(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-13
(54)【発明の名称】薬物療法送達システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
A61F9/007 170
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573186
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022031305
(87)【国際公開番号】W WO2022251603
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ジェイ.ローバー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー シー.トウラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム エス.コニア
(57)【要約】
第2の微孔質材料に結合された第1の微孔質材料を含む、薬剤を分配するための埋め込み型送達デバイス。第1の微孔質材料は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層と、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層とを有する。第2の微孔質材料は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層と、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層とを有する。第2の微孔質層は、第3の微孔質層に結合され、それによって薬剤を受容するためのリザーバを形成する。第1及び第2の微孔質材料は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバから分配される速度を計量するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の疾患を治療する方法であって、前記方法が、
第2の微孔質材料に結合された第1の微孔質材料を含む埋め込み型送達デバイスであって、前記第1の微孔質材料が、組織の内殖を許容するサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層と、組織の内殖を許容するサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層とを有し、前記第2の微孔質材料が、組織の内殖に抵抗するサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層と、組織の内殖を許容するサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層とを有し、前記第2の微孔質層が、前記第3の微孔質層に結合され、それによって少なくとも1つの薬剤を受容するためのリザーバを形成し、前記送達デバイスが埋め込まれたときに前記薬剤が前記リザーバから分配される速度を計量するように、前記第1の微孔質材料及び前記第2の微孔質材料が構成されている、埋め込み型送達デバイスを選択することと、
1つ以上の眼の疾患を治療するための薬剤を前記リザーバに充填することと、
前記埋め込み型送達デバイスを埋め込み位置に埋め込むことと、
前記薬剤が前記リザーバから1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記埋め込み位置が、前方のリザーバ位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の眼疾患が、緑内障、角膜炎、ドライアイ、又は老眼のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の疾患が緑内障であるとき、前記薬剤が、プロスタグランジン、プロスタグランジン構造類似体、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の疾患が角膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質、ステロイド、又は抗真菌剤のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の疾患がドライアイであるとき、前記薬剤が、プロスタグランジン、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つに対応するAPIクラスを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の疾患が老眼であるとき、前記薬剤が、縮瞳薬を含むAPIクラスを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記埋め込み位置が、後方のリザーバ位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の眼疾患が、黄斑変性症、地図状萎縮病変、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、角膜炎、網膜芽細胞腫、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の疾患が黄斑変性症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体、抗体模倣タンパク質、ペプチド、又は小結合分子を含むAPIクラスを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の疾患が黄斑浮腫であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体、抗体模倣タンパク質、ペプチド、小結合分子、又はステロイドを含むAPIクラスを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の疾患がぶどう膜炎であるとき、前記薬剤が、コルチコステロイドを含むAPIクラスを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の疾患が網膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質又は抗ウイルス薬を含むAPIクラスを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の疾患が網膜芽細胞腫であるとき、前記薬剤が、細胞毒性化学療法化合物を含むAPIクラスを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の疾患が網膜中心静脈閉塞症又は網膜静脈分枝閉塞症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記埋め込み位置が、前方-後方のリザーバ位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の眼疾患が、黄斑変性症、地図状萎縮病変、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の疾患が黄斑変性症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体を含むAPIクラスを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の疾患が黄斑浮腫であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、請求項17に記載の方法。
。
【請求項20】
前記1つ以上の疾患がぶどう膜炎であるとき、前記薬剤が、コルチコステロイドを含むAPIクラスを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の疾患が網膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質又は抗ウイルス薬を含むAPIクラスを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上の疾患が網膜中心静脈閉塞症又は網膜静脈分枝閉塞症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記埋め込み型送達デバイスが、補充式リザーバ及び送達アームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記補充式リザーバを補充することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバを補充するための1つ以上の充填ポートを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記埋め込み型送達デバイスが、単一方向に薬剤を分配するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記埋め込み型送達デバイスが、複数の方向に薬剤を分配するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバ内に画定された複数のチャンバを有し、前記複数のチャンバ内の第1及び第2のチャンバが、互いに流体連通している、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバ内に画定された複数のチャンバを有し、前記複数のチャンバ内の第1及び第2のチャンバが、互いに流体的に隔離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバ内に画定された複数のチャンバを有し、前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバを補充するための1つ以上の充填ポートを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記充填ポートの数が前記チャンバの数に対応する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記埋め込み型送達デバイスを埋め込み位置に埋め込むことが、前記埋め込み型送達デバイスが結膜下になるように前記デバイスを前記埋め込み位置に配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記埋め込み型送達デバイスを埋め込み位置に埋め込むことが、前記埋め込み型送達デバイスが脈絡膜上になるように前記デバイスを前記埋め込み位置に配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記埋め込み位置が、前方-硝子体内のリザーバ位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の眼疾患が、黄斑変性症、地図状萎縮病変、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の疾患が黄斑変性症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体を含むAPIクラスを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上の疾患が黄斑浮腫であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記1つ以上の疾患がぶどう膜炎であるとき、前記薬剤が、コルチコステロイドを含むAPIクラスを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ以上の疾患が網膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質又は抗ウイルス薬を含むAPIクラスを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記1つ以上の疾患が網膜中心静脈閉塞症又は網膜静脈分枝閉塞症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記埋め込み位置が、前方-前房のリザーバ位置である、請求項23に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上の眼疾患が、黄斑変性症、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記1つ以上の疾患が緑内障であるとき、前記薬剤が、プロスタグランジン、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記1つ以上の疾患が角膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質、ステロイド、又は抗真菌剤のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記1つ以上の疾患がドライアイであるとき、前記薬剤が、プロスタグランジン、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つに対応するAPIクラスを有する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記1つ以上の疾患が老眼であるとき、前記薬剤が、縮瞳薬を含むAPIクラスを有する、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
遺伝子療法が、加齢黄斑変性症、網膜色素変性症、地図状萎縮、糖尿病性黄斑浮腫、及び糖尿病性網膜症の治療のために、緑内障性神経変性を予防するために展開される、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
遺伝子療法が、ウイルス形質導入ベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ポリマーベースのナノ粒子、リポソーム、又は圧縮核酸ナノ粒子のいずれかの持続投与によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの追加材料を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記医薬組成物の前記第1の状態では、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を可能にせず、前記医薬組成物の前記第2の状態では、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を許容する、医薬組成物。
【請求項50】
前記少なくとも1つの追加材料がポリマーを含み、任意選択で生体吸収性微粒子を含む、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの治療剤が、前記少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記生体吸収性微粒子が、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記第2の状態において、前記組成物が流体吸収して前記治療剤を放出することができる、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記第1の状態が非治療状態を含み、前記第2の状態が治療状態を含む、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項57】
医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの追加材料を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記第1の状態において、前記医薬組成物が非治療状態を含む、医薬組成物。
【請求項58】
前記第2の状態が治療状態を含む、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記追加材料がポリマーを含み、任意選択で生体吸収性材料を含む、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項61】
少なくとも1つの追加材料によって画定されるリザーバ内に設置される医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記医薬組成物の前記第1の状態では、前記少なくとも1つの追加材料が、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を阻害し、前記医薬組成物の前記第2の状態では、前記少なくとも1つの追加材料が、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を許容する、医薬組成物。
【請求項62】
前記第1の状態と前記第2の状態との間の移行が、外部環境から前記第1の状態にある前記医薬組成物への前記流体の通過を許容する前記少なくとも1つの追加材料によって開始される、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記少なくとも1つの追加材料が、ポリマーを含み、任意選択で生体吸収性微粒子を含む、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの治療剤が、前記少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記生体吸収性微粒子が、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記第2の状態において、前記組成物が流体吸収して前記治療剤を放出することができる、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項67】
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記第1の状態が非治療状態を含み、前記第2の状態が治療状態を含む、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項70】
少なくとも1つの追加材料によって画定されるリザーバ内に設置される医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記医薬組成物の前記第1の状態において、前記少なくとも1つの材料が前記第1の状態での前記少なくとも1つの治療剤の移動を阻害することにより、前記医薬組成物が非治療状態を含む、医薬組成物。
【請求項71】
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの材料が前記第2の状態での前記少なくとも1つの治療剤の移動を許容することにより、前記医薬組成物が治療状態を含む、請求項70に記載の医薬組成物。
【請求項72】
前記第1の状態と前記第2の状態との間の移行が、外部環境から前記第1の状態にある前記医薬組成物への前記流体の通過を許容する前記少なくとも1つの追加材料によって開始される、請求項70に記載の医薬組成物。
【請求項73】
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの治療剤が、前記少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される、請求項70に記載の医薬組成物。
【請求項74】
前記生体吸収性微粒子が、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項70に記載の医薬組成物。
【請求項75】
前記第2の状態において、前記組成物が流体吸収して前記治療剤を放出することができる、請求項70に記載の医薬組成物。
【請求項76】
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、請求項70に記載の医薬組成物。
【請求項77】
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項76に記載の医薬組成物。
【請求項78】
前記第1の状態が非治療状態を含み、前記第2の状態が治療状態を含む、請求項70に記載の医薬組成物。
【請求項79】
治療剤が予め装填された埋め込み型医療デバイスであって、
第2の微孔質層に結合されてそれらの間に設置されたリザーバを画定する第1の微孔質材料を含み、
前記リザーバが、前記治療剤を収容するように構成され、前記埋め込み型医療デバイスが、前記治療剤を所定の速度で放出するように構成されており、
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つである、埋め込み型医療デバイス。
【請求項80】
疾患の治療のための治療剤を送達するための埋め込み型医療デバイスであって、
第2の微孔質層に結合されてそれらの間に設置されたリザーバを画定する第1の微孔質材料を含み、
前記リザーバが、医薬組成物を収容し、前記疾患を治療するために前記治療剤を標的部位に送達するように構成されており、
前記治療が、緑内障、黄斑変性症、黄斑浮腫、網膜炎、網膜芽細胞腫、網膜静脈閉塞症、角膜炎、及びドライアイのうちの1つ以上を治療するように構成されている、埋め込み型医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年5月27日に出願された仮出願第63/194,152号の利益を主張する、2022年5月26日に出願された米国特許出願公開第17/825,909号の継続出願であり、また、2022年5月25日に出願された仮出願第63/345,595号の利益を主張するものであり、これらの出願は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
眼房水は、眼の前房を満たす流体であり、眼圧(眼内圧)又は眼内の流体圧に寄与する。高眼圧症は、眼圧又は眼内の流体圧が上昇している眼の状態である。高眼圧症を治療しないままにしておくと、緑内障などの疾患につながる可能性があり、その結果、罹患した眼の視力が徐々に、時には永久に失われてしまうこともある。
【0003】
高眼圧症、特に緑内障の治療には多くの試みがなされてきた。このような試みには、患眼の眼圧を下げるように設計されたドレナージデバイスを埋め込むことを含む外科的処置、並びに薬剤投与が含まれる。これらの治療の目的は、眼圧を下げることで生活の質を改善し、視機能を維持することである。
【0004】
薬剤投与は、典型的には、患者の自己投与が必要な点眼薬の形で行われるが、場合によっては埋め込み型の拡張薬物送達デバイスを採用することもできる。埋め込み型の拡張薬物送達デバイスは、典型的には、眼の外部に存在するか(例えば、眼外アプローチ)、あるいは眼の前房内に埋め込まれる(前房内アプローチ)。
【0005】
薬剤送達における眼外アプローチには、様々な課題がある。効果的な眼外アプローチを行うには、眼の生物学的プロセスを介して、十分な量の薬剤を眼の結膜層を通して眼の前房に輸送する必要がある。ヒトの涙液膜の継続的な洗い流しメカニズムなどの明らかな自然メカニズム、並びに結膜によって形成される眼の内部への自然なバリアが、眼外アプローチの有効性を複雑にし、その結果、長期にわたる用量送達の最適化を妨げる。したがって、眼外アプローチでは、有効性の期間を延長するために過剰量の薬剤の投与が含まれる場合がある。
【0006】
一方、前房内アプローチは、より侵襲性のアプローチであり、眼の様々な組織層を通して穿刺し、眼の前房内にアクセスしてデバイスを留置する必要がある。吸収性(生体吸収性)デバイスと関連して薬剤が投与される場合、デバイスの分解性によりデバイスが外れて前房内で浮遊する可能性があるため、前房内アプローチは更に複雑になる。更に、デバイスの取り外しと交換を繰り返すには、眼の組織に外傷を与える必要がある。
【0007】
眼球の症状を治療するために確立された上記のアプローチの例を本明細書に記載する。
【0008】
例えば、Allerganは、眼の前房への薬物送達用の生体吸収性ペレットを開発しており、DURYSTAという商標名で販売されている。送達方法は、少なくとも2022年10月2日に出願されたAllergan Incへの米国特許第10,398707号に記載されている。薬剤であるビマトプロストは、眼に埋め込まれる生体吸収性ペレット内に充填され、前房内で溶解して、充填されたビマトプロストを送達する。しかし、溶解プロセス中に摩耗が起こる可能性があるため、角膜内の内皮細胞に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
同様に、Allergan Inc.は、2021年3月25日に出願された米国特許出願公開第2022/0080049号に開示されているように、トラボプロストが充填された完全生体吸収性デバイスである「ENV515」として記載されているデバイスを開発している。デバイスを前房に埋め込んだ後、水によりデバイスの少なくとも一部が生侵食され、それを通して活性薬剤が放出される。しかし、これにより、デバイスの生侵食中の摩耗に起因する内皮細胞が損傷を受ける可能性がある。
【0010】
Glaukos,Inc.は、「iDose」と呼ばれる開発中のデバイスを有している。これは、トラボプロストなどの緑内障治療薬又は薬剤を送達するために前房に挿入する金属プラグである。このデバイスは、少なくともGlaukos Corpの米国特許出願公開第2021/0315806(A1)号(2021年3月26日に出願)に記載されている。しかし、このデバイスは、生体吸収性がなく、眼内に留置されている間は補充することもできない。そのため、デバイスを取り外し、デバイスを補充し、再度デバイスを埋め込む必要がある。この結果、患者の手間が増え、その後の処置が必要になる。
【0011】
Allerganは更に、緑内障薬を眼の表面に溶出させる眼外リングを開発した。リングによって溶出される薬物はビマトプロストであり得る。このデバイスは、眼球円蓋内に位置決めされた比較的大きなシリコーン製のリングである。薬物は、リングから放出され、薬物送達のために角膜を通って輸送される。しかし、この送達方法では、眼内ではなく眼の周囲にデバイスが装着されるため、直接送達は患者に不快感を与える可能性があり、それほど効果的ではない。
【0012】
確立された緑内障治療を参考に、Mati Therapeuticsは、使用者の眼の外側の涙点に装着する涙点プラグを開発した。次いで、薬物は、デバイスから浸出し、眼を通って送達標的に到達し得る。このデバイスは、少なくとも2009年2月17日に出願されたMati Therapeuticsの米国特許第9,216,108号に記載されている。上述した眼外デバイスと同様に、眼内及び眼周囲にデバイスが装着されるため、使用者に不快感を与える可能性がある。この方法はまた、直接送達による薬物送達ほど効果的ではない。
【0013】
薬剤送達方法は、他の様々な眼疾患に対しても確立されている。例えば、Genentechは、ポート送達システムを介した滲出型黄斑変性症のための薬物送達デバイスを確立しており、これは2016年12月21日に出願されたForSight Vision4 Inc.への米国特許第10,398,593号に記載されている。ポート送達システムは、薬物を補充するために結膜の下にアクセスポートが装着されるため、眼への侵入を必要とする。これにより、患者に不快感を与えたり、侵襲性の薬物送達に関連する任意の他の合併症を引き起こす可能性がある。
【0014】
眼疾患の治療又は予防は、遺伝子療法によって達成することができる。遺伝子療法では、眼内の標的細胞又は標的組織の遺伝的性質を変化させることによって、障害を改善したり障害に影響を与えたりする。ゲノム療法は、様々な方法で実現できる。遺伝子導入により、欠損したタンパク質機能を補うために必要とされる特定の遺伝物質を追加することができる。ゲノム編集は、障害の原因であるDNA改変を正確に修正することを可能にする。新しい遺伝的能力を導入することによって、疾患組織は必要なタンパク質を産生することができる。
【0015】
遺伝子療法は、遺伝子操作されたベクターを使用した形質導入によって達成される。これらのベクターは、好ましくは、異なる遺伝物質を標的細胞及び組織に輸送するために使用される修飾ウイルス又はウイルスカプシドである。ウイルスは、細胞を感染させることによって核酸物質を送達することができるので、有用である。遺伝子療法戦略では、修飾レトロウイルスが可能にするように、宿主細胞のDNA内に新しい遺伝物質を組み込むこと、又はアデノウイルスが支持するように、宿主細胞の核内に新しい遺伝物質を導入するが染色体には組み込まないことを想定することができる。患者の免疫系がウイルス物質の存在に応答し得るので、未修飾のウイルスの使用には欠点がないわけではない。更に、未修飾のウイルス粒子が全身に拡散することによって、臨床的合併症が生じる可能性もある。
【0016】
アデノウイルスがそうであるように、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、宿主ゲノムを組み込むことなく、種々の宿主細胞型を形質導入することができる。アデノ随伴ウイルスは、重篤な合併症又は病気を引き起こすことは知られていない。ウイルスが誘発し得る免疫応答は重要ではない。AAVベクターは、最適な形質導入ベクターであるという評判を得ている。AAVベクターは小型で病原性がない一方、非分裂細胞に感染する能力を保持する。少なくともこれらの属性により、遺伝子療法に使用する上でAAVベクターは非常に魅力的になる。AAVカプシドは、遺伝子療法において多くの前臨床及び臨床応用で成功していることが証明されており、世界的に規制当局の承認を得ている。更に、経口誘導物質(MeiraGTxによって開発)などの追加の誘導物質を使用して、制御された遺伝子発現及び調節が提案されている。AAVベクターを使用する遺伝子療法の進歩は、特に網膜疾患の治療に有望であることが示されており、Adverum及びRegenXBioなどの多くの企業によって研究が進められている。遺伝子療法の目標は、形質導入された網膜細胞が治療用DNA配列を長期間にわたって発現することである。
【0017】
眼科領域では、網膜遺伝子療法は、緑内障性神経変性の予防及び網膜神経節細胞の保護(IOPに関連しない介入)、又は加齢黄斑変性症(AMD)及び網膜色素変性症(RP)の治療のための光受容体及び網膜色素上皮の支持など、いくつかの症状に適用できると考えられている。他の対象となる疾患としては、地図状萎縮(GA)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、及び糖尿病性網膜症(DR)が挙げられる。一旦細胞が形質導入されると、AAVは長期間持続し、数ヶ月から場合によっては数年にわたり治療用DNA配列の発現が期待される。
【0018】
遺伝子療法ベクターは、概して、局所網膜下、硝子体内、又は脈絡膜上へのボーラス注射によって投与される。これらの投与経路は、臨床的合併症をもたらし得るある程度の侵襲性を示す。更に、長期間にわたる形質導入ベクターの漸進的導入には不適当であり、治療を徐々に施すことができない。
【0019】
対照的に、本明細書中に開示される薬物療法送達システム及び方法は、遺伝子療法の投与に独自の利点を導入し、経時的かつより広い周辺領域への形質導入ベクターの永続的かつ持続的分布を可能にする。したがって、本明細書に開示されるシステム及び方法は、組織標的化を最適化しながら、細胞取り込み及び投与量制御を強化する。システムの実施形態は、結膜を通した血管クリアランスを防止するように設計された結膜下又はテノン嚢下投与経路を可能にし、低侵襲性の埋め込み処置により、脈絡毛細管への損傷及び脈絡毛細管によるクリアランスが回避される。したがって、AAVカプシド抗原に対する既存の中和抗体(Nab)への曝露は最小限に抑えられる。
【0020】
更に、本明細書中に開示される薬物療法送達システム及び方法は、遺伝子療法のための代替的な方法(例えば、ウイルスを伴わない宿主細胞への遺伝物質の送達を予測する方法)と一致する。ポリマーベースのナノ粒子(100nm未満)、リポソーム、及び圧縮されたDNA又はRNAナノ粒子(DNP)は、様々な放出速度、親水性及び親油性に合わせて調整することができ、特定の細胞型に対して特異性を高めて設計することができる。ナノ粒子による遺伝子送達は、免疫系からの反応を誘発する可能性が低い。また、これらのベクターは、プラスミドサイズが5kbまでのAAVと比較して、より大きな保持容量(すなわち、20kb)及びより大きな遺伝子を収容することができる。
【0021】
上記刊行物では、眼の状態に適用できる薬物及び/又は送達システムのいくつかの例が提供されており、他にも様々なアプローチが追求されている。患者が参加することなく、かつ血液眼関門を破ることなく、所望の期間にわたって測定された送達速度で局所的な眼への薬物送達を提供する低侵襲性の薬物送達方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0022】
一例(「実施例1」)によれば、眼の疾患を治療する方法であって、前記方法が、第2の微孔質材料に結合された第1の微孔質材料を含む埋め込み型送達デバイスであって、第1の微孔質材料が、組織の内殖を許容するサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層と、組織の内殖を許容するサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層とを有し、第2の微孔質材料が、組織の内殖に抵抗するサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層と、組織の内殖を許容するサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層とを有し、第2の微孔質層が、第3の微孔質層に結合され、それによって少なくとも1つの薬剤を受容するためのリザーバを形成し、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバから分配される速度を計量するように、第1の微孔質材料及び第2の微孔質材料が構成されている、埋め込み型送達デバイスを選択することと、1つ以上の眼の疾患を治療するための薬剤をリザーバに充填することと、埋め込み型送達デバイスを埋め込み位置に埋め込むことと、薬剤がリザーバから1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることと、を含む、方法である。
【0023】
実施例1に加えて、別の例(「実施例2」)によれば、埋め込み位置は、前方のリザーバ位置である。
【0024】
実施例2に加えて、別の例(「実施例3」)によれば、1つ以上の眼疾患は、緑内障、角膜炎、ドライアイ、又は老眼のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
実施例3に加えて、別の例(「実施例4」)によれば、1つ以上の疾患が緑内障であるとき、薬剤が、プロスタグランジン、プロスタグランジン構造類似体、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する。
【0026】
実施例3に加えて、別の例(「実施例5」)によれば、1つ以上の疾患が角膜炎であるとき、薬剤が、抗生物質、ステロイド、又は抗真菌剤のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する。
【0027】
実施例3に加えて、別の例(「実施例6」)によれば、1つ以上の疾患がドライアイであるとき、薬剤が、プロスタグランジン、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つに対応するAPIクラスを有する。
【0028】
実施例3に加えて、別の例(「実施例7」)によれば、1つ以上の疾患が老眼であるとき、薬剤が、縮瞳薬を含むAPIクラスを有する。
【0029】
実施例1に加えて、別の例(「実施例8」)によれば、埋め込み位置は、後方のリザーバ位置である。
【0030】
実施例1に加えて、別の例(「実施例9」)によれば、1つ以上の眼疾患は、黄斑変性症、地図状萎縮病変、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、角膜炎、網膜芽細胞腫、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
実施例9に加えて、別の例(「実施例10」)によれば、1つ以上の疾患が黄斑変性症であるとき、薬剤が、モノクローナル抗体、抗体模倣タンパク質、ペプチド、又は小結合分子を含むAPIクラスを有する。
【0032】
実施例9に加えて、別の例(「実施例11」)によれば、1つ以上の疾患が黄斑浮腫であるとき、薬剤が、モノクローナル抗体、抗体模倣タンパク質、ペプチド、小結合分子、又はステロイドを含むAPIクラスを有する。
【0033】
実施例9に加えて、別の例(「実施例12」)によれば、1つ以上の疾患がぶどう膜炎であるとき、薬剤が、コルチコステロイドを含むAPIクラスを有する。
【0034】
実施例9に加えて、別の例(「実施例13」)によれば、1つ以上の疾患が網膜炎であるとき、薬剤が、抗生物質又は抗ウイルス薬を含むAPIクラスを有する。
【0035】
実施例9に加えて、別の例(「実施例14」)によれば、1つ以上の疾患が網膜芽細胞腫であるとき、薬剤が、細胞毒性化学療法化合物を含むAPIクラスを有する。
【0036】
実施例9に加えて、別の例(「実施例15」)によれば、1つ以上の疾患が網膜中心静脈閉塞症又は網膜静脈分枝閉塞症であるとき、薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する。
【0037】
実施例1に加えて、別の例(「実施例16」)によれば、埋め込み位置は、前方-後方のリザーバ位置である。
【0038】
実施例16に加えて、別の例(「実施例17」)によれば、1つ以上の眼疾患は、黄斑変性症、地図状萎縮病変、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む。
【0039】
実施例17に加えて、別の例(「実施例18」)によれば、1つ以上の疾患が黄斑変性症であるとき、薬剤が、モノクローナル抗体を含むAPIクラスを有する。
【0040】
実施例17に加えて、別の例(「実施例19」)によれば、1つ以上の疾患が黄斑浮腫であるとき、薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する。
【0041】
実施例17に加えて、別の例(「実施例20」)によれば、1つ以上の疾患がぶどう膜炎であるとき、薬剤が、コルチコステロイドを含むAPIクラスを有する。
【0042】
実施例17に加えて、別の例(「実施例21」)によれば、1つ以上の疾患が網膜炎であるとき、薬剤が、抗生物質又は抗ウイルス薬を含むAPIクラスを有する。
【0043】
実施例17に加えて、別の例(「実施例22」)によれば、1つ以上の疾患が網膜中心静脈閉塞症又は網膜静脈分枝閉塞症であるとき、薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する。
【0044】
実施例1に加えて、別の例(「実施例23」)によれば、埋め込み型送達デバイスは、補充式リザーバ及び送達アームを含む。
【0045】
実施例23に加えて、別の例(「実施例24」)によれば、方法は、補充式リザーバを補充することを更に含む。
【0046】
実施例1に加えて、別の例(「実施例25」)によれば、埋め込み型送達デバイスは、リザーバを補充するための1つ以上の充填ポートを有する。
【0047】
実施例1に加えて、別の例(「実施例26」)によれば、埋め込み型送達デバイスは、単一方向に薬剤を分配するように構成されている。
【0048】
実施例1に加えて、別の例(「実施例27」)によれば、埋め込み型送達デバイスは、複数の方向に薬剤を分配するように構成されている。
【0049】
実施例1に加えて、別の例(「実施例28」)によれば、埋め込み型送達デバイスは、リザーバ内に画定された複数のチャンバを有し、複数のチャンバ内の第1及び第2のチャンバは、互いに流体連通している。
【0050】
実施例1に加えて、別の例(「実施例29」)によれば、埋め込み型送達デバイスは、リザーバ内に画定された複数のチャンバを有し、複数のチャンバ内の第1及び第2のチャンバは、互いに流体的に隔離されている。
【0051】
実施例1に加えて、別の例(「実施例30」)によれば、埋め込み型送達デバイスは、リザーバ内に画定された複数のチャンバを有し、埋め込み型送達デバイスは、リザーバを補充するための1つ以上の充填ポートを有する。
【0052】
実施例30に加えて、別の例(「実施例31」)によれば、充填ポートの数は、チャンバの数に対応する。
【0053】
実施例31に加えて、別の例(「実施例32」)によれば、埋め込み型送達デバイスを埋め込み位置に埋め込むことは、埋め込み型送達デバイスが結膜下になるようにデバイスを埋め込み位置に配置することを含む。
【0054】
実施例1に加えて、別の例(「実施例33」)によれば、埋め込み型送達デバイスを埋め込み位置に埋め込むことは、埋め込み型送達デバイスが脈絡膜上になるようにデバイスを埋め込み位置に配置することを含む。
【0055】
実施例1に加えて、別の例(「実施例34」)によれば、埋め込み位置は、前方-硝子体内のリザーバ位置である。
【0056】
実施例34に加えて、別の例(「実施例35」)によれば、1つ以上の眼疾患は、黄斑変性症、地図状萎縮病変、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む。
【0057】
実施例35に加えて、別の例(「実施例36」)によれば、1つ以上の疾患が黄斑変性症であるとき、薬剤が、モノクローナル抗体を含むAPIクラスを有する。
【0058】
実施例35に加えて、別の例(「実施例37」)によれば、1つ以上の疾患が黄斑浮腫であるとき、薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する。
【0059】
実施例35に加えて、別の例(「実施例38」)によれば、1つ以上の疾患がぶどう膜炎であるとき、薬剤が、コルチコステロイドを含むAPIクラスを有する。
【0060】
実施例35に加えて、別の例(「実施例39」)によれば、1つ以上の疾患が網膜炎であるとき、薬剤が、抗生物質又は抗ウイルス薬を含むAPIクラスを有する。
【0061】
実施例35に加えて、別の例(「実施例40」)によれば、1つ以上の疾患が網膜中心静脈閉塞症又は網膜静脈分枝閉塞症であるとき、薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する。
【0062】
実施例23に加えて、別の例(「実施例41」)によれば、埋め込み位置は、前方-前房のリザーバ位置である。
【0063】
実施例41に加えて、別の例(「実施例42」)によれば、1つ以上の眼疾患は、黄斑変性症、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む。
【0064】
実施例42に加えて、別の例(「実施例43」)によれば、1つ以上の疾患が緑内障であるとき、薬剤が、プロスタグランジン、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する。
【0065】
実施例42に加えて、別の例(「実施例44」)によれば、1つ以上の疾患が角膜炎であるとき、薬剤が、抗生物質、ステロイド、又は抗真菌剤のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する。
【0066】
実施例42に加えて、別の例(「実施例45」)によれば、1つ以上の疾患がドライアイであるとき、薬剤が、プロスタグランジン、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つに対応するAPIクラスを有する。
【0067】
実施例42に加えて、別の例(「実施例46」)によれば、1つ以上の疾患が老眼であるとき、薬剤が、縮瞳薬を含むAPIクラスを有する。
【0068】
実施例1に加えて、別の例(「実施例47」)によれば、遺伝子療法は、加齢黄斑変性症、網膜色素変性症、地図状萎縮、糖尿病性黄斑浮腫、及び糖尿病性網膜症の治療のために、緑内障性神経変性を予防するために展開される。
【0069】
実施例1に加えて、別の例(「実施例48」)によれば、遺伝子療法は、ウイルス形質導入ベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ポリマーベースのナノ粒子、リポソーム、又は圧縮核酸ナノ粒子のいずれかの持続投与によって達成される。
【0070】
別の例(「実施例49」)によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの追加材料を含み、医薬組成物は、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに第1の状態と第2の状態との間で移行する能力を有する。医薬組成物は、医薬組成物の第1の状態において、追加材料を通る少なくとも1つの治療剤の移動を可能にせず、第2の状態において、医薬組成物は、追加材料を通る少なくとも1つの治療剤の移動を許容することを更に含む。
【0071】
実施例49に加えて、別の例(「実施例50」)によれば、少なくとも1つの追加材料は、ポリマーを含み、任意選択で生体吸収性微粒子を含む。
【0072】
実施例49に加えて、別の例(「実施例51」)によれば、第2の状態において、少なくとも1つの治療剤は、少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される。
【0073】
実施例49に加えて、別の例(「実施例52」)によれば、生体吸収性微粒子は、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する。
【0074】
実施例49に加えて、別の例(「実施例53」)によれば、第2の状態において、組成物は、流体吸収して治療剤を放出することができる。
【0075】
実施例49に加えて、別の例(「実施例54」)によれば、治療剤は、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む。
【0076】
実施例54に加えて、別の例(「実施例55」)によれば、治療剤は、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む。
【0077】
実施例49に加えて、別の例(「実施例56」)によれば、第1の状態は非治療状態を含み、第2の状態は治療状態を含む。
【0078】
別の例(「実施例57」)によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの追加材料を含み、医薬組成物は、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに第1の状態と第2の状態との間で移行する能力を有する。組成物は、第1の状態において、医薬組成物が非治療状態を含むことを更に含む。
【0079】
実施例57に加えて、別の例(「実施例58」)によれば、第2の状態は治療状態を含む。
【0080】
実施例57に加えて、別の例(「実施例59」)によれば、治療剤は、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む。
【0081】
実施例57に加えて、別の例(「実施例60」)によれば、追加材料は、ポリマーを含み、任意選択で生体吸収性材料を含む。
【0082】
別の例(「実施例61」)によれば、少なくとも1つの追加材料によって画定されるリザーバ内に設置された医薬組成物は、少なくとも1つの治療剤を含み、医薬組成物は、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに第1の状態と第2の状態との間で移行する能力を有する。組成物は、医薬組成物の第1の状態において、少なくとも1つの追加材料が、追加材料を通る少なくとも1つの治療剤の移動を阻害し、医薬組成物の第2の状態において、少なくとも1つの追加材料が、追加材料を通る少なくとも1つの治療剤の移動を許容することを更に含む。
【0083】
実施例61に加えて、別の例(「実施例62」)によれば、第1の状態と第2の状態との間の移行は、外部環境から第1の状態の医薬組成物への流体の通過を許容する少なくとも1つの追加材料によって開始される。
【0084】
実施例61に加えて、別の例(「実施例63」)によれば、少なくとも1つの追加材料は、ポリマーを含み、任意選択で生体吸収性微粒子を含む。
【0085】
実施例61に加えて、別の例(「実施例64」)によれば、第2の状態において、少なくとも1つの治療剤は、少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される。
【0086】
実施例61に加えて、別の例(「実施例65」)によれば、生体吸収性微粒子は、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する。
【0087】
実施例61に加えて、別の例(「実施例66」)によれば、第2の状態において、組成物は、流体吸収して治療剤を放出することができる。
【0088】
実施例61に加えて、別の例(「実施例67」)によれば、治療剤は、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む。
【0089】
実施例67に加えて、別の例(「実施例68」)によれば、治療剤は、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む。
【0090】
実施例61に加えて、別の例(「実施例69」)によれば、第1の状態は非治療状態を含み、第2の状態は治療状態を含む。
【0091】
別の例(「実施例70」)によれば、少なくとも1つの追加材料によって画定されるリザーバ内に設置された医薬組成物は、少なくとも1つの治療剤を含み、医薬組成物は、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに第1の状態と第2の状態との間で移行する能力を有する。組成物は、医薬組成物の第1の状態において、少なくとも1つの材料が第1の状態での少なくとも1つの治療剤の移動を阻害することにより、医薬組成物が非治療状態を含むことを更に含む。
【0092】
実施例70に加えて、別の例(「実施例71」)によれば、第2の状態において、少なくとも1つの材料が第2の状態での少なくとも1つの治療剤の移動を許容することにより、医薬組成物は治療状態を含む。
【0093】
実施例70に加えて、別の例(「実施例72」)によれば、第1の状態と第2の状態との間の移行は、外部環境から第1の状態の医薬組成物への流体の通過を許容する少なくとも1つの追加材料によって開始される。
【0094】
実施例70に加えて、別の例(「実施例73」)によれば、第2の状態において、少なくとも1つの治療剤は、少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される。
【0095】
実施例70に加えて、別の例(「実施例74」)によれば、生体吸収性微粒子は、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する。
【0096】
実施例70に加えて、別の例(「実施例75」)によれば、第2の状態において、組成物は、流体吸収して治療剤を放出することができる。
【0097】
実施例70に加えて、別の例(「実施例76」)によれば、治療剤は、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む。
【0098】
実施例76に加えて、別の例(「実施例77」)によれば、治療剤は、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む。
【0099】
実施例78に加えて、別の例(「実施例78」)によれば、第1の状態は、非治療状態を含み、第2の状態は、治療状態を含む。
【0100】
別の例(「実施例79」)によれば、治療剤が予め装填された埋め込み型医療デバイスは、第2の微孔質層に結合されてそれらの間に設置されたリザーバを画定する第1の微孔質材料を含み、リザーバは治療剤を収容するように構成され、埋め込み型医療デバイスは治療剤を所定の速度で放出するように構成されている。デバイスは、治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つであることを更に含む。
【0101】
別の例(「実施例80」)によれば、疾患の治療のために治療剤を送達するための埋め込み型医療デバイスは、第2の微孔質層に結合されてそれらの間に設置されたリザーバを画定する第1の微孔質材料を含み、リザーバは、医薬組成物を収容し、疾患を治療するために治療剤を標的部位に送達するように構成されている。デバイスは、治療が、緑内障、黄斑変性症、黄斑浮腫、網膜炎、網膜芽細胞腫、網膜静脈閉塞症、角膜炎、及びドライアイのうちの1つ以上を治療するように構成されていることを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0102】
添付の図面は、本開示の実施形態の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、例を示し、本明細書の説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0103】
【
図1A】
図1Aは、いくつかの実施形態による、眼内に埋め込まれた薬剤送達システムの図である。
【0104】
【
図1B】
図1Bは、いくつかの実施形態による、眼内に埋め込まれた薬剤送達システムを示す
図1Aの詳細図である。
【0105】
【
図2】
図2は、線2-2に沿って得られた、いくつかの実施形態による膨張状態の、
図4に示される薬剤送達システムの断面図である。
【0106】
【
図3】
図3は、線2-2に沿って得られた、いくつかの実施形態による収縮状態の、
図4に示される薬剤送達システムの断面図である。
【0107】
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による薬剤送達システムの正面図である。
【0108】
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による薬剤送達システムの断面図である。
【0109】
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による薬剤送達システムの断面図である。
【0110】
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、線7-7に沿って得られた、
図6に示される薬剤送達システムの断面図である。
【0111】
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による薬剤送達システムの断面図である。
【0112】
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、線9-9に沿って得られた、
図8に示される薬剤送達システムの断面図である。
【0113】
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による、リザーバ及び送達アームを備えた埋め込み型送達デバイスの等角図である。
【0114】
【
図10A】
図10Aは、いくつかの実施形態による、膨張したリザーバを有する薬剤送達システムの断面図である。
【
図10C】
図10Cは、いくつかの実施形態による、膨張したリザーバを有する薬剤送達システムの断面図である。
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【
図11A】
図11Aは、いくつかの実施形態による、主要部分を備えた、第1の構成における埋め込み型送達デバイスのリザーバの平面図である。
【0119】
【
図11B】
図11Bは、いくつかの実施形態による、主要部分及び送達アームを備えた、第2の構成における埋め込み型送達デバイスのリザーバの平面図である。
【0120】
【
図11C】
図11Cは、いくつかの実施形態による、複数のチャンバ及び充填ポートを含む主要部分を備えた、第3の構成における埋め込み型送達デバイスのリザーバの平面図である。
【0121】
【
図11D】
図11Dは、いくつかの実施形態による複数のチャンバ及び充填ポートを含む、いくつかの実施形態による第4の構成における埋め込み型送達デバイスのリザーバの平面図である。
【0122】
【
図12A】
図12Aは、いくつかの実施形態による、単一方向分配を備えた埋め込み型送達デバイスの平面概略図である。
【0123】
【0124】
【
図12C】
図12Cは、いくつかの実施形態による、単一の集中分配方向を備えた埋め込み型送達デバイスの平面概略図である。
【0125】
【0126】
【
図12E】
図12Eは、いくつかの実施形態による、多方向集中分配動作の埋め込み型送達デバイスの平面概略図である。
【0127】
【0128】
【
図12G】
図12Gは、いくつかの実施形態による、多方向散布分配動作の埋め込み型送達デバイスの平面概略図である。
【0129】
【0130】
【
図12I】
図12Iは、いくつかの実施形態による、散布多方向分配の送達アームを備えた埋め込み型送達デバイスの平面概略図である。
【0131】
【0132】
【
図12K】
図12Kは、いくつかの実施形態による、誘導多方向分配の送達アームを備えた埋め込み型送達デバイスの平面概略図である。
【0133】
【0134】
【
図12M】
図12Mは、いくつかの実施形態による、散布多方向分配の主要部分及び送達アームを備えた埋め込み型送達デバイスの平面概略図である。
【0135】
【0136】
【
図12O】
図12Oは、いくつかの実施形態による、誘導多方向分配の送達アーム及び集中分配の主要部分を備えた埋め込み型送達デバイスの平面概略図である。
【0137】
【0138】
【
図13A】
図13Aは、前方のリザーバ位置に埋め込まれた薬剤送達システムの概略図である。
【0139】
【0140】
【
図14A】
図14Aは、後方のリザーバ位置に埋め込まれた薬剤送達システムの概略図である。
【0141】
【0142】
【
図15A】
図15Aは、前方-後方のリザーバ位置に埋め込まれた薬剤送達システムの概略図である。
【0143】
【0144】
【
図16A】
図16Aは、前方-硝子体内のリザーバ位置に埋め込まれた薬剤送達システムの概略図である。
【0145】
【0146】
【
図17A】
図17Aは、前方-前房のリザーバ位置に埋め込まれた薬剤送達システムの概略図である。
【0147】
【0148】
【
図18】
図18は、いくつかの実施形態による微孔質材料の顕微鏡図であり、
図10A及び
図10Cの部分に例示的に表される材料構造の顕微鏡画像を提示する。
【0149】
【
図19A】
図19Aは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、異なる構成で眼組織に埋め込まれている薬剤送達システムの画像である。
【
図19B】
図19Bは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、異なる構成で眼組織に埋め込まれている薬剤送達システムの画像である。
【
図19C】
図19Cは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、異なる構成で眼組織に埋め込まれている薬剤送達システムの画像である。
【
図19D】
図19Dは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、異なる構成で眼組織に埋め込まれている薬剤送達システムの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0150】
当業者であれば、本開示において提供される発明概念の様々な実施形態が、意図された機能を実行するように構成された任意の数の方法及びデバイスによって実現され得ることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を示すために誇張されている場合があり、その点に関して、図面は限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。しかし、いくつかの図は、解剖学的構造及びその解剖学的構造に対する実施形態の位置付けを表しており、このような表示は、描かれた解剖学的構造は人によってサイズ及び位置が異なるため、多少のずれは許容されるものの、正確に縮尺及び位置付けされていると理解されたい。
【0151】
本開示は、患者の眼に薬剤を送達するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。様々な実施形態において、薬剤は、罹患眼において徐々に、場合によっては永久的な視力喪失につながる可能性のある望ましくない高レベルから眼圧を低下させることによって、例えば、高眼圧症及び/又は緑内障を治療するように構成された眼用薬剤である。様々な実施形態において、本開示による薬剤送達システムは、1つ以上の異なる薬剤の薬物放出速度を測定するように構成され、したがって、複数の薬剤の複数の異なる放出速度を含む、複数の異なる放出速度を提供するように構成され得る。適切な眼用薬剤のいくつかの例としては、プロスタグランジン類似体(PGA)(例えば、ラタノプロスト)などの治療剤、又はチモロールなどのβ遮断薬、酒石酸ブリモニジンなどのα2作動薬、又はドルゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害薬、炭酸脱水酵素阻害薬及びβ遮断薬の化合物、並びにPGAと組み合わせて投与され得るα作動薬及びβ遮断薬の化合物を含む、他の薬物クラスからの治療剤が挙げられる。
【0152】
いくつかの実施形態において、このような薬剤送達システムは埋め込まれて、埋め込み部位から薬剤送達システムを取り外す必要なく、in situで低侵襲的に1回以上補充可能であるように構成されている。サイズ及び結膜下の標的の埋め込み位置を考慮すると、埋め込み処置は、針穿刺及び小さな切開が一般的に行われる手術室以外で行うことができる。加えて、いくつかのシステム例には、薬剤送達システムとそれらが埋め込まれる組織との間の微小移動を低減するのを助けるための特徴が含まれている。微小移動は、薬剤送達システムと組織との間の小さい移動として定義することができ、移動は、マイクロメートル又はミリメートル、及びマイクロ秒又はミリ秒のスケールであり得る。微小移動は、時として、周囲組織の刺激をもたらし、過剰な瘢痕形成、最終的には埋め込まれたデバイスの浸食、及び/又は部位感染を引き起こす可能性がある異物組織反応をもたらすことが知られている。
【0153】
いくつかの実施形態による薬剤送達システム1000が
図1Aに示されている。図示されるように、薬剤送達システム1000は、眼5000の結膜5002と強膜5004との間で眼5000内に埋め込まれる。前房5006も示されている。薬剤送達システム1000は、概して、薬剤送達システム1000からの薬物放出を計量するように構成された1つ以上の部分、並びに細胞浸潤及び/又は組織付着を促進又は許容するように構成された1つ以上の部分を含む。薬剤は、単一の治療剤(例えば、医薬品)を含んでもよいし、複数の治療剤を含んでもよい。薬剤は、送達システムからの治療剤(例えば、生体吸収性ポリマー)の溶出に影響を与えるために、追加材料(例えば、生体吸収性ポリマー、薬学的に許容される担体)を含み得る。本明細書の記載全体を通して、薬剤はまた、治療剤及び/又は治療剤の有効な溶出のための追加材料の両方から構成され得るので、医薬組成物又は組み合わせと称され得る。例えば、薬剤は、約0.1マイクロメートル~50マイクロメートル、又は約1マイクロメートル~50マイクロメートル、又は約5マイクロメートル~50マイクロメートル、又は約15マイクロメートル~50マイクロメートル、又は約10マイクロメートル~40マイクロメートル、又は約15マイクロメートル~25マイクロメートル、又は約18マイクロメートル~23マイクロメートルの範囲のサイズを有する生体吸収性微粒子を含み得る。いくつかの実施形態において、生体吸収性微粒子は、約20マイクロメートルの平均サイズを有する。更なる実施形態において、生体吸収性微粒子内に保持される治療剤は、ラタノプロストであり得る。本明細書で更に説明されるように、生体吸収性微粒子は、使用中に薬剤送達システム1000内に保持され得る一方、薬物は、生体吸収性微粒子、及びそれ自体として薬剤送達システム1000から放出され得る。薬剤送達システム1000は、複数の異なる薬剤について複数の異なる放出速度で薬物放出速度を測定するように構成され得る。
【0154】
前述したように、薬剤は、少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの追加材料(例えば、生体吸収性微粒子であるが、これに限定されない)から構成される医薬組成物であり得る。医薬組成物は、第1の状態をとることができ、第2の状態をとることができ、かつ第1の状態と第2の状態との間で移行することができる。例えば、医薬組成物は、流体に曝露されると、第1の状態から第2の状態に移行し得る。特定の実施形態において、流体の存在により、第1の状態から第2の状態への組成物の移行が開始され得る。いくつかの実施形態において、第1の状態は非治療状態に対応し、第2の状態は治療状態に対応し、そのため、十分な量の流体が存在しない場合、治療剤は組成物から放出されない(したがって、それを必要とする患者に投与されない)場合がある。治療状態では、追加材料から放出される治療剤の量は、非治療状態で放出される量と比較して増加し得る。治療状態において、治療剤は、それを必要とする患者を治療するのに十分な薬学的有効量で放出され得る。いくつかの実施形態において、第1の状態は、流体を実質的に含まない。
【0155】
特定の実施形態において、流体は水を含む。しかし、他の実施形態において、様々な他の流体が存在することもある。いくつかの実施形態において、提供される組成物が第2の状態に変換するのに必要な時間は、用途に適した方式で変化してもよく、比較的短くてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、医薬組成物は、流体への曝露後10秒~1週間の期間(例えば、30秒~6日、1分~5日、1分~4日、1分~3日、1分~2日、又は1分~1日)に第2の状態に変換する。
【0156】
同様に、提供された組成物が第2の状態に留まる時間は、用途に適した方式で変化してもよく、比較的長くてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、医薬組成物は、流体への曝露後1分~1年の期間、及び1時間、1日、1週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、8カ月、又は11カ月など、その中に包含される任意の時間枠の間、第2の状態であり得る。別の言い方をすれば、リザーバから患者の眼への薬剤の毎日の流入は、一定期間にわたって一貫しており、制御可能である。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、これは、様々なサイズ及び幾何学的複雑性を有する薬学的に許容される担体微粒子を使用することによって達成することができ、この場合、医薬組成物の変換は、追加の生体吸収性材料における分解のペースに基づいて、数ヶ月の期間にわたって異なる時点で起こる。
【0157】
図1Bは、
図1Aの領域1Bの詳細図であり、結膜下腔5008内に埋め込まれた薬剤送達システム1000を示す。図示のように、結膜下腔5008は、眼5000の結膜5002と強膜5004との間に形成されたポケットである。
図1A及び
図1Bに示される結膜下腔5008は、公知の方法に従って形成され得る。いくつかの実施形態において、薬剤送達システム1000は、結膜切開を介するなど、外部から(ab-externally)(例えば、眼の外側から)埋め込み可能である。いくつかの実施形態において、角膜縁接合部付近で結膜の放射状切開を行い、結膜の鈍的剥離を行って強膜を露出させ、薬剤送達システム1000を留置するための結膜下ポケットを形成する。他の実施形態において、薬剤送達システム1000は、透明角膜切開を通してなど、内部から(ab-internally)(例えば、眼の内側から)埋め込まれ、強膜5004を通して、剥離された結膜下腔5008の中に留置される。
【0158】
いくつかの実施形態において、薬剤送達システム1000は、縫合、接着剤によって、又は他の既知の方法に従ってなど、強膜5004又は他の周囲組織に更に固定され得る。例えば、縫合糸を使用して、薬剤送達システム1000を強膜5004上に留置することができる。薬剤送達システム1000は、埋め込み時に永久的又は半永久的に固定され得るが、薬剤送達システム1000はまた、最初に一時的に固定され(又は最初は全く固定されず)、その後、細胞浸潤及び組織付着を促進又は許容するように構成された薬剤送達システム1000の1つ以上の部分によって、強膜5004又は他の周囲組織に固定され得る。
【0159】
引き続き
図1A及び
図1Bを参照すると、薬剤送達システム1000は、少なくとも第1の層1100及び第2の層1200を含む。第1の層1100及び第2の層1200は、概して、
図1Bに示すように、第1の層1100と第2の層1200との間に画定された薬剤リザーバ1300を提供するように互いに連結される。薬剤リザーバ1300は、概して、薬剤送達システム1000によるその後の送達のために薬剤をその中に堆積させることができる密閉された空間である。概して、薬剤送達システム1000は、指定された期間にわたって薬剤リザーバ1300内に設置された薬剤の放出速度を測定するように構成されている。例えば、薬剤は、薬剤リザーバ1300内に設置又は堆積させることができ、薬剤送達システム1000は、眼の1つ以上の欠陥又は状態を治療するために、所定の治療計画に従って薬剤を放出するように構成することができる。
【0160】
更に、薬剤送達システム1000は、低侵襲的にin situで補充可能及び/又は排出可能であり得る(例えば、最初に薬剤送達システム1000を埋め込み部位から取り外すことを必要とせずに)。いくつかのこのような実施形態において、第1の層1100及び第2の層1200のうちの1つ以上は、第1の層1100及び/又は第2の層1200の完全性を著しく損なうことなく、薬剤リザーバの補充又は排出する動作の間、カニューレで繰り返し穿刺され得るように構成されている。いくつかの実施形態において、この完全性は、第1の層1100及び/又は第2の層1200をエラストマー材料でコーティング又は吸収することによって達成され得る。
【0161】
ここで
図2~
図4を参照すると、薬剤送達システム1000が示されている。
図2は、
図4に示される薬剤送達システムの線2-2に沿って得られた、膨張状態(すなわち、第1の層1100と第2の層1200との間に分離が画定されるように薬剤リザーバ1300が膨張している状態)で示される薬剤送達システム1000の断面図である。いくつかの実施形態において、膨張状態は、薬剤リザーバ1300内の薬剤の存在に対応する。
図3は、
図4に示されている薬剤送達システムの線2-2に沿って得られた、薬剤送達システム1000の断面図であり、薬剤リザーバ1300が空であるか、又は第1の層1100と第2の層1200との間の分離を引き起こすのに十分な量の薬剤がないときなど、収縮状態で示されている。
図4は、薬剤送達システム1000の正面図である。
【0162】
図2に示すように、第1の層1100及び第2の層1200は、第1の層1100及び第2の層1200の1つ以上の部分に沿って互いに連結されているが、第1の層1100及び第2の層1200の1つ以上の他の部分は連結されていない状態である。第1の層1100及び第2の層1200の連結されていない部分は、互いに自由に分離できる状態である。様々な実施形態において、第1の層1100及び第2の層1200の連結されていない部分は、互いから分離して薬剤リザーバ1300を画定するように動作可能である。
【0163】
いくつかの実施形態において、第1の層1100及び第2の層1200は、
図2に示されるように、薬剤送達システム1000の周縁1002の周りで互いに連結され得る。しかし、第1の層1100及び第2の層1200は、周縁1002の内部における1つ以上の領域を含む他の領域において追加的又は代替的に連結されてもよいことが理解されよう。周縁1002は、概して、薬剤送達システム1000の周囲に延びる縁である。周縁1002は、均一、不均一、連続、又は不連続であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、周縁1002は、1つ以上の半径方向に延びるタブ又は花弁状のものを含み得る(例えば、薬剤送達システム1000は、スカロップ状の周縁を含み得る)。いくつかの実施形態において、これらのタブ又は花弁状のものは、薬剤送達システム1000を強膜5004等の周囲組織に連結するための連結領域として動作され得る。
【0164】
図2に示すように、第1の層1100及び第2の層1200は、周縁1002において、及び/又は周縁1002のすぐ半径方向内側の領域に沿って互いに連結されて、周縁1002に隣接して延びる連結領域を形成する。連結領域は、環状に形成されてもよく、所望に応じて周縁1002から半径方向内側に延びてもよい。
図2に示されるように、薬剤リザーバ1300は、第1の層1100と第2の層1200との間に画定され、第1の層1100と第2の層1200とは連結されない状態である。第1の層1100及び第2の層1200は、薬剤送達システム1000の周縁1002の半径方向内側の1つ以上の位置又は領域を含む、複数の離散的な位置又は領域で更に一緒に連結され得ることが理解されよう。周縁の内側における1つ以上の追加の領域を一緒に連結することは、薬剤送達システム1000の膨張した外形を制御するのに役立つ可能性がある。
【0165】
第1の層1100及び第2の層1200のうちの1つ以上は、薬剤リザーバ1300が膨張するにつれて、弾性的又は塑性的に変形するように構成され得る。更に、いくつかの実施形態において、第1の層1100及び第2の層1200の一方は、非弾性であり得、これは、薬剤送達システム1000の拡張した外形を制御するのに役立つ可能性がある。
【0166】
様々な実施形態において、第1の層1100及び第2の層1200の一方又は両方は、薬剤の放出を計量するように構成された1つ以上の領域を含む。これらの計量領域は、膜、層、又はフィルム、又はコーティングの形態であり得る。いくつかの実施形態において、第1の層1100及び第2の層1200のうちの1つ以上は、細胞浸潤又は組織内殖及び組織付着を許容する又は促進するように構成された1つ以上の領域を含む。細胞浸潤及び組織付着は、概して、材料が線維芽細胞浸潤を許容するのに十分な多孔質である場合に起こる。したがって、薬剤送達システム1000は、組織内殖及び組織付着を許容するように構成された膜、層、フィルム、及び/又はコーティングを含み得る。
【0167】
少なくとも1つの実施形態において、第1の層1100及び/又は第2の層1200は、複数の膜層から形成され得る。例えば、
図2及び
図3に示すように、第1の層1100は、第1の膜層1110及び第2の膜層1120を含み得る。第1の層1100の第1の膜層1110及び第2の膜層1120は、集合的に第1の層1100を画定する。第1の層1100は、第1の膜層1110及び第2の膜層1120に加えて膜層を含んでもよいことが理解されよう。
【0168】
いくつかの実施形態において、第1の膜層1110及び第2の膜層1120のうちの1つ以上は、微孔質微細構造を含み得る。例えば、第1の膜層1110及び第2の膜層1120のうちの1つ以上は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)等の生体適合性材料を含み得る。加えて、第1の層1100の第1の膜層1110及び第2の膜層1120のうちの1つ以上は、微孔質であってもなくてもよい生体適合性ポリマーを含む他の生体適合性材料で形成されてもよく、その例としては、ポリウレタン、シリコーン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオレフィン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、アクリルコポリマー、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0169】
第1の膜層及び/又は第2の膜層は、1つ以上のシート又はフィルムの形態であり得、個々の繊維ストランド又は多繊維ストランドを含む編物、織物、及び/又は不織布の形態を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の膜層1110及び/又は第2の膜層1120は、ポリマー材料の複数のシート又はフィルムから形成され得る。いくつかの実施形態において、シート又はフィルムは、第1の層1100の第1の膜層1110及び/又は第2の膜層1120を形成するために、積層されるか、又はそうでなければ互いに機械的に連結され得る。シート又はフィルムの連結は、熱処理、高圧圧縮、1つ以上の接着剤等の結合剤、積層、又は当業者に公知の他の好適な方法を含む、種々のメカニズムによって達成され得る。
【0170】
いくつかの実施形態において、隣接して置かれた膜層(例えば、第1の膜層1110及び第2の膜層1120)及び/又はこのような膜層を形成する材料の層は、材料を形成するポリマーのそれぞれがそれらの溶融温度以上にされる熱的方法を介して部分的又は完全に結合され得る。いくつかの実施形態において、このような熱プロセスは、材料又は材料の層の間における接着又は凝集結合形成を容易にする。いくつかの実施形態において、隣接して置かれた膜層及び/又はこのような膜層を形成する材料の層は、材料のうちの少なくとも1つがその溶融温度以上にされる熱的方法を介して部分的又は完全に結合され得る。このような熱プロセスは、材料又は材料の層の間における接着又は凝集結合形成を容易にすることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の適切な接着剤が利用され、十分に結合された界面を提供する。隣接して置かれた膜層及び/又はこのような膜層を形成する材料の層は、1つ以上の離散的な位置で連結され、得られる構造体を通って延びる安定化構造を形成することができる。
【0171】
いくつかの実施形態において、第1の層1100、並びに/又は第1の膜層1110及び第2の膜層1120、並びに/又は第1の膜層1110及び第2の膜層1120が形成されるシート若しくはフィルムは、その微細構造を修正するために、1つ以上のプロセスに供され得る。いくつかの実施形態において、このようなプロセスは、材料コーティングプロセス、表面事前調整プロセス、及び/又は穿孔プロセスを含むが、これらに限定されない。材料コーティングプロセスを利用して、ポリマー材料(金属塩(例えば、炭酸銀)及び有機化合物(例えば、クロルヘキシジンジアセテート)等)に1つ以上の薬物又は抗菌コーティングを適用することができる。ポリマーマトリックスのウェットアウト(即時ウェットアウトを含む)を可能にする親水性コーティングは、概ね疎水性であるポリマー表面にも適用できる。抗酸化成分を含む表面コーティングは、手術後の創傷治癒中に自然に生じる身体の炎症反応を緩和するために、追加的又は代替的に適用することができる。材料表面は、追加的又は代替的に、抗増殖化合物(例えば、マイトマイシンC、5-フルオラシル(fluoracil))で修飾して、周囲の組織応答を緩和することができる。
【0172】
いくつかの実施形態において、Zagglの米国特許第9,849,629号に説明されているように、1つ以上の表面前処理プロセスを利用して、例示的な微細構造(例えば、しわ、折り目、又は他の幾何学的な面外構造)を呈する層を形成することができる。このような表面の事前調整により、手術後の初期炎症段階をより大胆に促進し、多孔質デバイスと組織との間の初期に安定した界面を提供することができる。いくつかの実施形態において、ヘパリンコーティングを、追加的に又は代替的に適用して、外科的埋め込み処置後のフィブリノーゲン蓄積を含む細胞形成を最小限に抑えるのを助けることができる。
【0173】
いくつかの実施形態において、1つ以上の穿孔プロセスを利用して、第1の層1100の第1の膜層1110及び第2の膜層1120のうちの1つ以上に複数の穿孔又は孔を形成し、所望の多孔率を達成することができる。すなわち、ポリマー材料内に天然に存在する任意の隙間、孔(微細構造を構成するフィブリルとノードとの間の空隙)、及び/又はチャネルに依存することに加えて、1つ以上の穿孔プロセスを利用することができる。
【0174】
第1の層1100の第1の膜層1110及び第2の膜層1120は、異なる多孔率及び/又は異なる細胞浸潤能などの異なる材料特性を有する膜層を達成するために、異なるように処理され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態において、第1の層の第1の膜層1110及び第2の膜層1120は、いかなる処理工程にも供されないことがある。
【0175】
いくつかの実施形態において、第1の膜層1110(本明細書では薬剤計量膜層とも呼ばれる)は、薬剤が第1の膜層1110を通過する速度、したがって薬剤が薬剤送達システム1000によって放出される速度を計量するように構成されている。様々な実施形態において、第1の膜層1110はまた、細胞浸潤及び細胞付着に抵抗するように構成されている。いくつかの実施形態において、第1の膜層1110は、隙間、穿孔、孔、チャネル、又はこれらの組み合わせを含み、これらは、1つ以上の薬剤に対して透過性を維持しながら、細胞浸潤に抵抗する、妨げる、又はそうでなければ最小限に抑えるようなサイズ及び形状である。第1の層1100の第1の膜層1110の隙間、穿孔、孔、又はチャネルは、例えば、約1~約2マイクロメートル未満であってもよいが(又はそれ未満の平均サイズを有してもよいが)、用途に基づいて様々な寸法が選択され得る。細胞内殖及び細胞付着に対して抵抗性があることにより、第1の層1100の第1の膜層1110は、薬剤リザーバ1300内に設置された薬剤と薬剤送達システム1000を取り囲む組織との間の分離を維持するように動作する。この分離は、薬剤送達システム1000によって薬剤が放出される制御され安定した速度を維持するように動作する。
【0176】
第2の膜層1120(本明細書では内殖膜層とも呼ばれる)は、細胞浸潤及び細胞付着を促進又は許容するように構成されている。したがって、第2の膜層1120は、概して、細胞浸潤を促進又は許容するようなサイズ及び形状である隙間、穿孔、孔、チャネル、又はこれらの組み合わせを含む。したがって、第2の膜層1120は、概して、第1の層1100の第1の膜層1110の隙間、穿孔、孔、又はチャネルの平均サイズを超える平均サイズを有する隙間、穿孔、孔、チャネル、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第2の膜層1120は、サイズ(又は平均サイズ)が20マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲の隙間、穿孔、孔、又はチャネルを含み得るが、様々な寸法が企図される。例えば、他の実施形態において、隙間、穿孔、孔、又はチャネルのサイズ(又は平均サイズ)は、150マイクロメートルを超えることがある。したがって、第1の膜層1110は、薬剤送達システム1000によって薬剤が放出される制御され安定した速度を計量して維持するように動作する一方で、第2の膜層1120は、細胞内殖及び組織付着を許容することによって、薬剤送達システム1000の生体統合を促進するのに役立つ。細胞内殖及び組織付着により、微小移動を最小限に抑えることができる。
【0177】
いくつかの実施形態において、第1の層1100の第1の膜層1110と第2の膜層1120との間の界面は、第1の膜層1110への細胞浸潤に対する境界として動作する。すなわち、いくつかの実施形態において、第1の層1100は、細胞浸潤及び細胞増殖が第2の膜層1120内に限定され、第1の膜層1110内には限定されないように構成されている。したがって、様々な実施形態において、第2の膜層1120内の細胞浸潤及び細胞増殖は、概して、第1の膜層1110と第2の膜層1120との間の境界まで伝播し得る。いくつかの実施形態において、第1の層1100は、第1の層1100の第1の膜層1110と第2の膜層1120との間の境界にわたる細胞浸潤及び細胞増殖の可能性を防止するか、又はそうでなければ最小限に抑えるように構成され得る。
【0178】
添付の図面に示される薬剤送達システム1000の第1の層1100(並びに第1の層1100の対応する第1の膜層1110及び第2の膜層1120)は卵形であるが、第1の膜層1110及び第2の膜層1120、したがって第1の層1100は、他の形状及び/又はサイズで形成されていてもよく、但し、それは薬剤送達システム1000が、結膜下ポケットなどの組織内に埋め込み可能であり、薬剤送達システム1000を取り囲む組織の1つ以上の領域に薬剤送達システム1000の薬剤リザーバ1300内に設置された薬剤を放出させるように動作可能であるという意図された目的を効果的に果たすことが条件であることも理解されたい。例えば、第1の膜層1110及び第2の膜層1120、したがって第1の層1100は、所望に応じて、正方形、長方形、台形、又は任意の他の多角形若しくは非多角形の形状(例えば、豆形)であってもよく、但し、それは形状により、埋め込みが妨げられたり、薬剤リザーバ1300が薬剤を分配できなくなったりしないことが条件である。
【0179】
図2及び
図3に示すように、薬剤送達システム1000の第2の層1200は、第1の膜層1210及び第2の膜層1220を含む。薬剤が第1の膜層1210を通過する速度、したがって薬剤が薬剤送達システム1000によって放出される速度を測定するように、第2の層1200の第1の膜層1210が構成されているという点で、第2の層1200の第1の膜層1210は、第1の層1100の第1の膜層1100と同様である。様々な実施形態において、第1の膜層1210はまた、細胞浸潤及び細胞付着に抵抗するように構成されている。したがって、第1の膜層1210は、概して、第1の層1100の第1の膜層1110について上述したものと一致する隙間、穿孔、孔、チャネル、又はこれらの組み合わせを含む。
【0180】
細胞浸潤及び細胞付着を促進又は許容するように、第2の層1200の第2の膜層1220が構成されているという点で、第2の層1200の第2の膜層1220は、第1の層1100の第2の膜層1120と同様である。したがって、第2の膜層1220は、概して、第1の層1100の第2の膜層1120について上述したものと一致する隙間、穿孔、孔、チャネル、又はこれらの組み合わせを含む。したがって、様々な実施形態において、薬剤送達システム1000は、第1の膜層1210及び第2の膜層1220から形成される第2の層1200を含み、第1の膜層1210は、薬剤に対して透過性であり、細胞浸潤及び組織付着に抵抗するように構成され、第2の膜層1220は、薬剤に対して透過性であり、細胞浸潤及び組織付着を促進又は許容するように構成されている。
【0181】
いくつかの実施形態において、第2の層1200の第1の膜層1210と第2の膜層1220との間の界面は、第1の膜層1210への細胞浸潤に対する境界として動作する。すなわち、いくつかの実施形態において、第2の層1200は、細胞浸潤及び細胞増殖が第2の膜層1220に限定され、第1の膜層1210には限定されないように構成されている。したがって、様々な実施形態において、第2の膜層1220内の細胞浸潤及び細胞増殖は、概して、第1の膜層1210と第2の膜層1220との間の境界まで伝播し得るが、それを通過することはできない。いくつかの実施形態において、第2の層1200は、第2の層1200の第1の膜層1210と第2の膜層1220との間の境界にわたる細胞浸潤及び細胞増殖の可能性を防止するか、又はそうでなければ最小化するように構成され得る。第2の層1200は、第1の膜層1210及び第2の膜層1220に加えて、膜層を含み得ることを理解されたい。
【0182】
上述の第1の層1100と同様に、第2の層1200は、添付の図面に示されたもの以外の形状及び/又はサイズ(例えば、正方形、長方形、台形、豆形、又は任意の他の多角形若しくは非多角形)で形成されていてもよく、但し、それは薬剤送達システム1000が、組織内に埋め込み可能であり、薬剤送達システム1000を取り囲む組織の1つ以上の領域に薬剤リザーバ1300内に設置された薬剤を放出させるように動作可能であるという意図された目的を効果的に果たすことが条件である。
【0183】
図2及び
図3に示すように、第1の層1100は、第1の膜層1110が第2の層1200(及び特に第2の層1200の第1の膜層1210)に隣接して置かれるように配向され、第2の層1200(及び特に第2の層1200の第1の膜層1210)に面するか又はそうでなければ露出される第1の面1102を含む。すなわち、いくつかの実施形態において、第1の層1100は、第1の膜層1110が第2の膜層1120と第2の層1200との間に位置決めされるように設置されている。このような構成は、第1の層1100の第1の膜層1110が薬剤リザーバ1300を少なくとも部分的に画定することを提供する。すなわち、様々な実施形態において、薬剤リザーバ1300は、少なくとも部分的に、薬剤が薬剤リザーバ1300から放出される速度を計量するように構成された1つ以上の薬剤計量膜層(例えば、第1の膜層1110)によって画定される。このような構成はまた、第1の層1100の第2の膜層1120が、第1の面1102とは反対側の第2の面1104を含み、薬剤送達システム1000の外部を部分的に画定することを提供する。すなわち、様々な実施形態において、薬剤送達システム1000の外部は、少なくとも部分的に、1つ以上の組織内殖膜層(例えば、第2の膜層1120)によって画定され、上述のように、細胞浸潤及び組織付着を促進又は許容するように構成されている。薬剤送達システム1000の外表面のうちの1つ以上に沿った組織内殖及び組織付着を促進又は許容することは、薬剤送達システム1000と、薬剤送達システム1000が接触する周囲組織との間の微小移動を最小限に抑えるのに役立つ。薬剤送達システム1000の外表面のうちの1つ以上に沿った組織内殖及び組織付着を許容することは、薬剤がデバイスの所望の部分を通して眼内の標的位置に送達されることを確実にするので、デバイスからの薬剤の標的送達を更に支援する。
【0184】
同様に、
図2及び
図3に示すように、第2の層1200は、第2の層1200の第1の膜層1210が第1の層1100(及び特に第1の層1100の第1の膜層1110)に隣接して置かれるように配向され、第1の層1100(及び特に第1の層1100の第1の膜層1210の第1の面1102)に面するか、又はそうでなければ露出される第1の面1202を含む。すなわち、いくつかの実施形態において、第2の層1200は、第1の膜層1210が第2の膜層1220と第1の層1100との間に位置決めされるように設置されている。このような構成は、第2の層1200の第1の膜層1210が薬剤リザーバ1300を少なくとも部分的に画定することを提供する。このような構成はまた、第2の層1200の第2の膜層1220が、第1の面1202とは反対側の第2の面1204を含み、薬剤送達システム1000の外部を部分的に画定することを提供する。したがって、
図2及び
図3に示すように、薬剤送達システム1000の外部は、少なくとも部分的に、それぞれ第1の層1100及び第2の層1200の第2の膜層1120及び1220によって画定される。更に、
図2及び
図3に示すように、薬剤リザーバ1300は、第1の層1100及び第2の層1200のそれぞれの第1の膜層1110及び1210によって部分的に画定される。図示のように、薬剤リザーバ1300は、連結されていない状態であるか、又はそうでなければ互いに連結されていない、第1の層1100及び第2の層1200の第1の膜層1110及び1210の部分によって画定され、互いに連結されている第1の層1100及び第2の層1200の第1の膜層1110及び1210の部分の半径方向内側に設置されている。
【0185】
様々な実施形態において、第1の層1100及び第2の層1200(その種々の膜層を含む)は、熱処理、高圧圧縮、1つ以上の接着剤等の結合剤、これらの組み合わせ、又は当業者に既知の他の技法等における既知の方法に従って、相互に接続又は連結され得る。
【0186】
いくつかの実施形態において、第1の層1100及び第2の層1200の第1の面1102及び1202はそれぞれ、第1の層1100及び第2の層1200の第1の面1102及び1202の1つ以上の部分が互いに連結されない状態であるように、薬剤送達システム1000の周縁1002に沿って連結される。いくつかの実施形態において、このような非連結領域は、互いに相対的に摺動、並進、作動、分離、又はそうでなければ移動する自由な状態である。第1の層1100及び第2の層1200の連結されていない又は結合されていない部分間のこの相対運動により、薬剤リザーバ1300の容積が薬剤リザーバ1300内に存在する薬剤の量とともに変化し得る。例えば、薬剤送達システム1000は、薬剤リザーバ1300が第1の容積を有する第1の構成と、薬剤リザーバ1300が第1の容積よりも大きい第2の容積を有する第2の構成とを含む状態又は構成の間で移行可能であり得る。
【0187】
図3は、薬剤リザーバ1300が収縮している(例えば、薬剤がない、又は無視できる量しか含まれていない)第1の構成の薬剤送達システム1000を示し、一方、
図2は、薬剤リザーバ1300が膨張している(例えば、薬剤が完全に、又は少なくとも部分的に充填されている)第2の構成の薬剤送達システム1000を示す。いくつかの実施形態において、薬剤送達システム1000は、膨張状態における薬剤送達システム1000の外形と比較して、収縮状態において比較的平坦な外形(例えば、比較的均一な断面)をとる。例えば、
図4に示されるように、薬剤送達システム1000は、膨張状態でブリスター形状又はピロー形状をとることができる。しかし、薬剤送達システム1000は、薬剤がないとき、及び/又は薬剤で充填されているときに、任意の望ましい形状又はサイズをとるように構成され得る。
【0188】
薬剤送達システム1000は薬剤を送達するように構成されており、また、薬剤送達システム1000はin situで補充又は空にすることができるので、薬剤送達システム1000はin situで第1の構成と第2の構成との間で移行可能であることが理解されよう。
【0189】
更に、薬剤リザーバ1300は、カニューレ、針、又は他の適切な器具若しくは方法によって、in situでアクセスされ、薬剤リザーバ1300から薬剤を追加又は除去することができる。
【0190】
図2に示される薬剤送達システム1000は、薬剤が計量可能であり、第1の層1100及び第2の層1200の両方を通して薬剤送達システム1000から分配可能であるように構成されている。すなわち、いくつかの実施形態において、薬剤送達システム1000は、薬剤に対して透過性である第1の層1100及び第2の層1200を含む。特に、いくつかの実施形態において、薬剤は、第1の層1100及び第2の層1200の第1の膜層1110及び1210をそれぞれ通過することによって、並びに第1の層1100及び第2の層1200の第2の膜層1120及び1220をそれぞれ通過することによって、薬剤送達システム1000から放出される。
【0191】
しかし、他の実施形態において、薬剤送達システムは、薬剤が計量され、第1の層及び第2の層の両方ではなく、一方又は他方を通して、薬剤送達システムから分配されるように構成され得る。すなわち、いくつかの実施形態において、薬剤送達システムは、第1の層及び第2の層のうちの第1の層が薬剤に対して透過性であり、第1の層及び第2の層のうちの他方が薬剤に対して不透過性であるように構成され得る。例えば、ここで
図5を参照すると、薬剤送達システム2000が示されており、薬剤透過性の第1の層2100及び薬剤不透過性の第2の層2200を含む。
図5に示す薬剤送達システム2000の第1の層2100は、第1の膜層2110(第1の膜層1110と同様)及び第2の膜層2120(第2の膜層1120と同様)を含むという点で、
図2~
図4に示す第1の層1100と同様であり、第1の膜層2110は、薬剤に対して透過性であり、指定された期間にわたって薬剤リザーバ2300内に設置された薬剤の放出速度を測定するように構成され、かつ細胞浸潤及び組織付着に抵抗するように構成されており、第2の膜層2120は、薬剤に対して透過性であり、細胞浸潤及び組織付着を促進又は許容するように構成されている。上で言及した薬剤送達システム1000の第1の層1100と同様に、薬剤送達システム2000の第1の層2100は、第1の面2102及び第2の面2104を含む。
【0192】
図5に示す薬剤送達システム2000の第2の層2200は、第1の面2202及び第2の面2204を含み、第1の膜層2210及び第2の膜層2220から形成され、第1の膜層2210は薬剤に対して不透過性である。
図5に示される薬剤送達システム2000の第2の膜層2220は、
図5に示される第2の膜層2220が細胞浸潤及び組織付着を促進又は許容するように構成されているという点で、
図2~
図4に示される第2の膜層1220と同様である。しかし、先の例とは異なり、第1の膜層2210は、薬剤リザーバ2300内に設置された薬剤に対して不透過性である。あるいは、薬剤送達システム2000は、第1の層2100が薬剤不透過性である一方、第2の層2200が薬剤透過性であるように構成され得る。薬剤透過性層(例えば、第1の層2100又は第2の層2200)は、細胞浸潤及び組織付着に抵抗するように構成されている第1の薬剤透過性膜層、及び/又は細胞浸潤及び組織付着を促進又は許容するように構成されている第2の薬剤透過性膜層を含み得る。次に、薬剤不透過性層(例えば、第1の層2100又は第2の層2200)は、細胞浸潤及び組織付着に抵抗するように構成された第1の薬剤不透過性膜層、及び/又は細胞浸潤及び組織付着を促進又は許容するように構成された第2の薬剤不透過性膜層を含み得る。
【0193】
引き続き
図5を参照すると、第2の膜層2220は、生体適合性ポリマーなどの、本明細書で説明される任意の生体適合性材料から形成されてもよく、生体適合性ポリマーは、エラストマー又はエラストマー材料と更に組み合わされて、薬剤に対して不透過性である複合材料を形成する。例えば、第2の膜層2220は、ノード及びフィブリルを有する微孔質ポリマー膜を含む複合材料を含んでもよく、孔がフィブリルのマトリックス(例えば、ePTFE)内の空間であり、エラストマー材料などの封止材料がその中に存在する。いくつかの実施形態において、封止材料をポリマー膜に吸収させて、薬剤不透過性膜層を形成することができる。本開示の範囲内にとどまりながら、複数種のフルオロポリマー(及び非フルオロポリマー)膜及び複数種のエラストマー材料を組み合わせて、複合材料を形成することができることを理解されたい。エラストマー材料は、本開示の範囲内にとどまりながら、複数のエラストマーだけでなく、複数種の非エラストマー成分、例えば、無機充填剤、治療剤、放射線不透過性マーカーなどを含むことができることも理解されたい。
【0194】
いくつかの実施形態において、様々な膜層は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から形成されるが、薬剤不透過性膜層の形成に使用するのに適した他の生体適合性ポリマーを使用することができる。この薬剤不透過性膜層には、ウレタン、シリコーン(オルガノポリシロキサン)、シリコン-ウレタンのコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレン-コ-ポリ(酢酸ビニル)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ素化炭化水素ポリマー、及び前述のいずれかのコポリマー又は混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0195】
様々な実施形態において、エラストマー又はエラストマー材料は、パーフルオロメチルビニルエーテル及びテトラフルオロエチレン、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロメチルビニルエーテルのコポリマー、シリコーン、フルオロエラストマー、ウレタン、又はTFE/PMVEコポリマーを含み得る。
【0196】
図5に示される薬剤送達システム2000を引き続き参照すると、薬剤透過性の第1の層2100及び薬剤不透過性の第2の層2200を含むことによって、薬剤送達システム2000は、薬剤リザーバ2300内に設置された薬剤を一方向に計量及び分配するように構成することができる。すなわち、いくつかの実施形態において、薬剤送達システム2000は、薬剤が計量され、第1の層2100及び第2の層2200の一方を通して放出されるが、第1の層2100及び第2の層2200の他方を通しては放出されないように構成することができる。したがって、これらの実施形態において、薬剤送達システム2000は、第2の方向に(例えば、第2の層2200を通して)薬剤を放出することなく、第1の方向に(例えば、第1の層2100を通して)薬剤を放出するように構成することができる。このような放出制御を行うことは、指定された組織への薬剤の分配を行うのに役立つ。例えば、結膜組織に向かう方向への薬剤の放出を最小限に抑えながら、強膜組織に向かう方向に薬剤を放出することができ、これは眼の内部の状態を治療するのに有用であり得る。あるいは、強膜組織に向かう方向への薬剤の放出を最小限に抑えながら、結膜組織に向かう方向に薬剤を放出することができ、これは、眼の外部に影響を与える状態(例えば、ドライアイ)など、眼の他の状態を治療するのに有用であり得る。結膜組織に向かう方向に薬剤を放出することは、結膜に分配された薬剤が周囲の血管系によって吸収され、患者の解剖学的構造における他の領域に輸送され得るので、身体の他のエリア又は領域を治療するために使用され得る。第1の層2100及び第2の層2200に関して本明細書で使用される「第1」及び「第2」という用語は、一般的な識別子であり、したがって、層2100及び層2200は、上部、底部、上部、下部、側部などの代替的な一般的な識別子と併せて参照され得ることを理解されたい。したがって、層2100は、「第1」という用語と併せて上記で言及され、層2200は、「第2」という用語と併せて上記で言及されているが、層2100及び層2200は、代替的に、第1の層2200及び第2の層2100と呼ばれてもよいことを理解されたい。すなわち、「第1」及び「第2」という用語は、層2100及び層2200の一般的な識別子以上のものを表すと理解されるべきではない。
【0197】
いくつかの実施形態において、第1の層及び第2の層のうちの1つ以上は、1つ以上の薬剤透過性部分及び1つ以上の薬剤不透過性部分を含むように構成され得る。ここで
図6及び
図7を参照すると、薬剤送達システム3000が示されており、第1の層3100及び第2の層3200を含む。第2の層3200は、
図5に示され上述された薬剤送達システム2000の第2の層2200と形態及び構造が一致しており、第1の膜層3210、第2の膜層3220、第1の面3202、及び第2の面3204を含む。一方、第1の層3100は、
図6及び
図7に示される第1の層3100が、薬剤に対して透過性である第1の部分3112及び薬剤に対して不透過性である第2の部分3114を有する第1の膜層3110を含むという点で、前述の第1の層の例とは異なる。第1の膜層3110は、指定された期間にわたって薬剤リザーバ1300内に設置された薬剤の放出速度を測定するように構成されている。第2の膜層3120は、上述した
図5に示す薬剤送達システム1000の第2の膜層3120と同様である。
【0198】
様々な実施形態において、第1の膜層3110の第1の部分3112は、概して、薬剤リザーバ3300内に設置された薬剤が第1の部分3112を通して放出されることを可能にするようなサイズ及び形状である、隙間、穿孔、孔、チャネル、又は他の放出特徴を含む。いくつかの実施形態において、第1の層3100による薬剤リザーバ3300内に設置された薬剤の放出の計量は、第1の膜層3110の計量第1の部分3112の表面積を増加させる(又は代替的に減少させる)ことによって調整又はそうでなければ制御することができる。いくつかの実施形態において、計量第1の部分3112の表面積を第1の表面積から第2のより大きい表面積に増加させることにより、薬剤送達システム3000によって単位時間当たりに放出される薬剤の量が増加する。同様に、計量第1の部分3112の表面積を第1の表面積から第2のより小さい表面積に減少させることにより、薬剤送達システム3000によって単位時間当たりに放出される薬剤の量が減少する。
【0199】
例えば、薬剤送達システムが、第1のサイズ(例えば、容積)を有する薬剤リザーバと、第1の表面積を有し、単位面積当たり第1の放出速度を有する第1の材料を含む第1の薬剤計量膜層とを含む場合、薬剤送達システムは、単位時間当たりの第1の薬剤放出速度と、第1の期間における薬剤の放出の計量とに関連付けられる。計量膜層の第1の表面積及び第1の材料を維持しながら、薬剤リザーバのサイズが第1のサイズから第2のより大きいサイズに増加させた場合、薬剤送達システムは、第1の期間よりも長い第2の期間にわたって薬剤の放出を計量するように動作可能であることを理解されたい。一方、計量膜層の第1の材料及び薬剤リザーバの第1のサイズを維持しながら、計量膜層の第1の表面積が第2の減少した表面積に減少される場合、薬剤送達システムは、第1の期間よりも長い第3の期間にわたって薬剤の放出を計量するように動作可能であることを理解されたい。更に、薬剤リザーバの第1のサイズ及び計量膜層の第1の表面積を維持しながら、計量膜層の第1の材料が、単位面積当たりの第2の減少した放出速度を有する第2の材料に変更される場合、薬剤送達システムは、第1の期間よりも長い第4の期間にわたって薬剤の放出を計量するように動作可能であることを理解されたい。上記概念の組み合わせを利用して、単位時間当たりに放出される薬剤の量を増加させながら、薬剤放出期間を維持することができる。例えば、計量膜層の第1の材料を維持しながら、計量膜層の表面積を第1の表面積から第2の増加した表面積に増加させることと組み合わせて、薬剤リザーバのサイズを第1のサイズから第2のより大きいサイズに増加させる場合、薬剤送達システムは、第1の期間中に放出される薬剤の量を増加させるように動作可能であることを理解されたい。
【0200】
異なる材料は、例えば異なる微細構造(例えば、微細構造内に存在する隙間、穿孔、孔、チャネル、又は他の放出特徴の量及び/又はサイズの増加)に基づいて、単位面積当たりの異なる流量を有し得ることも理解されたい。したがって、薬剤リザーバ内に設置された薬剤の放出が計量される程度又は量を調整又はそうでなければ制御するために、異なる材料が追加的又は代替的に選択され得る。
【0201】
したがって、本明細書で説明される様々な薬剤送達システムは、関連する大きな薬剤計量表面積に起因して薬剤の高い放出速度も本質的に有することのない比較的大きな薬剤リザーバを含む構成、あるいは、関連する小さな薬剤計量表面積に起因して薬剤の低い放出速度も本質的に有することのない比較的小さな薬剤リザーバを含む構成を提供する。低い放出速度と組み合わせた比較的大きな薬剤リザーバは、薬剤を補充するための介入を必要とすることなく、長期間(例えば、数週間、数ヶ月、1年、又はそれ以上)にわたって埋め込むことができる薬剤送達システム1000を提供する。逆に、高い放出速度と組み合わされた比較的小さい薬剤リザーバは、過大になることなく、かつ正常な眼の動作(例えば、まばたき及び眼の動き)を妨げることなく、埋め込み可能であり、かつ速い速度で薬剤を分配することができる薬剤送達システムを提供する。
【0202】
更に、より粗い分子構造を有する薬剤には、概して、薬剤送達システムにおいて、薬剤が薬剤計量膜層の材料を通過することができるようなサイズに対応する隙間、孔、チャネル及び/又は他の放出特徴を有する微細構造を含むことが必要とされることを理解されたい。したがって、異なる薬剤を投与する際に使用するために異なる薬剤送達システムを選択できることが理解されよう。
【0203】
図6及び
図7に示される薬剤送達システム3000を引き続き参照すると、第1の層3100の第1の膜層3110は、本明細書で説明される任意の生体適合性材料などの材料の1つ以上のシート又はフィルムから形成されてもよいが、材料の1つ以上のシート又はフィルムは、薬剤不透過性の第2の部分3114において、エラストマー又はエラストマー材料などの封止材料と更に組み合わされている。したがって、いくつかの実施形態において、第1の層3100の第1の膜層3110における薬剤不透過性の第2の部分3114は、複合構造を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の層3100の第1の膜層3110における薬剤不透過性の第2の部分3114は、第1の層3100の第1の膜層3110の、封止材料が選択的に吸収され、かつ/又は封止材料でコーティングされた部分に対応し得る。すなわち、様々な実施形態において、第1の層3100の第1の膜層3110は、第1の膜層3110の1つ以上の部分が封止材料を含み、第1の膜層3110の1つ以上の他の部分が封止材料を含まない状態であり、第1の膜層3110の封止材料を含む部分が薬剤不透過性の第2の部分3114に対応し、第1の膜層3110の封止材料を含まない部分が薬剤計量第1の部分3112に対応するように構成され得る。
【0204】
図6及び
図7に示される薬剤送達システム3000は、卵形の薬剤計量第1の部分3112を含むが、薬剤計量第1の部分3112は、添付図面に示されるもの以外の他の形状及び/又はサイズ(例えば、正方形、長方形、台形、豆形、又は任意の他の多角形若しくは非多角形)で形成されてもよく、但し、それは薬剤計量第1の部分3112が、薬剤の放出を計量するというその意図された目的を効果的に果たすことが条件である。したがって、薬剤計量第1の部分3112と薬剤不透過性の第2の部分3114との間に画定される境界は、上記と一致する任意の適切な形状を画定し得ることが理解されよう。
【0205】
また、
図7に示す薬剤送達システム3000は、中央に位置する単一の薬剤計量第1の部分3112のみを含むが、第1の層3100の第1の膜層3110は、複数の離散的な薬剤計量第1の部分3112を含んでもよいことを理解されたい。同様に、第1の層3100の第1の膜層3110の薬剤計量第1の部分3112は、中心に位置する必要はなく、代わりに中心位置からずれた位置に位置決めされてもよいことを理解されたい。
【0206】
様々な実施形態において、薬剤送達システムは、本明細書で説明される薬剤計量膜層のうちの1つ以上が、患者の解剖学的構造の組織表面に露出され得るように構成され得る。例えば、ここで
図8及び
図9を参照すると、薬剤送達システム4000が示されており、第1の層4100及び第2の層4200を含む。第2の層4200は、第2の層4200が薬剤に対して不透過性であり、薬剤不透過性の第1の膜層4210と、細胞浸潤及び組織付着を促進又は許容するように構成された第2の膜層4220とを含むという点で、
図5に示し上述した薬剤送達システム2000の第2の層2200と同様である。
図5に示される薬剤送達システム2000と同様に、第2の層4200は、第1の面4202及び第2の面4204を含む。
【0207】
しかし、
図8及び
図9に示される第1の層4100は、
図8及び
図9に示される第1の層4100が第1の膜層4110の一部を露出させる開口又はレリーフを含むという点で、前述の第1の層の例とは異なる。第1の膜層4110は、指定された期間にわたって薬剤リザーバ4300内に設置された薬剤の放出速度を測定するように構成されている。特に、
図8及び
図9に示すように、第2の膜層4120は、第2の膜層4120の本体4122内に形成された開口4124を含み、第1の層4100の第2の膜層4120内の開口4124は、第1の膜層4110を露出させるように動作する。埋め込まれると、第1の層4100の第1の膜層4110の1つ以上の部分は、組織に直接露出し、一方、第2の膜層4120は、第1の膜層4110と組織表面との間の分離を維持するように動作する。
【0208】
第1の層4100の第1の膜層4110の直接露出は、組織へのより効果的かつ効率的な薬物送達を可能にするのに役立つ。第1の膜層4110と組織表面との間の分離を維持することは、第1の膜層4110と組織との間の微小移動を最小限に抑えるのに役立つ。上述したように、微小移動を最小限に抑えることは、微小刺激を最小限に抑えるのに役立つ。
【0209】
したがって、様々な実施形態において、薬剤送達システム4000は、薬剤透過性の第1の層4100及び薬剤不透過性の第2の層4200を含み、第1の層4100は、第1の膜層4110及び第2の膜層4120を含み、第1の膜層4110は、薬剤に対して透過性であり、細胞浸潤及び組織付着に抵抗するように構成され、第2の膜層4120は、薬剤に対して透過性であり、細胞浸潤及び組織付着を促進又は許容するように構成され、第2の膜層4120は、埋め込まれたときに第1の膜層4110の1つ以上の部分が組織に露出する一方、第2の膜層4120は、埋め込まれている間に組織と第1の膜層4110の1つ以上の他の部分との間に位置決めされるように構成されている。
【0210】
次に、特定の疾患の治療に関連する様々な実装形態、及び本明細書に開示される実施形態の対応する構成に関する様々な実装形態について説明する。以下に記載されるように、薬剤送達システムなどの埋め込み型医療システム9000(例えば、以下の埋め込み型医療システム9000)のいくつかの構成が、治療される疾患、並びに薬剤送達システムの対応する埋め込み及びデバイス位置の例とともに開示される。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、所与の疾患の治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。緑内障に加えて、薬剤送達システムが治療に有用であり得る疾患としては、黄斑変性症、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、角膜炎、網膜芽細胞腫、網膜静脈閉塞症(「RVO」、例えば、中枢RVO(「CRVO」)及び分枝RVO(「BRVO」))、ドライアイ、及び老眼が挙げられる。これらの疾患は、以下で更に説明するように、様々なAPIクラスからの様々な医薬品有効成分(API)を使用して治療することができる。しかし、本明細書で説明される例示的な実装形態は、本明細書で開示される薬剤送達システムの多くの例示的な実装形態の一部にすぎず、本開示の範囲から逸脱することなく、このような実装形態を用いて更なる疾患を治療できることを理解されたい。これらの実装形態の詳細については後述する。
【0211】
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用な埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。本明細書に開示される埋め込み型送達デバイスのいくつかの例は、以下で説明されるように、送達アームを有するが、送達アームを有しないものもある。
図10Aは、膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Bは、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態の
図10Aのリザーバ9100を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。
図10C-1及び
図10C-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態の
図10Cのリザーバ9100を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。
図10A-1及び
図10A-2には、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略図として示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表的なものである。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0212】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、上述のように薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1及び
図10C-2に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。本明細書では単一の薬剤を受容するものとして主に論じられているが、いくつかの実施形態において、不透過性材料がリザーバ9100内に含まれて、デバイス9000と流体連通していない分離の又は別個のチャンバ又はサブリザーバを形成する。このようにして、リザーバ9100は、患者に選択的に送達され得る複数の薬剤を収容することができる。これらの実施形態は、デバイス9000のカスタマイズ性を高め、デバイス9000で使用できる治療を増加及び/又は拡大することができる。
【0213】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、以下で更に説明するように、様々な疾患を治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0214】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、眼の1つ以上の疾患を治療するための薬剤でリザーバ9100を充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0215】
図11A~
図11Dは、薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示す。
図11Bは、リザーバ9100の第2の構成(構成「B」)を示し、リザーバ9100は、主要部分9101及び送達アーム9103を含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
図11Dは、リザーバ9100の第4の構成(構成「D」)を示し、これは、
図11Bのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。例において、充填ポート9310は、リザーバ9100における注入部位、又はリザーバ9100を薬剤で充填することを容易にする埋め込み型医療システム9000の特徴であり得る。いくつかの実施形態において、充填ポート9310のうちの1つ以上は、透明、半透過、半透明、又は透光性の材料から作製される。このようにして、リザーバ9100又はリザーバチャンバを補充するために使用されるデバイス及び/又はアクセサリは、デバイス及び/又はアクセサリが充填ポート9310に挿入されるときに観察することができる。以下で更に説明するように、複数のチャンバ9300(例えば、
図11C及び
図11D)は、互いに流体連通するか、又は流体的に隔離することができる。例では、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、リザーバ9100は、1つの方向(例えば、ページ内)又は複数の方向(例えば、ページ内、ページ外、ページと面内、又はそれらの任意の組み合わせ)に薬剤を分配することができる。
【0216】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの1つ又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0217】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100における1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。いくつかの実施形態において、送達アーム9103は、使用中によじれたり圧縮したりしないように可撓性であり得る。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0218】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103が形成され得る。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0219】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。簡潔にするために、本明細書での分配動作は、構成A及びBに関して示されるが、当業者であれば、これらの分配動作が、構成C及びDに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成C及びDが、構成A及びBに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0220】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方で行うことができる。更にこれらの状況下では、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101と送達アーム9103の両方における分配の方向性は、例に応じて同じであっても異なっていてもよい。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0221】
図12A及び
図12Bから始めると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0222】
図12E及び
図12Fを参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、概して、
図12Eではページの内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページの内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向へのより散布された方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0223】
上述したように、
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。これらの例における主要部分9101に関する分配は、
図12A~
図12Hを参照して上述したものと同様であり得る。埋め込み型医療システム9000の主要部分9101は、
図12A~
図12Hに関して説明したものと同様であり得る。
図12I~
図12Pに示す例は、追加又は代替として、以下で更に説明するように、送達アーム9103からの分配を含み得る。具体的な例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示に照らして多くの他の例及びこれらの組み合わせを認識するであろうことを理解されたい。
【0224】
図12I及び
図12Jを参照すると、送達アーム9103における多方向分配動作が示されている。この点に関して、送達アーム9103での分配は、様々な方向で(例えば、送達アーム9103の先端部分で、送達アーム9103の長さに沿って)行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101では分配が行われない。対照的に、
図12M及び
図12Nに示される例において、送達アーム9103及び主要部分9101の両方が、複数の方向に分配するように構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12G及び
図12Hに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0225】
図12K及び
図12Lに関して、送達アーム9103における誘導多方向分配動作が示されている。これに関して、送達アーム9103での分配は、送達アーム9103の先端部分のみで様々な方向に行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101において、又は先端部分から離れた送達アーム9103の長さに沿って、分配は行われない。対照的に、
図12O及び
図12Pに示される例において、送達アーム9103は、誘導多方向分配のために構成され、主要部分9101は、集中分配のために構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12C及び
図12Dに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0226】
埋め込み位置又は部位における埋め込み型医療システム9000の配置は、治療される疾患に応じて異なり得る。例において、埋め込み型医療システム9000は、眼の前方位置、眼の後方位置、又は眼の前方及び後方位置の両方に配置することができる。例えば、埋め込み型医療システム9000は、眼の前房、眼の(前方位置の)後房、又は眼の前方及び後方位置の両方に配置することができる。眼の前方位置に配置されるとき、いくつかの例における埋め込み型医療システム9000は、その一部が前房内に配置され得る。眼の後方位置に配置されるとき、いくつかの例における埋め込み型医療システム9000は、薬剤の硝子体内投与のために配置されたその一部を有し得る。例において、前房内に配置された、又は薬剤の硝子体内投与のために配置されたリザーバ9100の部分は、リザーバ9100の送達アーム9103であり得る。
【0227】
リザーバ9100の様々な埋め込み位置又は部位及び構成は、
図13A、
図13B、
図14A、
図14B、
図15A、
図15B、
図16A、
図16B、
図17A、及び
図17Bに見ることができる。上述したように、埋め込み型医療システム9000は、例において、補充式リザーバ9100及び送達アーム9103を有し得る。他の例において、リザーバ9100は、送達アーム9103のない補充式リザーバ9100を有し得る。当然ながら、例では、リザーバ9100は補充可能でなくてもよい。特に、
図13A、
図13B、
図14A、及び
図14Bは、送達アーム9103のないリザーバに関し、
図15A、
図15B、
図16A、
図16B、
図17A、及び
図17Bは、送達アーム9103を備えたリザーバに関する。本明細書の他の場所で説明されるように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤がリザーバ9100から眼に向かって(例えば、主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方を通して)、任意選択で、眼5000から離れて分配されるように構成することができる。
【0228】
より具体的には、
図13A及び
図13Bは、前方のリザーバ9100の位置(例えば、辺縁と毛様体扁平部との間の結膜5002の下)に埋め込まれた薬剤送達システムを示す。以下に論じるように、このような埋め込みは、緑内障、ドライアイ、老眼、又は角膜炎に有用であり得る。
図14A及び
図14Bは、後方のリザーバ9100の位置(例えば、毛様体扁平部及び脈絡膜上を越えた)に埋め込まれた薬剤送達システムを示す。後述するように、このような埋め込みは、黄斑変性症、ぶどう膜炎、網膜炎、黄斑浮腫、CRVO、及びBRVOに有用であり得る。
図15A及び
図15Bは、前方-後方のリザーバ9100位置(例えば、リザーバ9100が辺縁と毛様体扁平部との間にあり、送達アーム9103が毛様体扁平部及び脈絡膜上を越えている)に埋め込まれた薬剤送達システムを示す。後述するように、このような埋め込みは、黄斑変性症、ぶどう膜炎、網膜炎、黄斑浮腫、CRVO、及びBRVOに有用であり得る。
図16A及び
図16Bは、前方-硝子体内のリザーバ9100位置に埋め込まれた薬剤送達システムを示し、補充式リザーバ9100が辺縁付近に位置決めされ、送達アーム9103が眼5000の硝子体腔内に位置決めされている。以下に論じるように、このような埋め込みは、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、又は黄斑変性症に有用であり得る。
図17A及び
図17Bは、前房5006のリザーバ9100位置に埋め込まれた薬剤送達システムを示し、補充式リザーバ9100が辺縁付近に位置決めされ、送達アーム9103が前房5006内に位置決めされている。以下に論じるように、このような埋め込みは、緑内障、角膜炎、及び老眼に有用であり得る。
【0229】
図18は、
図10A及び
図10Cの部分に例示的に表される材料構造の顕微鏡画像を提示する、いくつかの実施形態による微孔質材料の顕微鏡図を示す。例えば、
図18の微孔質材料は、医療用インプラントシステムに関して全体を通して言及され得る。当業者であれば、
図18を参照して理解できるように、微孔質材料の微孔質の態様及びパラメータは、種々の方法で定義することができる。疾患の治療のために眼への薬剤の送達を容易にするために眼の組織内にin situで留置されるように構成された、本明細書に記載の薬剤送達システムなどの眼用デバイスにおける微孔質材料の適用において、このような微孔質材料の微孔質特性は、概して、微孔質材料の全容積(又は総容積)と比較した、微孔質材料によって画定され、微孔質材料内に含有される空気又は流体の容積の比として定義することができる容積多孔率の値によって特徴付けることができる。
【0230】
別の定義では、容積多孔率は、空気又は他の流体などの非構造的要素又は一時的要素によって占められる微孔質材料の容積の割合として定義することができる。例えば、全体の容積が100mm3で、その容積のうち30mm3が空気又は流体を保持するチャンバを含む微孔質材料は、微孔質材料の容積の30%が空であるか、又は空気若しくは他の流体で満たされた一時的空間であるため、容積多孔率の値は0.3となる。
【0231】
理解され得るように、2つの微孔質材料は、同じ容積多孔率を有し得るが、流入又は流出する空気又は流体に提示される孔サイズが異なり得る。例えば、第1の材料は、一定の全体容積にわたって分布した少数の大きな孔を有し、第2の材料は、同じ一定の容積にわたって分布した比較的多数の比較的小さな孔を有することができ、2つの材料の空気/流体容積が同じである場合、両方の微孔質材料は同じ容積多孔率を有することができる。
【0232】
更に理解され得るように、眼ドレナージデバイスにおいて使用される微孔質材料の特性はまた、微孔質材料を通過する通路のサイズによって定義することもでき、又は同様に、通路が微孔質材料の表面で終端する場合に測定されるか、若しくは材料内の通路の長さに沿って測定される孔サイズとして定義することもできる。小さな孔又は通路を有する微孔質材料は、材料を通る流れを妨げる可能性があり、比較的大きな孔又は通路は、微孔質材料への、微孔質材料からの、又は微孔質材料内の空気又は流体の通過を増加させる可能性がある。
【0233】
更に理解され得るように、微孔質材料の特性はまた、材料に入り、材料を通過する通路の屈曲度によって定義することができ、比較的小さい又は大きい通路は、通路内の曲がりの頻度に起因して、又は流体経路内の障害物の留置によって、流体経路が妨げられる。微孔質材料の空気/流体通過率は、材料の上述の特性のいずれかを制御又は定義することによって管理することができ、疾患の治療のために眼への薬剤の送達を容易にするために使用するのに適した材料を提供することができる。
【0234】
簡単にするために、本明細書に記載される様々な実施形態及び実施例において使用される微孔質材料の前述の特性及び可変性は、容積多孔率、孔若しくは通路のサイズ、又は屈曲度の測定基準に基づくことができる多孔率として単に提示することができる。再び、
図18を参照すると、微孔質材料の内部部分は、様々な多孔率(又は容積多孔率、又は孔サイズ、又は屈曲度)を有し得る。内部部分は、内面9508と外面9510との間に延びることができる。
【0235】
本体部分9502のこれらの部分のいずれにおいても、多孔率は、小程度の孔サイズ(SP)、中から小程度の孔サイズ(MSP)、中程度の孔サイズ(MP)、中から大程度の孔サイズ(MLP)、及び大程度の孔サイズ(LP)で比較的変動し得る。本明細書での説明のために、送達が、内面9508、均一な内部部分、及び外面9510の多孔率に順次連動するように、微孔質材料を通る比較的直線の経路に沿って移動すると仮定すると、組み合わされた流れ抵抗は、それらのそれぞれの多孔率を同様につなぐことによって表すことができる。例えば、内面9508は、典型的には、(例えば、リザーバ9504内への組織の内殖に抵抗するために)全体にわたって低い多孔率を有し、内部部分及び外面9510の部分は、前述の多孔率の程度のうちのいずれかを有し得る。これらの状況下では、内部部分が中程度の多孔率を有し、例えば、内部部分が中程度の多孔率を有し、外面9510が高い多孔率を有するとき、リザーバ9504からデバイスを取り囲む組織への微孔質材料を通した薬剤送達は、SP-MP-LPと表すことができる。更なる例を以下に説明する。
【0236】
様々な送達経路が微孔質材料内に存在し得る。比較的直線的な流路は、例えば、領域SP1-SP4-SP5、又はSP3-MLP1-MP1-MSP1を含み得る。いくつかの流路は比較的直線的であり得るが、非直線的な流路も存在する。例えば、特定の条件下では、少なくとも一部の流れは、SP1-LP1-LP2又はSP3-MLP1-LP1-LP2のような次第に抵抗が小さくなる領域を通って流れるように進むことができる。理解されるように、微孔質材料の微細構造は、微細構造を通る特定の種類の流れを得るために修正プロセスを受けることができる。例えば、微細構造は、微細構造内の層にわたって比較的均一な層を有してもよく、又は本明細書に示されるように、微孔質材料の厚さ全体にわたって可変部分を有してもよい。
【0237】
いくつかの例では、本体部分9502は、内面9508と外面9510との間に延びる壁部分の厚さを画定する。壁部分の厚さは、内面9508の低多孔率表面(例えば、より小さい孔サイズを有する)の多孔率と外面9510の高多孔率表面(例えば、より大きい孔サイズを有する)の多孔率との間の移行多孔率を有する本体部分9502の内部領域を画定することができる。加えて、又は代替的に、内部領域は、内面9508及び外面9510の低多孔率表面の多孔率に等しい内部領域多孔率を有し得る。加えて、又は代替的に、内部領域は、内面9508の低多孔率表面の多孔率に等しい内部領域多孔率を有し得る。加えて、又は代替的に、内部領域は、外面9510の高多孔率表面の多孔率に等しい内部領域多孔率を有し得る。
【0238】
図18に示される微孔質材料を更に参照すると、流体経路はまた、水等の流体とリザーバ9100内にある薬剤との間の濃度勾配によって影響を受ける可能性がある。より具体的には、薬剤送達のプロセスにおいて、薬剤又は薬物は、最初にリザーバ9100内に収容される。次いで、流体は、微孔質材料を通してリザーバ9100内に送達され、これにより、薬剤が微孔質材料から浸出し、標的送達部位に到達し得る。層(layers)又は層(stratum)を有するものとして本明細書に記載されているが、微孔質材料は、分離した別個の層がなく、代わりに、前述のように、流体及び薬物が移動するための様々な多孔率の異なる領域を含み得る。薬剤送達システム9000、より具体的には薬剤送達システム9000の微孔質材料はまた、標的送達のために最適化され得る。換言すれば、微孔質材料が組み込まれる領域は、システム9000の周囲の標的位置においてのみ薬物送達を可能にするように選択され得る。
【0239】
図19A~
図19Dは、本明細書に開示される他の実施形態で説明される埋め込み型医療システムの例示的実施形態を埋め込む異なる方法を示す。
図17A~
図17Bの埋め込み型医療システム9000を参照して説明したが、本明細書に記載の方法は、
図1A~
図1Bのシステム1000と共に使用することもできる。更に、
図19A~
図19Dは、眼内の1つの例示的な位置へのデバイスの埋め込みを示すが、埋め込みプロセスは、所望に応じて眼内の様々な位置に適用することができ、上述の実施形態について必要に応じて説明する。
【0240】
図19Aでは、埋め込み型医療システム9000は、平坦に置かれ、歯のない鉗子等の任意の適切なツールを使用して近位端(又は取水導管9506付近の前縁)を保持し、ポケットが開放されたままで、切開17によって形成される結膜下腔内に埋め込み型医療システム9000を前進させることによって、眼の組織内の切断又は切開17内に挿入される。デバイス9000がそれ自体の折り畳み又は屈曲を防ぐために、本明細書で開示されるような支持部材が実装され得る。
【0241】
図19Bでは、埋め込み型医療システム9000は、デバイス9000の遠位端(又は後縁)が導管9506と実質的に平行になるように把持されるように、鉗子を使用して保持される。この方法は、望ましくない長手方向の折り畳み又は屈曲、すなわち、鉗子によって画定される長手方向軸に沿った折り畳み又は屈曲をほとんど伴わずに、所望の深さでのデバイス9000の送達を促進する。いくつかの例では、埋め込み型医療システム9000は、処置中に横軸に沿った折り畳み又は屈曲が生じることがあるが、このような折り畳み又は屈曲は、長手方向の折り畳み又は屈曲よりも有害ではなく、例えば、送達後に鉗子又は別のツールを使用してこのような折り畳み又は屈曲を「平滑化」することによって補正することができる。
【0242】
図19Cでは、埋め込み型医療システム9000は、軸方向に折り畳み又は屈曲が生じ(すなわち、折り畳み又は屈曲は、長手方向軸において、又は軸に平行な線に沿って行われる)、デバイス9000の遠位端又は後縁は、鉗子が導管9506と実質的に平行であるように、鉗子を使用して把持される。デバイス9000は、切開17によって形成されたポケットの内側の結膜下腔内に前方に押し込まれる。この方法はまた、望ましくない軸方向の折り畳み又は屈曲をほとんど伴わずに、所望の深さでのデバイス9000の送達を容易にする。
【0243】
図19Dにおいて、埋め込み型医療システム9000は、導管9506とほぼ平行な鉗子を用いて一方の側縁で把持される。次いで、デバイス9000は、鉗子の本体の周りに巻かれるか又は巻き付けられ、その後、結膜下腔の中に押し込まれる。デバイス9000が挿入された後、結膜下腔内でin situで広げられるか又は包装を解かれる。この方法はまた、十分な軸方向の剛性を有し、望ましくない軸方向の折り畳み又は屈曲がほとんどない、所望の深さでのデバイス9000の送達を容易にする。
緑内障
【0244】
例示的実装形態では、薬剤送達システムは、緑内障を治療するために有用であり得る。本明細書の他の箇所で説明されるように、緑内障は、高い眼圧に関連する進行性の視力喪失である。緑内障の治療のために、薬剤送達システムは、結膜下(例えば、眼5000の辺縁と毛様体扁平部との間の位置又はその周囲(例えば、
図13参照))に埋め込むことができる。他の利点、例えば、組織の摩滅の低減、薬剤送達システムの補充可能な要素などの中で、緑内障の治療のための本明細書に説明される薬剤送達システムを使用することにより、これまでに確立された治療方法を使用するときの患者コンプライアンスの通常問題を克服することができる。例えば、埋め込み型医療送達システムを使用することで、患者が、例えば目薬の使用によって、毎日の薬の投与を忘れる可能性を減らすことができる。
【0245】
例において、薬剤送達システムは、構成A~Dのいずれかであり得る。例えば、薬剤送達システムは、
図10A~
図12Pを参照して全体を通して先に記載され、本明細書で再び説明されるような埋め込み型医療システム9000であり得る。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、緑内障の治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。
【0246】
前述したように、
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用な埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。
図10Aは、
図10A-1及び
図10A-2の膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、それぞれ、埋め込み型医療システム9000内の第1及び第2の微孔質材料9202の顕微鏡図を示す。
図10Bは、
図10Aのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。
図10C-1及び
図10C-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、
図10Cのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。
図10A-1及び
図10A-2には、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略的に示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1、及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表例である。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0247】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、上述のように薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、詳細10A-1及び10C-1に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバ9100から分配される速度を計量するように構成され得る。
【0248】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、緑内障を治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から緑内障の薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0249】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、緑内障を治療するための薬剤でリザーバ9100を充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0250】
図11A~
図11Dは、薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示し、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む。
図11Bは、リザーバ9100の第2の構成(構成「B」)を示し、リザーバ9100は、主要部分9101及び送達アーム9103を含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
図11Dは、リザーバ9100の第4の構成(構成「D」)を示し、これは、
図11Bのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。例において、充填ポート9310は、リザーバ9100における注入部位、又はリザーバ9100を薬剤で充填することを容易にする埋め込み型医療システム9000の特徴であり得る。以下で更に説明するように、複数のチャンバ9300(例えば、
図11C及び
図11D)は、互いに流体連通するか、又は流体的に隔離することができる。例では、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、リザーバ9100は、1つの方向(例えば、ページ内)又は複数の方向(例えば、ページ内、ページ外、ページと面内、又はそれらの任意の組み合わせ)に薬剤を分配することができる。
【0251】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの一方又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0252】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100の1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0253】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103を形成することができる。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0254】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。簡潔にするために、本明細書での分配動作は、構成A及びBに関して示されるが、当業者であれば、これらの分配動作が、構成C及びDに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成C及びDが、構成A及びBに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0255】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方で行うことができる。更にこれらの状況下では、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101と送達アーム9103の両方における分配の方向性は、例に応じて同じであっても異なっていてもよい。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0256】
図12A及び
図12Bを再び参照すると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0257】
図12E及び
図12Fを再び参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、
図12Eでは概ねページ内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。前述のように、
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページ内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向でより散布される方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0258】
上述したように、
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。これらの例における主要部分9101に関する分配は、
図12A~
図12Hを参照して上述したものと同様であり得る。埋め込み型医療システム9000の主要部分9101は、
図12A~
図12Hに関して説明したものと同様であり得る。
図12I~
図12Pに示す例は、追加又は代替として、以下で更に説明するように、送達アーム9103からの分配を含み得る。具体的な例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示に照らして多くの他の例及びこれらの組み合わせを認識するであろうことを理解されたい。
【0259】
図12I及び
図12Jを参照すると、送達アーム9103における多方向分配動作が示されている。この点に関して、送達アーム9103での分配は、様々な方向で(例えば、送達アーム9103の先端部分で、送達アーム9103の長さに沿って)行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101では分配が行われない。対照的に、
図12M及び
図12Nに示される例において、送達アーム9103及び主要部分9101の両方が、複数の方向に分配するように構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12G及び
図12Hに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0260】
図12K及び
図12Lを参照して前述したように、送達アーム9103における誘導多方向分配動作が示されている。これに関して、送達アーム9103での分配は、送達アーム9103の先端部分のみで様々な方向に行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101において、又は先端部分から離れた送達アーム9103の長さに沿って、分配は行われない。対照的に、
図12O及び
図12Pに示される例において、送達アーム9103は、誘導多方向分配のために構成され、主要部分9101は、集中分配のために構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12C及び
図12Dに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0261】
埋め込み型医療システム100及び分配メカニズムの上記構成のいずれも、緑内障の治療に使用するために適用することができる。これらの状況下では、薬剤送達システムは、眼5000の前方位置に、任意選択で眼5000の前房5006内に配置することができる(例えば、
図17参照)。例えば、薬剤送達システムが緑内障を治療するように配置されているとき、APIクラスには、ラタノプロスト、ビマトプロスト、及びXALATANなどのプロスタグランジンを含めることができる。特定の場合において、APIクラスには、チモロール又はBETIMOLなどのβ遮断薬;ブリモニジン又はALPHAGENなどのα作動薬;又はドルゾラミド、ブリンゾラミド若しくはAZOPTなどの炭酸脱水酵素阻害薬を含めることができる。
黄斑変性症
【0262】
本開示は、網膜疾患の治療に適したデバイス、システム及び方法を含む。特に、網膜の黄斑変性症は、埋め込み型医療システム9000の例示的実装形態を使用して治療できる。滲出型黄斑変性症は、眼5000の中心視力に関与する黄斑下の異常な血管成長を伴う慢性眼障害である。これまでに確立された黄斑変性症の治療法では、針が目に挿入され、血液房水関門を突破する。現在提示されている実施形態の利点の1つは、とりわけ、本明細書で更に説明されるように、この侵襲性の技法を排除し、治療を低侵襲的に実施できることである。
【0263】
黄斑変性症の治療のために、薬剤送達システムを脈絡膜上(例えば、眼5000の毛様体扁平部の後方)に埋め込むことができる。例において、薬剤送達システムは、構成A~Dのいずれかであり得る。例えば、薬剤送達システムは、
図10A~
図12Pを参照して全体を通して先に記載され、本明細書で再び説明されるような埋め込み型医療システム9000であり得る。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、黄斑変性症の治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。
【0264】
前述したように、
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用な埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。
図10Aは、
図10A-1及び
図10A-2の膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、それぞれ、埋め込み型医療システム9000内の第1及び第2の微孔質材料9202の顕微鏡図を示す。
図10Bは、
図10Aのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。
図10C-1及び
図10C-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、
図10Cのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。詳細A及びBには、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略的に示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1、及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表例である。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0265】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、上述のように薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、
図10A-1及び
図10C-1に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバ9100から分配される速度を計量するように構成され得る。
【0266】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、黄斑変性症を治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から黄斑変性症の薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0267】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、黄斑変性症を治療するための薬剤をリザーバ9100に充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0268】
図11A~
図11Dは、薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示し、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む。
図11Bは、リザーバ9100の第2の構成(構成「B」)を示し、リザーバ9100は、主要部分9101及び送達アーム9103を含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
図11Dは、リザーバ9100の第4の構成(構成「D」)を示し、これは、
図11Bのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。例において、充填ポート9310は、リザーバ9100における注入部位、又はリザーバ9100を薬剤で充填することを容易にする埋め込み型医療システム9000の特徴であり得る。以下で更に説明するように、複数のチャンバ9300(例えば、
図11C及び
図11D)は、互いに流体連通するか、又は流体的に隔離することができる。例では、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、リザーバ9100は、1つの方向(例えば、ページ内)又は複数の方向(例えば、ページ内、ページ外、ページと面内、又はそれらの任意の組み合わせ)に薬剤を分配することができる。
【0269】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの一方又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0270】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100の1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0271】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103を形成することができる。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0272】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。簡潔にするために、本明細書での分配動作は、構成A及びBに関して示されるが、当業者であれば、これらの分配動作が、構成C及びDに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成C及びDが、構成A及びBに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0273】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方で行うことができる。更にこれらの状況下では、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101と送達アーム9103の両方における分配の方向性は、例に応じて同じであっても異なっていてもよい。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0274】
図12A及び
図12Bを再び参照すると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0275】
図12E及び
図12Fを再び参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、
図12Eでは概ねページ内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。前述のように、
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページ内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向でより散布される方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0276】
上述したように、
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。これらの例における主要部分9101に関する分配は、
図12A~
図12Hを参照して上述したものと同様であり得る。埋め込み型医療システム9000の主要部分9101は、
図12A~
図12Hに関して説明したものと同様であり得る。
図12I~
図12Pに示す例は、追加又は代替として、以下で更に説明するように、送達アーム9103からの分配を含み得る。具体的な例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示に照らして多くの他の例及びこれらの組み合わせを認識するであろうことを理解されたい。
【0277】
図12I及び
図12Jを参照すると、送達アーム9103における多方向分配動作が示されている。この点に関して、送達アーム9103での分配は、様々な方向で(例えば、送達アーム9103の先端部分で、送達アーム9103の長さに沿って)行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101では分配が行われない。対照的に、
図12M及び
図12Nに示される例において、送達アーム9103及び主要部分9101の両方が、複数の方向に分配するように構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12G及び
図12Hに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0278】
図12K及び
図12Lを参照して前述したように、送達アーム9103における誘導多方向分配動作が示されている。これに関して、送達アーム9103での分配は、送達アーム9103の先端部分のみで様々な方向に行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101において、又は先端部分から離れた送達アーム9103の長さに沿って、分配は行われない。対照的に、
図12O及び
図12Pに示される例において、送達アーム9103は、誘導多方向分配のために構成され、主要部分9101は、集中分配のために構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12C及び
図12Dに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0279】
埋め込み型医療システム100及び分配メカニズムの上記構成のいずれも、黄斑変性症の治療に使用するために適用することができる。これらの状況下では、薬剤送達システム(例えば、構成A及びCにおいて)は、眼5000の後方位置に配置することができ(例えば、
図14参照)、任意選択で(例えば、構成B及びDにおいて)眼5000の前方位置に配置することができる(例えば、
図15参照)。いくつかのこのような状況では、薬剤送達システム(例えば、構成B及びDにおいて)は、眼5000の前方に位置決めされ、硝子体内投与のために配置されている。APIクラスには、モノクローナル抗体、例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ、アフリベルセプト(afibercept)、AVASTIN、LUCENTIS、又はEYLEAが含まれ得る。
黄斑浮腫
【0280】
網膜の黄斑浮腫等の他の網膜疾患は、埋め込み型医療システム9000の例示的実装形態を使用して治療できる。黄斑浮腫は、眼5000の中心視力に関与する黄斑の腫脹による視力の歪みを伴う慢性眼障害である。黄斑浮腫の治療のために、薬剤送達システムを脈絡膜上(例えば、眼5000の毛様体扁平部の後方)に埋め込むことができる。例において、薬剤送達システムは、構成A~Dのいずれかであり得る。例えば、薬剤送達システムは、
図10A~
図12Pを参照して全体を通して先に記載され、本明細書で再び説明されるような埋め込み型医療システム9000であり得る。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、黄斑浮腫の治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。
【0281】
前述したように、
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用な埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。
図10Aは、
図10A-1及び
図10A-2の膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、それぞれ、埋め込み型医療システム9000内の第1及び第2の微孔質材料9202の顕微鏡図を示す。
図10Bは、
図10Aのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。詳細C及びDは、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、
図10Cのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。
図10A-1及び
図10A-2には、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略的に示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1、及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表例である。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0282】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、上述のように薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、
図10A-1及び
図10C-1に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバ9100から分配される速度を計量するように構成され得る。
【0283】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、黄斑浮腫を治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から黄斑浮腫の薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0284】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、黄斑浮腫を治療するための薬剤をリザーバ9100に充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0285】
図11A~
図11Dは、薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示し、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む。
図11Bは、リザーバ9100の第2の構成(構成「B」)を示し、リザーバ9100は、主要部分9101及び送達アーム9103を含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
図11Dは、リザーバ9100の第4の構成(構成「D」)を示し、これは、
図11Bのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。例において、充填ポート9310は、リザーバ9100における注入部位、又はリザーバ9100を薬剤で充填することを容易にする埋め込み型医療システム9000の特徴であり得る。以下で更に説明するように、複数のチャンバ9300(例えば、
図11C及び
図11D)は、互いに流体連通するか、又は流体的に隔離することができる。例では、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、リザーバ9100は、1つの方向(例えば、ページ内)又は複数の方向(例えば、ページ内、ページ外、ページと面内、又はそれらの任意の組み合わせ)に薬剤を分配することができる。
【0286】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの一方又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0287】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100の1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0288】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103を形成することができる。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0289】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。簡潔にするために、本明細書での分配動作は、構成A及びBに関して示されるが、当業者であれば、これらの分配動作が、構成C及びDに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成C及びDが、構成A及びBに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0290】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方で行うことができる。更にこれらの状況下では、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101と送達アーム9103の両方における分配の方向性は、例に応じて同じであっても異なっていてもよい。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0291】
図12A及び
図12Bを再び参照すると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0292】
図12E及び
図12Fを再び参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、
図12Eでは概ねページ内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。前述のように、
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページ内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向でより散布される方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0293】
上述したように、
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。これらの例における主要部分9101に関する分配は、
図12A~
図12Hを参照して上述したものと同様であり得る。埋め込み型医療システム9000の主要部分9101は、
図12A~
図12Hに関して説明したものと同様であり得る。
図12I~
図12Pに示す例は、追加又は代替として、以下で更に説明するように、送達アーム9103からの分配を含み得る。具体的な例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示に照らして多くの他の例及びこれらの組み合わせを認識するであろうことを理解されたい。
【0294】
図12I及び
図12Jを参照すると、送達アーム9103における多方向分配動作が示されている。この点に関して、送達アーム9103での分配は、様々な方向で(例えば、送達アーム9103の先端部分で、送達アーム9103の長さに沿って)行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101では分配が行われない。対照的に、
図12M及び
図12Nに示される例において、送達アーム9103及び主要部分9101の両方が、複数の方向に分配するように構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12G及び
図12Hに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0295】
図12K及び
図12Lを参照して前述したように、送達アーム9103における誘導多方向分配動作が示されている。これに関して、送達アーム9103での分配は、送達アーム9103の先端部分のみで様々な方向に行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101において、又は先端部分から離れた送達アーム9103の長さに沿って、分配は行われない。対照的に、
図12O及び
図12Pに示される例において、送達アーム9103は、誘導多方向分配のために構成され、主要部分9101は、集中分配のために構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12C及び
図12Dに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0296】
埋め込み型医療システム100及び分配メカニズムの上記構成のいずれも、黄斑浮腫の治療に使用するために適用され得る。これらの状況下では、薬剤送達システム(例えば、構成A及びCにおいて)は、眼5000の後方位置に配置することができ、任意選択で(例えば、構成B及びDにおいて)眼5000の前方位置に配置することができる。いくつかのこのような状況では、薬剤送達システム(例えば、構成B及びDにおいて)は、眼5000の前方に位置決めされ、硝子体内投与のために配置されている。APIクラスには、モノクローナル抗体、例えば、ラニビズマブ、アフリベルセプト、LUCENTIS、及びEYLEAが含まれ得る。APIクラスには、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトニド、OZURDEX、又はRETISERTなどのステロイドが含まれ得る。薬物送達ビヒクルは、APIの投与中に使用することができる。例えば、RETISERTに関して、このような薬物送達ビヒクルは、ポリ(ビニルアルコール)(「PVA」)膜を有するシリコーンカップを含むことができ、これは約2~3年にわたって薬剤を送達することができる。OZURDEXの送達ビヒクルは、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(「PLGA」)マトリックスを薬物と共に含み得る。APIクラスには、VEGF若しくはPDGFを含む血管新生増殖因子の阻害を可能にしたり、プロテインキナーゼを阻害したりするアンタゴニスト分子として定義される小結合分子も含まれ得る。更なる例において、APIクラスには、抗体模倣タンパク質及びペプチドが含まれ得る。
網膜炎
【0297】
埋め込み型医療システム9000の例示的実装形態を使用して治療できる別の網膜疾患は、網膜炎である。網膜炎は、網膜の炎症を伴う眼5000の疾患である。網膜炎の治療のために、薬剤送達システムを脈絡膜上(例えば、眼5000の毛様体扁平部の後方)に埋め込むことができる。例において、薬剤送達システムは、構成A~Dのいずれかであり得る。例えば、薬剤送達システムは、
図10A~
図12Pを参照して全体を通して先に記載され、本明細書で再び説明されるような埋め込み型医療システム9000であり得る。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、網膜炎の治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。
【0298】
前述したように、
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用であり、網膜炎を治療するために使用することができる埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。
図10Aは、
図10A-1及び
図10A-2の膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、それぞれ、埋め込み型医療システム9000内の第1及び第2の微孔質材料9202の顕微鏡図を示す。
図10Bは、
図10Aのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。
図10C-1及び
図10C-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、
図10Cのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。
図10A-1及び
図10A-2には、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略的に示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1、及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表例である。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0299】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、
図10A-1及び
図10C-1に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバ9100から分配される速度を計量するように構成され得る。
【0300】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、網膜炎を治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から網膜炎の薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0301】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、網膜炎を治療するための薬剤をリザーバ9100に充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0302】
図11A~
図11Dは、薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示し、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む。
図11Bは、リザーバ9100の第2の構成(構成「B」)を示し、リザーバ9100は、主要部分9101及び送達アーム9103を含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
図11Dは、リザーバ9100の第4の構成(構成「D」)を示し、これは、
図11Bのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。例において、充填ポート9310は、リザーバ9100における注入部位、又はリザーバ9100を薬剤で充填することを容易にする埋め込み型医療システム9000の特徴であり得る。以下で更に説明するように、複数のチャンバ9300(例えば、
図11C及び
図11D)は、互いに流体連通するか、又は流体的に隔離することができる。例では、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、リザーバ9100は、1つの方向(例えば、ページ内)又は複数の方向(例えば、ページ内、ページ外、ページと面内、又はそれらの任意の組み合わせ)に薬剤を分配することができる。
【0303】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの一方又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0304】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100の1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0305】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103を形成することができる。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0306】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。簡潔にするために、本明細書での分配動作は、構成A及びBに関して示されるが、当業者であれば、これらの分配動作が、構成C及びDに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成C及びDが、構成A及びBに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0307】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方で行うことができる。更にこれらの状況下では、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101と送達アーム9103の両方における分配の方向性は、例に応じて同じであっても異なっていてもよい。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0308】
図12A及び
図12Bを再び参照すると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0309】
図12E及び
図12Fを再び参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、
図12Eでは概ねページ内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。前述のように、
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページ内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向でより散布される方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0310】
上述したように、
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。これらの例における主要部分9101に関する分配は、
図12A~
図12Hを参照して上述したものと同様であり得る。埋め込み型医療システム9000の主要部分9101は、
図12A~
図12Hに関して説明したものと同様であり得る。
図12I~
図12Pに示す例は、追加又は代替として、以下で更に説明するように、送達アーム9103からの分配を含み得る。具体的な例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示に照らして多くの他の例及びこれらの組み合わせを認識するであろうことを理解されたい。
【0311】
図12I及び
図12Jを参照すると、送達アーム9103における多方向分配動作が示されている。この点に関して、送達アーム9103での分配は、様々な方向で(例えば、送達アーム9103の先端部分で、送達アーム9103の長さに沿って)行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101では分配が行われない。対照的に、
図12M及び
図12Nに示される例において、送達アーム9103及び主要部分9101の両方が、複数の方向に分配するように構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12G及び
図12Hに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0312】
図12K及び
図12Lを参照して前述したように、送達アーム9103における誘導多方向分配動作が示されている。これに関して、送達アーム9103での分配は、送達アーム9103の先端部分のみで様々な方向に行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101において、又は先端部分から離れた送達アーム9103の長さに沿って、分配は行われない。対照的に、
図12O及び
図12Pに示される例において、送達アーム9103は、誘導多方向分配のために構成され、主要部分9101は、集中分配のために構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12C及び
図12Dに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
埋め込み型医療システム100分配メカニズムの上記構成のいずれも、網膜炎の治療に使用するために適用することができる。
【0313】
これらの状況下では、薬剤送達システム(例えば、構成A及びCにおいて)は、眼5000の後方位置に配置することができ、任意選択で(例えば、構成B及びDにおいて)眼5000の前方位置に配置することができる。いくつかのこのような状況では、薬剤送達システム(例えば、構成B及びDにおいて)は、眼5000の前方に位置決めされ、硝子体内投与のために配置されている。APIクラスには、抗生物質及び抗ウイルス薬(サイトメガロウイルス(「CMV」)用)、例えばガンシクロビル又はVITRASERTが含まれ得る。薬物送達ビヒクルは、APIの投与中に使用することができる。例えば、ガンシクロビル及びVITRASERTに関して、このような薬物送達ビヒクルには、PVA膜を備えたシリコーンカップを含めることができ、これは、約2~3年にわたって薬剤を送達することができる。
網膜芽細胞腫
【0314】
埋め込み型医療システム9000の例示的実装形態を使用して治療できる更に別の網膜疾患は、眼の癌の一形態である網膜芽細胞腫である。網膜芽細胞腫の治療のために、薬剤送達システムを脈絡膜上(例えば、眼5000の毛様体扁平部の後方)に埋め込むことができる。例において、薬剤送達システムは、構成A及びCのいずれかであり得る。例えば、薬剤送達システムは、
図10A~
図12Pを参照して全体を通して先に記載され、本明細書で再び説明されるような埋め込み型医療システム9000であり得る。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、網膜芽細胞腫の治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。
【0315】
前述したように、
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用な埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。
図10Aは、
図10A-1及び
図10A-2の膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、それぞれ、埋め込み型医療システム9000内の第1及び第2の微孔質材料9202の顕微鏡図を示す。
図10Bは、
図10Aのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。
図10C-1及び
図10C-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、
図10Cのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。
図10A-1及び
図10A-2には、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略的に示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1、及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表例である。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0316】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、上述のように薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、
図10A-1及び
図10C-1に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバ9100から分配される速度を計量するように構成され得る。
【0317】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、網膜芽細胞腫を治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から網膜芽細胞腫の薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0318】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、網膜芽細胞腫を治療するための薬剤をリザーバ9100に充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0319】
図11A及び
図11Cは、網膜芽細胞腫を治療するために使用され得る薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示し、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
【0320】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの一方又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0321】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100の1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0322】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103を形成することができる。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0323】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。簡潔にするために、説明される分配動作は、構成Aに関して示されるが、当業者は、これらの分配動作が構成Cに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成Cが、構成Aに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0324】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は主要部分9101で行うことができる。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0325】
図12A及び
図12Bを再び参照すると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0326】
図12E及び
図12Fを再び参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、
図12Eでは概ねページ内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。前述のように、
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページ内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向でより散布される方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0327】
埋め込み型医療システム100及び分配メカニズムの上記構成のいずれも、網膜芽細胞腫の治療に使用するために適用することができる。これらの状況下で、薬剤送達システム(例えば、構成A及びCにおいて)は、眼5000の後方位置に配置することができる。APIクラスには、ビンクリスチン又はONCOVINなどの細胞毒性化学療法化合物が含まれ得る。
網膜静脈閉塞症
【0328】
網膜静脈閉塞症は、埋め込み型医療システム9000の例示的実装形態を使用して治療できる網膜疾患である。CRVO及びBRVOなどの網膜静脈閉塞症は、1つ以上の網膜静脈の閉塞である。これらの閉塞は、網膜内に過剰な血液及び流体をもたらす可能性がある。網膜静脈閉塞症の治療のために、薬剤送達システムを脈絡膜上(例えば、眼5000の毛様体扁平部の後方)に埋め込むことができる。例において、薬剤送達システムは、構成A~Dのいずれかであり得る。例えば、薬剤送達システムは、
図10A~
図12Pを参照して全体を通して先に記載され、本明細書で再び説明されるような埋め込み型医療システム9000であり得る。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、網膜静脈閉塞症の治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。
【0329】
前述したように、
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用な埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。
図10Aは、
図10A-1及び
図10A-2の膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、それぞれ、埋め込み型医療システム9000内の第1及び第2の微孔質材料9202の顕微鏡図を示す。
図10Bは、
図10Aのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。
図10C-1及び
図10C-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、
図10Cのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。
図10A-1及び
図10A-2には、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略的に示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1、及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表例である。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0330】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、上述のように薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、
図10A-1及び
図10C-1に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバ9100から分配される速度を計量するように構成され得る。
【0331】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、網膜静脈閉塞症を治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から網膜静脈閉塞症の薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0332】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、網膜静脈閉塞症を治療するための薬剤をリザーバ9100に充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0333】
図11A~
図11Dは、薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示し、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む。
図11Bは、リザーバ9100の第2の構成(構成「B」)を示し、リザーバ9100は、主要部分9101及び送達アーム9103を含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
図11Dは、リザーバ9100の第4の構成(構成「D」)を示し、これは、
図11Bのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。例において、充填ポート9310は、リザーバ9100における注入部位、又はリザーバ9100を薬剤で充填することを容易にする埋め込み型医療システム9000の特徴であり得る。以下で更に説明するように、複数のチャンバ9300(例えば、
図11C及び
図11D)は、互いに流体連通するか、又は流体的に隔離することができる。例では、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、リザーバ9100は、1つの方向(例えば、ページ内)又は複数の方向(例えば、ページ内、ページ外、ページと面内、又はそれらの任意の組み合わせ)に薬剤を分配することができる。
【0334】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの一方又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0335】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100の1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0336】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103を形成することができる。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0337】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。簡潔にするために、本明細書での分配動作は、構成A及びBに関して示されるが、当業者であれば、これらの分配動作が、構成C及びDに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成C及びDが、構成A及びBに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0338】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方で行うことができる。更にこれらの状況下では、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101と送達アーム9103の両方における分配の方向性は、例に応じて同じであっても異なっていてもよい。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0339】
図12A及び
図12Bを再び参照すると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0340】
図12E及び
図12Fを再び参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、
図12Eでは概ねページ内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。前述のように、
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページ内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向でより散布される方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0341】
上述したように、
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。これらの例における主要部分9101に関する分配は、
図12A~
図12Hを参照して上述したものと同様であり得る。埋め込み型医療システム9000の主要部分9101は、
図12A~
図12Hに関して説明したものと同様であり得る。
図12I~
図12Pに示す例は、追加又は代替として、以下で更に説明するように、送達アーム9103からの分配を含み得る。具体的な例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示に照らして多くの他の例及びこれらの組み合わせを認識するであろうことを理解されたい。
【0342】
図12I及び
図12Jを参照すると、送達アーム9103における多方向分配動作が示されている。この点に関して、送達アーム9103での分配は、様々な方向で(例えば、送達アーム9103の先端部分で、送達アーム9103の長さに沿って)行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101では分配が行われない。対照的に、
図12M及び
図12Nに示される例において、送達アーム9103及び主要部分9101の両方が、複数の方向に分配するように構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12G及び
図12Hに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0343】
図12K及び
図12Lを参照して前述したように、送達アーム9103における誘導多方向分配動作が示されている。これに関して、送達アーム9103での分配は、送達アーム9103の先端部分のみで様々な方向に行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101において、又は先端部分から離れた送達アーム9103の長さに沿って、分配は行われない。対照的に、
図12O及び
図12Pに示される例において、送達アーム9103は、誘導多方向分配のために構成され、主要部分9101は、集中分配のために構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12C及び
図12Dに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0344】
埋め込み型医療システム100及び分配メカニズムの上記構成のいずれも、網膜静脈閉塞症の治療に使用するために適用することができる。これらの状況下では、薬剤送達システム(例えば、構成A及びCにおいて)は、眼5000の後方位置に配置することができ、任意選択で(例えば、構成B及びDにおいて)眼5000の前方位置に配置することができる。APIには、ベバシズマブ、ラニビズマブ、AVASTIN、又はLUCENTISなどのモノクローナル抗体が含まれる。例では、APIには、デキサメタゾン又はOZURDEXなどのステロイドが含まれる。薬物送達ビヒクルは、APIの投与中に使用することができる。例えば、ステロイドに関して、このような薬物送達ビヒクルは、硝子体内に留置された薬物を有するPLGAマトリックスを含み得る。APIクラスには、VEGF若しくはPDGFを含む血管新生増殖因子の阻害を可能にしたり、またはプロテインキナーゼを阻害したりするアンタゴニスト分子として定義される小結合分子も含まれ得る。更なる例において、APIクラスには、抗体模倣タンパク質及びペプチドが含まれ得る。
角膜炎及びドライアイ
【0345】
本開示は、角膜疾患の治療に適したデバイス、システム及び方法を含む。いくつかのこのような角膜疾患には、角膜炎及びドライアイが含まれる。いくつかの例において、リザーバ9100は、薬剤が眼5000に向かう方向及び眼5000内に入る方向、並びに眼5000から離れて結膜5002内に入る方向に放出されるように、リザーバ9100の両側から薬剤を分配することができる。
角膜炎
【0346】
角膜炎は、埋め込み型医療システム9000の例示的実装形態を使用して治療できる。角膜炎は、角膜の炎症である。角膜炎の治療のために、薬剤送達システムを結膜下(例えば、眼5000の辺縁付近)に埋め込むことができる。例において、薬剤送達システムは、構成A~Dのいずれかであり得る。
【0347】
例えば、薬剤送達システムは、
図10A~
図12Pを参照して全体を通して先に記載され、本明細書で再び説明されるような埋め込み型医療システム9000であり得る。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、角膜炎の治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。
【0348】
前述したように、
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用な埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。
図10Aは、
図10A-1及び
図10A-2の膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、それぞれ、埋め込み型医療システム9000内の第1及び第2の微孔質材料9202の顕微鏡図を示す。
図10Bは、
図10Aのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。
図10C-1及び
図10C-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、
図10Cのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。
図10A-1及び
図10A-2には、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略的に示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1、及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表例である。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0349】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、上述のように薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、
図10A-1及び
図10C-1に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバ9100から分配される速度を計量するように構成され得る。
【0350】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、角膜炎を治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から角膜炎の薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0351】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、角膜炎を治療するための薬剤をリザーバ9100に充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0352】
図11A~
図11Dは、薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示し、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む。
図11Bは、リザーバ9100の第2の構成(構成「B」)を示し、リザーバ9100は、主要部分9101及び送達アーム9103を含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
図11Dは、リザーバ9100の第4の構成(構成「D」)を示し、これは、
図11Bのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。例において、充填ポート9310は、リザーバ9100における注入部位、又はリザーバ9100を薬剤で充填することを容易にする埋め込み型医療システム9000の特徴であり得る。以下で更に説明するように、複数のチャンバ9300(例えば、
図11C及び
図11D)は、互いに流体連通するか、又は流体的に隔離することができる。例では、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、リザーバ9100は、1つの方向(例えば、ページ内)又は複数の方向(例えば、ページ内、ページ外、ページと面内、又はそれらの任意の組み合わせ)に薬剤を分配することができる。
【0353】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの一方又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0354】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100の1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0355】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103を形成することができる。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0356】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。簡潔にするために、本明細書での分配動作は、構成A及びBに関して示されるが、当業者であれば、これらの分配動作が、構成C及びDに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成C及びDが、構成A及びBに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0357】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、角膜炎を治療するために使用されるとき、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方で行うことができる。更にこれらの状況下では、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101と送達アーム9103の両方における分配の方向性は、例に応じて同じであっても異なっていてもよい。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0358】
図12A及び
図12Bを再び参照すると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0359】
図12E及び
図12Fを再び参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、
図12Eでは概ねページ内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。前述のように、
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページ内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向でより散布される方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0360】
上述したように、
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。これらの例における主要部分9101に関する分配は、
図12A~
図12Hを参照して上述したものと同様であり得る。埋め込み型医療システム9000の主要部分9101は、
図12A~
図12Hに関して説明したものと同様であり得る。
図12I~
図12Pに示す例は、追加又は代替として、以下で更に説明するように、送達アーム9103からの分配を含み得る。具体的な例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示に照らして多くの他の例及びこれらの組み合わせを認識するであろうことを理解されたい。
【0361】
図12I及び
図12Jを参照すると、送達アーム9103における多方向分配動作が示されている。この点に関して、送達アーム9103での分配は、様々な方向で(例えば、送達アーム9103の先端部分で、送達アーム9103の長さに沿って)行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101では分配が行われない。対照的に、
図12M及び
図12Nに示される例において、送達アーム9103及び主要部分9101の両方が、複数の方向に分配するように構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12G及び
図12Hに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0362】
図12K及び
図12Lを参照して前述したように、送達アーム9103における誘導多方向分配動作が示されている。これに関して、送達アーム9103での分配は、送達アーム9103の先端部分のみで様々な方向に行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101において、又は先端部分から離れた送達アーム9103の長さに沿って、分配は行われない。対照的に、
図12O及び
図12Pに示される例において、送達アーム9103は、誘導多方向分配のために構成され、主要部分9101は、集中分配のために構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12C及び
図12Dに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
埋め込み型医療システム100及び分配メカニズムの上記構成のいずれも、角膜炎の治療に使用するために適用することができる。
【0363】
これらの状況下では、薬剤送達システム(例えば、構成A及びCにおいて)は、眼5000の前方位置に配置することができ、任意選択で(例えば、構成B及びDにおいて)眼5000の前房5006内に配置することができる。APIの例としては、抗生物質、ステロイド、又は抗真菌剤が挙げられる。
ドライアイ
【0364】
ドライアイは、埋め込み型医療システム9000の例示的実装形態を使用して治療できる別の角膜疾患である。ドライアイは、眼5000の涙液膜の潤滑が不十分であることである。ドライアイの治療では、薬剤送達システムを結膜下に埋め込むことができる。例において、薬剤送達システムは、構成A~Dのいずれかであり得る。例えば、薬剤送達システムは、
図10A~
図12Pを参照して全体を通して先に記載され、本明細書で再び説明されるような埋め込み型医療システム9000であり得る。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、ドライアイの治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。
【0365】
前述したように、
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用な埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。
図10Aは、
図10A-1及び
図10A-2の膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、それぞれ、埋め込み型医療システム9000内の第1及び第2の微孔質材料9202の顕微鏡図を示す。
図10Bは、
図10Aのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。
図10C-1及び
図10C-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、
図10Cのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。
図10A-1及び
図10A-2には、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略的に示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1、及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表例である。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0366】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、上述のように薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、
図10A-1及び
図10C-1に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバ9100から分配される速度を計量するように構成され得る。
【0367】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、ドライアイを治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100からドライアイの薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0368】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、ドライアイを治療するための薬剤をリザーバ9100に充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0369】
図11A~
図11Dは、薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示し、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む。
図11Bは、リザーバ9100の第2の構成(構成「B」)を示し、リザーバ9100は、主要部分9101及び送達アーム9103を含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
図11Dは、リザーバ9100の第4の構成(構成「D」)を示し、これは、
図11Bのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。例において、充填ポート9310は、リザーバ9100における注入部位、又はリザーバ9100を薬剤で充填することを容易にする埋め込み型医療システム9000の特徴であり得る。以下で更に説明するように、複数のチャンバ9300(例えば、
図11C及び
図11D)は、互いに流体連通するか、又は流体的に隔離することができる。例では、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、リザーバ9100は、1つの方向(例えば、ページ内)又は複数の方向(例えば、ページ内、ページ外、ページと面内、又はそれらの任意の組み合わせ)に薬剤を分配することができる。
【0370】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの一方又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0371】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100の1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0372】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103を形成することができる。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0373】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。簡潔にするために、本明細書での分配動作は、構成A及びBに関して示されるが、当業者であれば、これらの分配動作が、構成C及びDに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成C及びDが、構成A及びBに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0374】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方で行うことができる。更にこれらの状況下では、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101と送達アーム9103の両方における分配の方向性は、例に応じて同じであっても異なっていてもよい。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0375】
図12A及び
図12Bを再び参照すると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0376】
図12E及び
図12Fを再び参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、
図12Eでは概ねページ内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。前述のように、
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページ内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向でより散布される方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0377】
上述したように、
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。これらの例における主要部分9101に関する分配は、
図12A~
図12Hを参照して上述したものと同様であり得る。埋め込み型医療システム9000の主要部分9101は、
図12A~
図12Hに関して説明したものと同様であり得る。
図12I~
図12Pに示す例は、追加又は代替として、以下で更に説明するように、送達アーム9103からの分配を含み得る。具体的な例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示に照らして多くの他の例及びこれらの組み合わせを認識するであろうことを理解されたい。
【0378】
図12I及び
図12Jを参照すると、送達アーム9103における多方向分配動作が示されている。この点に関して、送達アーム9103での分配は、様々な方向で(例えば、送達アーム9103の先端部分で、送達アーム9103の長さに沿って)行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101では分配が行われない。対照的に、
図12M及び
図12Nに示される例において、送達アーム9103及び主要部分9101の両方が、複数の方向に分配するように構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12G及び
図12Hに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0379】
図12K及び
図12Lを参照して前述したように、送達アーム9103における誘導多方向分配動作が示されている。これに関して、送達アーム9103での分配は、送達アーム9103の先端部分のみで様々な方向に行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101において、又は先端部分から離れた送達アーム9103の長さに沿って、分配は行われない。対照的に、
図12O及び
図12Pに示される例において、送達アーム9103は、誘導多方向分配のために構成され、主要部分9101は、集中分配のために構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12C及び
図12Dに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0380】
埋め込み型医療システム100及び分配メカニズムの上記構成のいずれも、ドライアイの治療に使用するために適用することができる。これらの状況下では、薬剤送達システム(例えば、構成A及びCにおいて)は、眼5000の前方位置に配置することができ、任意選択で(例えば、構成B及びDにおいて)眼5000の前房5006内に配置することができる。APIの例としては、シクロスポリン、リフィテグラスト(lifitegrast)、RESTASIS、又はXIIDRAが挙げられる。
ぶどう膜炎
【0381】
ぶどう膜炎は、埋め込み型医療システム9000の例示的実装形態を使用して治療できる更に別の疾患である。ぶどう膜炎は、ぶどう膜の炎症を伴う眼5000の疾患である。ぶどう膜炎の治療のために、薬剤送達システムを脈絡膜上(例えば、眼5000の毛様体扁平部の後方)に埋め込むことができる。例において、薬剤送達システムは、構成A~Dのいずれかであり得る。これらの状況下では、薬剤送達システム(例えば、構成A及びCにおいて)は、眼5000の後方位置に配置することができ、任意選択で(例えば、構成B及びDにおいて)眼5000の前方位置に配置することができる。いくつかのこのような状況では、薬剤送達システム(例えば、構成B及びDにおいて)は、眼5000の前方に位置決めされ、硝子体内投与のために配置されている。APIクラスには、フルオシノロンアセトニド及びRETISERTなどのコルチコステロイドが含まれ得る。薬物送達ビヒクルは、APIの投与中に使用することができる。例えば、RETISERTに関して、このような薬物送達ビヒクルには、PVA膜を備えたシリコーンカップを含めることができ、これは、約2~3年にわたって薬剤を送達することができる。
老眼
【0382】
埋め込み型医療システム9000の例示的実装形態を使用して治療できる更に別の疾患は、眼5000の水晶体の結晶硬化である老眼である。老眼の治療のために、薬剤送達システムを結膜下に埋め込むことができる。例において、薬剤送達システムは、構成A~Dのいずれかであり得る。例えば、薬剤送達システムは、
図10A~
図12Pを参照して全体を通して先に記載され、本明細書で再び説明されるような埋め込み型医療システム9000であり得る。これらの埋め込み型医療システム9000は、薬剤送達システム1000、2000、3000を含む、本明細書の他の箇所に開示される他のものと同様であり得る。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、老眼の治療のための薬剤を送達するために、1つ以上の埋め込み位置又は部位に埋め込まれ、配置され得る。
【0383】
前述したように、
図10及び
図10A~
図10Dは、本開示のこれらの態様を採用するのに有用な埋め込み型医療システム9000のいくつかの例を示す。特に、
図10は、主要部分9101及び送達アーム9103を備えたリザーバ9100を有する、埋め込み型医療システム9000の等角図である。
図10Aは、
図10A-1及び
図10A-2の膨張したリザーバ9100を示す。
図10A-1及び
図10A-2は、それぞれ、埋め込み型医療システム9000内の第1及び第2の微孔質材料9202の顕微鏡図を示す。
図10Bは、
図10Aのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。特に、
図10Cは、送達アーム9103を備えた膨張したリザーバ9100を示す。
図10C-1及び
図10C-2は、埋め込み型医療システム9000における第1及び第2の微孔質材料9202のそれぞれの顕微鏡図を示す。
図10Dは、
図10Cのリザーバ9100が、シリンジ9110の挿入を介して補充されている状態を示す(但し、リザーバ9100をin situで補充するための他の適切な手段を用いてもよい)。例では、主要部分9101及び送達アーム9103は、同一又は類似の材料を含み得る。これらの状況下で、送達アーム9103は、送達アーム9103及び主要部分9101が互いに流体連通するように、主要部分9101と一体化するか、又は主要部分9101に取り付け可能にすることができる。
図10A-1及び
図10A-2には、説明の便宜上、例示的な微孔質材料が概略的に示されている。
図10A-1、
図10A-2、
図10C-1、及び
図10C-2に提供される例示的な画像は、
図18に提示される顕微鏡画像の代表例である。本開示の原理を採用するのに適切な微孔質材料の更なる考察は、米国特許出願公開第2018/0263817号に示され、記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0384】
本明細書での
図10A~
図10Dに示される薬送達デバイスは、上述した埋め込み型送達デバイス9000と同様であり得る。例えば、このデバイスは、上述のように薬剤を分配するために使用することができる。埋め込み型医療システム9000は、
図10A-1及び
図10C-1に提示され、
図18に示される材料構造を含み得る。埋め込み型医療システム9000はまた、材料構造、選択的透過性、及び多孔質材料を含み得、これらは、米国特許第10,849,731号(Cully)、及び米国特許出願公開第2018/0126134号(Cully)に示され記載されており、これらの両方は、特に
図3~
図10及びこれらの組み込まれた各文献に提供される付随する説明を参照することにより、その全体が参照により組み込まれる。埋め込み型医療システム9000は、第2の微孔質材料9202に結合された第1の微孔質材料9201を更に含み得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときに薬剤がリザーバ9100から分配される速度を計量するように構成され得る。
【0385】
本開示の原理によれば、埋め込み型医療システム9000は、老眼を治療するために使用することができる。概して、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から薬剤が分配される速度を測定するように構成された埋め込み型医療システム9000を使用して疾患を治療する方法が開示される。この方法は、上述した埋め込み型医療システム9000と同様の埋め込み型医療システム9000を選択することを含み得る。例えば、第1の微孔質材料9201は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層9203を有し得る。第1の微孔質材料9201は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖に抵抗するようなサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層9205を有し得る。第2の微孔質材料9202は、組織の内殖を許容するようなサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層9207を有し得る。第2の微孔質層9205は、第3の微孔質層9205に結合され、それによって、薬剤を受容するためのリザーバ9100を形成することができる。第1の微孔質材料9201及び第2の微孔質材料9202は、送達デバイスが埋め込まれたときにリザーバ9100から老眼の薬剤が分配される速度を計量するように構成することができる。
【0386】
薬剤の投与にはいくつかの工程が含まれる場合がある。例えば、本方法は、老眼を治療するための薬剤をリザーバ9100に充填することを含み得る。特定の場合では、第1及び第2の微孔質材料9202の一部又は全部は、シリンジ9110又は他の同様のデバイスの挿入後に再封止されるように、エラストマーであり得る。方法は、埋め込み型医療システム9000を埋め込み位置に埋め込むことを含み得る。本方法は、薬剤がリザーバ9100から1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることを含み得る。
【0387】
図11A~
図11Dは、薬剤治療デバイスの例におけるリザーバ9100の様々な特徴を示す。特に、
図11Aは、リザーバ9100の第1の構成(構成「A」)を示し、リザーバ9100が主要部分9101のみを含む。
図11Bは、リザーバ9100の第2の構成(構成「B」)を示し、リザーバ9100は、主要部分9101及び送達アーム9103を含む。
図11Cは、リザーバ9100の第3の構成(構成「C」)を示し、これは、
図11Aのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。
図11Dは、リザーバ9100の第4の構成(構成「D」)を示し、これは、
図11Bのものと同様であり、複数のチャンバ9300と、対応するチャンバを薬剤で充填するための複数の充填ポート9310とを更に含む。例において、充填ポート9310は、リザーバ9100における注入部位、又はリザーバ9100を薬剤で充填することを容易にする埋め込み型医療システム9000の特徴であり得る。以下で更に説明するように、複数のチャンバ9300(例えば、
図11C及び
図11D)は、互いに流体連通するか、又は流体的に隔離することができる。例では、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、リザーバ9100は、1つの方向(例えば、ページ内)又は複数の方向(例えば、ページ内、ページ外、ページと面内、又はそれらの任意の組み合わせ)に薬剤を分配することができる。
【0388】
多くの要因が、薬剤治療デバイスの物理的特性に影響を及ぼし得る。埋め込み位置及び治療される疾患のうちの少なくとも1つに応じて、薬剤送達システム1000のリザーバ9100の幾何学形状及び機能性のうちの一方又は両方は、例において変動し得る。例えば、薬剤送達システム1000の他の構成と比較して、リザーバ9100の寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。これらの変動は、とりわけ、治療のために送達される薬剤の量、薬剤が送達される方式、及び埋め込み位置によって提示される薬剤の送達に対する抵抗に依存し得る。本明細書で説明されるように、例において、リザーバ9100は、概ね均一な形状(例えば、楕円、円、多角形等に類似する)を有し得る。他の例では、リザーバ9100は、不規則な形状(例えば、1つ以上の突起又は突出部を有するほぼ均一な形状、偏心した形状等)を有し得る。リザーバ9100のいくつかの例示的な形状は、薬剤送達システム1000の特定の例示的な実装形態に関して以下で説明される。例において、リザーバ9100が膨張すると、リザーバ9100は、リザーバ9100の長さに沿って膨張することができる。場合によっては、膨らみにより、リザーバ9100が膨らむか、又はほぼ多面体の形状に膨張する可能性がある。
【0389】
特定の例では、リザーバ9100の物理的特性は、薬剤送達システム1000の機能性を促進することができる。例えば、リザーバ9100は、リザーバ9100に対してピンポイントの位置に薬剤を送達するように、薬剤送達システム1000の1つ以上の側面において治療部位にわたって薬剤を概ね分散させるように、形成することができる。この点に関して、埋め込み型医療システム9000は、一方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の片側で)又は多方向分配(例えば、埋め込み型医療システム9000の複数の側で)を有することができると言える。例において、リザーバ9100の1つ以上の位置は、リザーバ9100を薬剤で充填するための充填ポート9310として機能することができる。これに関して、埋め込み型医療システム9000は、上述したように、薬剤を補充可能であり得る。例えば、リザーバ9100の主要部分9101は、補充式チャンバとして機能することができ、送達アーム9103は、補充式チャンバから流体を送達するための導管として機能することができる。埋め込み後、薬剤は、リザーバ9100の充填ポート9310から治療位置へと流されるか又は排出することができる。例において、リザーバ9100は、送達される薬剤を保存するための複数のチャンバ9300をその中に含み得る。これらの状況下で、複数のチャンバ9300のうちの1つのチャンバは、第1の薬剤を含むことができ、複数のチャンバ9300のうちの別のチャンバは、第1の薬剤と同じか又は異なる第2の薬剤を含み得る。複数のチャンバ9300内のチャンバ9300は、実装形態に応じて、互いに流体連通することも、互いに隔離することもできる。
【0390】
リザーバ9100の周囲には、リザーバ9100からの薬剤を投与することができる拡張送達アーム9103を形成することができる。この点に関して、リザーバ9100は、リザーバ主要部分9101と、リザーバ主要部分9101から延びる拡張送達アーム9103とを含み得る。例えば、拡張送達アーム9103は、薬剤がリザーバ9100から限定して出ることが可能になるポートを含み得る。他の場合では、薬剤は、拡張送達アーム9103の任意の部分(例えば、ポートに限定されない)でリザーバ9100から出ることが可能になり得る。加えて、又は代替として、薬剤は、リザーバ主要部分9101及び拡張送達アーム9103の両方において、リザーバ9100から出ることが可能になり得る。
【0391】
図12A~
図12Pは、リザーバ9100の様々な分配構成を示す。特に、
図12A~
図12Hは、リザーバ9100が主要部分9101のみを含むリザーバ9100の構成Aにあるときに分配する埋め込み型医療システム9000を示す。
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。簡潔にするために、本明細書での分配動作は、構成A及びBに関して示されるが、当業者であれば、これらの分配動作が、構成C及びDに同様に適用可能であることを理解するであろう。この点に関して、違いは、構成C及びDが、構成A及びBに関して以下で説明される単一チャンバに同様に分配され得る複数のチャンバを含むことであろう。例示の目的で、分配方向は、リザーバ9100から流出する直線矢印として示され、分配防止は、リザーバ9100の内部の巻き矢印として示される。分配は、埋め込み型医療システム9000の透過性である部分のみで行うことができ、分配防止は、埋め込み型医療システム9000の不透過性部分で行うことができる。更に、ページ内への流れ及び方向は、丸で囲まれたXとして示され、ページ外への方向は丸で囲まれた点として示される。もちろん、これらはより複雑な現象の概略図にすぎないが、本明細書では説明を明確にするために用いている。
【0392】
以下で更に詳細に説明されるように、薬剤の分配は、構成間及び構成内で異なることがある。例えば、上述したように、埋め込み型医療システム9000は、薬剤が概ね1つの方向又は複数の方向に分配されるように構成することができる。これらの状況下では、分配は、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101及び送達アーム9103の両方で行うことができる。更にこれらの状況下では、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101、送達アーム9103、又は主要部分9101と送達アーム9103の両方における分配の方向性は、例に応じて同じであっても異なっていてもよい。これらの図に示され説明される例は、本明細書に開示される多くの例の一部にすぎない。当業者は、この事実を理解し、本開示を全体として読む際に、これらの例の特定の変形及び修正が、以下で説明される例の論理的拡張であることを認識するであろう。
【0393】
図12A及び
図12Bを再び参照すると、単一方向分配が示されている(概して、
図12Aではページ内へ、
図12Bでは下方へ)。分配の分布は散布パターンで示されており、矢印の方向は概ね互いにずれているが、概ね同じ方向である。対照的に、
図12C及び
図12Dは、同様の分配動作(概して、
図12Bではページ内、及び
図12Dでは下方への分配)を示すが、矢印の方向が概ね互いにずれておらず、同じ方向である、より集中した方式である。
図12A~
図12Dにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0394】
図12E及び
図12Fを再び参照すると、多方向分配動作が示されている(例えば、
図12Eでは概ねページ内外に、
図12Fでは上方と下方に)。分配の分布は、複数の方向に集中して示されている(
図12C及び
図12Dと同様)。矢印の数で示されるように、
図12Eのページ外への分配及び
図12Fの上方への分配は、
図12Eのページ内への分配及び
図12Fの下方への分配よりも少ない。複数の方向に同様に集中的に分配する方式で示されているが、いくつかの例には、1つの方向に散布された方式で分配し、別の方向に集中的な方式で分配することが含まれることを理解されたい。分配は、各分配方向において同じ量であってもよいし、各分配方向において異なる量であってもよいことも理解されたい。上述したように、分配量は、埋め込み型医療システム9000の分配部分における透過性に比例し得る。前述のように、
図12G及び
図12Hは、同様の分配動作(概して、
図12Gではページ内外へ、
図12Hでは上方及び下方への分配)を示すが、複数の方向でより散布される方式(
図12A及び
図12Bと同様)である。
図12E~
図12Gにおいて、分配が可能な場所を除いて、他の様々な方向及び位置での分配防止が示されている。
【0395】
上述したように、
図12I~
図12Pは、リザーバ9100が主要部分9101及び送達アーム9103を含む、リザーバ9100の構成Bを示す。これらの例における主要部分9101に関する分配は、
図12A~
図12Hを参照して上述したものと同様であり得る。埋め込み型医療システム9000の主要部分9101は、
図12A~
図12Hに関して説明したものと同様であり得る。
図12I~
図12Pに示す例は、追加又は代替として、以下で更に説明するように、送達アーム9103からの分配を含み得る。具体的な例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示に照らして多くの他の例及びこれらの組み合わせを認識するであろうことを理解されたい。
【0396】
図12I及び
図12Jを参照すると、送達アーム9103における多方向分配動作が示されている。この点に関して、送達アーム9103での分配は、様々な方向で(例えば、送達アーム9103の先端部分で、送達アーム9103の長さに沿って)行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101では分配が行われない。対照的に、
図12M及び
図12Nに示される例において、送達アーム9103及び主要部分9101の両方が、複数の方向に分配するように構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12G及び
図12Hに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
【0397】
図12K及び
図12Lを参照して前述したように、送達アーム9103における誘導多方向分配動作が示されている。これに関して、送達アーム9103での分配は、送達アーム9103の先端部分のみで様々な方向に行うことができる。この例に特有であるが、埋め込み型医療システム9000の主要部分9101において、又は先端部分から離れた送達アーム9103の長さに沿って、分配は行われない。対照的に、
図12O及び
図12Pに示される例において、送達アーム9103は、誘導多方向分配のために構成され、主要部分9101は、集中分配のために構成されている。例えば、主要部分9101は、
図12C及び
図12Dに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができ、送達アーム9103は、
図12I及び
図12Jに関して説明したのと同様の方式で薬剤を分配することができる。
埋め込み型医療システム100及び分配メカニズムの上記構成のいずれも、老眼の治療に使用するために適用され得る。
【0398】
これらの状況下では、薬剤送達システム(例えば、構成A及びCにおいて)は、眼5000の前方位置に配置することができ、任意選択で(例えば、構成B及びDにおいて)眼5000の前房5006内に配置することができる。APIクラスの例としては、ピロカルピンなどの縮瞳薬が挙げられる。
【0399】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明される様々な薬剤送達システムは、薄いパック形状の部材として成形される。薬剤送達システムは、様々な寸法が企図されるが、例えば、1/10ミリメートル(0.1mm)~1/2ミリメートル(0.5mm)など、1/2ミリメートル(0.5mm)以下の反対側の外面間の厚さ(例えば、第1の層1100の第2の面1104と第2の層1200の第2の面1204との間で測定された距離)を含み得る。例えば、人体の解剖学的構造が異なることを考慮すると、薬剤送達システムは、厚さが正常な眼の機能(例えば、旋回及びまばたき)を実質的に妨げないという条件で、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、1ミリメートルの半分(0.5mm)を超えてもよい。
【0400】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される種々の薬剤送達システムは、5ミリメートル~15ミリメートルの範囲の直径(又は長軸を横切る幅)を有し得る。特別な実施形態において、本明細書に開示される薬剤送達システムは、10ミリメートルの直径(又は長軸を横切る幅)を有し得る。薬剤送達システムが卵形である実施形態において、薬剤送達システムは、最大約30ミリメートルの(例えば、楕円形の)長寸法と、最大約10ミリメートルの対応する短寸法とを含み得る。しかし、上述したように、人体の解剖学的構造が異なることを考慮すると、薬剤送達システムは、サイズが正常な眼の機能(例えば、旋回及びまばたき)を実質的に妨げないという条件で、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、このような寸法(例えば、15ミリメートル、10ミリメートル、及び30ミリメートル)を超えてもよい。同様に、本明細書に開示される薬剤送達システムは、薬剤送達システムが周囲組織による吸収のために十分な程度の薬剤を溶出するように動作可能であるという条件で、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、5ミリメートル未満の直径(又は長軸を横切る幅)を含み得る。本明細書で説明される形状及びサイズは、限定するものと見なされるべきではない。
【0401】
加えて、上述したいくつかの薬剤送達システムは、単一の薬剤リザーバを含むものとして説明されているが、上述した薬剤送達システムのいずれも、複数のリザーバを含み得ることを理解されたい。これらのリザーバは、互いに流体連結されていても、互いに隔離されていてもよい。いくつかの実施形態において、各リザーバは、同じ又は異なる薬剤を収容するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で説明される薬剤送達システムは、同じリザーバ又は複数の異なるリザーバのいずれかから、複数の異なる薬剤を送達するように構成され得る。
【0402】
加えて、様々な実施形態において、薬剤は、薬剤の計量を補助するのに役立つ生体吸収性粒子上に装填されてもよく、又はそうでなければその中に組み込まれてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態において、粒子は、分散液にして、in situで(例えば、薬剤送達システムが患者の眼内に埋め込まれている間に)薬剤リザーバ内に注入又はそうでなければ送達することができるサイズであり得る。すなわち、いくつかの例において、薬剤は粒子の流体懸濁液中に含まれ得る。様々な実施形態において、充填された又は部分的に充填された薬剤微孔質リザーバは、in situで(例えば、シリンジ又は他の適切な手段を介して)アクセスされ、リザーバの内容物(例えば、粒子)が除去され、かつ/又は新鮮な粒子が補充されて、経時的に薬剤の一定の送達を維持することができる。様々な実施形態において、薬剤リザーバ内への粒子の流体懸濁液の留置は、シリンジ又は他の適切な送達手段を介して達成され得る。
【0403】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明される薬剤送達システムは、薬剤微孔質リザーバが薬剤リザーバ内に粒子を保持し、分散キャリア流体(例えば、水)が薬剤送達システムの1つ以上の層を通ってリザーバから出ることを許容するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態において、薬剤リザーバを画定する材料(例えば、第1、第2、第3、又は第4の微孔質層のうちの1つ以上)は、流体懸濁液の粒子が材料を通過するのを防止するように構成された微細構造を含み得る。例えば、第1の微孔質層は、組織の内殖に抵抗するように構成され、流体懸濁液の粒子が材料を通過するのを防止する、隙間、穿孔、孔、チャネル、又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、粒子は、破壊又は経時的に分解されるように構成され、それにより、薬剤(単独で、又は流体との溶液中で)が、薬剤リザーバの内部から薬剤送達システムの外部へと微孔質リザーバの層の1つ以上を浸透、拡散、又はそうでなければ通過して、身体によって吸収され得る。いくつかの実施形態において、分散キャリア流体及び粒子の溶液の濃度は、変化し得る、又は経時的に変化し得る。例えば、粒子を分散キャリア流体に(例えば、in situで)添加して、リザーバ内の粒子の濃度を高めることができる。追加的又は代替的に、分散キャリア流体を添加して、リザーバ内の粒子の濃度を下げることができる。
【0404】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される種々の薬剤送達システムは、追加的又は代替的に、1つ以上のステント、支柱、及び/又は補強要素等の1つ以上の構造スペーサを含み得る。1つ以上の構造スペーサを、リザーバ内に組み込む、一体化、連結、又はそうでなければ設置して、リザーバを形成するそれらの微孔質層間の分離を維持することができる。このような構造スペーサは、本明細書で説明される任意の適切な生体適合性材料(例えば、天然材料、又は金属及びポリマー等の合成材料)から形成され得る。
【0405】
本出願の発明の範囲は、一般的なものと、具体的な実施形態及び実施例に関するものの両方について上述した。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態及び実施例において様々な修正及び変形を行うことができることが当業者には明らかであろう。同様に、本明細書で説明される実施形態及び実施例で説明される様々な構成要素は、組み合わせ可能である。したがって、実施形態及び実施例は、本発明の範囲の修正及び変形を包含することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0405
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0405】
本出願の発明の範囲は、一般的なものと、具体的な実施形態及び実施例に関するものの両方について上述した。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態及び実施例において様々な修正及び変形を行うことができることが当業者には明らかであろう。同様に、本明細書で説明される実施形態及び実施例で説明される様々な構成要素は、組み合わせ可能である。したがって、実施形態及び実施例は、本発明の範囲の修正及び変形を包含することが意図される。
(態様)
(態様1)
眼の疾患を治療する方法であって、前記方法が、
第2の微孔質材料に結合された第1の微孔質材料を含む埋め込み型送達デバイスであって、前記第1の微孔質材料が、組織の内殖を許容するサイズの複数の孔を含む第1の微孔質層と、組織の内殖を許容するサイズの複数の孔を含む第2の微孔質層とを有し、前記第2の微孔質材料が、組織の内殖に抵抗するサイズの複数の孔を含む第3の微孔質層と、組織の内殖を許容するサイズの複数の孔を含む第4の微孔質層とを有し、前記第2の微孔質層が、前記第3の微孔質層に結合され、それによって少なくとも1つの薬剤を受容するためのリザーバを形成し、前記送達デバイスが埋め込まれたときに前記薬剤が前記リザーバから分配される速度を計量するように、前記第1の微孔質材料及び前記第2の微孔質材料が構成されている、埋め込み型送達デバイスを選択することと、
1つ以上の眼の疾患を治療するための薬剤を前記リザーバに充填することと、
前記埋め込み型送達デバイスを埋め込み位置に埋め込むことと、
前記薬剤が前記リザーバから1つ以上の治療部位に分配されることを可能にすることと、を含む、方法。
(態様2)
前記埋め込み位置が、前方のリザーバ位置である、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記1つ以上の眼疾患が、緑内障、角膜炎、ドライアイ、又は老眼のうちの少なくとも1つを含む、態様2に記載の方法。
(態様4)
前記1つ以上の疾患が緑内障であるとき、前記薬剤が、プロスタグランジン、プロスタグランジン構造類似体、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する、態様3に記載の方法。
(態様5)
前記1つ以上の疾患が角膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質、ステロイド、又は抗真菌剤のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する、態様3に記載の方法。
(態様6)
前記1つ以上の疾患がドライアイであるとき、前記薬剤が、プロスタグランジン、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つに対応するAPIクラスを有する、態様3に記載の方法。
(態様7)
前記1つ以上の疾患が老眼であるとき、前記薬剤が、縮瞳薬を含むAPIクラスを有する、態様3に記載の方法。
(態様8)
前記埋め込み位置が、後方のリザーバ位置である、態様1に記載の方法。
(態様9)
前記1つ以上の眼疾患が、黄斑変性症、地図状萎縮病変、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、角膜炎、網膜芽細胞腫、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む、態様8に記載の方法。
(態様10)
前記1つ以上の疾患が黄斑変性症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体、抗体模倣タンパク質、ペプチド、又は小結合分子を含むAPIクラスを有する、態様9に記載の方法。
(態様11)
前記1つ以上の疾患が黄斑浮腫であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体、抗体模倣タンパク質、ペプチド、小結合分子、又はステロイドを含むAPIクラスを有する、態様9に記載の方法。
(態様12)
前記1つ以上の疾患がぶどう膜炎であるとき、前記薬剤が、コルチコステロイドを含むAPIクラスを有する、態様9に記載の方法。
(態様13)
前記1つ以上の疾患が網膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質又は抗ウイルス薬を含むAPIクラスを有する、態様9に記載の方法。
(態様14)
前記1つ以上の疾患が網膜芽細胞腫であるとき、前記薬剤が、細胞毒性化学療法化合物を含むAPIクラスを有する、態様9に記載の方法。
(態様15)
前記1つ以上の疾患が網膜中心静脈閉塞症又は網膜静脈分枝閉塞症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、態様9に記載の方法。
(態様16)
前記埋め込み位置が、前方-後方のリザーバ位置である、態様1に記載の方法。
(態様17)
前記1つ以上の眼疾患が、黄斑変性症、地図状萎縮病変、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む、態様16に記載の方法。
(態様18)
前記1つ以上の疾患が黄斑変性症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体を含むAPIクラスを有する、態様17に記載の方法。
(態様19)
前記1つ以上の疾患が黄斑浮腫であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、態様17に記載の方法。
。
(態様20)
前記1つ以上の疾患がぶどう膜炎であるとき、前記薬剤が、コルチコステロイドを含むAPIクラスを有する、態様17に記載の方法。
(態様21)
前記1つ以上の疾患が網膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質又は抗ウイルス薬を含むAPIクラスを有する、態様17に記載の方法。
(態様22)
前記1つ以上の疾患が網膜中心静脈閉塞症又は網膜静脈分枝閉塞症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、態様17に記載の方法。
(態様23)
前記埋め込み型送達デバイスが、補充式リザーバ及び送達アームを含む、態様1に記載の方法。
(態様24)
前記補充式リザーバを補充することを更に含む、態様23に記載の方法。
(態様25)
前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバを補充するための1つ以上の充填ポートを有する、態様1に記載の方法。
(態様26)
前記埋め込み型送達デバイスが、単一方向に薬剤を分配するように構成されている、態様1に記載の方法。
(態様27)
前記埋め込み型送達デバイスが、複数の方向に薬剤を分配するように構成されている、態様1に記載の方法。
(態様28)
前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバ内に画定された複数のチャンバを有し、前記複数のチャンバ内の第1及び第2のチャンバが、互いに流体連通している、態様1に記載の方法。
(態様29)
前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバ内に画定された複数のチャンバを有し、前記複数のチャンバ内の第1及び第2のチャンバが、互いに流体的に隔離されている、態様1に記載の方法。
(態様30)
前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバ内に画定された複数のチャンバを有し、前記埋め込み型送達デバイスが、前記リザーバを補充するための1つ以上の充填ポートを有する、態様1に記載の方法。
(態様31)
前記充填ポートの数が前記チャンバの数に対応する、態様30に記載の方法。
(態様32)
前記埋め込み型送達デバイスを埋め込み位置に埋め込むことが、前記埋め込み型送達デバイスが結膜下になるように前記デバイスを前記埋め込み位置に配置することを含む、態様1に記載の方法。
(態様33)
前記埋め込み型送達デバイスを埋め込み位置に埋め込むことが、前記埋め込み型送達デバイスが脈絡膜上になるように前記デバイスを前記埋め込み位置に配置することを含む、態様1に記載の方法。
(態様34)
前記埋め込み位置が、前方-硝子体内のリザーバ位置である、態様1に記載の方法。
(態様35)
前記1つ以上の眼疾患が、黄斑変性症、地図状萎縮病変、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む、態様34に記載の方法。
(態様36)
前記1つ以上の疾患が黄斑変性症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体を含むAPIクラスを有する、態様35に記載の方法。
(態様37)
前記1つ以上の疾患が黄斑浮腫であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、態様35に記載の方法。
(態様38)
前記1つ以上の疾患がぶどう膜炎であるとき、前記薬剤が、コルチコステロイドを含むAPIクラスを有する、態様35に記載の方法。
(態様39)
前記1つ以上の疾患が網膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質又は抗ウイルス薬を含むAPIクラスを有する、態様35に記載の方法。
(態様40)
前記1つ以上の疾患が網膜中心静脈閉塞症又は網膜静脈分枝閉塞症であるとき、前記薬剤が、モノクローナル抗体又はステロイドを含むAPIクラスを有する、態様35に記載の方法。
(態様41)
前記埋め込み位置が、前方-前房のリザーバ位置である、態様23に記載の方法。
(態様42)
前記1つ以上の眼疾患が、黄斑変性症、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜炎、網膜中心静脈閉塞症、又は網膜静脈分枝閉塞症のうちの少なくとも1つを含む、態様41に記載の方法。
(態様43)
前記1つ以上の疾患が緑内障であるとき、前記薬剤が、プロスタグランジン、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する、態様42に記載の方法。
(態様44)
前記1つ以上の疾患が角膜炎であるとき、前記薬剤が、抗生物質、ステロイド、又は抗真菌剤のうちの少なくとも1つを含むAPIクラスを有する、態様42に記載の方法。
(態様45)
前記1つ以上の疾患がドライアイであるとき、前記薬剤が、プロスタグランジン、β遮断薬、α作動薬、又は炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つに対応するAPIクラスを有する、態様42に記載の方法。
(態様46)
前記1つ以上の疾患が老眼であるとき、前記薬剤が、縮瞳薬を含むAPIクラスを有する、態様42に記載の方法。
(態様47)
遺伝子療法が、加齢黄斑変性症、網膜色素変性症、地図状萎縮、糖尿病性黄斑浮腫、及び糖尿病性網膜症の治療のために、緑内障性神経変性を予防するために展開される、態様1に記載の方法。
(態様48)
遺伝子療法が、ウイルス形質導入ベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ポリマーベースのナノ粒子、リポソーム、又は圧縮核酸ナノ粒子のいずれかの持続投与によって達成される、態様1に記載の方法。
(態様49)
医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの追加材料を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記医薬組成物の前記第1の状態では、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を可能にせず、前記医薬組成物の前記第2の状態では、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を許容する、医薬組成物。
(態様50)
前記少なくとも1つの追加材料がポリマーを含み、任意選択で生体吸収性微粒子を含む、態様49に記載の医薬組成物。
(態様51)
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの治療剤が、前記少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される、態様49に記載の医薬組成物。
(態様52)
前記生体吸収性微粒子が、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する、態様49に記載の医薬組成物。
(態様53)
前記第2の状態において、前記組成物が流体吸収して前記治療剤を放出することができる、態様49に記載の医薬組成物。
(態様54)
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、態様49に記載の医薬組成物。
(態様55)
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む、態様54に記載の医薬組成物。
(態様56)
前記第1の状態が非治療状態を含み、前記第2の状態が治療状態を含む、態様49に記載の医薬組成物。
(態様57)
医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの追加材料を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記第1の状態において、前記医薬組成物が非治療状態を含む、医薬組成物。
(態様58)
前記第2の状態が治療状態を含む、態様57に記載の医薬組成物。
(態様59)
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、態様57に記載の医薬組成物。
(態様60)
前記追加材料がポリマーを含み、任意選択で生体吸収性材料を含む、態様57に記載の医薬組成物。
(態様61)
少なくとも1つの追加材料によって画定されるリザーバ内に設置される医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記医薬組成物の前記第1の状態では、前記少なくとも1つの追加材料が、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を阻害し、前記医薬組成物の前記第2の状態では、前記少なくとも1つの追加材料が、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を許容する、医薬組成物。
(態様62)
前記第1の状態と前記第2の状態との間の移行が、外部環境から前記第1の状態にある前記医薬組成物への前記流体の通過を許容する前記少なくとも1つの追加材料によって開始される、態様61に記載の医薬組成物。
(態様63)
前記少なくとも1つの追加材料が、ポリマーを含み、任意選択で生体吸収性微粒子を含む、態様61に記載の医薬組成物。
(態様64)
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの治療剤が、前記少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される、態様61に記載の医薬組成物。
(態様65)
前記生体吸収性微粒子が、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する、態様61に記載の医薬組成物。
(態様66)
前記第2の状態において、前記組成物が流体吸収して前記治療剤を放出することができる、態様61に記載の医薬組成物。
(態様67)
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、態様61に記載の医薬組成物。
(態様68)
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む、態様67に記載の医薬組成物。
(態様69)
前記第1の状態が非治療状態を含み、前記第2の状態が治療状態を含む、態様61に記載の医薬組成物。
(態様70)
少なくとも1つの追加材料によって画定されるリザーバ内に設置される医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記医薬組成物の前記第1の状態において、前記少なくとも1つの材料が前記第1の状態での前記少なくとも1つの治療剤の移動を阻害することにより、前記医薬組成物が非治療状態を含む、医薬組成物。
(態様71)
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの材料が前記第2の状態での前記少なくとも1つの治療剤の移動を許容することにより、前記医薬組成物が治療状態を含む、態様70に記載の医薬組成物。
(態様72)
前記第1の状態と前記第2の状態との間の移行が、外部環境から前記第1の状態にある前記医薬組成物への前記流体の通過を許容する前記少なくとも1つの追加材料によって開始される、態様70に記載の医薬組成物。
(態様73)
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの治療剤が、前記少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される、態様70に記載の医薬組成物。
(態様74)
前記生体吸収性微粒子が、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する、態様70に記載の医薬組成物。
(態様75)
前記第2の状態において、前記組成物が流体吸収して前記治療剤を放出することができる、態様70に記載の医薬組成物。
(態様76)
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、態様70に記載の医薬組成物。
(態様77)
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む、態様76に記載の医薬組成物。
(態様78)
前記第1の状態が非治療状態を含み、前記第2の状態が治療状態を含む、態様70に記載の医薬組成物。
(態様79)
治療剤が予め装填された埋め込み型医療デバイスであって、
第2の微孔質層に結合されてそれらの間に設置されたリザーバを画定する第1の微孔質材料を含み、
前記リザーバが、前記治療剤を収容するように構成され、前記埋め込み型医療デバイスが、前記治療剤を所定の速度で放出するように構成されており、
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つである、埋め込み型医療デバイス。
(態様80)
疾患の治療のための治療剤を送達するための埋め込み型医療デバイスであって、
第2の微孔質層に結合されてそれらの間に設置されたリザーバを画定する第1の微孔質材料を含み、
前記リザーバが、医薬組成物を収容し、前記疾患を治療するために前記治療剤を標的部位に送達するように構成されており、
前記治療が、緑内障、黄斑変性症、黄斑浮腫、網膜炎、網膜芽細胞腫、網膜静脈閉塞症、角膜炎、及びドライアイのうちの1つ以上を治療するように構成されている、埋め込み型医療デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの追加材料を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記医薬組成物の前記第1の状態では、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を可能にせず、前記医薬組成物の前記第2の状態では、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を許容する、医薬組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの追加材料がポリマーを含み、任意選択で生体吸収性微粒子を含む、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの治療剤が、前記少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記生体吸収性微粒子が、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項
2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記第2の状態において、前記組成物が流体吸収して前記治療剤を放出することができる、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項
6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記第1の状態が非治療状態を含み、前記第2の状態が治療状態を含む、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの追加材料を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記第1の状態において、前記医薬組成物が非治療状態を含む、医薬組成物。
【請求項10】
前記第2の状態が治療状態を含む、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記追加材料がポリマーを含み、任意選択で生体吸収性材料を含む、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの追加材料によって画定されるリザーバ内に設置される医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記医薬組成物の前記第1の状態では、前記少なくとも1つの追加材料が、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を阻害し、前記医薬組成物の前記第2の状態では、前記少なくとも1つの追加材料が、前記追加材料を通して前記少なくとも1つの治療剤の移動を許容する、医薬組成物。
【請求項14】
前記第1の状態と前記第2の状態との間の移行が、外部環境から前記第1の状態にある前記医薬組成物への前記流体の通過を許容する前記少なくとも1つの追加材料によって開始される、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの追加材料が、ポリマーを含み、任意選択で生体吸収性微粒子を含む、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの治療剤が、前記少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記生体吸収性微粒子が、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記第2の状態において、前記組成物が流体吸収して前記治療剤を放出することができる、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項
19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記第1の状態が非治療状態を含み、前記第2の状態が治療状態を含む、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの追加材料によって画定されるリザーバ内に設置される医薬組成物であって、
少なくとも1つの治療剤を含み、前記医薬組成物が、第1の状態及び第2の状態をとる能力、並びに流体に曝露されたときに前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行する能力を有し、
前記医薬組成物の前記第1の状態において、前記少なくとも1つの
追加材料が前記第1の状態での前記少なくとも1つの治療剤の移動を阻害することにより、前記医薬組成物が非治療状態を含む、医薬組成物。
【請求項23】
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの
追加材料が前記第2の状態での前記少なくとも1つの治療剤の移動を許容することにより、前記医薬組成物が治療状態を含む、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記第1の状態と前記第2の状態との間の移行が、外部環境から前記第1の状態にある前記医薬組成物への前記流体の通過を許容する前記少なくとも1つの追加材料によって開始される、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記第2の状態において、前記少なくとも1つの治療剤が、前記少なくとも1つの追加材料から所定の速度で放出される、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つの追加材料が生体吸収性微粒子を含み、前記生体吸収性微粒子が、15マイクロメートル~25マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記第2の状態において、前記組成物が流体吸収して前記治療剤を放出することができる、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記治療剤が、プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α2作動薬、及び炭酸脱水酵素阻害薬のうちの少なくとも1つを含む、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記第1の状態が非治療状態を含み、前記第2の状態が治療状態を含む、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項31】
治療剤が予め装填された埋め込み型医療デバイスであって、
第2の微孔質層に結合されてそれらの間に設置されたリザーバを画定する第1の微孔質材料を含み、
前記リザーバが、前記治療剤を収容するように構成され、前記埋め込み型医療デバイスが、前記治療剤を所定の速度で放出するように構成されており、
前記治療剤が、ラタノプロスト、チモロール、ブリモニジン、又はドルゾラミドのうちの少なくとも1つである、埋め込み型医療デバイス。
【請求項32】
疾患の治療のための治療剤を送達するための埋め込み型医療デバイスであって、
第2の微孔質層に結合されてそれらの間に設置されたリザーバを画定する第1の微孔質材料を含み、
前記リザーバが、医薬組成物を収容し、前記疾患を治療するために前記治療剤を標的部位に送達するように構成されており、
前記治療が、緑内障、黄斑変性症、黄斑浮腫、網膜炎、網膜芽細胞腫、網膜静脈閉塞症、角膜炎、及びドライアイのうちの1つ以上を治療するように構成されている、埋め込み型医療デバイス。
【国際調査報告】