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特表2024-522252据え付け船舶、リフティングデバイス、パイルグリッパー、制御ユニットおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-12
(54)【発明の名称】据え付け船舶、リフティングデバイス、パイルグリッパー、制御ユニットおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20240605BHJP
   B66C 19/00 20060101ALI20240605BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20240605BHJP
   E02D 13/04 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
B63B35/00 C
B66C19/00 D
F03D13/25
E02D13/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566687
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2022061578
(87)【国際公開番号】W WO2022229436
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】2028124
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2028741
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2029075
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519091203
【氏名又は名称】イーテーエルエーセー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディーデリック・ベルナルドゥス・ヴァイニング
(72)【発明者】
【氏名】ヨープ・ローデンビュルフ
【テーマコード(参考)】
2D050
3H178
【Fターム(参考)】
2D050EE03
2D050EE15
3H178AA03
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC23
3H178DD67X
(57)【要約】
本発明は、風力タービンを支持するためのパイルの据え付けのための船舶に関し、船舶は、船体、リフティングデバイス、およびパイルグリッパーを含む。リフティングデバイスは、ベースと、細長い直立した上部構造体と、リフティングアッセンブリと、を含み、パイルグリッパーは、グリッパーベースおよびグリッパーデバイスを含む。本発明によれば、パイル係合デバイスおよびグリッパーデバイスは、両方ともパイルに係合しながら、および、パイルを支持しながら、X-Y平面における船舶に対するそのそれぞれの可動性によって、パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へ、船体に対して同時に移動可能であり、船内の保持位置では、パイル係合デバイスは、上側位置にあり、パイルは、船体の上方にあり、船外の据え付け位置では、パイルは、船舶の輪郭の外側にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンを支持するためのパイルの洋上据え付けのための船舶であって、前記船舶は、船体、リフティングデバイス、およびパイルグリッパーを含み、X-Y平面を有しており、
前記リフティングデバイスは、
- ベースであって、前記リフティングデバイスは、前記ベースを介して前記船体によって支持されている、ベースと、
- 細長い直立した上部構造体と、
- リフティングアッセンブリであって、前記リフティングアッセンブリは、パイルの上部端部に係合するように構成されているパイル係合デバイスに接続されているかまたは接続可能であり、随意的に、そのようなパイル係合デバイスに連結するためのカップラーを介して接続されているかまたは接続可能であり、存在するときには、たとえば、そのための前記カップラーを介して、前記パイル係合デバイスを支持するように構成されており、下側位置と上側位置との間において、前記直立した上部構造体に沿った方向に、前記パイル係合デバイスを移動させるように構成されており、前記下側位置では、前記パイル係合デバイスは、前記船舶のZ方向において、前記リフティングデバイスの前記ベースにまたはその近くにあり、前記上側位置では、前記パイル係合デバイスは、前記Z方向において、前記ベースから遠隔にあり、前記パイルは、前記パイルの船内での起立および前記パイルの船外での下降のために、前記直立した上部構造体と並んで直立配向に延在している、リフティングアッセンブリと、
を含み、
前記パイル係合デバイスおよび前記カップラーは、存在する場合には、係合された前記パイルの長手方向軸線に対して垂直の平面において、前記上部構造体に対する係合された前記上部端部の移動を制限するように構成されており、また、前記上部構造体の上に配置されており、
前記パイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、前記パイルグリッパーは、前記グリッパーベースを介して前記船体によって支持されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、前記グリッパーデバイスは、直立して配向されている前記パイルにその下側端部において係合するように構成されており、前記X-Y平面における、すなわち、前記パイルの前記長手方向軸線に対して垂直の、前記グリッパーベースに対するその移動を制限するようになっており、前記グリッパーデバイスを通して、すなわち、前記パイルの前記長手方向軸線の方向に、前記パイルの垂直方向移動をガイドするようになっている、グリッパーデバイスと、
を含み、
前記パイル係合デバイスおよび前記グリッパーデバイスは、両方とも前記パイルに係合しながら、および、前記パイルを支持しながら、前記X-Y平面における前記船舶に対するそのそれぞれの可動性によって、前記パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へ、前記船体に対して同時に移動可能であり、前記船内の保持位置では、前記パイル係合デバイスは、前記上側位置にあり、前記パイルは、前記船体の上方にあり、前記船外の据え付け位置では、前記パイルは、前記船舶の輪郭の外側にあり、
前記リフティングデバイスは、前記船舶と前記パイル係合デバイスとの間で、たとえば、前記ベースと前記上部構造体との間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含み、前記パイルグリッパーの前記ベースは、前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記パイル係合デバイスおよび前記グリッパーデバイスの移動を作動させるために、前記グリッパーベースと前記グリッパーデバイスとの間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含む、船舶。
【請求項2】
前記リフティングデバイスは、前記リフティングデバイスの前記ベースと前記直立した上部構造体との間に旋回軸受を含み、前記旋回軸受は、前記船舶の前記Z方向に延在する旋回軸線の周りで、前記上部構造体が前記ベースに対して旋回することを可能にし、
前記船舶の前記X-Y平面において考慮されると、前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記パイルの移動は、前記リフティングデバイスの前記旋回軸線の周りでの、前記パイル係合デバイスおよび前記グリッパーデバイスの両方の回転を伴い、したがって、それによって係合されているときの前記パイルの回転を伴う、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記グリッパーベースは、1つ以上のグリッパーガイド、たとえば、グリッパーレールを含み、前記1つ以上のグリッパーガイドは、前記船体のデッキに装着されており、前記グリッパーデバイスのためのトラックを画定しており、前記グリッパーデバイスは、前記トラックに係合するための1つ以上のシュー、たとえば、ローラーを含み、前記パイルの前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記グリッパーデバイスの移動は、前記トラックに沿って前記グリッパーデバイスを移動させることを伴う、請求項1または2に記載の船舶。
【請求項4】
前記パイルの前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記グリッパーデバイスの移動は、移動軌跡を有しており、前記移動軌跡は、前記リフティングデバイスの前記旋回軸受によって画定される前記パイル係合デバイスのためのものであり、また、そのための前記トラックによる前記グリッパーデバイスのためのものであり、前記トラックは、湾曲したトラックであり、たとえば、前記移動軌跡は、円形セグメントの形状になっている、請求項2に従属した請求項3に記載の船舶。
【請求項5】
前記船舶の前記X-Y平面において考慮されると、前記リフティングデバイスの前記ベースおよび前記グリッパーベースは、互いに間隔を置いて配置されており、前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記パイルの移動は、前記リフティングデバイスの前記ベースと前記グリッパーベースとの間を通過する移動軌跡を有している、請求項1から4のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項6】
前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記パイルの移動は、前記リフティングデバイスの前記ベースに対する前記パイル係合デバイスの相対的移動を伴い、前記相対的移動は、前記グリッパーベースに対する前記グリッパーデバイスの相対的移動とは反対である、請求項1から5のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項7】
前記船舶は、前記船舶の船尾において前記船舶の長手方向(X)に凹部を含み、前記凹部は、2つのデッキ部分が横方向両側に位置しており、前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への移動の軌跡は、前記2つのデッキ部分の間で横方向に走っており、前記船外の据え付け位置は、前記船舶の前記X-Y平面において考慮されると、前記凹部の内側にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項8】
前記リフティングデバイスの前記ベースは、前記凹部の一方の横方向側部に位置付けされており、たとえば、前記2つのデッキ部分のうちの一方の上に少なくとも部分的に位置付けされており、前記グリッパーベースは、前記凹部の他方の横方向側部に位置付けされており、たとえば、前記2つのデッキ部分のうちの他方の上に少なくとも部分的に位置付けされている、少なくとも請求項5に従属した請求項7に記載の船舶。
【請求項9】
前記船舶は、起立デッキを含み、前記起立デッキに沿って、前記パイルの前記上部端部を持ち上げるための前記リフティングデバイスの前記リフティングアッセンブリの動作による起立の目的のために、前記パイルの底部端部は、たとえば、前記船舶の船首にある、前記リフティングデバイスの前記ベースから長手方向に遠位にある位置から、たとえば、前記船舶の船尾にある、前記リフティングデバイスの前記ベースに隣接する位置へ、前記船舶の長手方向(X)に延在する軌跡に沿って移動可能であり、前記ベースに隣接する位置において、前記パイルは、前記船内の保持位置において前記直立した上部構造体と並んでその直立配向へ起立させられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項10】
前記グリッパーデバイスは、リングを含み、前記リングは、前記リングの周囲部の周りに分配されている複数のパイル係合ツールを含み、それぞれのパイル係合ツールは、その前記直立配向で前記リングを通って延在する前記パイルの外部に係合するように適合されており、たとえば、それぞれのパイル係合ツールは、1つ以上のパイルガイディングローラーを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項11】
前記グリッパーデバイスの前記リングは、リングベースと、1つ以上の可動ジョー、たとえば、2つのジョーと、を含み、前記1つ以上の可動ジョーは、前記リングのそれぞれのセグメントを形成しており、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、前記閉鎖位置では、前記リングは、閉じた環を形成しており、前記開放位置は、前記ジョー間の前記環の中の開口部を通って、前記リングの中へおよび前記リングから外へ、前記パイルが横方向に通ることを可能にする、請求項10に記載の船舶。
【請求項12】
前記グリッパーデバイスの前記リングは、1つ以上のリング旋回アクチュエーターによって、その前記閉鎖位置において前記リングの中心旋回軸線の周りで前記グリッパーベースに対して旋回可能であり、前記リングの前記開放位置において前記ジョー間の前記開口部が、前記パイルの前記船内の保持位置において前記開口部が前記船舶の前記船体の前記起立デッキに面している、中心旋回軸線に対する角度位置から、前記パイルの前記船外の据え付け位置を含む、前記開口部が前記水に面している、中心旋回軸線に対する角度位置へ、移動可能であるようになっている、請求項9に従属した請求項11に記載の船舶。
【請求項13】
前記船舶は、制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、前記リフティングデバイスの前記変位アクチュエーターアッセンブリに、および、前記グリッパーの前記変位アクチュエーターアッセンブリに動作可能に接続されており、また、前記船舶に対して前記パイル係合デバイスおよび前記グリッパーデバイスを同時に移動させるために、また、それによって、係合および支持されている前記パイルを前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置へ移動させるために、前記リフティングデバイスおよび前記パイルグリッパーの前記アクチュエーターアッセンブリを同時に動作させるようにプログラムされている、請求項1から12のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項14】
前記リフティングデバイスは、クレーンであり、前記リフティングデバイスの前記ベースは、クレーンベースであり、前記直立した上部構造体は、直立したクレーン上部構造体であり、前記リフティングアッセンブリは、巻き上げ用アッセンブリであり、前記巻き上げ用アッセンブリは、1つ以上の巻き上げ用ウィンチおよび1つ以上の関連の巻き上げ用ワイヤーを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項15】
前記リフティングデバイスの前記直立した上部構造体は、その長手方向に前記直立した上部構造体に沿って延在するトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックを提供されており、前記パイル係合デバイスは、前記ガイドに沿って移動可能なトローリーを介して、たとえば、存在する場合には、前記カップラーを介して、前記上部構造体の上に配置されており、たとえば、前記リフティングアッセンブリは、前記トローリーへのその接続部によって、前記パイル係合デバイスおよび/またはそのための前記カップラーに接続されているかまたは接続可能である、請求項1から14のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項16】
前記巻き上げ用アッセンブリは、前記直立した上部構造体において上側滑車アッセンブリを含み、前記巻き上げ用アッセンブリは、たとえば、前記トローリーへのその接続部によって、下側滑車アッセンブリを含む積載物連結デバイスを介して、前記パイル係合デバイスおよび/またはそのための前記カップラーに接続されているかまたは接続可能であり、前記ホイストワイヤーは、前記上側および下側滑車アッセンブリを通って複数のフォールに配置されており、前記クレーンが前記巻き上げ用ウィンチを使用して前記積載物をリフトすることを可能にする、請求項14および15に記載の船舶。
【請求項17】
前記クレーン上部構造体は、
- クレーンハウジングと、
- ブームであって、前記ブームは、ブームベース端部とブーム上部端部との間に延在しており、前記ブームは、前記ブームベース端部において、水平方向ブーム枢動軸線の周りに前記クレーンハウジングによって枢動可能に支持されており、前記ブームは、前記クレーンベースから所定の水平方向距離において積載物をリフトするための下降された位置と、前記クレーンベースと並んで前記パイルを起立させるための、前記直立した上部構造体を形成するための上昇された起立位置と、を有している、ブームと、
を含み、
前記クレーンは、
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、前記ラフィングウィンチは、前記クレーンハウジングの上に装着されており、前記ラフィングワイヤーは、前記ラフィングウィンチと前記ブームとの間に延在しており、前記水平方向ブーム枢動軸線の周りでの前記下降された位置と前記上昇された起立位置との間での前記ブームの枢動を可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤー、
をさらに含む、少なくとも請求項14に記載の船舶。
【請求項18】
前記パイルグリッパーは、前記船舶のX-Y平面において前記船舶に対して前記グリッパーデバイスを移動させるためのアクティブ運動補償作動システムを含み、前記作動システムは、アクティブ海況誘起運動補償モードを含み、前記アクティブ海況誘起運動補償モードでは、前記作動システムは、前記X-Y平面における前記船舶の海況誘起運動を補償するように動作され、それは、前記海況誘起船舶運動から独立して、前記船外の据え付け位置を維持することを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項19】
前記グリッパーの前記アクティブ運動補償作動システムは、前記船舶の前記X-Y平面において互いに非平行に延在する、1つ以上の第1のトラック、たとえば、レールと、1つ以上の第2のトラック、たとえば、レールと、を含み、前記第2のトラックは、前記第1のトラックの上で移動可能であり、前記作動システムは、前記第1のトラックの上で前記第2のトラックを移動させるために前記第1のトラックと前記第2のトラックとの間で動作する1つ以上の第1の補償アクチュエーターと、前記第2のトラックの上で前記グリッパーデバイスを移動させるために前記第2のトラックと前記グリッパーデバイスとの間で動作する1つ以上の第2の補償アクチュエーターと、をさらに含む、請求項18に記載の船舶。
【請求項20】
前記パイル係合デバイス、および、随意的に、存在する場合には、そのための前記カップラーは、前記トローリーのアクティブ運動補償作動システムの上に配置されており、前記アクティブ運動補償作動システムは、たとえば、存在する場合には、そのための前記カップラーを介して、前記船舶のX-Y平面において前記トローリーガイドに対して前記パイル係合デバイスを移動させるように構成されており、前記作動システムは、アクティブ海況誘起運動補償モードを含み、前記アクティブ海況誘起運動補償モードでは、前記作動システムは、前記X-Y平面における前記船舶の波誘起運動を補償するように動作され、それは、前記海況誘起船舶運動から独立して、前記船外の据え付け位置を維持することを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項21】
前記トローリーの前記アクティブ運動補償作動システムは、前記船舶の前記X-Y平面において互いに非平行に延在する、1つ以上の第1のトラック、たとえば、レールと、1つ以上の第2のトラック、たとえば、レールと、を含み、前記第2のトラックは、前記第1のトラックの上で移動可能であり、前記作動システムは、前記第1のトラックの上で前記第2のトラックを移動させるために前記第1のトラックと前記第2のトラックとの間で動作する1つ以上の第1の補償アクチュエーターアッセンブリと、前記第2のトラックの上で前記パイル係合デバイスおよび/または前記カップラーを移動させるために前記第2のトラックと前記パイル係合デバイスおよび/またはそのための前記カップラーとの間で動作する1つ以上の第2の補償アクチュエーターアッセンブリと、をさらに含む、請求項20に記載の船舶。
【請求項22】
前記制御ユニットは、前記船舶の前記X-Y平面において、前記船舶に対して前記パイル係合デバイスおよび前記グリッパーデバイスを同期的に対応して移動させるために、前記リフティングデバイスおよび前記パイルグリッパーの前記アクティブ運動補償作動システムに動作可能に接続されており、それらを同時に動作させるようにプログラムされており、前記X-Y平面における前記船舶の海況誘起運動を補償するようになっており、それは、前記海況誘起船舶運動から独立して、前記船外の据え付け位置を維持することを含む、請求項13、請求項18または19、および、請求項20または21に記載の船舶。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の船舶の上で使用するためのパイルグリッパーであって、前記パイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、前記パイルグリッパーは、前記グリッパーベースを介して前記船舶の前記船体に固定されるように構成されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、前記グリッパーデバイスは、前記パイルの直立配向において前記パイルにその下側端部において係合するように構成されており、前記グリッパーベースがそれに固定されているときに、前記船舶の前記船体に対するその水平方向移動を制限するようになっており、前記パイルの前記直立した長手方向軸線に対して平行に前記グリッパーデバイスを通る前記パイルの移動をガイドするようになっている、グリッパーデバイスと、
を含み、
前記パイルグリッパーの前記ベースは、前記グリッパーデバイスの可動性を提供し、前記船体の縁部の近くにおいて前記船体に固定されているときに、前記グリッパーデバイスが、前記パイルの船内の保持位置から前記パイルの船外の据え付け位置へ、前記船舶に対して移動可能であるようになっており、前記船内の保持位置では、前記パイルは、前記船体の上方にあり、前記船外の据え付け位置では、前記パイルは、前記船舶の前記輪郭の外側にあり、一方では、その直立配向においてパイルの下側端部に係合し、その前記水平方向移動を制限しており、同じ移動を同時に実施する前記リフティングデバイスのパイル係合デバイスを介して前記パイルが少なくとも部分的に支持されている状態で、前記パイルの前記移動をガイドするようになっており、
前記グリッパーベースは、前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記グリッパーデバイスの前記移動を作動させるために、前記船舶に対して前記グリッパーデバイスを移動させるために、前記船体の縁部の近くにおいて前記船体に固定されているときに、前記船舶と前記グリッパーデバイスとの間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含み、
前記パイルの前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記グリッパーデバイスの移動は、円形セグメントの形状の前記船舶に対する軌跡を有している、パイルグリッパー。
【請求項24】
請求項1から22のいずれか一項に記載の船舶の上で使用するためのパイルグリッパーであって、前記パイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、前記パイルグリッパーは、前記グリッパーベースを介して前記船舶の前記船体に固定されるように構成されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、前記グリッパーデバイスは、前記パイルの直立配向において前記パイルにその下側端部において係合するように構成されており、前記グリッパーベースがそれに固定されているときに、前記船舶の前記船体に対するその水平方向移動を制限するようになっており、前記パイルの前記直立した長手方向軸線に対して平行に前記グリッパーデバイスを通る前記パイルの移動をガイドするようになっている、グリッパーデバイスと、
を含み、
前記パイルグリッパーの前記ベースは、前記グリッパーデバイスの可動性を提供し、前記船体の縁部の近くにおいて前記船体に固定されているときに、前記グリッパーデバイスが、前記パイルの船内の保持位置から前記パイルの船外の据え付け位置へ、前記船舶に対して移動可能であるようになっており、前記船内の保持位置では、前記パイルは、前記船体の上方にあり、前記船外の据え付け位置では、前記パイルは、前記船舶の前記輪郭の外側にあり、一方では、その直立配向においてパイルの下側端部に係合し、その前記水平方向移動を制限しており、同じ移動を同時に実施する前記リフティングデバイスのパイル係合デバイスを介して前記パイルが少なくとも部分的に支持されている状態で、前記パイルの前記移動をガイドするようになっており、
前記グリッパーベースは、前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記グリッパーデバイスの前記移動を作動させるために、前記船舶に対して前記グリッパーデバイスを移動させるために、前記船体の縁部の近くにおいて前記船体に固定されているときに、前記船舶と前記グリッパーデバイスとの間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含み、
前記グリッパーデバイスは、リングを含み、前記リングは、前記リングの周囲部の周りに分配されている複数のパイル係合ツールを含み、それぞれのパイル係合ツールは、その前記直立配向で前記リングを通って延在する前記パイルの外部に係合するように適合されており、たとえば、それぞれのパイル係合ツールは、1つ以上のパイルガイディングローラーを含み、
前記グリッパーデバイスの前記リングは、リングベースと、1つ以上の可動ジョー、たとえば、2つのジョーとを含み、前記1つ以上の可動ジョーは、前記リングのそれぞれのセグメントを形成しており、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、前記閉鎖位置では、前記リングは、閉じた環を形成しており、前記開放位置は、前記ジョー間の前記環の中の開口部を通って、前記リングの中へおよび前記リングから外へ、前記パイルが横方向に通ることを可能にし、
前記グリッパーデバイスの前記リングは、その前記閉鎖位置において前記リングの中心旋回軸線の周りで前記グリッパーベースに対して旋回可能であり、前記リングの前記開放位置において前記ジョー間の前記開口部が、前記グリッパーベースが前記船体に固定されているときに、前記パイルの前記船内の保持位置において前記開口部が前記船舶の起立デッキに面している、中心旋回軸線に対する角度位置から、前記パイルの前記船外の据え付け位置を含む、前記開口部が前記水に面している、中心旋回軸線に対する角度位置へ、移動可能であるようになっている、パイルグリッパー。
【請求項25】
風力タービンを支持するためのパイルの洋上据え付けのための船舶であって、前記船舶は、船体、リフティングデバイス、およびパイルグリッパーを含み、
前記パイルグリッパーは、請求項23および/または請求項24に記載のものであり、前記パイルグリッパーは、前記船体に前記グリッパーベースを装着することによって、前記船舶の前記船体の縁部の近くにおいて前記船体に固定されており、
たとえば、前記船舶は、請求項1から22のいずれか一項に記載のものである、船舶。
【請求項26】
請求項1から22のいずれか一項に記載の船舶の上で使用するためのリフティングデバイスであって、前記リフティングデバイスは、
- ベースであって、前記リフティングデバイスは、前記ベースを介して、前記船体による支持のために前記船体に固定されるように構成されている、ベースと、
- 細長い直立した上部構造体と、
- リフティングアッセンブリであって、前記リフティングアッセンブリは、パイルの上部端部に係合するように構成されているパイル係合デバイスに接続されているかまたは接続可能であり、随意的に、そのようなパイル係合デバイスに連結するためのカップラーを介して接続されているかまたは接続可能であり、存在するときには、たとえば、そのための前記カップラーを介して、前記パイル係合デバイスを支持するように構成されており、下側位置と上側位置との間において、前記直立した上部構造体に沿った方向に、前記パイル係合デバイスを移動させるように構成されており、前記下側位置では、前記パイル係合デバイスは、前記船舶のZ方向において、前記リフティングデバイスの前記ベースにまたはその近くにあり、前記上側位置では、前記パイル係合デバイスは、前記Z方向において、前記ベースから遠隔にあり、前記パイルは、前記パイルの船内の起立および前記パイルの船外の低下のために、前記直立した上部構造体と並んで直立配向に延在している、リフティングアッセンブリと、
を含み、
前記パイル係合デバイスおよび前記カップラーは、存在する場合には、係合された前記パイルの長手方向軸線に対して垂直の平面において、前記上部構造体に対する係合された前記上部端部の移動を制限するように構成されており、また、前記上部構造体の上に配置されており、
前記パイル係合デバイスは、前記パイルに係合しながら、および、係合された前記パイルをその上部端部を介して少なくとも部分的に支持しながら、前記船舶に対するその可動性によって、前記ベースが前記船体の縁部の近くにおいて前記船体に固定されているときに、たとえば、前記リフティングデバイスの前記ベースに固定されているときに、前記パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へ、前記船体に対して移動可能であり、前記船内の保持位置では、前記パイル係合デバイスは、前記上側位置にあり、前記パイルは、前記船体の上方にあり、前記船外の据え付け位置では、前記パイルは、前記船舶の前記輪郭の外側にあり、同じ移動を実施するパイルグリッパーのグリッパーデバイスによって移動がガイドされている間に前記パイルを移動させるようになっており、
前記リフティングデバイスは、前記ベースが前記船体に固定されているときに、前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置への前記パイル係合デバイスの移動を作動させるために、前記船舶と前記パイル係合デバイスとの間で動作する、たとえば、前記ベースと前記上部構造体との間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含む、リフティングデバイス。
【請求項27】
請求項1から22のいずれか一項に記載の船舶の上で使用するための制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記リフティングデバイスの前記変位アクチュエーターアッセンブリに、および、前記パイルグリッパーの前記変位アクチュエーターアッセンブリに動作可能に接続されるように構成されており、また、前記船舶に対して前記パイル係合デバイスを同時に移動させるために、また、それによって、係合および支持されている前記パイルを前記船内の保持位置から前記船外の据え付け位置へ移動させるために、前記リフティングデバイスアクチュエーターおよび前記グリッパーアクチュエーターを同時に動作させるようにプログラムされている、制御ユニット。
【請求項28】
請求項13、請求項18または19、および、請求項20または21に記載の前記船舶の上で使用するための制御ユニットであって、
前記制御ユニットは、前記船舶の前記X-Y平面において、前記船舶に対して前記パイル係合デバイスおよび前記グリッパーデバイスを同期的に対応して移動させるために、前記リフティングデバイスおよび前記パイルグリッパーの前記アクティブ運動補償作動システムに動作可能に接続されるように構成されており、それらを同時に動作させるようにプログラムされており、前記X-Y平面における前記船舶の波誘起運動を補償するようになっており、それは、前記船舶運動から独立して、前記船外の据え付け位置を維持することを含む、請求項27に記載の制御ユニット。
【請求項29】
請求項12に記載の前記船舶の上で使用するための制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記リング旋回アクチュエーターに動作可能に接続されるように構成されており、前記旋回アクチュエーターを動作させるようにプログラムされており、前記パイルの前記船内の保持位置に到達する前に、前記開口部が前記起立デッキに面するようになっており、前記パイルが、その前記船内の保持位置においてその直立配向に起立させられるときに、その底部端部によって前記開口部を通過することを可能にされるようになっており、また、前記パイルが前記船内の保持位置に到達した後に、好ましくは、前記パイルを前記船外の据え付け位置に移動させるために、前記リフティングデバイスおよび前記パイルグリッパーの前記変位アクチュエーターアッセンブリを動作させた後に、前記開口部が前記水に面するようになっている、請求項27または28に記載の制御ユニット。
【請求項30】
風力タービンを支持するためのパイルの洋上据え付けのための船舶であって、前記船舶は、船体、リフティングデバイス、およびパイルグリッパーを含み、
前記船舶は、前記船舶の長手方向のX方向に延在する起立デッキを含み、前記起立デッキに沿って、前記パイルの前記上部端部を持ち上げるための前記リフティングデバイスの動作による起立の目的のために、前記パイルの底部端部は、たとえば、前記船舶の船首にある、前記リフティングデバイスから長手方向に遠位にある位置から、前記パイルが保持位置において前記リフティングデバイスと並んでその直立配向へ起立させられる、たとえば、前記船舶の船尾にある、前記リフティングデバイスの前記ベースに隣接する位置へ、前記船舶の長手方向(X)に延在する軌跡に沿って移動可能であり、
前記パイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、前記パイルグリッパーは、前記グリッパーベースを介して前記船体によって支持されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、前記グリッパーデバイスは、直立して配向されている前記パイルにその下側端部において係合するように構成されており、前記X-Y平面における、すなわち、前記パイルの前記長手方向軸線に対して垂直の、前記グリッパーベースに対するその移動を制限するようになっている、グリッパーデバイスと、
を含み、
前記パイルグリッパーは、受け入れモードを有しており、前記受け入れモードでは、前記グリッパーデバイスの開口部が、前記起立デッキに方向付けられ、前記パイルが、その前記船内の保持位置においてその直立配向に建て起こされるときに、その底部端部によって前記開口部を通過することを可能にされるようになっており、
前記パイルグリッパーは、ガイディングモードを有しており、前記ガイディングモードでは、前記開口部を通過させられて前記船内の保持位置において直立して配向されている前記パイルの前記底部端部が、前記グリッパーデバイスを通って延在することを可能にされ、前記パイルグリッパーによってその外部において円周方向に係合されることを可能にされ、
たとえば、前記パイルグリッパーは、請求項10から12のいずれか一項に記載のものである、船舶。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
洋上風力タービンは、風力タービンのナセルおよびブレードを支持するマストを含む。マストは、(典型的に、モノパイル(すなわち、円筒形状の足部セクション)の形態の)基礎の上に装着され、その一部は、海底の中へ打ち込まれる。代替的な基礎として、ジャケット(すなわち、海底の上に据え付けられたトラスまたはフレームワーク)が使用されることも可能である。
【0002】
現在では、大規模な発電を可能にするために、多くの洋上風力タービンパークが計画されている。効率の理由のために、風力タービンは、ますます増加する容量およびサイズを有する。最近では、5MWタービンおよび8MWタービンが計画されている。将来的には、14MWタービンも想定される。公知の設計では、8MWタービンは、海面上約120メートルにおけるハブの高さと組み合わせられた、160メートルのブレードを備えたハブの直径を有している。提案されている14MWタービンは、海面上約160メートルにおけるハブと組み合わせられた、220メートルのブレード直径を有している。
【0003】
マスト、ナセル、およびブレードを含む風力タービンの重量は、少なくとも将来の設計では、恐らく1000tを超えるであろう。基礎自身は、たとえば、基礎のタイプに応じて、恐らく数百トンになるであろう。基礎が、最初にパイルを海底部の中へ打ち込むことによって据え付けられ、その後に、風力タービン(風力タービンは、マスト、ナセル、およびブレードを含む)が、パイルの上に据え付けられる。風力タービンは、全体として一度に据え付けられることが可能であり、または、風力タービンをパイルの上に部分的に組み立てることによって据え付けられることが可能である。トランジションピースが、パイルと風力タービンのマストとの間に提供されてもよい。
【0004】
据え付け現場へのモノパイルの輸送を促進させるために、パイルは、水平方向位置で据え付け現場に輸送される。モノパイルを水平方向位置で保管することは、これらのモノパイルの重心を水面の近くに維持し、それは、モノパイルを輸送する船舶にとって有益である。
【0005】
据え付け現場において、モノパイルは、建て起こされなければならず、すなわち、モノパイルの上部端部は、モノパイルの底部端部に対してリフトされ、パイルを水平方向位置から垂直方向のまたは直立した位置へと持って行く。
【0006】
たとえば、特許文献1から、モノパイルを水平方向位置で輸送し、据え付け現場において、2つのデッキ装着式クレーンを使用してモノパイルを建て起こすことが知られている。モノパイルは、2つのデッキ装着式クレーンの間において船舶のデッキの上に保管される。
【0007】
そのうえ、モノパイルは、上部端部が船外の位置にある状態で、および、底部端部がトラックカートの上に支持された状態で保管され、そのトラックカートは、トラックの上に装着されている。モノパイルを建て起こすために、2つのクレーンは、モノパイルの上部端部をリフトし、パイルの底部端部は、ガイドトラックに沿ってガイドされる。
【0008】
たとえば、特許文献2から、同様のプロセスが知られており、そこでは、モノパイルが、単一のクレーンによって建て起こされる。モノパイルの底部端部は、モノパイルグリッパーによって支持され、モノパイルグリッパーは、起立の間にモノパイルとともに傾き、モノパイルを支持する。
【0009】
そのうえ、モノパイルの輸送および起立は、たとえば、特許文献3、特許文献4、および特許文献5から知られている。
【0010】
モノパイルは、10メートル以上の直径、60メートル以上の長さ、および、500mt以上の重量を有することが可能である。より大型化する風力タービンの傾向が存在しており、また、現在遭遇されるものよりも深い水深を有する場所において洋上風力タービンを据え付ける要望が存在している。両方とも、より大きくてより重い基礎を結果として生じさせる。したがって、近い将来、100メートルよりも大きい、場合によっては、120メートル以上のモノパイルが設置されることを必要とするということが予期される。そのようなパイルの重量は、1000mtよりも大きくなる可能性があり、場合によっては、1300mt以上になる可能性がある。
【0011】
また、洋上風力タービンを据え付ける際のコスト低減に向けての傾向が存在しており、とりわけ、風力タービン据え付けの効率を向上させる傾向が存在している。これは、たとえば、据え付けプロセスを短縮することによって、および、作業枠(operational window)を拡大することによって、すなわち、据え付けプロセスが周囲環境(たとえば、風、うねりなど)にあまり左右されないようにすることによって、実現されることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2019/103611号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2019/231329号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第3650686号明細書
【特許文献4】国際公開第2019/149674号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2018/052291号パンフレット
【特許文献6】オランダ国特許出願公開第2028920号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、洋上風力タービンの基礎の(とりわけ、モノパイルの)据え付けのための船舶および方法に関する。本発明の目的は、モノパイルを建て起こすための代替的な据え付け船舶および方法を提供することが可能である。本発明のさらなる目的は、モノパイルを建て起こすための改善された据え付け船舶および方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、より制御された起立プロセスを可能にする、したがって、好ましくは、拡大された作業枠を可能にする、モノパイルを建て起こすための据え付け船舶および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのうえ、洋上で(すなわち、専用の船舶の上で)風力タービンを組み立てることが提案される。したがって、風力タービンは、組み立て前の状態で据え付け現場に輸送されることが可能であり、それは、組み立てられた風力タービンを長い距離にわたって輸送するよりもはるかに容易である。据え付け現場において、風力タービンは、基礎(たとえば、基礎パイルまたは浮体式基礎)の上に組み立てられて据え付けられる。
【0015】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、条項31によるリフティングデバイスを提供する。
【0016】
第1の態様によれば、本発明は、細長い風力タービンコンポーネントを、たとえば、風力タービンを支持するための基礎パイル、または、風力タービンのナセルを支持するためのマストを、船舶の船上において建て起こすためのリフティングデバイスを提供する。
【0017】
本発明によれば、リフティングデバイスは、
- ベースであって、ベースは、リフティングデバイスを船舶の船体に固定するように構成されている、ベースと、
- 細長い直立した上部構造体と、
- 直立した上部構造体に沿ってその長手方向に延在するトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと、
- トローリーであって、トローリーは、直立した上部構造体に沿って移動可能であるようにトローリーガイドと連結されており、トローリーガイドによってガイドされ、トローリーは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において係合するように、および、それを枢動可能に支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、または、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持するために、随意的に、トローリーに提供されたカップラーを介して、そのような風力タービンコンポーネント係合デバイスを受け入れるように構成されている、トローリーと、
- リフティングアッセンブリであって、リフティングアッセンブリは、たとえば、トローリーを介して、風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーに接続されているかまたは接続可能であり、また、接続されたときに、風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーとともに、トローリーを、および、それとともに、支持されている風力タービンコンポーネントの上部端部を、トローリーガイドに沿って、および、それとともに、上部構造体に沿って、風力タービンコンポーネントの上部端部がベースにあるかまたはその近くにある状態の、風力タービンコンポーネントの下側位置から、上部端部がベースから遠隔にある状態の上側位置、および、上部構造体と並んだ風力タービンコンポーネントの直立配向へ、移動させるように構成されている、リフティングアッセンブリと、
を含む。
【0018】
風力タービンコンポーネントは、風力タービンのマストを支持するためのパイル、もしくは、基礎パイル、または、風力タービンのナセルを支持するマストを指すことが可能である。
【0019】
本発明の第1の態様によるリフティングデバイスによって、風力タービンコンポーネントは、水平方向の輸送位置から建て起こされたまたは直立した位置へと枢動されることが可能である。風力タービンコンポーネントのこの起立の間に、風力タービンコンポーネントの上部端部は、トローリーによってガイドされ、そして、そのトローリーは、直立した上部構造体に沿って延在するトローリーガイドによってガイドされる。したがって、リフティングデバイスは、起立の間の風力タービンコンポーネントのより制御された移動を可能にする。起立プロセスの間に風力タービンコンポーネントの上部端部を支持することは、風力タービンコンポーネントに追加的な安定性を提供し、それは、大型のおよび/または重いモノパイルを建て起こすときに有益である。
【0020】
それとは対照的に、先行技術においてモノパイルを建て起こすときには、風力タービンコンポーネントの上部端部は、自由に吊り下げられる巻き上げ用ワイヤーの端部において支持されている。自由に吊り下げられる巻き上げ用ワイヤーは、可撓性であり、したがって、それは、巻き上げ用ワイヤーに対して実質的に垂直の方向への上部端部の揺動を許容する。したがって、そのような起立プロセスでは、風力タービンコンポーネントの上部端部の位置は、制御され得ない。たとえば、海の条件に起因する船舶の移動は、風力タービンコンポーネントの揺れを引き起こす可能性があり、そして、それは、起立機器に対して、たとえば、起立プロセスの間に風力タービンコンポーネントの底部端部を支持するカートに対して、損傷を引き起こす可能性がある。したがって、基礎パイルを建て起こすときに、先行技術では、好ましくは、ジャッキアップ船舶が使用され、および/または、起立は、最適な天候条件の下でのみ実施される。
【0021】
したがって、本発明の第1の態様にしたがってモノパイルの上部端部をガイドすることは、より制御されたプロセスを可能にし、より具体的には、モノパイルの上部端部のより制御された移動を可能にする。これは、大型で重いモノパイルを建て起こすときに、とりわけ有益である。また、モノパイルの上部端部の移動がトローリーによって制御されるときには、上部端部は、風または船舶の揺動によって移動されない(それは、上部端部が従来のクレーンによって支持されているときに起こり得る)。したがって、本発明の第1の態様によるリフティングデバイスによって、起立プロセスは、天候の影響を受けにくく、それは、より大きな作業枠を可能にする。
【0022】
使用時に、リフティングデバイスは、好ましくは、起立デッキの端部に配置され、その起立デッキは、起立プロセスの風力タービンコンポーネントの底部端部をガイドするためのカートトラックおよび支持カートを提供されている。そのような構成では、本発明の第1の態様によるリフティングデバイスは、起立プロセスの間に風力タービンコンポーネントの底部端部と上部端部の両方をガイドすることを可能にし、したがって、起立の間の風力タービンコンポーネントのさらにより制御された移動を可能にする。
【0023】
ある実施形態において、リフティングアッセンブリは、巻き上げ用アッセンブリであり、巻き上げ用アッセンブリは、巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーを含み、接続されているときに、トローリー、ならびに、それとともに、風力タービン係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーが、巻き上げ用ウィンチを動作させることによって、ガイドに沿って移動可能であるようになっている。
【0024】
この実施形態では、ホイストは、トローリーを移動させるために使用される。リフティングアッセンブリに巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーを提供することは、たとえば、直立した上部構造体に隣接する場所において積載物を持ち上げおよび下降させるために、巻き上げ用デバイスとしてトローリーを使用することを可能にする。
【0025】
代替的な実施形態において、トローリーは、たとえば、ラックアンドピニオンドライブシステムを使用してトローリーガイドに沿って移動される。ラックアンドピニオンドライブは、たとえば、非常に重い積載物を持ち上げる能力がリフティング速度よりも重要であるときに、使用されることが可能である。
【0026】
さらなる実施形態において、巻き上げ用アッセンブリは、直立した上部構造体において上側滑車アッセンブリを含み、巻き上げ用アッセンブリは、たとえば、トローリーへのその接続部によって、下側滑車アッセンブリを含む積載物連結デバイスを介して、風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーに接続されているかまたは接続可能であり、ホイストワイヤーは、上側および下側滑車アッセンブリを通って複数のフォールに配置されており、クレーンが巻き上げ用ウィンチを使用して積載物を持ち上げることを可能にする。
【0027】
そのような実施形態では、複数のフォール配置は、重い積載物を持ち上げることを可能にし、一方では、積載物連結デバイスは、風力タービンコンポーネント(とりわけ、基礎パイルおよび/またはマスト)以外の他の積載物を持ち上げるためにトローリーを使用することを促進させる。たとえば、巻き上げ用アッセンブリは、風力タービンのナセルおよび/またはブレードを持ち上げるために使用されることが可能であり、したがって、風力タービンを組み立てる際にリフティングデバイスの使用を可能にする。
【0028】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、クレーンであり、リフティングデバイスのベースは、クレーンベースであり、直立した上部構造体は、直立したクレーン上部構造体である。この実施形態では、クレーン上部構造体は、クレーンハウジングとブームとを含み、ブームは、ブームベース端部とブーム上部端部との間に延在しており、ブームは、ブームベース端部において、水平方向ブーム枢動軸線の周りにクレーンハウジングによって枢動可能に支持されており、ブームは、クレーンベースから所定の水平方向距離において積載物を持ち上げるための低下された位置と、クレーンベースと並んでパイルを建て起こすための、直立した上部構造体を形成するための上昇された起立位置と、を有しており、好ましくは、トローリーガイドの少なくとも一部は、ブームに装着されている。この実施形態では、クレーンは、ラッフィングウィンチおよび関連のラッフィングワイヤーをさらに含み、ラッフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラッフィングワイヤーは、ラッフィングウィンチとブームとの間に延在しており、水平方向ブーム枢動軸線の周りでの下降された位置と上昇された起立位置との間でのブームの枢動を可能にする。
【0029】
トローリーガイドの少なくとも一部をブームの中に組み込むことは(そのブームは、上昇された起立位置へと枢動されることが可能である)、リフティングデバイスがクレーンとして使用されることを可能にし、リフティングデバイスの作業エリアおよびリフティングデバイスの機能性を拡大する。ブームが低下された位置のうちの1つにある状態では、積載物は、クレーンベースから所定の水平方向距離において持ち上げられることが可能であり、ブームが上昇された起立位置にある状態では、クレーンは、風力タービンコンポーネントの制御された起立のために、直立した上部構造体を形成する。さらに好適な実施形態では、クレーンは、保管デッキから起立デッキの上に、および/または、岸壁もしくは供給船舶からクレーンが装着されている船舶の上に、風力タービンコンポーネントを持ち上げるように構成されている。
【0030】
ある実施形態において、リフティングデバイス、たとえばクレーンは、ベースと上部構造体との間に、たとえば、クレーンベースとクレーンハウジングとの間に提供されている旋回軸受をさらに含み、旋回軸受は、上部構造体がベースに対して垂直方向旋回軸線の周りに旋回することを可能にする。
【0031】
そのような実施形態では、旋回軸受は、リフティングデバイス(たとえば、クレーンハウジング)を旋回させることによって、持ち上げられた風力タービンコンポーネント(たとえば、起立された基礎パイル)を船内の位置から船外の位置へ移動させることを可能にする。
【0032】
代替的な実施形態において、リフティングデバイス(たとえば、クレーン)は、デッキ装着式トラックを含む。トラックは、船舶に対してリフティングデバイス(たとえば、クレーンハウジング)を移動させることを可能にし、したがって、持ち上げられた風力タービンコンポーネントを移動させることを可能にし、たとえば、起立させられた基礎パイルを船内の位置から船外の位置へ移動させることを可能にする。
【0033】
第1の態様によれば、本発明は、そのうえ、細長い風力タービンコンポーネントを、たとえば、風力タービンを支持するための基礎パイル、または、風力タービンのナセルを支持するためのマストを、船舶の船上において建て起こすためのクレーンであって、クレーンは、
- クレーンベースであって、クレーンは、クレーンベースを介して船舶の船体に固定されるように構成されている、クレーンベースと;
- 細長い直立したクレーン上部構造体であって、クレーン上部構造体は、
- クレーンハウジング;および、
- ブームであって、ブームは、ブームベース端部とブーム上部端部との間に延在しており、ブームは、ブームベース端部において、水平方向ブーム枢動軸線の周りにクレーンハウジングによって枢動可能に支持されており、ブームは、クレーンベースから所定の水平方向距離において積載物を持ち上げるための下降された位置と、クレーンベースと並んでパイルを起立させるための、直立した上部構造体を形成するための上昇された起立位置と、を有している、ブーム、
を含む、クレーン上部構造体と;
- クレーンベースとクレーンハウジングとの間に提供されている旋回軸受であって、旋回軸受は、クレーン上部構造体がベースに対して垂直方向旋回軸線の周りに旋回することを可能にする、旋回軸受と;
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、ラフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、水平方向ブーム枢動軸線の周りでの低下された位置と上昇された起立位置との間でのブームの枢動を可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーと;
- 直立したクレーン上部構造体に沿ってその長手方向に延在するトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと;
- トローリーであって、トローリーは、直立したクレーン上部構造体に沿って移動可能であるようにトローリーガイドと連結されており、トローリーガイドによってガイドされ、トローリーは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において係合するように、および、それを枢動可能に支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、または、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持するために、随意的に、トローリーに提供されたカップラーを介して、そのような風力タービンコンポーネント係合デバイスを受け入れるように構成されている、トローリーと;
- 巻き上げ用アッセンブリであって、巻き上げ用アッセンブリは、
直立した上部構造体における上側滑車アッセンブリ、
下側滑車アッセンブリを含む積載物連結デバイス、および
巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤー、
を含む、巻き上げ用アッセンブリと;
を含み、
ホイストワイヤーは、上側および下側滑車アッセンブリを通って複数のフォールに配置されており、クレーンが巻き上げ用ウィンチを使用して積載物をリフトすることを可能にし、
巻き上げ用アッセンブリは、たとえば、トローリーへのその接続部によって、積載物連結デバイスを介して、風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーに接続されているかまたは接続可能であり、また、トローリー、ならびに、それとともに、風力タービン係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーが、接続されているときに、巻き上げ用ウィンチを動作させることによって、ガイドに沿って移動可能であるようになっており、接続されたときに、風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーとともに、トローリーを、および、それとともに、支持されている風力タービンコンポーネントの上部端部を、トローリーガイドに沿って、および、それとともに、直立したクレーン上部構造体に沿って、風力タービンコンポーネントの上部端部がベースにあるかまたはその近くにある状態の、風力タービンコンポーネントの下側位置から、上部端部がベースから遠隔にある状態の上側位置、および、直立したクレーン上部構造体と並んだ風力タービンコンポーネントの直立配向へ、移動させるように構成されている、クレーンを提供する。
【0034】
本発明の第1の態様によるクレーンによって、クレーンのブームは、風力タービンコンポーネントの上部端部がトローリーによってガイドされる状態で、風力タービンコンポーネントを起立させるために、起立位置において枢動されることが可能である。これは、とりわけ、大型で重いモノパイルおよび風力タービンマストの制御された起立を可能にする。
【0035】
枢動可能なブームは、クレーンベースから所定の距離において積載物を持ち上げるための下降されたホイスト位置と、クレーンベースに隣接する直立した位置へと風力タービンコンポーネントを起立させるための上昇された起立位置と、の間で枢動されることが可能である。クレーンは、好ましくは、起立プロセスの間に風力タービンコンポーネントの底部端部をガイドするためのカートトラックおよび支持カートを備えた起立デッキの端部に配置されている。クレーンのブームは、起立プロセスの間にモノパイルの上部端部をガイドするためのトローリーガイドおよびトローリーを提供されている。
【0036】
したがって、条項1による起立クレーンは、起立プロセスの間に風力タービンコンポーネントの底部端部と上部端部との両方をガイドすることを可能にし、したがって、起立の間の風力タービンコンポーネントのより制御された移動を可能にする。起立プロセスの間に風力タービンコンポーネントの上部端部を支持することは、風力タービンコンポーネントに追加的な安定性を提供し、それは、大型のおよび/または重いモノパイルを建て起こすときに有益である。
【0037】
たとえば、先行技術においてモノパイルを起立させるときには、モノパイルの上部端部は、クレーンによって支持されており、それは、上部端部の揺動を許容する。本発明にしたがってモノパイルの上部端部をガイドすることは、より制御されたプロセスを可能にし、より具体的には、モノパイルの上部端部のより制御された移動を可能にする。これは、大型で重いモノパイルを起立させるときに、とりわけ有益である。また、モノパイルの上部端部の移動がトローリーによって制御されるときには、上部端部は、風または船舶の揺動によって移動されない(それは、上部端部が従来のクレーンによって支持されているときに起こり得る)。したがって、条項1によるクレーンによって、起立プロセスは、天候の影響を受けにくく、より大きな作業枠を可能にする。
【0038】
第1の態様によれば、本発明は、そのうえ、風力タービンコンポーネント(たとえば、パイルまたはマスト)を起立させるために起立デッキに隣接して船舶の船体によって支持されることとなる起立クレーンであって、起立クレーンは、
- クレーンベースと、
- クレーンハウジングおよび旋回軸受であって、旋回軸受は、クレーンベースとクレーンハウジングとの間に提供されており、旋回軸受は、クレーンハウジングが垂直方向旋回軸線の周りに旋回することを可能にする、クレーンハウジングおよび旋回軸受と;
- ブームであって、ブームは、ベース端部と上部端部との間に延在しており、ブームは、クレーンベースから所定の距離において積載物を持ち上げるための下降された位置と、クレーンベースに隣接して風力タービンコンポーネントを起立させるための上昇された起立位置と、の間で枢動するために、ベース端部において、クレーンハウジングによって枢動可能に支持されている、ブームと;
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、ラフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、下降された位置と上昇された起立位置との間でブームを枢動させることを可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーと;
- ホイストであって、ホイストは、巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーを含み、巻き上げ用ワイヤーは、積載物(たとえば、風力タービンコンポーネントの上部端部)と連結するために、ブームの中の上側滑車アッセンブリを介して、積載物連結デバイスの下側滑車アッセンブリへガイドされ、クレーンが巻き上げ用ウィンチを使用して積載物をリフトすることを可能にする、ホイストと;
- クレーンのブームに装着されているトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと;
- トローリーであって、トローリーは、クレーンのブームに沿ってガイドされるようにトローリーガイドと連結されており、トローリーには、風力タービンコンポーネントをその上部端部において枢動可能に支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスが提供されており、または、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイス、および/または、風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持する積載物連結デバイスを受け入れるように構成されている、トローリーと;
を含む、起立クレーンを提供する。
【0039】
モノパイルを建て起こすためのトローリーガイドおよびトローリーを提供された剛体の直立したタワーを備えた船舶を提供することが知られているということが留意される。このタイプの構築は、枢動可能なブームを提供されておらず、したがって、タワーから所定の距離において積載物を持ち上げるように構成されていない。本発明の第1の態様による起立クレーンは、制御された起立(すなわち、風力タービンコンポーネントの上部端部をガイドすること)のために構成されており、また、積載物を持ち上げる(すなわち、ブームが下降された位置にある状態で積載物を持ち上げる)ために構成されており、好ましくは、積載物を支持しながらブームを枢動させ、したがって、クレーンのベースに向けてまたはそれから離れるように積載物を移動させるために構成されている。
【0040】
本発明の第1の態様によるクレーンは、据え付け現場に対する位置および配向を維持するように構成されている浮体式船舶(すなわち、非ジャッキアップタイプの浮体式船体)とともに使用されることが可能である。したがって、船舶は、モノパイルの据え付けを可能にするために、アンカー固定またはジャッキアップされる必要がなく、それは、高速なプロセスを可能にする。そのうえ、そのような船舶は、同様に、大きいサイズのモノパイルの据え付けのために、より深い水の中で展開されることが可能である。
【0041】
クレーンのブームは、下降されたホイスト位置において枢動されることが可能であり、クレーンベースから所定の距離においてクレーンが積載物を持ち上げることを可能にする。そのうえ、クレーンが積載物を支持している状態でブームを枢動させることによって、積載物は、クレーンのベースに向けてまたはそれから離れるように移動されることが可能である。
【0042】
ブームが起立位置において上昇されているときに、それは、実質的に垂直方向のまたは直立した位置にある。積載物連結デバイス(巻き上げ用ウィンチの巻き上げ用ワイヤーによって支持されている)がトローリーによって係合されているときに、トローリーは、クレーンのブームに沿って積載物連結デバイスをガイドするために使用されることが可能である。したがって、ブームに対する積載物連結デバイスの揺れが防止され、積載物連結デバイスによって支持されている風力タービンコンポーネントの上部端部は、制御された様式でブームに沿って移動されることが可能である。
【0043】
本発明によるクレーンによって、クレーンのブームは、風力タービンコンポーネントの底部端部が起立トラックの上のカートによってガイドされている状態で、および、風力タービンコンポーネントの上部端部がトローリーおよびトローリーガイドによってガイドされている状態で、風力タービンコンポーネントを起立させるために起立位置において枢動されることが可能である。好ましくは、ブームが起立位置にあるときに、ブーム(または、少なくともブームに装着されているトローリーガイド)は、本質的に垂直方向に延在している。
【0044】
さらなる実施形態において、クレーンハウジングは、起立位置にあるときにブームに係合するためのブームサポートを提供されており、そのブームサポートは、ブームが起立位置を越えて移動するのを防止する。加えてまたは代替例として、クレーンは、起立プロセスの間にブームを起立位置に固定するためのブーム固定手段を提供されている。
【0045】
ある実施形態において、クレーンは、ブーム固定デバイスをさらに含み、ブーム固定デバイスは、ブームをその上昇された起立位置に位置決めするためのストップと、ブームを上昇された起立位置にロックするためのブームロッキングデバイスと、を含む。そのようなブーム固定デバイスは、たとえば、ガントリーの上に提供されており、ガントリーは、クレーンハウジングの上に装着されているか、または、クレーンハウジングの一部である。ブームを固定することによって、起立プロセスの間にブームが起立位置から移動することが防止され、好ましくは、ブームは、適切な位置に固定され、ブームの枢動を防止する。
【0046】
さらなる実施形態において、ブーム固定デバイスは、アクティブダンパー(たとえば、油圧シリンダー)を含み、アクティブダンパーは、ブームが起立位置へと移動されるときに、ブームに弾性的に係合し、たとえば、ブームが垂直方向に対して3度の角度にあるときに、ブームに係合する。ある実施形態において、ブーム拘束体は、延在位置へと追い込まれる油圧シリンダーを含む。したがって、ブームが上向きに枢動し、シリンダーに係合するときに、シリンダーは、ブームを下向き方向に押す弾性力を提供する。
【0047】
したがって、ブームが上部ゾーンにあるときには、それはダンパーによって係合され、それが上部ゾーンから下降されるときには、ダンパーはブームを係合解除する。ある実施形態において、ブームが垂直方向に対して6度以下(たとえば、3度以下)の角度にあるときに、ダンパーはブームに係合する。
【0048】
ある実施形態において、クレーンは、上昇された起立位置からブームを枢動させるためのブームモビライザーをさらに含み、たとえば、ブームを押すもしくは引っ張るために動作する油圧シリンダー、または、上昇された起立位置からブームを枢動させるためにブームを引っ張るための関連のワイヤーを備えたブームモビリゼーションウィンチをさらに含む。したがって、起立プロセスの後に、ブームは、直立した位置から枢動されることが可能であり、たとえば、ブームは、シリンダーによって起立位置から離れるように押されることが可能であり、または、関連のワイヤーを備えたウィンチによって起立位置から離れるように引っ張られることが可能である。
【0049】
ラフィングワイヤーは、ブームが直立した位置から外れているとき、たとえば、垂直方向に対して3度以上の角度にあるときにのみ、ブームを効果的に支持することが可能であり、ブームの低下を可能にするということが留意される。したがって、ブームモビライザーは、直立した位置から、ラフィングワイヤーがブームを支持することができる位置へとブームを移動させるために使用されることが可能である。
【0050】
さらなる実施形態において、ブームモビライザーは、ブーム固定デバイスの中に一体化されており、たとえば、ブーム固定デバイスは、油圧シリンダーを含み、油圧シリンダーは、起立位置へと枢動されるときにブームを受け入れるためのダンパーとして機能し、また、油圧シリンダーは、起立プロセスの後に起立位置からブームを押し出す。
【0051】
ある実施形態において、トローリーには、風力タービンコンポーネント係合デバイスが提供されており、風力タービンコンポーネント係合デバイスは、風力タービンコンポーネント(たとえば、モノパイルまたはマスト)にその上部端部において係合し、それを枢動可能に支持するように構成されている。したがって、トローリーは、デッキの上に水平方向に位置決めされている風力タービンコンポーネント(たとえば、基礎パイルなど)の上側端部にその上部端部において係合するように構成されている。代替的な実施形態において、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持するために、随意的に、トローリーに提供されるカップラーを介して、風力タービンコンポーネント係合デバイスを受け入れるように構成されている。そのような実施形態では、風力タービンコンポーネントデバイスは、トローリーから除去されることが可能である。ある実施形態において、風力タービンコンポーネント係合デバイスは、リフティングデバイスの巻き上げ用ワイヤーによって支持されている積載物コネクターに接続されるように構成されており、トローリーは、トローリーガイドに沿ってモノパイル係合デバイスをガイドするために、積載物コネクターと(ひいては、モノパイルコンポーネント係合デバイスと)連結されるように構成されている。
【0052】
ある実施形態において、クレーンの積載物連結デバイスは、モノパイル係合デバイス(たとえば、モノパイル上部端部クランプ)と連結されるように構成されており、モノパイル係合デバイスは、モノパイルをその上部端部において枢動可能に支持するように構成されている。
【0053】
ある実施形態において、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイスと連結されるように構成されている。モノパイル係合デバイスは、好ましくは、風力タービンコンポーネントの上部端部を枢動可能に支持するように構成されており、モノパイルが起立の間に積載物連結デバイスおよびトローリーに対して枢動することを可能にする。
【0054】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、ブームを提供されており、積載物連結デバイスおよびトローリーは、連結されるように構成されており、トローリーは、風力タービンコンポーネントの上部端部と連結されるように構成されている積載物連結デバイスを提供されている。そのような実施形態では、巻き上げ用ウィンチの巻き上げ用ワイヤーは、トローリーに連結するために使用され得る積載物連結デバイスを支持する。ブームが起立位置において上昇されており、積載物連結デバイス(それは、起立ウィンチのワイヤーによって支持されている)がトローリーに接続されているときに、トローリーは、風力タービンコンポーネントを起立させるために使用されることが可能である。
【0055】
ブームが起立位置からホイスト位置へと下降され、積載物連結デバイスがトローリーと連結されていないときに、積載物連結デバイスは、クレーンベースから所定の距離において積載物をリフトするために使用されることが可能である。
【0056】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、ブームを提供されており、すなわち、クレーンとして構成されており、クレーンは、2次的なホイストをさらに含み、2次的なホイストは、積載物に接続されるように構成されている2次的な積載物連結デバイスを支持する関連の2次的な巻き上げ用ワイヤーを備えた2次的な巻き上げ用ウィンチを含み、巻き上げ用ワイヤーは、2次的な巻き上げ用ウィンチを使用してクレーンベースから所定の距離において積載物を持ち上げるために、クラウンブロックを介して積載物連結デバイスにガイドされる。
【0057】
そのような実施形態では、クレーンは、ホイストに加えて、2次的なホイストを提供されており、2次的なホイストは、ブームが下降された位置にあるときに、クレーンのベースから所定の距離において積載物を持ち上げるために、2次的な巻き上げ用ウィンチを含む。ある実施形態において、2次的なホイストは、トローリーガイドに沿ってトローリーを持ち上げおよび下降させるように構成されており、より具体的には、メインホイストの積載物連結デバイスに係合または係合解除するための位置にトローリーガイドに沿ってトローリーを移動させるように構成されている。
【0058】
ある実施形態において、トローリーは、積載物連結デバイスに係合するように構成されており、それらが連結されているときに、トローリーが、トローリーガイドに沿って積載物連結デバイスとともに移動するようになっている。したがって、メインホイストは、トローリーガイドに沿ってトローリーを移動させるために使用されることが可能である。
【0059】
ある実施形態において、トローリーガイドは、そのうえ、リフティングデバイスのベースに沿って延在している。したがって、トローリーは、上部構造体からリフティングデバイスのベースの上に移動されることが可能である。リフティングデバイスがブームを提供されている実施形態では、トローリーガイドは、少なくともブームが起立位置にあるときに、ブームの水平方向ブーム枢動軸線の下方に延在している。そのような実施形態では、トローリーガイドは、クレーンのブームに沿って、クレーンのブームの下方に延在している。したがって、トローリーは、クレーンのブームに沿って移動されることが可能であるだけでなく、ブームが起立位置にあるときに、クレーンのブームの下方に下降されることも可能である。ベースに沿っておよび/またはブーム枢動軸線の下方にトローリーガイドを延在させることは、トローリーを起立デッキのより近くに移動させることを可能にする。これは、たとえば、ブーム枢動軸線が船舶の起立デッキの上方にいくらかの距離に位置決めされているときに有益である。トローリーが起立デッキの近くに移動されることが可能であるので、それは、風力タービンコンポーネントの上部端部に対して最適に位置決めされることが可能であり、または、たとえば、トローリーのメンテナンスの適合のために、人員によるアクセスを促進させるためにデッキの近くに駐機されることさえも可能である。
【0060】
さらなる実施形態において、トローリーガイドの下側セクション(好ましくは、ブーム枢動軸線の下方に延在するセクション)は、クレーンハウジングに装着されており、ブームに接続されているトローリーガイドのセクションにヒンジ式に接続されており、または、ブームに接続されているトローリーガイドとは別個になっているかもしくはそれから分離可能であり、それが、ブームがブーム枢動軸線の周りに枢動されるときに、ブームとともに(および、ブームに接続されているトローリーガイドとともに)枢動しないようになっている。
【0061】
ある実施形態において、トローリーガイドは、リフティングデバイスの細長い直立した上部構造体に装着されている上部構造体セクションと、リフティングデバイスのベースに装着されているベースセクションと、を含み、トローリーが、細長い直立した上部構造体からベースの上に(および、その逆もまた同様に)移動されることが可能であるようになっている。これは、トローリーがデッキ表面の近くに低下されることを依然として可能にしながら、かなりの高さを有するベースを可能にする。
【0062】
ある実施形態において、トローリーガイドは、クレーンのブームに装着されているブームセクションと、クレーンのベースに装着されているベースセクションと、を含み、トローリーは、たとえば、風力タービンコンポーネントの上部端部を風力タービンコンポーネント係合デバイスに連結するために、ブームセクションからベースセクションの上に移動可能である。
【0063】
この実施形態では、トローリーガイドは、ベースセクションを含み、ベースセクションは、クレーンのベースに装着されており、したがって、クレーンのベースに沿ってブーム枢動軸線の下方に延在している。したがって、トローリーガイドのベースセクションは、クレーンハウジングおよびブームが垂直方向軸線の周りに旋回されるときに、これらとともに移動しない。
【0064】
好適な実施形態において、リフティングデバイスは、風力タービンコンポーネントの底部端部を支持するカートをガイドするように構成されているカートトラックと組み合わせられている。そのような実施形態では、トローリーガイドのベースセクションは、好ましくは、カートトラックと整合されており、それが、デッキの近くの位置にカートトラックと整合してトローリーを下降させるために使用され得るようになっており、したがって、デッキの近くの位置に積載物連結デバイスをガイドすることを可能にするために使用され得るようになっている。デッキの近くに積載物連結デバイスをガイドすることは、デッキの近くに配置されているモノパイルに係合することを可能にする。トローリーがデッキの近くに下降され得ないときには、起立移動の下側セクションが、ガイドされ得ず、したがって、最適に制御されない可能性がある。この構成は、コンパクトなトローリーおよび/または風力タービンコンポーネント係合デバイスを可能にする。そのうえ、トラックは、デッキの近くに配置されることが可能であり、制御された、完全に制御された、すなわち、ガイドされた起立移動を可能にするために、風力タービンコンポーネントの上部が積載物連結デバイスと連結されることを可能にする高さに風力タービンコンポーネントを提示するために、上昇される必要がない。
【0065】
好ましくは、トローリーガイドのベースセクションは、トローリーを受け入れるように寸法決めされている。したがって、トローリーは、トローリーガイドのベースセクションの上に駐機されることが可能である。トローリーがベースセクションの上に駐機されているときに、たとえば、クレーンのブームは、それがトローリーを支持することなく動作されることが可能である。これは、風力タービンコンポーネントを起立させるためではなく、クレーンのブームが積載物を持ち上げるために使用されることとなるときに、とりわけ有益である。
【0066】
さらなる実施形態において、クレーンまたはリフティングデバイスのベースは、複数のトローリーガイドベースセクションを提供されており、複数のトローリーガイドベースセクションは、それぞれ、クレーンハウジングまたは上部構造体を正しい位置において旋回させることによって、ブームまたは上部構造体の上に提供されているトローリーガイドセクションと整合されることが可能である。
【0067】
ある実施形態において、1つ以上のトローリーガイドベースは、1つ以上の2次的なトローリー(たとえば、風力タービンコンポーネントがクレーンによって持ち上げられるときに、風力タービンコンポーネントを安定化させるために風力タービンコンポーネントの下側端部に係合するための、風力タービンコンポーネントの上部端部支持トローリーと組み合わせて使用され得る2次的なトローリー、または、メイントローリーの代わりに使用されるように構成されている2次的なトローリー)を駐機するように構成されており、2次的なトローリーは、風力タービンを組み立てるために、ナセルまたは風力タービンブレードに係合およびナセルまたは風力タービンブレードを支持するように構成されている。
【0068】
ある実施形態において、トローリーガイドは、ブームセクションを含み、ブームセクションは、ブームの枢動軸線の下方に延在する下側セクションを提供されており、トローリーガイドのベースセクションは、クレーンが正しい位置において旋回されるときに、ブームガイドのこの下側セクションと整合する。代替的な実施形態において、トローリーガイドのベースセクションは、ブーム枢動軸線まで、または、ブーム枢動軸線を越えて延在している。
【0069】
ある実施形態において、トローリーガイドは、1つ以上のガイド(たとえば、1つ以上のレール)を含み、トローリーは、ガイド係合デバイス(たとえば、ガイドホイール)を提供されており、ガイド係合デバイスは、ガイドに係合し、それは、トローリーをトローリーガイドに移動可能に固定する。したがって、トローリーは、トローリーガイドに沿ってのみ移動することが可能であり、トローリーガイドに対して垂直の方向には移動することができない。
【0070】
ある実施形態において、起立クレーンは、起立デッキを有する船舶の上に装着されており、船舶は、そのうえ、船舶の船体によって支持されている保管デッキを含み、保管デッキは、複数のモノパイルまたはマストを水平方向位置に支持するための保管ラックを提供されており、保管デッキおよび保管ラックは、複数の風力タービンコンポーネントを互いに平行に支持し、好ましくは、船舶の長手方向軸線に対して平行に支持するように構成されている。
【0071】
ある実施形態において、保管ラックは、複数の(たとえば、3つの)風力タービンコンポーネントの列を保管デッキの上に支持するように構成されている。さらなる実施形態において、保管ラックは、複数の風力タービンコンポーネントの2つ以上の列を支持するように構成されており、一方の列が、他方の列の上に積み重ねられている。好ましくは、保管デッキは、起立デッキに隣接して位置付けされており、風力タービンコンポーネントは、カートトラックに対して平行に保管デッキの上に保管される。これは、風力タービンコンポーネントを保管デッキから起立デッキへおよびカートトラックの上に移動させることを促進させる。その理由は、風力タービンコンポーネントが保管デッキから起立デッキの上にリフトされるときに、風力タービンコンポーネントの配向が変更される必要がないからである。
【0072】
ある実施形態において、起立クレーンは、船舶の上に装着されており、保管デッキおよび/または起立デッキの一方の端部に位置付けされている。さらなる実施形態において、船舶は、起立デッキおよび保管デッキを提供されており、それらは、両方とも単一のデッキの一部である。
【0073】
ある実施形態において、起立デッキおよびリフティングデバイスは、風力タービンコンポーネントが、起立デッキの上に水平方向位置に支持されているときに、および、風力タービンコンポーネントの上部端部が積載物連結デバイスに連結された状態のときに、船舶の長手方向軸線に対して平行になるように構成されている。
【0074】
ある実施形態において、起立クレーンは、船舶の上に装着されており、保管デッキの一方の端部に位置付けされており、船舶は、保管デッキの反対側端部において保管クレーンを提供されており、起立クレーンおよび保管クレーンは、保管デッキから起立デッキへ風力タービンコンポーネントを一緒にリフトするように構成されており、クレーンおよび保管クレーンは、風力タービンコンポーネントの端部をそれぞれ持ち上げる。そのような実施形態では、クレーンおよび保管クレーンは、保管デッキから起立デッキの上に水平方向位置で風力タービンコンポーネントを持ち上げるように位置決めされている。さらなる実施形態において、クレーンは、そのうえ、供給船舶からまたは岸壁から保管デッキの上に風力タービンコンポーネントをリフトするために使用されることが可能である。
【0075】
ある実施形態において、起立デッキおよび保管デッキは、両方とも単一の船舶デッキの一部である。
【0076】
ある実施形態において、起立デッキおよびクレーンは、風力タービンコンポーネントが、起立デッキの上に水平方向位置に支持されているときに、および、風力タービンコンポーネントの上部端部が積載物連結デバイスに連結された状態のときに、船舶の長手方向軸線に対して平行になるように構成されている。
【0077】
ある実施形態において、風力タービンコンポーネント係合デバイス、および/または、存在する場合には、そのためのカップラーは、アクティブX-Y運動デバイスの上に配置されており、アクティブX-Y運動デバイスは、リフティングデバイスが船体に固定されているときに、船舶のX-Y平面においてトローリーガイドに対して、たとえば、存在する場合には、そのためのカップラーを介して、風力タービンコンポーネント係合デバイスを移動させるように構成されている。
【0078】
ある実施形態において、アクティブ水平方向運動デバイスは、トローリーと積載物連結デバイス(トローリーの中に受け入れられているとき)および/または積載物連結デバイスによって支持されている風力タービンコンポーネント係合デバイスとの間に装着されている。
【0079】
アクティブ水平方向運動デバイスは、2つの非平行の水平方向への(たとえば、直交する水平方向への)風力タービンコンポーネント係合デバイスの海況誘起水平方向変位(sea-state induced horizontal displacement)をアクティブに補償するように適合されており、一方では、風力タービンコンポーネントは、風力タービンコンポーネント係合デバイスによって直立した位置に支持されている。したがって、リフティングデバイスまたはクレーンにアクティブ水平方向運動デバイスを提供することは、船舶に隣接する風力タービンコンポーネント据え付け場所に対して風力タービンコンポーネントをより正確に位置決めすることを可能にする。その理由は、アクティブ水平方向運動デバイスが風力タービン据え付け場所に対する(たとえば、海流によって引き起こされる)船舶の偏差を補償することを可能にするからである。これは、船舶が浮体式船舶であるときにとりわけ有益であるということが提起されている。
【0080】
船舶が非浮体式船舶(たとえば、ジャッキアップ船舶)であるときには、リフティングデバイスまたはクレーンは、船舶のアンカー固定の間に起こった据え付け場所に対する船舶の偏差を補償するために水平方向運動デバイスを提供されることが可能である。この状況において、船舶は据え付け場所に対して固定位置にあるので、アクティブ(すなわち、連続的な)補償は必要とされない。
【0081】
さらなる実施形態において、アクティブ水平方向運動デバイスは、1つ以上のモーター動力式変位アクチュエーターアッセンブリ(たとえば、ポンプおよび1つ以上の油圧シリンダーを含む油圧パワーアッセンブリまたはウィンチアッセンブリ)を含む。
【0082】
ある実施形態において、アクティブX-Y運動デバイスは、X-Y運動補償作動制御システムを含み、アクティブ運動補償作動システムは、アクティブ海況誘起運動補償モードを有しており、アクティブ海況誘起運動補償モードでは、作動システムは、X-Y平面における船舶の海況誘起運動を補償するように動作される。さらなる実施形態において、アクティブX-Y運動補償作動制御システムは、X-Y平面におけるパイルグリッパーの移動も制御する。したがって、上部端部においてリフティングデバイスによって支持されており、下側端部においてパイルグリッパーによって係合されているパイルのX-Y平面における位置は、アクティブに制御されることが可能である。
【0083】
ある実施形態において、アクティブX-Y運動デバイスは、たとえば、アクティブ運動補償作動制御システムを含み、アクティブX-Y運動デバイスは、リフティングデバイスが船体に固定されているときに、船舶のX-Y平面において互いに非平行に延在する、1つ以上の第1のトラック、たとえば、レールと、1つ以上の第2のトラック、たとえば、レールと、を含み、第2のトラックは、第1のトラックの上で移動可能であり、作動システムは、第1のトラックの上で第2のトラックを移動させるために第1のトラックと第2のトラックとの間で動作する1つ以上の第1のX-Y運動アクチュエーターアッセンブリと、第2のトラックの上で風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはカップラーを移動させるために、第2のトラックと風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーとの間で動作する1つ以上の第2のX-Y運動アクチュエーターアッセンブリと、をさらに含む。
【0084】
さらなる実施形態において、アクティブX-Y運動デバイスの第1および第2のX-Y運動アクチュエーターアッセンブリは、モーター動力式変位アクチュエーターアッセンブリ、たとえば、ポンプおよび1つ以上の油圧シリンダーをそれぞれ含む油圧パワーアッセンブリであるか、または、ウィンチアッセンブリである。
【0085】
ある実施形態において、クレーンは、トローリーホイストをさらに含み、トローリーホイストは、関連のトローリー巻き上げ用ワイヤーを備えたトローリー巻き上げ用ウィンチを含み、トローリー巻き上げ用ワイヤーは、トローリーガイドに沿ってトローリーを移動させるために、クラウンブロックを介して積載物トローリーにガイドされている。そのような実施形態では、クレーンのホイストは、積載物を持ち上げるときに使用され、トローリーホイストは、風力タービンコンポーネントを起立させるときに、トローリーを移動させるために使用される。
【0086】
ある実施形態において、クレーンは、2次的なホイストをさらに含み、2次的なホイストは、積載物に接続されるように構成されている2次的な積載物連結デバイスを支持する関連の2次的な巻き上げ用ワイヤーを備えた2次的な巻き上げ用ウィンチを含み、巻き上げ用ワイヤーは、2次的な巻き上げ用ウィンチを使用してクレーンベースから所定の距離において積載物を持ち上げるために、クラウンブロックを介して積載物連結デバイスにガイドされている。
【0087】
ある実施形態において、巻き上げ用ワイヤーは、上側滑車アッセンブリと下側滑車アッセンブリとの間を通っており、巻き上げ用ウィンチは、風力タービンコンポーネントを支持および持ち上げるのに十分な動力を有しており、たとえば、組み立てられた風力タービンまたはパイルをリフトするのに十分な動力を有している。
【0088】
ある実施形態において、クレーンは、風力タービンコンポーネントを支持するためのクレーンタワーをさらに含む。そのような実施形態では、ブームは、クレーンの旋回軸線に対してクレーンの上にその一方の側に提供されており、クレーンタワーは、旋回軸線に対してクレーンの反対側に提供されている。そのうえ、クレーンタワーは、そのベース端部と上部端部との間に延在しており、旋回軸線の周りでクレーンのブームとともに旋回するために、クレーンハウジングの上に固定された直立配向で装着されている。クレーンタワーには、
- タワーに沿ってその長手方向に延在するタワートローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと;
- タワートローリーであって、タワートローリーは、タワーに沿って移動可能であるようにタワートローリーガイドと連結されており、タワートローリーガイドによってガイドされ、たとえば、タワートローリーには、風力タービンコンポーネントにその上部端部において連結するように、および、それを支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスが提供されており、または、たとえば、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持するために、そのような風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはカップラーを受け入れるように構成されている、タワートローリーと;
- タワー巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーであって、巻き上げ用ワイヤーは、風力タービンコンポーネントをリフトおよび下降させるためにトローリーガイドに沿ってクレーントローリーを巻き上げるために、クレーンタワーの上部を介してガイドされる、タワー巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーと;
が提供されている。
【0089】
たとえば、クレーンタワーは、グリッパーの中にモノパイルを支持するために使用されことが可能であり、また、起立クレーンのブームを使用してマストを起立させながら、船舶に隣接して水の中へ垂直方向位置でモノパイルを下降させるために使用されることが可能である。
【0090】
ある実施形態において、リフティングデバイス(たとえば、クレーンハウジングおよび/またはクレーンのブーム)は、リフティングデバイスによってその直立配向で支持されている風力タービンコンポーネントの下側セクションに係合するために、とりわけ、風力タービンコンポーネントを直立配向で支持しながら、クレーンの旋回の間に風力タービンコンポーネントの揺れを防止するために、風力タービンコンポーネント固定アームまたはタガーを提供されている。
【0091】
この構成は、据え付け現場における風力タービンコンポーネントの据え付けのために、たとえば、組み立てられた風力タービンのマストを基礎の上に装着するために、リフティングデバイスが風力タービンコンポーネントを1つの場所から別の場所へ(たとえば、船上の場所から船外の場所へ)移動させることを可能にする。
【0092】
ある実施形態において、細長い直立した構造体は、細長い直立した上部構造体の上に提供されているトローリーガイドと、トローリーガイドに接続されているトローリーと、ジブと、を含み、上側滑車アッセンブリは、ジブの中に提供されており、リフティングアッセンブリの巻き上げ用ワイヤー(リフティングデバイスのトローリとジブの中に提供されている滑車アッセンブリとの間に延在している)は、細長い直立した上部構造体から水平方向に間隔を置いて配置されており、好ましくは、リフティングデバイスによってその直立配向で支持されている風力タービンコンポーネントの中心軸線と実質的に一致している。さらなる実施形態において、トローリーと滑車アッセンブリとの間に延在する巻き上げ用ワイヤーの部分は、トローリーガイドに対して平行である。
【0093】
そのような実施形態では、好ましくは、巻き上げ用ワイヤーは、風力タービンコンポーネントが建て起こされているときに、支持された風力タービンコンポーネントの重心と整合されている。そのような実施形態では、トローリーではなくジブが、持ち上げられた風力タービンコンポーネントの重量を支持する。したがって、トローリーは、比較的に軽量の設計のものであることが可能である。
【0094】
さらなる実施形態において、リフティングデバイスは、クレーンとして具現化されており、クレーンのブームは、ジブを含み、上側滑車アッセンブリは、ジブの中に提供されており、巻き上げ用ワイヤーが、少なくとも(たとえば、カップラーおよび/またはトローリーを介して)風力タービンコンポーネント係合デバイスに接続されているときに、ブームから水平方向に間隔を置いて配置されて延在するようになっており、好ましくは、風力タービンコンポーネント係合デバイスによってその直立配向で支持されている風力タービンコンポーネントの中心軸線と実質的に一致しているようになっている。
【0095】
そのような実施形態では、巻き上げ用ワイヤーは、ブームから離れるように位置決めされている。巻き上げ用ワイヤー(または、より具体的には、上側滑車アッセンブリと下側滑車アッセンブリとの間でラフィングされる巻き上げ用ワイヤーのセクション)は、垂直方向位置においてクレーンによって支持されている風力タービンコンポーネントと整合されている。この構成は、クレーンによって支持されている風力タービンコンポーネントの重量によって引き起こされるモーメント力をトローリーが受けないようにする。
【0096】
さらなる実施形態において、トローリーと上側滑車アッセンブリとの間に延在する巻き上げ用ワイヤーの一部分は、トローリーガイドに対して平行に走っている。
【0097】
ある実施形態において、ブームは、2つの脚を含むA-フレームであり、トローリーガイドは、両方の脚の上に提供されている。さらなる実施形態において、クレーンブームは、そのベース端部においてガントリーを含み、また、上部端部においてガントリージブを含み、ガントリーとガントリージブとの間に延在する1つ以上のガントリーワイヤーを提供されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、ラフィングウィンチとブームのガントリーとの間に延在している。この構成は、とりわけ、巻き上げ用ワイヤーをブームから間隔を置いて配置するためのジブもブームが含むときに、ブームのA-フレームの中の曲げ力を低減させる。
【0098】
ある実施形態において、ブームは、2つの脚を含むA-フレームを形成しており、トローリーガイドが、A-フレームの両方の脚の上に、たとえば、それぞれの脚の上の1つ以上のトラック、たとえば、レールの上に提供されている。
【0099】
ある実施形態において、トローリーは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において枢動可能に支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、トローリーは、ホイストの積載物連結デバイスと連結されるように構成されている。したがって、そのような実施形態では、ホイストは、トローリーガイドに沿ってトローリーを移動させるために使用され、トローリーは、風力タービンコンポーネントに連結されている。
【0100】
代替的な実施形態において、トローリーは、ホイストの積載物連結デバイスによって支持されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを受け入れるように構成されている。そのような実施形態では、ホイストは、積載物連結デバイスを移動させるために使用されており、その積載物連結デバイスは、風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持し、また、それを介して風力タービンコンポーネントを支持する。風力タービンコンポーネントがトローリーの中に受け入れられているときに、ホイストは、トローリーガイドに沿ってトローリーを移動させるために使用されることも可能である。
【0101】
代替的な実施形態において、トローリーは、ホイストの積載物連結デバイスを受け入れるように構成されており、その積載物連結デバイスは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において枢動可能に支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持している。したがって、積載物連結デバイスがトローリーの中に受け入れられているときに、トローリーは、ホイストとともに移動されることが可能である。
【0102】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、クレーンとして構成されており、クレーンは、トローリーホイストを含み、トローリーホイストは、関連のトローリー巻き上げ用ワイヤーを備えたトローリー巻き上げ用ウィンチを含み、トローリー巻き上げ用ワイヤーは、トローリーガイドに沿ってトローリーを移動させるために、クラウンブロックを介してトローリーにガイドされている。そのような実施形態では、トローリーは、専用のホイストを提供されており、好ましくは、巻き上げ用トローリーは、クレーンのブームが低下された位置のうちの1つにあるときに、積載物をリフトするために提供されており、すなわち、クレーンベースから水平方向に間隔を置いて配置された積載物をリフトするために提供されている。
【0103】
ある実施形態において、クレーンは、2次的なホイストをさらに含み、2次的なホイストは、積載物に接続されるように構成されている2次的な積載物連結デバイスを支持する関連の2次的な巻き上げ用ワイヤーを備えた2次的な巻き上げ用ウィンチを含み、巻き上げ用ワイヤーは、2次的な巻き上げ用ウィンチを使用して、クレーンベースから水平方向に間隔を置いて配置された積載物を持ち上げるために、クラウンブロックを介して積載物連結デバイスにガイドされている。したがって、第1の巻き上げ用ウィンチは、トローリーを移動させるために、ひいては、風力タービンコンポーネントを建て起こすために、および、随意的に、ブームが低下された位置にある状態で積載物を持ち上げるために使用されることが可能である。2次的な巻き上げ用ウィンチは、ブームが低下された位置のうちの1つにある状態で積載物をリフトするためにのみ使用されることが可能である。
【0104】
そのうえ、本発明は、据え付け船舶であって、据え付け船舶は、風力タービンコンポーネント、たとえば、パイル、たとえば、モノパイル、またはマストの据え付けおよび好ましくは輸送のためのものであり、据え付け船舶は、
- 船体であって、船体は、起立デッキを形成している、船体と、
- 本発明によるリフティングデバイス(たとえば、クレーン)であって、リフティングデバイスは、起立デッキに隣接して船舶の船体によって支持されている、リフティングデバイスと、
- カートトラックであって、カートトラックは、起立デッキに沿って延在している、カートトラックと;
- 風力タービンコンポーネントの底部端部を支持するための支持カートであって、支持カートは、カートトラックによって支持されており、クレーンから遠位にある位置から、クレーンに隣接する位置へ、起立デッキに沿って風力タービンコンポーネントの底部端部をガイドするために、カートがカートトラックに沿って移動することを可能にする、支持カートと;
- グリッパーであって、グリッパーは、たとえば、船舶に隣接して水の中へ垂直方向位置において低下されているモノパイルをガイドするために、または、マストを装着するための浮体式基礎に係合するために、および、好ましくは、それを安定化させるために、船舶の輪郭の外側に延在している、グリッパーと;
を含む、据え付け船舶を提供する。
【0105】
ある実施形態において、船舶は、そのうえ、保管デッキを含み、保管デッキは、船舶の船体によって支持されており、保管デッキは、複数の風力タービンコンポーネントを水平方向位置に支持するための保管ラックを提供されており、保管デッキおよび保管ラックは、複数の風力タービンコンポーネントを、互いに平行に、および、好ましくは船舶の長手方向軸線に対して平行に支持するように構成されている。
【0106】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、直立した上部構造体から所定の距離に間隔を置いて巻き上げ用ワイヤーを配置するために、直立した上部構造体の上部端部においてジブを含み、また、直立した上部構造体をベースに対して垂直方向旋回軸線の周りに旋回させるための旋回軸受を含む。
【0107】
さらなる実施形態において、リフティングデバイスは、保管デッキの一方の端部に位置付けされており、船舶は、保管デッキの反対側端部において保管クレーンを提供されており、リフティングデバイスおよび保管クレーンは、保管デッキから起立デッキへ風力タービンコンポーネントを一緒に持ち上げるように構成されており、リフティングデバイスおよび保管クレーンは、風力タービンコンポーネントの端部をそれぞれ持ち上げる。
【0108】
ある実施形態において、起立デッキおよび保管デッキは、両方とも、単一の船舶デッキの一部である。
【0109】
ある実施形態において、さらなる実施形態において、起立デッキおよびリフティングデバイスは、風力タービンコンポーネントが、起立デッキの上に水平方向位置に支持されているときに、および、風力タービンコンポーネントの上部端部が積載物連結デバイスに連結された状態になっているときに、船舶の長手方向軸線に対して平行であるように構成されている。
【0110】
ある実施形態において、カートトラックは、リフティングデバイスの旋回軸線と整合されており、一方の端部においてカートによって支持され、反対側端部においてトローリーと連結されている風力タービンコンポーネントの中心軸線が、リフティングデバイスの旋回軸線と整合されるようになっている。
【0111】
ある実施形態において、カートトラックを備えた起立デッキは、船舶の中心軸線の上に位置付けされており、リフティングデバイスは、たとえば、船舶の側部に沿って、船舶の中心軸線から離れるように装着されている。したがって、そのような実施形態では、カートトラックは、リフティングデバイスの旋回軸線と整合されていない。そのような実施形態では、風力タービンコンポーネントは、起立プロセスの間に船舶の中心軸線と整合されている。さらなる実施形態において、グリッパーは、同様に船舶の中心軸線の上でパイルに係合するように位置付けされており、風力タービンコンポーネントは、船舶の中心線から実質的に逸脱することなく、グリッパーの中へ移動されることが可能である。後者は、船舶の上方の起立場所から、船舶に隣接する据え付け場所へ(すなわち、船舶の輪郭の外側へ)の風力タービンコンポーネントの効率的な移送を可能にする。
【0112】
本発明による据え付け船舶の代替的な実施形態において、カートトラックは、リフティングデバイスの旋回軸線と整合されており、一方の端部においてカートによって支持されており、反対側端部においてトローリーと連結されている風力タービンコンポーネントの中心軸線が、リフティングデバイス(たとえば、起立クレーン)の旋回軸線と整合されるようになっている。したがって、風力タービンコンポーネントの重量は、起立プロセスの間にリフティングデバイスに最適に移送される。
【0113】
さらなる実施形態において、保管デッキの少なくとも一部は、船舶の中心長手方向軸線と整合されており、風力タービンコンポーネントが船舶の中心線の上で保管デッキの上に保管され得るようになっている。そのような実施形態では、起立デッキは、船舶の中心長手方向軸線に隣接しており、起立デッキの上に支持されている風力タービンコンポーネントは、船舶の中心長手方向軸線の上方に位置付けされていない。
【0114】
ある実施形態において、グリッパーは、モノパイルグリッパーであり、船舶の中心長手方向軸線の上にリフティングデバイスによって支持されているパイルに係合するために、船舶の船尾に位置付けされている。これは、船舶の船体が細長い形状を有するときに、とりわけ有益である。グリッパーがこのように船舶の中心線の上に位置付けされているときに、据え付け現場への風力タービンコンポーネントの移送(とりわけ、海底の上にモノパイルを着地させること、または、基礎の上にマストを着地させること)は、船舶のバランスの大きなシフトを引き起こさず、したがって、船舶のロールを補償するためにアクティブバラストを使用することを必要としない。
【0115】
ある実施形態において、グリッパーは、x-y補償されており、すなわち、リフティングデバイス(好ましくは、起立クレーン)によって支持されている風力タービンコンポーネントをX-Y平面において起立された(すなわち、直立した)位置に位置決めするように構成されており、したがって、風力タービンコンポーネント据え付け場所に対する船舶の移動を補償するように構成されている。
【0116】
ある実施形態において、トローリーは、x-y補償されたトローリーであり、すなわち、起立された位置において支持されている風力タービンコンポーネントの上部をX-Y平面において位置決めするように構成されており、したがって、風力タービンコンポーネント据え付け場所に対する船舶の移動を補償するように構成されている。たとえば、ある実施形態において、アクティブ水平方向運動デバイスは、トローリー、および/または、積載物連結デバイスによって支持されている風力タービンコンポーネント係合デバイスの中に受け入れられているときに、トローリーと積載物連結デバイスとの間に装着されており、アクティブ水平方向運動デバイスは、2つの非平行の水平方向への(たとえば、直交する水平方向への)モノパイル係合デバイスの海況誘起水平方向変位をアクティブに補償するように適合されており、一方では、風力タービンコンポーネントは、風力タービンコンポーネント係合デバイスによって直立した位置に支持されている。
【0117】
さらなる実施形態において、アクティブ水平方向運動デバイスは、1つ以上のモーター動力式変位アクチュエーターアッセンブリ(たとえば、ポンプおよび1つ以上の油圧シリンダーを含む油圧パワーアッセンブリまたはウィンチアッセンブリ)を含む。
【0118】
さらなる実施形態において、アクティブ水平方向運動デバイスは、グリッパーの移動から独立して積載物連結デバイスおよび/または風力タービンコンポーネント係合デバイスを移動させるために、グリッパーにリンク接続されている水平方向運動デバイスに接続されている。たとえば、トローリーの水平方向運動デバイスおよびグリッパーの水平方向運動デバイスの両方を制御する制御デバイスが提供されることが可能である。
【0119】
ある実施形態において、船舶は、船舶の後部に凹部を含み、凹部は、2つのデッキ部分が両側に位置している。さらなる実施形態において、グリッパーは、凹部の中でモノパイルをガイドするように構成されているモノパイルグリッパーである。さらなる実施形態において、パイルグリッパーは、デッキ部分のうちの1つの上に装着されており、起立クレーンは、反対側のデッキ部分の上に装着されている。
【0120】
ある実施形態において、起立デッキは、船舶の中心軸線の上に提供されており、凹部と整合されており、起立デッキの反対側には、保管デッキが提供されており、保管デッキは、デッキ部分と整合されており、保管デッキは、クレーンがその上に装着されているデッキ部分と整合されており、風力タービンブレードのための保管部を提供されている。
【0121】
ある実施形態において、船舶は、風力タービンを組み立てるために、すなわち、マストの上にナセルを装着するために、および、ナセルにブレードを提供するために、起立デッキの端部において、および、リフティングデバイス(好ましくは、起立クレーン)に隣接して、風力タービンアッセンブリステーションを提供されている。
【0122】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、ブレードインストーラーデバイスを含み、そのブレードインストーラーデバイスは、風力タービンブレードサポートために、および、リフティングデバイス(好ましくは、起立クレーン)に隣接して風力タービンアッセンブリステーションの中に支持されているマストの上に装着されているナセルに対してブレードを位置決めするために、トローリーに装着されることが可能である。
【0123】
さらなる実施形態において、ブレードインストーラーデバイスは、
- ベースであって、ベースは、トローリーに装着されるように構成されており、または、専用のトローリーと一体化されるように構成されている、ベースと;
- コネクターであって、コネクターは、風力タービンブレードに係合するように構成されており、または、ブレードの上に除去可能に装着されているブレードサポートに係合するように構成されている、コネクターと;
- 枢動アームであって、枢動アームは、ベース端部において、使用時に垂直方向軸線の周りに枢動するようにベースに接続されており、また、反対側端部において、使用時に垂直方向軸線の周りに枢動するようにコネクターに接続されている、枢動アームと;
を含む。
【0124】
ある実施形態において、トローリーは、組み立てられた風力タービンを支持するように構成されており、リフティングデバイスは、起立クレーンとして構成されており、起立クレーンは、組み立てられた風力タービンのマストにその下側端部において係合するように、第2のトローリーを提供されており、起立クレーンによって支持されているときに、風力タービンを安定化させる。
【0125】
ある実施形態において、グリッパーは、基礎グリッパーであり、基礎グリッパーは、浮体式基礎に係合するように構成されており、船舶に対して水平方向平面において浮体式基礎を位置決めし、かつ/または、船舶に対して浮体式基礎を安定化させる。
【0126】
ある実施形態において、グリッパーは、モノパイルグリッパーであり、モノパイルグリッパーは、リフティングデバイスまたは起立クレーンを使用して船舶に隣接して低下されているモノパイルをガイドするように構成されている。
【0127】
ある実施形態において、船舶は、基礎グリッパーおよびモノパイルグリッパーを含み、好ましくは、パイルグリッパーは、基礎グリッパーの中に一体化されている。
【0128】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、クレーンとして構成されており、クレーンは、ブームの反対側のクレーンの側に風力タービンコンポーネント(たとえば、モノパイル)を支持するためのクレーンタワーをさらに含む。たとえば、クレーンタワーは、グリッパーの中にモノパイルを支持するために使用されることが可能であり、また、起立クレーンのブームを使用してマストを起立させながら、船舶に隣接して水の中へ垂直方向位置でモノパイルを下降させるために使用されることが可能である。
【0129】
クレーンタワーは、ベース端部と上部端部との間に延在しており、垂直方向旋回軸線の周りでクレーンのブームとともに回転するために、クレーンハウジングの上に固定されて直立した位置に装着されており、クレーンタワーは、
- 風力タービンコンポーネントをその上部端部において支持するように構成されている支持トローリーと;
- クレーンタワーに沿ってトローリーをガイドするためのトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと;
- 巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーであって、巻き上げ用ワイヤーは、トローリーガイドに沿ってトローリーを巻き上げるために、たとえば、海底に向けてモノパイルを下降させるために、クレーンタワーの上部を介してガイドされる、巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーと;
を提供されている。
【0130】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、クレーンとして構成されており、クレーンハウジングおよび/またはクレーンのブームは、クレーンによって垂直方向位置に支持されている風力タービンコンポーネントの下側セクションに係合するために、とりわけ、風力タービンコンポーネントを垂直方向位置に支持しながら、クレーンの旋回の間に風力タービンコンポーネントの揺れを防止するために、風力タービンコンポーネント固定アームまたはタガーを提供されている。したがって、クレーンは、据え付け現場における風力タービンコンポーネントの据え付けのために、たとえば、組み立てられた風力タービンのマストを基礎の上に装着するために、風力タービンコンポーネントを1つの場所から別の場所へ(たとえば、船上の場所から船外の場所へ)移動させるために使用されることも可能である。
【0131】
ある実施形態において、起立巻き上げ用ワイヤー(または、ワイヤー)は、上側滑車アッセンブリと下側滑車アッセンブリとの間を通されており、巻き上げ用ワイヤーまたはワイヤーは、クレーンのホイストウィンチに接続されており、ウィンチは、風力タービンコンポーネントをリフトするのに十分な容量を有している。
【0132】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、クレーンとして構成されており、ブームは、ジブを含み、上側滑車アッセンブリは、ジブの中に提供されており、積載物連結デバイスがトローリーの中に受け入れられているときに、巻き上げ用ワイヤーがブームから離れるように位置決めされるようになっている。そのような実施形態では、巻き上げ用ワイヤー(または、より具体的には、上側滑車アッセンブリと下側滑車アッセンブリとの間でラフィングされる巻き上げ用ワイヤーのセクション)は、垂直方向位置にクレーンによって支持されている風力タービンコンポーネントと整合されている。この構成は、風力タービンコンポーネントの重量によって引き起こされるモーメント力をトローリーが受けないようにする。
【0133】
さらなる実施形態において、ブームは、ベース端部においてガントリーを含み、上部端部においてガントリージブを含み、ガントリーとガントリージブとの間に延在する1つ以上のガントリーワイヤーを提供されており、ラフィングウィンチとブームとの間に延在するラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームのガントリーとの間に延在している。
【0134】
本発明は、そのうえ、好ましくは、本発明による据え付け船舶を使用して、風力タービンコンポーネントを建て起こすための方法であって、本方法は、
- モノパイルの一方の端部を持ち上げるための下降された巻き上げ位置にブームを備えたクレーン、および、モノパイルの反対側端部をリフトする巻き上げ用クレーンリフティングを使用して、起立デッキの上に水平方向位置でモノパイルを持ち上げるステップと;
- 下降された巻き上げ位置から上昇された起立位置へとブームを移動させるステップと;
- モノパイルをモノパイル係合デバイスと係合させるステップと;
- 下降された連結位置から上昇された支持位置へブームに沿ってトローリーを移動させることによって、モノパイルの一方の端部を持ち上げるための下降された起立位置にブームを備えたクレーンを使用して、モノパイルを起立させるステップと;
を含む、方法を提供する。
【0135】
本発明によるさらなる方法は、
- 起立させるステップの後に、少なくとも180度の旋回角度にわたって、好ましくは、180度よりも大きい旋回角度にわたって、たとえば、190度の旋回角度にわたって、垂直方向旋回軸線の周りにクレーンを旋回させ、モノパイルを起立デッキから船舶の側部を越えて移動させ、その後に、船舶の船体の後方端部に装着されているモノパイルグリッパーに向けて移動させることによって、起立デッキの上方の起立場所から据え付け場所へパイルを移動させるステップであって、その据え付け場所では、モノパイルは、モノパイルグリッパーと整合されている、ステップ、
を含む。
【0136】
本発明は、そのうえ、クレーンであって、クレーンは、風力タービンを支持するための風力タービンコンポーネントの起立および据え付けのための起立デッキに隣接して船舶の船体によって支持されることとなり、クレーンは、
- 船舶の船体によって支持されることとなるクレーンベースと;
- クレーンハウジングと;
- クレーンハウジングとクレーンベースとの間に提供されている旋回軸受であって、旋回軸受は、クレーンハウジングが垂直方向旋回軸線の周りに旋回することを可能にする、旋回軸受と;
- ベース端部と上部端部との間に延在するブームであって、ブームは、低下された巻き上げ位置と風力タービンコンポーネントを建て起こすための上昇された起立位置との間で水平方向ブーム枢動軸線の周りに枢動するために、ベース端部においてクレーンハウジングによって枢動可能に支持されている、ブームと;
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、ラフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、下降された位置と上昇された位置との間でブームを枢動させることを可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーと;
- トローリーであって、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、風力タービンコンポーネント係合デバイスは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において枢動可能に支持するように構成されている、トローリーと;
- ブームに沿ってトローリーをガイドするためのトローリーガイド(たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラック)であって、トローリーガイドは、クレーンのブームに装着されているブームセクション、および、クレーンのベースに装着されているベースセクションを含み、トローリーは、トローリーガイドのベースセクションの上に受け入れられることが可能であり、トローリーなしでブームの動作を可能にする、トローリーガイドと;
- 巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーであって、巻き上げ用ワイヤーは、ブームを介してガイドされ、積載物連結デバイスを支持しており、積載物連結デバイスは、積載物に接続されるように構成されており、好ましくは、起立デッキの上に水平方向位置に位置付けされているパイルの上部端部と積載物連結デバイスを連結させるための下降された連結位置と、風力タービンコンポーネントを垂直方向位置に支持するための上昇された支持位置と、の間で、トローリーガイドに沿ってトローリーを巻き上げるために、トローリーに接続されるように構成されている、巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーと;
を含む、クレーンを提供する。
【0137】
本発明は、そのうえ、クレーンであって、クレーンは、風力タービンを支持するための風力タービンコンポーネントの起立および据え付けのための起立デッキに隣接して船舶の船体によって支持されることとなり、クレーンは、
- 船舶の船体によって支持されることとなるクレーンベースと;
- クレーンハウジングと;
- クレーンハウジングとクレーンベースとの間に提供されている旋回軸受であって、旋回軸受は、クレーンハウジングが垂直方向旋回軸線の周りに旋回することを可能にする、旋回軸受と;
- ベース端部と上部端部との間に延在するブームであって、ブームは、クレーンベースから所定の距離において積載物をリフトするための下降された巻き上げ位置と、クレーンベースに隣接して風力タービンコンポーネントを建て起こすための上昇された起立位置との間で水平方向ブーム枢動軸線の周りに枢動するために、ベース端部においてクレーンハウジングによって枢動可能に支持されている、ブームと;
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、ラフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、下降された位置と上昇された位置との間でブームを枢動させることを可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーと;
- トローリーであって、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、風力タービンコンポーネント係合デバイスは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において枢動可能に支持するように構成されており、または、風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/もしくは風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持する積載物連結デバイスを受け入れるように構成されている、トローリーと;
- ブームに沿ってトローリーをガイドするためのトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと;
- 巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーであって、巻き上げ用ワイヤーは、ワイヤーの上部端部を介してガイドされ、積載物連結デバイスを支持しており、積載物連結デバイスは、積載物に接続されるように構成されており、好ましくは、起立デッキの上に水平方向位置に位置付けされているパイルの上部端部とトローリーを連結させるための下降された連結位置と、風力タービンコンポーネントを垂直方向位置に支持するための上昇された支持位置と、の間で、トローリーガイドに沿ってトローリーを巻き上げるために、トローリーに接続されるように構成されている、巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーと;
- 好ましくは、アクティブ水平方向運動デバイスであって、アクティブ水平方向運動デバイスは、一方の側にあるトローリーと、他方の側にある積載物連結デバイスおよび/または風力タービンコンポーネント係合デバイスと、の間に装着されており、アクティブ水平方向運動デバイスは、2つの非平行の水平方向への(たとえば、直交する水平方向への)風力タービンコンポーネント係合デバイスの海況誘起水平方向変位をアクティブに補償するように適合されており、一方では、風力タービンコンポーネントは、風力タービンコンポーネント係合デバイスによって直立した位置に支持されている、アクティブ水平方向運動デバイスと;
を含む、クレーンを提供する。
【0138】
さらなる実施形態において、アクティブ水平方向運動デバイスは、風力タービンコンポーネントグリッパーの移動から独立して積載物連結デバイスおよび/または風力タービンコンポーネント係合デバイスを移動させるために、風力タービンコンポーネントグリッパーにリンク接続されている水平方向運動デバイスに接続されている。
【0139】
本発明は、そのうえ、モノパイルおよび風力タービンの据え付けおよび好ましくは輸送のための、据え付け船舶であって、船舶は、
- 船体であって、船体は、起立デッキを形成している、船体と、
- 起立デッキに隣接して船舶の船体によって支持されているクレーンと、
を含み、
クレーンは、
- クレーンベースと、
- クレーンハウジングおよび旋回軸受であって、旋回軸受は、クレーンベースとクレーンハウジングとの間に提供されており、旋回軸受は、クレーンハウジングが垂直方向旋回軸線の周りに旋回することを可能にする、クレーンハウジングおよび旋回軸受と;
- ブームであって、ブームは、ベース端部と上部端部との間に延在しており、ブームは、クレーンベースから所定の距離において積載物を持ち上げるための下降された位置と、クレーンベースに隣接して風力タービンコンポーネントを起立させるための上昇された起立位置と、の間で枢動するために、ベース端部において、クレーンハウジングによって枢動可能に支持されている、ブームと;
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、ラフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、下降された位置と上昇された起立位置との間でブームを枢動させることを可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーと;
- ホイストであって、ホイストは、巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーを含み、巻き上げ用ワイヤーは、積載物(たとえば、風力タービンコンポーネントの上部端部)と連結するために、ブームの中の上側滑車アッセンブリを介して、積載物連結デバイスの下側滑車アッセンブリへガイドされ、クレーンが巻き上げ用ウィンチを使用して積載物を持ち上げることを可能にする、ホイストと;
- クレーンのブームに装着されているトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと;
- トローリーであって、トローリーは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において枢動可能に支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、または、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイス、および/または、風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持する積載物連結デバイスを受け入れるように構成されている、トローリーと;
- カートトラックであって、カートトラックは、起立デッキに沿って延在している、カートトラックと;
- 風力タービンコンポーネントの底部端部を支持するための支持カートであって、支持カートは、カートトラックによって支持されており、クレーンから遠位にある位置から、クレーンに隣接する位置へ、起立デッキに沿って風力タービンコンポーネントの底部端部をガイドするために、カートがカートトラックに沿って移動することを可能にする、支持カートと;
- グリッパーであって、グリッパーは、たとえば、船舶に隣接して水の中へ垂直方向位置において下降されているモノパイルをガイドするために、または、マストを装着するための浮体式基礎に係合するために、および、好ましくは、それを安定化させるために、船舶の輪郭の外側に延在している、グリッパーと;
を含み、
トローリーは、風力タービンコンポーネントの底部端部がカートおよび起立トラックによってガイドされている状態でモノパイルを起立させる間に、トローリーガイドに沿って風力タービンコンポーネントの上部端部をガイドするために、クレーンのブームに沿ってガイドされるようにトローリーガイドと連結されている、据え付け船舶を提供する。
【0140】
本発明は、そのうえ、風力タービンコンポーネント(たとえば、モノパイルまたはマスト)の据え付けおよび好ましくは輸送のための、据え付け船舶であって、据え付け船舶は、
- 船体であって、船体は、起立デッキを形成している、船体と、
- 起立デッキに隣接して船舶の船体によって支持されているクレーンと
を含み、
クレーンは、
- クレーンベース、クレーンハウジング、および旋回軸受であって、旋回軸受は、クレーンハウジングとクレーンベースとの間に提供されており、旋回軸受は、クレーンハウジングが垂直方向旋回軸線の周りに旋回することを可能にする、クレーンベース、クレーンハウジング、および旋回軸受と;
- ブームであって、ブームは、ベース端部と上部端部との間に延在しており、ブームは、積載物を持ち上げるために、および、クレーンベースに向けてまたはクレーンベースから離れるようにその積載物を移動させるために、下降された位置と上昇された位置との間で水平方向ブーム枢動軸線の周りに枢動するように、ベース端部において、クレーンハウジングによって枢動可能に支持されている、ブームと;
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、ラフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、下降された位置と上昇された位置との間でブームを枢動させることを可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーと;
- ホイストであって、ホイストは、巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーを含み、巻き上げ用ワイヤーは、積載物(たとえば、風力タービンコンポーネントの上部端部)と連結するために、ブームの中の上側滑車アッセンブリを介して、積載物連結デバイスの下側滑車アッセンブリへガイドされ、クレーンが巻き上げ用ウィンチを使用して積載物をリフトすることを可能にする、ホイストと;
- カートトラックであって、カートトラックは、起立デッキに沿って延在している、カートトラックと;
- 風力タービンコンポーネントの底部端部を支持するための支持カートであって、支持カートは、カートトラックによって支持されており、クレーンから遠位にある位置から、クレーンに隣接する位置へ、起立デッキに沿って風力タービンコンポーネントの底部端部をガイドするために、カートがカートトラックに沿って移動することを可能にする、支持カートと;
- グリッパーであって、グリッパーは、たとえば、船舶に隣接して水の中へ垂直方向位置において低下されているモノパイルをガイドするために、または、マストを装着するための基礎に係合するために、船舶の輪郭の外側に延在している、グリッパーと;
- クレーンのブームに装着されているトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと;
- トローリーであって、トローリーは、クレーンのブームに沿ってガイドされるようにトローリーガイドと連結されており、トローリーは、ホイストを使用して風力タービンコンポーネントを起立させている間に、トローリーガイドに沿って、積載物連結デバイスをガイドするために、ひいては、積載物連結デバイスによって支持されている風力タービンコンポーネントの上部端部をガイドするために、積載物連結デバイスに係合するように構成されており、クレーンのブームは、風力タービンコンポーネントの底部端部がカートおよび起立トラックによってガイドされた状態で、ならびに、風力タービンコンポーネントの上部端部がトローリーおよびトローリーガイドによってガイドされた状態で、風力タービンコンポーネントを建て起こすために起立位置において枢動されることが可能であり、ここで、船舶は、ブーム固定デバイスをさらに含み、ブーム固定デバイスは、ブームを起立位置に位置決めするためのストップ、および、ブームを起立位置に固定するためのブームロッキングデバイス、および/または、起立位置から外へおよびブーム固定デバイスから離れるようにブームを移動させるためのブームモビライザー(たとえば、起立位置から離れるようにブームを押す油圧シリンダー、または、起立位置から離れるようにブームを引っ張るための関連のワイヤーを備えたウィンチ)を含む、トローリーと;
を含む、据え付け船舶を提供する。
【0141】
本発明は、そのうえ、風力タービンを支持するためのモノパイルの据え付けおよび好ましくは輸送のための、据え付け船舶であって、据え付け船舶は、
- 船体であって、船体は、起立デッキを形成している、船体と、
- 起立デッキに隣接して船舶の船体によって支持されているクレーンと、
を含み、
クレーンは、
- クレーンベース、クレーンハウジング、および旋回軸受であって、旋回軸受は、クレーンハウジングとクレーンベースとの間に提供されており、旋回軸受は、クレーンハウジングが垂直方向旋回軸線の周りに旋回することを可能にする、クレーンベース、クレーンハウジング、および旋回軸受と;
- ブームであって、ブームは、ベース端部と上部端部との間に延在しており、ブームは、積載物を持ち上げるために、および、クレーンベースに向けてまたはクレーンベースから離れるようにその積載物を移動させるために、下降された位置と上昇された位置との間で水平方向ブーム枢動軸線の周りに枢動するように、ベース端部において、クレーンハウジングによって枢動可能に支持されている、ブームと;
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、ラフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、下降された位置と上昇された位置との間でブームを枢動させることを可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーと;
- ホイストであって、ホイストは、巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーを含み、巻き上げ用ワイヤーは、積載物(たとえば、モノパイルの上部端部)と連結するために、上部ブロックを介して積載物連結デバイスへガイドされ、クレーンが巻き上げ用ウィンチを使用して積載物を持ち上げることを可能にする、ホイストと;
- カートトラックであって、カートトラックは、起立デッキに沿って延在している、カートトラックと;
- モノパイルの底部端部を支持するための支持カートであって、支持カートは、カートトラックによって支持されており、クレーンから遠位にある位置から、クレーンに隣接する位置へ、起立デッキに沿ってモノパイルの底部端部をガイドするために、カートがカートトラックに沿って移動することを可能にする、支持カートと;
- モノパイルグリッパーであって、モノパイルグリッパーは、船舶に隣接して水の中へ垂直方向位置において下降されているモノパイルをガイドするために、船舶の輪郭の外側に延在している、モノパイルグリッパーと;
- クレーンのブームに装着されているトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと;
- トローリーであって、トローリーは、クレーンのブームに沿ってガイドされるようにトローリーガイドと連結されており、トローリーは、ホイストを使用してモノパイルを起立させている間に、トローリーガイドに沿って、積載物連結デバイスをガイドするために、ひいては、積載物連結デバイスによって支持されているモノパイルの上部端部をガイドするために、積載物連結デバイスに係合するように構成されている、トローリーと;
を含み、
クレーンのブームは、モノパイルの底部端部がカートおよび起立トラックによってガイドされた状態で、ならびに、モノパイルの上部端部がトローリーおよびトローリーガイドによってガイドされた状態で、モノパイルを起立させるために起立位置において枢動されることが可能である、据え付け船舶を提供する。
【0142】
本明細書において、クレーンに隣接するということは、クレーンのブームが上昇された起立位置にあるときに、クレーンの届く範囲内にあるものと考えられる。
【0143】
さらなる態様によれば、本発明は、組み立て前の風力タービン(または、そのパーツ)を輸送することを可能にし、据え付け現場においてまたはその近くにおいて風力タービンを組み立てるように構成されている船舶を提供する。とりわけ、船舶は、風力タービンのマストを起立させるように構成されており、好ましくは、ナセル、ハブ、およびブレードをマストの上に装着してテストするように構成されている。
【0144】
本発明の第1の態様による巻き上げ用デバイスまたは起立クレーンは、風力タービンのマストを洋上で起立させることを可能にする。とりわけ、起立クレーンの起立ブームに起因して、マストは、制御された様式で起立させられることが可能である。そのうえ、ある実施形態において、巻き上げ用デバイスまたは起立クレーンは、風力タービンを組み立てるために使用されることも可能である。
【0145】
したがって、本発明は、風力タービンを洋上で組み立てることを可能にし、したがって、港湾に隣接して位置付けされるコストのかかる風力タービン据え付けプラントの必要性をなくす。そのうえ、組み立てられた風力タービンを海上で輸送する必要がない(それは、時間がかかり、限られた好天期においてのみ行われることが可能である)。
【0146】
このアプローチでは、風力タービン基礎(海底を基礎とするかまたは浮体型のものである)は、事前に据え付けられることが可能であり、起立クレーンは、組み立てられた風力タービン(すなわち、ナセル、ハブ、およびブレードを備えたマスト)を基礎の上に据え付けるために使用されることが可能である。
【0147】
第2の態様によれば、本発明は、そのうえ、請求項30による、風力タービンを支持するためのパイルの洋上据え付けのための船舶を提供する。
【0148】
第2の態様による船舶は、船体、リフティングデバイス、およびパイルグリッパーを含み、
船舶は、船舶の長手方向のX方向に延在する起立デッキを含み、起立デッキに沿って、パイルの上部端部を持ち上げるためのリフティングデバイスの動作による起立の目的のために、パイルの底部端部は、たとえば、船舶の船首にある、リフティングデバイスのから長手方向に遠位にある位置から、パイルが保持位置においてリフティングデバイスと並んでその直立配向へ起立させられる、たとえば、船舶の船尾にある、リフティングデバイスのベースに隣接する位置へ、船舶の長手方向(X)に延在する軌跡に沿って移動可能であり、
パイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、パイルグリッパーは、グリッパーベースを介して船体によって支持されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、グリッパーデバイスは、直立して配向されているパイルにその下側端部において係合するように構成されており、X-Y平面における、すなわち、パイルの長手方向軸線に対して垂直の、グリッパーベースに対するその移動を制限するようになっている、グリッパーデバイスと、
を含み、
パイルグリッパーは、受け入れモードを有しており、受け入れモードでは、グリッパーデバイスの開口部が、起立デッキに方向付けられ、パイルが、その船内の保持位置においてその直立配向に起立させられるときに、その底部端部によって開口部を通過することを可能にされるようになっており、
パイルグリッパーは、ガイディングモードを有しており、ガイディングモードでは、開口部を通過させられて船内の保持位置において直立して配向されているパイルの底部端部が、グリッパーデバイスを通って延在することを可能にされ、パイルグリッパーによってその外部において円周方向に係合されることを可能にされる。
【0149】
グリッパーは、船舶のデッキの上に装着されるように構成されており、(パイルの底部端部を受け入れるための)グリッパーの開口部が起立デッキに面するようになっている。先行技術では、パイルグリッパーの開口部は、典型的に、船舶から離れるように面している。
【0150】
第2の態様によれば、グリッパーは、起立プロセスの終了時にパイルの底部端部を受け入れるように構成されている。より具体的には、グリッパーは、起立プロセスの終了時にパイルの底部端部を受け入れるために、グリッパーデバイスの開口部を起立デッキに向けて位置決めするように構成されている。
【0151】
グリッパーは、起立デッキに沿った起立プロセスの間にパイルの底部端部をガイドしたカートにその底部端部が依然として接続されている間に、その底部端部を受け入れて係合することが可能である。したがって、パイルは、カートから解放される前にグリッパーによって係合されることが可能であり、パイルの底部端部の位置は、連続的に制御される。したがって、カートからグリッパーへパイルを引き渡すプロセスにおいて、パイルが制御されずに揺れ(たとえば、船舶の移動、および、その船舶の上に装着され、パイルを支持するリフティングデバイスの移動に起因する)を受ける可能性のある瞬間は存在していない。
【0152】
ある実施形態において、グリッパーは、パイルの底部端部に係合し、パイルを垂直方向にガイドするためのグリッパーリングを提供されており、そのグリッパーリングは、1つ以上のジョーを提供されており、1つ以上のジョーは、開放条件では、パイルを受け入れるための開口部をリングに提供するためのものであり、閉鎖位置では、グリッパーリングがパイルの底部端部を囲むように開口部を閉鎖するためのものである。さらなる実施形態において、リングは、グリッパーベースによって移動可能に支持されており、リングが垂直方向軸線の周りに枢動することが可能であるようになっており、開口部は、起立させられた後にパイルの底部端部を受け入れるために、起立デッキに向けて面する位置に変更されることが可能であり、また、起立デッキから離れるように面する位置、より好ましくは、船舶から離れるように面する位置に変更されることが可能であり、海底の中へ打ち込まれると、パイルの上部端部がグリッパーから除去されることを可能にする。そのような実施形態では、グリッパーは、グリッパーリングの開口部の位置を変化させるように構成されている。
【0153】
本発明は、そのうえ、第2の態様による、起立デッキおよびパイルグリッパーを含む船舶であって、パイルグリッパーは、船舶の船体の上に装着されており、パイルグリッパーの開口部は、起立プロセスの終了時にパイルの底部端部を受け入れるために、起立デッキに向けて位置決めされることが可能である、船舶を提供する。
【0154】
第3の態様によれば、本発明は、請求項1による風力タービンを支持するためのパイルの洋上据え付けのための船舶を提供する。
【0155】
本発明の第3の態様による船舶は、船体、リフティングデバイス、およびパイルグリッパーを含み、X-Y平面を有しており、
リフティングデバイスは、
- ベースであって、リフティングデバイスは、ベースを介して船体によって支持されている、ベースと、
- 細長い直立した上部構造体と、
- リフティングアッセンブリであって、リフティングアッセンブリは、パイルの上部端部に係合するように構成されているパイル係合デバイスに接続されているかまたは接続可能であり、随意的に、そのようなパイル係合デバイスに連結するためのカップラーを介して接続されているかまたは接続可能であり、存在するときには、たとえば、そのためのカップラーを介して、パイル係合デバイスを支持するように構成されており、下側位置と上側位置との間において、直立した上部構造体に沿った方向に、パイル係合デバイスを移動させるように構成されており、下側位置では、パイル係合デバイスは、船舶のZ方向において、リフティングデバイスのベースにまたはその近くにあり、上側位置では、パイル係合デバイスは、Z方向において、ベースから遠隔にあり、パイルは、パイルの船内の起立およびパイルの船外の下降のために、直立した上部構造体と並んで直立配向に延在している、リフティングアッセンブリと、
を含む。
【0156】
パイル係合デバイスおよびカップラーは、存在する場合には、係合されたパイルの長手方向軸線に対して垂直の平面において、上部構造体に対する係合された上部端部の移動を制限するように構成されており、また、上部構造体の上に配置されている。
【0157】
パイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、パイルグリッパーは、グリッパーベースを介して船体によって支持されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、グリッパーデバイスは、直立して配向されているパイルにその下側端部において係合するように構成されており、X-Y平面における、すなわち、パイルの長手方向軸線に対して垂直の、グリッパーベースに対するその移動を制限するようになっており、グリッパーデバイスを通して、すなわち、パイルの長手方向軸線の方向に、パイルの垂直方向移動をガイドするようになっている、グリッパーデバイスと、
を含む。
【0158】
パイル係合デバイスおよびグリッパーデバイスは、両方ともパイルに係合しながら、および、パイルを支持しながら、船舶のX-Y平面における船舶に対するそのそれぞれの可動性によって、パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へ、船体に対して同時に移動可能であり、船内の保持位置では、パイル係合デバイスは、上側位置にあり、パイルは、船体の上方にあり、船外の据え付け位置では、パイルは、船舶の輪郭の外側にある。
【0159】
リフティングデバイスは、船舶とパイル係合デバイスとの間で、たとえば、ベースと上部構造体との間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含む。パイルグリッパーのベースは、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのパイル係合デバイスおよびグリッパーデバイスの移動を作動させるために、グリッパーベースとグリッパーデバイスとの間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含む。
【0160】
本発明の第3の態様による船舶によって、パイルの船外の設置においてとりわけ効率的な船舶であって、パイルは、底部端部が船舶の起立デッキに沿ってリフティングデバイスに向けて移動する間に、その上部端部を持ち上げるこのリフティングデバイスによって船舶の船上で起立させられたものである、船舶が提供される。
【0161】
その効率は、保持位置から据え付け位置へのパイル係合デバイスおよびグリッパーデバイスの同時の可動性の少なくとも2つの効果から生じる。
【0162】
第1に、パイルグリッパーの中へのパイルの移送(パイルグリッパーのグリッパーデバイスは、当技術分野で知られているように、船外の据え付け位置においてパイル受け入れるためにこの位置にすでにある)が省略される。その理由は、パイル(とりわけ、その底部端部)が、起立の直後にすでに船内の据え付け位置、船内の保持位置においてパイルグリッパーの内側に延在することを可能にされるからである。結局、起立は、船内の据え付け位置において終了する。そのような公知の移送は、時間がかかり、高度な位置決め制御を必要とする。その理由は、それが、グリッパーデバイスの中へのパイルの慎重な位置決めを必要とすることとなるからである。加えて、そのような位置決めは、海の運動および風の影響の下で、船舶の船外で行われ、それは、位置決めおよびその制御をさらに複雑にする可能性がある。位置決めは、リフティングデバイスによって達成されなければならないこととなり、それは、確実に、それによって取り扱われなければならないパイルの巨大なサイズおよび重量を所与として、追加的な要件をそれに課す。そのうえ、追加的な要件が、グリッパーデバイスに課される可能性がある。その理由は、それがリフティングデバイスからパイルを受け入れるために適切でなければならないからである。したがって、この位置決めの省略は、重大な利点を提供する可能性がある。
【0163】
第2に、起立の後に、X-Y平面におけるパイルの移動を制限するための(それは、パイル係合デバイスによる上部端部の係合に加えて、直立したパイルを船外のグリッパーデバイスに安全に変位させるために必要であることとなる)、リフティングデバイスによるパイル(とりわけ、パイルの底部端部)の係合の必要性が排除される。本発明によれば、パイルの底部端部は、変位の間にパイルグリッパーによってガイドされ、X-Y平面において制限される。
【0164】
本発明は、クレーンの可動性と同期したグリッパーデバイスの可動性の本発明による提供、および、この移動を作動させるために必要な追加的な制御が、実際により効率的な据え付けにつながるという洞察に基づいている。当業者には一見面倒に見える、この追加的な制御および可動性への投資は、確かに同じ船舶によってパイルの複数の据え付けを実施するときに、少なくとも請求項1にしたがって構成および配置されているときには、据え付け効率の観点から、その利点が少なくとも上回ることが実際に予期される。
【0165】
据え付け船舶の実施形態において、リフティングデバイスは、リフティングデバイスのベースと直立した上部構造体との間に旋回軸受を含み、旋回軸受は、船舶のZ方向に延在する旋回軸線の周りで、上部構造体がベースに対して旋回することを可能にする。船舶のX-Y平面において考慮されると、その中での船内の保持位置から船外の据え付け位置へのパイルの移動は、リフティングデバイスの旋回軸線の周りでの、パイル係合デバイスとグリッパーデバイスの両方の回転を伴い、したがって、それによって係合されているときのパイルの回転を伴う。
【0166】
据え付け船舶の実施形態において、グリッパーベースは、1つ以上のグリッパーガイド、たとえば、グリッパーレールを含み、1つ以上のグリッパーガイドは、船体のデッキに装着されており、グリッパーデバイスのためのトラックを画定しており、グリッパーデバイスは、トラックに係合するための1つ以上のシュー、たとえば、ローラーを含み、パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へのグリッパーデバイスの移動は、トラックに沿ってグリッパーデバイスを移動させることを伴う。
【0167】
据え付け船舶の実施形態において、パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へのグリッパーデバイスの移動は、移動軌跡を有しており、移動軌跡は、リフティングデバイスの旋回軸受によって画定されるパイル係合デバイスのためのものであり、また、そのためのトラックによるグリッパーデバイスのためのものであり、トラックは、湾曲したトラックであり、たとえば、移動軌跡は、円形セグメントの形状になっている。
【0168】
据え付け船舶の実施形態において、船舶のX-Y平面において考慮されると、リフティングデバイスのベースおよびグリッパーベースは、互いに間隔を置いて配置されており、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのパイルの移動は、リフティングデバイスのベースとグリッパーベースとの間を通過する移動軌跡を有している。
【0169】
据え付け船舶の実施形態において、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのパイルの移動は、リフティングデバイスのベースに対するパイル係合デバイスの相対的移動を伴い、相対的移動は、グリッパーベースに対するグリッパーデバイスの相対的移動とは反対である。
【0170】
据え付け船舶の実施形態において、パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へのグリッパーデバイスの移動は、移動軌跡を有しており、移動軌跡は、パイル係合デバイスに関して、リフティングデバイスの旋回軸受によって定義されており、グリッパーデバイスに関して、そのトラックによって定義されており、そのトラックは、線形のトラックであり、たとえば、移動軌跡は、船舶の線形軸線に対して平行なトラックセグメントである。
【0171】
ある実施形態において、リフティングデバイスおよび/またはパイルグリッパーは、アクティブ水平方向運動デバイスを提供されており、アクティブ水平方向運動デバイスは、リフティングデバイスのベースおよびグリッパーベースに対してそれぞれパイル係合デバイスおよび/またはグリッパーデバイスを移動させるように適合されており、2つの非平行の水平方向への(たとえば、直交する水平方向への)風力タービンコンポーネント係合デバイスの海況誘起水平方向変位をアクティブに補償し、一方では、風力タービンコンポーネントは、風力タービンコンポーネント係合デバイスによって直立した位置に支持されている。
【0172】
さらなる実施形態において、リフティングデバイスおよび/またはパイルグリッパーのアクティブ水平方向運動デバイスは、風力タービンコンポーネント(上部端部においてパイル係合デバイスによって支持されており、底部端部においてグリッピングデバイスによって係合されている)を船内の保持位置から船外の据え付け位置へ移動させるときに使用され、パイル係合デバイスおよびグリッパーデバイスを垂直方向に整合された状態に維持し、すなわち、風力タービンコンポーネントが船内の保持位置から船外の据え付け位置へ移動される間に、垂直方向の直立した位置に風力タービンコンポーネントを維持する。
【0173】
ある実施形態において、パイルグリッパーのアクティブ水平方向運動デバイスにリンク接続されている制御システムが提供され、制御システムは、リフティングデバイスの旋回軸線に対してグリッパーデバイスを移動させるように構成されており、風力タービンコンポーネントが船内の保持位置から船外の据え付け位置へ移動される間に、たとえば、グリッパーデバイスがパイル係合デバイスの湾曲した(たとえば、円形のセグメント形状の)軌跡に沿って船内の保持位置から船外の据え付け位置へ移動される間に、グリッパーデバイスをパイル係合デバイスと垂直方向に整合された状態に維持する。
【0174】
ある実施形態において、リフティングデバイスのアクティブ水平方向運動デバイスに、および、パイルグリッパーのアクティブ水平方向運動デバイスにリンク接続されている制御システムが提供され、制御システムは、それぞれのリフティングデバイスおよびパイルグリッパーの旋回軸線に対してパイル係合デバイスおよび/またはグリッパーデバイスを移動させるように構成されており、風力タービンコンポーネントが船内の保持位置から船外の据え付け位置へ移動される間に、たとえば、線形の軌跡に沿って船内の保持位置から船外の据え付け位置へ移動される間に、それらを垂直方向に整合された状態に維持する。
【0175】
据え付け船舶の実施形態において、船舶は、船舶の船尾において船舶の長手方向(X)に凹部を含み、凹部は、2つのデッキ部分が横方向両側に位置しており、船内の保持位置から船外の据え付け位置への移動の軌跡は、2つのデッキ部分の間で横方向に走っており、船外の据え付け位置は、船舶のX-Y平面において考慮されると、凹部の内側にある。
【0176】
据え付け船舶の実施形態において、リフティングデバイスのベースは、凹部の一方の横方向側部に位置付けされており、たとえば、2つのデッキ部分のうちの一方の上に少なくとも部分的に位置付けされており、グリッパーベースは、凹部の他方の横方向側部に位置付けされており、たとえば、2つのデッキ部分のうちの他方の上に少なくとも部分的に位置付けされている。
【0177】
据え付け船舶の実施形態において、船舶は、起立デッキを含み、起立デッキに沿って、パイルの上部端部を持ち上げるためのリフティングデバイスのリフティングアッセンブリの動作による起立の目的のために、パイルの底部端部は、たとえば、船舶の船首にある、リフティングデバイスのベースから長手方向に遠位にある位置から、パイルが船内の保持位置において直立した上部構造体と並んでその直立配向へ建て起こされる、たとえば、船舶の船尾にある、リフティングデバイスのベースに隣接する位置へ、船舶の長手方向(X)に延在する軌跡に沿って移動可能である。
【0178】
据え付け船舶の実施形態において、グリッパーデバイスは、リングを含み、リングは、リングの周囲部の周りに分配されている複数のパイル係合ツールを含み、それぞれのパイル係合ツールは、その直立配向でリングを通って延在するパイルの外部に係合するように適合されており、たとえば、それぞれのパイル係合ツールは、1つ以上のパイルガイディングローラーを含む。
【0179】
据え付け船舶の実施形態において、グリッパーデバイスのリングは、リングベースと、1つ以上の可動ジョー、たとえば、2つのジョーと、を含み、1つ以上の可動ジョーは、リングのそれぞれのセグメントを形成しており、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、閉鎖位置では、リングは、閉じた環を形成しており、開放位置は、ジョー間の環の中の開口部を通って、リングの中へおよびリングから外へ、パイルが横方向に通ることを可能にする。
【0180】
据え付け船舶の実施形態において、グリッパーデバイスのリングは、1つ以上のリング旋回アクチュエーターによって、その閉鎖位置においてリングの中心旋回軸線の周りでグリッパーベースに対して旋回可能であり、リングの開放位置においてジョー間の開口部が、パイルの船内の保持位置において開口部が船舶の船体の起立デッキに面している、中心旋回軸線に対する角度位置から、パイルの船外の据え付け位置を含む、開口部が水に面している、中心旋回軸線に対する角度位置へ、移動可能であるようになっている。
【0181】
据え付け船舶の実施形態において、船舶は、制御ユニットをさらに含み、制御ユニットは、リフティングデバイスの変位アクチュエーターアッセンブリに、および、グリッパーの変位アクチュエーターアッセンブリに動作可能に接続されており、また、船舶に対してパイル係合デバイスおよびグリッパーデバイスを同時に移動させるために、また、それによって、係合および支持されているパイルを船内の保持位置から船外の据え付け位置へ移動させるために、リフティングデバイスおよびパイルグリッパーのアクチュエーターアッセンブリを同時に動作させるようにプログラムされている。
【0182】
据え付け船舶の実施形態において、リフティングデバイスは、クレーンであり、リフティングデバイスのベースは、クレーンベースであり、直立した上部構造体は、直立したクレーン上部構造体であり、リフティングアッセンブリは、巻き上げ用アッセンブリであり、巻き上げ用アッセンブリは、1つ以上の巻き上げ用ウィンチおよび1つ以上の関連の巻き上げ用ワイヤーを含む。
【0183】
据え付け船舶の実施形態において、リフティングデバイスの直立した上部構造体は、その長手方向に直立した上部構造体に沿って延在するトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックを提供されており、パイル係合デバイスは、ガイドに沿って移動可能なトローリーを介して、たとえば、存在する場合には、カップラーを介して、上部構造体の上に配置されており、たとえば、リフティングアッセンブリは、トローリーへのその接続部によって、パイル係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーに接続されているかまたは接続可能である。
【0184】
据え付け船舶の実施形態において、巻き上げ用アッセンブリは、直立した上部構造体において上側滑車アッセンブリを含み、巻き上げ用アッセンブリは、たとえば、トローリーへのその接続部によって、下側滑車アッセンブリを含む積載物連結デバイスを介して、パイル係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーに接続されているかまたは接続可能であり、ホイストワイヤーは、上側および下側滑車アッセンブリを通って複数のフォールに配置されており、クレーンが巻き上げ用ウィンチを使用して積載物をリフトすることを可能にする。
【0185】
据え付け船舶の実施形態において、クレーン上部構造体は、
- クレーンハウジングと、
- ブームであって、ブームは、ブームベース端部とブーム上部端部との間に延在しており、ブームは、ブームベース端部において、水平方向ブーム枢動軸線の周りにクレーンハウジングによって枢動可能に支持されており、ブームは、クレーンベースから所定の水平方向距離において積載物をリフトするための下降された位置と、クレーンベースと並んでパイルを建て起こすための、直立した上部構造体を形成するための上昇された起立位置とを有している、ブームと、
を含み、
クレーンは、
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、ラフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、水平方向ブーム枢動軸線の周りでの低下された位置と上昇された起立位置との間でのブームの枢動を可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤー、
をさらに含む。
【0186】
据え付け船舶の実施形態において、パイルグリッパーは、船舶のX-Y平面において船舶に対してグリッパーデバイスを移動させるためのアクティブ運動補償作動システムを含み、作動システムは、アクティブ海況誘起運動補償モードを含み、アクティブ海況誘起運動補償モードでは、作動システムは、X-Y平面における船舶の海況誘起運動を補償するように動作され、それは、海況誘起船舶運動から独立して、船外の据え付け位置を維持することを含む。
【0187】
据え付け船舶の実施形態において、グリッパーのアクティブ運動補償作動システムは、船舶のX-Y平面において互いに非平行に延在する、1つ以上の第1のトラック、たとえば、レールと、1つ以上の第2のトラック、たとえば、レールと、を含み、第2のトラックは、第1のトラックの上で移動可能であり、作動システムは、第1のトラックの上で第2のトラックを移動させるために第1のトラックと第2のトラックとの間で動作する1つ以上の第1の補償アクチュエーターと、第2のトラックの上でグリッパーデバイスを移動させるために第2のトラックとグリッパーデバイスとの間で動作する1つ以上の第2の補償アクチュエーターと、をさらに含む。
【0188】
据え付け船舶の実施形態において、パイル係合デバイス、および随意的に存在する場合には、そのためのカップラーは、リフティングアッセンブリのトローリーのアクティブ運動補償作動システムの上に配置されており、アクティブ運動補償作動システムは、たとえば、存在する場合には、そのためのカップラーを介して、船舶のX-Y平面においてトローリーガイドに対してパイル係合デバイスを移動させるように構成されており、作動システムは、アクティブ海況誘起運動補償モードを含み、アクティブ海況誘起運動補償モードでは、作動システムは、X-Y平面における船舶の海況誘起運動を補償するように動作され、それは、海況誘起船舶運動から独立して、船外の据え付け位置を維持することを含む。
【0189】
据え付け船舶の実施形態において、トローリーのアクティブ運動補償作動システムは、船舶のX-Y平面において互いに非平行に延在する、1つ以上の第1のトラック、たとえば、レールと、1つ以上の第2のトラック、たとえば、レールと、を含み、第2のトラックは、第1のトラックの上で移動可能であり、作動システムは、第1のトラックの上で第2のトラックを移動させるために第1のトラックと第2のトラックとの間で動作する1つ以上の第1の補償アクチュエーターアッセンブリと、第2のトラックの上でパイル係合デバイスおよび/またはカップラーを移動させるために第2のトラックとパイル係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーとの間で動作する1つ以上の第2の補償アクチュエーターアッセンブリと、をさらに含む。
【0190】
据え付け船舶の実施形態において、制御ユニットは、船舶のX-Y平面において、船舶に対してパイル係合デバイスおよびグリッパーデバイスを同期的に対応して移動させるために、リフティングデバイスおよびパイルグリッパーのアクティブ運動補償作動システムに動作可能に接続されており、それらを同時に動作させるようにプログラムされており、X-Y平面における船舶の海況誘起運動を補償するようになっており、それは、海況誘起船舶運動から独立して、船外の据え付け位置を維持することを含む。
【0191】
第3の態様によれば、本発明は、そのうえ、請求項23による、本発明の第3の態様による船舶の上で使用するためのパイルグリッパーを提供する。
【0192】
パイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、パイルグリッパーは、グリッパーベースを介して船舶の船体に固定されるように構成されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、グリッパーデバイスは、パイルの直立配向においてパイルにその下側端部において係合するように構成されており、グリッパーベースがそれに固定されているときに、船舶の船体に対するその水平方向移動を制限するようになっており、パイルの直立した長手方向軸線に対して平行にグリッパーデバイスを通るパイルの移動をガイドするようになっている、グリッパーデバイスと、
を含み、
パイルグリッパーのベースは、グリッパーデバイスの可動性を提供し、船体の縁部の近くにおいて船体に固定されているときに、グリッパーデバイスが、パイルの船内の保持位置からパイルの船外の据え付け位置へ、船舶に対して移動可能であるようになっており、船内の保持位置では、パイルは、船体の上方にあり、船外の据え付け位置では、パイルは、船舶の輪郭の外側にあり、一方では、その直立配向においてパイルの下側端部に係合し、その水平方向移動を制限しており、同じ移動を同時に実施するリフティングデバイスのパイル係合デバイスを介してパイルが少なくとも部分的に支持されている状態で、パイルの移動をガイドするようになっており、
グリッパーベースは、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのグリッパーデバイスの移動を作動させるために、船舶に対してグリッパーデバイスを移動させるために、船体の縁部の近くにおいて船体に固定されているときに、船舶とグリッパーデバイスとの間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含み、
パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へのグリッパーデバイスの移動は、好ましくは、円形セグメントの形状の船舶に対する軌跡を有している。
【0193】
そのうえ、本発明の第3の態様は、そのようなパイルグリッパーを提供されている船舶に関し、グリッパーベースは、船舶の船体の縁部の近くにおいて船体に固定されている。
【0194】
第3の態様によれば、本発明は、そのうえ、請求項25による、本発明の第3の態様による船舶の上で使用するためのリフティングデバイスを提供する。
【0195】
本発明の第3の態様によるリフティングデバイスは、
- ベースであって、リフティングデバイスは、ベースを介して、船体による支持のために船体に固定されるように構成されている、ベースと、
- 細長い直立した上部構造体と、
- リフティングアッセンブリであって、リフティングアッセンブリは、パイルの上部端部に係合するように構成されているパイル係合デバイスに接続されているかまたは接続可能であり、随意的に、そのようなパイル係合デバイスに連結するためのカップラーを介して接続されているかまたは接続可能であり、存在する場合には、たとえば、そのためのカップラーを介して、パイル係合デバイスを支持するように構成されており、下側位置と上側位置との間において、直立した上部構造体に沿った方向に、パイル係合デバイスを移動させるように構成されており、下側位置では、パイル係合デバイスは、船舶のZ方向において、リフティングデバイスのベースにまたはその近くにあり、上側位置では、パイル係合デバイスは、Z方向において、ベースから遠隔にあり、パイルは、パイルの船内の起立およびパイルの船外の下降のために、直立した上部構造体と並んで直立配向に延在している、リフティングアッセンブリと、
を含み、
パイル係合デバイスおよびカップラーは、存在する場合には、係合されたパイルの長手方向軸線に対して垂直の平面において、上部構造体に対する係合された上部端部の移動を制限するように構成されており、また、上部構造体の上に配置されており、
パイル係合デバイスは、パイルに係合しながら、および、係合されたパイルをその上部端部を介して少なくとも部分的に支持しながら、船舶に対するその可動性によって、ベースが船体の縁部の近くにおいて船体に固定されているときに、たとえば、リフティングデバイスのベースに固定されているときに、パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へ、船体に対して移動可能であり、船内の保持位置では、パイル係合デバイスは、上側位置にあり、パイルは、船体の上方にあり、船外の据え付け位置では、パイルは、船舶の輪郭の外側にあり、同じ移動を実施するパイルグリッパーのグリッパーデバイスによって移動がガイドされている間にパイルを移動させるようになっており、
リフティングデバイスは、ベースが船体に固定されているときに、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのパイル係合デバイスの移動を作動させるために、船舶とパイル係合デバイスとの間で動作する、たとえば、ベースと上部構造体との間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含む。
【0196】
そのうえ、本発明の第3の態様は、そのようなリフティングデバイスを提供された船舶に関し、グリッパーベースは、船舶の船体の縁部の近くにおいて船体に固定されている。
【0197】
そのうえ、本発明の第3の態様は、そのようなパイルグリッパーを提供された船舶に関し、グリッパーベースは、船舶の船体の縁部の近くにおいて船体に固定されている。
【0198】
第3の態様によれば、本発明は、そのうえ、請求項27による、本発明の第3の態様による船舶の上で使用するための制御ユニットを提供する。
【0199】
本発明の第3の態様による制御ユニットは、リフティングデバイスの変位アクチュエーターアッセンブリに、および、パイルグリッパーの変位アクチュエーターアッセンブリに動作可能に接続されるように構成されており、また、船舶に対してパイル係合デバイスを同時に移動させるために、また、それによって、係合および支持されているパイルを船内の保持位置から船外の据え付け位置へ移動させるために、リフティングデバイスアクチュエーターおよびグリッパーアクチュエーターを同時に動作させるようにプログラムされている。
【0200】
ある実施形態において、制御ユニットは、船舶のX-Y平面において、船舶に対してパイル係合デバイスおよびグリッパーデバイスを同期的に対応して移動させるために、リフティングデバイスおよびパイルグリッパーのアクティブ運動補償作動システムに動作可能に接続されるように構成されており、それらを同時に動作させるようにプログラムされており、X-Y平面における船舶の海況誘起運動を補償するようになっており、それは、船舶運動から独立して、船外の据え付け位置を維持することを含む。
【0201】
ある実施形態において、制御ユニットは、リング旋回アクチュエーターに動作可能に接続されるように構成されており、旋回アクチュエーターを動作させるようにプログラムされており、パイルの船内の保持位置に到達する前に、開口部が起立デッキに面するようになっており、パイルが、その船内の保持位置においてその直立配向に起立させられるときに、その底部端部によって開口部を通過することを可能にされるようになっており、また、パイルが船内の保持位置に到達した後に、好ましくは、パイルを船外の据え付け位置に移動させるために、リフティングデバイスおよびパイルグリッパーの変位アクチュエーターアッセンブリを動作させた後に、開口部が水に面するようになっている。
【0202】
ある実施形態において、リフティングデバイスは、起立デッキの端部において、起立デッキと一致して配置されている。そのような実施形態では、パイルグリッパーは、パイルが建て起こされた後に、パイルの下側端部を受け入れるために配置されている。そのような実施形態では、建て起こされたパイル(より具体的には、その下側端部)は、好ましくは、起立させられた直立した位置にパイルを支持しながらクレーンの旋回移動によって、パイルグリッパーのリングの中へ導入され、より具体的には、リングの開口部を通して移動される。パイルの下側端部がパイルグリッパーの中に導入され、リングの開口部が閉鎖されると、リフティングデバイス、より具体的には、パイル係合デバイスおよびパイルグリッパー、より具体的には、グリッパーデバイスは、パイルに係合しながら、また、パイルを支持しながら、パイルの船内の保持位置から船外の据え付け位置へ船体に対して同時に移動し、船内の保持位置では、パイル係合デバイスは上側位置にあり、パイルは船体の上方にあり、船外の据え付け位置では、パイルは船舶の輪郭の外側にある。
【0203】
第4の態様によれば、本発明は、そのうえ、本発明の第3の態様による船舶の上で使用するためのパイルグリッパーを提供する。
【0204】
本発明の第4の態様によるパイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、パイルグリッパーは、グリッパーベースを介して船舶の船体に固定されるように構成されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、グリッパーデバイスは、パイルの直立配向においてパイルにその下側端部において係合するように構成されており、グリッパーベースがそれに固定されているときに、船舶の船体に対するその水平方向移動を制限するようになっており、パイルの直立した長手方向軸線に対して平行にグリッパーデバイスを通るパイルの移動をガイドするようになっている、グリッパーデバイスと、
を含み、
パイルグリッパーのベースは、グリッパーデバイスの可動性を提供し、船体の縁部の近くにおいて船体に固定されているときに、グリッパーデバイスが、パイルの船内の保持位置からパイルの船外の据え付け位置へ、船舶に対して移動可能であるようになっており、船内の保持位置では、パイルは、船体の上方にあり、船外の据え付け位置では、パイルは、船舶の輪郭の外側にあり、一方では、その直立配向においてパイルの下側端部に係合し、その水平方向移動を制限しており、同じ移動を同時に実施するリフティングデバイスのパイル係合デバイスを介してパイルが少なくとも部分的に支持されている状態で、パイルの移動をガイドするようになっており、
グリッパーベースは、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのグリッパーデバイスの移動を作動させるために、船舶に対してグリッパーデバイスを移動させるために、船体の縁部の近くにおいて船体に固定されているときに、船舶とグリッパーデバイスとの間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含み、
グリッパーデバイスは、リングを含み、リングは、リングの周囲部の周りに分配されている複数のパイル係合ツールを含み、それぞれのパイル係合ツールは、その直立配向でリングを通って延在するパイルの外部に係合するように適合されており、たとえば、それぞれのパイル係合ツールは、1つ以上のパイルガイディングローラーを含み、
グリッパーデバイスのリングは、リングベースと、1つ以上の可動ジョー、たとえば、2つのジョーと、を含み、1つ以上の可動ジョーは、リングのそれぞれのセグメントを形成しており、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、閉鎖位置では、リングは、閉じた環を形成しており、開放位置は、ジョー間の環の中の開口部を通って、リングの中へおよびリングから外へ、パイルが横方向に通ることを可能にし、
グリッパーデバイスのリングは、その閉鎖位置においてリングの中心旋回軸線の周りでグリッパーベースに対して旋回可能であり、リングの開放位置においてジョー間の開口部が、グリッパーベースが船体に固定されているときに、パイルの船内の保持位置において開口部が船舶の起立デッキに面している、中心旋回軸線に対する角度位置から、パイルの船外の据え付け位置を含む、開口部が水に面している、中心旋回軸線に対する角度位置へ、移動可能であるようになっている。
【0205】
したがって、本発明の第4の態様によるパイルグリッパーでは、グリッパーは、パイルの底部端部に係合するために、および、パイルを垂直方向にガイドするために、旋回可能なグリッパーリングを提供されている。リングを旋回させることによって、開口部の位置は適合されることが可能であり、リングは、パイル(または、少なくともその底部端部)を異なる方向に受け入れるおよび解放することが可能である。この構成は、閉鎖された開口部の状態で、パイルが船内の位置から船外の位置へ移動される間にパイルの底部端部をガイドするために、および、開口部が船舶から離れるように面した状態でパイルを解放するために、デッキの上方に依然として支持されているパイル(たとえば、起立プロセスの終了時に起立デッキの上方に支持されているパイル)にグリッパーが係合することを可能にする。
【0206】
本発明の第4の態様によるパイルグリッパーは、たとえば、起立プロセスの終了時に、たとえば、船内の位置から船外の位置へ移動されている間に、底部端部をガイドするために、および、たとえば、パイルが海底の中へ打ち込まれた後に、直立した位置においてパイルを解放するために、直立した位置においてパイルの底部端部に係合するように構成されている。したがって、パイルグリッパーは、起立から海底の中に打ち込まれるまでパイルの底部端部の位置の完全な制御を可能にし、したがって、基礎パイルを洋上で据え付けるためのプロセスを改善する。
【0207】
本発明は、そのうえ、風力タービンを支持するためのパイルの洋上据え付けのための船舶であって、船舶は、船体と、リフティングデバイスと、本発明の第4の態様によるパイルグリッパーと、を含み、パイルグリッパーは、船体へのグリッパーベースの装着によって、船舶の船体の縁部の近くにおいて船体に固定されている、船舶を提供する。
【0208】
第4の態様によれば、本発明は、そのうえ、リングの中心旋回軸線の周りにグリッパーベースに対して旋回可能なリングを含むパイルグリッパーを提供する。そのようなパイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、パイルグリッパーは、グリッパーベースを介して船舶の船体に固定されるように構成されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、グリッパーデバイスは、パイルの直立配向においてパイルにその下側端部において係合するように構成されており、グリッパーベースがそれに固定されているときに、船舶の船体に対するその水平方向移動を制限するようになっており、パイルの直立した長手方向軸線に対して平行にグリッパーデバイスを通るパイルの移動をガイドするようになっている、グリッパーデバイスと、
を含み、
グリッパーデバイスは、リングを含み、リングは、リングの周囲部の周りに分配されている複数のパイル係合ツールを含み、それぞれのパイル係合ツールは、その直立配向でリングを通って延在するパイルの外部に係合するように適合されており、たとえば、それぞれのパイル係合ツールは、1つ以上のパイルガイディングローラーを含み、
グリッパーデバイスのリングは、リングベースと、1つ以上の可動ジョー、たとえば、2つのジョーと、を含み、1つ以上の可動ジョーは、リングのそれぞれのセグメントを形成しており、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、閉鎖位置では、リングは、閉じた環を形成しており、開放位置は、ジョー間の環の中の開口部を通って、リングの中へおよびリングから外へ、パイルが横方向に通ることを可能にし、
グリッパーデバイスのリングは、その閉鎖位置においてリングの中心旋回軸線の周りでグリッパーベースに対して旋回可能であり、リングの開放位置においてジョー間の開口部が、グリッパーベースが船体に固定されているときに、パイルの船内の保持位置において開口部が船舶の起立デッキに面している、中心旋回軸線に対する角度位置から、パイルの船外の据え付け位置を含む、開口部が水に面している、中心旋回軸線に対する角度位置へ、移動可能であるようになっている。
【0209】
本明細書において、船舶のX-Y平面は、X方向およびY方向を有しており、X方向は、当技術分野で知られているように、船舶の長手方向に対応しており、Y方向は、船舶の横断方向に対応しており、X方向に対して垂直である。X-Y平面は、X方向およびY方向に広がる。また、船舶は、X-Y平面に対して垂直のZ方向を有している。したがって、船舶が完全に平坦な水の上に平衡状態で浮かんでいるときに、X-Y平面は、水平方向であり、Z方向は、垂直方向である。
【0210】
本発明による起立クレーンおよび据え付け船舶、ならびに、本発明による方法の有利な実施形態が、下位請求項に、および、本明細書に開示されており、本明細書では、本発明は、複数の例示的な実施形態に基づいてさらに図示および解明されており、そのうちのいくつかは、概略的な図面に示されている。図において、構築および/または機能の観点から対応するコンポーネントは、同じ下2桁の参照数字を提供されている。
【0211】
本発明の1つの実施形態または態様に関して必要なものとしてまたは随意的なものとして本明細書で議論されている技術的特徴は、特徴がその指定機能を果たす状態で、本明細書で説明されている1つ以上の他の実施形態または態様に等しく適用可能であり得るということが当業者によって認識されることとなる。そのような組み合わせは、組み合わせが技術的に不可能な解決策を結果として生じさせることとならない限り、および/または、所望の機能性を満たさないこととならない限り、すべて本明細書において想定されている。
【0212】
ここで、本発明は、添付の図を参照して説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0213】
図1】起立局面の開始時における、本発明によるパイル据え付け船舶の実施形態を斜視図で示す図である。
図2】パイルの起立の間の同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図3】パイルの起立の間の同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図4】パイルの起立の間の同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図5】起立局面の終了時における同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図6】変位局面の開始時における同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図7】起立させられたパイルの変位の間の同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図8】変位局面の終了時および固定局面の開始時における同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図9】固定局面の間の、すなわち、海底部に向けてパイルを低下させた後の、同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図10】固定局面の間の、すなわち、杭打ちデバイスをピックアップしている間の、同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図11】固定局面の間の、すなわち、杭打ちデバイスの変位の後の、同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図12】固定局面の終了時における、すなわち、杭打ちデバイスの動作の後の、同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図13】パイルの解放の間の同じ船舶を同じ斜視図で示す図である。
図14】起立局面の開始時における、本発明による同じ船舶を側面図で示す図である。
図15】パイルの起立の間の同じ船舶を同じ側面図で示す図である。
図16】起立局面の終了時における同じ船舶を同じ側面図で示す図である。
図17】変位局面の開始時における同じ船舶を同じ側面図で示す図である。
図18】起立させられたパイルの変位の後の、および、固定局面の間の、すなわち、パイルの低下の後の、同じ船舶を同じ側面図で示す図である。
図19】起立局面の開始時における同じ船舶を上面図で示す図である。
図20】パイルの起立の間の同じ船舶を同じ上面図で示す図である。
図21】起立局面の終了時における同じ船舶を同じ上面図で示す図である。
図22】変位局面の開始時における同じ船舶を同じ上面図で示す図である。
図23】起立させられたパイルの変位の後の、および、固定局面の間の、すなわち、パイルの低下の後の、同じ船舶を同じ上面図で示す図である。
図24】起立クレーンまたはリフティングデバイスを提供されている据え付け船舶の例示的な実施形態の概略上面図である。
図25】ブームが起立位置にある状態の、ならびに、トローリーが第1の位置および第2の位置に描かれた状態の、本発明によるクレーンの概略側面図である。
図26】クレーンのブームが起立位置および低下された位置にある状態の、ならびにクレーンのベースの上に位置付けされているトローリーガイドのセクションの上にトローリーが駐機された状態の、図25のクレーンの概略側面図である。
図27】起立クレーンと、船舶の中心軸線と整合されている起立デッキとを提供されている据え付け船舶の別の例示的な実施形態の概略上面図である。
図28】起立クレーンのブームが上昇された起立位置と低下された位置の両方で描かれた状態の、図27の船舶を示す図である。
図29】起立クレーンおよび保管クレーンが風力タービンコンポーネントを支持した状態の、図27の船舶の側面図である。
図30】起立クレーンのブームが起立位置にある状態の、図27の船舶の側面図であり、起立プロセスの複数の中間位置で描かれているモノパイルを示す図である。
図31図30の船舶の背面図であり、クレーンが船舶の船尾においてグリッパーの中にモノパイルを支持していることを示す図である。
図32図30の船舶の背面図であり、クレーンが海底に向けてモノパイルを下降させており、モノパイルがグリッパーによってガイドされていることを示す図である。
図33図30の船舶の背面図であり、モノパイルを海底の中へ打ち込むためのハンマーをクレーンが支持していることを示す図である。
図34】起立プロセスの複数の中間位置で描かれているマストを示す図である。
図35】起立クレーンがマストの上にナセルを装着しており、マストが直立した位置に支持されていることを示す図である。
図36】据え付け場所において、組み立てられた風力タービンを船外の位置に(すなわち、船舶の輪郭の外側に)支持する起立クレーンを示す図である。
図37】風力タービンコンポーネントを輸送するように、風力タービンを組み立てるように、および、組み立てられた風力タービンを基礎の上に装着するように構成されている船舶の別の例示的な実施形態の上面図であり、船舶は、起立クレーンと、船舶の中心軸線と整合されている起立デッキとを提供されていることを示す図である。
図38】クレーンのブームが起立位置にある状態の、および、組み立てられている風力タービンのナセルに隣接してブレードを支持するブレードインストーラーデバイスをトローリーが支持している状態の、図37のクレーンの概略的な側面図である。
図39図38のブレードインストーラーを拡大して示す図である。
図40】起立クレーン(起立クレーンのクレーンベースのみが描かれている)と、船舶の中心軸線と整合されている起立デッキと、モノパイルをガイドするためのグリッパーとを提供されている船舶の別の例示的な実施形態の上面図であり、グリッパーは、船舶のデッキの上に支持されており、グリッパーは、起立クレーンによって支持されているモノパイルの下側端部を受け入れるように位置決めされていることを示す図である。
図41図40の船舶の上面図であり、グリッパーは、クレーンとともに移動し、モノパイルを船上の位置から船外の位置へ移送することを示す図である。
図42図40の船舶の上面図であり、グリッパーは、据え付け場所においてモノパイルをガイドするように位置決めされていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0214】
図1図23は、本発明のすべての態様によるパイル据え付け船舶を示している。
【0215】
図は、風力タービンを支持するためのモノパイル10の洋上据え付けのための方法の異なる局面を図示している。船舶1は、そのような方法における使用に適切である。しかし、船舶1は、同様の方式で他の風力タービンコンポーネントを据え付けるのにも適切である。例は、他のタイプのパイル、風力タービンのマスト、およびローターブレードである。
【0216】
据え付けは、風力タービンコンポーネントのための洋上据え付け現場に向けた船舶1のトラベルの間に、コンポーネントをその水平方向の配向で船上に保管することを伴う。据え付け現場に到着すると、実際の据え付け方法(それは、図に示されている)が行われる。これは、コンポーネントを直立配向に船上で建て起こすこと、建て起こされたコンポーネントをX-Y平面において船外の据え付け場所に変位させること、据え付け場所においてコンポーネントを固定するために、Z方向においてコンポーネントを船外で変位させること、および、船舶1からコンポーネントを解放すること、を含む。
【0217】
船舶1は、船体2と、リフティングデバイス3と、カートトラック5および支持カート6を備えた起立デッキ4と、パイルグリッパー7と、を含む。示されている実施形態では、据え付け現場への船舶1の移送の間に、据え付けられることとなる複数のモノパイルの保管のための2つの保管デッキ8が、起立デッキ4の両方の横方向側部に提供されている。起立デッキ4は、船舶1の横方向中央において、X方向に延在している。示されている実施形態では、船舶1は、そのうえ、随意的な保管クレーン9を提供されている。船舶1は、X方向およびY方向を有しており、X方向は、当技術分野で知られているように、船舶1の長手方向に対応しており、Y方向は、船舶1の横断方向に対応しており、X方向に対して垂直である。船舶1は、X方向およびY方向に広がるX-Y平面を有している。また、それは、それに対して垂直のZ方向を有している。船舶1が完全に平坦な水の上に平衡状態で浮かんでいるときに、X-Y平面は、水平方向であり、Z方向は、垂直方向である。
【0218】
示されている実施形態では、船舶1は、非ジャッキアップタイプの浮体式船体2を有しており、パイル10のための据え付け現場に対する位置および配向を維持するように構成されている。したがって、船舶1は、モノパイル据え付け現場に隣接して位置決めされることが可能であり、ジャッキアップ脚の時間のかかる展開によって船舶1がアンカー固定される必要なしに、モノパイルグリッパー7を使用してモノパイルを据え付けることが可能である。
【0219】
船体2は、起立デッキ4および保管デッキ8を形成しており、それらは、すべて単一の船舶デッキの一部である。保管デッキ8の上には、3つのモノパイル10が保管され、2つが、左舷側において互いに積み重ねられており、1つが、船舶1の右舷側にある。本発明によるさらなる実施形態では、保管デッキは、モノパイルのための保管ラックを提供されることが可能であり、複数のモノパイルを互いに積み重ねることを可能にする。
【0220】
そのうえ、モノパイル10は、保管デッキ8間において起立デッキ4の上に描かれている。クレーン3および保管クレーン9は、モノパイルの端部にそれぞれ係合し、したがって、モノパイルを保管デッキ8から起立デッキ4の上に持ち上げる(および、その逆もまた同様)ように構成されている。また、クレーン3および保管クレーン9は、保管デッキ8の上の保管位置にモノパイルを移動させる前に、船舶1に隣接する位置から(たとえば、供給船舶(たとえば、バージなど)の上から、または、岸壁の上から)モノパイル10を持ち上げるように構成されている。
【0221】
図1図13は、据え付けを斜視図で描いている。とりわけ、図1図5は、図1におけるその水平方向の配向にある(すなわち、X-Y平面の中の)初期位置から、リフティングデバイス3に隣接する船上の保持位置(そこでは、パイル10は、図5における直立配向(すなわち、Z方向への配向)を有している)へ、起立デッキ4の上にパイル10を建て起こすことを描いている。図6図8は、パイル10の船上の保持位置から、図8におけるパイル10の船外の据え付け位置へ、パイル10を変位させることを描いている。図9図12は、据え付け場所においてパイル10を固定することを図示しており、すなわち、パイル10を海底部に向けて下降させ(図9)、その後に、海底の中にそれを杭打ちすることによって固定することを図示している。図13は、船舶1からパイル10を解放することを描いている。
【0222】
起立局面のために、リフティングデバイス3、カートトラック5を備えた起立デッキ4、および支持カート6が使用される。起立を可能にする(したがって、本発明の第1の態様に関係する)その特性が、最初に議論される。
【0223】
起立の目的のために、リフティングデバイスのリフティングアッセンブリが動作される。リフティングアッセンブリの動作(とりわけ、ウィンチ23がホイストケーブル24を引き込むようなウィンチ23の動作)は、パイルの上部端部の持ち上げを確立する。起立デッキ4に沿って、パイル10の底部端部は、パイル10の初期位置における、リフティングデバイス3のベース11から長手方向に遠位にある底部端部の位置から(それは、描かれている実施形態では船舶1の船首にある)、リフティングデバイス3のベース11に隣接する位置へ(それは、描かれている実施形態では船舶1の船尾にある)、船舶1の長手方向Xに延在する軌跡の上を移動可能である。上部端部のリフティング、および、X方向における底部端部の後方への移動によって、パイルは、船内の保持位置にある直立した上部構造体と並んで、その直立配向に起立させられる。
【0224】
上部端部のリフティングを確立するために、リフティングデバイス3は、
- ベース11であって、リフティングデバイス3は、ベース11を介して船体2によって支持されている、ベース11と、
- 細長い直立した上部構造体12、18と、
- リフティングアッセンブリ14と、
を含む。
【0225】
示されている実施形態では、リフティングデバイス3は、クレーンであるが、他の実施形態も同様に適切である。
【0226】
示されているクレーン3は、起立クレーンであり、リフティングアッセンブリ14は、2つのホイストを含み、直立した上部構造体は、クレーンハウジング18およびブーム12を含み、ブーム12は、起立の目的のために、完全に上昇された起立位置にあり、その位置では、ブーム12は、実質的に船舶1のZ方向に延在している。
【0227】
ブーム12は、ベース端部12aと上部端部12bとの間に延在している。ブーム12は、水平方向ブーム枢動軸線20の周りに枢動するように、ベース端部12aにおいて、クレーンハウジング18によって枢動可能に支持されている。したがって、ブーム12は、低下された位置と完全に上昇された起立位置との間で枢動されることが可能である。図では、ブーム12は、完全に上昇された起立位置で描かれている。低下された位置は、場所間での船舶トラベルの間に使用される保管位置としての役割を果たす。使用中でないときにブーム12を低下させることによって、船舶1の全体的な重心が低下され、それは、船舶1の動的挙動を改善する。
【0228】
クレーンベース11は、ベース11と直立した上部構造体との間に旋回軸受17を支持している。そして、直立した上部構造体のクレーンハウジング18は、上部構造体のブーム12を支持している。旋回軸受17は、クレーンハウジング18とクレーンベース11との間に提供されている。旋回軸受17は、クレーンハウジング18(ひいては、クレーンハウジングによって支持されているブーム12)がクレーンの垂直方向旋回軸線19の周りに旋回することを可能にする。
【0229】
それぞれのホイスト14は、巻き上げ用ウィンチ23および関連の巻き上げ用ワイヤー24を含む。巻き上げ用ワイヤー24は、上部ブロック25を介して、積載物(たとえば、モノパイル10の上部端部)と連結するための積載物連結デバイス26にガイドされ、巻き上げ用ウィンチを使用してクレーンが積載物をリフトすることを可能にする。
【0230】
クレーン3は、クレーン3のブーム12を異なる位置において枢動および支持するためのラフィングウィンチ21および関連のラフィングワイヤー22を提供されている。ラフィングウィンチ21は、クレーンハウジング18の上に装着されている。ラフィングワイヤー22は、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、下降された位置と上昇された位置との間でブームを枢動させることを可能にする。
【0231】
クレーン3は、ブーム12に沿ってその長手方向に延在する(1つ以上のガイドレールを含むトラックの形態の)トローリーガイド15を含む。クレーン3は、トローリーガイド15によってガイドされるトローリー16をさらに含み、トローリー16は、ブーム12に沿って移動可能になるようにトローリーガイド15と連結されている。トローリー16は、風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、風力タービンコンポーネント係合デバイスは、風力タービンコンポーネントにその上部端部において係合し、それを枢動可能に支持するように構成されている。風力タービンコンポーネント係合デバイスは、その下側パーツを備えており、下側パーツは、風力タービンコンポーネントの上部端部に係合および風力タービンコンポーネントの上部端部を支持するように構成されている。パイルに係合するために、下側パーツは、パイル上部端部クランプの形態になっていることが可能であり、それは、作動可能なクランピングエレメントによってモノパイルの表面をクランプすることによって、モノパイルの上部端部に係合および固定するように構成されている。下側パーツとトローリーへの接続部との間において、風力タービンコンポーネント係合デバイスは、ブーム12に沿って風力タービンコンポーネントの上部端部を移動させることによってそれを起立させる目的のために、風力タービンコンポーネントの長手方向軸線に対して垂直に配向され得る水平方向枢動軸線を有するピボットを有している。この枢動することは、図1から図5への前進から検証され得るように、起立が進行するにつれて、モノパイルの長手方向軸線とZ-軸線との間の枢動軸線に対する角度の増加を可能にするために必要である。
【0232】
図示されているケースでは、風力タービンコンポーネント係合デバイス80は、パイル係合デバイス80、とりわけ、モノパイル上部端部クランプである。起立のための風力タービンコンポーネント係合デバイス(たとえば、モノパイル上部端部クランプ)は、当技術分野において知られている。トローリーガイド15は、クレーン3のブーム12に沿ってトローリー16をガイドするために、クレーン3のブーム12に装着されている。したがって、ブーム12がその上昇された直立した位置へと上昇されている状態で、ブーム3は、起立の間にモノパイル10の上部端部をガイドするために使用されることが可能である。
【0233】
それぞれのホイスト14は、トローリー16を介してパイル係合デバイス80に接続されていることが示されている。それぞれのホイスト14は、トローリー16に係合しているホイストの積載物連結デバイス26によって、トローリー16を介してパイル係合デバイス80を支持するように構成されている。トローリー16は、ホイスト14によって支持されている積載物連結デバイス26に係合するように構成されている。したがって、係合されているときに、トローリー16は、ホイスト14を使用してモノパイル10を建て起こしながら、トローリーガイドに沿って、風力タービンコンポーネント係合デバイス80をガイドするために、ひいては、風力タービン係合デバイス80によって支持されているモノパイルの上部端部をガイドするために、ホイスト14の動作によって移動可能である。とりわけ、積載物連結デバイス26およびトローリー16を介して、ホイスト14は、パイル係合デバイス80の下側位置と上側位置との間において、直立した上部構造体12に沿った方向に、パイル係合デバイス80を移動させるように構成されており、下側位置では、パイル係合デバイス80は、船舶のZ方向において、クレーン3のベース11にまたはその近くにあり、上側位置では、パイル係合デバイス80は、Z方向において、ベース11から遠隔にあり、パイル10は、パイルの船内の起立およびパイルの船外の下降のために、ブーム12と並んで直立配向に延在している。図1において、起立の開始時には、パイル係合デバイス80は、示されているように下側位置にある。上側位置は、図5において、起立の終了時に到達され、船外の据え付け位置へのパイル10のその後の変位の間に維持される(図6図8)。その後のパイル10の低下の目的のために、パイル係合デバイス80は、下側位置と上側位置との間の比較的に低い中間位置まで、再び下向きに移動する。
【0234】
示されている実施形態では、ブーム12は、A-フレームであり、トローリーガイド15は、A-フレームの両方の脚の上に提供されているトラックを含む。トローリー16は、トローリーガイドの両方のトラックと連結されており、したがって、ブーム12に沿ってガイドされるようにA-フレームのそれぞれの脚に移動可能に装着されている。
【0235】
説明されている構築によって、パイル係合デバイス80は、たとえば、X-Y平面(それは、パイルの直立した位置において、係合されたパイル10の長手方向軸線に対して垂直の平面に対応している)において上部構造体に対する係合された上部端部の移動を制限するように構成されており、トローリー16を介してブーム12の上に配置されている。結局、ブーム12へのトローリーガイド15の装着、トローリーガイド15とトローリー16との間の連結、トローリー16とパイル係合デバイス80との間の接続、および、パイル係合デバイス80によるパイルの係合が、パイルをブーム12に接続する。この接続を介して、上部端部の移動は、ブーム12に対して、ひいては、上部構造体に対して制限される。
【0236】
クレーン3は、ブーム固定デバイス(図示略)をさらに含む。ブーム固定デバイスは、ブーム12を図に示されているその上昇された起立位置に拘束するためのストップと、ブーム12を上昇された起立位置にロックするためのブームロックと、を含み、それによって、トローリーガイド15の直立配向を維持し、ひいては、パイル10の直立配向を維持する。したがって、トローリー16の移動軌跡、および、それに伴うパイル係合デバイス80の移動軌跡は、ブーム12のロックによって維持される。とりわけ、ブームロックは、クレーン3がパイル10を支持している間に直立配向を維持するのに適切であり、したがって、それは、支持されているパイル10の重量によってブーム12の上に力モーメントが働かされていることにかかわらず(それは、ブームをその低下された位置に移動させる傾向がある)、ブームをロックされた状態に維持することができなければならない。また、クレーン3は、上昇された起立位置からブーム12を枢動させるためのブームモビライザーを含む。このブームモビライザーは、図には示されていないが、ブーム12を押すもしくは引っ張るために動作する油圧シリンダーであることが可能であり、または、上昇された起立位置からブーム12を枢動させるためにブーム12を引っ張るための関連のワイヤーを備えたブームモビリゼーションウィンチであることが可能である。
【0237】
そのうえ、トローリーガイド15は、クレーン3のベース11に沿って延在しており、したがって、少なくともブーム12が上昇された直立した位置にあるときに、水平方向ブーム枢動軸線20の下方に延在している。これは、パイル係合デバイスの下側位置がブーム枢動軸線の下方になることを可能にし、モノパイルがデッキの上方の小さな高さにおいて係合され得るようになっている。モノパイルの同じ高さのときに、ひいては、パイル係合デバイスの下側位置と上側位置との間の同じ高さ範囲のときに、ブーム12の上部端部の高さは、したがって、トローリーガイド15がベースに沿って延在していない(たとえば、上部構造体に沿ってのみ延在している)実施形態に対して制限される可能性がある。
【0238】
本発明によれば、据え付け船舶1は、モノパイル10の起立の間に、モノパイル10の底部端部および上部端部の両方をガイドするように構成されている。上部端部は、上部構造体に沿って、すなわち、上部構造体のブーム12に沿ってガイドされる。底部端部をガイドするために、船舶1は、カートトラック5および支持カート6を提供されている。
【0239】
カートトラック5は、起立デッキ4に沿って延在している。支持カート6は、カートトラック5によって支持されており、起立デッキ4に沿ってモノパイル10の底部端部をガイドするために、カート6がカートトラック5に沿って移動することを可能にする。支持カート6は、モノパイルの底部端部を支持するように構成されており、支持カートがカートトラック5に沿って移動される間に、モノパイルの底部端部が枢動することを可能にするように構成されている。そのため、支持カートの上側パーツは、底部端部に係合するように構成されている。ピボット(パイル10の長手方向軸線に対して垂直の水平方向枢動軸線を有する)が、カート6のトラック5との係合部と支持カート6の上側パーツとの間に提供されている。
【0240】
起立局面の後に、据え付けにおける次の局面は、直立したパイル10を船上の保持位置から船外の据え付け位置へX-Y平面において変位させ、後続の局面において、それが据え付け位置に固定され得るようにすることである。当技術分野で知られているように、この固定は、船舶1の船体の縁部においてまたはその近くにおいて船舶に固定されているパイルグリッパーの船外のグリッパーデバイスを通して、パイルを海底部へ低下させ、それを海底の中へ打ち込むことによって行われる。そこでは、グリッパーデバイスは、パイルの据え付け位置にパイルを保持し、そのX-Y場所を維持する。そのようなパイルグリッパーは、
- グリッパーベースであって、パイルグリッパーは、グリッパーベースを介して船体によって支持されている、グリッパーベースと、
- グリッパーデバイスであって、グリッパーデバイスは、直立して配向されているパイルにその下側端部において係合するように構成されており、X-Y平面における(すなわち、パイルの長手方向軸線に対して垂直の)グリッパーベースに対するその移動を制限するようになっており、グリッパーデバイスを通して(すなわち、パイルの長手方向軸線の方向に)パイルの垂直方向移動をガイドするようになっている、グリッパーデバイスと、
を含む。
【0241】
船外の据え付け位置へのパイルの変位は、本発明によれば、パイルグリッパー7によってパイル10の下側端部に係合することによって確立され、パイルグリッパー7は、クレーン2のベース11から所定の距離に設置されており、クレーンのパイル係合デバイスと同じ軌跡の上で船外の据え付け位置へその係合パーツ(グリッパーデバイス)を移動させ、パイル10の両方の端部を船外の据え付け位置へ同時に変位させるようになっている。また、パイルグリッパー7は、変位局面の後に、当技術分野において知られている様式で、パイルを据え付け位置に固定する後続の局面において使用される。したがって、本発明によれば、同じパイルグリッパー7は、固定局面に加えて、変位局面の間にパイル10を保持するためにも使用される。これは、有利には、変位局面の間にパイル10を保持するための別個の設備の使用、および、この設備からパイルグリッパー7のグリッパーデバイスへの移送を不要にする。
【0242】
両方の局面のためにパイルグリッパー7を使用する可能性は、とりわけ、パイルグリッパー7の2つの態様によって可能にされ、それらは、本発明の第2および第3の態様に関係している。
【0243】
本発明の第2の態様によれば、パイルグリッパー7は、受け入れモードを有しており、そこでは、グリッパーデバイス7の開口部75が、起立デッキ4に方向付けられ、パイルが、その船内の保持位置においてその直立配向に建て起こされるときに、その底部端部によって開口部を通過することを可能にされるようになっている。これは、とりわけ、図4図5図16、および図21に見ることができる。パイルグリッパー7のグリッパーデバイス71がパイル10の船内の据え付け位置にあるときには、パイルは、起立が完了した後に、グリッパーデバイス71の内側に直立して延在している。したがって、パイル10の底部端部をグリッパーデバイス71の開口部に通すことは、パイル10を船上の保持位置に移動させることになる。したがって、第2の態様は、起立によってグリッパーデバイス7の中へパイル10を受け入れることを可能にする。開口部75は、X方向におけるパイル10の底部の移動軌跡と一致しており、少なくともパイル直径に対応する幅を有している。
【0244】
示されている実施形態では、グリッパーデバイス71は、リング74を含み、リング74は、リング74の周囲部の周りに分配されている複数のパイル係合ツール76を含み、それぞれのパイル係合ツール76は、その直立配向においてリング74を通って延在するパイル10の外部に係合するように適合されており、たとえば、それぞれのパイル係合ツール76は、1つ以上のパイルガイディングローラーを含む。グリッパーデバイス71のリング74は、リングベースおよび1つ以上の可動ジョー77(たとえば、2つのジョー)を含み、1つ以上の可動ジョー77は、リングのそれぞれのセグメントを形成しており、閉鎖位置と開放位置との間でベースに対して枢動可能であり、閉鎖位置では、リング74は閉じた環を形成しており、開放位置では、開口部75が存在している。この開放位置は、ジョー77間のアニュラスの中の開口部75を通って、リング74の中へおよびリング74から外へ、パイル10が横方向に通ることを可能にする。
【0245】
しかし、たとえば、開放位置に移動するために枢動するのではなく、環に沿ってスライドするジョーなど、他の変形例も可能である。
【0246】
示されている実施形態では、パイルの船上の保持位置にリング74を移動させることによって、すなわち、パイル10が船上の保持位置にあるときに、リング74がパイル10の外部を囲んで係合することができるようになっていることの両方によって、受け入れ位置が可能にされる。起立局面の終了時に、図5図18、および図21において、モノパイル10は、その底部端部の外部がリング74のベースに接した状態で静止している。保持位置へのリングの移動は、ここでは、グリッパーベース72の湾曲したレール73の上を時計回り方向にグリッパーデバイス71を移動させることによって、それによって、グリッパーデバイス71のシューを船尾に向けて移動させ、起立デッキ4に向かう方向にリング74を移動させることによって確立される。時間を節約するために、グリッパーデバイス71は、最初に船外の据え付け位置にあり、モノパイル10が依然として水平方向に保管されている間に、リング74が上部端部と干渉しないようになっており(図1を参照)、グリッパーデバイス71は、リフティングデバイス23のウィンチ23を動作させることによって、パイルの起立の間にこの初期位置から保持位置へ移動される(図1から図3への前進を参照)。上側端部がグリッパーデバイスの高さの上方にリフトされるとすぐに、パイルの上側端部が保管されていたデッキスペースがグリッパーデバイスのためにクリアされ、それが保持位置に移動することを可能にされるようになっている。
【0247】
図4に示されているように、開口部を生成させるためにグリッパーデバイス71を開放することは、開口部の近くに底部端部が到着する前に行われ、ジョーが、起立と干渉することなく(とりわけ、邪魔になる底部端部と干渉することなく)外向きに枢動するためのスペースを依然として有するようになっている。示されている据え付け方法において、開放することは、リフティングデバイス3のウィンチ23を動作させることによって、パイルの起立の間に行われる(図2および図3を参照)。
【0248】
起立の後に、リング74のジョーは、リング74を閉鎖するように移動され、ジョー77の上のパイル係合ツール76も今ではリング74の外部に係合するようになっている。モノパイルは、パイル係合デバイス80を介して上方から係合および支持される。ホイスト14を動作させ、ホイストワイヤー24をウィンチ23の上にさらに引き込むことによって、クレーン3は、カート6からパイル10をリフトさせることができ、カート6からパイル10を解放するようになっている。その後に、カート6は、トラック5の前方端部におけるレスト位置までトラック5に沿って前方に移動される。
【0249】
本発明の第3の態様によれば、パイル係合デバイス80およびグリッパーデバイス71は、両方ともパイル10に係合しながら、および、パイル10を支持しながら、X-Y平面における船舶1に対するそのそれぞれの可動性によって、パイル10の船内の保持位置から船外の据え付け位置へと、船体2に対して同時に移動可能であり、船内の保持位置では、パイル係合デバイス80は、上側位置にあり、パイル10は、船体2の上方にあり、船外の据え付け位置では、パイルは、船舶の輪郭の外側にある。船外の据え付け位置は、図8図13図18、および図23に示されている。
【0250】
示されている実施形態では、船舶1は、船舶1の船尾において船舶1の長手方向Xに凹部43を含む。凹部43は、2つのデッキ部分44が横方向両側に位置している。船内の保持位置から船外の据え付け位置への移動の軌跡は、2つのデッキ部分の間で横方向に走っており、船外の据え付け位置は、船舶1のX-Y平面において考慮されると、凹部43の内側にある。これは、有利には、保持位置から据え付け位置への短い移動軌跡を可能にする。凹部43は、起立デッキ4と一致しており、したがって、起立の間のパイル10の底部端部の移動軌跡と一致している。
【0251】
図6から図8への前進から見ることができるように、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのパイルの移動は、リフティングデバイスの旋回軸線の周りでの、パイル係合デバイスおよびグリッパーデバイスの両方の回転を伴い、したがって、それによって係合されているときのパイルの回転を伴う。
【0252】
可動性は、リフティングデバイス3において、旋回軸受17によって提供される。リフティングデバイス3は、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのパイル係合デバイス80の移動を作動させるために、ベース11と上部構造体12、18との間に、1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリ(とりわけ、旋回アクチュエーター)をさらに含む。描かれている実施形態では、可動性は、湾曲したレール73を含むパイルグリッパーのベース72によって確立される。パイルグリッパー7のベース72は、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのグリッパーデバイス72の移動を作動させるために、グリッパーベース72とグリッパーデバイス71との間で動作する1つ以上の変位アクチュエーターアッセンブリをさらに含む。クレーン3のこの旋回は、旋回軸受がクレーン3のための共通のパーツであり、X-Y平面に沿った上部構造体の並進が省略されるという利点を提供する。そのような並進は、一般的に、より多くの摩擦を伴い、トラックおよびシューに高い要件を課すこととなり、クレーン3の安定性に対して悪影響を有する可能性がある。この実施形態では、ベース11は、有利には、船体2に対して静止したままであることが可能である。
【0253】
グリッパーデバイスの可動性は、1つ以上のグリッパーガイド(ここでは、円形のセグメントを形成する湾曲したグリッパーレール73)を含むグリッパーベースによって提供される。グリッパーレール73は、船体2のデッキに装着されており、グリッパーデバイス71のための湾曲したトラックを画定している。グリッパーデバイスは、トラックに係合するための複数のシューを含む(たとえば、側面図を参照)。パイル10の船内の保持位置から船外の据え付け位置へのグリッパーデバイス71の移動は、トラック73に沿ってグリッパーデバイス71を移動させることを伴う。
【0254】
船舶1のX-Y平面において考慮されると、リフティングデバイスのベース11およびグリッパーベース72は、互いに間隔を置いて配置されており、船内の保持位置から船外の据え付け位置へのパイル10の移動は、リフティングデバイス3のベース11とグリッパーベース72との間を通過する移動軌跡を有している。これは、クレーン3がパイル10の一方の側において移動を確立することができるようにし、グリッパーが他方の側において移動を確立することができるようにする。
【0255】
船内の保持位置から船外の据え付け位置へのパイル10の移動は、リフティングデバイス3のベース11に対するパイル係合デバイス80の相対的移動を伴い、それは、グリッパーベース72に対するグリッパーデバイス71の相対的移動とは反対であり、すなわち、それぞれ、時計回りおよび反時計回りである。
【0256】
クレーン3の旋回軸線19の周りでのパイル係合デバイス80およびグリッパーデバイス71の回転の間に、パイル係合デバイス80およびグリッパーデバイス71は、パイル10の長手方向軸線に対して、この長手方向パイル軸線の周りで、互いに対して反対の角度の旋回移動を行う。パイル係合デバイス80とグリッパーデバイス71の両方が、パイル10の変位の間にパイル10に両方とも係合したままの状態で、これらの反対の角度方向に相対的に旋回することを可能にするために、係合およびグリッパーデバイス71の係合パーツは、係合されているときに長手方向パイル軸線に対応するその中心旋回軸線に対して回転可能に提供されることが可能である。これは、たとえば、以下の方式のうちの1つ以上で提供されることが可能である。
- トローリー16に取り付けられている上側パーツ(たとえば、起立の目的のための水平方向軸線を有するピボットの真上に、真下に、または、それと一体的に(たとえば、ボールジョイントまたはユニバーサルジョイントの形態で)提供されている中心旋回軸線を有するピボット)に対する、パイル表面に係合するためのクランピングデバイスが提供される(たとえば、周囲部に沿って分割されている)パイル係合デバイス80の下側パイル係合パーツの旋回可能性、
- 係合デバイス80の残りのパーツに対する個々のクランピングデバイスの回転可能性、円形の円周方向トラックが、残りのパーツと個々のクランピングデバイスとの間に提供されており、個々のクランピングデバイスは、トラックと連結するためのおよびそれに沿って移動するためのシューを有している、
- 係合されているパイル表面(たとえば、低摩擦材料から作製されている表面、または、たとえば、パイルの係合された表面に対して平行のそれぞれの軸線を有するローラーの外側表面である係合表面)に対する、クランピングデバイスのそれぞれの係合表面の旋回可能性またはスライド可能性、
- リング74に対する個々のパイル係合ツール76の回転可能性、円形の円周方向トラックが、リング74と個々の係合ツール76との間に提供されており、個々の係合ツールは、トラックと連結するためのおよびそれに沿って移動するためのシューを有している、
- 係合されているパイル外部表面(たとえば、低摩擦材料から作製されている表面)に対する、パイル係合ツール76のそれぞれの係合表面の旋回可能性またはスライド可能性、
- その中心軸線の周りでのリング74の旋回可能性、たとえば、リング74は、外部円周方向レールおよび支持フレーム78を含み、それは、レールに係合するシューを含むグリッパーベース72の上にリング74を支持している。
【0257】
本発明の範囲内にある他の同様の解決策が、当業者によって取得される可能性がある。
【0258】
上部構造体のみが旋回運動を行い、グリッパーデバイス71がレールに沿って移動する(それは、より大きな移動距離を伴う)という事実は、有利である。その理由は、一般的に、直立したパイル10の重量の大部分(たとえば、実質的に全体)を支えるのが上部構造体であるからである。したがって、グリッパーデバイス71は、ガイディング機能のより多くを有しており、それは、パイル10の船外の位置に移動するためにレールの上でより大きな並進移動を確立するために、クレーンパーツよりもグリッパーデバイス71にとって、著しく要求が少なくなることとなる。
【0259】
リフティングデバイスのベース11は、凹部43の左舷側に位置付けされており、左舷側デッキ部分44の上に部分的にある。グリッパーベース72は、凹部43の右舷側に位置付けされており、部分的に右舷デッキ部分44の上にある。変位の途中において(図7を参照)、パイルは、凹部43の中の船舶1のY方向の最も前方の縁部の上方にあり、ブーム12、パイル係合デバイス80、パイル10、およびグリッパーデバイス71は、実質的に1つのY方向の線の上にある。クレーン3およびグリッパー7、凹部43およびデッキ部分のこの相対的な位置決めは、船内の位置と中途位置との間の旋回軸線19に対する角度範囲、および、中途位置と船外の位置との間の角度範囲が、両方とも可能な限り小さくなるようにする。これは、純粋な旋回運動によって、変位の間のパイルの移動軌跡が、小さな横方向の移動成分のみを伴うようにし、したがって、起立の間の真っ直ぐな移動軌跡と可能な限り一致するようにする。
【0260】
パイル係合デバイス80とグリッパーデバイスの両方は、旋回軸線の周りの回転可動性に加えて、並進によってX-Y平面の中で移動されることも可能である。
【0261】
クレーン3において、この実施形態は、X-Y平面におけるトローリーガイド15に対するパイル係合デバイス80の並進可能性を有しており、それは、パイル係合デバイス80への接続部とトローリーガイド16への接続部との間においてトローリー16の中に提供される。この実施形態では、パイル係合デバイス80は、X-Y平面において2つの垂直方向に移動可能である。1つの方向は、旋回軸線19に対して接線方向であり、1つは、それに対して半径方向である。他の実施形態において、X-Y平面における1つの方向のみにおける並進可能性が、たとえば、旋回軸線19に対して半径方向に提供されることが可能である。
【0262】
図において、トローリーガイド17からX-Y平面内に突き出ているフレームをトローリー16が提供されており、パイル係合デバイス80がこのフレームの底部側に取り付けられているということが示されている。フレームは、両方の方向に延在するガイドを含み、とりわけ、1つのガイドは、旋回軸線19に対して接線方向にあり、2つのガイドは、半径方向にある。接線方向に方向付けられたガイドは、半径方向に方向付けられたガイドに係合しており、半径方向に方向付けられたガイドに沿って、したがって、半径方向に移動可能である。パイル係合デバイス80は、接線方向に方向付けられたガイドに係合しており、接線方向に方向付けられたガイドに沿って、したがって、接線方向に移動可能である。それによって、半径方向ガイドの上での接線方向ガイドの移動と接線方向ガイドの上でのパイル係合デバイス80の移動とを組み合わせることによって、パイル係合デバイス80のための移動が、任意の方向に可能である。ガイドの垂直の配置は、移動制御の調和の容易さの観点から、ならびに、構築の簡単さおよび堅牢性の観点から、有利である可能性がある。また、組み合わせることによって中間方向への移動を可能にするために、ガイドの他の非平行の配置も可能である。
【0263】
トローリーは、X-Y平面におけるパイル係合デバイス80の移動を作動させるために、接線方向ガイドと半径方向ガイドとの間に、および、パイル係合デバイス80との接続部と接線方向ガイドとの間に、アクチュエーターを提供されている。
【0264】
パイルグリッパーにおいて、この実施形態は、X-Y平面におけるグリッパーベース72に対するグリッパーデバイス71の並進可能性を有しており、それは、支持フレーム78の中に提供されており、リング74は、支持フレーム78を介してベース72の上に支持されている。この支持フレームの上側パーツは、2つの垂直なトラックのセットによって、下側パーツに対してX-Y平面において移動可能である。支持フレームの上側パーツは、ガイドの形態の第2のトラックのセットの上に提供されており、第2のトラックのセットは、ガイドの形態の第1のトラックのセットの上に提供されており、第1および第2のトラックセットは、船舶のX-Y平面において互いに垂直に延在している。第1のセットのガイドの上での第2のセットのガイドの移動と、第2のセットのガイドの上での支持フレーム78の上側パーツの移動とを組み合わせることによって、リング74のための移動は、任意の方向に可能である。また、トラックセットの他の非平行の配置も可能である。
【0265】
ある実施形態において、支持フレーム78は、1つの方向のみに、好ましくは、湾曲したレール73に対して垂直の方向に、支持フレーム78の上側パーツと下側パーツとの間にトラックを含む。このケースでは、湾曲したレール73に沿ったパイルグリッパー71の移動と支持フレームの中のトラックに沿った移動とを組み合わせることによって、より多くの方向への移動が可能である。
【0266】
追加的な可動性は、たとえば、風および海況誘起の船舶の運動の影響の結果とする、たとえば、リング74の位置とパイル係合デバイスの位置との間の小さな差異を解消するために、または、パイル10の過度の傾きを補正するために、または、船舶に対する(たとえば、凹部43の縁部に対する)位置の過度のシフトを補正するために、変位局面において補助することが可能である。
【0267】
図9図13図18、および図23では、固定局面が図示されている。そこでは、図9図13は、海底部に向けてパイルを低下させること、および、その後に、それが海底において固定されるまでそれを杭打ちすることを示しており、図18および図23は、両方とも、低下させることのみの結果を示している。下降させることは、ウィンチ23が巻き上げ用ケーブル24を巻き戻すようにウィンチ23を動作させることによって達成される。グリッパーデバイス71のパイル係合ツール76は、リングを通るパイル10のこの垂直方向移動を可能にしてガイドするように構成されており、たとえば、パイルの周囲部に対して接線方向の軸線を有するローラーを含む。これは、当技術分野において知られている。
【0268】
この実施形態は、固定局面の間にパイルにX-Y運動補償を提供することを可能にするが、それは、随意的に、同様に他の局面の間でも提供されることが可能である。X-Y運動補償は、低下させる間に、たとえば、波および潮流に起因する、海底部に対する船舶の海況誘起X-Y運動から独立して、パイルを据え付け位置において直立した状態に維持することを可能にする。アクティブX-Y運動補償システムが、クレーン3およびパイルグリッパー7の両方に提供され、それは、船舶に対するパイル係合デバイス80およびリング74の議論された追加的な可動性を利用する。
【0269】
とりわけ、支持フレーム78は、船舶1のX-Y平面において船舶1に対してグリッパーデバイスを移動させるためのアクティブ運動補償作動システムを含む。作動システムは、アクティブ波誘起運動補償モードを含み、アクティブ波誘起運動補償モードでは、作動システムは、X-Y平面における船舶の海況誘起運動に関して、リング74(ひいては、パイル10の底部端部)を補償するように動作される。これは、海況誘起船舶運動から独立して船外の据え付け位置を維持することを含み、低下させる間にパイルが適切な場所に維持され得るようになっている。
【0270】
パイルグリッパーのアクティブ運動補償作動システムは、この実施形態では、好適であるように、以前に議論された第1および第2のトラックを含む。作動システムは、第1のトラックの上で第2のトラックを移動させるために第1のトラックと第2のトラックとの間で動作する1つ以上の第1の補償アクチュエーターと、第2のトラックの上でグリッパーデバイスを移動させるために第2のトラックとグリッパーデバイスとの間で動作する1つ以上の第2の補償アクチュエーターと、をさらに含む。好適な実施形態では、これらは、前に議論されているものと同じアクチュエーターである。
【0271】
クレーン3のアクティブ運動補償作動システムは、トローリー16の中に接線方向および半径方向に方向付けられたトラックを含む。それによって、アクティブ運動補償作動システムは、船舶のX-Y平面においてトローリーガイドに対してパイル係合デバイスを移動させるように構成されており、アクティブ海況誘起運動補償モードを含み、アクティブ海況誘起運動補償モードでは、作動システムは、X-Y平面における船舶の波誘起運動に関して、パイル係合デバイス80(ひいては、パイル10の上部端部)を補償するように動作される。これは、海況誘起船舶運動から独立して、船外の据え付け位置を維持することを含む。
【0272】
作動システムは、半径方向ガイドの上で接線方向ガイドを移動させるために接線方向ガイドと半径方向ガイドとの間で動作する1つ以上の第1の補償アクチュエーターアッセンブリと、半径方向ガイドの上でパイル係合デバイスを動作させるために半径方向ガイドとパイル係合デバイスへの接続部との間で動作する1つ以上の第2の補償アクチュエーターアッセンブリと、をさらに含む。好適な実施形態では、これらは、前に議論されているものと同じアクチュエーターである。
【0273】
実施形態では、リニア再循環ローラー軸受が、ガイドに係合するシューの中に提供されることが可能であり、たとえば、カート6の、トローリー16のX-Yフレームの、グリッパー7の支持フレーム78の、および、湾曲したレール73に係合するためのグリッパーデバイス71のものの中に提供されることが可能である。事前に公開されていない出願NL2028920に説明されているリニア再循環ローラー軸受アッセンブリは、シューの高荷重を考慮すると、とりわけ適切である。
【0274】
本発明の第4の態様によれば、グリッパーデバイスのリング74は、1つ以上のリング旋回アクチュエーターによって、その閉鎖位置においてリング74の中心のZ配向された旋回軸線の周りでグリッパーベースに対して旋回可能であり、リング74の開放位置においてジョー77間の開口部75が、パイル10の船内の保持位置において開口部75が船舶1の船体2の起立デッキ4に面している、中心旋回軸線に対する角度位置から、開口部75が水に面している、中心旋回軸線に対する角度位置(パイル10の船外の据え付け位置を含む)へ、移動可能であるようになっている。
【0275】
これは、パイル係合デバイス80によって可能にされるときに、その水平方向軸線の周りでのパイルの旋回を可能にする。また、それは、グリッパーデバイスが受け入れモード(図4図5図16、および図21に示されている)と解放モード(図13に示されている)の両方を有することを可能にする。この解放モードは、据え付け方法の最後の局面を促進させるために提供され、すなわち、据え付け場所におけるパイル10の固定の後に、船舶1からのパイル10の解放を促進させるために提供される。受け入れモードに関して、開口部は、解放モードにおいて、リング74の中心軸線の周りに回転させられており、それが水に面するようになっている(図4および図5図13と比較されたい)。それに対して、リング74のジョー77は、船内から船外の据え付け位置へのパイルの変位の直後に、中心軸線の周りに回転させられる。図8では、ジョーは、低下の前にすでに回転させられており、開放されるときに、開口部が(とりわけX方向において)水に面するようになっている。
【0276】
示されている実施形態では、好適であるように、開口部75は、船舶1をX方向に前方に移動させることによって、パイルが開口部を通過することが可能であるように配置されている(これは、図13から想定されることが可能である)。これは、パイルを固定した後のパイルの解放を促進させるが、しかし、それは、異常の場合に(たとえば、低下または杭打ちの前のまたはその間のパイルの突然の不安定性および/または傾き(それは、たとえば、船舶1のDPシステム、または、パイルグリッパー7およびトローリー16のX-Y移動システムを用いることによって、補正され得ない))、開口部を生成させるためにジョーを開放し、(たとえば、そのための専用の放出システムによって)船舶から離れるようにX方向において後方にパイル10を放出することが可能であるということも可能にする。加えてまたは代替的に、たとえば、パイルが船舶から離れるように後方に傾いている場合に、または、放出システムが存在しない場合には、船舶1は、ジョー77の開放の後に、高速で前方に移動されることが可能である。
【0277】
図24は、据え付け船舶1001の上に装着されている、本発明によるリフティングデバイス1003の代替的な実施形態を示している。据え付け船舶1001は、船体1002、クレーン1003、カートトラック1005および支持カート1006を備えた起立デッキ1004、モノパイルグリッパー1007、ならびに保管デッキ1008を含む。そのうえ、示されている実施形態では、船舶1001は、保管クレーン1009を提供されている。
【0278】
示されている実施形態では、船舶1001は、非ジャッキアップタイプの浮体式船体1002を有しており、据え付け現場に対する位置および配向を維持するように構成されている。したがって、船舶は、モノパイル据え付け現場に隣接して位置決めされることが可能であり、船舶がアンカー固定される必要なしに、ジャッキアップ脚が展開される必要なしに、モノパイルグリッパー1007を使用してモノパイルを据え付けることが可能である。
【0279】
示されている実施形態では、船舶の船体は、起立デッキ1004および保管デッキ1008を形成している。起立デッキおよび保管デッキは、両方とも単一の船舶デッキの一部である。保管デッキ8の上には、3つのモノパイルが、隣り合って保管されている。本発明によるさらなる実施形態では、保管デッキは、保管ラックを提供されており、保管ラックは、複数の列のモノパイルの保管を可能にし、1つの列が他の列の上に積み重なる。
【0280】
そのうえ、モノパイル1010が、起立デッキ1004の上に描かれている。クレーン1003および保管クレーン1009は、モノパイルの端部にそれぞれ係合し、したがって、モノパイルを保管デッキ1008から起立デッキ1004の上に持ち上げる(および、その逆もまた同様)ように構成されている。図24では、クレーン1003および保管クレーン1008は、保管デッキ1008の上の保管位置にモノパイルを移動させる前に、船舶に隣接する位置から(たとえば、供給船舶(たとえば、バージなど)から、または、岸壁から)モノパイルを持ち上げることを描かれている。
【0281】
図24および図25は、図23に描かれている船舶のクレーン1003の概略側面図を示している。
【0282】
クレーン1003は、起立デッキ1004に隣接して船舶1001の船体1002によって支持されている。クレーン1003は、クレーンベース1011、ブーム1012、ラッフィングウィンチ1013、およびホイストを含む。そのうえ、クレーン1003は、トローリーガイド1015およびトローリー1016を提供されている。
【0283】
クレーンベース1011は、旋回軸受1017およびクレーンハウジング1018を支持しており、そして、クレーンハウジングは、ブーム1012を支持している。旋回軸受1017は、クレーンハウジング1018とクレーンベース1011との間に提供されている。旋回軸受は、クレーンハウジング1018(ひいては、クレーンハウジングによって支持されているブーム)が垂直方向旋回軸線1019の周りに旋回することを可能にする。
【0284】
ホイスト1014は、巻き上げ用ウィンチ1023および関連の巻き上げ用ワイヤー1024を含む。巻き上げ用ワイヤー1024は、上部ブロック1025を介して、積載物(たとえば、モノパイルの上部端部)と連結するための積載物連結デバイス1026にガイドされ、巻き上げ用ウィンチを使用してクレーンが積載物を持ち上げることを可能にする。
【0285】
ブーム1012は、ベース端部1012aと上部端部1012bとの間に延在している。ブーム1012は、水平方向ブーム枢動軸線1020の周りに枢動するように、ベース端部1012aにおいて、クレーンハウジング1018によって枢動可能に支持されている。したがって、ブーム1012は、下降された位置と上昇された位置との間で枢動されることが可能である。図26では、ブームは、下降された位置と上昇された位置の両方で描かれている。
【0286】
クレーン1003は、クレーン1003のブーム1012を異なる位置において枢動および支持するためのラフィングウィンチ1021および関連のラフィングワイヤー1022を提供されている。ラフィングウィンチ1021は、クレーンハウジング1018の上に装着されている。ラフィングワイヤー1022は、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、下降された位置と上昇された位置との間でブームを枢動させることを可能にする。
【0287】
図26における下降された位置は、保管位置である。この位置は、場所間での船舶のトラベルの間に使用される。使用中でないときにブームを下降させることによって、船舶の全体的な重心が下降され、それは、船舶の動的挙動を改善する。
【0288】
図26に描かれている上昇された位置は、起立位置である。ブームがこの直立した位置にある状態で、クレーンは、より詳細に下記に説明されることとなるように、モノパイルを起立させるために使用されることが可能である。
【0289】
ブームは、クレーンのベースから離れるように位置付けされた位置において積載物を持ち上げるために、多くの中間位置(保管位置に対して上昇された位置、および、起立位置に対して下降された位置)において、枢動および支持されることが可能であるということが提起されている。そのうえ、積載物を持ち上げている間にブームを枢動させることによって、その積載物は、クレーンベースに向けてまたはクレーンベースから離れるように移動されることが可能である。
【0290】
図24では、クレーン1003および保管クレーン1009の範囲が描かれている。示されている実施形態では、クレーン1003は、保管デッキの向こう側の保管位置に到達するために、ブームを下降させなければならないということが提起されている。そのうえ、起立デッキの上を保管デッキまでモノパイルを移動させるために、クレーンおよび保管クレーンのうちの一方または両方は、船舶に隣接してモノパイルを持ち上げるために必要とされるブームの位置と比較して、それらのブームを上昇させなければならない。
【0291】
図24では、リフティングデバイス1003は、先行技術から知られているモノパイルグリッパーと組み合わせられている。モノパイルグリッパーは、開放位置および閉鎖位置において、図24に描かれている。モノパイルグリッパーは、一般的に当技術分野において知られているということが提起されている。モノパイルグリッパーは、パイルに係合するように構成されており、したがって、パイルを位置決めし、パイルが海底に向けて下降されている間に、パイルをその場所に維持するように構成されている。典型的に、モノパイルグリッパーは、グリッパーまたはグリッパーデバイス(たとえば、ローラーの形態のモノパイルガイドを提供されている円形本体部)を提供されており、それは、モノパイルがモノパイルグリッパーの中へ移動されることを可能にするように開放されることが可能であり、それは、その後にモノパイルを位置決めするために閉鎖されることが可能である。また、モノパイルは、閉鎖されたモノパイルグリッパーの中へ下降されることが可能である。モノパイルグリッパーは、モノパイルが海底の中へ打ち込まれた後に、モノパイルを解放するために開放されなければならない。
【0292】
据え付け船舶1001は、モノパイルの起立の間に、そのモノパイルの底部端部と上部端部との両方をガイドするように構成されている。したがって、船舶は、モノパイルの底部端部をガイドするためのカートトラック1005および支持カート1006を提供されており、また、起立プロセスの間にモノパイルの上部端部をガイドするためのトローリーガイド1015およびトローリー1016を提供されている。
【0293】
カートトラック1005は、起立デッキ1004に沿って延在している。支持カート1006は、カートトラック1005によって支持されており、クレーンから遠位にある位置からクレーンに隣接する位置へ起立デッキに沿ってモノパイルの底部端部をガイドするために、カートがカートトラックに沿って移動することを可能にする。支持カート1006は、モノパイルの底部端部を支持するように構成されており、また、支持カートがカートトラック1005に沿って移動される間に、モノパイルの底部端部が枢動することを可能にするように構成されている。
【0294】
トローリーガイド1015は、クレーンのブーム1012に沿ってトローリー1016をガイドするために、クレーン1003のブーム1012に装着されている。したがって、ブーム1012が直立した位置へと上昇されているときに、ブームは、起立の間にモノパイルの上部端部をガイドするために使用されることが可能である。
【0295】
示されている実施形態では、ブーム1012は、A-フレームであり、トローリーガイドは、A-フレームの両方の脚の上に提供されているトラックを含む。トローリー1016は、A-フレームのそれぞれの脚に装着されて移動可能であり、したがって、クレーンのブームに沿ってガイドされるようにトローリーガイドと連結されている。
【0296】
ホイストを使用してモノパイルを建て起こしている間に、トローリーガイドに沿って、積載物連結デバイスをガイドするために、ひいては、積載物連結デバイスによって支持されているモノパイルの上部端部をガイドするために、トローリー1016は、積載物連結デバイス1026(ホイスト1014によって支持されている)に係合するように構成されている。
【0297】
図27は、本発明による据え付け船舶201の別の例示的な実施形態の概略上面図を示しており、船舶は、起立クレーン203と、船舶の中心軸線235と整合されている起立デッキ204と、を提供されている。
【0298】
図28は、起立クレーン203のブーム212が上昇された起立位置と下降された位置の両方で描かれた状態の、図27の船舶201を示している。
【0299】
図29は、起立クレーン203および保管クレーン209が風力タービンコンポーネント236を支持している状態の、図27の船舶201の側面図を示している。
【0300】
図30は、起立クレーン203のブーム212が起立位置にある状態の、図27の船舶の側面図を示しており、起立プロセスの複数の中間位置で描かれているモノパイル236を示している。
【0301】
図31図33は、どのようなプロセスがモノパイル236の起立に続くかを示している。モノパイル236が建て起こされると、クレーン203は、支持カート206から垂直方向にモノパイルをさらに持ち上げ、垂直方向旋回軸線219の周りに旋回し、モノパイルグリッパー207の上方にモノパイルを位置決めする(図11を参照)。その後に、クレーン203は、海底に向けてモノパイル236を下降させるために使用され、一方では、モノパイルがパイルグリッパー207によってガイドされる(図32を参照)。モノパイル236が海底の上に着地されると、クレーン203は、モノパイル236の上にハンマー237を装着するために使用され、モノパイルは、海底の中へ打ち込まれる(図33を参照)。
【0302】
図34は、船舶301の側面図を示しており、起立プロセスの複数の中間位置で描かれているマスト338を示している。
【0303】
図35は、船舶301の側面図を示しており、マスト338の上にナセル339を装着する起立クレーン303を示しており、マストは、直立した位置で支持されている。
【0304】
図36は、船舶301の側面図を示しており、据え付け場所において、組み立てられた風力タービン341を船外の位置に(すなわち、船舶301の輪郭の外側に)支持する起立クレーン303を示している。
【0305】
図37は、本発明による船舶401の別の例示的な実施形態の上面図を示しており、船舶401は、風力タービンコンポーネントを輸送するように、風力タービンを組み立てるように、および、組み立てられた風力タービンを基礎の上に装着するように構成されている。
【0306】
船舶401は、起立クレーン403および起立デッキ404を提供されており、起立デッキ404は、船舶401の中心軸線435と整合されている。
【0307】
図38は、クレーン403の概略側面図を示しており、クレーンのブーム412は、起立位置にあり、トローリー416は、組み立てられている風力タービンのナセル439に隣接してブレード440を支持するブレードインストーラーデバイス442を支持している。
【0308】
図39は、ブレードインストーラーデバイス442を拡大して示している。
【0309】
図40は、本発明による船舶501の別の例示的な実施形態の上面図を示している。船舶501は、起立クレーン503(起立クレーン503のクレーンベース511のみが描かれている)と、船舶の中心軸線535と整合されている起立デッキ504と、モノパイル536をガイドするためのグリッパー507と、を提供されている。
【0310】
示されている実施形態では、船舶501は、船舶の後部において、凹部543(すなわち、船舶の輪郭の中のセットバック)を含む。凹部543は、2つのデッキ部分544が両側に位置している。グリッパーは、モノパイル535をガイドするように構成されているモノパイルグリッパー507であり、モノパイル535は、凹部543の中に起立クレーン503によって支持されている。
【0311】
示されている特定の実施形態では、モノパイルグリッパーは、モノパイルをガイドするためのグリッパーデバイスまたはグリッパーリング545と、船舶の輪郭の外側にグリッパーリングを支持するための、および据え付け現場に対する、ひいては据え付け現場において支持されているパイルに対する船舶の移動を補償するために水平方向平面においてグリッパーリングを移動させるためのフレーム546と、を含む。
【0312】
グリッパーリング545は、2つのドアセクション547を提供されており、ドアセクション547は、閉鎖位置では、グリッパーリングの一部を形成しており、ドアセクション547は、進入開口部を提供するために開放されることが可能であり、進入開口部は、モノパイルがグリッパーリングに対して横方向にグリッパーリングの中へまたはグリッパーリングから外へ移動されることを可能にする。図40は、ドアセクションが閉鎖された状態のリングを描いており、図40および図42は、ドアセクションが開放された状態のリングを示している。
【0313】
示されている特定の実施形態では、グリッパーリング545は、支持フレーム546によって移動可能に支持されており、グリッパーリングが垂直方向軸線の周りに回転させられることが可能であるようになっており、したがって、グリッパーリングの進入開口部548が移動されることが可能であるようになっている。したがって、グリッパーリング456は、図40に示されているように、起立位置において起立クレーン503によって支持されているモノパイルを受け入れるために、進入開口部548が船舶の船首に面した状態で位置決めされることが可能であり、また、据え付け場所から離れるように移動する船舶によって、海底の中へ打ち込まれたモノパイルがグリッパーリングから外へ移動されることを可能にするために、進入開口部が船舶の後部を面した状態で位置決めされることが可能である。グリッパーリングの後者の位置は、図42に示されている。
【0314】
そのうえ、示されている例示的な実施形態では、支持フレーム546は、1つの端部が半円形の支持トラック549の上に装着された状態で枢動可能に支持されており、フレームが垂直方向枢動軸線の周りに枢動されることが可能であるようになっている(図40図42を参照)。フレームは、グリッパーリングを伸縮自在に支持するように構成されており、それがグリッパーリングを半円形トラックに向けておよび半円形トラックから離れるように移動させることができるようになっている。したがって、グリッパーリングは、船舶に対して水平方向平面において移動されることが可能であり、モノパイルの下側端部が船上の位置から船外の位置へと船舶の中心軸線に沿って移動される状態で、グリッパーリングが移動することが可能である。したがって、モノパイルは、モノパイルが移動される間に、その上部端部において、トローリーによって完全に支持されており、その下側端部において、グリッパーリングによって支持されている。
【0315】
グリッパー507は、船舶501のデッキの上に支持されている。グリッパー507は、起立クレーン503によって支持されているモノパイル535の下側端部を受け入れるように位置決めされている。
【0316】
図41は、船舶501の上面図を示している。グリッパー507は、クレーンとともに移動し、モノパイル535を船上の位置(図40に描かれている)から船外の位置(図42に描かれている)へ移送する。
【0317】
図42は、船舶501の上面図を示しており、グリッパー507は、据え付け場所においてモノパイル535をガイドするように位置決めされている。
【0318】
本発明は、以下の条項のうちの1つ以上にしたがって要約されることが可能である。
31. 細長い風力タービンコンポーネントを、たとえば、風力タービンを支持するための基礎パイル、または、風力タービンのナセルを支持するためのマストを、船舶の船上において建て起こすためのリフティングデバイスであって、リフティングデバイスは、
- ベースであって、ベースは、リフティングデバイスを船舶の船体に固定するように構成されている、ベースと、
- 細長い直立した上部構造体と、
- 直立した上部構造体に沿ってその長手方向に延在するトローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと、
- トローリーであって、トローリーは、直立した上部構造体に沿って移動可能であるようにトローリーガイドと連結されており、トローリーガイドによってガイドされ、トローリーは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において係合するように、および、それを枢動可能に支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、または、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持するために、随意的に、トローリーに提供されたカップラーを介して、そのような風力タービンコンポーネント係合デバイスを受け入れるように構成されている、トローリーと、
- リフティングアッセンブリであって、リフティングアッセンブリは、たとえば、トローリーを介して、風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーに接続されているかまたは接続可能であり、また、接続されたときに、風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーとともに、トローリーを、および、それとともに、支持されている風力タービンコンポーネントの上部端部を、トローリーガイドに沿って、および、それとともに、上部構造体に沿って、風力タービンコンポーネントの上部端部がベースにあるかまたはその近くにある状態の、風力タービンコンポーネントの下側位置から、上部端部がベースから遠隔にある状態の上側位置、および、上部構造体と並んだ風力タービンコンポーネントの直立配向へ、移動させるように構成されている、リフティングアッセンブリと、
を含む、リフティングデバイス。
【0319】
32. リフティングアッセンブリは、巻き上げ用アッセンブリであり、巻き上げ用アッセンブリは、巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーを含み、接続されているときに、トローリー、ならびに、それとともに、風力タービン係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーが、巻き上げ用ウィンチを動作させることによって、ガイドに沿って移動可能であるようになっている、条項31に記載のリフティングデバイス。
【0320】
33. 巻き上げ用アッセンブリは、直立した上部構造体において上側滑車アッセンブリを含み、巻き上げ用アッセンブリは、たとえば、トローリーへのその接続部によって、下側滑車アッセンブリを含む積載物連結デバイスを介して、風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーに接続されているかまたは接続可能であり、ホイストワイヤーは、上側および下側滑車アッセンブリを通って複数のフォールに配置されており、クレーンが巻き上げ用ウィンチを使用して積載物を持ち上げることを可能にする、条項32に記載のリフティングデバイス。
【0321】
34. リフティングデバイスは、クレーンであり、リフティングデバイスのベースは、クレーンベースであり、直立した上部構造体は、直立したクレーン上部構造体であり、クレーン上部構造体は、
- クレーンハウジングと;
- ブームと;
を含み、
ブームは、ブームベース端部とブーム上部端部との間に延在しており、ブームは、ブームベース端部において、水平方向ブーム枢動軸線の周りにクレーンハウジングによって枢動可能に支持されており、ブームは、クレーンベースから所定の水平方向距離において積載物をリフトするための低下された位置と、クレーンベースと並んでパイルを建て起こすための、直立した上部構造体を形成するための上昇された起立位置と、を有しており、好ましくは、トローリーガイドの少なくとも一部は、ブームに装着されており、
クレーンは、
- ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤーであって、ラフィングウィンチは、クレーンハウジングの上に装着されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、水平方向ブーム枢動軸線の周りでの低下された位置と上昇された起立位置との間でのブームの枢動を可能にする、ラフィングウィンチおよび関連のラフィングワイヤー、
をさらに含む、条項32または33に記載のリフティングデバイス。
【0322】
35. リフティングデバイス、たとえばクレーンは、ベースと上部構造体との間に、たとえば、クレーンベースとクレーンハウジングとの間に提供されている旋回軸受をさらに含み、旋回軸受は、上部構造体がベースに対して垂直方向旋回軸線の周りに旋回することを可能にする、条項31から34のうちのいずれか1つ以上に記載のリフティングデバイス。
【0323】
36. クレーンは、ブーム固定デバイスをさらに含み、ブーム固定デバイスは、ブームをその上昇された起立位置に拘束するためのストップと、ブームを上昇された起立位置にロックするためのロッキングデバイスと、を含む、少なくとも条項34に記載のリフティングデバイス。
【0324】
37. クレーンは、上昇された起立位置からブームを枢動させるためのブームモビライザーをさらに含み、たとえば、ブームを押すもしくは引っ張るために動作する油圧シリンダー、または、上昇された起立位置からブームを枢動させるためにブームを引っ張るための関連のワイヤーを備えたブームモビリゼーションウィンチをさらに含む、少なくとも条項34に記載のリフティングデバイス。
【0325】
38. トローリーガイドは、そのうえ、クレーンのベースに沿って延在しており、条項34に記載のリフティングデバイスでは、少なくともブームが起立位置にあるときに、水平方向ブーム枢動軸線の下方に延在している、条項31から37のうちのいずれか1つ以上に記載のリフティングデバイス。
【0326】
39. トローリーガイドは、クレーンのブームに装着されているブームセクションと、クレーンのベースに装着されているベースセクションと、を含み、トローリーは、たとえば、風力タービンコンポーネントの上部端部を風力タービンコンポーネント係合デバイスに連結するために、ブームセクションからベースセクションの上に移動可能である、条項38に記載のリフティングデバイス。
【0327】
40. 風力タービンコンポーネント係合デバイス、および/または、存在する場合には、そのためのカップラーは、アクティブX-Y運動デバイスの上に配置されており、アクティブX-Y運動デバイスは、リフティングデバイスが船体に固定されているときに、船舶のX-Y平面においてトローリーガイドに対して、たとえば、存在する場合には、そのためのカップラーを介して、風力タービンコンポーネント係合デバイスを移動させるように構成されている、条項31から39のうちの1つ以上に記載のリフティングデバイス。
【0328】
41. アクティブX-Y運動デバイスは、X-Y運動補償作動制御システムを含み、アクティブ運動補償作動システムは、アクティブ海況誘起運動補償モードを有しており、アクティブ海況誘起運動補償モードでは、作動システムは、X-Y平面における船舶の海況誘起運動を補償するように動作される、条項40に記載のリフティングデバイス。
【0329】
42. アクティブX-Y運動デバイスは、たとえば、アクティブ運動補償作動制御システムを含み、アクティブX-Y運動デバイスは、リフティングデバイスが船体に固定されているときに、船舶のX-Y平面において互いに非平行に延在する、1つ以上の第1のトラック、たとえば、レールと、1つ以上の第2のトラック、たとえば、レールと、を含み、第2のトラックは、第1のトラックの上で移動可能であり、作動システムは、第1のトラックの上で第2のトラックを移動させるために第1のトラックと第2のトラックとの間で動作する1つ以上の第1のX-Y運動アクチュエーターアッセンブリと、第2のトラックの上で風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはカップラーを移動させるために第2のトラックと風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはそのためのカップラーとの間で動作する1つ以上の第2のX-Y運動アクチュエーターアッセンブリと、をさらに含む、条項40または41に記載のリフティングデバイス。
【0330】
43. アクティブX-Y運動デバイスの第1および第2のX-Y運動アクチュエーターアッセンブリは、モーター動力式変位アクチュエーターアッセンブリ、たとえば、ポンプおよび1つ以上の油圧シリンダーをそれぞれ含む油圧パワーアッセンブリであるか、または、ウィンチアッセンブリである、条項42に記載のリフティングデバイス。
【0331】
44. クレーンは、風力タービンコンポーネントを支持するためのクレーンタワーをさらに含み、ブームは、クレーンの旋回軸線に対してクレーンの上にその一方の側に提供されており、クレーンタワーは、旋回軸線に対してクレーンの反対側に提供されており、クレーンタワーは、そのベース端部と上部端部との間に延在しており、旋回軸線の周りでクレーンのブームとともに旋回するために、クレーンハウジングの上に固定された直立配向で装着されており、
クレーンタワーは、
- タワーに沿ってその長手方向に延在するタワートローリーガイド、たとえば、1つ以上のガイドレールを含むトラックと;
- タワートローリーであって、タワートローリーは、タワーに沿って移動可能であるようにタワートローリーガイドと連結されており、タワートローリーガイドによってガイドされ、たとえば、タワートローリーは、風力タービンコンポーネントにその上部端部において連結するように、および、それを支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、または、たとえば、トローリーは、風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持するために、そのような風力タービンコンポーネント係合デバイスおよび/またはカップラーを受け入れるように構成されている、タワートローリーと;
- タワー巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーであって、巻き上げ用ワイヤーは、風力タービンコンポーネントをリフトおよび低下させるためにトローリーガイドに沿ってクレーントローリーを巻き上げるために、クレーンタワーの上部を介してガイドされる、タワー巻き上げ用ウィンチおよび関連の巻き上げ用ワイヤーと、
を提供されている、少なくとも条項35に記載のリフティングデバイス。
【0332】
45. リフティングデバイスは、リフティングデバイスによってその直立配向で支持されている風力タービンコンポーネントの下側セクションに係合するために、とりわけ、風力タービンコンポーネントを直立配向で支持しながら、クレーンの旋回の間に風力タービンコンポーネントの揺れを防止するために、風力タービンコンポーネント固定アームまたはタガーを提供されている、少なくとも条項35に記載のリフティングデバイス。
【0333】
46. 1つ以上の巻き上げ用ワイヤーは、上側滑車アッセンブリと下側滑車アッセンブリとの間を通っており、巻き上げ用ウィンチは、風力タービンコンポーネントを支持および持ち上げるのに十分な、たとえば、組み立てられた風力タービンまたはパイルを持ち上げるのに十分な動力を有している、少なくとも条項33に記載のリフティングデバイス。
【0334】
47. ブームは、ジブを含み、上側滑車アッセンブリは、ジブの中に提供されており、巻き上げ用ワイヤーが、たとえば、カップラーおよび/またはトローリーを介して、少なくとも風力タービンコンポーネント係合デバイスに接続されているときに、ブームから水平方向に間隔を置いて配置されて延在するようになっており、好ましくは、風力タービンコンポーネント係合デバイスによってその直立配向で支持されている風力タービンコンポーネントの中心軸線と実質的に一致しているようになっている、少なくとも条項33および34に記載のリフティングデバイス。
【0335】
48. トローリーと上側滑車アッセンブリとの間に延在する巻き上げ用ワイヤーの一部分は、トローリーガイドに対して平行に走っている、少なくとも条項53よび47に記載のリフティングデバイス。
【0336】
49. クレーンブームは、そのベース端部においてガントリーを含み、また、上部端部においてガントリージブを含み、ガントリーとガントリージブとの間に延在する1つ以上のガントリーワイヤーを提供されており、ラフィングワイヤーは、ラフィングウィンチとブームとの間に延在しており、ラフィングウィンチとブームのガントリーとの間に延在している、少なくとも条項34に記載のリフティングデバイス。
【0337】
50. ブームは、2つの脚を含むA-フレームを形成しており、トローリーガイドが、A-フレームの両方の脚の上に、たとえば、それぞれの脚の上の1つ以上のトラック、たとえば、レールの上に提供されている、少なくとも条項32に記載のリフティングデバイス。
【0338】
51. トローリーは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において枢動可能に支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを提供されており、トローリーは、ホイストの積載物連結デバイスと連結されるように構成されている、少なくとも条項33に記載のリフティングデバイス。
【0339】
52. トローリーは、ホイストの積載物連結デバイスによって支持されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを受け入れるように構成されている、少なくとも条項33に記載のリフティングデバイス。
【0340】
53. トローリーは、ホイストの積載物連結デバイスを受け入れるように構成されており、その積載物連結デバイスは、風力タービンコンポーネントをその上部端部において枢動可能に支持するように構成されている風力タービンコンポーネント係合デバイスを支持している、少なくとも条項33に記載のリフティングデバイス。
【0341】
54. クレーンは、トローリーホイストをさらに含み、トローリーホイストは、関連のトローリー巻き上げ用ワイヤーを備えたトローリー巻き上げ用ウィンチを含み、トローリー巻き上げ用ワイヤーは、トローリーガイドに沿ってトローリーを移動させるために、クラウンブロックを介してトローリーにガイドされている、少なくとも条項32に記載のリフティングデバイス。
【0342】
55. クレーンは、2次的なホイストをさらに含み、2次的なホイストは、積載物に接続されるように構成されている2次的な積載物連結デバイスを支持する関連の2次的な巻き上げ用ワイヤーを備えた2次的な巻き上げ用ウィンチを含み、巻き上げ用ワイヤーは、2次的な巻き上げ用ウィンチを使用して、クレーンベースから水平方向に間隔を置いて配置された積載物をリフトするために、クラウンブロックを介して積載物連結デバイスにガイドされている、少なくとも条項32に記載のリフティングデバイス。
【0343】
56. 据え付け船舶であって、据え付け船舶は、風力タービンコンポーネント、たとえば、パイル、たとえば、モノパイル、またはマストの据え付けおよび好ましくは輸送のためのものであり、据え付け船舶は、
- 船体であって、船体は、起立デッキを形成している、船体と、
- 条項31から55のうちの1つ以上に記載のリフティングデバイスであって、リフティングデバイスは、起立デッキに隣接して船舶の船体によって支持されている、リフティングデバイスと、
- カートトラックであって、カートトラックは、起立デッキに沿って延在している、カートトラックと、
- 風力タービンコンポーネントの底部端部を支持するための支持カートであって、支持カートは、カートトラックによって支持されており、クレーンから遠位にある位置から、クレーンに隣接する位置へ、起立デッキに沿って風力タービンコンポーネントの底部端部をガイドするために、カートがカートトラックに沿って移動することを可能にする、支持カートと、
- グリッパーであって、グリッパーは、たとえば、船舶に隣接して水の中へ垂直方向位置において下降されているモノパイルをガイドするために、または、マストを装着するための浮体式基礎に係合するために、および、好ましくは、それを安定化させるために、船舶の輪郭の外側に延在している、グリッパーと、
を含む、据え付け船舶。
【0344】
57. 船舶は、そのうえ、保管デッキを含み、保管デッキは、船舶の船体によって支持されており、保管デッキは、複数の風力タービンコンポーネントを水平方向位置に支持するための保管ラックを提供されており、保管デッキおよび保管ラックは、複数の風力タービンコンポーネントを、互いに平行に、および、好ましくは船舶の長手方向軸線に対して平行に支持するように構成されている、条項31から56のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0345】
58. リフティングデバイスは、直立した上部構造体から所定の距離に間隔を置いて巻き上げ用ワイヤーを配置するために、直立した上部構造体の上部端部においてジブを含み、また、直立した上部構造体をベースに対して垂直方向旋回軸線の周りに旋回させるための旋回軸受を含む、条項56または条項57に記載の船舶。
【0346】
59. リフティングデバイスは、保管デッキの一方の端部に位置付けされており、船舶は、保管デッキの反対側端部において保管クレーンを提供されており、リフティングデバイスおよび保管クレーンは、保管デッキから起立デッキへ風力タービンコンポーネントを一緒に持ち上げるように構成されており、リフティングデバイスおよび保管クレーンは、風力タービンコンポーネントの端部をそれぞれ持ち上げる、条項58に記載の船舶。
【0347】
60. 起立デッキおよびリフティングデバイスは、風力タービンコンポーネントが、起立デッキの上に水平方向位置に支持されているときに、および、風力タービンコンポーネントの上部端部が積載物連結デバイスに連結された状態になっているときに、船舶の長手方向軸線に対して平行であるように構成されている、条項58または59に記載の船舶。
【0348】
61. カートトラックは、リフティングデバイスの旋回軸線と整合されており、一方の端部においてカートによって支持され、反対側端部においてトローリーと連結されている風力タービンコンポーネントの中心軸線が、リフティングデバイスの旋回軸線と整合されるようになっている、条項58から60のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0349】
62. カートトラックを備えた起立デッキは、船舶の中心軸線の上に位置付けされており、リフティングデバイスは、たとえば、船舶の側部に沿って、船舶の中心軸線から離れるように装着されており、したがって、カートトラックは、リフティングデバイスの旋回軸線と整合されていない、条項58から60のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0350】
63. グリッパーは、パイルグリッパーであり、船舶の中心長手方向軸線の上にリフティングデバイスによって支持されているパイルに係合するために、船舶の船尾に位置付けされている、条項57から62のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0351】
64. 船舶は、船舶の船尾に凹部を含み、凹部は、2つのデッキ部分が両側に位置しており、パイルグリッパーは、凹部の中でモノパイルをガイドするように構成されている、条項63に記載の船舶。
【0352】
65. パイルグリッパーは、デッキ部分のうちの1つの上に装着されており、起立クレーンは、反対側のデッキ部分の上に装着されている、条項64に記載の船舶。
【0353】
66. 起立デッキは、船舶の中心軸線の上に提供されており、凹部と整合されており、起立デッキの反対側には、保管デッキが提供されており、保管デッキは、デッキ部分と整合されており、保管デッキは、クレーンがその上に装着されているデッキ部分と整合されており、風力タービンブレードのための保管部を提供されている、条項65に記載の船舶。
【0354】
67. 船舶は、風力タービンを組み立てるために、すなわち、マストの上にナセルを装着するために、および、ナセルにブレードを提供するために、起立デッキの端部において、および、リフティングデバイスに隣接して、風力タービンアッセンブリステーションを提供されている、条項57から66のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0355】
68. リフティングデバイスは、ブレードインストーラーデバイスを含み、そのブレードインストーラーデバイスは、風力タービンブレードを支持するために、および、リフティングデバイスに隣接して風力タービンアッセンブリステーションの中に支持されているマストの上に装着されているナセルに対してブレードを位置決めするために、トローリーに装着されることが可能である、条項57から67のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0356】
69. ブレードインストーラーデバイスは、
- ベースであって、ベースは、トローリーに装着されるように構成されており、または、専用のトローリーと一体化されるように構成されている、ベースと;
- コネクターであって、コネクターは、風力タービンブレードに係合するように構成されており、または、ブレードの上に除去可能に装着されているブレードサポートに係合するように構成されている、コネクターと;
- 枢動アームであって、枢動アームは、ベース端部において、使用時に垂直方向軸線の周りに枢動するようにベースに接続されており、また、反対側端部において、使用時に垂直方向軸線の周りに枢動するようにコネクターに接続されている、枢動アームと;
を含む、条項68に記載の船舶。
【0357】
70. トローリーは、組み立てられた風力タービンを支持するように構成されており、リフティングデバイスは、組み立てられた風力タービンのマストにその下側端部において係合するように、第2のトローリーを提供されており、リフティングデバイスによって支持されているときに、組み立てられた風力タービンを安定化させる、条項57から69のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0358】
71. グリッパーは、基礎グリッパーであり、基礎グリッパーは、浮体式基礎に係合するように構成されており、船舶に対して水平方向平面において浮体式基礎を位置決めし、かつ/または、船舶に対して浮体式基礎を安定化させる、条項57から70のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0359】
72. グリッパーは、モノパイルグリッパーであり、モノパイルグリッパーは、起立クレーンを使用して船舶に隣接して低下されているモノパイルをガイドするように構成されている、条項57から70のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0360】
73. 船舶は、基礎グリッパーおよびモノパイルグリッパーを含み、好ましくは、パイルグリッパーは、基礎グリッパーの中に一体化されている、条項57から72のうちの1つ以上に記載の船舶。
【0361】
74. 条項57から73のうちの1つ以上に記載の据え付け船舶を使用して風力タービンコンポーネントを建て起こすための方法であって、本方法は、
- 風力タービンコンポーネントの一方の端部をリフトするための巻き上げ位置にブームを備えたクレーン、および、風力タービンコンポーネントの反対側端部をリフトする保管クレーンを使用して、起立デッキの上に水平方向位置で風力タービンコンポーネントをリフトするステップと;
- 巻き上げ位置から上昇された起立位置へとブームを移動させるステップと;
- 積載物連結デバイスおよび/またはトローリーによって支持されている風力タービンコンポーネント係合デバイスと風力タービンコンポーネントを係合させるステップと;
- 下降された連結位置から上昇された支持位置へブームに沿ってトローリーを移動させることによって、風力タービンコンポーネントの一方の端部を持ち上げるための起立位置にブームを備えたクレーンを使用して、風力タービンコンポーネントを建て起こすステップと;
を含む、方法。
【0362】
75. 風力タービンコンポーネントは、モノパイルであり、グリッパーは、モノパイルグリッパーであり、本方法は、
- 起立させるステップの後に、少なくとも180度の旋回角度にわたって、好ましくは、180度よりも大きい旋回角度にわたって、たとえば、190度の旋回角度にわたって、垂直方向旋回軸線の周りにクレーンを旋回させ、モノパイルを起立デッキから船舶の側部を越えて移動させ、その後に、船舶の船体の後方端部に装着されているモノパイルグリッパーに向けて移動させることによって、起立デッキの上方の起立場所から据え付け位置へモノパイルを移動させるステップであって、その据え付け位置では、モノパイルは、モノパイルグリッパーと整合されている、ステップ、
をさらに含む、条項74に記載の方法。
【符号の説明】
【0363】
1 船舶
2 船体
3 リフティングデバイス、クレーン
4 起立デッキ
5 カートトラック
6 支持カート
7 パイルグリッパー
8 保管デッキ
9 保管クレーン
10 パイル
11 リフティングデバイス3のベース
12 ブーム
12a ベース端部
12b 上部端部
14 リフティングアッセンブリ
15 トローリーガイド
16 トローリー
17 旋回軸受
18 クレーンハウジング
19 旋回軸線
20 水平方向ブーム枢動軸線
21 ラッフィングウィンチ
22 ラッフィングワイヤー
23 巻き上げ用ウィンチ
24 巻き上げ用ワイヤー
25 上部ブロック
26 積載物連結デバイス
43 凹部
44 デッキ部分
71 グリッパーデバイス
72 グリッパーベース
73 湾曲したレール
74 リング
75 開口部
76 パイル係合ツール
77 ジョー
78 支持フレーム
80 パイル係合デバイス
201 据え付け船舶
203 起立クレーン
204 起立デッキ
206 支持カート
207 モノパイルグリッパー
209 保管クレーン
212 ブーム
219 垂直方向旋回軸線
235 中心軸線
236 風力タービンコンポーネント、モノパイル
237 ハンマー
301 船舶
303 起立クレーン
338 マスト
339 ナセル
341 風力タービン
401 船舶
403 起立クレーン
404 起立デッキ
416 トローリー
435 中心軸線
439 ナセル
440 ブレード
442 ブレードインストーラーデバイス
501 船舶
503 起立クレーン
504 起立デッキ
507 グリッパー
511 クレーンベース
535 中心軸線
536 モノパイル
543 凹部
545 グリッパーリング
546 フレーム
547 ドアセクション
548 進入開口部
549 支持トラック
1001 据え付け船舶
1002 船体
1003 リフティングデバイス、クレーン
1004 起立デッキ
1005 カートトラック
1006 支持カート
1007 モノパイルグリッパー
1008 保管デッキ
1009 保管クレーン
1010 モノパイル
1011 クレーンベース
1012 ブーム
1012a ベース端部
1012b 上部端部
1013 ラッフィングウィンチ
1014 ホイスト
1015 トローリーガイド
1016 トローリー
1017 旋回軸受
1018 クレーンハウジング
1019 垂直方向旋回軸線
1020 水平方向ブーム枢動軸線
1021 ラッフィングウィンチ
1022 ラッフィングワイヤー
1023 巻き上げ用ウィンチ
1024 巻き上げ用ワイヤー
1025 上部ブロック
1026 積載物連結デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32-33】
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
【国際調査報告】