(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-18
(54)【発明の名称】プレスブレーキ用のクランプシステム、工具及びそれらの組立体
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20240611BHJP
B21D 37/04 20060101ALI20240611BHJP
B21D 37/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B21D5/02 F
B21D37/04 R
B21D37/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574662
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 NL2022050309
(87)【国際公開番号】W WO2022255876
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500530960
【氏名又は名称】ウィラ・ビー・ブイ
【氏名又は名称原語表記】Wila B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ルーウェラー, フランシスカス ヴィルヘルムス
【テーマコード(参考)】
4E050
4E063
【Fターム(参考)】
4E050CC03
4E050CD01
4E050CD04
4E063BA07
4E063DA02
4E063DA03
4E063DA14
4E063DA17
4E063DA19
4E063LA20
(57)【要約】
本発明は、1つ又は複数の工具を保持するための梁を備える、プレスブレーキ又は折りたたみプレス機用のクランプシステムに関する。本発明によれば、クランプシステムは、各々が電気エネルギーを光に変換すること及び光を電気エネルギーに変換することが可能な第1及び第2の変換器を備え、第1及び第2の変換器は、梁によって保持された1つ又は複数の工具に向かって光を発信するとともに、1つ又は複数の工具から光を受信するように各々構成されている。本発明は、そのようなクランプシステムと、第1及び第2の変換器から受信した光を反射するように構成された標識を備える工具との組立体、及びそのような工具にさらに関する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の工具を保持するための梁を備える、プレスブレーキ又は折りたたみプレス機用のクランプシステムにおいて、各々が電気エネルギーを光に変換すること及び光を電気エネルギーに変換することが可能な第1及び第2の変換器であって、前記第1及び第2の変換器が、前記梁によって保持された前記1つ又は複数の工具に向かって光を発信するとともに、前記1つ又は複数の工具から光を受信するように各々構成されている、第1及び第2の変換器を特徴とする、クランプシステム。
【請求項2】
前記少なくとも2つの変換器が、LEDである、請求項1に記載のクランプシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2の変換器を制御するための制御部をさらに備える、請求項1又は2に記載のクランプシステム。
【請求項4】
前記制御部が、少なくとも第1の期間中に、前記第1の変換器に電気信号を送信するとともに、前記第2の変換器から電気信号を受信するように構成されている、請求項3に記載のクランプシステム。
【請求項5】
前記制御部が、第2の異なる期間中に、前記第1の変換器から電気信号を受信するとともに、前記第2の変換器に電気信号を送信するようにさらに構成されている、請求項4に記載のクランプシステム。
【請求項6】
複数の第1の変換器を備え、前記制御部が、
少なくとも別の第3の期間中に、前記複数の第1の変換器に電気信号を送信するとともに、前記第2の変換器から電気信号を受信すること、及び/又は
少なくとも別の第4の期間中に、前記第2の変換器に電気信号を送信するとともに、前記複数の第1の変換器から電気信号を受信すること
を行うように構成されている、請求項3又は4に記載のクランプシステム。
【請求項7】
複数の第2の変換器をさらに備え、前記制御部が、
少なくとも別の第5の期間中に、前記複数の第1の変換器に電気信号を送信するとともに、前記複数の第2の変換器から電気信号を受信する
ように構成されている、請求項6に記載のクランプシステム。
【請求項8】
前記制御部が、前記第1及び第2の変換器のうちの少なくとも一方に電気信号を送信し、それと同時に、前記第1及び第2の変換器のうちの同じ少なくとも一方から電気信号を受信するように構成されている、請求項3~7のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項9】
前記クランプシステムが複数の変換器を備え、前記制御部が、
前記複数の変換器のうちの異なる変換器を第1又は第2の変換器として交互に選択するように構成されている、請求項8に記載のクランプシステム。
【請求項10】
前記制御部が、前記第1及び/又は第2の変換器を制御して、異なる強度レベルにおいて光を発信するように構成されている、請求項3~9のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項11】
前記制御部が、前記第1及び/又は第2の変換器から受信した電気信号の特性を決定するように構成され、前記特性が、例えば、電力、周波数、電圧又は電流レベルである、請求項3~10のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項12】
前記第1及び第2の変換器が、相互に異なる波長において光を発信するように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項13】
前記梁が、前記梁によって保持されているときに前記1つ又は複数の工具の少なくとも一部を受けるための長手状の受け空間を備え、前記第1及び第2の変換器が、前記受け空間に配設されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項14】
前記変換器が、前記受け空間の断面で見たときに、前記受け空間の側部又は盲端に配設されている、請求項13に記載のクランプシステム。
【請求項15】
複数の第1の変換器と、複数の第2の変換器とをさらに備え、前記第1及び第2の変換器が行列状に配設されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のクランプシステムと工具との組立体であって、前記工具が、少なくとも識別番号が符号化された標識を備える、組立体。
【請求項17】
前記標識が、前記第1及び/又は第2の変換器の寸法と同様であるか又はそれよりも大きい特性寸法の特徴部を有する、請求項16に記載の組立体。
【請求項18】
前記標識が、色、粗さ又は反射率などの表面特性によって区別可能な特徴部を備える、請求項16又は17に記載の組立体。
【請求項19】
前記表面特性が連続的に可変であり、任意選択で、前記符号化がアナログである、請求項18に記載の組立体。
【請求項20】
前記標識の前記識別番号が、離散符号で符号化されている、請求項18に記載の組立体。
【請求項21】
前記符号が、2よりも高い序数の符号、例えば、3値、4値若しくは5値符号、又はより高い序数の符号である、請求項20に記載の組立体。
【請求項22】
プレスブレーキ又は折りたたみプレス機に使用するための工具であって、前記工具が、少なくとも識別番号が符号化された標識を備え、前記標識が、前記第1及び第2の変換器から受信した光を反射するように構成されている、工具。
【請求項23】
前記標識が、色、粗さ又は反射率などの表面特性によって区別可能な特徴部を備える、請求項22に記載の工具。
【請求項24】
前記表面特性が連続的に可変であり、任意選択で、前記符号化がアナログである、請求項23に記載の工具。
【請求項25】
前記標識の前記識別番号が、離散符号で符号化されている、請求項23に記載の工具。
【請求項26】
前記符号が、2よりも高い序数の符号、例えば、3値、4値若しくは5値符号、又はより高い序数の符号である、請求項25に記載の工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数の工具を保持するための梁を備える、プレスブレーキ又は折りたたみプレス機用のクランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プレスブレーキは、金属板などの板状材料を曲げ又は折りたたみ加工するために使用される装置である。そのために、プレスブレーキは、底部梁と上部梁とを含み、これらは互いに対して移動可能である。上部及び底部梁はともに、工具を保持し、それらの工具の間に曲げ加工用のワークが提供される。一般に、プレスブレーキの曲げ加工用工具は、交換可能であり、様々なタイプの曲げ又は折りたたみ加工を行うことを可能にするとともに、工具の整備を可能にする。したがって、プレスブレーキは、工具を解放可能にクランプすることができるクランプシステムを備える。クランプシステムは、プレスブレーキの上部梁、底部梁、又はその両方に設けられてもよい。クランプシステムは、プレスブレーキのほぼ全幅にわたって延在するが、個々の工具は、通常、プレスブレーキ幅の一部のみにわたって延在する。曲げ又は折りたたみ加工される特定のワークのために特定のサイズの工具が選択されてもよい。複数の工具をクランプシステムの種々の位置に配設して、様々な曲げ又は折りたたみ加工を実行することができる。
【0003】
プレスブレーキは、2つのタイプに区別することができる。第1のタイプは、上部又は底部梁のいずれかの一体的な部分であるクランプシステムを有する。上部又は底部梁のもう一方に、さらなるクランプシステムが設けられてもよいし、設けられなくてもよい。一体化されたそのようなクランプシステムは、クランプシステムが一体化されている上部又は底部梁から取外し不可能であり、したがって、クランプシステム自体は、別のクランプシステムと交換不可能であるが、クランプシステムが保持可能な工具は、交換可能である。第2のタイプは、上部梁又は底部梁に固定して連結され得る交換可能なクランプシステムを有する。上部又は底部梁のもう一方に、さらなるクランプシステムが設けられてもよいし、設けられなくてもよい。交換可能なクランプシステムにより、工具を交換するだけでなく、例えば、保守のため、又はクランプシステムを別のクランプシステムと交換するために、クランプシステムの上部又は底部梁からクランプシステムを取り外すことが可能となる。当技術分野において、これは、1つのプレスブレーキを、様々なクランプシステムを必要とし得る様々な工具タイプに適したものにするため、及び/又はクランプシステムを整備するために使用される。
【0004】
工具であるかのように他のクランプシステムによってクランプすることが可能な、さらなるクランプシステムが存在する。そのようなクランプシステムは、例えば、第1のタイプの工具のためのシステムによってクランプされ得るが、クランプシステム自体が第2のタイプの工具をクランプすることができるため、そのようなクランプシステムは、クランプシステムと、さもなくば互換不可能である工具との間のアダプタとして機能する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、底部梁であれ、上部梁であれ、プレスブレーキと一体化されたクランプシステム、交換可能なクランプシステム、及びアダプタとして機能するクランプシステムに関する。同様に、本発明は、折りたたみプレス機にも適用され得る。
【0006】
所望の曲げ又は折りたたみ加工を行うためには、プレスブレーキが正しい工具を装着されていること、及び工具が梁の長手方向に沿って正しい位置にあることが重要となる。
【0007】
そのため、本出願人によって販売されている、TIPSとして知られている工具を識別し、位置特定することが可能なシステムが、普及してきている。TIPSシステムのいくらかの詳細が、欧州特許出願公開第1864752号に開示されている。欧州特許出願公開第1864752号は、
図3において、発光デバイス12を使用して工具に向かって光を放射し、受光センサ11を使用して反射光を受信することによって工具を位置測定する(位置測定するとは、本出願では、「~の位置を決定すること」として定義される)方法について開示している。
【0008】
発光器及び受光器を使用する方法は、工具の位置測定及び識別に有効であるが、上記方法の改善が望まれている。特に、位置測定の精度は、発光器及びセンサのサイズによって限定される。理論的には、様々な位置においてより多くの発光器及びセンサを使用することによって精度を改善することができる。但し、最大使用数は、工具及び梁で利用可能な空間によって限定される。そのため、欧州特許出願公開第1864752号に提示される位置測定システムの精度には、上限がある。
【0009】
さらに、欧州特許出願公開第1864752号のシステムにより、一定限度数の工具タイプの識別が可能となる。但し、システムが認識できるパターンの数には限界がある。したがって、より多くのパターンの識別を可能にすることによって欧州特許出願公開第1864752号のシステムを改善することも必要となる。より多くのパターンを識別できることで、例えば、単に工具のタイプだけでなく、個々の工具の識別が可能となる。
【0010】
したがって、本発明の目的は、より高い位置測定精度、及び/又は工具からのより多くの情報の読取りを可能にすることによって既存のクランプシステムを改善することである。
【0011】
上記目的は、前文に記載のクランプシステムによって達成され、このクランプシステムは、各々が電気エネルギーを光に変換することおよび光を電気エネルギーに変換することが可能な第1及び第2の変換器を有し、第1及び第2の変換器は、梁によって保持された1つ又は複数の工具に向かって光を発信するとともに、1つ又は複数の工具から光を受信するように各々構成されている。
【0012】
発光及び受光の両方を行うことができる変換器を使用することによって、まず、第1の変換器を用いて光を生成し、第2の変換器を用いて同じであると好ましい光(反射されたものではあるが)を受信するとともに、このプロセスを反対にも同様に繰り返すことが可能となる。そのため、同じ変換器を用いて2つの測定が行われ得る。2つの測定は、工具及びその位置に関する情報量を増加させるために組み合わせて使用され得る。2つの測定を、同じ構成要素を使用して行うことができるため、構成要素に対して比較的場所を取らない。したがって、同じ大きさの空間により多くの情報を符号化することができ、これにより、単に工具のタイプだけでなく、特定の工具の識別が容易となり得る。さらに、又は代替として、比較的小さな空間に比較的多くの変換器を置くことによって、解像度が向上するため、位置測定がより正確になり得る。
【0013】
特に、可視光の使用が想定される。但し、本発明は、UV光や赤外光など、他の形態の光にも適用することができる。UV光は、本明細書において100nm~400nmの波長を有するものとして定義される。可視光は、本明細書において400nm~780nmの波長を有するものとして定義される。赤外光は、本明細書において780nm~1000μmの波長を有するものとして定義される。そのため、光は、本明細書において100~1000nmの波長を有するものとして定義される。
【0014】
変換器と工具との間には、閉塞のない経路がある必要はないことに留意されたい。実際、クランプシステムの動作を損なうことなく、透過性であるか又は別法で使用される光を通す任意の物体が、変換器と工具との間に配置されてもよい。この特性を、変換器にカバーを適用することによって利用すると有利となることがあり、このカバーは、不注意による衝撃から変換器を保護するために、少なくとも、変換器によって生成された光に対して透過性である。特定の好適なカバーが、Corning Inc. of New York、United States(www.corning.com)によって販売されているゴリラガラス(Gorilla Glass)又は同様のタイプの化学強化ガラスで作製されてもよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、変換器とは、単体として理解される単一の能動構成要素を指し、すなわち、複数の構成要素で構成されているシステムを指すものではない。したがって、本発明によれば、光を電気に変換する同じ構成要素が、電気を光にも変換する。これがまさに、1つの構成要素が光を検出し、他の構成要素がその光を放射する従来ケースよりも少ない構成要素で済む理由である。
【0016】
変換器は、追加の発光及び受光構成要素を含み、他の同様又は同一の変換器を排他的に含むことが好ましい、検知システムの一部であってもよい。
【0017】
変換器は、同じ工具を検出するために互いに協働してもよい。したがって、変換器は、プレスブレーキ又は折りたたみプレス機の上梁又は下梁のいずれかの(ための)クランプシステムなど、単一のクランプシステムに一緒に配設されてもよい。変換器は、互いに隣り合うなど、互いに近くに配設されてもよい。実際には、変換器は、同じ梁(すなわち、上梁若しくは下梁、又はそのクランプシステム)に配設される。変換器は、同じ回路基板に配設されてもよい。変換器は、工具を受けるための受け空間に沿って配設されてもよい。以下で説明するように、変換器は、特に受け空間の内部に配設され得る。
【0018】
前文で説明したクランプシステムは、プレスブレーキ又は折りたたみプレス機の上梁又は下梁のいずれかのためのクランプシステムであってもよい。両梁は、しばしば、複数のクランプシステムを含むが、それらのクランプシステムが、1つのクランプシステムとして総称されることはないことに留意されたい。実際、プレスブレーキの2つのクランプシステムは、独立して動作する。本発明は、特許請求の範囲において説明される2つのクランプシステムを含むプレスブレーキ又は折りたたみプレス機に適用されてもよい。特に、2つのクランプシステムは、それぞれ、上側及び下側クランプシステムであってもよい。
【0019】
変換器は、工具を検出するために協働するように配設されてもよい。一方の変換器によって放射された光が、他方の変換器によって受信されてもよく、反対に他方の変換器によって放射された光が、一方の変換器によって受信されてもよい。
【0020】
特に、少なくとも2つの変換器は、LEDであってもよい。LEDは、比較的高効率で光を生成するために好適に使用され得る。LEDによって呈される光電効果を使用して、光がLEDを照らすと、電流を発生させる変換器としてLEDを構成してもよい。そのため、LEDは、センサ及び発光器の両方として使用することができる。LEDは、比較的小さくてもよく、以て、同じ空間内により多くのLEDを配設できるため、LEDの使用は、本出願において、特に有利である。
【0021】
特に、例えば、およそ630nmの波長を有する赤色LEDが使用されてもよい。
【0022】
一実施形態では、クランプシステムは、第1及び第2の変換器を制御するための制御部をさらに備える。そのような制御部を使用して、変換器の特性を利用することができる。
【0023】
特に、制御部は、少なくとも第1の期間中に、電気信号を第1の変換器に送信するとともに、第2の変換器から電気信号を受信するように構成されてもよい。
【0024】
上記期間中、第1の変換器は、発光器として使用されるのに対し、第2の変換器は、センサとして使用される。第1の変換器によって生成された光は、工具によって第2の変換器へと反射される。そのため、第2の変換器は、工具のある特性を検知してもよい。まず、反射の存在が、工具の存在を示し得る。さらに、工具のいくつかの表面特性が、反射光の特性に影響を及ぼし得るため、反射光から工具の表面に関する情報を得ることができる。
【0025】
制御部は、第2の異なる期間中に、第1の変換器から電気信号を受信するとともに、第2の変換器に電気信号を送信するようにさらに構成されてもよい。
【0026】
そのような状況では、発光器/センサの機能は、上述したものと反対になる。その結果、光及び反射光によって取られる経路は、先に示したものと反対になる。場合によっては、この方法で取得される情報は、第1の期間中の情報と同じ情報であり、この情報を用いて、前の測定の確認を行ってもよい。他のケースでは、工具の表面が、反射光の特性に異なる影響を及ぼし得る。したがって、2つの変換器をセンサ/発信器として交互に使用することによって、追加の構成要素を必要とすることなく、より多くの情報を取得することができる。追加情報を取得するために追加の変換器を必要としないため、上記さらなる変換器のためにさらなる空間を必要としない。
【0027】
精度及び/又はシステムが受け取ることができる情報量をさらに向上させるために、システムは、複数の第1の変換器を備えてもよい。したがって、制御部は、
少なくとも別の第3の期間中に、複数の第1の変換器に電気信号を送信するとともに、第2の変換器から電気信号を受信すること、及び/又は
少なくとも別の第4の期間中に、第2の変換器に電気信号を送信するとともに、複数の第1の変換器から電気信号を受信すること
を行うように構成されてもよい。
【0028】
複数の第1の変換器による発光及び/又はそれらの変換器からの受光を行うことによって、工具の表面の異なる部分によって反射された光を受信することが可能となる。したがって、より多くの光を受信することができ、結果として、反射光から決定され得る情報量も増加する。事実上、そのような実施形態は、多対1通信及び/又は1対多通信のそれぞれを可能にする。
【0029】
上記効果は、システムが複数の第2の変換器も備える場合にさらに利用されてもよく、その場合、制御部は、
少なくとも別の第5の期間中に、複数の第1の変換器に電気信号を送信するとともに、複数の第2の変換器から電気信号を受信するように
構成されている。
【0030】
そのような構成では、多対多通信が行われ、以て、反射光全体から取得できる情報量を大幅に高めることができる。
【0031】
クランプシステムの別の実施形態では、制御部は、第1及び第2の変換器のうちの少なくとも一方に電気信号を送信し、それと同時に、第1及び第2の変換器のうちの同じ少なくとも一方から電気信号を受信するように構成されている。
【0032】
そのような構成では、単一の変換器は、発光器及びセンサの両方として使用される。したがって、より多くの構成要素を必要とすることなく、発光及び受光構成要素の数が2倍になる。
【0033】
原理的には、別の構成要素における少なくとも一方の変換器の光の受信、及び/又は少なくとも一方の変換器における、別の構成要素によって放射された光の受信を行うことが可能である。但し、工具によって反射されたが、同じ少なくとも一方の変換器によって放射された光を受信することも可能である。
【0034】
異なる発光器からの光の発生源を区別するために、発光器は、相互に異なる特性を有する光を放射するように制御又は構成されてもよい。特に、周波数又は強度が相互に異なっていてもよい。また、例えば、強度の時間的変化を使用して、特定の発光器に一意な特性を与えてもよい。一例として、発光器は、それらの発光器が異なる周波数で点滅すると、互いに区別することができる。
【0035】
当業者は、本明細書における変換器に関連する「第1の」及び「第2の」という用語が、変換器を区別するためだけに使用されることを諒解するであろう。実際、変換器は、種類又はタイプが異なっている必要はない。そのため、複数の同じ又は同様の変換器が、本明細書で説明されるクランプシステムに使用されてもよい。
【0036】
上述した機能をもたらすために、制御部は、複数の変換器のうちの異なる変換器を第1又は第2の変換器として交互に選択するように構成されてもよい。したがって、変換器のうちの1つが、ある時点では第1の変換器として機能し、別の時点では第2の変換器として機能してもよい。さらに、複数の変換器が、第1及び/又は第2の変換器として選択されてもよい。したがって、複数の変換器を用意し、必要に応じて第1及び第2の変換器を選択することによって、各々がさもなければ取得不可能であった情報を生じさせる、多くの異なる動作モードにおけるシステムの動作が可能となる。そのため、機能を切り替えるように制御される複数の変換器を有するシステムは、非常に汎用性があり、符号化可能な情報量の精度をさらに向上させることができる。
【0037】
1つ又は複数の変換器を第1又は第2の変換器として選択することは、別々の動作である必要はない。実際、上述したように変換器を制御することは、そのような制御に従って第1又は第2の変換器を選択したものとして認められる。
【0038】
クランプシステムのさらに別の実施形態では、制御部は、第1及び/又は第2の変換器を制御して、異なる強度レベルにおいて光を発信するように構成されている。
【0039】
光の強度が大きくなるほど、検出されるのに十分な光を反射する工具の表面が大きくなる。そのため、放射される光の強度を変化させることによって、工具のどの部分が見られるのかについての選択を行うことができる。一例として、まず、比較的低い強度を使用することによって、工具の比較的小さい部分を検知することができる。次いで、比較的高い強度を使用することによって、工具のより大きい部分を検知することができる。工具のより大きい部分は、通常、より小さい部分を含むため、適切な信号処理によって新たに検知された領域の影響を決定することができる。
【0040】
制御部は、第1及び/又は第2の変換器から受信した電気信号の特性を決定するように構成されてもよく、特性は、例えば、電力、周波数、電圧、又は電流レベルである。
【0041】
そのような電気信号の特性の決定に従って、制御部は、受信した信号をデジタル化するために使用されてもよい。デジタル化された信号は、特性に関する情報を含んでもよく、その結果、異なる特性を有する信号を区別することができる。これにより、特性に基づいて情報を決定するために信号を処理することが可能となり得る。
【0042】
特に、特性は、電圧レベルであってもよい。電圧は、光を受信する変換器によって生成された電流が流れている抵抗(オーミック抵抗であることが好ましい)に対して測定することができる。
【0043】
クランプシステムの特定の実施形態では、第1及び第2の変換器は、相互に異なる波長で光を発信するように構成されている。
【0044】
相互に異なる波長で光を発信することによって、光が工具によって反射された後でも、異なる変換器から放射された光を区別することができる。追加又は代替として、異なる波長が、異なる方法で工具の表面と相互作用してもよい。そのため、異なる波長を用いて工具を探索することによって、より多くの情報を取得することが可能となり得る。
【0045】
実際には、クランプシステムの梁は、梁によって保持されているときに1つ又は複数の工具の少なくとも一部を受けるための長手状の受け空間を備え、第1及び第2の変換器は、受け空間に配設されている。
【0046】
そのような実際的な実施形態では、変換器は、工具の近くに置くことができ、したがって、工具を容易に検知することが可能となり得る。さらに、外部からの光は、受け空間の壁や工具によって、受け空間に入ることを少なくとも部分的に阻止され得る。したがって、変換器に対する外部光の影響が低減されるため、変換器によって生成される信号のノイズが低減される。追加又は代替として、受け空間に変換器を配置することによって、これらの変換器を比較的保護された領域に置くことになり、その結果、ワークの曲げ加工又は外部からの他の衝撃によって変換器が損傷を受ける可能性が低くなる。
【0047】
変換器のための特に好適な場所は、受け空間の断面で見たときに、受け空間の側部又は盲端にある。そのような場所では、変換器は、プレスブレーキを動作させるのに必要なビームから工具への力を受けない。
【0048】
複数の第1及び/又は第2の変換器などの複数の変換器を備えるクランプシステムの場合、変換器は、行列状に配設されてもよい。行列は、2次元であってもよい。
【0049】
そのような配設によって比較的大きな表面積が包含され得る。変換器は、千鳥状及び/又は斜めの行及び/又は列状に配設されてもよい。千鳥状又は斜めの行列により、変換器と工具の特定の特徴部との間の不整合を補償することが可能となる。また、千鳥状又は斜めの行列は、工具のそれぞれの特徴部に対する、いくつかの変換器の整合を保証するが、他のいくつかの変換器の不整合を保証する。不整合、特に、その量は、受信光に対する効果を有する。上記効果を使用して、反射光を使用した位置特定の精度を高めることができる。
【0050】
当然ながら、変換器が、直角の行列状に整列されている場合、工具の特徴部の斜め及び/又は千鳥状の形状を作成することも可能である。さらに、変換器と工具の特徴部との両方が、異なる角度において斜め/千鳥状であってもよい。上述の効果は、変わらないままである。
【0051】
本発明は、工具を備える上述のクランプシステムにさらに関し、工具は、少なくとも識別番号が符号化された標識を備える。
【0052】
識別番号は、特定の工具を一意に識別するために使用可能であってもよい。そのため、同じ識別番号を有する工具は2つと存在しない。識別番号は、シリアル番号の形態を取ってもよい。特定の工具を一意に識別できることは、例えば、保守又は請求目的のための工具の性能追跡に役立つ。
【0053】
工具の標識は、第1及び/又は第2の変換器の寸法と同等又はそれよりも大きい特性寸法の特徴部を有し得る。
【0054】
特徴部が、変換器とサイズが同等又はそれよりも大きい場合、特徴部を検出することは比較的容易となる。特に、特徴部は、変換器のサイズのおよそ半分の特性サイズを有してもよい。そのような構成では、少なくとも1つの変換器が、特徴部と完全に整合することが保証され得る。
【0055】
標識は、色、粗さ、反射率又は角度などの表面特性によって区別可能な特徴部を備えてもよい。
【0056】
そのような特徴部における違いは、光の反射に異なる影響を及ぼす。したがって、反射光を使用して特徴部を検出することができる。さらに、これらの表面特性は、例えば、レーザーを使用して、工具に比較的容易に作製することができる。
【0057】
一例として、表面のグレーの程度又はグレースケールを特徴部として使用することができ、すなわち、色は、明るいグレーから黒まで連続的に又は所望数の離散的段階で変化し得る。
【0058】
第1の選択肢として、表面特性は、連続的に可変である。任意選択で、符号化はアナログである。したがって、単一の特性を使用して比較的多くの情報を格納することができる。一例として、明るいグレーから漆黒まで変化する色を使用して、2値符号化ではなく、連続変数、又は比較的多くの離散点を持つ変数を表してもよい。
【0059】
第2の代替的な選択肢として、標識の識別番号が、離散符号に符号化される。そのような符号は、検知又は処理が比較的容易となり得る。
【0060】
符号は、2よりも高い序数の符号、例えば、3値、4値若しくは5値符号、又はより高い序数の符号であることが好ましい。そのため、単一の特性に比較的多くの情報を格納することができる。一例として、n個の異なる階調で色付けされた特徴部を有する符号を用意することによって次数nの符号を達成することができる。
【0061】
本発明は、プレスブレーキに使用するための工具にさらに関し、工具は、少なくとも識別番号が符号化された標識を備え、標識は、第1及び第2の変換器から受信した光を反射するように構成されている。
【0062】
工具は、上述した特徴のすべてを、単独で、又は任意の好適な組合せで有してもよい。工具は、対応する利点をもたらすことができる。
【0063】
本発明は、図面を参照してさらに解明され、図面において、対応する要素は、100だけ増分された参照符号を有する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1A】プレスブレーキを概略的に示す側面図である。
【
図1B】プレスブレーキを概略的に示す正面図である。
【
図2A】クランプシステムの上面を示すために傾けられた、工具が部分的に受けられたクランプシステムを概略的に示す斜視図である。
【
図2B】工具がクランプシステムに挿入された状態の
図2Aのクランプシステムを概略的に示す断面図である。
【
図3】クランプシステムの変形例を概略的に示す断面図である。
【
図4】クランプシステムの変形例を概略的に示す断面図である。
【
図5】クランプシステムの変形例を概略的に示す断面図である。
【
図6】クランプシステムの変形例を概略的に示す断面図である。
【
図7】クランプシステムの変形例を概略的に示す断面図である。
【
図8】クランプシステムの変形例を概略的に示す断面図である。
【
図9A】2つの変換器及び工具を概略的に示す断面図である。
【
図9B】2つの変換器及び工具を概略的に示す断面図である。
【
図10A】工具に配設され得る標識を概略的に示す図である。
【
図10B】工具に配設され得る標識を概略的に示す図である。
【
図11A】変換器のアレイを概略的に示す図である。
【
図11B】変換器のアレイを概略的に示す図である。
【
図12A】変換器の動作方法を概略的に示す図である。
【
図12B】変換器の動作方法を概略的に示す図である。
【
図13A】変換器の動作方法を概略的に示す図である。
【
図13B】変換器の動作方法を概略的に示す図である。
【
図14A】変換器の動作方法を概略的に示す図である。
【
図14B】変換器の動作方法を概略的に示す図である。
【
図15A】クランプシステムの変形例を概略的に示す断面図である。
【
図15B】クランプシステムの変形例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図全体を通して、同様の要素は、同様の参照符号を使用して参照される。異なる実施形態の同様の参照符号は、100だけ増分されている。
【0066】
図1A及び
図1Bは、地面Gに配置されたプレスブレーキ1を示す。プレスブレーキ1は、上部梁2と、底部梁3とを含む。上部梁2は、上部クランプシステム4を備える。上部クランプシステム4は、上部工具5を解放可能に保持する。底部梁3は、底部工具7を解放可能に保持する、底部クランプシステム6を備える。上部及び底部クランプシステム4、6は、各々、プレスブレーキ1のほぼ全幅Wにわたって延在する。上部及び底部工具5、7は、幅Wの一部のみにわたって延在するように示されている。結果として、上部及び底部工具5、7は、上部及び底部クランプシステム4、6の長手方向Lの様々な位置に移動され得る。より大きな有効幅を実現するために、複数の工具が、端から端まで配設されてもよい。代替として、異なる工具を種々の位置に配置して、加工の合間に工具を交換することなく、複数の曲げ又は折りたたみ加工を実行できるようにしてもよい。
【0067】
上部梁2及び底部梁3は、油圧システム8によって矢印Mの方向に互いに対して移動可能であるが、別のタイプの駆動システムも使用され得る。この目的で、梁2、3のうちの一方が移動可能であり、他方が固定であってもよいし、両方の梁2、3が、移動可能であってもよい。したがって、上部及び底部工具5、7も、互いに対して移動可能である。板金を曲げ加工するために、板が工具5、7の間に挿入され、その後、工具5、7は、互いに向かって移動される。次いで、上部工具5は、曲げ加工によって板金を変形させるために、底部工具7へと板金を押し込む。曲げ加工の後、工具5、7は、油圧システム8によって上部梁2を動かすことによって、互いから離れる方向に移動される。クランプシステム4、6は、好適な係止システムを介して上部及び底部梁2、3のそれぞれに解放可能に取り付けられている。したがって、クランプシステム4、6は、他の工具に対して好適なクランプシステムに交換することができ、又は整備のためにクランプシステム4、6を取り出すことができる。
【0068】
図示していないが、交換可能なクランプシステム4、6に関連する以下で説明する特徴は、例えば、一体型又はアダプタタイプなど、他のタイプのクランプシステム4、6にも適用され得る。
【0069】
図2A及び
図2Bは、プレスブレーキ1のためのクランプシステム104を示す。クランプシステムは、工具105を保持するための梁111を備える。梁111は、梁111の長さ方向に平行な溝として具現化された長手状の受け空間109を備える。工具105は、受け空間109に工具105の適合部112を配置し、その後、クランプのために設けられた凹部110において工具105の適合部112をクランプすることにより、クランプシステム104によって保持される。凹部110を備える図示の適合部112は、いわゆる「新標準スタイル」クランプシステムの一部を形成する。例えば、アメリカンスタイルやヨーロピアンスタイルのような工具を保持するための他のクランプシステム及び技法も存在する。本開示は、図を参照して説明する例示的なクランプシステムに限定されず、他のクランプシステムでより汎用的に使用されてもよい。
【0070】
クランプシステム104は、
図9~
図14Bを参照してより詳細に説明する、変換器114のアレイが配設された回路基板113をさらに備える。変換器114は、工具105を位置特定し、識別するために使用される。この目的で、
図2A及び
図2Bの回路基板113は、受け空間109に配設されている。特に、回路基板113は、受け空間113の盲端に配設されており、凹部123において、回路基板113の表面が、受け空間の盲端と同一平面となることを可能にしている。工具105は、表面特徴部116を備える標識115を具備する。工具105が、受け空間109に配置されると、標識115は回路基板113に対向し、その結果、変換器114が標識115の近くとなる。回路基板113は、梁111の長手方向に沿って延在する。したがって、工具105は、梁111における工具105の位置に関わらず、変換器114を使用して検知することができる。見やすくするために、すべての変換器114及び表面特徴部116に独自の参照符号が与えられているわけではないことに留意されたい。ここでは図示していないが、変換器114を備える回路基板113は、凹部123を少なくとも部分的に閉鎖する透過性のカバーによって保護されてもよい。
【0071】
変換器114の位置に関する変形例も可能である。非網羅的な例のリストとして、
図3~
図8及び
図15A~
図15Bが参照される。
図3及び
図4の各々は、各々が(工具205、305によってほぼ占有されている)対応する受け空間209、309を有する上部梁202、302(図示せず)のためのクランプシステム204、304を示す。変換器214、314(視認できず)は、回路基板213、313に設けられており、回路基板213、313は、図示の実施形態では、対応する受け空間209、309の側壁の凹部223、323に配設されている。そのため、変換器214、314は、受け空間209、309に配置されると、工具205、305の側部に対向する。
【0072】
さらに、
図5~
図8は、底部梁419、519、619、719のためのクランプシステム406、506、606、706を示す。クランプシステム406、506、606、706は、工具407、507、607、707の適合部412、512、612、712を受けるための対応する受け空間409、509、609、709を備える。受け空間409、509、609、709で工具407、507、607、707をクランプすることも可能であるが、工具407、507、607、707は、肩部417、517、617、717が、底部梁419、519、619、719の上面418、518、618、718に載るような形で置かれるように構成されることが想定されている。
図5、
図6、及び
図7は、変換器を担持する回路基板413、513、613が、受け空間409、509、609に、例えば、受け空間409、509、609の側壁(
図5及び
図7)又は盲端(
図6)に配設され得ることを示す。代替として(
図8に示す)、変換器は、底部梁719の上面718の回路基板713に配設されてもよく、その結果、工具707が、クランプシステム706によって保持されると、工具707の肩部717が、回路基板713の上に位置することになる。これらの実施形態の各々において、回路基板413、513、613、713は、凹部423、523、623、723に配設されるように示されているが、これは、
図6の実施形態の回路基板513の場合、厳密には必要ではなく、単に受け空間509の底部に取り付けられてもよい。
【0073】
図15A及び
図15Bは、肩部支承型工具805を保持するための上部梁811におけるクランプシステム804を示す。この種の工具805は、梁811の表面818に対して支持する肩部817を備える。
図15A及び
図15Bにそれぞれ示すように、回路基板813は、梁811の表側及び裏側において梁811のそのような表面818に配設することができる。したがって、工具の標識815は、上記表面818に対応する工具805の肩部817に設けられている。
【0074】
上述の図から推測できるように、変換器14、114等は、工具5、7、105、107等がクランプシステム4、6、104、106等によって保持されるとき、変換器14、114等が工具5、7、105、107等を確認できる場所であれば、クランプシステム4、6、104、106等のどこに配置されてもよい。標識15、115等は、工具5、7、105、107等の対応する部分に配設することができる。
【0075】
変換器14、114等は、必ずしも回路基板13、113等に配置される必要はないことに留意されたい。
【0076】
変換器14の機能について、
図9A、
図9Bなどを参照して説明する。本明細書で説明する特徴は、任意のクランプシステム4、6に適用することができる。簡潔にするために、これら及び以下の図では、第1の実施形態の参照符号のみが使用される。
【0077】
変換器14は、回路基板13に一緒に配設された、第1の変換器20と、第2の変換器21とを備える。ここでは、2つの変換器14のみを一例として示しているが、より多くの変換器14が利用されてもよい。変換器14は、工具5がクランプシステム4によって保持されるとき、工具5に設けられた標識15と整合するように、クランプシステム4に配設されている。
図9A及び
図9Bでは、工具5の適合部12の2つの変形例を、点線Sの両側のI及びIIとして示す。左側の変形例Iは、平坦面をもたらすように、適合部12の表面に機械加工された凹部90を備える。標識15(本明細書では点線として示す)は、適合部12の平坦面のこの凹部90に設けられている。右側の変形例IIでは、標識15は、適合部12の表面に直接設けられている。そのため、標識15が追加の機械加工ステップなしで工具5に直接設けられてもよいし、必要に応じてそのようなステップが使用されてもよいことは明らかである。この例では、変換器は、可視赤色光を生成するLEDである。クランプシステム4は、変換器20、21を制御するために、回路基板13に接続された制御部22をさらに備える。
図9Aに示す第1の時点では、標識15の場所において工具5に光(破線矢印)を照射するために、制御部22によって第1の変換器20がオンにされ得る。標識15は、第2の変換器21に光(破線矢印)を反射する。制御部22は、反射光(破線矢印)に応答して第2の変換器21によって発生された信号を測定するように構成されている。特に、制御部は、第2の変換器21によって生成された電流が流れている抵抗の両端の電圧を測定することによって動作する。測定された電圧が、(標識15による影響を受けた)反射光に対応しているため、標識15に関する情報は、測定された電圧の解析によって決定される。
図9Bに示す別の時点では、別の方法で同システムを使用することができる。特に、標識15に光(破線矢印)を照射するために、第2の変換器21がオンにされてもよい。
図9A及び
図9Bに併せて示すように、変換器の機能は、発光器から受光器に変更することができる。変換器の他の機能について、以下で説明する。
【0078】
但し、まず、標識15-1及び15-2をそれぞれ示す
図10A及び
図10Bを参照する。
図10A及び
図10Bの各標識は、標識全体15の一部のみに対応している。したがって、標識が
図10A及び
図10Bの左右方向に継続し得ることを示すために、破断線が使用されている。そのため、標識全体15は、工具がクランプされる梁の長さ方向に工具の上を延在し得る、略長手形状を有してもよい。
図10Aの標識15-1は、一例として、20個の特徴部16を備える。実際には、標識15は、はるかに多くの特徴部16を有してもよい。特徴部16は、それらの特徴部に異なる線状パターンを提供することによって相互に異なって示されている。実際には、特徴部16は、工具の表面特性を局所的に変更することによって区別可能となるようにしてもよい。例えば、特徴部は、明確に異なる表面粗さレベルを含んでもよい。
図10Aでは、6つの異なる線状パターンを示す。例えば、6つの異なる表面粗さレベルを選定することが可能である。各特徴部16の特定の粗さレベルを設定することによって、標識15に情報を格納することができる。6次の、すなわち、特徴部16ごとに6つの異なる可能性を有する離散符号化を使用して、工具を一意に識別する識別番号を符号化することができる。
【0079】
代替として、グレー値などの連続的に可変な表面特性を特徴部16ごとに選定することができる。これについて、相互に異なる数の線を有する特徴部を使用している
図10Bに示す。原理的には、グレー値を連続的に変化させることが可能である。そのため、符号化のために離散レベルを使用する必要はない。
【0080】
他の表面特性を使用して特徴部16を表してもよく、任意の所望の次数を使用して離散符号化を行うことができることに留意されたい。
【0081】
図11A及び
図11Bは、回路基板13に行列状に配設された変換器14を示す。図では回路基板13の比較的小さい部分を示しているが、破断線によって示すように、より大きい回路基板13が利用されてもよい。実際には、回路基板13は、はるかに多くの変換器14を有してもよい。回路基板13は、
図2Aに示すように、クランプシステムの梁に、長手方向に平行に配設されるように、長手形状となることが想定される。回路基板13は、
図2A~
図9Bに関して説明した実施形態の回路基板であってもよい。
図11Aの行列は、直角であり、すなわち、変換器14は、行R及び列Cの両方向にほぼ整列されている。但し、変換器14は、
図11Bに示すように、千鳥行列状に整列させることもでき、千鳥行列では、各行Rが前の行Rに対して変位され、その結果、列Cが斜めとなる。ここでは、20個の変換器14を示しているが、他の数の変換器を使用することもできる。
【0082】
図12A~
図14Bは、同じ変換器14の様々な動作方法を示す。まず、
図12Aは、光を放射する単一の第1の変換器21と、光を受信する第2の変換器22として動作する8つの隣接する変換器とを示す。したがって、制御部は、反射光を受信する第2の変換器22から情報を受け取る。光が単一の第1の変換器21によって放射されているため、
図12Aは、1対多構成を表している。一方、
図12Bは、光を放射する複数の(この例では8つの)第1の変換器21と、単一の受光用の第2の変換器22とを備える、多対1構成を示している。各変換器は、光を放射する第1の変換器21でさえ、反射光を受信するための受光器22と同時に使用することができる。反射光は、その変換器自体又は別の変換器から発生してもよい。
【0083】
図13Aは、第1の変換器21が第1の強度レベルで光を放射する、第1の状況を示す。反射光は、複数の、但しすべてではない第2の変換器22で受信される。
図13Bに示す別の時点では、第1の変換器21は、より高い強度で光を放射し、その結果、より多くの光が反射される。したがって、より多くの第2の変換器22を使用して、反射光を受信することができる。
【0084】
図14A及び
図14Bは、異なる時点において、異なる変換器14を、第1の変換器21又は第2の変換器22として使用することができることをそれぞれ示す。したがって、変換器は、動作モードに応じて発光、受光又はその両方を行うように制御することができる。
【0085】
本発明は、いくつかの特定の例及び実施形態を参照して上で説明してきたが、本発明は、そのような例及び実施形態に限定されない。そうではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される主題をさらに包含する。
【0086】
一例として、プレスブレーキ用のクランプシステムを示したが、本発明は、折りたたみプレス機にも同じように良好に適用され得る。さらに、特定のタイプのクランプシステムを示してきたが、本発明は、付属の特許請求の範囲内の他のタイプのクランプシステムにも適用され得る。特定の例として、肩部支持型工具を備える上部梁のためのクランプシステムが、当技術分野において知られているように、主請求項の特徴を備えることもできる。
【国際調査報告】