(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ワークピースのためのデジタル識別子を提供するための方法、電子データベース、トークン、およびトークンを生成するための装置
(51)【国際特許分類】
G06K 19/08 20060101AFI20240604BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240604BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20240604BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240604BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240604BHJP
G06Q 50/04 20120101ALN20240604BHJP
【FI】
G06K19/08 060
G06T7/00 300F
G06K19/06 037
G06K7/14 017
G06K7/14 039
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505489
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 DE2022100270
(87)【国際公開番号】W WO2022218472
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102021109020.2
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523385798
【氏名又は名称】セノディス テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マイ,ビョルン エーリク
(72)【発明者】
【氏名】リエルカ,マレク
(72)【発明者】
【氏名】クロー,クリストフ
【テーマコード(参考)】
3C100
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA34
3C100BB31
3C100BB33
3C100DD04
3C100DD22
5L050CC03
5L096FA59
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA41
5L096JA11
(57)【要約】
本発明は、ワークピースのためのデジタル識別子を提供する方法であって、光学的に読み取り可能なマーキング内容を表示し、マーキング内容とは別に形成されたマーキング要素特徴を有するマーキング要素(3)が配置されたワークピース(1)を提供する工程と、画像撮像装置(4)を使用して画像を撮像し、前記画像は少なくとも部分的に前記マーキングを表示する工程と、マーキング要素(3)のうちの1つ以上のための少なくとも1つのマーキング要素特徴を決定する工程であって、画像のためのデジタル画像データが処理において分析される工程と、少なくとも1つのマーキング要素特徴を表示する特徴データを生成する工程と、特徴データを含むマーキングデータからワークピース(1)のためのデジタル識別子を決定する工程と、デジタル識別子を、ワークピース(1)に割り当てられた識別子として電子メモリ(6)に記憶する工程とを包含する方法に関する。本発明はさらに、デジタル識別子を用いてワークピースを電子的に登録および追跡するための電子データベース、トークン、およびトークンを生成するための装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースのためのデジタル識別子を提供するための方法であって、
マーキング要素(3)を含むマーキング(2)が配置されたワークピース(1)を提供する工程であって、前記マーキング要素(3)は、光学的に読み取り可能なマーキング内容を表示し、前記マーキング内容とは別に形成されたマーキング要素特徴を含む工程と、
撮像装置(4)により画像を撮像する工程であって、前記画像が少なくとも部分的に前記マーキング(2)を示す工程と、
前記マーキング要素(3)のうちの1つまたは複数のための少なくとも1つのマーキング要素特徴を決定する工程であって、このために、前記画像についてデジタル画像データが評価される工程と、
前記少なくとも1つのマーキング要素特徴を示す特徴データを生成する工程と、
前記特徴データを含むマーキングデータから前記ワークピース(1)のためのデジタル識別子を決定する工程と、
前記ワークピース(1)に関連する識別子として前記デジタル識別子を電子メモリ(6)に記憶する工程と、を包含する、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのマーキング要素特徴の前記決定中に、前記1つまたは複数のマーキング要素のための目標特徴から逸脱する実際の特徴であるエラー特徴が決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラー特徴は、
目標位置からのマーキング要素位置の偏差と、
目標形状からのマーキング要素形状の偏差と、
目標サイズからのマーキング要素サイズの偏差と、
目標輝度からのマーキング要素輝度の偏差と、
目標コントラストからのマーキング要素コントラストの偏差と、
目標間隔からのマーキング要素間隔の偏差と、
別のマーキング要素および/または配置グリッドに対する相対的なマーキング要素位置の相対的な目標位置からの偏差と、
のグループからの少なくとも1つの偏差を示すことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デジタル識別子が、前記マーキングデータのチェックサムとして決定されることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項5】
前記チェックサムは、前記マーキングデータのハッシュ値として決定されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ワークピース(1)の前記デジタル識別子が、前記光学的に読み取り可能なマーキング内容を少なくとも部分的に示す内容データを含むマーキングデータから決定されることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項7】
前記ワークピース(1)上の前記マーキング(2)の外側の領域のための少なくとも1つのワークピース特徴を決定し、このために、前記画像のためのデジタル画像データおよび/またはさらなる画像のためのさらなるデジタル画像データが評価される工程と、
前記少なくとも1つのワークピース特徴を示すワークピース特徴データを生成する工程と、
前記ワークピース特徴データを含むマーキングデータから、前記ワークピース(1)のための前記デジタル識別子を決定する工程と、をさらに包含することを特徴とする先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項8】
前記ワークピース(1)として、ブランク、加工されたブランク、部品、部品群、金属部品、加工された部品、加工された部品群、加工された金属部品、半完成材料、半完成品、サブ集合体、集合体群、集合体部品、成形品、完成品、および完成集合体の群からワークピースが提供されることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項9】
前記マーキング(2)が設けられた前記ワークピース(1)が少なくとも1つの処理工程に従って処理された後に、前記画像が撮像されることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項10】
ワークピース(1)が、データマトリックスコードを含むマーキング(2)を備え、前記データマトリックスコードのモジュールが前記マーキング要素を形成することを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項11】
前記ワークピースの前記提供が前記ワークピース(1)への前記マーキングの適用を含み、
前記マーキング要素が、インク印刷、レーザ彫刻、ニードルエンボス加工、ラベルの適用、磁性粒子、放射粒子などのマーキング要素の適用、機械的彫刻、スタンピング処理、スクリーン印刷、コーティング、およびプロットのグループからの少なくとも1つのマーキング方法を使用して生成されることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項12】
前記ワークピース(1)のための前記デジタル識別子に関連するワークピースデータを前記電子メモリ内に記憶する工程と、
前記電子メモリ内のデータにアクセスすることが可能なアクセス装置内の前記ワークピースデータにアクセスする要求を受信する工程であって、デジタル要求識別子を示す標識データが、前記要求とともに受信される工程と、
前記デジタル要求識別子が前記デジタル標識と一致するかどうかをチェックする工程と、
前記デジタル要求識別子が、指定された誤差許容範囲内でデジタル識別子と一致することが確立された場合、前記ワークピースデータへの要求されたアクセスを許可する工程と、をさらに包含することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
少なくとも部分的に前記ワークピース(1)上の前記マーキング(2)を示す現在の画像を撮像する工程と、
前記マーキング要素(3)のうちの1つ以上のための少なくとも1つの現在のマーキング要素特徴を決定する工程であって、このために、デジタル画像データが引き続く画像について評価される工程と、
少なくとも1つの現在のマーキング要素特徴を示す現在の特徴データを生成する工程と、
前記ワークピース(1)のための現在のデジタル識別子を、前記現在の特徴データを含む現在のマーキングデータから決定する工程と、
前記現在のデジタル識別子が前記電子メモリ内の前記デジタル識別子と一致するかどうかを決定する工程と、
を前記ワークピース(1)を追跡するためにさらに包含することを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項14】
ワークピースを電子的に登録および追跡するための電子データベースであって、
データベース記憶要素に電子的に記憶され、ワークピース(1)にそれぞれ関連付けられて記憶され、及び、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法に従って決定されたデジタル識別子を備える電子データベース。
【請求項15】
ワークピース(1)に関連付けられ、請求項1~13の少なくとも1つに記載の方法に従って決定されたデジタル識別子を含むトークン。
【請求項16】
請求項15に記載のトークンを生成するように構成された1つまたは複数のプロセッサを備える、トークンを生成するための装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ワークピースのデジタル識別子を提供するための方法、ワークピースを電子的に登録および追跡するための電子データベース、トークン、およびトークンを生成するための装置に関する。
【0002】
(背景)
このような技術は、電子的またはデジタルマーキングによって、特に生産または製造工程のために、任意の所望のワークピースの追跡能力を提供するために利用される。
【0003】
製造業、特に金属分野では、製品を競争的に提供できるようにするために、高いコスト圧力が存在する。この費用負担は、CO2排出量の低減や循環経済などの規制状況によって悪化する。生産プロセスおよびサプライチェーンのデジタル最適化は、コストを削減するための選択肢である。価値創造ネットワークにおける個々の参加者のデジタル接続性、ならびにこれらの部品、半製品、および製品に関連する情報の追跡または交換を可能にするための、部品、半製品、および製品のための一貫性があり且つ固有のIDおよび識別基準が欠如している。
【0004】
部品、半製品、および製品に関する情報は、現在、個々の生産工程で収集、保管、使用されている。この目的のために、複数の非連結部品IDが最終製品まで使用される。したがって、異なる標準を有する複数の識別解決策が、原料から最終生成物までの途中で使用される。部品、半製品、および製品の情報の追跡または交換が可能である場合でも、手動の問い合わせによるケースバイケースでのみ可能である。
【0005】
マーキングを使用せずに少なくとも1つの部品を識別する方法およびシステム、ならびに、製造プロセスにおける部品を追跡する方法およびシステムは、文献DE 10 2017 001 915 A1から知られている。本発明は、画像処理システムによって部品の少なくとも一部の光学表面構造を画像として撮像し、部品の固有の特性、光学表面特徴を確認し、部品の固有の識別子としてデジタル署名を生成し、電子データ処理システムにおける部品の少なくとも一部の識別の基準として記憶することによって、マーキングを使用せずに少なくとも1つの部品を識別するための方法およびシステムを開示する。部品の少なくとも一部の撮像画像は、ここでは検査されるべき識別領域について少なくとも部分的にマスクされ、部品の固有の特徴的な光学表面特徴の数が抽出され、対応する特徴ベクトルを介して部品の少なくとも一部の少なくとも部分的にマスクされた画像の画像データから決定される。部品のマスクされた画像の抽出された個数の内在面特徴からの部品の一意の識別を形成する部品の特徴は、カスタマイズされた所定のソフトウエアアルゴリズムによって作成され、データ処理システム内の一意の識別の基準として記憶される。
【0006】
国際公開第2010/112614(A1)号は対象物を識別するための方法を開示しており、この方法は、対象物の固有の特性、光学的特徴を確認し、確認された特徴を対象物の識別子として記憶することを提供する。対象物の光学表面構造は、固有の特性、光学的特徴として確認される。このために、画像またはピクチャが撮像される。記載された手法によって、対象物上へのマーキングの付加的な適用は、省略されることが意図される。
【0007】
(サマリー)
本発明の目的は、簡単で信頼性の高い態様で電子メモリ内の電子データによってワークピースの具体的な識別を可能にするワークピースのデジタル識別子を提供するための方法を示すことである。さらに、電子的にワークピースを登録および追跡するための電子データベース、ならびにトークンを提供することが意図される。
【0008】
解決策として、ワークピースのためのデジタル識別子を提供するための方法が、独立請求項1に従って提供される。さらに、独立請求項14および15による電子データベースおよびトークンが提供される。トークンを生成するための装置が、請求項16に従って提供される。さらなる実施形態は、従属請求項の対象である。
【0009】
一態様によれば、ワークピースのためのデジタル識別子を提供するための方法が提供され、該方法は、マーキング要素を含むマーキングが配置されたワークピースを提供する工程であって、マーキング要素は、光学的に読み取り可能なマーキング内容を表示し、マーキング内容とは別に形成されたマーキング要素特徴を含む工程と、撮像装置によって画像を撮像する工程であって、画像が少なくとも部分的にマーキングを示す工程と、マーキング要素のうちの1つまたは複数のための少なくとも1つのマーキング要素特徴を決定する工程であって、このために、画像についてデジタル画像データが評価される工程と、少なくとも1つのマーキング要素特徴を示す特徴データを生成する工程と、特徴データを含むマーキングデータからワークピースのためのデジタル識別子を決定する工程と、電子メモリにワークピースに関連する識別子としてデジタル識別子を記憶する工程と、を包含する。
【0010】
さらなる態様によれば、ワークピースを電子的に登録および追跡するための電子データベースが提供され、これは、データベース記憶要素に電子的に記憶され、それぞれワークピースに関連付けられ、本方法に従って決定されたデジタル識別子を備える。さらに、ワークピースに関連付けられ、本方法に従って決定されたデジタル識別子を有するトークンが提供される。
【0011】
デジタル識別子を有するトークンを生成するように構成された1つまたは複数のプロセッサを備えるトークンを生成するための装置(トークン生成器)も提供される。
【0012】
提案された技術は、ワークピースのための一意のデジタルまたは電子IDを構成するデジタルまたは電子識別子によって、任意の所望のワークピースを電子メモリ内、例えば、ネットワークの一部であり得るデータベース内に記憶または登録することを可能にする。電子メモリは、例えばネットワーク内の分散プラットホームの一部とすることができる。ワークピースに関連付けられたデジタル識別子は、1つだけでなく複数の電子メモリに格納され提供されることができ、したがって、ワークピースのための特定のデジタルIDとして利用可能である。
【0013】
デジタル識別子の決定のために、マーキングのマーキング要素のための1つまたは複数のマーキング要素特徴が使用され、マーキング要素特徴は、マーキングの実際のマーキング内容とは別個に形成され、すなわち、ワークピース上のマーキングのマーキング内容を光学的に読み取るために評価される必要はない。マーキング要素特徴は、マーキング内容の光学的可読性に関して冗長である。この手段、マーキング内容は、マーキング要素特徴とは無関係に光学的に読み取り可能である。マーキング要素のマーキング要素特徴は、付加的に、任意選択的に、マーキング要素の(マーキング内容の上および上方の)ランダムな特徴または特性を形成し、これらの特性は、画像の撮像および後続の画像データ分析によって決定され、特徴データを生成するために使用され、特徴データの一部は、電子メモリに記憶するためにワークピースのデジタル識別子がそこから決定されるマーキングデータの一部である。
【0014】
デジタル識別子を決定するための工程は、ワークピースの生産または製造プロセスの前、最中、および/または後に実行することができる。撮像装置による画像の撮像は、ワークピース上へのマーキングの適用の前後に行うことができる。生産または製造処理前および/または間にデジタル識別子を決定することは、デジタル識別子が、例えば、生産または製造プロセスの異なるステーションにおけるワークピースを識別するために、このプロセス間ですでに利用可能であるという利点を有する。デジタル識別子の複数の決定または反復の決定を行うことができる。
【0015】
ワークピースは、何らかの形の処理を受けるか、または受けた、ほぼ固体の材料の単一の区切られた部分である。処理方法自体は無関係である。ワークピースは、単一の部品、および、既に(部分的に)組み立てられた集合体であると理解することもできる。
【0016】
デジタル識別子は、暗号化されているか暗号化されていないかにかかわらず、任意の形態で電子メモリに記憶することができる。
【0017】
少なくとも1つのマーキング要素特徴の決定中に、1つまたは複数のマーキング要素の目標特徴から逸脱する実際の特徴であるエラー特徴を決定することができる。この目標特徴は、マーキングがワークピース上に生成されるときに、それに応じて形成されるべきである。とはいえ、そのような目標特徴はしばしば、部分的にしか満たされず、したがって、実際の特徴に従って個々の目標特徴に対して偏差が存在する。そのような偏差(また、エラーまたは欠陥)は、少なくとも1つのマーキング要素特徴の決定中に光学的に撮像され、決定され得る。ここで、偏差または誤差は、部分的であるか完全であるかにかかわらず、マーキング内容の光学的可読性または評価可能性を依然として保証する誤差許容範囲内にあり得る。エラー特徴は、マーキング内容の完全な光学的可読性を妨げないように、すなわち可能にするように形成することができる。
【0018】
エラー特徴は、目標位置からのマーキング要素位置の偏差と、目標形状からのマーキング要素形状の偏差と、目標サイズからのマーキング要素サイズの偏差と、目標輝度からのマーキング要素輝度の偏差と、目標コントラストからのマーキング要素コントラストの偏差と、目標間隔からのマーキング要素間隔の偏差と、別のマーキング要素および/または配置グリッドに対する相対マーキング要素位置の相対目標位置からの偏差と、のグループからの少なくとも1つの偏差を示すことができる。1つ以上の偏差は、例えば、マーキングのマーキング要素が塗料によってワークピースに適用されるときに生じ得る。しかし、事前に製造され、その後、ワークピースに接着して適用される標識も、エラー特徴の決定の範囲内で抽出または評価することができる1つまたは複数の偏差を含むことができる。偏差は、デジタル識別子の個別化設計をサポートするランダム分布の異なるワークピースに対して形成することができる。
【0019】
デジタル識別子は、マーキングデータのチェックサムとして決定することができる。基本的に、チェックサムは、ソースデータ、この場合はマーキングデータから計算される値であり、ソースデータと比較チェックサムを計算するために使用されるデータとが同じであるかまたは異なるかを確立するために、比較チェックサムとの比較を可能にする。
【0020】
チェックサムは、マーキングデータのハッシュ値として決定することができる。マーキングデータをハッシュ値にマッピングするためのハッシュ関数は、類似のマーキングデータを類似のハッシュ値にマッピングするように構成することができる。任意選択的に、ハッシュ値のみがデータベースに記憶されるので、少なくともこのケースでは、ハッシュ値のみによってマーキングデータに関する推論を導くことはできない。また、ハッシュ関数の類似性-感受性特性は、ハッシュ関数自体の画像空間において類似性検索を実行することができ、マーキングデータの空間における誤差境界がハッシュ関数の距離画像空間に線形的に転送されることを保証する。
【0021】
デジタル識別子は、光学的に読み取り可能なマーキング内容を少なくとも部分的に示す内容データを含むマーキングデータから、ワークピースについて決定することができる。この例示的な実施形態では、マーキングデータは、特徴データだけでなく、ワークピース上のマーキングの光学的に読み取り可能なマーキング内容を部分的にまたは完全に示す内容データも含む。このようにして、拡張デジタル識別子がワークピースに提供される。マーキング内容は、画像のデジタル画像データが解析または評価されるときに決定することができる。代替的に又は追加的に、ワークピース上のマーキングは、マーキング内容を決定するために別々に光学的に読み出すことができる。
【0022】
ワークピース上のマーキングの外側の領域のための少なくとも1つのワークピース特徴を決定する工程であって、このために、画像のためのデジタル画像データおよび/またはさらなる画像のためのさらなるデジタル画像データが評価される工程と、少なくとも1つのワークピース特徴を示すワークピース特徴データを生成する工程と、ワークピース特徴データを含むマーキングデータからワークピースのためのデジタル識別子を決定する工程とが提供され得る。この例示的な実施形態では、1つまたは複数のワークピース特徴を示すワークピース特徴データを生成するために、デジタル画像データからワークピースについて1つまたは複数のワークピース特徴がさらに決定され、その結果、少なくとも特徴データを含むマーキングデータは、ワークピースについての拡張デジタル識別子を決定するために、ワークピース特徴データによって撮像され得る。
【0023】
1つまたは複数のワークピース特徴の決定のために、マーキング要素特徴の決定のために評価された画像を使用することができる。代替的に又は追加的に、ワークピース特徴を抽出するために、デジタル画像解析によって更なる画像を評価することができる。1つまたは複数の画像は、1つまたは複数のワークピース特徴が決定されるマーキングの外側のワークピースの領域を少なくとも示す。これらは、光学的に表現可能または決定可能なワークピース特徴、特に、画像解析を使用して決定することができるワークピースの表面の側面上の特徴である。例えば、表面輪郭またはテクスチャは、ワークピース上のマーキングに隣接するか、またはマーキングから離間した領域において分析することができる。基本的に、ワークピースの任意の領域または部分、特にマーキングの外側のワークピース特徴を使用して、ワークピース特徴を決定することができる。ワークピースのためのデジタル識別子の生成および決定に少なくとも1つのワークピース特徴を組み込むことは、ワークピースのためのデジタル識別子のさらなる個別化および改善された一意性を容易にする。
【0024】
ワークピースとしては、ブランク、加工されたブランク、部品、部品群、金属部品、加工された部品、加工された部品群、加工された金属部品、半完成材料、半完成品、サブ集合体、集合体群、集合体部品、成形品、完成品、および完成集合体の群からのワークピースを提供することが可能である。
【0025】
画像は、マーキングが施されたワークピースが少なくとも1つの処理工程に従って処理された後に撮像することができる。これは、任意の処理工程、例えば、ワークピースが加熱または焼き戻される金属加工工程を含むことができる。マーキングは、温度安定性マーキングとして設計することができる。
【0026】
この実施形態または他の実施形態では、デジタル識別子が、生産または製造プロセス中に、記載された方法で複数回決定され記憶され得る。デジタル識別子の新たな決定が生じた場合、このときに決定されたデジタル識別子は、以前に決定されたデジタル識別子と比較することができ、例えば、ワークピース上のマーキングが、依然として十分な程度の識別効果を有し、デジタル識別子がもはや正確に決定され得ないような態様で、ワークピースの処理中に損傷されなかったかどうかのチェックの範囲内にある。
【0027】
ワークピースはデータマトリックスコードを含むマーキングを備えることができ、データマトリックスコードのモジュールはマーキング要素を形成する。データマトリックスコードは一次元コード(例えば、バーコード)又は二次元コードとすることができる。カラーデザインを有する3次元データマトリックスコードも使用することができる。データマトリックスコードの様々な実施形態は、それ自体公知である。モジュールは、データマトリックスコードのマーキング要素を、例えばバー又はドットの形態で形成する。マーキング要素特徴は、これらのモジュールのために決定され、デジタル識別子の生成および決定のために使用され得る。
【0028】
この実施形態または他の実施形態では、デジタル識別子の生成において、複数のマーキング要素特徴を決定し、考慮することができる。
【0029】
ワークピースの提供はワークピースへのマーカの適用を含むことができ、マーカ要素は、インク印刷、レーザ彫刻、ニードルエンボス加工、ラベルの適用、磁性粒子、(光)放射粒子などのマーカ要素の適用、機械的彫刻、スタンピング処理、スクリーン印刷、コーティング、およびプロットの群からの少なくとも1つのマーカ方法を使用して生成される。
【0030】
マーキングは耐温度性又は耐熱性マーキングとして適用することができ、その結果、特に、少なくともワークピース上のマーキングを有する領域が加熱又は焼き戻されるワークピースのための処理工程が可能になる。
【0031】
本方法は、電子メモリ内のワークピースのデジタル識別子に関連するワークピースデータを記憶する工程と、電子メモリ内のデータにアクセスすることができるアクセス装置内のワークピースデータにアクセスするための要求を受信する工程であって、デジタル要求識別子を示す標識データが要求とともに受信される工程と、デジタル要求識別子がデジタル標識と一致するかどうかをチェックする工程と、デジタル要求識別子が指定された誤差許容範囲内でデジタル識別子と一致することが確立された場合、ワークピースデータへの要求されたアクセスを許可する工程と、をさらに包含することができる。
【0032】
ワークピースデータは、ワークピースに関する任意の電子情報、例えば、ワークピースの材料、ワークピースのシリアル番号、製造日などとすることができる。ワークピースデータは、マーキング内容によって部分的に含まれ得る。ワークピースデータは、電子メモリ、例えば、データベース内のデジタル識別子に関連付けられて記憶され、その結果、ワークピースデータへのアクセスが可能になり、デジタル識別子によって制御可能になる。ワークピースデータの不正アクセスをブロックするために、アクセスが要求されたときに送信されるデジタル要求識別子がチェックされる。ワークピースデータへのアクセスは、デジタル要求識別子と(記憶された)デジタル識別子との一致が確立された場合にのみ許可される。この点において、デジタル識別子は、ユーザがトークン(デジタル識別子)を所有している場合に、ユーザが電子メモリ内のワークピースデータにアクセスすることを可能にする一種の(ソフトウェア)トークンを形成する。変形例では、ここではそれ自体公知の2要素認証を異なる形式で提供することが可能である。
【0033】
チェックのためのデジタル要求識別子とデジタル標識との一致は、指定された誤差許容範囲内に類似性があるかどうかを決定することができる。
【0034】
n(n>2)個の異なったマーキング要素特徴が、デジタル識別子の決定のために決定され、デジタル識別子を生成するために使用される場合、それは、誤り許容度によって確立されることができ、例えば、要求識別子およびデジタル識別子が一致すると決定されるために、一致するn個のマーキング要素特徴のうちの数が確立されなければならない。
【0035】
例えば、データマトリックスコードが推論されるマーキング要素特徴自体をこの目的のために使用する必要性を回避するために、類似性検索がマーキング要素自体上で実行されないことが提供され得る。マーキング要素特徴は、類似性に敏感なハッシュ関数によってマッピングすることができる。次いで、類似性は、この関数の画像空間内の別のキーに関連して確立され得る。関数は、類似のマーキング特徴が隣接するハッシュ値をもたらすように、ここで選択することができる。この事例における近傍は、ハッシュ関数の画像の距離空間内の2つのハッシュ値間の間隔が事前定義された値よりも大きくないことを意味する。これらの特性を満たすハッシュ関数が決定される。それは、抽出された同一の及び異なるマーキングのマーキング要素特徴、例えば様々な撮像状態によるデータマトリックスコードを含む適切に選択された訓練データによって得ることができる。画像(複数可)の撮像のための可変条件は、とりわけ、異なる透視歪み、可変露出、および/またはコードのマーキングもしくは部分撮像における欠陥を含む。このようにして得られたハッシュ関数は、コードのロバストな認識のために、以前に定義されたエラー境界と共に使用することができる。マーキングの画像がハッシュ関数の画像空間内の別のデジタル識別子の所定の近傍内に収まらない場合、これらの2つのコードは異なると見なされる。
【0036】
少なくとも部分的にワークピース上のマーキングを示す現在の画像を撮像する工程と、マーキング要素のうちの1つまたは複数のための少なくとも1つの現在のマーキング要素特徴を決定する工程であって、このために、デジタル画像データが引き続く画像について評価される工程と、少なくとも1つの現在のマーキング要素特徴を示す現在の特徴データを生成する工程と、現在の特徴データを含む現在のマーキングデータからワークピースの現在のデジタル識別子を決定する工程と、現在のデジタル識別子が電子メモリ内のデジタル識別子と一致するかどうかを決定する工程とを、ワークピースを追跡するために提供することができる。現在のデジタル識別子とデジタル識別子との比較に関する限り、上記で述べた2つのデジタル識別子の比較に関する説明は、それに応じて適用される。このようにして、ワークピースを準備し(電子的に登録し)、追跡する方法が提供される。
【0037】
現在のデジタル識別子の決定は、例えば、ワークピースへの1つまたは複数の処理工程の適用後、進行中の生産または製造プロセスの間またはその完了後に実行することができる。現在のデジタル識別子は、また、マーキング内容および/または1つまたは複数のワークピース特徴を考慮しながら、任意選択で決定され得る。現在のデジタル識別子は、生産または製造プロセスの間または後の任意の時点で、電子データベース内のワークピースに関連するワークピースデータへのアクセスを要求するなど、任意の所望の用途目的のために利用することができる。
【0038】
トークンは、トークン生成器を用いてワークピースとは独立して生成することができる。トークンによって、前記生成中に定義されたワークピースデータへのアクセスを許可することができる。さらに、トークンの生成中に、ワークピースデータへのアクセスが、トークン自体で許可されるか、またはデジタル識別子と組み合わせてのみ許可されるかを定義することができる。データベースに書き込むときにトークンを使用することによって、ワークピースデータの所有者は、自分が生成するワークピースデータへのアクセスを選択的に制限することもできる。
【0039】
上記で説明した例示的な実施形態は、電子データベースおよび/またはトークンと組み合わせて、それに応じて提供することができる。
【0040】
一実施形態では、生産および製造工程中にデジタル識別子によって、ワークピースのためのデジタル識別子を提供し、ワークピースを追跡するための方法を以下に説明するように提供することができる。該方法は、ワークピースのためのデジタル識別子を提供する方法であって、該ワークピース上に、マーキング要素を含むマーキングが配置されたワークピースを提供する工程であって、該マーキング要素は光学的に読み取り可能なマーキング内容を表示し、該マーキング内容とは別に形成されたマーキング要素特徴を含む、工程と、撮像装置により画像を撮像する工程であって、該画像が少なくとも部分的にマーキングを示す、工程とを含む。画像は、マーキングが設けられたワークピースが生産および製造プロセス中に少なくとも1つの処理工程に従って処理された後に撮像される。少なくとも1つのマーキング要素特徴がマーキング要素のうちの1つ以上について決定され、このために、デジタル画像データが、画像について評価される。少なくとも1つのマーキング要素特徴を示す特徴データが生成される。ワークピースのデジタル識別子は特徴データを含むマーキングデータからさらに決定され、デジタル識別子はワークピースに関連付けられた識別子として電子メモリに記憶される。生産および製造プロセス中のワークピースの追跡のために、少なくとも部分的にワークピース上のマーキングを示す現在の画像を撮像する工程と、マーキング要素のうちの1つまたは複数のための少なくとも1つの現在のマーキング要素特徴を決定する工程であって、ここで、このために、デジタル画像データが、引き続く画像について評価される工程と、少なくとも1つの現在のマーキング要素特徴を示す現在の特徴データを生成する工程と、現在の特徴データを含む現在のマーキングデータからワークピースの現在のデジタル識別子を決定する工程と、現在のデジタル識別子が電子メモリ内のデジタル識別子と一致するかどうかを決定する工程と、が提供される。
【0041】
デジタル識別子は、生産および製造プロセスの間、ワークピースについて複数回、決定および記憶することができる。デジタル識別子の新たな決定中に、このときに決定されたデジタル識別子を以前に決定されたデジタル識別子と比較することができ、同時に、ワークピース上のマーキングが、依然として十分な程度の識別効果を有し、ワークピースの処理中にデジタル識別子がもはや正確に決定され得ないような態様で損傷を受けなかったかどうかをチェックすることができる。加工工程は、ワークピースのための熱間加工工程を含むことができる。
【0042】
ワークピースは、ここではデジタル識別子によって、生産および製造工程の範囲内で追跡される。この変形例では、予めワークピースに適用されたマーキングの画像が、マーキングが施されたワークピースが生産及び製造プロセス中に少なくとも1つの処理工程を受けた後に(のみ)撮像される。ワークピースのデジタル識別子は画像から決定され、デジタル識別子は特徴データによってマーキングのための少なくとも1つのマーキング要素特徴を示す。マーキング要素は、マーキングのマーキング要素の特性に関し、これに関して、ワークピース上のマーキングの光学的に読み取り可能なマーキング内容とは異なる特性に関する。マーキングのマーキング要素(デジタル識別子)のこの特性は、加工物が加工工程の範囲内で前もって加工された後に決定され、確認される。したがって、これは、処理工程の結果としてマーキング上にのみ現れたデジタル識別子のためにマーキング要素特徴が使用されることを可能にする。しかしながら、すでにマーキング要素上に存在するマーキング要素特徴は、デジタル識別子の基礎を形成することもできる。いずれの場合も、ワークピース上のマーキングの画像は処理工程の後にのみ撮像され、その結果、デジタル識別子は、少なくとも1つのマーキング要素特徴に対する処理工程の後のワークピース上のマーキング要素の状態を示す。
【0043】
[0040]
次いで、ワークピースは生産および製造プロセスの間に追跡され、同時に、すなわち、生産および製造プロセスの間に、ワークピース上のマーキングの(さらなる)現在の画像が、現在のマーキング要素特徴を決定し、そこから、最後に、ワークピースの現在のデジタル識別子を決定するために、撮像され、比較されたデジタル識別子が一致するかどうかが確立され得るように、現在のデジタル識別子を、以前に決定され記憶されたデジタル識別子と比較する。(元の)デジタル識別子と現在のデジタル識別子とのそのような比較を介して、ワークピースは生産および製造プロセスを通して追跡され得る。
【0044】
(実施形態の説明)
さらなる例示的な実施形態が、図面を参照して以下に説明される。
【0045】
図1はワークピースを電子的に登録および追跡するための方法を実行するための構成要素または要素の概略図を示す。
【0046】
図2はマーキング要素がドットとして実装されるデータマトリックスコードの一例の概略図を示す。
【0047】
図3はワークピースを電子的に登録し、追跡するための方法の順序の概略図を示す。
【0048】
図1は、ワークピース1のためのデジタル識別子を提供するための方法を実行するための構成要素または要素を有する構成の概略図を示す。ワークピース1は、例えば線及び/又は点として形成することができ、光学的に読み取り可能なマーキング内容が提供されるマーキング要素3を有するマーキング2を備える。
【0049】
撮像装置4により、マーキング2の有無にかかわらずワークピース2の画像を撮像することができる。次いで、デジタル画像データが、データ処理装置5によって画像解析の範囲内でデジタル画像データを評価するために、1つ以上の撮像された画像のために提供され得る。データ処理装置5はこの目的のために1つまたは複数のプロセッサおよびメモリ装置を備える。プロセッサは少なくともデジタル画像解析を実行するように構成される。データ処理装置5は、例えば電子データベースを含むことができる電子メモリ6に接続される。
【0050】
ワークピース1は、生産または製造プロセス中に1つまたは複数の処理工程を受けることができる。例えば、ワークピース1は金属加工によって加工される金属加工物であってもよい。これに関連して、処理工程中にワークピース1が加熱または焼き戻しもされることが提供され得る。このように、マーキング2は、例えばDE 10 2015 107 774 B3に記載されているように、例えば熱間加工において、このような処理工程中であっても耐久性のあるマーキングとして設計することができる。
【0051】
図2はマーキング2の例示的な実施形態を示し、ここではマーキング2がデータマトリックスコード20を含む。データマトリックスコード20のマーキング要素3は、ここではドット21として形成される。ドット21は、データマトリックスコードと組み合わされたモジュールとも呼ばれ、指定されたマトリックス22に従ってワークピース1に適用されることを意味する。
【0052】
図2によれば、ドット21の幾つかは、このような目標仕様からの乖離を示している。これらは、例えば、ドットサイズ23のずれ、ドット位置24のずれ、ドット形状25のずれ、コントラスト変調26、及びグリッド凹凸27を含む。これらは、ランダムな欠陥もしくは偏差、またはデータマトリックスコード20を生成するための装置によって随意に系統的に引き起こされる欠陥もしくは偏差であり得る。これらの偏差にもかかわらず、マーキング2の光学的に読み取り可能なマーキング内容は、依然として読み取られ、評価され得る。そして、この偏差は、ワークピース1上にマーキング2を生成するための可能な誤差許容範囲内にある。偏差は、以下でさらに説明される、ワークピース1のためのデジタル識別子を生成するために使用され得るエラー特徴を形成する。
【0053】
図3を参照して、ワークピース1のためのデジタル識別子を提供し選択的に使用するための方法を以下に説明する。工程30では、ワークピース1にマーキング2(また、識別子またはマーク)が配置される。例えばカメラを含む撮像装置4によって、マーキング2を少なくとも部分的に撮像する1つ以上の画像又はピクチャが撮像される(工程31)。
【0054】
データ処理装置5により、画像解析の範囲内で画像のデジタル画像データが評価される(工程32)。この解析の間、工程33において、マーキング2のマーキング要素3について、1つ以上のマーキング要素特徴、特に、
図2に関連して前に決定された偏差のうちの1つ以上が決定され、次いで、工程34において、画像解析の範囲内で抽出された1つ以上のマーキング要素特徴を示す特徴データが提供される。
【0055】
特徴データを含むマーキングデータに基づいて、工程37においてワークピース1に割り当てられたデジタル識別子を電子メモリ6に記憶するために、工程36におけるデータ処理装置5によってワークピース1のデジタル識別子が決定される。このようにして、ワークピース1のために一意の電子ID(デジタル識別子)が提供され、これは、ワークピース1を識別し追跡するために任意の所望の用途で使用することができる。これにより、例えば、デジタル識別子を所有しているユーザが、デジタル識別子と、ひいては電子メモリ6内のワークピース1と関連付けて記憶されているワークピースデータにアクセスすることが可能になる。
【0056】
ユーザが入力装置8(
図1参照)を有するユーザインターフェース7を介してワークピースデータにアクセスすることを望む場合、ユーザは、一種のトークンとしてデジタル識別子を提供しなければならず、その後、このトークンが電子メモリ6に以前に記憶されたワークピース1のデジタル識別子に対応するかどうかをチェックすることができる。ユーザは、アクセス申請の一部として送信された申請識別子が少なくとも特定の指定された誤差許容範囲内で、記憶されたデジタル識別子と一致する場合にのみ、ワークピースデータへのアクセスを許可される。さもなければ、電子メモリ6内のワークピースデータへのユーザのアクセスがブロックされる。
【0057】
代替の実施形態では、マーキング2の光学的に読み取り可能なマーキング内容を少なくとも部分的に示す内容データを用いて、デジタル識別子が計算または決定されるマーキングデータを撮像することができる。代替的に又は追加的に、マーキング2の外側の領域、例えば、ワークピース1の前記領域における表面構造又は表面輪郭において、ワークピース1について予め決定された少なくとも1つのワークピース特徴をワークピース1について示すワークピース特徴データでマーキングデータを撮像することができる。ワークピース特徴は、デジタル画像データの画像解析の範囲内で決定することもできる。
【0058】
さらなる態様を以下に説明する。
【0059】
ワークピースは、まず、ワークピース1上にマーキング2を提供するために、適用分野に適した方法でマーキングされる。特に、インク印刷、レーザ彫刻、ニードルエンボス加工、標識、または複数の方法の組み合わせが、ここで考えられる。マーキング2は、直接的に、またはさらなる製造工程の間に、表面にしっかりと取り付けられ、したがって、ワークピース2上に永続的に配置される。マーキング2の永続的な接着は、例えば、インクまたはペースト中の特定の材料顔料を使用して実現することができるが、これに限定されない。
【0060】
ここで、マーキング2の画像は、ワークピース1のマーキングの直後に、かつ任意選択的に追加的に、次のプロセス工程(例えば、熱間加工工程)の後に、撮像装置4によって撮像され、さらなる処理のためにデータ処理装置5に渡され得る。
【0061】
固有の特徴が提示マーキング2の画像から抽出され、この特徴は、限界内で、可変周囲状態であっても、ロバストに認識することができる。周囲の条件に加えて、ロバスト性は、許容事象数の欠陥(引っかき傷、汚れなど)の場合でさえ、明確な識別を可能にする誤差許容度に関する。デジタル識別子は、これらの特徴によって、例えばマーキングデータの一意のハッシュ値として決定される。ここで、一意性は、すべての可能なハッシュ値のセットに関し、各ハッシュ値が1回だけ発生すること(衝突の回避)を保証することを意図しており、その結果、デジタル識別子は、常にワークピースと明確に一致させることができる。ハッシュ値は、ワークピース情報を明確にワークピースと照合することができるデータ格納のためのキーおよびキー値(ID)として機能する。ここで、データストレージは、プライベートクラウド記憶または分散記憶(分散台帳、DLT)とすることができる。プライベートクラウド記憶の場合、異なるユーザの異なるデータサイロ間のインターフェースを確立するために、いわゆるコネクタを実装することができる。
【0062】
チェックサム(ハッシュ値)を生成するためには、ワーク等の鍵がないアクセスを防止するために、公開されていないハッシュ関数を用いることができる。したがって、ワークピース1自体、より正確にはそのマーキング2は、データ格納のための光学キー(識別子)として機能する。
【0063】
デジタル識別子のみを用いてデータ記憶装置に書き込まれた全てのデータは、ワークピース1、ひいてはマーキング2を所有する誰でも見ることができる。さらに、追加のプライベートトークンの手段によって、データを保護し、選択的に共有することができる。トークンは、トークン生成器から取得され、トークンの配置が特定のデータに対する特定の読み取りおよび書き込み権利に特にリンクされ得るように、取引され得る。
【0064】
すべてのワークピースデータは、分散プラットホーム(分散台帳、DLT)に暗号化された形式で格納することもできる。分散メモリとして、プラットホームは、冗長性を提供し、したがって、データ損失に対する保護を提供する。データセットの変更は、操作に対する保護が保証されるように、複数の当事者によって確認されなければならない(コンセンサス)。オープンスタンダードを使用することによって、プラットホームは現存するデータメモリに接続することができ、記憶されたデータはトークン(スマートコントラクト)によって自律的に共有することができる。
【0065】
準同型暗号化方法を介して、ワークピース1に関する既存のデータレコードを暗号化形式でサードパーティ(サービスプロバイダ)に中継することができ、サードパーティ(サービスプロバイダ)は、例えば、暗号化されたデータに自身のアルゴリズムを適用し、結果をフィードバックすることができる。ここでは、結果の後の使用によって補償が行われる。次に、データは、以前に生成され、取得されたトークンを使用して取引される。
【0066】
提示された記載、特許請求の範囲、および図面に開示される特徴は様々な実施形態の実現のために、それ自体、ならびに任意の所望の組み合わせの両方に関連し得る。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】ワークピースを電子的に登録および追跡するための方法を実行するための構成要素または要素の概略図を示す。
【
図2】マーキング要素がドットとして実装されるデータマトリックスコードの一例の概略図を示す。
【
図3】ワークピースを電子的に登録し、追跡するための方法の順序の概略図を示す。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースのためのデジタル識別子を提供するための方法であって、
マーキング要素(3)を含むマーキング(2)が配置されたワークピース(1)を提供する工程であって、前記マーキング要素(3)は、光学的に読み取り可能なマーキング内容を表示し、前記マーキング内容とは別に形成されたマーキング要素特徴を含む工程と、
撮像装置(4)により画像を撮像する工程であって、前記画像が少なくとも部分的に前記マーキング(2)を示す工程と、
前記マーキング要素(3)のうちの1つまたは複数のための少なくとも1つのマーキング要素特徴を決定する工程であって、このために、前記画像についてデジタル画像データが評価される工程と、
前記少なくとも1つのマーキング要素特徴を示す特徴データを生成する工程と、
前記特徴データを含むマーキングデータから前記ワークピース(1)のためのデジタル識別子を決定する工程と、
前記ワークピース(1)に関連する識別子として前記デジタル識別子を電子メモリ(6)に記憶する工程と、を包含する、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのマーキング要素特徴の前記決定中に、前記1つまたは複数のマーキング要素のための目標特徴から逸脱する実際の特徴であるエラー特徴が決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラー特徴は、
目標位置からのマーキング要素位置の偏差と、
目標形状からのマーキング要素形状の偏差と、
目標サイズからのマーキング要素サイズの偏差と、
目標輝度からのマーキング要素輝度の偏差と、
目標コントラストからのマーキング要素コントラストの偏差と、
目標間隔からのマーキング要素間隔の偏差と、
別のマーキング要素および/または配置グリッドに対する相対的なマーキング要素位置の相対的な目標位置からの偏差と、
のグループからの少なくとも1つの偏差を示すことを特徴とする請求項2に記載の方法
【請求項4】
前記デジタル識別子が、前記マーキングデータのチェックサムとして決定されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記チェックサムは、前記マーキングデータのハッシュ値として決定されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ワークピース(1)の前記デジタル識別子が、前記光学的に読み取り可能なマーキング内容を少なくとも部分的に示す内容データを含むマーキングデータから決定されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ワークピース(1)上の前記マーキング(2)の外側の領域のための少なくとも1つのワークピース特徴を決定し、このために、前記画像のためのデジタル画像データおよび/またはさらなる画像のためのさらなるデジタル画像データが評価される工程と、
前記少なくとも1つのワークピース特徴を示すワークピース特徴データを生成する工程と、
前記ワークピース特徴データを含むマーキングデータから、前記ワークピース(1)のための前記デジタル識別子を決定する工程と、をさらに包含することを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ワークピース(1)として、ブランク、加工されたブランク、部品、部品群、金属部品、加工された部品、加工された部品群、加工された金属部品、半完成材料、半完成品、サブ集合体、集合体群、集合体部品、成形品、完成品、および完成集合体の群からワークピースが提供されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マーキング(2)が設けられた前記ワークピース(1)が少なくとも1つの処理工程に従って処理された後に、前記画像が撮像されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ワークピース(1)が、データマトリックスコードを含むマーキング(2)を備え、前記データマトリックスコードのモジュールが前記マーキング要素を形成することを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ワークピースの前記提供が前記ワークピース(1)への前記マーキングの適用を含み、
前記マーキング要素が、インク印刷、レーザ彫刻、ニードルエンボス加工、ラベルの適用、磁性粒子、放射粒子などのマーキング要素の適用、機械的彫刻、スタンピング処理、スクリーン印刷、コーティング、およびプロットのグループからの少なくとも1つのマーキング方法を使用して生成されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ワークピース(1)のための前記デジタル識別子に関連するワークピースデータを前記電子メモリ内に記憶する工程と、
前記電子メモリ内のデータにアクセスすることが可能なアクセス装置内の前記ワークピースデータにアクセスする要求を受信する工程であって、デジタル要求識別子を示す標識データが、前記要求とともに受信される工程と、
前記デジタル要求識別子が前記デジタル標識と一致するかどうかをチェックする工程と、
前記デジタル要求識別子が、指定された誤差許容範囲内でデジタル識別子と一致することが確立された場合、前記ワークピースデータへの要求されたアクセスを許可する工程と、をさらに包含することを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも部分的に前記ワークピース(1)上の前記マーキング(2)を示す現在の画像を撮像する工程と、
前記マーキング要素(3)のうちの1つ以上のための少なくとも1つの現在のマーキング要素特徴を決定する工程であって、このために、デジタル画像データが引き続く画像について評価される工程と、
少なくとも1つの現在のマーキング要素特徴を示す現在の特徴データを生成する工程と、
前記ワークピース(1)のための現在のデジタル識別子を、前記現在の特徴データを含む現在のマーキングデータから決定する工程と、
前記現在のデジタル識別子が前記電子メモリ内の前記デジタル識別子と一致するかどうかを決定する工程と、
を前記ワークピース(1)を追跡するためにさらに包含することを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ワークピースを電子的に登録および追跡するための電子データベースであって、
データベース記憶要素に電子的に記憶され、ワークピース(1)にそれぞれ関連付けられて記憶され、及び、
請求項1~13のうちの何れか一項に記載の方法に従って決定されたデジタル識別子を備える電子データベース。
【請求項15】
ワークピース(1)に関連付けられ、請求項1~13の
うちの何れか一項に記載の方法に従って決定されたデジタル識別子を含むトークン。
【請求項16】
請求項15に記載のトークンを生成するように構成された1つまたは複数のプロセッサを備える、トークンを生成するための装置。
【国際調査報告】