(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-13
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基体の製造方法およびエアロゾル形成基体
(51)【国際特許分類】
A24B 15/16 20200101AFI20240606BHJP
A24B 15/30 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A24B15/16
A24B15/30
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023573169
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2022063833
(87)【国際公開番号】W WO2022248378
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ラウエンシュタイン シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヌスバウマー シモン
(72)【発明者】
【氏名】フェデルツォーニ フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】クダー ムニール
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB01
4B043BB11
4B043BB17
4B043BB21
4B043BB22
4B043BC02
4B043BC04
4B043BC05
4B043BC18
4B043BC20
4B043BC22
4B043BC24
(57)【要約】
本発明は、
-セルロース系強化剤を提供することと、
-結合剤を提供することと、
-ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体を混合して第一のスラリーを形成することであって、第一のスラリーが0.9Pa・s~5Pa・sの粘度を有する、形成することと、
-最終的なスラリーを得るために、セルロース系強化剤、結合剤、および第一のスラリーを組み合わせることと、
-最終的なスラリーを乾燥してエアロゾル形成基体を得ることと、を含む、エアロゾル形成基体を製造するための方法に関する。
この方法は、低減された粘度と、より少ない含水量を有する第一のスラリーを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を製造する方法であって、
セルロース系強化剤を提供することであって、前記セルロース系強化剤が、セルロース繊維、微結晶セルロース、およびセルロース粉末から成る群から選択される、提供することと、
結合剤を提供することと、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体を混合して第一のスラリーを形成することであって、前記第一のスラリーが0.9Pa・s~5Pa・sの粘度を有する、形成することと、
最終的なスラリーを得るために、前記セルロース系強化剤、前記結合剤、および前記第一のスラリーを組み合わせることと、
前記最終的なスラリーを乾燥して、前記エアロゾル形成基体を得ることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第一のスラリー内の水:エアロゾル形成体:ヒドロキシプロピルメチルセルロースの前記重量比率が、1:2~10:2~3.5であり、好ましくは、第一の水およびエアロゾル形成体が、1:2~10の水:エアロゾル形成体の重量比率で混合され、そしてその後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、1:1~3のヒドロキシプロピルメチルセルロース:エアロゾル形成体の重量比率で添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セルロース系強化剤が、セルロース繊維である、請求項1~2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記エアロゾル形成体が、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの多価アルコール;グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、またはグリセロールトリアセテートなどの多価アルコールのエステル;およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステルから成る群から選択され、好ましくは、前記エアロゾル形成体が、プロピレングリコールおよびグリセリンから成る群から選択され、より好ましくは、前記エアロゾル形成体が、グリセリンである、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記結合剤が、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、好ましくはカルボキシメチルセルロースから成る群から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記セルロース系強化剤および水が、1:20~40のセルロース繊維:水の重量比率で混合されて、第二のスラリーを形成し、かつ前記第二のスラリーが、前記第一のスラリーまたは前記結合剤のうちの一つまたは両方と組み合わせられる、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第二のスラリー:第一のスラリーの前記重量比率が、1:4~8、好ましくは1:5~7、より好ましくは1:6~6.5である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記結合剤が水と混合されて、第三のスラリーを提供し、好ましくは、結合剤:水の前記重量比率が1:30~200である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第一のスラリー、第二のスラリー、および第三のスラリーが形成され、かつその後、前記スラリーが、好ましくは1:0.1~10:3~20、好ましくは1:0.5~8:4~15の第一のスラリー:第二のスラリー:第三のスラリーの重量比率で混合される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ニコチンが、前記第一のスラリー、前記第二のスラリー、前記第三のスラリー、または前記最終的なスラリーのうちの少なくとも一つに含まれる、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記エアロゾル形成基体が、前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて、5重量パーセント~15重量パーセントの残留水含有量まで乾燥される、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
エアロゾル発生システムで使用するための固体エアロゾル形成基体であって、
前記エアロゾル形成基体が、
エアロゾル形成体と、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、
結合剤と、
セルロース系強化剤であって、セルロース繊維、微結晶セルロース、およびセルロース粉末から成る群から選択される、セルロース系強化剤と、
水と、を含む、固体エアロゾル形成基体。
【請求項13】
前記水が、前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて5重量パーセント~15重量パーセントの残留水含有量、好ましくは、前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて8重量パーセント~11重量パーセントの残留水含有量である、請求項12に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項14】
前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて12重量パーセント~25重量パーセント、好ましくは16重量パーセント~23重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項12または13のいずれかに記載のエアロゾル形成基体。
【請求項15】
前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて3重量パーセント~10重量パーセント、好ましくは4重量パーセント~7重量パーセントの結合剤を含む、請求項12~14のいずれかに記載のエアロゾル形成基体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を製造するための方法に関する。本発明はさらに、方法によって製造されたエアロゾル形成基体に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体は、しばしば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースを含有する。加えて、ポリプロピレングリコールまたはグリセリンなどのエアロゾル形成体が存在してもよい。さらに、エアロゾル形成基体は、結合剤を含んでもよい。これらのエアロゾル形成基体は、これらの構成要素を湿らせ、かつ分散させるために、水も含むスラリーから調製される。異なる構成要素を混合することは、しばしば、水またはエアロゾル形成体のいずれかにおける構成要素の一部の低い可溶性に起因して凝集および高粘度溶液につながる。これらの分散は、しばしば、エアロゾル形成基体の製造中に取り扱うのが困難である。スラリーの混合は、過剰な発泡にもつながる場合がある。これは、スラリー取り扱いをさらに複雑にする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
取り扱いが簡単な溶液を提供するエアロゾル形成基体を製造する方法を提供することが望ましいことになる。さらに、エアロゾル形成基体を製造するために、スラリーの簡単かつ迅速な乾燥を可能にする、エアロゾル形成基体を製造する方法を提供することが望ましいことになる。さらに、製造が簡単であり、かつ安定して保存することができるエアロゾル形成基体を提供することが望ましいことになる。
【0004】
本発明の一実施形態は、セルロース系強化剤を提供することを含む、エアロゾル形成基体を製造する方法を提供する。方法はまた、結合剤を提供することも含んでもよい。方法は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体を混合して第一のスラリーを形成することであって、第一のスラリーが0.9Pa・s~5Pa・s、好ましくは0.9Pa・s~4Pa・sの粘度を有する、形成することも含んでもよい。方法は、最終的なスラリーを得るために、いくつかのセルロース系強化剤、結合剤、および第一のスラリーの組み合わせも含む。エアロゾル形成基体を得るために、最終的なスラリーを乾燥してもよい。
【0005】
本発明の別の実施形態は、セルロース系強化剤を提供することを含む、エアロゾル形成基体を製造する方法を提供する。方法は、結合剤を提供することをさらに含む。加えて、方法は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体を混合して第一のスラリーを形成する方法工程を含み、第一のスラリーは、0.9Pa・s~5Pa・s、好ましくは0.9Pa・s~4Pa・sの粘度を有する。セルロース系強化剤、結合剤、および第一のスラリーは、最終的なスラリーを得るために組み合わせられる。エアロゾル形成基体を得るために、最終的なスラリーは乾燥される。
【0006】
具体的には、Anton Paar GmbH社によって市販されているモジュラーコンパクトレオメータMCR 302などのレオメータを採用する可能性がある。レオロジー測定に対する初期剪断速度は、0.1 l/sであってもよく、また最終値500 l/sまで上昇する可能性がある。分析当たりの点の数を150に設定する可能性がある。持続時間は「傾斜対数的」に設定する可能性があり、そしてギャップは1mmであることになる。レオロジー測定に対する温度は、23.5℃に設定される可能性があり、また試料当たりの複製数は、3である可能性がある。
【0007】
本発明の方法の一つの利点は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび結合剤が相互に直接的に混合されないことであってもよい。これにより、非常に高い粘度を有する軟塊様の混合物の形成を回避できる場合がある。こうした軟塊様の混合物は、取り扱いが困難である場合があり、またポンプを介して一つのタンクから別のタンクへと移送するのが困難である場合がある。
【0008】
加えて、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体の混合は、0.9Pa・s~5Pa・sの十分な粘度を有する、第一のスラリーを形成する。これは、インペラまたは分散ディスクのうちの少なくとも一つを有する液体ミキサーを採用する、第一のスラリーの構成要素の混合を可能にする場合がある。これには、軟塊ミキサー機器を必要としなくてもよい。第一のスラリーは、十分に高い粘度を有してもよい。これは、混合中に発泡体の形成を回避する場合がある。
【0009】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、フィルム形成剤として機能してもよい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、例えば、キャスティングを介してエアロゾル形成基体を含むフィルムの形成を可能にする場合がある。セルロース系強化剤は、エアロゾル形成基体の基体の凝集性およびゲル特性を増加させる場合がある。結合剤は、エアロゾル形成基体のための増粘剤として機能してもよい。
【0010】
エアロゾル形成基体の異なる構成要素は、異なる順序の配列で追加されてもよい。例えば、結合剤、セルロース系強化剤を添加し、そしてその後、結果として得られたスラリーに第一のスラリーを混合することが可能であってもよい。別の方法で、セルロース系強化剤と結合剤とのうちの一方または両方を、第一のスラリーと混合することが可能であってもよい。
【0011】
第一のスラリーの粘度は、スラリーを混合する時に第一のスラリーへと導入された剪断速度に依存してもよい。第一のスラリーは、非ニュートン流体として振る舞う場合があり、その粘度は、第一のスラリーの中へのと導入された剪断力に依存する。0.9Pa・s~5Pa・sの粘度は、0.1s-1~500s-1、好ましくは100s-1以上の剪断速度において測定される場合がある。剪断速度は、例えば、アントンパールレオメータのPP25測定システムのスピンドルを用いて決定することができる。粘度は、好ましくは、0.9Pa・s~3Pa・sであってもよい。
【0012】
第一のスラリー内の水:エアロゾル形成体:ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比率は、1:2~10:2~3.5であってもよい。これは、第一のスラリーの総重量に基づいて、第一のスラリー内の10~25重量パーセントの水の量になる場合がある。この低い水の量は、第一のスラリーの粘度を低減する場合がある。この水の量はまた、エアロゾル形成基体を製造するために、最終的なスラリーの簡単な乾燥も可能にする場合がある。
【0013】
この水の量は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの分散を改善する場合がある。さらに、これらの重量比率は、発泡体の形成を低減する場合がある。低い粘度は、第一のスラリーの簡単な取り扱いを可能にする場合がある。これは、取り扱い中に、第一のスラリーを異なる容器間でポンプで送ることを可能にする。ヒドロキシプロピルメチルセルロースに対して低い量の水はまた、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの凝集の形成も低減する場合がある。
【0014】
好ましくは、第一の水およびエアロゾル形成体は、1:2~10の水:エアロゾル形成体の重量比率で混合してもよい。続いて、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、1:1~3のヒドロキシプロピルメチルセルロース:エアロゾル形成体の重量比率で添加してもよい。この手順は、簡単に処理することができる第一のスラリーを得るために特に適切である場合がある。これはまた、凝集体の形成も回避する場合がある。こうした第一のスラリーはまた、混合するのが簡単である場合があり、これはまた、第一のスラリーを調製するための時間の量を低減する場合がある。
【0015】
セルロース系強化剤は、セルロース繊維、微結晶セルロース、およびセルロース粉末から成る群から選択されてもよい。セルロース繊維が、セルロース系強化剤として採用されることが好ましい。セルロース繊維は、0.03mmより小さい直径、好ましくは0.02mmの長さを有してもよい。繊維は0.7~1.6mmの長さ、好ましくは0.9mmの長さを有してもよい。
【0016】
これらのセルロース系強化剤は、エアロゾル形成基体に対して凝集性を提供するために特に良好に適合する場合がある。
【0017】
エアロゾル形成体は、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、またはグリセロールトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステルから成る群から選択されてもよい。
【0018】
エアロゾル形成体は、エアロゾル形成基体の燃焼温度を下回る、高密度で、かつ安定なエアロゾルの形成を容易にする場合がある。エアロゾルは、エアロゾル形成基体を加熱する温度において、熱分解に対して実質的に耐性であってもよい。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、またはグリセロールトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)であってもよい。エアロゾル形成体は、プロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールとの両方を、好ましくはグリセリンを含んでもよい。
【0019】
結合剤は、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースから成る群から選択されてもよい。好ましくは、カルボキシメチルセルロースは、結合剤として採用されてもよい。
【0020】
セルロース系強化剤は、1:20~40のセルロース系強化剤:水の重量比率で水と混合されてもよい。これは、第二のスラリーを形成してもよい。この第二のスラリーは、第一のスラリーまたは結合剤のうちの一つまたは両方と組み合わせられてもよい。
【0021】
セルロース系強化剤および水を分散させることは、凝集および粘度に関連する何らかの問題を低減する場合がある。これはまた、結合剤またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの最終的なスラリーのその他の構成要素とすでに結合した水に対するセルロース系強化剤の競合も回避する場合がある。
【0022】
第二のスラリー:第一のスラリーの重量比率は、1:4~8、好ましくは1:5~7、より好ましくは1:6~6.5であってもよい。
【0023】
結合剤は、水と混合されて、第三のスラリーを提供してもよい。これはまた、結合剤に関連する凝集および粘度の何らかの問題を低減する場合がある。結合剤:水の重量比率は、1:3~200、好ましくは1:4~150であってもよい。
【0024】
第一のスラリー、第二のスラリー、および第三のスラリーが形成されてもよく、そしてその後に組み合わせられてもよい。これは、例えば、アンカー攪拌子もしくは分散ディスクのうちの一つまたは両方、好ましくは、一つもしくはいくつかの分散ディスクおよびアンカー攪拌子を有するスラリー混合タンクを採用することによって、混合することによって行われてもよい。
【0025】
第一のスラリー:第二のスラリー:第三のスラリーの重量比率は、1:0.1~10:3~20、好ましくは1:0.5~8:4~15であってもよい。
【0026】
これらの重量比率内で、十分な粘度に起因して簡単に処理される場合がある最終的なスラリーが形成されてもよい。具体的には、これらの重量比率は、異なるスラリーを簡単に混合し、そして異なるタンクへと移送することを可能にする場合がある。
【0027】
本発明の意味では、異なるスラリーを「第一のスラリー」、「第二のスラリー」、または「第三のスラリー」と命名することは、最終的なスラリーを形成するためにある特定の順序で異なるスラリーを添加する配列を表示するものではない。例えば、セルロース系強化剤を含む第二のスラリーが、結合剤を含む第三のスラリーと組み合わせられることが可能である。その後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体を含む第一のスラリーを、第二のスラリーと第三のスラリーとの混合物に添加してもよい。この好ましい配列は、混合中に発泡することを回避する場合がある。第一のスラリー、第二のスラリー、および第三のスラリーを組み合わせる他の配列も可能である。セルロース系強化剤および結合剤のうちの一つまたは両方は、第二および第三のスラリーを形成することなく、第一のスラリーと組み合わせられてもよい。
【0028】
ニコチンは、第一のスラリー、第二のスラリー、第三のスラリー、または最終的なスラリーのうちの少なくとも一つに含まれてもよい。最終的なスラリー中のニコチンの量は、0~5重量パーセント、好ましくは0.1~3重量パーセント、より好ましくは0.3~2重量パーセントであってもよい。
【0029】
有機酸は、第一のスラリー、第二のスラリー、第三のスラリー、または最終的なスラリーのうちの少なくとも一つに含まれてもよい。有機酸は、ニコチンをプロトン化するように機能する場合がある。これは、より高いスラリー中の溶解性を有するニコチン塩を提供してもよい。好ましくは、有機酸は、乳酸、クエン酸、ピルビン酸、酒石酸、安息香酸、ペクチン酸、アルギン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、レブリン酸、およびサリチル酸から成る群から選択されてもよい。これらの有機酸は、ニコチンと塩を形成するために特に適合する場合がある。好ましくは、乳酸が、有機酸として使用されてもよい。
【0030】
最終的なスラリーは、標準的な圧力と比較して減圧下で混合することによって調製されてもよい。混合は、500~50mbarの絶対圧力の減圧において行われてもよい。特に、混合は真空下で実施されてもよい。これは、混合中に気泡の形成を回避する場合がある。
【0031】
エアロゾル形成基体は、植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでもよい。最終的なスラリーは、少ない量のたばこを含有してもよい。具体的には、最終的なスラリーは、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて、最大5重量パーセントを含有してもよい。好ましくは、最終的なスラリーはたばこ抽出物を含有する。これは、たばこ抽出物を含有するエアロゾル形成基体を製造する場合がある。
【0032】
追加的に、最終的なスラリーは風味剤を含有してもよい。これらの風味剤は、メントール、アップル、ミント、グレープフルーツ、またはバニラなどの風味を付与する場合がある。
【0033】
最終的なスラリーは、0.1s-1~500s-1、好ましくは1s-1~150s-1の剪断速度で混合することによって調製されてもよい。同様に、第一のスラリーは、同じ剪断速度で調製されてもよい。これは、最終的なスラリーまたは第一のスラリーのいずれかの構成要素の十分な混合を可能にする場合がある。
【0034】
異なるスラリーの混合および組み合わせは、パルパー、分散ディスクを有する高剪断ミキサー、ラシュトンインペラ、アンカー攪拌子、および分散ディスクを有する液体ミキサー、ならびにらせん攪拌器のうちの一つ以上を採用することによって行われてもよい。これらの混合ツールは、第一のスラリーのためにヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体を混合するために特に適する。これらの混合ツールはまた、第二のスラリーおよび第三のスラリーを製造するためにも適する場合がある。
【0035】
第一のスラリーの構成要素の混合の間、温度は、摂氏15度~摂氏30度に保持されてもよい。好ましくは、温度は室温に保持されてもよい。それ故に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体を混合することによって第一のスラリーを提供することは、加熱を有しないで実施されてもよい。加熱は、ジャケット付きタンクおよび熱交換器を介した構成要素の予熱などの、より複雑な機器を必要とする場合がある。したがって、加熱を回避することは、有利である場合がある。加えて、加熱は、製造中にエアロゾル形成体、ニコチン、または任意の風味剤の望ましくない放出をもたらす場合がある。
【0036】
最終的なスラリーの混合後、スラリーは、エアロゾル形成基体のシートを製造するためにキャストされてもよい。
【0037】
最終的なスラリーは、シートを提供するために、ベルト乾燥機上でキャストされてもよい。最終的なスラリーの乾燥は、蒸気パン乾燥機およびベルト乾燥機のうちの一方または両方を採用して行われてもよい。ベルト乾燥機の速度は、8メートル毎分~9メートル毎分であってもよい。最終的なスラリーをベルト乾燥機上でキャストするために、ドクターブレードが使用されてもよい。最終的なスラリー中の少ない量の水のために、より多い量の水を含有する他のスラリーと比較して、ベルト乾燥機の速度は増加されてもよい。最終的なスラリーは、摂氏80度~摂氏150度の温度における残留水を含むように乾燥されてもよい。キャストされた最終的なスラリーは、標準圧力下で乾燥されてもよい。最終的なスラリーは、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて、5重量パーセント~15重量パーセントの水の標的残留水含有量へと乾燥されてもよい。
【0038】
スラリーをキャストする前に、最終的なスラリーをバッファタンクへと移送してもよい。これは、最終的なスラリーの低い粘度に起因して、特に簡単である場合があり、これは異なるタンク間で最終的なスラリーをポンプで送ることを可能にする場合がある。最終的なスラリーは、乾燥前にバッファタンク内に貯蔵されてもよい。これはまた、混合タンクを、第一のスラリーおよび最終的なスラリーの次のバッチの調製のためにも利用可能にする場合がある。
【0039】
本発明の別の実施形態は、エアロゾル発生システムで使用するための固体エアロゾル形成基体を提供する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、結合剤を含んでもよい。加えて、セルロース系強化剤が存在してもよい。エアロゾル形成基体は水も含んでもよい。
【0040】
本発明のさらなる実施形態では、エアロゾル発生システムで使用するための固体エアロゾル形成基体が提供される。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含む。加えて、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが存在する。エアロゾル形成基体はまた、結合剤およびセルロース系強化剤も含む。加えて、水、具体的には残留水が、固体エアロゾル形成基体中に存在する。
【0041】
こうした固体エアロゾル形成基体は、本発明による方法によって簡単に製造される場合がある。具体的には、簡単な乾燥手順のために、残留水含有量は、エアロゾル形成基体内に存在してもよい。
【0042】
残留水含有量は、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて、5重量パーセント~15重量パーセントであってもよい。好ましくは、残留水含有量は、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて、8重量パーセント~11重量パーセントであってもよい。
【0043】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて、12重量パーセント~25重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有してもよい。好ましくは、エアロゾル形成基体は、16重量パーセント~23重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有してもよい。
【0044】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて、3重量パーセント~10重量パーセントの結合剤を含有してもよい。好ましくは、4重量パーセント~7重量パーセントの結合剤が、エアロゾル形成基体内に存在してもよい。
【0045】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて、40重量パーセント~60重量パーセントのエアロゾル形成体を含有してもよい。
【0046】
エアロゾル形成基体の総重量に基づいて4重量パーセント~25重量パーセントのセルロース系強化剤もまた、エアロゾル形成基体内に存在してもよい。好ましくは、5重量パーセント~20重量パーセントのセルロース系強化剤が、エアロゾル形成基体内に存在してもよい。
【0047】
本発明はまた、本明細書に記述される方法のうちのいずれかに従って製造される、エアロゾル発生システムで使用するための固体エアロゾル形成基体も提供する。
【0048】
固体エアロゾル形成基体、具体的には、エアロゾル形成基体のシートは、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。エアロゾル発生物品は、固体エアロゾル形成基体を含む基体セクションを含んでもよい。エアロゾル発生物品は、管状形状を有してもよい。その結果として、エアロゾル発生物品の基体セクションは、管状形状も含んでもよい。基体セクションに加えて、エアロゾル発生物品は、フィルターセクションまたは中空管状セクションのうちの一つまたは両方を含んでもよい。エアロゾル発生物品は、ラッピング材料、具体的には、基体セクションおよび他の随意のセクションを包囲する紙を含んでもよい。
【0049】
本発明はまた、本発明のエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置とを備える、エアロゾル発生システムも提供する。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を受容するように構成された空洞を備えてもよい。空洞は、加熱チャンバーであってもよい。エアロゾル発生装置は、空洞内に受容されたエアロゾル発生物品を加熱するための発熱体を備えてもよい。エアロゾル発生物品の加熱は、エアロゾル形成基体の燃焼温度を下回って加熱することによって行われてもよい。これは、エアロゾル形成体、ならびに随意にニコチン、他のたばこ風味、およびエアロゾル形成基体へと添加された追加的な風味剤を含む、エアロゾルを製造する場合がある。
【0050】
エアロゾル発生装置は、発熱体を備えてもよい。発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基体上の一つ以上の可撓性加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性加熱箔は、基体を受容する空洞の周辺部に適合する形状にすることができる。別の方法として、外部発熱体は、金属のグリッド(複数可)、可撓性プリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。発熱体はまた、温度と比抵抗との間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置では、金属は、適切な断熱材料の二つの層の間のトラックとして形成されてもよい。このようにして形成された発熱体は、動作中の外部発熱体の加熱と、その温度のモニターとの両方に使用されてもよい。発熱体は、抵抗発熱体として構成されてもよい。
【0051】
別の方法として、発熱体は誘導発熱体として構成されてもよい。誘導発熱体は、エアロゾル発生装置の空洞を少なくとも部分的に包囲して配設された誘導コイルを備えてもよい。誘導コイルは、らせん状誘導コイルであってもよい。誘導コイルは、空洞を同軸に包囲する管状形状を有してもよい。誘導発熱体は、サセプタをさらに含んでもよい。
【0052】
一般的に、サセプタは、電磁エネルギーを吸収し、それを熱に変換することができる材料である。交流電磁場内に位置する時、典型的にサセプタ内に渦電流が誘発され、かつヒステリシス損失が生じ、サセプタの加熱を引き起こす。一つまたはいくつかの誘導コイルによって発生された変化する電磁場はサセプタを加熱し、これはその後、エアロゾル発生物品へと熱を伝達し、これによりエアロゾルが形成される。熱伝達は、主に熱の伝導によってもよい。こうした熱の伝達は、サセプタがエアロゾル発生物品と密接な熱的接触状態にある場合に、最も良好である。サセプタは、管状形状を有してもよい。サセプタの外径は、誘導コイルの内径より小さくてもよい。サセプタは、誘導コイル内に配設されてもよい。サセプタは、空洞の側壁を形成してもよい。
【0053】
サセプタは、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料から形成されてもよい。好ましいサセプタは強磁性材料(例えば、強磁性合金、フェライト鉄、または強磁性鋼もしくは強磁性ステンレス鋼)を含んでよく、またはそれから成ってもよい。適切なサセプタはアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。好ましいサセプタは、摂氏250度を超える温度へと加熱されてもよい。
【0054】
下記に非限定的な実施例の非網羅的なリストが提供される。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0055】
実施例A:エアロゾル形成基体を製造するための方法であって、
-セルロース系強化剤を提供することと、
-結合剤を提供することと、
-ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体を混合して第一のスラリーを形成することであって、第一のスラリーが0.9Pa・s~5 Pa・sの粘度を有する、形成することと、
-最終的なスラリーを得るために、セルロース系強化剤、結合剤、および第一のスラリーを組み合わせることと、
-最終的なスラリーを乾燥してエアロゾル形成基体を得ることと、を含む、方法。
【0056】
実施例B:第一のスラリー内の水:エアロゾル形成体:ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比率が、1:2~10:2~3.5であり、好ましくは、第一の水およびエアロゾル形成体が、1:2~10の水:エアロゾル形成体の重量比率で混合され、そしてその後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、1:1~3のヒドロキシプロピルメチルセルロース:エアロゾル形成体の重量比率で添加される、実施例Aによる方法。
【0057】
実施例C:セルロース系強化剤が、セルロース繊維、微結晶セルロース、およびセルロース粉末から成る群から選択され、好ましくはセルロース繊維である、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0058】
実施例D:エアロゾル形成体が、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの多価アルコール;グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、またはグリセロールトリアセテートなどの多価アルコールのエステル;およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステルから成る群から選択され、好ましくは、エアロゾル形成体が、プロピレングリコールおよびグリセリンから成る群から選択され、より好ましくは、エアロゾル形成体が、グリセリンである、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0059】
実施例E:前記結合剤が、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、好ましくはカルボキシメチルセルロースから成る群から選択される、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0060】
実施例F:セルロース系強化剤および水が、1:20~40のセルロース繊維:水の重量比率で混合されて、第二のスラリーを形成し、かつ第二のスラリーが、第一のスラリーまたは結合剤のうちの一つまたは両方と組み合わせられる、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0061】
実施例G:第二のスラリー:第一のスラリーの重量比率が、1:4~8、好ましくは1:5~7、より好ましくは1:6~6.5である、先行する実施例Fによる方法。
【0062】
実施例H:結合剤が水と混合されて、第三のスラリーを提供し、好ましくは、結合剤:水の重量比率が1:30~200である、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0063】
実施例I:第一のスラリー、第二のスラリー、および第三のスラリーが形成され、かつその後、スラリーが、好ましくは1:0.1~10:3~20、好ましくは1:0.5~8:4~15の第一のスラリー:第二のスラリー:第三のスラリーの重量比率で混合される、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0064】
実施例J:ニコチンが、第一のスラリー、第二のスラリー、第三のスラリー、または最終的なスラリーのうちの少なくとも一つに含まれる、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0065】
実施例K:有機酸が、第一のスラリー、第二のスラリー、第三のスラリー、または最終的なスラリーのうちの少なくとも一つに含まれ、好ましくは、有機酸が、乳酸、クエン酸、ピルビン酸、酒石酸、安息香酸、ペクチン酸、アルギン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、レブリン酸、およびサリチル酸から成る群から選択される、先行する実施例Jに記載の方法。
【0066】
実施例L:第一のスラリー、第二のスラリー、第三のスラリー、または最終的なスラリーのうちの少なくとも一つが、真空下で混合することによって調製される、先行する実施例のいずれかによる方法。
実施例M:第一のスラリーおよび最終的なスラリーのうちの一つまたは両方が、0.1s-1~500s-1、好ましくは1s-1~150s-1の剪断速度で混合することによって調製される、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0067】
実施例N:混合することが、パルパー、分散ディスクを有する高剪断ミキサー、ラシュトンインペラ、アンカー攪拌子、および分散ディスクを有する液体ミキサー、ならびにらせん攪拌器のうちの一つ以上を採用することによって行われる、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0068】
実施例O:最終的なスラリーの混合後、エアロゾル形成基体のシートを製造するためにスラリーがキャストされる、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0069】
実施例P:最終的なスラリーを乾燥することが、蒸気パン乾燥機およびベルト乾燥機のうちの一つまたは両方を採用して行われる、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0070】
実施例Q:エアロゾル形成基体が、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて、5重量パーセント~15重量パーセントの残留水含有量まで乾燥される、先行する実施例のいずれかによる方法。
【0071】
実施例R:エアロゾル発生システムで使用するための固体エアロゾル形成基体であって、
エアロゾル形成基体が、
-エアロゾル形成体と、
-ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、
-結合剤と、
-セルロース系強化剤と、
-水と、を含む、固体エアロゾル形成基体。
【0072】
実施例S:水が、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて5重量パーセント~15重量パーセントの残留水含有量、好ましくは、エアロゾル形成基体の総重量に基づいて8重量パーセント~11重量パーセントの残留水含有量である、先行する実施例Rによるエアロゾル形成基体。
【0073】
実施例T:エアロゾル形成基体の総重量に基づいて12重量パーセント~25重量パーセント、好ましくは16重量パーセント~23重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、先行する実施例RまたはSのいずれかによるエアロゾル形成基体。
【0074】
実施例U: エアロゾル形成基体の総重量に基づいて3重量パーセント~10重量パーセント、好ましくは4重量パーセント~7重量パーセントの結合剤を含む、先行する実施例R~Tのいずれかによるエアロゾル形成基体。
【0075】
実施例V:エアロゾル形成基体の総重量に基づいて40重量パーセント~60重量パーセントのエアロゾル形成体を含む、先行する実施例R~Uのいずれかによるエアロゾル形成基体。
【0076】
実施例W: エアロゾル形成基体の総重量に基づいて4重量パーセント~25重量パーセント、好ましくは5重量パーセント~20重量パーセントのセルロース系強化剤を含む、先行する実施例R~Vのいずれかによるエアロゾル形成基体。
【0077】
実施例X:実施例A~Qのいずれかの方法に従って製造されたエアロゾル発生システムで使用するための固体エアロゾル形成基体。
一つの実施形態に関して記述される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0078】
例証としてのみであるが、添付図面を参照しながら本発明をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】図は、水の重量割合に対する第一のスラリーの粘度を図示するグラフを示す。
【
図2】
図2は、本発明によるエアロゾル形成基体を製造するための方法のフローチャートを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1は、グラフ10を示し、x軸上の第一のスラリーの総重量に基づく水の重量パーセント含有量に対して、y軸上に100s
-1の剪断速度における第一のスラリーの粘度がmPas・sでプロットされる。グラフは、最適が10~25重量パーセントの水であることを示し、第一のスラリーの粘度が最も低い。部分的に、粘度は、参照符号12で示される900mPa・sおよび2800mPa・sの範囲内である。グラフは、25重量パーセントより大きく、約50重量パーセントまでのより高い含水量において、第一のスラリーの粘度は驚くべきことに非常に高い(高い粘度のエリアは参照符号14で示される)ことを示し、これは追加的に、第一のスラリーを混合する時に発泡も結果としてもたらす(「発泡」と名付けられたエリアは参照符号16で示される)。一方で、55重量パーセント~68重量パーセントのより高い水の割合は、再度粘度を減少させるが、凝集の生成につながる(「塊の生成」と名付けられたエリアは参照符号18で示される)。20で示される破線は、グアーグリセリン基準混合物の粘度を示す。これは、混合機器がそれに対して設計された基準混合物であってもよい。グアーグリセリン基準混合物は、5重量部のグアーガムと27重量部のグリセリンとを含有する。
【0081】
したがって、
図1は、発明者らが、第一のスラリー内に含まれる低い量の水を特定することができたことを示し、これは一方で低い粘度を提供し、また他方で発泡および凝集の問題も回避する。これは、当業者であれば、含水量の増加に伴い粘度が低下することを予想するであろうため、多少驚くべきことである。10~25重量パーセントの水という低い含水量はまた、エアロゾル形成基体を製造するための、最終的なスラリーのより迅速かつより簡単な乾燥も可能にする。
【0082】
図2は、エアロゾル形成基体を製造するための本発明の方法のフローチャートを図示する。「SA」で示される水およびセルロース系強化剤は、第二のスラリーを提供するために第一の工程において混合することができる。セルロース繊維が、セルロース系強化剤として採用されることが好ましい。さらなる工程では、結合剤、水、およびエアロゾル形成体は「AF」で示され、そして随意にニコチンは「N」で示され、また「OA」で示される有機酸は、第三のスラリーを提供するために混合される。カルボキシメチルセルロースは結合剤として、また乳酸は有機酸として採用されることが好ましい。さらなる工程では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、水とエアロゾル形成体との混合物に添加され、そして、第一のスラリーを提供するために混合される。
【0083】
すべてのスラリー、第一のスラリー、第二のスラリー、および第三のスラリーを組み合わせ、そして混合する(「移送」および「混合」で示されるボックスを参照のこと)。その後、最終的なスラリーをバッファタンクへと移送し、そして、例えば、エアロゾル形成基体の乾燥したシートを提供するために、ベルト乾燥機上で、最終的にキャストされる。
【実施例】
【0084】
第一のスラリーを、3:10:5の水:グリセリン:ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比率で調製した。続いて、3.5:111のセルロース繊維:水の重量比率で、第二のスラリーを調製した。カルボキシメチルセルロースを含有する第三のスラリーを調製し、そして1:114.5の第三のスラリー:第二のスラリーの重量比率で第二のスラリーへと添加した。第一のスラリーは、その後、最終的なスラリーを調製するために、第三のスラリーと第二のスラリーとの混合物へと添加された。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を製造する方法であって、
セルロース系強化剤を提供することであって、前記セルロース系強化剤が、セルロース繊維、微結晶セルロース、およびセルロース粉末から成る群から選択される、提供することと、
結合剤であって、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースから成る群から選択される、結合剤を提供することと、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水、およびエアロゾル形成体を混合して第一のスラリーを形成することであって、前記第一のスラリーが0.9Pa・s~5Pa・sの粘度を有する、形成することと、
最終的なスラリーを得るために、前記セルロース系強化剤、前記結合剤、および前記第一のスラリーを組み合わせることと、
前記最終的なスラリーを乾燥して、前記エアロゾル形成基体を得ることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第一のスラリー内の水:エアロゾル形成体:ヒドロキシプロピルメチルセルロースの前記重量比率が、1:2~10:2~3.5であり、好ましくは、第一の水およびエアロゾル形成体が、1:2~10の水:エアロゾル形成体の重量比率で混合され、そしてその後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、1:1~3のヒドロキシプロピルメチルセルロース:エアロゾル形成体の重量比率で添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セルロース系強化剤が、セルロース繊維である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エアロゾル形成体が、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの多価アルコール;グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、またはグリセロールトリアセテートなどの多価アルコールのエステル;およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステルから成る群から選択され、好ましくは、前記エアロゾル形成体が、プロピレングリコールおよびグリセリンから成る群から選択され、より好ましくは、前記エアロゾル形成体が、グリセリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記結合剤が、カルボキシメチルセルロースである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記セルロース系強化剤および水が、1:20~40のセルロース繊維:水の重量比率で混合されて、第二のスラリーを形成し、かつ前記第二のスラリーが、前記第一のスラリーまたは前記結合剤のうちの一つまたは両方と組み合わせられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第二のスラリー:第一のスラリーの前記重量比率が、1:4~8、好ましくは1:5~7、より好ましくは1:6~6.5である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記結合剤が水と混合されて、第三のスラリーを提供し、好ましくは、結合剤:水の前記重量比率が1:30~200である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第一のスラリー、第二のスラリー、および第三のスラリーが形成され、かつその後、前記スラリーが、好ましくは1:0.1~10:3~20、好ましくは1:0.5~8:4~15の第一のスラリー:第二のスラリー:第三のスラリーの重量比率で混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ニコチンが、前記第一のスラリー、前記第二のスラリー、前記第三のスラリー、または前記最終的なスラリーのうちの少なくとも一つに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記エアロゾル形成基体が、前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて、5重量パーセント~15重量パーセントの残留水含有量まで乾燥される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
エアロゾル発生システムで使用するための固体エアロゾル形成基体であって、
前記エアロゾル形成基体が、
前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて40重量パーセント~60重量パーセントのエアロゾル形成体と、
前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて12重量パーセント~25重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロースと、
前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて3重量パーセント~10重量パーセントの結合剤であって、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースから成る群から選択される、結合剤と、
前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて4重量パーセント~25重量パーセントのセルロース系強化剤であって、セルロース繊維、微結晶セルロース、およびセルロース粉末から成る群から選択される、セルロース系強化剤と、
水と、
を含む、固体エアロゾル形成基体。
【請求項13】
16重量パーセント~23重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項12に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項14】
前記エアロゾル形成基体の前記総重量に基づいて4重量パーセント~7重量パーセントの結合剤を含む、請求項12に記載のエアロゾル形成基体。
【国際調査報告】