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特表2024-522216インフラマソーム関連疾患または障害を治療するためのMIRNA-485阻害剤の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】インフラマソーム関連疾患または障害を治療するためのMIRNA-485阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240604BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 9/14 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240604BHJP
   A61K 47/30 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240604BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240604BHJP
   A61K 47/56 20170101ALI20240604BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20240604BHJP
   A61K 47/58 20170101ALI20240604BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20240604BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61P9/00
A61P9/12
A61P19/04
A61P9/14
A61P9/10 101
A61P9/04
A61P37/02
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P17/00
A61P3/10
A61P37/08
A61P1/00
A61P25/00
A61P17/02
A61P5/14
A61P13/12
A61P35/00
A61P7/06
A61P13/02
A61P25/08
A61P31/00
A61P43/00 111
A61P29/00
A61K48/00
A61K31/7088
A61K31/7125
A61K9/127
A61K9/107
A61K47/46
A61K9/51
A61K47/44
A61K47/30
A61K47/42
A61K47/34
A61K47/56
A61K47/60
A61K47/58
A61K47/32
A61K47/55
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577154
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2022055515
(87)【国際公開番号】W WO2022264038
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,408
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521564467
【氏名又は名称】バイオーケストラ カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リュ, ジン-ヒョブ
(72)【発明者】
【氏名】コ, ハン ソク
(72)【発明者】
【氏名】パク, ヨン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ミン, ヒュン ス
(72)【発明者】
【氏名】リム, ユ ナ
(72)【発明者】
【氏名】キム, デ フン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA65
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB24
4C076BB25
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC21
4C076CC29
4C076CC30
4C076CC31
4C076CC41
4C076EE06
4C076EE11
4C076EE13
4C076EE16
4C076EE17
4C076EE23
4C076EE24
4C076EE25
4C076EE41
4C076EE51
4C076EE56
4C076FF65
4C084AA13
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA22
4C084MA24
4C084MA38
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA06
4C084ZA36
4C084ZA42
4C084ZA45
4C084ZA51
4C084ZA66
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA96
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4C084ZB11
4C084ZB13
4C084ZB15
4C084ZB32
4C084ZC02
4C084ZC06
4C084ZC35
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA22
4C086MA24
4C086MA38
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA66
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA51
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB05
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB32
4C086ZC02
4C086ZC06
4C086ZC35
(57)【要約】
本開示は、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連する疾患または障害(例えば、心疾患、自己免疫疾患、腎疾患、または神経疾患)を治療するためのmiR-485阻害剤の使用を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、インフラマソームに関連する遺伝子及び/またはタンパク質の発現を低減することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心疾患の治療を必要とする対象の心疾患を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(「miR-485阻害剤」)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記心疾患が、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記心疾患が、心筋虚血機能障害、心筋虚血再灌流(I/R)障害、心筋梗塞(AMI)、虚血、虚血後障害、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心臓線維症、動脈瘤、動脈炎、心筋症(例えば、糖尿病性心筋症、虚血性心筋症)、慢性心不全、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記心疾患が、心筋虚血/再灌流(I/R)障害である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
自己免疫疾患の治療を必要とする対象の自己免疫疾患を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(「miR-485阻害剤」)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
前記自己免疫疾患が、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連している、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記自己免疫疾患が、関節リウマチ(RA)、痛風、ベーチェット病、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、IgA血管炎、1型糖尿病、アトピー、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、バセドウ病、またはそれらの組み合わせを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記自己免疫疾患が、RAである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
腎疾患の治療を必要とする対象の腎疾患を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(「miR-485阻害剤」)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項10】
前記腎疾患が、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記腎疾患が、急性腎疾患(例えば、毒、外傷、ショック、感染、敗血症、毒素、腎結石などの閉塞、心不全によって引き起こされる)、慢性腎疾患(CKDC)(例えば、加齢、遺伝、腎結石などの閉塞、糖尿病、感染、歯科疾患、免疫疾患、高血圧、甲状腺疾患、がん、先天性腎奇形、先天性多発性嚢胞腎による腎機能の段階的喪失)、末期腎疾患、貧血、腎炎(例えば、急性腎盂腎炎、ループス腎炎、尿細管間質性腎炎)、ネフロパチー(例えば、IgAネフロパチー、糖尿病性ネフロパチー、シュウ酸塩ネフロパチー)、急性尿細管壊死、巣状分節性糸球体硬化症、微小変化疾患、高血圧性腎硬化症、糸球体疾患、タンパク尿、またはこれらの組み合わせを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
神経疾患の治療を必要とする対象の神経疾患を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(「miR-485阻害剤」)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項13】
前記神経疾患が、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連している、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記神経疾患が、てんかん、脳卒中、多発性硬化症、感染、自閉スペクトラム症またはそれらの組み合わせである、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記miR-485阻害剤が、インフラマソームに関連する遺伝子及び/またはタンパク質の発現レベルを減少させることができる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
インフラマソームに関連する前記遺伝子及び/またはタンパク質が、(i)ヌクレオチド結合ドメイン様受容体(NLR)ファミリーのメンバー、(ii)absent in melanoma2様受容体(ALR)ファミリーのメンバー、(iii)ピリン、(iv)IFI-16、または(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
インフラマソームに関連する前記遺伝子及び/またはタンパク質の前記発現レベルが、参照対象(例えば、前記miR-485阻害剤の投与前の対象または前記miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象)における対応する遺伝子及び/またはタンパク質の発現レベルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記miR-485阻害剤が、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減する、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記miR-485阻害剤が、炎症を予防及び/または低減する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記炎症が、参照対象(例えば、前記miR-485阻害剤の投与前の対象または前記miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象)の炎症と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記miR-485阻害剤が、miR-485-3pを阻害する、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記miR-485-3pが、5’-gucauacacggcucuccucucu-3’(配列番号1)を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記miR-485阻害剤が、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)を含むヌクレオチド配列を含み、前記miR-485阻害剤が約6~約30ヌクレオチドの長さである、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記miR-485阻害剤が、前記ヌクレオチド配列の前記5’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記miR-485阻害剤が、前記ヌクレオチド配列の前記3’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記miR-485阻害剤が、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)、5’-GUGUAUGA-3’(配列番号3)、5’-CGUGUAUGA-3’(配列番号4)、5’-CCGUGUAUGA-3’(配列番号5)、5’-GCCGUGUAUGA-3’(配列番号6)、5’-AGCCGUGUAUGA-3’(配列番号7)、5’-GAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号8)、5’-AGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号9)、5’-GAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号10)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号11)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号12)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号13)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号14)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号15)、5’-UGUAUGAC-3’(配列番号16)、5’-GUGUAUGAC-3’(配列番号17)、5’-CGUGUAUGAC-3’(配列番号18)、5’-CCGUGUAUGAC-3’(配列番号19)、5’-GCCGUGUAUGAC-3’(配列番号20)、5’-AGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号21)、5’-GAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号22)、5’-AGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号23)、5’-GAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号24)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号25)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号26)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号27)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号28)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号29)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)からなる群から選択される配列を有する、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記miR-485阻害剤が、5’-TGTATGA-3’(配列番号62)、5’-GTGTATGA-3’(配列番号63)、5’-CGTGTATGA-3’(配列番号64)、5’-CCGTGTATGA-3’(配列番号65)、5’-GCCGTGTATGA-3’(配列番号66)、5’-AGCCGTGTATGA-3’(配列番号67)、5’-GAGCCGTGTATGA-3’(配列番号68)、5’-AGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号69)、5’-GAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号70)、5’-GGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号71)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号72)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号73)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号74)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号75)、5’-TGTATGAC-3’(配列番号76)、5’-GTGTATGAC-3’(配列番号77)、5’-CGTGTATGAC-3’(配列番号78)、5’-CCGTGTATGAC-3’(配列番号79)、5’-GCCGTGTATGAC-3’(配列番号80)、5’-AGCCGTGTATGAC-3’(配列番号81)、5’-GAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号82)、5’-AGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号83)、5’-GAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号84)、5’-GGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号85)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号86)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号87)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号88)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号89)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)からなる群から選択される配列を有する、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記miR-485阻害剤の配列が、5’- AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の配列同一性を有する、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記miR-485阻害剤が、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と少なくとも90%の類似性を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記miR-485阻害剤が、1個の置換または2個の置換を有するヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記miR-485阻害剤が、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記miR-485阻害剤が、ヌクレオチド配列5’- AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記miR-485阻害剤が、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの修飾ヌクレオチドが、ロックド核酸(LNA)、アンロックド核酸(UNA)、アラビノ核酸(ABA)、架橋核酸(BNA)、及び/またはペプチド核酸(PNA)である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記miR-485阻害剤が骨格修飾を含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記骨格修飾が、ホスホロジアミダイトモルホリノオリゴマー(PMO)及び/またはホスホロチオエート(PS)修飾である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記miR-485阻害剤が、送達剤中で送達される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記送達剤が、ミセル、エクソソーム、リピドイド、リポソーム、リポプレックス、脂質ナノ粒子、細胞外小胞、合成小胞、ポリマー化合物、ペプチド、タンパク質、細胞、ナノ粒子模倣体、ナノチューブ、コンジュゲート、ウイルスベクター、またはそれらの組み合わせを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記送達剤が、
[WP]-L1-[CC]-L2-[AM](式I)
または
[WP]-L1-[AM]-L2-[CC](式II)
(式中、
WPは、水溶性バイオポリマー部分であり、
CCは、カチオン性キャリア部分であり、
AMは、アジュバント部分であり、
L1及びL2は、独立して任意選択のリンカーである)を含むカチオン性キャリアユニットを含む、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記カチオン性キャリアユニットと前記単離ポリヌクレオチドとが、互いに混合される際に互いに結合してミセルを形成することができる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記結合が、共有結合によるものである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記結合が、非共有結合によるものである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記非共有結合が、イオン結合を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記水溶性ポリマーが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリグリセロール、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(「POZ」)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項39~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリグリセロール、またはポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)を含む、請求項39~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記水溶性ポリマーが、下式:
【化13】

(式中、nは、1~1000である)を有する、請求項39~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記nが、少なくとも約110、少なくとも約111、少なくとも約112、少なくとも約113、少なくとも約114、少なくとも約115、少なくとも約116、少なくとも約117、少なくとも約118、少なくとも約119、少なくとも約120、少なくとも約121、少なくとも約122、少なくとも約123、少なくとも約124、少なくとも約125、少なくとも約126、少なくとも約127、少なくとも約128、少なくとも約129、少なくとも約130、少なくとも約131、少なくとも約132、少なくとも約133、少なくとも約134、少なくとも約135、少なくとも約136、少なくとも約137、少なくとも約138、少なくとも約139、少なくとも約140、または少なくとも約141である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記nが、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約140~約150、またはあるいは、または約150~約160である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記水溶性ポリマーが、直鎖状、分枝鎖状、または樹枝状である、請求項39~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記カチオン性キャリア部分が、1つ以上の塩基性アミノ酸を含む、請求項39~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記カチオン性キャリア部分が、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個、少なくとも約21個、少なくとも約22個、少なくとも約23個、少なくとも約24個、少なくとも約25個、少なくとも約26個、少なくとも約27個、少なくとも約28個、少なくとも約29個、少なくとも約30個、少なくとも約31個、少なくとも約32個、少なくとも約33個、少なくとも約34個、少なくとも約35個、少なくとも約36個、少なくとも約37個、少なくとも約38個、少なくとも約39個、少なくとも約40個、少なくとも約41個、少なくとも約42個、少なくとも約43個、少なくとも約44個、少なくとも約45個、少なくとも約46個、少なくとも約47個、少なくとも約48個、少なくとも約49個、または少なくとも約50個の塩基性アミノ酸を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記カチオン性キャリア部分が、約30個~約50個の塩基性アミノ酸を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記塩基性アミノ酸が、アルギニン、リシン、ヒスチジン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項50~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記カチオン性キャリア部分が、約40個のリシンモノマーを含む、請求項39~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記アジュバント部分が、免疫反応、炎症反応、及び/または組織を調節することができる、請求項39~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記アジュバント部分が、イミダゾール誘導体、アミノ酸、ビタミン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項39~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記アジュバント部分が、下式:
【化14】

(式中、G1及びG2のそれぞれは、H、芳香環、もしくは1~10アルキルであるか、またはG1とG2とはともに芳香環を形成し、nは1~10である)を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記アジュバント部分がニトロイミダゾールを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記アジュバント部分が、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、ジメトリダゾール、プレトマニド、オルニダゾール、メガゾール、アザニダゾール、ベンズニダゾール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記アジュバント部分が、アミノ酸を含む、請求項39~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記アジュバント部分が、下式:
【化15】

(式中、Arは、
【化16】

であり、Z1及びZ2のそれぞれは、HまたはOHである)を有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記アジュバント部分が、ビタミンを含む、請求項39~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記ビタミンが、環式環または環式ヘテロ原子環及びカルボキシル基またはヒドロキシル基を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ビタミンが、下式:
【化17】

(式中、Y1及びY2のそれぞれは、C、N、O、またはSであり、nは1または2である)を有する、請求項62または63に記載の方法。
【請求項65】
前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンM、ビタミンH、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項56~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記ビタミンが、ビタミンB3である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記アジュバント部分が、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、または少なくとも約20個のビタミンB3を含む、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
前記アジュバント部分が、約10個のビタミンB3を含む、請求項65~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
約120個~約130個のPEGユニットを有する水溶性バイオポリマー部分と、約30個~約40個のリシンを有するポリリシンを含むカチオン性キャリア部分と、約5個~約10個のビタミンB3を有するアジュバント部分と、を含む、請求項65~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記カチオン性キャリアユニットが、酵素分解から前記miR-485阻害剤を保護することができる、請求項39~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記miR-485阻害剤が、鼻腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、点眼、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脳室内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、腫瘍内投与、局所投与、またはそれらの任意の組み合わせで投与される、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記送達剤がミセルである、請求項38~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記ミセルが、(i)約100個~約200個のPEGユニット、(ii)それぞれがアミン基を有する約30個~約40個のリシン、(iii)それぞれがチオール基を有する約15個~約20個のリシン、及び(iv)それぞれがビタミンB3に結合された約30個~約40個のリシンを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ミセルが、(i)約120個~約130個のPEGユニット、(ii)それぞれがアミン基を有する約32個のリシン、(iii)それぞれがチオール基を有する約16個のリシン、及び(iv)それぞれがビタミンB3に結合された約32個のリシンを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記PEGユニットに標的化部分がさらに結合されている、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記標的化部分が、LAT1標的化リガンドである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記標的化部分が、フェニルアラニンである、請求項76に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月14日出願の米国仮出願第63/210,408号の出願日の利益を主張するものであり、本明細書に参照によりその全容を援用するものである。
【0002】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表の参照
本出願とともにASCIIテキストファイル(ファイル名:4366_053PC01_Seqlisting_ST25.txt、サイズ:326,584バイト、作成日:2022年6月14日)の形で提出される、電子的に提出される配列表の内容の全体を参照によって本明細書に援用する。
【0003】
本開示は、インフラマソーム関連疾患または障害を誘導するためのmiR-485阻害剤(例えば、少なくとも1つのmiR-485結合部位を含むヌクレオチド分子をコードしたポリヌクレオチド)の使用を提供する。
【背景技術】
【0004】
インフラマソームは、さまざまな生理学的刺激及び病原性刺激に応じて形成される多量体複合体である。インフラマソーム活性化は、自然免疫応答の不可欠な要素であり、病原体または損傷細胞の除去において重要である。しかしながら、過剰なインフラマソーム活性化は、特定の心疾患、自己免疫疾患、腎疾患、及び神経疾患などの多くの疾患及び障害の主要な要因ともなっている。
【0005】
そのような理解にもかかわらず、異常なインフラマソーム活性に関連する多くの疾患及び障害に対する有効な治療は依然存在していない。現在の治療選択肢(例えば、抗炎症薬、コルチコステロイド、ライフスタイルの変更、または炎症によるダメージが過剰な場合の手術)は、疾患に関連する基礎的な症状に対処することに主に重点を置いている。したがって、異常なインフラマソーム活性に関連した疾患及び障害を治療するための新規かつより効果的なアプローチが非常に望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、心疾患の治療を必要とする対象の心疾患を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(「miR-485阻害剤」)を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、心疾患は、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連している。いくつかの態様では、心疾患は、心筋虚血機能障害、心筋虚血再灌流障害、心筋梗塞(AMI)、虚血、虚血後障害、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心臓線維症、動脈瘤、動脈炎、心筋症(例えば、糖尿病性心筋症、虚血性心筋症)、慢性心不全、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、心疾患は心筋虚血/再灌流(I/R)障害である。
【0007】
本明細書では、自己免疫疾患の治療を必要とする対象の自己免疫疾患を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(「miR-485阻害剤」)を対象に投与することを含む方法も提供される。いくつかの態様では、自己免疫疾患は、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連している。いくつかの態様では、自己免疫疾患は、関節リウマチ(RA)、痛風、ベーチェット病、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、IgA血管炎またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、自己免疫疾患は、RAである。
【0008】
本開示はさらに、腎疾患の治療を必要とする対象の腎疾患を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(「miR-485阻害剤」)を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、腎疾患は、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連している。いくつかの態様では、腎疾患は、急性腎疾患(例えば、毒、外傷、ショック、感染、敗血症、毒素、腎結石などの閉塞、心不全によって引き起こされる)、慢性腎疾患(CKDC)(例えば、加齢、遺伝、腎結石などの閉塞、糖尿病、感染、歯科疾患、免疫疾患、高血圧、甲状腺疾患、がん、先天性腎奇形、先天性多発性嚢胞腎による腎機能の段階的喪失)、末期腎疾患、貧血、腎炎(例えば、急性腎盂腎炎、ループス腎炎、尿細管間質性腎炎)、ネフロパチー(例えば、IgAネフロパチー、糖尿病性ネフロパチー、シュウ酸塩ネフロパチー)、急性尿細管壊死、巣状分節性糸球体硬化症、微小変化疾患、高血圧性腎硬化症、糸球体疾患、タンパク尿、またはこれらの組み合わせを含む。
【0009】
本明細書では、神経疾患の治療を必要とする対象の神経疾患を治療する方法であって、miR-485を阻害する化合物(「miR-485阻害剤」)を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、神経疾患は、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連している。いくつかの態様では、神経疾患は、てんかんである。
【0010】
上記の方法のいずれかにおいて、いくつかの態様で、miR-485阻害剤は、インフラマソームに関連する遺伝子及び/またはタンパク質の発現レベルを減少させることができる。いくつかの態様では、インフラマソームに関連する遺伝子及び/またはタンパク質は、(i)ヌクレオチド結合ドメイン様受容体(NLR)ファミリーのメンバー、(ii)absent in melanoma2様受容体(ALR)ファミリーのメンバー、(iii)ピリン、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、インフラマソームに関連した遺伝子及び/またはタンパク質の発現レベルは、参照対象(例えば、miR-485阻害剤の投与前の対象、またはmiR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象)における対応する遺伝子及び/またはタンパク質の発現レベルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0011】
上記の方法のいずれかにおいて、いくつかの態様で、miR-485阻害剤は、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減する。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、炎症を防止及び/または低減する。いくつかの態様では、炎症は、参照対象(例えば、miR-485阻害剤の投与前の対象またはmiR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象)の炎症と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0012】
いくつかの態様では、上記の方法のいずれかで使用されるmiR-485阻害剤は、miR485-3pを阻害する。いくつかの態様では、miR485-3pは、5’-gucauacacggcucuccucucu-3’(配列番号1)を含む。
【0013】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)を含むヌクレオチド配列を含み、miR-485阻害剤は約6~約30ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、ヌクレオチド配列の5’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、ヌクレオチド配列の3’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む。
【0014】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)、5’-GUGUAUGA-3’(配列番号3)、5’-CGUGUAUGA-3’(配列番号4)、5’-CCGUGUAUGA-3’(配列番号5)、5’-GCCGUGUAUGA-3’(配列番号6)、5’-AGCCGUGUAUGA-3’(配列番号7)、5’-GAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号8)、5’-AGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号9)、5’-GAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号10)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号11)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号12)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号13)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号14)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号15)、5’-UGUAUGAC-3’(配列番号16)、5’-GUGUAUGAC-3’(配列番号17)、5’-CGUGUAUGAC-3’(配列番号18)、5’-CCGUGUAUGAC-3’(配列番号19)、5’-GCCGUGUAUGAC-3’(配列番号20)、5’-AGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号21)、5’-GAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号22)、5’-AGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号23)、5’-GAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号24)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号25)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号26)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号27)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号28)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号29)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)からなる群から選択される配列を有する。
【0015】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5’-TGTATGA-3’(配列番号62)、5’-GTGTATGA-3’(配列番号63)、5’-CGTGTATGA-3’(配列番号64)、5’-CCGTGTATGA-3’(配列番号65)、5’-GCCGTGTATGA-3’(配列番号66)、5’-AGCCGTGTATGA-3’(配列番号67)、5’-GAGCCGTGTATGA-3’(配列番号68)、5’-AGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号69)、5’-GAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号70)、5’-GGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号71)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号72)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号73)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号74)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号75)、5’-TGTATGAC-3’(配列番号76)、5’-GTGTATGAC-3’(配列番号77)、5’-CGTGTATGAC-3’(配列番号78)、5’-CCGTGTATGAC-3’(配列番号79)、5’-GCCGTGTATGAC-3’(配列番号80)、5’-AGCCGTGTATGAC-3’(配列番号81)、5’-GAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号82)、5’-AGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号83)、5’-GAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号84)、5’-GGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号85)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号86)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号87)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号88)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号89)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)からなる群から選択される配列を有する。
【0016】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤の配列は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と少なくとも90%の類似性を有する配列を有する。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、1個の置換または2個の置換を有するヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)を含む。
【0017】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドは、ロック核酸(LNA)、アンロック核酸(UNA)、アラビノ核酸(ABA)、架橋核酸(BNA)、及び/またはペプチド核酸(PNA)である。
【0018】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、骨格修飾を含む。いくつかの態様では、骨格修飾は、ホスホロジアミダイトモルホリノオリゴマー(PMO)及び/またはホスホロチオエート(PS)修飾である。
【0019】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、送達剤中で送達される。いくつかの態様では、送達剤は、ミセル、エクソソーム、リピドイド、リポソーム、リポプレックス、脂質ナノ粒子、細胞外小胞、合成小胞、ポリマー化合物、ペプチド、タンパク質、細胞、ナノ粒子模倣体、ナノチューブ、コンジュゲート、ウイルスベクター、またはそれらの組み合わせを含む。
【0020】
いくつかの態様では、送達剤は、下式:
[WP]-L1-[CC]-L2-[AM](式I)
または
[WP]-L1-[AM]-L2-[CC](式II)
(式中、
WPは、水溶性バイオポリマー部分であり、
CCは、カチオン性キャリア部分であり、
AMは、アジュバント部分であり、
L1及びL2は、独立して任意選択のリンカーである)を含むカチオン性キャリアユニットを含む。
【0021】
いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニットと単離ポリヌクレオチドとは、互いに混合される際に互いに結合してミセルを形成することができる。いくつかの態様では、結合は、共有結合を介する。いくつかの態様では、結合は、非共有結合を介する。いくつかの態様では、非共有結合はイオン結合を含む。
【0022】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリグリセロール、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(「POZ」)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリグリセロール、またはポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)を含む。
【0023】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、下式:
【化1】

(式中、nは、1~1000である)を有する。
【0024】
いくつかの態様では、nは、少なくとも約110、少なくとも約111、少なくとも約112、少なくとも約113、少なくとも約114、少なくとも約115、少なくとも約116、少なくとも約117、少なくとも約118、少なくとも約119、少なくとも約120、少なくとも約121、少なくとも約122、少なくとも約123、少なくとも約124、少なくとも約125、少なくとも約126、少なくとも約127、少なくとも約128、少なくとも約129、少なくとも約130、少なくとも約131、少なくとも約132、少なくとも約133、少なくとも約134、少なくとも約135、少なくとも約136、少なくとも約137、少なくとも約138、少なくとも約139、少なくとも約140、または少なくとも約141である。いくつかの態様では、nは、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約140~約150、または約150~約160である。
【0025】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、直鎖状、分枝鎖状、または樹枝状である。
【0026】
いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、1つ以上の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個、少なくとも約21個、少なくとも約22個、少なくとも約23個、少なくとも約24個、少なくとも約25個、少なくとも約26個、少なくとも約27個、少なくとも約28個、少なくとも約29個、少なくとも約30個、少なくとも約31個、少なくとも約32個、少なくとも約33個、少なくとも約34個、少なくとも約35個、少なくとも約36個、少なくとも約37個、少なくとも約38個、少なくとも約39個、少なくとも約40個、少なくとも約41個、少なくとも約42個、少なくとも約43個、少なくとも約44個、少なくとも約45個、少なくとも約46個、少なくとも約47個、少なくとも約48個、少なくとも約49個、または少なくとも約50個の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、約30~約50の塩基性アミノ酸を含む。
【0027】
いくつかの態様では、塩基性アミノ酸は、アルギニン、リシン、ヒスチジン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、約40個のリシンモノマーを含む。
【0028】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、免疫反応、炎症反応、または組織を調節することができる。いくつかの態様では、アジュバント部分は、イミダゾール誘導体、アミノ酸、ビタミン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0029】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、下式:
【化2】

(式中、G1及びG2のそれぞれは、H、芳香環、もしくは1~10アルキルであるか、またはG1とG2はともに芳香環を形成し、nは1~10である)を有する。
【0030】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、ニトロイミダゾールを含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、ジメトリダゾール、プレトマニド、オルニダゾール、メガゾール、アザニダゾール、ベンズニダゾール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0031】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、アミノ酸を含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、下式:
【化3】

(式中、Arは、
【化4】

であり、
Z1及びZ2のそれぞれは、HまたはOHである)を有する。
【0032】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、ビタミンを含む。いくつかの態様では、ビタミンは、環式環または環式ヘテロ原子環及びカルボキシル基またはヒドロキシル基を含む。
【0033】
いくつかの態様では、ビタミンは、下式:
【化5】

(式中、Y1及びY2のそれぞれは、C、N、O、またはSであり、nは1または2である)を有する。
【0034】
いくつかの態様では、ビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンM、ビタミンH、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、ビタミンは、ビタミンB3である。
【0035】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、または少なくとも約20個のビタミンB3を含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、約10個のビタミンB3を含む。
【0036】
いくつかの態様では、送達剤は、約120個~約130個のPEGユニットを有する水溶性バイオポリマー部分と、約30個~約40個のリシンを有するポリリシンを含むカチオン性キャリア部分と、約5個~約10個のビタミンB3を有するアジュバント部分と、を含む。
【0037】
いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニットは、酵素分解からmiR-485阻害剤を保護することができる。
【0038】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、鼻腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、点眼、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脳室内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、腫瘍内投与、局所投与、またはそれらの任意の組み合わせで投与される。
【0039】
いくつかの態様では、送達剤はミセルである。いくつかの態様では、ミセルは、(i)約100個~約200個のPEGユニット、(ii)それぞれがアミン基を有する約30個~約40個のリシン、(iii)それぞれがチオール基を有する約15個~約20個のリシン、及び(iv)それぞれがビタミンB3に結合された約30個~約40個のリシンを含む。いくつかの態様では、ミセルは、(i)約120個~約130個のPEGユニット、(ii)それぞれがアミン基を有する約32個のリシン、(iii)それぞれがチオール基を有する約16個のリシン、及び(iv)それぞれがビタミンB3に結合された約32個のリシンを含む。
【0040】
いくつかの態様では、PEGユニットに治療部分がさらに結合されている。いくつかの態様では、標的化部分は、LAT1標的化リガンドである。いくつかの態様では、標的化部分は、フェニルアラニンである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本開示のキャリアユニットの例示的な構造を示す。提示される例は、アニオン性ペイロード、例えば、遺伝子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの核酸、例えば、miRNA(antimir)と静電的に相互作用することができるカチオン性キャリア部分を含む。いくつかの態様では、AMは、WPとCCとの間に配置することができる。CC及びAMコンポーネントは、簡単のために直線的配置で描かれている。しかしながら、本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、CC及びAMは、スキャフォールドの形で配置することもできる。
【0042】
図2A】LPS注射マウスの皮質及び海馬におけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。LPSの腹腔内(IP)注射(5mg/kg)の24時間後に脳組織を切開し、LPS注射の6日前にmiR-485阻害剤単独(すなわち、送達薬剤なしで)を脳室内(i.c.v)に注射した(すなわち、LPS+阻害剤)。コントロールとして、(i)野生型(WT)マウス(すなわち、LPSなし、かつmiR-485阻害剤なし)(「Con」)及び(ii)LPSのみを投与したマウス(「LPS」)を使用した。(i)WTマウス(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPSのみを注射したマウス(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤の両方を投与したマウス(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)の皮質ホモジネート中のIL-6のELISAアッセイを示す。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図2B】LPS注射マウスの皮質及び海馬におけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。LPSの腹腔内(IP)注射(5mg/kg)の24時間後に脳組織を切開し、LPS注射の6日前にmiR-485阻害剤単独(すなわち、送達薬剤なしで)を脳室内(i.c.v)に注射した(すなわち、LPS+阻害剤)。コントロールとして、(i)野生型(WT)マウス(すなわち、LPSなし、かつmiR-485阻害剤なし)(「Con」)及び(ii)LPSのみを投与したマウス(「LPS」)を使用した。(i)WTマウス(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPSのみを注射したマウス(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤の両方を投与したマウス(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)の皮質ホモジネート中のTNF-αのELISAアッセイを示す。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図2C】LPS注射マウスの皮質及び海馬におけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。LPSの腹腔内(IP)注射(5mg/kg)の24時間後に脳組織を切開し、LPS注射の6日前にmiR-485阻害剤単独(すなわち、送達薬剤なしで)を脳室内(i.c.v)に注射した(すなわち、LPS+阻害剤)。コントロールとして、(i)野生型(WT)マウス(すなわち、LPSなし、かつmiR-485阻害剤なし)(「Con」)及び(ii)LPSのみを投与したマウス(「LPS」)を使用した。(i)WTマウス(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPSのみを注射したマウス(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤の両方を投与したマウス(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)の皮質ホモジネート中のIL-1βのELISAアッセイを示す。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図2D】LPS注射マウスの皮質及び海馬におけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。LPSの腹腔内(IP)注射(5mg/kg)の24時間後に脳組織を切開し、LPS注射の6日前にmiR-485阻害剤単独(すなわち、送達薬剤なしで)を脳室内(i.c.v)に注射した(すなわち、LPS+阻害剤)。コントロールとして、(i)野生型(WT)マウス(すなわち、LPSなし、かつmiR-485阻害剤なし)(「Con」)及び(ii)LPSのみを投与したマウス(「LPS」)を使用した。(i)WTマウス(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPSのみを注射したマウス(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤の両方を投与したマウス(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)の海馬ホモジネート中のIL-6のELISAアッセイを示す。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図2E】LPS注射マウスの皮質及び海馬におけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。LPSの腹腔内(IP)注射(5mg/kg)の24時間後に脳組織を切開し、LPS注射の6日前にmiR-485阻害剤単独(すなわち、送達薬剤なしで)を脳室内(i.c.v)に注射した(すなわち、LPS+阻害剤)。コントロールとして、(i)野生型(WT)マウス(すなわち、LPSなし、かつmiR-485阻害剤なし)(「Con」)及び(ii)LPSのみを投与したマウス(「LPS」)を使用した。(i)WTマウス(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPSのみを注射したマウス(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤の両方を投与したマウス(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)の海馬ホモジネート中のTNF-αのELISAアッセイを示す。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図2F】LPS注射マウスの皮質及び海馬におけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。LPSの腹腔内(IP)注射(5mg/kg)の24時間後に脳組織を切開し、LPS注射の6日前にmiR-485阻害剤単独(すなわち、送達薬剤なしで)を脳室内(i.c.v)に注射した(すなわち、LPS+阻害剤)。コントロールとして、(i)野生型(WT)マウス(すなわち、LPSなし、かつmiR-485阻害剤なし)(「Con」)及び(ii)LPSのみを投与したマウス(「LPS」)を使用した。(i)WTマウス(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPSのみを注射したマウス(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤の両方を投与したマウス(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)の海馬ホモジネート中のIL-1βのELISAアッセイを示す。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
【0043】
図2G】LPS処理した初代ミクログリアにより産生されるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。(i)処理なし(「Con」、1番目の棒)、(ii)miR-485阻害剤(100nM)単独(すなわち、送達剤なし)(「阻害剤」、2番目の棒)、(iii)LPS単独(100ng/mL)(「LPS」、3番目の棒)、または(iv)LPS及びmiR-485阻害薬の両方(送達剤なし)(「LPS+阻害薬」、4番目の棒)で処理した初代ミクログリアから得られた上清中のIL-6(左のグラフ)及びTNF-α(右のグラフ)の分泌レベルのELISA分析を示す。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図2H】LPS処理した初代ミクログリアにより産生されるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。(i)処理なし(「Con」、1番目の棒)、(ii)miR-485阻害剤(100nM)(送達剤なし)(「阻害剤」、2番目の棒)、(iii)LPS(100ng/mL)+ATP(2.5mM)(「LPS+ATP」、3番目の棒)、または(iv)LPS、ATP及びmiR-485阻害薬の組み合わせ(送達剤なし)(「LPS+ATP+阻害薬」、4番目の棒)で処理した初代ミクログリアから得られた上清中のIL-1βの分泌レベルのELISA分析を示す。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
【0044】
図2I】Aβオリゴマー(AβO)で処理した初代ミクログリアにより産生されるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。(i)処理なし(「Con」、1番目の棒)、(ii)miR-485阻害剤(100mM)単独(送達剤なし)(「阻害剤」、2番目の棒)、(iii)AβO単独(2.5μM)(「AβO」、3番目の棒)、または(iv)AβO及びmiR-485阻害薬の両方(送達剤なし)(「AβO+阻害薬」、4番目の棒)で処理した初代ミクログリアから得られた上清中のIL-6(左のグラフ)及びTNF-α(右のグラフ)の分泌レベルのELISA分析を示す。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図2J】Aβオリゴマー(AβO)で処理した初代ミクログリアにより産生されるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。AβO(2.5μΜ)で処理し、miR-485阻害剤(100nM)(送達剤なし)で24時間トランスフェクトした後の、LPSでプライミングした初代ミクログリア(n=3)から得られた上清中のIL-1β分泌レベルのELISA分析を示す。具体的には、示される異なる群は、図2Iに示されるものと同じである。データはすべて、平均±SD。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。処理コントロールとの比較では、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
【0045】
図3A】初代ミクログリアにおけるNLRP3インフラマソーム活性化の阻害による、IL-1βレベルを減少させるうえでの本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。LPS(100ng/ml)による処理及びmiR-485阻害剤(100nM)(送達剤なし)の24時間のトランスフェクション後の初代ミクログリア中のIL-1β、NLRP3、及びカスパーゼ-1のウェスタンブロット分析を示す。初代ミクログリアは、サンプリングの1時間前にATP(2.5mM)で処理した。パネルの右側の各グラフは、ACTBに対して正規化した後のNLRP3、Pro-IL-1β及びPro-カスパーゼ-1のタンパク質レベルの定量化を示す(n=3)。具体的には、示される異なる処理群には、(i)治療なし(「Con」、右側の各グラフの1番目の棒)、(ii)miR-485阻害剤単独(送達剤なし)(「阻害剤」、右側の各グラフの2番目の棒)、(iii)LPS+ATP単独(「LPS+ATP」、右側の各グラフの3番目の棒)、及び(iv)LPS、ATP、及びmiR-485阻害剤の組み合わせ(送達剤なし)(「LPS+ATP+阻害剤」、右側の各グラフの4番目の棒)が含まれる。データはすべて、平均値±SEM。n.s.、有意ではない。非処理コントロールとの比較では、**p<0.01及び***p<0.001。LPS+ATP及びLPS+AβOで処理したコントロールとの比較では、##p<0.01及び###p<0.001。
図3B】初代ミクログリアにおけるNLRP3インフラマソーム活性化の阻害による、IL-1βレベルを減少させるうえでの本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。AβO(2.5μΜ)で刺激し、miR-485阻害剤(100nM)(送達剤なし)を24時間トランスフェクションした後の、LPSでプライミングした初代ミクログリアにおけるIL-1β、NLRP3、カスパーゼ-1のウェスタンブロット分析を示す。パネルの右側の各グラフは、ACTBに対して正規化した後のNLRP3、Pro-IL-1β及びPro-カスパーゼ-1のタンパク質レベルの定量化を示す(n=3)。具体的には、示される異なる処理群には、(i)治療なし(「Con」、右側の各グラフの1番目の棒)、(ii)miR-485阻害剤単独(送達剤なし)(「阻害剤」、右側の各グラフの2番目の棒)、(iii)LPS+AβO単独(「LPS+AβO P」、右側の各グラフの3番目の棒)、及び(iv)LPS、AβO、及びmiR-485阻害剤の組み合わせ(送達剤なし)(「LPS+AβO+阻害剤」、右側の各グラフの4番目の棒)が含まれる。データはすべて、平均値±SEM。n.s.、有意ではない。非処理コントロールとの比較では、**p<0.01及び***p<0.001。LPS+ATP及びLPS+AβOで処理したコントロールとの比較では、##p<0.01及び###p<0.001。
図3C】LPS(1ng/mL)で処理し、3時間のmiR-485阻害剤(100nM)(送達剤なし)の同時トランスフェクションを行った後の初代ミクログリア中のカスパーゼ-1活性の生物発光アッセイを示す。初代ミクログリアは、サンプリングの1時間前にATP(2.5mM)で処理した(n=3)。示される異なる処理群は、図3Aと同じである。データはすべて、平均値±SEM。n.s.、有意ではない。非処理コントロールとの比較では、**p<0.01及び***p<0.001。LPS+ATP及びLPS+AβOで処理したコントロールとの比較では、##p<0.01及び###p<0.001。
図3D】AβO(2.5μM)で刺激し、24時間のmiR-485阻害剤(100nM)(送達剤なし)のトランスフェクションを行った後のLPSでプライミングした初代ミクログリア(n=3)中のカスパーゼ-1活性の生物発光アッセイを示す。示される異なる処理群は、図3Bと同じである。データはすべて、平均値±SEM。n.s.、有意ではない。非処理コントロールとの比較では、**p<0.01及び***p<0.001。LPS+ATP及びLPS+AβOで処理したコントロールとの比較では、##p<0.01及び###p<0.001。
【0046】
図4A】LPS処理マウスの血中及び腹腔マクロファージにおけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。マウスを腹腔内(IP)注射によりLPS(5mg/kg)で処理し、24時間後にELISAを行った。LPS注射の1日前に送達剤(本明細書に記載のもの、例えば、セクションIVを参照)を用いて静脈内(IV)注射(5mg/kg)によりmiR-485阻害剤を投与した。具体的には、異なる処理群は、(i)処理なし(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPS単独(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤(送達剤を用いる)の両方(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)である。異なる処理群から得た動物の血清中のIL-6のELISA分析を示す。データはすべて、平均±SD。n.s.、有意ではない。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。LPS注射コントロールとの比較では、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図4B】LPS処理マウスの血中及び腹腔マクロファージにおけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。マウスを腹腔内(IP)注射によりLPS(5mg/kg)で処理し、24時間後にELISAを行った。LPS注射の1日前に送達剤(本明細書に記載のもの、例えば、セクションIVを参照)を用いて静脈内(IV)注射(5mg/kg)によりmiR-485阻害剤を投与した。具体的には、異なる処理群は、(i)処理なし(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPS単独(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤(送達剤を用いる)の両方(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)である。異なる処理群から得た動物の血清中のTNF-αのELISA分析を示す。データはすべて、平均±SD。n.s.、有意ではない。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。LPS注射コントロールとの比較では、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図4C】LPS処理マウスの血中及び腹腔マクロファージにおけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。マウスを腹腔内(IP)注射によりLPS(5mg/kg)で処理し、24時間後にELISAを行った。LPS注射の1日前に送達剤(本明細書に記載のもの、例えば、セクションIVを参照)を用いて静脈内(IV)注射(5mg/kg)によりmiR-485阻害剤を投与した。具体的には、異なる処理群は、(i)処理なし(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPS単独(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤(送達剤を用いる)の両方(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)である。異なる処理群から得た動物の血清中のIL-1βのELISA分析を示す。データはすべて、平均±SD。n.s.、有意ではない。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。LPS注射コントロールとの比較では、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図4D】LPS処理マウスの血中及び腹腔マクロファージにおけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。マウスを腹腔内(IP)注射によりLPS(5mg/kg)で処理し、24時間後にELISAを行った。LPS注射の1日前に送達剤(本明細書に記載のもの、例えば、セクションIVを参照)を用いて静脈内(IV)注射(5mg/kg)によりmiR-485阻害剤を投与した。具体的には、異なる処理群は、(i)処理なし(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPS単独(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤(送達剤を用いる)の両方(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)である。異なる処理群の動物から急性単離された腹膜マクロファージ中のIl-6、Tnf、Il-10の相対的mRNAレベルを示す。データはすべて、平均±SD。n.s.、有意ではない。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。LPS注射コントロールとの比較では、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
図4E】LPS処理マウスの血中及び腹腔マクロファージにおけるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。マウスを腹腔内(IP)注射によりLPS(5mg/kg)で処理し、24時間後にELISAを行った。LPS注射の1日前に送達剤(本明細書に記載のもの、例えば、セクションIVを参照)を用いて静脈内(IV)注射(5mg/kg)によりmiR-485阻害剤を投与した。具体的には、異なる処理群は、(i)処理なし(「Con」、1番目の棒)、(ii)LPS単独(「LPS」、2番目の棒)、及び(iii)LPS及びmiR-485阻害剤(送達剤を用いる)の両方(「LPS+阻害剤」、3番目の棒)である。異なる処理群の動物から多く単離された腹膜マクロファージ中のNlrp3、Il-1、Il-18の相対的mRNAレベルを示す。データはすべて、平均±SD。n.s.、有意ではない。コントロール(Con)との比較では***P<0.001、及び****P<0.0001。LPS注射コントロールとの比較では、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001、及び####P<0.0001である。
【0047】
図5A】LPS処理した骨髄由来マクロファージ(BMDM)により産生されるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。実施例6にさらに記載されるように、miR-485阻害剤を、本明細書に記載の送達剤を用いてインビボで投与した。(i)治療なし(「Con」、1本目の棒)、(ii)LPS単独(「LPS」、2本目の棒)、及び(iii)LPS(1μg/ml)及びmiR-485阻害剤(500nM)(送達剤を用いる)(「LPS+阻害剤」、3本目の棒)のうちの1つで処置したBMDMから得られた上清中のIL-6(左のグラフ)、TNF-α(中央のグラフ)、IL-10(右のグラフ)の分泌レベルのELISA分析を示す。データはすべて、平均値±SEM。n.s.、有意ではない。非処理コントロールとの比較では、***p<0.001及び****p<0.0001。LPS+ATPで処理したコントロールとの比較では、##p<0.01及び####p<0.0001。
図5B】LPS処理した骨髄由来マクロファージ(BMDM)により産生されるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。実施例6にさらに記載されるように、miR-485阻害剤を、本明細書に記載の送達剤を用いてインビボで投与した。(i)治療なし(「Con」、1本目の棒)、(ii)LPS及びATP(「LPS+ATP」、2本目の棒)、及び(iii)LPS(1μg/ml)、ATP、及びmiR-485阻害剤(送達剤を用いる)(「LPS+ATP+阻害剤」、3本目の棒)のうちの1つで処理したBMDMから得られた上清中のIL-1β(左のグラフ)及びIL-18(右のグラフ)のELISA分析を示す。データはすべて、平均値±SEM。n.s.、有意ではない。非処理コントロールとの比較では、***p<0.001及び****p<0.0001。LPS+ATPで処理したコントロールとの比較では、##p<0.01及び####p<0.0001。
図5C】LPS処理した骨髄由来マクロファージ(BMDM)により産生されるインフラマソーム関連サイトカインの増加を減少させるうえでの、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の効果を示す。実施例6にさらに記載されるように、miR-485阻害剤を、本明細書に記載の送達剤を用いてインビボで投与した。LPS(1μg/mL)及びmiR-485阻害剤(500nM)(送達剤を用いる)で3時間処理した後のBMDM中のカスパーゼ-1活性の生物発光アッセイを示す。BMDMは、サンプリングの1時間前にATP(2.5mM)で処理した(n=3)。具体的には、異なる処理群は、図5Bに記載されるものである。データはすべて、平均値±SEM。n.s.、有意ではない。非処理コントロールとの比較では、***p<0.001及び****p<0.0001。LPS+ATPで処理したコントロールとの比較では、##p<0.01及び####p<0.0001。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示は、一般的に、インフラマソームに関連する疾患または障害を治療するためのmiR-485阻害剤の使用に関する。本明細書に記載されるように、インフラマソームは、多くの感染性微生物及び宿主タンパク質由来の特定の分子に応じた炎症の発生の原因となる自然免疫系の受容体/センサーである。いくつかの態様では、本明細書に記載のmiR-485阻害剤は、内因性のmiR-485の活性を阻害及び/または低減することができる。いずれの理論にも拘束されるものではないが、本開示は、miR-485活性の低減によって、インフラマソームに関連する1つ以上の遺伝子の発現を調節できることを実証するものである。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供されるmiR-485阻害剤は、炎症に関連するさまざまな疾患または障害の治療に有用である。本開示のさらなる態様は、本願全体を通じて提供される。
【0049】
記載される特定の組成物またはプロセスステップは無論のこと異なりうることから、本開示をより詳細に記載するのに先立って、本開示は特定の組成物またはプロセスステップに限定されない点を理解されたい。本開示を読むことで当業者にとって明らかとなるように、本明細書に記載及び例示される個々の態様の各々は、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離するかまたはそれらの特徴と組み合わせることができる個別の構成要素及び特徴を有する。記載されるいずれの方法も、記載される事象の順序で、または論理的に可能な他の任意の順序で実施することが可能である。
【0050】
本明細書に示される見出しは本開示のさまざまな態様を限定するものではなく、本開示の態様は、本明細書の全体を参照することによって定義されうるものである。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるので、本明細書で使用される用語は、あくまで特定の態様を説明することを目的としたものであって、限定することを目的としたものではない点も理解されるべきである。
【0051】
I.用語
本開示をより容易に理解できるように、特定の用語を最初に定義する。本出願で使用する場合、本明細書に別段明記されない限り、以下の用語のそれぞれは、下記に記載する意味を有するものとする。追加の定義は、本出願の全体を通じて記載される。
【0052】
「a」または「an」なる用語で示される実体は、その実体の1つ以上を指し、例えば、「a nucleotide sequence(ヌクレオチド配列)」は、1つ以上のヌクレオチド配列を表すものとして理解される点に留意されたい。したがって、「a」(または「an」)、ならびに「one or more」(1つ以上の)、及び「at least one」(少なくとも1つの)は、本開示では互換的に用いられる場合がある。各請求項は、あらゆる任意選択的な要素を除外するように起草される場合もある点にも留意されたい。したがって、この記載は、請求項の要素の記載との関連において「~だけの」、「~のみ」などといった除外的な語の使用に対する、または否定による限定の使用に対する先行詞としての役割を有するものとする。
【0053】
さらに、本明細書で使用する場合、「及び/または」とは、他方を伴うかまたは伴わない、2つの特定の特性または要素のそれぞれの具体的な開示として理解されるべきである。したがって、本明細書で「A及び/またはB」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」といった語句で使用される「及び/または」なる用語は、以下の態様、すなわち、A、B、及びC、A、B、またはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(のみ)、B(のみ)、ならびにC(のみ)のそれぞれを包含するものとする。
【0054】
本明細書において「comprising(含む)」なる文言で態様が説明されている場合は常に、「consisting of(からなる)」及び/または「consisting essentially of(から本質的になる)」なる用語で記載される他の類似の態様も提供される点を理解されたい。
【0055】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本開示が関係する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press、及びOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示において使用される用語の多くの一般的辞書を当業者に提供する。
【0056】
単位、接頭辞、及び記号は、それらのSysteme International de Unites(SI)で認められた形態で示される。数値範囲は、その範囲を規定する数値を含むものとする。数値の範囲が記載されている場合、その範囲の記載された上限と下限との間にあるそれぞれの介在する整数値、及びそのそれぞれの分数もまた、そのような値の間のそれぞれの部分範囲とともに具体的に開示される点は理解されるべきである。任意の範囲の上限値及び下限値は独立してその範囲に含まれる場合も、その範囲から除外される場合もあるが、どちらかの限界値が含まれるか、どちらの限界値も含まれないか、または両方の限界値が含まれるそれぞれの範囲もまた、本開示に包含される。したがって、本明細書に記載される範囲は、記載される端点を含む、その範囲内のすべての値の簡略的な表記であるものとして理解される。例えば、1~10の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むものとして理解される。
【0057】
値が明示的に記載されている場合、記載されている値とほぼ同じ数または量である値もまた、本開示の範囲内に含まれる点を理解されたい。ある組み合わせが開示される場合、その組み合わせの要素の部分的な組み合わせのそれぞれも具体的に開示され、本開示の範囲内に含まれる。逆に、異なる要素または要素群が個別に開示される場合、それらの組み合わせも開示される。開示の任意の要素が複数の代替手段を有するものとして開示される場合、各代替手段が単独でまたは他の代替手段との任意の組み合わせで除外されるその開示の例も本明細書により開示される、開示の複数の要素がそのような除外を有し得、そのような除外を有する要素のすべての組み合わせが本明細書により開示される。
【0058】
ヌクレオチドは、それらの一般的に認められている1文字のコードによって表される。特に断らない限り、ヌクレオチド配列は5’~3’の方向に左から右に記載する。本明細書においてヌクレオチドは、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される一般的に公知のヌクレオチドの1文字記号により表記される。したがって、「a」はアデニンを表し、「c」はシトシンを表し、「g」はグアニンを表し、「t」はチミンを表し、「u」はウラシルを表す。
【0059】
アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシ末端の方向に左から右に記載する。本明細書では、アミノ酸は、それらの一般的に知られる3文字記号、またはIUPAC-IUB生化学命名法委員会により推奨される1文字記号で呼称する。
【0060】
「約」という用語は、本明細書では、およそ、大体、おおよそ、またはその範囲内の意味で使用される。「約」という用語が数値範囲とともに使用される場合、記載される数値よりも上及び下の境界値を広げることによって、その範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、例えば、上または下に10パーセント(より高いまたはより低い)の変動で、明示される値の上及び下に数値を修正することができる。
【0061】
本明細書で使用する場合、「アデノ随伴ウイルス」(AAV)なる用語には、これらに限定されるものではないが、AAVタイプ1、AAVタイプ2、AAVタイプ3(タイプ3A及び3Bを含む)、AAVタイプ4、AAVタイプ5、AAVタイプ6、AAVタイプ7、AAVタイプ8、AAVタイプ9、AAVタイプ10、AAVタイプ11、AAVタイプ12、AAVタイプ13、AAVrh.74、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、Gao et al.(J.Virol.78:6381(2004))及びMoris et al.(Virol. 33:375(2004))に開示されるAAV血清型及び系統群、ならびに現在知られているかもしくは今後発見される他の任意のAAVが含まれる(例えば、FIELDS et al.VIROLOGY,volume 2,chapter 69(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers)を参照)。いくつかの態様では、「AAV」には、既知のAAVの誘導体が含まれる。いくつかの態様では、「AAV」には、改変された、または人工AAVが含まれる。
【0062】
「投与」、「投与すること」なる用語、及びその文法的変化形は、本開示のmiRNA阻害剤などの組成物を、薬学的に許容される経路により対象に導入することを指す。本開示のmiRNA阻害剤を含むミセルなどの組成物の対象への導入は、腫瘍内、経口、肺、鼻腔内、非経口(静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、もしくは皮下)、直腸、リンパ内、髄腔内、眼周または局所を含む任意の好適な経路によるものである。投与は、自己投与及び他者による投与を含む。適当な投与経路によって、組成物または薬剤はその目的とする機能を実行することができる。例えば、適当な経路が静脈内である場合、組成物は、組成物または薬剤を対象の静脈内に導入することによって投与される。
【0063】
本明細書で使用する場合、「~に関連した」という用語は、2つ以上の実体または性質間の密接な関係性のことを指す。例えば、本開示によって治療することが可能な疾患または状態(例えば、インフラマソームの異常なレベルに関連した疾患または状態)を記述するために用いられる場合、「~に関連した」という用語は、対象がインフラマソームの異常な発現を示す場合に対象がその疾患または状態を罹患している可能性が高いことを指す。いくつかの態様では、インフラマソームの異常な発現は、疾患または状態を引き起こす。いくつかの態様では、異常な発現は疾患または状態を必ずしも引き起こさないが相関している。対象が、疾患または状態に関連したインフラマソームの異常な発現を示すかどうかを判定するために使用することができる適当な方法の非限定的な例を、本開示の他の箇所に示す。
【0064】
本明細書で使用する場合、「異常なレベル」という用語は、本明細書に記載の疾患または状態に罹患していない参照対象とは異なる(例えば、増加した)レベル(発現及び/または活性)を指す。いくつかの態様では、異常なレベル(例えば、インフラマソーム)とは、参照対象(例えば、本明細書に記載の疾患または状態に罹患していない対象)における対応するレベルと比較して、少なくとも約0.1倍、少なくとも約0.2倍、少なくとも約0.3倍、少なくとも約0.4倍、少なくとも約0.5倍、少なくとも約0.6倍、少なくとも約0.7倍、少なくとも約0.8倍、少なくとも約0.9倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1,000倍以上増加したレベルを指す。
【0065】
本明細書で使用する場合、対象とする1つ以上の値に適用される「およそ」という用語は、記載される参照値と同様の値を指す。ある特定の態様では、「ほぼ」という用語は、特に明記しない限り、または他のことが文脈から明らかでない限り、明示される参照値の両方向に(数を超えるか、またはそれ未満の)10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下の範囲内の値の範囲を指す(かかる数がとり得る値の100%を超える場合を除く)。
【0066】
本明細書で使用する場合、「保存された」という用語は、比較されている2つ以上の配列の同じ位置において不変に見出されるものである、それぞれポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列のヌクレオチドまたはアミノ酸残基を指す。相対的に保存されているヌクレオチドまたはアミノ酸は、配列の他の部分で出現するヌクレオチドまたはアミノ酸と比べてより関連する配列の間で保存されているものである。
【0067】
いくつかの態様では、2つ以上の配列は、それらが互いに100%同一である場合、「完全に保存されている」または「同一である」と言われる。いくつかの態様では、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも70%同一であるか、少なくとも80%同一であるか、少なくとも90%同一であるか、または少なくとも95%同一である場合、「高度に保存されている」と言われる。いくつかの態様において、2つ以上の配列は、互いに約70%同一である、約80%同一である、約90%同一である、約95%、約98%、または約99%同一である場合、「高度に保存された」と言われる。いくつかの態様では、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも30%同一であるか、少なくとも40%同一であるか、少なくとも50%同一であるか、少なくとも60%同一であるか、少なくとも70%同一であるか、少なくとも80%同一であるか、少なくとも90%同一であるか、または少なくとも95%同一である場合、「保存されている」と言われる。いくつかの態様では、2つ以上の配列は、それらが互いに約30%同一であるか、約40%同一であるか、約50%同一であるか、約60%同一であるか、約70%同一であるか、約80%同一であるか、約90%同一であるか、約95%同一であるか、約98%同一であるか、または約99%同一である場合、「保存されている」と言われる。配列の保存は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの全長に適用することができ、または部分、領域、もしくはそれらの特徴に適用することができる。
【0068】
本明細書で使用する場合、「由来する」という用語は、特定の分子もしくは生物または情報(例えば、アミノ酸または核酸の配列)を使用して、特定の分子もしくは生物から単離されるか、製造される構成要素を指す。例えば、第2の核酸配列に由来する核酸配列は、第2の核酸配列のヌクレオチド配列と同一であるか、または実質的に類似するヌクレオチド配列を含み得る。ヌクレオチドまたはポリペプチドの場合、派生した種は、例えば、自然に生じる変異誘発、人為的定方向突然変異誘発、または人為的ランダム変異誘発により得られ得る。ヌクレオチドまたはポリペプチドを派生させるために使用される変異誘発は、意図的に定方向、もしくは意図的にランダムであるか、または各々の組み合わせである。最初のものに由来する異なるヌクレオチドまたはポリペプチドを作製するためのヌクレオチドまたはポリペプチドの変異誘発は、ランダム事象(例えば、ポリメラーゼの不忠実さにより引き起こされる)であり得、派生したヌクレオチドまたはポリペプチドの同定は、例えば、本明細書において述べられる適切なスクリーニング法によりなされ得る。一部の態様では、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に由来するヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、それぞれ第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、少なくとも約57%、少なくとも約58%、少なくとも約59%、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有し、ここで、第1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の生物活性を保持する。
【0069】
本明細書で使用する場合、「コーディング領域」または「コーディング配列」とは、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの部分である。「終止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)は通常はアミノ酸に翻訳されないがコーディング領域の一部とみなすことができる。ただし、すべてのフランキング配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどはコーディング領域の一部ではない。コーディング領域の境界は、得られるポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドンと、得られるポリペプチドのカルボキシ末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンとによって一般的に決定される。
【0070】
「相補的」及び「相補性」という用語は、ワトソン・クリック型塩基対形成則により互いに関連する2つ以上のオリゴマー(すなわち、それぞれが核酸塩基配列を含む)、またはオリゴマーと標的遺伝子との間を指す。例えば、核酸塩基配列「T-G-A(5’→3’)」は、核酸塩基配列「A-C-T(3’→5’)」に相補的である。相補性は「部分的」であってよく、その場合、所与の核酸塩基配列の核酸塩基のすべてより少ないものが塩基対形成則に従って他の核酸塩基配列と一致している。例えば、いくつかの態様では、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間の相補性は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%であり得る。したがって、特定の態様では、「相補性」という用語は、標的核酸配列(例えば、miR-485の核酸配列)との少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の一致または相補性を指す。または例のような、「完璧な」または「完全な」(100%)相補性が、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間に存在し得る。いくつかの態様では、核酸塩基配列間の相補性の程度は、配列間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に顕著な影響を与える。
【0071】
「下流」という用語は、参照ヌクレオチド配列の3’側に存在するヌクレオチド配列を指す。ある特定の態様では、下流ヌクレオチド配列は、転写開始点に続く配列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写開始部位の下流に存在する。
【0072】
「賦形剤」及び「キャリア」という用語は、互換的に使用され、化合物、例えば本開示のmiRNA阻害剤の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。
【0073】
本明細書で使用する場合、「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えばRNAまたはポリペプチドを生成するプロセスを指す。発現には、マイクロRNA結合部位、小分子ヘアピンRNA(shRNA)、小分子干渉RNA(siRNA)、または他の任意のRNA産物へのポリヌクレオチドの転写が限定されることなく含まれる。発現には、メッセンジャーRNA(mRNA)へのポリヌクレオチドの転写、及びmRNAのポリペプチドへの翻訳が限定されることなく含まれる。発現によって、「遺伝子産物」が生成される。本明細書で使用する場合、遺伝子産物は、例えば遺伝子の転写によって生成されるRNAなどの核酸であってよい。本明細書で使用する場合、遺伝子産物は、核酸、遺伝子の転写によって生成されるRNAもしくはmiRNA、または転写産物から翻訳されたポリペプチドであってよい。本明細書に記載される遺伝子産物には、例えばポリアデニル化またはスプライシングなどの転写後修飾を有する核酸、または、例えばリン酸化、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、またはタンパク質分解開裂などの翻訳後修飾を有するポリペプチドがさらに含まれる。
【0074】
本明細書で使用する場合、「相同性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば核酸分子間の全体的関連性を指す。一般に、「相同性」という用語は、2つの分子の進化的関係を意味する。したがって、相同な2つの分子は、共通の進化的祖先を有する。本開示との関連で、相同性という用語は、同一性及び類似性の両方を包含する。
【0075】
いくつかの態様では、ポリマー分子は、分子における少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のモノマーが同一(厳密に同じモノマー)であるか、または類似する(保存的置換)場合、互いに「相同である」とみなされる。「相同である」という用語は、必然的に少なくとも2つの配列(例えば、ポリヌクレオチド配列)間の比較を指す。
【0076】
本開示との関連で、置換(それらがアミノ酸置換と称される場合でも)は、核酸レベルで行われ、すなわち、アミノ酸残基を代替アミノ酸残基で置換することは、第1のアミノ酸をコードするコドンを第2のアミノ酸をコードするコドンで置換することによって行われる。
【0077】
本明細書で使用する場合、「同一性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば、ポリヌクレオチド分子間の全体的なモノマー保存性を指す。いかなる追加の修飾語もない「同一である」という用語、例えば、「ポリヌクレオチドAはポリヌクレオチドBと同一である」は、ポリヌクレオチド配列同士が100%同一(100%の配列同一性)であることを意味する。例えば、「70%同一である」と2つの配列を表現することは、例えば、「70%配列同一性」を有するとそれらを表現することに等しい。
【0078】
2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の同一率(%)の計算は、例えば、最適な比較のために2つの配列をアラインメントすることにより実行され得る(例えば、最適なアラインメントのために第1及び第2のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の一方または両方にギャップが導入され得、同一でない配列が比較のために無視され得る)。特定の実施形態では、比較目的のためにアラインメントされる配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。次いで、対応するアミノ酸位のアミノ酸、またはポリヌクレオチドの場合は塩基が比較される。
【0079】
第1の配列におけるある位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸またはヌクレオチドにより占められる場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一率(%)は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列により共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一率(%)の決定は、数学アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0080】
異なる配列同士(例えば、ポリヌクレオチド配列)をアラインするために使用することができる適当なソフトウェアプログラムはさまざまなソースから入手可能である。配列同一率(%)を決定するための適当なプログラムの1つに、米国政府のNational Center for Biotechnology Information BLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なBLASTパッケージプログラムの一部であるbl2seqがある。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して、2個の配列間の比較を行う。BLASTNが核酸配列を比較するために使用されるのに対して、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の適当なプログラムとしては、例えば、バイオインフォマティクスプログラムパッケージEMBOSSの一部であり、European Bioinformatics Institute(EBI)よりworldwideweb.ebi.ac.uk/Tools/psaにおいてやはり入手可能なNeedle、Stretcher、Water、またはMatcherがある。
【0081】
配列アラインメントは、当該技術分野において公知の方法、例えば、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal X、またはClustal Omega)、MUSCLEなどを使用して実施され得る。
【0082】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列と整列する単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ、それら自体の配列同一率(%)を有することができる。配列同一率(%)は、10分の1の位に四捨五入される点に留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り捨てられ、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は80.2に切り上げられる。また、長さの値は常に整数である点に留意されたい。
【0083】
ある特定の態様では、同一性パーセンテージ(%ID)または第1のアミノ酸配列(または核酸配列)の第2のアミノ酸配列(または核酸配列)に対する同一性パーセンテージ(%ID)は、%ID=100×(Y/Z)として計算され、式中、Yは、第1及び第2の配列のアラインメント(目視検査または特定の配列アライメントプログラムによりアラインメントされる)において完全な一致と評価されたアミノ酸残基(または核酸塩基)の数であり、Zは、第2の配列における残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列を超える場合、第1の配列の第2の配列に対する同一率(%)は、第2の配列の第1の配列に対する同一率(%)より高くなる。
【0084】
当業者であれば、配列同一率(%)を計算するための配列アラインメントの生成が、一次配列データによってのみ行われるバイナリー配列間比較に限定されない点は理解されよう。配列アライメントは、配列データを異種の供給源由来のデータ、例えば、構造データ(例えば、タンパク質結晶構造)、機能データ(例えば、変異の位置)、または系統学的データと統合することにより生成され得ることも理解されよう。異種のデータを統合して多重配列アラインメントを生成する好適なプログラムは、www.tcoffee.orgで利用可能であり、代替的に例えば、EBIから利用可能なT-Coffeeである。配列同一率(%)を計算するために使用される最終的なアラインメントは、自動または手動のいずれかでキュレートされ得ることも理解されよう。
【0085】
本明細書で使用する場合、「インフラマソーム」という用語は、炎症反応の活性化に関与する自然免疫系のサイトゾル性多タンパク質オリゴマーを指す。インフラマソームはカスパーゼ-1活性を活性化することができ、これにより、IL-1β、IL-18、IL-33を含む(ただし、これらに限定されない)さまざまな炎症性メディエーターのプロセシング及び活性化を制御する。例えば、それぞれ、本明細書に参照によりその全容を援用するところのWang,Z.,et al.,Oxid Med Cell Longev 2020:4063562(Feb.17,2020);Lin,L.,et al.,PLoS Pathog 15(6):e1007795(Jun.2019)、Freeman,T.L.,et al.,Front Immunol 11:1518(Jun.2020)、Ratajczak M.Z.,et al.,Leukemia 34(7):1726-1729(Jul.2020)、Latz E., et al., Nat Rev Immunol 13(6):397-411(May 2013;及びMangan,M.S.J.,et al.,Nat Rev Drug Discov 17(8):588-606(Aug.2018)を参照されたい。インフラマソームは、3つの基本タンパク質単位、すなわち、(1)センサー分子、(2)アダプターASC(カスパーゼ動員ドメインまたはCARDを含むアポトーシス関連スペック様タンパク質)、及び(3)プロカスパーゼ-1を含む。アダプターASC及びプロカスパーゼ-1は、一般に全てのインフラマソームに共通である。これに対して、各センサー分子は固有であり、異なる刺激に応答するため、インフラマソームをそれらのセンサー分子成分に基づいて異なる種類に分類することができる。(i)ヌクレオチド結合ドメイン様受容体(NLR)ファミリー(例えば、NLRP1、NLRP3、NLRC4、NLRP6、及びNLRP12)、(ii)absent in melanoma2様受容体(ALR)ファミリー(例えば、AIM2)、及び(iii)ピリンの少なくとも3つの標準的なタイプのインフラマソームが存在する。さらなるインフラマソームの非限定的な例としては、IFI16遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)(「IFI16インフラマソーム」)に関連するものが含まれる。
【0086】
本明細書で使用する場合、「単離された」、「精製された」、「抽出された」という用語、及びそれらの文法的変化形は、互換的に使用され、1つ以上の精製プロセスを受けた本開示の所望の組成物、例えば、本開示のmiRNA阻害剤の調製状態を指す。いくつかの態様では、本明細書で使用する場合、単離または精製は、夾雑物を含有する試料から本開示の組成物、例えば本開示のmiRNA阻害剤を取り出す、(例えば、画分を)部分的に取り出すプロセスである。
【0087】
いくつかの態様では、単離された組成物は、検出可能な望ましくない活性を有さないか、または代替的に、望ましくない活性のレベルもしくは量が許容可能なレベルまたは量以下である。他の態様では、単離された組成物は、許容可能な量及び/または濃度及び/または活性以上の量及び/または濃度の本開示の所望の組成物を有する。他の態様では、単離された組成物は、組成物が取得される出発物質と比較して濃縮される。この濃縮は、出発物質と比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.999%、少なくとも約99.9999%、または99.9999%超であり得る。
【0088】
いくつかの態様では、単離された調製物は、残留する生物学的産物を実質的に含まない。いくつかの態様では、単離された調製物は、任意の混入している生物学的物質を100%、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約94%、少なくとも約93%、少なくとも約92%、少なくとも約91%、または少なくとも約90%含まない。残留する生物学的産物は、非生物物質(化学物質を含む)または不要な核酸、タンパク質、脂質、もしくは代謝産物を含み得る。
【0089】
本明細書で使用する場合、「連結された」という用語は、共有結合または非共有結合によりそれぞれ第2のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列に結合された、第1のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列を指す。第1のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列は、第2のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列に直接的に結合もしくは並列され得るか、または代替的に介在配列が第1の配列から第2の配列までに共有結合により加わり得る。「連結された」という用語は、第1のポリヌクレオチド配列の第2のポリヌクレオチド配列への5’末端または3’末端での融合を意味するだけでなく、第2のポリヌクレオチド配列(または第1のポリヌクレオチド配列)における任意の2つのヌクレオチドへの第1のポリヌクレオチド配列(またはそれぞれ第2のポリヌクレオチド配列)全体の挿入も含む。第1のポリヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合またはリンカーにより第2のポリヌクレオチド配列に連結され得る。リンカーは、例えば、ポリヌクレオチドであり得る。
【0090】
本明細書で使用する場合、「miRNA阻害剤」とは、miRNAの発現、機能、及び/または活性を減少させるか、変化させるか、及び/または調節することができる化合物を指す。miRNA阻害剤は、標的miRNA核酸配列と少なくとも部分的に相補的であるポリヌクレオチド配列であってよく、それにより、miRNA阻害剤は標的miRNA配列とハイブリダイズする。例えば、本開示のmiR-485阻害剤は、標的miR-485核酸配列と少なくとも部分的に相補的であるヌクレオチド分子をコードしたヌクレオチド配列を含み、それにより、miR-485阻害剤はmiR-485配列とハイブリダイズする。さらなる態様では、miR-485配列に対するmiR-485のハイブリダイゼーションは、miR-485の発現、機能、及び/または活性を減少させるか、変化させるか、かつ/または調節する(例えば、ハイブリダイゼーションによって、インフラマソームに関連した1つ以上の遺伝子の発現の減少がもたらされる)。特に断らない限り、用語「miRNA阻害剤」、「miR-485阻害剤」、及び「miR-485 3p阻害剤」は互換的に使用することができる。
【0091】
「miRNA」、「miR」、及び「マイクロRNA」という用語は、互換的に使用され、RNAによる遺伝子調節に関与する真核生物において見出されるマイクロRNA分子を指す。この用語は、前駆体からプロセシングされた一本鎖RNA分子を指すために使用される。いくつかの態様では、「アンチセンスオリゴマー」という用語は、本開示のマイクロRNA分子を記述するために使用することもできる。本開示に関連するmiRNAの名称及びそれらの配列は、本明細書において提供される。マイクロRNAは、不完全な塩基対形成により標的mRNAを認識及びそれに結合し、標的mRNAの不安定化または翻訳阻害をもたらし、これにより、標的遺伝子発現を下方調節する。逆に、miRNA結合部位を含む分子(一般にmiRNAのシード領域に相補的な配列を含む分子)によるmiRNAの標的化は、miRNAにより誘発される翻訳阻害を低減または阻害し得、標的遺伝子の上方調節をもたらす。
【0092】
「ミスマッチ」または「複数のミスマッチ」という用語は、オリゴマー核酸塩基配列(例えば、miR-485阻害剤)における塩基対形成則に従って標的核酸配列(例えば、miR-485阻害剤)と一致しない1つ以上の核酸塩基(連続しているまたは離れているにかかわらず)を指す。多くの場合、完全な相補性が所望されるが、いくつかの態様では、標的核酸配列に対する1つ以上(好ましくは6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つ)のミスマッチが生じ得る。オリゴマー内の任意の位置でのバリエーションが含まれる。ある特定の態様では、本開示のアンチセンスオリゴマー(例えば、miR-485阻害剤)は、末端近くでの核酸塩基配列のバリエーション、内部でのバリエーションを含み、存在する場合、通常、5’及び/または3’末端の約6、5、4、3、2、または1サブユニット以内に存在する。いくつかの態様では、1つ、2つ、または3つの核酸塩基が除去されてもよく、依然としてオンターゲットの結合を与えることができる。
【0093】
本明細書で使用する場合、「調節する」、「修飾する」という用語、及びそれらの文法的変化形は、一般に、特定の濃度、レベル、発現、機能、または行動に適用される場合、例えば、アンタゴニストまたはアゴニストとして作用するために、特定の濃度、レベル、発現、機能、または行動を増加または減少させること、例えば、直接または間接的に、促進すること/刺激すること/上方調節することまたはそれらに干渉すること/それらを阻害すること/それらを下方調節することにより変化させる能力を指す。場合によっては、修飾因子は、ある特定の濃度、レベル、活性、または機能を、コントロールと比較して、または一般に予想される活性の平均レベルと比較して、もしくは活性の対照レベルと比較して増加及び/または減少させ得る。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiRNA阻害剤、例えばmiR-485阻害剤は、miR-485の発現、機能及び/または活性を調節する(例えば減少させる、変化させる、または失わせる)ことができ、それにより、インフラマソーム活性を調節することができる。
【0094】
「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」、及びそれらの文法的変化形は、互換的に使用され、一本鎖形態または二重螺旋のいずれかでのリン酸エステルポリマー形態のリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、またはシチジン;「RNA分子」)もしくはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、チミジン、またはデオキシシチジン;「DNA分子」)、またはそれらの任意のホスホエステルアナログ、例えば、ホスホロチオネート及びチオエステルを指す。一本鎖核酸配列は、一本鎖DNA(ssDNA)または一本鎖RNA(ssRNA)を指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNA、及びRNA-RNA螺旋が可能である。核酸分子及び特にDNAまたはRNA分子という用語は、分子の一次及び二次構造のみを指し、任意の特定の三次形態に限定されない。したがって、この用語は、とりわけ線形または環状DNA分子(例えば、制限フラグメント)、プラスミド、スーパーコイルDNA、及び染色体に見出される二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造について述べる際、配列は、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに相同な配列を有する鎖)に沿った5’~3’方向での配列のみを提供する通常の慣例に従って本明細書に記載され得る。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAとしては、限定されるものではないが、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA、及び半合成DNAが挙げられる。本開示の「核酸組成物」は、本明細書に記載されるような1つ以上の核酸を含む。
【0095】
「薬学的に許容されるキャリア」、「薬学的に許容される賦形剤」という用語、及びそれらの文法的変化形は、ヒトを含む動物に使用するための米国連邦政府の規制機関により承認されたか、または米国薬局方に列挙される薬剤のいずれか、ならびに対象への組成物の投与を禁止する程度まで望ましくない生理作用の発生を引き起こさず、投与される化合物の生物活性及び特性を抑制しない任意のキャリアまたは希釈剤を包含する。医薬組成物を調製するのに有用であり、一般に安全で、非毒性であり、望ましい賦形剤及び担体が含まれる。
【0096】
本明細書で使用する場合、「医薬組成物」という用語は、1種以上の他の化学成分、例えば、薬学的に許容されるキャリア及び賦形剤と混合もしくは混ぜ合わされたか、またはそれらの中に懸濁された、例えば、本開示のmiRNA阻害剤などの本明細書に記載される化合物のうちの1種以上を指す。医薬組成物の1つの目的は、本開示のmiRNA阻害剤を含む製剤の対象への投与を促進することである。
【0097】
本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらのアナログ、またはそれらの混合物が挙げられるヌクレオチドの任意の長さのポリマーを指す。
【0098】
いくつかの態様では、この用語は分子の一次構造を指す。したがって、この用語は、三本鎖、二本鎖、及び一本鎖デオキシリボ核酸(「DNA」)、ならびに三本鎖、二本鎖、及び一本鎖リボ核酸(「RNA」)を含む。この用語は、例えば、アルキル化及び/またはキャッピングにより修飾されたポリヌクレオチド及び未修飾形態のポリヌクレオチドも含む。
【0099】
いくつかの態様では、「ポリヌクレオチド」という用語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有する)、スプライシングされたまたはスプライシングされていないにかかわらず、tRNA、rRNA、shRNA、siRNA、miRNA及びmRNAを含む、ポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有する)、プリンまたはピリミジン塩基のN-またはC-配糖体である任意の他の種類のポリヌクレオチド、ならびに非ヌクレオチド骨格を含有する他のポリマー、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸「PNA」)及びポリモルホリノポリマー、ならびにDNA及びRNAにおいて見出されるような塩基対形成及び塩基スタッキングを可能にする配置で核酸塩基を含有することを条件とする他の配列特異的合成核酸ポリマーを含む。
【0100】
本開示のいくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドであってよい。いくつかの態様では、オリゴヌクレオチドは、RNAである。いくつかの態様では、RNAは、合成RNAである。いくつかの態様では、合成RNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む。いくつかの態様では、ある特定の種類のすべての核酸塩基が、非天然核酸塩基と置き換えられている(例えば、本明細書において開示されるポリヌクレオチドにおけるすべてのウリジンが、非天然核酸塩基、例えば、5-メトキシウリジンと置き換えられ得る)。
【0101】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」なる用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを呼称するうえで本明細書で互換的に使用される。ポリマーは、修飾アミノ酸を含み得る。これらの用語は、自然に修飾された、または、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合など、他の任意の操作もしくは改変などの介入により修飾されたアミノ酸ポリマーも包含される。例えば、1つ以上のアミノ酸アナログ(例えば、ホモシステイン、オルニチン、p-アセチルフェニルアラニン、D-アミノ酸、及びクレアチンなどの非天然アミノ酸が挙げられる)、及び当該技術分野において公知の他の修飾を含有するポリペプチドも定義の範囲内に含まれる。本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」という用語は、任意のサイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。
【0102】
ポリペプチドとしては、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、上述のもののホモログ、オーソログ、パラログ、フラグメント及び他の等価物、バリアント、ならびにアナログが挙げられる。
【0103】
ポリペプチドは、単一のポリペプチドであり得るか、またはダイマー、トリマー、もしくはテトラマーなどの多分子複合体であり得る。それらは、一本鎖または多連鎖ポリペプチドも含み得る。最も一般的に、ジスルフィド結合は、多鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的アナログであるようなアミノ酸ポリマーにも適用され得る。いくつかの態様では、「ペプチド」は、アミノ酸約50個以下の長さ、例えば、アミノ酸約5個、約10個、約15個、約20個、約25個、約30個、約35個、約40個、約45個、または約50個の長さであり得る。
【0104】
本明細書で使用する場合、「予防する」、「予防すること」という用語、及びそれらの変化形は、疾患、障害、及び/または状態の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状、特徴、または臨床徴候の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状、特徴、または徴候の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の進行を部分的または完全に遅延させること;及び/または疾患、障害、及び/または状態に関連する病理を生じるリスクを減少させることを指す。いくつかの態様では、転帰の予防は、予防的治療によって実現される。
【0105】
本明細書で使用する場合、「プロモーター」及び「プロモーター配列」という用語は互換可能であり、コーディング配列または機能性RNAの発現を制御することができるDNA配列を指す。一般的に、コーディング配列は、プロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは、天然遺伝子にその全体が由来してもよく、または自然界にみられる異なるプロモーターに由来する異なるエレメントで構成されてもよく、またはさらには、合成DNAセグメントを含んでもよい。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞タイプにおいて、または発生の異なる段階において、または異なる環境的もしくは生理学的条件に応じて、遺伝子の発現を誘導することができる点は、当業者には理解されよう。ほとんどの細胞タイプでほとんどの時間に遺伝子を発現させるプロモーターは一般的に「構成的プロモーター」と呼ばれる。特定の細胞タイプにおいて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「細胞特異的プロモーター」または「組織特異的プロモーター」と呼ばれる。発生または細胞分化の特定の段階で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「発生特異的プロモーター」または「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターを誘導する薬剤、生物学的分子、化学物質、リガンド、光などによる細胞の曝露または処理後に誘導されて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「誘導性プロモーター」または「調節可能なプロモーター」と呼ばれる。多くの場合で調節配列の正確な境界は完全には定義されていないことから、異なる長さのDNAフラグメントが同じプロモーター活性を有し得る点もさらに認識されよう。
【0106】
プロモーター配列の境界はその3’末端では転写開始部位であり、バックグラウンドよりも高い検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小の数の塩基またはエレメントを含むように上流(5’方向)に延びている。プロモーター配列内には、転写開始部位(例えばヌクレアーゼS1によるマッピングによって簡便に定義される)ばかりでなく、RNAポリメラーゼの結合に関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)も見出される。いくつかの態様では、本開示とともに使用することができるプロモーターには、組織特異的プロモーターが含まれる。
【0107】
本明細書で使用する場合、「予防」とは、疾患もしくは状態の発症を予防するために、または疾患もしくは状態に関連する症状を予防または遅延させるために使用される治療的行動または行動方針を指す。
【0108】
本明細書で使用する場合、「予防法」は、健康を維持し、疾患または状態の発症を予防するために、または疾患もしくは状態に関連する症状を予防もしくは遅延させるために取られる手段を指す。
【0109】
本明細書で使用する場合、「遺伝子調節領域」または「調節領域」という用語は、コーディング領域の上流(5’側のノンコーディング配列)、その内部、またはその下流(3’側のノンコーディング配列)に位置して、転写、RNAプロセシング、安定性または関連するコーディング領域の翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節領域には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、またはステムループ構造が含まれ得る。コーディング領域が真核細胞内での発現のためのものである場合、ポリアデニル化シグナル及び転写終結配列がコーディング配列の3’側に通常は配置される。
【0110】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤(例えば、1つ以上のmiR-485結合部位を含むRNAをコードしたポリヌクレオチド)は、1つ以上のコーディング領域と機能的に関連付けられたプロモーター及び/または他の発現(例えば、転写)制御エレメントを含むことができる。機能的関連付けにおいて、遺伝子産物のコーディング領域は、1つ以上の調節領域と、その遺伝子産物の発現が調節領域(複数可)の影響または制御下に置かれるようにして関連付けられる。例えば、コーディング領域とプロモーターとは、プロモーター機能の誘導が、そのコーディング領域によってコードされた遺伝子産物をコードするmRNAの転写をもたらし、かつプロモーターとコーディング領域との連結の性質が、プロモーターが遺伝子産物の発現を誘導する能力を妨げず、またはDNA鋳型が転写される能力も妨げない場合に、「機能的に関連付けられている」。プロモーター以外の他の発現制御エレメント、例えば、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー、及び転写終結シグナルを、遺伝子産物の発現を誘導するようにコーディング領域と機能的に関連付けることもできる。
【0111】
本明細書で使用する場合、「類似性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えばmiRNA分子)間の全体的関連性を指す。ポリマー分子同士の互いに対する類似率(%)の計算は、類似率(%)の計算が当該技術分野で理解されるところの保存的置換を考慮している点を除いて、同一率(%)の計算と同様にして行うことができる。類似率(%)は、用いられる比較尺度、すなわち、核酸同士が、例えばそれらの進化的な近さ、電荷、体積、柔軟性、極性、疎水性、芳香族性、等電点、抗原性、またはそれらの組み合わせのどれにしたがって比較されるかによって左右されることが理解される。
【0112】
「対象」、「患者」、「個体」、及び「宿主」なる用語、及びそれらの変化形は、本明細書において互換的に使用され、限定されるものではないが、ヒト、家庭用動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、及び実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)が挙げられる、診断、処置、または治療が所望される任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。本明細書に記載される方法は、ヒトの治療及び獣医学的用途の両方に適用可能である。
【0113】
本明細書で使用する場合、「その必要がある対象」という表現は、例えば、異常なインフラマソーム活性を減少させるなど、本開示のmiRNA阻害剤(例えば、miR-485阻害剤)の投与から恩恵を受ける哺乳動物対象などの対象を含む。
【0114】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」という用語は、所望の治療効果、薬理学的、及び/または生理学的効果をもたらす必要がある対象において所望の治療効果、薬理学的、及び/または生理学的効果をもたらすのに十分な、本開示のmiRNA阻害剤を含む試薬または医薬化合物の量である。治療有効量は、予防が治療とみなされ得る場合、「予防有効量」であり得る。
【0115】
本明細書で使用する場合、「治療する」、「治療」、または「治療すること」という用語は、例えば、疾患または病態の重症度の減少、疾患の持続期間の短縮、疾患または病態に関連する1つ以上の症状の改善または消失、疾患または病態を有する対象への有益な効果の提供(必ずしも疾患または病態の治癒を伴わない)を指す。この用語には、疾患もしくは状態またはその症状の予防または防止も含まれる。
【0116】
「上流」という用語は、参照ヌクレオチド配列の5’側に位置するヌクレオチド配列を指す。
【0117】
「ベクター」とは、宿主細胞内に核酸をクローニング及び/または導入するための任意の担体を指す。ベクターは、結合されたセグメントの複製をもたらすように別の核酸セグメントを結合させることができるレプリコンとすることができる。「レプリコン」とは、インビボで自律的な複製ユニットとして機能する(すなわち、それ自身の制御下で複製することができる)任意の遺伝子エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)のことを指す。「ベクター」という用語には、細胞に核酸をインビトロ、エクスビボ、またはインビボで導入するためのウイルス性及び非ウイルス性の担体が含まれる。例えば、プラスミド、改変真核生物ウイルス、または改変細菌ウイルスを含む数多くのベクターが当該技術分野で知られており、使用されている。適当なベクターへのポリヌクレオチドの挿入は、適当なポリヌクレオチドフラグメントを、相補的な粘着末端を有する選択されたベクターにライゲートすることによって行うことができる。
【0118】
ベクターは、ベクターを取り込んだ細胞の選択または特定を可能とする選択マーカーまたはレポーターをコードするように操作することができる。選択マーカーまたはレポーターの発現によって、ベクターに含まれる他のコーディング領域を取り込んで発現する宿主細胞を特定し、及び/または選択することが可能となる。当該技術分野において知られ、使用されている選択マーカーの例としては、アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ヒグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミドなどに対する耐性を与える遺伝子、ならびに表現型マーカーとして用いられる遺伝子、すなわち、アントシアン調節遺伝子、イソペンテニル基転移酵素遺伝子などが挙げられる。当該技術分野において知られ、使用されているレポーターの例としては、ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)などが挙げられる。選択マーカーはレポーターとみなすこともできる。
【0119】
II.使用方法
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、インフラマソーム活性を調節する(例えば、インフラマソームの形成及び/または活性化を増加または減少させる)ことにより治療効果を発揮することができる。いずれの理論にも束縛されるものではないが、いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、インフラマソームに関連する1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性を調節することによりインフラマソーム活性を調節することができる。そのような遺伝子の非限定的な例は、本開示の他の箇所に示されている。
【0120】
一般的に、インフラマソームの形成及び/または活性化には、2つの段階が必要とされる(例えば、Man et al.,Immunol Rev 265(1):6-21(May 2015)を参照)。最初の段階にはプライミングシグナルが関与し、病原体活性化分子パターン(PAMP)または危険活性化分子パターン(DAMP)がToll様受容体によって認識されることで核因子カッパB(NF-kB)媒介シグナル伝達が活性化され、それによりさまざまなインフラマソーム関連成分(例えば、NLR及びALR)の転写が増加する。第2の段階には、「ヌクレオチド結合ドメイン及びロイシンリッチ反復受容体」(NLR)または「absent in melanoma2(AIM2)様受容体」(ALR)によって開始されるインフラマソーム複合体のアセンブリが関与する。NLR及びALRは、「CARDを含むアダプタータンパク質アポトーシス関連スペック様タンパク質」(ASC)及びプロカスパーゼ-1と相互作用し、インフラマソーム複合体を形成する。これにより、プロカスパーゼ-1からカスパーゼ-1への変換と、成熟IL-1b及びIL-18のようなさまざまな炎症性メディエーターの産生及び分泌が引き起こされる。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載のmiR-485阻害剤は、インフラマソームに関連する1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性を低下させることにより、炎症の調節を必要とする対象における炎症を調節(例えば、軽減)することができる。
【0121】
上記の開示から明らかであるように、インフラマソームは以下の3つの基本的なタンパク質単位を含む:(1)センサー分子、(2)アダプターASC(カスパーゼ動員ドメインすなわちCARDを含むアポトーシス関連スペック様タンパク質)、及び(3)プロカスパーゼ-1。アダプターASC及びプロカスパーゼ-1は、一般に全ての炎症に共通である。これに対して、各センサー分子は固有であり、異なる刺激に応答するため、インフラマソームをそれらのセンサー分子成分に基づいて異なる種類に分類することができる。(i)ヌクレオチド結合ドメイン様受容体(NLR)ファミリー(例えば、NLRP1、NLRP3、NLRC4、NLRP6、及びNLRP12)、(ii)absent in melanoma2様受容体(ALR)ファミリー(例えば、AIM2)、及び(iii)ピリンの少なくとも3つの標準的なタイプのインフラマソームが存在する。特に断らない限り、本開示のmiR-485阻害剤は、本明細書に開示されるものなどの、当該技術分野では周知のあらゆる種類のインフラマソームに関連する疾患または障害の治療に有用であり得る。
【0122】
いくつかの態様では、本開示によって治療することが可能な疾患または障害には、NLRファミリーに属するインフラマソームに関連するものが含まれる。いくつかの態様では、NLRファミリーに属するインフラマソームには、NLRP1インフラマソーム、NLRP3インフラマソーム、NLRC4インフラマソーム、NLRP6インフラマソーム、NLRP12インフラマソーム、またはそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの態様では、本開示により治療することが可能な疾患または障害は、NLRP1インフラマソームに関連している。いくつかの態様では、疾患または障害は、NLRP3インフラマソームに関連している。いくつかの態様では、疾患または障害は、NLRC4インフラマソームに関連している。いくつかの態様では、疾患または障害は、NLRP6インフラマソームに関連している。いくつかの態様では、疾患または障害は、NLRP12インフラマソームに関連している。いくつかの態様では、本開示によって治療することが可能な疾患または障害には、ALRファミリーに属するインフラマソームに関連するものが含まれる。いくつかの態様では、疾患または障害は、AIM2インフラマソームに関連している。いくつかの態様では、本開示により治療することが可能な疾患または障害には、ピリンインフラマソームに関連するものが含まれる。いくつかの態様では、本開示により治療することが可能な疾患または障害には、IFI16インフラマソームに関連するものが含まれる。
【0123】
いくつかの態様では、上記のインフラマソームのうちの1つ以上に関連する疾患または障害には、心疾患が含まれる。いくつかの態様では、上記のインフラマソームのうちの1つ以上に関連する疾患または障害には、自己免疫疾患が含まれる。いくつかの態様では、上記のインフラマソームのうちの1つ以上に関連する疾患または障害には、腎疾患が含まれる。いくつかの態様では、上記のインフラマソームのうちの1つ以上に関連する疾患または障害には、神経疾患が含まれる。そのような疾患及び障害に関するさらなる開示は、本開示の他の箇所に示されている。
【0124】
したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載されるmiR-485阻害剤は、NLRファミリーに属する遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現及び/または活性を減少させることができる。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、NLRP1遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現及び/または活性を減少させることができる。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、NLRP3遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現及び/または活性を減少させることができる。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、NLRC4遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現及び/または活性を減少させることができる。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、NLRP6遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現及び/または活性を減少させることができる。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、NLRP12遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現を減少させることができる。いくつかの態様では、本明細書のmiR-485阻害剤は、ALRファミリーに属する遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現を減少させることができる。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、AIM2遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現を減少させることができる。いくつかの態様では、本明細書に記載のmiR-485阻害剤は、ピリン遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現を減少させることができる。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、IFI16遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)の発現及び/または活性を減少させることができる。
【0125】
NLRP1の調節
ヒトでは、NLRP1遺伝子は、アポトーシスタンパク質のCed-4ファミリーのメンバーをコードしている。Cedファミリーメンバーはカスパーゼ動員ドメイン(CARD)を含み、プログラム細胞死の主要なメディエーターとして知られている。コードされたタンパク質は、別個のN末端ピリン様モチーフを含んでいる。NLRP1タンパク質は、インフラマソームを形成することが示された最初のタンパク質であった。このタンパク質はカスパーゼ2と強く、カスパーゼ9と弱く相互作用する。NLRP1遺伝子はヒトの第17番染色体上に位置している(GenBankアクセッション番号NC_000017.11のヌクレオチド5,499,427~5,619,424(-鎖の方向))。NLRP1遺伝子(そのコードされたタンパク質を含む)の異名は既知であり、非限定的な例としては、「DEFCAP」、「CARD7」、「NAC」、「ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン、ロイシンリッチリピート及びピリンドメイン含有タンパク質1」、「NACHT、ロイシンリッチリピート及びPYD(ピリンドメイン)含有タンパク質1」、「デスエフェクターフィラメント形成性Ced-4様アポトーシスタンパク質」、「ヌクレオチド結合ドメイン及びカスパーゼ動員ドメイン」、「NACHT,LRR及びPYDドメイン含有タンパク質1」、「カスパーゼ動員ドメイン含有タンパク質7」、及び「NALP1」が挙げられる。
【0126】
ヒトNLRP1タンパク質には、選択的スプライシングから生じる少なくとも7種類の既知のアイソフォームがある。NLRP1アイソフォーム1(UniProt識別番号:Q9C000-1、NACβ、DEFCAP-L、NALP1-Lとしても知られる)は1,473個のアミノ酸からなり、カノニカル配列として選択されている(配列番号91)。NLRP1アイソフォーム2(UniProt識別番号:Q9C000-2、NACα、DEFCAP-S、NALP1-Sとしても知られる)は、1,429個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:1262~1305:欠失。NLRP1アイソフォーム3(UniProt識別番号:Q9C000-3、NACγとしても知られる)は、1,399個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:(i)958~987:欠失;及び(ii)1262~1305:欠失。NLRP1アイソフォーム4(UniProt識別番号:Q9C000-4、NACδとしても知られる)は、1,443個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:958~987:欠失。NLRP1アイソフォーム5(UniProt識別番号:Q9C000-5)は、1,375個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:(i)1044~1044:A→AGKSH、(ii)1354~1371:DLMPATTLIPPARIAVPS→RNTSQPWNLRCNRDARRY、及び(iii)1372~1473:欠失。NLRP1アイソフォーム6(UniProt識別番号:Q9C000-6)は、アミノ酸739個の長さであり、以下の点でカノニカル配列と異なる:1~734:欠失。NLRP1アイソフォーム7(UniProt識別番号:Q9C000-7)は、409個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:(i)1~966:欠失、(ii)1044~1044:A→AGKSH;(iii)1354~1371:DLMPATTLIPPARIAVPS→RNTSQPWNLRCNRDARRY、及び(iv)1372~1473:欠失。下記表1に、異なるNLRP1アイソフォームの配列を示す。
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

【表1-5】

【表1-6】
【0127】
本明細書で使用する場合、「NLRP1」という用語は、細胞によって天然に発現されるNLRP1のあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。特に断らない限り、アイソフォーム1、アイソフォーム2、アイソフォーム3、アイソフォーム4、アイソフォーム5、アイソフォーム6、アイソフォーム7を本明細書ではまとめて「NLRP1」と呼ぶ。
【0128】
NLRP3の調節
NLRP3(NLR family pyrin domain containing 3)(NLRファミリーピリンドメイン含有タンパク質3)は、ヒトではNLRP3遺伝子によってコードされるタンパク質である。NLRP3遺伝子はヒトの第1番染色体の長腕上に位置している(GenBankアクセッション番号NC_000001.11のヌクレオチド247,416,156~247,449,108(+鎖の方向))。NLRP3遺伝子及びそのコードするタンパク質の異名は周知のものであり、「クリオピリン」、「CLR1.1」、「PYPAF1」、「NALP3」、「ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン、ロイシンリッチリピート及びピリンドメイン含有3」、「風邪誘発性自己炎症症候群1タンパク質」、「NACHT、LRR及びPYDドメイン含有タンパク質3」、「PYRIN含有APAF1様タンパク質1」、「難聴、常染色体優性34」、「Caterpillerタンパク質1.1」、「AGTAVPRL」、「NACHTドメイン、ロイシンリッチリピート、及びPYD含有タンパク質3」、「クリオピリン、NACHT、LRR及びPYDドメイン含有タンパク質3」、「アンジオテンシン/バソプレシン受容体AII/AVP様」「C1orf7」、「CIAS1」、「DFNA34」、「FACS」、「All」、「AVP」、「FCU」、「MWS」、「FCAS1」、「KEFH」、及び「風邪自己炎症症候群1タンパク質」が含まれる。
【0129】
ヒトNLRP3タンパク質には、選択的スプライシングから生じる少なくとも6種類の既知のアイソフォームがある。NLRP3アイソフォーム2(UniProt識別番号:Q96P20-1)は1,036個のアミノ酸からなり、カノニカル配列として選択されている(配列番号123)。NLRP3アイソフォーム1(UniProt識別番号:Q96P20-2)は、922個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:(i)721~777:欠失、及び(ii)836~892:欠失(配列番号124)。NLRP3アイソフォーム3(UniProt識別番号:Q96P20-3)は、719個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:720~1036:欠失(配列番号125)。NLRP3アイソフォーム4(UniProt識別番号:Q96P20-4)は、アミノ酸979個の長さであり、以下の点でカノニカル配列と異なる:721~777:欠失(配列番号126)。NLRP3アイソフォーム5(UniProt識別番号:Q96P20-5)は、アミノ酸979個の長さであり、以下の点でカノニカル配列と異なる:836~892:欠失(配列番号127)。NLRP3アイソフォーム6(UniProt識別番号:Q96P20-6)は、1,016個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:776~796:WLGRCGLSHECCFDISLVLSS→C(配列番号128)。下記表2に、異なるNLRP3アイソフォームの配列を示す。
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】
【0130】
本明細書で使用する場合、「NLRP3」という用語は、細胞によって天然に発現されるNLRP3のあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。特に断らない限り、アイソフォーム1、アイソフォーム2、アイソフォーム3、アイソフォーム4、アイソフォーム5、及びアイソフォーム6を本明細書ではまとめて「NLRP3」と呼ぶ。
【0131】
NLRC4の調節
NLRファミリーCARDドメイン含有タンパク質4(NLRC4)は、ヒトではNLRC4遺伝子によってコードされるタンパク質である。NLRC4遺伝子はヒトの第2番染色体上に位置している(GenBankアクセッション番号NC_000002.12のヌクレオチド32,224,449~32,265,743(-鎖の方向))。NLRC4遺伝子(そのコードされたタンパク質を含む)の異名は既知であり、非限定的な例としては、「NLRファミリーCARDドメイン含有タンパク質4」、「CLAN1」、「CLAN」、「ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン、ロイシンリッチリピート及びCARDドメイン含有タンパク質4」、「カスパーゼ動員ドメイン含有タンパク質12」、「CARD、LRR及びNACHT含有タンパク質」、「NOD様受容体C4」、「CARD12」及び「IPAF」が挙げられる。
【0132】
ヒトNLRC4タンパク質には、選択的スプライシングから生じる少なくとも4種類の既知のアイソフォームがある。NLRC4アイソフォーム1(UniProt識別番号:Q9NPP4-1、CLANAとしても知られる)は1,024個のアミノ酸からなり、カノニカル配列として選択されている(配列番号98)。NLRC4アイソフォーム2(UniProt識別番号:Q9NPP4-1、CLANBとしても知られる)は、359個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:89~753:欠失。NLRC4アイソフォーム3(UniProt識別番号:Q9NPP4-3、CLANCとしても知られる)は、156個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:(i)155~156:NG→VL、及び(ii)157~1024:欠失。NLRC4アイソフォーム4(UniProt識別番号:Q9NPP4-4、CLANDとしても知られる)は、92個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:(i)90~92:FHQ→LTA、及び(ii)93~1024:欠失。下記表3に、異なるNLRC4アイソフォームの配列を示す。
【表3】
【0133】
本明細書で使用する場合、「NLRC4」という用語は、細胞によって天然に発現されるNLRC4のあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。特に断らない限り、アイソフォーム1、アイソフォーム2、アイソフォーム3、及びアイソフォーム4を本明細書ではまとめて「NLRC4」と呼ぶ。
【0134】
NLRP6の調節
NOD様受容体ファミリーピリンドメイン含有タンパク質6(NLRP6)は、ヒトではNLRP6遺伝子によってコードされる。NLRP6遺伝子はヒトの第1番染色体上に位置している(GenBankアクセッション番号NC_000011.10のヌクレオチド278,365~285,942(+鎖の方向))。NLRP6遺伝子(そのコードされたタンパク質を含む)の異名は既知であり、非限定的な例として、「PYPAF5」、「ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン、ロイシンリッチリピート及びピリンドメイン含有タンパク質6」、「ACHT、ロイシンリッチリピート及びPYD含有タンパク質6」、「PYRIN含有APAF1様タンパク質5」、「アンジオテンシンII/バソプレッシン受容体」、「NALP6」及び「PAN3」が挙げられる。
【0135】
ヒトNLRP6タンパク質には、選択的スプライシングから生じる少なくとも2種類の既知のアイソフォームがある。NLRP6アイソフォーム1(UniProt識別番号:P59044-1)は892個のアミノ酸からなり、カノニカル配列として選択されている(配列番号102)。NLRP6アイソフォーム2(UniProt識別番号:P59044-2)は、891個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:702~702:欠失。下記表4に、異なるNLRP6アイソフォームの配列を示す。
【表4】
【0136】
本明細書で使用する場合、「NLRP6」という用語は、細胞によって天然に発現されるNLRP6のあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。特に断らない限り、アイソフォーム1及びアイソフォーム2を本明細書ではまとめて「NLRP6」と呼ぶ。
【0137】
NLRP12の調節
NACHT、LRR及びPYDドメイン含有タンパク質12(NLRP12)は、ヒトではNLRP12遺伝子によりコードされているタンパク質である。NLRP12遺伝子はヒトの第19番染色体上に位置している(GenBankアクセッション番号NC_000019.10のヌクレオチド53,793,584~53,824,403(-鎖の方向))。NLRP12遺伝子(そのコードされたタンパク質を含む)の異名は既知であり、非限定的な例として、「PYPAF7」、「NLRファミリーピリンドメイン含有タンパク質12」、「ピリン含有APAF1様タンパク質7」、「NALP12」、「PAN6」、「RNO2」及び「Monarch1」が挙げられる。
【0138】
ヒトNLRP12タンパク質には、選択的スプライシングから生じる少なくとも7種類の既知のアイソフォームがある。NLRP12アイソフォーム1(UniProt識別番号:P59046-1)は1,061個のアミノ酸からなり、カノニカル配列として選択されている(配列番号104)。NLRP12アイソフォーム2(UniProt識別番号:P59046-2)は、1,005個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:976~1031:欠失。NLRP12アイソフォーム3(UniProt識別番号:P59046-3)は、949個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:862~973:欠失。NLRP12アイソフォーム4(UniProt識別番号:P59046-4)は、891個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:862~1031:欠失。NLRP12アイソフォーム5(UniProt識別番号:P59046-5)は287個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:(i)1~717:欠失、(ii)718~748:LSLYRNALGSRGVKLLCQGLRHPNCKLQNLR→MSQAWWHTSVSPATQEAKAGGLLQPRRQRLW、及び(iii)921~977:欠失。NLRP12アイソフォーム6(UniProt識別番号:P59046-6)は、1,004個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:920~976:欠失。NLRP12アイソフォーム7(UniProt識別番号:P59046-7)は、1,062個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:691~691:L→LR。下記表5に、異なるNLRP12アイソフォームの配列を示す。
【表5-1】

【表5-2】

【表5-3】

【表5-4】
【0139】
本明細書で使用する場合、「NLRP12」という用語は、細胞によって天然に発現されるNLRP12のあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。特に断らない限り、アイソフォーム1、アイソフォーム2、アイソフォーム3、アイソフォーム4、アイソフォーム5、アイソフォーム6、アイソフォーム7を本明細書ではまとめて「NLRP12」と呼ぶ。
【0140】
AIM2の調節
ヒトでは、AIM2遺伝子は、インターフェロン誘導性タンパク質AIM2(AIM2)をコードしている。AIM2遺伝子はヒトの第1番染色体上に位置している(GenBankアクセッション番号NC_000001.11のヌクレオチド159,059,226~159,147,096(-鎖の方向))。AIM2遺伝子(そのコードされるタンパク質を含む)の異名は既知であり、非限定的な例として、「Absent In Melanoma 2」及び「PYHIN4」が挙げられる。
【0141】
下記表6に、AIM2タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【表6】
【0142】
本明細書で使用する場合、「AIM2」という用語は、細胞によって天然に発現されるAIM2のあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。特に断らない限り、アイソフォーム1及びアイソフォーム2を本明細書ではまとめて「AIM2」と呼ぶ。
【0143】
IFI16の調節
ヒトでは、γ-インターフェロン誘導性タンパク質IFI-16(IFI-16)は、IFI16遺伝子によってコードされ、この遺伝子は、第1番染色体上に位置している(GenBankアクセッション番号NC_000001.11のヌクレオチド158,969,766~159,024,941(+鎖の方向))。IFI16遺伝子(そのコードされたタンパク質を含む)の異名は既知であり、非限定的な例としては、「IFNGIP1」、「インターフェロン誘導性骨髄分化転写活性化因子」、及び「PYHIN2」が挙げられる。
【0144】
ヒトIFI-16タンパク質には、選択的スプライシングから生じる少なくとも4種類の既知のアイソフォームがある。IFI-16アイソフォーム1(UniProt識別番号:Q16666-1、「IFI 16A」としても知られる)は785個のアミノ酸からなり、カノニカル配列として選択されている(配列番号112)。IFI-16アイソフォーム2(UniProt識別番号:Q16666-2、「IFI 16B」としても知られる)は、729個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:444~499:欠失。IFI-16アイソフォーム3(UniProt識別番号:Q16666-3、「IFI 16C」としても知られる)は、673個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:444~555:欠失。IFI-16アイソフォーム4(UniProt識別番号:Q16666-6)は、729個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:128~183:欠失。下記表7に、IFI-16タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【表7-1】

【表7-2】

【表7-3】
【0145】
本明細書で使用する場合、「IFI-16」という用語は、細胞によって天然に発現されるIFI-16のあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。特に断らない限り、アイソフォーム1、アイソフォーム2、アイソフォーム3、及びアイソフォーム4を本明細書ではまとめて「IFI-16」と呼ぶ。
【0146】
ピリンの調節
ヒトでは、ピリンタンパク質はMEFV遺伝子によってコードされる。MEFV遺伝子はヒトの第16番染色体上に位置している(GenBankアクセッション番号NC_000016.10のヌクレオチド3,242,027~3,256,776(-鎖の方向))。MEFV遺伝子(そのコードされるタンパク質を含む)の異名は既知であり、非限定的な例としては、「MEFV天然免疫調節因子ピリン」、「マレノストリン」、「TRIM20」及び「地中海熱」が挙げられる。
【0147】
ヒトピリンのタンパク質には、選択的スプライシングから生じる少なくとも3種類の既知のアイソフォームがある。ピリンアイソフォーム1(UniProt識別番号:O15553-2)は781個のアミノ酸からなり、カノニカル配列として選択されている(配列番号116)。ピリンアイソフォーム2(UniProt識別番号:O15553-1)は、570個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:93~303:欠失。ピリンアイソフォーム3(UniProt識別番号:O15553-3)は445個のアミノ酸からなり、以下の点でカノニカル配列と異なる:(i)93~303:欠失、及び(ii)587~781:VPELIGAQAH...ICPVGGQGPD→DHSPQHGLGS...GADWRSGTCC。下記表8に、異なるピリンアイソフォームの配列を示す。
【表8】
【0148】
本明細書で使用する場合、「ピリン」という用語は、細胞によって天然に発現されるピリンのあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。特に断らない限り、アイソフォーム1、アイソフォーム2、及びアイソフォーム3を本明細書ではまとめて「ピリン」と呼ぶ。
【0149】
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、参照(例えば、miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象における1つ以上の遺伝子及び/またはタンパク質の発現)と比較してインフラマソームに関連した1つ以上の遺伝子及び/またはタンパク質(例えば、NLRP1、NLRP3、NLRC4、NLRP6、NLRP12、AIM2、IFI16、またはピリン)の発現を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、または少なくとも約300%減少させる。
【0150】
いずれか1つの理論に束縛されるものではないが、いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、miR-485、例えばmiR-485-3pの発現及び/または活性を低下させることにより、インフラマソームに関連した1つ以上の遺伝子及び/またはタンパク質(例えば、NLRP1、NLRP3、NLRC4、NLRP6、NLRP12、AIM2、IFI16、またはピリン)の発現を減少させる。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、miR-485-3pの発現及び/または活性を低下させることができる。
【0151】
いくつかの態様において、本開示のmiR-485阻害剤は、参照(例えば、miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象におけるmiR-485-3pの発現)と比較してmiR-485-3pの発現及び/または活性を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少させる。特定の態様において、本開示のmiR-485阻害剤は、参照(例えば、miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象におけるmiR-485-5pの発現)と比較してmiR-485-5pの発現及び/または活性を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少させる。さらなる態様において、本開示のmiR-485阻害剤は、参照(例えば、miR-485阻害剤を投与しなかった対応する対象におけるmiR-485-3p及びmiR-485-5pの発現)と比較してmiR-485-3p及びmiR-485-5pの両方の発現及び/または活性を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少させる。いくつかの態様では、miR-485-3p及び/またはmiR-485-5pの発現は、miR-485阻害剤の投与後に完全に阻害される。
【0152】
心疾患
本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、心疾患を治療するために使用することができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書において、心疾患の治療を必要とする対象の心疾患を治療する方法であって、miRNA阻害剤を対象に投与することを含む、方法も提供される。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、インフラマソームに関連する遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)(例えば、NLRP1、NLRP3、NLRC4、NLRP6、NLRP12、AIM2、IFI16、ピリン、IL-6、TNF-α、IL-1β、IL-10、IL-1、IL-18またはカスパーゼ1)の発現及び/または活性を減少させることにより、心疾患を治療する。
【0153】
本明細書で使用する場合、「心疾患」という用語は、心臓を冒すあらゆる疾患を指し、疾患が異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連するものである限り、特に限定されない。いくつかの態様では、心疾患は、心筋虚血機能障害、心筋虚血再灌流障害、心筋梗塞(AMI)、虚血、虚血後障害、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心臓線維症、動脈瘤、動脈炎、心筋症(例えば、糖尿病性心筋症、虚血性心筋症)、慢性心不全、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、本明細書で提供されるmiR-485阻害剤による治療に使用され得る心疾患は、心筋虚血/再灌流(I/R)障害を含む。
【0154】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるmiR-485阻害剤の投与は、心疾患に関連した1つ以上の症状を改善することができる。このような症状の非限定的な例としては、胸部不快感(狭心症)、悪心、息切れ;下肢または腕の痛み、しびれ、脱力または冷感;首、顎、咽喉、上腹部または背部の痛み;頻脈、徐脈、眩暈、失神、チアノーゼ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0155】
自己免疫疾患
本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、自己免疫疾患を治療するために使用することができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書において、自己免疫疾患の治療を必要とする対象の自己免疫疾患を治療する方法であって、miR-485阻害剤を対象に投与することを含む、方法も提供される。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、インフラマソームに関連する遺伝子(またはそれのコードされるタンパク質)(例えば、NLRP1、NLRP3、NLRC4、NLRP6、NLRP12、AIM2、IFI16、ピリン、IL-6、TNF-α、IL-1β、IL-10、IL-1、IL-18またはカスパーゼ1)の発現及び/または活性を減少させることにより、自己免疫疾患を治療する。
【0156】
本明細書で使用する場合、「自己免疫疾患」という用語は、宿主の免疫系が非自己分子を自己分子から区別することができないことで、宿主の免疫系が自己分子を攻撃し、破壊することによって引き起こされる疾患を指す。本明細書で使用する場合、「自己分子」(例えば、タンパク質またはDNA)とは、宿主に由来するかまたは宿主に天然に存在する分子を指す。本明細書で使用する場合、「非自己分子」とは、別の分子に由来し、かつ非天然由来の分子を指す。本開示によって治療することが可能な自己免疫疾患は、疾患が異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連するものである限り、特に限定されない。いくつかの態様では、自己免疫疾患はリウマチ性疾患を含む。いくつかの態様では、リウマチ性疾患は、関節リウマチ(RA)、痛風、ベーチェット病、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、IgA血管炎、1型糖尿病、アトピー、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、バセドウ病、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、自己免疫疾患は、関節リウマチである。
【0157】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるmiR-485阻害剤の投与は、自己免疫疾患に関連した1つ以上の症状を改善することができる。このような症状の非限定的な例としては、疲労、関節痛及び腫脹、繰り返す発熱、腺の腫脹、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0158】
腎疾患
本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、腎疾患を治療するために使用することができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書において、腎疾患の治療を必要とする対象の腎疾患を治療する方法であって、miR-485阻害剤を対象に投与することを含む、方法も提供される。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、インフラマソームに関連する遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)(例えば、NLRP1、NLRP3、NLRC4、NLRP6、NLRP12、AIM2、IFI16、ピリン、IL-6、TNF-α、IL-1β、IL-10、IL-1、IL-18またはカスパーゼ1)の発現及び/または活性を減少させることにより、腎疾患を治療する。
【0159】
本明細書で使用する場合、「腎疾患」という用語は、1つ以上の腎機能に悪影響を及ぼし得る任意の疾患または障害を指す。腎疾患が異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連するものである限り、本開示のmiR-485阻害剤を用いて任意の腎疾患を治療することができる。治療可能な腎疾患の非限定的な例としては、急性腎疾患(例えば、毒、外傷、ショック、感染、敗血症、毒素、腎結石などの閉塞、心不全によって引き起こされる)、慢性腎疾患(CKDC)(例えば、加齢、遺伝、腎結石などの閉塞、糖尿病、感染、歯科疾患、免疫疾患、高血圧、甲状腺疾患、がん、先天性腎奇形、先天性多発性嚢胞腎による腎機能の段階的喪失)、末期腎疾患、貧血、腎炎(例えば、急性腎盂腎炎、ループス腎炎、尿細管間質性腎炎)、ネフロパチー(例えば、IgAネフロパチー、糖尿病性ネフロパチー、オキサレートネフロパチー)、急性尿細管壊死、巣状分節性糸球体硬化症、微小変化疾患、高血圧性腎硬化症、糸球体疾患、タンパク尿、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0160】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるmiR-485阻害剤の投与は、腎疾患に関連した1つ以上の症状を改善することができる。このような症状の非限定的な例としては、嘔吐、頻発する尿意切迫感、尿量減少、足首の腫れ、疲労、食欲不振、睡眠障害、筋痙攣、持続性掻痒、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0161】
神経疾患
本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、神経疾患を治療するために使用することができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書において、神経疾患の治療を必要とする対象の神経疾患を治療する方法であって、miR-485阻害剤を対象に投与することを含む、方法も提供される。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、インフラマソームに関連する遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)(例えば、NLRP1、NLRP3、NLRC4、NLRP6、NLRP12、AIM2、IFI16、ピリン、IL-6、TNF-α、IL-1β、IL-10、IL-1、IL-18またはカスパーゼ1)の発現及び/または活性を減少させることにより、神経疾患を治療する。
【0162】
本明細書で使用する場合、「神経疾患」という用語は、中枢神経系及び/または末梢神経系(例えば、脳、脊髄、脳神経、末梢神経、神経根、自律神経系、神経筋接合部、または筋肉)を冒す疾患を指す。本開示から明らかなように、神経疾患が異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連するものである限り、本明細書に記載のmiR-485阻害剤を使用して、任意の神経疾患を治療することができる。いくつかの態様では、miR-485阻害剤で治療することが可能な神経疾患には、てんかん、脳卒中、多発性硬化症、感染症、自閉スペクトラム症、またはそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの態様では、神経疾患は、てんかんである。
【0163】
本明細書で使用する場合、「てんかん」という用語は、脳内の異常な放電によって特徴付けられ、しばしば、意識の変化または低下の突然の短時間のエピソード、不随意運動、または痙攣(すなわち、発作)として現れるさまざまな神経疾患のいずれかを指す。40種類を超える異なる種類のてんかんが存在し、これらはいずれも本開示の範囲内である。これらには、以下のものが含まれる(ただし、これらに限定されない):欠神発作(小発作)、脱力発作、良性ローランドてんかん、小児欠失症、間代発作、複雑部分発作、前頭葉てんかん、熱性発作、乳児スパズム、若年性ミオクロニーてんかん、若年性欠神てんかん、レノックス・ガストー症候群、ランドウ・クレフナー症候群、ミオクロニー発作、ミトコンドリア病、進行性ミオクロニーてんかん、心因性発作、反射性てんかん、ラスムッセン症候群、単純部分発作及びてんかん、二次性全般化発作、側頭葉てんかん、強直間代発作(大発作)、強直性発作、精神運動発作、複雑部分発作及びてんかん、大脳辺縁系てんかん、部分発症発作、全般起始発作、てんかん重積状態、腹部てんかん、無動症発作、自己神経発作、汎発性両側ミオクローヌス、月経関連性てんかん、転倒発作、情動発作、焦点性発作、笑い発作、ジャクソンマーチ、ラフォラ病、運動発作、多焦点性発作、新生児発作、夜間発作、光感受性発作、疑似発作、感覚発作、微細発作、シルビウス発作、離脱発作、視覚反射発作、及びそれらの組み合わせ。最も広く用いられているてんかんの分類法では、てんかん症候群は、発作部位または分布(てんかんの出現及び脳波により明らかとなる)別と原因別とに分類される。症候群は、局在関連性てんかん、全般てんかん、または局在不明てんかんに分類される。
【0164】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるmiR-485阻害剤の投与は、神経疾患に関連した1つ以上の症状を改善することができる。このような症状の非限定的な例としては、錯乱、凝視発作、手脚の制御不能な律動運動、意識または自覚の消失、精神症状、例えば、恐怖、不安、または既視感、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0165】
miR-485阻害剤により治療することが可能な疾患及び障害のさらなる態様は、本開示を通じて示される。
【0166】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤で治療される疾患または障害は、多発性硬化症(MS)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、クリオピリン関連周期症候群(CAPS)、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(GvHD)、関節炎症、接触過敏症、リウマチ性多発筋痛(PMR)、腱炎、滑液包炎、乾癬、関節炎、巨細胞性動脈炎、進行性全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎(炎症性筋症)、天疱瘡、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性皮膚疾患、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症及び関連形態の血管炎(側頭動脈炎及び結節性多発動脈炎)、肝炎、遅発型過敏反応(ツタウルシ皮膚炎など)、脳炎、即時型過敏反応、花粉症、アレルギー、急性アナフィラキシー、リウマチ熱、蜂窩織炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血性損傷)、同種移植片拒絶反応、宿主対移植片拒絶反応、虫垂炎、動脈炎、眼瞼炎、子宮頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、線維症、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、臍炎、卵巣炎、睾丸炎、骨炎、中耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、尿嚢炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、外陰炎、及び外陰膣炎、血管炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、壊死性腸炎、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾患または障害ではない。
【0167】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤で治療される疾患または障害は、肺疾患ではない。いくつかの態様では、miR-485阻害剤で治療される疾患または障害は、喘息、アレルギー性気道炎症、外因性アレルギー性肺胞炎、花粉症、感染症(例えば、インフルエンザ感染)後の過剰炎症、珪肺、石綿肺、気管支拡張症、ベリリア症、タルコーシス、じん肺、閉塞性肺疾患を含む。(COPD)、肺気腫、特発性肺線維症、肺炎、通常間質性肺炎(UIP)、落屑性間質性肺炎、肺炎、細気管支炎、気管支炎、リンパ性間質性肺炎、巨細胞性間質性肺炎、細胞性間質性肺炎、結核、嚢胞性線維症、気管支炎、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺高血圧症(例えば、特発性肺動脈高血圧症(IPAH)(原発性肺高血圧症(PPH)としても知られる)及び二次性肺高血圧症(SPH))、間質性肺疾患、肺水腫、気道の炎症、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾患または障害ではない。
【0168】
いくつかの態様では、miR-485阻害剤で治療される疾患または障害は、代謝性疾患ではない。いくつかの態様では、miR-485阻害剤で治療される疾患または障害は、家族性高コレステロール血症、ゴーシェ病、ハンター症候群、クラッベ病、メープルシロップ尿症、異染性白質ジストロフィー、ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、脳卒中様エピソード(MELAS)、ニーマンピック、フェニルケトン尿症(PKU)、ポルフィリン症、テイ・サックス病、ウィルソン病、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾患または障害ではない。
【0169】
いずれの理論にも束縛されるものではないが、いくつかの態様では、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の対象への投与は、対象の炎症の量を減少させることができる。特定の態様では、炎症の量の減少は、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性(例えば、本明細書に記載のものなど)に関連する1つ以上の症状を改善及び/または緩和することができる。いくつかの態様では、対象の炎症の量は、参照対象(例えば、miRNA阻害剤の投与前の同じ対象、またはmiRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少する。
【0170】
対象の炎症の量は、当該技術分野では周知の任意の適当な方法を使用して測定することができる。例えば、米国特許第7,598,080号、及びLeng,S.X.,et al., J Gerontol A Biol Sci Med Sci 63(8):879-884(Aug.2008)を参照されたい。例えば、いくつかの態様では、対象の炎症の量は、対象の1つ以上の炎症性メディエーターのレベルを測定することによって決定することができる。炎症性メディエーターの非限定的な例としては、プロスタグランジン、ロイコトリエン、血小板活性化因子、活性酸素種、一酸化窒素、サイトカイン、神経ペプチド、補体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、IL-1βを含む。いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、TNF-αを含む。いくつかの態様では、炎症性メディエーターは、TNF-α及びIL-1βの両方を含む。
【0171】
本明細書に記載されるように、インフラマソームは、自然免疫系の一部として炎症プロセスの活性化に重要な役割を果たしている。したがって、いずれか1つの理論に束縛されるものではないが、いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減することができ、ひいては炎症の量を低減することができる。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、インフラマソームの1つ以上の成分(例えば、本明細書に記載のものなど)の発現を調節することによって、インフラマソームの形成及び/または活性化を防止及び/または低減することができる。特定の態様では、miR-485阻害剤を対象に投与することは、対象におけるインフラマソームの量を、参照対象(例えば、miRNA阻害剤の投与前の同じ対象、またはmiRNA阻害剤を投与しなかった対応する対象)における炎症の量と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少させる。
【0172】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、当該技術分野では周知の任意の適当な経路で投与することができる。特定の態様では、miR-485阻害剤は、鼻腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、点眼、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脳室内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、腫瘍内投与、またはそれらの任意の組み合わせで投与される。
【0173】
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、1つ以上のさらなる治療薬と併用することができる。いくつかの態様では、さらなる治療薬とmiR-485阻害剤とは同時に投与される。特定の態様において、さらなる治療薬とmiR-485阻害剤とは順次投与される。
【0174】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は副作用を生じない。特定の態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、対象に投与される際に体重に悪影響を及ぼさない。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、対象に投与される際に死亡率の増加をもたらさず、病理学的異常も引き起こさない。
【0175】
III.本開示で有用なmiRNA-485阻害剤
本開示では、miR-485活性を阻害することができる化合物を開示する(miR-485阻害剤)。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、少なくとも1つのmiR-485結合部位を含むヌクレオチド分子をコードするヌクレオチド配列を含んでおり、ヌクレオチド分子はタンパク質をコードしていない。本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、miR-485結合部位は、標的miRNA核酸配列(すなわち、miR-485)と少なくとも部分的に相補的であるため、miR-485阻害剤はmiR-485の核酸配列とハイブリダイズする。
【0176】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR阻害剤のmiR-485結合部位は、miR-485の核酸配列と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。特定の態様では、miR-485結合部位は、miR-485の核酸配列と完全に相補的である。
【0177】
miR-485のヘアピン前駆体はmiR-485-5p及びmiR-485-3pの両方を生成することができる。本開示との関連で、「miR-485」は、特に断らない限り、miR-485-5p及びmiR-485-3pの両方を包含する。ヒト成熟miR-485-3pは、配列5’- GUCAUACACGGCUCUCCUCUCU-3’(配列番号1;miRBaseアクセッション番号MIMAT0002176)を有する。miR-485-3pの5’-UCAUACA-3’(配列番号49)の5’末端配列はシード配列である。ヒト成熟miR-485-5pは、配列5’-AGAGGCUGGCCGUGAUGAAUUC-3’(配列番号33;miRBaseアクセッション番号MIMAT0002175)を有する。miR-485-5pの5’-GAGGCUG-3’(配列番号50)の5’末端配列はシード配列である。
【0178】
当業者には明らかであるが、ヒト成熟miR-485-3pは、他の種のものと相当の配列類似性を有している。例えば、マウス成熟miR-485-3pは、ヒト成熟miR-485-3pと、5’末端及び3’末端のそれぞれで1個のアミノ酸が異なっている(すなわち、5’末端に余分な「A」があり、3’末端の「C」がない)。マウス成熟miR-485-3pは以下の配列を有する:
【化6】

(配列番号34;miRBaseアクセッション番号MIMAT0003129;下線部はヒト成熟miR-485-3pとの重複部分に相当する)。マウス成熟miR-485-5pの配列はヒトの配列と同一である: 5’-agaggcuggccgugaugaauuc-3’(配列番号33;miRBaseアクセッション番号MIMAT0003128)。このような配列の類似性のため、いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、1つ以上の種に由来するmiR-485-3p及び/またはmiR-485-5pに結合することができる。特定の態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、ヒト及びマウスのmiR-485-3p及び/またはmiR-485-5pに結合することができる。
【0179】
いくつかの態様では、miR-485結合部位は、miR-485-3pの配列(またはその部分配列)と相補的(例えば、完全に相補的)な一本鎖のポリヌクレオチド配列である。いくつかの態様では、miR-485-3pの部分配列は、シード配列を含む。したがって、特定の態様では、miR-485結合部位は、配列番号49に記載される核酸配列と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列相補性を有する。特定の態様では、miR-485結合部位は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のミスマッチを除いてmiR-485-3pと相補的である。さらなる態様では、miR-485結合部位は、配列番号1に記載される核酸配列と完全に相補的である。
【0180】
いくつかの態様では、miR-485結合部位は、miR-485-5pの配列(またはその部分配列)と相補的(例えば、完全に相補的)な一本鎖のポリヌクレオチド配列である。いくつかの態様では、miR-485-5pの部分配列は、シード配列を含む。特定の態様では、miR-485結合部位は、配列番号50に記載される核酸配列と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列相補性を有する。特定の態様では、miR-485結合部位は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のミスマッチを除いてmiR-485-5pと相補的である。さらなる態様では、miR-485結合部位は、配列番号35に記載される核酸配列と完全に相補的である。
【0181】
miRNAのシード領域は、標的mRNAと緊密な二重鎖を形成する。多くのmiRNAは、標的mRNAの3’非翻訳領域(UTR)と不完全に塩基対合し、miRNAの5’近位の「シード」領域が対合特異性の大部分を与える。いずれの理論にも束縛されるものではないが、最初の9個のmiRNAヌクレオチド(シード配列を含む)がより高い特異性を与えるのに対して、この領域の3’側のmiRNAヌクレオチドはより低い配列特異性を与え、それにより、より高度のミスマッチした塩基対合を許容し、2~7位が最も重要であると考えられる。したがって、本開示の特定の態様では、miR-485結合部位は、miR-485のシード配列の全長にわたって完全に相補的(すなわち、100%の相補性)な配列を含む。
【0182】
本開示との関連で使用することができるmiRNA配列及びmiRNA結合配列としては、これらに限定されるものではないが、本明細書に示される配列表の配列の全部または一部、ならびにmiRNA前駆体配列、またはこれらのmiRNAのうちの1つ以上のものの相補体が挙げられる。その配列が、示されるmiRNAの成熟配列またはその相補的配列と少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるようなmiRNAまたはその相補的配列を含めるために名前による特定のmiRNAまたはmiRNA結合部位を含む本開示のあらゆる態様も想到される。
【0183】
特定の態様では、本開示のmiRNA結合配列は、改変された配列がmiR-485に依然として特異的に結合できる限り、本明細書で提供される配列表に示される配列の5’末端、3’末端、または5’末端及び3’末端の両方にさらなるヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの態様では、本開示のmiRNA結合配列は、改変された配列がmiR-485に依然として特異的に結合できる限り、提供される配列表に示される配列に対して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のヌクレオチドにおいて異なり得る。
【0184】
miRNA結合分子またはmiRNAに関して本明細書に記載されるあらゆる方法及び組成物は、合成miRNA結合分子に関して実施することができる点も具体的に想到される。本開示のRNA配列に関連した開示は、対応するDNA配列に等しく適用できる点も理解されよう。
【0185】
いくつかの態様では、本開示のmiRNA-485阻害剤は、ヌクレオチド配列の5’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、miRNA-485阻害剤は、ヌクレオチド配列の3’末端に少なくとも1個のヌクレオチド、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド、少なくとも6個のヌクレオチド、少なくとも7個のヌクレオチド、少なくとも8個のヌクレオチド、少なくとも9個のヌクレオチド、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも11個のヌクレオチド、少なくとも12個のヌクレオチド、少なくとも13個のヌクレオチド、少なくとも14個のヌクレオチド、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも16個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド、または少なくとも20個のヌクレオチドを含む。
【0186】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、約6~約30ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、7ヌクレオチドの長さである。さらなる態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、8ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、9ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、10ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、miR-485阻害剤は、11ヌクレオチドの長さである。さらなる態様では、miR-485阻害剤は、12ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、13ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、14ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、15ヌクレオチドの長さである。さらなる態様では、miR-485阻害剤は、16ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、17ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、18ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、19ヌクレオチドの長さである。特定の態様では、miR-485阻害剤は、20ヌクレオチドの長さである。さらなる態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、21ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、22ヌクレオチドの長さである。
【0187】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、配列番号2~30から選択される配列と、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、miR-485阻害剤は、配列番号2~30からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のミスマッチを場合により含んでもよい。
【0188】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-UGUAUGA-3’(配列番号2)、5’-GUGUAUGA-3’(配列番号3)、5’-CGUGUAUGA-3’(配列番号4)、5’-CCGUGUAUGA-3’(配列番号5)、5’-GCCGUGUAUGA-3’(配列番号6)、5’-AGCCGUGUAUGA-3’(配列番号7)、5’-GAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号8)、5’-AGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号9)、5’-GAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号10)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号11)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号12)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号13)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号14)、または5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGA-3’(配列番号15)を含む。
【0189】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-UGUAUGAC-3’(配列番号16)、5’-GUGUAUGAC-3’(配列番号17)、5’-CGUGUAUGAC-3’(配列番号18)、5’-CCGUGUAUGAC-3’(配列番号19)、5’-GCCGUGUAUGAC-3’(配列番号20)、5’-AGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号21)、5’-GAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号22)、5’-AGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号23)、5’-GAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号24)、5’-GGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号25)、5’-AGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号26)、5’-GAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号27)、5’-AGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号28)、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号29)、またはAGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC(配列番号30)を有する。
【0190】
いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-TGTATGA-3’(配列番号62)、5’-GTGTATGA-3’(配列番号63)、5’-CGTGTATGA-3’(配列番号64)、5’-CCGTGTATGA-3’(配列番号65)、5’-GCCGTGTATGA-3’(配列番号66)、5’-AGCCGTGTATGA-3’(配列番号67)、5’-GAGCCGTGTATGA-3’(配列番号68)、5’-AGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号69)、5’-GAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号70)、5’-GGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号71)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号72)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号73)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号74)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGA-3’(配列番号75)、5’-TGTATGAC-3’(配列番号76)、5’-GTGTATGAC-3’(配列番号77)、5’-CGTGTATGAC-3’(配列番号78)、5’-CCGTGTATGAC-3’(配列番号79)、5’-GCCGTGTATGAC-3’(配列番号80)、5’-AGCCGTGTATGAC-3’(配列番号81)、5’-GAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号82)、5’-AGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号83)、5’-GAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号84)、5’-GGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号85)、5’-AGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号86)、5’-GAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号87)、5’-AGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号88)、5’-GAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号89)、及び5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)からなる群から選択される配列を有する。
【0191】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiRNA阻害剤(すなわち、miR-485阻害剤)は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC -3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%同一であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)と少なくとも90%の類似性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、miRNA阻害剤は、1個の置換または2個の置換を有するヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む。特定の態様では、miRNA阻害剤は、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)または5’-AGAGAGGAGAGCCGTGTATGAC-3’(配列番号90)を含む。特定の態様では、miRNA阻害剤は、ヌクレオチド配列5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)を含む。
【0192】
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、本明細書に開示される配列、例えば、配列番号2~30のいずれか1つと、N末端に少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、または少なくとも5個のさらなる核酸、C末端に少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、または少なくとも5個のさらなる核酸、またはその両方と、を含む。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、本明細書に開示される配列、例えば、配列番号2~30のいずれか1つと、N末端に1個のさらなる核酸及び/またはC末端に1個のさらなる核酸と、を含む。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、本明細書に開示される配列、例えば、配列番号2~30のいずれか1つと、N末端に1個または2個のさらなる核酸及び/またはC末端に1個または2個のさらなる核酸と、を含む。いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、本明細書に開示される配列、例えば、配列番号2~30のいずれか1つと、N末端に1~3個のさらなる核酸及び/またはC末端に1~3個のさらなる核酸と、を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5’-GAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号29)を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5’-AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC-3’(配列番号30)を含む。
【0193】
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、1個のmiR-485結合部位を含む。さらなる態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、少なくとも2個のmiR-485結合部位を含む。特定の態様では、miR-485阻害剤は、3個のmiR-485結合部位を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、4個のmiR-485結合部位を含む。いくつかの態様では、miR-485阻害剤は、5個のmiR-485結合部位を含む。特定の態様では、miR-485阻害剤は、6個以上のmiR-485結合部位を含む。いくつかの態様では、すべてのmiR-485結合部位は同じである。いくつかの態様では、すべてのmiR-485結合部位は異なる。いくつかの態様では、少なくとも1つのmiR-485結合部位が異なる。いくつかの態様では、すべてのmiR-485結合部位は、miR-485-3p結合部位である。他の態様では、すべてのmiR-485結合部位は、miR-485-5p結合部位である。さらなる態様では、miR-485阻害剤は、少なくとも1つのmiR-485-3p結合部位と、少なくとも1つのmiR-485-5p結合部位とを含む。
【0194】
III.a.化学修飾されたポリヌクレオチド
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、少なくとも1つの化学修飾されたヌクレオシド及び/またはヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを含む。本開示のポリヌクレオチドが化学修飾されている場合、ポリヌクレオチドは、「修飾ポリヌクレオチド」と呼ぶことができる。
【0195】
「ヌクレオシド」は、糖分子(例えば、ペントースまたはリボース)またはその誘導体を、有機塩基(例えば、プリンまたはピリミジン)またはその誘導体(本明細書において「核酸塩基」とも称される)とともに含有する化合物を指す。「ヌクレオチド」は、リン酸基を含むヌクレオシドを指す。修飾されたヌクレオチドは、1つ以上の修飾されたまたは非天然ヌクレオシドを含むように、任意の有用な方法により、例えば、化学的に、酵素的に、または組換えにより合成され得る。
【0196】
ポリヌクレオチドは、連結されたヌクレオシドの領域または複数の領域を含み得る。かかる領域は、可変的な骨格結合を有し得る。連結は、標準的なホスホジエステル結合であり得、その場合、ポリヌクレオチドはヌクレオチドの領域を含む。
【0197】
本明細書において開示される修飾されたポリヌクレオチドは、さまざまな異なる修飾を含み得る。いくつかの態様では、修飾されたポリヌクレオチドは、1種、2種、またはそれ以上(任意選択的に異なる)のヌクレオシドまたはヌクレオチド修飾を含有する。いくつかの態様では、修飾されたポリヌクレオチドは、1つ以上の所望の特性、例えば、未修飾ポリヌクレオチドと比較して改善された熱または化学安定性、低減された免疫原性、低減された分解、標的マイクロRNAに対する結合の増加、他のマイクロRNAまたは他の分子に対する低減された非特異的結合を示し得る。
【0198】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、化学修飾されている。本明細書で使用する場合、ポリヌクレオチドに関して、「化学修飾」または必要に応じて「化学修飾された」という用語は、アデノシン(A)、グアノシン(G)、ウリジン(U)、チミジン(T)、またはシチジン(C)リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドに対する、限定されるものではないが、それらの核酸塩基、糖、骨格、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるそれらの位置、パターン、パーセント、または集団のうちの1つ以上における修飾を指す。
【0199】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、同じヌクレオシド種類のすべてもしくはいずれかの均一な化学修飾、または同じヌクレオシド種類のすべてもしくはいずれかにおける同じ出発修飾の漸減滴定(downward titration)によって生成される修飾の群、またはランダムな組み込みを伴うことを除いて同じヌクレオシド種類のすべてもしくはいずれかの測定されたパーセントの化学修飾を有し得る。さらなる態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、ポリヌクレオチド全体にわたって同じヌクレオシド種類のうちの2つ、3つ、または4つの均一な化学修飾を有し得る(例えば、すべてのウリジン及びすべてのシトシンなどが、同じように修飾される)。
【0200】
修飾されたヌクレオチドの塩基対形成は、標準的なアデニン-チミン、アデニン-ウラシル、またはグアニン-シトシン塩基対だけでなく、ヌクレオチド及び/または非標準的もしくは修飾塩基を含む修飾ヌクレオチドの間で形成される塩基対も包含し、ここで、水素結合ドナー及び水素結合アクセプターの配置が、非標準的塩基と標準的塩基との間、または2つの相補的な非標準的塩基構造間の水素結合を可能にする。かかる非標準的塩基対形成の1つの例は、修飾された核酸塩基イノシンとアデニン、シトシン、またはウラシルとの間の塩基対形成である。塩基/糖またはリンカーの任意の組み合わせが、本開示のポリヌクレオチドに組み込まれ得る。
【0201】
当業者は、特に注記される場合を除き、本出願に記載されるポリヌクレオチド配列は、代表的なDNA配列において「T」を列挙するが、配列がRNAを表す場合、「T」は「U」と置換されることを理解するであろう。例えば、本開示のTDは、RNAとして、DNAとして、またはRNA及びDNAユニットの両方を含むハイブリッド分子として投与され得る。
【0202】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、8つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18、20以上)の修飾された核酸塩基の組み合わせを含む。
【0203】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドにおける核酸塩基、糖、骨格結合、またはそれらの任意の組み合わせは、少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%修飾される。
【0204】
(i)塩基修飾
特定の態様では、化学修飾は、本開示(例えば、miR-485阻害剤)のポリヌクレオチド内の核酸塩基に存在する。いくつかの態様では、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオシドは、修飾されたウリジン(例えば、シュードウリジン(ψ)、2-チオウリジン(s2U)、1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)、1-エチル-シュードウリジン(e1ψ)、または5-メトキシ-ウリジン(mo5U))、修飾されたシトシン(例えば、5-メチルシチジン(m5C))、修飾されたアデノシン(例えば、1-メチル-アデノシン(m1A)、N6-メチル-アデノシン(m6A)、または2-メチルアデニン(m2A))、修飾されたグアノシン(例えば、7-メチルグアノシン(m7G)または1-メチルグアノシン(m1G))、またはそれらの組み合わせである。
【0205】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、特定の修飾について均一に修飾される(例えば、完全に修飾される、配列全体にわたって修飾される)。例えば、ポリヌクレオチドは、同じ種類の塩基修飾、例えば、5-メチル-シチジン(m5C)により均一に修飾され得、これは、ポリヌクレオチド配列におけるすべてのシトシン残基が、5-メチル-シチジン(m5C)と置き換えられることを意味する。同様に、ポリヌクレオチドは、配列に存在する任意の種類のヌクレオシド残基について、修飾されたヌクレオシド、例えば、上記に記載されるもののいずれかとの置換により均一に修飾され得る。
【0206】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)は、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)の修飾された核酸塩基の組み合わせを含む。いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)における1種類の核酸塩基の少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%が、修飾された核酸塩基である。
【0207】
(ii)骨格修飾
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわちmiR-485阻害剤)は、ヌクレオシド間に任意の有用な結合を含むことができる。本開示の組成物において有用な、骨格修飾を含むそのような結合としては、これらに限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:3’-アルキレンホスホネート、3’-アミノホスホロアミダート、アルケン含有骨格、アミノアルキルホスホロアミダート、アミノアルキルホスホトリエステル、ボラノホスフェート、-CH-O-N(CH)-CH-、-CH-N(CH)-N(CH)-CH-、-CH-NH-CH-、キラルホスホネート、キラルホスホロチオネート、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレン(メチルイミノ)、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、モルホリノ結合、-N(CH)-CH-CH-、ヘテロ原子ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオシド、ホスフィナート、ホスホロアミダート、ホスホロジチオエート、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、ホスホロチオネート、ホスホトリエステル、PNA、シロキサン骨格、スルファメート骨格、スルフィド、スルホキシド、及びスルホン骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにチオノホスホロアミダート。
【化7】
【0208】
いくつかの態様では、上記に開示される骨格結合の存在は、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)の安定性及び分解に対する耐性を増加させる。
【0209】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)における少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の骨格結合が修飾される(例えば、それらのすべてがホスホロチオエートである)。
【0210】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわち、miR-485阻害剤)に含めることができる骨格修飾は、ホスホロジアミダイトモルホリノオリゴマー(PMO)及び/またはホスホロチオエート(PS)修飾を含む。
【0211】
(iii)糖修飾
本開示のポリヌクレオチド(例えば、miR-485阻害剤)に組み込まれ得る修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドは、核酸の糖に対して修飾され得る。いくつかの態様では、糖修飾は、miR-485核酸配列に対するmiR-485阻害剤の結合の親和性を増加させる。LNAまたは2’-置換糖などの親和性改善ヌクレオチド類似体をmiR-485阻害剤に組み込むことによって、miR-485阻害剤の長さ及び/またはサイズを小さくすることができる。
【0212】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわち、miR-485阻害剤)における少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のヌクレオチドが糖修飾(例えば、LNA)を含有する。
【0213】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドにおける1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22ヌクレオチドユニットが糖修飾される(例えば、LNA)。
【0214】
一般に、RNAは、酸素を有する五員環である糖基リボースを含む。非限定的な例示的修飾ヌクレオチドとしては、リボースにおける酸素の(例えば、S、Se、またはアルキレン、例えば、メチレンまたはエチレンとの)置換;二重結合の付加(例えば、リボースのシクロペンテニルまたはシクロヘキセニルとの置換);リボースの環縮小(例えば、シクロブタンまたはオキセタンの四員環の形成);リボースの環拡大(例えば、追加の炭素またはヘテロ原子を有する、六または七員環の形成、例えば、アンヒドロヘキシトール、アルトリトール、マンニトール、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル、及びホスホロアミダート骨格も有するモルホリノ);多環式形態(例えば、トリシクロ、及び「アンロックド」形態、例えば、グリコール核酸(GNA)(例えば、R-GNAまたはS-GNA、ここで、リボースは、ホスホジエステル結合に結合されたグリコールユニットと置き換えられる)、トレオース核酸(TNA、ここで、リボースは、α-L-トレオフラノシル-(3’→2’)と置き換えられる)、及びペプチド核酸(PNA、ここで、2-アミノ-エチル-グリシン結合が、リボース及びホスホジエステル骨格と置き換わる)が挙げられる。糖基は、リボースにおける対応する炭素と反対の立体化学配置を有する1つ以上の炭素も含有し得る。したがって、ポリヌクレオチド分子は、糖として、例えば、アラビノースを含有するヌクレオチドを含み得る。
【0215】
リボースの2’ヒドロキシル基(OH)は、いくつかの異なる置換基で修飾または置換され得る。2’-位での例示的な置換としては、限定されるものではないが、H、ハロ、任意選択的に置換されたC1~6アルキル;任意選択的に置換されたC1~6アルコキシ;任意選択的に置換されたC6~10アリールオキシ;任意選択的に置換されたC3~8シクロアルキル;任意選択的に置換されたC3~8シクロアルコキシ;任意選択的に置換されたC6~10アリールオキシ;任意選択的に置換されたC6~10アリール-C1~6アルコキシ、任意選択的に置換されたC1~12(ヘテロシクリル)オキシ;糖(例えば、リボース、ペントース、または本明細書に記載されるいずれか);ポリエチレングリコール(PEG)、-O(CH2CHO)CHCHOR(ここで、Rは、Hまたは任意選択的に置換されたアルキルであり、nは、0~20(例えば、0~4、0~8、0~10、0~16、1~4、1~8、1~10、1~16、1~20、2~4、2~8、2~10、2~16、2~20、4~8、4~10、4~16、及び4~20)の整数である);「ロックド」核酸(LNA)(2’-ヒドロキシが、C1~6アルキレンまたはC1~6ヘテロアルキレン架橋により、同じリボース糖の4’-炭素に連結されており、ここで、例示的な架橋としては、メチレン、プロピレン、エーテル、アミノ架橋、アミノアルキル、アミノアルコキシ、アミノ、及びアミノ酸が挙げられる)が挙げられる。
【0216】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわち、mir-485阻害剤)に存在するヌクレオチド類似体は、例えば、2’-O-アルキル-RNAユニット、2’-OMe-RNAユニット、2’-O-アルキル-SNA、2’-アミノ-DNAユニット、2’-フルオロ-DNAユニット、LNAユニット、アラビノ核酸(ANA)ユニット、2’-フルオロ-ANAユニット、HNAユニット、INA(インターカレーティング核酸)ユニット、2’MOEユニット、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、LNAは、例えば、オキシLNA(例えば、β-D-オキシ-LNAまたはα-L-オキシ-LNA)、アミノLNA(例えば、β-D-アミノ-LNAまたはα-L-アミノ-LNA)、チオLNA(例えば、β-D-チオ-LNAまたはα-L-チオ-LNA)、ENA(例えば、β-D-ENAまたはα-L-ENA)、またはそれらの任意の組み合わせである。さらなる態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわちmiR-485阻害剤)に含めることができるヌクレオチド類似体は、ロックド核酸(LNA)、アンロックド核酸(UNA)、アラビノ核酸(ABA)、架橋核酸(BNA)、及び/またはペプチド核酸(PNA)を含む。
【0217】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(すなわち、miR-485阻害剤)は、修飾されたRNAヌクレオチド類似体(例えば、LNA)及びDNAユニットの両方を含み得る。いくつかの態様では、miRNA阻害剤はギャップマーである。例えば、米国特許第8,404,649号、同第8,580,756号、同第8,163,708号、同第9,034,837号(これらのすべてが参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。いくつかの態様では、miRNA阻害剤はマイクロマーである。米国特許公開第US20180201928号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0218】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(少なくとも、miR-485阻害剤)は、エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼ による速やかな分解を防止するための修飾を含むことができる。修飾としては、これらに限定されるものではないが、例えば、(a)末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、脱リン酸化、共役化、反転結合など)、3’末端修飾(共役化、DNAヌクレオチド、反転結合など)、(b)塩基修飾、例えば、修飾塩基、安定化塩基、不安定化塩基、または広範なパートナーのレパートリーと塩基対合する塩基、または共役化塩基による置換、(c)糖修飾(例えば、2’位または4’位における)または糖の置換、ならびに(d)ホスホジエステル結合の修飾または置換を含む、ヌクレオシド間結合の修飾が挙げられる。
【0219】
IV.ベクター及び送達システム
いくつかの態様では、本開示のmiR-485阻害剤は、例えば、異常な(例えば、増加した)インフラマソーム活性に関連した疾患または条件に罹患した対象に、当該技術分野では周知の任意の関連する送達システムを用いて投与することができる。特定の態様では、送達システムはベクターである。したがって、いくつかの態様では、本開示は、本開示のmiR-485阻害剤を含むベクターを提供する。
【0220】
いくつかの態様では、ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの態様では、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターである。いくつかの態様では、ウイルスベクターは、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、またはこれらの任意の組み合わせの血清型を有するAAVである。いくつかの態様では、アデノウイルスベクターは、第3世代アデノウイルスベクターである。ADEASY(商標)は、アデノウイルスベクターコンストラクトを作製するうえで圧倒的に最も一般的な方法である。このシステムは、シャトル(または導入)ベクター及びアデノウイルスベクターの2つのタイプのプラスミドで構成される。目的の導入遺伝子をシャトルベクターにクローニングし、検証し、制限酵素PmeIで直鎖化する。次いで、このコンストラクトを、PADEASY(商標)を含むBJ5183大腸菌細胞であるADEASIER-1細胞に形質転換する。PADEASY(商標)は、ウイルス産生に必要なアデノウイルス遺伝子を含んだ約33Kbのアデノウイルスプラスミドである。シャトルベクターとアデノウイルスプラスミドとは、アデノウイルスプラスミド内への導入遺伝子の相同組み換えを促進する一致した左右のホモロジーアームを有している。標準的なBJ5183に、スーパーコイルを形成したPADEASY(商標)とシャトルベクターを同時形質転換することもできるが、この方法は非組換えアデノウイルスプラスミドの高いバックグラウンドを生じる。次いで、組換えアデノウイルスプラスミドをサイズ及び適当な制限消化パターンについて検証し、導入遺伝子がアデノウイルスプラスミドに挿入され、他のパターンの組み換えが生じていないことを確認する。検証が済んだなら、組換えプラスミドをPacIで直鎖化してITRで挟まれた直鎖状dsDNAコンストラクトを作製する。293または911細胞に直鎖化したコンストラクトをトランスフェクトすると、ウイルスをおよそ7~10日後に回収することができる。この方法以外にも、本明細書に開示される方法を実施するために、本願が出願された時点で当該技術分野において周知のアデノウイルスベクターコンストラクトを作製するための方法を用いることができる。
【0221】
いくつかの態様では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター(例えば第3または第4世代のレンチウイルスベクター)である。レンチウイルスベクターは、1つの細胞株に3つの別々のプラスミド発現システムをトランスフェクトする一過性トランスフェクションシステムで通常は作製される。これらには、導入ベクタープラスミド(HIVプロウイルスの部分)、パッケージングプラスミドまたはコンストラクト、及び異なるウイルスの異種エンベロープ遺伝子(env)を含むプラスミドが含まれる。ベクターの3つのプラスミド成分がパッケージング細胞に入れられ、それが、その後、HIVシェルに挿入される。ベクターのウイルス部分は挿入配列を含んでいるため、ウイルスは細胞系で複製することはできない。現在の第3世代レンチウイルスベクターは、9つのHIV-1タンパク質のうちの3つのみ(Gag、Pol、Rev)をコードしており、これらは組換えによる複製能を有するウイルスの生成を防止するために別々のプラスミドから発現させられる。第4世代レンチウイルスベクターでは、レトロウイルスゲノムはさらに減らされている(例えば、TAKARA(登録商標)LENTI-X(商標)第4世代パッケージングシステムを参照)。
【0222】
当該技術分野では周知の任意のAAVベクターを本明細書に開示される方法で使用することができる。AAVベクターは既知のベクターを含んでよく、それらのバリアント、フラグメント、または融合体を含んでよい。いくつかの態様では、AAVベクターは、AAVタイプ1(AAV1)、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ウシAAV、エビAVV、ヘビAVV、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0223】
いくつかの態様では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されたAAVベクターから誘導される。
【0224】
いくつかの態様では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも2つのAAVベクターから誘導されるキメラベクターである。
【0225】
特定の態様では、AAVベクターは、当該技術分野では周知の少なくとも2つの異なるAAVベクターの領域を含む。
【0226】
いくつかの態様では、AAVベクターは、第1のAAV(例えば、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、またはこれらの任意の組み合わせ)に由来する末端逆位配列と、第2のAAV(例えば、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、またはこれらの任意の組み合わせ)に由来する第2の末端逆位配列と、を含む。
【0227】
いくつかの態様では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3A、AVV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AVV9、AVV10、AVV11、AVV12、AVV13、AAVrh.74、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヤギAVV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、エビAVV、ヘビAVV、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されたAAVベクターの部分を含む。いくつかの態様では、AAVベクターは、AAV2を含む。
【0228】
いくつかの態様では、AAVベクターは、スプライスアクセプター部位を含む。いくつかの態様では、AAVベクターは、プロモーターを含む。当該技術分野では周知の任意のプロモーターを本開示のAAVベクターで使用することができる。いくつかの実施態様では、プロモーターはRNA Pol IIIプロモーターである。いくつかの態様では、RNA Pol IIIプロモーターは、U6プロモーター、H1プロモーター、7SKプロモーター、5Sプロモーター、アデノウイルス2(Ad2)VAIプロモーター、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、プロモーターは、サイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、Sv40プロモーター、PGK1プロモーター、Ubcプロモーター、ヒトβアクチンプロモーター、CAGプロモーター、TREプロモーター、UASプロモーター、Ac5プロモーター、ポリヘドリンプロモーター、CaMKIIaプロモーター、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、TEFプロモーター、GDSプロモーター、ADH1プロモーター、CaMV35Sプロモーター、またはUbiプロモーターである。特定の態様では、プロモーターは、U6プロモーターを含む。
【0229】
いくつかの態様では、AAVベクターは、構成的に活性なプロモーター(構成的プロモーター)を含む。いくつかの態様では、構成的プロモーターは、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、βアクチンプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、レトロウイルス末端反復配列(LTR)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、及び単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターからなる群から選択される。
【0230】
いくつかの態様では、プロモーターは、誘導性プロモーターである。いくつかの態様では、誘導性プロモーターは、組織特異的プロモーターである。特定の態様では、組織特異的プロモーターは、神経細胞、グリア細胞、または神経細胞及びグリア細胞の両方において、AAVベクターのコーディング領域の転写を誘導する。
【0231】
いくつかの態様では、AAVベクターは、1つ以上のエンハンサーを含む。いくつかの態様では、1つ以上のエンハンサーはAAV内に単独で、または本明細書に開示されるプロモーターとともに存在する。いくつかの態様では、AAVベクターは、3’UTRのポリ(A)テール配列を含むいくつかの態様では、3’UTRのポリ(A)テール配列は、bGHポリ(A)、アクチンポリ(A)、ヘモグロビンポリ(A)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、3’UTRのポリ(A)テール配列はbGHポリ(A)を含む。
【0232】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるmiR-485阻害剤は、送達剤とともに投与される。使用することができる送達剤の非限定的な例としては、エクソソーム、リピドイド、リポソーム、リポプレックス、脂質ナノ粒子、細胞外小胞、合成小胞、ポリマー化合物、ペプチド、タンパク質、細胞、ナノ粒子模倣体、ナノチューブ、ミセル、ウイルスベクター、またはコンジュゲートが挙げられる。
【0233】
したがって、いくつかの態様では、本開示は、本開示のmiRNA阻害剤(すなわちmiR-485阻害剤)と、送達剤と、を含む組成物も提供する。いくつかの態様では、送達剤は、例えば、ミセルに自己集合できるかまたはミセルに組み込むことができるキャリアユニットを含む。いくつかの態様では、送達剤は、下式:
[WP]-L1-[CC]-L2-[AM](式I)
または
[WP]-L1-[AM]-L2-[CC](式II)
(式中、
WPは、水溶性バイオポリマー部分であり、
CCは、正に帯電した(すなわち、カチオン性)キャリア部分であり、
AMは、アジュバント部分であり、
L1及びL2は、独立して、任意選択のリンカーである)を有するカチオン性キャリアユニットを含み、
カチオン性キャリアユニットは、約1:1のイオン比で核酸と混合される場合にミセルを形成する。したがって、いくつかの態様では、miR-485阻害剤とカチオン性キャリアユニットとは、互いに混合される際に互いに結合(例えば、共有結合または非共有結合を介して)することができる。
【0234】
いくつかの態様では、本開示のmiRNA阻害剤(すなわち、miR-485阻害剤)を含む組成物は、イオン結合を介してカチオン性キャリアユニットと相互作用する。
【0235】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリグリセロール、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(「POZ」)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリグリセロール、またはポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)を含む。いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、下式:
【化8】

(式中、nは、1~1000である)を有する。
【0236】
いくつかの態様では、nは、少なくとも約110、少なくとも約111、少なくとも約112、少なくとも約113、少なくとも約114、少なくとも約115、少なくとも約116、少なくとも約117、少なくとも約118、少なくとも約119、少なくとも約120、少なくとも約121、少なくとも約122、少なくとも約123、少なくとも約124、少なくとも約125、少なくとも約126、少なくとも約127、少なくとも約128、少なくとも約129、少なくとも約130、少なくとも約131、少なくとも約132、少なくとも約133、少なくとも約134、少なくとも約135、少なくとも約136、少なくとも約137、少なくとも約138、少なくとも約139、少なくとも約140、または少なくとも約141である。いくつかの態様では、nは、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約140~約150、または約150~約160である。
【0237】
いくつかの態様では、水溶性ポリマーは、直鎖状、分枝鎖状、または樹枝状である。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、1つ以上の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7、少なくとも8つ、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、または少なくとも50の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、約30~約50の塩基性アミノ酸を含む。いくつかの態様では、塩基性アミノ酸は、アルギニン、リシン、ヒスチジン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、カチオン性キャリア部分は、約40個のリシンモノマーを含む。
【0238】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、免疫反応、炎症反応、及び/または組織微小環境を調節することができる。いくつかの態様では、アジュバント部分は、イミダゾール誘導体、アミノ酸、ビタミン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、下式:
【化9】

(式中、G1及びG2のそれぞれは、H、芳香環、もしくは1~10アルキルであるか、またはG1とG2はともに芳香環を形成し、nは1~10である)を有する。
【0239】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、ニトロイミダゾールを含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、ジメトリダゾール、プレトマニド、オルニダゾール、メガゾール、アザニダゾール、ベンズニダゾール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、アミノ酸を含む。
【0240】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、下式:
【化10】

(式中、Arは、
【化11】

であり、Z1及びZ2のそれぞれは、HまたはOHである)を有する。
【0241】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、ビタミンを含む。いくつかの態様では、ビタミンは、環式環または環式ヘテロ原子環及びカルボキシル基またはヒドロキシル基を含む。いくつかの態様では、ビタミンは、下式:
【化12】

(式中、Y1及びY2のそれぞれは、C、N、O、またはSであり、nは1または2である)を有する。
【0242】
いくつかの態様では、ビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンM、ビタミンH、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、ビタミンは、ビタミンB3である。
【0243】
いくつかの態様では、アジュバント部分は、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、または少なくとも約20個のビタミンB3を含む。いくつかの態様では、アジュバント部分は、約10個のビタミンB3を含む。
【0244】
いくつかの態様では、組成物は、約120個~約130個のPEGユニットを有する水溶性バイオポリマー部分と、約30個~約40個のリシンを有するポリリシンを含むカチオン性キャリア部分と、約5個~約10個のビタミンB3を有するアジュバント部分と、を含む。
【0245】
いくつかの態様では、組成物は、(i)約100個~約200個のPEGユニットを有する水溶性バイオポリマー部分と、(ii)アミン基を有する約30個~約40個のリシン(例えば、約32個のリシン)と、(iii)それぞれがチオール基を有する約15個~20個のリシン(例えば、それぞれがチオール基を有する約16個のリシン)と、(iv)ビタミンB3に融合された約30個~40個のリシン(例えば、それぞれがビタミンB3に融合された約32個のリシン)と、を含む。いくつかの態様では、組成物溶解度、水溶性ポリマーに結合された標的化部分、例えばLAT1標的化リガンド、例えばフェニルアラニンをさらに含む。いくつかの態様では、組成物中のチオール基は、ジスルフィド結合を形成する。
【0246】
いくつかの態様では、組成物は、(1)(i)約100個~約200個のPEGユニットと、(ii)アミン基を有する約30個~約40個のリシン(例えば、約32個のリシン)と、(iii)それぞれがチオール基を有する約15個~20個のリシン(例えば、それぞれがチオール基を有する約16個のリシン)と、(iv)ビタミンB3に融合された約30個~40個のリシン(例えば、それぞれがビタミンB3に融合された約32個のリシン)と、を含むミセルと、(2)miR485阻害剤(例えば、配列番号30)と、を含み、miR485阻害剤はミセル内に封入される。いくつかの態様では、組成物は、PEGユニットに結合された標的化部分、例えばLAT1標的化リガンド、例えばフェニルアラニンをさらに含む。いくつかの態様では、ミセル中のチオール基は、ジスルフィド結合を形成する。
【0247】
本開示は、本開示のmiRNA阻害剤(すなわちmiR-485阻害剤、例えば配列番号30)を含むミセルであって、miRNA阻害剤と送達剤とが互いに結合した、ミセルも提供する。
【0248】
いくつかの態様では、結合は、共有結合、非共有結合、またはイオン結合である。いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニットのカチオン性キャリア部分の正電荷は、溶液中で本明細書に開示されるmiR-485阻害剤と混合される際にミセルを形成するのに十分であり、溶液中のカチオン性キャリアユニットのカチオン性キャリア部分の正電荷とmiR-485阻害剤(または阻害剤を含むベクター)の負電荷の全体的イオン比は、約1:1である。
【0249】
いくつかの態様では、カチオン性キャリアユニットは、酵素分解から本開示のmiRNA阻害剤(すなわち、miR-485阻害剤)を保護することができる(本明細書に参照によりその全体を援用する、PCT公開第WO2020/261227を参照)。
【0250】
V.医薬組成物
いくつかの態様では、本開示は、対象に投与するのに適した本明細書に開示されるmiR-485阻害剤(例えば、miR-485阻害剤を含むポリヌクレオチドまたはベクター)を含む医薬組成物も提供する。医薬組成物は、一般的に、本明細書に記載されるmiR-485阻害剤(例えば、ポリヌクレオチドまたはベクター)と、薬学的に許容される賦形剤またはキャリアとを、対象への投与に適した形態で含む。薬学的に許容される賦形剤またはキャリアは、投与される特定の組成物、及び組成物を投与するために使用される特定の方法により部分的に決定される。
【0251】
したがって、本開示のmiR-485阻害剤を含む医薬組成物の多種多様な適当な製剤が存在する((例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.18th ed.(1990)を参照)。医薬組成物は一般に、無菌状態で、米国食品医薬品局の適正製造基準(GMP)規制のすべてに完全に準拠したものとして製剤化される。
【0252】
VI.キット
本開示は、本開示のmiRNA阻害剤(例えば、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、ベクター、または医薬組成物)と、必要に応じて使用説明書、例えば本明細書に開示される方法に従った使用説明書と、を含むキットまたは製品も提供する。いくつかの態様では、キットまたは製品は、miR-485阻害剤(例えば、本開示のベクター、例えばAAVベクター、ポリヌクレオチド、または医薬組成物)を1つ以上の容器に含む。いくつかの態様では、キットまたは製品は、miR-485阻害剤(例えば、本開示のベクター、例えばAAVベクター、ポリヌクレオチド、または医薬組成物)と、パンフレットと、を含む。本明細書に開示されるmiR-485阻害剤(例えば、本開示のベクター、ポリヌクレオチド、及び医薬組成物、またはこれらの組み合わせ)は、当該技術分野では周知の確立されたキット形式の1つに容易に組み込むことができる点は当業者には容易に認識されよう。
【0253】
以下の実施例は、例示のために示すものであって、限定のために示すものではない。
【実施例
【0254】
実施例1:miR-485阻害剤の調製
(a)アルキン修飾チロシンの合成:本開示のミセルをBBBのLAT1輸送体に誘導するためのカチオン性キャリアユニットの組織特異的標的化部分(TM、図1を参照)の合成のための中間体として、アルキン修飾されたチロシンを調製した。
【0255】
アセトニトリル(4.0ml)中、N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-チロシンメチルエステル(Boc-Tyr-OMe)(0.5g,1.69mmol)及びKCO(1.5当量,2.54mmol)の混合物を、臭化プロパルギル(1.2当量,2.03mmol)に滴下した。反応混合物を60℃で一晩加熱した。反応後、反応混合物を、水:酢酸エチル(EA)を使用して抽出した。次いで、有機層を、ブライン溶液を使用して洗浄した。粗製物を、フラッシュカラム(ヘキサン中、10%EA)により精製した。次に、得られた生成物を、1,4-ジオキサン(1.0ml)及び6.0MのHCl(1.0ml)中に溶解した。反応混合物を100℃で一晩加熱した。次に、ジオキサンを除去し、EAにより抽出した。水性NaOH(0.5M)溶液をpH値が7になるまで混合物に加えた。反応物質をエバポレーターで濃縮し、12000rpmで0℃で遠心分離した。沈殿物を脱イオン水で洗浄して凍結乾燥した。
【0256】
(b)ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン)(PEG-PLL)の合成:この合成ステップにより、本開示のカチオン性キャリアユニットの水溶性バイオポリマー(WP)及びカチオン性キャリア(CC)を調製した(図1を参照)。
【0257】
ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン)を、モノメトキシPEG(MeO-PEG)を高分子開始剤として用いてLys(TFA)-NCAの開環重合により合成した。要約すると、MeO-PEG(600mg、0.12mmol)及びLys(TFA)-NCA(2574mg、9.6mmol)を、1Mのチオ尿素を含有するDMF及びDMF(またはNMP)中に別々に溶解した。Lys(TFA)-NCA溶液を、マイクロシリンジによりMeO-PEG溶液に滴下し、反応混合物を37℃で4日間撹拌した。反応ボトルをアルゴン及び真空によりパージした。すべての反応をアルゴン雰囲気下で行った。反応後、混合物を過剰量のジエチルエーテル中で沈殿させた。沈殿物をメタノールに再溶解し、冷ジエチルエーテル中で再び沈殿させた。次いで、沈殿物を濾過し、減圧下で乾燥後に白色粉末を得た。PEG-PLL(TFA)のTFA基の脱保護を行うため、次のステップを行った。
【0258】
MeO-PEG-PLL(TFA)(500mg)をメタノール(60mL)に溶解し、1NのNaOH(6mL)をポリマー溶液に撹拌下で滴下した。混合物を撹拌しながら37℃で1日維持した。反応混合物を10mMのHEPESに対して4回及び蒸留水に対して透析した。凍結乾燥後にPEG-PLLの白色粉末を得た。
【0259】
(b)アジド-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン)(N-PEG-PLL)の合成:この合成ステップにより、本開示のカチオン性キャリアユニットの水溶性バイオポリマー(WP)及びカチオン性キャリア(CC)を調製した(図1を参照)。
【0260】
アジド-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン)を、アジド-PEG(N-PEG)を用いてLys(TFA)-NCAの開環重合により合成した。要約すると、N-PEG(300mg,0.06mmol)及びLys(TFA)-NCA(1287mg,4.8mmol)を、1Mのチオ尿素を含んだDMF及びDMF(またはNMP)に別々に溶解した。Lys(TFA)-NCA溶液を、マイクロシリンジによりN-PEG溶液に滴下し、反応混合物を37℃で4日間撹拌した。反応ボトルをアルゴン及び真空によりパージした。すべての反応をアルゴン雰囲気下で行った。反応後、混合物を過剰量のジエチルエーテル中で沈殿させた。沈殿物をメタノールに再溶解し、冷ジエチルエーテル中で再び沈殿させた。次いで、沈殿物を濾過し、減圧下で乾燥後に白色粉末を得た。PEG-PLL(TFA)のTFA基の脱保護を行うため、次のステップを行った。
【0261】
-PEG-PLL(500mg)をメタノール(60mL)に溶解し、1NのNaOH(6mL)を撹拌しながらポリマー溶液に滴下した。混合物を撹拌しながら37℃で1日維持した。反応混合物を10mMのHEPESに対して4回及び蒸留水に対して透析した。凍結乾燥後にN-PEG-PLLの白色粉末を得た。
【0262】
(c)(メトキシまたは)アジド-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン/ニコチンアミド/メルカプトプロパンアミド)(N-PEG-PLL(Nic/SH))の合成:このステップでは、組織特異的アジュバント部分(AM、図1を参照)を本開示のカチオン性キャリアユニットのWP-CCコンポーネントに結合させた。カチオン性キャリアユニットに使用した組織特異的アジュバント部分(AM)は、ニコチンアミド(ビタミンB3)とした。このステップにより、図1に示されるカチオン性キャリアユニットのWP-CC-AMコンポーネントが得られる。
【0263】
アジド-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リジン/ニコチンアミド/メルカプトプロパンアミド)(N-PEG-PLL(Nic/SH))を、N-PEG-PLL及びニコチン酸のEDC/NHSの存在下での化学修飾により合成した。N-PEG-PLL(372mg,25.8μmol)及びニコチン酸(556.7mg,PEG-PLLのNH2に対して1.02当量)を、脱イオン水及びメタノール(1:1)の混合物に別々に溶解した。EDC・HCl(556.7mg,N-PEG-PLLのNHに対して1.5当量)をニコチン酸溶液に加え、NHS(334.2mg,PEG-PLLのNH2に対して1.5当量)を混合物に段階的に加えた。
【0264】
反応混合物をN-PEG-PLL溶液に加えた。反応混合物を撹拌しながら37℃で16時間維持した。16時間後、3,3’-ジチオジプロピオン酸(36.8mg,0.1当量)をメタノールに溶解し、EDC・HCl(40.3mg,0.15当量)、及びNHS(24.2mg,0.15当量)を脱イオン水にそれぞれ溶解した。次いで、NHS及びEDC・HClを、3,3’-ジチオジプロピオン酸溶液に順次加えた。粗製のN-PEG-PLL(Nic)溶液を加えた後、混合液を37℃で4時間撹拌した。
【0265】
精製を行うため、混合物をメタノールに対して2時間透析し、DL-ジチオトレイトール(DTT,40.6mg,0.15当量)を加えた後、30分間活性化した。
【0266】
DTTを除去するため、混合物を、メタノール、脱イオン水中50%のメタノール、脱イオン水に対して順次透析した。
【0267】
d)フェニルアラニン-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リシン/ニコチンアミド/メルカプトプロパンアミド)(Phe-PEG-PLL(Nic/SH))の合成:このステップでは、組織特異的標的化部分(TM)を上記のステップで合成したWP-CC-AMコンポーネントに結合させた。TMコンポーネント(フェニルアラニン)は、ステップ(a)で調製した中間体とステップ(c)の生成物との反応によって調製した。
【0268】
血管内の脳の内皮組織を標的化するため、LAT1を標的とするアミノ酸としてフェニルアラニンを、銅触媒の存在下でのN-PEG-PLL(Nic/SH)とアルキン修飾されたチロシンとの間のクリック反応により導入した。要約すると、N-PEG-PLL(Nic/SH)(130mg,6.5μmol)及びアルキン修飾されたフェニルアラニン(5.7mg,4.0当量)を脱イオン水(または50mMのリン酸ナトリウム緩衝液)に溶解した。次いで、CuSO4・H2O(0.4mg,25mol%)及びTris(3-ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミン(THPTA,3.4mg,1.2当量)を脱イオン水に溶解し、N-PEG-PLL(Nic/SH)溶液を加えた。次いで、アスコルビン酸ナトリウム(3.2mg,2.5当量)を混合液に加えた。反応混合物を、室温で16時間撹拌しながら維持した。反応後、混合物を透析膜(MWCO=7,000)に移し、脱イオン水に対して1日間透析した。最終生成物を凍結乾燥後に得た。
【0269】
(E)ポリイオン複合体(PIC)ミセル製剤-上記に記載したようにして本開示のカチオン性キャリアユニットを調製した後、ミセルを作製した。本実施例に記載されるミセルは、アンチセンスオリゴヌクレオチドペイロードと組み合わされたカチオン性キャリアユニットからなるものである。
【0270】
MeO-PEG-PLL(Nic)またはPhe-PEG-PLL(Nic)とmiRNAを混合することによりナノサイズのPICミセルを調製した。PEG-PLL(Nic)を、0.5mg/mLの濃度でHEPES緩衝液(10mM)に溶解した。次いで、RNAse非含有水中のmiRNA溶液(22.5μM)を、miRNA阻害剤(配列番号2~30)(例えば、AGAGAGGAGAGCCGUGUAUGAC;配列番号30)とポリマーとの比が2:1(v/v)となるようにポリマー溶液と混合した。
【0271】
ポリマーと抗miRNAとの混合比は、ミセル形成条件、すなわち、ポリマー(本開示のキャリア)中のアミンと抗miRNA(ペイロード)中のリン酸との比を最適化することにより決定した。ポリマー(キャリア)と抗miRNA(ペイロード)との混合物を、マルチボルテックスにより3000rpmで90秒間はげしく混合し、室温で30分間維持して、ミセルを安定化した。
【0272】
使用に先立ち、ミセル(10μMの抗miRNA濃度)を4℃で保存した。MeO-ミセルまたはPhe-ミセルを同じ方法を用いて調製し、ミセル調製時に両方のポリマーを混合することにより異なる量のPhe(25%~75%)を含有するミセルも調製した。
【0273】
実施例2:miR-485阻害剤の治療効果の分析
本明細書に記載のmiR-485阻害剤がインビボで治療効果を示すかどうかを評価するため、異常なインフラマソーム活性に関連する疾患(例えば、心疾患、自己免疫疾患、腎疾患及び/または神経疾患)の動物モデルを使用する。動物を、PBSまたはmiR-485阻害剤のいずれかで処理する。いくつかの態様では、miR-485阻害剤を、異なる用量、投与間隔、及び/または投与経路で動物に投与する。miR-485阻害剤の治療効果は、例えば、動物の炎症量を測定すること、及び/または疾患に関連するさまざまな臨床的徴候及び/または病理を観察することによって評価される。いくつかの態様では、インフラマソームに関連する1つ以上の遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)(例えば、NLRP1、NLRP3、NLRP4、NLRP6、NLRP12、AIM2、IFI16、ピリン、IL-6、TNF-α、IL-1β、IL-10、IL-1、IL-18、またはカスパーゼ-1)の発現も、動物で評価される。
【0274】
実施例3:脳内のインフラマソーム関連サイトカインレベルの増加に対するmiR-485阻害剤の効果の分析
本明細書に記載のmiR-485阻害剤が、脳内のLPSまたはAβオリゴマー(AβO)により誘発されるインフラマソームに関連した1つ以上の遺伝子(またはそのコードされるタンパク質)を減少させるかどうかを評価するために、LPS及び/またはAβOで処理したマウス及び初代ミクログリアをmiR-485阻害剤で処理した。本明細書にさらに記載されるように、miR-485阻害剤は、送達剤とともに、または送達剤なしで投与した。以下の試薬を使用した:Sigma-Aldrich(St.Louis,MO,USA)製の大腸菌0111:B4(L4391)由来LPS、AnaSpec(Fremont,CA,USA)製のβ-アミロイド(1-42)(AS-64129-1)。
【0275】
C57BL/6マウスをLPSのIP注射で処理した。miR-485阻害剤を、LPSで処理する6日前に脳室内注射(i.c.v.注射)によりマウスに投与した(送達剤ありまたはなしで)。LPS処理の24時間後にマウスを安楽死させ、脳を頭蓋骨から摘出した。摘出した脳を冷PBSですすいで余分な血液を除去した。脳を2つに切断してから後部及び嗅球を切断した。海馬の内側表面を覆う組織を除去した後、海馬を大脳皮質から分離した。続いて、残りの内部構造を除去して大脳皮質を分離した。
【0276】
IL-6、TNFα及びIL-1βの産生を、組織ホモジネートで評価した。簡潔にいえば、凍結皮質及び海馬を、PMSFを用いた氷冷溶解緩衝液中で30分間インキュベートした後、氷冷溶解緩衝液中で各超音波処理間が2分間隔となるように3×15秒間の超音波処理を行った。各試料を14,000×g、4℃で20分間遠心分離して、核及び大きな破片を含む不溶性物質を除去し、上清中の細胞質タンパク質濃度をタンパク質アッセイにより決定した。次いで、各試料を製造業者のプロトコルに従ってELISAキットで評価した。マウスIL-6(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)、TNF-α(R&D Systems)、IL-10(R&D Systems)及びIL-1β(R&D Systems)用のELISAキットを用いて製造業者の指示に従ってサイトカインを測定した。サイトカインの濃度(pg/ml)を総タンパク質含有量(タンパク質のpg/mg)に正規化した。ELISAにより、皮質(図2A~C)及び海馬(図2D~F)のホモジネート中のインフラマソーム関連サイトカインIL-6、TNF-α及びIL-1βのレベルを測定した。両方の脳ホモジネートで、miR-485阻害剤による処理は、IL-6、TNF-α及びIL-1βのレベルを低下させた。
【0277】
次に、インフラマソームサイトカインのミクログリア産生に対するmiR-485阻害の効果を調べるために、これまでに記載されているようにして出生後1~2日目にC57BL/6Nマウスから初代ミクログリア及びアストロサイトを得て(Tamashiro et al.,2012;Schildge et al.,2013)、10%熱不活化ウシ胎児血清(HI-FBS;Hyclone)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)を添加したDulbecco改変イーグル培地(DMEM;Hyclone,Logan,UT,USA)中で培養した。初代細胞培養用の妊娠したC57BL/6NマウスはKOATECH(Pyeongtaek,Korea)から提供された。すべての動物の手順は、動物のケアに関する建陽大学ガイドラインに従って行った(許諾番号:P-18-18-A-01)。脳全体を無血清培地中で滅菌バサミで切り刻み、トリプシン-EDTA(0.25%)溶液を用いて3~5分間、37℃のCO2インキュベーター内でインキュベートした。この培地を、トリプシン不活化用の同量のトリプシン-EDTAに加え、ピペッティングにより脳をホモジナイズした。ホモジナイズした細胞を、ポアサイズ70μmのメッシュでろ過し、脳1個当たり総体積5mLの無血清培地とともに満たし、1500rpmで10分間遠心分離した。細胞を脳1.5個ごとに100mmの皿に播種した。4~6日間のプレート培養の後、培地を新しい培地に交換した。2日後から、培地の半分を2~3日ごとに新しい培地に交換した。12~14のプレート培養後、播種するために手でタッピングして初代ミクログリアを単離した。ミクログリアを除去した後、5mLの新しい培地を加え、振盪を継続してオリゴデンドロサイト前駆細胞を除去した。トリプシン-EDTAを用いて単離した後、一次アストロサイトを100mmの皿に播種した。抗Iba-1抗体及び抗GFAP抗体をマーカーとしてそれぞれ免疫染色することにより、特異的なミクログリア及びアストロサイトの分離を確認した。
【0278】
単離した初代ミクログリアを培養し、LPS及びmiR-485阻害剤(送達剤なし)で処理した。24時間後に上清を回収し、ELISAを行ってIL-6及びTNF-αのレベルを定量化した(図2G)。一部の試料では、上清を回収する1時間前に、LPS及びmiR-485阻害剤で処理した初代ミクログリアをATPで刺激し、IL-1βのレベルをELISAにより測定した(図2H)。miR-485阻害剤で処理した初代ミクログリアの上清は、IL-6、TNF-α及びIL-1βのレベルの低下を示した。
【0279】
また、単離した初代ミクログリアを培養し、AβO及びmiR-485阻害剤(送達剤なし)でも処理した。上記と同様、24時間後に上清を回収し、ELISAを行ってIL-6及びTNF-αのレベルを定量化した(図2I)。一部の試料では、AβO及びmiR-485阻害剤による処理に加えて、LPSで初代ミクログリアを刺激し、上清を採取し、IL-1βのレベルをELISAにより測定した(図2J)。miR-485阻害剤で処理した初代ミクログリアの上清は、IL-6、TNF-α及びIL-1βのレベルの低下を示した。
【0280】
まとめると、これらの結果は、本明細書に記載のmiR-485阻害剤が脳内のインフラマソーム関連サイトカインの増加を軽減し、脳ミクログリア活性化を調節することにより神経疾患を治療できることを実証するものである。
【0281】
実施例4:NLRP3インフラマソーム活性化に対するmiR-485阻害剤の効果の分析
本明細書に記載のmiR-485阻害剤がNLRP3インフラマソーム活性化を低下させるかどうかを評価するため、初代ミクログリアを単離し、LPS及び/またはAβOまたはATPで刺激し、上記のようにmiR-485阻害剤(送達剤なし)で処理した。処理後、IL-1β、NLRP3及びカスパーゼ-1のタンパク質レベルを、ウェスタンブロットで測定した。プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche,Basel,Switzerland)、ホスファターゼ阻害剤カクテル2(Sigma-Aldrich,P5726)、及びホスファターゼ阻害剤カクテル3(Sigma-Aldrich,P0044)を用いてRIPA緩衝液(iNtRON Biotechnology,Seongnam,Korea)中で細胞溶解を行い、13,000rpmで4℃にて15分間遠心分離した。上清の濃度を、DCタンパク質アッセイ試薬(Bio-Rad,Hercules,CA,USA)を使用して測定した。次いで、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)で各タンパク質を分離し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)メンブレン(Millipore,Burling-ton,MA,USA)に転写した。メンブレンを適切な一次抗体とインキュベートした。種特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合二次抗体を用いて結合抗体を検出した。対象のタンパク質のバンドを、化学発光検出を用いて分析した。使用した抗体は以下の通りである:Santa Cruz Biotechnology製のβ-アクチン(sc-47778)、Abcam(Cambridge,UK)製のIL-1β(ab9722)、AdipoGen Life Sciences(San Diego,CA,USA)製のNLRP3(AG-20B-0014-C100)及びカスパーゼ-1(AG-20B-0042-C100)。miR-485阻害剤による処理は、LPS及びATPで刺激した初代ミクログリア(図3A)と、LPS及びAβOで刺激した初代ミクログリア(図3B)とでIL-1β、NLRP3及びカスパーゼ-1の相対的タンパク質レベルを低下させた。
【0282】
異なる処理群における初代ミクログリアのカスパーゼ-1活性レベルを測定するため、カスパーゼ-1生物発光分析を行った。miR-485阻害剤による処理は、LPS+ATP(図3C)及びLPS+AβO(図3D)で刺激した初代ミクログリアの両方でカスパーゼ-1活性を低下させた。
【0283】
以上をまとめると、上記の結果は、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の抗炎症効果を実証するものであり、これらのmiR-485阻害剤が、抗炎症効果により本明細書に記載されるさまざまな疾患及び障害(例えば、神経疾患、心疾患、腎疾患、及び自己免疫疾患)の治療に適していることを示唆するものである。
【0284】
実施例5:血中及び腹腔マクロファージにおけるインフラマソーム関連サイトカイン発現に対するmiR-485阻害剤の効果の分析
本明細書に記載のmiR-485阻害剤が、脳以外の組織におけるインフラマソーム関連サイトカインの発現を減少させるかどうかを評価するため、C57BL/6NマウスにLPSを腹腔内(IP)注射し、処理群のマウスにはLPS注射の1日前に静脈内(IV)注射によりmiR-485阻害剤(送達剤とともに)を投与した。この後、血清及び腹膜マクロファージの試料を採取し、インフラマソーム関連サイトカイン発現レベルを評価した。
【0285】
上記のように、マウスの血液中のIL-6、TNF-α及びIL-1βのレベルをELISAにより測定した(図4A~C)。miR-485阻害剤で処理したマウスは、血液中のIL-6、TNF-α及びIL-1βレベルの低下を示した。
【0286】
腹腔マクロファージにおけるIl-6、Tnf、Il-10、Nlrp3、Il-1、及びIl-18のmRNAレベルを、定量的RT-PCR(qPCR)により測定した。8週齢のC57BL/6マウスの腹膜から腹腔マクロファージを得た。3%Brewerチオグリコレート培地をIP注射した4日後に、冷PBSを充填した針を腹壁から各麻酔済みマウスに挿入し、腹腔液をゆっくりと吸引した。遠心分離後に細胞ペレットを回収した。この後、スモール及びラージRNAキット(Macherey-Nagel,Allentown,PA,USA)とQIAzol溶解試薬(Qiagen,Hilden,Germany)を使用して全RNAを単離した。miScript II RT Kit(Qiagen)を使用してmiRNAを検出及び定量するためのcDNA合成を行った。この逆転写産物に、TaqMan(商標)miRNAアッセイ(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA,USA)とプライマーを使用してqRT-PCRを行った。TOPscript(商標)RT DryMIX(Enzynomics,Daejeon,Korean)を使用してmRNAを検出及び定量するためのcDNA合成を行った。この逆転写産物に、TOPreal(登録商標)qPCR 2×PreMIX、SYBR Green(Enzynomics)とプライマーを使用してqRT-PCRを行った。PCRプライマーは商業的に合成されたものを用いた(Bioneer,Daejeon,Korea)。CFX96 Real-Time System(Bio-Rad)を使用して、すべてのプライマーに50サイクルの増幅を適用した。参照遺伝子としてGAPDHを用いて正規化を行った。miR-485阻害剤による処理により、腹腔マクロファージにおけるIl-6、Tnf、Il-10、Nlrp3、Il-1、及びIl-18の発現が低下した(図4D~E)。
【0287】
以上をまとめると、上記の結果は、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の抗炎症作用を実証するものであり、これらのmiR-485阻害剤が、抗炎症作用により心疾患及び腎疾患の治療に適していることを示唆するものである。
【0288】
実施例6:骨髄由来マクロファージにおけるインフラマソーム関連サイトカイン発現に対するmiR-485阻害剤の効果の分析
本明細書に記載のmiR-485阻害剤が他の組織におけるインフラマソーム関連サイトカインの発現を減少させるかどうかをさらに評価するため、上記のようにC57BL/6NマウスをLPS及びmiR-485阻害剤(送達剤とともに)で処理し、骨髄由来マクロファージ(BMDM)におけるインフラマソーム関連サイトカインの発現を測定した。6~7週齢のマウスの大腿骨及び脛骨に冷PBSを押し流して骨髄細胞を押し出すことによってBMDMを得た後、10%HI-FBS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI 1640(GIBCO)培地中で分化及び増殖させた。
【0289】
インフラマソーム関連サイトカインの分泌を上記のようにELISAにより測定した。miR-485阻害剤による処理は、BMDMにおけるIL-6、TNF-α、IL-10(図5A)、ならびにIL-1β及びIL-18(図5B)の分泌を減少させた。BMDMにおけるカスパーゼ-1活性を、上記のように生物発光アッセイによって測定した。miR-485阻害剤による処理は、BMDMのカスパーゼ-1活性を低下させた(図5C)。
【0290】
以上をまとめると、上記の結果は、本明細書に記載のmiR-485阻害剤の抗炎症作用を実証するものであり、これらのmiR-485阻害剤が、抗炎症作用により関節リウマチを含む自己免疫疾患の治療に適していることを示唆するものである。
【0291】
***
特許請求の範囲を解釈するうえで、「発明の概要」及び「要約」のセクションではなく、「発明の詳細な説明」のセクションを用いることが意図されている点は認識されるべきである。発明の概要及び要約セクションは、本発明者(複数可)により意図される1つ以上であるが、すべてではない本開示の例示的態様を示し得、したがって、本開示及び添付の特許請求の範囲を如何様にも限定することを意図しない。
【0292】
本開示は、特定の機能及びそれらの関係の実施を示す機能的構成単位を用いて上記された。これらの機能的要素の境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。特定の機能及びそれらの関係性が適切に実施されている限り、代替的な境界を定義することもできる。
【0293】
具体的な態様の上記の具体的な説明は本開示の一般的な性質を余すところなく示しているため、他者は、当業者の技能の範囲内の知識を適用することで、不要な実験を行うことなく、本開示の一般的概念から逸脱せずに、かかる具体的な態様を容易に改変し、かつ/またはさまざまな用途に適合させることができる。したがって、そのような適合及び改変は、本明細書に示される教示及び助言に基づき、開示される態様の均等物の意味及び範囲内に包含されるものとする。本明細書における語句または用語は、説明を目的としたものであって、限定を目的とするものではなく、本明細書における語句または用語は本明細書の教示及び助言を考慮することで当業者によって理解されるはずである。
【0294】
本開示の幅及び範囲は、上記に記載した例示的な態様のいずれによっても限定されるべきでなく、下記の請求項及びそれらの均等物のみにしたがって定義されるべきものである。
【0295】
本出願全体を通じて引用され得る全ての引用参考文献(参考文献、特許、特許出願、及びウェブサイトを含む)の内容の全体を、あらゆる目的で、参照によって本明細書に明示的に援用し、また、それらに引用される文献も同様に援用する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
【配列表】
2024522216000001.app
【国際調査報告】