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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-13
(54)【発明の名称】患者の気息と同期される電気刺激
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240606BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574390
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022032199
(87)【国際公開番号】W WO2022256677
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/202,299
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516242356
【氏名又は名称】メトロヘルス ベンチャーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ゲンチン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB13
4C053JJ18
4C053JJ21
4C053JJ40
(57)【要約】
患者が罹患する障害を治療するために電気刺激を患者に提供する方法は、センサを用いて患者の呼吸を検出するステップと、電気刺激を患者の標的部位に繰り返し施与するステップとを含む。好適には、該電気刺激の繰り返される施与は、センサによって検出されるような患者の呼吸と自動的に同期される。患者が罹患する障害を治療するために、電気刺激を患者に提供するための装置は、患者に装着されることになるセンサであって、センサは、それが装着される患者の呼吸を検出する、センサと、電力供給源であって、繰り返される電気刺激が、センサによって検出される患者の呼吸と同期している電極を介して、患者の標的部位に自動的に施与されるように、電気信号を電極に提供するように制御される、電力供給源とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が罹患する障害を治療するために、電気刺激を前記患者に提供する方法であって、前記方法は、
センサを用いて前記患者の呼吸を自動的に検出することと、
電気刺激を前記患者の標的部位に繰り返し施与することと
を含み、
前記電気刺激の繰り返される施与は、前記センサによって検出される前記患者の呼吸と自動的に同期される、方法。
【請求項2】
先の電気刺激が施与されている期間の間に、患者データを取得することと、
前記取得された患者データに基づいて、前記期間の間に施与される前記先の電気刺激の有効性を決定することと、
前記決定された有効性に応答して、将来の施与される電気刺激のパラメータを調節することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラメータは、前記電気刺激の波形の形状、前記電気刺激の電流の振幅、前記電気刺激の電圧の振幅、前記電気刺激の周波数、前記電気刺激のパルス幅、および前記電気刺激の持続時間のうちの1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記標的部位は、患者の神経および患者の臓器のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電気刺激を施与することは、
前記電気刺激が、前記標的部位に施与されるように、電気信号を前記患者の標的部位に対して位置付けられる電極に提供すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電極は、前記患者の皮膚上に位置付けられる経皮性パッド、前記患者の皮膚を通して挿入される経皮的針、および前記患者内に埋め込まれるリード線のうちの1つである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記障害の症候が、前記センサによって検出される前記患者の呼吸と自動的に同期される前記電気刺激の繰り返される施与によって改善される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記患者の呼吸を検出することを実施するように、前記センサを前記患者に装着させることと、
電極を前記患者に適用することであって、前記施与することは、前記電極を通して送達される、ことと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
患者が罹患する障害を治療するために、電気刺激を前記患者に提供するための装置であって、前記装置は、
前記患者に装着されることになるセンサであって、前記センサは、それが装着される前記患者の呼吸を検出する、センサと、
電力供給源であって、前記電力供給源は、繰り返される電気刺激が、前記センサによって検出される前記呼吸と同期している電極を介して、前記患者の標的部位に自動的に施与されるように、電気信号を前記電極に提供するように制御される、電力供給源と
を備える、装置。
【請求項10】
前記センサと動作通信しているコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記センサによって検出される前記呼吸に応答して前記電力供給源を制御する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
フィードバックモジュールであって、前記フィードバックモジュールは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリとを備え、前記少なくとも1つのメモリは、コンピュータプログラムコードを含み、前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記フィードバックモジュールに、少なくとも、
先の電気刺激が刺激パラメータに従って施与されている期間の間に患者データを取得することであって、前記刺激パラメータは、前記電気刺激の波形の形状、前記電気刺激の電流の振幅、前記電気刺激の電圧の振幅、前記電気刺激の周波数、前記電気刺激のパルス幅、および前記電気刺激の持続時間のうちの1つである、ことと、
前記取得された患者データに基づいて、前記期間の間に施与される前記先の電気刺激の有効性を決定することと、
前記決定された有効性に応答して、将来の施与される電気刺激に関する前記刺激パラメータを変更することと
を行わせるように構成される、フィードバックモジュール
をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記標的部位は、前記患者の神経および前記患者の臓器のうちの1つである、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記電極は、前記患者の皮膚上に位置付けられる経皮性パッド、前記患者の皮膚を通して挿入される経皮的針、および前記患者内に埋め込まれるリード線のうちの1つである、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記治療される障害は、機能性胃腸障害である、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記障害の症候は、前記検出された呼吸と同期される前記電気刺激の繰り返される自動的な施与によって改善される、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記センサは、前記患者による呼吸に付随する前記患者の生体構造の膨張および収縮のうちの少なくとも1つに応答する、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
電気刺激をユーザに提供する医療用治療デバイスであって、前記デバイスは、
前記ユーザの呼吸サイクルを監視するセンサと、
電気刺激を前記ユーザの標的部位に施与する電極であって、前記標的部位は、前記ユーザの神経および前記ユーザの臓器のうちの1つである、電極と、
前記電極に電気的に結合される電力供給源であって、前記電力供給源は、繰り返される電気刺激が、前記センサによって監視されるような前記ユーザの呼吸サイクルと自動的に同期している前記電極を介して前記ユーザの標的部位に施与されるように、電気信号を前記電極に提供するように制御される、電力供給源と
を備える、医療用治療デバイス。
【請求項18】
前記電極は、前記ユーザの皮膚上に位置付けられる経皮性パッド、前記ユーザの皮膚を通して挿入される経皮的針、および前記ユーザ内に埋め込まれるリード線のうちの1つを備える、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ユーザによって罹患される障害の症候が、前記センサによって監視されるような前記ユーザの呼吸サイクルに自動的に同期される前記電気刺激の繰り返される施与によって緩和される、請求項17に記載のデバイス。
【請求項20】
コントローラであって、前記コントローラは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリとを備え、前記少なくとも1つのメモリは、コンピュータプログラムコードを含み、前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記コントローラに、少なくとも、
前記センサによって監視されるような前記ユーザの呼吸サイクル内の1つまたはそれを上回る着目点を特定することと、
前記1つまたはそれを上回る特定された着目点に対して、1つまたはそれを上回る決定された回数において、電気信号を前記電極に提供するために供給される電力を指向することと
を行わせるように構成される、コントローラ
をさらに備える、請求項17に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
優先権の主張と相互参照
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2021年6月4日に出願された、米国仮出願第63/202,299号の利益を主張する。
【0002】
背景
以下は、医療用技術に関する。これは、ヒト患者における機能性胃腸障害(FGID)および/または他の同様の病状の治療における特定の用途を見出し、本明細書に開示されるいくつかの好適な実施形態が、随時、本明細書に参照して説明されるであろう。特に、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、患者の気息と自動的に同期される好適な電気刺激を介して、患者におけるFGIDまたは他の同様の病状を治療するための方法および/または装置に関する。代替として、本明細書に記載される主題は、同様に、他の障害および/または病状の治療に対して適用可能であり得る。
【背景技術】
【0003】
例えば、機能性消化不良、過敏性腸症候群、および機能性胸焼け等のFGIDは、世界中の一般的な母集団の有意な部分に影響を及ぼし得、著しい医療費、患者に関する減退された健康関連の生活の質等を結果としてもたらし得る。同様に患者に影響を与え得る、他の健康状態は、限定ではないが、胃食道逆流性疾患(GERD)、嚥下障害、膨満感、腹部の痛みおよび不快症状、嘔気、嘔吐、胃不全麻痺、ガス性消化不良(burbulence)、腸偽閉塞、術後イレウス、糞便または尿失禁、便秘、下痢、膵炎、潰瘍性大腸炎、クローン疾患、月経痛、痙性および間質性膀胱炎および潰瘍、肥満症、神経性食欲不振症、および神経性過食症を含む。機能性消化不良および過敏性腸症候群等のFGIDは、消化器専門医によって診断される一般的な障害である。FGIDの診断は、診断アルゴリズムに関する最新の研究に応答して進化してきている。FGIDは、運動性障害、内臓過敏症、改変された粘膜および免疫機能、改変された腸内細菌叢、および改変された中枢神経系処理を含む、複数の形態学的および生理学的異常の共存によって認識されることができる。例えば、FGIDに関与するいくつかの有意な病態生理学的異常は、胃腸(GI)運動性障害、内臓過敏症、改変された自律神経機能、および異常な中枢神経系処理である。FGIDのいくつかの一般的な療法は、食生活および/または生活習慣の修正および/または介入に焦点を当てる。しかしながら、そのような食生活および/または生活習慣の修正/介入は、限定された療法的有効性を有する、および/またはそうでなければ、満足の行くもの以下であり得る。さらに、FGIDを罹患する患者に対して利用可能な薬物療法は、十分な効能が欠如し得る、および/または種々の望ましくない副作用を結果としてもたらし得る。
【0004】
故に、一般に、FGIDおよび/または他の同様の病状を罹患する患者のための有効な治療選択肢を有するという願望が残されており、例えば、これは、従来の方法よりも効力が強い、および/またはこれは、FGIDの運動性障害および感覚異常を改善する際に、および患者によって患われる症候を改善する際に有効であり得る。したがって、上記に特定される懸念事項に対処するための発明的方法、デバイス、および/またはシステムが、本明細書に説明される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡単な説明
本簡単な説明は、本明細書に関連する概念を紹介するために提供される。これは、請求される主題の本質的な特徴を特定することは意図されず、請求される主題の範囲を決定または限定する際の使用も意図されない。下記に説明される例示的実施形態は、網羅的であること、または請求項を以下の詳細な説明において開示される精密な形態に限定することを意図されない。むしろ、実施形態は、当業者が、本明細書に提示される主題の原理および実践を認識および理解し得るように選定および説明される。
【0006】
一好適な実施形態では、患者が罹患する障害を治療するために、電気刺激を患者に提供する方法は、センサを用いて患者の呼吸を検出するステップと、電気刺激を患者の標的部位に繰り返し施与するステップとを含む。好適には、電気刺激の繰り返される施与は、センサによって検出されるような患者の呼吸と自動的に同期される。
【0007】
別の好適な実施形態では、患者が罹患する障害を治療するために、電気刺激を患者に提供するための装置は、患者に装着されることになるセンサであって、センサは、それが装着される患者の呼吸を検出する、センサと、電力供給源であって、繰り返される電気刺激が、センサによって検出される患者の呼吸と同期している電極を介して、患者の標的部位に自動的に施与されるように、電気信号を電極に提供するように制御される、電力供給源とを含む。
【0008】
さらなる別の好適な実施形態では、電気刺激をユーザに提供する医療用治療デバイスは、ユーザの呼吸サイクルを監視する、センサと、ユーザの標的部位に対して電気刺激を施与する電極であって、標的部位は、ユーザの神経およびユーザの臓器のうちの1つであり、電極は、ユーザの皮膚上に位置付けられる経皮性パッド、ユーザの皮膚を通して挿入される経皮的針、および患者内に埋め込まれるリード線のうちの1つを備える、電極と、電極に電気的に結合される電力供給源であって、繰り返される電気刺激が、センサによって監視されるようなユーザの呼吸サイクルと自動的に同期している電極を介して、ユーザの標的部位に対して施与されるように、電気信号を電極に提供するように制御される、電力供給源とを含む。
【0009】
本明細書に開示される主題の多数の利点および利益が、本明細書を熟読および理解することに応じて、当業者に明白な状態になるであろう。しかしながら、種々の実施形態および具体的な実施例の詳細な説明が、好ましいおよび/または他の実施形態を示す一方、限定ではなく、例証として与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の詳細な説明は、付随の図面における図に言及する。しかしながら、本明細書に開示される発明の主題は、種々の構成要素および構成要素の配列において、および種々のステップおよびステップの配列において形態を成し得る。図面は、いくつかの例示的および/または好ましい実施形態を図示する目的のみのためにあり、限定するものとして解釈されないものとする。さらに、図面が、縮尺通りではない場合があることを理解されたい。
【0011】
図1図1は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、医療用治療デバイスおよび/または装置を図式的に図示する。
【0012】
図2図2は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、呼吸センサによって提供される、例示的呼吸信号をプロットされたグラフを示す。y軸は、単位がなく、呼吸信号の大きさを示す。x軸は、時間である。
【0013】
図3図3は、ユーザの呼吸サイクル、特に、ユーザの吸気および/または吸息の開始と自動的に同期される刺激信号を示す、例証である。
【0014】
図4図4は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、電気刺激を患者に施与する方法を示す、フローチャートである。
【0015】
図5図5は、本開示のいくつかの実施形態による、監視システムの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
明瞭性および単純性のために、本明細書は、構造的および/または機能的要素、関連する基準、アルゴリズム、および/またはプロトコル、およびそれらの構成または動作に関するさらなる詳細な解説を伴わずに当技術分野において一般に公知である、他の構成要素、方法、および/またはプロセスが、本明細書で提示される好ましいおよび/または他の実施形態に従って修正または改変されている範囲を除いて、および/またはそれらに適応させるために、それらを参照するものとする。さらに、本明細書に開示される装置および方法は、実施例のために、図を参照して詳細に説明される。別様に規定されない限り、図内の同様の数字は、図全体を通して、同一の、類似する、または対応する要素の言及を示す。開示および説明される実施例、配列、構成、構成要素、要素、装置、方法、材料等に対する修正が、行われてもよく、具体的な用途のために所望され得ることが理解されるであろう。本開示では、具体的な材料、技法、配列等のいかなる特定も、提示される具体的な実施例に関連するか、またはそのような材料、技法、配列等の単なる一般的な説明にすぎないかのいずれかである。具体的な詳細または実施例の特定は、具体的にそのようなものとして指定されない限り、必須または限定するものとして解釈されることは意図されず、そのように解釈されるべきではない。装置および方法の選択された実施例が、以降において、詳細に、図を参照して開示および説明される。実際に、以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実装するために、多くの異なる実施形態または実施例を提供する。構成要素および配列の具体的な実施例が、本開示を単純化するために、下記に説明される。これらは、当然ながら、単なる実施例であり、限定するものであることは意図されない。加えて、本開示は、種々の実施例において、参照番号および/または文字を繰り返し得る。本繰り返しは、単純性および明瞭性の目的のためにあり、それ自体では、議論される種々の実施形態間および/または構成間の関係を決定付けない。
【0017】
さらに、「左(left)」、「右(right)」、「側部(side)」、「背部(back)」、「後部(rear)」、「前部(front)」、「~の真下に(beneath)」、「~の下方(below)」「下側(lower)」「~の上方(above)」「上側(upper)」、および同等語等の空間的相対的用語が、図において例証されるように、1つの要素または特徴に対する別の要素または特徴の関係を説明するために、説明の容易性のために本明細書では使用され得る。空間的相対的用語は、図において描写される配向に加えて、使用または動作時のデバイスの異なる配向を網羅することが意図される。装置は、別様に配向され(90度または他の配向において回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的相対的記述子は、同様に、それに応じて解釈されてもよい。
【0018】
概して、本明細書は、ユーザまたは患者が罹患している可能性がある障害、病気、および/または病状を治療するために、自動的に同期される電気刺激をユーザまたは患者に提供する、方法、システム、デバイス、および/または装置を説明する。より具体的には、開示される方法、システム、デバイス、および/または装置は、ユーザ/患者の気息または呼吸と同期される、断続的または周期的または他のパターンの電気刺激をユーザまたは患者に自動的に送達する、または別様に提供する。いくつかの好適な実施形態では、システム、デバイス、および/または装置は、ユーザ/患者の気息または呼吸を検出する、1つまたはそれを上回る気息または呼吸センサと、例えば、電気刺激がユーザ/患者の気息/呼吸と自動的に同期されるように、電気刺激を送達する時間(すなわち、所与の時点において)を特定するために好適なアルゴリズムまたは同等物を採用する、1つまたはそれを上回る刺激コントローラまたは同等物と、例えば、提供される電気刺激の電圧、電流、周波数、パルス幅、持続時間、波形、および/または他の好適なパラメータ等の提供される電気刺激のパラメータを制御および/または管理するための1つまたはそれを上回る電気レギュレータおよび/またはコントローラと、電気レギュレータ/コントローラによって設定または別様に確立されるパラメータに従って、電気信号、パルス、または同等物を生産するための1つまたはそれを上回る電力供給源と、電気刺激を1つまたはそれを上回る標的部位に送達および/または施与するために、発電機に動作可能に接続される1つまたはそれを上回る電極とを含んでもよい。
【0019】
この点で、呼吸は、吸気および呼気のサイクルを伴う。吸気はまた、吸息としても公知であり、空気が肺に進入する位相である。呼気はまた、呼息としても公知であり、空気が肺から退出する位相である。
【0020】
いくつかの好適な実施形態では、監視および/またはフィードバック特徴もまた、提供されてもよい。そのような付加的な特徴は、その上で起動する、および/またはそれによって実行される1つまたはそれを上回る好適なアプリケーションを利用またはサポートする、1つまたはそれを上回るスマートデバイスまたはコンピュータまたは同等物を介して、またはそれらの補助によって実装されてもよい。実践では、これらのアプリケーションは、症候および/または研究データを収集すること、センサ支援型病態生理学的測定を実施すること、および/またはバイオフィードバック機能を提供することを含む、種々の機能を実施するように設計および/または準備されることができる。いくつかの実施形態では、好適なスマートデバイスは、例えば、限定ではないが、スマートフォン、手持ちサイズのタブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、および任意の他の類似する電子デバイスまたはコンピュータを含む、任意の数の携帯用電子デバイスを含んでもよい。実践では、監視および/またはフィードバック特徴は、先に提供された電気刺激の有効性を評価するために収集された、または別様に入手されたデータを採用し、刺激コントローラおよび/または電気レギュレータ/コントローラによって利用されるフィードバックを返し、将来の提供される電気刺激の同期、タイミング、パターン、パラメータ、および/または形態を修正し得る。
【0021】
概して、本明細書に開示されるいくつかの実施形態の利点は、例えば、ユーザ/患者の気息/呼吸に対する同期を伴わずに、従来的な電気刺激単独よりも効力が強いという潜在性である。より具体的には、より効力が強い本刺激は、例えば、腸運動および感覚異常等のFGIDに関する主要な病因を改善するという潜在性を有し、それによって、症候の重症度を減少させ、FGID患者における生活の質を改善する。本明細書内のいくつかの好適な実施形態は、限定ではないが、FGID、胃食道逆流性疾患(GERD)、術後イレウス、腹部の痛みおよび不快症状、膵炎、潰瘍性大腸炎、クローン疾患、月経痛、痙性および間質性膀胱炎および潰瘍、肥満症、神経性食欲不振症、および神経性過食症を含む、様々な疾患の兆候に対して適用可能であり得る。本明細書に説明されるいくつかの実施形態は、例えば、限定ではないが、FGID、機能性消化不良、過敏性腸症候群、胃食道逆流性疾患(GERD)、胸焼け、膨満感、術後イレウス、腹部の痛みおよび不快症状、早期満腹感、上腹部痛、嘔気、嘔吐、ガス性消化不良(burbulence)、弁閉鎖不全、腸偽閉塞、便失禁、胃食道逆流性疾患、慢性便秘、胃不全麻痺、膵炎、潰瘍性大腸炎、クローン疾患、月経痛、痙性および間質性膀胱炎および潰瘍、肥満症、神経性食欲不振症、および神経性過食症を含む、種々の病状および/または障害の症候に関する療法的治療を提供する、および/またはそれらを緩和する。
【0022】
いくつかの好適な実施形態では、電気刺激は、限定ではないが、以下、すなわち、神経(例えば、迷走神経、脊髄、末梢神経、神経叢等)の電気刺激、臓器(例えば、腸、肝臓、膵臓、膀胱等の区画等)の電気刺激、神経および臓器刺激の組み合わせのうちのいずれかを含む、様々な標的部位に、様々な様式において施与されることができる。いくつかの好適な実施形態では、電気刺激の送達および/または施与は、(例えば、非侵襲的接着型皮膚電極パッドを使用する)無針経皮性経路、(例えば、針電極を使用する)経皮的経路、および/または(例えば、神経または臓器の標的部位において、および/またはその周囲に患者埋込型電極を使用する)埋込可能経路を介することができる。好適には、任意の単一の様式および/または経路および/またはそれらの種々の組み合わせが、所望の刺激を達成するために使用されることができる。好適には、ここでは述べられていない他の刺激様式および/または経路もまた、所望の電気刺激を取得するために使用されることができる。
【0023】
実践では、刺激電極、刺激標的部位、および/または刺激パラメータの様々な異なる構成が、1つまたはそれを上回る電気パルスまたは関数発生器または同等物に順次または別様に取り付けられる1つまたはそれを上回る電極を使用して患者を治療するために採用されてもよい。例えば、限定ではないが、神経または臓器を含む、1つまたはそれを上回る標的部位の電気刺激のために、限定ではないが、経皮性電極パッド、経皮的針電極、または埋込可能リード線を含む、1つまたはそれを上回る電極が、使用されることができる。いくつかの好適な実施形態では、選択された標的部位の所望の電気刺激は、個々の電極を選択し、そのための種々の刺激パラメータを設定および/または調節することによって達成される。刺激パラメータの実施例は、いくつかの他の制御可能パラメータに加えて、限定ではないが、刺激波形の形状、電流または電圧の振幅、パルス幅、周波数、および陽極または陰極刺激を含む。
【0024】
図1を参照すると、医療用治療デバイスおよび/または装置100は、患者/ユーザ20に装着され、および/またはそれによって着用され、患者/ユーザ20の気息および/または呼吸を測定、検出、および/または監視する、呼吸センサ10を含む。
【0025】
いくつかの好適な実施形態では、センサ10は、(i)例えば、胸式呼吸(すなわち、胸部の気息)を測定、検出、および/または監視するために、患者/ユーザ20の胴体、胴部、または胸部の上側側面または領域の周囲に装着および/または着用される、または(ii)横隔膜呼吸(すなわち、胃部の気息)を、例えば、測定、検出、および/または監視するために、患者/ユーザ20の胴体、胴部、または腹部の下側側面または領域の周囲に装着および/または着用される、可撓性ストラップまたは他のベルトまたは同等物を含んでもよい。一般に、気息および/または呼吸は、概して、個人の胸部および/または腹部の膨張および収縮の関連付けられるサイクルに付随される。好適には、センサ10は、呼吸を測定、検出、および/または監視し、センサが装着および/または着用される領域または面積内の患者/ユーザの生体構造の膨張および収縮に応答して、対応する信号を発生させる。換言すると、吸気または吸息の間、患者/ユーザの胴体または胴部は、概して、膨張し、それによって、センサ10に対する力または圧力を印加する、および/または徐々に増加させる。呼気または呼息の間、患者/ユーザの胴体または胴部は、概して、収縮し、それによって、センサ10に印加される力または圧力を弛緩する、および/または徐々に低減させる。好適には、センサ10は、センサ10によって被られる圧力または力に比例する、および/または別様にそれに応答して変化する、電圧または他の電気信号を発生させる。
【0026】
いくつかの好適な実施形態では、センサ10は、気息または呼吸の間、患者/ユーザの生体構造の膨張および/または収縮の間に、力情報(f)を抽出してもよい。例えば、センサ10は、吸気の気息と関連付けられる生体構造の膨張の間、センサ10に対して印加される圧力に相関する電圧変化を生産する、柔軟性のある力感度型抵抗器(FSR)であることができる。いくつかの実施形態では、センサ10は、例えば、薄い多孔質のポリプロピレン構造を有する、電気機械フィルムを採用し、呼吸(すなわち、胴部の膨張および収縮)と関連付けられる生体構造運動に比例する電圧変化を生産する、容量性圧力センサを形成してもよい。いくつかの代替実施形態では、センサ10は、呼吸と関連付けられる、それを通した気流を感知するために、患者/ユーザ20の口および/または鼻の周囲に着用および/または装着される、マスクまたは同等物を備えてもよい。いくつかの他の実施形態では、センサ10は、呼吸と関連付けられる生体構造運動を感知するために、患者/ユーザ20の生体構造上に位置付けられる加速度計を備えてもよい。他の実施形態では、センサ10は、それに対して印加される圧力および/または力に応答して信号を生産する、圧電性デバイスを備えてもよい。一般に、センサ10は、患者/ユーザ20の気息および/または呼吸を測定、検出、および/または監視し、それに応答して、および/またはそれに基づいて信号を出力する、任意の好適な呼吸センサまたは1つまたはそれを上回る好適なセンサの組み合わせであってもよい。
【0027】
実践では、呼吸センサ10からの信号は、好適には、例えば、リアルタイムまたはほぼリアルタイムに、センサ10によって測定、検出、および/または監視されるような患者/ユーザ20の呼吸と自動的および/または別様に同期される、患者/ユーザ20の標的部位に対する繰り返される電気刺激を施与するように、デバイスまたは装置100の種々の動作および/または機能を調整および/または制御する、システムコントローラ30への入力として提供される。いくつかの好適な実施形態では、呼吸センサ10から取得される信号は、アナログ-デジタル変換器(ADC)を介して、システムコントローラ30に伝送されることができる。
【0028】
図1に示されるように、システムコントローラ30は、刺激特定器32を含む。好適には、刺激特定器32は、センサ10からの入力信号を分析および/または評価し、患者/ユーザの呼吸サイクルにおける特定の着目点(POI)を表す、その中での特性的な特質および/またはパターンを特定し、したがって、電気刺激の施与は、呼吸サイクルにおけるその特定のPOIを参照して同期される、および/または別様にタイミングを合わせられることができる。例えば、刺激特定器32は、吸気の開始点の場所を決定し、開始点を示すコマンドまたは信号を発生させ、コマンドまたは信号は、次いで、ひいては、トリガされ得る刺激コントローラまたはドライバ34に転送される、または別様に通信され、それによって、電力供給源36を制御および/または調整し、1つまたはそれを上回る刺激パラメータに従って、電極38を介して、電気刺激を患者/ユーザ20の標的部位に施与し得る。例えば、刺激パラメータは、限定ではないが、電気刺激に関する波形の形状、電気刺激に関する電流の振幅、電気刺激に関する電圧の振幅、電気刺激の周波数、電気刺激のパルス幅、および電気刺激の持続時間を含み得る。
【0029】
ここで図2を参照すると、センサ10によって生産される例示的呼吸信号12が、グラフ上にプロットされて示されており、グラフの縦軸は、任意の単位における信号12の大きさを表し、グラフの横軸は、秒単位における時間を表す。図2に示されるように、プロットに沿った種々の点において、信号12の傾きは、正であり、図2においてはプラス符号「+」によって示される。例えば、信号12の傾きが、概して、正である場所は、センサ10によって検出されるような患者/ユーザ20による吸気に対応し得る。プロットに沿った他の種々の点において、信号12の傾きは、負であり、図2においてはマイナス符号「-」によって示される。例えば、信号12の傾きが、概して、負である場所は、センサ10によって検出されるような患者/ユーザ20による呼気に対応し得る。プロットに沿ったまた他の点において、信号12の傾きは、ゼロ、本質的にゼロ、略平坦または有意に無視できるほどの大きさであり、図2においてはゼロの「0」によって示される。例えば、これらの点は、センサ10によって検出されるような患者/ユーザ20による呼気と吸気との間の遷移およびその逆の遷移および/または一時停止に対応し得る。
【0030】
いくつかの好適な実施形態では、刺激特定器32は、システムコントローラ30に入力される呼吸信号12を分析および/または評価し、その傾きを決定し、患者/ユーザの呼吸における特定の着目点を表す、傾きにおける特性的な特質および/またはパターンを特定し得る。例えば、刺激特定器32は、信号12の傾きが、本質的にゼロ、略平坦、および/または無視できるほどの大きさである、1つまたはそれを上回る点を認識し、その後に続いて、信号12において発現する正の傾きを認識することによって、吸気の開始を決定してもよい。呼吸信号12の傾きにおけるそのようなパターンが、認識されるとき、刺激特定器32は、吸気が開始されたことを刺激コントローラまたはドライバ34に通信し得る。より一般的には、センサ10から気息または呼吸情報を検出および抽出した後、例えば、呼吸信号12の傾きまたは他の好適な特性を表す、呼吸パラメータベクトルが、作成され得る。本ベクトルパラメータは、定期的に更新され、患者/ユーザの呼吸における特定のPOIを表す、呼吸パラメータにおける特性的な特質および/またはパターンを認識および/または特定する、刺激特定器32に通信されることができる。故に、刺激コントローラまたはドライバ34は、刺激特定器32から受信される信号またはコマンドまたは他の通信によってトリガされ得、したがって、刺激コントローラ/ドライバ34は、電力供給源36を制御および/または調整し、電極38を介して、刺激特定器32によって特定されるPOIと自動的に同期している、および/またはそれに対して比較的タイミングを合わせられた電気刺激を患者/ユーザ20の標的部位に施与する。
【0031】
検出された患者の呼吸との刺激信号の自動的な同期は、図3に示される非限定的実施例として、より具体的に例証される。本特定の非限定的実施例では、刺激は、センサによって検出されるような吸気/吸息の開始と自動的に同期される。図3に示されるように、検出された呼吸サイクルまたは(例えば、センサ10によって生産される)信号は、正弦波によって表され、呼吸波形の傾きが、正に移行し始めると、吸気または吸息の開始が、生じる。呼気または呼息が、その後に続き、呼吸波形の傾きは、負に移行する。刺激信号は、ここでは、矩形波として図示され、刺激は、吸息の開始点において印加される。刺激は、呼吸信号の吸息部分の約2分の1に対して印加される。示されるように、本システムは、吸気の気息の開始点を正確に決定し、気息と相関する電気刺激を提供し、ユーザの気息パターンに相関する刺激パターンを提供することができる。
【0032】
実践では、電極38は、無針経皮性経路を介して、電気刺激(例えば、鍼刺激)を標的部位に送達および/または施与するために、患者/ユーザ20の皮膚上に接着される、または別様に位置付けられる非侵襲的電極パッド、経皮的経路を介して、電気刺激(例えば、電気鍼治療)を標的部位に送達および/または施与するために、患者/ユーザ20の皮膚を通して挿入される針電極、および/または埋込可能経路を介して、電気刺激を標的部位に送達および/または施与するために、患者/ユーザ20内に外科的または別様に挿入されるリード線のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。好適には、標的部位は、患者/ユーザ20の神経または臓器を含んでもよく、電極38は、同一の場所内、そこにおいて、その近傍に、またはその上に、または別様にそれに対して療法的に近接して位置付けられる、および/または位置してもよい。好適には、電極38は、陽極または陰極であり得る。図1に示されるように、電極38は、好適には、刺激コントローラ/ドライバ34の指揮の下、選択的に電気信号を励起する、および/またはそれに提供する電力供給源36に結合される、および/またはそれと電気通信している。
【0033】
いくつかの好適な実施形態では、刺激コントローラ/ドライバ34は、刺激特定器32から受信される信号および/またはコマンドまたは他の同様の通信によってトリガされる、および/または別様にそれに応答し、電力供給源36を制御および/または調整し、したがって、電力供給源36は、電気信号を励起する、または電力供給源36に動作可能に結合される、および/またはそれと電気通信している電極38に別様に提供し、それによって、センサ20によって検出されるような患者/ユーザの呼吸と自動的に同期している、および/またはそれに対してタイミングを合わせられる電極38を介して、電気刺激を標的部位に提供する。実践では、電力供給源36は、決定、選択、設定、および/または別様に確立された刺激パラメータに従って、および/または刺激コントローラ/ドライバ34の制御および/または調整の下、電気信号を電極38に供給する、および/または別様にそれを励起する、電気パルスまたは関数発生器であってもよい。先に本明細書で述べられるように、刺激パラメータは、例えば、限定ではないが、電気刺激のための波形の形状、電気刺激のための電流の振幅、電気刺激のための電圧の振幅、電気刺激の周波数、電気刺激のパルス幅、および電気刺激の持続時間を含んでもよい。好適には、刺激コントローラ/ドライバ34は、刺激パラメータを決定、選択、設定、および/または別様に確立し、それに応じて電力供給源36を制御または調整し得る。
【0034】
図1に示されるように、システムコントローラ30はさらに、フィードバックモジュール40を含んでもよい。いくつかの好適な実施形態では、フィードバックモジュール40は、1つまたはそれを上回る適切なソースから患者データを収集、受信、および/または別様に取得してもよい。例えば、患者データに関する好適なソースは、限定ではないが、生物生理学的データまたは同等物を測定、検出、および/または別様に監視する、1つまたはそれを上回るセンサと、例えば、患っている症候および/またはその変化、食習慣、食事、睡眠の質、パターン、および/または習慣、および患者/ユーザ20の他の生活習慣データ、研究試験データ、生物学的サンプルから取得される試験データ等に関連する、患者/ユーザ20、医療専門家または技術者、または他の個人から手動でエントリされた、または他の同様の入力とを含み得る。好適には、患者データは、患者情報データベース(PIDB)42内で記録、更新、および/または維持されてもよい。PIDB42はさらに、種々の時間周期の間に施与されている任意の電気刺激のプログラムおよび/または詳細とともに、患者データのタイムスタンプ付きの、または別様に特定された過去の記録を維持し得る。例えば、過去の患者データは、個別の時間周期の間に施与される任意の電気刺激の詳細とともに、月、週、日、時間毎に、および/またはカスタムされた日付および/または時間範囲毎に等、日付および/または時間に対して記憶および追跡されてもよい。好適には、施与される任意の電気刺激の詳細は、種々の事例に従って採用される刺激パラメータ、標的部位の指定等を含め、フィードバックモジュール40によってメモされる、および/または施与の時間において、システムコントローラ30および/または刺激コントローラ/ドライバ34から受信され得る。
【0035】
いくつかの好適な実施形態では、フィードバックモジュール40は、人工知能、高度な機械学習、好適なアルゴリズム、および/または同等物を採用し、例えば、PIDB42からの患者データを精査および/または分析し、所与の時間周期の間に先に施与された、特定の電気刺激の過去の有効性を評価し、それに基づいて、電気刺激のある将来の施与と関連して採用されることになる新しい刺激パラメータを選択、調節、推奨、および/または確立してもよい。実践では、フィードバックモジュール40の出力は、刺激コントローラ/ドライバ34に通信されてもよく、したがって、刺激コントローラ/ドライバ34によって採用される刺激パラメータは、フィードバックモジュール40の指示に従って設定、調整、および/または調節される。
【0036】
いくつかの好適な実施形態では、フィードバックモジュール40は、システムコントローラ30から分離され、無線で、または別様に、それと通信してもよい。例えば、フィードバックモジュール40は、好適なスマートデバイス、スマートフォン、ラップトップ、またはコンピュータ上で起動する、および/または実行される好適なアプリケーションまたは同等物を介して実装されてもよい。
【0037】
一般に、フィードバックモジュール40は、例えば、刺激パラメータが、先に施与された電気刺激の認識または検出された有効性に基づいて、電気刺激の将来の施与に関して自動的または別様に調整または調節され得るように、デバイスまたは装置100のための閉ループまたは他の同様のフィードバック機構として作用する。実践では、フィードバックモジュール40は、例えば、患者の症候、血液、便、および/またはPIDB42から他の病態生理学的測定値等の患者データを収集してもよく、そこから、(例えば、スコアに対する変化に従って)それにバイオフィードバック関数が基づき得るスコアを計算してもよく、これは、その時間において施与されている治療に対する有効性および/または応答を表す。例えば、スコアが、増加している場合、これは、症候が、時間の経過に伴って悪化していることを表し得、刺激に対する好適な応答に満たないことを示し、ひいては、フィードバックモジュール40は、システムコントローラ30および/または刺激コントローラ/ドライバ34と通信し、したがって、刺激パラメータの別のセットが、刺激施与計画のプールから選択される。逆に言えば、スコアが、減少している場合、これは、症候が、和らいでいることを表し得、刺激の好影響を示唆し、ひいては、フィードバックモジュール40は、刺激パラメータにおけるいかなる変更も通信しないであろう。
【0038】
ここで図4を参照すると、いくつかの好適な実施形態による方法200が、描写されたフローチャートにおいて、例証として開示されている。
【0039】
ステップ210において、電極(例えば、電極38等)が、患者(例えば、患者/ユーザ20等)に適用される。例えば、電極は、患者の皮膚上に接着される、貼着される、または別様に位置付けられるパッド、患者の皮膚を通して挿入される針、または外科的または別様に患者内に埋め込まれるリード線であってもよい。実践では、電極は、電気刺激が施与されることになる患者の所望のまたは選択された標的部位(例えば、神経または臓器等)上に、その中に、好適には、その近傍に、または別様に療法的に近接して適用され得る。
【0040】
ステップ220において、気息または呼吸センサ(例えば、センサ10等)が、患者に装着される。ステップ210および220が、図示されるフローチャートでは、連続して次々に示されているが、実践では、ステップ210および220は、任意の順序で、および/または並行して実施され得ることを理解されたい。
【0041】
ステップ230において、ステップ220において患者に装着されたセンサは、患者の気息および/または呼吸を測定、検出、および/または監視する。実践では、センサは、患者の測定、検出、および/または監視された呼吸に応答して、および/またはそれに基づいて信号を出力し得る。
【0042】
ステップ240において、患者の気息または呼吸内のPOIが、ステップ220において患者に装着されたセンサによって測定、検出、および/または監視される呼吸から認識および/または特定され、すなわち、POIは、ステップ220において患者に装着されたセンサからの信号出力に基づいて認識および/または特定される。好適には、ステップ240において認識および/または特定されるPOIは、例えば、吸気の開始等、患者の呼吸サイクル内の周期的な、断続的な、または別様に再起する点である。
【0043】
ステップ260において、刺激パラメータのセットが、設定、決定、調節、および/または別様に確立される。例えば、刺激パラメータのセットは、限定ではないが、以下、すなわち、電気刺激のために使用されることになる波形の形状、電気刺激のために使用されることになる電流の振幅、電気刺激に使用されることになる電圧の振幅、電気刺激のために使用されることになる周波数、電気刺激のために使用されることになるパルス幅、および電気刺激のために使用されることになる持続時間のうちの任意の1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。最初に、刺激パラメータは、ベースラインまたは公称値またはレベルに対して設定される、または、例えば、患者、医療専門家、技術者、または他の個人等による所望に応じて別様に選択され得る。いくつかの実施形態では、初期ベースラインまたは公称値またはレベルは、例えば、システムコントローラ30および/または刺激コントローラ/ドライバ34内等に予めプログラムされる、または準備されることができる。
【0044】
ステップ270において、患者の呼吸と同期して、および/またはステップ240において認識および/または特定されたPOIに対してタイミングを合わせて、ステップ210において患者に適用される電極は、ステップ260において確立された刺激パラメータに従って、繰り返し励起され、および/または(例えば、電力供給源36によって)電気信号を提供され、それによって、患者の呼吸と自動的に同期して、および/またはステップ240において認識および/または特定されたPOIに対してタイミングを合わせて、電気刺激を患者の標的部位に繰り返し施与する。例えば、POIが、ステップ240において患者の呼吸サイクル内で認識および/または特定されるとき、患者の呼吸サイクルが、ステップ220において患者に装着されたセンサによって感知される間、リアルタイムまたはほぼリアルタイムに、POIに関して、および/またはそれに対してタイミングを合わせて、ステップ260において確立された刺激パラメータを使用して、電気信号を励起する、またはそれをステップ210において患者に適用される電極に供給することによって、電気刺激が、患者の標的部位に施与される。
【0045】
ステップ280において、患者情報および/またはデータが、収集される。例えば、患者情報および/またはデータは、所与の時間周期にわたる患者の症候の重症度、生物学的な、血液の、便の、研究的な、および/または他の試験結果等の過去の記録を含んでもよく、その時間周期にわたって患者に提供される電気刺激の先の施与に関する情報および/またはデータと相関する。好適には、患者情報および/またはデータは、PIDB42内に維持され得、患者に提供される電気刺激の先の施与のために使用された刺激パラメータを含む。
【0046】
ステップ290において、ステップ280において収集された患者情報および/またはデータは、分析および/または評価され、所与の時間周期にわたって先に施与された電気刺激の有効性、例えば、患者の病状(例えば、FGID等)を治療する、および/または症候の重症度を低減させる点における有効性を決定する。決定ステップ292において、先に施与された電気刺激が、十分に有効であったことが、ステップ290において決定される場合、方法200は、ステップ294に分岐し、そうでなければ、先に施与された電気刺激が、十分に有効ではなかったことが、ステップ290において決定される場合、本方法は、ステップ296に分岐する。
【0047】
ステップ294において、刺激パラメータが、変更されないままであるべきことが示されており(すなわち、先に使用された刺激パラメータが、十分に有効な治療および/または症候の緩和を結果としてもたらしていたため)、方法200は、ひいては、ステップ260にループバックし、ここで、刺激パラメータのセットが、それに応じて、再度、確立される、すなわち、ステップ294に示されるような変更を伴わない。そうでなければ、ステップ296において、刺激パラメータのうちの1つまたはそれを上回るものが、改変、調節、または修正されることになることが示されており(すなわち、先に使用された刺激パラメータが、十分に有効な治療および/または症候の緩和を結果としてもたらしていなかったため)、方法200は、ひいては、ステップ260にループバックし、ここで、刺激パラメータのセットが、それに応じて、再度、確立される、すなわち、刺激パラメータのうちの1つまたはそれを上回るものが、ステップ296に示されるように、改変、調節、および/または修正される。
【0048】
図1に戻って参照すると、単一の電極38および電力供給源36が、本明細書では、単純性および/または明瞭性のために示されている。それにもかかわらず、実践では、1つまたはそれを上回る類似する電極および/またはそれに電気的に結合される1つまたはそれを上回る類似する電力供給源が、同様に、呼吸センサ10によって検出されるような患者/ユーザ20の呼吸と自動的に同期して、電気刺激を1つまたはそれを上回る標的部位に施与するために採用され得ることが理解されるはずである。加えて、単一の呼吸センサ10が、本明細書では、単純性および/または明瞭性のために図1に図示されているが、実践では、複数の同様の呼吸センサ10が、同様に、患者/ユーザ20の呼吸を測定、検出、および/または監視するために採用され得、そのような複数のセンサからの信号が、患者/ユーザの呼吸を代表する呼吸モデル(例えば、図2に示される呼吸信号12に類似する形態をとり得るモデル)を確立または計算するために組み合わせられる、または別様に採用され得ることもまた、理解されたい。
【0049】
本明細書に説明されるように、種々の要素および/または構成要素(例えば、センサ10、システムコントローラ30、刺激特定器32、刺激コントローラ/ドライバ34、電力供給源36、電極38、フィードバックモジュール40、およびPIDB42等)は、交換される、種々の信号、コマンド、データ、メッセージ、情報、および同等物を伝送および/または受信する。実践では、そのような交換、伝送、および/または受信は、個別の要素および/または構成要素間で確立される、好適な有線または無線接続を経由して遂行され得る。
【0050】
いくつかの好適な実施形態では、1つまたはそれを上回るユーザインターフェース(UI)が、例えば、デバイスまたは装置100と関連して提供されてもよい。UIは、患者/ユーザ20、医療専門家、または他の個人が、デバイスまたは装置100と好適に相互作用することを可能にする、1つまたはそれを上回る入力および/または出力デバイスを含んでもよい。例えば、UIは、例えば、システムコントローラ30と有線または無線通信している、スマートフォンまたは他のモバイルデバイス、またはデバイスまたは装置100と動作通信している、ラップトップまたは他のコンピュータ上に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、UIは、例えば、図2に描写されるもの等のグラフにおいて、センサ10によって検出されるような患者/ユーザの呼吸のグラフ表現を選択的に表示および/または出力してもよい。いくつかの好適な実施形態では、UIは、例えば、患者/ユーザの呼吸のグラフ表現と重ね合わせられる、または別様にそれとともに登録される波形として示される、施与される電気刺激のグラフ表現を選択的に表示および/または出力してもよい。UIはまた、PIDB42において維持される患者情報および/またはデータの手動でのエントリおよび/または他の入力も可能にし得る。UIはまた、PIDB42からの患者情報および/またはデータの出力および/または精査も可能にし得る。いくつかの好適な実施形態では、刺激パラメータは、例えば、初期公称値またはレベルとして、または別様に所望されるものと同一のものを手動で選択するためにのいずれかで手動でエントリされる、または別様にUIインターフェースを介して入力されてもよい。いくつかの好適な実施形態では、現在規定されている、または別様に確立される刺激パラメータが、患者/ユーザ20または医療専門家または他の個人による精査のために、UIを介して表示される、および/または別様に出力されてもよい。
【0051】
いくつかの好適な実施形態では、UIおよび/または対応するアプリケーションは、例えば、患者/ユーザ20のスマートフォンまたは他の同様のモバイルデバイスを起動して、患者/ユーザが、自分の毎日の症候、睡眠の質を追跡し、毎日の食事を記録することを可能にする。UIは、毎日の症候および睡眠の質を入力するために使用される、アンケート調査インターフェースを選択的に含み得る。いくつかの実施形態では、毎日の食事は、患者/ユーザのモバイルデバイスを用いて撮影される写真として、または別様に、UIを介して入力および/またはエントリされることができる。好適には、モバイルデバイス、UI、および/またはアプリケーションは、症候の任意の相関関係が、特定の食事に戻って追跡され得るように、現在の日付およびタイムスタンプを食事エントリに自動的に割り当て、記録することができる。いくつかの好適な実施形態では、UIは、自分が就寝する時間を入力するために、患者/ユーザ20によって選択され得る双方向性アイコンまたはボタンまたはリンクを提供してもよい。好適には、UI、モバイルデバイス、および/またはアプリケーションを介してエントリされる全てのデータおよび/または情報は、PIDB42に通信される、および/またはその中で維持されることができる。いくつかの好適な実施形態では、PIDB42は、1996年の医療保険の相互運用性および責任に関する法律(HIPAA)に準拠する医療用記録データベースであり、これは、例えば、インターネットまたは同等物等の好適なデータ通信ネットワークを介して安全に、遠隔で記憶および/またはアクセスされることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、センサ支援型のカスタマイズされた監視システムが、例えば、GERDを患っているユーザのために提供される。好適には、UIは、過去のユーザ入力データの分析に基づいて、要約データを視覚的に表示し、経時的な症候の変化、睡眠の質および長さ、および毎日の食事および栄養情報を追跡するための能力を可能にするために、タブを用いてメモされる、異なる機能および/または選択肢を表示する、または別様に出力し得る。いくつかの実施形態では、データの一般的な分析を提供し、UI上の可視化を通して、睡眠と症候と食生活との間の任意の相関を決定し得る、分析器が、システムの中に埋め込まれる、および/または別様に採用されることができる。いくつかの好適な実施形態では、UIは、患者/ユーザ20が、例えば、アンケート調査等のデータ収集機構を通して毎日の症候を入力することを可能にし得る。アンケート調査は、将来において、年代順にデータを戻って参照し、経時的に出現する任意のパターンに注目するために使用され得る、日付/タイムスタンプを用いて記録されてもよい。いくつかの実施形態では、UIの別の特徴は、ユーザが、睡眠の質の評価を決定するために使用され得る、数個の質問に回答することを可能にし得る。またさらなる実施形態では、UIの別の特徴は、ユーザが、モバイルデバイスのカメラの使用を通して毎日の食事および栄養情報を記録し、自分の食事の写真をアップロードすることを可能にし得る。随意に、1つまたはそれを上回る機械学習アルゴリズムまたは同等物が、画像処理およびデータ抽出を通して、食品のタイプを検出し、食品の量を推定するために利用される。UIおよび/またはアプリケーションの別の随意の特徴は、患者/ユーザ20が、「就寝」選択肢を選択することによって、自分の睡眠時間を入力することを可能にし、これは、次いで、ユーザの睡眠時間を決定および記録するであろう。好適には、UIを介して収集される種々の情報および/またはデータは、PIDB42内に維持され得、後の時間において、医療提供者に提供され、症候の診断および潜在的な治療選択肢の相関および決定を可能にし得る。
【0053】
図5は、監視システムの例示的例証である。コントローラは、刺激信号を電極に送信し、信号をセンサから受信し、したがって、刺激は、患者の気息(特に、吸息の開始)と同期されることができる。コントローラはまた、他のセンサからの症候、生物生理学的データ、および例えば、血液、便、尿、組織、内視鏡検査、他の画像、および同等物から等の他の測定値からの研究データを収集することもできる。バイオフィードバックは、本他のデータに基づいて、コントローラに提供されることができる。
【0054】
限定ではないが、以下は、例えば、図1に示される医療用治療デバイスおよび/または装置および/または図4に示される方法を用いて提供され得る、好適な療法および/または治療選択肢のいくつかの実施例である。
・気息と自動的に同期している、迷走神経(または迷走神経枝)の電気刺激は、炎症性腸疾患、GI運動性障害、慢性腹痛、てんかん、うつ病、脳卒中リハビリテーション、または他の疾患の治療のために、経皮性、経皮的、または埋込可能経路/電極を通して送達されることができ、例えば、気息と自動的に同期している埋込可能迷走神経刺激、気息と自動的に同期している経皮的耳介迷走神経刺激、および/または気息と自動的に同期している経皮性頸椎迷走神経刺激を含む。
・気息と自動的に同期している脊髄電気刺激は、慢性疼痛、GI運動性障害、または他の疾患の治療のために、埋込可能、経皮的、または経皮性経路/電極を通して送達されることができ、例えば、気息と自動的に同期している埋込可能脊髄電気刺激、気息と自動的に同期している経皮的脊髄電気刺激、および/または気息と自動的に同期している経皮性脊髄電気刺激を含む。
・気息と自動的に同期している仙骨神経電気刺激は、便失禁、炎症性腸疾患、GI運動性障害、または他の疾患の治療のために、埋込可能、経皮的、または経皮性経路/電極を通して送達されることができ、例えば、気息と自動的に同期している埋込可能仙骨神経電気刺激、気息と自動的に同期している経皮的仙骨神経電気刺激、および/または気息と自動的に同期している経皮性仙骨神経電気刺激を含む。
・例えば、気息と自動的に同期している、脛骨神経電気刺激等の末梢神経電気刺激は、尿失禁、GI運動性障害、または他の疾患の治療のために、埋込可能、経皮的、または経皮性経路/電極を通して送達されることができ、例えば、気息と自動的に同期している経皮的脛骨神経電気刺激および/または気息と自動的に同期している経皮性脛骨神経電気刺激を含む。
・気息と自動的に同期している(例えば、腸、膀胱、膵臓、肝臓、または腎臓等の)臓器電気刺激は、GI疾患、食道疾患、糖尿病、肥満、または他の疾患を治療するために、埋込可能、経皮的、または経皮性経路/電極を通して送達されることができ、例えば、気息と自動的に同期している埋込可能胃電気刺激および/または気息と自動的に同期している経皮的胃電気刺激を含む。
・気息と自動的に同期している埋込可能脳深部電気刺激は、例えば、パーキンソン疾患、本態性振戦、ジストニア、てんかん、強迫性障害、慢性疼痛、群発頭痛、または他の疾患を治療するために、埋込可能経路/電極を通して送達されることができる。
・気息と自動的に同期している経頭蓋/経皮性磁気刺激は、例えば、その中で変化する磁場が脳/臓器の具体的な面積において電流を引き起こすために使用される、電磁誘起を通して送達されることができ、例えば、本方法は、特に、FGID、神経学的および精神的健康の領域において、様々な疾患状態を治療するために使用されることができる。
【0055】
いくつかの好適な実施形態では、電気刺激の施与時間量および/またはパラメータは、副交感神経活動、心拍数、血液、および/または他の監視される生理的パラメータにおける標的化された微妙な変化を確認しながら漸増されてもよい。実践では、刺激の波形および/または他の電気的パラメータは、提供されている療法および/または治療のタイプに従って選択される、および/または変動し得る。電気刺激の波形は、直流、交流、および/またはパルス電流であることができる。例えば、迷走神経、仙骨神経、脊髄、または鍼刺激等の神経および/または鍼治療つぼ刺激に関して、電気刺激は、限定ではないが、以下のパラメータ、すなわち、約0.5Hz~約300Hz(両端を含む)の範囲内の周波数、約0.1ミリ秒(ms)~約1.0ms(両端を含む)の範囲内のパルス幅、約0.1mA~約10mA(両端を含む)の範囲内の電流振幅のうちの1つまたはそれを上回るものにおいて、またはそれを伴って送達され得、各パルス列は、約1秒~約120秒(両端を含む)の範囲内の持続時間にわたって、約10秒毎~約300秒毎(両端を含む)の範囲内で、最大約180分間にわたって印加される。別の実施例では、胃電気刺激等の臓器刺激に関して、周波数は、1分あたり約3サイクル~約20サイクル(両端を含む)の範囲内であってもよく、パルス幅は、約0.1ms~約600ms(両端を含む)の範囲内であってもよく、電流振幅は、約0.2mA~約10mA(両端を含む)の範囲内であってもよく、刺激は、最大約60分間にわたって印加される。脳深部刺激に関して等のさらに他の実施例では、比較的短いパルス幅(例えば、約10マイクロ秒(μs)~約300μs(両端を含む)の範囲内)の電気刺激が、幾分低い電圧振幅(例えば、最大約4V)を伴って採用されてもよい、比較的短いパルス幅の電気刺激が、比較的高い電圧振幅(例えば、約5V~約10V(両端を含む)の範囲内)を伴って採用されてもよい、または比較的長いパルス幅(例えば、約120μs~約450μs(両端を含む)の範囲内)の電気刺激が、比較的低い電圧振幅(例えば、約0.1V~約2V(両端を含む)の範囲内)を伴って採用されてもよい。
【0056】
いくつかの好適な実施形態では、機能性消化不良(FD)の治療は、図1に示される医療用治療デバイスおよび/または装置および/または図4に示される方法を用いて達成されてもよい。FD患者は、器質的要因を伴うことなく、一般的な胃症候を提示し得る。FDは、母集団の有意な部分に影響を及ぼし得、生活の質の減衰および疾患を管理するための高額な年間費用につながり得る。気息と同期している電気刺激は、気息の同期を伴わない類似する治療よりも優れており、例えば、食事に応答して減退される胃の適応性の改善、胃の律動異常の正常化、内臓過敏症の改善、および迷走神経活動の向上を含む、重要なFD病態生理を改善することができる。しかしながら、例えば、患者が、最初に、刺激の開始を知覚し、その刺激に追従するように自分の呼吸を手動で調節することが必要とされる、手動での気息同期は、いくつかの欠点および/または限定を有し得る。例えば、そのような手動での同期は、同期において、非常に大きい遅延および/または誤差を発生させ、慢性的療法との患者の芳しくない適合性を結果としてもたらし、本方法の有効性を有意に損ない得る。いくつかの実施形態では、本問題点を解決し、FD治療における電気刺激の有効性を向上させるために、本明細書に開示される新規の非侵襲的神経変調方法は、ユーザの呼吸波を自動的に検出し、電気刺激をユーザの気息に同期させ、例えば、表面皮膚電極を介した鍼治療つぼにおいて、それらの電気刺激を送達する。本明細書に開示されるデバイスおよび/または装置によって採用される自動化された同期を用いる場合、患者は、中断することのない、かつ正常な呼吸ペースを伴って吸気および呼気しながら、それと同期される電気刺激治療を受けることができ、治療手順を大幅に単純化し、患者の適合性を改善し、本方法の有効性を向上させる。胃の運動性および内臓過敏性への同期された電気刺激の統合的な効果は、迷走神経路の活性化に基づく。例えば、これらの迷走神経路は、ST36鍼治療つぼに対する仙骨神経の外側腓皮枝、および/またはPC6鍼治療つぼに対する長掌の腱と橈骨手根屈筋との間の正中神経を含んでもよく、これらはともに、胃の運動性および内臓過敏症への有益な迷走神経媒介効果を誘発する。いくつかの実施形態では、標的化された末端臓器および関連する機能変調は、以下の通りであり、すなわち、例えば、迷走神経の活性化を生産するための自律神経系、例えば、Ensure課題によって誘発されるもの等の胃の適応性の減退および胃の律動不整を改善するための胃、および、例えば、Ensure課題によって誘発されるもの等の内臓過敏症(FD症候群)を改善するための内臓過敏症(求心性神経感作)である。いくつかの好適な実施形態では、経皮性電極は、例えば、ST36および/またはPC6の鍼治療つぼにおいて焦点刺激を提供するために、比較的小さい直径、例えば、約10mmを有し得る。いくつかの好適な実施形態では、呼吸感知システム(例えば、本明細書に開示されるタイプ等の1つまたはそれを上回るセンサ10を含む)が、皮膚接触を伴わない呼吸監視のために、ユーザの胸部の膨張/収縮を測定するために採用されることができる。呼吸感知システムは、好適には、例えば、家庭での容易な自己動作のために、ユーザによって容易に装着および/または取外され得るハーネスまたは同等物内に統合されてもよく、患者の適合性を改善する。好適には、いくつかの実施形態では、本明細書に提案される医療用デバイス/装置および/または方法は、胃の適応性、胃の律動不整の正常化、内臓過敏症の改善を改善することができ、これらの改善は、向上された迷走神経の活動によって媒介される。いくつかの実施形態では、例えば、鍼治療つぼST36および/またはPC6を使用する、FD特有の治療に関して、電気刺激パラメータは、以下の通りであり、すなわち、約0.3ms~約0.6ms(両端を含む)のパルス幅、約1Hz~約100Hz(両端を含む)の周波数、約1mA~約10mA(両端を含む)の電流振幅、および約1~5秒のオンおよび約1~5秒のオフのサイクルであってもよい。特定の実施形態では、オン時間は、サイクルにおいて、オフ時間よりも短く、約2秒のオンおよび3秒のオフ等である。
【0057】
いくつかの実施形態では、種々のコントローラ、モジュール、ユニット、および/または同等物(例えば、システムコントローラ30、刺激特定器32、刺激コントローラ/ドライバ34、フィードバックモジュール40等)は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを介して実装されてもよい。特に、1つまたはそれを上回るコントローラは、本明細書に説明されるタスク、ステップ、プロセス、方法、および/または機能のうちの1つまたはそれを上回るものを実施するように構成される、および/または別様に準備される、プロセッサ、電気回路、コンピュータ、および/または他の電子データプロ処理デバイスによって具現化されてもよい。例えば、コントローラを具現化するプロセッサ、コンピュータ、サーバ、または他の電子データ処理デバイスは、(例えば、ソースコード、解釈コード、オブジェクトコード、直接実行可能コード、およびその他等の)コードまたは他の同様の命令またはソフトウェアまたはファームウェアの好適な一覧を伴って提供、供給、および/またはプログラムされてもよく、したがって、コンピュータまたは他の電子データ処理デバイスによって起動および/または実行されるとき、本明細書に説明されるタスク、ステップ、プロセス、方法、および/または機能のうちの1つまたはそれを上回るものが、完了される、または別様に実施される。好適には、コードまたは他の同様の命令またはソフトウェアまたはファームウェアの一覧は、コンピュータまたは他の電子データ処理デバイスに提供可能である、および/またはそれによって実行可能であるように、非一過性コンピュータおよび/または機械可読記憶媒体またはメディアとして実装される、および/またはその中に、および/またはその上に記録される、記憶される、含有される、または含まれる。例えば、好適な記憶媒体および/またはメディアは、限定ではないが、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気記憶媒体またはメディア、CD-ROM、DVD、光ディスク、または任意の他の光学媒体またはメディア、RAM、ROM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、または他のメモリまたはチップまたはカートリッジ、またはコンピュータまたは機械または電子データ処理デバイスが読取および使用し得る、任意の他の有形媒体またはメディアを含むことができる。実質的には、本明細書で使用されるように、非一過性コンピュータ可読および/または機械可読媒体および/またはメディアは、一過性の伝搬信号を除く、全てのコンピュータ可読および/または機械可読媒体および/またはメディアを備える。
【0058】
一般に、本明細書に説明される特定のタスク、ステップ、プロセス、方法、機能、要素、および/または構成要素のうちの任意の1つまたはそれを上回るものは、1つまたはそれを上回る汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、および周辺集積回路要素、ASICまたは他の集積回路、デジタル信号プロセッサ、個別素子回路等の配線接続された電子または論理回路、PLD、PLA、FPGA、グラフィカルカードCPU(GPU)、またはPAL等のプログラマブル論理デバイス、または同等物上で実装される、および/またはその中で具現化されてもよい。一般に、有限状態の機械を実装することが可能であり、ひいては、本明細書に説明される個別のタスク、ステップ、プロセス、方法、および/または機能を実装することが可能である、任意のデバイスが、使用されることができる。
【0059】
前述は、当業者が、本開示の側面をより深く理解し得るように、いくつかの実施形態の特徴の概要を述べている。当業者は、同一の目的を遂行するために、他のプロセスおよび構造を設計または修正する、および/または本明細書に紹介される実施形態の同一の利点を達成するための基盤として、本開示を容易に使用し得ることを理解するはずである。当業者はまた、そのような同等の構築が、本開示の精神および範囲から逸脱しないこと、および当業者が、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書における種々の変更、代用、および改変を行ってもよいことも認識するはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】