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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-18
(54)【発明の名称】MC3Rアゴニストペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/08 20060101AFI20240611BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240611BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240611BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240611BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240611BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240611BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240611BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240611BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
C07K7/08
A61K38/08 ZNA
A61P43/00 111
A61P1/00
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61K45/00
A61K38/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573081
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022031366
(87)【国際公開番号】W WO2022251650
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/193,950
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507238218
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン
(71)【出願人】
【識別番号】523444763
【氏名又は名称】カリッジ セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムス,サバンナ ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス,ルイス イー.
(72)【発明者】
【氏名】ソーヤー,トミ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】コーン,ロジャー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】リー,ピル ヒューイ
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー,パトリック
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA17
4C084BA18
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA05
4C084ZA11
4C084ZA12
4C084ZA18
4C084ZA66
4C084ZC41
4C084ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA15
4H045BA16
4H045DA30
4H045EA20
4H045FA20
(57)【要約】
摂食障害(例えば、神経性食欲不振、悪液質など)、代謝障害(例えば、サルコペニア)、内分泌及び成長障害(例えば、発育遅延及び/または思春期遅発)、及び/または感情/精神障害(例えば、抑うつ、不安、OCD、PTSDなど)の治療及び/または予防のためのメラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストペプチド及びその使用方法が本明細書に提供される。具体的には、他のメラノコルチン受容体(例えば、メラノコルチン4受容体(MC4R)、メラノコルチン1受容体(MC1R)など)と比較してMC3Rに対して増強された選択性を示す、及び/またはMC4RアンタゴニストであるMC3Rアゴニストペプチド、ならびにその使用方法が、本明細書に提供される。本明細書におけるMC3Rアゴニストペプチドは、他の既知のMC3Rアゴニストと比較して、増強されたインビトロ効力、インビボ有効性、及び薬物動態特性を示し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列:
X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)に対して4つ以下の置換を有するペプチドを含む組成物であって、
式中、Xが、前記ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、C18二酸-Glu-PEG-Gly、アリール(4-I)-PEG-Gly、または不存在であり、
AA0が、不存在、またはGlyであり、
AA1が、Tyr、D-Tyr、NMe-Tyr、または不存在であり、
AA2が、Val、Gly、Ala、Aib、または不存在であり、
AA3が、Met、Nle、Glu、Ser、Asp、homoGlu、またはThrであり、
AA4が、Gly、D-Ala、D-Val、D-Nle、NMe-D-Ala、D-Pro、Ala、Aib、D-Abu、D-Phe、Glu、または不存在であり、
AA5が、His、Pro、Gln、Cit、NMe-His、NMe-Arg、NMe-Lys、NMe-Alaであり、
AA6が、Phe、D-Phe、Nal(2’)、Trp、D-Trp、Tic、Hph、Bip、D-Bip、aMe-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、Phe(4-F)、Phe(4tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-I)、Phe(4-Cl)、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、NMe-Phe、またはD-Phe(4-Cl)であり、
AA7が、Arg、D-Arg、Lys、Orn、Cit、またはNleであり、
AA8が、aMe-D-Trp、D-Trp、Trp、D-Nal(2’)、D-Phe、D-Tic、Tic、D-Phe、またはD-Alaであり、
AA9が、Asp、Ala、Phe、D-Phe、Nle、Lys、Gly、Orn、または不存在であり、
AA10が、Arg、D-Arg、Lys、Ala、または不存在であり、
AA11が、Phe、D-Phe、Pro、Gly、Ala、または不存在であり、
AA12が、Gly、Lys、Val、または不存在であり、
Yが、前記ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、
AA1が存在する場合、AA2が存在し、
AA0が存在する場合、AA2及びAA1が存在し、
AA12が存在する場合、AA10及びAA11が存在し、
AA11が存在する場合、AA10が存在し、
前記ペプチドが、Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号2)からなるものではない、前記組成物。
【請求項2】
前記ペプチドが、前記配列:
X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)との100%の配列類似性を含み、
式中、Xが、前記ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、C18二酸-Glu-PEG-Gly、アリール(4-I)-PEG-Gly、または不存在であり、
AA0が、不存在、またはGlyであり、
AA1が、Tyr、D-Tyr、NMe-Tyr、または不存在であり、
AA2が、Val、Gly、Ala、Aib、または不存在であり、
AA3が、Met、Nle、Glu、Ser、Asp、homoGlu、またはThrであり、
AA4が、Gly、D-Ala、D-Val、D-Nle、NMe-D-Ala、D-Pro、Ala、Aib、D-Abu、D-Phe、Glu、または不存在であり、
AA5が、His、Pro、Gln、Cit、NMe-His、NMe-Arg、NMe-Lys、NMe-Alaであり、
AA6が、Phe、D-Phe、Nal(2’)、Trp、D-Trp、Tic、Hph、Bip、D-Bip、aMe-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、Phe(4-F)、Phe(4tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-I)、Phe(4-Cl)、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、NMe-Phe、またはD-Phe(4-Cl)であり、
AA7が、Arg、D-Arg、Lys、Orn、Cit、またはNleであり、
AA8が、aMe-D-Trp、D-Trp、Trp、D-Nal(2’)、D-Phe、D-Tic、Tic、D-Phe、またはD-Alaであり、
AA9が、Asp、Ala、Phe、D-Phe、Nle、Lys、Gly、Orn、または不存在であり、
AA10が、Arg、D-Arg、Lys、Ala、または不存在であり、
AA11が、Phe、D-Phe、Pro、Gly、Ala、または不存在であり、
AA12が、Gly、Lys、Val、または不存在であり、
Yが、前記ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、
AA1が存在する場合、AA2が存在し、
AA0が存在する場合、AA2及びAA1が存在し、
AA12が存在する場合、AA10及びAA11が存在し、
AA11が存在する場合、AA10が存在し、
前記ペプチドが、Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号2)からなるものではない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ペプチドが、前記配列:
X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)を含み、
式中、Xが、前記ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、C18二酸-Glu-PEG-Gly、アリール(4-I)-PEG-Gly、または不存在であり、
AA0が、不存在、またはGlyであり、
AA1が、Tyr、D-Tyr、NMe-Tyr、または不存在であり、
AA2が、Val、Gly、Ala、Aib、または不存在であり、
AA3が、Met、Nle、Glu、Ser、Asp、homoGlu、またはThrであり、
AA4が、Gly、D-Ala、D-Val、D-Nle、NMe-D-Ala、D-Pro、Ala、Aib、D-Abu、D-Phe、Glu、または不存在であり、
AA5が、His、Pro、Gln、Cit、NMe-His、NMe-Arg、NMe-Lys、NMe-Alaであり、
AA6が、Phe、D-Phe、Nal(2’)、Trp、D-Trp、Tic、Hph、Bip、D-Bip、aMe-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、Phe(4-F)、Phe(4tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-I)、Phe(4-Cl)、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、NMe-Phe、またはD-Phe(4-Cl)であり、
AA7が、Arg、D-Arg、Lys、Orn、Cit、またはNleであり、
AA8が、aMe-D-Trp、D-Trp、Trp、D-Nal(2’)、D-Phe、D-Tic、Tic、D-Phe、またはD-Alaであり、
AA9が、Asp、Ala、Phe、D-Phe、Nle、Lys、DGly、Orn、または不存在であり、
AA10が、Arg、D-Arg、Lys、Ala、または不存在であり、
AA11が、Phe、D-Phe、Pro、Gly、Ala、または不存在であり、
AA12が、Gly、Lys、Val、または不存在であり、
Yが、前記ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、
AA1が存在する場合、AA2が存在し、
AA0が存在する場合、AA2及びAA1が存在し、
AA12が存在する場合、AA10及びAA11が存在し、
AA11が存在する場合、AA10が存在し、
前記ペプチドが、Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号2)からなるものではない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アミノ酸配列Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号2)に対して、1~4つの置換または末端欠失を有するペプチドを含む組成物。
【請求項5】
アミノ酸配列Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp(配列番号3)に対して、1~3つの置換を有するペプチドを含む、組成物。
【請求項6】
アミノ酸配列Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号4)に対して、1~3つの置換を有するペプチドを含む、組成物。
【請求項7】
アミノ酸配列Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp(配列番号5)に対して、1つまたは2つ以下の置換を有するペプチドを含む、組成物。
【請求項8】
前記ペプチドが、配列番号2~110のうちの1つから選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ペプチドが、配列番号6~110のうちの1つから選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ペプチドが、1つ以上の非タンパク質構成アミノ酸またはアミノ酸類似体を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ペプチドが、メラノコルチン4受容体(MC4R)よりも、メラノコルチン3受容体(MC3R)に対して選択的である、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ペプチドが、メラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストである、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
摂食障害を治療する方法であって、前記摂食障害に罹患している対象に、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
前記摂取障害が、摂取不足(under eating)を特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記摂食障害が、1つ以上の感情/精神症状を特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記摂食障害が、不安及び/または抑うつを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記摂食障害が、神経性食欲不振である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、栄養療法、心理療法、経鼻胃栄養法、抗うつ剤、及び/または抗精神病剤と同時投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
感情/精神障害を治療する方法であって、前記感情/精神障害に罹患している対象に、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項20】
前記感情/精神障害が、不安及び/または抑うつを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、心理療法、抗不安剤、気分安定剤、興奮剤、抗うつ剤、及び/または抗精神病剤と同時投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記投与が、少なくとも1週間の期間、反復的に繰り返される、請求項13~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記投与が、毎日繰り返される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記投与が、少なくとも1ヶ月の期間、反復的に繰り返される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記投与が、少なくとも1年の期間、反復的に繰り返される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
摂食障害及び/または感情/精神障害の治療または予防における、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物の、使用。
【請求項27】
薬剤としての、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物の、使用。
【請求項28】
薬剤の製造に使用するための、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる、2021年5月27日に出願された米国仮特許出願第63/193,950号の利益を主張する。
【0002】
配列表
2022年5月27日に作成され、46,834バイトのファイルサイズを有する「39119-601_SEQUENCE_LISTING_ST25」と題された、本明細書と共に提出されたコンピュータ可読配列表のテキストは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
摂食障害(例えば、神経性食欲不振、悪液質など)、代謝障害(例えば、サルコペニア)、内分泌及び成長障害(例えば、発育遅延及び/または思春期遅発)、及び/または感情/精神障害(例えば、抑うつ、不安、OCD、PTSDなど)の治療及び/または予防のためのメラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストペプチド及びその使用方法が本明細書に提供される。具体的には、他のメラノコルチン受容体(例えば、メラノコルチン4受容体(MC4R)、メラノコルチン1受容体(MC1R)など)に対してMC3Rと比較して増強された選択性を示す、及び/またはMC4RアンタゴニストであるMC3Rアゴニストペプチド、ならびにその使用方法が、本明細書に提供される。本明細書におけるMC3Rアゴニストペプチドは、他の既知のMC3Rアゴニストと比較して、増強されたインビトロ効力、インビボ有効性、及び薬物動態特性を示し得る。
【背景技術】
【0004】
神経性食欲不振及び疾患の悪液質などの負のエネルギーバランスの障害は、食物摂取の減少、危険なほど低いBMI、及び不安及び抑うつのリスクの増加を特徴とする。これらの障害の深刻な結果にもかかわらず、これらのリスクのある患者集団において、摂食を刺激し、不安を軽減するための薬理学的戦略はほとんど存在しない。多くの研究が、摂食を刺激し、不安、恐怖、及びアラームを含む他の競合する動機づけ状態を低減する上での視床下部AgRP神経回路の重要な役割を確立しており、肥満の潜在的な治療薬として、これらの回路を抑制する薬理学的標的を特定することに熱心な努力が注がれてきた。しかしながら、神経性食欲不振または疾患の悪液質などの負のエネルギーバランスの条件下でのこれらの経路の薬理学的刺激の有用性に研究は、はるかに少ない。
【発明の概要】
【0005】
摂食障害(例えば、神経性食欲不振、悪液質など)、代謝障害(例えば、サルコペニア)、内分泌及び成長障害(例えば、発育遅延及び/または思春期遅発)、及び/または感情/精神障害(例えば、抑うつ、不安、OCD、PTSDなど)の治療及び/または予防のためのメラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストペプチド及びその使用方法が本明細書に提供される。具体的には、他のメラノコルチン受容体(例えば、メラノコルチン4受容体(MC4R)、メラノコルチン1受容体(MC1R)など)に対してMC3Rと比較して増強された選択性を示す、及び/またはMC4RアンタゴニストであるMC3Rアゴニストペプチド、ならびにその使用方法が、本明細書に提供される。本明細書におけるMC3Rアゴニストペプチドは、他の既知のMC3Rアゴニストと比較して、増強されたインビトロ効力、インビボ有効性、及び薬物動態特性を示し得る。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC3Rペプチドは、70%以上のインビボ有効性(例えば、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%など)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC3Rペプチドは、MC4Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC3Rペプチドは、MC1Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC3Rペプチドは、MC2Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC3Rペプチドは、MC5Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。
【0006】
いくつかの実施形態では、摂食障害を治療する方法であって、摂食障害に罹患している対象に、メラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、摂食障害は、摂食不足(under eating)を特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、1つ以上の感情/精神症状を特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、不安及び/または抑うつを特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、神経性食欲不振である。いくつかの実施形態では、摂食障害は、回避/制限性食物摂取障害(ARFID)である。いくつかの実施形態では、摂食障害は、悪液質である。いくつかの実施形態では、摂食障害は、ストレス誘発性食欲不振である。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストは、メラノコルチン4受容体(MC4R)よりもMC3Rに対して選択的である。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストは、ペプチドである。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1週間(例えば、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上)の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、毎日繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、1日2回繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、隔日で繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、毎週繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1ヶ月(例えば、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上)の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1年の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストは、栄養療法、心理療法、経鼻胃栄養法、抗うつ剤、及び/または抗精神病剤と同時投与される。
【0007】
いくつかの実施形態では、代謝障害(例えば、サルコペニア)を治療する方法であって、代謝障害に罹患している対象に、メラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、発育遅延及び/または思春期遅発を治療または予防する方法であって、成長遅延及び/または思春期遅発に罹患している、またはリスクがある対象に、メラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、感情/精神障害を治療する方法であって、感情/精神障害に罹患している対象に、メラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、感情/精神障害は、不安及び/または抑うつを特徴とする。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストは、メラノコルチン4受容体(MC4R)よりもMC3Rに対して選択的であるペプチドである。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1週間(例えば、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上)の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、毎日繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、1日2回繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、毎週繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1ヶ月(例えば、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上)の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1年の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストは、心理療法(例えば、認知行動療法、家族療法など)、抗不安剤、気分安定剤、興奮剤、抗うつ剤、及び/または抗精神病剤と同時投与される。
【0010】
いくつかの実施形態では、配列:
X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)に対して4つ以下(例えば、4つ、3つ、2つ、1つ、または0)の置換を有するペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)が、本明細書で提供され、
式中、Xは、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、C18二酸-Glu-PEG-Gly、アリール(4-I)-PEG-Gly、または不存在であり、
AA0は、不存在、またはGlyであり、
AA1は、Tyr、D-Tyr、NMe-Tyr、または不存在であり、
AA2は、Val、Gly、Ala、Aib、または不存在であり、
AA3は、Met、Nle、Glu、Ser、Asp、homoGlu、またはThrであり、
AA4は、Gly、D-Ala、D-Val、D-Nle、NMe-D-Ala、D-Pro、Ala、Aib、D-Abu、D-Phe、Glu、または不存在であり、
AA5は、His、Pro、Gln、Cit、NMe-His、NMe-Arg、NMe-Lys、NMe-Alaであり、
AA6は、Phe、D-Phe、Nal(2’)、Trp、D-Trp、Tic、Hph、Bip、D-Bip、aMe-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、Phe(4-F)、Phe(4tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-I)、Phe(4-Cl)、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、NMe-Phe、またはD-Phe(4-Cl)であり、
AA7は、Arg、D-Arg、Lys、Orn、Cit、またはNleであり、
AA8は、aMe-D-Trp、D-Trp、Trp、D-Nal(2’)、D-Phe、D-Tic、Tic、D-Phe、またはD-Alaであり、
AA9は、Asp、Ala、Phe、D-Phe、Nle、Lys、Gly、Orn、または不存在であり、
AA10は、Arg、D-Arg、Lys、Ala、または不存在であり、
AA11は、Phe、D-Phe、Pro、Gly、Ala、または不存在であり、
AA12は、Gly、Lys、Val、または不存在であり、
Yは、ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、
AA1が存在する場合、AA2が存在し、
AA0が存在する場合、AA2及びAA1が存在し、
AA12が存在する場合、AA10及びAA11が存在し、
AA11が存在する場合、AA10が存在し、
ペプチドは、Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号2)からなるものではない。
【0011】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、His-Phe(またはPheバリアントアミノ酸)-Arg-D-TrpのAA5~AA8を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、配列:
X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)に対して70%以上(例えば、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、100%)の配列類似性を有するペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)が本明細書で提供され、
式中、Xは、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、C18二酸-Glu-PEG-Gly、アリール(4-I)-PEG-Gly、または不存在であり、
AA0は、不存在、またはGlyであり、
AA1は、Tyr、D-Tyr、NMe-Tyr、または不存在であり、
AA2は、Val、Gly、Ala、Aib、または不存在であり、
AA3は、Met、Nle、Glu、Ser、Asp、homoGlu、またはThrであり、
AA4は、Gly、D-Ala、D-Val、D-Nle、NMe-D-Ala、D-Pro、Ala、Aib、D-Abu、D-Phe、Glu、または不存在であり、
AA5は、His、Pro、Gln、Cit、NMe-His、NMe-Arg、NMe-Lys、NMe-Alaであり、
AA6は、Phe、D-Phe、Nal(2’)、Trp、D-Trp、Tic、Hph、Bip、D-Bip、aMe-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、Phe(4-F)、Phe(4tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-I)、Phe(4-Cl)、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、NMe-Phe、またはD-Phe(4-Cl)であり、
AA7は、Arg、D-Arg、Lys、Orn、Cit、またはNleであり、
AA8は、aMe-D-Trp、D-Trp、Trp、D-Nal(2’)、D-Phe、D-Tic、Tic、D-Phe、またはD-Alaであり、
AA9は、Asp、Ala、Phe、D-Phe、Nle、Lys、Gly、Orn、または不存在であり、
AA10は、Arg、D-Arg、Lys、Ala、または不存在であり、
AA11は、Phe、D-Phe、Pro、Gly、Ala、または不存在であり、
AA12は、Gly、Lys、Val、または不存在であり、
Yは、ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、
AA1が存在する場合、AA2が存在し、
AA0が存在する場合、AA2及びAA1が存在し、
AA12が存在する場合、AA10及びAA11が存在し、
AA11が存在する場合、AA10が存在し、
ペプチドが、Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号2)からなるものではない。
【0013】
いくつかの実施形態では、配列:
X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)が本明細書で提供され、
式中、Xは、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、C18二酸-Glu-PEG-Gly、アリール(4-I)-PEG-Gly、または不存在であり、
AA0は、不存在、またはGlyであり、
AA1は、Tyr、D-Tyr、NMe-Tyr、または不存在であり、
AA2は、Val、Gly、Ala、Aib、または不存在であり、
AA3は、Met、Nle、Glu、Ser、Asp、homoGlu、またはThrであり、
AA4は、Gly、D-Ala、D-Val、D-Nle、NMe-D-Ala、D-Pro、Ala、Aib、D-Abu、D-Phe、Glu、または不存在であり、
AA5は、His、Pro、Gln、Cit、NMe-His、NMe-Arg、NMe-Lys、NMe-Alaであり、
AA6は、Phe、D-Phe、Nal(2’)、Trp、D-Trp、Tic、Hph、Bip、D-Bip、aMe-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、Phe(4-F)、Phe(4tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-I)、Phe(4-Cl)、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、NMe-Phe、またはD-Phe(4-Cl)であり、
AA7は、Arg、D-Arg、Lys、Orn、Cit、またはNleであり、
AA8は、aMe-D-Trp、D-Trp、Trp、D-Nal(2’)、D-Phe、D-Tic、Tic、D-Phe、またはD-Alaであり、
AA9は、Asp、Ala、Phe、D-Phe、Nle、Lys、Gly、Orn、または不存在であり、
AA10は、Arg、D-Arg、Lys、Ala、または不存在であり、
AA11は、Phe、D-Phe、Pro、Gly、Ala、または不存在であり、
AA12は、Gly、Lys、Val、または不存在であり、
Yは、ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、
AA1が存在する場合、AA2が存在し、
AA0が存在する場合、AA2及びAA1が存在し、
AA12が存在する場合、AA10及びAA11が存在し、
AA11が存在する場合、AA10が存在し、
ペプチドが、Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号2)からなるものではない。
【0014】
いくつかの実施形態では、アミノ酸配列Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号2)に対して、1~4つの置換及び/または末端欠失したアミノ酸を有するペプチドを含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp(配列番号3)に対して1~3つの置換を有するペプチドを含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号4)に対して1~3つの置換を有するペプチドを含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp(配列番号5)に対して1つまたは2つ以下の置換を有するペプチドを含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、配列番号2~110のうちの1つと100%の配列類似性を有するペプチドを含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、配列番号2~110のうちの1つから選択されるペプチドを含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号6~110のうちの1つから選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、1つ以上の非タンパク質構成アミノ酸またはアミノ酸類似体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、直鎖である。
【0016】
いくつかの実施形態では、メラノコルチン4受容体(MC4R)よりもメラノコルチン3受容体(MC3R)に結合するために選択的であるペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、メラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストである。
【0017】
いくつかの実施形態では、摂食障害を治療する方法であって、摂食障害に罹患している対象に、本明細書のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、摂食障害は、摂食不足を特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、1つ以上の感情/精神症状を特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、不安及び/または抑うつを特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、神経性食欲不振である。いくつかの実施形態では、組成物は、栄養療法、心理療法、経鼻胃栄養法、抗うつ剤、及び/または抗精神病剤と同時投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、摂食障害を治療する方法であって、感情/精神障害に罹患している対象に、本明細書中のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、感情/精神障害は、不安及び/または抑うつを特徴とする。いくつかの実施形態では、組成物は、心理療法、抗不安剤、気分安定剤、興奮剤、抗うつ剤、及び/または抗精神病剤と同時投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、本明細書のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)の投与を、少なくとも1週間の期間、反復的に繰り返す方法が提供される。いくつかの実施形態では、投与は、毎日繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1ヶ月の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1年の期間、反復的に繰り返される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、摂食障害及び/または感情/精神障害の治療または予防における、本明細書のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)の使用が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書のペプチドを薬剤として含む組成物(例えば、薬学的組成物)の使用が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、薬剤の製造を含む本明細書のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)の使用が本明細書に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】MC3Rアゴニスト活性及び特異性についての薬理学的アッセイの例示的な結果。
図2】10個のMC3Rアゴニスト及び陽性対照の血漿安定性。
図3】5つのMC3Rアゴニスト及び陽性対照の血漿安定性。
【0022】
定義
本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法及び材料は、本明細書に記載の実施形態の実施または試験で使用することができるが、いくつかの好ましい方法、組成物、デバイス、及び材料が本明細書に記載される。しかしながら、本発明の材料及び方法が記載される前に、本発明は、ルーチンの実験及び最適化に従って変化し得るため、本明細書に記載される特定の分子、組成物、方法論、またはプロトコルに限定されないことを理解されたい。記述で使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明することのみを目的としており、本明細書に記載される実施形態の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0023】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。ただし、矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先される。したがって、本明細書に記載の実施形態の文脈では、以下の定義が適用される。
【0024】
本明細書において、また付属の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈によってそうでない旨が明確に示されない限り、複数への言及を含む。したがって、例えば、「MC3Rアゴニスト」への言及は、当業者に既知の1つ以上のMC3Rアゴニスト及びその等価物などへの言及である、などである。
【0025】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語及びその言語的変形は、追加の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などの存在を除外することなく、列挙された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などの存在を示す。反対に、「からなる」という用語及びその言語的変形は、列挙された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などの存在を示し、通常付随する不純物を除いて、任意の未列挙の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などを除く。「から本質的になる」という語句は、列挙された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)など、及び組成物、システム、または方法の基本的な性質に実質的に影響を与えない任意の追加の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などを示す。本明細書の多くの実施形態は、オープンな「~を含む(comprising)」という言葉を用いて説明される。かかる実施形態は、複数のクローズな「~からなる(consisting of)」及び/または「~から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態を包含し、これらの実施形態は代替的に、かかる言語を用いて特許請求または説明される場合もある。
【0026】
本明細書で使用される場合、「MC3Rアゴニスト」という用語は、MC3Rに結合し、MC3Rを活性化してその生物学的活性を生じさせる薬剤(例えば、ペプチドなど)を指す。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストは、天然のMC3Rリガンド(例えば、メラノサイト刺激ホルモン及び副腎皮質刺激ホルモン)と同じ位置でMC3Rに結合し、機能的応答を生じる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、広く、ヒト及び非ヒト動物(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、家禽類、魚、甲殻類など)を含むが、これらに限定されない、任意の動物を指す。本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、典型的には、疾患または状態のために治療されている対象を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「神経性食欲不振」または同義語で「食欲不振」という用語は、食物及び液体を自発的に控えることによって、時には過度の運動によって、悪液質のポイントまで細さを追求する中で体重を減らしたいとい絶え間ない欲求を特徴とする心理的状態である。
【0029】
本明細書で使用される場合、「疾患のリスクを有する対象」、例えば、「食欲不振のリスクを有する対象」または「不安のリスクを有する対象」という用語は、疾患(例えば、がん)を発症するための1つ以上のリスク因子を有する対象を指す。特定の疾患に応じて、リスク因子は、性別、年齢、遺伝的素因、環境曝露、感染、及び以前の疾患の事象、ライフスタイルなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な組成物の量を指す。有効量は、1回以上の投与、適用、または投与量で投与することができ、特定の製剤または投与経路に限定されることが意図されない。
【0031】
本明細書で使用される場合、「投与」及び「投与すること」という用語は、薬物、プロドラッグ、もしくは他の薬剤、または治療的治療を対象に、またはインビボ、インビトロ、もしくはエクスビボの細胞、組織、及び臓器に与える行為を指す。人体への例示的な投与経路は、脳または脊髄のくも膜下領域(髄腔内)、眼(眼内)、口腔(経口)、皮膚(局所または経皮)、鼻(経鼻)、肺(吸入)、口腔粘膜(頬側)、耳、直腸、膣を経由するもの、注射(例えば、静脈内、皮下、腫瘍内、腹腔内など)によるものなどであり得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「同時投与」及び「同時投与する」という用語は、少なくとも2つの薬剤(複数可)(例えば、MC3Rアゴニスト及び1つ以上の追加の治療薬)または療法の対象への投与を指す。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤または療法の同時投与は、同時である(例えば、単一の製剤/組成物で、または別個の製剤/組成物で)。他の実施形態では、第1の薬剤/療法は、第2の薬剤/療法の前に投与される。当業者は、使用される種々の薬剤または療法の製剤及び/または経路は異なり得ることを理解する。同時投与のための適切な投与量は、当業者によって容易に決定することができる。いくつかの実施形態では、薬剤または療法が同時投与される場合、それぞれの薬剤または療法は、それらの投与単独に適切であるよりも低い用量で投与される。よって、薬剤もしくは療法の同時投与が、潜在的に危険な(例えば、毒性の)薬剤(複数可)の必要投与量を低下させる、及び/または、2つ以上の薬剤の同時投与が、他方の薬剤の同時投与を介して、一方の薬剤の有益な効果に対する対象の感作をもたらす実施形態において、同時投与が特に望ましい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」という用語は、活性剤と、不活性または活性の担体との組み合わせを指し、組成物を、インビトロ、インビボまたはエクスビボでの診断または治療用途に特に好適なものにする。
【0034】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」という用語は、対象に投与されたときに有害反応、例えば、毒性、アレルギー性、または免疫学的反応を実質的に生じない組成物を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(例えば、油/水もしくは水/油エマルジョンなど)、及び様々な種類の湿潤剤、任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、ラウリル硫酸ナトリウム、等張及び吸収遅延剤、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)などを含むが、これらに限定されない標準的な薬学的担体のいずれかを指す。組成物は、安定剤及び防腐剤も含み得る。担体、安定剤及びアジュバントの例については、例えば、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ.Co.,Easton,Pa.(1975)を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、対象への投与時に、本発明の化合物またはその活性代謝産物もしくは残留物を提供することができる、本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩(例えば、酸または塩基)を指す。当業者に知られる通り、本発明の化合物の「塩」は、無機または有機酸及び塩基に由来し得る。酸の例としては、限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際に、中間物として有用な塩の調製において利用されてもよい。
【0037】
本明細書で使用される場合、「対象に上記化合物を投与するための説明書」という用語、及びその文法的等価物は、状態の治療のためにキットに含まれる組成物を使用するための説明書を含む(例えば、投薬、投与経路、患者固有の特性と治療的作用経過とを相関させるための治療医のための決定木を提供する)。
【0038】
「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及びアミノ酸類似体を指し、それらの構造がそのような立体異性体の形態を可能にする場合、別途指示されない限り、それらのD及びL立体異性体の全てを指す。本明細書の実施形態は、当業者によって理解される様々なアミノ酸の略語(1文字または3文字の略語)を指す。本明細書で定義されない任意のアミノ酸の略語は、それらの分野で許容される意味を指す。例えば、アミノ酸名の前にある「NMe」は、アミノ酸上の「N-メチル」基を指し、「Nle」は「ノルロイシン」であり、「Abu」は「α-アミノ酪酸」であり、「Aib」は「2-アミノイソ酪酸」であり、「Nal(2’)は「3-(2-ナフチル)-L-アラニン」であり、「tic」は「1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸」であり、「HpH」は「ホモフェニルアラニン」であり、「Bip」は「N-アルファ-Fmoc-ベータ-(4-ビフェニル)-L-アラニン」であり、「D-Phe(4tBu)」は「D-4-tert-ブチル-フェニルアラニン」であり、一般的なタンパク質構成アミノ酸の1文字または3文字の略語を以下に提供する。
【0039】
「タンパク質構成アミノ酸」という用語は、ヒト遺伝子コードのためにコードされる20のアミノ酸を指し、アラニン(AlaまたはA)、アルギニン(ArgまたはR)、アスパラギン(AsnまたはN)、アスパラギン酸(AspまたはD)、システイン(CysまたはC)、グルタミン(GlnまたはQ)、グルタミン酸(GluまたはE)、グリシン(GlyまたはG)、ヒスチジン(HisまたはH)、イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、リジン(LysまたはK)、メチオニン(MetまたはM)、フェニルアラニン(PheまたはF)、プロリン(ProまたはP)、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT)、トリプトファン(TrpまたはW)、チロシン(TyrまたはY)、及びバリン(ValまたはV)を含む。セレノシステイン及びピロオリジンもまた、タンパク質構成アミノ酸とみなされ得る。
【0040】
「非タンパク質構成アミノ酸」という用語は、天然にコードされていないか、またはいかなる生物の遺伝子コードにも見出されておらず、翻訳中にタンパク質に生合成的に組み込まれていないアミノ酸を指す。非タンパク質構成アミノ酸は、「非天然アミノ酸」(天然には存在しないアミノ酸)または「天然に存在する非タンパク質構成アミノ酸」(例えば、ノルバリン、オルニチン、ホモシステインなど)であり得る。非タンパク質構成アミノ酸の例は、限定するものではないが、アゼチジンカルボン酸、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、ベータアラニン、ナフチルアラニン、アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸(3-aminoisbutyric acid)、2-アミノピメリン酸、3級ブチルグリシン、2,4-ジアミノイソ酪酸、デスモシン、2,2’-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ホモプロリン、ヒドロキシリジン、アロ-ヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ-イソロイシン、N-メチルアラニン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシンを含むN-アルキルグリシン、N-メチルペンチルグリシンを含むN-アルキルペンチルグリシン、N-メチルバリン、ナフチルアラニン、ノルバリン、ノルロイシン(「Norleu」)、オクチルグリシン、オルニチン、ペンチルグリシン、ピペコール酸、チオプロリン、ホモリジン、及びホモアルギニンを含む。非タンパク質構成には、本明細書のアミノ酸のいずれかのD-アミノ酸形態、ならびに本明細書のアミノ酸のいずれかの非アルファアミノ酸形態(ベータアミノ酸、ガンマアミノ酸、デルタアミノ酸など)も含まれ、これらは全て本明細書の範囲内であり、本明細書のペプチドに含まれ得る。
【0041】
「アミノ酸類似体」という用語は、C末端カルボキシ基、N末端アミノ基、及び側鎖生体活性基のうちの1つ以上が、化学的にブロックされているか、可逆的に、または不可逆的に、または別の生体活性基に改変されている、アミノ酸(例えば、天然または非天然、タンパク質構成または非タンパク質構成)を指す。例えば、アスパラギン酸-(ベータ-メチルエステル)は、アスパラギン酸のアミノ酸類似体であり、N-エチルグリシンは、グリシンのアミノ酸類似体であり、またはアラニンカルボキサミドは、アラニンのアミノ酸類似体である。他のアミノ酸類似体としては、メチオニンスルホキシド、メチオニンスルホン、S-(カルボキシメチル)-システイン、S-(カルボキシメチル)-システインスルホキシド及びS-(カルボキシメチル)-システインスルホンが挙げられる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」という用語は、オリゴマー~ペプチド結合によって互いに結合したアミノ酸の短いポリマーを指す。他のアミノ酸ポリマー(例えば、タンパク質、ポリペプチドなど)とは対照的に、ペプチドは、長さが約30アミノ酸以下である。ペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、タンパク質構成アミノ酸、非タンパク質構成アミノ酸、アミノ酸類似体、及び/または修飾アミノ酸を含んでもよい。ペプチドは、天然に存在するタンパク質のサブ配列または非天然(人工)配列であり得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「人工的」という用語は、合成的に設計または調製され、天然に存在しない組成物及び系を指す。例えば、人工ペプチド、ペプトイド、または核酸は、非天然配列(例えば、天然タンパク質またはその断片と100%の同一性を持たないペプチド)を含むものである。
【0044】
本明細書で使用される場合、「保存的」アミノ酸置換は、ペプチドまたはポリペプチド中のアミノ酸を、サイズまたは電荷などの同様の化学的特性を有する別のアミノ酸で置換することを指す。本開示の目的のために、以下の8つの群のそれぞれは、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)及びグリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸I;
3)アスパラギン(N)及びグルタミン(Q);
4)アルギニンI及びリジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、及びバリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W);
7)セリン(S)及びトレオニン(T);ならびに
8)システインI及びメチオニン(M)。
【0045】
天然に存在する残基は、共通の側鎖特性、例えば、極性陽性(または塩基性)(ヒスチジン(H)、リジン(K)、及びアルギニンI)、極性陰性(または酸性)(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸I)、極性中性(セリン(S)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q))、非極性脂肪族(アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M))、非極性芳香族(フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、プロリン及びグリシン、ならびにシステインに基づいて、クラスに分けられ得る。本明細書で使用される場合、「半保存的」アミノ酸置換は、ペプチドまたはポリペプチド中のアミノ酸の、同じクラス内の別のアミノ酸との置換を指す。
【0046】
いくつかの実施形態では、特に明記しない限り、保存的または半保存的アミノ酸置換は、天然残基と同様の化学的特性を有する非天然に存在するアミノ酸残基も包含してもよい。これらの非天然残基は、典型的には、生物学的システムにおける合成によってではなく、化学ペプチド合成によって組み込まれる。これらは、ペプチド模倣物及び他の逆転または反転形態のアミノ酸部分を含むが、これらに限定されない。本明細書の実施形態は、いくつかの実施形態では、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び/またはアミノ酸類似体に限定され得る。非保存的置換は、あるクラスのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを伴い得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「配列同一性」という用語は、2つのポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸など)が同じモノマーサブユニットの連続した組成を有する程度を指す。「配列類似性」という用語は、2つのポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸など)が、保存的及び/または半保存的アミノ酸置換によってのみ異なる程度を指す。「パーセント配列同一性」(または「パーセント配列類似性」)は、(1)比較ウィンドウ(例えば、より長い配列の長さ、より短い配列の長さ、特定のウィンドウなど)にわたって2つの最適に整列した配列を比較することと、(2)同一の(または類似の)モノマーを含む位置の数(例えば、両方の配列に同じアミノ酸があり、両方の配列に類似のアミノ酸がある)を決定して、一致した位置の数を得ることと、(3)一致した位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数(例えば、より長い配列の長さ、より短い配列の長さ、特定のウィンドウ)で除算することと、(4)結果を100で乗算して、配列同一性パーセントまたは配列類似性パーセントを得ることと、によって計算される。例えば、ペプチドA及びBが両方とも長さが20アミノ酸であり、1つの位置を除いて全て同一のアミノ酸を有する場合、ペプチドA及びペプチドBは、95%の配列同一性を有する。非同一の位置にあるアミノ酸が同じ生物物理学的特性を共有する場合(例えば、両方が酸性であった)、ペプチドA及びペプチドBは、100%の配列類似性を有するであろう。別の例として、ペプチドCが長さが20アミノ酸であり、ペプチドDが長さが15アミノ酸であり、ペプチドDの15アミノ酸のうち14アミノ酸がペプチドCの一部のアミノ酸と同一である場合、ペプチドC及びDは、70%の配列同一性を有するが、ペプチドDは、ペプチドCの最適比較ウィンドウに対して93.3%の配列同一性を有する。本明細書では、「配列同一性パーセント」(または「配列類似性パーセント」)を計算する目的で、整列配列における任意のギャップは、その位置でのミスマッチとして扱われる。
【0048】
参照配列番号(reference sequence ID number)と特定のパーセント配列同一性または類似性(例えば、少なくとも70%)を有するものとして本明細書に記載される任意のペプチドはまた、参照配列に関して最大数の置換(または末端欠失)を有するものとして表されてもよい。例えば、配列番号Z(例えば、20のアミノ酸)と少なくともY%の配列同一性(例えば、90%)を有する配列は、配列番号Zに対して最大Xの置換(例えば、2つ)を有してもよく、したがって、「配列番号Zに対してX(例えば、2つ)以下の置換を有する」と表現されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0049】
摂食障害(例えば、神経性食欲不振、悪液質など)、代謝障害(例えば、サルコペニア)、内分泌及び成長障害(例えば、発育遅延及び/または思春期遅発)、及び/または感情/精神障害(例えば、抑うつ、不安、OCD、PTSDなど)の治療及び/または予防のためのメラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストペプチド及びその使用方法が本明細書に提供される。具体的には、他のメラノコルチン受容体(例えば、メラノコルチン4受容体(MC4R)、メラノコルチン1受容体(MC1R)など)に対してMC3Rと比較して増強された選択性を示す、及び/またはMC4RアンタゴニストであるMC3Rアゴニストペプチド、ならびにその使用方法が、本明細書に提供される。本明細書におけるMC3Rアゴニストペプチドは、他の既知のMC3Rアゴニストと比較して、増強されたインビトロ効力、インビボ有効性、及び薬物動態特性を示し得る。
【0050】
参照によりその全体が組み込まれる国際特許出願第2020257662号は、MC3Rアゴニストが、AgRPニューロン依存性様式で、摂食を刺激し、体重を増加させ、不安を軽減すること、MC3Rが、弓状AgRPニューロンにおいて高発現し、これらの細胞において、食欲不振誘発性POMCニューロンよりも顕著に高い発現であること、MC3Rアゴニスト治療が、ARC MC3Rニューロンの化学遺伝学的または光遺伝学的活性化を表現型模写すること、両方が摂食及び体重を刺激し、不安関連挙動を減少させること、AgRPニューロンの化学遺伝学的阻害が、摂食を減少させ、不安関連挙動を増加させること、MC3Rを欠く対象が、不安行動の増加及びストレス誘発性食欲不振の複数の形態に対する感受性の増加などの神経性食欲不振に類似する複数の行動表現型を示すこと、ならびにMC3Rの刺激は、神経性食欲不振などのエネルギー代謝及び感情の交差における障害と戦うための治療アプローチであること、を実証し、かつ記載している。
【0051】
摂食及び体重の中枢調節は、主に視床下部及び後脳に位置する神経回路によって制御される(参考文献1~3、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。視床下部弓状核に位置する2つの神経細胞タイプのセット、アグーチ関連ペプチドニューロン(AgRPニューロン)及びプロ-オピオメラノコルチンニューロン(POMCニューロン)で構成される中枢メラノコルチン系は、この視床下部及び後脳回路に関与して、摂食及び体重を強力に調節する(参考文献4~6、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。AgRP及びPOMCニューロンは、大部分が重複する脳領域に投影して、摂食及び体重に相反する効果を及ぼす。例えば、AgRPニューロンは、メラノコルチン受容体アゴニスト/逆アゴニスト、アグーチ関連ペプチド(AgRP)、GABA、及びニューロペプチドYを合成及び放出して、摂食及び体重を刺激する(参考文献7、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。対照的に、POMCニューロンは、高速興奮性/阻害性神経伝達物質に加えて、内因性メラノコルチン受容体アゴニスト、アルファメラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)を合成し放出して、摂食を抑制し、体重を減らす(参照文献4、8、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0052】
視床下部AgRPニューロンは、摂食を刺激する上で強力な役割を果たす(参照文献6、9、10、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。成体マウスにおけるAgRPニューロンの焼灼は、飢餓及び死亡をもたらし、刺激は、十分に満足した動物における食物摂取及び体重を迅速かつ堅牢に刺激する(参照文献11~13、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。AgRPニューロン活性化は、摂食を刺激することに加えて、不安及び恐怖などの競合するニーズの状態も抑制し、それによって負のエネルギーバランスに応答した食物探索行動を促進する(参照文献14~15、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。肥満の潜在的な治療戦略として、AgRP神経回路を抑制する薬理学的標的を特定することに多くの努力がなされた。
【0053】
MC3Rは、主に脳内で発現されるGタンパク質共役型受容体であり、特に、視床下部弓状核で観察される高密度発現を有する(参照文献16~17、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。MC3RはAgRPニューロンで発現され、最近の研究は、MC3Rがこれらの細胞の食欲増進活性を調節する上で重要な役割を有することを示唆している(参考文献16、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、MC3Rノックアウトマウスは、絶食またはカロリー制限に応答した摂食の障害など、AgRPニューロンを活性化する条件において複数の欠陥を示す(参照文献18~20、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。MC3Rは、脳室周囲の視床下部(PVN)のシナプス前AgRP末端内で作用し、食欲不振誘発性PVNメラノコルチン4受容体発現ニューロンへのGABA放出を促進する(参考文献18、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。さらに、MC3Rは、成長及び思春期への成熟において発達的役割を果たす(参考文献62、その全体が参照により組み込まれる)。
【0054】
本明細書の実施形態は、摂取障害(例えば、食欲不振、オルトレキシア、悪液質など)、摂食習慣(例えば、摂食不足など)、代謝異常(サルコペニア)、成長または内分泌障害(成長遅延または思春期遅発)、または心理的状態(例えば、不安、抑うつなど)などへの所望の影響を達成するために、MC3Rの調節(例えば、活性化)を提供する。いくつかの実施形態では、MC3Rを活性化するためのMC3Rアゴニストペプチドは、対象に、及び/または1つ以上の追加の治療/療法と同時に投与される。
【0055】
いくつかの実施形態では、摂食障害(例えば、神経性食欲不振、悪液質など)、代謝障害(例えば、サルコペニア)、内分泌障害(成長遅延及び/または思春期遅発)及び/または感情/精神障害(例えば、抑うつ、不安など)の症状を、MC3Rアゴニストペプチドの投与を介して、対象におけるMC3Rの活性を増強することによって、治療、予防、及び/または改善する方法が本明細書に提供される。
【0056】
いくつかの実施形態では、対象は、神経性食欲不振、神経性過食症、異食症、反芻障害、回避性または制限性食物摂取障害、神経性オルトレキシアなどの摂食障害に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、食欲不振に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、摂食障害(例えば、食欲不振)、摂食障害の再発、摂食障害を再発、または摂食障害の身体的症状(例えば、低体重、制限的摂食、体重減少など)を示すリスクがある。
【0057】
いくつかの実施形態では、代謝障害(例えば、サルコペニア)を治療する方法であって、代謝障害に罹患している対象に、メラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0058】
いくつかの実施形態では、発育遅延及び/または思春期遅発を治療または予防する方法であって、発育遅延及び/または思春期遅発に罹患している、またはリスクがある対象に、メラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0059】
いくつかの実施形態では、対象は、不安、抑うつ、双極性感情障害、精神病、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害などの心理的状態または精神疾患に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、不安症に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、精神疾患を発症するか、または精神疾患の症状を示すリスクにある。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書では、[D-Trp8]-γ-MSH(配列番号2)の配列バリアントを含むMC3Rアゴニストペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、配列X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)のペプチドが提供され、式中、Xは、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、C18二酸-Glu-PEG-Gly、アリール(4-I)-PEG-Gly、または不存在であり、AA0は、不存在またはGlyであり、AA1は、Tyr、D-Tyr、NMe-Tyr、または不存在であり、AA2は、Val、Gly、Ala、Aibまたは不存在であり、AA3は、Met、Nle、Glu、Ser、Asp、homoGlu、またはThrであり、AA4は、Gly、D-Ala、D-Val、D-Nle、NMe-Ala、D-Pro、Ala、Aib、D-Abu、D-Phe、Glu、または不存在であり、AA5は、His、Pro、Gln、Cit、NMe-His、NMe-Arg、NMe-Lys、NMe-Alaであり、AA6は、Phe、D-Phe、Nal(2’)、Trp、D-Trp、Tic、Hph、Bip、D-Bip、aMe-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、Phe(4-F)、Phe(4tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-I)、Phe(4-Cl)、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、NMe-Phe、またはD-Phe(4-Cl)であり、AA7は、Arg、D-Arg、Lys、Orn、Cit、またはNleであり、AA8は、aMe-D-Trp、D-Trp、Trp、D-Nal(2’)、D-Phe、D-Tic、Tic、D-Phe、またはD-Alaであり、AA9は、Asp、Ala、Phe、D-Phe、Nle、Lys、Gly、Orn、または不存在であり、AA10は、Arg、D-Arg、Lys、Ala、または不存在であり、AA11は、Phe、D-Phe、Pro、Gly、Ala、または不存在であり、AA12は、Gly、Lys、Val、または不存在であり、Yは、ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、AA1が存在する場合、AA2は存在し、AA0が存在する場合、AA2及びAA1は存在し、AA12が存在する場合、AA10及びAA11は存在し、AA11が存在する場合、AA10は存在し、ペプチドは、Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly(配列番号2)からなるものではない。
【0061】
いくつかの実施形態では、配列X-X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)と少なくとも70%(例えば、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、100%)の保存的配列類似性を有するペプチドが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、配列X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)と少なくとも70%(例えば、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、100%)の半保存的配列類似性を有するペプチドが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、配列X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)と少なくとも70%(例えば、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、100%)の配列同一性を有するペプチドが本明細書に提供される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、配列番号2と比較して、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)の置換または末端欠失を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、及び110のうちの1つ以上に対して、4つ以下の(例えば、4つ、3つ、2つ、1つ)置換(例えば、保存的、半保存的、非保存的など)を有するペプチドが本明細書に提供される。
【0064】
いくつかの実施形態では、N末端キャップ部分は、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合している。いくつかの実施形態では、N末端キャップ部分は、アセチル基である。いくつかの実施形態では、N末端キャップ部分は、薬物動態(PK)修飾基である。そのような基は、参照文献59~61に記載されており(その全体が参照により組み込まれる)、PK修飾部分(例えば、4-ヨードフェニル、C18二酸など)、アミノ酸リンカー部分(例えば、Gly、γGluなど)、及びPEG部分(例えば、メトキシPEG(例えば、mPEG-2、mPEG-3、mPEG-4、mPEG-5、mPEG-6、またはそれ以上))を含む基を含む。いくつかの実施形態では、N末端キャップは、次の一般的な構造のものである。
【化1】

PK修飾キャップの例としては、C18二酸-γGlu-mPEG2(PKcap1)及びアリール(4-I)-Gly-mPEG2(PKcap2)が挙げられる:
【化2】
【0065】
他のPK修飾キャップは、本明細書の範囲内である。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書のペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、修飾アミノ酸、非タンパク質構成アミノ酸、アミノ酸類似体などを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、対象に投与される(例えば、任意の好適な投与経路によって、及び任意の好適な薬学的製剤内で)。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、MC4RよりもMC3Rに対して選択的である。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、対象においてMC3Rに結合する。いくつかの実施形態では、MC3Rの活性は、MC3Rアゴニストペプチドの投与によって増強される。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、摂食障害(例えば、食欲不振)及び/または精神疾患(例えば、不安)のリスクがある、及び/または罹患している対象に、MC3Rアゴニストペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドの投与は、対象における摂食の増加、体重の増加、及び/または不安の減少をもたらす。
【0069】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、局所的に投与される。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、全身的に投与される。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、MC3Rアゴニストペプチドが脳内に到達する、及び/または局在するように投与される。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストは、MC3Rアゴニストペプチドが視床下部に到達及び/または局在するように投与される。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、MC3RアゴニストがAgRPニューロンに到達及び/または局在するように投与される。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、[MC3RアゴニストペプチドがPOMCニューロンに到達及び/または局在するように投与される。
【0070】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC4R、MC5R)よりも選択的に、MC3Rに結合する。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、MC3Rアゴニストペプチドの、1つ以上の他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC4R、MC5R)との結合親和性よりも少なくとも2倍高い(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)親和性でMC3Rに結合する。いくつかの実施形態では、本明細書のMC3Rアゴニストペプチドは、MC4Rよりも選択的にMC3Rに結合する。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、MC4RとのMC3Rの結合親和性よりも少なくとも2倍高い親和性(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)でMC3Rに結合する。
【0071】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、1つ以上の他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC4R、MC5R)に対して、MC3Rの活性を選択的に増強する。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、1つ以上の他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC4R、MC5R)よりも、MC3Rの活性を少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)増強する。いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、MC4Rよりも選択的に、MC3Rの活性を増強する。いくつかの実施形態では、[MC3Rアゴニストペプチドは、MC3Rの活性を、MC4Rの少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)増強する。
【0072】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、追加の薬剤または療法と同時投与される。いくつかの実施形態では、同時投与された薬剤は、MC3Rアゴニストペプチドと同じ状態/疾患/症状(例えば、食欲不振、不安など)の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、同時投与された薬剤は、[D-Trp8]-γ-MSHバリアントペプチドの副作用の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、同時投与された薬剤は、MC3Rアゴニストペプチドによって治療または予防されない併存疾患(例えば、過食症、抑うつ、強迫性障害、疼痛など)の治療または予防のためのものである。
【0073】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、心理療法、経鼻胃栄養法、抗うつ剤、抗不安剤、気分安定剤、興奮剤、及び/または抗精神病剤と同時投与される。
【0074】
「心理療法」という用語は、臨床医またはセラピストが、肯定的な治療結果に影響を与えるために患者との口頭及び他の相互作用を伴う様々な技術のいずれかを使用する、非薬理学的療法の使用を指す。そのような技術は、行動療法、認知療法、精神力学療法、精神分析療法、グループ療法、家族カウンセリング、芸術療法、音楽療法、職業療法、人文療法、実存療法、トランスパーソナル療法、クライアント中心療法(来談者中心療法とも呼ばれる)、ゲシュタルト療法、バイオフィードバック療法、合理的感情行動療法、現実療法、応答ベース療法、箱庭療法、ステータスダイナミクス療法、催眠療法、及び検証療法を含むが、これらに限定されない。上記のものを含む任意の適切な心理療法技術は、適切な状態/疾患(例えば、摂食障害(例えば、食欲不振、悪液質など)、精神疾患(例えば、不安、抑うつなど)などの治療/予防のために、MC3Rアゴニストペプチドと同時投与されてもよい。
【0075】
経鼻胃(NG)栄養法には、鼻を介して胃に食物を運ぶ特別なチューブ(NGチューブ)の使用が含まれる。いくつかの実施形態では、NG栄養法は、経口摂食の代わりに、及び/または経口摂食の補足として、特に、摂食障害の治療の最も初期の段階で利用される。いくつかの実施形態では、NG栄養法は、MC3Rアゴニストと同時投与される。いくつかの実施形態では、(例えば、MC3Rアゴニストの効果の結果として)経口摂取が体重増加をもたらすのに十分になると、NG栄養法を停止する。
【0076】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、抗うつ剤と同時投与される。同時投与のための好適な抗うつ剤としては、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤(例えば、デュロキセチン(Cymbalta)、ベンラファキシン(Effexor)、デスベンラファキシン(Pristiq)など)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、イタロプラム(Celexa)、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac、Sarafem)、フルボキサミン(Luvox)、パロキセチン(Paxil)、セルトラリン(Zoloft)など)、三環式抗うつ剤(例えば、アミトリプチリン(Elavil)、アモキサピン-クロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン(Norpramin)、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、ノルトリプチリン(Pamelor)、プロトリプチリン(Vivactil)、トリミプラミン(Surmontil)など)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、フェネルジン(Nardil)、トランシプロミン(Parnate)、イソカルボキジド(Marplan)、セルグリン(EMSAM、Eldepryl)など)、ノルアドレナリン、及び特異的セロトニン作動性抗うつ剤(例えば、ミアンセリン(Tolvon)、ミトラザピン(Remeron、Avanza、Zispinなど)などが挙げられ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、抗不安剤と同時投与される。同時投与のための好適な抗不安薬としては、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、三環系、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium)、ジアゼパム(Valium)、ロラゼパム(Ativan)など)、ベータ遮断薬(例えば、アテノロール(Tenormin)、プロプラノロール(Inderal)など)、ブスピロン(BuSpar)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤などが挙げられ得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、気分安定剤と同時投与される。同時投与のために好適な気分安定剤としては、リチウム、抗けいれん剤(例えば、バルプロアート(valproate)、ラモトリギン、カルバマゼピンなど)などが挙げられ得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、興奮剤と同時投与される。同時投与に好適な興奮剤としては、アンフェタミン/デキストロアンフェタミン(Adderall)、デキストロアンフェタミン(Dexedrine、ProCentra、Zenzedi)、デキスメチルフェニデート(Focalin)、メチルフェニデート(Ritalin)、硫酸アンフェタミン(Evekeo)、メチルフェニデート(Ritalin SR、Metadate ER、Methylin ER)、アンフェタミン(Adzenys XR-ODT、Dyanavel XR)、デキスメチルフェニデート(Focalin XR)、デキストロアンフェタミン(Adderall XR)、リスデキサンフェタミン(Vyvanse)、メチルフェニデート(Concerta、Daytrana、Jornay PM、Metadate CD、Quillivant XR、Quillichew ER、Ritalin LA)などが挙げられ得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、MC3Rアゴニストペプチドは、本明細書に記載の摂食障害及び/または精神疾患の治療に適した任意の薬剤または薬と同時投与される。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書の薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)を投与する任意の好適な経路及び/または様式は、本明細書の実施形態で使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、中枢神経系(CNS)に作用するため、薬剤のCNSへの侵入を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象の脳に作用するため、薬剤の脳への侵入を容易にする(例えば、薬剤が血液脳関門を通過することを可能にする)経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象の視床下部に作用するため、薬剤の視床下部への送達を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象の視床下部の弓状核に作用するため、弓状核への薬剤の送達を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象のAgRPニューロンに作用するため、AgRPニューロンへの薬剤の送達を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象のPOMCニューロンに作用するため、POMCニューロンへの薬剤の送達を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。
【0082】
いくつかの実施形態では、投与経路、所望の薬剤の形成、及び薬学的組成物は、効率的かつ有効な送達を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、本明細書の治療剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)は、好適な経路によって対象に投与するための薬学的製剤で提供される。本明細書に記載の薬学的製剤は、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所、直腸、または経皮投与経路を含むがこれらに限定されない複数の投与経路によって対象に投与され得る。さらに、本明細書に記載の薬学的組成物(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤などを含む)は、水性経口分散液、液体、ゲル、シロップ、エリキシル、スラリー、懸濁液、エアロゾル、高速溶融製剤、発泡製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、粉剤、丸剤、糖衣錠、及びカプセル剤を含むが、これらに限定されない任意の好適な剤形に製剤化される。
【0083】
化合物及び/または組成物を、例えば臓器または組織への化合物の直接注射によって、しばしば、デポー調製剤または持続放出製剤で、全身的な様式ではなく局所的に投与してもよい。そのような長時間作用型製剤は、埋め込み(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与されてもよい。さらに、標的薬物送達システムにおいて、例えば、臓器特異的抗体でコーティングされたリポソームにおいて、薬物を投与してもよい。リポソームは、臓器に標的化され、選択的に取り込まれる。加えて、薬物は、急速放出製剤の形態で、徐放製剤の形態で、または中間放出製剤の形態で提供することができる。
【0084】
経口使用のための薬学的製剤は、1つ以上の固体賦形剤と、本明細書に開示される任意の好適な置換基及び官能基を有する治療剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)と、を混合し、任意選択的に得られた混合物を粉砕し、適切な補助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理して、所望により、錠剤、丸薬、またはカプセルを得ることによって、得ることができる。好適な賦形剤には、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製剤;またはポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)もしくはリン酸カルシウムなどの他のものが含まれる。所望の場合、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、などの崩壊剤を添加してもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、薬剤は、吸入によって送達される。吸入による投与のために、本明細書に記載の薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)は、エアロゾル、ミスト、または粉末の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で便利に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。
【0086】
本明細書に記載の薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)を含む口腔製剤は、米国特許第4,229,447号、同第4,596,795号、同第4,755,386号、及び同第5,739,136号を含むが、これらに限定されない様々な製剤を使用して投与され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)は、経皮的に送達される。本明細書に記載の経皮製剤は、米国特許第3,598,122号、同第3,598,123号、同第3,710,795号、同第3,731,683号、同第3,742,951号、同第3,814,097号、同第3,921,636号、同第3,972,995号、同第3,993,072号、同第3,993,073号、同第3,996,934号、同第4,031,894号、同第4,060,084号、同第4,069,307号、同第4,077,407号、同第4,201,211号、同第4,230,105号、同第4,292,299号、同第4,292,303号、同第5,336,168号、同第5,665,378号、同第5,837,280号、同第5,869,090号、同第6,923,983号、同第6,929,801号、及び同第6,946,144号(その全体が参照により組み込まれる)を含むが、これらに限定されない、様々なデバイスを使用して投与され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)は、非経口投与(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、硬膜外、脳内、脳室内など)によって送達される。非経口投与のための好適な製剤は、生理学的に許容される滅菌水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、及び注射可能な滅菌溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含み得る。好適な水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン-グリコール、グリセロール、クレモフォールなど)、それらの好適な混合物、植物油(オリーブ油など)、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。本明細書に記載の薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)は、水溶液中、好ましくはハンクス液、リンゲル液、または生理学的生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液中に製剤化してもよい。経粘膜投与のために、浸透すべき障壁に適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は、当分野で一般的に認識されている。他の非経口注射の場合、適切な製剤は、好ましくは生理学的に適合する緩衝剤または賦形剤を有する水性または非水性溶液を含み得る。このような賦形剤は、当分野で一般的に認識されている。
【0089】
ある特定の実施形態では、薬学的薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)のための送達システム、例えば、リポソーム及びエマルジョンが用いられ得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物はまた、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、及びデキストランの中から選択される粘膜付着性ポリマーを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)は、治療有効量で投与される。したがって、治療有効量は、疾患、障害、またはその症状を少なくとも部分的に予防または反転することができる量である。有効量を得るために必要な用量は、薬剤、製剤、疾患または障害、及び薬剤が投与される個体に応じて変化し得る。
【0091】
有効量の決定は、様々な用量の薬剤が培養中の細胞に投与され、いくつかまたは全ての症状を改善するのに有効な薬剤の濃度がインビボで必要な濃度を計算するために決定されるインビトロアッセイを含み得る。有効量は、インビボ動物試験に基づいてもよい。
【0092】
薬学的組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形であってもよい。単位剤形では、製剤は、適切な量の1つ以上の薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)を含む単位用量に分割される。
【0093】
投薬及び投与レジームは、治療効果の所望のレベル、及び治療効果が得られる実用的なレベルを含むが、これらに限定されない、周知の薬理学的及び治療上の考慮に基づいて、臨床医、または薬理学分野の他の当業者によって調整される。
【0094】
いくつかの実施形態では、臨床医の裁量により、障害を治療するため、または患者の疾患の症状を改善する、もしくはそれ以外の場合、制御する、もしくは制限するために、化合物の投与は、患者の寿命全体を含む、長期間にわたって投与されてもよい。
【0095】
患者の状態が改善しない場合、臨床医の裁量により、薬剤(例えば、MC3Rアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)の投与は連続的に与えられてもよく、代替的に、投与される薬物の用量は、一時的に減少されてもよく、または一定の期間(すなわち、「休薬期間」)一時的に中断されてもよい。休薬期間の長さは、単に例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む、2日~1年の間で変化し得る。休薬期間中の用量低減は、単に例として、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%を含む、約10%~約100%であってもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、患者の症状/障害/状態の改善が起こると、必要に応じて、維持用量が投与される。その後、症状の関数として、改善された疾患、障害または状態が保持されるレベルまで、投与量もしくは投与頻度、またはその両方を減らしてもよい。ただし、なんらかの症状が再発した場合、患者は長期の断続的な治療を必要とし得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、そのような量に対応する所与の薬剤の量は、特定の化合物、疾患及びその重症度、治療を必要とする対象または宿主のアイデンティティ(例えば、体重)などの要因に応じて変化するが、それにもかかわらず、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、治療される状態、ならびに治療される対象または宿主を含む、症例を取り巻く特定の状況に従って、現場で認識される様式で決定することができる。しかしながら、一般に、成人のヒトの治療に用いられる用量は、典型的には、約0.02~約5000mg/日、いくつかの実施形態では、約1~約1500mg/日の範囲である。所望の用量は、単回用量で、または同時に(または短期間にわたって)または適切な間隔で、例えば1日当たり2、3、4またはそれ以上のサブ用量として投与される分割用量として、便利に提供され得る。
【0098】
上述のように、本明細書のある特定の実施形態では、MC3Rアゴニストペプチを、障害/状態、主要薬剤の副作用、または障害/状態の併存疾患の治療のための、追加の薬剤と同時投与する併用療法が提供される。同時投与された薬剤は、同じ薬学的組成物中で投与される必要はなく、異なる物理的及び化学的特性のために、異なる経路によって投与されなければならない場合がある。同時投与された薬剤は、同時に(同じまたは別個の製剤/組成物で)、または別個の時間(分、時間、日などで離れて)投与されてもよい。同時投与された薬剤は、疾患、障害、または状態の性質、患者の状態、及び使用される薬剤の実際の選択に応じて、同時に(例えば、同時に、本質的に同時に、または同じ治療プロトコル内で)、または連続的に投与され得る。投与の順序、ならびに治療プロトコル中の各治療薬の投与の反復回数の決定は、治療される疾患及び患者の状態の評価後の臨床医の知識の範囲内で十分である。
【0099】
治療上有効な投与量は、薬物が治療の組み合わせで使用されるときに変化し得る。併用治療レジメンで使用するための薬物及び他の薬剤の治療上有効な投与量を実験的に決定するための方法は、文献に記載されている。例えば、メトロノミック投与の使用、すなわち、毒性の副作用を最小限に抑えるためにより頻繁に、より低い用量を提供することは、文献において広く説明されている。併用治療は、患者の臨床管理を補助するために、様々な時点で開始及び停止する定期的な治療をさらに含む。
【0100】
本明細書に記載の併用療法では、同時投与された薬剤の投与量は、用いられる併用薬物の種類、用いられる特定の薬物、治療される疾患などに応じて当然変化する。加えて、1つ以上の生物学的に活性な薬剤と同時投与される場合、本明細書に提供される化合物は、生物学的に活性な薬剤(複数可)と同時に、または連続的に投与されてもよい。
【0101】
実験
実施例1
薬理学的インビトロアッセイ
生細胞における細胞内cAMPレベルの決定:ヒトMC4R受容体(Promegaから贈与)、またはヒトMC3R(クローン選択によって自ら生成)を発現する安定したクローンの生成の基礎として、遺伝子的にコードされたcAMPスプリットルシフェラーゼレポーター安定発現細胞株(Promega、Madison,WI)(Binkowski et al.,2011,ACS Chemical Biology 6,1193-1197.、その全体が参照により組み込まれる)を使用した。安定した細胞株を、10%ウシ胎児血清、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2.5μg/mlのアンフォテリシンB、200μg/mlのハイグロマイシンB(GScAMP22fルシフェラーゼレポーターの陽性選択用)、及びGeneticin(商標)(G418)700μg/ml(MC3RまたはMC4R選択用)を補充した4mMのL-グルタミン(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)、4.5g/lのD-グルコースを有するダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)からなる選択培地中で増殖及び維持した。アッセイ中の実際の血清濃度は、約1%であると推定される。細胞株の同一性は、qPCR及びMC3R-及びMC4R特異的オリゴヌクレオチドによって日常的に検証される。
【0102】
生細胞におけるcAMP応答の決定のためのアッセイは、前述した。(Yu et al.,2020,Science 368,428-433、その全体が参照のより組み込まれる)。C細胞を、384ウェルのポリDリジンでコーティングされた透明な底部及び黒壁アッセイプレート(Corning Inc.Corning、NJ)を使用して、ウェル当たり20、000細胞の密度で播種した。細胞をプレートに18~24時間付着させ、その後、成長培地を除去し、CO2に依存しない無血清培地(Thermo Fisher Scientific)中の4%D-ルシフェリン(Promega)20μlを各ウェルに添加した。ルシフェラーゼ基質を、37℃で120分間細胞に浸透させた。細胞内cAMPレベルは、Life Sciences InstituteのCenter for Chemical GenomicsのFDSS 7000EX Functional Drug Screening System(Hamamatsu Photonics、Hamamatsu、Japan)を使用して測定した。この器具は、生細胞から発光シグナルを同時に取得しながら、試験ペプチド及び受容体アゴニストのインライン添加を可能にした。アッセイ読み取りステップを、以下のように設定した:2分のベースライン取得、10μlの様々な3×濃度の試験ペプチドまたはビヒクルの添加、それに続く11分の測定(測定ウィンドウ1)、及び10μlの4×濃度の内因性メラノコルチンアゴニストα-MSH(Bachem、Bubendorf、Switzerland)の添加、それに続く、さらに11分の応答測定(測定ウィンドウ2)。得られたα-MSHの最終濃度は、各受容体についてのそれぞれの受容体EC90用量に近かった。α-MSH及びSHU-9119(Phoenix Pharmaceuticals、Burlingame CA)のプレート内濃度応答曲線を参照対照として含めた。細胞株間のアッセイトランスデューサー効率の細胞数の変動及び差異を説明するための正規化基準として機能するために、準最大のフォルスコリン(20μM)濃度も含まれた。
【0103】
この設定により、EC90 α-MSHの存在下でのアンタゴニストプロファイルを測定ウィンドウ2で決定しながら、測定ウィンドウ1の間にMC3R及びMC4R細胞株に対する試験ペプチドの直接的なアゴニストの効果を評価することが可能であった。データ分析のために、ベースライン発光(すなわち、初期の0~2分ウィンドウからの最大発光シグナル)を、測定ウィンドウ1(2~13分)及び測定ウィンドウ2(13~24分)中に得られた最大発光から差し引いて、試験ペプチドが誘発した応答を得た。EC50またはIC50の効力の値は、GraphPad Prismバージョン8.4ソフトウェアパッケージ(San Diego CA)を使用して、データをシグモイド4パラメータ可変スロープモデルに適合させることによって、非線形回帰によって決定した。
【0104】
薬理学的インビトロアッセイの例示的な結果を、図1及び表1に提供する。
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

【表1-5】

【表1-6】

【表1-7】

【表1-8】
【0105】
実施例2
血漿安定性(A)
プールしたマウス血漿を調製し、使用前に-80 ℃で保存した。396μLのマウス血漿を、1.5mLのマイクロ遠心チューブ中で37℃で5分間インキュベートした。4μLの100μMの試験または対照化合物/ペプチドを各チューブに添加し、0.5、15、30、60、120、または240分間インキュベートした。各反応の40μLのアリコートを、内部標準(IS)として200ng/mLのセトメラノチドを含む4体積の冷アセトニトリルを添加することによって停止した。インキュベーション溶液を3500rpmで10分間遠心分離して、タンパク質を沈殿させた。上清をLC/MS/MS分析に使用した。自然対数ピーク面積比(化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)を時間に対してプロットし、線の勾配を決定した。
【表2】

【表3】
【0106】
試験化合物のマウス血漿安定性及びt1/2を表2に列挙し、図2にプロットした。
【表4】

【表5】
【0107】
実施例3
血漿安定性(B)
プールしたマウス血漿を調製し、使用前に-80℃で保存した。5μLの100μMの試験化合物を495μLの血漿に添加した。40μLのアリコートを反応溶液からピペットし、指定された時点で内部標準として10μgのCTX-1121を含む160μLの冷アセトニトリルを添加することによって停止した。インキュベーション溶液を3500rpmで10分間遠心分離して、タンパク質を沈殿させた。上清をLC/MS/MS分析に使用した。自然対数ピーク面積比(化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)を時間に対してプロットし、線の勾配を決定した。
LC-MS/MS条件
クロマトグラフィー条件
カラム:Agilent Poroshell 120、2.1×50mm、2.7μm
移動相A:精製脱イオン水中の0.1%ギ酸
移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸
流速:0.3mL/分、注射容積:5μL
【表6】

MS/MS条件
陽イオンモードで使用されるTurbo-Ionspray(商標)インターフェース
MRMトランジション:
【表7】

図3も参照されたい)。
【0108】
実施例4
化学合成
いくつかのペプチド(すなわち、CTX-1122、CTX-1148、CTX-1151、及びCTX-1161)の固相合成を以下に詳述する。全てのペプチドを>95%純度まで逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)し、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によって構造的完全性を確認した。
【0109】
CTX-1122は、CEM Liberty Blueシンセサイザー上で標準的なFmocベースの固相ペプチド合成を使用して合成した。アミノ酸カップリングを、5倍過剰及びDIC/Oxyma活性化を使用して、90℃で2分間実施した。Fmoc脱保護は、DMF中の20%ピペリジンを使用して1分間、90℃で達成した。完成したペプチドを脱保護し、次いで無水酢酸/DIEAを使用して90℃でアセチル化した。次いで、樹脂結合配列を切断し、TFA/水/チオアニソール/エチルメチルスルフィド/エタンジチオール(20:1:1:1:1)で脱保護した。ペプチドをエーテルに沈殿させ、次いで遠心分離によって単離し、乾燥したペプチドペレットを1:1の水/アセトニトリル混合物中で再構成し、凍結乾燥させた。粗ペプチドを、90分で18~38%の緩衝液Bの勾配を使用して、RP-HPLC(C18、10μm、25×250mmカラム)によって精製した(緩衝液A=水中0.1%のTFA、緩衝液B=アセトニトリル中0.1%のTFA)。ペプチドを分析し、純粋な画分をプールし、凍結乾燥した。分析LC/MSデータを、0.1%のTFAを含有する水-アセトニトリル緩衝液を使用して、分析カラム(C18、2.6μm、2.1×100mm)で得た。
【0110】
CTX-1148は、3位のGlyまでCEM Liberty Blueシンセサイザーで標準的なFmocベースの固相ペプチド合成を使用して合成した。アミノ酸の二重カップリングを、5倍過剰及びDIC/Oxyma活性化を使用して、90℃で2分間実施した。Fmoc脱保護は、DMF中の20%ピペリジンを使用して1分間、90℃で達成した。Fmoc-mPEG2-OHを、40℃に加熱した2当量のアミノ酸及び2当量のHBTU/DIEAを使用して手動で添加した。3-(4-ヨードフェニル)プロパン酸を、40℃に加熱しながら、2当量のアミノ酸及び2当量のPyAop/DIEAを使用して手動で添加した。完成したペプチドを脱保護し、次いで無水酢酸を使用して90℃でアセチル化した。次いで、樹脂結合配列を切断し、TFA/水/チオアニソール/エチルメチルスルフィド/エタンジチオール(20:1:1:1:1)で脱保護した。ペプチドをエーテルに沈殿させ、次いで、遠心分離によって単離した。乾燥したペプチドペレットを1:1の水/アセトニトリル混合物中で再構成し、凍結乾燥した。粗ペプチドを、120分で25~45%の緩衝液Bの勾配を使用して、RP-HPLC(C18、10μm、25×250mmカラム)によって精製した(緩衝液A=水中0.1%のTFA、緩衝液B=アセトニトリル中0.1%のTFA)。ペプチドを分析し、純粋な画分をプールし、凍結乾燥した。分析LC/MSデータを、0.1%のTFAを含有する水-アセトニトリル緩衝液を使用して、分析カラム(C18、2.6μm、2.1×100mm)で得た。
【0111】
CTX-1151は、3位のGlyまでCEM Liberty Blueシンセサイザーで標準的なFmocベースの固相ペプチド合成を使用して合成した。アミノ酸の二重カップリングを、5倍過剰及びDIC/Oxyma活性化を使用して、90℃で2分間実施した。Fmoc脱保護は、DMF中の20%ピペリジンを使用して1分間、90℃で達成した。Fmoc-mPEG2-OH及びオクタデカン二酸モノ-tert-ブチルエステルを、40℃に加熱した2当量のアミノ酸及び2当量のHBTU/DIEAを使用して手動で添加した。次いで、樹脂結合配列を切断し、TFA/水/チオアニソール/エチルメチルスルフィド/エタンジチオール(20:1:1:1:1)で脱保護した。ペプチドをエーテルに沈殿させ、次いで、遠心分離によって単離した。乾燥したペプチドペレットを1:1の水/アセトニトリル混合物中で再構成し、凍結乾燥した。粗ペプチドを、120分で37~57%の緩衝液Bの勾配を使用して、RP-HPLC(C18、10μm、25×250mmカラム)によって精製した(緩衝液A=水中0.1%のTFA、緩衝液B=アセトニトリル中0.1%のTFA)。ペプチドを分析し、純粋な画分をプールし、凍結乾燥した。分析LC/MSデータを、0.1%のTFAを含有する水-アセトニトリル緩衝液を使用して、分析カラム(C18、2.6μm、2.1×100mm)で得た。
【0112】
CTX-1165は、CEM Liberty Blueシンセサイザー上で標準的なFmocベースの固相ペプチド合成を使用して合成した。アミノ酸の二重カップリングを、5倍過剰及びDIC/Oxyma活性化を使用して、90℃で2分間実施した。Fmoc脱保護は、DMF中の20%ピペリジンを使用して1分間、90℃で達成した。完成したペプチドを脱保護し、次いで無水酢酸/DIEAを使用して90℃でアセチル化した。次いで、樹脂結合配列を切断し、TFA/水/チオアニソール/エチルメチルスルフィド/エタンジチオール(20:1:1:1:1)で脱保護した。ペプチドをエーテルに沈殿させ、次いで、遠心分離によって単離した。乾燥したペプチドペレットを1:1の水/アセトニトリル混合物中で再構成し、凍結乾燥した。粗ペプチドを、100分で21~41%の緩衝液Bの勾配を使用して、RP-HPLC(C18、10μm、25×250mmカラム)によって精製した(緩衝液A=水中0.1%のTFA、緩衝液B=アセトニトリル中0.1%のTFA)。ペプチドを分析し、純粋な画分をプールし、凍結乾燥した。分析LC/MSデータを、0.1%のTFAを含有する水-アセトニトリル緩衝液を使用して、分析カラム(C18、2.6μm、2.1×100mm)で得た。
【0113】
配列
配列番号1
X-AA0-AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-AA12-Y(配列番号1)、
配列番号2
Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly
配列番号3
Tyr-Val-Met-Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp
配列番号4
Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp-Arg-Phe-Gly
配列番号5
Gly-His-Phe-Arg-D-Trp-Asp
配列番号:6-110
表1を参照されたい。
【0114】
参照文献
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2024522348000001.app
【国際調査報告】