(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-13
(54)【発明の名称】自律的な画像取得開始停止管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 30/00 20180101AFI20240606BHJP
【FI】
G16H30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574394
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022063394
(87)【国際公開番号】W WO2022253570
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チョードリ スディプタ
(72)【発明者】
【氏名】シソーディア ラジェンドラ シン
(72)【発明者】
【氏名】フォークトマイヤー ゲレオン
(72)【発明者】
【氏名】リュースラ クリストフ ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ナーイク サリフ クマル
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA26
(57)【要約】
本発明は、自律撮像に関する。自律走査手順の準備状況インデックスを自動的に評価し、撮像手順を続行するか、一時停止するか、又は撮像手順について継続的に評価するシステム及び方法が提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するためのルールエンジン装置であって、前記ルールエンジン装置が、
入力ユニットと、
マスタルールエンジンユニットと、
各ワークフローステップルールエンジンユニットがそれぞれのルールのセットに関連付けられる、複数のワークフローステップルールエンジンユニットと、
出力ユニットと
を備え、
前記入力ユニットが、自律画像取得ワークフローにおけるイベントを示すデータ入力を受信し、
前記マスタルールエンジンユニットが、前記データ入力のために、前記複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、準備状況インデックスのセットを決定し、選択された前記1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットのそれぞれが、前記データ入力に応答して、前記それぞれのルールセットの1つ又は複数のルールを実行して、前記自律画像取得ワークフローにおける特定のステップに向けて準備されているという状態を示すそれぞれの準備状況インデックスを生成し、
前記マスタルールエンジンユニットがさらに、前記準備状況インデックスのセットに基づいて前記自律撮像装置のアクションを決定し、
前記出力ユニットが、前記自律撮像装置を制御するために使用可能な決定された前記アクションを出力する、ルールエンジン装置。
【請求項2】
各ルールが前記自律画像取得ワークフローにおける特定のワークフローステップに対応し、異なるルール間のワークフローステップが異なる、請求項1に記載のルールエンジン装置。
【請求項3】
前記マスタルールエンジンユニットが、選択された前記1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットのうちの少なくとも1つへの前記データ入力を前記特定のワークフローステップのサブステップと関連付ける、請求項2に記載のルールエンジン装置。
【請求項4】
前記データ入力が、事前訓練された機械学習アルゴリズムからの出力を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のルールエンジン装置。
【請求項5】
前記複数のワークフローステップルールエンジンユニットが、能動学習メカニズムを使用してそれぞれのルールセットを更新する、請求項1から4のいずれか一項に記載のルールエンジン装置。
【請求項6】
前記データ入力が、
前記患者から収集されたデータ、
前記自律走査手順において使用されるデバイスから収集されたデータ、
前記自律撮像装置から収集されたデータ、
撮像室から収集されたデータ、及び
ユーザ入力から収集されたデータ
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のルールエンジン装置。
【請求項7】
前記患者から収集された前記データが、
前記患者を監視するためのセンサから収集されたセンサデータ、
前記患者の臨床データ、及び
患者プロフィールデータ
のうちの1つ又は複数を含む、請求項6に記載のルールエンジン装置。
【請求項8】
決定された前記アクションが、
画像取得を開始すること、
画像取得を中止すること、及び
画像取得を停止すること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のルールエンジン装置。
【請求項9】
画像取得を開始する前記アクションを決定するために、前記マスタルールエンジンユニットが、前記データ入力のために、前記複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、前記自律撮像装置が画像取得の開始に向けて準備されているという状態を示す、デバイスに関する準備状況インデックスのセット、及び、前記患者が画像取得の開始に向けて準備されているという状態を示す、前記患者に関する準備状況インデックスのセットを決定する、請求項8に記載のルールエンジン装置。
【請求項10】
画像取得を中止する前記アクションを決定するために、前記マスタルールエンジンユニットが、前記データ入力のために、前記複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、前記自律撮像装置が画像取得を継続するのに適していないという状態を示す、デバイスに関する準備状況インデックスのセット、及び/又は、前記患者が画像取得を継続するのに適していないという状態を示す、前記患者に関する準備状況インデックスのセットを決定する、請求項8に記載のルールエンジン装置。
【請求項11】
画像取得を停止する前記アクションを決定するために、前記マスタルールエンジンユニットが、前記データ入力のために、前記複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、
計画された終了、
走査プロトコルの完了、
画像品質アセスメント、
関心対象の臓器の範囲、及び
遠隔オペレータによる安定したインターネットアクセス
のうちの1つ又は複数を示す準備状況インデックスのセットを決定する、請求項8に記載のルールエンジン装置。
【請求項12】
自律撮像装置と、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のルールエンジン装置と
を含む、自律撮像システムであって、前記自律撮像装置が、前記ルールエンジン装置によって提供される決定されたアクションに基づいて患者の画像を取得する、自律撮像システム。
【請求項13】
自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するための方法であって、前記方法が、
a)入力ユニットによって、自律画像取得ワークフローにおけるイベントを示すデータ入力を受信するステップと、
b)マスタエンジンユニットによって、前記データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、準備状況インデックスのセットを決定するステップであって、各ワークフローステップルールエンジンユニットがそれぞれのルールのセットに関連付けられ、選択された前記1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットのそれぞれが、前記データ入力に応答して、前記それぞれのルールセットの1つ又は複数のルールを実行して、前記自律画像取得ワークフローにおける特定のステップに向けて準備されているという状態を示すそれぞれの準備状況インデックスを生成する、ステップと、
c)前記マスタエンジンユニットによって、前記準備状況インデックスのセットに基づいて前記自律撮像装置のアクションを決定するステップと、
d)出力ユニットによって、前記自律撮像装置を制御するために使用可能な決定された前記アクションを出力するステップと
を有する、方法。
【請求項14】
少なくとも1つの処理ユニットによって実行されたとき、前記少なくとも1つの処理ユニットに、請求項13に記載の方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムを記憶した、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律撮像に関する。詳細には、本発明は、自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するためのルールエンジン装置及び方法、自律撮像システム、コンピュータプログラム製品、並びにコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療撮像施設にとって、高い患者スループットは非常に重要である。さらに、運用コストを削減しながらスループットを向上させるために、オペレータ依存のアクションの低減及びワークフロー手順の自動化により、撮像は将来的にますます自律的になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、改良された自律撮像システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決される。本発明のさらなる実施形態及び利点は、従属請求項に組み込まれる。さらに、方法に関する本発明のすべての実施形態は記載されたステップの順序で実行されるが、これが、本明細書に提示された方法のステップの唯一かつ必須の順序である必要はないことに留意されたい。以下に別段の明記がない限り、本明細書に開示される方法は、それぞれの方法の実施形態から逸脱することなく、開示されたステップの別の順序で実行でき得る。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するためのルールエンジン装置が提供される。ルールエンジン装置は、入力ユニットと、マスタルールエンジンユニットと、各ワークフローステップルールエンジンユニットがそれぞれのルールのセットに関連付けられる、複数のワークフローステップルールエンジンユニットと、出力ユニットとを備える。入力ユニットは、自律画像取得ワークフローにおけるイベントを示すデータ入力を受信するように構成される。マスタルールエンジンユニットは、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、準備状況インデックスのセットを決定するように構成され、選択された1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットのそれぞれは、データ入力に応答して、それぞれのルールセットの1つ又は複数のルールを実行して、自律画像取得ワークフローにおける特定のステップに向けて準備されているという状態を示すそれぞれの準備状況インデックスを生成するように構成される。マスタルールエンジンユニットはさらに、準備状況インデックスのセットに基づいて自律撮像装置のアクションを決定するように構成される。出力ユニットは、自律撮像装置を制御するために使用可能な決定されたアクションを出力するように構成される。
【0006】
本発明の発明者らは、自律撮像システムにおいて、撮像手順を開始、停止、又は中止するために、定義された方法論が導入されるべきであることを見出した。何らかの不都合な状況を回避するには、さらに厳密に、自律走査に対する患者の適応性、後続の準備、負傷の防止、主観的な人間介入などの基準が必要である。本発明の発明者らはまた、自律撮像システムにおいて、予見される事態及びいくつかの予期せぬ事態を対象とするためには、明確に定義された手順が必要とされることも見出した。
【0007】
この目的のために、自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するためのルールエンジン装置が提案される。提案されたルールエンジン装置は、「自己完結型システムのシステム」として実装され、各自己完結型システムは、それ自体の「ワークフローステップルールエンジンユニット」とマスタルールエンジンユニットとを有することができ、その出力は、「開始」、「停止」、及び「中止」などの自律撮像装置によって実行されるべきアクションを示す状態である。提案されたルールエンジン装置は、自律医療ワークフロー設定において入力データを処理し、特定のワークフローステップの準備状況及び自律走査レベルでの準備状況を決定する能力を有する。
【0008】
各自己完結型システムは、様々なデータソースからデータを収集する。例えば、データは、肺活量計、カメラベースの検出メカニズム、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、生理学的データセンサ(例えば、Spo2センサ、プレチスモグラフィセンサなど)、臨床データ(肺活量、任意の肺/心臓疾患の以前の発症など)、患者プロフィール(運動選手/水泳選手)などの関連センサから得られる。データは、撮像室内の環境から収集されたデータ(例えば、画像データ)から得られる。データは、機械設定データ(走査プロトコルなど)から得られる。これらのデータソースは、様々な処理ステップによって処理され、最終的に1つ又は複数のルールのデータ入力として供給される。
【0009】
リアルタイムデータ処理のための各ワークフローステップルールエンジンは、定義されたルールのセットに従ってデータ入力を評価して準備状況インデックスを決定する、一種の決定エンジンである。準備状況インデックスは、0から1までの確率数値であるか、又は「低」、「中」、「高」などの個別の状態である。ルールシステム、ルール、処理ステップのそれぞれが自己完結型であるため、準備状況インデックスは、例えばマスタルールエンジンユニットにおけるリスク要因、影響などに基づいて調整される。
【0010】
各自己完結型システムの評価ステップは、準備状況インデックスである。マスタルールエンジンは、これらの準備状況インデックスを取得して自律画像取得ワークフローを評価し、撮像手順の開始、中止、停止、又は人間介入など、自律撮像装置によって実行されるべきアクションを出力する。
【0011】
提案されたルールエンジン装置はまた、患者の準備から画像品質アセスメントまでの画像取得のすべての段階にわたる臨床効率及び運用効率の向上に役立つ。提案されたルールエンジン装置は、ばらつき及びスタッフの作業負荷の低減、生産性の向上、並びに患者スループットの向上に役立つ。さらに、自律走査に対する患者の適応性、後続の準備、負傷の防止、主観的な人間介入などの基準が準備状況インデックスに反映され、この準備状況インデックスは、決定を行うためのマスタルールエンジンユニットへの入力として供給される。したがって、不都合な状況が回避される。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、各ルールは自律画像取得ワークフローにおける特定のワークフローステップに対応し、異なるルール間のワークフローステップは異なる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、マスタルールエンジンユニットは、選択された1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットのうちの少なくとも1つへのデータ入力を特定のワークフローステップのサブステップと関連付けるように構成される。
【0014】
例えば、患者準備ワークフローステップは、息を止めること、指示に追従すること、不安レベルなどを含むがこれらに限定されない、異なる複数の処理ステップを含む。各処理ステップは、対応するワークフローステップのサブステップとも呼ばれる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、データ入力は、事前訓練された機械学習アルゴリズムからの出力を含む。
【0016】
言い換えれば、イベントが発生する可能性があるかどうかの確率を決定するために、いくつかのデータ入力は、事前訓練された機械学習アルゴリズムによって前処理される。次いで、機械学習アルゴリズムからの予測は、ルールへの入力となる。次いで、ルールが、機械学習モデルの出力を評価し、出力値を提供する。
【0017】
機械学習アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、サポートベクター機械、決定木などである。機械学習アルゴリズムを訓練するために、以前の撮像検査からのワークフロー詳細が使用される。
【0018】
機械学習アルゴリズムは、決定論的なルールのセットでは完全には列挙できない何らかの種類のプロセスを最適化する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、複数のワークフローステップルールエンジンユニットは、能動学習メカニズムを使用してそれぞれのルールセットを更新するように構成される。
【0020】
走査を実行するプロセスは非常に動的であり、システムが中止及び再開すべきすべての条件を判定することは困難である。イベントが発生した際のシステム及び条件は、患者の準備から走査完了までのデバイスのあらゆる走査の最中に学習される。各イベント中の機械の各状態及び対応する機械の状態を捕捉する能動学習メカニズムが導入される。このプロセスでは、機械の各状態に、イベントがタグ付けされる。中止アクションが発生した新しい状態は、システムのシステムに対する新しいルールである。これについては、
図3に示す例を参照して詳細に説明する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、データ入力は、患者から収集されたデータ、自律走査手順において使用されるデバイスから収集されたデータ、自律撮像装置から収集されたデータ、撮像室から収集されたデータ、及びユーザ入力から収集されたデータのうちの1つ又は複数を含む。
【0022】
データ入力は、例えば、自律走査に対する患者の適応性、後続の準備、負傷の防止、主観的な人間介入などを評価するために使用される。
【0023】
例えば、患者から収集されたデータには、例えば、センサデータ、臨床データ、及び患者プロファイルデータを含む。
【0024】
例えば、自律走査手順において使用されるデバイスから収集されたデータは、電気コイル、センサなどのデバイスのステータス及び/又は機能性を示すデータを含む。
【0025】
例えば、自律撮像装置から収集されたデータは、走査プロトコル、撮像装置の作業ステータスなどを示すデータを含む。
【0026】
例えば、撮像室から収集されたデータは、撮像室の画像データを含み、画像データは、撮像システムに接近した異物が撮像手順を妨げるかどうかを検出するために使用される。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、患者から収集されたデータは、患者を監視するためのセンサから収集されたセンサデータ、患者の臨床データ、及び患者プロフィールデータのうちの1つ又は複数を含む。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、決定されたアクションは、画像取得を開始すること、画像取得を中止すること、及び画像取得を停止することのうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、画像取得を開始するアクションを決定するために、マスタルールエンジンユニットは、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、自律撮像装置が画像取得の開始に向けて準備されているという状態を示す、デバイスに関する準備状況インデックスのセット、及び、患者が画像取得の開始に向けて準備されているという状態を示す、患者に関する準備状況インデックスのセットを決定するように構成される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、画像取得を中止するアクションを決定するために、マスタルールエンジンユニットは、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、自律撮像装置が画像取得を継続するのに適していないという状態を示す、デバイスに関する準備状況インデックスのセット、及び/又は、患者が画像取得を継続するのに適していないという状態を示す、患者に関する準備状況インデックスのセットを決定するように構成される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、画像取得を停止するアクションを決定するために、マスタルールエンジンユニットは、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、計画された終了、走査プロトコルの完了、画像品質アセスメント、関心対象の臓器の範囲、及び遠隔オペレータによる安定したインターネットアクセスのうちの1つ又は複数を示す準備状況インデックスのセットを決定するように構成される。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様及び任意の関連する例による、自律撮像装置とルールエンジン装置とを含む自律撮像システムが提供される。自律撮像装置は、ルールエンジン装置によって提供される決定されたアクションに基づいて患者の画像を取得するように構成される。
【0033】
自律撮像装置の例には、X線撮像装置、磁気共鳴撮像装置、コンピュータ断層撮影スキャナ、陽電子放出断層撮影スキャナなど含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の第3の態様によれば、自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するための方法が提供され、方法は、a)入力ユニットによって、自律画像取得ワークフローにおけるイベントを示すデータ入力を受信するステップと、b)マスタエンジンユニットによって、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、準備状況インデックスのセットを決定するステップであって、各ワークフローステップルールエンジンユニットがそれぞれのルールのセットに関連付けられ、選択された1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットのそれぞれが、データ入力に応答して、それぞれのルールセットの1つ又は複数のルールを実行して、自律画像取得ワークフローにおける特定のステップに向けて準備されているという状態を示すそれぞれの準備状況インデックスを生成する、ステップと、c)マスタエンジンユニットによって、準備状況インデックスのセットに基づいて自律撮像装置のアクションを決定するステップと、d)出力ユニットによって、自律撮像装置を制御するために使用可能な決定されたアクションを出力するステップとを有する。
【0035】
本発明の第4の態様によれば、少なくとも1つの処理ユニットによって実行されたとき、少なくとも1つの処理ユニットに、第3の態様及び任意の関連する例による方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0036】
本発明の第5の態様によれば、プログラム製品を記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0037】
前述の概念と以下でより詳細に説明するさらなる概念との組合せはすべて(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)本明細書に開示される発明の主題の一部として企図されることを理解されたい。特に、本開示の最後にある特許請求された主題の組合せはすべて、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると企図される。
【0038】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して解明される。
【0039】
図面において、同様の参照符号は、一般に、異なる図を通して同じ部分を指す。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するための例示的なルールエンジン装置10を示す図である。
【
図2】ルールエンジン全体の流れを示す概略ブロック図である。
【
図3】例示的なワークフロー全体を示す概略ブロック図である。
【
図4】例示的な能動学習メカニズムを示す図である。
【
図6】自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するための例示的なルールエンジン装置10を示す。ルールエンジン装置10は、デスクトップコンピュータ及びラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどを含む任意のコンピューティングデバイスである。ルールエンジン装置10は、汎用デバイス、又は以下に記載された機能性を提供するのに適した機器の専用ユニットを有するデバイスである。
図1の例では、ルールエンジン装置10の構成要素が、単一のユニットに統合されているものとして示されている。しかしながら、代替例(図示せず)では、いくつかの又はすべての構成要素が、分散型アーキテクチャ内の別個のモジュールとして配置され、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))ネットワーク、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク、インターネット、LAN(ローカルエリアネットワーク)、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)などの好適な通信ネットワーク内で接続される。ルールエンジン装置10及びその構成要素は、専用のFPGAとして、又はハードワイヤードスタンドアロンチップとして配置される。いくつかの例では、ルールエンジン装置10又はその構成要素のいくつかは、ソフトウェアルーチンとして実行されるコンソール内に常駐する。
【0042】
ルールエンジン装置10は、入力ユニット12、マスタルールエンジンユニット14、複数のワークフローステップルールエンジンユニット16、及び出力ユニット18を備える。
図1に示す例では、複数のワークフローステップルールエンジンユニット16は、ワークフローステップルールエンジンユニット16A~16Nを備える。各ユニットは、1つ若しくは複数のソフトウェアプログラム若しくはファームウェアプログラムを実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、プロセッサ(共有、専用、若しくはグループ)及び/若しくはメモリ(共有、専用、若しくはグループ)、組合せ論理回路、並びに/又は説明された機能性を提供する他の適切な構成要素の一部であるか又はこれらを含む。
【0043】
入力ユニット12は、自律画像取得ワークフローにおけるイベントを示すデータ入力を受信するように構成される。入力ユニット12は、一例では、Ethernetインターフェース、USB(商標)インターフェース、WiFi(商標)若しくはBluetooth(商標)などの無線インターフェース、又は入力周辺機器と処理ユニット14との間のデータ転送を可能にする任意の同等のデータ転送インターフェースとして実装される。
【0044】
イベントは、撮像プロセスを開始、中止、又は停止させる、自律撮像手順に影響を与える任意のイベントである。イベントの例には、例えば、自律走査に対する患者の適応性、後続の準備、負傷の防止、主観的な人間介入などに影響を与えるイベントが含まれる
【0045】
一例では、患者の不安及び自律走査に対する患者の適応性を評価するために、バイタルサイン(例えば、酸素飽和度、心拍数、並びに収縮期血圧及び拡張期血圧など)が使用される。患者が高い不安インデックス及び高い恐怖インデックスを有すると判定された場合、自律撮像手順は中止又は停止される。この例では、イベントは、患者が大きな不安を有することであり、これが自律撮像手順に影響を及ぼす。
【0046】
一例では、患者が経験する痛みのレベルを評価するために、患者の顔の表情又は皮膚を監視するビデオカメラ又は深度カメラからのビデオ信号が使用される。患者が高いレベルの痛みを経験している場合、身体的負傷を防止又は軽減するために、自律撮像手順が中止される。この例では、イベントは、患者が激しい痛みを受けていることであり、これが自律撮像手順に影響を及ぼす。
【0047】
したがって、データ入力は、イベントが発生している又は発生する可能性があることを示すのに適した任意のデータを含む。
【0048】
例えば、データ入力は、患者から収集されたデータを含む。
【0049】
いくつかの例では、患者から収集されたデータは、自律撮像手順の前及び最中に患者の反応を測定するように構成された1つ又は複数のセンサから収集されたセンサデータを含む。センサは、例えば、患者の動き、患者の痛み、緊張などを測定するために使用される。一例では、センサデータは、1つ又は複数の生理学的データセンサから収集され、1つ又は複数の生理学的データセンサは、波形を記録し、心拍数(HR)、呼吸数(RR)、末梢動脈酸素飽和度(SpO2)、動脈血圧(ABP)、及び体温(T)などのバイタルサインの定期的な測定値を提供する。別の例では、センサデータは、患者の移動を検出するために使用されカメラベースの検出メカニズムから収集される。さらなる例では、センサデータは、患者、人、及びデバイスの移動パターンを監視するために使用される3次元レーダセンサから収集される。レーダアレイセンサは、体の姿勢及び動きの認識に適した3次元点群画像を作成するという利点を有するが、顔認証を許容しない。レーダアレイセンサは、あらゆる照明条件で動作し、衣服又は他の非導電性の物体によって阻止されないという利点も有する。例えば、レーダアレイは、義手又は義足を、衣服によって覆われている場合でも検出することができる。レーダアレイセンサは、理想的には、レーダアレイセンサが追加のアクションを必要とせずに患者及び撮像室を監視できる手法でセットアップされるべきである。
【0050】
いくつかの例では、患者から収集されたデータは、肺活量、任意の肺疾患又は熱疾患の以前の発症などの患者の臨床データをさらに含む。同様に、患者プロフィール(運動選手又は水泳選手など)もデータ入力に含まれる。臨床データ及び患者プロフィールは、病院データベースから受信される。
【0051】
いくつかの例では、データ入力は、デバイス及びシステムから収集されたデータを含む。例えば、データ入力は、自律撮像装置の機械設定データを含む。例えば、機械設定データは、走査プロトコル、医療機器の動作状態などを含む。
【0052】
いくつかの例では、データ入力は、撮像室から収集されたデータを含む。例えば、画像データは、撮像システムに接近した異物が撮像手順を妨げるかどうかを検出するために使用される。
【0053】
いくつかの例では、データ入力は、ユーザ入力から収集されたデータを含み、これにより、例えば医療上の緊急事態の場合に、主観的な人間介入が可能になる。
【0054】
いくつかの例では、データ入力は、事前訓練された機械学習アルゴリズムからの出力を含む。言い換えれば、イベントが発生する可能性があるかどうかの確率を決定するために、いくつかのデータ入力は、事前訓練された機械学習アルゴリズムによって前処理される。次いで、機械学習アルゴリズムからの予測は、ルールへの入力となる。次いで、ルールが、機械学習モデルの出力を評価し、出力値を提供する。機械学習アルゴリズムは、決定論的なルールのセットでは完全には列挙できない何らかの種類のプロセスを最適化する。例えば、ある機械学習アルゴリズムを使用して、画像データ内の顔の表情を不安レベルと相関付ける。この例では、1つ又は複数のルールのデータ入力として画像データを直接供給する代わりに、画像データは、最初に機械学習アルゴリズムによって前処理され、機械学習アルゴリズムの出力、すなわち決定された不安レベルが、1つ又は複数のルールに提供される。機械学習アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、サポートベクター機械、決定木などである。機械学習アルゴリズムを訓練するために、以前の撮像検査からのワークフロー詳細が使用される。
【0055】
マスタルールエンジンユニット14は、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニット16から1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、準備状況インデックスのセットを決定するように構成される。選択された1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニット16のそれぞれは、データ入力に応答して、それぞれのルールセットの1つ又は複数のルール20を実行して、自律画像取得ワークフローにおける特定のステップに向けて準備されているという状態を示すそれぞれの準備状況インデックスを生成するように構成される。
【0056】
言い換えれば、提案されたルールエンジン装置10は、「自己完結型システムのシステム」として実装され、各自己完結型システムは、それ自体の「ワークフローステップルールエンジンユニット」とマスタルールエンジンユニットとを有することができ、その出力は、「開始」、「停止」、及び「中止」などの自律撮像装置によって実行されるべきアクションを示す状態である。「再開」という状態は、「開始」という状態と同様である。
【0057】
図2は、ルールエンジン全体の流れを示す概略ブロック図を示す。
図2に示すように、各自己完結型システムは、ワークフローステップルールエンジンユニット16と、自己完結型ルールシステム20とを含む。各自己完結型システムは、自律画像取得ワークフローの特定のセグメントに対して、定義されたルールに基づいて動作する。言い換えれば、リアルタイムデータ処理のための各ワークフローステップルールエンジン16は、定義されたルールのセットに従ってデータ入力を評価して出力値を決定する、一種の決定エンジンである。
【0058】
例えば、ワークフローステップルールエンジン16Aは、
図2に示すデータソースA及びデータソースBなどの1つ又は複数のデータソース24からデータ入力を受信する。データ入力は、上記で説明したように、患者、デバイス、システム、撮像室、及び/又はユーザ入力から収集されたデータを含む。
【0059】
マスタルールエンジンユニット14は、データ入力のために、
図2に示すユニット16A~16Nなどの複数のワークフローステップルールエンジンユニット16から1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニット16を選択して、準備状況インデックスのセットを決定するように構成される。
図2に示すように、1つ又は複数のルール20は複数の処理ステップを含む。例えば、患者準備ワークフローステップは、息を止めること、指示に追従すること、不安レベルなどを含むがこれらに限定されない、異なる複数の処理ステップを含む。各処理ステップは、対応するワークフローステップのサブステップとも呼ばれる。
【0060】
各自己完結型システムの評価ステップは、準備状況インデックスである。各ワークフローステップルールエンジンユニット16は、様々なソースからのデータを評価し、準備状況インデックスを提供する。上記で説明したように、いくつかのルールは、複数の処理ステップを含む。例えば、ルール20Aは、処理ステップ22A及び22Bを含む。例えば、上述した患者準備ワークフローステップでは、準備状況インデックスのうちの1つは、患者が自律設定での走査に対して準備ができているかどうかに焦点を当てた「患者準備状況インデックス」である。このインデックスは、異なる準備状況インデックス及び対応するルールエンジン設定を有する。例示的な準備状況インデックスには、「息止め準備状況インデックス」、「指示追従インデックス」、「不安インデックス」、及び「金属物リスクインデックス」が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
いくつかの準備状況インデックスは、0から1までの確率数値である。いくつかの準備状況インデックスは、「低」、「中」、「高」などの個別の状態である。
【0062】
図1に戻ると、マスタルールエンジンユニット14は、上述したように、これらすべての準備状況インデックスを取得して自律画像取得ワークフローを評価し、出力ユニット18を介して自律撮像装置によって実行されるべきアクションを出力する。決定されたアクションは、自律撮像装置を制御するために使用可能である。
【0063】
出力ユニット18は、一例では、Ethernetインターフェース、USB(商標)インターフェース、WiFi(商標)若しくはBluetooth(商標)などの無線インターフェース、又は出力周辺機器と処理ユニット14との間のデータ転送を可能にする任意の同等のデータ転送インターフェースとして実装される。
【0064】
図3は、例示的なワークフロー50全体を示す概略ブロック図を示す。例示のために、例示的な自律画像取得ワークフローは、準備状況チェックリスト、走査開始プロンプト、イベント警戒の中止、走査終了プロンプト、画像アセスメント、及び終了という6つの特定のワークフローステップに大別される。
【0065】
第1のワークフローステップ52、すなわち準備状況チェックリストでは、1つ又は複数のデータソースからのデータを評価し、自律設定での走査に対する患者の準備状況を示す患者準備状況インデックス及び自律設定での走査に対するシステムの準備状況を示すデバイス準備状況インデックスなどの1つ又は複数の準備状況インデックスを提供するために、1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットが提供される。
【0066】
このワークフローステップでは、データ入力は、患者から収集されたデータを含む。いくつかの例では、データは、患者の反応を測定する1つ又は複数のセンサから取得されたセンサデータを含む。例えば、センサデータは、走査手順の前に患者の移動を監視することから得られる画像データと、走査手順の前に患者の不安レベルを監視することから得られるバイタルサインとを含む。いくつかの例では、撮像手順に造影剤が必要な場合、データ入力は、造影剤が注入されたかどうかを示すデータをさらに含む。いくつかの例では、撮像手順に麻酔又は鎮静剤が必要な場合、データ入力は、患者に麻酔又は鎮静剤が投与されたかどうかを示すデータをさらに含む。さらに、データ入力は、病院データベースから収集される、患者の識別情報、体内に金属物が存在するかどうかを示すデータ、及び妊娠、アレルギー、投薬などの既存の状態を含む。これらのデータ入力は、患者が走査の開始に向けて準備ができているかどうかを判定するために使用される。したがって、複数のワークフローステップルールエンジンユニット16は、「不安インデックス」、「鎮静インデックス」、「造影剤インデックス」、「金属物リスクインデックス」、及び「患者状態リスクインデックス」などの異なる準備状況インデックスを提供するために使用される。
【0067】
いくつかの例では、データ入力は、デバイス及びシステムから収集されたデータを含む。例えば、データ入力は、走査プロトコルの選択結果を示すデータ、コイルの選択結果を示すデータ、医療機器の作業ステータスを示すデータ、デバイスの消毒が実施されたことを示すデータ、遠隔オペレータへの遠隔VPN接続のストレステストを示すデータ、カメラシステムのステータス及び位置を示すデータ、患者サポートのバランスを示すデータ、並びに心臓ゲーティングプローブの配置を示すデータを含む。これらのデータ入力は、デバイス及びシステムが走査の開始に向けて十分に準備されているかどうかを判定するために使用される。したがって、複数のワークフローステップルールエンジンユニット16は、「コイル準備状況インデックス」、「走査プロトコル準備状況インデックス」、「医療機器準備状況インデックス」、「カメラシステム準備状況インデックス」、「VPN接続準備状況インデックス」、「患者サポート準備状況インデックス」、及び「心臓ゲーティングプローブ配置準備状況インデックス」などの異なる準備状況インデックスを提供するために使用される。
【0068】
いくつかの例では、データ入力は、ユーザインターフェースを介して取得される、患者確認などのユーザ入力データを含む。本開示の様々な実装形態において採用されるユーザインターフェースの例には、スイッチ、ポテンショメータ、ボタン、ダイヤル、スライダ、トラックボール、表示画面、様々なタイプのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)、タッチ画面、マイクロフォン、カメラ、及び人間が生成した何らかの形式の刺激を受け取り、それに応答して信号を生成する他のタイプのセンサが含まれるが、これらに限定されない。したがって、ユーザ入力データは、主観的な人間介入を可能にする。
【0069】
いくつかの例では、データ入力は、スキャナ室内の環境を監視する1つ又は複数のセンサから収集されたデータを含む。センサデータは、ノイズ又は画像アーチファクトを発生させる、例えばスキャナ室に存在するデバイス、及びスキャナ室のドアが閉まっているかどうかを監視するビデオカメラからのビデオ信号を含む。これらのデータ入力により、システムは、スキャナ室内の環境が開始条件に適しているかどうかを判定することが可能になる。したがって、複数のワークフローステップルールエンジンユニットは、「物体リスクインデックス」及び「スキャナ室準備状況インデックス」などの異なる準備状況インデックスを提供するために使用される。
【0070】
次いで、マスタルールエンジンユニット14は、自律画像取得ワークフローを評価するために上述の例示的な準備状況インデックスを取得し、走査を開始するかどうかを判定する(ブロック54)。
【0071】
撮像手順が開始すると、ワークフローステップ「イベント警戒の中止」に関連付けられた1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニット16が、データ入力を評価し、これらのデータ入力に基づいて、最優先の緊急メカニズムが必要であるかどうかを判定する(ブロック56)。
【0072】
いくつかの例では、データ入力は、患者から収集されたデータを含む。例えば、データは、患者の反応を測定する1つ又は複数のセンサから取得されたセンサデータを含む。センサデータは、患者の移動を監視することから得られる画像データ、患者の不安及び医療上の緊急事態を監視することから得られるバイタルサイン、鎮静からの早期覚醒を監視するための鎮静監視デバイスから得られるデータ、及び/又は患者が経験する痛みのレベルを監視することから得られるデータを含む。いくつかの例では、患者の動き、患者の痛み、及び緊張のうちの1つ又は複数を測定するために、例えば、光検出及び測距(LIDAR)、無線検出及び測距(RADAR)、及びカメラベースのセンサを異なる位置で使用する様々な3次元非接触モーションスキャナの組合せから受信される、関心対象の身体部分を対象とする視野を有するビデオフィードが使用される。したがって、複数のワークフローステップルールエンジンユニットは、「痛みインデックス」、「不安インデックス」、「鎮静インデックス」、及び「医療緊急インデックス」などの異なる準備状況インデックスを提供するために使用される。準備状況インデックスごとに、走査手順を中止する必要があるかどうかを判定するための閾値レベルが設定される。
【0073】
いくつかの例では、データ入力は、ユーザインターフェースを介して、例えば、MRIスキャナに統合された統合緊急ボタン、又は、遠隔オペレータから受信される走査手順を中止するコマンドを介して取得されたユーザ入力データを含む。したがって、ユーザ入力データは、主観的な人間介入を可能にする。例えば、患者は、痛み及び不安が生じた場合に統合緊急ボタンを押す。したがって、複数のワークフローステップルールエンジンユニット16は、「患者介入インデックス」及び「オペレータ介入インデックス」などの異なる準備状況インデックスを提供するために使用される。
【0074】
いくつかの例では、データ入力は、様々なデバイス及びシステムから収集されたデータを含む。例えば、データ入力は、電気コイルのステータス、センサの位置、撮像システム内のマットレスの位置、及び/又は遠隔クライアントへのインターネット接続のステータスを示すデータを含む。したがって、データ入力により、システムは、例えば、撮像デバイス、システム、及びインターネット接続のステータス並びに機能性が自律撮像手順を続行するのに十分であるかどうかを判定することが可能になる。したがって、複数のワークフローステップルールエンジンユニットは、「電気コイルステータスインデックス」、「センサ位置インデックス」、「マットレス位置インデックス」、及び「インターネット接続インデックス」などの異なる準備状況インデックスを提供するために使用される。
【0075】
いくつかの例では、データ入力は、スキャナ室内の環境を監視する1つ又は複数のセンサから収集されたデータを含む。センサデータは、撮像中にスキャナ室に持ち込まれた物体若しくはスキャナの近くにある物体並びに/又はスキャナ室内にいる患者の親族を監視するビデオカメラからのビデオ信号を含む。これらのデータ入力により、システムは、物体及び/又は人が走査プロセスに干渉するかどうかを検出することが可能になる。したがって、1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニット16は、「物体干渉インデックス」及び「人物干渉インデックス」などの異なる準備状況インデックスを提供する。
【0076】
次いで、上記で説明された例示的な準備状況インデックスは、撮像手順を中止するかどうかを判定するためにマスタルールエンジンユニット14に提供される。
【0077】
撮像手順が中止されない場合、ワークフローステップ「走査終了プロンプト」に関連付けられた1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットが、データ入力を評価し、これらのデータ入力に基づいて、撮像手順を停止するかどうかを判定する(ステップ58)。データ入力は、計画された終了を示すデータ、完了した走査手順を示すデータ、関心対象の臓器の範囲を示すデータ、及び遠隔オペレータによる安定したインターネットアクセスを示すデータを含む。したがって、複数のワークフローステップルールエンジンユニットは、「計画終了インデックス」、「走査手順完了インデックス」、「臓器範囲インデックス」、「インターネット接続インデックス」などの異なる準備状況インデックスを提供するために使用される。
【0078】
撮像手順が停止すると、ワークフローステップ「画像アセスメント」に関連付けられた1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットが、画像データを評価し、これらのデータ入力に基づいて、別の走査を実行する必要があるかどうかを判定する(ステップ60)。
【0079】
画像品質が所定の基準を満たす場合、自律撮像手順は終了する(ステップ62)。
【0080】
ルールエンジンシステム、ルール、及び処理ステップのそれぞれが自己完結型であるため、上記で説明した例示的な準備状況インデックスは、例えばマスタルールエンジンユニットにおけるリスク要因及び影響に基づいて個々に調整されることが理解されよう。
【0081】
走査を実行するプロセスは非常に動的であり、システムが中止及び再開すべきすべての条件を判定することは困難である。イベントが発生した際のシステム及び条件は、患者の準備から走査完了までのデバイスのあらゆる走査の最中に学習される。各イベント中の機械の各状態及び対応する機械の状態を捕捉する能動学習メカニズムが導入される。このプロセスでは、機械の各状態に、イベントがタグ付けされる。中止アクションが発生した新しい状態は、システムのシステムに対する新しいルールである。
【0082】
図4は、例示的な能動学習メカニズムを示す。この例では、システムが正しいアクションを取ることができない場合(ブロック70)、走査中に捕捉された走査、機械、患者、及び環境の状態(ブロック72)がフィードバックとして提供されて、ルールの初期セット(ブロック74)を更新する。次いで、更新されたルール(ブロック76)は、システムが「開始」、「停止」、「中止」、「再開」、「続行」のような状態(ブロック78)を出力するための新しいルールとして使用される。さらに、システムは正しいアクションを取ることができないため(ブロック70)、例えば走査手順を停止又は中止するために、ユーザ介入(ブロック80)が必要となる。ルールが更新された後、走査手順が再開される。
【0083】
図5は、上記で説明された自律撮像装置90とルールエンジン装置10とを含む例示的な自律撮像システム100を示す。自律撮像装置90は、ルールエンジン装置10によって提供される決定されたアクションに基づいて患者の画像を取得するように構成される。
【0084】
自律撮像装置90の例には、X線撮像装置、磁気共鳴撮像装置、コンピュータ断層撮影スキャナ、陽電子放出断層撮影スキャナなど含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
図5の例では、ルールエンジン装置10は、無線及び/又は有線ベースのインターフェースを通して自律撮像装置90と通信するように構成された別個のデバイスである。しかしながら、代替例では、ルールエンジン装置10は、例えばソフトウェアルーチンとして実行している自律撮像装置90内に常駐する。
【0086】
図6は、自律撮像装置を制御して患者の画像を取得するための自律走査手順を評価するための方法200の流れ図を示す。方法は、
図1に示す例示的な装置によって実行される。
【0087】
ステップ210、すなわちステップa)において、例示的な装置10の入力ユニットを介して、自律画像取得ワークフローにおけるイベントを示すデータ入力が受信される。
【0088】
上記で詳細に説明したように、データ入力は、患者から収集されたデータ、デバイス及び自律撮像装置から収集されたデータ、撮像室から収集されたデータ、及び/又はユーザ入力から収集されたデータを含む。これらのデータ入力は、自律走査に対する患者の適応性、後続の準備、負傷の防止、主観的な人間介入などを評価するために使用される。
【0089】
ステップ220、すなわちステップb)において、マスタエンジンユニットは、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、準備状況インデックスのセットを決定する。各ワークフローステップのルールエンジンユニットは、それぞれのルールのセットに関連付けられる。選択された1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットのそれぞれは、データ入力に応答して、それぞれのルールセットの1つ又は複数のルールを実行して、自律画像取得ワークフローにおける特定のステップに向けて準備されているという状態を示すそれぞれの準備状況インデックスを生成するように構成される。例えば、患者準備段階では、マスタルールエンジンは、患者の準備に関連付けられた1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、準備状況インデックスのセットを決定する。
【0090】
いくつかの例では、各ルールは自律画像取得ワークフローにおける特定のワークフローステップに対応し、異なるルール間のワークフローステップは異なる。マスタルールエンジンユニットは、選択された1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットのうちの少なくとも1つへのデータ入力を特定のワークフローステップのサブステップと関連付けるように構成される。例えば、患者準備段階では、複数のワークフローステップルールエンジンユニットは、「不安インデックス」、「鎮静インデックス」、「造影剤インデックス」、「金属物リスクインデックス」、及び「患者状態リスクインデックス」などの異なる準備状況インデックスを提供するために使用される。これらのワークフローステップは、患者準備ワークフローステップのサブステップとも呼ばれる。
【0091】
ステップ230、すなわちステップc)において、マスタエンジンユニットは、次いで、準備状況インデックスのセットに基づいて自律撮像装置のアクションを決定する。決定されたアクションは、画像取得の開始、画像取得の中止、及び画像取得の停止のうちの1つ又は複数を含む。
【0092】
画像取得を開始するアクションを決定するために、マスタルールエンジンユニットは、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、自律撮像装置が画像取得の開始に向けて準備されているという状態を示す、デバイスに関する準備状況インデックスのセット、及び、患者が画像取得の開始に向けて準備されているという状態を示す、患者に関する準備状況インデックスのセットを決定するように構成される。
【0093】
画像取得を中止するアクションを決定するために、マスタルールエンジンユニットは、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、自律撮像装置が画像取得を継続するのに適していないという状態を示す、デバイスに関する準備状況インデックスのセット、及び/又は、患者が画像取得を継続するのに適していないという状態を示す、患者に関する準備状況インデックスのセットを決定するように構成される。
【0094】
画像取得を停止するアクションを決定するために、マスタルールエンジンユニットは、データ入力のために、複数のワークフローステップルールエンジンユニットから1つ又は複数のワークフローステップルールエンジンユニットを選択して、計画された終了、走査プロトコルの完了、画像品質アセスメント、関心対象の臓器の範囲、及び遠隔オペレータによる安定したインターネットアクセスのうちの1つ又は複数を示す準備状況インデックスのセットを決定するように構成される。
【0095】
ステップ240、すなわちステップd)において、例示的な装置10の出力ユニットは、自律撮像装置を制御するために使用可能な決定されたアクションを出力する。
【0096】
本明細書で定義及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味に優先すると理解されるべきである。
【0097】
本明細書及び特許請求の範囲において本文書で使用される不定冠詞「a」及び「an」は、別段の明記がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0098】
本明細書及び特許請求の範囲において本文書で使用される「及び/又は」という語句は、そのように結合された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、ある場合には連言的に存在し、他の場合には選言的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」を用いて列挙されている複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ又は複数」と解釈されるべきである。具体的に識別された要素に関連するか無関係であるかにかかわらず、「及び/又は」節によって具体的に識別される要素以外に、他の要素が任意選択的に存在する。
【0099】
明細書及び特許請求の範囲において本文書で使用される場合、1つ又は複数の要素のリストに関する「少なくとも1つの」という語句は、要素のリスト中の要素のうちの任意の1つ又は複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に列挙されているあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリスト中の要素の任意の組合せを除外しないことが理解されるべきである。この定義は、具体的に識別された要素に関連するか無関係であるかにかかわらず、「少なくとも1つ」という語句が指す要素のリスト内で具体的に識別された要素以外の要素が任意選択的に存在することも許容する。
【0100】
本発明の別の例示的な実施形態では、前述の実施形態のうちの1つによる方法の、方法のステップを適切なシステム上で実行するように適合されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0101】
したがって、コンピュータプログラム要素は、同様に本発明の実施形態の一部であるコンピュータユニット上に記憶される。このコンピューティングユニットは、上記で説明された方法のステップを実行するか又はその実行を誘導するように適合される。さらに、コンピューティングユニットは、上記で説明された装置の構成要素を動作させるように適合される。コンピューティングユニットは、自動的に動作するように及び/又はユーザの命令を実行するように適合され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリにロードされる。したがって、データプロセッサは、本発明の方法を実行するように装備される。
【0102】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートによって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を対象とする。
【0103】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上記で説明された方法の例示的な実施形態の手順を遂行するために必要なすべてのステップを提供することが可能である。
【0104】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CD-ROMなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体にはコンピュータプログラム要素が記憶されており、コンピュータプログラム要素については前のセクションで説明されている。
【0105】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に若しくは他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶及び/又は配布されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するなど、他の形式でも配布される。
【0106】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示され、そのようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードされ得る。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロード可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0107】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を説明及び図示してきたが、当業者は、機能を実行するための並びに/又は本明細書に記載された結果及び/若しくは利点のうちの1つ若しくは複数を得るための、様々な他の手段及び/又は構造を容易に想定するであろう。またそのような変形及び/又は修正のそれぞれは、本明細書に記載された発明の実施形態の範囲内にあるものとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載されたすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的であることを意味すること、並びに、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成が発明の教示が使用される1つ若しくは複数の特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載された特定の発明の実施形態の多くの均等物を認識するか、又は日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は単に例として提示されていること、並びに、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、発明の実施形態が、具体的に記載及び特許請求されたものとは別のやり方で実践されることを理解されたい。本開示の発明の実施形態は、本明細書に記載された個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組合せは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明範囲内に含まれる。
【国際調査報告】