(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ロータリー燃焼エンジン及び関連する燃焼方法
(51)【国際特許分類】
F02B 53/00 20060101AFI20240604BHJP
F02B 53/02 20060101ALI20240604BHJP
F02B 53/04 20060101ALI20240604BHJP
F02B 53/10 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
F02B53/00 X
F02B53/02 C
F02B53/04 A
F02B53/04 E
F02B53/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024519143
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2022055298
(87)【国際公開番号】W WO2022259147
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523460420
【氏名又は名称】ケラシュ ラセヌ
【氏名又は名称原語表記】KERRACHE,Lahcene
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ケラシュ,ラセヌ
(57)【要約】
本発明は主に、ロータリー燃焼エンジン(1)であって、燃焼室(14、15)を酸化剤ガス入口(12)及び既燃ガス出口(13)と交互に流体連通させるように構成された交番流体連通装置(16、17、18)を介して、酸化剤ガス吸気区画(7)と流体連通する酸化剤ガス入口(12)と、既燃ガス排気区画(8)と流体連通する既燃ガス出口(13)とに流体接続された燃焼室(14、15)内に燃料を噴射して燃焼させるための手段(19、20)を含む交番燃焼装置(11)を含む、ロータリー燃焼エンジン(1)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリー燃焼エンジン(1)であって、
空洞(3)が内部に形成されたステータを形成するフレーム(2)であって、前記空洞(3)は、長手方向軸線(X)に沿って延びるとともに、大きな幅(L)と呼ばれる少なくとも1つの第1の横断寸法及び小さな幅(l)と呼ばれる第2の横断寸法を有し、前記長手方向軸線(X)は、前記フレーム(2)に対して不動である、フレーム(2)と、
前記空洞(3)内に長手方向に延びて前記長手方向軸線(X)を中心に前記フレーム(2)内で回転運動可能であるように取り付けられた筒状体(42)を含むロータ(6)であって、前記筒状体(42)は、前記空洞の前記小さな幅(l)に相当する直径を有し、前記空洞(3)をシール状態で酸化剤ガス吸気区画(7)と既燃ガス排気区画(8)とに分割する隘路(48)を形成する前記空洞(3)の表面(44)と面一な対向する2つの領域(48a、48b)を画定し、前記吸気区画(7)及び前記排気区画(8)の各々は、前記筒状体(42)の前記外面と前記空洞(3)の前記表面(44)とによって境界が定められ、それぞれ、前記フレーム(2)の壁に形成された酸化剤ガス吸気入口(4)及び既燃ガス排気出口(5)と流体連通する、ロータ(6)と、
前記ロータ(6)は、前記ロータ(6)の前記筒状体(42)に形成された長手方向開口部(10)内に取り付けられた、前記区画(7、8)内に収容された前記ガスを駆動するための少なくとも1つの部材(9a、9b)であって、前記筒状体(42)によって前記長手方向軸線(X)を中心に回転駆動されるように構成された少なくとも1つの部材(9a、9b)を含み、
前記エンジン(1)は、前記駆動部材(9a、9b)の前記自由端(45a、45b)が前記空洞(3)の前記小さな幅(l)の箇所で前記空洞(3)の前記内面(44)と面一である最小位置と前記駆動部材(9a、9b)の前記自由端(45a、45b)が前記空洞(3)の前記大きな幅(L)の箇所で前記空洞(3)の前記内面(44)と面一である最大位置との間での前記長手方向軸線(X)に垂直な方向への前記開口部(10)内での前記駆動部材(9a、9b)の摺動によって前記駆動部材(9a、9b)の前記自由端(45a、45b)を前記空洞(3)の前記内面(44)と面一にする手段を含み、
燃焼室(14、15)を前記酸化剤ガス入口(12)及び前記既燃ガス出口(13)と交互に流体連通させるように構成された交番流体連通装置(16、17、18)を介して、前記吸気区画(7)と流体連通する酸化剤ガス入口(12)と、前記排気区画(8)と流体連通する既燃ガス出口(13)とに流体接続された前記燃焼室(14、15)内に燃料を噴射して前記燃焼室(14、15)内で燃料を燃焼させるための手段(19、20)を含む交番燃焼装置(11)と
を含む、ロータリー燃焼エンジン(1)。
【請求項2】
前記エンジン(1)は、前記区画(7、8)及び前記2つの燃焼室(14、15)内に収容された前記ガスを駆動するための直径方向に対向する第1の部材及び第2の部材(9a、9b)を含み、前記交番連通装置は、前記2つの燃焼室(14、15)の一方を前記酸化剤ガス入口(12)と交互に流体連通させるように構成された交番吸気装置(16)と、前記2つの燃焼室(14、15)の一方を前記既燃ガス出口(13)と交互に流体連通させるように構成された交番排気装置(17、18)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のエンジン(1)。
【請求項3】
前記駆動部材(9a、9b)の前記自由端(45a、45b)を前記空洞(3)の前記内面(44)と面一にする前記手段は、前記フレーム(2)に固定されて前記空洞(3)内に形成された外周レール(21)を含み、前記レール(21)は、前記長手方向軸線(X)を中心とする前記駆動部材(9a、9b)の回転中に当該開口部(10)内での前記駆動部材(9a、9b)の摺動を案内するように適合されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエンジン(1)。
【請求項4】
前記外周レール(21)は、2つのレール部分(27、28)の2つのそれぞれの端部によって枢動するように互いに接続された前記2つのレール部分(27、28)を含み、前記2つのレール部分(27、28)の両端は、前記外周レール(21)の連続性を確保するように互いに協働する相補的な形状のそれぞれの摺動部材(29)を含むことを特徴とする、請求項3に記載のエンジン(1)。
【請求項5】
各駆動部材(9a、9b)は、前記駆動部材(9a、9b)の自由端部から突出するガイドシャフト(22)を含み、前記シャフト(22)は、前記外周レール(21)に形成された溝(23)と協働するように適合されることを特徴とする、請求項3又は4に記載のエンジン(1)。
【請求項6】
前記エンジン(1)は、ハウジング(24)の壁が前記空洞(3)の一部の境界を定める前記ハウジング(24)を含み、前記ハウジング(24)は、前記長手方向軸線(X)に平行な軸線を中心に前記フレーム(2)上で枢動するように取り付けられた端部(25)を含み、前記吸気区画(7)の容積を最小化する位置と前記吸気区画(7)の前記容積を最大化する位置との間で移動可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のエンジン(1)。
【請求項7】
前記エンジン(1)は、前記エンジン(1)の前記管理システムによって駆動される、前記ハウジング(24)の前記枢動を作動させるための手段(26)を含むことを特徴とする、請求項6に記載のエンジン(1)。
【請求項8】
前記交番燃焼装置(11)が、各燃焼室(14、15)の前記容積を変化させるための手段(30、31)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のエンジン(1)。
【請求項9】
前記燃焼室(14、15)の前記入口及び前記出口にそれぞれ形成された前記吸気装置及び排気装置(16、17、18)は、前記管理システムによって制御される弁であることを特徴とする、請求項2~8のいずれか一項に記載のエンジン(1)。
【請求項10】
各燃焼室(14、15)は、当該燃焼室(14、15)の前記入口に形成された逆止弁(40、41)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のエンジン(1)。
【請求項11】
請求項2~10のいずれか一項に記載のロータリー燃焼エンジン(1)における燃焼方法であって、前記ロータ(6)は、その長手方向軸線(X)を中心に回転し、各駆動部材(9a、9b)は、前記交番燃焼装置(11)の前記酸化剤ガス入口(12)に流体接続された圧縮副区画(34)と、前記フレーム(2)の前記酸化剤ガス吸気入口(4)に流体接続された吸気副区画(35)とを前記吸気区画(7)内に、及び前記交番燃焼装置(11)の前記既燃ガス排気出口(5)に流体接続された膨張副区画(36)と、前記排気出口(5)に流体接続された排気副区画(37)とを前記排気区画(8)内に画定し、前記方法は、以下の連続ステップ:
前記第1の燃焼室及び第2の燃焼室(14、15)の前記入口(32、33)は、それぞれ、開放しており及び閉鎖され、前記第1の室及び第2の室(14、15)の前記出口(38、39)は、それぞれ、閉鎖され及び開放しており、前記吸気区画(7)内で移動する前記第1の駆動部材(9a)と、前記排気区画(8)内で移動する前記第2の駆動部材(9b)は、前記吸気副区画(35)内への酸化剤ガスの吸気、前記圧縮副区画(34)内での酸化剤ガスの圧縮、前記第1の燃焼室(14)内への圧縮ガスの吸気、前記第2の吸気室(15)から前記膨張副区画(36)内への既燃ガスの排出、及び前記排気副区画(37)内に収容された前記既燃ガスの、前記空洞(3)からの排気を駆動し、
前記2つの駆動部材(9a、9b)の前記自由端(45a、45b)が前記隘路(48)を通過するとすぐに、エンジン管理システムは、前記第1の室(14)の前記入口(32)及び前記第2の室(15)の前記出口(39)を閉鎖し、前記第2の室(15)の前記入口(33)及び前記第1の室(14)の前記出口(38)を開放し、
前記第1の室(14)内に燃料を噴射するように前記室(14)の前記噴射及び燃焼手段(19)を作動させ、続いて、前記第1の室(14)内に存在する燃料と酸化剤ガスとの混合気を燃焼させ、
前記第1の室(14)内での爆発によって発生した圧力により、前記排気区画(8)内の前記第1の駆動部材(9a)及び前記吸気区画(7)内の前記第2の駆動部材(9b)を駆動し、前記第1の吸気室(14)から前記膨張副区画(36)内への既燃ガスの排出、前記排気副区画(37)内に収容された前記既燃ガスの、前記フレーム(2)からの排気、前記吸気副区画(35)内への酸化剤ガスの吸気、前記圧縮副区画(34)内での酸化剤ガスの圧縮、及び前記第2の燃焼室(15)内への圧縮ガスの吸気を生じさせ、
前記2つの駆動部材(9a、9b)の前記自由端(45a、45b)が前記隘路(48)を通過するとすぐに、前記エンジン(1)の前記管理システムは、前記第2の室(15)の前記入口(33)及び前記第1の室(14)の前記出口(38)を閉鎖し、前記第1の室(14)の前記入口(32)及び前記第2の室(15)の前記出口(39)を開放し、
前記第2の室(15)内に燃料を噴射するように前記室(15)の前記噴射及び燃焼手段(20)を作動させ、続いて、前記第2の室(15)内に存在する燃料と酸化剤ガスとの混合気を燃焼させ、
前記エンジン(1)を作動させている限り、前述のステップを繰り返すこと
を含む、燃焼方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、燃焼エンジンである。
【0002】
本発明は、より詳細には、小型2ストローク燃焼エンジンと、そのエンジンによって使用される燃焼方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
燃焼室とピストンとを備えた直噴式又は副室式エンジン、特に2ストローク又は4ストロークガソリンエンジンがよく知られている。これらのエンジンは、室の容積が最小である位置と室の容積が最大である位置との間でピストンが並進運動するように取り付けられた少なくとも1つの筒状燃焼室を含む。
【0004】
2ストロークエンジンでは、ピストンが最小容積位置を占めるときの室内での燃料の燃焼に続いて、最初に爆発によって、最大容積位置に向かうピストンの移動が生じる。同時に、燃料蒸気と酸化剤ガスとの混合気がエンジンの外側から室内に流入する間に、既燃ガスが排気される。次いで、クランクシャフトの動きによって、ピストンがその最小容積位置に向かって上昇し、ガスの圧縮が生じる。ピストンが最小容積位置に達するとすぐにスパークプラグがガスに点火し、2ストロークサイクルが再開する。
【0005】
2ストロークエンジンに見られる燃焼室からの既燃ガスの不完全な排気に関する問題を改善する、4ストロークエンジンでは、ピストンが最小容積位置を占めている間の室内での燃料の燃焼に続いて、最初に爆発によって、最大容積位置に向かうピストンの移動が生じる。次いで、クランクシャフトの動きによって、ピストンがその最小容積位置に向かって上昇し、燃焼室からの既燃ガスの排気が生じる。クランクシャフトの動きによって、ピストンがその最大容積位置に向かって下降し、室内への燃料蒸気と酸化剤ガスとの混合気の流入が生じる。最後に、クランクシャフトの動きによって、ピストンがその最小容積位置に向かって上昇し、ガスの圧縮が生じる。ピストンがその最小容積位置に達するとすぐにスパークプラグがガスに点火し、4ストロークサイクルが再開する。
【0006】
この4ストロークエンジンは、優れた性能を提供するが、加工されて組み立てられる多くの構成要素、特に、2ストローク又は4ストロークサイクルの使用を可能にする様々な構成要素を必要とする。更に、特に燃焼圧力がサイクルごとに全く同じではないため、燃料の燃焼が最適ではない。それゆえ、この種のエンジンは依然として、加工して組み立てるのに複雑でコストがかかり、嵩張り、且つ調整が難しい機械である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、より嵩張らず、より簡単で且つより実装コストの低い燃焼エンジンであって、燃料の最適化された燃焼をもたらす燃焼エンジンを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、ロータリー燃焼エンジンであって、
・ 空洞が内部に形成されたステータを形成するフレームであって、この空洞は、長手方向軸線に沿って延びるとともに、大きな幅Lと呼ばれる少なくとも1つの第1の横断寸法及び小さな幅lと呼ばれる第2の横断寸法を有し、この長手方向軸線は、フレームに対して不動である、フレームと、
・ 空洞内に長手方向に延びて長手方向軸線を中心にフレーム内で回転運動可能であるように取り付けられた筒状体を含むロータであって、この筒状体は、空洞の小さな幅に相当する直径を有し、空洞をシール状態で酸化剤ガス吸気区画と既燃ガス排気区画とに分割する隘路を形成する空洞の表面と面一な対向する2つの領域を画定し、吸気区画及び排気区画の各々は、筒状体の前記外面と空洞の前記表面とによって境界が定められ、それぞれ、前記フレームの壁に形成された酸化剤ガス吸気入口及び既燃ガス排気出口と流体連通する、ロータと、
・ 前記ロータは、ロータの筒状体に形成された長手方向開口部内に取り付けられた、区画内に収容されたガスを駆動するための少なくとも1つの部材であって、前記筒状体によって長手方向軸線を中心に回転駆動されるように構成された少なくとも1つの部材を含み、
・ 前記エンジンは、駆動部材の自由端が空洞の小さな幅lの箇所で空洞の内面と面一である最小位置と駆動部材の自由端が空洞の大きな幅Lの箇所で空洞の内面と面一である最大位置との間での、長手方向軸線に垂直な方向への開口部内での駆動部材の摺動によって前記駆動部材の自由端を空洞の内面と面一にする手段を含み、
・ 燃焼室を酸化剤ガス入口及び既燃ガス出口と交互に流体連通させるように構成された交番流体連通装置を介して、吸気区画と流体連通する酸化剤ガス入口と、排気区画と流体連通する既燃ガス出口とに流体接続された燃焼室内に燃料を噴射して燃焼室内で燃料を燃焼させるための手段を含む交番燃焼装置と
を含む、ロータリー燃焼エンジンを対象とする。
【0009】
エンジンはまた、以下の任意選択の特徴を個別に又は技術的に可能な全ての組み合わせで有してもよい:
- エンジンは、区画及び2つの燃焼室内に収容されたガスを駆動するための直径方向に対向する第1の部材及び第2の部材を含み、交番連通装置は、2つの燃焼室の一方を酸化剤ガス入口と交互に流体連通させるように構成された交番吸気装置と、2つの燃焼室の一方を既燃ガス出口と交互に流体連通させるように構成された交番排気装置とを含む。
- 駆動部材の自由端を空洞の内面と面一にする手段は、フレームに固定されて空洞内に形成された外周レールを含み、このレールは、長手方向軸線を中心とする駆動部材の回転中に当該開口部内での駆動部材の摺動を案内するように適合される。
- 外周レールは、2つのレール部分の2つのそれぞれの端部によって枢動するように互いに接続された前記2つのレール部分を含み、2つのレール部分の両端は、外周レールの連続性を確保するように互いに協働する相補的な形状のそれぞれの摺動部材を含む。
- 各駆動部材は、前記駆動部材の自由端部から突出するガイドシャフトを含み、このシャフトは、外周レールに形成された溝と協働するように適合される。
- エンジンは、ハウジングの壁が空洞の一部の境界を定めるハウジングを含み、ハウジングは、長手方向軸線に平行な軸線を中心にフレーム上で枢動するように取り付けられた端部を含み、吸気区画の容積を最小化する位置と前記吸気区画の容積を最大化する位置との間で移動可能である。
- エンジンは、エンジンの管理システムによって駆動される、ハウジングの枢動を作動させるための手段を含む。
- 交番燃焼装置は、各燃焼室の容積を変化させるための手段を含む。
- 燃焼室の入口及び出口にそれぞれ形成された吸気装置及び排気装置は、エンジンの管理システムによって制御される弁である。
- 各燃焼室は、当該燃焼室の入口に形成された逆止弁を含む。
- 吸気区画及び排気区画は、隘路のそれぞれの対向する側に配置されたそれぞれの三日月形の形態をとる。
【0010】
本発明はまた、上で説明したようなロータリー燃焼エンジンにおける燃焼方法であって、ロータは、その長手方向軸線を中心に回転し、各駆動部材は、交番燃焼装置の酸化剤ガス入口に流体接続された圧縮副区画と、フレームの酸化剤ガス吸気入口に流体接続された吸気副区画とを吸気区画内に、及び交番燃焼装置の既燃ガス排気出口に流体接続された膨張副区画と、排気出口に流体接続された排気副区画とを排気区画内に画定し、この方法は、以下の連続ステップ:
・ 第1の燃焼室及び第2の燃焼室の入口は、それぞれ、開放しており及び閉鎖され、前記第1の室及び第2の室の出口は、それぞれ、閉鎖され及び開放しており、吸気区画内で移動する第1の駆動部材と、排気区画内で移動する第2の駆動部材は、吸気副区画内への酸化剤ガスの吸気、圧縮副区画内での酸化剤ガスの圧縮、第1の燃焼室内への圧縮ガスの吸気、第2の吸気室から膨張副区画内への既燃ガスの排出、及び排気副区画内に収容された既燃ガスの、空洞からの排気を駆動し、
・ 2つの駆動部材の自由端が隘路を通過するとすぐに、エンジンの管理システムは、第1の室の入口及び第2の室の出口を閉鎖し、第2の室の入口及び第1の室の出口を開放し、
・ 第1の室内に燃料を噴射するように前記室の噴射及び燃焼手段を作動させ、続いて、第1の室内に存在する燃料と酸化剤ガスとの混合気を燃焼させ、
・ 第1の室内での爆発によって発生した圧力により、排気区画内の第1の駆動部材及び吸気区画内の第2の駆動部材を駆動し、第1の吸気室から膨張副区画内への既燃ガスの排出、排気副区画内に収容された既燃ガスの、フレームからの排気、吸気副区画内への酸化剤ガスの吸気、圧縮副区画内での酸化剤ガスの圧縮、及び第2の燃焼室内への圧縮ガスの吸気を生じさせ、
・ 2つの駆動部材の自由端が隘路を通過するとすぐに、エンジンの管理システムは、第2の室の入口及び第1の室の出口を閉鎖し、第1の室の入口及び第2の室の出口を開放し、
・ 第2の室内に燃料を噴射するように前記室の噴射及び燃焼手段を作動させ、続いて、第2の室内に存在する燃料と酸化剤ガスとの混合気を燃焼させ、
・ エンジンを作動させている限り、前述のステップを繰り返すこと
を含む、燃焼方法を対象とする。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として添付図面を参照して以下で行う本発明の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の平面における本発明のエンジンの横断面図を示す。
【
図2】
図3の第2の平面II-IIにおける本発明のエンジンの横断面図を示す。
【
図3】
図2の平面III-IIIにおける本発明のエンジンの縦断面図を示す。
【
図4】
図5の平面IV-IVにおける本発明のエンジンの横断面図を示す。
【
図5】
図4の平面V-Vにおける本発明のエンジンの縦断面図を示す。
【
図6】
図1の平面VI-VIにおける交番燃焼装置の縦断面図を示す。
【
図7a】第1の平面における本発明のエンジンの横断面図を用いてエンジンの動作の運動学を示す。
【
図7b】第1の平面における本発明のエンジンの横断面図を用いてエンジンの動作の運動学を示す。
【
図7c】第1の平面における本発明のエンジンの横断面図を用いてエンジンの動作の運動学を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、要素がどの図面に現れるか及びそれらの要素を示す方法に関係なく、図面では同じ参照番号が同じ要素を示すことが指摘される。同様に、図面の1つで、要素に特に参照番号が付されていない場合、別の図面を参照することによって参照番号を容易に見出すことができる。
【0014】
また、図面は本質的に本発明の目的の一実施形態を示すが、本発明の定義と一致する他の実施形態も存在し得ることも指摘される。
【0015】
次に、
図1~
図6を参照して、本発明による燃焼エンジンを説明する。
【0016】
図1を参照すると、エンジン1は、好ましくは金属で作られたフレーム2を含む。このフレーム2は、エンジン1のステータを形成し、長手方向軸線Xに沿って延びる長手方向空洞3を含み、この長手方向軸線Xはフレーム2に対して不動である。フレーム2は全体的に筒状の外面を有するが、空洞3の境界を定めるフレーム2の表面は、2つの横断寸法l、L、それぞれ最小寸法l及び最大寸法Lを有する全体的に楕円形の形状を有する。最大横断寸法Lは、本説明の残りの部分では大きな幅Lと称され、その一方で、最小横断寸法lは小さな幅と称される。また、空洞3の境界を定める表面は、可撓性シール材料(図示せず)によって覆われ、可撓性シール材料の機能については以下で説明する。
【0017】
空洞3は、有利には、同軸ではなく同じ直径を有する2つの長手方向筒状開口部によって形成され、筒状開口部の2つのそれぞれの軸線間の距離は、各筒状開口部の直径よりも短い。
【0018】
エンジン1はまた、空洞3内に配置されて空洞3内に長手方向に延びるロータ6を含む。ロータ6は、長手方向軸線Xを中心にフレーム2内で回転するように取り付けられた中心シャフト46と、中心シャフト46に固定された周壁47とを含む筒状体42を含み、筒状体42の直径は、その外面の箇所において、筒状体42が空洞3の小さな幅の箇所でフレーム2内に密着することを確実にする。それゆえ、空洞3内へのロータ6の密着によって、前記空洞3の表面44(すなわち、フレーム2の内面44)とロータ6の筒状体42の周壁47の外面との間の空洞3の小さな幅lの箇所に隘路48を画定する、直径方向に対向する2つの面一領域48a、48bが形成される。これらの面一領域48a、48bもまた、可撓性シール材料(図示せず)で覆われる。それゆえ、2つの面一領域48a、48bと長手方向軸線Xを通る筒状体42の中心とが位置合わせされ、その結果、筒状体42が空洞3の小さな幅lの箇所でフレーム2内に密着する。
【0019】
したがって、筒状体42は、軸線Xを中心に依然として自由に回転できる状態のままで、空洞3を、隘路48のそれぞれの対向する側に配置された2つの区画7、8、以下に説明するように、それぞれ酸化剤ガス吸気区画7と既燃ガス排気区画8とに分割する。これらの2つの区画7、8は、筒状体42の外面とフレーム2の内面44の一部とによって境界が定められ、各区画は三日月形である。更に、これらの2つの区画7、8は、可撓性シール材料で覆われた面一領域48a、48bによってシール状態で隔離される。換言すれば、吸気区画7と排気区画8とは互いに流体連通せず、そのため、酸化剤ガスと既燃ガスとは空洞3内で決して混合されない。
【0020】
エンジン1は、酸化剤ガス用の、典型的にはフレーム2の外部の周囲空気用の入口4と、フレーム2の外部の、排ガスと呼ばれる既燃ガス用の出口5とを更に含む。酸化剤ガス入口4及び既燃ガス出口5は、フレーム2の壁に形成され、それぞれ吸気区画7及び排気区画8と流体連通する。したがって、入口4及び出口5は、隘路48のそれぞれの対向する側に配置され、それゆえ独立している。
【0021】
ロータ6は、吸気区画7及び排気区画8内に収容されたガスを駆動するための少なくとも1つの駆動部材、好ましくは直径方向に対向する2つの駆動部材9a、9bを更に含む。それゆえ、これらの駆動部材9a、9bは、ロータ6の筒状体42と同時に軸線Xを中心に回転駆動される。本説明の残りの部分では、各駆動部材9a、9bはベーンと称される。ベーン9a、9bは、長手方向軸線Xのそれぞれの対向する側でロータ6の筒状体42の周壁47における2つの開口部10内に収容される。
【0022】
図3を参照すると、各ベーン9a、9bは、長手方向軸線Xに沿って延びる矩形ブロックの形態をとり、筒状体42のシャフト46に面する端部と、フレーム2の内面44に面する反対側の自由端45a、45bとを有する。更に、各ベーン9a、9bは、自由端45a、45bの箇所に開口する2つの横断溝49を含み、各溝49は、ロータ6の筒状体42に固定されて当該溝49内に横断方向に延びるほぞ50と協働し、したがって、各ベーン9a、9bは、当該開口部10内で横断方向に(長手方向軸線Xに対して垂直に)摺動するように取り付けられる。更に、溝49の表面及びほぞ50の表面もまた、各ほぞ50と当該ベーン9a、9bとのシール接触を確実にするために、上で説明したように、シール材料(図示せず)で覆われる。
【0023】
図2及び
図3を参照すると、エンジン1はまた、ベーン9a、9bが当該開口部10内で摺動することによって前記ベーン9a、9bの自由端45a、45bを空洞3の表面44と面一にする手段を含む。これらの手段は、フレーム2に固定されて空洞3内に配置された2つの外周レール21を含む。これらの2つのレール21は、長手方向軸線Xに垂直な2つの平行平面内に延び、ベーン9a、9bのそれぞれの反対側に配置される。更に、各レール21は、中央外周溝23を含み、それぞれのレール21の前記溝23は対向して配置される。
【0024】
ベーンの自由端を空洞の表面と面一にする手段はまた、長手方向軸線Xに沿ってベーン9a、9bの壁から突出するガイドシャフト22を含む。各ベーン9a、9bは、各々が当該溝23内に収容されるように当該レール21の方向に延びる、対向する2つのガイドシャフト22を含む。各ベーン9a、9bのガイドシャフト22は、2つのレール21の対向する2つの溝23と協働し、ベーン9a、9bの自由端45a、45bは、フレーム2の内面44と面一にフレーム2内に密着する。特に、ベーン9a、9bの自由端45a、45bは、面一領域48a、48bの箇所で含む、フレーム2の内面を覆うシール材料にシール接触する可撓性材料で作られたシールセグメント(図示せず)を含む。
【0025】
その結果、ロータ6が軸線Xを中心に回転すると、ベーン9a、9bのガイドシャフト22が当該レール21の溝23に沿って移動し、2つのベーン9a、9bのそれぞれの自由端45a、45bが空洞3の小さな幅lの箇所で、すなわち、2つの面一領域48a、48bの箇所でフレーム2の内面44と面一である最小位置と、2つのベーン9a、9bのそれぞれの自由端45a、45bが空洞3の大きな幅Lの箇所でフレーム2の内面44と面一である最大位置との間で、各ベーン9a、9bを開口部10内での摺動によって移動させる。当然ながら、ベーン9a、9bの自由端45a、45bは、依然としてフレーム2内に密着しており、すなわち、ベーン9a、9bの自由端45a、45bの箇所に形成されたシールセグメントは、空洞3内におけるロータ6の位置及びベーン9a、9bの自由端45a、45bの位置にかかわらず、依然としてフレーム2の内面に接触している。
【0026】
また、更に
図3を参照すると、ロータ6の筒状体42は、中空であり、その軸方向断面がH形状である。それゆえ、ベーン9a、9bが筒状体42の対応する開口部10内で移動するときの前記ベーン9a、9bと筒状体42の壁との間の摩擦を低減することに寄与する、小さな接触領域がベーン9a、9bの壁と筒状体42の壁との間に存在する。
【0027】
ベーン9a、9bが最大位置と最小位置との間の中間摺動位置にあるときに、ベーン9a、9bはそれぞれ、導入区画7を吸気副区画35と圧縮副区画34とに分割し、排気区画8を膨張副区画36と排気副区画37とに分割する。一方で吸気副区画35と圧縮副区画34と、他方で膨張副区画36と排気副区画37とは、ベーン9a、9bの自由端45a、45bに形成されたシールセグメントによって、空洞3の境界を定めるフレーム2の内面においてシール状態で隔離される。これらの副区画34~37の機能については、本発明のエンジン1における燃焼方法に関連して以下で説明する。
【0028】
フレーム2は、可動ハウジング24を更に含み、可動ハウジング24の壁は、空洞3の一部の境界を定め、特に吸気区画7の一部の境界を定める。このハウジング24は、長手方向軸線Xに垂直な断面が円弧形状であり、ハウジング24の端部25の一方が、長手方向軸線Xに平行な軸線を中心にフレーム2上で枢動するように取り付けられる。ハウジング24の軸線を中心とするハウジング24の枢動移動は、駆動装置26、特にエンジンの管理システムによって制御されるアクチュエータによって、吸気区画7の容積を最小化する最小位置と、吸気区画7の容積を最大化する最大位置との間で駆動される。それゆえ、ハウジング24の従動移動は、吸気室7内に導入できる酸化剤ガスの体積を変化させることによってエンジン1の容積を変化させることを可能にする。
【0029】
また、
図2を参照すると、各レール21は、長手方向軸線Xに平行な軸線を中心に枢動するように2つのレール部分27、28のそれぞれの端部によって互いに接続された前記レール部分27、28を含む。各レール21について、一方の部分28は、隣接する他方の部分27が移動可能である一方で不動であり、当該レール21の外周を最小化する最小位置と当該レール21の外周を最大化する最大位置との間で、軸線を中心に枢動する。また、レール21のそれぞれの枢動部分27は、対向して配置される。更に、対向する2つのレール部分27は、同じ制御式アクチュエータ26によって駆動され、ハウジング24と同時に枢動する。
【0030】
図2、
図4及び
図5を参照すると、レール部分27、28の対向する端部は、枢動レール部分27の位置に関係なく、各レール21の連続性を確保するように互いに協働し且つ互いに連結された摺動部材29を含む。
【0031】
図1及び
図3を参照すると、制御式アクチュエータ26は、ピストンロッド52を備えたピストン51を含み、ピストンロッド52の端部は、フォーク53の基部に固定され、フォーク53は、3つのアーム53a、53b、53cを含み、フォーク53の自由端は、それぞれ、2つの枢動レール部分27及びハウジング24の外面に固定される。
【0032】
それゆえ、ピストン51のピストンロッド52の並進運動によって、ハウジング24が枢動し、吸気区画7の容積の変化と、レール21の外周の変化が生じる。このように、ベーン9a、9bの自由端45a、45bは、可動ハウジング24の位置に関係なく、依然としてフレーム2の内面44に密着したままである。
【0033】
図1及び
図6を参照すると、エンジン1は、ハウジング24に形成されて吸気区画7と流体連通する酸化剤ガス入口12と、フレームに形成されて排気区画8と流体連通する既燃ガス出口13とを含む交番燃焼装置11を含む。
【0034】
交番燃焼装置11は、以下、第1の室14及び第2の室15と称される、2つの燃焼室14、15を更に含む。
【0035】
各室14、15は、交番燃焼装置11の酸化剤ガス入口12に流体接続された酸化剤ガス入口32、33を含む。室14、15の入口32、33は、当該室14、15内に収容されたガスが吸気区画7に漏れることを防止する逆止弁を更に含む。各室14、15は、交番燃焼装置11の既燃ガス出口13と流体連通する既燃ガス出口38、39を更に含む。
【0036】
本説明の残りの部分では、第1の室14の入口32及び出口38は、第1の入口32及び第1の出口38と称され、第2の室15の入口33及び出口39は、第2の入口33及び第2の出口39と称される。
【0037】
交番燃焼装置11はまた、エンジンの管理システムによって駆動される、燃焼室14、15内への酸化剤ガスの交番吸気のための装置を含む。この装置は、弁16が、第2の室15の第2の入口33を遮断し、次いで吸気区画7と流体連通する第1の室14の第1の入口32を解放する第1の位置と、弁16が、第1の室14の第1の入口32を遮断し、次いで吸気区画7と流体連通する第2の室15の第2の入口33を解放する第2の位置(
図6に示す)との間で移動可能な弁16を含む。
【0038】
交番燃焼装置11は、エンジン1の管理システムによって駆動される、燃焼室14、15からの既燃ガスの交番排気のための装置を更に含む。この装置は、燃焼室14、15の第1及び第2の既燃ガス出口38、39の箇所にそれぞれ設置された、管理システムによって駆動される2つのギロチン弁17、18を含む。本説明の残りの部分では、第1の室14の出口に設置されたギロチン弁17は、第1の弁17と呼ばれ、第2の室15の出口に設置されたギロチン弁18は、第2の弁18と呼ばれる。
【0039】
この交番排気装置は、第1の弁17が閉鎖されて第1の室14の第1の出口38を遮断し、第2の弁18が開放しており第2の室15と排気区画8との流体連通を可能にする第1の位置と、第2の弁18が閉鎖されて第2の室15の第2の出口39を遮断し、第1の弁17が開放しており第1の室14と排気区画8との流体連通を可能にする第2の位置(
図6に示す)との間で作動させることができる。
【0040】
交番吸気装置及び交番排気装置は、交番吸気装置及び交番排気装置が第1の位置にある第1の位置と、交番吸気装置及び交番排気装置が第2の位置にある第2の位置との間で管理システムによって駆動される交番流体連通装置16、17、18を形成する。
【0041】
交番燃焼装置16、17、18はまた、第1の燃焼室14内に燃料を噴射して第1の燃焼室14内で燃料を燃焼させるための第1の手段19と、第2の燃焼室15内に燃料を噴射して第2の燃焼室15内で燃料を燃焼させるための第2の手段20とを含む。
【0042】
より正確に言えば、第1の噴射及び燃焼手段19は、燃料タンク(図示せず)に流体接続されて第1の燃焼室14内に開口する第1の燃料噴射ノズル54と、第1の燃焼室14内の燃料に点火するための第1の燃料点火部材55、例えばスパークプラグとを含む。第2の噴射及び燃焼手段20は、燃料タンクに流体接続されて第2の燃焼室15内に開口する第2の燃料噴射ノズル56と、第2の燃焼室15内の燃料に点火するための第2の燃料点火部材57、例えばスパークプラグとを含む。ノズル54、56は、燃料を噴霧状に噴射するように構成される。
【0043】
最後に、交番燃焼装置16~18は、各燃焼室14、15の容積を変化させるための手段30、31を含む。
【0044】
これらの可変手段は、管理システムによって制御される第1及び第2のアクチュエータ30、31を含み、これらのアクチュエータ30、31は、それぞれ、第1の室14内に密着する第1のピストン58と、第2の室15内に密着する第2のピストン59とを含む。これらのピストン58、59は、当該室14、15内で並進運動可能であるので、各室14、15の固有容積を変化させることを可能にする。したがって、容積可変手段30、31は、交番燃焼装置11の容積を必要に応じて変化させることを可能にする。
【0045】
次に、
図1及び
図7a~
図7cを参照して、本発明のエンジン1の燃焼工程を説明する。
【0046】
第1及び第2のベーン9a、9bが
図1に示すようであり、流体連通装置16~18が第1の位置にある、すなわち、
・ 第1の室14の第1の入口32が開放しており、
・ 第2の室15の第2の入口33が閉鎖され、
・ 第1の室14の第1の出口38が閉鎖され、
・ 第2の室15の第2の出口39が開放している、
初期状況が考慮される。
【0047】
また、例えばエンジン1の点火がオンにされた後の第2の室15内に予め噴射された燃料の初期燃焼のため、ロータ6が移動していることも考慮される。
【0048】
第2の室15内での燃料の燃焼によって発生した圧力により、この第2の室15の出口39を通して既燃ガスが膨張副区画36内に排出される。膨張副区画36内のガス圧の上昇によって、第2のベーン9bが反時計方向に駆動される。次いで、第2のベーン9bの移動によって、膨張副区画36の容積の増大と、排気副区画37の容積の減少が生じ、これは、エンジン1の排気出口5を通しての既燃ガスの漸進的な排気に反映される。
【0049】
次いで、第1のベーン9aの回転によって、吸気副区画35の容積の増大と、圧縮副区画34の容積の減少が生じ、これは、エンジン1の吸気入口4を通しての酸化剤ガスの漸進的な吸気と、第1の室14内への酸化剤ガスの吸気とに反映される。その後、ベーン9a、9bは、
図7aに示す位置にある。
【0050】
ベーン9a、9bの自由端45a、45bが隘路48を通過するとすぐに、管理システムは、交番流体連通装置16~18を第1の位置から第2の位置に駆動し、すなわち、
・ 第1の室14の第1の入口32が閉鎖され、
・ 第2の室15の第2の入口33が開放しており、
・ 第1の室14の第1の出口38が開放しており、
・ 第2の室15の第2の出口39が閉鎖される。
【0051】
第1のベーン9aが、
図7bに示すように、交番燃焼装置11の排気出口を通過するとすぐに、管理システムは、第1の室14内への燃料の噴射を駆動し、続いて、前記室14内での燃料の燃焼を起こすために燃料と酸化剤ガスとの混合気の点火が行われる。
【0052】
第1の室14内での燃料の燃焼によって発生した圧力により、この第1の室14の出口38を通して既燃ガスが膨張副区画36内に排出される。膨張副区画36内のガス圧の上昇によって、第1のベーン9aが反時計方向に駆動される。次いで、第1のベーン9aの移動によって、膨張副区画36の容積の増大と、排気副区画37の容積の減少が生じ、これは、エンジン1の排気出口5を通しての既燃ガスの漸進的な排気に反映される。
【0053】
次いで、第2のベーン9bの回転によって、吸気副区画35の容積の増大と、圧縮副区画34の容積の減少が生じ、これは、エンジン1の吸気入口4を通しての酸化剤ガスの漸進的な吸気と、第2の室15内への酸化剤ガスの吸気とに反映される。その後、ベーン9a、9bは、
図7cに示す位置にある。
【0054】
ベーン9a、9bの自由端45a、45bが隘路48を通過するとすぐに、管理システムが、交番流体連通装置16~18を第2の位置から第1の位置に駆動し、燃焼サイクルが再開する。
【0055】
本発明のエンジン1は、ガス圧縮副区画34及びガス膨張副区画36からの燃焼室14、15の隔離を可能にする。これによって、燃料が既燃ガスのない雰囲気で燃焼するので、一定のガス圧縮と最適な燃料燃焼とが可能となる。一方、このエンジン1は、ガスの膨張及び圧縮が、ロータ6によって、より正確には筒状体42によって回転駆動されるベーン9a、9bによって行われるので、ハウジング又は連接棒を必要としない。それゆえ、エンジン1の構造が簡素化され、エンジン1は、同じ容積の従来の4ストロークエンジンと同等の送出される出力に対して比較的小型であり、ハイブリッド車両にとって理想的なエンジン1となる。最後に、このエンジン1は、その容積を変化させる可能性を提供し、これによって、ユーザは、遭遇する状況に応じて出力需要を変化させることができる。
【0056】
本発明は、この構成に決して限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく構造的変更を組み込むことができる。例えば、ロータ6は、ベーンを1つだけ含んでもよく、交番燃焼装置は、燃焼室を1つだけ含んでもよい。この場合、交番流体連通装置は、燃焼室の入口及び出口がそれぞれ開放している及び閉鎖されている第1の位置と、燃焼室の入口及び出口がそれぞれ閉鎖されている及び開放している第2の位置との間で、管理システムによって作動させることができる。
【0057】
この場合、燃焼工程が簡略化される。
【0058】
流体連通装置は第1の位置にあり、ベーンは、一方では酸化剤ガスの吸気を可能にし、他方では室内への酸化剤ガスの流入及び室内でのガスの圧縮を可能にするために、吸気区画7内に移動している。ベーンが面一領域48aを通過すると、流体連通装置は、燃焼室の入口を閉鎖して燃焼室の出口を開放する、第2の位置に進む。ベーンが室の出口を通過すると、燃焼室内への燃料の噴射及び燃焼室内での燃料の圧縮が指令され、これによって、ベーンが排気区画8内に移動し、一方では既燃ガスの膨張、他方ではフレーム2からの既燃ガスの排気が生じる。ベーンが半回転し、反対側の面一領域48bを通過するとすぐに、流体連通装置が第1の位置に進み、サイクルが再開する。
【符号の説明】
【0059】
1 ロータリー燃焼エンジン
2 フレーム
3 空洞
4 酸化剤ガス吸気入口
5 既燃ガス排気出口
6 ロータ
7 酸化剤ガス吸気区画
8 既燃ガス排気区画
10 長手方向開口部
11 交番燃焼装置
12 酸化剤ガス入口
13 既燃ガス出口
14、15 燃焼室
16、17、18 交番流体連通装置
42 筒状体
48 隘路
【国際調査報告】