(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】増強型イメージングシステム及びその実現方法
(51)【国際特許分類】
A61C 19/04 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
A61C19/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577455
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2022099487
(87)【国際公開番号】W WO2022262852
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110680210.X
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519341142
【氏名又は名称】ズーマックス メディカル コーポレーション,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 吉龍
(72)【発明者】
【氏名】ナドー ボビー
(72)【発明者】
【氏名】李 剣月
(72)【発明者】
【氏名】邱 涛
(72)【発明者】
【氏名】胡 壮壮
(72)【発明者】
【氏名】黄 彬
(72)【発明者】
【氏名】陳 健
(72)【発明者】
【氏名】何 進
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052LL01
4C052NN15
(57)【要約】
本発明は増強型イメージングシステム及びその実現方法に関するものである。増強型イメージングシステムは、メディア信号処理装置、増強型イメージング装置、顕微鏡本体及び両眼接眼レンズ鏡筒を含み、増強型イメージング装置はケースとケース内に取り付けられる表示装置及び重畳レンズ組とを含み、表示装置はメディア信号処理装置に通信可能に接続され、重畳レンズ組は顕微鏡本体のメイン光路に取り付けられる。両眼接眼レンズ鏡筒は顕微鏡本体上に取り付けられ、表示装置はメディア信号処理装置が送信する情報データを受信し、かつ受信した情報データを光学画像に変換するように配置される。表示装置が出力した光学画像は重畳レンズ組により顕微鏡本体のメイン光路に重畳することにより重畳画像が形成され、両眼接眼レンズ鏡筒により重畳画像を観察することができる。本発明において、付加情報がついている画像が顕微鏡の観察視野に重畳してることにより使用者は所定の情報を直観的に観察することができる。また、重畳画像と顕微鏡下の実物と比較し、かつ重畳及び統合させることにより手術の正確性と精度を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディア信号処理装置(4)、増強型イメージング装置(2)、顕微鏡本体(1)及び両眼接眼レンズ鏡筒(3)を含み、前記増強型イメージング装置(2)は、ケース(20)、表示装置(21)及び重畳レンズ組を含み、前記表示装置(21)と重畳レンズ組はいずれも前記ケース(20)内に取り付けられ、前記表示装置(21)は前記メディア信号処理装置(4)に通信可能に接続され、前記重畳レンズ組は前記顕微鏡本体(1)のメイン光路に取り付けられ、前記両眼接眼レンズ鏡筒(3)は前記顕微鏡本体(1)上に取り付けられ、前記表示装置(21)は前記メディア信号処理装置(4)が送信する情報データを受信し、かつ受信した情報データを光学画像に変換するように配置され、前記表示装置(21)が出力した光学画像は前記重畳レンズ組により前記顕微鏡本体(1)のメイン光路に重畳することにより重畳画像が形成され、前記両眼接眼レンズ鏡筒(3)により重畳画像を観察することができることを特徴とする増強型イメージングシステム。
【請求項2】
前記増強型イメージングシステムは複数の情報入力装置を含み、前記情報入力装置は前記メディア信号処理装置(4)に通信可能に接続され、前記メディア信号処理装置(4)は、複数の前記情報入力装置が入力した情報データを1つの統合情報データに変換し、かつ統合情報データを前記表示装置(21)に送信することを特徴とする請求項1に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項3】
前記表示装置(21)は情報表示領域を含み、前記情報表示領域が前記両眼接眼レンズ鏡筒(3)の観察視野に合うとき、前記メディア信号処理装置(4)によって変換された統合情報データに対応する光学画像は前記情報表示領域に表示され、
前記表示装置(21)は、OLED表示装置、LCD表示装置またはDLP表示装置であることを特徴とする請求項2に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項4】
前記表示装置(21)が出射した光学画像において前記統合情報データに対応する光学画像以外の区域を黒色にすることを特徴とする請求項3に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項5】
前記増強型イメージングシステムは調節装置を更に含み、前記調節装置は前記メディア信号処理装置(4)に通信可能に接続され、前記調節装置は前記メディア信号処理装置(4)に調節情報を入力するように配置され、前記メディア信号処理装置(4)は、前記調節情報により情報入力装置が入力した情報データによって情報表示領域内に表示されている画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度を制御することを特徴とする請求項3に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項6】
前記増強型イメージングシステムは採集装置を更に含み、前記採集装置は前記メディア信号処理装置(4)に通信可能に接続され、前記採集装置は使用者のバイオメトリック情報を随時に採集するように配置され、前記メディア信号処理装置(4)は、バイオメトリック情報制御情報入力装置が入力した情報データにより、情報表示領域内に表示されている画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度等を制御することを特徴とする請求項3に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項7】
前記増強型イメージングシステムは画像採集装置を更に含み、前記画像採集装置は前記メディア信号処理装置(4)に通信可能に接続され、前記画像採集装置は前記顕微鏡本体(1)のメイン光路の画像情報を随時に獲得した後それを前記メディア信号処理装置(4)に送信することを特徴とする請求項1に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項8】
前記情報入力装置は位置決め及びナビゲーション装置を含み、前記位置決め及びナビゲーション装置は手術器具上に取り付けられ、前記位置決め及びナビゲーション装置は前記メディア信号処理装置(4)に通信可能に接続され、前記手術器具上に位置決め及びナビゲーション装置が取り付けられることにより前記手術器具の位置情報を随時に採集して前記メディア信号処理装置(4)に送信することを特徴とする請求項2に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項9】
前記情報入力装置はエンドメーター(11)を含み、前記エンドメーター(11)は前記メディア信号処理装置(4)に通信可能に接続され、前記エンドメーター(11)は、ターゲット歯の根管の長さ情報を測定して得た後、その長さ情報を前記メディア信号処理装置(4)に送信することを特徴とする請求項2に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項10】
前記メディア信号処理装置(4)は携帯型端末であることを特徴とする請求項1に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項11】
前記メディア信号処理装置(4)はタッチスクリーンが取り付けられている携帯型端末であり、前記タッチスクリーンをタッチすることにより、各情報データに対応しかつ前記表示装置(21)に表示されている所定の画像のスイッチ、サイズ、位置または角度を制御することを特徴とする請求項10に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項12】
前記増強型イメージングシステムは端末支持フレーム(9)を更に含み、前記メディア信号処理装置(4)は前記端末支持フレーム(9)により前記増強型イメージング装置(2)の一側または前記顕微鏡本体(1)の一側に取り付けられることを特徴とする請求項10に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項13】
前記端末支持フレーム(9)上には携帯型端末の充電を担当する無線充電モジュールが取り付けられていることを特徴とする請求項12に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項14】
前記増強型イメージング装置(2)は分光レンズ組を更に含み、前記分光レンズ組は前記ケース(20)内に取り付けられ、前記ケース(20)の一側にはダイクロイックインターフェイス(201)が設けられ、前記分光レンズ組は前記顕微鏡本体(1)のメイン光路の一部の光または重畳画像の一部の光は前記ダイクロイックインターフェイス(201)から外部に出射することを特徴とする請求項1または12に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項15】
前記メディア信号処理装置(4)は前記ダイクロイックインターフェイス(201)が出射する光を収集するように配置されることを特徴とする請求項14に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項16】
前記メディア信号処理装置(4)は3Dモデルを表示するように配置され、前記3Dモデルの角度を調節するか或いは、前記3Dモデルのサイズを調節するか或いは、前記3Dモデルの透明性を調節することができることを特徴とする請求項11に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項17】
前記メディア信号処理装置(4)はCBCT画像を表示するように配置され、前記CBCT画像の角度を調節するか或いは、前記CBCT画像のサイズを調節するか或いは、前記CBCT画像の透明性を調節することができることを特徴とする請求項11に記載の増強型イメージングシステム。
【請求項18】
メディア信号処理装置(4)にターゲット対象の情報データを入力するステップと、
前記メディア信号処理装置(4)は入力された情報データを分析するとともに処理し、かつ処理後の情報データを増強型イメージング装置(2)の表示装置(21)に送信するステップと、
前記表示装置(21)は情報データを受信した後、前記情報データを光学画像に変換して表示するステップと、
前記表示装置(21)に表示されている光学画像はレンズ光路により顕微鏡本体(1)のメイン光路の重畳レンズ組に入射し、前記表示装置(21)に表示されている光学画像は前記顕微鏡本体(1)のメイン光路と重畳することにより重畳画像が形成され、前記重畳画像は両眼接眼レンズ鏡筒(3)に入射するステップとを含むことを特徴とする増強型イメージングシステムの実現方法。
【請求項19】
前記情報データはCBCT画像データを含み、前記メディア信号処理装置(4)にCBCT画像データを入力するとき、前記メディア信号処理装置(4)は前記CBCT画像データを分析することによりターゲット口腔の3D画像を獲得し、ターゲット口腔の3D画像中の重要情報を高輝度に表示することにより4つの正投影図を形成し、かつそれを選択された前記表示装置(21)の情報表示領域に表示し、
4つの正投影図においていずれか1つの正投影図上のターゲット歯を選択するとき、前記メディア信号処理装置(4)は、選択された前記ターゲット歯の3D画像と横方向スライスを形成し、かつそれを選択された前記表示装置(21)の情報表示領域に表示することを特徴とする請求項18に記載の増強型イメージングシステムの実現方法。
【請求項20】
前記情報データはターゲット歯の3Dモデルデータ情報を含み、前記メディア信号処理装置(4)にターゲット歯の3Dモデルデータ情報を入力するとき、前記メディア信号処理装置(4)は3Dモデルデータ情報を処理した後、それを選択された前記表示装置(21)の情報表示領域に表示することを特徴とする請求項18に記載の増強型イメージングシステムの実現方法。
【請求項21】
前記情報データは付加情報データを更に含み、前記メディア信号処理装置(4)に付加情報データを入力するとき、前記メディア信号処理装置(4)は付加情報データを処理した後、それを前記表示装置(21)の情報表示領域に表示することを特徴とする請求項18に記載の増強型イメージングシステムの実現方法。
【請求項22】
前記メディア信号処理装置(4)が前記表示装置(21)に情報データを送信するとき、前記メディア信号によりすべての情報データを1つの統合情報データに統合させ、かつその統合情報データを前記表示装置(21)に送信して表示し、各情報データにより前記表示装置(21)に表示されている所定の画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度を調節することを特徴とする請求項19~21のうちいずれか一項に記載の増強型イメージングシステムの実現方法。
【請求項23】
前記メディア信号処理装置(4)が前記CBCT画像データを分析することは、
前記CBCT画像データが記憶されているフォルダパスを獲得するステップと、
DICOMシーケンス及びシーケンス情報を獲得するステップであって、前記シーケンス情報は、シーケンスパス、スライス数量及び各画像を含むステップと、
前記シーケンス情報によりシーケンスを選択し、かつシーケンスをデータベースに添加した後、シーケンスパスを出力するステップと、
シーケンス基本情報を分析し、分析後の基本情報をシーケンシャルボリュームデータ構造に記憶するとともにシーケンス本体データ情報を出力し、データ制御スレッドはシーケンス本体データ情報を受信するとともに画像の表示とインタラクティブを制御するステップと、
4つの正投影図の画像を表示するとともにインタラクティブするとき、インターフェイスとインタラクティブすることによりターゲット歯を選択し、選択した選択情報を歯分割モジュールに入力することにより歯を分割し、分割後の歯の3D画像をデータ制御スレッドに出力し、データ制御スレッドは画像の表示とインタラクティブを絶え間なく確保するステップとを含むことを特徴とする請求項19に記載の増強型イメージングシステムの実現方法。
【請求項24】
シーケンスパスを出力した後、シーケンス基本情報を分析し、分析後の基本情報をシーケンススライス情報ベースに記憶するとともに出力するステップと、実例管理モジュールは分析後の基本情報を受信した後、分析後の基本情報をデータベースに添加するステップとを更に含むことを特徴とする請求項23に記載の増強型イメージングシステムの実現方法。
【請求項25】
4つの正投影図の画像を表示するとともにインタラクティブするとき、インターフェイスとのインタラクティブにより輸出パスを選択し、選択情報をパス制御モジュールに入力して記憶するとともにパスを管理し、データ制御スレッドは画像の表示とインタラクティブを絶え間なく確保することを特徴とする請求項23に記載の増強型イメージングシステムの実現方法。
【請求項26】
画像採集装置が取り付けられることにより前記顕微鏡本体(1)のメイン光路の画像情報を随時に獲得し、かつその画像情報を前記メディア信号処理装置(4)に送信し、前記メディア信号処理装置(4)は画像採集装置が獲得した画像情報により、メイン光路の画像情報においてターゲット歯に対応する横方向スライスを選択し、かつ横方向スライスをターゲット歯の画像上に重畳させることを特徴とする請求項19に記載の増強型イメージングシステムの実現方法。
【請求項27】
手術器具上に位置決め及びナビゲーション装置が取り付けられることにより手術器具の位置情報を随時に採集して前記メディア信号処理装置(4)に送信し、前記メディア信号処理装置(4)は、ターゲット歯の画像データを処理することによりターゲット歯を処理する最適路線を獲得し、かつ前記手術器具の位置情報及び前記手術器具と最適路線との間の相対的位置情報を選択された前記表示装置(21)の情報表示領域に表示することを特徴とする請求項19に記載の増強型イメージングシステムの実現方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科の診療に関する技術分野に属し、特に、手術顕微鏡に使用される増強型イメージングシステム及びその実現方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の診断方法が体外診断(in vitro diagnosis)、マイクロセラピー(Microtherapy)、医用画像(Medical imaging)、最小侵襲的治療(minimally invasive treatment)等の分野において迅速に発展することにより、学際的(interdisciplinary)、多学科的(multidisciplinary)な総合的治療方法が多く提案されている。医用画像装置の発展に伴い、医用画像技術も多く発展している。医用画像におけるCT、MR、介入放射線学、超音波、核医学等のサブディクショッキング(subdiscipline)が次第に確立され、医用画像技術も次第に具体化してきた。
【0003】
医用画像情報は、敏感性、直観性、特異性、及び早期性の特徴を有している。画像分析方法は、定性から定量に発展し、診断情報表示から手術路線案内に発展している。画像の撮影と表示は2Dアナログ信号から3Dデジタル信号に発展している。画像の記憶は、フィルムハードコピー(Film hard copy)からソフトコピーと無フィルム化に発展し、画像輸送のネットワーク化に発展している。また、シングルイメージング技術から統合(Integrated)イメージング技術に発展している。
【0004】
医用画像のデジタル化、ネットワーク化、統合化を実現するため、診断、技術、工程に関する3つの専門技術を融合させる必要がある。ただ1つの専門技術により現在の医用画像手段の機能を実現することができない。
【0005】
例えば、根管(Root canal)を治療するとき、医者は歯髄腔(Dental pulp cavity)を拡開することによりすべての根管を探し出して処理する必要がある。1つの歯は1~4個の根管を含み、後歯の根管の数量が最も多い。年齢に関する変化(age related change)、修復象牙質(reparative dentin)の沈積、象牙質(denticle)、歯髄腔の石灰化(calcification)、根管形状の変化等が多根管含有歯に生ずる場合、根管オリフィス(Root canal orifice)を容易に見つけることができない。その場合、歯の3D解剖形態を採用することにより、様々な方向と位置において歯髄腔の解剖形態を観察することができる。様々な角度で撮影したX線写真により、歯根(tooth root)と根管の数量、形状、位置、方向及び湾曲状況と、歯根と歯冠(dental crown)との間の関係と、歯根及び根管の様々な変異状況等を把握することができる。一部の歯は、4個の根管だけでなく、側管(lateral canal)、副根管(accessory root canal)、先端ラミフィケーション(apical ramification)及び先端分岐(apical furcation)を更に含むこともできるので、歯を拡大して観察してもそれらを見逃すおそれがある。根管の位置を予測するとき、小型球形ドリルにより根管予測位置または根管予測位置の発達溝(developmental groove)付近の少量の象牙質を除去する必要がある。つぎに、ゾンデで所定の石灰化領域を穿刺することにより、歯頸部(tooth cervix)が除去された根管オリフィスの象牙質首輪(Dentin collar)を予測し、根管オリフィスの位置を露出させる。根管オリフィスの石灰化等が存在するとき、存在の可能性がある様々な位置を探し出す必要がある。それにより健康の歯組織を除去するおそれがある。
【0006】
手術をする前、医者は歯の写真を撮ることにより根管の数量と形状を確定することができる。しかしながら、医者は、根管の形状を覚える必要があり、(根管の形状を思い出せないとき)手術を一時停止して歯の写真を再び観察する必要がある。歯の写真は2D平面画像であることにより、根管の立体的形状を正確に表すことができない。実の根管は曲がっているので、歯の2D写真により根管の位置を正確に確定することができない。
【0007】
CBCT等の立体画像(Stereoscopic image)は複雑でありかつ記憶しにくいとの欠点を有している。医者が手術をするとき、歯の立体的構造を頭に記憶し、かつ顕微鏡で観察する歯の立体的構造と頭に記憶されている歯の立体的構造を比較し、重畳させ、融合させる必要があるので、多い手間がかかり、手術の正確性と精度を確保することができない。
【0008】
従来の技術の技術的欠点を解決するため、新しい技術的事項を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術の欠点を解決するため、本発明は手術顕微鏡の増強型イメージングシステム及びその実現方法を提供する。具体的な事項はつぎのとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例において増強型イメージングシステムを提供する。前記増強型イメージングシステムは、メディア信号処理装置、増強型イメージング装置、顕微鏡本体及び両眼接眼レンズ鏡筒を含み、前記増強型イメージング装置は、ケース、表示装置及び重畳レンズ組を含み、前記表示装置と重畳レンズ組はいずれも前記ケース内に取り付けられ、前記表示装置は前記メディア信号処理装置に通信可能に接続され、前記重畳レンズ組は前記顕微鏡本体のメイン光路に取り付けられ、前記両眼接眼レンズ鏡筒は前記顕微鏡本体上に取り付けられ、前記表示装置は前記メディア信号処理装置が送信する情報データを受信し、かつ受信した情報データを光学画像に変換するように配置され、前記表示装置が出力した光学画像は前記重畳レンズ組により前記顕微鏡本体のメイン光路に重畳することにより重畳画像が形成され、前記両眼接眼レンズ鏡筒により重畳画像を観察する。
【0011】
本発明の増強型イメージングシステムは複数の情報入力装置を含み、前記情報入力装置は前記メディア信号処理装置に通信可能に接続され、前記メディア信号処理装置は、複数の前記情報入力装置が入力した情報データを1つの統合情報データに変換し、かつ統合情報データを前記表示装置に送信する。
【0012】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記表示装置は情報表示領域を含み、前記情報表示領域が前記両眼接眼レンズ鏡筒の観察視野に合うとき、前記メディア信号処理装置によって変換された統合情報データに対応する光学画像は前記情報表示領域に表示され、前記表示装置は、OLED表示装置、LCD表示装置またはDLP表示装置である。
【0013】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記表示装置が出射した光学画像において前記統合情報データに対応する光学画像以外の区域を黒色にする。
【0014】
本発明の増強型イメージングシステムは調節装置を更に含み、前記調節装置は前記メディア信号処理装置に通信可能に接続され、前記調節装置は前記メディア信号処理装置に調節情報を入力するように配置され、前記メディア信号処理装置は、前記調節情報により情報入力装置が入力した情報データによって情報表示領域内に表示されている画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度を制御する。
【0015】
本発明の増強型イメージングシステムは採集装置を更に含み、前記採集装置は前記メディア信号処理装置に通信可能に接続され、前記採集装置は使用者のバイオメトリック情報を随時に採集するように配置され、前記メディア信号処理装置は、バイオメトリック情報制御情報入力装置が入力した情報データにより、情報表示領域内に表示されている画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度等を制御する。
【0016】
本発明の増強型イメージングシステムは画像採集装置を更に含み、前記画像採集装置は前記メディア信号処理装置に通信可能に接続され、前記画像採集装置は前記顕微鏡本体のメイン光路の画像情報を随時に獲得した後それを前記メディア信号処理装置に送信する。
【0017】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記情報入力装置は位置決め及びナビゲーション装置を含み、前記位置決め及びナビゲーション装置は手術器具上に取り付けられ、前記位置決め及びナビゲーション装置は前記メディア信号処理装置に通信可能に接続され、前記手術器具上に位置決め及びナビゲーション装置が取り付けられることにより前記手術器具の位置情報を随時に採集して前記メディア信号処理装置4に送信する。
【0018】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記情報入力装置はエンドメーターを含み、前記エンドメーターは前記メディア信号処理装置に通信可能に接続され、前記エンドメーターは、ターゲット歯の根管の長さ情報を測定して得た後、その長さ情報を前記メディア信号処理装置に送信する。
【0019】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記メディア信号処理装置は携帯型端末である。
【0020】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記メディア信号処理装置はタッチスクリーンが取り付けられている携帯型端末であり、前記タッチスクリーンをタッチすることにより、各情報データに対応しかつ前記表示装置に表示されている所定の画像のスイッチ、サイズ、位置または角度を制御することができる。
【0021】
本発明の増強型イメージングシステムは端末支持フレームを更に含み、前記メディア信号処理装置は前記端末支持フレームにより前記増強型イメージング装置の一側または前記顕微鏡本体の一側に取り付けられる。
【0022】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記端末支持フレーム上には携帯型端末の充電を担当する無線充電モジュールが取り付けられている。
【0023】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記増強型イメージング装置は分光レンズ組を更に含み、前記分光レンズ組は前記ケース内に取り付けられ、前記ケースの一側にはダイクロイックインターフェイスが設けられ、前記分光レンズ組は前記顕微鏡本体のメイン光路の一部の光または重畳画像の一部の光は前記ダイクロイックインターフェイスから外部に出射する。
【0024】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記メディア信号処理装置は前記ダイクロイックインターフェイスが出射する光を収集するように配置される。
【0025】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記メディア信号処理装置は3Dモデルを表示するように配置され、前記3Dモデルの角度を調節するか或いは、前記3Dモデルのサイズを調節するか或いは、前記3Dモデルの透明性を調節することができる。
【0026】
本発明の増強型イメージングシステムにおいて、前記メディア信号処理装置はCBCT画像を表示するように配置され、前記CBCT画像の角度を調節するか或いは、前記CBCT画像のサイズを調節するか或いは、前記CBCT画像の透明性を調節することができる。
【0027】
本発明は増強型イメージングシステムの実現方法を更に提供する。前記方法は、メディア信号処理装置にターゲット対象の情報データを入力するステップと、前記メディア信号処理装置は入力された情報データを分析するとともに処理し、かつ処理後の情報データを増強型イメージング装置の表示装置に送信するステップと、前記表示装置は情報データを受信した後、前記情報データを光学画像に変換して表示するステップと、前記表示装置に表示されている光学画像はレンズ光路により顕微鏡本体のメイン光路の重畳レンズ組に入射し、前記表示装置に表示されている光学画像は前記顕微鏡本体のメイン光路と重畳することにより重畳画像が形成され、前記重畳画像は両眼接眼レンズ鏡筒に入射するステップとを含む。
【0028】
本発明の増強型イメージングシステムの実現方法において、前記情報データはCBCT画像データを含み、前記メディア信号処理装置にCBCT画像データを入力するとき、前記メディア信号処理装置は前記CBCT画像データを分析することによりターゲット口腔の3D画像を獲得し、ターゲット口腔の3D画像中の重要情報を高輝度に表示することにより4つの正投影図を形成し、かつそれを選択された前記表示装置の情報表示領域に表示する。4つの正投影図においていずれか1つの正投影図上のターゲット歯を選択するとき、前記メディア信号処理装置は、選択された前記ターゲット歯の3D画像と横方向スライスを形成し、かつそれを選択された前記表示装置の情報表示領域に表示する。
【0029】
本発明の増強型イメージングシステムの実現方法において、前記情報データ情報はターゲット歯の3Dモデルデータ情報を含み、前記メディア信号処理装置にターゲット歯の3Dモデルデータ情報を入力するとき、前記メディア信号処理装置は3Dモデルデータ情報を処理した後、それを選択された前記表示装置の情報表示領域に表示する。
【0030】
本発明の増強型イメージングシステムの実現方法において、前記情報データは付加情報データを更に含み、前記メディア信号処理装置に付加情報データを入力するとき、前記メディア信号処理装置は付加情報データを処理した後、処理後の付加情報データを前記表示装置の情報表示領域に表示する。
【0031】
本発明の増強型イメージングシステムの実現方法において、前記メディア信号処理装置が前記表示装置に情報データを送信するとき、前記メディア信号によりすべての情報データを1つの統合情報データに統合させ、かつその統合情報データを前記表示装置に送信して表示し、各情報データにより前記表示装置に表示されている所定の画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度を調節する。
【0032】
本発明の増強型イメージングシステムの実現方法において、前記メディア信号処理装置が前記CBCT画像データを分析する方法は、
前記CBCT画像データが記憶されているフォルダパスを獲得するステップと、
DICOMシーケンス及びシーケンス情報を獲得するステップであって、前記シーケンス情報は、シーケンスパス、スライス数量及び各画像を含むステップと、
前記シーケンス情報によりシーケンスを選択し、かつシーケンスをデータベースに添加した後、シーケンスパスを出力するステップと、
シーケンス基本情報を分析し、分析後の基本情報をシーケンシャルボリュームデータ構造に記憶するとともにシーケンス本体データ情報を出力し、データ制御スレッドはシーケンス本体データ情報を受信するとともに画像の表示とインタラクティブを制御するステップと、
4つの正投影図の画像を表示するとともにインタラクティブするとき、インターフェイスとインタラクティブすることによりターゲット歯を選択し、選択した選択情報を歯分割モジュールに入力することにより歯を分割し、分割後の歯の3D画像をデータ制御スレッドに出力し、データ制御スレッドは画像の表示とインタラクティブを絶え間なく確保するステップとを含む。
【0033】
本発明の増強型イメージングシステムの実現方法において、シーケンスパスを出力した後、シーケンス基本情報を分析し、分析後の基本情報をシーケンススライス情報ベースに記憶するとともに出力するステップと、実例管理モジュールは分析後の基本情報を受信した後、分析後の基本情報をデータベースに添加するステップとを更に含む。
【0034】
本発明の増強型イメージングシステムの実現方法において、4つの正投影図の画像を表示するとともにインタラクティブするとき、インターフェイスとのインタラクティブにより輸出パスを選択し、選択情報をパス制御モジュールに入力して記憶するとともにパスを管理し、データ制御スレッドは画像の表示とインタラクティブを絶え間なく確保する。
【0035】
本発明の増強型イメージングシステムの実現方法において、画像採集装置が取り付けられることにより前記顕微鏡本体のメイン光路の画像情報を随時に獲得し、かつその画像情報を前記メディア信号処理装置に送信し、前記メディア信号処理装置は画像採集装置が獲得した画像情報により、メイン光路の画像情報においてターゲット歯に対応する横方向スライスを選択し、かつ横方向スライスをターゲット歯の画像上に重畳させる。
【0036】
本発明の増強型イメージングシステムの実現方法において、手術器具上に位置決め及びナビゲーション装置が取り付けられることにより手術器具の位置情報を随時に採集して前記メディア信号処理装置に送信し、前記メディア信号処理装置は、ターゲット歯の画像データを処理することによりターゲット歯を処理する最適路線を獲得し、かつ前記手術器具の位置情報及び前記手術器具と最適路線との間の相対的位置情報を選択された前記表示装置の情報表示領域に表示する。
【発明の効果】
【0037】
従来の技術と比較してみると、本発明の増強型イメージングシステム及びその実現方法により下記少なくとも1つまたは複数の発明の効果を奏することができる。
本発明の増強型イメージングシステム及びその実現方法は、LCD、OLED、DLP等の表示装置とダイクロイックプリズムを採用することにより、表示装置に表示されている画像情報を顕微鏡の観察視野内に重畳させることができる。それにより、使用者は、ターゲット対象を観察し、かつ手術に関する様々なデータ情報を観察するとともに処理することができる。プロジェクター(projector)と比較してみると、LCD、OLED、DLP等の表示装置は、体積が小さく、表示画像の品質が高く、エネルギーの消耗が少ないとの特徴を有している。入力信号がHDMI(登録商標)信号であるとき、装置の間の接続を簡単にし、入力装置の小型化を実現し、かつ入力装置が占める空間を減少させることができる。メディア信号処理装置は、顕微鏡とそれぞれ作動するコンピューターであるか或いは、顕微鏡の一部であるか或いは、タッチスクリーンが取り付けられているタッチスクリーン携帯電話またはタブレットコンピューター等の携帯型端末であることができる。メディア信号処理装置は、マルチチャネル信号、例えば、患者の病歴情報、口腔ホログラフィックスキャン画像、CT、CBCT画像または3Dモデリング情報、エンドメーター等を予め処理することによりシングルチャネル信号を形成し、かつそれを増強型イメージング装置の表示装置に出力して表示することができる。メディア信号処理装置にソフトウェアがインストールされていることにより、入力されたCBCT画像データを処理し、ターゲット歯の3Dモデルを再び形成し、かつ3Dモデルに対してセクション処理(section processing)をすることができる。また、歯の根管オリフィスとエッジ輪郭(Edge contour)等の重要な部位を高輝度に表示することにより、スライス画像を接眼レンズ視野領域に重畳させるとき、品質がよい重畳情報を観察することができる。タッチスクリーンが取り付けられているタッチスクリーン携帯電話、タブレットコンピューター等の他の携帯型端末をメディア信号処理装置として使用することにより、使用者はCBCT画像及びターゲット歯の3Dモデル等の情報データを容易に調節することができる。コンピューターで画像を制御する従来の方法と比較してみると、本発明は、コンピューターを操作する助手を配置する必要がなく、一人が片手で操作することができるので、遠距離の操作による不便性を避け、手術の効率を大幅に向上させることができる。また、コンピューターを配置することにより電線の数量が多くなり、コンピューターの表示パネルが大きいことにより多い空間を占用することを防止することができる。それにより、空間を節約し、顕微鏡及び顕微鏡支持フレームのクロスアームの移動を確保し、使用者の操作空間を占用することを防止し、顕微鏡を適当な観察位置まで移動させることができる。端末支持フレームに無線充電モジュールを更に取り付けることにより携帯型端末を無線に充電することができる。それにより、携帯型端末を長く使用し、携帯型端末の電力が足りないことを防止することができる。LCD、OLED、DLP等の表示装置の情報表示領域が接眼レンズ視野領域に合うとき、メディア信号処理装置により処理された情報データを情報表示領域に表示することにより、カットされない完璧な画像を接眼レンズ視野領域に重畳させ、視野の辺縁部に表示されている重畳情報を完璧に観察できない問題を防止することができる。接眼レンズ視野領域に重畳している重畳情報の数量、サイズ、位置、方向、角度等を適当に調節することにより使用者の様々な習慣になじむことができる。接眼レンズ視野領域に重畳している重畳情報を調節するとき、取っ手、マウス、キーボード等により前記重畳情報を直接に調節することができる。他の実施例において、使用者の音声、手振り、顔の表情、目の動き、脳神経の電波、口形等のバイオメトリック情報により前記重畳情報を調節することもできる。その場合、使用者が無接触操作により重畳情報を調節することにより、操作の利便性を向上させることができる。表示装置に表示されかつ情報を重畳させる必要がある領域以外の領域を黒色に表示する。それにより、両眼接眼レンズ鏡筒を観察するとき、顕微鏡本体のメイン光路の画像だけでなく、表示装置に表示されている画像を観察することができる。根管を治療する例において、歯CBCTのスライス画像と顕微鏡本体のメイン光路の画像をキャリブレーションした後それらを重畳させて表示することができる。輝度が増加した歯髄フォーメン画像を実の歯画像上に重畳させることにより、医者が手術の位置を決めることと手術の難度を大幅に低減し、手術の正確性を向上させることができる。位置決め及びナビゲーション装置が取り付けられることにより手術器具の位置を随時に決め、手術の正確度を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施例一に係る増強型イメージングシステムの構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施例一に係る増強型イメージングシステムの光学的原理を示す図である。
【
図3】本発明の実施例一に係る増強型イメージングシステムの両眼接眼レンズ鏡筒で観察する重畳画像を示す図である。
【
図4】本発明の実施例一に係る増強型イメージング装置の構造を示す斜視図である。
【
図5】
図4の増強型イメージング装置の構造を示す平面図である。
【
図6】
図4の増強型イメージング装置の構造を示す背面図である。
【
図7】本発明の実施例一に係る増強型イメージング装置の構造を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施例一に係る増強型イメージング装置の重畳画像と顕微鏡の視野の位置を示す図である。
【
図9】本発明の実施例一に係る増強型イメージング装置の光学画像が顕微鏡の視野内に位置していることを示す図である。
【
図10】本発明の実施例一に係る増強型イメージング装置において、歯髄フォーメン画像が実の歯画像上に重畳していることを示す図である。
【
図11】本発明の実施例一に係る増強型イメージング装置において、歯髄が実の画像上に重畳していることを示す図である。
【
図12】本発明の実施例一に係る増強型イメージング装置において、光学画像のサイズと角度を調節することを示す図である。
【
図13】本発明の実施例一に係る増強型イメージング装置において、取っ手でマルチメディアウィンドウを調節することを示す図である。
【
図14】本発明の実施例一に係る増強型イメージング装置において、バイオメトリック情報を認識することにより表示領域に表示されている画像を調節することを示す図である。
【
図15】本発明の実施例一に係る増強型イメージングシステムの実現方法を示す流れ図である。
【
図16】本発明の実施例一に係る増強型イメージングシステムにおいて、CBCT画像データを分析することを示す流れ図である。
【
図17】本発明の実施例二に係る増強型イメージングシステムの構造を示す図である。
【
図18】本発明の実施例二に係る増強型イメージングシステムの構造を示す図である。
【
図19】使用者が本発明の実施例二に係る顕微鏡支持フレームの手術顕微鏡を操作することを示す図である。
【
図20】使用者が本発明の実施例二に係る顕微鏡支持フレームの手術顕微鏡を操作することを示す図である。
【
図21】使用者が本発明の実施例二に係るエンドメーターを操作することを示す図である。
【
図22a】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているエンドメーターソフトウェアのインターフェイスを示す図である。
【
図22b】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているエンドメーターソフトウェアのインターフェイスを示す図である。
【
図22c】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているエンドメーターソフトウェアのインターフェイスを示す図である。
【
図22d】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているエンドメーターソフトウェアのインターフェイスを示す図である。
【
図22e】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているエンドメーターソフトウェアのインターフェイスを示す図である。
【
図22f】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているエンドメーターソフトウェアのインターフェイスを示す図である。
【
図22g】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているエンドメーターソフトウェアのインターフェイスを示す図である。
【
図23】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置を採集装置として使用する原理を示す図である。
【
図24a】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされている3Dモデルソフトウェアにより表示される様々な角度のターゲット歯の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図24b】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされている3Dモデルソフトウェアにより表示される様々な角度のターゲット歯の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図24c】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされている3Dモデルソフトウェアにより表示される様々な角度のターゲット歯の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図25a】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされている3Dモデルソフトウェアの表示状態が変換されるときターゲット歯の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図25b】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされている3Dモデルソフトウェアの表示状態が変換されるときターゲット歯の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図25c】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされている3Dモデルソフトウェアの表示状態が変換されるときターゲット歯の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図25d】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされている3Dモデルソフトウェアの表示状態が変換されるときターゲット歯の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図26a】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているCTCT画像ソフトウェアにより表示される様々な角度の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図26b】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているCTCT画像ソフトウェアにより表示される様々な角度の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図26c】本発明の実施例二に係るメディア信号処理装置にインストールされているCTCT画像ソフトウェアにより表示される様々な角度の画像のインターフェイスを示す図である。
【
図27】本発明の実施例二に係る増強型イメージング装置の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の事前設定目的を達成しようとする技術的手段と発明の効果をより詳細に説明するため、以下、図面と好適な実施例により本発明の具体的な実施形態、構造、特徴及び発明の効果を詳細に説明する。
【0040】
<実施例1>
本発明の実施例において増強型イメージングシステム(Enhanced imaging system)を提供する。
図1と
図2に示すとおり、増強型イメージングシステムは、メディア信号処理装置(Media signal processing device)4、増強型イメージング装置2、顕微鏡本体1及び両眼接眼レンズ鏡筒3を含む。前記増強型イメージング装置2は表示装置21と重畳レンズ組を含む。前記表示装置21は前記メディア信号処理装置4に通信可能に接続される。前記重畳レンズ組は前記顕微鏡本体1のメイン光路に取り付けられる。前記両眼接眼レンズ鏡筒3は前記顕微鏡本体1上に取り付けられる。前記表示装置21は前記メディア信号処理装置4が送信する情報データを受信し、かつ受信した情報データを光学画像(optical image)61に変換するように配置される。前記表示装置21が出力した光学画像61は前記重畳レンズ組により前記顕微鏡本体1のメイン光路に重畳することにより重畳画像が形成され、前記両眼接眼レンズ鏡筒3により重畳画像を観察することができる。
図3に示すとおり、使用者、例えば、医者が両眼接眼レンズ鏡筒3を観察することにより、顕微鏡本体1のメイン光路に位置している診査面の画像を見ることができ、かつメイン光路に重畳している表示装置21の付加メディア情報を見ることができる。それにより医者は、より多い情報を獲得し、診断または手術の効率を向上させ、手術の時間を低減することができる。
【0041】
前記メディア信号処理装置4は様々なメディア信号を処理することができる。メディア信号は、例えば、患者の病歴情報、口腔ホログラフィックスキャン画像(Holographic scanning image of oral cavity)、CT、CBCT画像または3Dモデリング情報(Modeling Information)、エンドメーター(Endometer)等の入力の必要があるマルチメディア信号(Multimedia signal)を含む。複数の情報入力装置により前記マルチメディア信号を入力することができる。前記情報入力装置は前記メディア信号処理装置4に通信可能に接続される。前記メディア信号処理装置4は、複数の前記情報入力装置が入力した情報データを1つの統合情報データに変換し、かつ統合情報データを前記表示装置21に送信して表示することができる。重畳しているメディア信号がシングルチャネル信号(single channel signa)でないとき、前記メディア信号処理装置4はマルチチャネル信号(Multi-channel Signal)を予め処理することができる。メディア信号処理装置がマルチチャネル信号を処理することにより、マルチチャネルから入力されたメディア信号をシングルチャネルのビデオ出力信号に変換することができる。また、ビデオ信号(video signal)を増強型イメージング装置2の表示装置21に入力することによりマルチチャネル信号のリアルタイム入力を実現することができる。
【0042】
図4~
図7に示すとおり、前記増強型イメージング装置2は具体的に、表示装置21、第一レンズ組22、反射プリズム(Reflecting prism)23、アパーチャ24、第二レンズ組25、青色光フィルタ(Blue light filter)26及び第一ダイクロイックプリズム(Dichroic prism)27を含む。前記第一ダイクロイックプリズム27は前記重畳レンズ組である。前記表示装置21、第一レンズ組22、反射プリズム23、アパーチャ24、第二レンズ組25、青色光フィルタ26及び第一ダイクロイックプリズム27はいずれも、ケース20内に取り付けられる。前記第一レンズ組22、反射プリズム23及び第二レンズ組25はレンズ支持部29により前記ケース20内に取り付けられる。前記表示装置21、第一レンズ組22及び反射プリズム23は1つの光路上に順に配置される。具体的に、
図7に示されている水平方向の光路上に配置される。前記反射プリズム23は直角プリズム(Right-Angle Prism)であることが好ましい。前記反射プリズム23、第二レンズ組25、青色光フィルタ26及び第一ダイクロイックプリズム27は1つの光路上に順に配置される。具体的に、
図7に示されている垂直方向の光路上に配置される。前記表示装置21が出射する光は、第一レンズ組22を通過した後、前記直角プリズムの全反射により90度回転するとともに前記第二レンズ組25に入射する。前記第二レンズ組25を通過した光は第一ダイクロイックプリズム27に入射する。具体的な実施例において、前記第一ダイクロイックプリズム27は顕微鏡のメイン光路内に取り付けられる。前記表示装置21が出射する光は、前記第一ダイクロイックプリズム27内に入射し、かつ顕微鏡のメイン光路と重畳することにより統合光学画像が形成される。使用者は顕微鏡の接眼レンズにより前記表示装置21の表示画面が重畳している重畳画像を観察することができる。前記第二レンズ組25と前記第一ダイクロイックプリズム27との間には青色光フィルタ26が取り付けられている。前記青色光フィルタ26は、波長が420~480nmである青色光を濾過することにより、青色光が使用者の目に傷害を与えることを低減することができる。前記反射プリズム23と前記第二レンズ組25との間にはアパーチャ24が取り付けられることにより光路の開閉を制御することができる。それにより重畳画像の表示の開閉を制御することができる。具体的に、前記ケース20内にはアパーチャ調節装置241が取り付けられ、前記アパーチャ調節装置241は前記アパーチャ24がオフ位置とオープン位置との間において移動するように駆動する。前記アパーチャ24がオフ位置に位置しているとき、前記アパーチャ24と前記反射プリズム23及び前記第二レンズ組25は1つの光路に位置し、前記アパーチャ24は前記反射プリズム23を通過した光が前記第二レンズ組25に入射することを防止する。前記アパーチャ24の調節方法は水平移動調節方法であるか或いは回転移動調節方法であることができる。前記アパーチャ24を光路のオフ位置とオープン位置に移動させる調節方法であればいずれも、本発明の特許請求の範囲に属する。
【0043】
前記表示装置21は、OLED表示装置、LCD表示装置またはDLP表示装置であるか或いは他の表示装置または表示パネルであることができる。LCD、OLED、DLP等の表示装置は、従来の小型プロジェクターの体積より小さく、表示画像の品質が高く、エネルギーの消耗と熱量の生成が少ないとの特徴を有している。入力信号がHDMI信号であるとき、装置の間の接続を簡単にし、入力装置の小型化を実現し、かつ入力装置が占める空間を減少させることができる。両眼接眼レンズ鏡筒3で観察した接眼レンズ視野領域5の形状は円形である。表示装置21、例えば、LCD表示装置の形状は多数が矩形であり、LCD表示装置の表示領域のアスペクト比(Aspect ratio)は16:9または4:3である。それにより、
図8に示すとおり、光学レンズを通過した画像領域6を接眼レンズ視野領域5に重畳させるとき、画像領域6は接眼レンズ視野領域5にカットされる。その問題を解決するため、前記表示装置21の画像領域6に情報表示領域を設けることができる。前記表示装置21が出射する光学画像61がメイン光路に重畳するとき、前記情報表示領域が前記両眼接眼レンズ鏡筒3の観察視野に合うと、前記メディア信号処理装置4によって変換された統合情報データに対応する光学画像61を前記情報表示領域に表示することができる。それにより、
図9に示すとおり、カットされない光学画像61を接眼レンズ視野領域5に重畳させることができる。辺縁部に表示されているとき、接眼レンズでそれを観察することができない。前記表示装置21が出射した光学画像61において前記統合情報データに対応する光学画像61以外の区域を黒色にする。手術顕微鏡本体1のメイン光路と表示装置21の光路を重畳させる必要があるとき、重畳の必要がある画像を情報表示領域内に表示し、周辺の空白の領域を黒色にする。両眼接眼レンズ鏡筒3の光路を観察するとき、顕微鏡本体1のメイン光路の画像だけでなく、表示装置21に表示されている画像を観察することができる。根管を治療する例において、歯CBCTのスライス画像(slice image)と顕微鏡本体1のメイン光路の画像をキャリブレーション(calibration)した後それらを重畳させて表示することができる。
図10に示すとおり、輝度が増加した歯髄フォーメン(dental pulp foramen)画像63を実の歯画像62上に重畳させることにより、医者が手術の位置を容易に決め、手術の難度を低減し、手術の正確性を向上させることができる。
図11を参照すると、その図面は実の歯髄重畳画面を示す図である。図面中の矢印が指していることは歯髄である。
【0044】
各情報データ、すなわちマルチチャネルから入力されたメディア信号は、イメージ、操作が可能でありかつ標記がついて2Dまたは3Dデータ、直観的測定データ、例えば、エンドメーターの動的情報(dynamic information)であることができ、それらを情報表示領域内のウィンドウズ(登録商標)に表示することができる。ウィンドウズの数量、サイズ、位置、角度等を楽に編集することにより医者の様々な習慣になじむことができる。具体的に、調節装置によりそれらを適当に調節することができる。前記調節装置は前記メディア信号処理装置4に通信可能に接続される。
図12に示すとおり、前記調節装置は前記メディア信号処理装置4に調節情報を入力するように配置され、前記メディア信号処理装置4は、前記調節装置が入力した調節情報により、各情報入力装置が入力した情報データによって情報表示領域内に表示されている画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度等を制御し、かつ制御後の各情報データを有効の情報表示領域内に表示する。
図1に示すとおり、前記メディア信号処理装置4は顕微鏡とそれぞれ作動するコンピューターであることができる。前記メディア信号処理装置4は顕微鏡に一体に形成される処理装置であることもできる。各情報データによって表示されている画像のサイズ、位置等を制御するとき、外部のコンピューターのマウスとキーボード等を調節装置にすることにより、各情報データによって表示されている画像のサイズ、位置等のパラメーターを制御することができる。顕微鏡に一体に形成されている処理装置を採用するとき、顕微鏡取っ手7により、各情報データによって表示されている画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度等を制御することができる。
図13に示すとおり、ファンクションキー(Function keys)76を3秒押すと、ウィンドウズ編集状態が表示される。多方向スイッチ(Multi directional switch)73を操作することにより編集の必要がウィンドウズを選択した後、確定ボタン71を押すことにより所定のウィンドウズを選択することができる。つぎに、ファンクションキー76を押すことにより、ウィンドウズのサイズ、位置、角度、スイッチ機能等を選択する。例えば、ウィンドウズのサイズが選択されるとき、「+キー74」を押すことによりウィンドウズのサイズを増加させ、「―キー75」を押すことによりウィンドウズのサイズを減少させることができる。最後に、確定ボタン71を押すことによりウィンドウズのサイズの編集を終えることができる。編集をするとき、エスケープキー(escape key)72を押すことにより編集を取り消すか或いは、使用者のバイオメトリック情報(Biometric information)を認識することにより編集を取り消すことができる。使用者のバイオメトリック情報を採集するため採集装置を取り付け、前記採集装置は前記メディア信号処理装置4に通信可能に接続される。前記採集装置は使用者のバイオメトリック情報を随時に採集するように配置され、前記メディア信号処理装置4は、バイオメトリック情報制御情報入力装置が入力した情報データにより、情報表示領域内に表示されている画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度等を制御する。バイオメトリック情報は、使用者の音声、手振り(gesture)、顔の表情(facial expression)、目の動き(Eye movements)、脳神経(cranial nerve)の電波、口形等であることもできる。その場合、使用者が無接触操作により操作をすることにより、操作の利便性を向上させることができる。
図14に示すとおり、具体的な流れはつぎのとおりである。まず、バイオメトリック情報を採集する。つぎに、前記バイオメトリック情報が有効なバイオメトリック情報であるかを判断する。前記バイオメトリック情報が有効なバイオメトリック情報であると、バイオメトリック情報ベースにおいて所定の実施命令を読み出して実施し、前記バイオメトリック情報が有効なバイオメトリック情報でないと、バイオメトリック情報を採集するステップに戻る。
【0045】
本発明の実施例において、ターゲット歯CBCTのスライス画像と実のターゲット歯画像を重畳させるとき、取り付けられる画像採集装置により前記顕微鏡本体1のメイン光路の画像情報を随時に獲得することができる。前記画像採集装置は前記メディア信号処理装置4に通信可能に接続される。前記画像採集装置は前記顕微鏡本体1のメイン光路の画像情報を随時に獲得した後それを前記メディア信号処理装置4に送信する。前記メディア信号処理装置4は前記画像採集装置が採集した画像情報により、メイン光路の画像情報においてターゲット歯に対応する横方向スライスを選択し、かつ横方向スライスをターゲット歯の画像上に重畳させる。それにより、医者が手術の位置を容易に決め、手術の正確性を向上させることができる。
【0046】
本発明の実施例において、前記情報入力装置は位置決め及びナビゲーション装置(Positioning navigation device)を含むことができる。前記位置決め及びナビゲーション装置は手術器具(surgical instruments)上に取り付けられ、手術器具は、例えば、携帯電話(歯科用ドリル)等であることができる。前記位置決め及びナビゲーション装置は前記メディア信号処理装置4に通信可能に接続される。前記手術器具上に位置決め及びナビゲーション装置が取り付けられることにより前記手術器具の位置情報を随時に採集して前記メディア信号処理装置4に送信することができる。前記メディア信号処理装置4は、ターゲット歯の画像データを処理することによりターゲット歯を処理する最適路線を獲得し、かつ前記手術器具の位置情報及び前記手術器具と最適路線との間の相対的位置情報を選択された前記表示装置21の情報表示領域に表示することができる。例えば、情報表示領域内のウィンドウズに携帯電話(歯科用ドリル)の位置情報を表示するか或いは、情報表示領域内のウィンドウズにパスポイント(Path Point)と携帯電話(歯科用ドリル)との間の位置画像情報を表示することにより、使用者の携帯電話(歯科用ドリル)がパスポイントからずれることを知らせることができる。
【0047】
本発明の実施例において、前記情報入力装置はエンドメーター11を含み、前記エンドメーター11は前記メディア信号処理装置4に通信可能に接続される。前記エンドメーター11は、ターゲット歯の根管の長さ情報を測定して得た後、その長さ情報を前記メディア信号処理装置4に送信する。前記メディア信号処理装置4は、ターゲット歯の根管の長さ情報を処理した後、前記エンドメーター11が測定して得た前記根管の長さ情報を選択された前記表示装置21の情報表示領域に表示する。
【0048】
前記ケース20はケース本体202と背部蓋203を含み、前記背部蓋203上には電源スイッチ205と電源コンセント204等が取り付けられている。前記電源コンセント204と前記電源スイッチ205は前記表示装置21に電気接続されることにより前記表示装置21に電力を供給するとともに表示装置21の開閉を制御する。
【0049】
本発明の実施例において、前記ケース20の一側にはダイクロイックインターフェイス201が設けられ、前記ダイクロイックインターフェイス201に近づいているケース20の一側には第二ダイクロイックプリズム28、すなわち分光レンズ組が取り付けられている。
図7に示すとおり、顕微鏡のメイン光路の一部の光または前記顕微鏡内の重畳画像の一部の光は前記ダイクロイックインターフェイス201から外部に出射することができる。前記ダイクロイックインターフェイス201にデジタルカメラまたはデジタルビデオカメラ等を連結させることにより顕微鏡内の画像を記録することができる。好ましくは、第一ダイクロイックプリズム27と第二ダイクロイックプリズム28の分光比例は1:9である。
【0050】
図15に示すとおり、増強型イメージングシステムの実現方法は下記ステップを含む。メディア信号処理装置4にターゲット対象の情報データを入力するとき、前記メディア信号処理装置4は、入力された情報データを分析するとともに処理し、かつ処理後の情報データを増強型イメージング装置2の表示装置21に送信する。前記表示装置21は情報データを受信した後、その情報データを光学画像61に変換して表示する。前記表示装置21に表示されている光学画像61はレンズ光路により前記顕微鏡本体1のメイン光路の重畳レンズ組に入射し、前記表示装置21に表示されている光学画像61は前記顕微鏡本体1のメイン光路と重畳することにより重畳画像が形成され、前記重畳画像を両眼接眼レンズ鏡筒3に入射する。
【0051】
前記情報データは、例えば、患者のCBCT画像データ(DICOM)であることができる。前記メディア信号処理装置4にCBCT画像データを入力するとき、前記メディア信号処理装置4は前記CBCT画像データを分析することによりターゲット口腔の3D画像を獲得する。ターゲット口腔の3D画像中の重要情報を高輝度に表示することにより4つの正投影図を形成し、かつそれを選択された前記表示装置21の情報表示領域に表示することができる。4つの正投影図においていずれか1つの正投影図上のターゲット歯を選択するとき、前記メディア信号処理装置4は、選択された前記ターゲット歯の3D画像と横方向スライスを形成し、かつ横方向スライスの表示シーケンス(View sequence)を形成するとともに管理する。その場合、管理インターフェイスとインタラクティブ(interactive)することにより、横方向スライスの表示シーケンスを選択された前記表示装置21の情報表示領域に表示することができる。
【0052】
前記情報データは付加情報データ、例えば、エンドメーターデータ等を更に含む。前記メディア信号処理装置4に付加情報データを入力するとき、前記メディア信号処理装置4は付加情報データを処理した後、処理後の付加情報データを前記表示装置21の情報表示領域に表示する。
【0053】
前記メディア信号処理装置4が前記表示装置21に情報データを送信するとき、前記メディア信号によりすべての情報データを1つの統合情報データに統合させ、かつその統合情報データを前記表示装置21に送信して表示する。各情報データにより前記表示装置21に表示されている所定の画像のスイッチ、サイズ、位置及び角度を調節することができる。最後に重畳画像を出力する。
【0054】
図16に示すとおり、前記メディア信号処理装置4が前記CBCT画像データを分析する方法は下記ステップを含む。前記CBCT画像データが記憶されているフォルダパス(folder path)を獲得し、DICOMシーケンス(sequence)及びシーケンス情報を獲得する。前記シーケンス情報は、シーケンスパス(Sequence path)、スライス数量及び各画像を含む。前記シーケンス情報によりシーケンスを選択し、かつシーケンスをデータベースに添加した後、シーケンスパスを出力する。シーケンス基本情報を分析し、分析後の基本情報をシーケンシャルボリュームデータ構造(Sequential volume data structure)に記憶するとともにシーケンス本体データ情報(Sequence body data information)を出力し、データ制御スレッド(Data control thread)はシーケンス本体データ情報を受信するとともに画像の表示とインタラクティブを制御する。4つの正投影図の画像を表示するとともにインタラクティブするとき、インターフェイスとインタラクティブすることによりターゲット歯を選択することができる。選択した選択情報を歯分割モジュールに入力することにより歯を分割し、分割後の歯の3D画像をデータ制御スレッドに出力し、データ制御スレッドは画像の表示とインタラクティブを絶え間なく確保する。
【0055】
シーケンスパスを出力した後、シーケンス基本情報を分析し、分析後の基本情報をシーケンススライス情報ベースに記憶するとともに出力するステップと、実例管理モジュールは分析後の基本情報を受信した後、分析後の基本情報をデータベースに添加するステップとを更に含む。
【0056】
4つの正投影図の画像を表示するとともにインタラクティブするとき、インターフェイスとのインタラクティブにより輸出パス(export path)を選択し、選択情報をパス制御モジュールに入力して記憶するとともにパスを管理する。データ制御スレッドは画像の表示とインタラクティブを絶え間なく確保する。
【0057】
画像採集装置が取り付けられることにより前記顕微鏡本体1のメイン光路の画像情報を随時に獲得し、かつその画像情報を前記メディア信号処理装置4に送信することができる。前記メディア信号処理装置4は画像採集装置が獲得した画像情報により、メイン光路の画像情報においてターゲット歯に対応する横方向スライスを選択し、かつ横方向スライスをターゲット歯の画像上に重畳させる。
【0058】
手術器具上に位置決め及びナビゲーション装置が取り付けられることにより手術器具の位置情報を随時に採集して前記メディア信号処理装置4に送信することができる。前記メディア信号処理装置4は、ターゲット歯の画像データを処理することによりターゲット歯を処理する最適路線を獲得し、かつ前記手術器具の位置情報及び前記手術器具と最適路線との間の相対的位置情報を選択された前記表示装置21の情報表示領域に表示することができる。
【0059】
<実施例2>
実施例一と実施例二の相違点は実施例二のメディア信号処理装置4が携帯型端末であることにある。前記メディア信号処理装置4はタッチスクリーン(Touch screen)が取り付けられているタッチスクリーン携帯電話またはタブレットコンピューター等であることが好ましい。前記タッチスクリーン(に表示されているボタン)をタッチすることにより、各情報データに対応しかつ前記表示装置21に表示されている所定の画像のスイッチ、サイズ、位置または角度等を制御することができる。
図17と
図18に示すとおり、その図面には前記メディア信号処理装置4の配置方式のいずれか1つの例示が示されている。すなわち、前記ダイクロイックインターフェイス201に1つの光アダプタ(Optical adapter)8が連結されている例示が示されている。前記メディア信号処理装置4は端末支持フレーム9により前記増強型イメージング装置2の一側に位置するように前記光アダプタ8上に取り付けられる。前記光アダプタ8の具体的な構造及び作動原理、端末支持フレーム9と光アダプタ8との間の連結方法は、出願人が先に出願しかつ公開番号がCN207253386Uである中国実用新案または公告番号がCN110651214Bである中国特許を参照することができるので、ここで再び説明しない。
図19~
図21に示すとおり、前記構造により前記メディア信号処理装置4を使用者に近づいている位置または使用者から離れている位置に配置することができる。
図19と
図20には使用者が顕微鏡支持フレーム10の手術顕微鏡を操作していることを示す図である。携帯型端末としてメディア信号処理装置4を採用することにより、使用者はメディア信号処理装置4を容易に操作することができる。また、コンピューターを操作する助手を配置する必要がなく、一人が片手で操作することができるので、遠距離の操作による不便性を避け、手術の効率を大幅に向上させることができる。
図21は使用者が患者の歯の根管を測定することを示す概略図である。携帯型端末としてメディア信号処理装置4を採用し、使用者がエンドメーター11で患者の歯の根管を測定するとき、前記メディア信号処理装置4によりエンドメーター11のデータパラメーター情報を容易に観察することができる。具体的に、前記メディア信号処理装置4内にはエンドメーター(Endometer)ソフトウェアがインストールされている。
図22a~
図22gに示すとおり、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)等により前記メディア信号処理装置4と前記エンドメーター11を無線状態に接続させるとき、前記メディア信号処理装置4内のエンドメーターソフトウェアを操作することにより、前記エンドメーター11のトルク、回転速度、治療記録等の情報を読み取って表示し、かつ前記エンドメーター11のトルクと回転速度等を調節することができる。
【0060】
前記メディア信号処理装置4を前記端末支持フレーム9により使用者に近づいている位置または使用者から離れている位置に配置することができる。例えば、端末支持フレーム9を前記顕微鏡本体1等の上に直接に固定させることができる。
【0061】
前記メディア信号処理装置4と前記表示装置21は有線接続手段により接続されるか或いは無線接続手段、例えば、ブルートゥースにより接続されることができる。有線接続手段または無線接続手段により接続され、かつ携帯型端末としてメディア信号処理装置4を採用することにより、コンピューターの電線の数量が多くなり、コンピューターの表示パネルが大きいことにより多い空間を占用することを防止することができる。それにより、空間を節約し、顕微鏡本体1及び顕微鏡支持フレーム10のクロスアームの移動を確保することができる。前記メディア信号処理装置4を収集装置(collecting device)として使用することもできる。タッチスクリーン携帯電話、タブレットコンピューター等の他の携帯型端末には通常カメラが取り付けられているので、携帯型端末のカメラにより前記ダイクロイックインターフェイス201が出射する光を収集することにより、顕微鏡に撮られている画像を獲得することができる。
図23に示すとおり、使用者が手術をする前に顕微鏡本体1で観察した画像を撮影して記憶し、手術中または手術後に前記メディア信号処理装置4により前に撮影した画像を読み出すことができる。つぎに、メディア信号処理装置4にソフトウェアがインストールされていることにより、画像情報データを前記表示装置21に送信して表示し、かつ重畳画像を形成することができる。最後に、接眼レンズで観察することにより、使用者は手術前、手術中、手術後の画像を容易に比較して分析することができる。
【0062】
図24a~
図24cと
図25a~
図25dに示すとおり、前記メディア信号処理装置4内に3Dモデル(three-dimensional model)ソフトウェアがインストールされていることにより、ターゲット歯の3Dモデルデータ情報を前記メディア信号処理装置4内に入力するとき、ターゲット歯の3Dモデルデータ情報を処理し、かつ前記メディア信号処理装置4のタッチスクリーンにターゲット歯の3Dモデルを表示することができる。タッチスクリーンをタッチすることにより3Dモデルの角度、サイズ及び透明性(transparency)等を容易に制御することができる。選択された事項が前記表示装置21の情報表示領域に表示されていることにより、使用者は、前記顕微鏡本体1のメイン光路に重畳している3Dモデル画像を容易に調節し、歯髄腔(Dental pulp cavity)を容易に観察することができる。
【0063】
前記メディア信号処理装置4にCBCT画像ソフトウェアが更にインストールされることにより、CBCT画像データを前記メディア信号処理装置4に入力するとき、CBCT画像データを処理することができる。
図26a~
図26cに示すとおり、前記メディア信号処理装置4のタッチスクリーンにCBCT画像を表示し、かつ表示インターフェイスに位置、時間、画像寸法、標尺等に関する情報を更に表示することができる。使用者はタッチスクリーンをタッチすることによりCBCT画像の角度、サイズ及び透明性等を制御することができる。それにより、使用者は前記顕微鏡本体1のメイン光路に重畳しているCBCT画像を容易に調節することができる。
【0064】
他の実施例において、前記端末支持フレーム9上に携帯型端末の充電を担当する無線充電モジュールを更に取り付けることができる。前記無線充電モジュールは顕微鏡の電源に接続されることにより顕微鏡に電力を供給することができる。前記メディア信号処理装置4を選択するとき、無線充電が可能であるタッチスクリーン携帯電話またはタブレットコンピューター等の無線充電型端末を選択することができる。無線充電モジュールで携帯型端末の充電をすることにより、携帯型端末を長く使用するとき携帯型端末の電力が足りないことを防止することができる。
【0065】
図27に示すとおり、本実施例の増強型イメージングシステムの実現方法は下記ステップを含む。メディア信号処理装置4にターゲット対象の情報データを入力する。前記メディア信号処理装置4はタッチスクリーン携帯電話(iPhone(登録商標)またはAndroid携帯電話)であるか或いはタブレットコンピューター等の他の携帯型端末であることができる。前記情報データは、CBCT画像データ、ナビゲーション装置が採集した手術器具の位置情報データ、エンドメーター11また手術器具のリアルタイムデータ(real time data)、ターゲット歯の3Dモデルデータ及び他のメディア信号等であることができる。前記メディア信号処理装置4は、入力された情報データを分析するとともに処理し、かつ処理後の情報データを増強型イメージング装置2の表示装置21に送信する。前記表示装置21は情報データを受信した後、その情報データを光学画像61に変換して表示する。前記表示装置21に表示されている光学画像61はレンズ光路により前記顕微鏡本体1のメイン光路の重畳レンズ組に入射し、前記表示装置21に表示されている光学画像61は前記顕微鏡本体1のメイン光路と重畳した後両眼接眼レンズ鏡筒3に入射する。
【0066】
従来の技術と比較してみると、本発明の増強型イメージングシステム及びその実現方法により下記少なくとも1つまたは複数の発明の効果を奏することができる。
本発明の増強型イメージングシステム及びその実現方法は、LCD、OLED、DLP等の表示装置とダイクロイックプリズムを採用することにより、表示装置に表示されている画像情報を顕微鏡の観察視野内に重畳させることができる。それにより、使用者は、ターゲット対象を観察し、かつ手術に関する様々なデータ情報を観察するとともに処理することができる。プロジェクター(projector)と比較してみると、LCD、OLED、DLP等の表示装置は、体積が小さく、表示画像の品質が高く、エネルギーの消耗が少ないとの特徴を有している。入力信号がHDMI(登録商標)信号であるとき、装置の間の接続を簡単にし、入力装置の小型化を実現し、かつ入力装置が占める空間を減少させることができる。メディア信号処理装置は、顕微鏡とそれぞれ作動するコンピューターであるか或いは、顕微鏡の一部であるか或いは、タッチスクリーンが取り付けられているタッチスクリーン携帯電話またはタブレットコンピューター等の携帯型端末であることができる。メディア信号処理装置は、マルチチャネル信号、例えば、患者の病歴情報、口腔ホログラフィックスキャン画像、CT、CBCT画像または3Dモデリング情報、エンドメーター等を予め処理することによりシングルチャネル信号を形成し、かつそれを増強型イメージング装置2の表示装置に出力して表示することができる。メディア信号処理装置にソフトウェアがインストールされていることにより、入力されたCBCT画像データを処理し、ターゲット歯の3Dモデルを再び形成し、かつ3Dモデルに対してセクション処理(section processing)をすることができる。また、歯の根管オリフィスとエッジ輪郭(Edge contour)等の重要な部位を高輝度に表示することにより、スライス画像を接眼レンズ視野領域に重畳させるとき、品質がよい重畳情報を観察することができる。タッチスクリーンが取り付けられているタッチスクリーン携帯電話、タブレットコンピューター等の他の携帯型端末をメディア信号処理装置として使用することにより、使用者はCBCT画像及びターゲット歯の3Dモデル等の情報データを容易に調節することができる。コンピューターで画像を制御する従来の方法と比較してみると、本発明は、コンピューターを操作する助手を配置する必要がなく、一人が片手で操作することができるので、遠距離の操作による不便性を避け、手術の効率を大幅に向上させることができる。また、コンピューターを配置することにより電線の数量が多くなり、コンピューターの表示パネルが大きいことにより多い空間を占用することを防止することができる。それにより、空間を節約し、顕微鏡及び顕微鏡支持フレームのクロスアームの移動を確保し、使用者の操作空間を占用することを防止し、顕微鏡を適当な観察位置まで移動させることができる。端末支持フレームに無線充電モジュールを更に取り付けることにより無線充電型端末に充電をすることができる。それにより、携帯型端末を長く使用し、携帯型端末の電力が足りないことを防止することができる。LCD、OLED、DLP等の表示装置の情報表示領域が接眼レンズ視野領域に合うとき、メディア信号処理装置により処理された情報データを情報表示領域に表示することにより、カットされない完璧な画像を接眼レンズ視野領域に重畳させ、視野の辺縁部に表示されている重畳情報を完璧に観察できない問題を防止することができる。接眼レンズ視野領域に重畳している重畳情報の数量、サイズ、位置、方向、角度等を適当に調節することにより使用者の様々な習慣になじむことができる。接眼レンズ視野領域に重畳している重畳情報を調節するとき、取っ手、マウス、キーボード等により前記重畳情報を直接に調節することができる。他の実施例において、使用者の音声、手振り、顔の表情、目の動き、脳神経の電波、口形等のバイオメトリック情報により前記重畳情報を調節することもできる。その場合、使用者が無接触操作により重畳情報を調節することにより、操作の利便性を向上させることができる。表示装置に表示されかつ情報を重畳させる必要がある領域以外の領域を黒色に表示する。それにより、両眼接眼レンズ鏡筒を観察するとき、顕微鏡本体のメイン光路の画像だけでなく、表示装置に表示されている画像を観察することができる。根管を治療する例において、歯CBCTのスライス画像と顕微鏡本体のメイン光路の画像をキャリブレーションした後それらを重畳させて表示することができる。輝度が増加した歯髄フォーメン画像を実の歯画像上に重畳させることにより、医者が手術の位置を決めることと手術の難度を大幅に低減し、手術の正確性を向上させることができる。位置決め及びナビゲーション装置が取り付けられることにより手術器具の位置を随時に決め、手術の正確度を更に向上させることができる。
【0067】
注意すべきことは、本明細書中の「含む」、「具備する」等の用語は開放性用語である。すなわち、一連の要素を含む事項は、明確に記載されている要素だけでなく、記載されていない他の要素を更に含むことができる。
【0068】
この明細書において、前、後、上、下等の方向性用語は、図面中の部品が図面に位置している位置と部品が他の部品に相対している位置を定義するものであり、本発明の技術的事項を詳細に説明するために用いるものである。注意すべきことは、この明細書において方向性用語を用いることにより本発明を限定する意図はない。
【0069】
矛盾が生じない場合、本発明の実施例または実施例中の特徴を楽に組み合わせることができる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施例を説明してきたが、前記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は前記実施例にのみ限定されるものでない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意の変更、代替及び改良をすることができ、これらがあっても本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
1 顕微鏡本体
2 増強型イメージング装置
20 ケース
201 ダイクロイックインターフェイス
202 ケース本体
203 背部蓋
204 電源コンセント
205 電源スイッチ
21 表示装置
22 第一レンズ組
23 反射プリズム
24 アパーチャ
241 アパーチャ調節装置
25 第二レンズ組
26 青色光フィルタ
27 第一ダイクロイックプリズム
28 第二ダイクロイックプリズム
29 レンズ支持部
3 両眼接眼レンズ鏡筒
4 メディア信号処理装置
5 接眼レンズ視野領域
6 画像領域
61 光学画像
62 歯画像
63 歯髄フォーメン画像
7 顕微鏡取っ手
71 確定ボタン
72 エスケープキー
73 多方向スイッチ
74 +キー
75 ―キー
76 ファンクションキー
8 光アダプタ
9 端末支持フレーム
10 顕微鏡支持フレーム
11 エンドメーター
【国際調査報告】