(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-19
(54)【発明の名称】基板上に高解像度パターンを生成するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H10K 71/60 20230101AFI20240612BHJP
C23C 16/04 20060101ALI20240612BHJP
C23C 14/04 20060101ALI20240612BHJP
H10K 71/20 20230101ALI20240612BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240612BHJP
H10K 50/88 20230101ALI20240612BHJP
H01L 21/28 20060101ALN20240612BHJP
【FI】
H10K71/60
C23C16/04
C23C14/04 A
H10K71/20
H10K59/10
H10K50/88
H01L21/28 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530519
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 FI2021050778
(87)【国際公開番号】W WO2022106755
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】100217434
【氏名又は名称】万野 秀人
(72)【発明者】
【氏名】レッパニエミ・ヤーッコ
(72)【発明者】
【氏名】スネック・アスコ
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
4K030
4M104
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC45
3K107DD37
3K107DD38
3K107DD39
3K107DD46Z
3K107DD88
3K107FF15
3K107GG03
3K107GG04
3K107GG05
3K107GG06
3K107GG15
3K107GG26
4K029BB03
4K029CA01
4K029CA05
4K029DB00
4K029DC00
4K029HA05
4K030BB14
4K030DA05
4M104AA03
4M104BB02
4M104BB14
4M104BB16
4M104BB36
4M104CC01
4M104DD33
4M104DD34
4M104DD35
4M104DD37
4M104DD68
4M104GG02
4M104GG08
(57)【要約】
本発明は、基板上に導電性、半導電性、絶縁性の材料の所望のパターンを製造するための方法および装置に関する。パターニングされたポリマーインク膜(22’)は、所望のパターン(25)のポジティブイメージを有する三次元レリーフパターンを半乾燥ポリマーインク膜(22)と一時的に接触させることによって、半乾燥ポリマーインクから形成される。パターニングされたポリマーインク膜は、半乾燥ポリマーインク膜(22)の破砕によって生じる垂直側壁を有する。パターニングされたポリマーインク膜(22’)は基板(26)上に転写され、導電性、半導電性、または絶縁性材料層(30’)は、物理的蒸着または化学気相蒸着を使用して基板(26)上に堆積される。パターニングされたポリマーインク膜(22’)は、所望のパターン(30)を作り出すために、有機溶媒を用いて基板(26)から溶解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に導電性、半導電性、または絶縁性の材料の所望のパターンを製造するためのパターニング方法であって、
ローラのポリジメチルシロキサン表面の上に半乾燥ポリマーインク膜を提供するステップを含み、前記ポリマーインクは、少なくとも1つの有機溶媒に溶解したポリマーを含み、
前記ローラの前記ポリジメチルシロキサン表面の上に残っている前記半乾燥ポリマーインク膜の第1の部分によって前記所望のパターンのネガの形態を有するパターニングされたポリマーインク膜を形成するステップを含み、前記パターニングされたポリマーインク膜は、前記半乾燥ポリマーインク膜の第2の部分が三次元レリーフパターンに転写されるように、前記所望のパターンのポジティブイメージを有する前記三次元レリーフパターンを前記半乾燥ポリマーインク膜と一時的に接触させることによって形成され、前記パターニングされたポリマーインク膜は、前記三次元レリーフパターンの縁部における前記半乾燥ポリマーインク膜の破砕によって生じる垂直側壁を有し、前記破砕は、前記半乾燥ポリマーインク膜の凝集性、および前記半乾燥ポリマーインク膜の前記第2の部分と前記三次元レリーフパターンとの間の接着性によって引き起こされ、
基板上に前記所望のパターンのネガを形成するために、前記パターニングされたポリマーインク膜を前記ローラの前記ポリジメチルシロキサン表面から前記基板上に転写するステップを含み、前記基板上の前記所望のパターンの前記ネガは前記垂直側壁を有し、
物理的蒸着または化学気相蒸着を使用して、前記所望のパターンの前記ネガを有する前記基板の面上に導電性、半導電性、または絶縁性材料層を堆積させるステップを含み、
前記基板上の前記堆積された導電性、半導電性、または絶縁性材料によって形成された前記所望のパターンを作り出すために、有機溶媒を使用して前記所望のパターンの前記ネガを溶解するステップを含む、
パターニング方法。
【請求項2】
前記三次元レリーフパターンは、隆起部分と凹部とを備え、前記隆起部分の上面は第1の水平レベルにあり、前記凹部は前記第1の水平レベルよりも下に窪んでおり、
前記パターニングされたポリマーインク膜を形成するステップは、
第2の部分を前記隆起部分と一時的に接触させることによって前記半乾燥ポリマーインク膜と接触する前記三次元レリーフパターンの前記隆起部分に、前記半乾燥ポリマーインク膜の前記第2の部分を転写するステップを含み、前記三次元レリーフパターンと接触しない前記半乾燥ポリマーインク膜の第1の部分は、前記パターニングされたポリマーインク膜を形成するために、前記ポリジメチルシロキサン表面に付着したままとなる、
請求項1に記載のパターニング方法。
【請求項3】
ポリジメチルシロキサン表面の上に半乾燥ポリマーインク膜を提供するステップは、
液体形態のポリマーインクを使用してポリジメチルシロキサン表面をコーティングするステップを含み、前記ポリマーインクは、少なくとも1つの有機溶媒に溶解したポリマーを含み、
前記ポリマーインクが、前記少なくとも1つの有機溶媒のうちの少なくとも1つの部分的な蒸発、および/または前記ポリジメチルシロキサン膜上への前記少なくとも1つの有機溶媒のうちの少なくとも1つの部分的な吸収を介して半乾燥状態に到達することを可能にするステップを含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記堆積ステップにおいて、前記導電性、半導電性、または絶縁性材料は、前記基板上および前記所望のパターンの前記ネガ上の両方に堆積され、前記溶解ステップは、前記所望のパターンの前記ネガの前記溶解によって、前記所望のパターンの前記ネガ上に堆積された任意の導電性、半導電性、または絶縁性材料を分離および除去するステップを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記堆積ステップは、抵抗蒸着、熱蒸着、電子ビーム蒸着、パルスレーザ蒸着、昇華、もしくはスパッタリングのような物理的蒸着法、または原子層堆積、プラズマ強化原子層堆積、光支援原子層堆積、UV支援原子層堆積、空間的原子層堆積、エピタキシャル成長、原子層エピタキシー、分子線エピタキシー、分子層堆積、有機金属蒸着、プラズマ強化化学気相蒸着、遠隔プラズマ強化化学気相蒸着、もしくは光開始化学気相蒸着のような化学気相蒸着法を使用して実行される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記パターニングされたポリマーインクの前記垂直側壁は、-20°から20°の間、好ましくは-15°から15°の間、より好ましくは-10°から10°の間、最も好ましくは-5°から5°の間のテーパ角を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
基板上に導電性、半導電性、または絶縁性の材料の所望のパターンを製造するための装置であって、
外表面に設けられたポリジメチルシロキサン表面の上に半乾燥ポリマーインク膜が設けられたローラを備え、
前記半乾燥ポリマーインク膜の第2の部分が三次元レリーフパターンに転写されるように、前記三次元レリーフパターンが前記半乾燥ポリマーインク膜と一時的に接触させられるように構成されているとき、前記ローラのポリジメチルシロキサン表面の上に残っている前記半乾燥ポリマーインク膜の第1の部分によって定義された前記所望のパターンのネガの形態を有するパターニングされたポリマーインク膜を形成するように構成された三次元レリーフパターンを備え、前記三次元レリーフパターンの縁部における前記半乾燥ポリマーインク膜の破砕は、前記パターニングされたポリマーインク膜に垂直側壁を有させるように構成され、前記破砕は、前記半乾燥ポリマーインク膜の凝集性、および前記半乾燥ポリマーインクと前記三次元レリーフパターンとの間の接着性によって引き起こされ、
前記ローラは、基板上に前記所望のパターンのネガを形成するために、前記パターニングされたポリマーインク膜を前記ポリジメチルシロキサン表面から前記基板上に転写するため前記基板と接触させられるようにさらに構成され、前記基板上の前記所望のパターンの前記ネガは前記垂直側壁を有し、
前記所望のパターンの前記ネガを有する前記基板の面上に導電性、半導電性、または絶縁性材料層を堆積させるための、抵抗蒸着、熱蒸着、電子ビーム蒸着、パルスレーザ蒸着、昇華、もしくはスパッタリング手段のような物理堆積手段、または原子層堆積手段のような化学堆積手段を備え、
前記基板上の前記堆積された導電性、半導電性、または絶縁性材料によって形成された前記所望のパターンを作り出し、前記所望のパターンの前記ネガを溶解するために、真空堆積物層を有する前記基板上に有機溶媒を導入するように構成された溶解手段を備える、
装置。
【請求項8】
前記三次元レリーフパターンは、隆起部分と凹部とを備え、前記隆起部分の上面は第1の水平レベルにあり、前記凹部は前記第1の水平レベルよりも下に窪んでおり、
前記三次元レリーフパターンは、前記半乾燥ポリマーインク膜と一時的に接触する前記三次元レリーフパターンの前記隆起部分への前記半乾燥ポリマーインク膜の第2の部分の転写を引き起こすことによって、前記所望のパターンの前記ネガを定義するように構成され、前記三次元レリーフパターンと接触しない前記半乾燥ポリマーインク膜の第1の部分は前記ポリジメチルシロキサン表面に付着したままであり、前記第1の部分は、前記所望のパターンの前記ネガの前記形態を有する、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ローラは、
少なくとも1つの有機溶媒に溶解したポリマーを含むポリマーインクの層で前記ローラのポリジメチルシロキサン表面をコーティングし、
前記ポリマーインクが、前記少なくとも1つの有機溶媒のうちの少なくとも1つの部分的な蒸発、および/または前記ポリジメチルシロキサン膜上への前記少なくとも1つの有機溶媒のうちの少なくとも1つの部分的な吸収を介して半乾燥状態に到達することを可能にする、
ことによって、前記ポリジメチルシロキサン表面の上に前記半乾燥ポリマーインク膜が設けられるように構成されている、
請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記導電性、半導電性、または絶縁性材料は、前記基板上および前記所望のパターンの前記ネガ上の両方に堆積され、前記溶解手段は、前記所望のパターンの前記ネガの前記溶解によって、前記所望のパターンの前記ネガ上に堆積された任意の導電性、半導電性、または絶縁性材料を分離および除去するように構成されている、
請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記パターニングされたポリマーインクの前記垂直側壁は、-20°から20°の間、好ましくは-15°から15°の間、より好ましくは-10°から10°の間、最も好ましくは-5°から5°の間のテーパ角を有する、
請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
所望のパターンを有する基板であって、前記所望のパターンは、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を使用して製造され、前記所望のパターンは、タッチパネル、ヒータ膜、アンテナ、および/または光起電集電体のための視覚的に透明な金属格子、金属酸化物、有機、カーボンナノチューブ、グラフェン、多結晶Si、またはアモルファスSiの薄膜トランジスタのソース、ドレインおよび/またはゲート電極、金属酸化物薄膜トランジスタ、ダイオード、または抵抗変化型メモリのための金属酸化物パターン、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、メタマテリアル、プラズモニック構造、フィルタ、吸収体、光コード、センサ用の櫛形電極、タッチスクリーンのための視覚的に透明なITOアンテナおよびITO層のいずれか1つを備える、
基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高解像度パターンを形成するための方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明は、基板上の導体、半導体、および誘電体などの高い電気性能を有する電子材料の印刷ベースのパターニングに適した方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンテッドエレクトロニクスは、印刷解像度および印刷デバイス性能に関してこの数十年で進歩してきたが、印刷可能な電子材料が根本的に不足している。このような材料は、導電性を妨げる薄く緻密な酸化物層を形成する空気中での急速な酸化に起因して導電性インクとして形成することができない、アルミニウムまたはチタンなどの反応性金属を含む。このような材料は、例えば、薄膜トランジスタタ、太陽電池、および有機発光ダイオードに使用されるn型半導体に低仕事関数およびオーミック接触を提供する。加えて、酸化物半導体中の金属酸化物(例えば、インジウムガリウム亜鉛酸化物、IGZO)、透明導電性酸化物(例えば、酸化インジウムスズ、ITO)、および絶縁酸化物(例えば、酸化アルミニウムAl2O3)などのいくつかの他の材料は、蒸着、スパッタリングなどの従来の真空堆積プロセスを使用して同じ材料を製造するのと比較すると、印刷されたインクから形成されたとき、より低い性能に悩まされる。
【0003】
したがって、導体、半導体、および誘電体などの高性能材料と印刷ベースのパターニングとの組合せを可能にする方法が必要とされている。このような方法は、現在のプリンテッドエレクトロニクスによって提供される材料と電子産業の需要との間に存在するギャップを埋めることを可能にするだろう。
【0004】
例えば非特許文献1の刊行物の例で論じられた、ナノ粒子ベースの導体層を印刷することが、1つの可能な解決策として検討されてきた。アルミニウムおよび銅などのより安価な金属は容易に酸化し、導電性のナノ粒子インクで使用することを妨げるので、高い導電性を達成するために、銀(Ag)もしくは金(Au)などの貴金属を使用する必要がある。しかしながら、印刷に適した貴金属ナノ粒子インクの製造は非常に高額である。貴金属インクのコストは、貴金属自体のコストよりも著しく高い。したがって、ナノ粒子ベースの印刷方法の変更は、コスト意識の高い市場で電子デバイスを製造するのに適していない。
【0005】
印刷物の入手可能性が限られているという問題を解決するために、真空堆積層の印刷パターニング方法が開発されている。ゲルベースのエッチング液を使用する印刷リフトオフおよび印刷ウェットエッチングは、従来の微細加工方法から引き出された方法である。しかしながら、これらの印刷パターニング方法は、堆積物の「縁耳部」に悩まされる。リフトオフの場合、インクジェット、スクリーン、またはグラビア印刷などの従来の印刷技術を使用してレジスト層が印刷されるとき、得られるレジストパターンは傾斜側壁を有する。このような傾斜側壁は、堆積物の縁耳部(10)につながる。堆積物の縁耳部(10)、この例では堆積金属パターンは、
図1に示される高さプロファイルによって示されている。さらに、金属層(11)の高さもまた著しい変動を示す。印刷エッチングの場合、エッチング液と部分的にのみ反応した残留材料から、同様の縁耳部が形成される。加えて、本方法は、堆積物上の印刷されたエッチング液の不均一な拡散から生じる高いラインエッジラフネスおよび多孔質エッジをもたらし、これは最終的に達成可能な線幅解像度を制限する。
【0006】
特許文献1は、パターンが基板上に印刷され、いかなる後続のコーティング層も除去するために犠牲マスクとして使用される、電子有機デバイスを形成するための方法を開示している。公報中の画像および説明は、リフトオフインクの傾斜側壁を暗示しており、これは上述の縁耳部問題を引き起こす。
【0007】
例えば非特許文献2の刊行物で論じられた、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)は、電子ビームリソグラフィを必要とせずに高解像度パターン(<1μm)を可能にするために、90年代半ばから開発されてきた。NIL法は、連続ロールツーロール生産に合わせた規模になっており、プリンテッドエレクトロニクスで使用するために調査されている。NILでは、基板上のポリマーレジスト層は、シリコン(Si)ウエハまたは石英ガラスで製造された型を使用してエンボス加工され、加熱下でまたは紫外線照射(UV照射)を使用して変形がレジストに保存され、したがってこのプロセスはUV-NILと呼ばれる。パターニングされたレジストの典型的な断面形状は、エンボス圧力下のレジストの変形に起因して、テーパ構造である。パターニングされたレジスト層はその後、(i)レジストの下の層をパターニングするためのエッチングマスクとして、または(ii)続いて堆積物をパターニングするためのリフトオフ層として使用される。第1のケースでは、本方法は、反応性イオンエッチング(RIE)などの追加のエッチングステップの使用を必要とし、しばしば望ましくない残留レジストをもたらす。第2のケースでは、縁耳部の内リフトオフでのNILの使用の成功は、インプリントされたレジストのテーパ状側壁に起因して、二層レジストおよび2ステップリフトオフプロセスの利用を必要とする。
【0008】
例えば非特許文献3に開示された、ナノトランスファープリンティング(nTP)では、幾分異なるアプローチが取られている。nTPでは、堆積金属は、堆積金属層との強力な接着性を提供する受容基板上の自己組織化単分子膜(SAM)の助けを借りて、またはスタンプ上のフルオロポリマー剥離層などの低表面エネルギーを使用して、パターニングされたポリジメチルシロキサン(PDMS)スタンプから基板に転写される。しかしながら、この方法は、金属に限定され(Au、Ag、およびAlのみが実証されている)、容易に拡張可能ではなく、場合によっては、転写された材料の下に接着層の使用を必要とする。これは、残りの接着層がトンネル障壁または電荷トラップとして機能し、下層への良好な電荷注入を防止する可能性がある、電子デバイスへの頂部接点などの多層デバイスを必要とするいくつかの用途にとって有害であり得る。さらに、本プロセスは、典型的には完了するのに少なくとも1時間を要するSAM処理を必要とするため、ナノ転写印刷は非常に遅く、したがって大量生産には適さない。
【0009】
上記の最先端技術は、縁耳部、粗い縁部、または接着層の必要性なしに様々な材料からの構造の高解像度パターニングを可能にする、真空堆積層の印刷パターニング方法が必要とされていると要約することができる。この方法は、i)既知の方法を使用して印刷可能ではない、ii)既知の方法を使用して印刷されたときに低い性能を有する、またはiii)印刷されると高額である、真空堆積物の使用を可能にする。
【0010】
図2は、基板(26)上の構造(17)のテーパ角θの定義を示す。テーパ角は、以下の式で定義することができる。
【0011】
【0012】
ここで、wbottomは、基板(26)の表面における、その底部での構造(17)の幅を表し、wtopは、基板(26)に付着した、構造の底部から最も離れた上面での構造(17)の幅を表し、dは、構造(17)の高さを表す。定義された厚さで膜をパターニングすることによって構造が生成されるとき、高さdは厚さと呼ぶこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0105492号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Applied Physics Letters(2012),101(13),133306/1-133306/5;ISSN:0003-6951で公開されたKim,Minseok;Koo,Jae Bon;Baeg,Kang-Jun;Jung,Soon-Won;Ju,Byeong-Kwon;You,In-Kyuによる「Top-gate staggered poly(3,3’’’-dialkyl-quarterthiophene)organic thin-film transistors with reverse-offset-printed silver source/drain electrodes」
【非特許文献2】Microelectronic Engineering(2011),88(9),3011-3014;ISSN:0167-9317で公開されたShields,Philip A.;Allsopp,Duncan W.E.による「Nanoimprint lithography resist profile inversion for lift-off applications」
【非特許文献3】Journal Nanoscale(2019),11(23),11128-11137;ISSN:2040-3372で公開されたHwang,Soon Hyoung;Zhao,Zhi-Jun;Jeon,Sohee;Kang,Hyeokjung;Ahn,Junseong;Jeong,Jun Hoによる「Repeatable and metal-independent nanotransfer printing based on metal oxidation for plasmonic color filters」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
目的は、様々な異なる材料からの高解像度パターンの印刷ベースの形成を可能にする方法を提供するという問題を解決するような方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。本発明の目的は、請求項7に記載の装置によってさらに達成される。
【0017】
本発明の好適な実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0018】
本発明は、印刷されたポリマー層に垂直側壁を形成するためのリバースオフセットを使用する半乾燥ポリマーインク膜のパターニングの着想に基づく。最終構造の材料は、パターニングされたポリマー膜を有する基板の表面上に直接堆積され、したがって接着層は必要なく、したがって本方法は、頂部接点を含む多層デバイスの製造にも適用可能である。ポリマー膜の半乾燥状態は、所望のパターンのネガティブイメージを有するパターニングされたポリマーインク膜の調製中のポリマー膜の破砕を容易にし、この破砕は、パターニングされた半乾燥ポリマーインク膜に垂直側壁をもたらす。
【0019】
本発明は、様々な基板上で高品質の導電性高解像度構造の低コスト形成を可能にするという利点を有する。これにより、ナノ粒子インクで使用することができないアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、およびモリブデン(Mo)などの反応性金属、ならびに半導体および絶縁誘電体層を含む任意の材料のパターンを定義するために印刷を使用することが可能になる。鋭い縁部を有するポリマー層の垂直側壁は、高解像度で、低いエッジラフネスで、パターニングされた層の傾斜した壁に堆積された材料から立ち上がる側壁の縁部に「縁耳部」を形成することなく、堆積物がパターニングされることを可能にする。本方法は、様々な堆積技術と組み合わせることができ、広い領域にわたって高解像度を達成する可能性を有する。高解像度とは、1μm未満、例えば0.5μm、0.25μm、または0.1μmまでの線幅を有するパターンを指す。生成されたパターンの層厚は均一であり、生成された構造の電気的特性は、高品質真空処理膜には典型的であり、構造のアニーリングを必要とすることなく再現可能である。
【0020】
以下では、添付の図面を参照して、好適な実施形態に関連して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術のいくつかの問題を示す概略図である。
【
図4a】本発明による例示的なプロセスを概略的に示す図である。
【
図4b】本発明による例示的なプロセスを概略的に示す図である。
【
図4c】本発明による例示的なプロセスを概略的に示す図である。
【
図4d】本発明による例示的なプロセスを概略的に示す図である。
【
図4e】本発明による例示的なプロセスを概略的に示す図である。
【
図4f】本発明による例示的なプロセスを概略的に示す図である。
【
図4g】本発明による例示的なプロセスを概略的に示す図である。
【
図5a】異なる線幅を有する印刷テストパターンを示す図である。
【
図5b】異なる線幅を有する印刷テストパターンを示す図である。
【
図5c】異なる線幅を有する印刷テストパターンを示す図である。
【
図5d】異なる線幅を有する印刷テストパターンを示す図である。
【
図5e】異なる線幅を有する印刷テストパターンを示す図である。
【
図6a】テストパターンから測定された高さプロファイルを示す図である。
【
図6b】テストパターンから測定された高さプロファイルを示す図である。
【
図6c】テストパターンから測定された高さプロファイルを示す図である。
【
図6d】テストパターンから測定された高さプロファイルを示す図である。
【
図6e】テストパターンから測定された高さプロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図3aは、基板(26)上の構造(17)を示し、構造(17)は垂直側壁を有する。これに関連して、垂直側壁という用語は、-20°から20°の間、好ましくは-15°から15°の間、より好ましくは-10°から10°の間、最も好ましくは-5°から5°の間のテーパ角を有する構造の側壁を指す。
図3bは、傾斜側壁を有する構造(17)を示す。傾斜側壁は、垂直側壁を有する構造のテーパ角よりも大きいテーパ角を有する。実際には、傾斜側壁のテーパ角は、典型的に20°を超える。構造(17)は、例えば、パターニングされたポリマーインクまたは堆積された構造を表すことができる。
【0023】
図4aから
図4gは、本発明による例示的なプロセスを概略的に示す。図面は縮尺通りではない。
【0024】
図4aは、印刷プロセスに先行する例示的な調製ステップを示す。ステップ101において、好ましくは円筒として形成され、この図ではその側面が示されているローラ(20)の外表面は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの低表面エネルギー吸収材料(21)でコーティングされる。典型的な用途では、このようなコーティングは、ローラ(20)の外表面上にいわゆるPDMSブランケットを塗布することによって行われてもよい。当該技術分野で知られているように、PDMSブランケットは、PDMSコーティングを有するプラスチックフィルムを備えてもよい。PDMSの代わりに、当該技術分野で知られている任意の適切な代替の低表面エネルギー吸収材料(21)が使用されてもよい。
【0025】
例示的なステップ102において、ローラ(20)をコーティングしている低表面エネルギー吸収材料(21)は、少なくとも1つの溶媒に溶解したポリマーを含むインクの膜でさらにコーティングされる。インクは、略してポリマーインク(22)と呼ばれ得る。ローラをポリマーインク(22)でコーティングするこのステップを容易にするために、ポリマーインク(22)は液体形態であるべきであり、したがって、本質的に均一な厚さを有する薄膜に容易に拡散可能である。
【0026】
ステップ103において、ポリマーインク(22)は、低表面エネルギー吸収材料(21)への部分的な溶媒吸収によって、および/または部分的な蒸発(23)によって、半乾燥状態に到達させられる。半乾燥状態では、ポリマーインク(22)の凝集性は、液体形態にあるときのポリマーインクと比較して高く、半乾燥ポリマーインクはまた高い接着性を有し、すなわち「粘着性」である。例示的な方法ステップ101および102の代わりに、ローラ(20)の外表面上に半乾燥ポリマーインク(22)の膜を生成することが可能な任意の適用可能な方法が使用されてもよい。インクは、単一の溶媒を含んでもよいが、印刷プロセス、例えばポリマーインク(22)が半乾燥状態に到達するまでに必要な時間を制御するために、ポリマーインク(22)は2つ以上の溶媒を含んでもよい。例えば、ポリマーインク(22)は、主に溶媒の一方の部分的な蒸発および/または部分的な吸収によって半乾燥状態に到達できるように、コーティング段階で、異なる蒸発および/または吸収特性を有する2つの異なる溶媒を含んでもよく、その一方で、よりゆっくりと蒸発および/または吸収する他の溶媒は、製造プロセスのさらなるステップを実行するのに十分な時間にわたってポリマーインク(22)を半乾燥状態に維持したままとなる。半乾燥ポリマーインク(22)の高い凝集性は、方法の後のステップでポリマーインクのパターニングを成功させるために重要である。
【0027】
図4bに示されるステップ104において、パターニングされたプレート(24)が提供される。パターニングされたプレート(24)は高解像度3D構造(25)を有し、第1の部分または隆起部分と呼ばれる、所望のパターンのポジティブイメージを定義する部分は第1の水平レベルにあり、凹部の第2の部分と呼ばれる高解像度3D構造(25)の残りの部分は、第1の水平レベルよりも下に窪んでいる。パターニングされたプレート、特に第1の水平レベルにあるその部分は、半乾燥ポリマーインク(22)の膜と接触させられる。この高解像度3D構造(25)は、例えば、フォトリソグラフィおよびエッチング、または電子ビームリソグラフィおよびエッチングおよび/または当該技術分野で知られている追加の方法または例えばシリコン、ガラス、金属、またはプラスチックなどの任意の適切な材料上に高解像度パターンを形成することができる任意の他の方法を使用して、予備調製することができる。高解像度3D構造(25)は、半乾燥状態でポリマーインク(22)のいくつかのサンプルをパターニングするために数回再使用され得るように、好ましくは弾性材料である。
【0028】
図4cに示されるステップ105において、半乾燥状態のポリマーインク(22)の膜でコーティングされたローラ(20)は、高解像度3D構造(25)の隆起部分と接触する半乾燥ポリマーインクの部分(22”)がパターニングされたプレート(24)上の高解像度3D構造(25)の隆起部分に付着し、これによって除去されるように、半乾燥ポリマーインク(22)の膜を高解像度3D構造(25)と一時的に接触させるために回転させられる。半乾燥ポリマーインク膜(22)の最適な接着性、言い換えると粘着性は、この付着ステップを容易にする。高解像度3D構造(25)の凹部と一致する半乾燥ポリマーインクの部分は、高解像度3D構造(25)と接触せず、したがってローラ(20)に付着したままとなる。したがって、所望のパターンのネガティブイメージは、ローラ(20)の外表面に付着したままのパターニングされたポリマーインク膜(22’)上に残る。このプロセスは、ローラ(20)上に残るパターニングされたポリマーインク膜(22’)上に垂直側壁を形成することがわかっている。
【0029】
パターニングされたポリマーインク膜(22’)上に垂直側壁を形成するために、半乾燥ポリマーインク(22)の剪断および引張凝集性、ならびに接着仕事を制御する半乾燥ポリマーインク(22)の表面エネルギーおよび高解像度3D構造(25)の隆起領域を最適化する必要がある。第一に、低表面エネルギー吸収材料(21)への半乾燥ポリマーインク(22)の接着性は、半乾燥インクを、パターニングされたポリマーインク膜(22’)と呼ばれるローラの外表面上に存在する第1の部分と、3D構造(22”)の隆起領域に付着した第2の部分とに分離させるために、半乾燥ポリマーインク(22)の剪断凝集性よりも高くする必要がある。剪断凝集性の効果は、隆起領域の縁部における高い局所化された応力によって半乾燥ポリマーインクの破砕を生じるための半乾燥ポリマーインク(22)への3D構造(25)の隆起領域の適切な刻印によって低減することができる。3D構造(25)の隆起領域の特徴部の縁部の鋭さは、破砕を誘発するのに有用である。さらに、半乾燥ポリマーインク(22)の引張凝集性は、パターニング中に半乾燥ポリマーインク(22)が膜の内部で分裂するのを防止するために、低表面エネルギー吸収材料(21)への半乾燥ポリマーインクの接着性よりも高くする必要がある。加えて、半乾燥ポリマーインク(22)の接着仕事は、半乾燥ポリマーインク(22)の部分(22”)が3D構造(25)の隆起領域に転写することを可能にするために、低表面エネルギー吸収材料(21)よりも3D構造(25)の隆起領域に対して高くする必要がある。高い凝集性を有する半乾燥ポリマーインクの膜の破砕に基づくこのパターニングプロセスは、パターニングされたポリマーインク膜(22’)への垂直側壁を形成する。パターニングされたポリマーインク膜の垂直側壁は、最終的な堆積された構造への垂直側壁の生成を容易にし、および/または縁耳部の生成を回避する。物理堆積法を使用して行われた試験は、堆積された構造が垂直側壁を有することを示している。これは、ポリマーインクのパターニングが、主にインク-基板表面相互作用(濡れ)によって決定される、傾斜側壁プロファイルにつながる低粘度および低凝集性を有するポリマーインクの液体状態で行われる、既知の印刷方法とは対照的である。これに関連して、パターニングされたポリマーインク膜(22’)のパターンの側壁は、-20°から20°の間、好ましくは-15°から15°の間、より好ましくは-10°から10°の間、最も好ましくは-5°から5°の間のテーパ角を有するときに垂直であると見なされる。「縁耳部」につながる傾斜側壁は、典型的には20°を超えるテーパ角を有する。
【0030】
図4dに示されるステップ106において、垂直側壁を有するパターニングされたポリマーインク膜(22’)は、パターニングされたポリマーインク膜(22’)が基板(26)と接触し、ローラ(20)の表面上の低表面エネルギー吸収材料(21)から分離しながら直接付着するように、ローラ(20)を回転させることによって基板(26)にさらに転写される。転写されパターニングされたポリマーインク膜(22’)はここで、基板(26)の面上に所望のパターンのネガを形成する。拡大
図106aは、基板(26)上に付着したパターニングされたポリマーインク膜(22’)の一部を示す。このステップにおいて、半乾燥ポリマーインク(22)の接着仕事は、基板への半乾燥ポリマーインクの転写を成功させるために、低表面エネルギー吸収材料(21)よりも基板(26)に対して高くする必要がある。
【0031】
当該技術分野で知られている任意の表面処理方法は、それぞれの(1つまたは複数の)表面の、表面エネルギーまたは接着性などの表面特性を増加または調整するための方法の段階の間で、PDMS、3D高解像度構造、および/または基板を含む表面のいずれかに適用することができる。好ましくは、基板(26)上に付着したパターニングされたポリマーインク膜(22’)は、次のステップを受ける前に乾燥させられる。この期間中、1つ以上の溶媒がさらに蒸発させられる。乾燥段階中、基板(26)上のパターニングされたポリマーインク膜(22’)は、乾燥プロセスを加速させるために加熱を受けてもよい。結果として、(1つまたは複数の)溶媒は、パターニングされたポリマーインク膜(22’)から完全に蒸発することができ、したがって、乾燥状態にあると見なすことができる。パターニングされたポリマーインク膜(22’)上のパターンは、インクが乾燥状態にあるときも垂直側壁を有する。
【0032】
図4eに示されるステップ107において、所望のパターンのネガを有する得られたポリマーインクパターン(22’)は、導電性金属、半導体、または誘電体材料の層が基板上に堆積される物理的蒸着プロセスにおいて、マスクとして使用される。このステップでは、スパッタリング、抵抗または熱蒸着、電子ビーム蒸着、パルスレーザ蒸着、および/または昇華など、当該技術分野で知られている任意の適切な物理的蒸着法を使用することができ、最良の適用可能な方法は、適用される材料、およびその望ましい電気的特性にも依存し得る。
図4eに示される例示的な実施形態では、蒸着源(27)は、蒸着を実行するための蒸着プルーム(28)を形成する。この非限定的な例では、蒸着によって堆積される材料は金属である。基板(26)上のポリマーインクパターン(22’)の側壁が垂直であるとき、スパッタリングなどの無指向性の真空堆積法さえも使用することができる。あるいは、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化原子層堆積、光支援原子層堆積、UV支援原子層堆積、空間的原子層堆積、エピタキシャル成長、原子層エピタキシー、分子線エピタキシー、分子層堆積、有機金属蒸着、プラズマ強化化学気相蒸着、遠隔プラズマ強化化学気相蒸着、または光開始化学気相蒸着などの化学気相蒸着法を使用することができる。堆積ステップの間、堆積方法にかかわらず、温度は、ポリマー層への損傷を回避するためにポリマーレジストの熱分解および/または架橋結合温度よりも低く、および膜成長を妨げるガス放出の開始よりも低く維持されるべきである。当該技術分野で知られているように、正確な温度はレジスト材料に依存する。例えば、レジスト材料としてポリビニルフェノールが使用されるとき、熱分解および架橋結合を回避するために、温度を110°C未満に保つことができる。反応温度は、例えば、光支援、UV支援、またはプラズマ支援の原子層堆積の使用によって低下させることができる。堆積プロセスは、従来の原子層堆積を使用して真空中で、または空間的原子層堆積を使用して大気圧で実行することができる。化学気相蒸着法の選択は、反応温度、適用される材料、およびその望ましい電気的特性にも依存し得る。
【0033】
図4fおよび拡大
図108aに示されるステップ108において、所望のパターンのネガを有するパターニングされたポリマーインク膜(22’)は、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールを含むがこれらに限定されないアルコールなどの有機溶媒(29)、もしくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、酢酸エチル、またはアセトンなどの他の有機溶媒で溶解することによって基板(26)から除去され、これにより、パターニングされたポリマーインク膜(22’)、およびパターニングされたポリマーインク膜(22’)の上に存在する金属、半導体、または絶縁体などの堆積物(30’)の部分の両方を除去する。溶媒(29)の選択は、当業者に知られているように、ポリマーインクで使用されるポリマーに依存する。
【0034】
図4gおよび拡大
図109aに示されるステップ109は、印刷プロセスの最終結果を示しており、堆積物の所望のパターン(30)が基板(26)上に形成されており、物理的蒸着を使用して堆積が行われたとき、パターンは垂直側壁を有している。例示的なプロセスのように、所望のパターン(30)が導体パターンである場合、その抵抗および/または導電性などの電気的特性は、ステップ109にさらに示されるような電気計測器(31)で測定することができる。
【0035】
パターニングされたポリマーインク膜(22’)の垂直側壁のため、パターニングされた材料(30)で作られた残りの所望のパターンは、パターニングされた材料の側壁の縁部に「耳」を伴わずに生成される。
【0036】
図5aから
図5dは、本発明の印刷方法を使用して生成された例示的なテストパターンを示す。生成されたパターンは、2μm未満から15μmを超える範囲の所定の線幅を有するストライプを含む。本明細書で提示されるすべてのテストプリントを、コーティングされたポリマーインク層の少なくともほぼ同様の高さおよび堆積物層の同じ高さを含む、同様のパラメータを使用して実行し、堆積物層の高さは、堆積ステップに使用される堆積速度および時間によって主に制御した。水晶振動子マイクロバランスを使用して、堆積速度および堆積層厚を測定した。印刷線パターンの傾斜方向が得られる構造の数に影響を及ぼすか否かを試験するために、その中心軸の周りのローラ(20)の転動方向に対して0度、45度、および90度の角度での印刷について、各テストパターンを試験した。試験実行は、方法が転動方向および印刷パターンの縁部の相対方向とは無関係であることを示している。例えば、金属酸化物の一例としての酸化インジウムスズ(ITO)の堆積層によって、ならびに蒸着による、スパッタリングおよび誘電体の一例としての一酸化ケイ素(SiO)の層によって、試験を実行した。適用可能な化学気相蒸着法の一例として、ALDを使用して、さらなる試験を実行した。1つの例示的な試験では、Al
2O
3の層を110°Cの温度で堆積し、パターニングすることに成功した。
図5eは、ALDを使用して実施したテストパターンの顕微鏡画像を示す。例示的なストライプ状テストパターンは、10μmの線幅と、パターン間の10μmのギャップとを有する堆積パターンを含む。ALD堆積が使用されるとき、ALD堆積パターン層の厚さはレジスト層の厚さよりも小さいことが好ましい。例えば、レジスト層の厚さは、堆積層の厚さの少なくとも1.5倍、好ましくは堆積層の厚さの約2倍であるべきである。特定の一例では、ALDを使用してAl
2O
3が堆積された場合、80nmのレジスト層厚と40nmの層厚上に堆積されたAl
2O
3とで良好な結果が達成された。ALD堆積パターンの側壁は、レジストの除去中にALD堆積された構造の縁部を破砕する傾向のため、物理堆積を使用して達成された堆積パターンの側壁と比較して傾斜している。試験は、ALD堆積パターンの全体的な形状がいずれにせよ正確であり、縁耳部が回避されることを示している。
図6aから
図6eは試験の結果を示しており、1.4μmから17.1μmの範囲の所定の線幅を有する、
図5aから
図5dに示される例を含む、基板上の得られた所望の金属パターンの断面の測定された高さプロファイルを示す。y軸上の高さはナノメートル単位で測定され、x軸上の幅はマイクロメートル単位で測定されていることに留意すべきである。高さは、所望の構造の材料層の厚さを指し、ゼロ高さは、基板の上面に対応する。パターンの垂直側壁(41)は鋭く正確であり、側壁の縁部に視認可能な「耳」は形成されていない。また、生成されたパターンの厚さ(d)は本質的に一定であり、特に、テストパターンの線幅とは無関係である。
【0037】
本発明の方法を使用して生成された蒸着アルミニウム(Al)金属パターンの品質を確認するために、
図5aから
図5dに示される構造の電気的特性も測定した。得られた金属構造の測定されたシート抵抗は、ナノ粒子銀インクを使用して印刷されたものと同様であることが見出されたが、ナノ粒子銀インクは現在のところ、蒸着で使用されるアルミニウムの約1000倍高額である。
【0038】
本発明の方法は、様々な材料を使用して様々な用途のための構造を生産することを可能にする。例示的なパターンの非限定的なリストは、タッチパネル、ヒータ膜、アンテナ、および光起電集電体などの用途向けの視覚的に見えないまたは透明の金属格子、金属酸化物、有機、カーボンナノチューブ、グラフェン、多結晶Si、またはアモルファスSiの薄膜トランジスタのソース/ドレインおよび/またはゲート電極、金属酸化物薄膜トランジスタ、ダイオード、または抵抗変化型メモリのための金属酸化物パターン、金属酸化物薄膜トランジスタ、ダイオード、または抵抗変化型メモリのための金属酸化物パターン、抵抗器、インダクタ、またはキャパシタ、メタマテリアル、プラズモニック構造、フィルタ、吸収体、光コード、ガス、湿度、および/またはバイオセンサなどのセンサ用の櫛形電極、タッチスクリーンのための透明ITOアンテナおよびITO層などの受動部品のためのパターンを含む。当該技術分野で知られているように、不透明材料出作られた構造およびパターンの人間の眼に対する透明性および/または不可視性は、人間の目に見えない線幅、すなわち約1μm以下の線幅を使用することによって達成することができる。
【0039】
第1の例示的なプロセスでは、使用されたポリマーインクは、60°Cで酢酸エチルに溶解した4wt%のポリビニルフェノールであった。堆積後、メタノールを使用してポリマーインクパターンを溶解した。第2の例示的なプロセスでは、ポリマーインクは、室温でブタノールに溶解した5wt%のポリビニルピロリドンであった。堆積後、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を使用してポリマーインクパターンを溶解した。第3の例示的なプロセス使用されたポリマーインクは、ポリマーインクの半乾燥状態の達成を制御するために、60°Cで酢酸エチルに溶解した4wt%のポリビニルフェノールと、乳酸エチルに溶解した4wt%のポリビニルフェノールとを7対15の割合で混合したものであった。乳酸エチルは、酢酸エチルよりも高い沸点と低い蒸気圧とを有し、よりゆっくりと蒸発する。堆積後、メタノールを使用してポリマーインクパターンを溶解した。
【0040】
技術が進歩するにつれて、本発明の基本的な概念が様々な方法で実現され得ることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明およびその実施形態は、上記の例に限定されず、特許請求の範囲内で変化し得る。
【国際調査報告】