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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-19
(54)【発明の名称】複合ホイールの取付装置
(51)【国際特許分類】
   B60B 3/16 20060101AFI20240612BHJP
   B60B 5/02 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B60B3/16 B
B60B5/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023571390
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 AU2022050468
(87)【国際公開番号】W WO2022241510
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】2021901463
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2022900475
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517370700
【氏名又は名称】カーボン・レボリューション・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CARBON REVOLUTION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ・ソウザ,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン,トマス・ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ローソン,トビー・カイル
(72)【発明者】
【氏名】デンミード,アシュリー・ジェイムズ
(57)【要約】
少なくとも1つの複合ホイールをホイールマウントに取り付けるように構成された取付装置であって、複合ホイールは、細長い締結要素が挿入される少なくとも1つの取付開口を含み、取付装置は、(A)細長い締結要素を含むか、または細長い締結要素に締結されるように構成された締結本体であって、締結本体が係合部分を有する、締結本体と、(B)取付インサートであって、取付インサートが、・取付開口の周りで複合ホイールの表面に面するように構成された基部を含む軸受本体、・使用時に細長い締結要素が挿入される締結開口であって、締結開口が締結軸を含む、締結開口、・締結開口の周りで締結軸に対して軸受本体の基部から離れて軸方向に延在するインサート部であって、インサート部が複合ホイールの取付開口内に延在するように構成された、インサート部、および・インサート部の内面から延在する少なくとも1つの係合面であって、少なくとも1つの係合面が締結本体の係合部分に対して実質的に相補的な構成を有し、締結本体が細長い締結要素を介してホイールマウントに締結されたときに締結本体の係合部分に動作可能に係合するように構成される、少なくとも1つの係合面を含む、取付インサートとを含み、少なくとも1つの係合面の少なくとも一部が、軸受本体の基部とインサート部の遠位端との間に位置し、インサート部の遠位端が、複合ホイールの取付開口内に延在し、ホイールマウントから離間し、またはホイールマウント内に、ホイールマウント上に、ホイールマウントと一体に、もしくはホイールマウントに隣接して配置された要素から、もしくは要素内に離間し、その結果、インサート部の遠位端がホイールマウントおよび/または要素と直接係合しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの複合ホイールをホイールマウントに取り付けるように構成された取付装置であって、前記複合ホイールが、細長い締結要素が挿入される少なくとも1つの取付開口を含み、前記取付装置が、
(A)前記細長い締結要素を含むか、または前記細長い締結要素に締結されるように構成された締結本体であって、前記締結本体が係合部分を有する、締結本体と、
(B)取付インサートであって、前記取付インサートが、
・前記取付開口の周りで前記複合ホイールの表面に面するように構成された基部を含む軸受本体、
・使用時に前記細長い締結要素が挿入される締結開口であって、前記締結開口が締結軸を含む、締結開口、
・前記締結開口の周りで前記締結軸に対して前記軸受本体の前記基部から離れて軸方向に延在するインサート部であって、前記インサート部が前記複合ホイールの前記取付開口内に延在するように構成される、インサート部、および
・前記インサート部の内面から延在する少なくとも1つの係合面であって、前記少なくとも1つの係合面が前記締結本体の前記係合部分に対して実質的に相補的な構成を有し、前記締結本体が前記細長い締結要素を介して前記ホイールマウントに締結されたときに前記締結本体の前記係合部分に動作可能に係合するように構成される、少なくとも1つの係合面
を含む、取付インサートとを含み、
前記少なくとも1つの係合面の少なくとも一部が、前記軸受本体の前記基部と前記インサート部の遠位端との間に位置し、
前記インサート部の前記遠位端が、前記複合ホイールの前記取付開口内に延在し、前記ホイールマウントから離間し、または前記ホイールマウント内に、前記ホイールマウント上に、前記ホイールマウントと一体に、もしくは前記ホイールマウントに隣接して配置された要素から、もしくは前記要素内に離間し、その結果、前記インサート部の前記遠位端が前記ホイールマウントおよび/または前記要素と直接係合しない、取付装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの係合面が遠位端を含み、前記係合面の前記遠位端が、前記締結軸に対して前記軸受本体の前記基部から軸方向に離れて、前記軸受本体の前記基部と前記インサート部の前記遠位端との間に位置する、請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの係合面が、前記軸受本体の前記基部から軸方向に離れて、前記締結軸に対して前記締結開口を軸方向に貫通してその下に位置する、請求項1に記載の取付装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの係合面の少なくとも一部が、前記締結軸に対して前記軸受本体の前記基部の軸方向上方に位置する、請求項1に記載の取付装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの係合面が、前記軸受本体の前記基部と前記インサート部の前記遠位端との間に実質的に位置する、請求項1または2に記載の取付装置。
【請求項6】
前記軸受本体が、前記締結本体の少なくとも一部を受け入れるようなサイズの本体開口を含む、先行する請求項のいずれかに記載の取付装置。
【請求項7】
前記本体開口が、前記取付インサートの前記インサート部内に延在する、請求項6に記載の取付装置。
【請求項8】
前記インサート部が、前記締結本体を受け入れるための第1の内径を有する第1の部分と、前記締結本体を捕捉するようなサイズの第2の内径を有し、前記細長い締結要素がそれを通って延在することができる第2の部分とを含む、先行する請求項のいずれかに記載の取付装置。
【請求項9】
前記軸受本体の前記基部が、前記取付開口の周りで前記複合ホイールの前記表面に当接するように構成された実質的に平坦な接触面を含む、先行する請求項のいずれかに記載の取付装置。
【請求項10】
前記複合ホイールが少なくとも2つの取付開口を含み、前記軸受本体が、前記少なくとも2つの取付開口の各々の間および周囲で、前記複合ホイールの前記表面上に延在する、先行する請求項のいずれかに記載の取付装置。
【請求項11】
前記軸受本体が、各取付開口の間および周囲に延在する実質的に平坦な本体、好ましくはプレートを備える、請求項10に記載の取付装置。
【請求項12】
前記軸受本体が、少なくとも2つの締結開口と、前記複合ホイールの取付開口の数に対応する少なくとも2つのインサート部とを含み、各インサート部が、前記複合ホイールのそれぞれの取付開口内に延在する、請求項10または11に記載の取付装置。
【請求項13】
前記軸受本体が、前記軸受本体が係合する前記複合ホイールの前記表面に対して相補的な構成を有する起伏のある係合面を有する、請求項10~12のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項14】
前記締結本体が、前記係合部分と前記細長い締結具とを含む締結頭部を含む締結ボルトを備え、前記細長い締結具が、前記ホイールマウントに接続されるように構成される、請求項1~13のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項15】
前記締結本体が、前記細長い締結要素上に組み付けられてその前記係合部分を前記少なくとも1つの係合面と動作可能に係合させる締結ナットを備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項16】
前記細長い締結要素が雄ねじ面を含み、前記締結本体が相補的なねじ付き内孔を含む、請求項15に記載の取付装置。
【請求項17】
前記係合面は、前記締結軸に対して角度が付いているかまたは湾曲している、先行する請求項のいずれかに記載の取付装置。
【請求項18】
前記係合面には、前記締結軸に対して10~80度、好ましくは30~60度の角度が付いている、請求項17に記載の取付装置。
【請求項19】
前記係合面が、前記インサート部の内壁の実質的に環状の部分を含む、請求項17または18に記載の取付装置。
【請求項20】
前記インサート部が、前記複合ホイールの前記取付開口内に、かつそれを通って延在するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の取付装置。
【請求項21】
前記ホイールマウントに隣接して位置する前記要素が、前記ホイールマウントと前記複合ホイールとの間に挿入されるように構成された少なくとも1つのバッキング要素を備え、前記少なくとも1つのバッキング要素が、前記締結開口の少なくとも一部を含む、請求項20に記載の取付装置。
【請求項22】
前記インサート部の前記遠位端が、前記ホイールマウントまたは前記少なくとも1つのバッキング要素に配置されたインサート部開口に受け入れられるように構成される、請求項21に記載の取付装置。
【請求項23】
前記インサート部開口が、前記インサート部を収容してその中に着座させるようなサイズの第1の直径と、前記細長い要素を収容するようなサイズの第2の直径とを提供する段付き直径を含む、請求項22に記載の取付装置。
【請求項24】
前記インサート部開口が、前記インサート部の少なくとも一部が前記インサート部開口を通って移動することを可能にするようなサイズであり、好ましくは、前記インサート部の前記遠位端の一部と前記少なくとも1つのバッキング要素との間に摺動嵌合を提供するようなサイズである、請求項22または23に記載の取付装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのバッキング要素が、前記インサート部の一部を受け入れるようなサイズの凹部を含む、請求項21~24のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの係合面の少なくとも一部が、前記少なくとも1つのバッキング要素の前記凹部内に位置する、請求項25に記載の取付装置。
【請求項27】
前記バッキング要素が、前記取付開口の周りで前記複合ホイールの表面に当接するように構成されたプレートを備える、請求項21~26のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項28】
前記インサート部の前記遠位端が、前記バッキング要素の前記インサート部開口を通る前記インサート部の引き抜きを防止する少なくとも1つの保持機構を含む、請求項21~27のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項29】
前記軸受本体の前記基部が、前記ホイールマウントに対する前記インサート部の軸方向回転を実質的に防止する固定機構を含む、先行する請求項のいずれかに記載の取付装置。
【請求項30】
前記固定機構が、前記複合ホイールの前記表面の少なくとも1つの相補的な溝、穴、開口、戻り止め、凹部または窪みに着座する少なくとも1つの突起、スピゴット、フランジまたはエンボスを備える、請求項29に記載の取付装置。
【請求項31】
前記複合ホイールが炭素繊維複合ホイールを含む、先行する請求項のいずれかに記載の取付装置。
【請求項32】
先行する請求項のいずれかに記載の取付装置を含む、複合ホイール。
【請求項33】
炭素繊維複合ホイールを含む、請求項32に記載の複合ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権相互参照
本出願は、2021年5月17日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021901463号および2022年2月28日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2022900475号の優先権を主張し、その内容は、この参照により本明細書に組み込まれると理解されるべきである。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、1つ以上の複合ホイールをマウント、特に車両のホイールマウントに取り付けるための装置に関する。本発明は、炭素繊維ホイールを車両のホイールマウントに取り付けるために使用される炭素繊維ホイール用の取付装置に特に適用可能であり、その例示的な用途に関連して本発明を以下に開示することが好都合である。
【0003】
発明の背景
本発明の背景に関する以下の記述は、本発明の理解を容易にすることを意図している。しかしながら、記述は、言及された資料のいずれかが出願の優先日に公開された、既知である、または共通の一般知識の一部であることの認容または承認ではないことを理解されたい。
【0004】
複合構造を他の構成要素または構造に取り付けることは困難であり得る。炭素繊維構成要素などの複合構造は、一般に繊維方向において極めて剛性が高いが、繊維方向に垂直な強度が低くなり得る。ボルト締め継手接続用の取付穴は、一般に、繊維方向に対して垂直に形成される。したがって、そのような取付穴を通して形成された継手を通る圧縮荷重は、繊維と整列するのではなく、繊維に対して垂直である。繊維に垂直な材料の剛性は非常に低い。その結果、損傷を避けるために、ボルト/ワッシャの頭部とそれが接続されるマウントとの間に低いクランプ圧力が必要とされる。高いクランプ圧力は、予め形成された取付穴またはそのすぐ隣で複合材料を損傷させ、その取付穴の縁部またはそのすぐ隣で層間剥離を引き起こす可能性がある。これは、従来の取付および締結装置で剛性継手を達成することを困難にする。
【0005】
ワッシャを使用して、荷重をより広い領域に分散させる場合がある。しかしながら、従来のフラットワッシャは、取付開口の周りに不均一な荷重分布をもたらす。ほとんどの場合、ボルトの頭部に近い領域で負荷が大きくなり、したがって、取付穴の縁部の近くに望ましくない高圧縮ゾーンが生じる。
【0006】
したがって、特殊な締結具の組み合わせが複合構造に使用される場合がある。しかしながら、ほとんどの従来のボルトナットの組み合わせは、それらが使用される取付穴またはそのすぐ隣に複合構造の負荷をもたらし、したがってこの領域における複合材料の脆弱化、破損または破壊に寄与する幾何学的形状を含む。
【0007】
この問題に対処する1つの取付装置システムは、本出願人の国際公開第2013/000009号に教示されている。この装置は、複合ホイールの取付開口を通って嵌合し、複合ホイールを車両のホイールマウントの細長い締結要素(ホイールスタッド)に取り付けるように設計されている。取付装置は、使用時にホイールマウントからの細長い締結要素を挿入することができる締結開口を有する締結ワッシャと、取付開口の周りで複合ホイールの表面に面するように構成された基部とを備える。さらに、締結ワッシャは、締結ナットが細長い締結要素に組み付けられたときに締結ナットの相補的な部分に動作可能に係合するように構成された少なくとも1つの係合面を含む角度付き締結面を有する。締結装置はまた、締結軸に対して軸方向に、締結開口の周りで基部から外向きに、複合ホイールの取付開口内に延在するスリーブを含む。
【0008】
国際公開第2013/000009号は、締結ワッシャの頭部が、取付開口を囲む複合ホイールの表面とのクランプ接触面積を増加させ、それによってその領域にクランプ力が加えられる面積を増加させるように構成されることを教示している。締結ワッシャおよび締結ナットの相補的な角度付き面は、係合面から締結ワッシャの基部に直接的な(押す)圧縮力を及ぼして、締結ワッシャの頭部とバッキングプレートとの間に複合ホイールのその部分をクランプするために、ホイールの複合面の上方または一列に締結ワッシャの頭部に位置するものとして例示される。
【0009】
しかしながら、本出願人は、この既存の取付装置が、複合ホイールを車両に適切に固定するために車両のホイール取付構造の変更を必要とし得ることを見出した。多くの場合、ホイールマウントに使用されるホイールスタッドの長さは、スリーブおよび締結開口を完全に貫通して締結ナットと係合するために長くする必要がある。多くの状況において、その車両の従来のホイールスタッド長さに適合する取付装置を有することが好ましい。
【0010】
したがって、上記の制限の1つ以上を克服する複合ホイールのための改良されたまたは代替の取付装置を提供することが望ましい。
【0011】
発明の概要
本発明の第1の態様は、少なくとも1つの複合ホイールをホイールマウントに取り付けるように構成された取付装置を提供し、複合ホイールは、細長い締結要素が挿入される少なくとも1つの取付開口を含み、取付装置は、
(A)細長い締結要素を含むか、または細長い締結要素に締結されるように構成された締結本体であって、締結本体が係合部分を有する、締結本体と、
(B)取付インサートであって、取付インサートが、
・取付開口の周りで複合ホイールの表面に面するように構成された基部を含む軸受本体、
・使用時に細長い締結要素が挿入される締結開口であって、締結開口が締結軸を含む、締結開口、
・締結開口の周りで締結軸に対して軸受本体の基部から離れて軸方向に延在するインサート部であって、インサート部が複合ホイールの取付開口内に延在するように構成された、インサート部、および
・インサート部の内面から延在する少なくとも1つの係合面であって、少なくとも1つの係合面が締結本体の係合部分に対して実質的に相補的な構成を有し、締結本体が細長い締結要素を介してホイールマウントに締結されたときに締結本体の係合部分に動作可能に係合するように構成される、少なくとも1つの係合面
を含む、取付インサートとを含み、
少なくとも1つの係合面の少なくとも一部が、軸受本体の基部とインサート部の遠位端との間に位置し、
インサート部の遠位端が、複合ホイールの取付開口内に延在し、ホイールマウントから離間し、またはホイールマウント内に、ホイールマウント上に、ホイールマウントと一体に、もしくはホイールマウントに隣接して配置された要素から、もしくは要素内に離間し、その結果、インサート部の遠位端がホイールマウントおよび/または要素と直接係合しない。
【0012】
本発明の取付装置は、国際公開第2013/000009号に教示されている本出願人の以前の取付装置構成と同じ利点を提供し、複合ホイールを損傷することなく、複合ホイールが締結本体に対するホイールマウントへの極めて剛性の締結を有することを可能にする。締結本体に対するホイールマウントへの極めて剛性の締結は、取付装置における任意の外部負荷状態に関連する締結トルクの損失を低減または実質的に排除するのを助ける。締結トルクの漸進的な損失は、ボルト締め継手の緩みをもたらす可能性があり、締結具を回転させる可能性があり、さらなるトルク損失および継手クランプ負荷の低減をもたらす。
【0013】
しかしながら、本発明の取付装置の新規かつ有利な設計は、軸受本体を介して締結本体を陥凹させ、締結本体の係合部分および装置の係合面において少なくとも一部が軸受本体の基部の下方および複合ホイールの上面レベルの下方に位置することを可能にする。これに関して、係合面は、(後述するように)取付インサートのインサート部内に少なくとも部分的に位置する。
【0014】
装置の係合面のこの凹状位置決め(後述するような部分的または完全な陥凹)は、国際公開第2013/000009号に教示された装置と比較して、取付装置がより短い細長い締結具(ホイールスタッド)を収容することを可能にする。これは、係合面が締結ワッシャ内の複合ホイールの表面の完全に上方に位置する国際公開第2013/000009号に教示された構成で可能であるよりも小さいスタック高さ(すなわち、締結本体の係合部分の中間点からマウント(典型的にはホイールマウント)の裏面までの高さ)を提供する。これは、標準的な車両ホイールスタッド長およびホイール本体設計を保持するという利点を提供する。したがって、標準的な長さのホイールスタッド上に複合ホイールを取り付けるために特別な考慮は必要ない。
【0015】
この位置決めは、締結本体から締結ワッシャの基部への間接的なクランプ力を生成することを理解されたい。使用時に、締結本体は、細長い締結要素(例えば、ホイールスタッド)の端部に締結され、締結本体の係合部分を少なくとも1つの係合面に係合して、少なくとも1つの係合面に圧縮力を生成する。これにより、少なくとも1つの係合面と締結ワッシャとの間に引張力が生じ、これにより、締結ワッシャの基部から取付開口の周りの複合ホイールの表面に圧縮力が加えられる。次いで、ホイール構成要素をホイールマウント上に一緒に挟むことができる。
【0016】
本発明では、少なくとも1つの係合面は遠位端を含み、係合面の遠位端は、締結軸に対して軸受本体の基部から軸方向に離れて、軸受本体の基部とインサート部の遠位端との間に位置することが好ましい。しかしながら、取付インサート内の係合面の位置は、取付装置の所望の構成および機能に応じて変化し得る。
【0017】
すべての実施形態において、係合面は、取付インサートのインサート部内に少なくとも部分的に位置する。しかしながら、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係合面の少なくとも一部は、締結軸に対して軸受本体の基部の軸方向上方に位置する。そのような実施形態では、係合面の少なくとも一部は、軸受本体内に、したがって取付開口を取り囲む複合ホイールの表面の上方に位置し得る。ほとんどの場合、係合面のその上方の表面部分は、係合面の最初の(上部)部分のみであり、係合面の実質的な部分は、インサート部内に位置し、したがって締結軸に対して軸受本体の基部の軸方向下方に位置する。したがって、少なくとも1つの係合面の遠位端は、締結軸に対して軸受本体の基部から軸方向に離れて、軸受本体の基部とインサート部の遠位端との間に位置する。
【0018】
係合面は、細長い特徴、例えば傾斜部または湾曲部を備えてもよいことを理解されたい。多くの実施形態では、係合面の中点は、係合面が取付開口を囲む複合ホイールの表面の上方にあるか下方にあるかを決定することができる。係合面の中点が、取付開口を取り囲む複合ホイールの表面の上方にある場合、係合面は、取付開口を取り囲む複合ホイールの表面の実質的に上方にある。係合面の中点が、取付開口を取り囲む複合ホイールの表面の下方にある場合、係合面は、取付開口を取り囲む複合ホイールの表面の実質的に下方にある。
【0019】
他の実施形態では、係合面は、軸受本体の基部の完全に下方に位置する。例えば、少なくとも1つの係合面は、軸受本体の基部から軸方向に離れて、締結軸に対して締結開口を軸方向に貫通してその下に位置することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係合面は、軸受本体の基部とインサート部の遠位端との間に実質的に位置する。ここで、係合面は、取付インサートのインサート部内に実質的に配置されてもよく、好ましくは、係合面は、インサート部内に位置する。インサート部に配置されると、係合面は、軸受本体の基部とインサート部の遠位端との間に位置する。
【0021】
軸受本体は、締結本体の係合部分が係合面と係合することを可能にするために、締結本体を内部に受け入れるように構成されることが好ましい。締結本体を収容するために、軸受本体は、締結本体を受け入れるようなサイズの本体開口を含むことが好ましい。本体開口は、締結本体、および必要に応じて締結本体を操作するために使用される工具の一部を収容するようなサイズの円形または多角形の凹部を備える。本体開口は、典型的には、締結開口に入り込む凹部を備える。
【0022】
実施形態では、本体開口は、取付インサートのインサート部内に延在する。したがって、インサート部の一部は、締結本体の一部を受け入れるように構成することができる。いくつかの実施形態では、本体開口は、締結軸に対して軸受本体の基部の軸方向下方に位置する。これにより、締結本体およびその係合部分の少なくとも1つの位置を、軸受本体内に収容および/または陥凹させることができ、場合によってはインサート部に収容および/または陥凹させることができる。
【0023】
インサート部が締結本体の一部を受け入れるように構成される場合、インサート部は、締結本体を受け入れるための第1の内径を有する第1の部分と、締結本体を捕捉するようなサイズの第2の内径を有し、細長い締結要素がそれを通って延在することができる第2の部分とを含むことができる。ここで、インサート部は、第1の部分が締結本体を受け入れて囲む段付き直径を有し、一方、第2の部分は少なくとも1つの係合面を含み、細長い締結要素を受け入れるようなサイズであり、締結本体を捕捉する直径を有し、すなわち、第2の直径で形成された開口を締結本体が完全には貫通できないようなサイズである。
【0024】
本発明の取付装置の軸受本体部分は、取付開口を囲む複合ホイールの表面とのクランプ接触面積を増加させ、それによってその領域にクランプ力が加えられる面積を増加させるように構成される。軸受本体は、その基部部分を介して取付開口を取り囲む複合ホイールの表面に係合するように構成される。
【0025】
軸受本体は、任意の適切な形状および構成を有することができる。いくつかの実施形態では、軸受本体は、円形またはトロイダル形状などを有する。他の実施形態では、軸受本体は平面構成を有することができる。
【0026】
軸受本体の基部は、軸受本体から複合ホイールまで圧縮力を伝達するように構成されることが好ましい。したがって、基部は、それが面する複合ホイールの表面に対して相補的な構成を有することができる。より好ましくは、基部は、取付開口の周りの複合ホイールの表面に対して相補的な輪郭および特徴を有する。例えば、取付開口の周りの複合ホイールの表面が実質的に平坦である場合、基部は、実質的に平坦な接触(係合)面を含むことができる。この表面は、取付開口の周りで複合ホイールの表面に当接するように構成することができる。他の実施形態では、軸受本体は、軸受本体が係合する複合ホイールの表面に対して相補的な構成を有する、起伏のある係合面を有する。
【0027】
軸受本体は、単一の取付開口を取り囲む複合ホイールの表面とのクランプ接触面積を増加させるように必ずしも制限されない。複合ホイールが少なくとも2つの取付開口を含み、軸受本体は、これらの取付開口のうちの少なくとも2つの間および周囲で複合ホイールの表面上に延在するように構成することができる。いくつかの実施形態では、軸受本体は、すべての取付開口の間および周囲で複合ホイールの表面上に延在するように構成することができる。これらの実施形態では、軸受本体は、各取付開口の間および周囲に延在する実質的に平坦な本体、好ましくはプレートを備えることができる。したがって、軸受本体は、各取付開口の周りの複合ホイールの表面上の複合ホイールの表面とのクランプ接触面積を増加させる共有本体として構成される。この共有軸受本体の構成では、その軸受本体は、少なくとも2つの締結開口と、複合ホイールの取付開口の数に対応する少なくとも2つのインサート部とを含み、各インサート部は、複合ホイールのそれぞれの取付開口内に延在する。したがって、各取付開口の取付インサートは、複合ホイールの表面上に延在し、かつ複合ホイールの表面に当接する、共有または共通の軸受本体を含む。しかしながら、締結開口、インサート部、および係合面は、各取付開口内に設けられる。締結本体および関連する細長い締結具は、各締結開口を通して受け入れられる。
【0028】
締結本体は、複合ホイールをマウントに取り付けるために使用される任意の適切な締結装置を備えることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、締結本体は、ボルト構成、好ましくはホイールボルトを備える。この実施形態では、締結本体は、係合部分と細長い締結具とを含む締結頭部を含む締結ボルトを備え、細長い締結具は、例えばねじ接続を介してホイールマウントに接続されるように構成される。これらの実施形態では、締結ボルトがマウントに締結されることによって、締結本体は細長い締結要素を介してマウントに締結される。実施形態では、締結ボルトの細長い締結要素部分はねじ切りされ、マウントの相補的なねじ付き開口内に受け入れられる。しかしながら、締結ボルトをマウントに接続/固定するために他の形態の相互接続が可能であることを理解されたい。
【0030】
他の実施形態では、締結本体は、締結ナット、例えばホイールナットを備える。これらの実施形態では、締結ナットは、細長い締結要素上に組み付けられて、その係合部分が少なくとも1つの係合面と動作可能に係合するように構成される。これらの実施形態では、細長い締結要素は、締結本体との任意の適切なインターロック締結装置を備えることができる。好ましい形態では、細長い締結要素は雄ねじ面を含み、締結本体は相補的なねじ付き内孔を含む。そのような実施形態では、細長い締結要素は、マウントから外側に延在し、好ましくはマウントの一部を形成する。ここで、締結本体は、細長い締結要素の雄ねじ面上に受け入れられて締結されている締結ナットのねじ付き内孔によって、細長い締結要素を介してマウントに締結される。
【0031】
いくつかの実施形態では、複合ホイールは、取付開口が細長い締結要素に対して相補的なねじ山を有するセンターロックタイプである。細長い締結要素は、一体化されたねじ付き頭部を有することができる。
【0032】
係合面および係合部分の実質的に相補的な構成は、係合面と係合部分との間の力の伝達を容易にするように機能する。好ましくは、実質的に相補的な構成は、互いに係合する協働する形状の表面を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、これは、係合部分の一部のみが係合面上の対応する領域に直接接触する協働設計を含み得ることを理解されたい。この意味で、係合面と係合部分との間の係合は、係合部分の全部または実質的に全部が係合面に接触することを必要としない。
【0033】
締結本体の係合面および対応する/協働する係合部分は、単一の表面を備えることができる、またはそれぞれの取付インサートおよび締結本体の2つ以上の別個のまたは個々の表面を備えてもよいことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、係合面は、インサート部の内面内で周方向に延在する傾斜面または湾曲面を含んでもよい。他の実施形態では、単一の個々の取付インサート内に2つ以上の係合面、例えば、間隙、凹部、突起などによって締結軸の周りに周方向に離間した、インサート部の内面から延在する2つの半円形面が存在し得る。
【0034】
係合面は、締結本体が軸受本体に挿入されて細長い締結要素に締結されたときに、締結本体の係合部分と係合する位置にあるインサート部の内面の任意の部分から延在することができる。インサート部が円形断面を有する場合、係合面は、インサート部の内壁の実質的に環状の部分を含む。いくつかの実施形態では、係合面は、締結軸に対して角度が付いているかまたは湾曲している。係合面の角度または湾曲形状は、取付開口の周りに位置する面の縁部から離れるように力を分散させることを可能にし、複合構造上により均一に分散させる、追加の特徴を提供することができる。
【0035】
係合面は、締結軸に対して任意の適切な角度または湾曲を有することができ、締結本体および軸受本体が互いに係合し、圧縮力をこの継手から、締結開口から離れるように伝達することを可能にする。いくつかの実施形態では、係合角度は締結軸に対して90度である。他の実施形態では、係合面は、締結軸に対して角度が付いているかまたは湾曲している。係合面に角度が付いている場合、係合面には、締結軸に対して10~80度の角度を付けることができる。いくつかの好ましい実施形態では、係合面は、締結軸に対して30~60度の角度が付いている。係合面が締結軸に対して湾曲している場合、湾曲は、締結軸に対して凸状または凹状であり得る。好ましい形態では、湾曲は、締結開口の半径以下の曲率半径を有する。いくつかの実施形態では、係合面は、締結軸に対して締結開口から半径方向に離間した位置で、締結開口に近接する基部位置からピーク位置まで延在する。
【0036】
インサート部の遠位端は、複合ホイールの取付開口内に延在し、ホイールマウントから、またはホイールマウント内に、ホイールマウント上に、ホイールマウントと一体に、もしくはホイールマウントに隣接して配置された要素から、もしくは要素内に離間するように設計される。好ましくは、インサート部の遠位端は、複合ホイールの取付開口内に延在し、ホイールマウントの表面から、またはホイールマウント内に、ホイールマウント上に、ホイールマウントと一体に、もしくはホイールマウントに隣接して配置された要素の表面から、もしくは表面内に離間するように設計される。この意味で、インサート部の遠位端は、インサート部の遠位端がホイールマウントおよび/または要素と直接係合しないように、好ましくは直接接触しないように、ホイールマウントおよび/または要素から離間している。これは、典型的には、インサート部の遠位端がホイールマウントおよび/または要素の近接または隣接する表面と直接係合しないこと、好ましくは直接接触しないことを伴う。この離間配置は、そのインサート部が、ホイールマウントおよび/または要素との間、ホイールマウントおよび/または要素を通る、またはホイールマウントおよび/または要素上への直接的な力の伝達を確立すること、あるいは直接的な力の伝達を有することを妨げ、好ましくは防止する。その間隔は、ホイールマウント、および/またはホイールマウント内に、ホイールマウント上に、もしくはホイールマウントに隣接して配置された要素の表面からの締結軸に対する軸方向および/または半径方向の間隔であり得る。したがって、間隔は、インサート部の遠位端がホイールマウントまたは要素の近接または隣接する表面に直接接触または直接係合しないように構成される。
【0037】
ホイールマウント(またはホイールハブ)は、複合ホイール用の車両または他の輸送装置上の取付要素であることを理解されたい。ホイールマウント内の、ホイールマウント上の、ホイールマウントと一体の、またはホイールマウントに隣接する要素は、ホイールマウントと一体に形成された要素、ホイールマウント上もしくはホイールマウント内(の中)に位置する要素、ホイールマウントに取り付けられた要素、またはホイールマウントに隣接して位置する要素を含んでもよいことも理解されたい。いくつかの実施形態では、要素は、ホイールマウントに隣接して位置するバッキングプレートを備える。実施形態では、要素、例えばバッキングプレートは、ホイールマウントに隣接して位置してもよいが、ホイールマウントから離間している。
【0038】
実施形態では、取付装置は、取付開口内でインサート部の基部を位置決めするバッキング要素、位置決め要素、バッキングワッシャ、サークリップなどのクリップなどのさらなる構成要素を含み得る。
【0039】
取付装置は、マウントと複合ホイールとの間に挿入されるように構成された少なくとも1つのバッキング要素をさらに含むことができる。バッキング要素は、軸受本体に対する取付開口の反対側に大きな表面を提供し、それに対して複合ホイールを取付インサートによって締め付けることができる。少なくとも1つのバッキング要素は、締結開口の少なくとも1つの部分を含むことができる。
【0040】
インサート部の遠位端は、好ましくは、ホイールマウントまたは少なくとも1つのバッキング要素に配置されたインサート部開口に受け入れられるように構成される。バッキング要素は、インサート部開口の少なくとも1つの部分、好ましくはインサート部開口全体を含むことができる。インサート部開口は、好ましくは、インサート部の少なくとも一部がインサート部開口を通って移動することを可能にするようなサイズであり、好ましくは、インサート部の遠位端の一部と少なくとも1つのバッキング要素との間に摺動嵌合を提供するようなサイズである。いくつかの実施形態では、インサート部開口は、インサート部を収容してその中に着座させるようなサイズの第1の直径と、細長い要素を収容するようなサイズの第2の直径とを提供する段付き直径を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバッキング要素は、インサート部の一部を受け入れるようなサイズの凹部を含む。したがって、バッキング要素は、少なくとも1つの係合面の少なくとも一部が少なくとも1つのバッキング要素の凹部内に位置するように構成することができる。いくつかの実施形態では、凹部は、インサート部の遠位端を受け入れて囲む。しかしながら、他の実施形態では、インサート部の遠位端は、バッキング要素を通って延在する。インサート部は、好ましくは、インサート部の遠位端とインサート部開口の近位のバッキング要素の表面の部分との間に隙間を提供するための切欠き部を含む。このタイプの切欠き部は、インサート部の遠位端に段部を備え得る。ステップは、好ましくは、バッキング要素から離間するように構成されたバッキング要素に面する基部部分を含む。
【0042】
好ましい形態では、バッキング要素は、取付開口の周りで複合ホイールの表面に当接するように構成されたプレートを備える。複合ホイールが少なくとも2つの締結開口を含む場合、バッキング要素は、これらの締結開口の各々に挿入されたそれぞれの軸受本体からのインサート部と協働するように構成された、少なくとも同じ数のインサート部開口を含むことができる。例えば、複合ホイールが、3つ以上のホイールスタッドを使用してホイールマウントに取り付けられるホイール(例えば、炭素繊維ホイール)である場合、バッキング要素は、いくつかのホイールスタッドに対応する数のインサート部開口を含む環状プレートを備えることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、バッキング要素は、取付装置に別個の要素を含むことを理解されたい。しかしながら、代替の実施形態では、バッキング要素は、別の要素、例えばマウントによって、またはそれと併せて形成されてもよい。いくつかの実施形態では、マウントは、バッキング要素の一部または全部の要素を提供し得る。
【0044】
本発明のインサート部は、クランプ力を係合面から軸受本体およびその基部まで伝達するように設計されている。インサート部はまた、締結開口の中心から離れて、かつ締結開口の壁から離れて荷重を分散させるように機能する。
【0045】
インサート部は、複合ホイールの取付開口の中に、かつそれを通って延在し、ホイールマウントまたはマウントに隣接して配置された要素に配置された相補的な形状のインサート部開口に受け入れられるように構成される。いくつかの実施形態では、インサート部開口は、マウントに形成されてもよい。
【0046】
実施形態では、軸受本体の基部は、ホイールマウントに対するインサート部の軸方向回転を実質的に防止する固定機構を含んでもよい。この特徴は、複合ホイールの表面の少なくとも1つの相補的な溝、穴、開口、戻り止め、凹部または窪みに着座する複数の突起、スピゴット、細長い、フランジまたはエンボスのうちの1つを備えてもよい。この回転防止機構は、締結本体が締め付けられているときに、取付インサートが複合ホイールの取付開口内で回転しないことを保証する。
【0047】
他の実施形態では、インサート部開口およびインサート部の遠位端は、ホイールマウントに対するインサート部の軸方向回転を実質的に防止するいくつかの形態で相補的な構成を有することができる。相補的な構成は、多角形、不規則な形状、スプライン、フラット、凹部、肩部、突起、スピゴット、鍵、空洞、溝、またはフィンガの少なくとも1つを含む(ただし、これらに限定されない)、インサート部とインサート部開口との間にロックされた嵌合を提供する任意の特徴を含むことができる。好ましい実施形態では、インサート部開口およびインサート部の遠位端は、相補的な六角形の形状を有する。
【0048】
上述したように、インサート部開口は、好ましくは、インサート部の少なくとも一部がインサート部開口を通って移動することを可能にするようなサイズである。インサート部開口は、好ましくは、インサート部の遠位端の一部とバッキング要素との間の摺動嵌合を提供するようなサイズである。この意味で、インサート部のこの遠位端とバッキング要素との間に隙間が設けられて、クランプ荷重が係合面から複合ホイールとバッキング要素との複合構造を通って車両ホイールマウントに伝達されることを確実にする。したがって、インサート部は、インサート部の底部とインサート部開口を囲む表面との間に隙間を提供するように設計することができる。実施形態では、この隙間は、取付装置が圧縮されたときにインサート部がインサート部開口を通って摺動することができるように、インサート部とインサート部開口を含む要素との間に摺動嵌合を提供するように設計することができる。これは、インサート部がマウントと接触し、クランプ荷重の一部をマウントに、または取付開口および/またはインサート部開口内で半径方向に伝達する可能性を低減する。締結具からのすべての圧縮荷重が複合構造を通過することが好ましい。
【0049】
インサート部の遠位端は、好ましくは、インサート部開口に近位のバッキング要素の表面のその部分から離間している。この間隔は、インサート部の遠位端とバッキング要素との間に隙間を提供し、締結本体が係合され取付インサート内に圧縮荷重を生成すると、取付開口内のインサート部のある程度の拡張を可能にする。実施形態では、インサート部は、インサート部の遠位端とインサート部開口の近位のバッキング要素の表面の部分との間に隙間を提供するための切欠き部を含んでもよい。切欠き部は、必要な隙間を提供するように構成された任意の凹部、溝、または空洞を備えることができる。一実施形態では、切欠き部は、インサート部の遠位端に段部を備える。ステップは、好ましくは、バッキング要素から離間するように構成されたバッキング要素に面する基部部分を含む。
【0050】
インサート部は、好ましくは、締結軸に対する半径方向幅が、締結開口の締結軸に対する半径方向幅よりも小さくなるように構成される。これにより、インサート部の外側と取付開口の内側との間に半径方向の間隙が形成される。これは、締結本体が係合され取付インサート内に圧縮荷重を生成すると、インサート部がクランプ荷重の一部を取付開口の壁に伝達する可能性を低減し、取付開口内のインサート部のある程度の拡張のための隙間も提供する。
【0051】
インサート部の厚さおよび幅は、軸受本体に接続し、締結開口および少なくとも1つの係合面を含み、係合面から軸受本体の基部への力の伝達に対応するのに十分な材料を提供するのに十分でなければならない。これにより、インサート部の外径は大きくなり得る。したがって、インサート部の遠位端は、締結軸と軸方向に整列した延長部と、インサート部開口内に受け入れられるように構成された締結開口とを含み得る。このようにして、インサート部開口は、インサート部の本体の幅よりも小さい開口部とすることができる。この意味で、延長部の半径方向サイズは、締結軸に対するインサート部の半径方向サイズよりも小さい。延長部は、インサート部の遠位端に、インサート部の半径方向サイズが縮小する段部を備えることができる。しかしながら、他の実施形態では、インサート部開口は、インサート部の本体の幅と同じサイズまたはより大きい開口部であってもよいことを理解されたい。
【0052】
インサート部は、任意の適切な断面を有することができる。好ましい形態では、インサート部は、締結軸に対して円形または多角形の半径方向断面を有する。軸受本体およびインサート部は、好ましくは、ビレットから鋳造、鍛造、または機械加工され得る金属などの単一の材料片から取付インサートとして一体的に形成される。他の実施形態では、軸受本体およびインサート部は、本発明の取付インサートを形成するために互いに固定することができる2つ以上の別個の要素から形成することができる。
【0053】
インサート部の遠位端は、バッキング要素のインサート部開口を通るインサート部の引き抜きを防止する少なくとも1つの保持機構を含むことができる。この保持機構は、任意の要素または形成とすることができる。一実施形態では、インサート部の遠位端は、インサート部開口を通して挿入され、保持形成部、例えばクリップがインサート部の遠位端に締結される。その保持形成部は、クリップ、ペグ、クランプ、ロッド、ピン、ワッシャなどを含む任意の適切な締結または固定本体を備えることができる。例えば、保持形成部は、サークリップ、圧入ワッシャ、またはインサート部の端部の変形機構とすることができる。一実施形態では、保持形成部は、取付開口を通って延在するインサート部のこの遠位端の一部に含まれる溝またはトレンチに着座するか、そうでなければ嵌合する、固定クリップを備える。固定クリップの外径は、インサート部開口よりも大きいサイズを有する。この固定クリップは、好ましくは、インサート部がバッキング要素に対して一方向に摺動することを依然として可能にするが、締結具要素が取り外されたときにアセンブリ全体がばらばらになるのを防止するように配置される。一実施形態では、インサート部の遠位端は、インサート部開口を通して挿入され、次いで、端部は、インサート部開口よりも大きいサイズに変形される。この変形は、任意の形状または構成を有することができる。一実施形態では、遠位縁部は、丸められた縁部を形成するように変形される。
【0054】
締結本体、取付インサート、バッキング要素などを含む取付装置の部品は、任意の適切な材料で構成することができる。多くの場合、取付装置は、金属製、例えば、鋼もしくは他の鉄系合金、またはアルミニウムもしくはアルミニウム系合金で形成される。金属によっては、防食が必要な場合がある。ステンレス鋼またはチタンなどの低腐食金属を使用してもよい。他の金属は、より堅牢な防食、例えば、金属構成要素の一部または全部に適用される防食コーティングを必要とし得る。炭素鋼は、塗装または粉体塗装などの防食と共に使用され得る。アルミニウム合金は、例えば、軍用規格MIL-A-8625Fに従って硬質陽極酸化を使用して保護することができる。
【0055】
本出願の複合ホイールは、任意の適切な組成を有することができる。例示的な実施形態では、複合ホイールは、炭素繊維複合ホイールを含む。
【0056】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の取付装置が取り付けられた複合ホイールを提供する。この装置は締結本体を含み、これは細長い締結要素を含むか、または車両のホイールマウントの細長い締結要素に締結することができる。締結本体は、係合面と略相補的な構成を有する係合部分を有する。使用時には、締結本体が細長い締結要素を介してマウントに締結されて、軸受本体とホイールマウントとの間に複合ホイールを締結するときに、締結本体の係合部分が係合面と係合する。
【0057】
また、係合面および係合部分の実質的に相補的な構成は、係合面と係合部分との間の力の伝達を容易にするように機能することを理解されたい。好ましくは、実質的に相補的な構成は、互いに係合する協働する形状の表面を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、これは、係合部分の一部のみが係合面上の対応する領域に直接接触する協働設計を含み得ることを理解されたい。この意味で、係合面と係合部分との間の係合は、係合部分の全部または実質的に全部が係合面に接触することを必要としない。
【0058】
取付装置は、好ましくは、少なくとも1つの係合面と軸受本体の基部との間に張力で予め負荷された複合ホイールに嵌合される。複合ホイールは少なくとも2つの締結開口を含むことが好ましく、バッキング要素は、少なくとも2つの締結開口の各々に挿入されたそれぞれの係合本体からのインサート部と協働するように構成された、少なくとも2つのインサート部開口を含む。
【0059】
取付装置を使用して締結された複合ホイールは、例えば、炭素繊維複合材料または炭素/エポキシ複合材料など(ただし、これらに限定されない)の繊維強化複合材料など、圧縮継手損傷が起こり得る任意の複合材料であり得る。しかしながら、同じ継手を使用する本発明の複合ホイールには、炭素繊維およびエポキシ樹脂以外の他のタイプの複合材料を使用できることを理解されたい。1つの好ましい用途は、複合ホイールをホイールマウントに取り付けるためのものであり、より好ましくは1つ以上の炭素繊維複合ホイールである。
【0060】
図面の簡単な説明
本発明を、本発明の特定の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本発明の第1の好ましい実施形態による、炭素繊維ホイール、ホイールマウント、およびホイールをホイールマウントに接続するホイール取付装置の斜視構造図である。
図2図1に示すホイール取付装置の一部の拡大断面斜視図である。
図3図2に示す取付装置の正面断面図である。
図4図2に示すホイール取付装置のさらなる正面断面図であり、装置のスリーブにより接近した図である。
図5】装置内の力の伝達を示す、図2に示すホイール取付装置のさらなる正面断面図である。
図6】ホイールボルトを使用して複合ホイールをホイールマウントに取り付ける、本発明による第2のホイール取付装置の正面断面図である。
図7】係合面の一部が複合ホイールの表面の上方に位置する、本発明による第3のホイール取付装置の正面断面図である。
図8】単一片のフロントプレートを備える共有軸受本体を含む、本発明による第4のホイール取付装置の上面斜視図である。
図9】軸受本体およびバックプレートの積層構成を示す、図8に示すホイール装置の断面斜視図である。
図10】装置内の力の伝達を示す、図8および図9に示すホイール取付装置の正面断面図である。
図11】軸受本体フロントプレートとバッキングプレートを複合ホイール上に保持するための保持開口を示す、図8に示すホイール装置の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
詳細な説明
図1は、本発明の一実施形態による取付装置16を使用して、ホイールスタッド14を介してホイールマウント(またはホイールハブ)12に取り付けられる炭素繊維複合ホイール10を示す。図示の取付装置16は、ホイールスタッド14上に締結することができる締結ナット18と、取付インサート20と、バッキングプレート22とを備える。
【0063】
図示の複合ホイール10は、例えば、国際公開第2010/025495号および国際公開第2019/033169号に記載されているような一体型炭素繊維ホイールであり、それらの内容はこの参照により本明細書に組み込まれると理解されるべきである。図示の複合ホイール10のハブ部分23は、ホイール10がホイールマウント12に取り付けられたときにホイールマウント12のホイールスタッド14が挿入される6つの取付開口24を含む。ホイールスタッド14の各々は、締結ナット18の各々のねじ付き内孔25(図3)に対する相補的なねじ山を有する細長い雄ねじ付きピンである。
【0064】
図示されたホイールは6つの取付開口24を有するが、本発明の取付装置を使用する複合ホイールは、例えば3、4、5、6またはそれ以上の任意の数の取付開口を有してもよいことを理解されたい。
【0065】
図2および図3に最もよく示されているように、各締結ナット18は、上部26と、内孔25の周りに環状に延在する基部28とを含む円筒形キャップである。内孔25は、中心締結軸X(図3)を含む。各締結ナット18は、内孔25(図3)の縁部から締結ナット18の半径方向外側32まで延在する角度付き係合部分36を有する。係合部分36は、取付インサート20の係合面30に対する締結軸Xに対して実質的に相補的な角度β(図4)を有する。他の実施形態では、係合部分36および係合面30は平坦であり、締結軸Xに対して90度の角度が付いているか、または実質的に相補的な凹状または凸状の曲線を有することができることを理解されたい。
【0066】
典型的には、角度βは、10~80度の間、より好ましくは30~60度の間であり得る。図示の実施形態では、角度βは45度である。角度βは、10~80度の間、より好ましくは30~60度の間とすることができる。図示の実施形態では、角度βは45度である。
【0067】
図2および図3に最もよく示されているように、取付インサート20は、2つの主要部分、すなわち、
(A)締結ワッシャと同様の略トロイダル形状の頭部38を備える軸受本体21、および
(B)軸方向に延在する円筒形インサート部(スリーブ)40
を備える。
【0068】
軸受本体21およびインサート部40は、好ましくは、ビレットから鋳造、鍛造、または機械加工され得る金属などの単一の材料片から一体的に形成される。
【0069】
締結開口42は、取付インサート20の長さを通って軸方向に延在する。締結開口42はまた、中心締結軸Xを含む。締結開口42の締結軸Xおよび締結ナット18の内孔25は、図3に示すように、軸受本体21およびナットが使用されているときに整列する。使用時に、締結開口42は、ホイールマウント12(図1)のホイールスタッド14を受け入れる。
【0070】
軸受本体21は、取付開口24の周りの複合ホイール10の表面47にわたってクランプ力F(図4および図5)を分散させるために使用される。これを達成するために、軸受本体21の頭部38は、取付開口24の周りで複合ホイール10の表面に面して当接するように構成された実質的に平坦な基部44を含む。したがって、軸受本体21の頭部38は、取付開口24を囲む複合ホイール10の表面47の荷重伝達ゾーン45とのクランプ接触面積を増加させ、それによってクランプ力がその領域に加えられる面積を増加させるように構成される。
【0071】
さらに、軸受本体21は、締結ナット21の係合部分36がインサート部40の係合面30と係合するように、ナット開口27内に締結ナット18を受け入れるように構成される。ナット開口27は、締結ナット18がその凹部内で操作されることを可能にするために、締結ナット18をある程度の隙間を有して収容するようなサイズの円形または多角形の凹部を備える。いくつかの実施形態では、その隙間は、締結ナット18を操作するために使用される工具(図示せず)の一部、例えばソケットレンチまたはスパナも収容するのに十分である。図3に示すように、ナット開口27は、締結開口42に入り込む凹部を形成する。
【0072】
軸受本体21のインサート部40は、クランプ力を係合面30から軸受本体21およびその基部44まで伝達するように設計されている。インサート部40はまた、締結開口42の中心から離れるように、および締結開口42の壁から離れるように荷重を分散させるように機能する。
【0073】
インサート部40は、締結開口42の周りで軸受本体21の頭部38の基部44から軸方向外側に延在する。インサート部40は、複合ホイール10の取付開口24内に延在するように構成される。インサート部40の本体50の半径方向断面は円形である。さらに、インサート部40の本体50の半径方向幅は、取付開口24の半径方向幅よりも小さい。これにより、インサート部40の本体50の外側と複合ホイール10の取付開口24の内側との間に、半径方向間隙G(図4)が形成される。これは、インサート部40がクランプ荷重の一部を取付開口24の壁に伝達する可能性を低減し、取付開口24内のインサート部40のある程度の拡張のための隙間も提供する。
【0074】
インサート部40の厚さおよび半径方向幅は、軸受本体21のナット開口27に接続し、締結開口42および係合面36を収容し、係合面30から軸受本体21の基部44への力の伝達を可能にするのに十分な材料を提供するのに十分である。これにより、インサート部40の外径は大きくなり得る。したがって、インサート部40の遠位端52は、締結軸Xと軸方向に整列した小径延長部53と、バッキングプレート22のインサート部開口54内に受け入れられるように特に構成された締結開口42とを含む(以下を参照)。延長部53は、インサート部40の遠位端52に段差を効果的に提供し、インサート部40の半径方向サイズは、バッキングプレート22のインサート部開口54のサイズに一致するようにサイズが縮小する。さらに、インサート部40の遠位端52は、ホイールマウント12の表面から離間した位置にあることに留意されたい。
【0075】
インサート部40は、インサート部40の内面/内側面に形成された角度付き環状係合面30を含む。上述したように、係合面30は、締結ナット18の基部係合部分36に対する締結軸Xに対して相補的な角度(β)を有する。使用時には、締結ナット18をホイールスタッド14に組み付けて複合ホイール10を軸受本体21とホイールマウント12との間に締結するときに、締結ナット18の係合部分36が軸受本体21の係合面30に係合する。
【0076】
前述したように、(その内壁に形成された)インサート部40内に係合面30を配置することにより、締結ナット18を軸受本体21を通してインサート部40内に凹ませることができる。この構成は、係合面30が軸受本体21内に配置された場合よりも低い位置に締結ナットを配置する。締結ナット18の係合部分36およびインサート部40の係合面30は、軸受本体21の基部44の下方および複合ホイールの上面レベル47の下方に配置される。この位置決めは、国際公開第2013/000009号に教示されている構成と比較して、より短い細長い締結具(ホイールスタッド)を収容する取付装置を可能にし、したがって、国際公開第2013/000009号に教示されている構成で可能であるよりも小さいスタック高さH(図3)を収容する。これは、複合ホイール10を車両(図示せず)のホイールマウント12に取り付けるときに、標準的な車両ホイールスタッド長さおよびホイールナット設計を保持するという利点を提供する。
【0077】
インサート部40内の係合面30の配置は、締結ナット18の係合部分36とインサート部40の係合面30との間のクランプ係合力を、軸受本体21の基部44および取付開口24の周りの複合ホイール10の表面47の下方に配置する。取付インサート20は、そのクランプ係合からの圧縮力を係合面30から外側に突出させ、インサート部40を軸方向に(締結軸Xに対して)バックアップし、軸受本体21の基部44に戻すように構成される。図5に最もよく示されているように、これは、軸受本体21の基部44とバッキングプレート22との間に圧縮力JCを間接的に作り出し、軸受本体21の基部44とバッキングプレート22との間に複合ホイール10の材料を一緒に挟み込み、それによってホイール10をホイールマウント12上にしっかりと固定する。
【0078】
図5に最もよく示されているように、力の伝達は、締結ナット18がホイールスタッド14の端部に締結されることから生じる(ホイールスタッド14に張力BTを生じさせる)。ホイールスタッド14上の締結ナット18の締め付けは、締結ナット18の係合部分36を係合面30上に係合させ、係合面36に圧縮力SCを生じさせ、それがインサート部40の隣接部分に伝達される。これにより、係合面30と軸受本体21との間に引張力STが生じ、これにより、軸受本体21の基部44から取付開口24の周りの複合ホイール10の表面47に圧縮力JCが加えられる。
【0079】
最後に、図4および図5に示すように、係合面30からインサート部を通って軸受本体21に力が伝達されることにより、力Fが取付開口24の縁部から離れて分散され、荷重伝達ゾーン45内の複合表面にわたってより均一に分散され、次いで取付開口24の周りの複合構造の上および中に分散されることが保証される。
【0080】
図2および図3に最もよく示されているように、バッキングプレート22は、ホイールマウント12と複合ホイール10との間に挿入されるように設計されている。図示のバッキングプレート22は、環状に離間した6つのインサート部開口54を含む平坦なトロイドプレートである。バッキングプレート22は、軸受本体21に対する取付開口24の反対側に大きな表面を提供し、それに対して複合ホイール10を圧縮力JC(図5)によってクランプすることができる。図示されたインサート部開口54は、軸受本体21のインサート部40部分の遠位端52を受け入れるが噛み合わないように設計されたほぼ円形の形状を有する。軸受本体21の回転は、軸受本体21の頭部38の基部44の凹部146内に挿入され、そこから軸方向に突出し、複合ホイール10の表面の相補的な凹部147内に受け入れられ着座する、インサートロッド143によって防止される。
【0081】
代替の実施形態(図示せず)では、各インサート部40の遠位端52は、バッキングプレート22に形成された相補的な形状のインサート部開口54、例えば相補的な六角形の形状に受け入れられるように構成することができる。この相補的な形状は、ホイールマウント12に対するインサート部40の軸方向回転を実質的に防止する。
【0082】
図3および図4に示すように、バッキングプレート22の後側41は、インサート部開口54の各々と同心円状に配置された一連の凹部56を含む。凹部56は、バッキングプレート22のインサート部開口54の長さを短くし、インサートがより短いインサート部40を可能にする。
【0083】
軸受本体21のインサート部40は、複合ホイール10に決して接着されないことが好ましい。これにより、インサート部40は、複合ホイール10の取付開口24に対して摺動することができる。
【0084】
インサート部開口54は、インサート部40の遠位端52の少なくとも一部がインサート部開口54を通って移動することを可能にするようなサイズである。いくつかの構成では、隙間を調整して、取付装置16が圧縮されたときにインサート部40の遠位端52がインサート部開口54を通って摺動することを可能にする、インサート部40とバッキングプレート22との間の摺動嵌合を生成することができる。これは、インサート部40がマウント12に接触し、クランプ荷重の一部をマウント12に、または取付開口24もしくはインサート部開口54内で半径方向に、伝達する可能性を低減する。しかしながら、インサート部40の遠位端52は、ホイールマウント12(図1)またはバッキングプレート22のいずれの部分にも(軸X-Xに対して半径方向または軸方向に)直接係合または接触しないことを理解されたい。
【0085】
インサート部40の遠位端52は、インサート部開口54を通って挿入され、次いで、取付開口24を通って延びるインサート部40のこの遠位端52の一部に含まれる溝またはトレンチ153に嵌合されたサークリップまたは他の固定クリップ151を使用して端部が定位置に固定される。固定クリップ151の外径は、インサート部開口54よりも大きいサイズを有する。この保持形成部は、サークリップ(図示のような)、圧入ワッシャ、またはインサート部40の端部の変形機構などの任意の適切なものとすることができることを理解されたい。固定クリップ151は、バッキングプレート22の基部に設けられた相補的な環状溝55(図4)に着座することができる。
【0086】
他の実施形態(図示せず)では、保持形成部は、例えば、インサート部40の遠位端52がインサート部開口54を通って挿入された後に丸められた縁部を形成するように、遠位端52の変形によってインサート部40の遠位端52に形成することができ、その結果、インサート部開口54よりも大きいサイズを有する。丸められた縁部は、バッキングプレート22の基部に設けられた相補的な環状溝55内に着座することができる。この構成は、インサート部140がインサート部開口154を通ってバッキングプレート122に対して一方向に摺動することを依然として可能にするが、締結要素が取り外されたときに取付装置116全体がばらばらになるのを防止する。
【0087】
上述したように、インサート部40のこの遠位端52とバッキングプレート22との間に隙間を設けることもでき、クランプ荷重が係合面30から複合ホイール10およびバッキングプレート22の炭素複合積層体11を通って車両ホイールマウント(図示せず)に伝達されることを確実にする。
【0088】
この構成は、インサート部40がインサート部開口54を通ってバッキングプレート22に対して一方向に摺動することを可能しながら、締結要素が取り外されたときに取付装置16全体がばらばらになるのを防止する。
【0089】
図6は、ホイールボルト218を使用して複合ホイール10をホイールマウント12に取り付ける、本発明による取付装置216の実施形態を示す。図示されていないが、ホイールボルト218は、ねじ付きの細長い締結具部分214とボルト頭部218Aとを含むことを理解されたい。細長い締結具部分214は、複合ホイール10の取付開口224を通って挿入され、次いで、ホイールマウント12の相補的なねじ付き開口に締結されて、複合ホイール10をホイールマウント12に取り付けるか、そうでなければ固定する。
【0090】
この実施形態では、ホイールボルト218のボルト頭部218Aは、ホイールボルト218がねじ付きの細長い締結具部分214と一体的に形成されることを除いて、前の実施形態の各締結ナット18のすべての特徴を含む。したがって、この実施形態の機能および力伝達は、角度付き係合部分236がホイールボルトのボルト頭部218に位置し、係合部分236が取付インサート220の係合面230と係合するように構成されていることを除いて、先行する実施形態について上述したものと全く同じである。図6に示す取付インサート220のいくつかの特徴は、図1図5に示す実施形態に関して図示および説明したものと同じである。したがって、図6の同様の特徴には、図1図5に示すのと同じ参照番号に200を加えたものが付されている。図1図5に示す取付装置16の動作の上記の説明は、取付装置216が、締結ナット18をホイールスタッド18に締結するのとは対照的に、ホイールボルト218Aをホイールマウント12の開口に係合することによって締め付けられることを除いて、この実施形態にも等しく適用されることを理解されたい。したがって、取付インサート220は、図1図5に関連して図示および説明した実施形態について前述したように、軸受本体221およびインサート部240から形成され、ホイールボルト218と相互作用する前述と同じ特徴および機能を有する。
【0091】
図7は、係合面330の上部が複合ホイール310の上面322の上方に位置する、本発明による取付装置316の実施形態を示す。図7に示す取付装置316のいくつかの特徴は、図1図5に示す実施形態に関して図示および説明したものと同じである。したがって、図7の同様の特徴には、図1図5に示すのと同じ参照番号に300を加えたものが付されている。インサート部340における係合面330の位置決めを除いて、図1図5に示す取付装置16の動作の上記の説明は、この実施形態にも等しく適用されることを理解されたい。この実施形態では、係合面330は依然としてインサート部の内壁に形成されている。しかしながら、係合面330の位置は、複合ホイール310の表面347に対してより高く、係合面330の一部は、軸X-Xに対して複合ホイール310の表面347の軸方向上方に位置する。インサート部340の遠位端352は、ホイールマウント12(図1)の表面から離間した位置にある。この意味で、インサート部340の遠位端352は、ホイールマウント12(図1)またはバッキングプレート322のいずれの部分にも(軸X-Xに対して半径方向または軸方向に)直接係合または接触しない。
【0092】
図7に示すように、この位置決めは、国際公開第2013/000009号に教示されている構成と比較して、より短い細長い締結具(ホイールスタッドまたはボルト)を収容する取付装置を可能にし、したがって、国際公開第2013/000009号に教示されている構成で可能であるよりも小さいスタック高さH2(図7)を収容する。しかしながら、この場合、この実施形態のスタック高さは、前の実施形態のスタック高さH(図3)よりもはるかに大きい。
【0093】
締結ナット318は、ナット開口327内で軸受本体321のインサート部340内に依然として受け入れられて凹んでいる。この実施形態では、締結ナットは、前の実施形態と比較して軸方向に高く着座し、これは、締結ナット318が軸受本体321を通って陥凹することを可能にするが、インサート部340内に完全には入り込まない。
【0094】
図8図11は、共有軸受本体421を含む本発明による取付装置416の一実施形態を示す。
【0095】
図8図11に示す取付装置416のいくつかの特徴は、図1図5に示す実施形態に関して図示および説明したものと同じである。したがって、図8図11の同様の特徴には、図1図5に示すのと同じ参照番号に400を加えたものが付されている。図1図5に示す取付装置16の動作の上記の説明は、軸受本体421およびインサート部(スリーブ)440の構成を除いて、この実施形態にも等しく適用されることを理解されたい。
【0096】
図8および図9に最もよく示されているように、取付インサート420は、2つの主要部分、すなわち、
(A)複合ホイール410の取付開口424の各々の上および周囲に延在する単一片のフロントプレートを備える軸受本体421、および
(B)各取付開口424内に延在するように構成された、軸方向に延在する複数の円筒形インサート部440
を備える。
【0097】
取付インサート420はまた、複合ホイール410の各取付開口424のための締結開口442を含む。
【0098】
軸受本体421および取付インサート420の各インサート部440は、好ましくは、ビレットから鋳造、鍛造、または機械加工され得る金属などの単一の材料片から一体的に形成される。
【0099】
先の実施形態と同様に、締結開口442は、中心締結軸X(図10)を中心として各インサート部440を通って軸方向に延びる。締結開口442の締結軸Xおよび締結ナット418の内孔425は、図10に示すように、使用時に整列する。使用時に、各締結開口442は、ホイールマウントのホイールスタッド414(例えば、図1のホイールマウント12のホイールスタッド14)を受け入れる。
【0100】
軸受本体421は同様に、取付開口424の周りの複合ホイール410の表面447にわたってクランプ力F(図10)を分散させるために使用される。この実施形態では、軸受本体421は、取付開口424の各々の間およびその周りで複合ホイール410の表面447上に延在するように構成された上部プレートを備える。したがって、軸受本体421は、各取付開口424の周りの複合ホイールの表面上の複合ホイールの表面447とのクランプ接触面積445を増加させる共有本体として構成される。ここでも、軸受本体は、各取付開口424の周りで複合ホイール10の表面に面して当接するように構成された平坦な基部面444を提供するが、この場合、基部面444は各取付開口424の間および周りに延在する。各締結開口442は、締結ナット418がその凹部内で操作されることを可能にするために、いくらかの隙間を伴って締結ナット418を収容するようなサイズの円形または多角形の凹部を備える、軸受本体421内のナット開口427を備える凹部を含む。ナット開口427は、軸受本体421のインサート部440に直接通じている。
【0101】
図9および図10に最もよく示されているように、各インサート部440は、締結開口442の周りで軸受本体421の基部444から軸方向外側に、複合ホイール410のそれぞれの取付開口424の中に、かつそれを通って延在する。インサート部440の本体450の半径方向断面は円形であり、好ましくは、取付開口424の半径方向幅よりも小さい半径方向幅を有する。インサート部440の遠位端452は、バッキングプレート422のインサート部開口凹部456内に受け入れられるように構成される(下記参照)。
【0102】
インサート部440は、インサート部440の内面/内側面に形成された角度付き環状係合面430を含む。係合面430は、締結ナット418の基部係合部分436に対する締結軸Xに対して相補的な角度(図4の角度βに等しい)を有する。使用時には、締結ナット418をホイールスタッド414に組み付けて複合ホイール410を軸受本体421とホイールマウントとの間に締結するときに、締結ナット418の係合部分436が軸受本体421の係合面430に係合する。
【0103】
この実施形態では、係合面430は、インサート部440の遠位端452に配置され、その内壁に再び形成され、そこから半径方向内側に延在する。これにより、係合面430は、軸受本体421の下、複合ホイールの上面447の下に配置され、係合面430の一部分は、複合ホイール410の下に延び、バッキングプレート422のインサート部開口凹部456内に位置する。これにより、各締結ナット418を、軸受本体421を通ってそれぞれのインサート部440内に凹ませることができる。この構成は、図1図5に示す実施形態よりもさらに低い位置に締結ナット418を配置し、さらに小さいスタック高さを提供する。
【0104】
軸受本体421のインサート部440は、複合ホイール10に決して接着されないことが好ましい。これにより、インサート部440は、複合ホイール410の取付開口24に対して摺動することができる。
【0105】
取付インサート420は、そのクランプ係合からの圧縮力を係合面430から外側に突出させ、インサート部440を軸方向に(締結軸Xに対して)バックアップし、軸受本体421の基部444に戻すように構成される。図10に最もよく示されているように、これは、軸受本体421の基部455とバッキングプレート422との間に圧縮力JCを間接的に作り出し、軸受本体421の基部455とバッキングプレート422との間に複合ホイール10の材料を一緒に挟み込み、それによってホイール410をホイールマウント412上にしっかりと固定する。力の伝達は、締結ナット418がホイールスタッド414の端部に締結されることから生じる(ホイールスタッド414に張力BTを生じさせる)。ホイールスタッド414上の締結ナット418の締め付けは、締結ナット418の係合部分436を係合面430上に係合させ、係合面430に圧縮力SCを生じさせ、それがインサート部440の隣接部分に伝達される。これにより、係合面430と軸受本体421との間に引張力STが生じ、これにより、軸受本体421の基部444から取付開口424の周りの複合ホイール410の表面447に圧縮力JCが加えられる。係合面430からインサート部を通って軸受本体421に力が伝達されることにより、力Fが取付開口424の縁部から離れて分散され、複合表面447にわたってより均一に分散され、次いで取付開口424の周りの複合構造の上および中に分散されることが保証される。この実施形態では、軸受本体421の共有された性質は、複合表面447全体にわたってこれらの力のさらに大きな分布を提供する。
【0106】
図9図10および図11に最もよく示されているように、バッキングプレート422は、ホイールマウント412と複合ホイール410との間に挿入されるように設計されている。図示されたバッキングプレート422は、ホイールスタッド414が貫通して延在する、環状に離間した8つのインサート部開口454を含む平坦なトロイド形状のプレートである(複合ホイールの取付開口424の数に対応する)。バッキングプレート422は、軸受本体421に対する取付開口424の反対側に大きな表面を提供し、それに対して複合ホイール410を圧縮力JC(図10)によってクランプすることができる。図10に示すように、バッキングプレート422は、インサート部開口454の各々と同心円状に配置された一連のインサート部開口凹部456を含む。凹部456は、上述したように、インサート部440の遠位端452をその中に着座させる。ここでも、インサート部440の遠位端452は、ホイールマウント412またはバッキングプレート422のいずれの部分にも(軸X-Xに対して半径方向または軸方向に)直接係合しない。
【0107】
図示の実施形態では、ショルダボルトなどの締結具が凹部446(図11)に締結されて、炭素繊維ホイール410を介して共有軸受本体421およびバッキングプレート422を互いに緩く保持する。これはまた、軸受本体421の回転を抑制する。それにもかかわらず、同等に代替の保持機構、例えば、各インサート部440の遠位端に設けられたサークリップまたは他の締結具構成などが、この機能を実行するために同等に使用され得ることを理解されたい。ここで、さらなる部分が、インサート部440の遠位端452から、締結具装置が取り付けられるそれぞれのインサート部開口454を通って軸方向に延びてもよい。同様に、インサート部440の実施形態は、インサート部440の遠位端452からそれぞれのインサート部開口454を通って軸方向に延びるスリーブまたは同様の延長部を含んでもよい。
【0108】
(例えば、図1に示すように)複合ホイール10に取り付けられると、取付装置16,216,316,416は、ホイールスタッド14,314,414(図1図5図7、または図8図11に示す実施形態)の締結ナット18の締め付け、または締結ボルト218(図6に示す実施形態)の締め付けによって、装置16,216,316,416の環状係合面30,230,330,430と軸受本体21,221,321,421の基部44,244,344,444(および取付開口24,224,324,424の周りの複合ホイール10の表面の荷重伝達ゾーン45,345,445)との間に予め負荷された張力を受ける。これはまた、軸受本体21,221,321,421の基部44,244,344,444と取付開口24,224,324,424の周りの複合ホイール10の表面との間を予め圧縮する。
【0109】
図示された実施形態は炭素繊維ホイール10に関するが、図示された取付装置は、マウントに締結されるように設計され、かつ圧縮継手損傷が発生する可能性がある、任意の同様のタイプの複合材料、構造、または構成要素と共に使用するように適合させることができることを理解されたい。
【0110】
当業者は、本明細書に記載された本発明が、具体的に記載されたもの以外の変形および修正を受けやすいことを理解するであろう。本発明は、本発明の精神および範囲内に入るすべてのそのような変形および修正を含むことが理解される。
【0111】
「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「備える(comprised)」または「備える(comprising)」という用語が本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される場合、それらは、記載された特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在を排除しないと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの複合ホイールをホイールマウントに取り付けるように構成された取付装置であって、前記複合ホイールが、細長い締結要素が挿入される少なくとも1つの取付開口を含み、前記取付装置が、
(A)前記細長い締結要素を含むか、または前記細長い締結要素に締結されるように構成された締結本体であって、前記締結本体が係合部分を有する、締結本体と、
(B)取付インサートであって、前記取付インサートが、
・前記取付開口の周りで前記複合ホイールの表面に面するように構成された基部を含む軸受本体、
・使用時に前記細長い締結要素が挿入される締結開口であって、前記締結開口が締結軸を含む、締結開口、
・前記締結開口の周りで前記締結軸に対して前記軸受本体の前記基部から離れて軸方向に延在するインサート部であって、前記インサート部が前記複合ホイールの前記取付開口内に延在するように構成される、インサート部、および
・前記インサート部の内面から延在する少なくとも1つの係合面であって、前記少なくとも1つの係合面が前記締結本体の前記係合部分に対して実質的に相補的な構成を有し、前記締結本体が前記細長い締結要素を介して前記ホイールマウントに締結されたときに前記締結本体の前記係合部分に動作可能に係合するように構成される、少なくとも1つの係合面
を含む、取付インサートとを含み、
前記少なくとも1つの係合面の少なくとも一部が、前記軸受本体の前記基部の下および前記軸受本体の前記基部と前記インサート部の遠位端との間に位置し、
前記インサート部の前記遠位端が、前記複合ホイールの前記取付開口内に延在し、前記ホイールマウントから離間し、または前記ホイールマウント内に、前記ホイールマウント上に、前記ホイールマウントと一体に、もしくは前記ホイールマウントに隣接して配置された要素から、もしくは前記要素内に離間し、その結果、前記インサート部の前記遠位端が前記ホイールマウントおよび/または前記要素と直接係合しない、取付装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの係合面が遠位端を含み、前記係合面の前記遠位端が、前記締結軸に対して前記軸受本体の前記基部から軸方向に離れて、前記軸受本体の前記基部と前記インサート部の前記遠位端との間に位置する、請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの係合面が、前記軸受本体の前記基部から軸方向に離れて、前記締結軸に対して前記締結開口を軸方向に貫通してその下に位置する、請求項1に記載の取付装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの係合面の少なくとも一部が、前記締結軸に対して前記軸受本体の前記基部の軸方向上方に位置する、請求項1に記載の取付装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの係合面が、前記軸受本体の前記基部と前記インサート部の前記遠位端との間に実質的に位置する、請求項1または2に記載の取付装置。
【請求項6】
前記軸受本体が、前記締結本体の少なくとも一部を受け入れるようなサイズの本体開口を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項7】
前記本体開口が、前記取付インサートの前記インサート部内に延在する、請求項6に記載の取付装置。
【請求項8】
前記インサート部が、前記締結本体を受け入れるための第1の内径を有する第1の部分と、前記締結本体を捕捉するようなサイズの第2の内径を有し、前記細長い締結要素がそれを通って延在することができる第2の部分とを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項9】
前記軸受本体の前記基部が、前記取付開口の周りで前記複合ホイールの前記表面に当接するように構成された実質的に平坦な接触面を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項10】
前記複合ホイールが少なくとも2つの取付開口を含み、前記軸受本体が、前記少なくとも2つの取付開口の各々の間および周囲で、前記複合ホイールの前記表面上に延在する、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項11】
前記軸受本体が、各取付開口の間および周囲に延在する実質的に平坦な本体、好ましくはプレートを備える、請求項10に記載の取付装置。
【請求項12】
前記軸受本体が、少なくとも2つの締結開口と、前記複合ホイールの取付開口の数に対応する少なくとも2つのインサート部とを含み、各インサート部が、前記複合ホイールのそれぞれの取付開口内に延在する、請求項10に記載の取付装置。
【請求項13】
前記軸受本体が、前記軸受本体が係合する前記複合ホイールの前記表面に対して相補的な構成を有する起伏のある係合面を有する、請求項10に記載の取付装置。
【請求項14】
前記締結本体が、前記係合部分と前記細長い締結具とを含む締結頭部を含む締結ボルトを備え、前記細長い締結具が、前記ホイールマウントに接続されるように構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項15】
前記締結本体が、前記細長い締結要素上に組み付けられてその前記係合部分を前記少なくとも1つの係合面と動作可能に係合させる締結ナットを備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項16】
前記細長い締結要素が雄ねじ面を含み、前記締結本体が相補的なねじ付き内孔を含む、請求項15に記載の取付装置。
【請求項17】
前記係合面は、前記締結軸に対して角度が付いているかまたは湾曲している、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項18】
前記係合面には、前記締結軸に対して10~80度、好ましくは30~60度の角度が付いている、請求項17に記載の取付装置。
【請求項19】
前記係合面が、前記インサート部の内壁の実質的に環状の部分を含む、請求項17に記載の取付装置。
【請求項20】
前記インサート部が、前記複合ホイールの前記取付開口内に、かつそれを通って延在するように構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項21】
前記ホイールマウントに隣接して位置する前記要素が、前記ホイールマウントと前記複合ホイールとの間に挿入されるように構成された少なくとも1つのバッキング要素を備え、前記少なくとも1つのバッキング要素が、前記締結開口の少なくとも一部を含む、請求項20に記載の取付装置。
【請求項22】
前記インサート部の前記遠位端が、前記ホイールマウントまたは前記少なくとも1つのバッキング要素に配置されたインサート部開口に受け入れられるように構成される、請求項21に記載の取付装置。
【請求項23】
前記インサート部開口が、前記インサート部を収容してその中に着座させるようなサイズの第1の直径と、前記細長い要素を収容するようなサイズの第2の直径とを提供する段付き直径を含む、請求項22に記載の取付装置。
【請求項24】
前記インサート部開口が、前記インサート部の少なくとも一部が前記インサート部開口を通って移動することを可能にするようなサイズであり、好ましくは、前記インサート部の前記遠位端の一部と前記少なくとも1つのバッキング要素との間に摺動嵌合を提供するようなサイズである、請求項22に記載の取付装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのバッキング要素が、前記インサート部の一部を受け入れるようなサイズの凹部を含む、請求項21に記載の取付装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの係合面の少なくとも一部が、前記少なくとも1つのバッキング要素の前記凹部内に位置する、請求項25に記載の取付装置。
【請求項27】
前記バッキング要素が、前記取付開口の周りで前記複合ホイールの表面に当接するように構成されたプレートを備える、請求項21に記載の取付装置。
【請求項28】
前記インサート部の前記遠位端が、前記バッキング要素の前記インサート部開口を通る前記インサート部の引き抜きを防止する少なくとも1つの保持機構を含む、請求項21に記載の取付装置。
【請求項29】
前記軸受本体の前記基部が、前記ホイールマウントに対する前記インサート部の軸方向回転を実質的に防止する固定機構を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項30】
前記固定機構が、前記複合ホイールの前記表面の少なくとも1つの相補的な溝、穴、開口、戻り止め、凹部または窪みに着座する少なくとも1つの突起、スピゴット、フランジまたはエンボスを備える、請求項29に記載の取付装置。
【請求項31】
前記複合ホイールが炭素繊維複合ホイールを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置。
【請求項32】
請求項1から4のいずれか1項に記載の取付装置を含む、複合ホイール。
【請求項33】
炭素繊維複合ホイールを含む、請求項32に記載の複合ホイール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
さらに、軸受本体21は、締結ナット18の係合部分36がインサート部40の係合面30と係合するように、ナット開口27内に締結ナット18を受け入れるように構成される。ナット開口27は、締結ナット18がその凹部内で操作されることを可能にするために、締結ナット18をある程度の隙間を有して収容するようなサイズの円形または多角形の凹部を備える。いくつかの実施形態では、その隙間は、締結ナット18を操作するために使用される工具(図示せず)の一部、例えばソケットレンチまたはスパナも収容するのに十分である。図3に示すように、ナット開口27は、締結開口42に入り込む凹部を形成する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
インサート部40の厚さおよび半径方向幅は、軸受本体21のナット開口27に接続し、締結開口42および係合面30を収容し、係合面30から軸受本体21の基部44への力の伝達を可能にするのに十分な材料を提供するのに十分である。これにより、インサート部40の外径は大きくなり得る。したがって、インサート部40の遠位端52は、締結軸Xと軸方向に整列した小径延長部53と、バッキングプレート22のインサート部開口54内に受け入れられるように特に構成された締結開口42とを含む(以下を参照)。延長部53は、インサート部40の遠位端52に段差を効果的に提供し、インサート部40の半径方向サイズは、バッキングプレート22のインサート部開口54のサイズに一致するようにサイズが縮小する。さらに、インサート部40の遠位端52は、ホイールマウント12の表面から離間した位置にあることに留意されたい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
図5に最もよく示されているように、力の伝達は、締結ナット18がホイールスタッド14の端部に締結されることから生じる(ホイールスタッド14に張力BTを生じさせる)。ホイールスタッド14上の締結ナット18の締め付けは、締結ナット18の係合部分36を係合面30上に係合させ、係合面30に圧縮力SCを生じさせ、それがインサート部40の隣接部分に伝達される。これにより、係合面30と軸受本体21との間に引張力STが生じ、これにより、軸受本体21の基部44から取付開口24の周りの複合ホイール10の表面47に圧縮力JCが加えられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
この実施形態では、ホイールボルト218のボルト頭部218Aは、ホイールボルト218がねじ付きの細長い締結具部分214と一体的に形成されることを除いて、前の実施形態の各締結ナット18のすべての特徴を含む。したがって、この実施形態の機能および力伝達は、角度付き係合部分236がホイールボルトのボルト頭部218に位置し、係合部分236が取付インサート220の係合面230と係合するように構成されていることを除いて、先行する実施形態について上述したものと全く同じである。図6に示す取付インサート220のいくつかの特徴は、図1図5に示す実施形態に関して図示および説明したものと同じである。したがって、図6の同様の特徴には、図1図5に示すのと同じ参照番号に200を加えたものが付されている。図1図5に示す取付装置16の動作の上記の説明は、取付装置216が、締結ナット18をホイールスタッド14に締結するのとは対照的に、ホイールボルト218Aをホイールマウント12の開口に係合することによって締め付けられることを除いて、この実施形態にも等しく適用されることを理解されたい。したがって、取付インサート220は、図1図5に関連して図示および説明した実施形態について前述したように、軸受本体221およびインサート部240から形成され、ホイールボルト218と相互作用する前述と同じ特徴および機能を有する。
【国際調査報告】