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特表2024-522290ナトリウムチャネルの置換テトラヒドロフラン調節因子の合成のためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ナトリウムチャネルの置換テトラヒドロフラン調節因子の合成のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/12 20060101AFI20240606BHJP
   C07D 307/20 20060101ALI20240606BHJP
   C07D 307/24 20060101ALI20240606BHJP
   C07D 307/34 20060101ALI20240606BHJP
   C07D 453/04 20060101ALI20240606BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20240606BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240606BHJP
【FI】
C07D405/12 CSP
C07D307/20
C07D307/24
C07D307/34
C07D453/04
B01J23/44 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574393
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022032167
(87)【国際公開番号】W WO2022256660
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/196,868
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598032106
【氏名又は名称】バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】デイビス, クリストファー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】エバリット, サイモン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】エメル, エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】オドネル, マイケル エドワード
(72)【発明者】
【氏名】シャナハン, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ポルテラ, ミレイア シデラ
(72)【発明者】
【氏名】スーザ, ブルーノ アルトゥール
(72)【発明者】
【氏名】チャンギ, シュジャウディン エム.
(72)【発明者】
【氏名】レヴァンドフスキ, ベレニス エル.
(72)【発明者】
【氏名】パネサル, マニンダー
(72)【発明者】
【氏名】マクティアナン, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウィジェトゥンガ, タランガ ケー.
【テーマコード(参考)】
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BA27A
4G169BB03A
4G169BB05A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC70A
4G169BC71A
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC74A
4G169BC75A
4G169BE41A
4G169CB02
4G169CB57
4G169CB62
4G169DA08
4H039CA19
4H039CA42
4H039CB10
(57)【要約】
本出願では、化合物I
(I)およびその薬学的に許容される塩を作製するためのプロセスが提供され、これらはナトリウムチャネルの阻害剤として有用である。様々な中間生成物およびその好適な塩を作製するためのプロセスも提供される。一つの実施形態では、当業者は、スキーム1および2に示される反応に従って、式II~VおよびVII~XXIの任意の化合物から開始して、式Iの化合物、または式II~VおよびVII~XXの中間化合物のいずれかを調製することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその塩を調製する方法であって、
【化1】
式IIIの化合物またはその塩を、
【化2】
前記式Iの化合物に変換することを含む、方法。
【請求項2】
前記式IIIの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、式IVの化合物を調製することを含む、請求項1に記載の方法
【化3】
【請求項3】
前記式IIIの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式IIIの化合物または前記式IVの化合物を塩素化剤と反応させて、式Vの化合物を得ることを含み、
【化4】
前記式Vの化合物において、前記化合物の周囲の括弧が、前記式Vの化合物が単離されていないことを示す、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩素化剤が、ホスゲン、塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化オキサリル、クロロギ酸イソブチル(IBCF)、塩化ピバロイル(PivCl)、およびジフェニルホスフィン酸クロリド(DPPCl)からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記塩素化剤が、ホスゲン、塩化オキサリル、または塩化チオニルである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記式IIIの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式Vの化合物を式VIの化合物と反応させて、
【化5】
式IIの化合物を得ることをさらに含む、請求項3~5のいずれかに記載の方法
【化6】
【請求項7】
前記式IIIの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式IIの化合物をアンモニアと反応させて、前記式Iの化合物を得ることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アンモニアが、溶媒中のアンモニアの溶液の形態、アンモニアガスが前記反応混合物中に通気されるガス形態のアンモニア、またはアンモニアがインサイチュで生成される水酸化アンモニウムもしくはアンモニウム塩の形態である、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アンモニアの前記インサイチュでの生成が、水酸化アンモニウムまたは前記アンモニウム塩を酸と反応させることを含む、請求項6~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
式IIの化合物をアンモニアと前記反応させることが、溶媒中で行われる、請求項6~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒がメタノール、エタノール、IPA、MeCN、THF、水、またはそれらの混合物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記式Iの化合物を、アセトンを含む溶媒系から再結晶化して、前記式Iの化合物を固体として得ることをさらに含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式IIの化合物のアンモニアとの前記反応が、メタノールまたはエタノールを含む溶媒中で行われる、請求項7~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
式VIIのシアノ化合物を加水分解して、
【化7】
前記式IIIの化合物を得ることをさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記シアノ化合物の加水分解が、ニトリラーゼを使用して酵素的に加水分解される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記加水分解が、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ジオキサン、水、THF、またはそれらの混合物を含む溶媒中で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シアノ化合物の加水分解が、約25~約75℃、約30~約70℃、約35~約65℃、約40~約60℃、約45~約60℃、約50 約60℃、または約55℃で行われる、請求項15~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
式VIIIの化合物であって、
【化8】
式中、ORは、OC(=O)-Z、OC(=O)OZ、OC(=O)CH=CH-Z、またはOP(=O)Zであり、Zは、非置換アリール、またはCN、ハロ、NOによって置換されたアリール、または短鎖のアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、もしくはハロアルコキシ基であってもよく、前記短鎖は、1、2、3、または4個の炭素原子を含む、式VIIIの化合物を、
シアノ化剤と反応させて、前記式VIIの化合物を得ることをさらに含む、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
Zが、C1~CアルキルまたはC~Cハロアルキル基である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
Zがフェニルおよびナフチルである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記シアノ化剤が、トリメチルシリルシアニド、ジエチルアルミニウムシアニド、KCN、NaCN、TBACN、HCNからなる群から選択される、請求項19~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記シアノ化剤が、トリメチルシリルシアニドである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
化合物VIIIと前記シアノ化剤の間の前記反応が、ルイス酸の存在下で行われる、請求項19~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記ルイス酸が、三フッ化ホウ素エチルエーテラート(BFOEt)、TiCl、InCl、AgSbF、ヨウ素、ZnBr、Al(OiPr)、MgCl、Mn(acac)、MnCl、TMSOTf、およびSnClからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ルイス酸がBFOEtである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
化合物VIIIと前記シアノ化剤の間の前記反応が、トルエン、ジクロロメタン、2-メチルTHF、アセトニトリル、メタノール、1,2-ジクロロエタン、ニトロメタン、またはそれらの混合物を含む溶媒中で行われる、請求項21~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
式IXの化合物を、
【化9】
酸無水物または酸塩化物と反応させて、前記式VIIIの化合物を得ることをさらに含む、請求項1~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
式Xの化合物を、
【化10】
還元剤で還元して、前記式IXの化合物を得ることをさらに含む、請求項1~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記還元剤が、水素化ジイソブチルアルミニウム、Red-Al、NaBH/BF、ポリメチルヒドロシロキサンを含むチタノセン、およびフェニルシランからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記還元剤が水素化ジイソブチルアルミニウムである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記式Xの化合物を前記還元することが、有機溶媒または溶媒混合物中で行われる、請求項29~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記溶媒が、トルエン、ジクロロメタン、2-メチルTHF、THF、TFT、MTBE、CPME、ヘプタン、またはそれらの混合物を含む、請求項29~32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記式Xの化合物を前記還元することが、約-78℃~約0℃、約-60℃~約0℃、約-50℃~約-10℃、約40℃~約-10℃、約30℃~約-10℃、約-30℃~約-15℃、約25℃~約-15℃、または約-20℃で行われる、請求項29~33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記還元反応が、CuCl、CuI、CuTol、CuBr、CuF、Cu(II)Cl、DMAP、2,6-ルチジン、LiI、またはピリジンの存在下で行われる、請求項29~34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
式XIの化合物の不斉水素化を行なって、
【化11】
式Xの化合物を得ることをさらに含む、請求項1~35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記不斉水素化が、水素化触媒の存在下で行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記触媒が、Pd/C、Pd/Al、Pt/C、Ni(Raney)、Co(Raney)、Rh/C、Ir/C、Ru/C、Pd(OH)、均一系キラルRuおよびRhからなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記不斉水素化が、好適な水素源を使用して行われる、請求項36~38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記水素源が、Hガス、メタノール中のNiCl/NaBH、およびEtSiHからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記不斉水素化が、触媒としてPd/Cを使用してHガスの存在下で行われる、請求項36~40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記不斉水素化反応が、約20~40バールで有機溶媒中で行われる、請求項36~41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記水素化が、有機溶媒または溶媒混合物中で行われる、請求項36~42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記溶媒が、IPA、EtOAc、MeOH、nBuOH、THF、MTBE、CPME、IPAc、nBuAc、トルエン、エタノール、またはそれらの混合物を含む、請求項36~43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記不斉水素化反応が、TFA、AcOH、HSO、HPO、MSA、CsCO、CuCl、MgF、LiBr、CsF、ZnI、LiOTf、イミダゾール、KF、BuNOAc、またはNHBFを含む反応混合物中で行われる、請求項36~44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
式XIIIの化合物を、
【化12】
式XIIの化合物とカップリングさせて、
【化13】
前記式XIの化合物を得ることをさらに含む、請求項1~45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
式XIIの化合物とXIIIの化合物の間の前記カップリング反応が、カップリング剤または塩素化剤の存在下で行われる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記カップリング剤が、CDIおよびT3Pからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記塩素化剤が、化合物XIIIを酸塩化物に変換し、これが前記式XIIの化合物と反応させる前に単離されない、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記塩素化剤が、塩化オキサリルおよび塩化チオニルから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
式XIVの化合物を酸化して、
【化14】
式IIIの化合物を得ることをさらに含む、請求項1~50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記酸化が、化合物XIVを、NaOClの存在下でTEMPOと反応させることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記酸化が有機溶媒中で行われる、請求項51または請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記酸化が、約-10℃~約40℃、約-10℃~約35℃、約-5℃~約35℃、約0℃~約30℃、約0℃~25℃、約5℃、約10℃、約15℃、または約20℃で、弱塩基の存在下で行われる、請求項51~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記式XIVの化合物が、式XVIの化合物の閉環に続いて、
【化15】
得られた式XVの化合物の脱保護によって取得されて、
【化16】
前記式XIVの化合物を得る、請求項51~54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記閉環反応が、化合物XVIを、非求核塩基の存在下で塩化メタンスルホニルと反応させることを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記非求核塩基が三級アミンである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記反応が、約-5℃~約5℃で行われる、請求項56または請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記式XVの化合物を、Pd/C触媒の存在下でHと反応させて、前記式XIVの化合物を得ることをさらに含む、請求項55~58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
式Iの化合物またはその塩を調製する方法であって、
【化17】
式IXの化合物を、
【化18】
前記式Iの化合物に変換することを含む、方法。
【請求項61】
前記式IXの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式IXの化合物を酸無水物または酸塩化物と反応させて、式VIIIの化合物を得ることを含み、
【化19】
式中、ORは、OC(=O)-Z、OC(=O)OZ、OC(=O)CH=CH-Z、またはOP(=O)Zであり、Zは、非置換アリール、またはCN、ハロ、NOによって置換されたアリール、または短鎖のアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、もしくはハロアルコキシ基であってもよく、前記短鎖は、1、2、3、または4個の炭素原子を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
Zが、C~CアルキルまたはC~Cハロアルキル基である、請求項19に記載の方法。
【請求項63】
Zがフェニルおよびナフチルである、請求項19に記載の方法。
【請求項64】
前記式VIIIの化合物をシアノ化剤と反応させて、式VIIの化合物を得ることをさらに含む、請求項62または63に記載の方法
【化20】
【請求項65】
前記シアノ化剤が、トリメチルシリルシアニド、ジエチルアルミニウムシアニド、KCN、NaCN、TBACN、HCNからなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記シアノ化剤が、トリメチルシリルシアニドである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
化合物VIIIと前記シアノ化剤の間の前記反応が、ルイス酸の存在下で行われる、請求項64~66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記ルイス酸が、三フッ化ホウ素エチルエーテラート(BFOEt)、TiCl、InCl、AgSbF、ヨウ素、ZnBr、Al(OiPr)、MgCl、Mn(acac)、MnCl、TMSOTf、およびSnClからなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記ルイス酸がBFOEtである、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
化合物VIIIと前記シアノ化剤の間の前記反応が、トルエン、ジクロロメタン、2-メチルTHF、アセトニトリル、メタノール、1,2-ジクロロエタン、ニトロメタン、またはそれらの混合物を含む溶媒中で行われる、請求項64~69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記式VIIの化合物を加水分解して、前記式IIIの化合物を得ることをさらに含む、請求項62~70のいずれかに記載の方法
【化21】
【請求項72】
前記シアノ化合物の加水分解が、ニトリラーゼを使用して酵素的に加水分解される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記加水分解が、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ジオキサン、水、THF、またはそれらの混合物を含む溶媒中で行われる、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記シアノ化合物の加水分解が、約25~約75℃、約30~約70℃、約35~約65℃、約40~約60℃、約45~約60℃、約50~約60℃、または約55℃で行われる、請求項71~73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記式IXの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、式IVの化合物を調製することを含む、請求項62~74に記載の方法
【化22】
【請求項76】
前記式IXの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式IIIの化合物または前記式IVの化合物を塩素化剤と反応させて、式Vの化合物を得ることを含み、
【化23】
前記式Vの化合物において、前記化合物の周囲の括弧が、前記式Vの化合物が単離されていないことを示す、請求項62~75に記載の方法。
【請求項77】
前記塩素化剤が、ホスゲン、塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化オキサリル、クロロギ酸イソブチル(IBCF)、塩化ピバロイル(PivCl)、およびジフェニルホスフィン酸クロリド(DPPCl)からなる群から選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記塩素化剤が、ホスゲン、塩化オキサリル、または塩化チオニルである、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記式IXの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式Vの化合物を式VIの化合物と反応させて、
【化24】
式IIの化合物を得ることをさらに含む、請求項62~78に記載の方法
【化25】
【請求項80】
前記式IXの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式IIの化合物をアンモニアと反応させて、前記式Iの化合物を得ることをさらに含む、請求項62~79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記アンモニアが、溶媒中のアンモニアの溶液の形態、アンモニアガスが前記反応混合物中に通気されるガス形態のアンモニア、またはアンモニアがインサイチュで生成される水酸化アンモニウムもしくはアンモニウム塩の形態である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
アンモニアの前記インサイチュでの生成が、水酸化アンモニウムまたは前記アンモニウム塩を酸と反応させることを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
式IIの化合物をアンモニアと前記反応させることが、溶媒中で行われる、請求項80~82のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記溶媒がメタノール、エタノール、IPA、MeCN、THF、水、またはそれらの混合物を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記式Iの化合物を、アセトンを含む溶媒系から再結晶化して、前記式Iの化合物を固体として得ることをさらに含む、請求項62~84のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
前記溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
式Xの化合物を、
【化26】
還元剤で還元して、前記式IXの化合物を得ることをさらに含む、請求項62~86のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記還元剤が、水素化ジイソブチルアルミニウム、Red-Al、NaBH/BF、ポリメチルヒドロシロキサンを含むチタノセン、およびフェニルシランからなる群から選択される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記還元剤が水素化ジイソブチルアルミニウムである、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記式Xの化合物を前記還元することが、有機溶媒中で行われる、請求項87~89のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
前記溶媒が、トルエン、ジクロロメタン、2-メチルTHF、THF、TFT、MTBE、CPME、ヘプタン、またはそれらの混合物を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記式Xの化合物を前記還元することが、約-78℃~約0℃、約-60℃~約0℃、約-50℃~約-10℃、約40℃~約-10℃、約30℃~約-10℃、約-30℃~約-15℃、約25℃~約-15℃、または約-20℃で行われる、請求項87~91のいずれかに記載の方法。
【請求項93】
前記還元反応が、CuCl、CuI、CuTol、CuBr、CuF、Cu(II)Cl、DMAP、2,6-ルチジン、LiI、またはピリジンの存在下で行われる、請求項87~92のいずれかに記載の方法。
【請求項94】
式XIの化合物の不斉水素化を行なって、
【化27】
式Xの化合物を得ることをさらに含む、請求項62~93に記載の方法。
【請求項95】
前記不斉水素化が、水素化触媒の存在下で行われる、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記触媒が、Pd/C、Pd/Al、Pt/C、Ni(Raney)、Co(Raney)、Rh/C、Ir/C、Ru/C、Pd(OH)、均一系キラルRuおよびRhからなる群から選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記不斉水素化が、水素源を使用して行われる、請求項94~96のいずれかに記載の方法。
【請求項98】
前記水素源が、Hガス、メタノール中のNiCl/NaBH、EtSiHからなる群から選択される、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記不斉水素化が、触媒としてPd/Cを使用してHガスの存在下で行われる、請求項96~98のいずれかに記載の方法。
【請求項100】
前記不斉水素化反応が、約20~40バールで有機溶媒または溶媒混合物中で行われる、請求項94~99のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記溶媒が、IPA、EtOAc、MeOH、nBuOH、THF、MTBE、CPME、IPAc、nBuAc、トルエン、エタノール、またはそれらの混合物を含む、請求項102に記載の方法。
【請求項102】
前記不斉水素化反応が、TFA、AcOH、HSO、HPO、MSA、CsCO、CuCl、MgF、LiBr、CsF、ZnI、LiOTf、イミダゾール、KF、BuNOAc、またはNHBFを含む反応混合物中で行われる、請求項94~101のいずれかに記載の方法。
【請求項103】
式XIIIの化合物を、
【化28】
式XIIの化合物でエステル化して、
【化29】
前記式XIの化合物を得ることをさらに含む、請求項62~102のいずれかに記載の方法。
【請求項104】
式XIIの化合物とXIIIの化合物の間の前記エステル化反応が、カップリング剤または塩素化剤の存在下で行われる、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記カップリング剤が、CDIおよびT3Pからなる群から選択される、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記塩素化剤が、化合物XIIIを酸塩化物に変換し、これが前記式XIIの化合物と反応させる前に単離されない、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
前記塩素化剤が、塩化オキサリルおよび塩化チオニルから選択される、請求項104に記載の方法。
【請求項108】
式Iの化合物またはその塩を調製する方法であって、
【化30】
式XIの化合物を、
【化31】
前記式Iの化合物に変換することを含む、方法。
【請求項109】
前記式XIの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式XIの化合物の不斉水素化を行なって式Xの化合物を得ることを含む、請求項108に記載の方法
【化32】
【請求項110】
前記式XIの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式Xの化合物を還元剤で還元して、式IXの化合物を得ることをさらに含む、請求項108~109のいずれかに記載の方法
【化33】
【請求項111】
前記還元剤が、水素化ジイソブチルアルミニウム、Red-Al、NaBH/BF、ポリメチルヒドロシロキサンを含むチタノセン、およびフェニルシランからなる群から選択される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記還元剤が水素化ジイソブチルアルミニウムである、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記式Xの化合物を前記還元することが、有機溶媒中で行われる、請求項108~111のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
前記溶媒が、トルエン、ジクロロメタン、2-メチルTHF、THF、TFT、MTBE、CPME、ヘプタン、またはそれらの混合物を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
前記式Xの化合物を前記還元することが、約-78℃~約0℃、約-60℃~約0℃、約-50℃~約-10℃、約40℃~約-10℃、約30℃~約-10℃、約-30℃~約-15℃、約25℃~約-15℃、または約-20℃で行われる、請求項110~114に記載の方法。
【請求項116】
前記還元反応が、CuCl、CuI、CuTol、CuBr、CuF、Cu(II)Cl、DMAP、2,6-ルチジン、LiI、またはピリジンの存在下で行われる、請求項110~115に記載の方法。
【請求項117】
前記式XIの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式IXの化合物を酸無水物または酸塩化物とさらに反応させて、式VIIIの化合物を得て、
【化34】
式中、ORは、OC(=O)-Z、OC(=O)OZ、OC(=O)CH=CH-Z、またはOP(=O)Zであり、Zは、非置換アリール、またはCN、ハロ、NOによって置換されたアリール、または短鎖のアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、もしくはハロアルコキシ基であってもよく、前記短鎖は、1、2、3、または4個の炭素原子を含み、
シアノ化剤で、前記式VIIの化合物を得る、請求項108~116のいずれかに記載の方法。
【請求項118】
Zが、C~CアルキルまたはC~Cハロアルキル基である、請求項18に記載の方法。
【請求項119】
Zがフェニルおよびナフチルである、請求項18に記載の方法。
【請求項120】
前記式VIIIの化合物をシアノ化剤と反応させて、式VIIの化合物を得ることをさらに含む、請求項108~119に記載の方法
【化35】
【請求項121】
前記シアノ化剤が、トリメチルシリルシアニド、ジエチルアルミニウムシアニド、KCN、NaCN、TBACN、HCNからなる群から選択される、請求項108に記載の方法。
【請求項122】
前記シアノ化剤が、トリメチルシリルシアニドである、請求項108に記載の方法。
【請求項123】
化合物VIIIと前記シアノ化剤の間の前記反応が、ルイス酸の存在下で行われる、請求項118~120のいずれかに記載の方法。
【請求項124】
前記ルイス酸が、三フッ化ホウ素エチルエーテラート(BFOEt)、TiCl、InCl、AgSbF、ヨウ素、ZnBr、Al(OiPr)、MgCl、Mn(acac)、MnCl、TMSOTf、およびSnClからなる群から選択される、請求項121に記載の方法。
【請求項125】
前記ルイス酸がBFOEtである、請求項121に記載の方法。
【請求項126】
化合物VIIIと前記シアノ化剤の間の前記反応が、トルエン、ジクロロメタン、2-メチルTHF、アセトニトリル、メタノール、1,2-ジクロロエタン、ニトロメタン、またはそれらの混合物を含む溶媒中で行われる、請求項118~123に記載の方法。
【請求項127】
前記式VIIのシアノ化合物を加水分解して、式IIIの化合物を得ることをさらに含む、請求項108~124のいずれかに記載の方法
【化36】
【請求項128】
前記シアノ化合物の加水分解が、ニトリラーゼを使用して酵素的に加水分解される、請求項125に記載の方法。
【請求項129】
前記加水分解が、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ジオキサン、水、THF、またはそれらの混合物を含む溶媒中で行われる、請求項126に記載の方法。
【請求項130】
前記シアノ化合物の加水分解が、約25~約75℃、約30~約70℃、約35~約65℃、約40~約60℃、約45~約60℃、約50 約60℃、または約55℃で行われる、請求項125~127のいずれかに記載の方法。
【請求項131】
前記式IXの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、式IVの化合物を調製することを含む、請求項108~128に記載の方法
【化37】
【請求項132】
前記式IXの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式IIIの化合物または前記式IVの化合物を塩素化剤と反応させて、式Vの化合物を得ることを含み、
【化38】
前記式Vの化合物において、前記化合物の周囲の括弧が、前記式Vの化合物が単離されていないことを示す、請求項108~129のいずれかに記載の方法。
【請求項133】
前記塩素化剤が、ホスゲン、塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化オキサリル、クロロギ酸イソブチル(IBCF)、塩化ピバロイル(PivCl)、およびジフェニルホスフィン酸クロリド(DPPCl)からなる群から選択される、請求項130に記載の方法。
【請求項134】
前記塩素化剤が、ホスゲン、塩化オキサリル、または塩化チオニルである、請求項130~132のいずれかに記載の方法。
【請求項135】
前記式IXの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式Vの化合物を式VIの化合物と反応させて、
【化39】
式IIの化合物を得ることをさらに含む、請求項108~132に記載の方法
【化40】
【請求項136】
前記式IXの化合物を前記式Iの化合物に前記変換することが、前記式IIの化合物をアンモニアと反応させて、前記式Iの化合物を得ることをさらに含む、請求項108~133のいずれかに記載の方法。
【請求項137】
前記アンモニアが、溶媒中のアンモニアの溶液の形態、アンモニアガスが前記反応混合物中に通気されるガス形態のアンモニア、またはアンモニアがインサイチュで生成される水酸化アンモニウムもしくはアンモニウム塩の形態である、請求項134に記載の方法。
【請求項138】
アンモニアの前記インサイチュでの生成が、水酸化アンモニウムまたは前記アンモニウム塩を酸と反応させることを含む、請求項134に記載の方法。
【請求項139】
式IIの化合物をアンモニアと前記反応させることが、溶媒または溶媒混合物中で行われる、請求項134~136のいずれかに記載の方法。
【請求項140】
前記溶媒がメタノール、エタノール、IPA、MeCN、THF、水、またはそれらの混合物を含む、請求項137に記載の方法。
【請求項141】
前記式Iの化合物を、アセトンを含む溶媒系から再結晶化して、前記式Iの化合物を固体として得ることをさらに含む、請求項108~138のいずれかに記載の方法。
【請求項142】
前記溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項139に記載の方法。
【請求項143】
式IIの化合物のアンモニアとの前記反応が、メタノールまたはエタノールの存在下で行われる、請求項134~140のいずれかに記載の方法。
【請求項144】
式XIIIの化合物を、
【化41】
式XIIの化合物とカップリングさせて、
【化42】
前記式XIの化合物を得ることをさらに含む、請求項108~141のいずれかに記載の方法。
【請求項145】
式XIIの化合物とXIIIの化合物の間の前記カップリング反応が、カップリング剤または塩素化剤の存在下で行われる、請求項142に記載の方法。
【請求項146】
前記カップリング剤が、CDIおよびT3Pからなる群から選択される、請求項142に記載の方法。
【請求項147】
前記塩素化剤が、化合物XIIIを酸塩化物に変換し、これが前記式XIIの化合物と反応させる前に単離されない、請求項142に記載の方法。
【請求項148】
前記塩素化剤が、塩化オキサリルおよび塩化チオニルから選択される、請求項142に記載の方法。
【請求項149】
以下の式の化合物
【化43】
【請求項150】
以下の式を有する、請求項149に記載の化合物
【化44】
【請求項151】
以下の式を有する、請求項149に記載の化合物
【化45】
【請求項152】
式VIIの化合物
【化46】
【請求項153】
以下の式の化合物
【化47】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月4日に出願された米国仮特許出願第63/196,868号の優先権の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
疼痛は、健康な動物が組織損傷を回避し、損傷した組織へのさらなる損傷を防止することを可能にする保護機構である。それにもかかわらず、疼痛がその有用性を超えて持続する、または患者が疼痛の抑止から利益を得るであろう多くの状態がある。神経障害性疼痛は、感覚神経の損傷によって引き起こされる慢性疼痛の一形態である(Dieleman,J.P.,et al.,Incidence rates and treatment of neuropathic pain conditions in the general population. Pain,2008. 137(3): p. 681-8)。神経障害性疼痛は、神経への全身的な代謝損傷によって引き起こされる疼痛、および離散的神経損傷によって引き起こされる疼痛の二つのカテゴリーに分けることができる。代謝性神経障害には、帯状疱疹後神経障害、糖尿病性神経障害、および薬物誘発性神経障害が含まれる。離散的神経損傷の適応症には、切断後疼痛、術後神経損傷疼痛、および神経障害性背痛のような神経絞扼損傷が含まれる。
【0003】
電位依存性ナトリウムチャネル(Na)は、疼痛シグナル伝達に関与する。Naは、電気シグナル伝達の生物学的メディエーターであり、多くの興奮性細胞型(例えば、ニューロン、骨格筋細胞、心筋細胞)の活動電位の急速な上昇行程を媒介する。正常な生理機能、ナトリウムチャネル遺伝子における変異から生じる病理学的状態、動物モデルにおける前臨床研究、および既知のナトリウムチャネル調節剤の臨床薬理学におけるこれらのチャネルの役割についての証拠はすべて、痛感におけるNaの中心的な役割を示唆している(Rush,A.M. and T.R. Cummins,Painful Research: Identification of a Small-Molecule Inhibitor that Selectively Targets Na1.8 Sodium Channels. Mol. Interv.,2007. 7(4): p. 192-5)、England,S.,Voltage-gated sodium channels: the search for subtype-selective analgesics. Expert Opin. Investig. Drugs 17(12),p. 1849-64(2008)、Krafte,D. S. and Bannon,A. W.,Sodium channels and nociception: recent concepts and therapeutic opportunities. Curr. Opin. Pharmacol. 8(1),p. 50-56(2008))。Naは、多くの興奮性細胞型(例えば、ニューロン、骨格筋細胞、心筋細胞)の活動電位の急速な上昇行程を媒介し、したがって、それらの細胞におけるシグナル伝達の開始に関与する(Hille,Bertil,Ion Channels of Excitable Membranes,Third ed.(Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA,2001))。ニューロン信号の開始および伝播においてNaが果たす役割のため、Na電流を低減するアンタゴニストは、神経シグナル伝達を防止または低減することができ、Naチャネルは、高興奮性が観察される状態において疼痛を低減する可能性が高いと考えられてきた(Chahine,M.,Chatelier,A.,Babich,O.,and Krupp,J. J.,Voltage-gated sodium channels in neurological disorders. CNS Neurol. Disord. Drug Targets 7(2),p. 144-58(2008))。いくつかの臨床的に有用な鎮痛剤が、Naチャネルの阻害剤として特定されている。リドカインなどの局所麻酔薬は、Naチャネルを阻害することによって疼痛を遮断し、疼痛の低減に効果的であることが証明されているカルバマゼピン、ラモトリギン、および三環系抗うつ薬などの他の化合物も、ナトリウムチャネル阻害によって作用することが示唆されている(Soderpalm,B.,Anticonvulsants: aspects of their mechanisms of action. Eur. J. Pain 6 Suppl. A,p. 3-9(2002)、Wang,G. K.,Mitchell,J.,and Wang,S. Y.,Block of persistent late Na currents by antidepressant sertraline and paroxetine. J. Membr. Biol. 222(2),p. 79-90(2008))。
【0004】
Naは、電位依存性イオンチャネルスーパーファミリーのサブファミリーを形成し、Na1.1~Na1.9と称される9つのアイソフォームを含む。9つのアイソフォームの組織局在性は異なる。Na1.4は骨格筋の一次ナトリウムチャネルであり、Na1.5は心筋細胞の一次ナトリウムチャネルである。Na1.7、1.8、および1.9は、主に末梢神経系に局在し、Na1.1、1.2、1.3、および1.6は、中枢神経系および末梢神経系の両方に見られるニューロンチャネルである。9つのアイソフォームの機能的挙動は類似しているが、それらの電位依存性および動力学的挙動の詳細においては別個である(Catterall,W. A.,Goldin,A. L.,and Waxman,S. G.,International Union of Pharmacology. XLVII. Nomenclature and structure-function relationships of voltage-gated sodium channels. Pharmacol. Rev. 57(4),p. 397(2005))。
【0005】
それらの発見時に、Na1.8チャネルは、鎮痛の標的である可能性が高いと特定された(Akopian,A.N.,L. Sivilotti,and J.N. Wood,A tetrodotoxin-resistant voltage-gated sodium channel expressed by sensory neurons. Nature,1996. 379(6562): p. 257-62)。その後、NaV1.8は、小さな後根神経節(DRG)ニューロンにおいて活動電位発火を維持するナトリウム電流の担体であることが示されている(Blair,N.T. and B.P. Bean,Roles of tetrodotoxin(TTX)-sensitive Na+ current,TTX-resistant Na current,and Ca2+ current in the action potentials of nociceptive sensory neurons. J. Neurosci.,2002. 22(23): p. 10277-90)。Na1.8は、神経障害性疼痛を引き起こすもののような、損傷したニューロンにおける自然発火に関与する(Roza,C.,et al.,The tetrodotoxin-resistant Na channel Na1.8 is essential for the expression of spontaneous activity in damaged sensory axons of mice. J. Physiol.,2003. 550(Pt 3): p. 921-6、Jarvis,M.F.,et al.,A-803467,a potent and selective Na1.8 sodium channel blocker,attenuates neuropathic and inflammatory pain in the rat. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A,2007. 104(20): p. 8520-5、Joshi,S.K.,et al.,Involvement of the TTX-resistant sodium channel Na1.8 in inflammatory and neuropathic,but not post-operative,pain states. Pain,2006. 123(1-2): pp. 75-82、Lai,J.,et al.,Inhibition of neuropathic pain by decreased expression of the tetrodotoxin-resistant sodium channel,Na1.8. Pain,2002. 95(1-2): p. 143-52、Dong,X.W.,et al.,Small interfering RNA-mediated selective knockdown of Na1.8 tetrodotoxin-resistant sodium channel reverses mechanical allodynia in neuropathic rats. Neuroscience,2007. 146(2): p. 812-21、Huang,H.L.,et al.,Proteomic profiling of neuromas reveals alterations in protein composition and local protein synthesis in hyper-excitable nerves. Mol. Pain,2008. 4: p. 33、Black,J.A.,et al.,Multiple sodium channel isoforms and mitogen-activated protein kinases are present in painful human neuromas. Ann. Neurol.,2008. 64(6): p. 644-53、Coward,K.,et al.,Immunolocalization of SNS/PN3 and NaN/SNS2 sodium channels in human pain states. Pain,2000. 85(1-2): p. 41-50、Yiangou,Y.,et al.,SNS/PN3 and SNS2/NaN sodium channel-like immunoreactivity in human adult and neonate injured sensory nerves. FEBS Lett.,2000. 467(2-3): p. 249-52、Ruangsri,S.,et al.,Relationship of axonal voltage-gated sodium channel 1.8(Na1.8)mRNA accumulation to sciatic nerve injury-induced painful neuropathy in rats. J. Biol. Chem. 286(46): p. 39836-47)。Na1.8が発現される小さなDRGニューロンは、疼痛シグナル伝達に関与する侵害受容器を含む。Na1.8は、後根神経節の小さなニューロンにおいて大きな振幅の活動電位を媒介する(Blair,N.T. and B.P. Bean,Roles of tetrodotoxin(TTX)-sensitive Na current,TTX-resistant Na current,and Ca2+ current in the action potentials of nociceptive sensory neurons. J. Neurosci.,2002. 22(23): p. 10277-90)。Na1.8は、侵害受容器における急速な反復活動電位、および損傷したニューロンの自発活動に必要である。(Choi,J.S. and S.G. Waxman,Physiological interactions between Na1.7 and Na1.8 sodium channels: a computer simulation study. J. Neurophysiol. 106(6): p. 3173-84、Renganathan,M.,T.R. Cummins,and S.G. Waxman,Contribution of Na()1.8 sodium channels to action potential electrogenesis in DRG neurons. J. Neurophysiol.,2001. 86(2): p. 629-40、Roza,C.,et al.,The tetrodotoxin-resistant Na channel Na1.8 is essential for the expression of spontaneous activity in damaged sensory axons of mice. J. Physiol.,2003. 550(Pt 3): p. 921-6)。脱分極または損傷したDRGニューロンにおいて、Na1.8は過剰興奮性の駆動因子であると思われる(Rush,A.M.,et al.,A single sodium channel mutation produces hyper- or hypoexcitability in different types of neurons. Proc. Natl. Acad. Sci. USA,2006. 103(21): p. 8245-50)。一部の動物疼痛モデルでは、Na1.8 mRNA発現レベルは、DRGにおいて増加することが示されている(Sun,W.,et al.,Reduced conduction failure of the main axon of polymodal nociceptive C-fibers contributes to painful diabetic neuropathy in rats. Brain,135(Pt 2): p. 359-75、Strickland,I.T.,et al.,Changes in the expression of Na1.7,Na1.8 and Na1.9 in a distinct population of dorsal root ganglia innervating the rat knee joint in a model of chronic inflammatory joint pain. Eur. J. Pain,2008. 12(5): p. 564-72、Qiu,F.,et al.,Increased expression of tetrodotoxin-resistant sodium channels Na1.8 and Na1.9 within dorsal root ganglia in a rat model of bone cancer pain. Neurosci. Lett.,512(2): p. 61-6)。
一部の既知のNa阻害剤の主な欠点は、それらの不十分な治療濃度域であり、これは、アイソフォーム選択性の欠如の結果である可能性が高い。Na1.8は本来、疼痛を感知するニューロンに限定されるため、選択的Na1.8ブロッカーは、非選択的Naブロッカーに共通する有害事象を誘発する可能性が低い。それ故に、追加のNaチャネル調節因子、好ましくは、非常に強力かつNaV1.8に対して選択的であるものを開発する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Dieleman,J.P.,et al.,Incidence rates and treatment of neuropathic pain conditions in the general population. Pain,2008. 137(3): p. 681-8
【非特許文献2】Rush,A.M. and T.R. Cummins,Painful Research: Identification of a Small-Molecule Inhibitor that Selectively Targets NaV1.8 Sodium Channels. Mol. Interv.,2007. 7(4): p. 192-5)
【非特許文献3】England,S.,Voltage-gated sodium channels: the search for subtype-selective analgesics. Expert Opin. Investig. Drugs 17(12),p. 1849-64(2008)
【非特許文献4】Krafte,D. S. and Bannon,A. W.,Sodium channels and nociception: recent concepts and therapeutic opportunities. Curr. Opin. Pharmacol. 8(1),p. 50-56(2008)
【非特許文献5】Hille,Bertil,Ion Channels of Excitable Membranes,Third ed.(Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA,2001)
【非特許文献6】Chahine,M.,Chatelier,A.,Babich,O.,and Krupp,J. J.,Voltage-gated sodium channels in neurological disorders. CNS Neurol. Disord. Drug Targets 7(2),p. 144-58(2008)
【非特許文献7】Soderpalm,B.,Anticonvulsants: aspects of their mechanisms of action. Eur. J. Pain 6 Suppl. A,p. 3-9(2002)
【非特許文献8】Wang,G. K.,Mitchell,J.,and Wang,S. Y.,Block of persistent late Na+ currents by antidepressant sertraline and paroxetine. J. Membr. Biol. 222(2),p. 79-90(2008)
【非特許文献9】Catterall,W. A.,Goldin,A. L.,and Waxman,S. G.,International Union of Pharmacology. XLVII. Nomenclature and structure-function relationships of voltage-gated sodium channels. Pharmacol. Rev. 57(4),p. 397(2005)
【非特許文献10】Akopian,A.N.,L. Sivilotti,and J.N. Wood,A tetrodotoxin-resistant voltage-gated sodium channel expressed by sensory neurons. Nature,1996. 379(6562): p. 257-62
【非特許文献11】Blair,N.T. and B.P. Bean,Roles of tetrodotoxin(TTX)-sensitive Na+ current,TTX-resistant Na+ current,and Ca2+ current in the action potentials of nociceptive sensory neurons. J. Neurosci.,2002. 22(23): p. 10277-90
【非特許文献12】Roza,C.,et al.,The tetrodotoxin-resistant Na+ channel NaV1.8 is essential for the expression of spontaneous activity in damaged sensory axons of mice. J. Physiol.,2003. 550(Pt 3): p. 921-6
【非特許文献13】Jarvis,M.F.,et al.,A-803467,a potent and selective NaV1.8 sodium channel blocker,attenuates neuropathic and inflammatory pain in the rat. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A,2007. 104(20): p. 8520-5
【非特許文献14】Joshi,S.K.,et al.,Involvement of the TTX-resistant sodium channel NaV1.8 in inflammatory and neuropathic,but not post-operative,pain states. Pain,2006. 123(1-2): pp. 75-82
【非特許文献15】Lai,J.,et al.,Inhibition of neuropathic pain by decreased expression of the tetrodotoxin-resistant sodium channel,NaV1.8. Pain,2002. 95(1-2): p. 143-52
【非特許文献16】Dong,X.W.,et al.,Small interfering RNA-mediated selective knockdown of NaV1.8 tetrodotoxin-resistant sodium channel reverses mechanical allodynia in neuropathic rats. Neuroscience,2007. 146(2): p. 812-21
【非特許文献17】Huang,H.L.,et al.,Proteomic profiling of neuromas reveals alterations in protein composition and local protein synthesis in hyper-excitable nerves. Mol. Pain,2008. 4: p. 33
【非特許文献18】Black,J.A.,et al.,Multiple sodium channel isoforms and mitogen-activated protein kinases are present in painful human neuromas. Ann. Neurol.,2008. 64(6): p. 644-53
【非特許文献19】Coward,K.,et al.,Immunolocalization of SNS/PN3 and NaN/SNS2 sodium channels in human pain states. Pain,2000. 85(1-2): p. 41-50
【非特許文献20】Yiangou,Y.,et al.,SNS/PN3 and SNS2/NaN sodium channel-like immunoreactivity in human adult and neonate injured sensory nerves. FEBS Lett.,2000. 467(2-3): p. 249-52
【非特許文献21】Ruangsri,S.,et al.,Relationship of axonal voltage-gated sodium channel 1.8(NaV1.8)mRNA accumulation to sciatic nerve injury-induced painful neuropathy in rats. J. Biol. Chem. 286(46): p. 39836-47
【非特許文献22】Blair,N.T. and B.P. Bean,Roles of tetrodotoxin(TTX)-sensitive Na+ current,TTX-resistant Na+ current,and Ca2+ current in the action potentials of nociceptive sensory neurons. J. Neurosci.,2002. 22(23): p. 10277-90
【非特許文献23】Choi,J.S. and S.G. Waxman,Physiological interactions between NaV1.7 and NaV1.8 sodium channels: a computer simulation study. J. Neurophysiol. 106(6): p. 3173-84
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【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は、式Iの化合物
【化1】
およびその薬学的に許容される塩を調製する方法に関する。
【0008】
第二の実施形態では、方法は、本明細書に記載の反応ステップに従って、式II~VおよびVII~XXIの化合物のいずれかを式Iの化合物に変換することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、化合物III AMB塩の形態AのX線回折パターンを示す。
図2図2は、式IVのキニン塩の形態AのX線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一つの実施形態では、当業者は、スキーム1および2に示される反応に従って、式II~VおよびVII~XXIの任意の化合物から開始して、式Iの化合物、または式II~VおよびVII~XXの中間化合物のいずれかを調製することができる。
【化2】
【化3】
【0011】
本明細書に記載される方法ステップは、式II~VおよびVII~XXIの開始化合物を式Iの化合物に変換することを指し得る。当業者であれば、こうした方法を使用して、任意の開始化合物と式Iの化合物の間の任意の中間体も調製することができることを理解するであろう。例えば、式IIIの化合物から式Iの化合物への変換は、中間化合物II、IV、Vを経る。そうであるため、当業者であれば、式IIIの化合物を式Iの化合物に変換するために記載される方法を使用して、式IIIの化合物から中間化合物II、IV、およびVのうちのいずれかを調製することができることを理解するであろう。同様に、式IXの化合物から式Iの化合物への変換は、中間化合物II~V、VII、およびVIIIの調製を経る。かくして、当業者であれば、式IXの化合物を式Iの化合物に変換するために記載される方法を使用して、式IXの化合物から開始して中間化合物II~V、VII、およびVIIIのうちのいずれかを調製することができる、または本明細書に記載される方法を使用して、任意の中間化合物を、所望の中間化合物に変換することができることを理解するであろう。したがって、本出願は、任意の中間体または調製される中間体に先行する出発物質から開始して、中間化合物II~VおよびVII~XXIを調製することを企図する。例えば、中間化合物IIは、化合物III~VおよびVII~XXIのいずれかから開始して調製されてもよい。同様に、化合物VIIは、化合物VIII~XXIのいずれかから開始して調製されてもよい。
【0012】
一つの実施形態では、本出願は、式IIIの化合物、
【化4】
またはその塩を、式Iの化合物に変換する方法を提供する。
【0013】
一部の実施形態では、式IIIの化合物を式Iの化合物に変換する方法は、式IVの化合物を調製することを含む:
【化5】
【0014】
式IVの化合物は、極性溶媒を含む溶媒中で式IIIの化合物をキニンと反応させることによって、式IIIの化合物から直接調製されてもよい。一部の実施形態では、式IVの化合物は、式IIIの化合物およびキニンを極性溶媒を含む溶媒中に溶解または懸濁することによって調製されてもよい。一部の実施形態では、溶媒は、DCMおよびヘプタン;トルエン、EtOAcおよびヘプタン;MTBE、アセトニトリルおよびヘプタン;2-MeTHFおよびヘプタン、またはMEKおよびヘプタンを含む。他の実施形態では、溶媒は、DCM、ヘプタン、トルエン、EtOAc、MTBE、アセトニトリル、2-MeTHF、またはMEKを含む。
【0015】
一部の実施形態では、式IVの化合物は、まず式IIIの化合物を塩(例えば、式IIIの化合物と1-フェニルエチルアミンの塩)に変換し、続いて、当業者に既知の任意の方法を使用して、こうした塩をキニン塩に変換することによって調製される。さらに、化合物IIIの塩(例えば、式IIIの化合物の1-フェニルエチルアミン塩)を、まず遊離塩基に変換して、その後、後者を化合物IIIのキニン塩(すなわち、式IVの化合物)に変換してもよい。
【化6】
【0016】
化合物IIIは、化合物IIIとVIの間のエステル化反応を介して化合物Iに変換されてもよい。エステル化反応は、式Vの中間化合物を介して行われてもよい。あるいは、化合物IIを得るための化合物VIと化合物IIIのエステル化は、カップリング剤を介して、塩素化剤を使用することなく行われてもよい。
【0017】
一部の実施形態では、式IIIの化合物を式Iの化合物に変換する方法は、式IIIの化合物またはその塩(式IVの化合物または式IIIの化合物の(R)-1-フェニルエチルアミン塩など)を塩素化剤と反応させて、式Vの化合物を得ることを含む。
【化7】
式Vの化合物において、化合物の周囲の括弧は、式Vの化合物が単離されない場合があることを示す。
【0018】
式IIIおよびIVの化合物の混合物はまた、式Vの化合物を経てもよい、または経なくてもよいカップリング反応を介して、式IIの化合物に変換されてもよい。一部の実施形態では、混合物は、まず式Vの化合物に変換され、続いて、本出願の他の箇所に記載されるように、式Vの化合物と式VIの化合物の間の反応が行われる。他の実施形態では、式IIIおよびIVの化合物の混合物は、カップリング反応を介して式IIの化合物に変換されてもよく、カップリング反応は、混合物中の式IVの化合物が、まず式IIIの遊離酸に変換されてから、酸を式VIの化合物とカップリングするステップを含む。
【0019】
化合物IIIまたはその塩の塩素化に適した任意の塩素化剤が使用されてもよい。一部の実施形態では、塩素化剤は、塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、オキシ塩化リン、五塩化リン、ホスゲン、塩化オキサリル、クロロギ酸イソブチル(IBCF)、塩化ピバロイル(PivCl)、またはジフェニルホスフィン酸クロリド(DPPCl)である。一部の実施形態では、塩素化剤はホスゲンである。
【0020】
化合物IIIと塩素化剤の間の反応は、非求核塩基の存在下で行われてもよい。任意の好適な非求核塩基を使用して、塩素化反応によって生成されたHClを捕捉してもよい。
【0021】
好適な非求核塩基は、典型的には、アミン塩基の窒素がH原子を担持しない三級アミンまたは芳香族アミンである。非求核塩基は、立体障害のために非求核性である嵩高い塩基であってもよい。好適な塩基の例としては、ヒューニッヒ塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、ピリジン、ブチルアミン、もしくは1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノン-5-エン、またはそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、化合物IIIと塩素化剤の間の反応は、約90℃以下の温度で行われる。一部の実施形態では、化合物IIIまたはその塩と式VIの化合物の間のエステル化反応は、約60℃、約70℃、または約80℃以下の温度で行われてもよい。他の実施形態では、化合物IIIまたはその塩と式VIの化合物の間のエステル化反応は、約70℃以下の温度で行われてもよい。
【0022】
さらなる実施形態では、式IIIの化合物を式Iの化合物に変換する方法は、式IIIまたはIVの化合物をハロゲン化して式Vの化合物を得てから、式Vの化合物を式VIの化合物でエステル化し、
【化8】
式IIの化合物を得ることを含む。
【化9】
【0023】
エステル化反応は、DCM、トルエン、MeCN、EtOAc、2-メチルTHF、CHCl、IPAc、またはそれらの混合物を含む溶媒中で行われてもよい。エステル化反応は、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCl)、またはプロピルホスホン酸無水物(T3P)の存在下で行われてもよい。一部の実施形態では、エステル化反応は、トリメチルアミン、N-メチルイミダゾール、ピリジン、4-メチルモルホリン、ヒューニッヒ塩基、DABCO、およびNaOHなどからなる群から選択される塩基の存在下で行われてもよい。さらなる実施形態では、塩基は、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、エチルジプロピルアミン、およびそれらの様々なアルキル組み合わせなど、任意のC1~C4アルキル三級アミンであってもよい。
【0024】
(式Vの酸塩化物を介した、またはカップリング剤を使用した化合物IIIとVIの間に直接)エステル化反応の完了後、式IIの化合物は、例えば、メタノールもしくは水、またはそれらの混合物を含む溶媒からそれを再結晶することによって精製されてもよい。二つの溶媒の他の好適な組み合わせとしては、エタノール/水、トルエン/ヘプタン、IPA/水などが挙げられる。これらの組み合わせのいずれかにおいて、式IIの化合物は、一つの溶媒に沸騰温度または沸騰温度付近で溶解され、その後、溶液が濁るまで第二の溶媒が添加される。濁った懸濁液を室温まで冷まし(または氷浴で冷却し)、その後で固体を濾過する。
【0025】
一部の実施形態では、式IIIの化合物を式Iの化合物に変換する方法は、式IIの化合物をアンモニアと反応させて式Iの化合物を得ることを含むアミド化反応をさらに含む。一部の実施形態では、アミド化反応は溶媒中で行われてもよい。一部の実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノール、IPA、MeCN、THF、2-MeTHF、水、またはそれらの混合物である。式Iの化合物を得るための式IIの化合物のアミド化は、弱い非求核塩基の存在下で行われてもよい。アミド化反応の添加剤として好適な塩基の例としては、Mg(OMe)、CaCl、DIPEA、およびKCOが挙げられる。
【0026】
アミド化反応は、反応溶媒中のアンモニアの溶液、気体形態のアンモニア(すなわち、アンモニアガスを反応溶液に通気することによって)、またはアンモニアがインサイチュで生成される水酸化アンモニウムもしくはアンモニウム塩(塩化物など)の形態(例えば、水酸化アンモニウムを酸で中和することによって)を使用して行われてもよい。
【0027】
式Iの化合物は、アセトンを含む溶媒系から再結晶化されて、式Iの化合物を固体として得てもよい。一部の実施形態では、再結晶溶媒系は、アセトンおよび水を含む。他の実施形態では、再結晶溶媒は、IPAまたは以下の対の溶媒、すなわち、酢酸エチル/ヘプタン、IPA/水、エタノール/水、酢酸イソプロピル/ヘプタンを含んでもよい。
【0028】
当業者は、式Iの化合物を調製するために使用される式IIIの化合物を作製する方法を考案し得るが、本出願の発明者らは、以下のプロセスを使用して式IIIの化合物を調製することを企図する。
【0029】
一つの実施形態では、式IIIの化合物は、式VIIのシアノ化合物を加水分解することによって取得され、
【化10】
式IIIの化合物を得ることができる。式VIIの化合物中の他の官能基に影響を与えることなく、CN基を加水分解するのに好適な任意の塩基または酸が使用されてもよい。一つの実施形態では、強塩基(NaOH、KOHなど)または強酸(HCl、硫酸など)が使用されてもよい。一つの実施形態では、式VIIの化合物中のCN基は、ニトリラーゼを使用して酵素的に加水分解される。式VIIの化合物のCN加水分解は、溶媒または溶媒混合物中で行われてもよい。例えば、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ジオキサン、水、THF、またはそれらの混合物が使用されてもよい。加水分解反応は、約25~75℃、約30~70℃、約35~65℃、約40~60℃、約45~60℃、約50~60℃、または約55℃で行われてもよい。本段落で使用される場合、温度範囲の前の「約」という用語は、範囲の両端に適用される。また、±2.5℃を意味する。
【0030】
式VIIの化合物は、式VIIIの化合物を反応させることによって得られてもよく、
【化11】
式中、ORは脱離基であり、
シアノ化剤(例えば、トリメチルシリルシアニド、ジエチルアルミニウムシアニド、KCN、NaCN、TBACN、HCNなど)で、式VIIの化合物を得る。一つの実施形態では、シアノ化剤(例えば、トリメチルシリルシアニド)と式VIIIの化合物の間の反応は、ルイス酸の存在下で行われてもよい。一部の実施形態では、ルイス酸は、三フッ化ホウ素エチルエーテラート(BFOEt)、TiCl、InCl、AgSbF、ヨウ素、ZnBr、Al(OiPr)、MgCl、Mn(acac)、MnCl、TMSOTf、SnCl、ZnBr、Al(OiPr)、ZnCl、FeCl、Cu(NO26O、Fe(OAc)、ScClなどである。さらなる実施形態では、ルイス酸はBFOEtである。シアノ化反応は、有機溶媒、例えば、トルエン、ジクロロメタン、2-メチルTHF、アセトニトリル、メタノール、1,2-ジクロロエタン、ニトロメタン、CPME、MTBE、DMAc、t-BuOAcなどの中で行われてもよい。
【0031】
式VIIIの化合物において、ORは脱離基である。一部の実施形態では、化合物VIII上の脱離基ORは、式OC(=O)-Z、OC(=O)OZ、OC(=O)CH=CH-Z、またはOP(=O)Zの基であり、式中、Zは、非置換アリール、またはCN、ハロ、NOによって置換されたアリール、または短鎖アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、もしくはハロアルコキシ基であってもよく、短鎖は、1、2、3、もしくは4個の炭素原子を含む。あるいは、Zは、短鎖(すなわち、1~4個の炭素原子を有する)アルキルまたはハロアルキル基である。アリール基の例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0032】
式IXの化合物は、式IXの化合物にR基を導入することによって、式VIIの化合物に変換されてもよく、
【化12】
結果として生じる化合物(化合物VIII)は、脱離基ORを含有する。当業者であれば、式IXの化合物の水酸基を、任意のOR脱離基に変換してから、OR基をCNで置換し得ることを理解するであろう。
【0033】
一部の実施形態では、式VIIIの化合物は、式IXのアルコールを酸無水物または酸塩化物と反応させて、式VIIIの化合物を得ることによって取得されてもよい。式IXの化合物は、極性溶媒(トルエン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ピリジン、クロロホルム、アセトニトリル、THF、2-MeTHF、EtOAc、IPAC、またはそれらの組み合わせなど)中、非求核塩基(TEA、ピリジン、ヒューニッヒ塩基、KCO、NaCO3、NaHCO、2,6-ルチジン、NMM、DABCOなど)の存在下で、好適な酸塩化物と反応させることによって、化合物VIIIに変換されてもよい。式VIIIの化合物のエステル(炭酸塩を含む)の例としては、以下が挙げられる。
【化13】
【0034】
式IXの化合物は、式Xの化合物を、
【化14】
好適な還元剤(例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム、Red-Al、NaBH/BF、ポリメチルヒドロシロキサンまたはフェニルシランを含むチタノセン、スーパーヒドリド、L-selectride、Li(tBuO)AlHなど)で還元することによって取得されてもよい。還元反応は、有機溶媒または溶媒混合物中で行われてもよい。好適な溶媒としては、トルエン、ジクロロメタン、2-メチルTHF、THF、TFT、MTBE、CPME、ヘプタン、またはそれらの混合物が挙げられる。反応は、室温未満、例えば、約-78℃~0℃、約-60℃~0℃、約-50℃~-10℃、約-40℃~-10℃、約-30℃~-10℃、約-30℃~-15℃、約-25℃~-15℃、または約-20℃で行われてもよい。還元反応は、CuCl、CuI、CuTol、CuBr、CuF、Cu(II)Cl、DMAP、2,6-ルチジン、LiI、またはピリジンの存在下で行われてもよい。
【0035】
式Xの化合物は、式XIの化合物の不斉水素化を介して取得され、
【化15】
式Xの化合物を得ることができる。不斉水素化反応は、任意の水素化触媒によって触媒されてもよい。水素化触媒の例としては、任意の好適な水素源を使用した、Pd/C、Pd/Al、Pt/C、Pt/Si、Ni(Raney)、Co(Raney)、Rh/C、Ir/C、Ru/C、Pd(OH)、均一系キラルRuおよびRhが挙げられる。好適な水素源の例としては、Hガス、メタノール中のNiCl/NaBH、EtSiHなどが挙げられる。一部の実施形態では、水素ガスおよびPd/C(触媒)が使用される。不斉水素化反応は、有機溶媒中、約20~40バールで行われてもよい。より低い圧力が高温で使用されてもよく、またその逆も可能である。例えば、約5バールは約40℃で好適である場合がある。逆に、約15~20バールは約30℃で好適である場合がある。当業者は、所望の結果を得るために、圧力、温度、および反応時間を調和させることができる。不斉水素化反応は、有機溶媒または溶媒混合物中で行われてもよい。一つの実施形態では、有機溶媒は、IPA、EtOAc、MeOH、nBuOH、THF、MTBE、CPME、IPAc、nBuAc、トルエン、エタノール、またはそれらの混合物である。不斉水素化反応は、クエン酸、安息香酸、TFA、AcOH、HSO、HPO、MSA、CsCO、CuCl、MgF、LiBr、CsF、ZnI、LiOTf、イミダゾール、KF、BuNOAc、またはNHBFの存在下で行われてもよい。
【0036】
別の実施形態では、式Xの化合物は、式XIの化合物の水素化反応を介して取得され、
【化16】
式Xの化合物を得ることができる。水素化反応は、任意の水素化触媒によって触媒されてもよい。水素化触媒の例としては、任意の好適な水素源を使用した、Pd/C、Pd/Al、Pt/C、Pt/Si、Ni(Raney)、Co(Raney)、Rh/C、Ir/C、Ru/C、Pd(OH)が挙げられる。好適な水素源の例としては、Hガス、メタノール中のNiCl/NaBH、EtSiHなどが挙げられる。一部の実施形態では、水素ガスおよびPd/C(触媒)が使用される。水素化反応は、有機溶媒中、約20~40バールで行われてもよい。より低い圧力が高温で使用されてもよく、またその逆も可能である。例えば、約5バールは約40℃で好適である場合がある。逆に、約15~20バールは約30℃で好適である場合がある。当業者は、所望の結果を得るために、圧力、温度、および反応時間を調和させることができる。水素化反応は、有機溶媒または溶媒混合物中で行われてもよい。一つの実施形態では、有機溶媒は、IPA、EtOAc、MeOH、nBuOH、THF、MTBE、CPME、IPAc、nBuAc、トルエン、エタノール、またはそれらの混合物である。水素化反応は、クエン酸、安息香酸、TFA、AcOH、HSO、HPO、MSA、CsCO、CuCl、MgF、LiBr、CsF、ZnI、LiOTf、イミダゾール、KF、BuNOAc、またはNHBFの存在下で行われてもよい。
【0037】
あるいは、式Xの化合物は、QPhosの存在下、強力な非求核塩基(LiHMDSなど)およびPd触媒(ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)など)の存在下で、式XXIVの化合物を1-ブロモ-3,4-ジフルオロ-2-メトキシベンゼンとカップリングして、式XXIIIの化合物を得ることによって調製されてもよく、式中、R1は=OMeであり、R2およびR3はFである。スキーム3を参照されたい。式XXIIIの化合物の異性化により、式IIIの化合物が得られる。
【化17】
【0038】
式XIの化合物は、式XIIIの化合物を、
【化18】
式XIIの化合物とカップリングすることによって取得され、
【化19】
式XIの化合物を得ることができる。式XIIの化合物とXIIIの化合物の間のカップリング反応は、カップリング剤または塩素化剤の存在下で行われる。式XIIの化合物とXIIIの化合物の間の反応に適したカップリング剤の例としては、CDI、T3Pなどが挙げられる。式XIIの化合物とXIIIの化合物の間のカップリング反応は、弱塩基または非求核塩基の存在下で行われてもよい。式XIIの化合物とXIIIの化合物の間のカップリング反応に適した弱塩基または非求核塩基の例としては、イミダゾール、DIPEA、TEA、NMM、TBD、NaCO、KPO、DBU、DABCO、およびMTBDが挙げられる。一部の実施形態では、弱塩基または非求核塩基は、イミダゾール、DIPEA、TEA、NMM、またはTBDである。式XIIの化合物とXIIIの化合物の間のカップリング反応は、極性非プロトン性溶媒中で行われてもよい。本出願の特許請求の範囲に好適であり得る極性非プロトン性溶媒の例としては、MTBE、トルエン、EtOAc、MeCN、THF、DMC、MeOAc、NMP、DMF、DMSO、THF、2-MeTHF、およびそれらの組み合わせを含む溶媒が挙げられる。式XIIの化合物とXIIIの化合物の間のカップリング反応は、約20℃~約60℃、約25℃~約55℃、約30℃~約50℃、約30℃~約45℃、約30℃~約40℃、または約35℃で行われ得る。本段落で使用される場合、「約」という用語は、±2.5℃を意味する。
【0039】
塩素化剤を使用する場合、式XIIIの化合物の酸塩化物がまず調製され、その後、酸塩化物を式XIIの化合物と反応させる。これに関して、式XIIIの化合物の酸塩化物を、式XIIの化合物とカップリングする前に単離する必要はない。式XIIの化合物を式XIIIの化合物とカップリングするのに適した塩素化剤の例としては、塩化オキサリル、塩化チオニル、ホスゲンなどが挙げられる。
【0040】
あるいは、式IIIの化合物は、式XIVの化合物を酸化することによって調製されてもよく、
【化20】
式IIIの化合物を得る。
【0041】
式XIVの化合物は、式XVIの化合物の閉環によって取得されてもよく、
【化21】
式XVの化合物を得て、
【化22】
続いて、式XVの化合物を脱保護して、式XIVの化合物を得る。一つの実施形態では、閉環反応は、非求核塩基の存在下で、化合物XVIを塩化メタンスルホニルまたは類似の塩素化剤と反応させることを含む。一つの実施形態では、非求核塩基は三級アミンである。閉環反応は、約-5℃~約5℃で行われてもよい。一部の実施形態では、反応は約-5℃~約5℃で行われる。化合物XVの脱保護は、水素化触媒(例えば、Pd/C触媒または類似の触媒)の存在下で、式XVの化合物をHと反応させて、式XIVの化合物を得ることを含み得る。
【0042】
一つの実施形態では、本出願は、式IXの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式IXの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0043】
本出願の別の実施形態は、式Xの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式Xの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。本出願の別の実施形態は、式Xの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式Xの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0044】
本出願の別の実施形態は、式XXIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XXIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0045】
本出願の別の実施形態は、式XXの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XXの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0046】
本出願の別の実施形態は、式XIXの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XIXの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0047】
本出願の別の実施形態は、式XVIIIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XVIIIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0048】
本出願の別の実施形態は、式XVIIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XVIIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0049】
本出願の別の実施形態は、式XVIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XVIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0050】
本出願の別の実施形態は、式XVの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XVの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0051】
本出願の別の実施形態は、式XIVの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XIVの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0052】
本出願の別の実施形態は、式XIIIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XIIIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0053】
本出願の別の実施形態は、式XIIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XIIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0054】
本出願の別の実施形態は、式XIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式XIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0055】
本出願の別の実施形態は、式Xの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式Xの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0056】
本出願の別の実施形態は、式IXの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式IXの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0057】
本出願の別の実施形態は、式VIIIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式VIIIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0058】
本出願の別の実施形態は、式VIIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式VIIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0059】
本出願の別の実施形態は、式Vの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式Vの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0060】
本出願の別の実施形態は、式IVの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式IVの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0061】
本出願の別の実施形態は、式IIIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式IIIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0062】
本出願の別の実施形態は、式IIの化合物を式Iの化合物に変換するための本明細書に記載の方法を使用して、式IIの化合物を変換することを含む、式Iの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0063】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、式II~VおよびVII~XXIの中間化合物を調製するための方法を対象とする。
【0064】
一つの実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、式III~VおよびVII~XXIの化合物のいずれかを式IIの化合物に変換することを含む、式IIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0065】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、式IV~VおよびVII~XXIの化合物のいずれかを式IIIの化合物に変換することを含む、式IIIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0066】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、式VおよびVII~XXIの化合物のいずれかを式IVの化合物に変換することを含む、式IVの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0067】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、VII~XXIの化合物のいずれかを式Vの化合物に変換することを含む、式Vの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0068】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、VIII~XXIの化合物のいずれかを式VIIの化合物に変換することを含む、式VIIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0069】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、IX~XXIの化合物のいずれかを式VIIIの化合物に変換することを含む、式VIIIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0070】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、X~XXIの化合物のいずれかを式IXの化合物に変換することを含む、式IXの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0071】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XI~XXIの化合物のいずれかを式Xの化合物に変換することを含む、式Xの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0072】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XII~XXIの化合物を式XIの化合物に変換することを含む、式XIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0073】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XIII~XXIの化合物のいずれかを式XIIの化合物に変換することを含む、式XIIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0074】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XIV~XXIの化合物のいずれかを式XIIIの化合物に変換することを含む、式XIIIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0075】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XV~XXIの化合物のいずれかを式XIVの化合物に変換することを含む、式XIVの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0076】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XVI~XXIの化合物のいずれかを式XVの化合物に変換することを含む、式XVの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0077】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XVII~XXIの化合物のいずれかを式XVIの化合物に変換することを含む、式XVIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0078】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XVIII~XXIの化合物のいずれかを式XVIIの化合物に変換することを含む、式XVIIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0079】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XIX~XXIの化合物のいずれかを式XVIIIの化合物に変換することを含む、式XVIIIの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0080】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XX~XXIの化合物のいずれかを式XIXの化合物に変換することを含む、式XIXの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0081】
別の実施形態では、本出願は、本明細書に記載の方法を使用して、XXIの化合物のいずれかを式XXの化合物に変換することを含む、式XXの化合物またはその塩を調製するための方法を対象とする。
【0082】
本発明の目的のために、化学元素は、CRC化学・物理学ハンドブック第75版、CAS版、周期表に従って特定される。加えて、有機化学の一般原則は、“Organic Chemistry,” Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito: 1999、および“March’s Advanced Organic Chemistry,” 5th Ed.,Ed.: Smith,M.B. and March,J.,John Wiley & Sons,New York: 2001に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
本発明の別の実施形態は、以下の式の化合物を対象とする。
【化23】
【0084】
本発明の別の実施形態は、以下の式の化合物を対象とする。
【化24】
【0085】
本発明の別の実施形態は、以下の式の化合物を対象とする。
【化25】
【0086】
本発明の別の実施形態は、以下の式の化合物を対象とする。
【化26】
【0087】
本発明の別の実施形態は、以下の式の化合物を対象とする。
【化27】
【0088】
本発明の別の実施形態は、以下の式の化合物を対象とする。
【化28】
【0089】
本発明の別の実施形態は、以下の式の化合物を対象とする。
【化29】
【0090】
本発明の別の実施形態は、以下の式の化合物塩を対象とする。
【化30】
【0091】
本明細書で使用される場合、任意の化学構造または式において、以下の式中のような、化合物のキラル中心に付着した太線または破線の直線の結合(それぞれ
【化31-1】
または
【化31-2】
)は、
【化31-3】
太線または破線の直線結合が付着している他のキラル中心に対する、キラル中心の相対立体化学を示す。
【0092】
本明細書で使用される場合、任意の化学構造または式において、以下の式中のような、化合物のキラル中心に付着した太線または破線のくさび形の結合(それぞれ
【化32-1】
または
【化32-2】
)は、
【化32-3】
太線または破線のくさび形の結合が付着している他のキラル中心に対する、キラル中心の絶対立体化学、ならびにキラル中心の相対立体化学を示す。
【0093】
本明細書で使用される場合、接頭辞「rac-」は、キラル化合物に関連して使用される場合、化合物のラセミ混合物を指す。「rac-」接頭辞を有する化合物において、化学名の(R)-および(S)-指定子は、化合物の相対立体化学を反映する。
【0094】
本明細書で使用される場合、接頭辞「rel-」は、キラル化合物に関連して使用される場合、未知の絶対配置の単一のエナンチオマーを指す。「rel-」接頭辞を有する化合物において、化学名中の(R)および(S)-指定子は、化合物の相対立体化学を反映するが、必ずしも化合物の絶対立体化学を反映するわけではない。
【0095】
本明細書で使用される「化合物」という用語は、本出願に記載される化合物に言及する場合、分子の構成原子間に同位体変動が存在し得ることを除いては、同一の化学構造を有する分子の集合を指す。「化合物」という用語は、分子の集合を含有する所与の試料の純度に関係なく、こうした分子の集合を含む。したがって、「化合物」という用語は、純粋な形態の、一つ以上の他の物質との混合物(例えば、溶液、懸濁液、コロイド、または医薬組成物、または剤形)中の、または水和物、溶媒和物、もしくは共結晶の形態の分子のこうした集合を含む。
【0096】
本明細書および特許請求の範囲において、別段の指定がない限り、本発明の任意の化合物の特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、指定された元素の任意の安定同位体を表すことが意図される。実施例において、原子が本発明の任意の化合物の特定の同位体として具体的に指定されていない場合、特定の同位体中のその原子を濃縮するための努力は行われず、したがって、当業者であれば、こうした原子が、指定された元素のおよそ天然存在比の同位体組成で存在した可能性が高いことを理解するであろう。
【0097】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、「H」は水素を指し、水素の任意の安定同位体、すなわちHおよびDを含む。実施例において、原子が「H」として指定される場合、水素の特定の同位体中のその原子を濃縮する試みは行われず、したがって、当業者であれば、こうした水素原子が、水素のおよそ天然存在比の濃度で存在した可能性が高いことを理解するであろう。
【0098】
本明細書で使用される場合、「H」はプロチウムを指す。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩中の原子がプロチウムとして指定される場合、プロチウムは、指定位置において、少なくともプロチウムの天然存在比濃度で存在する。
【0099】
本明細書で使用される場合、「D」、「d」、および「H」は重水素を指す。
【0100】
一部の実施形態では、本出願に記載される化合物は、指定された元素のおよそ天然存在比の同位体組成で各構成原子を含む。
【0101】
一部の実施形態では、本出願に記載の化合物、およびその薬学的に許容される塩は、指定された元素(「同位体標識」化合物および塩)の最も豊富な同位体の原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する一つ以上の原子を含む。市販されており、本発明に適した安定同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、およびリンの同位体、例えば、それぞれH、13C、15N、18O、17O、および31Pが挙げられるが、これらに限定されない。数字(典型的にはローマ数字)が後に続く「式の化合物」という用語、および同じ数字(ローマ数字またはその他)が後に続く「化合物」という用語は互換的に使用されてもよい。例えば、「式Vの化合物」および「化合物V」は、同じ化合物を示す。
【0102】
化学反応を指す場合、「反応」という用語は、二つ以上の試薬を適切な条件下で添加または混合して、指示された生成物および/または所望の生成物を生成することを意味する。当然のことながら、指示された生成物および/または所望の生成物を生成する反応は、最初に添加された二つの試薬の組み合わせから必ずしも直接生じるとは限らない場合があり、すなわち、最終的に指示された生成物および/または所望の生成物の形成につながる混合物中に生成される一つ以上の中間体があってもよい。
【0103】
反応を指す場合、「溶媒中で行われる」という用語は、基材および試薬が、指定された溶媒中に、または指定された溶媒を含む溶媒の混合物中に溶解または懸濁されることを意味する。
【0104】
「クロマトグラフィーによる精製」という用語は、固定相による差別的保持に基づく精製の任意の方法を指す。クロマトグラフィーによる精製の方法には、フラッシュクロマトグラフィー、中圧液体クロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、および高速液体クロマトグラフィーが含まれる。
【0105】
第一の化合物または塩を第二の化合物または塩に変換するステップを指すために本明細書で使用される「変換」という用語は、一つ以上の化学工程で第一の化合物または塩を第二の化合物または塩に変えるプロセスを指す。
【0106】
「酸」という用語は、7未満のpKa(水中)を有する化学種を指す。この用語は、無機(ミネラル)酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などを含む。この用語はまた、酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、i-酪酸、n-吉草酸、i-吉草酸、n-ヘキサン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アスパラギン酸、ギ酸、クエン酸、o-クロロ安息香酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ニコチン酸、乳酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、マロン酸などの、有機酸を含む。
【0107】
「塩基」という用語は、その共役酸が7を超えるpKa(水中)を有する化学種を指す。この用語は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム(一塩基、二塩基、または三塩基性)、水素化ナトリウム、および水素化カリウムなどの「無機塩基」を含む。この用語はまた、メチルリチウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、および酢酸ナトリウムなどの「アニオン性有機塩基」を含む。この用語はまた、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、ジ-n-プロピルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルイソブチルアミン、ジメチル-n-ノニルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ジ-n-ヘキシルメチルアミン、ジメチル-n-ドデシルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ピリジン、2,3-ルチジン、2,4-ルチジン、2,5-ルチジン、2,6-ルチジン、3,4-ルチジン、3,5-ルチジン、2,3,4-コリジン、2,4,5-コリジン、2,5,6-コリジン、2,4,6-コリジン、3,4,5-コリジン、および3,5,6-コリジンなどの「中性有機塩基」を含む。
【0108】
「アルコール保護基」という用語は、合成手順中に望ましくない副反応からアルコール基を保護するのに適した化学的部分を指す。一般的なアルコール保護基としては、メチル、エチル、イソプロピル、ベンジル、2-テトラヒドロピラニル、アセチル、トリフルオロアセチル、トリアルキルシリル、アリールジアルキルシリル、アルキルジアリールシリル、またはトリアリールシリルが挙げられる。他のアルコール保護基も、当該技術分野で周知である。例えば、P.G.M. Wuts et al.,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis(4th ed. 2006)を参照。
【0109】
「脱保護」という用語は、保護基を除去して保護された部分をあらわにするのに好適な条件下で、アルコール保護基などの保護基を含有する化合物または塩を反応させるステップを指す。例えば、化合物または塩がアルコール保護基を含有する場合、「脱保護」という用語は、アルコール保護基を除去してアルコールをあらわにするのに好適な条件下で、化合物または塩を反応させることを指す。様々な保護基を除去するための条件は、当該技術分野で周知である。例えば、P.G.M. Wuts et al.,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis(4th ed. 2006)を参照。
【0110】
「水素化触媒」という用語は、ベンジル炭素-酸素単結合の水素化分解を触媒する任意の均一系または不均一系の触媒を指す。好適な水素化触媒は、当該技術分野で周知であり、活性炭上のパラジウム、酸化白金、およびRaneyニッケルを含む。
【0111】
「カップリング」という用語は、カルボン酸または酸ハロゲン化物とアミンの間の反応を指す場合、カルボン酸または酸ハロゲン化物とアミンを結合させてアミドを形成する最終変換を指す。この用語は、カルボン酸とアミンの間に直接反応、ならびにカルボン酸の活性化誘導体(カルボン酸とカップリング試薬の間の反応によって形成される誘導体など)とアミンの間の反応を含む。
【0112】
「カップリング試薬」という用語は、カルボン酸と反応して、アミンとカップリングしてアミド結合を形成するためにカルボン酸を活性化するのに適した試薬を指す。カップリング試薬は、当該技術分野で周知である。カップリング試薬には、塩化チオニル、塩化オキサリル、1,1’-カルボニルビス-(4,5-ジシアノイミダゾール)(CBDCI)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)が含まれるが、これらに限定されない。
【0113】
「一価カチオン」という用語は、アルカリ金属カチオン、NH 、およびテトラアルキルアンモニウムなど、+1の電荷を有する任意のカチオンを指す。
【0114】
「アルカリ金属カチオン」という用語は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na+)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、およびセシウム(Cs)を含むがこれらに限定されない、第I族金属原子に由来するカチオンを指す。
【0115】
「置換ベンジル」という用語は、C1~C3アルキル、C~Cアルコキシ、ハロゲン、およびシアノからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されているベンジル基を指す。
【0116】
「ケトン溶媒」という用語は、式C2n+1C(O)C2m+1を有する化合物を指し、式中、nおよびmはそれぞれ独立して1~6の整数である。C2n+1およびC2m+1および基は、直鎖状または分枝状であってもよく、各々が最大3個のハロゲンで置換されていてもよい。ケトン溶媒には、アセトン、メチルエチルケトン、3-ペンタノン、およびメチルtert-ブチルケトンが含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
「エーテル系溶媒」という用語は、少なくとも一つのエーテル部分を有する有機溶媒を指す。エーテル系溶媒としては、テトラヒドフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ならびにジエチルエーテルおよびメチルイソブチルエーテルなどのジアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
「エステル溶媒」という用語は、式C2n+1OC(O)C2m+1を有する化合物を指し、式中、nおよびmはそれぞれ独立して1~6の整数である。C2n+1およびC2m+1および基は、直鎖状または分枝状であってもよく、各々が最大3個のハロゲンで置換されていてもよい。エステル溶媒には、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、およびプロピオン酸エチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
「ハロゲン化溶媒」という用語は、最大6個のハロゲンで置換されたC~CアルカンまたはC~Cアルケンを指す。ハロゲン化溶媒には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、テトラクロロエチレン、および四塩化炭素が含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
「芳香族溶媒」という用語は、C6~10芳香族炭化水素を指す。芳香族炭化水素は、最大6個のハロゲンで置換されていてもよい。芳香族溶媒としては、ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、キシレン、およびトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
「約」という用語は、記載された数がその値から±10%変化し得ることを意味する。用語が温度を定義する場合、記載された温度は±10%変化し得る。例えば、約80℃は、72℃~88℃を意味する。用語が圧力を定義する場合、「約」という用語は、圧力が±10%変化し得ることを意味する。したがって、約100バールは、90~110バールを意味する。用語が量(当量または重量など)を定義する場合、用語は、量が±10%変化し得ることを意味する。例えば、約1当量は、0.9~1.1当量を意味する。用語が時間を定義する場合、用語は、記載された時間が±10%変化し得ることを意味する。例えば、約1時間は、0.9~1.1時間を意味する。
【0122】
「脱離基」という用語は、所望の入ってくる化学的部分によって容易に取って代わられる化学基である。したがって、特定の好適な脱離基の選択は、CN基などの入ってくる化学的部分によって容易に取って代わられるその能力に基づいて決定される。好適な脱離基は、当該技術分野で周知であり、例えば、“Advanced Organic Chemistry,” Jerry March,5.sup.th Ed.,pp. 351-357,John Wiley and Sons,N.Y.を参照。化合物IXを化合物VIIに変換する目的のために、化合物VIII上の脱離基は、式OC(=O)-Z、OC(=O)OZ、OC(=O)CH=CH-Z、またはOP(=O)Zの任意の基であり、式中、Zは、非置換アリールまたはCN、ハロ、NO、または短鎖アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、もしくはハロアルコキシ基で置換されたアリールであってもよく、ここで短鎖は、1、2、3、または4個の炭素原子を含む。あるいは、Zは、短鎖(すなわち、1~4個の炭素原子を有する)アルキルまたはハロアルキル基である。アリール基の例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0123】
本明細書で使用される場合、「シアノ化剤」(例えば、トリメチルシリルシアニド、ジエチルアルミニウムシアニド、KCN、NaCN、TBACN、HCNなど)という用語は、式VIIIの化合物を得るためである。一つの実施形態では、シアノ化剤(例えば、トリメチルシリルシアニド)と式VIIIの化合物の間の反応は、ルイス酸の存在下で行われてもよい。一部の実施形態では、ルイス酸は、三フッ化ホウ素エチルエーテラート(BFOEt)、TiCl、InCl、AgSbF、ヨウ素、ZnBr、Al(OiPr)、MgCl、Mn(acac)、MnCl、TMSOTf、SnClなどである。さらなる実施形態では、ルイス酸はBFOEtである。シアノ化反応は、有機溶媒、例えば、トルエン、ジクロロメタン、2-メチルTHF、アセトニトリル、メタノール、1,2-ジクロロエタン、ニトロメタンなどの中で行われてもよい。
【0124】
化合物および薬学的に許容可能な塩ならびに組成物の使用
別の態様では、本発明は、対象において電位依存性ナトリウムチャネルを阻害する方法を特徴とし、方法は、式Iの化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0125】
一つの態様では、本開示は、対象の疼痛の重症度を治療または軽減する方法に関し、方法は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
【0126】
別の態様では、本開示は、対象の疼痛の重症度を治療または軽減する方法における、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関し、方法は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
【0127】
別の態様では、本開示は、対象の疼痛の重症度を治療または軽減する方法で使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物に関し、組成物は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与するために調製される。
【0128】
本発明の化合物の合成
本発明の化合物は、実施例に記載される方法、他の類似の方法、および当業者に既知の他の方法によって、既知の材料から調製することができる。当業者であれば理解するであろうように、中間化合物の官能基は、好適な保護基によって保護される必要がある場合がある。保護基は、当業者に周知の標準的技術に従って、付加または除去されてもよい。保護基の使用は、T.G.M. Wuts et al.,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis(4th ed. 2006)に詳細に記載されている。
【0129】
本発明の化合物の放射標識類似体
別の態様では、本発明は、本発明の化合物の放射標識類似体に関する。本明細書で使用される場合、「本発明の化合物の放射標識類似体」という用語は、一つ以上の原子が本発明の化合物中に存在する原子の放射性同位体で置換されていることを除いて、本明細書の全ての実施形態を含む、本明細書に記載されるような、本発明の化合物と同一である化合物を指す。
【0130】
本明細書で使用される場合、「放射性同位体」という用語は、自然発生的な放射性崩壊を受けることが知られている元素の同位体を指す。放射性同位体の例としては、H、14C、32P、35S、18F、36Clなど、ならびにV.S. Shirley & C.M. Lederer,Isotopes Project,Nuclear Science Division,Lawrence Berkeley Laboratory,Table of Nuclides(January 1980)において崩壊モードが特定される同位体が挙げられる。
【0131】
放射標識類似体は、基質組織分布アッセイなどの様々なタイプのアッセイを含む、多くの有益な方法で使用することができる。例えば、トリチウム(H)標識および/または炭素-14(14C)標識化合物は、比較的単純な調製および優れた検出能のため、基質組織分布アッセイなどの様々なタイプのアッセイに特に有用である。
【0132】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物に関連して本明細書に記載される実施形態のいずれかによる、放射標識類似体の薬学的に許容される塩に関する。
【0133】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物に関連して本明細書に記載される実施形態のいずれかによる、放射標識類似体またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物に関する。
【0134】
別の態様では、本発明は、電位依存性ナトリウムチャネルを阻害する方法、ならびに、本発明の化合物に関連して本明細書に記載される実施形態のいずれかによる、有効量の放射標識類似体、その薬学的に許容される塩、およびその医薬組成物を投与することを含む、対象において、疼痛を含む様々な疾患および障害の重症度を治療または軽減する方法に関する。
【0135】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物に関連して本明細書に記載される実施形態のいずれかに従って使用するための、放射標識類似体、その薬学的に許容される塩、およびその医薬組成物に関する。
【0136】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物に関連して本明細書に記載される実施形態のいずれかによる、医薬品の製造のための、放射標識類似体またはその薬学的に許容される塩、およびその医薬組成物の使用に関する。
【0137】
別の態様では、放射標識類似体、その薬学的に許容される塩、およびそれらの医薬組成物は、本発明の化合物に関連して本明細書に記載される実施形態のいずれかに従って、併用療法で用いられ得る。
【実施例
【0138】
一般的な方法。H NMR(400MHz)スペクトルを、ジメチルスルホキシド-d(DMSO-d)などの適切な重水素化溶媒中の溶液として得た。
【0139】
様々な異性体混合物の分析超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)分離を、コンバージェンスマネージャ、サンプルマネージャ、二成分溶媒マネージャ、カラムマネージャ-30S、PDA検出器、アイソクラティック溶媒マネージャ、およびQDa検出器を含むWaters UPC2-SFC機器を使用して達成した。使用されたカラムには、Regis Technologiesによって製造されるもの(例えば、R’R Whelk 0-1、粒径3.5μm、サイズ5.0cm×3.0mm)が含まれ、移動相の溶媒A:液体CO(58~60バール/40℃)溶媒B:HPLCグレードのメタノールと20mM NH3を2mL/分の流量で使用し、注入体積は2μlであった。勾配:0分(95:5)A:B、3.5分(50:50)A:B、3.55分(40:60)A:B、3.95分(40:60)A:B、および4.0分(95:5)A:B。分析SFC用の試料を、およそ0.5mg/mLの濃度でメタノールに溶解した。
【0140】
分取SFCは、分析SFCについて本明細書に記載されるものと同じ固定相および移動相を使用したが、試料を、以下のように異なる機器および勾配法を使用して精製した。様々な異性体混合物の分取SFC分離を、背圧レギュレータ、2767サンプルマネージャ、2545四成分勾配モジュール、カラムオーブン、2998 PDA検出器、アイソクラティック溶媒マネージャ、P-200 COポンプ、SFCフロースプリッタ-100、3熱交換器、シリーズIII LCポンプ、およびQDa検出器を含むWaters Prep-100 SFC機器を使用して達成した。 使用されたカラムには、Regis Technologiesによって製造されるもの(例えば、R’R Whelk 0-1、粒径5.0.5μm、サイズ25.0 cm×21.1mm)が含まれ、移動相の溶媒A:液体CO(58~60バール/40℃)溶媒B:HPLCグレードのメタノールと20mM NH3を100mL/分の流量で使用し、注入体積は500μl(50mgの粗製負荷)であった。粗製化合物の可溶化およびSFC注入のために、2:1比のメタノール-ジクロロエタンを使用した。500μl/50mg負荷の注入については、以下の方法を使用した。アイソクラティック:0分~7.6分(80:20)A:B、勾配:8.1分(75:25)A:B、アイソクラティック8.2~10.6分(75:25)(A:B)、勾配:10.7分(80:20)A:B、およびアイソクラティック:11分(80:20)(A:B)。1500μl/150mg負荷の注入については、以下の方法を使用した。アイソクラティック:0分~7.5分(80:20)A:B、勾配:7.6分(75:25)A:B、勾配:8.1分(60:40)A:B、アイソクラティック:8.7分~10.6分(60:40)A:B、勾配:10.7分(80:20)A:B、アイソクラティック:12分(80:20)A:B。
【0141】
LC/MS法:LC/MS分析を、Waters製のAcquity UPLC BEH Cカラム(50×2.1mm、粒径1.7μm)(製品番号:186002877)と(2.1×5mm、粒径1.7μm)ガードカラム(製品番号:186003978)、および4.45分にわたる2~98%の移動相Bの二重勾配実行を使用して行った。 移動相A=HO(0.05%水酸化アンモニウムを含む10mMギ酸アンモニウム)。 移動相B=アセトニトリル。 流量=0.6mL/分、注入量=2μL、カラム温度=45℃。
【0142】
Bruker-Biospin 4mm HFXプローブを備えたBruker-Biospin 400MHzワイドボア分光計で固体NMR分析を行なった。試料を、4mmのZrOローターに充填し、通常12.5kHzに設定した回転速度で、マジック角回転(MAS)条件下で回転させた。プロトン緩和時間を、13C交差分極(CP)MAS実験のプローブリサイクル遅延を設定するために、H MAS T飽和回復緩和実験を使用して測定した。フッ素緩和時間を、19F MAS実験のプローブリサイクル遅延を設定するために、19F MAS T飽和回復緩和実験を使用して測定した。炭素CPMAS実験のCP接触時間を、2ミリ秒に設定した。直線ランプ(50%~100%)を有するCPプロトンパルスを用いた。炭素ハルトマン-ハーン一致を、外部参照試料(グリシン)で最適化した。炭素スペクトル及びフッ素スペクトルの両方を、およそ100kHzの電界強度を有するTPPM15デカップリング配列を使用してプロトンデカップリングで記録した。
【0143】
熱重量分析(TGA)データを、TA Discovery熱重量分析器または同等の機器で収集した。約1~5mgの重量の試料を、10℃/分の加熱速度で25℃から350℃までスキャンした。データを、Thermal Advantage Q SeriesTMソフトウェアで収集し、Triosおよび/またはUniversal Analysisソフトウェア(TA Instruments、デラウェア州ニューキャッスル)で分析した。
【0144】
示差走査熱量測定(DSC)データを、TA Instruments Q2000または同等の機器を使用して取得した。1~10mgの重量の試料をアルミニウムパンに計量した。このパンを、熱量計セル中の試料位置に置いた。空のパンを参照位置に置いた。熱量計セルを閉じ、セルにNガスを通した。加熱プログラムは、試料を10℃/分の加熱速度で、300℃の温度に加熱するよう設定した。実行が完了すると、データを、Triosおよび/またはUniversal Analysisソフトウェア(TA Instruments、デラウェア州ニューキャッスル)で分析した。
【0145】
ダイヤモンドATRサンプリング付属品を備えたThermo Scientific Nicolet iS50分光計を使用して、赤外線(IR)スペクトルを収集した。
【0146】
略語
別段の記載がない限り、または文脈が別段の定めをしない限り、以下の略語は、以下の意味を有すると理解されるべきである。
【表3-1】
【表3-2】
(実施例1)
【0147】
4-((2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド)ピコリンアミド(I)の合成
【化33】
【0148】
ステップ1:
(R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)フラン-2(5H)-オン(XI)の合成
【化34】
【0149】
化合物XIII(Alichem、3.832kg、18.955mol)を、前もって真空乾燥し、Nガスでフラッシュした140L反応器に添加した。無水アセトニトリル18.85Lを加え、溶液を-2℃に冷却した。カルボニルジイミダゾール(Chem Impex、99.5%、3.280kg、19.92mol、1.05当量)を、N乾燥ボックスで予め計量された4×820gのボトルから数回に分けて加えた。CO2の突然のガス発生を避けるために、1~2分間隔でCDIの各ボトルを添加した。添加中、温度は+2℃になった。溶液を0~-2℃で1.5時間撹拌した。THF中のXIIの溶液(4.028kgのXII、20.42mol、1.077当量を含有)を、計量ポンプで迅速に添加した。ポンプおよび容器を、2Lの無水アセトニトリルですすぎ、325メッシュの無水炭酸カリウム(3.276kg、23.70mol、1.25当量)を素早く加え、反応混合物を35℃で5時間攪拌し、その後15℃まで一晩冷却した。MTBE(24.5L)を添加し、続いて、62.4kgの0.62N HSOを添加し、次いで、DI水5Lですすいだ。水層(pH8)を、20LのMTBEで再抽出した。合計MTBEを真空濃縮して乾燥固体とし、10LのIPAで再濃縮して乾燥固体とした。
【0150】
再結晶のために、固体を25.5LのIPAに溶解し、140L5L反応器に移して、5LのIPAですすぎ、溶液を35℃に加温した。ポンプを47.1kgのDI水を送達するように設定し、これを2.5時間にわたってIPA溶液にゆっくりと添加した。結晶のスラリーをさらに2時間撹拌した後、スラリーを約3時間かけて15℃まで降下させ、さらに12時間撹拌し続けた。スラリーを濾過し、2×6Lの1:4 IPA:DI水で洗浄し、単回通過加熱Nガス(Nガスを75℃に加熱し、ケーキ温度は約50℃であった)で3日間乾燥させて一定重量とした。生成物の最終重量は5.205kg、85.2%であった。生成物は、XIの構造と一致するプロトンNMRスペクトルを与えた。
【0151】
ステップ2:
(3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン(X)の合成
【化35】
【0152】
手順1:
上記の反応から得られた化合物XI(1200g、3.72mol)を11L水素化反応器に添加した(前もってNガスでフラッシュし、低速Nガススイープに設定した)。触媒(1200g、4.89% Pd、63.8%水、21.2g Pdに対応、0.0536モル当量)を添加した。イソプロパノール(7.0L)を添加した。反応器を密封し、3×Nガス/真空でパージし、次いで50psiの窒素/水素でパージし、最後に225psiの水素に調整した。ジャケットを30~31℃に設定し、撹拌を開始した。撹拌を30時間続け、NMR試料(0.2mL+2.0mLのMTBE+1.0mLの5%KHCO、1.5mLのMTBEを蒸発させ、NMR)は、2.8%の開始物質を示した。反応が完了したとみなされた。スラリーを濾過し(solka-floc)、10LのIPA、次いで3LのDCMで洗浄した。濾液を油に濃縮し、3Lのトルエン中に再溶解した。トルエン溶液を油(1152g、3.553mol、収率95.5%)に再濃縮した。生成物のプロトンNMRは、化合物Xと一致した。
【0153】
手順2:
水素および圧力サービス用に格付けされ、ガス投与ユニットおよび圧力コントローラを備えた反応器に、化合物XI(1当量、限定試薬)、5%パラジウム炭素(0.05当量、含水量およびパラジウムアッセイに対して補正)、テトラヒドロフラン(1.75体積)、2-プロパノール(5.25体積)、およびトリフルオロ酢酸(0.05当量)を充填した。容器を窒素で3bargまで加圧し、次いで周囲圧力まで排気した。この一続きの手順を3回行った。反応器の内容物を30℃に調整した。次いで、容器を水素で3bargまで加圧し、周囲圧力まで排気した。この一続きの手順を3回行った。次いで、反応器を水素で動作圧力(40barg)まで加圧し、ヘッドスペースからの液体のガス化を達成するのに十分な速度で撹拌を開始した。
【0154】
反応完了(GCによる1%未満の化合物XIおよびそのジアステレオマー)まで、反応混合物をこれらの条件で撹拌した。
【0155】
ヘッドスペースの水素を排気した。反応器を窒素で3bargまで加圧し、反応器を排気した。この一続きの手順を3回行った。シクロヘキセン(0.2体積)を反応器に充填し、反応物を窒素下で15分以上撹拌しながら30℃に維持した。
【0156】
反応混合物を、珪藻土床で濾過して、触媒を除去した。濾過ケーキを2-プロパノール(4体積)で洗浄した。一次濾過からの濾液と洗浄液とを合わせた。
【0157】
よく混合した容器内で、濾液を減圧下、40℃以下で合計3体積まで濃縮した。トルエン(7体積)を充填し、蒸留を減圧下50℃以下で、合計3体積に達するまで再開した。トルエン(7体積)を充填し、蒸留を減圧下50℃以下で、合計3体積に達するまで再開した。トルエン(5体積)を充填し、溶液をよく混合した。生成物のプロトンNMRは、化合物Xと一致した。
【0158】
H-NMR CDCl: δ 6.93-6.80(m,2 H); 4.48(d,1 H,J=9.5 Hz); 4.03(d,3 H,J=3.1 Hz); 2.89(dq,1 H,J=9.5,7.5 Hz); 1.71(d,3 H,J=1.2 Hz); 0.84-0.76(m,3 H)ppm.
【0159】
ステップ3:
(2S,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-オール(IX)の合成
【化36】
【0160】
手順1:
上記の反応の生成物(化合物X、1052g、3.2445mol)を、50Lジャケット付き反応器に添加し、Nガス下で8.82Lの無水トルエンを添加した。得られた溶液を、Nガス下で-31℃まで一晩冷却した。水素化ジイソブチルアルミニウム(1.96kgのトルエン中25%溶液、3.445mol、1.056当量)を、Nガス下で添加漏斗を通して反応容器にゆっくりと移した。水素化合物試薬を2時間にわたって反応溶液に添加し、反応器温度は、添加中に-31.6℃から-27.4℃になった。溶液を-26~-27℃で90分間撹拌した。20LのDI水中の2.75kgの酒石酸カリウム/酒石酸ナトリウムの溶液を、2.5時間にわたって添加した。反応混合物を0℃に達するまで温度を上昇させ、約2時間の添加後にクーラーを+24℃にした。トルエン(5L)を添加し、混合物を+20℃で一晩撹拌した。
【0161】
混合物を分液漏斗に移し、有機相から水相を分離した。水相を5Lのトルエンで再抽出した。2つのトルエン溶液を合わせ、硫酸マグネシウムで処理し、濾過した。固体をトルエンで洗浄し、合わせたトルエン溶液を真空濃縮して、重量1055g、3.2336mol、99.7%の粗製ラクトールの油を得た。粗生成物を次のステップに直接使用した(アセチル化を以下に例示する)。粗製ラクトールのプロトンNMRは、化合物IXと一致した。
【0162】
手順2:
トルエン(目標8体積)中の化合物Xの溶液を反応器に添加した。撹拌を開始し、混合物を-25±5℃に冷却した。バッチ温度を-20℃以下に維持しながら、水素化ジイソブチルアルミニウムの溶液(25%w/wトルエン)を反応混合物に添加した。温度を-25±5℃に調整し、バッチを1時間以上撹拌した。反応完了時に、-25±5℃に温度を維持して、トルエン中のアセトンの溶液(0.5体積中0.3当量)を反応混合物に添加し、30分以上撹拌した。次いで、反応混合物を0±5℃に加温した。温度を20±5℃に維持しながら、0.62Mクエン酸の12体積溶液を反応器に移し、二相混合物を4時間以上撹拌した。相を安定させて、底部の水相を排出した。0.62Mクエン酸の12体積溶液をバッチに添加し、二相混合物を20±5℃で30分以上撹拌した。相を安定させて、底部の水層を排出した。5体積の水をバッチに充填し、二相混合物を20±5℃で30分以上撹拌した。相を安定させて、底部の水層を排出した。内部温度を45℃以下に維持しながら、有機層を合計5体積まで蒸留した。5体積のトルエンを充填し、混合物を合計5体積まで蒸留した。残留水が0.1%未満になるまで蒸留を継続した。粗製ラクトールのプロトンNMRは、化合物IXと一致した。
【0163】
H-NMR CDCl3: δ 7.30-7.26(m,1 H); 7.20-7.18(m,1 H); 5.81(d,1 H,J=4 Hz); 4.00(s,3 H); 3.84-3.80(m,1 H); 2.92-2.88(m,1 H); 1.67(s,3 H); 0.83(d,3 H,J=8 Hz)ppm
【0164】
ステップ4:
(3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-イルアセテート(VIII)の合成
【化37】
【0165】
上記の反応の粗生成物(1055gの化合物IX、3.23mol)を、事前に乾燥して、Nガス下に保たれた、25Lジャケット付き反応器に移した。粗製化合物IXを無水トルエン6.8Lですすぎ、混合物を撹拌して、20℃で完全な溶液を確実にした。トリエチルアミン(466mL、3.343mol、1.04当量)を加え、続いてDMAP(3.58g、0.0293mol、0.01当量)を加えた。無水酢酸(313mL、3.288mol、1.02当量)を、添加漏斗を使用して約5~10分間にわたって添加した(無水酢酸の添加中にTは21.1℃からT=26.4℃に上昇した)。反応混合物を25℃で100分間撹拌した。反応混合物のプロトンNMRは、この時点で反応が完了したことを示した。
【0166】
反応混合物を、3.5Lの25%塩化アンモニウム、次いで1200mLの10%KHCOで抽出した。水層を2Lのトルエンで再抽出し、合わせたトルエン溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、濾過した固体をトルエンで洗浄した。得られたトルエン溶液を、最初に20LのRBフラスコを、次いで3Lジャケット付き反応器(1898gを移した)を最終濃縮に使用して、濃縮乾固した。溶液を、濃厚な油に真空蒸留し、油が結晶塊(少量の粘性油が残留)に変わるまで、撹拌しながら25℃で高真空下に置いた。ヘキサン(900mL)を反応容器(固体およびいくらかの残渣油を含む)に加え、混合物を20℃で一晩撹拌した。混合物を10℃に冷却して、2時間撹拌し、次いで、6時間撹拌しながら4℃に冷却し、その後、混合物を(撹拌しながら)-10℃まで一晩冷却し、最後に、週末(36~48時間)にわたって-14℃まで冷却して、結晶スラリーを得た。スラリーをジャケット付きフィルターで-15℃で濾過し、次いで固体を冷(-16℃)ヘキサン(2×150ml、次いで100mL)で洗浄した。結晶を真空下で室温で乾燥させた。得られた固体をトルエン(合計1450mLの溶液)に溶解してアッセイし、溶液中の800.2gを得た。
【0167】
追加の生成物(反応器に固着したもの)をトルエンで溶解して、425mLの溶液を得た。アッセイにより、188.4gの生成物を得た。母液を117gの油に濃縮した。プロトンNMRは、約55%の生成物、および45%の不純物を示した。
【0168】
全収率(反応混合物から濾過された結晶および反応器表面から溶解された固体)は、988.6g、2.68mol、83.1%の化合物VIII(酢酸エステル)を提供した。
【0169】
生成物(988.6gの化合物VIII‐酢酸エステル)は、さらに精製することなく次の反応に使用した。
(2S,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-イル4-ニトロ安息香酸塩(VIII、4-ニトロ安息香酸エステル)の合成
【化38】
【0170】
5体積トルエンの溶液中の化合物IXを反応器に充填した。追加の5体積のトルエンを充填し、合計体積を10体積にした。温度を20±5℃に調整した。4-ニトロベンゾイルクロリドを固体として反応器に充填した。温度を0±5℃に調整した。トリエチルアミンをゆっくりと充填して、温度を0±5℃に維持した。温度を20±5℃に調整し、反応混合物を3時間以上撹拌した。反応完了時に、5体積の2M NaOH水溶液を反応器に添加し、温度を20±5℃に維持して、二相混合物を1時間以上撹拌した。攪拌を停止し、相を安定させて、底部の水相を排出した。5体積の飽和塩化アンモニウム溶液を反応器に添加し、二相混合物を30分以上撹拌した。攪拌を停止し、相を安定させて、底部の水相を排出した。5体積の飽和塩化アンモニウムの溶液を反応器に添加し、二相混合物を30分以上撹拌した。5体積の水を反応器に充填し、二相混合物を30分以上撹拌した。相を安定させて、底部の水層を排出した。
【0171】
有機相を、内部温度を45℃以下に維持しながら合計5体積まで蒸留した。5体積のトルエンを充填し、混合物を2.2体積まで蒸留した。1.2体積のn-ヘプタンを蒸留トルエン溶液に充填した。混合物を70±5℃の内部温度に加熱し、15分以上1時間以下撹拌した。溶液を30分間にわたって60±5℃に冷却した。透明な溶液に、0.010w/w当量の化合物VIII(4-ニトロ安息香酸エステル)の種結晶を加え、1時間以上、2時間以下撹拌した。2.4体積のn-ヘプタンを、5時間にわたって線形速度で充填した。スラリーを5時間にわたって20±5℃に冷却した。スラリーを5時間以上熟成させた。固体を濾過により単離した。湿潤ケーキを洗浄するために、75:25のn-ヘプタン:トルエンの2体積洗浄溶液を使用した。湿潤ケーキを乾燥装置に移し、恒量が観察されるまで、真空下40±5℃の温度で乾燥させた。粗製ラクトールのプロトンNMRは、化合物VIIIの安息香酸エステル、4-ニトロ安息香酸エステルと一致した。
【0172】
H-NMR CDCl3: δ 8.21(d,2 H,J=8 Hz); 8.10(d,2 H,J=8 Hz); 6.93-6.88(m,1 H); 6.81-6.76(m,1 H)6.73(d,1 H,J=4 Hz); 4.09(d,1 H,J=4 Hz); 3.95-3.91(m,1 H); 3.91(s,3 H); 1.60(s,3 H); 0.86-0.84(d,3 H,J= 8 Hz)ppm.
【0173】
ステップ5:
(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボニトリル(VII)の合成
【化39】
【0174】
化合物VIII(酢酸エステル)(上記のステップで得られた987gの化合物VIIIを含有する1.87Lのトルエン溶液、2.68mol)を、N2ガス下で4回、Nガス/真空で前処理した50Lジャケット付き反応器に移した。無水トルエン(7.0L)を加え、撹拌して-31℃に冷却した。TMS-CN(385g;3.7mol;1.4当量)を8分間にわたって添加した。BFエーテラート(380g=330mL、2.68mols)を6分間にわたって滴下して加えた(温度-31.5℃は-27.6℃に上昇した)。浴温を-21.6℃に設定し、反応物を2.5時間撹拌した。水酸化カリウム(3.5Lの2.0M溶液)を約5分間にわたって添加した(温度は+8℃に上昇した)。浴温を+20℃に上昇させ、反応混合物を+20℃で約10分間撹拌した。層を分離し、水層を6Lのトルエンで再抽出した。トルエン溶液を、1.5Lの2M水酸化カリウムで再抽出し、その後、それらを約900gの油に真空濃縮した。油を5Lのメタノールで希釈し、再濃縮して、887g(2.65mol、98.7%純粋)の最終粗製化合物VIIを得た。この固体のプロトンNMRは、予想される構造と一致した。NMRは、いかなるメタノールもトルエンも検出せず、固体が溶媒和されていないことを示唆した。
【0175】
粗製化合物VIIを、85:15ヘキサン:MTBE中で充填された分取シリカゲルカラムを使用して精製した。充填溶媒混合物中の0.78kgの粗生成物の溶液をカラムに移し、充填溶媒混合物で溶出した。画分をおよそ半分に分割し、各半分を別々に次の化合物(化合物III)へと進めた。画分の前半分は、333g(または993mmol)の化合物VIIを含有したのに対し、画分の後半分は、274g(または818mmol)の化合物VIIを含有した。以下の実施例は、画分の前半分から収集された化合物VIIを変換するプロセスを示す。画分の後半分で得られた化合物VIIも、試薬および溶媒の量を除いて、同一のプロセスに従って化合物IIIに変換した。
(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボニトリル(VII)の合成
【化40】
【0176】
化合物VIII(4-ニトロ安息香酸エステル)の固体を反応器に充填した。10体積のトルエンを反応器に充填し、温度を20±5℃に制御した。20±5℃の温度を維持しながら、トルエン中の40%トリメチルシリルシアニド溶液(TMSCNの1.2当量)を反応器に添加した。バッチを-20±5℃に冷却した。温度を-20±5℃に維持しながら、1.0当量の三フッ化ホウ素をゆっくりと添加した。バッチを-20±5℃で3時間以上撹拌した。反応完了時に、バッチを20±5℃に再び加熱した。10体積の20%w/w水酸化カリウム水溶液をバッチに添加し、二相混合物を1時間以上撹拌した。5体積のエタノールをバッチに添加し、二相混合物を12時間以上撹拌した。相を安定させて、底部の水層を排出した。10体積の20%w/w水酸化カリウム水溶液をバッチに添加し、二相混合物を1時間以上撹拌した。相を安定させて、底部の水層を排出した。10体積の20%w/w水酸化カリウム水溶液をバッチに添加し、二相混合物を30分以上撹拌した。相を安定させて、底部の水層を排出した。10体積の水をバッチに添加し、二相混合物を30分以上撹拌した。相を安定させて、底部の水層を排出した。内部温度を45℃以下に維持しながら、上部の有機層を合計4体積まで蒸留した。7体積のエタノールを充填し、混合物を合計4体積まで蒸留した。別の7体積のエタノールを充填し、混合物を合計4体積まで蒸留した。蒸留は、残留トルエンが1.0%w/w以下になるまで継続した。粗製ラクトールのプロトンNMRは、化合物VIIの安息香酸エステルと一致した。
【0177】
H-NMR CDCl3: δ 6.91-6.85(m,1 H); 6.78-6.73(m,1 H); 5.02(d,1 H,J=9.0 Hz); 4.22(t,1 H,J=8.6 Hz); 4.06(d,3 H,J=3.1 Hz); 2.84(p,1 H,J=7.7 Hz); 1.64(d,3 H,J=1.3 Hz); 0.80(dq,3 H,J=7.3,2.3 Hz)ppm
【0178】
ステップ6:
(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボン酸(III)の合成
【0179】
手順1:
化合物VII(333.06g、993.4mmol)を、N2ガス下で25Lジャケット付き反応器中の2.60Lのメタノールおよび2.60Lの2.0M水酸化カリウム中に溶解させた。混合物を55℃で20時間撹拌した。一晩後、スラリーは透明な溶液であった。プロトンNMRは、反応が完了したことを示した。反応混合物を+15℃に冷却し、2925mLの2N HCl+5L MTBEを添加した。約5分間撹拌した後、層を分離し、水層を5LのMTBEで再抽出した。MTBE溶液を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、MTBEで洗浄した。合わせたMTBE溶液を油に濃縮し、4Lトルエンで再濃縮して、360gの油性生成物を得た。
【0180】
油を4.0Lの無水トルエンに溶解し、60℃で攪拌した。溶液に、(R)-(+)-α-メチルベンジルアミン(142mL、1.1156mol、1.12当量)を急速に加えた。溶液に種結晶を加え、約5分後、溶液は結晶を堆積させ始めた。スラリーを45℃に冷却し、1.5時間撹拌した後、35℃に冷却し、さらに1.5時間撹拌した。次いで、温度を25℃に低下させ(さらに1.5時間撹拌)、最後に15℃に低下させて、一晩撹拌した。生成物を濾過し、2×200mLのトルエン(15℃)で洗浄し、50℃、1mmで一晩乾燥させて、化合物IIIの(R)-(+)-α-メチルベンジルアミン塩431.37gを得た。
【0181】
手順2:
4.5体積の10%w/wのKOH溶液を、4体積エタノール中の化合物VIIの溶液に20℃で充填した。反応混合物を55℃に加熱し、12時間撹拌した。反応が完了すると、混合物を20℃まで冷却し、5体積のトルエンを充填した。30分間撹拌した後、相を分離し、有機相を廃棄した。水相をトルエンおよび9.5体積の7%HCl溶液で抽出した。60分間撹拌した後、相を分離し、水相を廃棄した。有機相を7.3体積の水で2回洗浄した。有機相を、真空下40℃未満の内部温度で6体積まで蒸留した。6体積のトルエンを充填し、溶液を、真空下40℃未満の内部温度で5体積まで蒸留して、化合物IIIを得た。粗製ラクトールのプロトンNMRは、化合物IIIと一致した。
【0182】
H-NMR d6-DMSO: δ 13.00(s,1 H); 7.27-7.08(m,2 H); 4.98(d,1 H,J=10.5 Hz); 4.08(dd,1 H,J=10.5,7.6 Hz); 3.93(d,3 H,J=2.1 Hz); 2.66(p,1 H,J=7.5 Hz); 1.53(d,3 H,J=1.4 Hz); 0.73-0.64(m,3 H)ppm.
【0183】
ステップ7:
(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボン酸(IV)のキニン塩の合成
【化41】
【化42】
【化43】
【0184】
化合物III(2g)を、60℃で10mLのトルエンに溶解させた。別個に、(R)-AMB(1.2当量)を2mLのトルエンに溶解させ、1時間にわたって化合物III溶液に添加した。次いで、得られた溶液を1時間にわたって50℃に冷却し、自己核形成が起こるように1時間保持した。次いで、スラリーを5時間にわたって20℃に冷却し、20℃で約8時間撹拌して、真空下で濾過した。得られた湿潤ケーキを5mLのトルエンで洗浄し、真空下40℃で乾燥させて、入力化合物III遊離型と比較して約70%の収率を得た。得られた固体を、XRPDから化合物IIIの形態Aの(R)-(+)-α-メチルベンジルアミン塩として同定した。
【0185】
化合物IIIの(R)-(+)-α-メチルベンジルアミン塩の形態Aは、標準的なX線粉末回折実験において、以下のXRPDピークを示す。
【0186】
【表1】
【0187】
表1において、「優先度」という用語は、その相対強度に基づいて、特定の回折ピークの重要性の認知度合いを示す。当業者であれば、回折ピークの相対強度が実験条件によって影響を受け得ることを理解するであろう。図1に示すような全体的な回折パターンも、固体形態を特徴付けるために等しく重要であり得る。
【0188】
イソプロピルアルコール(27.8L)を容器に充填し、溶媒をNガスで飽和させた。混合物を連続的に撹拌し、容器をNガスでパージしながら、n-ヘプタン(47.2L)を容器に添加した。n-ヘプタン/イソプロピルアルコール混合物を、清浄なドラムに移した。化合物IIIの(R)-(+)-α-メチルベンジルアミン塩(10.42Kg)を、Nガスでパージしながら溶媒混合物に添加した。反応器を密封し、3回の真空/Nガスサイクルを行った。塩化メチレン(80L)を反応混合物に添加した後、撹拌器をゆっくりと開始して固体を懸濁させ、スラリー化した。塩酸(2.0Mのカーボイ全部)を添加した。混合物を15分間撹拌し、相を分離させた(約10分)。化合物IIIは、下相にあった。相を分離し、次いで有機相を反応器に戻した。さらに2回分の2M HCl(それぞれ19L)で洗浄手順を繰り返した。無水硫酸マグネシウム(1kg)と共に撹拌することによって下部の有機相を乾燥させ、次いで上清を濾過した。混合物を約11Lの体積まで蒸留し、次いでイソプロパノール(10L)を反応器に添加した。蒸留およびイソプロパノール添加をさらに2回繰り返した。混合物にキニン(7.11kg)を添加した。残りの溶液をイソプロパノールおよびn-ヘプタンの混合物(合計57L)で希釈し、次いで得られた混合物を約60~65℃に加熱して、すべての固体を溶解した。90分間にわたって45℃に冷却した。冷却期間中、混合物温度が約56~58℃のときに、化合物IV種物質のキニン塩を添加した。混合物を3時間にわたって20℃に冷却した。混合物を100分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキをイソプロパノール/n-ヘプタン混合物(8L)で洗浄し、次いで固体を75℃で乾燥させた。生成物をイソプロパノール/n-ヘプタンから再結晶化して、8.7kgのIVを得た。
【0189】
キニン(1当量)を、約4mLのジクロロメタン中の化合物III(2g)に添加した。次いで、得られたスラリー/溶液を、2-プロパノール(4mL)に溶媒交換し、70℃に加熱して、完全に溶解させた。その後、溶液を65℃に冷却し、n-ヘプタン(12mL)を1時間かけて添加した。このヘプタン添加中に、自己核形成が観察され、得られたスラリーを65℃で1時間撹拌した。次いでスラリーを3時間にわたって20℃に冷却し、20℃で2時間攪拌した。スラリーを濾過し、2-プロパノール中の75V%ヘプタン混合物3mLで洗浄した。湿潤固体をXRPDによって分析し、化合物IIIキニン塩形態A(すなわち、化合物IV)の2-プロパノール溶媒和物として同定した。次いで、湿潤ケーキを50℃で24時間乾燥させて、約85%の収率で化合物IV形態Aを得た。
【0190】
化合物IVの形態Aは、標準的なX線粉末回折実験において以下のXRPDピークによって特徴付けられ得る。
【0191】
【表2】
【0192】
表2において、「優先度」という用語は、その相対強度に基づいて、特定の回折ピークの重要性の認知度合いを示す。当業者であれば、回折ピークの相対強度が実験条件によって影響を受け得ることを理解するであろう。図2に示すような全体的な回折パターンも、固体形態を特徴付けるために等しく重要であり得る。
【0193】
ステップ8:
4-((2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド)ピコリン酸メチル(II)の合成
【化44】
【0194】
手順1:
化合物IV(化合物IIIのキニン塩、2.8kg)を、残留IPA含有量がH NMR分析によって0.5%以下になるまで、50℃以下のトレイ乾燥機50℃で少なくとも24時間乾燥させた。乾燥したキニン塩を100Lジャケット付き反応器に充填し、続いてジクロロメタン(DCM、30.1kg)を添加した。2.5M塩酸溶液(9.0kg)を充填し、混合物を20±5℃で少なくとも15分間撹拌した。層を分離して、水層を廃棄した(このステップをさらに2回繰り返した)。有機層を水(5.6kg)で洗浄し、層を分離して、水層を廃棄した。キニンの量を決定するために、試料を有機層から採取した(IPC)。キニンが1.0%を超えた場合、有機層を塩酸水溶液で洗浄し、層を分離して水層を廃棄した。有機層をロータリーエバポレーターに移し、4体積まで蒸留した。DCMを20Lのロータリーエバポレーター丸底フラスコ(rbf)に充填し、混合物を4体積まで蒸留した。試料を採取し(IPC)、参考までに、含水量(KF)について分析した。
【0195】
混合物を100Lジャケット付き反応器に移した。N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、33.1g)に続いて塩化オキサリル(682.4g)を充填し、混合物を20±5℃で少なくとも3時間、または反応混合物中に存在する化合物IIIの量が<0.50%になるまで撹拌した。混合物を、20Lのロータリーエバポレーターrbfに移し、2体積まで蒸留した。DCMをロータリーエバポレーターrbfに充填し、混合物を3体積まで蒸留した(このステップを繰り返した)。試料を採取し(IPC)、塩化オキサリルの量を決定した(誘導体形成)。塩化オキサリルの量が0.50%を超えると決定された場合、DCMを混合物に充填し、混合物を3体積まで蒸留した(必要に応じて、塩化オキサリルの量が0.50%未満になるまでこのステップを3回繰り返した)。
【0196】
化合物VI(690.7g)を100Lジャケット付き反応器に充填し、続いてDCMを充填した。混合物を撹拌し、混合物の温度を10±5℃に調整した。トリエチルアミン(TEA、501.5g)を100Lジャケット付き反応器に充填し、続いて、酸塩化物を含有する20L rbfの内容物を移した(すなわち、化合物V)。反応器の温度を、少なくとも30分間にわたって20℃に調整し、20±5℃で少なくとも3時間撹拌した。化合物IIIの量を決定するために、試料を採取した(IPC)。化合物IIIが1.5%を超える量で存在する場合、反応を20±5℃で少なくとも1時間継続させた。試料を採取し、化合物III含有量を決定し、続いて、さらに1時間撹拌するプロセスを必要に応じて繰り返した。
【0197】
水(11.2kg)を反応器に充填し、混合物を少なくとも15分間撹拌した。層を分離させて、水層を廃棄した。有機層を、18%クエン酸水溶液(9.5kg)に続いて水(5.7kg)で洗浄し、各洗浄後に水層を廃棄した。100Lジャケット付き反応器を洗浄した。有機層を洗浄した100Lジャケット付き反応器に移し、混合物を4体積まで蒸留した。メタノールを100Lジャケット付き反応器に充填し、混合物を4体積まで蒸留した(このステップを繰り返した)。参考までに、DCM含有量(H NMR)を決定するために、試料を採取した(IPC)。追加のメタノール(2.8kg)に続いて、水(4.9kg)を充填した。温度を60±5℃に調整し、混合物を撹拌した。混合物の温度を55±5℃に調整し、混合物を55±5℃で少なくとも15分間撹拌した。必要に応じて、化合物II種結晶を充填し、混合物を55±5℃で少なくとも30分間撹拌した。水(4.9kg)を少なくとも5時間にわたって充填した。混合物を、55±5℃で少なくとも30分間撹拌し、続いて、少なくとも5時間にわたって温度を20±5℃に調整した。混合物を、20±5℃で少なくとも8時間攪拌した。固体を濾過によって収集し、水/メタノールで洗浄した。生成物(1.7kg)を乾燥させ、包装した。
【0198】
手順2:
化合物IV(化合物IIIのキニン塩、10g)を、60mLのトルエンおよび30mLの塩酸水溶液(2M)と20℃で30分間攪拌した。得られた乳濁液を相分離し、有機相(化合物III)を30mLの塩酸水溶液(2M)と20℃で30分間攪拌した。得られた乳濁液を相分離し、有機相(化合物IIIを含む)を20mLの蒸留水と20℃で30分間撹拌した。得られた乳濁液を相分離し、有機相(化合物IIIを含む)を(60mLのトルエンでチェイスして)蒸留し、約30mLにした。後者の溶液に、30mLのジクロロメタンを200μLのN,N-ジメチルホルムアミドと共に充填し、得られた混合物を30℃で撹拌した。この溶液に、10mLのジクロロメタンと混合された別個に調製された塩化オキサリル(1.6mL)を、1時間にわたってゆっくりと添加した。反応を3時間にわたって進行させて、化合物Vを形成した。反応後、残留塩化オキサリルを除去するために、一連のプットテイク蒸留サイクルを実施する必要がある(100mLのトルエン、次いで100mLのジクロロメタンでチェイスする)。得られた溶液は、ジクロロメタン中の化合物V50mLであり、これに、化合物VI(2.5g)+40mLのジクロロメタン+2.5mLのトリエチルアミンの別個に調製された溶液を(1時間にわたって)充填する。反応は、25℃で4時間にわたって行われ、その後、一連の洗浄が行われる[1)40mLの水洗浄、2)26mLのクエン酸溶液洗浄、および3)20mLの水洗浄]。溶媒交換を、プットテイク蒸留を介して行い、トルエンをメタノールと交換し、メタノール中の化合物II溶液70mLを得る。12.5mLのメタノールと5mLの水を予め混合した混合物を、後者の溶液に添加する。バッチを35~40℃に加熱し、化合物II結晶を加え、その後、3時間かけて15mLの水をゆっくりと充填し、5時間かけて20℃に冷却する。スラリーを8時間以上熟成させ、真空下で濾過する。得られた湿潤ケーキを、メタノール溶液中の30体積%の水で洗浄し、真空下40℃で乾燥させて、約85~90%の収率の化合物IIを得た。単離された形態は、形態Cである。
【0199】
ステップ9
4-((2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド)ピコリンアミド(I)の合成
【化45】
【0200】
手順1:
化合物II(1.6kg)を100L反応器に充填し、続いてメタノール(10.7kg)中の7Mアンモニア溶液を充填した。混合物の温度を20±5℃に調整した。混合物を、20±5℃で少なくとも24時間、または存在する出発材料の量が<0.5%になるまで撹拌した(化合物IIを0.5%未満に低減するために必要に応じて、追加量のアンモニア溶液を添加してもよい)。反応混合物を、ロータリーエバポレーターに移し、4体積まで蒸留した。メタノールをロータリーエバポレーターrbfに充填し、混合物を4体積まで蒸留した。混合物を100L反応器に移し、メタノールを充填した。温度を55±5℃に調整し、混合物を55±5℃で少なくとも10分間撹拌した。反応器内に溶液が存在しない場合、混合物の温度を60±5℃に調整し、混合物を少なくとも10分間撹拌し、続いて温度を55±5℃に調整した。温度を55±5℃に維持しながら、水(7.9kg)を少なくとも2時間にわたって反応器に充填した。混合物を55±5℃で少なくとも1時間撹拌し、続いて、少なくとも12時間にわたって温度を20±5℃に調整した。混合物を20±5℃で少なくとも5時間撹拌し、固体を濾過によって収集した。反応器をメタノール/水ですすぎ、すすぎ液を濾過ケーキを通して移した。固体を裏打ちしたトレイに移し、トレイ乾燥機で45℃以下で少なくとも12時間乾燥させて、1.3kgの粗製化合物(I)を得た。
【0201】
手順2:
アンモニアガスをメタノール溶液中の30体積%テトラヒドロフランに通気して、約6Mの濃縮溶液を得る。化合物II(10g)を、102mLの調製されたアンモニア溶液で溶解し、反応を20℃で20時間にわたって行う。その結果、化合物I溶液となり、これに12.5mLの水を25℃で1時間かけてゆっくりと充填する。播種は、25℃で0.5重量%の化合物I結晶で行なわれ、1時間熟成する。87.5mLの水を25℃で4.5時間にわたって充填する。スラリーを8時間以上熟成させ、真空下で濾過する。得られた湿潤ケーキをメタノール/テトラヒドロフラン/水(体積比35/15/50)で洗浄し、真空下40℃で乾燥させて、約92~94%の収率の化合物Iを得た。単離された形態は形態Bである。
【0202】
ステップ10:
化合物Iの精製
【0203】
手順1:
粗製化合物I(1.23kg)を22L rbfに充填し、続いてアセトン(5.01kg)を充填した。混合物を撹拌し、温度を40±5℃に調整した。混合物を20Lのジャケット付き反応器に研磨濾過した。温度を35±5℃に調整し、混合物を35±5℃で少なくとも5分間撹拌した。混合物が溶液ではない場合、温度を40±5℃に調整し、混合物を40±5℃で少なくともさらに5分間撹拌した。温度を35±5℃に調整し、水(1.90kg)を1.5時間にわたって溶液に充填し、その後、溶液に播種した。混合物を、35±5℃で少なくとも1時間攪拌した。35±5℃の温度を維持しながら、少なくとも2時間にわたって水(2.49kg)を反応器に充填し、混合物を35±5℃で少なくとも30分間撹拌した。温度を少なくとも5時間にわたって20±5℃に調整し、混合物を20±5℃で少なくとも5時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、反応器をアセトン/水ですすぎ、すすぎ液を濾過ケーキに通した。固体を、Nガスを用いてフィルター上で少なくとも30分間乾燥させた。生成物を裏打ちしたトレイに移し、トレイ乾燥機で乾燥させて、1.10kgの再結晶化合物(I)を得た。
【0204】
手順2:
上記で得られた化合物I(10g)を、25℃で70mLのメタノールおよび30mLのテトラヒドロフラン中に溶解した。次いで、研磨濾過を行った。12.5mLの水を、25℃で1時間にわたってゆっくりと充填した。播種を、25℃で0.5重量%の化合物I結晶を用いて行い、1時間熟成させた。87.5mLの水を25℃で4.5時間にわたって充填した。スラリーを8時間以上熟成させ、真空下で濾過した。得られた湿潤ケーキをメタノール/テトラヒドロフラン/水(体積比35/15/50)で洗浄し、真空下40℃で乾燥させて、約95%の収率の化合物Iを得た。単離された形態は形態Bであった。
(実施例2)
【0205】
化合物IIIの合成
別の方法として、化合物IIIは、スキーム2に従って合成されてもよい。
【化46】
【0206】
(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボン酸IIIの合成
【0207】
ステップ1
(3S,4S,5S)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-5-(ヒドロキシメチル)-3-メチル-テトラヒドロフラン-2-オン(XX)の合成
【化47】
【0208】
メタノール(40mL)中の5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-3-メチルフラン-2(5H)-オンXXI(1.064g、3.937mmol)およびNiCl.6HO(112.0mg、0.4712mmol)の溶液を、-15℃(NaCl/氷)に冷却した。次いで、NaBH(730mg、19.30mmol)を10分間にわたって分割添加し、添加完了時にさらに20分間撹拌した。反応混合物を冷NHCl(飽和)溶液に注ぎ入れ、相を分離して、水相をDCM(×2)でさらに抽出した。合わせた有機相を水およびブラインで洗浄した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン中の0%~30% EtOAcで溶出)によって精製して、(3S,4S,5S)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-5-(ヒドロキシメチル)-3-メチル-テトラヒドロフラン-2-オンXX(501mg、47%)を得た。H NMR(400 MHz,クロロホルム-d )δ 6.81 - 6.69(m,1H),6.64(ddd,J=8.7,5.6,2.2 Hz,1H),4.74 - 4.62(m,1H),3.91(d,J=3.4 Hz,3H),3.52(dd,J=12.1,7.9 Hz,1H),3.28(dd,J=12.1,4.6 Hz,1H),3.14 - 2.92(m,1H),1.84(d,J=1.8 Hz,1H),0.93(d,J=7.2 Hz,3H)ppm. ESI-MS m/z計算値 272.08603、実測値273.4(M+1)+;保持時間:1.32分。
【0209】
ステップ2
(3S,4S,5S)-5-(ベンジルオキシメチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-3-メチル-テトラヒドロフラン-2-オン(XIX)の合成
【化48】
【0210】
(3S,4S,5S)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-5-(ヒドロキシメチル)-3-メチル-テトラヒドロフラン-2-オンXX(17.7g、65.02mmol)およびベンジル2,2,2-トリクロロエタンイミデート(34g、134.6mmol)の1,4-ジオキサン(200mL)溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸(1mL、11.30mmol)を室温で滴下し(ゆっくりと添加しても緩やかな発熱が発生し、28℃に達する)、反応物を氷浴で冷却して、添加を継続した。混合物を室温で一晩撹拌した。溶液をTBMEで希釈し、NaOH 1Mの添加によってクエンチした。相を分離し、有機相をNaOH 2Mで2回洗浄した。合わせた有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(220gカラム、勾配:ヘプタン中の0~20% EtOAc)により精製して、不純生成物を得た。生成物をDCM中に溶解させ、NaOH 2Mで2回洗浄し、次いで水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮して、(3S,4S,5S)-5-(ベンジルオキシメチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-3-メチル-テトラヒドロフラン-2-オンXIX(18.7g、79%)を得た。H NMR(400 MHz,クロロホルム-d )δ 7.34 - 7.27(m,1H),7.31 - 7.17(m,2H),7.21 - 7.13(m,2H),6.79(td,J=9.1,7.2 Hz,1H),6.70(ddd,J=8.5,5.7,2.1 Hz,1H),4.87 - 4.78(m,1H),4.44(d,J=11.8 Hz,1H),4.28(d,J=11.9 Hz,1H),3.89(d,J=3.2 Hz,3H),3.51(dd,J=10.3,6.8 Hz,1H),3.25(s,1H),3.04(s,1H),0.97(d,J=7.1 Hz,3H)ppm; ESI-MS m/z計算値 362.13297、実測値363.4(M+1)+;保持時間:0.95分。
【0211】
ステップ3および4
(2S,3S,4S,5S)-5-(ベンジルオキシメチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-オール(XVII)の合成
【化49】
【0212】
(3S,4S,5S)-5-(ベンジルオキシメチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-3-メチル-テトラヒドロフラン-2-オンXIX(948mg、2.616mmol)を丸底フラスコに装填し、Nガス/真空で3回再充填した。トリメチル(トリフルオロメチル)シラン(1.7mL、11.50mmol)をシリンジを使用して添加した。THF(0.4mL)に続いて、無水CsF(97.5mg、0.6419mmol)(オーブン乾燥)を添加した。混合物をNガス/真空で3回再充填した。得られた混合物を室温で週末にわたって撹拌した。追加のTHF(9.5mL)に続いて、TBAF(2.6mLの1M、2.600mmol)を室温で添加し、10分間撹拌した。粗製混合物をDCM中に溶解し、水(2回)およびブラインで洗浄した。溶媒を真空中で除去して、粗製(2S,3S,4S,5S)-5-(ベンジルオキシメチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-オールXVII(367mg、32%)を得た。H NMR(500 MHz,クロロホルム-d )δ 7.25 - 7.12(m,3H),7.12 - 7.02(m,2H),6.72(dtt,J=11.1,7.0,3.8 Hz,2H),4.47(qd,J=6.1,2.3 Hz,1H),4.35(d,J=11.9 Hz,1H),4.22 - 4.14(m,1H),3.98(dd,J=8.5,6.0 Hz,1H),3.76(t,J=1.6 Hz,3H),3.46 - 3.35(m,1H),3.20(ddd,J=10.1,5.8,2.1 Hz,1H),2.95(p,J=7.5 Hz,1H),1.27 - 1.11(m,3H),0.81(td,J=7.0,2.1 Hz,1H),0.75(dd,J=7.2,1.7 Hz,3H)ppm; ESI-MS m/z計算値 432.136、実測値431.5(M-1)-;保持時間:1.01分。
【0213】
ステップ5
(2S,3S,4S,5S)-6-ベンジルオキシ-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジオール(XVI)の合成
【化50】
【0214】
(2S,3S,4S,5S)-5-(ベンジルオキシメチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-オールXVII(415mg、0.9598mmol)をTHF(8.5mL)中に溶解させ、0℃まで冷却した後、MeMgCl(1.6mLの3M、4.800mmol)を滴下した。反応混合物を室温に到達させ、次いで、反応が完了するまで密封バイアル内で60℃に加熱した。反応物を室温まで冷却させ、HCl 2Mの添加によりクエンチし、EtOAcで抽出して、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(12gカラム。勾配:ヘプタン中0~20%EtOAc)により精製して、所望の生成物である(2R,3S,4S,5S)-6-ベンジルオキシ-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジオールXVI(300mg、70%)を得た。H NMR(400 MHz,クロロホルム-d )δ 7.30 - 7.12(m,7H),6.74(td,J=9.3,7.5 Hz,1H),4.33(d,J=3.2 Hz,2H),4.30 - 4.21(m,1H),3.88(d,J=2.7 Hz,3H),3.47(dd,J=7.3,2.8 Hz,1H),3.29(dd,J=9.3,3.7 Hz,1H),2.91(t,J=8.9 Hz,1H),2.42(s,1H),2.37 - 2.25(m,1H),2.19(q,J=6.1,5.1 Hz,1H),1.28(d,J=1.2 Hz,3H),1.24(dq,J=7.3,1.8 Hz,3H)ppm; ESI-MS m/z計算値 448.1673、実測値447.5(M+1)+;保持時間:0.96分。
【0215】
ステップ6
(2R,3S,4S,5R)-5-(ベンジルオキシメチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-2,3-ジメチル-2-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン(XV)の合成
【化51】
【0216】
(2R,3S,4S,5S)-6-ベンジルオキシ-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジオールXVI(218mg、0.4861mmol)およびEtN(0.34mL、2.439mmol)をDCM(2.5mL)中に溶解させ、氷/水浴を使用して0℃に冷却した。次いで、塩化メシル(0.12mL、1.521mmol)を滴下し、反応が完了したとみなされるまで反応物を0℃で撹拌した。MeOH(1.5mL)を添加して反応物をクエンチした。冷混合物を室温まで加温させ、水(20mL)を添加した。層を分離し、水層をDCM(2×15mL)で抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、黄色の油として粗製メシル酸塩中間体264mgを得た。粗製メシル化生成物を2,6-ルチジン(5mL)で希釈し、120℃で1時間加熱した。混合物を水(20mL)およびDCM(20mL)で希釈した。層を分離し、水層をDCM(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和CuSO水溶液(20mL×4)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮し、粗生成物を、ヘプタン中の0~10%EtOAcの勾配、次いで、20%EtOAc:80%ヘプタンを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(2R,3S,4S,5R)-5-(ベンジルオキシメチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-2,3-ジメチル-2-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフランXV(100mg、48%)を得た。H NMR(500 MHz,クロロホルム-d )δ 7.28 - 7.11(m,5H),6.76 - 6.56(m,2H),4.61 - 4.38(m,3H),3.90 - 3.75(m,4H),3.57(ddd,J=11.0,2.6,1.4 Hz,1H),3.42(ddd,J=11.1,4.7,1.4 Hz,1H),2.52(pd,J=7.7,1.4 Hz,1H),1.48 - 1.41(m,3H),0.67(dt,J=7.2,2.2 Hz,3H)ppm. ESI-MS m/z計算値 430.15674、実測値431.5(M+1)+;保持時間:1.21分。
【0217】
ステップ7
[(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-イル〕メタノール(XIV)の合成
【化52】
【0218】
Pd(OH)(Degussa、23.7mg、0.03375mmol)を、Nガスを充填した丸底フラスコに装填した。フラスコにNガスを3回再充填した。次いで、EtOH(2mL)中の(2R,3S,4S,5R)-5-(ベンジルオキシメチル)-4-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-2,3-ジメチル-2-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフランXV(76mg、0.1766mmol)を添加し、再びフラスコをNガス(×3)で再充填した。水素のバルーンを、空の状態になるまで得られた溶液に通気させた。バルーンを最充填し、混合物を室温で一晩激しく撹拌した。反応フラスコをNガスで3回フラッシュした(真空/Nガスサイクル)。次いで、EtOHで予め湿潤されたセライトカートリッジに混合物を通すことによって、触媒を濾過し、溶媒を真空中で除去して、[(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]メタノールXIV(68mg、約94%の純度に基づき定量的収率)を得た。). H NMR(400 MHz,クロロホルム-d )δ 6.76(td,J=9.2,7.3 Hz,1H),6.67(ddd,J=8.6,5.6,2.1 Hz,1H),4.46(ddd,J=11.3,4.0,2.5 Hz,1H),3.92(d,J=2.5 Hz,3H),3.89 - 3.70(m,2H),3.41(dd,J=12.3,4.0 Hz,1H),2.56(p,J=7.7 Hz,1H),2.12 - 1.83(m,1H),1.46(d,J=1.4 Hz,3H),0.69(dq,J=7.4,2.4 Hz,3H)ppm. ESI-MS m/z計算値に基づく定量的収率 340.10977、実測値358.5(M+1)+;保持時間:0.94分。
【0219】
ステップ8
(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボン酸(III)の合成
【化53】
【0220】
[(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]メタノールXIV(45mg、0.1322mmol)をCHCl(0.5mL)中に溶解させ、0℃まで冷却した。次いで、NaBr(8.6mg、0.08358mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(45.3mg、0.1405mmol)、TEMPO(7.7mg、0.04928mmol)、およびNaHCO飽和水(0.4mL)を添加した。得られた混合物を、激しく撹拌しながらNaOCl(9μL、0.1326mmol)で処理し、1時間にわたって室温まで加温させた。HCl(0.13mLの1M、0.1300mmol)を、pHが6~7に中和するまで添加した。次いで、tBuOH(2mL)、2-メチルブタ-2-エン(0.5mLの2M、1.000mmol)に続いて、NaClO(12.6mg、0.1393mmol)およびNaHPO(0.02mL、0.3192mmol)の水溶液を添加し、混合物を室温で1~2時間撹拌した。混合物を飽和NaHPO水溶液(5mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥して、濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。生成物を、逆相HPLCによって精製した。方法:C18 Waters X-bridgeカラム(19×150mm、5ミクロン)、勾配:0.1%水酸化アンモニウムを含むHO中のMeCN。19mL/分+カラム希釈注入時の1mL/分MeCN、9分にわたる15.8%~30.5%の勾配で、(2R,3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-フェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボン酸III(17mg、36%)を得た。H NMR(400 MHz,メタノール-d4)δ 7.11(ddd,J=8.3,5.6,2.2 Hz,1H),6.96(ddd,J=9.9,8.9,7.5 Hz,1H),4.96(d,J=10.5 Hz,1H),4.16(dd,J=10.5,7.8 Hz,1H),3.99(d,J=2.4 Hz,3H),2.73(p,J=7.6 Hz,1H),1.59(d,J=1.2 Hz,3H),0.86 - 0.68(m,3H)ppm. ESI-MS m/z計算値354.08905、実測値353.4(M-1)-;保持時間:0.59分。
(実施例3)
【0221】
化合物Xの合成
別の方法として、化合物XXは、スキーム4に従って合成されてもよい。
【化54】
【0222】
一部の実施形態では、化合物XXVIを脱カルボン酸し、続いて水素化反応させて、化合物XXIVを得てもよい。
【0223】
ステップ1
(R)-4,5-ジメチル-2-オキソ-5-(トリフルオロメチル)-2,5-ジヒドロフラン-3-カルボン酸メチル(XXVII)の合成
【化55】
【0224】
手順1:
オーバーヘッド撹拌器、窒素入口、および温度プローブを備えた10L容器を窒素でフラッシュし、200.14g(1.282mol)の化合物XXVIII、450mL(520g、3.94mol、3.07当量)のマロン酸ジメチル、および6.0Lのメタノールを充填した。透明な溶液に、1003.16g(3.079mol、2.4当量)の炭酸セシウムを数回に分けて添加した。添加によってわずかに発熱し、(すべてのCs2CO3が添加されたとき)内部温度は22℃から29℃に上昇した。白色の希薄懸濁液を得た。1.5時間経過すると、混合物は無色透明の溶液になった。混合物を窒素下、室温で週末にわたって攪拌した。
【0225】
橙褐色の溶液を得た。溶液を2~3℃に冷却し、3N HCl(水溶液)をpH6~7まで添加した。約1300mLの3N HCl(水溶液)が必要であった。メタノールの大部分を減圧下で除去した(52℃の水浴、170mbarまで減圧)。残った液体をEtOAc(1.5L、3×500mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(500mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で除去した。
【0226】
褐色の油を得た。収量:362g。NMR 1(CDCl):18%w/wのマロン酸ジメチルが存在。物質を、9~12mbarでの分留蒸留によって精製して、256g(1.075mol、84%)の化合物XXVIIを得た。
【0227】
手順2:
メタノール(6L)中の化合物XXVIII(249.5g、1.2786mol)、マロン酸ジメチル(509.9g、3.8595mol)の溶液に、炭酸セシウム(1000g、3.0692mol)を1時間にわたって少しずつ添加した。混合物を一晩撹拌した。混合物を5℃に冷却した後、pH6~7が得られるまで温度が10℃を超えないように、1%塩酸水溶液を少しずつ添加した。メタノールを真空中で除去し、得られた溶液を酢酸エチル(2×1.5L)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(1L)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濃縮した。反応を上記のスケールで3回、このスケールの0.664で1回繰り返し、全てのバッチを合わせて、黒色の油として化合物XXVII(283.2g、93%)を得て、これを精製することなく次のステップで使用した。H NMRに基づくと、油は、20%のマロン酸ジメチルおよび3%のトルエンが混入していた。
【0228】
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 3.90(s,3H),2.44(s,3H),1.70(s,3H)ppm.
【0229】
ステップ2
【化56】
(R)-4,5-ジメチル-2-オキソ-5-(トリフルオロメチル)-2,5-ジヒドロフラン-3-カルボン酸(XXVI)の合成
【0230】
手順1:
9Lジャケット付きガラス反応器に、5.7L(10.43kg、106.4mol、44.5当量)95%超の硫酸および569.0g(2.389mol)の化合物XXVIIを装填した。無色の溶液を78~79℃に加熱した。4時間後、暗橙色の透明な溶液を得た。試料を氷およびDCMと混合し、分離した有機相を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、NMRアリコート用に濃縮した(H、19F CDCl):34~35%変換。混合物を78~79℃で一晩撹拌した。21時間後の内部温度は78.7℃であり、混合物はわずかに色が暗くなった。試料を氷およびDCMと混合し、分離した有機相を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、NMRアリコート用に濃縮した(H、19F CDCl):94%変換。混合物を0~3℃に冷却した(2時間かかった)。混合物を、20kgの氷および9LのDCMの撹拌混合物にサイフォン注入した(移送は4~5分かかった)。混合物を10分間激しく撹拌し、相を安定させた。相が分離した後、水相をDCM(3×3L、3×2L)で抽出した。合わせた有機相を水(3.0L)、ブライン(1.5L)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で濃縮(55℃の水浴、42mbarまで減圧)して、薄いベージュ色の固体、525gを得た。粗生成物をTBME(2.2L)中に溶解させた。溶液に、3.8Lの飽和 NaHCO水溶液を慎重に添加した(ガスの発生および発泡)。濃厚な懸濁液を得て、3.5Lの水を添加し、透明な二相系を得た。相を分離し、有機相を1/2飽和 NaHCO水溶液(650mL)で抽出した。合わせた水相をTBME(2×400mL)で洗浄し、濃縮 HCl水溶液でpH1~2に酸性化した。より不透明になるであろうピンク色がかった懸濁液を得た。不透明な混合物をTBME(7×1L)で抽出した。合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下(61℃の水浴、8mbarまで減圧)で除去して、化合物XXVIIのクリーム色の固体を得た。収量489.5g(2.184mol、91.4%)。NMR(H、19F CDCl):19F NMRにより97.2%純粋、TBME残留なし。HPLC-MS(ACN):98.12%純粋、いくらかの脱カルボン酸生成物が存在する。
【0231】
手順2:
濃硫酸(2.5760kg、1.4L、26.264mol)中の化合物XXVII(284.8g、920.79mmol)の溶液を、78℃で一晩撹拌した。反応物を0℃まで冷却し、激しく撹拌しながら氷(6kg)に注いだ。混合物をジクロロメタン(3×2L)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(1L)で洗浄し、濃縮した。残渣をトルエン(2L)中に取り込み、0.5Lの体積まで部分濃縮した。溶液を0℃に冷却し、濾過した。生成物を、冷トルエン(0.2L)、続いてヘプタン(0.3L)で洗浄し、空気乾燥させた。反応を5回繰り返し、全ての物質を合わせて、灰白色の固体として化合物XXVI(786.4g、62%)を得た。
【0232】
H-NMR(400 MHz,クロロホルム-D)δ 2.60(d,3H),1.77(d,3H)ppm,酸プロトンは観察されなかった。
【0233】
合わせた母液を濃縮して暗色の油を得て、これを濃硫酸(1.8400kg、1L、18.760mol)で処理し、78℃で一晩撹拌した。反応物を0℃まで冷却し、激しく撹拌しながら氷(4kg)に注いだ。混合物をジクロロメタン(3×1.5L)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(1L)で洗浄し、濃縮した。残渣をトルエン(2L)中に取り込み、0.5Lの体積まで部分濃縮した。溶液を0℃に冷却し、濾過した。生成物を冷トルエン(0.2L)、続いてヘプタン(0.3L)で洗浄し、空気乾燥させて、化合物XXVI(226.5g、18%)を淡褐色固体として得た。
【0234】
H-NMR(400 MHz,クロロホルム-D)δ 2.61(d,3H),1.77(d,3H)ppm,酸プロトンは観察されなかった。
【0235】
ステップ3および4
【化57】
【0236】
ステップ3
(R)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)フラン-2(5H)-オン(XXIX)の合成
【化58】
【0237】
温度プローブおよび気泡計数器に接続された空気冷却管を備えた250mLの3つ口RBFに、76.29g(340.4mmol)の化合物XXVIを充填した。固体を溶融した(加熱マントルは120℃に設定した)。すべての固体が溶融(95~97℃で溶解)すると、加熱を175℃に設定し、内部温度が168~199℃に達して、ガスの安定した発生が観察された。30分後、加熱を170℃に設定して、内部温度を165~166℃に維持した。その時から、ガスの発生はゆっくりと増加し、ガスの放出が開始してから45分後に、ガスの発生はかなり増加し、混合物は10~15秒で赤褐色になった。変色後、ガスの発生は急激に止まった。液体を室温に冷却した。収量60.62g(336.5mmol、98.9%)の(R)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)フラン-2(5H)-オン(XXIX)を単離した。
【0238】
ステップ4
(R)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)フラン-2(5H)-オンの水素化
【化59】
【0239】
Pd/C(8.16g、7.668mmol)をN下でRBFに装填した。EtOH(140mL)に続いて、化合物XXIX(13.9479g、77.43mmol)を添加した。フラスコを3サイクルのN/真空でパージした。Hを充填したバルーンを3方向弁アダプタに接続し、懸濁液をH/真空で3回再充填した。次いで、TLCによる完了まで、Hバルーン下で撹拌した。H充填バルーンを除去し、反応物を真空下に置いて、水素を除去した。3サイクルのN/真空を実施し、次いで、懸濁液を、逆漏斗を使用してN気流下でセライトパッドを通して濾過した。溶媒を除去し、橙色の油をNMRにより一つの単一ジアステレオマーであることを確認し、1.1%の残留EtOHを含有する12.17gの化合物XXIVを得た。
【0240】
H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ 2.73 - 2.64(m,1H),2.64 - 2.54(m,1H),2.54 - 2.42(m,1H),1.62(q,J=1.0 Hz,3H),1.29(dt,J=6.7,2.2 Hz,3H)ppm.
【0241】
代替ステップ3
(3S,4S,5R)-4,5-ジメチル-2-オキソ-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-3-カルボン酸(XXV)の合成
【化60】
【0242】
トルエン(100mL)中のパラジウム炭素(101g、5%w/w、47.453mmol)のスラリーを、オートクレーブ中のTHF(5L)中の化合物XXVI(1012g、4.4474mol)の溶液に添加した。混合物に水素を600psiまで充填し、室温で18時間撹拌した。反応物を濾過し、濾液を濃縮して、無色の油として粗製化合物XXVを得たが、これはH NMRに基づくと、THF(5.11%w/w)、所望の生成物のメチルエステル(1.92%w/w)、および所望の生成物のイソプロピルエステル(15.6%w/w)が混入していた。
【0243】
代替ステップ4
(4S,5R)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン(XXIV)の合成
【化61】
【0244】
トルエン(6L)中の化合物XXV(1.124kg、3.8454mol)の溶液を、110℃で42時間加熱した。冷却時に溶液を濃縮した。真空蒸留(92~96℃、18ミリバール)により、化合物XXIV(625g、86%)を無色液体として得た。H-NMR(400 MHz,クロロホルム-D)δ 2.69-2.42(m,3H),1.62-1.55(m,3H),1.30-1.21(m,3H)ppm.
【0245】
GC(DB1-1HTカラム、40~360℃の定流量法、25℃/分、インジェクター250℃)室温2.750分、96.1%。
【0246】
ステップ5
(3R,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン(XXIII)の合成
【化62】
【0247】
手順1
テトラヒドロフラン中のLiHMDSの溶液(84mLの1M、84.000mmol)を、窒素下-50℃で、テトラヒドロフラン(100mL)中の化合物XXIV(14.2g、74.064mmol)の溶液に15分間にわたって添加した。1時間後、塩化亜鉛のテトラヒドロフラン溶液(335mLの0.5M、167.50mmol)を40分間かけて添加し、反応混合物を-52~-45℃で撹拌した。75分後、テトラヒドロフラン(110mL)中のPd(dba)(12.880mg、0.0224mmol)、QPhos(1.08g、1.5196mmol)、および1-ブロモ-3,4-ジフルオロ-2-メトキシ-ベンゼン(11.04g、49.503mmol)の溶液を5分間にわたって添加し、反応混合物を室温まで一晩加温させた。反応混合物を5℃まで冷却し、20%塩化アンモニウム水溶液(100mL)を添加した。メチルtert-ブチルエーテル(100mL)および水(50mL)を添加した。水層を水(100mL)で希釈し、メチルtert-ブチルエーテル(100mL)で抽出した。有機層を合わせて15%塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過し、真空下で濃縮した。トルエン(100mL)を添加し、有機混合物を30%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンを使用してシリカゲル(25g)上に予め吸収させた。ヘプタン中の0~6%メチルtert-ブチルエーテルを使用したシリカゲル(125g)上のフラッシュクロマトグラフィーにより、赤色固体として化合物XXIII(10g、62%)を得た。ESI-MS m/z 計算値324.0785、実測値325.1(M+1)+; 保持時間:2.101分。混合画分を合わせ、溶媒を真空下で除去した。残渣を、ジクロロメタンを使用してシリカゲル(4.0g)上に予め吸収させた。ヘプタン中の0~20%メチtert-ブチルエーテルを使用したシリカゲル(40g、25μm)上のフラッシュクロマトグラフィーによる第二の精製によって、赤色固体として化合物XXIII(2.755g、17%)を得た。ESI-MS m/z 計算値324.0785、実測値325.1(M+1)+; 保持時間:2.101分。合計収率=79%。
【0248】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ 6.91 - 6.80(m,2H),3.98(d,J=2.7 Hz,3H),3.53(d,J=12.0 Hz,1H),2.77 - 2.62(m,1H),1.67(s,3H),1.19 - 1.14(m,3H)ppm. 19F NMR(377 MHz,CDCl)δ -76.10(s,3F),-135.14 - -135.71(m,1F),-153.19(dd,J=19.8,3.4 Hz,1F)ppm.
【0249】
手順2
アルゴン下、-25℃でTHF(1Lの1M、1000.0mmol)中のビス(トリメチルシリル)アミドリチウムに、温度が-25℃未満に維持されるように、テトラヒドロフラン(500mL)中の化合物XXIV(156.1g、857.03mmol)の溶液を冷却しながら添加した。-25℃で0.5時間撹拌すると、温度が-25℃未満に維持されるように、THF中の塩化亜鉛(3.955Lの0.5M、1.9775mol)を添加した。-25℃で0.5時間撹拌すると、テトラヒドロフラン(500mL)中のXPhos(9.5g、19.928mmol)およびビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(7.6g、13.217mmol)の溶液、続いて、テトラヒドロフラン(250mL)中の1-ブロモ-3,4-ジフルオロ-2-メトキシベンゼン(147g、659.15mmol)の溶液を添加した。反応混合物を-25℃で1時間撹拌し、次いで、室温に加温させて一晩撹拌した。次いで反応混合物を0℃まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(4L)を添加した。混合物をTBME(2×1.5L)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(1L)で洗浄し、乾燥させて(無水硫酸ナトリウム)、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~5%TBME)による精製、次いで、10℃まで冷却してヘプタン(300mL)から結晶化させて、白色固体として化合物XXIII(96.1g、45%)を得た。
【0250】
H-NMR(400 MHz,クロロホルム-D)δ 6.83(m,2H),3.97(m,3H),3.52(d,1H),2.68(m,1H),1.65(m,3H),1.17(m,3H)ppm.
【0251】
ステップ6
(3S,4S,5R)-3-(3,4-ジフルオロ-2-メトキシフェニル)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン(X)の合成
【化63】
【0252】
手順1:
アルゴン下-25℃のTHF(480mLの1M、480.00mmol)中のビス(トリメチルシリル)アミドリチウムに、テトラヒドロフラン(500mL)中の化合物XXIII(100g、308.41mmol)の溶液を滴下した。-25℃で0.5時間撹拌すると、溶液を0℃に加温させ、1時間撹拌した。次いで、溶液を-25℃に冷却し、アルゴン下、-25℃で、テトラヒドロフラン(1L)中のピバル酸(315g、3.0842mol)の溶液に添加した。-25℃で0.5時間撹拌すると、温度が-15℃を超えないようにTBME(1L)を少量ずつ添加し、その後、温度が0℃を超えないように2M塩酸水溶液(1.5L)を添加した。塩化ナトリウム(480g、8.2132mol)を添加し、混合物を室温まで加温させた。有機層を分離し、濃縮し、ヘプタン(1L)で処理して、さらに濃縮した。得られた油をTBME(1L)中に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(6×1L)、次いで0.5M塩酸水溶液(500mL)、次いでブライン(500mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濃縮して、黄色の油として粗製化合物X(129.3g、92%)を得た。H NMRに基づくと、油は、29%のピバル酸が混入していた。
【0253】
H-NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ 6.89(m,2H),4.49(m,1H),3.99(d,3H),2.88(m,1H),1.70(m,3H),0.79(m,3H)ppm

【化64】
【0254】
手順2:
ヘキサン中のn-ブチルリチウムの溶液(0.95mLの2.5M、2.3750mmol)を、-78℃でテトラヒドロフラン(6.5mL)中の臭化メシチル(503mg、2.5265mmol)の溶液にゆっくりと添加し、反応混合物を-50℃まで加温した。この温度で45分間撹拌した後、反応混合物を-78℃まで冷却し、テトラヒドロフラン(5mL)中の化合物XXIII(503mg、1.5498mmol)の溶液を15分間かけてゆっくりと添加した。1.5時間後、テトラヒドロフラン(2.2mL)中のサリチル酸(535mg、3.8734mmol)の室温溶液をゆっくりと添加した。30分後、ギ酸(244.00mg、0.2mL、5.3014mmol)を添加し、反応混合物を室温まで加温し、真空下で濃縮した。残渣をメチルtert-ブチルエーテル(20mL)中に溶解させ、有機混合物を10%炭酸ナトリウム水溶液(2×15mL)で洗浄した。塩基性水性洗浄液を合わせ、メチルtert-ブチルエーテル(20mL)で再抽出した。有機層を合わせ、15%塩化ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、淡黄色の油として化合物X(545mg、74%)を得た。ESI-MS m/z 計算値324.0785、実測値325.1(M+1)+; 保持時間:3.217分。
(実施例4)
【0255】
別の方法として、化合物XXIVは、スキーム5に従って合成されてもよい。
【化65】
【0256】
ステップ1
(2S,3R)-4,4,4-トリフルオロ-2,3-ジメチルブタン-1,3-ジオール(XXX)の合成
【0257】
アルゴン下、水素化アルミニウムリチウムのテトラヒドロフラン溶液(2.4Lの2.4M、5.7600mol)に、(2R,3R)-4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシ-2,3-ジメチル-ブタン酸(XXIX)(357.3g、1.9196mol)のテトラヒドロフラン(750mL)溶液を45~55℃で2時間かけて滴下した。完全添加時に、混合物を還流下で0.5時間加熱し、次いで0℃3に冷却した。1:1のテトラヒドロフラン-水(750mL)を0~20℃で1時間にわたって滴下した。次いで、5M HCl水溶液(4.5L)を、0~20℃で40分間にわたって滴下し、生成物をTBME(2×2L)に抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(1L)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。反応を5回繰り返し、全てのバッチを合わせて、淡黄色の油として化合物XXX(1934g、96%)を得て、これを精製することなく次のステップで使用した。H NMRに基づくと、油は、1.6%のTHFが混入していた。
【0258】
H-NMR(400 MHz,クロロホルム-D)δ 3.90-3.66(m,4H),2.07(m,1H),1.38(s,3H),1.03(m,3H)ppm.
【0259】
ステップ2
(2S,3R)-4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシ-2,3-ジメチルブチル 4-メチルベンゼンスルホネート(XXXI)の合成
【0260】
アルゴン下、0℃で、ピリジン(1.6L)中の化合物XXX(322.3g、1.8423mol)の溶液に、p-トルエンスルホニルクロリド(439g、2.3027mol)を、0~5℃で1.5時間にわたって少しずつ添加した。完全添加時に、混合物を0~5℃で4時間撹拌し、次いで10℃で一晩撹拌した。次いで、混合物を0℃に冷却し、水(6.5L)で処理した。混合物をTBME(2×1.5L)で抽出し、合わせた有機物を2M HCl水溶液(2×2L)、その後、飽和硫酸銅水溶液(2L)で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。反応を5回繰り返し、すべてのバッチを合わせて、化合物XXXI(3399g、93%)を橙色の油として得て、これを精製することなく次のステップで使用した。H NMRに基づくと、油は、1.6%のTBMEが混入していた。
【0261】
H-NMR(400 MHz,クロロホルム-D)δ 7.77(m,2H),7.30(m,2H),4.26(m,1H),3.91(m,1H),2.44(s,3H),2.19(m,2H),1.33(s,3H),1.08(m,3H)ppm.
【0262】
ステップ3
(3S,4R)-5,5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシ-3,4-ジメチル-ペンタンニトリル(XXXII)の合成
【0263】
ジメチルスルホキシド(2.2L)中の化合物XXXI(566.5g、1.7082mol)の溶液に、シアン化ナトリウム(125.6g、2.5629mol)を添加し、反応混合物を80℃で一晩撹拌した。室温まで冷却すると、水(6.6L)を添加し、生成物をジクロロメタン(3×2L)中に抽出した。合わせた有機物を真空中で濃縮し、得られた油をTBME(2L)中に溶解させ、ブライン(500mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濃縮した。反応を5回繰り返し、すべてのバッチを合わせて、化合物XXXII(1371g、66%)を褐色の油として得て、これを精製することなく次のステップで使用した。H NMRに基づくと、油は、10%のDMSOが混入していた。
【0264】
H-NMR(400 MHz,クロロホルム-D)δ 2.89(m,1H),2.14(m,2H),1.28(m,3H),1.15(m,3H)ppm,ヒドロキシルプロトンは観察されなかった。
【0265】
ステップ4
(4S,5R)-4,5-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン-2-オン/(3S,4R)-5,5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシ-3,4-ジメチル-ペンタン酸(XXIV)の合成
【0266】
エタノール(IMS)(1.1L)および水(1.1L)中のXXXII(228.5g、1.1352mol)の溶液に、水酸化カリウム(85%、299.2g、4.5408mol)を添加した。得られた溶液を還流下で一晩加熱した。室温まで冷却すると、エタノールを真空中で除去し、得られた水溶液をTBME(2×500mL)1で洗浄した。水溶液を0℃まで冷却し、0~4℃で36%塩酸水溶液(250mL)でpHまで冷却しながら酸性化し、TBME(3×1.5L)で抽出して、合わせた抽出物をブライン(500mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。反応を5回繰り返し、全てのバッチを合わせて、化合物XXIVおよび不純物として(3S,4R)-5,5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシ-3,4-ジメチル-ペンタン酸(1122g、約86%)をオレンジ色の油として得て、これを精製することなく次のステップで使用した。H NMRに基づくと、油は、0.5%のTBMEが混入していた。
【0267】
以下の手順を使用して、化合物XXIVを、(3S,4R)-5,5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシ-3,4-ジメチル-ペンタン酸から分離した。
【0268】
化合物XXIVおよび(3S,4R)-5,5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシ-3,4-ジメチル-ペンタン酸(561g、約2.8mol1)、アンバーリスト15の水素形態2(10g)、およびトルエン(2L)の混合物を、Dean-Stark装置を用いて還流下で2時間加熱した。冷却時に、反応混合物を樹脂からデカントし、濃縮した。反応を繰り返し、両方のバッチを合わせた。真空蒸留(102~108℃、30mbar)により、淡黄色の液体として化合物XXIVの液体(903g、約84%)を得た。
【0269】
H-NMR(400 MHz,クロロホルム-D)δ 2.58-2.31(m,3H),1.47(d,3H),1.14(m,3H)ppm.
【0270】
GC(DB1-1HTカラム、40~360℃の定流量法、25℃/分、インジェクター250℃)室温3.008分、99.8%
【0271】
19F-NMR(400 MHz,クロロホルム-D)δ -76.4 ppm
【0272】
当業者にとって明らかであるように、範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態の多くの修正および変形がなされてもよい。本明細書に記載される特定の実施形態は、例示のみを目的として提供されている。
図1
図2
【国際調査報告】