(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-14
(54)【発明の名称】不均一な肝脂肪を特定するためのシステム、方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
A61B8/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561175
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2022058807
(87)【国際公開番号】W WO2022214407
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202110398371.X
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シュー ジンピン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】デン ジュンピン
(72)【発明者】
【氏名】シ ウィリアム タオ
(72)【発明者】
【氏名】シエ フア
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601DD02
4C601DD18
4C601EE09
4C601JC08
4C601JC09
4C601JC15
4C601JC26
(57)【要約】
超音波イメージングシステムが、肝臓の画像を収集する。画像から肝臓がセグメント化される。画像の肝臓部分から、画像の均一性マップ、強度確率チャート、及び/又はスペックルサイズ図などのパラメータが抽出される。これらのパラメータを使用して、脂肪肝沈着が、びまん性であるか不均一であるかを判断する。いくつかの実施例では、不均一な領域が肝脂肪定量化測定値の計算から除外される。いくつかの実施例では、不均一な領域が表示され、これにより、ユーザは、不均一な領域を除外した関心領域を選択して、肝脂肪定量化測定値を計算する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝脂肪沈着の分類を提供する超音波イメージングシステムであって、前記超音波イメージングシステムは、
命令でエンコードされた非一時的コンピュータ可読媒体であって、一連の画像を保存する非一時的コンピュータ可読媒体と、
前記非一時的コンピュータ可読媒体と通信し、且つ前記命令を実行する少なくとも1つのプロセッサと、
を含み、
前記命令は、実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記一連の画像のうちの少なくとも1つの画像から肝臓領域をセグメント化することと、
前記肝臓領域から少なくとも1つのパラメータを抽出することと、
前記少なくとも1つのパラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記肝臓領域の肝脂肪沈着が、びまん性か、不均一であるかを分類することと、
前記肝脂肪沈着の分類に少なくとも部分的に基づいて結果を提供することと、
を実行させる、超音波イメージングシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサは更に、前記肝臓領域の肝臓血管又は他の解剖学的特徴の少なくとも1つを特定し、前記少なくとも1つのパラメータの抽出前に、特定された前記肝臓血管又は前記他の解剖学的特徴を前記肝臓領域から除外する、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項3】
前記超音波イメージングシステムはディスプレイを更に含み、前記結果は、前記ディスプレイ上の前記少なくとも1つの画像上に表示するためのグラフィックオーバーレイを含み、前記グラフィックオーバーレイは、前記肝臓領域の複数のピクセルに対応する複数のピクセルを含み、前記グラフィックオーバーレイの前記複数のピクセルのうちのあるピクセルのプロパティは、前記分類に少なくとも部分的に基づいている、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項4】
前記超音波イメージングシステムはディスプレイとユーザインターフェースとを更に含み、前記ユーザインターフェースは、前記肝臓領域内の関心領域(ROI)を示すユーザ入力を受信し、前記少なくとも1つのプロセッサは更に、前記ROIに不均一として分類された前記肝脂肪沈着が含まれている場合に、警告のためのディスプレイ情報を提供する、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサは、機械学習モデルを実装して、前記少なくとも1つのパラメータを分析し、前記肝脂肪沈着の前記分類を生成する、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項6】
前記機械学習モデルはニューラルネットワークを含む、請求項5に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパラメータは、不均質性マップ、ピクセル強度の分布、又はスペックルサイズの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサは更に、前記肝脂肪沈着の前記分類に少なくとも部分的に基づいて脂肪定量化測定値を計算する、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項9】
前記脂肪定量化測定値は、不均一として分類された前記肝脂肪沈着を除外した前記肝臓領域に基づいている、請求項8に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項10】
肝脂肪沈着の分類を提供するための方法であって、
一連の画像を受信するステップと、
少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記一連の画像のうちの少なくとも1つの画像から肝臓領域をセグメント化するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記肝臓領域から少なくとも1つのパラメータを抽出するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記少なくとも1つのパラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記肝臓領域の肝脂肪沈着が、びまん性か、不均一であるかを分類するステップと、
前記肝脂肪沈着の分類に少なくとも部分的に基づいて結果を提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記肝臓領域の肝臓血管又は他の解剖学的特徴の少なくとも1つを特定するステップと、
前記少なくとも1つのパラメータを抽出する前に、特定された前記肝臓血管又は前記他の解剖学的特徴を前記肝臓領域から除外するステップと、
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのパラメータは、不均質性マップ、ピクセル強度の確率分布、又はスペックルサイズの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記不均質性マップを抽出するステップは、
軸方向と横方向の両方で前記肝臓領域にわたってウィンドウを平行移動させるステップと、
前記ウィンドウの個々の平行移動に対して、前記ウィンドウ内のピクセルの強度値の平均値を計算するステップと、
前記ウィンドウの前記個々の平行移動に対して、前記ウィンドウ内の前記ピクセルの前記強度値の標準偏差を計算するステップと、
前記標準偏差を前記平均値で割って、前記ウィンドウの前記個々の平行移動の均一性ポイント値を計算するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
均一性指数を抽出するステップを更に含み、前記均一性指数は、前記ウィンドウの前記個々の平行移動に対して、前記均一性ポイント値の平均値を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記確率分布を抽出するステップは、
前記肝臓領域のピクセルの強度値をヒストグラムにプロットするステップと、
前記ヒストグラムに曲線をフィッティングするステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記曲線に少なくとも部分的に基づいて、前記確率分布の幅を計算するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記スペックルサイズを抽出するステップは、前記肝臓領域の自己相関関数を計算するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記分類するステップは、機械学習モデルによって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
びまん性又は不均一のいずれかとしてラベル付けされた画像の肝臓領域から抽出されたパラメータを含むトレーニングデータセットを提供することによって、前記肝脂肪沈着を分類するように前記機械学習モデルをトレーニングするステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記結果を提供するステップは、前記肝臓領域の複数のピクセルに対応する複数のピクセルを含むグラフィックオーバーレイを表示するステップを含み、前記グラフィックオーバーレイの前記複数のピクセルのうちのあるピクセルのプロパティは、前記分類に少なくとも部分的に基づいている、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波イメージングで肝脂肪を評価するためのイメージングシステム及び方法に関する。具体的には、不均一な肝脂肪の領域を特定するためのイメージングシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の危険因子である肥満とインスリン抵抗性とにより、肝脂肪症(全肝臓の5%以上の脂肪含有量)の有病率が世界中で増加している。肝脂肪の検出及び定量化は臨床的に重要である。例えば、肝移植のコンテキストでは、肝移植を成功させるためには、ドナーとレシピエントとの両者の肝脂肪が10%未満であることが必要である。一部の企業では、超音波減衰係数、超音波弾性点測定、又は2次元(2D)若しくは3次元(3D)超音波エラストグラフィイメージングのいずれかを使用した肝脂肪定量化ツールを開発及び実施している。測定の精度と信頼性とを高めるために、肝脂肪測定の関心領域(ROI)をMcm(高さ)×Ncm(幅)の長方形又は円形セクタに設定して、しばしば長方形又は円形セクタである比較的大きな測定領域から信号対ノイズ比(SNR)を増加させる。典型的には、Mは通常8cmに設定され、Nは脂肪定量化に使用されるアルゴリズムに応じて2~6cmの範囲で変動する。現行のアルゴリズムでは、肝臓におけるびまん性の(例えば、均一な)脂肪分布を前提としている。しかし、慢性肝疾患患者の推定10%は不均一肝脂肪浸潤を有する。脂肪定量化アルゴリズムは、これらの患者について不正確な肝脂肪測定値を提供する可能性がある。したがって、肝脂肪定量化のために、測定ワークフロー中に慢性肝疾患患者が、ROIにびまん性又は不均一な肝脂肪分布を有しているかどうかを判断することが重要である。
【発明の概要】
【0003】
超音波画像上で不均一な肝脂肪領域を特定するためのシステム、方法、及び装置が開示される。
【0004】
一連の2D肝臓超音波画像が収集され、2D肝臓超音波画像から肝臓領域がセグメント化される。セグメント化の後、肝臓血管が検出され、セグメント化された肝臓領域から除外される。セグメント化された肝臓領域から、画像均一性、ピクセル強度の分布などの1つ以上のパラメータが抽出される。パラメータは、画像均一性マップ、強度確率チャート、及び/又はスペックルサイズ図などで編成される。いくつかの実施例では、パラメータは、人工知能モデル(深層学習モデルなど)であり得る分類モデルに提供される。ROIが、モデルによって、例えば、以下の2つのケースのうちの1つに分類される。つまり、ROIにおいて肝脂肪分布は均一であることを示す第1のケース、又は、ROIにおいて脂肪分布は不均一であることを示す第2のケースのうちの1つに分類される。決定された分類は、結果として、超音波イメージングシステムのユーザに報告される。いくつかの実施例では、セグメント化された肝臓超音波画像がユーザに提供される。本明細書に開示するシステム、方法、及び装置は、正確な脂肪定量化測定値の取得を容易にするために肝脂肪定量化ツールにおける自動又は半自動事前処理ツールを提供する。
【0005】
本開示の少なくとも1つの実施例によれば、超音波イメージングシステムが、肝脂肪沈着の分類を提供する。このシステムは、命令でエンコードされた非一時的コンピュータ可読媒体であって、一連の画像を保存する非一時的コンピュータ可読媒体と、非一時的コンピュータ可読媒体と通信し、命令を実行する少なくとも1つのプロセッサとを含む。命令は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、一連の画像のうちの少なくとも1つの画像から肝臓領域をセグメント化することと、肝臓領域から少なくとも1つのパラメータを抽出することと、少なくとも1つのパラメータに少なくとも部分的に基づいて、肝臓領域の肝脂肪沈着が、びまん性か、不均一であるかを分類することと、肝脂肪沈着の分類に少なくとも部分的に基づいて結果を提供することとを実行させる。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施例によれば、肝脂肪沈着の分類を提供するための方法は、一連の画像を受信するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、一連の画像のうちの少なくとも1つの画像から肝臓領域をセグメント化するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、肝臓領域から少なくとも1つのパラメータを抽出するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、少なくとも1つのパラメータに少なくとも部分的に基づいて、肝臓領域の肝脂肪沈着が、びまん性か、不均一であるかを分類するステップと、肝脂肪沈着の分類に少なくとも部分的に基づいて結果を提供するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の原理に従う超音波システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の原理に従う肝脂肪を分類するための手法のフロー図である。
【
図3】
図3は、本開示の原理に従うニューラルネットワークのトレーニング及び導入のプロセスのブロック図を示す。
【
図4】
図4は、均一な脂肪分布を有する肝臓部分の2次元画像例を示す。
【
図5】
図5は、不均一な脂肪分布を有する肝臓部分の2次元画像例を示す。
【
図6】
図6は、本開示の原理による均一な脂肪肝の強度確率分布例を示す。
【
図7】
図6は、本開示の原理による不均一な脂肪肝の強度確率分布例を示す。
【
図8】
図8は、本開示の原理による均一な脂肪肝及び不均一な脂肪肝の自己相関関数例を示す。
【
図9】
図9は、肝臓の2次元画像から抽出したパラメータ例を示した表である。
【
図10】
図10は、本開示の原理による方法のフローチャートである。
【
図11】
図11は、本開示の原理によるプロセッサ例1100を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定の実施形態の次の説明は、本質的に例示的であり、本発明又はその応用若しくは使用を限定することを意図したものではない。本システム及び方法の実施形態の次の詳細な説明において、本明細書の一部をなし、且つ、例示として、説明されるシステム及び方法を実践し得る特定の実施形態が示されている添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本開示の装置、システム、及び方法を実践できるように十分な詳細で説明されており、また、他の実施形態が利用されてもよく、且つ本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的な変更を行うことができることが理解されるものとする。更に、明確にするために、本装置、システム、及び方法の説明を不明瞭にしないように、特定の特徴の詳細な説明は、当業者に明らかである場合には議論されない。したがって、次の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本システムの範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0009】
既存の脂肪定量化アルゴリズムでは、典型的に、信号対ノイズ比(SNR)を高めるために平均化目的に使用される比較的大きな領域があるため、びまん性/均一肝脂肪沈着の肝脂肪定量化には許容可能な推定値が提供される。肝脂肪定量化測定(単に測定とも呼ぶ)は、典型的に、選択した超音波画像に対して、ROIの位置を移動したり、ROIのサイズを変更したりすることで、複数回繰り返される。これらの測定値の標準偏差(SD)が平均値よりも著しく小さい場合、測定値は許容可能と見なされる。SD値が大きい場合、測定値は許容できないと見なされる。SD値が大きい場合は、オペレータ(超音波プローブを適切な透過角度に置かないなど)や患者(画像収集中に息を止めないなど)が原因であることがある。しかしながら、他の場合には、大きなSD値は肝臓における不均一な脂肪沈着によるものである可能性がある。検査中の患者が特定の領域で均一な肝脂肪分布を持っているか又は不均一な肝脂肪分布を持っているかを判断する方法は、オペレータが判断するのが難しい。オペレータによって、測定前の目視検査を行うことができるが、成功するかどうかはオペレータの経験に左右され、また、視る知覚は、人間の視覚がグレースケールに対して区別する能力がないことから信頼できない場合がある。したがって、患者の肝脂肪分布の種類(均一又は不均一など)を事前に自動的に判断できる前処理ステップが望ましい場合がある。
【0010】
患者の肝臓の領域に不均一な脂肪沈着が含まれているかどうかを自動的に判断することで、オペレータは肝脂肪定量化測定に適したROI(均一な脂肪分布の領域など)を選択したり、肝脂肪定量化測定に別のアルゴリズムを選択したりできる。いくつかの応用では、これにより肝脂肪定量化測定値の信頼性が向上する。いくつかの応用では、ROIを配置するのに適した領域を事前に特定しておくと、信頼性の高い測定値を短時間で取得できるため、オペレータの作業負荷が軽減される。いくつかの応用では、不均一な肝脂肪分布の存在及び/又は有病率は、それ自体が肝臓の健康の診断指標となる。
【0011】
本開示の実施例には、2D肝臓超音波画像の様々な画像パラメータを計算するためのシステム及び方法が含まれる。画像パラメータの例には、均一性マップ、スペックルサイズ、例えば、画像ピクセル強度の確率分布があるが、これらに限定されない。コンピュータ画像パラメータは機械学習モデルに提供される。機械学習モデルは、肝臓の1つ以上の領域に均一な(びまん性など)又は不均一な肝脂肪分布が含まれるかどうかを判断するようにトレーニングされる。超音波イメージングシステムは、超音波イメージングシステムのユーザに判断の指標を提供する。例えば、超音波イメージングシステムは、ユーザが、肝脂肪定量化測定のために不均一な肝脂肪分布を含むROIを選択すると、視覚的又は聴覚的な警告を提供する。これにより、ユーザは測定用のROIとして肝臓の別の領域を選択するように求められる。別の実施例では、超音波イメージングシステムは、均一な脂肪分布を含む領域や不均一な脂肪分布を含む領域を示すオーバーレイを2D肝臓超音波画像上に提供する。したがって、ユーザは2D肝臓超音波画像のどの領域が肝脂肪定量化測定用のROIとして選択に適しているかを確認できる。
【0012】
任意選択で、いくつかの実施例では、システム及び方法には、2D超音波画像内で肝臓が適切にセグメント化されていることをユーザが確認できるようにするための手法が含まれている。任意選択で、いくつかの実施例では、システム及び方法には、2D画像上に情報を提供する(例えば、ディスプレイに、計算された画像パラメータの値、セグメント化された肝臓の形状を提供する)ことが含まれている。
【0013】
図1は、本開示の原理に従って構築された超音波イメージングシステム100のブロック図を示している。本開示による超音波イメージングシステム100は、超音波プローブ112(例えば、外部プローブ又は内部プローブ)に含まれ得るトランスデューサアレイ114を含む。トランスデューサアレイ114は、超音波信号(例えば、ビーム、波)を送信し、超音波信号に応答したエコーを受信する。例えば、リニアアレイ、曲面アレイ、又はフェーズドアレイである、様々なトランスデューサアレイも使用できる。例えば、トランスデューサアレイ114は、2D及び/又は3Dイメージングのために仰角寸法及び方位角寸法の両方でスキャン可能なトランスデューサ素子の2次元アレイ(図示する)を含む。一般的に知られているように、軸方向は、アレイの表面に垂直な方向であり(曲面アレイの場合、軸方向は扇形に広がる)、方位角方向は一般にアレイの長手方向の寸法によって定義され、仰角方向は方位角方向を横断する。
【0014】
いくつかの実施形態では、トランスデューサアレイ114は、超音波プローブ112内に設置され、また、アレイ114内のトランスデューサ素子による信号の送受信を制御するマイクロビームフォーマ116に結合される。いくつかの実施形態では、マイクロビームフォーマ116は、アレイ114内のアクティブ素子(例えば、任意の所与の時間にアクティブアパーチュアを画定するアレイの素子のアクティブサブセット)によって信号の送受信を制御する。
【0015】
いくつかの実施形態では、マイクロビームフォーマ116は、例えば、プローブケーブルによって又は無線で、送受信(T/R)スイッチ118に結合される。T/Rスイッチ118は、送信と受信とを切り替え、メインビームフォーマ122を高エネルギー送信信号から保護する。いくつかの実施形態では、例えば、ポータブル超音波システムでは、T/Rスイッチ118及びシステム内の他の要素は、画像処理用電子機器を収容する超音波システムベースではなく、超音波プローブ112内に含まれていてもよい。超音波システムベースは通常、信号処理及び画像データ生成用の回路並びにユーザインターフェースを提供するための実行可能命令を含むソフトウェア及びハードウェアコンポーネント(例えば、処理回路150及びユーザインターフェース124)を含む。
【0016】
マイクロビームフォーマ116の制御下でのトランスデューサアレイ114からの超音波信号の送信は、送信コントローラ120によって指示される。この送信コントローラ120は、T/Rスイッチ118及びメインビームフォーマ122に結合される。送信コントローラ120は、ビームがステアリングされる方向を制御する。ビームは、トランスデューサアレイ114からまっすぐに前に(トランスデューサアレイに直交して)ステアリングすることも、より広い視野を得るために異なる角度でステアリングすることもできる。送信コントローラ120はまた、ユーザインターフェース124に結合されて、ユーザによるユーザコントロールの操作から入力を受信する。ユーザインターフェース124は、制御パネル152などの1つ以上の入力デバイスを含む。制御パネルには、1つ以上の機械的コントロール(例えば、ボタン、エンコーダ)、タッチセンシティブコントロール(例えば、トラックパッド、タッチスクリーンなど)、及び/又は他の既知の入力デバイスが含まれ得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、マイクロビームフォーマ116によって生成された部分的ビーム形成信号は、メインビームフォーマ122に結合される。ここでは、トランスデューサ素子の個々のパッチからの部分的ビーム形成信号が完全ビーム形成信号になるように結合される。いくつかの実施形態では、マイクロビームフォーマ116は省略され、トランスデューサアレイ114は、すべての信号のビーム形成を実行するメインビームフォーマ122の制御下にある。マイクロビームフォーマ116を有する及び有さない実施形態において、メインビームフォーマ122のビーム形成信号は、処理回路150に結合される。処理回路150は、ビーム形成信号(例えば、ビーム形成RFデータ)から超音波画像を生成する1つ以上のプロセッサ(例えば、信号プロセッサ126、Bモードプロセッサ128、ドップラープロセッサ160、及び1つ以上の画像生成及び処理コンポーネント168)を含む。
【0018】
信号プロセッサ126は、バンドパスフィルタリング、デシメーション、I及びQ成分の分離、並びに高調波信号の分離など、様々なやり方で、受け取ったビーム形成RFデータを処理する。また、信号プロセッサ126は、スペックルの低減、信号複合、及びノイズ除去などの追加の信号強調を行う。処理された信号(I及びQ成分又はIQ信号とも呼ばれる)は、画像生成のために追加の下流の信号処理回路に結合される。IQ信号は、システム内の複数の信号経路に結合される。各信号経路は、異なるタイプの画像データ(例えば、Bモード画像データ、ドップラー画像データ)の生成に適した特定の信号処理コンポーネントの配置に関連付けられている。例えば、システムは、Bモードの画像データを生成するために、信号プロセッサ126からの信号をBモードプロセッサ128に結合するBモード信号経路158を含む。
【0019】
Bモードプロセッサは、体内の構造のイメージングのために振幅検出を採用できる。Bモードプロセッサ128によって生成される信号は、スキャンコンバータ130及び/又はマルチプラナーリフォーマッタ132に結合される。スキャンコンバータ130は、エコー信号を、それらを受け取った元の空間的関係で所望の画像フォーマットで配置する。例えば、スキャンコンバータ130は、エコー信号を2次元(2D)セクタ型フォーマット、又はピラミッド若しくは他の形状の3次元(3D)フォーマットに配置する。例えば、米国特許第6,443,896号(Detmer)に説明されているように、マルチプラナーリフォーマッタ132は、体のボリュメトリック領域内の共通平面内の点から受け取ったエコーをその平面の超音波画像(例えば、Bモード画像)に変換できる。いくつかの実施形態では、スキャンコンバータ130及びマルチプラナーリフォーマッタ132は、1つ以上のプロセッサとして実装される。
【0020】
ボリュームレンダラ134は、例えば、米国特許第6,530,885号(Entrekin他)に説明されているように、所与の基準点から見た3Dデータセットの画像(投影、レンダ、又はレンダリングとも呼ばれる)を生成する。いくつかの実施形態では、ボリュームレンダラ134は、1つ以上のプロセッサとして実装される。ボリュームレンダラ134は、表面レンダリング及び最大強度レンダリングなどの任意の既知又は将来の既知となる手法によって、正のレンダリング又は負のレンダリングなどのレンダを生成する。
【0021】
いくつかの実施形態では、システムは、信号プロセッサ126からの出力をドップラープロセッサ160に結合するドップラー信号経路162を含む。ドップラープロセッサ160は、ドップラー偏移を推定し、ドップラー画像データを生成する。ドップラー画像データには、表示のためにBモード(即ち、グレースケール)画像データに重ねられるカラーデータが含まれる。ドップラープロセッサ160は、例えば、ウォールフィルタを使用して、不要な信号(即ち、動いていない組織に関連するノイズ又はクラッタ)を除去する。ドップラープロセッサ160は更に、既知の手法に従って速度及びパワーを推定する。例えば、ドップラープロセッサには、自己相関器などのドップラー推定器が含まれている。ここでは、速度(ドップラー周波数、スペクトルドップラー)推定はラグ1自己相関関数の引数に基づいており、ドップラーパワー推定はラグ0自己相関関数の大きさに基づいている。動きもまた、既知の位相領域(例えば、MUSIC、ESPRITなどのパラメトリック周波数推定器)又は時間領域(例えば、相互相関)信号処理手法によって推定される。その後、速度及び/又はパワー推定値は、カラーマップに従って所望の表示色の範囲にマッピングされる。カラーデータ(ドップラー画像データとも呼ぶ)は、スキャンコンバータ130に結合され、そこで、ドップラー画像データは所望の画像フォーマットに変換されて、組織構造のBモード画像に重ねられてカラードップラー画像又はパワードップラー画像が形成される。
【0022】
スキャンコンバータ130、マルチプラナーリフォーマッタ132、及び/又はボリュームレンダラ134からの出力は、画像ディスプレイ138で表示される前に、更なる強調、バッファリング、及び一時的保存のために画像プロセッサ136に結合される。グラフィックプロセッサ140が、画像とともに表示されるグラフィックオーバーレイを生成する。これらのグラフィックオーバーレイには、患者名、画像の日時、イメージングパラメータなどの標準的な識別情報を含めることができる。このために、グラフィックプロセッサ140は、タイプされた患者名又は他の注釈などの入力をユーザインターフェース124から受信する。ユーザインターフェース124はまた、複数のマルチプラナーリフォーマットされた(MPR)画像の表示の選択及び制御のために、マルチプラナーリフォーマッタ132に結合される。
【0023】
システム100は、ローカルメモリ142を含む。ローカルメモリ142は、任意の適切な非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、フラッシュドライブ、ディスクドライブ)として実装される。ローカルメモリ142には、超音波画像、実行可能命令、画像パラメータ、トレーニングデータセット、又はシステム100の操作に必要な任意の他の情報など、システム100によって生成されるデータが保存される。いくつかの実施例では、ローカルメモリ1242には、同じタイプであっても異なるタイプであってもよいメモリが複数含まれている。例えば、ローカルメモリ142には、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)及びフラッシュメモリが含まれる。
【0024】
前述のように、システム100は、ユーザインターフェース124を含む。ユーザインターフェース124には、ディスプレイ138及び制御パネル152が含まれている。ディスプレイ138には、LCD、LED、OLED、又はプラズマディスプレイ技術など、様々な既知のディスプレイ技術を使用して実装されるディスプレイデバイスが含まれている。いくつかの実施形態では、ディスプレイ138は、複数のディスプレイを含む。制御パネル152は、ユーザ入力(検査タイプ、イメージングパラメータなど)を受信する。制御パネル152は、1つ以上のハード制御部(例えば、ボタン、ノブ、ダイヤル、エンコーダ、マウス、トラックボールなど)を含む。いくつかの実施形態では、制御パネル152は、追加的に又は代替的に、タッチ感知ディスプレイに提供されるソフト制御部(例えば、GUI制御要素、即ち、単にGUI制御部)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイ138は、制御パネル152の1つ以上のソフト制御部を含むタッチ感知ディスプレイである。
【0025】
いくつかの実施形態では、
図1に示す様々なコンポーネントは組み合わされる。例えば、マルチプラナーリフォーマッタ132及びボリュームレンダラ134は、単一のプロセッサとして実装される。いくつかの実施形態では、
図1に示す様々なコンポーネントは、別個のコンポーネントとして実装される。例えば、信号プロセッサ126は、イメージングモード(例えば、Bモード、ドップラー)毎の個別の信号プロセッサとして実装される。別の実施例では、画像プロセッサ136は、異なるタスク用の及び/又は同じタスクの並列処理用の個別のプロセッサとして実装される。いくつかの実施形態では、
図1に示す様々なプロセッサのうちの1つ以上は、指定されたタスクを実行する汎用プロセッサ及び/又はマイクロプロセッサによって実装される。いくつかの実施例では、プロセッサは、非一時的コンピュータ可読媒体から(例えば、ローカルメモリ142から)タスクのための命令を提供することで構成される。その後、命令はプロセッサによって実行される。いくつかの実施形態では、様々なプロセッサのうちの1つ以上は、特定用途向け回路として実装される。いくつかの実施形態では、様々なプロセッサのうちの1つ以上(例えば、画像プロセッサ136)は、1つ以上のグラフィカル処理ユニット(GPU)で実装される。
【0026】
図2は、本開示の原理に従う肝脂肪を分類するための手法のフロー図である。フロー
図200に示す手法は、少なくとも部分的に、
図1に示す超音波イメージングシステム100のような超音波イメージングシステムによって実行される。フロー
図200は、超音波イメージングシステム100を参照して説明するが、これは説明のためのものであり、フロー
図200に示す手法は、超音波イメージングシステム100によって実行されるものに限定されない。
【0027】
超音波イメージングシステム100のようなイメージングシステムは、ステップ202に示すように、肝臓の一連の2D画像を取得して記録(保存など)する。例えば、2D画像は超音波プローブ112で取得される。2D画像は、ローカルメモリ142のような非一時的コンピュータ可読媒体に保存され得る。いくつかの実施例では、2D画像は、時間の経過と共に取得された肝臓の同じ場所のものである。いくつかの実施例では、2D画像は肝臓の異なる場所のものである。つまり、2D画像は肝臓の異なる部分に位置するイメージング面に対応している場合がある。イメージング面はオーバーラップしていてもいなくてもよい。一連の2D画像は、肝臓の一部を対象としていても、肝臓の全体を対象としていてもよい。或いは、肝臓の単一の2D画像のみを取得してもよい。
【0028】
ステップ204に示すように、画像プロセッサ136などの画像プロセッサが、2D画像から肝組織(肝臓領域など)を含む1つ以上の2D画像の領域をセグメント化する。エッジ検出、グラジエント分析、テクスチャ分析、流域アルゴリズム、機械学習モデルなど、任意のセグメンテーション法を使用できる。2D画像から肝臓領域がセグメント化されると、ステップ206に示すように、画像プロセッサは個々の2D画像の肝臓領域を分析して、除外すべき肝臓血管や他の解剖学的特徴(胆嚢など)を検出する。フランジ(Frangi)モデル、ヘッシアン(Hessian)ベースのアルゴリズム、ハフフォレスト(Hough-forest)ベースの検出器、機械学習モデルなど、任意の適切な検出(特徴抽出など)法を使用できる。検出された肝臓血管及び/又は他の解剖学的特徴に対応するピクセルは、2D画像内の肝臓領域の更なる分析から除外される。
【0029】
ステップ208に示すように、画像プロセッサは、個々の2D画像の肝臓領域(検出された肝臓血管及び/又は他の解剖学的特徴に対応する領域を排除した)から1つ以上のパラメータを抽出(例えば、決定、計算)する。パラメータの例としては、スペックルサイズ分布(特性スペックルサイズなど)、ピクセル強度(確率など)分布、画像の均一性がある。いくつかの実施例では、パラメータは、個々の2D画像の肝臓領域内の1つ以上のピクセルを分析することによって抽出される。本明細書に、パラメータを抽出するための手法の例を開示する。
【0030】
パラメータは、画像均一性マップ、強度確率チャート、及び/又はスペックルサイズ図など、様々なやり方で編成される。パラメータは、210で示されている機械学習分類モデルなど、1つ以上の機械学習モデルに提供される。いくつかの実施例では、機械学習モデルは画像プロセッサによって実装される。いくつかの実施例では、画像プロセッサは、コンピュータ可読媒体に保存された命令を実行して、機械学習モデルを実装する。画像プロセッサは、任意の1つ以上の深層学習、AIアルゴリズム、及び/又は複数のニューラルネットワーク(集合的に機械学習モデル)を実装する。いくつかの実施例では、画像プロセッサは、肝臓の脂肪を均一(びまん性など)であるか、又は不均一であるかを特定し分類するために、深層ニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、オートエンコーダニューラルネットワーク、及び/又はシングルショット検出器などのうちの1つ以上を実装する。機械学習モデルは、ハードウェアコンポーネント(例えば、ニューラルネットワークのニューロンは物理的なコンポーネントで表される)及び/又はソフトウェアコンポーネント(例えば、ニューロン及びパスウェイはソフトウェアアプリケーションで実装される)で実装される。本開示によって実装されるニューラルネットワークは、ニューラルネットワークをトレーニングして、所望の出力を生成するために、様々なトポロジ及び学習アルゴリズムを使用する。例えば、ソフトウェアベースのニューラルネットワークは、命令を実行するプロセッサ(例えば、シングルコア若しくはマルチコアCPU、単一のGPU、若しくはGPUクラスタ、又は並列処理用に配置された複数のプロセッサ)を使用して実装される。命令は、コンピュータ可読媒体に保存され、実行されると、プロセッサに、トレーニングされたアルゴリズムを実行させる。いくつかの実施例では、画像プロセッサは、機械学習モデルを他の画像処理方法(例えば、セグメント化、ヒストグラム解析)と組み合わせて実装する。
【0031】
ステップ212に示すように、機械学習モデルによって210で決定された分類などの結果が報告される。いくつかの実施例では、レポートはディスプレイ138などのディスプレイに提供される。いくつかの実施例では、結果は肝臓に不均一な脂肪が存在するかどうかを示すテキストである。いくつかの実施例では、結果はグラフィックスで提供される。例えば、オーバーレイが生成されて、2D画像のうちの1つ以上の上に表示される。オーバーレイには、2D画像内の肝臓領域のピクセルに対応するピクセルが含まれ得る。びまん性肝脂肪があると判断された領域のピクセルには、1つ以上の表示プロパティ(特定の強度や色相など)があるが、不均一な肝脂肪があると判断された領域のピクセルには、異なる表示プロパティ(異なる強度や色相など)がある。他の報告手法(例えば、スピーカによる聴覚通知)が使用されてもよい。いくつかの実施例では、結果の報告に基づいて、ユーザは、不均一な脂肪沈着のある領域を含まない肝脂肪定量化測定用のROIを選択するように誘導される。いくつかの実施例では、ユーザは、不均一な脂肪沈着に適応された肝脂肪定量化測定値を取得するための別のアルゴリズム又は手法を選択してもよい。
【0032】
任意選択で、いくつかの実施例では、肝臓領域全体を分析したり、肝臓領域全体の結果を報告したりするのではなく、ユーザインターフェース124などのユーザインターフェースを介してユーザ入力を受信できる。ユーザ入力は、2D画像のうちの1つ以上の2D画像の肝臓領域内のROIを示す。パラメータの抽出、分類、及び/又は報告は、ROI内のピクセルに制限される。これらの実施例では、報告には、選択したROIに不均一な脂肪が含まれていると判断されたときに、ユーザに警告を出すことが含まれる。警告には、グラフィカル警告(例えば、ROI又はROIを示すボックスの色が変化する)、テキスト警告(例えば、画面上の警告メッセージ)、及び/又は他の媒体による警告(例えば、スピーカからの聴覚アラーム、制御パネル内のモータによる振動)がある。いくつかの実施例では、ユーザは、肝脂肪定量化測定値を取得するために別のROIを選択するように求められる場合がある。
【0033】
任意選択で、いくつかの実施例では、機械学習モデルから肝脂肪の分類をユーザに報告するのではなく、この結果は画像プロセッサによって使用されて、肝脂肪定量化測定値が計算される。例えば、機械学習モデルによって示された不均一な肝脂肪を含む肝臓の部分は、肝臓血管及び/又は他の解剖学的特徴を除外するのと同様に、肝臓領域から除外される。残りの肝臓領域を使用して、肝脂肪定量化測定値が計算される。例えば、画像プロセッサは、びまん性/均一な肝脂肪分布を前提とするアルゴリズムを適用して、肝脂肪定量化測定値を計算する。これらの実施例では、ユーザに報告される結果は、分類ではなく、肝脂肪定量化測定値(例えば、ディスプレイ上のテキストとして)である。
【0034】
任意選択で、いくつかの実施例では、ステップ204及び/又はステップ206で生成されたセグメント化された画像は、ディスプレイ上でユーザに提供される。これにより、ユーザはセグメント化操作が適切に実行されたことを確認できる。いくつかの実施例では、画像プロセッサによって実行されたセグメンテーションに満足できない場合、ユーザはセグメンテーションの境界及び/又は他のパラメータ(シードポイントなど)を調整できる。
【0035】
2D画像(スキャンコンバータ130及び/又はマルチプラナーリフォーマッタ132から画像プロセッサに提供される画像など)を参照しながら、フロー
図200に説明した手法をRFデータ(ビームフォーマ122によるビーム形成の前後に受信したデータなど)又は最小限の処理がされたデータ(シグナルプロセッサ126から受信したデータなど)に適用する。
【0036】
フロー
図200の手法は画像プロセッサを参照して説明したが、いくつかの実施例では、他のプロセッサがこの手法の一部又は全てを実行してもよい。例えば、グラフィックスプロセッサ140などのグラフィックスプロセッサが、1つ以上の2D画像上に表示されるオーバーレイを生成する。いくつかの実施例では、画像プロセッサには、タスクを並列に実行する及び/又は異なるタスクに指定された1つ以上のプロセッサが含まれている場合がある。例えば、あるプロセッサが一連の2D画像から肝臓領域をセグメント化し、別のプロセッサが機械学習モデルを実装していてもよい。
【0037】
様々な実施例では、肝脂肪沈着を分類するために使用される1つ以上の機械学習モデルは、様々な現在知られている又は後に開発される学習手法のいずれかを使用してトレーニングされて、超音波画像、パラメータ、測定結果、及び/又は統計値の形の入力データを分析するニューラルネットワークなどのトレーニングされたモデル(例えば、トレーニングされたアルゴリズム又はノードのハードウェアベースのシステム)が得られる。いくつかの実施形態では、機械学習モデルは静的にトレーニングされる。つまり、機械学習モデルは、データセットを使用してトレーニングされ、イメージングシステムに導入され、画像プロセッサ136などの1つ以上のプロセッサによって実装される。いくつかの実施例では、機械学習モデルは動的にトレーニングされる。これらの実施例では、機械学習モデルは初期データセットでトレーニングされ、イメージングシステムに導入される。ただし、この機械学習モデルは、システムに機械学習モデルを導入し、画像プロセッサによって実装した後も、システムが取得された超音波画像に基づいて、引き続きトレーニング及び修正される。
【0038】
図3は、本開示の原理に従うニューラルネットワークのトレーニング及び導入のプロセスのブロック図を示す。
図3に示すプロセスは、
図2に示す機械学習モデルなど、医用イメージングシステムによって実装される機械学習モデルをトレーニングするために使用される。
図3の左側、即ち、フェーズ1は、機械学習モデルのトレーニングを示す。機械学習モデルをトレーニングするには、入力アレイ及び出力分類の複数のインスタンスを含むトレーニングセットが、機械学習モデルのトレーニングアルゴリズム(例えば、Krizhevsky,A.、Sutskever,I.及びHinton,G.E.による「ImageNet Classification with Deep Convolutional Neural Networks」(NIPS2012)に説明されるAlexNetトレーニングアルゴリズム又はその子孫)に提示される。例えば、トレーニングセットには、超音波画像から抽出した1つ以上のパラメータ(スペックルサイズ、確率分布など)と、対応する分類(均一又は不均一な肝脂肪など)が含まれる。
【0039】
トレーニングには、開始アーキテクチャ312の選択、及びトレーニングデータ314の準備が含まれる。開始アーキテクチャ312は、ブランクアーキテクチャ(例えば、定義された層及びノードの配置は有するが、以前にトレーニングされた重みはないアーキテクチャ)か、又は超音波データの分類のために後に更にカスタマイズされる、インセプションネットワークなどの部分的にトレーニングされたモデルである。開始アーキテクチャ312(例えば、ブランクの重み)及びトレーニングデータ314は、モデルをトレーニングするためにトレーニングエンジン310(ADAMオプティマイザなど)に提供される。十分な回数で反復されると(例えば、モデルが許容可能なエラー内で着実に動作すると)、モデル320はトレーニングされて、導入の準備が整っていると言える。これは、
図3の中央、即ち、フェーズ2に示す。
【0040】
図3の右側、即ち、フェーズ3では、トレーニングされたモデル320が(推論エンジン330を介して)新しいデータ332の解析のために適用される。このデータは、(フェーズ1における)初期トレーニング中にモデルに提示されなかったデータである。例えば、新しいデータ332には、患者のスキャン中に収集されたライブ超音波画像(例えば、肝臓画像)などの未知のデータ、及び/又は未知の画像から抽出したパラメータが含まれる。エンジン330を介して実装されるトレーニングされたモデル320を使用して、モデル320のトレーニングに従って未知の画像を分類して、出力334(例えば、ピクセル又はピクセルのグループが均一な脂肪分布を含んでいるか、又は不均一な脂肪分布を含んでいるかの判断)が提供される。出力334は、その後のプロセス340(例えば、超音波画像上に表示するオーバーレイの生成、脂肪定量化測定値の計算)のためにシステムによって使用される。任意選択で、トレーニングされたモデル320が(例えば、
図1を参照して説明したように)動的にトレーニングされる場合、トレーニングされたモデル320は、フィールドトレーニング338で示すように、実装後もトレーニングを継続する。いくつかの実施例では、新しいデータ332は、トレーニングされたモデル320のフィールドトレーニングに使用される。
【0041】
トレーニングされたモデル320を使用して、画像プロセッサ136のようなプロセッサによって実行されるニューラルネットワークを実装する実施形態では、開始アーキテクチャは、畳み込みニューラルネットワーク又は深層畳み込みニューラルネットワークの開始アーキテクチャである。この開始アーキテクチャは、ピクセル又は複数のピクセルを含む領域に不均一な脂肪沈着が含まれているか、又は均一な(例えば、びまん性)脂肪分布が含まれているかを判断するためにトレーニングされる。トレーニングデータ314には、複数の(数百もの、しばしば、数千又はそれ以上もの)注釈付き/ラベル付きのパラメータ(トレーニングデータとも呼ぶ)が含まれ得る。トレーニングデータは、イメージングシステムによって生成された完全な画像(例えば、超音波プローブの全視野又は全ボリュームを表す)から抽出される必要はなく、画像のパッチ又は部分、例えば、関心の臓器または関心の臓器の部分を含む部分が含まれていればよいことが理解されるものとする。
【0042】
図4は、均一な脂肪分布を有する肝臓部分の2次元画像例を示す。画像400は、均一な(例えば、びまん性)脂肪分布を含む肝臓の一部の画像である。ROIはボックス402で示される。画像404は、ボックス402のROIの「拡大」図である。画像406は、均一な脂肪分布を含む肝臓の一部の画像である。ROIはボックス408で示される。画像410は、ボックス408のROIの「拡大」図である。画像400と402はどちらも、超音波イメージングシステムによって取得された2D超音波画像である。
【0043】
図5は、不均一な脂肪分布を有する肝臓部分の2次元画像例を示す。画像500は、不均一な脂肪分布を含む肝臓の一部の画像である。ROIはボックス502で示される。画像504は、ボックス502のROIの「拡大」図である。画像506は、不均一な脂肪分布を含む肝臓の一部の画像である。ROIはボックス508で示される。画像510は、ボックス508のROIの「拡大」図である。画像500と502はどちらも、超音波イメージングシステムによって取得された2D超音波画像である。
【0044】
本明細書に説明したように、パラメータは、画像400、406、500、及び/又は506などの超音波画像の肝臓部分から抽出される。次に、抽出したパラメータを機械学習モデルに提供して、肝臓部分に均一な脂肪及び/又は不均一な脂肪が含まれているかどうかを判断する。パラメータの例としては、スペックルサイズ分布(特性スペックルサイズなど)、ピクセル強度及び/又はその分布(確率分布など)、並びに画像均一性があり、これらは、画像均一性マップ、強度確率チャート、及び/又はスペックルサイズ分布図を生成するために使用される。
【0045】
均一性マップは、2D画像の肝臓部分又は肝臓部分のサブセット(例えば、画像500内のボックス502のROI)について計算される。いくつかの実施例では、画像均一性マップはスライディングウィンドウ法によって計算される。画像(i,j)(iは画像の幅に等しいピクセル数であり、jは画像の長さに等しいピクセル数である)では、ウィンドウ(例えば、15×15ピクセル)が、画像全体又は画像の肝臓領域全体をカバーするために、軸方向及び横方向の両方で画像にわたって平行移動する。ウィンドウ内のピクセルの強度値の平均値(m)とピクセルの強度値の標準偏差(SD)が、ウィンドウの各場所について計算される。均一性ポイント値は、標準偏差を平均で割った値(SD/m)である。いくつかの実施例では、計算された均一性ポイント値の数は、画像内のピクセル数又は肝臓領域のピクセル数に等しい。いくつかの実施例では、均一性マップから更なるパラメータ、例えば、均一性指数(HI)が抽出される。HIは、均一性マップのポイント値の平均、又は均一性マップのポイント値のサブセット(例えば、均一性マップ内のROI)である。
【0046】
機械学習モデルが均一性マップ及び/又はHIを使用して、肝臓におけるびまん性脂肪分布と不均一な脂肪分布とを分類する(例えば、区別する)。例えば、画像404に示すROIの場合、HIは9%であり、画像410に示すROIのHIは11%である。対照的に、画像504に示すROIのHIは39.8%であり、画像510のROIのHIは26.23%である。したがって、不均一な肝脂肪のHIは、びまん性肝脂肪のHIよりも高い。
【0047】
いくつかの実施例では、2D画像の肝臓部分又は肝臓部分内のサブセット(例えば、画像400内のボックス402のROI)について、画像のピクセルのグレースケール強度値の1つ以上の確率分布が計算される。いくつかの実施例では、肝臓領域のピクセルの強度値のヒストグラムをプロットし、ヒストグラムに曲線をフィッティングして確率密度関数を見つけることによって確率分布が計算される。いくつかの実施例では、確率密度関数は正規化される。いくつかの実施例では、確率密度関数から追加のパラメータが抽出される。例えば、多数のピーク及び/又は分布の幅が抽出される。
【0048】
図6は均一な脂肪肝の強度確率分布の例を示し、
図7は本開示の原理による不均一(例えば、不均質)な脂肪肝の強度確率分布の例を示す。プロット600、602、604、及び606は、均一な脂肪肝の画像のピクセル強度のヒストグラム608、610、612、及び614を示す。強度の分布を見つけるために、各ヒストグラム608、610、612、及び614に曲線618、620、622、及び624をフィッティングする。つまり、曲線618、620、622、及び624によって定義された分布は、所与の強度を有する画像内のピクセルの確率を示す。同様に、プロット700、702、704、及び706は、不均質な脂肪肝の画像のピクセル強度のヒストグラム708、710、712、及び714を示す。ピクセルの強度分布を見つけるために、ヒストグラムに曲線718、720、722、及び724をフィッティングする。
図6のプロット600、602、604、及び606に示す確率分布は正規化分布であり、
図7のプロット700、702、704、及び706に示す確率分布は非正規化分布であり、いくつかは複数のピークを有している。更に、
図7の不均一な脂肪肝の分布幅は、
図6のびまん性脂肪肝の分布よりも広い。したがって、いくつかの実施例では、機械学習モデルが、不均質性マップの代わりに又はそれに加えて、確率分布(例えば、ピクセル強度のヒストグラムにフィッティングされた曲線)を使用して、肝臓のびまん性脂肪分布及び不均一な脂肪分布を分類する。
【0049】
いくつかの実施例では、スペックルサイズ図は、2D画像の肝臓部分又は肝臓部分内のサブセット(ROIなど)から抽出される。いくつかの実施例では、スペックルサイズ図は、画像の肝臓部分の自己相関を取ることによって生成される。
図8は、本開示の原理による均一な脂肪肝及び不均一な脂肪肝の自己相関関数例を示す。プロット800は、均一な脂肪分布を有する肝臓の超音波画像の肝臓部分の自己相関関数を示す。プロット802は、不均一な脂肪分布を有する肝臓の超音波画像の肝臓部分の自己相関関数を示す。いくつかの実施例では、自己相関関数のピークの高さ及び/又は幅を測定することで、特性スペックルサイズが計算される。いくつかの実施例では、特性スペックルサイズは高さと幅の比率を取ることで計算される。プロット800のスペックル804サイズは、プロット802のスペックル806よりも小さい。したがって、機械学習モデルは、画像不均質性マップ及び/又は強度確率チャートの代わりに又はそれに加えて、自己相関関数を取ることで決定されたスペックルサイズ分布などのスペックルサイズ分布を使用して、肝臓のびまん性脂肪分布及び不均一な脂肪分布を分類する。
【0050】
スペックルサイズ図は、一部の応用では、システムに依存する。いくつかの実施例では、スペックルサイズ図は、使用する超音波プローブのタイプ及び/又は画像収集設定によって異なる。したがって、いくつかの実施例では、自己相関関数及び/又はそこから派生したスペックルサイズ分布は、機械学習モデルに提供される前に正規化される。いくつかの実施例では、スペックルサイズ分布は、標準化された基準ファントムからのスペックルの測定値に基づいて正規化される。いくつかの実施例では、スペックルサイズ分布は、超音波イメージングシステムの点広がり関数に基づいて正規化される。
【0051】
画像不均質マップ、強度確率分布チャート、及びスペックルサイズ図が例として示されているが、びまん性肝脂肪及び不均一な肝脂肪を分類する機械学習モデルに提供するために、2D超音波画像から他のパラメータを抽出してもよい。更に、機械学習モデルは肝脂肪を均一であるか、不均一であるか分類すると説明しているが、いくつかの実施例では、機械学習モデルはより詳細な分類を行うことができる。
図9は、肝臓の2次元画像から抽出したパラメータ例を示した表である。
図9に示すように、「説明」とラベル付けされた列には、様々なタイプの均一な肝脂肪沈着と不均一な肝脂肪沈着が存在する。したがって、いくつかの実施例では、機械学習モデルは、超音波画像から抽出したパラメータを使用して、脂肪沈着を均一であるか、不均一であるかだけでなく、特定のサブタイプの均一又は不均一な肝脂肪を分類する。
【0052】
図10は、本開示の原理による方法のフローチャートである。いくつかの実施例では、方法1000の全体又は一部を、
図1に示す超音波イメージングシステム100などの超音波イメージングシステムによって実行する。いくつかの実施例では、方法1000には
図2に示す手法の一部又は全てが含まれている。
【0053】
ステップ1002に示すように、画像プロセッサ136などの1つ以上のプロセッサが、一連の画像を受信する。ステップ1004に示すように、プロセッサは、一連の画像のうちの少なくとも1つの画像から肝臓領域をセグメント化する。任意選択で、いくつかの実施例では、セグメント化された肝臓領域は、ユーザによるレビューのためにディスプレイに提供される。必要に応じて、ユーザは肝臓のセグメント化を変更できる。
【0054】
ステップ1006に示すように、1つ以上のプロセッサは、肝臓領域から少なくとも1つのパラメータを抽出する。いくつかの実施例では、1つ以上のプロセッサは、肝臓領域の肝臓血管又は他の解剖学的特徴の少なくとも1つを特定し、少なくとも1つのパラメータを抽出する前に、特定された肝臓血管又は他の解剖学的特徴を肝臓領域から除外する。いくつかの実施例では、少なくとも1つのパラメータには、不均質性マップ、確率分布、及び/又はスペックルサイズなどがある。
【0055】
いくつかの実施例では、不均質性マップの抽出には、軸方向と横方向の両方で肝臓領域にわたってウィンドウを平行移動させ、ウィンドウの個々の平行移動に対して、ウィンドウ内のピクセルの強度値の平均値を計算し、ウィンドウの個々の平行移動に対して、ウィンドウ内のピクセルの強度値の標準偏差を計算し、標準偏差を平均値で割って、ウィンドウの個々の平行移動の均一性ポイント値を計算することが含まれる。任意選択で、マップから均一性指数(HI)が抽出されてもよい。HIは均一性ポイントの平均値である。いくつかの実施例では、強度確率チャートの抽出には、肝臓領域のピクセルの強度値をヒストグラムにプロットし、ヒストグラムに曲線をフィッティングすることが含まれる。任意選択で、確率分布の幅が曲線から計算されてもよい。いくつかの実施例では、スペックルサイズ図の抽出には、肝臓領域の自己相関関数を計算することが含まれる。
【0056】
ステップ1008に示すように、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのパラメータに少なくとも部分的に基づいて、肝臓領域の肝脂肪沈着が、びまん性か、不均一であるかを分類する。いくつかの実施例では、この分類は、少なくとも1つのプロセッサによって実装されたニューラルネットワーク等の機械学習モデルによって実行される。いくつかの実施例では、方法1000は更に、びまん性又は不均一のいずれかとしてラベル付けされた画像の肝臓領域から抽出されたパラメータを含むトレーニングデータセットを提供することによって、肝脂肪沈着を分類するように機械学習モデルをトレーニングすることを含む。
【0057】
ステップ1010に示すように、少なくとも1つのプロセッサ及び/又はイメージングシステムの他のコンポーネント(ディスプレイ138、ユーザインターフェース124など)は、肝脂肪沈着の分類に少なくとも部分的に基づいて結果を提供する。いくつかの実施例では、この結果は、画像又は画像の肝臓領域上にグラフィックオーバーレイを表示することでユーザに提供される。グラフィックオーバーレイには、肝臓領域の複数のピクセルに対応する複数のピクセルが含まれる。グラフィックオーバーレイの複数のピクセルのうちのあるピクセルのプロパティは、分類に少なくとも部分的に基づいている。
【0058】
図11は、本開示の原理によるプロセッサ例1100を示すブロック図である。プロセッサ1100を使用して、本明細書で説明する1つ以上のプロセッサ及び/又はコントローラ、例えば、
図1に示す画像プロセッサ136及び/又は
図1に示す任意の他のプロセッサ若しくはコントローラを実装できる。プロセッサ1100は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルアレイ(FPGA)(FPGAはプロセッサを形成するようにプログラムされている)、グラフィック処理ユニット(GPU)、特定用途向け回路(ASIC)(ASICはプロセッサを形成するように設計されている)、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切なプロセッサタイプであってよい。
【0059】
プロセッサ1100は、1つ以上のコア1102を含み得る。コア1102は、1つ以上の算術論理演算ユニット(ALU)1104を含み得る。いくつかの実施形態では、コア1102は、ALU1104に加えて又はその代わりに、浮動小数点論理ユニット(FPLU)1106及び/又はデジタル信号処理ユニット(DSPU)1108を含む。
【0060】
プロセッサ1100は、コア1102に通信可能に結合された1つ以上のレジスタ1112を含み得る。レジスタ1112は、専用の論理ゲート回路(例えば、フリップフロップ)及び/又は任意のメモリ技術を使用して実装され得る。いくつかの実施形態では、レジスタ1112は、スタティックメモリを使用して実装される。レジスタは、コア1102にデータ、命令、及びアドレスを提供できる。
【0061】
いくつかの実施形態では、プロセッサ1100は、コア1102に通信可能に結合された1つ以上のレベルのキャッシュメモリ1110を含む。キャッシュメモリ1110は、実行のためにコンピュータ可読命令をコア1102に提供できる。キャッシュメモリ1110は、コア1102で処理するデータを提供できる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読命令は、ローカルメモリ(例えば、外部バス1116に接続されているローカルメモリ)によってキャッシュメモリ1110に提供されていてもよい。キャッシュメモリ1110は、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、及び/又は任意の他の適切なメモリ手法など、例えば、金属酸化物半導体(MOS)メモリである、任意の適切なキャッシュメモリタイプで実装できる。
【0062】
プロセッサ1100は、コントローラ1114を含む。コントローラ1114は、システムに含まれている他のプロセッサ及び/若しくはコンポーネント(例えば、
図1に示す制御パネル152及びスキャンコンバータ130)からのプロセッサ1100への入力、並びに/又は、システムに含まれている他のプロセッサ及び/若しくはコンポーネント(例えば、
図1に示すディスプレイ138及びボリュームレンダラ134)へのプロセッサ1100からの出力を制御する。コントローラ1114は、ALU1104、FPLU1106、及び/又はDSPU1108内のデータパスを制御する。コントローラ1114は、1つ以上のステートマシン、データパス、及び/又は専用制御論理として実装される。コントローラ1114のゲートは、スタンドアロンのゲート、FPGA、ASIC、又は任意の他の適切な技術として実装される。
【0063】
レジスタ1112及びキャッシュメモリ1110は、内部接続1120A、1120B、1120C、及び1120Dを介してコントローラ1114及びコア1102と通信できる。内部接続は、バス、マルチプレクサ、クロスバースイッチ、及び/又は任意の他の適切な接続技術として実装できる。
【0064】
プロセッサ1100の入出力は、バス1116を介して提供され得る。バス1116には、1本以上の導電線が含まれ得る。バス1116は、例えば、コントローラ1114、キャッシュメモリ1110、及び/又はレジスタ1112である、プロセッサ1100の1つ以上のコンポーネントと通信可能に結合され得る。バス1116は、前述のディスプレイ138及び制御パネル152など、システムの1つ以上のコンポーネントに結合され得る。
【0065】
バス1116は、1つ以上の外部メモリに結合され得る。外部メモリには、読み出し専用メモリ(ROM)1132が含まれ得る。ROM1132は、マスクROM、電子的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、又は任意の他の適切な技術であり得る。外部メモリには、ランダムアクセスメモリ(RAM)1133が含まれ得る。RAM1133は、スタティックRAM、バッテリバックアップスタティックRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、又は任意の他の適切な技術であり得る。外部メモリには、電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)(登録商標)1135が含まれ得る。外部メモリには、フラッシュメモリ1134が含まれ得る。外部メモリには、ディスク1136などの磁気ストレージデバイスが含まれ得る。いくつかの実施形態では、外部メモリは、例えば、ローカルメモリ142など
図1に示す超音波イメージングシステム100などのシステム内に含まれている。
【0066】
本明細書に開示されているシステム、方法、及び装置は、肝臓のどの領域に不均一な脂肪肝沈着が含まれているかを決定することによって、肝脂肪定量化測定値の計算アルゴリズムを妨げる不均一な脂肪肝沈着の影響を軽減する。いくつかの実施例では、これらの領域が脂肪定量化測定値の計算から除外される。いくつかの実施例では、不均一な肝脂肪の領域についてユーザに警告が出され、これにより、ユーザは、不均一な肝脂肪のない領域に、肝脂肪定量化測定値を計算するためのROIを配置するように選択できる。不均一な脂肪分布の領域を除外すると、いくつかの応用では、肝脂肪定量化のためのより一貫性のある信頼性の高い測定値が提供される。いくつかの応用では、不均一な肝脂肪沈着がどこにあるのかに関する情報をユーザに提供すると、ユーザが肝脂肪定量化測定値を得るのに必要な時間が短縮される。
【0067】
本明細書で説明する実施例は、超音波イメージングシステムを参照したものであるが、画像の分析は、超音波検査後のレビュー用に超音波画像を保存する別のコンピューティングシステムによって実行することもできる。例えば、画像保管通信システム(PACS)などである。PACSは、有線又は無線接続によって超音波イメージングシステムと通信可能に結合され得る。例えば、PACSは、イーサネット(登録商標)ケーブル及び/又はWi-Fi経由でイメージングシステムによって収集された超音波画像を受信する。更に、本明細書で説明する例では、超音波画像データの処理について述べているが、本開示の原理は超音波に限定されず、磁気共鳴イメージング及びコンピュータ断層撮影などの他のモダリティからの画像データに適用され得ることが理解されるものとする。
【0068】
コンピュータベースのシステム又はプログラマブルロジックなど、プログラマブルデバイスを使用してコンポーネント、システム、及び/又は方法が実装される様々な実施形態において、前述のシステム及び方法は、「C」、「C++」、「C#」、「Java(登録商標)」、「Python」など、様々な既知の又は後に開発されるプログラミング言語のいずれかを使用して実装できることを理解されたい。したがって、コンピュータなどのデバイスに上記のシステム及び/又は方法を実装するように指示できる情報を含むことができる磁気コンピュータディスク、光ディスク、電子メモリなどの様々な記憶媒体を用意することができる。適切なデバイスが記憶媒体に含まれている情報及びプログラムにアクセスできるようになると、記憶媒体は、デバイスに情報及びプログラムを提供でき、これにより、デバイスは、本明細書に説明されているシステム及び/又は方法の機能を実行できる。例えば、ソースファイル、オブジェクトファイル、実行可能ファイルなどの適切なマテリアルを含むコンピュータディスクがコンピュータに提供された場合、コンピュータは情報を受け取り、自身を適切に設定し、上記の機能を実施するために上記の図及びフローチャートに説明されている様々なシステム及び方法の機能を実行できる。つまり、コンピュータは、上記のシステム及び/又は方法の様々な要素に関連する情報の様々な部分をディスクから受け取り、個々のシステム及び/又は方法を実施し、上記の個々のシステム及び/又は方法の機能を調整できる。
【0069】
本開示の観点から、本明細書に説明されている様々な方法及びデバイスは、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアに実装できることに留意されたい。更に、様々な方法及びパラメータは、限定の意味ではなく、例としてのみ含まれている。本開示の観点から、当業者は、本発明の範囲内に留まりながら、当業者自身の手法及びこれらの手法に作用するために必要な機器を決定するために、本教示内容を実施できる。本明細書に説明されているプロセッサのうちの1つ以上の機能は、少数又は単一のプロセッサユニット(例えば、CPU)に組み込むことができ、また、本明細書に説明されている機能を実行するように実行可能命令に応答するようにプログラムされた特定用途向け集積回路(ASIC)又は汎用処理回路を使用して実装できる。
【0070】
本システムは、特に超音波イメージングシステムを参照して説明されているが、本システムは、1つ以上の画像が体系的に取得される他の医用イメージングシステムにも拡張できることも想定されている。更に、本システムはまた、従来のイメージングシステムで使用できる1つ以上のプログラムを含み、これにより、従来のイメージングシステムが、本システムの特徴及び利点を提供できるようになる。本開示の特定の追加の利点及び特徴は、本開示を検討後、当業者には明らかとなろう。又は、本開示の新規のシステム及び方法を採用する人によって経験されるであろう。本システム及び方法の別の利点は、従来の医用イメージングシステムを簡単にアップグレードして、本システム、デバイス、及び方法の特徴及び利点を組み込むことができることである。
【0071】
当然ながら、本明細書に説明されている例、実施形態、又はプロセスのいずれか1つを、本システム、デバイス、及び方法に従って、1つ以上の他の実施例、実施形態、及び/若しくはプロセスと組み合わせたり、別個のデバイス若しくはデバイス部分間で分離並びに/又は実施されたりできることが理解されるものとする。
【0072】
最後に、上記の議論は、本システムの例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲を任意の特定の実施形態又は実施形態のグループに限定するものと解釈されるべきではない。このように、本システムは、例示的な実施形態を参照して、特に詳細に説明されているが、また、以下の特許請求の範囲に記載されているように、本システムのより広範で意図された精神や範囲から逸脱することなく、当業者が、数多くの修正及び代替実施形態を考案することができることも理解されたい。したがって、明細書及び図面は、例示的であると見なされ、添付の特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【国際調査報告】