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特表2024-522370カーボンブラック製造用の均質な高温燃焼ガス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-18
(54)【発明の名称】カーボンブラック製造用の均質な高温燃焼ガス
(51)【国際特許分類】
   C09C 1/50 20060101AFI20240611BHJP
   F23D 14/24 20060101ALI20240611BHJP
   F23L 1/00 20060101ALN20240611BHJP
【FI】
C09C1/50
F23D14/24 C
F23L1/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575752
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2022065128
(87)【国際公開番号】W WO2022258496
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】21178723.9
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521399892
【氏名又は名称】オリオン エンジニアード カーボンズ アイピー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディト ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】シンケル アルント ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ティママン エディー
(72)【発明者】
【氏名】アル ズハイリ アリ
【テーマコード(参考)】
3K019
3K023
4J037
【Fターム(参考)】
3K019BB01
3K019BD06
3K023EA02
4J037AA02
4J037BB02
4J037BB05
4J037BB15
4J037BB19
4J037BB25
4J037BB29
4J037BB35
4J037BB36
(57)【要約】
本発明は、反応器およびカーボンブラックの製造方法に関する。特に、本発明は、燃料および酸素含有ガスをより良好に混合して均一な高温燃焼ガスを得るための反応器および方法に関する。旋回要素は、燃焼燃料または酸素含有ガスのいずれかと混合される旋回酸素含有ガスまたは旋回燃料を提供するために使用される。均質な燃焼混合物を得ることができ、その結果、カーボンブラックの収率およびカーボンブラック反応器の生産性を高めることができる。得られたカーボンブラックは、極めて均一な特性を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器の中心長手軸に沿った流路を有するカーボンブラック製造用の反応器であって、
(i) 燃料の燃焼によって高温燃焼ガスを生成する燃焼チャンバ、
(ii) 第1の流体を燃焼チャンバに供給するチューブ状導管であって、チューブ状導管を通って燃焼チャンバに流れるときに第1の流体を旋回させる少なくとも1つの旋回要素がチューブ状導管の内側に設けられたチューブ状導管、
(iii) 第2の流体を燃焼チャンバに注入する注入手段、および
(iv) 燃焼チャンバに続く反応チャンバであって、燃焼チャンバから受け取った高温燃焼ガス中にカーボンブラック用の原料を注入してカーボンブラックを形成する手段を含む反応チャンバ、を含む反応器:
ここで、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料であるか、または第1の流体は燃料であり、第2の流体は酸素含有ガスであり、燃焼チャンバおよびチューブ状導管は反応器の中心長手軸に沿って配置されている。
【請求項2】
注入手段は燃料注入手段であり、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料である、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
燃料注入手段は燃料ランスパイプであり、チューブ状導管を通って延び、導管の内面と燃料ランスパイプの外面との間に酸素含有ガスの通路を画定する間隙を有し、または、注入手段はランスパイプであり、チューブ状導管を通って延び、導管の内面とランスパイプの外面との間に酸素含有ガスの通路を画定する間隙を有し、ここで、好ましくはランスパイプは反応器の中心長手軸に沿って配置される、請求項1または2に記載の反応器。
【請求項4】
チューブ状導管の長手軸に沿って直列に配置された少なくとも2つの旋回要素を備え、好ましくは反応器は、第1および第2の旋回要素を備え、第1の旋回要素は燃焼チャンバのより近くに配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項5】
旋回要素はそれぞれ個別に少なくとも1つの翼板、好ましくは複数の翼板を含み、好ましくは少なくとも1つの翼板は、反応器の中心長手軸に対して傾斜し、好ましくは10~70°、好ましくは15~60°、より好ましくは25~55°、最も好ましくは25~50°の角度で傾斜している、または少なくとも1つの翼板は、反応器の中心長手軸とそれぞれの横断軸とを含む平面において、反応器の中心長手軸に対して傾斜しており、それぞれの横断軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれのラテラル軸に直交し、それぞれのラテラル軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に延びており、好ましくは、翼板は上記平面における反応器の中心長手軸に対して、10~70°、好ましくは15~60°、より好ましくは25~55°、最も好ましくは25~50°の角度で傾斜している、請求項1~4のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項6】
流れに面する少なくとも1つの翼板の側面は、反応器の中心長手軸およびそれぞれの横断軸を含む平面において、反応器の中心長手軸に対して、一定のピッチおよび/または流れ方向に沿って連続的に増加するまたは減少するピッチを有し、それぞれの横断軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれのラテラル軸に直交し、それぞれのラテラル軸は反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に延在する、請求項5に記載の反応器。
【請求項7】
第1の旋回要素は、反応器の中心長手軸とそれぞれの横断軸とを含む平面において、反応器の中心長手軸に対して第1の角度で傾斜した少なくとも1つの翼板を有し、第2の旋回要素は、反応器の中心長手軸とそれぞれの横断軸とを含む平面において、反応器の中心長手軸に対して第2の角度で傾斜した少なくとも1つの翼板を有し、それぞれの横断軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれのラテラル軸に直交し、それぞれのラテラル軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅方向に延在し、第1の角度は第2の角度より大きく、好ましくは第1の角度は、15~70°、例えば20~60°、30~55°、35~60°、35~55°、または40~50°の範囲であり、および/または第2の角度は、10~60°、例えば10~55°、15~50°、20~45°、20~40°、または25~35°の範囲であり、および/または第1の角度は、第2の角度と少なくとも5~40°、例えば5~30°、8~25°、5~20°、または10~20°異なる、請求項4~6のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項8】
チューブ状導管は、流れ方向に関して旋回要素の前に位置する流入漏斗をさらに含み、流入漏斗の直径は、好ましくは流れ方向に沿って連続的に減少し、好ましくは流入漏斗の最小直径に対する最大直径の直径比は、1超かつ3以下、例えば1.1~2または1.5~2の範囲である、請求項1~7のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項9】
反応器はさらに、燃焼チャンバから離れた端部でチューブ状導管に接続された、酸素含有ガスの流路を変更するフローガイド手段を備え、フローガイド手段は、好ましくは入口から酸素含有ガスを受け取り、受け取った酸素含有ガスを反応器の中心長手軸に平行に流れるように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項10】
カーボンブラックの製造方法であって、
(a) 注入手段によって第2の流体を反応器の燃焼チャンバに注入すること、
(b) チューブ状導管を通して反応器の中心長手軸に沿って、チューブ状導管内に設けられた少なくとも1つの旋回要素を通過させながら第1の流体を供給すること、
(c) 少なくとも1つの旋回要素によって第1の流体を旋回させること、
(d) 第2の流体と旋回した第1の流体とを混合すること、
(e) 燃焼チャンバ内で燃料を燃焼させて高温燃焼ガスを生成すること、
(f) 反応器の中心長手軸に沿って燃焼チャンバに続いて位置する反応チャンバ内で高温燃焼ガスを受け取ること、および
(g) 燃焼チャンバから受け取った高温燃焼ガスにカーボンブラック用の原料を注入して反応チャンバ内でカーボンブラックを形成すること、を含む製造方法:
ここで、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料であるか、または第1の流体は燃料であり、第2の流体は酸素含有ガスである。
【請求項11】
注入手段は燃料注入手段であり、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
燃料は、反応器の中心長手軸に沿って配置され、チューブ状導管を通って反応器の燃焼チャンバ内に延在する燃料ランスパイプによって注入され、酸素含有ガスは、上記導管の内面と燃料ランスパイプの外面との間の間隙によって画定された通路を通って、間隙に設けられた少なくとも1つの旋回要素によって酸素含有ガスを旋回させながら、燃焼チャンバに供給され、または、酸素含有ガスは、反応器の中心長手軸に沿って配置され、チューブ状導管を通って反応器の燃焼チャンバ内に延在するランスパイプによって注入され、燃料は、上記導管の内面とランスパイプの外面との間の間隙によって画定された通路を通って、間隙に設けられた少なくとも1つの旋回要素によって燃料を旋回させながら、燃焼チャンバに供給される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
カーボンブラック用の原料を高温燃焼ガス中に注入する際に、高温燃焼ガス中の酸素濃度は、反応チャンバの断面にわたって実質的に均質である、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか1項に記載の方法によりおよび/または請求項1~9のいずれか1項に記載の反応器を用いて製造されたカーボンブラック。
【請求項15】
燃料と酸素含有ガスとのより良好な混合のためのカーボンブラック製造用の旋回酸素含有ガスまたは旋回燃料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器およびカーボンブラックの製造方法に関する。特に、本発明は、燃料および酸素含有ガスをより良好に混合して均質な高温燃焼ガスを得るための反応器および方法に関する。旋回要素は、燃焼燃料または酸素含有ガスのいずれかと混合される旋回酸素含有ガスまたは旋回燃料を提供するために使用される。均質な燃焼混合物を得ることができ、その結果、カーボンブラックの収率およびカーボンブラック反応器の生産性を高めることができる。得られたカーボンブラックは、極めて均一な特性を有する。
【背景技術】
【0002】
カーボンブラックの製造は、1000℃をはるかに上回る温度(例えば、2000℃)での反応チャンバ中での炭化水素原料の分解または熱分解を伴う。これらの高温は、酸素含有ガスと燃焼燃料(すなわち、燃料)とを含む混合物の燃焼によって得られる。反応チャンバを出る気体中に同伴されたカーボンブラックは、次いで、急冷工程で冷却され、次いで、当技術分野で従来使用されている任意の好適な手段によって収集される。
【0003】
カーボンブラックは、ゴムおよびタイヤ産業のための補強剤または充填剤などの多くの用途を有する。さらに、カーボンブラックは、複写機のための着色剤および複写トナーなどの他の分野での使用が増加している。カーボンブラックの様々な用途には、粒径、構造、収率、表面積およびステイン(stain)などの様々な範囲のカーボンブラック特徴が必要である。
【0004】
カーボンブラック製造用の重要な特徴は、燃焼のための燃料と酸素含有ガスとの混合、並びに高温反応混合物を得るためのカーボンブラック原料と高温燃焼ガスとの迅速かつ完全な混合である。酸素含有ガスと燃料との混合物ならびに高温反応混合物は、所望のカーボンブラック特徴も高度に均一なままであるように、可能な限り均一に混合されるべきである。一般に、高温燃焼ガスは、燃料の完全燃焼後に残存する酸素を含有する。残留酸素はまた、高温燃焼ガス中に均一に分布されることが望ましい。
【0005】
酸素含有ガスの連続供給は、多数の方法で行うことができる。しかしながら、燃焼燃料および高温燃焼ガスの酸素含有ガス導管への逆流を回避して、燃焼のための混合物の望ましくない燃焼を回避することが重要である。
【0006】
例えば、欧州特許出願公開第0494068号明細書A2は、燃焼チャンバの前方壁内に燃焼燃料導管を円周方向に配置し、燃焼チャンバの反対側に衝撃面を提供することを含む、カーボンブラック製造用の反応器および方法に関する。
【0007】
異なるアプローチが米国特許出願公開第2013/0039840号明細書に記載されており、ここでは、酸素含有ガスが長手方向の反応器軸に対して直交方向に供給され、次いで、燃焼チャンバ内へのフローガイドを使用して整流(または誘導)される。したがって、空気流は、実質的に反応器の長手軸に平行である。しかしながら、整流された酸素含有ガスは燃料と均質に混合せず、得られた燃焼混合物ならびに高温燃焼ガス中の酸素または残留酸素の分布は不均質となる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、酸素含有ガスが均質に混合される、カーボンブラック製造用の反応器および方法を提供することである。さらに、高温燃焼ガス中の残留酸素も均質に混合されることが望ましい。さらに、製造されるカーボンブラックの全体的な収率を向上させるとともに、カーボンブラック反応器の日産量を向上させる必要がある。さらに、カーボンブラックの特性は、高度に均一であることが望ましい。
【0009】
本発明は、旋回酸素含有ガスまたは旋回燃料が提供されて、酸素含有ガスと燃焼燃料との均質な混合物を得ることができる、カーボンブラック製造用の新規で発明的な反応器および方法を提供する。燃焼混合物および反応混合物中の旋回を維持して、カーボンブラック反応器の収率および生産性を増加させ、高度に均一なカーボンブラック材料を得ることさえ可能である。
【発明の概要】
【0010】
特に、この目的は、反応器の中心長手軸に沿って配置された流路を有するカーボンブラック製造用の反応器によって達成でき、この反応器は、(i)燃料の燃焼によって高温燃焼ガスを生成する燃焼チャンバ、(ii)第1の流体を燃焼チャンバに供給するチューブ状導管であって、チューブ状導管を通って第1の流体が燃焼チャンバに流れるときに第1の流体を旋回させる少なくとも1つの旋回要素がチューブ状導管の内部に設けられたチューブ状導管、(iii)第2の流体を燃焼チャンバに注入する注入手段、および(iv)燃焼チャンバに続く反応チャンバであって、燃焼チャンバから受け取った高温燃焼ガスにカーボンブラック用の原料を注入してカーボンブラックを形成する反応チャンバを含み、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料であるか、または第1の流体は燃料であり、第2の流体は酸素含有ガスであり、燃焼チャンバおよびチューブ状導管は反応器の中心長手軸に沿って配置されている。
【0011】
本発明はまた、カーボンブラックの製造方法に関するものであり、この方法は、(a)注入手段によって反応器の燃焼チャンバ内に第2の流体を注入すること、(b)チューブ状導管を通して反応器の中心長手軸に沿って、チューブ状導管内に設けられた少なくとも1つの旋回要素を通過させながら第1の流体を供給すること、(c)少なくとも1つの旋回要素によって第1の流体を旋回させること、(d)第2の流体と旋回した第1の流体とを混合すること、(e)燃焼チャンバ内で燃料を燃焼させて高温燃焼ガスを生成すること、(f)燃焼チャンバに続いて反応器の中心長手軸に沿って位置する反応チャンバ内で高温燃焼ガスを受け取ること、および(g)燃焼チャンバから受け取った高温燃焼ガスにカーボンブラック用の原料を注入して反応チャンバ内でカーボンブラックを形成することを含み、ここで、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料であるか、または第1の流体は燃料であり、第2の流体は酸素含有ガスである。
【0012】
本発明の反応器または方法の特定のまたは好ましい変形は、従属クレームおよび後述の態様に記載されている。本発明はまた、請求項のいずれか1項に記載の方法によりおよび/または請求項のいずれか1項に記載の反応器を用いて製造されたカーボンブラックに関する。本発明のこれらの特徴、他の任意の特徴および利点は、以下の説明、態様および図面においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1a:x-z平面における旋回要素のセクション。図1b:x-y平面における旋回要素のセクション。
図2図2:カーボンブラック製造用の反応器。
図3図3:流入漏斗を含むカーボンブラック製造用の反応器。
図4図4:燃料ランスパイプと、チューブ状導管の内面に接続された旋回要素とを含むチューブ状導管のセクション。
図5図5:流入漏斗、燃料ランスパイプ、およびチューブ状導管の内面に接続された旋回要素を含むチューブ状導管のセクション。
図6図6:燃料ランスパイプと、燃料ランスパイプの外面に接続された旋回要素とを含むチューブ状導管のセクション。
図7図7:流入漏斗、燃料ランスパイプ、および燃料ランスパイプの外面に接続された旋回要素を含むチューブ状導管のセクション。
図8図8:一定のピッチの2つの領域と滑らかな接続部を有する旋回要素のセクション。
図9図9:一定のピッチの2つの領域と鋭い接続部を有する旋回要素のセクション。
図10図10:連続的に増加するまたは減少するピッチを有する旋回要素のセクション。
図11図11:異なる配向を有する3つの旋回要素を含む燃料ランスパイプのセクション。
図12図12:異なる配向を有する3つの旋回要素を含む燃料ランスパイプのセクション。
図13図13:燃料ランスパイプの外面に取り付けられた1つの翼板を有する旋回要素の多視点投影。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述のように、本発明は、カーボンブラック反応器およびカーボンブラックの製造方法に関し、好ましくは、上述のカーボンブラック反応器を使用する。本発明は、本発明の範囲および領域を限定しない添付の図面を参照して説明される。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「酸素含有ガス」への言及は酸素含有ガスの混合物を含み、「燃料」への言及は、2つ以上のそのような燃料の混合物などを含む。
【0016】
「長手軸」は、物体の長さ(または経度)の方向に延びる軸を指す。「ラテラル軸」は、物体の幅方向に延びる軸を指す。「横断軸」は、物体の高さ方向に延びる軸を指す。軸は、互いに直交して配置される。したがって、用語「反応器の中心長手軸」は、カーボンブラック反応器の長さの方向に延びる作動軸を指す。燃焼チャンバおよびチューブ状導管は、反応器の前述の中心長手軸に沿って配置される。チューブ状導管の長手軸および反応器の中心長手軸は同軸であり得る。
【0017】
用語「旋回」は、特定の方向においてまたは特定の方向に沿って、例えば軸に沿って、スピンを有するガス流を指す。旋回およびスピンという用語は、同義的に使用することができる。したがって、旋回ガス流またはスピンガス流は、軸に沿った方向性のある回転運動である。本発明による旋回ガス流は、反応器の中心長手軸に沿ってスピンを有する。ガスの旋回またはスピンが、流れ方向に左側または右側に回転することができることは明らかである。旋回要素のデザインに応じて、回転を調整することができる。しかしながら、旋回要素および/または翼板は、流れの回転が左側または右側のいずれかであり、流れ方向に伝播するように設計されることが望ましい。ガスの回転軸は、反応器の中心長手軸またはチューブ状導管の中心長手軸とほぼ同軸または同軸である。
【0018】
ガス流は、ガス流を旋回またはスピンさせることができる旋回要素を通過させることによって旋回させることができる。例えば、旋回要素は、ガス流の軸に沿って前述の方向性のある回転運動を誘起する手段を提供する。本発明において、ガスは、酸素含有ガスまたは燃料である。旋回要素は、以下に詳細に説明される。
【0019】
直径は特に明記しない限り、常に物体の内径を指す。例えば、チューブ状導管の直径は、チューブ状導管の内径を指す。
【0020】
カーボンブラック反応器は、反応器の中心長手軸に沿った流路を有し、ファーネスブラック反応器とすることができる。反応器は、上流から下流(流れ方向)への次の順序で、燃焼チャンバ、反応チャンバ、および任意選択的に急冷チャンバを備える。これらのチャンバは、高温燃焼ガスおよび反応混合物のための反応器の中心長手軸に沿った流路を画定する。したがって、チャンバは、特に反応器の中心長手軸に沿って流体接続されるべきである。チューブ状導管は、燃料(または燃焼燃料)の燃焼に必要な酸素含有ガスを供給するために燃焼チャンバに接続される。チューブ状導管はまた、酸素含有ガスの補充が上述の流路に沿って生じるように、反応器の中心長手軸に沿って配置される。さらに、反応器は、燃料を燃焼チャンバ内に注入するための燃料注入手段を備える。
【0021】
前述のチューブ状導管が燃料を供給し、前述の注入手段、例えばランスパイプが酸素含有ガスを供給することも可能である。したがって、燃料は、チューブ状導管の内部に設けられた旋回要素によって旋回される。このようにして、概して、反応器は、第1の流体を燃焼チャンバに供給するチューブ状導管を備え、さらに、チューブ状導管の内側に設けられた少なくとも1つの旋回要素であって、第1の流体がチューブ状導管を通って燃焼チャンバに流れるときに第1の流体を旋回させる旋回要素と、第2の流体を燃焼チャンバに注入する注入手段とを備え、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料であるか、または第1の流体は燃料であり、第2の流体は酸素含有ガスである。以下では、上記の定義、特に反応器、方法および個別の構成要素および/またはステップについては、第1の流体を供給するチューブ状導管と、第2の流体を注入する注入手段とを備え、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料であるか、または第1の流体は燃料であり、第2の流体は酸素含有ガスである前述の反応器にも、同様に適用される。
【0022】
燃焼チャンバは、燃焼チャンバに酸素含有ガスを供給することができるように、下流側から上流側に向けてチューブ状導管に接続されている。燃焼チャンバは、反応器の中心長手軸に沿って配置される。
【0023】
燃焼チャンバは、好ましくはガス止め、例えば金属カバーによって覆われた内部耐火ライニングから形成される。その耐火物を形成する物質および外側ライニングは、70%アルミナ(Al)であり、約1870℃の融点を有する鋳造可能な耐火物Kaocrete(登録商標)32-cmなどの当技術分野で従来から見られるものであり得る。さらに、9.8%の酸化クロム(Cr)を含む84.5%アルミナからなり、約2050℃の融点を有するRUBY SR(ハリソン-ウォーカー・リフラクトリーズ社製、ペンシルベニア州ピッツバーグ)などのレンガ耐火物に頼ることができる。シェルまたはライニングは、好ましくは、高温プロセス空気と接触する任意の配管を除いて、炭素鋼で形成される。このような領域では、配管は「316ステンレス鋼」で形成されている。
【0024】
燃焼チャンバは、好ましくは円筒として寸法決めされる。燃焼チャンバの下流に狭窄部を設けることができる。狭窄部は、テーパ状の通路を有し、上流から下流方向に収束する。好ましくは、これらの狭窄部は、切頭円錐形の通路の形状である。燃焼チャンバはまた、下流から上流方向にテーパを有することができる。したがって、燃焼チャンバは、反応チャンバに向かって、および/またはチューブ状導管に向かって先細になっている領域を備えることができる。
【0025】
典型的には、酸素含有ガスは、500℃~1000℃、好ましくは500~900、500~800、500~750、600~900、または750~950の温度に予熱され、燃料と混合される。
【0026】
典型的には、燃料は、500℃~1000℃、好ましくは500~900、500~800、500~750、600~900、または750~950の温度に予熱され、酸素含有ガスと混合される。
【0027】
反応チャンバは、燃焼チャンバ内で得られた高温燃焼ガスが反応チャンバ内に流入できるように、燃焼チャンバと接続されている。反応チャンバは、反応器の中心長手軸に沿って配置することができる。反応チャンバの直径は、高温燃焼ガスが膨張することができるように、燃焼チャンバの狭窄部の直径よりも大きくすることができる。膨張部は、好ましくは円筒として寸法決めされ、燃焼チャンバと連通し、好ましくは燃焼チャンバの狭窄部と連通する。
【0028】
反応チャンバは、カーボンブラック用の原料(例えば、クラッカーオイルまたはナフサなどの液状炭化水素)を高温燃焼ガス中に注入するための手段を含む。原料を注入するための手段は、好ましくは中心長手軸に対して円周方向に配置された、複数の注入ノズルを備えることができる。円周方向の配置により、カーボンブラックの原料を高温燃焼ガスと均質に混合することができるので、カーボンブラックの均一性がさらに改善する。
【0029】
カーボンブラック原料(クレオソート、アントラセン油、キャットクラッカー油、ナフサクラッカー油などの高含量の芳香族化合物を含む液状炭化水素)は、原料を注入する複数の手段を通して導入することができる。
【0030】
例えば、軸方向に延在する原料ランスパイプと、種々の円錐形の噴霧(例えば、15、30、45および60度の円錐形の噴霧角度)を生成することができるノズルを有する半径方向に延在する原料注入器とを用いて実施することができる。
【0031】
所望のカーボンブラック特徴を生成するために、半径方向に延在する原料注入器には、原料が一定の原料注入器を通してのみ導入されるように、または注入器内を流れる原料に対して流量が変化するように、遮断弁を設けることができる。
【0032】
反応器は、反応チャンバ(反応セクション)に続く急冷チャンバ(またはセクション)をさらに含むことができ、好ましくは、反応器の中心長手軸に沿った流路に急冷媒体を注入する手段であって、カーボンブラック用の原料を注入する流れ方向に対して後方に位置する手段を含む。あるいは、急冷チャンバは、急冷ボイラまたは熱交換器であってもよい。
【0033】
急冷チャンバ/セクションは、反応器の中心長手軸に沿った流路内に急冷媒体を注入する手段を備えることができる。急冷媒体を注入する手段は、カーボンブラック用の原料を注入する手段の流れ方向に続いて配置される。
【0034】
急冷媒体を注入する手段は、急冷チャンバ内に延在することができる。例えば、冷却流体導管または複数の半径方向の冷却流体導管を使用することができる。冷却流体(例えば、水)などの急冷媒体を急冷チャンバ内に噴霧して、カーボンブラック反応を適切な時期および場所で停止させる。
【0035】
酸素含有ガスの流路を変更するために、燃焼チャンバから離れた端部においてチューブ状導管にフローガイド手段を接続することができる。フローガイド手段は、好ましくは入口から酸素含有ガスを受け取り、受け取った酸素含有ガスを反応器の中心長手軸に平行かつ好ましくは軸対称に流すように構成される。換言すれば、ガス流は、チューブ状導管の断面に関して対称的に分配されることが好ましい。
【0036】
また、空気流が流入漏斗を通過してからフローガイド手段に導かれるように、流入漏斗がフローガイド手段の前に配置されていることも好ましい。
【0037】
例えば、フローガイド手段は、反応器の中心長手軸に対して実質的に直交する、好ましくは直交する、円筒形本体を備え、円筒形本体は壁面に開口を有し、円筒形本体は、チューブ状導管と接続され、反応器の中心長手軸に沿って配置される。これにより、フローガイド手段に流入する酸素含有ガスは流れ方向に整流される。次いで、整流された酸素含有ガスは旋回要素を通過することができ、これにより酸素含有ガスの旋回の安定性をさらに高めることができる。
【0038】
反応器は、燃焼チャンバに酸素含有ガスを供給するチューブ状導管をさらに備える。酸素含有ガス(O含有ガスまたはO含有ガス混合物)は、空気、酸素富化空気、他の酸素含有ガスおよび/または純酸素であり得る。このようにして、チューブ状導管は燃焼チャンバと接続しており、これにより酸素含有ガスは燃焼チャンバ内のチューブ状導管を通って流れることができる。チューブ状導管は、反応器の中心長手軸に沿って配置される。チューブ状導管の中心長手軸は、反応器の中心長手軸と同軸であることが望ましい。したがって、チューブ状導管は、反応器の中心長手軸に沿って同軸に配置することができる。
【0039】
チューブ状導管は、湾曲なしに反応器の中心長手軸に沿って広がる円筒形状を有することができる。
【0040】
チューブ状導管の内径は、5cm~3m、例えば10cm~3m、20cm~3m、9cm~2.5m、13cm~1.5m、0.1m~2m、20cm~1m、30cm~1.5m、15cm~60cm、または15cm~90cmであり得る。
【0041】
内径は好ましくはチューブ状導管全体に対して一定であるが、チューブ状導管は、流れ方向(すなわち、燃焼チャンバの方向)に向かってチューブ状導管の内径が減少する流入漏斗と接続された2つの異なるセクションを有することも可能である。したがって、チューブ状導管は、第1の内径を有する第1のセクションと、第1の内径よりも小さい第2の内径を有する第2のセクションとを有することができる。第1の内径は、5cm~3m、例えば20cm~3m、9cm~2.5m、13cm~1.5m、0.1m~2m、20cm~1m、30cm~1.5m、15cm~60cmまたは15cm~90cmの範囲であることができ、第2の内径は、5cm~3m、例えば20cm~3m、9cm~2.5m、13cm~1.5m、0.1m~2m、20cm~1m、30cm~1.5m、15cm~60cmまたは15cm~90cmの範囲であることができる。流入漏斗が存在する場合、1つ以上の旋回要素は流入漏斗と燃焼チャンバとの間に、すなわち第2のセクションに設けられる。
【0042】
このように、チューブ状導管は、流れ方向に関して旋回要素の前に位置する流入漏斗をさらに備えることができる。流入漏斗は、円錐台形状を有することができる。したがって、流入漏斗の内径は流れ方向に沿って連続的に減少し、したがって、反応器の上流から下流に向かって減少する。流入漏斗の最小内径に対する最大内径の内径比は1超かつ3以下、例えば1.1~2または1.5~2の範囲内である。
【0043】
したがって、流入漏斗のより小さい端部は、流れ方向においてチューブ状導管に接続される。流入漏斗の最小内径は、流入方向、つまり燃焼チャンバに向かうチューブ状導管の内径に対応する。最大内径は、下流から上流へのチューブ状導管の内径に対応する。
【0044】
流入漏斗は、旋回要素を通過する前に流れを改善するために使用することができる。
【0045】
任意の好適な燃焼燃料(例えば、天然ガス、燃料油、または他のガス状もしくは液状の炭化水素、好ましくは天然ガスもしくは燃料油、またはH)を導入するための燃料注入手段は、様々な方法で構成することができる。例えば、注入手段は、チューブ状導管の端部に配置することができ、チューブ状導管は、燃焼チャンバに接続される。例えば、注入手段は、チューブ状導管の中心長手軸に対して円周方向に配置されたチューブ状の注入パイプであり、その結果、燃料の入射角は、酸素含有ガスの流れ方向に対して実質的に直交する。
【0046】
あるいは、燃料注入手段は、少なくとも1つの旋回要素に一体化されおよび/または結合される。したがって、燃料と酸素含有ガスとの混合は、酸素含有ガスに旋回またはスピンを誘導する位置で直接行われる。
【0047】
しかしながら、燃料注入手段は、燃料ランスパイプとして具現化され、チューブ状導管を通って延び、導管の内面と燃料ランスパイプの外面との間に酸素含有ガスの通路を画定する間隙を有することが好ましい。燃料注入手段のこの配置により、さらに、気体の流れを妨害することなく、回転対称の酸素プロファイルが可能となる。燃料ランスパイプは、反応器および/またはチューブ状導管の中心長手軸に沿って配置することができる。これにより、回転対称な酸素プロファイルをより向上させることができる。
【0048】
したがって、旋回要素は、旋回要素がチューブ状導管を通して提供される酸素含有ガスを旋回させることができるように、上記間隙内に提供され得る。これは構造的に有利である。燃料ランスパイプは、チューブ状導管を通って同軸に延びることが好ましい。
【0049】
さらに、反応器の中心長手軸に沿って配置され、チューブ状導管を通って延びる燃料ランスパイプは、燃焼チャンバに燃料を供給するための唯一の手段とすることができる。これにより、酸素含有ガス流の途中で燃料が注入され、燃料の混合を促進することができる。
【0050】
しかしながら、燃料ランスパイプに加えて多数の燃料注入手段を設けることもできる。例えば、チューブ状導管の端部において、追加の燃料注入手段は、チューブ状導管の中心長手軸に対して回転対称に配置される。
【0051】
燃料が燃焼チャンバ内に注入される燃料ランスパイプの端部は、酸素含有ガスが燃焼チャンバに供給されるチューブ状導管の端部と実質的に同一平面上に配置することができる。あるいは、燃料ランスパイプは、酸素含有ガスが燃焼チャンバに供給されるチューブ状導管の端部に対して突出/後退するように配置することができる。チューブ状導管の端部に対して突出/後退することができる燃料ランスパイプの距離は、5~70cm、好ましくは10~50cm、より好ましくは20~45cm、および/または酸素含有ガスが燃焼チャンバに供給されるチューブ状導管の端部におけるチューブ状導管の直径の1~5倍まで、好ましくは1~4倍、より好ましくは2~3倍であり得る。燃料ランスパイプの突出/後退配置、すなわち燃焼の位置を制御することは、燃焼の高温に起因する材料歪みを低減することができる。
【0052】
燃料ランスパイプなどの燃料注入手段は、少なくとも1つの注入開口および/または少なくとも1つのノズルを備えることができ、少なくとも1つの注入開口および/または少なくとも1つのノズルは、反応器の中心長手軸に対して実質的に直交し、好ましくは直交する。それらは、反応器の中心長手軸に対して70~90°、例えば75~89°、80~88°の範囲の角度で配置することができる。
【0053】
少なくとも1つの注入開口および/または少なくとも1つのノズルは、燃料ランスパイプの外壁の周囲に円周方向に配置されてもよい。少なくとも1つのノズルは、燃料ランスパイプのベース領域に配置することもできる。
【0054】
少なくとも1つの注入開口および/または少なくとも1つのノズルの円周方向配置および角度は、燃料と酸素含有ガスとのより均一な混合を可能にする。
【0055】
燃料ランスパイプのような燃料注入手段の形状は、円筒形状とすることができる。燃料ランスパイプなどの燃料注入手段の内径および/または外径は、0.6cm~2.0m、例えば0.6cm~1m、1cm~1m、5cm~1m、10cm~1.0m、15cm~90cm、20cm~60cm、15cm~30m、1cm~20cm、または15cm~90cmであり得る。内径および/または外径は、燃料ランスパイプ等の燃料注入手段全体で一定であることが好ましい。一般に、チューブ状導管の内側にある燃料注入手段の内径および/または外径は、チューブ状導管の内径よりも小さい。
【0056】
燃料ランスパイプのような燃料注入手段は、旋回した酸素含有ガスに燃料が注入されるように配置されることは明らかである。したがって、燃料注入手段は、旋回要素の後ろに(流れの向きに対して)入口または注入開口を備えることができる。
【0057】
本発明によるチューブ状導管は、チューブ状導管の内部に設けられた少なくとも1つの旋回要素を備え、チューブ状導管を通って燃焼チャンバに流れるときに酸素含有ガスを旋回させる。
【0058】
したがって、反応器は、1つ以上の旋回要素を備える。好ましくは、反応器は、2~10、2~5、2~4、2~3、3~5、または3~4などの2つ以上の旋回要素を含む。より好ましくは、反応器は2つ、3つまたは4つの旋回要素、最も好ましくは2つを含む。複数の旋回要素が存在する場合、旋回要素は、チューブ状導管の内側に次々に取り付けられる。
【0059】
複数の旋回要素により、旋回の中断をさらに防止することができるので特に有利である。特に、チューブ状導管の長手軸に沿って旋回要素を直列に設けることで、酸素含有ガスにスピン/旋回を連続的に誘起することは有益である。旋回要素は、酸素含有ガスを左旋回または右旋回などの同じ回転で旋回させるべきである。
【0060】
好ましくは、旋回要素は、導管の内面と燃料ランスパイプの外面との間の間隙に配置され、酸素含有ガスがチューブ状導管を通って燃焼チャンバ内に流れるときに酸素含有ガスを旋回させる。
【0061】
さらに、2つ以上の旋回要素が使用される場合、それらは、好ましくはそれらの構造および/または旋回指針は互いに異なる。
【0062】
複数の旋回要素はそれぞれ、互いに(流れ方向に)個別に離間していてもよく、0~300cm、例えば1~300cm、1~200cm、1~100cm、1~70cm、10~90cm、10~60cm、15~40cmの範囲で離間される。距離は0cmとすることができる。距離「0」は、旋回要素が間隙なしで互いに接続されることを意味する。
【0063】
前述の旋回要素(または翼板)の各々は、通常、チューブ状導管の内面または燃料ランスパイプなどの燃料注入手段の外面に取り付けられる。したがって、特定の取り付けに応じて、旋回要素(または翼板)と、チューブ状導管の内面または注入手段の外面との間に間隙が形成される。間隙は小さいことが好ましく、これにより、酸素含有ガスの大部分が旋回要素を通過しなければならなくなり、旋回されたガスが提供され、技術的効果がさらに高められる。さらに、高温燃焼ガスの逆流を防止することができるので、旋回要素(または翼板)はチューブ状導管の内面に取り付けられることが特に有利である。旋回要素(または翼板)を注入手段の外面に取り付けることは、有利な簡単な構造を提供する。
【0064】
概して、旋回要素は、実質的に酸素含有ガス全体が旋回要素を通過することによって旋回されるように設計される。例えば、旋回要素は、翼板、フィンなどを備え、それらは、実質的に酸素含有ガス全体が翼板、フィンなどによって案内され、スピンまたは旋回が誘起されるように配置または設計される。少なくとも1つの旋回要素(または翼板)の自由端と、旋回要素が固定されていないかまたは一体的に形成されていないチューブ状導管の内面または燃料ランスパイプの外面との間の間隙は、0mm~10cm以下、例えば0mm~10cm、0mm~1cm、0mm~5mm、0.1mm~10cm、1mm~1cm、1mm~5mm、または1mm~2mmであるべきである。少なくとも1つの旋回要素(または翼板)の自由端とチューブ状導管の内面または燃料ランスパイプの外面との間の前述の間隙の距離に対する当該間隙におけるチューブ状導管の直径の比は、0.001~30000、例えば0.01~3000、0.5~3000、10~3000、100~3000、100~1000、200~2000、1000~3000、5000~20000または2000~3000の範囲であるべきである。これは、高温燃焼ガスの導管への逆流をさらに防止することができるので特に有利である。
【0065】
少なくとも1つの旋回要素は、好ましくはチューブ状導管の内面および/または燃料ランスパイプの外面に固定されるか、または一体的に形成される。少なくとも1つの旋回要素は、好ましくはチューブ状導管の内面および/または燃料ランスパイプの外面に置換可能に取り付けられる。「置換可能」は、旋回要素を容易に交換できることを意味する。これは、旋回要素または翼板をチューブ状導管内の適切に形成された間隙を通して挿入し、旋回要素または翼板をスクリューなどの締結具でチューブ状導管の外壁に固定することによって行うことができる。したがって、このような旋回要素は、チューブ状導管の内面に置換可能に取り付けられる。
【0066】
旋回要素は、それぞれ、少なくとも1つの翼板、好ましくは複数の翼板を個々に備えてもよく、複数の翼板は、好ましくは反応器の中心長手軸に対して回転対称に配置される。翼板は代替的に、フィン、リブ、または回転翼として定義することができる。上述のように、翼板は、好ましくは酸素含有ガスが翼板に強制的に当たることでスピンまたは旋回が誘発されるように配置される。
【0067】
旋回またはスピンを誘発する1つの可能性は、反応器の中心長手軸に対して翼板を傾斜させることである。「傾斜」は、酸素含有ガスが、スピンまたは旋回を誘発するのに必要な角度で翼板の表面に当たるように、翼板が配置されることを意味する。少なくとも1つの翼板は、反応器の中心長手軸に対して、好ましくは10~70°、好ましくは15~60°、より好ましくは25~55°、最も好ましくは25~50°の角度で傾斜させることができる。少なくとも1つの翼板はまた、反応器の中心長手軸、好ましくは翼板の長手軸および反応器の中心長手軸に対して、10~70°、好ましくは15~60°、より好ましくは25~55°、最も好ましくは25~50°の角度で傾斜させることができる。
【0068】
したがって、少なくとも1つの翼板は、反応器の中心長手軸およびそれぞれの横断軸を含む平面内で反応器の中心長手軸に対して傾斜することができ、ここで、それぞれの横断軸は反応器の中心長手軸に直交し、それぞれのラテラル軸に直交するものであり、それぞれのラテラル軸は反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に延びるものであり、好ましくは、翼板は10~70°、好ましくは15~60°、より好ましくは25~55°、最も好ましくは25~50°の角度で、前述の平面内の反応器の中心長手軸に対して傾斜する。翼板の所望の角度は概して、酸素含有ガスとの接触角を規定することになることに留意されたい。好ましくは、それぞれのラテラル軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に翼板の中心を通って延びる。
【0069】
翼板の幅は、チューブ状導管の壁から燃料ランスパイプの壁までの方向におけるものである。翼板の長さは、流路の方向におけるものである。寸法および軸は、添付の図面を用いてさらに説明される。
【0070】
流れに面する少なくとも1つの翼板の側面は、反応器の中心長手軸およびそれぞれの横断軸を含む平面において、反応器の中心長手軸に対して流れ方向に沿って一定のピッチおよび/または連続的に増加するまたは減少するピッチを有することができ、ここで、それぞれの横断軸は反応器の中心長手軸に直交し、それぞれのラテラル軸に直交し、それぞれのラテラル軸は反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に延びる。好ましくは、それぞれのラテラル軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に翼板の中心を通って延びる。少なくとも1つの翼板(または少なくとも1つの旋回要素)は、流れに面する表面に対して、増加するまたは減少するまたは一定のピッチの領域を有することができる。少なくとも1つの翼板は、流れ方向に沿って連続的に増加するまたは減少するピッチを有することができる。翼板が流れ方向に沿って連続的に増加するピッチを有する場合、酸素含有ガスは左回転で旋回する。翼板が流れ方向に沿って連続的に減少するピッチを有する場合、酸素含有ガスは右回転で旋回する。旋回要素の全ての翼板は、増加するピッチまたは減少するピッチのいずれかを有することが特に好ましい。概して、各旋回要素のすべての翼板は、酸素含有ガスの回転が左側または右側のいずれかになるように、増加するピッチまたは減少するピッチのいずれかを有する。連続的に増加するまたは減少するピッチは、流れの中断をさらに回避する。
【0071】
さらに、上記で定義されたような流れ方向に沿った一定のピッチおよび/または連続的に増加するもしくは減少するピッチは通常、少なくとも1つの翼板の流れに面する端部の領域を指すので、翼板は、丸みを帯びた角および縁を有することができる。一般に、流れに面する少なくとも1つの翼板の端部の80%、85%、90%、95%または99%は、上記で定義されるように、流れ方向に沿って一定のピッチおよび/または連続的に増加するもしくは減少するピッチを有することができる。
【0072】
翼板は、反応器の中心長手軸に沿って連続的なネジ山を形成することもできる。したがって、ネジ山は、複数の巻線を備える。好ましくは、翼板は、2~10回の巻線、例えば2~5回の巻線を有する。連続ネジ山は、異なるピッチ、すなわち、第1のピッチおよび第2のピッチを有することができ、第2のピッチは、第1のピッチよりも大きい。連続ネジ山は一定のピッチを有することができ、および/または連続ネジ山のピッチは、連続的に増加しまたは減少する。中心長手軸に沿った連続ネジ山は、複数の旋回要素を距離0cmで列に追加することによっても形成することができる。連続ネジ山は、翼板/旋回要素間に隙間が存在しないので、酸素含有ガスを流れの中断なしに容易に旋回させることができるという利点を有する。
【0073】
翼板の形状は、平面形状もしくは湾曲形状、またはそれらの組み合わせを有することができる。平面形状は、翼板のピッチが一定であることを意味し、湾曲形状は、ピッチが一定に増加するまたは減少することを意味する。
【0074】
上述のように、本発明によれば、2つ以上の旋回要素が存在することができる。したがって、第1の旋回要素は、反応器の中心長手軸およびそれぞれの横断軸を含む平面内で、反応器の中心長手軸に対して第1の角度で傾斜した少なくとも1つの翼板を有することができ、第2の旋回要素は、反応器の中心長手軸およびそれぞれの横断軸を含む平面内で、反応器の中心長手軸に対して第2の角度で傾斜した少なくとも1つの翼板を有することができ、ここで、それぞれの横断軸は反応器の中心長手軸に直交し、それぞれのラテラル軸に直交し、それぞれのラテラル軸は反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に延び、第1の角度は、第2の角度よりも大きい。好ましくは、それぞれのラテラル軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に翼板の中心を通って延びる。第1の旋回要素は燃焼チャンバに最も近い要素であり、酸素含有ガスは最初に第2の旋回要素、次いで第1の旋回要素を通過する。同様に、第3の旋回要素が存在する場合、酸素含有ガスは、最初に第3の旋回要素を通過する。最高の番号の旋回要素から最低の番号に向かって角度が増加することで、酸素含有ガスの旋回が連続的に増加する。これは、空気流の中断を防止することができるので、特に好ましい。それぞれの旋回要素の全ての翼板が同じ角度で傾斜していることが好ましい。例えば、第1の旋回要素の全ての翼板は、上記で定義された第1の角度で傾斜され、および/または第2の旋回要素の全ての翼板は上記で定義された第2の角度で傾斜される。さらに、それぞれの旋回要素の翼板は、酸素含有ガスを左側または右側などの同じ方向/回転で旋回させるべきであることは明らかである。
【0075】
第1の角度は、15~70°、例えば20~60°、30~55°、35~60°、35~55°、または40~50°の範囲であることが好ましく、および/または第2の角度は、10~60°、例えば10~55°、15~50°、20~45°、20~40°、または25~35°の範囲であることが好ましく、および/または第2の角度からの第1の角度の差は、少なくとも5~40°、例えば5~30°、8~25°、5~20°、または10~20°であることが好ましい。
【0076】
チューブ状導管および反応器の中心長手軸に対する翼板の傾斜の代替的な定義は、翼板の長さ軸が反応器の中心長手軸に平行であり、次いで、特定の翼板が、それぞれの翼板のそれぞれの中心ラテラル軸の周りで上記で定義された角度だけ回転されることである。単純な翼板の例は、金属板などの板または長方形板である。この長方形版は、第1および/または第2の角度のように、上記で定義された角度だけ回転することができる。
【0077】
また、本発明は、上記の反応器で行うことができるカーボンブラックの製造方法に関する。好ましくは、この方法はファーネスブラック法である。この方法は、(a)燃料注入手段によって反応器の燃焼チャンバ内に燃料を注入すること、(b)チューブ状導管を通して、チューブ状導管内に設けられた少なくとも1つの旋回要素を通過させながら酸素含有ガスを反応器の中心長手軸に沿って供給すること、(c)少なくとも1つの旋回要素によって酸素含有ガスを旋回させること、(d)注入された燃料と旋回された酸素含有ガスとを混合すること、(e)燃焼チャンバ内で燃料を燃焼させて高温燃焼ガスを生成すること、(f)反応器の中心長手軸に沿って燃焼チャンバに続いて位置する反応チャンバ内で高温燃焼ガスを受け取ること、および(g)燃焼チャンバから受け取った高温燃焼ガスにカーボンブラック用の原料を注入して反応チャンバ内でカーボンブラックを形成することを含む。上述の方法を使用すると、酸素含有ガスを旋回させることなく、対応する製造と比較してより高い収率でカーボンブラックを製造することが可能である。したがって、好ましくは本発明の反応器を使用して、本発明の方法に従って製造されたカーボンブラックを製造することができる。
【0078】
燃料は、反応器の中心長手軸に沿って配置され、チューブ状導管を通って反応器の燃焼チャンバ内に延在する燃料ランスパイプによって注入することができ、酸素含有ガスは、導管の内面と燃料ランスパイプの外面との間の間隙によって画定される通路を通って燃焼チャンバに供給され、酸素含有ガスは、間隙に設けられた少なくとも1つの旋回要素によって旋回させる。
【0079】
酸素含有ガスは概して、燃料の完全燃焼のための酸素の量に対して過剰の酸素を生じる量で供給され、および/または酸素含有ガスは、k値が0.01~10、例えば0.01~1、0.1~1、0.1~5、1~2、0.7~1、または0.5~1の範囲にある量で供給される。ここで、k値は、供給されたO量に対する燃料の完全な化学量論的燃焼に必要な化学量論的O量の比率によって定義される。
【0080】
酸素含有ガスは、酸素含有ガスを燃焼チャンバに供給するためのチューブ状導管に供給する前に、ガイドおよび/または整流することができる。
【0081】
酸素含有ガスの旋回は、高温燃焼ガス中およびカーボンブラック原料を含む反応混合物中にも存在することができる。旋回高温燃焼ガスは、ガス中の残りの酸素も均質に分配され、その結果、原料材料の反応が均一なカーボンブラック特性を提供し、収率および生産性が増加するので、特に好ましい。したがって、燃料ランスパイプの注入端に向かう燃焼チャンバ内で生成された高温燃焼ガスの再循環を得ることができる。
【0082】
高温燃焼ガス中の酸素濃度は、カーボンブラック用の原料を高温燃焼ガス中に注入するとき、反応チャンバの断面にわたって実質的に均質または均質であるべきである。
【0083】
燃料および酸素含有ガスの流量は、高温になるように調整され、通常、化学量論比に近い。比率は、耐火物の熔融を防止するために調整されなければならない。酸素を含む流れの範囲は非常に広く、例えば、約1000Nm/hの低さから約100kNm/hの高さまで、例えば1000Nm/h~100kNm/h、1000Nm/h~10kNm/h、2000Nm/h~3000Nm/h、または1000Nm/h~2000Nm/hである。しかしながら、本発明は、これらの量に限定されるものではなく、より大きい反応器ではより高い空気流が必要とされ、より小さい反応器ではより低い空気流が必要とされる。しかしながら、旋回された酸素含有ガスにより、燃料と酸素含有ガスとを均質に混合することができ、燃焼ガスの温度分布は、耐火物の歪みが少なくなるようにより望ましいものになる。
【0084】
第1の流体は、旋回させることができ(旋回第1流体)、0.2~1.2、好ましくは0.4~1.1、より好ましくは0.5~1.0、さらにより好ましくは0.6~0.8の旋回数を有する。概して、旋回強度は、ガスの角運動量の尺度である。これは、軸運動量の軸方向流束に対する角運動量の軸方向流束の比として定義される旋回数Sによって特徴付けられる(Guptaら、1984)。
【0085】
第2の流体は、旋回させることができ(旋回第2流体)、0.2~1.2、好ましくは0.4~1.1、より好ましくは0.5~1.0、さらにより好ましくは0.6~0.8の旋回数を有する。概して、旋回強度は、ガスの角運動量の尺度である。これは、軸運動量の軸方向流束に対する角運動量の軸方向流束の比として定義される旋回数Sによって特徴付けられる(Guptaら、1984)。
【0086】
燃料は、旋回させることができ(旋回燃料)、0.2~1.2、好ましくは0.4~1.1、より好ましくは0.5~1.0、さらにより好ましくは0.6~0.8の旋回数を有する。概して、旋回強度は、ガスの角運動量の尺度である。これは、軸運動量の軸方向流束に対する角運動量の軸方向流束の比として定義される旋回数Sによって特徴付けられる(Guptaら、1984)。
【0087】
酸素含有ガスは、旋回させることができ(旋回酸素含有ガス)、0.2~1.2、好ましくは0.4~1.1、より好ましくは0.5~1.0、さらにより好ましくは0.6~0.8の旋回数を有する。概して、旋回強度は、ガスの角運動量の尺度である。これは、軸運動量の軸方向流束に対する角運動量の軸方向流束の比として定義される旋回数Sによって特徴付けられる(Guptaら、1984)。
【0088】
高い旋回数は、直列に配置された2つ以上の旋回要素を使用することによって、有益に達成することができる。
【0089】
ここで、本発明の範囲および領域を限定しない添付の図面を参照して、本発明を説明する。提供される説明は純粋に、事例および説明図を示すためのものである。しかしながら、図面に例示された特定の特徴は、本発明の範囲および特許請求の範囲をさらに制限するために使用され得る。
【0090】
図1aおよび図1bを参照すると、x-z平面(010)における旋回要素のセクションおよびx-y平面(011)における旋回要素のセクションが示されている。
【0091】
上述のように、旋回要素は、反応器の中心長手軸に沿って反応器の流れ方向に対して傾斜した翼板を含むことができる。図1aは、チューブ状導管(110)の内側の燃料ランスパイプ(111)に取り付けられた特定の翼板(092)のx-z平面における図である。燃料ランスパイプ(111)の長手軸は、反応器の中心長手軸(101)と同軸である。反応器の中心長手軸(101)は、座標系における平面のx軸を表す。座標系はデカルト座標系である。座標系におけるz軸およびy軸は、考慮される特定の翼板(092)に依存する。z軸は、反応器の中心長手軸(101)に直交し、それぞれのラテラル軸(091)に直交するそれぞれの横断軸(090)である。考慮される翼板(092)のそれぞれのラテラル軸(091)は、座標系におけるy軸(091)である。それぞれのラテラル軸(091)は、反応器の中心長手軸(101)に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に延びる。図1bには、考慮されている翼板の幅(094)の方向に延びる翼板の幅(094)およびy軸(091)が示されている。異なる翼板の角度(または位置、配列、回転および/または傾斜)が考慮される場合の座標系については、別のそれぞれのラテラル軸(z軸)(090)および考慮される翼板のためのそれぞれのラテラル軸(091)(y軸)が使用される。言い換えれば、y軸およびz軸は、それぞれの翼板に依存する。また、翼板の長さ(経度)(095)の方向は、流れ方向に延びている。翼板の高さ(093)を図1aに示す。好ましくは、x値は、流れ方向において増加しまたは減少し、好ましくは増加する。
【0092】
本発明による反応器は概して、図2において数字(100a)によって表される。図3による反応器は、数字(100b)によって表され、流入漏斗(150)が旋回要素(113a、113b)の前に位置するという点で、図2の反応器とは異なる。この場合、チューブ状導管(110)は、流入漏斗(150)に接続される。図では、チューブ状導管(110)の第1のセクションがチューブ状導管(110)の第2のセクションよりも大きい直径を有するように示されていない。
【0093】
図2および図3の反応器(100a、100b)は、燃焼チャンバ(120)、反応チャンバ(130)、および急冷チャンバ(140)を備える。さらに、チューブ状導管(110)が燃焼チャンバ(120)に接続される。これらの構成要素は、反応器の中心長手軸(101)に沿って配置され、流路を形成する。矢印(102)は、チューブ状導管(110)を通って燃焼チャンバ(120)に供給される酸素含有ガスの流れ方向を示す。これらの反応器では、燃料注入手段は、チューブ状導管(110)の内部に設けられた燃料ランスパイプ(111)である。燃料ランスパイプ(111)は、反応器の中心長手軸(101)に沿って配置される。矢印(103)は、燃料の流れ方向を示す。
【0094】
チューブ状導管(110)は、2つの旋回要素(113a、113b)を備えるが、1つまたは2つ以上、例えば3つの旋回要素を使用することもできることは明らかである。旋回要素(113a、113b)は次々に配置され、第1の旋回要素(113a)は燃焼チャンバ(120)に最も近く配置される。第2の旋回要素(113b)は、流れ方向(上流から下流)に対して第1の旋回要素(113a)の前に位置する。旋回要素(113a、113b)は、反応器の中心長手軸(101)に対して傾斜している複数の翼板(112)を備える。第2の旋回要素(113b)は、既に上述したように第2の角度で傾斜している。第1の旋回要素(113a)は、第1の角度で傾斜し、第1の角度は、第2の角度よりも小さい。酸素含有ガスが、第2の旋回要素、次いで第1の旋回要素(113a、113b)を通過する場合、酸素含有ガス中にスピンまたは旋回が誘導される。旋回要素(113a、113b)の後方で、したがって、旋回が誘起された後、燃料は、旋回された酸素含有ガスと混合される。
【0095】
反応チャンバ(130)は、炭化水素原料(132)を注入するための複数の注入ノズル(131)を備える。さらに、急冷チャンバ(140)は、急冷媒体(142)を注入するための複数の注入ノズル(141)を備える。
【0096】
流入漏斗(150)は、最大直径(151)および最小直径(152)を有し、流入漏斗の最小直径(152)は、チューブ状導管(110)の直径に対応する。
【0097】
図4図5図6および図7を参照すると、燃料ランスパイプおよび旋回要素を含むチューブ状導管のセクションが図示されている。特に、図4は、燃料ランスパイプと、燃料ランスパイプの外面に接続された旋回要素とを含むチューブ状導管のセクション(200a)を示す。図5は、流入漏斗と、燃料ランスパイプと、燃料ランスパイプの外面に接続された旋回要素とを含むチューブ状導管のセクション(200b)を示す。図6は、燃料ランスパイプと、チューブ状導管の内面に接続された旋回要素とを含むチューブ状導管のセクション(200c)を示す。図7は、流入漏斗と、燃料ランスパイプと、チューブ状導管の内面に接続された旋回要素とを含むチューブ状導管のセクション(200d)を示す。
【0098】
この場合も、チューブ状導管は、反応器の中心長手軸(101)に沿って配置された2つの旋回要素(113aおよび113bまたは114aおよび114b)を備える。上述のように、図4および図5は、チューブ状導管(110)を示し、旋回要素(113a、113b)は、燃料ランスパイプ(111)に取り付けられる。図6および図7において、旋回要素(114a、114b)は、チューブ状導管(110)の内壁に取り付けられる。図5および図7において、流入漏斗(150)は、チューブ状導管(110)と接続されている。
【0099】
これらの図では燃料手段は、燃料ランスパイプの外壁の周りに円周方向に配置された複数の注入開口(250)として設けられており、注入開口(250)は、反応器の中心長手軸(101)に対して実質的に直交する方向に燃料を注入することができる。
【0100】
図4および図5を参照すると、第1の旋回要素(113a)の翼板(112a)および第2の旋回要素(113b)の翼板(112b)は、翼板とチューブ状導管の内面との間に間隙(210)が現れるように、燃料ランスパイプ(111)の外壁に取り付けられる。図6および図7では、第1の旋回要素(114a)の翼板(112a)および第2の旋回要素(114b)の翼板(112b)は、翼板と燃料ランスパイプの外面との間に間隙(211)が現れるように、燃料ランスパイプ(111)の外壁に取り付けられている。それぞれのギャップのサイズは上述のように、0mm~10cm、例えば0mm~10cm、0mm~1cm、0mm~5mm、0.1mm~10cm、1mm~1cm、1mm~5mm、または1mm~2mの範囲にあるべきである。間隙は、酸素含有ガスの大部分が旋回するように、可能な限り小さく、すなわち0mmであることが好ましい。
【0101】
第1および第2の旋回要素間の距離(220)は、0~300cm、例えば1~300cm、1~200cm、1~100cm、1~70cm、10~90cm、10~60cm、15~40cmの範囲であり得る。この距離は0cmとすることができる。第1の旋回要素と、燃焼チャンバに接続されたチューブ状導管の端部との間の距離(230)は、0~2m、例えば0~1.5m、1cm~1.5m、1cm~1m、1cm~60cm、10cm~60cm、15cm~40cm、5cm~30cm、または20cm~1mの範囲であり得る。
【0102】
チューブ状導管の内径(240)はすでに上述したように、5cm~3m、例えば10cm~3m、20cm~3m、9cm~2.5m、13cm~1.5m、0.1m~2m、20cm~1m、30cm~1.5m、15cm~60cm、または15cm~90cmから選択することができる。チューブ状導管の内径(240)は、酸素含有ガスの流量の影響を有し、反応器のサイズに応じて調整されるべきである。
【0103】
第1の旋回要素と燃料入口との間の距離(260)は、1cm~1.5m、例えば2cm~1m、10cm~1m、20cm~1m、または30cm~1mの範囲であり得る。
【0104】
上述の図から分かるように、燃焼チャンバ(120)に最も近い第1の旋回要素の翼板(112a)は、上述の座標系を考慮して、反応器の中心長手軸(101)に対して傾斜している。第1の旋回要素の翼板の長さ軸(291a)と反応器の中心長手軸(101)との間の第1の旋回要素の翼板の第1の角度(290a)は、第2の旋回要素の翼板の長さ軸(291b)と反応器の中心長手軸(101)との間の第2の旋回要素の翼板の第2の角度(290b)よりも大きい。翼板は、流れ方向からみて酸素含有ガスが左回転で旋回するように燃料ランスパイプ(111)上に配置されることに留意されたい。しかしながら、酸素含有ガスが、流れ方向からみて右回転で旋回される場合も、本発明に従うものである。多重旋回要素は、同じ方向に旋回を誘起することが望ましい。翼板(112a、112b)を、翼板の反対側が酸素含有ガス流に面するように、例えば図に示されるのと同じ角度で下方に向けることによって、単に右回転を得ることができる。そうではあるが、同じチューブ状導管の内側に設けられた全ての翼板および旋回要素は、左側または右側などの同じ回転で旋回を誘発することが望ましい。
【0105】
翼板の位置および配置は、上述の座標系における機能を用いて説明することもでき、座標系におけるz軸およびy軸は、考慮される特定の翼板(092)に依存する。特に、それぞれの翼板(092)のそれぞれのラテラル軸(091)は、座標系におけるy軸(091)である。それぞれのラテラル軸(091)は、反応器の中心長手軸(101)に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に延びる。z軸は、反応器の中心長手軸(101)に直交し、それぞれのラテラル軸(091)に直交するそれぞれのラテラル軸(090)である。このデカルト座標系ではx軸およびz軸は、それぞれの翼板について考慮されている。このデカルト座標系における原点は、燃料ランスパイプまたは導管に隣接する翼板の表面上の位置にあることができる。
【0106】
図1図7の翼板は、一定に増加するまたは減少するピッチの領域を有し、その結果、酸素含有ガス流に面する翼板の側面は、f(x)=(-)n*x(式中、nはピッチであり、x軸は反応器の中心長手軸(101)によって表される)などの関数で記述することができる。式中の「(-)」という用語は、減少するピッチを示す代替の負の符号に関する。したがって、マイナス記号はオプションである。連続的に増加するまたは減少するピッチは、f(x)=(-)x(またはf(x)=(-)n*x)で記述することができ、ここで、mは、1超かつ10以下、例えば2~10、1~5、1~3、1.1~5、または2~3から選択することができる。特定の点xにおける関数の導関数は、この位置における翼板のピッチを明らかにする。関数はx方向、y方向およびz方向にシフトさせることができ、例えば、f(x)=(-)n*(x+b)であり、ここで、関数はx方向にシフトする。一定のピッチまたは一定のピッチの領域を有する翼板のピッチは、符号なしで(すなわち、絶対値で)、好ましくは0.09~10、0.17~6、0.26~6、0.26~3、または0.17~1.75の範囲である。ピッチが一定である領域を除いて、例えば、ピッチが絶えず増加しまたは減少するような翼板の最大ピッチは、符号なしで(すなわち、絶対値で)、好ましくは0.09~10、0.17~6、0.26~6、0.26~3、0.17~2.74、0.26~1.73、0.46~1.42、0.46~1.2、または0.17~1.75の範囲である。最大ピッチは絶対値で定義されるので、最大ピッチは、連続的に増加するピッチおよび減少するピッチを表す。
【0107】
各旋回要素(113aおよび113bまたは114aおよび114b)の翼板の寸法は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、第1の旋回要素の翼板の長さ(095)(270)は、1cm~3m、例えば5cm~2m、10cm~1m、15cm~1m、20cm~90cm、25cm~1m、30~60cm、40~1.5m、または35~3mの範囲であり得る。第2の旋回要素の翼板の長さ(095)(271)は、1cm~3m、例えば5cm~2m、10cm~1m、15cm~1m、20cm~90cm、25cm~1m、30~60cm、40~1.5m、または35~3mの範囲であり得る。第1の旋回要素の翼板の幅(094)(280)は、4cm~2.9m、例えば5cm~2.5m、9cm~2.5m、10cm~2m、20cm~2m、8cm~1m、12cm~1.4m、0.1m~2m、19cm~1m、30cm~1.5m、14cm~60cm、14~59、または14cm~89cmの範囲であり得る。第2の旋回要素の翼板の幅(094)(281)は、4cm~2.9m、例えば5cm~2.5m、9cm~2.5m、10cm~2m、20cm~2m、8cm~1m、12cm~1.4m、0.1m~2m、19cm~1m、30cm~1.5m、14cm~60cm、14~59、または14cm~89cmの範囲であり得る。特に、旋回要素の翼板の幅(094)(280、281)は、少なくとも1つの旋回要素の自由端と、旋回要素が取り付けられていないまたは一体的に形成されていないチューブ状導管の内面または燃料ランスパイプの外面との間の角度間隙が上記で定義されたように可能な限り小さくなるように選択されるべきであり、例えば0mm~10cmを超えないように、例えば0mm~10cm、0mm~1cm、0mm~5mm、0.1mm~10cm、1mm~1cm、1mm~5mm、または1mm~2mmから選択されるべきである。特定の旋回要素の翼板の形状および寸法は同じであることが望ましい。本発明によれば、3つ以上の旋回要素も望ましく、さらなる旋回要素の翼板の寸法は、上述の寸法から選択することができる。
【0108】
図8図9、および図10を参照すると、旋回要素のセクションが図示されている。特に、図8は、滑らかな接続を有する一定のピッチの2つの領域を有する旋回要素のセクション(300a)を示す。図9は、鋭い接続部を有する一定のピッチの2つの領域を有する旋回要素のセクション(300b)を示す。図10は、連続的に減少するピッチを有する旋回要素のセクション(300c)を示す。流れ方向は、酸素含有ガス(102)の通路を示す矢印で示されている。ピッチの領域は、流れに面する翼板の側面を指す。
【0109】
図8は、第1の一定ピッチを有する翼板の第1の領域(310)と、第2の一定ピッチを有する翼板の第2の領域(320)とを有する旋回要素を示す。あるいは、ピッチの2つの領域が翼板間に間隙が存在しないように0mmの距離で互いに取り付けられた2つの旋回要素として説明することができる。第2の一定ピッチを有する翼板の第2の領域(320)は、一定ピッチの領域と、第2の一定ピッチを有する翼板の第2の領域の長さ軸(330)とを含む。第2の一定ピッチを有する第1の旋回要素の翼板の第2の領域の長さ軸の、反応器の中心長手軸に対する角度(340)は、上記で定義されたものと同じ、すなわち、10~70°、好ましくは15~60°、より好ましくは25~55°、最も好ましくは25~50の角度であることができる。第2の一定ピッチを有する翼板の第2の領域(320)のピッチは、符号なしで(すなわち絶対値で)、0.09~10、0.17~6、0.26~6、0.26~3、0.17~2.74、0.26~1.73、0.46~1.42、0.46~1.2、または0.17~1.75の範囲であることができる。
【0110】
図9は、第1の一定ピッチを有する翼板の第1の領域(310)と、第2の一定ピッチを有する翼板の第2の領域(320)とが鋭い角度で接続されている点で、図8と異なる。
【0111】
図10に示された旋回要素(300c)は、酸素含有ガス流に面する翼板の側面に対して連続的に減少するピッチを有する。酸素含有ガス(102)の流れ方向を考慮して、ピッチは絶えず減少する。f(x)=n*(-x)で、酸素含有ガスに面し、絶えず減少する面を記述する関数を記述することができる。翼板の最大ピッチ(331)は、符号なしで(すなわち絶対値で)、好ましくは0.09~10、0.17~6、0.26~6、0.26~3、0.17~2.74、0.26~1.73、0.46~1.42、0.46~1.2、または0.17~1.75の範囲である。最大ピッチは絶対値で定義されるので、最大ピッチは、連続的に増加するピッチおよび減少するピッチを表す。翼板の最大ピッチおよび角度は、旋回またはスピンの程度に関与することに留意されたい。
【0112】
図11および図12を参照すると、異なる配向を有する3つの旋回要素を含む燃料ランスパイプのセクション(400a、400b)が図示されている。
【0113】
特に、これらの図は、燃料ランスパイプに取り付けられた旋回要素の異なる可能な構成を明らかにする。これらの旋回要素をチューブ状導管の内壁に取り付けることもできることは明らかである。さらに、異なる旋回要素の異なる配置が可能である。
【0114】
図11から分かるように、3つの旋回要素が直列に配置されている。燃焼チャンバ(120)に最も近い位置にある第1の旋回要素は、第1のピッチを有する翼板の第1の領域(310a)と、第2のピッチを有する翼板の第2の領域(320a)とを含む。第1および第3の旋回要素(113c)の間に位置する第2の旋回要素は、第1のピッチを有する翼板の第1の領域(310b)と、第2のピッチを有する翼板の第2の領域(320b)とを含む。第3の旋回要素(113c)は、第1のピッチを有する翼板の第1の領域(310c)と、第2のピッチを有する翼板の第2の領域(320c)とを備える。第2のピッチを有するそれぞれの翼板の第2の領域の各長さ軸(330a、330b、および330c)と反応器の中心長手軸(101)との間の角度(340a、340b、および340c)は、流れ方向において連続的に増加し、その結果、旋回の程度も連続的に増加する。
【0115】
図12では、3つの異なる種類の旋回要素が燃料ランスパイプに取り付けられている。第1の旋回要素は、翼板の端部に最大ピッチ(331)を有する連続的な増加ピッチ(311)を有する翼板を備える。第2の旋回要素(112b)は、一定のピッチを有し、第2の旋回要素の翼板の長さ軸(291b)および反応器の中心長手軸(101)に対して特定の角度(290b)で傾斜している。第3の旋回要素は、第1のピッチを有する翼板の第1の領域(310c)と、第2のピッチを有する翼板の第2の領域(320c)とを備える。この場合も、ピッチおよび/または角度は、流れ方向に連続的に増加する。
【0116】
図13は、チューブ状導管(110)内の燃料ランスパイプ(112)の外面に取り付けられた1つの翼板を有する旋回要素の多視点投影を示す。複数の翼板を燃料ランスパイプに取り付けることが可能である。好ましくは、複数の翼板は、各翼板が少なくとも第2の翼板と少なくとも部分的に重なるように燃料ランスパイプに取り付けられる。図13の翼板は、連続的に増加するピッチ(311)を有するが、上述のような翼板の他の形態を所望に応じて使用することができる。
【0117】
本発明の原理から逸脱することなく、様々な修正を行うことができ、好ましい実施形態において多くの変更を行うことができることは理解されるであろう。
【0118】
発明の態様
1.
反応器の中心長手軸に沿った流路を有し、好ましくは態様29~41の方法に従って製造される、カーボンブラックを製造するための反応器であって、
(i) 燃料の燃焼によって高温燃焼ガスを生成する燃焼チャンバ、
(ii) 第1の流体を燃焼チャンバに供給するチューブ状導管であって、チューブ状導管を通って燃焼チャンバに流れるときに第1の流体を旋回させる少なくとも1つの旋回要素がチューブ状導管の内側に設けられたチューブ状導管、
(iii) 第2の流体を燃焼チャンバに注入する注入手段、および
(iv) 燃焼チャンバに続く反応チャンバであって、燃焼チャンバから受け取った高温燃焼ガス中にカーボンブラック用の原料を注入してカーボンブラックを形成する手段を含む反応チャンバ、を含む反応器:
ここで、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料であるか、または第1の流体は燃料であり、第2の流体は酸素含有ガスであり、燃焼チャンバおよびチューブ状導管は反応器の中心長手軸に沿って配置されている。
2.
注入手段は燃料注入手段であり、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料である、態様1に記載の反応器。
3.
反応器の中心長手軸に沿った流路を有するカーボンブラック製造用の反応器であって、
(i) 燃料の燃焼によって高温燃焼ガスを生成する燃焼チャンバ、
(ii) 酸素含有ガスを燃焼チャンバに供給するチューブ状導管であって、酸素含有ガスがチューブ状導管を通って燃焼チャンバに流入するときに酸素含有ガスを旋回させる少なくとも1つの旋回要素がチューブ状導管内に設けられたチューブ状導管、
(iii) 燃料を燃焼チャンバに注入する燃料注入手段、および
(iv) 燃焼チャンバに続く反応チャンバであって、燃焼チャンバから受け取った高温燃焼ガス中にカーボンブラック用の原料を注入してカーボンブラックを形成する手段を含む反応チャンバ、を含む反応器:
ここで、燃焼チャンバおよびチューブ状導管は反応器の中心長手軸に沿って配置されている。
4.
燃料注入手段は燃料ランスパイプであり、チューブ状導管を通って延び、導管の内面と燃料ランスパイプの外面との間に酸素含有ガスの通路を画定する間隙を有し、ここで、好ましくは燃料ランスパイプは反応器の中心長手軸に沿って配置される、または、注入手段はランスパイプであり、チューブ状導管を通って延び、導管の内面とランスパイプの外面との間に酸素含有ガスの通路を画定する間隙を有し、ここで、好ましくはランスパイプは反応器の中心長手軸に沿って配置される、態様1~3のいずれか1つに記載の反応器。
5.
少なくとも1つの旋回要素は上記間隙内に設けられている、態様1~4のいずれか1つに記載の反応器。
6.
燃料ランスパイプは、チューブ状導管を通って同軸に延在し、および/またはチューブ状導管は、反応器の中心長手軸に沿って同軸に配置され、および/または少なくとも1つの旋回要素はチューブ状導管の長手軸に沿って同軸に配置される、態様1~5のいずれか1つに記載の反応器。
7.
反応器の中心長手軸に沿って配置され、チューブ状導管を通って延びる燃料ランスパイプが、燃焼チャンバに燃料を供給する唯一の手段である、態様1~6のいずれか1つに記載の反応器。
8.
燃料を燃焼チャンバに注入する燃料ランスパイプの端部は、酸素含有ガスを燃焼チャンバに供給するチューブ状導管の端部と実質的に同一平面上に配置されるか、または、酸素含有ガスを燃焼チャンバに供給するチューブ状導管の端部に対して、酸素含有ガスを燃焼チャンバに供給するチューブ状導管の端部におけるチューブ状導管の直径の最大1~5倍、好ましくは1~4倍、より好ましくは2~3倍の距離だけおよび/または5~70cm、好ましくは10~50cm、より好ましくは20~45cmの距離だけ突出/後退するように配置される、態様1~7のいずれか1つに記載の反応器。
9.
チューブ状導管の長手軸に沿って直列に配置された少なくとも2つの旋回要素を備え、特に、チューブ状導管の内面と燃料ランスパイプの外面との間の間隙に配置されて、チューブ状導管を通って燃焼チャンバ内に流れるときに酸素含有ガスを旋回させ、ならびに/または旋回要素はそれらの構造および/または旋回指針が互いに異なり、および/または例えば0~300cm、1~300cm、1~200cm、1~100cm、1~70cm、10~90cm、10~60cm、15~40cmの範囲の距離なだけ互いに離間している、態様1~8のいずれか1つに記載の反応器。
10.
反応器は第1および第2の旋回要素を備え、第1の旋回要素は燃焼チャンバのより近くに配置される、態様1~9のいずれか1つに記載の反応器。
11.
旋回要素はそれぞれ個別に、少なくとも1つの翼板、好ましくは複数の翼板を備え、複数の翼板が好ましくは、反応器の中心長手軸に対して回転対称に配置される、態様1~10のいずれか1つに記載の反応器。
12.
旋回要素はそれぞれ個別に少なくとも1つの翼板、好ましくは複数の翼板を含み、好ましくは少なくとも1つの翼板は、反応器の中心長手軸に対して傾斜し、好ましくは10~70°、好ましくは15~60°、より好ましくは25~55°、最も好ましくは25~50°の角度で傾斜している、態様1~11のいずれか1つに記載の反応器。
13.
少なくとも1つの翼板は、反応器の中心長手軸とそれぞれの横断軸とを含む平面において、反応器の中心長手軸に対して傾斜しており、それぞれの横断軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれのラテラル軸に直交し、それぞれのラテラル軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に延びており、好ましくは、翼板は上記平面における反応器の中心長手軸に対して、10~70°、好ましくは15~60°、より好ましくは25~55°、最も好ましくは25~50°の角度で傾斜している、態様1~12のいずれか1つに記載の反応器。
14.
流れに面する少なくとも1つの翼板の側面は、反応器の中心長手軸およびそれぞれの横断軸を含む平面において、反応器の中心長手軸に対して、一定のピッチおよび/または流れ方向に沿って連続的に増加するまたは減少するピッチを有し、それぞれの横断軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれのラテラル軸に直交し、それぞれのラテラル軸は反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅の方向に延在する、態様1~13のいずれか1つに記載の反応器。
15.
少なくとも1つの旋回要素は、反応器の中心長手軸に沿って連続的なネジ山を形成する翼板を含み、好ましくは翼板は、2~10回の巻線、例えば2~5回の巻線を有し、好ましくは連続的なネジ山は、異なるピッチ、すなわち第1および第2のピッチを有し、第2のピッチは第1のピッチよりも大きく、および/または連続的なネジ山は、一定のピッチを有し、および/または連続的なネジ山のピッチは、連続的に増加しまたは減少する、態様1~14のいずれか1つに記載の反応器。
16.
少なくとも1つの翼板は、平面形状もしくは湾曲形状またはそれらの組み合わせを有し、および/または少なくとも1つの翼板は、流れ方向に沿って連続的に増加するまたは減少するピッチを有する、態様1~15のいずれか1つに記載の反応器。
17.
第1の旋回要素は、反応器の中心長手軸とそれぞれの横断軸とを含む平面において、反応器の中心長手軸に対して第1の角度で傾斜した少なくとも1つの翼板を有し、第2の旋回要素は、反応器の中心長手軸とそれぞれの横断軸とを含む平面において、反応器の中心長手軸に対して第2の角度で傾斜した少なくとも1つの翼板を有し、それぞれの横断軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれのラテラル軸に直交し、それぞれのラテラル軸は、反応器の中心長手軸に直交し、それぞれの翼板の幅方向に延在し、第1の角度は第2の角度より大きく、好ましくは第1の角度は、15~70°、例えば20~60°、30~55°、35~60°、35~55°、または40~50°の範囲であり、および/または第2の角度は、10~60°、例えば10~55°、15~50°、20~45°、20~40°、または25~35°の範囲であり、および/または第1の角度は、第2の角度と少なくとも5~40°、例えば5~30°、8~25°、5~20°、または10~20°異なる、態様1~16のいずれか1つに記載の反応器。
18.
少なくとも1つの旋回要素は、チューブ状導管の内側および/または燃料ランスパイプの外側に固定されるかまたは一体的に形成され、少なくとも1つの旋回要素は、好ましくはチューブ状導管の内側および/または燃料ランスパイプの外側に置換可能に固定される、態様1~17のいずれか1つに記載の反応器。
19.
少なくとも1つの旋回要素の自由端と、旋回要素が固定されていないかまたは一体的に形成されていないチューブ状導管の内面または燃料ランスパイプの外面との間の間隙は、0mm~10cm以下、例えば0mm~10cm、0mm~1cm、0mm~5mm、0.1mm~10cm、1mm~1cm、1mm~5mm、または1mm~2mmであり、および/または少なくとも1つの旋回要素の自由端とチューブ状導管の内面または燃料ランスパイプの外面との間の前述の間隙の距離に対する当該間隙におけるチューブ状導管の直径の比は、0.001~30000、例えば0.01~3000、0.5~3000、10~3000、100~3000、100~1000、200~2000、1000~3000、5000~20000または2000~3000の範囲である、態様1~18のいずれか1つに記載の反応器。
20.
チューブ状導管および/または燃料ランスパイプは円筒形状を有する、態様1~19のいずれか1つに記載の反応器。
21.
チューブ状導管は、流れ方向に関して旋回要素の前に位置する流入漏斗をさらに含み、流入漏斗の直径は、好ましくは流れ方向に沿って連続的に減少し、好ましくは流入漏斗の最小直径に対する最大直径の直径比は、1超かつ3以下、例えば1.1~2または1.5~2の範囲である、態様1~20のいずれか1つに記載の反応器。
22.
注入手段は、少なくとも1つの旋回要素に一体化および/または連結されている、態様1~21のいずれか1つに記載の反応器。
23.
燃料注入手段は、少なくとも1つの注入開口および/または少なくとも1つのノズルを備え、少なくとも1つの注入開口および/または少なくとも1つのノズルは、反応器の中心長手軸に対して実質的に直行して配置され、および/または反応器の中心長手軸に対して70~90°、例えば75~89°、80~88°の範囲の角度で配置される、態様1~22のいずれか1つに記載の反応器。
24.
燃焼チャンバから離れた端部でチューブ状導管に接続された、酸素含有ガスの流路を変更するフローガイド手段をさらに備え、フローガイド手段は、好ましくは入口から酸素含有ガスを受け取り、受け取った酸素含有ガスを反応器の中心長手軸に平行に流れるように構成される、態様1~23のいずれか1つに記載の反応器。
25.
フローガイド手段は、反応器の中心長手軸に対して実質的に直交する、好ましくは直交する、円筒形本体を備え、円筒形本体は壁面に開口を有し、円筒形本体は、チューブ状導管と接続され、反応器の中心長手軸に沿って配置される、態様24に記載の反応器。
26.
燃焼チャンバは、反応チャンバに向かっておよび/またはチューブ状導管に向かって先細になっている領域を含む、態様1~25のいずれか1つに記載の反応器。
27.
カーボンブラック用の原料を高温燃焼ガス中に注入する手段は、複数の注入ノズルを含み、これらのノズルは、好ましくは中心長手軸に対して円周方向に配置される、態様1~26のいずれか1つに記載の反応器。
28.
反応器が反応チャンバの後に急冷チャンバをさらに備え、好ましくは、カーボンブラック用の原料を注入するために、手段への流れの向きに対して後に位置する、反応器の中心縦軸に沿って流路に急冷媒体を注入するための手段を備える、態様1~27のいずれか1つに記載の反応器。
29.
カーボンブラックの製造方法であって、
(a) 注入手段によって第2の流体を反応器の燃焼チャンバに注入すること、
(b) チューブ状導管を通して反応器の中心長手軸に沿って、チューブ状導管内に設けられた少なくとも1つの旋回要素を通過させながら第1の流体を供給すること、
(c) 少なくとも1つの旋回要素によって第1の流体を旋回させること、
(d) 第2の流体と旋回した第1の流体とを混合すること、
(e) 燃焼チャンバ内で燃料を燃焼させて高温燃焼ガスを生成すること、
(f) 反応器の中心長手軸に沿って燃焼チャンバに続いて位置する反応チャンバ内で高温燃焼ガスを受け取ること、および
(g) 燃焼チャンバから受け取った高温燃焼ガスにカーボンブラック用の原料を注入して反応チャンバ内でカーボンブラックを形成すること、を含む製造方法:
ここで、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料であるか、または第1の流体は燃料であり、第2の流体は酸素含有ガスである。
30.
注入手段は燃料注入手段であり、第1の流体は酸素含有ガスであり、第2の流体は燃料である、態様29に記載の方法。
31.
カーボンブラックの製造方法であって、
(a) 燃料注入手段によって反応器の燃焼チャンバ内に燃料を注入すること、
(b) チューブ状導管を通して、チューブ状導管内に設けられた少なくとも1つの旋回要素を通過させながら酸素含有ガスを反応器の中心長手軸に沿って供給すること、
(c) 少なくとも1つの旋回要素によって酸素含有ガスを旋回させること、
(d) 注入された燃料と旋回された酸素含有ガスとを混合すること、
(e) 燃焼チャンバ内で燃料を燃焼させて高温燃焼ガスを生成すること、
(f) 反応器の中心長手軸に沿って燃焼チャンバに続いて位置する反応チャンバ内で高温燃焼ガスを受け取ること、および
(g) 燃焼チャンバから受け取った高温燃焼ガスにカーボンブラック用の原料を注入して反応チャンバ内でカーボンブラックを形成すること、を含む製造方法。
32.
態様1~28のいずれか1つに記載の反応器中で実施される、態様29~31のいずれか1つに記載の方法。
33.
燃料は、反応器の中心長手軸に沿って配置され、チューブ状導管を通って反応器の燃焼チャンバ内に延在する燃料ランスパイプによって注入され、酸素含有ガスは、上記導管の内面と燃料ランスパイプの外面との間の間隙によって画定された通路を通って、間隙に設けられた少なくとも1つの旋回要素によって酸素含有ガスを旋回させながら、燃焼チャンバに供給され、または、酸素含有ガスは、反応器の中心長手軸に沿って配置され、チューブ状導管を通って反応器の燃焼チャンバ内に延在するランスパイプによって注入され、燃料は、上記導管の内面とランスパイプの外面との間の間隙によって画定された通路を通って、間隙に設けられた少なくとも1つの旋回要素によって燃料を旋回させながら、燃焼チャンバに供給される、態様29~32のいずれか1つに記載の方法。
34.
供給される酸素含有ガスは、空気、酸素富化空気または酸素ガスである、態様29~33のいずれか1つに記載の方法。
35.
燃料は、ガス状または液状の炭化水素、好ましくは天然ガス、燃料油またはHを含む、態様29~34のいずれか1つに記載の方法。
36.
カーボンブラック用の原料は、液状炭化水素、例えば、クレオソート、アントラセン油、キャットクラッカー油、ナフサクラッカー油を含む、態様29~35のいずれか1つに記載の方法。
37.
酸素含有ガスは、燃料の完全燃焼のための酸素の量に対して過剰の酸素を生じる量で供給され、および/または酸素含有ガスは、0.01~10、例えば0.01~1、0.1~1、0.1~5、1~2、0.7~1、または0.5~1の範囲にある量で供給される、態様29~36のいずれか1つに記載の方法。
38.
酸素含有ガスを燃焼チャンバに供給するためのチューブ状導管に供給する前に、酸素含有ガスの流れを案内および/または整流することをさらに含む、態様29~37のいずれか1つに記載の方法。
39.
生成された高温燃焼ガスを燃焼チャンバ内で燃料ランスパイプの注入端に向かって再循環させることを含む、態様29~38のいずれか1つに記載の方法。
40.
カーボンブラック用の原料を高温燃焼ガス中に注入する際に、高温燃焼ガス中の酸素濃度は、反応チャンバの断面にわたって実質的に均質である、態様29~39のいずれか1つに記載の方法。
41.
カーボンブラックは、酸素含有ガスを旋回させることを除いた対応する製造と比較してより高い収率で製造される、態様29~40のいずれか1つに記載の方法。
42.
態様29~41のいずれか1つに記載の方法に従っておよび/または態様1~28のいずれか1つに記載の反応器を使用して製造されたカーボンブラック。
43.
燃料と酸素含有ガスとのより良好な混合のためのカーボンブラック製造用の旋回酸素含有ガスまたは旋回燃料の使用。
44.
酸素含有ガスが、直列に配置された2つの旋回要素を使用することによって旋回される、態様43に記載の使用。
45.
態様1~28のいずれか1つに従って反応器が使用され、または態様29~41のいずれか1つに従って方法が使用される、態様43または44に記載の使用。
46.
旋回酸素含有ガスまたは旋回燃料の旋回数が、0.2および1.2、好ましくは0.4~1.1、より好ましくは0.5~1.0、さらにより好ましくは0.6~0.8である、態様43または44に記載の使用。
47.
燃料と酸素含有ガスとのより良好な混合のためのカーボンブラック製造用の旋回酸素含有ガスまたは旋回燃料を得る直列に配置された2つの旋回要素の使用。
48.
旋回酸素含有ガスおよび/または旋回燃料が、0.2および1.2、好ましくは0.4~1.1、より好ましくは0.5~1.0、さらにより好ましくは0.6~0.8の旋回数を有する、態様1~28のいずれか1つに記載の反応器または態様29~41のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0119】
090 横断軸
091 ラテラル軸
100a、100b 反応器
101 反応器の中心長手軸
110 チューブ状導管
111 ランスパイプ
112 翼板
113a、113b 旋回要素
120 燃焼チャンバ
130 反応チャンバ
131 注入ノズル
132 炭化水素原料
140 急冷チャンバ
141 注入ノズル
142 急冷媒体
150 流入漏斗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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【国際調査報告】