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特表2024-522272アデノシンキナーゼを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-13
(54)【発明の名称】アデノシンキナーゼを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240606BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240606BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240606BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
C12N15/113 130Z
C12N15/113 ZNA
A61K31/7125
A61K31/712
A61P25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572540
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2022065217
(87)【国際公開番号】W WO2022254021
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】PA202170290
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523355791
【氏名又は名称】ニューミルナ セラピューティクス エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カウッピネン,マルカス サカリ
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン,リッケ
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,スタイン ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】クリットガード,ヘンリク ヴァルデマー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA06
4C086ZB21
(57)【要約】
【課題】
癲癇及び脳損傷の原因になる可能性の高い他の神経学的傷害が発生するプロセスを特異的に標的とする処置又は防止手段に対する高いニーズが存在する。
【解決手段】
本発明は、アデノシンキナーゼを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。かかるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、癲癇などの神経学的疾患の範囲の処置に有用である。本発明のオリゴヌクレオチドを用いた組成物及び神経学的疾患の処置方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ADKmRNA(配列番号1)に相補的であり10~30ヌクレオチド長の配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの親和性増強用ヌクレオチドアナログを含み、且つ前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドがADK-Lに特異的であり、且つ配列番号2、120、121、又は122~132のいずれかに相補的である、請求項1)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも5連続DNAヌクレオチドの連続ストレッチを含有する、請求項1)又は2)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが4DNAヌクレオチド超の連続ストレッチを含有しない、たとえば、3連続DNAヌクレオチド以下である、請求項1)~2)のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが14~19ヌクレオチド長の配列を含む、請求項1)~4)のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
前記親和性増強用ヌクレオチドアナログが、LNA、トリシクロ-DNA、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’メトキシエチル(2’MOE)、2’環状エチル(cET)、UNA、2’フルオロ、及びコンフォメーショナル制限ヌクレオシド(CRN)のリストから選択される、請求項1)~5)のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つのLNAを含む、請求項1)~6)のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号3~73のいずれか1つ、又は配列番号74~100のいずれか1つ、又は配列番号133~147のいずれか1つである、請求項1)~7)のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号10、11、14、16、18、23、36、41、42、43、64、65、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、又は147のいずれか1つである、請求項1)~8)のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、以下の配列番号:
(配列番号10)5’CTttatacttATtAGgAAG3’又は
(配列番号16)5’CTttatacttATtAGgAAG3’又は
(配列番号41)5’AGctTtTtAAagcaaCAG3’又は
(配列番号42)5’CTTtgggattTCaGAAA3’又は
(配列番号43)5’CTTtgggattTCaGAAA3’又は
(配列番号136)5’CTttatacttATtAGgAAG3’又は
(配列番号137)5’CTttatacttATtAGgAAG3’又は
(配列番号139)5’CTttgggatTTCaGAAA3’
(ただし、大文字はLNAを表し、小文字はDNAであり、大文字CはLNA 5-メチルシトシンであり、LNAはベータ-D-オキシLNAであり、且つすべてのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート連結である)
のいずれか1つである、請求項9)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
前記オリゴヌクレオチドが送達媒質に連結されるか又は標的化送達用として製剤化される、請求項1)~10)のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドが別の薬剤との組合せでの使用のためのものある、請求項1)~11)のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
医薬剤としての使用のための、請求項1)~12)のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
前記使用が、ADK-Lの発現に基づくCNS又はPNSの疾患の処置のためのものある、請求項1)~13)のいずれか一項に記載の使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【請求項15】
前記CNS又はPNSの疾患が神経学的障害である、請求項1)~14)のいずれか一項に記載の使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【請求項16】
前記神経学的障害が癲癇である、請求項1)~15)のいずれか一項に記載の使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アデノシンキナーゼを標的とする新規アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。この化合物は、癲癇などの神経学的疾患の処置に有用である。
【背景技術】
【0002】
背景
癲癇は、重篤な再発性自発性発作により特徴付けられる慢性神経学的障害であり、全世界で約5000万人が罹患している。現在利用可能な抗癲癇薬剤は、典型的には患者の3分の2で発作を抑制するが、おそらく根底にある病理生理学的機能には影響を及ぼさない。癲癇患者の残りの3分の1は、薬剤抵抗性であるか又は現在利用可能な薬剤から重篤な副作用を受けるかのどちらかである。脳手術、迷走神経刺激、頭蓋内刺激、及びケト原性食事は、薬剤処置を受けるという選択肢のない患者において発作を回避する代替手段となる。症状性(後天性)癲癇の発生は、なかでもとくに、イオンチャネル及びニューロトランスミッターレセプターの発現改変、シナプティックリモデリング、炎症、グリオーシス、並びにニューロナル死が関与していると考えられる。しかしながら、これらのプロセスを標的とする抗癲癇原性介入には、in vivoで十分な効能を示してきたものがほとんどなく、細胞及び分子機序についての我々の理解は不完全なままである。癲癇発生の原因になる可能性の高い脳傷害の後の予防処置(「抗癲癇原性」)は、現在存在しない。同様に、癲癇重積ステータス(SE)に対しても、脳損傷や癲癇の原因になる可能性の高い急性神経学的傷害、たとえば、脳卒中や外傷の処置に対しても、特異的ニューロン保護処置は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、癲癇及び脳損傷の原因になる可能性の高い他の神経学的傷害が発生するプロセスを特異的に標的とするとともに以上に挙げた問題のいくつかを克服する処置又は防止手段に対する高いニーズが満たされないまま存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
アデノシン及びアデノシンキナーゼ
アデノシンは、脳の十分に特徴付けられた内因性抗痙攣剤及び発作ターミネーターである。アデノシンは、発作発生(発作原性)、癲癇の発生及びその進行(癲癇原性)に影響を及ぼす。アデノシン代謝の不適応性変化、特定的にはアストログリアル酵素アデノシンキナーゼ(ADK)の発現増加は、癲癇原性でメジャーな役割を果たす。(Weltha et al,2019,The role of adenosine in epilepsy,Brain Res Bull 2019 September,page1-22.)
【0005】
N末端の異なる2つのADKアイソフォームが哺乳動物細胞で発現される。ADKは、プリンヌクレオシドアデノシンの細胞内及び間質内濃度をレギュレートする際に中心的な役割を果たし、このことから効力のある心保護及びニューロン保護活性を呈する。アデノシンキナーゼの発現は、癲癇性発作又は脳卒中の後に脳内で迅速協調変化を受けて、アデノシンの急性サージをもたらし、このことから脳への損傷を最小限に抑える働きをする。哺乳動物細胞内のアデノシンキナーゼの2つのアイソフォームは、それらのN末端のみが互いに異なる。ロングアイソフォーム(AdK-L)は、AdK-ショート(AdK-S)アイソフォームの最初の4つのアミノ酸の代わりに追加の20~21アミノ酸を含有する。AdK-LのN末端伸長は、核局在化シグナルとして機能する。そのため、2つのアイソフォームのうち、AdK-Lは核を標的とし、一方、AdK-Sは細胞質に限局される。(Cui et al,2011,Molecular Characterization of Chinese Hamster Cells Mutants Affected in Adenosine Kinase and Showing Novel Genetic and Biochemical Characteristics,BMC Biochemistry 2011.)
【0006】
アデノシンは、さまざまな心保護作用を発揮する。さらに、ADK発現のディスレギュレーション及びその結果としてのアデノシンホメオスタシスの破壊は、広範にわたる神経学的及び神経精神医学的病理に関係する。アストログリアルADKは、癲癇での発作の予測及び防止のための有望な標的である。アストログリオーシス及びADKの関連過剰発現はまた、側方液パーカッション傷害により誘発される重篤な外傷性脳傷害(TBI)のラットモデルでも同定されてきた。さらに、ADK発現レベルは、脳卒中の影響に対する脳の脆弱性をクリティカルに決定する。睡眠及び睡眠の強度もまた、アデノシン及びそのレセプターアゴニストにより増強され、一方、カフェインやテオフィリンなどのアンタゴニストは、覚醒を誘発する。Boisonらによれば、ADKの過剰発現と認知障害との関連は、ADKの過剰発現が確認されているか(癲癇)又は推測されているか(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症)のどちらかである神経学的病態に対する病理学的関連付けとなりうる。統合失調症のアデノシン仮説は、アデノシンシグナリングの機能減退が統合失調症の病理生理学的機能に寄与しうると仮定する。糖尿病では、アデノシンホメオスタシスは、いくつかの組織でクリティカルに改変される。さらに、アデノシンレセプターシグナリングのホメオスタシスは、炎症のレギュレーション及び炎症促進性サイトカインの放出に決定的に重要である。また、アデノシンレセプターシグナリングのホメオスタシスは、IBDで慢性炎症性反応に対してクリティカルに有意である。癌でのアデノシン/ADKレギュラトリー系の役割は、癌のタイプに依存しうる。ADK活性は、肝腫細胞で低減することが見いだされたことから、アデノシンの増加は、肝癌に対して選択有利性を提供しうることが示唆される。(Boison et al.,2013,Adenosine Kinase:Exploitation for Therapeutic Gain,Pharmacol Rev 65:906-943,July 2013.)
【0007】
アデノシンレセプター
阻害性アデノシンA1レセプターの活性化は、癲癇、慢性疼痛、及び脳虚血に有益であり、促進性A2Aレセプターの阻害は、強いニューロン保護作用を有する。(Boison et al,2008,Adenosine as a neuromodulator in neurological diseases,Curr Opin Pharmacol,2008 February.)
【0008】
アデノシンは、最も豊富な阻害性アデノシンA1レセプター(A1R)及びそれほど豊富でないが広範にわたる促進性A2ARを介して作動するニューロモジュレーターである。A1Rは、グルタメート放出を減少させニューロンを過分極するので、ニューロン保護に主要な役割を果たすと通常仮定される。(Rodrigo A.Cunha,2005,Neuroprotection by adenosine in the brain:From A1 receptor activation to A2A receptor blockade,Purinergic Signalling(2005)1:111-134.)
【0009】
アデノシンキナーゼを阻害することにより又は髄腔内選択的A3ARアゴニストでA3ARを活性化することにより脊髄でのA3ARシグナリングを回復すると、化学療法誘発神経因性痛(CINP)の確立が防止される。(Wahlman et al,2018,Chemotherapy-induced pain is promoted by enhanced spinal adenosine kinase levels via astrocyte-dependent mechanisms,Pain.2018 Jun;159(6):1025-1034..)
【0010】
癲癇、ニューロン保護、及び精神医学的障害
アデノシンは、抗痙攣及びニューロン保護作用を有する。(Patodia et al,2020,Adenosine kinase and adenosine receptors A1R and A2AR in temporal lobe epilepsy and hippocampal sclerosis and association with risk factors for SUDEP,Epilepsia,page 787-797.)
【0011】
アデノシンキナーゼインヒビターを用いた局所アデノシン増強療法は、動物モデル及びさまざまな病因の難治性癲癇患者から切除されたヒト脳組織の両方で発作の低減に有効であることが証明されている。発作を低減することに加えて、アデノシン増強療法はまた、休眠、認知、又は鬱のような併存症を緩和することも可能である。ADKが低減されたトランスジェニックマウスは、急性脳傷害により誘発される癲癇原性に対して抵抗性があった。(Wang et al,2020,Role of Adenosine Kinase Inhibitor in Adenosine Augmentation Therapy for Epilepsy:A Potential Novel Drug for Epilepsy,Current Drug Targets,abstract.)
【0012】
Boison et al.2006によれば、アデノシンは、ニューロン保護及び抗痙攣の性質を有する脳の活動の阻害性モジュレーターである。そのため、アデノシンの細胞ベース送達は、癲癇及び脳卒中の新規な療法としてかなり有望視されている。(Boison et al,2013,Adenosine kinase,epilepsy and stroke:mechanisms and therapies,Trends Pharmacol Sci,Abstract.)アデノシンキナーゼはまた、神経精神医学的疾患に関連する成人期の挙動を媒介する発生的役割も果たす。(Osborne et al,2018,Developmental role of adenosine kinase for the expression of sex-dependent neuropsychiatric behaviour,Neuropharmacology,2018 Octoberds Pharmacol Sci,Abstract)[統合失調症、自閉症、ADHD]
【0013】
アデノシンキナーゼの薬理学的阻害によるアデノシンの増強は、マウスにおいて抗精神病様活性を発揮することが、Hai-Ying Shen et al 2012による試験で分かった。さらに、トランスジェニックマウスにおけるADKの過剰発現は、統合失調症に関連する注意障害に関連付けられた。(Hai-Ying Shen et al 2012,Adenosine augmentation ameliorates psychotic and cognitive endophenotypes of schizophrenia,J Clin Invest,page 2567-2577.)
【0014】
疼痛
Otsuguro et al.2015によれば、アデノシンキナーゼインヒビターは、疼痛を抑制するための潜在的候補である。(Otsuguro et al,.2015,An adenosine kinase inhibitor,ABT-702,inhibits spinal nociceptive transmission by adenosine release via equilibrative nucleoside transporters in rat,neuropharmacology volume 97,abstract.)アデノシンキナーゼのインヒビターは、組織興奮性亢進部位で阻害性ニューロモジュレーターアデノシンの細胞外濃度を増強し、疼痛及び炎症の動物モデルにおいて抗侵害受容作用を生じる。さらに、アデノシンキナーゼインヒビターは特異的抗痛覚過敏作用を生じる。(Jarvis et al,2002,Comparison of the ability of adenosine kinase inhibitors and adenosine receptor agonists to attenuate thermal hyperalgesia and reduce motor performance in rats,Pharmacology Biochemistry and Behavior vol 73,abstract.)
【0015】
アデノシンキナーゼインヒビターは、痛覚のさまざまな動物モデルにおいて抗侵害受容活性を示しており、新規アデノシンキナーゼインヒビターA-134974は、触覚性アロディニアを強力に低減する。(Zhu et al,2001,A-134974:a novel adenosine kinase inhibitor,relieves tactile allodynia via spinal sites of action in peripheral nerve injured rats,Brain Research vol 905,abstract.)アデノシンキナーゼインヒビターはまた、動物モデルにおいて有効な抗侵害受容、抗炎症、及び抗痙攣活性を提供することが示されていることから、疼痛、炎症、癲癇、ならび場合により細胞性外傷及び炎症に関連する他の中枢及び末梢神経系疾患に対するその潜在的治療有用性が示唆される。(Gomtsyan et al,2004,Non-nucleoside inhibitors of adenosine kinase,Current Pharmaceutical Design,abstract.)
【0016】
Bauser et al.2004によれば、アデノシンキナーゼ阻害は、いくつかの病態、たとえば、神経変性、発作、虚血、炎症、及び疼痛に対する魅力的治療アプローチである。(Bauser er al,2004,Discovery and optimization of 2-aryl oxazolo-pyrimidines as adenosine kinase inhibitors using liquid phase parallel synthesis,Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters,abstract.)
【0017】
脳炎
ラスムッセン脳炎は、大脳皮質及び他の構造部、最も注目すべきは海馬の片側性炎症、進行性認知衰退、並びに薬剤抵抗性焦点性癲癇により特徴付けられる稀な神経学的障害である。Luanらは、アデノシンキナーゼの過剰発現がラスムッセン脳炎の共通の病理学的ホールマークであること、及びラスムッセン脳炎でのニューロナルA1Rのアップレギュレーションが発作の広がりの防止にきわめて重要であることを提案している。さらに、アデノシンは、抗痙攣、抗炎症を有するとともに癲癇に続発して認知が障害されたときに認知機能を回復する内因性ニューロモジュレーターとして作用する。アデノシンホメオスタシスの破壊は、癲癇、炎症、及び認知機能不全に関連付けられてきた。アデノシンレセプター及びメジャーアデノシン除去性酵素ADKの改変は、癲癇でのアデノシンホメオスタシスの破壊に寄与することが証明されている。(Luan et al,2017,Upregulation of Neuronal Adenosine A1 Receptor in Human Rasmussen Encephalitis,J Neuropathol Exp Neurol vol 76,page 720-731.)
【0018】
血管発生
アデノシンキナーゼを標的として細胞内アデノシンを上昇させると、in vitroで内皮増殖及び遊走が促進され、さらにはex vivoで血管発芽が促進される。そのほか、内皮特異的アデノシンキナーゼノックアウトマウスは、網膜血管発生を増加させ、創傷治癒を加速し、及び後肢虚血傷害から保護された。(Xu et al.,2017,Intracellular adenosine regulates epigenetic programming in endothelial cells to promote angiogenesis,EMBO Molecular Medicine,page 1263-1278.)
【0019】

アデノシンキナーゼは、グリオーマ進行に関与すること、及び腫瘍周囲組織中のアデノシンキナーゼレベルの増加は、グリオーマでの癲癇に関連付けられうることが、Huang et al 2015による試験で示唆された。(Huang et al, 2015, Adenosine deaminase and adenosine kinase expression in human glioma and their correlation with glioma-associated epilepsy, Molecular Medicine Reports 12, page 6509-6516.)
【0020】
糖尿病、炎症、心血管障害、腎障害、及び肺障害
Pye et al 2014によれば、アデノシンは、アデノシンA2Aレセプターの活性化を介して心血管疾患で抗炎症作用を提供するが、アデノシンの生理学的作用は、アデノシンキナーゼによるそのリン酸化に起因して限定される可能性がある。アデノシンキナーゼインヒビターABY702による処置は、糖尿病マウスにおいて血中グルコースレベルを低減し、糖尿病マウスにおいてアルブミン尿及び糸球体傷害マーカー、ネフリン尿及びポドカリキシン排泄レベルを低減した。さらに、酸化的ストレスの指標が低減された。(Pye et al, 2014,Adenosine Kinase Inhibition Protects The Kidney Against Streptozotocin-Induced Diabetes Through Anti-inflammatory and Anti-oxidant Mechanisms,Pharmacol Res.)A1アデノシンレセプターの活性化は、腎血行動態改変を改善して尿細管壊死を減少させることにより急性腎傷害から保護し、その阻害は、慢性腎疾患モードで毒素又は薬剤代謝物の除去を促進しうる。(Pandey et al,2021,”Adenosine an old player with new possibilities in kidney diseases”:Preclinical evidences and clinical perspectives,Life Sciences vol 265,abstract.)神経因性痛、脳卒中、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、睡眠促進など、多くの治療領域では、アデノシン機能のモジュレーションは、治療選択肢とみなされてきた。(Knutsen et al,2007,Therapeutic Areas I:Central Nervous System,Pain,Metabolic Syndrome,Urology,Gastrointestinal and Cardiovascular,Comprehensive Medicinal Chemistry II,2007,https://www.sciencedirect.com/topics/medicine-and-dentistry/adenosine-kinase-inhibitor,accessed 21-4-2021.)
【0021】
発明の概要
神経学的疾患の改善された処置に対する高いメディカルニーズが満たされないまま存在する。というのは、そうした疾患の多くは、十分に処置することができず、現在利用可能な処置は、重篤な副作用の原因になるからである。本発明の化合物は、ADK-Lなどのアデノシンキナーゼ(ADK)の効力のあるインヒビターであることから、癲癇などの神経学的疾患の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図の説明
図1】qPCRプライマー及びプローブ。
図2.1A】ADK-Lノックダウンの最高レベルから最低レベルまでのADK-Lギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのランキング。水平点線は、RNAiMAXのみで処置された細胞の100%(ノックダウンなし)を示す。黒色線は70%ノックダウン及び灰色線は80%ノックダウンを表す。垂直点線は、確認のために選択オリゴヌクレオチドに対するカットオフを示す。n,N=1,1~2、平均値±SEM
図2.1B】ADK-Lノックダウンの最高レベルから最低レベルまでのミックスマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのランキング。水平点線は、RNAiMAXのみで処置された細胞の100%(ノックダウンなし)を示す。垂直点線は、確認のために選択オリゴヌクレオチドに対するカットオフを示す。n,N=1,1~2、平均値±SEM
図2.2A】一次qPCRアッセイでのノックダウンの最高レベルから最低レベルまでの選択ADK-Lギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのランキング。水平点線はRNAiMAXのみで処置された細胞の100%(ノックダウンなし)を示し、灰色線は80%ノックダウンを示す。n,N=2,3~4、平均値±SEM
図2.2B】二次qPCRアッセイでのノックダウンの最高レベルから最低レベルまでの選択ADK-Lギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのランキング。水平点線はRNAiMAXのみで処置された細胞の100%(ノックダウンなし)を示し、灰色線は80%ノックダウンを示す。n,N=2,3~4、平均値±SEM
図3.1】用量-応答試験。水平点線はRNAiMAXのみで処置された細胞の100%(ノックダウンなし)を示し、黒色線は80%ノックダウンを示す。n,N=1~2,2~4、平均値±SEM
図4.1】用量-応答曲線及びIC50値、3パラメーター非線形曲線当てはめ、n,N=2~3,4~6、すべての技術的レプリケートが描かれている。水平点線は50%ノックダウンを表す。
図5.1】ADK(両方のアイソフォーム)に対する規格化mRNA発現値、n=3。
図5.2A】配列ID42で処置された細胞の差次的遺伝子発現解析。ボルケーノプロットは、差次的発現の有意性と共に、アンチセンスオリゴヌクレオチド処置及びモック処置群間のRNA発現の変化を相関させて、配列ID42及びモック処置細胞間の転写物の異なるレベルを示す。x軸は発現の相対変化を表し、一方、y軸は有意性を表す。各ドットは特異的RNAを表す。黒色ドットは非有意変化を表し、一方、灰色ドットは有意値を提示する。
図5.2B】配列ID42で処置された細胞の差次的遺伝子発現解析。ボルケーノプロットは、差次的発現の有意性と共に、アンチセンスオリゴヌクレオチド処置及びモック処置群間のRNA発現の変化を相関させて、配列ID42及びモック処置細胞間の転写物の異なるレベルを示す。x軸は発現の相対変化を表し、一方、y軸は有意性を表す。各ドットは特異的RNAを表す。黒色ドットは非有意変化を表し、一方、灰色ドットは有意値を提示する。
図5.2C】配列ID139で処置された細胞の差次的遺伝子発現解析。ボルケーノプロットは、差次的発現の有意性と共に、アンチセンスオリゴヌクレオチド処置及びモック処置群間のRNA発現の変化を相関させて、配列ID139及びモック処置細胞間の転写物の異なるレベルを示す。x軸は発現の相対変化を表し、一方、y軸は有意性を表す。各ドットは特異的RNAを表す。黒色ドットは非有意変化を表し、一方、灰色ドットは有意値を提示する。
図5.2D】配列ID139で処置された細胞の差次的遺伝子発現解析。ボルケーノプロットは、差次的発現の有意性と共に、アンチセンスオリゴヌクレオチド処置及びモック処置群間のRNA発現の変化を相関させて、配列ID139及びモック処置細胞間の転写物の異なるレベルを示す。x軸は発現の相対変化を表し、一方、y軸は有意性を表す。各ドットは特異的RNAを表す。黒色ドットは非有意変化を表し、一方、灰色ドットは有意値を提示する。
図5.3A】スプライストランスクリプトーム(細胞質、列1~4)内及び非スプライストランスクリプトーム(核、列5~8)内のすべての潜在的標的部位を予測するアンチセンスオリゴヌクレオチド配列を用いたin silico解析。これは、1)アンチセンスオリゴヌクレオチドに対する標的mRNAの完全マッチ又は2)1、2、3、若しくは4つのミスマッチ(INDEL)を有する配列のどちらかで行われた。得られた予測標的は、RNAseqデータ(表2、3nM及び3、20nM)からの結果と比較され、予測標的mRNA(行1)のうちいくつがデータセットで発現されたか(行2)、及びこれらのうちいくつが有意に差次的発現されたか(行3)、及びDGEがデータセットでアップレギュレーション(行4及び5)又はダウンレギュレーション(行6及び7)を構成するかを調べた。
図5.3B】スプライストランスクリプトーム(細胞質、列1~4)内及び非スプライストランスクリプトーム(核、列5~8)内のすべての潜在的標的部位を予測するアンチセンスオリゴヌクレオチド配列を用いたin silico解析。これは、1)アンチセンスオリゴヌクレオチドに対する標的mRNAの完全マッチ又は2)1、2、3、若しくは4つのミスマッチ(INDEL)を有する配列のどちらかで行われた。得られた予測標的は、RNAseqデータ(表2、3nM及び3、20nM)からの結果と比較され、予測標的mRNA(行1)のうちいくつがデータセットで発現されたか(行2)、及びこれらのうちいくつが有意に差次的発現されたか(行3)、及びDGEがデータセットでアップレギュレーション(行4及び5)又はダウンレギュレーション(行6及び7)を構成するかを調べた。
図5.4A】ADK-Sの第1エクソンに対するのADK-Lクローズアップ。IGVゲノムブラウザー図は、ADK-Lの第1エクソン上のリードマッピングを示す。水平点線は、n=3の異なる処置群を区別する。
図5.4B】ADK-Sの第1エクソンに対するのADK-Lクローズアップ。IGVゲノムブラウザー図は、ADK-Sの第1エクソン上のリードマッピングを示す。水平点線は、n=3の異なる処置群を区別する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態の記載では、明確さを期して特定用語体系を利用する。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定用語に限定することが意図されるものではなく、各特定用語は、類似の目的を達成すべく同様に機能するすべての技術的均等物を含むものと理解される。
【0024】
「治療有効量」又は「有効量」又は有効用量」という用語は、その作用剤を必要とする個体に所望の治療効果を付与する治療剤の量を意味する。有効量は、処置される個体の健康及び身体状態、処置される個体の分類学的群、組成物の処方、投与方法、個体の医学的病態のアセスメント、並びに他の関連因子に依存して個体間で変動しうる。
【0025】
「処置」という用語は、治療用医薬剤のいずれか、本明細書では、所与の疾患の1つ以上の症状又は特徴を部分的又は完全に治癒又は低減するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むものの投与を意味する。
【0026】
本明細書で用いられる「化合物」という用語は、本発明に係るオリゴヌクレオチドを含む化合物を意味する。いくつかの実施形態では、化合物は、本発明のオリゴヌクレオチド以外の他の要素を含みうる。かかる他の要素は、非限定的例では、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた又は他の方法で結合された送達媒質でありうる。
【0027】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、標的核酸の対応する領域又はセグメントへのハイブリダイゼーションを可能にするヌクレオ塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。いくつかの事例では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは「ミックスマー」であり、いくつかの事例では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは「ギャップマー」である。
【0028】
「ミックスマー」は、LNAなどのヌクレオシドアナログとDNAヌクレオシドとのミックスを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、ただし、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、4又は5DNAヌクレオチド以下の連続ストレッチなどの複数のヌクレオシドを有する内部領域を含まない。ミックスマーは、RNAseHなどのRNAseをリクルートする能力はなく、むしろ標的RNAに結合してその正常機能をブロックすることによりその作用を発揮する。
【0029】
「ギャップマー」は、LNAヌクレオシドなどの親和性増強用ヌクレオチドアナログを含むヌクレオチドのストレッチがフランキングするヌクレオシドの少なくとも6又は7DNAヌクレオチドの連続ストレッチを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである。ギャップマーは、RNAseHなどのRNAseをリクルートする能力があり、内部領域を構成するヌクレオシドは、外部ウィングを構成する1つ又は複数のヌクレオシドから化学的に識別可能である。
【0030】
「ヌクレオシドアナログ」は、たとえば、Freier&Altmann;Nucl.Acid.Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213に記載されており、好適な好ましいヌクレオシドアナログの例は、国際公開第2007/031091号(本願をもって参照により組み込まれる)により提供される。
【0031】
「5-メチルシトシン」は、5’位に装着されたメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5-メチルシトシンは、アンチセンスオリゴヌクレオチド中のシトシンを置き換えることが多い修飾ヌクレオ塩基である。本発明のオリゴヌクレオチドでは、シトシンを5-メチルシトシンで置き換えることは本発明の範囲内である。
【0032】
「2’-O-メトキシエチル」(同様に2’-MOE及び2’-O(CH~)~-OCH3)は、フラノース環の2’位のO-メトキシ-エチル修飾を意味する。
【0033】
「2’-MOEヌクレオシド」(同様に2’-O-メトキシエチルヌクレオシド)は、2’-MOE修飾糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0034】
「ロック核酸」又は「LNA」は、アクセス不能RNAといわれることが多く、修飾RNAヌクレオ塩基である。LNAヌクレオ塩基のリボース部分は、2’酸素と4’炭素とを接続するエキストラブリッジで修飾される。LNAオリゴヌクレオチドは、伝統的DNA又はRNAオリゴヌクレオチドと比較して、その相補鎖に対する実質的に増加した親和性を呈する。いくつかの態様では、二環式ヌクレオシドアナログはLNAヌクレオチドであり、したがって、これらの用語は互換的に用いられうるとともに、かかる実施形態では、両方ともリボース糖環のC2’とC4’との間のリンカー基(たとえば、ブリッジ)の存在により特徴付けられる。本発明との関連で用いられたとき、「LNA単位」、「LNAモノマー」、「LNA残基」、「ロック核酸単位」、「ロック核酸モノマー」、又は「ロック核酸残基」という用語は、二環式ヌクレオシドアナログを意味する。LNA単位は、とくに、国際公開第99/14226号、国際公開第00/56746号、国際公開第00/56748号、国際公開第01/25248号、国際公開第02/28875号、国際公開第03/006475号、国際公開第2015/071388号、及び国際公開第03/095467号に記載されている。
【0035】
「ベータ-D-オキシLNA」は好ましいLNAバリアントである。
【0036】
「二環式核酸」又は「BNA」又は「BNAヌクレオシド」は、ヌクレオシド糖単位の4’及び2’位間で2個の炭素原子を接続するブリッジを有することにより二環式糖を形成する核酸モノマーを意味する。かかる二環式糖の例としては、限定されるものではないが、A)pt-L-メチレンオキシ(4’-CH2-0-2’)LNA、(B)P-D-メチレンオキシ(4’-CH2-0-2’)LNA、(C)エチレンオキシ(4’-(CH2)2-0-2’)LNA、(D)アミノオキシ(4’-CH2-0-N(R)-2’)LNA、及び(E)オキシアミノ(4’-CH2-N(R)-0-2’)LNAが挙げられる。
【0037】
本明細書で用いられる場合、LNA化合物としては、限定されるものではないが、糖の4’位と2’位との間に少なくとも1つのブリッジを有する化合物が挙げられる。ただし、ブリッジの各々は、独立して、-[C(R~)(R2)],,-,-、-C(R~)=C(R2)-、-C(R~)=N、-C(=NREM)-、-C(=0)-、-C(=S)-、-0-、-Si(Ri)q-、-S(=0)--、及びN(R&)-(式中、xは、0、1、又は2であり、nは、1、2、3、又は4であり、各R&及びR2は、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C≫C≫アルキル、置換C≫である)から独立して選択される1又は2~4連結基を含み、2’酸素原子と4’炭素原子とを接続する(-CHz-)基に対しては、メチレンオキシ(4’-CH&-0-2’)LNAという用語が用いられる。
【0038】
さらに、この位置にエチレン架橋基を有する二環式糖部分の場合、エチレンオキシ(4’-CH&CH&-0-2’)LNAが用いられる。本明細書で用いられる場合、n-L-メチレンオキシ(4’-CH&-0-2’)、メチレンオキシ(4’-CH&-0-2’)LNAの異性体もまた、LNAの定義に包含される。
【0039】
いくつかの実施形態では、ヌクレオシド単位は、ベータ-D-オキシ-LNA、アルファ-L-オキシ-LNA、ベータ-D-アミノ-LNA、アルファ-L-アミノ-LNA、ベータ-D-チオ-LNA、アルファ-L-チオ-LNA、5’-メチル-LNA、ベータ-D-ENA、及びアルファ-L-ENAのリストから選択されるLNA単位である。「cEt」又は「拘束エチル」は、4’-炭素と2’-炭素とを接続するブリッジを含む二環式糖部分を意味し、ブリッジは、式:4’-CH(CHq)-0-2’を有する。「拘束エチルヌクレオシド」(同様にcEtヌクレオシド)は、4’-CH(CH3)-0-2’ブリッジを含む二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。cEt及びいくつかのその性質は、Pallan et al.Chem Commun(Camb).2012,August 25;48(66):8195-8197に記載されている。
【0040】
「トリシクロ(tc)-DNA」は、DNA及びRNAへの増強された結合性を示すコンフォメーショナル拘束DNAアナログの一クラスに属する。構造及び生成方法は、Renneberg et al.Nucleic Acids Res.2002 Jul 1;30(13):2751-2757に見られうる。
【0041】
本明細書で参照される「2’-フルオロ」は、糖環の2’位にフルオロ基を含むヌクレオシドである。2’-フッ素化ヌクレオチドは、Peng et al. J Fluor Chem. 2008 September; 129(9): 743-766に記載されている。
【0042】
本明細書で参照される「2’-O-メチル」は、糖環の2’位に-OCH3基を含む糖を含むヌクレオシドである。
【0043】
本明細書で参照される「コンフォメーショナル制限ヌクレオシド」(CRN)及びその合成方法は、国際公開第2013/036868号(本願をもって参照により組み込まれる)に記載されている。CRNは、LNAに類似して化学ブリッジがリボースのC2’とC4’炭素を接続する糖修飾ヌクレオシドである。しかしながら、CRNのC2’-C4’ブリッジは、LNA分子のものよりも1炭素長い。CRNのリボースの化学ブリッジは、固定位置にリボースをロックし、ひいてはヌクレオ塩基及びホスフェート基のフレキシビリティーを制限する。RNA又はDNAベースオリゴヌクレオチド内のCRN置換は、ハイブリダイゼーション親和性の増加及びヌクレアーゼ分解抵抗性の増強という利点を有する。
【0044】
「アンロック核酸」又は「UNA」は、本明細書で参照される場合、典型的には、リボースのC2-C3C-C結合が除去されてアンロック「糖」残基を形成したアンロック核酸である(Fluiter et al.,Mol.Biosyst.,2009,10,1039(本出願をもって参照により組み込まれる)及びSnead et al.Molecular Therapy--Nucleic Acids(2013)2,e103;を参照されたい)。
【0045】
「標的領域」は、1つ以上のアンチセンス化合物が標的とする標的核酸の部分を意味する。
【0046】
本明細書で用いられる「標的化送達」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが特異的組織若しくは細胞での効率的送達を促進するように製剤化されているか、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドがたとえば標的化用部分を含むように他の形で修飾されているか、又は特異的標的細胞での取込みを促進するように他の形で修飾されているか、のどれかである送達を意味する。
【0047】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アデノシンキナーゼ(ADK)を標的とするように設計される。
【0048】
本明細書で用いられる「アデノシンキナーゼ関連神経学的疾患」という用語は、疾患病理がアデノシンキナーゼ活性のアップレギュレーションに関連するか又はアデノシンキナーゼ活性のダウンレギュレーションが疾患の処置に有益である疾患を意味する。
【0049】
化合物
ヒトADK遺伝子は14転写物をコードする。これらの転写物のうち、10はタンパク質コードでありしたがって潜在的核酸標的である。いくつかのASOは、ADKpre-mRNA上の5’領域(配列番号2)を標的とするように設計された。具体的には、配列番号2は、ADKpremRNA上の位置1~位置25349の領域である。たとえば、ASOは、配列番号2のヌクレオチド74~75、132~134、782、830、926、5865、7203、15679、24985、及び25284を標的とするように構築された。
【0050】
ASOの模範的配列は、表1及び表2に記載されている。いくつかの実施形態では、ASOは、ギャップマー又はミックスマーとなるように設計された。ギャップマーは、標的RNA切断用のRNAseHをリクルートするであろうが、ミックスマーは、RNAseHをリクルートしない。表1及び2は、選択配列に対するASO設計の非限定的例を含有する。同方法は、本明細書に開示されるいずれの他の配列にも適用可能である。ギャップマーは、ロック核酸LNA(大文字)を含有するように構築された。たとえば、ギャップマーは、5’末端及び3’末端にベータ-デオキシLNAを有しうるとともに、ホスホロチオエート骨格を有しうる。しかし、LNAはまた、いずれかの他のヌクレオチドアナログでも置換されうるとともに、骨格は、別のタイプの骨格でありうる{たとえば、ホスホジエステル連結、ホスホトリエステル連結、メチルホスホネート連結、ホスホルアミデート連結、又はそれらの組合せ)。表1及び2の化合物名称では、大文字は、修飾ヌクレオチド、たとえば、LNAヌクレオチド(ベータ-D-オキシ、アルファ-L-オキシ、ベータ-D-アミノ、若しくはベータ-D-チオLNA、又は他の修飾ヌクレオチド、たとえば、cEt、cMOE、UNA、若しくはENAのどれか)を表し、小文字は、DNAヌクレオチドを表す。
【0051】
そのため、AAaatggccgcGCC(配列番号63)により表される配列は、5’-A及び3’Cを有する2-9-3 14mer修飾ヌクレオチド-DNA-修飾ヌクレオチドギャップマー、たとえば、2-9-3LNA-DNA-LNAギャップマーを表す。いくつかのASOは、本明細書の他の箇所に記載の交互フランクギャップマーでありうる。いくつかの実施形態では、7ヌクレオチドギャップを有する交互フランクギャップマーの選択例は、配列番号5、33、及び71である。
【0052】
その最広義の意味では、本発明は、アデノシンキナーゼ(ADK)RNA(配列番号1)に相補的な10~30ヌクレオチド長の配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。ただし、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの親和性増強用ヌクレオチドアナログを含み、及び前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1ホスホロチオエート又は類似ヌクレオシド間連結を含む。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結に対する代替手段を有し、たとえば、骨格は、別のタイプの骨格、たとえば、ホスホジエステル連結、ホスホトリエステル連結、メチルホスホネート連結、ホスホルアミデート連結、又はそれらの組合せでありうる。好ましい実施形態では、代替ヌクレオシド骨格は、アンチセンスオリゴヌクレオチドのメディカル使用に好適である。
【0053】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1の5’末端(ADKpremRNAのヌクレオチド1:25349)である及びADKのロングアイソフォームをコードするmRNAに特異的である配列番号2に相補的である。そのため、いくつかの実施形態では、本発明は、ADKのロングアイソフォームをコードするmRNAを選択的に標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号120又は121に相補的である。いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号120又は121に相補的なミックスマーであり、ADK RNAのスプライシングを阻害する。いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号122~132のいずれか1つに相補的である。いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号101~119のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドはミックスマーである。すなわち、それは、4DNAヌクレオチド超の連続ストレッチを含有せず、たとえば、3連続DNAヌクレオチド以下である。いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドはギャップマーであり、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも5連続DNAヌクレオチドの連続ストレッチを含有する。メディカル目的のアンチセンスオリゴヌクレオチドのサイズが重要であり、そのため、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、かかる使用に有用となるように設計される。いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは10~30ヌクレオチド長であり、いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは14~19ヌクレオチド長である。
【0054】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンスの効能は、安定性、標的RNAへの親和性、及び他の因子に依存する。アンチセンスオリゴヌクレオチド中のLNAなどの親和性増強用ヌクレオシドアナログの存在は、かかる利点を提供する。好ましい実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドに使用される親和性増強用ヌクレオチドアナログは、LNA、トリシクロ-DNA、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’メトキシエチル(2’MOE)、2’環状エチル(cET)、UNA、2’フルオロ、及びコンフォメーショナル制限ヌクレオシド(CRN)のリストから選択される。いくつかの実施形態では、かかるオリゴヌクレオチドは、LNAと、DNAと、トリシクロ-DNA、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’メトキシエチル(2’MOE)、2’環状エチル(cET)、UNA、2’フルオロ、及びコンフォメーショナル制限ヌクレオシド(CRN)の1つ以上と、の組合せを含みうる。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのLNAを含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、30~55%LNAを含む。いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、LNA/DNAオリゴヌクレオチドであるが、トリシクロ-DNA、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’メトキシエチル(2’MOE)、2’環状エチル(cET)、UNA、2’フルオロ、及びコンフォメーショナル制限ヌクレオシド(CRN)のいずれか1つである1つ以上のヌクレオシドをさらに含む。
【0056】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドはLNAを含み、LNAはベータ-D-オキシLNAである。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、すべてのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合となるように設計される。いくつかの実施形態では、本発明は、一連の効力のあるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供し、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号3~73いずれか1つである。いくつかの実施形態では、本発明は、一連の効力のあるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供し、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号74~100のいずれか1つである。いくつかの実施形態では、本発明は、一連の効力のあるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供し、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号133~147のいずれか1つである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号10、11、14、16、18、23、36、41、42、43、64、65、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、又は147から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0058】
表1及び2では、列挙されたASOは、常に5’→3’方向に描かれる。したがって、ASOの5’末端は、表中のmRNA「エンド」番号にハイブリダイズし、ASOの3’末端は、表中のpre-mRNA「スタート」番号にハイブリダイズする。
【0059】
表1は、配列番号1)に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドのモチーフのリストを提供する。表1は、モチーフ配列を含むASOギャップマー設計をさらに提示する。表2は、配列番号1)に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドのモチーフのリストを提供する。表2は、モチーフ配列を含むASOミックスマー設計をさらに提示する。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ADKロングフォームにユニークな配列である配列番号2の範囲内の配列に相補的である。いくつかの実施形態では、スプライシング部位の近くのADKpremRNAを標的としてスプライシングイベントを防止するLNAミックスマーが設計される。いくつかの実施形態では、ミックスマーオリゴヌクレオチドは、配列番号120;5’ GATGCGAAGA GGGGGCGGGA CCAGAGAGTG GATGGCAGAG GTGGGCTGTA GAGCCAAAGT GGGGTGGGAG CGCGAAGATG GCAGCTGCTG AGGAGGAGCC GAAGCCCAAA AAGCTGAAGG TGGAGGCGCC GCAAGCGCTG AGGTGAGCGC TGCCGGACTT GGGGAGGAGG GTGACGGCGC TGCAAGCAAG CCAGGGCCCA CGTGGGGTTG CACGGCCCCG ACGCTGGGTG GTGTCTCTCA CTGCCAGCTT 3’の範囲内の配列に相補的である。いくつかの実施形態では、本発明のミックスマーは、配列番号121 5’GAAGATGGCAGCTGCTGAGGAGGAGCCGAAGCCCAAAAAGCTGAAGGTGGAGGCGCCGCAAGCGCTGAGGTGAG3’の範囲内の配列に相補的である。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号122~132のいずれか1つに相補的である。
【0061】
表3は特異的ASO標的配列である。
【0062】
表1は、配列番号1(完全ADKpremRNA配列)中の標的領域の位置、本発明の個別アンチセンスオリゴヌクレオチドのモチーフ(配列番号101~111)、及び特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドギャップマー化合物(配列番号3~73及び133~147)を列挙する。表2は、配列番号1中の標的領域の位置、本発明の個別アンチセンスオリゴヌクレオチドのモチーフ(配列番号112~119)、及び特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドミックスマー化合物(配列番号74~100)を列挙する。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号3~73又は74~100又は133~147のいずれか1つであり、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1非天然ヌクレオシド間連結、たとえば、ホスホロチオエート連結を含む。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号3~73又は74~100又は133~147のいずれか1つであり、少なくとも5非天然ヌクレオシド間連結、たとえば、少なくとも5ホスホロチオエート連結を含む。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号3~73又は74~100又は133~147のいずれか1つであり、少なくとも7、たとえば、少なくとも8又は少なくとも9又は少なくとも10又は少なくとも15又はすべてのヌクレオシド間結合が非天然、たとえば、ホスホロチオエート連結で含まれる。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号3~73又は74~100又は133~147のいずれか1つであり、非天然ヌクレオシドはLNAである。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号3~73又は74~100又は133~147のいずれか1つであり、非天然ヌクレオシドはLNA、たとえば、ベータ-d-オキシLNAであり、LNA Cは5’メチルCである。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号3~73又は74~100又は133~147のいずれか1つであり、非天然ヌクレオシドはベータ-d-オキシLNAであり、LNA Cは5’メチルCであり、すべてのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート連結である。
【0071】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号10、11、14、16、18、23、36、41、42、43、64、65、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、又は147のリストから選択される。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号10、11、14、16、18、23、36、41、42、43、64、65、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、又は147のリストから選択され、表1及び2のリスティングに従って、大文字はLNA、たとえば、ベータ-d-オキシLNAであり、LNA Cは5’メチルCであり、すべてのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート連結である。
【0072】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下のいずれか1つである。オリゴヌクレオチドは、以下の配列番号のいずれか1つである。
(配列番号10)5’CTttatacttATtAGgAAG3’又は
(配列番号16)5’CTttatactTaTTaggAAG3’又は
(配列番号41)5’AGctTtTtAAagcaaCAG3’又は
(配列番号42)5’CTTtgggattTCaGAAA3’又は
(配列番号43)5’CTttgggattTCaGAAA3’又は
(配列番号136)5’CTttatactTaTTaGgAAG3’又は
(配列番号137)5’CTttatacttATtaGgAAG3’又は
(配列番号139)5’CTttgggatTTCaGAAA3’
(ただし、大文字はLNA、たとえば、ベータ-d-オキシLNAであり、LNA Cは5’メチルCであり、すべてのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート連結である)
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明は、ADK RNA(配列番号1)を標的とするsiRNAなどのRNA阻害剤を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、ADKのロングアイソフォームをコードするmRNA(配列番号2)を選択的に標的とするsiRNAを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、ADK-L mRNAを標的とし配列番号3~73又は74~100又は133~147のいずれか1つを含むsiRNAを提供する。いくつかの実施形態では、本発明のsiRNAは、配列番号101~119のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、本発明のsiRNAの標的配列は、配列番号122~132のいずれか1つに対応するRNA配列を含む。siRNAは、当技術分野で周知であり、国際公開第16/057893号(参照により含まれる)に記載のように当業者により容易に設計可能である。
【0074】
組成物及び使用
本発明の化合物は、本発明の医薬組成物などの組成物での使用のためのもの、医薬剤として使用するためのもの、及び癲癇をはじめとする神経学的障害などの本明細書に開示される疾患の処置、緩和、回復、先制処置、又は予防のためのものである。
【0075】
本発明の化合物は、いくつかの実施形態では、アデノシンキナーゼ活性のモジュレーションが疾患又は疾患パラメーターの防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、予防、緩和、又は回復に有益な疾患である疾患の処置のための医薬組成物などの組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、処置、予防、緩和、又は回復は治癒的である。いくつかの実施形態では、処置、予防、緩和、又は回復は疾患修飾的である。いくつかの実施形態では、処置、予防、緩和又は回復は防止的である。
【0076】
化合物及び組成物により処置、緩和、回復、先制処置、又は予防的処置されうる疾患としては、非限定的例では、神経学的障害、神経変性障害、神経発達障害、又は精神医学的疾患をはじめとする中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)の疾患が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、ニューロン保護剤としての使用のためのものである。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、CNS若しくはPNS疾患、神経学的障害、神経変性障害、神経発達障害、細胞性外傷及び炎症に関連する中枢及び末梢神経系疾患、ニューロナル損傷、海馬損傷、外傷性脳傷害、記憶障害、海馬硬化症、パーキンソン病、多発性硬化症、急性脊髄傷害、筋萎縮性側索硬化症、失調症、ベル麻痺、シャルコー・マリー・トゥース、頭痛、ホートン頭痛、片頭痛、ピック病、進行性核上性麻痺、多系変性、運動ニューロン疾患、ハンチントン病、プリオン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、皮質基底核変性症、原発性進行性失語症又はその症状若しくは影響の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、癲癇の処置での使用のためのものである。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、発作の処置での使用のためのものである。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、癲癇及び/又は発作、好ましくは、処置抵抗性癲癇、後天性、遺伝性、及び/又は特発性癲癇、療法抵抗性癲癇性症候群、薬剤抵抗性癲癇、薬学抵抗性焦点性癲癇、自発性発作、療法抵抗性発作、焦点性癲癇、全身性癲癇、又は癲癇重積ステータスの処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、癲癇、薬剤抵抗性癲癇、薬剤抵抗性焦点性癲癇、発作、自発性発作、療法抵抗性発作、焦点性癲癇、好ましくは、前記焦点性癲癇は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、又は側頭葉を焦点とする、全身性癲癇、好ましくは、前記全身性癲癇は、欠神、ミオクローニック発作、強直性間代性発作、強直性発作、無緊張性発作、間代性発作及び痙攣、癲癇重積ステータスの中から選択される、急性脳傷害により誘発される癲癇原性、常染色体優性夜間前頭葉癲癇、徐波睡眠期持続性棘徐波、ドラベ症候群、卒中後発生癲癇、癲癇性脳症、笑い癲癇、欠神、良性新生児発作、ジーボンス症候群、若年性ミオクローヌス癲癇、ランドウ・クレフナー症候群、レノックス・ガストー症候群、近心側頭葉癲癇、ミオクローニック失立癲癇、大田原症候群、パナイオトポロス症候群、PCDH19症候群、中心側頭部棘波併発良性小児期癲癇、スタージ・ウェーバー症候群、症状性焦点性癲癇、一過性癲癇性健忘症及びウェスト症候群、及び/又は神経膠腫関連癲癇の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、疼痛の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものであり、好ましくは、前記疼痛は、慢性疼痛、神経因性痛、化学療法誘発神経因性痛、片頭痛、頭痛、痛覚過敏、アロディニア、及び/又は線維筋痛症である。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、疼痛の処置での使用のためのものである。
【0084】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、疼痛、慢性疼痛、神経因性痛、化学療法誘発神経因性痛、前兆性片頭痛及び無前兆性片頭痛を含む片頭痛、原発性頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛、ホートン頭痛、慢性連日性頭痛、副鼻洞頭痛、外傷後頭痛、運動時頭痛、持続性片側頭痛、睡眠時頭痛、痛覚過敏、熱痛覚過敏、アロディニア、触覚性アロディニア、及び/又は線維筋痛症の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0085】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、精神医学的障害、認知障害、睡眠障害、心血管障害、呼吸器障害、癌、腎障害、炎症、又は代謝障害の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0086】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、精神医学的障害、神経精神障害、不安症、鬱病、双極性障害、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、自閉症、アスペルガー症、ツレット症、統合失調症、妄想型統合失調症、破瓜型統合失調症、緊張型統合失調症、鑑別不能型統合失調症、残遺型統合失調症、単純型統合失調症、又は特定不能型統合失調症の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0087】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、認知障害、認知障害、認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、前頭側頭型認知症、又はレビー小体認知症の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0088】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、睡眠障害の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0089】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、睡眠調節剤としての使用のためのものである。
【0090】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、睡眠促進での使用のためのものである。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、心血管障害、末梢動脈疾患、術後心房細動、心不全、慢性心不全、脳内出血誘発脳傷害、脳卒中、脳虚血、又は虚血の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、呼吸器障害、喘息、又は慢性閉塞性肺疾患の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、癌、神経系癌、グリオーマ、膠芽細胞腫、肝癌、又は癌転移の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、腎障害、腎傷害、腎炎症、アルブミン尿、又は糸球体傷害の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、炎症の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、炎症性障害、酸化的ストレス、炎症、アポトーシス、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、及びこれらの病態に関連する疼痛、脳炎、髄膜炎、ヒトラスムッセン脳炎、大脳皮質及び/又は海馬の炎症、進行性認知衰退、結腸炎、潰瘍性結腸炎、又は炎症性腸疾患の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、代謝障害、好ましくは糖尿病、より好ましくは1型又は2型糖尿病の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、神経線維腫症、血管発生関連疾患、血管発生促進、網膜障害、好ましくは糖尿病性レチノパチー又は聴力損失の処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、全身投与、髄腔内投与、CNS中への脳室内投与、又は静脈内投与により投与される。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物は、本発明に係る疾患のいずれか1つの処置のための1つ以上の他の活性医薬成分との組合せでの使用のためのものである。
【0101】
ある実施形態によれば、本発明は、他の活性医薬成分が本発明に係る疾患の処置のために作製された成分である本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用に関する。
【0102】
ある実施形態によれば、本発明は、他の医薬成分がmiR-27b若しくはmiR-134又は両方を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用に関する。
【0103】
ある実施形態によれば、本発明は、有効投与量の本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドと薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。
【0104】
ある実施形態によれば、本発明は、有効投与量の本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物に関し、ただし、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、唯一の活性医薬成分である。
【0105】
いくつかの実施形態では、抗アデノシンキナーゼ化合物は、抗アデノシンキナーゼ組成物により処置されるある特定の疾患に対して他の療法と共に有利に使用されうる。
【0106】
それにより、本発明の抗アデノシンキナーゼアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の他の療法との組合せでの使用のためのものである。いくつかの実施形態では、前記他の療法は、抗miR-27bアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、前記他の療法は、抗miR-134アンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、前記他の療法は、ヒトなどの哺乳動物においてNrf-2/ARE経路を誘発する。いくつかの実施形態では、抗アデノシンキナーゼアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物は、抗miR27bアンチセンスオリゴヌクレオチド、抗miR-134アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びNrf-2/ARE経路誘発療法の1つ以上との組合せで使用されるべきである。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明のアデノシンキナーゼを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、それが唯一の活性成分である組成物で使用されるべきであり、いくつかの実施形態では、それは他の活性医薬成分を含む組成物での使用のためのものである。
【0108】
本発明は、本発明の抗アデノシンキナーゼアンチセンスオリゴヌクレオチド化合物を含み薬学的に許容可能な担体をさらに含む医薬組成物を提供する。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、唯一の活性医薬成分として抗アデノシンキナーゼアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物中に1つ以上の活性医薬成分が存在する。
【0110】
投与量
「有効投与量」という表現は、所望の効果を達成する薬剤の用量を表す。本発明との関連では、所望の効果は、アデノシンキナーゼの活性低下である。アデノシンキナーゼの活性低下は、たとえば、ADKmRNA又はADKpremRNAのどちらかの分解をもたらすオリゴヌクレオチドを使用したときにアデノシンキナーゼのレベルを測定することにより、測定可能である。
【0111】
本発明の化合物は、有効投与量での使用のためのものであり、組成物は、有効投与量の本発明の化合物を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、各投与時に投与される化合物の投与量、たとえば、単位用量は、0.001mg/kg~25mg/kgの範囲内である。
【0113】
いくつかの実施形態では、有効用量は、逐次投与の投与量間の期間にわたりアデノシンキナーゼ又はその活性を有意レベルに、たとえば、被験者の治療的利益となるレベルにダウンレギュレートするのに十分な用量である。
【0114】
本発明の医薬組成物は、いくつかの実施形態では、初期投与量ビルドアップ相を提供するとともに、その後、疾患病理に依存して、被験者において、たとえば、被験者の標的組織で、疾患の処置が奏功する化合物濃度を維持する目的で維持投与量スキームが続きうる、投与のために作製されうる。投与量の有効性は、例として、疾患状態の指標となる疾患パラメーターの観測により測定されるうるか、又は標的組織に依存してアデノシンキナーゼ活性などの各種組織パラメーター又は代替例として血漿中の測定可能疾患状態依存パラメーターの観測により測定可能である。
【0115】
薬剤送達
各種送達システムは公知であり、本発明の治療剤を投与するために使用可能である。投与方法としては、限定されるものではないが、皮下投与、静脈内投与、非経口投与、鼻投与、肺内投与、直腸投与、膣投与、子宮内投与、尿道内投与、眼投与、耳投与、皮膚投与、真皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、硬膜外投与、脳室内投与、大脳内髄腔内投与、若しくは経口投与、又は脳若しくは脳脊髄液への直接投与が挙げられる。組成物は、いずれかの便利な経路により、たとえば、注入又はボーラス注射剤により、上皮又は粘膜皮膚組織(たとえば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を介して吸収により投与されうるとともに、他の生物学的活性剤を併用して又は併用せずに投与されうる。投与は、全身的又は局所的でありうる。そのほか、脳室内及び脊髄内投与を含めて、いずれかの好適な経路により中枢神経系に本発明の組成物を投与することが望ましいであろう。脳室内注射は、たとえば、オンマヤリザーバーなどのリザーバーに装着された心室内カテーテルにより促進されうる。肺内投与もまた、たとえば、インヘラー又はネブライザー及びエーロゾル化剤入り製剤の使用により採用可能である。好ましくは、治療剤は、CNS又はPNSに送達される。
【0116】
送達手段としては、吸入送達、シリンジ又はミニ浸透圧ポンプによる筋肉への直接筋肉内送達、シリンジ又はミニ浸透圧ポンプにより腹膜に直接投与される腹腔内投与、シリンジにより皮膚下に直接投与される皮下投与、注射による又は浸透圧ポンプに装着された小型カテーテルを用いた脳室への直接投与の脳室内投与が挙げられる。さらに、筋肉内又は脊髄上に直接配置されるインプラント(たとえば、小型シリコンインプラント)を作製可能である。処置を必要とする領域に本発明の組成物を局所投与することが望ましいであろう。これは、たとえば、限定を目的としたものではないが、局所適用により、注射により、カテーテルを利用して、坐剤を利用して、又はインプラントを利用して達成されうるとともに、前記インプラントは、シラスティック膜などの膜又はファイバーを含めて、多孔性、非多孔性、又はゼラチン様材料でありうる。
【0117】
医薬組成物
本発明はまた、医薬組成物を提供する。かかる組成物は、治療有効量の治療剤と薬学的に許容可能な担体とを含みうる。「薬学的に許容可能」という用語は、規制機関により承認されたものとして定義されうる。規制機関は、たとえば、欧州医薬品庁、連邦政府若しくは州政府でありうるか、又は米国薬局方若しくは動物より特定的にはヒトにおける使用に関する他の一般に認められている薬局方に列挙されたものでありうる。「治療有効量」という用語は、障害又は疾患の発生又は存在の臨床的に有意な阻害、回復、又は逆転をもたらす治療剤の量として定義されうる。「担体」という用語は、希釈剤、アジュバント、賦形剤、又は治療剤の投与に用いられる媒質を意味しうる。かかる医薬担体は、無菌液体、たとえば、石油起源、動物起源、植物起源、又は合成起源のものを含めて水及び油、たとえば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などでありうる。水は、医薬組成物が静脈内投与されるときの好ましい担体でありうる。生理食塩水溶液、水性デキストロース、及びグリセロール溶液もまた、液状担体として、とくに注射用溶液用として採用されうる。好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、穀粉、チョーク、シリカゲル、ナトリウムステアレート、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物はまた、所望により、湿潤剤又は乳化剤又はpH緩衝剤を含有しうる。こうした組成物は、溶液剤、サスペンジョン剤、エマルジョン剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、持続放出製剤などの形態をとりうる。組成物は、伝統的結合剤及びトリグリセリドなどの担体を用いて坐剤として製剤化されうる。経口製剤は、標準的担体、たとえば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、マグネシウムステアレート、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含みうる。かかる組成物は、患者に対して適正投与形態を提供するように好適量の担体と共に、治療有効量の治療剤、好ましくは精製形を含有しうる。製剤は、投与モードに適するものでありうる。静脈内投与用組成物は、無菌等張水性緩衝液の溶液でありうる。所要により、組成物はまた、可溶化剤及び注射部位で疼痛を和らげるためにリグノカインなどの局所麻酔剤を含みうる。成分は、たとえば、活性剤の数量を記したアンプルやサシェなどのハーメチックシール容器に入れて、ドライ凍結乾燥粉末又は水フリー濃縮物として、別々に供給されうるか又はユニット製剤で混合一体化されうるかのどちらかである。組成物を注入により投与する場合、無菌医薬グレード水又は生理食塩水を含有する注入ボトルを用いてディスペンスされうる。組成物を注射により投与する場合、投与前に成分を混合しうるように、注射用無菌水又は生理食塩水のアンプルを提供しうる。
【実施例
【0118】
実施例
実施例1.たとえば、LNAヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの合成は、文献で周知である。LNAモノマー及びオリゴヌクレオチド合成は、国際公開第2007/11275号の実施例1及び2で言及される方法を用いて実施されうる。ヒト又はラット血漿中のLNAオリゴヌクレオチドの安定性のアセスメントは、国際公開第2007/112754号の実施例4で言及される方法を用いて実施されうる。LNA修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドによる培養細胞の処置は、国際公開第2007/11275号の実施例6で言及される方法を用いて実施されうる。
【0119】
実施例2.培養細胞及び組織からのRNA単離及び発現解析は、国際公開第2007/112754号の実施例10で言及される方法を用いて実施される。培養細胞及び組織からのRNAseqベース転写プロファイリングは、(Djebali et al.Nature 489:101-108 or Chu et al.Nucleic Acid Ther.22:271-274 or Wang et al.Nature Reviews Genetics 10:57-63)で言及される方法を用いて実施される。
【0120】
実施例3.細胞培養
接着性ヒト乳腺癌細胞系MCF7(ECACC番号86012803)をATCC(カタログ番号HTB-22(商標))から購入し、Nunc(商標)EasYFlask(商標)細胞培養物フラスコ(カタログ番号159910,Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)に入れて、10%ウシ胎仔血清(カタログ番号F4135,Sigma Aldrich,St.Louis,MO,USA)、1%非必須アミノ酸(カタログ番号11140050,Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)、1%L-グルタミン(カタログ番号G7513,Sigma Aldrich,St.Louis,MO,USA)、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(カタログ番号P4333,Sigma Aldrich,St.Louis,MO,USA)が供給されたイーグル最小必須培地(カタログ番号M2279,Sigma Aldrich,St.Louis,MO,USA)中で維持した。細胞を37℃の加湿5%CO2インキュベーター中に保持し、週2回継代した。
【0121】
実施例4.アンチセンスオリゴヌクレオチド化合物ライブラリーの一次スクリーニング
アデノシンキナーゼショートアイソフォーム(ADK-S)には存在しないアデノシンキナーゼロングアイソフォーム(ADK-L)の第1エクソンを選択的に標的とするように、97アンチセンスオリゴヌクレオチドのライブラリーを設計した。IDT(Coralville,Iowa,USA)によりアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成し、無菌条件下でヌクレアーゼフリー水(カタログ番号AM9938,Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)で500μMのストック濃度に希釈した。再懸濁されたオリゴヌクレオチドを-20℃で貯蔵した。
【0122】
トランスフェクションの前日、24ウェルNunc(商標)Cell-Culture Treated Multidishes(カタログ番号142475, Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)にMCF7細胞を1.25×10細胞/ウェルで播種した。トランスフェクションの日、トランスフェクションの1時間前に細胞媒体を除去し、475μLの維持培地を添加した。すべてのオリゴヌクレオチドをOpti-MEM(カタログ番号31985-070,Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)で10nMの最終ウェル濃度に希釈した。Lipofectamine(商標)RNAiMAX(カタログ番号13778150,Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)をOpti-MEMで1.5μLの最終ウェル濃度に希釈した。等量のRNAiMAX及びアンチセンスオリゴヌクレオチド溶液を合わせて5分間インキュベートした後、25μLの混合物をウェルに添加した。実験コントロールとして、スクランブルコントロールオリゴヌクレオチド及びRNAiMAXのみで処置された細胞の両方を使用した。トランスフェクションの48時間後、製造業者の説明書に従ってRNeasyミニキット(カタログ番号74106,Qiagen,Hilden,Germany)を用いてRNA抽出を行った。ezDNase(商標)(カタログ番号11766051,Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)によるgDNA除去を含めて、ランダムヘキサマープライマー(カタログ番号SO142,Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)を用いて、製造業者の説明書に従ってSuperscript IV逆転写酵素(カタログ番号18090010,Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)を用いて、逆転写を行った。Integrated DNA Technologies(Newark,NJ,USA)により合成されたTaqmanアッセイ(表1)及びTaqMan(商標)Universal Master Mix II,no UNG(カタログ番号4440040,Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA,USA)を用いて、製造業者の説明書に従って、QuantStudio 6 Flex(Applied Biosystems,Waltham,MA,USA)でqPCRを行った。すべてのアッセイをエクソンスパニングとなるように設計し、プライマーのブラストにより特異性を確認し、5段階希釈を用いてプライマーの効率を試験した。Hprt1をハウスキーピング遺伝子として使用した。使用されたADKアッセイは、ADK-LmRNAのみを検出する。
【0123】
【表7】
【0124】
すべてのデータをMicrosoft Excelで計算し、Prismバージョン9.1.1(GraphPad,San Diego,CA,USA)で可視化した。参照としてRNAiMAXのみで処置された細胞を用いて、ΔΔCt法を用いてqPCR結果を解析した。n=1で2技術的レプリケートで第1のスクリーニングを行い(図2.1A、B)、平均値±SEMとして描かれる。トップ12候補を選び(配列番号16、43、42、41、65、10、14、18、23、36、64、及び11、フォローアップ実験(n,N=2,3~4(n=生物学的レプリケート、N=技術的レプリケート)でADK-LmRNAノックダウンのレベルを確認した)、図2.2A、Bに平均値±SEMとして描いた。結果をさらに検証するために、トップアンチセンスオリゴヌクレオチド候補で処置された細胞からのRNAをADK-Lに特異的な二次qPCRアッセイで解析した。
【0125】
実施例5:選択アンチセンスオリゴヌクレオチドによるADK-Lのノックダウン
アンチセンスオリゴヌクレオチド濃度が5、1、又は0.2nMのどれかであったこと以外は実施例2と同様にトランスフェクション及びqPCR(ADK-L 1アッセイのみ)を行った。各々2生物学的レプリケートで2技術的レプリケートで実験を繰り返した。図3.1は、用量-応答試験の結果を示しており、これに基づいて、IC50値試験に対して、化合物配列番号10、16、41、42、43、136、137、及び139を選択した。
【0126】
実施例6:培養細胞系での選択ADK-LアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC50値の決定
3倍希釈で90nM~0.004nMのアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度範囲で細胞をトランスフェクトした以外は実施例3と同様にトランスフェクション及びqPCRを行った。qPCRにより決定されたADK-Lの相対レベルをGraphpad Prism(バージョン9.0.2,Graphpad GraphPad Software)でlog(M)に対してプロットした。3パラメーター非線形当てはめを用いて用量-応答曲線を当てはめ、nM単位でIC50値を計算した。実験を繰り返して、各々2技術的レプリケートで2~3生物学的レプリケートを与えた。図4.1は、ADK-Lアンチセンスオリゴヌクレオチドの用量-応答曲線及びIC50値を示す。
【0127】
実施例7:培養細胞系でのRNAシーケンシング
アンチセンスオリゴヌクレオチド濃度がそれぞれ3及び30nMであったこと以外は以上の実験と同様に細胞のトランスフェクションを行った。実験を繰り返して3生物学的レプリケートを与えた。miRNeasyミニキット(カタログ番号217004、Qiagen)を用いて細胞ペレットからRNAを単離し、RNaseフリーDNaseセット(カタログ番号79254,Qiagen)を用いて汚染ゲノムDNAを除去した。Bioanalyzer 2100(カタログ番号5067-1511,Agilent technologies,Santa Clara,CA,USA)上でRNAナノチップを用いて最終RNA品質を評価した。単離されたRNAサンプルをrRNA枯渇し、SMARTer Stranded Total RNA Sample Prep Kit-HI Mammalian(カタログ番号38229000,Takara Bio Europa)を用いてシーケンシング用として調製した。RiboGoneを用いてrRNA枯渇を実施し、AMPure XPビーズ(カタログ番号A63881、Beckman Coulter,Brea,CA,USA)を用いて残留RNAを精製し、製造業者のプロトコルに従ってライブラリー構築を行った。Pippin Prep(Sage Science,Inc.Beverly,MA,USA)上で最終ライブラリーをサイズ選択し(150~500bp)、Qubit及び高感度チップ(Agilent)を用いてBioanalyzer 2100上で品質管理し、KAPAライブラリー定量キット(Kapa Biosystems,Wilmington,MA,USA)を用いて定量した。Novogene(Cambridge,UK)でNovaseq 6000 S4上でRNA-seqを実施した。
【0128】
アダプター配列を除去しTrim Galore(バージョン0.4.1)を用いて20未満のPhredスコアの低品質塩基をトリムすることにより、シーケンシングデータを前処理した。FastQC及びMultiQC1を用いて品質管理を実施し高品質データを確保した。
【0129】
STARを用いてヒトゲノム(hg19)にフィルターリードをマップすることにより、遺伝子発現の定量を実施した。ソフトウェアFeatureCountsを用いてリードの数を定量し、Gencode V37からの遺伝子アノテーションを用いて各遺伝子にマップした。RのDESeq2を用いて遺伝子発現レベルで差次的発現解析を実施した。参照のGGGenomeを用いてin sillico解析により各アンチセンスオリゴヌクレオチドに対して予測遺伝子標的を見いだした。RefSeqからの成熟スプライスmRNA配列(スプライス)及び非スプライスpre-mRNA配列(プレスプライス)の両方に対して各アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列をマッチさせ、合計3つまでの挿入、欠失、又はミスマッチを許容した。各アンチセンスオリゴヌクレオチドマッチに対して挿入、欠失、及びミスマッチの和を予測標的部位の品質を表す「距離」(d)として表した。d=0は、アンチセンスオリゴヌクレオチド及び(プレ)mRNAとの間の結合の完全マッチを意味し、d=3は3つの挿入、欠失、又はミスマッチを意味する。予測mRNA及びpre-mRNAアンチセンスオリゴヌクレオチド標的化をRNA-seqからの遺伝子発現及び差次的発現解析と比較し、アンチセンスオリゴヌクレオチドオフ標的化に起因してどの遺伝子が差次的発現されるかを推定した。すべてプロッティングは、Rで行われた。
【0130】
1 Philip Ewels and others,‘MultiQC: Summarize Analysis Results for Multiple Tools and Samples in a Single Report’,Bioinformatics,32.19(2016),3047-48<https://doi.org/10.1093/bioinformatics/btw354>.
2 Alexander Dobin and others,‘STAR: Ultrafast Universal RNA-Seq Aligner’,Bioinformatics,29.1(2013),15-21<https://doi.org/10.1093/bioinformatics/bts635>.
3 Yang Liao,Gordon K Smyth,and Wei Shi,‘FeatureCounts:An Efficient General Purpose Program for Assigning Sequence Reads to Genomic Features’,Bioinformatics,30.7(2014),923-30<https://doi.org/10.1093/bioinformatics/btt656>.
4 Michael I Love,Wolfgang Huber,and Simon Anders,‘Moderated Estimation of Fold Change and Dispersion for RNA-Seq Data with DESeq2’,Genome Biology,15.12(2014),550<https://doi.org/10.1186/s13059-014-0550-8>.
5 Tokuyuki Yoshida and others,‘Evaluation of Off-Target Effects of Gapmer Antisense Oligonucleotides Using Human Cells’,Genes to Cells,24.12(2019),827-35<https://doi.org/https://doi.org/10.1111/gtc.12730>.
【0131】
ADK発現に及ぼすアンチセンスオリゴヌクレオチド処置の影響を評価するために、発現レベルを規格化し、サンプル全体にわたり比較した(図5.1)。図5.1は、ADK(両方のアイソフォーム)に対する規格化mRNA発現値、n=3を示す。
【0132】
全トランスクリプトームに及ぼすADK-L特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの影響を評価するために、差次的遺伝子発現解析を実施し、得られたデータをボルケーノプロットで可視化した(図5.2A~D):配列ID42及び配列ID139で処置された細胞の差次的遺伝子発現解析。ボルケーノプロットは、差次的発現の有意性と共に、アンチセンスオリゴヌクレオチド処置及びモック処置群間のRNA発現の変化を相関させて、配列ID42、配列ID139、及びモック処置細胞間の転写物の異なるレベルを示す。x軸は発現の相対変化を表し、一方、y軸は有意性を表す。各ドットは特異的RNAを表す。黒色ドットは非有意変化を表し、一方、灰色ドットは有意値を提示する。
【0133】
RNA発現の変化を1)トランスクリプトーム中の他の配列を標的とすることによる直接効果又は2)直接効果の下流の二次的結果のどちらかに帰属できるかを調べるために、1)スプライストランスクリプトーム(細胞質)内及び2)非スプライストランスクリプトーム(核)内のすべての潜在的標的部位を予測するアンチセンスオリゴヌクレオチド配列を用いて、初期in silico解析を実施した。これは、0、1、2、又は3挿入、欠失、又はミスマッチ(まとめて距離(d)と呼ばれる)のどれかを有する標的部位に対して行われた。0の距離は、ADK RNAに結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドのみで観測された。結果は図5.3A、Bに描かれる。
【0134】
配列番号42及び配列番号139のADK-L特異的効果を評価するために、ADK-Lアイソフォーム単独でさらなる解析を行った。ADK-L及びSアイソフォームは、異なる第1エクソンを用いた2つのアイソフォームを有して転写開始部位が異なる。ADK-Lアイソフォームは、上流スタートエクソンを含み、ADK-Sの第1エクソンをスキップする。この転写的差を用いてADK-L及びADK-Sアイソフォームの特異的第1エクソンのマニュアル検査により2つのアイソフォームを区別し、3nMで配列ID42及び139によるADK-L特異的ノックダウンを示したが、ただし、30nMでは配列番号42はADK-Sアイソフォームにも影響を及ぼした(図5.4A)。図5.4Bは、ADK-Sの第1エクソンに対するADK-Lのクローズアップを示す。IGVゲノムブラウザー図は、ADK-L(図5.4A)及びADK-S(図5.4B)の第1エクソン上のリードマッピングを示す。
【0135】
実施形態
1 ADKmRNA(配列番号1)に相補的な10~30ヌクレオチド長の配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの親和性増強用ヌクレオチドアナログを有し、及び前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド連結を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0136】
2 アンチセンスオリゴヌクレオチドがADK-Lに特異的であり、及び配列番号2、120、121、又は122~132のいずれかに相補的である、実施形態1)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0137】
3 配列番号101~119のいずれかに記載のモチーフを含む、実施形態1)又は2)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0138】
4 アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも5、たとえば、少なくとも6又は少なくとも7連続DNAヌクレオチドの連続ストレッチを含有する、実施形態1)~3)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0139】
5 アンチセンスオリゴヌクレオチドが4DNAヌクレオチド超の連続ストレッチを含有しない、たとえば、3連続DNAヌクレオチド以下である、実施形態1)~3)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0140】
6 アンチセンスオリゴヌクレオチドが14~19ヌクレオチド長の配列を含む、実施形態1)~5)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0141】
7 親和性増強用ヌクレオチドアナログが、LNA、トリシクロ-DNA、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’メトキシエチル(2’MOE)、2’環状エチル(cET)、UNA、2’フルオロ、及びコンフォメーショナル制限ヌクレオシド(CRN)のリストから選択される、実施形態1)~6)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0142】
8 アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1LNAを含む、実施形態1)~7)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0143】
9 アンチセンスオリゴヌクレオチドが30~55%LNAを含む、実施形態1)~8)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0144】
10 アンチセンスオリゴヌクレオチドが、トリシクロ-DNA、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’メトキシエチル(2’MOE)、2’環状エチル(cET)、UNA、2’フルオロ、及びコンフォメーショナル制限ヌクレオシド(CRN)のいずれか1つである1ヌクレオシド以上をさらに含む、実施形態9)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0145】
11 LNAがベータ-D-オキシLNAである、実施形態1)~10)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0146】
12 すべてのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、実施形態1)~11)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0147】
13 アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号3~73又は配列番号133~147のいずれか1つ、たとえば、配列番号10、11、14、16、18、23、36、41、42、43、64、65、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、又は147のいずれか1つ、たとえば、配列番号10、16、41、42、43、136、137、又は139のいずれか1つ、たとえば、以下:
(配列番号10)5’CTttatacttATtAGgAAG3’又は
(配列番号16)5’CTttatacttATtAGgAAG3’又は
(配列番号41)5’AGctTtTtAAagcaaCAG3’又は
(配列番号42)5’CTTtgggattTCaGAAA3’又は
(配列番号43)5’CTTtgggattTCaGAAA3’又は
(配列番号136)5’CTttatacttATtAGgAAG3’又は
(配列番号137)5’CTttatacttATtAGgAAG3’又は
(配列番号139)5’CTttgggatTTCaGAAA3’
(ただし、大文字はLNAを表し、小文字はDNAであり、大文字CはLNA 5-メチルシトシンであり、LNAはベータ-D-オキシLNAであり、及びすべてのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート連結である)
のいずれか1つである、実施形態1)~12)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0148】
14 アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号74~100のいずれか1つである、実施形態1)~12)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0149】
15 実施形態1)~14)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物。
【0150】
16 医薬としての使用のための、実施形態1)~14)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は実施形態15)に記載の組成物。
【0151】
17 前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物が医薬剤としての使用のためのものであり、好ましくは前記医薬剤が、ADK活性の修飾が有益である疾患の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである、実施形態1)~14)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0152】
18 使用が、CNS又はPNS疾患の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、回復、先制処置、又は予防のためのものである。実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0153】
19 前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又は前記組成物が、CNS又はPNSの疾患、たとえば、精神医学的神経学的障害、神経変性障害、又は神経発達障害の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0154】
20 ニューロン保護剤としての使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0155】
21 CNS又はPNSの疾患、精神医学的障害、神経学的障害、神経変性障害、神経発達障害、細胞性外傷及び炎症に関連する中枢及び末梢神経系疾患、ニューロナル損傷、海馬損傷、外傷性脳傷害、記憶障害、海馬硬化症、パーキンソン病、多発性硬化症、急性脊髄傷害、筋萎縮性側索硬化症、失調症、ベル麻痺、シャルコー・マリー・トゥース病、頭痛、ホートン頭痛、片頭痛、ピック病、進行性核上性麻痺、多系変性、運動ニューロン疾患、ハンチントン病、プリオン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、皮質基底核変性症、原発性進行性失語症又はその症状若しくは影響の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0156】
22 癲癇の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0157】
23 発作の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0158】
24 前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又は前記組成物が、癲癇及び/又は発作、好ましくは、処置抵抗性癲癇、後天性、遺伝性、及び/又は特発性癲癇、療法抵抗性癲癇性症候群、薬剤抵抗性癲癇、薬学抵抗性焦点性癲癇、自発性発作、療法抵抗性発作、焦点性癲癇、全身性癲癇又は癲癇重積ステータスの防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものである、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0159】
25 癲癇、薬剤抵抗性癲癇、薬剤抵抗性焦点性癲癇、発作、自発性発作、療法抵抗性発作、焦点性癲癇、好ましくは、前記焦点性癲癇は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、又は側頭葉を焦点とする、全身性癲癇、好ましくは、前記全身性癲癇は、欠神、ミオクローニック発作、強直性間代性発作、強直性発作、無緊張性発作、間代性発作及び痙攣、癲癇重積ステータスの中から選択される、急性脳傷害により誘発される癲癇原性、常染色体優性夜間前頭葉癲癇、徐波睡眠期持続性棘徐波、ドラベ症候群、卒中後発生癲癇、癲癇性脳症、笑い癲癇、欠神、良性新生児発作、ジーボンス症候群、若年性ミオクローヌス癲癇、ランドウ・クレフナー症候群、レノックス・ガストー症候群、近心側頭葉癲癇、ミオクローニック失立癲癇、大田原症候群、パナイオトポロス症候群、PCDH19症候群、中心側頭部棘波併発良性小児期癲癇、スタージ・ウェーバー症候群、症状性焦点性癲癇、一過性癲癇性健忘症及びウェスト症候群、及び/又は神経膠腫関連癲癇の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0160】
26 疼痛の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のためのものであり、好ましくは、前記疼痛が、慢性疼痛、神経因性痛、化学療法誘発神経因性痛、片頭痛、頭痛、痛覚過敏、アロディニア、及び/又は線維筋痛症である、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0161】
27 疼痛の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0162】
28 疼痛、慢性疼痛、神経因性痛、化学療法誘発神経因性痛、前兆性片頭痛及び無前兆性片頭痛を含む片頭痛、原発性頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛、ホートン頭痛、慢性連日性頭痛、副鼻洞頭痛、外傷後頭痛、運動時頭痛、持続性片側頭痛、睡眠時頭痛、痛覚過敏、熱痛覚過敏、アロディニア、触覚性アロディニア、及び/又は線維筋痛症の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0163】
29 精神医学的障害、認知障害、睡眠障害、心血管障害、呼吸器障害、癌、腎障害、炎症、又は代謝障害の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0164】
30 精神医学的障害、神経精神障害、不安症、うつ病、双極性障害、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、自閉症、アスペルガー症の、ツレット症、統合失調症、妄想型統合失調症、破瓜型統合失調症、緊張型統合失調症、鑑別不能型統合失調症、残遺型統合失調症、単純型統合失調症、又は不特定統合失調症の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0165】
31 認知障害、認知障害、認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、前頭側頭型認知症、又はレビー小体認知症の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0166】
32 睡眠障害の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0167】
33 睡眠調節剤としての使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0168】
34 睡眠促進での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0169】
35 心血管障害、末梢動脈疾患、術後心房細動、心不全、慢性心不全、脳内出血誘発脳傷害、脳卒中、脳虚血、又は虚血の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0170】
36 呼吸器障害、喘息、又は慢性閉塞性肺疾患の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0171】
37 癌、神経系癌、グリオーマ、膠芽細胞腫、肝癌、又は癌転移の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0172】
38 腎障害、腎傷害、腎炎症、アルブミン尿、又は糸球体傷害の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0173】
39 炎症の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0174】
40 炎症性障害、酸化的ストレス、炎症、アポトーシス、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、及び、これらの病態に関連する疼痛、脳炎、髄膜炎、ヒトラスムッセン脳炎、大脳皮質及び/又は海馬の炎症、進行性認知衰退、結腸炎、潰瘍性結腸炎、又は炎症性腸疾患の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0175】
41 代謝障害、好ましくは糖尿病、より好ましくは1型又は2型糖尿病の処置、緩和、先制防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0176】
42 プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、神経線維腫症、血管発生関連疾患、血管発生促進、網膜障害、好ましくは糖尿病性レチノパチー又は聴力損失の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置、緩和、先制処置、又は予防での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0177】
43 前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物が、全身投与、皮下投与、鼻投与、髄腔内投与、CNS中への脳室内投与、又は静脈内投与により投与される、実施形態1)~42)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0178】
44 実施形態16)~42)のいずれか1つに記載の疾患のいずれかの防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置のための1つ以上の他の活性医薬成分との組合せでの使用のための、実施形態1)~42)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0179】
45 他の活性医薬成分が、実施形態16)~42)のいずれか1つに記載の疾患の防止的、治癒的、又は疾患修飾的処置のために作製された成分である、実施形態44)に記載の使用。
【0180】
46 他の医薬成分が、miR-27b又はmiR-134を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである、実施形態44)又は45)に記載の使用。
【0181】
47 有効投与量の実施形態1)~46)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドと薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【0182】
48 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが唯一の活性医薬成分である、有効投与量の実施形態1)~47)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
【0183】
49 組成物が実施形態16)~46)のいずれか1つに記載の使用のためのものである、実施形態47)又は48)に記載の医薬組成物。
【0184】
50 組成物が髄腔内投与又は脳室内投与のためのものである、実施形態47)~49)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0185】
51 前記組成物がポンプで投与され、好ましくは前記ポンプがミニポンプであり、より好ましくは前記ミニポンプがミニ浸透圧ポンプである、実施形態50に記載の医薬組成物。
【0186】
52 前記組成物が心室内カテーテルにより促進される脳室内投与のためのものであり、好ましくは前記カテーテルがリザーバーに装着され、好ましくは前記リザーバーがオンマヤリザーバーである、実施形態50)又は51に記載の医薬組成物。
【0187】
53 前記組成物が、1日間、2日間、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120日間のいずれか1つのインターバルで投与される、実施形態47)~52)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0188】
54 前記組成物が、1~200日間、10~190日間、20~180日間、30~170日間、40~160日間、50~150日間、60~140日間、70~130日間、80~120日間、90~110日間、又は好ましくは約100日間のインターバルで投与される、実施形態47)~52)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0189】
55 実施形態16)~42)のいずれか1つに記載の疾患を処置する方法での使用のための、実施形態1)~15)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物。
【0190】
56 実施形態1)~14)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は実施形態15)に記載の組成物、又は実施形態47)~54)のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用による、実施形態16)~42)のいずれか1つに記載の疾患の処置の方法。
【0191】
57 処置が防止的、治癒的、又は疾患修飾的のいずれか1つである、実施形態16)~46)のいずれか1つに記載の使用又は実施形態56)に記載の方法。
【0192】
58 実施形態1)~14)のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は実施形態15に記載の組成物の使用により、実施形態16)~42)のいずれか1つに記載の疾患を診断する方法。
図1
図2.1A】
図2.1B】
図2.2A】
図2.2B】
図3.1】
図4.1】
図5.1】
図5.2A】
図5.2B】
図5.2C】
図5.2D】
図5.3A】
図5.3B】
図5.4A】
図5.4B】
【配列表】
2024522272000001.app
【国際調査報告】