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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-18
(54)【発明の名称】オーバーレイ測定装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240611BHJP
   G02B 7/36 20210101ALI20240611BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240611BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240611BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240611BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G02B7/36
G02B7/28 H
H01L21/66 J
G03B15/00 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533303
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2022016028
(87)【国際公開番号】W WO2023191213
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0037874
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515309575
【氏名又は名称】オーロステクノロジー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】シン ヒョンギ
(72)【発明者】
【氏名】リュ ボギョン
(72)【発明者】
【氏名】コ チョンソン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジンウ
【テーマコード(参考)】
2H151
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2H151AA00
2H151BA21
2H151BA47
2H151BA57
2H151CC02
2H151DA02
2H197JA17
2H197JA23
4M106AA01
4M106BA05
4M106CA39
4M106DB02
4M106DB07
4M106DB08
4M106DB12
4M106DB13
4M106DJ17
(57)【要約】
本発明は、オーバーレイ測定装置に関する。さらに詳細には、高さ差の大きい層間のオーバーレイ誤差を迅速に測定することが可能なオーバーレイ測定装置に関する。本発明は、ウェーハに形成された互いに異なる層にそれぞれ形成された対をなす第1オーバーレイマークと第2オーバーレイマークとの誤差を測定する装置であって、複数の焦点位置で対をなす第1オーバーレイマークと第2オーバーレイマークの整列イメージを取得するように構成されたイメージングシステムと、前記イメージングシステムに通信可能に結合された制御器と、を含む、オーバーレイ測定装置を提供する。本発明によるオーバーレイ測定装置は、高さ差の大きい層間のオーバーレイ誤差を迅速かつ正確に測定することができるという利点がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハに形成された互いに異なる層にそれぞれ形成された対をなす第1オーバーレイマークと第2オーバーレイマークとの誤差を測定する装置であって、
複数の焦点位置で対をなす第1オーバーレイマークと第2オーバーレイマークの整列イメージを取得するように構成されたイメージングシステムと、前記イメージングシステムに通信可能に結合された制御器と、を含み、
前記イメージングシステムは、
前記整列イメージの取得のための第1照明光を放射する第1光源と、
第2照明光を放射する第2光源と、
前記第1照明光と前記第2照明光を前記ウェーハの測定領域に集光させ、前記ウェーハの測定領域で反射された第1反射光と第2反射光とを収集する対物レンズと、
前記第1光源から出て前記ウェーハの測定領域で反射された前記第1反射光が集光して前記整列イメージが取得される第1検出器と、
前記第2光源から出て前記ウェーハの測定領域で反射された前記第2反射光によって前記焦点位置による信号を取得する第2検出器と、
前記焦点位置を調節するように前記ウェーハの測定領域と前記対物レンズとの距離を調節する第1アクチュエータと、を含み、
前記制御器は、命令語を実行するように構成されたプロセッサを含み、前記命令語は、前記プロセッサが、
a)測定領域における複数の焦点位置で前記イメージングシステムを介して取得された整列イメージを受信するステップと、
b)前記整列イメージの前記第1オーバーレイマークのコントラスト(contrast)値の変化、及び前記第2オーバーレイマークのコントラスト値の変化に基づいて、測定焦点(measure focus、MF)位置を決定するステップと、
c)前記測定焦点位置における前記第2検出器からの信号値である基準信号値を取得するステップと、
d)前記測定焦点位置で取得された整列イメージである測定イメージに基づいてオーバーレイ誤差を測定するステップと、を行うようにすることを特徴とする、オーバーレイ測定装置。
【請求項2】
前記制御器は、前記プロセッサが、
e)前記ステップa)の測定領域とは異なる測定領域で前記第2検出器から取得された信号値を受信するステップと、
f)前記ステップe)で受信された信号値と前記基準信号値とを比較するステップと、
g)前記第2検出器から取得された信号値が前記基準信号値と異なる場合、前記第1アクチュエータを制御して焦点位置を変更するステップと、
h)前記第2検出器から取得された信号値が前記基準信号値と一致する場合、前記イメージングシステムを介して取得された整列イメージを受信するステップと、
i)前記ステップh)で受信した整列イメージである測定イメージに基づいて、オーバーレイ誤差を測定するステップと、を行うようにすることを特徴とする、請求項1に記載のオーバーレイ測定装置。
【請求項3】
前記イメージングシステムは、
前記第2光源と前記対物レンズとの間に配置され、前記第2光源から放射された第2照明光を屈折させる光学レンズと、
前記第2光源と前記対物レンズとの間における前記光学レンズの位置を調節する第2アクチュエータと、をさらに含み、
前記制御器は、前記プロセッサが、
前記ステップc)の後に、
前記基準信号値を所定の基準信号値と比較するステップと、
前記基準信号値と前記所定の基準信号値とが異なる場合、前記第2アクチュエータを制御して前記光学レンズの位置を調節することにより、前記基準信号値を前記所定の基準信号値と一致させるステップと、をさらに行うようにすることを特徴とする、請求項1に記載のオーバーレイ測定装置。
【請求項4】
前記光学レンズが凸レンズである、請求項3に記載のオーバーレイ測定装置。
【請求項5】
前記ステップb)は、
前記第1オーバーレイマークによるコントラスト値の変化グラフの最大値と、前記第2オーバーレイマークによるコントラスト値の変化グラフの最大値との間の位置から測定焦点位置を見つけるステップである、請求項1に記載のオーバーレイ測定装置。
【請求項6】
前記ステップb)は、
前記第1オーバーレイマークによるコントラスト値の変化グラフと前記第2オーバーレイマークによるコントラスト値の変化グラフとが交差する位置を測定焦点位置として見つけるステップである、請求項5に記載のオーバーレイ測定装置。
【請求項7】
前記第2検出器は、位相差方式の自動焦点センサモジュールであり、
前記所定の基準信号値は、前記自動焦点センサモジュールで測定される位相差が最小化される値である、請求項3に記載のオーバーレイ測定装置。
【請求項8】
前記第2光源と前記対物レンズとの間に配置され、前記第2光源から出た第2照明光のうち、長波長の光を前記対物レンズに向かって反射させるホットミラーをさらに含む、請求項1に記載のオーバーレイ測定装置。
【請求項9】
前記第2光源から出た第2照明光をラインビーム(line beam)に変更するシリンダレンズをさらに含む、請求項1に記載のオーバーレイ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーレイ測定装置に係り、さらに詳細には、高さ差の大きい層間のオーバーレイ誤差を迅速に測定することが可能なオーバーレイ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術発展に伴って半導体デバイスのサイズが小さくなり、集積回路の密度の増加が求められている。これらの要件を満たすためには、さまざまな条件が満足されなければならず、その中でもオーバーレイ許容差は重要な指標の一つである。
半導体デバイスは、数多くの製造プロセスによって製造される。集積回路をウェーハに形成するためには、特定の位置で所望の回路構造及び要素が順次形成されるように多くの製造プロセスを経なければならない。製造プロセスは、ウェーハ上にパターン化された層を順次生成するようにする。このような繰り返し行われる積層工程を介して集積回路内に電気的に活性化されたパターンを生成する。このとき、それぞれの構造が生産工程で許容する誤差範囲内に整列されなければ、電気的に活性化されたパターン間に干渉が起こり、このような現象により、製造された回路の性能及び信頼度に問題が生じるおそれがある。これらの層間で整列誤差を測定及び検証するために、オーバーレイ測定ツールが使用される。
一般的なオーバーレイ計測及び方法は、2つの層間で整列が許容誤差内にあるかを測定及び検証する。その中の一つの方法によって基板上で特定の位置にオーバーレイマークと呼ばれる構造物を形成し、この構造物を光学的なイメージ取得装備で撮影してオーバーレイを測定する方法がある。測定のための構造物は、それぞれの層ごとにX方向及びY方向の少なくとも一方向のオーバーレイを測定することができるように設計されている。各構造物は、対称な構造に設計されており、対称方向に配置された構造物間の中心値を計算してその層の代表値として使用し、そのそれぞれの層の代表値の相対的な差を計算してオーバーレイ誤差を導出する。
以下、ボックスインボックス(box in box、BIB)オーバーレイマークを用いて2つの層のオーバーレイを測定する方法について簡単に説明する。まず、図1及び図2に示すように、概ねボックス状の第1オーバーレイマークOMと、概ね第1オーバーレイマークOMに比べて小さいボックス状の第2オーバーレイマークOMを、連続した2つの層にそれぞれ形成する。そして、第1オーバーレイマークOMと第2オーバーレイマークOMのイメージを一度に取得する。次に、図3に示すように、位置別強度の変化を示す波形を取得して、第1オーバーレイマークOMの中心値Cと第2オーバーレイマークOMの中心値Cをそれぞれ取得する。そして、これらを比較することにより、2つの層間のオーバーレイ誤差を測定する。
2つの層間の高さ差が大きくない場合には、自動焦点(autofocus)センサを用いて焦点を自動的に合わせた後、第1オーバーレイマークOMと第2オーバーレイマークOMの組み合わせイメージを一度に取得することができる。自動焦点センサを用いて検出した焦点は、組み合わせイメージの取得に最適化された焦点ではなくてもよいが、2つの層間の高さ差が大きくない場合には、あまり問題にはならない。
しかし、半導体工程技術の発展によって高さ差が大きく、光学的性質が異なる層間のオーバーレイ誤差を正確に測定する必要がある現在では、自動焦点センサを用いて取得された標準焦点(standard focus)とさらに正確な測定のための測定焦点(measure focus)との差が大きい可能性があるという問題点がある。例えば、自動焦点センサによる標準焦点は、現在層(current layer)の上部に位置するが、測定焦点は、以前の層(previous layer)と現在層との間に位置することができる。このような場合、標準焦点で取得されたイメージを用いると、整列イメージにおいて以前層に形成された第1オーバーレイマークが鮮明ではないため、正確にオーバーレイ誤差を測定することができないという問題点がある。
かかる問題点を解決するために、図4及び図5に示すように、第1オーバーレイマークOMを焦点面(focal plane)として得た信号の位置別強度の変化を示す波形を取得して、第1オーバーレイマークOMの中心値Cを取得し、第2オーバーレイマークOMを焦点面として得た信号の位置別強度の変化を示す波形を取得して、第2オーバーレイマークOMの中心値Cを取得することにより、2つの層間のオーバーレイ誤差を測定する方法が使用された。しかし、このような方法は、オーバーレイ誤差測定のために、毎回2回撮影しなければならないので、検査時間が長くなるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第2003-0054781号公報
【特許文献2】韓国特許第10-0689709号公報
【特許文献3】韓国特許第10-1564312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した問題点を改善するためのものであり、高さ差の大きい層間のオーバーレイ誤差を迅速かつ正確に測定することができる新規なオーバーレイ測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、ウェーハに形成された互いに異なる層にそれぞれ形成された対をなす第1オーバーレイマークと第2オーバーレイマークとの誤差を測定する装置であって、複数の焦点位置で対をなす第1オーバーレイマークと第2オーバーレイマークの整列イメージを取得するように構成されたイメージングシステムと、前記イメージングシステムに通信可能に結合された制御器と、を含む、オーバーレイ測定装置を提供する。
ここで、前記イメージングシステムは、前記整列イメージの取得のための第1照明光を放射する第1光源と、第2照明光を放射する第2光源と、前記第1照明光と前記第2照明光を前記ウェーハの測定領域に集光させ、前記ウェーハの測定領域で反射された第1反射光と第2反射光とを収集する対物レンズと、前記第1光源から出て前記ウェーハの測定領域で反射された前記第1反射光が集光されて前記整列イメージが取得される第1検出器と、前記第2光源から出てウェーハの測定領域で反射された前記第2反射光によって前記焦点位置による信号を取得する第2検出器と、前記焦点位置を調節するように前記ウェーハの測定領域と前記対物レンズとの距離を調節する第1アクチュエータと、を含む。
前記制御器は、命令語を実行するように構成されたプロセッサを含み、前記命令語は、前記プロセッサが、a)測定領域における複数の焦点位置でイメージングシステムを介して取得された整列イメージを受信するステップと、b)前記整列イメージの前記第1オーバーレイマークのコントラスト(contrast)値の変化、及び前記第2オーバーレイマークのコントラスト値の変化に基づいて、測定焦点(measure focus、MF)位置を決定するステップと、c)前記測定焦点位置における前記第2検出器からの信号値である基準信号値を取得するステップと、d)前記測定焦点位置で取得された整列イメージである測定イメージに基づいてオーバーレイ誤差を測定するステップと、を行うようにする。
また、本発明は、前記制御器は、前記プロセッサが、e)前記ステップa)の測定領域とは異なる測定領域で前記第2検出器から取得された信号値を受信するステップと、f)前記ステップe)で受信された信号値と前記基準信号値とを比較するステップと、g)前記第2検出器から取得された信号値が前記基準信号値と異なる場合、前記第1アクチュエータを制御して焦点位置を変更するステップと、h)前記第2検出器から取得された信号値が前記基準信号値と一致する場合、前記イメージングシステムを介して取得された整列イメージを受信するステップと、i)前記ステップh)で受信した整列イメージである測定イメージに基づいて、オーバーレイ誤差を測定するステップを行うようにすることを特徴とする、オーバーレイ測定装置を提供する。
また、前記イメージングシステムが、前記第2光源と前記対物レンズとの間に配置され、前記第2光源から放射された第2照明光を屈折させる光学レンズと、前記第2光源と前記対物レンズとの間における前記光学レンズの位置を調節する第2アクチュエータと、をさらに含み、前記制御器は、前記プロセッサが、前記ステップc)の後に、前記基準信号値を所定の基準信号値と比較するステップと、前記基準信号値と前記所定の基準信号値とが異なる場合、前記第2アクチュエータを制御して前記光学レンズの位置を調節することにより、前記基準信号値を前記所定の基準信号値と一致させるステップをさらに行うようにすることを特徴とする、オーバーレイ測定装置を提供する。
また、前記光学レンズが凸レンズである、オーバーレイ測定装置を提供する。
また、前記ステップb)が、前記第1オーバーレイマークによるコントラスト値の変化グラフの最大値と、前記第2オーバーレイマークによるコントラスト値の変化グラフの最大値との間の位置から測定焦点位置を見つけるステップである、オーバーレイ測定装置を提供する。
また、前記ステップb)が、前記第1オーバーレイマークによるコントラスト値の変化グラフと前記第2オーバーレイマークによるコントラスト値の変化グラフとが交差する位置を測定焦点位置として見つけるステップである、オーバーレイ測定装置を提供する。
また、前記第2検出器は、位相差方式の自動焦点センサモジュールであり、前記所定の基準信号値は、前記自動焦点センサモジュールで測定される位相差が最小化される値である、オーバーレイ測定装置を提供する。
また、前記第2光源と前記対物レンズとの間に配置され、前記第2光源から出た第2照明光のうち、長波長の光を前記対物レンズに向かって反射させるホットミラーをさらに含む、オーバーレイ測定装置を提供する。
また、前記第2光源から出た第2照明光をラインビーム(line beam)に変更するシリンダレンズをさらに含む、オーバーレイ測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によるオーバーレイ測定装置は、高さ差の大きい層間のオーバーレイ誤差を迅速かつ正確に測定することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】オーバーレイマークの平面図である。
図2図1に示されたオーバーレイマークの側面図である。
図3図1に示された第1オーバーレイマークイメージから取得された信号の位置別強度の変化波形を示す。
図4図1に示された第1オーバーレイマークを焦点面にして取得された信号の位置別強度の変化波形を示す。
図5図1に示された第2オーバーレイマークを焦点面にして取得された信号の位置別強度の変化波形を示す。
図6】本発明の一実施形態によるオーバーレイ測定装置の概念図である。
図7図6に示されたオーバーレイ測定装置の作用を説明するためのフローチャートである。
図8図7の測定焦点位置を見つけるステップを説明するための図である。
図9図7の基準信号値を見つけるステップを説明するための図である。
図10】本発明の他の実施形態によるオーバーレイ測定装置の概念図である。
図11】光学レンズの位置による焦点位置の変化を説明するための図である。
図12】光学レンズの位置による基準信号値の変化を説明するための図である。
図13図10に示されたオーバーレイ測定装置の作用を説明するための一部のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に上述の実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施形態は、当技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面における要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張されたものであり、図面上において同じ符号で表示された要素は、同じ要素を意味する。
図6は、本発明の一実施形態によるオーバーレイ測定装置の概念図である。オーバーレイ測定装置は、ウェーハwに形成された互いに異なる層にそれぞれ形成された第1オーバーレイマークと第2オーバーレイマークとの誤差を測定する装置である。
例えば、図1及び図2に示すように、第1オーバーレイマークOMは、以前層(previous layer)に形成されたオーバーレイマークであり、第2オーバーレイマークOMは、現在層(current layer)に形成されたオーバーレイマークであり得る。オーバーレイマークは、ダイ(die)領域に半導体デバイス形成のための層を形成すると同時に、スクライブレーン(scribe lane)に形成する。例えば、第1オーバーレイマークOMは、絶縁膜パターンと共に形成され、第2オーバーレイマークOMは、絶縁膜パターン上に形成されるフォトレジストパターンと共に形成され得る。
このような場合、第2オーバーレイマークOMは、外部に露出しているが、第1オーバーレイマークOMは、フォトレジスト層によって覆われた状態であり、フォトレジスト材料からなる第2オーバーレイマークOMとは光学的性質が異なる酸化物からなる。また、第1オーバーレイマークOMと第2オーバーレイマークOMとは、高さが互いに異なる。
オーバーレイマークとしては、ボックスインボックス(図1参照)、AIM(advanced imaging metrology)オーバーレイマークなど、現在使用されている様々な形態のオーバーレイマークを使用することができる。
図6に示すように、本発明の一実施形態によるオーバーレイ測定装置1は、イメージングシステム10と、イメージングシステム10に通信可能に結合された制御器20と、を含む。
イメージングシステム10は、大きく、イメージ取得部100と自動焦点部200とを含む。
イメージ取得部100は、複数の焦点位置で第1オーバーレイマークOMと第2オーバーレイマークOMとが一緒に表示されたイメージ(以下、「整列イメージ」という)を取得する役割を果たす。
イメージ取得部100は、第1照明光をウェーハWの測定領域に照射するために、第1光源111、第1ビームスプリッタ113、対物レンズ115、及び第1アクチュエータ117を備える。測定領域は、ウェーハWのスクライブレーンにおいて第1オーバーレイマークOMと第2オーバーレイマークOMが形成された領域である。一つのウェーハWには複数の測定領域が存在する。オーバーレイ測定装置1は、複数の測定領域でオーバーレイ誤差を測定する。
第1光源111としては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、発光ダイオードなどを用いることができる。第1光源111は、可視光線領域の第1照明光を生成する。
第1ビームスプリッタ113は、第1光源111から出た第1照明光の一部を反射させて対物レンズ115側に案内する役割を果たす。また、対物レンズ115で収集した第1反射光の一部を透過させる。
対物レンズ115は、第1ビームスプリッタ113から反射されたビームをウェーハWの測定領域に集光させ、測定領域での反射されたビームを収集する役割を果たす。対物レンズ115は、第1アクチュエータ117に設置される。
第1アクチュエータ117は、対物レンズ115とウェーハWとの距離を調節してイメージ取得部100の焦点位置を調節する役割を果たす。
また、イメージ取得部100は、ウェーハWの測定領域からの第1反射光を集光させて整列イメージを得るために、ホットミラー(hot mirror)121、チューブレンズ123、及び第1検出器130を備える。
チューブレンズ123は、第1ビームスプリッタ113とホットミラー121を透過した第1反射光を第1検出器130に集光させる役割を果たす。
ホットミラー121は、紫外線を反射し、可視光線を透過させる。ホットミラー121は、第1検出器130に紫外線が入射するのを防止する。
第1検出器130は、CCDまたはCMOSカメラであり得る。イメージ取得部100は、第1検出器130からの電気信号を用いて、整列イメージを取得する。そして、この整列イメージを分析すると、オーバーレイ誤差を測定することができる。
自動焦点部200は、対物レンズ115とウェーハWとの距離に応じた信号を生成する役割を果たす。すなわち、イメージ取得部100の焦点位置の変化に応じた信号を生成する役割を果たす。
自動焦点部200は、第2照明光をウェーハWの測定領域に照射するために、第2光源211と、第2光源211からの第2照明光を屈折させる光学レンズ212と、第2ビームスプリッタ213と、を備える。また、イメージ取得部100のホットミラー121、第1ビームスプリッタ113及び対物レンズ115も使用する。
第2光源211としては、レーザダイオードまたは発光ダイオードを用いることができる。第2光源211は、赤外線領域の第2照明光を生成する。第2照明光は、光学レンズ212によって屈折された後に第2ビームスプリッタ213を透過した後、ホットミラー121から反射される。光学レンズ212としては凸レンズを用いることができる。第2照明光としてレーザを用いる場合には、第2ビームスプリッタ213として偏光ビームスプリッタを用いることが好ましい。これは、反射及び透過過程で光量が減少するのを最小限に抑えることができるからである。
そして、ホットミラー121から反射された第2照明光は、第1ビームスプリッタ113を透過した後、対物レンズ115に入射する。対物レンズ115は、第2照明光をウェーハWの測定領域に集光させ、測定領域から反射された第2反射光を収集する役割を果たす。本発明は、1つの対物レンズ115を用いて第1照明光と第2照明光を集光させ、第1反射光と第2反射光を収集するという利点がある。
本発明では、第2照明光として、第1照明光とは波長帯域が異なる赤外線を使用し、ホットミラー121を用いて第2反射光と第1反射光とを分離することにより、第1検出器130への第2反射光の入射を防止する。
対物レンズ115で収集された第2反射光は、再び第1ビームスプリッタ113を透過した後にホットミラー121で反射される。赤外線はホットミラー121を透過しないので、赤外線領域の第2反射光が第1検出器130に入射しない。
ホットミラー121で反射された第2反射光は、第2ビームスプリッタ213から第2検出器230へ反射される。
第2検出器230としては、速度の速い従来の位相差方式の自動焦点センサモジュールを用いることができる。例えば、ビームスプリッタ、マイクロレンズ、一対のフォトダイオードを含む位相差方式の自動焦点センサモジュールを用いることができる。第2検出器230は、対物レンズ115とウェーハWとの距離に応じた信号を生成する役割を果たす。例えば、イメージ取得部の焦点が「標準焦点」と一致する場合には、第2検出器230に出力される信号値である位相差値が0であり、一致しない場合には、焦点の位置に応じて+または-値であり得る。「標準焦点」とは、第2検出器230の信号に基づいて決定されたイメージ取得部の焦点である。「標準焦点」は、実際の整列イメージの取得に適した「測定焦点」と一致してもよいが、第1オーバーレイマークOMと第2オーバーレイマークOMとの高さ差が大きい場合には、殆ど互いに異なる。「測定焦点」の測定方法については後述する。
制御器20は、イメージングシステム10に有線または無線で通信可能に結合される。制御器20は、プロセッサやメモリなどのハードウェアと、メモリにインストールされたソフトウェアとを含む。制御器20は、ソフトウェアの命令語を介してプロセッサが図7のステップを行うように指示する。
図7は、図6に示されたオーバーレイ測定装置の作用を説明するためのフローチャートである。まず、整列イメージを受信するステップS1について説明する。
このステップでは、制御器20が、複数の焦点位置でイメージングシステム10を介して取得された整列イメージを受信する。整列イメージは、第1オーバーレイマークOMと第2オーバーレイマークOMとを含む。整列イメージは、第1アクチュエータ117を用いて焦点位置を連続的に変更しながら取得することができる。
次に、測定焦点(measure focus、MF)位置を決定するステップS2について説明する。測定焦点位置は、複数の整列イメージのうち、オーバーレイ誤差の測定のために使用される整列イメージである測定イメージを取得するときに使用される焦点位置である。すなわち、オーバーレイ誤差の測定に最適化された焦点位置である。
制御器20は、焦点位置に応じた整列イメージの第1オーバーレイマークOMのコントラスト値の変化、及び第2オーバーレイマークOMのコントラスト値の変化に基づいて測定焦点位置を決定することができる。
図8に示すように、第1オーバーレイマークOMのコントラスト値と第2オーバーレイマークOMのコントラスト値は、焦点位置(対物レンズとウェーハとの距離)に応じて変更される。第1オーバーレイマークOMは、先に形成された以前層に位置するので、ウェーハWと対物レンズ115との距離が近い焦点位置でコントラスト値が最大値を有する。第2オーバーレイマークOMは、以前層の上に形成された現在層に位置するので、ウェーハWと対物レンズ115との距離が遠い焦点位置でコントラスト値が最大値を有する。
測定焦点位置は、例えば、第1オーバーレイマークOMによるコントラスト値の変化グラフの最大値と、第2オーバーレイマークOMによるコントラスト値の変化グラフの最大値との間の位置から見つけることができる。例えば、第1オーバーレイマークOMによるコントラスト値の変化グラフと、第2オーバーレイマークOMによるコントラスト値の変化グラフがと交差する位置を測定焦点位置として定めることができる。また、第1オーバーレイマークOMによるコントラスト値の変化グラフの最大値と、第2オーバーレイマークOMによるコントラスト値の変化グラフの最大値との平均値を測定焦点位置として定めることもできる。
場合によっては、測定焦点位置は、第1オーバーレイマークOMによるコントラスト値の変化グラフの最大値と、第2オーバーレイマークOMによるコントラスト値の変化グラフの最大値との間の区間の外部に位置してもよい。
次に、基準信号値を取得するステップS3について説明する。
図9に示すように、このステップにおいて、制御器20は、測定焦点位置における第2検出器230からの信号値である基準信号値を取得する。測定焦点位置が標準焦点位置と一致する場合には、第2検出器230からの信号値である位相値は0になる。測定焦点位置が標準焦点位置と一致しない場合には、特定の位相値を有し、この値が基準信号値となる。
次に、オーバーレイ誤差を測定するステップS4について説明する。
このステップでは、測定焦点位置で取得された整列イメージである測定イメージに基づいてオーバーレイ誤差を測定する。測定イメージを用いてオーバーレイ誤差を測定する方法は、従来の技術であるので、詳細な説明を省略する。
次に、他の測定領域で第2検出器から取得された信号値を受信するステップS5について説明する。
一つのウェーハには、多数の測定領域に第1オーバーレイマークOMと第2オーバーレイマークOMの対が形成される。よって、本発明によるオーバーレイ測定装置は、多数の測定領域でオーバーレイ誤差を測定する。本発明によるオーバーレイ測定装置は、特に、多数の測定領域でオーバーレイ誤差を測定するときに速度が速いという利点がある。
この段階で、制御器20は、基準信号値を取得した最初測定領域とは異なる測定領域で第2検出器230から取得された信号値を受信する。
次に、ステップS5で受信された信号値と基準信号値とを比較するステップS6について説明する。
この段階で、制御器20は、S5段階で受信された信号値と基準信号値とを比較する。理想的であれば、ステップS5で受信された信号値と基準信号値とが一致するが、ウェーハWの位置別にバラツキがあるので、受信された信号値と基準信号値とが互いに異なる可能性がある。
次いで、焦点位置を変更するステップS7について説明する。
この段階で、制御器20は、第2検出器230から取得された信号値が基準信号値と一致するように第1アクチュエータを制御して焦点位置を変更する。このステップでは、ウェーハWの位置別バラツキを考慮して、最初測定領域とは異なる現在測定領域での焦点位置を測定焦点位置に変更する。
本発明では、このように、最初測定領域で一度だけ整列イメージのコントラスト値の変化を介して測定焦点位置を見つけると、他の測定領域では、第2検出器230からの信号値を用いて測定焦点位置を迅速に見つけることができるという利点がある。
次に、整列イメージを受信するステップS8について説明する。
このステップで、制御器20は、イメージングシステム10を制御して整列イメージを取得する。そして、取得された整列イメージを受信する。
次に、ステップS8で受信した整列イメージである測定イメージに基づいてオーバーレイ誤差を測定するステップS9について説明する。このステップでは、ステップS4と同様に、測定イメージに基づいてオーバーレイ誤差を測定する。
上述したS5~S8ステップは、測定領域別に繰り返し行われる。
最初測定領域では、焦点位置による複数の整列イメージを取得し、これらの整列イメージの第1オーバーレイマークOMのコントラスト値の変化、及び第2オーバーレイマークOMのコントラスト値の変化に基づいて測定焦点位置を決定する。よって、オーバーレイ誤差の測定には長い時間がかかる。
しかし、他の測定領域では、第2検出器230から取得された信号値と基準信号値とを比較して第1アクチュエータ117を制御することにより、測定焦点位置に速やかに移動させることができるので、オーバーレイ誤差を迅速に測定することができる。よって、複数の測定領域でオーバーレイ誤差を迅速に測定することができる。
図10は、本発明の他の実施形態によるオーバーレイ測定装置を示す概念図である。
図10に示されたオーバーレイ測定装置2のイメージングシステム30は、自動焦点部300が第2アクチュエータ217とシリンダレンズ215とをさらに含むという点でのみ、図6に示された実施形態のイメージングシステム10とは異なる。
第2アクチュエータ217は、第2光源211と対物レンズ115との間における光学レンズ212の位置を調節する。図11に示すように、光学レンズ212の位置が調節されると、自動焦点部300の焦点位置が変更される。これにより、第2検出器230から取得される信号値も変化し、これにより、図12に示すように、基準信号値も変化する。
シリンダレンズ215は、光学レンズ212と対物レンズ115との間に配置される。シリンダレンズ215としては、矩形、正方形、円形、楕円形などの様々な外形のシリンダレンズ215を用いることができる。シリンダレンズ215は、点ではなく、線に光の焦点を合わせたレンズである。シリンダレンズ215は、ラインビーム(line beam)を形成する役割を果たす。ラインビームを使用すると、光学収差(astigmatism)により敏感度が上昇することにより、さらに精巧な測定が可能であるという利点がある。
制御器40は、プロセッサが、S3ステップとS5ステップとの間で、図13に示された下記のステップをさらに行うようにするという点で、図7に示されたオーバーレイ測定装置の作用とは異なる。
まず、さらに行われるステップのうち、基準信号値を所定の基準信号値と比較するステップS11について説明する。
このステップでは、ステップS3で確認された基準信号値を所定の基準信号値と比較する。例えば、第2検出器230から出力される基準信号値は位相差値であってもよく、所定の基準信号値は0であってもよい。
基準信号値が所定の基準信号値と同じである場合、ステップS4へ移行する。ステップS11がステップS4の後に行われると、ステップS5へ移行する。図13では、ステップS3とステップS4との間にステップS11が行われることを示している。
基準信号値と所定の基準信号値とが異なる場合、第2アクチュエータ217を制御して光学レンズ212の位置を調節することにより、基準信号値を所定の基準信号値と一致させるステップS12をさらに行う。すなわち、このステップでは、イメージ取得部100の焦点位置が測定焦点位置に調整されたとき、第2検出器230における基準信号値が所定の基準信号値と一致するように光学レンズ212の位置を調節する。所定の基準信号値は、第2検出器230の精度が最も高い区間に属する信号値となる。例えば、第2検出器230が位相差方式の自動焦点センサモジュールである場合、基準信号値は、0または0に隣接した値となる。位相差方式の自動焦点センサモジュールは、位相差の大きい区間では精度が低下するので、位相差の大きい区間で第2検出器230の信号値を基準にイメージ取得部100の焦点位置を測定焦点位置に調整すると誤りが生じる可能性があるという点で、本実施形態が図6及び図7の実施形態に比べて有利である。
所定の基準信号値は、特定の1つの値であってもよいが、一定の範囲に属する任意の値を基準信号値として定めてもよい。例えば、基準信号値が、第2検出器230の精度が確保される0±αの範囲内に入ると、その値を基準信号値とし、光学レンズの位置を調節しなくてもよい。
ステップS12の後には、ステップS4(またはステップS5)を行う。以後のステップは、図7に示されているステップと同じである。
以上で説明された実施形態は、本発明の好適な実施形態を説明したものに過ぎず、本発明の権利範囲は、説明された実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想と特許請求の範囲内で当該分野の当業者によって様々な変更、変形または置換が可能であり、それらの実施形態も本発明の範囲に属すると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0009】
OM 第1オーバーレイマーク
OM 第2オーバーレイマーク
1、2 オーバーレイ測定装置
10、30 イメージングシステム
20、40 制御器
100 イメージ取得部
111 第1光源
115 対物レンズ
117 第1アクチュエータ
121 ホットミラー
130 第1検出器
200、300 自動焦点部
211 第2光源
212 光学レンズ
215 シリンダレンズ
217 第2アクチュエータ
230 第2検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】