(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-14
(54)【発明の名称】マイクロレンズアレイとLIDAR光学スイッチアレイ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240607BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20240607BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20240607BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240607BHJP
G02B 6/13 20060101ALI20240607BHJP
G02F 1/295 20060101ALI20240607BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240607BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G02B6/32
G02B6/122
G02B6/12 361
G02B6/13
G02F1/295
G02B3/00 A
G02B3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571794
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022029965
(87)【国際公開番号】W WO2022246024
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523435912
【氏名又は名称】エヌアイ システムズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NEYE SYSTEMS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】ソク,テ ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ミン チャン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シャオシェン
(72)【発明者】
【氏名】クウォン,キュンモク
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2K102
5J084
【Fターム(参考)】
2H137AA04
2H137AA14
2H137BA33
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2K102AA21
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5J084AA05
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA36
5J084BB06
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5J084CA03
5J084CA08
5J084DA01
5J084DA09
5J084EA07
(57)【要約】
本開示は、光学導波路によって給電される光学アンテナを備えた撮像LiDARに向けられている。光学アンテナは、光学アンテナをレーザ光源および受信器に接続する光学スイッチネットワークを通して作動させることができる。マイクロレンズアレイは、LiDARシステムのレンズと光学アンテナとの間に配置され、マイクロレンズアレイは、対応する光学アンテナからの射出角をレンズの主光線角に一致させるように変換するよう配置される。使用方法と製造方法も提供される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像LiDARシステムであって、
レンズと、
少なくとも1つの発光素子と、
少なくとも1つの光検出器と、
複数の光学アンテナを含むアンテナアレイと、
前記少なくとも1つの発光素子から選択された送信光学アンテナへ、および選択された受信アンテナから前記少なくとも1つの光検出器への光学経路を提供するように構成されたプログラマブル光学スイッチネットワークと、
前記アンテナアレイの前記複数の光学アンテナに対応する複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイであって、前記マイクロレンズアレイは前記複数の光学アンテナと前記レンズとの間に配置され、前記マイクロレンズアレイは前記レンズのほぼ焦点面に位置決めされ、前記アンテナアレイは前記マイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされている、マイクロレンズアレイと、を含み、
前記マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、対応する光学アンテナからの射出角を前記レンズの主光線角に一致させるように変換するよう位置決めされている、撮像LiDARシステム。
【請求項2】
前記マイクロレンズアレイは、シリコン、ガラス、窒化シリコン、ポリマー、フォトレジスト、プラスチック、セラミック、誘電体、および他の半導体材料からなる群から選択されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各マイクロレンズは、フレネルレンズ、メタレンズ、メタサーフェスレンズ、その他の人工合成レンズからなる群から選択されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記マイクロレンズアレイは、1つ以上の表面に反射防止膜をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レンズは、単レンズ、複合レンズ、多素子レンズ、スマートフォンレンズ、および望遠レンズからなる群から選択されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記アンテナアレイの少なくとも1つの端部に沿って配置されたスペーサをさらに含み、前記スペーサは、前記マイクロレンズアレイが前記レンズのほぼ焦点面に位置決めされ、かつ前記アンテナアレイが前記マイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされている、最適な間隔を維持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記スペーサと前記マイクロレンズアレイとは、密閉キャビティを形成する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記密閉キャビティは、気密式である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の光学アンテナは、別個の送信光学アンテナおよび受信光学アンテナと、これらの別個の送信光学アンテナおよび受信光学アンテナに接続する別個の光学経路とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記マイクロレンズアレイは、片面設計を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記マイクロレンズアレイは、両面設計を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記マイクロレンズアレイは、周期的である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記アンテナアレイは、周期的である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記アンテナアレイは、周期的である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記アンテナアレイは、周期的でない、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記マイクロレンズアレイは、周期的でない、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記マイクロレンズアレイと前記アンテナアレイとの両方とも、位置合わせと恒久的な取り付けとを可能にするように構成された基準マーカを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の光学アンテナは、8°の射出角および30°のビーム発散角を有することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記マイクロレンズアレイは、前記ビーム発散角を22°に変換し、射出主光線角(CRA)を0°-37°の範囲の値に変換するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
撮像LiDARシステム用のプログラマブル集積回路(PIC)であって、
複数の光学アンテナを含むアンテナアレイと、
選択された送信光学アンテナへ、および選択された受信アンテナからの光学経路を提供するように構成されたプログラマブル光学スイッチネットワークと、
前記アンテナアレイの前記複数の光学アンテナに対応する複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイであって、前記アンテナアレイは前記マイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされている、マイクロレンズアレイと、を含み、
前記マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、対応する光学アンテナからの射出角を、前記撮像LiDARシステムのレンズの主光線角に一致させるように変換するよう位置決めされている、プログラマブル集積回路。
【請求項21】
前記マイクロレンズアレイは、シリコン、ガラス、窒化シリコン、ポリマー、フォトレジスト、プラスチック、セラミック、誘電体、および他の半導体材料からなる群から選択されている、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項22】
各マイクロレンズは、フレネルレンズ、メタレンズ、メタサーフェスレンズ、その他の人工合成レンズからなる群から選択されている、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項23】
前記マイクロレンズアレイは、1つ以上の表面に反射防止膜をさらに含む、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項24】
前記プログラマブル集積回路は、前記アンテナアレイの少なくとも1つの端部に沿って配置されたスペーサをさらに含み、前記スペーサは、前記アンテナアレイが前記マイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされている、最適な間隔を維持するように構成されている、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項25】
前記スペーサと前記マイクロレンズアレイとは、密閉キャビティを形成する、請求項24に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項26】
前記密閉キャビティは、気密式である、請求項25に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項27】
前記複数の光学アンテナは、別個の送信光学アンテナおよび受信光学アンテナと、これらの別個の送信光学アンテナおよび受信光学アンテナに接続する別個の光学経路とを含む、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項28】
前記マイクロレンズアレイは、片面設計を含む、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項29】
前記マイクロレンズアレイは、両面設計を含む、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項30】
前記マイクロレンズアレイは、周期的である、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項31】
前記アンテナアレイは、周期的である、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項32】
前記アンテナアレイは、周期的である、請求項31に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項33】
前記アンテナアレイは、周期的でない、請求項31に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項34】
前記マイクロレンズアレイは、周期的でない、請求項32に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項35】
前記マイクロレンズアレイと前記アンテナアレイとの両方とも、位置合わせと恒久的な取り付けとを可能にするように構成された基準マーカを有する、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項36】
前記複数の光学アンテナは、8°の射出角および30°のビーム発散角を有することを特徴とする、請求項20に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項37】
前記マイクロレンズアレイは、前記ビーム発散角を22°に変換し、射出主光線角(CRA)を0°-37°の範囲の値に変換するように構成されている、請求項36に記載のプログラマブル集積回路。
【請求項38】
LiDAR撮像の実行方法であって、
プログラマブル光学ネットワークを制御して、少なくとも1つの発光素子から前記プログラマブル光学ネットワークのアンテナアレイの選択された送信光学アンテナに第1の光学経路を提供するステップと、
マイクロレンズアレイを位置決めするステップであって、前記マイクロレンズアレイをレンズのほぼ焦点面に位置決めし、かつ前記アンテナアレイを前記マイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めし、前記マイクロレンズアレイは、前記アンテナアレイに対応する複数のマイクロレンズを含む、マイクロレンズアレイを位置決めするステップと、
前記選択された送信光学アンテナの射出角を、前記レンズの主光線角に一致させるように変換するステップと、を含む、LiDAR撮像の実行方法。
【請求項39】
撮像LiDARシステム用のプログラマブル集積回路(PIC)の製造方法であって、
フォトリソグラフィプロセスにより、複数の光学アンテナを含む光学アンテナアレイを形成するステップと、
前記フォトリソグラフィプロセスにより、選択された送信光学アンテナへ、および選択された受信アンテナからの光学経路を提供するように構成されたプログラマブル光学スイッチネットワークを形成するステップと、
フォトリソグラフィプロセスにより、前記光学アンテナアレイの前記複数の光学アンテナに対応する複数のマイクロレンズを含み、マイクロレンズアレイのほぼ焦点面に前記光学アンテナアレイを位置決めする、マイクロレンズアレイを形成するステップと、を含み、
前記マイクロレンズアレイの各マイクロレンズを、対応する光学アンテナからの射出角が前記撮像LiDARシステムのレンズの主光線角に一致するように変換されるよう位置決めする、プログラマブル集積回路の製造方法。
【請求項40】
前記光学アンテナアレイ、前記プログラマブル光学スイッチネットワーク、および前記マイクロレンズアレイは、シリコン、ガラス、窒化シリコン、ポリマー、フォトレジスト、プラスチック、セラミック、誘電体、および他の半導体材料からなる群から選択される材料から形成されている、請求項39に記載のプログラマブル集積回路の製造方法。
【請求項41】
フォトリソグラフィプロセスにより、スペーサを形成するステップをさらに含み、前記スペーサを、前記アンテナアレイが前記マイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされる、最適な間隔を維持するように構成する、請求項39に記載のプログラマブル集積回路の製造方法。
【請求項42】
前記スペーサと前記マイクロレンズアレイとは、密閉キャビティを形成する、請求項41に記載のプログラマブル集積回路の製造方法。
【請求項43】
前記密閉キャビティは、気密式である、請求項42に記載のプログラマブル集積回路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本特許出願は、「LIDAR WITH MICROLENS ARRAY AND INTEGRATED PHOTONIC SWITCH ARRAY」と題され、2021年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/190,672号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本明細書中で言及されているすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願について参照により援用されることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度まで、参照により本明細書に援用される。
【0003】
本開示は、新規のLiDARシステムおよび方法を詳述する。より具体的には、本開示は、光学アンテナの射出角と撮像レンズの受光角とを一致させるマイクロレンズアレイを有する撮像LiDARに向けられている。
【背景技術】
【0004】
光検出と測距(LiDAR)とは、自律走行車やスマートフォンやタブレットなどの携帯機器に広く使用されている。固体LiDARは、小型化と大量生産とに適しているため、特に魅力的である。米国特許出願公開第2021/116778号明細書は、撮像レンズの焦点面に配置されたプログラム可能な垂直カプラ(光学アンテナとも呼ばれる)のアレイからなるビームステアリングシステムを教示している。光学信号は、MEMS(微小電気機械システム)作動導波路スイッチで構成されるプログラマブル光学ネットワークを介して、選択された任意の光学アンテナに伝送することができる。従来の熱光学スイッチや電気光学スイッチと比較して、MEMSスイッチは、低挿入損失、低クロストーク、広帯域動作、デジタル作動、低消費電力を提供する。プログラマブル光学アンテナの高密度アレイは、フットプリントが小さいため、高解像度の撮像LiDAR用のシングルチップ上に集積することができる。
【0005】
これまでの開示では、個々の光学アンテナの射出角を撮像レンズの受入角に合わせて調整していた。いくつかの実施形態における光学アンテナの射出角は、製造プロセスに敏感である。また、検出器への反射にも影響を与える可能性があり、望ましくない。本開示は、アンテナの射出角と撮像レンズの受入角とを一致させるためのマイクロレンズアレイの使用について説明する。
【発明の概要】
【0006】
レンズと、少なくとも1つの発光素子と、少なくとも1つの光検出器と、複数の光学アンテナを含むアンテナアレイと、少なくとも1つの発光素子から選択された送信光学アンテナへ、および選択された受信アンテナから少なくとも1つの光検出器への光学経路を提供するように構成されたプログラマブル光学スイッチネットワークと、アンテナアレイの複数の光学アンテナに対応する複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイであって、マイクロレンズアレイは複数の光学アンテナとレンズとの間に配置され、マイクロレンズアレイはレンズのほぼ焦点面に位置決めされ、アンテナアレイはマイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされている、マイクロレンズアレイと、を含み、マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、対応する光学アンテナからの射出角をレンズの主光線角に一致させるように変換するよう位置決めされている、撮像LiDARシステムが提供される。
【0007】
一部の実施形態では、マイクロレンズアレイは、シリコン、ガラス、窒化シリコン、ポリマー、フォトレジスト、プラスチック、セラミック、誘電体、および他の半導体材料からなる群から選択されている。
【0008】
一実施形態では、各マイクロレンズは、フレネルレンズ、メタレンズ、メタサーフェスレンズ、その他の人工合成レンズからなる群から選択されている。
【0009】
一部の実施例では、マイクロレンズアレイは、1つ以上の表面に反射防止膜をさらに含む。
【0010】
一部の実施形態では、レンズは、単レンズ、複合レンズ、多素子レンズ、スマートフォンレンズ、および望遠レンズからなる群から選択されている。
【0011】
他の実施例では、システムは、アンテナアレイの少なくとも1つの端部に沿って配置されたスペーサをさらに含み、スペーサは、マイクロレンズアレイがレンズのほぼ焦点面に位置決めされ、かつアンテナアレイがマイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされている、最適な間隔を維持するように構成されている。
【0012】
一実施形態では、スペーサとマイクロレンズアレイとは、密閉キャビティを形成する。
【0013】
別の実施形態では、密閉キャビティは気密式である。
【0014】
一部の実施形態では、複数の光学アンテナは、別個の送信光学アンテナおよび受信光学アンテナと、これらの別個の送信光学アンテナおよび受信光学アンテナに接続する別個の光学経路とを含む。
【0015】
一実施例では、マイクロレンズアレイは、片面設計を含む。他の実施例では、マイクロレンズアレイは、両面設計を含む。
【0016】
一部の実施例では、マイクロレンズアレイは、周期的であり、アンテナアレイは、周期的である。他の実施例では、マイクロレンズアレイは周期的ではなく、アンテナアレイは周期的である、または、その逆である。
【0017】
一部の実施例では、マイクロレンズアレイとアンテナアレイとの両方とも、位置合わせと恒久的な取り付けとを可能にするように構成された基準マーカを有する。
【0018】
他の実施形態では、複数の光学アンテナは、8°の射出角および30°のビーム発散角を有する。一具体例では、マイクロレンズアレイは、ビーム発散角を22°に変換し、射出主光線角(CRA)を0°-37°の範囲の値に変換するように構成されている。
【0019】
撮像LiDARシステム用のプログラマブル集積回路(PIC)が提供され、複数の光学アンテナを含むアンテナアレイと、選択された送信光学アンテナへ、および選択された受信アンテナからの光学経路を提供するように構成されたプログラマブル光学スイッチネットワークと、アンテナアレイの複数の光学アンテナに対応する複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイであって、アンテナアレイはマイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされており、マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、対応する光学アンテナからの射出角を、撮像LiDARシステムのレンズの主光線角に一致させるように変換するよう位置決めされている、マイクロレンズアレイと、を含む。
【0020】
一部の実施形態では、マイクロレンズアレイは、シリコン、ガラス、窒化シリコン、ポリマー、フォトレジスト、プラスチック、セラミック、誘電体、および他の半導体材料からなる群から選択されている。
【0021】
他の実施形態では、各マイクロレンズは、フレネルレンズ、メタレンズ、メタサーフェスレンズ、その他の人工合成レンズからなる群から選択されている。
【0022】
一実施例では、マイクロレンズアレイは、1つ以上の表面に反射防止膜をさらに含む。
【0023】
別の実施形態では、PICは、アンテナアレイの少なくとも1つの端部に沿って配置されたスペーサをさらに含み、スペーサは、アンテナアレイがマイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされている、最適な間隔を維持するように構成されている。
【0024】
一部の実施例では、スペーサとマイクロレンズアレイとは、密閉キャビティを形成する。一実施形態では、密閉キャビティは気密式である。
【0025】
一部の実施例では、複数の光学アンテナは、別個の送信光学アンテナおよび受信光学アンテナと、これらの別個の送信光学アンテナおよび受信光学アンテナに接続する別個の光学経路とを含む。
【0026】
一実施例では、マイクロレンズアレイは、片面設計を含む。他の実施例では、マイクロレンズアレイは、両面設計を含む。
【0027】
一部の実施例では、マイクロレンズアレイは、周期的であり、アンテナアレイは、周期的である。他の実施例では、マイクロレンズアレイは周期的ではなく、アンテナアレイは周期的である、または、その逆である。
【0028】
一部の実施形態では、マイクロレンズアレイとアンテナアレイの両方とも、位置合わせと恒久的な取り付けとを可能にするように構成された基準マーカを有する。
【0029】
一実施例では、複数の光学アンテナは8°の射出角および30°のビーム発散角を有する。具体的な一実施例では、マイクロレンズアレイは、ビーム発散角を22°に変換し、射出主光線角(CRA)を0°-37°の範囲の値に変換するように構成されている。
【0030】
LiDAR撮像の実行方法が提供され、該方法は、プログラマブル光学ネットワークを制御して、少なくとも1つの発光素子から光学ネットワークのアンテナアレイの選択された送信光学アンテナに第1の光学経路を提供するステップと、マイクロレンズアレイを位置決めするステップであって、マイクロレンズアレイをレンズのほぼ焦点面に位置決めし、かつアンテナアレイをマイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めし、マイクロレンズアレイは、アンテナアレイに対応する複数のマイクロレンズを含むようにする、マイクロレンズアレイを位置決めするステップと、選択された送信光学アンテナの射出角を、レンズの主光線角に一致させるように変換するステップと、を含む。
【0031】
撮像LiDARシステム用のプログラマブル集積回路(PIC)の製造方法が提供され、該方法は、フォトリソグラフィプロセスにより、複数の光学アンテナを含む光学アンテナアレイを形成するステップと、フォトリソグラフィプロセスにより、選択された送信光学アンテナへ、および選択された受信アンテナからの光学経路を提供するように構成されたプログラマブル光学スイッチネットワークを形成するステップと、フォトリソグラフィプロセスにより、アンテナアレイの複数の光学アンテナに対応する複数のマイクロレンズを含み、マイクロレンズアレイのほぼ焦点面にアンテナアレイを位置決めする、マイクロレンズアレイを形成するステップであって、マイクロレンズアレイの各マイクロレンズを、対応する光学アンテナからの射出角が撮像LiDARシステムのレンズの主光線角に一致するように変換されるよう位置決めする、マイクロレンズアレイを形成するステップと、を含む。
【0032】
一部の実施例では、光学アンテナアレイ、プログラマブル光学スイッチネットワーク、およびマイクロレンズアレイは、シリコン、ガラス、窒化シリコン、ポリマー、フォトレジスト、プラスチック、セラミック、誘電体、および他の半導体材料からなる群から選択される材料から形成されている。
【0033】
一部の実施例では、本方法は、フォトリソグラフィプロセスにより、スペーサを形成するステップをさらに含み、スペーサを、アンテナアレイがマイクロレンズアレイのほぼ焦点面に位置決めされる、最適な間隔を維持するように構成する。
【0034】
一実施例では、スペーサとマイクロレンズアレイとは、密閉キャビティを形成する。
【0035】
別の実施例では、密閉キャビティは気密式である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の新規な特徴は、以下の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の特徴および利点についてのより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【
図1B】
図1Bは、選択されたTxアンテナをレーザに、同じペアのRxアンテナを受信器に接続できるプログラマブル光学スイッチネットワークを示す。
【
図2】
図2は、理想的なレンズを備えた撮像型LiDARの断面図である。光学アンテナは、受入角が無限大の理想的なレンズに向かって任意の方向に光を放出することができる。
【
図3A】
図3Aは、焦点面上の様々な位置に対する撮像レンズの主光線角(CRA)を示している。一部のレンズでは、CRA線の延長線は画像側の射出瞳の中心に収束する。
【
図3B】
図3Bは、一般的なレンズのCRAを示す。一部のレンズ、特に多素子を持つレンズでは、CRA線の延長線は必ずしも同一点で交差しない。
【
図4】
図4は、アンテナの射出角とレンズのCRAとを一致させるために、レンズと焦点面光学アンテナアレイとの間にマイクロレンズアレイを使用することを示す。マイクロレンズアレイは、反射を最小限に抑えるために反射防止膜が施されている。
【
図5】
図5は、マイクロレンズアレイは、射出角が90度(または焦点面に垂直)でない場合でも、レンズのCRAと射出角とを一致させることができることを示す。
【
図6A】
図6A-6Bは、光学アンテナとマイクロレンズアレイとのレイアウトの一例を示す。どちらも規則的なピッチを持つ2次元アレイであるが、マイクロレンズアレイのピッチはアンテナアレイのピッチとは異なる。
【
図6B】
図6A-6Bは、光学アンテナとマイクロレンズアレイとのレイアウトの一例を示す。どちらも規則的なピッチを持つ2次元アレイであるが、マイクロレンズアレイのピッチはアンテナアレイのピッチとは異なる。
【
図7】
図7は、光学アンテナアレイとマイクロレンズアレイとの重ね合わせを示す。マイクロレンズとアンテナとの間のオフセットは、光学アンテナからの光学ビームをレンズのCRAに一致させるように曲げるよう設計されている。マイクロレンズアレイは、受信した光学ビームに対しても逆に作用する。
【
図8A】
図8A-8Bは、光学アンテナアレイ、マイクロレンズアレイ、またはその両方とも、非周期的であるレイアウトの一例を示す。マイクロレンズとアンテナとの間のオフセットは、アンテナの射出角とレンズのCRAとを一致させるように、各アンテナ(画素)でカスタマイズされている。
【
図8B】
図8A-8Bは、光学アンテナアレイ、マイクロレンズアレイ、またはその両方とも、非周期的であるレイアウトの一例を示す。マイクロレンズとアンテナとの間のオフセットは、アンテナの射出角とレンズのCRAとを一致させるように、各アンテナ(画素)でカスタマイズされている。
【
図9】
図9は、光学アンテナアレイと非周期性マイクロレンズアレイとの重ね合わせを示す。
【
図10】
図10は、マイクロレンズアレイが焦点面光学アンテナアレイの封止部の一部であり、スペーサによってギャップ間隔が規定されている一例である。
【
図11】
図11は、送信および受信機能用の別々の光学アンテナを備えた撮像型擬似モノスタティックLiDARにおけるマイクロレンズアレイの使用を示す。
【
図12】
図12は、マイクロレンズアレイと組み合わせて使用される光学アンテナの光学アンテナアレイの具体例である。
【
図13】
図13は、(例えば
図12のアレイからの)マイクロレンズがどのようにビーム発散角を変換するかを分析した概略図である。
【
図14】
図14は、複数の異なるエアギャップgにおけるマイクロレンズ曲率半径Rの関数として、マイクロレンズ後のビーム発散角θ
1を計算したものを示す。
【
図15A】
図15Aは、マイクロレンズが片面マイクロレンズを含む場合のシミュレーションモデルである。
【
図15B】
図15Bは、マイクロレンズが両面マイクロレンズを含む場合のシミュレーションモデルである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、撮像レンズと焦点面光学アンテナアレイとの間にマイクロレンズアレイを備え、アンテナからの射出角と撮像レンズの受入角とを一致させる撮像LiDARに向けられている。
【0038】
モノスタティック撮像LiDAR100の一実施例の概略図を
図1Aに示す。光学アンテナの2次元(2D)アレイ103を有する光集積回路(PIC)101は、撮像レンズ102の焦点面に配置される。PIC内の光学スイッチネットワークは、一度に1つ以上の光学アンテナ104を選択的に作動させる。作動した各光学アンテナは、特定の方向に光を送信する(Tx)とともに、同一のアンテナがターゲットからの反射光を受信する(Rx)。これにより、ターゲット1およびターゲット2を指す2つの別個の光学アンテナからの光学ビーム経路によって示されるように、光学アンテナの横方向位置とファーフィールド角との間に1対1のマッピングが形成される。本明細書では、これについて、送信器と受信器とが同一の光学アンテナを共有するモノスタティックLiDARと呼ぶ。TxとRxとのファーフィールド角は自動的に調整されるが、LiDAR受信器は共有された光学経路およびアンテナにおける残留反射の影響を受けやすくなる。残留反射は、光源(レーザ)からターゲットまでの光学経路にあるいくつかの要素によって引き起こされる不要な反射を含む。これらの残留反射は受信器にも届く可能性があり、実際のターゲット信号の検出を妨げる可能性がある(特に長距離の弱いターゲット信号の場合)。
【0039】
グレーティングカプラは光学アンテナとしてよく使われる。プリズム、45度(またはその他の角度の)ミラー、エンドファイアリング曲り導波路などの他の構造も使用することができる。
【0040】
プログラマブル光学スイッチネットワークは、選択されたTxアンテナをレーザに接続し、同一ペアのRxアンテナを受信器に接続することができる。モノスタティックアンテナアレイを接続するための適切なプログラマブル光学スイッチネットワークは、米国特許出願公開第2021/116778号明細書に記載されており、参照により本明細書に援用される。
図1Bは、アクティブな行を選択するために1xMスイッチ(行選択スイッチ18)を使用し、光学アンテナ104を選択するために1xNスイッチ(列選択スイッチ10)を使用するPIC101上のプログラマブル光学ネットワークを示す(
図1Bは、光学アンテナ104のMxNアレイを示す)。プログラマブル光ネットワークは、図示のように、受信器およびレーザに結合することができる。レーザ光は、直接または変調器を介して変調され、問い合わせ光を生成する。パルス・タイム・オブ・フライト・システムでは、レーザは短い(~ナノ秒)光学パルスを生成するように変調され、受信器はアバランシェ・フォトダイオード(APD)またはシングルフォトン・アバランシェ・ダイオード(SPAD)で作られている。周波数変調連続波(FMCW)システムでは、レーザの周波数は時間とともに直線的に増減する。コヒーレント受信器は、受信した光信号をp-i-nフォトダイオードまたはAPD内のレーザ光の一部(局部発振器またはLOと呼ばれる)と混合し、ビート周波数を抽出する。p-i-nフォトダイオードまたはAPDは、差信号を抽出するために、多くの場合、バランス配置されている。このシステムはFMCW LiDARまたはコヒーレントLiDARと呼ばれる。本実施例では、1xMスイッチはM個の1x2スイッチを含み、1xNスイッチはN個の1x2スイッチを含む。他の可能な配置については、米国特許出願公開第2021/116778号明細書に記載されている。前述したように、本実施形態におけるTxとRxとは、光学アンテナだけでなく、導波路、光学スイッチ、入出力カプラ12を含む通常の光学経路も共有している。
【0041】
図2はまた、撮像レンズ102の焦点面に配置された光学アンテナ104の2次元(2D)アレイ103を有するPIC101を示す。PIC内の光学スイッチネットワークは、一度に1つ以上の光学アンテナ104を選択的に作動させる。最大の光学効率を達成するためには、光学アンテナの射出角はレンズの受入角に一致させる必要がある。レンズの受入角が無限大の場合、光学アンテナはレンズに向かって任意の角度で射出することができ、光は、
図2の射出ビームa-eで示されるように、ターゲットに向けられる。
【0042】
しかしながら、
図3Aを参照すると、実用的な撮像レンズ、特に多素子を有する撮像レンズは、焦点面内の各画素に対して有限の受入角を有する。
図3Aのレンズ102の受入角は、画素(例えば、当該光学アンテナ)の位置に依存する。この例では、受入角は、各光学アンテナ104の主光線角(CRA)を中心とする光円錐106を含み、この主光線角は、各画素/光学アンテナをレンズ開口の中心108(画像側の射出瞳でもある)に結ぶ射出ビーム(例えば、a、b、c、d、e、f、g等)と焦点面に対する法線111との間の角度として定義される。
【0043】
レンズによっては、例えば多素子レンズの場合、CRAの延長線は単一の中心点で交差しない可能性がある。その代わりに、
図3Bに示されるように、CRAの延長線は、点109a-109dで示されるように、多素子レンズ102の中心108ではない可能性のある、2つ以上の点を通過し得る。
【0044】
原理的には、各画素の光学アンテナは、CRAとほぼ等しい角度で射出するように最適化または構成することができる。例えば、米国特許出願公開第2021/116778号明細書に教示されているように、グレーティングカプラのピッチおよび向きを制御することができる。同様に、ミラーまたはプリズム型光学アンテナの場合、ミラー/プリズムの角度および向きを調整することができる。しかし、各画素について角度をカスタマイズすることは、ミラーおよびプリズムの製造に課題をもたらす。異なるピッチのグレーティングカプラはフォトリソグラフィでパターニングできるが、射出角は製造ばらつきに敏感である。グレーティングの回折効率および後方反射も、グレーティングのピッチに依存する。
【0045】
本開示は、撮像レンズのCRAに一致させるように1つ以上の光学アンテナからの射出角を変換するように構成された新規なマイクロレンズアレイを提供する。実施形態の一例を
図4に示す。この実施例では、複数のマイクロレンズ112を含むマイクロレンズアレイ110が、撮像レンズ102と光学アンテナアレイ103との間に配置されている。一実施例では、マイクロレンズアレイはフォトリソグラフィプロセスで形成することができる。この実施例のマイクロレンズアレイは片面設計として示されているが、この実施形態、または本明細書に記載される他のマイクロレンズの実施形態は、両面設計としても実施することができることを理解されたい。一部の実施形態では、マイクロレンズアレイは、アレイの1つ以上の側面に配置された1つ以上の反射防止膜114を含むことができる。レンズ102とマイクロレンズアレイ110との間の距離は、ほぼレンズの焦点距離とすることができ、マイクロレンズアレイ110と光学アンテナアレイ103との間の距離は、ほぼマイクロレンズの焦点距離とすることができる。マイクロレンズ112は、各光学アンテナの上に配置することができるが、各マイクロレンズの中心は、光学ビームを曲げるために、対応する光学アンテナ104に対して横方向にオフセットされている。各マイクロレンズを通過した後のビーム角は、Arctan(δr/f
ml)となる。ここでδrは、x-y平面における各マイクロレンズの中心と対応する光学アンテナとの間の横方向のオフセットであり(座標の定義については
図4を参照)、そしてf
mlはマイクロレンズの焦点距離である。マイクロレンズはフォトリソグラフィによって製造されるため、各マイクロレンズの位置は、対応する個々の画素または光学アンテナのCRAに出力角を一致させるように正確に定義することができる。
【0046】
ビームがマイクロレンズを通過した後のビーム角は、マイクロレンズと光学アンテナとの間のオフセットにのみ依存することに留意すべきである。光学ビームは、マイクロレンズと重なれば、ある程度まで、光学アンテナからの射出角とは無関係である。これは
図5に示されており、光学アンテナからの射出角が90度(または焦点面に対して垂直)でない場合でも、マイクロレンズアレイをレンズのCRAと射出角を一致させるように構成できることが示されている。これにより、射出角の制約を受けることなく、光学アンテナを高効率に最適化することができる。また、光学アンテナの製造ばらつきに対する耐性も大きい。1つまたは複数の光学アンテナからの射出角が設計角度と異なっていても、マイクロレンズアレイはレンズのCRAに一致した出力角を依然として生成することができる。
【0047】
ここで説明した例では屈折型マイクロレンズアレイを使用しているが、フレネルレンズ、メタレンズ、メタサーフェスレンズ、または他の人工合成レンズなどの他のマイクロレンズを使用することもできる。マイクロレンズは、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、ポリマー、プラスチック、フォトレジスト、またはセラミック、誘電体、半導体材料、複合材料で作ることができる。マイクロレンズは、トップダウン製造法、射出成形法、リフロー法、または他の方法により製造することができる。
【0048】
図6A-6Bは、光学アンテナアレイおよびマイクロレンズアレイのレイアウト例を示す図である。
図6Aは光学アンテナアレイ103を示し、各光学アンテナ104はドットで表されている。
図6Bはマイクロレンズアレイ110を示し、各マイクロレンズ112は円で表されている。この実施形態では、光学アンテナとマイクロレンズとの両方とも、規則的ではあるが異なるピッチを有する2次元(2D)アレイである。例えば、光学アンテナピッチ116はマイクロレンズピッチ118とは異なる。一部の実施形態では、ピッチ差は数十ナノメートルから数十マイクロメートルのオーダーであり得る。ピッチ差はアンテナアレイの設計およびレンズパラメータの関数である。光学アンテナグリッドパターン117は隣接する光学アンテナ間のピッチを表し、マイクロレンズグリッドパターン119は隣接するマイクロレンズ間のピッチを表す。
【0049】
図7は、
図6A-6Bの光学アンテナとマイクロレンズアレイとを重ね合わせたものである。光学アンテナおよびマイクロレンズの9x9グリッドにより、この例では合計81個の光学アンテナと81個の対応するマイクロレンズとが提供されている。重ね合わせの中心120において、中央の光学アンテナとマイクロレンズの中心とは正確に位置合わせされている。これにより垂直出力ビームが得られる。アレイの中心から離れた画素または光学アンテナの場合、マイクロレンズの位置はアレイの中心に向かってオフセットされ、光学アンテナは対応する各マイクロレンズの中心から外側にオフセットされている。
図7に示すように、光学アンテナグリッドパターン117とマイクロレンズグリッドパターン119との間のずれは、はっきりと見ることができる。それぞれのマイクロレンズと光学アンテナとのペア間のオフセット量は、通常、CRAが中心から撮像面の端に向かって増加するため、アレイの中心までの距離とともに増加する。
【0050】
マイクロレンズアレイは周期的(例えば、隣接するマイクロレンズ間の距離が均一)である必要はない。一部の実施例では、アレイ内の各マイクロレンズの位置は、
図8A-8Bに示されるように、レンズのCRAに一致させるように各光学アンテナに対して最適化することができる。したがって、
図8Aの例では、光学アンテナピッチ116は均一または周期的であり得るが、
図8Bでは、様々なマイクロレンズ間のマイクロレンズピッチ118は周期的または均一ではなく、代わりにレンズのCRAに一致させるように最適化される。別の実施形態では、光学アンテナアレイも周期的である必要はない。マイクロレンズの位置は、依然として、非周期的な光学アンテナアレイに対して最適化することができる。
【0051】
図9は、マイクロレンズアレイが周期的でない場合の光学アンテナグリッドパターン117とマイクロレンズグリッドパターン119との間のずれを示している。光学アンテナグリッドパターン117とマイクロレンズグリッドパターン119との重なり合いは
図7の実施形態で示したものと同じであるが、マイクロレンズアレイが非周期的であるため、それぞれのマイクロレンズと光学アンテナとのペア間のオフセット量は
図7の実施形態よりも小さくなっている。具体的には、
図7の実施形態では、特にアレイの周辺部に向かって、光学アンテナは、対応するマイクロレンズの端部により近い位置に配置される。しかし、この
図9の実施形態では、マイクロレンズは、アレイの周辺部でより間隔をあけて配置され、光学アンテナは、それぞれのマイクロレンズ内でより中央に配置されている。
【0052】
図10は、ウェーハまたはチップスケールの光学アンテナ104の光学アンテナアレイ103と組み立てることができる、マイクロレンズ112のマイクロレンズアレイ110を示している。一部の実施形態では、基準マーカをマイクロレンズアレイと光学アンテナアレイとの両方に配置することができる。これらは、フリップチップボンディングまたはウェハボンディング装置を用いて位置合わせされ、恒久的に取り付けることができる。マイクロレンズの焦点距離にほぼ等しい高さのスペーサ122を、マイクロレンズアレイまたは光学アンテナアレイのいずれかに作製することができる。このスペーサは、マイクロレンズと光学アンテナアレイ103との間隔を正確に画定するように構成することができる。密閉されたスペーサは、さらに、光学アンテナに気密封止を提供することができ、これは、MEMSアクチュエータが光学スイッチネットワークで使用される場合に有益である。一部の実施形態では、スペーサは、マイクロレンズと同じ材料(例えば、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、ポリマー、プラスチック、フォトレジスト、またはセラミック、誘電体、半導体材料、複合材料、または金などの金属)から作製することができる。
【0053】
ここで開示する光学方式は、画素ごとの1つの光学アンテナに限定されるものではない。
図11は、画素ごとの複数の光学アンテナを有する撮像LiDARの実施形態を示す。例えば、擬似モノスタティック撮像LiDARは、クロストークおよび残留反射を低減するために、別個の送信光学アンテナ104aおよび受信光学アンテナ104bを使用する。あるいは、直交偏波を有する受信アンテナを使用して、各画素で偏波ダイバーシティ受信を実施することもできる。これらの実施例では、マイクロレンズ後の対応するビーム角が画素のCRAに十分に近くなるように、光学アンテナを近接して(例えば、数百ナノメートルから数マイクロメートルのオーダーで)配置することができる。
【0054】
(実施例)
図12は、上述のマイクロレンズアレイ110と組み合わせて使用される光学アンテナ104の光学アンテナアレイ103の具体例である。この例では、アレイのピッチは80μmであり、光学(グレーティング)アンテナの射出角は8°、発散角は30°である。この実施形態では、マイクロレンズアレイ110は、ビーム発散角を22°に、射出主光線角(CRA)を光学アンテナ位置に応じて0°-37°の範囲の値に変換するように構成されている。また、この実施例では、マイクロレンズアレイは、シリコン製(屈折率n=3.48)で、厚さが250μmであると仮定している。
【0055】
図13は、(
図12のアレイからの)マイクロレンズ112がどのようにビーム発散角を変換するかを分析した概略図である。この実施例では、グレーティングアンテナからの射出ビームは、発散角θ
0=30°、波長1550nmのガウシアンビームとしてモデル化されている。解析を簡単にするため、ガウシアンビームはマイクロレンズの光軸に沿って伝搬すると仮定されている。上面の曲率半径R、厚さt=250μm、屈折率n=3.48の平凸形状のマイクロレンズは、エアギャップgで光学アンテナ104の上方に配置されている。
【0056】
マイクロレンズ後のガウシアンビームのパラメータは、ABCD行列法を用いて近似的に計算することができる。システムのABCD行列は、エアギャップ内の伝搬ABCD行列(数式1に示す)に、厚いレンズのABCD行列(数式2に示す)を乗算することで計算できる。
【0057】
【0058】
図14は、複数の異なるエアギャップgにおけるマイクロレンズ曲率半径Rの関数として、マイクロレンズ後のビーム発散角θ
1の計算値を示す。設計目標θ
1=22°は破線で示されている。解析計算により、例えば曲率半径115μm、エアギャップ10μmといったマイクロレンズのパラメータを選択するためのガイドラインが得られる。
【0059】
前節のモデルには、グレーティングアンテナに面するレンズ面が平らな片面(平凸)マイクロレンズが含まれている。R=115μm、g=10μmの設計例(FREDソフトウェアによるシミュレーション結果)を
図15Aに示す。
図15Bの例では、マイクロレンズは、両方の表面が曲面である両面型にすることもできる。
図15A-15Bの両シミュレーションにおいて、グレーティングアンテナの射出角は8°に設定されている。
【0060】
図15Aに示す片面設計では、光線の一部がマイクロレンズの側壁によってクリッピングされ、その結果、光学効率が低下することが観察される。対照的に、
図15Bの両面設計では、第1のレンズ面がマイクロレンズ内を進行する光をコリメートするため、光線クリッピングの損失はない。しかし、このコリメーションは、グレーティングアンテナとマイクロレンズとの間の正確なギャップに依存しており、高い製造精度とパッケージング精度とが要求される。
【0061】
上記のCRA設計目標、すなわちマイクロレンズ後のビームのCRAを変更するためには、各光学アンテナをマイクロレンズの光軸からオフセットさせる必要がある。
図15Aに示す片面マイクロレンズ設計に基づき、FREDソフトウェアで光線クリッピング損失とマイクロレンズ後のCRAとをシミュレーションしたので、シミュレーション結果を表1に示す。シミュレーション結果から、グレーティングアンテナをマイクロレンズ光軸からオフセットさせることにより、マイクロレンズ後のビームCRAを制御できることが確認された。
【0062】
【0063】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、例えば、多方向のレンジ(距離)測定を実行するために使用することができる。さらに、本明細書に記載のシステムおよび方法は、3D点群の測定を実行するために使用することができる。一部の実施形態では、複数の画素を同時にオンさせることによって、3D点群測定のフレームレートまたは速度を向上させることができる。一部の実施例では、これらの複数の画素は、一つの光スプリッタを介して同一レーザによって給電することができる。他の実施形態では、複数の画素は別個のレーザによって給電することができる。
【0064】
本発明に関連する追加的な詳細については、関連技術分野における当業者のレベルの範囲内で、材料および製造技術を採用することができる。一般的または論理的に採用される追加的な行為という点では、本発明の方法に基づく態様に関しても同様である。また、記載された本発明の変形例のオプションである任意の特徴は、独立して、または本明細書に記載された特徴のいずれか1つ以上と組み合わせて、記載され、特許請求され得ることが企図されている。同様に、単数の事項への言及は、同じ事項が複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「and」、「said」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の参照を含む。さらに、特許請求の範囲は、オプションである任意の要素を除外するように起草することができることに留意されたい。そのため、本明細書は、請求項の要素の記載に関連して「のみ」、「のみ」等の排他的用語を使用する場合、または「否定的」限定を使用する場合の先行根拠となることを意図されている。本明細書において別途定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本発明のスコープは、本明細書によって限定されるものではなく、むしろ、採用された請求項の用語の平易な意味によってのみ限定されるものである。
【国際調査報告】