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特表2024-522300前立腺部尿道の長さを測定するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-13
(54)【発明の名称】前立腺部尿道の長さを測定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/20 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
A61B5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574430
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022032073
(87)【国際公開番号】W WO2022256600
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/196,371
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518220969
【氏名又は名称】プロデオン・メディカル・コーポレイション
【住所又は居所原語表記】116 Hougang Street 7F, Taipei, 11170 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ユエ-テ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン・ユ-シー
(72)【発明者】
【氏名】ファン・チュン-チア
(72)【発明者】
【氏名】チュウ・デ-ユー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038DD00
4C038VA04
4C038VB28
4C038VC07
(57)【要約】
前立腺部尿道の長さを決定するためのデバイスおよび方法が開示される。関連付けられたマーキングを有する細長いシャフト部材を有する測定デバイスは、細長いシャフト部材上に配置された位置決め補助具が患者の膀胱頸部に位置するように、膀胱鏡の作業チャネルを通して前進され得る。細長いシャフト部材の第1の位置は、マーキングを使用して決定される。次に、細長いシャフト部材は、位置決め補助具が患者の精丘に位置する第2の位置まで引き出される。前立腺部尿道の長さは、マーキングを使用して、第1の位置と第2の位置との間での細長いシャフト部材の相対的な並進移動に少なくとも部分的に基づいて決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺部尿道の長さを決定するための測定デバイスであって、
膀胱鏡の作業チャネルを通して導入されるように構成された細長いシャフト部材と、
前記細長いシャフト部材上に配置された位置決め補助具と、
前記膀胱鏡内での相対的な並進移動を示すように構成された前記細長いシャフトと関連付けられたマーキングと、
を含む、測定デバイス。
【請求項2】
前記位置決め補助具は、視覚的手がかりおよび触覚的手がかりの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項3】
前記位置決め補助具は、前記細長いシャフト部材の側面から展開可能である、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項4】
前記位置決め補助具は、拘束されていないときに自動的に展開する、請求項3に記載の測定デバイス。
【請求項5】
前記位置決め補助具は、潰れた構成と拡張構成との間で移行するエキスパンダを含む、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項6】
前記エキスパンダが患者の膀胱に接触するように引かれたときに膀胱頸部の位置に対応するように構成された、前記エキスパンダの近位に配置されたインジケータをさらに含む、請求項5に記載の測定デバイス。
【請求項7】
前記細長いシャフト部材の遠位端部に配置され、前記遠位端部に光を導くように構成されたエミッタをさらに含む、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項8】
前記マーキングは、前記細長いシャフト部材の遠位部分上にある、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項9】
前記マーキングは、前記細長いシャフト部材が中を通って配置される透明なバレル上にある、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項10】
前記バレルは、前記膀胱鏡に固定されるように構成されている、請求項9に記載の測定デバイス。
【請求項11】
前立腺部尿道の長さを決定するための測定デバイスであって、
膀胱鏡の相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する定規部分と、
患者に対して前記定規部分を位置決めするように構成されたスタビライザーと、
を含む、測定デバイス。
【請求項12】
前記スタビライザーは、陰茎に係合するように構成されている、請求項11に記載の測定デバイス。
【請求項13】
前記スタビライザーは、前記陰茎の亀頭に係合するように構成されている、請求項12に記載の測定デバイス。
【請求項14】
前記スタビライザーは、前記亀頭に係合すると、開いた構成から閉じた構成に移行する、請求項13に記載の測定デバイス。
【請求項15】
前記陰茎のより遠位の部分に係合するように構成されたサポーターをさらに含む、請求項12に記載の測定デバイス。
【請求項16】
前記サポーターは、ヒンジ付きカラーを含む、請求項15に記載の測定デバイス。
【請求項17】
前記スタビライザーは、下腹部の皮膚に接着されるように構成されたパッチを含む、請求項11に記載の測定デバイス。
【請求項18】
前記スタビライザーは、ベルトを含む、請求項11に記載の測定デバイス。
【請求項19】
前記スタビライザーは、前記陰茎の基底部を包囲するように構成された調節可能なストリップである、請求項12に記載の測定デバイス。
【請求項20】
前立腺部尿道の長さを決定するための測定デバイスであって、
膀胱鏡の相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する定規部分と、
前記膀胱鏡に取り外し可能に取り付けられるように構成された前記定規部分に接続されたクリップと、
を含む、測定デバイス。
【請求項21】
前記定規部分は、ヒンジによって前記クリップに接続されている、請求項20に記載の測定デバイス。
【請求項22】
前記ヒンジは、前記クリップが取り付けられたときに前記定規部分が前記膀胱鏡と長手方向に整列することを可能にするように構成されている、請求項21に記載の測定デバイス。
【請求項23】
前記定規部分のマーキングは、絶対的な測定値を表す、請求項20に記載の測定デバイス。
【請求項24】
前記定規部分のマーキングは、相対的な測定値を表す、請求項20に記載の測定デバイス。
【請求項25】
前記クリップは、患者に対する基準位置で前記膀胱鏡に取り付けられるように構成されている、請求項20に記載の測定デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2021年6月3日に出願された米国仮出願第63/196,371号の優先権を主張する。この出願の優先権は明示的に主張され、開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔本開示の分野〕
本開示は、尿道を閉塞する前立腺葉組織のような、中空身体管腔を閉塞する身体組織を管理または治療するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
前立腺は、尿が膀胱から排出されるときに通過する尿道を包み込むクルミ状の腺であり、男性の生殖系において重要な役割を果たす。この腺は最初は小さいが、男性の加齢とともに大きくなる傾向がある。過度に肥大した前立腺は、良性前立腺肥大症(BPH)として知られる疾患をもたらす。良性前立腺肥大症(BPH)は、老齢の男性において非常に一般的に観察される前立腺の異常であるが非悪性(非癌性)の成長を指す。BPHは慢性疾患であり、前立腺部尿道における尿流出路閉塞または管腔狭窄の発症と関連している。膀胱下尿道閉塞(BOO)とは、尿道への尿の流れを減少または停止させる、膀胱底部における閉塞を指し、BPHに続発することがある。前立腺の異常な成長が拡大し進行するにつれて悪化する、性機能障害、頻尿、排尿困難、尿閉、尿漏れ、ならびに、尿路感染症および膀胱感染症を含む、下部尿路症状(LUTS)と総称される一連の関連する病気が、生じ得る。
【0004】
成人の約5人に1人が中等度から重度のLUTSを訴えていると推定されている。このような尿貯留および排尿の問題は、生活の質を大幅に低下させ、様々な健康状態と関連している。現在、尿流出路閉塞の制御を補助するインプラントまたはステントなどの様々な医療デバイスがある。患者の苦痛を少なくして治療効果を達成し、患者の生活の質を最適化するためには、このようなインプラントまたはステントは、患者の前立腺部尿道の長さに応じて正確にサイズ決めする必要がある。目的とする患者のために選択された医療デバイスの適切なサイズに加えて、患者の前立腺部尿道の長さもBPHの外科的治療の予測因子としての役割を果たす。いくつかの診断法では、前立腺部尿道の長さは症状の程度との関連を予測するための重要なチェック項目にもなっている。
【0005】
したがって、使いやすく、十分な測定精度があり、患者に快適であるという特徴を備えた、患者の尿道の長さを測定するための医療デバイスおよび方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、前立腺部尿道の長さを決定するための測定デバイスに向けられている。このデバイスは、膀胱鏡の作業チャネルを通して導入されるように構成された細長いシャフト部材と、細長いシャフト部材上に配置された位置決め補助具と、膀胱鏡内での相対的な並進移動を示すように構成された細長いシャフトと関連付けられたマーキングと、を含み得る。
【0007】
一態様では、位置決め補助具は、視覚的手がかりおよび触覚的手がかりの少なくとも一方とすることができる。
【0008】
一態様では、位置決め補助具は、細長いシャフト部材の側面から展開可能であってよい。位置決め補助具は、拘束されていないときには自動的に展開することができる。
【0009】
一態様では、位置決め補助具は、潰れた構成と拡張構成との間で移行するエキスパンダであってもよい。エキスパンダの近位に配置されたインジケータは、エキスパンダが患者の膀胱に接触するように引かれたときに膀胱頸部の位置に対応するように構成され得る。
【0010】
一態様では、測定デバイスは、細長いシャフト部材の遠位端部に配置され、光を遠位端部に導くように構成されたエミッタを有することができる。
【0011】
一態様では、マーキングは、細長いシャフト部材の遠位部分上にあってよい。
【0012】
一態様では、マーキングは、細長いシャフト部材が中を通って配置される透明なバレル上にあってよい。バレルは、膀胱鏡に固定されるように構成され得る。
【0013】
本開示はまた、前立腺部尿道の長さを決定するための方法を含む。この方法は、膀胱鏡の遠位端部が患者の精丘に対応する場所にくるように膀胱鏡を位置決めすることと、膀胱鏡の作業チャネル内から細長いシャフト部材を前進させることと、細長いシャフト部材が第1の並進運動位置にくるように、細長いシャフト部材上に配置された位置決め補助具を患者の膀胱頸部に配置することと、細長いシャフト部材の第1の位置を細長いシャフト部材と関連付けられたマーキングと対応させることと、細長いシャフト部材が第2の並進運動位置にくるように、位置決め補助具が患者の精丘に位置するまで細長いシャフト部材を引き出すことと、細長いシャフト部材の第2の位置を細長いシャフト部材と関連付けられたマーキングに対応させることと、第1の位置と第2の位置との間での細長いシャフト部材の相対的な並進移動に少なくとも部分的に基づいて前立腺部尿道の長さを決定することと、を含み得る。
【0014】
一態様では、位置決め補助具は、細長いシャフト部材の側面から展開され得る。
【0015】
一態様では、位置決め補助具を膀胱頸部に配置すること、および位置決め補助具が患者の精丘に位置するまで細長いシャフトを引き出すことのうちの少なくとも一方は、膀胱鏡を通じた可視化下で行うことができる。したがって、本方法は、可視化を補助するために、細長いシャフト部材の遠位端部にあるエミッタに光を導くことも含むことができる。
【0016】
一態様では、位置決め補助具を膀胱頸部に配置することは、触覚的手がかりに少なくとも部分的に基づいていてよい。したがって、本方法は、位置決め補助具を膀胱頸部に配置するために、患者の膀胱内で細長いシャフト部材の遠位端部にあるエキスパンダを拡張させることを含み得る。エキスパンダは、細長いシャフト部材を引き出す前には潰されてよく、位置決め補助具が患者の精丘に位置するまで細長いシャフトを引き出すことは、エキスパンダの近位にあるインジケータを患者の精丘と整列させることを含む。
【0017】
一態様では、細長いシャフト部材は、膀胱鏡に接続された透明なバレルを通して引き出され得、マーキングはバレル上にある。
【0018】
本開示はまた、膀胱鏡の相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する定規部分と、患者に対して定規部分を位置決めするように構成されたスタビライザーと、を備える、前立腺部尿道の長さを決定するための測定デバイスを含む。
【0019】
一態様では、スタビライザーは、陰茎に係合するように構成されていてもよい。スタビライザーは、陰茎の亀頭に係合するように構成され得る。スタビライザーは、亀頭に係合すると、開いた構成から閉じた構成に移行することができる。測定デバイスはまた、陰茎のより遠位の部分に係合するように構成されたサポーターを有し得る。サポーターは、ヒンジ付きカラーであってよい。
【0020】
一態様では、スタビライザーは、下腹部の皮膚に接着されるように構成されたパッチであってもよいし、ベルトとして構成されていてもよい。
【0021】
一態様では、スタビライザーは、陰茎の基底部を包囲するように構成された調節可能なストリップであってもよい。
【0022】
本開示はまた、前立腺部尿道の長さを決定するための方法を含む。本方法は、スタビライザーを用いて、患者に対する膀胱鏡の相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する測定デバイスの定規部分を位置決めすることと、膀胱鏡が第1の並進運動位置にくるように膀胱鏡の遠位端部を患者の膀胱頸部に配置することと、膀胱鏡の第1の位置をマーキングと対応させることと、膀胱鏡が第2の並進運動位置にくるように、遠位端部が患者の精丘に位置するまで膀胱鏡を引き出すことと、膀胱鏡の第2の位置をマーキングと対応させることと、第1の位置と第2の位置との間での膀胱鏡の相対的な並進移動に少なくとも部分的に基づいて前立腺部尿道の長さを決定することと、を含み得る。
【0023】
一態様では、スタビライザーは、陰茎の亀頭に係合するように、開いた構成から閉じた構成に移行することができる。陰茎のより遠位の部分に係合するために、サポーターが設けられ得る。サポーターは、ヒンジ付きカラーであってよく、ヒンジ付きカラーが陰茎のより遠位の部分の周りで閉じられるようになっている。
【0024】
一態様では、スタビライザーは、定規部分を位置決めするために、下腹部の皮膚に接着され得る。
【0025】
一態様では、スタビライザーは、定規部分を位置決めするために、患者の胴体の周りにベルトで固定され得る。
【0026】
一態様では、スタビライザーは、調節可能なストリップであってよく、陰茎の基底部が定規部分を位置決めするために包囲される。
【0027】
一態様では、膀胱鏡の遠位端部を患者の膀胱頸部に配置した後、マーカークリップを膀胱鏡に解放可能に取り付けることができ、第1の位置および第2の位置をマーキングに対応させることは、マーカークリップに関連して行われる。
【0028】
さらに、本開示は、膀胱鏡の相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する定規部分と、膀胱鏡に取り外し可能に取り付けられるように構成された定規部分に接続されたクリップと、を備えた、前立腺部尿道の長さを決定するための測定デバイスも含む。
【0029】
一態様では、定規部分は、ヒンジによってクリップに接続され得る。ヒンジは、クリップが取り付けられたときに定規部分が膀胱鏡と長手方向に整列することを可能にするように構成され得る。
【0030】
一態様では、定規部分のマーキングは、絶対的な測定値を表すことができる。あるいは、定規部分のマーキングは、相対的な測定値を表すことができる。
【0031】
一態様では、クリップは、患者に対する基準位置で膀胱鏡に取り付けられるように構成され得る。
【0032】
本開示はまた、前立腺部尿道の長さを決定するための方法を含む。本方法は、膀胱鏡が第1の並進運動位置にくるように、膀胱鏡の遠位端部を患者の膀胱頸部に配置し、スタビライザーを用いて、患者に対する膀胱鏡の相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する測定デバイスの定規部分を解放可能に取り付け、膀胱鏡の第1の位置をマーキングと対応させ、膀胱鏡が第2の並進運動位置にくるように、遠位端部が患者の精丘に位置するまで膀胱鏡を引き出し、膀胱鏡の第2の位置をマーキングに対応させ、第1の位置と第2の位置との間での膀胱鏡の相対的な並進移動に少なくとも部分的に基づいて前立腺部尿道の長さを決定することができる。
【0033】
一態様では、定規部分は、膀胱鏡の遠位端部が患者の膀胱頸部に位置するときに、患者に対する基準位置に解放可能に取り付けられ得る。したがって、前立腺部尿道の長さを決定するために、膀胱鏡の第2の位置をマーキングに対応させることは、定規部分のマーキングを、患者に対する基準位置と比較することを含み得る。
【0034】
一態様では、定規部分は、膀胱鏡の第2の位置をマーキングに対応させる際に、定規部分を膀胱鏡と長手方向に整列させるために、クリップのヒンジにおいて旋回され得る。
【0035】
さらなる特徴および利点は、添付図面に示されるような、本開示の好ましい実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。添付図面では、同様の参照符号は、一般に、図全体を通して同じ部品または要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】膀胱の下部を含む男性の解剖学的構造の断面図であり、膀胱頸部から精丘まで延びるような前立腺部尿道の長さを示している。
図2】一実施形態による、作業チャネル内に配置された測定デバイスを有する膀胱鏡の遠位端部の概略詳細図である。
図3】一実施形態による、患者の尿道内に展開された測定デバイスの遠位端部の概略図である。
図4a】一実施形態による、患者の膀胱頸部および精丘に対する測定デバイスの位置決め補助具の配置を示す概略図である。
図4b】一実施形態による、患者の膀胱頸部および精丘に対する測定デバイスの位置決め補助具の配置を示す概略図である。
図4c】一実施形態による、患者の膀胱頸部および精丘に対する測定デバイスの位置決め補助具の配置を示す概略図である。
図5】一実施形態による、光源と、光源からの光を導くように構成された測定デバイスと、を有する膀胱鏡の遠位端部の概略図である。
図6a】一実施形態による、患者の膀胱頸部および精丘に対する測定デバイスのエキスパンダの配置を示す概略図である。
図6b】一実施形態による、患者の膀胱頸部および精丘に対する測定デバイスのエキスパンダの配置を示す概略図である。
図6c】一実施形態による、患者の膀胱頸部および精丘に対する測定デバイスのエキスパンダの配置を示す概略図である。
図7a】一実施形態による測定デバイスのバレルに設けられたマーキングの概略図である。
図7b】一実施形態による測定デバイスのバレルに設けられたマーキングの概略図である。
図7c】一実施形態による測定デバイスのバレルに設けられたマーキングの概略図である。
図8a】一実施形態による、測定デバイスの遠位端部上のマーキングを使用した、患者の膀胱頸部および精丘に対する測定デバイスのエキスパンダの配置を示す概略図である。
図8b】一実施形態による、測定デバイスの遠位端部上のマーキングを使用した、患者の膀胱頸部および精丘に対する測定デバイスのエキスパンダの配置を示す概略図である。
図8c】一実施形態による、測定デバイスの遠位端部上のマーキングを使用した、患者の膀胱頸部および精丘に対する測定デバイスのエキスパンダの配置を示す概略図である。
図9a】一実施形態による、定規部分とスタビライザーとを有する測定デバイスの概略図である。
図9b】一実施形態による、サポーターも特徴とする図9aの測定デバイスの概略図である。
図10a】実施形態による代替的なスタビライザーの概略図である。
図10b】実施形態による代替的なスタビライザーの概略図である。
図11a】一実施形態による、マーカークリップと共に使用され得る測定デバイスの概略図である。
図11b】一実施形態による、マーカークリップと共に使用され得る測定デバイスの概略図である。
図11c】一実施形態による、マーカークリップにヒンジで留められた定規部分を特徴とする測定デバイスの概略図である。
図11d】一実施形態による、マーカークリップにヒンジで留められた定規部分を特徴とする測定デバイスの概略図である。
図12a】一実施形態による定規部分およびスタビライザーを有する測定デバイスを用いて前立腺部尿道の長さを決定することを示す概略図である。
図12b】一実施形態による定規部分およびスタビライザーを有する測定デバイスを用いて前立腺部尿道の長さを決定することを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
最初に、本開示は、具体的に例示された材料、アーキテクチャ、ルーチン、方法または構造に限定されず、したがって、変化し得ることを理解すべきである。したがって、本明細書に記載したものと類似するかまたは同等である、いくつかのこのようなオプションを、本開示の実施または実施形態において使用することができるが、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。
【0038】
また、本明細書で使用される用語は、本開示の特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことを理解すべきである。
【0039】
添付図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態の説明として意図されており、本開示を実施することができる唯一の例示的な実施形態を表すことを意図していない。この説明全体を通して使用される用語「例示的」は、「実施例、実例、または例証として役立つこと」を意味し、必ずしも他の例示的な実施形態よりも好ましいかまたは有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明は、明細書の例示的な実施形態の完全な理解を提供する目的で、特定の詳細を含む。本明細書の例示的な実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。いくつかの実例において、周知の構造およびデバイスは、本明細書に提示される例示的な実施形態の新規性を不明瞭にするのを避けるために、ブロック図の形態で示される。
【0040】
便宜上および明確にする目的のためにのみ、上部、底部、左、右、上、下、上方(over)、上方(above)、下方(below)、下方(beneath)、後方、後ろ、および前のような、方向を示す用語を、添付図面に関して使用することができる。これらおよび同様の方向を示す用語は、いかなる方法であっても開示の範囲を制限するものと解釈されてはならない。
【0041】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が関係する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容に明確な異なる規定のない限り、複数の指示対象を含む。
【0042】
定義:用語「治療上有効な変位」または「治療上有効な後退」または「治療上有効な拡張」は、本明細書において交換可能に使用され、尿道管腔を増大させ、かつ下部尿路症状(LUTS)、膀胱下尿道閉塞(BOO)、良性前立腺閉塞(BPO)を含む、良性前立腺肥大症(BPH)または合併性の疾患もしくは状態の症状を処置、改善、または予防するのに十分な、尿道の限定された領域に近接した前立腺組織の変位量を指し、前立腺組織の変位は、検出可能な治療、予防、または阻害効果を示す。この効果は、例えば、臨床状態の改善、または症状の減少もしくは共存症の欠如によって検出することができる。臨床的尺度の例には、国際前立腺症状スコア(IPSS)の低下、緩和後の膀胱内の残尿(PVR)量の減少、または最大尿流率(Qmax)の増加、または生活の質(QoL)の改善、処置後の性健康(男性用性健康調査票すなわちSHIMスコア、男性の性健康アンケートすなわちMSHQスコア)の改善が含まれる。前立腺組織の変位の正確な距離または量は、被験者の体重、大きさ、および健康状態;肥大または罹患した前立腺状態の性質と程度、および患者内に配置するために選択したインプラントのサイズによって決まる。
【0043】
本明細書中で使用される場合、「BPHの処置を必要とする」患者は、前立腺の非悪性肥大、ならびにLUTS、尿流出路閉塞症状、および前立腺部尿道の管腔狭窄を含む関連障害によって引き起こされる肥大した前立腺組織の存在またはその結果として生じる症状の減少から利益を得る患者である。本明細書中で使用される場合、用語「インプラント」または「エキスパンダ」または「デバイス」は、前立腺部尿道内に植え込まれ、BPHに関連するかまたはBPHによって引き起こされたLUTSを緩和するプロテーゼデバイスを指す。
【0044】
本明細書に記載される様々な構造の配向および解剖学に関連する表現に関して、用語「近位」および「遠位」は、本明細書に記載されるインプラントを配備するために本開示の送達システムを操作している泌尿器科医などの医療専門家の観点に関連する。したがって、泌尿器科医の手によって保持される送達システムの特徴部は、「近位」端部にあり、最初は圧縮構成にある、組み立てられたシステムおよびインプラントは、送達システムの「遠位」端部に位置する。
【0045】
図1を参照すると、男性の解剖学的構造の断面図は、前立腺部尿道2を取り囲む前立腺1を示す。前立腺部尿道2は、正常な状態では、内括約筋(または膀胱頸部)3aの不随意的な筋肉制御および外括約筋4の随意的な筋肉制御の下で身体から排出されるべき膀胱3に貯蔵された尿からの流体連通を提供する。腺1の正常なまたは「典型的な」前立腺組織は、前立腺部尿道2を取り囲んでおり、疾患がない場合には、前立腺部尿道2の開放性を侵害しない。上述のように、前立腺部尿道の長さ(PUL)5を決定することが望ましく、この長さは、本開示の目的上、膀胱頸部3aと精丘6との間の距離として定義され得る。
【0046】
本開示の一実施形態によれば、PUL5を測定する医療デバイスおよび方法が開示される。例えば、図2および図3を参照すると、膀胱鏡7は、一般に、LUTSに罹患している患者の診断、調査または治療のために、患者の膀胱3または前立腺部尿道2を検査するために使用される。膀胱鏡7は、可視化を助けるために、その遠位端部にLEDなどの光源7aを備える。使用時、医師は膀胱鏡7を陰茎8に挿入し、前立腺部尿道2に通す。本開示の態様を具現化する測定デバイス9が、膀胱鏡7の内腔7bに挿入されて、例えばインプラント配備手順の前に、PUL5を決定することができる。測定デバイス9は、膀胱鏡7内の測定デバイス9の相対的な並進移動を示すことによって、スコープ(すなわち、内視鏡または膀胱鏡)の可視化下で、2つの解剖学的標識点間の特定の解剖学的長さの管腔内測定を提供するためのマーク付きスタイレットを含む。したがって、医師は、PUL5を正確に測定し、適切なサイズの介入デバイスを選択するための情報を提供することができる。同様に、医師は、外科的治療の必要性の評価、患者の予想される症状の予測、および/または任意の他の適切な調査もしくは診断手順と関連して、PUL5を測定することもできる。
【0047】
使用時、測定デバイス9は、最初は、測定デバイス9の遠位端部が膀胱鏡7の遠位端部に隣接するように、膀胱鏡7の作業チャネル7b内に配置される。次に、医師は、膀胱鏡7の遠位端部(および測定デバイス9の遠位端部)が精丘6に位置付けられるように、膀胱鏡7を通して精丘6が見えるまで、測定デバイス9を備えた膀胱鏡7を尿道2に挿入することができる。次に、医師は、測定デバイス9の遠位端部が膀胱頸部3aに位置付けられるまで、測定デバイス9を膀胱鏡7から延ばす。移動距離の決定は、図4a、図4bおよび図4cに概略的に描かれているように、測定デバイス9上の所定のマーキングを介して得ることができる。
【0048】
本実施形態では、測定デバイス9は、細長い管状本体を有するスタイレットとして構成され、外面には距離の適切な測定値を示す複数のマーキングが間隔をあけて配置されている。マーキングは、スタイレットの遠位部分または近位部分に配置され得る。マーキングは、絶対的な長さ測定値の任意の適切な単位を表すことができる。あるいは、マーキングは、測定デバイス9の使用目的に応じて、(例えば、小、中、大のマーク、または任意の他の粒度レベルで)インプラントの相対的なサイズを示してもよい。
【0049】
医師の視点から可視のインジケータを作成するために、本実施形態の測定デバイス9は、スタイレットの遠位端部またはその近傍に配置された少なくとも1つの位置決め補助具9aも含むことができる。一実施形態では、位置決め補助具9aは、管状本体の側孔からの突出部または他の任意の突起として実装されるなど、視覚的手がかりとして実装され得る。理解されるように、PUL5が比較的長い場合、医師は、「視覚的ロケータ」として機能する位置決め補助具9aの強化された視覚的表示から利益を得ることができ、それにより、膀胱鏡7の視界下で膀胱頸部3aに対する位置決めが容易になる。膀胱頸部3aに対する本実施形態の位置決め補助具9aの強化された視認性は、位置決め補助具9aが意図した整列状態にあることを確認することによって、医師が膀胱頸部3aの場所にマーキングデバイス9を正確に位置決めするのに役立つ。
【0050】
本実施形態では、位置決め補助具9aは、異なる色、異なるおよび/または拡大された視覚的インジケータ、光、またはこれらおよび他の効果の任意の組み合わせを使用するなどして、視覚的識別を改善するための高コントラスト特徴部を備えることができる。よって、位置決め補助具9aが視界の中心に存在する場合、位置決め補助具9aは、膀胱鏡7の可視化下で膀胱頸部3aに対するマーキングデバイス9の正確な位置決めを容易にするために視認性を向上させる。
【0051】
代替的に、またはそれに加えて、位置決め補助具9aは、医師が膀胱頸部3aの場所を検出するための触覚的手がかりを含むことができる。例えば、このような触覚的フィードバックは、一実施形態では、測定デバイス9のスタイレットの遠位端部に配置された拡張可能または展開可能な特徴部によって生成され得る。拡張前は、膀胱鏡7を通る測定デバイスの送達は妨げられず、その後、拡張すると、拡大されたプロファイルは、膀胱頸部3aの近位表面と係合し、それによってその位置を特定することができる。したがって、位置決め補助具9aは、縫合材料のような軟質材料または半硬質材料で作ることができる。さらに、これは、低プロファイル(または圧縮)から高プロファイル(展開または拡張)構成に移行し、最初は膀胱鏡7の作業チャネル7bを通る送達を容易にし、次にスタイレットを位置決めするために膀胱頸部3aとの係合を改善することができる。例えば、位置決め補助具9aは、(図4bに示すように)スタイレット内に収容されて、測定デバイス9の側孔から展開され、展開されたときに視覚的および/または触覚的手がかりとして機能することができる。
【0052】
一実施形態では、位置決め補助具9aを備えた測定デバイス9は、膀胱鏡7の作業チャネル7bから前進させられることによって、膀胱3に向かって前立腺部尿道2を通過する。位置決め補助具9aが前立腺部尿道2内を移動しているとき、位置決め補助具9aは、尿道管腔によって制限され、第1の圧縮構成または低プロファイル構成に維持され得る。したがって、測定デバイス9の端部が前立腺部尿道2から出現し、膀胱頸部3aに隣接すると、位置決め補助具9aは、測定デバイス9が尿道管腔の比較的狭い通路によって拘束されていないとき、その制限構成から比較的高プロファイルまたは拡張構成に自動的に解放され得る。理解されるように、位置決め補助具9aの移行は、測定デバイス9の端部の場所を決定する際に医師を補助する。
【0053】
あるいは、図4cに示すように、測定デバイス9は、光ファイバーまたは他の適切な構成要素によってスタイレットの管状本体を通して伝達される光のためのエミッタ9bをさらに含むことができる。エミッタ9bは、位置決め補助具9aに隣接して、測定デバイス9のスタイレットの遠位端部に配置され、測定デバイス9の近位端部から光を導くことによって、照明を提供し、位置決め補助具9aの可視化を高めることができる。例えば、測定デバイス9は、管状本体の遠位端部のエミッタ9bを介して点滅光を提供して、追加の光源を供給し、膀胱頸部3aに対する位置決め補助具9aの位置決めを容易にすることができる。さらに、測定デバイス9の遠位端部の光源9bは、尿道2の内部空間を照らして、PUL5を測定する際に医師を支援することもできる。
【0054】
図5に概略的に描かれているような、さらに別の実施形態では、代替的な測定デバイス9’は、表面に測定表示を有する光ファイバーから構成され得る。光ファイバーは、膀胱鏡7の光源7aからの光を遠位側にエミッタ9bまで効果的に導くために利用される。さらに、光ファイバーは、光ファイバーの細長い本体上に形成された複数のノッチ10を有することができる。ノッチ10は、膀胱鏡7の光源7aから発せられた光を光ファイバーのコアに向けるまたは導くように構成された構造を有する。したがって、本実施形態のノッチ10を有する測定デバイス9’は、精丘6に配置された際に測定デバイス9’が膀胱鏡7の遠位端部を越えて前進させられると、光をその遠位端部に伝達するために光源7aをより十分に利用することができる。
【0055】
いくつかのシナリオでは、膀胱鏡7の端部の遠位の管腔内湾曲または肥大した組織(すなわち、泌尿器科適用における肥大した前立腺)のため、可視化が制限されることがある。したがって、本開示の技術は、位置決め補助具として機能するように図6a~図6cに概略的に描かれているように細長い本体の遠位端部に配置されたエキスパンダ11aを有する測定デバイス11を含む。エキスパンダ11aは、測定デバイス11の端部が膀胱3内に配置された後、可逆的に拡張可能となるように構成されている。図6aに示すように、エキスパンダ11aは、最初に非拡張構成で膀胱3内に導入され、その後、図6bにより示すように拡張され、それにより、医師がエキスパンダ11aを展開した後で測定デバイス11を引き出そうとするときに膀胱頸部3aにおける抵抗により生じるアンカー力を提供する。このアンカー力は触覚的手がかりを提供し、医師は膀胱頸部3aの位置を確認することができる。次いで、エキスパンダ11aは、測定デバイス11を医師が取り出すことができるように、潰れる。この実施形態では、測定デバイス11は、エキスパンダ11aの近位端部に隣接して測定デバイス11の遠位端部に配置されたインジケータ11bをさらに有し、これは、引き出し力が測定デバイス11に及ぼされ、展開されたエキスパンダ11aが前立腺部尿道2への進入に抵抗する際に膀胱頸部3aの位置に対応する。測定デバイス11はまた、患者の体外で医師が読み取るための、測定デバイス11の近位部分上におけるPUL5を決定するための上述の測定マーキングを特徴とする。医師が、エキスパンダ11aによって与えられる抵抗などによって膀胱頸部3aの位置を特定したら、エキスパンダは潰され、インジケータ11bがPUL5の長さを測定するための標識点として機能する精丘6に位置するまで、測定デバイス11を引き出す。あるいは、エキスパンダ11aは、ワイヤ、バルーン、ストリップ、または拡張構成と潰れた構成とを移行する能力を有する他の適切な構造によって形成され得る。
【0056】
図に概略的に示されるように、測定値は、2つの指摘された場所の間の近位マーキングの差として取られ得る。測定デバイス11の例示的な使用は、エキスパンダ11bが潰れた構成にある状態で、膀胱鏡7の作業チャネル7b内に展開することを含み得る。次に、医師は、膀胱鏡7を通して精丘6が見えるまで、測定デバイス11を備えた膀胱鏡7を前立腺部尿道2に挿入する。膀胱鏡7の遠位端部が精丘6に配置された状態で、医師は、(図6aに示すように)マーク付きの測定デバイス11を膀胱鏡7から膀胱3内に延ばし、(図6bに示すように)エキスパンダ11aをその第2の構成、すなわち拡張構成に拡張させる。次に、医師は、触覚的フィードバックで膀胱頸部3aの場所を確認するために、測定デバイス11に引き出し力を加える。同時に、医師は、(図6bにおいて点Aとして概略的に示される)膀胱頸部3aの場所を示すための陰茎8の先端のような静止基準に対する測定マーキングを記録する。次に、医師は、エキスパンダ11aを潰し、膀胱鏡の視界下でインジケータ11bが精丘6と整列するまで測定デバイス11を引き出す。(図6cに示す点Bとして概略的に示される)同じ静止基準を用いて測定マーキングを記録することにより、点Aと点Bとの間の距離が膀胱頸部3aと精丘6との間の距離を表すので、PUL5を決定することが可能になる。この実施形態では、PUL5は、体外に露出した測定デバイス11の部分を介して容易に決定することができる。代替的な実施形態では、外部測定は、以下で論じるような、図9b、図11b、および図12bを参照することができる。
【0057】
図7a~図7cを参照すると、測定デバイス11の変形例が開示されている。この実施形態では、測定デバイス11は、やはり細長い本体を含み、エキスパンダ11aが細長い本体の遠位端部に配置され、インジケータ11bが近位に隣接している。さらに、細長い本体は、バレル11c内に配置される。上述したように、エキスパンダ11aは、アンカーとして機能し、膀胱頸部3aの位置を特定するための触覚的フィードバックを使用者に提供することができる拡張可能な要素である。図示のように、測定マーキングはバレル11cに配置され、バレル11cは、細長い本体の動きがバレル11cを通して見えるように光学的に透明な材料で作られてもよい。使用時、医師は、膀胱鏡7の助けを借りて測定デバイス11を膀胱3内に前進させた後、エキスパンダ11aをその拡張構成に移行させる。医師は、図7bに示すように、バレル11c上のマーキングを介して細長い本体上の点Aの第1の場所を記録する。次に、医師は、上述の実施形態と同様にインジケータ11bが精丘6と整列するまで、測定デバイス11を潰して引き出すことができ、点Aが細長い本体上の新たな位置に来る。したがって、医師は、測定デバイス11上のマーク、例えば点Aの移動距離を介して、膀胱頸部と精丘との間の長さを決定することができる。本実施形態では、バレル11cは、膀胱鏡7の作業チャネルの入口に接続されるか、または別様に固定され得る。この場合、バレル11cは静止しており、測定デバイス11の細長い本体はバレル11cに対して移動され得る。
【0058】
したがって、実施形態によっては、医師は、図6および図7に示すように、患者の身体の外側からだけでなく、膀胱鏡7の視界を介して尿道の管腔内でもマーキングを読み取ることができる。したがって、図8を参照すると、測定デバイス11は、細長い本体の遠位部分にマーキングを有する。エキスパンダ11aが拡張され、膀胱頸部3aの位置を特定するために使用されるとき、医師は、精丘6を標識点として使用してマーキングを直接読み取ることができる。本実施形態では、マーキングの目盛りは異なる形態とすることができる。さらに、上述したように、マーキングは、図8により例示されるように、絶対的な測定値ではなく、植え込まれるデバイスの相対的なサイズを示すことができる。
【0059】
泌尿器科の臨床診療では、調査または検査のために患者の尿道にアクセスするために可撓性または剛性の膀胱鏡を用いることがあるので、本開示の技術は、前立腺部尿道の長さを外部から測定するための医療デバイスおよび方法も含む。主に、尿道の外側でのPUL5測定のための膀胱鏡の動きを医師が識別するために、スタビライザーおよび少なくとも1つのマーカーを備えた定規が提供される。
【0060】
例えば、測定デバイス12は、図9aおよび図9bに示すように、マーキングを有する定規12aと、定規12aを患者に対して位置決めするように構成されたスタビライザー12bと、陰茎8に挿入された膀胱鏡7の種々の場所に印を付けるように構成された少なくとも1つのマーカークリップ13と、を含むことができる。膀胱鏡7を挿入する前に、スタビライザー12bは、亀頭または陰茎と係合するために外部から使用されて、調査または検査中の陰茎の動きを安定させ、別様に最小にする。別の実施形態では、測定デバイス12は、図9bに示されるように、陰茎8のより遠位の部分に係合するサポーター12cをさらに含むことができる。したがって、調査または検査中の尿道の圧縮または伸張は、測定の正確さを確保するのに役立つように、スタビライザー12bおよびオプションとしてサポーター12cを介して追加の安定化を提供することによって最小化することができる。
【0061】
PUL5を測定する例示的な手順の間、医師はまず、膀胱頸部3aの位置を特定するために膀胱鏡7を挿入する。膀胱頸部3aの位置が確認されると、医師は、定規12aのマーキングに対する膀胱鏡7のシャフト上のマーカークリップ13の位置を記録する(上述の実施形態における点Aに類似する)。マーカークリップ13は、基準点として、尿道口の外側かつ隣に配置される。次に、医師は、精丘6が見えるまで膀胱鏡7を引き戻し、定規12aに対するマーカークリップ13の新しい位置(図9aに透視図で示してある)。したがって、マーカークリップ13の2つの位置の間の距離は、膀胱頸部3aと精丘6との間の距離であるPUL5を示す。本実施形態では、膀胱鏡7の損傷を防止するために、マーカークリップを弾性材料で作ることができる。あるいは、膀胱鏡7に所定のインジケータを設けてもよい。
【0062】
あるいは、図10aに概略的に示されているように、測定デバイス12のスタビライザー12bは、下腹部の皮膚に接着されるステッカーまたはパッチとして構成することができる。したがって、定規12aは、測定のためにまっすぐな位置で役立つことができ、スタビライザー12bは、測定中に陰茎8または尿道2を引き伸ばすことはない。代替的な実施形態として、スタビライザー12bは、図10bに示すように、ベルトの形態にすることができる。
【0063】
図11a~図11bを参照すると、測定デバイス12のスタビライザー12bは、ステッカーとすることができ、測定中の陰茎8または尿道2の伸張を最小限にするために陰茎の底部に付着させることができる。上述したように、マーカークリップ13は、膀胱鏡7の遠位端部が膀胱頸部3aおよび精丘6に配置されたときに、膀胱鏡7の場所を追跡するために採用され得る。上述したように、定規12aのマーキングの目盛りは、植え込まれるデバイスの相対的なサイズを示すことによるか、または絶対的な長さを表すことによるなどして、異なる目的を達成するために異なる形態とすることができる。
【0064】
さらに別の実施形態では、測定デバイス14は、図11cおよび図11dに示すように、膀胱鏡7上の所望の場所に取り外し可能に取り付けられ得るクリップ15と、ヒンジ17によってマーカークリップに接続された定規16と、を含む。測定デバイス12は体外で使用され、患者との相互作用を伴わないので、尿道の圧縮/伸張が防止される。さらに、測定の精度を保証することができる。使用時には、まず膀胱鏡7を挿入して膀胱頸部3aの位置を特定することにより、測定デバイス14を用いてPUL5を測定することができる。膀胱頸部3aの位置が確認されると、医師は、マーカークリップ15を、尿道口のすぐ外側および尿道口の隣などの所望の基準位置で膀胱鏡7のシャフトに固定する。次に、医師は、精丘6が見えるまで膀胱鏡7を引き抜く。膀胱鏡7のシャフトと整列するまで定規16をヒンジ17上で旋回させることにより、定規16上のマーキングを同じ基準位置と比較してPUL5を決定することができる。
【0065】
さらに、測定デバイス12のスタビライザー12bは、図12aおよび図12bに示される実施形態によれば、患者の陰茎8に適合するようにきつさを調節することができるストリップの形態とすることができる。この場合、スタビライザー12bは、陰茎8の基底部に結び付けられる。使用中、マーカークリップ13または膀胱鏡7のシャフト上の既存のインジケータは、PUL5を測定するために定規12aから適切な測定値を取るために、上述したように使用され得る。
【0066】
上記に開示された例示的な実施形態は、単に、本開示の様々な有用性を例示することを意図しているにすぎない。本開示の機能要素および特徴部の多数の改変、変形、および組み合わせが、上記の教示に照らして可能であり、したがって、添付の特許請求の範囲内で、本開示が、特に開示された以外にも実施することができ、本開示の原理が、適切な改変によって他の出願に容易に拡張され得ることが理解される。
【0067】
すべての特許および刊行物は、個々の各刊行物が、参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、参考のために本明細書に組み込まれる。本開示は、好ましい実施形態およびオプションの特徴部によって具体的に開示されてきたが、本明細書に開示された概念の改変および変形が、当業者によってなされてもよく、そのような改変および変形は、本開示の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 前立腺部尿道の長さを決定するための測定デバイスであって、
膀胱鏡の作業チャネルを通して導入されるように構成された細長いシャフト部材と、
前記細長いシャフト部材上に配置された位置決め補助具と、
前記膀胱鏡内での相対的な並進移動を示すように構成された前記細長いシャフトと関連付けられたマーキングと、
を含む、測定デバイス。
(2) 前記位置決め補助具は、視覚的手がかりおよび触覚的手がかりの少なくとも一方を含む、実施態様1に記載の測定デバイス。
(3) 前記位置決め補助具は、前記細長いシャフト部材の側面から展開可能である、実施態様1に記載の測定デバイス。
(4) 前記位置決め補助具は、拘束されていないときに自動的に展開する、実施態様3に記載の測定デバイス。
(5) 前記位置決め補助具は、潰れた構成と拡張構成との間で移行するエキスパンダを含む、実施態様1に記載の測定デバイス。
【0069】
(6) 前記エキスパンダが患者の膀胱に接触するように引かれたときに膀胱頸部の位置に対応するように構成された、前記エキスパンダの近位に配置されたインジケータをさらに含む、実施態様5に記載の測定デバイス。
(7) 前記細長いシャフト部材の遠位端部に配置され、前記遠位端部に光を導くように構成されたエミッタをさらに含む、実施態様1に記載の測定デバイス。
(8) 前記マーキングは、前記細長いシャフト部材の遠位部分上にある、実施態様1に記載の測定デバイス。
(9) 前記マーキングは、前記細長いシャフト部材が中を通って配置される透明なバレル上にある、実施態様1に記載の測定デバイス。
(10) 前記バレルは、前記膀胱鏡に固定されるように構成されている、実施態様9に記載の測定デバイス。
【0070】
(11) 前立腺部尿道の長さを決定する方法であって、
膀胱鏡の遠位端部が患者の精丘に対応する場所にくるように前記膀胱鏡を位置決めすることと、
前記膀胱鏡の作業チャネル内から細長いシャフト部材を前進させることと、
前記細長いシャフト部材が第1の並進運動位置にくるように、前記細長いシャフト部材上に配置された位置決め補助具を前記患者の膀胱頸部に配置することと、
前記細長いシャフト部材の前記第1の位置を前記細長いシャフト部材と関連付けられたマーキングと対応させることと、
前記細長いシャフト部材が第2の並進運動位置にくるように、前記位置決め補助具が前記患者の精丘に位置するまで前記細長いシャフト部材を引き出すことと、
前記細長いシャフト部材の前記第2の位置を前記細長いシャフト部材と関連付けられたマーキングに対応させることと、
前記第1の位置と前記第2の位置との間での前記細長いシャフト部材の相対的な並進移動に少なくとも部分的に基づいて前立腺部尿道の長さを決定することと、
を含む、方法。
(12) 前記細長いシャフト部材の側面から前記位置決め補助具を展開することをさらに含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記位置決め補助具を前記膀胱頸部に配置すること、および前記位置決め補助具が前記患者の精丘に位置するまで前記細長いシャフトを引き出すことのうちの少なくとも一方は、前記膀胱鏡を通じた可視化下で行われる、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記可視化を補助するために、前記細長いシャフト部材の遠位端部にあるエミッタに光を導くことをさらに含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記位置決め補助具を前記膀胱頸部に配置することは、触覚的手がかりに少なくとも部分的に基づく、実施態様11に記載の方法。
【0071】
(16) 前記位置決め補助具を前記膀胱頸部に配置するために、患者の膀胱内で前記細長いシャフト部材の遠位端部にあるエキスパンダを拡張させることをさらに含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記細長いシャフト部材を引き出す前に前記エキスパンダを潰すことをさらに含み、前記位置決め補助具が前記患者の精丘に位置するまで前記細長いシャフトを引き出すことは、前記エキスパンダの近位にあるインジケータを前記患者の精丘と整列させることを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記細長いシャフト部材は、前記膀胱鏡に接続された透明なバレルを通して引き出され、前記マーキングは、前記バレル上にある、実施態様11に記載の方法。
(19) 前立腺部尿道の長さを決定するための測定デバイスであって、
膀胱鏡の相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する定規部分と、
患者に対して前記定規部分を位置決めするように構成されたスタビライザーと、
を含む、測定デバイス。
(20) 前記スタビライザーは、陰茎に係合するように構成されている、実施態様19に記載の測定デバイス。
【0072】
(21) 前記スタビライザーは、前記陰茎の亀頭に係合するように構成されている、実施態様20に記載の測定デバイス。
(22) 前記スタビライザーは、前記亀頭に係合すると、開いた構成から閉じた構成に移行する、実施態様21に記載の測定デバイス。
(23) 前記陰茎のより遠位の部分に係合するように構成されたサポーターをさらに含む、実施態様20に記載の測定デバイス。
(24) 前記サポーターは、ヒンジ付きカラーを含む、実施態様23に記載の測定デバイス。
(25) 前記スタビライザーは、下腹部の皮膚に接着されるように構成されたパッチを含む、実施態様19に記載の測定デバイス。
【0073】
(26) 前記スタビライザーは、ベルトを含む、実施態様19に記載の測定デバイス。
(27) 前記スタビライザーは、前記陰茎の基底部を包囲するように構成された調節可能なストリップである、実施態様20に記載の測定デバイス。
(28) 前立腺部尿道の長さを決定する方法であって、
スタビライザーを用いて、患者に対する膀胱鏡の相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する測定デバイスの定規部分を位置決めすることと、
前記膀胱鏡が第1の並進運動位置にくるように、前記膀胱鏡の遠位端部を患者の膀胱頸部に配置することと、
前記膀胱鏡の前記第1の位置を前記マーキングと対応させることと、
前記膀胱鏡が第2の並進運動位置にくるように、前記遠位端部が前記患者の精丘に位置するまで前記膀胱鏡を引き出すことと、
前記膀胱鏡の前記第2の位置を前記マーキングと対応させることと、
前記第1の位置と前記第2の位置との間での前記膀胱鏡の相対的な並進移動に少なくとも部分的に基づいて前立腺部尿道の長さを決定することと、
を含む、方法。
(29) 陰茎の亀頭に係合するように、前記スタビライザーを開いた構成から閉じた構成に移行させることをさらに含む、実施態様28に記載の方法。
(30) 陰茎のより遠位の部分に係合するためにサポーターを設けることをさらに含む、実施態様28に記載の方法。
【0074】
(31) 前記サポーターは、ヒンジ付きカラーを含み、
前記ヒンジ付きカラーを前記陰茎の前記より遠位の部分の周りで閉じることをさらに含む、実施態様30に記載の方法。
(32) 前記定規部分を位置決めするために前記スタビライザーを下腹部の皮膚に接着することをさらに含む、実施態様28に記載の方法。
(33) 前記定規部分を位置決めするために前記スタビライザーを前記患者の胴体の周りにベルトで固定することをさらに含む、実施態様28に記載の方法。
(34) 前記スタビライザーは、調節可能なストリップを含み、
前記定規部分を位置決めするために前記陰茎の基底部を包囲することをさらに含む、実施態様28に記載の方法。
(35) 前記膀胱鏡の前記遠位端部を前記患者の膀胱頸部に配置した後、マーカークリップを前記膀胱鏡に解放可能に取り付けて、前記第1の位置および前記第2の位置を前記マーキングに対応させることが、前記マーカークリップに関連して行われるようにすることをさらに含む、実施態様28に記載の方法。
【0075】
(36) 前立腺部尿道の長さを決定するための測定デバイスであって、
膀胱鏡の相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する定規部分と、
前記膀胱鏡に取り外し可能に取り付けられるように構成された前記定規部分に接続されたクリップと、
を含む、測定デバイス。
(37) 前記定規部分は、ヒンジによって前記クリップに接続されている、実施態様36に記載の測定デバイス。
(38) 前記ヒンジは、前記クリップが取り付けられたときに前記定規部分が前記膀胱鏡と長手方向に整列することを可能にするように構成されている、実施態様37に記載の測定デバイス。
(39) 前記定規部分のマーキングは、絶対的な測定値を表す、実施態様36に記載の測定デバイス。
(40) 前記定規部分のマーキングは、相対的な測定値を表す、実施態様36に記載の測定デバイス。
【0076】
(41) 前記クリップは、患者に対する基準位置で前記膀胱鏡に取り付けられるように構成されている、実施態様36に記載の測定デバイス。
(42) 前立腺部尿道の長さを決定する方法であって、
膀胱鏡が第1の並進運動位置にくるように、前記膀胱鏡の遠位端部を患者の膀胱頸部に配置することと、
クリップを用いて、前記膀胱鏡に対する相対的な並進移動を示すように構成されたマーキングを有する測定デバイスの定規部分を解放可能に取り付けることと、
前記膀胱鏡が第2の並進運動位置にくるように、前記遠位端部が前記患者の精丘に位置するまで前記膀胱鏡を引き出すことと、
前立腺部尿道の長さを決定するために、前記膀胱鏡の前記第2の位置を前記マーキングに対応させることと、
を含む、方法。
(43) 前記定規部分は、前記膀胱鏡の前記遠位端部が前記患者の膀胱頸部に位置するときに、前記患者に対する基準位置に解放可能に取り付けられる、実施態様42に記載の方法。
(44) 前立腺部尿道の長さを決定するために、前記膀胱鏡の前記第2の位置を前記マーキングに対応させることは、前記定規部分の前記マーキングを、前記患者に対する前記基準位置と比較することを含む、実施態様43に記載の方法。
(45) 前記膀胱鏡の前記第2の位置を前記マーキングに対応させる際に、前記定規部分を前記膀胱鏡と長手方向に整列させるために、前記クリップのヒンジにおいて前記定規部分を旋回させることをさらに含む、実施態様42に記載の方法。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図11c
図11d
図12a
図12b
【国際調査報告】