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特表2024-522274改善されたオイルアウト特性を有する食品コーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-13
(54)【発明の名称】改善されたオイルアウト特性を有する食品コーティング
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20240606BHJP
   A23D 9/00 20060101ALI20240606BHJP
   A23G 1/50 20060101ALI20240606BHJP
   A23L 19/12 20160101ALI20240606BHJP
【FI】
A23L5/00 F
A23D9/00 510
A23G1/50
A23L19/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572647
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022065390
(87)【国際公開番号】W WO2022258611
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】21178048.1
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】サガロヴィツ, ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ ヴォーテ, パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ディオニシ, ファビオラ
(72)【発明者】
【氏名】マーティ‐テラード, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ロタ, フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】グネス, ゼイネル, デニス
(72)【発明者】
【氏名】グロッパー, マオズ
(72)【発明者】
【氏名】アロン ザイトゥーン, モル
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス, リカルド
【テーマコード(参考)】
4B014
4B016
4B026
4B035
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GG01
4B014GG06
4B014GG09
4B014GG14
4B014GQ03
4B016LC02
4B016LG06
4B016LG16
4B016LK06
4B016LK12
4B016LK13
4B016LP10
4B026DC06
4B026DG04
4B026DG08
4B026DG20
4B026DL05
4B026DL06
4B026DP01
4B035LC01
4B035LC16
4B035LE20
4B035LG12
4B035LG32
4B035LG33
4B035LG35
4B035LP21
4B035LP26
(57)【要約】
本発明は、外面上に食品コーティングを含む食品であって、食品コーティングが、i)50%~95%のナッツペースト又は豆果ペーストと、ii)上記ペーストと同じ供給源に由来しない1%~30%の液体油と、iii)5%~30%のフラワーと、を含み、上記食品コーティングがパーム油を含まず、上記食品外面の5~100%が上記食品コーティングと直接接触している、食品に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面上に食品コーティングを含む食品であって、前記食品コーティングが、
i)50%~95%のナッツペースト又は豆果ペーストと、
ii)前記ペーストと同じ植物源には由来しない、1%~30%の液体油と、
iii)5%~30%のフラワーと、
を含み、
前記食品コーティングがパーム油を含まず、前記食品外面の5~100%が前記食品コーティングと直接接触している、
食品。
【請求項2】
前記食品コーティングが、
i)60%~95%、好ましくは70%~92%、より好ましくは75%~90%のナッツペースト又は豆果ペーストと、
ii)2%~20%、好ましくは3%~18%、より好ましくは3%~12%の液体油と、
iii)6%~25%、より好ましくは7~22%のフラワーと、
を含む、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記食品及び/又は前記食品コーティングが、動物性製品又は動物由来製品を含まない、請求項1又は2に記載の食品。
【請求項4】
液体油:フラワーの比が、3:2~1:3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の食品。
【請求項5】
前記フラワー、又は前記フラワーと液体油との組み合わせが、9%未満の飽和脂肪含量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の食品。
【請求項6】
前記フラワーが、光散乱によって測定したときに5~150ミクロンの範囲のD50直径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の食品。
【請求項7】
前記液体油が、ヒマワリ油、キャノーラ油、セイヨウアブラナ油、菜種油、ダイズ油、オリーブ油、カボチャ油、菜種油、リンシード油、ヘンプ油、チア油、高オレイン酸ヒマワリ油、ピーナッツ油、ダイズ、ベニバナ油、コーン油、藻類油、綿実油、ブドウ種子油、アマニ油、菜種油、月見草油、リンシード油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、マカダミアナッツ油、若しくは他のナッツ油などのナッツ油、米ぬか油、ゴマ油、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の食品。
【請求項8】
前記液体油が、高オレイン酸液体油である、請求項7に記載の食品。
【請求項9】
前記フラワーが、豆果、野菜又は油糧種子源に由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の食品。
【請求項10】
前記フラワーが、15%未満の脂質を含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の食品。
【請求項11】
コーティングされた食品を作製する方法であって、前記方法が、食品の外面に食品コーティングを塗布するステップを含み、前記食品コーティングが、(i)ナッツ又は豆果種子を液体油及びフラワーと、或いは(ii)ナッツペースト又は豆果ペーストを液体油及びフラワーと、混合することによって作製される、方法。
【請求項12】
前記混合ステップが、高剪断混合、ミリング、粉砕又は微粉化を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記混合ステップが、ミキサー、高剪断ミキサー、ブレードを使用するミキサー又は押出機を使用して実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ナッツペースト又は豆果ペーストを液体油の少なくとも一部と混合するステップと、前記混合物をリファイニングするステップと、フラワー及び残りの油、並びに任意選択で他の原材料を共に混ぜ合わせるステップとを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記食品が、チョコレート、ジャガイモ、又はシリアルを含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
ナッツペースト又は豆果ペーストに富む食品コーティングを有する食品には、多くの場合、これらのペーストが、食品コーティングを製品内部に非常に速く拡散させる、又は食品コーティングを加工装置若しくは包装上に流れさせる原因となる低粘度を有し得る、という問題がある。この問題により、味、装置の衛生、食品包装、及び包装装置に関する問題が生じる。したがって、オイルアウトを減少させ、粘度を増加させることが望ましい。
【0002】
一般的な解決策としては、脂肪の結晶化を促進する添加剤の使用が挙げられる。国際公開第2005089568号(A1)は、モノグリセリド及び/又はジグリセリド、親油性(alpha tending)乳化剤及びイオン性共乳化剤の、ショートニングとしての使用を記載している。上記使用の欠点は、最も一般的で最も安価な乳化剤がE番号を必要とし、そのため消費者のクリーンラベルへの期待に応えないことである。
【0003】
欧州特許第1178731号は、結晶化を促進し、飽和脂肪を置き換えるために、ワックスが添加されたショートニングを記載している。原材料としてのワックスの使用にもラベリングの問題があり、更に口腔内でワックス様の味を生じ得る。パーム油をペーストに添加することもできるが、これは飽和脂肪含量を増加させる傾向があり、かつ原材料としてのその持続可能性が広く問題となっている。
【0004】
[発明の概要]
本発明の目的は、現在の技術水準を改善すること、改善された解決策を提供して上記の不利益の少なくともいくつかを克服すること、又は少なくとも有用な代替案を提供することである。本明細書における先行技術文献のいかなる参照も、かかる先行技術が周知であること、又は当分野で共通の全般的な認識の一部を形成していることを認めるものとみなされるべきではない。本明細書で使用される場合、「含む/備える(comprises)」、「含んでいる/備えている(comprising)」という単語、及び類似の単語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは「含むが、これらに限定されない」ことを意味することを意図している。本発明の目的は、独立請求項の主題によって達成される。従属請求項は、本発明の着想を更に展開させるものである。
【0005】
本発明は、概して、食品コーティングであって、ナッツペースト又は豆果ペーストと、液体油と、フラワー(flour)とを含む、食品コーティングに関する。
【0006】
本発明は更に、食品コーティングであって、ナッツペースト又は豆果ペーストと、該ペーストと同じ供給源には由来しない液体油と、フラワーと、を含み、かつパーム油は含まない、食品コーティングに関する。
【0007】
本発明は更に、食品コーティングであって、
i)50%~95%のナッツペースト又は豆果ペーストと、
ii)上記ペーストと同じ供給源に由来しない、1%~30%の液体油と、
iii)5%~30%のフラワーと、
を含み、
上記食品コーティングがパーム油を含まない、食品コーティングに関する。
【0008】
特に、本発明は、外面上に食品コーティングを含む食品であって、当該食品コーティングが、
i)50%~95%のナッツペースト又は豆果ペーストと、
ii)上記ペーストと同じ植物源に由来しない、1%~30%の液体油と、
iii)5%~30%のフラワーと、
を含み、
上記食品コーティングがパーム油を含まず、上記食品外面の5~100%が上記食品コーティングと直接接触している、食品に関する。
【0009】
一実施形態では、上記食品コーティングは
i)60%~95%、好ましくは70%~92%、より好ましくは75%~90%のナッツペースト又は豆果ペーストと、
ii)2%~20%、好ましくは3%~18%、より好ましくは3%~12%の液体油と、
iii)6%~25%、より好ましくは7~22%のフラワーと、を含む。
【0010】
一実施形態では、食品及び/又はコーティングは、動物性製品又は動物由来製品を含まない。
【0011】
一実施形態では、食品コーティングは、ナッツペースト又は豆果ペーストと、液体油と、フラワーと、を含み、当該食品コーティングは、液体油とフラワーとを含まない同じ食品コーティングと比較して、より低いオイルアウトを示す。
【0012】
一実施形態では、食品コーティングは、ナッツペースト又は豆果ペーストと、液体油と、フラワーと、を含み、当該食品コーティングは、液体油とフラワーとを含まない同じ食品コーティングと比較して、より高い粘度を示す。
【0013】
一実施形態では、液体油:フラワーの比は、5:1~1:6、より好ましくは4:1~1:5、より好ましくは3:1~1:4、より好ましくは3:2~1:3である。
【0014】
一実施形態では、フラワー、又はフラワーと液体油との組み合わせは、30%未満、より好ましくは20%未満、より好ましくは15%未満、より好ましくは12%未満、より好ましくは9%未満の飽和脂肪含量を有する。
【0015】
一実施形態では、フラワーは、光散乱によって測定したときに1~600ミクロン、より好ましくは2~400ミクロン、より好ましくは3~300ミクロン、より好ましくは4~200ミクロン、より好ましくは5~150ミクロンの範囲のD50直径を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ナッツペーストはブラジルナッツペーストである。一実施形態では、ナッツペーストは、ブラジルナッツとカシューナッツとの混合物である。一実施形態では、ナッツペーストは、ピーナッツペーストである。一実施形態では、ピーナッツペーストは、約28%のタンパク質、約12%の炭水化物、約48.5%の脂肪、及び約7%の繊維を含む。
【0017】
一実施形態では、液体油は、ヒマワリ油、キャノーラ油、セイヨウアブラナ油、菜種油、ダイズ油、オリーブ油、カボチャ油、菜種油、リンシード油、ヘンプ油、チア油、高オレイン酸ヒマワリ油、ピーナッツ油、ダイズ、ベニバナ油、コーン油、藻類油、綿実油、ブドウ種子油、アマニ油、菜種油、月見草油、リンシード油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、マカダミアナッツ油、若しくは他のナッツ油などのナッツ油、米ぬか油、ゴマ油、又はこれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、液体油は高オレイン酸液体油である。高オレイン酸液体油は、オレイン酸に富む種子から製造され、飽和脂肪含量が少ない。
【0018】
一実施形態では、油は、高オレイン酸ヒマワリ油である。一実施形態では、油は、オリーブ油である。一実施形態では、油は、キャノーラ油である。
【0019】
一実施形態では、フラワーは、豆果、野菜又は油糧種子源に由来する。一実施形態では、フラワーは、脱脂又は部分脱脂されており、脱脂フラワーは、約45%のタンパク質、約12%の繊維、約15%の炭水化物、及び約12%の脂肪を含む。一実施形態では、フラワーは、30%未満の脂質、より好ましくは20%未満の脂質、より好ましくは15%未満の脂質を含有する。
【0020】
一実施形態では、フラワーは、ヒマワリフラワーである。一実施形態では、ヒマワリフラワーは、部分脱脂されており、例えば、約45%のタンパク質、約12%の繊維及び約12%の脂肪を含む。一実施形態では、フラワーは、ニンジンフラワーである。一実施形態では、フラワーは、ピーナッツフラワーである。一実施形態では、ピーナッツフラワーは、部分脱脂されており、例えば、約50%のタンパク質、約12%の脂肪及び約16%の繊維を含む。
【0021】
一実施形態では、ナッツペーストはブラジルナッツペーストであり、油は高オレイン酸ヒマワリ油であり、フラワーはヒマワリフラワーであり、例えば、約70%のブラジルナッツ、約8%の高オレイン酸ヒマワリ油、及び約22%のヒマワリフラワーである。一実施形態では、ヒマワリフラワーは脱脂されている。
【0022】
一実施形態では、ナッツペーストはピーナッツペーストであり、油はオリーブ油であり、フラワーはピーナッツフラワーであり、例えば、約75%のピーナッツペースト、約9%のオリーブ油、及び約16%のピーナッツフラワーである。
【0023】
一実施形態では、ナッツペーストはピーナッツペーストであり、油はキャノーラ油であり、フラワーはピーナッツフラワーであり、例えば、約85%のピーナッツペースト、約7%のキャノーラ油、及び約8%のピーナッツフラワーである。
【0024】
一実施形態では、ナッツペーストはピーナッツペーストであり、油はキャノーラ油であり、フラワーはヒマワリフラワーであり、例えば、約85%のピーナッツペースト、約3%のキャノーラ油、及び約12%のヒマワリフラワーである。
【0025】
一実施形態では、ナッツペーストは、ブラジルナッツとカシューナッツとのブレンドであり、油はオリーブ油であり、フラワーはニンジンフラワーであり、例えば、約42%のブラジルナッツと28%のカシューナッツ、約24%のオリーブ油、及び約6%のニンジンフラワーである。
【0026】
本発明は更に、コーティングされた食品を作製する方法に関し、当該方法は、食品の外面に食品コーティングを塗布するステップを含み、上記食品コーティングは、(i)ナッツ又は豆果種子を液体油及びフラワーと、或いは(ii)ナッツペースト又は豆果ペーストを液体油及びフラワーと、混合することによって作製される。一実施形態では、混合ステップは、高剪断混合、ミリング(milling)、粉砕(grinding)又は微粉化(micronizing)を含む。一実施形態では、混合ステップは、ミキサー、高剪断ミキサー、ブレードを使用するミキサー又は押出機を使用して実施される。一実施形態では、上記方法は、ナッツペースト又は豆果ペーストを液体油の少なくとも一部と混合するステップと、混合物をリファイニングする(refining)ステップと、フラワー及び残りの油、及び任意選択で他の原材料を混ぜ合わせるステップと、を含む。
【0027】
一実施形態では、食品コーティングは、
i)50%~95%のナッツペースト又は豆果ペーストと、
ii)上記ペーストと同じ植物源に由来しない、1%~30%の液体油と、
iii)5%~30%のフラワーと、
を含み、
上記食品コーティングは、パーム油を含まない。
【0028】
一実施形態では、食品コーティングは、食品外面の5~100%が食品コーティングと直接接触するように、食品に塗布される。
【0029】
一実施形態では、上記食品コーティングは、
i)60%~95%、好ましくは70%~92%、より好ましくは75%~90%のナッツペースト又は豆果ペーストと、
ii)2%~20%、好ましくは3%~18%、より好ましくは3%~12%の液体油と、
iii)6%~25%、より好ましくは7~22%のフラワーと、
を含む。
【0030】
一実施形態では、食品及び/又は食品コーティングは、動物性製品又は動物由来製品を含まない。
【0031】
一実施形態では、食品コーティングは、ナッツペースト又は豆果ペーストと、液体油と、フラワーと、を含み、当該食品コーティングは、液体油とフラワーとを含まない同じ食品コーティングと比較して、より低いオイルアウトを示す。一実施形態では、食品コーティングは、ナッツペースト又は豆果ペーストと、液体油と、フラワーと、を含み、当該食品コーティングは、液体油とフラワーとを含まない同じ食品コーティングと比較して、より高い粘度を示す。一実施形態では、液体油:フラワーの比は、5:1~1:6、より好ましくは4:1~1:5、より好ましくは3:1~1:4、より好ましくは3:2~1:3である。一実施形態では、フラワー、又はフラワーと液体油との組み合わせは、30%未満、より好ましくは20%未満、より好ましくは15%未満、より好ましくは12%未満、より好ましくは9%未満の飽和脂肪含量を有する。一実施形態では、フラワーは、1~600ミクロン、より好ましくは2~400ミクロン、より好ましくは3~300ミクロン、より好ましくは4~200ミクロン、より好ましくは5~150ミクロンの範囲のD50直径を有する。
【0032】
一実施形態では、液体油は、ヒマワリ油、キャノーラ油、セイヨウアブラナ油、菜種油、ダイズ油、オリーブ油、カボチャ油、菜種油、リンシード油、ヘンプ油、チア油、高オレイン酸ヒマワリ油、ピーナッツ油、ダイズ、ベニバナ油、コーン油、藻類油、綿実油、ブドウ種子油、アマニ油、菜種油、月見草油、リンシード油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、マカダミアナッツ油、若しくは他のナッツ油などのナッツ油、米ぬか油、ゴマ油、又はこれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、液体油は高オレイン酸液体油である。
【0033】
一実施形態では、フラワーは、豆果、野菜又は油糧種子源に由来する。一実施形態では、フラワーは、30%未満の脂質、より好ましくは20%未満の脂質、より好ましくは15%未満の脂質を含有する。
【0034】
一実施形態では、食品は、チョコレート、ジャガイモ、又はシリアル(cereals)を含む。
【0035】
[発明を実施するための形態]
本発明の発明者らは、驚くべきことに、追加成分と液体油とを組み合わせて脂肪を部分的又は完全に置き換えることによって、食品コーティングのテクスチャ及び官能特性、並びに品質保持期間特性(例えば、オイルアウト)を損なうことなく良好な官能特性を有する食品コーティング組成物を調製することができることを見出した。脂肪は、室温で固体又は液体の可能性があり、全脂肪に対して30重量%を超える飽和脂肪酸含量を有し得る。
【0036】
油の分離、すなわち油の染み出し又はオイルアウトは、食品コーティングの重要な技術的特徴である。食品コーティングからの油の分離が増えると、例えば周囲の食品包装材料に油が拡散する。一続きの食品コーティング塊から分離される遊離油は、適切な口当たりにも悪影響を及ぼす。更に、経時的に分離される油の量は、食品コーティングの保存安定性にも影響する。本発明の実施例に示されるように、本発明の食品コーティング組成物は、この点に関して有利な特性、すなわち参照食品コーティング組成物と同様又はより良好である特性を示す。
【0037】
食品コーティングの粘度が高くなると、製品内部への食品コーティングの浸透が少なくなり、また食品コーティングが製品の設備及び包装上で減少することが少なくなることから、粘度も重要なパラメータである。
【0038】
本文脈において、「食品コーティング」という用語は、複合製品の一部として使用される予備調製された組成物に関する。食品コーティングと複合製品の他の部分とは、異なる成分から構成される。好ましくは、食品コーティングは、複合製品の他の部分を覆う。
【0039】
ナッツペースト又は豆果ペースト
食品コーティングは、ナッツ又は豆果に由来するペーストを含む。一実施形態では、ペーストは、固形物と液体脂肪との組み合わせである。一実施形態では、液体脂肪は液体油であってもよい。
【0040】
一実施形態では、ペーストは、ペーストの5重量%超、好ましくは10重量%超、好ましくは15重量%超、好ましくは20重量%超、好ましくは25重量%超、好ましくは30重量%超の量の液体油を含む。一実施形態では、ペーストは、75重量%未満、好ましくは70重量%未満、65重量%、好ましくは60重量%未満、及び最も好ましくは55重量%未満の量の液体油を含む。例えば、5%~65%である。
【0041】
一実施形態では、ペーストは、ペーストの25重量%超、好ましくはペーストの30重量%超、好ましくはペーストの35重量%超、好ましくは40重量%超、及び好ましくは45重量%超の量の固体を含む。
【0042】
一実施形態では、1s-1の剪断速度におけるナッツペースト又は豆果ペーストの粘度は、500mPa・s~200000mPa・s、好ましくは1000mPa・s~100000mPa・s、好ましくは5000mPa・s~30000mPa・sである。
【0043】
一実施形態では、10s-1の剪断速度におけるナッツペースト又は豆果ペーストの粘度は、300mPa・s~100000mPa・s、好ましくは800mPa・s~40000mPa・s、好ましくは2000mPa・s~15000mPa・sである。
【0044】
一実施形態では、100s-1の剪断速度におけるナッツペースト又は豆果ペーストの粘度は、200mPa・s~60000mPa・s、好ましくは500mPa・s~25000mPa・s、好ましくは1000mPa・s~10000mPa・sである。
【0045】
一実施形態では、ペーストは、重力下で流動する。
【0046】
一実施形態では、ペーストは、豆果ペーストである。一実施形態では、ペーストは、ナッツペーストである。
【0047】
一実施形態では、ペーストは、栗、落花生、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、ピスタチオ、ヒマワリ種子、カボチャ種子、クルミ、又はこれらの組み合わせを含む。
【0048】
一実施形態では、ペーストは、ピーナッツ又は落花生を含む。一実施形態では、ペーストは、ブラジルナッツを含む。一実施形態では、ペーストは、カシューナッツを含む。
【0049】
液体油
本明細書で言及される液体油の量は、ナッツペースト又は豆果ペーストの液体油成分を含まない。食品コーティングを調製するために使用される液体油は、液体である、又は周囲条件で液化することができる、任意の植物油又は脂肪であり得る。油は、好適には食品用の油である。例としては、ヒマワリ油、菜種油、オリーブ油、ダイズ油、セイヨウアブラナ油、キャノーラ油、ダイズ、魚油、リンシード油、ベニバナ油、コーン油、藻類油、綿実油、ブドウ種子油、アマニ油、菜種油、月見草油、リンシード油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、マカダミアナッツ油、若しくは他のナッツ油などのナッツ油、ピーナッツ油、米ぬか油、ゴマ油、又はこれらの組み合わせが挙げられる。上記の油は、任意選択で水素添加(部分的又は完全に)されていてもよく、かつ任意選択でエステル交換されていてもよい。
【0050】
場合により、油は、1種以上の脂溶性化合物、例えば、植物ポリフェノール、脂肪酸、例えば、n-3脂肪酸、n-6脂肪酸、ビタミン、芳香剤、香味剤、酸化防止剤、他の活性原材料を含有し得る。好ましい酸化防止剤としては、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸、ロスマリン抽出物(rosmarin extract)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、混合トコフェロール、及びEDTA(エチレンジアミン四酢酸)が挙げられる。
【0051】
好ましくは、植物油が使用され、より好ましくは、低いSFA含量を有する油、例えば高オレイン酸ヒマワリ油又は高オレイン酸菜種油が選択される。
【0052】
上記の液体油は、異なるオレイン酸含量を有し得る。例えば、ヒマワリ油は、従来の油又は高リノール酸:14.0%<オレイン酸<43.1%(すなわち、14.0%~43.1%のオレイン酸)、中オレイン酸:43.1%<オレイン酸<71.8%、高オレイン酸:71.8%<オレイン酸<90.7%、超高オレイン酸、90.7<オレイン酸であり得る(重量%)。例えば、ベニバナ油:従来の油:8.4%<オレイン酸<21.3%;及び高オレイン酸:70.0%<オレイン酸<83.7%である。加えて、その他の高オレイン酸としては、以下の油、ダイズ油(70.0%<オレイン酸<90.0%)、菜種油(70.0%<オレイン酸<90.0%)、オリーブ油(70.0%<オレイン酸<90.0%)、キャノーラ(70.0%<オレイン酸<90.0%)、及び藻類油(80.0%<オレイン酸<95.0%)が使用可能である。
【0053】
他の実施形態では、液体油は、中鎖トリグリセリド、好ましくは、脂肪酸が6~12個の炭素原子の脂肪族末端を有するトリグリセリドであり得る。上記の油は、例えばココナッツ油、又はパーム核油から得てもよい。
【0054】
フラワー
好ましくは、フラワーは、高タンパク質含量を有し、好ましくは、フラワーの合計重量の15重量%超、より好ましくは少なくとも20重量%、最も好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%のタンパク質含量を有する。
【0055】
一実施形態では、フラワーは、豆果に由来する。一実施形態では、フラワーは、油糧種子に由来する。一実施形態では、フラワーは、ナッツに由来する。
【0056】
一実施形態では、フラワーは、豆果、又は油糧種子又はナッツの混合物、又はこれらの組み合わせに由来する。一実施形態では、フラワーは、ペーストとは異なる植物源に由来する。
【0057】
一実施形態では、フラワーは、粉末である。一実施形態では、フラワーは、固体粒子から構成される。
【0058】
一実施形態では、フラワーは、ヒヨコ豆、豆類、ピーナッツ、落花生、レンズ豆、及びエンドウ豆類、例えば、インゲン豆、白インゲン豆、ウズラ豆、ハリコット豆、ライマメ、バタービーンズ、小豆、ムング豆、ゴールデングラム、リョクトウ、ケツルアズキ、ウラド豆、ソラマメ、ベニバナインゲン、ツルアズキ、ガルバンゾビーンズ、クランベリービーンズ、ライマメ、グリーンピース、サヤエンドウ、スナップエンドウ、スプリットピー及び黒目豆、例えば、ヒマワリ種子、綿実、カボチャ、ヘンプ、チア及びアマニ、例えば、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、ピリナッツ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、タイガーナッツ、ピーナッツ、ピーカンナッツ、ピリナッツ、松の実、ピスタチオ、栗、ピーカンナッツに由来する。
【0059】
一実施形態では、フラワーはヒマワリ種子に由来する。一実施形態では、フラワーはピーナッツに由来する。一実施形態では、フラワーは落花生に由来する。一実施形態では、フラワーは脱脂されている。
【0060】
液体油とフラワーとの比
好ましくは、液体油:フラワーの比は、5:1~1:6、より好ましくは4:1~1:5、より好ましくは3:1~1:4、より好ましくは3:2~1:3である。
【0061】
食品コーティングを含む食品
本発明の一実施形態は、本発明の食品コーティング組成物を含む食品製品を提供し、好ましくは、食品製品は菓子製品である。
【0062】
一実施形態では、食品製品は、10%未満、好ましくは7%未満、好ましくは4.9%未満、好ましくは4.5%未満、好ましくは4%未満の飽和脂肪含量を有する。
【0063】
一実施形態では、食品コーティングは、食品製品の少なくとも一部と直接接触している。一実施形態では、食品コーティングは、食品製品の外側表面積の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%と直接接触している。一実施形態では、食品コーティングは、食品製品の外側表面積の100%、95%未満、90%未満、80%未満、又は75%未満と直接接触している。例えば、食品製品の外側表面積の5%~100%が食品コーティングと直接接触している。
【0064】
一実施形態では、食品コーティングは、製品内部が処理された後に外側に堆積される。食品コーティングは、噴霧(例えば、ノズル堆積)、製品内部と食品コーティングとの混合(例えば、キッチンミキサー、又はドラムミキサーなどの工業用ミキサーを使用して)によって堆積させることができる。
【0065】
一実施形態では、食品製品は、食品コーティングの内側表面積の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%と直接接触している。一実施形態では、食品製品は、食品コーティングの内側表面積の100%、95%未満、90%未満、80%未満、又は75%未満と直接接触している。例えば、食品コーティングの内側表面積の5%~100%が食品製品と直接接触している。
【0066】
一実施形態では、本発明の食品コーティングは焼成されていない。すなわち、本発明の食品コーティングは、食品コーティングが堆積された後に更なる調理を必要とする食品製品には含まれない。
【0067】
一実施形態では、製品の5重量%~95重量%、好ましくは10重量%~90重量%、好ましくは20重量%~70重量%、又は30重量%~50重量%の本発明の食品コーティングを含む、コーティングされた食品製品が提供される。
【0068】
食品製品は、食品コーティングと比較して異なるレシピ及び/又は栄養組成を有する。一実施形態では、食品製品は、チョコレートを含む。一実施形態では、食品製品は、ジャガイモを含む。一実施形態では、食品製品は、シリアル、例えば押出された(extruded)シリアルを含む。一実施形態では、食品製品は、ピーナッツを含む。一実施形態では、食品製品は、米を含む。
【0069】
食品コーティングの製造方法
原材料の混合は、例えば、標準的な工業用混合装置を使用して、従来の混合、リファイニング、及び/又はエアレーション方法によって実行することができる。
【0070】
一実施形態では、ナッツペースト又は豆果ペースト、フラワー及び液体油は、順次、同時、及び/又は任意の順序で混合される。混合物は、任意の時点でリファイニングすることができる。一般に、任意の種類のミキサー、製粉機又は粉砕機を使用して、原材料を混合することができる。
【0071】
一実施形態では、原材料を混合又は調製するために使用される装置は、ボールミル、好ましくはWiener社製ボールミル、石臼、コロイドミル、粉砕ミル若しくは粉砕機、ミキサー、高剪断ミキサー、ブレードを使用するミキサー、又は押出機であってもよい。
【0072】
一実施形態では、本発明の食品コーティングを作製する方法であって、ナッツ、豆果、ナッツペースト又は豆果ペースト(及び任意選択でフラワー)を液体油の少なくとも一部と混合するステップと、当該混合物をリファイニングするステップと、任意選択で、フラワー及び任意の残りの油を、任意の残りの原材料と共に混ぜ合わせるステップとを含む方法が提供される。
【0073】
一実施形態では、ナッツペースト又は豆果ペーストは、丸ごとの又は脱皮したナッツ又は豆果種子からそのまま(in-situ)作製することができる。ナッツ又は豆果種子は、単独で、又はフラワーの一部若しくは全部、及び/又は液体油の一部若しくは全部と同時にリファイニングされ、ナッツペースト又は豆果ペーストを得るために加工される。次いで、任意選択で、混合物、ナッツペースト又は豆果ペーストを、フラワーの一部若しくは全部、又は液体油の一部若しくは全部と共に混合及び/又はリファイニングすることができる。丸ごとの又は脱皮したナッツ又は豆果種子を含む混合物を混合又はリファイニングするためのプロセスは、混合、高剪断混合、ミリング、粉砕又は微粉化、押出、ミキサー、高剪断ミキサー、ブレードを使用するミキサー又は押出機を含む。丸ごとの又は脱皮したナッツ又は豆果種子からペーストを調製するためのプロセスは、混合、高剪断混合、ミリング、粉砕又は微粉化、押出、ミキサー、高剪断ミキサー、ブレードを使用するミキサー又は押出機を含む。
【0074】
混合又はリファイニングのプロセスは、ボールミル、好ましくはWiener社製ボールミル、石臼、コロイドミル、粉砕ミル若しくは粉砕機の使用を含むことができる。
【0075】
ナッツ又は豆果種子としては、栗、落花生、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、ピスタチオ、ヒマワリ種子、カボチャ種子、クルミ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
リファイニング
食品コーティング原材料の1つ以上をリファイニングしてもよい。一実施形態では、リファイニングステップにより、200ミクロン未満、好ましくは100ミクロン未満、好ましくは75ミクロン未満、好ましくは60ミクロン未満の粒径を得る。一実施形態では、リファイニングによって得られる粒径は、10ミクロン超、好ましくは25ミクロン超、そして好ましくは30ミクロン超である。一実施形態では、粒径は、10ミクロン~200ミクロン、好ましくは25ミクロン~75ミクロンである。
【0077】
リファイニングは、上記の粒径を有する食品を製造するための任意の適切なリファイニング装置、例えば、2ロール及び/又は5ロールリファイナーによって実施されてもよい。あるいは、リファイニングは、任意の種類のミル又は粉砕機を用いて実施されてもよい。あるいは、リファイニングは、ボールミル、好ましくはWiener社製ボールミルを用いて、好ましくは室温よりも高い温度、好ましくは40℃~60℃の温度を用いて実施されてもよい。あるいは、リファイニングは、石臼、コロイドミル、粉砕ミル、又は粉砕機で実施されてもよい。あるいは、リファイニングは、ミキサー、高剪断ミキサー、又はブレードを使用するミキサーを用いて実施されてもよい。
【0078】
ふるい分けは、好ましくは、0.6mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mm以下のメッシュサイズ、そして好ましくは0.2mm以上のメッシュサイズ、最も好ましくは0.4mmのメッシュサイズを有するふるいを使用して実施されてもよい。
【0079】
全般的な用語
別段の定義がされていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有し、かつ与えられるべきである。
【0080】
文脈が明確に別のものを示していない限り、本明細書で使用するとき、本明細書の用語について、複数形は、単数形を含むと解すべきであり、単数形は複数形を含むと解すべきである。
【0081】
上記に定義された全ての範囲において、端点は、記載された範囲の範囲内に含まれる。加えて、一実施形態における最も広い範囲の端点と、より狭い範囲の端点とが組み合わされてもよい。
【0082】
本明細書に表示されたいずれの量についても、百分率としての合計量は、(丸め誤差を許容しつつも)100%を超過し得ないものと理解されよう。例えば、本発明の組成物が含むすべての成分(又はそれらの部分)の合計は、組成物(又はそれらの同じ部分)の重量(又は他の)百分率として表示される場合、丸め誤差を許容しつつも、合計100%からなり得る。しかしながら、成分の列挙が完全に網羅されていない場合、そのような成分の各々についての百分率の合計は、本明細書において明示的に記載されていないかもしれないいずれの追加の成分の追加量に関しても、ある程度の百分率を許容するため、100%未満になり得る。
【0083】
本明細書で使用するとき、「約(about)」及び「およそ(approximately)」は、数値範囲内、例えば、参照されている数の-30%から+30%の範囲、好ましくは参照されている数の-20%から+20%の範囲内、より好ましくは、参照されている数の-10%から+10%の範囲内、最も好ましくは参照されている数の-5%から+5%の範囲内の数を指すものと理解される。
【0084】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、多量又はその大きな割合を意味する量又は実体を指し得る。「実質的に」が関連し、使用される文脈において、「実質的に」は、(記載の文脈において参照されるどんな量又は実体に対しても)関連性のある全体の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも98%、例えば、約100%の割合を含むということを量的に意味すると理解され得る。類似性によって、用語「実質的に含まない」は、同様に、参照される量又は実体が、関連性のある全体の20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、とりわけ好ましくは5%以下、特に2%以下、例えば、約0%を含むことを表すことができる。好ましくは、適切な場合(例えば、原材料の量において)、そのような百分率は重量基準である。
【0085】
本明細書で使用するとき、文脈によりそうでないと示されない限り、脂肪が液体か固体かを測定するための標準的な条件は、大気圧、50%±5%の相対湿度、周囲温度(20℃±2°)及び0.1m/秒以下の空気流を意味する。特に明記しない限り、本明細書における全ての試験は、本明細書で定義される標準条件下で実施する。
【0086】
なお、本発明の実施形態又は態様の一つの文脈で記載されている実施形態及び特徴は、本発明の他の態様にも当てはまることに留意すべきである。
【0087】
粒径測定
体積によるD50を使用する。体積によるD50は、体積メジアン粒径又は体積平均粒径としても知られている。D50は、物理的には、かかる値よりも大きい粒子又は小さい粒子のそれぞれの体積が全粒子体積の50%を占めることを表す。D50はメジアン径を有する1つの方法である。
【0088】
粒径分布及びD50は、光散乱を使用して、例えば、Mastersizer 2000を使用して、Frauenhoferモデル、速度2600rpm、油中、屈折率0を用いて測定できる。粒子サイズはまた、CamSizer機器(Camsizer XT Retsch Xdry、120Paの圧力を使用、結果はXareaを用いて体積基準で表される、手動Camsizer)を使用して測定でき、体積によるD50を得ることができる。
【0089】
本発明を、以下の非限定的な実施例により更に詳細に記載する。
【0090】
[実施例]
実施例1
70%のブラジルナッツ(Migros、スイス)、22%のヒマワリフラワー(Heliaflor 45、AOT、ドイツ)及び8%の高オレイン酸ヒマワリ油を、Thermomixを用いて室温にて速度5で3分間混合して、均質な食品コーティングを作製した。ブラジルナッツペーストは、Thermomixを室温にて速度5で3分間使用して得た。均質な混合物が形成された。ヒマワリフラワーは、部分脱脂されたヒマワリから得られ、約45%のタンパク質、12%の繊維及び12%の脂肪を含有する。
【0091】
試料の一部を分析した。ブラジルナッツペーストと、ヒマワリフラワーと、高オレイン酸ヒマワリ油とを含む混合物により得られたレオロジーを、出発原料(ピーナッツペースト)により得られたレオロジーと比較した。粘度は、Physica MCR 501(Anton Paar)を使用して、25℃のPelletier温度にて、剪断速度0.1~100s-1で、50点で6秒間測定した。並行平板式配置(plate to plate geometry)を用いた。
【0092】
1s-1の剪断速度において、ブラジルナッツペーストの粘度は3084mPa・sであったが、全混合物の粘度は7195mPa・sであった。10s-1の剪断速度において、ブラジルナッツペースト単独の粘度は1937mPa・sであったが、全混合物の粘度は4753mPa・sであった。100s-1の剪断速度において、ブラジルナッツペースト単独の粘度は1616mPa・sであったが、全混合物の粘度は3668mPa・sであった。
【0093】
オイルアウトは、ブラジルナッツペーストと、ヒマワリフラワーと、高オレイン酸ヒマワリ油とを含む食品コーティングをFalconチューブ(寸法1.5cm×10cm)に入れ、30℃のオーブン内に置いて測定した。参照のブラジルナッツペーストも円筒形Falconチューブ(寸法1.5cm×10cm)に入れ、30℃のオーブン内に置いた。表面における遊離油の割合を測定した。4日後、食品コーティング混合物では6%のオイルアウトが観察されたが、ブラジルナッツペースト単独では20%のオイルアウトが観察された。
【0094】
実施例2
75%のピーナッツペースト(パーム油フリー、Bredabest(オランダ)より)、16%のピーナッツフラワー、及び9%のオリーブ油を、Thermomixを用いて室温にて速度5で3分間混合した。均質な混合物が形成された。ピーナッツペーストは、約28%のタンパク質、12%の炭水化物、48.5%の脂肪及び7%の繊維を含有する。ピーナッツフラワーは部分脱脂されており、約50%のタンパク質、12%の脂肪及び16%の繊維を含有する。
【0095】
試料の一部を分析した。ピーナッツペーストと、ピーナッツフラワーと、オリーブ油とを含む混合物により得られたレオロジーを、出発原料(ピーナッツペースト)により得られたレオロジーと比較した。粘度は、Physica MCR 501(Anton Paar)を使用して、25℃のPelletier温度にて、剪断速度0.1~100s-1で、50点で6秒間測定した。並行平板式配置を用いた。
【0096】
1s-1の剪断速度において、ピーナッツペースト単独の粘度は13551mPa・sであったが、食品コーティングの粘度は22912mPa・sであった。10s-1の剪断速度において、ピーナッツペースト単独の粘度は5558mPa・sであったが、食品コーティングの粘度は9961mPa・sであった。100s-1の剪断速度において、ピーナッツペースト単独の粘度は3701mPa・sであったが、食品コーティングの粘度は5440mPa・sであった。
【0097】
オイルアウトは、ピーナッツペーストと、ピーナッツフラワーと、オリーブ油とを含む食品コーティングを円筒形バイアル(寸法0.5cm×10cm)に入れ、30℃のオーブン内に置いて測定した。参照用ピーナッツペーストについても同じことを行った。表面における遊離油の割合を経時的に測定した。6日後、食品コーティング(ピーナッツペーストと、ピーナッツフラワーと、オリーブ油との混合物)のオイルアウトは観察されなかったが、参照用ピーナッツペーストでは約1%のオイルアウトが観察された。
【0098】
実施例3
85%のピーナッツペースト(Bredabest、オランダ)、8%のピーナッツフラワー及び7%のキャノーラ油を、Thermomixを用いて室温にて速度5で3分間混合した。均質な混合物が形成された。ピーナッツペーストは、約28%のタンパク質、12%の炭水化物、48.5%の脂肪及び7%の繊維を含有する。ピーナッツフラワーは部分脱脂されており、約50%のタンパク質、12%の脂肪及び16%の繊維を含有する。
【0099】
オイルアウトは、ピーナッツペーストと、ピーナッツフラワーと、オリーブ油とを含む混合物を円筒形Falconチューブ(寸法1.5cm×10cm)に入れて測定した。参照用粉砕ナッツペーストも円筒形Falconチューブ(寸法1.5cm×10cm)に入れた。上記の2本のチューブを30℃のオーブン内に置いた。表面における遊離油の割合を経時的に測定した。6日後、食品コーティング(ピーナッツペーストと、ピーナッツフラワーと、キャノーラ油との混合物)ではオイルアウトは観察されなかったが、参照用ピーナッツペーストでは約1%のオイルアウトが観察された。
【0100】
実施例4
85%のピーナッツペースト(Bredabest、オランダ)、12%のヒマワリフラワー(Heliaflor 45、AOT、ドイツ)及び3%のキャノーラ油を、Thermomixを用いて室温にて速度5で3分間混合した。
【0101】
試料の一部をレオロジー分析した。ブラジルナッツと、ヒマワリフラワーと、高オレイン酸ヒマワリ油とを含む混合物により得られたレオロジーを、出発原料(ピーナッツペースト)により得られたレオロジーと比較した。粘度は、Physica MCR 501(Anton Paar)を使用して、25℃のPelletier温度にて、剪断速度0.1~100s-1で、50点で6秒間測定した。並行平板式配置を用いた。
【0102】
1s-1の剪断速度において、ピーナッツペーストの粘度は13551Pa・s-1であったが、完全な食品コーティングの粘度は44780mPa・s-1であった。10s-1の剪断速度において、ピーナッツペースト単独の粘度は5558mPa・sであったが、完全な食品コーティングの粘度は16500mPa・sであった。100s-1の剪断速度において、ピーナッツペースト単独の粘度は3701mPa・sであったが、完全な食品コーティングの粘度は6604mPa・sであった。
【0103】
実施例5
42%のブラジルナッツ、28%のカシューナッツ、6%のニンジンフラワー及び24%のオリーブ油を、Thermomixを用いて室温にて速度5で3分間混合した。均質な混合物が形成された。ブラジルナッツペーストは、Thermomixを室温にて速度5で3分間使用して得た。均質な混合物が形成された。カシューナッツペーストは、Thermomixを室温にて速度5で3分間使用して得た。均質な混合物が形成された。試料の一部を分析した。ピーナッツペーストと、ピーナッツフラワーと、オリーブ油とを含む混合物により得られたレオロジーを、出発原料(ピーナッツペースト)により得られたレオロジーと比較した。
【0104】
粘度は、Physica MCR 501(Anton Paar)を使用して、25℃のPelletier温度にて、剪断速度0.1~100s-1で、50点で6秒間測定した。並行平板式配置を用いた。
【0105】
1s-1の剪断速度において、ブラジルナッツペースト単独の粘度は3084mPa・sであり、カシューバターペーストの粘度は134315mPa・sであった。ブラジルナッツペーストとカシューナッツペーストの計算粘度は、カシューナッツバターとブラジルナッツバターとの混合物の粘度を平均し、それぞれの重量を考慮に入れることで得た;混合物の粘度は次式(0.42*VB+0.28VC)/(0.42+0.28)[式中、VBは、ブラジルナッツバターの粘度であり、VCは、カシューナッツバターの粘度である]を使用した。混合したカシューナッツペーストとブラジルナッツペーストの計算粘度は、55576mPa・sであった。全食品コーティング混合物(カシューナッツ、ブラジルナッツペースト、オリーブ油及びヒマワリフラワーを含有する)の粘度は1496mPa・sであった。この食品コーティング粘度は、ブラジルナッツペースト単独の食品コーティング粘度、カシューナッツペースト単独の食品コーティング粘度、及びブラジルナッツペーストとカシューナッツペーストの計算粘度よりもはるかに低かった。
【0106】
10s-1の剪断速度において、ブラジルナッツペースト単独の粘度は1937mPa・sであり、カシューバターペーストの粘度は32090mPa・sであった。混合したカシューナッツペーストとブラジルナッツペーストの計算粘度(前述の方法で得た)は、13999mPa・sであった。全食品コーティング混合物(カシューナッツ、ブラジルナッツペースト、オリーブ油及びヒマワリフラワーを含有する)の粘度は973mPa・sであった。この食品コーティング粘度は、ブラジルナッツペースト単独の食品コーティング粘度、カシューナッツペースト単独の食品コーティング粘度、及びブラジルナッツペーストとカシューナッツペーストの計算粘度よりもはるかに低かった。
【0107】
100s-1の剪断速度において、ブラジルナッツペースト単独の粘度は1617mPa・sであり、カシューバターペーストの粘度は13908mPa・sであった。混合したカシューナッツペーストとブラジルナッツペーストの計算粘度(前述の方法で得た)は、6533mPa・sであった。全食品コーティング混合物(カシューナッツ、ブラジルナッツペースト、オリーブ油及びヒマワリフラワーを含有する)の粘度は825mPa・sであった。この食品コーティング粘度は、ブラジルナッツペースト単独の食品コーティング粘度、カシューナッツペースト単独の食品コーティング粘度、及びブラジルナッツペーストとカシューナッツペーストの計算粘度よりもはるかに低かった。
【0108】
オイルアウトは、カシューナッツと、ブラジルナッツと、オリーブ油と、ヒマワリフラワーとを含む混合物をFalconチューブ(寸法1.5cm×10cm)に入れ、30℃のオーブン内に置き、表面の遊離油の割合を経時的に測定することによって評価した。4日後、食品コーティング混合物(カシューナッツ、ブラジルナッツペースト、オリーブ油及びヒマワリフラワーを含有する)について10%のオイルアウトを観察することができた。
【0109】
実施例6
75%のピーナッツペースト(パーム油フリー、Bredabest(オランダ)より)と、24.75%のピーナッツフラワーと、0.25%のオリーブ油とを含む第1のレシピを、Thermomixを用いて、室温にて速度5で3分間混合する。85%のピーナッツ(パーム油フリー、Bredabest(オランダ)より)と、25%のピーナッツフラワーとを含む第2のレシピを同じ方法で処理する。いずれの混合物も、標準的な工場設備で加工することが困難であり、フラワーの量が多く、油がない又は少量しかないために、口当たりが悪い。
【国際調査報告】