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特表2024-522338カーボンナノチューブを含む複合研磨パッド及びその製造方法
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  • 特表-カーボンナノチューブを含む複合研磨パッド及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-18
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブを含む複合研磨パッド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20240611BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240611BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20240611BHJP
   C08J 5/14 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B24B37/24 B
H01L21/304 622F
B24B37/24 Z
B24B37/24 A
B24B37/26
C08J5/14 CFF
C08J5/14 CFH
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571624
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 KR2021016562
(87)【国際公開番号】W WO2023085471
(87)【国際公開日】2023-05-19
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)精密工学と持続可能な製造(Precision Engineering and Sustainable Manufacturing)に関するオンライン国際シンポジウム(PRESM2020)のプログラムブックおよび予稿集 公開日 :2020年11月16日 (2)韓国精密工学会2021年春季大会(Korean Society for Precision Engineering 2021 Spring Conference)に関するオンライン会議の目次および予稿集 掲載日 :2021年5月12日 掲載アドレス:https://www.dbpia.co.kr/journal/publicationDetail?publicationId=PLCT00000997 (3)CIRP Annals-Manufacturing Technology 70(2021),第273~276頁 公開日 :2021年6月9日 (4)精密工学と持続可能な製造(Precision Engineering and Sustainable Manufacturing)に関するオンライン国際シンポジウム(PRESM2021)のプログラムおよび予稿集 公開日 :2021年7月21日
(71)【出願人】
【識別番号】517187924
【氏名又は名称】ケーピーエックス ケミカル カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】514291196
【氏名又は名称】コリア アドバンスト インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】ミン ビュンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ホン ソクジ
(72)【発明者】
【氏名】キム スングン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジュンヒ
(72)【発明者】
【氏名】カン ミンウ
(72)【発明者】
【氏名】オウ ナムグ
(72)【発明者】
【氏名】キム サンハ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジフン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ヒュンジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン スクキュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンジェ
【テーマコード(参考)】
3C158
4F071
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AC04
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB04
3C158EB20
3C158EB21
3C158EB28
3C158EB29
4F071AA53
4F071AA67
4F071AB03
4F071AD01
4F071AG12
4F071BA09
4F071BB02
4F071BB12
4F071BC01
4F071BC03
4F071BC07
4F071DA17
5F057AA24
5F057AA37
5F057BA11
5F057DA03
5F057EB03
(57)【要約】
本発明は、上部面に成形された多数の突起を含むポリマー基材層;及び前記基材層の上部面に埋め込まれて固定されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ層;を含むCMP用複合研磨パッド及びその製造方法を提供する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部面に成形された多数の突起を含むポリマー基材層;及び
前記ポリマー基材層の上部面に埋め込まれて固定されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ層;を含むCMP用複合研磨パッド。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブ層の前記カーボンナノチューブが前記ポリマー基材層の上部面に不規則な網状(net form)構造で埋め込まれたことを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項3】
前記不規則な網状(net form)構造は、前記カーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らして形成された構造であることを特徴とする、請求項2に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項4】
前記ポリマー基材層は、ショア硬度が20D~70Dであることを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項5】
前記突起は、最大幅が10μm~500μmであり、高さが3μm~150μmであることを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブは、直径が1nm~50nmであり、長さが1μm~30μmであることを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項7】
前記突起は、類似半球状であることを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項8】
(a) 多数の突起が陰核された金型にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部にポリマーをコーティングして上部面が平らなポリマー基材層を形成する段階;および
(c) 前記金型を脱型する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項9】
前記(b)段階は、真空状態で行うことを特徴とする、請求項8に記載のCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項10】
(a) 基板上にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部にポリマーをコーティングして、上部面が平らなポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記カーボンナノチューブから前記基板を分離して除去する段階;および
(d) 前記基板が除去された面にエンボス処理を行い、前記ポリマー基材層及び不規則な網状(net form)構造のカーボンナノチューブ層を含む多数の突起を成形する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項11】
前記(d)段階のエンボス処理は、前記多数の突起が陰刻された金型で前記基板が除去された前記カーボンナノチューブの上部面を加熱条件下で加圧して行うことを特徴とする、請求項10に記載のCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項12】
前記(b)段階は、真空状態で行うことを特徴とする、請求項10に記載のCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブを含む複合研磨パッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing; CMP)は、ウエハやガラスパネルを平坦化、鏡面化する核心工程で、研磨パッドとナノ粒子を含むスラリーの機械的、化学的作用によって研磨を行う。
【0003】
図1は、CMP装置の概略図である。CMP装置は、キャリア(3)が研磨対象物(2、例えば、ウエハ)をしっかりと固定した状態で、回転テーブル(1)に固定された研磨パッド(100)面に前記研磨対象物を加圧して研磨を行う。具体的には、キャリア(3)と回転テーブル(1)がそれぞれ独立して回転する間、液体スラリー(研磨剤)がノズル(5)から研磨パッド(100)に加わり、これにより化学的及び機械的研磨が行われる。また、研磨工程中にコンディショナー(conditioner)(4)が研磨対象物(1)から離隔した位置で研磨パッド(100)に加圧され、研磨パッド(100)の表面を粗くし、研磨パッドの粗い表面状態を維持する。
【0004】
前記CMP装置には、一般的にポリウレタンベースの研磨パッドが使用されている。しかし、従来のポリウレタンベースの研磨パッドは、研磨工程で高硬度のナノ粒子、研磨対象物、およびダイヤモンドコンディショナー(Diamond conditioner)との摩擦によって摩耗が急速に進行し、寿命が短いという欠点がある。また、不規則な表面粗さのため、均一な研磨性能を保証できないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公開 第10-2021-0002429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の前記のような問題を解消するために創案されたものであり、研磨性能及び寿命が大幅に向上したCMP用複合研磨パッド及びその効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、
上部面に成形された多数の突起を含むポリマー基材層;及び
前記基材層の上部面に埋め込まれて固定されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ層;を含むCMP用複合研磨パッドを提供する。
【0008】
本発明の一実体態様において、前記カーボンナノチューブ層のカーボンナノチューブは、前記ポリマー基材層の上部面に不規則な網状(net form)構造で埋め込まれたものであってもよい。
【0009】
本発明の一実施態様において、前記不規則な網状(net form)構造は、カーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らして形成された構造であってもよい。
【0010】
本発明の一実施態様において、前記ポリマー基材層は、ショア硬度が20D~70Dであってもよい。
本発明の一実施態様において、前記突起は、最大幅が10μm~500μmであり、高さが3μm~150μmであってもよい。
【0011】
本発明の一実施態様において、前記カーボンナノチューブは、直径が1nm~50nmであり、長さが1μm~30μmであってもよい。
本発明の一実施態様において、前記突起は、類似半球状であってもよい。
【0012】
また、本発明は、
(a) 多数の突起が陰核された金型にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部にポリマーをコーティングして上部面が平らなポリマー基材層を形成する段階;および
(c) 前記金型を脱型する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法を提供する。
本発明の一実施態様において、前記(b)段階は、真空状態で行ってもよい。
【0013】
また、本発明は、
(a) 基板上にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部にポリマーをコーティングして、上部面が平らなポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記カーボンナノチューブから基板を分離して除去する段階;および
(d) 前記基板が除去された面にエンボス処理を行い、ポリマー基材層及び不規則な網状(net form)構造のカーボンナノチューブ層を含む多数の突起を成形する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法を提供する。
【0014】
本発明の一実施態様において、前記(d)段階のエンボス処理は、多数の突起が陰刻された金型で前記基板が除去されたカーボンナノチューブの上部面を加熱条件下で加圧して行ってもよい。
本発明の一実施態様において、前記(b)段階は、真空状態で行ってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のCMP用複合研磨パッドは、ポリマー基材層の上部面に埋め込まれて固定されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ層を含むことにより、改善した研磨性能及び寿命を提供する。
【0016】
また、本発明のCMP用複合研磨パッドの製造方法は、前記研磨パッドを効率的に製造することができる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】代表的なCMP装置の構造を示した斜視図である。
図2】本発明の複合研磨パッドの一実施態様を模式的に示した断面図である。
図3】本発明の一実施態様として、複合研磨パッドに含まれる突起の構造を模式的に示した断面図である。
図4】研磨パッドに備えられた微細突起の機械的物性の差による微細突起、研磨粒子、及び研磨対象物の接触様相を模式的に示した図である。
図5】本発明の一実施態様として、複合研磨パッドの製造方法を模式的に示した図である。
図6】本発明の一実施態様として、ポリマー基材層の上部面にカーボンナノチューブが不規則な網状(net form)構造で配列された複合研磨パッドを撮影したSEM写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について添付の図面を参照にして詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実施することができ、ここで説明する実施例に限定されない。明細書の全体に亘って類似した部分については同じ図面符号を付した。
【0019】
ある構成要件が他の構成要件に「連結される、備えられる、又は設けられる」と言及されたときには、その他の構成要件に直接的に連結又は設けられてもよいが、その間に他の構成要件が存在してもよいと理解されるべきである。
【0020】
本発明のCMP用複合研磨パッドは、図2図3に示すように、
上部面に成形された多数の突起を含むポリマー基材層(10);および
前記基材層の上部面に埋め込まれて固定されたカーボンナノチューブ(22)を含むカーボンナノチューブ層(20)を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の複合研磨パッドは、前記のような構造により研磨効率及び寿命を大幅に向上させるという特徴を有する。
【0022】
つまり、前記カーボンナノチューブ層は、研磨粒子を圧入する場合、表面のカーボンナノチューブ及びカーボンナノチューブが埋め込まれたポリウレタンの高い硬度により、研磨粒子に高い力を加えて研磨効率を向上させる。また、前記カーボンナノチューブの表面層の存在による機械的強度の向上により、研磨パッドの寿命も向上させる。
【0023】
本発明の一実施態様において、前記カーボンナノチューブ層(20)のカーボンナノチューブは、図2及び図3に示すように、前記ポリマー基材層(10)の表面に不規則な網状(net form)構造で埋め込まれたものであってもよい。
【0024】
前記不規則な網状(net form)構造は、カーボンナノチューブを一部が重なるように撒き散らして形成された構造であってもよい。前記で撒き散らすという意味は、カーボンナノチューブを分散させて配置させるという意味であり、前記重なるという意味は、カーボンナノチューブの一部が重なって立体構造が強化された形態であることを意味する。
【0025】
本発明の一実施態様において、前記ポリマー基材層(10)は、ショア硬度が20D~70Dであってもよく、好ましくは30D~45Dであってもよい。前記ポリマー基材層の硬度が前記範囲を満たす場合、突起と研磨対象物との接触面積を適切に形成することができるだけでなく、研磨パッドの寿命及び効率も向上することができるので好ましい。
【0026】
本発明の一実施態様において、前記ポリマー基材層(10)を形成するショア硬度が20D~70Dであるポリマーの素材としては、ポリウレタン樹脂、UV硬化性樹脂、シリコーン(Silicone)樹脂等からなる群から選択される1種以上が使用されてもよいが、これらに限定されず、本発明に悪影響を及ぼさないものであれば、この分野に公知の素材を制限なく使用してもよい。
【0027】
本発明の一実施態様において、前記ポリマー基材層(10)の突起の高さを除いた厚さは2mm~50mm、より好ましくは3mm~30mmであってもよい。
【0028】
前記ポリマー基材層(10)は、例えば、二つ以上の層で形成されたものであってもよい。すなわち、ショア硬度が20D~45Dである軟質ポリマー層が研磨面を基準にして内部に配置され、前記軟質ポリマー素材の外部面にショア硬度(shore hardness)が45D~70Dである硬質ポリマー層が積層された形態であってもよい。この場合、前記カーボンナノチューブ層は、前記硬質ポリマー層の表面に備えられてもよい。
【0029】
前記のように、ポリマー基材層(10)が軟質ポリマー層及び硬質ポリマー層の積層体で形成される場合、軟質ポリマー層により広い接触面積を確保することができ、表面の硬質ポリマー層により研磨粒子を深く圧入することができるので好ましい。そして、このような各層の機能により、研磨パッドの研磨効率と寿命も向上することができる。
【0030】
前記のような効果は、図4のようなイメージで表現することができる。図4は、研磨パッドに備えられる微細突起の機械的物性の差によって変わる微細突起、研磨粒子、及び研磨対象物(例えば、ウエハ)の接触様相を示す。
【0031】
図4の(a)に示すように、機械的に柔らかい物性を有する微細突起の場合、変形が容易で広い接触面積を有するが、研磨粒子に十分な荷重を加えないため、研磨対象物の表面を圧入して研磨することができない。また、摩耗しやすく、研磨パッドとして継続的な使用が不可能であるという欠点がある。
【0032】
一方、機械的に強い物性を有する微細突起(例えば、耐摩耗性の大きい素材で製造された微細突起)の場合、図4の(b)に示すように、研磨粒子に荷重を加え、研磨対象物の表面を深く圧入して研磨できるという利点があるが、研磨対象物と広い接触面積を形成できないという欠点がある。
【0033】
一方、図4の(c)に示すように、機械的に柔らかい物性を有する微細突起の表面に、機械的に強い物性を有する素材(例えば、耐摩耗性の大きい素材)でコーティング層を形成する場合、前述した効果が得られる。
【0034】
前記のように、ポリマー基材層(10)が軟質ポリマー層及び硬質ポリマー層の積層体で形成される場合、前記軟質ポリマー層の突起の高さを除いた厚さは、1mm~20mm、より好ましくは2mm~10mmであってもよい。また、前記硬質ポリマー層の突起の高さを除いた厚さは、5μm~90μm、より好ましくは10μm~40μmであってもよい。前記コーティング層の厚さが前記厚さより薄い場合、研磨パッドが摩耗しやすく、厚すぎる場合、カーボンナノチューブによる研磨粒子の把持力が減少すると同時に研磨接触面積が減少するので好ましくない。しかし、前記範囲は、カーボンナノチューブの密度、長さの調整を通じて適切に調節することができる。
【0035】
本発明の一実施態様において、前記突起は、最大幅が10μm~500μmであり、高さが3μm~150μmであってもよい。しかし、前記範囲がこの範囲に限定されず、研磨対象物及び研磨条件に応じて適切に調節することができる。
【0036】
本発明の一実施態様において、前記カーボンナノチューブは、直径が1nm~50nmであり、長さが1μm~30μmであってもよい。しかし、前記直径及び長さがこの範囲に限定されず、研磨対象物及び研磨条件に応じて適切に調節することができる。
【0037】
本発明の一実施態様において、前記突起は、例えば、半球に類似した形態を有してもよいが、特にその形態は限定されない。前記突起は、図2及び図3に示すように、ポリマー基材層(10)およびカーボンナノチューブ層(20)を含み、複合研磨パッドの上方向に突出する。
【0038】
本発明の一実施態様において、前記複合研磨パッドは、ポリマー基材層(10)と前記基材層(10)に埋込み固定されたカーボンナノチューブとの間に気孔が存在しない構造を有してもよい。前記気孔が存在しない場合、前記ポリマー基材層(10)と前記基材層(10)に埋込み固定されたカーボンナノチューブがよりしっかりと結着することができるので好ましい。
【0039】
前記のように気孔が存在しない構造は、以下に説明するように、真空中で前記層間の結合を形成することによって形成することができる。前記気孔が存在しないという表現は、実質的に気孔が存在しないことを意味することもある。
【0040】
本発明は、また、CMP用複合研磨パッドの製造方法を提供し、前記製造方法は、図5に示すように、次の(a)~(c)の段階を含むことができる:
(a) 多数の突起が陰核された金型にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部にポリマーをコーティングして上部面が平らなポリマー基材層を形成する段階;および
(c) 前記金型を脱型する段階
【0041】
前記(a)段階のカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす方法は、この分野に公知の方法で行うことができる。例えば、図5に示すように、ノズルを通してカーボンナノチューブを金型に噴射する方法で行うことができる。このとき、カーボンナノチューブは溶媒に分散された形で噴射することもできる。前記溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
前記(b)段階のコーティングは、この分野に公知の方法で実施することができる。例えば、スピンコーティング、スプレーコーティングなどの方法でコーティングしてもよく、その他、この分野に公知の方法でコーティングを行ってもよい。
【0043】
本発明の一実施態様において、前記(b)段階は、真空状態で行ってもよい。真空状態でコーティングが行われる場合、カーボンナノチューブとポリマー基材層との間に気孔が形成されることを防止することができ、これにより、カーボンナノチューブがより強く埋込み固定することができるので好ましい。
【0044】
本発明は、また、他のCMP用複合研磨パッドの製造方法を提供し、前記製造方法は、次の(a)~(d)段階を含むことができる:
(a) 基板上にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部にポリマーをコーティングして、上部面が平らなポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記カーボンナノチューブから基板を分離して除去する段階;および
(d) 前記基板が除去された面にエンボス処理を行い、ポリマー基材層、網状で配列されたカーボンナノチューブ層を含む多数の突起を成形する段階
【0045】
前記(b)段階のコーティングは、この分野に公知の方法で実施することができる。例えば、スピンコーティング、スプレーコーティングなどの方法でコーティングしてもよく、その他、この分野に公知の方法でコーティングを行ってもよい。
【0046】
前記(c)段階の基板分離は、例えば、機械的なシリコン分離(離型)、シリコンエッチングなどの方法で行ってもよい。
【0047】
前記(d)段階のエンボス処理は、多数の突起が陰刻された金型で前記基板が除去されたカーボンナノチューブの上部面を加熱条件下で加圧する方法で行ってもよい。このとき、前記金型の温度は200~250℃で行ってもよいが、これに限定されない。前記金型は、ニッケル、銅などの金属素材で製造されたものを使用してもよく、前記マイクロパターンは、微小電気機械システム(Micro Electro-Mechanical System; MEMS)工程を活用して製作してもよい。
【0048】
本発明の一実施態様において、前記(b)段階は、真空状態で行ってもよい。真空状態でコーティングが行われる場合、カーボンナノチューブとポリマー基材層との間に気孔が形成されることを防止することができ、これにより、カーボンナノチューブがより強く埋込み固定することができるので好ましい。
【0049】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で詳述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例
【0050】
実施例1:複合研磨パッドの製造
イソプロピルアルコールにカーボンナノチューブを分散させてカーボンナノチューブ分散液を調製した。次に、半径が50μmの多数の半球状突起が陰核された金型に空圧ノズルを用いて前記分散液を塗布した。前記カーボンナノチューブが塗布された金型の上にショア硬度が30Dであるポリウレタン樹脂(50μm)を真空雰囲気下で塗布し、カーボンナノチューブの上端部を基準として厚さが5mmのポリマー基材層を形成した。
前記ポリマー基材層を硬化させた後、金型を分離して除去し、本発明の複合研磨パッドを製造した。
【0051】
実施例2:複合研磨パッドの製造
イソプロピルアルコールにカーボンナノチューブを分散させてカーボンナノチューブ分散液を調製した。次に、60℃に加熱されたホットプレート上に置かれたポリプロピレン基板上に空圧ノズルを用いて前記分散液を塗布した。前記カーボンナノチューブが塗布された金型の上にショア硬度が30Dであるポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 30D、製造社:Smooth-On)を真空雰囲気下で塗布して、カーボンナノチューブの上端部を基準として厚さが5mmであるポリマー基材層を形成した。
【0052】
前記ポリマー基材層を硬化させた後、前記基板を分離して除去した。次に、前記基板が除去されたカーボンナノチューブ面を半径が50μmの多数の半球状突起が陰核された金型を使用して200℃で加圧し、エンボス処理を行い、本発明の複合研磨パッドを製造した。
【0053】
実施例3:複合研磨パッドの製造
イソプロピルアルコールにカーボンナノチューブを分散させてカーボンナノチューブ分散液を調製した。次に、60℃に加熱されたホットプレート上に置かれたポリプロピレン基板上に空圧ノズルを用いて前記分散液を塗布した。前記カーボンナノチューブが塗布された金型の上にショア硬度が45Dであるポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 45D、製造社:Smooth-On)を真空雰囲気下で塗布して、スピンコーティングで塗布し、カーボンナノチューブの上端部を基準として厚さが5mmである硬質ポリマー層を形成した。
【0054】
前記硬質ポリマー層を硬化させた後、シリコン基板を機械的に分離してカーボンナノチューブをポリウレタンに転写した。
【0055】
前記分離されたカーボンナノチューブの反対面の硬質ポリマー層にショア硬度が30Dであるポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 30D、製造社:Smooth-On)を真空雰囲気下で塗布し、厚さが5mmである軟質ポリマー層を形成した。
【0056】
前記軟質ポリマー層を硬化させた後、半径が50μmの多数の半球状突起が陰核された金型を使用して200℃で前記カーボンナノチューブを上部で加圧し、エンボス加処理を行い、本発明の複合研磨パッドを製造した。
【0057】
比較例1:複合研磨パッドの製造
ショア硬度が30Dのポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 30D、製造社:Smooth-On)を塗布し、厚さが5mmのポリマー基材層を形成した。
【0058】
前記ポリマー基材層を硬化させた後、半径が50μmの多数の半球状突起が陰核された金型を使用して200℃で加圧し、エンボス加処理を行い、複合研磨パッドを製造した。
【符号の説明】
【0059】
1:回転テーブル
2:ウエハ
3:キャリア(回転ヘッド)
4:コンディショナー
5:ノズル
10:ポリマー基材層
20:カーボンナノチューブ層
22:カーボンナノチューブ
30:硬質ポリマーコーティング層
100:複合研磨パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】