(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-18
(54)【発明の名称】大きなスポットサイズの分光計
(51)【国際特許分類】
G01J 3/10 20060101AFI20240611BHJP
G01N 21/3563 20140101ALI20240611BHJP
G01N 21/47 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G01J3/10
G01N21/3563
G01N21/47 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023573578
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022031772
(87)【国際公開番号】W WO2022256408
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511248294
【氏名又は名称】シーウェア システムズ
【氏名又は名称原語表記】SI-WARE SYSTEMS
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】サデック,モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ラビブ,シャディ
(72)【発明者】
【氏名】メダハット,モスタファ
(72)【発明者】
【氏名】モルタダ,バセム エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゼイナー,タレック モハメド
(72)【発明者】
【氏名】サベリー,ヤセル エム.
(72)【発明者】
【氏名】サーダニー,バッサム
(72)【発明者】
【氏名】ハロン,モハメド エイチ.エイエル
(72)【発明者】
【氏名】ガベール,モハメド アハメド
【テーマコード(参考)】
2G020
2G059
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020CA02
2G020CA03
2G020CB42
2G020CD04
2G020CD12
2G020CD35
2G059AA05
2G059BB09
2G059EE02
2G059EE09
2G059GG03
2G059HH01
2G059JJ01
2G059JJ11
2G059KK01
(57)【要約】
大きなスポットサイズの分光計を提供するポータブル光学デバイス(100)である。光学デバイスは、光学ヘッド(102)、光学窓(106)および分光計(104)を含む。光学ヘッド(102)は、開口(115)を有するプラスチック成形部品(105)と、プラスチック成形部品に形成された開口(115)の周囲の複数の反射器(112)とを含む。各反射器(130)は、その中に組み立てられたそれぞれのランプ(110)を含むことができる。光学窓(106)は、サンプル(108)を受け入れ、ランプ(130)からの入力光(128)をサンプル(108)に通過させ、サンプル(108)からの散乱光を開口(115)に向けて通過させるように構成されている。開口(115)は、使用不可能なサンプル情報を含む散乱光の第1の部分をフィルタリングし、散乱光の第2の部分を分光計(104)に通過させるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスであって、
光学ヘッドであって、プラスチック成形部品と、前記プラスチック成形部品に形成された開口と、前記プラスチック成形部品内の前記開口の周囲に形成された複数の反射器と、複数のランプとを備え、前記複数のランプの各ランプが、前記複数の反射器のそれぞれの1つの中に組み付けられている、光学ヘッドと、
前記光学ヘッド上に配置された光学窓であって、前記光学窓が、サンプルを受け入れ、前記複数のランプからの入力光をサンプルに通過させ、サンプルから散乱した散乱光を前記開口に向けて通過させるように構成され、前記開口が、散乱光の第1の部分をフィルタリングし、散乱光の第2の部分を通過させるように構成された形状および直径を有し、前記散乱光の第1の部分が、使用不可能なサンプル情報を含む、光学窓と、
前記散乱光の第2の部分を入力部で受け取り、前記散乱光の第2の部分に基づいてサンプルのスペクトルを得るように構成された分光計とを備えることを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記使用不可能なサンプル情報が、散乱光の直流(DC)成分を含み、前記開口が、前記散乱光のDC成分の第1の分光計受入角度を制限し、散乱光の交流(AC)成分の第2の分光計受入角度を維持するように構成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記開口が、前記光学窓から直接反射された反射光をフィルタリングするようにさらに構成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記プラスチック成形部品が、前記複数の反射器上に金属コーティングを含むことを特徴とする光学デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の光学デバイスにおいて、
前記複数の反射器の、前記開口に隣接するそれぞれの部分上の金属コーティングが除去されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記光学窓は、その内面に反射防止コーティングが施されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の光学デバイスにおいて、
前記光学窓は、その外面に追加の反射防止コーティングをさらに有し、前記外面の上にサンプルが置かれることを特徴とする光学デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記複数の反射器の各々が、10nm未満の表面粗さを持つ光学表面を有することを特徴とする光学デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記光学ヘッドが、前記開口を前記分光計への入力部と位置合わせするように構成された位置決めピンをさらに備えることを特徴とする光学デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記光学ヘッドが、前記開口および前記分光計への入力部と位置合わせされた中心軸を有し、前記複数の反射器の各々が、前記サンプル上に目標スポット直径を含む照明スポットを生成するような、前記中心軸に対する角度および位置に向けられていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の光学デバイスにおいて、
閾値未満のピーク強度値で前記サンプル上に照明スポットの目標均一強度プロファイルを達成するように、前記複数の反射器の各々が前記中心軸に対してさらに向けられていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項12】
請求項10に記載の光学デバイスにおいて、
前記分光計が、前記光学窓上の移動基準サンプルの横方向位置に対する、前記分光計により検出されたパワーに基づいて、前記目標スポット直径を測定するように構成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記複数の反射器の各々が、楕円反射器を含むことを特徴とする光学デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の光学デバイスにおいて、
前記複数のランプの各々が、ガラスエンベロープおよび二重フィラメントを含み、前記二重フィラメント間に楕円焦点が位置するように前記二重フィラメントが前記ガラスエンベロープ内に配置されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の光学デバイスにおいて、
前記ガラスエンベロープが、前記入力光を集光し、前記入力光をサンプルに導くレンズを備えることを特徴とする光学デバイス。
【請求項16】
請求項13に記載の光学デバイスにおいて、
前記複数のランプの各々のランプ軸が、前記複数の反射器の各々の機械軸と位置合わせされていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項17】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記プラスチック成形部品に結合されたヒートシンクと、
熱放散を与えるために前記ヒートシンクに結合された金属ピンとをさらに備えることを特徴とする光学デバイス。
【請求項18】
請求項17に記載の光学デバイスにおいて、
前記プラスチック成形部品を収容する金属ハウジングをさらに含むことを特徴とする光学デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載の光学デバイスにおいて、
前記金属ハウジングが、前記ヒートシンクとして構成された複数のフィンを含むことを特徴とする光学デバイス。
【請求項20】
請求項18に記載の光学デバイスにおいて、
前記金属ハウジングおよび前記分光計に取り付けられた追加のプラスチック成形部品をさらに備え、この追加のプラスチック成形部品が、前記開口を前記分光計への入力部と位置合わせするように構成された位置決めピンを含むことを特徴とする光学デバイス。
【請求項21】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記散乱光の第2の部分を前記開口を介して前記分光計への入力部に結合するように構成された光結合素子をさらに備えることを特徴とする光学デバイス。
【請求項22】
請求項21に記載の光学デバイスにおいて、
前記光結合素子が、凹レンズを含むことを特徴とする光学デバイス。
【請求項23】
請求項21に記載の光学デバイスにおいて、
前記光結合素子の焦点距離が、前記分光計の受入角度を増大させるように選択されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項24】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記プラスチック成形部品が、前記複数の反射器、前記複数のランプおよび前記開口を取り囲むフレームを含み、前記光学窓が、前記フレームに固定されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項25】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記複数のランプが、3つのランプまたは7つのランプを含むことを特徴とする光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する技術は、概して拡散反射赤外分光法を含む光学分光法に関し、特に、分光計のスポットサイズを拡大する機構に関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2022年5月31日に米国特許商標庁に出願された非仮出願第17/828,747号、および2021年6月1日に米国特許商標庁に出願された仮出願第63/195,696号の優先権および利益を主張するものであり、それら出願の内容全体は、あらゆる適用可能な目的のために、その全体が以下に完全に記載されているかのように、引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
分光計は、単一ビームスペクトル(例えば、パワースペクトル密度(PSD))を測定する。単一ビームスペクトルの強度は、検出器に到達する放射線のパワーに比例する。拡散反射分光法は、所与の物質の分子構造をそのスペクトル応答に基づいて研究するために利用することができる。拡散反射分光法では、光源(例えば、広帯域光源)が入射光を物質に向ける。入射光は物質と相互作用し、その結果、光の一部は透過し、光の別の一部は反射し、光の別の一部は散乱する。散乱した一部は、サンプルの吸収スペクトルの影響を受け、そのスペクトルプリントに基づいて物質を識別するために使用することができる。拡散反射分光法は、固体、粉末および液体など、様々な形態の物質に使用することができる。
【0004】
様々なタイプの拡散反射サンプルは、サンプルの形状、散乱特性および吸収断面積に応じて、入射光と異なる相互作用を示す可能性がある。例えば、サンプルは主に2つのタイプに分類することができる。第一のタイプには、均質で均一に充填されたサンプルが含まれ、サンプル粒子が十分に小さく、サンプル領域全体に均一に分布している。均質なサンプルでは、サンプルの異なる位置間で散乱および吸収特性のスペクトルのばらつきは存在しない。さらに、サンプルは光学窓を完全に均一に覆うため、窓とサンプルとの間に観察可能な隙間が存在しないことがある。殆どの液体や粉体はこのカテゴリに入る。第二のタイプには、不均一でランダムに充填されたサンプルが含まれ、サンプルが数ミリメートルの寸法の比較的大きな粒で構成される。散乱特性や吸収特性は、同じ粒内でも、また粒ごとに異なることがある。さらに、粒は不規則な形状を持ち、異なる向きおよび不均一な充填で光学窓上にランダムに配置され得る。これにより、異なる粒間に空隙が生じる。一般的に、光の一部は空隙から漏れ、残りの光は異なる位置で粒に当たるため、測定誤差および/または低い拡散反射パワーが生じる可能性がある。不均一なサンプルの例としては、穀物や飼料サンプルなどがある。
【0005】
小型(例えば、ハンドヘルド型)の近赤外(NIR)分光計は、光スポットサイズに限りがあり、通常は直径3mmより小さい。この場合、システムは、回転サンプリングカップまたはペトリ皿など、空間的平均化を実行するためのアクセサリを装備する必要がある。しかしながら、その場合、測定時間と測定システム全体の複雑さが犠牲になる。
【発明の概要】
【0006】
以下に、本開示の1または複数の態様の基本的な理解を提供するため、そのような態様の概要を提示する。この概要は、本開示のすべての検討される特徴の広範な概要ではなく、本開示のすべての態様の肝要なまたは重要な要素を特定すること、または、本開示のいずれかまたはすべての態様の範囲を規定することも意図していない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明への前置きとしての形態で本開示の1または複数の態様のいくつかの概念を提示することである。
【0007】
本開示の様々な態様は、小型分光計のスポットサイズを増大させるための機構に関する。実施例は、1350nm~2500nmのスペクトル範囲にわたって動作する3mm~20mmの光スポットサイズを有する微小電気機械システム(MEMS)ベースのフーリエ変換赤外(FTIR)分光計を含む光学デバイスに関する。光学デバイスは、複数の小型フィラメントベースの白熱ランプと、照明のためにランプを取り囲む反射光学系(例えば、反射器)とを含む光学ヘッドをさらに含む。ランプは、大きなスポットサイズ(例えば、大きなサンプル照明パターン)を提供するために、サンプルに対して特定の位置に配置され、一方、保持要素(例えば、プラスチック成形部品)は、ランプおよび反射器をそれらの定位置に保持するために使用される。例えば、反射器はプラスチック成形部品内に形成されて、金属コーティングでコーティングされる一方、ランプは反射器内に組み付けられ得る。プラスチック成形部品は、スポットサイズに基づいて結合効率を最大化するために、分光計への不要な結合光線を制限しながらも、サンプルからの散乱光を分光計に通すように構成された開口をさらに含むことができる。いくつかの例では、プラスチック成形部品が、サンプルからの散乱光の集光を担う光結合素子(例えば、レンズ)を保持するためにさらに使用される。光学デバイスは、光学ヘッドを覆い、サンプルとの光学的インターフェースを提供する保護透明光学窓をさらに含むことができる。いくつかの例では、位置合わせ誤差を無視できる程度に維持するために位置決めピンを使用して、光学ヘッドが分光計パッケージと組み立てられる。
【0008】
一例では、光学デバイスが開示される。この光学デバイスは、プラスチック成形部品と、プラスチック成形部品に形成された開口と、プラスチック成形部品内の開口の周囲に形成された複数の反射器と、複数のランプとを含む光学ヘッドを備え、複数のランプの各ランプが、複数の反射器のそれぞれの1つの中に組み付けられている。光学デバイスは、光学ヘッド上に配置された光学窓をさらに含む。光学窓は、サンプルを受け入れ、複数のランプからの入力光をサンプルに通過させ、サンプルから散乱した散乱光を開口に向けて通過させるように構成されている。開口は、散乱光の第1の部分をフィルタリングし、散乱光の第2の部分を通過させるように構成された形状および直径を有し、散乱光の第1の部分が、使用不可能なサンプル情報を含む。光学デバイスは、散乱光の第2の部分を入力部で受け取り、散乱光の第2の部分に基づいてサンプルのスペクトルを得るように構成された分光計をさらに備える。
【0009】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を検討することによってより完全に理解される。本発明の他の態様、特徴および実施形態は、添付の図面と併せて本発明の特定の例示的な実施形態についての以下の説明を検討することにより、当業者には明らかとなる。本発明の特徴は、以下の特定の実施形態および図面に対して説明され得るが、本発明のすべての実施形態は、本明細書で説明される有利な特徴のうちの1または複数を含むことができる。言い換えると、1または複数の実施形態が特定の有利な特徴を有するものとして説明され得る一方で、そのような特徴のうちの1または複数が、本明細書で説明される本発明の様々な実施形態に従って使用されてもよい。同様に、例示的な実施形態は、デバイス、システムまたは方法の実施形態として以下に説明され得るが、そのような例示的な実施形態は、様々なデバイス、システムおよび方法で実装可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、いくつかの態様に係る光学ヘッドおよび大きなスポットサイズの分光計を含む光学デバイスを示す図である。
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、いくつかの態様に係る光学デバイスの光学ヘッドの一例を示す図である。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、いくつかの態様に係る光学デバイスの光学ヘッドの別の例を示す図である。
【
図5】
図5は、いくつかの態様に係る
図4Aおよび
図4Bに示す光学ヘッドを含む光学デバイスの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、いくつかの態様に係る
図4Aおよび
図4Bに示す光学ヘッドを含む光学デバイスの別の例を示す図である。
【
図7】
図7A~
図7Cは、いくつかの態様に係る光学ヘッドの開口による光フィルタリングの例を示す図である。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、いくつかの態様に係る光学デバイスの光学窓の例を示す図である。
【
図9】
図9A~
図9Cは、いくつかの態様に係る分光計のスポットサイズの例を示す図である。
【
図10】
図10は、いくつかの態様に係る光学ヘッドの光結合素子の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、いくつかの態様に係るサンプルと光結合素子との間の距離に基づくスポットサイズの設計曲線を示す図である。
【
図12】
図12は、いくつかの態様に係る光学ヘッドの様々なコンポーネントの構成例を示す図である。
【
図13】
図13A~
図13Cは、いくつかの態様に係る分光計のスポットサイズを測定するための例示的なプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図したものであり、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0012】
図1は、いくつかの態様に係る光学ヘッド102および大きなスポットサイズの分光計104を含む光学デバイス100を示す図である。いくつかの例では、光学デバイスが、携帯可能なハンドヘルドデバイスであってもよい。光学デバイス100は、サンプル108(例えば、穀物または飼料サンプル)を受け入れるように構成された光学窓106をさらに含む。光学ヘッド102は、複数のランプ110(例えば、白熱ランプ)を含む照明ユニット105を含み、各ランプが、複数の反射器112のそれぞれの1つの中に組み付けられている。光学窓106は、照明ユニット105からの入射光128がサンプル108を通過するのを可能にする。入射光128は、サンプル108と相互作用し、その結果、光の一部が透過し、光の別の一部が反射し、光の別の一部がサンプル108によって散乱する。散乱光130は、サンプルの吸収スペクトルの影響を受け、サンプル108を識別するために使用することができる。
【0013】
各ランプ110から放射された光128は、すべての立体角にわたって分布する。各反射器112は、ランプ110の対応する1つからの光をサンプル108に向け直し、サンプル108上に所望の光スポットサイズ135の照明パターンを形成する。ランプ110および対応する反射器112の数は可変であり、例えば、所望の光スポットサイズ135に基づいて選択され得る。例えば、光学ヘッド102は、1350nm~2500nmのスペクトル範囲にわたって動作する3mm~20mmのスポットサイズ直径を達成するために、3~7のランプ110を含むことができる。ランプ110の数は、強度プロファイルを制御し、サンプル108の過熱を防ぐようにさらに選択することができる。サンプル空間内の異なる点に放出された光を分配するように、サンプル108に対してランプ110を位置決めすることは、必要な目標照明パターンを達成するための更なる自由度である。
【0014】
いくつかの例では、光学ヘッド102が、照明ユニット105を含むプラスチック成形部品であってもよい。例えば、反射器112は、射出成形によってプラスチック成形部品内に形成され、ランプ110は、反射器110内に組み付けられるものであってもよい。プラスチック成形部品は、使用可能な光線(例えば、サンプル108からの散乱光の一部)を分光計104に結合するように構成された開口(
図1には示されていない)をさらに含むことができる。例えば、開口は、散乱光の第1の部分(例えば、使用不可能なサンプル情報)をフィルタリングし、散乱光の第2の部分(例えば、使用可能なサンプル情報)を通過させるように構成された形状および直径を有することができる。さらに、開口は、サンプル情報を含まない反射光(例えば、光学窓106から反射された光)をフィルタリングするように構成され得る。
【0015】
いくつかの例では、光学ヘッド102が、任意選択的に、集光ユニット115(例えば、集光光学系)をさらに含むことができる。例えば、集光光学系115は、サンプル108からの使用可能な散乱光130を集光し、使用可能な散乱光130を分光計104の入力部125に結合するための、1または複数のレンズなどの1または複数の光結合素子114を含むことができる。いくつかの例では、1または複数の結合マイクロミラーなどの微小光学系116を、分光計104に光を入射するために分光計104への入力部125に配置することができる。分光計104は、例えば、フーリエ変換赤外(FTIR)分光計であってもよい。いくつかの例では、分光計104が、マイケルソン干渉計またはファブリペロー干渉計を含むことができる。
図1に示す例では、分光計104が、ビームスプリッタ120、固定ミラー122および可動ミラー124を含むマイケルソン干渉計118を含み、可動ミラーが、例えば、静電アクチュエータに結合され得る。干渉計118は、検出器126によって検出され得るインターフェログラムを生成するように構成される。例えば、検出器126は、短波長赤外線範囲(SWIR)をカバーするために波長2600nmまで拡張されたInGaAs光検出器であってもよい。検出器126の出力は、検出された光のスペクトルを得るために処理され、その後、サンプル108に関連する様々なパラメータを特定するために利用され得る。
【0016】
いくつかの例では、分光計104を、微小電気機械システム(MEMS)分光計として実現することができる。本明細書において、MEMSという用語は、微細加工技術によって機械的要素、センサ、アクチュエータおよびエレクトロニクスを共通の基板上に統合することを指す。例えば、マイクロエレクトロニクスは通常、集積回路(IC)プロセスを使用して製造され、マイクロメカニカルコンポーネントは、機械的および電気機械的コンポーネントを形成するために、シリコンウェハの一部を選択的にエッチング除去したり、新しい構造層を追加したりする適合性のあるマイクロマシニングプロセスを使用して製造される。MEMS素子の一例として、反射または屈折モードで動作する誘電体または金属化表面を持つマイクロ光学コンポーネントがある。MEMS素子の他の例としては、アクチュエータ、検出器の溝、ファイバの溝などがある。いくつかの例では、MEMS分光計が、MEMSアクチュエータによって移動可能に制御される1または複数のマイクロ光学コンポーネント(例えば、1または複数の反射器またはミラー)を含むことができる。例えば、MEMS分光計は、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板に平行に伝播する自由空間光ビームを処理することができるマイクロ光学コンポーネントおよび他のMEMS素子を製造するために、SOI基板上に深堀リアクティブイオンエッチング(DRIE)プロセスを使用して製造することができる。例えば、ビームスプリッタ120、固定ミラー122、可動ミラー124および静電アクチュエータ(簡略化のため図示せず)は、SOI MEMSチップ上に作製することができる。MEMSアクチュエータは、可動ミラー124の変位を引き起こし、1550nmで16nmと8nmのスペクトル分解能を可能にすることができる。
【0017】
図2Aおよび
図2Bは、いくつかの態様に係る光学デバイスの光学ヘッド200の一例を示す図である。
図2Aは光学ヘッド200の上面図であり、
図2Bは光学ヘッド200の底面斜視図である。光学ヘッド200は、例えば射出成形によって形成された、プラスチック成形部品202を含む。複数の反射器204が、プラスチック成形部品202内に形成され、1000nm~3000nmの近赤外範囲において95%を超える高い反射率を提供するために金属コーティングで被覆されている。反射器204の表面形状および曲率は、所望の照明パターン(例えば、光スポットサイズ)を達成するように選択することができる。いくつかの例では、複数の反射器204の各々が、10nm未満の表面粗さを持つ光学表面を有する。例えば、反射器204の光学表面は、所望の表面粗さを提供する高品質のインサートを使用して製造することができる。いくつかの例では、複数の反射器204が、所望の光スポットサイズを生成するように選択された寸法の楕円反射器であってもよい。
【0018】
さらに、複数のランプカップ206(例えば、垂直カップ)が、反射器204の内側のプラスチック成形部品202内に形成され得る。各ランプカップ206は、それぞれのランプ208を受け入れるように構成され得る。例えば、各反射器204は、垂直ランプカップ206を含むことができ、そこにランプ208を挿入して、接着剤により固定することができる。このため、各ランプ208を、反射器204のそれぞれの1つの中に組み付けることができる。
図2Aに示す例では、ランプ208が3つである。しかしながら、ランプ208の数は、所望の光スポットサイズに基づいて変えることができる。いくつかの例では、プラスチック成形部品202のプラスチック材料が、ランプ208の高温(例えば、2000°K~3000°K)に耐えるように選択される。いくつかの例では、各ランプ208が、単一フィラメントの白熱ランプであってもよい。
【0019】
プラスチック成形部品202内には、開口210がさらに形成されている。開口210は、上述したように、所望の光スポットサイズに基づいて結合効率を最大化するために、使用不可能なサンプル情報を含む光またはサンプル情報を含まない光をフィルタリングするように構成された位置、形状および直径を有することができる。例えば、開口210の寸法は、干渉信号の交流(AC)成分に対する受入角度を維持しながら、干渉信号の直流(DC)成分の受入角度を制限することによって分光計の可視度を高めるように選択することができる。いくつかの例では、
図2Aに示すように、開口210に隣接しかつ開口を取り囲む領域212内の反射器204のそれぞれの部分上の金属コーティングを除去することにより、サンプルに関するスペクトル情報を含まない光線に対応する誤差信号を低減することができる。いくつかの例では、プラスチック成形部品202上の金属蒸着プロセスを制御することによって、または領域212内の金属コーティングを除去することによって、または反射器204から領域212を除去することによって、金属コーティングのない領域212を得ることができる。
【0020】
光学ヘッド200は、プラスチック成形部品202内に形成されたフレーム214をさらに含むことができる。フレーム214は、光学窓218を受け入れるように構成され、光学窓の上には被試験サンプル(図示せず)を置くことができる。いくつかの例では、光学窓218を、エポキシによってフレーム214に取り付けることができる。さらに、光学ヘッド200は、
図2Bに示すように、プラスチック成形部品内に形成された複数の位置決めピン216をさらに含み、開口210を分光計への入力部と位置合わせすることができる。
【0021】
図3Aおよび
図3Bは、いくつかの態様に係る、
図2Aおよび
図2Bに示す光学ヘッド200を含む光学デバイス300を示す図である。
図3Aは光学デバイス300の上面斜視図であり、
図3Bは光学デバイス300の側面図である。光学ヘッド200は、
図2Aに示すように、複数の反射器304が内部に形成されたプラスチック成形部品302を含む。さらに、光学ヘッド200は複数のランプ306をさらに含み、各々が複数の反射器304のそれぞれの1つの中に組み付けられている。光学窓308は、複数の反射器304および対応する複数のランプ306を覆うように光学ヘッド200上に配置されている。さらに、プラスチック成形部品302内の開口310は、光学窓308上のサンプル(図示せず)からの使用可能な散乱光を分光計312に通過させるために、分光計312への入力部と位置合わせされている。光学ヘッド200および分光計312は、基板314(例えば、プリント回路基板(PCB))上に組み立てることができ、光学ヘッド200上の位置決めピン(
図2Bに示す)は、基板314への組立中に、開口310を分光計312への入力部と位置合わせするように構成することができる。
【0022】
図4Aおよび
図4Bは、いくつかの態様に係る光学デバイスの光学ヘッド400の別の例を示す図である。
図4Aは、光学ヘッド400の上面図であり、
図4Bは、光学ヘッド400の様々なコンポーネントの側面図である。光学ヘッド400は、例えば射出成形によって形成されたプラスチック成形部品402を含む。複数の反射器404がプラスチック成形部品402内に形成され、高い反射率を提供するために金属コーティングで被覆されている。反射器404の表面形状および曲率は、所望の照明パターン(例えば、光スポットサイズ)を得るように選択することができる。いくつかの例では、複数の反射器404の各々が、10nm未満の表面粗さを持つ光学表面を有する。例えば、反射器404の光学表面は、所望の表面粗さを提供する高品質のインサートを使用して製造することができる。いくつかの例では、複数の反射器404が、所望の光スポットサイズをもたらすように選択された寸法の楕円反射器であってもよい。
【0023】
さらに、複数のランプカップ406(例えば、垂直カップ)が、反射器404の内側のプラスチック成形部品402内に形成され得る。各ランプカップ406は、それぞれのランプ(
図4Aまたは
図4Bには特に示されていない)を受け入れるように構成され得る。例えば、各反射器404は、垂直ランプカップ406を含むことができ、そこにランプを挿入して、接着剤により固定することができる。この例では、ランプ軸を、反射器404の機械軸と位置合わせすることができる。
図4Aおよび
図4Bに示す例では、7つのランプがあり、各々が反射器404のそれぞれの1つの中に組み付けられている。しかしながら、ランプの数は、所望の光スポットサイズに基づいて変えることができる。いくつかの例では、各ランプが、同じガラスエンベロープ内に二重のフィラメントを含む白熱ランプであってもよい。いくつかの例では、反射器404内へのランプ配置のための位置合わせ感度を低下させるために、楕円焦点がそれらの間の中央に位置するように、2つのフィラメントが配置されている。いくつかの例では、ランプガラスが、ランプからの入力光を集めて、その入力光をサンプルに向けるために、先端にレンズを含む。いくつかの例では、サンプルの過熱を防止するために、目標とする均一な強度プロファイルおよび低いピーク強度値(例えば、閾値未満のピーク強度値)で、サンプル上に目標とする照明スポット(例えば、3mm~20mmの大きな光スポットサイズ)を生成するように、反射器404の位置が選択される。
【0024】
ラスチック成形部品402内には、開口408がさらに形成されている。開口408は、上述したように、所望の光スポットサイズに基づいて結合効率を最大化するために、使用不可能なサンプル情報を含む光またはサンプル情報を含まない光をフィルタリングするように構成された位置、形状および直径を有することができる。光学ヘッド400は、プラスチック成形部品402内に形成されたフレーム214をさらに含むことができる。フレーム412は、光学窓410を受け入れるように構成され、その光学窓の上に被試験サンプル(図示せず)を配置することができる。いくつかの例では、光学窓410をエポキシ樹脂によってフレーム214に取り付けることができる。例えば、光学窓410は、IP65定格を超えるシーリングを提供し得る接着剤で固定することができる。
図4Aまたは
図4Bには示されていないが、光学ヘッド400は、サンプルからの散乱光を集光し、その散乱光を分光計の入力部に結合するための光結合素子(例えば、レンズ)をさらに含むことができる。
【0025】
図5は、いくつかの態様に係る
図4Aおよび
図4Bに示す光学ヘッド400を含む光学デバイス500の一例を示す図である。光学ヘッド400は、
図4Aおよび
図4Bに示すように、複数の反射器504が内部に形成されたプラスチック成形部品502を含む。さらに、光学ヘッド400は、複数のランプ506(例えば、7つのランプ)をさらに含み、各ランプが、複数の反射器504のそれぞれの1つの中に組み付けられている。光学窓510は、複数の反射器504および対応する複数のランプ506を覆うように光学ヘッド400上に配置されている。さらに、プラスチック成形部品502は、光学窓510上のサンプル(図示せず)からの使用可能な散乱光を分光計514に通過させるために、光結合素子(例えば、凹レンズ)512と、分光計514への入力部に位置合わせされた開口508とをさらに含む。いくつかの例では、分光計514の受入角度を大きくするように凹レンズ512の焦点距離を選択することができる。
【0026】
光学ヘッド400および分光計514は、基板516(例えば、プリント回路基板(PCB))上に組み立てることができる。光学ヘッド400から延びる位置決めピン518は、基板516上での組立中に、開口508を分光計514への入力部に位置合わせするように構成され得る。さらに、ヒートシンク520をプラスチック成形部品502に結合することができ、金属ピン522をヒートシンクに結合することができ、それにより光学ヘッド400および分光計の電気コンポーネントからの熱放散、および機械的組立を提供することができる。
【0027】
図6は、いくつかの態様に係る
図4Aおよび
図4Bに示す光学ヘッド400を含む光学デバイス600の別の例を示す図である。光学ヘッド400は、
図4Aおよび
図4Bに示すように、複数の反射器604が内部に形成されたプラスチック成形部品602を含む。さらに、光学ヘッド400は、複数のランプ606(例えば、7つのランプ)をさらに含み、各ランプが、複数の反射器604のそれぞれの1つの中に組み付けられている。光学窓610は、複数の反射器604および対応する複数のランプ606を覆うように光学ヘッド400上に配置されている。さらに、プラスチック成形部品602は、光学窓610上のサンプル(図示せず)からの使用可能な散乱光を分光計614に通過させるために、光結合素子(例えば、凹レンズ)612と、分光計614への入力部に位置合わせされた開口608とをさらに含む。いくつかの例では、分光計614の受容角度を大きくするように凹レンズ612の焦点距離を選択することができる。
【0028】
図6に示す例では、プラスチック成形部品602が、周囲への熱放散を増加させるために金属ハウジング618内に組み付けられている。さらに、金属ハウジング618は、ヒートシンクとして構成されたフィン620を含むことができる。追加のプラスチック成形部品622を金属ハウジング618に取り付けることにより、分光計への熱の流れを阻止(または最小化)することができる。さらに、分光計614の気密性を提供するために、追加のプラスチック成形部品622を分光計614に取り付けることができる。
【0029】
追加のプラスチック成形部品622および分光計614は、基板616(例えば、プリント回路基板(PCB))上に組み立てることができる。追加のプラスチック成形部品622は、基板616上への組立中に、開口608を分光計614への入力部と位置合わせするように構成された位置決めピン624をさらに含むことができる。金属ピン626は、ヒートシンク620に結合され、それにより光学ヘッド400および分光計の電気コンポーネントからの熱放散、および機械的組立を提供することができる。
【0030】
図7A~
図7Cは、いくつかの態様に係る光学ヘッドの開口708による光フィルタリングの例を示す図である。本明細書で説明するように、開口708は、分光計に結合される不要な光線を制限するように構成されている。不要な光線は、2つの主なカテゴリに分類することができる。
図7Aを参照すると、第1のグループには、光学窓700から(例えば、光学窓700の外面702または内面704から)直接反射される光線710が含まれる。この反射光710にはサンプル情報が含まれていない。
【0031】
図7Bを参照すると、第2のグループには、光学窓700上のサンプル706から散乱するが、使用可能なサンプル情報を含まない光線712が含まれる。例えば、フーリエ変換分光計では、(例えば、マイケルソン干渉計によって生成される)干渉信号の直流(DC)部分と、干渉信号の交流(AC)部分とが存在する。DC部分は検出器を飽和させ、分光計のダイナミックレンジを制限し、ノイズを増加させる。この第2のグループの不要光線712の存在は、干渉光線の偏光、角度および相互の位置に対する、生成された干渉の感度に起因する。
【0032】
したがって、
図7Aおよび
図7Bに示すように、開口708は、不要な反射光線710と、AC部分に加わらない光線712をともにフィルタリングするように構成することができる。さらに、
図7Cに示すように、開口708は、干渉信号のAC部分に寄与する光線714を通過させるようにさらに構成することができる。このように、開口708は、使用不可能なサンプル情報(例えば、散乱光のDC成分)を含む散乱光の第1の部分712をフィルタリングし、使用可能なサンプル情報(例えば、散乱光のAC成分)を含む散乱光の第2の部分714を通過させるように構成されている。さらに、開口708は、光学窓700から直接反射された反射光710もフィルタリングするように構成されている。
【0033】
いくつかの例では、開口708が、分光計の可視度を2~3倍高めることができる。開口形状および直径は、所望の光線714を通過させながら、不要な光線710、712を除去するように選択することができる。例えば、開口の形状は、円のような単純なものであってもよいが、不要な光線を正確に除去し、AC有用部分への影響を最小限に抑えるために、複雑な形状をとることもできる。開口の設計(例えば、形状および直径)を選択するために、分光計の結合およびサンプルの散乱プロファイルの正確なモデリングを利用することができる。さらに、サンプル706および任意選択的な結合レンズに対する開口708の位置を考慮することができる。例えば、この開口708の存在により、空間的にフィルタリングする前に異なる光線を分離できるように、サンプル706とレンズ(図示せず)との間に最小距離が課せられる。また、開口設計は、分光計の受入角度(例えば、有用なAC部分の受入角度およびDC部分の受入角度)も考慮することができる。いくつかの例では、DC受入角度の方が大きくなる可能性がある。
【0034】
図8Aおよび
図8Bは、いくつかの態様に係る光学デバイスの光学窓800の例を示す図である。光学窓800は、被試験サンプル(図示せず)を置くことができる外面802と、外面802の反対側の内面804とを含む。光学窓800は、光学デバイスの光学ヘッドからの光がサンプルに通過することを可能にし、さらに、サンプルからの散乱光が光学ヘッドに戻ることを可能にする。
【0035】
光学デバイスが、様々な機械的および化学的特性を有する様々なタイプのサンプル(例えば、穀物、飼料、土壌、岩石など)を測定できるようにするために、光学窓800は、高品質の光学界面を維持しながらも、研磨性の高いサンプルに対しても傷のない状態を維持するのに十分な硬度(例えば、閾値硬度よりも高い硬度)を有することができる。さらに、光学窓800は、照明ユニットからサンプルに供給されるパワーを増加させるために、透明度が高くなるように設計することができ、それにより分光計の信号対雑音比を維持するとともに、ランプのパワーを可能な限り最小限に抑えることができ、その結果、光学デバイスの全体的な電気効率を維持することができる。
【0036】
しかしながら、透明度の高い光学窓800は、分光計の性能に悪影響を及ぼし得る反射(例えば、内面804または外面802からの反射)を生じる可能性がある。それらの反射により、分光計の検出器に誤差信号が発生する可能性がある。特定のアプリケーションでは、データ取得後の信号処理で誤差信号を補正することができる。しかしながら、それらの反射は窓800とサンプルとの間の屈折率コントラストに部分的に依存する可能性があり、それはサンプルの種類によって異なり得る。この屈折率依存性により、信号処理補正技術による誤差信号の効果的な除去が妨げられる可能性がある。さらに、ハウジング、固定具およびシステムの様々なコンポーネントによる光の反射の吸収により、様々なコンポーネントが加熱されて、熱膨張により光学コンポーネントの一部がずれることにより、または分光計の電気回路の電子コンポーネントのノイズが増加することにより、デバイスの性能に悪影響を与える可能性がある。
【0037】
このため、
図8Aおよび
図8Bに示すように、不要な反射を低減するために、反射防止コーティング806を光学窓800に追加することができる。反射防止コーティング806は、分光計の動作波長範囲にわたって高い透過率を提供することができる。いくつかの例では、
図8Aに示すように、反射防止コーティング806を光学窓800の片面(例えば、内面804)に施すことができる。他の例では、
図8Bに示すように、反射防止コーティング806a、806bを光学窓800の両面(例えば、内面804および外面802)に施すことができる。両面反射防止コーティングは、窓の境界面からの反射を大幅に低減する。しかしながら、反射防止コーティングはサンプルの引っ掻きに耐えるほど硬くない場合がある。このため、
図8Aに示すように、内面804のみに片面反射防止コーティング806を施すことが、不要な反射と耐傷性との間の適切な妥協点となり得る。
【0038】
図9A~
図9Cは、いくつかの態様に係る分光計スポットサイズの例を示す図である。
図9Cを参照すると、分光計902は、光学的には、特定の面積および受入角度θを有する開口908として考えることができる。受入角度θは、サンプル上の照明されたスポット906(例えば、906c)から分光計902に光学的に結合された光の円錐の頭部の角度を表す。例えば、サンプルから散乱した光は、照明されたスポット906cから分光計902に向けて光学的に結合される。
図9Cに示す分光計902のスループットは、以下のように書くことができる。
【0039】
サンプルからの散乱光は、通常、広範囲の角度に広がる。サンプルと分光計との間にレンズがない場合、分光計901によって見られるスポットサイズ(スポット直径906c)は、サンプル境界面と分光計開口908との間の距離dおよび受入角度θの正接に比例する。距離dが開口908の直径に比べて大きく、かつ照明されたスポット906cの集光されたスポット領域が開口908の面積よりも遥かに大きい場合、分光計によって見られる有効面積(例えば、視野)は、以下の関係式で近似される。
【0040】
MEMSベースの分光計または他のタイプの小型の分光計は、通常、開口面積と受入角度に制限があり、受入角度が10度未満になることがある。不均質な物質のスペクトル測定は、このような制限された開口には適合しない場合がある。このため、
図9Aおよび
図9Bに示すように、集光光学系904(例えば、光結合素子)を使用して、分光計902の視野を変換し、サンプル上の必要な視野領域と一致させることができる。この視野領域は用途に依存し、数ミリメートル未満から、大きな粒状サンプル(植物の種子や農業用途の土壌など)の場合は数十ミリメートルの範囲に及ぶことがある。通常、視野領域が小さい場合は、元の分光計の開口908で必要な平均化を達成するのに十分である。しかしながら、視野領域が大きくなるほど、結合光学系の設計が複雑になる。
【0041】
光学スループットの限界により、スポット領域を増加させることは、
図9Aおよび
図9Bに示すように、サンプル上の各点からの結合光線の角度範囲を小さくすることを意味する。
図9Aに示す集光スポット領域906aは、
図9Bに示す集光スポット906bよりも小さく、これは、一定のスループットを維持するために、集光スポット角度α
1がα
2よりも大きいことを意味する。このため、サンプル上で適切なレベルの照明強度を維持するために、ランプから放射される総パワーは、より大きなスポット領域をカバーするために増加する可能性がある。これは、スポットサイズ、ランプのパワー、および装置に結合される総パワー間のトレードオフを意味する。結合される総パワーはSNRに影響するため、ランプからの総放射パワーが同じであると仮定すると、スポットサイズとSNRとの間にはトレードオフが存在する。
【0042】
いくつかの例では、結合光学系904を、単一の凹レンズとして効果的にモデル化することができる。凹レンズは、
図9Aおよび
図9Bに示すように、より多くの傾斜した光線が結合されて、分光計開口908に集光されるように、受入角度θを効果的に変化させる。凹レンズの焦点距離は、分光計開口908とサンプルとの間の距離d、照明スポット906a/906bの直径、および分光計902の受入角度θによって決定される。サンプルと分光計との間の許容距離が長いほど、焦点距離が大きくなる。殆どのポータブル分光計では、全体のサイズが重要な要素である。このため、必要なスポット領域を得るために、より短い焦点距離を使用することができる。いくつかの例では、単一の凹レンズで利用可能な焦点距離では、必要な焦点距離を達成することができない。このため、結合光学系904は、必要な短い焦点距離を効果的に達成するために、複数の光結合素子(例えば、複数のレンズ)を含むことができる。
【0043】
図10は、いくつかの態様に係る光学ヘッドの光結合素子1004の一例を示す図である。
図10に示す例では、光結合素子1004が、光学窓1002と分光計開口1006との間に導入された凹レンズを含む。制限された分光計の開口に対する凹レンズなしの照明スポットのスポット半径は、以下のように書くことができる。
ここで、θ’は分光計の受入角度である。実際のスポット半径はもっと大きくなる可能性があるが、R’>uの場合(uは分光計の入力開口直径を表す)、式3は適切な近似となる。薄いレンズ近似を仮定すると、次の式を使用して、様々なパラメータ間の関係を定義することができる。
【0044】
式7は、θ>θ’の場合に、スポット半径が大きくなることを示しており、これは負の焦点距離システムで達成することができる。上記の式4~7を使用することにより、様々なパラメータを含む設計曲線を生成することができる。例えば、分光計の受入角度が6.6°で、分光計の開口1006とサンプル(光学窓1002)との間の合計距離が50mmである場合、レンズ系なしのスポット半径は次式で与えられる。
いくつかの例では、様々なシステムコンポーネントの製造ばらつきや組立公差を考慮した最小スポット直径が15mmとなる。この例では、式8のスポット半径が最小スポット直径よりも小さい。このため、レンズ系(例えば、凹レンズ1004)を含めることにより、スポット直径を所望の光スポットサイズまで増大させることができる。
【0045】
図11は、いくつかの態様に係るサンプルと光結合素子との間の距離に応じたスポットサイズの設計曲線を示す図である。この設計曲線は、様々な焦点距離に対して合計距離を一定に保ち、50mmに等しくしながら、サンプルからのレンズ位置を変えた様々なスポットサイズについて示されている。図示のように、レンズの曲率を大きくすることで、同じ寸法内でより大きなスポット半径を達成することができる。生成された曲線群により、焦点距離の潜在的な選択肢が提供される。しかしながら、従来の両凸レンズのレンズ直径には次のような制約がある。
【0046】
このため、レンズ上の光線の最大衝突位置は、次のように書くことができる。
【0047】
これにより、生成された曲線群上のいくつかの点を排除することができる。非球面レンズが使用される場合、この条件を緩和することができる。しかしながら、新しい緩和された制限でも同じ制約が適用される場合がある。照明に関する実際的な理由から、dは、照明経路との干渉を避けるために閾値よりも高く維持すべきである。
図11に示す曲線は、分光計の予想される最小受入角度と分光計の予想される最大受入角度の両方について生成することができ、製造におけるユニット間のばらつきをより正確に表現することができる。
【0048】
上記の計算は、集光光学系の初期設計ポイントとして機能する。照明ユニットの設計では、特定の信号対雑音比を達成するために分光計に結合される光パワー(例えば、分光計の製造業者により提供される)を、サンプル表面上の最小レベルの強度に変換することができる。いくつかの例では、この変換が、集光光学系の初期計算設計を利用することができる。次に、この強度を照射されるサンプル領域上で積分して、システムに必要な光パワーの総量を計算することができる。
【0049】
一例では、所与の分光計の必要な信号対雑音比を達成するためのサンプル上の総光パワーが、2ワットにほぼ等しい。初期の合理的な仮定として、ランプにより放出された光パワーの60%が集光され、サンプル表面に導かれる。いくつかの例では、フィラメントランプを利用して、1000nmを超える広いスペクトル範囲を提供することができる。この例では、フィラメント放射を黒体放射により近似することができる。このため、すべての光パワーが分光計の動作波長範囲で放射されるわけではない。例えば、分光計は1300nm~2600nmのNIR領域で動作することができる。黒体スペクトルを積分して、動作範囲内にある放射の有効部分(本明細書ではスペクトル効率と呼ぶ)を計算することができる。これは、簡単にするために放射率は1に等しいと仮定して、2000°K~3000°Kの範囲の様々な黒体温度に対して実行することができる。計算した数値は以下の表にまとめられている。
【0050】
表1に示すように、温度が低いほどスペクトル効率は向上するが、その代償として、動作スペクトル帯域内に入る放射輝度が低下する。一例として、44.7%のスペクトル効率を持つ中間点を選択して、対応する中間点温度を有するタングステンフィラメントランプを利用することができる。電気対光効率は、ランプに注入された総電力に対する、全波長範囲にわたって放射された総光パワーの比として定義することができる。電気対光学効率が80%に等しいとすると、必要な信号対雑音比を達成するために必要な総電力は、以下のように計算することができる。
【0051】
ランプの動作温度を選択することに加えて、ランプの外形寸法を小型反射器内に収まるように十分に小さく設計して、全体的な構造サイズを縮小することができる。さらに、反射器で側面を覆いながら、小型レンズを使用して、ランプの前面からの光をサンプルに結合することもできる。
【0052】
一例では、
図4~
図6に示す光学デバイスにおいて、1.5ワットに等しい定格のランプを7つ使用することができる。各ランプは、ガラスエンベロープ内に組み立てられた2つのフィラメントを含む。フィラメントは、2450°Kの温度で動作することができる。
【0053】
ランプの数およびそれらのパワー定格を選択した後、フィラメントからサンプルへの結合を最大化するように光学ヘッドを設計することができる。例えば、ランプおよび反射器が配置されるサンプルからの最小距離の推定値を計算することができる。
【0054】
図12は、いくつかの態様に従って最小距離を推定するために使用され得る光学デバイスの光学ヘッド1200の様々なコンポーネントの例示的な構成を示す図である。光学ヘッド1200は、複数の反射器1202(便宜上、そのうちの1つを示す)と、対応する複数のランプ1204(便宜上、そのうちの1つを示す)と、光結合素子(例えば、凹レンズ)1220とを含む。各ランプ1204は、ガラスエンベロープ1214内に2つのフィラメント(例えば、後部フィラメント1206および前部フィラメント1208)を含む。ガラスエンベロープ1214を固定するために、かつランプ1204への電気接続のために、反射器1202に穴を開けることができる。いくつかの例では、各ランプ1204が、ランプ1204からの入力光を集め、かつ入力光を光学デバイスの光学窓1212上のサンプルに導くために、先端に小型レンズ1205をさらに含むことができる。
【0055】
サンプル(例えば、サンプルが置かれる光学窓1212)と光結合素子1220との間の自由空間1218は、サンプルからの散乱光を遮断しないように光学ヘッド1200内に規定することができる。この空間1218は、サンプル表面から放出されるレンズ受容範囲内に入るエッジ光線1222の知識を用いて計算することができる。次に、目標スポット領域1216(例えば、目標スポットサイズ)を10mm~15mmとして、反射器1202の軸1232が凹レンズ1220の光軸1224に対して45°傾斜していると仮定すると、最小距離は、基本的な幾何学的計算から5mmと推定することができる。計算した最小距離は、フィラメント1206、1208の周りの反射器1202およびレンズ1205がその距離で光を再集束させるための目標を提供する。
【0056】
最小距離に基づいて、サンプルに対してあらゆる方向に放出されるフィラメント光を再集束させるように、反射器1202の各々の曲率を設計することができる。
図12に示す例では、反射器1202が楕円形の曲率を有する。楕円反射器1202は、一方の焦点(例えば、楕円焦点1210a)から他方の焦点(例えば、楕円焦点1210b)へ放出される光をすべて集光する。このため、ランプ1204は、
図12に示すように、焦点1210aの一方に配置することができ(例えば、楕円焦点1210aが、二重フィラメント1206、1208の間にあり)、サンプル点は、他方の焦点1210bに配置することができる。いくつかの例では、反射器1202の楕円直線離心率1230が、少なくとも5mmであり得る。さらに、反射器1202の短軸直径1228は、ランプ1204の直径と少なくとも同じ大きさである。例えば、ランプ1204のガラスエンベロープ1205が3.5mmの直径を有する場合、短軸直径1228は少なくとも3.5mmである。しかしながら、反射器1204に対して効果的な集光効果をもたらすためには、ランプ1204の周囲に十分な領域が存在すべきである。このため、短軸直径は、ランプガラスの直径の少なくとも2倍(例えば、7mm)になるように制約され得る。
【0057】
光軸1224はさらに、開口および分光計への入力部とに位置合わせされた光学デバイスの中心軸に対応し得る。大きな照明スポット1216(例えば、3mm~20mm)を達成するために、ランプ1204を有する反射器1202は、中心軸1224からある位置(例えば、シフト1226)および角度θに配置することにより、自由空間1218を生成し、かつサンプルからの推定最小距離でサンプル上の目標照明スポット1216を達成することができる。さらに、(例えば、サンプルの過熱を防止するために)閾値未満のピーク強度値でサンプル上の照明スポット1216の目標均一強度プロファイルを達成するように、複数の反射器1202の各々を、中心軸1224に対してさらに向けることができる。
図12は、反射器1202を有する単一のランプ1204を示しているが、円周上に分布するサンプルに対して他のランプを同じ位置に配置できることを理解されたい。
【0058】
サンプル上の均一性は、連続した半径を持つ複数の環状検出器を追加し、各環強度を計算することによって計算することができる。このため、均一性は、すべての環強度の標準偏差をすべての環の平均強度値で割ったものとして、以下のように定義される。
【0059】
照明スポットのピーク強度値は、サンプルの加熱が低いことを示す。この設計は、サンプル上の特定の照明パワーで低いピーク強度値と均一性を達成するように選択される。
【0060】
図13A~
図13Cは、いくつかの態様に係る光学デバイスの分光計のスポットサイズを測定するための例示的なプロセスを示す図である。
図13A~
図13Cに示す例では、光学デバイスが、照明ユニットを含み、この照明ユニットが、複数のランプ1302と、対応する複数の反射器1304とを含み、反射器の各々が、複数のランプ1302のうちの1つを取り囲む。光学デバイスはさらに、サンプルが置かれ得る光学窓1306と、集光光学系1308(例えば、レンズなどの1または複数の光結合素子)と、分光計1310とを含む。分光計1310のスポットサイズは、例えば、ナイフエッジ技術を使用して測定され、高散乱基準物質1312(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))が、ポジショナ1314によって制御される移動ステージに取り付けられる。次いで、分光計1310は、光学窓1306上の移動基準サンプル1312の横方向位置に対する、分光計1310により検出されるパワーに基づいて目標スポット直径を測定するように構成され得る。例えば、最初は、ナイフエッジが光学窓1306から離れた位置にあり、よって、基準サンプル1312は、分光計の開口に対していかなるパワーも反射しない。その後、
図13A~
図13Cに示すように、ポジショナ1314は、基準サンプル1312が照明スポット全体を覆ってパワーが飽和するまで、一定の線形ステップでナイフエッジを移動させて、各ステップでパワーを捕捉することができ、それにより累積パワー対変位が得られる。累積パワーを微分することにより、強度プロファイルを得ることができる。次に、強度プロファイルをガウス分布にフィッティングして(または他のタイプのフィッティングにより)、反射パワーの90%を含むビーム直径としてスポットサイズを規定することにより、スポット直径を計算することができる。他の方法を使用してスポット直径を計算することもできることを理解されたい。
【0061】
以下に、本開示の実施例の概要を示す。
【0062】
実施例1:光学デバイスにおいて、光学ヘッドであって、プラスチック成形部品と、プラスチック成形部品に形成された開口と、プラスチック成形部品内の開口の周囲に形成された複数の反射器と、複数のランプとを備え、複数のランプの各ランプが、複数の反射器のそれぞれの1つの中に組み付けられている、光学ヘッドと、光学ヘッド上に配置された光学窓であって、光学窓が、サンプルを受け入れ、複数のランプからの入力光をサンプルに通過させ、サンプルから散乱した散乱光を開口に向けて通過させるように構成され、開口が、散乱光の第1の部分をフィルタリングし、散乱光の第2の部分を通過させるように構成された形状および直径を有し、散乱光の第1の部分が、使用不可能なサンプル情報を含む、光学窓と、散乱光の第2の部分を入力部で受け取り、散乱光の第2の部分に基づいてサンプルのスペクトルを得るように構成された分光計とを備えることを特徴とする光学デバイス。
【0063】
実施例2:実施例1に記載の光学デバイスにおいて、使用不可能なサンプル情報が、散乱光の直流(DC)成分を含み、開口が、散乱光のDC成分の第1の分光計受入角度を制限し、散乱光の交流(AC)成分の第2の分光計受入角度を維持するように構成されていることを特徴とする光学デバイス。
【0064】
実施例3:実施例1または2に記載の光学デバイスにおいて、開口が、光学窓から直接反射された反射光をフィルタリングするようにさらに構成されていることを特徴とする光学デバイス。
【0065】
実施例4:実施例1~3の何れかに記載の光学デバイスにおいて、プラスチック成形部品が、複数の反射器上に金属コーティングを含むことを特徴とする光学デバイス。
【0066】
実施例5:実施例4に記載の光学デバイスにおいて、複数の反射器の、開口に隣接するそれぞれの部分上の金属コーティングが除去されていることを特徴とする光学デバイス。
【0067】
実施例6:実施例1~5の何れかに記載の光学デバイスにおいて、光学窓は、その内面に反射防止コーティングが施されていることを特徴とする光学デバイス。
【0068】
実施例7:実施例6に記載の光学デバイスにおいて、光学窓は、その外面に追加の反射防止コーティングをさらに有し、その外面の上にサンプルが置かれることを特徴とする光学デバイス。
【0069】
実施例8:実施例1~7の何れかに記載の光学デバイスにおいて、複数の反射器の各々が、10nm未満の表面粗さを持つ光学表面を有することを特徴とする光学デバイス。
【0070】
実施例9:実施例1~8の何れかに記載の光学デバイスにおいて、光学ヘッドが、開口を分光計への入力部と位置合わせするように構成された位置決めピンをさらに備えることを特徴とする光学デバイス。
【0071】
実施例10:実施例1~9の何れかに記載の光学デバイスにおいて、光学ヘッドが、開口および分光計への入力部と位置合わせされた中心軸を有し、複数の反射器の各々が、サンプル上に目標スポット直径を含む照明スポットを生成するような、中心軸に対する角度および位置に向けられていることを特徴とする光学デバイス。
【0072】
実施例11:実施例10に記載の光学デバイスにおいて、閾値未満のピーク強度値でサンプル上に照明スポットの目標均一強度プロファイルを達成するように、複数の反射器の各々が中心軸に対してさらに向けられていることを特徴とする光学デバイス。
【0073】
実施例12:実施例10または11に記載の光学デバイスにおいて、分光計が、光学窓上の移動基準サンプルの横方向位置に対する、分光計により検出されたパワーに基づいて、目標スポット直径を測定するように構成されていることを特徴とする光学デバイス。
【0074】
実施例13:実施例1~12の何れかに記載の光学デバイスにおいて、複数の反射器の各々が、楕円反射器を含むことを特徴とする光学デバイス。
【0075】
実施例14:実施例13に記載の光学デバイスにおいて、複数のランプの各々が、ガラスエンベロープおよび二重フィラメントを含み、二重フィラメント間に楕円焦点が位置するように二重フィラメントがガラスエンベロープ内に配置されていることを特徴とする光学デバイス。
【0076】
実施例15:実施例14に記載の光学デバイスにおいて、ガラスエンベロープが、入力光を集光し、入力光をサンプルに導くレンズを備えることを特徴とする光学デバイス。
【0077】
実施例16:実施例13~15の何れかに記載の光学デバイスにおいて、複数のランプの各々のランプ軸が、複数の反射器の各々の機械軸と位置合わせされていることを特徴とする光学デバイス。
【0078】
実施例17:実施例1~16の何れかに記載の光学デバイスにおいて、プラスチック成形部品に結合されたヒートシンクと、熱放散を与えるためにヒートシンクに結合された金属ピンとをさらに備えることを特徴とする光学デバイス。
【0079】
実施例18:実施例17に記載の光学デバイスにおいて、プラスチック成形部品を収容する金属ハウジングをさらに含むことを特徴とする光学デバイス。
【0080】
実施例19:実施例18に記載の光学デバイスにおいて、金属ハウジングが、ヒートシンクとして構成された複数のフィンを含むことを特徴とする光学デバイス。
【0081】
実施例20:実施例18または19に記載の光学デバイスにおいて、金属ハウジングおよび分光計に取り付けられた追加のプラスチック成形部品をさらに備え、この追加のプラスチック成形部品が、開口を分光計への入力部と位置合わせするように構成された位置決めピンを含むことを特徴とする光学デバイス。
【0082】
実施例21:実施例1~20の何れかに記載の光学デバイスにおいて、散乱光の第2の部分を開口を介して分光計への入力部に結合するように構成された光結合素子をさらに備えることを特徴とする光学デバイス。
【0083】
実施例22:実施例21に記載の光学デバイスにおいて、光結合素子が、凹レンズを含むことを特徴とする光学デバイス。
【0084】
実施例23:実施例21または22に記載の光学デバイスにおいて、光結合素子の焦点距離が、分光計の受入角度を増大させるように選択されていることを特徴とする光学デバイス。
【0085】
実施例24:実施例1~23の何れかに記載の光学デバイスにおいて、プラスチック成形部品が、複数の反射器、複数のランプおよび開口を取り囲むフレームを含み、光学窓が、フレームに固定されていることを特徴とする光学デバイス。
【0086】
実施例25:実施例1~24の何れかに記載の光学デバイスにおいて、複数のランプが、3つのランプまたは7つのランプを含むことを特徴とする光学デバイス。
【0087】
本開示内では、「例示的な」という単語は、「一例、一実施例または一実例として機能する」という意味で使用される。本明細書で「例示的な」として説明される実装または態様は、必ずしも、本開示の他の態様よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。同様に、「態様」という用語は、本開示のすべての態様が、議論された特徴、利点または動作モードを含むことを要求するものではない。「結合された」という用語は、本明細書では、2つのオブジェクト間の直接的または間接的な結合を指すために使用される。例えば、オブジェクトAがオブジェクトBに物理的に接触し、かつ、オブジェクトBがオブジェクトCに接触する場合、オブジェクトAおよびCは、たとえそれらが互いに直接物理的に接触していないとしても、依然として互いに結合されているとみなされ得る。例えば、第1オブジェクトが第2オブジェクトに物理的に直接接触していない場合でも、第1オブジェクトは第2オブジェクトに結合され得る。「回路(circuit)」および「電気回路(circuitry)」という用語は、広範に使用され、かつ、電気デバイスおよび導体のハードウェア実装と、情報および命令のソフトウェア実装と、の両方を含むことを意図しており、ハードウェア実装は、接続および構成された場合に、電子回路のタイプに限定されることなく、本開示で説明される機能の実行を可能にし、ソフトウェア実装は、プロセッサによって実行された場合に、本開示で説明される機能の実行を可能にする。
【0088】
図1~
図13Cに示されるコンポーネント、ステップ、特徴および/または機能のうちの1または複数は、単一のコンポーネント、ステップ、特徴または機能に再配置および/または結合されてもよく、若しくは、いくつかのコンポーネント、ステップまたは機能で具体化されてもよい。本明細書に開示される新規な特徴から逸脱することなく、追加の要素、コンポーネント、ステップおよび/または機能が追加されてもよい。
図1~
図13Cに示される装置、デバイスおよび/またはコンポーネントは、本明細書で説明される方法、特徴またはステップのうちの1または複数を実行するように構成されてもよい。本明細書で説明される新規なアルゴリズムは、ソフトウェアに効率的に実装されてもよく、および/または、ハードウェアに埋め込まれてもよい。
【0089】
開示された方法におけるステップの特定の順序または階層は、例示的なプロセスを例示するものであることを理解されたい。設計志向に基づいて、方法におけるステップの特定の順序または階層が並べ替えられてもよいことが理解される。添付の方法の請求項は、様々なステップの要素をサンプルの順序で提示しており、かつ、本明細書で特に記載がない限り、提示される特定の順序または階層に限定されることを意図するものではない。
【0090】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施することができるようにするために提供される。これらの態様に対する様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般原理は他の態様にも適用されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲を与えられるべきであり、単数形での要素への言及は、そのように特に明記されていない限り「唯一のもの」を意味することを意図しておらず、むしろ「1または複数」であることを意図している。特に明記しない限り、「いくつかの」という用語は1または複数を指す。アイテムのリスト「のうちの少なくとも1つ」を指す語句は、単一の部材を含むそれらのアイテムの任意の組合せを指す。一例として、「a、bまたはcのうちの少なくとも1つ」は:a、b、cと:aおよびbと:aおよびcと:bおよびcと:a、bおよびcとをカバーすることを意図している。当業者に知られているまたは後に知られるようになる、本開示を通じて説明される様々な態様の要素に対する構造的および機能的な等価物はすべて、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、かつ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関わらず、公衆に提供されることを意図したものではない。請求項の要素は、その要素が「means for」という表現を使用して明示的に記載されていない限り、または方法の請求項の場合は、その要素が「step for」という表現を使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【国際調査報告】