結合する。実施態様において、FcγRは、FcγRIIB又はFcγRIIIAである。
【0019】
実施態様において、重鎖定常領域の297位のアミノ酸は、EU付番体系によると、A又はQである。実施態様において、重鎖定常領域の234位及び235位のアミノ酸は、EU付番体系によると、両方ともAである。実施態様において、重鎖定常領域の433位、434位、及び436位のアミノ酸は、EU付番体系によると、それぞれK、F、及びYである。実施態様において、重鎖定常領域の252位、254位、及び256位のアミノ酸は、EU付番体系によると、それぞれY、T、及びEである。実施態様において、重鎖定常領域の428位及び434位のアミノ酸は、EU付番体系によると、それぞれL及びSである。実施態様において、重鎖定常領域の309位、311位、及び434位のアミノ酸は、EU付番体系によると、それぞれD、H、及びSである。
【0020】
一態様において、本開示は、ヒトIL-9への結合について、本明細書に開示される抗体と交差競合する単離された抗体を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に開示される抗体と同じヒトIL-9のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0021】
実施態様において、該抗体は、ヒトIL-9のヒトIL-9Rαへの結合を阻害する。実施態様において、該抗体は、1nM未満のKDでヒトIL-9に結合する。実施態様において、該抗体は二重特異性である。実施態様において、該抗体は、細胞傷害性薬剤、細胞分裂阻害剤、毒素、放射性核種、又は検出可能な標識にコンジュゲートされる。
【0022】
一態様において、本開示は、本明細書に開示される単離された抗体のVH及び/もしくはVL、又は重鎖及び/もしくは軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0023】
一態様において、本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0024】
一態様において、本開示は、
(a)本明細書に開示されるポリヌクレオチド;
(b)本明細書に開示されるベクター;
(c)本明細書に開示される単離された抗体のVH及びVL、又は重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチド;
(d)本明細書に開示される単離された抗体のVH及びVL、又は重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクター;
(e)本明細書に開示される単離された抗体のVHもしくは重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド、及び本明細書に開示される単離された抗体のVLもしくは軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド;又は
(f)本明細書に開示される単離された抗体のVH又は重鎖をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1のベクター、及び本明細書に開示される単離された抗体のVL又は軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2のベクター
を含む組換え宿主細胞を提供する。
【0025】
一態様において、本開示は、本明細書に開示される単離された抗体、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、又は本明細書に開示される宿主細胞、及び医薬として許容し得る担体もしくは賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0026】
一態様において、本開示は、単離される抗体を生成する方法であって、該ポリヌクレオチドが発現するような適切な条件下で、本明細書に開示される宿主細胞を培養して、該単離される抗体を生成することを含む、前記方法を提供する。
【0027】
一態様において、本開示は、単離される抗体を生成する方法であって、
(a)本明細書に開示される抗体のVHをコードする第1のポリヌクレオチド、及び本明細書に開示される抗体のVLをコードする第2のポリヌクレオチド;又は
(b)本明細書に開示される抗体の重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド、及び本明細書に開示される抗体の軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド
を、該ポリヌクレオチドが発現するような適切な条件下で、細胞内で発現させ、該抗体を生成することを含む、前記方法を提供する。
【0028】
一態様において、本開示は、対象においてヒト又はマウスIL-9とIL-9受容体との相互作用に拮抗する方法であって、本明細書に開示される単離された抗体、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、本明細書に開示される宿主細胞、又は本明細書に開示される医薬組成物の有効量を該対象に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0029】
一態様において、本開示は、対象における炎症性疾患を治療する方法であって、本明細書に開示される単離された抗体、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、本明細書に開示される宿主細胞、又は本明細書に開示される医薬組成物の有効量を該対象に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0030】
一態様において、本開示は、対象における癌を治療する方法であって、本明細書に開示される単離された抗体、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、本明細書に開示される宿主細胞、又は本明細書に開示される医薬組成物の有効量を該対象に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0031】
一態様において、本開示は、対象における自己免疫疾患を治療する方法であって、本明細書に開示される単離された抗体、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、本明細書に開示される宿主細胞、又は本明細書に開示される医薬組成物の有効量を該対象に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0032】
実施態様において、該単離された抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は医薬組成物は、全身に、静脈内に、皮下に、腫瘍内に投与されるか、又は腫瘍流入領域リンパ節に送達される。実施態様において、本方法は、該対象に追加の治療剤を投与することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
(4.図面の簡単な説明)
図1図1A及び1Bは、抗IL9 mAbの活性を示すグラフである。図1Aは、抗IL9 mAbの初期バッチの中和活性を示すグラフである。図1Bは、抗IL9 mAbの第2バッチの中和活性を示すグラフである。
【0034】
図2図2は、バイオレイヤー干渉法(BLI)分析による抗IL9 mabの親和性を示すグラフである。
【0035】
図3図3は、喘息のマウスモデルにおいて抗IL-9 mAbを試験するためのインビボ実験の設計を示す概略図である。
【0036】
図4図4A~Fは、Fab:IL-9複合体を描いたものである。図4Aは、Fab 6D3:hIL-9複合体を描いたものである。図4Bは、Fab 6E2:hIL-9複合体を描いたものである。図4Cは、Fab 7D6:hIL-9複合体を描いたものである。図4DはFab 6D3:hIL-9複合体のオーバーレイ、図4EはFab 6E2:hIL-9複合体のオーバーレイ、かつ図4FはFab 7D6:hIL-9複合体のオーバーレイである。図4D、4E、及び4Fの各々は、FabによるCヘリックスの結合の正面図と上面図での、hIL-9の構造の重ね合わせに基づくFab:hIL-9複合体とhIL-9:hIL-9Rα複合体のオーバーレイである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(5.詳細な説明)
本開示は、単離された抗IL-9抗体を提供する。また提供されるのは、これらの抗体、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクター及び宿主細胞を含む医薬組成物、並びにこれらの抗体を用いて対象を治療する方法である。
【0038】
(5.1 定義)
本明細書で使用されるように、「IL-9」という用語は、ヒト及びマウスにおいてIL9遺伝子によってコードされるインターロイキン-9を指す。本明細書で使用されるように、「ヒトIL-9」又は「マウスIL-9」という用語は、野生型IL9遺伝子(例えば、GenBank(商標)アクセッション番号NM_000590.2(ヒト)又はNM_008373.2(マウス))によってコードされるIL-9タンパク質を指す。ヒトIL-9タンパク質の例示的なアミノ酸配列は、配列番号57として提供される。マウスIL-9タンパク質の例示的な配列は、配列番号138として提供される。
表1.例示的なIL-9アミノ酸配列
【表1】
【0039】
本明細書で使用されるように、「抗体」及び「抗体(複数)」という用語には、全長抗体、全長抗体の抗原結合断片、及び抗体のCDR、VH領域、及び/又はVL領域を含む分子が含まれる。抗体の例としては、限定するものではないが、モノクローナル抗体、組換え生成抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子と2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、イントラボディ、ヘテロコンジュゲート抗体、抗体-薬物コンジュゲート、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体もしくは単鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab')2断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、及び上記のいずれかの抗原結合断片が挙げられる。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、もしくはIgA2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG2aもしくはIgG2b)のものであることができる。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、IgG抗体、或いはそのクラス(例えば、ヒトIgG1もしくはIgG4)又はサブクラスである。実施態様において、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。実施態様において、抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。
【0040】
「多重特異性抗体」は、2以上の異なる抗原又は同じ抗原の2以上の異なる領域に特異的に結合する抗体(例えば、二重特異性抗体)である。多重特異性抗体には、2つの異なる抗原結合部位(Fc領域を除く)を含む二重特異性抗体が含まれる。多重特異性抗体には、例えば、組換え生成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、表面改変抗体(resurfaced antibodies)、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子と2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、ヘテロコンジュゲート抗体、連結された単鎖抗体又は連結された単鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、連結されたFab断片、F(ab')2断片、化学結合Fv、及びジスルフィド結合Fv(sdFv)が含まれ得る。多重特異性抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、もしくはIgA2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG2aもしくはIgG2b)のものであることができる。実施態様において、本明細書に記載の多重特異性抗体は、IgG抗体、又はそのクラス(例えば、ヒトIgG1、IgG2、もしくはIgG4)もしくはサブクラスである。
【0041】
本明細書で使用されるように、「CDR」又は「相補性決定領域」という用語は、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの可変領域内に見出される非連続抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域は、例えば、Kabatらの文献、J. Biol. Chem. 252, 6609-6616 (1977)及びKabatらの文献、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of protein of immunological interest)(1991)によって、Chothiaらの文献、J. Mol. Biol. 196:901-917(1987)によって、及びMacCallumらの文献、J. Mol. Biol. 262:732-745(1996)によって記載されており、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれ、ここではその定義には、互いに比較した場合のアミノ酸残基の重複又はサブセットが含まれる。ある実施態様において、「CDR」という用語は、MacCallumらの文献、J. Mol. Biol. 262:732-745(1996)及びMartin Aの文献、抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)の中の「抗体可変ドメインのタンパク質配列及び構造解析(Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains)」、Kontermann及びDubel(編),31章,pp. 422-439, Springer-Verlag, Berlin (2001)によって定義されるCDRである。ある実施態様において、「CDR」という用語は、Kabatらの文献、J. Biol. Chem. 252, 6609-6616 (1977)及びKabatらの文献、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of protein of immunological interest)(1991)によって定義されるCDRである。ある実施態様において、抗体の重鎖CDR及び軽鎖CDRは、異なる規則を用いて定義される。ある実施態様において、重鎖CDR及び/又は軽鎖CDRは、抗体の構造解析を実施して、標的分子(例えば、ヒト及び/又はマウスIL-9)のエピトープ領域と接触すると予測される可変領域(複数可)中の残基を同定することによって定義される。CDRH1、CDRH2及びCDRH3は重鎖CDRを意味し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は軽鎖CDRを意味する。
【0042】
本明細書で使用されるように、「可変領域」及び「可変ドメイン」という用語は、互換的に使用され、当技術分野において一般的である。可変領域は、通常は、抗体の部分、一般に、軽鎖又は重鎖の部分、通常は、アミノ末端の約110~120アミノ酸又は成熟重鎖中の110~125アミノ酸及び成熟軽鎖中の約90~115アミノ酸を指し、これらは抗体間で配列が大きく異なり、その特定の抗原に対する特定の抗体の結合及び特異性に使用される。配列のばらつきは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中しており、一方、可変領域中のより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。任意の特定の機序又は理論に束縛されることを望まないが、軽鎖及び重鎖のCDRは、主に、抗体の抗原との相互作用及び特異性に関与すると考えられる。ある実施態様において、該可変領域は、ヒト可変領域である。ある実施態様において、該可変領域は、齧歯類又はマウスCDR及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。実施態様において、該可変領域は、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。実施態様において、該可変領域は、齧歯類又はマウスCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0043】
本明細書で使用されるように、「VH」及び「VL」という用語は、引用により完全に本明細書中に組み込まれるKabatらの文献、(1991) 免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of protein of immunological interest)(NIH Publication No. 91-3242、Bethesda)に記載されているように、それぞれ抗体の重鎖及び軽鎖可変領域を指す。
【0044】
本明細書で使用されるように、「定常領域」という用語は、当技術分野において一般的である。定常領域は、抗体の抗原への結合に直接は関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示すことができる抗体部分、例えば、軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシル末端部分である。
【0045】
本明細書で使用されるように、抗体に関して使用される場合の「重鎖」という用語は、IgGのサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含め、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMクラスの抗体を生じる、定常領域のアミノ酸配列に基づく、任意の異なるタイプ、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)を指すことができる。
【0046】
本明細書で使用されるように、抗体に関して使用される場合の「軽鎖」という用語は、定常領域のアミノ酸配列に基づく、任意の別々のタイプ、例えば、カッパ(κ)又はラムダ(λ)を指すことができる。軽鎖アミノ酸配列は、当技術分野で周知である。実施態様において、軽鎖はヒト軽鎖である。
【0047】
本明細書で使用されるように、「特異的に結合する」、「特異的に認識する」、「免疫特異的に結合する」、及び「免疫特異的に認識する」という用語は、抗体との関連において類似の用語であり、そのような結合が当業者によって理解されるように、抗原(例えば、エピトープ又は免疫複合体)に結合する分子を指す。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、例えば、免疫アッセイ、Biacore(商標)、KinExA 3000装置(Sapidyne Instruments, Boise, ID)、又は当技術分野で公知の他のアッセイにより決定したときに、一般により低い親和性で他のペプチド又はポリペプチドに結合し得る。実施態様において、抗原に特異的に結合する分子は、該分子が別の抗原に非特異的に結合するときのKAよりも少なくとも2 log(例えば、10の対数)、2.5 log、3 log、4 log又はそれよりも大きいKAで抗原に結合する。
【0048】
本明細書で使用されるように、「EU付番体系」という用語は、Edelman G.Mらの文献、 Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969)及びKabatらの文献、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of protein of immunological interest) U.S. Dept. Health and Human Services,第5版,1991に記載されているような抗体の定常領域のEU付番規則を指し、これらの文献の各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0049】
本明細書で使用されるように、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療(treatment)」という用語は、本明細書に記載の治療的又は予防的手段を指す。「治療」の方法は、疾患もしくは障害を有する、又はそのような疾患もしくは障害にかかりやすい対象に、その疾患もしくは障害又は再発性疾患もしくは障害の1以上の症状を予防する、治癒する、遅延させる、重症度を低下させる、もしくは改善するために、又はそのような治療がない場合に予想されるものを超えて対象の生存を延長するために、抗体の投与を利用する。
【0050】
本明細書で使用されるように、対象への治療薬の投与との関連での「有効量」という用語は、所望の予防効果又は治療効果を達成する治療薬の量を指す。
【0051】
本明細書で使用されるように、「対象」という用語には、任意のヒト又は非ヒト動物が含まれる。ある実施態様において、対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物である。ある実施態様において、対象はヒトである。
【0052】
抗体又はポリヌクレオチドに関して本明細書で使用されるように、「単離された」という用語は、抗体又はポリヌクレオチドの天然源に存在する1以上の夾雑物(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質又は糖など)から分離された抗体又はポリヌクレオチドを指す。本明細書に記載の「単離された抗体」の全ての事例は、単離されてもよいが、単離される必要はない抗体としてさらに企図される。本明細書に記載の「単離されたポリヌクレオチド」の全ての事例は、単離されてもよいが、単離される必要はないポリヌクレオチドとしてさらに企図される。本明細書に記載の「抗体」の全ての事例は、単離されてもよいが、単離される必要はない抗体としてさらに企図される。本明細書に記載の「ポリヌクレオチド」の全ての事例は、単離されてもよいが、単離される必要はないポリヌクレオチドとしてさらに企図される。
【0053】
2つの配列(例えば、アミノ酸配列又は核酸配列)間の「パーセント同一性」の決定は、数学アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列の比較に利用される数学アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin S & Altschul SFの文献(1993) PNAS 90: 5873-5877のように改変された、Karlin S & Altschul SFの文献(1990) PNAS 87: 2264-2268のアルゴリズムであり、これらの各々は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。そのようなアルゴリズムは、Altschul SFらの文献、(1990) J Mol Biol 215: 403のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれており、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索を、例えば、スコア=100、ワード長=12に設定されたNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータを用いて実施し、本明細書に記載の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、例えば、スコア50、ワード長=3に設定されたXBLASTプログラムパラメータを用いて実施し、本明細書に記載のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的用のギャップのあるアラインメントを得るために、引用により完全に本明細書中に組み込まれるAltschul SFらの文献、(1997) Nuc Acids Res 25: 3389-3402に記載されている通りにGapped BLASTを利用することができる。或いは、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施するために、PSI BLASTを使用することができる(同上)。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI Blastプログラムを利用する場合、(例えば、XBLAST及びNBLAST)のそれぞれのプログラムのデフォルトパラメータを使用することができる(例えば、ワールドワイドウェブ、ncbi.nlm.nih.govにおけるNational Center for Biotechnology Information(NCBI)を参照されたい)。配列の比較に利用される数学アルゴリズムの別の非限定的な例は、Myers及びMillerの文献、1988, CABIOS 4:11-17のアルゴリズムであり、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列の比較のためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティ、及び4のギャップペナルティを使用することができる。
【0054】
2つの配列間のパーセント同一性は、ギャップの許容の有無にかかわらず、上記の技術と類似の技術を用いて決定することができる。パーセント同一性を求める際、通常は、正確な一致のみをカウントする。
【0055】
(5.2 抗IL-9抗体)
一態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する抗体を提供する。IL-9に特異的に結合する例示的な抗体のCDR及びVH/VL配列のアミノ酸配列は、それぞれ表2及び表3に記載されている。
表2. 例示的な抗IL-9抗体のCDRのアミノ酸配列
【表2】
表3. 例示的な抗IL-9抗体のVH/VLのアミノ酸配列
【表3】
表4. 例示的な抗IL-9抗体のVH及びVLフレームワーク(FR)配列
【表4】
【0056】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する単離された抗体であって、表2に記載のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む、前記抗体を提供する。実施態様において、該抗体は、表2に記載のCDRH1を含む。実施態様において、該抗体は、表2に記載のCDRH2を含む。実施態様において、該抗体は、表2に記載のCDRH3を含む。
【0057】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する単離された抗体であって、表3に記載のVHドメインのCDRのうちの1つ、2つ、又は3つ全てを含むVHドメインを含む、前記抗体を提供する。実施態様において、該抗体は、表3に記載のVHドメインのCDRH1を含む。実施態様において、該抗体は、表3に記載のVHドメインのCDRH2を含む。実施態様において、該抗体は、表3に記載のVHドメインのCDRH3を含む。
【0058】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する単離された抗体であって、表2に記載のCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む、前記抗体を提供する。実施態様において、該抗体は、表2に記載のCDRL1を含む。実施態様において、該抗体は、表2に記載のCDRL2を含む。実施態様において、該抗体は、表2に記載のCDRL3を含む。
【0059】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する単離された抗体であって、表3に開示されるVLドメインのCDRのうちの1つ、2つ、又は3つ全てを含むVLドメインを含む、前記抗体を提供する。実施態様において、該抗体は、表3に記載のVLドメインのCDRL1を含む。実施態様において、該抗体は、表3に記載のVLドメインのCDRL2を含む。実施態様において、該抗体は、表3に記載のVLドメインのCDRL3を含む。
【0060】
本明細書に開示される抗体の個々のCDRは、当技術分野で公知の任意のCDR付番スキームに準拠して決定することができる。
【0061】
実施態様において、本明細書に開示される抗体の1以上のCDRは、Kabatらの文献、J. Biol. Chem. 252, 6609-6616(1977)及びKabatらの文献、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of protein of immunological interest)(1991)に準拠して決定することができ、これらの文献の各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0062】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、Kabat付番スキームによって決定されるような、本明細書の表2又は表3に開示される抗体のCDRを含む抗体を提供する。
【0063】
実施態様において、本明細書に開示される抗体の1以上のCDRは、免疫グロブリン構造ループの位置に言及しているChothia付番スキームに準拠して決定することができる(例えば、Chothia C & Lesk AMの文献, (1987), J Mol Biol 196: 901-917; Al-Lazikani Bらの文献, (1997) J Mol Biol 273: 927-948; Chothia Cらの文献, (1992) J Mol Biol 227: 799-817; Tramontano Aらの文献,(1990) J Mol Biol 215(1): 175-82; 及び米国特許第7,709,226号を参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。
【0064】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、Chothia付番体系によって決定されるような、本明細書の表2又は表3に開示される抗体のCDRを含む抗体を提供する。
【0065】
実施態様において、本明細書に開示される抗体の1以上のCDRは、引用により完全に本明細書中に組み込まれるMacCallum RMらの文献, (1996) J Mol Biol 262: 732-745に準拠して決定することができる。例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれるMartin A.の文献 抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)の中の「抗体可変ドメインのタンパク質配列及び構造解析(Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains)」、Kontermann及びDubel(編),31章,pp. 422-439, Springer-Verlag, Berlin (2001)も参照されたい。
【0066】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、MacCallum付番体系によって決定されるような、本明細書の表2又は表3に開示される抗体のCDRを含む抗体を提供する。
【0067】
実施態様において、本明細書に開示される抗体のCDRは、Lefranc M-Pの文献、(1999) The Immunologist 7: 132-136; Lefranc M-Pらの文献, (1999) Nucleic Acids Res 27: 209-212、それらの各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる;及びLefranc M-Pらの文献, (2009) Nucleic Acids Res 37: D1006-D1012に記載のIMGT付番体系に準拠して決定することができる。
【0068】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、IMGT付番体系によって決定されるような、本明細書の表2又は表3に開示される抗体のCDRを含む抗体を提供する。
【0069】
実施態様において、本明細書に開示される抗体のCDRは、AbM超可変領域に言及しているAbM付番スキームに準拠して決定することができ、このAbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の妥協点を表し、引用により完全に本明細書中に組み込まれるオックスフォードモレキュラー(Oxford Molecular)のAbM抗体モデリングソフトウェア(Oxford Molecular Group社)によって使用される。
【0070】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、AbM付番スキームによって決定されるような、本明細書の表2又は表3に開示される抗体のCDRを含む抗体を提供する。
【0071】
実施態様において、本明細書に開示される抗体のCDRは、引用により完全に本明細書中に組み込まれるHonegger及びPluckthun Aの文献, J. Mol. Biol. 309:657-670 (2001)に記載のAHo付番体系に準拠して決定することができる。
【0072】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、AHo付番体系によって決定されるような、本明細書の表2又は表3に開示される抗体のCDRを含む抗体を提供する。
【0073】
実施態様において、本明細書に開示される抗体の個々のCDRは、Kabat、Chothia、MacCallum、IMGT、AHo、又はAbMの付番スキームのうちの1つに準拠して、又は多重特異性分子の構造解析によって各々独立して決定され、構造解析は、IL-9のエピトープ領域と接触すると予測される可変領域(複数可)中の残基を同定する。
【0074】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128に記載のVHのCDRH1、CDRH2、及びCDRH3領域のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129に記載のVLのCDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体を提供し、各CDRは、Kabat、Chothia、MacCallum、IMGT、AHo、又はAbMの付番スキームのうちの1つに準拠して、又は多重特異性分子の構造解析によって独立して決定され、構造解析により、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)のエピトープ領域と接触すると予測される可変領域(複数可)中の残基が同定される。
【0075】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する単離された抗体であって、それぞれ配列番号1、2、及び3;4、5、及び6;7、8、及び9;10、11、及び12;13、14、及び15;16、17、及び18;19、20、及び21;又は122、123、及び124に記載のCDRH1、CDRH2及びCDRH3アミノ酸配列を含むVHを含む、前記単離された抗体を提供する。
【0076】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する単離された抗体であって、それぞれ配列番号22、23、及び24;25、26、及び27;28、29、及び30;31、29、及び32;33、34、及び35;36、37、及び38;39、40、及び41;又は125、126、及び127に記載のCDRL1、CDRL2及びCDRL3アミノ酸配列を含むVLを含む、前記単離された抗体を提供する。
【0077】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する単離された抗体であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3領域を含むVH、並びにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域を含むVLを含み、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域が、それぞれ配列番号1、2、3、22、23、及び24;4、5、6、25、26、及び27;7、8、9、28、29、及び30;7、8、9、31、29、及び32;10、11、12、33、34、及び35;13、14、15、36、37、及び38;16、17、18、39、40、及び41;19、20、21、36、37、及び38;又は122、123、124、125、126、及び127に記載のアミノ酸配列を含む、前記単離された抗体を提供する。
【0078】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128に記載のアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む単離された抗体を提供する。実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む単離された抗体を提供する。実施態様において、VHのアミノ酸配列は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128に記載のアミノ酸配列からなる。
【0079】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129に記載のアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む単離された抗体を提供する。実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む単離された抗体を提供する。実施態様において、VLのアミノ酸配列は、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129に記載のアミノ酸配列からなる。
【0080】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128に記載のアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%)同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129に記載のアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む単離された抗体を提供する。実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129のアミノ酸配列を含むVLを含む単離された抗体を提供する。実施態様において、VHのアミノ酸配列は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、又は128に記載のアミノ酸配列からなり、VLのアミノ酸配列は、配列番号50、51、52、53、54、55、56、又は129に記載のアミノ酸配列からなる。
【0081】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、それぞれ配列番号42と51;43と55;44と54;45と53;46と50;47と52;48と50;49と56;又は128と129に記載のVH及びVLアミノ酸配列を含む単離された抗体を提供する。実施態様において、VH及びVLアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42と51;43と55;44と54;45と53;46と50;47と52;48と50;49と56;又は128と129に記載のアミノ酸配列からなる。
【0082】
実施態様において、本開示は、配列番号42と51;43と55;44と54;45と53;46と50;47と52;48と50;49と56;又は128と129に記載のVHアミノ酸配列とVLアミノ酸配列を含む抗体とIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0083】
実施態様において、本開示は、本明細書に記載の抗体、例えば、配列番号42と51;43と55;44と54;45と53;46と50;47と52;48と50;49と56;又は128と129に記載のVHアミノ酸配列とVLアミノ酸配列を含む抗体と同一の又は重複するIL-9のエピトープ(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9のエピトープ)に結合する単離された抗体を提供する。
【0084】
実施態様において、本開示は、IL-9の少なくとも残基R91を含むエピトープ(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9のエピトープ)に結合する単離された抗体を提供する。実施態様において、該単離された抗体は、ヒト又はマウスIL-9のCヘリックスの1以上の残基(IL-9のアミノ酸84~102)に結合する。ヒトIL-9のCヘリックスのアミノ酸配列は、
【化1】
であり、マウスIL-9のCヘリックスのアミノ酸配列は、
【化2】
である。実施態様において、該単離された抗体は、R84、Y85、P86、L87、I88、F89、S90、R91、及びK94からなる群から選択されるヒトIL-9の1以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又は9個)のアミノ酸(複数可)に結合する。実施態様において、該単離された抗体は、L87、I88、R91、K94、S95、及びV98からなる群から選択されるヒトIL-9の1以上(例えば、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(複数可)に結合する。実施態様において、該単離された抗体は、I88及びR91からなる群から選択されるヒトIL-9のアミノ酸(複数可)の一方又は両方に結合する。実施態様において、該単離された抗体は、R84、P87、V88、H90、R91、R94、I95、V98、及びL99からなる群から選択されるマウスIL-9の1以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又は9個)のアミノ酸(複数可)に結合する。実施態様において、該単離された抗体は、カニクイザルIL-9にも結合する。
【0085】
実施態様において、抗体のエピトープは、例えば、NMR分光法、表面プラズモン共鳴(BIAcore(登録商標))、X線回折結晶構造解析研究、ELISAアッセイ、質量分析法と組み合わせた水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析法)、アレイベースのオリゴペプチド走査アッセイ、及び/又は突然変異誘発マッピング(例えば、部位特異的突然変異誘発マッピング)によって決定することができる。X線結晶構造解析の場合、結晶化は、当技術分野で公知の方法のいずれかを用いて達成され得る(例えば、Giege Rらの文献、(1994) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt 4): 339-350; McPherson Aの文献(1990) Eur J Biochem 189: 1-23; Chayen NEの文献(1997) Structure 5: 1269-1274; McPherson Aの文献(1976) J Biol Chem 251: 6300-6303、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。抗体:抗原結晶は、周知のX線回折技術を用いて研究され、X-PLOR(イエール大学、1992、Molecular Simulations社により配布;例えば、Meth Enzymolの文献(1985) 114 & 115巻, Wyckoff HWら(編);米国特許出願第2004/0014194号)、及びBUSTER(Bricogne Gの文献(1993) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt 1): 37-60; Bricogne Gの文献(1997) Meth Enzymol 276A: 361-423, Carter CW(編); Roversi Pらの文献、(2000) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 56(Pt 10): 1316-1323を参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる)などのコンピューターソフトウェアを用いて改良され得る。突然変異誘発マッピング研究は、当業者に公知の任意の方法を用いて達成され得る。例えば、アラニン走査突然変異誘発技術を含む突然変異誘発技術の説明については、Champe Mらの文献、(1995)前掲、及びCunningham BC & Wells JAの文献(1989)前掲を参照されたい。実施態様において、抗体のエピトープは、アラニン走査突然変異誘発研究を用いて決定される。さらに、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)の同一の又は重複するエピトープを認識して結合する抗体は、例えば、一方の抗体が標的抗原への別の抗体の結合を阻止する能力を示すことによる免疫アッセイ、すなわち、競合結合アッセイなどのルーチン技術を用いて同定することができる。競合結合アッセイは、2つの抗体がエピトープに対して同様の結合特異性を有するかどうかを決定するためにも使用することができる。競合結合は、試験中の免疫グロブリンが、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)などの共通抗原への参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイで決定することができる。多数の種類の競合結合アッセイ、例えば:固相直接又は間接放射免疫アッセイ(RIA)、固相直接又は間接酵素免疫測定法(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli Cらの文献、(1983) Methods Enzymol 9: 242-253参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA (Kirkland TNらの文献、(1986) J Immunol 137: 3614-9参照);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow E & Lane Dの文献(1988)抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Press参照); I-125標識を使用する固相直接標識RIA (Morel GAらの文献、(1988) Mol Immunol 25(1): 7-15参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung RCらの文献、(1990) Virology 176:546-52参照);及び直接標識RIA (Moldenhauer Gらの文献、(1990) Scand J Immunol 32: 77-82参照)が知られており、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。通常は、このようなアッセイは、これらの非標識試験免疫グロブリン及び標識参照免疫グロブリンのいずれかを有する固体表面又は細胞に結合した精製抗原(例えば、IL-9、例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)の使用を伴う。競合的阻害は、試験用免疫グロブリンの存在下で固体表面又は細胞に結合した標識の量を決定することによって測定することができる。通常、試験用免疫グロブリンは過剰に存在する。通常、競合する抗体は過剰に存在すると、共通抗原への参照物質又は抗体の特異的結合を少なくとも50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%又はそれ以上阻害するであろう。競合結合アッセイは、標識抗原又は標識抗体のいずれかを用いて、多数の異なるフォーマットで構成され得る。このアッセイの一般的なバージョンでは、抗原が96ウェルプレートに固定化される。次いで、非標識抗体が標識抗体の抗原への結合を阻止する能力が、放射性標識又は酵素標識を用いて測定される。さらなる詳細については、例えば、Wagener Cらの文献、(1983) J Immunol 130: 2308-2315; Wagener Cらの文献、(1984) J Immunol Methods 68: 269-274; Kuroki Mらの文献、(1990) Cancer Res 50: 4872-4879; Kuroki Mらの文献、(1992) Immunol Invest 21: 523-538; Kuroki Mらの文献、(1992) Hybridoma 11: 391-407及び抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual), Ed Harlow E & Lane D(編)前掲, pp. 386-389を参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0086】
実施態様において、該抗体は、ヒトIL-9のヒトIL-9Rαへの結合を阻害する。実施態様において、ヒトIL-9のヒトIL-9Rαへの結合は、抗体の非存在下でのヒトIL-9のヒトIL-9Rαへの結合と比較して、抗体の存在下で50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%以上低下する。
【0087】
実施態様において、本明細書に開示される抗体は、細胞毒性剤、細胞分裂阻害剤、毒素、放射性核種、又は検出可能な標識にコンジュゲートされる。実施態様において、細胞毒性剤は、それと接触する細胞の死又は破壊を誘導することができる。実施態様において、細胞分裂阻害剤は、増殖を防止するか、もしくは実質的に低下させ、かつ/又はそれと接触する細胞の活性もしくは機能を阻害することができる。実施態様において、細胞毒性剤又は細胞分裂阻害剤は、化学療法剤である。実施態様において、放射性核種は、同位体3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、90Y、99Tc、111In、117Lu、121I、124I、125I、131I、198Au、211At、213Bi、225Ac、及び186Reからなる群から選択される。実施態様において、検出可能な標識は、蛍光部分又はクリックケミストリーハンドルを含む。
【0088】
任意の免疫グロブリン(Ig)定常領域を、本明細書に開示する抗体に使用することができる。実施態様において、Ig領域は、ヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG2a及びIgG2b)である。
【0089】
実施態様において、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合、及び/又は抗原依存性細胞傷害性などの抗体の1以上の機能的特性を変えるために、1つ、2つ、又はそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)が、本明細書に記載の抗体のFc領域(例えば、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340))及び/又はCH3ドメイン(EU付番体系に準拠して付番されるヒトIgG1の残基341~447)及び/又はヒンジ領域(EU付番体系に準拠して付番される残基216~230)に導入される。
【0090】
実施態様において、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる米国特許第5,677,425号に記載されるように、ヒンジ領域におけるシステイン残基の数が変わる(例えば、増加又は減少する)ように、1つ、2つ、又はそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)が本明細書に記載の抗体のヒンジ領域に導入される。ヒンジ領域におけるシステイン残基の数は、例えば、軽鎖及び重鎖のアセンブリを容易にするため、又は抗体の安定性を変更する(例えば、増加又は減少させる)ために変更してよい。
【0091】
実施態様において、生体内での抗体の半減期を変更する(例えば、減少又は増加させる)ために、1つ、2つ、又はそれ以上のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入、又は欠失)がIgG定常領域、又はそのFcRn結合断片(好ましくは、Fc又はヒンジ-Fc断片)に導入される。生体内での抗体の半減期を変更する(例えば、減少又は増加させる)であろう変異の例については、例えば、国際公開WO 02/060919号;WO 98/23289号;及びWO 97/34631号;並びに米国特許第5,869,046号、第6,121,022号、第6,277,375号及び第6,165,745号を参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。ある実施態様において、生体内での抗体の半減期を減少させるために、1つ、2つ又はそれ以上のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入、又は欠失)が、IgG定常領域、又はそのFcRn結合断片(好ましくは、Fc又はヒンジ-Fc断片)に導入される。他の実施態様において、生体内での抗体の半減期を増加させるために、1つ、2つ又はそれ以上のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入、又は欠失)が、IgG定常領域、又はそのFcRn結合断片(好ましくは、Fc又はヒンジ-Fc断片)に導入される。実施態様において、該抗体は、EU付番体系に準拠して付番される第2の定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)及び/又は第3の定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)に1以上のアミノ酸変異(例えば、置換)を有してよい。実施態様において、本明細書に記載の抗体のIgG1の定常領域は、EU付番体系に準拠して付番される252位でのメチオニン(M)からチロシン(Y)への置換、254位でのセリン(S)からスレオニン(T)への置換、及び256位でのスレオニン(T)からグルタミン酸(E)への置換を含む。米国特許第7,658,921号を参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。「YTE変異体」と呼ばれるこの種の変異体IgGは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して半減期が4倍増加することが示されている(Dall’Acqua WFらの文献、(2006) J Biol Chem 281: 23514-24を参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。ある実施態様において、抗体は、EU付番体系に準拠して付番される251~257位、285~290位、308~314位、385~389位、及び428~436位のアミノ酸残基の1つ、2つ、3つ又はそれ以上のアミノ酸置換を含むIgG定常領域を含む。
【0092】
ある実施態様において、エフェクター細胞表面のFc受容体(例えば、活性化Fc受容体)に対する抗体の親和性を増加又は減少させるために、1つ、2つ、又はそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)が、本明細書に記載の抗体のFc領域(例えば、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)及び/又はCH3ドメイン(EU付番体系に準拠して付番されるヒトIgG1の残基341~447)及び/又はヒンジ領域(EU付番体系に準拠して付番される残基216~230))に導入される。Fc受容体に対する抗体の親和性を減少又は増加させる抗体のFc領域における変異、及びそのような変異をFc受容体又はその断片に導入する技術は、当業者に公知である。Fc受容体に対する抗体の親和性を変更することができる抗体のFc受容体中の変異の例は、例えば、Smith Pらの文献、(2012) PNAS 109: 6181-6186、米国特許第6,737,056号、及び国際公開WO 02/060919号; WO 98/23289号;及びWO 97/34631号に記載されており、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0093】
実施態様において、該抗体は、野生型重鎖定常領域の変異型である重鎖定常領域を含み、該変異型重鎖定常領域は、野生型重鎖定常領域がFcγRIIBに結合する親和性よりも高い親和性でFcγRIIBに結合する。ある実施態様において、該変異型重鎖定常領域は、変異型ヒト重鎖定常領域、例えば、変異型ヒトIgG1、変異型ヒトIgG2、又は変異型ヒトIgG4重鎖定常領域である。ある実施態様において、変異型ヒトIgG重鎖定常領域は、EU付番体系に準拠して、以下のアミノ酸変異:G236D、P238D、S239D、S267E、L328F、及びL328Eのうちの1以上を含む。ある実施態様において、変異型ヒトIgG重鎖定常領域は、EU付番体系に準拠してS267EとL328F; P238DとL328E; P238Dと、E233D、G237D、H268D、P271G、及びA330Rからなる群から選択される1以上の置換; P238D、E233D、G237D、H268D、P271G、とA330R; G236DとS267E; S239DとS267E; V262E、S267E、とL328F;及びV264E、S267E、とL328Fからなる群から選択される一組のアミノ酸変異を含む。実施態様において、FcγRIIBは、マクロファージ、単球、B細胞、樹状細胞、内皮細胞、及び活性化T細胞からなる群から選択される細胞上で発現する。
【0094】
実施態様において、抗体のエフェクター機能(複数可)を変更するために、1つ、2つ、又はそれ以上のアミノ酸置換が、IgG定常領域のFc領域に導入される。例えば、EU付番体系に準拠して付番されるアミノ酸残基234、235、236、237、239、243、267、292、297、300、318、320、322、328、330、332、及び396から選択される1以上のアミノ酸は、抗体のエフェクターリガンドに対する親和性は変わるが、親抗体の抗原結合能を保持するように、異なるアミノ酸残基で置換することができる。親和性が変更されるエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体又は補体のC1成分であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号及び第5,648,260号にさらに詳細に記載されており、これらの各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。ある実施態様において、定常領域ドメインの欠失又は不活性化(点変異又は他の手段による)は、循環抗体のFc受容体結合を低下させ、それによって腫瘍の局在を増加させ得る。例えば、定常領域を欠失又は不活性化し、それによって腫瘍の局在を増加させる変異の説明については、米国特許第5,585,097号及び第8,591,886号を参照されたく、これらの各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。実施態様において、1以上のアミノ酸置換を本明細書に記載の抗体のFc領域に導入して、Fc領域上の潜在的なグリコシル化部位を除去すると、Fc受容体結合を低下させることができる(例えば、Shields RLらの文献、(2001) J Biol Chem 276: 6591-604を参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。種々の実施態様において、本明細書に記載の抗体の定常領域における以下の変異:EU付番体系に準拠して付番されるN297A置換;N297Q置換;L234A置換;L234F置換;L235A置換;L235F置換;L235V置換;L237A置換;S239D置換;E233P置換;L234V置換;L235A置換;C236欠失;P238A置換;S239D置換;F243L置換;D265A置換;S267E置換;L328F置換;R292P置換;Y300L置換;A327Q置換;P329A置換;A330L置換;I332E置換;又はP396L置換のうちの1以上が生じ得る。
【0095】
ある実施態様において、EU付番体系に準拠して付番されるD265A、P329A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異が、本明細書に記載の抗体の定常領域中で生じ得る。ある実施態様において、EU付番体系に準拠して付番されるL235A、L237A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異が、本明細書に記載の抗体の定常領域中で生じ得る。ある実施態様において、EU付番体系に準拠して付番されるS267E、L328F、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異が、本明細書に記載の抗体の定常領域中で生じ得る。ある実施態様において、EU付番体系に準拠して付番されるS239D、I332E、任意にA330L、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異が、本明細書に記載の抗体の定常領域中で生じ得る。ある実施態様において、EU付番体系に準拠して付番されるL235V、F243L、R292P、Y300L、P396L、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異が、本明細書に記載の抗体の定常領域中で生じ得る。ある実施態様において、EU付番体系に準拠して付番されるS267E、L328F、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異が、本明細書に記載の抗体の定常領域中で生じ得る。
【0096】
実施態様において、本明細書に記載の抗体は、EU付番体系に準拠して付番されるN297Q又はN297Aアミノ酸置換を有するIgG1の定常領域を含む。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、EU付番体系に準拠して付番されるD265A、P329A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異を有するIgG1の定常領域を含む。別の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、EU付番体系に準拠して付番されるL234A、L235A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異を有するIgG1の定常領域を含む。別の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、EU付番体系に準拠して付番されるL234F、L235F、N297A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異を有するIgG1の定常領域を含む。ある実施態様において、EU付番体系に準拠して付番されるヒトIgG1重鎖中のL234、L235、及びD265位に対応する位置における本明細書に記載の抗体の定常領域中のアミノ酸残基は、それぞれL、L、及びDではない。このアプローチは、国際公開WO 14/108483号に詳述されており、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。実施態様において、EU付番体系に準拠して付番されるヒトIgG1重鎖中のL234、L235、及びD265位に対応するアミノ酸は、それぞれF、E、及びA;又はA、A、及びAである。
【0097】
実施態様において、EU付番体系に準拠して、重鎖定常領域の433、434、及び436位のアミノ酸は、それぞれK、F、及びYである。実施態様において、EU付番体系に準拠して、重鎖定常領域の252、254、及び256位のアミノ酸は、それぞれY、T、及びEである。実施態様において、EU付番体系に準拠して、重鎖定常領域の428及び434位のアミノ酸は、それぞれL及びSである。実施態様において、EU付番体系に準拠して、重鎖定常領域の309、311、及び434位のアミノ酸は、それぞれD、H、及びSである。
【0098】
実施態様において、EU付番体系に準拠して付番される、本明細書に記載の抗体の定常領域のアミノ酸残基329、331、及び322から選択される1以上のアミノ酸は、抗体のC1q結合が変更し、かつ/又は補体依存性細胞傷害性(CDC)が低下もしくは無くなるように異なるアミノ酸残基で置換することができる。このアプローチは、米国特許第6,194,551号(Idusogieら)にさらに詳細に記載されており、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。実施態様において、EU付番体系に準拠して付番される、本明細書に記載の抗体のCH2ドメインのN末端領域中のアミノ酸位置231~238内の1以上のアミノ酸残基が変更され、それによって、補体を固定する抗体の能力が変更される。このアプローチは、国際公開WO 94/29351号でさらに説明されており、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。実施態様において、本明細書に記載の抗体のFc領域は、EU付番体系に準拠して付番される以下の位置:238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、328、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438、又は439で1以上のアミノ酸を変異させる(例えば、アミノ酸置換を導入する)ことにより、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介する抗体の能力を高めるように、かつ/又はFcγ受容体に対する抗体の親和性を増大させるように改変される。このアプローチは、国際公開WO 00/42072号でさらに説明されており、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0099】
実施態様において、本明細書に記載の定常領域変異又は改変のいずれかを、2つの重鎖定常領域を有する本明細書に記載の抗体の一方又は両方の重鎖定常領域に導入することができる。
【0100】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、アンタゴニストとして機能する(例えば、IL-9活性を低減又は阻害する)単離された抗体を提供する。
【0101】
実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)活性を、本明細書に記載の及び/又は当業者に公知の方法によって評価した場合に、抗体を含めないか又は無関係な抗体(例えば、IL-9に特異的に結合しない抗体)を含めたときのIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)活性に対して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%減少させるか又は阻害する単離された抗体を提供する。実施態様において、本開示は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合し、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)活性を、本明細書に記載の及び/又は当業者に公知の方法によって評価した場合に、抗体を含めないか又は無関係な抗体(例えば、IL-9に特異的に結合しない抗体)を含めたときのIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)活性に対して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれ以上減少させるか又は阻害する単離された抗体を提供する。IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)活性の非限定的な例として、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)シグナル伝達、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)のその受容体(例えば、IL-9Rα)への結合;IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)誘導性細胞増殖を挙げることができる。実施態様において、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)活性の減少は、実施例に記載されるように評価される。
【0102】
実施態様において、本開示は、10nM未満、5nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、又は0.1nM未満の解離定数(KD)値でIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0103】
(5.3 医薬組成物)
本明細書に提供されるのは、生理的に許容し得る担体、賦形剤、又は安定剤において所望の程度の純度を有する本明細書に開示される単離された抗IL-9抗体を含む組成物である(例えば、レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences) (1990) Mack Publishing Co., Easton, PAを参照されたい)。許容し得る担体、賦形剤、又は安定剤は、利用される投薬量及び濃度でレシピエントに無害であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール、又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0104】
実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体中に、本明細書に開示される単離された抗IL-9抗体、及び任意に1以上の追加の予防剤又は治療剤を含む。実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体中に、本明細書の単離された抗IL-9抗体、及び任意に1以上の追加の予防剤又は治療剤を含む。実施態様において、該抗体は、該医薬組成物に含まれる唯一の活性成分である。実施態様において、本開示は、薬剤としての使用のために、本明細書に開示される単離された抗IL-9抗体を含む医薬組成物を提供する。別の実施態様において、本開示は、炎症性疾患又は癌の治療法において使用するための医薬組成物を提供する。
【0105】
非経口調製物で使用される医薬として許容し得る担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局部麻酔薬、懸濁化剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤又はキレート剤並びに他の医薬として許容し得る物質が含まれる。水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、並びにデキストロース及び乳酸リンガー注射液が挙げられる。非水性非経口ビヒクルには、植物由来の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油、及びピーナッツ油が含まれる。静菌性又は静真菌性濃縮物中の抗菌剤は、フェノール又はクレゾール、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムを含む複数回投与用容器に包装された非経口調製物に添加することができる。等張剤には、塩化ナトリウム及びデキストロースが含まれる。緩衝液には、リン酸塩及びクエン酸塩が含まれる。抗酸化剤には、重硫酸ナトリウムが含まれる。局所麻酔薬には、塩酸プロカインが含まれる。懸濁剤及び分散剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが含まれる。乳化剤には、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が含まれる。金属イオンの封鎖又はキレート剤には、EDTAが含まれる。医薬品担体には、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール、並びにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸も含まれる。
【0106】
医薬組成物は、対象への任意の投与経路用に製剤化され得る。投与経路の具体例としては、鼻腔投与、経口投与、肺投与、経皮投与、皮内投与、及び非経口投与が挙げられる。皮下注射、筋肉内注射又は静脈内注射のいずれかを特徴とする非経口投与も、本明細書では企図される。注射剤は、液体の液剤もしくは懸濁剤、注射前の液体への溶解もしくは懸濁に好適な固体形態としてか、又は乳剤としてかのいずれかの、従来の形態で調製することができる。注射剤、溶液及び乳化剤には、1以上の賦形剤も含まれる。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、又はエタノールである。さらに、所望であれば、投与される医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解性増強剤などの非毒性の補助物質、並びに例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、及びシクロデキストリンなどの他のそのような薬剤を少量含有することもできる。
【0107】
抗体の非経口投与用の調製物には、すぐに注射可能な滅菌液剤、皮下用錠剤を含む、使用直前に溶媒とすぐに組み合わせることができる滅菌乾燥可溶性製品、例えば、凍結乾燥粉末、すぐに注射可能な滅菌懸濁剤、使用直前にビヒクルとすぐに組み合わせることができる滅菌乾燥不溶性製品及び滅菌乳剤が含まれる。液剤は、水性又は非水性のいずれかであり得る。
【0108】
静脈内投与される場合、好適な担体には、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、並びに増粘剤及び可溶化剤、例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール、並びにこれらの混合物を含有する溶液が含まれる。
【0109】
抗体を含む局所混合物は、局所投与及び全身投与のために記載されるように調製される。得られた混合物は、溶液、懸濁液、乳化剤などであり得、クリーム、ゲル、軟膏、乳化剤、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、フォーム、エアゾール、洗浄剤、スプレー剤、坐剤、包帯、皮膚パッチ又は局所投与に適する任意の他の製剤として製剤化することができる。
【0110】
本明細書に開示される単離された抗IL-9抗体は、吸入などによる局所適用のためのエアロゾルとして製剤化することができる(例えば、炎症性疾患、特に、喘息の治療に有用なステロイドの送達のためのエアロゾルについて説明している米国特許第4,044,126号、第4,414,209号及び第4,364,923号を参照されたく、これらは引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。気道への投与のためのこれらの製剤は、単独で、又はラクトースなどの不活性担体と組み合わせた、ネブライザー用のエアロゾルもしくは溶液の形態、又はガス注入用の超微粉末としての形態であり得る。そのような場合、製剤の粒子は、ある実施態様において、50ミクロン未満の直径を有し、ある実施態様において、10ミクロン未満の直径を有する。
【0111】
本明細書に開示される単離された抗IL-9抗体は、局所(local)又は局所(topical)適用、例えば、ゲル、クリーム、及びローションの形態での皮膚及び粘膜、例えば、眼内への局所適用のため、並びに眼への適用又は大槽内もしくは脊髄内適用のために製剤化することができる。経皮送達、及び眼もしくは粘膜への投与、又は吸入療法のための局所投与が企図される。抗体の鼻腔液を単独で、又は他の医薬として許容し得る賦形剤と組み合わせて投与することもできる。
【0112】
イオントフォレーシス及び電気泳動の装置を含む経皮パッチは、当業者に周知であり、抗体を投与するために使用することができる。例えば、そのようなパッチは、米国特許第6,267,983号、第6,261,595号、第6,256,533号、第6,167,301号、第6,024,975号、第6,010715号、第5,985,317号、第5,983,134号、第5,948,433号、及び第5,860,957号に開示されており、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0113】
実施態様において、本明細書に記載の抗体を含む医薬組成物は、投与のために液剤、乳剤、及び他の混合物として再構成することができる凍結乾燥粉末である。それらを固体又はゲルとして再構成し、製剤化することもできる。凍結乾燥粉末は、本明細書に記載の抗体、又はその医薬として許容し得る誘導体を好適な溶媒に溶解させることによって調製される。実施態様において、凍結乾燥粉末は滅菌されている。溶媒は、粉末又は粉末から調製される再構成溶液の安定性又は他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含有することができる。使用し得る賦形剤には、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、又は別の好適な薬剤が含まれるが、これらに限定されない。溶媒は、緩衝剤、例えば、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、又はある実施態様において、約中性pHの当業者に公知の他のそのような緩衝剤を含有することもできる。その後の溶液の滅菌濾過と、それに続く、当業者に公知の標準的な条件下での凍結乾燥によって、所望の製剤が提供される。実施態様において、得られる溶液は、凍結乾燥用のバイアルに分注される。各々のバイアルは、単回投薬量又は複数回投薬量の化合物を含有する。凍結乾燥粉末は、適切な条件下、例えば、約4℃~室温で貯蔵することができる。この凍結乾燥粉末の注射用水による再構成によって、非経口投与で使用するための製剤が提供される。再構成のために、凍結乾燥粉末を滅菌水又は他の好適な担体に添加する。正確な量は、選択された化合物によって決まる。そのような量は、実験的に決定することができる。
【0114】
本明細書に開示される単離された抗IL-9抗体、及び本明細書に提供される他の組成物は、特定の組織、受容体、又は治療されることになる対象の身体の他の部分にターゲティングされるように製剤化することもできる。多くのそのようなターゲティング法は、当業者に周知である。全てのそのようなターゲティング法が、本組成物での使用のために本明細書において企図される。ターゲティング法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542及び第5,709,874号を参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。実施態様において、本明細書に記載の抗体は、腫瘍にターゲティングされる。
【0115】
インビボ投与に使用されるべき製剤は滅菌され得る。これは、例えば、滅菌濾過膜に通して濾過することによって容易に達成される。
【0116】
(5.4 使用方法と使用)
ある態様において、本開示は、本明細書に開示される抗IL-9抗体を用いて対象を治療する方法を提供する。IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)機能の低下から恩恵を受けるであろう対象における任意の疾患又は障害は、本明細書に開示される単離された抗IL-9抗体を用いて治療することができる。実施態様において、疾患又は障害は、炎症性疾患もしくは障害、自己免疫疾患もしくは障害、又は癌である。
【0117】
実施態様において、本明細書に開示される方法によって治療することができる炎症性疾患又は障害には、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性障害、敗血症性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、変形性関節症、脊椎関節症(例えば、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、ライター症候群(反応性関節炎)、炎症性骨溶解症、ウィルソン病及び慢性ウイルス感染もしくは細菌感染に起因する慢性炎症)が含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
実施態様において、本明細書に開示される方法によって治療することができる自己免疫疾患又は障害には、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素症、クローン病、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギランバレー、橋本病甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパチー、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型又は免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎症候群、例えば、ヘルペス状皮膚炎、血管炎、白斑、及びウェゲナー肉芽腫症が含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書に開示される単離された抗IL-9抗体又は医薬組成物で治療することができる癌には、限定されないが、固形腫瘍、血液癌(例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫)、及び転移性病変が含まれる。ある実施態様において、癌は固形腫瘍である。固形腫瘍の例としては、悪性腫瘍、例えば、肉腫及び癌腫、例えば、種々の器官系の腺癌、例えば、肺、乳房、卵巣、リンパ球、消化管(例えば、結腸)、肛門、生殖器及び泌尿生殖器(例えば、腎臓、尿路上皮、膀胱細胞、前立腺)、咽頭、CNS(例えば、脳、神経細胞又はグリア細胞)、頭頸部、皮膚(例えば、黒色腫)、及び膵臓に影響を及ぼすもの、並びに結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌又は小細胞肺癌)、小腸の癌及び食道の癌などの悪性腫瘍を含む腺癌が挙げられる。癌は、早期癌、中期癌、後期癌、又は転移性癌であり得る。
【0120】
実施態様において、癌は、肺癌(例えば、肺腺癌又は非小細胞肺癌(NSCLC)(例えば、扁平上皮及び/又は非扁平上皮組織型のNSCLC、又はNSCLC腺癌))、黒色腫(例えば、進行性黒色腫)、腎癌(例えば、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、前立腺癌、乳癌(例えば、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、又はHer2/neuの1つ、2つ又は全てを発現しない乳癌、例えば、トリプルネガティブ乳癌)、卵巣癌、結腸直腸癌、膵臓癌、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC))、肛門癌、胃食道癌(例えば、食道扁平上皮癌)、中皮腫、上咽頭癌、甲状腺癌、子宮頸癌、上皮癌、腹膜癌、又はリンパ増殖性疾患(例えば、移植後のリンパ増殖性疾患)から選択される。
【0121】
実施態様において、癌は、血液癌、例えば、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫である。実施態様において、癌は、白血病、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄芽球性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia)(CML)、慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia)(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、又は有毛細胞性白血病である。実施態様において、癌は、リンパ腫、例えば、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、再発性非ホジキンリンパ腫、難治性非ホジキンリンパ腫、再発性濾胞性非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、又は節外辺縁帯リンパ腫である。
【0122】
(5.5 抗体生成のポリヌクレオチド、ベクター、及び方法)
態様において、本明細書に提供されるのは、IL-9(例えば、ヒトIL-9もしくはマウスIL-9)抗原に特異的に結合する本明細書に記載の抗体もしくはその一部、又はその断片(例えば、VL及び/又はVH;並びに軽鎖及び/又は重鎖)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、及びそのようなポリヌクレオチドを含むベクター、例えば、宿主細胞(例えば、大腸菌及び哺乳動物細胞)における組換え発現用のベクターである。本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗体の重鎖及び/又は軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、並びにそのようなポリヌクレオチド配列を含むベクター、例えば、宿主細胞、例えば、哺乳動物細胞におけるそれらの効率的な発現用の発現ベクターである。
【0123】
本明細書で使用されるように、「単離された」ポリヌクレオチド又は核酸分子は、核酸分子の天然供給源(例えば、マウス又はヒト)に存在する他の核酸分子から分離されているポリヌクレオチド又は核酸分子である。さらに、「単離された」核酸分子、例えば、cDNA分子は、他の細胞物質、もしくは組換え技術によって生成される場合は、他の細胞物質又は培養培地を実質的に含まないものであり得、又は化学合成される場合は、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであり得る。例えば、「実質的に含まない」という言葉は、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満(特に、約10%未満)の他の物質、例えば、細胞物質、培養培地、他の核酸分子、化学的前駆体及び/又は他の化学物質を有するポリヌクレオチド又は核酸分子の調製物を含む。実施態様において、本明細書に記載の抗体をコードする核酸分子(複数可)は、単離又は精製されている。
【0124】
態様において、本明細書に提供されるのは、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)ポリペプチドに特異的に結合し、本明細書に記載のアミノ酸配列を含む、抗体、並びにそのような抗体とIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)ポリペプチドへの結合について競合する(例えば、用量依存的に)か、又はそのような抗体のエピトープと同じエピトープに結合する抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。
【0125】
態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体の軽鎖又は重鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。該ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体のVL FR及びCDRを含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列(例えば、表2及び表3参照)、又は本明細書に記載の抗体のVH FR及びCDRを含む重鎖をコードするヌクレオチド配列(例えば、表2及び表3参照)を含むことができる。実施態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体のVH、VL、重鎖、及び/又は軽鎖をコードする。実施態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体の第1のVH及び第1のVLをコードする。実施態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体の第2のVH及び第2のVLをコードする。実施態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体の第1の重鎖及び第1の軽鎖をコードする。実施態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体の第2の重鎖及び第2の軽鎖をコードする。実施態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の単離された抗体のVH及び/もしくはVL、又は重鎖及び/もしくは軽鎖をコードする。
【0126】
また本明細書に提供されるのは、例えば、コドン/RNA最適化、異種シグナル配列との交換、及びmRNA不安定性エレメントの除去によって最適化される単離された抗IL-9抗体をコードするポリヌクレオチドである。コドン変化を導入し、及び/又はmRNA中の阻害性領域を除去することによって、単離された抗IL-9抗体又はその断片(例えば、軽鎖、重鎖、VHドメイン、又はVLドメイン)をコードする組換え発現用の最適化された核酸を作製する方法は、例えば、米国特許第5,965,726号;第6,174,666号;第6,291,664号;第6,414,132号;及び第6,794,498号に記載されている最適化方法を相応に適合させることによって実施することができ、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。例えば、RNA内の潜在的スプライス部位及び不安定性エレメント(例えば、A/T又はA/Uリッチエレメント)を、核酸配列によってコードされるアミノ酸を改変することなく突然変異させて、組換え発現のためにRNAの安定性を増大させることができる。改変は、例えば、同一のアミノ酸に対する代替コドンを使用する遺伝暗号の縮重を利用する。実施態様において、1以上のコドンを、保存的突然変異、例えば、もとのアミノ酸と類似した化学構造及び特性並びに/又は機能を有する類似のアミノ酸をコードするように改変することが望ましいことがある。そのような方法は、最適化されていないポリヌクレオチドによってコードされる単離された抗IL-9抗体の発現と比べて、単離された抗IL-9抗体又はその断片の発現を、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、もしくは100倍、又はそれを超えて増大させることができる。
【0127】
実施態様において、本明細書に記載の単離された抗IL-9抗体又はその断片(例えば、VLドメイン及び/もしくはVHドメイン)をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載の単離された抗IL-9抗体又はその断片(例えば、VLドメイン及び/もしくはVHドメイン)をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンス(例えば、相補的)ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。実施態様において、本明細書に記載の単離された抗IL-9抗体又はその断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高ストリンジェンシー条件下で、本明細書に記載の単離された抗IL-9抗体又はその断片をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。実施態様において、本明細書に記載の単離された抗IL-9抗体又はその断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高いストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシー、又はより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載の単離された抗IL-9抗体又はその断片をコードする最適化されていないヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション条件に関する情報は記載されており、例えば、引用により本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0048549号(例えば、段落72~73)を参照されたい。
【0128】
該ポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の任意の方法によって取得することができ、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、該方法によって決定することができる。本明細書に記載の抗体、例えば、表2及び表3に記載されている抗体、並びにこれらの抗体の修飾型をコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で周知の方法を用いて決定することができる、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンは、該抗体をコードする核酸を作製するような方法でアセンブルされる。該抗体をコードするそのようなポリヌクレオチドは、化学合成されたオリゴヌクレオチド(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれるKutmeier Gらの文献、(1994), BioTechniques 17: 242-6に記載されているもの)からアセンブルすることができ、これは、簡潔に述べると、抗体をコードする配列の部分を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリング及びライゲーション、その後、ライゲーションされたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を含む。
【0129】
或いは、本明細書に記載の抗体の抗原結合領域をコードするポリヌクレオチドは、当技術分野で周知の方法(例えば、PCR及び他の分子クローニング法)を用いて、好適な供給源(例えば、ハイブリドーマ)由来の核酸から作製することができる。例えば、既知の配列の3'及び5'末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅は、関心対象の抗体を生成するハイブリドーマ細胞から得られるゲノムDNAを用いて実施することができる。そのようなPCR増幅法を用いて、抗体の軽鎖及び/又は重鎖をコードする配列を含む核酸を得ることができる。そのようなPCR増幅法を用いて、抗体の可変軽鎖領域及び/又は可変重鎖領域をコードする配列を含む核酸を得ることができる。増幅された核酸を、宿主細胞での発現用の及びさらなるクローニング用のベクターにクローニングすることができる。
【0130】
特定の抗原結合領域又は抗体をコードする核酸を含有するクローンは入手可能でないが、抗原結合領域又は抗体分子の配列が公知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、化学合成するか、或いは配列の3'及び5'末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅によって、又は例えば、特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて抗体をコードするcDNAライブラリー由来のcDNAクローンを同定するクローニングによって、好適な供給源(例えば、抗体を発現している任意の組織又は細胞、例えば、本明細書に記載の抗体を発現させるために選択されたハイブリドーマ細胞から作製される抗体cDNAライブラリーもしくはcDNAライブラリー、又は該細胞から単離される核酸、好ましくは、ポリA+RNA)から得ることができる。その後、PCRによって作製される増幅された核酸は、当技術分野で周知の任意の方法を用いて、複製可能なクローニングベクターにクローニングすることができる。
【0131】
本明細書に記載の単離された抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体をコードするDNAを、従来の手順を用いて(例えば、抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離し、配列決定することができる。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの供給源としての役割を果たすことができる。ひとたび単離されれば、DNAを発現ベクター中に入れることができ、これを、その後、それ以外の方法では免疫グロブリンタンパク質を生成しない宿主細胞、例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)由来のCHO細胞)、又は骨髄腫細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞内での抗IL-9抗体の合成を得る。
【0132】
完全抗体又は抗原結合領域を作製するために、VH又はVLヌクレオチド配列、制限部位、及び該制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを用いて、scFvクローン中でVH又はVL配列を増幅させることができる。当業者に公知のクローニング技術を用いて、PCR増幅されたVHドメインを、重鎖定常領域、例えば、ヒトガンマ1又はヒトガンマ4定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅されたVLドメインを、軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパ又はラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。ある実施態様において、VH又はVLドメインを発現させるためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変領域のクローニング部位、定常領域、及びネオマイシンなどの選択マーカーを含む。VH及びVLドメインは、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングすることもできる。その後、当業者に公知の技術を用いて、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターを細胞株にコトランスフェクトし、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な又は一過性の細胞株を作製する。
【0133】
DNAは、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常領域のコード配列をマウス配列の代わりに代用することによるか、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てもしくは一部を共有結合させることによって修飾することもできる。
【0134】
また提供されるのは、高いストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシー又はより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである。実施態様において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、高いストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシー又はより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に提供されるVHドメイン及び/又はVLドメインをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。
【0135】
ハイブリダイゼーション条件は当技術分野で記載されており、かつ当業者に公知である。例えば、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃での、フィルターに結合したDNAへのハイブリダイゼーション、次いで、0.2×SSC/0.1%SDS中、約50~65℃での1回以上の洗浄を含むことができ;高ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、6×SSC中、約45℃での、フィルターに結合した核酸へのハイブリダイゼーション、次いで、0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄を含むことができる。他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションは当業者に公知であり、例えば、Ausubel FMら編、1989、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第I巻、Green Publishing Associates社並びにJohn Wiley & Sons社, New York、6.3.1~6.3.6及び2.10.3頁に記載されており、これを参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0136】
態様において、本明細書に提供されるのは、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する本明細書に記載の抗体を発現する(例えば、組換えにより)細胞(例えば、宿主細胞)、並びに関連するポリヌクレオチド及び発現ベクターである。本明細書に提供されるのは、宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)における組換え発現用の、抗IL-9抗体をコードするヌクレオチド配列又は断片を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)である。また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗IL-9抗体(例えば、ヒト又はヒト化抗体)を組換え発現するためのそのようなベクターを含む宿主細胞である。態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体を生成する方法であって、宿主細胞から抗体を発現させることを含む、前記方法である。
【0137】
IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する本明細書に記載の抗体(例えば、本明細書に記載の抗体の全長抗原結合領域又は抗体の重鎖及び/又は軽鎖)の組換え発現は、一般に、該抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を含む。本明細書に記載の抗体分子、抗体の重鎖及び/もしくは軽鎖、又はそれらの断片(例えば、重鎖及び/もしくは軽鎖可変領域)をコードするポリヌクレオチドが得られれば、抗体分子の生成用のベクターを、当技術分野で周知の技術を使用する組換えDNA技術によって生成することができる。したがって、抗体又は抗体断片(例えば、軽鎖又は重鎖)をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによってタンパク質を調製する方法が本明細書に記載されている。当業者に周知である方法を用いて、抗体又は抗体断片(例えば、軽鎖又は重鎖)をコードする配列並びに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、及びインビトロ遺伝子組換えが含まれる。また提供されるのは、プロモーターに機能的に連結された、本明細書に記載の抗体分子、抗体の重鎖又は軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変領域又はそれらの断片、或いは重鎖又は軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能ベクターである。そのようなベクターは、例えば、抗体分子の定常領域(例えば、国際公開WO 86/05807号及びWO 89/01036号;並びに米国特許第5,122,464号を参照されたく、これらは引用により完全に本明細書中に組み込まれる)を含むことができ、抗体の可変領域を、重鎖全体、軽鎖全体、又は重鎖全体と軽鎖全体の両方の発現用のそのようなベクターにクローニングすることができる。
【0138】
実施態様において、ベクターは、本明細書に記載の抗体のVH、VL、重鎖、及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。別の実施態様において、ベクターは、本明細書に記載の抗体のVH及びVLをコードするポリヌクレオチドを含む。別の実施態様において、ベクターは、本明細書に記載の抗体の重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0139】
発現ベクターを従来の技術によって細胞(例えば、宿主細胞)に導入することができ、その後、得られた細胞を従来の技術によって培養して、本明細書に記載の抗体又はその断片を生成することができる。したがって、本明細書に提供されるのは、宿主細胞内でのそのような配列の発現用のプロモーターに機能的に連結された、本明細書に記載の抗体もしくはその断片、或いはその重鎖もしくは軽鎖、又はそれらの断片、或いは本明細書に記載の単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞である。
【0140】
実施態様において、宿主細胞は、本明細書に記載の単離された抗体のVH及びVLをコードするポリヌクレオチドを含む。別の実施態様において、宿主細胞は、本明細書に記載の単離された抗体のVH及びVLをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む。別の実施態様において、宿主細胞は、本明細書に記載の単離された抗体のVHをコードする第1のポリヌクレオチド、及び本明細書に記載の単離された抗体のVLをコードする第2のポリヌクレオチドを含む。別の実施態様において、宿主細胞は、本明細書に記載の単離された抗体のVHをコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1のベクター、及び本明細書に記載の単離された抗体のVLをコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む。
【0141】
実施態様において、第1の宿主細胞によって発現される重鎖/重鎖可変領域は、本明細書に記載の抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体を形成するように、第2の宿主細胞の軽鎖/軽鎖可変領域と関連付けられる。実施態様において、本明細書に提供されるのは、そのような第1の宿主細胞及びそのような第2の宿主細胞を含む宿主細胞の集団である。
【0142】
実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体の軽鎖/軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター、及び本明細書に記載の抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体の重鎖/重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含むベクターの集団である。
【0143】
種々の宿主-発現ベクター系を用いて、本明細書に記載の抗体分子を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。そのような宿主-発現系は、関心対象のコード配列を生成し、その後、精製することができる媒体であるが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換又はトランスフェクトしたときに、本明細書に記載の抗体分子をインサイチュで発現することができる細胞でもある。これらには、微生物、例えば、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌及び枯草菌);例えば、抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質された酵母(例えば、サッカロマイセス及びピキア);例えば、抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;例えば、抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染したもしくは例えば、抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系(例えば、緑藻類、例えば、緑藻クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii));又は哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現コンストラクトを保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS(例えば、COS1もしくはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK 293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、及びNIH 3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、及びBMT10細胞)が含まれるが、これらに限定されない。実施態様において、本明細書に記載の抗体の発現用の細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)由来のCHO細胞である。実施態様において、CHO細胞によって生成される抗体の重鎖及び/又は軽鎖は、ピログルタミン酸に置換されたN末端グルタミン又はグルタミン酸残基を有し得る。実施態様において、本明細書に記載の抗体の発現用の細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株である。実施態様において、哺乳動物発現ベクターは、pOptiVEC(商標)又はpcDNA3.3である。実施態様において、細菌細胞、例えば、大腸菌、又はとりわけ、完全組換え抗体分子の発現用の真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)を組換え抗体分子の発現のために使用する。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと併用される、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞は、抗体の効果的な発現系である(Foecking MK & Hofstetter Hの文献(1986) Gene 45: 101-5;及びCockett MIらの文献、(1990) Biotechnology 8(7): 662-7、それらの各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。実施態様において、本明細書に記載の抗体は、CHO細胞又はNS0細胞によって生成される。実施態様において、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する本明細書に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、又は組織特異的プロモーターによって調節される。
【0144】
細菌系において、いくつかの発現ベクターを、発現される抗体分子に対して意図される用途に応じて有利に選択することができる。例えば、大量のそのような抗体が生成されることになっている場合、抗体分子の医薬組成物の作製のために、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を導くベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターには、融合タンパク質が生成されるように、コード配列を個別に連結して、lac Zコード領域とインフレームでベクターに挿入することができる、大腸菌発現ベクターpUR278(Ruether U & Mueller-Hill Bの文献 (1983) EMBO J 2: 1791-1794); pINベクター(Inouye S & Inouye Mの文献 (1985) Nuc Acids Res 13: 3101-3109; Van Heeke G & Schuster SMの文献 (1989) J Biol Chem 24: 5503-5509)などが含まれるが、これらに限定されず、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。例えば、pGEXベクターを用いて、異種ポリペプチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合と、それに続く、遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物をGST部分から放出させることができるように、トロンビン又は第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むよう設計される。
【0145】
昆虫系において、例えば、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、異種遺伝子を発現させることができる。該ウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞の中で成長する。コード配列を該ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
【0146】
哺乳動物宿主細胞において、いくつかのウイルスベースの発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、関心対象のコード配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び三部分リーダ配列に連結することができる。その後、このキメラ遺伝子を、インビトロ又はインビボ組換えによって、アデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域El又はE3)への挿入は、感染宿主内で生存可能であり、かつ分子を発現することができる組換えウイルスを生じさせる(例えば、Logan J & Shenk Tの文献、(1984) PNAS 81(12): 3655-9を参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。特異的な開始シグナルも、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳に必要とされ得る。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、挿入物全体が確実に翻訳されるように、所望のコード配列のリーディングフレームと同期していなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然と合成の両方の、種々の起源のものであることができる。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることによって増強することができる(例えば、Bitter Gらの文献、(1987) Methods Enzymol. 153: 516-544を参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。
【0147】
さらに、挿入された配列の発現を調節するか又は遺伝子産物を望ましい特定の様式で修飾及びプロセッシングする宿主細胞株を選ぶことができる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセッシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能に重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセッシング及び修飾のための特徴的かつ特定の機構を有する。適切な細胞株又は宿主系を、発現される異種タンパク質の正確な修飾及びプロセッシングを確保するように選ぶことができる。この目的のために、一次転写物の適切なプロセッシング、遺伝子産物のグリコシル化、及びリン酸化のための細胞装置を保有する真核宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK 293、NIH 3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内在的に生成しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(例えば、COS1又はCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10並びにHsS78Bst細胞が含まれるが、これらに限定されない。実施態様において、本明細書に記載の抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体は、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞で生成される。
【0148】
実施態様において、本明細書に記載の抗体は、フコース含量が低減されているか、又はフコース含量を有していない。このような抗体は、当業者が公知の技術を用いて生成することができる。例えば、該抗体は、フコシル化する能力が欠損しているか又は欠如している細胞で発現させることができる。一例では、α1,6-フコシルトランスフェラーゼの両方の対立遺伝子をノックアウトした細胞株を用いて、フコース含量が減少した抗体を生成することができる。Potelligent(登録商標)システム(Lonza)は、フコース含量が低減された抗体を生成するために使用することができるそのようなシステムの一例である。
【0149】
組換えタンパク質の長期の高収率生成のために、安定した発現細胞を作製することができる。例えば、本明細書に記載の抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体を安定に発現する細胞株を人為作製することができる。実施態様において、本明細書に提供される細胞は、抗原結合領域を形成するために会合する軽鎖/軽鎖可変領域及び重鎖/重鎖可変領域、又は本明細書に記載の抗体を安定して発現する。
【0150】
ある態様において、ウイルスの複製起源を含有する発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞を、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー配列、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)及び選択可能マーカーによって制御されるDNAで形質転換することができる。異種DNA/ポリヌクレオチドの導入後、人為作製された細胞を、富化培地中で1~2日間成長させておくことができ、その後、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミド中の選択可能マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをその染色体に安定に組み込み、成長して、フォーカスを形成するのを可能にし、このフォーカスをさらにクローン化し、細胞株へと拡大することができる。この方法を有利に用いて、本明細書に記載の抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)又はその断片を発現する細胞株を人為作製することができる。そのような人為作製された細胞株は、抗体分子と直接的又は間接的に相互作用する組成物をスクリーニング及び評価する際に特に有用で有り得る。
【0151】
単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wigler Mらの文献、(1977) Cell 11(1): 223-32)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska EH & Szybalski Wの文献、(1962) PNAS 48(12): 2026-2034)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowy Iらの文献、(1980) Cell 22(3): 817-23)を含むが、これらに限定されないいくつかの選択系を、それぞれtk-、hgprt-又はaprt-細胞内で使用することができ、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。また、代謝拮抗物質耐性を以下の遺伝子:メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler Mらの文献、(1980) PNAS 77(6): 3567-70; O’Hare Kらの文献、(1981) PNAS 78: 1527-31);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan RC & Berg Pの文献 (1981) PNAS 78(4): 2072-6));アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Wu GY & Wu CHの文献 (1991) Biotherapy 3: 87-95; Tolstoshev Pの文献 (1993) Ann Rev Pharmacol Toxicol 32: 573-596; Mulligan RCの文献 (1993) Science 260: 926-932;及びMorgan RA & Anderson WFの文献 (1993) Ann Rev Biochem 62: 191-217; Nabel GJ & Felgner PL (1993) Trends Biotechnol 11(5): 211-5);並びにハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre RFらの文献、(1984) Gene 30(1-3): 147-56)の選択の基礎として使用することができ、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。組換えDNA技術の分野で一般に知られている方法をルーチンに適用して、所望の組換えクローンを選択することができ、そのような方法は、例えば、Ausubel FMら(編), 分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), John Wiley & Sons, NY (1993); Kriegler Mの文献,遺伝子導入及び発現、実験マニュアル(Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual), Stockton Press, NY (1990); 及びDracopoli NCら(編),ヒト遺伝学の最新プロトコル(Current Protocols in Human Genetics), John Wiley & Sons, NY (1994)の第12章及び第13章; Colbere-Garapin Fらの文献(1981) J Mol Biol 150: 1-14に記載されており、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0152】
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増大させることができる(総説については、Bebbington CR & Hentschel CCGの文献、DNAクローニングにおける哺乳動物細胞内でのクローン化遺伝子の発現のための遺伝子増幅に基づくベクターの使用(The use of vector based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells)、第3巻(Academic Press, New York, 1987)を参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。ベクター系中のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物に存在する阻害剤のレベルの増大は、マーカー遺伝子のコピー数を増大させる。増幅した領域は関心対象の遺伝子と関連しているので、タンパク質の生成も増大するであろう(Crouse GFらの文献、(1983) Mol Cell Biol 3: 257-66、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。
【0153】
宿主細胞に、第1のベクターが重鎖由来ポリペプチドをコードし、第2のベクターが軽鎖由来ポリペプチドをコードする、2以上の本明細書に記載の発現ベクターをコトランスフェクトすることができる。2つのベクターは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択可能マーカーを含有することができる。宿主細胞に、異なる量の2以上の発現ベクターをコトランスフェクトすることができる。例えば、宿主細胞に、以下の比: 1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、又は1:50のいずれか1つの第一の発現ベクターと第二の発現ベクターをトランスフェクトすることができる。
【0154】
或いは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、これらを発現することができる単一のベクターを使用することができる。そのような状況では、軽鎖を重鎖の前に配置して、毒性のない重鎖が過剰になるのを回避すべきである(Proudfoot NJの文献 (1986) Nature 322: 562-565;及びKohler Gの文献 (1980) PNAS 77: 2197-2199、これらの各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。重鎖及び軽鎖のコード配列は、cDNA又はゲノムDNAを含むことができる。発現ベクターは、単シストロン性又は多シストロン性であることができる。多シストロン性核酸コンストラクトは、ヌクレオチド配列当たり2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれより多くの遺伝子、又はヌクレオチド配列当たり2~5、5~10、もしくは10~20遺伝子の範囲でコードすることができる。例えば、2シストロン性核酸コンストラクトは、以下の順序で、プロモーター、第1の遺伝子(例えば、本明細書に記載の抗体の重鎖)、及び第2の遺伝子(例えば、本明細書に記載の抗体の軽鎖)を含むことができる。そのような発現ベクターでは、両方の遺伝子の転写は、プロモーターによって駆動され得るが、第1の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ依存的走査機構によるものであり得、第2の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ非依存的機構によるもの、例えば、IRESによるものであり得る。
【0155】
本明細書に記載の抗体分子が組換え発現によって生成されれば、それを、免疫グロブリン分子の精製のための当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、プロテインAの後ろの特異的抗原に対する親和性によるもの、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差(differential solubility)によって、又は任意の他の標準的なタンパク質精製技術によって精製することができる。さらに、本明細書に記載の抗体を、本明細書に記載の又はそれ以外で精製を容易にすることが当技術分野で公知の異種ポリペプチド配列に融合させることができる。
【0156】
実施態様において、本明細書に記載の抗体は、単離又は精製される。実施態様において、単離された抗体は、単離された抗体と異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体である。例えば、ある実施態様において、本明細書に記載の抗体の調製物は、細胞物質及び/又は化学前駆体を実質的に含まない。「細胞物質を実質的に含まない」という言葉は、抗体が、それが単離される又は組換え生成される細胞の細胞成分から分離されている抗体の調製物を含む。したがって、細胞物質を実質的に含まない抗体は、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満の異種タンパク質(本明細書では、「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)及び/又は抗体の変異体、例えば、異なる翻訳後修飾形態の抗体もしくは他の異なる型の抗体(例えば、抗体断片)を有する抗体の調製物を含む。抗体が組換え生成される場合、それはまた、通常、培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の体積の約20%、10%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満に相当する。抗体が化学合成によって生成される場合、それは、通常、化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、それは、タンパク質の合成に関与する化学前駆体又は他の化学物質から分離されている。したがって、該抗体のそのような調製物は、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、又は5%未満の化学前駆体又は関心対象の抗体以外の化合物を有する。実施態様において、本明細書に記載の抗体は、単離又は精製される。
【0157】
抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体又はその断片は、タンパク質又は抗体の合成のための当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、化学合成によって又は組換え発現技術によって生成することができる。本明細書に記載の方法は、別途示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、並びに関連分野の従来の技術を利用しており、該技術は、当業者の能力の範囲内である。これらの技術は、本明細書に引用されている参考文献に記載されており、かつ文献で十分に説明されている。例えば、Maniatis Tらの文献、(1982)分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrook Jらの文献、(1989)分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrook Jらの文献、(2001)分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubel FMらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次改訂版);免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次改訂版) Gait(編)(1984)、オリゴヌクレオチド合成:実践的アプローチ(Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach)、IRL Press; Eckstein(編)(1991)、オリゴヌクレオチド及び類似体:実践的アプローチ(Oligonucleotide and Analogues: A Practical Approach)、IRL Press; Birren Bら(編)(1999)、ゲノム解析:実験マニュアル(Genome Analysis: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0158】
実施態様において、本明細書に記載の抗体は、例えば、合成による、DNA配列の遺伝子操作による創造を含む任意の手段によって調製、発現、作製、又は単離される。ある実施態様において、そのような抗体は、生体内での動物又は哺乳動物(例えば、ヒト)の抗体生殖細胞レパートリー内に自然に存在しない配列(例えば、DNA配列又はアミノ酸配列)を含む。
【0159】
一態様において、本明細書に提供されるのは、抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体を作製する方法であって、本明細書に記載の細胞又は宿主細胞を培養することを含む、前記方法である。実施態様において、本方法はインビトロで行われる。態様において、本明細書に提供されるのは、抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗体を作製する方法であって、本明細書に記載の細胞又は宿主細胞(例えば、本明細書に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを含む細胞又は宿主細胞)を用いて抗体を発現させる(例えば、組換え発現させる)ことを含む、前記方法である。実施態様において、該細胞は単離された細胞である。実施態様において、外因性ポリヌクレオチドが細胞内に導入されている。実施態様において、本方法は、細胞又は宿主細胞から得られた抗体を精製する工程をさらに含む。
【0160】
実施態様において、単離される抗体は、本明細書に記載の抗体のVH及びVLをコードするポリヌクレオチドを、該ポリヌクレオチドが発現するような適切な条件下で、細胞内で発現させて、抗体を生成することによって生成される。別の実施態様において、単離される抗体は、本明細書に記載の抗体の重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドを、該ポリヌクレオチドが発現するような適切な条件下で、細胞内で発現させて、抗体を生成することによって生成される。実施態様において、単離される抗体は、本明細書に記載の抗体のVHをコードする第1のポリヌクレオチド、及び本明細書に記載の抗体のVLをコードする第2のポリヌクレオチドを、該ポリヌクレオチドが発現するような適切な条件下で、細胞内で発現させて、抗体を生成することによって生成される。実施態様において、単離される抗体は、本明細書に記載の抗体の重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド、及び本明細書に記載の抗体の軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチドを、該ポリヌクレオチドが発現するような適切な条件下で、細胞内で発現させて、抗体を生成することによって生成される。
【0161】
ポリクローナル抗体を生成する方法は、当技術分野で公知である(例えば、分子生物学の簡単なプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)中の第11章, (2002) 第5版, Ausubel FMら(編), John Wiley and Sons, New Yorkを参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0162】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、組換え技術、及びファージディスプレイ技術、又はこれらの組合せの使用を含む、当技術分野で公知の多種多様な技術を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で公知の技術及び例えば、Harlow E & Lane Dの文献、抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual), (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版 1988); Hammerling GJらの文献, モノクローナル抗体及びT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas) 563 681 (Elsevier, N.Y., 1981)に教示されている技術を含むハイブリドーマ技術を用いて生成することができ、これらの文献の各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって生成される抗体に限定されない。例えば、モノクローナル抗体は、本明細書に記載の抗体又はその断片、例えば、そのような抗体の軽鎖及び/又は重鎖を外因的に発現する宿主細胞から組換えにより生成することができる。
【0163】
実施態様において、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」は、単一細胞(例えば、ハイブリドーマ又は組換え抗体を生成する宿主細胞)によって生成された抗体であり、該抗体は、例えば、ELISA又は当技術分野で公知の又は本明細書に提供される実施例中の他の抗原結合アッセイ又は競合結合アッセイによって決定されるように、抗IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合する。実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体であり得る。実施態様において、モノクローナル抗体は、一価抗体又は多価(例えば、二価)抗体である。実施態様において、モノクローナル抗体は、単特異性又は多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。本明細書に記載のモノクローナル抗体は、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれるKohler G & Milstein Cの文献 (1975) Nature 256: 495に記載されるようなハイブリドーマ法によって作製することができるか、又は例えば、本明細書に記載されるような技術を用いてファージライブラリーから単離することができる。クローン細胞株及びそれにより発現されるモノクローナル抗体の調製のための他の方法は、当技術分野で周知である(例えば、分子生物学の簡単なプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)中の第11章, (2002) 第5版, Ausubel FMらの文献、前掲を参照されたい)。
【0164】
本明細書で使用されるように、抗体は、抗体が少なくとも2つ(例えば、2以上の)一価結合領域を含む場合、抗原に多価で(例えば、二価で)結合し、各一価結合領域は、抗原上のエピトープに結合することができる。各一価結合領域は、抗原上の同一又は異なるエピトープに結合することができる。
【0165】
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を生成及びスクリーニングする方法はルーチンであり、かつ当技術分野で周知である。例えば、ハイブリドーマ法において、マウス又は他の適切な宿主動物、例えば、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、ハムスター、もしくはマカクザルを免疫して、免疫に使用されるタンパク質(例えば、IL-9)に特異的に結合する抗体を生成する又は生成することができるリンパ球を誘発させる。或いは、リンパ球をインビトロで免疫してもよい。その後、リンパ球を、好適な融合剤、例えば、ポリエチレングリコールを用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(引用により完全に本明細書中に組み込まれるGoding JW(編)、モノクローナル抗体:原理及び実践(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。さらに、RIMMS(複数部位反復免疫(repetitive immunization multiple sites))技術を用いて、動物を免疫することができる(引用により完全に本明細書中に組み込まれるKilpatrick KEらの文献、(1997) Hybridoma 16:381-9)。
【0166】
実施態様において、マウス(又は他の動物、例えば、ラット、サル、ロバ、ブタ、ヒツジ、ハムスター、又はイヌ)を抗原(例えば、IL-9)で免疫することができ、免疫応答が検出されると、例えば、抗原に特異的な抗体がマウス血清中に検出され、マウス脾臓が摘出され、脾細胞が単離される。次いで、脾細胞を周知の技術によって任意の適切な骨髄腫細胞、例えば、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))(Manassas, VA)から入手可能な細胞株SP20由来の細胞と融合させ、ハイブリドーマを形成させる。ハイブリドーマを限界希釈によって選択して、クローン化する。実施態様において、免疫マウスのリンパ節を採取し、NS0骨髄腫細胞と融合させる。
【0167】
このように調製されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは、融合していない親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1以上の物質を含有する適切な培養培地に播種して、増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマの培養培地には、通常は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン(HAT培地)が含まれ、これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を妨げる。
【0168】
実施態様において、効率的に融合され、選択された抗体生成細胞による抗体の安定した高レベルの生成を支持し、HAT培地などの培地に対して感受性のある骨髄腫細胞を利用する。これらの骨髄腫細胞株の中には、NS0細胞株、又はSalk Institute Cell Distribution Center, San Diego, CA, USAから入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍に由来するもの、並びにAmerican Type Culture Collection, Rockville, MD, USAから入手可能なSP-2又はX63-Ag8.653細胞などのマウス骨髄腫細胞株がある。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の生成のために記載されている(Kozbor Dの文献、(1984) J Immunol 133: 3001-5; Brodeurらの文献、モノクローナル抗体生産技術及び応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications), pp. 51-63(Marcel Dekker社, New York, 1987)、これらの各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。
【0169】
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地を、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に対するモノクローナル抗体の生成についてアッセイする。ハイブリドーマ細胞によって生成されるモノクローナル抗体の結合特異性は、当技術分野で公知の方法、例えば、免疫沈降法又はインビトロ結合アッセイ、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定される。
【0170】
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を生成するハイブリドーマ細胞が特定された後、クローンを限界希釈手順によってサブクローニングし、標準的な方法によって増殖させることができる(Goding JW (編), モノクローナル抗体:原理及び実践(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice),前掲)。この目的に適する培養培地には、例えば、D-MEM又はRPMI 1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物の腹水腫瘍として生体内で増殖させることができる。
【0171】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水、又は血清から適切に分離される。
【0172】
本明細書に記載の抗体には、例えば、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)を認識し、当業者に公知の任意の技術によって作製することができる抗体断片が含まれる。例えば、本明細書に記載のFab及びF(ab')2断片は、パパイン(Fab断片を生成するため)又はペプシン(F(ab')2断片を生成するため)などの酵素を用いる、免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断によって生成することができる。Fab断片は、抗体分子の2つの同一のアームのうちの1つに相当し、重鎖のVH及びCH1ドメインと対になった完全な軽鎖を含有する。F(ab')2断片は、ヒンジ領域中のジスルフィド結合によって連結された抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0173】
さらに、本明細書に記載の抗体は、当技術分野で公知の様々なファージディスプレイ法を用いて作製することもできる。ファージディスプレイ法では、機能性抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を運ぶファージ粒子の表面に提示される。特に、VH及びVLドメインをコードするDNA配列は、動物のcDNAライブラリー(例えば、罹患組織のヒト又はマウスのcDNAライブラリー)から増幅される。VH及びVLドメインをコードするDNAは、PCRによってscFvリンカーとともに組み換えられ、ファージミドベクターにクローニングされる。ベクターは大腸菌にエレクトロポレートされ、大腸菌にヘルパーファージを感染させる。これらの方法で使用されるファージは、通常は、fd及びM13を含む糸状ファージであり、VH及びVLドメインは通常、ファージ遺伝子III又は遺伝子VIIIのいずれかと組換え融合される。特定の抗原に結合する抗原結合領域を発現するファージは、抗原で、例えば、標識抗原、又は固体表面もしくはビーズに結合又は捕捉された抗原を用いて選択又は識別することができる。本明細書に記載の抗体を作製するために使用することができるファージディスプレイ法の例としては、Brinkman Uらの文献、(1995) J Immunol Methods 182: 41-50; Ames RSらの文献、(1995) J Immunol Methods 184: 177-186; Kettleborough CAらの文献、(1994) Eur J Immunol 24: 952-958; Persic Lらの文献、(1997) Gene 187: 9-18; Burton DR & Barbas CFの文献 (1994) Advan Immunol 57: 191-280; PCT出願PCT/GB91/001134; 国際公開WO 90/02809号、WO 91/10737号、WO 92/01047号、WO 92/18619号、WO 93/11236号、WO 95/15982号、WO 95/20401号、及びWO 97/13844号;並びに米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743号及び第5,969,108号に開示されているものが挙げられ、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0174】
上記の参考文献に記載されているように、例えば、以下に説明するように、ファージ選択後、ファージ由来の抗体コード領域を単離して、使用し、ヒト抗体を含む完全抗体、又は任意の他の所望の抗原結合断片を作製して、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、及び細菌を含む任意の所望の宿主内で発現させることができる。PCT公開WO 92/22324号; Mullinax RLらの文献、(1992) BioTechniques 12(6): 864-9; Sawai Hらの文献、(1995) Am J Reprod Immunol 34: 26-34;及びBetter Mらの文献、(1988) Science 240: 1041-1043に開示されているものなどの当技術分野で公知の方法を用いて、Fab、Fab’及びF(ab’)2断片などの抗体断片を組換え生成する技術を利用することもでき、これらの文献は全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0175】
ある実施態様において、完全抗体を作製するために、VH又はVLヌクレオチド配列、制限部位、及び制限部位を保護するための隣接配列を含むPCRプライマーを用いて、鋳型、例えば、scFvクローンからのVH又はVL配列を増幅させることができる。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅されたVHドメインを、VH定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅されたVLドメインを、VL定常領域、例えば、ヒトカッパ又はラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。VH及びVLドメインは、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングすることもできる。その後、当業者に公知の技術を用いて、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターを細胞株にコトランスフェクトし、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な又は一過性の細胞株を作製する。
【0176】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子に由来する分子である。例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域に融合されたマウス又はラットモノクローナル抗体の可変領域を含むことができる。キメラ抗体を生成する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Morrison SLの文献(1985) Science 229: 1202-7; Oi VT & Morrison SLの文献(1986) BioTechniques 4: 214-221; Gillies SDらの文献 (1989) J Immunol Methods 125: 191-202;及び米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、第4,816,397号及び第6,331,415号を参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0177】
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することができ、これは、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域及び非ヒト免疫グロブリン(例えば、マウス免疫グロブリン)のアミノ酸配列を実質的に有するCDRを含む。ある実施態様において、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、通常は、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含む。該抗体は、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCH4領域も含むことができる。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む、免疫グロブリンの任意のクラス、並びにIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む、任意のアイソタイプから選択することができる。ヒト化抗体は、当技術分野で公知の種々の技術を用いて生成することができ、該技術には、CDR移植(欧州特許EP 239,400号;国際公開WO 91/09967号;並びに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、及び第5,585,089号)、ベニアリング又はリサーフェシング(欧州特許EP 592106号及びEP 519596号; Padlan EAの文献(1991) Mol Immunol 28(4/5): 489-498; Studnicka GMらの文献、(1994) Prot Engineering 7(6): 805-814; 及びRoguska MAらの文献、(1994) PNAS 91: 969-973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、並びに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開WO 93/17105号; Tan Pらの文献(2002) J Immunol 169: 1119-25; Caldas Cらの文献、(2000) Protein Eng. 13(5): 353-60; Morea Vらの文献、(2000) Methods 20(3): 267-79; Baca Mらの文献、(1997) J Biol Chem 272(16): 10678-84; Roguska MAらの文献、(1996) Protein Eng 9(10): 895 904; Couto JRらの文献、(1995) Cancer Res. 55 (23 Supp): 5973s-5977s; Couto JRらの文献、(1995) Cancer Res 55(8): 1717-22; Sandhu JSの文献、(1994) Gene 150(2): 409-10及びPedersen JTらの文献、(1994) J Mol Biol 235(3): 959-73に開示されている技術が含まれるが、これらに限定されず、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。米国特許出願公開US 2005/0042664 A1号(2005年2月24日)も参照されたく、これは引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0178】
多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を作製する方法は記載されており、例えば、米国特許第7,951,917号;第7,183,076号;第8,227,577号;第5,837,242号;第5,989,830号;第5,869,620号;第6,132,992号及び第8,586,713号を参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0179】
二重特異性二価抗体、及びその作製方法は、例えば、米国特許第5,731,168号、第5,807,706号、第5,821,333号、及び米国特許出願公開第2003/020734号及び第2002/0155537号に記載されている;これらの各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。二重特異性四価抗体、及びその作製方法は、例えば、国際出願公開WO 02/096948号及びWO 00/44788号に記載されており、両者の開示は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。一般に、国際出願公開WO 93/17715号、WO 92/08802号、WO 91/00360号、及びWO 92/05793号;Tuttらの文献、J. Immunol. 147:60-69 (1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;及び第5,601,819号;並びにKostelnyらの文献、J. Immunol. 148:1547-1553 (1992)を参照されたく、これらの各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0180】
本明細書に記載の二重特異性抗体は、例えば、国際公開WO 2011/131746号、WO 2011/147986号、WO 2008/119353号、及びWO 2013/060867号、並びにLabrijn AFらの文献、(2013) PNAS 110(13): 5145-5150に記載されているDuoBodyテクノロジープラットフォーム(Genmab A/S)に従って作製することができる。DuoBodyテクノロジーを用いて、2つの重鎖と2つの軽鎖を含む第1の単一特異性抗体、又は第1の抗原結合領域の半分と、2つの重鎖と2つの軽鎖を含む第2の単一特異性抗体、又は第2の抗原結合領域の半分を組み合わせることができる。得られたヘテロ二量体は第2の抗体からの1つの重鎖及び1つの軽鎖、又は第2の抗原結合領域と対をなす、第1の抗体からの1つの重鎖及び1つの軽鎖、又は第1の抗原結合領域を含む。両方の単一特異性抗体、又は抗原結合領域が、異なる抗原上の異なるエピトープを認識すると、結果として得られるヘテロ二量体は二重特異性抗体になる。
【0181】
DuoBody技術は、単一特異性抗体、又は抗原結合領域の各々が、CH3ドメインに単一点変異を有する重鎖定常領域を含むことを必要とする。点変異により、単一特異性抗体又は抗原結合領域のいずれかのCH3ドメイン間よりも、得られた二重特異性抗体中のCH3ドメイン間の相互作用が強くなる。各単一特異性抗体、又は抗原結合領域中の単一点変異は、例えば、国際公開WO 2011/131746号に記載されているように、EU付番体系に準拠して付番される、重鎖定常領域のCH3ドメイン中の残基366、368、370、399、405、407、又は409である。さらに、単一点変異は、他の単一特異性抗体又は抗原結合領域と比較して、一方の単一特異性抗体又は抗原結合領域中の異なる残基に位置する。例えば、一方の単一特異性抗体、又は抗原結合領域は、変異F405L(すなわち、残基405におけるフェニルアラニンからロイシンへの変異)を含むことができるが、他の単一特異性抗体、又は抗原結合領域は、EU付番体系に準拠して付番される変異K409R(すなわち、残基409におけるリジンからアルギニンへの変異)を含むことができる。単一特異性抗体の重鎖定常領域、又は抗原結合領域は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ(例えば、ヒトIgG1アイソタイプ)であり得、DuoBody技術によって生成される二重特異性抗体は、Fc媒介エフェクター機能を保持することができる。
【0182】
二重特異性抗体を作製する別の方法は、「ノブ・イントゥ・ホール」戦略と呼ばれている(例えば、国際公開WO2006/028936号を参照されたい)。この技術では、IgGのCH3ドメインの界面を形成する選択されたアミノ酸を変異させることにより、Ig重鎖のミスペアリングが低減される。CH3ドメイン内の2つの重鎖が直接相互作用する位置では、一方の重鎖の配列に小さな側鎖(ホール)を有するアミノ酸が導入され、他方の重鎖上の対応する相互作用残基位置に大きな側鎖(ノブ)を有するアミノ酸が導入される。いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、二重特異性抗体を優先的に形成するように、2つのポリペプチド間の界面で相互作用する選択されたアミノ酸を変異させることによってCH3ドメインが改変された免疫グロブリン鎖を有する。二重特異性抗体は、同じサブクラス(例えば、IgG1もしくはIgG3)又は異なるサブクラス(例えば、IgG1とIgG3、もしくはIgG3とIgG4)の免疫グロブリン鎖で構成することができる。
【0183】
二重特異性抗体は、場合によっては、IgG4とIgG1、IgG4とIgG2、IgG4とIgG2、IgG4とIgG3、又はIgG1とIgG3鎖のヘテロ二量体を含むことができる。このようなヘテロ二量体重鎖抗体は、例えば、ヘテロ二量体重鎖形成が有利に働くように、例えば、ヒトIgG4とIgG1又はIgG3におけるCH3ドメインの界面を形成する選択されたアミノ酸を改変することによって、日常的に人為作製することができる。
【0184】
実施態様において、本明細書に記載の抗IL-9抗体と同じIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)のエピトープに結合する本明細書に記載の抗体は、ヒト抗体である。実施態様において、本明細書に記載の抗体のいずれか1つがIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に結合するのを競合的に(例えば、用量依存的に)阻止する本明細書に記載の抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の任意の方法を用いて生成することができる。例えば、機能的な内因性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを使用することができる。特に、ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、マウス胚性幹細胞にランダムに、又は相同組換えによって導入することができる。或いは、ヒトの重鎖及び軽鎖遺伝子に加えて、ヒト可変領域、定常領域、及び多様性領域をマウス胚性幹細胞に導入することができる。マウスの重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別々に又は同時に非機能化させることができる。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内因性抗体生成を妨げる。改変された胚性幹細胞を増殖させ、胚盤胞にマイクロ注入してキメラマウスを生成する。次いで、キメラマウスを繁殖させて、ヒト抗体を発現するホモ接合性の子孫を生成する。トランスジェニックマウスを、通常の方法で、選択した抗原、例えば、抗原の全部又は一部(例えば、IL-9)で免疫する。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて免疫したトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスが保有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化中に再構成され、その後、クラススイッチと体細胞変異を受ける。したがって、このような技術を用いて、治療的に有用なIgG、IgA、IgM、及びIgE抗体を生成することができる。ヒト抗体を生成するためのこの技術の概要については、引用により完全に本明細書中に組み込まれるLonberg N & Huszar D (1995) Int Rev Immunol 13:65-93を参照されたい。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を生成するためのこの技術の詳細な議論、並びにそのような抗体を生成するためのプロトコルについては、例えば、国際公開WO 98/24893号、WO 96/34096号、及びWO 96/33735号;並びに米国特許第5,413,923号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,569,825号、第5,661,016号、第5,545,806号、第5,814,318号及び第5,939,598号を参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。ヒト抗体を生成することができるマウスの例としては、Xenomouse(商標)(Abgenix社;米国特許第6,075,181号及び第6,150,184号)、the HuAb-Mouse(商標) (Medarex社/Gen Pharm; 米国特許第5,545,806号及び第5,569、825号)、the Trans Chromo Mouse(商標) (Kirin)及びthe KM Mouse(商標)(Medarex/Kirin)が挙げられ、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0185】
IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)に特異的に結合するヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いて、上記のファージディスプレイ法を含む、当技術分野で公知の種々の方法によって作製することができる。米国特許第4,444,887号、第4,716,111号及び第5,885,793号;並びに国際公開WO 98/46645号、WO 98/50433号、WO 98/24893号、WO 98/16654号、WO 96/34096号、WO 96/33735号、及びWO 91/10741号も参照されたく、これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0186】
ある実施態様において、ヒト抗体は、マウス-ヒトハイブリドーマを用いて生成することができる。例えば、エプスタイン・バールウイルス(EBV)で形質転換されたヒト末梢血リンパ球をマウス骨髄腫細胞と融合させて、ヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス-ヒトハイブリドーマを生成し、これらのマウス-ヒトハイブリドーマをスクリーニングして、標的抗原(例えば、IL-9)に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌するリンパ球を決定することができる。このような方法は公知であり、当技術分野で記載されており、例えば、Shinmoto Hらの文献、(2004) Cytotechnology 46: 19-23; Naganawa Yらの文献、(2005) Human Antibodies 14: 27-31を参照されたく、これらの各々は引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0187】
(5.6 キット)
また提供されるのは、本明細書に記載の1以上の抗体、又は医薬組成物もしくはそれらのコンジュゲートを含むキットである。実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の医薬組成物の成分のうちの1以上、例えば、本明細書に提供される1以上の抗体を充填した1以上の容器を含む医薬パック又はキットである。実施態様において、キットは、本明細書に記載の医薬組成物、及び任意の予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に記載のものを含有する。実施態様において、キットは、例えば、フィトヘマグルチニン(PHA)及び/又はホルボールミリスチン酸酢酸(PMA)などのT細胞マイトジェン、又はTCR複合体刺激抗体、例えば、抗CD3抗体及び抗CD28抗体を含有し得る。そのような容器(複数可)には、薬剤又は生物学的製剤の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって定められた形での注意書きが任意に関連付けられることがあり、この注意書きは、該機関による、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の認可を示すものである。
【0188】
また提供されるのは、上記の方法で使用することができるキットである。実施態様において、キットは、1以上の容器中に、本明細書に記載の抗体、好ましくは、精製抗体を含む。実施態様において、本明細書に記載のキットは、実質的に単離されたIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗原を対照として含有する。実施態様において、本明細書に記載のキットは、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗原と反応しない対照抗体をさらに含む。実施態様において、本明細書に記載のキットは、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗原に対する抗体の結合を検出するための1以上の要素を含有する(例えば、該抗体を、検出可能な基質、例えば、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物、もしくは発光化合物にコンジュゲートすることができ、又は第1の抗体を認識する第2の抗体を検出可能な基質にコンジュゲートすることができる)。実施態様において、本明細書に提供されるキットは、組換え生成された又は化学合成されたIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗原を含むことができる。キット中に提供されるIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗原は、固体支持体に結合させることもできる。実施態様において、上記のキットの検出手段は、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗原が結合する固体支持体を含む。そのようなキットは、非結合型レポーター標識抗ヒト抗体又は抗マウス/ラット抗体も含むこともできる。この実施態様において、IL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗原への抗体の結合は、前記レポーター標識抗体の結合によって検出することができる。ある実施態様において、本発明は、生体試料中のIL-9(例えば、ヒトIL-9又はマウスIL-9)抗原をインビトロアッセイ及び/又は検出するための本発明のキットの使用に関する。
【実施例
【0189】
(6.実施例)
この節(すなわち、第6節)の実施例は、例証を目的として提供されており、限定を目的とするものではない。
【0190】
(6.1 実施例1:中和IL-9モノクローナル抗体の作製)
(A. ラマの免疫化とライブラリー構築)
フランスの動物福祉法(French animal welfare legislation)に従って屋外で飼育したラマを、組換えヒトIL-9又はマウスIL-9(R&D Systems)で筋肉注射により免疫し、6週間にわたって毎週ブーストした。簡単に説明すると、各ラマ(合計4頭)に、最初の2週間は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で緩衝化し、不完全フロイントアジュバント(Sigma-Aldrich)と混合したIL-9を40μg投与し、残りの4週間はIL-9を20μg投与した。Fabライブラリーの作製を、前述のようにSIMPLE抗体プラットフォームを用いて行った(WO2010/001251参照、その内容は完全に本明細書中に組み込まれる)。最後の免疫化の5日後に、末梢血リンパ球を含む血液400mLをラマから採取し、Ficoll-Paqueグラジエントで遠心分離により精製し、全RNAの抽出に使用した。次いで、逆転写酵素を用いて全RNAをランダムプライマー付きcDNAに変換し、ラマIgG1のVH-CH1領域及びVL-CLドメイン(カッパ及びラムダ)をコードする遺伝子配列をPCRによって単離し、ファージミドベクターpCB3にサブクローニングした。pCB3ベクターは、ファージpIIIエンベロープタンパク質と融合したFab断片としての組換え抗体の発現を可能にする。
【0191】
(B. IL-9に結合するFabの選択)
大腸菌TG1 (Netherlands Culture Collection of Bacteria)を組換えファージミドを用いて形質転換し、Fab発現ファージライブラリー(免疫したラマ当たりの1つのラムダライブラリー及び1つのカッパライブラリー)を作製した。次いで、108~109の範囲の多様性を有する、結果として得られたFab発現ファージを、固定化した組換えビオチン化IL-9に吸着させ、前述のようにトリプシンを用いて溶出した(De Haardらの文献、(1999) Journal of Biological Chemistry, 274: 18218-30)。IL-9特異的Fabを発現するファージを濃縮するために、3回の選択を行った。最終的に、TG1大腸菌に選択したファージを感染させ、個々のコロニーを単離した。イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(Sigma-Aldrich)を用いて、低グルコース濃度(0.1% w/v)下で、大腸菌株TG1のペリプラズムへのFabの分泌を誘導し、Fab含有ペリプラズム画分を収集した。
【0192】
(C. Fabのスクリーニング、特性評価及び生成)
Fab(ペリプラズム抽出物)のそれぞれのマウス又はヒト標的への結合を、Biacore 3000装置(GE Healthcare)を用いる表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定した。IL-9を、酢酸ナトリウム緩衝液(GE Healthcare)中でアミンカップリングを用いてカルボキシメチルデキストランセンサーチップ(CM-5)に固定化した。Fab含有ペリプラズム抽出物を30μL/分の流速でロードした。Fab結合及びオフ速度を90秒間にわたって測定した(表5)。結合クローンを配列決定し、VHをファミリーにグループ化した。この選択から、ヒトIL-9に対して11の異なるファミリーが同定され、マウスIL-9に対して10のファミリーが同定された。さらに、ヒト又はマウスIL-9のヒト又はラットIL-9Rへの結合について競合する抗体の能力もBiacore 3000で試験した。このアッセイのために、ヒト又はラットIL-9Rをカルボキシメチルデキストランセンサーチップ(CM-5)上に高密度でコーティングした。次いで、ペリプラズム抽出物(Fab)とIL-9の既製混合物を注入した。IL-9がコーティングした受容体に結合しないことは、Fabの結合がIL-9R結合と競合していることを示した。
表5.ペリプラズム抽出物からのFabのオフ速度
【表5】
(n.b.=結合せず)
【0193】
(D. 単一特異性Abの生成、精製及び特性評価)
異なるVHファミリーからの最も有力な8つの(koff s-1が最も低いもの: 7D6、8C3、6C4、6E2、7A4、6D3、6F2、及び8G3)中和hIL-9特異的FabのVH及びVL(ラムダ又はカッパ)ドメインをコードするcDNAを選択し、完全なIgGとして再び操作した。完全なIgGを2つの別々のpUPE哺乳動物発現ベクターにクローニングし、一方は、Fc受容体によって媒介されるAbエフェクター機能を破壊する変異を含有するヒトIgG1のCH1、CH2、及びCH3ドメインをコードするcDNAを含み、他方はCLドメイン(ラムダ又はカッパ)を含む。抗mIL-9 Fabについては、最も有力なもののVHとVL(35D8)のみを完全なmIgG2aとして再クローン化した。抗体を哺乳動物細胞の一過性トランスフェクションによって生成し、前述のようにプロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって精製した(Basilicoらの文献、(2014) Journal of Clinical Investigation 124:3172)。
【0194】
選択した抗体のCDR、VH及びVL配列は、上の表2~4に示されている。
【0195】
(6.2. 実施例2: IL-9 mAbのインビトロ特性評価)
IL-9 mAbを、インビトロでそれぞれの標的に結合して、IL-9シグナル伝達によって媒介される細胞効果を阻害する能力について試験した。
【0196】
(A. IL-9誘導性Baf3hIL9RA6細胞増殖の阻害)
IL-9 mAbの中和活性を、IL-9に応答して増殖するBaf3hIL9RA6細胞を用いて、インビトロ細胞アッセイで評価した。
【0197】
ヒトIL-9 SN baculo(50U/mL)を、8つの異なる濃度のIL-9 mAb(ng/ml)と30分間インキュベートした。次いで、3,000個のBaf3h9RA6細胞を添加し、3日後に、ヘキソサミニダーゼ基質を2時間30分添加し、ヘキソサミニダーゼ活性を測定した。図1Aに示すように、IL-9特異的mAbは、ヒトIL-9誘導性Baf3hIL9RA6細胞増殖を強力に阻害した。具体的には、hIL-9 mAbは、ヒトIL-9によって誘導される細胞増殖を61pM~6.3nMのIC50で阻止した。一部の抗体の高い力価を確認するために、抗体の新しいバッチを生成し、再び試験した(図1B)。抗hIL9抗体の6E2及び6D3の高い力価(それぞれ30.85pM及び58.35pMのIC50)が確認される一方で、7D6のより低い力価(2.11nM)も確認された。
【0198】
マウスIL-9 mAbも、インビトロで力価について試験した。マウスIL-9 SN baculo(20U/ml)を、8つの異なる濃度の抗IL9 (ng/ml)と30分間インキュベートした。次いで、3,000個のTS1細胞を添加し、3日後にヘキソサミニダーゼ活性を測定した。ヘキソサミニダーゼの基質を測定前に2時間30分添加した。図1Aに示すように、抗体35D8は46pMの力価でmIL9を中和した。mIL9抗体の非常に高い力価が確認され、新しい抗体バッチ(mIgG1-N297A)のIC50は20.06pMであった(図1B)。
【0199】
(B. 中和IL-9 mAbの親和性)
バイオレイヤー干渉法(BLI)実験を用いて、3つの抗hIL-9抗体(6E2、6D3、及び7D6)並びに1つの抗mIL-9抗体(35D8)の親和性を分析した(図2)。アンタゴニスト抗体でのBLI実験を、Octet Red 96マシン(Sartorius)を用いて、298Kでキネティクス緩衝液(PBS、0.1% (w/v)BSA、0.02%(v/v) Tween20)中で行った。抗hIgG Fc捕捉(AHC)又は抗mIgG Fc捕捉センサー(Sartorius)をIL-9 mAbで官能化した。次いで、官能基化したチップを、異なる濃度のhIL-9又はmIL-9(いずれもR&D systems社製)に浸漬した。官能基化していないチップを、二重参照設定で陰性対照として使用した。対照のセンサーグラムを差し引いた後、得られたデータに1:1結合モデルを当てはめた。データ解析は、データ解析ソフトウェア9.0.0.14(Sartorius)を用いて行った(表6)。結果は、抗hIL-9抗体がhIL-9に対して強い親和性を有し、抗mIL-9抗体の35D8がmIL-9に対して強い親和性を有したことを示す。
表6. IL-9 mAbの動態特性
【表6】
【0200】
(6.3 実施例3:喘息のマウスモデルにおける抗IL-9 mAbのインビボ特性評価)
最大限のコルチコステロイド療法を受けているにもかかわらず、制御不能な疾患を患っている急性喘息の患者は、生物製剤によるさらなる治療を必要とする。2型ヘルパーT細胞(Th2)は、喘息の病理を促す重要な細胞型である。しかし、Th2細胞に加えて、その自然対応物、すなわちグループ2の自然リンパ球(ILC2)も、特にステロイド耐性による急性喘息患者において大きな役割を果たしていると考えられている。
【0201】
ILC2はIL-9の高発現を特徴とし、これは、自己分泌機構においてILC2の増殖を促進することが示されている。したがって、抗体でIL-9を阻止することは、ILC2による急性喘息を患う患者に解決策を提供する可能性がある。
【0202】
ILC2/IL-9依存性マウス喘息モデルを用いて、該抗体をインビボで試験する。このマウスモデルでは、組換えIL-33をC57BL/6Jマウスの肺に投与し、ILC2を活性化する(Duらの文献、2020)。抗IL-9 mAbを200μgの用量で3日間連続して腹腔内投与する(グループあたりn=6)(図3)。同日、マウスにイソフルラン(空気中2.5%)で軽く麻酔し、気管内に150ngのrIL-33で負荷する。IL-33負荷を抗IL9 mAb投与の少なくとも4時間後に行い、mAbの十分な生体内分布を確実にする。4日目に、マウスを屠殺し、気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、肺全体を摘出する。摘出した肺を、10% FCS +リベラーゼ1/50及びDNAse 1/1000を含有するRPMIで消化し、単一細胞懸濁液を得る。気管支肺胞洗浄(BAL)液及び肺試料の細胞画分を、好酸球増加症及びILC2活性化マーカーを分析するために設計したフローパネルを用いて、フローサイトメトリーによってさらに分析する。
【0203】
(6.4 実施例4:結合型抗IL-9抗体の構造解析)
Fab:IL-9複合体の構造を、X線結晶構造解析によって決定した。最初のFab:hIL-9複合体(Fab 6D3:hIL-9)結晶は、1.7Åの分解能のデータセットをもたらした(表7)。Fabのモデルを用いて分子置換を段階的に行った後に得られたマップにより、いかなる傾向もない電子密度で新たにhIL-9を構築することが可能になった。Fab:hIL-9界面に関しては、Fab 6D3は、主に、750.9Å2の界面領域を覆う極性フットプリント(polar footprint)でCヘリックスとAヘリックスの前半を結合することによってhIL-9をターゲティングする(図4A及び表8)。2つのArg-Asp相互作用が、相互作用の特異性に影響を与える(図4A)。これには、hIL-9Raとの相互作用にも関与するIL-9内のArg91が含まれる。
【0204】
次に、さらなる2つのFab:hIL-9複合体を構造的に決定した(図4B及び4C及び表7)。Fab 6E2は、987.6Å2の平均界面面積でhIL-9に結合する。サイトカインを、そのAヘリックスと共にFabの軽鎖と重鎖の間に配置する(図4B及び表8)。Fab 6E2の軽鎖は、サイトカインのArg91をAsp31とAsp49を介して配位させることにより、Cヘリックスと特異的に相互作用する(図4B)。軽鎖上の別のAspであるAsp95は、ヘリックスAの先端に位置するLeu24の主鎖と相互作用する。Fab 6E2の重鎖は、Aヘリックス及びDヘリックスの一部と係合することにより、この相互作用部位に加わる。さらに、Fab 7D6は主にAヘリックスと結合し、ヘリックスの前半を重鎖が覆い、後半を軽鎖が覆うことで、862.8Å2の界面領域が作られる(図4C及び表8)。この相互作用は主にAヘリックスを覆っても、それでも軽鎖は、軽鎖上のLys94の主鎖との相互作用を介してArg91と係合する(図4C)。
【0205】
したがって、全てのFab:hIL-9複合体は、特異的相互作用でIL-9のArg91と係合する。
【0206】
次に、該抗体が、hIL-9のその受容体への結合を阻害する方法、及びIL-9シグナル伝達経路の阻害における3つの抗体の異なる有効性を理解するために、二成分hIL-9:hIL-9Ra複合体の構造を、それぞれの構造におけるhIL-9の重ね合わせに基づくFab:hIL-9複合体の構造と重ね合わせた(図4D)。3つのFab全て、したがって対応する完全抗体は、受容体の結合部位と部分的に重なり、このようにしてIL-9の該受容体への結合を立体的に妨げている。
【0207】
抗体7D6は、細胞増殖アッセイにおいてIL-9を阻害することは不十分であるが、6E2は非常に良好な性能を発揮する(IC50 = 2.1nM対30.8pM)(表6)。力価の大きな差は、親和性のわずかな違い(KDが、7D6については1.8nMであるのに対して、6E2では0.24nM)だけでは説明できないため、これらのFabのエピトープをさらに解析した。どちらのFab断片もAヘリックスを広範囲に覆う。しかし、hIL-9上のそれらの配向は互いに垂直である。これにより、Fab 6E2は軽鎖と重鎖の間の隙間にhIL-9を保持し、Cヘリックスもかなりの程度覆う(図4Bと4Dと表9)。一方、Fab 7D6はCヘリックスをほとんど覆っていない(図4Cと4Dと表9)。このCヘリックスの利用可能性が、hIL-9RαがCヘリックスを介してhIL-9と係合し、hIL-9からのFabの解離を強制するための開始点を作る可能性がある。
【0208】
Fab 6D3のエピトープのさらなる解析も行った。この抗体は、細胞レポーターアッセイにおいてIL-9シグナルの阻害が抗体6E2よりもわずかに劣っている(表6)。Fab6D3:hIL-9の構造は、Fab 6D3が主にCヘリックスを介して結合し、Aヘリックスをほぼ完全に利用できる状態にすることを示している(図4A及び4D)。これは、受容体hIL-9RαがhIL-9に効率的に結合し、Fabを除去するには、A-ヘリックスの利用可能性が十分ではないことを示している。Fab 6D3は、Cヘリックス上のhIL-9Rα結合部位を完全には覆っておらず、これによって、mAb 6E2とmAb 6D3の有効性の違いを説明できた(図4D)。
【0209】
これらの結果から、hIL-9:hIL-9Rα相互作用及びhIL-9シグナル伝達経路の阻害における抗体の有効性は、hIL-9のCヘリックス上のhIL-9Rα結合部位を覆う抗体の能力と相関することが示される。これは、CヘリックスがhIL-9とhIL-9Rαの相互作用において重要であることを示す。したがって、効率的な治療用中和剤(例えば、抗IL-9抗体)は、hIL-9上のhIL-9Rαの主要な開始点であるため、このCヘリックスをターゲティングする必要がある。
表7:結晶のデータと精密化統計
【表7】
表8.相互作用界面における埋もれた残基と水素結合の概要
PISAで解析した相互作用界面の埋もれた残基と水素結合。Fab:h/mIL-9複合体については、Fabとh/mIL-9の間の界面のみを解析した。
【表8】
表9.埋もれたIL-9残基との抗体重鎖及び軽鎖の相互作用
【表9】
【0210】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施態様によって範囲が限定されるべきではない。実際、記載したものに加えて、本発明の種々の変更は、前述の説明及び添付の図から当業者に明らかになるであろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0211】
本明細書に引用される全ての参考文献(例えば、刊行物又は特許又は特許出願)は、あたかも各々の個々の参考文献(例えば、刊行物又は特許又は特許出願)が、あらゆる目的のために引用により完全に本明細書中に組み込まれることが具体的かつ個別的に示されるのと同じ程度まで、引用により完全に及びあらゆる目的のために本明細書中に組み込まれる。
【0212】
他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内である。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024522213000001.app
【国際調査報告】